議事要旨
。
第18回意匠制度小委員会 議事要旨
1. 日時・場所
日時:令和7年4月3日(木曜日) 16時00分~18時00分
場所:特許庁特別会議室(特許庁庁舎16階)+Web会議室
2. 出席者
相澤委員、青木委員、小川委員、長田委員、影広委員、加藤委員、黒田委員、せきぐち委員、田村委員長、野田委員、バヒスバラン委員、松本委員
3. 議題
(1)仮想空間におけるデザインに関する意匠制度の在り方について
(2)公報におけるプライバシーの保護について
4. 議事内容
事務局より、資料1に沿って、説明が行われた。
議題について、自由討議が行われた。
以上
[更新日 2025年4月9日]
お問い合わせ
特許庁総務部総務課制度審議室
TEL:03-3581-1101 内線2118
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資料1
産業構造審議会知的財産分科会
第18回意匠制度小委員会
議事次第・配布資料一覧
日
時:令和7年4月3日(木)16時00分開会
会
場:特許庁庁舎16階特別会議室+Web会議室
(議事次第)
1.開会
2.仮想空間におけるデザインに関する意匠制度の在り方について
3.公報におけるプライバシーの保護について
4.閉会
(配布資料)
議事次第・配布資料一覧
委員名簿
資料1 意匠制度に関する検討課題について
(うち、参考資料1
公報におけるプライバシーの保護)
資料2
令 和 7 年 4 月 3 日
第 18 回意匠制度小委員会
産業構造審議会
知的財産分科会
意匠制度小委員会
委員名簿
相澤
清晴
東京大学情報基盤センター
特任教授
青木
大也
大阪大学大学院法学研究科
准教授
小川
亮
公益社団法人日本パッケージデザイン協会 専務理事/
株式会社プラグ
代表取締役
長田
新子
一般社団法人 Metaverse Japan
代表理事
影広
達彦
一般社団法人日本デジタル空間経済連盟
株式会社日立製作所研究開発グループ
R&D 先端 AI イノベーションセンタ
加藤
正敏
日本商工会議所
黒田
薫
阿部・井窪・片山法律事務所
せきぐち
委員長
あいみ
主管研究長
パートナー弁護士
VR アーティスト
善之
東京大学大学院法学政治学研究科
野田
一隆
日本知的財産協会意匠委員会
教授
委員長/
日本たばこ産業株式会社知的財産部
松本
直子
薫
Digital Innovation
理事・産業政策第一部長
田村
バヒスバラン
理事/
シティユーワ法律事務所
日本弁理士会
課長代理
意匠委員会
弁護士
委員/弁理士
(敬称略、五十音順)
資料3
資料1
意匠制度に関する検討課題について
産業構造審議会知的財産分科会 第18回意匠制度小委員会
令和7年4月3日
仮想空間におけるデザインに関する意匠制度の在り方
1
前回の内容を踏まえた今回の本小委員会の予定
<前回の本小委員会の内容>
➢ 事務局からの説明後、各委員から御意見をいただいた。
<今回の本小委員会の予定>
➢ 前回の本小委員会の内容を踏まえ、以下の2点について事務局から御報告・御提案。
1. 意匠制度見直しの必要性
2. 意匠制度見直しを行う場合の制度的措置の方向性
➢ その上で、事務局からの御報告・御提案について御意見をいただきたい。
2
意匠制度見直しの必要性及び制度的措置の方向性について
➢ 仮想空間ビジネスは今後も発展が見込まれる中、意匠制度見直しの必要性の検討にあたっては、
次の①~⑤を考慮した上で、⑥仮想空間におけるデザインの意匠法による保護の意義を踏まえた
判断が必要。
① 仮想空間ビジネスの現状と今後の発展の見込み
② 仮想空間に関連するデザイン模倣の実態
③ 他の法律による保護の状況
④ 海外の意匠制度における保護の状況
⑤ 意匠制度見直しの必要性に関する現実空間・仮想空間のビジネス主体の意見
➢ また、意匠制度見直しを行う場合の制度的措置の方向性についても、現実空間・仮想空間のビジ
ネス主体及び学識者の意見やデザインの模倣の実態を踏まえつつ、 現実空間・仮想空間のビジネ
ス主体双方にとっての保護と利用のバランスに配慮し、現行意匠法及び他の法律による保護と整
合する形で検討を深めることが必要。
⚫ 現実空間・仮想空間のビジネス主体及び知財法学者に対し、補充ヒアリングを実施。
⚫ 以下では、これまでのヒアリング結果等を踏まえた、意匠制度見直しの必要性及び制度的措置の
方向性に関する案を御提示したい。
3
①仮想空間ビジネスの現状と今後の発展の見込み
仮想空間ビジネスの現状と今後の発展の見込み
➢ 総務省が令和6年10月に公表した報告書によれば、全世界のメタバース市場は、 2030年には5000億
ドル以上に達する見込みであり、今後も更なる拡大が予想されている。特に、メタバースに係る既存の
技術を産業に応用するインダストリアルメタバースが注目を集めている。
➢ その中で、日本のメタバース市場規模も、2027年度には2兆円以上に及ぶと予測されている。
(出典)総務省「安心・安全なメタバース
の実現に関する研究会報告書2024 概要」
(令和6年10月)5頁
https://www.soumu.go.jp/main_conten
t/000974752.pdf
4
①仮想空間ビジネスの現状と今後の発展の見込み
仮想空間ビジネスの現状と今後の発展の見込みに関する主な意見
➢ 仮想空間ビジネスの現状と今後の発展の見込みに関し、ヒアリングで聴取した主な意見は以下の
とおり。
現実空間のビジネス主体の意見
•
•
メタバースに過度な期待をし、短期で利益回収
•
しようとするような企業は、思い通りにならず、
離れている状況にある。他方で、2024年の夏か
らVRChatのユーザー数が増え、ビジネスチャ
ンスは拡大している。
建築業界では、DX化の流れの中で、BIM
(Building Information Modeling)と呼ば
•
れる、現実の建物等の3Dの情報とその建物に使
われている建材等の情報をセットにしたデータ
ベースを、設計フェーズだけではなく施行、施
主に引き渡した後のメンテナンス、エネルギー
マネジメントも含めて、メタバース上で使って
いこうというビジネスの動きがある。
仮想空間のビジネス主体の意見
2024年夏、ゲーム実況者で著名な
YoutuberによってVRChatが紹介されて以
降、ユーザーが増加している。連動して、
自身が販売する3Dモデルの取引量・売上額
も明らかに増えている。購入者としては20
~30代が多い。
10代後半にとってはVtuberを見ることが
普通になっている。仮想空間におけるコ
ミュニケーションは、場所や移動時間の制
限がなく、生産性が高いことから、今後の
発展に期待できると考える。
5
①仮想空間ビジネスの現状と今後の発展の見込み
イマーシブメディアに関する認知・理解度、利用状況等
➢ 「イマーシブメディア(3DCG技術を用いたゲーム・メタバース・拡張型広告)」について、電通が
2024年に調査を実施。本調査の主な結果とその考察は以下のとおり。
✓ イマーシブメディア利用者における3Dコンテンツの制作経験者は約5割 (48.8%)、その中でも最
も多く「よく制作している」と回答した世代は20代(23.2%)。
✓ イマーシブメディアの現在の利用者の割合は10代が最も高い一方で、3Dコンテンツ制作経験者は
20代・30代の男性の割合が高い。
✓ 後に「イマーシブメディアネイティブ世代」と言われるような今の10代が年齢を重ねて自分のPCを
保有する頃には、技術革新によって開発も容易になり、より多くの良質な3Dコンテンツが供給され
ることになり、それにより、このイマーシブメディア市場が一層拡大していくと考えられる。
(出典)株式会社電通のウェブサイト「電通、「イマーシブメ
ディアに関する調査2024」を実施」
https://www.dentsu.co.jp/news/release/2024/1031010795.html
6
②仮想空間に関連するデザイン模倣の実態
仮想空間に関連するデザイン模倣の実態
➢ 仮想空間に関連するデザイン模倣としては、①【現実空間→仮想空間の模倣】現実空間の物品等の形状
等を模した3Dモデルの取引や利用の事例、②【仮想空間→仮想空間の模倣】既存の3Dモデルの形状等
を模した3Dモデルの取引やサービス提供の事例等が確認されている。
➢ 模倣は主に、仮想空間で利用可能な3Dモデルを販売するコンテンツプラットフォームと、ゲームをメイ
ンコンテンツとする仮想空間プラットフォームにおいて、国内外を問わず発生している。
➢ 模倣品の取引態様としては、有償取引と無償取引の両方があり、単一の3Dモデルを提供している場合も
あれば、複数の3Dモデルをセットで提供している場合もある。
➢ コンテンツプラットフォームで流通している3Dモデルは、複製可能なデータ形式で提供されている場合
が多く、利用規約によって禁止していたとしても、第三者が容易に模倣品を作成し流通させることが可
能との声もあった。
仮想空間に関連するデザイン模倣の事例
① 現実空間→仮想空間の模倣
• 現実空間の物品等の形状等を模した3Dモデルを、コンテンツプラットフォームで取引(有償/無償)
• 現実空間の物品等の形状等を模した3Dモデルを、仮想空間プラットフォームで提供されるゲーム内で取引
(有償/無償)・利用
② 仮想空間→仮想空間の模倣
• 既存の3Dモデルの形状等を模した3Dモデルを、コンテンツプラットフォームで取引(有償/無償)
• 既存のコンシューマーゲームに登場するアイテムを模した3Dモデルを、コンテンツプラットフォームで取
引(有償/無償)
• (家具メーカーが設計業者向けに無償で公開している)3Dモデルのデータを無許諾で使用したインテリアシ
ミュレーターを、サブスクリプションサービスとして提供
7
