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スタートアップ政策推進分科会 第3回

2026-04-24一次資料(出典)

議事録・配布資料の全文(政府公表資料より。要約でなく原文に基づく参照用)。

議事録

第3回スタートアップ政策推進分科会議事要旨 (開催要領) 1.開催日時:令和8年4月24日(金)17:30~19:28 2.場 所:中央合同庁舎第4号館12階全省庁共用1208特別会議室 3.出 席 者:城内 実 スタートアップ担当大臣 岩田 和親 内閣府副大臣 金子 容三 内閣府大臣政務官 小森 卓郎 経済産業大臣政務官 河西 康之 内閣官房スタートアップ創出総括官 内閣官房日本成長戦略本部事務局長代行 坂本 里和 内閣官房日本成長戦略本部事務局次長 福山 光博 内閣官房日本成長戦略本部事務局内閣参事官 井上 諭一 内閣府科学技術・イノベーション推進事務局統括官 内閣官房グローバル・スタートアップ・キャンパス構想推進室次長 菱山 大 内閣府規改革推進室次長 小山 和久 内閣府地方創生推進事務局審議官 大野 卓 内閣府公益法人行政担当室次長 深町 正徳 公正取引委員会事務総局官房審議官(企業結合担当) 井上 俊剛 金融庁企画市場局長 蓮井 智哉 デジタル庁統括官(戦略・組織グループ担当) 坂越 健一 総務省大臣官房審議官 竹林 俊憲 法務省大臣官房審議官 内藤 惣一郎 出入国在留管理庁次長 花田 貴裕 外務省経済局参事官(大使) 西條 正明 文部科学省科学技術・学術政策局長 辺見 聡 厚生労働省政策統括官(総合政策担当) 佐藤 一絵 農林水産省農林水産技術会議事務局研究総務官 菊川 人吾 経済産業省イノベーション・環境局長 鶴田 浩久 国土交通省総合政策局長 白石 隆夫 環境省総合環境政策統括官 小杉 裕一 防衛装備庁装備政策部長 芦澤 美智子 慶應義塾大学大学院経営管理研究科准教授 井上 智子 Red Capital株式会社代表取締役マネージングパートナー 岡田 光信 株式会社アストロスケールホールディングス創業者兼CEO 小川 尚子 日本経済団体連合会産業技術本部長 小澤 隆生 Boost Capital株式会社代表取締役 1 郷治 友孝 株式会社東京大学エッジキャピタルパートナーズ(UTEC)代表取締役CEO 日本ベンチャーキャピタル協会会長 藤野 英人 レオス・キャピタルワークス株式会社代表取締役社長 室伏 謙一 室伏政策研究室代表政策コンサルタント 米良 はるか READYFOR株式会社代表取締役CEO (議事次第) 1.開 会 2.議 事 (1)政府調達について (2)スタートアップ政策推進分科会とりまとめ素案について 3.閉 会 (資料) 資料1 政府調達促進パッケージ(案) 資料2 スタートアップ政策推進分科会とりまとめ素案(非公開) 資料3 第4回日本成長戦略会議(令和8年4月 22 日)資料「分野横断的課題への対 応の方向性」(スタートアップ部分抜粋) 資料4 芦澤委員提出資料 資料5 井上委員提出資料 資料6-1 小川委員提出資料① 資料6-2 小川委員提出資料② 資料7 郷治委員提出資料 資料8-1 田中委員提出資料① 資料8-2 田中委員提出資料② 資料9 藤野委員提出資料 資料10 室伏委員提出資料 ○金子内閣府大臣政務官 日本成長戦略会議の「スタートアップ政策推進分科会」第3回を開催する。 本日の議題は、お手元の資料のとおりである。 本日は田中委員が欠席である。田中委員からは御提出資料を頂いており、資料8-1、 8-2として配付している。 岩田副大臣は、別用務のため、途中参加、途中退席される予定である。また、本日は副 分科会長の経済産業副大臣に代わり、小森経済産業大臣政務官に御参加いただいているが、 2 別用務のため18時頃に退席される。 初めの議題は「政府調達について」である。政府調達については、前回の会合でも委員 の皆様から様々な御意見をいただいたが、前回の分科会における城内分科会長の御指示も 踏まえ、内閣府科学技術・イノベーション推進事務局及び経済産業省から、資料1に基づ き、会合後に御検討いただいた内容を報告いただく。 ○井上科学技術・イノベーション推進事務局統括官 スタートアップ政府調達促進パッケージ(案)を、前回の城内大臣からの御指示も踏ま え、日本成長戦略本部事務局、私どもと経済産業省でまとめた。現行の対応としては、ス タートアップへの研究開発支援、SBIRによる一貫した支援を進めてきた。本格調達につい ては、官公需の基本方針に基づき、スタートアップからの調達を推進していくということ でやってきたが、課題が大分見えている。 課題としては、例えばSBIRのフェーズ3、これはいわゆる大規模技術実証であるところ、 予算の問題として、既に令和4年度補正予算で事業を進行しているが、現状、新たな研究 開発テーマに対して十分に応えられてはいない。 そのほか調達側の求めるスペックが不明確、研究開発と調達の連携が弱い等のことがあ り、実環境下における試験誘導・評価の取組としては、現状では不十分であると考えてい る。 加えて、契約等の運用においては、契約保証金等の資金的負担が大きく、また迅速性・ 柔軟性に欠けるなど、スタートアップが参入しにくいといった指摘もいただいている。 これらを踏まえ、対応の方向性(案)として全部で6つ挙げている。まずはSBIRの強化 ということで、資料の①②で新たな公募を含めた大規模実証実験支援の強化、また、政府 の調達を前提とした試験導入・評価・運用の強化を図りたい。また、③として、スタート アップの参入拡大のための契約等の運用指針の策定、④⑤⑥として、伴走支援体制の確立 やスタートアップ参入機会の拡大、開示推進など、各種施策を関係省庁連携の下で政府を 挙げて取り組んでいきたい。 ○菊川イノベーション・環境局長 各省の調達についての運用が統一的ではなく、全府省庁、独法も含めて、統一的な運用 指針をつくれないかと考えている。今日の御議論を踏まえて、大臣からも御指示あれば、 どんどん進めていきたい。 大事なのは具体的な項目の検討であり、J-Startupとして選定した場合の入札資格の要 件を緩和しているが、その確実な運用を図れないかということである。 契約保証金については既に全省庁統一参加資格を有する者との契約について契約保証金 を免除する方向で統一的な運用ができないかということである。 アジャイルな開発を進めていくためには、計画変更が迅速かつ柔軟にされる必要がある ので、事業に応じて適切な閾値を設定できるようにしてはどうかということである。また、 支払いについて、概算払い、そして前金払い、また出来形払いのような部分払いを活用で きる運用指針について、皆様の御意見をいただきながら、全省庁統一でつくっていきたい。 3 ○金子内閣府大臣政務官 次に、資料2の「スタートアップ政策推進分科会とりまとめ素案について」、事務局か ら説明する。内閣官房からよろしくお願いする。 ○福山日本成長戦略本部事務局内閣参事官 とりまとめ素案について、ご説明する。2022年のスタートアップ育成5か年計画の策定 と、その後の進展により、我が国のスタートアップ数は2万5000社へと増加し、大学発ス タートアップも増加し、ユニコーンの予備軍、こうした企業も増えるなど、スタートアッ プ・エコシステムは着実に発展している。 一方、ユニコーンの数や資金調達額については、5か年計画で示した目標にはまだ遠く、 スケールアップのための成長資金供給の強化は引き続き大きな課題である。 また、ディープテック・スタートアップの育成強化、地域からスタートアップを輩出し ていくエコシステムの強化についても課題である。 これらの課題を解決するために、政府が一歩出て、エコシステム構築に取り組む必要が あり、これまで議論してきた3本柱を通じて5か年計画の強化に取り組んでいきたい。 具体的には、柱1については、グロース・ファイナンスの強化が最重要、また、M&Aも含 めた多様なエグジットの確保により、資金と人材が循環することを目指していきたい。加 えて、これまでの分科会においても、グローバルなエコシステムとの接続の強化について の御意見を複数の委員からいただいているが、こうした方向性も打ち出していきたい。 柱2について、ディープテック・スタートアップの支援に関しては、初期需要創出のた めに政府調達の活用を強化することが最重要であると考えている。また、防衛力強化にス タートアップの力を活かし、同時に、防衛分野での調達や研究開発・実証などを起爆剤に スタートアップが成長する好循環を生み出す観点を踏まえ、デュアルユース・スタートア ップのエコシステム強化に特に重点的に取り組んでいきたい。これまでも、防衛調達、デ ュアルユース・スタートアップについて複数の委員から御意見を頂戴したので、こうした 形で今回お示ししている。加えて、17の戦略分野をはじめとしたディープテック・スター トアップに対して集中的に支援策を措置するという案をお示ししている。 柱3について、地域のスタートアップ・エコシステム強化のため、起業家教育の更なる 充実、大学・高専発スタートアップの創出・育成強化、自治体によるスタートアップの調 達の強化、スタートアップ・エコシステム拠点都市の更なる強化などを進めるとしている。 次の施策のパッケージに関して、柱1の「スタートアップのスケールアップ」について は、「内外からの成長資金の供給拡大」で、政府系金融機関などによる資金供給強化に向 けた取組、機関投資家からの資金供給拡大に向けた取組、規制改革・環境整備の課題に分 けてお示ししている。 次に、「出口の多様化」について、①M&A市場の活性化、②のれんの会計処理、③プライ マリー・セカンダリー取引の活性化という3つの点から整理している。 次に、「グローバルネットワークの強化」ということで、グローバル・アクセラレーシ ョンのプログラムの強化、J-StarXの強化といった課題のほか、様々な課題について整理の 4 上、お示ししている。 柱2の「ディープテック・スタートアップ支援」について、「ディープテック・スター トアップの初期需要創出やスタートアップ契約などの政府調達の強化」に関しては、内閣 府と経済産業省の報告の内容を整理してお示ししている。 「防衛分野におけるデュアルユース・スタートアップ・エコシステムの形成」は、前回 の会合で防衛省から説明のあった内容などを整理の上お示ししている。 柱3の「地域の経済社会を担うスタートアップの創出・育成」については、アントレプ レナーシップ教育のさらなる充実などの「次世代を担う起業家の育成」に関する施策、高 専発スタートアップ、インパクトスタートアップなど、「地域におけるスタートアップの さらなる創出に向けた支援」、また、自治体によるスタートアップ調達の強化を含めた「社 会課題解決を牽引するスタートアップの実証・調達」、最後に、スタートアップ・エコシ ステム拠点都市などを含めて、「地域における多様なプレーヤーの連携」に関する施策に ついて、整理して、お示ししている。 以上が素案の説明だが、今週4月22日の日本成長戦略会議において、これらの方向性、 現状認識、施策のパッケージのエッセンスを報告しており、これを資料3としてお配りし ている。こちらも併せて御報告させていただく。 ○金子内閣府大臣政務官 それでは、構成員である有識者の皆様から、御発言をいただく。 ○芦澤委員 答申素案を拝見して日本のスタートアップ・エコシステムを1段引き上げ、高市政権が 掲げる強い経済を実現するという高い志が伴ったすばらしい内容だと感銘を受けた。この 短期間で答申をこのレベルに引き上げてくださった城内大臣はじめ、日本成長戦略本部事 務局の皆様、それから各省庁の皆様に心から御礼を申し上げる。 答申素案の柱は、世界各国で成功事例が多数見られる防衛分野における初期需要の創出 と技術実装の加速に対するスタートアップ支援の仕組みであると理解している。素案では、 SBIRの拡充について、強い意欲と実現性を示す具体的政策が示されており、その点は高く 評価できる。 本日提出した意見書で追加的に検討いただきたい点を3点記載している。 第1は、素案からさらに踏み込んで、宇宙戦略基金のように明確な規模感と長期性を打 ち出すような、そして分かりやすい言葉で基金として出していただく検討をしていただき たい。第2回の岡田委員からも、具体的な規模感、方針を持った基金創設の意見があった。 私からは、デュアルユース戦略基金ということで、ぜひ検討していただきたい。そこまで やって初めて民間投資を呼び込むシグナルとなり、モメンタムとなる。スタートアップの 意思決定は資金の予見性に大きく依存するため、この点を補強するべきと考える。 第2は、資金供給の設計についてより踏み込んだ記載を検討いただきたい。政府保証等 で予見性を担保し、金融面でレバレッジを利かせるBlended Capitalの司令塔機能を設け ていただきたい。これにより、補助金政策から1段引き上げて、民間を巻き込んで資本政 5 策 に 転 換 す る と い う こ と が で き る 。 そ う し た 資 金 等 の ス ケ ー ル 化 に と っ て 、 Blended Capitalの司令塔機能の設置が重要である。 第3として、意見書にスタートアップ・エコシステムの土台となる文化について書かせ ていただいた。4月9日に、私もメンバーとして関わっている研究チームが1年ほどかけ てやってきた研究成果をプレスリリースした。東京大学、京都大学、慶應義塾大学のトッ プの研究者が一生懸命やってきたものである。ここでは、エビデンスを持ってして、現在 のエコシステムにおいてインクルーシブな文化に課題があることと、その改善のために必 要な政策提言を挙げさせていただいた。いかに優れた制度を整えても、その土台となる文 化が脆弱であれば、エコシステムの継続的な発展は期待できない。多様な人材が挑戦でき、 失敗から再挑戦できる環境を整備することが政策効果を最大化する鍵だと考える。 日本のスタートアップ・エコシステムは、多くの方が支えて、1990年代からここまで持 ち上がってきた。今回の答申素案はそのエコシステムを1段引き上げると確信できる内容 になっている。チーム一丸となって、より骨太の答申をつくっていただきたい。 ○井上委員 これまで2回にわたって大変有意義な議論がなされてきた。その結果、大変すばらしい 内容になってきている。 その上で、今後重要になってくることは、制度をつくることから、さらに実際に成果を 出すことへの転換、すなわち運用と接続の具体化だと考えている。資料5にまとめている が、強調したい点について改めて申し上げたい。 1点目は、資金供給の実効性についてである。これまでGPIF、大学基金などの議論もな されてきているが、ポートフォリオ全体でのリターン最大化の観点から、オルタナティブ 投資を位置づけ、実際にスタートアップ領域へのコミットメントが増えるところまで踏み 込む必要がある。 また、ディープテック領域における継続的な研究開発資金の重要性も改めて申し上げた い。単年度的な支援ではなく、例えばDTSU基金のような枠組みを通じて、長期にわたって 研究開発を支え続ける仕組みが、競争力の源泉になる。 2点目は、「最初の顧客」の制度の実装についてである。政府調達については、単なる 努力目標ではなく、一定割合の予算確保など、より実効性のある仕組みが必要である。フ ェーズ1、2からフェーズ3への移行を円滑にする制度設計、各省庁における調達専門人 材の配置なども大変重要である。 さらに申し上げたいのは、制度運用のスピードについてである。知財の審査については、 経済産業省のリードの下、現在では世界最速のレベルまで短縮されている。こうした実績 も踏まえ、ぜひ同様の発想で政府調達や薬事承認プロセスなどについても、スピードと予 見可能性の向上を実現すべきである。これによって研究開発投資の回収可能性が高まり、 民間資金の流入も大きく変わってくる。 3点目は地域エコシステムである。自治体が果たす役割は非常に大きい。自治体調達に ついても、次の顧客につながる仕組みをぜひ構築していただきたい。 6 これらの施策は個別ではなく、資金供給、需要創出、制度スピード、人材が一体になっ て初めて機能する。ぜひ制度整備にとどまらず、実際に資金と人材が循環し、スタートア ップが成長するところまで踏み込んだ議論を期待したい。 ○岡田委員 大変意義ある素案になっており、皆様に感謝申し上げる。 資金の流入の加速と政府調達の促進と、執行の運用指針のシンプル化について、たくさ んヒアリングいただき、非常に具体的になっており、すばらしい内容である。 その上で、コメントを3点さしあげる。 1つ目は、この施策の意気込みを示すネーミングが要ると思っており、機運、モメンタ ムを生むようなネーミングがあるとよい。 2つ目は、施策の中でGPIFについては、前回いただいたコメントよりも踏み込んだ前向 きな内容になっており、すごいと思った。GPIFにおいて国内スタートアップへの資金供給 拡大につなげるのは結構画期的であり、ぜひお願いしたい。スタートアップは様々あり、 上場していれば、値段がついて、開示があり、ガバナンスがあり投資余地がある。未上場 であればミドル、レイターステージで大分目利きの利いたものに対しては投資の余地があ るのではないかと思っており、アーリーには向いていないが、ぜひ御検討いただきたい。 3つ目は、4号随契のヒアリングを実施すると書いてあり、これは大変すばらしいと思 う。私はインパクトスタートアップ協会の理事もやっており、各自治体に売り込んでいる スタートアップが多数いるが、自治体ごとに全然フォーマットも違い、窓口も違うという ように困っている。その中に随契という制度があるが、市町村と話すと、随契を使いたい が、過度な入札への公平性の概念がこびりついていて、使うと様々議会に指摘されたり、 場合によっては監査請求があったりして、職員が萎縮しているらしい。4号随契はせっか く金額を上げているので、スタートアップに使ってもよいというアナウンス、ガイドライ ン、後押しするようなものがあると各自治体が利用できるのではないか。素案には横展開 もすると書いているので、スタートアップはとても助かる。これは今までなかった施策だ と思って大変期待している。 ○小川委員 経団連は、「スタートアップの育成から飛躍に向けて」というタイトルで緊急提言を公 表した。政府の継続的なコミットメント、グローバルへの飛躍、官需をドライバーとする スケールアップという中期的な3つの基本戦略の下で、成長戦略にも焦点を合わせて、現 5か年計画において早急に強化すべきポイントを提言したものである。今般、この分科会 のとりまとめに当たっては、こちらの提言の内容も相当程度盛り込んでいただいており、 深く感謝申し上げる。 その上でもう一段の要望であるが、まず政府調達については、3%目標の早期達成に向 けて、ぜひ省庁横断的にスタートアップフレンドリーな運用をお願いしたい。 また、スタートアップから、研究開発補助金という形だと営業外収益として扱われてし まうが、売上として計上できるよう委託という形を増やしてほしいという声が複数聞かれ 7 ている。先ほどの御説明の中でも、委託形式としっかり明記されており、ぜひここに期待 したい。 海外投資家の誘致について、5か年計画の目標である投資額10兆円規模は相当に高い額 である。海外VCの誘致は、これの達成に不可欠である。各国で誘致合戦が激しくなってい るため、政府系機関からのLP出資の拡大だけではなく、イスラエルのヨズマ・プログラム 並みの各国に伍するどころか各国を上回るような大胆なインセンティブを用意していただ きたい。例えばヨズマのような政府によるファンドへのマッチング拠出ということもしっ かりと明確に打ち出していただけないかと思っている。 出口の多様化の点で、M&Aの活性化について書いていただいており、大企業も今回拡充さ れたオープン・イノベーション促進税制のM&A型に相当関心を持っているところが増えて いると実感している。ただ、実際、使いたい企業が、M&Aの対象になる法人が純粋持株会社 形態だったために、事業会社ではないとみなされ、利用できなかったという声が聞かれて いる。この利用を拡大していくためにも、形式的に運用するのではなく、案件の実態を踏 まえて柔軟な運用をしていただきたい。そうすることによって企業による税制活用を増や していきたい。 規制改革について、スタートアップの中にはまずどの規制が障壁となっているのか自体 を特定するのが難しい企業が多いと実感している。経済産業省のスタートアップ新市場創 出タスクフォースは、専門の弁護士が丁寧にコンサルしていただける非常に有用な仕組み であるので、ぜひ回数制限などを設けずに利用機会を拡大していただきたい。 そうしたタスクフォースを活用して、障害となっている規制・法令を特定し、どのよう に改善すれば新規ビジネスがうまく回るのかということを特定した上で、規制改革会議に うまくつなげて、規制改革に実効ある形でつなげていただきたいと期待している。 ○小澤委員 30年前からスタートアップ業界にいる身として、今回とりまとめいただいた内容は、隔 世の感があるというか、本当にすばらしい、こういう時代が日本にも来たのだということ で、ありがたいと同時に、より盛り上げていきたいという気持ちが沸き起こっている。3 回とも一貫して申し上げたいのは、ここまでしっかり取組をいただいた中での受け皿とし ての起業家をどう育てていくのか、どう生み出していくのかというところがやはりまだ足 りないということは間違いない。 御記載いただいている内容で、起業家を生み出すということで解釈をすると、大きく2 つ起業家を生み出すというところには差がある。1つは、競技の裾野を広げるという、ス ポーツで言うと、競技人口を増やすことと、オリンピックで金メダルを取るという、ユニ コーンを生み出すというものは全く違うものである。 ここに足りない点は3つある。シリアルアントレプレナーをいかに増やしていくかとい うこと、大企業にいるような、もしくは官僚をやっているような高度人材の流動化を図ら なければならないということ、アカデミアで物すごく技術を持たれている方がいかに市場 に出てきてくださるかという3つが必要である。それぞれの対策として、シリアルアント 8 レプレナーを増やすためにはM&Aを増やしていけば二の芽、三の芽が出来上がる。高度人材 のところはなかなか難しい。これは教育やセンチメントの部分もある。ここに関して私は、 早稲田大学で、個人のお金を払って起業家育成講座を持っている。大学がやらないので、 12年、自分でお金を払って教えさせてほしいということでやっている。起業家はいいもの だと、就職の次に、転職の際に起業という選択肢もあるということを学んでいただくとい うことを雰囲気だったりカルチャーとして日本に根差していかなければいけない。 起業はすばらしいというセンチメントをどうつくっていくか。