日本企業の輸出・投融資開始が生産性と賃金に与える因果関係を、傾向スコアマッチング法を用いたDID分析により推計した手法の解説。
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付注3-5 輸出・投融資開始による生産性と賃金への影響の推計について 1. 概要 日本企業の輸出・投融資開始が生産性と賃金に与える因果関係を把握するため、内閣府(2019)も踏まえ、傾向スコアマッチング法を用いたDID(Difference in Difference:差の差)の分析を行った。 具体的には、従業員規模といった各企業の属性情報を用いて、輸出・投融資を開始する確率(傾向スコア)を推計し、推計された傾向スコアが同程度で、実際に輸出・投融資を開始した企業と開始しなかった企業を対応(マッチング)させ、それらの企業について、輸出・投融資開始後の生産性(TFP)及び賃金の変化の差を推計した。 2. データ 経済産業省「経済産業省企業活動基本調査」の調査票情報を用いて、推計期間において、輸出・投融資開始の1年前から6年後までの8年間でバランスしたパネルデータを結合して、データセットを作成。 3. 推計方法 (1) 推計式 まず、輸出・投融資を開始する確率(傾向スコア)を、以下のロジットモデルを用いて推計した(説明変数については、輸出・投融資開始を決定してから実際に開始するまでの期間を考慮し、一期のラグをとった)。 Pr(Di,t = 1) = F(β0 + β1 ln relTFP i,t-1 + β2 ln Li,t-1 + β3 DEBTi,t-1 + Σmγm Industryim + Σtγt Timet) 次に、得られた傾向スコアを基に、輸出・投融資開始企業1社ごとに、最も傾向スコアが近い非輸出・非投融資開始企業1社を同一年度・同一産業内で抽出し、1対1のマッチングを行い、マッチング後のサンプルを基に、以下の推計式により差の差を推計した。 OUTCOMEi,t-1+s - OUTCOMEi,t-1 = β0 + β1Di,t + Σmγm Industryim + Σtγt Timet + εi,t (s = 1, ..., 7) OUTCOMEについては、分析目的に応じて、生産性(TFP、付注3-4)の対数値、賃金(従業員一人当たり賃金)の対数値を用いた。 472