②仮想空間に関連するデザイン模倣の実態
<参考>現実空間→仮想空間の模倣(1)
①【現実空間→仮想空間の模倣】現実空間の物品等の形状等を模した3Dモデルの取引や利用の事例として
は、例えば、次の事例が挙げられる。
<現実空間の物品等の形状等を模した3Dモデルを、コンテンツプラットフォームで取引(有償/無償)>
現実空間の物品
コンテンツプラットフォームで取引されている3Dモデル(模倣品)
模倣
現実空間の物品の形状等を模した3Dモデ
ルの取引(無償)
上記3Dモデルに写真を撮影する仕掛けが
付加されたものの取引(有償)
上記3Dモデルにビーム光を発出する等の
仕掛けが付加されたものの取引(有償)
仕掛けが付加された3Dモデルの例
①カメラを振るごとに
パーティクルが現れ、
②3回振るとビーム音
及びビーム光を発出す
るという仕掛けが
が付加されている。
1
2
8
②仮想空間に関連するデザイン模倣の実態
<参考>現実空間→仮想空間の模倣(2)
<現実空間の物品等の形状等を模した3Dモデルを、仮想空間プラットフォームで提供されるゲーム内で取引(有償/無償)・利用>
現実空間の物品
仮想空間プラットフォームで提供されるゲーム内で取引・利用されている3Dモデル(模倣品)
模倣
模倣
9
②仮想空間に関連するデザイン模倣の実態
<参考>仮想空間→仮想空間の模倣(1)
②【仮想空間→仮想空間の模倣】既存の3Dモデルの形状等を模した3Dモデルの取引やサービス提供の事
例としては、例えば、次の事例が挙げられる。
<既存の3Dモデルの形状等を模した3Dモデルを、コンテンツプラットフォームで取引(有償/無償)>
既存の3Dモデル
コンテンツプラットフォームで取引されている3Dモデル(模倣品)
模倣
国内コンテンツプラット
フォームで、模倣した3Dモデ
ルを取引(有償)している事
例
海外コンテンツプラットフォー
ムで、アバターの取引(有償)
のオプションとして、模倣した
3Dモデルもセットで取引してい
る事例
海外コンテンツプラットフォームで、
模倣した3Dモデルを取引(無償)
している事例
10
②仮想空間に関連するデザイン模倣の実態
<参考>仮想空間→仮想空間の模倣(2)
<既存のコンシューマーゲームに登場するアイテムを模した3Dモデルを、コンテンツプラットフォームで取引(有償/無償)>
既存のコンシューマーゲームに登場するアイテム
コンテンツプラットフォームで取引されている3Dモデル(模倣品)
模倣
有償取引の事例
無償取引の事例
<他社の3Dモデルのデータを無許諾で使用したインテリアシミュレーターを、サブスクリプションサービスとして提供>
家具メーカーが設計業者向けに
無償で公開している3Dモデルのデータ
他社の3Dモデルのデータを使用したインテリアシミュレーター
無許諾使用
11
③他の法律による保護の状況
意匠法・著作権法・不正競争防止法第2条第1項第3号の比較
著作権法
不正競争防止法
(第2条第1項第3号)
目的
意匠の保護と利用を図ることに
より、意匠の創作を奨励し、産
業の発達に寄与すること
著作者がもつ権利を保護するととも
に、著作物の公正な利用を確保する
ことで、文化の発展に貢献すること
事業者間の公正な競争及びこれに関
する国際約束の的確な実施を確保す
るため、不正競争の防止及び不正競
争に係る損害賠償に関する措置など
を講じ、もって国民経済の健全な発
展に寄与すること
保護
対象
物品、建築物及び画像の意匠
著作物
(思想又は感情の創作的な表現)
商品(無体物を含む)の形態
保護
期間
出願から最長25年間
原則、創作から著作者の死後70年間
日本国内での販売開始から3年間
意匠権者に無断で業として登録
意匠と同一又は類似の意匠を実
施した場合
→意匠権侵害に該当
(…依拠性要件なし)
既存の著作物に類似し、依拠したと
認められる作品を、当該著作物の著
作権者に無断で利用した場合
→著作権侵害に該当
(…依拠性要件あり※)
他人の商品の形態に依拠してこれと
実質的に同一の形態の商品を作り出
した場合
→模倣に該当
(…依拠性要件あり)
意匠法
侵害
要件
※最判昭和53年9月7日民集32巻6号1145頁
依拠性:他人の著作物に接し、それ
を自己の作品の中に用いていること
12
③他の法律による保護の状況
物品の形状等に係る仮想オブジェクトの無断販売等への法的対応
<著作権法>
➢ 後述するとおり、知財法学者に対するヒアリングでは、物品の形状等に係る仮想オブジェクトは、著作
物性が否定され得るとの意見・肯定され得るとの意見がそれぞれ複数あり、著作権法で著作物として保
護されるか意見が分かれている状況であった。
物品の形状等に係る仮想オブジェクトが著作物に該当しない場合、第三者による無断販売等に対し、
著作権法に基づく権利行使はできない。
<不正競争防止法第2条第1項第3号>
➢ 物品の形状等に係る仮想オブジェクト は、「商品の形態」に該当すれば形態模倣行為の規制における
保護対象になるが、同規制が及ぶのは、国内販売開始から3年間、実質的同一性(デッドコピー)等の
要件が満たされた場合に限る。
(※1)真正品であることを前提とする。
(※1)
①国内販売開始から3年以内であっても実質的同一性がない場合や、②国内販売開始から3年経過し
た場合、第三者による無断販売等に対し、形態模倣行為として規制できない。
⇒ 物品の形状等に係る仮想オブジェクトを第三者が無断で販売するケースにおいて、著作権法・不
正競争防止法第2条第1項第3号では法的対応ができない可能性がある。
物品の形状等に係る仮想オブジェクト
の無断販売等に対する法的対応
著作権法
不正競争防止法
第2条第1項第3号
実質的同一性あり
国内販売販開始
から3年以内
国内販売開始
から3年経過後
△
(そもそも、著作物として保護されるか
意見が分かれている)
〇(※2)
著作権法・不正競争防止法
第2条第1項第3号では、
法的対応ができない可能性
がある。
×
(※2)「商品の形態」に該当する場合
実質的同一性なし
×
×
13
③他の法律による保護の状況
著作権法・不正競争防止法第2条第1項第3号の保護に関する主な意見(1)
➢ 著作権法・不正競争防止法第2条第1項第3号の保護に関し、ヒアリングで聴取した主な意見は
以下のとおり。
著作権法の保護に関する意見
•
現実空間の製品(実用品)のデザインが仮想空間で模倣された場合、著作権法は使えない。
•
著作権法で保護されない場合、模倣対策ができないという問題を抱えている。
•
現在は著作権法での対応が考えられるが、実際には模倣に対応できないので痛し痒しというとこ
ろがある。
不正競争防止法2条1項3号の保護に関する意見
•
問題になっているケースは3年を過ぎているものが多く、実際に使えるのは限定的。例えば、古
い製品のデザインのように、ずっと使われているものに対するフリーライドを予防したい。
•
4年後とかに模倣品が売れ出したときに何もとりうる手段がないのは良くない。
•
実質的同一性については、保護範囲として狭すぎるため、類似性まで保護してほしい。
•
不正競争防止法は、中々使いにくいというところがあり、不正競争防止法の保護の強化を要望す
ることはない。
14
③他の法律による保護の状況
著作権法・不正競争防止法第2条第1項第3号の保護に関する主な意見(2)
著作権法・不正競争防止法2条1項3号の保護と意匠法の保護を比較した意見
•
仮想空間に関連するデザインの模倣については、依拠性を侵害要件としない意匠法の規制の方が
望ましい。
•
他社にライセンスする際、ゲーム内のアイテムのうち実用品に近いものは、著作物か微妙である
ため何の法律に基づいて許諾するか微妙なところ。意匠権で保護される場合、登録証等で権利の
存在が明確なため、ライセンスの根拠としてわかりやすい。また、具体的にビジネスとして進み
そうなものだけ登録するという選択も可能。アジアで模倣して使われるケースで、日本で意匠権
の登録があることを示すこともでき、メリットがある。
•
権利保護のために知財ミックスで、あらゆる権利に基づいて保護するという方針をとっている。
著作権法でも不正競争防止法第2条第1項第3号でも権利として認められるかもしれないが、意
匠法のように登録証があることのメリットは大きい。
•
セーフティネットとして、不正競争防止法や著作権法の保護が十分ではない部分に意匠法の保護
がオーバーラップしてもいい。クリエーターは、3Dモデルは著作権で守るのが何もしなくてよい
のでスタンダードだと思っているところはあるが、これからは意匠権がスタンダードになるのが
いいのかなと思う。基本は意匠権で権利が主張できる、著作権でも主張できるかしれないという
社会に変わっていくのがよい。
15
③他の法律による保護の状況
著作権法による保護との関係(知財法学者ヒアリングの概要)
➢ 意匠法による保護と著作権法による保護との関係に関する意見聴取を目的として、知財法学者8
名にヒアリングを実施した。
知財法学者ヒアリング
目的
意匠法による保護と著作権法による保護との関係に関する意見聴取
期間
令和6年12月~令和7年3月
対象者(※)
• 東北大学大学院法学研究科
• 九州大学大学院芸術工学研究院
• 早稲田大学法学学術院
• 京都大学大学院法学研究科
• 慶應義塾大学大学院法務研究科
• 上智大学法学部国際関係法学科
• 神戸大学大学院法学研究科
• 学習院大学法学部
蘆立
麻生
上野
愛知
奥邨
駒田
前田
横山
順美 教授
典 准教授
達弘 教授
靖之 教授
弘司 教授
泰土 教授
健
教授
久芳 教授
主な事項
• 物品の形状等を模した仮想オブジェクトの著作物性
• 意匠法による保護拡大と著作権法による保護の重なり合い
• 依拠性要件を侵害要件としない意匠法による保護拡大が与える影響
• 方向性③に対する著作権法の観点からの許容性
