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産業構造審議会 知的財産分科会 特許制度小委員会 第50回

2024-11-06一次資料(出典)

議事録・配布資料の全文(政府公表資料より。要約でなく原文に基づく参照用)。

産業構造審議会 知的財産分科会 特許制度小委員会 第50回 資料産業構造審議会 知的財産分科会 特許制度小委員会 第50回 資料産業構造審議会 知的財産分科会 特許制度小委員会 第50回 資料産業構造審議会 知的財産分科会 特許制度小委員会 第50回 資料産業構造審議会 知的財産分科会 特許制度小委員会 第50回 資料産業構造審議会 知的財産分科会 特許制度小委員会 第50回 資料産業構造審議会 知的財産分科会 特許制度小委員会 第50回 資料産業構造審議会 知的財産分科会 特許制度小委員会 第50回 資料

議事要旨

。 産業構造審議会 知的財産分科会 第50回特許制度小委員会 議事要旨 1. 日時・場所 日時:令和6年11月6日(水曜日) 16時00分~18時00分 場所:特許庁特別会議室(特許庁庁舎16階)+Web会議室 2. 出席者 石井委員、今村委員、井本委員、木元委員、工藤委員、相良委員、杉村委員、杉山委員、玉井委員長、田村委員、中尾委員、中島委員、中畑委員、橋本委員、松山委員、山中委員、山本委員 3. 議題 国際的な事業活動におけるネットワーク関連発明等の適切な権利保護について DX時代にふさわしい産業財産権手続に関する制度的措置について 4. 議事内容 事務局より、資料1に沿って、説明が行われた。 議題について、自由討議が行われた。 以上 [更新日 2024年11月12日] このページの先頭へ 知的財産権関連リンク集 サイトマップ プライバシーポリシー このサイトについて 住所:〒100-8915 東京都千代田区霞が関3丁目4番3号 電話番号:03-3581-1101(代表) Copyright © Japan Patent office. All Rights Reserved.

資料1

産業構造審議会知的財産分科会 第50回特許制度小委員会 議事次第・配布資料一覧 日 時:令和6年11月6日(水)16時00分開会 会 場:特許庁庁舎16階特別会議室+Teams会議室 (議事次第) 1.開会 2.国際的な事業活動におけるネットワーク関連発明等の適切な権利保護について 3.DX時代にふさわしい産業財産権手続に関する制度的措置について 4.閉会 (配布資料) 議事次第・配布資料一覧 委員名簿 資料1 特許制度等に関する検討課題について

資料2

令 和 6 年 11 月 6 日 第 50 回特許制度小委員会 産業構造審議会 知的財産分科会 特許制度小委員会 委員名簿 石井 夏生利 中央大学国際情報学部 教授 今村 玲英子 創英国際特許法律事務所 井本 史生 日本経済団体連合会知的財産・国際標準戦略委員会 弁理士 企画部会委 員/日本電気株式会社知的財産部門長 委員長 木元 哲也 株式会社木元省美堂 代表取締役社長 工藤 郁子 大阪大学社会技術共創研究センター 相良 由里子 日弁連知的財産センター 委員長/ 中村合同特許法律事務所 パートナー弁護士 特任准教授 杉村 純子 プロメテ国際特許事務所 代表弁理士 杉山 悦子 一橋大学大学院法学研究科 教授 玉井 克哉 東京大学先端科学技術研究センター 信州大学経法学部 教授/ 教授 田村 善之 東京大学大学院法学政治学研究科 教授 中尾 直樹 日本弁理士会知財制度検討委員会 委員長/ 中尾国際特許事務所 弁理士 中島 基至 東京地方裁判所(知的財産権部) 中畑 稔 One ip 弁理士法人 橋本 佳幸 京都大学大学院法学研究科 松山 智恵 TMI 総合法律事務所 山中 昭利 一般社団法人日本知的財産協会 代表パートナー弁理士 教授 パートナー弁護士 株式会社デンソー知的財産部 山本 敬三 部総括判事 京都大学大学院法学研究科 理事長/ 部長 教授 (敬称略、五十音順)

資料3

資料1 特許制度等に関する検討課題について 産業構造審議会知的財産分科会 第50回特許制度小委員会 令和6年11月6日 DX時代にふさわしい産業財産権制度構築の必要性 ➢ 特許庁は、社会情勢の変化に対応して様々な制度改正を実施してきたところ、デジタル技術の飛躍的発展に応じて、 これらにふさわしい形で制度的措置を講じてきた。 ⚫ 平成2年に、コンピュータの普及をいち早く捉え、工業所有権に関する手続等の特例に関する法律を制定し、電 子出願システムを世界で初めて導入 ⚫ 平成14年に、インターネット通信の高速・大容量化(ブロードバンド化)に伴う、インターネットを介したプロ グラムの販売等の増大を受けて、特許されたプログラム等をネットワーク上で無断送信する行為等も権利侵害に 当たることを明確化 ⚫ 令和元年に、インターネットサービスの多様化、スマートフォンの普及等により、GUIの重要性が高まったこと を受けて、物品それ自体に記録・表示されていない画像を意匠権の保護対象に追加 ➢ 近時、社会全体のDXが加速しているところ、産業財産権制度における措置を検討すべき内容として、①~③の技術 発展に伴う変化が挙げられる。 ① ネットワーク関連技術の発展による国境を跨いだサービスの増加 ② 生成AI技術の発展による知的創造活動の過程の変化 ③ VR技術の発展やオンラインコミュニケーション機会の増大等による仮想空間上のサービスの増加 ➢ このような流れの中で、イノベーションをもたらす知的創造活動を今後も適切に保護していくためには、技術の更 なる発展を見据え、DX時代にふさわしい産業財産権制度を構築する必要がある。 ➢ あわせて、産業財産権の取得・活用を後押しするため、④DX時代にふさわしい産業財産権手続に関する制度的措置 を講ずる必要がある。 本小委員会では、特に「国際的な事業活動におけるネットワーク関連発明等の適切な権利保護」(①)及び 「DX時代にふさわしい産業財産権手続に関する制度的措置」(④)について御議論いただきたい。 ※②・③については、意匠制度小委員会等において議論予定。 1 国際的な事業活動におけるネットワーク関連発明等の 適切な権利保護 2 ネットワーク関連発明とは ➢ ネットワーク関連発明(※)とは、例えば、インターネット等のネットワークを介して接続され た複数のコンピュータ(サーバー、クライアント端末等)の組合せによって実施することが前提 とされる発明。 ➢ 様々な分野(検索サービス、ロボット制御、ヘルステック、自動運転、ドローン制御、自動受 注・在庫管理、AR/VR、配車サービス等)でネットワーク関連発明が使われている。 <ネットワーク関連発明の例> ※一般に確立した用語ではなく、本論点の検討に際して定義したものである点に留意。 検索サービス ロボット制御 ヘルステック • 端末とサーバーが相互にやり取りしつ つ、レストラン検索サイト上で、味覚 が特に優れている者のフィルターを設 け、地図上に、味覚上位スコア者が高 評価を与えた料理・レストランだけを 抽出する技術。 • ロボットとサーバーが相互にやり取り しつつ、ロボットが大きな音を検出し た場合にビクッと震えた後すぐに逃げ るといったような、生物に近い無意 識・反射的な行動を効率的に制御する 技術。 • 端末とサーバーが相互にやり取りしつ つ、端末から送信された質問メッセー ジを解析し、適切な助言メッセージを 端末に送信することで、健康管理対象 者に健康管理のための指導を行う技術。 パナソニックIPマネジメント株式会社 特許第7038335号 GROOVE X株式会社 (ロボティクス・スタートアップ) 特許第6557840号 (画像出典)企業価値向上に資する知的財産活用事例集 2022,22頁(特許庁) 株式会社FiNC Technologies (ヘルスケア・スタートアップ) 特許第6010719号 (画像出典)同社プレスリリース(2018年1月10日) https://company.finc.com/news/9513 3 国境を跨いだサービス提供の現状 ➢ 近年、事業活動のグローバル化やネットワーク技術の発展、クラウドの普及により、海外のサー バーを利用する等、国境を跨いだサービス提供形態が増加している。 世界/主要国の越境データ流通量の変化 世界の大規模データセンターの地域別シェア (データ容量) 2022年第二四半期 (出典)「令和5年版情報通信白書」(総務省)8頁,図表2-1-1-2 (出典)「令和5年版情報通信白書」データ集(総務省)第4章第8節3.