議事要旨
。
第17回意匠制度小委員会 議事要旨
1. 日時・場所
日時:令和7年2月10日(月曜日) 16時00分~18時00分
場所:特許庁特別会議室(特許庁庁舎16階)+Web会議室
2. 出席者
相澤委員、青木委員、小川委員、長田委員、影広委員、加藤委員、黒田委員、せきぐち委員、田村委員長、野田委員、バヒスバラン委員、松本委員
3. 議題
(1)仮想空間におけるデザインに関する意匠制度の在り方について
(2)意匠法条約を確定し採択するための外交会議の結果に関する御報告について
4. 議事内容
事務局より、資料1に沿って、説明が行われた。
議題について、自由討議が行われた。
以上
[更新日 2024年2月14日]
お問い合わせ
特許庁総務部総務課制度審議室
TEL:03-3581-1101 内線2118
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資料1
産業構造審議会知的財産分科会
第17回意匠制度小委員会
議事次第・配布資料一覧
日
時:令和7年2月10日(月)16時00分開会
会
場:特許庁庁舎16階特別会議室+Web会議室
(議事次第)
1.開会
2.仮想空間におけるデザインに関する意匠制度の在り方について
3.意匠法条約を確定し採択するための外交会議の結果に関する御報告について
4.閉会
(配布資料)
議事次第・配布資料一覧
委員名簿
資料1 意匠制度に関する検討課題について
資料2
令和7年2月 1 0 日
第 17 回意匠制度小委員会
産業構造審議会
知的財産分科会
意匠制度小委員会
委員名簿
相澤
清晴
東京大学大学院情報理工学系研究科 教授/
東京大学バーチャルリアリティ研究教育センター長
青木
大也
大阪大学大学院法学研究科
小川
亮
公益社団法人日本パッケージデザイン協会 専務理事/
株式会社プラグ
准教授
代表取締役
長田
新子
一般社団法人 Metaverse Japan
代表理事
影広
達彦
一般社団法人日本デジタル空間経済連盟
理事/
株式会社日立製作所デジタルサービス研究統括本部先端 AI イ
ノベーションセンタ
加藤
正敏
日本商工会議所
黒田
薫
阿部・井窪・片山法律事務所
せきぐち
委員長
主管研究長
あいみ
理事・産業政策第一部長
パートナー弁護士
VR アーティスト
田村
善之
東京大学大学院法学政治学研究科
野田
一隆
日本知的財産協会意匠委員会
教授
委員長/
日本たばこ産業株式会社知的財産部
バヒスバラン
松本
直子
薫
シティユーワ法律事務所
日本弁理士会
課長代理
弁護士
執行理事/弁理士
(敬称略、五十音順)
資料3
資料1
意匠制度に関する検討課題について
産業構造審議会知的財産分科会 第17回意匠制度小委員会
令和7年2月10日
1.仮想空間におけるデザインに関する意匠制度の在り方
1
前回の内容を踏まえた今回の本小委員会の予定
<前回の本小委員会の内容>
➢ 事務局からの説明後、「仮想空間を取り巻く状況」について、意匠制度見直しの必要性及び制度的
措置の方向性を今後検討するにあたり、特に考慮すべき事項がないか、御意見をいただいた。
<今回の本小委員会の予定>
➢ 前回の本小委員会の内容を踏まえ、以下の3点について事務局から御報告・御提案。
1. 仮想空間の利活用を前提としたビジネスの広がり及び本小委員会における「仮想空間」の捉え方
2. アンケート調査・ヒアリング調査の結果
3. アンケート調査・ヒアリング調査の結果を踏まえた、新たな制度的措置の方向性
➢ その上で、今後の検討の進め方に関する方向性(案)について御意見をいただきたい。
2
仮想空間の利活用を前提としたビジネスの広がり
➢ VR技術の発展により、仮想空間の実在感や没入感が向上したことで、現実空間と遜色ない体験が
可能になり、仮想空間の利活用を前提とした様々なビジネスが展開されている。
➢ 仮想空間の利活用を前提としたビジネスの主体は、以下の二者に大別される。
(1)現実空間に関するビジネスを主として展開している事業者(以下「現実空間のビジネス主体」と記載。)
(2)仮想空間に関するビジネスを主として展開している事業者(以下「仮想空間のビジネス主体」と記載。)
※ 事業者には、個人クリエイターとして創作を行っている者を含む。
➢ 仮想空間の利活用を前提としたビジネスは多岐にわたるが、下記のような事例が挙げられる。ま
た、下記以外にも仮想空間におけるビジネスへの新規参入支援等のビジネスがあるほか、教育分
野や医療分野においても仮想空間の利活用が進んでいる。
仮想空間の利活用を前提としたビジネスの事例
① 仮想空間での利用を想定した3Dモデル等の制作・販売
④ 3Dシミュレーターを活用した営業・販売促進
② 仮想空間を利用したプラットフォームの提供
⑤ デジタルツインを活用した業務等の最適化・効率化
③ 仮想空間におけるイベント開催
3
① 仮想空間での利用を想定した3Dモデル等の制作・販売
➢ 現実空間のビジネス主体と仮想空間のビジネス主体の双方が、仮想空間での利用を想定した3Dモ
デル等の制作を行い、コンテンツプラットフォームにおいて販売を行っている。
➢ 仮想空間のビジネス主体が、仮想空間での利用を想定した3Dモデル等の請負制作を行い、仮想空
間におけるイベントの開催や仮想空間用アイテム等の販売を行う事業者向けに納品する事業も存
在する。
<仮想空間での利用を想定した3Dモデル等の販売(例)>
■アイテム
(出典)BOOTHウェブサイト(株式会社オカムラ)
「【3Dモデル】オフィスチェア『Sabrina』」
https://okamura3d.booth.pm/items/5184134
(出典) BOOTHウェブサイト(BEAMS) 「NOMA t.d.