(※)対象者の所属は、ヒアリング実施時点のものである。
16
③他の法律による保護の状況
著作権法による保護との関係(知財法学者ヒアリングの結果)
物品の形状に係る仮想オブジェクトの著作物性
➢ 物品の形状等に係る仮想オブジェクトについて、実用品(応用美術)として著作物性の判断をし
た結果、著作物性が否定され得るとの意見、創作的表現として認められれば、著作物性が肯定さ
れ得るとの意見がそれぞれ複数あり、著作権法で保護されるか意見が分かれている状況であった。
意匠法による保護拡大と著作権法による保護の重なり合い
➢ 意匠法による保護を拡大した場合に著作権法による保護と重なり合うことについては、許容され
るとの意見が多かった。この点に関連して、「著作権法と意匠法の趣旨・目的等は異なっており、
また、現在も著作権法と意匠法の保護は重なり合っているため、保護の重なり合いは許容され
る」、「意匠法固有の理由によって保護すべきであるならば、結果として著作権法の保護と重な
り合うことも許容される」、「意匠法が著作権法に遠慮すべきかという観点よりも、意匠法によ
る保護が望ましいかという観点が重要」といった指摘があった。
➢ 他方で、保護の重なり合いに関する課題や懸念として、「(著作権法が対峙してきた)表現の自
由との緊張関係をいかに調整できるかが重要」、「意匠権と著作権の侵害要件は異なるため、思
わぬところで意匠権の行使がされて予測可能性を害しないよう調整が必要」といった指摘もあっ
た。
17
③他の法律による保護の状況
著作権法による保護との関係(知財法学者ヒアリングの結果)
依拠性要件を侵害要件としない意匠法による保護拡大が与える影響
➢ 依拠性を侵害要件としない意匠法による保護を拡大が与える影響について、クリアランス調査の
負担が増加する懸念があるとの意見、萎縮効果があるため、そこに配慮することが保護拡大にあ
たって重要との意見があった。この点に関連して、「実施行為を限定すること等によって、クリ
アランス調査の負担や萎縮効果を限定的にすることは可能ではないか」といった指摘が複数あっ
た。
著作権による保護との関係
⚫ 物品の形状等に係る仮想オブジェクトは、著作権法で保護されるか意見が分かれている状況であ
るところ、意匠法による保護を拡大した場合に著作権法による保護と重なり合うことは、許容さ
れるとの意見が多かった。
⚫ 保護の重なり合いに関する課題や懸念、クリアランス調査の負担や萎縮効果に配慮しつつ、意匠
法による保護を拡大することは、著作権法による保護との関係でも許容されると考えられる。
18
④海外の意匠制度における保護の状況
仮想空間における意匠の保護に関する諸外国・地域の状況 【日本】
<保護対象>
➢ 機器の操作の用に供されるもの(操作画像)又は機器がその機能を発揮した結果として表示されるもの
(表示画像)を「画像」として保護する。
<権利の効力>
➢ 意匠権者は業として登録意匠及びこれに類似する意匠の実施をする権利を専有し、画像の意匠について
は、画像に係る実施行為が適用される。
「画像」の意匠の実施行為
意匠に係る画像の作成、使用又は電気通信回線を通じた提供若しくはその申出(提供のための展示を含む。)をする行為及び意匠
に係る画像を記録した記録媒体又は内蔵する機器の譲渡、貸渡し、輸出若しくは輸入又は譲渡若しくは貸渡しの申出をする行為
(参考)「物品」の意匠の実施行為
意匠に係る物品の製造、使用、譲渡、貸渡し、輸出若しくは輸入(外国にある者が外国から日本国内に他人をして持ち込ませる行
為を含む。)又は譲渡若しくは貸渡しの申出(譲渡又は貸渡しのための展示を含む。)をする行為
<操作画像に該当する仮想空間用画像の例>
「音楽再生用画像」
仮想空間上でプレイリストアイコンを選択す
ることで音楽の再生を開始する画像
「アイコン用画像」
仮想空間上でクリックすると天気
予報のアプリケーションソフト
ウェアが立ち上がる操作ボタン
<表示画像に該当する仮想空間用画像の例>
「機器使用時間表示画像」
機器を使用した時間を仮想空間
上に表示するための画像
19
④海外の意匠制度における保護の状況
仮想空間における意匠の保護に関する諸外国・地域の状況 【韓国】
<保護対象>
➢ 機器の操作に使用されるもの(操作画像)又は機器の機能を発揮するもの(いわゆる表示画像)を「画
像」の意匠として保護する。
➢ 加えて、機器の操作や機能の発揮と関係のない画像については、物品(ディスプレイパネル等)に表示
された画面デザイン(「画像」ではない「物品」)として保護する。
<権利の効力>
➢ 意匠権者は業として登録意匠及びこれに類似する意匠の実施をする権利を専有し、画像の意匠について
は、画像に係る実施行為が適用され、物品に表示された画面デザインについては、物品に係る実施行為
が適用される。
<昨今の動向>
➢ 2024年11月、デジタル環境で創作されるデザインを意匠の保護対象に含める法案が国会に提出された。
仮に法改正がなされた場合、画像の意匠の保護が拡充され、仮想空間におけるデザインの保護範囲が広
がることとなる。(※)
<物品に表示された画面デザインの例>
GUI付き電子機器
画面デザインが表示されたディスプレイ画面
<画像の意匠の例>
情報機器用アイコン
(意匠登録番号:3012232830000)
(※)2024年11月19日にデザイン保護法の一部改正法律案(議案番号:2205682)が提出された。法案の主要な内容として、画像の意匠の定義(第2条第2号の2)における「『機器の操作に利用
されるか機能が発揮されるものに限り、画像の部分を含む』」を「(画像の部分を含む)」に改める点が含まれている。
(参考)図例は、「ID5 Catalogue on the Practices on the Protection of New Technological Design (2.0.0 (Jan 2025))」等をもとに作成。https://id-five.org/
20
④海外の意匠制度における保護の状況
仮想空間における意匠の保護に関する諸外国・地域の状況 【米国】
<保護対象>
➢ 「製造物品(an article of manufacture) 」に応用または具現化されたデザインを保護の対象とする。
➢ すなわち、物品から離れた形状等の単体では保護の対象とはならず、表示画面(ディスプレイ等)に表示さ
れる形状等が物品に具現化されたものとして登録を受けることができる。
<権利の効力>
➢ 米国特許法は、「本法に別段の定めがある場合を除き、特許の存続期間中に、権原を有することなく、特許
発明を合衆国において生産、使用、販売の申出若しくは販売する者、又は特許発明を合衆国に輸入する者は
特許を侵害する。」と規定する。
➢ すなわち、権限を有しない者による、特許発明の米国内における生産、使用、販売の申し出若しくは販売、
米国への輸入が侵害行為に当たると規定されている。
<昨今の動向>
➢ 2022年4月、 USPTO(米国特許商標庁)は、意匠の製造物品要件に関する意見募集の結果を公表。
➢ 仮想現実・拡張現実のような技術に関して、意匠の保護対象を拡大することに賛成する意見が多数であり、
USPTO長官は、この意見募集の結果を踏まえて、関連する審査基準・法令・審査便覧の見直しを開始する
とした。
<意匠特許の例>
製造物品:
DISPLAY SCREEN WITH VIRTUAL THREE-DIMENSIONAL VEHICLE ICON OR
DISPLAY SYSTEM WITH VIRTUAL THREE-DIMENSIONAL VEHICLE ICON
(仮想3D乗り物アイコン付きディスプレイ画面又は仮想3D乗り物アイコン付きディ
スプレイシステム)
意匠特許番号:US D1,067,267 S
意匠特許権者:NIKE Inc.
製造物品:
DISPLAY SYSTEM WITH A VIRTUAL THREE-DIMENSIONAL
GRAPHICAL USER INTERFACE
(仮想3D GUI付きディスプレイシステム)
意匠特許番号:US D797,767 S 意匠特許権者:Microsoft Corporation
(※)いずれの意匠特許例においても、図は公報掲載図のうち一部のみを掲載。
21
④海外の意匠制度における保護の状況
仮想空間における意匠の保護に関する諸外国・地域の状況 【欧州(EU)】
<保護対象>
➢ 工業又は手工芸による物品を「製品(product) 」といい、「製品」を意匠として保護する。
➢ 「製品」の解釈について、従前から、無体物であるGUIやアイコン等も「製品」に該当するものと解され、保
護の対象となっていたところ。
➢ 2024年、意匠の定義等についてEU意匠規則の改正が行われ、保護対象となる製品は、物理的なものに具現化
されているか、非物理的な形態に具現化されているか問われない点が明確化された。
<権利の効力>
•
意匠権者は、意匠を独占的に使用する権利と、意匠権者の同意を得ない第三者がその意匠を使用することを防止
する権利を有する。禁止され得る行為として、以下の行為が例示されている。
• 意匠が組み込まれた、又は意匠が適用された製品の製造、提供、上市、使用等。
• 意匠が組み込まれた、又は意匠が適用された製品の製造を可能にする目的で、デザインを記録した媒体またはソフトウェア
を作成、ダウンロード、コピー、共有または他者に配布すること。
<昨今の動向>
•
2024年12月、デジタル技術を用いた新たな種類のデザインを保護対象とする内容を含む、上記の改正EU意匠
規則が施行された。改正規則は、2025年5月1日以降に段階的に適用が始まる予定。
<登録例>
製品:Icons(アイコン)
意匠登録番号: 001392153-0016
意匠権者:Apple Inc.
