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総合資源エネルギー調査会 電力・ガス基本政策小委員会 第85回

2025-01-27一次資料(出典)

議事録・配布資料の全文(政府公表資料より。要約でなく原文に基づく参照用)。

総合資源エネルギー調査会 電力・ガス基本政策小委員会 第85回 資料総合資源エネルギー調査会 電力・ガス基本政策小委員会 第85回 資料総合資源エネルギー調査会 電力・ガス基本政策小委員会 第85回 資料総合資源エネルギー調査会 電力・ガス基本政策小委員会 第85回 資料総合資源エネルギー調査会 電力・ガス基本政策小委員会 第85回 資料総合資源エネルギー調査会 電力・ガス基本政策小委員会 第85回 資料総合資源エネルギー調査会 電力・ガス基本政策小委員会 第85回 資料総合資源エネルギー調査会 電力・ガス基本政策小委員会 第85回 資料

議事録

総合資源エネルギー調査会電力・ガス事業分科会 第 85 回電力・ガス基本政策小委員会 日時 令和7年1月 27 日(月)11:00~12:45 場所 オンライン開催 ○小柳室長 定刻となりましたので、ただいまより、総合資源エネルギー調査会第 85 回電力・ガス基 本政策小委員会を開催します。 委員及びオブザーバーの皆様方におかれましては、ご多忙のところご参加いただき、あり がとうございます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。 本日の小委員会についても、オンラインでの開催とさせていただきます。ウェブでの中継 も行っておりますので、そちらでの傍聴も可能となっておりますので、よろしくお願いいた します。 本日、武田委員、村木委員におかれましては、ご欠席の連絡をいただいております。武田 委員からは事前に意見書を提出いただいておりますので、参考資料1として配付させてい ただきます。 本日ご出席いただいております本委員及び臨時委員の数は、定足数を満たしております。 それでは、以降の議事進行は山内委員長にお願いいたします。 ○山内委員長 どうも山内でございます。よろしくお願いいたします。 今日の議題ですけれども、議事次第にあるとおり、1番目が電力システム改革の検証のと りまとめということで、これは皆様に長らくご議論いただいたもの、これの取りまとめ案と いうのを作っていただきました。あとは電力ネットワークの次世代化、それから電力需要の 見通しという、この三つについてご審議していただくことになります。 それでは、早速ですけども、議題(1)です。これがメインになりますけども、システム 改革の検証のとりまとめ(案) 、これをまずは事務局からご説明いただいて、議論したいと 思います。どうぞよろしくお願いします。 ○小柳室長 それでは、事務局から、資料3に基づいてご説明します。資料3-2として報告書本体を 配っていますけれども、今日は資料3-1の概要のほうでご説明をさせていただきます。 2ページに行っていただきまして、目次ですけれども、検証の位置づけであるとか、検証 の全体像、これまでの評価とこれからの目指すべき方向性、電力システムが直面する課題と 対応方針、事業者に期待される役割・取組、将来の電力システムを支える取引市場の全体像、 1 今後の進め方ということで整理をしてございます。 3ページに行っていただきまして、検証の位置づけですけれども、2015 年に成立した改 正電気事業法の附則において、法的分離後5年以内に電気事業を取り巻く状況について検 証するということになっておりますので、この基準に基づいて検証したということでござ います。 4ページに行っていただきまして、検証プロセスの全体像ですけれども。附則の規定なん かも踏まえつつですけれども、2013 年2月に取りまとめました電力システム改革専門委員 会報告書の項目に沿って、現状を整理したということでございます。 5ページに行っていただきまして、2023 年 12 月 26 日から検証を開始しまして、1年以 上の期間をかけて検討いただきました。30 名以上の有識者であるとか実務者の方々から、 6回にわたってヒアリングも実施しております。 6ページに行っていただきまして、これまでの評価とこれからの電力システムが目指す べき方向性ということですけれども、2013 年4月に閣議決定をしております電力システム に関する改革方針では、三つの目的が規定されておりました。一つは安定供給の確保、二つ 目が電気料金の最大限の抑制、三つ目が需要家の選択肢や事業者の事業機会の拡大という ことでございまして、それぞれについて検証したということでございます。 安定供給の確保という意味では、2015 年に広域機関が創設されたり、広域融通は 300 回 以上が行われたり、連系線の増強も進展したということで、広域的な電力需給であるとか、 送配電ネットワーク整備を通じた安定供給については、一定程度目標を達成できたのでは ないかというふうに評価しております。 一方で、供給力のほうですけれども、火力の稼働率・収益率の低下によって休廃止が進展 しているであるとか、2020 年以降は断続的に需給逼迫を経験しているとか、事業者による 電源の新設・リプレース投資が容易でない状況があるということで、安定供給に必要な供給 力の維持・確保という点では、課題が残っているということでございます。 電気料金の最大限の抑制についてですけれども、これもこの小委でも検討いただきまし たけれども、なかなか電気料金の水準は、燃料価格、電源構成、再エネ賦課金、いろんな影 響を受けますので、小売全面自由化の効果だけを取り出して検討するのはなかなか難しい ということではあるのですけれども、実態としては、経過措置料金よりも自由料金が安価な 水準で推移していったといったことは事実なのだろうというふうに思っております。 一方で、燃料価格高騰時には電気料金が高騰するであるとか、小売事業者の経営悪化なん かもあって、需要家との契約解除であるとか事業撤退、託送料金の不払いみたいなことも起 きたということが課題として残っているのだろうと思っております。 三つ目の需要家の選択肢とか事業機会の拡大ですけれども、700 を超える事業者が小売事 業に参入したと、あるいは再エネに特化したメニューなんかもできてきたということで、需 要家の選択肢の拡大については、一定程度評価できるのだろうというふうに思っておりま すけれども、一方で、実際には、700 社中 200 社を超える事業者は電気の供給を行っていな 2 いであるとか、国際燃料価格の高騰時には退出なんかも相次ぎまして、一定の負担や混乱の 引き金になったということもありましたので、需要家保護の観点から課題も残っているの だろうということだと思っております。 全体としては、いろいろ進展もあったけれども、効果や課題も顕在化してきているという ふうなことでまとめてございます。 7ページに行っていただきまして、10 年前の電力システム改革時には、必ずしも強く意 識していなかったというのは、経済社会環境の変化もあるのだろうというふうに思ってお ります。 一つ目が、世界的なDXや脱炭素化の流れの加速ということで、ここまで世界的にカーボ ンニュートラルの対応が加速化するということまでは想定していませんでしたし、DXの 進展なんかもあって、将来的な電力需要が増加していく見込みだということも、なかなか意 識しなかった変化かなというふうに思っております。 ②のところですけれども、地政学的リスクを含む経済安全保障リスクの高まりというこ とで、様々な要因があってですけれども、国際燃料価格の高騰等へのリスクが高まりつつあ るといったことも起きていると。 ③番目、世界全体でのインフレの進行ということで、ずっとデフレが続いていた日本でも、 日本を含む世界全体でインフレが進行していると、こういった大きな変化があるのだろう というふうに思ってございます。 8ページ目に行っていただきまして、これまでの評価とこれから目指すべき方向性とい うことなのですけれども。上のところに書いてあるとおり、電力システム改革の目的は、安 定供給の確保、電気料金の最大限の抑制、事業者の事業機会といったことだったのですが、 いろいろ課題が見えてきていると。真ん中辺りですけれども、需要が増加する見込みの中で 供給力の維持・確保が課題になっているとか、カーボンニュートラルへの対応を求められて いるとかです。国際燃料価格の高騰のリスクが顕在化しているといったこともありますの で、下のところですけれども、これからの電力システムが目指すべき方向性として3点、安 定的な電力供給を実現する電力システムの脱炭素化を進めると。あるいは、いろんな価格上 昇要因がある中で、価格への影響を抑制しながら、需要家に安定的な価格水準で電気を供給 できる環境整備をするといった3点にまとめてございます。 9ページに行っていただきまして、課題と対応方針ということですけれども、課題につい ては幾つかあるのですが、安定供給確保を大前提とした電源の脱炭素化ということで、安定 供給と脱炭素化の両立に向けて、長期かつ継続的に必要な電源投資が行われて、電源の運用 ができるような仕組みを構築しなきゃいけないということで、対応方針としては、長期脱炭 素電源オークションなんかも含めてですけれども、収入・費用の変動に対応できるような制 度措置や市場環境を整備していくと。あるいは、発電事業者に求められる機能や役割を整理 していくといったことがあります。 2.のところですが、系統整備・立地誘導と柔軟な需給運用ということで、再エネの導入 3 拡大と安定供給を実現する上では、系統の効率的整備であるとか、供給力や調整力の確保、 短期の需給運用の効率的実施が必要だということで、大規模系統整備に係る託送料金制度 における費用回収の在り方であるとか、資金調達環境の整備が求められるのだろうという ことだと思いますし、系統制約を考慮しながら、供給力と調整力を同時に約定させる同時市 場の導入に向けた検討を進めていくといったことを書いてございます。 10 ページへ行っていただきまして、3.ですけれども、安定的な価格での需要家への供 給に向けた小売事業の環境整備ということで、先ほども申し上げましたけれども、燃料価格 の高騰とか市場環境が厳しい局面においては、小売電気事業者の退出であるとか、電気料金 の急激な変動みたいなことがありましたし、需要家に一定の負担や混乱が起きたというこ ともありますので、小売事業の環境整備が必要だろうというふうに思ってございます。 対応方針ですけれども、例えば、その量的な供給能力kWhの確保に関して、小売事業者 に求める責任や役割を整理していこうであるとか、そういったことを前提にしながら、市場 や卸取引を含む制度措置の必要性、どういった検討が必要かということを検討していきた いということを思っております。 ちょっと順番が逆になりましたけれども、小売とか発電の創意工夫が生かされるように、 内外無差別な卸売の考え方についても議論いただきました。 経過措置料金については、引き続き、競争状況の確認を継続するということではあるので すけれども、解除の際に検討すべき課題が幾つかあるよねということで、こういったことも 検討していこうということでまとめてございます。 4.ですけれども、共通する課題ということで、電源・系統への投資に対するファイナン ス環境をしっかり整備していかなきゃいけないということだと思っています。事業者の資 金調達が難しいとか、投資家側にとっても融資・投資のハードルが高まっている中で、公的 な信用補完の活用なんかも含めて、ファイナンス環境の整備をしていかなきゃいけないと いうことで記載をしております。 11 ページに行っていただきまして、事業者に期待される役割とか取組の方向性というこ とですけれども、今申し上げたような電力システムの方向性であるとか課題、こういったも のを解決するときに中心的な役割を担っていただくのは、新規参入者も含めた電気事業者 だというふうに思っておりますので、こういった電気事業者の方々に期待される役割と責 任ということについてまとめたページになります。 真ん中のオレンジ色の辺りですけれども、一つとしては、脱炭素電源とか系統の設置・整 備の担い手だと思っていますし、②のところは、電気を供給するには、発電から需要家にわ たるまで発電、送配電、小売、あるいは取引所やブローカーなんかも含めていろんな方々が 関わるわけですけれども、それぞれの事業者が果たすべき責任とか役割についてしっかり 整理した上で、こういった安定的に供給する運営者としての役割があるのだろうというこ とを書いてございます。 三つ目のところは、需要家の多様なニーズに応えるエネルギーサービスプロバイダーと 4 いうことで、デジタル化であるとか、サイバーセキュリティーの確保が重要だろうというこ とをまとめてございます。 12 ページに行っていただきまして、今申し上げたような今後の方向性であるとか、課題 とか取組方針を踏まえた上で、取引市場、様々な市場ができてきていますけれども、全体像 を一旦整理してみたというのが6.でございます。 従来、垂直一貫体制とか、地域独占、総括原価方式という、一般電気事業制度の下で安定 的な電力供給を確保してきたわけですけれども、10 年前の電力システム改革の中では、こ れを事業者や需要家の選択や競争を通じた創意工夫によって実現していこうということを 基本的な考え方にしていたわけですけれども、先ほどご説明したとおり、供給力の確保とか 様々な課題に直面しているということだと思っております。 これは過去の一般電気事業制度みたいなものに戻るか、電力システム改革をやるかとい う二者択一ではないと思っているのですけれども、こういった課題がある中で、制度も含め た広義の取引市場を通じて、しっかり安定供給なんかを確保していかなきゃいけないのだ ろうというふうに思っております。 市場の機能としては、三つの役割に整理してみたのですけれども。下の絵を見ていただく と、供給力を把握するための取引市場や制度ということがあると思いますし、こうした確保 した供給力を最適運用する取引市場として、中長期の取引市場、短期の取引市場というのに 分かれるのかなというふうに、ここでは整理をしております。 今この瞬間、スポット市場は、全需要の3割を超えるまで厚みが増してきているわけです けれども、そもそもスポット市場の特性からいって、価格の振れ幅が大きいということもあ りますので、小売事業者からすると、なかなか安定した調達が難しいという面もあるとは思 いますし、発電事業者側からすると、収入の予見可能性がなかなか立ちにくいということも ありますので、こういった中で、まずはその左側の赤色のところですけれども、長期脱炭素 電源オークションや容量市場なんかを通じて、中長期を見据えて必要となる電源投資設備 形成を促進するような市場制度が必要なのだろうということだと思っております。 真ん中の青色のところですけれども、中長期での電力取引の活性化であるとか、新たな電 力価格指標の形成につながっていくような中長期取引市場というのも大事なのだろうとい うふうに思っております。 青色のところは機能すると、電源投資に資するということもあると思いますので、発電事 業者にどのような規範義務を課すかということも含めて、検討していくということかなと いうふうに思っております。 緑色のところですけれども、短期の取引市場ということで、実需給段階では、効率的な需 給運用を実現するという意味で、同時市場の導入も含めて、こういった市場は引き続き必要 になっていくということで、ここではまとめてございます。 13 ページに行っていただきまして、今後の進め方ということですけれども。本日議論い ただきまして、その議論を反映した上でパブコメなんかも実施した上で、3月末に向けて、 5 この検証本文を取りまとめていきたいというふうに思っております。 その後ですけれども、今回まとめていただく内容に沿って、制度の具体化に向けた検討を 進めるということで、また新たな会議体なんかを設置して、2025 年中を目途に、制度改正 の内容を取りまとめていきたいというふうに思ってございます。 事務局からは以上でございます。 ○山内委員長 ありがとうございました。 というわけで、いろいろご議論をしていただいた内容で、今回は方向性という案を作って いただきました。皆さんに、いろいろ忌憚のないご意見をいただいて、よりよいものにした いというふうに思います。 それでは、ご質問、あるいはご意見のある方は、チャット欄でお名前と、その発言の希望 という旨をお書きいただいて、こちらに知らせていただければと思います。順次、私のほう で指名させていただきます。どなたかいらっしゃいますでしょうか。 エネ基のほうも、暮れに骨格といいますか案が出て、今パブコメですかね、かかっている。 エネ基なんかもいろいろ反映した内容になっているというふうに思っています。 牛窪委員、どうぞご発言ください。 ○牛窪委員 牛窪でございます。聞こえていますでしょうか。 ○山内委員長 はい、大丈夫です。 ○牛窪委員 資料のご説明ありがとうございます。 まずは、1年超にわたる議論を、文書のほうも含めて丁寧にまとめていただきまして、あ りがとうございます。 改めて、システム改革の目的と課題から拝見すると、今後、電力需要の増加もある中で、 カーボンニュートラルの実現もしっかりと追いかけていく中で、安定供給を維持しつつ、電 気料金への影響を極力抑えるという、非常に困難な挑戦が待ち構えているということを認 識したところです。 その上で、3点、簡単にコメントをさせていただきます。まず、電力システム改革が電気 料金に与えた影響を整理いただきました。なかなかその要因だけを抽出して評価するとい うのは難しいということで、電力システム改革が当初描いた目的に対して効果を発揮して いるかということはちょっと分からない部分もありますが、引き続き、ここのところは精緻 6 化を図っていく必要があるのではないかと思っております。 二つ目は、先ほども申し上げましたけれども、今後需要が増加する中で、脱炭素電源を中 心に供給力を確保していく一方で、電気料金の上昇を極力抑制するという方向感が出され たということだと思いますけれども、実現に向けて環境整備を進めていく上で、非常に難し いと思います。安定供給と脱炭素の実現というのは、そう簡単にはいかずに、ある程度の時 間軸の中で戦略的に進めていく必要があると思います。 その際は、やはり巨額な投資です、電力会社様におかれては、既往のピークを上回る投資 が必要になると予想しております。そうしたことを、産業界のみならず国民の皆様にも広く 認識をいただいて、どのようにそうした電源の基盤を整備していくかということをしっか りと考えていくことが重要だと思っております。 3番目、最後ですけれども、今回取りまとめていただくに当たって非常によかったのは、 本当に様々な方々、様々なお立場の方々、専門家の方々からヒアリングの機会を頂戴したと いうことと考えております。今後も引き続き、こうした様々な方との丁寧なコミュニケーシ ョンが、この改革をしっかりと検証して進めていく上で重要だと思っておりますので、今後 も機を見て、こうしたヒアリングの場を設けていただければと思っています。 以上でございます。 ○山内委員長 ありがとうございました。 いつもと同じように、事務局からの回答、コメントは、最後にまとめてお願いしたいと思 います。 次に、原委員、どうぞご発言ください。 ○原委員 原です。 ご説明ありがとうございました。多岐にわたり、また長期にわたり様々な検証が進められ たと思いますが、簡潔にまとめていただいたと思います。これについての異論はございませ ん。 簡単に感想として申し上げるといたしますと、ここ 10 年の間に、実にいろいろなアクシ デントや危機があったと、その中で電力の安定供給がなされてきたと改めて思うところで す。 今後につきましては、資料の3-2のほうも読ませていただきましたけれども、15 ペー ジに詳細が述べられているとおり、本当にたくさんの課題がありますけれども、消費者とし ては、これからの安定供給と脱炭素化電源の推進、さらに系統整備などにどう関わっていく のか。また、それに伴うコスト負担をどう受け止めるのか。また、事業者をどのように選択 していくのかといったことに、今後さらに関心を払わなければならないと思っています。 7 このたびの検証結果とともに、今後の動向も引き続き分かりやすく広報していただけれ ば、ありがたいと思っております。 以上です。 ○山内委員長 ありがとうございます。 ほかにいらっしゃいますか。 村松委員、どうぞご発言ください。 ○村松委員 村松です。聞こえていますでしょうか。 ○山内委員長 大丈夫です。 ○村松委員 ありがとうございます。 このたびのこちらシステム改革検証と今後の方向性のまとめ、ありがとうございました。 長期間、非常に幅広い領域で最後までまとめてくださいまして、大変感謝しております。 全体として、今までの議論、並びに検証、ヒアリングを丁寧にまとめてくださったものだ と思いますし、内容について違和感はございません。こちらは今後、システム改革実現に向 けた今後の進め方といったところで対応がされると理解しております。 書かれている内容、全体としては違和感ないんですが、若干まだ検討中のものを断定的に 書かれているところも資料3-2の中では見受けられます。恐らくパブコメで、その辺ご意 見が出てくると思います。ちょっと細かい点ですので、今日は申し上げませんけれども、そ ういったところも最終的には手直しいただければと思っております。 今後、これからの進め方ということで全体についての要請になりますけれども、三つ申し 上げたいと思います。 まずは、これら緊急性の高い項目、長期的に取り組んでいかなければならない項目、多岐 にわたっているとは思うんですが、時間軸をできるだけその検討の早い段階で示して、その ゴールを意識した進め方というのが取り上げられればと思っております。 需給の安定、脱炭素化、こういったものについては大規模投資を伴いますし、価格の長期 的な安定性といった観点では、燃料の長期契約が必須になってくると思います。非常に時間 のかかるもの、今すぐにでも取り組むべきものもあると思いますので、この辺はゴールがき ちんと示された上で、期限についての意識を高く持って進められればと思っております。 2番目として、まだ制度が始まったばかりで、効果が十分に検証されてないまま今回の検 8 討を進めたものが幾つかあったかと思います。例えば容量市場ですか、始まったばかりで、 これの効果の評価ができていなかったというのがあると思います。今後の進め方の中にも あったかと思いますが、こういったものも実行局面では現実を踏まえた形で、今後の施策に ひもづけられればと思っております。 そして、最後に、これからシステム改革をまた進めていくに当たって、制度や法律の改定 を伴うものも、もちろんありますが、現状の制度の中でよりよくするために、実現可能なも のもあると思います。両方の組合せで、対応の先送りがないように進めていただければと思 います。例えばですが、経過措置料金、こういったものは大きな見直しではなくて、足元で できることもあるかと思っております。 最後に、個別の話になってしまって申し訳ないんですが、送配電事業者の所有権分離の件 を今回の報告の中に最終的に入れていただきました。所有権分離の必然性は現時点ではな いとされる結論につきましては、私も同意いたします。引き続き、送配電部門の中立性、透 明性、これの向上に努めていただき、きちんとした形でのモニタリングがされること、これ が条件ではございますが、結論に対して賛同いたします。 以上です。 ○山内委員長 ありがとうございました。 次のご発言者は今ご登録ないですが、どなたかいらっしゃいます。 電取委の新川オブザーバー、それからエネットの谷口オブザーバー、今、委員の方がいら っしゃいませんので、今お願いしますか。それでは、監視等委員会の新川オブザーバー、ど うぞご発言ください。 ○新川オブザーバー 監視等委、事務局の新川でございます。 今回の電力システム改革の検証結果、いずれパブコメを踏まえて、まとめられるものと承 知をしておりますけれども、今後、様々な制度設計について検討が進められるものと認識を しております。 監視等委事務局としましても、必要に応じて、この小委員会や、新しくできます会議体も 含めて、電力の適正な取引の確保や需要家保護の観点などから意見を申し上げていきたい と考えておりますし、監視等委員会として検討すべき事項があれば、検討してまいりたいと 考えております。 また、内外無差別については、これまで監視等委がコミットメントの要請を行い、評価基 準等を整備した上で各社の取組をフォローアップしてきました。今後も、従前と同様に取り 組んでいきたいと考えておりますが、電ガ小委において、エリア外限定販売の条件付与等に ついて議論が実施され、今回の取りまとめ(案)にも記載されていると認識をしております。 9 今後、監視等委においても、新たな課題・ニーズへの対応と、小売市場における競争の促 進という二つの課題の両立を前提に、事後評価の在り方や評価方針について検討を整理し てまいりたいと考えております。 以上でございます。 ○山内委員長 ありがとうございました。 それでは、次は、松橋委員どうぞ。 ○松橋委員 松橋でございます。聞こえておりますでしょうか。 ○山内委員長 はい、聞こえています。 ○松橋委員 まず、お取りまとめいただきまして、誠にありがとうございます。 全体的な方向性として、私は異論はございません。 それと大きな軸の中に脱炭素というふうに書かれておりますが、私は、より正確にはカー ボンニュートラル化と言ったほうがいいとは思っておりますが、方向性はそれで構いませ ん。 ただ、言いたいことは何かというと、炭素という元素です、これが非常に有用なものなの で、例えば水素として運ぶよりも、炭素をつけてe-メタンとして運ぶとか、あるいは発電 した後にCCUSでCO2を回収して利用する、あるいは貯留する、こういうこともありま す。入り口のほうにもe-メタンが入ってくることがありますし、出口のほうでもCO2を 利用するということが、また炭素を利用するということもありますので、そういう意味で、 脱炭素というよりは、カーボンニュートラルと言ったほうがいいと思いますが。 いずれにせよ、この軸が粛々とここに入っているということは、非常に重要であると思い ます。といいますのは、ヨーロッパが過去には非常には強い力で、やっぱりそのカーボンニ ュートラル化、脱炭素化ということを強く主張してまいりました。ところが、ロシアの紛争、 ロシアのウクライナ侵攻以降、安全保障が大きく揺らいだために非常にトーンダウンして きているということがあります。 その一方で、アメリカはトランプ大統領が登場して、早速パリ協定から離脱の宣言をしま して、そういう流れで、温暖化については、少なくともアメリカ合衆国大統領としては政策 を強く打つことはしないという方向になりそうです。 その中で、日本はこれまでも中庸といいますか、エネルギーセキュリティーをきちんと重 10 視しつつ、カーボンニュートラル化も進めてきたわけで、このバランスの取れた政策という ものが、今、非常に重要であると思っています。ヨーロッパのように、ひと頃のように、カ ーボンニュートラル化一辺倒になってしまうというのも非常にバランスが悪いですし、さ りとてドリル・ベイビー・ドリルとか、そういうレトリックを駆使して、また化石燃料に一 辺倒になるというのも、彼はレトリックで言っているんだと思いますが、非常にバランスが 悪いわけで。日本が取ってきた政策が非常にバランスがいいということを、世界は認識する はずです。 ですから、今後も、トランプ大統領とか、ヨーロッパとかにあまり振り回されず、粛々と エネルギーセキュリティー、それから経済性、そしてカーボンニュートラル化、この軸を堅 持してやっていくことが重要であると思います。 もう1点だけ申し上げますと、容量市場の問題、それから長期脱炭素電源オークションの 問題があります。火力、特に天然ガスの火力については、トランジションの電源として非常 に重要であると言われておりますが、私もリアルオプション分析を用いて評価をしたこと がありますが、やはり、ほとんど長期脱炭素電源オークションに採択されないと、サステナ ブルなマネジメントができないということに近い結論が得られております。容量市場もあ りますが、この辺り、長期的な電源のサステナビリティ、経済性と脱炭素化、カーボンニュ ートラル化を進めるためのサステナビリティのために、特にその固定費の部分をどうする かというのは、非常に大きな問題として残っているのかなと思っております。 もちろん、そのために容量市場や長期脱炭素電源オークションがあるんだということな んでしょうけども、これらが市場として今、最適な状態なのかどうかということは、まだ議 論の余地があるのかなというふうに考えておりまして、その意味で、最後にご説明で言われ た、JEPXのような短期ではなく、やや長期の市場というものが考えられているというこ とは一つ肝になると思いますので、今後、我々もよく注意して見てまいろうと思います。 以上です。 ○山内委員長 ありがとうございました。 それでは、次は、四元委員どうぞ。 ○四元委員 四元です。聞こえますでしょうか。 ○山内委員長 はい、聞こえております。 ○四元委員 11 ありがとうございます。 手短に、感想めいたものですけれども、述べたいと思います。 今回、これまでの議論を適切にまとめていただいていると考えております。概要版で言い ますと、12 ページの6.将来の電力システムを支える取引市場の全体像ということで、こ の三つの赤、青、緑の枠囲いで、これ分かりやすく図示していただいていて。さっきのご説 明のとおり、赤枠が非常に大事ですけれど、この中長期取引市場がうまく機能することで、 また電源投資にも、うまく作用するんじゃないかと。この方向性をぜひ期待はしております けれども、やはりこの長期電源投資で今の仕組みが、これはこれからなんですけれども、う まく機能するかというのは、なかなか必ずしも楽観視できるものではないのではないかと も思ってはおります。今後、注視していきたいと思います。 電力システム改革の意義というのは、現状、評価はなかなか難しいというところで、そこ もおおむね適切にまとめていただいてると思いますけれども、次の 10 年が、まさにその意 義が問われるところで。ただ、取り巻く環境は極めて厳しいと思っております。新たに脱炭 素を加えていただいた三本柱の実現というのは、本当に困難、先ほど牛窪委員も、たしか困 難な挑戦だとおっしゃったように思いますが、そのとおりだと思います。 一つお願いをしたいのは、やはり国民への情報開示です。それは理解促進の広報というこ とにとどまらず、国民が、何か政府として何をやっていて、何を目指していて、それから日 本国として正しい政策なのか、国民もちゃんと分かって、国民も考えてもらって、その上で 正しく判断をしてもらいたいという観点から、積極的な情報公開をぜひお願いします。 特に費用負担の観点、コストの観点というのが極めて大事で、電気料金のみならず国庫負 担として、どこまで日本国として、これにどういう形で拠出していくか、こういったことを ぜひ積極的に情報開示をお願いします。例えば、これから地域間連系線の整備などの巨大プ ロジェクトも開始されますので、そういうのも国民としてその意義を分かった上で将来の 国民負担がどうなるか、そこも分かった上で一緒に協力してもらうということが非常に大 事になってきますので、その点よろしくお願いします。 以上です。 ○山内委員長 ありがとうございます。 それでは、次は、皆藤委員どうぞ。 ○皆藤専門委員 皆藤です。聞こえておりますでしょうか。 ○山内委員長 はい、聞こえております。 12 ○皆藤専門委員 ありがとうございます。 このたびは膨大な、多岐にわたる議論をお取りまとめいただいて、誠にありがとうござい ます。きちんと論点を踏まえていただいて、よくまとまっているというふうに思っておりま す。 その中で、資料の7ページにもございますとおり、この 10 年システム改革の中で振り返 ってみると、ここ最近でいうと、やはり大きなインパクトがあるのが地政学リスクの顕在化、 エネルギー安全保障の重要性が改めて浮き彫りになったのではないかなというふうに思っ ております。改めて、日本は資源がない国だという現状を見せつけられるとともに、それに よって電力価格が大きく変動し得るということがあったかと思います。 また、脱炭素化の流れ、カーボンニュートラルの流れ、これも想像以上に進みつつあるな ということと、企業活動においても様々な面で対応が求められるとともに、またDX、こう いったものの進展によって電力需要が増えていくというところ、これはおまとめいただい たとおり、大きな変化ではないかなと思っております。 また、世界全体のインフレ、なかでも電力価格が、選挙で政権が変わり得る要因の一つと して挙げられるぐらい、国民生活や企業活動にとって重要な要素になってるというふうに 考えております。 こういったことを踏まえた中で、今後のシステム改革が目指していく方向性として、安定 供給の実現、脱炭素化・カーボンニュートラルの推進、そして、それらを踏まえて安定的な 価格水準、これを供給できる環境整備、これを目指していくという、多くの委員からもご指 摘ありましたけど、非常に難しいながらも、ぜひこれをきちんと両立させて、三つを併存さ せて、今後進めていかなければならないなというふうに改めて感じているところです。 脱炭素化だけに進むであるとか、電力価格だけを追い求めるということではなく、様々な 観点からこれを実現できるシステムをつくっていく重要性があるのではないかなというふ うに思っております。 中でも、やはりファイナンスについてもご指摘あったかと思います。これからの脱炭素を 進める上では、非常に巨額な資金が必要になってくると思っております。これをなかなか企 業の責任のみで追っていくことというのは、非常に難しいというふうに考えております。こ ういったものをきちんとシステムでカバーできる仕組み、こういったものをつくっていか なければならないというふうに思っておりますので、引き続き、丁寧な検証を進めていって いただきたいなというふうに思います。 私からは以上でございます。 ○山内委員長 ありがとうございます。 13 次に、秋元委員、どうぞご発言ください。 ○秋元委員 秋元です。 取りまとめ、ありがとうございました。大きな部分で反対なくて、これまでの議論を踏ま えて、また現状を、いろいろ多岐にわたる論点を総合的に判断いただいて、取りまとめてい ただいてるというふうに思いますので、大きな反対ございません。 その上で少しだけ申し上げておきたいのは、3-2の資料を中心にですけれども、例えば 30 ページ目に書かれていることは、そのとおりだなと思うのは、部分最適が全体最適を毀 損する可能性があるということで、これだけ複雑化してきたシステムをうまく、私も反省し ないといけないところもあると思いますけども、ともすると一つの市場だけを手をつけよ うとして、逆に全体を毀損してしまうということがあると思っていますので、複雑化すれば するほど、もう一回、全体最適でどうなっているのかということをよく考えながら、引き続 き、丁寧に議論を進め、改革すべきところはしっかり改革していくという姿勢が必要ではな いかというふうに思っています。 その上で、今お二人ぐらい続けて委員がおっしゃいましたけど、私も全くそう思っていま して。やっぱり脱炭素化、このカーボンニュートラルの流れが続いている中で、コストの増 大というのは、一定程度避けられないというふうに思ってますし、また、今の国際情勢から しても、コストの上昇というのは、一定程度仕方ないというふうに思っています。 これまでも何度も申し上げてきているように、しっかりそのコストを、必要なコストにつ いてはしっかり料金転嫁して、国民に負担していただく必要もあるわけでございますので、 そこの説明を逃げることなくしっかり丁寧に、なぜ必要なのかということを問うていく必 要はあるかと思いますので、ぜひそこをしっかりやっていっていただきたいというふうに 思っています。 その上で、本文の中で、例えば若干気になっている文章があって、ここで申し上げるべき かどうか分かりませんけど、今の関連からいきますと、例えば 14 ページ目で、物価上昇に よる価格への影響を抑制と書かれているんですけども、本当に物価上昇分を抑制する必要 があるのか、この電力システムとして抑制する必要があるのかというのは、若干、私は疑問 にも思いました。やっぱり物価が上昇しているんであれば、それは適正に価格に本来は転嫁 すべきで、そうじゃないと社会構成の中でゆがみを生じますので、そういった視点で何か料 金を低廉にするということは当然ながら必要なわけですけども、ゆがみをもたらさないよ うにしていくということが重要で、そこについてもしっかり需要家、もしくは国民に説明が 必要だというふうに思っています。 あとは直していただいてますけれども、何回か議論があった、安定的な価格というのは需 要家に対して望ましいわけですけども、他方、それは直していただいて、どこか長期的にと いう感じでちゃんと入れていただいていますけども、短期にはある程度ボラティリティは 14 認めて、省電力の取組、PR等を促す仕組みも必要でございますので、何が何でも安定的に しなければいけないというものでもないというふうに思っています。あまりそれをし過ぎ ると、繰り返しですが、どこかにゆがみを生じさせてしまうということだと思いますので、 それをしっかり理解した上での対応が必要かなというふうに思っています。 そういう意味で、もう1点だけ申し上げておきますと、24 ページ目でも、ここ書いては いただいているんですけども、事業者負担の下で成立してきたというところに関して、その 後、事業者負担したものではあるが云々と書かれていて、何となくそれは仕方のないような 感じで取られかねないような気がするんですけども、やっぱりそういうゆがみは本来もた らすべきではないので、もし別の目的があるんであれば、その目的に応じた制度をちゃんと 設計して、全体最適を図っていくという視点が必要だと思いますので、そういうことを踏ま えながら、引き続き、よい電力システムを構築していくことが重要かと思いますので。 一応大きな反対はございませんで、この方向でぜひ進めていただければというふうに思 いますが、ちょっと細かい点で、念のため申し上げさせていただきました。ありがとうござ いました。 ○山内委員長 ありがとうございました。 次は、大橋委員、どうぞご発言ください。 ○大橋委員 ありがとうございます。 まず、今回検証ということで、膨大な時間を割いて、事務局にもこうしてまとめていただ いて、ご尽力に感謝申し上げます。 今回のシステム改革、第1次システム改革というふうに呼ぶとすると、ここでの改革とい うのは、これまでの規制制度、事務局の資料にも地域独占なり総括原価なり書かれています けれども、そうしたものを大きく変えるために、思い切った措置を取る必要があったという ことだと思います。 小手先の措置では、そのときの規制制度に引っ張られる、そうした重力に引き戻される可 能性もある中で、相当程度スポットを中心にした短期市場に非対称規制も導入しつつ、また 再エネの補助制度も入れつつ、そこに比重を置いてきたということがあったと思います。 他方で、足元の電力需要の潜在的な高まりがある中において、相当程度、kWも非効率な 電源も含めて退出してきたという中で、新たな電力投資を必要とする局面にあるというこ とを事務局も仰っていて、私もそうした局面なんだろうと思います。 これまでの取組で行ってきた短期市場を中心とする改革、その市場が発するシグナルと いうのが、投資に対するシグナルというものにも強い影響を及ぼしてきたということが、今、 足元の課題の一つなんだろうと思います。 15 そうした意味で、第1次システム改革の取組を変えていく必要があるということなんだ と思います。ある意味、システム改革前のものから変えていこうとすると、相当程度、理想 のものよりはアクセル踏んで振り子を振り切る必要があるので、そういう意味で言うと、常 にこうしたじぐざぐの経路をたどりながら理想に近づかざるを得ないのかなと思いますけ れども、そういうことなんだろうと思います。 ただ、これは過去に戻るという話じゃなくて、投資で言うと、その自由化、これまでの取 組の自由化の中で、どうやって投資を促すのかという話になるんだと思います。基本的には、 国が補助、完全に補助して、その補助の中で電源投資を図るというよりは、事業者が自らの アセットを使って、創意工夫をする。そうした工夫をしながら、電源に対していろいろ知恵 を絞ってかせぎ方考えるというような姿を許していく、自由化の中で許していくような姿 をしっかりつくる必要がある。 これまで競争上の懸念のみを理由に事前規制を要求する、これはコミットメント要請も含 めますが、そうしたことを行ってきたわけですけれども、本来、自由化にふさわしくない、 自己規制の運用なんだと思います。そういう意味で言うと、これまでとは違う、自由化にあ った運用体制を、これから第2次システム改革においてはつくっていくことが急務だとい うふうに思いますし、そうした知見を持つ人材を育てていくということが何より重要なこ とだと思っています。 DRとかいろいろあるとは思いますけれども、相当程度これだけの需要増を賄うという と、巨額な投資を長期にわたって回収するような設備形成が必要になるということなんだ と思います。そうしたものをしていく上には、そうした自由化を前提としたものでの事業者 の取組も促していく必要があることは当然ですが、他方で、政府としても一定程度、どうい う電源について長期的にしっかり進めていくことが必要であるというふうなスタンスをぶ れないようにしていかないと、突然この電源は要らないとかというふうに言われちゃうと、 これを全部、事業者がかぶることになっちゃって、なかなかそうすると電源として投資が進 まないというふうなこともあるんだと思います。 そういう意味で、しっかりそうした中長期的な観点からの施策の比重の置き方というも のを今後考えていくということは必要ですし、ある意味、GX全体で言えば、今、競争政策 と産業政策のバランスについても再構築しているところだと思いますけれども、そうした ラインに沿った議論をしっかりしていくということなんだろうと思っています。 以上です。ありがとうございます。 ○山内委員長 ありがとうございます。 それでは、次は、松村委員どうぞ。 ○松村委員 16 松村です、聞こえますか。 ○山内委員長 はい、聞こえています。 ○松村委員 発言します。 今までの議論を適切にまとめていただいたと思います。ありがとうございました。 まだシステム改革途上ということ、まだ道半ばだと思いますので、問題点として挙げられ た点に適切に対応できるように、今後も着実に改革を進めていくとのことだと思います。 まず、発言が多く出てきた全体最適については、全くそのとおり。今回を機に認識された のではなく、今までもずっとそう言われてきたし、多くの人が多くの機会に指摘してきたと 思います。全体として効率的にすることが重要だと思います。 一方で、市場横断的に、個々の一つ一つの市場の個別の問題への対応ではなく、全体とし て効率化する効果を持つ大きな提案が出されたときに、それに対してとてもネガティブに、 あるいは消極的な発言を繰り返している人が、こういうところでだけ全体最適と言うと、そ れは個々の改革を進めないようにするために変なことを言っているのではないか、口実な のではないかと疑われかねない。 全体最適を考えるときに一番大事なものは、重要な原理。一つ一つの小さな問題ではなく、 全体に大きな効率化をもたらす原理を大切にし、それに資する改革を積極的に進めていく ということ。全体最適に反する可能性があるからというので、個々の改革を阻害しようとす る際の口実に使われないようにという点も、私たちは過去の経験から十分注視しなければ いけないと思います。 別の点です。今後巨額のファイナンスが必要になってくることが、電源ネットワーク双方 で、いろんな局面であるし、もう目の前でもそういう必要性が出ている。しかしそれは民間 ではとてもできないとの指摘に関しては、私はそうは思いません。 政府のサポートなしに民間だけでやることになったとすれば、それで物すごく大きなリ スクを与えたとすれば、それは物すごく高い収益性があって初めてリスクが取れることに なる。結果的に大きな報酬を払うことになって、国民全体、ユーザー全体も大きな負担を強 いられることになる。そのような負担を、投資主体のリスクを減らすことで、リスクプレミ アムとして負担しなければいけないコストを適切に削減できれば、その結果として事業者 にとっても消費者にとってもウィン・ウィンになる。だからある種、全部民間にお任せとし ないで、リスクを軽減するための一定のサポートをするということだと思います。 あくまでそれは、全体としてのコストを抑えるのが目的。 、様々な課題に対応するために、 コストがどんどん上がっていかざるを得ないというのを、どうやって効率化して、消費者の 負担を少しでも抑えるのかという視点で今回の報告書も書かれているのだと思いますし、 17 様々な提案がされているのだと思います。 全体としての効率化を進めるためにこうしているということを忘れると、むやみやたら にその支援を厚くして、総括原価のときよりももっとひどい状態になることにもなりかね ない。この点については十分注視すべきだと思います。この報告書は、そのような形できち んと書かれていると思いますので、安心しております。 以上です。 ○山内委員長 ありがとうございました。 委員の方のご発言希望は以上でよろしいですか。 それでは、オブザーバーの方のご発言に移りたいと思います。 先ほど新川オブザーバーでしたので、次はエネット、谷口オブザーバー、どうぞご発言く ださい。 ○谷口オブザーバー エネット、谷口です。 取りまとめいただきまして、誠にありがとうございます。 取りまとめ内容については、特に異論ございません。ご説明にもありました、最後、今後 集中的に議論ということがありますので、それに当たっての要望を少し述べさせていただ きます。 取りまとめ資料3-2の 22 ページのところでは、新電力シェアが 20%程度に到達という 記載もあって、全国大で見ると、一定の進捗が見られるというものと認識しています。 一方で、過去にも申し上げたことにはなりますが、各エリア単位での業種・業態や、お客 様の特徴に目を向けると、まだまだ限定的な事業環境となっている側面もありますので、こ ういった課題の掘り下げと制度的な対応の必要性というのをまだ感じております。 また、直近、導入された制度については先ほど村松委員からもございました、例えば容量 市場では、将来の供給力確保に資する重要な制度であるということは認識しておりますが、 現状の負担金回収の仕組みや在り方については、事業者の事業運営上における将来見通し に対する影響や、各電力エリアでの異なる事務処理対応は事業に大きな影響を与えている という課題もございます。 30 ページ以降で、電力システムを支える取引市場全体像について整理いただいておりま して、今後、詳細については、会議体を立ち上げて、集中的に議論となっておりますが、そ ういった場で現状の制度的・構造的課題の掘り下げと対策や、加えて、新たに導入した制度 の課題の掘り下げと対策についても整合的に検討が行われ、実効性の高い環境整備となっ ていくことを改めて要望いたします。 