企業規模別の労働生産性と賃金の相関を分析し、生産性の高い企業ほど賃金水準が高い傾向と、近年の企業行動における課題を提示している。
タグ: 労働生産性, 賃金動向, 企業規模, 企業行動, 資本効率, 経済分析
第3-2-30図 企業規模別にみた労働生産性の分布と1人当たり賃金の動向 生産性の高い企業ほど賃金水準も高い (1) 労働生産性のタイル別推移 ①大中堅企業 ②中小企業 14 (百万円/人) 10-90%点 25-75%点 12 中央値 10 8 6 4 2 0 2007 10 13 16 19 2223 (年度) 14 (百万円/人) 10-90%点 25-75%点 12 中央値 10 8 6 4 2 0 2007 10 13 16 19 22 (年度) (2) 労働生産性のタイル別に見た1人当たり賃金 (2022年度) ①大中堅企業 ②中小企業 10 (百万円/人) ※いずれも該当企業の平均値 8 1人当たり賃金 6 労働生産性 4 2 0 10-25% 25-50% 25-50% 10-25% 下位 上位 10 (百万円/人) ※いずれも該当企業の平均値 8 1人当たり賃金 6 労働生産性 4 2 0 10-25% 25-50% 25-50% 10-25% 下位 上位 (備考) 経済産業省「経済産業省企業活動基本調査」、中小企業庁「中小企業実態基本調査」の調査票情報を独自集計し作成。いずれも全産業。労働生産性は、大中堅企業:(営業利益+給与総額+租税公課)/従業者数、中小企業:(営業利益+労務費+人件費+租税公課)/従業者数として計算。1人当たり賃金は、大中堅企業:給与総額/従業者数、中小企業:(労務費+人件費)/従業者数として計算。 以上、本節では、長期にわたる我が国の企業行動を振り返り、企業部門全体として、人件費の抑制を含むコストカットや海外生産の拡大に伴う営業外収益の増加によって利益がもたらされ、得られた利益は、利益剰余金の増加を通じた財務体質の強化、現金・預金の増加を通じた手元流動性の確保、海外投資の拡大に用いられてきたことを確認した。その上で、大企業と中小企業に分けた過去30年間の企業行動の大きな特徴として、①大企業では海外直接投資など海外展開が大きく進み、現地法人を含む企業全体としての収益力を高めてきたものの、それが必ずしも明確に国内の生産性や賃金の上昇につながっているわけではないこと、そして②中小企業において、収益率が高い相対的に優良な中小企業でも、保守的な経営が進んだ結果、現預金の拡大や投資の抑制が進み、資本効率が低下している点等について確認した。 401