中小企業における差別化戦略とIT活用による価格転嫁の成功事例を紹介し、労働生産性向上への取り組みを示す。
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【重要な取組1】中小企業における事例② 労働生産性の向上 「自社ブランドの立ち上げやユーザーの声を丁寧に集めた製 品開発により、付加価値向上を実現した企業」 【昌和莫大小(しょうわめりやす)株式会社】 差別化 奈良県広陵町の昌和莫大小株式会社は、1935年創業の老舗靴下 メーカー(従業員数14名)。積み重ねてきた機械編みと縫製の技 術が信頼を集め、大手アパレルメーカーのOEM生産を担ってきた が、中国製低価格品の流入で価格競争が激化。取引先からの受注 減・値下げ要請により、売上高は最盛期から半減し、利益率も低 下の一途をたどっていた。 3代目の井上社長は、2013年、自社ブランドの発足による付加 価値向上戦略に舵を切ることを決意。奈良県よろず支援拠点の助 言を得て、持ち前の編立と縫製技術をいかし、スポーツ・アウト ドア向けソックスブランド「OLENO」を立ち上げた。トップアス リートの試用や、SNSを通じてユーザーとともにブランドを育て ていく仕組みを構築し、試行錯誤を重ねて看板シリーズを完成さ せた。 「OLENO」は五輪選手やプロチームにも採用され、輸出も実現。 売上高の約5割を占める規模まで成長。結果、低採算の受注を 無理して受ける必要がなくなったことで、収益力の改善も実現し た。 井上克昭社長 同社ブランド「OLENO」の製品 「ITを活用した原価管理、付加価値向上や賃上げを実現して いる企業」 【カホク運送株式会社】 価格転嫁 宮城県仙台市のカホク運送株式会社は、冷凍食品や農水産物な どを対象とする幹線輸送を中心に展開する物流企業(従業員数40 名)。東日本大震災により本社屋が全壊。震災の影響による売上 減少や、本社移転等に伴うコストにより財務状況が悪化したため、 経営再建が急務であった。 佐藤社長は、収益構造の見える化が重要と考え、中小機構の支 援を受け管理会計を導入。社内のデータを整理し、Excel上に手入 力していた状況からRPAの活用による自動化を実現。得意先別や 輸送ルート別の日次の売上高、利益率、付加価値額等が自動で算 出され、月次目標の達成状況がリアルタイムで把握できる体制を 構築した。 データ分析に基づいた事業再編も断行。売上高の約3割を担う ものの利益率が低い事業から撤退し、利益率の高い事業に経営リ ソースを集中する方針へ舵を切った。また、原価率などの根拠 データを持参して価格交渉することで、得意先の納得感を得ること ができ、適切な価格転嫁を実現している。利益率や付加価値額 は大幅に向上し、継続的な賃上げにより積極的に従業員に還元し ている。 佐藤俊一社長 大型モニターで受注・販売・運行管 理情報をリアルタイム表示 23