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産業構造審議会 知的財産分科会 特許制度小委員会 第54回

2025-06-04一次資料(出典)

議事録・配布資料の全文(政府公表資料より。要約でなく原文に基づく参照用)。

産業構造審議会 知的財産分科会 特許制度小委員会 第54回 資料産業構造審議会 知的財産分科会 特許制度小委員会 第54回 資料産業構造審議会 知的財産分科会 特許制度小委員会 第54回 資料産業構造審議会 知的財産分科会 特許制度小委員会 第54回 資料産業構造審議会 知的財産分科会 特許制度小委員会 第54回 資料産業構造審議会 知的財産分科会 特許制度小委員会 第54回 資料産業構造審議会 知的財産分科会 特許制度小委員会 第54回 資料産業構造審議会 知的財産分科会 特許制度小委員会 第54回 資料

議事要旨

。 産業構造審議会 知的財産分科会 第54回特許制度小委員会 議事要旨 1. 日時・場所 日時:令和7年6月4日(水曜日)10時00分~12時00分 場所:特許庁特別会議室(特許庁庁舎16階)+Web会議室 2. 出席者 今村委員、井本委員、木元委員、工藤委員、相良委員、杉村委員、玉井委員長、田村委員、中尾委員、中島委員、中畑委員、橋本委員、山中委員 3. 議題 これまでの議論の整理について AI技術の発達を踏まえた特許制度上の適切な対応について 国際的な事業活動におけるネットワーク関連発明等の適切な権利保護について 4. 議事内容 事務局より、資料1に沿って、説明が行われた。 議題について、自由討議が行われた。 以上 [更新日 2025年6月10日] このページの先頭へ 知的財産権関連リンク集 サイトマップ プライバシーポリシー このサイトについて 住所:〒100-8915 東京都千代田区霞が関3丁目4番3号 電話番号:03-3581-1101(代表) Copyright © Japan Patent office. All Rights Reserved.

資料1

産業構造審議会知的財産分科会 第54回特許制度小委員会 議事次第・配布資料一覧 日 時:令和7年6月4日(水)10時00分開会 会 場:特許庁庁舎16階特別会議室+Web会議室 (議事次第) 1.開会 2.これまでの議論の整理について 3.AI技術の発達を踏まえた特許制度上の適切な対応について 4.国際的な事業活動におけるネットワーク関連発明等の適切な権利保護について 5.閉会 (配布資料) 議事次第・配布資料一覧 委員名簿 資料1 特許制度に関する検討課題について

資料2

令 和 7 年 6 月 4 日 第 54 回特許制度小委員会 産業構造審議会 知的財産分科会 特許制度小委員会 委員名簿 石井 夏生利 中央大学国際情報学部 教授 今村 玲英子 創英国際特許法律事務所 井本 史生 日本経済団体連合会知的財産・国際標準戦略委員会 員/日本電気株式会社 委員長 弁理士 知的財産&ルールメイキング部門長 木元 哲也 株式会社木元省美堂 工藤 郁子 大阪大学社会技術共創研究センター 相良 由里子 中村合同特許法律事務所 パートナー弁護士 杉村 純子 プロメテ国際特許事務所 代表弁理士 杉山 悦子 一橋大学大学院法学研究科 教授 玉井 克哉 東京大学先端科学技術研究センター 代表取締役社長 信州大学社会基盤研究所 特任准教授 特任教授/ 特任教授 田村 善之 東京大学大学院法学政治学研究科 教授 中尾 直樹 日本弁理士会知財制度検討委員会 委員長/ 中尾国際特許事務所 企画部会委 弁理士 中島 基至 東京地方裁判所(知的財産権部) 部総括判事 中畑 稔 One ip 弁理士法人 橋本 佳幸 京都大学大学院法学研究科 松山 智恵 TMI 総合法律事務所 山中 昭利 一般社団法人日本知的財産協会 参与/ 株式会社デンソー 担当部長 代表パートナー弁理士 教授 パートナー弁護士 技術企画部 (敬称略、五十音順)

資料3

資料1 特許制度に関する検討課題について 産業構造審議会知的財産分科会 第54回特許制度小委員会 令和7年6月4日 1.これまでの議論の整理 1 1.国際的な事業活動におけるネットワーク関連発明等の適切な権利保護 現状と課題 ➢ 特許権の効力は、属地主義の原則により、「当該国の領域内においてのみ認められる」とされている。属地主義 の原則が厳格に解され、発明の構成要件の一部が国外に存在するだけで日本国内における特許発明の「実施」と 評価できないとすると、特許を容易に回避し得るため、発明の十分な保護が図れない可能性がある。 ➢ 近年、ネットワーク関連発明について属地主義を柔軟に解して特許権侵害を認めた最高裁判決も出たところであ るが、いかなる場合に実質的に日本国内の「実施」と評価することができるかが依然として明確ではなく、権利 保護の予見性について懸念がある。 本小委員会における議論 ➢ 本小委員会では、制度的措置を念頭に「実質的に国内の実施行為と認められるための要件」について、ユーザー の実情とニーズに合った要件となるように想定事例も交えて、以下のとおり検討を進めてきた。 ✓ 「発明の『技術的効果』と『経済的効果』が共に国内で発現していること」の要件を採用すること( 「技術的効 果」と「経済的効果」を共に考慮すべきであること )について肯定的な御意見が複数聴取された一方で、特段の 異論はなかった。 ✓ 「特許発明の構成要素の『一部』が国内で実施」の要件について、クリアランス負担の軽減の観点から、上記要 件に加えて必要であるとの御意見を多数頂戴した一方で、特許権の十分な保護の観点からさらなる検討が必要で ある旨の御意見もあった。 ➢ ドワンゴ対FC2事件の最高裁判決(令和7年3月3日言渡し)後の状況について、当該最高裁判決が個別事案 の結論を導くためのものであり、依然として権利保護の予見性に関する課題が残されていることを確認した上で、 裁判例の蓄積による解釈の確立には長期間が必要となり得ることを踏まえれば、実質的に国内の実施行為と認め られるための要件については、最高裁判決が出た現在においても、引き続き制度的措置を念頭に、歩みを止める ことなく検討を進めるべきという方向性について議論を行ったところ、複数の賛同の意見があった。 今後の検討の方向性 ➢ 特許法において、実質的に国内の実施行為と認められるための要件を明文化する方向で検討を進める。 ➢ 検討に当たっては、「特許権の十分な保護とクリアランス負担のバランス」、「要件の明確性」、「ネットワーク 関連発明の技術進展の速さ」、「国際調和」等について引き続き留意するとともに、本論点の検討を進めるに当た 2 り重要な判決である「ドワンゴ対FC2事件」(第1事件・第2事件)の諸判決を参考とする。 2.AI技術の発達を踏まえた特許制度上の適切な対応 現状と課題 ➢ AIの技術発展に伴い、AI技術を活用した研究開発が普及しつつあり、短時間で大量の成果物を生成することが可 能となっている。ノーベル賞含め、機械学習技術や、その利活用が注目されており、令和7年5月28日には内閣 府提出の「人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する法律」が成立した。 ➢ 特許出願において、人工知能が発明をした者とする事案では、特許法に規定する「発明者」は自然人に限られる とする判決(ダバス事件判決)が言い渡されており、立法論としてAI発明に関する検討を行って可及的速やかに その結論を得ることが期待されている。 本小委員会における議論 ➢ 本小委員会では、AIが関連する特許法上の論点を幅広に提示し、I. 近い将来における課題の顕在化、II. 特許権 者等の検討ニーズ、III. 国内外の諸情勢という3つの観点で論点の評価を行った。 ➢ ➀発明該当性、➁発明者、③引用発明適格性について相対的に早期に検討を行うことが適切ではないかとの方向 性を示したところ、委員から特段の反対の意見は無く、総じて賛成の意見が示された。 ➢ また、検討を進めるにあたり、AI技術やAI発明の態様は様々なものが想定されるところ、共通理解を醸成しなが ら検討を進めるべき、国際的ハーモナイゼーションに配慮した上で産業の発展を阻害しないような法制度・ルー ルを整備すべき等の御意見をいただいた。 今後の検討の方向性 ➢ ➀発明該当性、➁発明者、③引用発明適格性の3論点について、早期に考え方を整理すべく検討を進める。 ➢ より詳細な検討を行うべく、令和7年度も継続して調査研究を通じて実態把握を行い、最新の国内外の動向を踏 まえた検討を行う。 3 3.ePCTによるオンライン出願・発送の導入 現状と課題 ➢ 特許協力条約(PCT:Patent Cooperation Treaty)に基づく国際出願(PCT国際出願)については、日本国特許 庁(JPO)から出願人等に対して、国際段階の発送書類を全件紙で郵送しており、出願人等より、オンラインに よる発送を求める声が多数寄せられている。 ➢ PCT国際出願・中間書類の提出は、JPOが提供するインターネット出願ソフトでオンライン提出が可能であるが、 庁内・ユーザー向けシステムの改造にはコスト・時間が必要となるため、頻繁なPCT規則改正などにタイムリー に対応することが困難な状況にある。 ➢ 特許庁では『特許庁における手続のデジタル化推進計画(令和3年3月31日)』を策定し、書面手続のデジタル 化を推進している。また、高度でスマートなデジタル環境の実現を目指して策定した『特許庁デジタル戦略202X (令和6年11月25日)』においては、その手法の1つとして、外部サービスの効果的活用を掲げている。 本小委員会における議論 ➢ 本小委員会では、世界知的所有権機関(WIPO)が提供するWebサービスである「ePCT」を活用したオンライン 出願・発送の導入に向けて、PCT条約・規則・実施細則との考え方の違い等に応じて、所要の制度的措置を講じ る対応の方向性について議論を行った。 ➢ この対応の方向性については、特段の反対の意見は無く、特許庁から発送される書類については、一定期間保管 した後にシュレッダーで処理する実務が生じており、オンライン化は有り難い等として、賛成の意見が示された。 ➢ ePCTの導入に当たっては、ePCT上で発送書類が検索可能になった旨を電子メール等で出願人等に通知する運用 に加えて、ユーザーフレンドリーな仕様とし、FAQ等の利用環境整備を進めることや、ユーザー利便性・セキュ リティに関する関係団体との情報共有や意見交換を希望する意見もあった。 今後の検討の方向性 ➢ ePCTによるオンライン出願・発送の導入に向けて、PCT条約・規則類との考え方の違い等に応じて、所要の制度 的措置(国内法令の改正)を講じる方向で検討を進める。 ➢ ePCTの導入に当たっては、関係団体との情報共有や意見交換を行いつつ、ePCT上で発送書類が検索可能になっ た旨の電子メール等通知などユーザー利便性やセキュリティの観点を踏まえた運用についても検討を進める。 4 4.国内優先権に基づく先の出願の取扱いの見直し 現状と課題 ➢ 国内優先権制度の導入当時(昭和60年改正により導入)、審査処理期間の長期化の状況に鑑み、重複内容の実体 審査の回避のため、出願公開準備時期前に先の出願をみなし取下げとすることとされた。 ➢ 審査処理の迅速化等に伴い、先の出願の審査請求時期や審査の進捗等により、みなし取下げまでに権利取得でき るかが案件ごとに流動的となっており、こうした権利化可否の予測困難性(行服事例も発生)のみならず、その 対策として出願人への意向確認等の追加的業務も発生するなど、特許庁における課題が顕在化している。 ➢ 後の出願がPCT国際出願の場合、条約の規定に基づく国内処理基準時まで、先の出願のみなし取下げ・出願公開 を保留せざるを得ず、そのためのシステム対応等も追加的に発生している。将来的なePCTの導入も見据えれば、 我が国特有の制度を見直し、PCT国際出願制度との親和性を高めることが重要となる(国際調和及び特許庁シス テム経費の観点より)。 本小委員会における議論 ➢ 本小委員会では、制度簡素化に向けて、先の出願について、通常の出願と同様の取扱い(出願から3年以内に審 査請求がなければみなし取下げ)とすべく、出願から1年4月後の国内優先権に基づくみなし取下げを廃止し、 所要の周知や注意喚起までをパッケージとした対応の方向性について議論を行った。 ➢ この対応の方向性については、一度、権利化不要と思っても、その後の事業方針の転換等により権利化が必要と なる場合もあるので、先の出願が3年間係属していると助かる等として、複数の賛成意見が示された一方で、関 係団体の一部より、各企業の特許管理システムの対応が必要となることや第三者立場として出願の監視対象数が 増加することへの懸念のほか、ユーザーの意見を確認しつつ検討を進めて欲しいといった意見もあった。 今後の検討の方向性 ➢ ePCT導入に係る検討状況も踏まえつつ、国内優先権に基づく先の出願のみなし取下げを廃止する方向で検討を進 める。 ➢ 国内優先権に基づく先の出願のみなし取下げの廃止に当たっては、先の出願の公開回避のための手続(出願取下 げ)をすべき期間の明示など、ユーザー実務において必要となる周知や注意喚起の内容についても、関係団体と の意見交換等を通じて検討を進める。 5 5.公報におけるプライバシーの保護 現状と課題 ➢ 公報には、特許法等に基づき、出願人・権利者及び発明者等の氏名及び住所(居所)が掲載されているが、昨今、 社会全体におけるDXの進展に伴い、特許制度上、想定される利用範囲を超えた個人情報の転用や発信等も容易に なっている中、プライバシー保護の必要性が従前より高まっている。 ➢ 法改正を要さずに実施可能な特許情報提供サービスでの個人住所の概略化を開始したものの、その後も一次情報 である公報について、住所公開への抵抗感から出願を躊躇するなど、住所非表示の要望が多く寄せられている。 ➢ 法務省では、住所公開への抵抗感からの起業の躊躇などを受けて、商業登記規則等の改正により、一定の要件の 下、登記事項証明書等において株式会社の代表取締役等の住所を一部表示しないこととする措置が創設された。 本小委員会における議論 ➢ 本小委員会では、公報に住所が掲載される者と住所情報を利活用する者双方のユーザーニーズのバランスをとり つつ、DX時代における個人のプライバシーを適切に保護するため、公報における個人の出願人・権利者及び発明 者等の住所を概略表記とする対応の方向性について議論を行った。 ➢ この対応の方向性については、特段の反対の意見は無く、出願の躊躇やSNSへの住所情報掲載リスクなど公報へ の住所掲載による支障が相当程度顕在化している、登記情報と同様に概略表記になることで安心して知財活動が できる、発明者情報を用いる分析等を行う研究者(分析研究者)向けに別途対応することも併せて検討していく のであれば問題ない等として、賛成の意見が示された。 ➢ 公報における個人住所の概略化に当たっては、「開放特許情報データベース」の周知など、ライセンス交渉等の ビジネスニーズを阻害することのないようにして欲しい(ライセンス交渉等の連絡を受けるために、公報への住 所掲載を希望する個人が一定数いるため)といった意見もあった。 今後の検討の方向性 ➢ 公報における個人の出願人・権利者及び発明者等の住所を概略表記とする方向で検討を進める。 ➢ 公報における個人住所の概略化に当たっては、分析研究者向けに所要の代替措置を設けることやライセンス交渉 等のビジネスニーズへの対応(所要の周知)についても併せて検討を進める。 6 6.知的財産の侵害抑止へ向けた取組 現状と課題 ➢ 「新しい資本主義実現会議」において、「中小・小規模企業・スタートアップが保有する知的財産の侵害を抑止 するため…知的財産を侵害させないための取組を行う」ことが掲げられ、政府全体として知的財産の侵害抑止に 取り組んでいる状況にある。 ➢ また、特許庁政策推進懇談会において、「国内外の動向を注視しつつ、知財侵害の抑止の在り方について適時に 検討を行うことが適当である」旨取りまとめられた。 ➢ 特に特許権侵害訴訟は資金や人的リソース等の大きな負担を要するために、特許権者は権利が侵害された場合に 十分な救済を得ることが難しいという課題がある。 本小委員会における議論 ➢ 本小委員会(第53回)では、特許権の侵害抑止に関する国内外の制度を調査した令和6年度調査研究の結果を報 告し、特許権侵害の抑止へ向けて、特許表示の機能向上に関する検討を進めていく方向性について議論を行った。 ➢ 特許権の侵害を事前に抑止する必要があること及び特許表示の機能向上の方向性について検討を進めることにつ いて、特段の反対の意見はなく、多数の賛同の意見があった。 ➢ 今後の方向性について、特許表示の機能向上のみでは侵害抑止へ向けた効果が十分ではない可能性があることか ら、特許法の他の制度と連関させるなどして侵害抑止を目指すべきとの意見も複数あった。 ➢ 今後検討を進める際の留意点として、特許権侵害の実態を把握し、侵害抑止へ向けた課題を明確にしたうえで、 どの解決策が適切かを慎重に検討することが必要との意見や、特許表示に関して表示方法の在り方を検討する必 要性があることや虚偽表示による刑事罰との関係についても検討すべきとの意見があった。 今後の検討の方向性 ➢ 特許権侵害の抑止の必要性について、中小企業をはじめ国内企業が有する特許権に対する侵害の実態調査を更に 行い、海外の特許表示をはじめとする特許権侵害の抑止に資する制度の調査を実施する。 ➢ 特許権侵害の抑止へ向けて、特許表示の機能向上及び特許法の他の制度との連関の具体的な方向性に関する制度 的措置の検討を進める。その際、侵害の実態を踏まえた適切な解決策となるよう検討を行う。 ➢ 上記検討では、特許表示の方法の在り方や虚偽表示の取扱い等についても留意する。 7 2.AI技術の発達を踏まえた特許制度上の適切な対応 8 これまでの経緯と今後の進め方 これまでの経緯 ➢ 前回第53回の本小委員会では、第52回本小委員会で御意見をいただいた先使用権を論点に加え、➀発明 該当性、➁発明者、③引用発明適格性、④新規性・進歩性、⑤記載要件、⑥その他・先使用権、という6 つの論点について検討を行った。 ➢ その結果、➀発明該当性、➁発明者、③引用発明適格性について、相対的に早期に考え方を整理していく という方向性についておおむね御了解をいただいた。 ➢ 個別の論点について、➀発明該当性については、保護対象の明確化への期待及び既存の条文との整合性への 懸念、➁発明者については、特化型AI等の開発者やプロンプトエンジニアも含め、発明への多様な関与の在 り方を想定した検討の必要性、③引用発明適格性については、想定され得る考慮要素の詳細な検討の必要性 といった点について御意見をいただいた。 ➢ また、論点の検討に当たっては国際調和が重要である点、発明創作過程におけるAIの関与程度は技術分野に より変化し得る点、上記➀~③以外の論点も重要である点等様々な御意見をいただいた。 今後の進め方 ➢ 前回の本小委員会でいただいた御意見も踏まえ、次頁以降で対応の方向性を整理することとしたい。 9 今回の本小委員会の予定 ➢ 前回の本小委員会で相対的に早期に考え方を整理していくという方向性につき御賛同をいただ いた次の3つの論点につき、これまでの議論の振り返り及び今後の検討の方向性(案)を整理 した。 ① 発明該当性(以下「発明」という。) ② 発明者 ③ 引用発明適格性 ➢ 今回の本小委員会では、各論点の今後の検討の方向性(案)及び議論において留意すべき点等 について御意見をいただきたい。 10 ①「発明」論点について (1)これまでの議論の振り返り <現行法における取扱い> • 特許法上、「発明」は「自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のもの」(第2条)と定 義されている。 • 現行法では、自然人がコンピュータ等をツールとして用い生成した発明でも、「自然法則を利用し た技術的思想の創作のうち高度のもの」といえれば、特許法に規定する「発明」に該当すると解さ れ得る。 <課題検討の必要性> • 情報技術の進展により、発明創作過程において、特許法が当初想定し得なかった程度に、自然人を 代替し得る技術がAI関連技術として実装されるようになりつつある。 • 今後、AI関連技術が進展することで、AIが発明創作過程により深く関与することとなり、自然人の 発明創作過程への関与程度が相対的に減少していくことが想定される。 • AIを利活用した発明創作は今後も増加することが見込まれるところ、権利化の予見可能性の向上の ために、自然人の発明創作過程への関与が減少したとしてもAIをツールとして利用して生成した 発明が特許法に規定する「発明」に該当するか、また、いわゆるAI自律発明(※1)が特許法に規 定する「発明」に該当するか等の考え方を整理する必要があると考えられる。 ※1 本資料では、便宜的に、AIが自律的に発明し、発明者と認められる自然人の関与があるとはいえない生成物をいうこととする。 11 ①「発明」論点について (1)これまでの議論の振り返り <方向性を検討するに当たっての前提の整理> I. 法目的及び制度趣旨 1. 特許法第1条は「発明を奨励し、もつて産業の発達に寄与すること」を特許法の目的としている。発明創作過程に おける自然人の関与が減少したとしても、自然人の関与があればAIを利活用した発明も特許法上の「発明」として 保護対象に含めることは、自然人が創作活動を特許出願するインセンティブとなり得る。そして、特許制度を通し て新規の技術が公開されることで技術情報の公開促進に繋がる。