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産業構造審議会 知的財産分科会 商標制度小委員会 第12回

2025-06-13一次資料(出典)

議事録・配布資料の全文(政府公表資料より。要約でなく原文に基づく参照用)。

産業構造審議会 知的財産分科会 商標制度小委員会 第12回 資料産業構造審議会 知的財産分科会 商標制度小委員会 第12回 資料産業構造審議会 知的財産分科会 商標制度小委員会 第12回 資料産業構造審議会 知的財産分科会 商標制度小委員会 第12回 資料産業構造審議会 知的財産分科会 商標制度小委員会 第12回 資料産業構造審議会 知的財産分科会 商標制度小委員会 第12回 資料産業構造審議会 知的財産分科会 商標制度小委員会 第12回 資料産業構造審議会 知的財産分科会 商標制度小委員会 第12回 資料

議事録

時・令和7年6月13日(金) 於・特許庁特別会議室+Teams会議室 産業構造審議会知的財産分科会 第12回商標制度小委員会速記録 特 許 庁 目 次 1.開 会 ………………………………………………………………………… 1 2.議 事 ………………………………………………………………………… 5 1 商標審査の現状 2 インターネット上の国境をまたいだ商標の使用 3 仮想空間における商標の保護 4 生成AI技術の発達を踏まえた商標制度上の整理 5 公報におけるプライバシーの保護 3.閉 会 ……………………………………………………………………… 5 ………………………………… 6 ……………………………………………………… 14 ……………………………… 25 ………………………………………………… 27 ………………………………………………………………………… 32 開 ○田岡総務課長 会 定刻から数分早いのですけれども、予定の皆様、オンラインでの御予定 の方もおそろいでございますので、ただいまから、産業構造審議会知的財産分科会第12回 商標制度小委員会を開会させていただきます。 プレスの皆様、ただいまから議事に入る前までの10分間程度はカメラ撮影可能となりま すので、その時間内によろしくお願いします。 本日は、御多忙の中、御出席を賜りまして誠にありがとうございます。 事務局長を担当いたします総務課長の田岡でございます。どうぞよろしくお願いいたし ます。 早速ではございますが、本日の議事進行につきまして田村委員長にお願いしたいと存じ ます。どうぞよろしくお願いいたします。 ○田村委員長 ありがとうございます。議事に移る前に、新たに就任された委員の紹介と 出欠状況及び定足数等についての御説明を事務局からお願いいたします。 ○田岡総務課長 それでは、今回新たに就任された委員を御紹介させていただきます。簡 単にで結構ですので、一言ずつ御挨拶を頂戴できますと幸いです。 一般社団法人日本知的財産協会副理事長、中外製薬株式会社参与・知的財産部長、奥脇 智紀委員でございます。 ○奥脇委員 御紹介にあずかりました中外製薬の奥脇と申します。今回はどうぞよろしく お願いいたします。 ○田岡総務課長 よろしくお願いいたします。 続きまして、梶原工業株式会社代表取締役社長、梶原靖友委員でいらっしゃいます。 ○梶原委員 御紹介いただきました梶原工業の社長の梶原靖友と申します。弊社は食品加 工機械メーカーでありまして、和菓子の餡や、カレーライスのカレーなどを加熱撹拌する ような大型の調理機械を製作している中小企業でございます。中小企業の視点から意見が 出せればと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。 ○田岡総務課長 よろしくお願いいたします。 それでは、オンラインで御参加でございますけれども、東京地方裁判所知的財産権部部 総括判事、高橋彩委員でいらっしゃいます。 -1- ○高橋委員 御紹介にあずかりました東京地裁の民事46部の部総括、高橋でございます。 どうぞよろしくお願いいたします。 ○田岡総務課長 よろしくお願いいたします。 それでは、日本弁理士会商標委員会委員長、西村あさひ法律事務所・外国法共同事業弁 理士、中山真理子委員でいらっしゃいます。 ○中山委員 中山真理子です。日本弁理士会商標委員会の委員長をしております。私は、 2001年から弁理士としまして商標の実務をメインにして代理人をしております。主に代理 人実務の立場からいろいろ検討をさせていただければと思っております。どうぞよろしく お願いいたします。 ○田岡総務課長 よろしくお願いいたします。 続きまして、東京造形大学造形学部准教授、村上画里委員でいらっしゃいます。本日は オンラインで御参加でございます。 ○村上委員 初めまして。村上と申します。東京造形大学という美大なのですが、私の専 門、知的財産法でして、共同研究で、ただいま、生成AIですとかメタバースの利活用に 関して研究を進めております。学術的な観点からお役に立てれば幸いです。よろしくお願 いいたします。 ○田岡総務課長 よろしくお願いいたします。 続きまして、日弁連知的財産センター意匠、商標、不正競争防止法PT座長、室谷法律 事務所弁護士、室谷和彦委員でいらっしゃいます。本日はオンラインで御参加でいらっし ゃいます。 ○室谷委員 ただいま御紹介にあずかりました弁護士の室谷でございます。事務所は大阪 でございまして、専らオンラインでの参加になるかと思います。どうぞよろしくお願いい たします。 ○田岡総務課長 よろしくお願いいたします。 以上、6名の方に新たに委員に御就任いただきました。 次に、委員の皆様の出欠状況でございますが、本日は会議室にお越しいただいておりま す田村委員長、石井委員、大向委員、奥脇委員、梶原委員、島並委員、中山委員に加えま して、オンラインにて、井関委員、高橋委員、村上委員、室谷委員が御出席いただいてお ります。 本日、11名の委員の皆様全員が御出席ですので、産構審運営規程第13条第6項に基づき、 -2- 本日の委員会は成立となります。 続きまして、配布資料の確認をさせていただきます。会場の皆様には、タブレットに格 納させていただいております。議事次第・配布資料一覧、委員名簿、資料1、商標審査の 現状、資料2、商標制度に関する検討課題について、参考資料1、公報におけるプライバ シーの保護でございます。もしお困りの方は、お席で挙手いただくなど合図していただけ れば担当の者が対応いたします。 また、質疑などにおきまして御発言いただく場合は、会議室にいらっしゃる方は挙手を いただきまして、指名されましたら、卓上マイクをオンにして御発言をお願いいたします。 オンラインで御出席の委員の皆様におかれましては、挙手ボタンにて御発言希望の旨お知 らせください。指名されましたら、マイクをオンにして御発言いただきますようお願いい たします。 続きまして、議事の公開の扱いでございます。本小委員会では、プレスの傍聴につきま しては、会場及びウェブ傍聴を可能としております。一般の方の傍聴につきましては、ウ ェブ傍聴に限って可能としております。また、配布資料、議事要旨及び議事録も、原則と して公開いたします。 事務局からの説明は以上となります。 ○田村委員長 ありがとうございました。 続きまして、本日の議題に入る前に、特許庁の小野長官から御挨拶をいただきたいと思 います。 ○小野長官 特許庁長官の小野でございます。本日は、お集まりいただきまして誠にあり がとうございます。 この商標制度小委員会は、令和4年以来、2年半ぶりということでございます。前回、 他人の氏名を含む商標、それから、コンセント制度、これにつきまして御審議をいただき ました。その内容につきましては令和5年の知財一括法に盛り込むことができまして、誠 にありがとうございます。 この法施行の状況でございますけれども、商標審査基準ワーキンググループで詳細に検 討いただいた審査基準に基づきまして、他人の氏名を含む商標、それからコンセント制度 を適用した商標の審査を行っておりまして、登録例も出てきております。 そして、今回の議題でございますけれども、昨今、DXが加速しておりまして、国境を またいだサービスの増加、それから仮想空間ビジネスというものが拡大しております。生 -3- 成AI技術の発展によりまして、創作活動の環境も大きく変化しているということでござ いまして、この状況に応じて、昨年以来、特許制度小委員会、それから意匠制度小委員会、 こちらのほうで議論をしているという状況でございます。本日は、特許意匠制度における 議論と同様に、主に4つの論点につきまして、商標についてもどうかということを御議論 いただくということでございます。 1つ目が、インターネットの国境をまたいだ商標の使用についてでございます。特許に 関しては、発明の構成要件の一部が国外にある場合の実質的に国内の実施行為と認められ るための要件について議論しているということでございます。これについて、商標につい てはどうかということでございます。 2つ目が、仮想空間における商標の保護でございます。意匠に関しては、仮想空間にお けるデザインについて、制度的措置を含めて検討を行っております。商標に関しても、仮 想空間上の商品に係る商標の登録の在り方、権利行使の在り方、これについて御議論いた だきたいと思います。 3点目は、生成AI技術の発達を踏まえた商標制度上の整理でございます。既にAIと 発明、それからAIとデザインについての議論を始めておりますけれども、商標について も生成AIを利用して作成された商標が出願された場合、登録商標のデータをAIに学習 させる場合の考え方の整理などについて御議論いただくということでございます。 最後に、商標審査の現状について御報告をさせていただくとともに、公報におけるプラ イバシーの保護についても御議論いただく予定でございます。 というわけで、限られた時間でございますけれども、委員の皆様からぜひ忌憚のない御 意見をお願いする次第でございます。本日はどうぞよろしくお願いいたします。 ○田村委員長 ありがとうございました。 -4- 議 事 商標審査の現状 ○田村委員長 それでは、議事に入ります。まず、「商標審査の現状」について、事務局 から御説明いただきます。よろしくお願いいたします。 ○根岸商標課長 商標課長の根岸でございます。「商標審査の現状」について、資料1に 沿って御報告いたします。 2ページから7ページは、近年の出願件数の推移や審査期間などです。 それでは、2ページを御覧ください。出願件数は、2022年以降、全体として減少傾向に あります。最近は、緩和しつつあるものの、増加傾向とは言えない状況です。 3ページを御覧ください。米国、欧州、中国、韓国の各知財庁への出願もおおむね同様 の傾向です。 4ページを御覧ください。国内ユーザーの出願が減少した要因として、新規ブランドの 立ち上げの減少や出願商標の厳選が進んだことなどが考えられます。 5ページを御覧ください。出願があってから結果を通知するまでの審査期間については、 適正と考える期間を維持しております。 6ページを御覧ください。審査の品質面については、ユーザー評価調査を実施し、維持、 向上に努めております。 7ページを御覧ください。また、審査の品質向上を図るため、AI技術の活用可能性も 検証・試行しております。 続けて、制度の運用状況を御報告します。9ページを御覧ください。他人の氏名を含む 商標について、本小委員会で検討いただいた内容を踏まえ、法律を改正し、昨年4月に施 行しました。 10ページを御覧ください。商標審査基準ワーキンググループで詳細に検討いただいた審 査基準に基づき、審査を行っています。 11ページを御覧ください。改正前には登録にならなかった他人の氏名を含む商標につい て、改正後に出願があって登録になった例です。 12ページを御覧ください。コンセント制度についても、本小委員会で検討いただいた内 容を踏まえ、法律を改正し、昨年4月に施行しました。 -5- 13ページを御覧ください。他人の氏名を含む商標と同じく、ワーキンググループで検討 いただいた審査基準に基づき審査を行い、登録になった例です。 コンセント制度の適用により登録されたことは、商標公報等で確認でき、J-PlatPatに おいて検索することも可能です。 14ページを御覧ください。新しいタイプの商標について、制度導入後約10年弱で出願又 は登録された件数の累計になります。 15ページを御覧ください。こちらは地域団体商標です。制度運用20年目となり、約780 件の登録があります。 16ページを御覧ください。地域団体商標の活用支援により、地域の活性化に資するよう 取り組んでいます。 17ページを御覧ください。こちらが最後のスライドになります。商標制度の利用促進に ついて様々なアプローチを実施中です。潜在ユーザーへの普及啓発として、出願件数の減 少の要因分析とともに、活用を促す効果的な制度周知策や運用等の在り方を検討するため、 調査も行う予定です。 以上でございます。 ○田村委員長 では、ただいまの「商標審査の現状」に関する事務局からの御説明に関し まして、御意見、御質問のある方はいらっしゃいますでしょうか。 それでは、本議題につきましては、自由討議は以上とさせていただきます。 インターネット上の国境をまたいだ商標の使用 ○田村委員長 次に、「インターネット上の国境をまたいだ商標の使用」について、事務 局から御説明をいただきます。よろしくお願いいたします。 ○尾茂商標審査企画官 説明いたします。商標審査企画官の尾茂です。 資料2、商標制度に関する検討課題について説明いたします。本日は、お時間が限られ ているため、ポイントのみをかいつまんで御説明いたします。 スライド1を御覧ください。こちらは、今回の審議会を開催するに至った背景を説明し たスライドとなります。詳細な説明は割愛いたします。 スライド2を御覧ください。こちらの3つの論点が本日御議論いただく内容でございま す。それでは、早速1つ目から御説明いたします。 -6- スライド3を御覧ください。 1つ目のテーマです。スライド4を御覧ください。こちらは同じテーマについて、特許 制度小委員会での検討状況を紹介したものです。詳細な説明は割愛いたします。 ここで、スライドが飛びますが、スライド7を御覧ください。こちらが商標制度におけ る問題の所在となります。スライド下段の図を御覧ください。商標で問題となり得るケー スを示しております。海外にサーバーがあり、吹き出しにありますように、そこにあるプ ログラムによりショッピングサイトが表示されております。ショッピングサイト上には日 本の登録商標が表示されているところ、そのサイトを見ているのは日本の需要者であると いうような場合に、そのサイトにおける商標の表示は、日本国内における商標の使用と言 えるのかというところが問題となります。 また、スライドが飛びますが、スライド9を御覧ください。考え方の参考となるものと して幾つか裁判例を御紹介いたします。まず1つ目のカテゴリーは、不使用取消審判の訴 訟です。説明に先立ちまして、結論から申し上げます。 裁判例により示されている考え方はスライド上段にございます。すなわち、1つ目の矢 印にございます、日本国内における商標の使用に該当するか否かにつきましては、2つ目 の矢印、マーカー部分にございます。日本の需要者を対象としたものか否かで判断されて いると考えられます。 スライド下部の事例の説明は割愛をいたします。 スライド10を御覧ください。こちらの事案を紹介いたします。1つ目のポツですが、指 定商品が化粧品、登録商標がCOVERDERMとなります。サーバーは海外にございま した。 3つ目のポツですが、判決はこのように述べています。すなわち、このウェブサイトは、 日本語で商標、COVERDERMに関するブランドの歴史や実情等を紹介していました。 そして、その化粧品を買うための注文フォームや注文の送信ボタンも日本語で記載されて いました。したがって、黄色マーカー部分ですが、本件ウェブサイトは、日本の需要者を 対象とした注文サイトであることは明らかであると判示されています。ここでも、日本の 需要者を対象としたものか否かで判断がされております。 スライド11を御覧ください。こちらの事例につきましても同様の判断がされております。 説明は割愛いたします。 スライド12を御覧ください。これまでは不使用取消審判の訴訟を紹介しましたが、侵害 -7- 訴訟におきましても同様の考え方が示されております。事案の詳細につきましては説明を 割愛いたします。 スライド飛びまして、スライド14を御覧ください。本判決において、注目すべきポイン トとして、日本国内における商標の使用に当たるかについて、WIPO共同勧告という国 際的なガイドラインに当てはめて判断をしています。 スライド15を御覧ください。WIPO共同勧告について御説明いたします。2つ目の矢 印に、WIPO共同勧告の位置づけがございます。共同勧告は条約ではございませんが、 各国がガイドラインとして考慮することができるものです。 3つ目の矢印がWIPO共同勧告の内容を示したものです。全ての関連する状況を考慮 して、商業的効果というものがその国で生じているのかということで、その国で商標を使 用したかを判断します。 では、どのような状況、要素を考慮するのかというのが4つ目の矢印です。まず、その 国で実際にビジネスを行っているのか、次に、ウェブサイト上でその国の通貨や言語が使 用されているのかといった点が例示されております。 スライド戻りまして恐縮ですが、スライド14を御覧ください。先ほど述べたWIPO共 同勧告の考慮要素に当てはめて総合考慮した上で、日本国内における商標としての使用に は当たらないと判示されております。 このように、裁判例においては、WIPO共同勧告に例示されているような様々な要素 を総合考慮した上で、日本の需要者に向けられたものであるか否かで日本国内における使 用かが判断されております。 飛びまして、スライド17を御覧ください。先ほど述べた考え方について、ユーザーの皆 様に意見を伺ったものです。「評価」とございますように、賛同いただいております。詳 細な説明は割愛いたします。 スライド18を御覧ください。今まで御説明した内容をまとめたものとなります。スライ ド上部1つ目の矢印です。インターネット上の国境をまたいだ商標の使用について、商標 法においては、裁判例やWIPO共同勧告において挙げられた要素が参考になります。 2つ目です。こうした要素を総合考慮し、日本の需要者に向けられていると評価できる 場合には、日本における商標の使用に該当するものと考えられると整理いたしました。こ の点につきまして、特許制度小委員会における議論は引き続き注視する必要があるものの、 現行の商標制度で一定の整理がなされているのではないかと我々としては考えております。 -8- したがいまして、特許法のような差し迫った改正の必要性は現時点ではないのではないか と考えております。こちらの点につきまして、御審議いただければと存じます。どうぞよ ろしくお願いいたします。 ○田村委員長 では、ただいまの「インターネット上の国境をまたいだ商標の使用」に関 する事務局からの御説明に関しまして御意見・御質問等のある方はいらっしゃいますでし ょうか。 奥脇委員、よろしくお願いします。 ○奥脇委員 御説明いただき、どうもありがとうございます。僕も、侵害行為として判断 される場合としまして日本の需要者を対象にしているというところは、判断基準として理 解はできます。一方で、すしざんまいさんの事例もあったとき、これはどちらかというと 日本の需要者を対象にしていないという事例ですけれども、ただ、これは結構クリアーな 事例だと思うので、この中間的な間に陥るような事例はどのように判断されるのか。例え ば日本に対して積極的には表示していないのだけれども、日本でものが買えてしまうとい う行為が起きた場合にはどう判断するのか。たまたま買えてしまうという状況もあると思 いますので。 私、製薬業界にいますので、製薬業界って偽薬品の問題が結構あって、偽薬を使うとい うことは人の生命にも関わるので、どうそういうものを商標権使って抑えたいのかという ところは1つ大きな課題でありますので、そういうものも含めて整理していただけると、 ユーザーにとっても非常に助かるのではないかと考えております。 また、このWIPOの勧告、四半世紀ぐらい前の勧告ですし、その以降、日本の状況に おいても、ダイバーシティや、外国人が多くいる、環境も大きく変化してきていますし、 ものを買うときの決済の方法、決済できる通貨もいろいろ多種多様になってきていますの で、こういう言語とか通貨という視点からどういう考え方に今後なるのかというのも一度 整理していただけますと、知財ユーザーとしては非常に助かると考えております。 私から以上です。 ○田村委員長 ありがとうございました。 ○尾茂商標審査企画官 御意見ありがとうございます。御指摘の中で、WIPO共同勧告 が25年前のものであるという御指摘もございました。確かに、WIPO共同勧告が採択さ れてから様々な変化が起きているところでございます。また、他方、言及がございました すしざんまい事件においてもWIPO共同勧告が触れられておりますので、こちらのガイ -9- ドラインとしての意義もまた一定程度あるものと考えております。 また、WIPO共同勧告において示された考慮要素というのはあくまで例示というとこ ろでございまして、今後の取引状況の変化に応じて考慮要素が見直されることもあり得る と考えてございます。我々としましては、今後も裁判例等の動向を注視した上で、必要に 応じてこの考慮要素というものは時代に合わせて検討していきたいと考えてございます。 ○奥脇委員 ○田村委員長 どうもありがとうございます。ぜひよろしくお願いいたします。 ほか、いかがでしょうか。 梶原委員、お願いします。 ○梶原委員 ありがとうございます。国内商標権につきましては、「『日本の需要者に向け られている』と評価できる場合に日本における商標の使用に該当する」、と非常に明確に されていらっしゃいます。これを踏まえますと、逆に、海外で権利保護を行うことを考え た場合に、海外で同じように明確な指標が出されるかどうか分かりませんが、今後日本で 出したものが海外でどこまで通用するかということを考えますと、国際商標の取得のニー ズが高まってくることが期待されます。 中小企業におきましては、コスト的にも専門人材的にも非常に制約がある中で、国際商 標出願をしていかなければならないとなってきますと、JETRO等の海外展開支援機関 との連携ですとか、INPITの知財総合支援窓口への相談、こういったものも実際ある わけですけれども、これをもっとオープンにといいますか、利用を促進していただきたい と思います。また、中小企業等の海外展開支援事業費補助金、こういったものも、この商 標におきましてもしっかり活用できるような積極的な支援をお願いしたいと思いますので、 よろしくお願いいたします。 ○尾茂商標審査企画官 中小企業目線からの貴重な御意見、ありがとうございました。い ただきました御意見につきましては意見として承らせていただきましたので、担当部署の ほうにお伝えしたいと思います。どうもありがとうございます。 ○梶原委員 ○田村委員長 どうぞよろしくお願いいたします。 ほか、いかがでしょうか。 島並委員、どうぞ。 ○島並委員 ありがとうございます。今般の御提案は、海外にサーバーがあり、それを用 いた広告活動が日本の需要者に向けられている場合に日本における商標の使用と考えよう ということで、基本的な考え方としては私も賛成であります。それに関連して2点お伺い - 10 - したいと思います。 1つは、逆に、日本のサーバーから海外の需要者に向けて広告を打った場合が日本での 商標の使用に入るのか入らないのか。物理的には日本のサーバー上で行われている広告活 動ですが、このたびの御提案のように、どこの需要者に向けられているかということを強 調するのであれば、むしろこの例では日本での商標の使用には入らないという考え方もあ り得るかなと思います。そうした影響があり得るのかどうかという点について、まずはお 伺いしたいと思います。 2点目は、今般、広告という使用行為に着目されているわけですけれども、それが他の 使用行為にどういう影響があるのかということであります。具体的には、商品の譲渡や引 渡し、あるいは引渡しのための展示等が海外で日本の需要者のみに向けて行われている場 合というのもあり得ると思うのですね。日本へ輸出するためだけに、外国において商標品 の譲渡がなされているという例です。 恐らく今回の議論ではこうした例は想定されていないと思うのですけれども、広告につ いてだけ日本の需要者に向けられているかどうかという基準が立てられるのであれば、な ぜ広告のみがほかの譲渡等の使用行為と区別されるのかというところが理論的には気にな るところであります。 今申し上げた点に関連してさらに、条文上は輸出という行為が使用に含まれております。 輸出は一般的には海外の需要者に向けられる行為だと思いますので、それが明文の規定を もって使用に含められていることとの関係で、今般の需要者基準を広告において取るとい うことをどう位置づけるのかということも御教示ください。 以上です。 ○尾茂商標審査企画官 御質問ありがとうございます。1点目に関しましてですけれども、 日本にサーバーがある場合というところで、今回の考え方というのは、サーバーが物理的 にどこにあるのかというところは基本的には関係がなく、どこの国の需要者に向けられて いるのかというところが問題となりますので、日本にサーバーがあったとしても、それが 海外の需要者に向けられていると評価できれば、それは海外においての使用、日本におけ る使用とは認められないということも考えられると思います。 