資料3
資料1
商標審査の現状
産業構造審議会知的財産分科会 第12回商標制度小委員会
令和7年6月13日
1
商標出願、審査期間
2
制度の運用
1
商標出願件数
◼ 商標登録出願は、直近3年、件数全体として減少傾向。
◼ 国内ユーザーの出願、国際商標登録出願のいずれも減少している。
◼ 2022年・2023年・2024年各年の前年比増減率は、それぞれ、-8%・-4%・-3%。
減少傾向は緩和しつつあるものの、増加には至っていない状況。
(件)
商標登録出願(国際商標登録出願以外)
200,000
国際商標登録出願 190,939
17,328
161,859
150,000
147,283
184,483
17,802
190,773
19,450
181,072
184,631
17,924
20,094
170,275
19,769
13,835
164,061
17,397
158,792
16,252
15,984
100,000
173,611
166,681
171,323
148,024
163,148
164,537
150,506
146,664
142,540
2022
2023
2024
131,299
50,000
0
2015
2016
2017
2018
2019
2020
2021
(年)
※料金未納により却下される一部出願を含む
2
商標五庁における出願件数(区分数)
◼ 2020年以降、米国・欧州・中国・韓国の各知財庁への出願数は、概ね日本と同様の傾向で増減している。
◼ 程度の差はあるものの、2021年から2022年にかけて減少し、2022年以降は微減又は横ばいで推移。
商標五庁(日米欧中韓)における商標出願件数の推移
(件)
(区分:中国)
1,000,000
10,000,000
JPO(日本)
900,000
9,000,000
USPTO(米国)
800,000
KIPO(韓国)
8,000,000
700,000
EUIPO(欧州)
7,000,000
CNIPA(中国)区分数
600,000
6,000,000
CNIPA(中国)件数
500,000
5,000,000
400,000
4,000,000
300,000
3,000,000
200,000
2,000,000
100,000
1,000,000
0
0
2014
2015
2016
2017
2018
2019
2020
2021
2022
2023
(年)
出典:
TM5におけるReport for Common Statistical Indicators(~2020年)及びTM5 Statistics(2021年~)
※CNIPAは出願件数での公表をしていない年もあるため、グラフは出願区分数と出願件数を併記(右軸)
※料金未納により却下される一部出願を含む
3
第9回財政点検小委員会(資料1)より一部抜粋
【参考】足下の国内ユーザーの出願減少の要因
• コロナ禍などの社会情勢の変化や市場の変化を契機に、企業の事業戦略見直し・コスト
削減・予算削減等が進められ、新規ブランドの立ち上げの減少や出願商標の厳選が進ん
だと考えられる。
(2019~2023年度の1社あたりの平均出願件数:2.48→2.41→2.38→2.3→2.3件と微減)
出願減少につながったと考えられる主な要因(国内の出願人・代理人へのヒアリングより(※))
① 業績悪化に伴う予算削減(業績悪化の要因:円安、市場変化、物価高等)
② 収益性を高めるための事業戦略見直しや無駄なコストの削減
③ 人手不足による事業の縮小や権利化業務の遅れ
④ 商標権を取得しない場合のリスク意識の低下
新規ブランドの
立ち上げの減少
and/or
出願商標の
厳選
※ヒアリングでは、
○商標の出願件数は、新規ブランドをどれだけ立ち上げるかといった事業計画に左右されるという声が多かった。
それゆえに出願件数には年によってバラツキがある・予測できないという声も複数あった。
○また、出願商標を厳選し、無駄な出願を抑制するようになったという声も多かった。
例えば、「登録される見込みが低い言葉(商品の品質や型番など独占に適さない言葉)は出願しないようになった」
や「短期間使用するだけの商標は出願しないようになった」といった声が聞かれた。
4
審査期間(FA・TP期間)
◼ 一次審査通知までの審査期間(FA期間)、及び、権利化までの審査期間(TP期間)は、出願件数が
高い水準で推移していた影響により、2018年頃から長期化していたが、審査官増員や審査業務の効
率化等の施策を実施し、審査期間の短縮を実現。
◼ 2024年度実施庁目標: FA期間を平均5.5~7.5か月、TP期間を平均7~9か月 ⇒ 達成の見込み
◼ 今後も商標審査の質の維持・向上とともに、適正な審査期間を堅持すべく、審査業務の効率化と審査
体制の充実を図る。
2025年度実施庁目標
商標審査の平均FA・TP期間の推移
◼ 一次審査通知までの平均期間(FA期間)
5.5~7.5ヶ月
(月)
10.9
12
11.2
9.9
7.7
◼ 権利化までの平均期間(TP期間)
7~9ヶ月
9.6
9.3
10
10
6.9
8
7.3
7.8
適正なFA期間:6~7月
6
6.3
5.4
4
6.1
6.8
FA期間
2
TP期間
0
2017
2018
2019
2020
2021
2022
2023
2024
※早すぎても遅すぎても弊害
◼ FA期間の短縮で生じる問題
① 不安定な権利付与(併存登録のリスク)
② 情報提供制度の形骸化
8.0
7.9
※2024年度と同様
(年度)
2024年度の審査期間は、
4月2日取得の暫定値
◼ FA期間の延伸で生じる問題
① 企業の安定的な事業活動を阻害
② 企業による模倣品対策の遅れ
※ライフサイクルの短い商品・役務など、より早期の
審査を望むユーザーには「早期審査」の利用を推奨
5
商標審査の品質
(2024年度ユーザー評価調査の結果)
◼ 商標審査に関する全体としての質の評価(全体評価)において、「普通」以上の評価
の割合は94.0%、そのうち、上位評価割合(「満足」と「比較的満足」の評価)は
52.5%。
◼ 「電話、面接等における審査官とのコミュニケーション」に関して、比較的高い評価。
全体評価
※「電話や電子メール、面接における審査官とのコミュニケーション」についての評価は、
「普通」以上の評価の割合が 100%、上位評価割合が80.8%(「不満」及び「比較的不満」の回答割合がゼロ)。
6
AI技術の活用可能性
◼ 商標審査の品質向上を図るため、AI技術の活用可能性を検証・試行している。
◼ これまで、「先行図形商標の調査」や「先行文字商標の調査」等について実証研究を行
い、成果物は、アジャイル型開発手法により、適時、審査支援ツールとして導入し、審
査官が試行的に活用している。
◼ 2025年度は、「国際商標登録出願の指定商品・役務調査」について、AI技術の活用可
能性の実証研究を実施予定。
先行文字商標の調査
先行図形商標の調査
願書 図形商標
願書
今までの調査手法
・人手でターム付与
・タームによる検索のため検索結果が多い
・検索結果が類似度順ではない
①
150
・・・
350
今までの調査手法
特許庁
RULES
・・・
・抽出結果にノイズが発生
することがある
・ルールベースでは抽出で
きない例(構成語の前後入
替え、観念類似等)が存在
AIによる業務サポート
AIによる業務サポート
・類似度順に検索結果を表示
・見過ごし防止等による審査品質向上に貢献
①
文字商標
②
・・・
・・・
・類似度順に検索結果を表
示
・ルールベースでは抽出で
きない例も抽出できないか
7
1
商標出願、審査期間
2
制度の運用
8
「他人の氏名」を含む商標
◼ 創業者やデザイナー等の氏名をブランド名に用いることの多いファッション業界を中心
に、「他人の氏名」を含む商標の登録要件緩和の要望があり、商標制度小委員会(第9
回~第11回開催)において検討。
◼ 2024年4月以降に出願された「他人の氏名」を含む商標について、登録要件を緩和
(令和5年法改正)。
◼ 審査官は、商標審査基準ワーキンググループで検討され、策定された審査基準に基づき、
「他人の氏名」の知名度を認定し、出願人側の事情を考慮した審査を実施。
改正後の「他人の氏名」を含む商標(商標法第4条第1項第8号)の審査のポイント
①氏名に一定の知名度を有する他人が存在しないか
②政令要件(㋐商標構成中の氏名と出願人の間に「相当の関連性」があり、 ㋑商標登録を受けること
に「不正の目的」がない)を満たしているか
(例えば、㋐商標構成中の氏名が自己氏名など相当の関連性があり、㋑商標を先取りして買い取らせ
るなど商標登録を受けることについて不正の目的を有していない場合は、要件を満たす)
⇒ ①及び②を満たす場合は、他人の承諾なしに商標登録が可能
9
第33回商標審査基準ワーキンググループ(資料1)より一部抜粋・修正
【参考】「他人の氏名」を含む商標の審査の流れ
出願商標に他人の氏名が含まれており、
同姓同名の他人が存在するか
存在する
なお、8号の拒絶理由に該当しない場合であっても、例えば、他人の業務に
係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標である場合には15号に該
当することになるといった、他の拒絶理由に該当する可能性は排除されない。
周知である
当該他人が周知かどうか
満たす
承諾あり
承諾があるか
政令要件満たすか
周知かどうかの判断にあたっ
ては、「商標の使用をする商
品又は役務の分野において需
要者の間に広く認識されてい
る」ことを確認する。
満たさない
承諾なし
存在しない
周知ではない
8号の拒絶理由なし
氏名を含むかは、当該氏名が他
人の氏名を表すものと認められ、
かつ、当該他人が現存すること
