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産業構造審議会 知的財産分科会 特許制度小委員会 第51回

2025-01-17一次資料(出典)

議事録・配布資料の全文(政府公表資料より。要約でなく原文に基づく参照用)。

産業構造審議会 知的財産分科会 特許制度小委員会 第51回 資料産業構造審議会 知的財産分科会 特許制度小委員会 第51回 資料産業構造審議会 知的財産分科会 特許制度小委員会 第51回 資料産業構造審議会 知的財産分科会 特許制度小委員会 第51回 資料産業構造審議会 知的財産分科会 特許制度小委員会 第51回 資料産業構造審議会 知的財産分科会 特許制度小委員会 第51回 資料産業構造審議会 知的財産分科会 特許制度小委員会 第51回 資料産業構造審議会 知的財産分科会 特許制度小委員会 第51回 資料

議事要旨

。 産業構造審議会 知的財産分科会 第51回特許制度小委員会 議事要旨 1. 日時・場所 日時:令和7年1月17日(金曜日) 10時00分~12時00分 場所:特許庁特別会議室(特許庁庁舎16階)+Web会議室 2. 出席者 石井委員、今村委員、井本委員、木元委員、工藤委員、相良委員、杉村委員、玉井委員長、田村委員、中尾委員、中島委員、中畑委員、松山委員、山中委員 3. 議題 DX時代にふさわしい産業財産権手続に関する制度的措置について AI技術の発達を踏まえた特許制度上の適切な対応について 国際的な事業活動におけるネットワーク関連発明等の適切な権利保護について その他報告事項について 4. 議事内容 事務局より、資料1に沿って、説明が行われた。 議題について、自由討議が行われた。 事務局より、資料2に沿って、説明が行われた。 議題について、自由討議が行われた。 事務局より、資料3に沿って、説明が行われた。 議題について、自由討議が行われた。 事務局より、資料4に沿って、説明が行われた。 以上 [更新日 2025年1月23日] このページの先頭へ 知的財産権関連リンク集 サイトマップ プライバシーポリシー このサイトについて 住所:〒100-8915 東京都千代田区霞が関3丁目4番3号 電話番号:03-3581-1101(代表) Copyright © Japan Patent office. All Rights Reserved.

資料1

産業構造審議会知的財産分科会 第51回特許制度小委員会 議事次第・配布資料一覧 日 時:令和7年1月17日(金)10時00分開会 会 場:特許庁庁舎16階特別会議室+Web会議室 (議事次第) 1.開会 2.DX時代にふさわしい産業財産権手続に関する制度的措置について 3.AI技術の発達を踏まえた特許制度上の適切な対応について 4.国際的な事業活動におけるネットワーク関連発明等の適切な権利保護について 5.その他報告事項について 6.閉会 (配布資料) 議事次第・配布資料一覧 委員名簿 資料1 DX時代にふさわしい産業財産権手続に関する制度的措置 資料2 AI技術の発達を踏まえた特許制度上の適切な対応 資料3 国際的な事業活動におけるネットワーク関連発明等の適切な権利保護 資料4 報告・事務連絡

資料2

令 和 7 年 1 月 17 日 第 51 回特許制度小委員会 産業構造審議会 知的財産分科会 特許制度小委員会 委員名簿 石井 夏生利 中央大学国際情報学部 教授 今村 玲英子 創英国際特許法律事務所 井本 史生 日本経済団体連合会知的財産・国際標準戦略委員会 弁理士 企画部会委 員/日本電気株式会社知的財産部門長 委員長 木元 哲也 株式会社木元省美堂 代表取締役社長 工藤 郁子 大阪大学社会技術共創研究センター 相良 由里子 日弁連知的財産センター 委員長/ 中村合同特許法律事務所 パートナー弁護士 特任准教授 杉村 純子 プロメテ国際特許事務所 代表弁理士 杉山 悦子 一橋大学大学院法学研究科 教授 玉井 克哉 東京大学先端科学技術研究センター 信州大学経法学部 特任教授/ 特任教授 田村 善之 東京大学大学院法学政治学研究科 教授 中尾 直樹 日本弁理士会知財制度検討委員会 委員長/ 中尾国際特許事務所 弁理士 中島 基至 東京地方裁判所(知的財産権部) 部総括判事 中畑 稔 One ip 弁理士法人 橋本 佳幸 京都大学大学院法学研究科 松山 智恵 TMI 総合法律事務所 山中 昭利 一般社団法人日本知的財産協会 理事長/ 株式会社デンソー 担当部長 代表パートナー弁理士 教授 パートナー弁護士 技術企画部 (敬称略、五十音順)