2点目に関しましてはとても難しい御質問でございまして、我々としては、典型例とし て、やはりインターネット上の商標、国境をまたいだ商標の使用というテーマで考えさせ ていただいておりますので、典型例としてはやはりインターネット上のウェブサイトにお - 11 - ける広告的な使用というものを想定しているところでございますので、それ以外の使用行 為につきましてはより検討を深めていきたいと考えます。すみません。すぐこの場で回答 を申し上げることができずに申し訳ございませんけれども、問題提起として受け止めたい と思います。どうもありがとうございます。 ○田村委員長 出しゃばり過ぎかもしれませんが、委員長の立場を離れて個人的な見解を 申し上げると、大変難しい論点で、2つの考え方があると思います。つまり、輸出とか譲 渡とかに関してですね。 一つの考え方は、あくまで属地主義で考えて、日本で行われているのであれば、日本の 商標法を適用し、外国で行われているものには外国の商標法を適用するというものです。 ただ、それは一つの考え方だとは思いますが、私は別の考え方を持っています。現行法で は、たしかに商標の使用行為として輸出が入っていますけれども、あれは日本で商標に起 因する何か混同のおそれが生じていて、その効果が外に波及するときは日本法を適用して よいのですけれども、島並さんのおっしゃったような例で、専ら日本では全く取引がなく て、物理的には物が日本から動いているけれども、全く外部の人に触れない形での輸出が 行われているというときには、日本法が適用されるのではなく、仕向地の法の問題だと私 は思っています。ただ、必ずしも裁判例や学説がはっきりしているわけではない状況です ので、手を着けるにはまだ時期尚早ということになるのではないかと思いました。 以上です。 ほか、いかがでしょうか。 中山委員、お願いします。 ○中山委員 ありがとうございます。今回の考え方や整理、方向性についてはおおむね異 存はございません。他方、確認させていただきたい前提的なことも含めて何点かお伝えさ せていただけますでしょうか。 まず1つ目、前提としまして、本議題で検討しようとしている対象の範囲といいますの は、インターネット上の国境をまたいだ現実の商品・役務への商標の使用のみではなく、 メタバースにおいて提供される仮想の商品についての商標の使用についても含まれるとい う理解でよろしいでしょうか。 もしその理解でよろしいようでしたら、その仮想商品の場合の商標の使用と現実商品の 場合と同じ基準でよいのかどうか、ほかにそれぞれ個別に考慮すべき要素はないかといっ た点も検討する必要があるのではないかと考えております。 - 12 - また2つ目です。こちらも確認ですけれども、商標の使用という考え方を整理するとい うことで、侵害の場面も不使用取消の場面も、「使用」自体については同じ考え方でいく、 ただし、商標的使用の観点については別途という理解でよろしいでしょうか。これが2つ 目です。 3つ目です。商標法でも意匠法でも保護され得るアイコンのような対象というものが存 在すると思います。この場合、インターネット上の国境をまたいだ商標の使用や意匠の実 施については、意匠制度における考え方と商標制度における考え方の整合を取るとかすみ 分けをするということが必要かと思うのですけれども、この点に関しては意匠制度小委員 会の議論を待ってからというような位置づけ、考え方でよろしいでしょうか。 4つ目は、先ほどもほかの委員の方が触れられていたのですけれども、商業的効果と日 本の需要者に向けられているかどうかという基準に関してです。現時点では、言語は日本 語、通貨が日本円、日本国内に連絡方法があるかという、基本、日本の要素を基準にして いると思いますが、今後インターネットサービスのビジネスのさらなる多様化や、ネット ワーク関連技術の発展に伴って、そのときにおける合理的な解決を図るには日本語、日本 円通貨、日本国内というような基準以外の要素も広く柔軟に考慮していく必要があると考 えております。 そして、御説明いただいた資料には、海外のサーバーにあるショッピングサイトにおい て日本の登録商標が表示されている場合の事案があるのですけれども、もちろんこれに限 られず、ちょっと派生した、少し変化した形の事案もカバーできるような考え方、基準を 整理していくというように理解しております。 最後になりますが、資料や御説明によりますと、法改正をすぐに検討されているわけで はないと理解いたしました。今回の検討や議論の内容というのは、位置づけ的にはどのよ うなものになるのでしょうか。ガイドライン的なもので方向性を確認するものであるのか、 すぐではないけれども法改正を将来検討されていて、それを見据えたものなのかといった ところをお聞かせいただければと思います。 すみません。長くなりました。ありがとうございました。 ○尾茂商標審査企画官 御確認事項、御質問事項、ありがとうございます。 1点目につきまして、今回の議論の射程というところですけれども、現実の商品・役務 に限られず、仮想空間における商品・役務についても対象に入るであろうと考えてござい ます。 - 13 - 2点目でございます。侵害場面、不使用取消審判の場合、両方に共通する考え方かとい うことで、こちらは御認識のとおりというところでございます。 3点目、意匠法、商標法の両方で保護され得るアイコンについての考え方ですけれども、 アイコンが商標として商標権で保護できる場合には、当然商標権として保護され得る。一 方で意匠のほうですね。意匠として保護され得るかという考え方、その場合の国境をまた いだ実施の考え方につきましては、お話ありましたけれども、意匠制度小委員会で今後検 討することとなっておりますので、この場での回答は差し控えたいと思います。 4点目でございます。WIPO共同勧告等における考慮要素についてですけれども、こ ちらにつきましては御認識のとおりでして、資料に挙げられている要素のみではございま せんので、今後の取引秩序の変化に応じて考慮要素が見直されることもあり得るものと考 えております。 5点目ですけれども、今回お示しした海外にサーバーがあるような例というのは典型例 を示したものですので、こういった事例に限定するものではないと、御認識のとおりと考 えております。 6点目ですけれども、言及ございましたとおり、現時点での法改正は考えておりません。 あくまで特許小委での検討がなされていることを受けて、商標での考え方を整理したもの という形となってございます。 以上となります。 ○中山委員 ○田村委員長 ありがとうございました。 ほか、いかがでしょうか。 よろしいですかね。 それでは、いろいろと将来的な問題についても御意見をいただきましたけれども、現時 点では喫緊の課題ではないということで、改正には結びつけないという事務局からの御提 案についてはおおむね賛同いただいたものと理解しております。 仮想空間における商標の保護 ○田村委員長 それでは、本議題につきまして自由討議は以上とさせていただきまして、 次に、「仮想空間における商標の保護」について、事務局から御説明をいただきます。よ ろしくお願いいたします。 - 14 - ○尾茂商標審査企画官 説明させていただきます。2つ目のテーマとなります。 スライド20を御覧ください。こちらは仮想空間におけるビジネスの広がりについて御説 明しております。2つ目の矢印ですが、仮想空間におけるビジネスの主体についてです。 二者に大別されると考えております。1つ目が、現実空間でビジネスをしている事業者が 仮想空間に進出したケースです。2つ目が、仮想空間でビジネスを始めた、仮想空間初の ビジネス主体です。 スライド21を御覧ください。1つ目の矢印ですが、今申し上げた2つの主体いずれもが 仮想空間で使用可能な様々な3Dモデルを制作し販売している実情にあります。 スライド22を御覧ください。1つ目の矢印ですが、意匠につきましては、こうした3D モデル等について模倣が実際に行われているという実情がございます。それを受けまして、 2つ目の矢印ですが、商標でも仮想空間における模倣が問題となり得ると考えております。 このような状況のもと、先ほどの3Dモデルのような仮想空間上の商品について、まず商 標は登録できるのかという登録可否の話と、登録できた場合、その商標権に基づいて権利 行使ができるのか、その範囲はどこまでかという点について整理すべきであろうと考えて おります。 スライド23を御覧ください。議論を進めていくに当たりまして、その対象を明確にさせ ていただきます。商標登録の対象となる3Dモデル、こちらを仮想商品と呼ばせていただ きます。その仮想商品の定義ですが、スライド上段の矢印を御覧ください。仮想空間とは、 仮想空間上で商品等の形状を表示するためのデジタルデータ、これを仮想商品としたいと 考えます。 例としましては、アバターに着せる被服のデータであるとか、仮想空間に設置する家具 のデータとなります。スライド下部に具体例を掲載しております。 スライド24を御覧ください。今回の議論の対象から除きたいものが1つございます。ス ライド下部の例を御覧ください。JPO家具バーチャルショールームということで、現実 の家具を模した3Dモデルを展示しております。ここで売買の対象となっているのは現実 の家具となります。すなわち、スライド上部の1つ目の矢印ですが、これは現実の商品を 広告する目的で使用されているものです。今回議論したいのは、3Dモデルそのもの、す なわち、仮想商品を売買する際に使用される商標の保護のお話ですので、このようなケー スにつきましては今回の議論の対象外といたします。 スライド25を御覧ください。それでは、仮想商品について商標は登録可能かという点で - 15 - すが、1つ目の矢印に結論を書いてございます。仮想商品に係る商標につきましては、現 行法で登録による保護が可能です。仮想商品に関する表示としましては、例えば第9類 「ダウンロード可能な仮想被服」のように指定し、出願することで登録が可能です。 2つ目の矢印ですが、このことは国際的にも同様の整理がなされております。 3つ目の矢印ですが、このような国際的な議論を踏まえ、我が国におきましても、仮想 商品に関するガイドラインを策定し、公表済みでございます。 スライド飛びますが、スライド27を御覧ください。仮想商品に係る商標は登録可能であ るということですが、では、登録を受けるために商標出願した場合に何か問題が生じるの かということを表したのがこちらのスライドです。 スライド下段の事例を御覧ください。左側が出願人で、商標「JPO」第9類「ダウン ロード可能な仮想家具」について出願した場合。右側を御覧ください。既に現実空間の家 具について同じ商標、他人が登録していた場合にはどのように判断されるのかということ が問題となり得ます。ここで両者の商標は同一ですので、仮想家具と現実の家具が類似す るのかという点が問題となります。こちらにつきましては、スライド上段の1つ目の矢印 を御覧ください。 商標における商品の類否を考える際には、ここにございます生産部門・販売部門等が一 致するかを考え、それらを総合考慮して判断いたします。仮想商品については、個人のク リエイター等が様々な種類の仮想商品をつくる実情があるのに対し、例えば現実の家具は 家具メーカーが生産しております。このように、両者は生産部門が異なり他の要素も一致 しない場合が多いため、我々としましては、仮想商品と現実の家具は類似しないものと考 えております。 商品が類似しないため、下の事例の出願につきましては登録ができるということになり ます。ここでよくお話をいただくのが、それでは現実の著名な商標について、第三者が勝 手に仮想商品について出願した場合、登録ができてしまうのかというお話がございます。 こちらについては、この事例の下にございます赤下線部分ですけれども、商標法4条1項 15号等の条文によりまして、混同を生ずるおそれがあれば出願が拒絶されるということに なりますので、制度的な担保はなされていると考えております。 スライド28を御覧ください。先ほどは現実の商品と仮想商品の事例でしたけれども、こ ちらのスライドでは、仮想商品同士の類否、これがどのように判断されるかでございます。 スライド上部1つ目の矢印ですが、仮想商品は同じクリエイターが様々な仮想商品をつ - 16 - くるという実情があるため、生産部門は一致いたします。販売部門等も一致する場合が多 いと考えております。したがいまして、仮想商品同士は類似するものと我々としては考え ております。 下の事例には、左側のC社が、商標「JPO」をダウンロード可能な仮想家具について 出願したとき、右側、既に同じ商標を仮想自動車について他人が登録していたような場合 ですが、これは商標が類似するということで、左側の出願は拒絶されます。 スライド29を御覧ください。今まで、商標の登録可否、すなわち、出願審査段階におけ る商品の類否の話をしてきました。ここからは権利行使段階の話となります。このスライ ドは権利行使の一般的な説明をしているため割愛をいたします。 スライド30を御覧ください。こちら、仮想商品に係る商標についての権利行使について 述べたものです。我々としましては、基本的に、今まで御説明しました審査段階の判断と 同様の考え方になるのではないかと考えております。すなわち、スライド下部の事例3に あるように、現実の商品と仮想商品は類似しないため、権利行使は原則できず、事例4に あるように、仮想商品同士は類似するため、原則、権利行使できるのではないかと考えて おります。 しかしながら、こちらはあくまで特許庁の見解を述べたものであり、裁判においては 様々な事情が考慮されるものであるため、何ら司法の判断を拘束するものではございませ ん。 スライド31を御覧ください。こちらは、仮想商品と現実の商品を非類似とする考え方に ついてユーザーの皆様に御意見を伺った結果となっております。おおむね評価をいただい てございます。 スライドが飛びますが、スライド34を御覧ください。こちらは、今度は仮想商品同士を 類似とする考え方についてユーザーの皆様に御意見を伺った結果となっております。こち らもおおむね評価をいただいております。 スライド35を御覧ください。今まで述べた考え方について国際的に見るとどうであるか ですが、スライド上部の矢印にありますように、仮想商品と現実の商品については、原則、 非類似とする、あるいは個別判断とする国が多いものと考えております。すなわち、原則 として類似とするという国は確認されておらず、日本の運用は各国と調和したものである と考えております。 なお、本スライドは仮想商品と現実の商品の類否について述べておりますが、仮想商品 - 17 - 同士の類否につきましては、今年度の調査研究事業において調査を行う予定であります。 また、権利行使段階につきましても同様でございます。 スライド飛びますが、スライド37を御覧ください。こちら、今まで述べた考え方をまと めたものです。仮想空間に係る商標の登録可否としましては、現行法で登録が可能です。 そして、(1)ですが、仮想商品と現実の商品は原則非類似と推定されるため、原則とし て登録可能である。(2)ですが、仮想商品同士は原則類似と推定されるため、原則とし て登録不可であると考えております。 権利行使につきましても、個別の事情が考慮され、個別的な判断がなされるものと承知 しておりますが、基本的な考え方としては登録可否と同様に考えることもできるのではな いかと考えております。 したがいまして、下向き矢印の箇所ですが、下線部分のとおり、現行の商標制度で一定 の保護がなされているのではないかと考えておりますが、この点につきまして御審議をい ただければと存じます。どうぞよろしくお願いいたします。 ○田村委員長 では、ただいまの仮想空間における商標の保護に関する事務局からの御説 明に関しまして、御意見、御質問等ある方はいらっしゃいますでしょうか。 奥脇委員、どうぞ。 ○奥脇委員 教えていただきたいところも含めてなのですけれども、まず、ページ28です かね、これは権利の登録のところの話ですよね。両方、仮想空間同士だと思うのですけれ ども、仮想空間同士で、一方は家具、一方は自動車。でも、これは基本的には類似となる ため、登録にならないという理解でいます。 次に30ページ、これは権利行使のほうですけれども、ここの下の事例は仮想空間と仮想 空間同士ですけれども、ここは家具と家具ということで権利行使できるという判断。逆に、 先ほども申し上げました仮想空間同士で、家具と自動車という場合の権利行使を考えた場 合に、それは権利として使えるのかどうかというところはどのように判断されるのかとい うのはちょっと確認させてもらいたいのです。すみません。 ○尾茂商標審査企画官 御質問ありがとうございます。いただきました御質問、権利行使 の可否につきましては、やはり裁判所による個別判断となりますので、特許庁として断定 できるものではございませんので、明確な回答を申すことができないという旨、御了解い ただければと思います。 ただ、我々としましては、判例等、既存の枠組みに照らせば、仮想商品同士は原則類似 - 18 - ではないかと考えてはいるところでございます。今後の司法判断の動向を注視していきた いと考えております。 ○奥脇委員 どうもありがとうございます。ここって、実際にユーザー目線で、権利行使 した場合は結果どうなるのかというのは日本知的財産協会の中でも議論はして、結構意見 が分かれたところなので、できればさらなる事案検討というのをぜひしていただいて、何 かしらの方向性を出してもらうというのも一つの考え方かなと。 あと1点、今回ヒアリングさせてもらっている企業さんってかなり限定されている業界 かもしれませんので、もう少し幅広い業種を対象に意見聴取してもいいかなと感じました。 以上になります。ありがとうございます。 ○田村委員長 ありがとうございます。ほか、いかがでしょうか。 梶原委員、どうぞ。 ○梶原委員 ありがとうございます。仮想商品に係る商標の使用に関する権利行使ですけ れども、今検討されている方向性では「現実の商品の商標権は仮想商品に対して行使でき ない」としつつも、商標が周知、著名であれば、不正競争防止法により、他人の使用を排 除することができるとなっておりますけれども、この周知とか著名というところの基準の 見極めが難しいのだろうな、と思います。 中小企業におきましては、そういったことに関してクリアランス調査等をするとなると、 また非常に負担がかかりますので、少なくとも自社商標が著名であるとか周知されている というようなことの該当有無がわかるような、一定の基準を設けていただくと非常に助か るなというところであります。 そしてもう一つ、これからバーチャルの空間が広がっていきますと、今申し上げたよう に、今現実の商品で持っている商標権を仮想空間でも加えて、第9類として申請していく ということも起こり得るだろうと思いますので、そのときには、先ほどと同様ですけれど も、INPIT等の支援機関の活用や補助金、出願する中小企業に対する支援も御検討い ただくよう、ぜひお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。 ○尾茂商標審査企画官 御意見ありがとうございます。1点目の権利行使段階における不 正競争防止法等における周知、著名の判断につきましても、すみません、特許庁としまし てはなかなか申し上げにくいところでございますので、やはり個別判断というところにな りますので、様々な裁判例が蓄積されていくことを注視していきたいと考えてございます。 2点目につきましては御要望として承りました。どうも御意見ありがとうございます。 - 19 - ○梶原委員 ○田村委員長 ぜひよろしくお願いいたします。 ほかいかがでしょうか。 石井委員、どうぞ。 ○石井委員 ありがとうございます。今お話に出たことと少し関連するかもしれないです が、スライド37の上のほうの仮想商品に係る商標の登録可否の(1)の※印「4条第1項 15号等の拒絶理由に該当し」というところですが、混同というのは、判例上、周知著名性 や指定商品等と他人の業務に係る商品等との間の性質、用途又は目的における関連性の程 度や取引者・需要者の共通性等により判断されるべきであるとされているのですが、この 例えば有体物同士ですと、商品の関連性は全く違うものだと難しかったと思うのですが、 今後ですと、仮想空間に対して有体物の著名な商品等がある場合というのは商品の関連性 が認められやすい方向に審査されていく傾向になるのでしょうか。 ○尾茂商標審査企画官 こちらにつきましても、そうした要素というものを総合的に考慮 してまいりますので、一概に回答することは難しいというところでございます。そのよう に判断される場合もあり得るのだろうと考えております。 ○石井委員 ○田村委員長 ありがとうございます。 ほか、いかがでしょうか。 中山委員、どうぞ。 ○中山委員 ありがとうございます。このように整理をしていくこと、仮想空間における 商標の保護についての方向性についてはおおむね異存はありませんが、やはり仮想商品等 の類似に関してのところには課題が残るのではないかと思っております。具体的には次の 事項で大きく2つに分けてお伝えします。 1つ目は、まず仮想商品と既存の現実商品との類似関係に関するところです。現在、仮 想商品に関する商品については類似群コードが11C01を中心に特定の、3つくらいの類似 群がついていると思いますが、これは既にこの類似群に属している既存の現実商品がある というところで、そこに属すると考えられているということだと思います。 この場合に、商品の性質上、既存のこの11C01などに入っている商品と仮想商品が類似 と考えて本当によいのだろうかというのが1つと、あとは、特定の類似群の肥大化という のが今少し問題視されているところだと思いますので、また仮想商品について出願が増え たらこの状態がさらに招かれるのではないかということがあります。また、それに伴って 権利の取得が困難になるのではないかということもあり、権利取得の段階で幾つか課題が - 20 - あるのではないかと考えております。 仮想商品同士を類似とする理由として説明されていましたのが、例えば制作するソフト ウェアが共通しているだとか、制作するものが共通しているということがあるようですけ れども、それでもなお、先ほどの現実の既存の商品との関係で似ていると言っていいのだ ろうかというのが疑問にございます。 まだそれほど仮想商品が現実に市場に出ていないということもあるかもしれませんが、 現時点では既存の類似群コードに属するという整理だとしても、今後のビジネスの発展や それに伴う市場での需要者の仮想商品に対する認識を見ながら、様々な観点から検討して、 仮想空間と現実商品の類似について今後見直す機会を持つことをお考えいただければと思 います。 例えばですけれども、ある程度いろいろな事例が蓄積された時点で仮想商品独自の新た な類似群コードを付すとか、そのようなやり方もあるのではないかなと考えております。 2点目が、今度は仮想空間同士の商品類似関係についてです。既に他の委員の方もおっ しゃっていたように、これが果たして常に類似と推定して適切と言えるのかという点です。 使用される商標が周知か著名かという観点のほかにも、先ほどもお話にありましたように、 現実の商品が先にあって、そこ発祥で仮想商品にいくパターンと、本来、仮想商品出身と いいますか、仮想商品だけで始まっているような商品というものがあると思います。です ので、そういった個々の周辺の状況だとか事情によっても、出所混同の可能性にグラデー ションが出てくると思います。そのため、やはりどこかの時点でまた、仮想商品同士の類 似が、今の類似という判断、考え方でよいのかどうかを検討する機会を持つことを考えて いただければと思います。 また、商品の性質上、議題1のように、インターネットを通じて国境をまたいだ使用と なることが想定されますので、類似のことを検討する際に、海外の諸外国の考え方ともあ る程度調和を図っていくということも重要だと考えております。 いただいた資料には、類似の場合の解決方法としてコンセント制度の利用ができると御 記載がありまして、コンセント制度自体は大いに活用していきたいとは思っております。 ただ、懸念としまして、今、仮想商品同士が類似するという考えの根拠に挙げられていた 事項からしますと、コンセント制度を利用したときに出所混同が生じないと主張するため の要素、根拠があるといえるのだろうかという点があります。仮想商品同士が類似すると いう考えの根拠に挙げられていた事項とコンセント制度を利用したときに出所混同が生じ - 21 - ないと主張するための要素、根拠が相反してしまうのではないかということがありまして、 コンセント制度を実効的に使えるかどうかという心配、懸念がございます。 また、コンセント制度は、類似の前提において、当事者同士の合意と一定の要素によっ て混同を避けられると判断される話ですので、先ほど申し上げました仮想商品同士の類似 についての課題の根本的な解決としては、ダイレクトな解決手段ではないと考えました。 最後になりますが、今回の検討の対象範囲は仮想空間上での商品ですが、今後仮想役務 に関してもどこかの段階でこのような整理を行っていくことを考えていらっしゃいますで しょうか。こちらが最後の質問、発言とさせていただきます。ありがとうございました。 ○網谷商標国際分類室長 中山委員、貴重な御意見ありがとうございました。本件、仮想 空間上の商品役務に関連する事項の御質問でしたので、国際分類室のほうから御回答させ ていただきます。 まず、幾つか問題があったかと思いますが、各国の情勢を見ながらということで御要望 を賜りましたけれども、まずその点におきましては、先ほど尾茂が申し上げましたとおり、 今年度、調査研究を行って、各国の具体的な制度運用等々は見直す機会を設けております ので、そこで情報収集した上で、中長期的な目線で、若干すぐにどうこうできるわけでは ありませんが、対応してまいりたいと思っております。 