製品: Animated icons, Animated images
(動画のアイコン、動画の画像)
意匠登録番号: 009186091-0003
意匠権者:Moonbug Entertainment Limited
※図は公報掲載図のうち一部のみを掲載。
22
④海外の意匠制度における保護の状況
仮想空間における意匠の保護に関する諸外国・地域の状況 【まとめ】
➢ 仮想空間における意匠の保護について、我が国は、現行意匠法上、操作画像・表示画像に限定しており、
限定的である。一方、日米欧中韓のうち、中国 では意匠法による保護に向けた動きは確認されていな
いが、欧州、米国、韓国では、意匠法による保護の明確化・強化に向けた動きがある。
(※)
※仮想空間における意匠の保護について、中国は、原則、物品(電子機器等)に適用されるGUIに該当する場合に保護され得るとするものであり、限定的。
(1)
現実空間における意匠権の効力は仮想空間の意匠に及び得るか
(2)
仮想空間における意匠について、意匠権を取得できるか
A
仮想空間における意匠の意匠権の効力は仮想空間の意匠に及び得るか
B
仮想空間における意匠の意匠権の効力は現実空間の意匠に及び得るか
(1)
(2)
•
A
B
現実
空間
登録意匠
(物品)
現実空間の
物品
仮想
空間
登録意匠
仮想空間の
意匠
日本
韓国
米国
欧州
×
×
ー
△
・及び得ないと考えられる
・及び得ないと考えられる
・定まった解釈がない
・及び得る可能性あり
△
△(法改正により○になる可能性あり)
△
◎
操作画像・表示画像に該当
すれば、意匠権を取得でき
る
•
•
操作画像・表示画像に該当すれば、意匠権
を取得できる(法改正により、操作画像・
表示画像の限定がなくなる可能性あり)
物品(表示画面等)に表示された状態であ
れば、物品の意匠権を取得できる
•
物品(表示画面等)に表
示された状態であれば、
意匠特許を取得できる
•
•
「製品」に該当すれば、
意匠権を取得できる
規則改正により、無体
物も保護対象であるこ
とが明確化された
△
△(法改正により○になる可能性あり)
△
○
• 被疑侵害意匠が操作画像・表
示画像に該当する場合は及び
得ると考えられる
• 被疑侵害意匠が操作画像・表示画像に該当
する場合は及び得ると考えられる
• 被疑侵害意匠が意匠権に対応する物品(表
示画面等)に表示された状態であれば物品
に対して及び得ると考えられる
• 被疑侵害意匠が意匠特許
に対応する物品(表示画
面等)に表示された状態
であれば及び得ると考え
られる
• 規則改正により及び得る
蓋然性が高まった
×
×
×
△
・及び得ないと考えられる
・及び得ないと考えられる
・及び得ない可能性あり
・及び得る可能性あり 23
⑤意匠制度見直しの必要性に関する現実空間・仮想空間のビジネス主体の意見
意匠制度見直しの必要性に関する主な意見(1)
➢ 意匠制度見直しの必要性に関し、ヒアリングで聴取した主な意見は以下のとおり。
現実空間のビジネス主体の意見
•
•
•
•
•
仮想空間のビジネス主体の意見
仮想空間ビジネスが、ユーザーの急増とともに急速に発展している現状や、今後も更なる発展が
予想されることを考慮すると、できるだけ速やかに、何らかの制度的措置が必要。
看過できない模倣にいざとなれば対抗できる手段として、また、模倣への抑止力として、権利が
存在していることが明らかな意匠権は有効であり、安心。
他の法律(著作権法・不正競争防止法)による保護だけでは不十分であり、意匠法による保護を
求める。
仮想空間におけるデザインが意匠権という形で適切に保護されることは、クリエイターや中小企
業にとって、品質のPRや納品先に対する価格交渉に貢献する点で稼ぐ力になり、また、トラブル
の発生時に自らを守る手段にもなる。
仮想空間におけるデザインが意匠権という形で適切に保護されることで、仮想空間の業界全体で
権利保護に向けた意識が高まる。
24
⑤意匠制度見直しの必要性に関する現実空間・仮想空間のビジネス主体の意見
意匠制度見直しの必要性に関する主な意見(2)
現実空間のビジネス主体の意見
仮想空間のビジネス主体の意見
•
•
•
•
現状はグレーだらけで気にせずやりたい放題
の者も大勢いるので、絶対的に意匠法による
•
保護は必要。
仮想空間が意匠権による保護により健全な環
境になることは、企業プレイヤーとしては安
心できる。
•
セーフティネットとして、不正競争防止法や
著作権法の保護が十分ではない部分に意匠法
の保護がオーバーラップしてもいい。クリ
エーターは、3Dモデルは著作権で守るのが何
もしなくてよいのでスタンダードだと思って
•
いるところはあるが、これからは意匠権がス
タンダードになるのがいいのかなと思う。基
本は意匠権で権利が主張できる、著作権でも
主張できるかしれないという社会に変わって
いくのがよい。
•
既存の権利では守りにくく、諦めていたとこ
ろ、ルールが作られる前に無法地帯になって
しまった。創作が保護される方が安心感につ
ながる。
環境を法制面からも整備することで、企業や
個人クリエイターが安心して仮想空間ビジネ
スに参入しやすくなり、今後の市場全体の活
性化にも寄与する。
意匠権で保護される場合、登録証等で権利の
存在が明確なため、ライセンスの根拠として
わかりやすい。また、具体的にビジネスとし
て進みそうなものだけ登録するという選択も
可能。
権利保護のために知財ミックスで、あらゆる
権利に基づいて保護するという方針をとって
いる。著作権法でも不正競争防止法第2条第
1項第3号でも権利として認められるかもし
れないが、意匠法のように登録証があること
のメリットは大きい。
欧州では既に意匠権による保護対象であるこ
とから、我が国でも法制度見直しは必要。
25
意匠制度見直しの必要性の検討(1)
①仮想空間ビジネスの現状と今後の発展の見込み
➢ VR技術等の発展を受け、現実空間・仮想空間のビジネス主体の双方が、仮想空間の利活用を前提とした様々な
ビジネスを展開しており、デザインの創作領域も現実空間から仮想空間へと広がりを見せている。
➢ 特に、現実空間のビジネス主体において、3Dモデル(※)の販売や仮想空間ならではのサービスの提供を通じて、
製品のPRや新たな顧客体験の提供等を行い、競争力の強化を図る企業が増加。また、仮想空間ビジネス主体に
おいて、3Dモデルの制作・販売、プラットフォームの提供を手掛ける大企業や、中小・スタートアップ企業、
個人クリエイターも増加。このような中、企業とクリエイター、ユーザー間で形成された、3Dモデルの制作・
取引・利用のサイクルが、仮想空間ビジネスの発展の推進力となっている。 ※仮想空間での利用を想定した3Dモデルをいう。
➢ 仮想空間市場は、 全世界で2030年に5000億ドル以上、日本で2027年度に2兆円以上に及ぶと予測され、更な
る発展が見込まれる。また、足元の状況として、主要仮想空間プラットフォームの中には、 2024年夏以降に
ユーザー数が急激に増えているサービスもあり、ビジネスチャンスの拡大がみられるとの声や、仮想空間での利
用を想定した3Dモデルの取引量や売上額が増加しているとの声もある。
②仮想空間に関連するデザイン模倣の実態
➢ 現実空間・仮想空間の双方のデザインが、国内外のプラットフォームにおいて第三者により無断で模倣される被
害が確認されている。特に模倣者が業として収益を上げている場合等は看過できないとの声が寄せられている。
➢ さらに、プラットフォームでの経済活動の活発化、ユーザー数増加に伴うリテラシー低下、模倣の技術的ハード
ルの低下等が要因となって、今後、模倣被害が増加する懸念が広がっており、その対応のため更なる制度的措置
が必要との声がある。
③他の法律による保護の状況
➢ 令和5年改正後の不正競争防止法第2条第1項第3号、著作権法では、物品の形状等を模した仮想オブジェクト
を第三者が無断で販売等するケースにおいて、法的対応ができない可能性がある。また、こうした可能性を踏ま
え、これら他法による保護では十分でなく、意匠法による保護が必要といった声があるところ。
➢ なお、知財法学者のヒアリング調査を踏まえると、クリアランス調査の負担、萎縮効果等に配慮しつつ、意匠法
による保護を拡大することは、著作権法による保護との関係でも許容されると考えられる。
26
意匠制度見直しの必要性の検討(2)
④海外の意匠制度における保護の状況
➢ 仮想空間におけるデザインについて、我が国では、意匠法による保護は限定的に留まるが、欧州、米国、韓国で
は、仮想空間におけるデザインを含むデジタルデザイン全体の保護を意識した、法制面上での明確化や意匠法に
よる保護強化に向けた動向がある。仮想空間におけるデザインは、インターネットを介して国境をまたいで取り
引きされる実情にも鑑み、こうした海外の動向とも足並みを揃える必要がある。
⑤意匠制度見直しの必要性に関する現実空間・仮想空間のビジネス主体の意見
➢ 現実空間・仮想空間のビジネス主体ともに、「クリエイター・中小企業にとっても、意匠権は稼ぐ力や自らを守
る手段になる」、「意匠権による保護によって、仮想空間の業界全体で権利保護に向けた意識が高まる」といっ
たように、意匠法による保護を求めるユーザーニーズが存在する。
⑥仮想空間におけるデザインの意匠法による保護の意義
➢ 上記①~⑤のとおり、社会全体のDXが加速する中で、現在、様々な仮想空間ビジネスが展開されている。一方、
デザインの模倣被害が生じており、仮想空間におけるデザインの権利保護に向けた意識は十分でない。海外では
意匠法による保護に向けた環境整備が進む中、我が国では、意匠法を含め法律による保護は限定的であり、意匠
法による保護を求めるユーザーニーズがある。
➢ ここで、意匠法による保護には、デザインの模倣からビジネスを守る効果に加えて、顧客や投資家に対するデザ
インのオリジナリティの証明やデザイン力のアピールによる信頼性の向上、他者へのライセンス等によって、ビ
ジネスを発展させる効果がある。
➢ そこで、更なる市場の拡大が見込まれる仮想空間の秩序ある健全な発展を促進するためには、仮想空間における