資料3

資料1 DX時代にふさわしい産業財産権手続に関する制度的措置 産業構造審議会知的財産分科会 第51回特許制度小委員会 令和7年1月17日 DX時代にふさわしい産業財産権手続に関する制度的措置 1.ePCTによるオンライン出願・発送の導入 1 PCT国際出願制度について ➢ 特許協力条約(PCT:Patent Cooperation Treaty)に基づく国際出願(PCT国際出願)は、国際的に統 一された出願書類を、PCT加盟国である自国の特許庁に対して一通だけ提出すれば、出願時の全ての PCT加盟国(令和6年11月現在で158ヶ国)に対して「国内出願」を出願したことと同じ扱いを受け ることができる制度。 外国特許庁に対して直接出願する場合 ➢ 各国は、特許権を取得するための手続を独自 に定めているため、その国の様式、言語によ り出願書類を作成する必要がある。 ➢ 出願国数が多くなればなるほど、全ての国に 対して迅速に手続を行うことは困難。 米国の代理人 英語 米国の特許庁 中国の代理人 出願 中国語 中国の特許庁 人民元 ドイツの代理人 独語 出願 ドイツの特許庁 個別手続へ進む 国 際 調 査 出願人 特 許 特 許 国内段階 国際段階 ➢ PCT国際出願は、国際段階 においては「出願の束」 であるといえる。 特 許 出願人 PCT国際出願をする場合 自国の官庁に出願することに より、全ての加盟国における 出願日を確保。 出願 国 際 公 開 日本国特許庁 WIPO (受理官庁) 国際調査(特許性に関する予備的見解)を踏まえ、 加盟国ごとの個別手続へ進むか否かを決定できる。 米国の特許庁 個別手続へ進む 中国の特許庁 特 許 特 許 個別手続へ進まない ドイツの特許庁 2 現行制度の課題:PCT国際段階におけるオンライン手続(出願・発送) ➢ PCT国際出願・中間書類の提出は、日本国特許庁(JPO)が提供するインターネット出願ソフト (JPO-PAS)でオンライン提出が可能であるが、庁内・ユーザー向けシステムの改造にはコスト・ 時間が必要となるため、頻繁なPCT規則改正などにタイムリーに対応することが困難な状況にある。 ➢ PCT国際段階の発送書類は、JPOから出願人に全件紙で郵送しており(年間約25.2万件:令和5年実績) 、 出願人より、オンラインによる発送を求める声が多数寄せられている(調査研究(※)等においても、オンラ イン発送の強いニーズが確認されている)。 (※)令和6年度産業財産権制度問題調査研究「特許法等関係法令に基づく手続等の利便性向上及び制度・運用改善に向けた調査研究」 (本調査研究の概要は後述のP30参照) 現行制度の課題 PCT国際段階の発送書類は全件 紙で郵送(オンライン非対応) ⇒出願人より、オンラインによ る発送を求める声が多数 インターネット出願ソフト (JPO-PAS)をインス トールして使用 JPO-PAS 通知等 オンライン出願率 99.4%(令和5年) JPO/PCT 関連システム 出願人 出願関連書類等 ユーザー向けシステム(JPO-PAS) の改造にはコスト・時間が必要 ⇒規則改正にタイムリーに対応する ことが困難 JPO(受理官庁/国際調査機関等) 庁内システムの改造には コスト・時間が必要 ⇒規則改正にタイムリー に対応することが困難 物理的な書類の流れ 電子的な書類の流れ 3 課題解決の手段としてのePCTの活用 ➢ システムの改造コストを抑えながら、現行制度の課題を解決してユーザーの利便性向上を図るために は、世界知的所有権機関(WIPO)が提供するWebサービスである「ePCT」を活用したオンライン 出願・発送の導入を検討する必要がある。 ➢ PCT国際段階におけるオンライン手続は、国内法令(特例法・国際出願法(※1)及びこれらの下位法令)において定 められている(※2)ところ、ePCTによるオンライン出願・発送の導入にあたっては、PCT条約・規 則・実施細則との考え方の違い等に応じて、国内法令の改正が必要となる。 ePCTとは (※1)特例法:工業所有権に関する手続等の特例に関する法律(平成二年法律第三十号)、国際出願法:特許協力条約に基づく国際出願等に関する法律(昭和五十三年法律第三十号) (※2)国際出願関連通知等は、現行の特例法において特定通知等(オンラインでの通知等)として指定されていない。 ➢ 出願人・官庁向けに電子出願機能などをWIPOが提供するWebベースのサービス ➢ 88の受理官庁でePCTを利用したPCT国際出願を受付 ➢ ソフトウェアのインストールや更新作業が不要で、10言語(※3)でサービスを提供 <ePCTの主要な機能> 出 願 人 官 庁 (※3)日本語、英語、アラビア語、中国語、フランス語、ドイツ語、韓国語、ポルトガル語、ロシア語、スペイン語 出願機能 PCT国際出願・中間書類の提出、入力支援 閲覧機能 出願の書誌情報や書類の閲覧・ダウンロード 管理機能 電子メールによる通知、国際出願の情報等を閲覧する権限の管理 受理機能 PCT国際出願・中間書類の受理 オフィス機能 通知・国際調査報告書等の作成 通信機能 出願人・WIPO・参加官庁との通信 4 (参考)ePCT活用のメリット • ePCTは、WIPOが提供するWebベースのサービス • 出願人向けの電子出願機能、官庁向けの受理機能やオフィス機能等を提供 外部サービスの活用は、利便性向上や開発コストの低減につながるため、 WIPOが提供するサービスを効果的に活用(デジタル戦略202Xより) 発送書類のオンライン化、優先権書類の電子交換、PCT規則改正への迅速な対応、などを実現 各官庁がePCTを利用しない場合(現在のJPO) 各官庁がePCTを利用した場合 不要 DB ePCT 官庁 JPO DB JPO-PAS で申請 JPO WIPO宛 発送書類 etc. DB 官庁 紙発送 不要 ePCTで 業務実施 受理機能 オフィス機能 etc. DB 不要 WIPO 官庁 webで 申請・発送 不要 DB 出願人 官庁 官庁 出願人 官庁 5 ePCTによるオンライン出願・発送の導入(将来像のイメージ) ➢ ePCTを活用することにより、WIPOシステムを通じて一元的に国際出願関連書類の提出及び発送の オンライン化を実現し、頻繁に改正されるPCT規則に迅速・柔軟に対応できるオンライン環境を提供 することで、ユーザーの利便性向上を図る。 ➢ JPOにおいては、データベース重複保有の回避やシステム開発コストの削減に加え、従来かかってい た通知等の郵送コスト・人件費の削減や誤送リスクの回避ができる(=行政のDX推進に資する)。 ePCT活用の全体イメージ (実質的な)オンラ イン発送 ⑥ePCTで閲覧(通知等のダウンロード 可能) 出願関連書類等 ①WIPOからePCT アカウントを取得 2段階認証/電子証明書で セキュアな利用環境を確保 ・専用ソフトのインストール、バージョン管理不要 ・最新のPCT規則改正に対応した様式で手続を実施 ・署名の選択肢も拡大 (テキスト署名(例:/特許 太郎/)も可能に) ・事務処理ステータスもePCT経由で閲覧可能 出願・発送の一元的オンライン化 通知等 ③ePCTを用いた方式 審査、通知・報告書 等の作成 ePCT ePCT 受付サーバー ②ePCTによる オンライン申請 誤送リスクの回避 最新のPCT規則改正に 対応した様式で通知、 報告書等を作成 ⑤ePCT上で通知等 が検索可能になった 旨をメール等で通知 ePCT 出願人 郵送コスト・人件費の削減 オンライン発送の実現 WIPO/PCT 関連システム WIPO 通知等 ④通知等をWIPO のシステムに格納 PCT 受付システム JPO (受理官庁/国際調査機関等) システム開発コストの削減 データベース重複保有の回避 6 法令面における対応の方向性(ePCTによるオンライン発送) ➢ オンライン発送について、現行の国内法令では、相手方(出願人)の電子計算機への「到達」時点が 基準とされているのに対し(特例法第5条第3項)、ePCTについては、PCT実施細則において「出願人が 電子システムにより検索可能になった日に出願人に送付されたものとみなす」(709(bの2))として国 内法令とは異なる考え方が採用されている。 ⇒ PCT国際段階の通知について、国内法令の改正により、PCT実施細則における当該規定に準じて、 ePCTを通じた発送の時点を明確化するなど、所要の措置を行うこととしたい。 (あわせて、オンライン発送に関する考え方の違いによりユーザーの実務に大きな影響を与えることが ないよう、発送書類が検索可能になった旨を電子メール等で出願人等に通知することを想定。) ePCT活用の全体イメージ ⑥ePCTで閲覧(通知等のダウンロード 可能) ※法令面での対応・留意事項を色付き吹き出しに記載 ePCT ⑤ePCT上で通知等 が検索可能になった 旨をメール等で通知 出願関連書類等 オンライン上「検索可能な状態」に なった日に「発送したものとみなす」 旨を規定。 ePCT ePCT 受付サーバー 出願人 ①WIPOからePCT アカウントを取得 ②ePCTによる オンライン申請 ePCTによる出願についても、 引き続き、特例法の特定手続と して、オンライン手続が可能。 ③ePCTを用いた方式 審査、通知・報告書等 の作成 WIPO/PCT 関連システム WIPO 料金納付方法に関し、JPO-PASでは「予納」、「口座振替」、「クレジットカード 決済」、「電子現金納付」、「現金納付」が選択可能であるが、いずれもJPO-PAS に対応した技術的仕様であるため、ePCTで全ての納付方法に対応することは困難。 通知等 ④通知等をWIPO のシステムに格納 JPO (受理官庁/国際調査機関等) 7 法令面における対応の方向性(ePCTによるオンライン出願) ➢ ePCTによるオンライン出願自体については、基本的には現行の国内法令の下での対応が可能と考え られる。 ➢ 別途、ePCTによるオンライン出願時の料金納付方法については、JPO-PASとePCTの技術的仕様の差 異と開発にかかる費用対効果も踏まえ、JPO-PASで許容されている料金納付方法のうち、利用実績の 高いものを残すべく、国内法令の改正により、所要の措置を行うこととしたい。 <JPO-PASによるPCT国際出願で利用されている納付方法の割合> 令和2年 令和3年 令和4年 令和5年 予納 65.0% 57.0% 43.3% 31.9% 現金納付 0.1%以下 0.1%以下 0.1%以下 0.1%以下 電子現金納付 1.3% 0.7% 0.5% 0.4% 口座振替 20.9% 18.3% 14.1% 12.6% クレジット カード 12.7% 24.0% 42.0% 55.1% 8 ePCT活用に向けたスケジュール(案) ➢ ePCTの活用にあたっては、本サービスを提供するWIPOの協力が不可欠であるが、JPOにおける ePCTの導入に向けた検討を本格的に行うべく、WIPOとJPOで認識を共有する共同意図表明(Joint Statement of Intent)に対し、令和6年10月15日に署名をしたところ。 ➢ 特許特別会計の財政運営上、許容されるのであれば(※1)、ePCTによるオンライン発送/出願それ ぞれの導入時期等について、以下の方向で検討中。 ✓ ePCTによるオンライン発送は、令和7年中は書面の郵送と並行して試行を実施した後(全書面の 9割程度(※2)の書類を想定)、早ければ令和8年中に、ePCTによる通知に切り替え、対象書類 の重複郵送を廃止することを目指す。 ✓ ePCTによるオンライン出願については、WIPO側、JPO側双方のシステム改造が想定されており、 令和10年1月頃の出願受付開始を検討。また、ユーザー側の対応期間(ePCTの周知状況、操作の 習熟度)を踏まえ、ePCTに一本化するまでにJPO-PASとePCTを一定期間並行稼働させる方向で 検討。 (※1)特許特別会計の財政運営については、財政点検小委員会(産業構造審議会知的財産分科会の下に設置)で審議を行っている。 (※2)残る1割程度の書面の郵送に関しては、システム改造やWIPOとの協議の進捗を踏まえ、随時、オンライン発送の対象に加え る方向で検討する予定。 9 参照条文 【工業所有権に関する手続等の特例に関する法律(平成二年法律第三十号)】 (電子情報処理組織による特定手続) 第三条 手続をする者は、経済産業大臣、特許庁長官、審判長又は審査官に対する特許等関係法令の規定による手続であって経済産業省令 で定めるもの(以下「特定手続」という。)については、経済産業省令で定めるところにより、電子情報処理組織を使用して行うことが できる。 2 前項の規定により行われた特定手続は、前条第一項の特許庁の使用に係る電子計算機に備えられたファイル(第五条第三項並びに第十 三条第二項及び第三項を除き、以下単に「ファイル」という。)への記録がされた時に特許庁に到達したものとみなす。 3 第一項の規定により行われた特定手続については、当該特定手続を書面の提出により行うものとして規定した特許等関係法令の規定に 規定する書面の提出により行われたものとみなして、特許等関係法令の規定を適用する。 (電子情報処理組織による特定通知等) ※未施行(令和8年施行予定) 第五条 経済産業大臣、特許庁長官、審判長又は審査官は、特許等関係法令の規定による通知又は命令であって経済産業省令で定めるもの (以下「特定通知等」という。)については、経済産業省令で定めるところにより、電子情報処理組織を使用して行うことができる。た だし、特定通知等の相手方が電子情報処理組織を使用する方法により特定通知等を受ける旨の経済産業省令で定める方式による届出をし ている場合に限る。 2 (略) 3 第一項の規定により行われた特定通知等は、次に掲げる時のいずれか早い時に、当該特定通知等の相手方に到達したものとみなす。 一 特定通知等の相手方が当該特定通知等についてその使用に係る電子計算機(特許庁の使用に係るものを除く。)に備えられたファイ ルへの記録をした時 二 特許庁が、前号の記録をすることができる措置をとった日から十日を経過した時 4~6 (略) 10 参照条文 【工業所有権に関する手続等の特例に関する法律(平成二年法律第三十号)】 (予納による納付) 第十四条 特許法第百七条第一項の特許料若しくは同法第百十二条第二項の割増特許料その他工業所有権に関する登録料若しくは割増登録 料(以下「特許料等」という。)又は第四十条第一項、特許法第百九十五条第一項から第三項まで、実用新案法第五十四条第一項若しく は第二項、意匠法第六十七条第一項若しくは第二項、商標法第七十六条第一項若しくは第二項若しくは国際出願法第八条第四項、第十二 条第三項若しくは第十八条第一項若しくは第二項の手数料(経済産業省令で定める手続について納付すべきものに限る。以下この章にお いて同じ。)を納付しようとする者は、経済産業省令で定めるところによりあらかじめ特許庁長官に届け出た場合に限り、当該特許料等 又は手数料を予納することができる。 2~4 (略) (口座振替による納付) 第十五条の二 特許料等又は手数料を現金をもって納めることができる場合において、特許庁長官は、当該特許料等又は手数料を納付しよ うとする者から、預金又は貯金の払出しとその払い出した金銭による納付をその預金口座又は貯金口座のある金融機関に委託して行うこ と(次項及び第十六条において「口座振替による納付」という。)を希望する旨の申出(電子情報処理組織を使用して行うものに限 る。)があった場合には、その申出を受けることが特許料等又は手数料の収納上有利と認められるときに限り、その申出を受けることが できる。 2 (略) (指定立替納付者による納付) 第十五条の三 特許料等又は手数料を現金をもって納めることができる場合において、特許庁長官は、当該特許料等又は手数料を納付しよ うとする者から、当該特許料等又は手数料を立て替えて納付する事務を適正かつ確実に遂行するに足りる財産的基礎を有することその他 の経済産業省令で定める要件に該当する者として特許庁長官が指定するもの(次項及び次条において「指定立替納付者」という。)をし て当該特許料等又は手数料を立て替えて納付させることを希望する旨の申出があった場合には、その申出を受けることが特許料等又は手 数料の収納上有利と認められるときに限り、その申出を受けることができる。 2 (略) 11 参照条文 【工業所有権に関する手続等の特例に関する法律施行規則(平成二年通商産業省令第四十一号)】 (予納、口座振替又は指定立替納付者による納付の申出に係る手続の指定) 第三十八条の二 法第十四条第一項(法第十六条において準用する場合を含む。以下この条において同じ。)の経済産業省令で定める手続 について、予納、口座振替による納付の申出又は電子情報処理組織を使用して指定立替納付者による納付の申出をする場合は、第十条第 一号から第五号まで、第五号の二 (イ、ロ、ホ及びヌに掲げる手続に係るものに限る。)、第十五号、第十八号、第十九号、第二十三 号、第二十六号、第三十号、第三十一号、第三十八号から第四十二号まで、第五十二号、第五十四号から第五十八号まで、第六十二号、 第六十三号及び第六十六号に掲げる特定手続並びに別表第一の二の一、三 (国際出願等に係る手数料を納付するものに限る。)