世界の大規 模データセンターの地域別シェア(データ容量)より一部抜粋 https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r05/html/datashu .html#f00245 4 現行制度の概要:特許請求の範囲(クレーム)と侵害/非侵害の関係 ➢ 特許権者に無断で業として(※)特許発明を「実施」した場合には特許権の侵害となる(特許法 第68条)。「実施」とは、特許法第2条第3項に規定する行為を意味する。 ➢ 特許発明の独占が認められる範囲(特許発明の技術的範囲)は、特許請求の範囲(クレーム)の 記載に基づいて決定される。クレームに記載された構成要件のうち1つでも満たさないものは特 許発明の技術的範囲には含まれない(実施しても侵害とはならない)。 ※「業として」とは、一般的には、個人的ないし家庭的な行為以外を指すものと解されており、必ずしも営利活動に限定されない。 特許発明の例:断面が六角形の鉛筆 【特許請求の範囲】 断面が六角形(構成要件A)の木製の軸(構成要件B)を有し、当 該軸の表面に塗料を塗った(構成要件C)ことを特徴とする鉛筆 (構成要件D) ⇒特許請求の範囲:A+B+C+D 被疑侵害品の構成 侵害品①:A+B+C+D (範囲内) 侵害品②:A+B+C+D+E(消しゴム付) (範囲内) 侵害品③:B+C+D(構成要件Aを欠くため、範囲外) ①、②については、「実施」に該当する行為をすると特許権 侵害 ③(例:断面が四角形の鉛筆)については、「実施」に該当 する行為をしても特許権非侵害 <特許法(昭和34年法律第121号)> (定義) 第二条 この法律で「発明」とは、自然法則を利用した技術的思 想の創作のうち高度のものをいう。 2 この法律で「特許発明」とは、特許を受けている発明をいう。 3 この法律で発明について「実施」とは、次に掲げる行為をい う。 一 物(プログラム等を含む。以下同じ。)の発明にあつては、 その物の生産、使用、譲渡等(譲渡及び貸渡しをいい、その 物がプログラム等である場合には、電気通信回線を通じた提 供を含む。以下同じ。)、輸出若しくは輸入又は譲渡等の申 出(譲渡等のための展示を含む。以下同じ。)をする行為 二 方法の発明にあつては、その方法の使用をする行為 三 物を生産する方法の発明にあつては、前号に掲げるものの ほか、その方法により生産した物の使用、譲渡等、輸出若し くは輸入又は譲渡等の申出をする行為 4 (略) (特許権の効力) 第六十八条 特許権者は、業として特許発明の実施をする権利を 専有する。ただし、その特許権について専用実施権を設定した ときは、専用実施権者がその特許発明の実施をする権利を専有 する範囲については、この限りでない。 5 現行制度の課題:サーバー等が海外にあることで侵害回避できてしまう可能性 ➢ 特許権の効力は、属地主義の原則により、「当該国の領域内においてのみ認められる」とされて いる。属地主義の原則が厳格に解され、発明の構成要件の一部が国外に存在するだけで日本国内 における特許発明の「実施」と評価できないとすると、特許を容易に回避し得るため、発明の十 分な保護が図れない可能性(※1)がある。 ➢ 近年、属地主義を柔軟に解して特許権侵害を認めた裁判例(※2)も出てきているが、いかなる 場合に属地主義を柔軟に解し、実質的に日本国内の「実施」と評価することができるかが明確で はなく、権利保護の予見性について依然として懸念がある。 ※1:実際に、ドワンゴ対FC2第2事件地裁判決(令和4年3月)では、サーバーと端末とで構成されるシステムの発明の「生産」につ いて、サーバーが米国に存在することを理由に、日本国内における「生産」と認められないとして、特許権侵害が否定された。 ※2:知財高裁は、ドワンゴ対FC2第1事件控訴審判決(令和4年7月)で米国のサーバーからのプログラムの「提供」等について、ド ワンゴ対FC2第2事件控訴審判決(令和5年5月、大合議)で上述のシステムの「生産」について、それぞれ特許権侵害を認めた。 構成 要件A 被疑侵害システム 特許請求の範囲(クレーム)の例 【請求項1】 サーバーと、これとネットワークを介して 接続された端末装置と、を備えるシステム であって、・・・を特徴とする、システム。 【請求項2】 ・・・ 構成 要件B 特許 海 外 サーバー (構成要件A) 構成要件A(サーバー)は海外 ↓ 日本国内にある構成要件だけでは、請 求項1の構成要件のすべてを満たさな いため、非侵害? 国 内 (構成要件A,B以外の構成要件は省略している。) 端末 (構成要件B) (被疑侵害システムは、請求項1に記載の構成要件A,B以外の構成要件も充足しているものとする。) 6 ネットワーク関連発明における国境を跨いだ発明の実施に係る検討の経緯 ➢ 本論点は、令和元年より特許制度小委員会において議論が開始され、特許庁政策推進懇談会にお ける議論を挟みつつ、令和4年の特許制度小委員会において、当面の検討課題として調査研究を 行う方針が確認された。 ➢ 以後、2年間(令和4年度、令和5年度)にわたり調査研究を実施し報告書を取りまとめたとこ ろ、令和4年以降の検討の蓄積を踏まえて、改めて本小委員会での議論をお願いするもの。 ◼ ネットワーク関連発明における国境を跨いだ発明の実施に関するこれまでの主な検討の状況 検討主体・時期 主な検討内容、示された方向性 特許制度小委員会 AI・IoT技術の時代 にふさわしい特許制度の在り方―中間 とりまとめ―(令和2年7月) 現行特許制度において、ネットワークを通じてサービスを提供するビジネスモ デルを適切に保護することが可能かどうかについて検討。サーバーの一部が海 外に置かれているような場合を含む複数実施主体の課題に対して、「直ちに制 度の見直しを検討するのではなく、具体的なケースに応じて裁判所が適切な判 断を下すことを期待しつつ事態の推移を見守ることが適当である。」と取りま とめられた。 特許庁政策推進懇談会『知財活用促進 に向けた知的財産制度の在り方~とり まとめ~』(令和4年6月) 「AI、IoT時代に対応した特許の「実施」定義見直し」として論点提起され、現 行制度下において、SaaSサービスによっても提供され得るプログラムに関する 発明について、特許権で適切に保護できるかについて議論。「プログラムに関 する発明を特許により適切に保護できるよう、サービスの提供形態、属地主義 の観点等を考慮し、現行制度の解釈の限界にも留意しつつ、具体的な法改正の 在り方について検討を深める必要がある。」と取りまとめられた。 第47回特許制度小委員会(令和4年9 月) 当面の検討課題として調査研究を行う方針が確認された。 特許庁政策推進懇談会中間整理(令和 6年6月) 令和5年度の調査研究において設置された有識者検討会の検討結果等を踏まえ 議論。「実質的に国内の実施行為と認める要件を明文化する方向で、特許制度 小委員会において、集中的に検討を深める必要がある。」と取りまとめられた。 7 <参考>属地主義の原則について ➢ 特許権についての属地主義の原則とは、「各国の特許権が、その成立、移転、効力等につき当該 国の法律によって定められ、特許権の効力が当該国の領域内においてのみ認められる」ことを意 味するもの(BBS事件最高裁判決)。 ➢ 明文にはないものの、特許権に関する当然の原則とされている(※)。 ※髙部眞規子「実務詳説 特許関係訴訟〔第4版〕」323-324頁(2022) 属地主義の原則に関する代表的な判例 • 最判平成9年7月1日民集51巻6号2299頁〔BBS事件〕 属地主義の原則について、「特許権についていえば、各国の特許権が、その成立、移転、効力等に つき当該国の法律によって定められ、特許権の効力が当該国の領域内においてのみ認められること を意味するもの」と判示。 • 最判平成14年9月26日民集56巻7号1551頁〔カードリーダー事件〕 BBS事件最高裁判決を引用した上で、「すなわち、各国はその産業政策に基づき発明につきいかな る手続でいかなる効力を付与するかを各国の法律によって規律しており、我が国においては、我が 国の特許権の効力は我が国の領域内においてのみ認められるにすぎない」と判示。 8 <参考>ドワンゴ対FC2事件について ➢ 原告ドワンゴは、動画コンテンツを再生しながらユーザーが投稿したコメントを表示する際の表 示制御技術に関する発明について、特許権を取得。 ➢ 被告FC2らは、米国に存在するサーバーを用いて、日本国内に存在するユーザー端末にコメント 付き動画配信サービスを提供。ドワンゴは、FC2らの当該行為について、特許発明に係るプログ ラムの「提供」等(第1事件)、システムの「生産」(第2事件)に該当すると主張した。 事案の概要 ユーザー端末における表示の例 表示の流れ コメント FC2のサーバーは日本国 外(米国)に存在 サーバー ① 動 コ 画 メ リ ン ク ト エ 投 ス 稿 ト ・ ユーザー (端末) ② 表 コ 示 メ 制 ン 御 ト プ デ ロ ー グ タ ラ ・ ム 送 信 <原告ドワンゴの主張> 被告の行為は、原告特許権に係る • プログラムの「提供」【第1事件】 • システムの「生産」(※)【第2事件】 に該当する。 (※サーバーと端末とで構成されるもの) ③表示制御プログラムの実行 <動画配信サービスの概要> ※説明の便宜のため、処理等の一部を単純化して示している ① 端末で動画を視聴中のユーザーが、その動画に対してコメントを投稿する(コメントはサーバーに送信される) ② 動画の視聴を所望するユーザー(端末)に対し、サーバーから動画及びコメントデータ(ファイル)及び表示制御プログラム(JS ファイル)が送信される。 ③ 動画を再生すると、端末で実行される表示制御プログラムにより、コメントを付与した時間と対応する動画再生時間において、当 該コメントが動画に重ねて表示され、水平方向に移動するように表示制御される。(※コメントの具体的な表示制御に係る技術に ついて、特許権が成立) 9 <参考>ドワンゴ対FC2第1事件の概要 ➢ 控訴審において、米国のサーバーから日本国内のユーザーにプログラムを配信する行為が、特許 法第2条第3項第1号にいうプログラム等の「提供」に該当するかが主な争点となった。 ➢ 知財高裁は、被告の配信行為は、実質的に日本国内で行われたと評価できるとして、特許法第2 条第3項第1号にいう「提供」に該当すると判示した。 第一審判決 東京地判平成30年9月19日(平成28年(ワ)第38565号) ◼ 被告らの装置/プログラムは、文言上特許発明の技術的範囲に属さず、均等なものでもないと判示された。 (※属地主義に関しては判断されず。) 控訴審判決 知財高判令和4年7月20日(平成30年(ネ)第10077号) ◼ 知財高裁は、「特許発明の実施行為につき、形式的にはその全ての要素が日本国の領域内で完結するものでない としても、実質的かつ全体的にみて、それが日本国の領域内で行われたと評価し得るものであれば、これに日本 国の特許権の効力を及ぼしても、前記の属地主義には反しない」として、考慮すべき諸事情として、以下①~④ の4つを例示。本件配信は、日本国の領域内で行われたものと評価するのが相当であるとして、特許法第2条第3 項第1号にいう「提供」に該当すると結論付けた。 ①当該提供が日本国の領域外で行われる部分と領域内で行われる部分とに明確かつ容易に区別できるか ②当該提供の制御が日本国の領域内で行われているか ③当該提供が日本国の領域内に所在する顧客等に向けられたものか ④当該提供によって得られる特許発明の効果が日本国の領域内において発現しているか 10 <参考>ドワンゴ対FC2第2事件の概要 ➢ 米国にあるサーバーと国内にある端末とで構成されるシステムの「生産」行為について、日本国 内における「生産」に該当するかが争点となった。 ➢ 第一審では、サーバーが米国に存在するため「生産」に該当しないとされたが、控訴審(大合 議)では、「生産」行為が実質的に日本国内で行われたものとして、特許権侵害が認められた。 第一審判決 東京地判令和4年3月24日(令和元年(ワ)第25152号) ◼ 裁判所は、以下のように判断して、被告らによる被告システムの日本国内における生産は認められず、本件特許 権の侵害の事実を認めることはできないと判示した。 • 特許法第2条第3項第1号の「生産」に該当するためには、特許発明の構成要件を全て満たす物が日本国内において作り出される必要が あると解するのが相当である。 • 本件発明1の構成要件を全て充足するコメント配信システムが新たに作り出されるとしても、それは、米国内に存在する動画配信用サー バ及びコメント配信用サーバと日本国内に存在するユーザ端末とを構成要素とするコメント配信システム(被告システム1)が作り出さ れるものである。 • 完成した被告システム1のうち日本国内の構成要素であるユーザ端末のみでは本件発明1の全ての構成要件を充足しないことになるから、 直ちには、本件発明1の対象となる「物」である「コメント配信システム」が日本国内において「生産」されていると認めることができ ない。 控訴審判決(大合議判決) 知財高判令和5年5月26日(令和4年(ネ)第10046号) ◼ 「属地主義の原則は、・・・これを厳格に解釈し、サーバーが国外に存在することを理由に一律に特許法2条3項の 「実施」に該当しないと解することは、特許権の十分な保護を図ることができないこととなって妥当ではな い。」として、以下①~④等を総合考慮して、当該行為が我が国の領域内で行われたものとみることができると きは、特許法第2条第3項第1号の「生産」に該当するのが相当として、特許権侵害を認めた。 ①当該行為の具体的態様 ②当該システムを構成する各要素のうち国内に存在するものが当該発明において果たす機能・役割 ③当該システムの利用によって当該発明の効果が得られる場所 ④その利用が当該発明の特許権者の経済的利益に与える影響 11 令和5年度調査研究 調査研究の背景・概要 ➢ 第47回特許制度小委員会(令和4年9月)において、当面の検討課題として調査研究を行う方針 が確認され、令和4年度に調査研究(※1)を実施。 ➢ 上記調査研究を実施後、令和5年5月に知財高裁大合議判決がなされ、属地主義を厳格に解釈す ることを明確に否定しつつ、特許権侵害を認める旨判示されたことを踏まえ、権利保護の在り方 に対するユーザー・有識者の考え方や法制上の論点等について改めて把握し検討を深めるべく、 令和5年度にも調査研究(※2)を実施。 ※1:令和4年度産業財産権制度各国比較調査研究等事業 「プログラム関連発明における国境を跨いで構成される実施行為及び複数主体により構成さ れる実施行為に対する適切な権利保護の在り方に関する調査研究報告書」(令和5年3月 一般財団法人知的財産研究教育財団知的財産研究所) ※2:令和5年度産業財産権制度各国比較調査研究等事業 「国際的な事業活動におけるネットワーク関連発明等の適切な権利保護の在り方に関する調 査研究報告書」(令和6年3月 一般財団法人知的財産研究教育財団知的財産研究所) ◼ 令和5年度調査研究の概要 ■国内外公開情報調査 書籍、論文、調査研究報告書、審議会等 の報告書等を利用して、法制・運用等を 収集、整理し、現状や論点の整理・分析 を実施。 ■国内アンケート調査 ■海外事務所等調査 対象:国内企業等304者 ■国内ヒアリング調査 対象:国内企業6者 ■海外ヒアリング調査 対象:米国、英国、独国、仏国、中国及 び韓国の6か国の有識者又は企業6者 (質問票調査) 対象:米国、英国、独国、仏国、中国及 び韓国の現地法律事務所6者 (ヒアリング調査) 対象:米国、英国、独国、仏国、中国及 び韓国の現地法律事務所6者 ■ 有識者検討会 学識経験者、弁護士等の法律家、業界団体又は企業等を含む有識者10名(うち1名は委員長)で委員 会を設置し、現行法の解釈(射程)や適切な権利保護の在り方等について、特許法の改正も視野に、 具体的な条文イメージを示しつつ検討(令和5年10月から令和6年2月までにかけて計7回開催)。 12 令和5年度調査研究 国内アンケート調査結果①(権利者としての懸念の有無) ➢ 被疑侵害行為が国境を跨いで行われる場合に、特許権の行使に関する懸念があるかを質問したと ころ、「懸念を感じる」が87者(73%)との回答が多く、「懸念を感じない」との回答は8者 (7%)にとどまった。 <権利者としての懸念の有無(回答者数119)> • 権利行使できるか不透明。 • 特許回避のためにサーバーを海外に置くこと は容易であるように感じる。 • 特許発明の全部または一部を海外サーバーで 実施された場合の侵害行為の認定の不確実性 が残っていると考える。 • (裁判所による判断の)予見可能性が低いた め、交渉を進める余地が少なく、権利活用の 選択肢が狭まってしまう。 