デザインを意匠法で保護し、仮想空間ビジネスの環境を整備することが、産業財産権制度の側面から企業やクリ
エイターの稼ぐ力を向上させる点で重要であり、これは、意匠法が目的とする産業の発達に寄与するものである。
意匠制度見直しの必要性
⚫ 以上より、意匠制度見直しの必要性はあるのではないか。ただし、意匠法による保護については懸念も示され
ているため、制度的措置の検討にあたっては、懸念について十分に考慮した上で進める必要がある。
27
制度的措置の方向性の検討
➢ ヒアリングにおいては、意匠制度の見直しをする場合、主に、①クリアランス調査の負担、②ク
リエイターの創作活動や仮想空間市場への萎縮効果を懸念するとの声が一部あった。
➢ 他方で、意匠権のクリアランス調査は、新規性等の登録要件を満たす登録意匠が対象であるとこ
ろ、仮想空間のビジネス主体からは、そのようなクリアランス調査は、デザイナーにとって勉強
にもなる、制作時にはクリアランス調査するのがルールであり、当たり前という文化になった方
が争いが減るのでよい等の意見もあった。
➢ これらの意見を踏まえつつ、適切な制度的措置の方向性を検討する必要がある。
意匠制度見直しにあたっての主な懸念
①クリアランス調査の負担
✓
(法務部門としては)保護の範囲が広がることよりも、他人の権利の抵触のリスク回避から必要となる意匠権のクリアランス調査
に係るコスト負担、オペレーション負担が増えることへの懸念の方が大きい。
✓
制作する際にはいつもクリアランスする手間が発生するとなると、制作ペースの低下とともにモチベーションも低下する。
✓
ゲームは、アイテム数が多く、ゲーム空間内で配置され、利用されるアイテムや建物すべてを対象にクリアランス調査をすること
は極めて困難。実施行為の制限等できるだけその負担を減らす方向で措置がなされないと、許容することは困難。
②クリエイターの創作活動や仮想空間市場への萎縮効果
✓
クリエイターにとって、意匠権を取得することや、クリアランス調査を適切に行うことは容易ではない。メタバース産業は現在も
発展途上にある中、意匠法という規制がかかることで、クリエイターの創作活動を萎縮させ、ひいては仮想空間市場全体の発展を
阻害する可能性があるのではないか。
✓
実物を一切参考にせずに制作することは難しく、それを封じられてしまうと制作者としては作りにくくなる。自身の創作したデザ
インの第三者による模倣は特に問題視しておらず、保護よりは創作の自由度の方が大事であり、意匠権の保護範囲を広げることに
は違和感あり。
✓
とくに汎用的な構造について権利がとられてしまうと制作がやりづらくなり、萎縮効果が生じることに懸念がある。
28
制度的措置の方向性①~③の概要
➢ これまで検討を進めてきた、制度的措置の方向性①~③の概要は、以下のとおり。
➢ ヒアリング調査では、制度的措置の方向性①~③に対する意見を聴取したところ。
方向性①
方向性②
方向性③
現行の類型(物品・建築物・画像の一部)
以外に登録可能類型を拡大する方向性
物品及び建築物の意匠権について実施の
範囲を仮想空間上に延長させる方向性
画像の意匠において、操作画像及び表示画
像に加え、物品等の形状等を表した画像を
保護対象とする方向性
現
実
空
間
登録意匠(物品)
現
実
空
間
拡
大
仮
想
空
間
登録意匠
(新たな登録可能類型)
登録意匠の形状等を模した
仮想オブジェクト
登録意匠(物品)
画像意匠
(操作画像・表示画像)
延
仮
想
空
間
現実空間
長
物品等の形状等を表した画像
仮想空間
登録意匠の形状等を模した
仮想オブジェクト
29
<参考>制度的措置の方向性③の概要
➢ 現行意匠法上、操作画像・表示画像に該当しない画像は保護の対象とならないが、方向性③は、
操作画像・表示画像に該当しない画像であっても、物品等の形状等を表した画像であれば、画像
の意匠として保護の対象とするもの。
➢ 物品等の形状等を表した画像の意匠権の効力は、同一又は類似の画像の意匠に及ぶ(物品等の意
匠には及ばない)。
方向性③のイメージ
物品等の形状等を表した画像の意匠権の効力
現
実
空
間
画像
操作画像
表示画像
機器の操作の用に
供される画像
機器がその機能を
発揮した結果として
表示される画像
物品(例:自動車)
仮
想
空
間
★
物品等の形状等を表した画像
物品等の形状等を表した画像
登録意匠の画像を模した画像
登録意匠(画像)
30
<参考>制度的措置の方向性③の特徴
➢ 方向性③は、(1) 仮想オブジェクトも画像の意匠として意匠登録可能、(2) クリアランス調査の
負担が限定的、(3) 現行意匠法と整合する制度的措置、(4) 現実空間と仮想空間の各ビジネス主
体の保護ニーズにバランスよく応えられる制度といった特徴を有する。
方向性③の特徴
(1) 仮想オブジェクトも画像の意匠として意匠登録可能
仮想オブジェクトが、操作画像・表示画像に該当しない場合であっても、物品等の形状等を表した画像
であれば意匠法による保護対象となり、画像の意匠として意匠登録可能である。
(2) クリアランス調査の負担が限定的
物品等の形状等を表した画像の意匠権の効力は、同一又は類似の画像の意匠に及ぶ。そのため、仮想オ
ブジェクトの創作にあたっては、画像の意匠のクリアランス調査で足り(物品等の意匠は対象外)、意
匠権に係るクリアランス調査の負担が限定的である。
(3) 現行意匠法と整合する制度的措置
あくまで既存の登録可能類型である画像の意匠の一種として保護するものであり、現行意匠法と整合す
る制度的措置である。
(4) 現実空間と仮想空間の各ビジネス主体の保護ニーズにバランスよく応えられる制度
現実空間と仮想空間におけるデザインそれぞれが意匠権による保護を受けられる点で、現実空間と仮想
空間の各ビジネス主体の保護ニーズにバランスよく応えられる制度である。
31
補充ヒアリングの概要
➢ クリエイターを含む仮想空間のビジネス主体及び現実空間のビジネス主体に対し、補充ヒアリング
を行った。
【主な質問内容】模倣の実態やデザイン保護に対する意識
制度的措置の方向性(①~③)に対する意見
意匠制度見直しの必要性に対する意見
回答者の属性
✓ 仮想空間のビジネス主体
プラットフォームの運営、ワールド・アバター・仮想オブジェクト等の制作・提供、ゲームの制
作・提供等を行う事業者(個人クリエイターを含む)
✓ 現実空間のビジネス主体
自動車、電気機器、家具、印刷、アパレル、百貨店、食料品、医薬品等の事業者
32
補充ヒアリングの結果(制度的措置の方向性③に対する評価)
➢ 補充ヒアリングを通じて聴取した制度的措置の方向性③に対する評価は、方向性①及び②に比べ
て、現実空間ビジネスの主体・仮想空間ビジネスの主体ともに概ね肯定的であった。そのため、
方向性③は、制度的措置としては最もユーザーニーズに沿っており、許容される方向性と考えら
れる。
➢ なお、補充ヒアリングにおいて、その他の方向性(仮想空間におけるデザインの意匠権の効力を
現実空間の物品等に及ぼす方向性)についても意見を聴取したところ、そのようなデザインが大
量に意匠登録されることで、現実空間における創作活動にも萎縮効果をもたらす可能性があるの
で反対、現実空間と仮想空間を交錯する権利行使を認めることは未知のリスクがあり、懸念があ
る、まずは方向性③でよい等の意見が多くみられた。
<制度的措置の方向性③に関する主な意見>
✓ 方向性③は、方向性①及び②に比して、様々な仮想空間のステークホルダーの立場の違いや、クリアランス調査
の負担にも配慮したものであり、バランスのとれた案である。
✓ 方向性③は、仮想空間におけるデザインの保護が可能となることで、企業参入の助けにもなり市場がますます活
性化すると思うので、とてもよい。
✓ 現実空間と仮想空間をクロスして権利行使可能にすることは制度として難しいが、方向性③は、仮想空間に閉じ
た保護であり、独立して取引される場合に限って実施行為にするのであれば混乱も起きにくく、非常に良い。
✓ 現実世界と仮想空間との間に相違はないと思われるので、方向性③で仮想空間にも保護範囲が広がる点は良い。
33
懸念・要望を踏まえた制度的措置の方向性③の検討
➢ 他方で、制度的措置の方向性③については、前回の本小委員会及び補充ヒアリングにおいて主に
以下の懸念・要望の声があった。
➢ これらの声を踏まえ、制度的措置の方向性③の具体的内容については、主に以下の事項に関して
検討する必要がある。
制度的措置の方向性③に対する懸念・要望
検討すべき事項
•
どのような画像が保護され得るか、ニーズを
踏まえて具体化すべき。
•
ニーズを踏まえた保護され得る画像の具体化
•
著作権法による保護との関係において、方向
性③は許容されるか。
•
著作権法による保護との関係における許容性
•
海外の意匠制度の動向にも留意すべき。
•
海外の意匠制度との整合性
•
クリアランス調査の負担を軽減すべき。
• クリアランス調査の負担軽減のための対応案
(保護され得る画像の限定、実施行為の限定、用
途・機能に基づく類否判断、効率的な調査環境の
整備等)
34
【方向性③の検討事項】保護され得る画像の具体化(1)
検討の方向性(案)
3Dモデルに係る画像は、「物品等の形状等を表した画像」として保護され得る。
例えば、以下の①は、3Dモデルのデータに基づいて表示される画像であるため保護され得る。②
は、3Dモデル以外のデータ(例:ピクセルデータ)に基づいて表示される画像であるため保護され
得ない。
(主な理由)
仮想空間においては、3Dモデルに係る画像が取引や模倣の対象であり、保護のニーズがあるため。
<①:3Dモデルのデータに基づいて表示される画像の例> <②:3Dモデル以外のデータに基づいて表示される画像の例>
なお、本小委員会における「仮想空間」の捉え方(※)を踏まえ、ゲーム空間、シミュレーター、デジタルツイン等
の仮想空間における利用を想定した3Dモデルに係る画像も、「物品等の形状等を表した画像」として保護され得る
ものとする。
(※) 現実空間(物理的に存在している三次元空間)とは別に、ディスプレイを備えた機器等(VRデバイス、AR/MRデバイス、PC、スマートフォン等のディス