起業家が、起業するのは リスクがあるとか、あまりもうからないのではないのかという考えは、とてももったいな いことだと思う。日本としてこれだけスタートアップを盛り上げていくのであれば、起業 家に対してもわくわくするような政策、制度を持っていただきたい。 1つよい話をする。今、デュアルユース関連で、私のところに、アメリカの会社で働い ており、アメリカのアカデミアにいて技術を持っている方々が、日本で起業したい、日本 に帰ってきてもよいという連絡がたくさん届き出している。まさにこれこそが起業を興す ための仕組みのドミノの1つ目だと思う。 ただ、帰ってきたときに、自分たちがどれだけわくわくする制度があるのかは物すごく 気にされている。我々、VCとして応援をするが、今回、政府の施策で一番よいところは、 彼らからすると株式をVCに分割しなくてよく、売上で立たせられるということである。起 業家は、自分の株式がどうなるかに物すごくシビアである。起業家としては自分の株式を 分割しなくてよい、渡さなくてよいというのは大変お喜びになる。 同じ金額でも意味が全然違うお金のつけ方を今回してくださっていることに対して大変 感謝申し上げたいが、例えば税金などがあると、逆行すると感じる。みんなで起業家を応 援するという雰囲気が今できてきているので、この受け皿としての起業家をどう育てるか。 特に高度人材、オリンピックが取れるような起業家、ユニコーンをつくり出せるような起 業家を一人でも多く生み出せる仕組みを今後も継続的に検討いただきたい。 ○郷治委員 とりまとめ素案は、施策を盛りだくさん入れていただいているし、深めていただいてお り、感謝申し上げる。 一方で、前回私から議論させていただきたいと申し上げた税制について書かれていない が、議論をしたいので、資料をご用意している。 今回のとりまとめでも、政府が一歩前に出てエコシステムの構築に取り組み、人材と資 金の循環を目指すということだが、政府が一歩前に出て資金と人材の循環を断つようなこ とをしてはいけない。私からは、していただきたいことより、していただきたくないこと を中心にお話ししたい。 スタートアップの主要株主は、エンジェル投資家ではなく、実際に創業する起業家であ る。エンジェル税制は良い仕組みだが、エンジェルが投資したお金を控除できるという仕 組みにすぎず、政策効果もそれ相応。むしろ、創業者の株式についてのインセンティブ設 計のほうが政策効果に直結するところであり、どうしてもその税制から目を離せないとこ 9 ろ。 「ミニマムタックス」と言われる税制が2024年の所得から適用されている。株式譲渡益 の申告分離課税についての上乗せ課税を24年から設けたということであるが、これが改正 され、来年の1月1日からより上乗せされる。 この影響の国際比較を資料の5ページで示している。もちろん国民には納税の義務があ り、この導入に当たっては、国内における税の公平性ということが議論された結果決まっ たということも承知している。しかし、スタートアップの政策の世界はやはり、世界で勝 てる高さのある会社をつくって増やしていこうということ。国内の公平性だけではなく、 国際的な公平性を考えていただかないと、本当に高みのある会社を増やしていくことはで きないのではないか。富士山のように、てっぺんが伸びるからこそ裾野も広がっていく、 というスタートアップ政策において、国際的にも不公平な形で、てっぺんのところに特に 課税する仕組みが導入されると、全ての政策の効果が無駄になってしまうのではないかと 心配している。 資料5ページでは、仮に20億円の株式譲渡益を得た場合の各国の税額の比較シミュレー ションをしている。国際的に見て日本だけが非常に不利な形になり、これは当然高くなれ ばなるほど更に不利になるということで、起業家を直撃する。 このような「ミニマムタックス」の形だと、政府が一歩前に出て好循環を断つ、という ことになってしてしまいかねないので、これを何としてでも阻止しなければいけないので はないか。今世紀に入ってからの我が国のスタートアップシステムの問題は、いわゆるデ カコーン、1兆円以上の時価総額を有する企業を一社も生み出せていないことである。こ の「ミニマムタックス」は所得税全般の話として導入されたものであるが、スタートアッ プについては、国際的な比較や、今、取組みがされているいろいろなメニューの政策の効 果の影響も見ながら、税制を考える必要があるのではないか。例えばスタートアップに関 しては3年間の時限措置として凍結をする、限定的に上乗せ課税をしないようにすること を考えないと、本当に騒ぎになるだろう。 実際のところ、法律は通ってしまった。3月に通ってしまったが、税制は暦年主義であ るため、27年度1月から12月の課税の見直しについては26年末に税制のご検討をいただい て来年の通常国会における法改正で間に合う。ここについてはぜひ国際的な整合性・公平 性を考えていただきたい。 ○藤野委員 スタートアップ政策推進分科会のとりまとめ素案、とてもすばらしいもので、事務局の 皆様、委員の皆様に感謝申し上げる。 その中で、少し違った切り口でお話をしたい。私は、日本株のファンドマネジャーでス タートアップもやっているが、前回の分科会を欠席したのは、ロンドンのグローバルな経 営者たちのカンファレンスに行っていたためである。40~50社ぐらいのかなり時価総額の 大きな会社の経営者、CEO、CFOが一堂に会して話を聞ける機会だった。 その中では必ず、AIと地政学リスクの2つから話が始まり、非常に痛感したのが、経済 10 が変わったということである。キャッチフレーズ的に言うと、軽い経済から重い経済へと いうようなことが起きていると感じている。供給の維持が重要で、供給体制をどれだけ維 持できるか。イラン戦争が、これで終わりだと全く思えないので、動乱の時代になってき たときに、サプライチェーンの維持、供給の継続性が重要だということをほとんどの大企 業の経営者が話されていた。 その中で重要なことは何かというと、在庫を積まなければいけない。生産地を複数にし なければいけない。調達の複数化をしなければいけない。冗長性が重要である。キャッシ ュの量が重要だということになっているので、どちらかというとジャストインタイムの中 で、軽い経済で回転率が高くて利益率が高いことこそがよいことだというところから、供 給の維持がすごく重要だというようにマインドが変わってきたことがすごく大きな変化だ ったと思う。 日本株がすごく強いが、日本株の強さの中で言うと、結局重い経済を支える供給のとこ ろの資源や、半導体、電力を支える設備、ケーブル、電線などにすごく比重が来た。 このことが意味するのは、スタートアップには厳しいということである。スタートアッ プというよりはどちらかというと重厚長大の、重い経済にお金がシフトしていくので、今 の経済状況の中で言うと、株価はいいが、スタートアップには大きな逆風が吹いている。 これは続くだろうと思う。 要は、ある種とんち的なアイデアでビジネスを興してくるということができない。より 重厚長大なところに近づいた、もしくはその効率化をするということが重要になってくる。 結論とすると、経験があるシリアルアントレプレナーや、大企業の経験があるスピンアウ ト組、もしくはディープテックのテクノロジーがある人でないと、実は起業はできない、 もしくは起業で成功性が非常に低いだろうと思う。 そのコンテクストの中で政府調達が非常に重要になってくる。政府調達だけではなく、 民間の中の大企業がいかにスタートアップに発注できるのかという仕組みも含めてやらな いと、このスタートアップ冬の時代、またグロース冬の時代はまだ続くという印象を強く 持った。 ○室伏委員 現段階でまだ素案だが、私がいつも強調している官民の役割分担や、国の役割の重要性、 そういった観点から、例えばSBIRをアメリカ版のもともとのSBIRのような形に進化をさせ ていく方向性が示されていたり、調達に関しても、これまで具体的な姿はあまり示されて いなかったものが、示されるようになったり、非常によい方向性になっている。 その上で、私としてどういうものを盛り込むべきかという点と、政府調達に関して、こ ういったことを盛り込んでいただければよいのではないかということをお話をさせていた だく。とりまとめ骨子だが、これまでの分科会で強調してきたとおり、高市政権としては 官民協働の投資と言っているが、やはり官民の役割分担を明記すべきであり、特に、官、 政府の役割が非常に重要だという点である。 私は特にスタートアップというよりもイノベーションのところを強調してこの分科会で 11 はお話をしてきたが、やはりイノベーションが起こるにあたっての政府の役割は、お金を とにかく大規模・長期・計画的に出すということと、それを主導していくことである。こ れはSBIRや、防衛に関してはDARPAがそれに当たるのだが、そうした役割は日本国内だと政 府の役割として過小評価されてきたところがあるため、改めて強調しておくべきだろう。 現状で、成長戦略会議では戦略17分野が設定されているが、それぞれについてミッショ ンを設定していただきたい。 その上で、民間が安心して安定的にお金を出していただくことが非常に重要であるから、 国、政府が民間が取れないリスクを取って、その後、民間に渡していくという流れになる と思うし、諸外国もそのようになっているから、どういう状態であれば安心して安定的に 資金が供給できるのかということを、聞き取り等を行って把握をして、今後必要な環境整 備に努めるということと、その具体的な方向性を書いていただくのがよろしいのではない か。そのほうが民間としても、政府の成長戦略、なかんずくこのスタートアップ政策に関 しては、期待と、これからお金を出すような体制も整ってくるのかと思う。 政府調達について、スタートアップだから調達ということではなく、政府が各分野につ いてミッションを設定した上で、地方公共団体もそれに沿う形で、国が基本方針を示した ら、地方公共団体は戦略や指針のようなものつくり、それを踏まえてスタートアップから 調達を行う。スタートアップを否定しているわけではなく、スタートアップだからとりあ えずということよりも、明確にそのミッションに沿った形でスタートアップから調達を行 うという形にしたほうがよい。 ミッションとは、実現すべき、実現したい経済・社会像であるとか、マクロでの問題解 決の大きな目標といったもののことである。現在、ムーンショットが内閣府で進められて おり、これに近いのだが、こういう製品やこういうサービスということではなく、例えば アポロに関しても、月に人を送るということからいろいろな製品やサービス・技術が生ま れてきたので、それぐらいの大きな目標を17分野について設けるということも書いていた だく必要がある。 調達において何を重視するかの基準だが、これまでは価格重視というところがあったが、 そうではなく、どういう我が国の課題の解決、地域の解決につながるのかというところを 重視する調達にすべきである。 そういうものの解決につながるのであれば、価格はある意味度外視をしてでも調達をす る。アメリカは、半導体の日本依存が高くなっていたので、全国の大学に工学部を設置す る支援もして、高いのだけれども調達することで、スタートアップが収益も上げられて、 その上で1単位当たりのコストも下げられて、そして量産体制を組むことができた。そう いうリスクは国だから取れるリスクであり、せっかくの責任ある積極財政を掲げる高市政 権であるのだから、記載していただきたい。 物を指定するのではなく求められる性能や仕様を指定して調達と資料に記載しているが、 物よりも性能で調達をすることになると、スタートアップは試行錯誤しながら求められる 性能や仕様に合わせる開発を行っていくため、こうしたことが調達を起点としたイノベー 12 ションにつながるのではないか。こういったことも含めて政府調達を考えていただきたい ということと、それこそがまさにこのスタートアップで政府調達を活用する点の最大の効 果かと思う。 ○米良委員 私は、スタートアップ育成5か年計画の策定のときからこういった分科会に参加させて いただいており、その当時から大きくスタートアップの数が増えてきて、インパクトも拡 大しており、スタートアップ5か年計画の冒頭に、戦後の創業期に次ぐ第2の創業ブーム をつくりたいということが書かれているが、本当にその高い目標にどんどん近づいている と感じる。もともと掲げている目標は相当高いものだが、我々スタートアップの身からす ると、政府の政策が本当に利いていると思う。 インパクトスタートアップ協会を岡田委員と一緒にやっているので、スタートアップと いつも話しているが、日本の政府は本当にスタートアップを応援してくれていて最高だと いう声ばかり聞く。そのため、今回の方針も、きっとスタートアップにとってもっと頑張 ろうと思ってもらえるような政策になっていると実感しているので、引き続きこのモメン タムを皆さんと維持していけるとよいと思っている。 今回の政策について、スケールアップ、ディープテック・スタートアップの支援、地域・ 経済社会を担うスタートアップの創出・育成という3本柱で5か年計画を強化していく方 針に対しては強く賛同する。特にスケールアップに向けた成長資金の供給拡大に関して、 スタートアップの企業と話していても、昨今の資金調達環境の厳しさもあるが、やはり供 給拡大は本当に重要であるという声を多く聞く。 その中で、GPIFのオルタナティブ投資の拡大や、大学基金による戦略的な運用高度化に ついて、アメリカであればスタートアップに出資するものとして大学基金は本当に重要な 存在であるので、こういったところをやっていただくことに関して非常にすばらしいと思 っている。 また、銀行法に基づく議決権保有制限の見直しについて、金融機関がスタートアップに 対しての出資をかなり牽引していくと今後も思うので、そういったところを見直していた だくのも非常に効果的だと思っている。 READYFOR社も手がけているが、日本版DAF、公益財団や公益信託を受け皿にした形で寄附 を集め、リターンをあまり期待しない資金としてスタートアップに出資をしていくという 仕組みもDAFの形で推進されていくと思うが、こちらも活用促進を推進いただけるという ことも、エコシステムへの資金循環を加速させる非常に有用な装置だと感じている。 私が前回でも強く提言した地域の経済社会を担うスタートアップの創出・育成という点 についても多く盛り込んでいただき、大変感謝する。特に自治体によるスタートアップ調 達の強化や、インパクトコンソーシアムを核としたインパクト投資の拡大というところは、 インパクトスタートアップの成長にとって大きな後押しになる。今後は、インパクトスタ ートアップやゼブラ企業など地域の社会課題解決においてさらに重要な役割を担っていけ るように、地域金融機関と活性というところも非常に重要かと思っている。そういったお 13 金が成長資金としてこの領域に供給されていくことによって、地域の課題解決をより一層 民間で行っていくということを実現していきたい。 今回の政策も、政府と民間が本当に密になって連携して、そして日本に大きなイノベー ションを起こしていくということにつながると思うので、私も一つのスタートアップの経 営者として、更に成長していきたい。 ○金子内閣府大臣政務官 ここからは意見交換とさせていただく。 ○小森経済産業大臣政務官 有識者の皆様方から、政府の素案に対して有益なコメントを多数いただき、感謝申し上 げる。皆さんとても熱が入っておられるのが本当にありがたい。 今、5か年計画の話もあった。大変高い目標を立ててこれまで取り組んできた。様々な ことが実現しているのも確かだと思う。今年は、日本成長戦略会議で成長戦略をとりまと めるということで、5か年計画から3年たって、もう一回さらにブーストする絶好の機会 だと思うので、ぜひともまた皆様方からお力をお借りして、いいものをぜひまとめていき たい。 政府調達に関して、経済産業省からも発表させていただいたが、これまでできなかった ことにも果敢に挑んでいきたいと思うので、引き続きよろしくお願いする。 ○金子内閣府大臣政務官 御意見、御質問等あれば、政府側でも構成員の皆様方からもよろしくお願いする。 ○郷治委員 柱2で、「研究開発から事業化・社会実装に至るまでの切れ目ない支援の継続・強化」 のところで、「戦略17分野をはじめとして」の後に、それら17分野に限らず、「日本が競 争力を有する技術を活用し、グローバルにスケールするポテンシャルの高いディープテッ ク・スタートアップに対して、集中支援」と書いていただいた。17分野に限らず様々、日 本が技術的に強いスタートアップについても支援する姿勢を示していただいたことに感謝 を申し上げたい。 御質問だが、前回、税制について議論させていただけないかと申し上げたが、それが今 回入っていないのは、財務省がいないからなのか。 ○福山日本成長戦略本部事務局内閣参事官 前回御提言いただき、今回資料を出していただいているが、とりまとめの全体像をお示 ししているので、その中で御意見いただきつつ議論させていただきたい。 ○郷治委員 書かれていないのは、税制は重要ではないということなのか。エンジェル税制について は書いていただいているのにもかかわらず。どの程度書き込めるかは難しいかもしれない が。 ○城内分科会長 御想像どおり、なかなか難しい問題。御指摘の点を踏まえ、どういう形に書き込むこと 14 ができるのか、できないのか、あるいはどうするか、預からせていただきたい。 ○芦澤委員 今の点は、私からもぜひお願いしたい。ミニマムタックスは、実はあまり大きなニュー スにならずに進んでいるように思っており、じわじわとスタートアップ業界では気づいて、 声を上げる人が増えている。スタートアップのモメンタムにも関わるので、ぜひ御検討い ただきたい。 加えて、別の論点を4つ持ってきた。1点目がのれんの件である。今回素案に書き込ん でいただき、大変感謝申し上げる。素案では、「検討プロセスが加速するよう、フォロー する」と書いてある。これをもう一段、「検討プロセスを加速する」と言い切っていただ けないか。 改めて調べたが、世界各国の中で、のれんを定期償却しているのは日本だけである。本 当に部分的に単体のものだけ、定期償却をすると認めているのは数か国あるが、本当に我 が国だけというものが、会計基準、グローバルに比較基準を含めて競争環境の制度として あってよいのだろうかと思う。ぜひもう一度議論をお願いする。これが金融庁に1点お願 いである。 経済産業省に2点お願いがある。1点目がM&Aのガイダンスを策定すると答申素案で書 いている。本件、大変重要なものだと考えており、経済産業省でガイダンスの検討を今、 進めておられ、私もオブザーバーで入らせていただいているが、非常にいい議論をしてい る。もし可能であれば4回目にこちらで御発言と御説明をいただくことができないか。 もう一点が、1回目の意見書に5か年計画のKPIは本当に実現可能だろうか、見直された ほうがよいのではないかと書き込んだ。今回の素案では、このまま堅持することになって いる。高過ぎる目標はみんな諦めるものだというのが恐らくどこの世界でも同じかと思う 中で、もう少しブレークダウンして次回持ってきていただけないか。 日本で昨年1年間、3,000社が平均で3億円の調達をして9,000億円となっている。アメ リカは1万社が平均で30億円で、30兆円となっている。10兆円は、日本は何社で平均何億 なのか。分解するだけでも大分見える姿が変わってくる。さらに実は分解していただくと よいのは、スケールアップするためのレイター期のものを何社程度、幾らのものを持ち上 げるとユニコーンが出るかということと、それから10兆円が達成できるかということが見 えてくる。この議論をせずにあと2年、最初の目標から下がってきているものを一気に10 倍にするというのは無謀な議論だと思う中で、そちらをお願いしたいというのが経済産業 省への2点目のお願いである。 もう一つ、内閣府規制改革推進室へのお願いだが、独占禁止法に基づく議決権保有制限 の見直しに関してである。我が国のVCの出資の3割程度を占める銀行法上、10年とされて いるものを見直しをすると書いてある。しかしながら、私も参加した規制改革の議論では、 撤廃または延長ということで議長提案されて、総括されている。撤廃の検討も含めて具体 的な記載がさらに踏み込んでできるかというところをぜひお願いしたい。 15 ○井上企画市場局長 現在の書き方が「フォローする」となっているのは、財務会計基準機構で会計基準をつ くって、それは政府の外にあるという観点からである。 少し踏み込んだところは、御指摘いただいた「検討プロセスが加速するよう」というと ころを新たに書き加えている。現在パブリックコメントで広く意見を聴いているので、そ の意見をまとめた上で、しっかり結論を出していただけるようフォローしていく。 ○芦澤委員 これだけ、この3回の議論の中でのれんの件が出ていることについて、改めて皆様にぜ ひお伝えいただきたい。 ○菊川イノベーション・環境局長 経済産業省に対しての2つの御要望については、後ほど細かく申し上げるが、その前に、 芦澤委員の資料4の中に、非常に貴重なハラスメントのないインクルーシブなエコシステ ムの形成について、専門家の方々にまとめていただいた。しっかりとしたデータベースで 改めて御提示いただいたことについては、非常にありがたい。 この研究成果も踏まえ、金融庁とよく相談をし、ベンチャーキャピタルに対しての指針 があり、そこの行動規範のところに、今般の御提言いただいているハラスメントについて の考え方を、どう反映をして強化をするかについてはぜひ対応していきたいし、金融庁と 軌を一にしているので、次回の会議までに急ピッチで御相談したい。 ○井上企画市場局長 同じ意見である。 ○菊川イノベーション・環境局長 今スタートアップの数も増え、モメンタムが出てきて、政府もしっかりとやるというこ とを城内大臣以下で対応している中で、スタートアップが生み出している付加価値、GDPが 直接効果で10兆円、間接効果で20兆円を超えてきている。非常に重要な日本の経済を支え る産業セクターになってきているので、適切な政策対応をしていかなければいけないし、 ベンチャーキャピタルやスタートアップの方々に対しても、社会的な対応もお願いをして いくというフェーズに入ってきているのだろうと思っているので、我々もしっかりと応え ていきたい。 M&Aガイダンスについて、次回進捗状況を御提示したい。スタートアップ側、ベンチャー キャピタル側に、IPOだけではなく、M&Aというやり方もあると、その結果、シリアルアン トレプレナーも出てくるというガイダンスを提示することが、一つの明確なオプションを 示すことになると思うので、ぜひこの場で御披露したい。 5か年計画のKPIは経済産業省だけでやっているわけではなく、政府全体の目標なので、 政府全体で議論することだが、資金調達額が特に達成していないが、一方で、例えばM&Aや セカンダリーの取引は、ここ数年で増えてきている。 