議事録
第4回スタートアップ政策推進分科会議事要旨
(開催要領)
1.開催日時:令和8年5月20日(水)17:30~18:37
2.場
所:中央合同庁舎第4号館12階全省庁共用1208特別会議室
3.出 席 者:城内
実
スタートアップ担当大臣
岩田
和親
内閣府副大臣
井野
俊郎
経済産業副大臣
金子
容三
内閣府大臣政務官
坂本
里和
内閣官房日本成長戦略本部事務局次長
福山
光博
内閣官房日本成長戦略本部事務局内閣参事官
井上
諭一
内閣府科学技術・イノベーション推進事務局統括官
内閣官房グローバル・スタートアップ・キャンパス構想推進室次長
菱山
大
内閣府規改革推進室次長
小山
和久
内閣府地方創生推進事務局審議官
大野
卓
内閣府公益法人行政担当室次長
深町
正徳
公正取引委員会事務総局官房審議官(企業結合担当)
井上
俊剛
金融庁企画市場局長
井幡
晃三
デジタル庁戦略・組織グループ審議官
布施田
英生
総務省国際戦略局長
小川
康則
総務省自治行政局長
竹林
俊憲
法務省大臣官房審議官
加藤
経将
出入国在留管理庁審議官
股野
元貞
外務省経済局長
中島
朗洋
財務省主税局審議官
西條
正明
文部科学省科学技術・学術政策局長
辺見
聡
厚生労働省政策統括官(総合政策担当)
堺田
輝也
農林水産省大臣官房技術総括審議官
菊川
人吾
経済産業省イノベーション・環境局長
三宅
正寿
国土交通省総合政策局次長
飯田
博文
環境省大臣官房政策立案総括審議官
小杉
裕一
防衛装備庁装備政策部長
芦澤
美智子
慶應義塾大学大学院経営管理研究科准教授
井上
智子
Red Capital株式会社代表取締役マネージングパートナー
岡田
光信
株式会社アストロスケールホールディングス創業者兼CEO
小川
尚子
日本経済団体連合会産業技術本部長
小澤
隆生
Boost Capital株式会社代表取締役
1
郷治
友孝
株式会社東京大学エッジキャピタルパートナーズ(UTEC)代表取締役CEO
日本ベンチャーキャピタル協会会長
田中
邦裕
さくらインターネット株式会社代表取締役社長
藤野
英人
レオス・キャピタルワークス株式会社代表取締役社長
室伏
謙一
室伏政策研究室代表政策コンサルタント
米良
はるか
READYFOR株式会社代表取締役CEO
(議事次第)
1.開
会
2.議
事
(1)スタートアップ政策推進分科会とりまとめについて
3.閉
会
(資料)
資料1
経済産業省提出資料①
資料2
経済産業省提出資料②
資料3
金融庁提出資料
資料4
経済産業省提出資料③
資料5
財務省提出資料
資料6-1
内閣府・経済産業省提出資料
資料6-2
スタートアップの公共調達の加速に向けた運用指針(素案)
資料7
スタートアップ総力創出パッケージ案
資料8
郷治委員提出資料
○金子内閣府大臣政務官
日本成長戦略会議の「スタートアップ政策推進分科会」第4回を開催する。
本日の議題は、お手元の資料のとおりである。
本日、田中委員はオンラインで出席されているが、御都合により18時頃に退席される。
城内大臣、岩田副大臣は、別用務のため、途中参加される予定である。
本日は、本分科会のとりまとめの議論を行う。
初めに、前回の会合において構成員の皆様からいただいた幾つかの御指摘事項について、各
府省庁から説明いただく。
まずは、資料1の「日本のスタートアップエコシステムの状況」について、経済産業省から
お願いする。
○菊川イノベーション・環境局長
資料2ページ目の「現状評価と方向性」について、前回芦澤委員から、大きな目標もよいが、
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もう少しきめ細やかに見ていくべきではないかという御議論があった。ユニコーンの数は現
在8で、2021年比で1.3倍だが、そのほか、上場ユニコーンやユニコーン予備軍は着実に増え
ている。スタートアップの数、また、大学発ベンチャーの数も相当増えている。
アジアの優秀なスタートアップが東証でIPOしたいという動きも多く出てきている。
スタートアップへの資金の供給状況は、10兆円という目標に対してまだまだではあるが、大
きな調達ができるスタートアップを育てていくことに注力をしていきたい。
5月14日、約15兆円を運用する世界最大規模のベンチャーキャピタルであるアンドリーセ
ン・ホロウィッツが唯一の海外拠点を日本に設置することを、総理への面会を機に表明してい
ただいた。
また、設立するだけではなく、アメリカだけで行っている起業家育成の事業「Speedrun」を
日本でも実施をすることを表明いただいた。総理からも、投資拡大・起業家育成、成長戦略・
安全保障戦略への貢献に対する期待が述べられた。
Alumni Venturesをはじめとして、有数の海外ベンチャーキャピタルが日本に来ていただい
ており、期待している。
芦澤委員から指摘があった「ブレンデッド・ファイナンス」について、ヨーロッパは動いて
いるので、参考にしていきたい。
スタートアップの経済へのインパクトについて経済産業省で調査を実施して公表したが、
経済波及効果は、直接効果で13.66兆円となり、増えてきている。間接波及効果も入れると25.69
兆円で、対名目GDP比で約4%である。雇用創出、所得創出も非常に大きくなってきており、
日本経済の一つの重要なプレーヤーになってきている。
○金子内閣府大臣政務官
次に、資料2の「東証グロース市場の在り方、M&Aガイダンス」について、続けて、経済産
業省からお願いする。
○菊川イノベーション・環境局長
東証グロース市場は、なかなか成長が難しい状況になってきている。そうした中で、M&Aに
よって成長が実現されている。
グロース上場企業によるM&Aは増加傾向で、その環境をどう整えるかが非常に大事だと考え
ており、「スタートアップM&Aガイダンス」を本日、経済産業省ホームページに公開した。
大事な点は、売り手へのガイダンスだけではなく、買い手へのガイダンス、つまり、両者に
ついてのガイダンスとしているところである。売り手においては、経営の早期段階からエグジ
ット先として、IPOだけでなくM&Aの両方を見据えて、デュアルトラックで経営をしていくこと
について書いているほか、買い手においても、仲介により紹介されるだけではなく、経営戦略
の上でどういったスタートアップをオープンイノベーションの観点から買収していくかとい
うオーガニックな成長戦略を実現する手段として、経営戦略にも位置づけてほしいというこ
とを書いている。
ケーススタディーは、4つ事例を入れており参考になることを期待している。
○金子内閣府大臣政務官
次に、資料3の「東証グロース市場の在り方」について、金融庁からお願いする。
3
○井上企画市場局長
資料の1ページ目「東証グロース市場の現状」に記載した課題を踏まえ、東証グロース市場
活性化に向けた取組を2ページ目に記載している。
上場後の企業をターゲットとした取組は大きく3つある。1つは、昨年12月にグロース市場
の上場維持基準を見直した。
また、昨年9月に東証は全てのグロース市場上場企業に対し「高い成長を目指した経営」の
働きかけを実施した。具体的には、成長状況の分析・評価や開示のアップデートを求めること
としており、各企業の対応状況については継続的なフォローアップを予定している。
こうした取組に加えて、積極的に取り組む企業のサポートとして、好事例の提供やセミナー、
対話イベント等を通じた、機関投資家とグロース上場企業との接点づくりなど、各種施策を推
進していただいている。
また、上場前の企業に対しても、証券会社、ベンチャーキャピタル、監査法人等と連携して、
業界一体で取組を推進している。
昨今、非上場とグロース市場等の一般市場との間に位置するプロマーケットについて活用
ニーズが高まっており、足元では東証のTOKYO PRO Marketに181社上場している。このほか、
福岡、札幌の取引所においてもプロマーケットの整備が進められている。
このようなプロマーケットの活用については、知名度や信用力の向上、成長資金の調達、M&A
機会の模索といった多様なニーズがある。東証においては、こうした状況を踏まえつつ、今後、
プロマーケット上場企業への支援を強化していく方針であり、金融庁としても、東証やその他、
地方取引所の対応をフォローしていきたい。
○金子内閣府大臣政務官
次に、資料4の「インクルーシブなエコシステムの形成」について、経済産業省からお願い
する。
○菊川イノベーション・環境局長
「インクルーシブなスタートアップ・エコシステムの形成に向けて」と資料に書いているが、
これはもともと、女性起業家を含むスタートアップ関係者へのハラスメントに関し、過去、
様々な報道等もあり、国会でも議論になったものである。そうした中、経済産業省としてはハ
ラスメントに関する対応をしっかり行うべきだと考えており、今回、金融庁と連携して、「ベ
ンチャーキャピタルにおいて推奨・期待される事項(VCRHs)」の中にハラスメント防止内容
を盛り込むとともに、関係業界に周知・普及を行う方向で調整をしっかりと進めていきたい。
それと並行して、今年の夏までにハラスメントに関する相談窓口を中小企業基盤整備機構
に設置したいと思っており、女性起業家支援のネットワークをしっかりと形成するための取
組を支援するという形で進めていきたい。
インクルーシブなスタートアップ・エコシステムの形成に向けた調査について、芦澤委員の
多大な御協力もいただき、こうした形で、経済産業省の協力のもと、山口教授を中心とした研
究チームで、客観的に、学術的にもベースがある内容の調査を実施いただいた。また経済産業
省が、「GIRAFFES JAPAN」において、この調査で用いられた調査票と同じものを用いて調査を
実施したので、これらの調査結果をしっかりと踏まえて対応していきたい。
4
日本経済にとってスタートアップの行う経済活動は様々な観点で非常に重要な位置を占め
てくる大きなポーションになってきたことから、こうした社会的な課題・問題に対してもしっ
かりと責任を果たしていく経済主体でもあってほしいと考えており、そういった観点からも
しっかりと環境整備を行っていきたい。
○金子内閣府大臣政務官
次に、資料5の「税制」について、財務省からお願いする。
○中島主税局審議官
極めて高い水準の所得に対する負担の見直しを説明する。
この問題は、いわゆる1億円の壁と言われている公平性の観点を国会等々で再三御指摘を
されてきたということに機を発している。
資料2ページ目のグラフは、横軸に合計所得金額、縦軸に所得税の負担率を取っている。黒
い実線が所得税負担率だが、1億円の辺りを山に、右下がりになっている。この背景は、オレ
ンジの点線にあるように、15%の分離課税の部分の割合が増えてくることにより、その平均値
が1億円の辺りから下がってくるということである。
そういった不公平についての国会での指摘もあったため、令和5年度の税制改正で創設を
した制度である。
令和8年度改正でもその見直しをした。その背景は、昨年11月の与野党6党合意である。
「極
めて高い所得の負担の見直し等の税制措置を検討し、令和7年末までに結論を得る」とされ、
令和8年度税制改正で議論をした。
資料4ページ目の下のグラフは、横軸に合計所得金額、縦軸に所得税負担率を取っている。
グレーの線が2ページ目のものと同じものだが、令和5年度に創設した制度は青い線である。
3.3億円のところから立ち上がってきて、22.5%への漸近線が引かれている。今回の令和8年
度改正でこれを赤い線のように1.65億円まで基礎控除額を引き下げた上で、税率を30%まで
引き上げ、その差額は赤い両矢印あるいは黒い両矢印で示している。
ただし、「貯蓄から投資へ」という観点や、スタートアップを育てるという観点から、NISA
関連の所得やスタートアップに再投資された所得については非課税という措置が設けられて
おり、これは残したままである。
その見直しでどのぐらいの影響額があるかについて、資料5ページ目に記載している。例え
ば所得金額が5億円だと2,550万円、あるいは所得金額が10億円だと9,980万円の追加的な負
担になる。
資料6ページ目は、G5各国との比較である。日本は配当所得課税、株式譲渡益課税、土地譲
渡益課税が20.3%である。ほかの国は、20~30%台、40%というところもある。こうした中で、
この20%が、極めて高い水準の所得に対する負担の見直しに地方税を合わせれば35%まで引
き上がっていく。
アメリカにも同様のいわゆるミニマム課税がある。今回の日本は、資料7ページ目のグラフ
の緑の線だが、アメリカだと同じように追加的な負担を求めて、44.8%まで持っていく制度が
ある。
スタートアップへの再投資に係る非課税措置について、何らか保有株式の売却益が立った
5
場合、スタートアップ以外の売却益も含めて対象になるが、20億円を上限に、それをスタート
アップに投資をすれば、その譲渡益を非課税にすることで、スタートアップへの投資を誘導す
る。その投資による利益が上がらなくても、スタートアップに投資をしたことをもって非課税
にすることで、機会を増やす、あるいは好循環に資するようにといった考え方でこの措置を令
和5年度に創設した。
○金子内閣府大臣政務官
次の議題は「政府調達について」である。政府調達については、前回の分科会において「政
府調達促進パッケージ(案)」を内閣府科学技術・イノベーション推進事務局及び経済産業省
から説明いただいたが、前回の城内分科会長の御指示を踏まえた、その後の検討結果を資料6
に沿って御報告いただく。
○井上科学技術・イノベーション推進事務局統括官
城内大臣の御指示もあり、特に試験導入の新たな枠組みを経済産業省と一緒に検討してき
た。
これまで政府のSBIR制度はフェーズ1~3ということで大規模技術実証のところまでやっ
てきたが、これをさらに試験導入・運用のところまで延ばして、本格調達を前提としたスペッ
クを提示し、試験導入・運用を強化する。防衛調達や、各省庁、様々なニーズがあるため、そ
こで取り入れていきたい。また、併せて、NEDOにおいて政府調達に向けた伴走支援体制を確立
していきたい。
民間による調達も特にフェーズ3の具体的な顧客を想定した大規模技術実証のところの支
援の強化と、さらに、購入にコミットした大企業の参加を要件とした上で、大企業等による調
達の加速化をやっていきたい。
スタートアップの様々な資金的なことなどでハードルが高い部分を下げるために、スター
トアップとの契約等の運用指針の策定をやっていきたい。
○菊川イノベーション・環境局長
資料6-2はスタートアップの公共調達の加速に向けた運用指針の素案である。この素案
作成にあたってはとりわけ財務省の多大かつ積極的な御貢献、御検討に御礼を申し上げたい。
この素案を今日御提示し、皆様の様々な御意見も踏まえた上で、各府省等の会計担当の会議
などにて各府省等統一の運用方針という形で策定をして、随時、見直しも行いながら各府省等
統一で運用していきたい。
「3.契約等」の章において、現行の一般的な運用では契約保証金等を徴求することがある
ことに対して、本指針が採る考え方・方針では、スタートアップとの契約は、行政課題解決に
向けた協働関係として捉えるべきという考え方に立って、後段で「全省庁統一参加資格を有す
る者との契約においては、契約保証金は原則として免除すること」と書いている。
「5.支払」の章において、事業完了後の後払いが原則で、部分払い等の活用は限定的であ
ったというのが現状だが、本指針が採る考え方・方針では、調達内容等を踏まえながら、概算
払、前金払、部分払等の既存制度を積極的に活用すること、そして、契約の履行が確実な相手
方と認められる場合については、前金払の活用に当たり保証金等を求めないことを基本方針
とする。
6
こうしたことを、とりまとめて、政府全体の運用方針としていきたい。
○金子内閣府大臣政務官
次は、本分科会のとりまとめ文書について、前回会合での皆様の御意見等を踏まえた新たな
案について、事務局から説明する。
○福山日本成長戦略本部事務局内閣参事官
今回の取りまとめ案を資料7として配付している。
まず、タイトルについて、前回、岡田委員から、施策の意気込みを示すネーミングが必要で
はないかという御指摘をいただいた。岡田委員のアイデアもいただき、タイトルを「スタート
アップ総力創出パッケージ
~イノベーションを生み出す、育てる、実装する~」として御提
示している。
資料7ページ目の「3.目標(KPI)」について、前回の分科会で、目標が少し高いので見
直したほうがよいのではないか、あるいはこれまで高い目標で進めてきたので、このゴールポ
ストは動かさないほうがよいのではないかといった、幾つかの御意見をいただいた。検討の結
果、目標自体は変えずに、
「これらの目標の達成状況について、補完的なデータも用いながら、
多角的な検証を行う」という文言を前回の素案に追記させていただきたい。
前回、藤野委員から東証グロース市場の在り方は重要ではないか、あるいはプロマーケット
の活性化、クロスオーバー投資の促進について、前回、あるいは前回以外の会合も含めて御指
摘いただいた。これを踏まえ、資料9ページ目に新たに「④東証グロース市場及びプロマーケ
ットの活性化」という項目を追記し、また、⑤「クロスオーバー投資の促進」についても修正・
追記させていただいた。
資料10ページ目の「⑥独占禁止法に基づく議決権保有制限の見直し」について、前回の会合
で芦澤委員から、撤廃も含めて、踏み込んだ記述ができないかという問題提起があり、「撤廃
及び延長について検討し、結論を得次第、速やかに所要の措置を講ずる」と追記した。
⑧の規制改革だが、前回、小川委員からスタートアップ新市場創出タスクフォースはよい取
組なので周知徹底などを考えてはどうかという御指摘があった。これを踏まえ、このタスクフ
ォースについて追記したほか、「規制改革推進会議等を通じて、スタートアップに関する迅速
かつ大胆な規制・制度改革を推進する」と追記した。
前回の会合で芦澤委員からハラスメント調査の御紹介があった。これを踏まえ、11ページ目
に、「⑪誰もが自分らしく挑戦できるインクルーシブなエコシステム形成に向けて」という項
を新たに立てて追記している。
前回の会合で何人かの委員から税についての御示唆があった。これを踏まえて検討し、資料
13ページ目の④で「国内外の優秀でスケールアップする能力の高い起業家や投資家を我が国
に惹き付け、我が国を世界に伍するスタートアップエコシステムとする観点から、これまでに
講じた政策の効果検証を実施した上で、税制を含むスタートアップに関連する政策の在り方
や必要な措置について検討を進める」と追記している。
資料15ページ目の②で防衛分野に関する記述があるが、前回の会合で室伏委員から防衛イ
ノベーション科学技術研究所の取組は非常によい取組で、周知徹底もしたらよいのではない
かとの旨、御示唆があった。これを踏まえ、防衛イノベーション科学技術研究所の取組に関す
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る一文を追記している。
資料16ページ目の「③グローバル・スタートアップ・キャンパス構想」だが、2回目の会合
で小川委員からグローバル・スタートアップ・キャンパス構想のガバナンスについて御指摘が
あった。これを踏まえ、一文を追記している。
以前の会合で藤野委員からアントレプレナーシップ教育について、学生だけではなく、教育
全体の質の向上が重要であるという旨の御指摘があった。これも踏まえ、資料19ページ目に
「教職員向けのプログラムの提供により、アントレプレナーシップ教育の質の向上を図る」と
いう旨、新たに追記している。
何人かの委員から地方自治体の調達に関する御指摘があった。これを踏まえ、資料21ページ
目の①の項で「各自治体における4号随契に基づく調達の実態に関する調査を毎年度定期的
に実施し、優れた調達事例についてウェブサイトでの情報発信をはじめ横展開を行う」と追記
した。また、自治体の調達に関するガイドラインの改訂、4号随契の積極的な活用を促すため
の助言を行うこと、自治体の入札・契約制度の運用に関して、引き続き、各府省庁間にて連携
を行うことなどについて追記をしている。
これまで、委員の皆様方から大変貴重なコメントをいただき感謝申し上げる。各府省庁と調
整して、このような形で、改めて前回の素案に追記をした案を御提示した。
○金子内閣府大臣政務官
構成員の皆様から、本分科会のとりまとめ文書に対する所感、今回のとりまとめに基づき、
今後、政策を実行していくに当たっての要望、構成員の皆様の抱負などについて御発言をいた
だく。
○田中委員
本日は大変すばらしい発表に感謝申し上げる。ここで皆さん、委員の方と一緒に議論したこ
とが国の政策としてこのように入ってくることは非常によかったし、省庁を超えて努力いた
だいたことに、改めて敬意を表したい。
これだけお願いをしたので、我々起業家側がそれをいかに達成していくかが重要である。委
員の立場では学者の方とかベンチャーキャピタルの方、様々な支援をいただいているサイド
の方も多いが、当の起業家がしっかりと成長させなければ、この政策の最後のピースがはまら
ない。
私 は 、 日 本 で 2,000 人 ぐ ら い 、 世 界 で 3 万 人 程 度 の 経 営 者 が 入 っ て い る Entrepreneurs'
Organization(EO)という組織で、会長もしていたが、最近、その人たちに投げかけを行って
いる。何かというと、やはり当事者として、例えばTOKYO PRO Marketに上場するEOメンバーが
非常に増えており、他方、100億円の壁で上場廃止になりそうなメンバーも多数いて、1,000億
円を超したユニコーンの人や、上場ユニコーンの人たちもいる。要は、起業家の中の非常に実
行している当事者がいるので、その人たちがしっかりと意見を届けることをこれからもした
いということと、その当事者自身が目先の売上げ利益ではなく、今回のスタートアップの政策
で挙げられた課題をEOメンバーにインプットして、EOメンバー自体に実行させるということ
を私もそのメンバーとしてしっかりやりたい。
まとめると、当事者の意見をお届けすること、当事者自身が国の施策に沿ってしっかりと成
8
長を目指していくこと。これの触媒となり、私自身がそれを実行していくことを宣言する。
○米良委員
本日提示されたとりまとめを拝見して、スタートアップ育成5か年計画が我が国の経済構
造を大きく変えつつあるという強い手応えを感じている。
特に注目すべきところが、スタートアップが創出する付加価値が日本全体の名目GDPの4%、
25.6兆円規模に達しているというところで、この2年間でも32%の急成長を遂げているとい
うデータをお見せいただいた。目標としてユニコーン数や投資総額という指標も掲げられて
いるが、経済成長にスタートアップが非常に重要だというデータが出てきたことに本当に勇
気づけられたし、さらなる成長をスタートアップ企業がしていく必要があると痛感している。
この成果が出てきているところで、この施策をやはり現場のスタートアップが知って使いこ
なせる環境をつくるということをぜひ率先いただきたい。
今回の施策パッケージについて、政府調達の抜本的な改善という点や、自治体のスタートア
ップからの公共調達という点で、まさにスタートアップ側の売上・トップラインを上げていく
という、非常に重要な施策が打たれていると実感している。これを知っているか知らないかで
成長のスピードが大幅に変わってくると思うので、この活用が進んでいくように私としても
しっかりと努めていきたい。
田中委員と同様なこともしっかり宣言したいと思っている。私もインパクトスタートアッ
プ協会を運営しており、スタートアップ企業が350社、会員企業としていらっしゃる。こうい
った企業に今回つくった施策をきちんと届けて、一社でも多くの企業がそれを活用して、日本
の成長のためにきちんと尽力いただけるような環境をつくりたい。
城内大臣にお願いだが、秋頃に我々が主催するイベントがある。大臣に登壇いただき、この
パッケージをスタートアップ企業に届けていただきたい。ぜひ調整させていただきたい。
○城内分科会長
承知した。
○米良委員
皆様とつくったこの施策を実際に現場のスタートアップに届け、そして、スタートアップが
いるからやはり日本経済がますます豊かになっていくということを国民の皆様にも分かって
いただけるようにしっかり頑張りたい。
○室伏委員
まずは、このような機会に関わらせていただいたことに感謝申し上げたい。
いかにイノベーションを起こしていくのか、それに当たっての政府の役割の重要性、そして、
最終的な担い手としてのスタートアップの支援と、特に資金面での官民の上手な連携、はっき
り言えば、民間に取れるリスクは取っていただくが、取れないリスクまで押しつけるのは無理
であるから、そこはしっかりと政府がリスクを取っていくという役割分担について申し上げ
てきた。ほかにも調達に関しても申し上げたが、おおむね、私が発言したような趣旨・方向性
等はとりまとめに盛り込んでいただけたのではないかと思う。重ねて感謝を申し上げる。
今回のとりまとめには、これまでやったことがないものや新しいものもあるため、ぜひトラ
イ・アンド・エラーでやっていくという観点と、しっかりと関係者から幅広く生の意見を聞い
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た上で、修正するところは修正をして、よりよい中身にしていっていただきたい。
私も、スタートアップの当事者でもVCでもないが、イノベーションを研究している一人とし
て、さらに様々な事例等、最新の研究等も深めていきたいと思っており、そういったものがよ
り施策に反映されるように発信等も行っていきたい。
調達の運用指針について、まだこれは素案ということだが、例えば、高市政権は「日本列島
を、強く豊かに。」ということを掲げているところ、それを少しブレークダウンして、例えば
ミッションとして、日本列島のどこに住んでいても何不自由なく暮らすことができる社会の
実現というものを掲げた上で、それを調達の中でどう落とし込んでいくのかを考えていただ
くなど、より大きなミッションを設定していただくことが必要かと思う。
税制優遇については、これが行われている国もあるため、否定はしないが、本当にイノベー
ションへの貢献という点で効果があるのかどうかという話が出てくると思うので、諸外国の
状況のみならず、様々実証的に検証をしておくことが必要である、そういった検証を踏まえな
がら、将来的な課題として残しておくことが必要ではないかと思う。
前々回提案した、日本政策金融公庫によるスタートアップの株の保有について、特に防衛ス
タートアップは金額もリスクも大きいため、スタートアップの経営の安定につながる。ぜひ今
後、そういった点も御検討いただきたい。
○藤野委員
事務局の皆様には、委員の発言を丁寧にとりまとめていただいたことに対して心より感謝
申し上げる。特にTOKYO PRO Marketの活性化や、未上場株の投信の組入れ、クロスオーバーの
活性化など、かなり盛り込んでいただいた。また、高校や大学における教員に対するスタート
アップ教育に関しても盛り込んでいただいたことに対しては本当に感謝している。
スタートアップの人たちは、ある面で見るとアニマルスピリッツというか、国の力や助けが
なくても自律的に成長していくのだという強い気概を持っている人たちであるべきで、そう
いう人たちは日本にも多数いる。そのような人たちのアニマルスピリッツを、国や、それをサ
ポートする人たちがめでるというか、そのようなものに対するリスペクトがあることが非常
に重要だと思う。今回の政策に関しては、そのようなアニマルスピリッツのある起業家を育て
ていくという意志が強くあるものだと思っているが、そのようにしていただけるとよい。
前回申し上げたグロース市場を何とか活性化していただきたいという話をかなり真摯に受
け止めていただき、経済産業省、金融庁から、それに対する意見や取組について多数提出いた
だいたことに対しても本当に感謝申し上げる。
やはりグロース市場そのものを活性化するという国の意思が非常に大事だと思う。国が、そ
こを重要だと思っていると考えると、それに対するリスクマネーがそこにリスクテークして
いこうということになるので、グロース市場に対して成長を促進していく、この市場を活性化
するという強い意志を見せていただくことは重要で、また、見せていただいていることに対し
て感謝申し上げる。
私は起業家でもあるし、投資家でもあるから、この問題に関しては真正面に取り組んでいく
ことが重要だと思うので、政府の出したこの方針に対して、自分たちも一業者として、この分
野に関する一オピニオンリーダーとして、しっかりとスタートアップの市場を育てていきた
10
い。
○郷治委員
城内大臣、内閣官房日本成長戦略本部事務局、財務省主税局、経済産業省、このたびのとり
まとめを、昨晩まで進めていただき、また、今日は財務省主税局の中島審議官にも御出席いた
だき、本当に感謝申し上げる。
提出資料は、ミニマムタックスの強化が来年1月から行われることについてのスタートア
ップ経営株主の現場の声を直接お届けしなければいけないだろうと考え、本分科会の資料提
出期限の5月11日締切で回答を集めたものである。
1,387人の経営株主の方から御回答いただいた。96%の方が企業価値向上のインセンティブ
が削がれる、うち75%強は大きく削がれるとおっしゃっている。また、全体の96%の方が国内
で創業するインセンティブが削がれるとおっしゃっている。
私が一番危機感を持っているのは、多くの方が次に創業するのであれば海外を視野に入れ
るとおっしゃっていることである。日本国内のみとおっしゃっている方はわずか18%で、最初
から日本を考えずに海外に行くという方が19%ぐらいいらっしゃる。企業価値のレンジ別で
見ると、やはり企業価値が大きいほどそのような傾向が強く、かつ大きいほどアメリカを選ぶ
とおっしゃる方が多い。企業価値が大きくする方を育てることがこの分科会の趣旨なので、そ
ういう方が海外に出ていってしまったのでは、ほかの施策でどんなに立派なことをやっても
台なしになってしまうということを非常に危惧している。
97%の方は、ミニマムタックスの強化については見直しが必要とおっしゃっている。そのほ
かにも様々なスタートアップ関係の税制があり、現行だとエンジェル税制や、いわゆる日本版
QSBSがあるが、趣旨が違うためこれらの拡充では代替不可能とおっしゃっている方が多いの
で、やはり措置を打たなければいけないと考えている。その観点について、このたびのとりま
とめでも「必要な措置について検討を進める」という形で、「必要な措置」ということを明言
いただいたことに大変感謝したい。具体策については、今後の検討が必要かと思う。
その上で、財務省の資料についてコメントする。資料5の6ページの英国の事例について、
株式譲渡益課税のところがいわゆる「ミニマムタックス」に関連するところかと思うが、こち
らは2年前の改正で低い方が10%から18%に上がり、高い方が20%から24%に上がったとこ
ろ 、 こ の 後 の 10 か 月 間 で 3,800 人 の 会 社 の 取 締 役 た ち が 国 外 に 移 住 し て い る 。 Henley &