× Ray BEAMS別注マルチストライプワンピース|
BEAMS」
https://beams.booth.pm/items/4921837c
<仮想空間での利用を想定した3Dモデル等の請負制作(例)>
■アイテム
(出典) PR TIMESウェブサイト(株式
会社V) 「株式会社V、大丸松坂屋百貨
店のオリジナル3Dアバター向け衣装とし
て新春を彩る3D着物を制作」
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/0
00000079.000049339.html
■ワールド
(出典) PR TIMESウェブサイト(ユーステラグルー
プホールディングス合同会社)「【新商品】美術館の
ような3Dワールド「展覧会場」を販売開始!」
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000018.00
0108209.html
■アバター
(出典) PR TIMESウェブサイト(株式会社典樹)
「YOYOGI MORIより新作3Dモデル「A-Z:[S]」発表」
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000023.00
0087364.html
■ワールド
(出典) PR TIMESウェブサイト(株式
会社往来) 「京セラのファインセラミッ
ク技術をVRChatで体験いただけるメタ
バース版「ファインセラミックスワール
ド」制作を往来が担当」
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/0
00000001.000147904.html
4
② 仮想空間を利用したプラットフォームの提供
➢ 仮想空間を利用したプラットフォームビジネスとしては、SNS型(ファンコミュニティ形成等他
のユーザーとの交流がメイン)、エンタメ型(ゲーム、音楽ライブ等エンタメ性の高いBtoCコン
テンツがメイン)、ビジネス型(会議、セミナー、社内イベント等ビジネス向けのコンテンツが
メイン)等が存在する。
<仮想空間を利用したプラットフォームの提供(例)>
(出典)メタバース相談室「【2024年1月版】ビジネス利用可能メタバースプラットフォームカオスマップ公開」 (https://xrcloud.jp/blog/articles/business/16282/)
5
③ 仮想空間におけるイベント開催
➢ 現実空間のビジネス主体と仮想空間のビジネス主体の双方が、仮想空間においてイベントを開催
し、自社の製品やサービスのマーケティング強化を図っている。
➢ 仮想空間において開催されるイベントには、商品PRを目的としたもの、顧客との接点形成を目的
としたもの、ファンコミュニティの活性化を目的としたもの等がある。
<仮想空間におけるイベント開催(例)>
■商品PRを目的としたイベント
(出典)PR TIMESウェブサイト(株式会社モスフードサー
ビス) 「モスバーガーがメタバース上の“月面空間”に出
店!?初の仮想店舗「モスバーガー ON THE MOON」が9月
14日にオープン〜月で月見フォカッチャをつくれるメタバー
ス体験ブースが都内3店舗に登場〜」
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000165.000075
449.html
■顧客との接点形成を目的としたイベント
(出典) PR TIMESウェブサイト(株式会社HIKKY)
「BEAMSがバーチャルマーケットに企業最多7度目の連続
出店、本拠地 原宿でリアルとバーチャルを繋ぐ!」
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000321.00003
4617.html
■ファンコミュニティの活性化を目的
としたイベント
(出典) PR TIMESウェブサイト(株式会社バンダイナムコ
エンターテインメント) 「「ガンダムメタバースプロジェク
ト」3月15日(金)より期間限定オープン決定!」
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001172.0000513
16.html
6
④3Dシミュレーターを活用した営業・販売促進
⑤ デジタルツインを活用した業務等の最適化・効率化
➢ 3Dシミュレーターを用いたバーチャルモデルルームやインテリアシミュレーションのサービスを
提供することで、自社商品の営業や販売を促進する取組が行われている。
<3Dシミュレーターを活用した営業・販売促進(例)>
(出典)西日本鉄道株式会社のウェブサ
イト「九州エリア初となるメタバース
×AI接客のモデルルームを公開」
https://www.nishitetsu.co.jp/ja/new
s/news20240403_2/main/0/link/24_
003.pdf
(出典)株式会社LIXIL のウェブサイト
「自分好みのLDK空間を3Dシミュレー
ションで体験できる「LDKデザインシ
ミュレーター」をオープン」
https://newsroom.lixil.com/ja/20230
424_01
➢ デジタルツインとは、現実空間の物体・状況を仮想空間上に「双子」のように再現したものであ
り、製造工程、都市設計、医療、健康、環境等の多様な分野でのシミュレーションや最適化、効
果・影響・リスクの評価、意思決定等での活用が進んでいる。
<デジタルツインを活用した業務の最適化・効率化(例)>
(出典)株式会社日立製作所のウェブサイト
「日立、現場データの収集技術や生成AIを活
用した「現場拡張メタバース」を開発」
https://www.hitachi.co.jp/New/cnews/m
onth/2023/12/1218.html
(出典)鹿島建設株式会社のウェブサイト
「日本初!建物の全てのフェーズでBIMによ
る「デジタルツイン」を実現 プロジェクト
全体にわたる建物情報のデジタル化により建
物資産価値のさらなる向上に寄与」
https://www.kajima.co.jp/news/press/20
2005/11a1-j.htm
7
プラットフォームにおける3Dモデル等の制作・取引・利用
➢ 仮想空間サービスに関連するプラットフォームは 、仮想空間プラットフォーム(cluster 、
VRChat等)とコンテンツプラットフォームに大別される。
➢ 仮想空間プラットフォームでの使用を想定した、3Dモデル等の制作・取引・利用の形態には、仮
想空間サービスを提供する仮想空間プラットフォームでの制作・取引・利用という形態と、コンテ
ンツプラットフォームでの制作・取引+仮想空間プラットフォームでの制作・利用という形態が存
在する。
➢ コンテンツプラットフォームには、主に、①コンテンツの取引を目的とするコンテンツマーケット