無論、その調査の結果と今後の仮想商品のビジネスの進展、そしてあと司法判断の動向 を注視しながら、要すれば我々としても改めて検討を行いたいと思っているということを こちらでお伝えさせていただきます。 続きまして、特定の類似群が混み合っていると11C01について言及いただいたと思って おります。その点については、昨年度、私どものほうで、この11群について造詣の深い団 体ですとか企業様を特定し御意見をいただきました。こちらにおいては、11Cの在り方に ついて検討するといったことについては多くの皆様から御賛同の意見をいただいている次 第です。 ただ一方で、どのような在り方がよいのかというのは業界ごとに多様な御意見をいただ いたことから、拙速に判断はちょっとできないかなと考えている次第です。 ちょっと一例を申し上げますと、例えば11C01、コンピュータプログラムをより細かく して、一定の法則でグルーピングし、それを異なる類似群を付与するというような方法も 考えられるが、例えばですが、目的別、機能別、業界別などといったグルーピング方法等 もあるので、どのように分けるのかが悩ましいといった御意見ですとか、汎用プログラム - 22 - のようにグルーピングできない商品をどのように扱うのか、こちらについても悩ましいの ではといった御意見。 そして、コンピュータプログラムの用途は増えたり変わったりするといったような取引 の実情があるため、出願時点で用途の記載を求められるとかえって不便であるといった御 意見、そして、結局全ての用途を網羅的に記載して出願することになるため、すみ分けと いっても効果は結局少ないのだといったような御意見も多数いただいた次第です。 このようなことから、調査研究を、海外の事情を参考にし、今年度得るであろう結果を もとに、来年度以降、国内での検討の着手を始めたいなと思っておる次第です。 また、コンピュータプログラムのところで1点、我々としても注意をしなければいけな いなと思っている点が、様々な商品やサービスにアプリが連動していたりコンピュータプ ログラムを使用しているような時代になっておりますと、一昔前に比べると業界の垣根を 超えた事業の方の参入が非常に11Cのところで、増えているような事情にございます。そ のため、利害関係等も複雑であるために拙速な判断は非常に難しいのかなと思っているよ うな次第でございます。こちらについては、本日御参加いただいておりますJIPA様で すとか企業の皆様の御意見を賜りつつ、慎重に検討してまいりたいと思っている次第でご ざいます。 続きまして、仮想空間上の役務同士のお話もいただいていたかと思います。こちらにつ いては、先ほど尾茂から説明があったように、商品とは整理する観点が異なっているとい ったようなことから、例えばこのような制度を検討する商標制度小委のような場で議論を することは現時点では想定しておりませんが、例えば仮想商品と現実商品とは生産部門、 販売部門、原材料等が一致しない場合が多いと考えられるため、現行においては非類似と 考えられておりますが、役務の場合は、類否を考える際には2つのパターンがあると私ど もでは現在考えております。 1つ目は、仮想空間において提供される役務と現実の役務とで目的や提供に係る内容が 一致する場合を考えております。この場合には既に類似と考えており、そのような運用を 進めている次第でございます。 例を挙げますと、仮想空間におけるコンサートの企画・運営と現実世界におけるコンサ ートの企画・運営という役務は、仮想空間において提供された場合でも現実の世界で提供 された場合でも、提供の目的や提供に係る内容が一致する場合が多いため、現時点では類 似と考えているような次第でございます。 - 23 - 2つ目の視点としまして、仮想空間において提供される役務と現実の役務とで目的や提 供に係る内容が異なるような場合もあろうかと思います。この場合については非類似と考 えておりまして、そのような運用を現行行っている次第です。 例を挙げますと、仮想空間において飲食物を提供する役務を考えてみますと、仮想空間 で飲食物を模したデジタルデータが提供されていることが想定されると思いますが、この デジタルデータは現実に飲食できるわけではございませんので、仮想空間において飲食物 を提供するような役務は、現実世界での飲食物の提供という役務とは、目的、そして提供 に係る内容が異なっているので、現時点では非類似と考えておる次第でございます。 ただ、これらのことを踏まえまして、各国での状況を整理しながら今後慎重に検討して まいりたいと考えている次第です。どうぞよろしくお願い申し上げます。 ○中山委員 ○田村委員長 ありがとうございました。 ほか、いかがでしょうか。 大向委員、どうぞ。 ○大向委員 大向です。御説明ありがとうございます。 弁護士の立場から、今の様々なディスカッションもお伺いしていると、やはり一つの商 標の登録でどこまで独占権がある範囲であるのか、また、37条によって他人を排除するこ とができる・し得る範囲になってくるのかという商標の権利範囲と効果というものを考え た場合に、登録の場面と、それから侵害の場面のいずれでも、原則類似として扱うのか、 非類似として扱うのかというのは実務的には大きな影響があって、今回の議論においても 皆様気になられるところでありますし、代理人としても、とても難しい問題だと思ってお ります。 ただ、私としてはまず、今回、特許庁に御説明をいただいた方向性については、基本的 には賛成したいと思っております。その意味としては、登録場面において、仮想空間にお ける商品同士の類否に関して原則類似として考えます、という点です。 これに関して侵害場面については、特許庁の御説明からしますと、登録場面と同じよう に考えるのであろうということはありつつも、最終的には裁判所の御判断になるので、コ メントは一部控えますというお立場だと理解しております。基本的には、登録の場面では まず類似群コードを同じくし、類似として考えるけれども、侵害の場面はまた別と考えら れるのかなという理解をしております。 また、商品の類似性を考える上で、背景とされているのは、資料にもあります最高裁の - 24 - 橘正宗事件の判決と理解しております。仮想空間における商品役務に関する商標審査も裁 判所で判断されたこの基準に基づいて判断していくということであり、かつ、ここで今お 話しいただいているとおり、仮想空間における商品として、現状では同一業者さんが、家 具であったり自動車であったり、リアル世界では類似とするのはなかなか考えにくいとい うようなものであっても、同じ事業者さんの出所となって取り扱われることがあるという ことを念頭に置かれているということで理解しております。ですので、これら御説明いた だいた事情を基にここでは賛成いたします。 ただ、個人的な理解といたしましては、具体的な事案において、やはり判決が示す基準 への当てはめというのはいろいろなものがありますし、それから、何よりも商標で考えて おくべきところとしては、商標法1条にもありますとおり、商標は出所の表示ということ とともに、需要者の利益を保護するということで、常に事業者の出所としての保護と、そ れから消費者なり需要者の目線でどう見えるかという両面を考慮していることが商標の重 要かつすばらしいところであると思っております。先ほどのディスカッションでも出てい るように、実態の把握に関しては海外の法制度の調査を御予定されているということもあ るので、現在把握している事情が変化していく可能性もある世の中の状況を踏まえて、ま た見直しなり、各ユーザーが使いやすい制度運用を意識していただけるものと理解し、期 待をして、賛成と申し上げたいと思っております。 ○尾茂商標審査企画官 全て御認識のとおりというところでございまして、御意見いただ いた形で今後も検討していきたいと考えております。ありがとうございます。 ○田村委員長 ほか、いかがでしょうか。 よろしいですかね。この件に関しましてはおおむね御賛同いただいたところもあります けれども、課題も幾つか指摘されておりました。事務局のほうも中長期的に考えるという ことですので、引き続き事務局とも相談しつつ検討を進めてまいりたいと思います。 それでは、本議題につきまして自由討議は以上とさせていただきます。 生成AI技術の発展を踏まえた商標制度上の整理 ○田村委員長 次に、「生成AI技術の発展を踏まえた商標制度上の整理」について、事 務局から御説明いただきます。よろしくお願いいたします。 ○尾茂商標審査企画官 それでは、スライド38を御覧ください。3つ目のテーマとなりま - 25 - す。 スライド39を御覧ください。こちらは近時の生成AIと知的財産に関する検討状況でご ざいます。詳細な説明は割愛いたします。 スライド40を御覧ください。こちらは生成AIに関し特許や意匠との考え方の違いを説 明したものです。スライド下部の表にありますように、特許では、AIが考え出したもの が特許法上の発明に該当するのか等の問題が生じます。これは、特許が人間が考え出した 知的創作物を保護するものであるために生ずる問題であります。 一方、商標法ですが、スライド上部1つ目の矢印にありますけれども、創作物を保護す るものではございません。自他商品を識別するための標識を保護するもので、そのように 機能するものは原則保護可能であるため、特許のような問題は生じないものと考えられま す。 スライド41を御覧ください。それでは、商標としては何を考えるべきかということで、 大きく3つあるのではないかと考えております。 スライド下部の図を御覧ください。真ん中にAIがございまして、左側にAIに学習を させる学習段階がございます。この段階では、スライド上部①にありますが、他人の登録 商標を学習させる行為が問題になるのかという論点がございます。次に、スライド下部の 右側ですが、学習したAIが何らかの文字、図形等を生成した場面、生成利用段階がござ います。スライド上部②にもありますが、AIが生成したものに他人の登録商標が含まれ ている場合に、それを商品に付して販売する行為等が問題となるのかという論点がありま す。また、③ですが、同じく出力されたAI生成物を商標出願した場合に登録は認められ るのかという論点がございます。 スライド42を御覧ください。それぞれの論点について御説明いたします。まず、①学習 段階です。他人の登録商標が含まれるデータをAIに学習させる行為に商標権の効力が及 ぶかですが、登録商標をAIに学習させる行為は商標法上の使用行為ではないため、商標 権の効力は及びません。すなわち、商標権侵害とはなりません。 ②生成・利用段階です。他人の登録商標を含むAI生成物を利用する行為について、商 標権侵害の判断は従来の商標権侵害の判断と同様と考えられます。AI特有の考慮要素は 想定しがたいものと考えます。 ③AI生成物の商標登録の可否です。自然人により創作されたものかAIにより生成さ れたものかにかかわらず、従来の商標登録出願と同様に判断されるものと考えられます。 - 26 - スライド43を御覧ください。以上申し上げましたとおり、登録商標をAIに学習させる ことは商標権の効力が及ぶ行為に該当せず、また、AI生成物を含む商標について出願・ 権利行使する場合であっても、原則として、従来の商標登録出願や商標権と同様に扱われ るものと考えております。 下向き矢印のところですが、商標に関しては、現行の商標制度で一定の整理がなされて いるのではないかと我々としては考えております。この点につきまして御審議いただけれ ばと存じます。どうぞよろしくお願いいたします。 ○田村委員長 では、ただいまの生成AI技術の発達を踏まえた商標制度上の整理に関す る事務局からの御説明に関しまして御意見、御質問等のある方はいらっしゃいますでしょ うか。 よろしいでしょうかね。 それでは、御賛同いただいたものと考えます。それでは、本議題につきましては、自由 討議は以上とさせていただきます。 公報におけるプライバシーの保護 ○田村委員長 次に、「公報におけるプライバシーの保護」について、事務局から御説明 をいただきます。よろしくお願いいたします。 ○吉野普及支援課長 普及支援課の吉野から説明させていただきます。 「公報におけるプライバシーの保護」につきまして、特許制度小委員会及び意匠制度小 委員会で御審議いただいた内容を御説明いたします。 スライド1でございます。公報発行制度の意義でございますが、特許庁では、特許法を はじめ各法律に基づいて公報を発行しておりますが、その主な目的は2つございます。1 つ目は出願の公開、2つ目は権利の公示です。明治22年から公報を発行しておりますが、 平成27年4月以降は全ての公報をインターネットで発行しております。また別途、独立行 政法人工業所有権情報・研修館(INPIT)では、特許情報プラットフォーム (JPlatPat)により、インターネットを通じて無料で産業財産権情報の検索ができるサービ スを提供しており、公報情報にも簡単にアクセスすることが可能となっております。 スライド2を御覧ください。現行制度の課題でございます。公報には、「権利の公示」 などの観点から、出願人・権利者及び発明者などを特定するため、特許法をはじめ各法律 - 27 - に基づいて氏名及び住所の個人情報が掲載されております。商標におきましては発明者な どの概念はございませんが、出願人・権利者については同様の扱いでございます。 インターネット公報では、誰でも容易にこれらの個人情報にアクセスできる上、昨今で は、DXの進展に伴い、特許制度や商標制度上で想定される利用範囲を超えた個人情報の 転用や発信などが容易になり、個人のプライバシー保護の必要性が高まっております。 先ほどお伝えいたしましたJ-PlatPatなどの情報提供サービスでは、先んじて住所の概 略化を行い、その結果、これらのサービスにおける住所表記に関するプライバシー保護の 要望にはこれまでも応えてまいりました。 しかしながら、それらの一次情報であります公報につきまして、住所がそのまま掲載さ れておりますため、その後も個人の住所掲載を懸念する要望が多く寄せられている状況が ございます。特に商標においては、個人出願人の割合が比較的高いため、住所掲載を懸念 する御意見が多く寄せられており、その理由といたしまして、資料の下段に掲載しており ますが、SNS等で活動している個人事業家が住所公開により不特定多数から悪質な嫌が らせを受けるなどの声も聞いております。 そのため、出願人・権利者及び発明者などのプライバシー保護の必要性と、それらの情 報の利活用の両側面を考慮し、DX時代にふさわしい制度措置として、公報における住所 表記の在り方を検討する必要があると考えております。 スライド3でございます。公報に住所が掲載される者のニーズについてでございます。 検討に当たりまして、公報に住所が掲載される者と、公報に掲載されている住所情報を利 活用している者それぞれのニーズについてアンケート調査を行いました。 まずは、公報に住所が掲載される者のニーズについてです。公報における個人住所の掲 載希望の有無につきましては、出願人・権利者と発明者等とで分けて調査いたしましたが、 いずれも掲載を「希望しない」とする回答が半数以上あり、「どちらでもよい」者まで含 めた場合、全体の80~90%程度に達しております。 スライド4でございます。続きまして、住所掲載による支障があったかにつきましては、 支障がないと回答した出願人・権利者などのユーザーが多数である反面、一部のユーザー におきましては、ダイレクトメールによる実害や、自身の住所がインターネットで公開さ れることへの不安から出願を躊躇したケースなども挙げられております。 スライド5から7は公報の住所情報を利活用している者のニーズについてでございます。 まず、特許庁に出願したことのあるユーザーのうち住所情報を利活用している者は10~ - 28 - 30%程度で、その利用目的は「特定の出願人・権利者などの抽出」や「ライセンス等の接 触」が多く挙げられております。資料に掲載されております利用目的につきましては、特 許での回答をグラフ化しておりますが、商標におきましても同様の傾向があることを確認 しております。 スライド6でございます。情報提供事業者や分析研究者においては、多くが住所情報を 利活用しており、その利用目的は「同姓同名の判別」や「特定の出願人・権利者の抽出」、 「統計や分析」が多く挙げられております。こちらにつきましても特許のグラフでござい ますが、商標におきましても同様の傾向でございました。 スライド7でございます。公報における個人住所が概略表記となった場合の支障につき ましては、「支障がない」と回答したユーザーが88%と大多数でございました。「支障があ る」と回答したユーザー12%のうち、閲覧請求で代替可能であると回答したユーザーが 8%であり、閲覧請求でも代替不可であると回答したユーザーは4%にとどまります。 また、概略表記レベルの希望につきましては、「いずれでもよい」を除きますと、国内 居住者につきましては「市区町村まで」、在外者につきましては「都市名まで」の希望が 多く挙げられております。 スライド8でございます。参考情報となりますが、各国・地域の公報情報についてまと めております。主要な海外庁が発行する公報では、多くが概略表記の対応をしており、出 願人・権利者と発明者等のいずれも住所を完全表記している国は日本のみという状況でご ざいます。 スライド9でございます。こちらでは、他法域におけるプライバシー保護の検討動向を まとめております。 法務省において、プライバシー保護の観点より2つの制度見直しの検討が実施されまし た。1つ目は、登記事項証明書等における、代表取締役などの住所非表示措置の創設です。 これは、住所を公開することへの抵抗感が起業の躊躇などにつながることを懸念する声の 高まりを受けて、商業登記規則などを改正したものであり、昨年10月より施行されており ます。 2つ目は、破産手続における官報公告についてです。インターネット上の地図に破産者 などの住所地がマークされ、氏名や住所も表示される破産者マップの問題を受け、法制審 議会において検討が実施されました。破産手続における官報公告を廃止すべきなどの意見 が出されましたが、破産公告は破産債権者の財産権を保障するための手段であるなどの意 - 29 - 見があったため、制度的措置は見送りとなっております。 スライド10でございます。以上の調査結果や他法域の状況等を踏まえまして、公報に住 所が掲載される者のニーズと、公報の住所情報を利活用している者のニーズのバランスを 図りつつ、DX時代における個人のプライバシーを適切に保護するため、公報における個 人の出願人・権利者及び発明者等の住所は、国内居住者については市区町村まで、在外者 については都市名までの概略表記とするべく、商標を含む四法全てにおいて、所要の制度 改正を行いたいと考えております。 この概略表記につきましては、あくまでも公報サービスに限ったものであり、出願書類 や登録原簿等の閲覧請求では、引き続き出願人・権利者等の全住所を確認することが可能 でございますので、破産手続における官報公告のように、それしか住所を知る方法がない というケースには当てはまらず、制度上の支障は特段ないものと考えております。 なお、スライド7に記載のとおり、閲覧請求でも代替不可と回答したユーザーが4%お りますが、これらの者のうち、大学等において、主に発明者等分析を行っている分析研究 者につきましては、その分析を通じた学術研究に支障が生じないよう、公報における個人 住所の概略化に当たっては、別途、学術研究目的の者に限り、個人住所の一括閲覧を可能 とするなど、所要の代替措置を設けることも併せて検討している点を補足させていただき ます。 これらの内容につきまして、プライバシー・個人情報保護に関する有識者にも御参画い ただいております特許制度小委員会、さらには意匠制度小委員会でも御審議いただき、こ の方向性に御賛同いただいているところでございますが、本委員会におきましても、商標 の観点から御意見等を賜れれば幸いでございます。 私からの説明は以上となります。 ○田村委員長 では、ただいまの公報におけるプライバシーの保護に関する事務局からの 御説明に関しまして、御意見、御質問等ある方はいらっしゃいますでしょうか。 石井委員、どうぞ。 ○石井委員 御説明いただきましてありがとうございます。 今の御説明で、スライド10のように、プライバシーの保護と利活用のニーズの調整が非 常に取れており、その制度について賛同いたします。その上で1点質問なのですが、スラ イド3にございますように、出願人・権利者側でも住所掲載希望者が、多くはないですけ れども、いる中で、ここまでの、スライド10のような一定の個人特定性の担保が求められ - 30 - るまでの表示ではなくて、自分は掲載を希望するという出願人側のニーズとの関係で、選 択制ではなく、一律の対応とされた御趣旨を教えていただけますでしょうか。 ○吉野普及支援課長 御意見ありがとうございます。御指摘のとおり、選択制を採ること により、掲載希望のある者に関して住所の全表記を引き続き掲載することは可能となりま すが、選択制におきましては、本人の単純な選択ミスにより公開されてしまう場合、仮に、 事後的に公報の掲載内容を訂正・修正したとしても、SNSも含めて、一度インターネッ ト上で公表されたものを完全に削除することは実質的に不可能でございます。また、例え ば、ライセンス目的で住所の全表記を希望したものの、その後、SNS等で住所情報が悪 用されるなどの弊害が生じて後悔する、といった事態が発生する可能性もございますが、 このような場合も、一度インターネット上で公表されてしまいますとやはり完全に削除す ることは不可能と考えてございます。 他方、ライセンス交渉等で連絡を受けたいといった意向などに関しましては、別途、出 願書類や登録原簿等の閲覧請求により、第三者からのアクセス性が確保されております。 このため、登録原簿等及び公報で担っている公示機能のうち、情報発信していく公報の 側面におきましては、個人情報保護の必要性を重く捉え、個人住所の掲載については選択 制を採用せずに、一律概略表記とすることが適当ということで提案をさせていただきまし た。 以上です。 ○石井委員 ○田村委員長 ありがとうございます。 ほか、いかがでしょうか。 どうぞ、中山委員。 ○中山委員 御説明ありがとうございました。プライバシー保護のために公報における個 人の出願人・権利者等の住所を概略表記とすること自体には全く異存はございません。た だ、極めて実務的なのですけれども、識別番号に紐づく住所の完全な表記の情報の取得と 確認が必要となる場面というのがありまして、そのような場合に、これまで迅速に確認で きる手段のプロセスの中で公報が活用され、大いに役に立っていました。今後はその利便 性が失われてしまうということはあるように思います。 識別番号の主体が関わる案件の出願番号が把握できている場合には、その出願番号を手 がかりに、今回御紹介いただきました閲覧請求をして、手数料を納付することによって、 今後は識別番号に紐づく住所の完全な表記の情報を得ることができるということは理解し - 31 - ておりますが、出願人が自分自身の案件に紐づく住所の完全な表記の情報を得るために、 自分案件の目的で必要な場合に、より簡便で無料でできていたこれまでのような照会・確 認の代替手段があるとよいと考えております。実際、出願人が自分の識別番号に紐づく住 所の完全な表記の照会が必要となるという場面はございまして、そんな場面を想定してお ります。 いずれにしましても、プライバシー保護目的で個人の住所を概略表記とすることに関し ましては異存ありませんので、今お伝えさせていただきました出願人自身が自分の案件に 対応する目的で、自身の識別番号に紐づく住所の完全表記を確認したいという場合の具体 的な事例ですとか代替手段を要望している背景に関しましては、別途、意見交換を行って いただけましたら大変ありがたく思っております。 以上でございます。 ○吉野普及支援課長 御意見ありがとうございます。公報における個人住所の概略化にお ける対応につきまして御賛同いただいたということで、ありがとうございます。いただい た御意見を踏まえまして、公報の今回の見直しの論点とは別に、出願人本人やその代理人 が識別番号に紐づく住所の完全な表記を照会することができる運用につきましては、引き 続き意見交換をさせていただきながら、個人情報保護の観点にも留意しつつ、検討させて いただければと思っております。よろしくお願いいたします。 ○中山委員 大変ありがとうございます。よろしくお願いいたします。 ○田村委員長 ほか、いかがでしょうか。 それでは、特に御意見がないですかね。今、最後に少し別の課題も示されましたけれど も、対応の方向性自体については御賛同いただいたということで、本議題の自由討議は以 上とさせていただきます。ありがとうございます。 閉 ○田村委員長 会 閉会に先立ちまして、本日取り扱いました議題につき、全体を通じて御意 見、御質問等のある方はいらっしゃいますでしょうか。 よろしいですかね。 それでは、最後に今後のスケジュールについて、事務局から御説明をお願いいたします。 ○田岡総務課長 本日は様々な御意見、貴重な御意見を賜りました。誠にありがとうござ - 32 - います。 次回の本小委員会の開催につきましては、現時点では未定でございまして、開催をお願 いする際には、委員長と御相談の上で皆様に御連絡させていただければと存じます。 事務局からは以上でございます。 ○田村委員長 ありがとうございました。 それでは、以上をもちまして、産業構造審議会知的財産分科会第12回商標制度小委員会 を閉会いたします。本日は長時間の御審議、ありがとうございました。 - 33 -