Partnersの推計では、この2年間で2万6,000人以上のいわゆる「ミリオネア」、合計920億ド
ルぐらいの資産を持った方々が国外に流出しているというデータがある。
先ほど室伏委員から実証研究の重要性の話があったが、欧州ファイナンス協会の「Review
of Finance」というジャーナルによると、キャピタルゲインの課税を10ポイント上げるとイノ
ベーションのアウトプットが5~7%下がるという実証研究もある。やはりこのたびの「ミニ
マムタックス」強化については、特にイノベーションを起こすスタートアップについては特段
の措置が必要ではないかと思っているので、引き続き検討いただきたい。
○小澤委員
とりまとめ、本当に感謝申し上げる。
30年間、スタートアップ業界にいる人間として、今までどちらかというと無縁だった。むし
11
ろ、政府の方々はスタートアップに触ってくれるな、邪魔しないでくれという立場で、アニマ
ルスピリッツというか、むしろ、アニマルという状態でやってきたが、このようなプロセスに
参加させていただき、改めて政府・与党及び政治家の皆さん、官僚の皆さんがこのようにスタ
ートアップのことを考えていただくのは非常にありがたい。今までどちらかというと長いも
のには絶対巻かれぬとやってきたが、あるのだったら使おうということで宗旨替えをして、し
っかり起業家の仲間たちやこれから起業する予備軍には伝えていきたいと感じたのが一番大
きな私の心境である。
自分自身は、まず、告知というところで、登壇の機会やYouTubeなどに出る機会も多いため、
今日、しっかりいただいたものを理解して、起業、成功するにはどうしたらいいのだという質
問を多方面からいただく際の一つの解として、特にデュアルユースをベースとした政府調達
については、これほど大きな機会は過去にないので、しっかり伝えていきたい。
グロースマーケットにおける活性化は私どものファンド、主体者として、プライベートエク
イティーで買収ができる。グロースマーケットにある会社を買収することも私どもはできる
し、また、それをやることによって、2回目、3回目のチャンスを起業家に与えることもでき
る。長らくしこっている、株価が上がらぬ、利益も上がらぬというのは優秀でないわけではな
い。経営者としては上場させるほど優秀だが、たまたま、その市場を選んでしまった。しかし、
出口がない状態で10年たっているという方々に対して、2度目、3度目のチャンスをどうつく
るかというのは買収でのエグジットあるので、私どものファンドがより活性化をして、上場、
非上場問わず、しっかりよいものは買収していく。プライベートエクイティーならではの利益
の出し方は通常のスタートアップとまた違うロジックで利益が出せるものであるから、しっ
かりレバレッジをかけて買収する中でファンドとしての利益を上げていくこともできようか
と思う。
PayPayをつくった当事者からすると、これはスタートアップである。ゴールポストを触らな
い中で、スタートアップの定義を幅広く取っていただくならば、大企業が生み出したスタート
アップは、非常に重要なものであるし、今後も大企業から生まれるスタートアップを促進する
中で、PayPayという最大のヒット作をぜひ数字の中に入れていただくとやる気になる。
○小川委員
今回のとりまとめを拝見して、「イグニッションチーム」や「カスタマーディスカバリー」
といった具体的で少々ユニークなワードまで入れていただき、また、公共調達や規制改革の推
進、グローバル・スタートアップ・キャンパスの活用など、経団連が提言した内容をほぼ盛り
込んでいただいたことに感激している。調整に当たられた城内大臣はじめ、各省庁の皆様に心
より御礼申し上げたい。
今回のこのパッケージは、スタートアップ育成5か年計画の10X10Xという野心的な目標の
残り期間での実現に向けた推進に非常に大きな力になると期待をしている。そして、スタート
アップ育成5か年計画終期が来た際には、このパッケージの施策がどのような効果を発揮し
たのか、そして、もし足りないところがあるとしたら、それはどこだったのかという検証をよ
く実施していただき、その先にもつなげていただきたい。
今後、高さを強力に引き上げることが重要になる。アンドリーセン・ホロウィッツという非
12
常に大きな海外のVCも来てくださるということで、これから日本のスタートアップエコシス
テムに大きな影響を与えてくださると大きく期待する。それに続いて、海外から有力なVC、ス
タートアップに、日本をグローバルなスタートアップエコシステムにするべく、続々と来てい
ただくことを期待している。
これだけフルにパッケージを用意していただいたものを使い倒さないといけないと思って
おり、そのためには周知が何より重要である。経団連には、大企業だけではなく120を超える
スタートアップも加盟しているので、周知に当たって、大企業向け、スタートアップ向けを問
わず、ぜひ協力していきたい。また、経団連自身としては、スタートアップからの調達、M&A、
事業のカーブアウトや人材の流動性向上など、大企業側のアクションを一層推進すべく取り
組みたい。
2027年の春頃を目途に、スタートアップ育成5か年計画のその先に向けた具体的な提言を
とりまとめるべく、これから検討を開始しようと思っているので、引き続き、政府の取組と密
に連携させていただきたい。
○岡田委員
経済成長はイノベーションに尽きるので、スタートアップの総力を創出するという意味で、
このパッケージは網羅的かつ実効的になったものと考えている。ネーミングも前向きで、元気
の出るものだと思っており、皆様の御尽力に感謝する。
今後について、私自身の仕事として、これをスタートアップに伝えて、素早い活用を促した
い。
ミニマムタックスについて、私個人は、もし保有株を一定数売却すれば影響を受ける立場だ
が、税制は多数のロジックのバランスの上に成り立っており、それを変更するためにはそれを
上回るロジックが必要であり、軽々な議論は避けるべきである。特にこのミニマムタックスは、
国会や6党合意の経緯について、私も調べて分かったので、重く受け止めるべきだと思ってお
り、税金が高くなれば、それは税制に従って払えばよいではないかというのが私の根本的なス
タンスである。
他方で、現在の税制で最も強い不公平感を感じているのは、都市部に住んで、一生懸命働い
て、健康で、犯罪を犯したことのない就職氷河期世代である。このセグメントは、雇用と賃金
と社会保障において構造的に不利な立場に置かれている。実は、このセグメントがまさにスタ
ートアップの経営者のセグメントと重なっている。その一部の人たちがこの状況を打破する
ために、手段としてスタートアップに活路を見いだして、リスクを取って、社会課題解決に進
んでいるという事実がある。
そのため、今日お持ちいただいたアンケートは、これを税制に反対する一業界の声だと理解
するのではなく、あるセグメントの世代の声が現れていると理解をしたほうが素直に読める
のではないかと考えており、とりまとめ案の「税制を含むスタートアップに関連する政策の在
り方や必要な措置について検討を進める」という文言に賛同する。
○井上委員
非常に充実したとりまとめを作成していただき、事務局、関係省庁の皆様には改めて感謝を
申し上げたい。また、このような場に参画させていただき、貴重な経験をさせていただいた。
13
このような機会をいただいたことに感謝しており、今後の実践を通じて貢献していきたい。
今回の施策は、単なる個別の施策ではなく、資金、人材、技術が循環していくエコシステム
という観点が明確に打ち出され、日本のスタートアップ政策は大きく深化していると感じて
いる。ディープテックにおける研究開発から社会実装までの切れ目のない支援の必要性、アン
カーテナンシー型の政府調達、GPIFなどの長期資本の供給、セカンダリー市場の活性化といっ
た論点を全て盛り込んでいただき感謝している。
ライフサイエンスやディープテックの領域は時間がかかり、研究開発を継続的に行ってい
くことに加えて、最初の顧客をどうつくるかが極めて大事である。政府調達の取組などが盛り
込まれたことは非常に意義深い。また、GPIFなどの長期資本がスタートアップに流れるための
制度改革も大きな前進である。
今後、この運用が短期的・画一的になってしまうと、せっかくこれだけ議論してきたことが
生かされないため、ぜひとも現場の実態を踏まえながら柔軟で継続的な運用をお願いしたい。
また、成功した起業家がその経験を次の挑戦に生かしていくということがエコシステムと
して深化していくために大事なので、ぜひとも、その循環を阻害しうる制度については引き続
き検討いただきたい。
今後の抱負としては、私自身、ライフサイエンス特化型のベンチャーキャピタルを運営して
いるので、優れた研究シーズをしっかり社会実装につなげ、グローバルな視点や経験も生かし
ながら日本発の競争力ある産業を創出していきたい。また、女性2人でファンドを立ち上げた
立場として、インクルーシブな社会の実現という観点でも女性がリーダーシップを担うロー
ルモデルの一つになれるよう取り組んでいきたい。
○芦澤委員
第1回分科会の冒頭で、スタートアップのスケール化については、長年、鶏と卵の問題があ
るという問題提起から始めた。それは、十分な資金がないからスタートアップが大きくならな
いという主張と、有望なスタートアップがないから資金投下先がないという主張が拮抗して
見合った形でエコシステムが回らないという問題がずっと今まで続いているということを申
し上げた。これが今回のとりまとめ案において、長年解けなかった鶏と卵の問題が解けるだろ
う、エコシステムが回るだろうという確信を持ち、画期的なものだと思っている。
有望なスタートアップが少ないという課題を解くためには、政府調達による初期需要の創
出が示された。特に防衛分野にてSBIRの抜本強化がされ、アンカーテナンシー型の試験導入、
契約・運用の改良、それから、伴走支援体制の構築まで提示していただいた。これをもって中
長期の大型需要の予見性が生まれると思うし、その予見性を土台として事業成長を描く、すな
わち、グローバル規模にスケールするスタートアップが必ず生まれてくる道筋が示されたと
思う。
資金面について、DBJやJICといった政府系機関による資金供給、債務保証制度の充実、機関
投資家からの資金供給拡大が盛り込まれ、政策として資金の大型化の道筋も示されている。加
えて、スタートアップエコシステムの土台形成のための骨太のパッケージとなっており「スタ
ートアップ総力創出パッケージ」はすばらしい名前だと思った。短期間でまとめてくださった
城内大臣、日本成長戦略本部事務局、各省庁の皆様に心より御礼申し上げる。
14
今後は、実行のスピードと規模が極めて重要である。実行に当たって3点申し上げる。第1
に、2024年から開始された宇宙戦略基金がすばらしくスタートアップを後押ししているが、今
後はデュアルユースの分野で長期・大型・安定的な基金、デュアルユース戦略基金のような設
立を視野に入れて、実績が積み重なっていくことを期待する。
第2に、ブレンデッド・キャピタルについて、政府部門の資金を呼び水として、民間ファン
ドや財団からの資金が動くよう、また、エクイティーだけではなくて、デッドや様々な金融手
法が切れ目なく資金供給されるように、今後、さらにブレンデッド・キャピタルが深化するこ
とを期待している。
第3に、規制について不断な政策深化が必要である。既存専業や市場構造に関わる制度改革
と一体化して進めると同時に、規制改革体制も強化して進めていただきたい。独占禁止法に基
づく議決権保有制限の見直しは重要なので、規制改革の答申に向けて公正取引委員会との結
論を強く期待する。のれん会計処理については、金融庁に検討の加速化フォローをお願いする。
私も今回の議論に関わった者として、これからの実行を後押ししていきたい。アカデミアの
立場はなかなか弱いが、分析をしたり、研究・発信もできる。そして何より、きらびやかな才
能の塊、若い人たちに日々接しているので、こちらで学んだこと、皆さんの思いをふんだんに
伝えていきたい。日本の底力が強い経済につながる道筋ができたと心からわくわくしている。
○金子内閣府大臣政務官
構成員の皆様の御意見を踏まえると、本日、事務局から御提示したスタートアップ政策推進
分科会とりまとめ(案)については御了承いただけたと思う。今後とりまとめた施策の実施に
当たっては、本日いただいた貴重な御意見を踏まえて進めていきたい。
最後に城内分科会長から御発言をお願いする。その前にプレスが入る。
(報道関係者入室)
○城内分科会長
本日、スタートアップ育成5か年計画を強化するため「スタートアップ総力創出パッケージ」
をとりまとめた。構成員の皆様方におかれては、御多忙の中、これまで4回の会合に御出席い
ただき、活発に御議論いただき、また、大変貴重な御意見を多数賜り、こうして充実した内容
のとりまとめができた。厚く御礼申し上げたい。
副分科会長で御出席いただいた岩田副大臣、井野副大臣、いつも司会をしてくださった金子
大臣政務官にも御礼申し上げたい。また、各府省の皆様、多岐にわたる様々な意見を上手にま
とめて、調整してくださったことに御礼申し上げたい。
今回のとりまとめでは、スタートアップ政策を抜本強化するため、政府が前に出て、1つ目
はスタートアップのスケールアップ、2つ目はディープテックスタートアップの支援、3つ目
は地域の経済社会を担うスタートアップの創出・育成という3つの柱を通じて、副題のとおり、
イノベーションを生み出す、育てる、実装するという政府の覚悟を示した。
スタートアップ育成5か年計画の推進により、我が国のスタートアップの数は過去最高の
約2万5,000社へと増加するなど、スタートアップエコシステムは着実に発展している。我が
15
国のユニコーン数や資金調達額については5か年計画の目標に届いてはいないが、引き続き、
この高い目標を掲げ続けながら、その実現に向かって支援策を抜本強化していく。
我が国発のスタートアップが主要なプレーヤーの一つとして活躍する強い経済を実現する
ため、各省庁においては、今回とりまとめられた施策を迅速かつ着実に実行するよう、私から
強くお願いする。
本分科会における最も重要な成果はSBIR制度を抜本強化し、従来の研究開発支援を超えて、
本格調達につなげる試験導入の新たな枠組みの創設を打ち出したことである。
そして、前々回及び前回の会合における私からの指示を踏まえ、本日、改めて内閣府科学技
術・イノベーション推進事務局と経済産業省から御報告いただいた。両府省は、新しい枠組み
が実効性のあるものとなるよう、検討を加速し実現していただきたい。関係省庁は、両府省と
連携の上、本枠組みを積極的に活用し、スタートアップからの政府調達に向けた取組を強力に
進めていただきたい。
加えて、両府省は、スタートアップが政府調達に参入しやすくなるための契約指針の策定を
進めていただくとともに、関係省庁は、この指針の着実な運用をお願いする。この政府調達の
新たな仕組みをはじめ、本分科会のとりまとめにおける主要な施策をこの夏にとりまとめる
日本成長戦略にしっかりと反映していく。
どのように優れた施策であっても、スタートアップ、起業家、投資家などのスタートアップ
エコシステムの関係者にしっかり情報が届かず、施策が有効に利用されなければ何の意味も
ない。政府としても情報の発信・広報に最大限努めるので、構成員の皆様も、今回とりまとめ
た政策パッケージについて、ぜひとも積極的に利用し発信していただきたい。
そして、何かお気づきの点があれば、私ないし事務局に逐次、連絡いただければできる限り
反応するようにしたい。
改めて構成員の皆様方のこれまでの本当に大変な御尽力に感謝申し上げたい。
(報道関係者退室)
○金子内閣府大臣政務官
以上をもって本日の会議を終了する。
16
資料1
第4回スタートアップ政策推進分科会
議
事
次
第
令 和 8 年 5 月 2 0 日 ( 水 )
1 7 時 3 0 分 ~ 1 8 時 3 0 分
中央合同庁舎第4号館全省庁共用1208特別会議室
1.開
2.議
3.閉
会
事
(1)スタートアップ政策推進分科会とりまとめについて
会
資料1
資料2
資料3
資料4
資料5
資料6-1
資料6-2
資料7
資料8
経済産業省提出資料①
経済産業省提出資料②
金融庁提出資料
経済産業省提出資料③
財務省提出資料
内閣府・経済産業省提出資料
スタートアップの公共調達の加速に向けた運用指針(素案)
スタートアップ総力創出パッケージ案
郷治委員提出資料
資料2
資料1
第4回スタートアップ政策推進分科会
経済産業省資料
「日本のスタートアップエコシステムの現状評価」
イノベーション・環境局
2026年5月20日
現状評価と方向性~規模の大きなSUの創出~
関連KPI:ユニコーン創出数 100社
•
5か年計画実行により、スタートアップエコシステムは着実に発展。一方で、KPIとして設定しているユニコーン数は未達な状況であり、今後はユニコーンの数に
代表されるような規模の大きいスタートアップの創出や、大規模なエグジットを経てその資金が新たなスタートアップのための資金供給につながるような資金
循環を生み出していくことが課題。
•
海外スタートアップで日本への拠点移転や上場を目指す動きも見られ、アジアのスタートアップハブに向けた動きも進展。東証がアジアの有力企業による東
証IPOを進めるため、「東証 アジア スタートアップ ハブ」を立ち上げ、日本での事業・資金調達支援、IPO支援を実施(対象企業は20社)しており、中にはユ
ニコーン規模の企業も存在。
ユニコーン・
上場ユニコーン
2021年
(評価額1,500億円~)
ユニコーン予備軍
(評価額500~1,500億円)
ユニコーン
上場ユニコーン
ユニコーン予備軍
5か年計画
策定時
スタートアップ・
大学発スタート
アップ
スタートアップ
大学発ベンチャー
※1 出典:CB Insights, Pitchbook, スピーダスタートアップ情報リサーチ。ユニコーン:評価額10億ドル又は1,500億円を超える未公開企業
※2 出典:Pitchbook, スピーダスタートアップ情報リサーチ。上場ユニコーン:2016/1/1/から2025/12/31の間にIPOした企業のうち、スタートアップ
情報リサーチ スピーダに掲載されている企業であり、外部調達を行ったことがあり、かつ上場後1度でも時価総額が10億ドル又は1,500億円を上回って
いる企業をカウント。このうち、被M&A等により現在は非上場となっている企業は除外。
現在
6
1.3倍
18
1.8倍
12
2.6倍
8
(※1)
(※1)
(※2)
(※3)
約16,100
3,305
(※5)
33
(※2)
31
(※4)
1.5倍
1.5倍*
約25,000
5,074
(※5)
*2023年度から2024年度への増加分の
約57%は東京都以外で創業
※3 出典:株式会社ユーザベース「Japan Startup Finance2020」
※4 出典:スピーダスタートアップ情報リサーチ。2026/3/31時点で「調査継続中」で調達後評価額が500億円から1,500億円の企業。
※5 出典:令和6年度大学発ベンチャー実態等調査。年度別の数字であり、2021年度:3,305社、2024年度:5,074社。2023年
度から2024年度への増加分の約57%は東京都以外で創業。
2
(参考)東証アジアスタートアップハブ
株式会社東京証券取引所は、成長性豊かなアジアの有力企業に東証へのIPOを選択していただくことに資するエコシステムとして、「東証
アジア スタートアップ ハブ」を立ち上げ。
「東証 アジア スタートアップ ハブ」では、アジアの有力企業に対して、日本での事業・資金調達支援、IPO支援などの各企業のニーズを踏ま
えたサポートを行うことを通じて、中長期的な視点で、東証IPOの後押しを行う。
東証アジアスタートアップハブ概要図
出典 株式会社東京証券取引所HPより引用
支援対象企業一覧
出典 株式会社東京証券取引所 「東証 アジア スタートアップ ハブ2025年支援対象企業のご紹介」より引用
3
関連KPI:資金調達額 10兆円(~2027年度)
現状評価と方向性~ SUへの資金供給の状況~
•
未上場スタートアップ(SU)の新規資金調達額は、横ばいの状況。一方で、上場SU含めたM&A・セカンダリー取引は着実に増加しているなど、資金循環も活性
化しつつある。また、未上場SUの平均資金調達額が約3億円、グロース市場の時価総額の中央値が約60億円と小規模にとどまっているが、未上場の資金調達
でも200億円超を調達するユニコーン予備軍の企業が出てきていたり、IPOでも、PayPayが約1000億円の資金調達を実現するなど、大型案件も出つつある。
•
小規模な案件の数を増やすのでなく、M&Aの活用も含めて案件を大型化していくことに注力することにより、全体の資金調達額を引き上げ、資金循環を活性化
していくべきではないか。
現状
対応の方向性
国内のスタートアップの資金調達額
(億円)
9,909
10兆円
8,828
8,284
7,613
資金調達規模にばらつきが大きいことを踏まえ、資金循環の拡大には、大型SU
の創出・資金供給強化に取り組む必要
○ユニコーン級、ユニコーン予備軍など大型スタートアップでは大型の資金調達を実施
・・・
2022
2023
2024
2025
2027年度
(出典)株式会社ユーザベース 「Japan Startup Finance 2025 国内スタートアップ資金調動向-」より経産省作成
2025年
資金調達
上位企業
上場SUも含めたM&A・セカンダリー取引
(億円)
8,000
M&A金額
M&A件数
6,666
6,742
6,000
0
40
30
4,000
2,000
(件数)
1,356
2021
1,182
2022
20
2,228
2023
10
2024
2025
0
注:2016/1/1/から2025/12/31の間)にIPOした企業のうち、スタートアップ情報リサーチ スピーダに掲載されている国内企業が対象
(出典)レコフデータ「MARR PRO」を基に経産省作成
企業名
2025年調達額(億円)
1
Mujin
217
2
自然電力
200
3
LayerX
150
4
インターステラテクノロジズ
130
5
Binance Japan
116
(出典)株式会社ユーザベース 「Japan Startup Finance 2025 国内スタートアップ資金調動向-」
○IPO
PayPayのIPO時調達額
未上場の平均資金調達額
PayPayのIPO時初値
グロース市場の時価総額の中央値
約1,000億円
約2兆円
約3億円
約60億円
(出典)プレスリリース・報道、株式会社ユーザベース 「Japan Startup Finance 2025 国内スタートアップ資金調動向-」、㈱東京証券取引所「グ
ロース市場における今後の対応」
4
世界最大級のVC、アンドリーセン・ホロウィッツが日本進出を発表(5/14)
1000億ドル(約15兆円)の運用資産残高を有し、
AIや防衛分野への投資に注力する世界最大級のVCである
アンドリーセン・ホロウィッツの共同創業者兼ゼネラルパートナー、
ベン・ホロウィッツ氏が高市総理との面会のため来日。
面会において、ホロウィッツ氏からは、高市内閣のスタートアップ
政策、安全保障政策の強化を踏まえ、
① 今夏、唯一の海外拠点を日本に設立すること
② 拠点設立後3~4年をめどに、現在は米国のみで行う
起業家育成事業「Speedrun」を日本でも実施すること
が表明された。
高市総理からは、歓迎とともに、拠点開設を通じた投資拡大・
起業家育成、成長戦略・安全保障戦略への貢献に対する
期待が述べられた。
【出典】首相官邸公式WEBサイト「アンドリーセン・ホロウィッツ社による表敬 令和8年5月14日」
https://www.kantei.go.jp/jp/105/actions/202605/14hyoukei02.html
5
(参考)我が国のスタートアップへの資金供給環境
リスクマネー層が薄く資金供給が小規模。海外からの投資が少なく、国内VCも小規模であるため、特にレイ
ター期に必要となる大型資金供給が不足。
VCのファンドサイズの日米比較
VCファンドの投資ステージの日米比較
(外円)金額ベース
(内円)件数ベース
Sequoia Capital
Andreesen
Horowitz
JAFC
O
グロービ
ス
(出典)第3回スタートアップファイナンス研究会「資料3 事務局資料」(2024年2月8日,経済産業省)
各社公開情報よりNRI推計。あたりの案件規模は、2018年~2022年の5年間のファンドレイズを投資件数で割る形で算出(1ドル=148円として計算)
日本
(2023年度)
シード
アーリー
レイター
米国
(2023年)
(出典)株式会社ユーザベース「Japan Startup Finance 2024 上半期」、Q3 2024 Pitchbook-NVCA Venture Monitor, NVCA 2024 Yearbook、一般財団法人ベン
チャーエンタープライズセンター「ベンチャー白書2024」日本における「アーリー」には(出典)の分類における「エクスパンション」を含む。米国における「レイ
ター」には(出典)の分類のうち「ベンチャーグロース」を含む。日米共に国内VCによる海外スタートアップへの投資額は含まない。 日本の投資件数は1,285件、投資
金額は1,730億円。米国の投資件数は13,586件、投資金額は1706億ドル。
6
(参考)最近の海外VCなどからの日本進出等の発表
①Alumni Ventures(米国)
(有力大学卒業生からの出資で運用。’14年設立ながら米国トップ20のVC。)
•
•
東京オフィスの開設、COOの日本駐在
日本と米国のスタートアップへの約150億円の投資
②Jolt Capital(フランス)
(ディープテックへの投資に特化するファンド)
•
•
東京オフィスの開設
直近で運用開始するファンドから日本のスタートアップへの投資
③New Enterprise Associates(NEA)(米国)
(’77年設立。約4兆円を運用する世界最大級のVC。)
•
日系スタートアップへの4件目の投資
④SVG Ventures(米国)
(農業テック分野に強みを持つVC。JETROと起業家育成で連携。)
•
日系スタートアップ(EF Polymer社)への投資
⑤Berkeley SkyDeck(米国)
(カリフォルニア大学バークレー校の起業家育成機関)
•
経済産業省、JETROを含めた3者が、ディープテック領域における大学等の研究成果や次世代技術の社会実装の加速、スタートアップの成
長促進のための協力深化を目的とする共同声明に署名。
【出典】各社の公式WEBサイトなど
7
(参考)EIC:「ブレンデッド・ファイナンス」でディープテックスタートアップを支援
EIC創設の経緯
欧州では、基礎研究の競争力が高い一方で、研究成果がスタートアップとして事業化・スケールに至らず、成長段階で域
外(特に米国)に流出する構造課題が長年指摘されてきた。特にディープテック分野においては、研究成果から市場
投入までの「死の谷」が深刻であり、既存制度では研究支援と事業化支援が分断されていた。
この課題に対応するため、 2018年より、欧州委員会はHorizon 2020の下で、研究から市場創出までを一体的に支
援する枠組み「EICパイロット」の実証を行った。その後、2021年にHorizon Europe(2021–2027)の中核施策と
して、EICが正式に発足した。
EICが行う「ブレンデッド・ファイナンス」の特徴
EICは、補助金とエクイティ投資(Equity)を組み合わせたブレンデッド・ファイナンスを制度として実装し、ディープテック
企業の創出からスケールまでを一貫支援する点に特徴がある。
特に、中核のEIC Acceleratorでは、①補助金のみ、②出資のみ、③補助金+出資(ブレンデッド・ファイナンス)の
選択が可能。
EIC Pathfinder
(TRL 1~4向け、科学技術の ブレ
イクスルー創出支援)
EIC Transition
(TRL 3~6向け、研究成果の社会
実装に向けた実証段階の支援)
EIC Accelerator
(TRL 6~9向け、補助・出資の組み合わせ:
Blended Capital により社会実装を支援)
8
現状評価と方向性~ SUの経済へのインパクト(「スタートアップエコシステム調査2026」※公表)~
• スタートアップがもたらす経済波及効果は2025年に創出GDPが直接効果で13.66兆円(GDP比2%)、間接波及効果を含めると
25.69兆円(GDP比4%)となり、前年からの15.0%の伸び。スタートアップが経済成長をけん引する役割を果たしていることを
示している。
※「スタートアップエコシステム調査2026」:日本のスタートアップエコシステムの状況を把握するために、経済産業省がJVCAの協力を得て実施。
5月20日公表(経済産業省HPに掲載)(https://www.meti.go.jp/policy/newbusiness/houkokusyo/startup_ecosystem_research_2026.pdf)
スタートアップによる経済波及効果*1
創出GDP計
(直接効果+間接波及効果)
スタートアップによる創出GDPの推移*3
各国のエコシステム比較
IPOファイナンス金額の対GDP比率(2025年)
0.05%
0.04%
25.69兆円
直接効果+間接波及効果
対名目GDP比
約4%*2
0.01%
米国
直接効果
13.66兆円
0.03%
韓国
シンガポール
日本
0.01%未満
0.00%
データなし
英国
フランス
M&A取引金額の対GDP比率(2025年)
雇用創出
59.1万人
所得創出
3.92兆円
*1.直接効果とは、スタートアップの経済活動により創出される付加価値を指し、間接波及効果とは、スタートアップに対するサプライヤーの経済活動や所得創出に伴う消費支出が引き金となり連鎖的に創出される経済効果を指す。本調査では間接波及効果のうち二次波及効果までを推計した
*2.2025年の日本の名目GDP(663.8兆円)との比較((出典) 内閣府 経済社会総合研究所「国民経済計算(GDP統計)」(2026/3/31時点))
*3.過去の調査データは経産省(https://www.meti.go.jp/press/2024/07/20240722002/20240722002.html)およびJETRO(https://www.jetro.go.jp/ext_images/_Reports/02/2025/8d88f1c5f60ab2b1/202506.pdf)による調査から引用
*4.2025暦年(前年比)の名目GDP成長率((出典) 内閣府 経済社会総合研究所「国民経済計算(GDP統計)」(2026/3/31時点))
(出典)経産省「スタートアップエコシステム調査2026」
9
資料3
資料2
第4回スタートアップ政策推進分科会
経済産業省資料
「東証グロース市場の在り方、M&Aガイダンス」
イノベーション・環境局
2026年5月20日
東証グロース市場の状況、M&A活性化の必要性について
•