、四か ら十二まで、十五、十七、二十四、三十二、三十三、三十九から四十一まで、四十六、四十七、五十一、五十六から六十まで、六十二、 六十三、八十五、八十六、八十九、九十、九十二、百及び百十五 (商標登録令施行規則第四条第一項に規定する申請書を提出する場合 に限る。)の項に掲げる特定手続 (以下この項において 「別表第一の二に掲げる特定手続」という。)とする。ただし、別表第一の二 に掲げる特定手続 (同表の三の項に掲げるもの (国際出願等に係る手数料を納付するものに限る。)を除く。)に係る予納による納付 の申出にあっては、当該特定手続を電子情報処理組織を使用してする場合又は第二十五条の規定による磁気ディスクの提出によりする場 合に限る。 【PCT実施細則】 第709号 出願人との通信手段 (a)・(b) (略) (bの2) 受理官庁がそのようなサービスを提供し、かつ、出願人がそれを請求する場合は、受理官庁は、出願人に書類を直接送付する代わ りに、附属書 F のセクション 5.1 の 3 に定める標準に従って、出願人が電子システムによって当該書類を検索できるようにすることが できる。この場合、当該書類は、出願人が当該電子システムにより検索可能になった日に、出願人に送付されたものとみなす。受理官庁 は、出願人がその他の手段による送付を請求する場合のほか、新たな書類が利用可能になった場合には、電子手段により出願人に速やか に通報する。 (c)・(d) (略) 12 DX時代にふさわしい産業財産権手続に関する制度的措置 2.公報におけるプライバシーの保護 13 特許等公報発行制度の意義・目的 ➢ 特許庁は、特許法等に基づき公報を発行している。公報発行の主な目的は、以下の2点。 • 出願の公開:「出願情報」を一般に提供することで重複投資を防止し効率的な投資を促す • 権利の公示:各権利の範囲を示す「権利情報」を一般に提供することで紛争の回避に資するとともに その活用を促す ➢ 明治22年以降、公報発行により、出願情報及び権利情報等を広く情報提供。平成27年4月に全て の公報についてインターネットでの発行を実現。 ➢ インターネットを通じて無料で産業財産権情報の検索ができるサービスとして、独立行政法人工 業所有権情報・研修館(以下、INPIT)において、平成27年3月より「特許情報プラットフォー ム(J-PlatPat)」が運用開始(前身事業の「特許電子図書館(IPDL)」は、特許庁において平成11年より提供開始)。 本サービスでは公報情報にも簡便にアクセスが可能。 ➢ 特許情報標準データ(※)や諸外国の公報データなどをダウンロードできるサービスとして、 「特許情報の一括ダウンロードサービス」も提供している。 (※)特許庁が保有する特許・実用新案・意匠・商標に関する書誌・経過情報等について、情報の更新日単位でまとめられたバルクデータ。 出願人・権利者及び発明者等 ◆ 自身の出願・権利が公報に掲載。 ➢ インターネット公報 ➢ J-PlatPat ➢ 特許情報一括ダウンロードサービス 情報提供事業者 ◆ 産業財産権情報の提供事業や分析 事業等のために、公報等の産業財 産権情報にアクセス。 第三者ユーザー ◆ 他者の技術動向やクリアランス調 査等のため、公報等の産業財産権 情報にアクセス。 分析研究者 ◆ 技術動向等各種研究・分析のため に、公報等の産業財産権情報にア クセス。 14 現行制度の課題 ➢ 公報においては、「権利の公示」の観点等より、出願人・権利者及び発明者等を特定するため、特 許法等に基づき氏名及び住所(居所)の個人情報を掲載。 ➢ インターネットでの公報発行により誰でも容易に個人情報にアクセスできるが、昨今、社会全体に おけるDXの進展に伴い、特許制度上、想定される利用範囲を超えた個人情報の転用や発信等も容易 になっている中、プライバシー保護の必要性が従前より高まっている。 ➢ 平成27-28年頃より、法改正を要さずに実施可能なJ-PlatPat(公報PDF表示以外)等の特許情報提 供サービスにおける住所概略化を順次開始したものの、その後も依然として多くのユーザーから、 公報における個人の出願人・権利者及び発明者等の住所非表示に関する要望が寄せられている。 ⇒出願人・権利者及び発明者等の住所情報の利活用とプライバシー保護の必要性の両側面を踏まえた上 で、DX時代にふさわしい制度的措置として、公報における住所表記の在り方を検討する必要がある。 過去の検討経緯 ✓ 平成28年に、知財分科会情報普及活用小委員会から「個人情報の保護を強化する必要性が高まっていることに鑑み、公報に掲載す る住所を概略化すべき。」旨の提言を受け、法改正の検討を実施したものの、その当時は立法事実※の不足等により法改正は見送り との結論となった。 ※当時は、個人住所掲載の課題が公報と特許情報提供サービスのどちらに起因するものか特定できなかったため、まずは 運用で対応可能な特許情報提供サービスでの住所概略化の効果を見た上で、法改正の必要性は引き続き検討とされた。 ユーザーからの非表示要望の理由 ✓ ✓ ✓ ✓ SNS等で活動している個人事業家であり、居住住所が公開されている現状は、 不特定多数から悪質な嫌がらせ等を受ける可能性を高くしている。 注目されているイラスト・クリエーターや芸能活動を行っている出願人の場合、 氏名や住所が勝手にネット記事などに転用されることや、一部の変質的なファ ン等によって身に危険が及ぶことが想定される。 自宅住所がネット検索等で発見されると、出願人本人だけでなく同居家族にも 被害が及ぶことが想定される。 商標出願したいが、個人情報が悪用される可能性があるため出願できない。 公報における住所記載の例 15 令和6年度調査研究 公報に住所が掲載される者のニーズ ー 掲載希望の有無・理由 ー ➢ 公報における個人住所の掲載希望の有無について、希望しない者自体は50%~60%程度であり、 どちらでもよい者まで含めた希望のない者は80%~90%程度。 ➢ なお、掲載を希望する者においては、「ライセンス交渉等の連絡を受けるため」や「メーカーか らの問合せを受けるため」等が理由として挙げられている。 出願人・権利者 Q:掲載を希望する理由 Q:公報に自身の住所を掲載したいか 希望する 24% どちらでも 希望しない 57% よい 19% n=323 Q:公報に自身の住所を掲載したいか 希望する 13% よい 37% ライセンス交渉等の連絡を受けるため。 ✓ 住所情報で権利者を特定することでビジネスにおける利用が有利となるため。 ✓ 知名度向上のため。 ✓ 商談時に有効なため。 ✓ 権利者の所在を明確化するため。 ※個人・団体 発明者等 希望しない 50% どちらでも ✓ n=599 Q:掲載を希望する理由 ✓ メーカーからの問合せを受けるため。 ✓ 技術的な質問を受けることがあるため。 ✓ 問い合わせが容易になり色々な広がりができるため。 ✓ 会社内としているので不都合がないため。 ※個人・法人・大学発明者・団体 令和6年度産業財産権制度問題調査研究「公報における出願人等住所の概略表記に関する調査研究」(三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社) ■アンケート調査(※):対象:個人 319者・法人 280者・情報提供事業者 72者・分析研究者 9者・大学発明者 7者・団体 9者 ■公開情報調査:海外制度に関する情報収集 ※アンケート調査では、一部の設問を除き、(四法別ではなく)公報全般に係る設問を設定しており、本資料においても特記がないものは公報全般 に対する回答となっている。 16 令和6年度調査研究 公報に住所が掲載される者のニーズ ー 支障の有無・内容 ー ➢ 住所の掲載による支障がないユーザーが多数の反面、一部のユーザーにおいては、ダイレクト メールによる実害や、自身の住所がインターネットで公開されることへの不安等が生じている。 (プライバシー保護のための制度的措置の必要性) 出願人・権利者及び発明者等 Q:どのような支障があったか ※複数回答可 Q:住所の掲載によって支障があったか (件) ダイレクトメール 51 住所公開への不安 ある 14% 46 出願することへの躊躇 14 13 その他 営業訪問 ない 86% 6 6 付きまとい被害 n=583 0 10 20 30 40 50 60 ※個人・法人・大学発明者・団体 支障の具体事例 ✓ ✓ ✓ ✓ ✓ ✓ 聞いたことのない団体から、企業向けの情報誌への掲載を求めるDMが届いた。 子供(発明者)の特許出願の際、住所等が公開されることに不安がある。 強盗被害等への不安感がある。 住所が晒されるためかなり出願を躊躇した。 ペンネームと本名とが紐付いてしまうことへの不安がある。 SNSにより、自動的に情報がアップされるものもあり、恐怖を感じた。 17 令和6年度調査研究 公報掲載の住所情報を利活用する者のニーズ ー 第三者ユーザー ー ➢ 住所情報を利活用している第三者ユーザー(※)は10%~30%程度。 ➢ 第三者ユーザーにおける住所情報の利用目的は「特定の出願人・権利者等の抽出」や「ライセン ス等の接触」が多い。 (※)本アンケート調査で対象とした第三者ユーザーは、特許庁に出願したことがあるユーザー。 Q:出願人・権利者の住所情報を利用することがあるか ない Q:住所情報の利用目的(特許)※複数回答可 ある 個人(n=304) 84% 法人(n=280) 16% 65% 情報提供事業者(n=72) 35% 42% 58% 分析研究者(n=9) 100% 大学発明者(n=7) 86% 0% 20% 40% 14% 60% 80% Q:発明者等の住所情報を利用することがあるか ない 個人(n=306) 11% 20% 62% 5 86% 0% 20% 40% 20 30 40 50 60 (件) 33 統計や分析 29 14 その他 14% 60% 80% 70 55 同姓同名の判別 9 100% 大学発明者(n=7) 10 異議理由等の有無確認 38% 分析研究者(n=9) 16 15 特定の発明者等の抽出 ある 80% 情報提供事業者(n=72) 32 Q:住所情報の利用目的(特許)※複数回答可 89% 法人(n=280) 53 42 0 100% (件) 60 特定の出願人・権利者の抽出 ライセンス等の接触 同姓同名の判別 統計や分析 拒絶理由への対応 異議理由等の有無確認 その他 0 10 20 30 40 50 60 100% 18 令和6年度調査研究 公報掲載の住所情報を利活用する者のニーズ ー 情報提供事業者・分析研究者 ー ➢ 情報提供事業者や分析研究者においては、多くのユーザーが住所情報を利活用している。 ➢ 情報提供事業者や分析研究者における住所情報の利用目的は「同姓同名の判別」や「特定の出願 人・権利者の抽出」、「統計や分析」が多い。 Q:出願人・権利者の住所情報を利用することがあるか ない Q:住所情報の利用目的(特許)※複数回答可 ある 個人(n=304) 84% 法人(n=280) 16% 65% 情報提供事業者(n=72) 35% 42% 58% 分析研究者(n=9) 100% 大学発明者(n=7) 86% 0% 20% 40% 14% 60% 80% 同姓同名の判別 特定の出願人・権利者の抽出 統計や分析 顧客への情報提供※ ライセンス等の接触 その他 異議理由等の有無確認 拒絶理由への対応 3 2 1 0 100% 5 (件) 27 26 15 5 10 15 20 25 30 32 35 ※「顧客への情報提供」は情報提供事業者のみ回答 Q:発明者等の住所情報を利用することがあるか ない 個人(n=306) Q:住所情報の利用目的(特許)※複数回答可 ある 89% 法人(n=280) 11% 80% 情報提供事業者(n=72) 20% 62% 38% 分析研究者(n=9) 100% 大学発明者(n=7) 86% 0% 20% 40% 14% 60% 80% 100% (件) 24 同姓同名の判別 統計や分析 特定の発明者等の抽出 顧客への情報提供※ 異議理由等の有無確認 その他 22 14 10 2 1 0 5 10 15 20 25 30 ※「顧客への情報提供」は情報提供事業者のみ回答 19 令和6年度調査研究 公報掲載の住所情報を利活用する者のニーズ ー 概略表記による支障 ー ➢ 公報における個人の住所が概略表記であっても支障がないユーザーは88%。 ➢ 支障があるユーザーにおいて、支障がある利用目的は「ライセンス等の接触」が最も多く、同 ユーザー(12%)のうち、閲覧請求で代替可能であるユーザーは8%であったのに対し、閲覧請 求でも代替不可であるユーザーは4%にとどまる。 ➢ 概略表記のレベルについては、「いずれでもよい」を除くと、国内居住者については「市区町村 まで」、在外者については「都市名まで」の希望が多い。 Q:出願人・権利者の住所が概略表記であった場合の支障の有無 (支障ありの場合は閲覧請求での代替可否) 支障があるが、閲覧 請求で代替可能 8% 支障があり、閲覧 Q:概略表記のレベルの希望 請求でも代替不可 4% 国内居住者 いずれでもよい 40% 支障がない 88% 在外者 都道府県まで 23% 市区町村まで 37% 国名まで 14% いずれでもよい 40% 州又は県まで 12% 都市名まで 34% n=684 ※発明者等の住所についても同傾向の結果であった。 20 令和6年度調査研究 (参考)各国・地域の公報の状況等 ➢ 主要な海外庁が発行する公報については、多くが概略表記対応しており、出願人・権利者と発明 者等の両方とも住所を完全表記している国は日本のみ。 ➢ この他、PCT国際出願に係る国際公開において住所(あて名)が全表記されているが、昨今の個 人情報保護・プライバシーの一般原則と整合をとるべく、現在、住所など個人情報への公衆アク セスに係る見直しの検討が進められている。 特許 実用新案 意匠 商標 出願人・ 権利者 発明者 出願人・ 権利者 考案者 出願人・ 権利者 創作者 出願人・ 権利者 日本 完全 完全 完全 完全 完全 完全 完全 米国 概略 概略 - - 概略 概略 完全 欧州 概略 概略又は非表示 - - 完全 取得なし 完全 中国 完全、 外国人は概略 取得なし 完全、 外国人は概略 取得なし 完全、 外国人は概略 取得なし 完全 韓国 完全、自然人の み概略可 完全又は概略 完全、自然人の み概略可 完全又は概略 完全、自然人の み概略可 完全又は概略 完全、自然人の み概略可 PCT国際出願に係る検討状況 ※PCT/WGの作業文書より(PCT/WG/17/8及びPCT/WG/17/9) 出願人については(出願人又は代理人のうち、少なくともいずれか1人の住所は必要であるものの、)他の出願人の住所を、発明者につ いては(氏名は必須であるものの、)全員の住所を公衆アクセスから除外することを可能とするPCT規則改正草案について検討中(発明 者名については、統計分析に十分な情報(例:国名又は都市名の概略表記)との併記が一案として提示(PCT/WG/17/8のパラ25))。 21 他法域の状況(プライバシー保護に関する検討動向) ➢ プライバシー保護の観点から、法務省において以下2つの制度見直しの検討が実施された。 ✓ インターネット・SNSの普及等により、住所を公開することへの抵抗感からの起業の躊躇など につながることを懸念する声の高まりを受けて、商業登記規則等の改正により、代表取締役等 住所非表示措置が創設された(令和6年10月1日施行)。 ✓ 破産者マップ問題を受け、法制審議会(民事執行・民事保全・倒産及び家事事件等に関する手続(IT化関係)部 会)において検討。個人破産者のプライバシー保護の観点から、破産手続における官報公告を廃 止すべき等の意見が出されたものの、同公告は破産債権者の財産権を保障するための手段であ るなどとして反対する意見又は慎重な意見があったことから、制度的措置は見送りとなった。 代表取締役等住所非表示措置 ※法務省HP「代表取締役等住所非表示措置について」より 一定の要件の下、登記事項証明書等において株式会社の代表取締役等の住所を一部表示しないこととする措置(住所表示は最小行政区 画として「市区町村」まで(東京都においては特別区まで、指定都市においては区まで))。 破産者マップ問題 官報での公告情報を基にしたと思われる「破産者マップ」 が2019年にインターネット上に公開。地図上に破産者等(過去に破産申立 した者、個人再生申立した者等)の住所地がマークされ、そのマーク周辺の破産者等の氏名・住所も表示されるもの。個人情報保護委 員会からの行政指導で当該サイトは閉鎖されたが、次々と同様のサイトが現れ、中には情報の削除に金銭の要求をするサイトまで出現。 破産手続における官報公告の廃止等に反対・慎重な意見 ※民事執行・民事保全・倒産及び家事事件等 に関する手続(IT化関係)の見直しに関する中間試案の補足説明 (令和4年8月法務省民事局参事官室)P64より ➢ 公告には善意又は悪意の推定の効果があり(破産法第51条)、その効果は実務上重要な意味があるが、官報での掲載がされないなど 裁判所外における公示がされないと、その仕組みに影響を及ぼし得る。 ➢ 与信管理業務を行う者は官報への掲載を通じて直接又は間接にその情報を得ており、その仕組みが設けられないと実務上大きな影響 がある。 ➢ 配当等がない同時廃止事件に限定して公告を見直すといったことについても、免責の効果は通知がされない債権者にも及び、その公 告には、免責についての意見申述の機会を保障する意味がある。 22 対応の方向性(公報における住所表記の在り方) ➢ 公報に住所が掲載される者側のニーズによれば、公報における個人の住所は一律非表示が望まし いが、他方、住所情報を利活用する者側のニーズによれば、公報掲載情報においても一定の個人 特定性を担保できる方が望ましいと考えられる(後者のニーズのうち、「ライセンス交渉」での利用目的について は、出願書類や登録原簿等の閲覧請求で対応可能)。 ➢ こうしたユーザーニーズのバランスをとりつつ、 DX時代における個人のプライバシーを適切に 保護するため、他法域での状況も踏まえ、公報における個人の出願人・権利者及び発明者等の住 所は概略表記(国内居住者については市区町村まで(※) 、在外者については都市名まで)とすべく、所要の制度改 正(特許法第64条第2項等の改正)を行うこととしたい。 (※)東京都においては特別区まで、指定都市においては区までの表記とする。 検討におけるポイント (公報に住所が掲載される者のニーズ) ・公報への住所掲載については、希望のない者が大部分。<P16> ・住所掲載の支障としてDM等の実害は一定数に上る。<P17> ・他法域での現状(破産者マップ問題等)も踏まえれば、その他の 住所掲載に対する不安・懸念も見過ごし難い(DX時代にふさわし い措置の必要性)。<P15、17、22> ・J-PlatPat等での住所概略化以降も、公報における住所非表示に関 する要望が多く寄せられている。<P15> (公報掲載の住所情報を利活用する者のニーズ) ・第三者ユーザーにおける利用目的は、「特定の出願人・権利者 等の抽出」や「ライセンス等の接触」が多い。<P18> ・情報提供事業者・分析研究者における利用目的は、「同姓同名 の判別」や「特定の出願人・権利者の抽出」、「統計や分析」 が多い。<P19> (・概略表記で支障があり、閲覧請求でも代替不可であるユーザー はごく一部。<P20> ) ⇒公報情報として、一定の個人特定性の担保が求められると考え られる。 (出願人・権利者及び発明者等の確認方法) ・公報や特許情報提供サービス(P14)の他、出願書類や登録原簿等を閲覧請求(※)することにより、出願人・権利者及び発明 者等を確認することが可能(登録原簿の閲覧請求では、公報情報とは異なり、最新の権利者情報を確認することができる)。 (※)特許(特許庁のファイルに記録されている事項に限る。)については特許公報発行の日から1年間、商標については商標公 報発行の日から2月間は、手数料無料で閲覧(縦覧)することができる。 23 対応の方向性(公報等を前提とする規定への影響有無) ➢ (破産者の官報公告については、破産債権者の財産権を保障するための手段であるため、具体的には、破産手続等における同公告 での推定効果やその意義、同公告を廃止等した場合の影響の大きさ等より、廃止等の制度的措置が見送られているのに対し、) 公報における個人の出願人・権利者及び発明者等の住所を概略表記としても、補償金請求権(特許法 第65条)や過失推定(特許法第103条)といった、特許制度における公報等を前提とする規定に対して、 特段の影響はない(※)と考えられる。 (※)その他規定についても、出願書類や登録原簿等の閲覧請求により当該住所を確認できるため、特段の影響はない。 補償金請求権(特許法第65条) (趣旨)出願の公開により自己の発明を第三者に実施された場合に生じる出願人の損失を填補するため補償金請求権が認められている。 (影響がない理由)特許法第65条第1項は、特許出願に係る発明の内容を記載した書面を提示して警告を行うことを補償金請求権の要 件としており、出願公開公報上に公示された特許出願の確認義務を第三者に課すものではないため。 過失推定(特許法第103条) (趣旨)民法第709条により、損害賠償の請求にあたっては、通常、請求人に故意又は過失の立証責任があるが、特許発明の内容は特 許公報等で公示されているため、侵害の行為をする者は過失によってその行為をしたものと推定し、立証責任を転換せしめるもの。 (影響がない理由)特許法第103条の適用の前提として課される確認事項は、特許権の有無及び(特許権が存在する場合には)その権 利範囲であり、被疑侵害者による権利者の特定及び認識までは求められていないため。 参照条文:特許法(昭和三十四年法律第百二十一号) (出願公開の効果等) 第六十五条 特許出願人は、出願公開があつた後に特許出願に係る発明の内容を記載した書面を提示して警告をしたときは、その警告 後特許権の設定の登録前に業としてその発明を実施した者に対し、その発明が特許発明である場合にその実施に対し受けるべき金銭 の額に相当する額の補償金の支払を請求することができる。当該警告をしない場合においても、出願公開がされた特許出願に係る発 明であることを知つて特許権の設定の登録前に業としてその発明を実施した者に対しては、同様とする。 2 前項の規定による請求権は、特許権の設定の登録があつた後でなければ、行使することができない。 3~6 (略) (過失の推定) 第百三条 他人の特許権又は専用実施権を侵害した者は、その侵害の行為について過失があつたものと推定する。 24 参照条文 特許法(昭和三十四年法律第百二十一号) 抄 (出願公開) 第六十四条 特許庁長官は、特許出願の日から一年六月を経過したときは、特許掲載公報の発行をしたものを除き、その特許出願につ いて出願公開をしなければならない。次条第一項に規定する出願公開の請求があつたときも、同様とする。 2 出願公開は、次に掲げる事項を特許公報に掲載することにより行う。ただし、第四号から第六号までに掲げる事項については、当 該事項を特許公報に掲載することが公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがあると特許庁長官が認めるときは、この限りでない。 一 特許出願人の氏名又は名称及び住所又は居所 二 特許出願の番号及び年月日 三 発明者の氏名及び住所又は居所 四 願書に添付した明細書及び特許請求の範囲に記載した事項並びに図面の内容 五 願書に添付した要約書に記載した事項 六 外国語書面出願にあつては、外国語書面及び外国語要約書面に記載した事項 七 出願公開の番号及び年月日 八 3 前各号に掲げるもののほか、必要な事項 特許庁長官は、願書に添付した要約書の記載が第三十六条第七項の規定に適合しないときその他必要があると認めるときは、前項 第五号の要約書に記載した事項に代えて、自ら作成した事項を特許公報に掲載することができる。 その他関係法令 ◆ 特許法第六十六条第三項、第六十七条の二第六項、第六十七条の三第四項、第六十七条の七第四項、第百八十四条の九第二項 ◆ 実用新案法第十四条第三項、第五十三条第二項 ◆ 意匠法第二十条第三項、第六十六条第二項、第三項 ◆ 商標法第十二条の二第二項、第十八条第三項、第二十三条第三項、第六十五条の六第二項、第七十五条第二項 ◆ 特許法施行規則第二十九条、意匠法施行規則第十九条第三項 25 DX時代にふさわしい産業財産権手続に関する制度的措置 3.国内優先権に基づく先の出願の取扱いの見直し 26 現行制度の概要・導入経緯(国内優先権制度・みなし取下げ制度) ➢ 国内優先権制度とは、既にした自己の特許出願等(先の出願)の発明を含めた包括的な発明として、 「優先権」を主張して出願(後の出願)をした場合、その包括的な出願に係る発明のうち先の出願 に含まれる発明については、特許審査等の基準日を先の出願の日とする優先的な取扱いを認める制 度。 ➢ 国内出願を先の出願として優先権を主張したPCT国際出願についても、権利取得先として日本を指 定した場合に国内優先権が認められる。 ➢ 一連の発明について包括的及び漏れのない権利を円滑に取得可能とする本制度は、昭和60年改正に より導入。 ➢ 制度導入当時は、審査処理期間の長期化の状況に鑑み、重複内容の実体審査の回避のため、先の出 願については、出願公開準備時期前にみなし取下げとすることとされた。 国内優先権制度・みなし取下げ制度について 先の出願 出願から1年4月経過時にみなし取下げ (特許法第42条等) 基本発明 A (後願が取り下げられた場合は先願は生き残る。) 出願後の 改良発明 B 包括的にまとめて出願! A+B 後の出願 国内優先権を主張! (発明Aの審査の基準日は先の出願の日(優先日)) 27 現行制度の課題:国内優先権に基づく先の出願の権利化可否の予測困難性 ➢ 審査処理の迅速化に伴い、審査請求のタイミングや実体審査・方式審査の進捗等によって、みなし取 下げまでに権利取得できるかが案件ごとに流動的であり、権利化可否の予測困難性が課題として顕在 化(出願審査の請求・早期審査の事情説明書を提出した先の出願がみなし取下げとなったことを不服とする行服事例(※)も発生)。 ➢ 特許庁では、先の出願の権利取得に関する出願人の意向確認や、それに基づく審査止め等の調整業務 も実施。 (※)行服事例は、特許査定等を求めるものであり、みなし取下げにより不服申立ての利益なし等として却下裁決済み。 1年 (優先権主張期間) 先の出願 A 1年4月 (みなし取下げ) ①審査請求 ④実体審査(出願人側の応答期間含む) ③出願人へ連絡 ②審査止め作業※ 審査希望有無 確認作業 ※審査止め作業: 特許審査官が不要な実体審査業務 を実施しないよう、システム上で 審査着手を制限する作業 ↓ 審査止め解除 作業 後の出願 ➄実体審査が完了し 特許査定となった場合 権利取得 権利化可否の予測困難 ➢ 審査を進めながら途中で取下げ となれば審査資源の無駄に ➢ 特許査定が間に合ったか否かで 出願間の公平性が問題に ➄´実体審査が 完了しない場合 権利化に至らず 完了が見込めない 場合には再度の 審査止め作業 A+B 28 (後の出願がPCT国際出願の場合における) 現行制度の課題: 出願人が望まない先の出願の公開リスク ➢ 国内優先権主張を伴う後の出願がPCT国際出願の場合、条約の規定による処理基準時(出願人によ る明示の請求又は国内移行期限(2年6月))経過後に初めて指定官庁が国内優先権主張の手続上 の有効性判断が可能となるため、それまでの間は先の出願のみなし取下げ・出願公開を保留。 ➢ 我が国特許庁以外を受理官庁とするPCT国際出願であって国内出願を基礎とするものは、WIPO国際 事務局を通じた情報収集を特許庁で行っているが、他国官庁からWIPO国際事務局への報告漏れ等も 想定され、後のPCT国際出願を捕捉しきれずに、出願人が望まない先の出願の公開リスクあり。 特許庁が後のPCT出願を把握できず、 出願人が望まない公開のリスク 1年4月 1年 (優先権主張期間)(みなし取下げ) JPO 出願公開 A (受理官庁) PCT出願 A+B 全加盟国向けの出願の束 日本への出願も含む ①定期的にWIPO国際事務局へ依頼し 日本出願を基礎としたPCT出願の (可能な限りの)情報収集 →先願の審査止め・公開保留作業 ②条約による処理基準時が到来しない限り、 指定官庁は案件への着手不可(PCT第23条) →国内優先権の有効性判断も着手できず、 先の出願のみなし取下げ・出願公開を保留 ③指定官庁による後願の着手開始 ・国内優先権が有効 →先願のみなし取下げ確定 ・国内優先権が無効 →先願の審査止め・公開保留解除 (先願の審査・公開も遅延) 優先日から2年6月 (国内移行期限) 29 令和6年度調査研究 ユーザーへの影響調査の実施 ➢ 国内優先権に基づく先の出願の取扱いについて、以上のような課題認識の下、制度簡素化に向け た見直し(※)を検討。 ➢ 制度簡素化に向けて先の出願の取扱いを見直すことがユーザー実務にどの程度の影響があるかを 明らかにすべく、以下の調査研究(以下「ユーザーへの影響調査」)を実施。 (※)制度簡素化に向けた見直しとしては、先の出願について、通常の出願と同じ取扱い(出願から3年以内に審査 請求がなければみなし取下げ)とし、出願から1年4月後のみなし取下げを廃止することが一案。以下同じ。 令和6年度産業財産権制度問題調査研究「特許法等関係法令に基づく手続等の利便性向上及び制度・運用改善に向 けた調査研究」(三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社) 調査研究の目的・必要性 ➢ 効果的・効率的な手続制度について模索していくため、今後の検討予定の手続制度(国内優先権に基づくみなし 取下げ制度やPCT国際出願におけるePCT活用の可能性ほか)に関する意見等を収集し、改善や企画に反映して いくことを目指す。 公開情報調査(海外状況調査) ➢ 2020年から2024年に公表された書籍、論文、調査研究報告書、審議会報告書、事例集及びインターネット情報 等を利用して、本調査研究に関する文献・情報を調査、整理及び分析。 国内アンケート調査 ➢ 産業財産権に関する手続等に関する幅広い意見等を収集し、現状を把握することを目的として、2018年から 2022年に出願手続をした国内企業・代理人事務所等に対してアンケート調査を実施。 ➢ 国内企業・代理人事務所等273者(※)が回答(回答率54.6%)。 (※)設問によっては、該当する者のみに回答を求めている関係上、各設問における回答者合計数と差が生じている場合がある。 国内ヒアリング調査 ➢ アンケート調査の結果を深掘りすることを目的とし、ヒアリング調査を実施。 ➢ 国内企業・代理人事務所20者。 30 令和6年度調査研究 ユーザーへの影響調査結果①(国内優先権制度の利点) ➢ 国内優先権制度の利点として、約80%以上の者が「基本的な発明の出願後に改良発明とまとめて 包括的内容で後の出願を行うことが可能」を選択し、最も多かった。 ➢ 次いで「優先日を維持したまま不備等を修正した後の出願を行うことが可能な点」、「複合優先 により後の出願を行うことが可能」等が多かったが、「先の出願がみなし取下げとなって公開さ れない点」を選択した者は約10%程度にとどまった。 ⇒ 包括的な内容での後の出願を可能とする点など、現行の国内優先権制度の大枠は支持されている ものと考えられる。 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 基本的発明の出願後に改良発明とまとめて 包括的内容で後願を行うことが可能 46% 記載内容に不備等発見した場合、 優先日を維持したまま修正した後願が可能 19% 9% 100% 86% 54% 55% 先願に審査請求して審査の感触を得た上で、 改良した後願を行うことが可能 先願をみなし取下げ前に権利化し、 後願と合わせて包括的権利とすることが可能 先願に係る発明について 実質的に最長1年存続期間を延長できる 先願がみなし取下げとなって公開されない点 (閲覧請求されない限り第三者に確認されない) その他 90% 82% 複数出願を一出願に統合(複合優先)して 後願を行うことが可能 特になし 80% 63% 30% 18% 32% 34% 13% 11% 1% 4% 1% 3% (n=161) 出願人 (n=110) 代理人 ※複数回答可 31 令和6年度調査研究 ユーザーへの影響調査結果②(国内優先権制度の改善すべき点) ➢ 国内優先権制度の改善すべき点として、過半数の者が「後の出願への実施例の追加等により意図し ない請求項まで実体審査の判断基準時が繰り下がる可能性」を選択し、最も多かった。(⇒判断基 準時の繰り下がりリスクに係る対策ニーズあり) ➢ 「先の出願についてみなし取下げ前に査定に至るか否かの予測が困難」を選択した者は約15%程度 にとどまった。 0% 10% 20% 14% 先願に審査請求しても出願から1年4月経過するとみなし取下げとなり 権利化可否(みなし取下げ前に査定に至るか)の予測が困難 30% 40% 弊害は特に感じないが、 国内優先権を利用したい場面があまりない その他 49% 3% 55% 14% 8% 15% 24% 25% (n=146) 出願人 その他の意見 • • • • 60% 18% 後願への実施例の追加等により 意図しない請求項まで実体審査の判断基準時が繰り下がる可能性 特別授権が必要な手続となり面倒 50% (n=83) 代理人 ※複数回答可 パリ優先権の基礎出願は取下げとならず、基礎出願がみなし取下げとなる国内優先権の方が不利。 特別授権に関して「取下げ」の委任事項ではカバーされない点が面倒。 後の出願の取下げ時期によっては先の出願が予期せず公開されてしまうデメリットがある。 人工乳首事件(※)以来、国内優先権制度をクライアントにすすめにくい。 ※人工乳首事件(東京高判平成15年10月8日平成14年(行ケ)539号) 伸長部である肉薄部を螺旋形状にした人工乳首の実施例を後の出願の明細書に加えることにより、後の出願の特許請求の範囲に記 載された発明の要旨となる技術的事項が、先の出願に係る技術的事項の範囲の超えることになることは明らかであるから、その超 えた部分については優先権主張の効果は認められないとされた事件。 