あわせて、取りまとめ3-2の 19 ページに、エリアを越えた一般送配電事業者同士の横 18 の連携として、設備の仕様統一化というハード面での記載というのがありますが、今後、全 国大でのスケールメリットの拡大や各社共通のDX化など、次のステップに向けて、一般送 配電事業者と小売事業者とのやり取りが柔軟、機動的に行えるようなソフト面での施策と いうのについても検討を織り込んで、進めていただければと思います。 以上でございます。 ○山内委員長 ありがとうございます。 次は、送配電網協議会、山本オブザーバーどうぞご発言ください。 ○山本オブザーバー ありがとうございます。送配電網協議会の山本でございます。 おまとめいただきまして、ありがとうございました。少し細かいところになりますけれど も、幾つかコメントさせていただければと思います。 まず、これからの電力システムが目指すべき方向性としまして、8ページ、資料3-2で すと 14 ページに大きく三つ整理いただいておりますけれども、一つ目にありますとおり、 安定的な電力供給を実現していくためには、供給力に加えまして、調整力・慣性力の確保が 必要となってきますので、それらが中長期的に確保できる仕組みについて、既に国や広域機 関の審議会において議論がなされておりますけれども、引き続き検討をお願いしたいと思 います。 次に、データセンター等の大規模需要を、系統整備等の観点で適地に誘導するということ に当たりましては、9ページ、資料3-2ですと 20 ページにありますように、需要家や自 治体等の関係機関、各インフラ事業者などの関係者が連携して、適地を選定できる仕組みに ついて検討をお願いしたいと思います。一般送配電事業者としましても、ウェルカムゾーン マップの公表など、引き続き需要家等のニーズも踏まえまして、需要の立地誘導に資する情 報公開に努めてまいりたいと考えております。 最後に、11 ページ、資料の3-2ですと 28 ページにありますように、一般送配電事業者 として、再生可能エネルギーのさらなる導入・拡大に向けた系統整備や、将来的にも確実に 需給調整、安定供給を行っていくためには、安定した事業基盤が必要となりますので、人材 や設備のサプライチェーンの確保、維持、系統整備に関する費用等が確実に回収できる仕組 みも含め、事業環境の整備についてご検討をお願いしたいと思います。 いずれにしましても、今後の方向性に沿った具体策が重要と考えておりますので、よろし くお願い申し上げます。 私からは以上です。 ○山内委員長 19 ありがとうございます。 次は、電気事業連合会、佐々木オブザーバーどうぞ。 ○佐々木オブザーバー ありがとうございます。電気事業連合会の佐々木でございます。 電力システム改革の検証につきまして、これまで1年にわたり行われた議論をお取りま とめいただきまして、誠にありがとうございました。先日提示されましたエネルギー基本計 画やGX2040 ビジョンにつきましては、エネルギー安全保障と安定供給を第一に据えた上 で、脱炭素に向けて野心的なビジョンの完遂と、不確実性の中での経済成長を目指すという 強い決意が示されました。 その実現に向けた極めて重要な政策手段の一つが電力システム改革であり、今後は、今回 取りまとめられた検証結果に基づき、どれだけ迅速に、かつ実効性の高い施策の展開ができ るかが求められると考えております。 これまでご議論いただいたとおり、脱炭素に向けた投資を実現するためのファイナンス 面を含めた事業環境整備、電力取引市場の在り方、経過措置料金の取扱いなど、詳細に検討 すべき論点は山積しております。神は細部に宿ると言いますけれども、今回整理された大方 針が詳細設計、制度設計のプロセスでゆがむことのないよう、常に大方針を振り返りながら 検討を進めていただくことをお願いいたします。 最後に、電力の安定供給、脱炭素によって、我が国の産業基盤、経済成長を支え、国民一 人一人が希望を持って暮らせる社会の実現に向けて、実効性のある制度の具体化をスピー ド感を持って進めていただくよう、お願いいたします。 私からは以上です。 ○山内委員長 ありがとうございます。 私の手元で把握しているご発言のご希望という方は以上となりますが、ほかによろしい ですか。 それでは、小柳室長から、今のいろいろなご発言に対してのコメントについてお願いした いと思います。 ○小柳室長 ありがとうございます。何名かの委員の方からは、方向性について、需要増の中で脱炭素 電源を中心に供給量を確保しながら料金をというのは難しいチャレンジだというようなご 指摘もいただきましたけれども、エネ基にも記載しているようなこともありますし、そうい ったエネ基の全体像、エネルギー市場全体像も両立しながら、電力システムのほうもまた考 えていきたいなというふうに思っております。 20 牛窪委員から、ヒアリングの機会をもらったことがよかったというような話もありまし たので、今後もしそういった場があれば、つくっていきたいなというふうに思っています。 こちらも何名かの委員からありましたけれども、広報というか、消費者の方々にもしっか り政府の方向なり、コスト負担の観点もちゃんと認識していただきながらということもあ りましたので、そこはちょっと考えていきたいなというふうに思っています。 あとは、村松委員から、パブコメの中で対応するとか、時間軸を示しながらというような お話もありましたので、パブコメはこれからやりたいと思っていますし、今後その具体化を 進めていく中では、時間軸も見据えながら、できるものからやっていくということかなとい うふうに思っております。 あとは、秋元先生からは、そのコストのところ、料金転嫁の話も幾つかご指摘いただきま したので、どういったことができるか、少し記載ぶりなんかも考えてみたいなというふうに 思っています。 大橋先生、松村先生から、その産業政策の競争政策のバランスであるとか、全体の効率化 みたいな基本的な考え方をお示しいただいたと、ご指摘いただいたというふうに受け止め ていますので、といった観点も示しながら、踏まえながら、今後の具体化はしっかり進めて いきたいというふうに思ってございます。 あとは、幾つか既存のルールとか制度の課題なんかもしっかり深掘りしながら、今後検討 をという話もありましたので、それはしっかり受け止めてやっていきたいなというふうに 思っています。 事務局からは以上でございます。 ○山内委員長 ありがとうございました。伺っておりまして、基本的に事務局の案にご賛同いただいたも のというふうに判断いたしたいと思います。 これは1年以上、いろいろなヒアリングを重ねたり、あるいは、いろいろなデータを照合 したり、そういったことでまとまった案だということで、まず、事務局に、私からも感謝申 し上げたいというふうに思いますけれども、今、幾つかいただいた点を、これからパブリッ クコメント等によりまして、手直ししていただく必要があるのかなと思いましたけれども、 基本はこの案で皆さんご同意ということだと思います。 大変恐縮でございますけれども、ご意見等を踏まえて、この修正の必要がある場合には、 恐縮でございますが、私のほうに一任をいただきたいというふうに思いますけど、よろしゅ うございますか。 特にご反対がないというふうに受け取りまして、それでは、一任をいただけたということ で、今後の対応はこれから事務局と検討させていただこうと思います。 どうもありがとうございました。これで議題(1)を終了とさせていただきます。 21 ○山内委員長 それでは、議題(2)ですけれども、これは電力ネットワークの次世代化というものであ ります。事務局の資料4です、これをご説明いただいた後に、それから、これについては事 業者側へのヒアリングを実施したいと思います。質疑応答は、その後にまとめて時間を取っ てやりたい、どうぞよろしくお願いいたします。 ○筑紫課長 電力基盤整備課長の筑紫でございます。 そうしましたら、次のテーマ、電力ネットワークの次世代化につきまして、私から簡単に ご報告させていただきますとともに、この後、専門家の方からプレゼンテーションをいただ くという流れで進めたいと思います。 資料を開けていただきまして、資料4の2ページですけれども、北海道・本州間海底直流 送電につきましては、昨年末、12 月 23 日に、電力広域機関が実施案の応募に関する意思確 認を実施しまして、二つの事業者から応募意思の表明書が提出されたというところでござ います。今後、電力広域機関において応募資格の審査というものを進めた上で、資格のある 事業者について、実施案の提出、それから電力広域機関における広域系統整備計画の策定と いった流れで進んでいくということになります。 一方で、今後、本プロジェクトを着実に進めていくという観点では、資格のある事業者に よる技術面でのさらなる精査は当然のことですけれども、先行利用者との調整ですとか、資 金調達の課題の対応など、国の制度的な措置も必要になってくる部分もございます。この点、 今回、応募意思表明書を提出された事業者からも、事業化を進めていく上での資金調達を含 めた課題等に関する対応ということについて、条件といった形で提示されている部分もご ざいます。プロジェクトの実施に向けて対応を進めていく必要があるということで、本日は、 関連の資料をご報告させていただくとともに、海外の事例について、専門家からご紹介をい ただくという趣旨でございます。 以降の資料については、本当にかいつまんでということでございます。3ページ、4ペー ジは、これまでもお示ししてきたものです。 それから、5ページ目のところは、先ほど申し上げました、二つの事業者から応募意思表 明書が提出されたということなんですけれども、そのプロセスの詳細について記載がござ います。幾つか下のところで、赤い四角が今現在のところ、それから中期的には青い四角に 基づいて実施案の提出に進んでいくということでございます。 それから、6ページが応募を表明いただいた二つの事業者のご紹介ということでござい ます。 それから、7ページ目が、そのうち送配電事業者4社の連名による意思表明について、併 せて付されている書類についてご報告するものでございます。7ページがその書類を掲示 しているところでございます。 22 それから、11 ページ以降は、それについてより詳細な説明について、これは電力広域的 運営推進機関の広域系統整備委員会でご説明いただいたので、そのときの資料を併せてご 報告するというところでございます。 私からは以上です。 ○山内委員長 ありがとうございました。 それでは、有識者からのご説明に移りたいと思います。本日は、有限責任監査法人トーマ ツのパートナーでいらっしゃいます樋野さんです、樋野さんからご説明いただきたいと思 います。樋野さん、どうぞよろしくお願いいたします。 ○有限責任監査法人トーマツ(樋野パートナー) 皆様、こんにちは。樋野でございます。声、聞こえておりますでしょうか。 ○山内委員長 はい、大丈夫です。 ○有限責任監査法人トーマツ(樋野パートナー) それでは、私のほうから、海外における送電プロジェクトの事例についてご紹介させてい ただきたいと思います。今ご紹介にあずかりました、有限責任監査法人トーマツの樋野でご ざいます。次のページをお願いします。次をお願いします。 このページ、海外における主要な送電プロジェクトについて一覧にしております。様々な データ、容量ですとか、運開時期ですとか、プロジェクトコストですとか、そういうのを一 覧化させていただいており、日本の主要な北海道・本州ですとか、関門とも比較できる形で 作っておりますが、本日は、この中でも国の多様性ですとか、それから規模感を踏まえまし て、英国、ドイツ・ノルウェー、それからオーストラリアの3事例についてご紹介させてい ただきたいと思っております。次のページをお願いします。 まず、英国における事例になります。Eastern Green Link1ということ で、こちらはイングランド北東部とスコットランドの東海岸を結ぶグリッドになっており、 今年度に建設開始し、2029 年に運転開始をする予定になっております。 次のページをお願いします。 投資回収、ファイナンススキームとは直接関連しないんですが、このグリッドの目的とし ては、スコットランドにおける再生可能エネルギーの電気をイギリスのほうに、イギリスの 他のところに持っていくことを目的にして行っているものであり、今日はEastern Green Link1を代表にお話しさせていただきますが、ほかにも同様に2~4まで のプロジェクトが進行中というふうになっております。次、お願いします。 23 こちらのスキームです、投資回収スキームと、それからファイナンススキームとそれぞれ 分けてお話しさせていただければと思います。まず、投資回収スキームとしては、RIIO によるレベニューキャップということで、託送料金で回収するというスキームになってい るということになります。 次に、ファイナンススキームですけども、ファイナンススキームにつきましては、このA STI、Accelerated Strategic Transmission Inv estmentというような仕組みが導入をされています。こちらは1億ポンド以上の設 備投資が必要となるプロジェクトに対して適用できるものになっていまして、内容として は右下にございます。 ASTIの概要ということで、まずは建設前に、プロジェクト計画申請によって、建設前 資金として、総コストの 2.5%の資金提供が行われるという形で、こちらにより調査ですと か、プロジェクト設計等の作業費用として使用可能になっています。 次に、工事着工のタイミングで、総コストの最大 20%の資金提供を行うという形で、当 初の土地購入等に充てることができるという形になっています。 最後に、完工に向けてというところなんですけど、やはり 2030 年に向けた洋上風力の導 入目標を達成していくためにできた制度でもあるので、完工を早める、早期建設に対して報 酬を与えるという形でインセンティブを与えつつ、建設遅延が起きる場合にはペナルティ ーが設定されるという形になっているというのが特徴かなと思います。 こちら支払いの仕方としては、レベニューキャップによって算定されて、託送料金を通じ て払うという形になっているということがございます。 次、お願いいたします。 ドイツにおける事例になります。これはNord Linkで、ドイツ、ノルウェーの間 のプロジェクトになります。これは完工済みのプロジェクトになっております。 次のページお願いします。 こちらはドイツにおける自然変動電源をノルウェーに送りまして、ノルウェーの揚水発 電でためて、そのうちディスパッチするというような形のプロジェクトになっています。 次、お願いいたします。 まず、投資回収スキームなんですけども、いろいろ書いてはいるんですが、端的には、ド イツ・ノルウェーで半分半分の費用負担で、回収方法は託送料金で回収という形になってい ます。日本同様、レベニューキャップという形の中で織り込まれているということになりま す。 次のページお願いします。 こちらはファイナンススキームになります。ファイナンススキーム、やや複雑なんですが、 こちらの左下の図をまず見ていただければと思います。こちらは事業主がStatnet t、ノルウェーの国営の会社と、それから右です、DC Nordseekabel、これ はちょっと読み方がちょっと定かではないので、DC社と呼ばせていただきます。DC社、 24 株主はTenneTとKfW、ドイツ復興金融公庫というふうになっています。 この資金調達、トータルで 18 億ユーロかかったものの中で 8.8 億ユーロを欧州インベス トメントバンク、EIBから調達しており、8.8 億のうち 7.8 億は、StatnettとT enneTが融資を受けているということになります。こちらEIBは政策金融機関にな りますので、民間の金融機関より長期の融資を受けるという形で受けております。残り1億 を、EFSIというスキームに基づいて、TenneTのハイブリッド社債を引き受けても らうという形で調達しています。このEFSIが右側に書いているものになりまして、ヨー ロッパの投資減速に歯止めをかけるために、欧州投資計画を実現するためにイニシアチブ として設立したものになっています。EU予算から 160 億ユーロの信用保証、それからEI Bから約 50 億ユーロの信用保証と資金提供を、合わせて 210 億ユーロを提供するという形 のスキームとなっており、エネルギーに限らず様々な分野で使えるような形になっていま す。 このEFSIについては、EIBのバランスシートの中に存在していますので、このケー スに関してもTenneTの社債を引き受けたのはEIBなんですが、その後ろに、このE FSIという信用保証を受けているという形になり、より高いところに投資できるような 形のスキームになっているということがございます。 次、お願いします。 オーストラリアです。これタスマニアとビクトリア州のものになっています。 次のページをお願いします。 目的としては、先ほどのノルウェーとドイツに似ていますけども、ビクトリア州の変動電 源をタスマニアの陽水電源にためるという形のものが実現可能になるためのプロジェクト になっております。 次、お願いします。 投資回収スキームは、これは託送料金なんですが、特徴的なのはステージが二つに分かれ ていて、初期段階の建設については、この段階では資金回収をせずにためておいて、確実に 資金調達トータル金額が判明した後に、その金額をステージ2のタイミングで回収させる という形で、ちょっと回収が少し遅れぎみになるというところが特徴的かなと思いますが、 逆に言うと取り漏れがないように、かかった費用を確実に回収できる仕組みになっている のかなというふうには思います。 次のページ、お願いいたします。 資金調達については、このMarinus Linkのトータルでかかるお金のうち、 80%が融資で、20%が出資ということで、出資元は全て連邦政府、もしくは州政府になって おります。 この融資なんですけども、こちらはRewiring the Nationというイニ シアチブを使って、このClean Energy Finance Corporatio nから調達しているという形になっています。こちらは市場調達よりも有利な条件になっ 25 ているということがございます。 このRewiring the Nationについては、クリーンエネルギー利用促進 を目的とした、オーストラリア政府によるプログラムになっております。制度の内容は下か ら二つ目に書いていますけど、このCEFCが 190 億豪ドルの資金を管理して、プロジェク トに融資・投資を行う形になっております。 融資のところ見ていただきたいんですけども、対象は個々の取引ごとに決定されること になりますが、低金利、返済期間長期化によって、非常に有利な条件で行われるためのプロ ジェクト実施コストが、これによって実施コストが低下して、エネルギーコスト削減やプロ ジェクト速度・確度に寄与するという形になっております。 最後のページ、まとめておりますが、こちらは託送回収で基本的には投資回収をするとい うことは変わらないかなと思っていますが、託送回収で認めているからといってファイナ ンススキームがないわけじゃなくて、全て何かしらのファイナンススキームというのも合 わせて整備されていたというのが特徴かなと思います。 また、ドイツ・ノルウェーのプロジェクトに関しては、基本、国営企業がプレーヤーです し、オーストラリアも出資をしているのは国もしくは州政府という形になっていますので、 比較的に国営企業の事業参画というのも多く見られたところが、特徴的なテイクアウェイ になっているかなというふうに思っております。 私からのご説明は以上になります。どうもありがとうございました。 ○山内委員長 どうもありがとうございました。 個人的には大変興味の深い情報をいただきまして、ありがとうございます。 それでは、今、事務局の筑紫課長からもお話がありましたし、それから樋野様からもお話 がありました。これについて、皆さんでご質問、ご意見をいただきたいと思います。同じで、 チャット欄に名前と、ご発言希望の旨をご記入ください。こちらからご指名いたします。い かがでございましょう、どなたかいらっしゃいますか。 もしいないのだったら、最初に、委員長特権で聞きたいのですけど、最初のイギリスのス キームで、これは資料の8ページ目、工事着工で、早期の支援を図るため、20%の資金提供 を行いと、この資金提供は具体的にどんなやり方ですか。 ○有限責任監査法人トーマツ(樋野パートナー) 個別にお話しさせていただいて大丈夫ですか、まとめてお話ししたほうがよろしいでし ょうか。 ○山内委員長 今のはささいなことで、皆さんのご意見を待つところで、個別にお願いいたします。 26 ○有限責任監査法人トーマツ(樋野パートナー) ありがとうございます。 ちょっとタイミングを細かく全て、我々も把握できているわけじゃないのですけども、支 給の方法が託送料金を通じてというふうになっているので、この 20%というのを料金算入 する形で回収している形になっているのかなというふうに考えております。 ○山内委員長 その料金回収というのは、早期資金として、そこ資金提供でしょう。だから、どこか公的 な金融機関か政府か何かが先にお金を出すという、そういうことですよね。それは託送料金 で、後は返すのだろうけれども。 ○有限責任監査法人トーマツ(樋野パートナー) これちょっと確認を。すみません、今、即答できないので、今日ご回答し切れないものに ついては持ち帰らせていただいて、また宿題返しさせていただければと思っていますので、 今のお話も、もう少し詳細を調べさせていただきたいと思います。どうもありがとうござい ます。 ○山内委員長 ありがとうございます。 いかがでしょう、ほかに。すみません、余計なマニアックな質問をしちゃって、ごめんな さい。 ○有限責任監査法人トーマツ(樋野パートナー) いえいえ、ありがとうございます。 ○山内委員長 何かご質問等ございますか。 村松委員、どうぞ。 ○村松委員 ありがとうございます。 本日は、樋野先生からのプレゼンテーション、誠にありがとうございます。 今回の資料4、ネットワークの次世代化でお示しいただきました、意思表明をなされた事 業者からの条件設定についてです。こちらは本来であれば応札するに当たって、リスクは事 業主体がある程度受け入れる、飲み込んだ上でということだと思うんですが、飲み込むには 27 あまりにも規模が大き過ぎる、不確定要素が多過ぎるということで、このような条件設定、 ある意味、例外的な扱いとして進めていらっしゃると理解いたしました。 ただ、このプロジェクト自体の公的な位置づけを勘案すると、やはりこういった条件設定 をすれば何とか受け入れられるといったこと、この検討を公開するというのは、やはり意義 深いことだと思います。こういったやり取りが透明性が高い形でオープンになっていると いうのは好ましいことだと思いますし、先ほどの議題でもありました、投資コストの負担が 最終的には電力料金に跳ね返ってくるといったことを勘案しても、こういったやり取りが きちんと公開されるというのは、意義深いと思っております。 幾つか条件を資料の中でもお示しいただきましたが、その内容と条件を整備することが 可能かどうか、こういった対応については、これから検討ということだと思うんですが、こ れは、取りまとめ自体はOCCTOが進めるけれども、中身によってそれぞれしかるべきワ ーキングなり、物によっては小委なりといったところで検討がなされるんでしょうかとい う、今後の進め方についてお伺いしたいというのが一つです。 あと、樋野先生からプレゼンテーションをいただきました海外事例です。これは大変興味 深い内容で拝聴しておりました。 背景的なもの、例えば国営企業が存在するかとか、国の出資があるかとか、そういった背 景的なもので若干違うところはあるとは思うんですけれども、よい面ですね、日本でも現実 的に取り得る方法であれば、ぜひこういったものを参考にして、今後の進め方というのが検 討できればと思います。 以上です。 ○山内委員長 ありがとうございます。 ほか、いらっしゃいますか。 今の村松さんから、これからどう進めるのかという点はいかがですか。 ○筑紫課長 事務局の筑紫ですけれども、村松委員からのコメント、ありがとうございます。おっしゃ るとおり、今回、応募意思表明に当たっては、広域機関において、その応募意思表明に当た っての一連のそのやり方なんかについても、広域系統整備委員会で議論していただいて、今 回は意思表明書に当たって、別添の資料としてこういったものを出してきているというふ うに承知をしています。 そういった、おっしゃるとおり、こういった事業に向けて進めるに当たって、様々なやる べき課題というのはあろうと思いますので、こういったところにもしっかり受け止めてい く必要があるんだろうということで、我々としても意義深いものだというふうに理解をし ています。 28 その上で今後の進め方ですけれども、まず、プロセスとしましては、実施案の提出、それ からその後の整備計画の策定については、広域機関のほうで進めていただくという形にな っています。 他方で、広域機関は、あくまでこのプロジェクトそのものについての整備計画については いろいろまとめてくれるわけですけれども、今回ファイナンスに関するところ、あるいは諸 外国では託送料金の中でというような話も今ありましたけれども、そういった電気事業、あ るいは送配電事業全般に係る制度については、これはエネ庁側で整理をしていかないとい けない、必要に応じて電取委とも連携して整理をしていかなきゃいけないということにな ろうと思います。 11 月 20 日の審議会の際にも、託送料金制度を含めた様々なファイナンスの在り方につい ての論点というのは、一部お示しさせていただいたところもありますけれども、今後の具体 的な制度の在り方については、この審議会及び必要な政府側の審議会で議論をしていくこ とになろうかなというふうに思います。 実施案の提出そのものは、今年の年末を想定されておりますので、ある意味それより、そ の事業者がそういう中で検討していくのに歩調を合わせて、我々のほうでも検討していか ないといけないということだと理解をしております。 私からは以上です。 ○山内委員長 ありがとうございます。 松橋委員、どうぞ。 ○松橋委員 松橋です。聞こえておりますでしょうか。 ○山内委員長 はい、聞こえています。 ○松橋委員 北海道と本州の直流の連系線の強化につきましては、プロジェクトファイナンスで行わ れるということで、一般のイメージとしては、プロジェクトファイナンスというのは、コー ポレートファイナンスとは違って、キャッシュフローで返済をしていくというのが原則だ と思うので、金融機関から非常に厳しくキャッシュフローを検査されるというか、そういう ことだと思うんですが。 ここでのプロジェクトファイナンスというのは、厳密に連系のりようによるキャッシュ フローに基づいてというよりは、基本的には全国の託送料金から債務を返済していくとい 29 うことになろうかと思いますので、一般のほかのプロジェクト、一般のプロジェクトのプロ ジェクトファイナンスとはちょっと違うのかなと認識しましたし、今後、北海道をはじめと して再エネの電源等が大幅に増える中で、その連系線を強化することで、特に北海道から本 州へ流れる電気エネルギーが増えていく、このことがカーボンニュートラル、日本全体のカ ーボンニュートラルにも貢献するし、端的に言うと北海道の地域の経済の活性化にも貢献 するはずだと思いますので、できる限りきちんと、元が取れるように祈るばかりです。 それで、ちょっとこのこと直接ではなくて間接的に関係することだと思うんですが、今、 電力需要が増えると言っているのは、ほとんどそのデータセンターが建つという、そういっ たことで新しく需要が各地に出てくるということになってきて、これまで電力需要という ものは減る一方だったんですが、そこに全く逆の傾向が出てきているということだと思い ます。 送配電線の整備に関して1点申し上げたいと思うんですが、この資料の中に直接なくて 申し訳ないんですが、特定負担ということについて問題提起をさせていただきたいと思い ます。 これはデータセンターにしろ、あるいはほかの、例えば電気炉を建設する際とか、そうい う場合もあると思うのですが、新たに生じる大きな産業用の需要が1か所だけあって、その ために送配電線を手厚くしなければいけないというときに、その送配電線の整備自身に、需 要側の資金を提供してもらう必要があるということだというふうに認識しております。ち ょっと間違っていたら、ご訂正をお願いしたいと思いますが。これが1か所の場合は、特定 負担ということがあって、例えば5か所とか、複数あれば、そういう問題がないというのは、 ちょっとどうかなと思っておりまして。 つまり、きちんとした低廉な託送料金で、ちゃんとその送配電線強化の費用が回収できる のであれば、1か所だからいけないというのは、ちょっと合理的でないような気がいたしま す。 これからまさにデータセンター、それから電化ということで、いろいろな電力需要の増加 が出てくる可能性があると思います。そのときに、この特定負担ということがついて回りま すと、そういった電化ですとか、そういったことに頓挫するということもあり得ますので、 きちんとした合理的な託送料金で回収できるかどうかということを、できれば判断基準に していただいて、特定負担の問題というのを少し行政の中でお考えいただきたいなと思い ます。既に内部でお考えいただいているというふうに思いますけれども、念のために申し上 げさせていただきます。 以上です。 ○山内委員長 ありがとうございました。 ほかに、ご発言のご希望ありますか。 30 岩船委員、どうぞご発言ください。 ○岩船委員 ご説明ありがとうございました。 デロイトさんの4ページを見ても、今回の特に北海道・東北の工事規模の大きさが分かる、 非常に、並べてみると大きな問題だということを実感させていただきました。 これファイナンスの問題を含めて、なかなか難しいことがたくさんあるわけですけれど も、基本的には、今あちこちで起こっている需要増の話です、その辺りはマスプラには入っ ていませんので、その結果、少しB/Cかどうなるかみたいなところも少しウオッチして、 検討していく必要があるかなと思っています。 私は、デロイトさんのほうにご質問なんですけれども、今回ご紹介いただいたものたち、 特にEUなんかでは、きちんとB/Cの計算していますというお話をよく聞くんですけども、 やっぱりそういう意味では、これらの、特に英国やドイツ・ノルウェーの案件、オーストラ リアもかもしれないんですけども、B/Cの検証はしっかりされた上で、託送料金でその分 を回収していきましょうというスキームが出来上がっているものだと考えてよろしいです かというのが1点目の質問です。 2点目は、特にドイツ・ノルウェーに関して、21 年に運開をしているわけですけども、 その後、期待したようなベネフィットが得られているかどうかという検証というのは、その 後されているのかというのを、もしお分かりになるようでしたら教えていただければと思 いました。今後の日本の参考にもなると思います。よろしくお願いいたします。 ○山内委員長 ありがとうございます。 ほかに、ご発言のご希望はいらっしゃいますか。よろしいですか。 それじゃあ、今のご質問ありましたので、樋野様のほうから、コメントのご回答よろしく お願いいたします。 ○有限責任監査法人トーマツ(樋野パートナー) 岩船委員、どうもありがとうございます。大変重要なご意見だと思って、お伺いしており ました。 今回、調査に当たりまして、B/Cの状況ですとか、あとドイツ・ノルウェーの運開後の 状況について、調査が至っておりませんので、今後調べさせていただいて、どこまでちょっ と出ているかというのはあるんですが、出ている情報を調べさせていただいて、先ほど委員 長からいただいたお話と含めて、宿題返しをさせていただきたいなというふうに思ってお ります。即答できずに、大変申し訳ございません。 31 ○山内委員長 ありがとうございます。 よろしいですかね、岩船さん。 ○岩船委員 はい。 ○山内委員長 それでは、全体通じて、筑紫課長からコメントをお願いいたします。 ○筑紫課長 ありがとうございました。 松橋委員、岩船委員からもご指摘いただきまして、今回の私のご紹介の外側に出るところ も含めてということですけれども、やはり大型の連系線、今回、樋野さんからご紹介いただ いたとおり、ほかの国の大型プロジェクトと比較しても十分というか、それ以上の規模を誇 るプロジェクトということになっていこうと思いますので、そういったプロジェクトが着 実に進められるように、さらなる必要な環境整備というのについては、引き続き、検討して いきたいというふうに思います。 それから、その上で、さらに追加で若干ご指摘ありました大規模需要の話です。データセ ンターについては、すみません、この次の議題のところで現状のご報告がありますので、最 新の情報はそこでご紹介できればと思いますけれども。この委員会でも、9月 26 日の審議 会の際に、こういった近年伸びてきています大規模、しかもどちらかというと特定の地域に 突如発生する大規模需要についての負担の在り方というのについて、一度議論をさせてい ただいたところでございます。 その場でも、難しいというか両面あるところ、特定の需要家に系統整備の費用負担が偏り 過ぎないことが大事という部分と、全体としての削減と、全体として一般負担としてどうか というところのバランスというような議論になったかと承知をしておりますけれども、そ ういったところについて、今いただいたご指摘も踏まえながら、さらに検討を進めていきた いというふうに思います。 それから、岩船先生からご紹介いただきましたマスタープランにおいては、そういった大 規模需要の伸びというのは、これからむしろ、今回のエネルギー基本計画の需要の想定など も含めて反映していく流れとなりますので、今後マスタープランの議論に入っていく際に は、ご指摘も踏まえたような対応でしっかり検討していきたいというふうに思います。 事務局からは以上です。 ○山内委員長 32 ありがとうございました。 よろしゅうございますか。ネットワーク次世代化で、東側の連系は着実に進んでいるとこ ろですが、これからさらに、実現に向けてどういう形を取ったらいいか、こういう議論を進 めていくということでございます。ありがとうございました。 それでは、三つ目の議題に移ります。今もご紹介ありましたが、今後の電力の需要の見通 しです。これは資料6になりますけど、それでは、これも事務局からご説明お願いいたしま す。 ○筑紫課長 資料の6ですけれども、今後の電力の需要の見通しについてご紹介させていただきたい と思います。 資料、3ページをご覧いただければと思うんですけれども、毎年、電力広域的推進機関か ら、供給計画の取りまとめを踏まえた、今後の電力の需要というものの想定を公表させてい ただいております。昨年度でしたら、ちょうど同じ 2020 年1月ということですけれども、 つい先日、本年1月 22 日に新しく公表された想定についてご報告をするというものです。 人口減少や、その節電等の影響はありますものの、データセンターや半導体の新増設等に よる電力需要の増加によって全体の電力需要も増加する傾向というのが、改めて公表され ております。 具体的には、データセンター、半導体の新増設を見込むエリアの拡大等を中心に、今回の 取りまとめでは、最終年度、これは 2034 年度になりますけれども、10 年後における全国の 電力需要の電力量は 8,524 億kWhということでして、2024 年度と比べますと約6%の増 加ということになっております。 昨年に公表した数字でも、こういった傾向は既に見られておりましたし、エネルギー基本 計画、あるいは今回の検証にもそういった要素が取り込まれているわけですけれども、より 進展をしているという印象でございます。 3ページ下のところの点線が昨年ご報告させていただいた数字で、青い線が今年改めて ご報告するものですけれども、2030 年、31 年ぐらいをご覧いただきますと、高さがその分 上がっているというのが見てとれまして、この部分、いろいろ様々な立地のお話が進展をし ているというふうにお考えいただければというふうに思います。 それから、4ページでございますけれども、家庭用、業務用、産業用の各部門別のkWh の見通しについてご紹介をしております。特に産業用のところで、くっきりと増加の傾向が 見てとれるというところでございます。 それから、5ページ目以降は、これを各エリア別の傾向でご紹介をしたものです。5ペー ジ目、左側が絶対量5kWhベースのものです。それから、右側は、むしろ 2024 年度を 100 とした場合の伸び率、指数にしたものを表現をしております。 絶対量で見ますと、東京エリア、緑色の部分の伸びが大きく見えているところでございま 33 すけれども、右側、指数で見ますと、東京以外のエリアでも一部の地域では伸びが大きく見 られると、そういったところが明らかになっているかと思います。 それから、資料飛びまして、9ページまで飛んでいただきまして、このうちデータセンタ ーや半導体工場の新増設による影響をさらに絞り出してチェックをしたものが、9ページ 以降になります。 それから、あわせて、これまでのご説明はkWhになっていましたけども、これもkWに 直したものを9ページにお示しをしています。全国の合計で、2024 年度と比較して、2025 年度であれば 56 万kW増加、2029 年度であれば 431 万kW増加、2034 年度については 715 万kWの増加を見込んでいるということでございます。 昨年の数字が、すみません、特に左下の表ですけども、昨年段階でお示ししたこの表につ いては、2033 年度までに 500 万kW程度増加するということで、様々な審議会での資料と してもご紹介してきたところですけれども、この部分につきましても一層進展をして、新し い数字になっているということでございます。 10 ページが、各エリアに分けたところの傾向。この部分については、ちょっと個別の需 要が特定されないようにエリア別に少し集計しているものから統合したものにしておりま すけれども、傾向が見てとれるというところでございます。 ご報告は以上になります。 ○山内委員長 ありがとうございました。 それでは、電力の需要見通しということで、さっきもシステム改革というところ、産業の 構造が変わっていく中で、どういうふうにそれを安定供給していくかというようなお話も ありましたけども、まさにその状況が、これからよく分かるということであります。 これについて、皆さんのご質問、あるいはご意見を伺いたいと思います。これもチャット 欄でお願いしたいと思いますが、いかがでしょう。 全体を見ると、少し立ち上がりが遅くなったけれども、将来の行き先は上がっているとい う、そういうような一つの特徴ですよね。あと、地域的に結構差がありますねというのが特 徴でありまして。そうすると、電源立地の話とか、あるいは広域の連携とか、いろんなこと が絡んでくると、こういうことだと思いますけど、いかがでございましょう。 秋元委員、ご専門です。秋元委員、どうぞご発言いただけると。 ○秋元委員 ありがとうございます。特にコメントという感じでもないんですけど、どなたもご発言な いので、一言だけでございます。 やっぱり電力需要の今後の見通しというのは、非常に重要で、ただ、かなり評価が難しい ということではあると思っています。それで、エネルギー基本計画、エネルギーミックスの 34 分析でも、RITEからいろいろなシナリオはご提示させていただきましたけども、ただ、 やっぱり重要な点としては、これまで電力需要は下がってきていたけども、それは相対的な 電力価格とか競争条件の問題もあって、電力多消費産業が海外に取られていっている状況 というのが非常に強いというふうに認識していて、この状況は、引き続き、政策を誤れば、 続いていくというふうには思っています。 ただ、他方で、このIT需要系に関しては、これまでも計算量は物すごく増えてきたわけ ですけども、省電力はうまくいってきたので上昇は軽微だったという理解ですけども、フェ ーズが変わって、やはり生成AI等の需要が膨大になってきていて、フェーズが変わってき ているということを強く認識しなければいけないということで、今回の数字も、足元、確実 に増えつつあるということが明らかになってきているというデータだというふうに思って います。 これまでも議論があって、いや、これまでは計算量は伸びたけども、省電力はうまくいっ て伸びなかったんで、今後も伸びないというご意見も結構、少なくとも半年前とか、1年前 は強く反論があったわけですけども、そういうフェーズでは、もうないんじゃないかなとい うことで、しっかりこれに対して、エネルギー供給サイド、電力供給側の対応を取っていか なければいけないというのが待ったなしだというふうに思っています。 ただ、量的な規模とか、タイミングに関しては、不確実性がまだ残っているということだ と思いますが、ただ、潜在的に来るかもしれない需要にちゃんと備える必要があり、そのせ っかく来るかもしれない需要を、経済成長にしっかり結びつけていくということです。 ○山内委員長 秋元委員、すみません、ちょっとこちらの事務局のほうのシステムの問題で、こちらのシ ステムが切れてしまったので大変恐縮なのですけど、省エネのところから、もう一度ご発言 いただければと思いますけれども、よろしいですか。 ○秋元委員 分かりました。 ○山内委員長 そうです、日によって、これからも大丈夫だという反論もあるけれどというところです。 ○秋元委員 承知しました。 ちょっと重複があるかもしれませんけど、過去は、海外に電力需要がエネルギー多消費産 業、電力多消費産業が海外に出ていくことによって、電力需要の低減が見られ、他方、IT 需要自体は計算量は伸びてきたわけですけども、省電力は、そこについてはうまくいってい 35 て、上昇率というのは軽微だったと。 ただ、ここに当たって、フェーズが変わり、生成AI等の需要が急速に伸びてきている中 で、電力需要がやっぱり伸びると。しかも半年前、もしくは1年前は、議論としては、これ までも伸びていないので伸びないのじゃないかというご意見も、反論も結構あったわけで ございますけども、足元の状況を見ても、そういう状況ではないというのは、かなり高い確 度になってきているというふうに理解すべきだというふうに思います。 もちろん将来の電力需要に関しては、引き続き、むしろ電力政策とか、そういったものが 不適切になされれば、相対的に電力価格が上がれば、その需要が国内に実現しない可能性も あるわけでございますので、そういうことに注意もしながらです。 ただ、伸び得る電力需要に関して、しっかり中にそれを取り込んで、経済成長を、また電 力需要が伸びるということ自体は、それはIT需要等を使って社会をまた変えていくとい う面で、CO2に長期的には削減にも寄与するかもしれませんので、そういう視点の中で政 策を誤らないように、長期のちょっと一歩先を、電力需要の先を見て、電力が安定的かつ、 海外と遜色のないような価格で提供できるような制度的措置をしっかり取っていく必要が あるというふうに思いますので。そういう視点で、このデータをしっかり受け止める必要が あるかなというふうに思いました。長くなって申し訳ございません。 以上です。 ○山内委員長 ありがとうございます。 この間の7次エネ基の議論では、秋元先生のところの機構の将来的な予測が採用された ということもありましたので、私からも紹介させていただきます。 次に、大橋委員、どうぞご発言ください。 ○大橋委員 ありがとうございます。 資料のご紹介ありがとうございました。ご質問は1点なんですけど、今回、我が国の電力 需要の見通しということでご紹介いただいたと思うんですけれども、海外と比較してみた ときに、この海外というのもいろいろあると思いますけれども、我が国の何か特徴的なとこ ろがあれば、規模感も含めてご紹介を併せていただけると参考になるなと思いました。あり がとうございます。 ○山内委員長 ありがとうございます。 ほかに、ご発言いらっしゃいますか。よろしいでしょうか。 さっきも言いましたけども、エネ基でもこういう議論を随分やったところでございます。 36 これについて、では、筑紫課長からコメントをいただければと思います。 ○筑紫課長 ありがとうございます。 先ほど秋元委員と大橋委員からコメントをいただいた、特に秋元委員がおっしゃったと おり、エネルギー基本計画の関係の審議会ですとか、それ以外の審議会でも、そういった指 摘はありまして、そういった中で、他方で、昨年1月に、伸びる方向だというのを、私ども のほうで、広域機関のほうで出していただいて以降、いろんなご指摘いただいてきたんです けれども、今回1年、新しい数字が出てきて、その傾向がよりくっきり見えたというのは、 大きなポイントだったかなというふうに思います。 特に、家庭用のところは落ちてきている部分、特に様々な機器の高度化は進むし、かつ省 エネ化も進むという部分、世帯数、人口減少、もろもろ考えると、家庭部分については減っ ていくということになってるわけですけれども、産業部分については、むしろ伸びていくと いうのも、何となく大きな傾向として固まってきてるのかなというふうに思います。 その観点で、大橋委員からご指摘いただいた海外の状況です。すみません。手元に正確な 数字を持ち合わせてないんですけれども、近いところでは、昨年の年末だったと思いますけ れども、米国エネルギー省のローレンスバークレー研究所だったと思いますけど、報告書が 出ていまして。これから3年間で、10%程度伸びていくんじゃないかといった予測も出てい たかと思います。 直接比べられるものではないんですけれども、諸外国のほうでも同様に、電力需要が伸び ていくというような想定が出ていて、その上で、その数字の我が国と、そのほかの国の数字 がどちらが大きいか小さいかというところは、多分様々なバックボーンも違うので、一概に は比較が難しいところではあるとは思いますけれども、電力需要が伸びていくという方向 については、これは先進国、発展途上国を含めた全世界的な傾向だというふうに承知をして おります。 私からは以上です。 ○山内委員長 ありがとうございました。 報道だと、台湾なんかも北部でデータセンターの立地を制限するとか、そういうことが起 こっているという話がありますし、アメリカですとワシントンDC周辺ですね、バージニア 州、かなりの立地があって、それが電力の不足をもたらしてるという話もございますので、 いろいろデータを収集しながら、これ重要なことですので、お願いしたいというふうに思っ ております。 それでは、特にご発言なければ、本日の議論はこれで終了ということになります。よろし ゅうございますか。 37 本日も、長時間にわたり活発にご議論いただきまして、ありがとうございました。 これをもちまして、第 85 回電力・ガス基本政策小委員会を閉会とさせていただきます。 どうもありがとうございました。 38