プレイを備えた機器全般をいう)を使用することで人間の知覚の上では三次元的に存在すると感じられる空間をいう。
35
方向性③における、画像に表された物品の例
➢ 方向性③における、画像に表された物品としては、例えば、以下の例が挙げられる。
<ジャケット>
<テーブル>
<自転車>
36
【方向性③の検討事項】保護され得る画像の具体化(2)
検討の方向性(案)
現実空間に存在するか明らかではない物品等の形状等を表した画像も、「物品等の形状等を表した
画像」として保護され得る。
(主な理由)
仮想空間においては、物理法則の制約が及ばないため、現実空間に存在するか明らかではない物品
等の形状等を表した画像も創作することができる。そして、このような画像は、ユーザーや顧客の体
験価値を高めるものとして評価され、経済的価値を伴い取引されており、模倣の対象ともなりやすい
ものである。
<現実空間に存在するか明らかではない物品等の形状等を表した画像の例>
37
【方向性③の検討事項】著作権法による保護との関係における許容性
➢ 知財法学者ヒアリングにおいては、方向性③で「物品等の形状等を表した画像」(現実空間に存
在するか明らかではない物品等の形状等を表した画像も含む)を意匠法で保護することに関し、
著作権法の観点からは許容されるとの意見が多かった。
➢ この点に関連して、「仮想空間も結局は現実空間とつながっている以上、現実空間に存在しない
空想上の物品等の形状等を保護することも許容される」、「技術の進歩は日々あり、現実にあり
得る物品等の形状等かを基準として切り分けることは困難」、「意匠法よりも著作権法の方が保
護が厚いため(人格権、無審査、保護期間等)、意匠法が適用範囲を広げたとしても、それによ
り著作権法が困ることはない」といった指摘があった。
➢ 他方で、保護にあたっての留意点として「(クリアランス調査の負担や萎縮効果への配慮との関
係で)実施行為を限定すること等が考えられる」といった指摘が複数あったほか、「保護対象や
実施行為をどのように限定するかによって許容性の程度は変わり得る」、「表現の自由と向き合
う場面が増えるためその配慮が必要であり、規制対象と導入する権利・制度のバランスをとるこ
とが重要」といった指摘もあった。
著作権法による保護との関係における許容性
⚫ 方向性③において、保護にあたっての留意点を踏まえつつ意匠法の保護を拡大することは、著作
権法による保護との関係でも許容されると考えられる。
38
【方向性③の検討事項】海外の意匠制度との整合性
➢ 仮想空間におけるデザインは、インターネットを介して国境をまたいで取引される実情を鑑みると、国際協調を
視野に入れた対応が求められるところ、日米欧中韓のうち、欧州・米国・韓国では、仮想空間におけるデザイン
を含む、デジタルデザイン全体の保護を意識した、保護対象等の明確化や保護強化に向けた動きが見られる。
➢ 方向性③は、画像意匠の保護を拡充するという点で、我が国同様、画像意匠について審査主義を採用している韓
国において検討され、国会に提出されている法律案の措置内容と類するもの。
➢ 他方、主要国・地域において、仮想オブジェクト自体を保護する制度(方向性①)や、物品の意匠権の実施の範
囲を仮想空間に対してのみ拡張する制度(方向性②)は確認されていない。
(1)
現実空間における意匠権の効力は仮想空間の意匠に及び得るか
(2)
仮想空間における意匠について、意匠権を取得できるか
仮想空間における意匠の意匠権の効力は仮想空間の意匠に及び得るか
(1)
(2)
[方向性③]
現実
空間
登録意匠
(物品)
現実空間の
物品
仮想
空間
登録意匠
仮想空間の
意匠
日本
韓国
米国
欧州
×
×
ー
△
○
△(法改正により○になる可能性あり)
△
◎
• 操作画像・表示画像・物品等
の形状等を表した画像に該当
すれば、意匠権を取得できる
• 操作画像・表示画像に該当すれば、意匠
権を取得できる(法改正により、操作画
像・表示画像の限定がなくなる可能性あ
り)
• 物品に表示された状態であれば、物品の
意匠権を取得できる
• 物品に表示された状態
であれば、意匠特許を
取得できる
• 「製品」に該当すれば、
意匠権を取得できる
• 規則改正により、無体
物も保護対象であるこ
とが明確化された
○
△(法改正により○になる可能性あり)
△
○
• 被疑侵害意匠が操作画像・表
示画像・物品等の形状等を表
した画像に該当する場合は及
び得ると考えられる
• 被疑侵害意匠が操作画像・表示画像に該
当する場合は及び得ると考えられる
• 被疑侵害意匠が意匠権に対応する物品に
表示された状態であれば物品に対して及
び得ると考えられる
• 被疑侵害意匠が意匠特
許に対応する物品に表
示された状態であれば
及び得ると考えられる
• 規則改正により及び得
る蓋然性が高まった
39
制度的措置の方向性①~③に対する相対的な評価
➢ 以上を踏まえた、制度的措置の方向性①~③に対する相対的な評価は以下のとおり。
➢ 方向性③は、制度的措置の検討にあたって考慮すべき懸念(クリアランス調査負担・萎縮効果)
を踏まえたものであり、保護のニーズ・現行の意匠制度との整合性・意匠法による保護強化に向
けた海外の動向にも配慮したものである点で、方向性①②との比較において最も適切ではないか。
①
②
③
現実空間のビジネス主体の
保護ニーズへの配慮
〇
◎
〇
仮想空間のビジネス主体の
保護ニーズへの配慮
〇
×
〇
クリアランス調査負担
クリエイターへの萎縮効果への配慮
現行の意匠制度との整合性
各方向性に類する制度を
施行済又は検討中の
主要国・地域の有無
〇
×
×
×
×
×
評価
②は仮想空間のビジネス主体の保護ニーズに応えられない。他方で、
①及び③は、現実空間ビジネス主体、仮想空間ビジネス主体双方の
保護ニーズにバランスよく応えることが可能。
〇
②は物品等に係る意匠権のクリアランス調査が必要なため負担が大
きく、萎縮効果も大きい。他方で、①③は、制度的措置により新た
に保護される類型又は画像に係る意匠権のクリアランス調査で足り
るため負担が小さく、萎縮効果も小さい。
〇
①は新たな登録類型を設ける点、②は(従前の)審査や権利行使場
面における類否判断の考え方の変更を余儀なくされる点で現行の意
匠制度と整合しない。他方で、③は現行類型の画像の一部として保
護するものであり、現行の意匠制度と整合する。
○
(韓国)
主要国・地域では、①のように、仮想オブジェクト自体を保護する
制度や、②のように、物品の意匠権の実施の範囲を仮想空間に対し
てのみ拡張する制度は確認されていない。他方で、③は画像意匠と
しての保護を拡充するという点で、我が国同様、画像意匠について
審査主義を採用している韓国において検討され、国会に提出されて
いる法律案の措置内容と類する。
40
【方向性③の継続検討事項】クリアランス調査の負担軽減のための対応案
➢ 仮想空間における利用を想定した3Dモデルに係る「物品等の形状を表した画像」については、①
独立して取引の対象となる場合、②多数の要素から構成される空間(ワールド、ゲーム空間等)
の一要素として組み込まれた上で取引の対象となる場合等が考えられる。
➢ 特に、②の場合について、現実空間・仮想空間のビジネス主体の双方から、3Dモデルが多数組み
込まれた空間(ワールド、ゲーム空間等)を作成・使用・提供する行為に対し、その一要素であ
る個々の3Dモデルに係る「物品等の形状を表した画像」の意匠権の効力が及ぶことになると、ク
リアランス調査の負担が極めて大きいとの懸念が示されているところ。
<①独立して取引の対象となる場合の例>
<②多数の要素から構成される空間の一要素として
組み込まれた上で取引の対象となる場合の例>
【ワールド】
【3Dモデル】ベンチ
41
【方向性③の継続検討事項】クリアランス調査の負担軽減のための対応案
➢ クリアランス調査の負担に関する懸念にも配慮しつつ、実効性のある制度とするため、負担軽減
のための以下の対応案を含め、法制面・実務面の観点から、今後も引き続き検討を行う必要があ
る。
クリアランス調査の負担軽減のための対応案
1.保護され得る画像の限定
先述のとおり、3Dモデルに係る画像を「物品等の形状等を表した画像」として保護され得るよ
うにすることは、クリアランス調査の負担軽減にも寄与すると考えられるところ、保護のニーズ
とのバランスにも配慮しつつ、その他にも保護され得る画像を限定する。
2.実施行為(侵害となる行為)の限定
物品等の形状等を表した画像を独立して取引するような場合に限って実施行為とする等、実施行
為を限定する(※)。
3.用途・機能に基づく類否判断
画像に表された物品等の用途・機能に基づき類否判断を行う(画像に表された物品等の用途・機
能が異なる場合は、画像の形状等が同一・類似であっても意匠としては非類似とする)等により、
意匠権の効力範囲が広くなりすぎないようにする。
4.効率的な調査環境の整備
画像意匠の検索効率を高めるために、日本意匠分類等を整備する。
※
意匠権侵害となるのは、「業として」実施する場合に限られる。
42
仮想空間におけるデザインに関する意匠制度の在り方
御議論いただきたい事項
<意匠制度見直しの必要性>
•
更なる市場の拡大が見込まれる仮想空間の秩序ある健全な発展を促進するためには、仮想空間
におけるデザインを意匠法で保護し、仮想空間ビジネスの環境を整備することが、産業財産権
制度の側面から企業やクリエイターの稼ぐ力を向上させる点で重要であり、これは、意匠法が
目的とする産業の発達に寄与するものである。
•
意匠制度見直しの必要性はあるのではないか。
<制度的措置の方向性>
•
意匠法による保護については懸念も示されているため、制度的措置の検討にあたっては懸念
(クリアランス調査負担・萎縮効果)についても十分に考慮した上で進める必要がある。
•
方向性③は、これらの懸念を踏まえたものであり、保護のニーズ・現行の意匠制度との整合
性・意匠法による保護強化に向けた海外の動向にも配慮したものである点で、方向性①②との
比較において最も適切ではないか。
