米国・中国の最終需要に対する日本の産業依存度を分析し、両国経済の下振れが日本経済に与える影響を考察している。
タグ: 日本経済, 米国経済, 中国経済, 最終需要, 生産誘発額, サプライチェーン
海外経済の中でも、米国と中国は、世界のGDPのうち、それぞれ26.4%と17.0%37を占めており、前掲第3-1-33図で確認したように、最終需要でみれば、日本からの財・サービスの供給先の1位・2位となっている。米国経済については、個人消費を中心に高い伸びが続いてきたものの、2025年春時点では消費の伸びが緩やかになっている。中国経済については、各種政策の効果はみられるものの、不動産市場の停滞が継続していることから、内需を中心に足踏み状態になっている。世界経済の不確実性が高まる中、両国の経済は更に下押しされる可能性もあり、その影響は日本経済にも波及し得る。 そこで、米国と中国に焦点を当て、両国の最終需要による生産誘発額を示したのが第3-1-34図(1)、(2)である。米国については、輸送用機械が686億ドルで最も大きく、次いで、電気機械、金属製品、卸売と続く。中国については、電気機械が643億ドルで最も大きく、金属製品、化学、一般機械、卸売が続く。このように、米中経済が下振れした場合、輸送用機械や電気機械など各種製造業や卸売を通じて、日本経済の下押し要因となることが懸念される。 また、第3-1-34図(3)、(4)では、それぞれの産業における米中の最終需要への依存度を示している。米国に関しては、全産業平均でみれば、米国の最終需要への依存度は4%程度となっているが、電気機械や輸送用機械といった機械製品製造業や、化学・繊維といった素材業種に加え、非製造業の中でも海上輸送や航空輸送、卸売などにおいて、全体平均を上回る依存度となっている。中でも、電気機械や輸送用機械は米国依存度が高く、生産額の15%ほどを米国の最終需要へ依存している状況にある。中国に関しても、米国と同様、中国の最終需要への依存度は全産業平均で4%程度となっており、産業別には、機械製品製造業や素材製造業、運輸業が平均を上回っている。ただし、米国の場合とは異なり、輸送用機器の中国依存度は4%強にとどまっており、代わりに、素材業種である化学が17.5%と最も高い水準となっている。この違いの背景には、前掲第3-1-26、30、33図で確認したように、米国については、我が国から自動車等の最終財を多く輸入し、それらが個人消費や設備投資に回っているという構造がある一方で、中国については、最終需要地としての存在感の高まりやサプライチェーンの内製化はみられるものの、我が国で生産された中間財を用いて製品を製造しているケースも多いことが影響していると考えられる。 37 IMF “World Economic Outlook Database” より。 349