世界各地域の情勢変化と、経済安全保障の要請に伴うサプライチェーンの再構築および供給構造の変化について解説している。
タグ: 経済安全保障, サプライチェーン, 地政学, 脱炭素, 産業競争力
中東は、宗教・民族・政治経済体制による対立軸による緊張が常態なるも、脱炭素化に伴い経済社会が大きく変容。 アフリカは、人口増と資源開発ブームで最後の経済フロンティアとして浮上。 北米は、コンピューティング、バイオなどのイノベーティブな産業群で繁栄を謳歌。米国内の分断と内向き志向は変わらぬものの、自由で開かれたインド太平洋(FOIP)への関与は継続。カナダも、引き続き日本と価値観を共有する貴重なG7パートナー国であり、資源・産業面等での協力は継続。 中南米は、人口増と経済成長を背景に経済が拡大。他地域と比較して地政学的緊張は高いが、米中貿易摩擦など国際情勢による域内経済への影響あり。北半球の地政的な緊張から距離を置き、安定。 欧州は、域内統合が継続。クリーン・安全保障といった欧州全体の課題を起点とした戦略投資を継続。欧露関係には安保上の緊張が残る一方、露の対中依存が深まる形で両国の結束が強化され、ユーラシア大陸に一帯一路経済圏が浮上。 (経済安全保障上の要請がもたらす変化) 2010~2020年代に経済安全保障の確保に向けた各国の動きが進展したが、2040年頃も脅威・リスクに対する経済安全保障上の対応は必要となる。すなわち、他国の技術・プロダクトを吸収・獲得しつつ、自国内でサプライチェーンを囲い込み、世界市場を席巻して自国のサプライチェーンに他国を依存させ、経済的威圧等を行うような国家の動きへの対応が求められる。日本を含む各国政府は、経済安全保障の確保を目指すべき。経済社会活動の持続性を前提とした産業競争力の維持・向上のため、国民生活の基盤維持を始めとする、日本経済にとって重要度の高い、国内産業・技術基盤及び強靭なサプライチェーンを持続的に維持・発展させるべく政策対応を図っている。 ただし、「経済安全保障」は動的であり、各国の戦略的目標も随時見直され、変化することから、経済安全保障上意識すべき国や必要な強度は現在と大きく変化している可能性もある。 こうした国際政治状況における貿易・投資の在り方は、ルールに基づいた、他国市場への広がりを是とするグローバル戦略を進めつつ、その供給については、従来のように地球全体でプロダクト・サービスの生産を比較優位性に応じて分業するグローバルフラットな在り方から軌道修正され、国民の生活基盤維持を左右するクリティカルな物資・製品(戦略的物資・製品)を、自国内や同志国内で調達するニーズが引き続き存在する。 上記の国際潮流に伴い、、戦略的物資・製品については、希少性が高まり、世界・国内からの需要が高まる。需要が高まり、供給が技術的・資源偏在的な要因で限られるものについては、その希少性から価値(単価)が高まる。 <世界全体の供給構造の変化> (GX、DX、経済安全保障がもたらす変化) ネットゼロに向けた地球規模のエネルギートランジションの中で、再エネ、原子力、水素などの脱炭素エネルギーについて、統合コストや、移行に要する投資額等を加味した上で、長期にわたり安定的かつ合理的な価格での供給が進む(化石燃料の需要が2030年までにピークに達するというIEAの見通しもある)。 重要鉱物の安定供給を図る国際的な枠組みが整い、鉱物資源やエネルギーの安定供給及びその価格が、日本経済の主たる成長制約要因ではなくなる。 20