資料1

産業構造審議会知的財産分科会 第12回商標制度小委員会 議事次第・配布資料一覧 日 時:令和7年6月13日(金)16時00分開会 会 場:特許庁庁舎16階特別会議室+Web会議室 (議事次第) 1.開会 2.商標審査の現状について 3.インターネット上の国境をまたいだ商標の使用について 4.仮想空間における商標の保護について 5.生成AI技術の発達を踏まえた商標制度上の整理について 6.公報におけるプライバシーの保護について 7.閉会 (配布資料) 議事次第・配布資料一覧 委員名簿 資料1 商標審査の現状 資料2 商標制度に関する検討課題について 参考資料1 公報におけるプライバシーの保護

資料2

令和7年6月 1 3 日 第 12 回商標制度小委員会 産業構造審議会 知的財産分科会 商標制度小委員会 委員名簿 委員長 石井 美緒 日本大学商学部 教授・弁護士 井関 涼子 同志社大学法学部 大向 尚子 西村あさひ法律事務所・外国法共同事業 奥脇 智紀 一般社団法人日本知的財産協会 教授 パートナー弁護士 副理事長/ 中外製薬株式会社 参与・知的財産部長 代表取締役社長 梶原 靖友 梶原工業株式会社 島並 良 神戸大学大学院法学研究科 高橋 彩 東京地方裁判所(知的財産権部) 部総括判事 田村 善之 東京大学大学院法学政治学研究科 中山 真理子 日本弁理士会 商標委員会 教授 教授 委員長/ 西村あさひ法律事務所・外国法共同事業 弁理士 村上 画里 東京造形大学造形学部 室谷 和彦 日弁連知的財産センター意匠、商標、不正競争防止法 PT 長/室谷法律事務所 准教授 弁護士 (敬称略、五十音順) 座

資料3

資料1 商標審査の現状 産業構造審議会知的財産分科会 第12回商標制度小委員会 令和7年6月13日 1 商標出願、審査期間 2 制度の運用 1 商標出願件数 ◼ 商標登録出願は、直近3年、件数全体として減少傾向。 ◼ 国内ユーザーの出願、国際商標登録出願のいずれも減少している。 ◼ 2022年・2023年・2024年各年の前年比増減率は、それぞれ、-8%・-4%・-3%。 減少傾向は緩和しつつあるものの、増加には至っていない状況。 (件) 商標登録出願(国際商標登録出願以外) 200,000 国際商標登録出願 190,939 17,328 161,859 150,000 147,283 184,483 17,802 190,773 19,450 181,072 184,631 17,924 20,094 170,275 19,769 13,835 164,061 17,397 158,792 16,252 15,984 100,000 173,611 166,681 171,323 148,024 163,148 164,537 150,506 146,664 142,540 2022 2023 2024 131,299 50,000 0 2015 2016 2017 2018 2019 2020 2021 (年) ※料金未納により却下される一部出願を含む 2 商標五庁における出願件数(区分数) ◼ 2020年以降、米国・欧州・中国・韓国の各知財庁への出願数は、概ね日本と同様の傾向で増減している。 ◼ 程度の差はあるものの、2021年から2022年にかけて減少し、2022年以降は微減又は横ばいで推移。 商標五庁(日米欧中韓)における商標出願件数の推移 (件) (区分:中国) 1,000,000 10,000,000 JPO(日本) 900,000 9,000,000 USPTO(米国) 800,000 KIPO(韓国) 8,000,000 700,000 EUIPO(欧州) 7,000,000 CNIPA(中国)区分数 600,000 6,000,000 CNIPA(中国)件数 500,000 5,000,000 400,000 4,000,000 300,000 3,000,000 200,000 2,000,000 100,000 1,000,000 0 0 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 2021 2022 2023 (年) 出典: TM5におけるReport for Common Statistical Indicators(~2020年)及びTM5 Statistics(2021年~) ※CNIPAは出願件数での公表をしていない年もあるため、グラフは出願区分数と出願件数を併記(右軸) ※料金未納により却下される一部出願を含む 3 第9回財政点検小委員会(資料1)より一部抜粋 【参考】足下の国内ユーザーの出願減少の要因 • コロナ禍などの社会情勢の変化や市場の変化を契機に、企業の事業戦略見直し・コスト 削減・予算削減等が進められ、新規ブランドの立ち上げの減少や出願商標の厳選が進ん だと考えられる。 (2019~2023年度の1社あたりの平均出願件数:2.48→2.41→2.38→2.3→2.3件と微減) 出願減少につながったと考えられる主な要因(国内の出願人・代理人へのヒアリングより(※)) ① 業績悪化に伴う予算削減(業績悪化の要因:円安、市場変化、物価高等) ② 収益性を高めるための事業戦略見直しや無駄なコストの削減 ③ 人手不足による事業の縮小や権利化業務の遅れ ④ 商標権を取得しない場合のリスク意識の低下 新規ブランドの 立ち上げの減少 and/or 出願商標の 厳選 ※ヒアリングでは、 ○商標の出願件数は、新規ブランドをどれだけ立ち上げるかといった事業計画に左右されるという声が多かった。 それゆえに出願件数には年によってバラツキがある・予測できないという声も複数あった。 ○また、出願商標を厳選し、無駄な出願を抑制するようになったという声も多かった。 例えば、「登録される見込みが低い言葉(商品の品質や型番など独占に適さない言葉)は出願しないようになった」 や「短期間使用するだけの商標は出願しないようになった」といった声が聞かれた。 4 審査期間(FA・TP期間) ◼ 一次審査通知までの審査期間(FA期間)、及び、権利化までの審査期間(TP期間)は、出願件数が 高い水準で推移していた影響により、2018年頃から長期化していたが、審査官増員や審査業務の効 率化等の施策を実施し、審査期間の短縮を実現。 ◼ 2024年度実施庁目標: FA期間を平均5.5~7.5か月、TP期間を平均7~9か月 ⇒ 達成の見込み ◼ 今後も商標審査の質の維持・向上とともに、適正な審査期間を堅持すべく、審査業務の効率化と審査 体制の充実を図る。 2025年度実施庁目標 商標審査の平均FA・TP期間の推移 ◼ 一次審査通知までの平均期間(FA期間) 5.5~7.5ヶ月 (月) 10.9 12 11.2 9.9 7.7 ◼ 権利化までの平均期間(TP期間) 7~9ヶ月 9.6 9.3 10 10 6.9 8 7.3 7.8 適正なFA期間:6~7月 6 6.3 5.4 4 6.1 6.8 FA期間 2 TP期間 0 2017 2018 2019 2020 2021 2022 2023 2024 ※早すぎても遅すぎても弊害 ◼ FA期間の短縮で生じる問題 ① 不安定な権利付与(併存登録のリスク) ② 情報提供制度の形骸化 8.0 7.9 ※2024年度と同様 (年度) 2024年度の審査期間は、 4月2日取得の暫定値 ◼ FA期間の延伸で生じる問題 ① 企業の安定的な事業活動を阻害 ② 企業による模倣品対策の遅れ ※ライフサイクルの短い商品・役務など、より早期の 審査を望むユーザーには「早期審査」の利用を推奨 5 商標審査の品質 (2024年度ユーザー評価調査の結果) ◼ 商標審査に関する全体としての質の評価(全体評価)において、「普通」以上の評価 の割合は94.0%、そのうち、上位評価割合(「満足」と「比較的満足」の評価)は 52.5%。 ◼ 「電話、面接等における審査官とのコミュニケーション」に関して、比較的高い評価。 全体評価 ※「電話や電子メール、面接における審査官とのコミュニケーション」についての評価は、 「普通」以上の評価の割合が 100%、上位評価割合が80.8%(「不満」及び「比較的不満」の回答割合がゼロ)。 6 AI技術の活用可能性 ◼ 商標審査の品質向上を図るため、AI技術の活用可能性を検証・試行している。 ◼ これまで、「先行図形商標の調査」や「先行文字商標の調査」等について実証研究を行 い、成果物は、アジャイル型開発手法により、適時、審査支援ツールとして導入し、審 査官が試行的に活用している。 ◼ 2025年度は、「国際商標登録出願の指定商品・役務調査」について、AI技術の活用可 能性の実証研究を実施予定。 先行文字商標の調査 先行図形商標の調査 願書 図形商標 願書 今までの調査手法 ・人手でターム付与 ・タームによる検索のため検索結果が多い ・検索結果が類似度順ではない ① 150 ・・・ 350 今までの調査手法 特許庁 RULES ・・・ ・抽出結果にノイズが発生 することがある ・ルールベースでは抽出で きない例(構成語の前後入 替え、観念類似等)が存在 AIによる業務サポート AIによる業務サポート ・類似度順に検索結果を表示 ・見過ごし防止等による審査品質向上に貢献 ① 文字商標 ② ・・・ ・・・ ・類似度順に検索結果を表 示 ・ルールベースでは抽出で きない例も抽出できないか 7 1 商標出願、審査期間 2 制度の運用 8 「他人の氏名」を含む商標 ◼ 創業者やデザイナー等の氏名をブランド名に用いることの多いファッション業界を中心 に、「他人の氏名」を含む商標の登録要件緩和の要望があり、商標制度小委員会(第9 回~第11回開催)において検討。 ◼ 2024年4月以降に出願された「他人の氏名」を含む商標について、登録要件を緩和 (令和5年法改正)。 ◼ 審査官は、商標審査基準ワーキンググループで検討され、策定された審査基準に基づき、 「他人の氏名」の知名度を認定し、出願人側の事情を考慮した審査を実施。 改正後の「他人の氏名」を含む商標(商標法第4条第1項第8号)の審査のポイント ①氏名に一定の知名度を有する他人が存在しないか ②政令要件(㋐商標構成中の氏名と出願人の間に「相当の関連性」があり、 ㋑商標登録を受けること に「不正の目的」がない)を満たしているか (例えば、㋐商標構成中の氏名が自己氏名など相当の関連性があり、㋑商標を先取りして買い取らせ るなど商標登録を受けることについて不正の目的を有していない場合は、要件を満たす) ⇒ ①及び②を満たす場合は、他人の承諾なしに商標登録が可能 9 第33回商標審査基準ワーキンググループ(資料1)より一部抜粋・修正 【参考】「他人の氏名」を含む商標の審査の流れ 出願商標に他人の氏名が含まれており、 同姓同名の他人が存在するか 存在する なお、8号の拒絶理由に該当しない場合であっても、例えば、他人の業務に 係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標である場合には15号に該 当することになるといった、他の拒絶理由に該当する可能性は排除されない。 周知である 当該他人が周知かどうか 満たす 承諾あり 承諾があるか 政令要件満たすか 周知かどうかの判断にあたっ ては、「商標の使用をする商 品又は役務の分野において需 要者の間に広く認識されてい る」ことを確認する。 満たさない 承諾なし 存在しない 周知ではない 8号の拒絶理由なし 氏名を含むかは、当該氏名が他 人の氏名を表すものと認められ、 かつ、当該他人が現存すること が推認できるかを確認する。 政令要件満たすか 政令要件は、「他人の氏名と商 標登録出願人との間に相当の関 連性があること」及び「商標登 録出願人が不正の目的で商標登 録を受けようとするものでない こと」を確認する。 8号の拒絶理由なし 8号の拒絶理由あり (政令要件) 8号の拒絶理由あり(周知性要件)(※) ※同時に政令要件を満たさない場合は周知性要件+政令要件 満たす 8号の拒絶理由なし 8号の拒絶理由あり 満たさない (政令要件) 10 【参考】法改正による「他人の氏名」を含む商標の登録例 商標 商標 「山岸一雄大勝軒」「山岸一雄」 (いずれも標準文字) 出願人 菊地 健 指定商品又は指定役務 第14類「身飾品(「カフスボタン」を 除く。)」等 第18類「かばん類,袋物」等 第25類「男性用・女性用及び子供用の 被服,履物」等 出願人 株式会社大勝軒 指定商品又は指定役務 第30類「菓子(肉・魚・果物・野菜・ 豆類又はナッツを主原料とするものを 除く。)」等 第43類「飲食物の提供」等 法改正前:商標法第4条第1項第8号により拒絶 知財高裁判決平成28年8月10日(平成28年(行ケ)第10065号、平成28 年(行ケ)第10066号) 知財高裁判決令和元年8月7日(平成31年(行ケ)第10037号) 「…商標法4条1項8号…は,その規定上,…「他人の肖像又は他 人の氏名若しくは名称」については,著名又は周知なものであるこ とを要するとはしていない。…同号の「他人の氏名」が、著名性・ 希少性を有するものに限られるとは解し難く、また、「他人の氏 名」を含む商標である以上、当該商標がブランドとして一定の周知 性を有するといったことは、考慮する必要がないというべきであ る。」 「・・・商標法4条1項8号の趣旨やその規定ぶりからすると,同 号にいう「他人の氏名」が,著名又は周知なものに限られるとは解 し難く,また,同号の適用が,他人の氏名を含む商標の登録により, 当該他人の人格的利益が侵害され,又はそのおそれがあるとすべき 具体的事情の証明があったことを要件とするものであるとも解し難 い。・・・また,同号の趣旨は,・・・人の氏名に対する人格的利 益の保護にあるところ,この人格的利益の保護の要否を,顧客吸引 力の有無(周知性や著名性の有無)により分けるというのも,同号 が商品又は役務の出所の混同のおそれを要件としていないことに照 らし,相当でない。」 法改正後:登録(登録第6889089号、登録第6895827号及び第6895828号) 11 コンセント制度 ◼ ◼ 新規事業でのブランド選択の幅を広げる必要性や、国際的な制度調和の観点から、コンセント制度の導入ニーズ が高まり、商標制度小委員会(主に第10回・第11回開催)において検討。 2024年4月以降の出願については、先行登録商標と同一又は類似する商標であっても、権利者の承諾(コンセ ント)があり、かつ、出所混同を生ずるおそれがなければ、商標登録が可能(令和5年法改正)。 活用の流れの一例 4条1項11号に該当する旨 の通知 出願 出願人によるコンセント制度 利用の検討 拒絶理由通知 権利者の承諾等を得て、制度 利用のための書類を準備 必要書類の提出 未解消の連絡 追加書類の提出 解消 登録査定 混同を生ずるおそれを否定する事情の例 使用時にハウスマーク等を付記する例 出願商標 コンセント制度の適用により、 拒絶理由が解消できるか審査 引用 商標権者: 提出のあった書類だけではコ ンセント制度が適用できない 場合、すぐに拒絶査定はされ ず、審査官から追加の資料提 出等を求める 登録商標 コンセント制度の利用による 登録が困難な場合もある ・商標と商品役務が同一の場 合 ・追加提出された資料等を検 討しても、混同を生ずるおそ れがあるといわざるを得ない 場合 など JPO 出願人: ハウスマークを 付記して使用 METI 使用する商品等を棲み分ける例 出願人: ゲーム用コンピュータプ ログラム 引用商標権者: 医療用コンピュータプロ グラム ※上記は、混同を生ずるおそれを否定する事情の一例であり、上記事情が あればただちに混同を生ずるおそれが否定されるとは限らない。 特許庁HP 「コンセント制度の導入」 https://www.jpo.go.jp/system/trademark/gaiyo/consent/index.html 「コンセント制度に関するQ&A」 https://www.jpo.go.jp/system/trademark/gaiyo/consent/consent_qa.html ※コンセント制度の適用により登録された商標は、商標公報等において確認でき る。「特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)」において検索することも可能。 12 【参考】コンセント制度の適用により登録された商標 ◼ コンセント制度の適用により登録された商標 商標 商標登録番号 登録第6916217号 出願人 株式会社車多酒造(石川県白山市) コンセント制度適用に係る指定商品 第33類「清酒,焼酎」等 ◼ 承諾した先行登録商標権者 商標 商標登録番号 登録第5991116号 先行登録商標権者 シャディ株式会社(東京都港区) 後行商標のコンセント制度適用に係る指定役務 第35類「酒類の小売又は卸売の業務において行われる顧客 に対する便益の提供」 ※「コンセント制度」を適用した初の商標登録を行いました(経済産業省HPにて、2025年4月7日ニュースリリース) https://www.meti.go.jp/press/2025/04/20250407001/20250407001.html 13 【参考】 新しいタイプの商標 ◼ 2015年4月に導入された新しいタイプの商標は、2024年12月までの10年弱で、約 2,290件の出願があり、約780件が設定登録を受けている。 新しいタイプの商標の出願・登録状況*国際商標登録出願を除く 2015~2024年に出願又は設定登録された件数の累計 タイプ 音商標 出願件数 登録件数 779 374 574 11 645 175 272 208 21 16 2,291 784 音楽、音声、自然音等からなる商標であり、聴覚で認識される商標 (例:CMなどに使われるサウンドロゴやパソコンの起動音など) 色彩のみからなる商標 単色又は複数の色彩の組合せのみからなる商標 (例:商品の包装紙や広告用の看板に使用される色彩など) 位置商標 文字や図形等の標章を商品等に付す位置が特定される商標 動き商標 文字や図形等が時間の経過に伴って変化する商標 (例:テレビやコンピューター画面等に映し出される変化する文字や図形など) ホログラム商標 文字や図形等がホログラフィーその他の方法により変化する商標 (例:見る角度によって変化して見える文字や図形など) 合計 14 地域団体商標 ◼ 2006年4月に導入された「地域団体商標制度」は、2025年度で制度運用20年目とな り、現在約780件の登録がある。(2025年4月末時点で781件の登録、出典:特許庁HP) ◼ 直近では、地域団体商標を取得している産品に特化した販売会を通じて制度の更なる 普及を図るなど、地域経済の活性化に資する取り組みを続けている。 地域経済の活性化を目的とし、地域ブランドとして用いられることが多い、地域の名称及び商品(役務)の名称等からなる文字商標に ついて、一定範囲の地域で有名である等の要件を満たせば登録可能とする制度。登録できる主体は、組合、商工会、商工会議所及び NPO法人に限られる。(※地域未来投資促進法による商標法の特例措置により、一定の条件の下で一般社団法人も可能。) 主な登録要件 主体要件 商標の構成 地域と商品役務の関連性 周知性 事業協同組合等の組合、商工会、商工 会議所及び特定非営利活動法人(設立 根拠法において組合員の加入自由を規 定) 「地域の名称」と「商品(役 務)名」等の組み合わせから なる文字商標であること 商標中の「地域の名称」が商品(役 務)と密接な関連性(商品の生産地で ある等)を有すること 出願人又はその構成員の使用に より、これらの者の商標として 知られていること 「淡路島の生しらす」 「二風谷イタ」 「水上温泉」 「築地場外市場」 (淡路島岩屋漁業協同組合) 商標登録第6877337号 (一般社団法人びらとりウレシパ) 商標登録第6841210号 (水上温泉旅館協同組合) 商標登録第6857123号 (築地場外市場商店街振興組合) 商標登録第6879660号 ※最近の登録商標 15 【参考】 地域団体商標の活用支援 ①地域団体商標制度の更なる普及 ◼ 地域団体商標の情報等を掲載したパンフレットの作 成やSNSでの発信を通じ、対外的に広く普及活動を 行っている。 【パンフレット】 ◼ 一般の需要者の活用促進 のため、一般の需要者が 手に取りやすい観光用の ガイドブックを作成。 ◼ 昨年度は、石川県、福井 県、富山県で作成し、各 県観光部署及び観光協会 と連携し配布。 ◼ 今年度以降については、 他地域での作成を検討中。 ②地域団体商標権利者を出店者とする 物販イベントの実施 ◼ 地域団体商標制度のさらなる普及を図るため、地域団 体商標を取得している産品に特化した販売会をはじめ て実施。 ◼ 今回は特に、「北陸とつながり、北陸を元気に」を テーマに、令和6年能登半島地震の被災地(富山県、 石川県、福井県)の地域団体商標権利者を出店の対象 とした。 北陸とつながり、北陸を元気に 「魅力発見!地域ブランドフェスタ」 ◼ 開催日 2025/2/28(金)、3/1(土)、3/2(日) ◼ 会場 JR東京駅改札内「スクエア ゼロ」 ◼ 出店者 19団体 【キービジュアル】 【当日の様子】 【地域団体商標Instagram】 ◼ 地域団体商標に関する登録 状況や活用事例、イベント 情報等を発信。 16 【参考】 商標制度の普及啓発 ◼ 地域団体商標に限らず商標制度の利用促進については、様々なアプローチを実施中。 (潜在ユーザーへの普及啓発については調査研究も検討中。) 商標活用ガイド 商標の活用事例集「事例から学ぶ 商標活用ガイド」 - ビジネスやる なら、商標だ!- (2024年版) メディア「わたしのStoryMark」 わたしのStoryMark https://mystorymark- gov.note.jp/ https://www.jpo.go.jp/support /example/trademark_guide202 4.html ✓ 2019年に発行した「事例から学ぶ商標活用ガイド」 をアップデートした2024年版を発行。 ✓ ビジネスにおける活用方法や権利化に関するメリッ ト等を実際の事例を通じて紹介。 ✓ 2023年秋より、特許庁デザイン経営プロジェクト チームにおいて、「ネーミングに込めた経営者の熱 い想い」に焦点をあて、中小企業経営者等へのイン タビューを記事化して発信するメディア「わたしの StoryMark」を展開 ✓ 商標にまつわる失敗事例も紹介。 ✓ 商標登録を行った理由や実際に感じる効果も聴取す ることで、経営者等の生の声を活用した商標制度の 普及啓発を実施 ✓ 1冊で制度の概要から活用方法まで学べる内容と なっている。 ✓ 商標制度の理解を深めながら「想いをこめたネーミ ング」を体験するネーミングワークショップも実施 17