(BOOTH等)と、②コンテンツの制作ツールを提供し、そのために使う素材を供給し、コンテン
ツ制作環境をトータルに提供するコンテンツ制作プラットフォームがある。
制作会社
個人クリエイター
コンテンツプラットフォームでの
制作・取引
・コンテンツマーケット
・コンテンツ制作プラットフォーム
仮想空間プラットフォームでの
制作・取引・利用
納品
代金
コンテンツ供給(3Dモデル等
供給、イベント開催・出展等)
3Dモデル等供給
企業
販売手数料
コンテンツ
プラットフォーム
売上代金
クリエイター
コンテンツ課金等
に応じた収益分配
サービス利用料
コンテンツ課金
代金
3Dモデル等販売
販売手数料・出展料
商用利用契約料
ユーザー
サービス提供
仮想空間
プラットフォーム
プラットフォーマーのビジネスモデル
⚫ 販売手数料
アイテム課金
コンテンツマーケット
⚫ サブスクリプション
ファンユーザー
ストレージ容量
⚫ 商用利用の契約料、受託制作
クリエイターの収益方法
⚫ アバター、アイテム等の受託制作
⚫ アバター、アイテム等の販売
⚫ ワールド、イベントの受託制作、運営
⚫ 広告収入、SNSからの収入
⚫ ファンからの投げ銭、ギフト、寄付
⚫ 仮想空間内のアイテムの価値を高めて販売
⚫ 有料イベントやワールドのチケット販売
(参考)特許庁「令和5年度 産業財産権制度各国比較調査研究等事業 仮想空間におけるデザイン創作の保護に関する調査研究 報告書」(令和6年3月)
https://www.jpo.go.jp/resources/report/takoku/document/zaisanken_kouhyou/2023_01.pdf
8
本小委員会における 「仮想空間」の捉え方
➢ 「仮想空間」について、確立した定義はなく、メタバースと同様のものとして捉える場合もあれば、メタ
バースに限られないものとして広く捉える場合もある。
➢ 実態としては、近時の仮想空間の利活用を前提としたビジネスの広がりとともに、仮想空間は、利用目的
の多様化が進んでおり、メタバース的な利用に限られないものとなっている。
➢ そこで、本小委員会においては、仮想空間での利用を想定して創作されたデザインを広く議論の対象とす
るため、現時点では「仮想空間」を「現実空間(物理的に存在している三次元空間)とは別に、VRデバ
イス等(※)を使用することで人間の知覚の上では三次元的に存在すると感じられる空間」として捉える
こととする。
➢ また、意匠法によって保護すべき対象については、「仮想空間」の捉え方とは必ずしも連動させる必要が
ないため、制度的措置の方向性と併せて検討を深めることとしたい。
仮想空間とメタバースの定義(例)
•
(※)「VRデバイス等」=VRデバイスに加えて、AR/MRデバイスやPCやスマートフォン等のディスプレイを備えた機器全般を含む。
「仮想空間の定義 多人数が参加可能で、参加者がその中で自由に行動できるインターネット上に構築される仮想の三次元空間。ユーザはアバターと呼ばれる
分身を操作して空間内を移動し、他の参加者と交流する。ゲーム内空間やバーチャル上でのイベント空間が対象となる。」
(出典)経済産業省「令和2年度コンテンツ海外展開促進事業(仮想空間の今後の可能性と諸課題に関する調査分析事業)」4頁(令和3年3月)
https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/contents/downloadfiles/report/kasou-houkoku.pdf
•
「メタバースについては確立した定義はないが、官民連携会議の検討においては、ネットワークを通じてアクセスでき、ユーザー間のコミュニケーションが可
能な仮想空間のうち、特に、 自己投射性・没入感、リアルタイム性、オープン性(誰もが参加できること)等の特徴を備えるものや、これに類するものを、メタ
バース又はメタバース的な特徴を有する仮想空間サービスとして広く捉えており、それら一般を検討対象とした。」
(出典)メタバース上のコンテンツ等をめぐる新たな法的課題への対応に関する官民連携会議「メタバース上のコンテンツ等をめぐる新たな法的課題等に関する論点の整理」2頁(令和5年5月)
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/metaverse/pdf/ronten_seiri.pdf
•
「メタバース ユーザー間で「コミュニケーション」が可能な、インターネット等のネットワークを通じてアクセスできる、仮想的なデジタル空間(以下「仮
想空間」という)。メタバースについてさまざまな定義が提唱されているが、仮想空間が、次の①〜④を備えているものとする。
① 利用目的に応じた臨場感・再現性があること(デジタルツインと同様に現実世界を再現する場合もあれば、簡略化された現実世界のモデルを構築する
場合、物理法則も含め異なる世界を構築する場合もある)
② 自己投射性・没入感があること
③ (多くの場合リアルタイムに)インタラクティブである
④ 誰でもが仮想世界に参加できること(オープン性) 」
(出典)総務省「「Web3時代に向けたメタバース等の利活用に関する研究会」中間とりまとめ(これまでの議論の整理)」3頁(令和5年2月)
https://www.soumu.go.jp/main_content/000860618.pdf
9
アンケート調査・ヒアリング調査
アンケート調査・ヒアリング調査の概要
➢ 令和5年度調査研究では、仮想空間におけるデザイン等の創作活動を行う者(クリエイター)を
対象に、法規制によるクリエイターへの萎縮効果の有無等について把握するため、アンケート調
査を実施。
➢ アンケート調査とは別途、令和5年12月以降、ヒアリング調査を実施。
クリエイターを含む仮想空間のビジネス主体及び現実空間のビジネス主体を対象に、模倣の実態
やデザイン保護に対する意識、意匠制度見直しの必要性、制度的措置の方向性(①及び②)等に
ついて、意見を聴取した。
アンケート調査
ヒアリング調査
時期
令和5年12月〜令和6年1月
令和5年12月〜令和6年3月
令和6年7月〜
対象
仮想空間におけるデザイン等の創作
活動を行う者(クリエイター)
現実空間のビジネス主体
仮想空間のビジネス主体
目的
法規制によるクリエイターへの萎縮
効果の有無の確認
意匠制度見直しの必要性に関する意見聴取
主な
事項
• 仮想空間におけるデザインの制作、
模倣、紛争に関する実態
• 意匠制度見直しの必要性
• 模倣からの保護と自由な制作のバ
ランスに関する意識
• 模倣の実態やデザイン保護に
対する意識
• 制度的措置の方向性(①及び
②)
• 意匠制度見直しの必要性
10
アンケート調査
アンケート調査の概要
➢ 令和5年度調査研究では、仮想空間におけるデザイン創作に関する国内実態・意識調査(アン