資料1

資料1 総合資源エネルギー調査会 電力・ガス事業分科会 第85回電力・ガス基本政策小委員会 令和7年1月27日 11:00~13:30 オ ン ラ イ ン 会 議 1. 議題 (1) 電力システム改革の検証のとりまとめについて (2) 電力ネットワークの次世代化について (3) 今後の電力需要の見通しについて 配付資料 資料1 資料2 資料3-1 資料3-2 資料4 資料5 資料6 参考資料1 一覧 議事次第 委員等名簿 電力システム改革の検証結果と今後の方向性(案)の概要 電力システム改革の検証結果と今後の方向性(案) 電力ネットワークの次世代化について ヒアリング資料(有限責任監査法人トーマツ 樋野パートナー) 今後の電力需要の見通しについて 武田専門委員からの御意見

資料2

資料2 総合資源エネルギー調査会 電力・ガス事業分科会 電力・ガス基本政策小委員会 委員等名簿 ※五十音順、敬称略、◎は小委員長、○は小委員長代理 (委員) ○ 秋元 圭吾 公益財団法人地球環境産業技術研究機構 システム研究グループ グループリーダー 岩船 由美子 東京大学生産技術研究所 牛窪 株式会社みずほ銀行 恭彦 教授 常務執行役員 大橋 弘 東京大学大学院経済学研究科 原 郁子 日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会 理事・東日本支部 教授 支部長 松橋 隆治 東京大学大学院工学系研究科 松村 敏弘 東京大学社会科学研究所 村木 美貴 千葉大学大学院 工学研究科 建築・都市科学専攻 教授 村松 久美子 PwC Japan有限責任監査法人ディレクター 公認会計士 ◎ 山内 弘隆 四元 弘子 武蔵野大学経営学部 教授 教授 特任教授 森・濱田松本法律事務所 弁護士 (専門委員) 皆藤 寛 日本商工会議所 産業政策第二部 武田 孝治 一般社団法人日本経済団体連合会 資源・エネルギー対策委員会 課長 企画部会長 (オブザーバー) 大山 力 電力広域的運営推進機関 理事長 金本 良嗣 一般社団法人日本卸電力取引所 佐々木 敏春 電気事業連合会 新川 達也 電力・ガス取引監視等委員会 谷口 直行 株式会社エネット 早川 光毅 一般社団法人日本ガス協会 山本 竜太郎 送配電網協議会 理事長 副会長 事務局長 代表取締役社長 専務理事 理事・事務局長

