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産業構造審議会 知的財産分科会 意匠制度小委員会 第16回

2024-12-06一次資料(出典)

議事録・配布資料の全文(政府公表資料より。要約でなく原文に基づく参照用)。

産業構造審議会 知的財産分科会 意匠制度小委員会 第16回 資料産業構造審議会 知的財産分科会 意匠制度小委員会 第16回 資料産業構造審議会 知的財産分科会 意匠制度小委員会 第16回 資料産業構造審議会 知的財産分科会 意匠制度小委員会 第16回 資料産業構造審議会 知的財産分科会 意匠制度小委員会 第16回 資料産業構造審議会 知的財産分科会 意匠制度小委員会 第16回 資料産業構造審議会 知的財産分科会 意匠制度小委員会 第16回 資料産業構造審議会 知的財産分科会 意匠制度小委員会 第16回 資料

議事要旨

。 第16回意匠制度小委員会 議事要旨 1. 日時・場所 日時:令和6年12月6日(金曜日) 14時00分~16時00分 場所:特許庁特別会議室(特許庁庁舎16階)+Web会議室 2. 出席者 相澤委員、青木委員、小川委員、長田委員、影広委員、加藤委員、黒田委員、せきぐち委員、田村委員長、野田委員、バヒスバラン委員、松本委員 3. 議題 (1)仮想空間におけるデザインに関する意匠制度の在り方について (2)生成AI技術の発達を踏まえた意匠制度上の適切な対応について 4. 議事内容 事務局より、資料1に沿って、説明が行われた。 議題について、自由討議が行われた。 以上 [更新日 2024年12月12日] お問い合わせ 特許庁総務部総務課制度審議室 TEL:03-3581-1101 内線2118 このページの先頭へ 知的財産権関連リンク集 サイトマップ プライバシーポリシー このサイトについて 住所:〒100-8915 東京都千代田区霞が関3丁目4番3号 電話番号:03-3581-1101(代表) Copyright © Japan Patent office. All Rights Reserved.

資料1

産業構造審議会知的財産分科会 第16回意匠制度小委員会 議事次第・配布資料一覧 日 時:令和6年12月6日(金)14時00分開会 会 場:特許庁庁舎16階特別会議室+Teams会議室 (議事次第) 1.開会 2.仮想空間におけるデザインに関する意匠制度の在り方について 3.生成AI技術の発達を踏まえた意匠制度上の適切な対応について 4.閉会 (配布資料) 議事次第・配布資料一覧 委員名簿 資料1 意匠制度に関する検討課題について

資料2

令和 6 年 12 月 6 日 第 16 回意匠制度小委員会 産業構造審議会 知的財産分科会 意匠制度小委員会 委員名簿 相澤 清晴 東京大学大学院情報理工学系研究科 教授/ 東京大学バーチャルリアリティ研究教育センター長 青木 大也 大阪大学大学院法学研究科 小川 亮 公益社団法人日本パッケージデザイン協会 専務理事/ 株式会社プラグ 准教授 代表取締役 長田 新子 一般社団法人 Metaverse Japan 代表理事 影広 達彦 一般社団法人日本デジタル空間経済連盟 理事/ 株式会社日立製作所デジタルサービス研究統括本部先端 AI イ ノベーションセンタ 加藤 正敏 日本商工会議所 黒田 薫 阿部・井窪・片山法律事務所 せきぐち 委員長 主管研究長 あいみ 理事・産業政策第一部長 パートナー弁護士 VR アーティスト 田村 善之 東京大学大学院法学政治学研究科 野田 一隆 日本知的財産協会意匠委員会 教授 委員長/ 日本たばこ産業株式会社知的財産部 バヒスバラン 松本 直子 薫 シティユーワ法律事務所 日本弁理士会 課長代理 弁護士 執行理事/弁理士 (敬称略、五十音順)

資料3

資料1 意匠制度に関する検討課題について 産業構造審議会知的財産分科会 第16回意匠制度小委員会 令和6年12月6日 1.DX時代にふさわしい産業財産権制度構築の必要性 1 DX時代にふさわしい産業財産権制度構築の必要性 ➢ 特許庁は、社会情勢の変化に対応して様々な制度改正を実施してきたところ、デジタル技術の飛躍的発展に応じて、 これらにふさわしい形で制度的措置を講じてきた。 ⚫ 平成2年に、コンピュータの普及をいち早く捉え、工業所有権に関する手続等の特例に関する法律を制定し、電 子出願システムを世界で初めて導入 ⚫ 平成14年に、インターネット通信の高速・大容量化(ブロードバンド化)に伴う、インターネットを介したプロ グラムの販売等の増大を受けて、特許されたプログラム等をネットワーク上で無断送信する行為等も権利侵害に 当たることを明確化 ⚫ 令和元年に、インターネットサービスの多様化、スマートフォンの普及等により、GUIの重要性が高まったこと を受けて、物品それ自体に記録・表示されていない画像を意匠権の保護対象に追加 ➢ 近時、社会全体のDXが加速しているところ、産業財産権制度における措置を検討すべき内容として、①~③の技術 発展に伴う変化が挙げられる。 ① ネットワーク関連技術の発展による国境を跨いだサービスの増加 ② 生成AI技術の発展による知的創造活動の過程の変化 ③ VR技術の発展やオンラインコミュニケーション機会の増大等による仮想空間上のサービスの増加 ➢ このような流れの中で、イノベーションをもたらす知的創造活動を今後も適切に保護していくためには、技術の更 なる発展を見据え、DX時代にふさわしい産業財産権制度を構築する必要がある。 ➢ あわせて、産業財産権の取得・活用を後押しするため、④DX時代にふさわしい産業財産権手続に関する制度的措置 を講ずる必要がある。 本小委員会では、特に「生成AI技術の発達を踏まえた意匠制度上の適切な対応」(②)及び「仮想空間にお けるデザインに関する意匠制度の在り方」(③)について御議論いただきたい。 ※①については、特許制度小委員会等において議論予定。 2 当面の検討課題 ➢ 「仮想空間におけるデザインに関する意匠制度の在り方」及び「生成AI技術の発達を踏まえた意 匠制度上の適切な対応」の二つの課題については、以下のとおり検討を進める予定。 検討事項 <仮想空間におけるデザインに関する意匠制度の在り方> 仮想空間におけるビジネスやデザイン創作の実態を踏まえた意匠制度見直しの必要性及び制度的 措置の方向性について、検討を進める。 <生成AI技術の発達を踏まえた意匠制度上の適切な対応> 生成AI技術の発達を踏まえた検討課題及びこれに対する制度的措置の方向性について、検討を進 める。 ※その他、令和6年11月に開催された「意匠法条約(DLT)を採択するための外交会議」の結果についても、 事務局より御報告予定。 当面の進め方 • 1~2か月に1回程度の開催(予定)。 • 議論が深まった論点については、適時に方向性を取りまとめる。 3 2.仮想空間におけるデザインに関する意匠制度の在り方 4 仮想空間におけるデザイン保護に関する検討経緯 ➢ 現実空間と仮想空間を交錯した知財利用の拡大に伴い、仮想空間におけるデザイン保護については、令和4年 4月以降、国会及び政府・与党において議論が進められている。 ➢ 意匠法等による保護の在り方については、クリエイターの創作活動に対する萎縮的効果に十分配慮しつつ、令 和5年不正競争防止法改正の影響や、諸外国の制度・紛争事例等の動向に留意しながら、中長期的視野で検討 を深めてきたところ。 ➢ なお、令和5年不正競争防止法改正の際、衆議院経済産業委員会では「本改正にとどまることなく、幅広く知 的財産権に関する法律の改正についても速やかに検討すること。」、「意匠法等の知的財産権に関する法律の 保護対象の範囲及び保護と利用の在り方について、適時適切に見直しを行うこと。」との附帯決議もなされた。 自民党 「NFTホワイトペーパー Web3.0 時代を見据えたわが国のNFT戦略」 令和4年 4月 6月 令和5年 5月 ➢ 「既に起きている事例を念頭に、まずは著作権法や不正競争防止法といった法令に基づき、模倣行為に対して取り得る方策やその限界についての議論の 整理を進めつつ、将来的には、意匠権による保護範囲の拡大を含め、法改正による一定の手当ての可能性について関係省庁における検討を進めるべきで ある。また、メタバースサービスの提供や利用が容易に国境をまたぎ得るものであることを考慮すると、デジタル空間におけるデザイン保護の共通化や国際協 調に向けた議論の必要性は高いと考えられるため、こうした国際的な議論をリードすべく、政府として積極的にイニシアチブを発揮するべきである。」 特許庁 政策推進懇談会 「知財活用促進に向けた知的財産制度の在り方~とりまとめ~」公表 ➢ 「メタバース内の画像の保護に関しては、関係する法令に基づき、模倣行為に対して取り得る方策やその限界についての議論の整理を進め、 クリエイターの 創作活動に対する萎縮的効果を生じさせないよう十分考慮しつつ、意匠権等による保護の在り方について、中長期的視野で検討を深める必要がある。」 メタバース上のコンテンツ等をめぐる新たな法的課題への対応に関する官民連携会議 「メタバース上のコンテンツ等をめぐる新たな法的課題等に関する論点の整理」公表 ➢ 「意匠法による対応については、クリエイターの創作活動に対する萎縮効果を生じさせる等の懸念もあることから、中長期的課題として慎重に検討することが 適当である。」 ➢ 「現実空間と仮想空間を交錯するデザインの利用について、著作権法、意匠法、不正競争防止法による保護の及ぶ範囲やその限界等(略)について、 基本的な考え方等を整理するとともに、ガイドライン等を通じ、権利者やメタバースユーザー等に向け必要な周知を行っていくことが求められる。」 不正競争防止法等の一部を改正する法律(令和5年法律第51号)可決・成立 6月 令和6年 6月 <衆議院経済産業委員会 附帯決議(令和5年5月17日)> ➢ 「デジタル空間におけるコンテンツの保護及び利用を推進し、経済活動を活性化するため、本改正にとどまることなく、幅広く知的財産権に関する法律の改 正についても速やかに検討すること。」 ➢ 「知的創造物の権利については、意匠法等の知的財産権に関する法律の保護対象の範囲及び保護と利用の在り方について、適時適切に見直しを行うこ と。」 特許庁 政策推進懇談会「中間整理」公表 5 <参考>仮想空間の利活用事例 (出典)総務省「Web3時代に向けたメタバース等の利活用に関する研究会 報告書骨子」(令和5年7月)4頁 https://www.soumu.go.jp/main_content/000892206.pdf 6 <参考>仮想空間の市場動向 (出典)総務省「安心・安全なメタバースの実現に関する研究会 報告書2024 概要」(令和6年10月)5頁 https://www.soumu.go.jp/main_content/000974752.pdf 7 <参考>ガートナーのハイプ・サイクル(メタバース) ➢ メタバースは、ガートナーのハイプ・サイクル(※)において、「過度な期待」のピーク期、幻滅期 を経て、現在は啓発期の手前の段階とされている。 ※ガートナーのハイプ・サイクル 「イノベーションが過度にもてはやされ る期間を経て幻滅期を迎え、最終的には 市場や分野でその重要性や役割が理解さ れるという段階を踏まえて進化する共通 のパターンを描いたもの」をいう。 (出典)Gartnerウェブサイト「Gartner、「日本における未来志向型インフラ・テクノロジのハイプ・サイクル:2024年」を発表」 https://www.gartner.co.jp/ja/newsroom/press-releases/pr-20240807-future-oriented-infra-tech-hc/(なお、赤丸は特許庁が付したものである。) 8 現実空間と仮想空間を交錯する知財利用等に関する課題 ➢ 仮想空間内では、事業者のみならず、ユーザー自らがワールドを構築したり、アバター、仮想オブジェク ト等を創作・提供しており、これらの販売を可能としているプラットフォームも存在する。 ➢ このような中で、現実空間の物品等のデザインが仮想空間に取り込まれたり、仮想オブジェクトのデザイ ンが現実空間に取り込まれたりするなど、現実空間と仮想空間を交錯する知財利用が拡大している。 <現実空間と仮想空間を交錯する知財利用・仮想オブジェクトのデザインに関する課題> ⚫ 1 現実空間のデザインの仮想空間における模倣として、例えば、ある程度特徴的な外観を有する量産品のデザイ ンを模倣した仮想オブジェクトが仮想空間内で使用されることを前提として販売されるなど、現実空間の商品 のデザインが無断で使用される事案が生じている。 そこで、現実空間の物品等のデザインを模した仮想オブジェクトを第三者が無断で販売等するケースにおいて、 当該デザインに係る権利者の権利はどこまで及ぶか、権利保護の在り方はどのようにあるべきか、課題となる。 ⚫ 2 さらに、同一の3Dモデリングによるデザインを基に、現実空間と仮想空間双方の実用品を販売する等のビジ ネスモデルも現実化してきており、これらの商品のデザインがどのように保護されるのか、課題となる。 1 現実空間 無断販売等 ■販売等をやめてほしい・・・ ■損害を賠償してほしい・・・ ? 2 仮想空間 仮想オブジェクト ¥3,600 現実空間における デザインに係る権利者 第三者 現実空間 現実・仮想 両空間で販売等 ! 仮想空間 仮想オブジェクト ¥3,600 現実空間と仮想空間双方 の実用品の販売者 (参考)メタバース上のコンテンツ等をめぐる新たな法的課題への対応に関する官民連携会議「メタバース上のコンテンツ等をめぐる新たな法的課題等に関する論点の整理」(令和5年5月)9頁 https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/metaverse/pdf/ronten_seiri.pdf 9 意匠法の保護対象について ➢ 意匠法の保護対象である意匠には、物品の意匠、建築物の意匠及び画像の意匠がある(意匠法第2 条第1項)。 ➢ 物品・建築物は有体物を指す。 ➢ 画像は、①機器の操作の用に供されるもの(「操作画像」)及び②機器がその機能を発揮した結果 として表示されるもの(「表示画像」)のみに限定されており、機器とは独立した、画像や映像の 内容自体を表現の中心として創作される画像(コンテンツ)は、意匠を構成しないとされる。 画像の意匠 物品の意匠 建築物の意匠 ■物品の意匠に該当するための要件 ■建築物の意匠に該当するための要件 ・土地の定着物であること ・人工構造物であること (土木構造 ・有体物のうち、市場で流通する動産 であること 物を含む) ※意匠審査基準 第Ⅲ部 第1章 2.1 ※意匠審査基準 第Ⅳ部 第2章 3.1 ■画像の意匠に該当するための要件 ・ 機器の操作の用に供される画像(操作 画像)又は機器がその機能を発揮した結 果として表示される画像(表示画像)の 少なくともいずれか一方に該当する画像 であること ※意匠審査基準 第Ⅳ部 第1章 3.1 10 物品等の意匠と仮想空間 仮想オブジェクトの無断販売等に対し、意匠権を行使できるか ➢ 意匠権者は、業として登録意匠及びこれに類似する意匠の実施をする権利を専有する(意匠法第 23条)。 ➢ 物品等の意匠については、第三者が、業として、登録意匠と同一又は類似の意匠に係る物品等を無 断で製造・建築、使用、譲渡、貸渡し等した場合、意匠権侵害が成立する。 ➢ しかし、登録意匠に係る物品等の形状等(※)を模した仮想オブジェクトを第三者が無断で販売等す るケースにおいて、物品等の意匠に係る意匠権侵害は成立しない可能性が高いと考えられる。その 理由として、例えば以下の点が指摘されている。 ① 登録意匠に係る物品等とその形状等を模した仮想オブジェクトは、用途・機能が異なる場合が多く、その場 合、意匠の類似が認められない。 ② 物品等の意匠の実施は有体物に対する行為を前提としているため、無体物である仮想オブジェクトの販売等 は実施に該当しない。 ➢ したがって、物品等の意匠について意匠権を有していたとしても、その形状等を模した仮想オブ ジェクトの無断販売等に対しては、意匠権を行使できない可能性が高い。 (※)「形状等」=「形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合」 現実空間 意匠登録 意匠権者 物品等の意匠 仮想空間 物品等の意匠に係る 意匠権侵害は成立せず、 意匠権を行使できない 可能性が高い。 無断販売等 登録意匠に係る物品等の形状等を 模した仮想オブジェクト ¥3,600 第三者 上記のケースは、令和5年改正不正競争防止法で一部規制できる可能性あり(詳細は15頁)。 11 画像の意匠と仮想空間 仮想空間において用いられる画像の意匠法上の保護 ➢ 意匠法による画像の意匠の保護は、画像を表示する物品や建築物を特定することなく、画像そ れ自体を対象にしていることから、仮想空間において用いられる画像であっても、機器の操作 の用に供される画像(操作画像)又は機器がその機能を発揮した結果として表示される画像 (表示画像)の少なくともいずれか一方に該当すれば、画像の意匠として保護され得る。 意匠審査基準 第Ⅳ部 第1章 6.画像を含む意匠の登録要件 6.1.1.1 「意匠法上の画像意匠と認められるものであること」 〔前略〕「操作画像」とは、対象の機器が機能にしたがって働く状態にするための指示を与える画像であり、特段の事情がない限り、画像の中に 何らかの機器の操作に使用される図形等が選択又は指定可能に表示されるものをいう。画像意匠は物品から離れたものであるので、ここでいう 機器が特定されている必要はなく、操作対象となる用途や機能(例えば、写真撮影用画像)が特定されている場合でも本要件を満たしているも のと認められる。「表示画像」とは、何らかの機器の機能と関わりのある表示を行う画像であり、画像の中に機器の何らかの機能と関わりのあ る表示を含むものをいう。ただし、単に画像を表示する機能のみによって表示された画像は「表示画像」に含まない。 <操作画像に該当する仮想空間用画像の例> 「音楽再生用画像」 仮想空間上でプレイリストアイコンを選 択することで音楽の再生を開始する画像 「アイコン用画像」 仮想空間上でクリックすると 天気予報のアプリケーション ソフトウェアが立ち上がる操 作ボタン <表示画像に該当する仮想空間用画像の例> 「機器使用時間表示画像」 機器を使用した時間を仮想空間上に表示 するための画像 12 画像の意匠と仮想空間 仮想オブジェクトは、画像の意匠として保護されるか ➢ 仮想オブジェクトには、画像の意匠として保護されるものと保護されないものがある。 ➢ 例えば【事例2】のような仮想オブジェクトは、以下の理由から画像の意匠として保護されな いものと整理されている。 ① 対象の機器が機能にしたがって働く状態にするための指示を与える画像と認められないため、操作画像 には該当しない。 ② 単に画像を表示する機能のみによって表示された画像と認められるため、表示画像には該当しない。 【事例2】画像の意匠として保護されない仮想オブジェクトの例 【事例1】画像の意匠として保護される仮想オブジェクトの例 画像 平面図 画像 平面図 画像 底面図 画像 画像 画像 画像 左側面図 正面図 右側面図 背面図 使用状態を示す参考図 【意匠に係る物品】アイコン用画像 【意匠に係る物品の説明】この画像は仮想空間内での描画に用いる アイコン用画像である。使用者は仮想空間上でこの画像を選択した うえで、手に把持したコントローラーを動かすことで、使用状態を 示す参考図に表したように、その動きに合わせて仮想空間内に線を 描画することができる。 画像 底面図 画像 画像 画像 画像 左側面図 正面図 右側面図 背面図 使用状態を示す参考図 【意匠に係る物品】ボールペンの画像 【意匠に係る物品の説明】この画像は仮想空間上に表示されるボー ルペンの画像である。使用状態を示す参考図に表したように、仮想 空間内の任意の場所に配置することで仮想空間内を装飾することが できる。 13 画像の意匠と仮想空間 仮想オブジェクトの無断販売等に対し、意匠権を行使できるか ➢ 先述のとおり、仮想オブジェクトであっても、操作画像又は表示画像に該当すれば、画像の意匠と して保護の対象となり得る。現実空間の物品等に係る意匠について、その形状等を模した仮想オブ ジェクトを創作した場合、当該仮想オブジェクトは、操作画像又は表示画像に該当すれば画像の意 匠として保護され得る。 ➢ 画像の意匠については、第三者が、業として、登録意匠と同一又は類似の意匠に係る画像を無断で 作成、使用、電気通信回線を通じた提供等した場合、意匠権侵害が成立する。 ➢ しかし、登録意匠に係る画像の形状等を模した仮想オブジェクトを第三者が無断で販売等するケー スにおいて、画像の意匠に係る意匠権侵害は成立しない可能性が高いと考えられる。その理由とし て、例えば以下の点が指摘されている。 ① 登録意匠に係る画像の形状等を模した仮想オブジェクト(例:仮想空間上の任意の場所に配置可能なボールペンの画像)は、 操作画像・表示画像に該当しない場合が多い。 ② 登録意匠に係る画像とその形状等を模した仮想オブジェクトは、画像の用途・機能が異なる場合が多く、その場合、意匠の類 似が認められない。 ➢ したがって、画像の意匠について意匠権を有していたとしても、登録意匠に係る画像の形状等を模 した仮想オブジェクトに対しては、意匠権を行使できない可能性が高い。 (※)「形状等」=「形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合」 なお、画像の形状等とは、画像の視覚的要素のみについて言及する場合をいう。 意匠登録 意匠権者 画像の意匠として保護される 仮想オブジェクト 画像の意匠に係る 意匠権侵害は成立せず、 意匠権を行使できない 可能性が高い。 登録意匠に係る画像の形状等を模した 仮想オブジェクト ¥3,600 無断販売等 第三者 14 不正競争防止法(第2条第1項第3号)と仮想空間 ➢ 他人の商品形態を模倣した商品を提供する行為(形態模倣行為)は、不正競争防止法第2条第1項第3号で規制。 ➢ 令和5年不正競争防止法改正(令和6年4月1日施行)により、電気通信回線を通じて提供する行為が新たに規 律の対象となった結果、①現実空間の商品の形態を現実空間上で模倣して提供する行為に加え、 ②現実空間の商品の形態を仮想空間上で模倣して提供する行為 ③仮想空間の商品の形態を現実空間上で模倣して提供する行為 ※「商品」=市場における流通の対象物となる有体物又は無体物をいう。 ※「商品の形態」=有体物の形態に限られず、無体物も含まれる。 ④仮想空間の商品の形態を仮想空間上で模倣して提供する行為 も形態模倣行為として規制され、差止請求や損害賠償請求の対象となった。 ➢ したがって、現実空間の商品の形態を模倣した仮想オブジェクトの無断販売等に対しては、形態模倣行為(②) として規制できる可能性がある。また、仮想空間の商品の形態を模倣した現実空間の商品の無断販売等や、仮想 空間の商品の形態を模倣した仮想オブジェクトの無断販売等に対しても、形態模倣行為(③・④)として規制で きる可能性がある。 ➢ ただし、形態模倣行為の規制は、国内販売開始から3年間、依拠性、実質的同一性等の要件が満たされた場合に 限る。また、模倣自体は規制されておらず、模倣した商品の譲渡等が規制対象となっている。 現実 空間 現実空間の商品 仮想 空間 仮想空間の商品 (真正品) (真正品) ① ② ③ ④ 現実空間の商品 (模倣品) 仮想空間の商品 (模倣品) <不正競争防止法の規定(令和5年法律第51号による改正後)> (定義) 第二条 この法律において「不正競争」とは、次に掲げるものをいう。 (略) 三 他人の商品の形態(当該商品の機能を確保するために不可欠な形態を除 く。)を模倣した商品を譲渡し、貸し渡し、譲渡若しくは貸渡しのために展示 し、輸出し、輸入し、又は電気通信回線を通じて提供する行為 (略) 5 この法律において「模倣する」とは、他人の商品の形態に依拠して、これと実 質的に同一の形態の商品を作り出すことをいう。 令和5年改正前の不正競争防止法においても 規制対象とされていた行為(①) 令和5年改正後の不正競争防止法において新たに 規制対象とされた行為(②、③、④) 15 <参考>意匠法と不正競争防止法(第2条第1項第3号)の比較 ➢ 形態模倣行為(不正競争防止法第2条第1項第3号)に該当するためには依拠性が要件となるが、 意匠権侵害に該当するためには依拠性は要件とならない。 ➢ また、形態模倣行為規制による保護期間は国内での販売開始から3年間だが、意匠法による保護期 間は出願から最長25年間であり、長期間の保護が可能である。 <意匠法と不正競争防止法(第2条第1項第3号)の比較> 意匠法 不正競争防止法(第2条第1項第3号) 保護対象 物品、建築物及び画像の意匠 商品(無体物を含む)の形態 保護期間 出願から最長25年間 日本国内での販売開始から3年間 侵害等の要件 意匠権者に無断で業として 登録意匠と同一又は類似の意匠を実施した場合 →意匠権侵害に該当(…依拠性要件なし) 他人の商品の形態に依拠してこれと 実質的に同一の形態の商品を作り出した場合 →模倣に該当(…依拠性要件あり) 民事上の救済 差止請求、損害賠償請求、不当利得返還請求 及び信用回復のための措置請求 差止請求、損害賠償請求、不当利得返還請求 及び信用回復のための措置請求 刑事罰 10年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金 又はこれを併科 5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金 又はこれを併科 保護の性格 絶対的独占権(客観的内容を同じくするものに 対して排他的に支配できる) 権利付与による保護ではなく、 不正競争行為の防止措置 16 <参考>著作権法と仮想空間 現実空間の実用品のデザインの仮想空間への転用 ➢ 著作権による保護は、著作物と認められるものであれば、基本的に現実空間か仮想空間かを問わずに及ぶ。 ➢ しかし、現実空間の実用品のデザインを模した仮想オブジェクトを第三者が無断で販売等するケースにおいて、 著作権侵害は成立しない可能性が高いと考えられる。その理由として、例えば以下の点が指摘されている。 ① 著作権侵害が成立するためには、その前提として著作物性が認められる必要があるが、現実空間の実用品のデザインは、原則 として意匠法の保護領域とされ、裁判例において著作物性が認められにくい傾向にある。 ② 現実空間の実用品のデザインについて著作物性が認められない場合、当該デザインが、その後に仮想空間で利用されることに なっても同様に、著作権による保護の対象とはならない。 ➢ したがって、例えば、現実空間の実用品のデザインを作成したとしても、そのデザインを模した仮想オブジェク トの無断販売等に対しては、著作権を行使できない可能性が高い。 仮想空間における「実用品」として創作されたデザインの著作物性 ➢ 仮想空間で新たに創作される「実用品」のデザイン(例:アバターが着る衣服のデザイン )に関しては、どこ までが著作物として認められるか等について議論がある。この点については、以下の点が指摘されている。 ① 例えば、衣服の3Dデザイン等、現実世界での実用品のデザインとして実際に使用できるものについては、現実空間、仮想空 間のいずれで使われることとなるかにかかわらず、実用品(応用美術)として、その著作物性の判断がなされるのではないか。 ② 仮想空間における「実用品」のデザインは、物理的世界の下での機能的制約を受けない中でより自由度が高く、現実空間にお ける実用品としては成立し得ないデザイン等も可能となるところ、このようなものについては、創作的な表現として著作物性 を認められることとなりやすいのではないか。 ➢ アニメや映画、ゲーム等の仮想世界における実用品としての設定の下に創作されるコンテンツ(例:ドラえもん のタイムマシン)については、そのデザインについて応用美術に当たらぬものとして、著作物性を肯定される場 合があることが想定される。 (参考)メタバース上のコンテンツ等をめぐる新たな法的課題への対応に関する官民連携会議「メタバース上のコンテンツ等をめぐる新たな法的課題等に関する論点の整理」(令和5年5月)10-11頁 https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/metaverse/pdf/ronten_seiri.pdf 17 <参考>意匠法と著作権法の比較 <意匠法と著作権法の比較> 意匠法 著作権法 保護対象 物品、建築物及び画像の意匠 著作物 (思想又は感情の創作的な表現) 権利の発生 出願、審査を経て設定登録により発生 創作と同時に自動的に発生 なし 管理・公示 意匠原簿で管理、意匠公報を発行 (著作権登録制度により、実名、第一発行年月日等、著作 権・著作隣接権の移転等を登録することは可能) 権利期間 出願から最長25年間 原則、創作から著作者の死後70年間 侵害要件 意匠権者に無断で業として 登録意匠と同一又は類似の意匠を実施した場合 →意匠権侵害に該当(…依拠性要件なし) 既存の著作物に類似し、依拠したと認められる作品 を、当該著作物の著作権者に無断で利用した場合 →著作権侵害に該当(…依拠性要件あり※) 依拠性:他人の著作物に接し、それを自己の作品の 中に用いていること 権利の性格 絶対的独占権(客観的内容を同じくするものに対し て排他的に支配できる) 相対的独占権(他人が独自に創作したものには自分 の権利は及ばない) ※最判昭和53年9月7日民集32巻6号1145頁 18 意匠法・不正競争防止法(第2条第1項第3号)・著作権法に関する検討結果の整理 ➢ ①現実空間の物品等のデザインを模した仮想オブジェクト等(※)が保護対象になるか、②現実空間の物品等 のデザインを模した仮想オブジェクト等を第三者が無断で販売等するケースにおいて侵害が成立するかにつ いて、意匠法・不正競争防止法(第2条第1項第3号)・著作権法に関する検討結果は、以下のとおり整理できる。 ➢ 以下の整理等を踏まえて、意匠法の保護対象の範囲及び保護の在り方に関して、更なる検討を進めていくこ とが必要。 ①保護対象になるか ⚫ 現実空間の物品等のデザインを模した仮想オブジェクト等(※)が保護対象になるか <意匠法>操作画像又は表示画像に該当すれば、画像の意匠として保護対象になると考えられる。 <不正競争防止法(第2条第1項第3号)>「商品の形態」に該当すれば、形態模倣行為の規制において保護対象になる と考えられる。 <著作権法>「著作物」に該当しなければ、保護対象にならないと考えられる。 ②侵害が成立するか等 (※)については、真正品であることを前提とする。 ⚫ 現実空間の物品等のデザインを模した仮想オブジェクト等を第三者が無断で販売等するケースにおいて侵害 が成立するか <意匠法>意匠権侵害は成立しない可能性が高いと考えられる。 <不正競争防止法(第2条第1項第3号) >形態模倣行為に該当する可能性が考えられる。 (ただし、国内販売開始から3年間、依拠性、実質的同一性等の要件が満たされた場合に限る。) <著作権法>著作権侵害は成立しない可能性が高いと考えられる。 19 仮想空間に関する意匠制度の検討経緯(調査研究) ➢ 特許庁においては、仮想空間に関する調査研究を令和4年度及び令和5年度に実施した。 「仮想空間に関する知的財産の保護の状況に関する調査研究」(令和4年度) 仮想空間に関する知的財産について、現行の知的財産法(意匠法、商標法、著作権法、不正競争防止法、特許法・実 用新案法)それぞれで保護される対象、保護が及ばない対象を整理するとともに、諸外国の法制や議論の状況につ いても調査することを目的として、以下の項目について調査を実施した。 ■公開情報調査 【調査項目】①インターネット上のビジネ スやデジタルコンテンツと知的財産権に関 する過去の調査研究、②仮想空間内のビジ ネスやデジタルコンテンツに関する知的財 産についての各国知的財産権各法での保護 の状況 【対象国・地域】日本、米国、欧州、中国 (香港を除く)、韓国 ■国内外ヒアリング調査 【調査項目】①仮想空間を用いたビジネス の現状と展望、②仮想空間における知的財 産権の保護の状況・課題・ニーズについて の認識、③仮想空間における知的財産権の 横断的な課題の認識 【対象者】仮想空間のプラットフォームを 提供する又は仮想空間上でサービスを提供 する国内外企業 12 者、国内外有識者 7者 ■パネルディスカッション形式のヒ アリング調査 【目的】企業実務者と有識者の議論 を深めることにより、仮想空間に関 する知的財産での保護等について有 益な意見を聴取する。 【対象者】国内企業 2 者、国内有識 者 2者、海外有識者 2 者(米国 1 者、 中国1 者) 「仮想空間におけるデザイン創作の保護に関する調査研究」(令和5年度) 仮想空間のデザイン(3Dモデル等)保護に関する、中長期的な検討の基礎とすることを目的として、以下の項目につ いて調査を実施した。 ■国内実態・意識調査 クリエイター向けアンケート (回答者425名。仮想空間での利用を想 定したコンテンツのデザイン等をメイン の職業又は副業としてある程度以上の収 入を得ている者が約3割を占める。) 【調査項目】 ・制作の実態 ・模倣・紛争経験の実態 ・保護と利用のバランスに関する意識 ■公開情報調査 【調査項目】 ・主管庁の取組 ・裁判例 ・調査研究報告書・論文等 ・ニュース記事 ■利用規約等の調査 主要なメタバースプラッ トフォーム等(10者) 【調査項目】 ・権利の帰属 ・収益の分配 ・紛争解決 ■海外実態・意識調査 有識者ヒアリング(6名) 【調査項目】 ・海外における模倣や紛 争の実態 ・保護と利用のバランス の在り方 20 令和4年度調査研究 仮想空間における意匠保護に関する海外の法制度(公開情報調査) 1.現実空間における意匠権の効力は仮想空間に及び得るか 米国 欧州 定まった解釈がない。 仮想空間に及ぶ可能性がある。 中国 定まった解釈がない。 韓国 仮想空間に及ばない可能性が高 い。 2-1.仮想空間における権利を取得できるか 米国 欧州 物品から離れた画像デザイン単 体では登録できない。デジタル コンテンツが物品に表示された 状態である場合はコンテンツで も登録できる。 登録できる。 中国 登録できない。 韓国 登録できない。 2-2.①仮想空間における権利の効力は仮想空間に及び得るか 米国 仮想空間に及び得る。 欧州 中国 韓国 仮想空間に及び得る。(※) 意匠権に基づく権利主張はでき ない。 意匠権に基づく権利主張はでき ない。 2-2.②仮想空間における権利の効力は現実空間に及び得るか 米国 欧州 中国 韓国 現実空間の物品に表示された状 態ではないので、現実空間に及 ばない可能性がある。 現実空間に及ぶ可能性がある。 意匠権に基づく権利主張はでき ない。 意匠権に基づく権利主張はでき ない。 (※) 欧州については、2024年10月10日にEU理事会が採択した「共同体意匠規則を改正する規則案及び意匠の法的保護に関する指令案」により、意匠の定義等について改正が行われた。 (参考) 特許庁「令和4年度産業財産権制度各国比較調査研究等事業 仮想空間に関する知的財産の保護の状況について」(令和5年3月)18頁 https://www.jpo.go.jp/resources/report/takoku/document/zaisanken_kouhyou/2022_02-summary.pdf 21 令和5年度調査研究 仮想空間におけるデザイン創作に関する国内実態・意識調査(アンケート調査) ➢ 意匠権による仮想空間内のデザインの保護が及ぼすクリエイターの創作活動に対する萎縮効果に ついての検討材料とするため、仮想空間におけるデザインの制作、模倣、紛争に関する実態、デ ザインの保護と利用のバランスに関する意識を問うアンケート調査をインターネットを通じて広 く実施。 ➢ 実施に当たっては、メタバースプラットフォームを横断した、メタバース・イベントの交流プ ラットフォームである「Metaverse Navi」の協力を得て、当該プラットフォーム上や関連コミュ ニティにおける告知を行った。 ➢ アンケートにアクセスした者のうち、仮想空間での利用を想定したコンテンツのデザインやアー トの制作を、有償、無償を問わず、これまで一度でも行ったことがある者425名からの回答を得 た。 ➢ 調査時期:令和5年12月~令和6年1月 <アンケートの調査項目> ⚫ デザイン制作の実態 • 制作経験の有無 • 関与度(現在、将来) • 主な制作形態 • 収益方法、収入額 • 他者のコンテンツや製品の参照 • 現実空間の製品等のデザイン ⚫ 保護と利用のバランスに関する意識 ⚫ 模倣、紛争経験の実態 • 保護と利用のバランスに関する意見(制作のシーン毎) • 模倣された経験 • 保護と利用のバランスに関する意見(全体として) • 模倣の内容等 • 類似デザインの許容 • 模倣への対応、対策 • たまたま類似してしまったデザインを許さないことの影響 • 模倣されてよいと思うかどうか • 意匠制度に関する知識、意匠制度の利用経験 • 模倣されていないかどうかの把握 • デザイン保護や利用に関する行政への要望等(自由記述) • 他者のコンテンツや製品等を模倣等したと のクレームを受けた経験 • 他者からの模倣に関するクレームへの対応 • 他者の模倣をしないための調査や確認 22 特許庁政策推進懇談会(令和6年) 特許庁政策推進懇談会(令和6年)の中間整理 <今後の検討の方向性の概要> 意匠法の保護対象の範囲及び保護の在り方に関して更なる検討を進めていくが、適時適切な意匠制 度の見直しを図るためには、まず、制度見直しの必要性及び許容性を見極めることが重要である。 