【3】わからない, 24者,20% 【2】懸念を感じない, 8者,7% 【1】懸念を感じる, 87者,73% 13 令和5年度調査研究 国内アンケート調査結果②(他者の権利の侵害に対する懸念の有無) ➢ 国境を跨いで構成される実施行為が特許侵害と認められる可能性に関連して、事業者として事業 を行うに当たって、他者の特許権への抵触等の観点で、懸念を感じるかと質問したところ、「懸 念を感じる」との回答が68者(55%)、「懸念を感じない」の回答が20者(16%)であった。 <他者の権利の侵害に対する懸念の有無(回答者数123)> 令和5年度 【3】わからない, 35者,29% 【1】懸念を感じる, 68者,55% 【2】懸念を感じない, • 侵害成立の有無がはっきりしないが、強硬に権利行使された場合 は、訴訟回避のため、権利者と和解交渉をせざるを得なくなる。 • 訴訟でどのような判断になるかが分からないため、国境をまたい でいるから他社の特許侵害は問題ないとの判断ができない。 • 発明の本質的部分を実施していない、又は、一般的なサービスを 提供しているだけであるにもかかわらず、発明の構成(の一部) を実施したとして、特許権侵害を主張される。 • ドワンゴ事件控訴審で示された考慮事項によると、総合考慮であ り、ケースバイケースの判断となり、予見可能性が低く、また、 実務現場では判断が困難なものを含むため、裁判所の判決がでる までは実際には判断できず、潜在的な事業リスクが高まった。 (参考)令和4年度 【3】わからない, 20者,16% 14者,22% 【2】懸念を感じない, 6者,10% 【1】懸念を感じる, 43者,68% (注)令和4年度の調査結果は、「国境を跨いで構成される実施行為」又は「複数主体により構成される 実施行為」に対する懸念の有無に対する回答結果を集計したものである。 14 令和5年度調査研究 国内アンケート調査結果③(法改正による明確化の必要性) ➢ 「明確化する必要がある」とする回答は、令和4年度調査研究では49%、令和5年度調査研究で は38%であった。 ➢ 他方、令和4年度調査研究の実施前に第1事件の控訴審判決が、令和5年度調査研究の実施前に第 2事件の控訴審判決が、それぞれあったにもかかわらず、「明確化する必要がある」とする回答の 割合が最も大きかった。 <法改正による明確化の必要性> わからない, わからない, 33% 35% 明確化する必要はない, 18% • 判例の蓄積を待てばクリアになってくると 考えており、現行法下であっても懸念はな い。 • ネットワーク関連のビジネスは変化のス ピードが速いので、法改正による対応にな じまない。 明確化する必要はない, 27% 明確化する必要がある, 49% 明確化する必要がある, 38% (参考)令和4年度 • プログラムの出力結果が国内で発現してい るのであれば、国内でサービスを提供して いるとして国内の権利で戦える状況になれ ばベストである。 • 技術の進歩に合わせて実施行為を改正して 明確化することがよい。 令和5年度 アンケート期間:令和5年10月27日~11月30日 令和4年度調査研究でアンケート調査対象とした153者を含む国内企業等304者に質問票を送付。左のグラフは、国境を跨いだ実施行為に係る設問に回答した124者の回答をまとめたもの。 令和4年度の調査結果は、「国境を跨いで構成される実施行為」又は「複数主体により構成される実施行為」に対する法改正による明確化の必要性についての回答結果を集計したものである。 15 令和5年度調査研究 国内ヒアリング調査結果:法改正に対する具体的意見の例 ○法改正による明確化を望む立場 ✓ 裁判例の蓄積となると、事案が発生して争われないと蓄積されない。裁判によっては玉虫色の判 断もあり、そのような裁判例が出てもあまり使えない。基準の明確化が企業にとっては助かる。 どこまで責任がありどこまでは責任がないということの拠り所が欲しい。 ✓ 中国、韓国、シンガポールの企業が日本のアプリケーション市場に入ってきている。外国に処理 の機能がある場合もある。侵害を問える法整備がなされるとありがたい。 ○法改正に慎重な立場 ✓ ネットワーク関連発明はスピード感があり日々変わっていくため、仮に速やかに法改正しても5 年後に陳腐化する可能性は否定できない。・・・それよりも、蓄積された判例により、個々の事案 を判断する方がトータルとして市場に安定をもたらすのではないか。 ✓ 仮に日本だけが他国にないような侵害認定の概念を特許法に取り入れてしまうと、国際調和から 外れてしまう。 16 令和5年度調査研究 有識者検討会における議論の概要 ➢ 有識者検討会では、①実施の定義規定の明確化、②実質的に国内と認められる行為の判断基準の 明確化、③間接侵害規定の整備の3つの観点から、条文をイメージしつつ議論。 ➢ その結果、②について、実施の「一部」が国内(発明の構成要件の一部が国外)である場合に、発 明の「技術的効果」及び「経済的効果」が国内で発現していることを要件として、実質的に国内に おける行為と認められる(=日本の特許権の効力が及ぶ)ことを明文化する意義について、おおむ ねコンセンサスが形成された。 【方向性案①】実施行為(第2条第3項)の明確化 ➢ SaaSサービスを念頭に置き、特許発明を電気通信回線を通じて他人の利用に供する行為が「譲渡等」に含まれるとする特許庁の 従前の解釈を条文で明確化することを提案。明確化に比較的賛同が多かったが、諸外国の実務(※)との離反や既存のライセンス 契約への影響等を理由に反対する意見もあった。 ※諸外国では、サーバー内部の処理ではなく(国内に存在する)入力/出力に係る構成で技術的特徴を表現するクレームドラフティ ングの工夫と、「使用」の行為類型について属地主義を柔軟に解釈することで国境を跨いだ実施による侵害を捕捉しているという 指摘もあった。 【方向性案②】実質的に国内と認められる行為の判断基準の明確化 ➢ 特許発明の実施の「一部」が日本国外で行われた場合であっても、一定の要件を満たした場合には国内の行為と認められる旨明文 化することを提案。規定を置くべき条文について意見の差異(※)は残ったものの、発明の「技術的効果」及び「経済的効果」が 国内で発現していることを要件として、実質的に国内における行為と認められる(=日本の特許権の効力が及ぶ)ことを明文化す る意義について、おおむねコンセンサスが形成された。 ※主に、実施(第2条)に規定を置く考え方と特許権の効力の例外規定(第69条)に規定を置く考え方の2つがあった。 【方向性案③】間接侵害規定(第101条)の整備 ➢ 「業」要件を満たさない個人ユーザーが直接実施行為(使用)の主体となるケースを念頭に、「使用させる(利用に供する)」行 為を間接侵害行為として捉えることを提案。考え方に理解を示す意見があった一方で、措置の必要性(直接侵害との違い)がわか らない等の疑問を呈する意見もあった。 17 令和5年度調査研究 <参考>有識者検討会の小括(調査研究報告書103-104頁より引用) (iii)小括 本有識者検討会では、ネットワーク関連発明における国境を跨いで構成される実施行為に対する適切な権利保護の在 り方について、(中略)、仮に立法で対応する場合に直面し得る立法上の課題について理解を深めるべく、(a)実施 の定義規定の明確化、(b)実質的に国内での実施と認めるための判断基準の明確化、(c)間接侵害規定の整備の3 つの観点から検討を行った。 その結果、以下の点について概ねコンセンサスが形成された。 • 属地主義の原則は大前提であるが、柔軟に解釈できるものである。 • 国境を跨いで構成される実施行為の問題に対処するに当たっては、「使用」の実施行為類型が重要である。 • 実施の「一部」が国内である場合に、実質的に国内での実施と認められるには、少なくとも「発明の効果」が国内で 発現していることが必要である。その際、「発明の効果」としては、技術的効果だけでなく経済的効果も併せて必要 である。 他方で、立法による対応の必要性及び仮に立法により対応する場合の具体的な条文のイメージについてはコンセンサ スが得られるに至らなかった。 立法による対応の必要性については、実施の定義の明確化が必要、クレームドラフティングでは限界等の理由から立 法による対応が必要、コンセンサスが得られている部分だけでも立法で解決した方がよいという改正に前向きな意見が 多かった一方で、解釈とクレームドラフティングの工夫で対処すべきであり、法改正は不要であるという意見や、(法 改正には否定的ないし消極的としつつ)諸外国の判例の動向と異なる方向を向いていることが、立法により固定化され、 将来の日本を拘束してしまうことになるのは日本のためにならないという意見もあった。 