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A.2021年の日本企業の人権DD実施率は50%程度。
経済産業省の2021年の調査によると、日本企業における人権デュー・ディリジェンスの実施率は約5割程度(50%程度)となっています。この数値は日本国内の企業における人権尊重への取り組み状況を示しています。
出典: 経済産業省『通商白書2022(全体版)』2022年6月公表
日本企業の人権DD実施率
50%程度
日本企業における人権デュー・ディリジェンスの実施率は約5割程度
第1章 共通価値を反映したレジリエントなグローバルバリューチェーン 公表した。本指令案は、EU域内の大企業(域内で事業を行う第三国の企業も含む)に対し、人権や環境のデュー・ディリジェンス実施等を義務づけるものである。今後、指令案は欧州議会等での議論を経て、採択されれば、各国は2年以内にこれを踏まえた国内法を制定することが求められることになる。さらに、米国では、2021年12月、中国の新疆ウイグル自治区で一部なりとも生産等された製品や、米国政府がリストで示す事業者により生産された製品は、全て強制労働によるものと推定し米国への輸入を禁止する「ウイグル強制労働防止法」が成立した。同法では、輸入禁止を避けるには、輸入する製品が一部なりとも強制労働に依拠していないこと等を輸入者が証明する必要がある。法律を執行する上での細則やガイドライン(「執行戦略」)を定め、2022年6月に施行される予定である。こうした国際社会の動きも踏まえ、企業としても事業活動における人権尊重の取組を行っていく必要がある。CO2排出削減・脱炭素の取組と同様、人権の問題に関しても、自社内だけでなく自社のサプライチェーンやバリューチェーン全体を見据えた対応と情報開示が求められている。 (1) バリューチェーンにおける人権の問題 2030年までの国連の持続可能な開発のためのアジェンダであるSDGs(Sustainable Development Goals)は、強制労働や児童労働、人身売買等の「現代奴隷制」を終わらせることを目標としている。ILOによると、2016年時点で、世界で約4,000万人が現代奴隷制(約2,500万人が強制労働、約1,500万人が強制結婚)に該当するとされる81。 こうした人権侵害を伴う形で採取・生産された原材料や部材の使用、あるいは最終製品の購入等、様々な取引に関与するリスクに注意する必要がある。特にGVCの広がりのなかで、人権リスクの高い国・地域内に財やサービスが留まらず、貿易に内包されてGVCに組み込まれていくリスクに留意すべきである。ILO、OECD、IOM(国際移住機関)、UNICEFは、この点を踏まえたレポート82の中で、生産工程やそれ以前の原材料採取の段階における人権リスクが輸出入に内包される可能性について産業連関表の手法を用いた検討を行っている。 GVCマネジメントの観点からは、グローバルに展開するサプライチェーンにおいて、自社だけでなく、取引先やサプライヤーの人権リスクについても把握する必要がある。 (2) 我が国の取組 我が国政府においては、2020年10月に「ビジネスと人権」に関する行動計画を策定し、その中で、規模、業種等にかかわらず、日本企業に対して、人権デュー・ディリジェンスのプロセスの導入を期待する旨を表明している。経済産業省と外務省は、2021年11月、同計画のフォローアップの一環として企業の取組状況を把握するため、日本企業のビジネスと人権への取組状況に関する、政府として初めて実施した調査の結果を公表した83。調査の結果、回答企業において、売上規模が大きい企業や、海外売上比率が大きい企業は人権に関する取組の実施率が高い傾向にあることが明らかになったが、全体としては、人権デュー・ディリジェンスの実施率は約5割程度にとどまっているなど、日本企業の取組にはなお改善が必要であることが明らかになった。また、人権への取組の実施率が高い企業ほど、国際的な制度調和や他国の制度に関する支援を求めていることが明らかとなった。政府に対する要望として、ガイドライン整備を期待する声が最も多く寄せられ、人権尊重への取組が進んでいない企業の半数からは、具体的な取組方法が分からないとの回答も寄せられた。このような状況を踏まえ、2022年3月、経済産業省は、サプライチェーンにおける人権尊重のための業種横断的なガイドライン策定に向けて検討会を立ち上げた。2022年夏までに策定する国内のガイドラインの整備と併せて、国際協調により、企業が公平な競争条件の下で積極的人権尊重に取り組める環境、各国の措置の予見可能性が高まる環境の実現に向け取り組んでいくとしている。 ●責任あるサプライチェーン実現に向けた取組(繊維産業の場合) 繊維産業は、糸や生地の製造、製品の企画・製造、流通・販売と川上から川下まで長いサプライチェーンを築いていることが特徴である。サプライチェーンが長く、事前の需要予測が難しいことから、適量生産・ 81 ILO et al.(2017) 82 Ali Alsamwi et al.(2019) 83 経済産業省・外務省(2021) 302 2022 White Paper on International Economy and Trade