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A.2018年のコロナ禍前の賃金への不満を理由に転職した人の賃金上昇率は6%ポイント。
出典: 内閣府『令和7年度 経済財政白書(全体版)』2025年7月公表
コラム2-4-3図 転職による賃金上昇率への平均処置効果 賃金への不満を理由に転職した人の賃金上昇率はコロナ禍を経て高まっている (%ポイント) 8 7 6 5 4 3 2 1 0 *** *** ** *** コロナ禍前 環境改善目的 賃金への不満 コロナ禍 コロナ禍後 (備考) 1. リクルートワークス研究所「全国就業実態パネル調査」により作成。2016~24年に実施された調査の個票を使用している。 2. 直近1年以内に離職(出向等を除く。)と就職を経験した者を転職者としている。「環境改善目的」とは、前職の退職理由を尋ねる設問(単一回答)に対して、「賃金への不満」「労働条件や勤務地への不満」「会社の将来性や雇用安定性への不安」と回答した転職者。コロナ禍前、コロナ禍、コロナ禍後は、それぞれ2016~2018年、2019年~2021年、2022年を基準時点とする推計。分析の詳細は内閣府政策統括官(経済財政分析担当)(2025a)を参照。 3. 図中の***は1%水準、**は5%水準で有意であることを示す。 (過去、経済が大きく悪化した年でも賃金引下げを実施する企業は限定的) まず、「賃金の下方硬直性」とは、一般に、景気後退期であっても名目賃金を容易に引き下げることが困難であることを指し、従前の名目賃金水準が心理的な参照点となり、労働者が、その水準からの賃金水準の引下げを強く忌避するという認知的な特性(損失回避)や、賃金の低下に伴って生じるモチベーションの低下等が下方硬直性をもたらす要因とされる28。さらに、こうした下方硬直性が、翻って、景気拡張期であっても賃金の上方硬直性をもたらす可能性も指摘されている29。これらは、物価や賃金の上昇率がゼロ近傍にあるというデフレ的な環境下に特有の現象とも言え、下方硬直性(やこれに伴う上方硬直性)が現時点において弱まっているかどうかは、今後の賃金上昇の持続性を占う上で重要な要素と考えられる。 次に、実際に賃金の下方硬直性がみられるかを確認する。厚生労働省「賃金引上げ等の実態に関する調査」により、賃金の改定状況(又は意向)を確認すると(第2-2-17図)、「1人平均賃金を引き下げた・引き下げる」と回答した企業の割合は、2014年以降、おおむね2%以下で推移している。また、比較可能な過去の中でこの比率が最も高かったのは2009年(世界金融危機直後)だが、名目GDP成長率が▲6%超となるような経済悪化局 28 山本・黒田(2016) 29 賃金の下方硬直性が存在する場合、①景気後退局面において、企業側が賃金を引き下げられなかった分、実際の賃金水準が過大となっていたため、景気回復局面になっても、実際の賃金水準が最適水準(景気回復局面に入れば、最適な賃金水準は上昇する。)に戻るまで企業側が賃金引上げに消極的になる、といった経路を通じて、賃金上昇率が低く抑えられる(平田・丸山・嶺山(2020))。 239