意匠制度見直し及び制度的措置の方向性に関する案
✓ 意匠制度見直しの必要性はあるのではないか。
✓ 意匠制度見直しにあたっては、制度的措置の方向性③が最も適切ではないか。
✓ ただし、制度的措置の方向性③については、この方向性で意匠制度見直しを行うことを前提に、
クリアランス調査の負担軽減のための対応に関して引き続き検討を行う必要があるのではないか。
⇒
以上について、御意見及び御指摘があればいただきたい。
43
【参考資料1】公報におけるプライバシーの保護
44
令和7年1月17日
第51回特許制度小委員会 資料1
特許等公報発行制度の意義・目的
➢ 特許庁は、特許法等に基づき公報を発行している。公報発行の主な目的は、以下の2点。
•
出願の公開:「出願情報」を一般に提供することで重複投資を防止し効率的な投資を促す
•
権利の公示:各権利の範囲を示す「権利情報」を一般に提供することで紛争の回避に資するとともに
その活用を促す
➢ 明治22年以降、公報発行により、出願情報及び権利情報等を広く情報提供。平成27年4月に全て
の公報についてインターネットでの発行を実現。
➢ インターネットを通じて無料で産業財産権情報の検索ができるサービスとして、独立行政法人工
業所有権情報・研修館(以下、INPIT)において、平成27年3月より「特許情報プラットフォー
ム(J-PlatPat)」が運用開始(前身事業の「特許電子図書館(IPDL)」は、特許庁において平成11年より提供開始)。
本サービスでは公報情報にも簡便にアクセスが可能。
➢ 特許情報標準データ(※)や諸外国の公報データなどをダウンロードできるサービスとして、
「特許情報の一括ダウンロードサービス」も提供している。
(※)特許庁が保有する特許・実用新案・意匠・商標に関する書誌・経過情報等について、情報の更新日単位でまとめられたバルクデータ。
出願人・権利者及び発明者等
◆ 自身の出願・権利が公報に掲載。
➢ インターネット公報
➢ J-PlatPat
➢ 特許情報一括ダウンロードサービス
情報提供事業者
◆ 産業財産権情報の提供事業や分析
事業等のために、公報等の産業財
産権情報にアクセス。
第三者ユーザー
◆ 他者の技術動向やクリアランス調
査等のため、公報等の産業財産権
情報にアクセス。
分析研究者
◆ 技術動向等各種研究・分析のため
に、公報等の産業財産権情報にア
クセス。
45
現行制度の課題
令和7年1月17日
第51回特許制度小委員会 資料1
➢ 公報においては、「権利の公示」の観点等より、出願人・権利者及び発明者等を特定するため、特
許法等に基づき氏名及び住所(居所)の個人情報を掲載。
➢ インターネットでの公報発行により誰でも容易に個人情報にアクセスできるが、昨今、社会全体に
おけるDXの進展に伴い、特許制度上、想定される利用範囲を超えた個人情報の転用や発信等も容易
になっている中、プライバシー保護の必要性が従前より高まっている。
➢ 平成27-28年頃より、法改正を要さずに実施可能なJ-PlatPat(公報PDF表示以外)等の特許情報提
供サービスにおける住所概略化を順次開始したものの、その後も依然として多くのユーザーから、
公報における個人の出願人・権利者及び発明者等の住所非表示に関する要望が寄せられている。
⇒出願人・権利者及び発明者等の住所情報の利活用とプライバシー保護の必要性の両側面を踏まえた上
で、DX時代にふさわしい制度的措置として、公報における住所表記の在り方を検討する必要がある。
過去の検討経緯
✓
平成28年に、知財分科会情報普及活用小委員会から「個人情報の保護を強化する必要性が高まっていることに鑑み、公報に掲載す
る住所を概略化すべき。」旨の提言を受け、法改正の検討を実施したものの、その当時は立法事実※の不足等により法改正は見送り
との結論となった。 ※当時は、個人住所掲載の課題が公報と特許情報提供サービスのどちらに起因するものか特定できなかったため、まずは
運用で対応可能な特許情報提供サービスでの住所概略化の効果を見た上で、法改正の必要性は引き続き検討とされた。
ユーザーからの非表示要望の理由
✓
✓
✓
✓
SNS等で活動している個人事業家であり、居住住所が公開されている現状は、
不特定多数から悪質な嫌がらせ等を受ける可能性を高くしている。
注目されているイラスト・クリエーターや芸能活動を行っている出願人の場合、
氏名や住所が勝手にネット記事などに転用されることや、一部の変質的なファ
ン等によって身に危険が及ぶことが想定される。
自宅住所がネット検索等で発見されると、出願人本人だけでなく同居家族にも
被害が及ぶことが想定される。
商標出願したいが、個人情報が悪用される可能性があるため出願できない。
公報における住所記載の例
46
令和6年度調査研究
令和7年1月17日
第51回特許制度小委員会 資料1
公報に住所が掲載される者のニーズ
ー 掲載希望の有無・理由 ー
➢ 公報における個人住所の掲載希望の有無について、希望しない者自体は50%~60%程度であり、
どちらでもよい者まで含めた希望のない者は80%~90%程度。
➢ なお、掲載を希望する者においては、「ライセンス交渉等の連絡を受けるため」や「メーカーか
らの問合せを受けるため」等が理由として挙げられている。
出願人・権利者
Q:掲載を希望する理由
Q:公報に自身の住所を掲載したいか
希望する
24%
どちらでも
希望しない
57%
よい
19%
n=323
Q:公報に自身の住所を掲載したいか
希望する
13%
よい
37%
ライセンス交渉等の連絡を受けるため。
✓
住所情報で権利者を特定することでビジネスにおける利用が有利となるため。
✓
知名度向上のため。
✓
商談時に有効なため。
✓
権利者の所在を明確化するため。
※個人・団体
発明者等
希望しない
50%
どちらでも
✓
n=599
Q:掲載を希望する理由
✓
メーカーからの問合せを受けるため。
✓
技術的な質問を受けることがあるため。
✓
問い合わせが容易になり色々な広がりができるため。
✓
会社内としているので不都合がないため。
※個人・法人・大学発明者・団体
令和6年度産業財産権制度問題調査研究「公報における出願人等住所の概略表記に関する調査研究」(三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社)
■アンケート調査(※):対象:個人 319者・法人 280者・情報提供事業者 72者・分析研究者 9者・大学発明者 7者・団体 9者
■公開情報調査:海外制度に関する情報収集
※アンケート調査では、一部の設問を除き、(四法別ではなく)公報全般に係る設問を設定しており、本資料においても特記がないものは公報全般
47
に対する回答となっている。
令和6年度調査研究
令和7年1月17日
第51回特許制度小委員会 資料1
公報に住所が掲載される者のニーズ
ー 支障の有無・内容 ー
➢ 住所の掲載による支障がないユーザーが多数の反面、一部のユーザーにおいては、ダイレクト
メールによる実害や、自身の住所がインターネットで公開されることへの不安等が生じている。
(プライバシー保護のための制度的措置の必要性)
出願人・権利者及び発明者等
Q:どのような支障があったか
※複数回答可
Q:住所の掲載によって支障があったか
(件)
ダイレクトメール
51
住所公開への不安
ある
14%
46
出願することへの躊躇
14
13
その他
営業訪問
ない
86%
6
6
付きまとい被害
n=583
0
10
20
30
40
50
60
※個人・法人・大学発明者・団体
支障の具体事例
✓
✓
✓
✓
✓
✓
聞いたことのない団体から、企業向けの情報誌への掲載を求めるDMが届いた。
子供(発明者)の特許出願の際、住所等が公開されることに不安がある。
強盗被害等への不安感がある。
住所が晒されるためかなり出願を躊躇した。
ペンネームと本名とが紐付いてしまうことへの不安がある。
SNSにより、自動的に情報がアップされるものもあり、恐怖を感じた。
48
令和6年度調査研究
令和7年1月17日
第51回特許制度小委員会 資料1
公報掲載の住所情報を利活用する者のニーズ
ー 第三者ユーザー ー
➢ 住所情報を利活用している第三者ユーザー(※)は10%~30%程度。
➢ 第三者ユーザーにおける住所情報の利用目的は「特定の出願人・権利者等の抽出」や「ライセン
ス等の接触」が多い。
(※)本アンケート調査で対象とした第三者ユーザーは、特許庁に出願したことがあるユーザー。
Q:出願人・権利者の住所情報を利用することがあるか
ない
Q:住所情報の利用目的(特許)※複数回答可
ある
個人(n=304)
84%
法人(n=280)
16%
65%
情報提供事業者(n=72)
35%
42%
58%
分析研究者(n=9)
100%
大学発明者(n=7)
86%
0%
20%
40%
14%
60%
80%
Q:発明者等の住所情報を利用することがあるか
ない
個人(n=306)
11%
20%
62%
5
86%
0%
20%
40%
20
30
40
50
60
(件)
33
統計や分析
29
14
その他
14%
60%
80%
70
55
同姓同名の判別
9
100%
大学発明者(n=7)
10
異議理由等の有無確認
38%
分析研究者(n=9)
16
15
特定の発明者等の抽出
ある
80%
情報提供事業者(n=72)
32
Q:住所情報の利用目的(特許)※複数回答可
89%
法人(n=280)
53
42
0
100%
(件)
60
特定の出願人・権利者の抽出
ライセンス等の接触
同姓同名の判別
統計や分析
拒絶理由への対応
異議理由等の有無確認
その他
0
10
20
30
40
50
60
100%
49
令和6年度調査研究
令和7年1月17日
第51回特許制度小委員会 資料1
公報掲載の住所情報を利活用する者のニーズ ー 情報提供事業者・分析研究者 ー
➢ 情報提供事業者や分析研究者においては、多くのユーザーが住所情報を利活用している。
➢ 情報提供事業者や分析研究者における住所情報の利用目的は「同姓同名の判別」や「特定の出願