そのため、令和6年4月に施行された改正不正競争防止法の影響をはじめとする他法域の動向や海 外における議論の動向を注視するとともに、本懇談会における各意見及び令和5年度の調査研究の 結果をもとに、仮想空間のデザイン創作や仮想空間におけるビジネスに関わる者等から引き続き広 く意見聴取を行い、意匠法による保護のニーズや意匠法によって保護した場合に創作現場に与える 影響についての詳細な情報を収集する。また、必要性・許容性が満たされ、制度的論点について検 討を行う場合は、「現行の類型(物品・建築物・画像の一部)以外に登録可能類型を拡大する方向 性」、「物品及び建築物の意匠権について実施の範囲を仮想空間上に延長させる方向性」及びその 他の方向性についてそれぞれメリット・デメリットを示した上で、意匠制度小委員会において、集 中的に検討を深める必要がある。 制度見直しの必要性・許容性の見極め 制度的論点の検討 仮想空間のデザイン創作やビジネスに関わる ・現行の類型(物品・建築物・画像の一部)以外に 登録可能類型を拡大する方向性 • 者等から広く意見聴取 • 改正不正競争防止法の影響をはじめとする他 法域の動向や海外における議論の動向を注視 ・物品・建築物の意匠権について実施の範囲を 仮想空間上に延長させる方向性 ・その他の方向性 23 ヒアリング調査 ヒアリング調査の背景・概要 ➢ 仮想空間におけるデザインに関する意匠制度の在り方については、令和4年度調査研究及び令和 5年度調査研究を実施。特に、令和5年度調査研究では、仮想空間におけるデザインの制作、模 倣、紛争に関する実態、デザインの保護と利用のバランスに関する意識等を問うアンケート調査 を行い、仮想空間での利用を想定したコンテンツのデザインやアートの制作を行ったことがある 者425名から回答を得た。 ➢ ヒアリング調査についてもこれまで行ってきたところ、特許庁政策推進懇談会の中間整理を踏ま え、意匠制度の見直しの必要性及び許容性を見極めるため、仮想空間のデザイン創作に関わる者、 仮想空間におけるビジネスに関わる者等を対象として改めてヒアリング調査を実施し、現在まで に30者以上の意見を得た。 ➢ ヒアリング調査の結果については、本日の御指摘を踏まえた上で次回御報告予定。 <ヒアリング調査の概要> ⚫ 主なヒアリング項目 • 仮想空間向けのビジネス及び仮想空間向けの製品・サービス等の実態 • 仮想空間向けの製品・サービス等のデザイン創作及びトラブル • 仮想空間におけるデザインの今後の保護の在り方 等 ⚫ ヒアリング対象(現在までに30者以上) • 仮想空間のデザイン創作に関わる者(例:ワールドの制作、アバターの制作、仮想オブジェクトの制作) • 仮想空間におけるビジネスに関わる者(例:プラットフォームの運営、ワールドの提供、仮想オブジェクトの提供) • 現実空間におけるビジネスに関わる者(例:自動車、電気機械、家具、印刷、出版、アパレル、百貨店、空間デザイン) • 有識者(例:弁護士、弁理士、法学者) • その他 24 <参考>仮想空間ビジネスにおけるステークホルダー ➢ 仮想空間ビジネスにおけるステークホルダーとして、次の例が挙げられる。 ① プラットフォームを提供する者(プラットフォーマー) ② ワールドを提供する者(ワールド提供者) ③ アバター、仮想オブジェクト等の創作や提供を行う者(クリエイターを含む) ④ 仮想空間を利用する者(ユーザー) ※ ①~④はステークホルダーの例であり、これら以外のステークホルダーの存在を否定するものではない。 留意点 ✓ 実際には、一つの主体が複数のステークホルダーの役割を兼ねることがみられる。 例えば、プラットフォーマー(①)がワールドを提供する場合(②)や、ワールド提供者(②)がアバター、仮 想オブジェクト等を提供する場合(③)がある。また、ユーザー(④)が仮想オブジェクト、アバター等を創作 して提供する場合もあり、仮想空間は、ユーザーがクリエイターとしてUGC(User Generated Content)を 創作し、その提供によって対価を得られる経済圏(クリエイターエコノミー)として機能している。 ✓ 現実空間でビジネスを行う主体が、仮想空間ビジネスのステークホルダーに該当する場合もある。 例えば、現実空間上で製品の製造販売を行う事業者が、当該製品を模した仮想オブジェクトを創作して仮想空 間上で提供する等、現実空間と仮想空間の双方でビジネスを行う者も登場している。 25 仮想空間におけるデザインに関する意匠制度の在り方 御議論いただきたい事項(案) ➢ 本小委員会では、仮想空間におけるビジネスやデザイン創作の実態を踏まえた意匠制度見直しの必要性 及び制度的措置の方向性について、検討を進める予定。 ✓ 制度的措置の方向性としては、「現行の類型(物品・建築物・画像の一部)以外に登録可能類型を拡大 する方向性」、「物品及び建築物の意匠権について実施の範囲を仮想空間上に延長させる方向性」及び その他の方向性が検討対象となるところ。 ➢ 意匠制度見直しの必要性及び制度的措置の方向性について更なる検討を進めていくに当たっては、その 前提として「仮想空間を取り巻く状況」を把握することが必要。 そこで、本日は、「仮想空間を取り巻く状況」について、意匠制度見直しの必要性及び制度的措置の方 向性を今後検討するにあたり、特に考慮すべき事項がないか、以下の点を念頭に御意見をいただきたい。 ⚫ • • • • • • • 仮想空間に関するビジネスの実態 ステークホルダーの種類 具体的な利活用の分野 スタートアップ・中小企業における利活用 市場規模とユーザーの現状 今後の成長の見通しと課題 業界団体における取組 デザインの模倣被害の実情・懸念 ⚫ 仮想空間に関する技術 • VR技術等の発展とデザイン創作に対する影響 • 今後の技術発展の見通しと課題 ⚫ • • • • 仮想空間に関する創作の実情 デザイン創作の方法とプロセス 他者のデザインの参照の有無 他者の模倣をしないための確認の状況 デザインの模倣に対する懸念 ⚫ • • • 仮想空間に関する法制度 不正競争防止法、著作権法等の他法域の動向 諸外国の法制度や議論の状況 意匠登録出願や権利侵害対応の実務 ⚫ その他 ※次回は、本日の御意見を踏まえて、事務局から調査研究、ヒアリング調査の結果等を御報告予定。 これらをもとに、意匠制度見直しの必要性・許容性や制度的措置の方向性について、具体的に御議論いただきたい。 26 3.生成AI技術の発達を踏まえた意匠制度上の適切な対応 27 生成AIと産業財産権制度に関する近時の動き ➢ 生成 AI の技術発展に伴い、生成 AI 技術を活用したデザインツールが普及しつつあり、テキスト、画像等を入 力して短時間で大量のデザインを生成・公開することが可能となっている。 ➢ 政府全体の動きとして、内閣府では、「AI 時代の知的財産権検討会」が開催され、生成AIと知的財産権につい て議論がされた。また、「知的財産推進計画2024」では、意匠法に関する施策の方向性として、「AI技術の進 展による意匠分野でのAIの利活用の拡大を踏まえ、創作非容易性等の意匠審査実務上の課題やその他の意匠制 度に生じる課題について諸外国の状況も踏まえて整理・検討する。」とされた。 ➢ 特許庁においては、令和5年度に生成AIと特許法に関する調査研究を実施した。また、特許庁政策推進懇談会 (令和6年)では、生成AIにより短時間に大量のデザインが生成されることで生じ得る論点につき議論を行い、 中間整理を公表した。なお、令和6年度は、生成AIと特許法及び意匠法に関する調査研究をそれぞれ実施中。 令和5年5月 ~ 内閣府 科学技術・イノベーション推進事務局 8月 ~ 特許庁 令和5年度調査研究(「AIを利活用した創作の特許法上の保護の在り方に関する調査研究」) ✓ 報告書公表(令和6年4月) 10月 ~ 内閣府 知的財産戦略推進事務局 「AI時代の知的財産権検討会」 ✓ 中間とりまとめ公表(令和6年5月) 令和6年3月 ~ 特許庁 政策推進懇談会 ✓ 中間整理公表(令和6年6月) 5月 ダバス事件第一審判決(東京地判令和6年5月16日(令和5年(行ウ)第5001号)) 内閣府 知的財産戦略本部 「知的財産推進計画2024」公表 6月 7月 「AI戦略会議」 (施策の方向性)AI技術の進展による意匠分野でのAIの利活用の拡大を踏まえ、創作非容易性等の意匠審査実務上の課題や その他の意匠制度に生じる課題について諸外国の状況も踏まえて整理・検討する。 ~ 特許庁 令和6年度調査研究(「生成AIを利用したデザイン創作の意匠法上の保護の在り方に関する調査研究」) 特許庁 令和6年度調査研究(「AI技術の進展を踏まえた発明の保護の在り方に関する調査研究」) 8月 ~ 内閣府 科学技術・イノベーション推進事務局 「AI制度研究会」 28 「AI 時代の知的財産権検討会」における検討結果 ➢ 「AI時代の知的財産権検討会 中間とりまとめ」(令和6年5月)では、現行の制度を踏まえ、学習・生成・利 用の各段階における意匠法の適用関係を整理した結果、生成AIと意匠法について以下の帰結が示された。 ➢ AI生成物の意匠法による保護のうち、新規性及び創作非容易性の要件を基礎とする意匠制度について、AI技術 の急速な進展がどのような影響を与えるかに関しては、引き続きの検討課題とされている。 示された帰結 <①学習段階>(他人の登録意匠又はそれと類似する意匠(以下「登録意匠等」)が含まれるデータをAIに学習させる行為) →意匠権の効力が及ぶ行為に該当しない。 (理由)登録意匠等に係る画像であっても、AI学習用データとしての利用は、「意匠に係る画像」の作成や使用等には当たらず、 意匠法2条2項に定める「実施」に該当しないため。 <②生成・利用段階>(AI生成物に他人の登録意匠等が含まれ、それを利用する行為) →AI生成物に関する権利侵害の判断は、従来の意匠権侵害の判断と同様。 (理由)権利侵害の要件として依拠性は不要であり、また、類似性判断について、AI特有の考慮要素は想定し難いため。 <③AI生成物の意匠法による保護>(AIを利用した意匠について、どの程度自然人が関与していれば自然人の創作と認められるか) →自然人がAIを道具として用いて意匠の創作に実質的に関与をしたと認められる場合には、AIを使って生成した物であっても保 護され得る。 引き続きの検討課題 <③AI生成物の意匠法による保護>(新規性及び創作非容易性の要件は、生成AI技術の進展により影響を受けるか) 意見募集では、生成 AI は画像を大量に生成することも容易であるところ、AI 生成物が公知意匠となった場合には、特定の分野に ついて意匠審査実務上の影響が生ずるのではないかという懸念の声もあった。 →新規性及び創作非容易性の要件を基礎とする意匠制度について、AI 技術の急速な進展がどのような影響を与えるかについては、 状況を注視しつつ、引き続き検討する必要がある。 (参考)AI 時代の知的財産権検討会「AI 時代の知的財産権検討会 中間とりまとめ」(令和6年5月)24-26頁 https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/chitekizaisan2024/0528_ai.pdf 29 <参考>AIによるコンテンツ生成技術の動向等 (出典) AI 時代の知的財産権検討会「AI時代の知的財産権検討会 中間とりまとめ」(令和6年5月)4頁 https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/chitekizaisan2024/0528_ai.pdf 30 <参考>生成AIの市場規模 (出典)総務省編『令和6年版情報通信白書』163頁 https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r06/pdf/n2190000.pdf 31 <参考>生成AIを利用したデザインの創作 ➢ 現在、生成AI技術を活用したデザインツールが普及しつつある。平面的な画像にとどまらず、3Dモデルの生成 が可能なAIツールも存在。 ➢ 具体的な生成AIの利用プロセスとしては、高度対話型生成AIにテキストを入力してデザイン案を生成し、生成さ れたデザイン案に対して修正指示を繰り返すことでデザインの洗練が可能。 ➢ アウトプットが気に入らなければ、気軽に何度でも修正を指示することができるという点が、人手によるデザイ ン業務と異なる生成AI利用のメリットであると考えられる。 ➢ 生成AIによって生成されたデザインにデザイナーが仕上げを加えるという工程にすることで、デザイン創作を効 率化していくことも考えられる。 <生成AIを利用したデザイン創作プロセスのイメージ> 32 第三者によるデザインの大量生成・公開① ➢ 生成AIを利用することで、デザインを短時間に低コストで大量に生成し、公開することができる。 ➢ 例えば、既存デザインを学習した生成AIを利用することで、(既存デザインの創作者以外の)第 三者においても、既存デザインに基づいたデザインを短時間に低コストで大量に生成し、公開する 行為が可能となる。 <第三者による既存デザインに基づいたデザインの大量生成・公開> 1 2 3 大量生成 学習用データセット 学習済みモデル (生成AI) 学習用プログラム 入力 機械学習 第三者 入力・指示 公開 収集・加工 ⚫ 生データ(例:既存デザイン)を収集・加工して学習用データセットを作成し、これを学習用 1 プログラムに学習させることで、学習済みモデル(生成AI)が作成される。 ⚫ 利用者(例:既存デザインの創作者以外の第三者)が、学習済みモデル(生成AI)に対し、文章、 2 画像等を入力すると、当該指示に基づき、生成物(例:デザイン)が生成される。 ⚫ 利用者は、当該生成物をブログ、SNS等にアップロードし、インターネットを通じて不特定多数 3 既存デザイン 既存デザイン の創作者 人に向けて公開することが可能。 33 第三者によるデザインの大量生成・公開② ➢ 従来においても、第三者が特定の製品等の新デザインを予想し、公開することは行われていたが、 基本的に手作業で行われていたため、作成・公開できるデザイン数には限度があった。 ➢ しかし、生成AIを利用すれば、第三者は、既存デザインに基づいたデザインを短時間に低コストで大 量に生成することが可能であるため、新デザインの予想として生成・公開できるデザイン数は飛躍的に 増加する。 従 来 の デ ザ イ ン 予 想 ①第三者による新デザイン の予想(手作業) 生 成 AI を 利 用 し た デ ザ イ ン 予 想 ①第三者による新デザイン の予想(生成AIを利用) ②公開 新型!? 作成 雑誌の企画で新型 車のデザインを予 想するぞ! ■■ ■■■ ■■■ ■■■ ■■■ ■ ■■ ■■■ ■■■ ■■■ ■■■ ■■■ ■■■ ■■ 生成 ■■■■ ■■■ ■■■ ■■■■ ■■■ ■■■ ■■■ ■■■ ■■■ ■■■ ■■■ ■■■ ■■■ ■■■ ■■■ ■■■ ■■■ ■■■ ■■■ ■■■ ■■■ ■■■ ■■■ ■■■ ■■■ ■■■ ■■■ ■ ■■■ ■■■ ■■■ ■■ ■■■ ■■■ ■■ ■■■ ■■■ ■■■ ■■■ ■■■ ■■■ ■■■ ■■■ ■■■ ■■ ■■■ ■■ ■■ ■■■ ■■■ ■■ ■■■ ■■■ ■■■ ■■■ ■■■ ■■■ ■■■ ■■■ ■■■ ■■ ■■■ ■■ ②公開 新型車のデザイン を予想して。 入力・指示 新デザインの予想として、生成・公開 できるデザイン数は飛躍的に増加。 34 第三者によるデザインの大量生成・公開③ ➢ もっとも、第三者による生成AIを利用したデザインの大量生成・公開は、意匠登録出願との関係 で何らかの問題を生じさせるのではないか。 ➢ 例えば、既存デザインの創作者は、既存デザインのモデルチェンジとして新デザインを創作し、意 匠登録出願をすることが考えられるところ、当該新デザインの意匠登録出願にあたり、第三者が既 存デザインに基づき生成AIを利用して生成・公開したデザインが障害となり得るのではないか。 <第三者による既存デザインに基づいたデザインの大量生成・公開> 1 2 モデルチェンジした 新デザインを予想し てみよう。 学習用データセット 入力 大量生成 学習済みモデル (生成AI) 学習用プログラム 機械学習 3 第三者 収集・加工 既存デザイン 公開 入力・指示 新デザインの意匠登録出願にあたり、第三者が既存 デザインに基づき生成AIを利用して生成・公開した デザインが障害となり得るのではないか? 既存デザイン の創作者 デザインの創作 (既存デザインのモデルチェンジ) 新デザイン (モデルチェンジ) 意匠登録出願 35 意匠の登録要件について(現行制度) ➢ 意匠法では、意匠の登録要件として、新規性(意匠法第3条第1項各号)及び創作非容易性(同条 第2項)が求められ、これらを欠いた意匠は登録できない。 ➢ 出願前に国内外で公開された意匠は、他人が公開した意匠のみならず、自ら公開した自己の意匠 であっても、新規性を喪失した意匠(公知意匠)として、拒絶理由の根拠資料(引例)となる。 ➢ また、出願に係る意匠と同一の意匠だけでなく、出願に係る意匠と類似する意匠が出願前に国内 外で公開された場合にも、新規性を喪失してしまう※。 ※ なお、一定の要件を満たす意匠について、新規性を喪失しなかったものとする「意匠の新規性喪失の例外」が定められている(第4条)。 出願前の公開意匠(公知意匠) 出願に係る意匠 出願前の 公知意匠に類似 拒絶理由 ■■■■ ■■■ ■■■ ■■■ ■■■ ■■■ ■■■ ■■■ ■■■ ■■■ ■■■ ■■■ ■■■ ■■■ ■■■ ■ ■■ ■■■ ■■■ ■■■ ■■■ ■■■ ■■■ ■■ ■■ ■■■ ■■■ ■■■ ■■■ ■■■ ■■■ ■■ <例>雑誌・カタログによる公開 <例>インターネットによる公開 36 特許庁政策推進懇談会(令和6年) 特許庁政策推進懇談会(令和6年)の中間整理 <本懇談会における議論> • 「本懇談会では、上記のような背景を踏まえて、AI により短時間に大量のデザインが生成されることで生じ 得る論点につき議論を行った。