中小・小規模企業の知的財産保護強化に向け、政府全体で事前の侵害抑止策を検討し、実態調査や法制度の見直しを進めている。
タグ: 知的財産, 中小企業, スタートアップ, 価格転嫁, 下請法, 独占禁止法
知的財産の侵害抑止に向けた取組に至る経緯 政府全体の動きとして、「新しい資本主義実現会議」において、大企業と中小・小規模企業・スタートアップの間の協力関係の確立を目的として、「中小・小規模企業・スタートアップが保有する知的財産の侵害を抑止するため…知的財産を侵害させないための取組を行う」ことを掲げている。(「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画 2024 年改訂版」(令和6年6月)) また、石破茂内閣総理大臣は、第32回「新しい資本主義実現会議」において、「中小・小規模事業者の知的財産の保護を強化」する旨を発言したところ(令和7年3月28日)。 さらに、政府では中小企業の価格転嫁対策にも取り組んできたところ、適切な価格転嫁の定着へ向けて、公正取引委員会及び中小企業庁にて企業取引研究会を開催した(令和6年7月~)。主に下請代金支払遅延等防止法の改正について議論を行い、同法案は令和7年3月11日に閣議決定がなされ、今次通常国会へ提出された。 同研究会では、中小企業に知的財産権の不当な侵害が生じているとの問題も提起された。知財侵害は「侵害されたら訴訟で取り返す」ことが前提となるが、資金・人材が潤沢でない中小企業は提訴を躊躇し、泣き寝入りしていることが多いことから、侵害が事前に強く抑止されることが必要であると指摘され、委員から以下①~③の提案がなされ、議論が行われた。 ①知財取引の実態に関する調査 / ②知財侵害抑止に資する指針の策定 / ③知財侵害抑止に資する制度の導入 その結果、「企業取引研究会 報告書」(令和6年12月)において、中小企業庁及び公正取引委員会は、幅広い業種を対象とした実態調査を行い、独占禁止法のガイドラインや下請法の運用基準の見直しにつなげること等を講じていくべきと取りまとめられた。 政府全体の課題として知的財産の事前の侵害抑止が挙げられており、特許庁としても取り組むべき課題となっている。 34