グロース市場において新規上場時から時価総額が10倍以上に成長した会社は全体の5%と、上場後高い成長が実現できている会社は少数に留まっている。市場全体の活性化も課題。
•
成長余地が一定限られている企業の上場が多く、企業規模や流動性の低さにより、機関投資等の投資対象となりにくいといった課題の指摘あり。
•
上場後大きな成長を遂げる企業はM&Aを活用しており、M&Aは重要な成長手段となり得る。また、グロース上場企業によるM&Aは年々拡大。
現状・課題
上場後、企業規模や流動性の低さを背景に、機関投資家からの投資を十分に受け
られず、事業成長が停滞
M&Aにより統合していくことで大きな成長を実現
2010年以降にグロース市場(マザーズ)に上場し、時価総額が10倍以上&1,000
億円以上に成長した会社9社のうち、7社(下表太字)が上場以降にM&Aを実施
グロース市場に上場した会社の時価総額成長率
*2004年7月~2024年末までにマザーズ/グロース市場に上場した会社(上場廃止会社を除く)が対象
*時価総額成長率は、現在の時価総額(2024年10月~12月の終値平均ベース)を新規上場時の時価総額(公開価格ベース、ただし公開価格がない場合は上場月末終値ベース)で
割ることで計算
(出典)㈱東京証券取引所「グロース市場における今後の対応」
株式指標の推移
社名
上場年
SHIFT
ジャパンエレベーターサービスHD
霞ヶ関キャピタル
ベイカレント
ラクス
チェンジHD
ネクステージ
U-NEXT HOLDINGS
KeePer技研
2014
2017
2018
2016
2015
2016
2013
2014
2015
項目名
プライム
スタンダード
グロース
時価総額
13,213,331億円
342,155億円
100,049億円
538,821百万株 33,329百万株 12,759百万株
1500
1000
2,452.26円
1,026.57円
784.11円
グロース上場企業によるM&A金額・件数
注:普通株式ベースで記載
(出典)日本経済新聞「国内の株式指標・東証」(’26/5/13時点)より経済産業省作成
M&A金額
(件数)
200
M&A件数
100
500
0
注:東証資料より作成
97.2倍
48.3倍
32.0倍
30.3倍
28.8倍
26.7倍
22.7倍
20.0倍
17.8倍
グロース上場企業によるM&Aは増加傾向
(億円)
1株当たり
時価
成長率
注︓ 上場時からの時価総額成⻑率は、直近の時価総額(2025年1月〜3月の終値平均ベース)を上場時の時価総額(原則として公開価格ベース)で割る
ことで計算
注︓ M&Aの実施有無については、各社の公表情報をもとに経済産業省が確認した限りにすぎず、公表されていないM&A案件も含めてすべて精査されているわけではない。
(出典)㈱東京証券取引所「グロース市場における今後の対応」より経済産業省作成
各市場の時価情報
普通株式数
時価総額
上場時
直近
36億円
3,482億円
53億円
2,544億円
44億円
1,394億円
325億円
9,838億円
122億円
3,503億円
38億円
1,011億円
53億円
1,211億円
158億円
3,166億円
67億円
1,190億円
2022
2023
2024
注:M&A実行時点でグロース市場に上場している企業が対象。IN-INのディールを集計。
(出典)レコフデータ「MARR PRO」を基に経産省作成
2025
0
1
「スタートアップM&Aガイダンス」の公表について
•
スタートアップが企業の設立当初よりIPOのみを見据えた経営を行っていることから、成長手段としてM&Aが十分に活用されていないとの指摘あり。
•
こうしたことから、スタートアップによる成長手段としてのM&Aをより加速・活性化していくうえでIPOとM&Aの両方をエグジットと見据えて経営を行うこと
(デュアルトラック経営)の重要性やそれに係る実務的論点など、売り手であるスタートアップ (特に経営者) と大企業をはじめとした買い手側のそれぞれ
において留意することが望ましいと考えられる事項を、有識者で構成された検討会(2025年1月より計3回開催)での議論を経たうえでガイダンスの形で
とりまとめ、5月20日に経済産業省HP(※)にて公開。
スタートアップM&Aを取り巻く状況・課題
第1章
• 日本は諸外国と比較しても、成長手段としてのM&Aの活用は未だ十分に進んでいない。M&Aがより活用されることで、スタートアップの事業成長に繋がりやすくなるだけでなく、大企業に
とってはスタートアップが得意とする「0→1」の成果を取り込むことで大企業自身の事業成長や、新たな産業の創出等にスタートアップ・エコシステム全体の強化・発展に繋げることが期待できる。
"売り手" へのガイダンス
第2・3章
"買い手" へのガイダンス
• M&Aの実施においては、経営者・投資家等、複数のステークホルダー間で利害が対立し
やすく、これらの調整が滞ると適時のM&A の実施が難しくなる。
• そのため、経営の早期からIPOとM&Aの双方を見据えて経営する“デュアルトラック経営”
によって、会社にとってベストな成長手段を最適なタイミングで実施できることに繋がる。
• デュアルトラック経営においては、資本政策・ガバナンス・事業戦略・人材を一体的に捉える
ことが有用。特に資本政策とガバナンスについては連動して検討することが重要。
資本政策・ガバナンス
• 中長期的な視点に立ち、デット等も含めた持続可能な資金調達を意識。
• M&Aも視野に入れる場合は、単独の株主が M&A に関する拒否権を持たない状態
にし、取締役会及び株主の同意によりM&Aが実行できるようにすることが考えられる。
M&A実行時の留意点
第6章
ガイダンス公開QRコード
• M&Aの円滑な実施等の観点から、実施時の実務上の留意点を解説。
※経済産業省HP公開URL:https://www.meti.go.jp/policy/newbusiness/houkokusyo/startup_ma_guidance.pdf
第4・5章
• 自社にとって戦略的に重要な新規の領域を定め、スタートアップの買収をインオーガニッ
クな成長戦略を実現する手段として、経営戦略上に位置付けることが重要。
• スタートアップ M&A が持つ特有の性質を理解し、意思決定・予算策定等について既存
事業とは異なる枠組みや、M&A推進の専門部門を構築することが有用。
• 買収の実務では、戦略的価値を定義した上で、探索、買収価格の算定、買収後の統
合を進めることが有用。
枠組み・専門部門の構築
• 単年度・単案件で業績管理するのではなく、新規の事業領域に投資する予算を複
数年度で確保したうえで、ポートフォリオ全体でかつ複数年度で管理・判断を行う。
• M&A推進の専門部門には、主に新規ドメイン・戦略策定、ソーシング、PMI、バ
リュエーション、IR・リスクマネジメント等の機能を一気通貫で実装することが有効。
ケーススタディ
第7章
• 実際のM&A事例(以下4事例)をもとに、留意事項について解説。
①㈱カンム×㈱三菱UFJ銀行、②UPSIDERホールディングス×㈱みずほ銀行
③GRAND㈱×三菱地所㈱、④スマートキャンプ㈱×㈱マネーフォワード
2
資料4
第4回スタートアップ政策推進分科会
金融庁説明資料
2026年5月20日
Financial Services Agency, the Japanese Government
東証グロース市場の現状
最近数年間、東証市場全体の株価上昇と比較して、グロース市場のみ低迷
上場後に高い成長を実現する企業は少数に留まる
株価指数の推移
※ 新市場区分への移行日(2022年
4月4日)の値を100として換算
220
200
2026年5月時点
日経平均
226.2
東証プライム
市場指数
198.7
180
160
※TOPIX 198.2
140
東証スタンダード
市場指数
グロース上場企業の時価総額成長率
(n=812)
10倍以上
5%(42社)
3~10倍
1/2倍未満
13%
17%
(105社)
(138社)
上場時から
1倍未満
45%
167.8
120
100
東証グロース
市場指数
101.6
80
2022年4月
2022年7月
2022年10月
2023年1月
2023年4月
2023年7月
2023年10月
2024年1月
2024年4月
2024年7月
2024年10月
2025年1月
2025年4月
2025年7月
2025年10月
2026年1月
2026年4月
60
(注)東証資料より作成
1~3倍
37%
(301社)
1/2~1倍
28%
(226社)
中央値:1.11倍
注: 2004年7月~2024年末までにマザーズ/グロース市場に上場した会社(上場廃止会社を除く)が対象
注:時価総額成長率は、現在の時価総額(2024年10月~12月の終値平均ベース)を新規上場時の時価総額
(公開価格ベース、ただし公開価格がない場合は上場月末終値ベース)で割ることで計算
-1-
東証グロース市場活性化に向けた今後の取組み
東証では、上場後の高い成長を促すことに主眼を置き、グロース市場をまさに「グロース」らしくしていくため、
以下のような取組みを実施中。上場前においても、高い成長につながるIPOを生み出すため業界一体で推進
上場後
Ⅰ.上場維持基準の見直し
「上場5年経過後、時価総額100億円以上」に⾒直し
(2030年から)(現在は、上場10年経過後、時価総額4
0億円以上)【2025年12月施行】
上場後の高い成長や企業間のM&Aを促す
新規上場基準は変えず、引き続き、100億円未満の規模で
上場し、高い成長を目指すことが可能
※
企業の成⻑機会確保のため、経過措置を設定するとともに、スタンダード
への市場区分変更基準を見直し
Ⅱ.「高い成長を目指した経営」の働きかけ
グロース全上場企業を対象に、投資家の期待を踏まえた
成長状況の分析・評価、成長戦略・開示のアップデート
を要請【2025年9月~】
時価総額100億円以上の企業も含め、高い成長の実現に向
けた積極的な取組みを促す
⇒
今後、対応状況について継続的にフォローアップ
Ⅲ. 積極的に取り組む企業のサポート、メリットの創出
取組みの検討材料の提供や、機関投資家との接点づくりのサポートなどを推進
①
投資家が評価しているグロース上場企業の取組み事例(好事例)を提供【2025年12月】
②
積極的に取組みを進める企業の投資家への見える化(一覧化)をスタート【2026年2月】
③
グロース上場企業にフォーカスしたセミナー、機関投資家との対話イベント等を開催【順次】
④
スタートアップの成⻑性に着目した「JPXスタートアップ急成長100指数」を開発【2026年3月】
⇒
今後の効果的なサポート施策の検討に向けて、4月よりグロース上場企業・上場検討スタートアップへのアンケー
ト・ヒアリングを実施中。引き続き市場関係者とも連携・協働し、各種施策を推進
上場前
上場後の高い成長を見据えたIPOの推進
上場後の高い成長につながるIPOを生み出すための取組みを業界一体(取引所、証券会社など)となって推進
IPOを目指す企業(経営者)に知っておいていただきたい内容等について、引受証券会社の責任者と認識を共有し、その内容を取り
まとめて発信。ベンチャーキャピタルや監査法人などの市場関係者とも連携
(注)東証資料より作成
-2-
我が国におけるプロマーケットの状況
(TOKYO Pro Market)
東京証券取引所(東証)は、2009年6月、TOKYO PRO Marketの母体となるTOKYO AIMを開設。2012年
7月よりTOKYO Pro Market(TPM)として運営
上場企業数は181社、J-Adviserは22社(いずれも2026年5月13日時点)
東証は、2026年4月、TPM上場企業に対し、 「TOKYO PRO Marketへの上場目的の開示のお願い」を実
施。この状況を踏まえつつ、今後、TPM上場企業に対する支援を強化していく方針
(Fukuoka PRO Market)
福岡証券取引所は、2024年12月、Fukuoka Pro Marketを開設
上場企業数は17銘柄、F-Adviserは10社(いずれも2026年4月末時点)
(Sapporo PRO Frontier Market)
札幌証券取引所(札証)は、 2026年3月、株式のプロマーケット(Sapporo PRO Frontier Market)を本年6
月に開設予定であることを発表
-3-
【参考】東証におけるプロマーケット活性化に係る今後の取組みの方向性
昨今、将来を見据えてIPO時期・規模の見直しやM&Aなどの選択肢を検討する非上場企業が
増加しており、その結果、非上場と一般市場(グロース市場など)の間に位置するTOKYO PRO
Market(TPM)の活用ニーズが高まっている。
東証によるヒアリング等を通じて明らかとなったTPMの活用ニーズ(例)
知名度・信用力向上の効果を活かして、企業規模・業績を拡大させていきたい
社内体制整備に向けた段階的なステップとして活用したい
プロ投資家から成長資金を獲得する場として活用したい
既存株主(役職員含む)に売却機会を提供し、新たな株主を迎え入れたい
M&A・資本提携の相手となる他の事業会社を探したい
など
こうした状況を踏まえ、東証は、TPMを多様なニーズを広く受け入れる市場とし、TPM上場企
業が各々のニーズを実現しやすくなるよう、各社に上場目的(なぜTPMに上場するのか、どの
ようにTPMを活用したいのか)の開示を求めたうえで、各社の上場目的の投資家・関係者への
周知を進めていく方針(本年4月、TPM上場企業に対し上場目的の開示を依頼。7月より開示企業の一
覧化を開始予定)。
(注)東証資料より作成
-4-
【参考】東証によるTOKYO Pro Market上場企業への支援策
東証では、市場関係者と連携しながら、一般市場(グロース市場等)上場後に大きく成長してい
くための準備を進めるTPM上場企業の支援を実施していく方針。
※ 具体的な施策は、TPM上場企業の意見・上場目的等を踏まえつつ、継続的に検討を行う。
(注)東証資料より作成
-5-
資料5
資料4
第4回スタートアップ政策推進分科会
経済産業省資料
「インクルーシブなエコシステムの形成」
イノベーション・環境局
2026年5月20日
インクルーシブなスタートアップ・エコシステムの形成に向けて(今後の取組み)
•
女性起業家を含むスタートアップ関係者の人権を擁護しハラスメントに遭いにくい環境を作るため、今夏までに、ハラスメントに関する
相談窓口を中小企業基盤整備機構に設置予定。
•
さらに、経済産業省は「GIRAFFES Japan」事業において引き続き、女性起業家のエンパワーメントに向けて、女性起業家支援
ネットワーク形成の取組を支援。
•
加えて、金融庁及び経済産業省は「ベンチャーキャピタルにおいて推奨・期待される事項(VCRHs)」に推奨事項
としてハラスメント防止を盛り込むとともに、関係業界に周知・普及を行う方向で調整を進める。
中小機構におけるハラスメント相談窓口の設置
女性起業家支援ネットワーク構築事業
• 中小機構の実施するスタートアップ相談対応事業におい
て、新たにハラスメント相談窓口を設置。
⇒スタートアップや起業予定の方のハラスメントに関する
相談について、弁護士による1回1時間程度の無料面
談を可能とする。
• 男性・女性弁護士を専門家として登録。
• 令和6年度より女性起業家支援事業「GIRAFFES
JAPAN」を実施。
• 全国8地域(北海道、東北、関東、中部、近畿、中国、
四国、九州)で女性起業家に対して一貫した支援を提
供するネットワークを構築。
• さらなる女性起業家のエンパワーメントに向けて、本事業
による女性起業家支援ネットワーク形成の取組を促進。
1
(参考)インクルーシブなスタートアップ・エコシステムの形成に向けた調査
•
経済産業省の協力のもと、山口慎太郎(東京大学大学院経済学研究科経済専攻・教授)を中心とした研究チームが「スタートアップ企業における経
営環境と職場環境に関する調査」¹を実施。
•
さらに、経済産業省は、令和7年度ユニコーン創出支援事業(女性アントレプレナーのための地域密着型支援事業)「GIRAFFES JAPAN」において、
上記調査で用いられた調査票と同じものを用いて調査を実施。
•
これらの調査において、スタートアップを対象とするハラスメントの加害者は取引先やベンチャーキャピタリスト、メンター等多岐にわたること、女性起業家
の多様なネットワーク構築支援の重要性等が示唆された。
スタートアップへのハラスメントタイプ
加害者の多様性
回答者の1/3ががこの1年の間に何らかのハラスメントに相当する出来事を経験
出所) 「スタートアップ企業における経営環境と職場環境に関する調査」
出所) 「スタートアップ企業における経営環境と職場環境に関する調査」
(GIRAFFES JAPAN)
加害者は取引先(27%)、VC(25%)、
メンター(11%)など多岐にわたる。
出所) 「スタートアップ企業における経営環境と職場環境に関する調査」
ネットワーク構築支援の重要性
ネットワークの広さはセクハラの報告と負の相関関
係にあることが示された。
また、ハラスメントが生む脆弱性の悪循環も示唆。
出所) 「スタートアップ企業における経営環境と職場環境に関する調査」
※1同調査は、経済産業省の協力のもと、東京大学、京都大学、一橋大学、慶應義塾大学の4大学が共同で実施された。企業情報プラットフォーム「Speeda」に登録されている2015年以降設立のスタートアップ全13,264社を対象とし、467件の有効回答を得て実施。
出所)東京大学によるプレスリリース(https://www.u-tokyo.ac.jp/content/400285350.pdf)
2
(参考)「ベンチャーキャピタルにおいて推奨・期待される事項」(概要)
2024年10月17日
ベンチャーキャピタル
に関する有識者会議
国内外の機関投資家の資金がベンチャーキャピタル(VC)に円滑に供給されるよう、広く内外機関投資家から資金調
達を目指すVCについて、ファンドへの投資者(LP)及びファンド運営管理者(GP)の「推奨・期待される事項」を策定
機関投資家
<LP>
出資
対話
ゲート
キーパー
(信託銀行等)
ベンチャーキャピタル
<GP>
投資
スタート
アップ
概要
推奨・
期待される事項の内容
位置づけ
対象となるVC
VCのガバナンス等が向上することで、内外機関投資家によるVCへの
円滑な資金供給、スタートアップへの全般的な出資機能の強化、ス
タートアップエコシステムの進化を目的とする
広く内外機関投資家から資金調達を目指すVCにおいて、VCの実態に
応じ、LP及びGPにより活用されるものとして作成
本有識者会議として推奨又は期待する事項をまとめたものであり、当
該推奨・期待に応じた対応をどのように行うかは、LPとGPの間で意思
疎通されることが期待される
広く内外機関投資家から資金調達を目
指すVC
※ CVC、金融系・大学系VC、初期段階のVCは、
本業とのシナジーや資金調達状況等を踏まえ
た運営体制を取ることが想定される
一方、LPの意向やGPの将来展望等を踏まえ、
必要に応じて推奨・期待される事項が参照され
ることも期待される
広く内外機関投資家から資金調達を目指すVCとして備えることが「推奨される事項」と、スタートアップエコシステム
の発展に寄与し、LPの中長期的なリターンを向上させるものとしてVCに一般的に「期待される事項」の二段構成
推奨される事項
期待される事項(※)
受託者責任の認識・LPへの説明
スタートアップの成長に資する投資契約
投資先の経営支援(人材紹介、ノウハウ提供等)
受託者責任・ 持続可能な経営体制(キーパーソン等)の構築
ガバナンス コンプライアンス管理体制の確保
投資先の
投資後の継続的な資本政策支援等
企業価値向上
(フォローオン投資、ファンド期間の延長、
LPの権利の透明性確保
M&A含む最適なエグジット手法・時期の検討)
利益相反管理体制の整備(LPへの諮問等)
利益相反
投資先の上場後の対応(クロスオーバー投資)
管理等
GPによる出資コミットメント等
ESG・ダイバーシティ
その他
保有資産の公正価値評価
情報提供
四半期ごとのファンド財務情報等の提供
※ 目指すべき全体的な方向性を示すものであり、個別のVCの戦略は
多様であることに留意
3
資料6
令和8年5月20日
資
料
財務省主税局
申告納税者の所得税負担率
令和6年分
○ 所得税の最高税率45%より低い税率で分離課税の対象となっている土地建物や株式等の譲渡所得が所得全体に占める割合
は、高所得者ほど高くなっていることから、高所得者層で所得税の負担率は低下。
515.8万人
3.2万人
(負担率)
(割合)
30%
91.4%
26.2%
所得税負担率(左軸)
24.7%
95.4%
94.6%
25.4%
83.5%
75.7%
72.5%
21.5%
89.2%
79.8%
23.4%
64.0% 21.4% 19.6%
20%
100%
67%
17.4%
62.2%
51.9%
合計所得金額のうち
分離課税の対象となる所得金額(注1)
の占める割合(右軸)
47.0%
11.7%
37.9%
34.2%
7.8%
25.1%
5.2%
16.0%
3.8%
1.9%
2.2%
0%
2.2%
2.3%
2.4%
3.0%
3.8%
4.6%
5.6%
7.2%
8.9%
10.8% 12.2%
9.1%
3.1%
32.0%
31.9%
19.1%
17.7%
15.2%
合計所得金額のうち
株式等譲渡所得等の占める割合(右軸)
27.7%
6.6%
2.7%
16.9%
14.3%
9.5%
10%
18.6%
33%
25.4%
17.4%
10.1%
12.1%
3.9%
6.0%
7.7%
合計所得金額のうち
分離長期譲渡所得(土地建物)
の占める割合(右軸)
2.2%
0.8%
0%
200万超 ~300万 ~400万 ~500万 ~600万 ~700万 ~800万 ~1千万 ~1.2千万 ~1.5千万 ~2千万 ~3千万 ~5千万 ~1億
~2億
~5億 ~10億 ~20億 ~50億 ~100億 100億超
~250万
~
(合計所得金額:円)
(備考1)令和6年分の国税庁「申告所得税標本調査(税務統計から見た申告所得税の実態)」より作成。
(備考2)所得金額があっても申告納税額のない者(例えば還付申告書を提出した者)は含まれていない。また、源泉分離課税の所得や申告不要を選択した所得も含まれていない。
(注1)ここで「分離課税の対象となる所得金額」としているのは、利子所得、分離長期譲渡所得(土地建物)及び株式等の譲渡所得等。税率30%の分離短期譲渡所得、分離課税の対象とならない場合がある配当所得は含まれていない。
(注2)定額減税の影響が含まれていることに留意。
2
自立維国公共 6党合意(令和7年11月5日)(抄)
自由民主党、立憲民主党、日本維新の会、国民民主党、公明党、日本共産党は、以下について合意する。
4.ガソリン・軽油の暫定税率廃止のための安定財源確保については、以下の方針に基づいて検討し、結論を得る。
① 徹底した歳出改革等の努力による財源捻出を前提としつつ、国際競争力の確保、実質賃金の動向等を見極めな
がら、法人税関係租税特別措置の見直し、極めて高い所得の負担の見直し等の税制措置を検討し、令和7年末
までに結論を得る。
3
極めて高い水準の所得に対する負担の見直し(イメージ)
○ 税負担の公平性の観点から、極めて高い水準の所得に対する負担の適正化のための措置を見直す。(令和9年分の所得から適用)
※「貯蓄から投資へ」の観点やスタートアップを生み育てるエコシステムを抜本的に強化するインセンティブを充実する観点から 、
NISA関連の所得やスタートアップに再投資された所得(上限20億円)等は非課税であり、当措置の計算における所得に含まれない。
現行制度
見直し案
① 通常の所得税額
② (合計所得金額※ - 特別控除額(3.3億円)) × 22.5%
① 通常の所得税額
② (合計所得金額※ - 特別控除額(1.65億円)) × 30%
②が①を上回る場合に限り、差額分を申告納税
②が①を上回る場合に限り、差額分を申告納税
※ 株式の譲渡所得のみならず、土地建物の譲渡所得や給与・事業所得、その他の各種所得を合算した金額。
(所得税負担率)
【見直しのイメージ】
所得全てが分離課税(15%)の場合の追加負担(年間所得約3.4億円〜)
実際の申告実績データに当てはめた場合の追加負担(年間所得約6億円〜)
実際の申告実績データ
30%
税率の引上げ
22.5%
15%
3.4億円程度
1.65億円
3.3億円
特別控除額の引下げ
6億円程度10億円程度
30億円程度
課税実績に当てはめた場合に、
追加負担が生じる平均的な所得水準
(合計所得金額)
4
極めて高い水準の所得に対する負担の見直しによる影響(所得税)
(所得全体が15%分離課税の方の場合)
(単位:万円)
所得金額
4億円
5億円
10億円
10億円までは一律15%
10億円超は追加的な負担あり
6,000
7,500
15,080
②見直し案
7,050
(17.6%)
10,050
(20.1%)
25,050
(25.1%)
+1,050
+2,550
+9,980
①現行制度
※下段の()内は、所得金額に対する負担率
見直しによる追加負担
(②-①)
※所得全体が15%分離課税の場合、見直し案では、所得3.4億円以上から追加負担が生じる。
今回の見直しにより、追加負担が生じる対象者見込みは約2,000人。
(参考)
所得の全てが事業所得など、
総合課税(累進税率)の場合
17,520
22,020
44,520
5
主要国における課税方式の概要
日本
米国【ニューヨーク市】
10~55.9%
給与所得
課税
総合課税
所得税:5~45%
+
復興特別所得税:
所得税額の2.1%
+
個人住民税:10%
英国
7.0~51.8%
総合課税
連邦税:10~37%
+
地方税:7.0%~14.8%
総合課税
20.3%
配当所得
課税
申告分離と
総合課税の
選択
所得税:15%
+
復興特別所得税:
所得税額の2.1%
+
個人住民税:5%
※総合課税も選択可
20.3%
株式
譲渡益
課税
申告分離
課税
所得税:15%
+
復興特別所得税:
所得税額の2.1%
+
個人住民税:5%
20.3%
土地
譲渡益
課税
申告分離
課税
所得税:15%
+
復興特別所得税:
所得税額の2.1%
+
個人住民税:5%
※5年以内の短期譲益
の場合、39%
(所得税30%+個人住
民税9%)
申告分離
7.0~34.8% (段階的課税)
(連邦税)
連邦税:0、15、20%
申告分離
+
(段階的課税) 地方税:7.0%~14.8%
+
※株式譲渡益は、
(地方税)
12ヶ月以下保有の場合
総合課税
連邦税も総合課税
(7.0~51.8%)
20、40、
45%
ドイツ
フランス
0~47.5%
総合課税
所得税:0~45%
+
連帯付加税:
税額の0~5.5%
総合課税
0~45%
8.8、33.8、
39.4%
※2026年4月以降は
10.8、35.8、39.4%
申告不要
(源泉徴収)
※総合課税
も選択可
申告分離
(段階的課税)
(2026年1月現在)
26.4%
所得税:25%
+
連帯付加税:
税額の5.5%
〔申告分離課税〕
申告分離と
総合課税の
選択
31.4%
又は
〔総合課税〕
0~63.6%
18、24%
7.0~34.8%
連邦税:0、15、20%
(連邦税)
+
申告分離
地方税:7.0%~14.8%
(段階的課税)
申告分離
+
(段階的課税)
※12ヶ月以下
(地方税)
保有の場合
総合課税
連邦税も総合課税
0~47.5%
18、24%
総合課税
所得税:0~45%
+
連帯付加税:
税額の0~5.5%
36.2%
申告分離
課税
※5年超保有の場合、
保有期間に応じて一
定の控除を適用可能
(7.0~51.8%)
率は小数点第二位を四捨五入している。
国では、給与所得等、配当所得及び長期キャピタルゲインの順に所得を積み上げて、それぞれの所得ごとに適用税率が決定される。また、閾値(単身者:20万ドル、夫婦合算:25万ドル)を超える総所得がある場合、その超過分に対して、純投資所得(配当、短期・長
ャピタルゲイン等)の範囲内で、上記に加え純投資所得税(3.8%)が課され、配当、長期キャピタルゲインに係る最高税率は38.6%程度となる。加えて米国には高所得者向けの代替ミニマム課税制度が存在し、一定の調整を行った所得額に2段階の累進税率(26,28
適用して求めた税額と通常税額との差を追加で納税することとされている。例えば単身者で株式譲渡益のみ保有している等一定の仮定をおいて試算した場合、ニューヨーク市における国・地方の負担率の最高水準は40%台半ばと試算される。なお、州・地方政府
ついては、税率等は各々異なる。
国では、給与所得等、利子所得、配当所得、キャピタルゲインの順に所得を積み上げて、それぞれの所得ごとに適用税率が決定される。
ツでは、申告不要適用時よりも納税者にとって有利になる場合には、申告により総合課税の適用が可能。ただし、申告を行った結果、総合課税を選択した方が納税者にとってかえって不利になる場合には、税務当局において金融所得は申告されなかったものとして
扱われ、26.4%の源泉徴収税のみが課される(申告不要と同様の扱い)。
ンスでは、2012年1月から財政赤字が解消するまでの時限措置として、課税所得に一定の控除等を足し戻す等の調整を加えた額が閾値(単身者:25万ユーロ、二人以上の世帯:50万ユーロを超える場合、その超過分に対して、追加で3~4%の税が課される。なお、
保障関連諸税が配当課税・株式譲渡益課税には18.6%、土地譲渡益課税には17.2%含まれている。
6
日米における個人所得課税の実効税率の比較(単身の株式譲渡益所得のみの保有者) 実額
50%
45%
44.8%(米)
40%
35%
30.2%(日)
R8改正後きわたか
30%
適用有
25%
20.3%(日)
20%
15%
10%
5%
0%
0
10,000
20,000
30,000
40,000
50,000
60,000
70,000
80,000
90,000
100,000
株式譲渡益収入(万円)
(注1)表中の数値は各国の実効税率である。なお、端数は四捨五入している。
(注2)日本については所得税、個人住民税(所得割)及び復興特別所得税が含まれる。米国については連邦所得税(軽減税率)、ニューヨーク州所得税及びニューヨーク市所得税が含
まれる。比較の観点から、各国の社会保障に関する税及び保険料は含めていない。
(注3)各国において負担率を計算するにあたっては、様々な所得控除や税額控除のうち、一般的に適用されているもののみを考慮して計算している。
(注4)日本については令和8年度税制改正に基づいている。
(備考)邦貨換算レートは、1ドル=155円(基準外国為替相場及び裁定外国為替相場:令和8年(2026年)1月中適用) 。なお、端数は四捨五入している。
7
スタートアップへの再投資に係る非課税措置
保有する株式を売却し、自己資金による創業やプレシード・シード期のスタートアップへの再投資を行う際には、課税
を行わない。(令和5年4月1日以降の再投資について適用)