具体的には、①第三者が近年普及した生成 AIを利用し、既存(オリジナル) デザインに基づき大量のデザインを短時間に低コストで生成し、公開することが可能となった結果、②既存デ ザインの創作者が新たに創作したデザインの意匠出願にあたり、第三者の公開した上記大量のデザインにより 新規性が喪失し、権利化を阻害する可能性が高まるとの懸念に関し、意匠権特有の論点として議論した。また、 当該懸念を有する業界からプレゼンターを招き、問題意識の共有を図った。」 • 「その際、現状において、公開されたデザインの創作に生成 AI が利用されたか判別することは困難であると の意見や、第三者が特定の製品等の既存デザインを参考にして次期デザインを予想して創作したデザインが公 知意匠となり、既存デザインの創作者が新たに創作したデザインの権利化を阻害する可能性は、生成 AI の普 及以前から存在していたとの意見があった。また、かかる観点から、制度の見直しを行うのであれば、その対 象は生成 AI を利用したデザインに限るべきではないとの意見もあった。さらに、他の産業界においても同様 の問題意識を有しているかが不明といった意見や、国際的な協調を図りつつ、政府全体の生成 AI 規制の検討 とも足並みをそろえて議論を進めるべきではないかとの意見もあった。」 <今後の検討の方向性> • 「以上を踏まえ、今年度、デザイン創作における生成 AI の利活用に関する実態や懸念について調査研究を実 施し、デザイン創作における生成 AI の利用状況調査、生成 AI を活用したデザインの事例調査、創作者の意識 調査、審査実務上の課題調査等を通じ、実情を整理する必要がある。また、生成 AI のインパクトは幅広く認識 されつつあるところ、調査研究にとどまらず、ID5 等主要五庁や民間の知財会合における議論の場も活用しな がら、国際的な動向や企業活動における生成 AI の活用や課題等をめぐる実態について情報収集を行い、取り 組むべき課題を明らかにした上で、時機を逸することなく、措置を行う必要がある。」 37 特許庁政策推進懇談会(令和6年) <参考>特許庁政策推進懇談会において提示された主な御意見① 生成AI技術の発達を踏まえた検討課題及びこれに対する制度的措置の方向性に関する御意見 • 新規性喪失の例外制度及び関連意匠制度の見直しを検討するという方向性に賛成。 「第三者が既存のデザインに基づいて、生成AIを活用するなどにより作成し、公開した意匠」とあるように「など」と書いており、生成AIに限 定しないという趣旨であるため、この方向性がいいと思う。実際にどうやっていくかというところは、これからガイドラインなども示しながら になるとは思うが、方向性としてはこの基準が落ち着くところと考えており、賛成する。 • 生成AIのインパクトは認識しており、新規性喪失の例外制度及び関連意匠制度の見直しという検討に取り組むことに関しては同意。 ただし、生成AI利用の有無という実態を見極めることは難しく、制度見直しにあたり、生成AIに限定はできないだろう。その中でどのように コンセンサスを作っていくかは、時間をかけて海外と意見を合わせながら検討する必要があり、色々な産業界の意見を聴取しつつ議論してほし い。学習データの提出は不可能だろう。ガイドライン検討を通じて、予見性を高めるアイデアを出していきながら国際協調をとって動くのがよ いと考える。 • 中小企業では課題の認識までには至っていない状況。靴のインソール製造会社(香川県)の経営者から聴取した内容は次のとおり。 「生成AIによる模倣、侵害被害等の話はまだ聞いていないが、今後懸念すべき事項として出てきている。せっかくデザインしたものが、生成 AIによるデザインと類似していることで登録を拒絶されてしまうとの懸念がある。知財は先願主義であることは理解しているが、人手不足の中 小企業においてはスピーディーかつ大量生産を可能とする生成AIには従来の方法での創造活動では追いつかないため、そういったデザインでも 出した者勝ちとされては困る。例外措置が適用されるとしても、そのデザインが従来の方法なのか生成AIによるものなのかを見極めるのはその 業界のプロでも難しいだろう。」 この点も踏まえると、新規性喪失の例外制度及び関連意匠制度の見直しという検討の方向性はいいと思う。生成AI技術の進展を阻害しないよ う考慮の上、権利者が適正に報われ、事業者による創造活動、産業発展の障壁とならないよう検討を進めてほしい。なお、中小企業は人手不足 で経営資源が限られているため、その点でもサポートがあるとありがたい。 • 新規性喪失の例外制度の見直しについて、生成AIで作成された意匠に限定してしまうことは気になる。「生成AIを活用するなどにより作成 し」と資料にあるように、生成AIに限定されないのではないか。私個人としては、意匠法4条2項の解釈として、自己の行為(意匠登録を受け る権利を有する者の行為)に起因して公開された意匠と類似のものが第三者により公知になった場合にも、新規性喪失の例外を適用すべきと考 えている立場。問題は生成AIが登場する以前から存在していたが、これまでは相対的に数が多くなかったため、いわば放置していた。もっとも、 意匠政策上好ましいものとして容認していたわけではなく、今般、生成AIによって問題が深刻化したと考えている。したがって、生成AIに限定 する必要は無い。仮に限定すると、新規性喪失の根拠資料となった意匠が生成AIを使ったものかどうかについて紛争になるところ、その確認も 大変であり、不要な紛争を誘発する可能性がある。生成AIに限らず広く新規性喪失の例外の適用を認めるという方向性で対処すべき。 関連意匠制度について、現行の意匠法は「起因して」という書きぶりになっていないため、依拠せず偶然類似のものが出てきたときにどうな るのか問題であり、検討が必要。しかし、関連意匠とはいえ、類似するものも関連意匠に基づいて創作されることが多く、生成AIに限定しない 方がいいと考えている。 38 特許庁政策推進懇談会(令和6年) <参考>特許庁政策推進懇談会において提示された主な御意見② 生成AI技術の発達を踏まえた検討課題及びこれに対する制度的措置の方向性に関する御意見 • 今回想定している場面は、ある意匠を出願したところ、素人がAIを利用して生成・公開した予想デザインが引用意匠になって新規性を喪失す るケース。仮に(予想デザインが引用意匠にならずに)意匠権が取得されても、その素人自身は予想デザインを実施しないため困らない。もっ とも、予想デザインを利用した第三者の実施が影響を受ける可能性はある。自動車業界では少ないかもしれないが、ライバル同士が他者のデザ インを学んだAIをそのまま使うというケースがあるとすると、場面としても変わってくる。自動車に限らず、ファッション、GUI、建築でも同 じような問題があるのか、状況は異なるのか、各業界における実態、現実認識が気になっている。 AI生成物である限りは引例にならない、人間が作っていない以上そのような価値はないという考え方もあるが、それは多分採らないだろう。 また、学習データの中に1個でも登録意匠が入っていれば、そのAIから出力されたものは、その権利者との関係では引例にならないという考え 方も採らないと思う。そうなると、説明にあったとおり、学習データの中に自己の先行登録意匠が含まれており、これと類似する新たな意匠を 権利者が出願したときに、引例にならないようにするという話になる。もっとも、このケースは、意匠法4条や10条の現在の運用が「第三者介 入かつ類似のケースを含まない」と整理していること自体の議論でもあると考えている。あるいは、LoRAのようなケースで、特定のデザイナー を狙い撃ちにして出してきて、結果として既存の意匠とは類似しないものの、当該デザイナーのものと言えそうなデザインが引例となるかとい うケース。もしかするとこれも1つのルートとしてあるかもしれない。 新規性喪失の例外制度の見直しにあたり、仮に生成AIで作成された意匠に限定するということであれば、当該意匠がAI創作物かどうか、AIに 人間が少し手を加えたようなケースはどうするかという厄介な問題も起きる。極論、AI創作物に全部ウォーターマークを入れるというようなレ ギュレーションがない限りは、運用はかなり大変になるという印象。 なお、実施概念との関係で、そもそも画像の意匠に関してAI学習がセーフか否かも検討すべき論点だろう。 • AI創作物が引例足り得るかという議論は、恐らく意匠法が先に出くわすことになる。特許・実用新案等でも似たような問題はいずれ生じるこ とになるため、情報共有を密にして、例えば、特許においてこういうことも問題になるかもしれないという事項も確認した上で、調査研究を進 めるとよい。調査研究について、例えば関連意匠などに特化してしまうと、もったいないように思う。 • 生成AIに限定することにはあまり意味がない。そもそも生成AIを利用してできた意匠か見分けることは大変。依拠するという理由で新規性の 喪失とはならない例外を認めるためには、学習データの解析をする必要がある。もっとも、特許出願・意匠出願とは全く関係ない第三者が公開 している意匠について、全ての学習データを提出しなさいという要求があった場合、非常に大きなコストがかかる。