このように、自然人の関与があれば、AIを利活 用した発明も特許法上の「発明」として保護対象に含めることは、「発明の奨励」や「産業の発達」という法目的 に整合すると考えられる。 2. いわゆるAI自律発明を特許法上の「発明」に該当するとして保護したとしても、AI自体は発明を行うモチベー ションを持たないと考えられるため、AI自体の発明創作活動は直接的に促進されず、「発明の奨励」という法目的 に整合するか不明である。他方、AI開発者やAI保有者等の創作へのインセンティブという側面から更なる検討が必 要であると考えられる。 II. 調査研究等を通じて得られた御意見 1. 令和6年度調査研究(※1)では、最終的に人間が関与していれば、AIは道具としての役割を果たし、その成果物は 特許として認められる方向性が妥当ではないか、という意見が見られた。 2. いわゆるAI自律発明におけるAIの生成物が、特許法第2条第1項の「発明」の定義を充足するか否かについて、令 和6年度調査研究(※1)では、AIの生成物を当業者が見て課題解決手段であると認識できるのであれば「発明」の 定義を充足するという意見や、「思想」は「人が考える、思う」が前提であるということ、若しくは、「創作」は 人の関与がないとは言いがたいことから、AIの生成物は「発明」を充足しないという意見が見られるなど、様々な 意見が見られた。 ※1 特許庁 令和6年度調査研究「AI技術の進展を踏まえた発明の保護の在り方に関する調査研究報告書」 https://www.jpo.go.jp/resources/report/takoku/document/zaisanken_kouhyou/2024_05.pdf 12 ①「発明」論点について (2)方向性を検討するに当たっての基本的な考え方 ⚫ 発明への自然人の関与の程度が減少したとしても、自然人が発明創作過程に関与する限りにおいて、 自然人がAIをツールとして利活用した発明についても、特許法上の保護対象として含めることは、 「発明の奨励」といった法目的に整合すると考えられる。 ⚫ 調査研究等を通じても、最終的な自然人の関与が前提ではあるが、AIをツールとして利活用した成 果物を特許法の保護対象とすることに肯定的な意見が見られた。 (3)今後の検討の方向性(案) ✓ 発明創作過程における自然人の関与が減少したとしても、自然人がAIを利活用して行った発明は特 許法に規定する「発明」に該当するという方向で検討を進めてはどうか。 (4)留意事項 ⚫ 本論点(「発明」論点)の検討に当たっては、次の点に留意する。 ✓ 本論点の検討結果は、➁発明者、③引用発明適格性の論点の議論にも関連し得ること ✓ いわゆるAI自律発明が特許法上の「発明」に該当するかについては様々な意見が見られること ✓ 技術分野により創作過程の在り方や成果物の在り方等は異なり得ること ✓ 国際的な動向も引き続き注視すること ✓ 意匠制度においても現在議論されている事項であり注視する必要があること 13 ➁「発明者」論点について (1)これまでの議論の振り返り <現行法における取扱い> • 現行の特許法では、発明者の定義について明文規定は無いが、自然人を前提としていると解されて おり、裁判例の蓄積により「発明の技術的特徴部分の具体化に創作的に関与した者」が発明者たり 得ると解されている。 • AIをツールとして利用した発明を特許出願する場合、当該発明の「発明者」に、使用したAIの開発 者(例えば、学習データの選択、ファインチューニングを行った者等)や利用者(プロンプトを入 力した者等)、発明者の効果を確認した者等が含まれ得るか否かは必ずしも明確ではない。 <課題検討の必要性> • AIを利活用した発明創作過程について、AIのみが現行法上の「発明の技術的特徴部分の具体化に創 作的に関与」しているといえる場合、AIを利活用し課題の着想や解決手段の発案・設計を部分的に 行うなど、イノベーションに関与した自然人がいるにもかかわらず、「発明者が不在」となる恐れ がある。 • 「発明者が不在」の場合、当該特許出願は却下処分となり得る(特許法第36条第1項第2号等)。 すなわち、AIを積極的に利活用したがゆえに「発明の技術的特徴部分の具体化に創作的に関与し た者」が不在となり、特許権が認められない出願が増えることも想定される。 • このような事態がAIを利活用した者へのインセンティブ付与の在り方として適切かどうかという 観点も踏まえ、権利化の予見可能性のために、AIを利用して生成した発明の発明者の認定は、従 前と同様で良いかという点について考え方を整理する必要があると考えられる。 • 「発明者」が不在の場合でも、AI開発者、AI所有者、AI利用者等が特許権による保護を希望する ことも想定されるところ、権利化の予見可能性の向上のために、いわゆるAI自律発明に対してAI を発明者として認めるべきかという点等も考え方を整理する必要があると考えられる。 14 ➁「発明者」論点について (1)これまでの議論の振り返り <方向性を検討するに当たっての前提の整理> I. 法目的及び制度趣旨 1. AIを利用して生成した発明の発明者の認定を従前のままとすると、AIを積極的に利活用したがゆ えに「発明者が不在」となる状況が生じ、発明を創作又は特許権を取得するモチベーションが低 下することが想定される。その場合、新技術の情報も開示されなくなり、「発明の奨励」や「産 業の発達」という法目的が達成されない事態も考えられ、そのような状況が適切であるか疑義が 生じる。更に発明者の認定基準が不明確である場合、企業内部及び企業間において利益分配をす る際の基準が不明となり、本来であれば権利を得られるべきであった者の利益を損なう恐れが生 じ得る。 2. 自然人への報奨付与は創作活動を行うことのインセンティブとなり、次なる創作を行う契機とな り得る。しかし、AIに報奨が付与されたとしても、その報奨はAIが次なる創作活動を行うインセ ンティブとならないと考えられる。そのため、仮にAI自体を「発明者」と認め報奨として特許権 を付与したとしても、「発明を促進する」という特許法の制度目的に直接には結びつかないこと が想定される。更に、他の法律(民法等)においてもAIは権利や義務の主体として考えられてい ない、と解される。 15 ➁「発明者」論点について (1)これまでの議論の振り返り <方向性を検討するに当たっての前提の整理> II. 調査研究等を通じて得られた御意見 1. 令和5年度調査研究(※1)においては、「AIの普及に伴い発明の創作に人間の関与が小さくなる場合、そのよう に創作された発明を特許権で保護すべきか」という質問に対し、回答数のうち、約71%の者が「保護すべきで ある」と回答している。また、令和6年度調査研究において、発明者として認められるために必要な関与の程度 について柔軟に発明者を認定しても良いのではないかという意見が見られた。 2. 令和5年度調査研究(※1)及び令和6年度調査研究(※2)を通して、「AI自体に特許を受ける権利を認めるべきで はない」という意見が大勢を占めた。理由として、特許制度の目的である発明奨励やインセンティブ付与の観点 からAI自体に権利を与える必要性が低い点や、現行の法制度上、AIには人格権や財産権が関連しない点等が挙 げられた。 