仮に立法により対応する場合の具体的な条文のイメージについて、上記「(b)実質的に国内での実施と認めるため の判断基準の明確化」に関しては、実施の「一部」が国内にある場合に、実質的に国内での実施と認められるには、少 なくとも「発明の効果」が国内で発現していることを要件とし、その際、「発明の効果」としては、技術的効果だけで なく経済的効果も併せて考慮する規定とすることについては概ねコンセンサスが得られたが、仮に規定を置く場合にど の条文において規定するかという点については、実施の定義規定(第2条)において規定する考え方と特許権の効力規 定(第68条、第69条(又は第69条の2))で規定する考え方のそれぞれに対して、肯定的な意見と懸念を示す意見があ り、コンセンサスが得られるには至らなかった。また、(a)実施の定義規定の明確化については、「譲渡等」の明確 化を図る考え方について比較的賛同を示す意見が多く、(c)間接侵害規定の整備についても、「他人に使用させる」 行為を捉えるという考え方につき一定の支持があったが、(a)、(c)いずれも賛否両論があった。 18 令和5年度調査研究 海外調査の結果概要(主な裁判例) ➢ 諸外国においても、ネットワーク関連発明に関して、属地主義を柔軟に解した裁判例が存在。発明 の技術的効果や経済的影響の発現場所に着目した裁判例が多く確認された。 国 事件名 カテゴリ 実施態様 使用 物 通信システムを構成する一部の装 NTP,Inc.v.ResearchInMotion,Lt (システム) 米 d.,418F.3d1282(Fed.Cir.2005) 置を国外に設置 (BlackBerry事件) 使用 方法 方法の一部ステップを国外で実施 供給 ゲームシステムを構成する一部の [2002]EWCACiv1702Menashe 物 装置(ホストコンピュータ)を国 v.WilliamHill(Menashe事件) (システム) 外に設置し、ユーザー端末用プロ 英 グラムをCD-ROMに格納して提供 EWHC2021(Pat)PromptuSyste 使用 msCorporationv.SkyUKLimited 方法 音声認識方法の一部ステップを国 (Promptu事件) 外で実施 デュッセルドルフ高等裁判所、 2009年12月10日判決、I使用 方法 2U51/08(電話用プリペイド 方法の一部ステップを国外で実施 カード事件) 独 デュッセルドルフ地方裁判所、 2020年7月28日判決、 使用 方法 4aO53/19,GRUR2020,1078 方法の一部ステップを国外で実施 (オンライン視力検査事件) 使用(utilisation)、使用の申出 パリ第一審裁判所、2019年2月1 仏 方法 (offred’utilisation) 日、Araxxec.Sigos 方法の一部ステップを国外で実施 使用 国外に設置されたサーバー上の 方法 ウェブサイトから国内ユーザーに サービスを提供 中国法院裁判文書(2020)最高 中 法知民終746号 使用 物 システムを構成するサーバーを国 (システム) 外に設置 ソウル高等法院2015.10.8.言渡 2015ナ2014387判決 韓 (インスタントメッセンジャサー ビス事件) 方法 使用 外国法人である被告が運営する ウェブサイトを通じて国内にアプ リケーションを配布 条文 結論 理由 271条(a) 直接侵害 侵害 システムの使用の場所は「システムの管理が行われ、システムの有益な使用 が得られる場所」である。 271条(a) 直接侵害 非侵害 「使用」には当たらない。 60条(2) 間接侵害 侵害 ゲームシステムのユーザーは英国内の顧客であり、顧客は被告に提供された プログラムを用いて英国内から国外のホストコンピュータを使用している。 (※現地有識者(弁護士)へのヒアリング調査によると、本件において、裁 判所は、発明の構成要件が全て英国内で実施されていなくとも、効果が英国 内であったと述べているとのこと。) 60条 (1)(b) 直接侵害 侵害 実質的には、英国のサーバーで実施されている「バックチャネルを使用する 方法」の発明であり、国外で行われるステップの機能は従属的機能である。 9条(2) 直接侵害 侵害 国外で行われた一部の行為は、侵害者が国内において侵害の効果を有する自 身の行為としてそれを採用している場合には、国内の行為として扱わなけれ ばならない。 9条(2) 直接侵害 侵害 特許方法の技術的効果は国内で生じていることを、事後的に国外で行われた 行為の帰属の根拠とした。 L613条 3(b) 直接侵害 侵害 ウェブサイトを通じて国内で全ステップの使用の申出がされている。 11条1項 直接侵害 侵害 11条1項 直接侵害 侵害 2条3項 (ロ) 直接侵害 侵害 ①専利権を侵害する行為の一部の実質的部分又は一部の権利侵害の結果が中 国領域内で発生した場合、権利侵害行為地が中国領域内にあると認定できる、 ②侵害ウェブサイトの経営地及び運営主体が中国領域内である、③ユーザー が中国領域内であり、専利実施過程の触発地点が中国領域内である、④侵害 ウェブサイトが提供する物流情報検索サービスは国際物流をターゲットとす るもので、その相当部分の物流情報は中国国内の物流企業に由来しているた め、侵害技術の実施過程において、関連データ伝達とインタラクションの全 部又は一部が中国領域内で発生していると推知できる。 被告は形式的には、発明の構成要素一部または全部を自ら実施しなかったが、 スマートフォン使用者らを道具のように利用することによって、実質的には 発明の構成要素の全部を実施したと見るのが妥当である。 19 特許庁政策推進懇談会(令和6年) 特許庁政策推進懇談会(令和6年)における議論 検討事項 実施行為の「一部」が国内である場合に、少なくとも発明の「技術的効果」及び「経済的効果」 が国内で発現していることを要件として、実質的に国内の行為と認められることを明文化するこ とが、権利保護の予見性向上の観点から適切か? 議論の内容 • 本論点について係争中のドワンゴ対FC2事件が最高裁に上告中であること等の状況を踏まえ慎 重な議論が必要との意見もあったが、事例判断である裁判例を通じて十分な予見性を確保でき るかは不透明であることから、明文化の方向で検討をしていくことについて、賛同が多く得ら れた。 • 明文化に当たっては、発明の実施行為の「一部」が国内であって、発明の「技術的効果」と 「経済的効果」が共に国内で発現していることを要件として、実質的に国内の行為と認める方 向で検討を進めることが適切であるとの見解が多数であった。 今後の検討の方向性 実質的に国内の実施行為と認める要件を明文化する方向で、特許制度小委員会において、集中的 に検討を深める必要がある。 20 特許庁政策推進懇談会(令和6年) <参考>特許庁政策推進懇談会において提示された主な御意見① 明文化の方向性について  大合議判決後のユーザーの声が気になっていたが、若干改正を要望する声は減ったものの、依然として多数派であることが理解でき た。改正を要望する声の方が大きい状況であれば、改正の方向で検討することに異論はない。  2010年頃からサイバー空間とフィジカル空間を使ったビジネスが徐々に増え、今も増え続けている結果、昨今はマジョリティのビジ ネスがサイバー空間を利用しているのが世界の趨勢。それが元に戻るとは考えにくい。ドワンゴ対FC2事件はプログラムをダウン ロードさせる形態だったが、ダウンロードをせずにSaaSである程度処理をするもの、プログラムをダウンロードして実行した後消去 する形態、モジュールやフォーマットだけやり取りする形態など様々なビジネス形態があり、それらの様々な形態で判例を積み重ね るには10~20年要してしまうので、ポジティブに法改正を考えてよいのではないか。  当団体でアンケートを行ったところ、回答者の60%が予見可能性向上の観点から法改正による明文化を評価する立場であった。ただ、 60%ということで反対意見も多く、拙速な法改正は避けるべき、現在上告中の最高裁の判断を含め判例の蓄積を待つべき、諸外国の 動向をふまえるべきで時期尚早又は反対という意見も出てきた。捉え方が難しいが、明文化を支持する声は確実にあるということは 言えるので、より議論を進めていただければと思う。  