PayPayのナスダック上場のような海外で非常に活躍をしていただいていることなど、目 標のブレークダウンというお話があったので、様々な動きが出ていることを総合的に見て 16 いきたい。 ユニコーンも現在8社だが、為替の関係もあるが、例えば500億円から1,500億円の時価 総額でいくと現在31社ある。これはユニコーンの予備軍としてカウントしていきたい。数 値をもう少し立体的に見せて、全体としての動きはお示ししたい。次回、そういった動き を数字でお示しできるかどうか、事務局である内閣官房とも御相談をしながら御提示をで きればと思っている。 ○菱山規制改革推進室次長 独占禁止法に基づく議決権保有制限の見直しの件だが、どういった最終的な案文にでき るか、いただいた意見も踏まえ、公正取引委員会と調整を試みてみたい。 ○室伏委員 防衛省に対して、前回御紹介いただいた防衛イノベーション科学技術研究所の仕組みは、 あまり知られていない、周知されていないと聞いているが、事実か。非常にいい仕組みで あることは確かなので、この周知徹底ということも御検討いただき、できればそういった 内容もとりまとめの中に入れていただきたい。 経済産業省に対して、スタートアップ政策は、経済産業政策の新機軸と連動するという か、その産業政策の一つの対象になると思うが、関連性をどう整理されているのか教えて いただきたい。 ○小杉装備政策部長 イノベ研があまり知られていないということで、我々の努力が足りないということだと 思うが、イノベ研がスタートアップと契約していること自体もあまり知られていなかった ということもあるので、御指摘のとおり、周知・広報活動を進めていくべきだと考える。 ○菊川イノベーション・環境局長 新機軸は、経済産業省で数年前から、産業政策が新自由主義でできるだけ規制緩和をや り、市場に任せればよいという時代から、国家が産業政策を動かして、世界に伍していか なければいけないという時代に入ったということで、産業政策に対するスタンスを大きく 変えて、国がまず一歩前に出る。産業界も一緒に一歩前に出ていくということが、政府全 体の経済安全保障政策、各種法案等につないでいったと考えており、スタートアップは、 そういった産業政策の中でプレーヤーになっていただきたい。一昨日、日本成長戦略会議 でも新技術立国が議論されたが、技術を社会実装する大きな担い手としてのスタートアッ プという位置づけとしており、デュアルユースという観点で言えば、アジャイルな対応を していく主体としてのスタートアップということで、新機軸の方向性と連動して、軌を一 にして進めていると理解している。 ○井上委員 資料に、「ダイナミックに循環し拡大再生産を続けるイノベーションエコシステムの構 築」というタイトルを書いたが、循環して拡大再生産に繋がらないと、様々な施策が一過 性のものになってしまうので、ぜひ循環していくものの障害になり得るものは一つでも多 く取り払っていただきたい。 17 その観点で、ミニマムタックスの話が出たが、現場の声としてお伝えしたいところがあ る。循環していく仕組みにする上では、一度成功した起業家が、また次のチャレンジに資 金と自分自身の経験やエネルギーを再び投入していくことが極めて大事だと思う。実際に これまで支援してきた起業家の中でも、成功後に再度新たなチャレンジをする事例が増え てきている。 今回議論されているミニマムタックスについては、10億円から20億円ぐらいの規模のキ ャピタルゲインを得る層、すなわちエグジット時の持ち分が10%~20%程度と仮定すると、 バリュエーションとしては50億円~200億円規模のエグジットを達成した起業家層への影 響が大きい層になると考えるが、ゼロから事業を生み出す中で様々な経験もしたうえで成 功に至っており、次のチャレンジをすることでエコシステム全体の成功確率も上げていく ことができる。この方々について、今回のタックスによりどういう行動変容が起こるのか は本当によく注視したほうがよいのではないか。 それほど大きな影響に見えないようでいて、それなりに今回のタックスの変更によって 影響も出てくるレベルかと思っており、実際そういう声も聞いているので、制度の趣旨は 十分踏まえた上で、しっかり注視していただければと思う。 ○菊川イノベーション・環境局長 指摘の税制については与党のプロセスや国会のプロセスを経て決まっているものと承知 している。 他方、シリアルアントレプレナーとして再投資をして次のチャレンジにつなげていく観 点から、起業によって成功した利益の税負担を軽減すべきとの議論があることも承知して いる。また、起業家やVCなどのスタートアップ関係者にも一定の社会的な責務を果たして いただきたいという意見もある。そうしたことも踏まえて、スタートアップ政策として、 政府全体で税制の在り方について検討するべきである。 ○井上委員 このモメンタムをさらによい形で続けられるように、ぜひ御検討いただきたい。 ○菊川イノベーション・環境局長 国際的なバランスは考えつつ、10兆円の目標を変えないのは、これを掲げているからこ そ、海外VCから日本でぜひ投資をしたいという声がかなり届いている。引き続き、解像度 を上げることはしっかりやりたい。 ○岡田委員 2点コメントと1点非常に言いにくいコメントをさしあげる。 1点目が、私は防衛省が防衛装備庁でスタートアップとコミュニティーをつくったのを 存じ上げており、非常に画期的な取組だと思っている。コミュニティーをつくって、お互 い知るというものをつくられたのは本当にすごいプロセスだと思っており、こういうもの が各省庁でも出てくるとよい。 2つ目が、総務省への質問になる。4号随契だが、今は100万、200万、300万、400万と かを随契で使えるようになり、そのように新しい技術を過度な入札の仕組みを使わないで 18 やっていけるというのはすばらしいが、総務省としては地方自治との兼ね合いで難しいの ではないかと思っており、どこまでガイダンス、補助線を出していくのかという点をお伺 いしたい。 3つ目はのれんについてである。私はしばらく静観する立場にいたが、本当に何の目的 のためにのれん償却の仕組みを会計基準で変えようとしているのかはしっかり考えたほう がよいのではないか。 M&Aのときにあまりいい評価がされないという観点があるものの、私は人生2桁回数の クロスボーダー、国内のM&Aをやっているが、一回ものれんの償却を気にしたことがない。 見るのはフリーキャッシュフロー等だけであるため、必ず買う側で修正PL、修正フリーキ ャッシュフローを作り、相手が提出する財務諸表をそのまま見るわけではない。むしろ、 のれんが残っていれば、いずれにしてもその中身を見に行かなければいけない。 実務上の話を申し上げると、私は5か国で拠点があるが、各国、会計基準が違う。例え ば英国会計基準は日本人から見ると理解しづらい会計基準になっている。そのため、国際 会計基準で全部統一してやっている。 日本でいうと、毎月、日本会計基準と国際会計基準でクローズしている。まず日本会計 基準をつくる。なぜならば税金は日本会計基準でなければ駄目なので、必ずつくらなけれ ばいけない。すぐに国際会計基準でつくるが、そこまでの作業ではないと考えている。本 当にのれん償却を何とかしたいのであれば、国際会計基準を採用すればよいのではないか。 日本会計基準は国際会計基準と違うところが様々あるため、のれんだけ取り出すとおか しなことになると思っており、もっと全体感の中で議論をしたほうがよいのではないか。 スタートアップ業界がこぞってのれんの償却の見直しを言っているのは知っているが、今 までM&Aをやってきた者として、あるいは一スタートアップの者として、そういう意見も申 し上げておかないとフェアでないと思い、あえて申し上げた。 ○芦澤委員 そういう議論をずっとやってきており、そのように御意見があることも特に承知してい る。 スタートアップのM&Aという矮小化された話としてやるべきではないのではないかとい うことに関しては、私も最初からそのように思っている。会計基準がビジネスモデル、産 業構造が世界的に変わってきている中で、果たしてこのまま有形固定資産をベースにした 原価主義のようなものを引っ張っていてよいのだろうか。本来であれば、無形資産をちゃ んと評価してつくっていくような会計基準にしていくべきではないかということは、金融 庁にも何度かいろいろな方からお話ししていると思うが、そういう議論の中で高所なとこ ろから議論いただきたいという気持ちは同じである。 一方で、現実問題、岡田委員のような立派な会社と、そこに行かずに模索している会社 がある中で、過渡期においてどうやって持ち上がっていくのかということにすごく苦労し ている会社がたくさんいて、これで産業構造が集約化されるような中で変わっていかない と、どちらにしても産業力の育成、それからこの国の経済ということで持ち上がっていか 19 ないだろうという議論だと思っている。 IFRSに行けばよいではないかというのは、数億円というお金がかかる中、そこまで持ち 上がらない会社も含めて、一体どうしたらよいのかという議論で、スタートアップからこ れだけ意見が出ているということではないかと思っている。 ○小杉装備政策部長 岡田委員の最初に指摘していただいたコミュニティーの話について、4月10日金曜日に、 小 泉 大 臣 の 非 常 に 強 い リ ー ダ ー シ ッ プ で 行 わ れ た も の で あ り 、 Defense Innovation Meetingといって、防衛省でそのようなイベントを行った。小泉大臣も参加されて、防衛装 備庁長官も来て、菊川イノベーション・環境局長にも来ていただいた。参加は、スタート アップが49社、ベンチャーキャピタルも49社、インキュベーターが7社で、同時にオンラ イン配信もして、500名ぐらいが視聴した。そういったものを開いて、実際の最終調達者に なる各自衛官、自衛隊、統幕、陸幕、空幕と、各幕の幹部も来て、そういったニーズも説 明させていただいた。 防衛省のスタートアップへの活用の本気度をお伝えし、岡田委員もスピーチをしていた だいた。 防衛大臣が大変気に入り、恐らく2回目、3回目とあるのではないかという感じもして おり、イノベ研の周知が足りないという指摘もある一方で、こういうこともやっていると お伝えしたい。 ○坂越大臣官房審議官 4名の委員の皆様から、自治体の調達についても御意見をいただき、感謝申し上げる。 自治の観点から、4号随契を国として、特に総務省が推奨することはなかなか難しいの ではないかという御指摘は全く杞憂であり、むしろこれから一生懸命取り組んでいきたい と思っている。 今回のとりまとめ素案にも、自治体の調達、4号随契について書かせていただいた。課 題は2つあるが、1つは、全国約1,800自治体の多くが小規模自治体であり、なかなかスケ ールメリットが利かず、細々とした契約が多いため、なかなか4号随契に乗りにくいとか、 業者のニーズに合わないということがある。これについては、素案に書いたように、4号 随契の共同調達の仕組みを使うことにより、様々な自治体が参加できるようになると思う。 東京都がそういう好事例をやっているので、そういうものをしっかりと横展開していきた い。 もう一つは、4号随契の仕組みは20年前に自治法令を改正して導入した。今は、自治体 はどこもかしこもスタートアップが一生懸命地元の地域経済活性化のために取り組んでい るが、20年前、それほどでもなかったときに制度改正しており、この制度を認知している 自治体が少ないという部分もあろうかと思うので、しっかりと総務省も旗を振って自治体 に促していき、特に共同調達の取組が推進されるようにやっていきたい。 ○小川委員 私ものれんに関しては静観をしていた立場だが、これだけ議論になってきたので、しっ 20 かり議事録に残していただきたい。岡田委員がおっしゃったスタンスは、経団連のスタン スとほぼ一致している。 経団連の会計の担当者ともよく連携しながら、この場に臨んでいる。単にスタートアッ プのM&Aということだけで語れるものではなく、会計の考え方自体の思想的な違いから、す れ違ったままという感じがしている。そのため、適切な議論が続けられることがまず重要 である。また、ASBJは民間の関係者がお金を出し合って設立した民間の団体であり、政府 が何か予断を持った形でこうするという言い方をするのは適切ではないと思うので、今の 「フォローをする」という書き方を維持していただきたい。 それから、10X10Xの目標に関して、言い出したのは経団連なので一言申し上げておきた い。なかなか達成が難しいという状況はそのとおりだと思うが、私どもとしては、この目 標は5年間しっかり維持していただきたいと思っている。これだけ全省庁挙げてすばらし いスタートアップ政策をフルラインナップでそろえていただけたのは、これだけの野心的 な目標が掲げられたからだと信じている。それが海外に対してもしっかりとアピールにな っているので、この目標、ゴールポストは動かさずに維持していただきたい。 その上で、この5か年の終期に向けて、どこが足りなくて達成できなかったのかを検証 し、さらにこの段階で5か年計画の最初とは大分状況が変わってきており、私たちが目指 すべきものも変わってきていると思うので、単に数合わせ、量を追うのではなく、質的に 次にどのような戦略を立てるべきかという議論を民間もぜひ協力させていただき、これか ら御一緒にさせていただきたい。 また、これだけの立派なフルラインナップの施策が、なかなか多過ぎて、スタートアッ プ全体に行き渡っているかというと、そうでもない気がする。各省庁のホームページを常 にチェックして、自社が何を使えるか、本当は探すべきなのかもしれないが、それにも限 界があろうかと思うので、周知の方策については引き続き検討が必要かと思う。ジャスト アイデアだが、これだけ生成AIも発達してきたので、例えばチャットボットに困っている ことを伝えたら、こういう施策があると出てくるようなツールも考えられる。 海外に対しても、実はよい施策がVCの誘致などに関してもあるが、経団連の海外駐在者 と話をすると、あまり伝わっていない気がするといった話もある。日本人コミュニティー は知っているが、日本人ではないコミュニティーは知らないといったような報告もあり、 適切に届けたい相手に届ける工夫というのもより一層考えていただきたい。 ○藤野委員 グロース市場が非常に厳しい状態になっているところで、グロース市場をどうするかと いうのは重要な議論だが、今回あまりされていなかったと思っている。グロース市場が活 発にならないと、IPOの出口が非常に絞られるということになり、スタートアップでたくさ ん玉をつくっても出口がないという状態になるから、やはりグロース市場をどうするかと いうところは結構議論しなければいけない。グロース市場は活性化するべきである。 IPOの件数も、この4年間ぐらい大幅に減っており、去年が66件である。2026年になって も、前回のペースよりも減っている状態で、エグジットがなかなかできない、ベンチャー 21 キャピタルが非常に厳しい状態になっているということが起きている。 私は、中小型株の専門をやっていたので、このマーケットを30年ぐらい見ているが、大 型株と小型株は同時に上がらない。大型株がよいときは小型株が沈黙していて、大型株が 駄目なときは小型株が上がるという関係性にある。今、大型株が好調なので、小型株が駄 目というような、循環的な要素が大きいと思う。 今何が起きているのかというと、大型株がこれだけ好調で、かつ、出来高も多いから、 証券会社からすると、アナリストは大型株に配置すればよく、わざわざ小型株にコストも かけて配置しないということになっており、上場してもアナリストがつかないという状態 が続くと、情報提供ができない。上場したが情報がなければ、誰も買わないということに なり、マーケットが下がってしまうということになっている。 未上場のときは経済産業省がいて、上場してから金融庁というような役割が違うところ があるが、経済産業省は産業育成という観点があり、金融庁は顧客保護というところにな る。投資家保護という観点で物事を考えるので、ちょうどグロース市場の面で見ると、本 当は伸び盛りの会社で、産業育成的な要素があるはずだけれども、それはあまりなくなっ てしまうという状況が続いている。 そのため、グロース市場をどうするかというところは実はすごく大きな穴になっている 中で、IPO件数が減ってくる。では、なぜ減ったかというと、大型株のガバナンス改革が成 功し、流動性も高くて、結構品質のよくなった大型株に、グローバルなマーケットのお金 が吸い寄せられたというところがある。これはよいことだと思うが、相対的に魅力が落ち てしまったグロース市場に誰も注目しなくなった。このグロース市場をどうするかを考え なければいけないときに、時価総額100億円問題が起きた。これはもともとグロース市場を よくしたいという気持ちがあったのだが、時価総額100億円を達成できない会社が小型IPO であるから駄目だという議論が出てきてしまったことによって、萎縮的効果を生み、結果 的に時価総額100億円に確実に行くような会社でないと、エンジェルも投資できないとい うことになり、今、エンジェル市場も含めてとても厳しくなっている。 よく世間で、サバンナの小動物を撃ち殺してもゾウは生まれないと言っているが、結局 サバンナの小動物を撃ち殺すようなことをしているので、結果的に大きなものも増えなく なっているのではないか。その中でどうするかというと、エグジット先のM&Aをどう増やす かというところも考えなければいけないが、もう一つ、100億円以下のところがどうにもな らないということであれば、例えばTOKYO PRO Marketを活性化して、そこに企業を寄せて いく、スモールIPOをむしろ促進していくということにならないと、厚みが出てこないだろ う。 グロース市場が厳しいという現状があると、このように議論していても蛇口が閉まって いるから、結果的にいいものが出づらいということをどうするか。そのためにはグロース 市場にどうやってお金を流すのかというところは、考えないといけないのではないか。 ○郷治委員 ディープテックの投資を専門で行っている立場から、のれんの非償却が日本の会計で認 22 められないことによって生じた不都合の事例をご紹介したい。とある創薬分野の投資先が、 M&Aで買われることを目指す中で、海外の製薬企業と日本の医療系の企業との買い手候補 が複数あったことがあった。結局米国企業が買い手になったのだが、米国企業のほうは特 にのれんを償却しなければいけないということはないのに対し、日本企業のほうは日本の 会計基準でやっていて、当然のれんの償却をしなければいけないということであった。私 どもの投資先の会社はディープテックで開発ばかりやっていて大赤字だったので、日本会 計基準だと当然その会社の営業利益をヒットする。 買い手がグローバルな買い手の場合と、日本の会計基準でやっている日本の企業でしか も営業利益がある場合とでは、当然その分、買い手になるうえで日本企業のほうが数字の 上では不利になる。日本の大企業は日本の会計基準でやっていて社内を通す観点から難し かったのか、結局その会社はアメリカの会社にM&Aされざるを得なくなったが、この結果は のれん償却のところが、全く関係なかったわけではないと思っている。そういう意味で、 日本の会計基準においても、少なくとも、のれんの非償却が認められないというのはよく ないのではないか。JVCAとしては、日本会計基準において現行ののれん償却基準があって もよいが、非償却も選択的にできないかと提言しているが、そういった理由によるもので ある。 ○城内分科会長 スタートアップ政策推進分科会でこれまで3回議論していただいた。5月20日に第4回 会合を開催するが、せっかく一生懸命皆様の御意見なども最大限取り入れて、とりまとめ 素案ができたので、これをどう発信していくかが非常に重要である。当然、大手新聞、テ レビ、SNSのYouTube、雑誌、X、様々な媒体があるが、当然濃淡がつくし、場合によって は一生懸命素案を作ったが、無視される可能性もあるので、我々は我々で最大限発信する。 私自身は英語を使って、動画を撮ることを考えているが、皆さんにおかれても、ぜひ様々 な媒体に出ていただき、大いに自由に様々なところでこういうとりまとめ素案がまとまっ たということを含めて発信していただければありがたい。 今回、弾みをつけて、せっかくスタートアップというフレーズが人口に膾炙しているの で、自分は関係ないという人も、関心を持っていただくことが大事だと思うので、尻すぼ みに終わらないように、もっと弾みをつけるような形にしたい。 どんどんスタートアップが受け入れられていくこと、そして海外に発信することによっ て、海外のVCを含めて、ステークホルダーが日本で様々やっているということが分かるだ けでも大事である。私が前職で担当していたグローバル・スタートアップ・キャンパスは、 今特別国会で法案が出るやに聞いている。そういったことも少し弾みになるのではないか と思うので、どうか各構成員の皆様、今後ともそれぞれのお立場でぜひ発信をしていただ きたい。 ○金子内閣府大臣政務官 最後に、もう一度城内分科会長から御発言をお願いする。その前にプレスが入室する。 23 (報道関係者入室) ○金子内閣府大臣政務官 それでは、城内分科会長、よろしくお願いする。 ○城内分科会長 本日は、政府調達の強化策、そして分科会のとりまとめ素案について活発な議論が行わ れた。 構成員の皆様から、本日も約2時間にわたり忌憚のない、また、大変貴重な御意見を頂 戴したことに対し、厚く御礼申し上げる。 ディープテック・スタートアップは、戦略17分野における技術革新、あるいは成長投資 の先導的な担い手であり、ユニコーンに成長する潜在力があるが、収益化までにやはり長 期間と大規模資金を要するため、その壁を乗り越えられるようなディープテック・スター トアップの育成の強化が大いなる課題である。 スタートアップからの政府調達やSBIRの強化について、前回、私から内閣府科技事務局 と経済産業省に対して、早急に検討を行うよう指示をして、本日報告を受けた。両府省に おかれては、4月22日の日本成長戦略会議における高市総理の発言を踏まえ、SBIR制度を 抜本強化して、従来の研究開発支援を超えて、本格調達につなげる試験導入の新たな枠組 みの創設に向け、さらに検討を進めていただきたい。 次回の分科会は5月20日を予定している。次回の会合においては、とりまとめを行う予 定である。事務局におかれては、本日の議論をしっかりと踏まえ、関係省庁とも調整の上、 改めてとりまとめ案をお示しするよう、よろしくお願いする。 (報道関係者退室) ○金子内閣府大臣政務官 以上をもって本日の会議を終了する。 24