が推認できるかを確認する。
政令要件満たすか
政令要件は、「他人の氏名と商
標登録出願人との間に相当の関
連性があること」及び「商標登
録出願人が不正の目的で商標登
録を受けようとするものでない
こと」を確認する。
8号の拒絶理由なし
8号の拒絶理由あり
(政令要件)
8号の拒絶理由あり(周知性要件)(※)
※同時に政令要件を満たさない場合は周知性要件+政令要件
満たす
8号の拒絶理由なし
8号の拒絶理由あり
満たさない (政令要件)
10
【参考】法改正による「他人の氏名」を含む商標の登録例
商標
商標
「山岸一雄大勝軒」「山岸一雄」
(いずれも標準文字)
出願人
菊地 健
指定商品又は指定役務
第14類「身飾品(「カフスボタン」を
除く。)」等
第18類「かばん類,袋物」等
第25類「男性用・女性用及び子供用の
被服,履物」等
出願人
株式会社大勝軒
指定商品又は指定役務
第30類「菓子(肉・魚・果物・野菜・
豆類又はナッツを主原料とするものを
除く。)」等
第43類「飲食物の提供」等
法改正前:商標法第4条第1項第8号により拒絶
知財高裁判決平成28年8月10日(平成28年(行ケ)第10065号、平成28
年(行ケ)第10066号)
知財高裁判決令和元年8月7日(平成31年(行ケ)第10037号)
「…商標法4条1項8号…は,その規定上,…「他人の肖像又は他
人の氏名若しくは名称」については,著名又は周知なものであるこ
とを要するとはしていない。…同号の「他人の氏名」が、著名性・
希少性を有するものに限られるとは解し難く、また、「他人の氏
名」を含む商標である以上、当該商標がブランドとして一定の周知
性を有するといったことは、考慮する必要がないというべきであ
る。」
「・・・商標法4条1項8号の趣旨やその規定ぶりからすると,同
号にいう「他人の氏名」が,著名又は周知なものに限られるとは解
し難く,また,同号の適用が,他人の氏名を含む商標の登録により,
当該他人の人格的利益が侵害され,又はそのおそれがあるとすべき
具体的事情の証明があったことを要件とするものであるとも解し難
い。・・・また,同号の趣旨は,・・・人の氏名に対する人格的利
益の保護にあるところ,この人格的利益の保護の要否を,顧客吸引
力の有無(周知性や著名性の有無)により分けるというのも,同号
が商品又は役務の出所の混同のおそれを要件としていないことに照
らし,相当でない。」
法改正後:登録(登録第6889089号、登録第6895827号及び第6895828号)
11
コンセント制度
◼
◼
新規事業でのブランド選択の幅を広げる必要性や、国際的な制度調和の観点から、コンセント制度の導入ニーズ
が高まり、商標制度小委員会(主に第10回・第11回開催)において検討。
2024年4月以降の出願については、先行登録商標と同一又は類似する商標であっても、権利者の承諾(コンセ
ント)があり、かつ、出所混同を生ずるおそれがなければ、商標登録が可能(令和5年法改正)。
活用の流れの一例
4条1項11号に該当する旨
の通知
出願
出願人によるコンセント制度
利用の検討
拒絶理由通知
権利者の承諾等を得て、制度
利用のための書類を準備
必要書類の提出
未解消の連絡
追加書類の提出
解消
登録査定
混同を生ずるおそれを否定する事情の例
使用時にハウスマーク等を付記する例
出願商標
コンセント制度の適用により、
拒絶理由が解消できるか審査
引用
商標権者:
提出のあった書類だけではコ
ンセント制度が適用できない
場合、すぐに拒絶査定はされ
ず、審査官から追加の資料提
出等を求める
登録商標
コンセント制度の利用による
登録が困難な場合もある
・商標と商品役務が同一の場
合
・追加提出された資料等を検
討しても、混同を生ずるおそ
れがあるといわざるを得ない
場合 など
JPO
出願人:
ハウスマークを
付記して使用
METI
使用する商品等を棲み分ける例
出願人:
ゲーム用コンピュータプ
ログラム
引用商標権者:
医療用コンピュータプロ
グラム
※上記は、混同を生ずるおそれを否定する事情の一例であり、上記事情が
あればただちに混同を生ずるおそれが否定されるとは限らない。
特許庁HP
「コンセント制度の導入」
https://www.jpo.go.jp/system/trademark/gaiyo/consent/index.html
「コンセント制度に関するQ&A」
https://www.jpo.go.jp/system/trademark/gaiyo/consent/consent_qa.html
※コンセント制度の適用により登録された商標は、商標公報等において確認でき
る。「特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)」において検索することも可能。
12
【参考】コンセント制度の適用により登録された商標
◼ コンセント制度の適用により登録された商標
商標
商標登録番号
登録第6916217号
出願人
株式会社車多酒造(石川県白山市)
コンセント制度適用に係る指定商品
第33類「清酒,焼酎」等
◼ 承諾した先行登録商標権者
商標
商標登録番号
登録第5991116号
先行登録商標権者
シャディ株式会社(東京都港区)
後行商標のコンセント制度適用に係る指定役務
第35類「酒類の小売又は卸売の業務において行われる顧客
に対する便益の提供」
※「コンセント制度」を適用した初の商標登録を行いました(経済産業省HPにて、2025年4月7日ニュースリリース)
https://www.meti.go.jp/press/2025/04/20250407001/20250407001.html 13
【参考】 新しいタイプの商標
◼ 2015年4月に導入された新しいタイプの商標は、2024年12月までの10年弱で、約
2,290件の出願があり、約780件が設定登録を受けている。
新しいタイプの商標の出願・登録状況*国際商標登録出願を除く 2015~2024年に出願又は設定登録された件数の累計
タイプ
音商標
出願件数
登録件数
779
374
574
11
645
175
272
208
21
16
2,291
784
音楽、音声、自然音等からなる商標であり、聴覚で認識される商標
(例:CMなどに使われるサウンドロゴやパソコンの起動音など)
色彩のみからなる商標
単色又は複数の色彩の組合せのみからなる商標
(例:商品の包装紙や広告用の看板に使用される色彩など)
位置商標
文字や図形等の標章を商品等に付す位置が特定される商標
動き商標
文字や図形等が時間の経過に伴って変化する商標
(例:テレビやコンピューター画面等に映し出される変化する文字や図形など)
ホログラム商標
文字や図形等がホログラフィーその他の方法により変化する商標
(例:見る角度によって変化して見える文字や図形など)
合計
14
地域団体商標
◼ 2006年4月に導入された「地域団体商標制度」は、2025年度で制度運用20年目とな
り、現在約780件の登録がある。(2025年4月末時点で781件の登録、出典:特許庁HP)
◼ 直近では、地域団体商標を取得している産品に特化した販売会を通じて制度の更なる
普及を図るなど、地域経済の活性化に資する取り組みを続けている。
地域経済の活性化を目的とし、地域ブランドとして用いられることが多い、地域の名称及び商品(役務)の名称等からなる文字商標に
ついて、一定範囲の地域で有名である等の要件を満たせば登録可能とする制度。登録できる主体は、組合、商工会、商工会議所及び
NPO法人に限られる。(※地域未来投資促進法による商標法の特例措置により、一定の条件の下で一般社団法人も可能。)
主な登録要件
主体要件
商標の構成
地域と商品役務の関連性
周知性
事業協同組合等の組合、商工会、商工
会議所及び特定非営利活動法人(設立
根拠法において組合員の加入自由を規
定)
「地域の名称」と「商品(役
務)名」等の組み合わせから
なる文字商標であること
商標中の「地域の名称」が商品(役
務)と密接な関連性(商品の生産地で
ある等)を有すること
出願人又はその構成員の使用に
より、これらの者の商標として
知られていること
「淡路島の生しらす」
「二風谷イタ」
「水上温泉」
「築地場外市場」
(淡路島岩屋漁業協同組合)
商標登録第6877337号
(一般社団法人びらとりウレシパ)
商標登録第6841210号
(水上温泉旅館協同組合)
商標登録第6857123号
(築地場外市場商店街振興組合)
商標登録第6879660号
※最近の登録商標 15
【参考】 地域団体商標の活用支援
①地域団体商標制度の更なる普及
◼ 地域団体商標の情報等を掲載したパンフレットの作
成やSNSでの発信を通じ、対外的に広く普及活動を
行っている。
【パンフレット】
◼ 一般の需要者の活用促進
のため、一般の需要者が
手に取りやすい観光用の
ガイドブックを作成。
◼ 昨年度は、石川県、福井
県、富山県で作成し、各
県観光部署及び観光協会
と連携し配布。
◼ 今年度以降については、
他地域での作成を検討中。
②地域団体商標権利者を出店者とする
物販イベントの実施
◼ 地域団体商標制度のさらなる普及を図るため、地域団
体商標を取得している産品に特化した販売会をはじめ
て実施。
◼ 今回は特に、「北陸とつながり、北陸を元気に」を
テーマに、令和6年能登半島地震の被災地(富山県、
石川県、福井県)の地域団体商標権利者を出店の対象
とした。
北陸とつながり、北陸を元気に
「魅力発見!地域ブランドフェスタ」
◼ 開催日 2025/2/28(金)、3/1(土)、3/2(日)
◼ 会場 JR東京駅改札内「スクエア ゼロ」
◼ 出店者 19団体
【キービジュアル】
【当日の様子】
【地域団体商標Instagram】
◼ 地域団体商標に関する登録
状況や活用事例、イベント