例えば、ある自動車会社の 自動車のデータを学習データとして入力し生成AIで創作したデザインは、依拠性があると言えるような法改正も考えられなくはないが、生成AI を使った他の創作者であるユーザーたちの負担とのバランスを考えなければならない。 • 新規性喪失の例外制度及び関連意匠制度の見直しの方向性について、団体内でも議論してきている。ただし、実際どうやって保護をすべきか、 新規性喪失の例外の判断ができるか、技術的に難しい点があると考えている。 また、意匠に限らず、政府全体として生成AIをオープンにする仕方を規制、制限するかということとの兼ね合いもある。日本ではあまり出て こないが、外国では先走って作って問題が起こったり、生成AIの作ったデザインが賞を取ったりということもある。これらも視野に入れながら、 意匠ではどう保護するかを考えていくべきという意見があった。 39 特許庁政策推進懇談会(令和6年) <参考>特許庁政策推進懇談会において提示された主な御意見③ 生成AI技術の発達を踏まえた検討課題及びこれに対する制度的措置の方向性に関する御意見 • 生成AIについては、通常予想されている以上に、世の中の進みの方が速いのではないかという不安があり、そのような流れに対応できるよう に考えていかなくてはいけない。いろいろな情報を取って、すぐフィードバックできるような形で、次の段階に早く進んでもらえるといいよう に思う。 • 経済学的な一つの考え方からすると、投資の保護という観点から意匠権の保護範囲を決めていくべき。関連意匠について、特に大量に予想案 が出回っているときには、一つ一つの意匠の価値は低く思われがち。もっとも、群でブランディングを実施しており、そのために基礎意匠に多 大な投資をし、関連意匠として権利化している場合、最終的に出てきた関連意匠一件の価値も高まる。この点を考えると、新規性喪失の例外規 定の適用にあたり保護の必要性が非常に高い事案といえる。確かに、AI利用の観点で新規性喪失の例外を認めるかどうかというやり方は難しい が、ブランディングという群として一つの製品群を守れるかという観点から保護すべきかどうか考えると、権利保護の対象の検討がよりクリア に進むように思う。 40 令和6年度調査研究 調査研究の背景・概要 ➢ 企業のデザイン開発において今後より一層の利用が進むと予想される生成AIと、創作されたデザ インの意匠法上の保護を在り方を検討する基礎資料とすることを目的とし、以下の内容について、 令和6年度調査研究を実施中。 (1)生成AIを利用したデザイン創作に関する国内意識・現状の調査 (2)生成AIを利用したデザイン創作の知財保護に関する有識者ヒアリング調査 (3)デザインの創作活動に資する生成AI技術の提供に関する国内動向の調査・整理 <令和6年度「生成AIを利用したデザイン創作の意匠法上の保護の在り方に関する調査研究」の概要> ⚫ 生成AIを利用したデザイン創作に関する国内意識・現状の調査 生成AIを利用したデザイン創作に関し、 国内企業・デザイン事務所に対して アンケート及びヒアリングを実施。 ⚫ 生成AIを利用したデザイン創作の知財保護に関する有識者ヒアリング調査 海外のデザイン創作の知財保護に関する有識者に対し、ヒアリングを実施。 ⚫ デザインの創作活動に資する生成AI技術の提供に関する国内動向の調査・整理 • デザイン創作に資する生成AI技術を提供している企業・団体について、公開情 報調査を実施。 アドバイザリーグループ 小川 亮 株式会社プラグ代表取締役社長 杉光 一成 金沢工業大学大学院教授 平嶋 竜太 青山学院大学法学部教授 藤井 将之 株式会社藤井環境デザイン代表 • 国内企業・団体に対しアンケート及びヒアリングを実施。 • 各社が提供するデザイン創作に関する生成AI技術を整理。 41 生成AIと意匠法に関する論点(案) ➢ 生成AIと知的財産権に関しては、内閣府「AI時代の知的財産権検討会 中間とりまとめ」(令和6 年6月)において、一定の考え方が示されたところ。 ➢ また、令和6年5月には、特許法に規定する「発明者」は自然人に限られるとする判決(ダバス事 件第一審判決※)があり、生成AIと意匠に関する検討に当たっては、特許法その他の知的財産権法 における検討状況も注視する必要がある。 ⇒ これらを踏まえた場合、生成AIと意匠法に関しては、次の論点(案)が考えられるのではないか。 ※ 東京地判令和6年5月16日(令和5年(行ウ)第5001号) 生成AIと意匠法に関する論点(案) ⚫ 意匠該当性 • 生成AIを利用して作成したデザインは、意匠法に規 定する「意匠」に該当するか。 • 意匠法に規定する「意匠」は、自然人によるものに 限られるか。 ⚫ 創作者 • • ⚫ 新規性喪失の例外 • 第三者が既存のデザインに基づき生成AIを利用する などにより作成したデザインは、新規性・創作非容 易性の判断の根拠資料(引例)から例外的に除外す べきか。 ⚫ 生成AIを利用して作成したデザインの「創作者」は、 • 誰とすべきか。 • 意匠法に規定する「創作者」は、自然人に限られる か。 • ⚫ 引例適格性 • 生成AIを利用して作成したデザインは、新規性・創 作非容易性の判断の根拠資料(引例)となるか。 創作非容易性 生成AI技術の進展により、創作非容易性の判断は影 響を受けるか。 デザインの創作過程における生成AIの利用拡大に伴 い、創作非容易性の考え方を変更すべきか。 生成AIを利用して作成したデザインの創作非容易性 の考え方は、他のデザインと異なるべきか。 42 <参考>生成AIと発明者に関する裁判例(ダバス事件第一審判決) <事案の概要> ➢ 原告は、国際出願をした上、発明者の氏名の欄に「ダバス、本発明を自律的に発明した人工知能」 と記載した国内書面を提出した。 ➢ これに対し、特許庁は、発明者の氏名として自然人の氏名を記載するよう補正を命じたものの、原 告が補正をしなかったため、出願却下処分をした。 ➢ 原告は、被告(国)に対し、特許法にいう「発明」はAI発明を含むものであり、AI発明に係る出 願では発明者の氏名は必要的記載事項ではないから、出願却下処分は違法である旨主張して、同処 分の取消しを求めた。 ⇒ 特許法に規定する「発明者」は自然人に限られるか(=AIは「発明者」に該当するか)、問題 となった。 ダバス事件第一審判決 東京地判令和6年5月16日(令和5年(行ウ)第5001号) ◼ 東京地裁は、以下のように判断して、特許庁が出願却下処分をしたことは適法である旨判示した。 ⚫ 特許法に規定する「発明者」は、自然人に限られるものと解するのが相当である。 なお、第一審判決では、「我が国で立法論としてAI発明に関する検討を行って可及的速やかにその結論を得ることが、 AI発明に関する産業政策上の重要性に鑑み、特に期待されているものであることを、 最後に改めて付言する。」との付 言がなされている。 43 生成AI技術の発達を踏まえた意匠制度上の適切な対応 御議論いただきたい事項(案) ➢ 本小委員会では、生成AI技術の発達を踏まえた検討課題及びこれに対する制度的措置の方向性について、 検討を進める予定。 ➢ 生成AI技術の発達を踏まえた検討課題及びこれに対する制度的措置の方向性について更なる検討を進め ていくに当たっては、その前提として「生成AIを利用したデザイン創作の実態や懸念」を把握すること が必要。 ① そこで、本日は、「生成AIを利用したデザイン創作の実態や懸念」について、生成AI技術の発達を踏まえ た検討課題及びこれに対する制度的措置の方向性を今後検討するにあたり特に考慮すべき事項がないか、 以下の事項を念頭に御意見をいただきたい。 ⚫ • • • • • デザイン創作における生成AIの利用状況 創作過程において生成AIを利用する具体的な場面 スタートアップ・中小企業における生成AIの利用 生成AI利用のメリットとデメリット 今後の成長の見通しと課題 業界団体における取組 ⚫ 生成AIに関する技術 • 生成AIの技術水準はデザイン創作のために十分か • あるデザインが生成AIを利用して作成されたものか、 • 技術上判別可能か 今後の技術発展の見通しと課題 ⚫ • • • 生成AIに関する法制度 特許法、著作権法等の他法域の動向 諸外国の法制度や議論の状況 意匠登録出願や権利侵害対応の実務 ⚫ その他 ② また、生成AIと意匠法に関する論点(案)(42頁)について、その他検討すべき論点や課題がないか、御 意見をいただきたい。 ※次回以降、本日の御指摘を踏まえて、事務局から調査研究の結果を御報告予定。 これをもとに、今後検討すべき論点や課題について具体的に御議論いただきたい。 44 4.次回の意匠制度小委員会について(予定) 45 次回の意匠制度小委員会について(予定) ➢ 開催予定時期 ・令和7年1月又は2月(予定) ➢ 御議論いただく内容 <仮想空間におけるデザインに関する意匠制度の在り方> ・本日の御指摘を踏まえて、事務局から調査研究、ヒアリング調査の結果等を御報告予定。 ・上記をもとに、意匠制度見直しの必要性・許容性や制度的措置の方向性について、具体的 に御議論いただきたい。 ➢ 御報告事項 ・意匠法条約(DLT)を採択するための外交会議の結果について 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