資料1

第3回スタートアップ政策推進分科会 議 事 次 第 令 和 8 年 4 月 2 4 日 ( 金 ) 1 7 時 3 0 分 ~ 1 9 時 3 0 分 中央合同庁舎第4号館全省庁共用1208特別会議室 1.開 2.議 3.閉 会 事 (1)政府調達について (2)スタートアップ政策推進分科会とりまとめ素案について 会 資料1 資料2 資料3 資料4 資料5 資料6-1 資料6-2 資料7 資料8-1 資料8-2 資料9 資料10 政府調達促進パッケージ(案) スタートアップ政策推進分科会とりまとめ素案(非公開) 第4回日本成長戦略会議(令和8年4月 22 日)資料「分野横断的課題への 対応の方向性」(スタートアップ部分抜粋) 芦澤委員提出資料 井上委員提出資料 小川委員提出資料① 小川委員提出資料② 郷治委員提出資料 田中委員提出資料① 田中委員提出資料② 藤野委員提出資料 室伏委員提出資料

資料2

資料1 政府調達促進パッケージ(案) 2026年4月 内閣府 科学技術・イノベーション推進事務局 経済産業省 戦略17分野におけるスタートアップ政府調達促進パッケージ  経済安全保障・防衛デュアルユースの観点で戦略17分野の主要製品・技術等に係るスタートアップによる技術実装を加速するとともに、政 府機能への新技術の導入を進めるため、政府調達を促進するための各種取組を推進する。 試験導入・運用 研究開発支援 現行の 対応 *Small/Startup Business Innovation Research フェーズ1 (PoC・F/S支援) • • 課題 • • SBIR*による一貫した支援 • フェーズ2 (実用化開発支援) フェーズ3 (技術実証等) 新たな研究開発テーマに対して十分に応え られてはいない。 調達側の求めるスペックが不明確で、研究 開発と調達との連携が弱い。 SU側・省庁側双方にノウハウが不足。 • 委託費等を個別に要求・執行 スタートアップ随契*等調達の仕組みは用意 • 本格調達 • (新規中小企業者3%の目標を含む) *高度かつ独自の新技術を有するス タートアップ等との随意契約(スタート アップ技術提案評価方式) 予算化・手続に時間がかかり見通しが 立たない。 官公需の基本方針に基づく政府全体でのSU 調達の推進 • • 長期の調達見通しが示されず、SUによる投 資・資金調達が困難。 各省庁の調達側の能力が限定的。 実環境下における試験導入・評価の取組としては不十分。 契約等の運用において、SUへの資金的負担が大きく(後払い、保証金等)、迅速性・柔軟性に欠ける等、SUの参入を阻害しているとの指摘 戦略17分野における本格調達に向けたSBIRの強化 対応の 方向性 (案) • ①大規模技術実証支援の強化 • ②政府における本格調達を前提とした研究開発・試験導入・評価・運用の強化(委託) • ⑤各省庁の改善計画策定、デジタルマーケッ トプレイスなどカタログの活用推進 • ⑥再委託先も含むスタートアップ参入機会 拡大、開示推進 • ③SUの参入拡大のための迅速性・柔軟性の向上等を図る契約等の運用指針の策定 • ④調達につながるまでのSUへの伴走支援体制の確立 2 スタートアップの公共調達の加速に向けた契約等の運用指針の策定 • スタートアップが政府調達に参入しやすい環境整備を図る観点から、研究開発支援から本格調達に至るまで国等のスタートアップとの契約等における資 金的負担の軽減や迅速性・柔軟性の向上を図るべく、契約等の全府省等・独法等の統一的な運用指針*を作成する。 *併せて、運用定着を図るため、契約条項等の雛型(スタートアップ調達モデル契約)やスタートアップ向けに簡素化された経費処理マニュアル(スタートアップ調達事務処理マニュアル)の作成を検討。 基本的な考え方(案) • スタートアップが大きく成長するためには、スタートアップの提供する製品・ サービスの市場・需要を政府が主導して創出することが重要。 • また、拡大・多様化する行政課題への対応に向けて、政府は、調達実 績が豊富な企業のみならず、高度な技術を持つ新しい調達先を積極的 に検討するとともに、将来的な調達先の育成を図るべきであり、その有力 な候補がイノベーションの担い手であるスタートアップである。 • 他方で、スタートアップは過去の調達実績や資金力が限定的であり、必 ずしも十分に参入機会が確保されてこなかった。 • 特に、研究開発・実証事業においては、長期・大規模にわたる投資が必 要であることから、予め詳細な仕様を確定することが困難等の特性を有し ており、現行の一般的な運用をそのまま適用することがなじまない場合 ある。 • そこで、スタートアップが政府調達に参入しやすい環境整備を図る観点か ら、研究開発支援から本格調達に至るまで国等のスタートアップとの契約 等における資金的負担の軽減や迅速性・柔軟性の向上を図るべく、ス タートアップによる政府調達の参入が想定される契約等の全府省等・独 法等の統一的な運用指針を作成する。 ※1:契約の履行が確実な相手方と認められ、契約の保証金が必要とないと認められる場合。 ※2:国においては会計法第29条の3第4項又は同条第5項に基づき、例えば契約の性質や目的が競争性を許さない場合又は契 約に係る予定価格が少額である場合等に限る。 運用指針における項目(案) 項目(例) 現行の一般的な運用や 指摘されている課題 対応の方向性(案) 入札参加 機会 J-Startup選定企業等のスタートアップ等 の入札参加資格要件を緩和。 入札公告への反映等、拡大したスタート アップ等の入札参加資格の対応状況の 確認と確実な運用。 調達方式 高度かつ独自な新技術を有するスタート スタートアップ技術提案評価方式を積極 アップとの随意契約が可能な仕組み(ス 的に活用。 タートアップ技術提案評価方式)を創設。 契約保証金 契約時に保証金の納付が求められ、スター 全省庁統一参加資格を有する者との契 トアップの資金繰りを圧迫する場合あり。 約において契約保証金を免除※1。 計画変更 計画変更の閾値が低い場合に、変更承認 柔軟性や迅速性が求められる場合 プロセスによる遅れが生じる場合あり。 等、事業に応じた適切な閾値を設定。 支払い 後払いの場合に、スタートアップの資金繰り 概算払や前金払、部分払を積極的に を圧迫する場合あり。 活用。 国の研究開発事業の成果に基づく調達で 本格調達時 国の研究開発事業の成果に基づく本格 あっても、原則として本格調達にあたり再入 の再契約 調達について随意契約を活用※2。 札が必要。 上記項目及び対応は例であり、その他項目も含めて今後継続的に検討予定。

資料3

2.スタートアップ 資料3 第4回日本成長戦略会議資料 「分野横断的課題への対応の方向性」 (スタートアップ部分抜粋) 1.現状と課題  2022年11月スタートした「スタートアップ育成5か年計画」(「5か年計画」)の推進により、我が国のスタートアップ数は25,000社へと増加。大学発ス タートアップも、3年間で1.5倍に増加。  ユニコーン予備軍も約3倍となるなど、スタートアップエコシステムは着実に発展。経済成長へのインパクトも対GDP比約4%、2年間に32%拡大。  一方、ユニコーン数や資金調達額については、「5か年計画」の目標にはまだ遠く、スケールアップのための成長資金供給の強化は引き続き大きな課題。  特に、ディープテック・スタートアップは戦略17分野における技術革新や成長投資の先導的な担い手であり、ユニコーンに成長する潜在力を有するが、収 益化までに長期間と大規模資金を要するため、その壁を乗り越えられるようなディープテック・スタートアップ育成の強化が課題。  また、日本のスタートアップの資金調達の8割は東京に集中しており、地域からスタートアップを輩出していくエコシステムの強化が課題。 ※ 国内スタートアップ数 将来の目標:10万社 国内ユニコーン数 将来の目標:100社 ユニコーン ユニコーン・上場ユニコーン (評価額1,500億円~) 上場 ユニコーン ユニコーン 予備軍 ユニコーン予備軍 (評価額500~1,500億円) 5か年 計画 策定時 スタートアップ・ 大学発スタート アップ 諸外国のユニコーン企業数※6 米︓722 スタートアップ 大学発 スタートアップ 英︓57 仏︓29 内は「スタートアップ育成5か年計画」における目標 国内資金調達・創出GDP額 2021年 現在 6 1.3倍 18 1.8倍 12 2.6倍 (※1) 2021年: 8,876億円 → 2025年: 7,613億円(速報値) (2024年8,828億円) (※1) (※2) 33 海外主要国が2021年比で大きく減少する中、 25.69兆円のGDPを創出し、日本の名目 GDP対比では約4% 相対的に減少幅は小さい。 31 <スタートアップによる創出GDP※1の推移> (※2) (※3) 約16,100 8 2027年度の目標:10兆円規模 (※4) 1.5倍 約25,000 3,305 1.5倍* 5,074 (※5) <資金調達額:2021→2025年比> 中国 英国 (※5) *2023年度から2024年度への増加分の 約57%は東京都以外で創業 シンガポール︓16 米国 -30% 韓国︓15 ※1 出典:CB Insights, Pitchbook, スピーダスタートアップ情報リサーチ。ユニコーン:評価額10億ドル又は1,500億円を超える未公開企業 ※2 出典:Pitchbook, スピーダスタートアップ情報リサーチ。上場ユニコーン:2016/1/1/から2025/12/31の間にIPOした企業のうち、スタートアップ情報リサー チ スピーダに掲載されている企業であり、外部調達を行ったことがあり、かつ上場後1度でも時価総額が10億ドル又は1,500億円を上回っている企業をカ ウント。このうち、被M&A等により現在は非上場となっている企業は除外。 ※3 出典:株式会社ユーザベース「Japan Startup Finance2020」 ※4 出典:スピーダスタートアップ情報リサーチ。2026/3/31時点で「調査継続中」で調達後評価額が500億円から1,500億円の企業。 ※5 出典:令和6年度大学発ベンチャー実態等調査。年度別の数字であり、2021年度:3,305社、2024年度:5,074社。2023年度から2024年度への増加 分の約57%は東京都以外で創業。 ※6 出典:CB Insights。2025年10月の数値。 -62% 日本 -15% -46% (出典)<資金調達額(日本国内)> ○株式会社ユーザベース, 「Japan Startup Finance 2025」 <資金調達額(海外)> ○Dealroom.co. “Locations fundings heatmap” +32% 19.39 8.92 22.33 10.14 25.69 対GDP比 約4%※2 (兆円) 12.03 間接波及効果 10.47 12.19 13.66 2023年 2024年 2025年 直接効果 ※1 直接効果とは、スタートアップの経済活動により創出される付加価値を指し、 間接波及効果とは、スタートアップに対するサプライヤーの経済活動や所得 創出に伴う消費支出が引き金となり連鎖的に創出される経済効果を指す。 本調査では間接波及効果のうち2次波及効果までを推計。 ※2 2025年の日本の名目GDP(663.8兆円)との比較 (出典)令和7年度ユニコーン創出支援事業(起業家精神・スタートアップ企業 の情報整備等に関する調査)、内閣府 経済社会総合研究所「国民 経済計算(GDP統計)」(2026/3/31時点) 2.スタートアップ 2.これまで(2025年度内)の取組 (1)経済対策における対応  ディープテックスタートアップ支援(1,000億円基金の内数)、起業家等の海外派遣(46億円)、中堅・中小企業・スタートアップへの設備投資を支援 (4,121億円)。 (2)内外からの資金供給拡大のためのスタートアップ関連税制の拡充  オープンイノベーション促進税制について、セカンダリー取引・吸収合併に係る拡充。PE(恒久的施設)課税特例について持分割合要件の引上げ。 (3)東京証券取引所グロース市場の上場維持基準の見直し(12月8日)  「上場10年経過後から、時価総額40億円以上」から「上場5年経過後から、時価総額100億円以上」に改正(新基準は2030年より適用予定)。 (4)政府調達の強化に資する制度の整備  防衛省において、スタートアップの技術・製品の迅速な導入に向け、柔軟な契約制度の活用を推進する「ファストパス調達」を開始。 (5)グローバル・スタートアップ・キャンパス構想の推進  運営法人の設立等に関する法案を本国会に提出。 3.対応の方向性 (1)課題への対応の方向性  1.の課題を解決するため、以下の3本柱を通じて「5か年計画」強化に取り組む。 ①:スタートアップのスケールアップ スケールアップを加速するエコシステムの構築にあたっては、グロース・ファイナンスの強化が最重要。また、M&Aも含めた多様なエグジット(出口) の確保により、資金と人材の循環を促進。加えて、海外からの投資、スタートアップ、人材の誘致を進め、世界の資金・人材・技術がダイナミックに 循環するグローバルなエコシステムへの接続を強化する。 ②:ディープテック・スタートアップの支援 ディープテック・スタートアップの創出・育成のためには、研究開発から事業化・社会実装に至るまで切れ目ない支援が必要。特に、初期需要創出のた めに政府調達の強化が最重要。これまでSBIR※1で取り組んできた研究開発支援に加えて、本格導入につなげるためアンカーテナンシー型※2の委 託による試験導入・運用の取組を強化するとともに、スタートアップが政府調達に参入しやすくするための環境を整備する。また、防衛力強化にスター トアップの力を活かし、同時に、防衛分野での調達や研究開発・実証等を起爆剤にスタートアップが成長する好循環の創出に向け、デュアルユース・ スタートアップのエコシステム強化に重点的に取り組む。加えて、戦略17分野に集中的に支援策を措置する。 ③:地域の経済社会を担うスタートアップの創出・育成 地域のスタートアップ・エコシステム強化のため、起業家教育の充実、大学・高専発スタートアップの創出・育成強化、自治体によるスタートアップ調 達の強化、スタートアップ・エコシステム拠点都市の強化等を進める。 (※1) Small/Startup Business Innovation Researchの略。スタートアップ等による研究開発を促進し、その成果を円滑に社会実装し、それによって我が国のイノベーション創出を促進するための制度。 (※2) 政府が民間企業の製品やサービスを安定的な大口顧客として長期契約で購入・利用することを約束することで、売上計上を可能とし、民間投資を呼び込み産業育成を支援する手法 2.スタートアップ 3.対応の方向性 (2)KPI  スタートアップへの投資額を2022年度から5年後の2027年度に10倍を超える規模にする(10兆円規模)。 ※2025年(速報値)の投資額は、7,613億円(2024年は、8,828億円)。  将来において、ユニコーンを100社創出し、スタートアップを10万社創出する。 ※ユニコーン数は2025年10月時点で8社(上場ユニコーン数33社と合計すると41社)。 (3)講じるべき施策パッケージ ①スタートアップのスケールアップ <a. 内外からの成長資金の供給拡大> シード期からレイター期まで一気通貫で支援を実施するため、政府系金融機関等からの資金供給強化の方策を検討(26年度内)。 ディープテック・スタートアップの量産体制整備等のための資金調達に係る中小機構による債務保証制度の拡充。 東証の上場ベンチャーファンド市場を活性化すべく、ポートフォリオ構築期間延長などの要件緩和を行い、NISAを含む個人からの資金流入を拡大(26年夏)。 資金調達時の有価証券届出書の提出免除基準の緩和(1億円→5億円)等(金融商品取引法改正)(26年度内)。 GPIF、大学基金など機関投資家において、ベンチャーキャピタル(VC)ファンドを含むオルタナティブ投資を推進すべく、投資環境整備等※1を進め、投資実績を 積み上げ。 • 金融機関が有限責任組合員(LP)として出資する場合について、現行法上10年とされる議決権保有制限の例外となる期間の見直し(26年度内)。 <b.出口の多様化> • スタートアップのM&A活性化に向けて、「M&Aガイダンス」を策定・普及させるとともに、オープンイノベーション促進税制の活用を拡大。 • 「のれんの非償却の導入及びのれん償却費計上区分の変更」について、企業会計基準設定主体における検討プロセスが加速されるよう、フォローする。 • プライマリー及びセカンダリー取引の活性化に向けて、特定投資家(プロ投資家)への移行要件の緩和・明確化を図る(~26年夏)。 <c.グローバルネットワークの強化> • 起業初期段階から海外展開を志向するスタートアップを育成する「Born Global型」等の拡充など、J-StarX ※2 を強化。 • 政府系ファンドから海外VCファンドへのLP出資拡大や「Global Startup EXPO」開催を通じて海外VCからの投資拡大や日本進出促進。併せて、東証 等と連携し、海外の有望なスタートアップの日本進出から東証上場までの支援を実施し、日本と海外のスタートアップエコシステムの強化を図る。 • 国内の有望なスタートアップが海外市場に進出する際、JBICはじめ政府系機関の海外ネットワークを活用して、資金供給を含む金融・ビジネス両面からの 支援を推進するとともに、在外公館において、デュアルユース等先端技術に精通した専門家の伴走支援やODAによる支援を実施。 • • • • • (※1)運用受託機関等とのコミュニケーションを通じて、国内VC等に対して、公正価値評価(時価評価)の導入や、投資戦略・実績などの運用状況の開示を求める投資環境整備を進める。さらにGPIFにおいては、オルタナティブ投資に係る分 析体制の強化・専門性の向上、多様化した運用手法の活用を進める。大学基金においては、着実に運用の高度化を進める。 (※2)「J-StarX」は、最初から海外を目指す起業家の育成や、スタートアップの海外展開支援を目的に、若手起業家や学生を、欧米やアジアの主要都市に派遣する事業。国内の事前プログラム等で選抜を行ったのち、現地に派遣し、資金調達 や事業開発に必要な投資家や事業会社への紹介や、連続起業家からの助言(メンタリング)などを提供。 3.対応の方向性 (3)講じるべき施策パッケージ 2.スタートアップ ②ディープテック・スタートアップの支援 <a.政府・大企業による調達の強化> • 初期需要の創出のため、スタートアップへの技術開発支援(補助等)を行うSBIR制度を抜本強化し、政府の本格調達につなげる試験導入(委託)の 枠組の創設を検討。新しい枠組の中で大規模技術実証の拡充も検討。あわせて、スタートアップが政府調達に参入しやすくするための契約指針等を策定。 • 防衛力強化とスタートアップによるイノベーション創出の好循環を生み出すため、防衛省と経産省が連携して研究開発から調達まで一貫した支援を開始 (防衛省において「ファストパス調達」として、防衛版SBIR制度を開始するとともに、部隊及び幕僚監部と企業が一体となってフィードバックサイクルを回す「ア ジャイル型調達」を推進)。 • 大企業によるスタートアップ製品等の本格調達・購買の実現可能性を検証するための実証、研究開発を支援する事業を強化。 <b.優れた技術の事業化> • 優れた研究成果に基づく大学発ディープテック・スタートアップの創出に向け、人材育成や事業化支援、投資拡大や海外VC等と連携を加速。 • 研究開発段階から事業化までの一気通貫の支援を戦略17分野に重点化して強化し、NEDO等による伴走支援体制を確立。 • グローバル・スタートアップ・キャンパス構想を推進するため、施設の開所に先立つ先行的活動を本格的に開始。 <c.経営力の強化と伴走支援体制の充実> • 有望技術の能動的な探索・発掘を促し、起業支援、知的財産戦略、事業戦略等に係る専門人材チームによるNEDOによるワンストップ支援の実施を強化。 • J-Startup制度の戦略17分野へのスケールアップに向けた重点化、選定基準の明確化や公募導入等を含む制度見直しと伴走型支援の推進。 • 競争優位性を実現するビジネスモデルとそれに連動した知財戦略の構築の支援、VC等への知財専門家の派遣を充実・強化。 ③地域の経済社会を担うスタートアップの創出・育成 <a.次世代を担う起業家の育成> • 全国の小中高大生・博士学生を対象とするアントレプレナーシップ教育の受講機会の拡充とともに、学校現場への起業家等の派遣等を拡充。 <b.地域におけるスタートアップの更なる創出に向けた支援> • 国立高専機構本部にスタートアップ支援組織を設置。各高専への地域連携コーディネータの配置の促進等。 • インパクトスタートアップの支援、ローカルゼブラ支援、VCや機関投資家等によるインパクト投資の拡大を通じたスタートアップへの資金供給促進 <c.社会課題解決を牽引するスタートアップの実証・調達> • 自治体によるスタートアップ調達の強化に向けた方策の推進。 • 国家戦略特区制度の更なる活用を促すため、情報発信の強化や、スタートアップに係る規制・制度改革提案を募集し、その実現を後押し。 <d.地域における多様なプレイヤーの連携> • エコシステム拠点都市において、海外市場を見据えた事業戦略の具体化や収益性確保に係るハンズオン支援等を実施。 • 地域未来戦略における産業クラスターの形成に向けた取組との連携を強化。

