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A.2015年の2015年において「1つの企業に長く勤める」キャリア形成を望む労働者の割合は5割超は5割超。
出典: 内閣府『平成29年度 経済財政白書(全体版)』2017年8月公表
5割超
2015年において「1つの企業に長く勤める」キャリア形成を望む労働者の割合は5割超
第1章 緩やかな回復が続く日本経済の現状 働力の確保・定着」を重視する企業が急速に増加し、91年には約18%となった。今回の人手不足局面でも、こうした要素を重視する企業は増加傾向にあるとはいえ、2016年において11%となっており企業の慎重姿勢は強いようにみえる。さらに、賃金決定に際して「世間相場」を考慮するとした企業の割合は、バブル景気では3割程度あったのに対し、現在は数%程度となっており、長期的には減少傾向にある(第1-1-13図(3))。バブル崩壊以降長く続いた経済の低迷の中で、雇用の維持のため労働者側は長く賃金抑制による人件費の抑制を甘受せざるを得ない状況が続き、賃金をめぐって労使間が厳しく対立する局面が少なくなったことが背景にあると考えられる。さらに、人件費抑制の一環として、大幅な新規採用抑制が行われたため、労働者は安定した職を得、それを維持することを優先する意識が強くなっている。第1-1-13図(4)にみるように、労働者への意識調査では、理想のキャリア形成として「1つの企業に長く勤め、管理的な地位あるいは専門家になる」を選択する労働者の割合が年々増加しており、99年の約4割から2015年には5割超となっている。他方で、複数企業での経験や独立を志向する層が減少しており、特に独立自営キャリアは99年の15%から10%まで低下している。こうした労働者側のリスク回避的な選好は、賃金上昇より雇用の安定を求める姿勢につながり賃金決定に関する交渉力を弱めている可能性がある。 同時に企業側もリスク回避的な姿勢により、賃金引上げに躊躇している可能性がある。山本・黒田(2017)や加藤(2017)は、企業が賃金の引下げが難しいと考える場合、将来の負の経済ショックに備えて、予め賃金を低く抑えておくインセンティブが働くと指摘している10。終身雇用・年功賃金と職務を限定しない働き方を特徴とする、いわゆる「メンバーシップ型」の雇用慣行を持つ企業において、労使双方が変化を恐れ、経営の安定を優先する下では、互いが企業内の論理に基づき賃金交渉を行うため、外部の労働市場においていくら賃金上昇圧力が高まっても内部労働市場には波及しにくい。ただし、人手不足が深刻化する中で、企業が外部労働市場を通じた多様な人材の受入れを行う機会が増えていけば、職務や能力に応じた賃金決定を行う必要性が高まることにより、労働生産性に見合った賃金が支払われることにつながる可能性が考えられる。また、同一労働同一賃金の取組を含む「働き方改革」を実行していくことで、これまでの賃金決定のあり方を見直すことにつながる可能性がある。 ●本格的な回復が期待される個人消費 前述のとおり、雇用者所得の緩やかな増加に支えられて、個人消費は緩やかに持ち直している(第1-1-14図(1))。2016年度は、熊本地震や8月の例年にない数の台風の上陸、10月以降の生鮮野菜等の価格高騰などの影響により短期的な落ち込みはあったものの、均してみれば持ち直しの経路を維持してきたといえる。 注 (10) ただし、上野・神林(2017)は、実際に賃金引き下げを経験している労働者は多く、日本の賃金の下方硬直性はそれほど顕著ではないとしている。西村(2017)は、2000年代に広がった企業の成果主義的な人事政策の下で、賃金が一定の水準に収斂しやすい「ゾーン別昇給表」が普及したことも賃金が上がりにくくなった理由の一つとしている。 32