情報等を発信。
16
【参考】 商標制度の普及啓発
◼ 地域団体商標に限らず商標制度の利用促進については、様々なアプローチを実施中。
(潜在ユーザーへの普及啓発については調査研究も検討中。)
商標活用ガイド
商標の活用事例集「事例から学ぶ
商標活用ガイド」 - ビジネスやる
なら、商標だ!- (2024年版)
メディア「わたしのStoryMark」
わたしのStoryMark
https://mystorymark-
gov.note.jp/
https://www.jpo.go.jp/support
/example/trademark_guide202
4.html
✓ 2019年に発行した「事例から学ぶ商標活用ガイド」
をアップデートした2024年版を発行。
✓ ビジネスにおける活用方法や権利化に関するメリッ
ト等を実際の事例を通じて紹介。
✓ 2023年秋より、特許庁デザイン経営プロジェクト
チームにおいて、「ネーミングに込めた経営者の熱
い想い」に焦点をあて、中小企業経営者等へのイン
タビューを記事化して発信するメディア「わたしの
StoryMark」を展開
✓ 商標にまつわる失敗事例も紹介。
✓ 商標登録を行った理由や実際に感じる効果も聴取す
ることで、経営者等の生の声を活用した商標制度の
普及啓発を実施
✓ 1冊で制度の概要から活用方法まで学べる内容と
なっている。
✓ 商標制度の理解を深めながら「想いをこめたネーミ
ング」を体験するネーミングワークショップも実施
17
資料4
資料2
商標制度に関する検討課題について
産業構造審議会知的財産分科会 第12回商標制度小委員会
令和7年6月13日
DX時代にふさわしい産業財産権制度構築の必要性(1)
➢ 特許庁は、社会情勢の変化に対応して様々な制度改正を実施してきたところ、デジタル技術の飛躍的発展に応じて、
これらにふさわしい形で制度的措置を講じてきた。
⚫ 平成2年に、コンピュータの普及をいち早く捉え、工業所有権に関する手続等の特例に関する法律を制定し、電
子出願システムを世界で初めて導入
⚫ 平成14年に、インターネット通信の高速・大容量化(ブロードバンド化)に伴う、インターネットを介したプロ
グラムの販売等の増大を受けて、特許されたプログラム等をネットワーク上で無断送信する行為等も特許権侵害
に当たることを明確化
※同時に、ネットビジネスの増大に伴い、インターネット上での商品やサービスの提供も普及しており、ユーザーのパソコンや携
帯電話の画面上で表示される商標(マーク)についても十分な保護が求められていた。そこで、ネットワークを介した商品流通、
サービス提供及び広告等の事業活動において、画面上に表示して商標を使用する行為についても、商標権侵害となることを明確
化
⚫ 令和元年に、インターネットサービスの多様化、スマートフォンの普及等により、GUIの重要性が高まったこと
を受けて、物品それ自体に記録・表示されていない画像を意匠権の保護対象に追加
➢ 近時、社会全体のDXが加速しているところ、産業財産権制度における措置を検討すべき内容として、①~③の技術
発展に伴う変化が挙げられる。
① ネットワーク関連技術の発展による国境を跨いだサービスの増加
② 生成AI技術の発展による知的創造活動の過程の変化
③ VR技術の発展やオンラインコミュニケーション機会の増大等による仮想空間上のサービスの増加
➢ このような流れの中で、イノベーションをもたらす知的創造活動を今後も適切に保護していくためには、技術の更
なる発展を見据え、DX時代にふさわしい産業財産権制度を構築する必要がある。
➢ あわせて、産業財産権の取得・活用を後押しするため、④DX時代にふさわしい産業財産権手続に関する制度的措置
を講ずる必要がある。
1
DX時代にふさわしい産業財産権制度構築の必要性(2)
➢ 前頁に記載の状況を受けて、商標制度においては、次の事項を整理すべきではないか。
検討事項
1.インターネット上の国境をまたいだ商標の使用
2.仮想空間における商標の保護
3.生成AI技術の発達を踏まえた商標制度上の整理
2
1.インターネット上の国境をまたいだ商標の使用
3
特許制度小委員会
※一部修正
現行制度の課題:サーバー等が海外にあることで侵害回避できてしまう可能性
➢ 特許権の効力は、属地主義の原則により、「当該国の領域内においてのみ認められる」とされて
いる。属地主義の原則が厳格に解され、発明の構成要件の一部が国外に存在するだけで日本国内
における特許発明の「実施」と評価できないとすると、特許を容易に回避し得るため、発明の十
分な保護が図れない可能性(※1)がある。
➢ 近年、属地主義を柔軟に解して特許権侵害を認めた裁判例(※2)も出てきているが、いかなる場
合に属地主義を柔軟に解し、実質的に日本国内の「実施」と評価することができるかが明確では
なく、権利保護の予見性について依然として懸念がある。
※1:実際に、ドワンゴ対FC2第2事件地裁判決(令和4年3月)では、サーバーと端末とで構成されるシステムの発明の「生産」について、サーバーが
米国に存在することを理由に、日本国内における「生産」と認められないとして、特許権侵害が否定された。
※2:知財高裁は、ドワンゴ対FC2第1事件控訴審判決(令和4年7月)で米国のサーバーからのプログラムの「提供」等について、ドワンゴ対FC2第2
事件控訴審判決(令和5年5月、大合議)で上述のシステムの「生産」について、それぞれ特許権侵害を認めた。なお、最高裁判決(最二小判令和
7年3月3日(令和5年(受)第14号・第15号(第1事件)、令和5年(受)2028号(第2事件))は、上記の控訴審判決を支持している。
構成
要件A
被疑侵害システム
特許請求の範囲(クレーム)の例
【請求項1】
サーバーと、これとネットワークを介して
接続された端末装置と、を備えるシステム
であって、・・・を特徴とする、システム。
【請求項2】
・・・
構成
要件B
特許
海
外
サーバー
(構成要件A)
構成要件A(サーバー)は海外
↓
日本国内にある構成要件だけでは、請
求項1の構成要件のすべてを満たさな
いため、非侵害?
国
内
(構成要件A,B以外の構成要件は省略している。)
端末
(構成要件B)
(被疑侵害システムは、請求項1に記載の構成要件A,B以外の構成要件も充足しているものとする。)
4
商標制度における検討事項
➢ ネットワーク関連発明における国境をまたいだ発明の実施について、サーバー等が海外にあるこ
とで容易に侵害を回避し得るところ、発明の構成要件の一部が国外にある場合であっても、実質
的に国内の実施行為と認める要件の明文化を含めた対応の方向性について、現在、特許制度小委
員会において検討が進められている。
➢ 商標に関しては、インターネット上の国境をまたいだ商標の使用が日本における商標の使用とい
えるのかが問題となる。
⇒
日本国内における商標の使用に該当するといえる判断の在り方について、整理すべき。
説明・検討内容
◼ 商標制度における問題の所在:インターネット上の商標の使用の扱い
◼ 裁判例(不使用取消審判の審決取消訴訟)
◼ 裁判例(侵害訴訟)
◼ インターネット上の商標及びその他の標識に係る工業所有権の保護に関する共同勧告
◼ 御議論いただきたい事項
5
インターネット上の商標の使用に関する動向
➢ 近年における経済のグローバル化の進展やインターネットの普及により、商品・サービスの販売
戦略が多様化。
➢ こうした社会的背景の下、インターネットを通して日本国内の消費者が模倣品を容易に購入でき
るようになったことから、インターネット上の商標の使用や個人使用目的による模倣品の輸入に
ついて議論がなされ、必要な対応を行ってきた。
インターネット上の商標の使用に関する経緯
「インター
ネット上の商
標及びその他
の標識に係る
工業所有権の
保護に関する
共同勧告※」の
採択
商標法第2条
第3項第8号
に「電磁的方
法により提
供」の文言を
追加する等の
改正
模倣品の個人
輸入・
インターネッ
ト上の商標の
使用について、
商標制度小委
員会で議論
「模倣品の個
人輸入及びイ
ンターネット
取引に関する
事例集」
の公表
模倣品の個人
輸入に対応す
るため、商標
法第2条第7
項を追加
平成13年
平成14年
平成16年
平成17年
令和3年
WIPO一般総会におい
て検討された後、採択
されるに至った
パソコン等の画面上で
表示される商標につい
て十分な保護が求めら
れていたことを受けて、
商標法(「使用」の定
義規定)が改正された
インターネットを通し
て多量の模倣品が売買
されていることを踏ま
えて、インターネット
上の商標の使用につい
ても議論
個人が海外のサーバー
からの広告を行った事
例等についても掲載さ
れている
インターネット等を通
じた模倣品の個人輸入
に対応するため、「輸
入」の解釈規定が追加
された
※以下「WIPO共同勧告」という。
6
商標制度における問題の所在:
インターネット上の商標の使用の扱い
➢
インターネットでの取引において商標が表示されている場合、例えば、商標の広告的な使用に該当し得る
(商標法第2条第3項第8号)。
➢
商標権の効力については、属地主義の原則が当てはまるところ、インターネット上の商標の使用について、
日本における使用といえるかが問題となる場合がある。
➢
その一例として、海外のサーバーにあるショッピングサイトにおいて、日本の登録商標が表示されている
場合が挙げられる。
<例>海外のサーバーにあるショッピングサイトにおいて、日本の登録商標が表示されている場合
海
外
サーバー
ショッピングサイト
~オンライン○○マーケット~
NEW
「JPO camera」
デジタル一眼レフカメラ
xx,xxx円
日本の登録商標
国
内
⇒日本における商標の使用といえるのか?