資料3

資料3-1 電力システム改革の検証結果と 今後の方向性(案)の概要 2025年1月27日 資源エネルギー庁 1.電力システム改革の検証の位置づけ 2.検証プロセスの全体像 3.これまでの評価とこれからの電力システムが目指すべき方向性 4.電力システムが直面する課題と対応方針 5.事業者に期待される役割・取組の方向性 ~将来の電力産業の在り方~ 6.将来の電力システムを支える取引市場の全体像 7.今後の進め方 2 1.電力システム改革の検証の位置づけ ⚫ 2015年に成立した改正電気事業法では、①小売全面自由化前、②送配電部門の法的分離前、 ③法的分離後、それぞれの時期において、法施行の状況やエネルギー基本計画の実施状況、 需給状況、料金水準等について検証を行い、その検証結果を踏まえ、必要な措置を講ずる旨が 規定されている。 ⚫ 電力システム改革が開始されてからおよそ10年が経過しており、一部経過措置は残るものの、 改正法全体が施行された後の検証であることから、電力供給を取り巻く状況等、全体に渡る検証 を行うこととした。 平成27年 (2015年) 平成28年 (2016年) 検証① 第1段階 (電力広域機関創設) 令和2年 (2020年) 検証② 第2段階 (小売全面自由化) 令和7年 (2025年) 検証③ 第3段階(送配電部門 の法的分離) 5年以内 改正電気事業法附則の検証規定 (電気事業に係る制度の抜本的な改革の実施に係る検証等) 附則第七十四条 政府は、電気の安定供給の確保、電気の小売に係る料金の最大限の抑制並びに電気の使用者の選択の機会の拡大及び電気事 業における事業機会の拡大を実現するための電気事業に係る制度の抜本的な改革の段階的な実施を踏まえ、次の各号に掲げる期間の適当な時 期において、それぞれ当該各号に定める状況並びに当該改革に係るエネルギー基本計画に基づく施策の実施の状況及び電気の需給の状況、電 気の小売に係る料金の水準その他の電気事業を取り巻く状況について検証を行うものとする。 一 (略)二 (略) 三 この法律の施行後五年を経過する日までの間 第三条の規定による改正後の電気事業法の施行の状況 2 政府は、前項の検証の結果を踏まえ、必要があると認めるときは、原子力政策をはじめとするエネルギー政策の変更その他のエネルギー をめぐる諸情勢の著しい変化に伴って特定の電気の小売業を営む者又は特定の電気の卸売業を営む者の競争条件が著しく悪化した場合又は著 しく悪化することが明らかな場合において当該特定の電気の小売業を営む者又は当該特定の電気の卸売業を営む者の競争条件を改善するため の措置、電気の小売業を営む者の間又は電気の卸売業を営む者の間の適正な競争関係を確保するための措置、電気の安定供給を確保するため に必要な資金の調達に支障を生じないようにするための措置等について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。 3 2.検証プロセスの全体像 -検証の主な項目 ⚫ 検証に当たっては、電気事業法附則にある検証規定に基づく検証項目を踏まえつつ、電力システム 改革に係る総括的な議論をまとめた電力システム改革専門委員会報告書(2013年2月)の 項目に沿って、現状を整理した。 電気事業法附則に基づく検証項目 ) 第 ●改正法の施行の状況 6 次 ●エネルギー基本計画に基づく施策の エ 改ネ 実施状況 革ル のギ 更ー ■供給力確保 な基 る本 ■競争・市場環境の整備 推計 進画 ■次世代型の電力ネットワークと 』『 の( 主 11 分散型電力システムの構築 な 項エ ■脱炭素電源が活用できる 目ネ のル 事業・市場環境整備 ポギ イー ■災害等に強い供給体制の構築 ンシ トス テ ●需給状況 ム ●料金水準 ●その他の電気事業を取り巻く状況 電力システム改革専門委員会報告書の主な項目とポイント Ⅰ.なぜ今、電力システム改革が求められるのか • 東日本大震災がもたらした環境変化、電力システム改革を貫く考え方 等 Ⅱ.小売全面自由化とそのために必要な制度改革 • 小売全面自由化、小売料金の自由化(料金規制の段階的撤廃、経過措置期間 における料金規制 等)、需要家保護策等の整備、計画値同時同量の導入 等 Ⅲ.市場機能の活用 • 卸電力市場の活用、新電力の電源不足への対応、電力先物市場の創設、 需給調整における市場機能の活用 等 Ⅳ.送配電の広域化・中立化 • 広域系統運用の拡大、送配電部門の中立性確保の方式(所有権分離含む)、 法的分離の実施、中立性確保のための必要な行為規制 等 Ⅴ.安定供給のための供給力確保策 • 供給力確保の仕組み、時間前市場の創設、インバランス制度の導入、中長期 の供給力確保策(容量市場の創設 等) 等 Ⅵ.その他の制度改革 • 自己託送の制度化、特定供給の扱い 等 4 2.検証プロセスの全体像 -ヒアリングの実施 ⚫ 専門的や実務的な観点を十分に踏まえた上で検討を行うことが重要であることから、 前頁の検証項目に沿って、有識者・実務者からの意見のヒアリングを実施した。 (2023年) 12月26日(第68回) : 検証の進め方 (2024年) 1月22日(第69回): 電力システムを取り巻く現状【事務局からの現状説明】 2月27日(第70回): 総論 3月13日(第71回): 小売全面自由化 4月17日(第73回): 海外の電力システム改革の動向 5月 8日(第74回): 送配電の広域化・中立化 6月 3日(第75回): 市場機能の活用・供給力確保策 6月17日(第76回): 事業環境整備(分散化、デジタル化、グローバル化等) 5 3.これまでの評価とこれからの電力システムが目指すべき方向性 (1)電力システム改革の目的に照らした現状の評価 ①安定供給の確保 • 送配電網の広域運用の司令塔として、電力広域的運営推進機関が創設(2015年)。 災害等の不測の事態も含めて広域融通は300回以上実施、連系線の増強も進展するなど、 広域的な電力需給・送配電ネットワーク整備については目標を一定程度達成できたと評価できる。 • 一方、供給力については、再エネの導入に伴い火力発電の稼働率・収益性の低下により休廃止が進展。 2020年以降断続的に需給ひっ迫を経験。今後は需要増も見込まれるが、事業者による電源の新設・リプレース 投資は容易ではない状況。安定供給に必要な供給力の維持・確保を進めていくことが必要。 ②電気料金の最大限の抑制 • 電気料金の水準は、国際的な燃料価格、電源構成、電力需要量、再エネ賦課金等、様々な影響を受けることから、 小売全面自由化の効果だけを取り出して、諸外国と比較して電気料金が低く抑えられていたとまでいうことは難 しいが、燃料輸入価格高騰時を除き、経過措置料金よりも自由料金が安価な水準で推移していたことは事実。 • 一方、火力発電が大宗を占める中、燃料価格高騰時には電気料金が高騰。 また、小売事業者の経営状況の悪化から、需要家との契約解除や事業撤退、託送料金の不払い等につながった。 ③需要家の選択肢や事業者の事業機会の拡大 • 700を超える事業者が小売事業に参入し、再エネに特化したメニュー等、料金メニューも多様化。 需要家の選択肢の拡大については、目指してきた方向性で取組が進んでいると評価できる。 • 一方、実際には電気の供給を行っていない事業者が約200者存在するほか、国際燃料価格の高騰時には 経営悪化による退出等で一定の負担や混乱の引き金となった事業者もおり、需要家保護等の観点から課題。 6 3.これまでの評価とこれからの電力システムが目指すべき方向性 (2)電力システムを取り巻く経済社会環境の変化 ①世界的なDXや脱炭素化の流れの加速 • 国際的なDXやカーボンニュートラルへの対応が加速化し、排出削減と経済成長を共に実現するGXに向けた 大規模な投資競争が激化。 • また、AIの進展による計算量の増大に伴い、将来的な電力需要は増加する見込み。 ②地政学的リスクを含む経済安全保障リスクの高まり • 地政学的な環境の変化に伴う国際燃料価格の高騰等へのリスクが高まりつつあり、海外調達先の多角化、 徹底した省エネの展開、エネルギー自給率の向上等の対応が求められる。 • 一方、LNGは長期契約による調達が多いため、2022年の国際燃料価格高騰のピーク時にも欧州の天然ガスや アジアのLNGほどの急騰は避けられたが、LNGスポット価格の影響等で発電用の一般炭が未曾有の高水準に高騰。 ③世界全体でのインフレの進行 • 世界全体でエネルギー・食糧価格や賃金の上昇を背景としたインフレが進行しており、物価高騰等の電気料金の 上昇要因への対応といった課題にも直面。 7 3.これまでの評価とこれからの電力システムが目指すべき方向性 (3)電力システムが直面している課題と、これから目指すべき方向性 <電力システム改革の目的(電力システムに関する改革方針(平成25年4月2日閣議決定))> ① 安定供給の確保 ② 電気料金の最大限抑制 ③ 需要家の選択肢や 事業者の事業機会の拡大 <現状に関する検証や、電力システムを取り巻く経済社会環境の変化を踏まえた課題> ○DX等により需要が増加する見込みの中での供給力の維持・確保 ○国際的なカーボンニュートラルへの対応の加速化 ○地政学的な環境の変化に伴う国際燃料価格の高騰等のリスク、物価高騰等の電気料金の上昇要因への対応 等 これからの電力システムが目指すべき方向性 安定的な電力供給を実現する 電力システムの脱炭素化を進める 方向性は相互に関連 安定供給や脱炭素化、物価上昇等による価格への影響を抑制しつつ、 需要家に安定的な価格水準で電気を供給できる環境を整備する 8 4.電力システムが直面する課題と対応方針 ⚫ ヒアリングでいただいた意見等を踏まえ、電力システムが直面している課題と対応方針を整理した。 1.安定供給確保を大前提とした、電源の脱炭素化の推進 ○世界的な脱炭素化の流れや、20年ぶりの電力需要増が見込まれる中で、安定供給と脱炭素化の両立に向けて、 長期的かつ継続的に必要な電源投資が行われ、安定的に電源の運用ができるような仕組みを構築することが必要。 <対応方針> • 事業期間中の市場環境の変化等に伴う収入・費用の変動に対応できるような制度措置や市場環境を整備。 • 水素・アンモニア、CCUS 等を活用した火力の脱炭素化について、技術開発やコストなどを踏まえた時間軸や 排出量にも留意しつつ、長期脱炭素電源オークション等を通じ、事業者の予見可能性を確保しながら進めていく。 • 燃料の安定的確保の見通しや供給力を提供する事業者の実態確認等、発電事業者に求められる機能や役割を整理。 2.電源の効率的な活用に向けた系統整備・立地誘導と柔軟な需給運用の仕組構築 ○再生可能エネルギーの更なる導入拡大と電力の安定供給を実現するためには、電源と需要の状況を踏まえた形での 系統の効率的整備、供給力や調整力の確保、短期の需給運用の効率的実施等が必要。 <対応方針> • 地域間連系線の整備について、マスタープランの見直し等の検討を進めるとともに、大規模系統整備に係る 託送料金制度における費用回収の在り方等、制度的な対応を含めた資金調達環境の整備について検討。 • 地内基幹系統等について、一般送配電事業者等が効率的・計画的に整備を進めるための仕組みを検討。 • データセンター等の系統接続申込みの規律の確保及び大規模需要の効率的な系統整備の観点での適地への誘導。 適地における先行的・計画的な系統整備を進めるための枠組みを検討。 • 系統制約を考慮しつつ、供給力と調整力を同時に約定させる同時市場の導入に向けた検討を本格的に進める。 9 4.電力システムが直面する課題と対応方針 3.市場を通じた、安定的な価格での需要家への供給に向けた小売事業の環境整備 ○スポット市場には一定の厚みが確保されたが、燃料価格の高騰など市場環境が厳しい局面においては、小売電気事業 者の退出、電気料金の急激な変動など、需要家に一定の負担や混乱を生じさせ、国民経済に大きな影響を与えた。 ○需要家に対する安定的な水準の価格による電力供給を実現するためには、小売事業の環境整備が必要。 <対応方針> • 電源調達手段をより多様化するため、長期取引を含めた相対取引やブローカー経由の取引等の活用、 先物市場・先渡市場・ベースロード市場などの市場を含む取引制度の拡充・再整備等を検討。 • 需要家の脱炭素ニーズや発電・小売電気事業者の創意工夫が活かされるよう内外無差別な卸売の考え方を整理。 • 現行制度も踏まえつつ、量的な供給能力(kWh)の確保に関し、小売電気事業者に求める責任・役割やその遵守を 促す規律、それを前提とした市場や卸取引を含む制度措置の必要性等について検討を深め、必要な措置を実施。 • 経過措置料金は、解除が妥当な状況と評価された地域はなく、引き続き競争状況の確認を継続。 その上で、経過措置料金の実体的な役割の是非や今後の制度的な対応の必要性、低圧需要家に対するセーフティ ネットの在り方・必要性等について改めて検討。 4.共通する課題 ○電源・系統への投資に対するファイナンス ・市場環境の大きな変化に伴う事業の不確実性の高まり等を受けて、事業者の資金調達が難しくなり、 また、金融機関・機関投資家等にとっても、融資・投資のハードルが高まってきている中、民間金融機関等が 取り切れないリスクについて、公的な信用補完の活用とともに、政府の信用力を活用した融資等、脱炭素投資に 向けたファイナンス円滑化の方策等を検討。 ○電力システムにおける公的役割を担う機関の体制強化 ・系統整備、需給運用、電源投資などに関して公的役割を担う、日本電力卸取引所、電力需給調整力取引所、 電力広域機的運営推進機関の体制の強化に向けて、制度や予算措置等の必要な対応を行っていく。 10 5.事業者に期待される役割・取組の方向性~将来の電力産業の在り方~ ⚫ 電力システムが目指すべき方向性の実現は、我が国産業が持続的な発展を実現する上で不可欠。 電力システムが直面する課題の解決に当たって中心的な役割を担うのは、電気事業者、さらには 新規参入者を含めた電気事業に関連する電力産業。 ⚫ 持続可能な次世代の電力システムを構築するには、こうした新たなプレイヤーを含む電力産業の 一層の活躍が期待される。 ⚫ このような認識の下、電力システムの担い手である電気事業者・電力産業に期待される役割と責任、 これを果たすために必要となる取組を整理した。 ◆安定的な価格水準で供給できる環境整備 ◆安定的な電力供給 ◆電力システムの脱炭素化 安定供給を大前提とした、 電源の脱炭素化 電源の効率的な活用に向けた 系統整備・需給運用 安定的な価格での供給に向けた 小売事業の環境整備 事業者・電力産業に期待される役割・責任 ① 安定供給の実現と電力システム の脱炭素化に向けた脱炭素電源 や系統の設置・整備の担い手 ② 発電から需要家に渡るまで 電気を安定的に供給する運営者 ③ 需要家のニーズに応える エネルギーサービスプロバイダー 役割と責任を果たすために必要な主な取組 円滑で安定的なファイナンス 安定的な供給に 責任ある事業運営 分散型エネルギー源の活用促進と デジタル化 内外一体の 電力産業の展開 電力産業を支える 人材・サプライチェーンの確保 サイバーセキュリティの確保 11 6.将来の電力システムを支える取引市場の全体像 ⚫ 電力システム改革では、従来、垂直一貫体制、地域独占、総括原価方式によって実現しようとしてきた 「安定的な電力供給」を、事業者や需要家の「選択」や「競争」を通じた創意工夫によって実現することを 目指したが、その中で、供給力の確保など様々な課題に直面している。 ⚫ このため、「供給力を確保するための取引市場・制度」、「量・価格両面で安定的な調達を可能とする中長期 取引市場」、「効率的な広域メリットオーダー実現のための短期取引市場」の3つの取引市場等を整備し、 これらを最大限効率的に活用していく。 ⚫ こうした取組により、事業者の創意工夫を最大限活用しつつ、安定供給の確保・脱炭素化・安定的な価格水 準での電気の供給を実現すべく電力システムを進化させていくことが電力システム改革の次のフェーズである。 <供給力を確保するための取引市場・制度> 中長期を見据えて必要となる 電源投資・設備形成を促進 ・FIT、FIP ・長期脱炭素電源オークション ・容量市場メインオークション 等 <確保した供給力を最適運用する取引市場> 中長期取引市場 (新たな電力価格指標の形成) 短期取引市場 (効率的な広域メリットオーダー実現) 中長期での電力取引の推進 新たな電力価格指標の形成 実需給段階での効率的な 需給運用を実現 ・先物市場 ・先渡市場 ・相対の卸取引 ・ブローカー経由の取引 ・個別PPA 等 ・スポット市場 ・時間前市場 ・需給調整市場 今後、同時市場(系統制約を踏まえ、 供給力と調整力を同時約定)の導入 に向けて本格的に検討 12 7.今後の進め方 ⚫ 今回の検証を通じて取りまとめた内容に沿って、制度の具体化へ向けた検討を速やかに進めるため、 総合資源エネルギー調査会電力・ガス事業分科会の下に、電力システムの制度改正について 集中的に議論する会議体を設置し、2025年中を目途に制度改正の内容をとりまとめる。 ⚫ 制度改正については、必要に応じて、とりまとめを待たずに反映していくことも含め、 速やかに実施することとし、電気事業法等の改正が必要な場合には、法改正も含めて 具体的な制度整備を行っていく。 ⚫ 本検証については、電気事業法の三段改正の附則に基づいて実施したが、今後とも、 電力システムの制度とともに、システムを取り巻く状況は変わっていくため、電力システムの制度改正 について集中的に議論する会議体において今後の検証の在り方についても整理する。 13

