日本企業において国内設備投資が抑制される一方、海外投資や現預金の蓄積が進み、手元流動性が高止まりしている現状を分析している。
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るものの総資産全体に占める割合は小さい。 これらを総資産に対する比率でみると、企業行動の変化の特徴は一層明らかである。1990年代後半以降、有形固定資産の比率が低下するのとほぼ時期を同じくして投資有価証券の比率が上昇傾向で推移しており、2010年代後半には両者の比率が逆転するに至っている(第3-2-6図(2))。このことは、過去四半世紀ほどの期間において、企業部門は、国内での設備投資を抑制する一方で、より市場の拡大が見込まれる海外において、現地法人の設立やM&A等による生産・販売拠点の拡大に積極的に取り組んできたことを示している。企業規模別にみると、こうした動きは主として大・中堅企業において顕著であり、海外向け投資の拡大が、配当金を通じた営業外収益の増加という形で、経常利益を支えてきた面がある。 また、総資産に対する現金・預金の比率についても、2000年代半ばから上昇に転じている。企業規模別にみると、大・中堅企業においても緩やかに増加しているが、特に、1990年代後半以降の中小企業における現金・預金の蓄積が著しいことが分かる。規模が小さく経営資源に制約がある中小企業では、一般的に、大・中堅企業に比べて海外展開が難しく、したがって、投資有価証券よりは現金・預金での蓄積が進んだものと考えられる。現金・預金の蓄積により、企業の短期的な支払能力を計る尺度である手元流動性6も、中小企業を中心に、2000年代半ば以降上昇している(第3-2-6図(3))。収益の増加に比して賃金や国内向け投資を抑制してきた結果であるほか、リーマンショックやコロナ禍によって売上が急減するなど危機を経験する中で、手元流動性を多く確保しておくといった企業行動も表れていると考えられる。その結果、日本の非金融法人企業の現預金保有残高のGDP比を主要先進国と比較すると、コロナ禍後は6割程度と突出した水準で高止まりしている(第3-2-6図(4))。 第3-2-6図 総資産の動向 国内投資が抑制される一方、海外投資と現預金が増加 (1)総資産(資産の部)の動向 ①水準 (兆円) 2,500 2,000 1,500 1,000 500 0 1980 90 2000 10 20 (年度) ②1993年度比の伸び率と内訳寄与 (%) 80 70 60 50 40 30 20 10 0 -10 -20 1994 2000 05 10 15 20 23(年度) 6 流動資産である現金・預金及び有価証券の合計が売上高に占める比率。 364