3. 令和5年度調査研究(※1)においては、AIを利用した創作において認定すべき発明者として、「AIへ創作を指示 した者」、「ファインチューニングをした者」等といった回答が見られた。また、令和6年度調査研究(※2)に おいて、AI生成物についても、例外的にAI自体が発明の課題を解決する目的に従って作られた場合には、AIを 作った者を発明者とすることもあり得るが、汎用的なAIを作っただけでは発明者とならないのではないかとい う意見が見られた。 (参考)内閣府知的財産戦略推進事務局 第3回構想委員会(※3)でも、我が国におけるAI技術の開発の後押 し等といったイノベーション推進の観点も踏まえ、AI開発者や利用者、発明の効果の確認者に対し「発明者」 としての地位を認めるべきか、また類型や判断手法などの検討の必要性について問題提起されている。 (※1) 特許庁 令和5年度調査研究「AIを利活用した創作の特許法上の保護の在り方に関する調査研究」 https://www.jpo.go.jp/system/patent/gaiyo/sesaku/ai/ai_protection_chousa.html (※2) 特許庁 令和6年度調査研究「AI技術の進展を踏まえた発明の保護の在り方に関する調査研究報告書」 https://www.jpo.go.jp/resources/report/takoku/document/zaisanken_kouhyou/2024_05.pdf (※3)内閣府知的財産戦略推進事務局 「IPトランスフォーメーション(2)~新たな知的創造サイクルの構築に向けて~」 https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/tyousakai/kousou/2025/dai3/siryou1.pdf 16 ➁「発明者」論点について (2)方向性を検討するに当たっての基本的な考え方 <自然人の関与が存在する発明について> ⚫ 仮に「発明者」の認定基準を従前のままとすると、AIを積極的に利活用したがゆえに「発明者が不在」となる状況 が生じ得る。このように、AIをツールとして利活用し、効率的な発明創作活動を行った者を特許法上保護しないこ とは、発明の奨励や技術情報の開示という特許法の法目的からも疑義が生じる。また、AI開発者を「発明者」と認 定し得るか、現在、必ずしも明確でないところ、我が国におけるAI技術の開発の後押し等といったイノベーション 促進の観点から明確化が望まれている。さらに、AI利用発明における「発明者」の基準を明確にすることは、企業 内部及び企業間での適切な利益分配の基準に資するものと考えられる。 ⚫ 調査研究等を通じた実態把握においても、柔軟に発明者を認定しても良いのではないかという意見が見られた。ま た、アンケート調査においても、「AIの普及に伴い発明の創作に人間の関与が小さくなる場合、そのように創作さ れた発明を特許権で保護すべきか」という質問に対し肯定的な意見が多数を占めた。ただし、汎用的なAIを作成し たのみの者を発明者と認めることへの疑義が見られたことは注意が必要と考えられる。すなわち、AI開発者の保護 については、汎用的なAI作成者というよりは、発明に向かって特化型AIを作り上げるなど、発明に対し十分に貢献 を行ったと評価されるようなAI開発者の保護が望まれるのではないかと考えられる。 <いわゆるAI自律発明について> ⚫ AIそれ自体は自然人と異なりモチベーションを持ち得ず、AIを発明者と認めることは、発明の奨励といった特許法 の制度趣旨には直接的には沿わないと考えられる。また、他の法律(民法等)においてもAIは権利や義務の主体と して考えられていないことから、仮に特許法においてAIを「発明者」と認めれば、他法との整合性の観点からも混 乱が生じ得る。 ⚫ 調査研究等を通じた実態把握においても、AI自体に権利を与える必要性が低いこと、AIには人格権や財産権が関連 しないこと等に対する指摘が見られた。 17 ➁「発明者」論点について (3)今後の検討の方向性(案) ✓ 人間の関与程度の低下やAIを利活用した研究開発におけるステークホルダーの多様化を念頭に置き、 例えば発明に向かって特化型AIを作り上げたAI開発者の扱いなども含めた「発明者」の柔軟な解釈 について、本小委員会で引き続き検討を行ってはどうか。 ✓ 「発明者」認定の具体的な基準については、適切な利益分配といった観点からも明確化は必要と考え られるが、「発明者」について現行法に明文上の定義が無く、調査研究等を踏まえても様々な意見が 見られることから、本小委員会で引き続き検討を行ってはどうか。 ✓ ただし、仮にいわゆる「AI自律発明」が行われたとしても、AIそれ自体を発明者としては認めない という方向で検討を進めてはどうか。 (4)留意事項 ⚫ 本論点(「発明者」論点)の検討に当たっては、次の点に留意する。 ✓ 「発明者が不在」の状況においては、ある自然人を発明者と偽って出願を行う事態が生じること(いわゆる 「僭称問題」) ✓ 技術分野により創作過程の在り方や成果物の在り方等は異なり得ること ✓ 他国においても、例えば米国では、「AIの支援を受けた発明の発明者適格に関するガイダンス」で、「発明 者および共同発明者は、自然人でなければならない。」とするとともに、「発明者」の認定に関して指針原 則を挙げる(※1)など明確化が図られているところ、我が国においても、何らかの指針を示すこと等により 特許制度上の適切な対応について検討が望まれること ✓ 意匠制度においても現在議論されている事項であり注視する必要があること ※1 JETRO NY 2024年2月13日 https://www.jetro.go.jp/ext_images/_Ipnews/us/2024/20240213.pdf 18 ③「引用発明適格性」論点について (1)これまでの議論の振り返り <現行法における取扱い> • 特許法第2条は「発明」を「自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のもの」と定義して いる。 • 特許法第29条は、「次に掲げる発明を除き」(第1項)、「前項各号に掲げる発明に基いて」 (第2項)のように、「発明」という語を用いて、新規性・進歩性による拒絶理由の根拠となる対 象を定めている。 • 特許法第2条と第29条は同一の「発明」という語を用いている。 • なお、現行の審査基準には、審査官は、刊行物の記載及び本願の出願時の技術常識に基づいて、物 (方法)の発明について、当業者がその物を作れる(その方法を使用できる)ことが明らかでない 場合、当該刊行物に記載された当該発明を「引用発明」とすることができない旨の記載がある。 <課題検討の必要性> • AIを利活用し短時間で大量の技術情報が生成され公開可能となっている。その中には、その物を作 れる(その方法を使用できる)ことが不明確な内容や虚偽の内容も含まれ得る。このような技術情 報を根拠として特許出願が拒絶(無効)可能となると、拒絶される特許出願の数が増加し、発明者 の創作意欲が阻害される可能性がある。 • 権利化の予見可能性の向上等の観点から、AIを利用して生成した資料・論文等は、新規性・進歩 性の判断の根拠(引用発明)となるか、引用発明と認定するために満たすべき要件や基準が必要と なるか等の考え方を整理する必要があると考えられる。 19 ③「引用発明適格性」論点について (1)これまでの議論の振り返り <方向性を検討するに当たっての前提の整理> I. 法目的及び制度趣旨 1. AIを利用して生成した発明であるかにかかわらず、およそ既に公知とされている「発明」に対して特許権を付与する ことは、新しい発明の公開の代償として発明を保護するという特許法の趣旨には沿わないと考えられる。しかし、記 載及び技術常識に基づき当業者がその物を作れることが明らかでないような技術情報は、情報公開の価値は高くない とも考えられる。 2. また、記載及び技術常識に基づき当業者がその物を作れることが明らかでないような技術情報が拒絶理由の根拠とな ると、その物を作ることを真に可能とした者の創作意欲を減退させることに繋がり得る。このような事態は「発明の 奨励」という特許制度の趣旨に沿わないとも考えられる。 II. 調査研究等を通じて得られた御意見 1. 令和6年度調査研究(※1)において、もっともらしく記載されたAIの生成物による拒絶理由が増加することへの懸 念及びそのような拒絶理由への対応についての意見が見られた。 2. 同調査研究において、(いわゆるAI自律発明も含め)AIの生成物を第29条第1項各号の発明として認めるべきとの 意見が大勢であった。理由としては、発明の奨励という特許法の趣旨に鑑みると、AIの生成物か否かにかかわらず、 公知の情報と同じ又はそれに基づき容易に発明することができる発明に特許権を付与することは適切ではないという ものであった。 3. 同調査研究において、自然人の関与がないAIによる発明であることを立証することは困難であるという意見も見られ た。 4. 同調査研究において、引用発明とするための条件としては、条件が必要ないという意見、条件として根拠の裏取り (論文など出典を示すこと)、製造可能かどうか等による妥当性の検証が必要という意見が見られた。 (※1) 特許庁 令和6年度調査研究「AI技術の進展を踏まえた発明の保護の在り方に関する調査研究報告書」 https://www.jpo.go.jp/resources/report/takoku/document/zaisanken_kouhyou/2024_05.pdf 20 ③「引用発明適格性」論点について (2)方向性を検討するに当たっての基本的な考え方 ⚫ AI技術の進展により、技術情報が大量に生成され、公開されることで、適切な権利取得が阻害され る可能性があり、何らかの対応を行う必要性が生じつつある。 ⚫ 適切な特許制度の在り方については、新規の技術情報の公開と発明の奨励という点についてバランス を取ることが重要と考えられる。この点、記載及び技術常識に基づき当業者がその物を作れることが 明らかでないような技術情報については、情報公開の価値は必ずしも高くなく、そのような技術情報 が拒絶理由の根拠となると、その物を作ることを真に可能とした者の創作意欲を減退させることに繋 がりうるが、このような状況は「発明の奨励」という特許制度の趣旨にそぐわないのではないかとい う疑義が生じ得る。 ⚫ 調査研究等を通じた実態把握において、もっともらしく記載されたAI生成物による拒絶理由への懸 念が見られた。 ⚫ ただし、調査研究等を通じた実態把握において、(いわゆるAI自律発明も含め、)AIの生成物であ れども引用発明として認めることを肯定する意見が見られ、また、人の関与がないAIによる発明で あることを立証することは困難であるという意見も見られたことを踏まえると、引用発明として認め られるか否かの基準に、立証困難性の高いAIの利用有無の確認を直接的に含めることは適切でない 蓋然性が高いと考えられる。 21 ③「引用発明適格性」論点について (3)今後の検討の方向性(案) ✓ AI利活用による情報の大量生成・大量公開への懸念を念頭に、「刊行物の記載及び本願の出願時の 技術常識に基づいて、物(方法)の発明について、当業者がその物を作れる(その方法を使用でき る)こと」など、引用発明と認定するために満たすべき要件や基準の考え方を本小委員会で整理して はどうか。 ✓ ただし、引用発明と認定するための満たすべき要件や基準の考え方には、AIの利用有無の確認を含 めない方向で検討を進めてはどうか。 (4)留意事項 ⚫ 本論点(「引用発明適格性」論点)の検討に当たっては、次の点に留意する。 ✓ 特許法第2条と第29条は同一の「発明」という語を用いており、仮に特許法第2条の「発明」 にAI自律発明が含まれないと整理する場合、第29条の「発明」もAI自律発明を含まないとする 等の対応が必要となり得ること ✓ 技術分野により技術情報の在り方等は異なり得ること ✓ 他国の動向(例えば、米国特許商標庁は2024年に意見募集を行ったが結果の取りまとめ等は確 認されていない。)も引き続き注視すること ✓ 意匠制度においても現在議論されている事項であり注視する必要があること 22 今後の進め方及び御議論いただきたい点 今後の進め方 • 今回の本小委員会では、これまでの議論を振り返り、方向性を検討するに当たっての基本的な考 え方をお示ししつつ、今後の検討の方向性(案)等について御議論いただいた。 • 他方、AI技術の進展は著しく、AIを利活用するユーザーのニーズ及び他国の動向も日々変化して いる状況。日本の産業発展に資する形での制度設計を行うためには、最新の技術情勢を踏まえた 上で、実際にAIを利活用し研究開発を試みているユーザーの御意見、他国のAIを利活用した発 明創作活動の保護の在り方についての情報等を踏まえた上で検討を進める必要がある。 • そのため、本年度も継続して調査研究等を通じた実態把握を行い、本小委員会での検討において 活用予定。 • 次回以降、本日の御意見を踏まえて、事務局から調査研究、ヒアリング調査の結果等を御報告予 定。これらをもとに、特許制度上の適切な対応について、より具体的に御議論いただくことを想 定している。 御議論いただきたい点 ➢ 本日は、お示しした今後の検討の方向性(案)や議論において留意すべき観点について御意見を いただきたい。 23 3.国際的な事業活動におけるネットワーク関連発明等の 適切な権利保護 24 これまでの経緯と今後の進め方 これまでの経緯 ➢ 実質的に国内の実施行為と認められるための要件を明文化する方向で検討を深めるに当たり、前回 第53回の本小委員会では、本論点と関連性の深い「ドワンゴ対FC2事件」(令和7年3月3日言渡 し)の最高裁判決を分析した。 ➢ あわせて、当該最高裁判決後の状況について整理し、ドワンゴ対FC2事件の最高裁判決があくまで 個別事案に対するものであることから、当該事案と異なる態様については依然としてユーザーの権 利保護の予見性に関する制度上の課題が残されていることを確認した。 ➢ その結果、「実質的に国内の実施行為と認められるための要件」については、最高裁判決が出され た現在においても、引き続き制度的措置を念頭に、歩みを止めることなく検討を進める方向性につ いて複数の賛同の意見があった。 ➢ 他方、検討を進めるに当たり留意すべき点についての御意見もいただいたところ。 今後の進め方 ➢ 今次小委員会では、これまでの議論を通じて前提として整理された事項を確認した上で、「実質的 に国内の実施行為と認められるための要件」について更に検討を進めたい。 25 今後の検討における前提及び留意点の確認 ➢ 前回特許制度小委員会において御意見をいただいたとおり、これまでの議論を通して整理された、今後の「実質的に 国内の実施行為と認められるための要件」の検討における前提と留意点を確認したい。 今後の検討の前提(これまでに整理された事項) <実質的に国内の実施行為と認められるための要件> ➢ 「発明の『技術的効果』が国内で発現」と「発明の『経済的効果』が国内で発現」は共に考慮すべきである。 ➢ 事業実施者(特許権者以外)のクリアランス負担の観点も勘案し、「特許発明の構成要素の『一部』が国内で実施」 の要件を採用するといった対応が必要である。 <制度的措置の対象> ➢ 必要性及び許容性の観点から、あくまで「ネットワーク関連発明」を対象とした制度的措置を行うこととする。 <他条文への影響> ➢ 特許法第79条(先使用権)の「国内において」の考え方については、柔軟に解釈可能な余地があると考えられる。 「日本国内において」の文言のみを理由として「ネットワーク関連発明」に先使用権が主張できなくなるような事態 は避けるべきであるところ、必要に応じ、解釈明確化のための対応等を行うこととする。 ➢ 「公然実施をされた発明」については、日本国内と外国に跨がった公然実施は特許法第29条第1項第2号において 明示的には規定されていないが、そのような公然実施も新規性判断の基礎となるものと解される。 ➢ 上記の他に影響が及ぶ条文の有無と、制度的措置の要否については、引き続き検討する。 留意点 ➢ 検討に当たっては、「特許権の十分な保護とクリアランス負担のバランス」、「要件の明確性」、「ネットワーク関 連発明の技術進展の速さ」、「国際調和」等について引き続き留意する。 特許庁 ➢ 関連性の深い「ドワンゴ対FC2事件」(第1事件・第2事件)の諸判決は、本論点の検討を進めるに当たり重要な 判決であり参考とすべきである。 26 今後検討すべき事項と進め方 今後検討すべき事項 ➢ 「実質的に国内の実施行為と認められるための要件」を明文化し、ユーザーの実情とニーズに即した制度的 措置を実現するためには、以下の各要件について更なる検討が必要と考えられる。  今回検討を行う要件 (1)「特許発明の技術的効果が国内で発現」要件 (2)「特許権者に経済的な影響が国内で発現」要件(※)  次回以降検討を行う要件 (3)「特許発明の構成要素の一部が国内で実施」要件 ※ 「発明の経済的効果が国内で発現」と記載してきたが、特許権者に経済的な影響が国内で発現し ているかを検討するものとして整理できること(詳細後述)から、記載を明確化したい。 進め方 ➢ ➢ ➢ (3)の要件は、(1)及び(2)の要件によって規定される特許権の効力を及ぼすことが可能な範囲を、 事業実施者(特許権者)の立場におけるクリアランス負担の適正化の観点から調節する役割があるといえる。 そこで、今次小委員会では、まずは(1)及び(2)の要件について検討を深めたい。 次回以降、今回の検討を踏まえて(3)の要件によって特許権者の立場とクリアランスを行う事業実施者 (特許権者以外)の立場のバランスを検討していきたい。 27 (1)「特許発明の技術的効果が国内で発現」要件 技術的効果に関する要件の意義 ➢ ネットワーク関連発明ではサーバを国外に設置しても容易に日本市場でサービスが可能であるところ、サー バを国外に設置するだけで特許権が容易に回避されると「発明の保護及び利用を図ることにより、発明を奨 励し、もつて産業の発達に寄与すること」(第1条)という法目的に反するおそれがある。 ➢ 特許発明は技術的思想の創作であることに照らせば、上記のような場合に、日本の特許権の効力を及ぼすべ きか否かを判断するにあたり、第一に「技術的効果が国内で発現」しているか、という要件を設けるのが適 切ではないか。  想定事例1 技術的効果が国内で発現していると考えられる例 動画にコメ ントを見や すく表示す る特許発明  想定事例2 サーバーを 効率的に冷 却する 特許発明 海外 技術的効果 ✓ コメントの見やすい 動画が表示される! ✓ 特許発明の技術的効果は直接的に日 本で発現。 発明のポイントとなる処理は海外の サーバで実施。 技術的効果が国内で発現しているとは言い難い例 技術的効果 サーバーが効率的に 冷却され安定稼働! 海外のサーバーの安 定稼働によって、 安定してサーバーを 使用できる。 ✓ ✓ 特許発明の技術的効果は直接的には 海外で発現。 日本国内については、海外で発現した 技術的効果が波及して、一定の効果を もたらしているのみ。 想定事例2のように、海外で直接的に発現した技術的効果が波及して、国内でも一定の効果をもたらしてい るにとどまるものにまで日本の特許権で保護可能としてしまうと、権利行使可能なケースが無制限に拡大し、 要件としての明確性を損なうとともに、特許権の過剰な保護となるおそれ。 ⇨特許庁 (1)「特許発明の技術的効果が国内で発現」の要件が満たされるためには、特許発明が実施された結果と しての技術的効果が直接的に国内で発現していることが必要と整理すべきではないか(例:想定事例1)。28 ✓ (補足)特許発明の「技術的効果」の認定 ➢ 特許発明の「技術的効果」の認定は、特許審査における進歩性等の判断で行われているた め、当該判断手法が参考になる。 「技術的効果」の認定についての考え方 ➢ 特許・実用新案審査基準には「(i)その効果が明細書に記載されている場合 (ii)その効果は 明細書に明記されていないが、明細書又は図面の記載から当業者がその効果を推論できる 場合」に、発明の有利な効果として参酌する旨記載されている。 * 第III部第2章第2節3.2.1 (2) より抜粋。 ➢ 一方、明細書に記載されている効果であっても、係争対象の請求項に記載されている発明 特定事項から生じる効果とはいえないもの(例えば、明細書に複数の実施例が記載されて いて、係争対象の請求項に係る発明とは無関係な実施例のみで奏する効果)については、 特許発明の「効果」として認定すべきではない。 ✓ 「技術的効果」とは、「明細書等に記載されている効果及び明細書等の記載から当業者が 推論可能な効果(請求項に記載されている発明特定事項によって奏されるものに限る)」 と考えられるのではないか。 29 (2)「特許権者に経済的な影響が国内で発現」要件 経済的な影響に関する要件の意義 ➢ 特許法が規制する行為(第三者が無断で「業として」実施)が行われ、特許発明の効果が国内で発現すれば、 通常、特許権者への経済的な影響も発現するところ、技術的効果に関する要件とは別に経済的な影響に関する 要件を設ける必要はない等のご意見もあった。 ➢ しかしながら、ネットワーク関連発明においては、一つのサーバに複数国から接続される場合など、(被疑侵害 者が本来意図していなかった国を含め)複数の国で技術的効果が同時に発現し得る。