資料4

資料3-2 【案】 電力システム改革の検証結果と 今後の方向性 ~安定供給と脱炭素を両立する 持続可能な電力システムの構築に向けて~ 令和7年1月 資源エネルギー庁 目次 1.電力システム改革の検証の位置づけ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4 2.検証プロセスの全体像・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5 3.これまでの評価とこれからの電力システムが目指すべき方向性・・・・・・・・・・・・7 (1)電力システム改革の目的に照らした現状の評価・・・・・・・・・・・・・・・・・・7 ① 安定供給の確保 ② 電気料金の最大限の抑制 ③ 需要家の選択肢や事業者の事業機会の拡大 (2)電力システムを取り巻く経済社会環境の変化・・・・・・・・・・・・・・・・・・11 ① 世界的な DX や脱炭素化の流れの加速 ② 地政学的リスクを含む経済安全保障リスクの高まり ③ 世界全体でのインフレの進行 (3)電力システムが直面している課題と目指すべき方向性・・・・・・・・・・・・・・13 4.電力システムが直面する課題と対応方針・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・15 (1)安定供給確保を大前提とした、電源の脱炭素化の推進・・・・・・・・・・・・・・15 ① 大規模な電源の脱炭素化に向けた事業環境整備 ② 安定供給を大前提とした非効率石炭火力のフェードアウトや火力脱炭素化の推進 ③ 安定供給に必要となる燃料の確保(LNG の長期契約の確保等) ④ 水力の活用 ⑤ 発電事業者に求められる機能や役割 (2)電源の効率的な活用に向けた系統整備・立地誘導と柔軟な需給運用の仕組構築・・・19 ① 電力システム改革における送配電分野の対応 ② 再生可能エネルギーの効率的な活用を行うための広域及び地内系統整備の在り方 ③ GX 産業立地政策と連動した、大規模需要の立地誘導、送配電網整備の推進 ④ 送配電網の整備に係る資金調達等の課題への対応 ⑤ 短期の需給運用の効率的な実施 ⑥ 送配電部門の中立性・透明性向上 (3)市場を通じた、安定的な価格での需要家への供給に向けた小売事業の環境整備・・・22 ① 事業者の創意工夫を促す市場環境整備 ② 小売電気事業者に対する規律の在り方 ③ 経過措置料金の現状と今後の検討課題 (4)共通する課題・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・24 ① 電源・系統への投資に対するファイナンス ② 電力システムにおける公的役割を担う機関の体制強化 5.事業者に期待される役割・取組の方向性~将来の電力産業の在り方~・・・・・・・・26 (1)安定供給と脱炭素化の実現に向けた脱炭素電源や系統の設置・整備の担い手・・・・27 ① 円滑で安定的なファイナンス ② 内外一体の電力産業の展開 (2)発電から需要家にわたるまで電気を安定的に供給する運営者・・・・・・・・・・・27 2 ① 安定的な供給に責任ある事業運営 ② 電力産業を支える人材・サプライチェーンの確保 (3)需要家のニーズに応えるエネルギーサービスプロバイダー・・・・・・・・・・・・28 ① 分散型エネルギー源の活用促進とデジタル化 ② サイバーセキュリティの確保 6.将来の電力システムを支える取引市場の全体像・・・・・・・・・・・・・・・・・・30 (1)電力システムに関する取引市場の全体像と卸電力市場が直面する課題・・・・・・・30 (2)検証を踏まえ、今後整理していく電力システムに関する取引市場の全体像・・・・・32 ① 供給力を確保するための取引市場・制度 ② 量・価格両面で安定的な調達を可能とする中長期取引市場 ③ 効率的な広域メリットオーダー実現のための短期取引市場 (3)今後に向けて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・34 7.今後の進め方・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・36 3 1.電力システム改革の検証の位置づけ 東日本大震災及び東京電力福島第一原子力発電所事故を契機とした、我が国の電力システムに 関する改革(第5次制度改革)の検討が開始されてからおよそ 10 年が経過した。この間、電力シ ステム改革の大きな柱である、広域系統運用の拡大、小売及び発電の全面自由化、法的分離の方 式による送配電部門の中立性の一層の確保が進められるとともに、関連する諸制度の見直しが行 われた。 この電力システム改革に関し、2015 年に成立した第3弾の改正電気事業法においては、事後検 証を行う旨の規定が設けられている。具体的には、①小売全面自由化前、②2020 年4月の送配電 部門の法的分離前、③法的分離後5年以内のそれぞれの時期において、電気事業法の施行の状況 やエネルギー基本計画の実施状況、需給状況、料金水準等について検証を行い、その検証結果を 踏まえ、必要な措置を講ずる旨が規定されている。この規定に基づき、小売全面自由化前の検証 については 2015 年 12 月に、送配電部門の法的分離前の検証については 2019 年5月に、審議会に おける検証の結果がそれぞれ公表されている。 今般、2025 年3月末までに行うこととされている法的分離後の検証の時期を迎えるに当たり、 前回の検証と同様に電力・ガス基本政策小委員会において検証を行うこととした。ただし、今回 は、冒頭に述べたように電力システム改革が開始されてからおよそ 10 年が経過しており、一部経 過措置は残るものの、電力システムに係る三段階の改正法全体が施行された後の検証であること から、今般の電力システム改革に関する諸制度の見直しや、それによって我が国の電力供給の状 況や電力供給を支える事業の状況がどのように変化したか等について全体に渡る検証を行うこと とした。 参考図1:第3弾改正法における検証規定 4 2.検証プロセスの全体像 検証に当たり、まず、電気事業法附則にある検証規定を踏まえつつ、およそ 10 年前の電力シス テムの改革に係る総括的な議論をまとめた電力システム改革専門委員会報告書(以下「専門委員 会報告書」という。)の項目に沿って、現状を整理するとともに専門的・実務的な観点を十分に踏 まえて検討を行うため有識者・実務者からヒアリングを実施した。 その後、ヒアリングした内容を踏まえ、電力システム改革の検証の議論を深めるに当たって、 これからの電力システムが目指すべき方向性、電力システムが直面する課題と対応方針、電力シ ステムを支える事業者に期待される役割・取組の方向性を一体的に検討していくこととし、それ ぞれの内容について議論を行った。 参考図2:電力システム改革の検証の論点 参考図3:ヒアリングに協力いただいた有識者・実務者一覧 日時 2024 年 内容 総論 役職 平岩 芳朗 ・ (一財)電力中央研究所 理事長 寺澤 達也 ・ (一財)日本エネルギー経済研究所 理事長 大林 ミカ ・ (公財)自然エネルギー財団 事務局長 河野 康子 ・ (一財)日本消費者協会 理事 竹内 純子 ・特定非営利活動法人 国際環境経済研究所 理事・主任研究員 壬生 守也 ・全国電力関連産業労働組合総連合 会長 小売全面 城口 洋平 ・ENECHANGE(株)代表取締役 CEO 自由化 坂梨 興 ・大阪ガス(株)副社長執行役員 社長補佐 笹井 富博 ・パナソニック オペレーショナルエクセレンス(株) 2月 27 日 3月 13 日 氏名 グローバル調達本部 間接材調達センター エネルギー調達部 部長 中尾 太一 ・同部総括担当 中桐 功一朗 ・au エネルギーホールディングス(株)代表取締役社長 長﨑 桃子 ・東京電力エナジーパートナー(株)代表取締役社長 三宅 成也 ・ (一社)再エネ推進新電力協議会 代表理事 5 4月 17 日 海外の電力 Pablo ・Head of Renewable Integration and Secure Electricity, システム Hevia-Koch 改革の動向 Adriana Guth IEA ・Policy Officer, Directorate-General for Energy, European Commission 小笠原 潤一 ・ (一財)日本エネルギー経済研究所 電力ユニット担任補佐・研究理事 5月8日 送配電の 横山 明彦 ・東京大学 名誉教授 広域化・ 鈴村 隆 ・ (株)ユーラスエナジーホールディングス 中立化 ユニット長補佐 中野 明彦 ・ソフトバンク(株)執行役員 ション推進本部 本部長 6月3日 6月 17 日 技術ユニット グリーントランスフォーメー 兼 エナジー事業推進本部 本部長 山根 小雪 ・ (株)日経 BP 日経エネルギーNext 編集長 新家 法昌 ・みずほ証券(株)エクイティ調査部 シニアアナリスト 市場機能の 伊東 徹二 ・ (株)日本政策投資銀行 執行役員企業金融第5部長 活用・供給 小川 博志 ・関西電力(株)執行役常務 力確保策 香月 有佐 ・ENEOS Power(株)代表取締役社長 多和 淳也 ・ (株)JERA 常務執行役員 野澤 遼 ・ (株)enechain 代表取締役社長 吉田 宏 ・出光興産(株)電力・再生可能エネルギー事業部長 事業環境整 林 泰弘 ・早稲田大学大学院 先進理工学研究科電気・情報生命専攻 教授 備(分散化、 佐藤 裕紀 ・中部電力(株)専務執行役員 グローバル事業本部長 デジタル 伊藤 令 ・中部電力ミライズ(株)執行役員 事業戦略本部長 化、グロー 稲垣 憲治 ・ (一社)ローカルグッド創成支援機構 事務局長 バル化等) 木原 浩貴 ・たんたんエナジー(株)代表取締役 清水 精太 ・東京ガス(株)執行役員 総合企画部長 田宮 聡 ・三菱商事(株)電力ソリューショングループ CEO オフィス室長 参考図4:電力システム改革の検証の全体像 6 3.これまでの評価とこれからの電力システムが目指すべき方向性 2013 年4月2日に閣議決定された「電力システムに関する改革方針(以下「改革方針」とい う。)」では、以下の3点を電力システム改革の目的として掲げていた。 1.安定供給を確保する 2.電気料金を最大限抑制する 3.需要家の選択肢や事業者の事業機会を拡大する これからの電力システムが目指すべき方向性を検討するに当たり、まず、これらの目的と照ら して、現状の電力システムはどのように評価できるかについて検証を行った。次に、電力システ ム改革が行われた、この約 10 年の間に電力システムを取り巻く経済社会環境がどのように変化し たかを整理した。その上でこれからの電力システムが目指すべき方向性について整理を行った。 (1)電力システム改革の目的に照らした現状の評価 ① 安定供給の確保 2015 年4月、送配電網の広域運用の司令塔として、電力広域的運営推進機関(以下「電力 広域機関」という。)が創設された。電力広域機関は、需給ひっ迫時における地域間の需給調 整や地域間連系線等の増強の推進を通じ、全国大での効率的な電力流通の実現を目指すこと とされており、これまでに、災害等の不測の事態も含め、全国大で迅速かつ円滑に電力を融 通する枠組み(広域融通)は 300 回以上行われた。また、連系線の増強も進展するなど、広 域的な電力需給・送配電ネットワーク整備については目標を一定程度達成できたと評価でき る。 一方で、供給力については、主力であった火力発電は、再生可能エネルギーの導入に伴っ て稼働率が低下し収益性が低下したこと等を受けて、休廃止が進展している。また、原子力 発電所の再稼働の遅れもあいまって、2020 年以降、断続的に災害や厳気象による需給ひっ迫 を経験することとなった。さらに、今後は需要が増加する見込みもあるが、事業者による電 源の新設・リプレースに向けた設備投資は容易ではない状況にある。 今後、カーボンニュートラルに向けた取組の加速化が必要な中、電源投資の回収予見性が 高まっているとは言い難く、容量市場、長期脱炭素電源オークション等への評価も踏まえつ つ、電力の安定供給に必要な供給力の維持・確保を進めていくことが必要と考えられる。 ② 電気料金の最大限の抑制 小売全面自由化以降、競争が進む中、小売電気事業者は供給力をより安く調達すべく、卸 電力取引所からの調達量を増やす動きが活発化した。こうした動きは、2022 年に国際的な燃 料価格の高騰の影響が出るまで家庭向け自由料金を押し下げる方向に働き、自由料金は概ね 経過措置料金よりも安価な水準で推移していた。 一方で、発電量のうち火力発電が大宗を占める中、こうした動きは、燃料価格高騰により 卸電力取引所の価格が高騰した際には、自由料金を中心に小売価格の水準を押し上げる方向 へ作用した。需要家への説明が必ずしも十分でなかった中、強い反発を招くとともに、小売 電気事業者の経営状況の悪化から、需要家との小売契約の解除、事業からの撤退、託送料金 の不払い等へとつながり、需要家に一定の負担や混乱を生じさせた。さらに、これらを受 け、電気料金の激変緩和措置等が実施され、令和6年度補正予算までに累計で4兆円を超え 7 る国費が費やされた。こうしたことから、長期的な価格の安定性を確保する重要性が明らか になった。 参考図5:家庭用電気料金月別単価の推移 また、電力システム改革が日本の電気料金の水準にどのような影響を与えたかを検証する ために、海外における料金の変化と比較して相対的にどのように評価できるか、自由化後に おける発電投資等の動向と電気料金の関係はどのように考えられるか、といった点について 議論を行った。 まず、海外との比較について、2000 年から 2010 年にかけては、国際燃料価格が上昇する中 で、日本は欧州等と比較すると比較的電気料金の上昇幅は抑制されていた。この要因として は、発電自由化による効率性の追求に加え、電源への新規投資が減少していたこと、化石燃 料価格高騰の影響を受けない原子力発電の稼働率が高かったこと等が考えられる。2010 年代 以降については、2016 年の小売全面自由化の時期に関わらず、国際的な燃料価格の動向の影 響も受けながら電気料金は推移しており、諸外国と比較して電気料金の上昇幅が抑制されて いたとまでは言えない状況にある。これは、原子力発電所が停止する中で火力発電への依存 度が上昇したこと、電力需要量が大幅に減少したこと等が要因であると考えられる。 電気料金の水準については、国際的な燃料価格、電源構成、電力需要量、さらには 2012 年 度に導入された再エネ賦課金等、様々な要因の変動の影響を受けることから、小売全面自由 化の効果だけを取り出して、諸外国と比較して電気料金が低く抑えられていたとまでいうこ とは難しい。一方で、燃料輸入価格高騰時を除き、経過措置料金よりも自由料金が安価な水 準で推移していたことや様々な料金メニューが提供されたことは事実であり、新たな料金体 系の下で工夫がされていたことは評価できると考えられる。 8 参考図6:実質値による家庭用電気料金の国際比較1 発電投資等への影響については、1995 年以降、段階的に電力自由化が進められる中、2000 年代前半にかけて電源の拡充工事は減少傾向が続いてきた。また、2010 年代以降は、電力需 要が大幅に減少する中で、電源の拡充工事は引き続き抑えられている状態が継続している が、電源の改良工事は、原子力発電設備の安全対策工事の増加や火力発電設備の修繕投資の 継続により増加傾向にある。これらを踏まえれば、発電自由化以降、需要の伸びが緩やかに なる中で大手電力会社が電源投資の効率化を進めてきたこと、2010 年代以降、電源の新規投 資が抑えられる中でも、限られた供給力を用いて電源の広域融通などを行いながら電気を供 給してきたことは、電力需要量の変化が要因の一つと考えられるものの、一連の電力システ ム改革の効果との見方もできると考えられる。一方で、2020 年以降、断続的に災害や厳気象 による需給ひっ迫を経験したことや、今後 DX・GX の進展により需要の増加が見込まれ脱炭素 電源の大幅な拡充が必要となる中では、効率性の追求だけではなく、電源の新規投資を増や していくための方策が求められる。 1 電気料金について、物価や為替の変動による影響を控除し、国際比較を行うため、名目の電気料金を基準年 の消費者物価指数(CPI)に基づいて実質化し、全ての年について、2015 年の購買力平価の値に基づき、各国 の値を円換算したもの(電力中央研究所の提供資料)。購買力平価:各国間の同一商品の価格の違いをもとに設 定された交換レートのこと。例えば、同じハンバーガーが日本で 500 円、米国で 5 ドルで売られている場合、 500 円と 5 ドルを等価と考え、換算レートを設定するイメージ。実際には、数千の多様な品目の価格を対象と して計算されている。 9 参考図7:発電設備への投資の推移 ③ 需要家の選択肢や事業者の事業機会の拡大 2016 年4月の小売全面自由化以降、700 を超える事業者が小売電気事業に参入した。再生 可能エネルギーに特化したメニュー等、料金メニューも多様化しており、需要家の選択肢の 拡大については目指してきた方向性で取組が進んでいると評価できる。 一方、参入した 700 を超える小売電気事業者のうち、約 200 者は実際には電気の供給を行 っていないことも明らかになった。また、上記のとおり国際燃料価格が高騰し、卸電力取引 所の価格が高騰した際には、小売電気事業からの撤退等によって一定の負担や混乱の引き金 となった事業者も少なくなかった。こうした実態は、需要家保護等の観点から課題があると 考えられる。 参考図8:小売電気事業者の登録件数 10 (2)電力システムを取り巻く経済社会環境の変化 ① 世界的な DX や脱炭素化の流れの加速 世界では、カーボンニュートラル目標を表明する国・地域が急増し、その GDP 総計は世界 全体の約9割を占める。我が国は、2050 年カーボンニュートラル実現を目指すことを 2020 年 10 月に宣言した。こうした中、既に欧米を始めとして、排出削減と経済成長を共に実現する GX に向けた大規模な投資競争が激化しており、エネルギー供給サイドとエネルギー需要サイ ドの双方の転換が求められている。 日本は、2022 年5月に成長指向型カーボンプライシング構想等を表明し、2023 年2月には 「GX 実現に向けた基本方針」を閣議決定した。G7各国は、脱炭素電源への転換を推進して おり、2035 年までに電力部門の完全又は大宗を脱炭素化することに合意している。 また、電力の需要面の変化として、半導体の省エネ性能が向上する一方で、Chat GPT 等 の生成 AI の利活用拡大に伴い、計算資源における電力消費量が増加する可能性が指摘され ている。半導体の微細化や光電融合等の消費電力の低減に大きく寄与する半導体技術の開 発等を進めながらも、今後、AI の進展による計算量の増大に伴い、電力消費量が急増する シナリオも想定しておく必要がある。実際に、電力広域機関が 2025 年 1 月に公表した「全 国及び供給区域ごとの需要想定」(2025 年度)においては、半導体の省エネ性能の向上によ る効果等がどの程度期待できるかによって幅はあるものの、将来的な電力需要は増加する ことが見込まれている。 参考図9:脱炭素電源投資の重要性について ② 地政学的リスクを含む経済安全保障リスクの高まり 米中の厳しい対峙、ロシアによるウクライナ侵略、中東での紛争等、地政学的リスクを含 む経済安全保障のリスクは高まりつつある。エネルギー資源の海外依存度が高い日本におい ては、国際情勢が国際的なエネルギー価格高騰やエネルギー供給途絶リスク等に直接・間接 11 に波及することによる我が国の生活・産業基盤に与える影響が甚大となり得る。海外調達先 の多角化、徹底した省エネの展開、エネルギー自給率の向上等が求められる。 一方、日本の LNG の CIF 価格は、原油価格に連動して価格が決まる長期契約が多いため、 2022 年のピーク時にも欧州の天然ガスやアジアの LNG ほどの急騰は避けられたと考えられる が、LNG スポット価格の影響が要因の一つとなり発電用の一般炭が未曾有の高水準に高騰し た。こうしたロシアのウクライナ侵略等による燃料輸入価格の高騰に伴い、電気料金も高騰 したが、2023 年から電気・ガス価格激変緩和対策事業を開始したことに加え、燃料輸入価格 が低下したことに伴い電気料金は低下した。 参考図10:電気料金平均単価と燃料輸入価格の推移 ③ 世界全体でのインフレの進行 世界ではエネルギー・食糧価格や賃金の上昇を背景として、一時期の急上昇よりは穏やか になっているものの、インフレ進行が継続している。消費者物価指数増減率でみると、足下 では日本も他国と同等水準となっており、その中で、住宅 1 戸当たりの年間平均エネルギー 支出(電気、天然ガス、灯油等)についても増加傾向にある。 欧米では原材料や資源の高騰による輸入インフレと同時に、賃上げ分を含めて最終消費者 にも価格転嫁しているため、足下で企業物価と消費者物価が同様に推移している。他方、日 本では、輸入財の高騰等で企業物価は上がっているものの、企業が対消費者を中心に価格転 嫁を十分にできておらず、企業物価と消費者物価に乖離が発生している。 12 参考図11:各国の消費者物価指数増減率 参考図12:日米英の消費者物価指数と企業物価指数の推移 (3)電力システムが直面している課題と目指すべき方向性 電力システム改革の目的に照らして現状について検証したところ、広域融通の仕組みの構築 や小売全面自由化によるメニューの多様化、事業機会の創出といった点については一定の進捗 があり目指していた方向性に沿った成果が確認できるものの、供給力の維持・確保や国際燃料 価格の急騰への対応等については課題が残ったと考えられる。 また、電力システムを取り巻く経済社会環境の変化として、電力需要の増加が見込まれる中 で、国際的な DX やカーボンニュートラルへの対応の加速化、地政学的な環境の変化に伴う国際 燃料価格の高騰等のリスクへの対応、物価高騰等の電気料金の上昇要因への対応等、新たな課 題にも直面している。 これらを踏まえ、これからの電力システムが目指すべき方向性を以下のように整理した。 13 ⚫ 安定的な電力供給を実現する 需要の増加の可能性が指摘される中で、必要な供給力を確保するための電源投資の確保に 取り組む。これらの確保した電源を活用するためにも、電力需給の動向を踏まえた、レジリ エンス強化のための系統増強や、これまで火力発電が担っていた安定供給を支える調整力・ 慣性力を確保する。さらに、地政学的な情勢の変化の中において、エネルギー安全保障の観 点も踏まえ、安定的に供給可能な電源・燃料の確保に向けた取組も進めていく。 ⚫ 電力システムの脱炭素化を進める カーボンニュートラルの目標を見据えた、脱炭素電源の確保に向けた投資を推進するとと もに、非効率石炭火力のフェードアウトを促進していく。脱炭素電源を最大限に活かすこと ができる系統や需給運用の仕組みを構築する。需要側の取組として、需要家の脱炭素ニーズ を捉えた電源投資や非化石価値等に対する経済的インセンティブを与える取組を進めてい く。 ⚫ 安定供給や脱炭素化、物価上昇等による価格への影響を抑制しつつ、需要家に安定的な価 格水準で電気を供給できる環境を整備する 安定供給や電力システムの脱炭素化を着実に進めるために必要な費用の確保や、物価の高 騰や金利の上昇、円安も含めた電気料金の上昇要因への対応を進める。また、国際的な燃料 価格等、国内外の急激な情勢変化によって生じる過度な料金高騰や変動に対応できる仕組み を構築する。さらに、長期的な視野に立ち、事業者の競争の下、国際的に遜色のない価格で の電気の供給の実現を目指す。 参考図13:これからの電力システムが目指すべき方向性 14 4.電力システムが直面する課題と対応方針 ヒアリングでいただいた意見等を踏まえ、電力システムが直面している課題を以下のとおり3 つの柱として整理し検討を行った。 参考図14:電力システムが直面する課題の全体像 (1)安定供給確保を大前提とした、電源の脱炭素化の推進 発電部門から見た電力システム改革による大きな変化として、発電に係る原価の回収が保証 されていた総括原価方式から脱却し、全国大で安い電源から順に使うこと(メリットオーダ ー)の徹底、需要家の選択による需要抑制を通じた発電投資の適正化を目指すとされたことが 挙げられる。 一方で、ヒアリング等を通じて、電力システム改革後においては、電力需要の不確かさに加 えて収入の不確実性、更には費用の不確実性も高まっていることが指摘されている。また、電 力システムを取り巻く経済社会環境の変化として、世界的な脱炭素化の流れの加速、地政学的 リスクを含む経済安全保障リスクの高まり、世界全体でのインフレの進行等が生じ、経営環境 の不確かさも増している。こうした中、電気事業の事業予見可能性が低下しており、特に長期 的な取組が必要となる燃料確保も含めた電源投資に対して躊躇する動きも見られる。 今後、2050 年カーボンニュートラルという目標の実現も見据え、安定的な電力供給の確保を 大前提に電力システムの脱炭素化を進めるとともに、需要家に安定的な価格水準で電気を供給 できる環境を整備するためには、安定供給と脱炭素化の両立に必要な電源に対して、長期的か つ継続的に必要な電源投資が行われ、安定的に電源の運用ができるような仕組みを構築する必 要がある。その際、実需給のタイミングでは、電源の安定的な運用や脱炭素化も考慮しつつ、 限界費用の安い電源から動かしていくという考え方を活かしていく。 ① 大規模な電源の脱炭素化に向けた事業環境整備 2050 年カーボンニュートラルに向けては、今ある火力電源による供給力を、再生可能エネ ルギー・原子力・脱炭素火力等の脱炭素電源による供給力へとシフトさせていく必要があ る。これに加えて、半導体工場やデータセンター需要の増加による 20 年ぶりの需要増加見通 15 しに対応するため、脱炭素電源やトランジション手段としての LNG 火力への投資を進めてい く必要がある。このように、一連の電力システム改革時には必ずしも想定していなかった状 況変化が生じており、高度成長時代以来の大規模な電源投資が必要な時代へと突入してい る。 これまでも、再生可能エネルギーの導入拡大に向けた FIT/FIP 制度、長期脱炭素電源オー クション等の制度を整備し、再生可能エネルギー・原子力・脱炭素火力等の脱炭素電源の導 入促進を進めてきた。 一方で、電源投資を取り巻く足下の環境下においては、インフレや金利上昇等の要因によ り、今後も電力分野の建設コストは上昇していく可能性が高い。特に、大型電源については 投資額が巨額となり、総事業期間も長期間となるため、収入と費用の変動リスクが大きく、 電力自由化を始めとする現在の事業環境の下では、将来的な電力収入の不確実性が大きい。 こうした中では、長期の事業期間を見込む投資規模の大きな投資や、技術開発の動向、イン フレ等により初期投資や費用の変動が大きくなることが想定される投資については、事業者 が新たな投資を躊躇する懸念がある。 そのため、これらのリスクや懸念に対応し、脱炭素電源への投資回収の予見性を高め、事 業者の新たな投資を促進し、電力の脱炭素化と安定供給を実現するため、事業期間中の市場 環境の変化等に伴う収入・費用の変動に対応できるような制度措置や市場環境を整備する。 ② 安定供給を大前提とした非効率石炭火力のフェードアウトや火力脱炭素化の推進 足下では、再生可能エネルギー導入の拡大に伴い火力全体で稼働率が低下しており、休廃 止に向けた動きも進展している。加えて、再生可能エネルギーの出力変動に伴う日間起動停 止(DSS 運転)の増加等に伴い、火力発電設備の故障率が増加し安定的な稼働が難しくなって いるとの声もある。 他方で、冬の悪天候時等を念頭に置けば、安定供給の観点からは、再生可能エネルギーに よって火力を完全に代替することは難しい。データセンターや半導体工場の新増設等による 需要の増加も想定すれば、再生可能エネルギー・原子力等の脱炭素電源を最大限活用しつ つ、火力においては、非効率な電源を中心に発電量(kWh)を減らしながらも、安定供給に必 要な発電容量(kW)を維持していく必要がある。具体的には、トランジション手段としての LNG 火力の確保を燃料の確保と併せて進めるとともに、水素・アンモニア、CCUS2等を活用し た火力の脱炭素化について、技術開発やコスト等を踏まえた時間軸や排出量にも留意しつ つ、事業者の予見可能性を確保しながら進めていく。 必要な発電容量の維持に向けては、容量市場における必要な供給力の確保に加え、短期的 な供給力不足の懸念に対応する観点から、長期脱炭素電源オークションを通じて、2050 年ま での脱炭素化を前提とした LNG 専焼火力の新設・リプレースを計 1,000 万 kW 募集することと しているが、今後もさらに火力の供給力を確保する観点から、需給バランスの将来動向も見 ながら、長期脱炭素電源オークションにおいても、追加的な措置を検討する。 さらに、今後の電力需要の高まりの可能性に備え、一層導入が拡大する変動性再生可能エ ネルギーとの共存の中で高需要期の供給力としての貢献を期待できるよう、発電設備、燃料 サプライチェーンの維持等に留意しつつ、低稼働電源の kW 維持に必要な制度的措置や、緊急 時に備えた予備電源制度について、不断の検討を行う。なお、共同火力発電事業者や自家発 電事業者の非効率火力においても、脱炭素化に向けた取組が進められることが重要である。 2 Carbon dioxide Capture, Utilization and Storage 16 <石炭火力> 石炭火力に対しては、休廃止に向けた国際的要請が高まっている。非効率な石炭火力に対 しては省エネ法3における規制的措置を導入している上、来年度から容量市場において、設備 利用率が 50%を超える非効率石炭火力への減額措置を開始し、高需要期のみの稼働へ誘導し ている。 他方、足下では非効率石炭火力のフェードアウトは必ずしも十分に進展していない。2030 年に向け、非効率石炭火力のフェードアウトをより一層促進するため、排出量取引制度(GXETS)や化石燃料賦課金等の他制度の影響も考慮しながら、更なる制度措置の強化を検討する 必要がある。 加えて、2030 年以降、フェードアウトされていく電源についても、今後の需要の高まりの 可能性、自然災害リスクへの備え、系統安定性の確保等の観点から、kWh を低減していく一方 で、当面の間は kW 維持の必要性を見極めていく必要がある。 また、共同火力発電事業者や自家発電事業者の非効率火力においても、引き続き活用され る設備については、脱炭素化に向けた取組が進められることが重要である。 <火力の脱炭素化> 安定供給に必要な火力の kW を維持すると同時に、それらについて 2050 年カーボンニュー トラルと整合的な形で脱炭素化を進めていく必要がある。 火力の脱炭素化に不可欠な技術の中には開発途上のものもあり不確実性が高いところ、技 術開発や実証を進めるとともに、長期脱炭素電源オークションを通じ、投資回収の予見性を 高めることで、事業者の脱炭素投資を促してきた。引き続き、長期脱炭素電源オークション 等を通じて、火力の脱炭素化を促進する。 なお、脱炭素化を進めるに当たっては、火力の建設・運転・維持等に必要なサプライチェ ーン等の維持、脱炭素化や休廃止等によって将来的に生じるおそれのある地域経済や雇用等 への影響にも留意が必要であるところ、発電事業者から関係者に対し、長期脱炭素電源オー クションにおける脱炭素化ロードマップのような形でのトランジションの方向性が広く提示 される等、各地域の実情を踏まえ、関係者とコミュニケーションを重ねながら脱炭素化に向 けたトランジションを進めることが重要である。 ③ 安定供給に必要となる燃料の確保(LNG の長期契約の確保等) 発電用燃料(特に LNG)の安定供給に向け、2021 年の LNG 需給ひっ迫以降、燃料ガイドラ インの策定や、燃料在庫の定期的なモニタリング、全国・地域での連携スキームの構築や、 戦略的余剰 LNG(SBL)の導入等を進めてきた。その結果、事業者の自主的な取組により、必 要な燃料を確保する仕組みが構築されつつある。 しかしながら、自由化の進展による小売電気事業者の売電量の予見性低下及び、これに伴 う長期 PPA の減少等によって、燃料の調達量を予見することが難しくなりつつある。 加えて、再生可能エネルギー導入拡大に伴う、低需要期における燃料消費量の低下や、季 節間の燃料消費量の振れ幅拡大等によって、長期契約を通じて安定的に確保される燃料量が 低下しつつあり、発電事業者及び小売電気事業者が短期的なコスト最小化行動を取ること 3 エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律 17 で、ひいてはこれらの事業者及び需要家が燃料スポット価格の変動リスクにさらされる懸念 が高まっている。 今後、石炭火力の稼働率が LNG 火力の稼働率、燃料確保の予見性に与える影響を見極めつ つ、電力需給のひっ迫や、国際情勢の急変に伴う燃料スポット価格の急騰等への備えとし て、安定的な電力供給が可能となる量の LNG 長期契約の確保を促進するための措置の検討な ど、平時と緊急時それぞれの燃料の安定的な確保の対応の在り方についてさらに検討を進め る。 また、石炭火力の稼働率が低下すると、石炭火力の燃料確保の在り方、サプライチェーン 維持の在り方が変化することが想定される。経年化が進む石油火力についても同様のことが 言える。今後の石炭・石油のサプライチェーンにも配慮した制度等の在り方についても検討 を進める。 ④ 水力の活用 水力発電は、安定した出力を長期的に維持することが可能な脱炭素電源として重要であ る。 水力発電による発電電力量は、近年、年間 700~800 億 kWh 付近を推移しているところ(電 源構成における比率は7~8%程度)、第6次エネルギー基本計画では、新規開発による容量 増加(2019 年度比 70 万 kW 増)、既存発電の有効活用(2019 年度比 80 億 kWh 程度増(野心的 水準では 130 億 kWh 程度増))により、2030 年度に年間発電電力量 980 億 kWh(電源構成にお ける比率は 11%程度)が目標として掲げられている。 新規開発に関しては、これまで、新規地点の開発、発電未利用ダムへの発電機の設置等の 取組が進められている。既存発電の有効活用に関しては、ハイブリッドダム等における水位 運用の高度化、上流・下流の連携運用による水位の最適化、長時間流入量予測等のデジタル 技術の活用等による効率的な貯水運用等の取組が関係省庁とも連携しながら進められてい る。他方で、新規開発リスクの高さ(開発地点が限定的、開発期間の長期化、投資回収期間 が長いことによる投資予見性の低さ等)、河川環境に関連する地域の合意や系統制約、ダム貯 水池等への堆砂進行による発電機能への影響等が課題となっている。今後も関係省庁と連携 し、発電電力量増加に向けた取組を積極的に進めつつ、課題に対する対応を検討していくこ とが重要である。また、揚水発電は、再生可能エネルギーの導入が拡大する中において、再 生可能エネルギーが発電した電力を一旦蓄電し、夕方の需要ピーク時に電力を供給する調整 電源としての重要性が増加している。一方で、揚水発電は、約3割の電力損失が発生する上 に、設備投資やメンテナンスのコストも高く、採算性の確保が課題となっている。このた め、既存設備の採算性向上に向けた設備投資や、新規開発に向けた導入可能性調査の支援を 実施しているが、今後より一層新規投資を促す仕組みを検討していくことが重要である。 ⑤ 発電事業者に求められる機能や役割 発電事業者に関しては容量市場等の制度的な裏付けによる電源の確保や各種の電力取引市 場の整備等の対応が進められてきたところであり、電力供給を通じた貢献が求められる。こ うした観点から発電事業者に求められる役割や機能について電力システムの状況に応じて不 断の検討を行うことが重要である。このため、小売電気事業者の供給力確保の在り方の検討 も踏まえつつ、発電事業者に対し、電力需要の見通しに対して十分な量の燃料が長期契約等 18 を通じて安定的に確保されるかどうかの見通しや、供給力を提供する事業者の実態等を確認 し、必要な政策措置を要否も含め検討する。 (2)電源の効率的な活用に向けた系統整備・立地誘導と柔軟な需給運用の仕組構築 ① 電力システム改革における送配電分野の対応 東日本大震災後の需給ひっ迫時において、供給予備力の地域的偏在や、周波数変換設備 (FC)、地域間連系線などの送電制約により、需給がひっ迫した緊急時のバックアップ体制が 不十分であることが露呈した。こうした課題を踏まえ、電力システム改革において、2015 年 に電力広域機関を創設し、需給ひっ迫時の地域間の需給調整や、地域間連系線等の増強の推 進を行う体制を構築した。 こうした取組の成果として、送配電分野においては、需給ひっ迫時の地域間融通や、地域 間連系線や周波数変換設備の増強等の取組が進展している。引き続き、電力の安定供給確保 は大前提であり、周波数を維持し安定供給を実現するため、一般送配電事業者は、需要と供 給を最終的に一致させる調整力を確保するという、極めて重要な役割を担っている。そのた め、これまでに、調整力公募の実施や、需給調整市場の開設による調整力の確保などを進め てきた。加えて、需給ひっ迫に対する暫定的な措置として kW 公募、予防的措置として kWh 公 募の実施などを進めてきた。 さらに、既存の送配電網を最大限活用するための「日本版コネクト&マネージ」を推進す るとともに、再生可能エネルギーの大量導入と電力の安定供給確保のため、2023 年3月に電 力広域機関において、広域系統長期方針(広域連系系統のマスタープラン)を策定した。現 在、マスタープランを踏まえて全国大での地域間連系線の整備に向けた対応を進めている。 これらの取組の中で、エリアを越えた一般送配電事業者同士の横の連携も進み、平常時か ら、送配電設備の仕様の統一化などの対応が進められている。また、災害時においては、災 害時連携計画に基づき各者が連携して復旧作業に当たる体制が構築されているなど、電力シ ステム改革の成果として出てきている。 ② 再生可能エネルギーの効率的な活用を行うための広域及び地内系統整備の在り方 こうした取組を進めてきた中、脱炭素社会の実現に向けては、送配電分野において更なる 対応を進めることが重要である。特に、再生可能エネルギーの更なる導入拡大と電力の安定 供給を実現するためには、系統の増強を一層進めていく必要がある。地域間連系線について は、マスタープランを踏まえて、北海道・本州間の海底直流送電や中国九州間連系設備(関 門連系線)等の整備に係る検討を進めており、資金調達等の課題に対応するための必要な制 度的措置等を検討していく。 また、今後、再生可能エネルギーの更なる導入や大規模電力需要の局地的な立地が見込ま れる中、地域間連系線の整備の在り方の見直しが必要になる可能性がある。このため、広域 連系系統のマスタープランについて、将来の再生可能エネルギーの導入状況や大規模需要の 立地状況等を踏まえた見直しの検討を進めていく。 加えて、再生可能エネルギーを最大限活用するとともに、自然災害時等のレジリエンスを 強化し、電力の安定供給を確保するためには、地内基幹系統等を効率的に整備することも重 要である。これまで地内基幹系統は、エリアの一般送配電事業者が整備してきたが、更なる 計画的整備のため、地域間連系線と一体的に整備するものや広域的取引に資するものは、電 力広域機関の関与の下で、一般送配電事業者が整備を進めることとした。こうした中、再生 19 可能エネルギーの導入等に資する地内基幹系統等についても、これまで以上に効率的な整備 が必要となる。このため、各エリアの一般送配電事業者等が、より効率的・計画的に整備を 進めるための仕組みを検討するとともに、再生可能エネルギー電源の立地地域の負担とその 全国への裨益を踏まえ、エリアを越えた費用負担の仕組みも検討していく。 ③ GX 産業立地政策と連動した、大規模需要の立地誘導、送配電網整備の推進 データセンター等の付加価値の高い産業の維持・強化につながる国内投資や電化等を通じ た脱炭素化を促進していくためには、新たな大規模需要に対し、迅速かつ確実に電力供給を 行う必要がある。このため、データセンター等の系統接続申込みの規律を確保するととも に、一般送配電事業者が早期に電力供給を開始できる場所を示した「ウェルカムゾーンマッ プ」を通じた立地誘導を進める。 また、大規模需要を効率的な系統整備等の観点での適地に誘導するため、一般送配電事業 者や自治体等の関係機関と連携し、適地における先行的・計画的な系統整備を促す仕組みを 検討する。さらに、整備を着実に推進しつつ需要家の公平性を確保するため、一般送配電事 業者が行う先行的・計画的な系統整備に係る費用が確実に回収される仕組みや、GX 等に資す る取組であって整備費用が大規模になった場合に特定の需要家に費用負担が偏らない仕組み を検討する。 ④ 送配電網の整備に係る資金調達等の課題への対応 一般送電事業者等は、これまでも、地域間連系線の整備を含め巨額の投資を行ってきた が、今後、脱炭素化や電力の安定供給確保に向けた投資や既存設備の更新等、加速度的に巨 額の投資が必要となる見込みである。こうした中、一般送配電事業者は、レベニューキャッ プ制度の下、必要な系統整備等の費用の回収の蓋然性が高いとしても、一定規模以上の大規 模投資の場合、工期が長く、費用回収に長期間を要することから、キャッシュフローの悪化 を懸念し、その結果、必要な投資が停滞する可能性がある。また、SPC(特別目的会社)等を 組成して行うプロジェクトファイナンスの場合において、金融機関は、費用増額時等の費用 回収のリスクを踏まえ、大規模な融資を躊躇する傾向にあり、投資が遅れる可能性がある。 今後、電力需要の増加の可能性や再生可能エネルギーの導入拡大、自然災害発生リスクの 高まり等に伴い、北海道・本州間の海底直流送電や大規模地内基幹系統等への機動的な投資 が重要となる中、資金調達が制約となり必要な投資に遅れが生じてはならない。このため、 託送料金制度における費用の回収の在り方や資金を量的に確保するための仕組みなど、制度 的な対応を含めた資金調達環境の整備について検討を進める。 ⑤ 短期の需給運用の効率的な実施 現在、変動性再生可能エネルギー電源の導入により需給運用が難化しており、2020 年度冬 期の需給ひっ迫等によるスポット市場の売り切れ・価格高騰や、足下の需給調整市場の応札 不足等の問題も、そのような課題が背景にあると考えられる。さらに、変動性再生可能エネ ルギー電源が今後大量に導入されると、再生可能エネルギー出力予測誤差の拡大等により調 整力の必要量も増加する上、時々刻々の需給予測の変化の拡大、系統混雑の増加等により、 需給運用は一層難化すると考えられ、広域需給運用の強化に向けて、次期中央給電指令所シ ステムの整備が進められている。 20 こうした中、実需給の前日以降の断面で、発電事業者が登録した①起動費、②最低出力費 用、③増分費用カーブの3つの情報に基づき、系統制約を考慮して、供給力と調整力を同時 に約定させる仕組みである同時市場を導入するための検討を進めていくこととしている。こ の同時市場の導入により、これまでと同様に再生可能エネルギー電源の最大限の活用を前提 としつつ、発電事業者による登録情報を元にした供給力と調整力全体の最経済(短期的なメ リットオーダー)が実現されれば、電源の安定的・効率的な確保を可能とし、需給予測の変 化や緊急事態への対応力を向上させることにつながると考えられる。 同時市場についてはこれまで、「卸電力市場、需給調整市場及び需給運用の在り方勉強会」 (2021 年 12 月 28 日~2022 年6月 20 日)においてその設置が提案されて以降、「あるべき卸 電力市場、需給調整市場及び需給運用の実現に向けた実務検討作業部会」(2022 年7月 29 日 ~2023 年4月 25 日)や「同時市場の在り方等に関する検討会」(2023 年8月3日~)におい て電源の入札規律等、具体的な在り方についての検討が行われてきた。今後、市場価格の算 定方法や市場運営者の在り方等、検討未了の論点や対応すべき課題について必要な検討や対 応を行いつつ、同時市場の導入に向けて本格的に検討を深めていく。 ⑥ 送配電部門の中立性・透明性向上 2023 年4月 28 日の経済産業大臣から行われた指示を踏まえた大手電力の不適切事案への対 応や、送配電部門の中立性・透明性の向上に係る議論を行ってきた。 そうした中、まずは、不適切事案を踏まえた送配電部門の中立性・透明性の向上を図るた めの対応として、内部統制の抜本強化や、外部監視の仕組みの導入・強化等の措置を講じる こととした。その上で、第 68 回の本委員会においては、不適切事案への対応としては、所有 権分離を行うことの必要性、妥当性は認められないという考え方を整理した。 所有権分離については、今回のシステム改革検証におけるヒアリング等においても、電源 運用等にかかる更なる中立性を確保する観点から所有権分離が必要との意見があった一方 で、法的分離の下での行為規制を充実させることが重要という旨の意見があった。 また、議論の前提となる電気事業を取り巻く環境変化や今後の課題として、以下の指摘も いただいている。 - 電気事業者には、GX の実現に向けて脱炭素投資の一層の拡大が求められている一方、送 配電事業者を含めた電気事業者の資金調達環境は、これまで以上に厳しさを増している。 - 台風や地震等の自然災害リスクが増大する中、ライフラインとしての機能を迅速に復旧 するため、現場の状況を速やかに把握し、人的・物的リソースを集中的に投入するなど、 送配電事業者を中心とした電気事業者が高度に連携した災害対応力の確保が極めて重要と なっている。 - 現行制度上、事業者が自主的に所有権分離を選択することは可能であるが、これまでの ところ、株主等のステークホルダーからの所有権分離の求めは顕在化していない。 こうした環境変化や課題への対応については、今後、検討を深めていく必要があるが、適 切な行為規制を講じること等により、法的分離の下での送配電部門の中立性・透明性の向上 に努めることを前提に、少なくとも現時点で制度的に所有権分離を求める必要はないと考え られる。その上で、送配電部門の中立性・透明性の確保に向けた更なる制度的な対応につい ては、事業者の取組状況を踏まえてその必要性を継続的に検討し、仮に必要性が生じたとき は、その背景や理由を踏まえた上で、所有権分離も1つの選択肢としつつ、具体的な対応策 を検討していく。 21 (3)市場を通じた、安定的な価格での需要家への供給に向けた小売事業の環境整備 ① 事業者の創意工夫を促す市場環境整備 専門委員会報告書では、卸電力市場について、「新電力等の新規参入者が小売市場における 競争に参加しやすくするためには、自社電源のほか、必要な供給力を卸電力市場から確保でき る環境整備も必要であり、この点からも卸電力市場活性化は重要」と位置づけた。小売全面自 由化以降、卸電力取引所の取引量は大きく増加し、足下では電力需要の約 30%にまで到達す るなど、短期のスポット市場に一定の厚みが確保されるに至った。それに伴い、小売電気事業 者は 700 社を上回り、新電力のシェアも 20%程度に到達、旧一般電気事業者に匹敵する規模 を持つ新電力も誕生するなど、小売電気事業者間の競争の中で、各事業者の創意工夫により単 に電気(料金メニュー)を供給することに留まらず、電気事業を取り巻く環境変化、技術革 新、需要家ニーズに応じ様々な価値・サービスを提供してきた。 他方で、市場環境が厳しい局面においては、小売電気事業者の退出・取次への移行が生じた ことによる需要家の意図しないスイッチングや契約解除、特高・高圧分野における最終保障供 給への移行等が生じ、需要家に一定の負担や混乱を生じさせた。また、短期のスポット市場 は、燃料費の変動や電力需給の影響を受けやすく、自由料金を中心に市場連動成分が多く含ま れるなど、価格変動リスクが高い構造にある。実際に、国際的な燃料価格の急騰等による市場 価格の急激な変動に伴い電気料金が急激に変動したことが国民経済に大きな影響を与え、社会 的な許容性が十分にある状況とは言い難いことも明らかとなった。 小売全面自由化については専門委員会報告書でも、「電気料金が不当に高額になるといった 事態が生じることはあってはならない。」との言及がある。これらの経緯・経験を踏まえた上 で、小売電気事業者には、今後も、需要家に安定的な水準の価格による電力供給を実現すると ともに、電源の脱炭素化等の需要家のニーズや社会的な環境変化を踏まえ、電気事業者と需要 家の架け橋となるサービス提供者となることを期待し、小売電気事業者がそれぞれの強みを生 かしながら創意工夫を発揮できる競争環境の実現に向けた市場環境の整備を行う。 具体的には、小売電気事業者が供給力の調達手段や電源調達のポートフォリオをより多様化 することができるよう、事業者間の公平性にも留意しつつ、現物の長期取引を含めた相対取引 やブローカー経由の取引等の活用、先物市場・先渡市場・ベースロード市場等の市場を含む取 引制度の拡充・再整備、こうした市場環境の変化に伴う間接送電権の在り方等の見直しを検討 する。 また、小売電気事業者の有力なリスクヘッジ手段の一つである電力先物取引の多くが外国法 に基づく商品取引所で行われていること等にも留意した制度の検討を行う必要がある。加え て、2023 年の電ガ小委において、小売電気事業者間の競争促進の観点から、内外無差別な卸 売を行う場合にエリア制限等の諸条件の解除を行うことも求めることとしたところであるが、 今般の検証において、需要家の脱炭素ニーズや発電・小売電気事業者の創意工夫といった「新 たな課題・ニーズへの対応」と「小売市場における競争の促進」という2つの政策課題を両立 すべく、社内外取引の無差別に反しない限りにおいて、卸取引の一定量(標準的なメニューに よる卸売の場合は卸売総量の5割まで、かつ、電源を特定した卸売の場合は当該電源の卸売量 の2割まで)について、エリア制限等の諸条件を付与することを認めることとした。今後、2 つの政策課題の両立を前提とし、内外無差別な卸売等のコミットメントに基づく評価を所掌す る電力・ガス取引監視等委員会において、事後監視の在り方や評価方針について検討する必要 がある。 22 ② 小売電気事業者に対する規律の在り方 上記のとおり、市場環境が厳しい局面では、小売電気事業者の退出等が相次ぎ、需要家が 意図しない契約解除や特別高圧・高圧分野の最終保障供給への移行等が生じ、需要家に一定 の負担や混乱が生じたことや、国際燃料価格の急騰等に伴う電気料金の急激な変動が国民経 済に影響を与えたことを踏まえれば、小売電気事業者に対する規律の確保も必要となる。 需要家保護の観点では、専門委員会報告書においては、「小売電気事業者の破綻・撤退や、 契約交渉の不調といった場合でも、誰からも電気の供給を受けられない事態が生じないよう にすることが必要」とされたが、足下では上記のような需要家の負担や混乱が生じている。 また、足下では、小売電気事業者として登録がなされているものの、供給実績が確認できな い事業者が 200 社以上存在し、その一部が犯罪に利用されたことが疑われる事例も生じてい る。こうした状況を踏まえれば、新規参入を過度に阻害しないよう配慮をしつつも、例え ば、小売電気事業者に遵守を求めるべき事項を明確化し、事業開始時のみならず、定期的に その遵守状況等の報告を求めるなど、需要家保護を適切に図る観点から、小売電気事業者に 対して、安定的な事業実施を求めるための規律を強化することも検討する必要がある。 また、電気料金について、専門委員会報告書においては低圧部門の料金規制の撤廃に当た り以下のような効果が期待されていた。 ①夏のピーク時など需給が厳しい時には価格が高くなるなど、需給状況に対応した様々な料金 メニューをより柔軟に設定し、サービスの多様化が図られること。 ②価格が弾力的に動くことで需要を抑制する仕組みを取り入れていくことにより、供給力不足 の中でも効率的に安定供給を実現すること。 ③市場原理の中で料金が決定され、料金収入を見越して必要な投資や調達を行うという仕組み に転換すること。 全面自由化以降、小売電気事業者により様々なメニューが提供され、DR の活用拡大も進むな ど、報告書において想定された効果は一定程度発現していると評価できる。他方で、電気料金 は、多くの小売電気事業者が短期のスポット市場において電気を調達する割合を高める傾向に あることや、一定の供給力を火力発電に頼らざるを得ない電源構成の影響等も相まって、燃料 費の高騰等の外部環境の影響を受けやすい状況にある。電気料金の急激な変動が企業の経済活 動や国民生活に影響を与え、料金の大幅な変動は社会的に許容し難い状況にあることが明らか になった。 また、専門委員会報告書においては、「小売事業者は自らの顧客のために必要な供給力を調 達し、発電事業者は他社との契約や自社の小売部門の要請に基づいて燃料の確保と確実な発電 を行う」ことを原則とされた。一方で、現状では、再生可能エネルギーの導入拡大に伴う調整 力確保の必要性や、端境期や厳気象時の需要の急増に対応しきれず、需給がひっ迫し、政府と して需要家に節電を要請せざるを得ない事態も生じており、系統全体の安定的な運用を担う一 般送配電事業者のみならず小売電気事業者にも、上記の報告書の趣旨も踏まえたより一層の安 定供給確保のための対応が求められる。 この点、欧州においても、ロシアによるウクライナ侵略に伴う燃料価格の高騰等の教訓を踏 まえ、卸電力価格の変動リスクの抑制や、電力供給の遮断リスクの抑制の観点から小売電気事 業者に対する規律の必要性について具体的な検討が行われており、日本においても、現行制度 において小売電気事業者に対して課されている、いわゆる供給能力確保義務に基づく責任の在 り方について、改めて検討する必要がある。 23 具体的には、小売電気事業者が料金水準や料金メニューを自由に設定し、これを需要家が選 択することができる環境を前提とした上で、安定供給の確保や電気料金の変動幅の抑制の観点 から、海外事例も参考に、現行制度下において供給能力(kW)の確保を容量市場を通じて行っ ていることを含めた日本の実情を踏まえつつ、量的な供給能力(kWh)の確保に関し、小売電気 事業者に求める責任・役割やその遵守を促す規律、それを前提とした市場や卸取引を含む制度 措置の必要性等について検討を深め、必要な措置を講じていく。 ③ 経過措置料金の現状と今後の検討課題 経過措置料金は、専門委員会報告書において「小売参入の全面自由化後しばらくは、需要 家保護を図るべく激変緩和のための経過措置期間を経た上で、料金規制の撤廃を行うことが 適当」、「現在の一般電気事業者の小売部門に対しては、家庭など小口部門の需要家が規制料 金で供給を受けられるよう義務付けることが適当」とされたことなどを踏まえ、大手電力会 社による「規制なき独占」に陥る事態を防ぐ観点から措置されたものである。 経過措置料金の解除基準については、2019 年、監視等委等において議論がなされ、取りまと められた。この基準に基づき、監視等委において、毎年、競争状況の確認を行っているが、現 時点で経過措置料金の解除が妥当な状況にあると評価された地域はなく、解除基準を踏まえた 競争状況の確認を継続していくことが必要と考えられる。 また、現行の経過措置料金については、本委員会におけるヒアリング等において、その存在 自体が競争の妨げになっているのではないかとの指摘もあった一方で、自由化以前の規制料金 と同様に、三段階料金や燃料費調整制度等の料金体系が維持されることにより、特に燃料費の 急騰等に伴う電気料金の上昇局面において、結果的に料金の変動速度や変動幅を抑制し、値上 げ局面においてもその上昇幅を最大限に抑制する効果があったことも事実である。こうした効 果は、必ずしも経過措置料金を措置した際に意図したものではなく、事業者の負担の下に成立 したものではあるが、電気料金の公共性や国民生活への影響の大きさも踏まえれば無視できな いものであると考えられる。 このため、将来的に経過措置料金を解除する場合には、安定供給の確保や電気料金の変動幅 の抑制の観点から講じる措置等の関連する制度の検討状況を踏まえた上で、経過措置料金が実 体的に果たした役割の是非や今後の制度的な対応の必要性、低圧需要家に対するセーフティネ ットの在り方・必要性等について改めて検討し、必要に応じて適切な措置を講ずることが課題 となる。 また、現行の電気事業法においては、経過措置料金の廃止後の最終保障供給については、高 圧・特高部門と同様に一般送配電事業者が担うこととされている。しかしながら、昨今の高圧・ 特高部門の最終保障供給の状況を踏まえれば、低圧部門においては、最終保障供給を受ける需 要家が数十万~百万規模に及んだ場合等に、一般送配電事業者が平時に備えたシステム等では 実務的に対応が困難となることも想定される。このため、仮に経過措置料金の解除を行う場合 には、例えば、一般送配電事業者が小売電気事業者等に対して最終保障供給に関する業務の委 託等を可能とすることの要否等、実務的な課題についても精査が必要である。 (4)共通する課題 ① 電源・系統への投資に対するファイナンス 電力分野の脱炭素化は、日本全体の GX 実現の鍵であり、我が国の将来的な経済成長にとっ て大きな意味がある。今後、電力需要の増加に対応しつつ、安定供給確保を大前提に、電力 24 分野の脱炭素化を推進していく必要があるが、そのためには、発電や送配電等の分野におい て、長期にわたり大規模な投資を継続していく必要がある。 一方で、市場環境が大きく変化し、事業の不確実性が高まってきており、多額の有利子負 債が生じている中で、事業者が、今後も大規模かつ長期の資金を、継続して調達し続けるこ とは容易ではない。さらに、投資タイミングと回収期のギャップがある中で、今後、先行的 かつ集中的な更なる投資の拡大が求められていること、電気料金への影響を抑制しつつ投資 を行っていく必要があることも資金調達をより難しくしている。また、事業者のファイナン スを支える金融機関・機関投資家等にとっても、融資・投資残高が大規模化しており、リス ク管理の重要性がこれまで以上に高まっている点や、その中で事業者に対して追加でどの程 度の規模の融資・投資が可能かといった規模管理の点等から、事業者に対して融資・投資を 実行することへのハードルが高まってきていることが指摘されている。なお、2050 年カーボ ンニュートラル実現に向けて、世界的にも巨額の投資が必要となると見込まれており、そう した状況の中、諸外国においては電力分野におけるファイナンス面での投資支援が行われて いる。 こうした状況を踏まえると、我が国においても、様々な電気事業の制度見直しと併せ、民 間資金を最大限活用する形で、電力分野における必要な投資資金を安定的に確保していくた めのファイナンス環境の整備に取り組む必要があると考えられる。具体的には、民間金融機 関等が取り切れないリスクについて、公的な信用補完の活用とともに、政府の信用力を活用 した融資等、脱炭素投資に向けたファイナンス円滑化の方策等を検討する。 ② 電力システムにおける公的役割を担う機関の体制強化 電力システム改革を進める中で、系統整備、需給運用、電源投資等に関して、日本電力卸取 引所(以下「JEPX」という。)、電力需給調整力取引所及び電力広域機関が、関連する市場の運 営等の公的な役割を担ってきた。 本検証において整理した電力システムが直面する課題への対応を進めていく中で、これら の機関が担う役割は重要性を増していくことから、これらの関係機関の体制の強化に向け て、制度や予算措置等の必要な対応を行っていく。 25 5.事業者に期待される役割・取組の方向性~将来の電力産業の在り方~ 我が国の電力システムは、地域独占、垂直一貫体制の一般電気事業者がその中心を担う体制か ら、累次のシステム改革を経験してきた。まずは、発電部門、小売部門の部分自由化が行われ、 これに伴いネットワークの利用ルールである託送制度の整備、送配電部門の会計分離による中立 性・公平性の強化が進められてきた。 東日本大震災を契機として進めてきた第5次制度改革では、発電、送配電、小売のライセンス 制度を前提に小売部門の全面自由化、法的分離による送配電部門の中立性・公平性の更なる強化 が行われた。加えて、電力広域機関の設立、JEPX の指定法人化、電力先物取引所の開設、電力取 引の監視等を担う監視等委の設立等、電力システムを支える関係機関の設立が進められてきた。 さらに、スマートメーターの整備など電力データ活用に向けた基盤の整備が進められるとも に、DR の法的位置付け(特定卸供給)、一般送配電事業者が保有する電力データの活用ルール等 が整備されてきた。 これらの累次にわたるシステム改革の結果、FIT・FIP 制度の導入とあいまって、再生可能エネ ルギーを含む発電部門、小売部門への新規参入の増加、アグリゲーターや電力取引のブローカー など従来の電力システムの枠に収まらない多種多様な事業者が参入し、電力システムを支える主 体として活躍するに至っている。 このように、多種多様なプレイヤーが参入し、電力産業自体が大きな拡がりを見せる中、今回 の検証を通じて明らかになったように、電力システムが目指すべき方向性は変遷し、新たな課題 が生まれてきている。 電力システムが目指すべき方向性の実現は、我が国産業が持続的な発展を実現する上で不可欠 であり、電力システムが直面する課題の解決に当たって中心的な役割を担うのは、電気事業者、 さらには新規参入者を含めた電気事業に関連する電力産業である。持続可能な次世代の電力シス テムを構築するには、こうした新たなプレイヤーを含む電力産業の一層の活躍が期待される。 このような認識の下、電力産業の将来へ向けた成長と取組の方向性を描くとともに、電力産業 の一層の活躍を促進するためにどのような方策が考えられるか等について検討するため、電力シ ステムの担い手である電気事業者・電力産業に期待される役割と責任、及びその役割と責任を果 たすために必要となる取組を整理した。その際、本小委員会において整理した、電力システムが これから目指すべき方向性と、電力システムが直面する課題と対応方針等を踏まえて整理を行っ た。 参考図15:事業者・電力産業に期待される役割・責任と必要な取組のイメージ 26 (1)安定供給と脱炭素化の実現に向けた脱炭素電源や系統の設置・整備の担い手 第一に、電力産業は、安定供給と脱炭素化の実現に向けた脱炭素電源や系統の設置・整備の 担い手としての役割と責任を果たしていくことが必要である。今後、データセンターの増加等 により電力需要が伸び、カーボンニュートラル電気に対するニーズが高まっていくことが見込 まれる。そのため、電気事業者は、電力の安定供給を実現しつつ脱炭素化の流れを牽引する存 在として、脱炭素電源や系統の設置・整備を着実に実現することが重要となる。電気事業者に おける脱炭素投資の円滑な資金の確保に向けた方策や、電気事業者自身の中長期的な成長を見 据えた、例えば、内外一体の電力産業の展開等の取組が必要と考えられる。 ① 円滑で安定的なファイナンス 電力分野の脱炭素化は、日本全体の GX 実現の鍵であり、我が国の将来的な経済成長にとっ て大きな意味がある。今後、電力需要の増加に対応しつつ、安定供給確保を大前提に、電力 分野の脱炭素化を推進していく必要があるが、そのためには、再生可能エネルギー、原子力 といった発電や系統整備等の分野において、長期にわたり大規模な投資を継続していく必要 がある。電力産業が、こうした投資の担い手としての役割・責任を果たしていく上では、円 滑で安定的なファイナンスが必要である。そのために、前述のとおり、民間金融機関等が取 り切れないリスクについて、公的な信用補完の活用とともに、政府の信用力を活用した融資 等、脱炭素投資に向けたファイナンス円滑化の方策等を検討する。 ② 内外一体の電力産業の展開 脱炭素電源や系統の設置・整備の担い手としての役割を果たすためには、投資に必要な資 金調達についての円滑で安定的なファイナンスの確保とともに、電気事業者自身が企業・産 業としての成長性を示しつつ、発電事業の高度化・脱炭素電源への投資や非化石価値の活 用、国際展開、DX の推進等により収益性を上げていくことが求められる。 こうした取組の中でも、今後の電力産業の一層の活躍に資する取組の一つとして内外一体 の電力産業の展開が挙げられる。 世界を取り巻く電力システムが大きく変革する中で、内外一体の電力産業の展開により、 1)日本にもまして電力需要の増加が見込まれる海外の需要を取り込んで成長していく、 2)再生可能エネルギーや蓄電池の展開など新たな技術等を取り込む、 3)グローバルに広がるサプライチェーンを構築することで事業の安定性や収益性向上につ なげる、 といったことが期待される。 また、電力の脱炭素化等に諸外国と協力して取り組むことは、国際関係の構築としても重 要である。政府としてもアジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)等の枠組みや FS・実証等 の予算措置も活用しながら、ルール整備とプロジェクトの促進支援との両輪で、電力産業の 国際展開を促進していく必要がある。 (2)発電から需要家にわたるまで電気を安定的に供給する運営者 第二に、電力産業には、発電から需要家にわたるまで電気を安定的に供給する運営者として の役割や責任が期待される。安定的な量と価格水準で、需要家に電気を供給するためには、そ 27 うした役割や責任を、電気事業に関わる全ての事業者が果たしていくことが求められる。ま た、政府は、事業者の競争・創意工夫を活かしつつ、公益的な観点から取引市場や事業者の規 律等の制度措置を行うことが必要である。あわせて、こうした電力産業を支える人材やサプラ イチェーンの確保が必要となる。 ① 安定的な供給に責任ある事業運営 安定的な量・価格で電気を供給するという目的を実現する観点から、安定的な供給に責任 ある事業運営を行うことは不可欠である。電気を需要家に届けるまでには、燃料確保、発 電、取引所・ブローカーを介した取引を含む卸売、需給運用を含む送配電、小売という複層 的な段階で、多数の事業者が介在することとなる。これらの役割を担う各事業者が、短期の 環境変化に振り回されないような事業展開・取引を確保し、中長期的な視野を持った事業運 営をしていくことが重要である。 このため、再生可能エネルギーや蓄電池等を含む発電、送配電、小売等、電気事業に関わ るすべての事業者には、安定供給の実現に向けてそれぞれの責任を果たすことが求められ る。特に、一般送配電事業者は、今後、短期間で局地的な大規模需要の増大が見込まれる 中、円滑に電力を供給するためにも、中立的かつ最終的な安定供給の担い手として、定期的 にエリアの電力需給に関する情報を発信していくことも期待される。 ② 電力産業を支える人材・サプライチェーンの確保 専門委員会報告書にもあるとおり、電力システム改革は電気事業者のこれまでの経験や技 術の上に成り立つものであり、安定的な事業運営には、災害大国である我が国の電気事業の 現場を支え、高い信頼性と技術の蓄積、安定供給を尊重する視点をもつ電力産業を支える人 材の確保と定着、発電所や系統を構成する電力設備に係る技術やサプライチェーンの確保と 維持が重要である。一方で、ヒアリング等においては、電力自由化や東日本大震災の影響に より電気事業の魅力が低下している、人材の確保や定着が難しくなってきている、人材・技 術基盤の維持・強化など「人」への投資が重要、といった指摘があった。 こうした状況に対応し、人材の確保、定着に加えて、技術やサプライチェーンの確保、維 持のためにも、将来を見据えた電力システムの構築に向けて脱炭素電源や系統整備への投資 を促進するとともに、安定的な電気事業の運営ができるよう事業環境の整備を行い、電力産 業が担う役割・重要性を明確にし、電力産業の魅力を高めていく必要がある。 (3)需要家のニーズに応えるエネルギーサービスプロバイダー 第三に、需要家のニーズに応えるエネルギーサービスプロバイダーとしての役割や責任が求 められる。デジタル技術や分散型エネルギー源の活用等により、再生可能エネルギーの地産地 消や DR を通じて非化石価値の創出・需給運用に貢献するとともに、省エネやエネルギーマネジ メントなど多様なサービスの提供により、社会課題解決にも貢献していくことが期待される。 ① 分散型エネルギー源の活用促進とデジタル化 エネルギーサービスプロバイダーとしての役割や責任を果たしていくため、需要側の多様 なニーズに応えた分散型エネルギー源の活用促進とデジタル化が必要である。今後、調整力 の確保が一層必要となる中で、太陽光、蓄電池や需要家の機器等の分散型エネルギー源をま とめて管理するアグリゲーター等の事業者が、需給運用へ貢献することが期待される。 28 そのため、再生可能エネルギー大量導入、脱炭素化、系統全体の需給安定化やレジリエン ス強化、需要家利益の向上のための基盤として、分散型エネルギーリソースや、需要家の電 力消費量等のデータを多種類・高頻度に取得し、ガスや水道メーターのデータも取得できる 第二世代スマートメーターシステムを 2030 年代早期までに、原則全ての需要家に対して導入 する。 加えて、小売電気事業者やアグリゲーター等の事業者、自治体がスマートメーターから得 られる電力データを円滑に利用し、新たな価値の創出につなげられるよう、一般送配電事業 者等は、データ提供インフラとしての機能を高めていく。 ② サイバーセキュリティの確保 電力システムは、経済安全保障の確保のために重要な基盤であり、電力システム改革に伴 い、多種多様なプレイヤーが参入し、電力産業自体が大きな拡がりを見せる中でも、電力の 安定供給確保のためにはサイバーセキュリティの確保が必要不可欠である。近年、特に脅威 を増している、サプライチェーン攻撃への対応の強化に向けて、ガイドラインの改定やその 実行に向けた事業者の活動を後押ししていく。 また、電力システムへ関わるプレイヤー・機器が多くなるとともに、デジタル技術の活用 が増えるほど、サイバー攻撃のポイントも増加することになる。このため、特に、分散型エ ネルギー源の活用促進とデジタル化に当たっては、サイバーセキュリティの確保に万全を期 していく必要がある。 こうした観点から、分散型エネルギー源を管理する主体としてのアグリゲーターに求めら れるサイバーセキュリティガイドラインの改定を進めるとともに、その遵守に向けた対応を 促進する。また、分散型電源を構成する小型太陽光発電に求められるセキュリティ対策の整 理を進めていく。 さらに、電気事業者のサイバーセキュリティ確保の取組を促進していくため、電力広域機 関が電気事業者に求める自己診断の取組と連携し、リスク点検ツールの活用を促していく。 29 6.将来の電力システムを支える取引市場の全体像 「これまで料金規制と地域独占によって実現しようとしてきた「安定的な電力供給」を国民に 開かれた電力システムの下で、事業者や需要家の「選択」や「競争」を通じた創意工夫によって 実現する方策が電力システム改革である。」 これは、10 年前の専門委員会報告書に通底する考え方である。この専門委員会報告書を基に 2013 年4月2日に「改革方針」が閣議決定されてから 10 年以上が経過した。安定的な電力供給 が国民生活や経済活動を支える基盤であることに変わりはなく、継続する物価高や国際的な産業 誘致競争の激化等の中で、その重要性は一層増している。 今回、検証の中で、これからの電力システムが目指すべき方向性を整理し、そのために必要と なる電力システムの構築に向けた課題や対応方針をまとめ、事業者に求められる役割・機能を整 理した。今後、制度の実装に当たっては今回とりまとめた内容をより詳細に具体化していくこと となるが、その際に留意しなければならないことは、電力システムのような複雑なシステムにお いては、部分最適が全体最適を毀損するような場合も起こり得ることである。従来、短期から中 長期にわたる安定供給の実現、それに必要な電源投資の確保等については、一般電気事業制度の もとで地域独占、供給義務、料金規制によって担保してきたが、自由化された電力システムの中 では、広義の取引市場を通じてこれを実現していく必要がある。このような観点から、電力シス テムに関する取引市場について、それぞれの関係性を整理しておくことは、電力システム全体と して効率的に量・価格の両面で安定的な電力供給を実現する上で重要である。以下では、これか ら構築を目指していく電力システムを支える取引市場の全体像を整理した。 (1)電力システムに関する取引市場の全体像と卸電力市場が直面する課題 現在、電力システムに関する取引市場としては、卸電力市場としてのスポット市場、時間前市 場、先渡市場、ベースロード市場に加えて、発電容量を確保するための容量市場、調整力を確保 するための需給調整市場等が設置されている。 参考図16:電力取引市場の全体像 30 専門委員会報告書においては、市場機能の活用が一つの柱として掲げられており、スポット市 場を始めとする卸電力市場の活性化によりもたらされる効果として、広域メリットオーダー、経 済合理的な電源保有の実現、発電部門の競争促進、新電力の電源調達の円滑化、需給調整機能の 向上が挙げられていた。特に、卸電力市場の厚みが増すことにより、新電力にとっての供給元の 多様化に加え、取引所価格の安定化、客観性の高い電力価格指標の形成に資することが期待され ていた。 現在、スポット市場での電力の取引量が、全需要の3割程度に達するなど、電力システム改革 が始まって以降、卸電力取引所の市場の厚みは増しているが、当初期待されていた効果がすべて 発現しているわけではない。また、先渡市場の活性化が進んでいない中、ヒアリングにおいて は、特に中長期を念頭に、電力の価格指標に課題があるといった指摘もあった。 スポット市場の価格は、入札価格(売りと買い)の交わる価格で決めるシングルプライスオー クションで決定されることになる。後述のとおり、基本的には系統全体で追加の1kWh を出力さ せる限界費用での入札がなされることで、実際に稼働している電源の平均費用とは乖離した価格 設定になっている。このため、再生可能エネルギーが安定して稼働している時間帯は価格水準が 低くなる一方、燃料輸入価格が高くなった場合や再生可能エネルギーが天候の理由等で発電でき なかった場合には高い水準になるなど、日単位でも年単位でも価格の変動幅が比較的大きい。 小売全面自由化後のスポット市場の価格水準については、2016 年度から 2019 年度にかけて平 均約定価格が 10 円/kWh を下回る比較的低い水準で推移してきている。また、再生可能エネルギ ーを最大限に活用するという方針のもと、FIT 認定を受けた可変費ゼロの再生可能エネルギー電 源からスポット市場への供出量が大きく増加している結果、2019 年度以降、スポット市場の約定 価格が 0.01 円/kWh まで低下するケースも散見される。一方、ロシアによるウクライナ侵略等の 影響により燃料価格が高騰した 2022 年度には、スポット市場の年間平均約定価格がそれまでの倍 以上の水準である 20.41 円/kWh まで高騰した。 小売電気事業者に実施したアンケートによれば、小売電気事業者が希望するスポット市場・時 間前市場からの調達量は全調達量のうち 6.5%である一方、実績では 11.1%をスポット市場・時 間前市場から調達している4。ここからは、小売電気事業者が希望どおりに中長期の電力調達を行 えないために、結果としてスポット市場・時間前市場からの電力調達が大きくなっているとも考 えられる。上記のとおり、小売全面自由化後はスポット市場の価格が比較的低い水準で推移して きたことから、スポット市場・時間前市場からの調達実績が希望よりも大きいことが直ちに問題 となることはなかったが、スポット市場価格が高騰する局面では、調達価格の高騰により、小売 電気事業の休廃止件数の増加、需要家に提供される小売電気料金の高騰、一般送配電事業者の最 終保障供給で電力供給を受ける需要家の急増、といった事態が生じている。 競争環境下にある発電事業者にとっては、実需給の断面においては、その持っている余力分に ついて、スポット市場において限界費用で余剰電力を全量市場供出することが、基本的には、利 益及び約定機会を最大化する経済合理的な行動であり、特に、旧一般電気事業者に対しては市場 支配力の行使を抑止する観点から、限界費用での入札を求めている。このような電力の供出を行 った場合、入札価格に電源の固定費が含まれておらず、スポット市場価格が低い水準で推移する 場合には、固定費の回収漏れが生じ得るが、スポット市場価格が高騰した場合には、固定費の回 資源エネルギー庁「競争と安定を両立する市場・取引環境の整備のためのアンケート調査結果」(2023 年 5 月 30 日)図 58 参照 4 31 収ができると考えられる。こうした市場の下では、価格の変動幅が大きく、卸収入の予見可能性 が低いことから、新規電源投資の意思決定が困難になっているといった指摘がある。また、小売 電気事業者との間で長期相対契約が締結されない場合には、燃料を長期的に確保するインセンテ ィブが低下し、安定的な燃料調達に悪影響を及ぼす懸念も生じている。 このように様々な影響が生じていることを踏まえれば、スポット市場に加えて、中長期の相対 契約や市場取引の活性化を通じて、客観性の高い電力価格指標の形成につなげていく必要があ る。 一方、中長期の相対契約や市場取引の活性化を図る上でも、電力システムの中で現在のスポッ ト市場が果たしている役割が重要であることに変わりはない。例えば、脱炭素化を推進する観点 からは、変動費が安い再生可能エネルギーを最大限活用することが重要であるが、再生可能エネ ルギーの発電量は変動するため、需要にあわせて供給力を調整する必要が生じるので、実需給に 近い断面で電力を取引できるスポット市場や時間前市場の機能は重要である。このため、現在の スポット市場のような機能を維持・活用していくことを前提とする。 (2)検証を踏まえ、今後整理していく電力システムに関する取引市場の全体像 一連の電力システム改革を通じて、卸電力市場のほかに、電源容量の確保のための容量市場、 調整力確保のための需給調整市場等がその必要性に応じて整備をされてきているが、有識者・実 務者へのヒアリングの中では、それぞれの市場の機能や役割について整理すべきとの指摘もあっ た。 このため、今回の検証を通じて整理した課題と対応方針に沿って今後整理を進めていく取引市 場・制度が、どのような機能・役割を果たすことになり、それぞれの関係性はどうなるか、整理 を行った。具体的には、電力システムの中でそれぞれの取引市場等が果たすべき役割は以下の3 種類に分類される。 ① 供給力を確保するための取引市場・制度 ② 量・価格両面で安定的な調達を可能とする中長期取引市場 ③ 効率的な広域メリットオーダー実現のための短期取引市場 参考図17:今後整理していく電力システムに関する取引市場等の全体像 32 ① 供給力を確保するための取引市場・制度 全面自由化された環境の中で、電源の維持・確保に向けた安定的な電源投資を確保してい くための取引市場等であり、既存の取引市場では、容量市場及び長期脱炭素電源オークショ ン、予備電源制度がこれに該当する。 容量市場メインオークションにおいては、その年の保守や発電所の整備等に必要となる人 件費等の固定費の一部は回収できているが、新設まで含めた電源投資を確保するには至って いない。また、メインオークションは、1年毎に価格が変動する。この問題意識を受けて開 始した長期脱炭素電源オークションにおいては、多額の投資を必要とする電源への安定的な 固定費収入を保証することを念頭に、制度の運用が開始されつつある。 さらに、今回の検証を踏まえた今後の対応として、「電力の脱炭素化と安定供給を実現する ため、事業期間中の市場環境の変化等に伴う収入・費用の変動に対応できるような制度措 置」を行うこととしている。加えて、電源開発に係る資金調達は、金利の高低が原価に影響 を与えうるといった観点からも重要な要素であり、民間金融機関等が取り切れないリスクに ついて、公的な信用補完の活用とともに、政府の信用力を活用した融資等、脱炭素投資に向 けたファイナンス円滑化の方策等を検討する。 今後、DX 等により電力需要が増加していく可能性が指摘されている中で、同時にカーボン ニュートラル実現のために電力システムの脱炭素化も進めていく必要がある。こうした状況 下において、電力の安定供給と脱炭素化を両立するため、供給力を確保するための取引市 場・制度の整備を通じて、民間企業による電源投資を促進し、必要となる供給力を確保して いく。 なお、大規模災害等による電源の脱落や、需要の急増等の緊急時に備え、一定期間内に稼 働が可能な休止電源を維持することを目的として、2024 年度初回募集が実施された予備電源 制度については、不断の検討を行っていく。 ② 量・価格両面で安定的な調達を可能とする中長期取引市場 小売電気事業者にとっては中長期的に量・価格両面で安定的な調達を行うことができる取 引市場であり、発電事業者にとっては客観性の高い電力価格指標の形成を通じて収益の予見 可能性向上に資する取引市場である。 電力システム改革が進められる中で、卸電力取引所のうち、スポット市場での取引は大き く拡大している一方で、上述のとおり、スポット市場価格は変動幅が大きく、客観性の高い 電力価格指標として用いることは難しい。また、ベースロード市場・先渡市場での取引や相 対取引を含め、中長期の電力取引を活性化させていく必要がある。旧一般電気事業者におい て内外無差別卸売も進められているが、各社の卸売条件を見比べることが困難であるなど、 小売電気事業者にとって調達しにくいとの指摘もある。 こうした現状を踏まえ、今般の検証を踏まえた対応として、「小売電気事業者が供給力の調 達手段や電源調達のポートフォリオをより多様化することができるよう、事業者間の公平性 にも留意しつつ、現物の長期取引を含めた相対取引やブローカー経由の取引等の活用、先物 市場・先渡市場・ベースロード市場等の市場を含む取引制度の拡充・再整備に取り組む」と ともに、こうした市場の整備を前提に「量的な供給能力(kWh)の確保に関し、小売電気事業 者に求める責任・役割やその遵守を促す規律」について検討を深めていくこととしている。 これらの措置を合わせて実施していくことで、小売電気事業者が安定的な量と価格で調達 するための電力取引を促す取引市場を構築し、客観性の高い電力価格指標の形成につながる 33 ことが期待される。また、発電事業の観点からは、この市場を通じて中長期の電力取引が増 加し、販売量の予見性が向上すること等により、燃料確保や設備投資等の予見性の向上にも 資することが期待される。 ③ 効率的な広域メリットオーダー実現のための短期取引市場 実需給段階での効率的な広域メリットオーダーを実現するための市場であり、既存の市場 では、供給力の取引を行うスポット市場・時間前市場、調整力の取引を行う需給調整市場が これに該当する。 発電事業者と小売電気事業者は、それぞれ BG(バランシンググループ)を構成し、中長期 取引市場や相対契約によって確保した電源とこれらの短期市場での調達を組み合わせて、計 画値同時同量に対応することとなる。また、発電事業者や小売電気事業者は、計画値同時同 量の達成に不足する部分を短期取引市場から調達することに加え、系統全体の電力需給に余 裕があり、自らが確保している電源よりも安価な電力が売られていた場合、自らの電力を差 し替えることにより広域メリットオーダーが実現される。一般送配電事業者は、引き続き、 周波数維持義務を果たすための調整力を確保する手段として需給調整市場を活用する。 一方で、今後、変動性再生可能エネルギーが更に増加していくことを考えると、短期取引 市場において調達しなければならない供給力や調整力の絶対量が大きくなることが想定され る。また、系統制約等を理由とした出力制御が徐々に生じていることを踏まえれば、より広 域で全体最適を目指していく必要が生じている。 こうした問題意識から、今後の対応方針として、供給力と調整力を同時に約定させる仕組 みの市場(同時市場)を導入するための検討を進めていくこととしている。同時市場におい ては、発電事業者が登録した①起動費、②最低出力費用、③増分費用カーブの3つの情報に 基づき、系統制約を考慮して、供給力と調整力を同時に約定させることとしており、これに より、電源の最適な配分が可能になる。同時市場の導入により、これまでと同様に再生可能 エネルギーの最大限の活用を前提としつつ、発電事業者・小売電気事業者の中長期取引市場 における取引量等に関する登録情報を元にした供給力と調整力全体の最経済(短期的なメリ ットオーダー)が実現することが期待される。また、系統制約を踏まえた約定を前提とした 取引市場としていくことにより、系統混雑の状況がより明らかになり、電源投資や産業立地 の最適化につながっていくことも期待される。 (3)今後に向けて 電力システム改革からおよそ 10 年が経過する中、発電、小売の両分野において多くの事業者が 参入し、事業者による創意工夫を発現するための市場整備が進んできたといえる。一方、今後、 DX の進展等による需要の増加が見込まれる中で、安定供給を大前提として、脱炭素電源や系統へ の投資を最大限進めるとともに、そこで得られる脱炭素電源を実需給断面において最大限活用し ていくことが求められる。電力需要の増加や脱炭素電源の最大限の活用は、電力システム改革の 検討段階ではそれほど強く意識されていたわけではなく、これまでの 10 年間とこれからの時代は 全く違うフェーズにいると認識しなければならない。 戦後、電源開発が急務な中においては、9電力体制(後に 10 電力体制)を構築することで、発 送配電一貫経営(垂直一貫体制)、地域独占、総括原価方式によって巨額の投資を長期にわたって 回収しながら設備形成することを可能にし、高度経済成長を支える原動力となる安定的な電力供 34 給が実現されてきた。その後、電気事業を取り巻く環境の変化とともに累次の電力制度改革を経 て自由化が進められ、特に、この 10 年余りの期間においては、国民に開かれた電力システムの下 で、事業者や需要家の「選択」や「競争」を通じた創意工夫によって実現することを目指した取 組が進められてきたが、その中で、供給力の確保など様々な課題に直面している。この課題を克 服していくためには、自由化の下で競争を生かしつつも、重複投資を排除した上で安定供給の確 保や脱炭素化に必要な投資を確保していく仕組みが必要である。その仕組みとして、本章におい てコンセプトを整理した「供給力を確保するための取引市場・制度」、「量・価格両面で安定的な 調達を可能とする中長期取引市場」、「効率的な広域メリットオーダー実現のための短期取引市 場」の3つの取引市場等を整備し、これらを最大限効率的に活用していく。その際、電気事業者 が取引市場を活用して創意工夫を発揮できるようにするには、競争上の事前規制や事後規制の在 り方についても検討していく必要があると考えられる。また、状況が変化した場合には、柔軟に それぞれの取引市場の役割を見直していく。 こうした取組により、電力システム改革による大きなメリットである事業者や需要家の「選 択」や「競争」を通じた創意工夫を最大限に生かしつつ、安定供給の確保・脱炭素化・安定的な 価格水準での電気の提供という電力システムの目指すべき方向性に進化させていくことが、電力 システム改革の次のフェーズである。 35 7.今後の進め方 今回の電力システム改革の検証を通じて取りまとめた「電力システムが目指すべき方向性」、 「電力システムが直面する課題と対応方針」、「電力システムを実際に支える将来の電力産業の在 り方」に沿った、制度の具体化へ向けた検討を速やかに進めるため、総合資源エネルギー調査会 電力・ガス事業分科会の下に、電力システムの制度改正について集中的に議論する会議体を設置 し、2025 年中を目途に制度改正の内容をとりまとめる。 制度改正については、必要に応じて、とりまとめを待たずに反映していくことも含め、速やか に実施することとし、電気事業法等の改正が必要な場合には、法改正も含めて具体的な制度整備 を行っていく。 本検証については、電気事業法の三段改正の附則に基づいて実施したが、今後とも、電力シス テムの制度とともに、システムを取り巻く状況は変わっていくため、電力システムの制度改正に ついて集中的に議論する会議体において今後の検証の在り方についても整理する。 36

