日本の製造業における分野別の競争力(RSCA指数)を分析し、輸送機械等の強み維持と電気機械等の競争力低下、今後の経済安全保障の重要性を説く。
タグ: 製造業, 競争力, RSCA指数, 貿易収支, 経済安全保障, 半導体
製造装置や建設・鉱山機械、金属加工機械の競争力の高さが寄与しているとみられる。また、電気機械の中間財(自動車用電子機器、半導体等電子部品等)9についても、相対的に比較優位の状況にある。一方、電気機械の最終財(家電や情報通信機器、電気計測機器等)については、中国・韓国では当該財の比較優位が高まる中、足元では我が国のRSCA指数はゼロ近傍の水準となっている。他の機械類においても、中国のRSCA指数は急速に上昇しており、中国において機械類製造業の競争力が高まる中、我が国における電気機械の最終製品製造業は比較優位を失っていることが分かる。また、化学製品については、中間財(元素・化合物)ではRSCA指数はプラスである一方、最終財(化粧品、医薬品等)では上昇傾向にはあるものの、RSCA指数でみると比較劣位の状態にある。 このように、製造業の中でも、分野によって競争力は大きく異なり、我が国は、輸送機械や一般機械において比較優位を維持しつつも、電気機械の競争力が低下した結果、鉱物性燃料や食料品の輸入超が続く中で、貿易収支の構造がかつての黒字から収支がおおむね均衡する構造に変化してきたことが確認できる。東南アジア諸国やインドといった新興国の経済発展が進むにつれて、中長期的には、中国や韓国、台湾などの東アジア諸国だけでなく、これらの国々においても製造業の競争力が高まっていくことが見込まれる。こうした中、我が国においては、輸送機械や一般機械を含む分野では付加価値を高めることにより競争力を維持しつつ、潜在的に強みのある分野において競争力を磨いていくことが重要である。くわえて、経済安全保障の観点から、半導体等の重要分野の国内生産を強化し、海外からの輸入に過度に依存しない体制を整備していく必要があろう。 第3-1-7図 財輸出における各国の比較優位(RSCA指数) 日本は輸送機械や一般機械で競争力を維持しているが、電気機械の最終財や化学製品の競争力は低い (1) 輸送機械 ①中間財 0.8 0.6 0.4 0.2 0 -0.2 -0.4 -0.6 -0.8 -1 米国 ドイツ 日本 韓国 中国 (年) ②最終財 0.8 0.6 0.4 0.2 0 -0.2 -0.4 -0.6 -0.8 -1 日本 ドイツ 米国 中国 韓国 (年) 9 足元では、半導体等電子部品のRSCA指数はゼロ程度であることから、電気機械の中間財としては、自動車用電子機器などがRSCA指数の押上げに寄与しているとみられる(第3-1-8図参照)。 301