ケート調査)を行った。
【質問内容】仮想空間におけるデザインの制作、模倣、紛争に関する実態
模倣からの保護と自由な制作のバランスに関する意識
【方法】インターネット
【時期】令和5年12月〜令和6年1月
➢ その結果、仮想空間におけるデザイン等の制作を行ったことがある者425名からの回答を得た。
回答者の属性
✓ 制作経験
仮想空間におけるデザイン等の制作経験がある程度以上ある者(※)は約8割以上であり、多数を占めていた。
(※)「たくさん制作した経験がある」、「ある程度制作した経験がある」及び「過去に制作した経験があるが、数作にとどまる」のうち、前二者の合計
✓ 主な制作形態
法人との雇用関係になく仮想空間におけるデザイン制作に携わっている者が約6割、法人に雇用され仮想空間に
おけるデザイン制作に携わっている者が約4割であり、フリーランス的な立場で従事する者が多かった。
✓ 現実空間におけるデザインの制作経験
(仮想空間におけるデザインと関わりのない)物品、建築物、インテリア等の現実空間におけるデザインをする
ことがある者も約3割程度含まれており、現実空間と仮想空間を交錯して創作活動を行う者からの回答も得られ
た。
11
アンケート調査
仮想空間におけるデザインの模倣に関する経験及び内容
➢ 仮想空間におけるデザインを模倣された経験がある者(「頻繁に模倣されている」「模倣された
ことがある」の合計)の割合は、約5割であった。
➢ なお、主な模倣の内容は、「形状やテクスチャーを模倣された」、「ギミックや振る舞いなど動
きや状態を模倣された」、「複数のコンテンツの組み合わせ方や配置の仕方を模倣された」が、
それぞれ約2割であった。
<アンケート結果(抜粋)>
あなたが制作した、メタバースでの利用を想定したコンテンツのデザインを模倣されたことがあ
りますか
0%
10%
13.2%
20%
頻繁に模倣されている
模倣されたことがある
模倣されたことはない
よく分からない
30%
32.0%
40%
50%
60%
39.1%
70%
80%
90%
100%
15.8%
12
アンケート調査
仮想空間のデザイン創作の模倣への対応・対策
➢ 仮想空間におけるデザインの模倣に対し、特に対応・対策をしていない者はわずか4%であり、
それ以外の者は、模倣コンテンツの公開者にデザインの修正を求めた、プラットフォームに模倣
コンテンツの公開を止めること等の対応を求めた等、具体的な対応・対策をしていた。
<アンケート結果(抜粋)>
あなたが制作した、メタバースでの利用を想定したコンテンツのデザインが模倣されたき、どのように
対応しましたか? あるいは、どのように事前に対策しましたか
0% 10% 20% 30% 40% 50%
60% 70% 80% 90% 100%
52.1%
模倣コンテンツの公開者にデザインを修正することを求めた
プラットフォームに模倣コンテンツの公開を止めること等の対応を求めた
41.7%
模倣コンテンツを使用しているユーザーに対し、模倣コンテンツを使わないことを求めた
(又は、模倣コンテンツであることを伝えた)
40.1%
模倣コンテンツの公開者に公開を止めるよう求めた
34.9%
模倣コンテンツの公開者に金銭の支払いを求めた
34.9%
19.3%
法律家に対応方法を相談した
訴訟又は仲裁機関への申請を起こした
(差し止め、 仮処分、損害賠償請求等)
17.2%
行政機関に対応を求めた 0.0%
その他 1.0%
特に対応、対策はしていない
4.2%
13
アンケート調査
模倣からの保護と自由な制作のバランス
➢ 仮想空間におけるデザインに関して、約6割の者(「自由な制作よりも模倣からの保護を優先す
べき」、「どちらかといえば自由な制作より模倣からの保護を優先すべき」の合計)が、自由な
制作よりも模倣からの保護を優先すべきとの意見であった。
<アンケート結果(抜粋)>
あなたは、メタバースでの利用を想定したコンテンツのデザインに関して、保護と利用のバラン
スについてどのように思いますか
自由な制作よりも模倣からの保護を優先すべき
どちらかといえば自由な制作より模倣からの保護を優先すべき
どちらともいえない
どちらかといえば模倣からの保護よりも自由に制作できることを優先すべき
模倣からの保護よりも自由に制作できるようにすることを優先すべき
0%
10%
19.8%
20%
30%
40%
38.4%
50%
60%
70%
22.8%
80%
90%
12.7%
100%
6.4%
14
アンケート調査
先行するデザインに依拠せず類似したデザインの使用
➢ あるデザインが、先行する第三者のデザインを参考にしていなかったものの、偶然類似してしまった
場合(依拠性がない場合)、当該デザインは使えないようにすべきと回答した者の割合は、約4割で
あった。
<アンケート結果(抜粋)>
仮にあるクリエイターが、他者のコンテンツを全く参考にせずにデザインした制作物が、先行す
る第三者のコンテンツとたまたま似ていたことを公表後に知った場合、そのコンテンツのデザイ
ンを使えないようにすべきか、使えるようにすべきか、あなたのお考えはいずれに近いですか
たまたまであっても似たものが存在していたのであれば、後に公表したデザインを使えないようにすべき
先行するコンテンツを知らずにたまたま似た場合に限り、後に公表したデザインも使えるようにすべき
先行するコンテンツを知っていた場合も、後に公表したデザインも使えるようにすべき
よく分からない
0%
10%
20%
40.5%
30%
40%
50%
60%
35.5%
70%
80%
90%
9.2%
14.8%
100%
15
アンケート調査
先行するデザインに依拠せず類似したデザインを規制した場合の影響
➢ あるデザインが、先行する第三者のデザインを参考にしていなかったものの、偶然類似してしまっ
た場合(依拠性がない場合)、当該デザインは使用できない、金銭の支払が必要であるとの規制
がされたとすれば、デザイン制作の際に(類似しないよう)調査するとした者の割合は、約4割
であった。
<アンケート結果(抜粋)>
あなたは、仮に、たまたまであっても、ご自身で一から制作したコンテンツのデザインが、参考
にもしていない全く知らない第三者のコンテンツと似ていた場合に、使えなくなったり、金銭を
支払わなければならなくなったりするとしたら、あなたのコンテンツのデザインの制作や、制作
のプロセスに影響があると思いますか
せっかく作ったものを使えなくなったり、金銭を他者に支払わなければならなくなったりするかも知れないので、
デザインを制作する際にそうならないよう調査するようにする
せっかく作ったものを使えなくなったり、金銭を他者に支払わなければならなくなったりするかも知れないので、
デザインを制作することを躊躇する(リスクを負ってまでデザインを制作することは控える)
たまたま第三者のコンテンツに似ることはない(又は可能性が低い)ので、特に影響はない