人・権利者の抽出」、「統計や分析」が多い。
Q:出願人・権利者の住所情報を利用することがあるか
ない
Q:住所情報の利用目的(特許)※複数回答可
ある
個人(n=304)
84%
法人(n=280)
16%
65%
情報提供事業者(n=72)
35%
42%
58%
分析研究者(n=9)
100%
大学発明者(n=7)
86%
0%
20%
40%
14%
60%
80%
同姓同名の判別
特定の出願人・権利者の抽出
統計や分析
顧客への情報提供※
ライセンス等の接触
その他
異議理由等の有無確認
拒絶理由への対応
3
2
1
0
100%
5
(件)
27
26
15
5
10
15
20
25
30
32
35
※「顧客への情報提供」は情報提供事業者のみ回答
Q:発明者等の住所情報を利用することがあるか
ない
個人(n=306)
Q:住所情報の利用目的(特許)※複数回答可
ある
89%
法人(n=280)
11%
80%
情報提供事業者(n=72)
20%
62%
38%
分析研究者(n=9)
100%
大学発明者(n=7)
86%
0%
20%
40%
14%
60%
80%
100%
(件)
24
同姓同名の判別
統計や分析
特定の発明者等の抽出
顧客への情報提供※
異議理由等の有無確認
その他
22
14
10
2
1
0
5
10
15
20
25
30
※「顧客への情報提供」は情報提供事業者のみ回答
50
令和6年度調査研究
令和7年1月17日
第51回特許制度小委員会 資料1
公報掲載の住所情報を利活用する者のニーズ
ー 概略表記による支障 ー
➢ 公報における個人の住所が概略表記であっても支障がないユーザーは88%。
➢ 支障があるユーザーにおいて、支障がある利用目的は「ライセンス等の接触」が最も多く、同
ユーザー(12%)のうち、閲覧請求で代替可能であるユーザーは8%であったのに対し、閲覧請
求でも代替不可であるユーザーは4%にとどまる。
➢ 概略表記のレベルについては、「いずれでもよい」を除くと、国内居住者については「市区町村
まで」、在外者については「都市名まで」の希望が多い。
Q:出願人・権利者の住所が概略表記であった場合の支障の有無
(支障ありの場合は閲覧請求での代替可否)
支障があるが、閲覧
請求で代替可能
8%
支障があり、閲覧
Q:概略表記のレベルの希望
請求でも代替不可
4%
国内居住者
いずれでもよい
40%
支障がない
88%
在外者
都道府県まで
23%
市区町村まで
37%
国名まで
14%
いずれでもよい
40%
州又は県まで
12%
都市名まで
34%
n=684
※発明者等の住所についても同傾向の結果であった。
51
令和6年度調査研究
令和7年1月17日
第51回特許制度小委員会 資料1
(参考)各国・地域の公報の状況等
➢ 主要な海外庁が発行する公報については、多くが概略表記対応しており、出願人・権利者と発明
者等の両方とも住所を完全表記している国は日本のみ。
➢ この他、PCT国際出願に係る国際公開において住所(あて名)が全表記されているが、昨今の個
人情報保護・プライバシーの一般原則と整合をとるべく、現在、住所など個人情報への公衆アク
セスに係る見直しの検討が進められている。
特許
実用新案
意匠
商標
出願人・
権利者
発明者
出願人・
権利者
考案者
出願人・
権利者
創作者
出願人・
権利者
日本
完全
完全
完全
完全
完全
完全
完全
米国
概略
概略
-
-
概略
概略
完全
欧州
概略
概略又は非表示
-
-
完全
取得なし
完全
中国
完全、
外国人は概略
取得なし
完全、
外国人は概略
取得なし
完全、
外国人は概略
取得なし
完全
韓国
完全、自然人の
み概略可
完全又は概略
完全、自然人の
み概略可
完全又は概略
完全、自然人の
み概略可
完全又は概略
完全、自然人の
み概略可
PCT国際出願に係る検討状況
※PCT/WGの作業文書より(PCT/WG/17/8及びPCT/WG/17/9)
出願人については(出願人又は代理人のうち、少なくともいずれか1人の住所は必要であるものの、)他の出願人の住所を、発明者につ
いては(氏名は必須であるものの、)全員の住所を公衆アクセスから除外することを可能とするPCT規則改正草案について検討中(発明
者名については、統計分析に十分な情報(例:国名又は都市名の概略表記)との併記が一案として提示(PCT/WG/17/8のパラ25))。
52
他法域の状況(プライバシー保護に関する検討動向)
令和7年1月17日
第51回特許制度小委員会 資料1
➢ プライバシー保護の観点から、法務省において以下2つの制度見直しの検討が実施された。
✓ インターネット・SNSの普及等により、住所を公開することへの抵抗感からの起業の躊躇など
につながることを懸念する声の高まりを受けて、商業登記規則等の改正により、代表取締役等
住所非表示措置が創設された(令和6年10月1日施行)。
✓ 破産者マップ問題を受け、法制審議会(民事執行・民事保全・倒産及び家事事件等に関する手続(IT化関係)部
会)において検討。個人破産者のプライバシー保護の観点から、破産手続における官報公告を廃
止すべき等の意見が出されたものの、同公告は破産債権者の財産権を保障するための手段であ
るなどとして反対する意見又は慎重な意見があったことから、制度的措置は見送りとなった。
代表取締役等住所非表示措置
※法務省HP「代表取締役等住所非表示措置について」より
一定の要件の下、登記事項証明書等において株式会社の代表取締役等の住所を一部表示しないこととする措置(住所表示は最小行政区
画として「市区町村」まで(東京都においては特別区まで、指定都市においては区まで))。
破産者マップ問題
官報での公告情報を基にしたと思われる「破産者マップ」 が2019年にインターネット上に公開。地図上に破産者等(過去に破産申立
した者、個人再生申立した者等)の住所地がマークされ、そのマーク周辺の破産者等の氏名・住所も表示されるもの。個人情報保護委
員会からの行政指導で当該サイトは閉鎖されたが、次々と同様のサイトが現れ、中には情報の削除に金銭の要求をするサイトまで出現。
破産手続における官報公告の廃止等に反対・慎重な意見
※民事執行・民事保全・倒産及び家事事件等 に関する手続(IT化関係)の見直しに関する中間試案の補足説明
(令和4年8月法務省民事局参事官室)P64より
➢
公告には善意又は悪意の推定の効果があり(破産法第51条)、その効果は実務上重要な意味があるが、官報での掲載がされないなど
裁判所外における公示がされないと、その仕組みに影響を及ぼし得る。
➢
与信管理業務を行う者は官報への掲載を通じて直接又は間接にその情報を得ており、その仕組みが設けられないと実務上大きな影響
がある。
➢
配当等がない同時廃止事件に限定して公告を見直すといったことについても、免責の効果は通知がされない債権者にも及び、その公
告には、免責についての意見申述の機会を保障する意味がある。
53
対応の方向性(公報における住所表記の在り方)
令和7年1月17日
第51回特許制度小委員会 資料1
➢ 公報に住所が掲載される者側のニーズによれば、公報における個人の住所は一律非表示が望まし
いが、他方、住所情報を利活用する者側のニーズによれば、公報掲載情報においても一定の個人
特定性を担保できる方が望ましいと考えられる(後者のニーズのうち、「ライセンス交渉」での利用目的について
は、出願書類や登録原簿等の閲覧請求で対応可能)。
➢ こうしたユーザーニーズのバランスをとりつつ、 DX時代における個人のプライバシーを適切に
保護するため、他法域での状況も踏まえ、公報における個人の出願人・権利者及び発明者等の住
所は概略表記(国内居住者については市区町村まで(※) 、在外者については都市名まで)とすべく、所要の制度改
正(特許法第64条第2項等の改正)を行うこととしたい。
検討におけるポイント
(※)東京都においては特別区まで、指定都市においては区までの表記とする。
(公報に住所が掲載される者のニーズ)
・公報への住所掲載については、希望のない者が大部分。<P47>
・住所掲載の支障としてDM等の実害は一定数に上る。<P48>
・他法域での現状(破産者マップ問題等)も踏まえれば、その他の
住所掲載に対する不安・懸念も見過ごし難い(DX時代にふさわし
い措置の必要性)。<P46、48、53>
・J-PlatPat等での住所概略化以降も、公報における住所非表示に関
する要望が多く寄せられている。<P46>
(公報掲載の住所情報を利活用する者のニーズ)
・第三者ユーザーにおける利用目的は、「特定の出願人・権利者
等の抽出」や「ライセンス等の接触」が多い。<P49>
・情報提供事業者・分析研究者における利用目的は、「同姓同名
の判別」や「特定の出願人・権利者の抽出」、「統計や分析」
が多い。<P50>
(・概略表記で支障があり、閲覧請求でも代替不可であるユーザー
はごく一部。<P51> )
⇒公報情報として、一定の個人特定性の担保が求められると考え
られる。
(出願人・権利者及び発明者等の確認方法)
・公報や特許情報提供サービス(P45)の他、出願書類や登録原簿等を閲覧請求(※)することにより、出願人・権利者及び発明
者等を確認することが可能(登録原簿の閲覧請求では、公報情報とは異なり、最新の権利者情報を確認することができる)。
(※)特許(特許庁のファイルに記録されている事項に限る。)については特許公報発行の日から1年間、商標については商標公
報発行の日から2月間は、手数料無料で閲覧(縦覧)することができる。
54
※青字のページ数のみ「第51回特許制度小委員会 資料1」より改変。
次回の意匠制度小委員会について(予定)
55
次回の意匠制度小委員会について(予定)
➢ 開催予定時期
• 令和7年5月(予定)
➢ 御議論いただく内容
<仮想空間におけるデザインに関する意匠制度の在り方>
• 本日いただいた御指摘を踏まえて引き続き御議論いただく予定。
<生成AI技術の発達を踏まえた意匠制度上の適切な対応>
• 第16回意匠制度小委員会でいただいた御指摘等を踏まえて御議論いただく予定。
56