資料4

資料2 商標制度に関する検討課題について 産業構造審議会知的財産分科会 第12回商標制度小委員会 令和7年6月13日 DX時代にふさわしい産業財産権制度構築の必要性(1) ➢ 特許庁は、社会情勢の変化に対応して様々な制度改正を実施してきたところ、デジタル技術の飛躍的発展に応じて、 これらにふさわしい形で制度的措置を講じてきた。 ⚫ 平成2年に、コンピュータの普及をいち早く捉え、工業所有権に関する手続等の特例に関する法律を制定し、電 子出願システムを世界で初めて導入 ⚫ 平成14年に、インターネット通信の高速・大容量化(ブロードバンド化)に伴う、インターネットを介したプロ グラムの販売等の増大を受けて、特許されたプログラム等をネットワーク上で無断送信する行為等も特許権侵害 に当たることを明確化 ※同時に、ネットビジネスの増大に伴い、インターネット上での商品やサービスの提供も普及しており、ユーザーのパソコンや携 帯電話の画面上で表示される商標(マーク)についても十分な保護が求められていた。そこで、ネットワークを介した商品流通、 サービス提供及び広告等の事業活動において、画面上に表示して商標を使用する行為についても、商標権侵害となることを明確 化 ⚫ 令和元年に、インターネットサービスの多様化、スマートフォンの普及等により、GUIの重要性が高まったこと を受けて、物品それ自体に記録・表示されていない画像を意匠権の保護対象に追加 ➢ 近時、社会全体のDXが加速しているところ、産業財産権制度における措置を検討すべき内容として、①~③の技術 発展に伴う変化が挙げられる。 ① ネットワーク関連技術の発展による国境を跨いだサービスの増加 ② 生成AI技術の発展による知的創造活動の過程の変化 ③ VR技術の発展やオンラインコミュニケーション機会の増大等による仮想空間上のサービスの増加 ➢ このような流れの中で、イノベーションをもたらす知的創造活動を今後も適切に保護していくためには、技術の更 なる発展を見据え、DX時代にふさわしい産業財産権制度を構築する必要がある。 ➢ あわせて、産業財産権の取得・活用を後押しするため、④DX時代にふさわしい産業財産権手続に関する制度的措置 を講ずる必要がある。 1 DX時代にふさわしい産業財産権制度構築の必要性(2) ➢ 前頁に記載の状況を受けて、商標制度においては、次の事項を整理すべきではないか。 検討事項 1.インターネット上の国境をまたいだ商標の使用 2.仮想空間における商標の保護 3.生成AI技術の発達を踏まえた商標制度上の整理 2 1.インターネット上の国境をまたいだ商標の使用 3 特許制度小委員会 ※一部修正 現行制度の課題:サーバー等が海外にあることで侵害回避できてしまう可能性 ➢ 特許権の効力は、属地主義の原則により、「当該国の領域内においてのみ認められる」とされて いる。属地主義の原則が厳格に解され、発明の構成要件の一部が国外に存在するだけで日本国内 における特許発明の「実施」と評価できないとすると、特許を容易に回避し得るため、発明の十 分な保護が図れない可能性(※1)がある。 ➢ 近年、属地主義を柔軟に解して特許権侵害を認めた裁判例(※2)も出てきているが、いかなる場 合に属地主義を柔軟に解し、実質的に日本国内の「実施」と評価することができるかが明確では なく、権利保護の予見性について依然として懸念がある。 ※1:実際に、ドワンゴ対FC2第2事件地裁判決(令和4年3月)では、サーバーと端末とで構成されるシステムの発明の「生産」について、サーバーが 米国に存在することを理由に、日本国内における「生産」と認められないとして、特許権侵害が否定された。 ※2:知財高裁は、ドワンゴ対FC2第1事件控訴審判決(令和4年7月)で米国のサーバーからのプログラムの「提供」等について、ドワンゴ対FC2第2 事件控訴審判決(令和5年5月、大合議)で上述のシステムの「生産」について、それぞれ特許権侵害を認めた。なお、最高裁判決(最二小判令和 7年3月3日(令和5年(受)第14号・第15号(第1事件)、令和5年(受)2028号(第2事件))は、上記の控訴審判決を支持している。 構成 要件A 被疑侵害システム 特許請求の範囲(クレーム)の例 【請求項1】 サーバーと、これとネットワークを介して 接続された端末装置と、を備えるシステム であって、・・・を特徴とする、システム。 【請求項2】 ・・・ 構成 要件B 特許 海 外 サーバー (構成要件A) 構成要件A(サーバー)は海外 ↓ 日本国内にある構成要件だけでは、請 求項1の構成要件のすべてを満たさな いため、非侵害? 国 内 (構成要件A,B以外の構成要件は省略している。) 端末 (構成要件B) (被疑侵害システムは、請求項1に記載の構成要件A,B以外の構成要件も充足しているものとする。) 4 商標制度における検討事項 ➢ ネットワーク関連発明における国境をまたいだ発明の実施について、サーバー等が海外にあるこ とで容易に侵害を回避し得るところ、発明の構成要件の一部が国外にある場合であっても、実質 的に国内の実施行為と認める要件の明文化を含めた対応の方向性について、現在、特許制度小委 員会において検討が進められている。 ➢ 商標に関しては、インターネット上の国境をまたいだ商標の使用が日本における商標の使用とい えるのかが問題となる。 ⇒ 日本国内における商標の使用に該当するといえる判断の在り方について、整理すべき。 説明・検討内容 ◼ 商標制度における問題の所在:インターネット上の商標の使用の扱い ◼ 裁判例(不使用取消審判の審決取消訴訟) ◼ 裁判例(侵害訴訟) ◼ インターネット上の商標及びその他の標識に係る工業所有権の保護に関する共同勧告 ◼ 御議論いただきたい事項 5 インターネット上の商標の使用に関する動向 ➢ 近年における経済のグローバル化の進展やインターネットの普及により、商品・サービスの販売 戦略が多様化。 ➢ こうした社会的背景の下、インターネットを通して日本国内の消費者が模倣品を容易に購入でき るようになったことから、インターネット上の商標の使用や個人使用目的による模倣品の輸入に ついて議論がなされ、必要な対応を行ってきた。 インターネット上の商標の使用に関する経緯 「インター ネット上の商 標及びその他 の標識に係る 工業所有権の 保護に関する 共同勧告※」の 採択 商標法第2条 第3項第8号 に「電磁的方 法により提 供」の文言を 追加する等の 改正 模倣品の個人 輸入・ インターネッ ト上の商標の 使用について、 商標制度小委 員会で議論 「模倣品の個 人輸入及びイ ンターネット 取引に関する 事例集」 の公表 模倣品の個人 輸入に対応す るため、商標 法第2条第7 項を追加 平成13年 平成14年 平成16年 平成17年 令和3年 WIPO一般総会におい て検討された後、採択 されるに至った パソコン等の画面上で 表示される商標につい て十分な保護が求めら れていたことを受けて、 商標法(「使用」の定 義規定)が改正された インターネットを通し て多量の模倣品が売買 されていることを踏ま えて、インターネット 上の商標の使用につい ても議論 個人が海外のサーバー からの広告を行った事 例等についても掲載さ れている インターネット等を通 じた模倣品の個人輸入 に対応するため、「輸 入」の解釈規定が追加 された ※以下「WIPO共同勧告」という。 6 商標制度における問題の所在: インターネット上の商標の使用の扱い ➢ インターネットでの取引において商標が表示されている場合、例えば、商標の広告的な使用に該当し得る (商標法第2条第3項第8号)。 ➢ 商標権の効力については、属地主義の原則が当てはまるところ、インターネット上の商標の使用について、 日本における使用といえるかが問題となる場合がある。 ➢ その一例として、海外のサーバーにあるショッピングサイトにおいて、日本の登録商標が表示されている 場合が挙げられる。 <例>海外のサーバーにあるショッピングサイトにおいて、日本の登録商標が表示されている場合 海 外 サーバー ショッピングサイト ~オンライン○○マーケット~ NEW 「JPO camera」 デジタル一眼レフカメラ xx,xxx円 日本の登録商標 国 内 ⇒日本における商標の使用といえるのか? 7 特許制度小委員会 ※一部修正 <参考>属地主義の原則について ➢ 特許権についての属地主義の原則とは、「各国の特許権が、その成立、移転、効力等につき当該 国の法律によって定められ、特許権の効力が当該国の領域内においてのみ認められる」ことを意 味するもの(BBS事件最高裁判決)。 ➢ 明文にはないものの、特許権に関する当然の原則とされている(※1)ところ、商標権に関しても 当然の前提とされてきた(※2)。 ※1 髙部眞規子「実務詳説 特許関係訴訟〔第4版〕」323-324頁(2022) ※2 髙部眞規子「実務詳説 商標関係訴訟〔第2版〕」151頁(2023) 属地主義の原則に関する代表的な判例 • 最判平成9年7月1日民集51巻6号2299頁〔BBS事件〕 属地主義の原則について、「特許権についていえば、各国の特許権が、その成立、移転、効力等に つき当該国の法律によって定められ、特許権の効力が当該国の領域内においてのみ認められること を意味するもの」と判示。 • 最判平成14年9月26日民集56巻7号1551頁〔カードリーダー事件〕 BBS事件最高裁判決を引用した上で、「すなわち、各国はその産業政策に基づき発明につきいかな る手続でいかなる効力を付与するかを各国の法律によって規律しており、我が国においては、我が 国の特許権の効力は我が国の領域内においてのみ認められるにすぎない」と判示。 8 裁判例(不使用取消審判の審決取消訴訟)(1) ➢ 不使用取消審判に係る審決取消訴訟において、日本国内における商標の使用に該当するか否かを判断し た事例がある。 ➢ 裁判例では、日本の需要者を対象としたものか等を理由として判断がなされているものと考えられる。 日本国内における使用に該当しないと判断された事例 知財高判平成17年12月20日(平成17年(行ケ)第10095号)[PAPA JOHN’S] ・指定商品を「ピザ」とする登録商標( )を、米国サーバに設けられたウェブページ上で 表示した事案。 ・被告(「PAPA JOHN’S」の商標権者)は、ウェブページにおいてピザに関する広告等を行った行為につ いて、「商標の使用」(現行の商標法第2条第3項第8号)に該当する旨主張。 ・被告のウェブページについて、「米国のサーバーに設けられたものである上,その内容もすべて英語で表 示されたものであって,日本の需要者を対象としたものとは認められない。」、被告のウェブページは 「日本からもアクセス可能であり,日本の検索エンジンによっても検索可能であるが,このことは,イン ターネットのウェブページである以上当然のことであり,同事実によっては上記ウェブページによる広告 を日本国内による使用に該当するものということはできない。」と判示した。 米国 サーバー 「ピザ」に 関する広告 等を英語で 行う 日本 日本国内から アクセス可能 9 裁判例(不使用取消審判の審決取消訴訟)(2) 日本国内における使用に該当すると判断された事例① 知財高判平成29年11月29日(平成29年(行ケ)第10071号)[COVERDERM] ・指定商品を「化粧品」とする登録商標(COVERDERM)等をサーバ(所在地は不特定)に設けられた ウェブサイト上で表示した事案。 ・原告(商標権者)は、ウェブサイトにおいて登録商標を化粧品に使用していた等と主張。 ・裁判所は、「本件ウェブサイトは,日本語で本件商標に関するブランドの歴史,実情等を紹介するととも に,注文フォーム及び送信ボタンまで日本語で記載されているのであるから,リンク先の商品の紹介が英 語で記載されているという事情を考慮しても,本件ウェブサイトが日本の需要者を対象とした注文サイト であることは明らかである。そうすると,審決が認定するとおり,本件商標を付した商品が日本の需要者 に引き渡されたことまでを認めるに足りないか否かはさておき,少なくとも,原告は,本件商標について 本件要証期間内に日本国内で商標法2条3項8号にいう使用をしたものと認められる。」と判示した。 他国 原告 (商標権者) ウェブサイトにおいて 登録商標と 「カバーダーム」 を使用 日本 日本国内から アクセス可能 10 裁判例(不使用取消審判の審決取消訴訟)(3) 日本国内における使用に該当すると判断された事例② 知財高判令和2年1月28日(令和元年(行ケ)第10078号)[AROMA ZONE] ・指定商品を「家庭用又は台所用の容器」等とする登録商標( 本人が経営するオンラインショップ(「ランジュビオ」)上で表示した事案。 )を、フランス在住の日 ・裁判所は、オンラインショップが日本語で運営され、日本向けに商品販売を行っていること、日本円で価 格が表示されていること等を挙げた上で、「本件商標を付した状態で日本の消費者に対して本件使用対象 商品を譲渡した事実を推認することができるし,少なくとも,ランジュビオが譲渡のための展示をしたこ とは明らかである」として、日本国内における使用に該当するものと判示した。 日本 フランス オンラインショップ オンラインショッ プを日本語で運営 し、日本向けに商 品を販売 日本国内から アクセス可能 11 裁判例(侵害訴訟)(1) ➢ インターネット上の国境をまたいだ商標の使用と商標権侵害について判断した事例がある。 すしざんまい事件(事案概要) ・原告は、日本の登録商標「すしざんまい」(指定役務:すしを主とする飲食物の提供等)に基づい て、被告による「Sushi Zanmai」のウェブサイトでの使用が、商標権侵害等に当たることを主張。 原告 被告 ・日本で「すしざんまい」を展開 ・「すしざんまい」等の登録商標 (指定役務:すしを主とする飲食 物の提供 等)を有する ・マレーシアにおいて「Sushi Zanmai」の名称で飲食店を展開 ・ウェブサイトにおいて、被告各表 示(赤色四角枠で表示)を掲載 商標権侵害等を主張 被告が自身のウェブサイトで掲載していた標章や広告(判決別紙より抜粋) ■標章 ■広告 12 裁判例(侵害訴訟)(2) ➢ 第一審判決では、商標の出所表示機能や品質保証機能を害することを理由に、被告が原告商標を「使 用」(商標法第2条第3項第8号)したものと評価し、商標権侵害を認めた。 ➢ 一方、控訴審判決では、①すし店の「役務に関する広告」として商標の使用に当たると認めることはで きないこと、②仮に使用に当たるとしても、日本国内における役務の提供について使用されるものでは ないこと等を挙げて、商標権侵害を認めなかった。 第一審:東京地判令和6年3月19日(令和3年(ワ)第11358号) ◼ 「被告各表示がマレーシアの本件すし店に係るものであったとしても、本件各ウェブページに被告各表 示を掲載した行為は、日本における原告各商標の出所表示機能及び品質保証機能を害し、ひいては、上 記の商標法の目的にも反するものであるといえる。」と判示した。 控訴審:知財高判令和6年10月30日(令和6年(ネ)第10031号) ◼ 控訴審判決では、以下の点等を挙げて、商標権侵害を認めなかった。 (1)本件各ウェブページでは、東南アジアにおいて展開する日本食を提供する飲食店チェーンで提供する ための鮮度の高い良質な食材を日本から輸出する事業を営んでいることを紹介するものであると認め られ、被告各表示を付したページについて、本件すし店の「役務に関する広告」に当たると認めるこ とはできないこと (2)仮に、被告各表示の使用が本件すし店の存在を日本国内に広く知らしめるという点において「広告」 に該当し、商標的使用に該当すると考えたとしても、本件各ウェブページは、食材の海外輸出を検討 する国内事業者に向けたものであると認められ、本件すし店は、日本国外(シンガポール、マレー シア)で飲食物の提供等の役務を提供していることが認められることから、本件すし店が、日本国内 で同様の役務を提供している事実は認められないこと 13 裁判例(侵害訴訟)(3) ➢ 前頁の控訴審判決における結論は、WIPO共同勧告とも整合的であるとして、WIPO共同勧告への 当てはめも行いつつ、日本国内における商標としての使用に当たらないとされた。 控訴審判決におけるWIPO共同勧告への当てはめ部分(抜粋) 共同勧告3条⑴項で掲げられている商業的効果を決定するための要因についてみると、本件すし店が 日本で役務を提供しておらず、提供する計画に着手した旨を示す状況はないこと(同項(a))、本件各 ウェブページには本件すし店の日本通貨による価格表示はされておらず(同項(c)(ii))、日本国内に おける連絡方法も掲載されていないこと(同項(d)(ii))等が認められることに加え、前記のとおり、 本件各ウェブページ自体は日本からの食材の輸出という役務の広告を目的とするものであり、被 告各表示は、輸出された食材を国外で使用する飲食店チェーンを紹介するという文脈で使用されてい ること等の事情が認められる。これら全ての事情を総合的に考慮すると、本件各ウェブページが日本 語で作成されており(同項(d)(iv))、日本国内の顧客に対し本件すし店の役務を提供する意図がない ことが明示的に表示されているわけではない(同項(b)(ii))ことを踏まえても、本件各ウェブページ における被告各表示の使用は、日本国内における商業的効果を有するということはできないから、日 本国内における商標としての使用に当たるものではないというべきである。 14 WIPO共同勧告 ➢ 商標法の属地性とインターネットの世界性との関係から生じる各国における商標権の抵触問題等 を解決するため、2001年に開催されたWIPO一般総会において、「インターネット上の商標及び その他の標識に係る工業所有権の保護に関する共同勧告」(WIPO共同勧告)※が採択された。 ※「(仮訳)インターネット上の商標及びその他の標識に係る工業所有権の保護に関する共同勧告」 https://www.jpo.go.jp/news/kokusai/wipo/document/1401-037/kyoudoukannkoku.pdf ➢ 条約のような強制力を有していないものの、各国がガイドラインとして考慮することができる。 ➢ すべての関連する状況を考慮して、商業的効果を有する場合には、当該国における使用であると 判断する(WIPO共同勧告第2条、第3条参照)。 ➢ 商業的効果の判断に際しては、当該国でビジネスを行っているか、当該国の通貨や言語が使用さ れているか、当該国に所在する顧客に対して商品・サービスを提供する意図のないことを表示し ているか等が考慮される。 海 外 サーバー ショッピングサイト ~オンライン○○マーケット~ 日本の登録商標 「JPO camera」 デジタル一眼レフカメラ xx,xxx円 国 内 日本語表示 日本円の表示 登録商標の使用は、 日本において 商業的効果を 有している 15 <参考>WIPO共同勧告において考慮される要素 WIPO共同勧告において考慮される要素(WIPO共同勧告第3条(1)(要約)) (a)そのメンバー国でビジネスを行っている又はビジネスを行うための重要な計画に着手した旨 を示す状況 (b)そのメンバー国に関しての使用者の商業活動の程度及び特色 (ウェブサイト上で商品・サービスをそのメンバー国に所在する顧客に対して提供する意図のない旨を、イ ンターネット上の標識の使用と共に表示しているか否か 等) (c)インターネット上の商品・サービスの提供とそのメンバー国との関係 (当該国の通貨や言語が使用されているか 等) (d)インターネット上の標識の使用の方法とそのメンバー国との関係 (その使用者が、そのメンバー国の住所、電話番号又はその他の連絡方法を、その標識の使用と共に示して いるか否か 等) (e)インターネット上の標識の使用とそのメンバー国における当該標識に係る権利との関係 16 <参考>ヒアリング調査の概要 ➢ 特許庁において、企業(ゲーム会社、メーカー等)及び学識者に対するヒアリング調査を実施し、 インターネット上の国境をまたいだ商標の使用に関する考え方について意見を聴取した。 評価 ◼ ビジネス上、サーバーが海外にあれば商標権侵害にあたらないという考え方はないと思う。サーバーが特 殊だったり安かったりすれば、海外のサーバーを利用する可能性もゼロではない。総じて、裁判例の考え 方はその通りだと思う。(印刷) ◼ WIPO共同勧告や裁判例の考え方のとおりと思う。(ゲームA) ◼ 現状の制度でカバーできていると思う。(家具) ◼ 海外サイトであっても日本向けに商売を行っているのであれば日本の商標権が及ぶという話だと思うので ありがたいと思う。(ゲームB) ◼ 特許制度小委員会での議論の帰趨を見極めてから商標法での議論を進めてもよいのではないか。(学識者 A) その他の御意見 ◼ 海外のショッピングサイトで、日本語を含む複数の言語に設定することができ、日本語での決済が可能で、 かつ日本国内向けに商品が出荷されるケースにおいて、日本の商標権に基づいて当該ショッピングサイト から削除申請できるのかは定かではない。