よく分からない
0%
10%
20%
40.2%
30%
40%
50%
60%
37.9%
70%
80%
9.9%
90%
100%
12.0%
16
アンケート調査
<参考>他者の模倣をしないための調査や確認等の状況
➢ 仮想空間におけるデザインの制作にあたり、約8割の者(「ほとんど全ての場合に、調査や確認
等をしている」、「多くの場合に、調査や確認等をしている」、「調査や確認等をすることがあ
る」の合計)が、他者のデザインを模倣しないための調査や確認等をしていた。
<アンケート結果(抜粋)>
あなたが制作した、メタバースでの利用を想定したコンテンツのデザインについて、他者のコンテンツ
や物理的な製品のデザインを模倣しないよう、調査や確認等をしていますか
ほとんど全ての場合に、調査や確認等をしている
多くの場合に、調査や確認等をしている
調査や確認等をすることがある
調査や確認等をしない
0%
10%
26.6%
20%
30%
40%
50%
31.3%
60%
70%
19.5%
80%
90%
100%
22.6%
17
ヒアリング調査
ヒアリング調査の概要
➢ 令和5年12月以降、クリエイターを含む仮想空間のビジネス主体及び現実空間のビジネス主体に
対し、ヒアリング調査を行った。
【質問内容】模倣の実態やデザイン保護に対する意識
制度的措置の方向性(①及び②)
意匠制度見直しの必要性
【時期】令和5年12月〜
回答者の属性
✓ 仮想空間のビジネス主体
プラットフォームの運営、ワールド・アバター・仮想オブジェクト等の制作・提供、ゲームの制作・提供等を行
う事業者(個人クリエイターを含む)
✓ 現実空間のビジネス主体
自動車、電気機器、家具、金属製品、印刷、アパレル、百貨店、空間デザイン、出版、建設、通信等の事業者
18
ヒアリング調査
仮想空間におけるデザインの模倣事例等
➢ 仮想空間におけるデザインの模倣事例に関する主な回答は、以下のとおりであった。
<仮想空間におけるデザインの模倣事例>
現実空間のビジネス主体の回答
•
仮想空間のビジネス主体の回答
現実空間で販売されている物品(車、光学機器、衣服、 •
時計、医薬品の包装用容器、家具等)(※1)の形状等を
模した仮想オブジェクトが、他者によってプラッ
トフォーム上で利用、販売等された。
•
仮想空間での利用を想定して販売されているアバ
ター等が、他者によってプラットフォーム上で利
用、販売等された。
ゲーム内アイテム等が海外で冒認出願された。
<仮想空間におけるデザインの模倣への対応とその理由>
現実空間のビジネス主体の回答
•
•
•
•
仮想空間のビジネス主体の回答
デザインの模倣に対し、これまで対応を行ったことがない。(※2)
販売から4年以上が経過し、かつ、実用品のデザ
インであったため(※3)、取り得る法的手段がな
かったため。
事業に対する損害の大きさが不明であったため。
自社製品の宣伝の一環と捉えられるものであった
ため。
•
模倣品が海外のプラットフォームで販売されてお
り、実効性のある対応が困難と考えたため。
(※1)これらの物品には、意匠登録を受けたものもあった。
(※2)自社が開発するゲーム内アイテム等の海外での冒認出願への対応を除く。
(※3)不正競争防止法(第2条第1項第3号)に基づく形態模倣行為の規制は、国内販売開始から3年間、依拠性、実質的同一性等の要件が満たされた場合に限られる。ま
た、現実空間の実用品のデザインは、裁判例において著作物性が認められにくい傾向にあり、著作物性が認められない場合、当該デザインがその後に仮想空間で利用されるこ
とになっても同様に、著作権による保護の対象とはならない。
19
ヒアリング調査
仮想空間におけるデザインの模倣に対する懸念等
➢ 仮想空間におけるデザインの模倣に対する懸念として、現実空間、仮想空間のビジネス主体双方
から、今後、プラットフォームの課金システムによる経済活動の活発化、ユーザー数の増加に伴
うリテラシー低下、AI・データ技術の発展による模倣の技術的ハードルの低下等が要因となって、
仮想空間におけるデザイン模倣が増加する懸念があるという回答があった。
➢ その他の主な回答は、以下のとおりであった。
<仮想空間におけるデザインの模倣のうち、特に看過できないと考えるケース>
現実空間のビジネス主体の回答
仮想空間のビジネス主体の回答
•
•
模倣者が業として収益を上げている場合
ブランドを毀損するような形での使用や改変がなされている場合
<仮想空間におけるデザインの模倣に対する懸念等>
現実空間のビジネス主体の回答
•
•
仮想空間のビジネス主体の回答
今後、プラットフォームの課金システムによる経済活動の活発化、ユーザー数増加に伴うリテラシー低下、
AI・データ技術の発展による模倣の技術的ハードルの低下等が要因となって、仮想空間におけるデザインの
模倣が増加する懸念がある。
複製が容易であるというデジタル特有の性質から、ダウンロードしたデータの他人への譲渡を懸念する。
<仮想空間におけるデザインのうち、特に模倣されたくないデザインの対象>
現実空間のビジネス主体の回答
仮想空間のビジネス主体の回答
•
物品(家具、時計、衣服等)や建築物
•
アバター、アバターの衣服・鞄や靴等の身の回り
品、ワールド、キャラクター等
20
ヒアリング調査
制度的措置の方向性①及び②の概要
➢ ヒアリング調査では、制度的措置の方向性①及び②に対する意見を聴取した。
➢ 制度的措置の方向性①及び②の概要は、以下のとおり。
方向性①
方向性②
①現行の類型(物品・建築物・画像の一部)
以外に登録可能類型を拡大する方向性
②物品及び建築物の意匠権について実施の範囲を
仮想空間上に延長させる方向性
登録意匠(物品)
現
実
空
間
仮
想
空
間
実施の範囲を
延長させる
方向性
登録意匠
(新たな登録可能類型)
登録可能類型を
拡大する
方向性
登録意匠の形状等を模した
仮想オブジェクト
方向性①
21
ヒアリング調査
方向性①に関する主な意見
➢ 方向性①に関する主な意見は、以下のとおりであった。
➢ 意見の傾向として、現実空間のビジネス主体・仮想空間のビジネス主体ともに、クリアランス調
査の負担が限定的である点(仮想空間におけるデザインの創作にあたり、原則として新たな登録
可能類型の意匠のクリアランス調査で足りる)を評価する意見がみられた。
➢ なお、現行意匠法と整合する制度的措置とすべきである、保護対象が不明確である、(操作画
像・表示画像以外にも)画像の意匠の保護を拡大してほしい、著作権法による保護との整理が必
要であるとの意見もあった。
方向性①:現行の類型(物品・建築物・画像の一部)以外に登録可能類型を拡大する方向性
現実空間のビジネス主体の意見
•
仮想空間のビジネス主体の意見
クリアランス調査の負担が限定的である
•
評価
•
•
課題
•
現実空間と仮想空間の各ビジネス主体の
保護ニーズにバランスよく応えられる制