資料4

資料4 デュアルユース戦略基金創設とインクルーシブなエコシステム形成に関する提言 2026 年 4 月 24 日 慶應義塾大学 芦澤美智子 本分科会のこれまでの議論を踏まえ、スタートアップのスケール化に向けて、以下 2 点を提言する。 1.デュアルユース戦略基金の創設 (1)背景・必要性  世界各国で、デュアルユース分野(AI・ドローン・衛星等)で、R&D から量産まで一貫した政府 支援を受け、スタートアップがスケール化  日本の防衛予算は米国の 1/10 以下。戦略的に勝てる分野への選択的・集中的支援が不可欠  宇宙戦略基金(10 年・1 兆円)が宇宙スタートアップ活性化で成果。同モデルをデュアルユース 全般へ拡大する好機 (2)基金の基本設計 基金名 規模・期間 デュアルユース戦略基金(仮称) 予見性の高い長期・大規模支援(例:10 年間・政府拠出 1~3 兆円) Blended Capital で政府拠出の 3 倍規模のレバレッジを目標 運営主体 宇宙戦略基金を参考に府省横断設計(防衛省・防衛装備庁、経産省) 対象 スタートアップ・中小企業・大学・研究機関・大企業 (3)重点施策 ①スタートアップ参入促進  採択件数・予算の 30%以上をスタートアップ(設立 10 年以内)に割り当て  「死の谷」支援:研究開発→実証→量産化へのシームレスな資金継続  柔軟な契約手続き(入札競争によらない調達)の法整備  セキュリティクリアランス取得支援・セキュリティ担保のデュアルユース拠点設置・デュアルユー ス専門アクセラレーター設置 ②Blended Capital 制度の導入  政府がファーストロス・アンカー投資家として機能し、民間資金(VC・大企業・DBJ・JBIC 等) を誘引  ローン(直接融資)・ローン保証・レバレッジ型ファンドを組み合わせて資金乗数を最大化 ③自衛隊 OB のビジネス進出支援  「自衛隊 OB スタートアップ支援プログラム」創設:起業・副業・顧問就任を支援する専門窓口  デュアルユース基金採択企業への OB 人材マッチング・VC ファンド設立支援(米国 In-Q-Tel 等 モデル) ④重点技術領域の選定 1  日本が技術的・サプライチェーン的に優位性がある分野(無人機(UAS)・自律システム/量子セ ンシング・量子通信/サイバーセキュリティ・海中海洋技術・バイオ医療・ロボット等)  グローバルな持続的競争優位性を確保する産業戦略を策定し、重点技術領域を明示・選定する 注)基金開始までに実現できるものの前倒し実施を積極的に行う。特に SBIR の抜本的強化により、量 産化へのシームレスな政府支援を実施することが重要。 参考 1:Synspective 社の資金調達 (注)宇宙戦略基金・その他政府支援の金額は、採択金額・支援上限額 (出所)会社 HP、防衛装備庁 HP より、みずほ銀行産業調査部作成 参考 2:宇宙戦略基金採択企業の株価推移(2024 年末の株価・指数=1) (出所)各社株価等より、芦澤&みずほ銀行産業調査部作成 2 2.ハラスメントのないインクルーシブなエコシステム形成 (1)背景・必要性 2026 年 4 月 9 日に東大・慶應・京大・一橋の 4 大学が経産省協力のもと実施した実態調査(有効回答 467 件、2015 年以降設立スタートアップ 13,264 社対象)がプレスリリースされた。 ハラスメントあり(計) 32% 回答者の約 3 人に 1 人 パワハラ(非性的) 31% 威圧的叱責・不合理な要求等 セクハラ(性的) 6% 女性起業家に集中(女性 23%、男性 3%)  加害者属性:取引先 27%、VC 25%、メンター11%、エンジェル投資家 8%  事業への深刻影響:提携機会の喪失 17%、事業ピボット 17%、ネットワーキング回避 15%、資金 調達関係の回避 8% (2)政策提言 【提言①】多様なステークホルダーの相互理解とネットワーク構築支援  公的なセクター横断ネットワークイベントの開催  セクター横断的メンタリング・アクセラレーターの推進支援  女性起業家向け多様なネットワーク形成機会の創出 【提言②】相談・可視化機能の強化と既存知見の共有・啓発  人権保護・公正取引・起業家支援等の多面的視点での公的相談窓口の設置  本調査結果の啓発活動推進と改善状況の定期モニタリング 【提言③】ステークホルダーとの関係における行動規範策定・運用  取引先との関係における優越的地位濫用ケースの整理・行動規範策定  VC の指針改定における行動規範の強化  メンターを対象としたハラスメント研修の実施  フリーランス保護に限らない個人としての起業家の保護の在り方の検討 参考 3: 東京大学・京都大学・慶應義塾大学による調査概要 (出所)東京大学によるプレスリリース(https://www.u-tokyo.ac.jp/content/400285350.pdf) 3

資料5

資料5 第三回スタートアップ政策推進分科会 Red Capital 株式会社 代表取締役マネージングパートナー 井上 智子 ダイナミックに循環し拡大再生産を続けるイノベーションエコシステムの構築 ― エコシステムの実効性を高めるための具体化に向けた提案― これまでの分科会において、スタートアップのスケールアップ、ディープテック支援、 地域エコシステム強化の三本柱については方向性の共有が進み、制度整備の枠組みも具体 化されてきたと認識している。今後は、これらを実効性あるものとし、資金・人材が実際 に循環するエコシステムを形成するため、制度の「運用」と「接続」に踏み込んだ具体化 が重要である。本書では、その観点から特に補強すべき点を提案する。 1.成長資金供給の実効性向上(制度から“結果”へ) 公的基金によるオルタナティブ投資の重要性についてはこれまで有意義な議論がなされ てきたが、今後は制度整備にとどまらず、スタートアップ領域への資金流入の拡大という 結果につなげる視点が重要である。 特に、GPIF や大学基金等においては、従来の個別資産ごとのリスク管理を重視した「安 全運用」から、ポートフォリオ全体での収益最大化を志向する運用への転換を進めること が求められる。その中で、オルタナティブ投資を合理的に位置付け、長期的な運用成果と 成長資産への資金供給の両立を図ることが重要である。 このため、運用の柔軟性向上や評価手法の高度化、運用受託機関との対話強化を通じ て、オルタナティブ投資の拡大が実際のコミットメント増加として現れる仕組みの具体化 が期待される。あわせて、再チャレンジを促進する観点から、セカンダリー市場や M&A の 活性化を通じ、資金と人材の再循環を強化することも重要である。 2.ディープテックにおける「最初の顧客」の制度実装の深化 アンカーテナンシー型アプローチの重要性については共通認識が形成されているが、そ の実効性を高めるためには、制度設計のさらなる具体化が必要である。 第一に、スタートアップ向け政府調達枠について、現行の努力目標にとどまらず、一定 割合の予算確保を制度的に担保する仕組みの検討が有効である。調達規模の予見可能性を 高めることで、投資判断の前提が明確となり、民間資金の呼び込みにつながる。 第二に、研究開発段階(フェーズ 1・2)で成果を上げたスタートアップが、本格調達 (フェーズ 3)へ円滑に移行できるよう、優先交渉権や随意契約への移行等の仕組みを明 確化することが重要である。 第三に、制度を実効的に機能させるため、各省庁に調達専門人材を配置し、スタートア ップ製品を「導入・評価・改善」する顧客機能を強化することが求められる。 あわせて、大企業との連携を強化する観点から、オープンイノベーション促進税制につ いて、海外との共同研究や国際治験等を伴う取組に対する追加インセンティブの検討も有 効である。さらに、グローバル展開を見据え、 「グローバル・スタートアップ・キャンパ ス」等を活用し、海外人材を束ねるマネジメント力の強化も重要である。 3.自治体調達を核とした地域エコシステムの高度化 自治体調達の重要性は共有されているが、スタートアップの成長につなげるためには、 その機能を一段高度化する必要がある。 第一に、単独自治体での調達にとどまらず、複数自治体がニーズを統合する広域調達の 仕組みを構築することで、市場規模を確保し、スタートアップの参入を促進することが重 要である。 第二に、自治体における実証・導入実績を「次の顧客」につなげる仕組みの整備が求め られる。導入成果を公的に認証し、他自治体が迅速に採用できる仕組みを構築すること で、行政実績の資産価値を高め、市場展開の加速が期待される。 これらの施策は個別に講じるのではなく、資金供給、需要創出、人材、地域が連動する 形で設計されることで、初めて持続的な成長につながる。今後は、これまで整理された方 向性を前提に、その実効性を高めるための制度・運用の具体化に踏み込んだ議論が進むこ とを期待したい。 以上

資料6

育成から飛躍へ: スタートアップ育成5か年計画 の先を見据えた基本戦略 2026年4月24日 一般社団法人 日本経済団体連合会 産業技術本部長 小川尚子 1.はじめに 2.5か年計画の先を見据えた基本戦略 戦略1.政府の継続的なコミットメント 戦略2.グローバルへの「飛躍」を支える政策とエコシステム 戦略3.官需を成長ドライバーとするスケールアップ 3.現5か年計画の強化 (1)シーズの掘り起こし強化 (2)事業化 (3)資金 4.おわりに 1 10X10Xの現在地 ◼ 「スタートアップの躍進ビジョン」(2022年3月)で目標「10X10X」を掲げ、 政府の「スタートアップ育成5か年計画」(同年11月)の下、従来にない規模で 集中的に施策が展開されてきた ◼ 現在、裾野(起業の数)は1.7倍に広がった一方、高さ(成功レベル)には 大きな変化が見られない。スタートアップは日本経済の競争力を取り戻すための 切り札であり、エコシステムの活性化に一層取り組むことが不可欠 ◼ 本提言では、5か年計画の先を見据えた中長期的な基本戦略、およびこれを踏ま えて現5か年計画を強化し、至急取り組むべき施策について提言 高さ=成功のレベルを10倍に 裾野=起業の数を10倍に スタートアップ数 年間投資額 2021年 → 16,100 社 8,876億円 (出所) スタートアップ数 UZABASE「スピーダ」 フォースタートアップス「STARTUP DB」 年間投資額 UZABASE「Japan Startup Finance」 ユニコーン企業数 CB Insights ユニコーン企業数 デカコーン企業数 2021年 → 2025年 6社 8社 0社 0社 2025年 27,000 社 7,613億円 ×1.7 ×1.3 2 5か年計画の先を見据えた基本戦略 戦略1 戦略2 戦略3 政府の継続的な コミットメント 「第二次5か年計画」 の策定 グローバルへの 「飛躍」を支える 政策と エコシステム 官需を 成長ドライバーとする スケールアップ ◼ 「スタートアップ育成5か年計 画」の下、集中的・継続的に政 策が展開・拡充。その存在意義 は大きい ◼ 5か年計画の終期には、達成状 況の検証・レビューを踏まえ、 政策の強化・継続を担保する 「第二次5か年計画」を策定 すべき ◼ 起業当初からグローバルを 目指す野心を持ち、資金調達と 市場獲得の両面において 「グローバル」に戦える スタートアップを多く生み出す ことに注力。その際、国内外を 問わずに支援対象とすべき ◼ グローバル起点の政策を展開す る中核的拠点として、GSC構想 (グローバル・スタートアップ・ キャンパス)を積極活用すべき ◼ 防衛・宇宙・防災などの公共性が 高い一方、市場原理のみによる 初期需要創出やスケール拡大が 困難な分野を中心に、政府が 集中的かつ長期的な公共調達を 通じて成長を後押しすべき ◼ スタートアップの選定には、 民間の知見・目利きを活用 することが不可欠 3 現5か年計画の強化(1)シーズの掘り起こし強化 ◼ 研究成果を社会実装につなげる道筋(パス)の整備が急務であり、大学の知を外部 から能動的に掘り起こすグローバル水準の専門家集団「イグニッションチーム」を 組成すべき。イグニッションチームには、①事業構想、②知財戦略、 ③スタッフィング、④資金調達の4つの能力が必要。VCが国内外から人材獲得を するにあたり、政府が呼び水的に資金援助を行うことが一案。海外から人材を獲得 する場合には、資金援助をより手厚くすべき ◼ 市場獲得に向け、起業前後の早期の段階で潜在的な顧客への調査を実施し、将来の 顧客ニーズを踏まえた研究開発への軌道修正することも重要。 カスタマーディスカバリーについても政府の支援策に組み込むべき ①深い技術理解に基づく事業構想 (ビジネスデザイン)の組み立て ②知財戦略の 立案と実行 各大学 能動的発掘 イグニッションチーム (バイオ、創薬、エネルギー、量子などの分野別) ③フェーズに応じた 人材のスタッフィング ④資金調達計画の 立案と実行 イグニッションチームが 各大学の優れた研究を 能動的に発掘 ユニコーンになりうる 優れたスタートアップを創出 4 現5か年計画の強化(2)事業化 ①公共調達の拡大 ◼ 5か年計画の目標「3%」を至急達成し、さらに「10%」へ目標引き上げ ✓ 省庁横断的な複数年契約、契約保証金を課さない運用の実施 ✓ アジャイル型の調達の促進 ✓ 本格調達前に試作品を初期導入・実証できる仕組みの創設 ✓ 防衛分野における「ファストパス調達」の整備を歓迎。ユーザーの声を踏 まえて真にスタートアップフレンドリーな制度にすべき ◼ 大企業も積極的にスタートアップの製品・サービスを調達することが重要 ②SBIR制度における民間リスクマネーとの接続強化 ◼ 概念実証の実施後、社会実装に向けた量産化において壁に直面する スタートアップも多いため、官による技術育成支援から、民による事業化 に向けた資金供給を接続させる仕組みを整備すべき ③規制・制度改革 ◼ 経済産業省の「スタートアップ新市場創出タスクフォース」の周知徹底や 利用機会の拡大 ◼ 関係省庁が連携強化し、規制改革推進会議等を通じて、迅速かつ大胆な 規制制度改革を推進すべき 5 現5か年計画の強化(3)資金 ①海外VCの積極的な誘致 ◼ 高さを出すためには海外からの大型の資金供給拡大が不可欠 わかりやすく大胆な経済インセンティブを用意し、 トップティアの海外VCを中心に積極的に誘致すべき ✓ 政府や公的機関によるファンドへの魅力的なマッチング拠出の 仕組みを構築 ✓ 海外投資家が円滑な投資活動が行えるよう、配偶者・子女も含め 暮らしやすい生活基盤を整備 ✓ 国内のベンチャーキャピタリストを海外に派遣し、海外とのネットワー クを有し、グローバルレベルのプラクティスが可能な人材を育成 ✓ 海外投資家へのビジビリティを高める施策 ②出口戦略の多様化 ◼ M&Aをはじめ、IPO以外の出口の多様化が不可欠 ✓ 大企業や機関投資家によるセカンダリーマーケットにおける取引拡大 ✓ オープンイノベーション促進税制の積極的な活用等による大企業による M&Aのほか、スタートアップ間のM&Aを促進 6 おわりに ◼ 大企業側もエコシステムの発展に向け、スタートアップからの調達、M&A、 事業のカーブアウト、人材流動性の向上などに弛まず取り組むことが重要 ◼ 経団連では、経済界全体の行動変容を促すべく、2022年度より企業の取組みを 見える化する「スタートアップフレンドリースコアリング」を実施 大企業においてもスタートアップ連携の重要性が広く認識されるようになった ◼ 経団連としても、大企業のアクションを一層推進するとともに、スタートアップの ニーズを丁寧にすくい上げ、規制改革要望や提言の形で政府に届け、 実現に向けフォローしていく ◼ 本提言で示した戦略に基づいて、2027年春を目途に「第二次5か年計画」に向けた 具体的な提言を取りまとめるべく検討を深めていく 1 スタートアップフレンドリースコアリングの3つの視点 リソース提供 人材の提供、資金の提供、 製品・サービスの調達、業務提携 2 事業・人材の取り込み アクハイア、M&A 3 事業・人材の輩出 カーブアウト、人材輩出 7