日本の権利を使用できるか否かについては不透明なところがあ ると感じており、法改正なのかガイドラインなのか明確化を検討してほしい。(ゲームA) ◼ 言語のみでなく複数の要素を総合考慮して判断すべき。(学識者B) 17 御議論いただきたい事項 ➢ インターネット上の国境をまたいだ商標の使用について、商標法においては、裁判例やWIPO共同勧告 において挙げられた要素が参考になる。 ➢ 当該要素を総合考慮し、日本の需要者に向けられていると評価できる場合には、日本における商標の使 用に該当するものと考えられる。 特許制度小委員会における議論を引き続き注視する必要があるものの、現行の商標制度で一定の 整理がなされているといえるのではないか。 裁判例における考慮要素 ・日本に向けて事業が行われているか否か ・ウェブページが日本語で表示されているか否か ・ウェブページにおいて日本円で価格が表示されているか否か ・ウェブページにおいて日本国内における連絡方法が記載されているか否か 等 WIPO共同勧告における考慮要素 ・当該国でビジネスを行っているか否か ・当該国に所在する顧客に対して商品・サービスを提供する意図のないことをウェブサイトで表示しているか否か ・当該国の通貨や言語が使用されているか否か ・当該国の住所、電話番号その他の連絡方法をその標識の使用とともに使用されているか否か ・当該標識の使用が、当該権利に裏付けられているものであるか否か 等 18 2.仮想空間における商標の保護 19 意匠制度小委員会 ※一部修正 仮想空間の利活用を前提としたビジネスの広がり ➢ VR技術の発展により、仮想空間※の実在感や没入感が向上したことで、現実空間と遜 色ない体験が可能になり、仮想空間の利活用を前提とした様々なビジネスが展開され ている。 ※本資料において、仮想空間とは「多人数が参加可能で、参加者がその中で自由に行動できるインターネット上に構築される仮想の三次元空間」を 指すものとする。 (参考)令和2年度コンテンツ海外展開促進事業(仮想空間の今後の可能性と諸課題に関する調査分析事業)4頁 https://www.meti.go.jp/meti_lib/report/2020FY/000692.pdf ➢ 仮想空間の利活用を前提としたビジネスの主体は、以下の二者に大別される。 (1)現実空間に関するビジネスを主として展開している事業者(以下「現実空間のビジネ ス主体」と記載。) (2)仮想空間に関するビジネスを主として展開している事業者(以下「仮想空間のビジネ ス主体」と記載。) ※事業者には、個人クリエイターとして創作を行っている者を含む。 20 意匠制度小委員会 ※一部修正 仮想空間での利用を想定した3Dモデル等の制作・販売 ➢ 現実空間のビジネス主体と仮想空間のビジネス主体の双方が、仮想空間での利用を想定した3Dモデル等の制作 を行い、コンテンツプラットフォーム※において販売を行っている。 ※コンテンツプラットフォームには、主に、コンテンツの取引を目的とするコンテンツマーケットと、コンテンツの制作ツールを提供し、そのために使う素材を供給し、コ ンテンツ制作環境をトータルに提供するコンテンツ制作プラットフォームとがある。(参考)特許庁「令和5年度 産業財産権制度各国比較調査研究等事業 仮想空間におけ るデザイン創作の保護に関する調査研究 報告書」(令和6年3月)https://www.jpo.go.jp/resources/report/takoku/document/zaisanken_kouhyou/2023_01.pdf ➢ 仮想空間のビジネス主体が、仮想空間での利用を想定した3Dモデル等の請負制作を行い、仮想空間におけるイ ベントの開催や仮想空間用アイテム等の販売を行う事業者向けに納品する事業も存在する。 <仮想空間での利用を想定した3Dモデル等の販売(例)> ■アイテム (出典)BOOTHウェブサイト(株式会社オカムラ) 「【3Dモデル】オフィスチェア『Sabrina』」 https://okamura3d.booth.pm/items/5184134 (出典) BOOTHウェブサイト(BEAMS) 「NOMA t.d. × Ray BEAMS別注マルチストライプワンピース| BEAMS」 https://beams.booth.pm/items/4921837c <仮想空間での利用を想定した3Dモデル等の請負制作(例)> ■アイテム (出典) PR TIMESウェブサイト(株式 会社V) 「株式会社V、大丸松坂屋百貨 店のオリジナル3Dアバター向け衣装とし て新春を彩る3D着物を制作」 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/0 00000079.000049339.html ■ワールド (出典) PR TIMESウェブサイト(ユーステラグルー プホールディングス合同会社)「【新商品】美術館の ような3Dワールド「展覧会場」を販売開始!」 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000018.00 0108209.html ■アバター (出典) PR TIMESウェブサイト(株式会社典樹) 「YOYOGI MORIより新作3Dモデル「A-Z:[S]」発表」 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000023.00 0087364.html ■ワールド (出典) PR TIMESウェブサイト(株式 会社往来) 「京セラのファインセラミッ ク技術をVRChatで体験いただけるメタ バース版「ファインセラミックスワール ド」制作を往来が担当」 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/0 00000001.000147904.html 21 商標制度における検討事項 ➢ 意匠について、仮想空間では、現実空間の物品等の形状等を模した3Dモデルの取引や利用の事例 (現実空間→仮想空間の模倣)、既存の3Dモデルの形状等を模した3Dモデルの取引やサービス提 供の事例(仮想空間→仮想空間の模倣)が確認されており、意匠制度における制度的措置が検討 されている。 ➢ 商標についても、仮想空間における模倣が問題となり得る。 ⇒ 商標制度において、仮想空間上の商品に係る商標の登録可否や、仮想空間上の商品に係る商標 の使用に対する権利行使等について、整理すべき。 説明・検討内容 ◼ 本小委員会における検討の対象 ◼ 仮想空間上の商品に係る商標の登録可否 ◼ 仮想空間上の商品に係る商標の使用に対する権利行使 ◼ 御議論いただきたい事項 22 本小委員会における検討の対象 ➢ 本小委員会では、仮想空間上で商品等の形状を表示するためのデジタルデータ(例:アバターに着せる被服の データや、仮想空間に設置する家具のデータ等。以下「仮想商品」とする。)について使用される商標の保護 の在り方を御検討いただきたい。 仮想商品の例 <参考>諸外国の商標制度における「仮想商品(virtual goods) 」の定義 日本 米国 欧州 中国 韓国 仮想空間上で商品等の形状 を表示するためのデジタル データ オンラインの仮想世界で、 特にアバターが使用するた めのデジタルオブジェクト オンライン又は仮想空間に おける取引の過程で使用さ れることを意図した非物理 的なアイテム なし(ガイドライン等を公 表していない) なし(審査処理指針を公表 しているが、定義していな い) (参考) 米国:「Registering trademarks for newer technologies: NFTs, blockchain, cryptocurrency, and virtual goods」https://www.uspto.gov/sites/default/files/documents/TM-NewerTechnologies-handout.pdf 欧州:「Trade mark guidelines 4.4.1 Virtual goods」https://guidelines.euipo.europa.eu/2302857/2215360/trade-mark-guidelines/4-4-1-virtual-goods 韓国:「仮想商品の審査処理指針」https://www.jetro.go.jp/ext_images/world/asia/kr/ip/gov/movement/20220907.pdf 中国:特許庁調べ 23 本小委員会における検討の対象外 ➢ 現実空間のビジネス主体が、もっぱら現実の商品を広告する目的で、商標を付した3Dモデル等を 仮想空間上で展示等する場合がある。 ➢ 商標が、現実の商品の広告のために使用されている場合については、本小委員会における検討の 対象としない。 <例>本小委員会における検討の対象外 ■仮想空間において、現実の商品を模した3Dモデルが展示されており、需要者が現実の商品を選択・購入する 際に参考にできる例 24 仮想商品に係る商標の登録可否 ➢ 商標法においては、仮想商品に係る商標について、現行法で登録による保護が可能。仮想商品に関する表示 (例:第9類「ダウンロード可能な仮想被服」、第41類「仮想空間で被服を表示するためのオンラインによる 画像の提供」等)を指定し、出願することで、登録による保護を受けられる。 ➢ 仮想商品の分類については国際的にも上記のような整理がなされている。ニース同盟専門家委員会第33回会合 では「ダウンロード可能な仮想被服」を第9類の商品とすること等が決定された。 ➢ 特許庁では、国際的な議論も踏まえ、仮想商品等について、採択可能な表示等に関するガイドラインを策定し、 令和6年3月に公表(令和7年1月改訂)。 <実際の仮想空間上の使用例と登録例> 登録第6724266号 登録日:令和5年8月7日 権利者: ナイキ イノベイト シーブイ 【指定商品・指定役務】 第 9 類 仮想商品、すなわち、オンライン上の仮想世界・・・で使用する履物・ 運動用特殊靴・被服・・・を内容とするダウンロード可能なコンピュー タプログラム 等 第35類 仮想商品、すなわち・・・履物・運動用特殊靴・被服・・・を内容とする ダウンロード可能な画像及び映像の小売の業務において行われる顧客 に対する便益の提供 等 第41類 仮想空間で使用するダウンロードできない仮想の履物・運動用特殊 靴・被服・・・の映像及び画像の提供 等 (出典)株式会社ナイキジャパン「ロブロックスにNIKELANDが 誕生」https://nike.jp/nikebiz/news/2021/11/22/4956/ 登録第6753277号 登録日:令和5年11月10日 権利者: 株式会社ZOZO (出典)アイティメディア株式会社「ZOZO子会社、VRChat対 応ファッションアイテム発売 ヘッドフォンやVRゴーグルも」 https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2409/25/news16 7.html 【指定商品・指定役務】 第 9 類 ・・・オンライン仮想環境・拡張現実環境又は複合現実環境で使用する ための被服・帽子・履物・・・を内容とするコンピュータプログラム 等 第35類 ・・・オンライン仮想環境・拡張現実環境又は複合現実環境で使用する ための被服・帽子・履物・・・を内容とするコンピュータプログラムの 小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供 第41類 ・・・オンライン仮想環境・拡張現実環境又は複合現実環境で使用する ための被服・帽子・履物・・・を内容とするダウンロード不可能な画像 又は映像の提供 等 第42類 ・・・オンライン仮想環境・拡張現実仮想環境又は複合現実仮想環境で 使用するための被服・帽子・履物・・・を内容とするコンピュータプロ グラムの提供 等 25 商品・役務の類否の考え方 ➢ 先願に係る他人の登録商標と同一又は類似であって、その登録商標の指定商品・指定役務と同一又は類 似の商品・役務について使用をする商標は、商標登録を受けることができない(商標法第4条第1項第 11号)。 ➢ 商品・役務の類否は、それらの商品・役務が通常同一営業主により製造・販売又は提供されている等の 事情により、出願商標及び引用商標に係る指定商品・指定役務に、同一又は類似の商標を使用するとき は、同一営業主の製造・販売又は提供に係る商品・役務と誤認されるおそれがあるかにより判断する※。 ➢ 具体的に、特許庁において、商品の類否を判断するに際しては、例えば、生産部門・販売部門・原材料 及び品質・用途・需要者の範囲が一致するかどうか、完成品と部品の関係にあるかどうかを総合的に考 慮するものとされている※。仮想商品についても同じ考え方が適用される。 ※最判昭和36年6月27日民集15巻6号1730頁(昭和33年(オ)第1104号)〔橘正宗事件〕等、商標審査基準 第3 十 第4条第1項第11号(先願に係る他人の登録商 標)11.商品又は役務の類否判断について <例> 考慮要素 生産部門 販売部門 原材料 及び品質 用途 需要者の 範囲 完成品と 部品の 関係に あるか (総合考慮の結果) 特許庁における運用 類似 「清酒」と 「焼酎」 ○ ○ △ ○ ○ × 「清酒」と 「茶」 × × × × △ × ⇒「清酒」について登録商標が 存在する場合、それと同一又は 類似の商標は「焼酎」について 登録を受けられない (商標法第4条第1項第11号に 該当) 非類似 26 仮想商品に係る商標の登録可否 (現実の商品について他人の登録商標が存在する場合) ➢ 仮想商品と現実の商品は、生産部門・販売部門・原材料及び品質・用途・需要者の範囲等が一致 しない場合が多い(ヒアリング結果参照)。 ➢ したがって、これらの商品に同一又は類似の商標を使用しても、同一営業主の製造又は販売等に かかる商品等と誤認されるおそれはないと考えられる。そこで、審査において、これらの商品は 原則として互いに非類似と推定し、商標法第4条第1項第11号の拒絶理由に該当しないものと判 断。 <事例1> 仮想商品に係る商標を登録できるか(現実の商品について他人の登録商標が存在する場合) 仮想空間 ・A社は仮想空間上で家具を表示するため のデジタルデータを販売 ・以下を指定商品として、商標「JPO」 を出願 第9類 ダウンロード可能な仮想家具 現実空間 原則として、商品等が 非類似と推定されるため 第4条第1項第11号 非該当 ・B社は家具を販売 ・「第20類 家具」を指定商品として、 商標「JPO」を登録済 ※第4条第1項第11号の拒絶理由に該当しない場合でも、その他の拒絶理由に該当する場合には、出願は拒絶される。 (例) • • • • 他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標 → 第4条第1項第15号 公益的な団体・事業を表す標章と類似する商標 → 第4条第1項第6号 出願の経緯に社会的相当性を欠く、国際信義に反する等の事情がある場合 → 第4条第1項第7号 著名な商標と類似し、かつ、不正の目的をもって使用する商標 → 第4条第1項第19号 27 仮想商品に係る商標の登録可否 (仮想商品について他人の登録商標が存在する場合) ➢ 仮想商品同士は、生産部門・販売部門・原材料及び品質・用途・需要者の範囲等が一致する場合 が多い(ヒアリング結果参照) 。 ➢ したがって、これらの商品に同一又は類似の商標を使用するときは、同一営業主の製造又は販売 等にかかる商品等と誤認されるおそれがあると考えられる。そこで、審査において、これらの商 品は原則として互いに類似と推定し、(商標が同一又は類似の場合には)商標法第4条第1項第 11号の拒絶理由に該当するものと判断。 <事例2>仮想商品に係る商標を登録できるか(仮想商品について他人の登録商標が存在する場合) 仮想空間 仮想空間 ・C社は仮想空間上で家具を表示するため のデジタルデータを販売 ・以下を指定商品として、商標「JPO」 を出願 第9類 ダウンロード可能な仮想家具 原則として、商品等が 類似と推定されるため 第4条第1項第11号該当 (後願は登録不可) ・D社は仮想空間上で自動車を表示する ためのデジタルデータを販売 ・以下を指定商品として、商標「JPO」 を登録済 第9類 ダウンロード可能な仮想自動車 ※第4条第1項第11号の拒絶理由に該当する場合でも、「コンセント制度」の利用(第4条第4項の適用)等による 登録可能性がある。 28 商標登録後の権利行使 ➢ 商標権者は、指定商品・指定役務について登録商標の使用をする権利を専有する(商標法第25 条)。さらに、他人によるその類似範囲の使用を排除することができる(同第37条)。 ➢ すなわち、商標権を行使して他人の使用を排除するためには、登録商標の指定商品・指定役務と、 他人が商標を使用している商品・役務が、同一又は類似であることが必要。 ➢ 仮想商品についても同じ考え方が適用される。 商品・役務 商標権の効力が及ぶ範囲 商標 登録商標の指定商品・ 指定役務と同一 類似 非類似 登録商標と 同一 ・使用する権利を専有 ・他人の使用を排除可能 ・他人の使用を排除可能 × 類似 ・他人の使用を排除可能 ・他人の使用を排除可能 × 非類似 × × × 29 仮想商品に係る商標の使用に対する権利行使 ➢ ➢ 仮想商品について、登録商標と同一又は類似の商標を他人が使用している場合、登録商標の指定商品・ 指定役務が、仮想商品と同一又は類似であれば、原則として、商標権を行使して他人の使用を排除でき る。 なお、仮に商標権の行使が認められないとしても、当該商標が商標権者の商品等表示として周知又は著 名である場合には、不正競争防止法第2条第1項第1号又は同項第2号により、他人の使用を排除し得 る。 <事例3> 現実の商品に係る商標権の行使可能性 現実空間 商品等が類似と認められなければ、 権利行使できない 仮想空間 ・F社は仮想空間上で、家具を表示するた ・E社は家具を販売 ・登録商標「JPO」(指定商品:第20類 家具)を保有 めのデジタルデータに無断で商標「JPO」 を付して販売 ※商標が周知・著名であれば 不競法により、他人の使用を排除し得る <事例4>仮想商品に係る商標権の行使可能性 仮想空間 ・G社は仮想空間上で家具を表示するため のデジタルデータを販売 ・登録商標「JPO」 (指定商品:第9類 ダウンロード可能な仮想家具)を保有 原則として 権利行使できる 仮想空間 ・H社は仮想空間上で、家具を表示するた めのデジタルデータに無断で商標「JPO」 を付して販売 30 <参考>仮想商品と現実の商品を非類似とする考え方に関する主な意見 ➢ 特許庁において、企業(仮想空間プラットフォーマー、ゲーム会社、情報通信業、メーカー等) 及び学識者に対するヒアリング調査を実施し、仮想商品に関する類否の考え方について意見を聴 取した。 評価 ◼ 仮想商品と現実の商品は、生産部門・販売部門・原材料及び品質・用途・需要者の範囲等が一致 しない場合が多い • • • • メーカーの違い、取引経路の違いがあるため、基本的には非類似と考える。(電気機器) 現実の被服と仮想被服を比べると、生産部門・販売部門・原材料は異なる。用途は、着飾るという点では同じか もしれないが、寒さから身を守るためかどうかといった見方をすれば異なる。需要者も一般的には違うことが多 いのではないか。(仮想空間プラットフォーマー) 現実の服とデジタル被服に関しては、考慮要素(生産部門等)は共通していない面が多い。したがって、原則と して、現実の服とデジタル被服は非類似という特許庁の運用には賛成できる。なお、仮想商品の用途の捉え方に ついては定説がない。(学識者A) 仮想空間ユーザーにとって、仮想空間は現実同様に感じられるという点を強調すれば、仮想と現実は近いという 見方ができる。他方で、第三者的な視点から見れば、仮想と現実は全く異なる。特許庁の考え方は後者で一貫し ているため、一つの整理としてあり得ると思う。現在の政策や制度との整合性を考えると、差し当たり特許庁の 考え方は理解できる。(学識者B) ◼ 仮想空間において現実空間のブランドが模倣された場合でも、現行制度で一定の対応が可能 • 仮想商品と現実の商品を類似にしてもらわないと困るという動機はない。我々が懸念している問題は、商標法第 4条第1項第15号、第4条第1項第19号及び不正競争防止法等で十分防げると思う。(飲食料品) 31 <参考>仮想商品と現実の商品を非類似とする考え方に関する主な意見 評価 ◼ 仮想商品と現実のクリアランス調査(※)の負担が限定的である • • • ※次スライド参照 仮に、仮想商品と現実の商品が類似となった場合、事前調査の対象が増え、非常に困る。