32 令和6年度調査研究 ユーザーへの影響調査結果③(見直しのメリット) ➢ 国内優先権に基づく先の出願の取扱いについて、制度簡素化に向けた見直しを行った場合のメリット として、「後の出願への実施例追加等により意図しない請求項まで実体審査の判断基準が繰り下がる 場合に、係属中の先の出願で権利化を図れる」(判断基準時の繰り下がりリスクへのセーフガード) を挙げるユーザーが最も多かった。 ➢ 見直しのメリットとして続いて多く挙げられたのは、企業等(出願人)においては「第三者視点によ る先の出願が公開されることによる監視負担軽減」、代理人においては「権利化戦略を構築しやすく なる」など。 0% 10% 22% 21% 特になし 21% その他の意見 4% 50% 60% 45% 48% 35% 24% 第三者の視点から、他者の国内優先権の基礎出願を閲覧請求することなく 公開公報で確認可能となり監視負担が軽減 その他 40% 39% 先願を活用するか否かを審査請求期間(3年)の間は検討可能となる • 30% 32% 後願と異なるクレームにて先願も権利化を進めるなど 権利化戦略を構築しやすくなる 後願への実施例追加等により意図しない請求項まで 実体審査の判断基準時が繰り下がる場合、係属中の先願で権利化を図れる 後願がPCTの場合、先願のみなし取下げ前までに日本指定するか否か 決める必要がなくなり、国内移行期間を十分享受できる • 20% 39% 32% 25% 6% (n=161) 出願人 (n=108) 代理人 ※複数回答可 審査結果や事業展開に応じて権利化内容を検討するため分割出願を利用してきたが、先の出願が存続するのであれば分割出願を 行う必要がなくなるメリットがある。 PCT出願の願書第V欄のチェック(JP指定の除外)漏れの心配がなくなる。 33 令和6年度調査研究 ユーザーへの影響調査結果④(見直しのデメリット) ➢ 国内優先権に基づく先の出願の取扱いについて、制度簡素化に向けた見直しを行った場合のデメ リットとして、「先の出願の公開を回避したい場合の出願取下げ手続が面倒」や「先の出願との関 係において特許法第39条に基づく拒絶理由が生じる可能性を懸念」を挙げるユーザーが多く、前者 に関連し、公開回避のためにはいつまでに出願取下げが必要かを明確化すべきとの意見もあった。 ➢ その他、第三者視点による監視対象増加、管理負担などの事務負担増加への懸念も見られた。 0% 10% 20% 30% 40% 50% 44% 先願の拒絶理由(特許法第39条)が 生じる可能性を懸念 第三者の視点から 出願公開件数増加による監視対象増加 先願が不要となった場合 出願公開回避のための自発的な出願取下げ手続が面倒 47% 先の出願の管理が負担 その他 その他の意見 • • • 48% 46% 14% 32% 12% 特になし 4% 60% 50% 40% 22% 6% (n=161) 出願人 (n=106) 代理人 ※複数回答可 先の出願を公開させないためにはいつまでに出願取下げが必要か明確化すべき。 先の出願と後の出願が上位概念と下位概念の関係で権利化された場合、実質的に一つの出願を基礎とする発明の権利期間が一年 延長になる可能性。 期間管理等の管理業務が煩雑化。 34 令和6年度調査研究 (参考)ヒアリング調査結果(見直しに対する賛否/ユーザーへの影響等) 見直しに対する積極的意見       閲覧請求すると請求者が特定されるリスクがあるので自動的な公開は重要。公開しないと優先権の効果が得られ ないくらいの方が良い。制度がシンプル化されることは歓迎。(通信) 先の出願を3年間係属か出願取下げかを選択可能となり、活用の場面が広がる。(精密機器) 一度、権利化不要と判断した基礎出願について、発明者が後からやはり必要と言い出すことがあり、基礎出願が 3年間係属していると助かる。(化学) 他社特許を見る際、優先権の遡及時期を解析することがあるため、基礎出願が公開されることはメリットであり、 透明性が高まる。(化学) 基礎出願も存続した場合、対応の自由度が広がり、権利範囲を柔軟に検討可能。(電子機器他) 中小企業等の案件では出願を分割して子出願に早期審査請求することがあるが、そのような手間を省略できるよ うになる。(代理人事務所) 見直しに対する消極的意見    自社の基礎出願が公開されることで他者からの監視が容易になり、他社対応に工数を割かれる可能性。基礎出願 を取り下げるか否かの判断工数、代理人コストがかかる。(電子機器) 実質存続期間を1年延ばすために全く同じクレームで出願することもあり、その場合、特許法第39条の対応が必 要となる。(電子機器他) 基礎出願が係属し続けることとなり、他社の出願について監視負担が大きくなる。(化学) その他の意見   公開件数増による監視負担増は、分割出願も同様。国内優先権だけの問題ではない。(農業機器) 出願公開回避のために出願取下げが必要となるデメリットもあるが、最終的に審査請求しなければみなし取下げ となる。また、現在も閲覧請求により出願内容は確認可能なため、先の出願の出願公開も問題ではない。(農業 機器) 35 PCT国際出願制度における国際調和 ➢ PCT国際出願制度は、PCT国際出願することによってPCT全加盟国に出願したことと同じ効果を与え る制度であるため、日本の国内出願を基礎に優先権主張してPCT国際出願を行うと、日本では基礎と なる国内出願がみなし取下げとなる。この基礎出願の取下げを回避したい場合に対応し、PCT国際出 後の出願がPCTに基づく国際出願である場合の、指定国除外について 願の願書には、国内保護を求める国の指定から日本を除外するための欄が特別に設けられている。 このような制度を有するPCT加盟国は、日本の他ドイツと韓国の計3ヶ国のみ。 ➢ ePCTの活用など、PCT国際出願制度の活用促進や利便性向上の観点からも、国際調和を図っていく ことが重要。 PCT規則4.9(b) 「(a)(i)の規定にかかわらず、2005年10月5日において、締約国の国内法令が、当該国の指定 及び当該国で効力を有する先の国内出願に基づく優先権の主張を伴う国際出願により、当該先 の国内出願が取下げと同一の効果をもって消滅することを定めている場合には、当該指定官庁が 当該国の指定に関してこの規定が適用される旨を…国際事務局に通告すること及びその通告が 当該国際出願日になお効力を有することを条件として、当該国でされた先の国内出願に基づく優 先権を主張する全ての願書は当該国を指定しない旨の表示を伴うことができる。・・・」 「ePCT」活用への影響 我が国特有の国内優先権のみなし取下げ制度の下では、基礎出願の取下げの処理をし、適時に出願公開対象から除外する必要性から、 現行の特許庁各システム間で先後の出願データを連携させている。ePCTの活用を通じて、ユーザーの利便性を向上しつつ、システム 開発コストの削減に繋げるためには、我が国特有の制度を見直し、国際調和を図っていくことが望ましい。 36 対応の方向性(見直しの必要性・方向性) ➢ 国内優先権に基づく先の出願の取扱いについて、①権利化可否の予測困難性及び②出願人が望まな い公開リスクの排除、③特許庁における業務効率化、④PCT国際出願制度における国際調和といっ た観点より、いずれも特許行政として見直すべき必要性あり。 ➢ 見直しの方向性としては、制度簡素化に向けて、先の出願について、通常の出願と同じ取扱い(出 願から3年以内に審査請求がなければみなし取下げ)とし、出願から1年4月後の国内優先権に基 づくみなし取下げを廃止してはどうか(ただし、ユーザー実務への影響には十分留意)。 見直しの必要性 ➢ 審査処理の迅速化等により、国内優先権の基礎出願がみなし取下げとなる時点までの出願人側の権利化可否の予測困 難性が課題として顕在化。(特許庁では個別案件のみなし取下げ時期を踏まえて基礎出願の権利化に関する出願人の 意向確認やそれに基づく審査止め等の調整業務も実施。) <P28> ➢ 特許庁では我が国特許庁以外を受理官庁としたPCT国際出願を捕捉しきれず、出願人が望まない先の出願の公開リス クあり。<P29> ➢ 複雑な庁内運用により特許庁における業務量も増加しており、業務効率化が急務。<P28、29> ➢ PCT国際出願制度における国際調和の必要性。<P36> 見直しの方向性 ➢ 特許庁における業務効率化やPCT国際出願制度における国際調和の必要性等より、制度簡素化に向けた見直しが適当。 ⇒ 先の出願について、通常の出願と同じ取扱い(出願から3年以内に審査請求がなければみなし取下げ)とし、出願か ら1年4月後の国内優先権に基づくみなし取下げを廃止してはどうか。ただし、ユーザー実務への影響には十分な留 意が必要。 ※ 国内優先権主張時に先の出願のみなし取下げの要否を選択可能とする手段(選択制)については、更なる制度・運用の複雑性を招くこととなり、ま た、現在生じている出願人が望まない公開リスクが解消されないおそれもあるため、採用することが困難。シンプルに出願取下げ手続により、先の 出願の係属要否を選択可能とすることが望ましい。 37 対応の方向性(見直しにおける留意事項・措置事項) ➢ 見直しによるユーザー実務への影響 (デメリット)としては、特許法第39条に基づく拒絶理由が生じ るリスク(次頁参照)や先の出願の公開回避のための出願取下げの管理負担が懸念されている。 ➢ このため、これらのユーザー実務への影響の最小限化を図るべく、所要の周知や注意喚起を徹底す ることまでをパッケージとした制度簡素化に向けた見直し(出願から1年4月後の国内優先権に基づく先の出願 のみなし取下げの廃止)としてはどうか。 見直しにおける留意事項(ユーザー影響調査結果) ➢ 現行の国内優先権制度の利点としては、「基本的な発明の出願後に改良発明とまとめて包括的内容で後の出願を行 うことが可能」が最も多く、現行制度の改善すべき点としては、「後の出願への実施例の追加等により意図しない 請求項まで実体審査の判断基準時が繰り下がる可能性」が最も多い。<P31、32> ➢ 見直しのデメリットは、出願人視点では、特許法第39条に基づく拒絶理由が生じるリスクや先の出願の公開回避の ための出願取下げの管理負担が上位。第三者視点では、監視対象の増加もデメリットとして挙げられる一方、監視 負担については、公開情報で確認可能となることでの負担軽減の面がメリットとしても挙げられる。<P33、34> 対応の方向性(具体的な措置事項) ➢ 現在の国内優先権制度の利点を引き続き享受可能とするため、優先権主張可能な期間や同内容の繰り返し優先権主 張の制限などについては現行制度を維持しつつ、先の出願については、通常の出願と同じ取扱い(出願から3年以 内に審査請求がなければみなし取下げ)とし、出願から1年4月後の国内優先権に基づくみなし取下げを廃止して はどうか(これに伴い、国内優先権の主張の手続をする代理人の特別授権も不要)。 ➢ こうした制度簡素化に向けた見直しにあたっては、以下の周知・注意喚起を併せて実施・徹底することにより、そ のデメリットの最小限化を図ることとしたい。 ✓ 先の出願の出願公開回避のための手続をすべき期間を明示し、公開を望まないユーザーが出願を取り下げるタイ ミングの周知を実施。 ✓ 先の出願が係属することによる特許法第39条に基づく拒絶理由が生じるリスクに係る注意喚起等を実施。 38 (参考)特許法第39条に基づく拒絶理由が生じるリスク ➢ 特許法第39条は、同一の発明について異なった日に複数の出願があったときには、最先の出願人 のみが特許を受けることができること(同条第1項)、同日に複数の出願があったときは、出願人の 協議によって定めた一の出願人のみが特許を受けることができること(同条第2項前段)を規定。 (協議が成立しないときは、いずれの出願人も特許を受けることができない(同条第2項後段)。) ➢ 一方の出願を審査する際に、他方の出願が放棄、取下げ、却下のいずれもされておらず、かつ、 拒絶査定又は拒絶審決が確定していないとき、審査官は両出願の発明が同一であるか否かを判断 (同条第5項本文)。同一であれば、第39条に基づく拒絶理由を通知。 ⇒ 国内優先権に基づくみなし取下げを廃止した場合、先の出願が1年4月以降も係属するため、第 39条に基づく拒絶理由が生じるリスクの注意喚起や、同リスクを回避するための周知が必要。 先の出願 請求項1:A みなし取下げの廃止 (1年4月) 公開(1年6月) 3年以内に 審査請求がなければ みなし取下げ 基本発明 A 公開(先の出願から1年6月) 出願後の 改良発明 A+B A、 A+B 後の出願 先の出願の発明と、後の出願の発明が 同一であれば、第39条に基づく拒絶理由を通知 (左記の例の場合、請求項1が該当) 請求項1:A 請求項2:A+B 審査官 39 令和6年度調査研究 (参考)海外における類似制度 国 制度 日本 先の出願/仮出願の扱い 後の出願 公開 取下げ/放棄擬制 時期的要件 国内優先権 なし 出願から1年4月 12月 一部継続出願(CIP) あり 特に規定なし 親出願の係属中 欧州 優先権 特に規定なし 特に規定なし 12月 ※優先権主張は後の出願時又は 最先の優先日から16月以内 英国 国内優先権 特に規定なし 特に規定なし 12月 ※優先権主張は後の出願と同時 米国 (※) フランス 国内優先権 あり 特に規定なし 12月 ※優先権主張は後の出願時又は 最先の優先日から16月以内 ドイツ 国内優先権 特に規定なし 優先権主張時 12月 ※優先権主張は後の出願から 2月以内 ロシア 国内優先権 特に規定なし 後の出願時 ※後の出願が国際出願である 場合は適用されない 12月 ※優先権主張の後の出願と同時 中国 国内優先権 特に規定なし 後の出願時 12月 ※優先権主張の後の出願と同時 韓国 国内優先権 なし 出願から1年3月 12月 ※優先権主張は後の出願と同時 (※)米国では、一部継続出願の他、仮出願制度も存在しており、仮出願については、12月後の放棄擬制あり。 40 参照条文 特許法(昭和三十四年法律第百二十一号) 抄 (特許出願等に基づく優先権主張) 第四十一条 特許を受けようとする者は、次に掲げる場合を除き、その特許出願に係る発明について、その者が特許又は実用新案登録 を受ける権利を有する特許出願又は実用新案登録出願であつて先にされたもの(以下「先の出願」という。)の願書に最初に添付し た明細書、特許請求の範囲若しくは実用新案登録請求の範囲又は図面(先の出願が外国語書面出願である場合にあつては、外国語書 面)に記載された発明に基づいて優先権を主張することができる。ただし、先の出願について仮専用実施権を有する者があるときは、 その特許出願の際に、その承諾を得ている場合に限る。 一~五 2~4 (略) (略) (先の出願の取下げ等) 第四十二条 前条第一項の規定による優先権の主張の基礎とされた先の出願は、その出願の日から経済産業省令で定める期間を経過し た時に取り下げたものとみなす。ただし、当該先の出願が放棄され、取り下げられ、若しくは却下されている場合、当該先の出願に ついて査定若しくは審決が確定している場合、当該先の出願について実用新案法第十四条第二項に規定する設定の登録がされている 場合又は当該先の出願に基づく全ての優先権の主張が取り下げられている場合には、この限りでない。 2 前条第一項の規定による優先権の主張を伴う特許出願の出願人は、先の出願の日から経済産業省令で定める期間を経過した後は、 その主張を取り下げることができない。 3 前条第一項の規定による優先権の主張を伴う特許出願が先の出願の日から経済産業省令で定める期間内に取下げられたときは、同 時に当該優先権の主張が取り下げられたものとみなす。 特許法施行規則(昭和三十五年通商産業省令第十号) 抄 (特許出願等に基づく優先権主張の取下げ) 第二十八条の四 2 (略) 特許法第四十二条第一項から第三項までの経済産業省令で定める期間は、一年四月とする。 41 参照条文 特許法(昭和三十四年法律第百二十一号) 抄 (先願) 第三十九条 同一の発明について異なつた日に二以上の特許出願があつたときは、最先の特許出願人のみがその発明について特許を受 けることができる。 2 同一の発明について同日に二以上の特許出願があつたときは、特許出願人の協議により定めた一の特許出願人のみがその発明につ いて特許を受けることができる。協議が成立せず、又は協議をすることができないときは、いずれも、その発明について特許を受け ることができない。 3・4 5 (略) 特許出願若しくは実用新案登録出願が放棄され、取り下げられ、若しくは却下されたとき、又は特許出願について拒絶をすべき旨 の査定若しくは審決が確定したときは、その特許出願又は実用新案登録出願は、第一項から前項までの規定の適用については、初め からなかつたものとみなす。ただし、その特許出願いついて第二項後段又は前項後段の規定に該当することにより拒絶をすべき旨の 査定又は審決が確定したときは、この限りでない。 6・7 (略) その他関係法令 ◆ 特許法第九条第一項、第十四条第一項、第三十四条の三第五項、第百八十四条の十五第一項及び第四項 ◆ 実用新案法第八条第一項、第九条第一項から第三項まで、第四十八条の十第一項及び第四項 ◆ 経済安全保障推進法第八十二条第二項 42