【X+α年】
【X年】
①保有株式を売却
②売却益を用いた創業又はプレシード・シー
ド期のスタートアップ(注1)への再投資(注2)
③再投資した株式を売却
売却益
(25億円)
売却益
(23億円)
(20億円)
再投資額
を売却益
から控除
課税対象
再投資
再投資
(20億円)
取得価額
(20億円)
(20億円)
(20億円)
非課税
(上限:20億円)
(5億円)
売却
課税対象
(20億円)
取得価額
⇒課税されない
(3億円)
(注1)プレシード・シード期のスタートアップとは、①設立5年未満、②前事業年度まで売上が生じていない又は売上が生じているが前事業年度の試験研究
費等が出資金の30%超、③営業損益がマイナス等の要件を満たすスタートアップ。
※ このほか、エンジェル税制による、課税の繰延措置がある。
8
資料7
資料6-1
第4回スタートアップ政策推進分科会
説明資料
「SBIR制度の抜本強化について」
2026年5月20日
内閣府 科学技術・イノベーション推進事務局
経済産業省イノベーション・環境局
SBIR制度の抜本強化による政府・大企業調達の促進
政府や大企業が、戦略17分野で戦略的に取り組む量子・無人機・AI等の最新技術のスタートアップの製品・サービスの最初の顧客
(アンカーテナンシー)となることで、市場を創出するとともに、スタートアップの製品をブラッシュアップ。
この動きを加速するために、SBIRを抜本強化し、政府統一的な枠組みの下、本格調達を前提として必要なスペックを明示し、研究開
発から試験導入・運用まで一貫して支援し、複数年契約を積極的に活用することで政府や大企業が長期にコミットすることで、大規模投
資を加速する。
研究開発支援
試験導入・運用
本格調達・実装
SBIRによる一貫した支援
フェーズ1
(PoC・F/S支援)
フェーズ2
(実用化開発支援)
フェーズ3
(大規模技術実証)
・本格調達を前提とした研究開発支援(委託)の強化
・試験導入・運用強化
(政府統一的な枠組み創設)
※本格調達を前提としたスペック提示
政府調達
・複数年契約
・政府調達に向けた伴走支援体制の確立(NEDO)
・ステージゲートによ
り絞り込み(複数
技術・企業間の競
争促進)
・戦略分野の市場ニーズの想定さ
れるテーマでの集中実施
※これまでの予算 840億円(R5-7)
・具体的な顧客を想定した
大規模技術実証強化
・大企業等による調達加速化
※購入にコミットした大企業の参加を要件
社会課題解決
(民需)
2060億円(R4)
・スタートアップとの契約等の運用指針の策定(概算払等の積極的な活用によりスタートアップの過大な資金的負担を軽減)
資料8
資料6-2
スタートアップの公共調達の加速に向けた運用指針(素案)
1.はじめに
(1)公共調達における基本的な考え方
公共調達は、国等が必要とする物品・役務等を、公正性・競争性・透明性を確保しつつ、経済性及び効率性
をもって調達することを基本原則として実施されるものである。また、租税その他の国民の貴重な財源をもっ
て最大限の行政効果を発揮する観点から、契約手続や執行管理においては、適正性の確保と説明責任が強く求
められる。
一方で、近年、拡大・多様化する行政課題・ニーズに対応するため、高度な技術・サービスを保有するスタ
ートアップからの調達の必要性が増している。また、国等の入札へのスタートアップの参加機会の拡大やスタ
ートアップ技術提案評価方式の創設等、スタートアップの育成に向けて公共調達を活用する取組(付帯的政
策)が行われている。こうした考え方に立ち、政府調達を通じてスタートアップによる技術開発を促進し、新
技術の社会実装を推進することは重要である。
そこで、スタートアップの参画が見込まれる事業の実施にあたっては、公共調達において現行の一般的な運
用をそのまま適用することなく、事業の性質や目的を踏まえた、より柔軟で戦略的な調達の考え方が求められ
ている。
(2)スタートアップの調達促進にあたり本指針が採るべき考え方
スタートアップは、高度かつ独自の新技術や柔軟な発想を有し、社会課題や行政ニーズに対して迅速な解決
策を提示し得る主体であり、現在の調達先として有力な担い手である上、将来的な調達先の育成という観点か
らも有力な候補である。
さらに、スタートアップが大きく成長するためには、その提供する製品・サービスに対し、国等が公共調達
を通じて初期需要を主導して創出することが重要である。
一方で、スタートアップは一般的に創業年数が浅く、過去実績や資金力が限定的であることから、従来の公
共調達制度や契約慣行の下では、必ずしも十分に参入機会が確保されてこなかった。
特に、研究開発・実証型の事業においては、
•
事前に最終仕様を確定することが困難であること
•
技術的な不確実性が高いこと
•
試行錯誤を通じた改善が不可欠であること
といった特性を有している。
このため、国等のスタートアップとの契約等において、資金的負担の軽減や迅速性・柔軟性の向上を図り、
研究開発支援から本格調達に至るまで一貫してスタートアップが公共調達に参入しやすい環境整備を図ること
が重要である。
その際に、スタートアップへの特別な配慮や例外措置ではなく、行政課題をより迅速かつ効果的に解決する
ための合理的な調達手法として位置付けられるべきものである。
(3)本指針の位置付けと運用に関する基本的考え方 1
本指針は、以上の考え方に立ち、国等におけるスタートアップ調達等 2について、統一的な運用の在り方を示
すものである 3。行政機関においては、本指針に基づく運用状況や効果を検証しつつ、スタートアップ調達等の
更なる円滑化及び実効性の向上に努めるものとする。
1
本素案で示した項目や対応は例であり、その内容は今後追加、変更となる場合がある。
本指針におけるスタートアップ調達等とは、スタートアップの製品・サービスに対する研究開発支援から本
格調達に至るまでのプロセスにおいて、スタートアップとの契約や調達を視野に入れたスタートアップへの補
助金の交付を含むものとして記載している。
3 対象となる事業は今後検討するとともに、併せて、実務における円滑な適用と予見可能性の向上を図るた
1
2
なお、スタートアップ調達等を取り巻く技術動向、社会課題、行政ニーズ及び制度運用の実態は、不断に変
化するものである。このため、本指針は、策定時点での最終的・固定的な結論を示すものではなく、実際の運
用を通じて得られる知見や課題を踏まえ、不断の見直しや改善を加えていくことを前提とするものとする。
2.公募・入札
(現行の一般的な運用)
公共調達における公募・入札は、公平性・競争性・透明性を確保する観点から、事前に仕様や要件をできる
限り明確に定め、それに基づいて価格や過去実績等の技術面の評価を中心に競争を行うことが一般的である。
(スタートアップ調達等における課題)
新技術を用いた研究開発・実証段階では、事前に最適な技術や手法を特定することが困難である上、既存の
事業者では効率的・効果的に対応することができず、実績重視の評価や仕様確定型の調達は、スタートアップ
の参入や創意工夫を阻害する要因となってきた。
(本指針が採る考え方・方針)
本指針では、以下の考え方・方針を採用する。
•
国等が委託する事業において、既存の技術・サービスの情報や過去実績等を基に仕様を確定することが
困難であり、高度かつ独自の新技術を持つスタートアップ等からの調達が適切であると考えられる場合
には、スタートアップ技術提案評価方式を積極的に活用すること。
•
「技術力ある中小企業者等の入札参加機会の拡大について(平成 12 年 10 月 10 日政府調達(公共工事
を除く)手続の電子化推進省庁連絡会議幹事会決定)」に基づくスタートアップ等の入札参加資格の緩
和について、各行政機関は入札公告への反映等を行い、適用を徹底すること。
•
スタートアップが直接受託者等となることが難しいと考えられる大規模な事業等であっても、再委託先
等にスタートアップが参加することで、新技術等が活用され、効率的・効果的な事業実施が見込まれる
場合において、再委託先にスタートアップを含めることによる落札者・採択者の選定審査上の実施体制
等の項目において評価を行う等、各行政機関において新技術等の活用を促す措置を検討すること。
を基本方針とする。
3.契約等
(現行の一般的な運用)
公共調達に係る契約では、履行の確実性等を確保する観点から、契約保証金等を徴求する等、特有の契約条
件を付すことがある。
(スタートアップ調達等における課題)
こうした契約条件は、外部資金を調達しつつも先行投資をしている場合が多いスタートアップにとって、過
度な資金的負担となり得る他、事業運営上の迅速性・柔軟性を損なう等、政府調達の参入障壁となる場合があ
る。
(本指針が採る考え方・方針)
スタートアップとの契約は、行政課題解決に向けた協働関係として捉えるべきとの考えに立ち、
•
全省庁統一参加資格を有する者との契約においては、契約保証金は原則として免除すること 4。
•
受託者たるスタートアップの受託事業に係る損害賠償の事務に関して、国等はスタートアップ側の照会
を受けた場合は誠実に知見の提供等を行うこと。
により、契約リスクの適正な分担と予見可能性の向上を図る。
め、契約条項の雛型(スタートアップ調達モデル契約)やスタートアップ向けに簡素化された経費処理マニュ
アル(スタートアップ調達等事務処理マニュアル)を作成することを検討する。
4 契約の履行が確実な相手方と認められ、契約の保証金が必要ないと認められる場合。
2
4.事業期間
(現行の一般的な運用)
国等の委託事業や補助事業では、事前に定めた計画や予算配分の遵守が求められ、計画の変更には慎重な対
応が求められてきた。また、経費処理にあたっては厳格な運用がなされるのが一般的であった。
(スタートアップ調達等における課題)
研究開発・実証型事業では、不確実性が高く、実施過程で得られた知見を踏まえた計画変更が発生しやす
い。
(本指針が採る考え方・方針)
本指針では、
•
柔軟性や迅速性が求められる場合等において、適切な閾値を設定し、受託者等の裁量で額の配分の変更
を可能とすること。
•
補助金の交付や委託費の支払いにおいて、中間検査または確定検査を実施する場合には、スタートアッ
プ等に過度な事務処理の負荷をかけないよう、確認を求める書類の種類や内容を必要最小限に抑えるこ
と。特に、労務費単価算出に必要な書類の準備や業務日報の作成は、スタートアップ等にとって大きな
負担となりやすいため、計算方法の簡素化に努めること。
を基本方針とし、迅速かつ柔軟なアプローチにより迅速な開発や検証及び国等のニーズに合致した研究開発成
果を得ることを可能とする。
5.支払
(現行の一般的な運用)
国等の委託事業や補助事業における支払は、事業完了後の後払いを原則とし、前金払や概算払は例外的な運
用とされており、部分払の活用は限定的であった。
(スタートアップ調達等における課題)
スタートアップは外部資金を調達しつつも先行投資をしている場合が多く、後払いや保証金を求める場合
に、スタートアップの資金繰りを過度に圧迫する場合がある。
(本指針が採る考え方・方針)
本指針では、スタートアップが円滑に事業を遂行できるよう、
•
調達内容等を踏まえながら、概算払、前金払、部分払等の既存制度を積極的に活用すること。
•
契約の履行が確実な相手方と認められる場合については、前金払の活用にあたっては保証金等を求めな
いこと。
を基本方針とする。
6.国等による事業実績の活用
(一般的な考え方・従来の慣行)
研究開発・実証事業と、その成果を用いた本格調達は、別個の契約等として扱われ、改めて競争入札を行う
ことが一般的であった。また、スタートアップを再委託先として含む事業において、スタートアップが自身の
受託実績として外部に宣伝等できない場合がある。
(スタートアップ調達等における課題)
研究開発に成功した成果が本格調達につながらない可能性があることから、スタートアップの予見可能性が
低下することで参入が抑制されるとともに、研究開発の成果が本格調達を通じて社会実装へと結び付かない場
合があった。また、過去実績が限定的なスタートアップにとって、国等による事業実績を活用することは、自
身の事業成長のため重要である。
(本指針が採る考え方・方針)
3
国等による調達ニーズに沿った研究開発を行う事業の終了後、同等の技術がないこと(技術的な理由に
より競争が存在しないこと)等について一定の確認プロセス等を経た、研究開発成果の調達について、
随意契約を活用すること。
国等は、事業の継続性及び予見可能性の向上のため、既存の制度を活用した複数年契約等を積極的に検
討すること。
国等は、再委託先としてスタートアップが含まれる場合に開示を行うこと 5。また、国等は、委託先に
対し、再委託先にスタートアップが含まれる場合に、スタートアップによる当該事業の実績の宣伝等を
妨げないこと。
を基本方針とする。
5
ただし、再委託先等の利益を害するおそれがある場合はこの限りではない。
4
資料9
資料7
スタートアップ総力創出パッケージ
~イノベーションを生み出す、育てる、実装する~
(案)
2026 年5月 20 日
スタートアップ総力創出パッケージ
~イノベーションを生み出す、育てる、実装する~
(目次)
1.現状と課題
p2
2.対応の方向性
(柱1)スタートアップのスケールアップ
(柱2)ディープテック・スタートアップの支援
(柱3)地域の経済社会を担うスタートアップの創出・育成
p5
3.目標(KPI)
p6
4.施策のパッケージ
(柱1)スタートアップのスケールアップ
(1)内外からの成長資金の供給拡大
(2)出口の多様化
(3)世界に伍するスタートアップエコシステムの形成とグローバルネットワークの強化
p6
(柱2)ディープテック・スタートアップの支援
(1)政府・大企業による調達の強化
(2)優れた技術の事業化
(3)経営力の強化と伴走支援体制の充実
(柱3)地域の経済社会を担うスタートアップの創出・育成
(1)次世代を担う起業家の育成
(2)地域におけるスタートアップの更なる創出に向けた支援
(3)社会課題解決を牽引するスタートアップの実証・調達
(4)地域における多様なプレイヤーの連携
1
p6
p10
p11
p13
p15
p17
p18
p18
p20
p21
1.現状と課題
○ 政府は、2022 年 11 月に「スタートアップ育成5か年計画」
(以下、
「5か年
計画」と略)を策定し、①スタートアップ創出に向けた人材・ネットワーク
の構築、②スタートアップのための資金供給の強化と出口戦略の多様化、③
オープンイノベーションの推進の3つの柱に沿った取組を推進してきた。
例えば、
①スタートアップ創出に向けた人材・ネットワークの構築
• 「未踏」事業を大規模に拡大するとともに、他の法人にも横展開するこ
とにより、年間 500 人を超える規模でメンターによる若手人材を育成
• 科学技術振興機構に 988 億円の基金を新規造成(2022 年度)し、年間
1,000 件を超える大学発の研究成果事業化を支援
• グローバル・スタートアップ・キャンパス構想において、世界から優れ
た人材・投資を集める呼び水となるよう先行的活動を開始
②スタートアップのための資金供給の強化と出口戦略の多様化
• 中小企業基盤整備機構へ国から 200 億円出資、
産業革新投資機構に 2,000
億円の新たなファンドを立ち上げるなど(いずれも 2022 年度)
、官民フ
ァンド等の出資機能を強化
• 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)に 1,000 億円の基金を新
規造成(2022 年度)し、ディープテック1・スタートアップを支援
• SBIR 制度2において新たに大規模技術実証を支援する「フェーズ3」を措置
③オープンイノベーションの推進
• オープンイノベーション促進税制について、新たにスタートアップをM
&Aで買収する際にも適用
といった施策を講じてきた。
1
ディープテックとは、人工知能(AI)
、バイオ等、特定の自然科学分野での研究を通じて得られた科学的
な発見に基づく技術であり、その事業化・社会実装を実現できれば、国や世界全体で取り組むべき経済社会
課題の解決等、社会に大きなインパクトを与えられるような潜在力のある技術を指す。
2
Small/Startup Business Innovation Research の略。スタートアップ等による研究開発を促進し、その成果
を円滑に社会実装し、それによって我が国のイノベーション創出を促進するための制度。
2
○ こうした施策を講じてきた結果、我が国のスタートアップ数は 25,000 社へ
と増加し、大学発スタートアップも、3年間で 1.5 倍に増加、ユニコーン3
予備軍も約3倍となるなど、スタートアップエコシステムは着実に発展し
ている4。
○ また、スタートアップが創出する付加価値は日本全体の名目 GDP の約4%
5
となり、この2年間で約 32%増加している6。
3
「ユニコーン」とは時価総額 10 億ドル超の未公開企業を指す。ここで言う「ユニコーン予備軍」とは時
価総額 500 億円~1,500 億円の未公開企業。
4
各指標の出典、定義は以下のとおり。
・ユニコーン数:CB Insights、Pitchbook、スピーダスタートアップ情報リサーチ。
・上場ユニコーン数:Pitchbook、スピーダスタートアップ情報リサーチ。2016 年 1 月 1 日から 2025 年 12
月 31 日の間に IPO した企業のうち、スタートアップ情報リサーチ スピーダに掲載されている企業であり、
外部調達を行ったことがあり、かつ上場後1度でも時価総額が 10 億ドル又は 1,500 億円を上回っている企
業を集計。このうち、被 M&A 等により現在は非上場となっている企業は除外。
・ユニコーン予備軍(2021 年)
:株式会社ユーザベース「Japan Startup Finance2020」
。
・ユニコーン予備軍(現在)
:スピーダスタートアップ情報リサーチ。2026 年 3 月 31 日時点で「調査継続
中」で調達後評価額が 500 億円から 1,500 億円の企業。
・大学発スタートアップ:令和6年度大学発ベンチャー実態等調査。年度別の数字であり、2021 年度:
3,305 社、2024 年度:5,074 社。
5
2025 年の日本の名目 GDP(663.8 兆円)との比較。
6
令和7年度ユニコーン創出支援事業(起業家精神・スタートアップ企業の情報整備等に関する調査)
、内閣
府 経済社会総合研究所「国民経済計算(GDP 統計)
」
(2026 年 3 月 31 日時点)
。直接効果とは、スタート
アップの経済活動により創出される付加価値を指し、間接波及効果とは、スタートアップに対するサプライ
ヤーの経済活動や所得創出に伴う消費支出が引き金となり連鎖的に創出される経済効果を指す。本調査では
間接波及効果のうち2次波及効果までを推計。
3
○ 一方、ユニコーン数や資金調達額7については、
「5か年計画」の目標にはま
だ遠く、我が国を世界に伍するスタートアップエコシステムとするために
は、スケールアップのための成長資金供給の強化が引き続き大きな課題で
ある。スタートアップがユニコーン級の規模に成長し、エグジットし、リ
ターンを得た投資家の資金やその成功にひきつけられた資金が次なるスタ
ートアップへの投資を生みだすような好循環を生み出すには至っていない。
○ ディープテック・スタートアップは 17 の戦略分野における技術革新や成長
投資の先導的な担い手であると同時に、ユニコーンに成長する潜在力を有
している。日本には強固な科学技術の基盤があるが、ディープテック・ス
タートアップは、一般的に、収益化までに長期間と大規模資金を要するた
め、その壁を乗り越えるための支援の強化が必要である。
○ 大学発スタートアップの創業数は、その約6割が東京都以外の地域におい
て増加するなど、地域におけるスタートアップ創出の裾野は着実に拡大し
ている。他方、資金調達額の約8割は依然として東京に集中しており8、成
長機会の地域間格差が存在している。こうした状況を踏まえ、地域におい
て創出されたスタートアップの成長および社会実装を促進し、地域におけ
る持続的な価値創出と産業基盤の転換を実現するエコシステムへと発展さ
せる必要がある。
7
日本国内:株式会社ユーザベース「Japan Startup Finance 2025」
、海外:Dealroom.co. “Locations
fundings heatmap”。
8
株式会社ユーザベース「Japan Startup Finance 2024」
。
4
2.対応の方向性
○ これらの課題を解決するために政府が一歩前に出て、エコシステム構築に
取り組む必要があり、スタートアップのスケールアップ(柱1)
、ディープ
テック・スタートアップの支援(柱2)
、地域の経済社会を担うスタートア
ップの創出・育成(柱3)の3本柱を通じて「5か年計画」強化に取り組
む。
(柱1)スタートアップのスケールアップ
• スケールアップを加速するエコシステムの構築にあたっては、グロー
ス・ファイナンスの強化が最重要である。また単にリスクマネーの供給
を増やすだけでなく、国内外の優秀でスケールアップする能力の高い
起業家や投資家を我が国に惹き付けられるような環境整備を進め、M
&Aも含めた多様なエグジット(出口)の確保により、資金と人材が循
環することを目指す。加えて、海外からの投資、スタートアップ、人材
の誘致を進め、世界の資金・人材・技術がダイナミックに循環するグロ
ーバルなエコシステムへの接続を強化する。
(柱2)ディープテック・スタートアップの支援
• ディープテック・スタートアップの創出・育成のためには、研究開発か
ら事業化・社会実装に至るまで切れ目ない支援を継続・強化する必要が
ある。特に、初期需要創出のために政府調達の活用を強化することが最
重要。これまで SBIR で取り組んできた、研究開発支援に加えて、本格
導入前の試験導入・運用を加速するためアンカーテナンシー型9の委託
による試験導入・運用の取組みを強化するとともに、スタートアップが
政府調達に参入しやすくするための環境を整備する。また、防衛力強化
にスタートアップの力を活かし、同時に、防衛分野での調達や研究開
発・実証等を起爆剤に、スタートアップが成長する好循環を生み出す観
点を踏まえ、デュアルユース・スタートアップのエコシステム強化に特
に重点的に取り組む。加えて、17 の戦略分野をはじめとして、日本が
9
政府が民間企業の製品やサービスを安定的な大口顧客として長期契約で購入・利用することを約束するこ
とで、民間投資を呼び込み産業育成を支援する手法。
5
競争力を有する技術を活用し、グローバルにスケールするポテンシャ
ルの高いディープテック・スタートアップに対して、集中的に支援策を
措置する。
(柱3)地域の経済社会を担うスタートアップの創出・育成
• 地域のスタートアップエコシステム強化のために、起業家教育の更な
る充実、大学・高専発スタートアップの創出・育成の強化、自治体によ
るスタートアップ調達の強化、スタートアップ・エコシステム拠点都市
10
の更なる強化等を進める。
3.目標(KPI)
○ 2027 年度までの残りの期間、
「5か年計画」で掲げた目標の達成に向けた取
組を続ける。
• スタートアップへの投資額を 2022 年度から5年後の 2027 年度に 10 倍
を超える規模にする(10 兆円規模)
。
• 将来において、ユニコーンを 100 社創出し、スタートアップを 10 万社創
出する。
○ これらの目標の達成状況について、補完的なデータも用いながら、多角的
な検証を行う。
4.施策のパッケージ
(柱1)スタートアップのスケールアップ
(1)内外からの成長資金の供給拡大
<政府系金融機関等による資金供給強化に向けた取組>
①政府系金融機関等からの資金供給強化
○ 事業化・社会実装に長期間を要するディープテック等のスタートアップや、
大規模な成長資金が必要となるグロース・レイターステージのスタートア
ップに対して、特定投資業務等を通じて、日本政策投資銀行(DBJ)による
資金供給を加速することで、更なる成長を後押しする。
○ また、産業革新投資機構(JIC)において、アーリーからグロース・レイタ
ーステージまでの一気通貫した支援等の資金供給の取組の強化を通じて、
10
地域ごとに、地方自治体、大学、産業界によるコンソーシアムの形成を促すため、これらを「スタートア
ップ・エコシステム拠点都市」として 2020 年 7 月に 8 都市を選定。2025 年 6 月には、第 1 期の 8 都市に加
え、新たに 5 都市を第 2 期スタートアップ・エコシステム拠点都市として選定。
6
ディープテック等のスタートアップの更なる成長を促進する。
○ 加えて、17 の戦略分野をはじめとして、シード期からレイター期まで一気
通貫で支援を実施するため、政府系機関からの資金供給強化の方策を検討
する。
②中小機構による債務保証制度枠の拡充
○ ディープテック・スタートアップの成長のための資金調達手段の多様化の
観点から、ディープテック・スタートアップの量産体制整備等のための資金
に係る融資に対し、独立行政法人中小企業基盤整備機構が借入元本の 50%
の債務保証を行う制度を措置しているが、国家戦略上重要な技術に関する
スタートアップで、特にリスクが高く大規模な成長投資を行う者に対する
融資に係る債務保証については、17 の戦略分野に重点化しつつ、制度内容
の拡充も含め検討を進める。
<機関投資家からの資金供給拡大に向けた取組>
③GPIF、大学基金など機関投資家からのオルタナティブ投資の拡大、ベンチャーキャピタル(VC)ファンドへの資金供給
(ⅰ)GPIF のオルタナティブ投資、VCファンドを含むPEファンドへの資金供給拡大
○ GPIF において、運用受託機関との対話等を通じて、資金が円滑に供給され
る投資環境の整備11に努めるとともに、分析体制の強化・専門性の向上、多
様化した運用手法の活用を進め、着実に投資実績を積み上げる。その結果と
して、ベンチャーキャピタルやバイアウトなどの日本のPEファンドへの
投資のコミットメントを行い、国内スタートアップへの資金供給拡大につ
なげる。
(ⅱ)オルタナティブ投資の戦略的な取組の実施に向けた大学ファンドの運用高度化
○ 大学独自基金においては、大学の資産運用の促進・高度化に向けたガイド
ブックの策定・周知や、好事例の収集・横展開、共同運用を促進するとと
ともに、アセットオーナー・プリンシプルの受入を促進する。
○ 国際卓越研究大学等を支援する 10 兆円規模の大学ファンドにおいては、
VCファンドやバイアウトファンドへの出資を含むオルタナティブ投資の
戦略的な取組の実施や大学独自基金の運用モデルとなることを目指して、
着実に運用高度化を進める。
11
運用受託機関等とのコミュニケーションを通じて、国内VC等に対して、公正価値評価(時価評価)の導
入や、投資戦略・実績などの運用状況の開示を求める投資環境整備を進める。
7
(ⅲ)
「ベンチャーキャピタルにおいて推奨・期待される事項(VCRHs)」12のフォローアップ及び見直し
○ 国内VCに対する内外の機関投資家からの資金供給を促進する観点から、
2024 年 10 月に策定した「ベンチャーキャピタルにおいて推奨・期待され
る事項」のフォローアップ及び見直しを行う。
<資金供給拡大に向けた規制改革・環境整備>
④東証グロース市場及びプロマーケットの活性化
○ 東京証券取引所(東証)グロース市場について、新基準(上場維持基準を
「上場 10 年経過後から、時価総額 40 億円以上」から「上場5年経過後か
ら、時価総額 100 億円以上」に変更:2025 年 12 月改正)の 2030 年の適用
開始に向けて、グロース市場上場企業の成長を強力にサポートするため、
東証において、
「高い成長を目指した経営」の働きかけのフォローアップや
好事例集の充実、機関投資家等との接点づくり等の取組みを進める。
○ 非上場とグロース市場などの一般市場との間に位置するプロマーケットに
ついても、昨今その活用ニーズが高まっているところ、東証において、一
般市場上場後に大きく成長していくための準備を進める TOKYO PRO Market
(TPM)上場企業に対する支援を強化し、TPM の機能発揮に向けた取組を進
めているほか、地方取引所においてもプロマーケット市場を開設する動き
がある。引き続き、東証等と連携して、プロマーケットの活性化を推進し
ていく。
⑤ベンチャー投資法人の活用に向けた東証の制度改正による NISA を含めた個人投資家からの資金流入の拡大など、クロスオーバー投資の促進
○ 非上場株式を対象とした東証の上場ベンチャーファンド市場の利用活性化
を促進する観点から、上場後のポートフォリオ構築期間を延長するなど、
ファンドに係る運用の自由度の向上等に向けた東証の制度改正を 2026 年
夏頃に行い、NISA を含めた国内個人投資家からの資金流入を拡大する。
○ 投資信託の非上場株式の組入比率(公募:原則 15%まで)に係る上限超過
時の対応が柔軟化した資産運用業協会の規則改正(2026 年4月)の周知・
浸透を通じて、スタートアップを含む非上場株式を組み込んだ公募投資信
託の組成を促進する。さらに、顧客保護に留意した上で、プライベート資
産に特化した新たな投資信託の枠組を整備する。
○ 加えて、スタートアップが上場した後においても地域金融機関等の投資専
12
「VCRHs(Venture Capitals: Recommendations and Hopes)
」は、公正価値評価に基づくファンド財務情
報の提供や受託者責任・ガバナンス等(Recommendations:推奨される事項)
、スタートアップの成長に資す
る経営支援やフォローオン投資を含む資本政策支援等(Hopes:期待される事項)から構成される。
8
門会社を通じた追加出資を可能とするための規制緩和により、スタートア
ップへの資本性資金の供給を促し、クロスオーバー投資を促進する。
⑥独占禁止法に基づく議決権保有制限の見直し
○ 我が国のベンチャーキャピタル(VC)ファンドへの出資の3割程度を占
める銀行等による資金供給を拡大する観点から、銀行等が投資事業有限責
任組合(LPS)の有限責任組合員(LP)となり、組合財産として議決権を
保有する場合について、現行法上 10 年間とされている議決権保有制限の例
外となる期間の撤廃及び延長について検討し、結論を得次第、速やかに所
要の措置を講ずる。
⑦資金調達時の有価証券届出書の提出免除基準の引上げ
○ 資金調達時の有価証券届出書の提出免除基準を5億円に引き上げると同時
に、少額募集制度については利用可能な調達金額を5億円以上 10 億円未満
の募集に引き上げる制度改正の浸透を通じて、スタートアップ・ファイナ
ンスにおける情報開示に係る負担を軽減する。
⑧スタートアップ新市場創出タスクフォースの拡充をはじめとした規制改革の取組
○ 事業者の声を適切に吸い上げて規制改革につなげる「スタートアップ新市
場創出タスクフォース」の周知徹底、手続期間の短縮や専門家による伴走
支援の拡充をはじめ、スタートアップの有する優れた技術等の社会実装に
向けた環境整備を推進するとともに、関係府省庁の連携を強化し、規制改