7
特許制度小委員会
※一部修正
<参考>属地主義の原則について
➢ 特許権についての属地主義の原則とは、「各国の特許権が、その成立、移転、効力等につき当該
国の法律によって定められ、特許権の効力が当該国の領域内においてのみ認められる」ことを意
味するもの(BBS事件最高裁判決)。
➢ 明文にはないものの、特許権に関する当然の原則とされている(※1)ところ、商標権に関しても
当然の前提とされてきた(※2)。
※1 髙部眞規子「実務詳説 特許関係訴訟〔第4版〕」323-324頁(2022)
※2 髙部眞規子「実務詳説 商標関係訴訟〔第2版〕」151頁(2023)
属地主義の原則に関する代表的な判例
•
最判平成9年7月1日民集51巻6号2299頁〔BBS事件〕
属地主義の原則について、「特許権についていえば、各国の特許権が、その成立、移転、効力等に
つき当該国の法律によって定められ、特許権の効力が当該国の領域内においてのみ認められること
を意味するもの」と判示。
•
最判平成14年9月26日民集56巻7号1551頁〔カードリーダー事件〕
BBS事件最高裁判決を引用した上で、「すなわち、各国はその産業政策に基づき発明につきいかな
る手続でいかなる効力を付与するかを各国の法律によって規律しており、我が国においては、我が
国の特許権の効力は我が国の領域内においてのみ認められるにすぎない」と判示。
8
裁判例(不使用取消審判の審決取消訴訟)(1)
➢
不使用取消審判に係る審決取消訴訟において、日本国内における商標の使用に該当するか否かを判断し
た事例がある。
➢
裁判例では、日本の需要者を対象としたものか等を理由として判断がなされているものと考えられる。
日本国内における使用に該当しないと判断された事例
知財高判平成17年12月20日(平成17年(行ケ)第10095号)[PAPA JOHN’S]
・指定商品を「ピザ」とする登録商標(
)を、米国サーバに設けられたウェブページ上で
表示した事案。
・被告(「PAPA JOHN’S」の商標権者)は、ウェブページにおいてピザに関する広告等を行った行為につ
いて、「商標の使用」(現行の商標法第2条第3項第8号)に該当する旨主張。
・被告のウェブページについて、「米国のサーバーに設けられたものである上,その内容もすべて英語で表
示されたものであって,日本の需要者を対象としたものとは認められない。」、被告のウェブページは
「日本からもアクセス可能であり,日本の検索エンジンによっても検索可能であるが,このことは,イン
ターネットのウェブページである以上当然のことであり,同事実によっては上記ウェブページによる広告
を日本国内による使用に該当するものということはできない。」と判示した。
米国
サーバー
「ピザ」に
関する広告
等を英語で
行う
日本
日本国内から
アクセス可能
9
裁判例(不使用取消審判の審決取消訴訟)(2)
日本国内における使用に該当すると判断された事例①
知財高判平成29年11月29日(平成29年(行ケ)第10071号)[COVERDERM]
・指定商品を「化粧品」とする登録商標(COVERDERM)等をサーバ(所在地は不特定)に設けられた
ウェブサイト上で表示した事案。
・原告(商標権者)は、ウェブサイトにおいて登録商標を化粧品に使用していた等と主張。
・裁判所は、「本件ウェブサイトは,日本語で本件商標に関するブランドの歴史,実情等を紹介するととも
に,注文フォーム及び送信ボタンまで日本語で記載されているのであるから,リンク先の商品の紹介が英
語で記載されているという事情を考慮しても,本件ウェブサイトが日本の需要者を対象とした注文サイト
であることは明らかである。そうすると,審決が認定するとおり,本件商標を付した商品が日本の需要者
に引き渡されたことまでを認めるに足りないか否かはさておき,少なくとも,原告は,本件商標について
本件要証期間内に日本国内で商標法2条3項8号にいう使用をしたものと認められる。」と判示した。
他国
原告
(商標権者)
ウェブサイトにおいて
登録商標と
「カバーダーム」
を使用
日本
日本国内から
アクセス可能
10
裁判例(不使用取消審判の審決取消訴訟)(3)
日本国内における使用に該当すると判断された事例②
知財高判令和2年1月28日(令和元年(行ケ)第10078号)[AROMA ZONE]
・指定商品を「家庭用又は台所用の容器」等とする登録商標(
本人が経営するオンラインショップ(「ランジュビオ」)上で表示した事案。
)を、フランス在住の日
・裁判所は、オンラインショップが日本語で運営され、日本向けに商品販売を行っていること、日本円で価
格が表示されていること等を挙げた上で、「本件商標を付した状態で日本の消費者に対して本件使用対象
商品を譲渡した事実を推認することができるし,少なくとも,ランジュビオが譲渡のための展示をしたこ
とは明らかである」として、日本国内における使用に該当するものと判示した。
日本
フランス
オンラインショップ
オンラインショッ
プを日本語で運営
し、日本向けに商
品を販売
日本国内から
アクセス可能
11
裁判例(侵害訴訟)(1)
➢ インターネット上の国境をまたいだ商標の使用と商標権侵害について判断した事例がある。
すしざんまい事件(事案概要)
・原告は、日本の登録商標「すしざんまい」(指定役務:すしを主とする飲食物の提供等)に基づい
て、被告による「Sushi Zanmai」のウェブサイトでの使用が、商標権侵害等に当たることを主張。
原告
被告
・日本で「すしざんまい」を展開
・「すしざんまい」等の登録商標
(指定役務:すしを主とする飲食
物の提供 等)を有する
・マレーシアにおいて「Sushi
Zanmai」の名称で飲食店を展開
・ウェブサイトにおいて、被告各表
示(赤色四角枠で表示)を掲載
商標権侵害等を主張
被告が自身のウェブサイトで掲載していた標章や広告(判決別紙より抜粋)
■標章
■広告
12
裁判例(侵害訴訟)(2)
➢
第一審判決では、商標の出所表示機能や品質保証機能を害することを理由に、被告が原告商標を「使
用」(商標法第2条第3項第8号)したものと評価し、商標権侵害を認めた。
➢
一方、控訴審判決では、①すし店の「役務に関する広告」として商標の使用に当たると認めることはで
きないこと、②仮に使用に当たるとしても、日本国内における役務の提供について使用されるものでは
ないこと等を挙げて、商標権侵害を認めなかった。
第一審:東京地判令和6年3月19日(令和3年(ワ)第11358号)
◼ 「被告各表示がマレーシアの本件すし店に係るものであったとしても、本件各ウェブページに被告各表
示を掲載した行為は、日本における原告各商標の出所表示機能及び品質保証機能を害し、ひいては、上
記の商標法の目的にも反するものであるといえる。」と判示した。
控訴審:知財高判令和6年10月30日(令和6年(ネ)第10031号)
◼ 控訴審判決では、以下の点等を挙げて、商標権侵害を認めなかった。
(1)本件各ウェブページでは、東南アジアにおいて展開する日本食を提供する飲食店チェーンで提供する
ための鮮度の高い良質な食材を日本から輸出する事業を営んでいることを紹介するものであると認め
られ、被告各表示を付したページについて、本件すし店の「役務に関する広告」に当たると認めるこ
とはできないこと
(2)仮に、被告各表示の使用が本件すし店の存在を日本国内に広く知らしめるという点において「広告」
に該当し、商標的使用に該当すると考えたとしても、本件各ウェブページは、食材の海外輸出を検討
する国内事業者に向けたものであると認められ、本件すし店は、日本国外(シンガポール、マレー
シア)で飲食物の提供等の役務を提供していることが認められることから、本件すし店が、日本国内
で同様の役務を提供している事実は認められないこと
13
裁判例(侵害訴訟)(3)
➢ 前頁の控訴審判決における結論は、WIPO共同勧告とも整合的であるとして、WIPO共同勧告への
当てはめも行いつつ、日本国内における商標としての使用に当たらないとされた。
控訴審判決におけるWIPO共同勧告への当てはめ部分(抜粋)
共同勧告3条⑴項で掲げられている商業的効果を決定するための要因についてみると、本件すし店が
日本で役務を提供しておらず、提供する計画に着手した旨を示す状況はないこと(同項(a))、本件各
ウェブページには本件すし店の日本通貨による価格表示はされておらず(同項(c)(ii))、日本国内に
おける連絡方法も掲載されていないこと(同項(d)(ii))等が認められることに加え、前記のとおり、
本件各ウェブページ自体は日本からの食材の輸出という役務の広告を目的とするものであり、被
告各表示は、輸出された食材を国外で使用する飲食店チェーンを紹介するという文脈で使用されてい
ること等の事情が認められる。これら全ての事情を総合的に考慮すると、本件各ウェブページが日本
語で作成されており(同項(d)(iv))、日本国内の顧客に対し本件すし店の役務を提供する意図がない
ことが明示的に表示されているわけではない(同項(b)(ii))ことを踏まえても、本件各ウェブページ
における被告各表示の使用は、日本国内における商業的効果を有するということはできないから、日
本国内における商標としての使用に当たるものではないというべきである。
14
WIPO共同勧告
➢ 商標法の属地性とインターネットの世界性との関係から生じる各国における商標権の抵触問題等
を解決するため、2001年に開催されたWIPO一般総会において、「インターネット上の商標及び
その他の標識に係る工業所有権の保護に関する共同勧告」(WIPO共同勧告)※が採択された。
※「(仮訳)インターネット上の商標及びその他の標識に係る工業所有権の保護に関する共同勧告」
https://www.jpo.go.jp/news/kokusai/wipo/document/1401-037/kyoudoukannkoku.pdf
➢ 条約のような強制力を有していないものの、各国がガイドラインとして考慮することができる。
➢ すべての関連する状況を考慮して、商業的効果を有する場合には、当該国における使用であると
判断する(WIPO共同勧告第2条、第3条参照)。
➢ 商業的効果の判断に際しては、当該国でビジネスを行っているか、当該国の通貨や言語が使用さ
れているか、当該国に所在する顧客に対して商品・サービスを提供する意図のないことを表示し
ているか等が考慮される。
海
外
サーバー
ショッピングサイト
~オンライン○○マーケット~
日本の登録商標
「JPO camera」
デジタル一眼レフカメラ