明文化することで一定の予見性の向上が図られ、権利侵害に対する抑止効果及び適正な権利者の権利保護につながるため適切である と考える。他方で、意図しない権利侵害が発生しないためにも、明文化の際には各企業が自社や取引先で該当事案が発生しないこと をしっかり確認できるよう広く周知してほしい。  投資の保護の観点からも非常に納得感の高い方向性だと感じている。  条文を変えるとなると、ネットワーク関連発明以外にも適用されていくことになるので、影響はよく考えなければいけないが、今の 条文で拾うべきものについて法改正により排除されることにはならないという理解を明確にした上で法改正がなされればよい。  当団体の中でも(明文化によって)予見性が向上することについてはそのとおりと考えている一方で、本論点に関する事例がいくつ か出てきている中でその傾向が続くのか等を含め慎重に見た方がいいという意見もあった。法改正を念頭に置くかどうかは別として、 どのような方向性があり得るかを検討していくことには賛成。  法改正に向けて検討を進めることには賛同するが、法改正ありきで急ぐことなく慎重な議論を継続してほしい。  仮に立法するにしても、ネットワーク関連発明に限った立法になるのか、ネットワークに限らず領域を跨ぐようなものもあり得るの かといった論点があるのではないか。  当団体内では、ある程度事例や類型が固まってきたら、侵害となるような形態としてどのようなものがあるか等のガイドラインを作 成することも将来的には検討してほしいという意見もあった。 21 特許庁政策推進懇談会(令和6年) <参考>特許庁政策推進懇談会において提示された主な御意見② 実質的に国内の実施と認める要件について  (当団体で行った)アンケートの中には「経済的効果」という表現がどのようなものか明確にしたほうがよいという指摘も あった。  「経済的効果」の概念をもう少し明確化すると、実感としてはわかりやすいものになる。  海外の事例だと「技術的効果」と「経済的効果」のいずれかという形になっていることが多い。技術の進歩は予見可能性が 低く、今でも「技術的効果」自体を外国で発現させておいて国内がその映像を見るだけといったこともできる。それも国内 で「技術的効果」が発現していると解釈できるかもしれないが、技術進歩を考慮すると表現をもう少し慎重に考える必要が あるのではないか。「経済的効果」についても、国内のユーザーからの売上が発生したことを要するのかなど、定義につい て今後慎重に明確化していく必要があると思う。  令和5年度調査研究での有識者検討会に参加していたが、「経済的効果」と「技術的効果」は非常に表現が難しかった。 「経済的利益」という表現も提示されたが、市場参入をして市場を破壊し、利益を得ずに市場を独占した後で利益を得るよ うな行為が含まれるのかどうかという議論があり、「経済的効果」という表現に落ち着いた。ただ、個人的な利用等は範疇 に置かないようにしたかと思う。フリーのソフトウェアで動画をダウンロードできてお金も取らないといったビジネスが他 の業者の事業を破壊した場合はどうするかというのは、これから議論になっていくのではないか。また、「技術的効果」に ついても、ドワンゴ対FC2事件のような事例ではユーザーインターフェースで効果が発現しているので非常に判断しやすい が、サーバーの中に閉じた省エネなどの効果が海外で発生していて、それが日本で利用された際に日本のサービスが安くな るといった効果までも含めるのは少し行き過ぎだと考える。  世界中がネットワークで繋がっている中で、形式的な属地主義を貫いたことで起きた問題なので、それを実質的に捉える方 向で明確化するのはしっくりくる。「経済的効果」や「技術的効果」といった表現をこのまま使うかなどの議論はもう少し 必要かと思うが、方向性としては賛成。  予見可能性を高める意味で、技術的・経済的効果が日本で発現しているという要件について、ドワンゴ対FC2事件の考慮事 実との整合性・網羅性の観点も含めて慎重に検討を進めてもらいたい。 「特許庁政策推進懇談会中間整理」(令和6年6月) 7-8頁より 22 御議論いただきたい論点(案) ➢ 事例判断である裁判例を通じて十分な予見性を確保できるかは不透明であるところ、これまでの議 論を踏まえ、実質的に国内の実施行為と認める要件(※)を明文化する方向での法改正を視野に検 討を深めるべきと考える。 ※ 発明の実施行為の「一部」が国内であって、発明の「技術的効果」と「経済的効果」が共に国 内で発現していること ➢ そこで、下記の論点に留意しつつ、明文化の検討を進める方向性でよいか、他の論点がないかにつ いて御議論いただきたい。 ➢ また、各論点に関して、特に考慮すべき事項等についての御意見をいただきたい。 検討に当たって留意すべき論点 ⑴ 要件の具体的な考え方(概念整理等) ・発明の「技術的効果」と「経済的効果」の考え方【補足1】 ・実施の「全部」が国外の場合における取扱い【補足2】 ・その他の要件の必要性 ⑵ ⑶ 明文規定を置く条文【補足3】 明文化することで生じ得る課題 ・権利者-被疑侵害者間の主張・立証責任のバランス ・クリアランス実務等への影響 ・諸外国における権利保護とのバランス ・ネットワーク関連発明以外の発明への影響 ⑷ その他の論点 ・他の方向性(有識者検討会の方向性案①、③)の検討の要否 ・他法域(他の産業財産権法、民法、民訴法等)との整合性 ・最新の技術進展と検討の方向性との適合性 ・多様なユーザに対する利便性(中小企業、スタートアップ等) ・他の政策分野での議論との整合性 23 【補足1】<参考>発明の「技術的効果」と「経済的効果」の検討例 ➢ 「技術的効果」と「経済的効果」とが共に国内で発現していると考えられる例として、画像形式 変換プログラム配信サービスを示す。 ➢ 技術的効果:プログラムを実行することによる画像形式の変換 ➢ 経済的効果:プログラム配信により得られる収入/プログラムのシェアの獲得 画像形式変換プログラム配信サービスの例 ユーザー端末における画像形式変換 出力 入力 形式A ユーザー (端末) ③画像形式変換プログラムの実行 形式B ① ダ 画 ウ 像 ン 形 ロ 式 ー 変 ド 換 リ プ ク ロ エ グ ス ラ ト ム サーバー 海外 ユーザー (端末) サーバーが海外に存在 ② 画 像 形 式 変 換 プ ロ グ ラ ム 配 信 収入 画像形式変換 プログラムの シェアの獲得 プログラム配信会社 <画像形式変換プログラム配信サービスの例におけるシステムの概要> ① ユーザーが、サーバーに画像形式変換プログラムのダウンロードをリクエストする。 ② 画像変換を所望するユーザー(端末)に対し、サーバーから画像形式変換プログラムが配信される。 ③ ユーザーが、端末にダウンロードした画像形式変換プログラムに、形式Aの画像を入力し、画像形式変換プログラムを実行するこ とで、画像形式変換プログラムから形式Bの画像を出力する。 (※画像形式変換プログラムの具体的な制御に係る技術について、特許権が成立) 24 【補足1】<参考>発明の効果に関する現行法上の規定 ➢ 現行法においては、明細書の発明の詳細な説明に「発明の効果」を記載することは義務付けられて いない(※1)。 ➢ 一方、第36条第4項第1号で委任する経済産業省令(特許法施行規則第24条の2)において、発 明が解決しようとする課題及びその解決手段その他の当業者が発明の技術上の意義を理解するため に必要な事項を明細書の発明の詳細な説明に記載することが規定されている(委任省令要件)(※ 2)。 ※1:平成6年の特許法一部改正前は、発明の詳細な説明において、発明の目的、構成及び効果の記載を通じて発明の技術上の意義が 理解され、当業者が容易にその実施をすることができるような記載を求めていた(当時の第36条第4項)。 ※2:なお、同施行規則の様式29の備考において、特許を受けようとする発明が従来の技術との関連において有利な効果を有するも のであるときは、なるべくその効果を記載することとされている。 【参考】特許法第36条(平成6年改正前) 4 前項第三号の発明の詳細な説明には、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易にその実施をすること ができる程度に、その発明の目的、構成及び効果を記載しなければならない。 