革推進会議等を通じて、スタートアップに関する迅速かつ大胆な規制・制
度改革を推進する。
⑨エンジェル税制の利用促進
○ スタートアップに対する個人からの資金供給を促す観点から、スタートア
ップ企業へ投資を行い、株式を取得した個人投資家に対して税制上の優遇
措置を行う制度であるエンジェル税制について、活用促進を図る。
⑩「日本版 DAF」
(公益法人・公益信託)の活用促進
○ スタートアップへの資金供給手段の多様化にも資するいわゆる DAF(Donor
Advised Fund)について、その受け皿となる公益法人・公益信託が社会課
題の解決に向けた民間公益活動を柔軟に展開できるようにする制度改革
(2024 年法改正)を行い、基金を設け寄附者の意思を勘案して運用や助成
を行う公益法人の事例が増加してきている。こうした国内における取組が
一層進むよう、公益法人・公益信託において、いわゆる DAF の取組が可能
であることなどを 2026 年度内にガイドラインにおいて明確化する。加え
て、様々な活用事例の創出も含めた制度の活用促進を図り、公益法人・公
9
益信託への寄附の拡大、公益法人・公益信託による資産運用・助成方法の
多様化の取組を促進する。
⑪誰もが自分らしく挑戦できるインクルーシブなエコシステム形成に向けて
○ 女性起業家を含むスタートアップ関係者の人権を擁護しハラスメントに遭
いにくい環境を作るため、ハラスメントに関する相談窓口を中小機構基盤
整備機構において設置する。加えて、金融庁及び経済産業省は「ベンチャ
ーキャピタルにおいて推奨・期待される事項(VCRHs)
」に推奨事項として
ハラスメント防止を盛り込むとともに、関係業界に周知・普及を行う。さ
らに、女性起業家のエンパワーメントに向けて、女性起業家支援ネットワ
ーク形成の取組を促進することで、誰もが自分らしく挑戦できるインクル
ーシブな環境をつくり、スタートアップエコシステムの健全な発展を図る。
(2)出口の多様化
①M&A市場の活性化
○ スタートアップのM&A活性化に向けて、売り手・買い手双方が留意すべ
き事項を体系的にまとめた「M&Aガイダンス」を策定するとともに、そ
の普及を図っていく。加えて、2026 年度税制改正で拡充をしたオープンイ
ノベーション促進税制の更なる活用を含め、M&A活性化に向けた取組を
強化する。
○ 国内の大企業やスタートアップによるM&Aで子会社の株式を追加取得す
る際や、海外展開時に現地のスタートアップ企業等を買収する際に、株式
交付制度を利用可能とすることなどについて、2024 年・2025 年規制改革実
施計画に基づき、引き続き法制審議会会社法制部会において検討し、結論
を得る。
②のれんの会計処理
○ 2025 年7月に企業会計基準設定主体へ提案された「のれんの非償却の導入
及びのれん償却費計上区分の変更」について、企業会計基準設定主体にお
いて、追加で収集される情報も踏まえ、スタートアップ関係者の問題意識
が十分くみ取られ、適切な議論が行われつつ、検討プロセスが加速するよ
う、フォローする。
③プライマリー及びセカンダリー取引の活性化
○ 「スタートアップ企業等への成長資金供給等に関する懇談会」の報告書
(2025 年9月)の提言も踏まえ、プライマリー及びセカンダリー取引を行
う投資家層の拡大を図る観点から、特定投資家(プロ投資家)への移行要
件の緩和・明確化、特定投資家の要件を満たしているが移行手続を行って
10
いない者(潜在的特定投資家)を特定投資家私募の相手方の範囲に追加す
ることを図り、特定投資家及び潜在的特定投資家による投資を促進する。
○ また、有価証券届出書を提出することなく特定投資家向け有価証券を譲渡
できる対象者の範囲について、これまでも認められてきた特定投資家等に
加えて、潜在的特定投資家、当該有価証券の発行会社の役職員、既存株主
及び発行会社との間でM&A等を実施する相手方を追加することにより、
スタートアップへの投資の活性化を図る。
(3)世界に伍するスタートアップエコシステムの形成とグローバルネットワークの強化
①グローバル・アクセラレーション・プログラムの強化、 J-StarX の強化
○ スタートアップが成長する際、大きな売上の確保のため海外進出が不可欠
であることから、これまで国内スタートアップに対して、世界トップレベ
ルの海外アクセラレーター等との連携プログラムを提供してきたが、中で
も海外企業との協業や海外VCからの資金調達増につながるなど多くの成
果を上げているグローバル・アクセラレーション・プログラムの「Equity
コース」
(出資を前提としたプログラム)の深化を含め、プログラム全体の
充実を図る。さらに、起業初期段階から海外展開(Born Global)を志向す
るスタートアップを育成するため、J-StarX を強化する。
②海外市場進出時の政府系金融機関(JBIC)からの資金供給促進、在外公館、JICA 及び専門家による伴走支援の強化
○ 国内の有望なスタートアップの海外市場進出を推進するべく、JBIC はじめ
政府系機関の資金供給や海外でのネットワークを活用した海外展開支援な
ど幅広い支援を行う。国際協力銀行(JBIC)は 2024 年 10 月に「スタート
アップ投資戦略」を策定し、ミドル・レイター期の優良スタートアップ企
業を投資対象として投資実績を積み重ねてきているが、今後、国内スター
トアップの海外市場獲得や大きな成長を加速するべく、国内スタートアッ
プへの資金供給や海外展開支援など金融・ビジネス両面での支援を充実さ
せる。また、海外スタートアップと、我が国企業との協業実現を支援し、
日本と海外エコシステムのつながりを強化する。
○ また、在外公館と連携し、現地の調達当局・アクセラレーター・大学・研
究者(日本人含む)
・プライム企業等の関係者と、日本側関係者とのネット
ワーキング、ピッチ、個別面談の機会創出を行う。さらには、デュアルユ
ースを含む先端技術の見極めに通じた外部専門家を在外公館に起用し、現
地での案件形成に資する伴走支援を図る。国際協力機構(JICA)を通じた
エコシステム構築や民間資金動員促進を含む多角的な支援や外国政府の政
策担当者等の招聘も積極的に進める。
11
○ さらに例えば、介護系スタートアップのグローバル市場への展開を後押し
するため、VCや提携先などの国内サポーターに加えて、海外サポーター
として現地の制度やビジネスについて相談できる人材を配置し、海外ネッ
トワーク構築のための伴走支援体制を構築するための基礎情報の収集や検
討を行う。さらに、AIを活用した介護テクノロジー開発・普及促進に向
け、AIに特化した知見を有するサポーターを充実させる。
③海外VC及び海外スタートアップの誘致・連携
○ 産業革新投資機構(JIC)及び中小企業基盤整備機構等の政府系ファンドか
ら海外VCファンドに対するLP出資を拡大することを通じて、海外VC
とのネットワークの強化や、日本のスタートアップへの投資促進を図る。
さらに「国家戦略技術領域」に位置づけられている先端技術のスタートア
ップを軸に「Global Startup EXPO」を開催し、国内のベンチャーキャピタ
ルやディープテック・スタートアップ等との交流を促進することで、海外
VCからの投資拡大や日本への進出を促進する。
○ さらに、国内VCファンドが外国VCファンドと連携して、海外進出を目
指す国内スタートアップ企業に共同出資する際、これまで外国VCファン
ドにかかっていた投資運用規制について緩和を行い、我が国発スタートア
ップの円滑な海外展開を促進する。
○ 「東証アジアスタートアップハブ」の取り組みや、海外スタートアップ向
け東証上場ハンドブックである「BEYOND BORDERS」等を効果的に活用して、
アジアを含む海外の有望なスタートアップの日本進出や東証上場を推進し、
日本と海外のスタートアップエコシステムのつながりを強化する。
④スケールアップする能力の高い人材の惹き付けと、優秀な海外起業家等の呼び込みに向けた体制整備
○ 国内外の優秀でスケールアップする能力の高い起業家や投資家を我が国に
惹き付け、我が国を世界に伍するスタートアップエコシステムとする観点
から、これまでに講じた政策の効果検証を実施した上で、税制を含むスタ
ートアップに関連する政策の在り方や必要な措置について検討を進める。
○ 政府の基本方針である「外国人の受入れ・秩序ある共生のための総合的対
応策」に基づく、在留資格の適正化に向けた取組等を着実に行っていくこ
とを前提としつつ、海外からの優秀な起業家、投資家、エンジニア等の日
本への呼び込みやAIなどのデジタル技術も活用した在留審査の迅速化を
図るべく、体制整備等を着実に行う。
12
(柱2)ディープテック・スタートアップの支援
(1)政府・大企業による調達の強化
①ディープテック・スタートアップの初期需要創出やスタートアップ契約など政府調達の強化
(ⅰ)初期需要創出やスタートアップ契約など政府調達の強化
○ 初期需要創出のため、スタートアップへの技術開発支援(補助等)を行う
SBIR 制度を抜本強化し、
「戦略製品・技術等政府実装加速化プログラム」な
ど政府の本格調達につなげるアンカーテナンシー型の試験導入(委託等)
の新たな枠組の創設を検討。併せて、民間企業の調達ニーズにつなげるた
め、既存の大規模技術実証支援についても見直し・拡充することを検討す
る。加えて、スタートアップが政府調達に参入しやすくするための契約等
の運用指針を策定するとともに、政府調達に向けた NEDO 等による伴走支援
体制を確立する。
○ 官公需3%13に向けた各省庁改善計画の策定やデジタルマーケットプレイ
ス(DMP)などのカタログの活用促進を行う。
(ⅱ)大規模技術実証支援の見直し・拡充
○ 大規模技術実証支援については、
令和4年度第2次補正予算において 2,060
億円を計上し、
「中小企業イノベーション創出推進事業(フェーズ3基金事
業)
」を開始した。これまで実施5省(文部科学省、厚生労働省、農林水産
省、経済産業省、国土交通省)において計 120 件のプロジェクトを採択し、
支援を進めてきたところ。引き続き、今後のスタートアップ等の研究開発
の進展や新たな社会課題に対応すべく、新たな公募を行うことも含めて、
新しい枠組の中で大規模技術実証支援の見直し・拡充も検討する。
(ⅲ)試験導入・運用の枠組みの構築
○ SBIR 制度においては、研究開発(フェーズ2)
・大規模技術実証(フェーズ
3)によって開発された技術・製品等の事業化に係る取組の一つとして政
府調達が掲げられている。一方で、スタートアップが開発した技術・製品
等について、国・地方の行政機関等としては、一度試験的に導入し評価を
行った上で判断したいとのニーズが高い。このことを踏まえ、SBIR 制度の
支援により開発されたスタートアップの新製品や新サービスについて、国・
地方の行政機関等が試験的に一定期間利用し、評価・フィードバックを行
い、事業化に向けた改良につなげる仕組みを構築する。
13
官公需法(官公需についての中小企業者の受注の確保に関する法律)に基づき、毎年度閣議決定される
「中小企業者に関する国等の契約の基本方針」において、国や独立行政法人などの国の関係機関が調達する
物件、工事、サービスについて、スタートアップを含む創業 10 年未満の中小企業からの契約比率を「3%
以上を目標とする」とされている。
13
②防衛分野におけるデュアルユーススタートアップエコシステム形成
防衛力強化とスタートアップによるイノベーション創出の好循環を生み出
すため、防衛省と経産省が連携して研究開発から調達まで一貫した支援を開始
する。その際、防衛イノベーション科学技術研究所を通じた防衛イノベーショ
ンや画期的な装備品等を生み出す取組も推進する。
(ⅰ)防衛分野におけるイノベーション推進に向けた「ファストパス調達」
○ 先進的な技術に裏付けられた新しい戦い方が勝敗を決する現代にあって、
先端技術を迅速に取り入れるべく、優れた技術を有するスタートアップと
の随意契約を可能とするスタートアップ技術提案方式の更なる活用や、部
隊と企業が一体となってフィードバックサイクルを回し迅速な装備化を実
現する「アジャイル型調達」を促進するとともに、複数企業と同時に契約
し競争させ、運用ニーズを的確に踏まえた新技術の導入を可能とすべく今
年度から新たにディフェンステック SBIR 制度を導入する。加えて、2026 年
2月に設置した「スタートアップ活用伴走支援グループ」を活用して各自
衛隊等とのマッチングや、契約締結時の障害等を解消する伴走支援を実施
する。
(ⅱ)スタートアップ研究拠点の設置
○ スタートアップ企業等が有する先端技術を防衛分野において積極的に活用
するにあたり、スタートアップのセキュアな研究開発の場の整備を目指し
つつ、まずはスモールスタートを図るために既存施設の活用を検討する。
これにより、スタートアップの参入促進及び迅速な事業立ち上げを可能と
する。
③大企業によるイノベーション調達
○ スタートアップの製品等の社会実装を促進するため、市場創出を見据えた、
スタートアップ製品等の本格調達・購買の実現可能性を検証するための実
環境での実証、研究開発を支援する事業を通じて、ディープテック・スタ
ートアップと大企業等が共同して、性能最適化やコスト低減施策等を進め、
最終製品化、事業期間後の本格調達に繋げる。
14
(2)優れた技術の事業化
①大学の優れた研究シーズに基づくスタートアップの支援
○ 優れた研究シーズに基づく大学発スタートアップの創出に向けて、海外展
開も見据えたディープテック・スタートアップの事業化支援を行う。また、
事業化人材の育成や確保、海外拠点・海外VC等との連携、スタートアッ
プへの出資を行う。さらに、大学等がハブとなってスタートアップと大企
業の協働を促進する新たなオープンイノベーションの形成により創業後の
成長支援機能を強化することで、大学発スタートアップの着実な成長を実
現し、研究力強化及び新たなスタートアップ創出につなげる好循環を構築
する。
②17 分野に重点化した研究開発支援
○ ディープテック分野は研究開発に長期間を要し多額の資金が必要になりリ
スクも高いことから、開発段階から事業化・量産化・海外展開までを見据
えた一気通貫の支援を 17 の戦略分野に重点化しつつ、抜本的に強化すると
ともに、NEDO 等による伴走支援体制を確立する。
③グローバル・スタートアップ・キャンパス構想
○ 世界から優れた人材・投資を集める呼び水となる成果を生むべく、施設の
開所に先立つ先行的活動を本格的に開始する。また、2027 年度早期の運営
法人設立に向け、政府からの出資等を含めた必要な措置を行うとともに、
拠点の施設整備に向けた基本計画を策定し、設計に取り組む。また、内外
の多様なトップレベル人材の下、世界規模の社会課題解決に資するイノベ
ーションが創出されるような組織を構築すべく、グローバルかつ卓越した
透明性の高いガバナンス体制を構築する。
<17 の戦略分野のスタートアップ支援>
17 の戦略分野のスタートアップ支援として、例えば以下の施策を実施する。
④AI分野のスタートアップ支援
○ 日本のAI開発力と産業競争力の底上げを目指して、スタートアップ等向
けの計算資源の補助、データセットの構築、ユーザー企業やVC/CVC との
マッチングの機会等を提供する「GENIAC」事業や、懸賞金型プログラム
(GENIAC-PRIZE)等を充実させる。さらに、成長の加速装置であるAIト
ランスフォーメーション(AX)の着実な実施にも資するフィジカルAI
やバーティカルAI分野等への支援も拡充する。
⑤GX・環境領域のディープテック・スタートアップに対する支援事業
○ GX・環境領域に資するスタートアップの社会実装を加速するため、新た
15
に SBIR 制度における大規模技術実証等(フェーズ3)や地域が抱える社会
的課題を同時解決するスタートアップへの資金支援の拡充、脱炭素化支援
機構(JICN)によるシード・アーリー段階への投資拡大、グリーン購入法
の活用やマッチングカンファレンスを通じたスタートアップの需要創出、
研究機関やスタートアップ等が利用しやすい環境データ基盤の整備等によ
り、起業後から事業化段階まで一気通貫した支援を実施するとともに、更
なる支援体制の強化を検討する。また、NEDO による研究開発支援・事業化
支援における資金供給にあたっては、よりグローバルでの事業展開ポテン
シャルを秘めた人材、事業者に対して、優先的に支援を行う。
⑥創薬先端医療領域のスタートアップエコシステム形成
○ アカデミアやスタートアップ発の革新的なシーズの実用化を推進するため、
開発者が開発計画段階から事業展開を見据えた開発ができるよう、革新的
医薬品等実用化支援基金や医療系ベンチャー・トータルサポート事業
(MEDISO)による支援を行うほか、創薬シーズの実用化に向けた医薬品医
療機器総合機構(PMDA)における相談体制の充実を図るとともに、拠点に
おける支援体制を強化し、新たな事業領域創出につながる戦略的な医薬品・
医療機器産業振興エコシステムの形成を行う。
⑦フードテック分野のスタートアップ支援
○ 農林水産分野における新たな成長産業領域として、フードテック分野につ
いて、民間投資を誘発するべく、民間マッチングファンド方式を含む自動
化等に資する複数年度の実証支援や、研究開発プラットフォーム等のイノ
ベーションハブにおいてオープンイノベーション等の推進を行う。
⑧フュージョンエネルギー分野のスタートアップ支援
○ フュージョンエネルギー・イノベーション戦略(令和7年6月統合イノベ
ーション戦略推進会議改定)等において、スタートアップを含めた官民の
研究開発力を強化するとされていることを踏まえ、2030 年代の発電実証の
実現に向けて、より競争力のあるシステムの実現を目指すスタートアップ
等による野心的な技術開発や SBIR 制度における大規模技術実証(フェーズ
3)を通じた要素技術開発等について資金供給も含めて強力に後押しする
とともに、トリチウム取扱い等のスタートアップ個社では対応の難しい技
術課題について、量子科学技術研究開発機構(QST)等のイノベーション拠
点における研究開発・基盤整備を推進する。
16
(3)経営力の強化と伴走支援体制の充実
①スタートアップと経営人材(大企業含む)のマッチング強化
○ アカデミアや技術シーズ保有機関に対し、より有望な技術シーズの能動的
な探索・発掘を促すとともに、発掘された技術シーズについては、起業支
援、知的財産戦略、事業戦略等に係る専門人材チーム(イグニッションチ
ーム)によるワンストップ支援の実施に向けて支援を拡充する。さらに、
地域金融機関やベンチャーキャピタル等と連携し、大企業からスタートア
ップへの人材の流動化を促進する取組を強化する。
②J-Startup による 17 の戦略分野のスタートアップ指定と伴走支援
○ 「世界で戦い、勝てるスタートアップを創出する」ことを目標に、有識者
からの推薦等にもとづき、
これまで合計約 270 社を選定してきた J-Startup
は、選定企業に対して、各種補助金における優遇等の政府支援に加え、民
間企業「J-Startup Supporters」との連携支援などの取組を実施してきた。
17 の戦略分野のスタートアップを中心にユニコーン級のスタートアップ創
出に向けて、更新制や公募の導入などを含む J-Startup 制度の見直しを行
うとともに、J-Startup 選定企業のスケールアップに向けた集中支援・伴走
支援の在り方について検討を加速する。また、J-Startup 地域版は、対象地
域を全国に拡大し、地域未来戦略との連携を図る。
③競争優位性を実現するビジネスモデルとそれに連動した知財戦略の構築支援
○ ディープテック領域のスタートアップは、その技術力が競争優位性の源泉
であり、国際競争力強化に向けて知財戦略支援の重要性が高まっているこ
とを踏まえ、シード・アーリー期のスタートアップに対して、ビジネス・
知財の両面から支援するプログラムを強化する。さらに、VCやアクセラ
レーター等のスタートアップ支援機関向けへの知財専門家の派遣を拡充す
る。
④産総研(AIST Solutions)による伴走支援
○ 量子・AI、バイオなど産業技術総合研究所(産総研)の研究開発成果を
いち早く社会実装するため、産総研発の成果活用等支援法人である AIST
Solutions において、従来の技術やマーケティングといったハンズオン支
援に加えて、資金供給を行うことで、技術創出から起業、成長支援をシー
ムレスに進める支援体制の検討を進める。
17
(柱3)地域の経済社会を担うスタートアップの創出・育成
(1)次世代を担う起業家の育成
①アントレプレナーシップ教育の更なる充実
○ 全国の大学生・博士課程学生を対象とするアントレプレナーシップ教育の
受講機会の拡充を図るとともに、海外派遣の充実など教育の質の向上を図
る。また、起業家人材の裾野を広げる観点から、小中高段階においても、
大学、地方公共団体及び産業界等がお互いの知見を活かして連携し、学校
現場への起業家等の派遣等を行うことで、受講機会の拡充を図る。さらに、
教職員向けのプログラムの提供により、アントレプレナーシップ教育の質
の向上を図る。
②未踏/AKATSUKI/NEP による次世代起業家育成支援
(ⅰ)未踏/AKATSUKI
○ 「未踏」事業の修了生からは、現在までに約 500 人が起業又は事業化に至
った。
「5か年計画」で掲げた年間 500 人の育成規模までの事業拡大とその
先を見据えて、例えばビジネス化を前提とした「未踏アドバンスト」コー
スについて年間2度募集を行う2期制を担当するプロジェクトマネージャ
ー(PM)の確保や運用体制等の強化を図る。また各地域から未踏的な人
材を発掘する「AKATSUKI」事業について、地域間の連携や知見の共有を進
め、今後の定着・強化の方向性を検討する。
(ⅱ)NEP(NEDO Entrepreneurs Program)
○ NEDO においては技術シーズを活用した事業構想を持つ研究者・学生等に対
して、カスタマーディスカバリーを含む市場調査支援、起業・事業経験者
等によるメンタリングなど起業支援を実施してきたが、地域経済の成長や
社会課題の解決に貢献するスタートアップの創出・育成を強化するため、
地方大学・高専関係者が本事業に参入しやすいよう制度の見直しを行うと
ともに、地方大学・高専関係者への広報の強化を行う。
(2)地域におけるスタートアップの更なる創出に向けた支援
①高専発スタートアップ支援の加速化
○ これまで全国の高専に自由な発想でものづくりに取り組む起業家工房の整
備を行うなど起業に向けた環境を整えてきたが、今後、高専におけるアン
トレプレナーシップ教育の充実や高専発スタートアップの創出・成長支援
を強化する観点から、独立行政法人国立高等専門学校機構を中心とした、
高専間ネットワークを活用した支援体制を拡充する。具体的には、国立高
専機構本部にスタートアップ支援組織を設置、各高専への地域連携コーデ
ィネータの配置促進、地域課題解決に取り組む社会実装教育の強化やカリ
キュラムの体系化、さらに外部専門家による伴走支援体制の充実を行う。
18
②自治体および地域金融機関と連携したローカル・スタートアップの支援
○ 創業融資には通常よりもリスクが伴うため、地域金融機関による資金供給
が限定的であり、地域におけるスタートアップの創出が進まないという課
題がある。産官学金の連携により、地域の資源と資金を活用した新規事業
立ち上げを支援する制度(ローカル 10,000 プロジェクト)について、2026
年度から、
「融資/公費」比率の見直しや公費助成上限額の増額などの制度
拡充を行い、より大きな融資を引き出しながら、地域密着型の事業の立ち
上げを一層推進する環境の整備を進める。
③スタートアップ創業時の手続負担の軽減
○ スタートアップ等の創業時、ヒト・モノ・カネ・情報が課題となるが、創
業に必要な行政手続については、府省庁及び自治体ごとに分かれており、
起業家が各機関の窓口やウェブページをそれぞれ訪問しなければならず、
多くの時間や労力を要していた。デジタル庁が提供するGビズポータルに
おいて、創業に必要な手続を集約したメニューサイト(
「手続ジャーニー」
)
を公開し、スタートアップ等を創業する際の手続負担を軽減する。さらに
今後、スタートアップ等向けの補助金や許認可などのメニュー拡充や情報
発信の強化を図り、新規参入を促進する。
④インパクトスタートアップ/ローカル・ゼブラ支援、VCや機関投資家等によるインパクト投資の拡大を通じたスタートアップへの資金供給促進
○ インパクトスタートアップ、ローカル・ゼブラを中心とした、地域経済の
循環を生み出す仕組みの事例創出に向けて、各地で企業と地域のステーク
ホルダーの連携体制を構築するソフトインフラの整備を進める。加えて、
ローカル・ゼブラに対して成長資金の円滑な供給が行われるよう、地域の
実情に合わせたファイナンスの仕組みの構築に向けたモデル地域の創出に
取り組むとともに、その成果も踏まえて資金提供者・資金調達者での対話
を進め、ガイダンスの策定を行う。
○ 更に「インパクトコンソーシアム」を通じて、スタートアップを含むイン
パクト創出企業に対するインパクト投資の手法及び市場を確立し、社会・
環境的効果(インパクト)の実現を図る事業を推進する。
○ また、行政や地域金融機関の協働等により、農山漁村地域の課題解決に貢
献するインパクトスタートアップへの伴走を推進し、社会課題解決と民間
投資の循環を創出する。
19
(3)社会課題解決を牽引するスタートアップの実証・調達
①自治体によるスタートアップ調達の強化に向けた方策の推進
○ 全国各地でスタートアップが持つ先端技術の社会実装を強力に後押しする
ため、全ての都道府県及び指定都市においてスタートアップからの調達、
さらには広域的な調達を含む市町村レベルでのスタートアップからの調達
拡大が行われるよう、各自治体における4号随契14に基づく調達の実態に関
する調査を毎年度定期的に実施し、優れた調達事例についてウェブサイト
での情報発信をはじめ横展開を行う。
○ また、地方公共団体の入札契約においてスタートアップが参入しやすい運
用が行われるよう、入札参加資格の設定における下位等級者の参加が可能
となるような弾力的な運用等の促進や、国で定める「スタートアップの公
共調達の加速に向けた契約等の運用指針」の自治体への横展開を実施する。
さらに、複数自治体のニーズを統合する広域調達の仕組みや自治体におけ
る実証・導入実績を「次の顧客」につなげる仕組みの整備に向けたガイド
ライン15の改訂、4号随契の積極的な活用を促すための助言等を行う。自治
体の入札・契約制度の運用に関して、引き続き各府省庁間にて連携を行う。
○ 地域未来戦略における産業クラスターの形成に向けた取組や、スタートア
ップ・エコシステム拠点都市における取組とも連携を図りつつ、
「自治体と
地域課題解決に取組むスタートアップの官民連携に向けた実践ガイド」を
活用し、自治体における官民連携・公共調達事例創出の支援を行い、当該
事例創出までの過程をモデル化して他自治体へ横展開を行うことによって、
官民連携、公共調達の促進につなげる。加えて、デジタルマーケットプレ
イス(DMP)について事業者への広報活動やカタログ掲載のPRツール提供
を通じて登録を促し、スタートアップを含む多様な事業者の公共調達への
参入拡大を推進する。
14
地方自治法施行令第 167 条の 2 第 1 項において、
「地方自治法第 234 条第 2 項の規定により、随意契約に
よることができる場合は、次に掲げる場合とする。
」とされ、同項第 4 号において、スタートアップ等との
随意契約について、
「新商品の生産により新たな事業分野の開拓を図る者として総務省令で定めるところによ
り、普通地方公共団体の長の認定を受けた者が新商品として生産する物品を当該認定を受けた者から、普通
地方公共団体の規則で定める手続により買い入れ若しくは借り入れる契約又は新役務の提供により新たな事
業分野の開拓を図る者として総務省令で定めるところにより普通地方公共団体の長の認定を受けた者から普
通地方公共団体の規則で定める手続により新役務の提供を受ける契約をするとき」と定めている。
15
「スタートアップ等から公共調達を行う場合の知的財産の保護及び調達の工夫に関するガイドライン」
(令和 7 年 6 月策定)
20
②国家戦略特区制度を活用したスタートアップの創出・育成の促進
○ 国家戦略特区制度では、地域における成長・イノベーションの担い手とな
るスタートアップの創出・育成を促進するため、スタートアップの人材・
資金の確保に資する特例メニューや、創業手続きの円滑化を図る支援メニ
ュー等を提供してきた。それらの更なる活用を促すため、情報発信の強化
を図るとともに、スタートアップによる新産業創出や新技術の社会実装に
必要となる規制・制度改革提案を引き続き募集し、その実現を後押しする。
(4)地域における多様なプレイヤ―の連携
①スタートアップ・エコシステム拠点都市におけるスタートアップへの伴走支援体制の強化
○ 2025 年度に選定した第2期スタートアップ・エコシステム拠点都市につい
て、各拠点都市の産業特性やスタートアップの実情を踏まえ、海外展開支
援を引き続き進めるとともに、地域においてはスタートアップの経営実務
上の課題(契約に係る交渉・調整、品質管理等)を解決する人材が不足し
ていることから、これらに対応したハンズオン支援等を新たに実施する。
②地域未来戦略における産業クラスターの形成に向けた取組との連携強化
○ 地域未来戦略における産業クラスターの形成に向けた取組との連携を図り
つつ、地域の経済社会を担うスタートアップの創出・育成のため、地域未
来戦略において、都道府県(市町村が策定することも可)にて策定される
地域産業クラスター計画において、重点的な支援を講ずる企業群として選
定された、
「重点支援企業」に対して、各種スタートアップ施策においても、
優先採択等の審査上の考慮を行う。さらに、スタートアップ・エコシステ
ム拠点都市とも連携して、各省庁の関連施策により、戦略産業クラスター
計画、地域産業クラスター計画及び地場産業成長プランに位置付けられた、
地域発のスタートアップに関連した取組に対する支援を行う。
③大規模産学連携拠点の形成
○ 地域から成長産業を創出するため、イノベーションに不可欠な“知の源泉”
である大学等と産業界、自治体等が連携し、研究成果の実装化・人材育成
に取り組む大型の研究開発プロジェクト等を後押しし、産業界のコミット
の引き上げや大学改革等によって産学連携を次なるステージに進める。ま
た、国から各地域の大学等に優れた研究シーズの事業化に要する体制整備
支援・事業化支援を行い、全国各地から地域経済の成長を担う大学発スタ
ートアップの創出を図る。
21
資料10
スタートアップ総力創出パッケージ
~イノベーションを生み出す、育てる、実装する~
2026 年5月 20 日
スタートアップ総力創出パッケージ
~イノベーションを生み出す、育てる、実装する~
(目次)
1.現状と課題
p2
2.対応の方向性
(柱1)スタートアップのスケールアップ
(柱2)ディープテック・スタートアップの支援