資料7

育成から飛躍へ: スタートアップ育成5か年計画の先 を見据えた基本戦略 2026 年4月 14 日 目次 1. はじめに ........................................... 1 2. 5か年計画の先を見据えた基本戦略 ..................... 1 ➢ 戦略1:政府の継続的なコミットメント ..............................1 ➢ 戦略2:グローバルへの「飛躍」を支える政策とエコシステム 2 ➢ 戦略3:官需を成長ドライバーとするスケールアップ ............2 3. 現5か年計画の強化 .................................. 3 (1)シーズの掘り起こし強化 ............................ 3 (2)事業化 .......................................... 4 ① 公共調達に係る政府目標の早期達成と目標引上げ ...... 4 ② SBIR 制度における民間リスクマネーとの接続強化 ..... 5 ③ 規制・制度改革 ................................. 5 (3) 資金 .......................................................................... 5 ① 海外 VC の積極的な誘致 ........................... 5 ② 出口戦略の多様化 ............................... 6 4. おわりに ........................................... 7 1. はじめに 経団連は「スタートアップ躍進ビジョン」1(2022 年 3 月公表)に おいて、5年後の 2027 年までにスタートアップの裾野(起業の数) と高さ(成功レベル)をともに 10 倍する目標「10X10X」を掲げ、起 こすべき7つの変化とアクションを提言した。この目標は政府の「ス タートアップ育成5か年計画」(同年 11 月策定)にも組み込まれ、 官民連携により様々な取組みを展開してきた。 5か年計画の下、従来にない規模で集中的に施策が展開され、計画 策定から3年が経過した現在、わが国のスタートアップ・エコシステ ムの裾野は 1.7 倍に広がった。他方、ユニコーン企業数は微増にとど まり、エコシステムの高さに大きな変化が見られない。スタートアッ プはわが国の経済競争力を取り戻すための切り札であり、エコシステ ムの活性化に一層取り組むことが不可欠である。 折しも、高市政権において設置された日本成長戦略会議の下、分野 横断的課題のひとつにスタートアップが位置づけられ、本年夏の成長 戦略取りまとめに向けて検討が進められている。 そこで、本提言では、5か年計画の先を見据えた中長期的なわが国 のスタートアップ戦略、およびこれを踏まえて現5か年計画を強化す る観点から至急取り組むべき施策について、以下のとおり提言する。 2. 5か年計画の先を見据えた基本戦略 ➢ 戦略1:政府の継続的なコミットメント イスラエル2や英国3、シンガポール4、韓国5など先行する他国の例 を見ても、スタートアップ・エコシステムの発展には、政府の継続的 なコミットメントが不可欠である。 わが国では過去3年間、政府の体制によらず主要な政策文書にスタ ートアップ振興が継続的に盛り込まれ、政策メニューが拡充されてき 1 https://www.keidanren.or.jp/policy/2022/024_honbun.html イスラエル政府は 1993 年に民間 VC を振興する YOZMA プログラムを開始。 3 英国政府は 2010 年 11 月に「East London Tech City」構想を発表し、ロン ドンをシリコンバレーに匹敵するテクノロジーハブとすべく、海外企業・投資家 の誘致やアクセラレーター施設の整備などを実施。 4 シンガポール政府は「Startup SG」のブランドの下、官民共同投資スキーム 「Startup SG Equity」のほか、起業家・アクセラレーター支援プログラム、海 外投資家の呼び込みなどを実施。 5 韓国政府が 2023 年8月に発表した「スタートアップコリア総合対策」では、 グローバル競争力を有する企業の創出の一層強化を掲げ、韓国人による海外での 起業および外国人による韓国内での起業に対する支援拡大や官民共同投資ファン ドの創設といった施策を展開。 2 1 た。この背景には5か年計画の存在があり、その意義は大きい。 そこで、現5か年計画が終期を迎えるにあたっては、その達成状況 の検証と足らざる点のレビューを踏まえ、さらなる政策の強化と継続 を 担 保 す る 「 第二 次 5か 年 計 画 」 を 策 定 す べ き で あ る 。 そ の 際 、 AI 技術の急速な進歩に伴い、スタートアップを巡る事業環境が抜本的に 変容することも想定されるため、計画の見直しを予め組み込んでおく べきである。 ➢ 戦略2:グローバルへの「飛躍」を支える政策とエコシステム 高さが伸び悩む要因として、海外からの大型資金調達が不十分であ ることや、海外市場を狙う大きな野心を持つスタートアップが少ない こと、小規模な上場(IPO)が多いことなどが指摘されている。これ らを踏まえれば、グローバルへの飛躍を支える政策とエコシステムが 不可欠である。 そこで、「第二次5か年計画」においては、教育のあり方も含め、 起業当初からグローバルを目指す野心を持ち、資金調達と市場獲得の 両面において「グローバル」に戦えるスタートアップを数多く生み出 すことに特に重点を置いた政策を推進すべきである。その際、海外を 拠点に起業・投資を行う日本人や、日本を拠点に起業・投資を行う外 国人など、国内外を問わずに支援対象とすることで、よりオープンな エコシステムの形成を目指すべきである。 こうしたグローバル起点の政策を展開する中核的な拠点として、 「グローバル・スタートアップ・キャンパス(GSC)構想」6を積極的 に活用すべきである。同構想においては、グローバルハブとして、 「多様な専門性やキャリア、個性を持つ人々が参画可能な文化的基盤 のもと、研究者と起業家が主役として躍動できる拠点を目指す」とい ったビジョンを明確に打ち出すことが必要である。そして、これを実 現するために、世界トップクラスの研究者やベンチャーキャピタル (VC)の招聘、国内中心でないグローバルレベルの組織運営が可能な 多国籍・多様性に富んだ運営体制・事務組織の確立が不可欠である。 ➢ 戦略3:官需を成長ドライバーとするスケールアップ スタートアップにとって、政府・企業による資金提供や協業だけで なく、製品・サービスの調達が成長(スケールアップ)への大きな弾 6 https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/global_startup_campus_initiati ve/index.html 2 みとなる。とりわけ、防衛、宇宙、防災などの分野は、公共性が高い 一方で、事業化の初期段階では市場原理のみによる需要創出やスケー ル拡大が難しい場合も多く、公共調達が成長の足掛かりとして有効な 手段のひとつである。 そこで、「第二次5か年計画」では、こうした分野を中心に、戦略 的に伸ばすべきスタートアップについて、政府はアンカーテナンシー 7 として、集中的かつ長期的な公共調達を通じて成長を後押しする政 策を推進すべきである。その際、スタートアップの選定には、スター トアップの成長に責任を持つ、民間の知見や目利きを活用することが 不可欠である。 3. 現5か年計画の強化 前項のとおり、5か年計画の策定を契機として、政府において様々 な政策が展開され、支援メニューは拡充してきたことは意義深い。し かし、海外では AI 分野を中心とした巨額投資を背景に急速に技術が 進歩する中、わが国エコシステムの国際的地位は伸び悩んでいる8。 そこで、前項の戦略を踏まえ、第二次5か年計画を待たず、現5か 年計画後半戦に高さ 10 倍の目標達成に少しでも近づけるために、5 か年計画を強化する観点から至急取り組むべき施策を以下に提言す る。その際、「諸外国並み」では追いつかず、「諸外国を上回る」取 り組みで巻き返しを図ることが肝要である。また、地方を含めて必要 なところに支援が行き届くように、各種施策に関する情報を一元化 し、周知を強化していくことも重要である。 (1) シーズの掘り起こし強化 経団連は提言「Science to Startup」9(2024 年9月公表)にお いて、大学の研究成果をディープテック・スタートアップとして社会 実装につなげる道筋(パス)の整備が急務であるとして、大学・地域 横断的かつ分野別に、大学の知を外部から能動的に掘り起こす「イグ ニッションチーム」の組成を提言した。イグニッションチームはグロ ーバル水準の専門家集団を想定しており、①事業構想、②知財戦略、 7 最初の主要顧客としての新たな技術やサービスの調達・導入を通じて企業の成 長を支えること。 8 Startup Genome が公表する「Global Startup Ecosystem Report」にお いて、東京は、2024 年に前年から5つ順位を上げて 10 位となったが、2025 年に は上海に抜かれ 11 位と順位を下げている。 9 https://www.keidanren.or.jp/policy/2024/060_honbun.html 3 ③スタッフィング、④資金調達の4つの能力が求められる。 このような能力を具備する人材を集約する観点から、例えば VC10が 国内外から人材獲得をするにあたり政府が呼び水的に資金援助を行う ことが考えられる。とりわけ、海外から人材獲得をする場合には、グ ローバル水準の報酬を勘案し、資金援助をより手厚くすべきである。 また、研究成果を社会実装する上で、市場獲得に向けて起業前後の 早期の段階で潜在的な顧客への調査を実施し、将来の顧客ニーズを踏 まえた研究開発へと軌道修正することも重要である。こうしたカスタ マーディスカバリーについても政府の支援策に組み込むべきである。 (2) 事業化 ① 公共調達に係る政府目標の早期達成と目標引上げ 現行の5か年計画では、公共調達におけるスタートアップの調達比 率目標として3%を掲げている一方、足下の実績は 1.5%程度にとど まっており11、目標から大きく乖離している。 そこで、5か年計画の政府目標である3%を至急達成するととも に、さらに、「スタートアップ躍進ビジョン」で提言した「10%」へ と目標を引き上げるべきである。そのためには、予見可能性向上や負 担軽減のため、複数年契約や、契約保証金12を課さない運用を、省庁 横断的に実施すべきである。また、加速度的に進歩する AI 技術など については、アジャイル型の調達を促進することも必要である。加え て、本格調達前に試作品を初期導入・実証できる仕組みを設けること により、大規模調達に向けた後押しとなることが期待される。 また、近年、防衛用途に転用可能な先端技術(いわゆるデュアルユ ース技術)を有するスタートアップが防衛分野への参入を志向する例 が増えている。この点、政府において、スタートアップの技術を迅速 に導入するための調達スキーム「ファストパス調達」が整備されるこ とを歓迎する。そのうえで、ユーザーであるスタートアップのニーズ を踏まえ、真にスタートアップ・フレンドリーな制度とすることが肝 要である。 なお、大企業も自社の競争力強化に向けて、ベンチャークライアン トモデル(VCM)の活用などを通じて、積極的にスタートアップの製 10 ディープテック投資を行う VC、創薬など特定の技術領域に特化した VC、先端 技術共創機構(ATAC)のような取組み主体を想定。 11 「令和6年度中小企業・小規模事業者向け契約実績」https://www.chusho. meti.go.jp/keiei/torihiki/jisseki/r6.pdf 12 会計法第 29 条の9では契約金額の1割以上の契約保証金の納付を規定。 4 品・サービスの調達を進めていくことが重要である。 ② SBIR 制度における民間リスクマネーとの接続強化 概念実証13の実施後、社会実装を目指すものの、量産化 において 壁 に直面するスタートアップも多い。政府の SBIR 制度14はスタートア ッ プ な ど に よ る 研 究 開 発 を 後 押 し す る 枠 組 み で あ り 、 2022 年 度 よ り、大規模技術実証段階を支援するフェーズ3基金事業も創設され た。調達・市場化をより実効的に進めるには、研究開発にとどまら ず、事業化に向けた資金供給に繋げることが必要だが、実際には、フ ェーズ2の技術実証止まりとなりがちな事例も多い。 そこで、SBIR 制度と VC、事業会社(CVC も含む)など民間リスク マネーとの連動を強化し、官による技術育成支援から、民による事業 化に向けた資金供給を接続させる仕組みを整備すべきである15。民間 のリスクマネーが入ることでスタートアップ自身の事業化に向けた成 長意識が高まり、いわゆる「死の谷」を越える推進力が高まることが 期待される。また、事業化に向けては、大企業が保有する海外ネット ワークを活用することも一案である。 ③ 規制・制度改革 スタートアップが新たな製品・サービスを事業化するにあたって は、既存の規制制度が阻害要因になる場合も多い。 そこで、経済産業省の「スタートアップ新市場創出タスクフォー ス」の周知徹底や利用機会の拡大を通じて、関係省庁が連携強化し、 迅速かつ大胆な規制制度改革により後押しすることが肝要である。 (3) 資金 ① 海外 VC の積極的な誘致 2.(2)で述べたとおり、高さを出すためには海外からの大型の 資金供給拡大が不可欠である。その際、こうしたトップティアの海外 VC を創業段階などのより早いステージから参画させることも重要で ある。 13 PoC:Proof of Concept Small/Startup Business Innovation Research。スタートアップ等によ る研究開発およびその成果の社会実装を促進するための補助金制度。https://s bir.csti-startup-policy.go.jp/ 15 例えば、フェーズ3において民間からの資金調達を要件とすることも一案。 14 5 そこで、シンガポール 16や韓国17の例も参考に、政 府や公 的機 関 に よるファンドへの魅力的なマッチング拠出の仕組みを構築するなど、 わかりやすく大胆な経済インセンティブを用意し、クロスオーバー投 資家も含め、特に大規模な資金を供給できるトップティアの海外 VC を中心に積極的に誘致すべきである。海外のベンチャーキャピタリス トの来日にあたっては、円滑に投資活動が行えるよう、配偶者・子女 も含め暮らしやすい生活基盤を整備することも重要である。 また海外に国内のベンチャーキャピタリストを多数送り込むこと で、海外投資家とのネットワークを有し、かつ、グローバルレベルの プラクティスが可能な人材を育成することも肝要である。 さらに、ディープテック・スタートアップに対する資金調達を促進 す る 観 点 か ら 、 欧 州 特 許 庁 に よ る 「 Deep tech finder 」 18 も 参 考 に、海外投資家へのビジビリティを高める施策を展開すべきである。 ② 出口戦略の多様化 ミドル・レイター期以降の資金供給力を拡大するためには、M&A を はじめ、IPO 以外の出口の多様化が不可欠である。 この点、2025 年5月に施行された改正金融商品取引法 において非 上場株式の仲介を行う証券会社の登録要件の緩和などの見直しが行わ れ、また日本証券業協会においても私設取引システムにおける非上場 有価証券の取引等に関する規則の一部改正 19などが実施されていると ころ、大企業や機関投資家による取引を拡大し、セカンダリーマーケ 16 シンガポールの「Startup SG Equity」では、政府がシンガポールに拠点を 置くまたは設置予定のファンドに LP 出資(1社あたりの投資上限はファンド総額 の 20 % 以 内 ) 。 https://www.enterprisesg.gov.sg/resources/mediacentre/media-releases/2026/march/mr01026_startup-sg-equity 17 韓国の「Tech Incubator Program for Startup」(TIPS)では、民間 VC が選定したスタートアップに対し、政府が研究開発、事業化、海外マーケティン グについて最大約7億ウォンを支援。2023 年に新設された「ディープテック TIP S」制度では、民間 VC がディープテック・スタートアップに3億ウォンを投資し た際、政府が最大3年間で 15 億ウォンを共同出資。https://www.jointips.o r.kr/global/ 18 欧州特許庁(EPO, European Patent Office)が提供するディープテック・ スタートアップの検索・調査ツール。特許データとスタートアップ情報を結び付 け、技術分野やステージ、特許出願状況などから検索をかけ欧州地図上にマッピ ング可能。 19 2026 年3月、特定投資家向け PTS 銘柄(私設取引システムで取引される非上場 株式)について、適時情報の公衆縦覧や価格情報公表を不要とし、顧客提供で代 替可能とするなど情報開示・公表義務を緩和。https://www.jsda.or.jp/abou t/public/kekka/files/20260316_pts_syushi.pdf 6 ット20を活性化すべきである。 加えて、グローバル競争力の強化を目指す上で、大企業による M&A を積極的に推進していくことが重要である。また、スタートアップ間 の M&A も有効な手段のひとつである。オープンイノベーション促進税 制について、2026 年度より M&A 型における対象が 50%以下のマイノ リティ株式取得についても対象が拡充されたところ、積極的な活用が 重要である。また、株式対価 M&A の推進をはじめ、スタートアップ間 の統合・再編を後押しする支援も検討すべきである。 4. おわりに 10X10X の実現への道のりは平坦ではないが、スタートアップがわ が国経済の成長と変革を牽引する中核的存在であるとの認識に些かの 揺らぎもない。 経団連も経済界全体の行動変容を促すべく「スタートアップフレン ドスコアリング」などの取組みを実施し、大企業においてもスタート アップ連携の重要性も広く認識されるようになった。大企業側もスタ ートアップ・エコシステムの発展に向け、スタートアップからの調 達、M&A、事業のカーブアウトや人材流動性の向上などに弛まず取り 組むことが重要である。経団連としても、大企業のアクションを一層 推進するとともに、スタートアップのニーズを丁寧にすくい上げ、規 制改革要望や提言の形で政府に届け、実現に向けフォローしていく。 経団連は、本提言で示した戦略に基づいて、2027 年春を目途に、 第二次5か年計画に向けた具体的な提言を取りまとめるべく検討を深 めていく。 以 20 既に発行されている株式や債券などを取引するマーケット 7 上