【参考】特許法施行規則 (発明の詳細な説明の記載) 第二十四条の二 特許法第三十六条第四項第一号の経済産業省令で定めるところによる記載は、発明が解決しようとする課題及びその解決手段その他 のその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が発明の技術上の意義を理解するために必要な事項を記載することに よりしなければならない。 様式29(第24条関係)[備考]14 二 原則として、その発明が解決しようとする課題及びその課題を発明がどのように解決したかを記載する。また、特許を受けようとす る発明が従来の技術との関連において有利な効果を有するものであるときは、なるべくその効果を記載する。この場合において、各 記載事項の前には、なるべく「【発明が解決しようとする課題】」、「【課題を解決するための手段】」及び「【発明の効果】」の 見出しを付し、これらの記載の前には、「【発明の概要】」の見出しを付す。 25 【補足2】実施の「全部」が国外の場合における取扱い ➢ 有識者検討会では、実施の「一部」が国内である場合(発明の構成要件の一部が国外に存在する場 合)、一定の要件を満たせば、国内の実施と評価し得ることについて、おおむねコンセンサスが得 られた。 ➢ 実施の「全部」が国外で行われた場合(発明の構成要件の全部が国外に存在する場合)については、 現時点では国内の実施と評価しないことを明確にすべきでないとの意見もあったが、国内の実施と 評価すべきではないとの意見が多数であった。 <有識者検討会における多数意見のイメージ> 全部国内 一部国内 全部国外 クレーム 構成要件例 • 端末 • 端末で閉じた 処理方法 • システム • システムで実行 される方法 • サーバ • サーバで閉じ た処理方法 国内実施と評 価できるか ○ ○ × (※1) (※2) 被疑侵害システム 海外 サーバー 端末 システム (※1)「実施」の行為主体が「業」要件を満たさない個人ユーザーと評価される可能性が あることに留意が必要。 (※2)「技術的効果」と「経済的効果」が共に国内で発現する場合に限る。 【参考】有識者検討会における議論(令和5年度調査研究報告書101-102頁より) • 実施の「一部」が国内である場合(クレームされた発明の構成要件の一部が国外に存在する場合)に、実質的に国内での実施と認めら れるには、少なくとも「発明の効果」が国内で発現していることが必要であり、その際、「発明の効果」としては、技術的効果だけで なく経済的効果も併せて必要であるということについては概ねコンセンサスが得られた。 • 実施の「全部」が国外で行われた場合(クレームされた発明の構成要件の全てが国外に存在する場合)にも国内での実施と評価し得る かついては、国内の実施とは評価しないことを明確にすべきという意見が多数であったが、実施の「全部」が国外である場合であって も、国内における実施と評価できる場合(例えば、国内に提供しているサービスに競争力を与える場合など)もあるのではないかとい う意見や、技術の進歩に伴い通信インフラも発達していくことを踏まえれば、「全部」が国外である場合であっても国内の実施と評価 すべき事案が生じる可能性があるため、現時点では国内の実施と評価しないことを明確にすべきではないという意見もあった。 26 【補足3】明文規定を置く条文について ➢ 有識者検討会では、主に第2条(定義)で規定する案で規定する案、第69条(特許権の効力が及 ばない範囲)で規定する案を検討。それぞれについて賛否両論があった。 【参考】有識者検討会における議論(令和5年度調査研究報告書102頁より) 第2条(定義)で規定する案について ○(属地主義は)行為地についての評価を定めるものであるから第2条がなじむ。 ○第69条等で規定した場合、実施の定義を定めた第2条から離れた位置となりわかりにくいため、第2条で定 めたほうが実務上は対応しやすい。 ×第79条(先使用による通常実施権)や第83条(不実施の場合の通常実施権の設定の裁定)等多数の条文に おける「実施」の解釈への影響を慎重に検討する必要がある。 第69条(特許権の効力が及ばない範囲)で規定する案について ○規定の仕方によって立証のレベルを下げることができ、主張立証責任の分配の考え方からもなじむ。 ×被疑侵害者が国内における実施ではないこと等について立証責任を負うことになるのは問題。 ×第69条は形式上特許権の効力が及ぶ行為について例外的に効力が及ばない旨規定しているので、例外的に 効力を及ぼす旨を規定する条文を置くのはなじまない。(※当該指摘への対応として、第69条の2を新設す るという考え方については、賛同する意見が複数あった。) ・仮に第69条に規定を置く場合、特許発明の直接的な実施について定めることになるため、間接侵害に関す る第101条については直接的な適用がなく、同条において国内における実施と評価するための要件について は解釈により対応することになる。 27 【補足3】<参考>現行法において「実施」の文言を含む条文 ➢ 現行法において、 第2条以外にも、多数の条文において「実施」という文言が用いられている。 第2条以外で「実施」の文言を含む条文の例 (先使用による通常実施権) 第七十九条 特許出願に係る発明の内容を知らないで自らその発明をし、又は特許出願に係る発明の内容を知らな いでその発明をした者から知得して、特許出願の際現に日本国内においてその発明の実施である事業をしている 者又はその事業の準備をしている者は、その実施又は準備をしている発明及び事業の目的の範囲内において、そ の特許出願に係る特許権について通常実施権を有する。 (不実施の場合の通常実施権の設定の裁定) 第八十三条 特許発明の実施が継続して三年以上日本国内において適当にされていないときは、その特許発明の実 施をしようとする者は、特許権者又は専用実施権者に対し通常実施権の許諾について協議を求めることができる。 ただし、その特許発明に係る特許出願の日から四年を経過していないときは、この限りでない。 2 略 ※その他、第29条(特許の要件)、第34条の2(仮専用実施権)、第34条の3(仮通常実施権)、第36条(特許出願)、第48条の3(出願審査の請 求)、第48条の6(優先審査)、第65条(出願公開の効果等)、第67条(存続期間)、第67条の7、第68条(特許権の効力)、第68条の2(第六十 七条第四項の規定により存続期間が延長された場合の特許権の効力)、第69条(特許権の効力が及ばない範囲)、第72条(他人の特許発明等との関係)、 第73条(共有に係る特許権)、第77条(専用実施権)、第78条(通常実施権)、第79条の2(特許権の移転の登録前の実施による通常実施権)、第 80条(無効審判の請求登録前の実施による通常実施権)、第85条(審議会の意見の聴取等)、第90条(裁定の取消し)、第92条(自己の特許発明の 実施をするための通常実施権の設定の裁定)、第93条(公共の利益のための通常実施権の設定の裁定)、第94条(通常実施権の移転等)、第95条(質 権)、第96条、第101条(侵害とみなす行為)、第102条(損害の額の推定等)、第112条の3(回復した特許権の効力の制限)、第125条の3、第175 条(再審により回復した特許権の効力の制限)、第176条、第184条の10(国際公開及び国内公表の効果等)等において、「実施」の文言が含まれている。 28 参照条文 ○特許法 (定義) 第二条 (略) 2 (略) 3 この法律で発明について「実施」とは、次に掲げる行為をいう。 一 物(プログラム等を含む。以下同じ。)の発明にあつては、その物の生産、使用、譲渡等(譲渡及び貸渡し をいい、その物がプログラム等である場合には、電気通信回線を通じた提供を含む。以下同じ。)、輸出若し くは輸入又は譲渡等の申出(譲渡等のための展示を含む。以下同じ。)をする行為 二 方法の発明にあつては、その方法の使用をする行為 三 物を生産する方法の発明にあつては、前号に掲げるもののほか、その方法により生産した物の使用、譲渡等、 輸出若しくは輸入又は譲渡等の申出をする行為 4 (略) (特許権の効力) 第六十八条 特許権者は、業として特許発明の実施をする権利を専有する。ただし、その特許権について専用実施 権を設定したときは、専用実施権者がその特許発明の実施をする権利を専有する範囲については、この限りでな い。 (特許権の効力が及ばない範囲) 第六十九条 特許権の効力は、試験又は研究のためにする特許発明の実施には、及ばない。 2 特許権の効力は、次に掲げる物には、及ばない。 