フュージョンエネルギーの現状と課題を整理し、2030年代の発電実証実現と世界市場シェア獲得を目指す戦略目標を提示している。
タグ: フュージョンエネルギー, エネルギー政策, カーボンニュートラル, 技術開発, 産業競争力, 発電実証
1. 現状認識と目指す姿 【目標】 フュージョンエネルギー フュージョンエネルギー (1)現状 ① 現状 ・フュージョンエネルギーは、①カーボンニュートラル(発電の過程で二酸化炭素を発生しない)、②豊富な燃料(燃料(重水素)は海水中に豊富に存在し、ほぼ無尽蔵に生成可能な上、少量の燃料から膨大なエネルギーを発生可能)、③安全性(燃料供給や電源停止により反応が停止)、④環境保全性(発生する放射性廃棄物は低レベルのみで従来技術による処分が可能)の特徴を有し、エネルギー問題と地球環境問題を同時に解決し得る次世代のエネルギーであるが、世界的にも未だ発電は実現されておらず、研究開発段階(科学的・技術的実現性の確認段階)。 ・米国では、多くのスタートアップが設立され、一部は多額の投資を集め、実証プラントの建設を行うなど、民間主導で様々な取組を進めているが、技術的実現性は今後判断される。これらの中には、超伝導線材など日本製の商品が多数使われている。 ・英国は、政府主導で発電実証に向けた取組(「STEP」プログラム)を進めているが、未だ設計段階。 ・中国は、政府主導で実証プラント(他国の実験炉と同様の規模とされる「BEST」)を2027年完成を目指して建設中。 ・我が国は、ITERやJT-60SAなど国立研究機関や大学において長年にわたり研究開発を進め、プラズマ対向機器や加熱装置などを含めて、重要なコンポーネントの多くを自国で開発・製造する能力を有するなど、世界的にトップレベルの技術力を有している。 ② 取り巻く環境と構造変化 ・2020年頃から、米国を中心に、多くの民間資金を集めてフュージョン発電の実用化を目指す民間企業が出現。中国など各国が研究開発を加速している。 ・我が国でも、大学等における研究開発成果をベースに、複数のスタートアップが設立されるなど、民間ベースの取組が拡大しつつある。 ③ 経済的・戦略的な重要性 ・戦略的重要:将来的に主要なエネルギー源の一つとして広く活用されると予想され、技術的な自立性の確保が必要。エネルギー安全保障の観点からも重要。また、フュージョンエネルギーの研究開発成果は、マテリアル、宇宙、防衛など他の分野へも波及。 ・経済的重要:IAEAの試算では、フュージョンエネルギーによる全世界のGDP押し上げ効果が、長期的には最大約700兆円超に上る。 (2) 目標 ① 国内外で獲得を目指す市場 ・中長期的には、全世界のフュージョンエネルギー市場の約3割。(日本企業が海外においてもフュージョン発電所を受注:シェア約3割) ・主要コンポーネントのいくつか:シェア100% 考えられる例:超伝導コイル、加熱装置、ダイバータ ② 達成すべき戦略的な目標 ・世界に先駆けた2030年代の発電実証の実現 255