資料8

資料7 日本成長戦略会議 スタートアップ政策推進分科会 第3回 強い経済をつくるための スタートアップ政策と整合性ある税制改正のご提案 2026年4月13日 郷治 友孝 ㈱東京大学エッジキャピタルパートナーズ(UTEC)代表取締役社長CEO 一般社団法人日本ベンチャーキャピタル協会(JVCA)会長 Copyright© Japan Venture Capital Association all rights reserved. 挑戦を後押しする起業環境を構築し、拡大再生産を実現する必要  縮小均衡を脱するためには、挑戦を後押しする環境を整備し、突き抜けた「高さのある」ス タートアップをまず創出しなければならない。スタートアップや起業家の成功ロールモデル を生み出したうえで、起業家と資金を循環させることを通じて拡大再生産を実現する必要 保守的な起業環境 成長しないスタートアップの乱立 • 小さくまとまるスタート アップが大量に出現 • リスクとをって挑戦 • 起業家の挑戦する する起業家が不足 モチベーションをあ げる • コンサバティブな資 金供給主体 挑戦を後押しする 起業環境 突き抜けたスタートアップの創出 • リスクマネーをレバレッジした高 さを目指した起業の創出 縮小均衡 • よりリスクをとった ポーションの大き い資金の出し手の 拡大 拡大再生産 ロールモデルの不在、 資金供給停滞 起業家と資金の循環 • 「突き抜けた」起業家の • 次の起業家の道標となる「突き • 資金循環が起きず、競 • 資金循環を起こし、スタートアッ ロールモデルが不在 争環境も不十分 抜けた」起業家の存在 プへの資金流入を拡大再生産 Copyright © Japan Venture Capital Association all rights reserved. 1 海外スタートアップ政策との比較 ~ 日本(本提言) vs 米国・中国・欧州(英・仏・EU諸国)~ 政策領域 ➀政府による 需要創出 ➁機関投資家 年金資金 ➂政府系投融資機関 直接・間接投融資 ➃融資 債務保証 ➄個人投資家資金 ➅規制業種 許認可 ➆大企業連携 M& A促進 ➇株式市場 新興市場活性化 ➈税制 その他 日本(本提言) 米国 ・重点17分野での戦略的政府調達 ・SBIR/STTR $70B超 実績 ・政府機関×民間VC・金融機関との協調 ・DARPA 年 $4B超 ・ SBIR 政府調達の横断的抜本強化 ・In-Q-Tel (CIA) 直近2.5年75件投資 ・年金基金によるオルタナティブ投資の拡大 ・CalPERS等が大規模VC投資 ・政府機関×民間VC協調 ・ In-Q-Tel (CIA傘下公的VC) ・国防総省DIU、各省庁VC活動 ・政府関連機関による民間VC協調投融資 ・地域VCファンドへの民間LP出資を促進する公的LP 出資の仕組の拡充 ・重点分野への融資の政府債務保証拡充 (第1回・第2回提出資料から再掲) オルタナティブ投資 5-10% 割当 ・中小企業庁(SBA)ローン保証 ・ベンチャーデット市場発達 中国 欧州(英・仏・EU諸国) ・ 「新質生産力」「硬科技」企業への重点支援 新質生産力: AI、半導体、量子技術、宇宙、核融合、ブ ・ EIC Accelerator 2026年€634M ロックチェーン等、生産効率が異なる新たな産業力 ・ 補助金+エクイティ投資 硬科技: 製造業の高度化やエネルギー革命に資する ハードテック ・ 全国社会保障基金のVC オルタナティブ投資拡大 ・ 年金のオルタナティブ投資推奨 ・ Solvency II緩和議論 ・半導体産業投資ファンド 国家集成電路基金(大基金) ・ 仏: Bpifrance (政府系投資銀行) 第3期(2024~29) 7兆4000億円 (第1・2期合計額以上) ・ EU: EIC Fund直接投資 ・ 国家創業投資引導基金 (2025年12月始動 22兆円) 期限20年の忍耐資本ファンド・オブ・ファンズ。多 くの子ファンドに出資し民間資金の呼び水効果狙う 70%以上を「新質生産力」シード/アーリーSUへ ・ 国家開発銀行融資 ・ 地方政府信用保証 ・ EIB融資 ・ British Business Bank保証 ・エンジェル税制の抜本的拡充・簡素化(米国QSBS型)・QSBS(Qualified Small Business Stock) (連邦) ・エンジェル税制(州別) ・VCT制度創設 (英国型) 投資時税控除+運用益非課税 ・401(k)を通じてSU投資可 ・「大衆創業・万衆創新」政策~エンジェル税制~ ・ 英: VCT 20-30%控除,EIS 30% 設立初期の「新質生産力」(特に「硬科技」 )SU への投資額の70%を課税所得から控除。利益を「新 ・ 仏: PEA税優遇 質生産力」SUに再投資すれば課税繰延べ又は免除 ・サンドボックス拡充 ・ パイロットゾーン ・ EU: Innovation Hub ・ 国有企業による買収増、軍民融合 ・ 英: R&D Tax Credit最大 25% ・重点分野でのSU早期ライセンス取得環境整備 ・Regulatory Sandbox ・カーブアウト/スピンアウトVC導入優遇 ・M&Aは大企業の経営戦略の中核 ・M& A件数・金額の経営指標化 ・SUからの購入・調達の促進 ・州別特例ライセンス ・CVC活発、R&D Tax Credit ・グロース市場の各種向上策(投資家、企業、プロセス) ・ Direct Listing 実績多数 ・年金基金にグロース市場投資のマンデート付与 ・国際的に有利で魅力的な起業家税制の整備 ・世界進出するSUへの国内・海外VCの共同投資の促進 ・世界市場を取り込む海外SU/VCへの投資規制緩和 ・地方大学発SUと主要VC/海外VCとの接続 ・ 「新質生産力」産業で規制緩和 ・ 英: FCA Sandbox ・ BATH(Baidu、Alibaba、Tencent、Huawei)存在感 ・ 仏: CIR(イノベーション税額控除) ・2024~25年 科創板(上海)/創業板(深圳)改革 ・英国2023年年金基金改革で確定拠出型企業年金に 「新質生産力」SU優先、赤字IPO再開、 M&A活性化 非上場株・新興上場株投資のマンデート5%割当 ・ TSP/CalPERS等の公的年金に新興上場株投資のマン ・大基金/全国社会保障基金に科創板や創業板含む新興 ・ノルウェー政府年金基金で株式投資のベンチマークに デートを付与 上場株投資のマンデートを付与 小型株を組み入れ、新興上場株投資のマンデート拡大 ・ QSBS Exit時$10M 非課税 ・ ISOs優遇 ・既に日本より低い総合所得課税率と金融所得課税率 ・英: Entrepreneurs' Relief 前者: 最高45%、後者: 個人国内上場株売却益非課税 ・仏: PEA-PME優遇 Copyright © Japan Venture Capital Association all rights reserved. 2 スタートアップの主要株主は、エンジェルやSO保有者ではなく起業家  日本のスタートアップの税制優遇措置の対象は従来、エンジェルや、ストックオプションを 保有する起業家以外の者が主流。しかしその株式保有比率は限定的で、政策効果も相応  最も株式保有比率が高いのは通常、スタートアップを創業し経営する経営株主(起業家) 。そ このインセンティブ設計こそが、政策効果により直結 スタートアップの株式保有比率 %(2025年上場スタートアップ1の平均値) 100 23.4% VC エンジェル SO 9.1% 1.4% 法人 17.7% 経営株主 31.6% その他 16.8% ※ エンジェル税制の利用実績は母数118億円程度(2022年度)であり、相応部分がその他(不明)と推測。エンジェル投資全体を300億円程度としてもスタートアップ資金供給全体の3-4%に留まる 1 2025年に上場したスタートアップの内、上場時にVCが株主名簿に入っているもののうち、代表取締役の株式保有がゼロでない会社21社を集計、経営株主は、代表取締役、代表取締役の資産管理会 Copyright © Japan Venture Capital Association all rights reserved. 3 社及び取締役に分類されるシェアを合算した ミニマムタックス導入と、起業家を直撃する今般税制改正  2023年度税制改正で「ミニマムタックス(「極めて高い水準の所得に対する負担の適正化措 置」)」が導入(2024年分所得より適用)  今般2026年度税制改正は「ミニマムタックス」を大幅に増税し、来年1月から起業家を直撃 比較項目 現行制度(2024年分所得より適用) 制度の名称・位置付け ミニマムタックス(極めて高い水準の所得に対する負担の適正化措 置) 2023年度税制改正で創設・高額所得者一般を対象とする追加負担制度 2026年度税制改正でミニマムタックスをさらに強化・増税 2027年1月1日施行。起業家の株式譲渡を直撃する制度改正。 基本の株式譲渡益課税 申告分離課税 申告分離課税 ※変更なし 合計20.315%(所得税15.315% + 住民税5%) 改正後(2027年1月1日施行・増税) 合計20.315%(所得税15.315% + 住民税5%) ミニマムタックス追加負担(上乗せ 税) 特別控除額:3億3,000万円 最低税率:22.5% 特別控除額:1億6,500万円(▲半減) 最低税率:30%(▲7.5pt引上げ) 追加負担が発生する株式譲渡益の水 準 約10.3億円超から追加負担が発生 約3.4億円超から追加負担が発生(▲約3分の1に低下) 実効最高税率(上限) 最低税率22.5% + 住民税5% = 約27.5% 最低税率30% + 住民税5% = 約35%(+7.5pt) スタートアップへの影響 大型Exitを行う起業家・個人投資家等に追加負担。スタートアップ 促進の観点の配慮なし。恒久制度・検証条項なし。 成功時の株式譲渡にさらなる追加負担。再挑戦・再投資の誘因を一 層弱め、起業家にとって懲罰的な水準に。 (控除後所得に対し22.5%を下限として追加負担) (控除後所得に対し30%を下限として追加負担) 出典:国税庁「極めて高い水準の所得に対する負担の適正化措置について」、財務省「令和8年度税制改正の大綱の概要」、大和総研、Yamada & Partners、Prime Partners ※税率・制度は公表資料を基に郷治にて整理 Copyright © Japan Venture Capital Association all rights reserved. 4 成功した起業家に世界的に最も高い税を課そうとする今般税制改正  「SUの高さを出す」と称して政府支出を増やす一方、実際にSUの高さを出した起業家に対し て主要国でも突出して高い税金を課す「ミニマムタックス」増税が行われようとしている 今般税制改正(2027年1月施行予定)後、起業家が20億円の株式譲渡益を得た場合の各国の税額シミュレーション1 億円 6.5 4.0 2.6 0.0 4.7 +35% 4.8 2.7 0.0 TX CA 改正前 改正後 1. シミュレーション前提条件:譲渡価額(売却額)20億円、取得価額・譲渡費用:0円(創業者であり、設立時の出資金は極めて低額であるため無視)、保有期間: 5年以上、為替レート:1ドル= 150円、1ポンド=190円、1ユーロ=163円、居住:起業家本人が各国の税務居住者であり、全世界所得に対して課税される立場であると仮定 、 全額を個人資産として手元に残すと仮定. 2. 各国前提条件:詳細は別スライド記載、日本は2027年度以降の新税制基準. 譲渡価額の設定方法:日本のスタートアップの上場時時価総額 100億円 * 起業家の平均保有株式割合 20%(出典:経済 産業省資料 “第2回スタートアップ政策推進分科会” p1, “参考資料 「我が国における健全なベンチャー投資に係る契約の主たる留意事項」増補版” p3) Copyright © Japan Venture Capital Association all rights reserved. 5 (前提条件) 譲渡益にかかる税率0%。 TX 州税なし。OBBBAによる22.5億円の控除により、連邦税の課税対象額は0円。 Long-term Capital に対する税率の12.5%を全額に適用。徴収税額に更に15%の付加税と4%のCESSを適用。 CA 州税の税率13.3%を全額に適用、OBBBAによる控除はなし。連邦税はテキサスと同じく0円。 非上場の株式譲渡益にかかる税率20%を全額に適用。 1.9億円はBADRを適用、税率は18%。残りの18.1億円に対しては通常のCapital Gain Taxの24%を適用。 (改正前)新しいミニマムタックスを適用し、1.65億円の控除を行った上で税率30%を適用。 (改正後)現行のミニマムタックスを適用し、3.3億円の控除を行った上で税率22.5%を適用。 加えて、譲渡益全額に対し住民税の5%を適用。 出典: (Singapore) IRAS “Gains from sale of property, shares and financial instruments”, (Texas) IRS “Topic no. 409, Capital gains and losses” “Topic no. 559, Net investment income tax”, CONGRESS.GOV “H.R.1 - An act to provide for reconciliation pursuant to title II of H. Con. Res. 14., (India) Income Tax Department “Capital Gains”, Government of India “Memorandum Explaining the Provisions in the Finance Bill, 2026” p3, (California) FTB “2025 California Tax Rate Schedules”, FTB “2025 Instructions for Form FTB 5805F”, FTB “2024 Supplemental Guidelines to California Adjustments” p10, (China) 国家税務総局 “中 华人民共和国个人所得税法” 第三条(三), (UK) Gov.UK “Capital Gains Tax: what you pay it on, rates and allowances” “Business Asset Disposal Relief” “Policy paper Capital Gains Tax — rates of tax”, (日本) Copyright © Japan Venture Capital Association all rights reserved. 6 国税庁 “極めて高い水準の所得に対する負担の適正化措置について”, 財務省 “令和8年度税制改正の大綱の概要”. 今般税制改正による我が国経済の縮小均衡の強化、固定化へ  「高さのある」スタートアップは、挑戦意欲ある優れた起業家が創業しなければ始まらない  今般税制改正は、日本で創業しようとする起業家の意欲やアニマルスピリッツを委縮させ、我 が国経済の縮小均衡を強化、固定化する恐れ  このまま看過していては、スタートアップ政策推進に政府支出を増やしても水泡に帰する恐れ 挑戦を後押しする 起業環境 • 起業家の挑戦する 突き抜けたスタートアップの創出 • リスクマネーをレバレッジした高 さを目指した起業の創出 • リスクとをって挑戦 する起業家が不足 モチベーションをあ げる • コンサバティブな資 • よりリスクをとった ポーションの大き い資金の出し手の 拡大 保守的な起業環境 成長しないスタートアップの乱立 • 小さくまとまるスタート アップが大量に出現 金供給主体 拡大再生産 縮小均衡 起業家と資金の循環 ロールモデルの不在、 資金供給停滞 • 次の起業家の道標となる「突き • 「突き抜けた」起業家の • 資金循環を起こし、スタートアッ • 資金循環が起きず、競 抜けた」起業家の存在 プへの資金流入を拡大再生産 ロールモデルが不在 争環境も不十分 Copyright © Japan Venture Capital Association all rights reserved. 7 「強い経済」のためには「イノベーションを起こす強い会社」が必要  日本経済の「失われた21世紀」は、時価総額1兆円超の企業を新たに1社も生み出せなかった 歴史そのもの 21世紀以降に設立されたスタートアップのデカコーン 社数(2026年3月31日時点) 21世紀以降に設立されたスタートアップのデカコーン 時価総額:兆円( 2026年3月31日時点) 0 0: (参考)日本のグロース市場全体で約600社、合計8.9兆円 11 60 71 545 598 上場 未上場 1,143 Copyright© Japan Venture Capital Association all rights reserved. 8 グローバルテック企業の時価総額と主要国GDP  世界時価総額トップ5企業はいずれも、最近までスタートアップだったテック企業  NVIDIA($4.58兆ドル、1993年創業)の時価総額は、創業33年にして日本のGDP($4.4兆ドル) を上回る。世界トップ5企業の時価総額の合計($17.26兆)で中国のGDP($20.7兆ドル)に迫る  日本からもこのような強い会社を生みだすことが喫緊の課題 世界の時価総額トップ5企業 vs 米中日GDP vs 日本トップ5企業 35 世界トップ5企業 (時価総額) 30 $31.80T 主要国 GDP (名目) 日本トップ5企業 (時価総額) 25 $20.70T 20 15 10 5 $4.58T $3.77T $3.65T 0 ※数値は兆ドル (Trillion USD)。日本企業は$1=159円換算の概算値。 $3.01T $4.40T $2.25T $0.34T $0.22T $0.14T $0.14T $0.14T Data Sources: Google Finance (Apr 2026), IMF/World Bank Projections (2025-2026) Copyright© Japan Venture Capital Association all rights reserved. 9 スタートアップ政策との整合性確保のための株式譲渡益課税に係る税制改正のご提案 ~スタートアップ政策の推進が奏功する税制へ~ 我が国のスタートアップ政策の推進において、どんなに高みのある世界的に成功する会社を生み出そうとしても、国際的に見て懲罰的な課税をされるようで は、そのような会社は生まれない。 日本の税制は恐らく世界で最も、成功した起業家に対して厳しくなりつつある。もう二度と日本で起業してたまるかと思われるような税制では、いろいろなス タートアップ政策支援を議論しても無意味となる。 — 郷治委員/日本成長戦略会議スタートアップ政策推進分科会(第2回) 提案制度 (時限・検証条項付きの調整案) 比較項目 現行・改正後ミニマムタックス制度 (令和9(2027)年分所得からの強化を含む) 制度の 位置付け 高額所得者一般を対象とする追加負担制度。スタートアップ政策との調 整規定はない スタートアップ政策との整合性確保のための限定的調整措置 対象者 大型Exitを行う起業家・個人投資家等 創業者・スタートアップを支援する個人出資者 対象株式 一般の株式等 (スタートアップ向け特例なし) 研究開発その他成長投資を継続する一定の要件を満たす会社であって、創業後 一定期間内に取得した対象株式等 基本課税 原則20.315% (所得税15.315%+住民税5%) 原則20.315% (所得税15.315%+住民税5%) 高額所得者 追加負担 改正前:3.3億円控除・22.5% 改正後:1.65億円控除・30% 対象株式の譲渡益はミニマムタックス適用対象から除外 実質的な 影響ライン 株式譲渡益のみの場合 改正前:約10.33億円超 改正後:約3.37億円超 スタートアップ政策の推進を阻害する上乗せ課税を除外 (大きな成功を果たした際に他国税制にないレベルの追加負担の直撃を回避) 保有要件 なし 5年以上 政策効果 成功時の大型Exitに追加負担 再挑戦・再投資の誘因を弱める 税制中立性を保ちつつ 再挑戦・再投資促進 濫用防止 一般制度であり スタートアップ促進の観点の特例なし 資産管理会社・租税回避目的の組成等を除外 恒久制度 検証条項なし 3年の時限措置+効果検証 必要に応じ見直し 時限性・検証 出典:第2回スタートアップ政策推進分科会 議事要旨・資料18、郷治委員説明資料、国税庁「エンジェル税制概要」、大和総研、Yamada & Partners、Prime Partners ※税率・制度は公表資料を基にした政策提案用整理 Copyright© Japan Venture Capital Association all rights reserved. 10 令和9(2027)年度税制改正大綱(案) —スタートアップ政策との整合性確保のための特例措置 ~スタートアップ政策の推進が奏功する税制へ~ 第2回分科会での問題提起 (国税)〔創設〕 ・スタートアップ政策の推進を議 論しても、大きな成功に懲罰的課 税が及べば政策効果は失われる。 創業者等の個人が保有する特定スタートアップ株式等に係る譲渡所得等について、極めて高い水準 の所得に対する負担の適正化措置との整合性を図るため、次の措置を講ずる。 ・各国と比べても、日本のスター トアップの起業家や投資家がペナ ルティー的に課税されない仕組み が必要。 (1)個人が、特定スタートアップ株式等をその取得の日以後5年を超えて保有した後に譲渡した場合には、当 該譲渡所得等の金額について、極めて高い水準の所得に対する負担の適正化措置の適用対象に算入しないもの とする。 ・もう二度と日本で起業してたま るかと思わせる税制ではなく、成 功起業家や投資家の再挑戦・再投 資を国内で促す税制が必要。 ・一般の20.315%課税は維持し つつ、スタートアップ政策の推進 を阻害する追加負担のみ除外する 設計が必要 (2)前号の特定スタートアップ創業者株式等とは、設立後一定期間内に創業者又はスタートアップを支援す る一定の個人に取得された株式であって、設立後一定期間内の内国法人であり、研究開発、雇用拡大その他の 成長投資を継続する一定の要件を満たす株式会社の発行したものをいう。 (3)前2号の適用を受ける譲渡所得等については、租税特別措置法その他の法令に定める株式等に係る譲渡所 得課税の一般原則により課税するものとする。 (4)本措置の適用対象となる創業者等、スタートアップを支援する一定の個人、対象法人の範囲、国内事業 実態、研究開発・雇用要件その他必要な要件は、租税特別措置法で定める。 (5)資産管理会社、実質的に租税回避を目的とする取引その他政令で定める場合は、本措置の適用対象から 除外する。 (6)本措置は、令和9年1月1日から3年以内に行われる譲渡に限り適用するものとし、その適用状況、創業促 進、再投資及び国内立地への効果を勘案し、所要の検証を行う。 (注)実際の法制化に当たっては、租税特別措置法、所得税法、地方税法その他関係法令の整備を要する。 出典:第2回スタートアップ政策推進分科会 議事要旨・資料18、郷治委員説明資料、令和7・8年度税制改正大綱、国税庁「エンジェル税制概要」、大和総研、Yamada & Partners、Prime Partners Copyright© Japan Venture Capital Association all rights reserved. 11 日経新聞3月24日 Copyright © Japan Venture Capital Association all rights reserved. 12 一般社団法人 日本ベンチャーキャピタル協会 〒105-0001 東京都港区虎ノ門5-9-1 麻布台ヒルズ ガーデンプラザB 5階 ■TEL:03-6432-4667 ■FAX:03-6432-4664 東京メトロ日比谷線 神谷町駅から 徒歩1分 東京メトロ南北線 六本木一丁目駅から 徒歩10分 ■E-mail:jimukyoku@jvca.jp ■Homepage:http://www.jvca.jp ※お問い合わせ等ございましたらお気軽にご連絡ください リモートワークを併用しておりますのでメールでご連絡をいただけますと幸いです Copyright© Japan Venture Capital Association all rights reserved. 13