度である
仮想空間の業界全体で、権利保護に向け
た意識が高まる
クリエイター・中小企業にとって、稼ぐ
力や自らを守る手段になる
新類型の意匠登録出願が必要となり、
コストが増大する
22
ヒアリング調査
<参考>方向性①に関する主な意見
評価
•
クリアランス調査の負担が限定的である
仮想空間におけるデザインの創作にあたり、原則として新たな登録可能類型の意匠のクリアランス調査で足りる
(物品等の意匠は調査の対象外)ため、意匠権に係るクリアランス調査の負担が限定的である。
•
現実空間と仮想空間の各ビジネス主体の保護ニーズにバランスよく応えられる制度である
現実空間と仮想空間におけるデザインそれぞれが意匠権による保護を受けられる点で、現実空間と仮想空間の各
ビジネス主体の保護ニーズにバランスよく応えられる制度である。
•
仮想空間の業界全体で権利保護に向けた意識が高まる
仮想空間におけるデザインが意匠権という形で適切に保護されることで、仮想空間の業界全体で権利保護に向け
た意識が高まる。
•
クリエイター・中小企業にとって、稼ぐ力や自らを守る手段になる
仮想空間におけるデザインが意匠権という形で適切に保護されることは、クリエイターや中小企業にとって、品
質のPRや納品先に対する価格交渉に貢献する点で稼ぐ力になり、また、トラブルの発生時に自らを守る手段に
もなる。
課題
•
新類型の意匠登録出願が必要となり、コストが増大する
物品等の意匠に加えて、新たな登録可能類型の意匠登録出願が必要となり、コストが増大する。
23
ヒアリング調査
方向性②に関する主な意見
➢ 方向性②に関する主な意見は、以下のとおりであった。
➢ 意見の傾向として、(仮想空間の利活用を前提としたビジネスの主体である)現実空間のビジネ
ス主体・仮想空間のビジネス主体ともに、クリアランス調査の負担が大きい点(仮想空間におけ
るデザインの創作にあたり、物品等の意匠のクリアランス調査が必要)を課題とする意見がみら
れた。
➢ なお、方向性②で進め、その後に方向性①の検討も段階的に進めてはどうかとの意見もあった。
方向性②:物品及び建築物の意匠権について実施の範囲を仮想空間上に延長させる方向性
現実空間のビジネス主体の意見
評価
課題
•
仮想空間のビジネス主体の意見
新たな意匠登録出願が不要
•
•
•
クリアランス調査の負担が大きい
これまでの意匠の類否の考え方と整合しない
物品等の意匠の権利化やその権利の在り方に影響を及ぼす
•
現実空間と仮想空間で保護のバランス
に偏りがあり、不公平な制度
24
ヒアリング調査
<参考>方向性②に関する主な意見
評価
•
新たな意匠登録出願が不要
物品等の意匠について意匠権を有していれば、その形状等を模した仮想オブジェクトの無断販売等に対して権利
行使でき、新たな意匠登録出願が不要である。
課題
•
クリアランス調査の負担が大きい
物品等の意匠の意匠権の効力は仮想オブジェクトにも及ぶという考え方であるため、仮想空間におけるデザイン
の創作にあたり、物品等の意匠のクリアランス調査が必要となり、クリアランス調査の負担が大きい。
•
これまでの意匠の類否の考え方と整合しない
権利行使における意匠の類否判断において、登録意匠に係る物品等とその形状等を模した仮想オブジェクトが類
似すると考えることは、これまでの意匠の類否の考え方(物品非類似の場合には原則として意匠非類似と考え
る)と整合しない。
•
物品等の意匠の権利化やその権利の在り方に影響を及ぼす
権利行使における意匠の類否の考え方のみならず、新規性等の登録要件に関する審査における意匠の類否の考え
方が変更される可能性があり、物品等の意匠の権利化やその権利の在り方に影響を及ぼす。
•
現実空間と仮想空間で保護のバランスに偏りがあり、不公平な制度
仮想空間のビジネス主体にとって、仮想空間におけるデザインそれ自体を保護するための意匠権は取得できない
にもかかわらず、現実空間におけるデザインのクリアランス負担を強いられる点で、現実空間と仮想空間で保護
のバランスに偏りがあり、不公平な制度である。
25
アンケート調査・ヒアリング調査の結果を踏まえた新たな制度的措置の方向性
<アンケート調査・ヒアリング調査の結果>
➢ アンケート調査・ヒアリング調査を通じて、仮想空間において、現実空間のデザインの模倣のみ
ならず、仮想空間での利用を想定して創作されたデザインの模倣も生じており、このことが、現
実空間のビジネス主体、仮想空間のクリエイターやビジネス主体のいずれの立場からも、課題と
して認識されていることが確認された。また、仮想空間ビジネスの今後の発展可能性を考慮する
と、こうした模倣に対応するため、何らかの制度的措置が必要との声があった。
<制度的措置の方向性②>
➢ しかし、制度的措置の方向性②については、特に(現実空間のビジネス主体が直面する課題であ
る)現実空間のデザインの仮想空間における模倣への対応を念頭に考えられた案であった。
➢ そのため、ヒアリング調査では、仮想空間のビジネス主体から、仮想空間におけるデザインそれ
自体を保護するための意匠権は取得できないにもかかわらず、現実空間におけるデザインのクリ
アランス調査の大きな負担を強いられる点で、現実空間と仮想空間の間で保護のバランスに偏り
があり、不公平な制度であるといった課題が挙がった。また、これまでの意匠の類否の考え方と
整合しない、物品等の意匠の権利化やその権利の在り方に影響を及ぼすとの法的課題も挙げられ
た。
26
アンケート調査・ヒアリング調査の結果を踏まえた新たな制度的措置の方向性
<制度的措置の方向性①>
➢ 制度的措置の方向性①については、仮想空間での利用を想定して創作されたデザインの仮想空間
における模倣にも対応し得る方向性であり、クリアランス調査の負担も方向性②に比して小さい。
ヒアリング調査においても、クリアランス調査の負担が限定的である、現実空間と仮想空間の各
ビジネス主体の保護ニーズにバランスよく応えられる制度である等の評価の声があった。
➢ もっとも、物品・建築物・画像といった既存の登録可能類型がある中でこれらとは異なる新たな
登録可能類型を追加するにあたっては、法制化に向けて検討すべき法的課題のハードルが相対的
に高い。また、ヒアリング調査において、保護対象が不明確である、現行意匠法と整合する制度
的措置とすべき、画像の意匠の保護を拡大してほしいといった声もあり、これらの意見にも向き
合う必要がある。
新たな制度的措置の方向性
(制度的措置の方向性③)
⚫ 以上より、仮想空間における模倣の実態を踏まえ、現実空間のビジネス主体・仮想空間のビジネ
ス主体双方にとっての保護と利用のバランスに配慮するとともに、各方向性の課題を踏まえて、
現行意匠法と整合する形で新たな制度的措置の方向性を検討する必要がある。
⚫ そこで、新たな制度的措置の方向性(制度的措置の方向性③)として、仮想空間におけるデザイ