xx,xxx円
国
内
日本語表示
日本円の表示
登録商標の使用は、
日本において
商業的効果を
有している
15
<参考>WIPO共同勧告において考慮される要素
WIPO共同勧告において考慮される要素(WIPO共同勧告第3条(1)(要約))
(a)そのメンバー国でビジネスを行っている又はビジネスを行うための重要な計画に着手した旨
を示す状況
(b)そのメンバー国に関しての使用者の商業活動の程度及び特色
(ウェブサイト上で商品・サービスをそのメンバー国に所在する顧客に対して提供する意図のない旨を、イ
ンターネット上の標識の使用と共に表示しているか否か 等)
(c)インターネット上の商品・サービスの提供とそのメンバー国との関係
(当該国の通貨や言語が使用されているか 等)
(d)インターネット上の標識の使用の方法とそのメンバー国との関係
(その使用者が、そのメンバー国の住所、電話番号又はその他の連絡方法を、その標識の使用と共に示して
いるか否か 等)
(e)インターネット上の標識の使用とそのメンバー国における当該標識に係る権利との関係
16
<参考>ヒアリング調査の概要
➢ 特許庁において、企業(ゲーム会社、メーカー等)及び学識者に対するヒアリング調査を実施し、
インターネット上の国境をまたいだ商標の使用に関する考え方について意見を聴取した。
評価
◼ ビジネス上、サーバーが海外にあれば商標権侵害にあたらないという考え方はないと思う。サーバーが特
殊だったり安かったりすれば、海外のサーバーを利用する可能性もゼロではない。総じて、裁判例の考え
方はその通りだと思う。(印刷)
◼ WIPO共同勧告や裁判例の考え方のとおりと思う。(ゲームA)
◼ 現状の制度でカバーできていると思う。(家具)
◼ 海外サイトであっても日本向けに商売を行っているのであれば日本の商標権が及ぶという話だと思うので
ありがたいと思う。(ゲームB)
◼ 特許制度小委員会での議論の帰趨を見極めてから商標法での議論を進めてもよいのではないか。(学識者
A)
その他の御意見
◼ 海外のショッピングサイトで、日本語を含む複数の言語に設定することができ、日本語での決済が可能で、
かつ日本国内向けに商品が出荷されるケースにおいて、日本の商標権に基づいて当該ショッピングサイト
から削除申請できるのかは定かではない。日本の権利を使用できるか否かについては不透明なところがあ
ると感じており、法改正なのかガイドラインなのか明確化を検討してほしい。(ゲームA)
◼ 言語のみでなく複数の要素を総合考慮して判断すべき。(学識者B)
17
御議論いただきたい事項
➢
インターネット上の国境をまたいだ商標の使用について、商標法においては、裁判例やWIPO共同勧告
において挙げられた要素が参考になる。
➢
当該要素を総合考慮し、日本の需要者に向けられていると評価できる場合には、日本における商標の使
用に該当するものと考えられる。
特許制度小委員会における議論を引き続き注視する必要があるものの、現行の商標制度で一定の
整理がなされているといえるのではないか。
裁判例における考慮要素
・日本に向けて事業が行われているか否か
・ウェブページが日本語で表示されているか否か
・ウェブページにおいて日本円で価格が表示されているか否か
・ウェブページにおいて日本国内における連絡方法が記載されているか否か 等
WIPO共同勧告における考慮要素
・当該国でビジネスを行っているか否か
・当該国に所在する顧客に対して商品・サービスを提供する意図のないことをウェブサイトで表示しているか否か
・当該国の通貨や言語が使用されているか否か
・当該国の住所、電話番号その他の連絡方法をその標識の使用とともに使用されているか否か
・当該標識の使用が、当該権利に裏付けられているものであるか否か 等
18
2.仮想空間における商標の保護
19
意匠制度小委員会
※一部修正
仮想空間の利活用を前提としたビジネスの広がり
➢ VR技術の発展により、仮想空間※の実在感や没入感が向上したことで、現実空間と遜
色ない体験が可能になり、仮想空間の利活用を前提とした様々なビジネスが展開され
ている。
※本資料において、仮想空間とは「多人数が参加可能で、参加者がその中で自由に行動できるインターネット上に構築される仮想の三次元空間」を
指すものとする。
(参考)令和2年度コンテンツ海外展開促進事業(仮想空間の今後の可能性と諸課題に関する調査分析事業)4頁
https://www.meti.go.jp/meti_lib/report/2020FY/000692.pdf
➢ 仮想空間の利活用を前提としたビジネスの主体は、以下の二者に大別される。
(1)現実空間に関するビジネスを主として展開している事業者(以下「現実空間のビジネ
ス主体」と記載。)
(2)仮想空間に関するビジネスを主として展開している事業者(以下「仮想空間のビジネ
ス主体」と記載。)
※事業者には、個人クリエイターとして創作を行っている者を含む。
20
意匠制度小委員会
※一部修正
仮想空間での利用を想定した3Dモデル等の制作・販売
➢ 現実空間のビジネス主体と仮想空間のビジネス主体の双方が、仮想空間での利用を想定した3Dモデル等の制作
を行い、コンテンツプラットフォーム※において販売を行っている。
※コンテンツプラットフォームには、主に、コンテンツの取引を目的とするコンテンツマーケットと、コンテンツの制作ツールを提供し、そのために使う素材を供給し、コ
ンテンツ制作環境をトータルに提供するコンテンツ制作プラットフォームとがある。(参考)特許庁「令和5年度 産業財産権制度各国比較調査研究等事業 仮想空間におけ
るデザイン創作の保護に関する調査研究 報告書」(令和6年3月)https://www.jpo.go.jp/resources/report/takoku/document/zaisanken_kouhyou/2023_01.pdf
➢ 仮想空間のビジネス主体が、仮想空間での利用を想定した3Dモデル等の請負制作を行い、仮想空間におけるイ
ベントの開催や仮想空間用アイテム等の販売を行う事業者向けに納品する事業も存在する。
<仮想空間での利用を想定した3Dモデル等の販売(例)>
■アイテム
(出典)BOOTHウェブサイト(株式会社オカムラ)
「【3Dモデル】オフィスチェア『Sabrina』」
https://okamura3d.booth.pm/items/5184134
(出典) BOOTHウェブサイト(BEAMS) 「NOMA t.d.
× Ray BEAMS別注マルチストライプワンピース|
BEAMS」
https://beams.booth.pm/items/4921837c
<仮想空間での利用を想定した3Dモデル等の請負制作(例)>
■アイテム
(出典) PR TIMESウェブサイト(株式
会社V) 「株式会社V、大丸松坂屋百貨
店のオリジナル3Dアバター向け衣装とし
て新春を彩る3D着物を制作」
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/0
00000079.000049339.html
■ワールド
(出典) PR TIMESウェブサイト(ユーステラグルー
プホールディングス合同会社)「【新商品】美術館の
ような3Dワールド「展覧会場」を販売開始!」
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000018.00
0108209.html
■アバター
(出典) PR TIMESウェブサイト(株式会社典樹)
「YOYOGI MORIより新作3Dモデル「A-Z:[S]」発表」
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000023.00
0087364.html
■ワールド
(出典) PR TIMESウェブサイト(株式
会社往来) 「京セラのファインセラミッ
ク技術をVRChatで体験いただけるメタ
バース版「ファインセラミックスワール
ド」制作を往来が担当」
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/0
00000001.000147904.html
21
商標制度における検討事項
➢ 意匠について、仮想空間では、現実空間の物品等の形状等を模した3Dモデルの取引や利用の事例
(現実空間→仮想空間の模倣)、既存の3Dモデルの形状等を模した3Dモデルの取引やサービス提
供の事例(仮想空間→仮想空間の模倣)が確認されており、意匠制度における制度的措置が検討
されている。
➢ 商標についても、仮想空間における模倣が問題となり得る。
⇒
商標制度において、仮想空間上の商品に係る商標の登録可否や、仮想空間上の商品に係る商標
の使用に対する権利行使等について、整理すべき。
説明・検討内容
◼ 本小委員会における検討の対象
◼ 仮想空間上の商品に係る商標の登録可否
◼ 仮想空間上の商品に係る商標の使用に対する権利行使
◼ 御議論いただきたい事項
22
本小委員会における検討の対象
➢ 本小委員会では、仮想空間上で商品等の形状を表示するためのデジタルデータ(例:アバターに着せる被服の
データや、仮想空間に設置する家具のデータ等。以下「仮想商品」とする。)について使用される商標の保護
の在り方を御検討いただきたい。
仮想商品の例
<参考>諸外国の商標制度における「仮想商品(virtual goods) 」の定義
日本
米国
欧州
中国
韓国
仮想空間上で商品等の形状
を表示するためのデジタル
データ
オンラインの仮想世界で、
特にアバターが使用するた
めのデジタルオブジェクト
オンライン又は仮想空間に
おける取引の過程で使用さ
れることを意図した非物理
的なアイテム
なし(ガイドライン等を公
表していない)
なし(審査処理指針を公表
しているが、定義していな
い)
(参考)
米国:「Registering trademarks for newer technologies: NFTs, blockchain, cryptocurrency, and virtual goods」https://www.uspto.gov/sites/default/files/documents/TM-NewerTechnologies-handout.pdf
欧州:「Trade mark guidelines 4.4.1 Virtual goods」https://guidelines.euipo.europa.eu/2302857/2215360/trade-mark-guidelines/4-4-1-virtual-goods