資料4

資料2 AI技術の発達を踏まえた特許制度上の適切な対応 産業構造審議会知的財産分科会 第51回特許制度小委員会 令和7年1月17日 AIと産業財産権制度に関する近時の動き ➢ AIの技術発展に伴い、AI技術を活用した研究開発が普及しつつあり、短時間で大量の成果物を生成することが 可能となっている。また、特許出願において、人工知能が発明をした者とする事案も発生した。 ➢ 政府全体の動きとして、内閣府では、「AI時代の知的財産権検討会」が開催され、AIと知的財産権について議 論がされた。また、「知的財産推進計画2024」では、特許法に関する施策に関し、「AIが自律的に発明の特徴 的部分を完成させることが可能となった場合の取扱いについては、技術の進展や国際動向、ユーザーニーズ等 を踏まえながら、発明者認定への影響を含め、引き続き必要に応じた検討を特許庁は関係省庁と連携の上で進 めることが望ましい」とされた。 ➢ 特許庁においては、令和5年度にAIと特許法に関する調査研究を実施し、令和6年度においても、技術の進展 を見据える形でAIと特許法及び意匠法に関する調査研究を実施中。 令和5年5月 ~ 内閣府 科学技術・イノベーション推進事務局 8月 ~ 特許庁 令和5年度調査研究(「AIを利活用した創作の特許法上の保護の在り方に関する調査研究」) ✓ 報告書公表(令和6年4月) 10月 ~ 内閣府 知的財産戦略推進事務局 「AI時代の知的財産権検討会」 ✓ 中間とりまとめ公表(令和6年5月) 令和6年3月 ~ 特許庁 政策推進懇談会 ✓ 中間整理公表(令和6年6月) 5月 「AI戦略会議」 ダバス事件第1審判決(東京地判令和6年5月16日(令和5年(行ウ)第5001号)) 知的財産戦略本部 「知的財産推進計画2024」公表 (施策の方向性より一部抜粋) ➢ 2023 年度の調査研究結果(「AI を利活用した創作の特許法上の保護の在り方に関する調査研究」)を踏まえつつ、 2024 年度も引き続き深掘り検討を行う。 ➢ 生成 AI 技術の発達など、企業活動における DX が進展する中、産業財産権制度 にも新たな課題が生じている。DX 時代にふさわしい産業財産権制度の 在り方について検討を行う。 6月 7月 ~ 特許庁 令和6年度調査研究(「生成AIを利用したデザイン創作の意匠法上の保護の在り方に関する調査研究」) 特許庁 令和6年度調査研究(「AI技術の進展を踏まえた発明の保護の在り方に関する調査研究」) 8月 ~ 内閣府科学技術・イノベーション推進事務局 「AI制度研究会」 1 AI時代の知的財産権検討会中間とりまとめ ➢ 「AI時代の知的財産権検討会」において、AIと特許法については、①AIを利用した発明の取扱い の在り方及び②AIの利活用拡大を見据えた進歩性等の特許審査実務上の課題について検討が行わ れた。 ➢ 同検討会の中間とりまとめ(令和6年5月)にて、以下の考え方及び課題が示された。 ②進歩性等の特許審査実務上の課題 ①AIを利用した発明の取扱いの在り方 ➢ 現時点では、自然人による発明創作過程でその支援のため に AI が利用されることが一般的。 ➢ ➢ このような場合、発明の特徴的部分の完成に創作的に寄与 した者を発明者とするこれまでの考え方に従って自然人の 発明者を認定すべき。 現時点では、発明創作過程における AI の利活用の影響に よりこれまでの特許審査実務の運用を変更すべき事情があ るとは認められない。 ➢ 実施可能要件及びサポート要件に関しても、AI の利活用を 踏まえた技術常識や技術水準把握した上で、これまでの運 用に従って判断を行うべき。 ➢ AI を利用した発明についても、モデルや学習データの選択、 学習済みモデルへのプロンプト入力等において、自然人が ➢ 関与することが想定されており、そのような関与をした者 も含め、発明の特徴的部分の完成に創作的に寄与したと認 められる者を発明者と認定すべき。 ➢ 今後、AI 技術等のさらなる進展により、AI が自律的に発 明の特徴的部分を完成させることが可能となった場合の取 扱いについては、技術の進展や国際動向、ユーザーニーズ 等を踏まえながら、発明者認定への影響を含め、引き続き 必要に応じた検討を特許庁は関係省庁と連携の上で進める ことが望ましいと考えられる。 ➢ AI 自体の権利能力(AI 自体が特許を受ける権利や特許権 の権利主体になれるか)についても、国際動向等も踏まえ ながら、引き続き必要に応じて検討を進めることが望まし い。 ➢ 例えば、AI を用いた機能・性質の推定等の技術がより発展 した場合には、これまでの進歩性や記載要件の考え方では イノベーションの成果を適切に保護することができなくな る可能性もあるが、そのような場合の発明の保護の在り方 については、今後の AI 技術等の進展を見据えつつ、必要 に応じて適切な発明の保護の在り方について検討を進める ことが望ましい。 特許審査プロセスへの AI の積極的な活用、発明等の創 造・保護・活用の各過程における AI 技術の活用(例えば、 特許性の検討等の出願や権利化をサポートする AI サービ スの開発・利用等)を通じたイノベーションの創出につい ても、AI 技術の進展の状況を踏まえて検討を進めることが 望ましい。 出典: AI 時代の知的財産権検討会 「中間とりまとめ」(令和6年5月)より一部抜粋して作成。 https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/chitekizaisan2024/0528_ai.pdf 2 ダバス事件の概要 ➢ 原告は、国際出願をしたうえ、発明者の氏名の欄に「ダバス、本発明を自律的に発明した人工知 能」と記載した国内書面を提出した。 ➢ これに対し、特許庁は、発明者の氏名として自然人の氏名を記載するよう補正を命じたものの、原 告が補正をしなかったため、発明者は自然人に限るとして出願を却下した。 ➢ 原告は、①特許法はAI発明の保護を否定していないこと、②AI発明の出願において「発明者」の 氏名は必要的記載事項ではないことから、出願却下処分が違法であると主張して、同処分の取消 しを求めた。 ⇒ 特許法に規定する「発明者」は自然人に限られるか(=AIは「発明者」に該当し得るか)問題と なった。 出願 出願却下処分 取消請求 出願人 特許庁 (原告が主張する発明の経緯) 生成・創作 人工知能「ダバス」 発明の創作に人の関与はなし 発明「フードコンテナ並びに注意 を喚起し誘引する装置及び方法」 3 ダバス事件第一審判決の判旨(東京地判令和6年5月16日(令和5年(行ウ)第5001号)) ➢ 特許法に規定する「発明者」は、自然人に限られるものと解するのが相当である。 ➢ 特許法にいう「発明者」が自然人に限られる旨の前記判断は、上記実務上の懸念までをも直ちに 否定するものではなく、原告の主張内容及び弁論の全趣旨に鑑みると、まずは我が国で立法論と してAI発明に関する検討を行って可及的速やかにその結論を得ることが、AI発明に関する産業政 策上の重要性に鑑み、特に期待されているものであることを、最後に改めて付言する。 ※判決より抜粋して作成。 ➢ 判決中で示されている原告の主張にかかる「実務上の懸念」とは、以下のとおり。 1.AI発明の引用発明適格性 特許法上の「発明」が自然人による発明に限定されると解釈すると、特許法29条1項各号が 定める公知の発明、公然実施発明等(引用発明)にもAI発明が含まれない。 2.発明者の僭称問題 (1) 僭称による出願の増加 発明者を自然人に限定したうえで、発明者の氏名を必要的記載事項にすることによって、AI発明の保護 を受けるため、願書の【発明者】の【氏名】の欄に適当な自然人を特定して特許を受けようとするおそ れ。 (2) 僭称により出願された特許の無効手段 冒認出願として無効化するとしても、特許法123条2項に基づき無効審判を請求することができる者は 「特許を受ける権利を有する者」に限定されているところ、AI発明においては「特許を受ける権利を有 する者」がおらず、無効理由を主張することができる者が存在しないこと。 ※判決より抜粋して作成(要約)。 なお、「AI発明」の文言について、判決中で定義付けはされていない。 4 海外動向ー主要国の知財戦略 ➢ 主要国・地域において、AI技術の進展に伴う環境変化について多方面での対応を進めている状 況にあり。 主要な知財戦略 / 環境変化への対応 米 欧 長期戦略 「2022-2026 Strategic Plan」 ・米国特許庁のビジョンやミッション、知財施策等を記載。米国のイノベーション力の維持・強化を重視 環境変化 対応 ・大統領令を発出、イノベーション促進とリスク対応を各省庁に指示。米国AI安全研究所を設置 ・通商法301条に基づく中国への技術移転/ライセンス取引の制限、新技術分野における輸出/投資制限 長期戦略 「Intellectual Property Action Plan」 ・欧州単一特許制度の早期発効、国際標準特許の透明性確保、欧州データ戦略等を記載 環境変化 対応 ・各種のデータ・AI関連法を相次いで制定、GAIA X等のデータ基盤を整備 ・欧州経済安全保障戦略を策定、先端技術の流出を防ぐための規制を強化 ・サステナビリティ関連の各種ルール形成で主導権確保を狙う 長期戦略 「知識産権強国建設網要2021-2035年」 ・知財権の創造、活用、保護、管理とサービスレベルを全面的に向上させることを記載 ・2025年までに知財権強国建設への成果を上げ、2035年までに知財権の総合的競争力を世界トップレベルとすることを記載 環境変化 対応 ・AI、ビッグデータなど新分野の知財権立法を加速化、AI生成物の知財権保護規則の整備を検討 ・サプライチェーンの強化(半導体や先端技術の国産化)、輸出管理法やデータ安全法の制定 長期戦略 「国家知識財産基本計画2022~2026」 ・国家戦略分野コアIPの競争力確保、イノベーション成長持続とスタートアップ育成、デジタルIP 侵害防止・保護能力強化が大目標 環境変化 対応 ・AI等のデジタル新技術を活用したIP分析を通じてコア(標準)IPを先取り、グローバル主導権を確保 ・AI創作物に対する権利保護検討のため、国際動向を考慮して著作権法改正又は特別法制定 ・AI等の核心技術分野の国際標準人材プールを拡大、専門家を選定して国際標準会議の参加及び対応を支援 中 韓 出典:内閣府知的財産推進事務局 第2回構想委員会 資料2「IPトランスフォーメーション~新たな知的創造サイクルの構築に向 けて~」5頁より抜粋して作成。https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/tyousakai/kousou/2025/dai2/siryou2.pdf 5 令和5年度 AIを利活用した創作の特許法上の保護の在り方に関する調査研究の背景・概要 ➢ 近年は生成AIが急速に進歩しており、創作過程におけるAIの利活用が拡大することが見込まれ、 それによって生まれた発明を含む特許出願が増えることが予想される。また、諸外国においても AIを利活用した創作の特許法上の保護の在り方について議論がなされていることを背景として、 令和5年度時点におけるAIの技術レベルを前提として調査研究(※)を実施。 (※)令和5年度特許庁産業財産権制度各国比較調査研究 「AIを利活用した創作の特許法上の保護の在り方に関する調査研究報告書」(令和6年3月 デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー合同会社) ◼ 令和5年度調査研究の概要 ■国内アンケート調査 対象:AIに関連する技術を活 用している企業、研究機関等 125者(有効回答 41/125者) ■国内ヒアリング調査 対象:12者 ■海外質問票調査 ■公開情報調査 ➢ Google、Amazon、Meta、Microsoft(Open AIを含む)の4社について発明の創作過程 におけるAIの利活用状況に関する開発・提供中のサービス及びその他の企業等について 発明の創作過程におけるAIの利活用の状況の調査を実施。 ➢ 特許審査実務上の課題及びAI自律発明の取扱いに関する課題について、①発明該当性、 ②進歩性、③記載要件、④発明者の4つの観点に基づいて、国内外の論文等の調査を実施。 ■委員会 対象:8者(米国2者、欧州 (EPO)1者、英国2者、中国 学識経験者、弁理士及びAIの技術者等4名(うち1名は委員長)で委員会を設置し議論を実 施した(令和5年10月から令和6年2月まで計3回開催)。 1者、韓国2者) 本調査研究の有識者による委員会での議論の結果概要は以下のとおり。 ➢ 現時点において、発明の創作過程におけるAIの利活用の影響により、従来の特許法による 保護の在り方を直ちに変更すべき特段の事情は発見されなかった。 ➢ 一方で、AI関連技術は今後更に急速に発展する可能性があるため、引き続き技術の進展を 注視しつつ、必要に応じて適切な発明の保護の在り方を検討することが必要。 ■海外ヒアリング調査 対象:5者(米国1者、欧州 (EPO)1者、英国1者、中国 特許庁 1者、韓国1者) 6 令和5年度 調査研究の結果概要 (1)最新のAIの技術水準や、発明の創作過程におけるAIの利活用の状況 ➢マテリアルズ・インフォマティクスにより、新規材料の開発が効率化。 ➢発明の創作過程における生成AIの利用方法が検討され始めている(例:壁打ち等)。 ➢現在のAIの技術水準では、発明の創作に人間の関与が一定程度必要であり、AIが自律的に発明を 創作する事例は確認されなかった。 (2)創作過程におけるAIの利活用の拡大により生じる特許審査実務上の課題 ➢進歩性判断への影響について現段階では、当業者が用いる出願時の技術常識や研究開発のための通 常の技術的手段等にAIが含まれることを考慮すれば、現行の考え方を維持することが適切。 ➢一方で、今後AIが更に発展することにより、技術分野を超えて発明を組み合わせることが容易にな る等、進歩性の動機付け等の実務に影響を与える可能性があるという指摘もあった。AI技術の進展 や諸外国の状況を引き続き注視していく必要がある。 (3)AIによる自律的な発明の取扱いに関する課題 ➢創作過程にAIが利用された発明について、現状は発明の創作に人間の関与が一定程度必要であること から、発明の技術的特徴部分の具体化に創作的に関与した者を発明者とする現行の発明者要件の考え 方で対応可能であるという意見が多数であることが確認された。 ➢今後AIが更に発展し人間の関与が小さくなったとしても、創作的に関与する者がいる限り、その者を 発明者として認定すれば良いという指摘もあった。 7 令和6年度調査研究の背景・概要 ➢ 令和5年度調査研究にて「AI関連技術は今後更に急速に発展する可能性があるため、引き続き技 術の進展を注視しつつ、必要に応じて適切な発明の保護の在り方を検討することが必要」と指摘 された。 ➢ 内閣府知的財産戦略推進事務局の「AI時代の知的財産権検討会」における中間とりまとめ(令和 6年5月)やダバス判決、海外では米国特許商標庁(USPTO)「AI 支援発明に関する発明者ガ イダンス」など、令和5年度調査研究実施後においても、状況が変化し続けている。 ➢ 発明創作過程において用いられる現状のAI技術の技術水準(AIの予測精度、発明を創作する能力 等)の把握、現時点における発明の保護の在り方に関する課題・対応策等及び将来的な発明の保 護の在り方に関する課題・対応策等を分析する調査研究(※)を実施中。 (※)令和6年度特許庁産業財産権制度各国比較調査研究 「AI技術の進展を踏まえた発明の保護の在り方に関する調査研究」(知的財産研究所) ◼ 令和6年度調査研究の概要 ■国内ヒアリング調査 対象:AI研究機関等、企業等、 法学者等 ■海外質問票調査 対象:米国、欧州(EPO)、英 国、独国、中国、韓国 ■公開情報調査 ➢ 発明創作過程に用いられ得るAI技術の国内外の最新動向に関連する調査報告書等。 ➢ AIを利用して創作した発明(AI自律発明を含む)や明細書等作成にAIを利用した特許出 願に関する各国の特許制度及び運用、議論、並びにそれらに影響を与えた裁判例(日本、 米国、欧州、英国、独国、中国、韓国)の調査。 ■委員会 調査研究に関して専門的な視点からの検討、分析、助言を得るために、本調査研究に関して 専門的な知見を有する者(学識経験者、弁護士、弁理士等)6名程度(1名を委員長とする) で構成される調査研究委員会を設置する。 8 御議論いただきたい事項 ➢ 本小委員会では、AI技術の発達を踏まえた検討課題及びこれに対する制度的措置の方向性につい て、検討を進める予定。 ➢ 本日の小委員会(第51回)では、AIと産業財産権制度に関する政府の動き、国内の裁判例の御 紹介、海外主要国の知財政策の概要、令和5年度調査研究の結果及び令和6年度調査研究の概要 について御紹介した。 ➢ AIと知的財産権に関しては、内閣府「AI時代の知的財産権検討会 中間とりまとめ」(令和6年 6月)において、一定の考え方が示されたり、令和6年5月には、特許法に規定する「発明者」 は自然人に限られるとする判決(ダバス事件第一審判決)など、状況が日を追うごとに変化して いる。国際的には、米国特許庁が発明者適格に関するガイダンスを公表するなど各国の動きも活 発である。 ➢ 弊庁では、第16回意匠制度小委員会(令和6年12月6日開催)においてもAIと意匠法に関する 論点について議論を行ったり、特許制度及び意匠制度に関する調査研究も実施するなど、AIと産 業財産権に関する論点に正面から向き合い、検討を行っている。 ➢ 次回の小委員会(第52回)では、米国特許庁の発明者適格に関するガイダンス等の国際的な動向 やAIを研究開発に利活用する事例、今後想定される論点案などを事務局で整理しお示しした上で、 御議論いただくことを予定している。 本格的な議論は次回の小委員会(第52回)を予定しているが、 本日の御説明に関して、御意見や御質問があればお聞かせいただきたい。 9