資料9

スタートアップ政策推進分科会 提出資料 さくらインターネット株式会社 代表取締役社⾧ 田中 邦裕 令和8年4月24日 © SAKURA internet Inc. なぜスタートアップが必要なのか? 大企業は既存事業・株主・雇用への制約を抱えています。これらは正当な 制約です。しかしこの制約の集合が、大企業が不確実性を引き受けること を構造的に困難にしています。さらに失われた30年・コーポレートガバナ ンスによる株主還元圧力・デフレマインドが重なり、現状維持が合理的な 選択になりがちです。 世の中には変わった方が得する人と、変わらない方が得する人がいます。 変わらない方が得する人が優勢になると、社会は変わりません。 スタートアップは社会が変わった方が成⾧できるポジションにあります。 だからこそ、変化を起こす担い手として中心的に活躍すべき存在です。変 わらない方が得する構造の外側から唯一リスクを引き受けられる主体—— それがスタートアップが必要な理由です。 1 問題提起 集合的非合理性がスタートアップの成⾧を阻害している。 集合的非合理性とは、それぞれのステークホルダーが個別に合理的な判断 をした結果、その合理性が集合することで、システム全体として非合理な 均衡を生み出すメカニズムを指します。今回の文脈では、このメカニズム がスタートアップの成⾧を阻害する構造を固定しています。 ステークホルダーは今、目の前の合理性を追求しています。しかしその合 理性の積み重ねが、⾧期的には自分たちのエコシステムを枯らしています。 一つひとつの判断は正しかった。しかしその積み重ねが、誰も意図しな かった「成⾧しない日本」を作り上げた。これが30年間日本が成⾧できな かった理由であり、スタートアップが育たない構造の本質ではないでしょ うか。 2 集合的非合理性の3層構造 集合的非合理性は3つの層が重なることで固定されます。上の層を変えるには下の層を変える必要があります。 第1層:プレイヤーの行動レベル 各プレイヤーの合理的な判断が、結果として何を生み出しているのか。 → 各ステークホルダーが個別合理的に行動した結果、リスク受容の主体が不在になります。 第2層:制度・ルールレベル なぜその判断が合理的になるのか。 → 個別には正当な制度が組み合わさることで、リスクの引き受けを構造的に不可能にしています。 第3層:省庁・組織の管轄レベル なぜ制度を変えられないのか。 ん。 → 各省庁の行動は正当なので、各省庁が変えることは困難です。第2層の制度改正を主導できる実質的な権限を持つ主体が存在しませ 「第3層を解かない限り、第1層・第2層の問題は解決しません。だから処方箋は第3層から設計するべきです。」 3 集団的非合理性の第1層(プレイヤーの行動レベル) 各ステークホルダーが個別に合理的に行動した結果、システム全体として非合理な均衡に固定される。 ステークホルダー 個別合理的な判断 その根拠(制度・環境) 集合した結果 省庁 自省の権限内で対処する 縦割り組織構造・各省庁の権限 範囲の明確な分離 横断的設計ができない。各省庁が処方箋を知っ ていても、他省庁の所管をまたぐ制度改正を誰 も主導できず、制度全体としては動かない。 調達担当者 前例・実績のある企業を 採用 会計法・入札資格制度・財政 法・会計検査への対応 スタートアップの参入が構造的に阻害される。 官公需スタートアップ調達比率は目標3%に対し て実績1.53%。実績のない企業は入札資格のラン クが低く固定され、大型調達に参加できない。 大企業 M&Aより自社開発・既 存事業保護 のれん会計・株主へのコミット メント M&A低調により連続起業家が生まれず経営人材 が循環しない。出口がIPO一択となり、上場時時 価総額の中央値は米国の約10分の1(日本88億 円・米国899億円)に留まる VC 小粒IPOを狙う・リスク 低減後に投資 グロース市場基準・ファンド存 続期間の制約 死の谷が埋まらない・レイター資金が不足し、 有望なスタートアップも資金ショートで成⾧が 止まる。グロース市場で上場後に時価総額が10 倍以上成⾧した企業は全体の5%。 実績ある企業に融資 保守的融資判断 独禁法10年制限・担保重視の融 資慣行 プレイヤーの少なさ・地域内の 失敗コストの高さ ⾧期資本が供給されない+地方スタートアップ の成⾧資金が東京に集中。資金調達額の76.3%が 東京都に集中(2025年上半期)。大学発スター トアップの約6割は東京都以外で創業しているに もかかわらず、成⾧資金を求めて東京に移動せ ざるを得ない。 リスクを避け安定を選ぶ 失敗時の再挑戦を阻む雇用慣 行・人材流動性の低さ・成⾧を 阻む労働法制の硬直性 挑戦者が生まれない。失敗すると再挑戦が困難。 成⾧しようとしても裁量労働制等の制約が人材 育成と成⾧を阻害する。特に地方では失敗コス トが高く起業家の母集団が形成されない 銀行・地方金融機関 起業家・個人 4 集団的非合理性の第2層(制度・ルールレベル) これらの制度・ルールは法律として存在するものと、運用上の慣行として定着しているものの二種類 があり、いずれも個別には正当な理由があります。しかし組み合わさることで、スタートアップはど の方向に進んでも壁にぶつかる構造が生まれています。 制度・ルール 何を実質的に困難にしているか スタートアップが直面する場面 J-Startup等の認定がない限り、実績のな いスタートアップが大型調達に参入不可 能 政府調達に挑戦する→J-Startup等の 認定がなければランクDに固定。認 定があっても単年度契約のため継続 保証がない 運用慣行 複数年コミットメント・マイルストーン 支払いが実質的に困難 随意契約を狙う→調達担当者が会計 検査を過度にリスクとして捉えて躊 躇。仮に成立しても単年度契約のた め翌年度の保証なし 独禁法10年制限 運用慣行 銀行・保険会社の⾧期投資が構造的に不 可能 民間資金で補う→需要の予見可能性 がないためVCが躊躇。銀行の⾧期投 資も不可 のれん会計 会計基準 大企業によるM&Aが財務的に不合理 大企業との連携を模索する→M&Aが 財務的に不合理で連携不成立 市場規則 低い上場基準そのものは問題ではない。 問題は上場後にリスクを取らなくなるこ とである グロース市場に上場する→上場後に 時価総額が10倍以上成⾧した企業は 全体の5%にとどまる 入札資格制度 会計法・財政法の運用慣行・会 計検査 グロース市場基準 種別 法令 5 集団的非合理性の第3層(省庁・組織の管轄レベル) 第1層の行動を変えるには第2層の制度を変える必要があります。しかし第2層の制度改正には複数省庁の所管を またぐ横断的な設計が必要であり、それを主導できる実質的な権限を持つ主体が存在しません。各省庁は処方箋 を知っています。しかし自省の権限内でしか動けないため、第2層の制度を変えられません。結果として第1層の 行動も変わりません。——これが第3層の本質であり、第1層・第2層を固定化するロック機構として機能してい ます。 第3層の本質を最も雄弁に示しているのは、第2回分科会に提出された経産省資料6そのものです。 出所:経済産業省資料6「柱2:ディープテック・スタートアップの支援」 資料6は全体を通じて問題を正確に認識しています。しかし17ページにわたる資料の中で、処方箋は一貫して自 省の権限内でできることに限定されています。会計法・財政法の改正、独禁法の改正、のれん会計の見直し—— これらは個別の省庁で部分的に検討されています。しかしそれらを横断的に束ねて設計し直す主体は存在しませ ん。 「各省庁は誠実に動いています。しかし処方箋を主導できる主体が存在しない構造そのものが問題です。この構 造を変えるのは政府の強い意思です。」 6 処方箋と提言 問題の構造を踏まえた処方箋の論理 第1層の行動を変えるには第2層の制度を変える必要があります。第2層の制度を変えるには第3層の構造を変える必要があります。 したがって処方箋は第3層から設計しなければなりません。 第2層への処方箋:二段階のアプローチ 政府が需要の予見可能性を作ることで、各ステークホルダーの合理性を変えます。 第一段階:既存制度の枠内での運用改善(即時実行可能) 会計法・財政法の枠内でもできることはあります。随意契約スキームの積極活用等によるスタートアップの挑戦支援、国庫債務 負担行為を使った複数年契約の拡大、マイルストーン支払いの運用整備——これらは立法なしに進められます。 まず17分野に限定してこれらを徹底的に活用する。小さく試して成功事例を作ります。 加えて、既に国が制度を柔軟に弾力的に運用を開始し、制約のなくなった事も多いにも関わらず、スタートアップ側がそのこと を知らずに古い情報で語っている事も多く、情報提供を充実させる事や、現段階で間違っている通説をアップデートしていく必 要もあります。 第二段階:政府による継続的・予測可能な調達の実現(中⾧期) 単発の補正予算に依存せず、複数年にわたる調達コミットメントを可能にする制度的枠組みの整備が必要だと考える。米国の OTA(Other Transaction Authority)はその参考事例の一つである。 第3層への提言:政府・官邸の強い意志 第3層の問題は個々の省庁の努力だけでは解けません。政府の強い意思による三つの実現が必要です。 1つ:実質的な権限を持つ横断的司令塔の創設。予算要求と法令改正の総合調整・とりまとめ機能を持つ内閣直轄の組織。個別 省庁が部分的に検討している会計法・財政法・独禁法・のれん会計の改正を横断的に束ねて設計し直す主体が必要。 2つ:日本版OTAの立法化。会計法・財政法の改正による制度的根拠の確立。 3つ:継続的な予算の確保。補正予算による一回限りの資金手当てではなく、当初予算への組み込みや基金化。 7 構造改革とスタートアップの挑戦~両輪が揃って初めて機能する~ 構造改革は必要条件。しかし十分条件ではない。 政府が構造を変えても、スタートアップ自身が変わらなければ成⾧しません。スタートアップには二つの義務が あります。 義務1:大胆な成⾧への挑戦 赤字を恐れずリスクマネーを使って成⾧し続けること。小粒IPOを果たした後も挑戦をやめないこと。上場は ゴールではなく通過点です。グロース市場は成⾧する意思のある企業の市場として再定義されるべきです。リス クを取らない企業がグロースにいる必要はなく、一定期間での上場廃止は合理的な判断です。 ただ、成⾧可能性の高いスタートアップが、通過点として小粒IPOとなる事は容認すべきです。 義務2:人材への大胆な投資 成⾧には人材が不可欠です。しかし現状、スタートアップには二つの壁があります。 失敗側の壁—— 失敗した時に再挑戦できない環境。人材流動性の低さが挑戦を阻んでいます。特に地方では失敗 コストが高く、起業家の母集団が形成されません。 成功側の壁—— 成⾧を加速するためには労働法制の柔軟化が必要です。裁量労働制の対象範囲が狭く、幹部候補 人材が成果志向で働くことを阻んでいます。(参考:EO Tokyo Central提言資料) この二つの壁を取り除くとともに、スタートアップで働くことが得になる環境——ストックオプション税制の拡 充・柔軟な雇用形態の制度的認定——の整備が必要だと考えます。 「構造の改革とスタートアップの挑戦——この両輪が揃って初めて日本のエコシステムは機能します。スタート アップは、現状が変わったほうが良いポジションにいます。政府が構造変革を進めて、スタートアップが大胆に 挑戦する。その循環が生まれた時、日本経済は動き始めます。」 8

資料10

日本成長戦略会議スタートアップ政策推進分科会構成員 御中 起業家機構 EO(Entrepreneurs' Organization) Tokyo Central 会長 山木 智史 (株式会社 Re-grit Partners 代表取締役社長) 起業家機構(EO Tokyo Central)では、本年度において、 「中小・中堅企業の経営人材の開 発・育成に向けた政策提言」の取り纏めを進めております。 我が国では労働人口の減少が進む中、企業の 99%を占める中小・中堅企業の成長は重要な 政策課題となっております。一方で、現行の労働基準法および関連制度については、実務 との乖離や運用上の制約により、成長戦略の実行を阻害しているケースも少なくありませ ん。 EO は日本全国で約 1,900 名の経営者会員を擁しておりますが、これまでの議論を通じ て、当会員の属性(創業者中心、年商数億円~数十億円規模の企業が多い等)に起因する 課題は、日本経済団体連合会、スタートアップ協会等の他の経済団体とは異なる特性を有 することが明らかになっております。 現在、当会では大規模なアンケート調査を実施し、経営者および従業員双方の視点から、 中小・中堅企業における働き方の実態と課題を定量的に把握する取り組みを進めておりま す。具体的な検討テーマとしては、 「裁量労働制」および「高度プロフェッショナル制度」 等の適用の難しさが挙げられます。これらの制度については、政府においても見直しの議 論が進められているものと認識しております。 <会員の声(抜粋)> ①中小企業においては、役員・部課長等の幹部人材は一人ひとりの裁量が大きく、本来は より高い成果創出のために積極的に働きたいという意向を有している。しかしながら、現 行制度では柔軟な働き方が認められにくい。 → 将来の幹部候補である若手優秀層(20~30 代のプレイングマネジャー)を採用できた としても、厳格な時間管理が「成果志向」から「時間管理志向」への転換を招き、十分な 能力発揮を阻害している。結果として、副業等へ流出するケースも見られる。 ②いわゆるベンチャー企業の声として政策に反映される際には、メガベンチャーや大型資 金調達企業の意見が中心に取り上げられる傾向があり、自己資金を基盤に着実な成長を志 向する中小・中堅企業の実態や課題が十分に反映されていない。 → 中小・中堅企業では CXO 等の即戦力人材の採用が困難である中、新卒や未経験者等の ポテンシャル人材への依存度が高く、人材育成は OJT 中心となる。しかし、労働時間規制 の制約により、次世代リーダー育成に必要な学習機会・経験機会が不足している。 ③現裁量労働制が過度な働き控えに繋がり将来の幹部候補の中長期的なキャリア形成や報 酬向上においても機会損失がある。 →ポテンシャル人材においては業務の量質転化を経験し、技能が鍛錬されることでキャリ アの選択肢が広がることで、報酬向上機会の獲得に繋がるが現制度が障壁になっている。 一方で、併せてブラック企業の抑制や淘汰も検討の必要がある。 <2025 年実施の会員ニーズ調査> ・労働関連法規に関する課題が、他の経営課題と比較しても重要性・緊急性ともに高いこ とが確認されている。 <中小・中堅企業含むスタートアップ育成方策として検討いただきたい方向性> ⚫ 幹部候補人材の能力発揮と成長機会の確保を通じた生産性向上を実現するため、企業 規模や事業特性に応じた柔軟な就業環境の整備及び OJT を中心とした実践的な人材 育成の充実を図ること ⚫ 特に、次世代リーダーである幹部候補人材の働き方の実態を踏まえ、裁量労働制の対 象範囲の拡大や明確化を含む労働法制の在り方について検討進めること 以上

資料11

資料9 第三回スタートアップ政策推進分科会意見 2026年4月24日 レオス・キャピタルワークス代表取締役社長 藤野 英人 世界が「効率の経済」から「供給の経済」へと不可逆的に移行した背景には、地政学 リスクの常態化、インフレによる資源制約の顕在化、そして AI による電力・データ需 要の爆発的増加という三つの構造的要因が重なっている。そしてこの変化は、単に企 業の経営や投資判断を変えるだけではなく、国家の役割、特に政府調達の意味そのも のを変えてしまった。すなわち、政府調達は「安く買うための仕組み」から「供給を 維持するための戦略装置」へと位置付けを変えなければならないのである。 この前提に立ったとき、政府調達のあり方は、より広く再定義される必要がある。従 来、日本において政府調達というと、防衛や一部のインフラといった限定的な領域と して議論されがちであった。しかし、供給の経済という観点から見れば、その射程は 1 はるかに広い。防衛やデュアルユースはもちろん重要であるが、それに加えて、防 災、デジタルインフラ、エネルギー、通信、さらには社会インフラの維持そのものま で含めて、 「国家が止めてはいけない機能」を支えるすべての領域が政府調達の対象と して再整理されるべきである。つまり政府調達とは、国家の稼働を止めないためのポ ートフォリオであり、その全体設計こそが政策の中核になる。 さらに重要なのは、最近の国際動向が示している通り、効率性の追求からの転換がす でに現実のものとなっている点である。企業はサプライチェーンを多元化し、在庫を あえて厚く持ち、コストを犠牲にしてでも冗長性を確保する方向へと舵を切ってい る。これは単なるリスク管理ではなく、競争優位の源泉そのものが変わったことを意 味している。そしてこの変化は、政府調達にもそのまま当てはまる。これまでのよう に最も安い供給者を選ぶのではなく、「いかに途切れない供給網を設計するか」「どの 程度の冗長性を国家として許容するか」という視点で調達を組み直す必要がある。言 い換えれば、政府調達はコスト最適化問題から供給安定化問題へと転換したのであ る。 この構造変化は、スタートアップの役割も大きく変える。これまでスタートアップ 2 は、既存産業を破壊し、効率化し、軽く速いビジネスを展開する存在として語られて きた。しかしこれからは、供給構造の中に入り込み、ボトルネックを解消する存在と しての役割がより重要になる。エネルギー管理、データ取得、サプライチェーン可視 化、災害対応インフラなど、一見地味だが不可欠な領域にこそ機会が広がる。そして ここで見落としてはならないのは、この変化を最も早く捉えられるのは、実はこれま で政府とともに仕事をしてきた大企業である可能性が高いという点である。彼らは調 達構造や制度、現場の課題を熟知しており、その内部から生まれるスピンオフ型のス タートアップは、極めて実践的かつ供給志向のビジネスを構築できる。この意味で、 大企業発のスピンオフを積極的に支援し、それを政府調達と接続していく仕組みは、 今後の政策の中核の一つになり得る。 また、政府調達を個別契約の積み上げとしてではなく、「地域と一体となった供給能力 の構築」として捉え直す視点も重要である。その象徴的な例が福島イノベーション・ コースト構想である。この取り組みは、単なる補助金政策ではなく、国家が特定地域 に対して長期的に需要と機会を提供し、産業基盤そのものを再構築する試みである。 これを政府調達の一形態と捉え直すことで、同様のモデルを全国各地に展開すること が可能になる。すなわち、地域ごとに「供給拠点」を設計し、そこにスタートアッ 3 プ、大企業、研究機関を集積させ、政府が継続的に需要を供給するという形である。 これは地方創生とも直結するが、本質はあくまで供給構造の再設計である。 そして最後に、このすべてを実現するためには、官と民が分離したままでは不可能で ある。重い経済においては、国家と企業は対立する主体ではなく、同じ供給構造を担 うプレイヤーである。したがって、官民一体での取り組みが不可欠になる。ここで重 要な役割を果たすのが、これまで議論してきたクロスオーバーファンドや成長分野特 化型ファンドである。政府調達が需要を作り、ファンドがリスクマネーを供給し、ス タートアップと大企業が供給能力を構築する。この三位一体の仕組みを設計すること で、初めて持続可能な供給エコシステムが立ち上がるのではないか。 4

資料12

資料10 分科会取りまとめにおいて盛り込むべきと考えられる事項 室伏政策研究室 代表 政策コンサルタント 室伏謙一 令和8年4月24日 分科会取りまとめ骨子関係 官民の役割分担の明記ー政府 基礎研究から実用化の段階までの政府に よる大規模・長期・計画的な投資 株式保有等 投融資等  政府による投融資や株式保有についてはただ闇雲にそうするのでは なく、明確な中長期的なミッションを設定した上でこれを行うべき  ミッションの具体的な方向性も併せて明記すべき(戦略17分野につい て) © 室伏政策研究室 無断転載等を禁じます。. 2 分科会取りまとめ骨子関係 官民の役割分担の明記ー民間 民間のVC等 政府 安心して安定的に資金を供給しやすい条件 等の聞取り、把握 1 必要な環境整備に努めること 2 必要な環境整備の具体的な方向性 © 室伏政策研究室 無断転載等を禁じます。. 政府調達関係 調達 国 政府が各分野につい て明確にミッションを 設定 地方公 共団体 地公体が基本方 針等を策定 調達 ミッションの設定 日本成長戦略会議で決定された戦略17分野 各分野の関係府省の意見等 © 室伏政策研究室 無断転載等を禁じます。. 政府調達関係  実現すべき経済社会像やマクロでの問題解決等、大 ミッションとは きな目標や得たい結果のこと  ムーンショット目標がこれに近いが、目標がまだまだ 製品やサービスに寄っているところがある 欧州連合のHorizon Europe等における手法等も参照しつつ、ソ リューション(solution)(製品)ではなく、得たい結果、実現したい結果、 未来の社会像を示した調達とすることも検討すべきではないか。 現状の日本成長戦略会議の議論は製品寄りであるが、それによって 何を実現したいのか、どんな我が国経済社会を実現したいのかを明確 にした方が、技術や製品のスタートアップからの調達の理由・背景が明 確化するのではないかと思われる。 © 室伏政策研究室 無断転載等を禁じます。. 政府調達関係 調達において重  そのスタートアップからの調達がどのように我が国、地域の 抱える課題の解決につながるのか 視すべき基準等  我が国の経済成長、地域の発展につながるのか 価格 モノを指定するのではなく求められる性能や仕様を指定して調達 製品等の調達 スタートアップは試行錯誤をしながら求められる性能や仕様に合 うように製品やサービス等を開発 イノベーションの推進へ © 室伏政策研究室 無断転載等を禁じます。.
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