ンを現行の登録可能類型である画像の意匠として保護する方向性を検討したい。
27
制度的措置の方向性③のコンセプト
➢ 制度的措置の方向性③は、現行の登録可能類型である画像の意匠において、操作画像及び表示画
像に加え、物品等の形状等を表した画像を保護対象とするもの。
28
制度的措置の方向性③の概要
➢ 現行意匠法上、操作画像・表示画像に該当しない画像は保護の対象とならないが、方向性③は、
操作画像・表示画像に該当しない画像であっても、物品等の形状等を表した画像であれば、画像
の意匠として保護の対象とするもの。
➢ 物品等の形状等を表した画像の意匠権の効力は、同一又は類似の画像の意匠に及ぶ(物品等の意
匠には及ばない)。
➢ なお、「物品等の形状等を表した画像」として保護すべき対象や著作権法による保護との関係は、
次回以降の本小委員会で御説明予定。
方向性③のイメージ
物品等の形状等を表した画像の意匠権の効力
現
実
空
間
画像
操作画像
表示画像
機器の操作の用に
供される画像
機器がその機能を
発揮した結果として
表示される画像
物品(例:自動車)
仮
想
空
間
★
物品等の形状等を表した画像
物品等の形状等を表した画像
登録意匠(画像)
登録意匠の画像を模した画像
29
制度的措置の方向性③の特徴
➢ 方向性③は、(1) 仮想オブジェクトも画像の意匠として意匠登録可能、(2) クリアランス調査の
負担が限定的、(3) 現行意匠法と整合する制度的措置、(4) 現実空間と仮想空間の各ビジネス主
体の保護ニーズにバランスよく応えられる制度といった特徴を有する。
方向性③の特徴
(1) 仮想オブジェクトも画像の意匠として意匠登録可能
仮想オブジェクトが、操作画像・表示画像に該当しない場合であっても、物品等の形状等を表した画像
であれば意匠法による保護対象となり、画像の意匠として意匠登録可能である。
(2) クリアランス調査の負担が限定的
現実の物品等の形状等を表した画像の意匠権の効力は、同一又は類似の画像の意匠に及ぶ。そのため、
仮想オブジェクトの創作にあたっては、画像の意匠のクリアランス調査で足り(物品等の意匠は対象
外)、意匠権に係るクリアランス調査の負担が限定的である。
(3) 現行意匠法と整合する制度的措置
あくまで既存の登録可能類型である画像の意匠の一種として保護するものであり、現行意匠法と整合す
る制度的措置である。
(4) 現実空間と仮想空間の各ビジネス主体の保護ニーズにバランスよく応えられる制度
現実空間と仮想空間におけるデザインそれぞれが意匠権による保護を受けられる点で、現実空間と仮想
空間の各ビジネス主体の保護ニーズにバランスよく応えられる制度である。
30
仮想空間におけるデザインに関する意匠制度の在り方
御議論いただきたい事項
➢ 以上の事務局からの御報告・御提案内容を踏まえ、意匠制度見直しの必要性及び制度的措置の方
向性について引き続き検討を進めるにあたり、今後の検討の進め方に関する方向性(案)は、以
下のとおり。
今後の検討の進め方に関する方向性(案)
✓ 本小委員会における「仮想空間」の捉え方について
現時点では「仮想空間」は9頁記載のとおり捉えるものとして、議論を進める。
また、意匠法によって保護すべき対象については、「仮想空間」の捉え方とは必ずしも連動させる必要がない
ため、制度的措置の方向性と併せて検討を深めることとしたい。
✓ 制度的措置の方向性③について
仮に意匠制度の見直しを行う場合の制度的措置の方向性について、仮想空間における模倣の実態を踏まえつつ、
現実空間のビジネス主体・仮想空間のビジネス主体双方にとっての保護と利用のバランスに配慮し、現行意匠
法と整合する形で方向性③について検討を深めるべきと考える。
✓ 次回に向けた進め方及び次回の検討事項について
事務局にて、制度的措置の方向性③に対する意見聴取を目的に補充のヒアリングを実施。
次回の本小委員会では、事務局からヒアリング結果、制度的措置の方向性③の具体的内容、法的論点(著作権
法による保護との関係を含む)等を御説明した上、意匠制度見直しの必要性及びあるべき制度的措置の方向性につ
いて御議論いただく。
「今後の検討の進め方に関する方向性(案)」について、御意見及び御指摘があればいただきたい。
31
2.意匠法条約を確定し採択するための外交会議の結果
に関する御報告
32
リヤド意匠法条約について
➢ リヤド意匠法条約(Riyadh Design Law Treaty)は、企業・クリエイター等が各国へ意匠出
願する際、国毎に求められる方式要件や手続を調和・簡素化させることを目的とする。
➢ 世界知的所有権機関(WIPO)のSCT(※)にて2005年以降、20年間にわたり検討を行ってきた
(特許及び商標分野では同旨の条約であるPLT及びSTLTが既に存在)。
➢ 2024年11月11日〜22日、サウジアラビア・リヤドにて、意匠法条約を確定し採択するための外
交会議が開催され、「リヤド意匠法条約」として採択された。
➢ 意匠に関する条約がWIPOで成立するのは、国際出願・登録制度を定めた条約であるハーグ協定
ジュネーブ改正協定(1999年)以来、25年ぶり。
➢ 15の国又は政府間機関が批准書又は加入書をWIPO事務局長に寄託した後、3か月で効力を生じ
る。
条約名
採択年
発効年
日本加入年
特許法条約(PLT)
2000
2005
2016
商標法に関するシンガポール条約(STLT)
2006
2009
2016
リヤド意匠法条約
2024
-
-
※ SCT:商標・意匠・地理的表示の法律に関する常設委員会(Standing Committee on the Law of Trademarks, Industrial Designs and Geographical
Indications : SCT)
33
<参考>リヤド意匠法条約の概要
第4条
出願の構成要件
出願書類として官庁が出願人に求めることが可能な記載
事項
第5条
代理人、送達・通信のための宛先
出願日の確保・料金の支払は代理人選任の例外
第6条
出願日認定要件
出願日を認定するために最低限必要な記載事項
第7条
グレースピリオド
出願前12か月における開示を新規性喪失等の例外とする
第10条
意匠の公表
出願・登録意匠の非公表の維持(秘密意匠制度)
第11条
意匠の電子システム(努力義務)
電子出願システム・優先権証明書の電子的交換(DAS)
第12条
提出物の方式的要件
提出方法・言語等
第14条
手続期間の救済
手続期間延長・期間徒過への救済
第15条
権利の回復
期間徒過による権利消滅への救済
第16条
優先権主張関連の救済
優先権主張の回復・訂正・追加
第17条
実施権・担保権の記録の申請要件
官庁への実施権登録・担保権登録の申請要件
第21条
名義人の変更手続
官庁への名義人変更手続の要件
第2規則
出願に関する細目(任意規定)
物品の部分の保護(部分意匠)
※条文・規則・附帯決議の原文は以下URL参照