韓国:「仮想商品の審査処理指針」https://www.jetro.go.jp/ext_images/world/asia/kr/ip/gov/movement/20220907.pdf
中国:特許庁調べ
23
本小委員会における検討の対象外
➢ 現実空間のビジネス主体が、もっぱら現実の商品を広告する目的で、商標を付した3Dモデル等を
仮想空間上で展示等する場合がある。
➢ 商標が、現実の商品の広告のために使用されている場合については、本小委員会における検討の
対象としない。
<例>本小委員会における検討の対象外
■仮想空間において、現実の商品を模した3Dモデルが展示されており、需要者が現実の商品を選択・購入する
際に参考にできる例
24
仮想商品に係る商標の登録可否
➢ 商標法においては、仮想商品に係る商標について、現行法で登録による保護が可能。仮想商品に関する表示
(例:第9類「ダウンロード可能な仮想被服」、第41類「仮想空間で被服を表示するためのオンラインによる
画像の提供」等)を指定し、出願することで、登録による保護を受けられる。
➢ 仮想商品の分類については国際的にも上記のような整理がなされている。ニース同盟専門家委員会第33回会合
では「ダウンロード可能な仮想被服」を第9類の商品とすること等が決定された。
➢ 特許庁では、国際的な議論も踏まえ、仮想商品等について、採択可能な表示等に関するガイドラインを策定し、
令和6年3月に公表(令和7年1月改訂)。
<実際の仮想空間上の使用例と登録例>
登録第6724266号
登録日:令和5年8月7日
権利者:
ナイキ イノベイト シーブイ
【指定商品・指定役務】
第 9 類 仮想商品、すなわち、オンライン上の仮想世界・・・で使用する履物・
運動用特殊靴・被服・・・を内容とするダウンロード可能なコンピュー
タプログラム 等
第35類 仮想商品、すなわち・・・履物・運動用特殊靴・被服・・・を内容とする
ダウンロード可能な画像及び映像の小売の業務において行われる顧客
に対する便益の提供 等
第41類 仮想空間で使用するダウンロードできない仮想の履物・運動用特殊
靴・被服・・・の映像及び画像の提供 等
(出典)株式会社ナイキジャパン「ロブロックスにNIKELANDが
誕生」https://nike.jp/nikebiz/news/2021/11/22/4956/
登録第6753277号
登録日:令和5年11月10日
権利者:
株式会社ZOZO
(出典)アイティメディア株式会社「ZOZO子会社、VRChat対
応ファッションアイテム発売 ヘッドフォンやVRゴーグルも」
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2409/25/news16
7.html
【指定商品・指定役務】
第 9 類 ・・・オンライン仮想環境・拡張現実環境又は複合現実環境で使用する
ための被服・帽子・履物・・・を内容とするコンピュータプログラム
等
第35類 ・・・オンライン仮想環境・拡張現実環境又は複合現実環境で使用する
ための被服・帽子・履物・・・を内容とするコンピュータプログラムの
小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供
第41類 ・・・オンライン仮想環境・拡張現実環境又は複合現実環境で使用する
ための被服・帽子・履物・・・を内容とするダウンロード不可能な画像
又は映像の提供 等
第42類 ・・・オンライン仮想環境・拡張現実仮想環境又は複合現実仮想環境で
使用するための被服・帽子・履物・・・を内容とするコンピュータプロ
グラムの提供 等
25
商品・役務の類否の考え方
➢
先願に係る他人の登録商標と同一又は類似であって、その登録商標の指定商品・指定役務と同一又は類
似の商品・役務について使用をする商標は、商標登録を受けることができない(商標法第4条第1項第
11号)。
➢
商品・役務の類否は、それらの商品・役務が通常同一営業主により製造・販売又は提供されている等の
事情により、出願商標及び引用商標に係る指定商品・指定役務に、同一又は類似の商標を使用するとき
は、同一営業主の製造・販売又は提供に係る商品・役務と誤認されるおそれがあるかにより判断する※。
➢
具体的に、特許庁において、商品の類否を判断するに際しては、例えば、生産部門・販売部門・原材料
及び品質・用途・需要者の範囲が一致するかどうか、完成品と部品の関係にあるかどうかを総合的に考
慮するものとされている※。仮想商品についても同じ考え方が適用される。
※最判昭和36年6月27日民集15巻6号1730頁(昭和33年(オ)第1104号)〔橘正宗事件〕等、商標審査基準 第3 十 第4条第1項第11号(先願に係る他人の登録商
標)11.商品又は役務の類否判断について
<例>
考慮要素
生産部門
販売部門
原材料
及び品質
用途
需要者の
範囲
完成品と
部品の
関係に
あるか
(総合考慮の結果)
特許庁における運用
類似
「清酒」と
「焼酎」
○
○
△
○
○
×
「清酒」と
「茶」
×
×
×
×
△
×
⇒「清酒」について登録商標が
存在する場合、それと同一又は
類似の商標は「焼酎」について
登録を受けられない
(商標法第4条第1項第11号に
該当)
非類似
26
仮想商品に係る商標の登録可否
(現実の商品について他人の登録商標が存在する場合)
➢ 仮想商品と現実の商品は、生産部門・販売部門・原材料及び品質・用途・需要者の範囲等が一致
しない場合が多い(ヒアリング結果参照)。
➢ したがって、これらの商品に同一又は類似の商標を使用しても、同一営業主の製造又は販売等に
かかる商品等と誤認されるおそれはないと考えられる。そこで、審査において、これらの商品は
原則として互いに非類似と推定し、商標法第4条第1項第11号の拒絶理由に該当しないものと判
断。
<事例1> 仮想商品に係る商標を登録できるか(現実の商品について他人の登録商標が存在する場合)
仮想空間
・A社は仮想空間上で家具を表示するため
のデジタルデータを販売
・以下を指定商品として、商標「JPO」
を出願
第9類 ダウンロード可能な仮想家具
現実空間
原則として、商品等が
非類似と推定されるため
第4条第1項第11号
非該当
・B社は家具を販売
・「第20類 家具」を指定商品として、
商標「JPO」を登録済
※第4条第1項第11号の拒絶理由に該当しない場合でも、その他の拒絶理由に該当する場合には、出願は拒絶される。
(例)
•
•
•
•
他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標 → 第4条第1項第15号
公益的な団体・事業を表す標章と類似する商標 → 第4条第1項第6号
出願の経緯に社会的相当性を欠く、国際信義に反する等の事情がある場合 → 第4条第1項第7号
著名な商標と類似し、かつ、不正の目的をもって使用する商標 → 第4条第1項第19号
27
仮想商品に係る商標の登録可否
(仮想商品について他人の登録商標が存在する場合)
➢ 仮想商品同士は、生産部門・販売部門・原材料及び品質・用途・需要者の範囲等が一致する場合
が多い(ヒアリング結果参照) 。
➢ したがって、これらの商品に同一又は類似の商標を使用するときは、同一営業主の製造又は販売
等にかかる商品等と誤認されるおそれがあると考えられる。そこで、審査において、これらの商
品は原則として互いに類似と推定し、(商標が同一又は類似の場合には)商標法第4条第1項第
11号の拒絶理由に該当するものと判断。
<事例2>仮想商品に係る商標を登録できるか(仮想商品について他人の登録商標が存在する場合)
仮想空間
仮想空間
・C社は仮想空間上で家具を表示するため
のデジタルデータを販売
・以下を指定商品として、商標「JPO」
を出願
第9類 ダウンロード可能な仮想家具
原則として、商品等が
類似と推定されるため
第4条第1項第11号該当
(後願は登録不可)
・D社は仮想空間上で自動車を表示する
ためのデジタルデータを販売
・以下を指定商品として、商標「JPO」
を登録済
第9類 ダウンロード可能な仮想自動車
※第4条第1項第11号の拒絶理由に該当する場合でも、「コンセント制度」の利用(第4条第4項の適用)等による
登録可能性がある。
28
商標登録後の権利行使
➢ 商標権者は、指定商品・指定役務について登録商標の使用をする権利を専有する(商標法第25
条)。さらに、他人によるその類似範囲の使用を排除することができる(同第37条)。
➢ すなわち、商標権を行使して他人の使用を排除するためには、登録商標の指定商品・指定役務と、
他人が商標を使用している商品・役務が、同一又は類似であることが必要。
➢ 仮想商品についても同じ考え方が適用される。
商品・役務
商標権の効力が及ぶ範囲
商標
登録商標の指定商品・
指定役務と同一
類似
非類似
登録商標と
同一
・使用する権利を専有
・他人の使用を排除可能
・他人の使用を排除可能
×
類似
・他人の使用を排除可能
・他人の使用を排除可能
×
非類似
×
×
×
29
仮想商品に係る商標の使用に対する権利行使
➢
➢
仮想商品について、登録商標と同一又は類似の商標を他人が使用している場合、登録商標の指定商品・
指定役務が、仮想商品と同一又は類似であれば、原則として、商標権を行使して他人の使用を排除でき
る。
なお、仮に商標権の行使が認められないとしても、当該商標が商標権者の商品等表示として周知又は著
名である場合には、不正競争防止法第2条第1項第1号又は同項第2号により、他人の使用を排除し得
る。
<事例3> 現実の商品に係る商標権の行使可能性
現実空間
商品等が類似と認められなければ、
権利行使できない
仮想空間
・F社は仮想空間上で、家具を表示するた
・E社は家具を販売
・登録商標「JPO」(指定商品:第20類
家具)を保有
めのデジタルデータに無断で商標「JPO」
を付して販売
※商標が周知・著名であれば
不競法により、他人の使用を排除し得る
<事例4>仮想商品に係る商標権の行使可能性
仮想空間
・G社は仮想空間上で家具を表示するため
のデジタルデータを販売
・登録商標「JPO」 (指定商品:第9類
ダウンロード可能な仮想家具)を保有
原則として
権利行使できる
仮想空間
・H社は仮想空間上で、家具を表示するた
めのデジタルデータに無断で商標「JPO」
を付して販売
30
<参考>仮想商品と現実の商品を非類似とする考え方に関する主な意見