一 単に日本国内を通過するに過ぎない船舶若しくは航空機又はこれらに使用する機械、器具、装置その他の物 二 特許出願の時から日本国内にある物 3 二以上の医薬(人の病気の診断、治療、処置又は予防のため使用する物をいう。以下この項において同じ。) を混合することにより製造されるべき医薬の発明又は二以上の医薬を混合して医薬を製造する方法の発明に係る 特許権の効力は、医師又は歯科医師の処方せんにより調剤する行為及び医師又は歯科医師の処方せんにより調剤 する医薬には、及ばない。 29 29 参照条文 (侵害とみなす行為) 第百一条 次に掲げる行為は、当該特許権又は専用実施権を侵害するものとみなす。 一 特許が物の発明についてされている場合において、業として、その物の生産にのみ用いる物の生産、譲渡 等若しくは輸入又は譲渡等の申出をする行為 二 特許が物の発明についてされている場合において、その物の生産に用いる物(日本国内において広く一般 に流通しているものを除く。)であつてその発明による課題の解決に不可欠なものにつき、その発明が特許 発明であること及びその物がその発明の実施に用いられることを知りながら、業として、その生産、譲渡等 若しくは輸入又は譲渡等の申出をする行為 三 特許が物の発明についてされている場合において、その物を業としての譲渡等又は輸出のために所持する 行為 四 特許が方法の発明についてされている場合において、業として、その方法の使用にのみ用いる物の生産、 譲渡等若しくは輸入又は譲渡等の申出をする行為 五 特許が方法の発明についてされている場合において、その方法の使用に用いる物(日本国内において広く 一般に流通しているものを除く。)であつてその発明による課題の解決に不可欠なものにつき、その発明が 特許発明であること及びその物がその発明の実施に用いられることを知りながら、業として、その生産、譲 渡等若しくは輸入又は譲渡等の申出をする行為 六 特許が物を生産する方法の発明についてされている場合において、その方法により生産した物を業として の譲渡等又は輸出のために所持する行為 30 DX時代にふさわしい産業財産権手続に関する制度的措置 31 DX時代にふさわしい産業財産権手続に関する制度的措置 ➢ 我が国企業が世界で競争力を保っていくためには、イノベーションの創出が必要であり、そのた めにはイノベーションの源泉たる知的財産の取得・活用を引き続き促進することが重要。 ➢ 企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、デジタル技術等を活用して製品やサービスに加えて 業務そのものや組織を変革し、競争上の優位性を確立すること、すなわち、DXの推進が求めら れている。 ➢ 産業財産権手続についても、手続自体のデジタル化をはじめ、DX時代にふさわしい制度的措置 を講じることにより、産業財産権の取得・活用を後押しする必要がある。 産業財産権手続に関する 制度的措置事項(案) ○特許庁における手続のデジタル化の状況 1. ePCTによるオンライン出願・発送の導入 2. 公報におけるプライバシーの保護 3. 国内優先権に基づく先の出願の取扱いの見直し 32 ePCTによるオンライン出願・発送の導入 ➢ 特許協力条約(PCT:Patent Cooperation Treaty)に基づく国際出願(PCT出願)に係る国際段 階の発送書類は、日本国特許庁から出願人に全件紙で郵送しており、出願人より、オンラインに よる発送を求める声が多数寄せられている。 ➢ PCT出願・中間書類の提出は、出願ソフトでオンライン提出が可能であるが、庁内システムの改 造にはコスト・時間が必要なため、頻繁なPCT規則改正などにタイムリーに対応することが困難。 ⇒ ユーザーの利便性向上やコストの観点から、世界知的所有権機関(WIPO)が提供するWebサー ビスである「ePCT」を活用したオンライン出願・発送の導入を検討。(導入にあたっては、国内の特許関 係法令とPCT規則間における考え方の違いなど、ユーザー実務への影響も踏まえつつ、法令上の整理・検討が必要。) ePCTとは ✓ 出願人・官庁向けに電子出願機能などをWIPOが提供するWebベースのサービス ✓ 88の受理官庁でePCTを利用した国際出願を受付 ✓ ソフトウェアのインストールや更新作業が不要で、10言語(※)でサービスを提供 <ePCT の主要な機能> 出 願 人 官 庁 ※日本語、英語、アラビア語、中国語、フランス語、ドイツ語、韓国語、ポルトガル語、ロシア語、スペイン語 出願機能 PCT国際出願・中間書類の提出、入力支援 閲覧機能 出願の書誌情報や書類の閲覧・ダウンロード 管理機能 電子メールによる通知、国際出願の情報等を閲覧する権限の管理 受理機能 PCT国際出願・中間書類の受理 オフィス機能 通知・国際調査報告書等の作成 通信機能 出願人・WIPO・参加官庁との通信 33 公報におけるプライバシーの保護 ➢ 公報には、法律に基づき、出願人・権利者及び発明者等の氏名及び住所(居所)が掲載されてい るが、インターネットでの公報発行により誰でも容易にこれらの情報にアクセスできる※ところ、 個人の出願人・権利者及び発明者等の住所の非表示等の要望が多く寄せられている。 ※公報は従来、紙媒体で発行されていたため閲覧者は限られていたが、現状はインターネット公報発行サイトから容易にダウン ロードできるほか、公報情報は特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)で容易に閲覧可能。なお、J-PlatPat(公報PDF表示以 外の情報)やバルクで提供している特許情報標準データでは、住所の概略表記を実施済み。 ⇒ DX時代における個人のプライバシー保護の観点から、ユーザーニーズも踏まえつつ、公報におい て、個人の出願人・権利者及び発明者等の住所を概略表記とすることを検討。 これまでの経緯等 ○公報における住所等記載の例 ➢ 平成28年に、知財分科会情報普及活用小委員会か ら「個人情報の保護を強化する必要性が高まって いることに鑑み、公報に掲載する住所を概略化す べき。」旨の提言を受け、特許法改正の検討を実 施したものの、その当時は、立法事実の不足等に より法改正は見送りとの結論となった。 ➢ 法務省では、一定の要件の下、登記事項証明書等 において株式会社の代表取締役等の住所を一部表 示しないこととする措置※が講じられた。 ※商業登記規則等の一部を改正する省令(令和6年法務省令第28号) 34 国内優先権に基づく先の出願の取扱いの見直し ➢ 審査処理の迅速化等により、国内優先権の基礎となる特許出願がみなし取下げとなる時点(先の出 願の日から1年4月経過時)までの権利化可否の予測困難性が課題として顕在化。このため、特許 庁では、先の出願の権利取得に関する出願人の意向確認やそれに基づく審査止め等の業務も実施。 ➢ 国内出願を基礎とする優先権主張を伴うPCT出願の増加に伴い、先の出願の出願公開の保留・審査 止め等に係る業務も増加。また、特許庁では、WIPO国際事務局を通じた情報収集を行うものの、 他国官庁を受理官庁としたPCT出願を捕捉しきれずに出願人が望まない先の出願の公開リスクあり。 ➢ こうした複雑な庁内運用により特許庁における業務量も増加しており、業務効率化が急務。 ⇒ これらを踏まえ、ユーザー実務への影響も考慮しつつ、国内優先権に基づく先の出願の取扱いにつ いて、制度簡素化に向けた見直しを検討。 国内優先権制度・みなし取下げ制度について 先の出願 出願から1年4月経過時にみなし取下げ (特許法第42条等) 基本発明 A (後願が取り下げられた場合は先願は生き残る。) 出願後の 改良発明 B 包括的にまとめて出願! A+B 後の出願 国内優先権を主張! (発明Aの審査の基準日は先の出願の日(優先日)) 35 次回の特許制度小委員会について(予定) ➢ 開催予定時期 令和6年12月~令和7年1月頃を想定。 ➢ 御議論いただく内容 • DX時代にふさわしい産業財産権手続に関する制度的措置について、それぞれの詳細な内容をお示 ししつつ、具体的な対応の方向性について御議論いただきたい。 • 国際的な事業活動におけるネットワーク関連発明等の適切な権利保護については、本日いただく御 指摘等に対して事務局として回答をお示ししたい。 ※その他、他省庁の法改正の影響が生じた場合等、特許制度の見直しが必要となった場合は、議題を追加させてい ただきたい。 36
産業構造審議会 知的財産分科会 特許制度小委員会 第50回 議事録・配布資料全文 | PPPT