バーティカルAIの現状と課題を分析し、2030年に向けた市場獲得目標と戦略的推進方針を提示する。
タグ: バーティカルAI, AI戦略, DX, AX, 産業競争力, AI主権
1. 現状認識と目指す姿 【目標】 AI・半導体 バーティカルAI(領域特化型AI) (1)現状 ① 現状 ・バーティカルAIとは、データ、AIモデル、アプリを垂直統合した領域特化型システム。高い正確性と専門性から「現場で使えるAI」。 ・近年、エージェント型AI(Agentic AI)の発展もあり、産業や行政でのAI利活用の機運が高まり、AI投資で出遅れている我が国でもようやく市場の急成長が期待されている。 ・2024年の国内バーティカルAI市場は約1兆円で、2030年には約3兆円になる見通し。フィジカルAIに先行して市場が発現。 ② 取り巻く環境と構造変化 ・2030年までにバーティカルAIの企業での利用が汎用AIを上回る見込み。バーティカルAIは、暗黙知を含めた各現場の経験や知識をデータとして集積し、AIに活用できる日本での開発・活用との相性が良い。我が国独自の価値創出が可能。 ・足元のエージェント型AIの急速な発展・浸透により、バーティカルAIは単なる業務支援から自律的な業務完結が可能に。ユーザー産業の革新の原動力として、これまでの想定以上に付加価値を生み出す。 ・日本のバーティカルAIが、国内のみならず世界各国の現場の課題解決にも有効なものとして輸出も期待。「信頼できるAI」創りで世界を主導。 ③経済的・戦略的な重要性 ・経済的重要性:バーティカルAIそのものへの直接投資に加え、計算基盤やネットワーク、人材等への誘発効果、更にユーザー産業において、省人化のみならず、生産性の向上や新事業創出、GDPの押上げに寄与。 ・戦略的重要性:日本の強みとなるデータを活かした革新的な産業の国内創出で、戦略的不可欠性を実現。一方で、エージェント型AIを含めて、過度な海外サービス依存はデータの海外流出、デジタル赤字拡大の恐れがあり、国内市場を日本のAI企業が獲得し、自律性の向上が不可欠。 (2) 目標 ① 国内外で獲得を目指す市場 ・人手不足に直面する我が国の供給力を維持し、力強い成長につなげるために、中小企業を含めて、あらゆる産業や行政の現場でのバーティカルAIの導入を促進。 ・特に暗黙知の多い現場への適用(製造業で言えば素材、造船等)で、競争力あるAIシステムを創出、輸出を推進。 ・防衛等の戦略性の高い分野を中心に官需主導での開発・活用を積極的に進め、日本のAI企業の市場獲得を促進。 ・2030年に世界のバーティカルAI市場33兆円として、内外で少なくとも5兆円の獲得を目指す。 ② 達成すべき戦略的な目標 ・バーティカルAI導入で、業務効率化にとどまらず、AIを軸とした経営改革(AX:AIトランスフォーメーション)を促進。現場固有のデータを活用、暗黙知の形式知化を推進。 ・産業や行政の現場とAIの双方を理解してAXを推進できるAI実装人材を大規模に育成。 ・日本国内で、計算資源、データインフラ、基盤モデルの開発能力を確保。エージェント型AIを含めてバーティカルAIの開発や社会実装を担う日本企業群を創造。 ・領域別に、①データ創出・利用の促進と、必要に応じたデータ構造の標準化や、②エージェント型AIに即したルール・制度の整備を推進。領域間の連携で成果を積極的に横展開。 ・AIエコシステム全体を通じてAI主権を戦略的に確保。 15