https://www.wipo.int/edocs/mdocs/sct/en/dlt_dc/dlt_dc_26.pdf
https://www.wipo.int/edocs/mdocs/sct/en/dlt_dc/dlt_dc_26_corr.pdf
34
リヤド意匠法条約の主な規定(1)
1. 出願及び申請時に官庁が課すことができる要件
意匠出願、更新、名義変更又は実施権の記録の申請書類において、締約国が要求することが
できる要件や記載事項を列挙・明記し、更なる要件を締約国が課すことを禁止する旨を定め
ている。
2. グレースピリオド(新規性喪失等の例外)
出願前に公開された意匠は、原則として、新規性等を喪失したものとみなされ保護されない
が、グレースピリオドの期間(出願日(優先権主張を伴う場合は優先日)に先立つ12か月の
期間)に意匠が公開されたとしても、その意匠の新規性等が喪失しないものとして取り扱う
旨を定めている。
ただし、締約国は、条約への加盟時に、当該規定の適用を留保することを宣言することもで
きる。
3. 出願・登録意匠の非公表の維持(秘密意匠制度)
出願・登録意匠を出願日から起算して最低6か月、非公表のまま維持することを可能にする
ことを締約国の義務として定めている。
ただし、締約国は、条約への加盟時に、当該規定の適用を留保することを宣言することもで
きる。
35
リヤド意匠法条約の主な規定(2)
4. 手続救済措置
(1) 官庁が指定する手続期間の延長
締約国は、官庁が指定する期間を、条約・規則で定める要件が満たされることを条件とし
て、少なくとも1か月延長する義務を負う。延長申請書の官庁への提出のタイミングを、
①期間徒過前とするか又は②期間徒過後にするかは締約国が選択可能。
(2) 意匠出願又は登録に関する権利回復
締約国は、期間徒過後の期間の救済措置(上記(1)②)を提供しない場合であって、期間
不遵守の直接の結果として権利喪失を引き起こしたときは、一定の基準(相当な注意基準
又は故意でない基準)及び条約・規則で定める要件が満たされることを条件として、意匠
出願又は登録に関する出願人又は名義人の権利を回復する義務を負う。
(3) 優先権主張の訂正・追加
締約国は、条約・規則で定める要件が満たされることを条件として、優先権主張の訂正又
は追加を認める義務を負う。
(4) 優先権回復
締約国は、優先期間を過ぎた後であっても、一定の基準(相当な注意基準又は故意でない
基準)及び条約・規則で定める要件が満たされることを条件として、優先権を回復する義
務を負う。ただし、締約国は、条約への加盟時に、当該規定の適用を留保することを宣言
することもできる。
36
<参考>外交会議における主要論点・交渉結果
◼ 手続簡素化・調和に資する規定の代表例
背景・経緯
交渉結果
グレースピリオド
(新規性喪失等の
例外)
原案は「6か月又は12か月」であったところ、産業界等から12か
月のグレースピリオドへの強い要望があった。日本は、ユーザー
の利便性向上の観点から、12か月で統一すべきと提案。途上国等
は、グレースピリオドの規定自体が意匠法条約(DLT)には不要
と主張。
日本提案が採用され、12か月のグレースピ
リオドが規定された。
ただし、締約国は、本規定を留保することも
できる(加入時に宣言、随時取下げ可能)。
出願・登録意匠の非
公表の維持
(秘密意匠制度)
一定期間(6か月)以上、締約国が出願・登録意匠の非公表を維持
可能とする旨の規定について、産業界等の要望を受け、日本は、
意匠の非公表を維持可能とする期間ができるだけ長くなるよう起
算日を優先日ではなく出願日とすべきと提案。
日本提案が採用され、非公表とする期間は出
願日から起算することに合意。
ただし、締約国は、本規定を留保することも
できる。
手続救済措置
(期間延長・権利回
復・優先権回復等)
救済措置は、DLTの根幹となる規定であるとして義務規定とする
ことを主張した先進国と、これを任意規定とすることを主張した
途上国の間で対立していた。
義務規定とすることに合意。
ただし、期間徒過後の救済に係る締約国の義
務をPLTより緩和。また優先権の回復につい
ては、締約国が留保することもできる。
◼ 途上国の要望に基づく規定
伝統的知識・
伝統的文化表現の
出所開示要件
アフリカグループはじめ途上国等は意匠出願書類において、意匠
に用いた伝統的知識(TK)、伝統的文化表現(TCE)及び遺伝資
源(GR)の出所開示を要求できるようにすることを提案。日本を
含む先進国側は、手続簡素化に逆行するとして反対してきた。
TK及びTCEに関する情報の開示を要求でき
るものとする任意規定が採択された。ただし
GRは出所開示の対象外とすることに合意。
技術支援
アフリカグループをはじめとする途上国が、後発開発途上国を対
象とする義務的な手数料減免制度創設を求めてきた。
手数料減免制度は締約国の裁量で導入できる
任意規定となった。
37
<参考>リヤド意匠法条約と現行意匠法関連法令との主な関係例
リヤド意匠法条約において規定されている手続の概要
現行意匠法関連法令
代理人選任の例外
(第5条)
出願日を確保するための手続や、単なる
料金の支払については、在外者であって
も代理人を介さずに官庁に対する手続を
行うことが可能。
意匠に関する手続について、在外者
が特許庁に対して直接手続すること
を認める規定はない。
出願日認定要件
(第6条)
出願日認定要件に含まれる情報が提出書
類に含まれる場合は、その提出日が出願
日として認定される。また、出願日認定
ができない場合は、補完を求める機会が
与えられる。
出願日認定要件の規定及び要件を満
たさない場合の措置に関する規定は
ない。
グレースピリオド
(第7条)
出願日(優先権主張を伴う場合は優先
日)に先立つ12か月の期間に意匠が開
示された場合、新規性、独創性等を毀損
しない。
優先権主張関連の救済
(第16条)
条約・規則で定める要件が満たされる場
合は、優先権主張の訂正や追加が可能。
優先権主張の訂正・追加を認める規
定はない。
1年のグレースピリオドを認めてい
る一方、出願日を起算日としてお
り、優先日については考慮されて
いない。
38
3.次回の意匠制度小委員会について(予定)
39
次回の意匠制度小委員会について(予定)
➢ 開催予定時期
• 令和7年3月又は4月(予定)
➢ 御議論いただく内容
<仮想空間におけるデザインに関する意匠制度の在り方>
• 本日の御指摘を踏まえて、事務局からヒアリング結果、制度的措置の方向性③の具体的内容、法的
論点(著作権法による保護との関係を含む)等を御説明予定。
• 上記をもとに、意匠制度見直しの必要性及びあるべき制度的措置の方向性について、御議論いただ
きたい。
➢ 御報告事項
• 公報におけるプライバシーの保護について、先行して特許制度小委員会で御議論いただいた内容を
御報告予定。
40