(柱3)地域の経済社会を担うスタートアップの創出・育成
p5
3.目標(KPI)
p6
4.施策のパッケージ
(柱1)スタートアップのスケールアップ
(1)内外からの成長資金の供給拡大
(2)出口の多様化
(3)世界に伍するスタートアップエコシステムの形成とグローバルネットワークの強化
p6
(柱2)ディープテック・スタートアップの支援
(1)政府・大企業による調達の強化
(2)優れた技術の事業化
(3)経営力の強化と伴走支援体制の充実
(柱3)地域の経済社会を担うスタートアップの創出・育成
(1)次世代を担う起業家の育成
(2)地域におけるスタートアップの更なる創出に向けた支援
(3)社会課題解決を牽引するスタートアップの実証・調達
(4)地域における多様なプレイヤーの連携
1
p6
p10
p11
p13
p15
p17
p18
p18
p20
p21
1.現状と課題
○ 政府は、2022 年 11 月に「スタートアップ育成5か年計画」
(以下、
「5か年
計画」と略)を策定し、①スタートアップ創出に向けた人材・ネットワーク
の構築、②スタートアップのための資金供給の強化と出口戦略の多様化、③
オープンイノベーションの推進の3つの柱に沿った取組を推進してきた。
例えば、
①スタートアップ創出に向けた人材・ネットワークの構築
• 「未踏」事業を大規模に拡大するとともに、他の法人にも横展開するこ
とにより、年間 500 人を超える規模でメンターによる若手人材を育成
• 科学技術振興機構に 988 億円の基金を新規造成(2022 年度)し、年間
1,000 件を超える大学発の研究成果事業化を支援
• グローバル・スタートアップ・キャンパス構想において、世界から優れ
た人材・投資を集める呼び水となるよう先行的活動を開始
②スタートアップのための資金供給の強化と出口戦略の多様化
• 中小企業基盤整備機構へ国から 200 億円出資、
産業革新投資機構に 2,000
億円の新たなファンドを立ち上げるなど(いずれも 2022 年度)
、官民フ
ァンド等の出資機能を強化
• 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)に 1,000 億円の基金を新
規造成(2022 年度)し、ディープテック1・スタートアップを支援
• SBIR 制度2において新たに大規模技術実証を支援する「フェーズ3」を措置
③オープンイノベーションの推進
• オープンイノベーション促進税制について、新たにスタートアップをM
&Aで買収する際にも適用
といった施策を講じてきた。
1
ディープテックとは、人工知能(AI)
、バイオ等、特定の自然科学分野での研究を通じて得られた科学的
な発見に基づく技術であり、その事業化・社会実装を実現できれば、国や世界全体で取り組むべき経済社会
課題の解決等、社会に大きなインパクトを与えられるような潜在力のある技術を指す。
2
Small/Startup Business Innovation Research の略。スタートアップ等による研究開発を促進し、その成果
を円滑に社会実装し、それによって我が国のイノベーション創出を促進するための制度。
2
○ こうした施策を講じてきた結果、我が国のスタートアップ数は 25,000 社へ
と増加し、大学発スタートアップも、3年間で 1.5 倍に増加、ユニコーン3
予備軍も約3倍となるなど、スタートアップエコシステムは着実に発展し
ている4。
○ また、スタートアップが創出する付加価値は日本全体の名目 GDP の約4%
5
となり、この2年間で約 32%増加している6。
3
「ユニコーン」とは時価総額 10 億ドル超の未公開企業を指す。ここで言う「ユニコーン予備軍」とは時
価総額 500 億円~1,500 億円の未公開企業。
4
各指標の出典、定義は以下のとおり。
・ユニコーン数:CB Insights、Pitchbook、スピーダスタートアップ情報リサーチ。
・上場ユニコーン数:Pitchbook、スピーダスタートアップ情報リサーチ。2016 年 1 月 1 日から 2025 年 12
月 31 日の間に IPO した企業のうち、スタートアップ情報リサーチ スピーダに掲載されている企業であり、
外部調達を行ったことがあり、かつ上場後1度でも時価総額が 10 億ドル又は 1,500 億円を上回っている企
業を集計。このうち、被 M&A 等により現在は非上場となっている企業は除外。
・ユニコーン予備軍(2021 年)
:株式会社ユーザベース「Japan Startup Finance2020」
。
・ユニコーン予備軍(現在)
:スピーダスタートアップ情報リサーチ。2026 年 3 月 31 日時点で「調査継続
中」で調達後評価額が 500 億円から 1,500 億円の企業。
・大学発スタートアップ:令和6年度大学発ベンチャー実態等調査。年度別の数字であり、2021 年度:
3,305 社、2024 年度:5,074 社。
5
2025 年の日本の名目 GDP(663.8 兆円)との比較。
6
令和7年度ユニコーン創出支援事業(起業家精神・スタートアップ企業の情報整備等に関する調査)
、内閣
府 経済社会総合研究所「国民経済計算(GDP 統計)
」
(2026 年 3 月 31 日時点)
。直接効果とは、スタート
アップの経済活動により創出される付加価値を指し、間接波及効果とは、スタートアップに対するサプライ
ヤーの経済活動や所得創出に伴う消費支出が引き金となり連鎖的に創出される経済効果を指す。本調査では
間接波及効果のうち2次波及効果までを推計。
3
○ 一方、ユニコーン数や資金調達額7については、
「5か年計画」の目標にはま
だ遠く、我が国を世界に伍するスタートアップエコシステムとするために
は、スケールアップのための成長資金供給の強化が引き続き大きな課題で
ある。スタートアップがユニコーン級の規模に成長し、エグジットし、リ
ターンを得た投資家の資金やその成功にひきつけられた資金が次なるスタ
ートアップへの投資を生みだすような好循環を生み出すには至っていない。
○ ディープテック・スタートアップは 17 の戦略分野における技術革新や成長
投資の先導的な担い手であると同時に、ユニコーンに成長する潜在力を有
している。日本には強固な科学技術の基盤があるが、ディープテック・ス
タートアップは、一般的に、収益化までに長期間と大規模資金を要するた
め、その壁を乗り越えるための支援の強化が必要である。
○ 大学発スタートアップの創業数は、その約6割が東京都以外の地域におい
て増加するなど、地域におけるスタートアップ創出の裾野は着実に拡大し
ている。他方、資金調達額の約8割は依然として東京に集中しており8、成
長機会の地域間格差が存在している。こうした状況を踏まえ、地域におい
て創出されたスタートアップの成長および社会実装を促進し、地域におけ
る持続的な価値創出と産業基盤の転換を実現するエコシステムへと発展さ
せる必要がある。
7
日本国内:株式会社ユーザベース「Japan Startup Finance 2025」
、海外:Dealroom.co. “Locations
fundings heatmap”。
8
株式会社ユーザベース「Japan Startup Finance 2024」
。
4
2.対応の方向性
○ これらの課題を解決するために政府が一歩前に出て、エコシステム構築に
取り組む必要があり、スタートアップのスケールアップ(柱1)
、ディープ
テック・スタートアップの支援(柱2)
、地域の経済社会を担うスタートア
ップの創出・育成(柱3)の3本柱を通じて「5か年計画」強化に取り組
む。
(柱1)スタートアップのスケールアップ
• スケールアップを加速するエコシステムの構築にあたっては、グロー
ス・ファイナンスの強化が最重要である。また単にリスクマネーの供給
を増やすだけでなく、国内外の優秀でスケールアップする能力の高い
起業家や投資家を我が国に惹き付けられるような環境整備を進め、M
&Aも含めた多様なエグジット(出口)の確保により、資金と人材が循
環することを目指す。加えて、海外からの投資、スタートアップ、人材
の誘致を進め、世界の資金・人材・技術がダイナミックに循環するグロ
ーバルなエコシステムへの接続を強化する。
(柱2)ディープテック・スタートアップの支援
• ディープテック・スタートアップの創出・育成のためには、研究開発か
ら事業化・社会実装に至るまで切れ目ない支援を継続・強化する必要が
ある。特に、初期需要創出のために政府調達の活用を強化することが最
重要。これまで SBIR で取り組んできた、研究開発支援に加えて、本格
導入前の試験導入・運用を加速するためアンカーテナンシー型9の委託
による試験導入・運用の取組みを強化するとともに、スタートアップが
政府調達に参入しやすくするための環境を整備する。また、防衛力強化
にスタートアップの力を活かし、同時に、防衛分野での調達や研究開
発・実証等を起爆剤に、スタートアップが成長する好循環を生み出す観
点を踏まえ、デュアルユース・スタートアップのエコシステム強化に特
に重点的に取り組む。加えて、17 の戦略分野をはじめとして、日本が
9
政府が民間企業の製品やサービスを安定的な大口顧客として長期契約で購入・利用することを約束するこ
とで、民間投資を呼び込み産業育成を支援する手法。
5
競争力を有する技術を活用し、グローバルにスケールするポテンシャ
ルの高いディープテック・スタートアップに対して、集中的に支援策を
措置する。
(柱3)地域の経済社会を担うスタートアップの創出・育成
• 地域のスタートアップエコシステム強化のために、起業家教育の更な
る充実、大学・高専発スタートアップの創出・育成の強化、自治体によ
るスタートアップ調達の強化、スタートアップ・エコシステム拠点都市
10
の更なる強化等を進める。
3.目標(KPI)
○ 2027 年度までの残りの期間、
「5か年計画」で掲げた目標の達成に向けた取
組を続ける。
• スタートアップへの投資額を 2022 年度から5年後の 2027 年度に 10 倍
を超える規模にする(10 兆円規模)
。
• 将来において、ユニコーンを 100 社創出し、スタートアップを 10 万社創
出する。
○ これらの目標の達成状況について、補完的なデータも用いながら、多角的
な検証を行う。
4.施策のパッケージ
(柱1)スタートアップのスケールアップ
(1)内外からの成長資金の供給拡大
<政府系金融機関等による資金供給強化に向けた取組>
①政府系金融機関等からの資金供給強化
○ 事業化・社会実装に長期間を要するディープテック等のスタートアップや、
大規模な成長資金が必要となるグロース・レイターステージのスタートア
ップに対して、特定投資業務等を通じて、日本政策投資銀行(DBJ)による
資金供給を加速することで、更なる成長を後押しする。
○ また、産業革新投資機構(JIC)において、アーリーからグロース・レイタ
ーステージまでの一気通貫した支援等の資金供給の取組の強化を通じて、
10
地域ごとに、地方自治体、大学、産業界によるコンソーシアムの形成を促すため、これらを「スタートア
ップ・エコシステム拠点都市」として 2020 年 7 月に 8 都市を選定。2025 年 6 月には、第 1 期の 8 都市に加
え、新たに 5 都市を第 2 期スタートアップ・エコシステム拠点都市として選定。
6
ディープテック等のスタートアップの更なる成長を促進する。
○ 加えて、17 の戦略分野をはじめとして、シード期からレイター期まで一気
通貫で支援を実施するため、政府系機関からの資金供給強化の方策を検討
する。
②中小機構による債務保証制度枠の拡充
○ ディープテック・スタートアップの成長のための資金調達手段の多様化の
観点から、ディープテック・スタートアップの量産体制整備等のための資金
に係る融資に対し、独立行政法人中小企業基盤整備機構が借入元本の 50%
の債務保証を行う制度を措置しているが、国家戦略上重要な技術に関する
スタートアップで、特にリスクが高く大規模な成長投資を行う者に対する
融資に係る債務保証については、17 の戦略分野に重点化しつつ、制度内容
の拡充も含め検討を進める。
<機関投資家からの資金供給拡大に向けた取組>
③GPIF、大学基金など機関投資家からのオルタナティブ投資の拡大、ベンチャーキャピタル(VC)ファンドへの資金供給
(ⅰ)GPIF のオルタナティブ投資、VCファンドを含むPEファンドへの資金供給拡大
○ GPIF において、運用受託機関との対話等を通じて、資金が円滑に供給され
る投資環境の整備11に努めるとともに、分析体制の強化・専門性の向上、多
様化した運用手法の活用を進め、着実に投資実績を積み上げる。その結果と
して、ベンチャーキャピタルやバイアウトなどの日本のPEファンドへの
投資のコミットメントを行い、国内スタートアップへの資金供給拡大につ
なげる。
(ⅱ)オルタナティブ投資の戦略的な取組の実施に向けた大学ファンドの運用高度化
○ 大学独自基金においては、大学の資産運用の促進・高度化に向けたガイド
ブックの策定・周知や、好事例の収集・横展開、共同運用を促進するとと
ともに、アセットオーナー・プリンシプルの受入を促進する。
○ 国際卓越研究大学等を支援する 10 兆円規模の大学ファンドにおいては、
VCファンドやバイアウトファンドへの出資を含むオルタナティブ投資の
戦略的な取組の実施や大学独自基金の運用モデルとなることを目指して、
着実に運用高度化を進める。
11
運用受託機関等とのコミュニケーションを通じて、国内VC等に対して、公正価値評価(時価評価)の導
入や、投資戦略・実績などの運用状況の開示を求める投資環境整備を進める。
7
(ⅲ)
「ベンチャーキャピタルにおいて推奨・期待される事項(VCRHs)」12のフォローアップ及び見直し
○ 国内VCに対する内外の機関投資家からの資金供給を促進する観点から、
2024 年 10 月に策定した「ベンチャーキャピタルにおいて推奨・期待され
る事項」のフォローアップ及び見直しを行う。
<資金供給拡大に向けた規制改革・環境整備>
④東証グロース市場及びプロマーケットの活性化
○ 東京証券取引所(東証)グロース市場について、新基準(上場維持基準を
「上場 10 年経過後から、時価総額 40 億円以上」から「上場5年経過後か
ら、時価総額 100 億円以上」に変更:2025 年 12 月改正)の 2030 年の適用
開始に向けて、グロース市場上場企業の成長を強力にサポートするため、
東証において、
「高い成長を目指した経営」の働きかけのフォローアップや
好事例集の充実、機関投資家等との接点づくり等の取組みを進める。
○ 非上場とグロース市場などの一般市場との間に位置するプロマーケットに
ついても、昨今その活用ニーズが高まっているところ、東証において、一
般市場上場後に大きく成長していくための準備を進める TOKYO PRO Market
(TPM)上場企業に対する支援を強化し、TPM の機能発揮に向けた取組を進
めているほか、地方取引所においてもプロマーケット市場を開設する動き
がある。引き続き、東証等と連携して、プロマーケットの活性化を推進し
ていく。
⑤ベンチャー投資法人の活用に向けた東証の制度改正による NISA を含めた個人投資家からの資金流入の拡大など、クロスオーバー投資の促進
○ 非上場株式を対象とした東証の上場ベンチャーファンド市場の利用活性化
を促進する観点から、上場後のポートフォリオ構築期間を延長するなど、
ファンドに係る運用の自由度の向上等に向けた東証の制度改正を 2026 年
夏頃に行い、NISA を含めた国内個人投資家からの資金流入を拡大する。
○ 投資信託の非上場株式の組入比率(公募:原則 15%まで)に係る上限超過
時の対応が柔軟化した資産運用業協会の規則改正(2026 年4月)の周知・
浸透を通じて、スタートアップを含む非上場株式を組み込んだ公募投資信
託の組成を促進する。さらに、顧客保護に留意した上で、プライベート資
産に特化した新たな投資信託の枠組を整備する。
○ 加えて、スタートアップが上場した後においても地域金融機関等の投資専
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「VCRHs(Venture Capitals: Recommendations and Hopes)
」は、公正価値評価に基づくファンド財務情
報の提供や受託者責任・ガバナンス等(Recommendations:推奨される事項)
、スタートアップの成長に資す
る経営支援やフォローオン投資を含む資本政策支援等(Hopes:期待される事項)から構成される。
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門会社を通じた追加出資を可能とするための規制緩和により、スタートア
ップへの資本性資金の供給を促し、クロスオーバー投資を促進する。
⑥独占禁止法に基づく議決権保有制限の見直し
○ 我が国のベンチャーキャピタル(VC)ファンドへの出資の3割程度を占
める銀行等による資金供給を拡大する観点から、銀行等が投資事業有限責
任組合(LPS)の有限責任組合員(LP)となり、組合財産として議決権を
保有する場合について、現行法上 10 年間とされている議決権保有制限の例
外となる期間の撤廃及び延長について検討し、結論を得次第、速やかに所
要の措置を講ずる。
⑦資金調達時の有価証券届出書の提出免除基準の引上げ
○ 資金調達時の有価証券届出書の提出免除基準を5億円に引き上げると同時
に、少額募集制度については利用可能な調達金額を5億円以上 10 億円未満
の募集に引き上げる制度改正の浸透を通じて、スタートアップ・ファイナ
ンスにおける情報開示に係る負担を軽減する。
⑧スタートアップ新市場創出タスクフォースの拡充をはじめとした規制改革の取組
○ 事業者の声を適切に吸い上げて規制改革につなげる「スタートアップ新市
場創出タスクフォース」の周知徹底、手続期間の短縮や専門家による伴走
支援の拡充をはじめ、スタートアップの有する優れた技術等の社会実装に
向けた環境整備を推進するとともに、関係府省庁の連携を強化し、規制改
革推進会議等を通じて、スタートアップに関する迅速かつ大胆な規制・制
度改革を推進する。
⑨エンジェル税制の利用促進
○ スタートアップに対する個人からの資金供給を促す観点から、スタートア
ップ企業へ投資を行い、株式を取得した個人投資家に対して税制上の優遇
措置を行う制度であるエンジェル税制について、活用促進を図る。
⑩「日本版 DAF」
(公益法人・公益信託)の活用促進
○ スタートアップへの資金供給手段の多様化にも資するいわゆる DAF(Donor
Advised Fund)について、その受け皿となる公益法人・公益信託が社会課
題の解決に向けた民間公益活動を柔軟に展開できるようにする制度改革
(2024 年法改正)を行い、基金を設け寄附者の意思を勘案して運用や助成
を行う公益法人の事例が増加してきている。こうした国内における取組が
一層進むよう、公益法人・公益信託において、いわゆる DAF の取組が可能
であることなどを 2026 年度内にガイドラインにおいて明確化する。加え
て、様々な活用事例の創出も含めた制度の活用促進を図り、公益法人・公
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益信託への寄附の拡大、公益法人・公益信託による資産運用・助成方法の
多様化の取組を促進する。
⑪誰もが自分らしく挑戦できるインクルーシブなエコシステム形成に向けて
○ 女性起業家を含むスタートアップ関係者の人権を擁護しハラスメントに遭
いにくい環境を作るため、ハラスメントに関する相談窓口を中小機構基盤
整備機構において設置する。加えて、金融庁及び経済産業省は「ベンチャ
ーキャピタルにおいて推奨・期待される事項(VCRHs)
」に推奨事項として
ハラスメント防止を盛り込むとともに、関係業界に周知・普及を行う。さ
らに、女性起業家のエンパワーメントに向けて、女性起業家支援ネットワ
ーク形成の取組を促進することで、誰もが自分らしく挑戦できるインクル
ーシブな環境をつくり、スタートアップエコシステムの健全な発展を図る。
(2)出口の多様化
①M&A市場の活性化
○ スタートアップのM&A活性化に向けて、売り手・買い手双方が留意すべ
き事項を体系的にまとめた「M&Aガイダンス」を策定するとともに、そ
の普及を図っていく。加えて、2026 年度税制改正で拡充をしたオープンイ
ノベーション促進税制の更なる活用を含め、M&A活性化に向けた取組を
強化する。
○ 国内の大企業やスタートアップによるM&Aで子会社の株式を追加取得す
る際や、海外展開時に現地のスタートアップ企業等を買収する際に、株式
交付制度を利用可能とすることなどについて、2024 年・2025 年規制改革実
施計画に基づき、引き続き法制審議会会社法制部会において検討し、結論
を得る。
②のれんの会計処理
○ 2025 年7月に企業会計基準設定主体へ提案された「のれんの非償却の導入
及びのれん償却費計上区分の変更」について、企業会計基準設定主体にお
いて、追加で収集される情報も踏まえ、スタートアップ関係者の問題意識
が十分くみ取られ、適切な議論が行われつつ、検討プロセスが加速するよ
う、フォローする。
③プライマリー及びセカンダリー取引の活性化
○ 「スタートアップ企業等への成長資金供給等に関する懇談会」の報告書
(2025 年9月)の提言も踏まえ、プライマリー及びセカンダリー取引を行
う投資家層の拡大を図る観点から、特定投資家(プロ投資家)への移行要
件の緩和・明確化、特定投資家の要件を満たしているが移行手続を行って
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いない者(潜在的特定投資家)を特定投資家私募の相手方の範囲に追加す
ることを図り、特定投資家及び潜在的特定投資家による投資を促進する。
○ また、有価証券届出書を提出することなく特定投資家向け有価証券を譲渡
できる対象者の範囲について、これまでも認められてきた特定投資家等に
加えて、潜在的特定投資家、当該有価証券の発行会社の役職員、既存株主
及び発行会社との間でM&A等を実施する相手方を追加することにより、
スタートアップへの投資の活性化を図る。
(3)世界に伍するスタートアップエコシステムの形成とグローバルネットワークの強化
①グローバル・アクセラレーション・プログラムの強化、 J-StarX の強化
○ スタートアップが成長する際、大きな売上の確保のため海外進出が不可欠
であることから、これまで国内スタートアップに対して、世界トップレベ
ルの海外アクセラレーター等との連携プログラムを提供してきたが、中で
も海外企業との協業や海外VCからの資金調達増につながるなど多くの成
果を上げているグローバル・アクセラレーション・プログラムの「Equity
コース」
(出資を前提としたプログラム)の深化を含め、プログラム全体の
充実を図る。さらに、起業初期段階から海外展開(Born Global)を志向す
るスタートアップを育成するため、J-StarX を強化する。
②海外市場進出時の政府系金融機関(JBIC)からの資金供給促進、在外公館、JICA 及び専門家による伴走支援の強化
○ 国内の有望なスタートアップの海外市場進出を推進するべく、JBIC はじめ
政府系機関の資金供給や海外でのネットワークを活用した海外展開支援な
ど幅広い支援を行う。国際協力銀行(JBIC)は 2024 年 10 月に「スタート
アップ投資戦略」を策定し、ミドル・レイター期の優良スタートアップ企
業を投資対象として投資実績を積み重ねてきているが、今後、国内スター
トアップの海外市場獲得や大きな成長を加速するべく、国内スタートアッ
プへの資金供給や海外展開支援など金融・ビジネス両面での支援を充実さ
せる。また、海外スタートアップと、我が国企業との協業実現を支援し、
日本と海外エコシステムのつながりを強化する。
○ また、在外公館と連携し、現地の調達当局・アクセラレーター・大学・研
究者(日本人含む)
・プライム企業等の関係者と、日本側関係者とのネット
ワーキング、ピッチ、個別面談の機会創出を行う。さらには、デュアルユ
ースを含む先端技術の見極めに通じた外部専門家を在外公館に起用し、現
地での案件形成に資する伴走支援を図る。国際協力機構(JICA)を通じた
エコシステム構築や民間資金動員促進を含む多角的な支援や外国政府の政
策担当者等の招聘も積極的に進める。
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○ さらに例えば、介護系スタートアップのグローバル市場への展開を後押し
するため、VCや提携先などの国内サポーターに加えて、海外サポーター
として現地の制度やビジネスについて相談できる人材を配置し、海外ネッ
トワーク構築のための伴走支援体制を構築するための基礎情報の収集や検
討を行う。さらに、AIを活用した介護テクノロジー開発・普及促進に向
け、AIに特化した知見を有するサポーターを充実させる。
③海外VC及び海外スタートアップの誘致・連携
○ 産業革新投資機構(JIC)及び中小企業基盤整備機構等の政府系ファンドか
ら海外VCファンドに対するLP出資を拡大することを通じて、海外VC
とのネットワークの強化や、日本のスタートアップへの投資促進を図る。
さらに「国家戦略技術領域」に位置づけられている先端技術のスタートア
ップを軸に「Global Startup EXPO」を開催し、国内のベンチャーキャピタ
ルやディープテック・スタートアップ等との交流を促進することで、海外
VCからの投資拡大や日本への進出を促進する。
○ さらに、国内VCファンドが外国VCファンドと連携して、海外進出を目
指す国内スタートアップ企業に共同出資する際、これまで外国VCファン
ドにかかっていた投資運用規制について緩和を行い、我が国発スタートア
ップの円滑な海外展開を促進する。
○ 「東証アジアスタートアップハブ」の取り組みや、海外スタートアップ向
け東証上場ハンドブックである「BEYOND BORDERS」等を効果的に活用して、
アジアを含む海外の有望なスタートアップの日本進出や東証上場を推進し、
日本と海外のスタートアップエコシステムのつながりを強化する。
④スケールアップする能力の高い人材の惹き付けと、優秀な海外起業家等の呼び込みに向けた体制整備
○ 国内外の優秀でスケールアップする能力の高い起業家や投資家を我が国に
惹き付け、我が国を世界に伍するスタートアップエコシステムとする観点
から、これまでに講じた政策の効果検証を実施した上で、税制を含むスタ
ートアップに関連する政策の在り方や必要な措置について検討を進める。
○ 政府の基本方針である「外国人の受入れ・秩序ある共生のための総合的対
応策」に基づく、在留資格の適正化に向けた取組等を着実に行っていくこ
とを前提としつつ、海外からの優秀な起業家、投資家、エンジニア等の日
本への呼び込みやAIなどのデジタル技術も活用した在留審査の迅速化を
図るべく、体制整備等を着実に行う。
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(柱2)ディープテック・スタートアップの支援
(1)政府・大企業による調達の強化
①ディープテック・スタートアップの初期需要創出やスタートアップ契約など政府調達の強化
(ⅰ)初期需要創出やスタートアップ契約など政府調達の強化
○ 初期需要創出のため、スタートアップへの技術開発支援(補助等)を行う
SBIR 制度を抜本強化し、
「戦略製品・技術等政府実装加速化プログラム」な
ど政府の本格調達につなげるアンカーテナンシー型の試験導入(委託等)
の新たな枠組の創設を検討。併せて、民間企業の調達ニーズにつなげるた
め、既存の大規模技術実証支援についても見直し・拡充することを検討す
る。加えて、スタートアップが政府調達に参入しやすくするための契約等
の運用指針を策定するとともに、政府調達に向けた NEDO 等による伴走支援
体制を確立する。
○ 官公需3%13に向けた各省庁改善計画の策定やデジタルマーケットプレイ
ス(DMP)などのカタログの活用促進を行う。
(ⅱ)大規模技術実証支援の見直し・拡充
○ 大規模技術実証支援については、
令和4年度第2次補正予算において 2,060
億円を計上し、
「中小企業イノベーション創出推進事業(フェーズ3基金事
業)
」を開始した。これまで実施5省(文部科学省、厚生労働省、農林水産
省、経済産業省、国土交通省)において計 120 件のプロジェクトを採択し、
支援を進めてきたところ。引き続き、今後のスタートアップ等の研究開発
の進展や新たな社会課題に対応すべく、新たな公募を行うことも含めて、
新しい枠組の中で大規模技術実証支援の見直し・拡充も検討する。
(ⅲ)試験導入・運用の枠組みの構築
○ SBIR 制度においては、研究開発(フェーズ2)
・大規模技術実証(フェーズ
3)によって開発された技術・製品等の事業化に係る取組の一つとして政
府調達が掲げられている。一方で、スタートアップが開発した技術・製品
等について、国・地方の行政機関等としては、一度試験的に導入し評価を
行った上で判断したいとのニーズが高い。このことを踏まえ、SBIR 制度の
支援により開発されたスタートアップの新製品や新サービスについて、国・
地方の行政機関等が試験的に一定期間利用し、評価・フィードバックを行
い、事業化に向けた改良につなげる仕組みを構築する。
13
官公需法(官公需についての中小企業者の受注の確保に関する法律)に基づき、毎年度閣議決定される
「中小企業者に関する国等の契約の基本方針」において、国や独立行政法人などの国の関係機関が調達する
物件、工事、サービスについて、スタートアップを含む創業 10 年未満の中小企業からの契約比率を「3%
以上を目標とする」とされている。
13
②防衛分野におけるデュアルユース・スタートアップエコシステム形成
防衛力強化とスタートアップによるイノベーション創出の好循環を生み出
すため、防衛省と経産省が連携して研究開発から調達まで一貫した支援を開始
する。その際、防衛イノベーション科学技術研究所を通じた防衛イノベーショ
ンや画期的な装備品等を生み出す取組も推進する。
(ⅰ)防衛分野におけるイノベーション推進に向けた「ファストパス調達」
○ 先進的な技術に裏付けられた新しい戦い方が勝敗を決する現代にあって、
先端技術を迅速に取り入れるべく、優れた技術を有するスタートアップと
の随意契約を可能とするスタートアップ技術提案方式の更なる活用や、部
隊と企業が一体となってフィードバックサイクルを回し迅速な装備化を実
現する「アジャイル型調達」を促進するとともに、複数企業と同時に契約
し競争させ、運用ニーズを的確に踏まえた新技術の導入を可能とすべく今
年度から新たにディフェンステック SBIR 制度を導入する。加えて、2026 年
2月に設置した「スタートアップ活用伴走支援グループ」を活用して各自
衛隊等とのマッチングや、契約締結時の障害等を解消する伴走支援を実施
する。
(ⅱ)スタートアップ研究拠点の設置
○ スタートアップ企業等が有する先端技術を防衛分野において積極的に活用
