医療機器産業の現状と課題を分析し、2040年に向けた市場獲得と安定供給体制の構築という戦略目標を提示している。
タグ: 医療機器, 先端医療, AI, ロボティクス, 産業競争力, サプライチェーン, 健康医療安全保障
1. 現状認識と目指す姿 【目標】 創薬・先端医療 革新的デバイス(AI、ロボティクス等)を 活用した先端医療 (1)現状 ① 現状 ・医療機器は世界市場約80兆円、成長率6%超の有望市場。革新的なデバイスを生み出し、輸出していくことで、市場の成長を産業の成長として取り込むことが重要である。 ・具体的には、診断機器(内視鏡、CT、MRI等)は、従来から日本企業が画像の高精細化等で強みを有している領域であり、我が国が高シェアを有する機器もあるが、引き続き競争力を維持していく必要がある。 ・治療機器は、我が国のロボット技術に代表されるような、高い操作性や堅牢性が評価される一方で、治験に要する長期間・多額の資金を調達しにくい環境や、日本企業の内製化傾向による開発スピードの遅れなど、オープンイノベーションを起こし、育てる仕組みが整っていないために内外の市場が獲得できず、大幅な輸入超過となっている。こうした治療機器の輸入に依存する構造は、国民の生命に直結する製品の安定提供の観点からも懸念がある。 ② 取り巻く環境と構造変化 ・AI等の急速な進展により、付加価値の源泉がAIやデータに左右されるようになっている。 ・プログラム医療機器(SaMD)はもちろんのこと、手術支援ロボット等のハードウェアも、AI×手技データの蓄積等により、手術の質を底上げするプラットフォームになり得る。 ・粒子線治療や集束超音波等、体内の標的部位のみを治療する機器のように、AIによる精密な機器制御で、これまで治療法がなかった疾患を治療できるデバイスが開発されつつある。 ・世界的に、開発をスタートアップが担い、大企業が市場に実装していく産業構造にシフト。 ③ 経済的・戦略的な重要性 ・経済的重要性:医療機器産業は、世界市場約80兆円、成長率6%超の有望市場。 ・戦略的重要性:国民の生命に直結するデバイス等(例:心臓、肺、腎臓等の機能を代替する機器・オルガノイド※)について、サプライチェーン含めて安定提供を確保することは、健康医療安全保障上極めて重要。日本企業が技術的優位性を有する医療機器の開発は、戦略的不可欠性の確保にも寄与。 ※細胞を立体的に配置・増殖させる三次元培養技術を用い、生体に近い構造や機能を持つ組織や臓器を再現したもの。 (2)目標 ① 国内外で獲得を目指す市場 ・医療機器の研究開発エコシステム(ヒト・モノ・カネ・制度対応)の確立を通じて、第3期医療機器基本計画(予定)で定める国内発の「優れた医療機器」の件数を、2025年時点で4件/年であるところ、2040年時点において8件/年を目標とする。 ・日本の医療機器メーカーのグローバルでの獲得市場規模を、2024年時点において10兆円であるところ、2040年時点28兆円を目標とする。 ② 達成すべき戦略的な目標 ・安定確保すべき医療機器を特定しつつ、サプライチェーン含めて安定提供体制を確立する。 210