そのため、本来日本を意図 しておらず、日本のユーザはごく少数にとどまる場合など、特許発明の「技術的効果」が一応国内で発現してい ても、特許権者に経済的な影響が国内で発現しているとは言い難い場合が例外的に生じ得る(下図の想定事例参 照)。 ➢ 現行特許法でも、特許権者に経済的な影響が生じない例外的な場合(特許法69条に規定する試験・研究等)に は特許権の効力を制限している(※)ところ、ネットワーク関連発明においても、特許権者に経済的な影響が生 じていない例外的な場合には特許権の効力を制限すべく、「特許発明の技術的効果が国内で発現」とは別に、 (2)「特許権者に経済的な影響が国内で発現」要件は必要ではないか。 ※ 「法69条第1項の趣旨は、試験又は研究のためにする特許発明の実施は、通常は特許権者の有する経済的利益を害することはなく、 このような実験にまで特許権の効力を及ぼすことは、かえって技術の進歩を阻害し、産業の発達を損なう結果となるため、産業政策 上の見地から、特許権者と一般公共の利益との調和を図る」(知財高判令和7年3月19日令和5年(ネ)第10040号) A国向けネットワークサービス 想定事例 特許権者に経済的な影 響が国内で発現しない例 (特許発明の技術的効果は 国内で一応発現) ごく少数の日本のユーザー ✓ 技術的効果は一応国内で発現 ✓ 国内の実施規模は極めて小さい サーバー 多数のA国のユーザー ✓ 日本国外にサーバを設置 ✓ A国語でサービス提供、決済もA国通貨 ⇨ 上記のとおり、(1)「特許発明の技術的な効果が国内で発現」している場合、通常は(2)の要件を満たす と考えられるため、「経済的な影響」は、「事業等によって特許発明の技術的な効果が国内で奏される場合に、 特許権者に対して通常発現し得る経済的な影響」と広く解釈しつつ、例外的に「特許権者に経済的な影響が国内 で発現していない」という事情が認定された場合にのみ、(2)の要件を満たさないと整理すべきではないか。30 (補足)「特許権者に経済的な影響が国内で発現していない」という事情の認定 ➢ 「特許権者に対する経済的な影響が国内で発現していない」ことの認定には、以下のとおり事業実施 者(被疑侵害者)側の事情が重要なポイントとなると考えられる。 「特許権者に対する経済的な影響が国内で発現していない」ことの認定の考え方 ➢ 被疑侵害者側の国内の「事業規模」(国内ユーザ数、(プログラムの場合)国内ダウンロード数、国 内収益等)が極めて小さい場合、特許権者への経済的な影響が発現していない重要な考慮要素となり 得る。 ➢ また、現時点で被疑侵害者側の国内の事業規模が小さくとも、例えば日本語でサービスを提供し、日 本円決済ができる、(実際に収益が発生する前であっても)日本国内で当該事業に関する宣伝を積極 的に行っているなど、「事業態様」(サービス言語、決済通貨、宣伝の態様等)によっては、特許権 者の利益を潜在的に害するおそれがあり、必ずしも経済的な影響が発現していないとは言い切れない 場合もあり得る。 ✓ 「特許権者に経済的な影響が国内で発現していない」例外的な場合(特許権の効力を及ぼすべきではな い例外的な場合)としては、例えば、国内実施規模(国内ユーザ数、(プログラムの場合)国内ダウン ロード数、国内収益等)が極めて小さく、事業態様(サービス言語、決済通貨、宣伝の態様等)を見て も国内での事業規模が今後拡大する見込みが極めて乏しいような場合と整理できるのではないか 31 (参考)WIPO共同勧告 ➢ 商標法の属地性とインターネットの世界性との関係から生じる各国における商標権の抵触問題等を解決するた め、2001年に開催されたWIPO一般総会において、「インターネット上の商標及びその他の標識に係る工業所 有権の保護に関する共同勧告」(WIPO共同勧告)※が採択された。 ※「(仮訳)インターネット上の商標及びその他の標識に係る工業所有権の保護に関する共同勧告」 https://www.jpo.go.jp/news/kokusai/wipo/document/1401-037/kyoudoukannkoku.pdf ➢ 条約のような強制力を有していないものの、各国がガイドラインとして考慮することができる。 ➢ すべての関連する状況を考慮して、商業的効果を有する場合には、当該メンバー国における使用であると判断 する(WIPO共同勧告第2条、第3条参照)。 ➢ 商業的効果の判断に際しては、当該国でビジネスを行っているか、当該国の通貨や言語が使用されているか、 当該国に所在する顧客に対して商品・サービスを提供する意図のないことを表示しているか等が考慮される。 海 外 サーバー ショッピングサイト ~オンライン○○マーケット~ 日本の登録商標 「JPO camera」 デジタル一眼レフカメラ 日本語表示 xx,xxx円 国 内 日本円の表示 登録商標の使用は、 日本において 商業的効果を 有している ✓ WIPO共同勧告はあくまでも商標制度に係るガイドラインである点に留意は必要であるが、(特 許権者に国内で発現する)「経済的な影響」の評価において参考になるものと考えられる。 32 御議論いただきたい論点 ➢ 今次小委員会では、(1)「特許発明の技術的効果が国内で発現」と(2)「特許権者に経済的な影 響が国内で発現」の要件につき、以下の方向性で問題ないか御意見をいただきたい。 (1)「特許発明の技術的効果が国内で発現」要件 ➢ (1)「特許発明の技術的効果が国内で発現」の要件が満たされるためには、特許発明が実施された結 果としての技術的効果が直接的に国内で発現していることが必要と整理すべきではないか。 ✓ 海外で直接的に発現した技術的効果が波及して、国内でも一定の効果をもたらしているにとどまるもの は除外。 ➢ 「技術的効果」とは、「明細書等に記載されている効果及び明細書等の記載から当業者が推論可能な 効果(請求項に記載されている発明特定事項によって奏されるものに限る)」と考えられるのではな いか。 (2)「特許権者に経済的な影響が国内で発現」要件 ➢ 「経済的な影響」は、 「事業等によって特許発明の技術的な効果が国内で奏される場合に、特許権者 に対して通常発現し得る経済的な影響」というように広く解釈すべきではないか。 ➢ 特許発明の技術的効果が国内で発現しているにも関わらず、特許権者に経済的な影響が国内で発現して いない例外的な場合(特許権の効力を及ぼすべきではない例外的な場合)としては、例えば、国内実施 規模(国内ユーザ数、(プログラムの場合)国内ダウンロード数、国内収益等)が極めて小さく、事業 態様(サービス言語、決済通貨、宣伝の態様等)を見ても国内での事業規模が今後拡大する見込みが極 めて乏しいような場合と整理できるのではないか。 33 4.次回の特許制度小委員会について(予定) 34 次回の特許制度小委員会について(予定) ➢ 開催予定時期 • 令和7年夏~秋頃(予定) ➢ 御議論いただく内容 • 国際的な事業活動におけるネットワーク関連発明等の適切な権利保護、AI技術の発達を踏まえた 特許制度上の適切な対応及び知的財産の侵害抑止へ向けた取組について、これまでにいただいた御 指摘を踏まえて引き続き御議論いただく予定。 ※その他、御審議いただく必要がある議題が生じた場合には、議題を追加させていただきたい。 35