するにあたり、スタートアップのセキュアな研究開発の場の整備を目指し
つつ、まずはスモールスタートを図るために既存施設の活用を検討する。
これにより、スタートアップの参入促進及び迅速な事業立ち上げを可能と
する。
③大企業によるイノベーション調達
○ スタートアップの製品等の社会実装を促進するため、市場創出を見据えた、
スタートアップ製品等の本格調達・購買の実現可能性を検証するための実
環境での実証、研究開発を支援する事業を通じて、ディープテック・スタ
ートアップと大企業等が共同して、性能最適化やコスト低減施策等を進め、
最終製品化、事業期間後の本格調達に繋げる。
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(2)優れた技術の事業化
①大学の優れた研究シーズに基づくスタートアップの支援
○ 優れた研究シーズに基づく大学発スタートアップの創出に向けて、海外展
開も見据えたディープテック・スタートアップの事業化支援を行う。また、
事業化人材の育成や確保、海外拠点・海外VC等との連携、スタートアッ
プへの出資を行う。さらに、大学等がハブとなってスタートアップと大企
業の協働を促進する新たなオープンイノベーションの形成により創業後の
成長支援機能を強化することで、大学発スタートアップの着実な成長を実
現し、研究力強化及び新たなスタートアップ創出につなげる好循環を構築
する。
②17 分野に重点化した研究開発支援
○ ディープテック分野は研究開発に長期間を要し多額の資金が必要になりリ
スクも高いことから、開発段階から事業化・量産化・海外展開までを見据
えた一気通貫の支援を 17 の戦略分野に重点化しつつ、抜本的に強化すると
ともに、NEDO 等による伴走支援体制を確立する。
③グローバル・スタートアップ・キャンパス構想
○ 世界から優れた人材・投資を集める呼び水となる成果を生むべく、施設の
開所に先立つ先行的活動を本格的に開始する。また、2027 年度早期の運営
法人設立に向け、政府からの出資等を含めた必要な措置を行うとともに、
拠点の施設整備に向けた基本計画を策定し、設計に取り組む。また、内外
の多様なトップレベル人材の下、世界規模の社会課題解決に資するイノベ
ーションが創出されるような組織を構築すべく、グローバルかつ卓越した
透明性の高いガバナンス体制を構築する。
<17 の戦略分野のスタートアップ支援>
17 の戦略分野のスタートアップ支援として、例えば以下の施策を実施する。
④AI分野のスタートアップ支援
○ 日本のAI開発力と産業競争力の底上げを目指して、スタートアップ等向
けの計算資源の補助、データセットの構築、ユーザー企業やVC/CVC との
マッチングの機会等を提供する「GENIAC」事業や、懸賞金型プログラム
(GENIAC-PRIZE)等を充実させる。さらに、成長の加速装置であるAIト
ランスフォーメーション(AX)の着実な実施にも資するフィジカルAI
やバーティカルAI分野等への支援も拡充する。
⑤GX・環境領域のディープテック・スタートアップに対する支援事業
○ GX・環境領域に資するスタートアップの社会実装を加速するため、新た
15
に SBIR 制度における大規模技術実証等(フェーズ3)や地域が抱える社会
的課題を同時解決するスタートアップへの資金支援の拡充、脱炭素化支援
機構(JICN)によるシード・アーリー段階への投資拡大、グリーン購入法
の活用やマッチングカンファレンスを通じたスタートアップの需要創出、
研究機関やスタートアップ等が利用しやすい環境データ基盤の整備等によ
り、起業後から事業化段階まで一気通貫した支援を実施するとともに、更
なる支援体制の強化を検討する。また、NEDO による研究開発支援・事業化
支援における資金供給にあたっては、よりグローバルでの事業展開ポテン
シャルを秘めた人材、事業者に対して、優先的に支援を行う。
⑥創薬先端医療領域のスタートアップエコシステム形成
○ アカデミアやスタートアップ発の革新的なシーズの実用化を推進するため、
開発者が開発計画段階から事業展開を見据えた開発ができるよう、革新的
医薬品等実用化支援基金や医療系ベンチャー・トータルサポート事業
(MEDISO)による支援を行うほか、創薬シーズの実用化に向けた医薬品医
療機器総合機構(PMDA)における相談体制の充実を図るとともに、拠点に
おける支援体制を強化し、新たな事業領域創出につながる戦略的な医薬品・
医療機器産業振興エコシステムの形成を行う。
⑦フードテック分野のスタートアップ支援
○ 農林水産分野における新たな成長産業領域として、フードテック分野につ
いて、民間投資を誘発するべく、民間マッチングファンド方式を含む自動
化等に資する複数年度の実証支援や、研究開発プラットフォーム等のイノ
ベーションハブにおいてオープンイノベーション等の推進を行う。
⑧フュージョンエネルギー分野のスタートアップ支援
○ フュージョンエネルギー・イノベーション戦略(令和7年6月統合イノベ
ーション戦略推進会議改定)等において、スタートアップを含めた官民の
研究開発力を強化するとされていることを踏まえ、2030 年代の発電実証の
実現に向けて、より競争力のあるシステムの実現を目指すスタートアップ
等による野心的な技術開発や SBIR 制度における大規模技術実証(フェーズ
3)を通じた要素技術開発等について資金供給も含めて強力に後押しする
とともに、トリチウム取扱い等のスタートアップ個社では対応の難しい技
術課題について、量子科学技術研究開発機構(QST)等のイノベーション拠
点における研究開発・基盤整備を推進する。
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(3)経営力の強化と伴走支援体制の充実
①スタートアップと経営人材(大企業含む)のマッチング強化
○ アカデミアや技術シーズ保有機関に対し、より有望な技術シーズの能動的
な探索・発掘を促すとともに、発掘された技術シーズについては、起業支
援、知的財産戦略、事業戦略等に係る専門人材チーム(イグニッションチ
ーム)によるワンストップ支援の実施に向けて支援を拡充する。さらに、
地域金融機関やベンチャーキャピタル等と連携し、大企業からスタートア
ップへの人材の流動化を促進する取組を強化する。
②J-Startup による 17 の戦略分野のスタートアップ指定と伴走支援
○ 「世界で戦い、勝てるスタートアップを創出する」ことを目標に、有識者
からの推薦等にもとづき、
これまで合計約 270 社を選定してきた J-Startup
は、選定企業に対して、各種補助金における優遇等の政府支援に加え、民
間企業「J-Startup Supporters」との連携支援などの取組を実施してきた。
17 の戦略分野のスタートアップを中心にユニコーン級のスタートアップ創
出に向けて、更新制や公募の導入などを含む J-Startup 制度の見直しを行
うとともに、J-Startup 選定企業のスケールアップに向けた集中支援・伴走
支援の在り方について検討を加速する。また、J-Startup 地域版は、対象地
域を全国に拡大し、地域未来戦略との連携を図る。
③競争優位性を実現するビジネスモデルとそれに連動した知財戦略の構築支援
○ ディープテック領域のスタートアップは、その技術力が競争優位性の源泉
であり、国際競争力強化に向けて知財戦略支援の重要性が高まっているこ
とを踏まえ、シード・アーリー期のスタートアップに対して、ビジネス・
知財の両面から支援するプログラムを強化する。さらに、VCやアクセラ
レーター等のスタートアップ支援機関向けへの知財専門家の派遣を拡充す
る。
④産総研(AIST Solutions)による伴走支援
○ 量子・AI、バイオなど産業技術総合研究所(産総研)の研究開発成果を
いち早く社会実装するため、産総研発の成果活用等支援法人である AIST
Solutions において、従来の技術やマーケティングといったハンズオン支
援に加えて、資金供給を行うことで、技術創出から起業、成長支援をシー
ムレスに進める支援体制の検討を進める。
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(柱3)地域の経済社会を担うスタートアップの創出・育成
(1)次世代を担う起業家の育成
①アントレプレナーシップ教育の更なる充実
○ 全国の大学生・博士課程学生を対象とするアントレプレナーシップ教育の
受講機会の拡充を図るとともに、海外派遣の充実など教育の質の向上を図
る。また、起業家人材の裾野を広げる観点から、小中高段階においても、
大学、地方公共団体及び産業界等がお互いの知見を活かして連携し、学校
現場への起業家等の派遣等を行うことで、受講機会の拡充を図る。さらに、
教職員向けのプログラムの提供により、アントレプレナーシップ教育の質
の向上を図る。
②未踏/AKATSUKI/NEP による次世代起業家育成支援
(ⅰ)未踏/AKATSUKI
○ 「未踏」事業の修了生からは、現在までに約 500 人が起業又は事業化に至
った。
「5か年計画」で掲げた年間 500 人の育成規模までの事業拡大とその
先を見据えて、例えばビジネス化を前提とした「未踏アドバンスト」コー
スについて年間2度募集を行う2期制を担当するプロジェクトマネージャ
ー(PM)の確保や運用体制等の強化を図る。また各地域から未踏的な人
材を発掘する「AKATSUKI」事業について、地域間の連携や知見の共有を進
め、今後の定着・強化の方向性を検討する。
(ⅱ)NEP(NEDO Entrepreneurs Program)
○ NEDO においては技術シーズを活用した事業構想を持つ研究者・学生等に対
して、カスタマーディスカバリーを含む市場調査支援、起業・事業経験者
等によるメンタリングなど起業支援を実施してきたが、地域経済の成長や
社会課題の解決に貢献するスタートアップの創出・育成を強化するため、
地方大学・高専関係者が本事業に参入しやすいよう制度の見直しを行うと
ともに、地方大学・高専関係者への広報の強化を行う。
(2)地域におけるスタートアップの更なる創出に向けた支援
①高専発スタートアップ支援の加速化
○ これまで全国の高専に自由な発想でものづくりに取り組む起業家工房の整
備を行うなど起業に向けた環境を整えてきたが、今後、高専におけるアン
トレプレナーシップ教育の充実や高専発スタートアップの創出・成長支援
を強化する観点から、独立行政法人国立高等専門学校機構を中心とした、
高専間ネットワークを活用した支援体制を拡充する。具体的には、国立高
専機構本部にスタートアップ支援組織を設置、各高専への地域連携コーデ
ィネータの配置促進、地域課題解決に取り組む社会実装教育の強化やカリ
キュラムの体系化、さらに外部専門家による伴走支援体制の充実を行う。
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②自治体および地域金融機関と連携したローカル・スタートアップの支援
○ 創業融資には通常よりもリスクが伴うため、地域金融機関による資金供給
が限定的であり、地域におけるスタートアップの創出が進まないという課
題がある。産官学金の連携により、地域の資源と資金を活用した新規事業
立ち上げを支援する制度(ローカル 10,000 プロジェクト)について、2026
年度から、
「融資/公費」比率の見直しや公費助成上限額の増額などの制度
拡充を行い、より大きな融資を引き出しながら、地域密着型の事業の立ち
上げを一層推進する環境の整備を進める。
③スタートアップ創業時の手続負担の軽減
○ スタートアップ等の創業時、ヒト・モノ・カネ・情報が課題となるが、創
業に必要な行政手続については、府省庁及び自治体ごとに分かれており、
起業家が各機関の窓口やウェブページをそれぞれ訪問しなければならず、
多くの時間や労力を要していた。デジタル庁が提供するGビズポータルに
おいて、創業に必要な手続を集約したメニューサイト(
「手続ジャーニー」
)
を公開し、スタートアップ等を創業する際の手続負担を軽減する。さらに
今後、スタートアップ等向けの補助金や許認可などのメニュー拡充や情報
発信の強化を図り、新規参入を促進する。
④インパクトスタートアップ/ローカル・ゼブラ支援、VCや機関投資家等によるインパクト投資の拡大を通じたスタートアップへの資金供給促進
○ インパクトスタートアップ、ローカル・ゼブラを中心とした、地域経済の
循環を生み出す仕組みの事例創出に向けて、各地で企業と地域のステーク
ホルダーの連携体制を構築するソフトインフラの整備を進める。加えて、
ローカル・ゼブラに対して成長資金の円滑な供給が行われるよう、地域の
実情に合わせたファイナンスの仕組みの構築に向けたモデル地域の創出に
取り組むとともに、その成果も踏まえて資金提供者・資金調達者での対話
を進め、ガイダンスの策定を行う。
○ 更に「インパクトコンソーシアム」を通じて、スタートアップを含むイン
パクト創出企業に対するインパクト投資の手法及び市場を確立し、社会・
環境的効果(インパクト)の実現を図る事業を推進する。
○ また、行政や地域金融機関の協働等により、農山漁村地域の課題解決に貢
献するインパクトスタートアップへの伴走を推進し、社会課題解決と民間
投資の循環を創出する。
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(3)社会課題解決を牽引するスタートアップの実証・調達
①自治体によるスタートアップ調達の強化に向けた方策の推進
○ 全国各地でスタートアップが持つ先端技術の社会実装を強力に後押しする
ため、全ての都道府県及び指定都市においてスタートアップからの調達、
さらには広域的な調達を含む市町村レベルでのスタートアップからの調達
拡大が行われるよう、各自治体における4号随契14に基づく調達の実態に関
する調査を毎年度定期的に実施し、優れた調達事例についてウェブサイト
での情報発信をはじめ横展開を行う。
○ また、地方公共団体の入札契約においてスタートアップが参入しやすい運
用が行われるよう、入札参加資格の設定における下位等級者の参加が可能
となるような弾力的な運用等の促進や、国で定める「スタートアップの公
共調達の加速に向けた契約等の運用指針」の自治体への横展開を実施する。
さらに、複数自治体のニーズを統合する広域調達の仕組みや自治体におけ
る実証・導入実績を「次の顧客」につなげる仕組みの整備に向けたガイド
ライン15の改訂、4号随契の積極的な活用を促すための助言等を行う。自治
体の入札・契約制度の運用に関して、引き続き各府省庁間にて連携を行う。
○ 地域未来戦略における産業クラスターの形成に向けた取組や、スタートア
ップ・エコシステム拠点都市における取組とも連携を図りつつ、
「自治体と
地域課題解決に取組むスタートアップの官民連携に向けた実践ガイド」を
活用し、自治体における官民連携・公共調達事例創出の支援を行い、当該
事例創出までの過程をモデル化して他自治体へ横展開を行うことによって、
官民連携、公共調達の促進につなげる。加えて、デジタルマーケットプレ
イス(DMP)について事業者への広報活動やカタログ掲載のPRツール提供
を通じて登録を促し、スタートアップを含む多様な事業者の公共調達への
参入拡大を推進する。
14
地方自治法施行令第 167 条の 2 第 1 項において、
「地方自治法第 234 条第 2 項の規定により、随意契約に
よることができる場合は、次に掲げる場合とする。
」とされ、同項第 4 号において、スタートアップ等との
随意契約について、
「新商品の生産により新たな事業分野の開拓を図る者として総務省令で定めるところによ
り、普通地方公共団体の長の認定を受けた者が新商品として生産する物品を当該認定を受けた者から、普通
地方公共団体の規則で定める手続により買い入れ若しくは借り入れる契約又は新役務の提供により新たな事
業分野の開拓を図る者として総務省令で定めるところにより普通地方公共団体の長の認定を受けた者から普
通地方公共団体の規則で定める手続により新役務の提供を受ける契約をするとき」と定めている。
15
「スタートアップ等から公共調達を行う場合の知的財産の保護及び調達の工夫に関するガイドライン」
(令和 7 年 6 月策定)
20
②国家戦略特区制度を活用したスタートアップの創出・育成の促進
○ 国家戦略特区制度では、地域における成長・イノベーションの担い手とな
るスタートアップの創出・育成を促進するため、スタートアップの人材・
資金の確保に資する特例メニューや、創業手続きの円滑化を図る支援メニ
ュー等を提供してきた。それらの更なる活用を促すため、情報発信の強化
を図るとともに、スタートアップによる新産業創出や新技術の社会実装に
必要となる規制・制度改革提案を引き続き募集し、その実現を後押しする。
(4)地域における多様なプレイヤ―の連携
①スタートアップ・エコシステム拠点都市におけるスタートアップへの伴走支援体制の強化
○ 2025 年度に選定した第2期スタートアップ・エコシステム拠点都市につい
て、各拠点都市の産業特性やスタートアップの実情を踏まえ、海外展開支
援を引き続き進めるとともに、地域においてはスタートアップの経営実務
上の課題(契約に係る交渉・調整、品質管理等)を解決する人材が不足し
ていることから、これらに対応したハンズオン支援等を新たに実施する。
②地域未来戦略における産業クラスターの形成に向けた取組との連携強化
○ 地域未来戦略における産業クラスターの形成に向けた取組との連携を図り
つつ、地域の経済社会を担うスタートアップの創出・育成のため、地域未
来戦略において、都道府県(市町村が策定することも可)にて策定される
地域産業クラスター計画において、重点的な支援を講ずる企業群として選
定された、
「重点支援企業」に対して、各種スタートアップ施策においても、
優先採択等の審査上の考慮を行う。さらに、スタートアップ・エコシステ
ム拠点都市とも連携して、各省庁の関連施策により、戦略産業クラスター
計画、地域産業クラスター計画及び地場産業成長プランに位置付けられた、
地域発のスタートアップに関連した取組に対する支援を行う。
③大規模産学連携拠点の形成
○ 地域から成長産業を創出するため、イノベーションに不可欠な“知の源泉”
である大学等と産業界、自治体等が連携し、研究成果の実装化・人材育成
に取り組む大型の研究開発プロジェクト等を後押しし、産業界のコミット
の引き上げや大学改革等によって産学連携を次なるステージに進める。ま
た、国から各地域の大学等に優れた研究シーズの事業化に要する体制整備
支援・事業化支援を行い、全国各地から地域経済の成長を担う大学発スタ
ートアップの創出を図る。
21
資料11
資料8
日本成長戦略会議
スタートアップ政策推進分科会 第4回
スタートアップ経営株主への
「ミニマムタックス」強化に関する緊急調査
~ 強い経済をつくるためのスタートアップ政策と整合性ある税制改正の実現を ~
2026年5月20日
郷治 友孝
一般社団法人日本ベンチャーキャピタル協会(JVCA)会長
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「ミニマムタックス」強化はスタートアップを直撃する ─ 緊急調査結果速報
5月1日のJVCA提言公表と同時に開始した緊急アンケート調査において、1,387名の経営株主から回答(2026年5月1日〜11日13:00)。
ご報告する5つの数字は、創業者・初期株主による「「ミニマムタックス」強化への明確なNO」の意思を示している。
95.8%
96.0%
82.3%
96.8%
98.9%
企業価値向上の
国内で創業する
次に創業するなら
「ミニマムタックス」
エンジェル税制・
インセンティブが
インセンティブが
削がれる(Q9)
に入れる(Q10)
見直しが必要(Q11)
拡充では代替不能(Q14)
うち75.6%は「大きく削がれる」
うち73.6%は「大きく削がれる」
「日本国内のみ」はわずか17.7%
うち88.8%は「必要性がある」
「十分にカバーできる」は1.1%のみ
削がれる(Q7)
海外を視野
強化の
「日本版QSBS」の
2027年からの更なる「ミニマムタックス」強化は、「スタートアップ育成5か年計画」+ 本分科会の強化戦略の実現を不可能にする。
創業者・初期株主1,387名の声がそれを実証する ─ 一律適用すれば、優秀な起業家はもはや日本を選ばず、17分野等の経済安保×ディープテック創業者の空洞
化を招く。
出典: JVCA緊急アンケート調査(2026年5月1日〜11日13:00速報値, N=1,387) | 一般社団法人 日本ベンチャーキャピタル協会(JVCA)
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2
調査概要 — 異例の短期間で集まったスタートアップ「現場の声」
5月1日のJVCA提言公表と同時に開始した緊急アンケート調査(11日間で1,387件回収)
調査の目的
回答数 N=
「ミニマムタックス」強化(令和8年度税制改正)が、創業者・初期株主等のスタ
ートアップ経営株主に与える影響と、JVCA改正提言への賛否について、当事者
の率直な意見を集約する。
調査主体
一般社団法人 日本ベンチャーキャピタル協会(JVCA)
対象
スタートアップの創業者・経営者等の経営株主
回答期間
2026年5月1日〜5月11日13:00
有効回答
1,387件 (経営株主・速報集計)
公表
2026年5月14日 JVCAウェブサイト
2026年5月20日 第4回スタートアップ政策推進分科会
1387
件
当事者の関心の高さ
「ミニマムタックス」強化に対する創業者・初期株主等の強い問題意識を示している。
任意自由記述にも、多数の声が寄せられた:
● Q7 企業価値向上のインセンティブへの影響 (795件)
● Q9 国内創業のインセンティブへの影響 (643件)
● Q10 もう一度創業するなら拠点としたい海外候補地 (774件)
● Q16 見直し・税制改正に関する具体的アイデア (263件)
■ 参考 JVCAは、2019年に外為法の規制が強化(IT関連業種への事前届出対象追加)されてIT関連スタートアップの資金調達に悪影響が生じた際も、同様の緊急調査・提言を行い、翌年に法改正が実現した実績がある。
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3
Q5: 「ミニマムタックス」強化の内容を、本調査以前にご存じでしたか
令和8年度税制改正大綱(2025年12月)・改正法成立(2026年3月)から1カ月強を経た本調査時点でも、当事者の64.2%が「全く知らない/聞いた程度」と回答。2026「ミ
ニマムタックス」改正ではスタートアップ視点がまったく議論されず、『立法事実』が不十分だった表れ。
このような税制改正が、国策である「スタートアップ育成5か年計画」及びその強化戦略に不可欠の当事者抜きで決定されたことの正当性が問われる。
回答内訳
36%
37%
N=1,387
知っていた
35.8% (496件)
聞いたことがある程度
29.2% (405件)
全く知らなかった
35.0% (486件)
27%
64.2%
知っていた
聞いたことがある程度
全く知らなかった
出典: JVCA緊急アンケート調査(2026年5月1日〜11日13:00速報値, N=1,387) | 一般社団法人 日本ベンチャーキャピタル協会(JVCA)
が改正内容を「知らない/聞いた程度」と回答。重大な制
度改正がスタートアップ当事者に十分に知らされないま
ま決定された。
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4
Q6: スタートアップ経営株主が、将来の株式譲渡で本制度の影響を受ける可能性は
本調査を受け、回答者の97.8%が「自身が影響を受ける」と認識(調査前は64.2%が改正内容を「知らない/聞いた程度」)。「ミニマムタックス」の強化(2027年1月施
行予定)は、「影響は超富裕層に限られる」「影響を受ける人数は少ない」「経済への悪影響は小さい」との説明を前提に進められてきたが、本調査結果はその説明と
乖離している。
59.9%
影響を受ける
影響を受ける可能性が高い
25.5%
影響を受ける可能性がある
12.5%
影響は受けない
59.9%
25.5%
12.5%
2.2%
影響を受ける
影響を受ける可能性が高い
影響を受ける可能性がある
影響は受けない
97.8% の経営株主が「自身が影響を受ける(可能性も含む)」と認識 ─ ごく少数の超富裕層の問題ではない。圧倒的多数のスタートアップの問題
出典: JVCA緊急アンケート調査(2026年5月1日〜11日13:00速報値, N=1,387) | 一般社団法人 日本ベンチャーキャピタル協会(JVCA)
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5
Q7: 「ミニマムタックス」強化は企業価値向上インセンティブに影響するか
95.8%が「企業価値向上インセンティブが削がれる」 ─ 大きく育てた者ほど罰される逆インセンティブ構造は、5か年計画+強化戦略の旗印『高さの
あるSU』『ユニコーン100社』を真っ向から実現不可能にする。
インセンティブが大きく削がれる
75.6% (1,049件)
インセンティブがある程度削がれる
20.2% (280件)
ほとんど影響しない
3.7% (51件)
むしろ良い方向に作用する
0.5% (7件)
Q7: 795件の自由記述から抜粋・[企業価値レンジ]併記
✓ 創業者・初期株主は、無報酬同然で長年リスクを背負い、IPO・M&A時の株式譲渡益が唯一の経済的リターンとなる。 (50
〜100億円)
✓ 政府は「高さのあるスタートアップ」創出を掲げ、SU5か年計画のもとで支援・調達・人材誘致を進めている。しかし本制
度は、まさにその政策が目指す大きな成果を実現した創業者に対し、他国と比較して突出した追加負担を課す構造である。
(10億円未満)
✓ 株式譲渡益への実効税率が実質30%へ上昇することで、企業価値を大きく実現するほど創業者の手取りが目減りする逆進的
構造となる。「世界に伍するスタートアップ」を目指す政策目標と矛盾し、リスクテイクや長期保有の動機を削ぐ。 (10億円
未満)
✓ ハードウェア系スタートアップは研究開発に長期・多額の資本投下が必要で、創業者がリターンを得るまで10年近くを要す
る。改正後は株式譲渡益3.4億円超から追加課税が発生し、長期リスクを負った創業者へのリターンが著しく損なわれる。
(50〜100億円)
✓ 今回の改正は、創業者というよりも、ユニコーン(時価総額1,500億円以上)を狙うスタートアップのCXOレイヤーにヒット
する改正。例えば、投資銀行・コンサル・総合商社といった職種から転職する場合、10年で年収機会損失2~3億円が発生し
ている層。 (300〜1,000億円)
✓ 企業価値500億円規模の上場を目指す経営者にとって、改正後は譲渡時の実効税率が約35%に達し、現行比で十数億円規模の
追加負担が発生する試算となる。「高さを出す」ほど税負担が累進的に重くなる構造は、政府のスタートアップ政策の方向
性と矛盾する。 (10億円未満)
✓ 現在プレマネー約20億円弱のスタートアップを経営しており、IPO時の譲渡益は改正後の追加負担発生ライン(約3.4億円)
を大幅に超える見込みです。創業リスクを取った対価への課税強化は、起業インセンティブを著しく損ないます。 (10〜50
億円)
✓ スタートアップ創業は「成功確率は低いが、成功時のリターンは極大」というリスク・リターン構造で成立しており、今般
の改正により(株式譲渡益への実効税率が最大35%まで上昇し、累進的に?)追加負担が重くなることで、大きく挑戦するイン
センティブを構造的に削ぐのではと思います。 (100〜300億円)
✓ 当社は2030年に時価総額¥1,000億円+を目指し、世界的ブランド創造企業を目指している。本制度強化により、Exit時の実
効税率が約35%と国際的に突出した水準となり、長期にわたる極端なリスクテイクの経済合理性が大きく損なわれる。 (50〜
100億円)
✓ 上場やM&Aでしかリスクの対価を回収できないのが創業者としての実態です。譲渡益段階で実効税率30%超に跳ね上がるな
ら、何年も無給に近い水準で全財産と人生の時間を賠けて事業を伸ばす動機が薄れます。
出典: JVCA緊急アンケート調査(2026年5月1日〜11日13:00速報値, N=1,387) | 一般社団法人 日本ベンチャーキャピタル協会(JVCA)
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6
Q8: 回答者である経営株主のスタートアップの現在の企業価値分布
回答者の30.4%は企業価値10億円未満、55.1%は10〜100億円のレンジ。今般の「ミニマムタックス」強化は、大型スタートアップだけではなく、これからの成長を担
う幅広い裾野のスタートアップ経営株主が懸念している。
600
回答者構成
556
500
400
30.4%
407
300
55.1%
180
200
10億円未満
これから「高さ」を出していく
挑戦中の創業者
10〜100億円
「拡大再生産」の中核を担う層
134
100
49
11
0
10億円未満
10〜50億円
50〜100億円
100〜300億円
300〜1,000億円
出典: JVCA緊急アンケート調査(2026年5月1日〜11日13:00速報値, N=1,387) | 一般社団法人 日本ベンチャーキャピタル協会(JVCA)
14.5%
100億円超
うち1,000億円超の大型SUも11
社
1,000億円以上
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7
企業価値セグメントごとの回答結果の分析
Q8(企業価値) × Q5/Q9/Q10/Q11 — 看過できない4つの傾向
小規模(10億円未満)から大型スタートアップ(1,000億円超)まで全セグメントで「インセンティブが大きく削がれる」と訴え。特に見過ごせないのは、5か年計画やその強
化戦略が育てるべき層ほど日本を離れる選択肢を真剣に検討していること。規模が大きくなるほど米国での起業志向が強まる傾向(10億円未満22%→1,000億超55%)。
① 認知の格差 ─ 「未だ高さを出していない層」ほど知らない
② 日本離れ志向の強まり ─ 「高さを出す」企業ほど海外を選ぶ(濃色は米国)
Q5「『ミニマムタックス』強化を知っていた」割合(企業価値別)
Q10「もう一度創業するなら拠点としたい海外候補地」を挙げた割合(うち濃色=米国)
10億円未満
27.0%
10億円未満は
50〜100億円
42.8%
56.0%
27.0%
54.5%
vs 300〜1,000億円層: 63.3%
10〜50億円
100〜300億円
300〜1,000億円
1,000億円以上
32.0%
63.3%
10億円未満
48.2%
1,000億円以上:
50〜100億円
67.2%
72.7%
57.4%
10〜50億円
61.2%
100〜300億円