資料5

資料4 電力ネットワークの次世代化について 2025年1月27日 資源エネルギー庁 本日の議題 ⚫ 2024/11/20の本委員会では、北海道・本州間海底直流送電を含む地域間連系線等の整 備に係る資金調達等の課題や、今後の対応の方向性について御議論頂いた。 ⚫ 北海道・本州間海底直流送電については、昨年末にかけて、電力広域機関が実施案の応募に 関する意思確認を実施し、2の事業者から応募意思表明書が提出された。 ⚫ 今後、電力広域機関が応募資格の審査を行った上で、有資格事業者による実施案の提出、 電力広域機関における広域系統整備計画の策定がなされ、工事が開始される予定。 ⚫ 一方、今後本プロジェクトを着実に進めていくためには、有資格事業者における技術面の更な る精査に加えて、先行利用者との調整や、資金調達の課題への対応など、国の制度的な措置 も必要となる。この点、一部の応募意思表明書を提出した事業者からも、事業を進めていく上で は、資金調達を含めた課題等に対応することが必要といった、条件が提示されており、プロジェク トの実施に向けて対応を進めていく必要がある。 ⚫ 本日は、北海道・本州間海底直流送電に関する応募意思表明の状況や提出事業者から提 示されている条件などについて御報告するとともに、今後の対応の方向性について御議論頂く。 2 【参考】地域間連系線の整備の状況と今後の方向性 令和6年7月8日 第58回 基本政策分科会 資料1 一部加工 ⚫ 2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、脱炭素化の要請がより一層強まる中、地域間連系線の整備は、 再エネの大量導入と電力のレジリエンス強化につながるもの。 ⚫ このため、再エネ適地と需要地を結び、国民負担を抑制しつつ再エネの導入を図るとともに、首都直下地震 等により首都圏等に集中立地するエネルギーインフラが機能不全に陥った場合のバックアップ機能の強化を 図るため、全国大での送電ネットワークの増強を進めることが必要。 過去10年間で整備してきたもの 再エネ ポテンシャル 120万kW 60万kW → 90万kW (2019年3月運転開始) 現在整備中のもの 計画策定プロセス中のもの (基本要件策定済) 300万kW→600万kW (2030年6月運転開始予定) 北陸関西間 関西中国間 九州中国間 九州 北海道本州間 中国四国間 東北 北陸 中部北陸間 中国 中部 沖縄 ※2024年3月1日 時点の2026年度 予想値 東京 中部関西間 関西四国間 60Hz 531万kW※ → 1028万kW (2027年度中予定) 東北東京間 関西 四国 50Hz 90万kW → 120万kW (2027年度中予定) 東地域増強 関門増強 再エネ ポテンシャル 北海道 120万kW → 210万kW (2021年3月運転開始) 東京中部間 周波数変換設備 210万kW → 300万kW (2027年度中予定) 3 【参考】地域間連系線の整備の状況・課題について 第80回 電力・ガス事業分科会 電力・ガス基本政策小 委員会(2024年9月9日) 資料4 一部加工 ⚫ 現在、電力広域機関では、マスタープランを踏まえ、東地域(北海道本州間海底直流送電)や西 地域(関門連系線)の系統整備に向けた計画策定プロセスを進めている。 ⚫ いずれの整備も、事業実施主体の組成やケーブルの敷設方法、先行利用者との調整等の課題が あるが、特にファイナンス面の課題が顕在化している。 ➢ 北海道本州間海底直流送電については、送電事業のライセンスを取得したSPC(特別目的会 社)を組成し、プロジェクト自体の収益性に着目したプロジェクトファイナンスにより資金を調達する ことを軸に検討されている。プロジェクトのリスクに応じた適正なリターンや、資金の量的な確保の 課題について、引き続き検討を深めていく。 ➢ 関門連系線については、一般送配電事業者等が事業実施主体となることが想定されているが、本 プロジェクトは、総額3,700~4,100億円程度の巨額な事業。事業実施主体の資金調達・費用 回収の在り方が課題となっている。 北海道本州間海底直流送電 関門連系線 概算工事費※ 1.5~1.8兆円 3,700~4,100億円 概算工期※ 6~10年程度 6~9年程度 事業実施主体 SPC等が想定 一般送配電事業者等 (実施案及び事業実施主体の公募に係る公募要綱骨子案に対し て、SPCの組成等を想定した意見が寄せられている) (中国電力ネットワーク株式会社、九州電力送配電株式会社、 電源開発送変電ネットワーク株式会社が有資格事業者となっている) ※基本要件策定(2024年4月3日)時点 4 北海道・本州間海底直流送電の状況について① ⚫ 北海道・本州間海底直流送電について、電力広域機関が実施案の応募に関する意思の確認を実施したと ころ、2の事業者から応募意思表明書が提出された。 ⚫ このうち、送配電事業者4社※の連名による意思表明については、資金の調達・回収や、基本要件からの工 事費・工期が変更した場合の扱いの整理等、事業の実現可能性の見通し確保のための課題を解決するこ とが条件として設定され、対応策の検討等を踏まえてもなお、条件が充足しないと判断する場合には、実施 案提出時期の延期や実施案の提出を辞退する等の対応を行う旨が示されている。 ※北海道電力ネットワーク、東北電力ネットワーク、東京電力パワーグリッド、電源開発送変電ネットワーク ⚫ これらの課題は、公募を実施した電力広域機関だけでは対応できないものがあることから、同機関から国に 対して報告があったもの。このため、本審議会においても御報告する。 ⚫ なお、今後、応募意思表明を行った事業者のうち、電力広域機関にて応募資格を満たしていることが認めら れた事業者は、検討体を設置し、実施案の作成に向けた検討を進めることになる。 https://www.occto.or.jp/iinkai/kouikikeitouseibi/2024/files/seibi_85_01_01.pdf 5 【参考】第86回広域系統整備委員会 資料4(2025年1月15日) https://www.occto.or.jp/iinkai/kouikikeitouseibi/2024/files/seibi_86_04_01.pdf 6 北海道・本州間海底直流送電の状況について② ⚫ 送配電事業者4社の連名による意思表明について、整備に当たっては、技術面の検討を進めるとともに、事 業性の確立に向けて、金融機関等から必要な融資が得られることが必要などの条件が付されている。 ⚫ 特に資金調達等の課題への対応については、第7次エネルギー基本計画(案)でも提示しているとおり、託 送料金制度における費用回収の在り方や資金を量的に確保するための仕組みなど、制度面を含めて検討 を進めることとしている。また、費用増額に時の対応については、想定追加費用に関するコストの考え方を事前 に整理しガイドライン等に取りまとめるなどの方向性も示しているところ(2024/11/20の電ガ小委)。 ⚫ 引き続き、本プロジェクトを着実に進めるためにも、制度面を含む検討を行っていく。 ◆第86回広域系統整備委員会 資料4-2(2025年1月15日) https://www.occto.or.jp/iinkai/kouikikeitouseibi/2024/files/seibi_86_04_05.pdf 7 【参考】第7次エネルギー基本計画(案) ② 電力ネットワーク(系統)の増強(抜粋) (ア) 地域間連系線や地内基幹系統等の整備 地域間連系線については、再生可能エネルギーの導入等に計画的に対応するため、広域連系系統のマスタープランを踏 まえて整備を進め、費用を再生可能エネルギー賦課金や全国の託送料金等を通じて負担する仕組みを導入している。こう した制度の下、北海道・本州間の海底直流送電や中国九州間連系設備(関門連系線)の整備など、今後10年間程度で、 過去10年間(約120万kW)と比べて8倍以上の規模(1000万kW以上)で整備を目指しており、資金調達等の 課題に対応するための必要な制度的措置等を検討していく。 また、今後、再生可能エネルギーの更なる導入や大規模電力需要の局地的な立地が見込まれる中、地域間連系線の整備 の在り方の見直しが必要になる可能性がある。このため、広域連系系統のマスタープランについて、将来の再生可能エネ ルギーの導入状況や大規模需要の立地状況等を踏まえた見直しの検討を進めていく。 加えて、再生可能エネルギーを最大限活用するとともに、自然災害時等のレジリエンスを強化し、電力の安定供給を確 保するためには、地内基幹系統等を効率的に整備することも重要である。これまで地内基幹系統は、エリアの一般送配電 事業者が整備してきたが、更なる計画的整備のため、地域間連系線と一体的に整備するものや広域的取引に資するものは、 電力広域的運営推進機関の関与の下で、一般送配電事業者が整備を進めることとした。こうした中、再生可能エネルギー の導入等に資する地内基幹系統等についても、これまで以上に効率的な整備が必要となる。このため、各エリアの一般送 配電事業者等が、より効率的・計画的に整備を進めるための仕組みを検討するとともに、再生可能エネルギー電源の立地 地域の負担とその全国への裨益を踏まえ、エリアを越えた費用負担の仕組みも検討していく。 (ウ) 送配電網の整備に係る資金調達等の課題への対応 一般送電事業者等は、これまでも、地域間連系線の整備を含め巨額の投資を行ってきたが、今後、脱炭素化や電力の安 定供給確保に向けた投資や既存設備の更新等、加速度的に巨額の投資が必要となる見込みである。こうした中、一般送配 電事業者は、レベニューキャップ制度の下、必要な系統整備等の費用の回収の蓋然性が高いとしても、一定規模以上の大 規模投資の場合、工期が長く、費用回収に長期間を要することから、キャッシュフローの悪化を懸念し、その結果、必要 な投資が停滞する可能性がある。また、SPC(特別目的会社)等を組成して行うプロジェクトファイナンスの場合にお いて、金融機関は、費用増額時等の費用回収のリスクを踏まえ、大規模な融資を躊躇する傾向にあり、投資が遅れる可能 性がある。今後、電力需要の増加の可能性や再生可能エネルギーの導入拡大、自然災害発生リスクの高まり等に伴い、北 海道・本州間の海底直流送電や大規模地内基幹系統等への機動的な投資が重要となる中、資金調達が制約となり必要な投 資に遅れが生じてはならない。このため、託送料金制度における費用の回収の在り方や資金を量的に確保するための仕組 みなど、制度的な対応を含めた資金調達環境の整備について検討を進める。 8 【参考】地域間連系線の整備に係る資金調達・費用回収 第83回 電力・ガス事業分科会 電力・ガス基本政策小 委員会(2024年11月20日) 資料7 ⚫ 地域間連系線の整備について、現行制度では、着工段階では電力広域機関による値差収益を原資とした貸 付と再エネ賦課金の前倒し交付(特定系統設置交付金)が措置されている。 ※認定整備等計画に基づく地域間連系線(こう長が100km以上又は送電容量が100万kW以上の連系線)の整備の場合 ⚫ 託送料金(全国9エリア負担)及び再エネ賦課金(系統設置交付金)については、設備の運転開始後、 減価償却期間に渡って回収される仕組みとなっている。 再エネ賦課金 (系統設置交付金) 前倒し交付(特定系統設置交付金) 電力広域機関 による貸付 建設着工 運転開始 託送料金等 減価償却期間 9 【参考】北海道・本州間海底直流送電関連の予算について ⚫ 令和6年度補正予算において、海底直流送電の整備計画の策定に向けた調査費用の補助を措置。今後、 実施主体候補が実施案の作成等を円滑に行えるよう支援していく。 https://www.meti.go.jp/main/yosan/yosan_fy2024/hosei/pdf/r6_pr.pdf 10 【参考】北海道電力ネットワーク株式会社、東北電力ネットワーク株式会社、 東京電力パワーグリッド株式会社、電源開発送変電ネットワーク株式会社による説明資料 (第86回広域系統整備委員会 資料4-2(2025年1月15日)) 11 12 13 14 15

資料6

電力・ガス基本政策小委員会プレゼン 海外における送電プロジェクトの事例 有限責任監査法人トーマツ 2025年1月27日 < Confidential > 目次 1.海外における主な送電プロジェクトの事例 3 2.英国における事例 5 3.ドイツにおける事例 9 4.オーストラリアにおける事例 14 5.まとめ 19 Appendix 21 1. 海外における主な送電プロジェクトの事例 3 電力・ガス基本政策小委員会プレゼン © 2025. For information, contact Deloitte Tohmatsu Group. 海外の主要な送電プロジェクトの中から金額規模や運転開始年度などを勘案し、相対的 に規模の大きな3事例を紹介する 海外における主な送電プロジェクトの事例 2024年平均TTBである1豪$=97.9円、1£=189.7円、1€=162.4円で換算 Cable Current 運開(予定)年 Route Total Length(km) Depth Submarine Max(m) 2,000 HVDC 2029 196 不明 ドイツー ノルウェー 1,400 HVDC 2021 623 410 Marinus Link オーストラリア 1,500 HVDC 2030/2033 255 90 North Sea Link (NSL) MontenegroItaly(MONITA) First Module 英国ー ノルウェー 1,100 HVDC 2021 720 700 イタリアー モンテネグロ 600 HVDC 2019 445 1,215 Nemo Link 英国ー ベルギー 1,000 HVDC 2019 140 55 Caithness Moray 英国 1,200 HVDC 2019 160 67 Western HVDC Link 英国 2,200 HVDC 2017 420 165 北海道~東北~ 東京ルート新設 日本 2,000 HVDC 未定 900 300 1.5~1.8兆円 (工事費) 九州~中国 ルート増強 日本 1,000 HVDC 未定 40~55 70 3,700~4,100億 (工事費) プロジェクト エリア 容量(MW) Eastern Green Link1 英国 Nord Link プロジェクトコスト 20億£ (3,794億円) 18億€ (2,924億円) 65.7億豪$ (6,442億円) P.5 P.9 P.14 16億€ (2,598億円) 11億€ (1,786億円) 5.6億€ (909億円) 9.7億£ (1,840億円) 12億£ (2,276億円) 参考 出所:Appendix参照 4 電力・ガス基本政策小委員会プレゼン © 2025. For information, contact Deloitte Tohmatsu Group. 2. 英国における事例 5 電力・ガス基本政策小委員会プレゼン © 2025. For information, contact Deloitte Tohmatsu Group. 英国における送電投資の事例 Eastern Green Link1の概要 プロジェクト名 Eastern Green Link1 運転開始時期 国・地域 イングランド北東部⇔スコットランド東海岸 容量 事業主体 National Grid Electricity Transmission、 Scottish Power Transmission 金額規模 2025年建設開始、2029年運転開始 2,000MW 約20億£(3,794億円*1) *1:2024年平均TTBである1£=189.7円で換算 出所:https://www.easterngreenlink1.co.uk/ Eastern Green Link 1 – Project Assessment 6 電力・ガス基本政策小委員会プレゼン © 2025. For information, contact Deloitte Tohmatsu Group. 英国における送電投資の事例 Eastern Green Link1のプロジェクト背景 スコットランドでは2045年までに、英国では2050年までに ネットゼロを達成する目標を掲げ、2030年までに50GWも の洋上風力発電を導入する計画 ◼ Eastern Green Link1は、英国政府の2030年目標を達 成するため、潜在的に豊富なポテンシャルを持つスコッ トランドにおける再生可能エネルギー(特に洋上風 力)を英国の他の地域に送電することを目的として 検討された ◼ 英国でも近年最大級の送電プロジェクトであり、 Eastern Green Link1のほかに、3つのプロジェクト (Eastern Green Link2~4)が進行中である 出所:https://www.easterngreenlink1.co.uk/ Eastern Green Link 1 – Project Assessment 7 電力・ガス基本政策小委員会プレゼン © 2025. For information, contact Deloitte Tohmatsu Group. イギリスにおける送電投資の事例 Eastern Green Link1のスキーム 投資回収スキーム RIIOによるレベニューキャップ制度のもと、託送料金で投資回収が行われる ファイナンススキーム ◼ 2030年までに50GWの洋上風力を導入するという政府目標達成のため、より迅速にプロジェクトを進めることを目的に、 ファイナンス支援としてAccelerated Strategic Transmission Investment(ASTI)が導入されている ◼ ASTIの対象となるプロジェクトは、1億£以上の設備投資が必要となるプロジェクトおよび、2030年までに稼働するプロ ジェクトである ◼ 資金提供は、レベニューキャップ算定において考慮され、託送料金として支払いがなされる 【ASTIの概要】 【体制図】 National Grid Iberdrola NGET SPT Eastern Green Link 建設前 プロジェクト計画申請により、建設前資金として総コストの2.5%の 資金提供を行い、調査やプロジェクト設計等の作業費用として使用 可能 工事着工 早期の建設を支援するため、早期建設資金として総コストの最大 20%の資金提供を行い、土地購入等の費用として使用可能 完工 プロジェクトを適時に進めるため、早期建設に対する報酬、建設遅 延に対するペナルティが設定されている 報酬、ペナルティは規制料金の中で精算されるが、現在の規制期間 で精算するのではなく、次期の規制期間にて反映される 出所:Accelerated Strategic Transmission Investment Guidance And Submission Requirements Document https://www.ofgem.gov.uk/decision/decision-accelerating-onshore-electricity-transmission-investment https://www.ofgem.gov.uk/consultation/consultation-accelerating-onshore-electricity-transmission-investment 8 電力・ガス基本政策小委員会プレゼン © 2025. For information, contact Deloitte Tohmatsu Group. 3. ドイツにおける事例 9 電力・ガス基本政策小委員会プレゼン © 2025. For information, contact Deloitte Tohmatsu Group. ドイツにおける送電投資の事例 Nord Linkの概要 プロジェクト名 Nord Link 国・地域 ドイツ⇔ノルウェー 事業主体 Statnett SF、DC Nordseekabel GmbH &Co.KG(TenneT、KfW) 運転開始時期 容量 金額規模 2021年運転開始 1,400GW 約18億€(2,924億円*1) *1:2024年平均TTBである1€=162.4円で換算 出所:Report on the NordLink project which connects the German and Norwegian energy markets. | KfW Stories 10 電力・ガス基本政策小委員会プレゼン © 2025. For information, contact Deloitte Tohmatsu Group. ドイツにおける送電投資の事例 Nord Linkのプロジェクト背景 ◼ ドイツ・ノルウェーともにEUの気候政策に合意しているなかで、ドイツでは太陽光発電や風力発電 といった自然変動電源が増加し、時間帯によっては余剰が生じていた ◼ 一方で、ノルウェーでは、雨が降らず、水力発電の発電量が不足し、石炭や原子力から電力を輸 入する必要が生じていた ◼ 互いに最適に補完する2つの再生可能エネルギーを結びつけ、ドイツとノルウェーの電力供給の信 頼性を向上させ、ひいては北西ヨーロッパのエネルギー転換に貢献する ドイツの太陽光発電と風力発電の余剰電力をノルウェー に送電し、ノルウェーの揚水発電で蓄電を行うとともに、需 要増加時にドイツに供給することで安定供給に資すること を目的とするプロジェクトが実施された 出所:Nordlink - new power cable links Germany and Norway NordLink 11 電力・ガス基本政策小委員会プレゼン © 2025. For information, contact Deloitte Tohmatsu Group. ドイツにおける送電投資の事例 Nord Linkのスキーム ◼ ドイツ・ノルウェーで50:50の費用負担であり、託送料金を通じて回収される 投資回収スキーム ◼ ドイツではレベニューキャップ制度による託送料金が導入されており、Nord Linkプロジェクトコストは、ARegV § 11、23によ り制御不能費用として扱われ、規制料金による投資回収が図られている ◼ ノルウェーでも、レベニューキャップ制度による託送料金設定が行われており、規制料金で投資回収が図られている 【ドイツのレベニューキャップの算定】 レベニューキャップ =制御不能コスト + (効率コスト + 非効率コスト + 効率ボーナス)×消費者物価指数等 + 資本コストプレミアム電力品質指標 + 電力量の調達コスト + 調整 国際連系線等の 投資額を算入 【ノルウェーのレベニューキャップの算定※1】 レベニューキャップ =(運営費+減価償却費+利益※2)×30%+(運営費+減価償却費+利益)×効率係数×70% 必要となるコスト ※1 2025年のレベニューキャップ(Nord Link)をもとにデロイト作成 ※2 利益=(簿価+運転資本の1%)×7.25%(2025年の指標) 他の会社との比較で効率係数を加味したコスト 国際連系線等の 投資額を算入 出所:NORDLINK HVDC PROJECT EFSI and its legacy ARegV - Verordnung über die Anreizregulierung der Energieversorgungsnetze 12 電力・ガス基本政策小委員会プレゼン BK4-11-224 Økonomisk regulering av nettselskap - NVE © 2025. For information, contact Deloitte Tohmatsu Group. ドイツにおける送電投資の事例 Nord Linkのスキーム ファイナンススキーム EIB 融資 7.8億€ 3.5億€ ◼ ノルウェーのStatnett(ノルウェーのTSO)とドイツのDC Nordseekabelが50%ずつ出資。 ドイツのDC Nordseekabelは、 TenneT(ドイツTSO)とKfW(ドイツ復興金融公庫)が50:50で出資している ◼ プロジェクトコスト18億€のうち、8.8億€をEuropean Investment Bank(EIB)を通じて調達しており、うち1億€は European Fund for Strategic Investments(EFSI)*を活用 *現在は、Invest EUとして、長期融資プログラムを提供 ◼ EIBは、TenneTへ3.5億€、Statnettへ4.3億€を融資(民間金融機関よりも長期の融資) ◼ EIBはEFSIを活用して、TenneTが発行する1億€のハイブリッド社債を引受け EIB 50億€ EU保証 160億€ EFSI 210億€ ハイブリッド社債 1億€ TenneT 項目 内容 制度 European Fund for Strategic Investments(EFSI) 目的 EUの投資減速に歯止めをかけ、再活性化するために打ち出し た「欧州投資計画(Investment Plan for Europe)」を実現する ためのイニシアチブとして設立 制度内容 EU予算から160億€の信用保証、EIBから合計50億€の信用保 証や資金供給など、合わせて210億€を提供することで、官民 からの投資を促進する仕組み 支援対象分野 ◼ 戦略的インフラ(交通、エネルギー、デジタル等) ◼ 教育・研修、研究開発、イノベーション ◼ 再生可能エネルギー・省エネルギー ◼ 中小企業等への支援 ファイナンス主体 EFSI(EIBのバランスシート内に存在) KfW 4.3億€ Statnett その他 官民資金 DC Nordseekabel 出所:NORDLINK HVDC PROJECT、EFSI and its legacy 「欧州戦略投資基金((EFSI)」の概要(ジェトロ, 2016年2月) 20150145.pdf European Fund for Strategic Investments – Questions and Answers(EIB, 2015年6月) European Fund for Strategic Investments – Questions and Answers 13 電力・ガス基本政策小委員会プレゼン © 2025. For information, contact Deloitte Tohmatsu Group. 4. オーストラリアにおける事例 14 電力・ガス基本政策小委員会プレゼン © 2025. For information, contact Deloitte Tohmatsu Group. オーストラリアにおける送電投資の事例 Marinus Linkの概要 プロジェクト名 Marnus Link 国・地域 オーストラリア・タスマニア州⇔ビクトリア州 事業主体 TasNetworks 運転開始時期 容量 金額規模 2026/2031年建設開始、 2030/2033年運転開始予定 1,500MW 約65.7億豪ドル(6,442億円*1) *1:2024年平均TTBである1£=97.9円で換算 出所:https://marinuslink.com.au AER-letter_RIT-T-update_16-April-2024.pdf 15 電力・ガス基本政策小委員会プレゼン © 2025. For information, contact Deloitte Tohmatsu Group. オーストラリアにおける送電投資の事例 Marinus Linkのプロジェクト背景 ◼ オーストラリア政府は、2030年に再生可能エネルギーの 割合を82%にする目標を掲げている ◼ 今後、石炭が廃止されていくことにより、長期間エネル ギーを貯蔵することが必要であるとともに、低コストでオン デマンドなクリーンエネルギーを供給可能とすることが必要 タスマニアは、風力、水力資源が豊富であることから、ビク トリア州の太陽光発電と風力発電の余剰電力をタスマニ ア州に送電し、タスマニア州の揚水発電で蓄電を行うとと もに、需要増加時にオーストラリア本土に供給することで 安定供給に資することを目的とするプロジェクトが実施さ れた 出所:https://marinuslink.com.au 16 電力・ガス基本政策小委員会プレゼン © 2025. For information, contact Deloitte Tohmatsu Group. オーストラリアにおける送電投資の事例 Marinus Linkのスキーム ◼ 費用算出精度を高めるためステージ①、②と段階的に着工 投資回収スキーム ◼ ステージ①では料金回収を行わず、ステージ②で建設コストが確定後、規制料金にて回収を行う ◼ ステージ①の費用およびリスクはRABに反映される ステージ 1 パートA 建設 2026~2030年 運転 2030年~予定 資金回収 パートB 750MW分建設 なし ◼ 事前調査実施 ◼ 建設費算出精度の向上 ステージ 2 2031~2033年 残りの750MW分建設 2033年~が有力(電力需要により決定) なし ◼ 建設費確定 規制料金による回収開始 ◼ ステージ①の費用も含めたRAB算出、規制料金確定 出所:Australian Energy Regulatorによるレポート 17 電力・ガス基本政策小委員会プレゼン © 2025. For information, contact Deloitte Tohmatsu Group. オーストラリアにおける送電投資の事例 Marinus Linkのスキーム ◼ 連邦政府とタスマニア州政府でパートナーシップ締結のうえ共同出資 ◼ プロジェクト費用の80%をRewiring the Nationにもとづき、 Clean Energy Finance Corporation(CEFC)が、市場調達よ りも有利な条件で融資 ◼ 残り20%は連邦政府、ビクトリア州政府、タスマニア州政府の3者間で均等に出資(株式取得) 連邦政府 ファイナンススキーム CEFC 80%融資 連邦政府 ビクトリア州政府 タスマニア州政府 20%出資(株式取得) Marinus Line 項目 内容 制度 Rewiring the Nation ファイナンス実施の政策目的 クリーンエネルギー利用促進を目的とした、オーストラリア政府によるプログラム 電力網近代化、送電インフラ、再エネ事業を支援し、2030年43%排出削減(2005年比)、2050年ネットゼロエミッションを目指す 背景 各州政府は再エネ開発地区(REZ)を設定し再エネ事業を集中的に整備する計画 一方で、送電線の強化が課題の一つとなっており、連邦政府は送配電網再整備計画を予算化し各州政府の政策を後押し 制度の内容 Clean Energy Finance Corporation(CEFC)が、190億豪ドルの資金を管理しプロジェクトに融資/投資を行う。加えて特別会計の 10億ドルでファイナンス支援を行う 【投資】オーストラリア政府の政策目標に照らし、対象プロジェクト(当局指定のプロジェクト、再エネ発電拡大等の消費者利益向上 プロジェクト等)の実施リスク・資金調達構造・商業的要因を審査する。審査はCEFC理事会、投資諮問委員会により実施する。 【融資】対象は個々の取引ごとに決定される。低金利・返済期間長期化により市場よりも有利な条件で行われるためプロジェクト実 施コストが低下し、エネルギーコスト削減やプロジェクトの速度・確度向上に寄与する ファイナンス主体 Department of Climate Change, Energy, the Environment and Water 出所:Rewiring the Nation – DCCEEW Home - Clean Energy Finance Corporation 18 電力・ガス基本政策小委員会プレゼン © 2025. For information, contact Deloitte Tohmatsu Group. 5. まとめ 19 電力・ガス基本政策小委員会プレゼン © 2025. For information, contact Deloitte Tohmatsu Group. まとめ 調査結果の要約 プロジェクトコスト 投資回収スキーム ファイナンススキーム Eastern Green Link1 (イギリス) 20億£ (3,794億円) 託送料金 ASTI Nord Link (ドイツーノルウェー) 18億€ ( 2,924億円) 託送料金 EIBからの融資 ESFIの活用 Marinus Link (オーストラリア) 66.5億豪$ ( 6,515億円) 託送料金 政府出資 Rewiring the Nation 再エネ賦課金・託送料金等 電力広域的運営推進機関からの 融資 再エネ賦課金の前倒し交付 (系統設置交付金) 参考 北海道~東北~東京ルート (日本) 1.5~1.8兆円 調査した3事例については、いずれも規制料金による投資回収スキームに加えて、ファイナンス支援スキームも活用している。 また、Nord LinkとMarinus Linkについては国営企業又は政府が事業参画している点にも留意が必要である 20 電力・ガス基本政策小委員会プレゼン © 2025. For information, contact Deloitte Tohmatsu Group. Appendix 21 電力・ガス基本政策小委員会プレゼン © 2025. For information, contact Deloitte Tohmatsu Group. https://www.4coffshore.com/transmission/interconnectors.aspx <Eastern Green Link1> https://www.easterngreenlink1.co.uk/ https://www.easterngreenlink1.co.uk/about-the-project Eastern Green Link 1 Project Assessment | Ofgem <Nord Link> Report on the NordLink project which connects the German and Norwegian energy markets. | KfW Stories NordLink <Marinus Link> Marinus Link Marinus Link EIS/EES - Volume 3 Chapter 5 Summary of environmental effects AER-letter_RIT-T-update_16-April-2024.pdf <North Sea Link (NSL)> https://www.nationalgrid.com/national-grid-powers-worlds-longest-subseainterconnector-between-uk-and-norway https://www.northsealink.com/north-sea-link/overview?utm_source=chatgpt.com https://www.nationalgrid.com/national-grid-ventures/interconnectors-connectingcleaner-future/north-sea-link https://www.nationalgrid.com/national-grid-powers-worlds-longest-subseainterconnector-between-uk-and-norway <Montenegro-Italy(MONITA) First Module> https://www.terna.it/en/media/press-releases/detail/new-Italy-Montenegrointerconnection-infrastructure-under-way <Nemo Link> https://www.nationalgrid.com/stories/grid-at-work/nemo-link-open-business https://sumitomoelectric.com/jp/id/project/v01/01 https://sumitomoelectric.com/jp/sites/japan/files/202201/download_documents/J200-08.pdf?utm_source=chatgpt.com https://www.nationalgrid.com/document/129586/download 22 電力・ガス基本政策小委員会プレゼン <Caithness Moray> https://www.ssen-transmission.co.uk/news/news--views/2019/12/energy-ministermarks-completion-of-caithness-moray-transmission-link/ https://www.nkt.com/news-press-releases/nkt-completes-the-hvdc-power-cablesystem-for-scottish-caithness-moray-link-supporting-transition-to-a-low-carboneconomy https://marine.gov.scot/sites/default/files/2705-rpt-0101_revised_cable_plan_redacted.pdf https://www.ssen-transmission.co.uk/news/news--views/2019/1/completion-ofcaithness-moray-transmission-link/ <Western HVDC Link> https://web.archive.org/web/20191221063238/http:/www.westernhvdclink.co.uk/ Western HVDC Link - SP Energy Networks https://www.offshore-energy.biz/deepocean-wins-western-hvdc-trenching-deal-uk/ <北海道~東北~東京ルート新設> 広域系統長期方針(広域連系系統のマスタープラン)の策定について| 広域系統長期方 針・整備計画 | 電力広域的運営推進機関ホームページ https://www.occto.or.jp/iinkai/kouikikeitouseibi/2023/files/seibi_71_01_01.pdf https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/denryoku_gas/denryoku_gas/pdf/080_04_0 0.pdf https://www.occto.or.jp/iinkai/kouikikeitouseibi/2024/files/seibi_84_02_01.pdf <九州~中国ルート増強> 広域系統長期方針(広域連系系統のマスタープラン)の策定について| 広域系統長期方 針・整備計画 | 電力広域的運営推進機関ホームページ 中国九州間連系設備に係る広域系統整備計画における実施案及び事業実施主体の募 集について(2024年10月24日更新)|広域系統長期方針・整備計画|電力広域的 運営推進機関ホームページ https://www.occto.or.jp/iinkai/kouikikeitouseibi/2023/files/seibi_71_01_02.pdf https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/denryoku_gas/denryoku_gas/pdf/080_04_0 0.pdf © 2025. For information, contact Deloitte Tohmatsu Group. デロイト トーマツ グループは、日本におけるデロイト アジア パシフィック リミテッドおよびデロイトネットワークのメンバーであるデロイト トーマツ合同会社ならびにそのグループ法人(有限責 任監査法人トーマツ、デロイト トーマツ リスクアドバイザリー合同会社、デロイト トーマツ コンサルティング合同会社、デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー合同会社、デロイト トーマツ税理士法人、DT弁護士法人およびデロイト トーマツ グループ合同会社を含む)の総称です。デロイト トーマツ グループは、日本で最大級のプロフェッショナルグループのひとつ であり、各法人がそれぞれの適用法令に従い、監査・保証業務、リスクアドバイザリー、コンサルティング、ファイナンシャルアドバイザリー、税務、法務等を提供しています。また、国内 約30都市に約2万人の専門家を擁し、多国籍企業や主要な日本企業をクライアントとしています。詳細はデロイト トーマツ グループWebサイト、 www.deloitte.com/jpをご覧くださ い。 Deloitte(デロイト)とは、デロイト トウシュ トーマツ リミテッド(“DTTL”)、そのグローバルネットワーク組織を構成するメンバーファームおよびそれらの関係法人(総称して“デロイトネッ トワーク”)のひとつまたは複数を指します。DTTL(または“Deloitte Global”)ならびに各メンバーファームおよび関係法人はそれぞれ法的に独立した別個の組織体であり、第三者に 関して相互に義務を課しまたは拘束させることはありません。DTTLおよびDTTLの各メンバーファームならびに関係法人は、自らの作為および不作為についてのみ責任を負い、互いに 他のファームまたは関係法人の作為および不作為について責任を負うものではありません。DTTLはクライアントへのサービス提供を行いません。詳細は www.deloitte.com/jp/about をご覧ください。 デロイト アジア パシフィック リミテッドはDTTLのメンバーファームであり、保証有限責任会社です。デロイト アジア パシフィック リミテッドのメンバーおよびそれらの関係法人は、それぞれ法 的に独立した別個の組織体であり、アジア パシフィックにおける100を超える都市(オークランド、バンコク、北京、ベンガルール、ハノイ、香港、ジャカルタ、クアラルンプール、マニラ、メ ルボルン、ムンバイ、ニューデリー、大阪、ソウル、上海、シンガポール、シドニー、台北、東京を含む)にてサービスを提供しています。 Deloitte(デロイト)は、監査・保証業務、コンサルティング、ファイナンシャルアドバイザリー、リスクアドバイザリー、税務・法務などに関連する最先端のサービスを、Fortune Global 500®の約9割の企業や多数のプライベート(非公開)企業を含むクライアントに提供しています。デロイトは、資本市場に対する社会的な信頼を高め、クライアントの変革と繁栄を 促し、より豊かな経済、公正な社会、持続可能な世界の実現に向けて自ら率先して取り組むことを通じて、計測可能で継続性のある成果をもたらすプロフェッショナルの集団です。 デロイトは、創設以来175年余りの歴史を有し、150を超える国・地域にわたって活動を展開しています。 “Making an impact that matters”をパーパス(存在理由)として標榜する デロイトの45万人超の人材の活動の詳細については、 www.deloitte.comをご覧ください。 本資料は皆様への情報提供として一般的な情報を掲載するのみであり、デロイト トウシュ トーマツ リミテッド(“DTTL”)、そのグローバルネットワーク組織を構成するメンバーファーム およびそれらの関係法人が本資料をもって専門的な助言やサービスを提供するものではありません。皆様の財務または事業に影響を与えるような意思決定または行動をされる前に、 適切な専門家にご相談ください。本資料における情報の正確性や完全性に関して、いかなる表明、保証または確約(明示・黙示を問いません)をするものではありません。また DTTL、そのメンバーファーム、関係法人、社員・職員または代理人のいずれも、本資料に依拠した人に関係して直接または間接に発生したいかなる損失および損害に対して責任を 負いません。DTTLならびに各メンバーファームおよび関係法人はそれぞれ法的に独立した別個の組織体です。 IS/BCMSそれぞれの認証範囲は こちらをご覧ください http://www.bsigroup.com/clien tDirectory © 2025. 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資料7