(ゲームB) 非類似としたほうがウェブ環境における自由度は高まるので、今の時代には合っている。(家具) 仮に、仮想商品と現実の商品を類似とした場合、創作活動に対し萎縮効果を生む。仮想空間ビジネスはこれから 発展していく分野であるため、芽を潰さないよう棲み分けを図ったほうがよい。(仮想空間プラットフォー マー) ◼ 国際調和の観点から妥当である • 仮想商品と現実の商品とを非類似とするのは各国と同じ足並みであり妥当だと思う。(情報通信) その他の御意見 ◼ 現実空間のブランドが仮想空間に進出することが多いため、仮想商品と現実の商品を非類似とす るのは違和感がある • バーチャルが起点であり、バーチャルの中で価値をもつ商材というのはあると思う。それについて権利があると いうのは理解できる。ただし、現状、自社ではリアルの商品をバーチャルに持ち込むことが多いため、非類似に するのは違和感があるというのが今の素直な感覚。(印刷) ◼ 現実空間のビジネス主体が仮想商品について防衛的に出願した場合(反対に、仮想空間のビジネ ス主体が現実の商品について防衛的に出願した場合も)不使用取消審判のリスクがある • 仮想商品と現実の商品を非類似とした場合、片方で登録していなければ、他人に登録されてしまうのではないか。 また、両方登録した場合に不使用取消の対象になりやすいのではないか。(繊維製品) 32 <参考>仮想商品と現実の商品の類否とクリアランス調査負担 ➢ 仮に、仮想商品と現実の商品を類似とした場合、仮想空間のビジネス主体(アバター、オブジェ クト、ワールド等の制作を行う事業者・クリエイター)は、仮想商品について使用又は出願する 商標について、現実の商品に係る商標権も広くクリアランス調査する負担が生じる。 ➢ 現実空間のビジネス主体も、現実の商品について使用又は出願する商標について、仮想商品に係 る商標権のクリアランス調査も必要となり、双方にとってクリアランス調査負担が大きくなる。 仮想空間 ・B社(アバター、オブジェクト、ワールド等の 制作を行う事業者・クリエイター)は、仮想空間上で 洋菓子・化粧品等々を表示するためのデジタルデータ を取り扱っている ・以下を指定商品等として、商標「OPJ」を登録済 第9類 ダウンロード可能な仮想洋菓子,ダウンロー ド可能な仮想化粧品 等 ・A社(アバター、オブジェクト、ワールド等の制 作を行う事業者・クリエイター)は、仮想空間上で 自動車・家具・被服・観葉植物等々を表示するため のデジタルデータを取り扱う際に、商標「JPO」を 使用したい ※上記以外のデジタルデータを取り扱う場合、更に広くクリアランス 調査が必要となる。 仮想商品と現実の商品を類似とした場合、仮想空間・現実空間双方にとってクリアランス調査負担が増す 現実空間 ・C社は 自動車を販売 ・「第12類 自動車」を指 定商品として、 商標「JPO」 を登録済 ・D社は 家具を販売 ・「第20類 家具」を指定 商品として、 商標「JPO」 を登録済 ・E社は 被服を販売 ・「第25類 被服」を指定 商品として、 商標「JPO」 を登録済 ・F社は 観葉植物を販売 ・「第31類 観葉植物」を 指定商品として、 商標「JPO」を 登録済 ・G社は洋菓子 を販売する際に、 商標「OPJ」を 使用したい 33 <参考>仮想商品同士を類似とする考え方に関する主な意見 評価 ◼ 仮想商品同士は、生産部門・販売部門・原材料及び品質・用途・需要者の範囲等が一致する場合が多い • 同じ者が様々なジャンルの仮想商品を作っているのが実情と思われるため、仮想商品同士は類似と考えた方がよ いのではないか。 (ゲームA) • 仮想空間を主とするプレーヤーはいくらでも仮想商品を作り出せるため、仮想商品の種類によって産業分野が異 なるという意識はないように思う。(情報通信) • 現実商品の生産には設備投資を要するため、新規参入のハードルが高いが、仮想商品同士では制作に使うソフト ウェアが共通している。したがって、同じ者が様々な種類の商品を取り扱うことが容易であるため、仮想商品同 士は類似とするのが適当。(仮想空間プラットフォーマー) • 生産部門については、自社のクリエイターは様々な仮想商品を作成することができるため、基本は一致すると思 われる。販売部門も一緒になることが多いと思う。また、用途については、仮想商品は娯楽が目的であり、趣味 の範囲のものという意味で一致する。加えて、仮想空間では、現実世界のように「これは服」「これは靴」とい う概念通りにする必要はなく、靴のような服も作れる。非類似とした場合、判断が難しくなるので、仮想空間内 はすべて類似とした方が悩まなくてよい。(ゲームB) ◼ 一部の要素が一致しない場合もあるが、仮想商品同士は類似する • 用途は違うという認識だが、仮想商品同士は類似するという考えに賛成する。(学識者A) その他の御意見 ◼ 仮想商品分野において、先行商標との抵触を回避して新たに商標登録することが難しい • 一部の仮想商品について権利を取ったら、その他の仮想商品に関する他人の商標登録を阻止できるのであれば、 実質的に仮想商品全般について権利を取れることにならないか。(化粧品) • 仮想商品同士が類似とすると、(一部の仮想商品について商標登録をすれば)仮想空間の中ではすごく広い範囲 を押さえられることになるが、それが適当なのか少し自信がない。(学識者B) 34 <参考>各国・地域の仮想商品に関する運用 ➢ 出願(審査)段階において、仮想商品と現実の商品の類否については、原則として非類似とする か、個別判断とする国が多い。原則として類似とする国は確認されておらず、日本の運用は各国 と調和したものといえる。 出願(審査)段 階における、仮 想商品と現実の 商品の類否判断 日本 米国 欧州 中国 韓国 審査では原則と して非類似 現実の商品と仮 想商品間の商業 的関連性の証拠 に基づき判断 生産者や用途の 共通性等を考慮 し、個別具体的 に判断 ガイドライン等 が公表されてお らず不明 審査では原則と して非類似 ※中国の審査運用や、諸外国の侵害場面における類否判断については、令和7年度調査研究において調査予定。 (参考) 米国:「Registering trademarks for newer technologies: NFTs, blockchain, cryptocurrency, and virtual goods」 https://www.uspto.gov/sites/default/files/documents/TM-Newer-Technologies-handout.pdf 欧州:「Trade mark guidelines 5.9 Virtual goods versus real-world goods」 https://guidelines.euipo.europa.eu/2302857/2216133/trade-mark-guidelines/5-9-virtual-goods-versus-real-world-goods 韓国:「仮想商品の審査処理指針」 https://www.jetro.go.jp/ext_images/world/asia/kr/ip/gov/movement/20220907.pdf 中国:特許庁調べ 35 <参考>米国における主な裁判例 ➢ Hermés 対 Rothchild 事件(いわゆるメタバーキン事件)下級審では、仮想空間における商標の 使用が、現実空間の商標権の侵害にあたるとの判断が示された。 ➢ ただし、米国においては、商標の周知性や商品の類似性等を総合的に考慮して、商標権侵害の要 件である「混同のおそれ(likelihood of confusion)」の有無がケースバイケースで判断される ため、侵害が認められたとしても、直ちに仮想空間の商品と現実の商品が類似と判断されたとは いえない。 Hermés 対 Rothchild 事件 ⚫ 原告(Hermés)は、現実の商品「ハンドバッグ」等について、文字商標「BIRKIN」及びトレードドレス商標 (ハンドバッグのデザイン)を保有。 ⚫ 被告(Rothchild)は、原告のハンドバッグのデザインを模してNFTと紐付けた画像を作成・販売。その際に 「MetaBirkins」の商標を使用。 → 連邦地方裁判所において、原告の商標権侵害が認められた(現在、控訴中)。 <原告登録商標(トレードドレス)> <被告が販売した画像> (出典)USPTOデータベース (出典)Hermes International and Hermes of Paris, Inc. v. Mason Rothschild 訴状から引用 36 御議論いただきたい事項 ➢ 以上の検討を踏まえると、次のとおり整理できる。 <仮想商品に係る商標の登録可否> 商標制度においては、仮想商品に係る商標について、現行法で登録による保護が可能。 (1)現実の商品に係る他人の同一又は類似の登録商標が存在する場合、仮想商品と現実の商品は原則 非類似と推定されるため、仮想商品に係る商標は原則として登録可能。 ※他人の商標が周知・著名等の場合には、商標法第4条第1項第15号等の拒絶理由に該当し、登録不可。 (2)仮想商品に係る他人の同一又は類似の登録商標が存在する場合、仮想商品同士は原則類似と推定 されるため、仮想商品に係る商標は原則として登録不可。 <仮想商品に係る商標の使用に対する権利行使> (1)他人が現実の商品に係る登録商標と同一又は類似の商標を仮想商品について使用している場合、 仮想商品と現実の商品が類似と認められなければ、現実の商品に係る商標権に基づく権利行使は、 原則として不可。 ※現実の商品に係る登録商標が周知・著名等の場合には、不正競争防止法第2条第1項第1号又は同項第2号により、他 人の使用を排除し得る。 (2)他人が仮想商品に係る登録商標と同一又は類似の商標を仮想商品について使用している場合、仮 想商品同士が類似と認められれば、仮想商品に係る商標権に基づく権利行使は、原則として可能。 仮想空間ビジネスの実態、司法判断の動向、各国の動向及び意匠制度小委員会における議論等を 引き続き注視する必要があるものの、現行の商標制度で一定の保護がなされているといえるので はないか。 37 3.生成AI技術の発達を踏まえた商標制度上の整理 38 近時の生成AIと産業財産権制度における検討状況 ➢ 生成 AI の技術発展に伴い、生成 AI 技術を活用したツールが普及しつつあり、テキスト、画像等を入力して短時 間で大量の文字・図形等を生成・利用することが可能となっている。 ➢ これまで、内閣府・特許制度小委員会・意匠制度小委員会において生成AIと知的財産権について検討がされている。 ➢ 生成AIを利用して作成された文字・図形等(以下「AI生成物」という。)を含む商標が出願又は使用された場合 や、登録商標が含まれるデータをAIに学習させる場合、商標制度において何らかの影響が生じるか否かを整理すべ きではないか。 <内閣府 知的財産戦略推進事務局 「AI時代の知的財産権検討会」> ➢ 生成AIと知的財産権について議論され、令和6年5月に中間とりまとめが公表された。 <特許制度小委員会> ➢ 特許制度小委員会では、第50回、第52回及び第53回において、 AI技術の発達を踏まえた特許制度上の適切な対 応について御議論いただいた。 ➢ 第53回特許制度小委員会(令和7年4月22日)においては、法的論点と具体的な検討事項を整理した上で、今後 の検討の方向性として、特に①発明該当性、②発明者及び③引用発明適格性の論点について、相対的に早期に考 え方を整理していく方針が確認された。 <意匠制度小委員会> ➢ 第19回意匠制度小委員会(令和7年5月22日)においては、特に①意匠該当性、②創作者、③引例適格性及び④ 新規性喪失の例外について、相対的に早期に考え方を整理していく方針が確認された。 <ダバス事件> ➢ 特許法に関するダバス事件の控訴審判決(令和6年(行コ)第10006号)では、特許を受けることができる「発 明」は、自然人が発明者となるものに限られると解するのが相当として、原判決を支持した。また、AI発明に特 許権を付与するか否かについては、AI発明が社会に及ぼす様々な影響についての広汎かつ慎重な議論を踏まえた、 立法化のための議論が必要な問題と言及した。 39 現行の商標制度における考え方(1) ➢ 商標法は、「商標の使用をする者の業務上の信用の維持を図り、もつて産業の発達に寄与し、あ わせて需要者の利益を保護することを目的とする」(商標法第1条)としており、創作物を保護 する法律ではない。 ➢ この点を踏まえ検討すると、特許・意匠制度小委員会において検討の中心となっている①発明 (意匠)、②発明(創作)者及び③引用発明(意匠)適格性の論点については、商標制度におい ては問題にならないと考えられる(下表参照)。 特許・意匠制度における主要な検討事項 商標制度への当てはめ ①発明(意匠) 人がAIを利用して生成した発明(意匠)・AIが自律的にした 発明(自律的に創作した意匠)は、特許法(意匠法)に規定 する「発明(意匠)」に該当するか? ①人がAIを利用して生成した商標・AIが自律的に生成した商 標は、商標法に規定する「商標」に該当するか? → 該当する。 商標法は、特許法・意匠法と異なり、創作物の保護を目的と していない。したがって、AIが創作に関与したかに関係なく、 「商標」の定義(商標法第2条)を満たせば商標に該当する。 ②発明(創作)者 人がAIを利用して生成した発明(意匠)・AIが自律的にした 発明(自律的に創作した意匠)について、発明者(創作者) の認定はどうすべきか? ②商標法は、創作物の保護を目的とする法律ではないことか ら、商標について「発明者・創作者」のような概念は存在し ないため、問題とならない。 ③引用発明(意匠)適格性 AIを利用して生成した資料・論文等は、新規性・進歩性の判 断の根拠(引用発明)となるか? また、AIを利用して生成 したデザインは、新規性・創作非容易性の判断の根拠(引用 意匠)となるか? ③商標法は、創作物の保護を目的とする法律ではないことか ら、商標の登録要件に「新規性・進歩性・創作非容易性」は 含まれていないため、問題とならない。 40 現行の商標制度における考え方(2) ➢ 商標制度に特有の論点となり得る事項としては、以下3点が考えられる。 <①学習段階> 他人の登録商標が含まれるデータをAIに学習させる行為に商標権の効力が及ぶか。 <②生成・利用段階> 他人の登録商標が含まれるAI生成物を利用する行為について、商標権侵害の判断はどのようになさ れるか。 <③AI生成物の商標登録の可否> AI生成物を含む商標を出願した場合に、商標登録が認められるか。 ①学習段階 ②生成・利用段階 学習済みモデル 登録商標 JPO JPO 販売 出力 入力 8 深層学習 生成指示 JPO 商標登録出願 AIのプログラム 41 現行の商標制度における考え方(3) ➢ 以下に整理するとおり、登録商標をAIに学習させることは商標権の効力が及ぶ行為に該当せず、 また、AI生成物を含む商標について出願・権利行使する場合であっても、原則として、従来の商 標登録出願や商標権と同様に扱われるものと考えられる。 <①学習段階> 他人の登録商標が含まれるデータをAIに学習させる行為に商標権の効力が及ぶか。 ⇒ 登録商標であっても、AI学習用データとしての利用は、商標法第2条第3項各号に定める商標の 「使用」に該当しないため、商標権の効力が及ぶ行為に該当しない。 <②生成・利用段階> 他人の登録商標を含むAI生成物を利用する行為について、商標権侵害の判断はどのようになされる か。 ⇒ 権利侵害の要件として依拠性は不要であり、また、類似性判断について、AI特有の考慮要素は想 定し難いため、AI生成物に関する権利侵害の判断は、従来の商標権侵害の判断と同様である。 <③AI生成物の商標登録の可否> AI生成物を含む商標について、商標登録が認められるか。 ⇒ 商標法は、商標を使用する者の業務上の信用の維持と需要者の利益の保護を目的としており、自 然人の創作物の保護を目的とするものではない。そのため、当該商標が自然人により創作された ものか、AI により生成されたものかに関わらず、従来の商標登録出願と同様、商標法第3条及び 第4条等に規定された拒絶理由に該当しない限り商標登録を受けることができる。 ※①~③については、「AI時代の知的財産権検討会」の中間とりまとめにおいても、同様の考え方が示されている。 42 御議論いただきたい事項 ➢ 現行の商標制度における考え方としては、前掲のとおり、登録商標をAIに学習させることは商標 権の効力が及ぶ行為に該当せず、また、AI生成物を含む商標について出願・権利行使する場合で あっても、原則として、従来の商標登録出願や商標権と同様に扱われる。 現行の商標制度で一定の整理がなされているといえるのではないか。 43 参照条文 商標法(昭和三十四年法律第百二十七号) 抄 (目的) 第一条 この法律は、商標を保護することにより、商標の使用をする者の業務上の信用の維持を図り、もつて産業の発達に寄与し、あ わせて需要者の利益を保護することを目的とする。 (定義等) 第二条 (略) 2 (略) 3 この法律で標章について「使用」とは、次に掲げる行為をいう。 一~七 (略) 八 商品若しくは役務に関する広告、価格表若しくは取引書類に標章を付して展示し、若しくは頒布し、又はこれらを内容とする情 報に標章を付して電磁的方法により提供する行為 九・十 (略) 4~7 (略) (商標登録を受けることができない商標) 第四条 次に掲げる商標については、前条の規定にかかわらず、商標登録を受けることができない。 一~五 (略) 六 国若しくは地方公共団体若しくはこれらの機関、公益に関する団体であつて営利を目的としないもの又は公益に関する事業であ つて営利を目的としないものを表示する標章であつて著名なものと同一又は類似の商標 七 公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標 八~十 (略) 十一 当該商標登録出願の日前の商標登録出願に係る他人の登録商標又はこれに類似する商標であつて、その商標登録に係る指定商 品若しくは指定役務(第六条第一項(第六十八条第一項において準用する場合を含む。)の規定により指定した商品又は役務をい う。以下同じ。)又はこれらに類似する商品若しくは役務について使用をするもの 十二~十四 (略) 十五 他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標(第十号から前号までに掲げるものを除く。) 十六~十八 (略) 十九 他人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標と同一 又は類似の商標であつて、不正の目的(不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的をいう。以下同 じ。)をもつて使用をするもの(前各号に掲げるものを除く。) 44 参照条文 2・3 (略) 4 第一項第十一号に該当する商標であつても、その商標登録出願人が、商標登録を受けることについて同号の他人の承諾を得ており、 かつ、当該商標の使用をする商品又は役務と同号の他人の登録商標に係る商標権者、専用使用権者又は通常使用権者の業務に係る商 品又は役務との間で混同を生ずるおそれがないものについては、同号の規定は、適用しない。 (商標権の効力) 第二十五条 商標権者は、指定商品又は指定役務について登録商標の使用をする権利を専有する。ただし、その商標権について専用使 用権を設定したときは、専用使用権者がその登録商標の使用をする権利を専有する範囲については、この限りでない。 (侵害とみなす行為) 第三十七条 次に掲げる行為は、当該商標権又は専用使用権を侵害するものとみなす。 一 指定商品若しくは指定役務についての登録商標に類似する商標の使用又は指定商品若しくは指定役務に類似する商品若しくは役 務についての登録商標若しくはこれに類似する商標の使用 二~八 (略) 不正競争防止法(平成五年法律第四十七号) 抄 (定義) 第二条 この法律において「不正競争」とは、次に掲げるものをいう。 一 他人の商品等表示(人の業務に係る氏名、商号、商標、標章、商品の容器若しくは包装その他の商品又は営業を表示するものを いう。以下同じ。)として需要者の間に広く認識されているものと同一若しくは類似の商品等表示を使用し、又はその商品等表示 を使用した商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供 して、他人の商品又は営業と混同を生じさせる行為 二 自己の商品等表示として他人の著名な商品等表示と同一若しくは類似のものを使用し、又はその商品等表示を使用した商品を譲 渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供する行為 三~二十二 (略) 2~11 (略) 45