➢ 特許庁において、企業(仮想空間プラットフォーマー、ゲーム会社、情報通信業、メーカー等)
及び学識者に対するヒアリング調査を実施し、仮想商品に関する類否の考え方について意見を聴
取した。
評価
◼ 仮想商品と現実の商品は、生産部門・販売部門・原材料及び品質・用途・需要者の範囲等が一致
しない場合が多い
•
•
•
•
メーカーの違い、取引経路の違いがあるため、基本的には非類似と考える。(電気機器)
現実の被服と仮想被服を比べると、生産部門・販売部門・原材料は異なる。用途は、着飾るという点では同じか
もしれないが、寒さから身を守るためかどうかといった見方をすれば異なる。需要者も一般的には違うことが多
いのではないか。(仮想空間プラットフォーマー)
現実の服とデジタル被服に関しては、考慮要素(生産部門等)は共通していない面が多い。したがって、原則と
して、現実の服とデジタル被服は非類似という特許庁の運用には賛成できる。なお、仮想商品の用途の捉え方に
ついては定説がない。(学識者A)
仮想空間ユーザーにとって、仮想空間は現実同様に感じられるという点を強調すれば、仮想と現実は近いという
見方ができる。他方で、第三者的な視点から見れば、仮想と現実は全く異なる。特許庁の考え方は後者で一貫し
ているため、一つの整理としてあり得ると思う。現在の政策や制度との整合性を考えると、差し当たり特許庁の
考え方は理解できる。(学識者B)
◼ 仮想空間において現実空間のブランドが模倣された場合でも、現行制度で一定の対応が可能
•
仮想商品と現実の商品を類似にしてもらわないと困るという動機はない。我々が懸念している問題は、商標法第
4条第1項第15号、第4条第1項第19号及び不正競争防止法等で十分防げると思う。(飲食料品)
31
<参考>仮想商品と現実の商品を非類似とする考え方に関する主な意見
評価
◼ 仮想商品と現実のクリアランス調査(※)の負担が限定的である
•
•
•
※次スライド参照
仮に、仮想商品と現実の商品が類似となった場合、事前調査の対象が増え、非常に困る。(ゲームB)
非類似としたほうがウェブ環境における自由度は高まるので、今の時代には合っている。(家具)
仮に、仮想商品と現実の商品を類似とした場合、創作活動に対し萎縮効果を生む。仮想空間ビジネスはこれから
発展していく分野であるため、芽を潰さないよう棲み分けを図ったほうがよい。(仮想空間プラットフォー
マー)
◼ 国際調和の観点から妥当である
•
仮想商品と現実の商品とを非類似とするのは各国と同じ足並みであり妥当だと思う。(情報通信)
その他の御意見
◼ 現実空間のブランドが仮想空間に進出することが多いため、仮想商品と現実の商品を非類似とす
るのは違和感がある
•
バーチャルが起点であり、バーチャルの中で価値をもつ商材というのはあると思う。それについて権利があると
いうのは理解できる。ただし、現状、自社ではリアルの商品をバーチャルに持ち込むことが多いため、非類似に
するのは違和感があるというのが今の素直な感覚。(印刷)
◼ 現実空間のビジネス主体が仮想商品について防衛的に出願した場合(反対に、仮想空間のビジネ
ス主体が現実の商品について防衛的に出願した場合も)不使用取消審判のリスクがある
•
仮想商品と現実の商品を非類似とした場合、片方で登録していなければ、他人に登録されてしまうのではないか。
また、両方登録した場合に不使用取消の対象になりやすいのではないか。(繊維製品)
32
<参考>仮想商品と現実の商品の類否とクリアランス調査負担
➢ 仮に、仮想商品と現実の商品を類似とした場合、仮想空間のビジネス主体(アバター、オブジェ
クト、ワールド等の制作を行う事業者・クリエイター)は、仮想商品について使用又は出願する
商標について、現実の商品に係る商標権も広くクリアランス調査する負担が生じる。
➢ 現実空間のビジネス主体も、現実の商品について使用又は出願する商標について、仮想商品に係
る商標権のクリアランス調査も必要となり、双方にとってクリアランス調査負担が大きくなる。
仮想空間
・B社(アバター、オブジェクト、ワールド等の
制作を行う事業者・クリエイター)は、仮想空間上で
洋菓子・化粧品等々を表示するためのデジタルデータ
を取り扱っている
・以下を指定商品等として、商標「OPJ」を登録済
第9類 ダウンロード可能な仮想洋菓子,ダウンロー
ド可能な仮想化粧品 等
・A社(アバター、オブジェクト、ワールド等の制
作を行う事業者・クリエイター)は、仮想空間上で
自動車・家具・被服・観葉植物等々を表示するため
のデジタルデータを取り扱う際に、商標「JPO」を
使用したい
※上記以外のデジタルデータを取り扱う場合、更に広くクリアランス
調査が必要となる。
仮想商品と現実の商品を類似とした場合、仮想空間・現実空間双方にとってクリアランス調査負担が増す
現実空間
・C社は
自動車を販売
・「第12類
自動車」を指
定商品として、
商標「JPO」
を登録済
・D社は
家具を販売
・「第20類
家具」を指定
商品として、
商標「JPO」
を登録済
・E社は
被服を販売
・「第25類
被服」を指定
商品として、
商標「JPO」
を登録済
・F社は
観葉植物を販売
・「第31類
観葉植物」を
指定商品として、
商標「JPO」を
登録済
・G社は洋菓子
を販売する際に、
商標「OPJ」を
使用したい
33
<参考>仮想商品同士を類似とする考え方に関する主な意見
評価
◼ 仮想商品同士は、生産部門・販売部門・原材料及び品質・用途・需要者の範囲等が一致する場合が多い
• 同じ者が様々なジャンルの仮想商品を作っているのが実情と思われるため、仮想商品同士は類似と考えた方がよ
いのではないか。 (ゲームA)
• 仮想空間を主とするプレーヤーはいくらでも仮想商品を作り出せるため、仮想商品の種類によって産業分野が異
なるという意識はないように思う。(情報通信)
• 現実商品の生産には設備投資を要するため、新規参入のハードルが高いが、仮想商品同士では制作に使うソフト
ウェアが共通している。したがって、同じ者が様々な種類の商品を取り扱うことが容易であるため、仮想商品同
士は類似とするのが適当。(仮想空間プラットフォーマー)
• 生産部門については、自社のクリエイターは様々な仮想商品を作成することができるため、基本は一致すると思
われる。販売部門も一緒になることが多いと思う。また、用途については、仮想商品は娯楽が目的であり、趣味
の範囲のものという意味で一致する。加えて、仮想空間では、現実世界のように「これは服」「これは靴」とい
う概念通りにする必要はなく、靴のような服も作れる。非類似とした場合、判断が難しくなるので、仮想空間内
はすべて類似とした方が悩まなくてよい。(ゲームB)
◼ 一部の要素が一致しない場合もあるが、仮想商品同士は類似する
• 用途は違うという認識だが、仮想商品同士は類似するという考えに賛成する。(学識者A)
その他の御意見
◼ 仮想商品分野において、先行商標との抵触を回避して新たに商標登録することが難しい
• 一部の仮想商品について権利を取ったら、その他の仮想商品に関する他人の商標登録を阻止できるのであれば、
実質的に仮想商品全般について権利を取れることにならないか。(化粧品)
• 仮想商品同士が類似とすると、(一部の仮想商品について商標登録をすれば)仮想空間の中ではすごく広い範囲
を押さえられることになるが、それが適当なのか少し自信がない。(学識者B)
34
<参考>各国・地域の仮想商品に関する運用
➢ 出願(審査)段階において、仮想商品と現実の商品の類否については、原則として非類似とする
か、個別判断とする国が多い。原則として類似とする国は確認されておらず、日本の運用は各国
と調和したものといえる。
出願(審査)段
階における、仮
想商品と現実の
商品の類否判断
日本
米国
欧州
中国
韓国
審査では原則と
して非類似
現実の商品と仮
想商品間の商業
的関連性の証拠
に基づき判断
生産者や用途の
共通性等を考慮
し、個別具体的
に判断
ガイドライン等
が公表されてお
らず不明
審査では原則と
して非類似
※中国の審査運用や、諸外国の侵害場面における類否判断については、令和7年度調査研究において調査予定。
(参考)
米国:「Registering trademarks for newer technologies: NFTs, blockchain, cryptocurrency, and virtual goods」
https://www.uspto.gov/sites/default/files/documents/TM-Newer-Technologies-handout.pdf
欧州:「Trade mark guidelines 5.9 Virtual goods versus real-world goods」
https://guidelines.euipo.europa.eu/2302857/2216133/trade-mark-guidelines/5-9-virtual-goods-versus-real-world-goods
韓国:「仮想商品の審査処理指針」
https://www.jetro.go.jp/ext_images/world/asia/kr/ip/gov/movement/20220907.pdf
中国:特許庁調べ
35
<参考>米国における主な裁判例
➢ Hermés 対 Rothchild 事件(いわゆるメタバーキン事件)下級審では、仮想空間における商標の
使用が、現実空間の商標権の侵害にあたるとの判断が示された。
➢ ただし、米国においては、商標の周知性や商品の類似性等を総合的に考慮して、商標権侵害の要
件である「混同のおそれ(likelihood of confusion)」の有無がケースバイケースで判断される
ため、侵害が認められたとしても、直ちに仮想空間の商品と現実の商品が類似と判断されたとは
いえない。
Hermés 対 Rothchild 事件
⚫ 原告(Hermés)は、現実の商品「ハンドバッグ」等について、文字商標「BIRKIN」及びトレードドレス商標
(ハンドバッグのデザイン)を保有。
⚫ 被告(Rothchild)は、原告のハンドバッグのデザインを模してNFTと紐付けた画像を作成・販売。その際に
「MetaBirkins」の商標を使用。
→ 連邦地方裁判所において、原告の商標権侵害が認められた(現在、控訴中)。
<原告登録商標(トレードドレス)>
<被告が販売した画像>
(出典)USPTOデータベース
(出典)Hermes International and Hermes of Paris, Inc. v.
