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A.経済発展と社会的課題の解決を両立する人間中心の社会を目指す
出典: 内閣府『第6期 科学技術・イノベーション基本計画』2021年3月公表
経済発展と社会的課題の解決を両立する人間中心の社会を目指す
3. Society 5.0 という未来社会の実現 (1)我が国が目指す社会(Society 5.0) Society 5.0 は、第5期基本計画等において「サイバー空間とフィジカル空間を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する人間中心の社会」として提唱21されたものであり、第6期基本計画では、これを国内外の情勢変化を踏まえて具体化させていく必要がある。 このうち「経済発展」については、引き続き目指すべき目的の一つであることに変わりはないが、国境のないサイバー空間における経済活動が急激に拡大する中でGDPという指標の持つ意味合いが異なってきており、また、人々の価値観も富の追求に限定しない多様な幸せ、更に国や世界への貢献を重視するなど変わりつつある。このような情勢変化を踏まえると、経済発展の大前提となる国民の安全・安心の確保や持続可能で強靭な社会づくり、更には一人ひとりの多様な幸せを追求できる世の中にしていくことが、結果として「経済発展」につながるものと言える。 特に気候変動を一因とする甚大な気象災害やパンデミックの発生などの差し迫った脅威の克服や、今後とも発生するであろう非連続な変化に対する洞察とその準備は、我が国にとって喫緊の課題であり、また、ICTの浸透により、新たな価値として人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させるDXの推進は、個々のニーズにかなったソリューションを提供する可能性を広げている。そして、これらの実現は、企業のビジネスモデルの変化、更には産業構造の改革につながり、ひいては我が国の国際競争力に資する。 このような背景を踏まえて、我が国が目指す社会を表現すると、「直面する脅威や先の見えない不確実な状況に対し、持続可能性と強靭性を備え、国民の安全と安心を確保するとともに、一人ひとりが多様な幸せ(well-being)を実現できる社会」とまとめられ、このような未来社会を実現することこそが第6期基本計画を策定する目的である。これは、SDGsとも軌を一にするものである。 ① 国民の安全と安心を確保する持続可能で強靭な社会 我が国の社会や国民生活は、災害、未知の感染症、サイバーテロなど様々な脅威にさらされているとともに、我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増しており、国民の大きな不安の根源の一つとなっている。また、これらの脅威に加え、米中による技術覇権争いの激化、国際的なサプライチェーンの寸断リスクや技術流出のリスクが顕在化するなど、安定かつ強靭な経済活動を確立することも求められており、我が国の技術的優越の維持・確保が鍵となる。 さらに、環境問題については、人間活動の増大が、地球環境へ大きな負荷をかけており、気候変動問題や海洋プラスチックごみ問題、生物多様性の損失などの様々な形で地球環境の危機をもたらしている。今を生きる現世代のニーズを満たしつつ、将来の世代が豊かに生きていける社会を実現するためには、食品ロス問題をはじめとする従来型の大量生産・大量消費・大量廃棄の経済・社会システムや日常生活を見直し、少子高齢化や経済・社会の変化に対応した社会保障制度等の国内における課題の解決に向け、環境、経済、社会を調和させながら変革させていくことが不可欠となっている。 政府は、科学技術の発展を梃子にして、我が国の国際競争力の強化を図るとともに、これらの様々な脅威に対して常に適切に対応することができる持続可能で強靭な社会の構築や総合的な安全保障の実現を目指すことが求められており、国民の安全と安心を確保すべく様々な取組を充実・強化させる必要がある。その際、科 21 第5期基本計画では、「ICTを最大限に活用し、サイバー空間とフィジカル空間とを融合させた取組により、人々に豊かさをもたらす超スマート社会」と記載されている。 12