資料5

参考資料1 公報におけるプライバシーの保護 産業構造審議会知的財産分科会 第12回商標制度小委員会 令和7年6月13日 令和7年1月17日 第51回特許制度小委員会 資料1 特許等公報発行制度の意義・目的 ➢ 特許庁は、特許法等に基づき公報を発行している。公報発行の主な目的は、以下の2点。 • 出願の公開:「出願情報」を一般に提供することで重複投資を防止し効率的な投資を促す • 権利の公示:各権利の範囲を示す「権利情報」を一般に提供することで紛争の回避に資するとともに その活用を促す ➢ 明治22年以降、公報発行により、出願情報及び権利情報等を広く情報提供。平成27年4月に全て の公報についてインターネットでの発行を実現。 ➢ インターネットを通じて無料で産業財産権情報の検索ができるサービスとして、独立行政法人工 業所有権情報・研修館(以下、INPIT)において、平成27年3月より「特許情報プラットフォー ム(J-PlatPat)」が運用開始(前身事業の「特許電子図書館(IPDL)」は、特許庁において平成11年より提供開始)。 本サービスでは公報情報にも簡便にアクセスが可能。 ➢ 特許情報標準データ(※)や諸外国の公報データなどをダウンロードできるサービスとして、 「特許情報の一括ダウンロードサービス」も提供している。 (※)特許庁が保有する特許・実用新案・意匠・商標に関する書誌・経過情報等について、情報の更新日単位でまとめられたバルクデータ。 出願人・権利者及び発明者等 ◆ 自身の出願・権利が公報に掲載。 ➢ インターネット公報 ➢ J-PlatPat ➢ 特許情報一括ダウンロードサービス 情報提供事業者 ◆ 産業財産権情報の提供事業や分析 事業等のために、公報等の産業財 産権情報にアクセス。 第三者ユーザー ◆ 他者の技術動向やクリアランス調 査等のため、公報等の産業財産権 情報にアクセス。 分析研究者 ◆ 技術動向等各種研究・分析のため に、公報等の産業財産権情報にア クセス。 1 現行制度の課題 令和7年1月17日 第51回特許制度小委員会 資料1 ➢ 公報においては、「権利の公示」の観点等より、出願人・権利者及び発明者等を特定するため、特 許法等に基づき氏名及び住所(居所)の個人情報を掲載。 ➢ インターネットでの公報発行により誰でも容易に個人情報にアクセスできるが、昨今、社会全体に おけるDXの進展に伴い、特許制度上、想定される利用範囲を超えた個人情報の転用や発信等も容易 になっている中、プライバシー保護の必要性が従前より高まっている。 ➢ 平成27-28年頃より、法改正を要さずに実施可能なJ-PlatPat(公報PDF表示以外)等の特許情報提 供サービスにおける住所概略化を順次開始したものの、その後も依然として多くのユーザーから、 公報における個人の出願人・権利者及び発明者等の住所非表示に関する要望が寄せられている。 ⇒出願人・権利者及び発明者等の住所情報の利活用とプライバシー保護の必要性の両側面を踏まえた上 で、DX時代にふさわしい制度的措置として、公報における住所表記の在り方を検討する必要がある。 過去の検討経緯 ✓ 平成28年に、知財分科会情報普及活用小委員会から「個人情報の保護を強化する必要性が高まっていることに鑑み、公報に掲載す る住所を概略化すべき。」旨の提言を受け、法改正の検討を実施したものの、その当時は立法事実※の不足等により法改正は見送り との結論となった。 ※当時は、個人住所掲載の課題が公報と特許情報提供サービスのどちらに起因するものか特定できなかったため、まずは 運用で対応可能な特許情報提供サービスでの住所概略化の効果を見た上で、法改正の必要性は引き続き検討とされた。 ユーザーからの非表示要望の理由 ✓ ✓ ✓ ✓ SNS等で活動している個人事業家であり、居住住所が公開されている現状は、 不特定多数から悪質な嫌がらせ等を受ける可能性を高くしている。 注目されているイラスト・クリエーターや芸能活動を行っている出願人の場合、 氏名や住所が勝手にネット記事などに転用されることや、一部の変質的なファ ン等によって身に危険が及ぶことが想定される。 自宅住所がネット検索等で発見されると、出願人本人だけでなく同居家族にも 被害が及ぶことが想定される。 商標出願したいが、個人情報が悪用される可能性があるため出願できない。 公報における住所記載の例 2 令和6年度調査研究 令和7年1月17日 第51回特許制度小委員会 資料1 公報に住所が掲載される者のニーズ ー 掲載希望の有無・理由 ー ➢ 公報における個人住所の掲載希望の有無について、希望しない者自体は50%~60%程度であり、 どちらでもよい者まで含めた希望のない者は80%~90%程度。 ➢ なお、掲載を希望する者においては、「ライセンス交渉等の連絡を受けるため」や「メーカーか らの問合せを受けるため」等が理由として挙げられている。 出願人・権利者 Q:掲載を希望する理由 Q:公報に自身の住所を掲載したいか 希望する 24% どちらでも 希望しない 57% よい 19% n=323 Q:公報に自身の住所を掲載したいか 希望する 13% よい 37% ライセンス交渉等の連絡を受けるため。 ✓ 住所情報で権利者を特定することでビジネスにおける利用が有利となるため。 ✓ 知名度向上のため。 ✓ 商談時に有効なため。 ✓ 権利者の所在を明確化するため。 ※個人・団体 発明者等 希望しない 50% どちらでも ✓ n=599 Q:掲載を希望する理由 ✓ メーカーからの問合せを受けるため。 ✓ 技術的な質問を受けることがあるため。 ✓ 問い合わせが容易になり色々な広がりができるため。 ✓ 会社内としているので不都合がないため。 ※個人・法人・大学発明者・団体 令和6年度産業財産権制度問題調査研究「公報における出願人等住所の概略表記に関する調査研究」(三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社) ■アンケート調査(※):対象:個人 319者・法人 280者・情報提供事業者 72者・分析研究者 9者・大学発明者 7者・団体 9者 ■公開情報調査:海外制度に関する情報収集 ※アンケート調査では、一部の設問を除き、(四法別ではなく)公報全般に係る設問を設定しており、本資料においても特記がないものは公報全般 に対する回答となっている。 3 令和6年度調査研究 令和7年1月17日 第51回特許制度小委員会 資料1 公報に住所が掲載される者のニーズ ー 支障の有無・内容 ー ➢ 住所の掲載による支障がないユーザーが多数の反面、一部のユーザーにおいては、ダイレクト メールによる実害や、自身の住所がインターネットで公開されることへの不安等が生じている。 (プライバシー保護のための制度的措置の必要性) 出願人・権利者及び発明者等 Q:どのような支障があったか ※複数回答可 Q:住所の掲載によって支障があったか (件) ダイレクトメール 51 住所公開への不安 ある 14% 46 出願することへの躊躇 14 13 その他 営業訪問 ない 86% 6 6 付きまとい被害 n=583 0 10 20 30 40 50 60 ※個人・法人・大学発明者・団体 支障の具体事例 ✓ ✓ ✓ ✓ ✓ ✓ 聞いたことのない団体から、企業向けの情報誌への掲載を求めるDMが届いた。 子供(発明者)の特許出願の際、住所等が公開されることに不安がある。 強盗被害等への不安感がある。 住所が晒されるためかなり出願を躊躇した。 ペンネームと本名とが紐付いてしまうことへの不安がある。 SNSにより、自動的に情報がアップされるものもあり、恐怖を感じた。 4 令和6年度調査研究 令和7年1月17日 第51回特許制度小委員会 資料1 公報掲載の住所情報を利活用する者のニーズ ー 第三者ユーザー ー ➢ 住所情報を利活用している第三者ユーザー(※)は10%~30%程度。 ➢ 第三者ユーザーにおける住所情報の利用目的は「特定の出願人・権利者等の抽出」や「ライセン ス等の接触」が多い。 (※)本アンケート調査で対象とした第三者ユーザーは、特許庁に出願したことがあるユーザー。 Q:出願人・権利者の住所情報を利用することがあるか ない Q:住所情報の利用目的(特許)※複数回答可 ある 個人(n=304) 84% 法人(n=280) 16% 65% 情報提供事業者(n=72) 35% 42% 58% 分析研究者(n=9) 100% 大学発明者(n=7) 86% 0% 20% 40% 14% 60% 80% Q:発明者等の住所情報を利用することがあるか ない 個人(n=306) 11% 20% 62% 5 86% 0% 20% 40% 20 30 40 50 60 (件) 33 統計や分析 29 14 その他 14% 60% 80% 70 55 同姓同名の判別 9 100% 大学発明者(n=7) 10 異議理由等の有無確認 38% 分析研究者(n=9) 16 15 特定の発明者等の抽出 ある 80% 情報提供事業者(n=72) 32 Q:住所情報の利用目的(特許)※複数回答可 89% 法人(n=280) 53 42 0 100% (件) 60 特定の出願人・権利者の抽出 ライセンス等の接触 同姓同名の判別 統計や分析 拒絶理由への対応 異議理由等の有無確認 その他 0 10 20 30 40 50 60 100% 5 令和6年度調査研究 令和7年1月17日 第51回特許制度小委員会 資料1 公報掲載の住所情報を利活用する者のニーズ ー 情報提供事業者・分析研究者 ー ➢ 情報提供事業者や分析研究者においては、多くのユーザーが住所情報を利活用している。 ➢ 情報提供事業者や分析研究者における住所情報の利用目的は「同姓同名の判別」や「特定の出願 人・権利者の抽出」、「統計や分析」が多い。 Q:出願人・権利者の住所情報を利用することがあるか ない Q:住所情報の利用目的(特許)※複数回答可 ある 個人(n=304) 84% 法人(n=280) 16% 65% 情報提供事業者(n=72) 35% 42% 58% 分析研究者(n=9) 100% 大学発明者(n=7) 86% 0% 20% 40% 14% 60% 80% 同姓同名の判別 特定の出願人・権利者の抽出 統計や分析 顧客への情報提供※ ライセンス等の接触 その他 異議理由等の有無確認 拒絶理由への対応 3 2 1 0 100% 5 (件) 27 26 15 5 10 15 20 25 30 32 35 ※「顧客への情報提供」は情報提供事業者のみ回答 Q:発明者等の住所情報を利用することがあるか ない 個人(n=306) Q:住所情報の利用目的(特許)※複数回答可 ある 89% 法人(n=280) 11% 80% 情報提供事業者(n=72) 20% 62% 38% 分析研究者(n=9) 100% 大学発明者(n=7) 86% 0% 20% 40% 14% 60% 80% 100% (件) 24 同姓同名の判別 統計や分析 特定の発明者等の抽出 顧客への情報提供※ 異議理由等の有無確認 その他 22 14 10 2 1 0 5 10 15 20 25 30 ※「顧客への情報提供」は情報提供事業者のみ回答 6 令和6年度調査研究 令和7年1月17日 第51回特許制度小委員会 資料1 公報掲載の住所情報を利活用する者のニーズ ー 概略表記による支障 ー ➢ 公報における個人の住所が概略表記であっても支障がないユーザーは88%。 ➢ 支障があるユーザーにおいて、支障がある利用目的は「ライセンス等の接触」が最も多く、同 ユーザー(12%)のうち、閲覧請求で代替可能であるユーザーは8%であったのに対し、閲覧請 求でも代替不可であるユーザーは4%にとどまる。 ➢ 概略表記のレベルについては、「いずれでもよい」を除くと、国内居住者については「市区町村 まで」、在外者については「都市名まで」の希望が多い。 Q:出願人・権利者の住所が概略表記であった場合の支障の有無 (支障ありの場合は閲覧請求での代替可否) 支障があるが、閲覧 請求で代替可能 8% 支障があり、閲覧 Q:概略表記のレベルの希望 請求でも代替不可 4% 国内居住者 いずれでもよい 40% 支障がない 88% 在外者 都道府県まで 23% 市区町村まで 37% 国名まで 14% いずれでもよい 40% 州又は県まで 12% 都市名まで 34% n=684 ※発明者等の住所についても同傾向の結果であった。 7 令和6年度調査研究 令和7年1月17日 第51回特許制度小委員会 資料1 (参考)各国・地域の公報の状況等 ➢ 主要な海外庁が発行する公報については、多くが概略表記対応しており、出願人・権利者と発明 者等の両方とも住所を完全表記している国は日本のみ。 ➢ この他、PCT国際出願に係る国際公開において住所(あて名)が全表記されているが、昨今の個 人情報保護・プライバシーの一般原則と整合をとるべく、現在、住所など個人情報への公衆アク セスに係る見直しの検討が進められている。 特許 実用新案 意匠 商標 出願人・ 権利者 発明者 出願人・ 権利者 考案者 出願人・ 権利者 創作者 出願人・ 権利者 日本 完全 完全 完全 完全 完全 完全 完全 米国 概略 概略 - - 概略 概略 完全 欧州 概略 概略又は非表示 - - 完全 取得なし 完全 中国 完全、 外国人は概略 取得なし 完全、 外国人は概略 取得なし 完全、 外国人は概略 取得なし 完全 韓国 完全、自然人の み概略可 完全又は概略 完全、自然人の み概略可 完全又は概略 完全、自然人の み概略可 完全又は概略 完全、自然人の み概略可 PCT国際出願に係る検討状況 ※PCT/WGの作業文書より(PCT/WG/17/8及びPCT/WG/17/9) 出願人については(出願人又は代理人のうち、少なくともいずれか1人の住所は必要であるものの、)他の出願人の住所を、発明者につ いては(氏名は必須であるものの、)全員の住所を公衆アクセスから除外することを可能とするPCT規則改正草案について検討中(発明 者名については、統計分析に十分な情報(例:国名又は都市名の概略表記)との併記が一案として提示(PCT/WG/17/8のパラ25))。 8 他法域の状況(プライバシー保護に関する検討動向) 令和7年1月17日 第51回特許制度小委員会 資料1 ➢ プライバシー保護の観点から、法務省において以下2つの制度見直しの検討が実施された。 ✓ インターネット・SNSの普及等により、住所を公開することへの抵抗感からの起業の躊躇など につながることを懸念する声の高まりを受けて、商業登記規則等の改正により、代表取締役等 住所非表示措置が創設された(令和6年10月1日施行)。 ✓ 破産者マップ問題を受け、法制審議会(民事執行・民事保全・倒産及び家事事件等に関する手続(IT化関係)部 会)において検討。個人破産者のプライバシー保護の観点から、破産手続における官報公告を廃 止すべき等の意見が出されたものの、同公告は破産債権者の財産権を保障するための手段であ るなどとして反対する意見又は慎重な意見があったことから、制度的措置は見送りとなった。 代表取締役等住所非表示措置 ※法務省HP「代表取締役等住所非表示措置について」より 一定の要件の下、登記事項証明書等において株式会社の代表取締役等の住所を一部表示しないこととする措置(住所表示は最小行政区 画として「市区町村」まで(東京都においては特別区まで、指定都市においては区まで))。 破産者マップ問題 官報での公告情報を基にしたと思われる「破産者マップ」 が2019年にインターネット上に公開。地図上に破産者等(過去に破産申立 した者、個人再生申立した者等)の住所地がマークされ、そのマーク周辺の破産者等の氏名・住所も表示されるもの。個人情報保護委 員会からの行政指導で当該サイトは閉鎖されたが、次々と同様のサイトが現れ、中には情報の削除に金銭の要求をするサイトまで出現。 破産手続における官報公告の廃止等に反対・慎重な意見 ※民事執行・民事保全・倒産及び家事事件等 に関する手続(IT化関係)の見直しに関する中間試案の補足説明 (令和4年8月法務省民事局参事官室)P64より ➢ 公告には善意又は悪意の推定の効果があり(破産法第51条)、その効果は実務上重要な意味があるが、官報での掲載がされないなど 裁判所外における公示がされないと、その仕組みに影響を及ぼし得る。 ➢ 与信管理業務を行う者は官報への掲載を通じて直接又は間接にその情報を得ており、その仕組みが設けられないと実務上大きな影響 がある。 ➢ 配当等がない同時廃止事件に限定して公告を見直すといったことについても、免責の効果は通知がされない債権者にも及び、その公 告には、免責についての意見申述の機会を保障する意味がある。 9 対応の方向性(公報における住所表記の在り方) 令和7年1月17日 第51回特許制度小委員会 資料1 ➢ 公報に住所が掲載される者側のニーズによれば、公報における個人の住所は一律非表示が望まし いが、他方、住所情報を利活用する者側のニーズによれば、公報掲載情報においても一定の個人 特定性を担保できる方が望ましいと考えられる(後者のニーズのうち、「ライセンス交渉」での利用目的について は、出願書類や登録原簿等の閲覧請求で対応可能)。 ➢ こうしたユーザーニーズのバランスをとりつつ、 DX時代における個人のプライバシーを適切に 保護するため、他法域での状況も踏まえ、公報における個人の出願人・権利者及び発明者等の住 所は概略表記(国内居住者については市区町村まで(※) 、在外者については都市名まで)とすべく、所要の制度改 正(特許法第64条第2項等の改正)を行うこととしたい。 検討におけるポイント (※)東京都においては特別区まで、指定都市においては区までの表記とする。 (公報に住所が掲載される者のニーズ) ・公報への住所掲載については、希望のない者が大部分。<P3> ・住所掲載の支障としてDM等の実害は一定数に上る。<P4> ・他法域での現状(破産者マップ問題等)も踏まえれば、その他の 住所掲載に対する不安・懸念も見過ごし難い(DX時代にふさわし い措置の必要性)。<P2、4、9> ・J-PlatPat等での住所概略化以降も、公報における住所非表示に関 する要望が多く寄せられている。<P2> (公報掲載の住所情報を利活用する者のニーズ) ・第三者ユーザーにおける利用目的は、「特定の出願人・権利者 等の抽出」や「ライセンス等の接触」が多い。<P5> ・情報提供事業者・分析研究者における利用目的は、「同姓同名 の判別」や「特定の出願人・権利者の抽出」、「統計や分析」 が多い。<P6> (・概略表記で支障があり、閲覧請求でも代替不可であるユーザー はごく一部。<P7> ) ⇒公報情報として、一定の個人特定性の担保が求められると考え られる。 (出願人・権利者及び発明者等の確認方法) ・公報や特許情報提供サービス(P1)の他、出願書類や登録原簿等を閲覧請求(※)することにより、出願人・権利者及び発明者 等を確認することが可能(登録原簿の閲覧請求では、公報情報とは異なり、最新の権利者情報を確認することができる)。 (※)特許(特許庁のファイルに記録されている事項に限る。)については特許公報発行の日から1年間、商標については商標公 報発行の日から2月間は、手数料無料で閲覧(縦覧)することができる。 10 ※青字のページ数のみ「第51回特許制度小委員会 資料1」より改変。