資料5

資料3 国際的な事業活動におけるネットワーク関連発明等の適切な権利保護 産業構造審議会知的財産分科会 第51回特許制度小委員会 令和7年1月17日 これまでの経緯と今後の進め方 これまでの経緯 ➢ 令和4年度及び令和5年度の調査研究を実施し、当該調査結果を踏まえて政策推進懇談会での「ネット ワーク関連発明」に係る制度的措置について議論を行い、「実質的に国内の実施行為と認める要件を明文 化する方向で、特許制度小委員会において、集中的に検討を深める必要がある」との方向性が示されたこ と等を踏まえ、前回の特許制度小委員会(第50回 (令和6年11月6日))にて議論が開始された。 ➢ 本小委員会において、実質的に国内の実施行為と認める要件を明文化する方向で、事務局より検討の方向 性及び論点をお示ししたところ、ユーザーニーズの存在が確認できただけでなく、実質的に国内の実施行 為と認める要件を明文化する方向性について、予見性の向上等の観点から肯定的な意見を頂戴する等様々な 御意見をいただいた。 今後の進め方 ➢ 今回は、実質的に国内の実施行為と認める要件を具体化及び深化する方向で検討を進めることとしたい。 ➢ 前回の小委員会でいただいた御意見に関しては、次頁以降で対応の方向性を整理した。 1 前回の本小委員会における主な御意見のうち、 対応の方向性を確認する必要のあるもの 検討の進め方及び留意点に関する御意見 1. 対象を「ネットワーク関連発明」に限定すべきか否か。 2. ネットワーク関連発明以外の発明への影響について検討すべきではないか。 3. 本小委員会においては、具体的な条文の文言ではなく、実質的に国内の実施行為と認める要件に対する考え方 をコンセンサスが得られる範囲で整理することを目標とすべきではないか。 4. 技術の進展の速さを考慮して検討を進めるべきではないか。 5. ドワンゴ対FC2事件の動向を注視しつつ検討を進めるべきではないか。 6. 先使用権等への影響について検討すべきではないか。 7. 具体的な事例を用いた検討を行うべきではないか。 「実質的に国内の実施行為と認める要件」に関する御意見 8. 「技術的効果が国内で発現」や「経済的効果が国内で発現」という要件に予見性があるか。 9. 「発明の『技術的効果』が国内で発現」と「発明の『経済的効果』が国内で発現」は共に満たされる必要があ るのか、あるいは片方のみ満たされれば足りるのか。 10. 「発明の実施行為の『一部』が国内であって」は不要ではないか。あるいは、改善の余地があるのではないか。 2 御意見に対する対応の方向性 進め方/留意点に関する御意見 進め方/留意点に関する御意見 1.対象を「ネットワーク関連発明」に限定すべきか否か。 対応の方向性 ✓ 本件に係る議論は、AI、IoT等の技術のブレークスルーにより、既存の産業構造や競争環境がダイナミックに変 化している現状を踏まえて、令和元年以降、 「ネットワーク関連発明」 ものである。令和4年度及び令和5年度に実施した調査研究、令和4年度 以降に開催した特許庁政策推進懇談会等を通じて、国内外の文献、裁判例の調査、アンケート、ヒアリング及び 有識者検討会での検討等を実施し、特許権による「ネットワーク関連発明」の保護の現状を整理してきた。 ✓ その結果、 ネットワーク関連発明 を前提として、 ユーザー ニーズが確認された。他方で、現時点において、 「ネットワーク関連発明」以外においてはユーザーからの必 要性及び喫緊性が確認されておらず、また、現状の方向性を「ネットワーク関連発明」以外にあてはめた際には、 不測の影響が生じないとも限らない。 ✓ したがって、必要性及び許容性の観点から、あくまで「ネットワーク関連発明」を対象とした制度的措置を行う こととする。 3 御意見に対する対応の方向性 進め方/留意点に関する御意見 2. ネットワーク関連発明以外の発明への影響について検討すべきではないか。 対応の方向性 ✓ 「ネットワーク関連発明」の範囲に絞って議論を行う上で、「ネットワーク関連発明」以外の発明に不測の影響 が及ぶことがないように検討を進めていく。 ✓ そのため、特許法の各条文や他法域の規定ぶりも参考にしつつ、制度的措置の射程が「ネットワーク関連発明」 のみに及ぶよう、適切に規律する方針で整理していく。 進め方/留意点に関する御意見 3.本小委員会においては、具体的な条文の文言ではなく、実質的に国内の実施行為と認める要件に 対する考え方をコンセンサスが得られる範囲で整理することを目標とすべきではないか。 対応の方向性 ✓ 本小委員会では、具体的な条文の文言ではなく、「実質的に国内の実施行為と認める要件」に対する考え方を合 意形成可能な範囲で整理することを目指す。 4 御意見に対する対応の方向性 進め方/留意点に関する御意見 4.技術の進展の速さを考慮して検討を進めるべきではないか。 対応の方向性 ✓ 令和元年に本小委員会で議論が開始されて以来、現行の特許法では、ネットワーク関連発明の技術進展に対応しき れていないとして現行制度の課題が特定されており、ユーザーからの必要性及び喫緊性も確認されているところ。 ✓ 他方、これまでもネットワーク関連発明の技術進展の速さに由来して法制度が早期に陳腐化してしまう可能性を 懸念する声も聴取されているところであり、法制化に当たっては、今後の技術進展の見通しも出来るだけ踏まえ た、バランスの取れた措置となるよう対応していく。 進め方/留意点に関する御意見 5.ドワンゴ対FC2事件の動向を注視しつつ検討を進めるべきではないか。 対応の方向性 ✓ 最高裁判所に係属中であるドワンゴ対FC2事件の動向は、引き続き注視していく。 ✓ 他方、令和元年に本小委員会で議論が開始されて以来、現行制度の課題が特定されており、ユーザーからの必要 性及び喫緊性も確認されているところ、行政において個別の事案にとらわれすぎることなく、制度的措置の検討 を進める必要があり、本小委員会において検討を深めていく。 5 御意見に対する対応の方向性 進め方/留意点に関する御意見 6.先使用権等への影響について検討すべきではないか。 対応の方向性 ✓ 特許法第79条(先使用権)の「国内において」の考え方については、柔軟に解釈可能な余地があると考えられ る(※)。その上で、今回の制度の見直しに伴い、「ネットワーク関連発明」について、「日本国内において」 の文言のみを理由として先使用権が主張できなくなるような事態は避けるべきである。 ✓ 特許法第79条の他に影響が及ぶ条文の有無と、制度的措置の要否については、引き続き検討する。仮に、当該 第79条の改正を要しない場合であっても、本小委員会等での議論も踏まえ、必要に応じ、解釈明確化のための 対応を行うこととする。 (※) 参考: 先使用権制度の円滑な活用に向けて ―戦略的なノウハウ管理のために― (第2版) 特許庁 29-30頁 進め方/留意点に関する御意見 7. 具体的な事例を用いた検討を行うべきではないか。 対応の方向性 ✓ 想定される具体的な事例を用いて、「実質的に国内の実施行為と認める要件」に対する考え方の整理を行うこと としたい。 6 御意見に対する対応の方向性 「実質的に国内の実施行為と認める要件」に関する御意見 8. 「技術的効果が国内で発現」や「経済的効果が国内で発現」という要件に予見性があるか。 9. 「発明の『技術的効果』が国内で発現」と「発明の『経済的効果』が国内で発現」は共に満たさ れる必要があるのか、あるいは片方のみ満たされれば足りるのか。 ➢ 予見性の向上を期して、次頁以降、具体的な事例(想定事例1~5)を用いながら、日本の特許 権の効力の対象とすべきか否かを検討し、「実質的に国内の実施行為と認める要件」に対する考 え方の整理を行うこととした。 ➢ 考え方の整理に当たっては、国境を跨いで構成されるシステム全体に係る特許発明を想定した事 例を用いて検討を行った。 7 想定事例1 ~画像形式変換プログラム配信サービス~ 権利化された特許発明の内容 サービスの概要 権利範囲:ユーザー端末・サーバーを含むシステム全体 (発明のポイント:画像形式変換プログラムの具体的処理) サーバー ① プ ロ グ ラ ム D L リ ク エ ス ト ② プ ロ グ ラ ム 配 信 ユーザー端末 ユーザー端末に適した プログラムを選択して配信 ③ユーザー端末において 画像の形式を変換して容量を削減 形式A 入力 出力 形式B 国内ユーザーは、容量削減のためのアプリケーション を端末(PC)にダウンロードし、使用する。 権利行使 可能? 海外サーバー ① D L リ ク エ ス ト ② プ ロ グ ラ ム 配 信 日本の特許権者 プログラム 購入・販売の 支出・収入 プログラムの シェアの獲得 画像形式変換プログラムの実行 国内ユーザー 被疑侵害システム 国内のプログラム配信会社 技術的効果:形式変換により容量の削減された画像の利用。 経済的効果:支出・収入やプログラムのシェア獲得。 ⇒容量の削減された画像は国内ユーザーが利用。国内で発現。 ⇒支出・収入等は国内で発生。国内で発現。 ➢ 想定事例1が日本の特許権の効力の対象外となる場合、プログラムの配信に海外サーバーを利用す るのみで被疑侵害者に日本の特許権の行使を回避されてしまうところ、特許権者として懸念がある。 ⇨ 日本の特許権の効力の対象とすべきではないか。 8 想定事例2 ~車のナビサービス~ 権利化された特許発明の内容 サービスの概要 権利の範囲:カーナビ・サーバーを含むシステム全体 国内ユーザーは、効率的に目的地へ到達するため、 カーナビ利用して最新情報に基づく最適ルートを得る。 (発明のポイント:ルート演算プログラムの具体的な処理) ① 最 渋 新 滞 の ・ 地 災 図 害 デ / ー 事 タ 故 等 情 の 報 送 信 第1のサーバー 第2のサーバー ① 残 G 燃 P 料 S の 情 量 報 等 ・ の 送 信 ② 必 要 な 情 報 の 配 信 カーナビ ③カーナビにおける 最適なルート演算 種々の情報 入力 ルート演算 プログラムの実行 被疑侵害システム システムやサー ビス販売による 支出・収入 ① 左 記 情 報 の 送 信 出力 最適なルート 技術的効果:最適なルートによる効率的な目的地への到達。 ⇒ 国内ユーザーが効率的に目的地に到達。国内で発現。 システム等提供会社 海外サーバー ① 左 記 情 報 の 送 信 ② 必 要 な 情 報 の 配 信 権利行使 可能? 日本の特許権者 国内ユーザー 経済的効果:ナビシステムやナビサービス販売による 支出・収入。⇒支出・収入は国内で発生。国内で発現。 ➢ 想定事例2が日本の特許権の効力の対象外となる場合、情報の蓄積及び配信に海外サーバーを利用す るのみで被疑侵害者に日本の特許権の行使を回避されてしまうところ、特許権者として懸念がある。 ⇨ 日本の特許権の効力の対象とすべきではないか。 ※ 本事例の場合、仮に、ルート演算プログラムの処理が海外サーバーで行われている場合であっても、同様に、発明の技術的効果及び経済的効果は国 内で発現されると考えられる。この場合、いわゆる「SaaS型」サービスとも言えるが、日本の特許権の効力の対象とすべきではないかと考えられる。 9 想定事例3 ~海外向けヘルスケアサービス~ 権利化された特許発明の内容 サービスの概要 権利の範囲:ウェアラブルデバイス・サーバーを含むシステム全体 X国ユーザーは、ウェアラブルデバイスを装着し、計 測された生体情報に基づくストレスチェック結果(ス トレス値)を受け取る。 (発明のポイント:心拍数等からストレスを推定する プログラムの具体的な処理) サーバー X国ユーザー ②ストレス値推定プログラムの実行 ① 心 拍 数 、 体 温 、 血 圧 等 ユーザー ③ ユ ー ザ ー の ス ト レ ス 値 血 心 圧 拍 等 数 、 体 温 、 入力 出力 ユ ス ー ト ザ レ ー ス の 値 技術的効果:自身のストレス値を把握することが可能。 ⇒X国ユーザーがストレス値を受信。X国のみで発現。 ユ ス ー ト ザ レ ー ス の 値 血 心 圧 拍 等 数 、 体 温 、 国内サーバー (ストレス値推定) X国のヘルスケアサービス 提供会社 ヘルスケアサービス販売に よる支出・収入 権利行使 可能? 日本の特許権者 被疑侵害システム 経済的効果:ヘルスケアサービス販売による支出・収 入⇒支出・収入はX国で発生。X国で発現。 ➢ 想定事例3が日本の特許権の効力の対象となる場合、海外向けヘルスケアサービスに国内サーバーを 使用しただけで日本の特許権を行使され、過剰な権利の保護となる懸念がある。 ➢ さらに、仮にX国が同様の制度的措置を講じた場合、国内の事業者は、X国にサーバーを配置してい るだけで、X国の特許権者から特許権を行使される懸念がある。 ⇨ 日本の特許権の効力の対象外とすべきではないか。 10 想定事例4 ~海外における工場のマニピュレータメンテナンスサービス~ 権利化された特許発明の内容 サービスの概要 権利の範囲:マニピュレータ・サーバーを含むシステム全体 (発明のポイント:マニピュレータの具体的な制御) 工場運営者は、マニピュレータの販売・メンテナンス 会社と契約。X国の工場にて、歩留まり向上のための更 新プログラムを受信し制御に使用。 制御装置及び マニピュレータ ③ 更 新 プ ロ グ ラ ム を 送 信 ① 稼 働 デ ー タ を 送 信 サーバー ④制御プログラムに更新プログラムを 組み込み、マニピュレータをメンテナンス 制御装置 製品の販売による 支出・収入 マニピュレータ 組込 制御 更新プログラム 制御プログラム ②稼働データから 更新プログラムを作成 技術的効果:マニピュレータ制御による製品の歩留まりの向上。 ⇒X国の工場において歩留まりが向上。X国のみで発現。 更 新 プ ロ グ ラ ム を 配 信 X国の市場 X国の工場 稼 働 デ ー タ を 送 信 国内サーバー (更新プログラム作成) 被疑侵害システム マニピュレータ・メンテ ナンスサービスの販売に よる支出・収入 権利行使 可能? 日本の特許権者 工場 運営者 マニピュレータの 販売・メンテナンス会社 経済的効果:製品の販売による支出・収入。マニピュレー タ・メンテナンスサービスの販売による支出・収入⇒支出・ 収入は国内及びX国で発生。国内及びX国で発現。 ➢ 想定事例4が日本の特許権の効力の対象となる場合、海外の工場の装置(マニピュレータ)のメンテナンスに国内 サーバーを使用しただけで日本の特許権を行使され、過剰な権利の保護となる懸念がある。 ⇨ 日本の特許権の効力の対象外とすべきではないか。 11 想定事例5 ~海外向けeコマースサービス~ 権利化された特許発明の内容 サービスの概要 権利の範囲:ユーザー端末・サーバーを含むシステム全体 (発明のポイント:リコメンデーション決定プログラムの 具体的な処理) X国ユーザーは、eコマースサービスのウェブサイト (X国の言語でのみ表示可能)において、 リコメンデーションを参照し、商品を注文。 サーバー ① 商 品 の 閲 覧 ③ リ コ メ ン デ ー シ ョ ン 表 ユーザー 示 ②リコメンデーション決定プログラムの実行 商 ユ 品 ー の ザ 閲 ー 覧 の 履 歴 入力 す リ る コ 商 メ 品 ン デ デ ー ー タ シ ョ 出力 ン ①商品の閲覧・注文 X国サーバー X国ユーザー ① 商 品 の 閲 極めて少数の 覧 国内ユーザー ③ デ リ ー コ シ メ ョ ン ン 表 X国のeコマース 示 サービス提供会社 商品購入・販売 による支出・収入 (X国の通貨のみ 決済可能) 権利行使 可能? 日本の特許権者 被疑侵害システム 技術的効果:閲覧履歴を反映したリコメンデーションの参照。 経済的効果:商品の販売による支出・収入。⇒国内 ユーザーは極めて少数であり非想定。支出・収入は海 ⇒ 海外ユーザー(X国)がリコメンデーションが参照可 外の市場(X国)において発生。⇒国内ユーザーを対 能(極めて少数の国内ユーザーも参照可能 )。よって、海 象としたものではなく、実質的に海外のみで発現。 外で発現(極めて少数だが、国内でも発現)。 ➢ 想定事例5が日本の特許権の効力の対象となる場合、海外向けeコマースサービスを極めて少数の国内ユーザーが 閲覧しただけで日本の特許権を行使され、過剰な権利の保護となる懸念がある。 ➢ さらに、仮にX国が同様の制度的措置を講じた場合、国内の事業者は、極めて少数のX国ユーザーが商品の閲覧を しているだけで、X国の特許権者から特許権を行使される懸念がある。 ⇨ 日本の特許権の効力の対象外とすべきではないか。 12 御意見に対する対応の方向性 対応の方向性 ➢ 予見性の向上を期して、具体的な事例(想定事例1~5)を用い、具体的なイメージを持ちなが ら、日本の特許権の効力の対象とすべきか否かを検討し、 実質的に国内の実施行為と認める要件 に対する考え方の整理をした。 ➢ 当該検討も踏まえた上で、少なくとも「発明の『技術的効果』が国内で発現」及び「発明の『経 済的効果』が国内で発現」を共に満たす場合に、日本の特許権の効力の対象と認めるべきではな いか。 ➢ 想定事例ごとの要件の整理と、対応の方向性をまとめると下表のとおり。 技術的効果の 発現場所 経済的効果の 発現場所 日本の特許権の効 力の対象と 認めるべきか否か 想定事例1 画像形式変換プログラム配信サービス 国内 国内 ○ 想定事例2 車のナビサービス 国内 国内 ○ 想定事例3 海外向けヘルスケアサービス 海外 海外 海外 海外と国内 海外と国内 海外 想定事例4 海外における工場のマニピュレータ制御 想定事例5 海外向けeコマースサービス × × × 13 御意見に対する対応の方向性 「実質的に国内の実施行為と認める要件」に関する御意見 10.「発明の実施行為の『一部』が国内であって」は不要ではないか。あるいは、改善の余地がある のではないか。 ➢ 明確化のために「発明の実施行為の『一部』」について「実施される特許発明の『一部』」とい う前提を置いた上で、以下の2つの観点について、想定事例を用いて検討を行った。 (1)「発明の実施行為の『一部』が国内」を要件とせず、実施行為の全部が国外にある場合であっ ても、発明の技術的効果及び経済的効果の要件が充足すれば特許権の効力の対象とするか。 (2)「発明の実施行為の『一部』が国内」の「一部」の具体的な内容 対応の方向性 ➢ 上記(1)~(2)についての検討を踏まえ、「発明の実施行為の『一部』が国内であって」に ついては以下の方向性で整理すべきではないか。 (1)「発明の実施行為の『一部』が国内」との要件が必要である。 (2)「発明の実施行為の『一部』が国内」の「一部」は、「発明の重要な要素」と整理する。 14 (1)実施行為の全部が国外にある場合について ➢ 実施行為の全部が国外にある場合であっても、国内で技術的効果及び経済的効果が発現していれば国内の 特許権の効力を及ぼすかについて、想定事例を用いて検討を行った。 ➢ 以下の懸念から、「発明の実施行為の『一部』が国内であって」の要件は必要ではないかと考えられる。 ① 他国が同様の制度的措置を実施した場合の不測の侵害リスク及びクリアランス負担増加の懸念。 ② 特許権者以外の立場から、国内で事業を展開する場合のクリアランス負担増加の可能性。 ① 仮に他国が同様の制度的措置を実施した場合に、日本の事業実施者が不測の侵害リスクを負う懸念がある。 また、当該侵害リスクを回避するために、日本国内でしか事業の実施予定がない場合であっても、 ネットワーク上接続される各国の特許権についてクリアランスを行う必要が生じ、事業者にとって過度な 負担となるおそれがある。 X国で権利化された特許発明の内容 X国の特許権 を行使可能? 特許請求の範囲(クレーム)の例 【請求項1】要素A及び要素Bを備えることを特徴とする、 サーバー。 (他の構成要件は省略している。) 要素A、Bは、ハー ドウエアにのみ特徴 があり、サーバーに 閉じた特徴 要素A及び要素Bにより、 効率的に処理を実現 少数のX国ユーザー 被疑侵害システム 日本 要素B 配置・事業に使用 サーバーにネットワーク上接続 される各国の特許権についても クリアランス必要? 日本の事業実施者 ✓ 要素A及び要素Bを備えるサー バーを、国内に配置。 ✓ 当該サーバーを用いて、日本国内 での事業のみを意図。 要素B 仮に他国(X国)が同様の制度的措置を実施し、当該他国(X国) で発明の「技術的効果」及び「経済的効果」が国内で発現している と判断された場合に、当該他国の特許権を行使される可能性がある。 X国 要素A 特許発明 要素A X国の特許権者 15 (1)実施行為の全部が国外にある場合について ② 特許権者以外の立場から、構成要素の一部が国内であることを条件とできないため、クリアランス負担が増 加する可能性がある。 特許発明の要素の全部が海外にある場合であっても 特許権侵害を主張されてしまう可能性がある。 日本で権利化された特許発明の内容 特許請求の範囲(クレーム)の例 【請求項1】要素A及び要素Bを備えることを特徴とする、 サーバー。 (他の構成要件は省略している。) 要素A、Bは、ハー ドウエアにのみ特徴 があり、サーバーに 閉じた特徴 要素A及び要素Bにより、 効率的に処理を実現 特許発明 要素A 要素B X国 被疑侵害システム X国ユーザー 要素A 要素B 配置・使用 日本 日本で事業を行って いないにも関わらず、 日本の特許権のクリ アランスも必要? 少数の国内ユーザー 日本の事業実施者 ✓ 要素A及び要素Bを備える サーバーを、X国に配置。 ✓ 当該サーバーを用いて、X 国内での事業のみを意図。 日本の特許権 を行使可能? 日本の特許権者 16 (2)発明の実施行為の「一部」の具体的な内容 「発明の実施行為の『一部』が国内であって」の「一部」の具体的な内容として想定されうる案1~3 の解釈について、想定事例を用いて次の(A)から(D)の観点からメリット・デメリットを検討する。 (技術的効果及び経済的効果が国内で発現していることも要件であることが前提。) 「一部」の具体的な内容 検討の観点 案1:発明のどのような構成要素であってもその一部が国内 (例:技術的効果の発現に必須の要素が国内) 日本の 特許権者 特許発明 要素 重要な要素 特別な技術的特徴 ① 情 報 の 送 信 回避の容易性 ※特別な技術的特徴とは、発明の先行技術に対する貢献を 明示する技術的特徴をいう(特許施行規則第25条の8参照)。 案1 どのような構成要素であっても その一部が国内 (C)国内事業者全体の侵害・非侵害の予見性 (D)他国で同じ制度が導入された場合の国内 企業への影響 案2 特別な技術的特徴が国内 ① 情 報 の 送 信 ② 情 報 の 送 信 骸化の懸念 (B)特許権者から見た被疑侵害者による特許 案2:発明の特別な技術的特徴(※)が国内 案3:発明の重要な要素が国内 (A)クレームドラフティングによる要件の形 ② 情 報 の 送 信 案3 重要な要素が国内 (例:技術的効果の発現に必須の要素が国内) ① 情 報 の 送 信 どのような要素 であっても侵害 ② 情 報 の 送 信 重要な要素 要素 特別な技術的特徴 ※技術的効果 の発現に必須 被疑侵害システム 被疑侵害システム 被疑侵害システム17 (2)発明の実施行為の「一部」の具体的な内容の整理 ➢ 「発明の実施行為の『一部』が国内であって」の具体的な考え方について、検討を行った結果を表形 式で整理した(※)。 ➢ 比較検討を行った結果、「一部」とは、「発明の重要な要素」であって、例えば、発明の技術的効果 の発現に必須の要素と解することが最も適切ではないかと考えられる。 ➢ 具体的な検討内容を、次頁以降に示す。 ※ 実施行為の全部が国外にある場合は次頁以降の比較対象外(16-17頁参 照)だが、参考として記載。 検討の観点 (A) (B) クレームドラフティング 特許権者から見た被疑侵害者 による要件形骸化の懸念 による特許回避の容易性 案1:どのような構成要素であっても その一部が国内 案2:特別な技術的特徴が国内 案3:重要な要素が国内 (例:技術的効果の発現に必須の要素) (C) 国内事業者全体の侵害・ 非侵害の予見性 (D) 他国で同じ制度が導入された 場合の国内企業への影響 × ○ ◎ × (ある) (難しい) (高い) (大きい) ◎ × ○ ○ (ない) (容易) (ある) (限定的) ○ (小さい) △ ○ (ある) △ ※ 案3の評価については、「重要な要素」の内容が、案1・案2どちらに近いかによって評価が変化し得る点に留意。 (参考)実施行為の全部が国外 × (高い) 18 (A)クレームドラフティングによる要件形骸化の懸念 ➢ クレームドラフティングによる要件の形骸化の懸念の観点から検討した場合、案2又は案3が適 切と考えられる。 案1 どのような構成要素であってもその一部が国内 ➢ 発明のポイントと全く関係ない「ネットワークを介して接続され、国内に配置される蓋然性が高い構成要 素」を特許請求の範囲に形式的に追加するクレームドラフティングにより要件が充足されてしまう恐れ。 ➢ 形式的なクレームドラフティングによる要件形骸化の懸念があるのではないか。 案2 特別な技術的特徴が国内 ➢ 「特別な技術的特徴」は、発明の先行技術に対する貢献を明示する技術的特徴である。 ➢ したがって、発明の先行技術に対する貢献と全く関係ない「ネットワークを介して接続され、国内に配 置される蓋然性が高い構成要素」を特許請求の範囲に形式的に追加しても要件は充足しない。 ➢ 形式的なクレームドラフティングによる要件形骸化の懸念はないのではないか。 案3 重要な要素が国内 (例:技術的効果の発現に必須の要素が国内) ➢ 発明の「重要な要素」(例:「発明の課題解決に必須の要素」)は、発明のポイントと一定の関係がある。 ➢ したがって、発明のポイントと全く関係ない「ネットワークを介して接続され、国内に配置される蓋然 性が高い構成要素」を特許請求の範囲に形式的に追加しても要件は充足しない。 ➢ 形式的なクレームドラフティングによる要件形骸化の懸念は小さいのではないか。 19 (B)特許権者から見た被疑侵害者による特許回避の容易性 ➢ 特許権者の立場から考えて、被疑侵害者が国内の特許権を回避する可能性の観点から検討した場 合には、特許権の回避が困難である点において、案1又は案3が適切と考えられる。 ①どのような構成要素であっても 案1 どのような構成要素であっても その一部が国内 ① 情 報 の 送 信 ② 情 報 の 送 信 どのような要素 であっても侵害 困難 案3 重要な要素が国内 案2 特別な技術的特徴が国内 ① 情 報 の 送 信 ② 情 報 の 送 信 国外の場合は 非侵害 (例:技術的効果の発現に必須の要素が国内) 容易 ① 情 報 の 送 信 ② 情 報 の 送 信 国外の場合は 非侵害 困難 重要な要素 要素 特別な技術的特徴 ※技術的効果 の発現に必須 被疑侵害システム 被疑侵害システム 被疑侵害システム ➢ 被疑侵害者が国内で発明の技術 ➢ 被疑侵害者が国内で発明の技術 ➢ 被疑侵害者が国内で発明の技術 的効果を発現させつつ、国内の 的効果及び経済的効果を発現さ 的効果を発現させつつ、技術的 要素全てを国外に移動させるこ せつつ、特別な技術的特徴 効果の発現のために必須となる とは難しい可能性が高い。 (例:プログラムの部分等)を 要素を国外に移動させることは ➢ 権利侵害を回避することは困難。 国外に移動させることは可能か 案2より難しい可能性が高い。 つ容易である可能性が高い。 ➢ 権利侵害を回避することは案2 ➢ 権利侵害を回避することは容易。 より困難。 20 (C)国内事業者全体の侵害・非侵害の予見性 ➢ 国内事業者全体(主に特許権者、競合他社及びこれらに関係する第三者)の立場から考えて、自 らが特許権者として侵害を主張する場合又は自らが侵害者となりうる場合のいずれにおいても、 特許権侵害の予見性が高いことが望ましい。 ➢ この観点から検討した場合には、案1は、国内の要素がどのような要素であっても足りるため、 判断基準が明確。案2~3も、いずれも予見性があると考えられる。 案1 どのような構成要素であっても その一部が国内 ① 情 報 の 送 信 案2 特別な技術的特徴が国内 ① 情 報 の 送 信 ② 情 報 の 送 信 どのような要素 であっても侵害 要素 被疑侵害システム 案3 重要な要素が国内 (例:技術的効果の発現に必須の要素が国内) ① 情 報 の 送 信 ② 情 報 の 送 信 国内の場合は 侵害 ② 情 報 の 送 信 国内の場合は 侵害 重要な要素 特別な技術的特徴 被疑侵害システム ※技術的効果 の発現に必須 被疑侵害システム ➢ 明細書等から技術的効果の発現 ➢ 国内の要素は、どのような要素 ➢ 審査基準等を参考にして、特別 に必須な要素を判断可能であり、 であっても要件を充足するため、 な技術的特徴を判断可能であり、 特許権侵害の予見性はある。 判断基準が明確であり、特許権 特許権侵害の予見性はある。 ※「発明の技術的効果が国内で発現」の要件との ※「発明の技術的効果が国内で発現」の要件との 侵害の予見性が高い。 21 関係においても明確性に寄与する可能性あり。 関係においても明確性に寄与する可能性あり。 (D)他国で同様の制度が導入された場合の国内企業への影響 ➢ 仮に日本国と同様の制度が他国で導入された場合、国内事業者全体(主に特許権者、競合他社及びこ れらに関係する第三者)に対して、事業開始時の他国特許権のクリアランス負担や予期せぬ他国での 権利侵害のリスクが想定される。 ➢ 上記のリスク軽減の観点からは、案2又は案3が適切と考えられる。 案1 どのような構成要素であっても その一部が国内 案2 特別な技術的特徴が国内 X国の特許権者 ① 情 報 の 送 信 どのような要素 であっても侵害 被疑侵害システム ➢ 少しでも要素が他国内にあれば、 他国での権利侵害となるおそれ。 ➢ 他国で同様の制度が導入された場 合の国内企業への影響は大きい。 (例:技術的効果の発現に必須の要素が国内) X国の特許権者 X国の特許権者 要素 ② 情 報 の 送 信 案3 重要な要素が国内 重要な要素 特別な技術的特徴 ① 情 報 の 送 信 ② 情 報 の 送 信 X国内⇒侵害 X国外⇒非侵害 被疑侵害システム ➢ 特別な技術的特徴それ自体が他国 内にある必要があり、不測の侵害 リスクは低い。 ➢ 他国で同様の制度が導入された場 合の国内企業への影響は限定的。 ① 情 報 の 送 信 ② 情 報 の 送 信 ※技術的効果 の発現に必須 X国内⇒侵害 X国外⇒非侵害 被疑侵害システム ➢ 技術的効果の発現に必須の要素が 他国内にある必要があり、案1よ り不測の侵害リスクは低い。 ➢ 他国で同様の制度が導入された場 合の国内企業への影響は案1より 限定的。 22 御議論いただきたい論点 前回いただいた御意見に対する対応の方向性について ✓ 今次小委員会では、第50回特許制度小委員会でいただいた御意見に対する対応の方向性をお示し したところ。不足等があれば、改めて御意見をいただきたい。 制度的措置の方向性について ✓ 第50回特許制度小委員会での議論を踏まえて、実質的に国内の実施行為と認める要件について、 想定事例も交えて改めて検討を行った。 ✓ 先のページに示した整理に基づき、複数の選択肢のメリットとデメリットを考慮した結果、「発 明の実施行為の「一部」が国内であって、発明の「技術的効果」と「経済的効果」が共に国内で 発現していること」という要件で制度的措置の検討進めることが適切ではないか。 ✓ また、「一部」とは、「発明の重要な要素」であって、例えば、発明の技術的効果の発現に必須 の要素と解することが最も適切ではないか。 ✓ 当該方向性について改めて御意見をいただきたい。 23