資料6 今後の電力需要の見通しについて 2025年1月27日 資源エネルギー庁 本日の御議論 ⚫ 1月22日に電力広域的運営推進機関が公表した、今後10年間の電力需要の見通しは産業部門におけ るデータセンターや半導体工場の新増設等の影響により、前回想定に引き続き増加する見通しとなっ た。 ⚫ 具体的には、データセンターや半導体工場の新増設等による電力需要の伸びが一層進展し、2020年 代後半から2034年度にかけて前回想定を上回る見通しとなった。 ⚫ 本日は、今後の電力需要の見通しについて御報告するとともに、2024年2月27日の本小委員会で御 議論いただいたデータセンターや半導体工場の新増設等の需要想定への個別計上の方法について、各 エリアにおいて共通の考えを整理したことも併せて御報告する。 2 今後10年の電力需要の想定(電力量) 前回(2024年度)想定より上振れの見通し ⚫ 毎年、電力広域的運営推進機関は、一般送配電事業者から提出された電力需要の想定を取りまとめ公表。 ⚫ 本年1月22日に公表された想定では、人口減少や節電等の影響はあるものの、データセンターや半導体工場の新増設等による電力需要 の増加によって、全体の電力需要も増加傾向となっている。 ⚫ 具体的には、データセンターや半導体工場の新増設を見込むエリアの拡大等に伴い、今回の取りまとめの最終年度(2034年度)におけ る全国の需要電力量は8524億kWhとなり、2024年度比で約6%の増加となった。 ※電力広域的運営推進機関が業務規程第22条の規定に基づき、2025年度供給計画における需要想定の前提となる人口、国内 総生産(GDP)、鉱工業生産指数(IIP)その他の経済指標について、当年度を含む11年後までの各年度分の見通しを策定。 需要電力量(全国合計)の想定 ・データセンター・ 半導体工場の新増設等 8524億kWh(2034年度) 465億kWh(5.8%)増加 (2024年度比) 8059億kWh(2024年度) ※ 現時点でのデータセンター・半導体工 場の申込状況をもとに想定した結果、 2031年度を境に伸びが減少しているが、 将来の新増設申込の動向により変わる可 能性がある。 年度 出典先:電力広域的運営推進機関HP 2025年度 全国及び供給区域ごとの需要想定について 3 部門別電力需要想定(家庭用・業務用・産業用) 家庭用は減少、業務用は横ばい、産業用は増加傾向 ⚫ 「家庭用その他※1」の電力需要は、人口減少・節電等により2034年度まで減少傾向。「業務用」は同年度までほぼ同水準で推移してい るが、「産業用その他※2」は、同年度まで増加傾向となった。 ⚫ 「産業用その他」の増加はデータセンター・半導体工場の新増設等による影響が顕著であり、これが全体の電力需要を押し上げる主要因 となっている。 (家庭用その他※1) • 前回想定最終年度である2033年度断面で電力量の実数を比較すると、今回想定は2,778億 kWhとなり、前回比+37億kWh(+1.4%)の上方修正。 ※1「家庭用その他」の「その他」は、低圧により受電する需要のうち小型の工場・商店で使用する低圧電力(契約 電力50kW未満)や、公衆街路灯等を指す。 年度 (業務用) • 前回想定最終年度である2033年度断面で電力量の実数を比較すると、今回想定は1,946億 kWhとなり、前回比+9億kWh(+0.5%)の上方修正。 年度 (産業用その他※2) • 前回想定最終年度である2033年度断面で電力量の実数を比較すると、今回想定は3,801億 kWhとなり、前回比+133億kWh(+3.6%)の上方修正。これは主にデータセンター・半導体 工場の新増設に伴う需要増を見込んだことによる。 ※2 「産業用その他」の「その他」は、高圧・特別高圧の建設工事用・農事用・臨時用等を指す。 年度 出典先:電力広域的運営推進機関HP 2025年度 全国及び供給区域ごとの需要想定について 4 【参考】産業用その他のエリア別推移① ⚫ 「産業用その他」の推移をエリア別に見たところ、東京・中部・関西エリアの大都市圏が上位を占めた。 ⚫ 他方、エリア別の「産業用その他」の推移を指数で比較※した場合、大都市圏以外でもデータセンター・半導体工場の新増設に伴う個別計 上を行った北海道エリアや中国エリアの伸びが顕しいことが示された。 ※ 2024年度を100とした指数 エリア別「産業用その他」需要電力量(指数) エリア別「産業用その他」需要電力量(億kWh) 億kWh 1,200 1,000 800 600 400 0 2016 2017 2018 2019 2020 2021 2022 2023 2024 2025 2026 2027 2028 2029 2030 2031 2032 2033 2034 200 北海道 東北 東京 中部 北陸 関西 中国 四国 九州 沖縄 年度 出典先:左:電力広域的運営推進機関公表資料を基に資源エネルギー庁作成 右:電力広域的運営推進機関HP 2025年度 全国及び供給区域ごとの需要想定について 年度 5 【参考】産業用その他のエリア別推移②(北海道~関西) 年度 年度 出典先:電力広域的運営推進機関公表資料を基に資源エネルギー庁作成 年度 年度 年度 年度 6 【参考】産業用その他のエリア別推移③(四国~沖縄) 年度 年度 出典先:電力広域的運営推進機関公表資料を基に資源エネルギー庁作成 年度 年度 7 【参考】今後10年の電力需要の想定(最大需要電力) 最大需要電力も上振れ ⚫ 需要電力量と同様に、最大需要電力もデータセンター・半導体工場の新増設等に伴い2034年度にかけて増加傾向にな る見通し。 ⚫ 今回想定では2034年度における全国の最大需要電力は1億6459万kWとなり、2024年度比で約4%の増加となった。 最大需要電力(全国合計)の想定(夏季:送電端) ・データセンター・ 半導体工場の新増設等 1億6459万kW(2034年度) 699万kW(4.4%)増加 (2024年度比) 1億5760万kW(2024年度) ※ 現時点でのデータセンター・半導体 工場の申込状況をもとに想定した結果、 2031年度を境に伸びが減少しているが、 将来の新増設申込の動向により変わる 可能性がある。 年度 8 出典先:電力広域的運営推進機関HP 2025年度 全国及び供給区域ごとの需要想定について データセンター・半導体工場の新増設による影響(全国合計) 2034年度で+715万kW増加 ⚫ 電力広域的運営推進機関では、データセンター・半導体工場の新増設により、全国の合計では2024年度と比較して、2025年度は +56万kW、2029年度は+431万kW、2034年度は+715万kWの最大電力需要の増加を見込んでいる。 ⚫ また、データセンターにおいては数年程度かけて本格稼働に至る傾向を今回想定で反映した結果、2029年度までは前回想定を下回る が、データセンター・半導体工場の新増設による需要増加が続くことから、2030年度以降は前回想定を上回る結果となった。 データセンター・半導体工場新増設に伴う最大需要電力(全国合計) 前回(2024年度)想定との差異 9 出典先:電力広域的運営推進機関HP 2025年度 全国及び供給区域ごとの需要想定について データセンター・半導体工場の新増設による影響(エリア別) 大都市圏以外でも増加傾向 ⚫ データセンター・半導体工場の新増設の影響について、エリア別の集計を行ったところ、東京エリア、中部・関西エリ アといった大都市圏はもとより、大都市圏以外の地域においてもデータセンター・半導体需要が増加傾向となる見通し であることが示された。 ※エリア別の集計にあたっては個別需要が特定されないよう考慮している。 データセンター・半導体工場の新増設に伴う最大需要電力(エリア別) 10 出典先:電力広域的運営推進機関HP 2025年度 全国及び供給区域ごとの需要想定について 個別計上における共通整理 エリア共通の考え方を整理 ⚫ データセンターや半導体工場の新増設等の個別計上の方法については、前回想定では個別計上の要否やその影響量の算 定は各社の判断で実施していたため、第70回の本委員会で、需要想定の個別計上の方法について、共通の考え方を検討するこ ととしていた。 ⚫ これを踏まえ、今回想定における個別計上では、系統接続プロセスにおいて工事費負担金契約締結・請求する段階まで 進んでいる案件は蓋然性が高いと評価して必ず個別計上すると整理し、今回想定に反映した。 ※工事費負担金契約締結・請求前の段階にあっても、工事内容の具体的な検討、補助金採択やプレスリリース等の状況を踏まえて、供給エリアの一般送配電事業者として蓋然性が高いと判断する案件については個別計上。 出典先:電力広域的運営推進機関HP 2025年度 全国及び供給区域ごとの需要想定について 11 【参考】電力需要想定の在り方 第70回電力・ガス基本政策小委員会 (2024/2/27)資料10 ⚫ 電力広域的運営推進機関は、毎年度、供給計画における需給バランスを確認するため、今後10 年の電力需要想定について、各一般送配電事業者が算定した結果をとりまとめ、公表している。 ⚫ 今回は、足元で急増しているデータセンターや半導体工場の新増設等による需要の増加を盛り込んで おり、デジタル化(DX)や脱炭素化(GX)の進展が見込まれる中、今後は、こうした産業構造の 変化に伴う電力需要の増加を適切に把握することがより一層重要となる。 ⚫ この点に関しては、現在、電力広域的運営推進機関の「将来の電力需給シナリオに関する検討会」 において、2040年と2050年の電力需給のシナリオ分析を進めており、当該分析における産業構造 等の変化の見通しを参照することも考えられる。 ⚫ また、電力需要の増加に応じた供給力の確保や系統の整備には長期間を要することが多いことを踏ま えると、需要の立地誘導を進める観点からも、全国のどのエリアでどのような電力需要の増加が見 込まれるかを適切に把握することは必要不可欠である。 ⚫ 加えて、今般の需要想定では、データセンター・半導体工場の新増設等による需要の伸びは、系統へ の接続申込状況や、申込から送電までの期間には送変電設備の立地状況等によりエリアによって 大きく差がある。 ⚫ 今後の電力需要想定の更なる精緻化に向けて、各エリアの系統申し込み状況や送変電の立地状況 を加味した上で、蓋然性の高い電力需要を積み上げることができるよう、一定程度全エリア共通の 考え方を決めることが有意義である。このため、需要想定への個別事象の織り込み方法について、共 通の考え方を検討することとしてはどうか。 12

資料8

第 85 回電力・ガス基本政策小委員会に関する意見 2025 年1月 27 日 一般社団法人 日本経済団体連合会 資源・エネルギー対策委員会 企画部会長 武 田 孝 治 第 85 回電力・ガス基本政策小委員会における議題につき、以下の通り意見 を提出いたします。 資料3-2:電力システム改革の検証結果と今後の方向性(案) 全体として本審議会で議論した内容を適切に整理いただいており、取りまと めの内容に、概ね違和感はない。その上で、報告書の具体的な箇所について以 下の通り意見を申し述べる。 3.これまでの評価とこれからの電力システムが目指すべき方向性 (3)電力システムが直面している課題とこれから目指すべき方向性 ⚫ 安定供給や脱炭素化、物価上昇等による価格への影響を抑制しつつ、需要 家に安定的な価格水準で電気を供給できる環境を整備する【p.14】 安定的な価格水準での電力供給を今後の方向性の柱の1つとして整理いただ いたことを評価する。 その上で、本審議会でも繰り返し申し上げてきた通り、産業界としては、電 気料金がある程度安定していることと同等以上に、その「水準」が非常に重要 である。GX2040 ビジョンの政府案にも以下の記述が明記されている。 ⚫ 「エネルギーコストの上昇により、国内産業の生産縮小や海外移転に直面 する国も出てきており、グローバル化が進み、生産拠点の海外移転が容易 となった現代においては、諸外国との相対的なエネルギー価格差は自国産 業の維持・発展にとって極めて重要な課題となる。」(p.18,l.498-) ⚫ 「海外との相対的なエネルギー価格差を縮小させることで、投資誘致・産 業創出・競争力強化を目指す。」(p.19,l.512-) ⚫ 「DXやGXによる電力需要増加も見込まれる中、エネルギー政策は、産 業構造、産業立地に関する政策と一体で展開していく必要がある」(P.22, l.605-606) したがって、本報告書でも、産業競争力強化を電力システムの目指すべき方 向性に明確に位置付けるとともに、価格の安定に加え、わが国の産業競争力を 1 維持可能な国際的に遜色のない電気料金水準を確保することを前面に出して注 力いただきたい。 4.電力システムが直面する課題と対応方針【p.15】 今後の電力システムの対応方針を整理するにあたっては、以下の点に留意す る必要があると考える。これらの趣旨を、今後の対応における基本的な認識と して、本報告書に明示的に記載いただきたい。 まず、上述の通り、国際的に遜色のない価格での安定的な電力供給はわが国 の産業活動の基盤である。わが国の産業・エネルギーはもとより、地域新興等 も含めた全体最適の観点から、電力システムの議論を電力だけに閉じた議論と せず、GX2040 ビジョンに基づき、産業政策と電力政策を一体的に推進してい くことが極めて重要である。 次に、本審議会で繰り返し申し上げてきた通り、自由化された電力市場の下、 発電・小売の事業環境に関わる電力システムの制度設計にあたっては、安定供 給や脱炭素といった「公益性」と市場競争下での「経済合理性」をどこでバラ ンスさせるかを意識する必要があり、これがシステム設計全体にわたって基本 的視点となる。 あわせて、発電事業者等が燃料調達を行うフェーズから、需要家が電力を利 用するまでのプロセスや投資判断は相互に影響し、相反する側面も有している。 例えば、発電事業者は燃料調達に当たり投資回収の確実性を上げるため、長期 で確度の高い需要を求める傾向にあるが、小売事業者は、より短期的に、安価 な電力を用いて低料金で需要家に供給することを望んでいる場合も多い。バリ ューチェーン全体を俯瞰し、部分最適に陥らない制度設計が重要である。 最後に、安定供給・脱炭素等の公益性を実現するため、経済合理性に基づく 事業者の活動に制約を設ける必要がある場合には、制度的対応の実施や費用分 担の設計等、国の役割と責任があることを明記いただきたい。 4.(1)安定供給確保を大前提とした、電源の脱炭素化の推進 ②安定供給を大前提とした非効率石炭火力のフェードアウトや火力脱炭素化の 推進【p.16~17】 2050 年カーボンニュートラルの実現に向けて、今後、火力発電が電源構成に 占める割合は縮小に向かうことが見込まれる。このようななかでも、一定割合 を担う以上、火力発電事業を支える人材・産業力の維持・強化はわが国の電力 2 の安定供給上極めて重要である点を、今後対応すべき火力発電の課題として、 本報告書に明記いただきたい。 あわせて、石炭火力に関連して「足下では、非効率な石炭火力のフェードア ウトは必ずしも十分に進展していない」との記載があるが、石炭火力は今後、 市場原理のもとでも、発電量がますます減少していくことが想定される。国と して安定供給に必要な石炭火力を維持する姿勢を内外に明確に示されなければ、 退出圧力がさらに強まり、実際に過度な退出が加速し、安定供給へ支障をきた すことが懸念される。本記述は削除した上で、脱炭素化とあわせてトランジシ ョン期に必要な石炭火力を確保する方針を明確に記載いただきたい。 4.(1)③安定供給に必要となる燃料の確保(LNGの長期契約の確保等) 【p.17~18】 LNGはわが国が円滑なトランジションを実現する上で重要なエネルギー源 である。バーゲニングパワーの低下も指摘される中で、国として、安定した価 格での電力の安定供給の観点から「LNGの長期契約の確保を促進するための 措置」に言及いただいたことを評価する。 LNGの長期契約を促進するためには、燃料の供給に対応する、長期にわた る確度の高い需要を確保する必要がある。事業の予見性が低下する現状におい て、発電事業者、小売事業者、需要家それぞれの期待や投資判断は一致せず、 長期契約が締結に至る可能性は低い。民間の自由競争に委ねていては安定供給 を実現できない場合の国としての関与の具体策について、長期契約確保以外の 政策も含め、本報告書にも明確に記載すべきと考える。 また、天然ガス・LNGの開発をめぐっては、開発主体のみならず、エンジ ニアリング企業や機器メーカー、金融機関等、多くの関係者が存在している。 経済性ある価格での安定的なLNG調達を実現するためには、各主体がそれぞ れ天然ガス・LNG事業を継続し、必要な技術・人材への投資を継続していく 必要があり、そのうえでは、一定規模の市場が存在することが前提となる。わ が国企業の外・外取引を含めLNG市場の取引の厚みを増すことが、わが国の 安定調達に資することについても、本報告書に明記いただきたい。 同時に、LNGは、トランジションに資する燃料として世界的に需要が高ま ることが見込まれている。こうした中、戦略的余剰LNG(SBL)が、わが 国の年間LNG需要に比して量が限られていることへの懸念がある。経済性と の見合いも踏まえながら、SBLの拡充の検討も記載いただきたい。 あわせて、LNGのみならず石炭・石油を含む燃料について、安定供給上必 3 要となる燃料の調達に支障をきたすことのないよう、万全を期す旨を明記いた だきたい。また、価格は外部環境として所与のものとの発想ではなく、国とし て、安価な調達をいかに図るかという視点で、上中流の投資権益確保や保護策 等に取り組んでいくことにも言及いただきたい。 4.(2)電源の効率的な活用に向けた系統整備・立地誘導と柔軟な需給運用 の仕組構築 ③GX産業立地政策と連動した、大規模需要の立地誘導、送配電網整備の推進 【p.20】 GX政策と連動して、需要の立地誘導や送配電網整備の推進を図っていく方 向性が示されていることを評価する。 他方、資料6に対するコメント(本意見書6~7頁)にも記載の通り、デー タセンターや半導体工場を起因とする今後の地域別電力需要が首都圏で大きく 拡大するとの見通しに鑑みれば、北海道等の「脱炭素電源が豊富な地域への需 要を誘導する」というGX産業立地政策の目指す方向性と整合させるには、政 策的に強力な誘導が必要と考えられる。企業・自治体へのインセンティブ措置 の実施など、必要に応じて、立地誘導措置の強化・追加策を講じることを検討 いただきたい。 4.(4)共通する課題(電源・系統への投資に対するファイナンス、関係機 関の体制強化) ①電源・系統への投資に対するファイナンス【P24~25】 物価上昇をはじめ、電力事業を取り巻く不確実性が高まる中、電力系統や電 源など、回収が長期にわたる大規模投資を行うにあたり、ファイナンスの確保 は極めて重要な課題である。この点、報告書に記載の内容に違和感はなく、透 明性・規律を確保した上で、投資回収が可能な支援のあり方を検討していく必 要がある。 同時に、電力事業自体を、金融機関がリスクをとってでも投資できるような 事業環境に変えていくという視点も重要と考える。電力システムに関する対応 の一環として、本審議会の場で、民間の金融機関が電力事業へ投資判断をする にあたり何が障壁となっているのか等について、ヒアリングの実施などにより 実態を把握したうえで必要な制度的対応を検討すべきである。 4 5.事業者に期待される役割・取組の方向性~将来の電力産業の在り方~ (1)安定供給と脱炭素化の実現に向けた脱炭素電源や系統の設置・整備の担 い手 ②内外一体の電力産業の展開【p.27】 わが国の電力産業の技術・製品・サービスをアジア等の海外に展開すること で、海外の旺盛なグリーン需要を取り込み企業として成長を果たしていこうと する視点は重要である。 他方、成長性に伴う収益性拡大等の海外市場の役割についてのみ記載し、国 内事業について触れないのは不十分ではないか。電力産業が海外展開していく うえでも、国内で、例えば先進的ビジネスを展開しつつ一定の収益を上げてい ける事業環境整備がまずもって重要であることを記載いただきたい。そのよう な国内事業環境がなければ、海外収益の国内への還元も期待しえない。加えて、 わが国での先進事例の海外展開を通じて世界の脱炭素化に貢献することが期待 されるとの視点も記載してはどうかと考える。 5.(3)需要家のニーズにこたえるサービスプロバイダー ①分散型エネルギー源の活用促進とデジタル化【p.29~30】 わが国の電力供給のレジリエンス強化の視点とともに、今後の変動性再エネ のさらなる増加を踏まえると、系統増強を回避し、ネットワークコストを抑制 するため、分散型エネルギーリソースの活用を加速していくことは極めて重要 である。 国には、安定供給・電力コスト・脱炭素といった目的を踏まえ、全体最適の 観点からの大規模電源と分散型エネルギーリソースの適切な規模の想定や、制 度面での環境整備をお願いしたい。 6.将来の電力システムを支える取引市場の全体像 (2)検証を踏まえ、今後整理していく電力システムに関する取引市場の全体 像 ③効率的なメリットオーダー実現のための短期取引市場【p.34】 安定供給・脱炭素等の公益性と自由競争の適切なバランスを追求するにあた り、電力市場の整備は極めて重要である。全体最適に資する制度となるよう、 引き続き、国として責任をもって取り組んでいただきたい。 供給力・調整力の効率的配分を実現する効果が期待される同時市場について 5 は、今後の制度検討にあたり、供給力・調整力に必要な特性および各電源の特 性・コストを整理するとともに、それらの電源を各市場に適切に振分けていく ことが課題となる。中長期市場に与える影響や、再エネの出力制御の最小化と いった脱炭素の観点も踏まえつつ、適切な制度設計をお願いしたい。その際、 長期にわたる異常気象や燃料価格の変動といった外部要因に柔軟に対応できる か―という点も重要になることを指摘しておきたい。 資料4:電力ネットワークの次世代化について 大規模な電力投資を判断するにあたり、先般、ネットワーク4社が明示した 「条件」は、いずれももっともな内容と認識した。 とりわけ、便益を上回るコスト負担を発生させないよう、投資判断の前提と なる費用便益分析については、透明性ある形で行う必要がある。 また、資料3に対する意見(本意見書4頁)で申し上げた通り、長期・大規 模な投資に対するファイナンスの確保は極めて重要な課題である。工事費・工 期の変動などによるコスト上昇分を事業者が回収可能な仕組みを構築すること を含め、対応を検討いただきたい。 こうした措置を行うにあたっては、コスト負担者である電力需要家が理解・ 納得できるよう、透明性・規律を持った形で進めるとともに、費用便益分析の 結果などについても十分な説明をすることが重要と考える。 資料6:今後の電力需要の見通しについて 【参考】として記載されている「産業用その他」の電力需要の推移をみると、 「2024 年を基準とした指数」では、北海道エリアの電力需要の急速な増加が見 込まれているが、需要の絶対量の推移をみると、依然として東京エリアの電力 需要が大きく、今後の需要の増加量も全国一である。 向こう 10 年間という短期の見通しであることや、レイテンシーの観点から首 都圏への近接性を必要とするデータセンターの特性等、様々な要因があると考 えられるが、GX産業立地の観点から、大規模需要を他の脱炭素電源の豊富な 地域に誘導していくことを目指すのであれば、既に言及のある「ウェルカムゾ ーンマップ」に加え、企業・自治体へのインセンティブ措置など、より踏み込 んだ対応が必要になるのではないかと考える。 同時に、資料では、事業者共通の考え方に基づく確度の高い需要想定を提示 いただいているが、より長期の視点でエリアごとの電力需要を想定し、効果的 に送配電網整備を行っていく観点から、現在より確度の低い需要を含めたより 6 前広な需要想定についても、別途検討してはどうかと考える。 以 7 上