71.4%
300〜1,000億円
72.7%
1,000億円以上
企業規模が大きいほど日本ではなく米
国での起業志向が増加
本制度は当事者である小・中規模スタートアップに知らされないまま進んだ。
企業価値が大きいほど海外創業志向が高まり(48%→73%)、特に米国シェアが急増(22%→55%)。
③ 国内創業インセンティブ削減 ─ 大型ほど直撃感が強い
④ 見直しの必要性 ─ 全規模で90%超が必要と回答
Q9「大きく削がれる」+「ある程度削がれる」と回答した割合(企業価値別)
Q11「見直す必要性がある」+「ある程度ある」と回答した割合(企業価値別)
10億円未満
97.5%
100〜300億円層:
50〜100億円
96.1%
97.8%
97.8%
81.8%
1,000億円以上は81.8% (n=11)
10〜50億円
100〜300億円
300〜1,000億円
1,000億円以上
95.3%
91.8%
「高さを出した」企業ほど、国内創業を続ける動機が削がれている。
10億円未満
97.1%
100〜300億円層:
50〜100億円
95.0%
97.0%
97.0%
81.8%
全レンジで90%前後の高水準
97.8%
10〜50億円
100〜300億円
95.9%
300〜1,000億円
1,000億円以上
規模を問わずスタートアップ経営株主の総意である。
出典: JVCA緊急アンケート調査(2026年5月1日〜11日13:00速報値, N=1,387) | 一般社団法人 日本ベンチャーキャピタル協会(JVCA)
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8
Q9: 「ミニマムタックス」強化は国内創業のインセンティブに影響するか
96.0%が「国内創業インセンティブが削がれる」 ─ 国際的に突出して重い課税は、5か年計画+強化戦略のKPI『SU10万社』『アジア最大のSUハブ』
の母数を遠ざける。AI・半導体、量子、資源・エネルギー、防衛、宇宙、バイオ等のディープテック創業者が海外移住すれば、技術と納税者の双方
を失う。
国内で創業するインセンティブが大きく削がれる
73.6% (1,021件)
国内で創業するインセンティブがある程度削がれる
22.4% (311件)
ほとんど影響しない
3.7% (51件)
むしろ国内創業を促す方向に働く
0.3% (4件)
Q9: 643件の自由記述から抜粋・[企業価値レンジ]併記
✓ 日本の起業エコシステムは「成功した起業家が次の起業や投資に資金を循環させる」構造で成り立つ。改正案の最高35.63%
は、米国QSBS非課税・シンガポール非課税等と決定的に乖離し、起業家は売却前の海外移住に強いインセンティブを持つ。
エンジェル投資家層も同様。 (10〜50億円)
✓ 改正後はスタートアップ株式の譲渡所得が最高35.63%課税となり、シンガポール・香港など創業者に有利な税制を持つ国々
と比べて著しく不利となる。 (10億円未満)
✓ 実効税率30%は米国QSBS(最大1,000万ドル非課税)、シンガポール・香港(キャピタルゲイン非課税)と比べ著しく不利な水
準となる。創業者・連続起業家の居住地・創業地選定において、税制要因が国外を選好する方向に作用する。 (10億円未満)
✓ EXIT時の税負担が最大35.63%まで上がるため、野心的な起業家ほど海外法人化や移住を選ぶ合理性が増し、国内で創業する
うま味が薄れます。スタートアップスタジオ側は組める優秀なファウンダー候補が減り、案件ソーシングや共同創業の母集
団が細る点がネガティブです。
✓ 日本市場特化型でない領域(AI・グローバル展開可能事業等)を選ぶ場合、シンガポール(譲渡益非課税)・米テキサス州
(実効23.8%)との税制差は決定的に作用する。 (10〜50億円)
✓ 創業者は、うまくいけばいずれにしても「大金持ち」ではあり、金額は大きいが、インセンティブへの感応度は高くないの
ではないか。むしろ、ユニコーン規模の企業を作るのに必要なCXOクラスの採用に影響が出るであろう。 (300〜1,000億円)
✓ 日本独自の突出した高税率は、世界で戦う起業家にとって致命的な参入障壁です。出口での実効税率が35%に達する制度下
では、創業時から海外を拠点にするほうが合理的であり、優秀な人材や資本の国外流出は避けられません。 (10〜50億円)
✓ 問題は2つあります。1つ目は起業家本人の意欲低下です。資産形成後は金銭以外の動機が強まるため自身の儲けは妥協でき
ても、死後に税金で家族へ資産を残せないことは辛いと感じます。2つ目は国内外の新規起業家の意欲を削ぐことです。 (50
〜100億円)
✓ シンガポール・米国(QSBS活用)・UAE等と比較し、日本の創業者課税は際立って重い水準となる。グローバル人材獲得
競争において、優秀な共同創業者・初期メンバーが日本拠点を選ぶ理由が一段と乏しくなる。 (10億円未満)
✓ 譲渡益が国際比で突出して重く課税されると、起業家にとって国内で次の挑戦に踏み切る動機は確実に削がれます。私自身
は日本が好きで、日本に拠点を置き続けたい思いですが、リスクとリターンが釣り合わない構造が続けば、特に若い起業家
ほど国外を選ばざるを得ません。
出典: JVCA緊急アンケート調査(2026年5月1日〜11日13:00速報値, N=1,387) | 一般社団法人 日本ベンチャーキャピタル協会(JVCA)
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9
Q10: もし、もう一度創業するとしたら、どこを拠点としたいか
「国内のみ」はわずか17.7%、82.3%が海外を視野 ─ 5か年計画+強化戦略の核心『日本を世界有数のSUハブに』を、当事者が真っ向から否定する構図。
17.7%
63.5%
18.7%
(246件)
(881件)
(260件)
日本国内で創業したい
今のところ日本国内
海外で創業したい
だが税制次第では
海外移住を検討する
82.3% の経営株主が、海外創業 もしくは 税制次第で海外移住を選択肢に。 「ミニマムタックス」強化のため起業家獲得の国際競争で日本
が劣勢になる現実。
出典: JVCA緊急アンケート調査(2026年5月1日〜11日13:00速報値, N=1,387) | 一般社団法人 日本ベンチャーキャピタル協会(JVCA)
Copyright © Japan Venture Capital Association all rights reserved. 10
Q10(続): 創業希望国 × 企業価値 × 海外候補地 ─ 三層クロス解析
3つの回答グループごとに、企業価値レンジ別の海外候補地選好を集計。「税制次第で海外」(881人・最多層)・「海外で創業したい」(260人)はいずれも企業価値
セグメントが上がるほどシンガポール・米国併記率が顕著に上昇 ─ 「ミニマムタックス」強化が「海外移住スイッチ」を押すリスク層が定量的に可視化される。
A. 日本国内で創業したい
246人 (17.7%)
海外候補地記入率: 0% (海外
言及なし)
全体: 創業希望国の構成
n=1,337 (Q8企業価値レンジ別 計)
企業価値レンジ
回答数
A
B
C
10億円未満
407
23%
59%
10〜50億円
556
16%
50〜100億円
180
100〜300億円
B. 税制次第で海外も検討 881人 (63.5%)
C. 海外で創業したい 260人 (18.7%)
海外候補地記入率: 約63% (中位~高位帯ほど高率)
海外候補地記入率: 約84% (具体地名の併記が一般化)
企業価値レンジ
人数
企業価値レンジ
人数
シンガポール
米国
企業価値レンジ
人数
シンガポール
米国
18%
10億円未満
92人
10億円未満
241人
32%
27%
10億円未満
74人
35%
35%
64%
20%
10〜50億円
89人
10〜50億円
354人
36%
26%
10〜50億円
113人
51%
40%
15%
68%
17%
50〜100億円
27人
50〜100億円
123人
46%
28%
50〜100億円
30人
53%
60%
134
15%
70%
15%
100〜300億円
20人
100〜300億円
94人
48%
27%
100〜300億円
20人
50%
60%
300〜1,000億円
49
14%
63%
22%
300〜1,000億円
7人
300〜1,000億円
31人
45%
48%
300〜1,000億円
11人
45%
55%
1,000億円以上
11
27%
64%
9%
1,000億円以上
3人
1,000億円以上
7人
71%
71%
1,000億円以上
1人
0%
100%
※ 規模拡大とともにシンガポール・米国併記率が顕著に上昇。
50億円以上層から海外候補地を具体的に検討中の起業家が増加。
※ 50億円以上層から米国に集中。300億円超では米国内でシリコン
バレー・デラウェア・テキサス等の具体地名の言及が顕著。
【全体傾向】シンガポール・米国が群を抜く。両国は戦略的に税制を含め起業環境を整備。海外候補地名を自由記述で併記した人の割合はA:0% / B:63% / C:84%であるところ、A・B・C各表のシ
ンガポール・米国の数値は各企業価値レンジごとの併記率(%)。
【企業価値レンジ別】規模が大きいほど米国希望比率が高まる(B:1,000億円超で71%、C:50〜300億円超で60%以上)。100億円超ではシンガポール・米国併記が一般化し、5か年計画+強化戦略が
育てるべき高い企業価値セグメントほど、日本を離れる選択肢を真剣に検討する構図が浮かぶ。
出典: JVCA緊急アンケート調査(2026年5月1日〜11日13:00速報値, 経営株主N=1,387) | 注: 国・地域は自由記述からキーワード抽出により集計(Q8空欄の回答者は除く。複数候補地併記の場合は各々カウント。)
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Q10続|国際比較: 起業家が20億円の譲渡益を得た場合の各国の税額
改正後の日本は主要8カ国・地域で最も重い 6.5億円(実効税率32.5%) ─ シンガポール・テキサスは0円。米国QSBS・英国・中国・シンガポール等は
成功する起業家を税制で支援する中、日本だけが税制上「成功する起業家を罰する」国に。
「ミニマムタックス」の見直しがなければ、日本よりもシンガポールや米国(Q10)が選ばれることになるのは至極合理的な成り行きである。
改正後の日本は世界の起業ハブと比べて最も不利な税制となる ─ 5か年計画+強化戦略の核心『日本を世界有数のSUハブに』と論理的に両立しな
い ─ 経済安保・ディープテック空洞化のリスクが顕在化。
出典: JVCA提言_参考資料(2026年5月1日) / 国税庁・財務省・各国税務当局公表資料を基にJVCAにて整理 | 注:譲渡価額20億円・取得価額0円・5年超保有・各国税務居住者前提・為替1ドル=150円/1ポンド=190円/1ユーロ=163円。
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(前頁続) 国際比較の前提条件・各国計算根拠・出典
前頁の各国・地域の税額シミュレーション(20億円の譲渡益に対する税額)で用いた共通前提・各国計算根拠・出典の詳細を以下に記載。
【共通前提】各国・地域に共通して用いた仮定
【各国・地域ごとの計算根拠】税率・控除等の適用方法
譲渡価額(売却額):20億円
シンガポール:譲渡益課税なし(税率0%)
取得価額・譲渡費用:0円(創業者であり、設立時の出資金は極めて低額であるため無視)
米国・テキサス州:州税なし。QSBSによる22.5億円の控除(OBBBAによる拡張後)により、連邦税の課税
保有期間:5年以上
対象額は0円
居住・課税:起業家本人が各国の税務居住者であり、全世界所得に対して課税される立場であると仮定
資産の取扱い:譲渡対価の全額を個人資産として手元に残すと仮定
為替レート:1ドル=150円、1ポンド=190円、1ユーロ=163円
譲渡価額の設定根拠:
日本のスタートアップの上場時時価総額約100億円 × 起業家の平均保有株式割合約20%(出典: 経済産業
省「第2回スタートアップ政策推進分科会」p.1、「我が国における健全なベンチャー投資に係る契約の主たる留意事項」増
補版 p.3)
米国・カリフォルニア州:州税の税率13.3%、QSBS(OBBBA)による連邦税はテキサスと同じく0円
インド:Long-term Capitalに対する税率12.5%を全額に適用。徴収税額にさらに15%の付加税と4%のCESS
を適用
中国:非上場の株式譲渡益にかかる税率20%を全額に適用
英国:1.9億円分はBADRを適用、税率は18%。残り18.1億円に対しては通常のCapital Gain Taxの24%を適用
日本(現行):現行のミニマムタックスを適用し、3.3億円の控除を行った上で税率22.5%を適用。加えて譲渡
益全額に対し住民税5%を適用
日本(改正後):新しいミニマムタックスを適用し、1.65億円の控除を行った上で税率30%を適用。加えて譲
渡益全額に対し住民税5%を適用
【出典】 各国・地域の税制根拠資料
シンガポール: IRAS “Gains from sale of property, shares and financial instruments” / 米国・テキサス州: IRS “Topic no. 409, 559”、CONGRESS.GOV “H.R.1 (OBBBA)”
米国・カリフォルニア州: FTB “2025 California Tax Rate Schedules”、“2025 Instructions for Form FTB 5805F”、“2024 Supplemental Guidelines” p.10 / インド: Income Tax Department “Capital Gains”、Government of India “Memorandum
Explaining the Provisions in the Finance Bill, 2026” p.3
中国: 国家税務総局「中华人民共和国个人所得税法」第三条(三) / 英国: Gov.UK “Capital Gains Tax: what you pay it on, rates and allowances”、“Business Asset Disposal Relief”、“Policy paper Capital Gains Tax — rates of tax” / 日本: 国税庁
「極めて高い水準の所得に対する負担の適正化措置について」、財務省「令和8年度税制改正の大綱の概要」
出典: JVCA提言_参考資料(2026年5月1日) / 上記各国税務当局公表資料を基にJVCAにて整理
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Q11: 「ミニマムタックス」課税強化を見直す必要があると思うか
96.8%が見直しの必要性を支持(うち88.8%は『見直す必要性がある』)。これはごく一部の声高な人たちの意見ではなく、スタートアップ経営株主の総意である。
回答内訳
見直す必要性がある
96.8%
見直し必要
見直す必要性がある
見直す必要性がある程度ある
見直す必要性はあまりない
見直す必要はない
88.8% (1,231件)
見直す必要性がある程度ある
8.0% (111件)
見直す必要性はあまりない
1.4% (19件)
見直す必要はない
1.9% (26件)
見直しを否定する声は3.2%(45件)のみ。スタートアップ政策との整合性確保のた
めの税制改正は、当事者の総意である。
出典: JVCA緊急アンケート調査(2026年5月1日〜11日13:00速報値, N=1,387) | 一般社団法人 日本ベンチャーキャピタル協会(JVCA)
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Q12: JVCA改正案① 『「ミニマムタックス」適用除外』への希望度
92.1%が『強く希望する』、6.3%が『ある程度希望する』 ─ 合計98.4%が支持。創業者・初期株主等のスタートアップ株式譲渡益への懲罰的課税の除外は、当事者の
圧倒的なコンセンサスである。
内訳
98.4%
が JVCA改正案① を希望
(『強く希望する』93.0% + 『ある程度希望する』5.4%)
強く希望する
92.1% (1,277件)
ある程度希望する
6.3% (88件)
あまり希望しない
1.0% (14件)
希望しない
0.6% (8件)
【JVCA改正案①の骨子】 創業者・スタートアップを支援する個人が、設立後一定期間内に取得した特定スタート
反対は実質1.6%(22件)のみ
アップ株式等を5年超保有した後の譲渡所得について、「ミニマムタックス」の適用対象から除外。 3年程度の時
限措置として効果検証を併設。
出典: JVCA緊急アンケート調査(2026年5月1日〜11日13:00速報値, N=1,387) | 一般社団法人 日本ベンチャーキャピタル協会(JVCA)
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Q13: JVCA改正案② 『再投資不要の米国QSBS型 譲渡益非課税枠』への希望度
98.1%が支持(『強く希望する』87.7% + 『ある程度希望する』10.4%)。米国QSBS型の積極的インセンティブは、起業家獲得の国際競争で日本が選ばれ続けるための
5か年計画強化戦略に盛り込むべき『攻めの一手』であり、当事者からも強く求められている。
内訳
98.1%
が JVCA改正案② を希望
(『強く希望する』87.7% + 『ある程度希望する』10.4%)
強く希望する
87.7% (1,217件)
ある程度希望する
10.4% (144件)
あまり希望しない
1.3% (18件)
希望しない
0.6% (8件)
【JVCA改正案②の骨子】 米国QSBS(IRC §1202)を参考に、再投資要件を付さず、創業者・初期株主等の保有株
反対は実質1.9%(26件)のみ
式の譲渡益について、取得価額×10倍 又は 一定額(例:20億円)のいずれか大きい金額までを非課税。改正案①と併
用可。
出典: JVCA緊急アンケート調査(2026年5月1日〜11日13:00速報値, N=1,387) | 一般社団法人 日本ベンチャーキャピタル協会(JVCA)
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Q14: エンジェル税制・「日本版QSBS」の拡充で影響をカバーできるか
98.9%が『カバー不能/限定的』と回答。一部に見られる「既存制度の拡充で対応可能」という主張は、当事者である創業者・初期株主等の評価とは真逆である。両制
度の趣旨・設計は「ミニマムタックス」強化の打撃を中和する仕組みではない。
回答内訳
それぞれ制度趣旨が異なるためカバーできない
98.9%
カバーできる部分は限定的にとどまる
74.6% (1,035件)
24.3% (337件)
カバー不能 / 限定的
十分にカバーできる
それぞれ制度趣旨が異なるためカバーできない
カバーできる部分は限定的にとどまる
十分にカバーできる
0.9% (8件)
『十分にカバーできる』はわずか1.1%(15件)。当事者の98.9%は『不可能 / 限定的』
と評価しており、既存制度の拡充では本質的解決にならない。
出典: JVCA緊急アンケート調査(2026年5月1日〜11日13:00速報値, N=1,387) | 一般社団法人 日本ベンチャーキャピタル協会(JVCA)
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Q15: なぜ「エンジェル税制」「日本版QSBS」の拡充ではカバーできないのか
「制度趣旨が異なる」(88.3%)、「再投資前提では追加負担を中和できない」(64.6%)、「両制度とも利用実態からインパクトに乏しい」(56.8%) ─ 当事者は既存制度
の構造的な限界を的確に指摘している。
① 制度趣旨そのものが異なる
エンジェル税制はエンジェル投資の拡充が目的であり、創業者・初期株主の譲渡益課税の緩和を目的とする制度ではない
② 「日本版QSBS」は中和効果なし
米国QSBSと異なり、「日本版QSBS」は再投資が前提。創業者の現金支出不要での譲渡益への直接的な非課税効果がない
③ 両制度とも利用実態からインパクトに乏しい
エンジェル税制(年間利用 2022年度118億円程度)、「日本版QSBS」とも、「ミニマムタックス」強化の負担増を吸収する規模感ではな
い
88.3%
(1,211件)
64.6%
(886件)
56.8%
(779件)
Q15: 自由記述68件から抜粋 — スタートアップの当事者が指摘する構造的課題
✓ 通常創業者の取得価額は額面ベースで極小(1株1円~数百円)のため、日本版QSBSを「取得価額×10倍」型に拡充しても創業者個人の非課税枠は実額で数百万円規模にとどまり、数億円超の譲渡益への便益は構造的にほぼ機能しない。
✓ 日本版QSBSの再投資非課税枠は生涯20億円が上限であり、5か年計画が掲げるユニコーン100社水準の創業者EXIT(譲渡益数十億〜百億円超)には金額レンジが根本的に不足している。エンジェル税制の年間上限も同様。
✓ そもそも「ミニマムタックス」と「エンジェル税制/日本版QSBS」は、解決する課題も機能も全く異なる制度であり、後者の拡充で前者の影響を相殺できるという主張は論理的に成立しない。
✓ 創業者・初期株主は自社株を売却して初めて流動性を得る立場であり、再投資要件付き制度を使うには「Exitで得た現金を再びリスク資産に拘束する」必要がある。これは生活基盤・次なる挑戦のための原資確保という創業者の合理的行動と矛盾する。
✓ 米国QSBSは創業者本人を直接対象とし「再投資不要・即時非課税」で設計されているのに対し、日本の現行制度はいずれも「再投資」または「投資家側」を起点とする設計であり、起業家獲得の国際競争において日本が選ばれるための直接的インセン
ティブとして機能しない。
出典: JVCA緊急アンケート調査(2026年5月1日〜11日13:00速報値, N=1,387) | 一般社団法人 日本ベンチャーキャピタル協会(JVCA)
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Q16: 見直しや税制改正に関する具体的アイデア (自由記述 263件)
JVCAの改正提言①②に賛同する声に加え、税制改正プロセスの透明化、「スタートアップ株式譲渡益のミニマムタックス計算対象からの除外」「初期保有株式エグ
ジット控除」「創業者向け軽減税率」など、より踏み込んだ意見も多い。スタートアップ政策の本気度を税制で示すべきという声が支配的。
✓ 創業者株式の譲渡益は長年のリスクテイクの果実であり、富裕層の運用益と同列に扱うべきでない。控除半減・税率30%へ
の一括強化ではなく、対象除外か段階的発動を求める。あわせて米国型に近い日本版QSBS本格導入と、再投資分の非課税化
を一体で措置すべきである。 (10〜50億円)
✓ 創業者の出口課税問題は、入口(エンジェル税制)でも循環(再投資型QSBS)でも解決し得ず、出口側の制度でしか対応で
きない。JVCA提言に加え、QSBS非課税枠の50億円拡大、創業者向け軽減税率15%、国内再投下分の完全非課税化を併設す
れば、500億円Exitでもシンガポール等との格差を約150億円から50億円に圧縮可能となる。 (10億円未満)
✓ ①米国QSBS(IRC §1202)に類する制度導入:5年以上保有の未上場創業者株について、一定額(例:譲渡益5億円まで)を非課税
✓ ミニマムタックス強化は撤回すべき。実効税率35%は国際的に懲罰的で、SU5ヵ年計画と整合しません。最低限、特定スタ
とする。②同§1045型ロールオーバー規定:譲渡益を一定期間内に他のスタートアップへ再投資した場合、課税繰延を認める。
ートアップ株式は適用除外とすべきです。税制改正だけで終わらせず、投資契約慣行の公正化を両輪で議論すべき。創業者
③長期保有優遇:10年超保有株式に対し税率軽減。 (10億円未満)
の挑戦意欲を実質的に削ぐのは、優先株の残余財産分配条項や取締役会拒否権等の契約慣行です。
✓ 最低限の見直しとして、①スタートアップ株式譲渡益をミニマムタックスの計算対象から除外する「創業株式特例」の創設
、②特別控除額を現行3億3,000万円以上に引き上げ(少なくとも2023年制度水準の維持)、の二点を求めます。なお、エン
ジェル税制・QSBSの拡充は補完策にはなり得ますが、「成長の果実への重課」という構造問題の代替にはなりません。 (10
億円未満)
✓ 第一に、創業者・初期株主が一定要件下で取得した株式の譲渡益はミニマムタックスの適用から除外すべきです。第二に、
米国QSBSを参考に、再投資を条件としない非課税枠を導入し国際的競争条件を揃えるべきです。第三に、長期保有株式の譲
渡益は保有年数で按分する平準化措置が不可欠です。 (10〜50億円)
✓ 米国QSBSを参考に、①再投資不要の創業者向け非課税枠の創設、②保有期間に応じた段階的軽減税率の適用、③防衛・宇宙
等の国家戦略領域における特別控除の拡充を提言する。ハードウェア系スタートアップは開発に10年近くを要し、創業者リ
スクに見合うリターンが不可欠。米国人創業者を擁する立場から、国際的に説明できる税制水準を強く求める。 (50〜100億
円)
✓ 提案は4点。①スタートアップ株式の譲渡益をミニマムタックス対象から完全除外。②米国QSBSに準じた再投資要件なしの
創業者非課税枠を新設(5年保有・上限あり)。③未上場期の含み益課税は採用せず譲渡時実現課税を堅持。④保有期間に応
じた税率逓減で長期保有を奨励。 (10〜50億円)
✓ 米国QSBSに倣った「初期保有株式エグジット控除」の創設を提案する。「取得時に未上場スタートアップ該当」「保有期間
一定以上」「創業者・初期参画者」の3要件を満たす株式の譲渡益を、ミニマムタックス計算基礎から一定額まで除外する仕
組み。 (50〜100億円)
✓ 創業者・初期株主が実質的に原始取得した非上場株式の譲渡所得を基準所得金額から除外すべき。エンジェル税制非課税枠
と同じ思想の拡張であり、5年以上保有・適格中小企業要件で対象は限定される。 (50〜100億円)
「報われない国でもう一度創業することはない」 ─ 当事者の声は、JVCAの提言の正当性を裏付けている。
出典: JVCA緊急アンケート調査(2026年5月1日〜11日13:00速報値, N=1,387) | 一般社団法人 日本ベンチャーキャピタル協会(JVCA)
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JVCAからの政策提言 ─ 令和9(2027)年度税制改正で実現すべき2つの措置
1,387名の経営株主の声に裏付けられた、スタートアップ政策との整合性ある税制改正
提言①
提言②
特定スタートアップ株式等の「ミニマムタックス」適用除外
再投資不要の米国QSBS型 譲渡益非課税枠の創設
● 創業者・スタートアップを支援する個人が、設立後一定期間内に取得した『特定
● 米国QSBS(IRC §1202)を参考に、再投資要件を付さない、創業者・初期株主等
スタートアップ株式等』を5年超保有した後の譲渡所得について、「ミニマムタック
向けの株式譲渡益非課税枠を創設。
ス」強化の適用対象から除外。
● 非課税枠は、取得価額×10倍 又は 一定額(例:20億円)のいずれか大きい金額まで(
● 対象法人は、研究開発・雇用拡大その他の成長投資を継続する一定の要件を満た
米国QSBSは1,500万ドル≒22.5億円)。
す内国法人。
● 5年以上の保有を要件とし、対象株式・対象法人は提言①と同様。提言①と併用
● 資産管理会社経由・実質的に租税回避目的の取引等は適用対象から除外。
可能。
● 3年程度の時限措置とし、その間の検討・効果検証を法令上明示。
● 国際的な起業家獲得競争で日本が選ばれ続けるための『攻めの一手』。
緊急調査での支持: 98.4%(『強く希望』92.1% +『ある程度希望』6.3%)
緊急調査での支持: 98.1%(『強く希望』87.7% +『ある程度希望』10.4%)
両提言は併用可能。スタートアップ育成5か年計画の実効性を担保し、優秀な起業家が日本で挑戦し続ける環境を整える基盤となる。
出典: JVCA緊急アンケート調査(2026年5月1日〜11日13:00速報値, N=1,387) | 一般社団法人 日本ベンチャーキャピタル協会(JVCA)
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結論 ─ 強い経済をつくるためのスタートアップ政策と整合性ある税制改正の実現を
2027年からの更なる「ミニマムタックス」強化は『スタートアップ育成5か年計画』+ 本分科会の強化戦略の実現性を根底から否定する税制 ─ スタートアッ
プ経営株主1,387名への本緊急調査結果に基づく令和9(2027)年度税制改正でのご対応のお願い
成功する起業家を税制で最も罰する国
─ スタートアッ
①『立法事実』が不十分
②
③ の空洞化の阻止を
にしない ─ 起業家の空洞化の防止を
プの現場を中核に据えた税制改正を
経済安保 × ディープテック創業者
1,387名の97%超が見直しを支持、98%超がJVCA改正案
82.3%がシンガポールや米国などでの海外創業を視野。
98.9%がエンジェル税制・日本版QSBS拡充では『カバー
①②を希望。2026年度「ミニマムタックス」改正ではSU
米国・英国・シンガポール・中国・インド等は成功する
不能/限定的』と評価。特にAI・半導体、量子、資源・エ
視点がまったく議論されず『立法事実』が不十分だった
起業家を税制で支援する中、このままでは日本は主要
ネルギー、防衛、宇宙、バイオ等17分野のディープテッ
中、手遅れになる前に5か年計画+強化戦略に不可欠の当
国・地域の税制の中で最も「成功する起業家を罰する」
ク創業者が海外移住すれば、技術と納税者の双方を失う
事者を中核に据えた税制改正を行い得るかが問われる。
国に。5か年計画+強化戦略の核心『日本を世界有数の
─ 経済安保上の致命傷。
SUハブに』『高さのあるSUの創出』と論理的に両立し
ない。
本緊急調査結果を踏まえて ─ 政府・本分科会へのお願い
① 本緊急調査結果及び本提言の趣旨を、本分科会及び日本成長戦略会議のとりまとめ、並びに「骨太の方針」に反映いただくこと
② 今夏に高市総理が初めて表彰式に臨み10回目を迎える「日本スタートアップ大賞」までに、本件方向性を総理からスタートアップに向けて発信いただくこと
③ 令和9(2027)年度税制改正において、本緊急調査結果及び本税制改正提言を踏まえた措置を講ずること
出典: JVCA緊急アンケート調査(2026年5月1日〜11日13:00速報値, N=1,387) | 一般社団法人 日本ベンチャーキャピタル協会(JVCA)
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