Mason Rothschild 訴状から引用
36
御議論いただきたい事項
➢ 以上の検討を踏まえると、次のとおり整理できる。
<仮想商品に係る商標の登録可否>
商標制度においては、仮想商品に係る商標について、現行法で登録による保護が可能。
(1)現実の商品に係る他人の同一又は類似の登録商標が存在する場合、仮想商品と現実の商品は原則
非類似と推定されるため、仮想商品に係る商標は原則として登録可能。
※他人の商標が周知・著名等の場合には、商標法第4条第1項第15号等の拒絶理由に該当し、登録不可。
(2)仮想商品に係る他人の同一又は類似の登録商標が存在する場合、仮想商品同士は原則類似と推定
されるため、仮想商品に係る商標は原則として登録不可。
<仮想商品に係る商標の使用に対する権利行使>
(1)他人が現実の商品に係る登録商標と同一又は類似の商標を仮想商品について使用している場合、
仮想商品と現実の商品が類似と認められなければ、現実の商品に係る商標権に基づく権利行使は、
原則として不可。
※現実の商品に係る登録商標が周知・著名等の場合には、不正競争防止法第2条第1項第1号又は同項第2号により、他
人の使用を排除し得る。
(2)他人が仮想商品に係る登録商標と同一又は類似の商標を仮想商品について使用している場合、仮
想商品同士が類似と認められれば、仮想商品に係る商標権に基づく権利行使は、原則として可能。
仮想空間ビジネスの実態、司法判断の動向、各国の動向及び意匠制度小委員会における議論等を
引き続き注視する必要があるものの、現行の商標制度で一定の保護がなされているといえるので
はないか。
37
3.生成AI技術の発達を踏まえた商標制度上の整理
38
近時の生成AIと産業財産権制度における検討状況
➢ 生成 AI の技術発展に伴い、生成 AI 技術を活用したツールが普及しつつあり、テキスト、画像等を入力して短時
間で大量の文字・図形等を生成・利用することが可能となっている。
➢ これまで、内閣府・特許制度小委員会・意匠制度小委員会において生成AIと知的財産権について検討がされている。
➢ 生成AIを利用して作成された文字・図形等(以下「AI生成物」という。)を含む商標が出願又は使用された場合
や、登録商標が含まれるデータをAIに学習させる場合、商標制度において何らかの影響が生じるか否かを整理すべ
きではないか。
<内閣府 知的財産戦略推進事務局 「AI時代の知的財産権検討会」>
➢ 生成AIと知的財産権について議論され、令和6年5月に中間とりまとめが公表された。
<特許制度小委員会>
➢ 特許制度小委員会では、第50回、第52回及び第53回において、 AI技術の発達を踏まえた特許制度上の適切な対
応について御議論いただいた。
➢ 第53回特許制度小委員会(令和7年4月22日)においては、法的論点と具体的な検討事項を整理した上で、今後
の検討の方向性として、特に①発明該当性、②発明者及び③引用発明適格性の論点について、相対的に早期に考
え方を整理していく方針が確認された。
<意匠制度小委員会>
➢ 第19回意匠制度小委員会(令和7年5月22日)においては、特に①意匠該当性、②創作者、③引例適格性及び④
新規性喪失の例外について、相対的に早期に考え方を整理していく方針が確認された。
<ダバス事件>
➢ 特許法に関するダバス事件の控訴審判決(令和6年(行コ)第10006号)では、特許を受けることができる「発
明」は、自然人が発明者となるものに限られると解するのが相当として、原判決を支持した。また、AI発明に特
許権を付与するか否かについては、AI発明が社会に及ぼす様々な影響についての広汎かつ慎重な議論を踏まえた、
立法化のための議論が必要な問題と言及した。
39
現行の商標制度における考え方(1)
➢ 商標法は、「商標の使用をする者の業務上の信用の維持を図り、もつて産業の発達に寄与し、あ
わせて需要者の利益を保護することを目的とする」(商標法第1条)としており、創作物を保護
する法律ではない。
➢ この点を踏まえ検討すると、特許・意匠制度小委員会において検討の中心となっている①発明
(意匠)、②発明(創作)者及び③引用発明(意匠)適格性の論点については、商標制度におい
ては問題にならないと考えられる(下表参照)。
特許・意匠制度における主要な検討事項
商標制度への当てはめ
①発明(意匠)
人がAIを利用して生成した発明(意匠)・AIが自律的にした
発明(自律的に創作した意匠)は、特許法(意匠法)に規定
する「発明(意匠)」に該当するか?
①人がAIを利用して生成した商標・AIが自律的に生成した商
標は、商標法に規定する「商標」に該当するか?
→ 該当する。
商標法は、特許法・意匠法と異なり、創作物の保護を目的と
していない。したがって、AIが創作に関与したかに関係なく、
「商標」の定義(商標法第2条)を満たせば商標に該当する。
②発明(創作)者
人がAIを利用して生成した発明(意匠)・AIが自律的にした
発明(自律的に創作した意匠)について、発明者(創作者)
の認定はどうすべきか?
②商標法は、創作物の保護を目的とする法律ではないことか
ら、商標について「発明者・創作者」のような概念は存在し
ないため、問題とならない。
③引用発明(意匠)適格性
AIを利用して生成した資料・論文等は、新規性・進歩性の判
断の根拠(引用発明)となるか? また、AIを利用して生成
したデザインは、新規性・創作非容易性の判断の根拠(引用
意匠)となるか?
③商標法は、創作物の保護を目的とする法律ではないことか
ら、商標の登録要件に「新規性・進歩性・創作非容易性」は
含まれていないため、問題とならない。
40
現行の商標制度における考え方(2)
➢ 商標制度に特有の論点となり得る事項としては、以下3点が考えられる。
<①学習段階>
他人の登録商標が含まれるデータをAIに学習させる行為に商標権の効力が及ぶか。
<②生成・利用段階>
他人の登録商標が含まれるAI生成物を利用する行為について、商標権侵害の判断はどのようになさ
れるか。
<③AI生成物の商標登録の可否>
AI生成物を含む商標を出願した場合に、商標登録が認められるか。
①学習段階
②生成・利用段階
学習済みモデル
登録商標
JPO
JPO
販売
出力
入力
8
深層学習
生成指示
JPO
商標登録出願
AIのプログラム
41
現行の商標制度における考え方(3)
➢ 以下に整理するとおり、登録商標をAIに学習させることは商標権の効力が及ぶ行為に該当せず、
また、AI生成物を含む商標について出願・権利行使する場合であっても、原則として、従来の商
標登録出願や商標権と同様に扱われるものと考えられる。
<①学習段階>
他人の登録商標が含まれるデータをAIに学習させる行為に商標権の効力が及ぶか。
⇒ 登録商標であっても、AI学習用データとしての利用は、商標法第2条第3項各号に定める商標の
「使用」に該当しないため、商標権の効力が及ぶ行為に該当しない。
<②生成・利用段階>
他人の登録商標を含むAI生成物を利用する行為について、商標権侵害の判断はどのようになされる
か。
⇒ 権利侵害の要件として依拠性は不要であり、また、類似性判断について、AI特有の考慮要素は想
定し難いため、AI生成物に関する権利侵害の判断は、従来の商標権侵害の判断と同様である。
<③AI生成物の商標登録の可否>
AI生成物を含む商標について、商標登録が認められるか。
⇒ 商標法は、商標を使用する者の業務上の信用の維持と需要者の利益の保護を目的としており、自
然人の創作物の保護を目的とするものではない。そのため、当該商標が自然人により創作された
ものか、AI により生成されたものかに関わらず、従来の商標登録出願と同様、商標法第3条及び
第4条等に規定された拒絶理由に該当しない限り商標登録を受けることができる。
※①~③については、「AI時代の知的財産権検討会」の中間とりまとめにおいても、同様の考え方が示されている。
42
御議論いただきたい事項
➢ 現行の商標制度における考え方としては、前掲のとおり、登録商標をAIに学習させることは商標
権の効力が及ぶ行為に該当せず、また、AI生成物を含む商標について出願・権利行使する場合で
あっても、原則として、従来の商標登録出願や商標権と同様に扱われる。
現行の商標制度で一定の整理がなされているといえるのではないか。
43
参照条文
商標法(昭和三十四年法律第百二十七号) 抄
(目的)
第一条 この法律は、商標を保護することにより、商標の使用をする者の業務上の信用の維持を図り、もつて産業の発達に寄与し、あ
わせて需要者の利益を保護することを目的とする。
(定義等)
第二条 (略)
2 (略)
3 この法律で標章について「使用」とは、次に掲げる行為をいう。
一~七 (略)
八 商品若しくは役務に関する広告、価格表若しくは取引書類に標章を付して展示し、若しくは頒布し、又はこれらを内容とする情
報に標章を付して電磁的方法により提供する行為
九・十 (略)
4~7 (略)
(商標登録を受けることができない商標)
第四条 次に掲げる商標については、前条の規定にかかわらず、商標登録を受けることができない。
一~五 (略)
六 国若しくは地方公共団体若しくはこれらの機関、公益に関する団体であつて営利を目的としないもの又は公益に関する事業であ
つて営利を目的としないものを表示する標章であつて著名なものと同一又は類似の商標
七 公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標
八~十 (略)
十一 当該商標登録出願の日前の商標登録出願に係る他人の登録商標又はこれに類似する商標であつて、その商標登録に係る指定商
品若しくは指定役務(第六条第一項(第六十八条第一項において準用する場合を含む。)の規定により指定した商品又は役務をい
う。以下同じ。)又はこれらに類似する商品若しくは役務について使用をするもの
十二~十四 (略)
十五 他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標(第十号から前号までに掲げるものを除く。)
十六~十八 (略)
十九 他人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標と同一
又は類似の商標であつて、不正の目的(不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的をいう。以下同
じ。)をもつて使用をするもの(前各号に掲げるものを除く。)
44
参照条文
2・3 (略)
4 第一項第十一号に該当する商標であつても、その商標登録出願人が、商標登録を受けることについて同号の他人の承諾を得ており、
かつ、当該商標の使用をする商品又は役務と同号の他人の登録商標に係る商標権者、専用使用権者又は通常使用権者の業務に係る商
品又は役務との間で混同を生ずるおそれがないものについては、同号の規定は、適用しない。
(商標権の効力)
第二十五条 商標権者は、指定商品又は指定役務について登録商標の使用をする権利を専有する。ただし、その商標権について専用使
用権を設定したときは、専用使用権者がその登録商標の使用をする権利を専有する範囲については、この限りでない。
(侵害とみなす行為)
第三十七条 次に掲げる行為は、当該商標権又は専用使用権を侵害するものとみなす。
一 指定商品若しくは指定役務についての登録商標に類似する商標の使用又は指定商品若しくは指定役務に類似する商品若しくは役
務についての登録商標若しくはこれに類似する商標の使用
二~八 (略)
不正競争防止法(平成五年法律第四十七号) 抄
(定義)
第二条 この法律において「不正競争」とは、次に掲げるものをいう。
一 他人の商品等表示(人の業務に係る氏名、商号、商標、標章、商品の容器若しくは包装その他の商品又は営業を表示するものを
いう。以下同じ。)として需要者の間に広く認識されているものと同一若しくは類似の商品等表示を使用し、又はその商品等表示
を使用した商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供
して、他人の商品又は営業と混同を生じさせる行為
二 自己の商品等表示として他人の著名な商品等表示と同一若しくは類似のものを使用し、又はその商品等表示を使用した商品を譲
渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供する行為
三~二十二 (略)
2~11 (略)
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