資料6

資料4 報告・事務連絡 産業構造審議会知的財産分科会 第51回特許制度小委員会 令和7年1月17日 【報告】担保法制の見直し(譲渡担保契約等の明文化) における産業財産権の扱い 1 担保法制の見直し(譲渡担保契約等の明文化)について ➢ 法務省において、担保法制の見直しが検討されており、譲渡担保契約の効力等を明文 化する内容を含む新法の法案を提出予定。 ➢ 新法が適用される財産は、抵当権の目的とすることができる財産を除き、原則として、 動産、債権、その他の財産とすることが予定されている。 譲渡担保契約とは • 債権の担保のため、担保権設定者が債権者に財産を譲渡するもの。 • 従前においてルールの形成は動産・債権等を中心に判例法理に委ねられており、法令上の明文の 規定は存在しなかった。 金銭債権 債権者 (担保権者) 債務者 (設定者) 債権の担保のため財産を譲渡 (譲渡担保権の設定) 2 譲渡担保契約等の明文化における産業財産権の扱い ➢ 特許権の譲渡については、登録が効力要件とされている(特許法第98条第1項第1 号)ため、特許権に譲渡担保権を設定する場合には、登録名義を譲渡担保権者に移転 することとなる。この場合、譲渡担保権者は、完全な特許権者として権利行使をする ことができる。 ➢ 他方、新法においては、譲渡担保権の設定により、担保の目的を達するのに必要な限 度で財産の譲渡の効力が生ずることとしており、譲渡担保権者の担保財産に対する権 限に一定の制約を設けるものとしている。 ⇒ 特許権の譲渡担保と新法における譲渡担保とでは、譲渡担保権者の担保財産に対する 権限の制約の有無という点において差異がある。 対応の方向性 ➢ 特許権を目的とする譲渡担保契約について、新法を適用することが必ずしも適当とはい えないため、特許権については、新法の適用を除外することで調整了となった。 ➢ その他の産業財産権(実用新案権、意匠権及び商標権)についても同様の方針。また、 産業財産権を新法の適用除外とする以上、ユーザーの混乱を最小限に抑えるべく、特許 法、実用新案法、意匠法及び商標法上の各種権利についても新法の適用を除外すること で、概ね調整了となった。 3 次回の特許制度小委員会について(予定) 4 次回の特許制度小委員会について(予定) ➢ 開催予定日時 令和7年3月頃を想定。 ➢ 御議論いただく内容 • AI技術の発達を踏まえた特許制度上の適切な対応について、本論点についての国際的な動向やAI を研究開発に利活用する事例、今後想定される論点案などを事務局から提示し、具体的な対応の方 向性等について、御議論いただきたい。 • 国際的な事業活動におけるネットワーク関連発明等の適切な権利保護・DX時代にふさわしい産業 財産権手続に関する制度的措置については、継続的に議論いただくべき論点があれば、御議論いた だきたい。 ※その他、御審議いただく必要がある議題が生じた場合には、議題を追加させていただきたい。 5