日米間の財貿易における需要の価格弾力性の違いと、関税措置が企業や消費者の行動に与える不確実性について分析している。
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方、時間をかけて弾力性は高まり、7~10年後の長期では幅として1.75~2.25程度としている。上述したように、短期的な価格弾力性は、長期のそれに比べて小さいとみることができる。 以上は、各種財についての平均的なアーミントン弾力性を議論したものと言える。現実には、財の種類によっても弾力性はそれぞれ異なると考えられる。例えば、中間財や資本財は、輸入国の企業の生産プロセスにおいて、機能等に係る仕様が詳細に設定されていると考えられ、短期的に中間財・資本財を別の製品に切り替えるコストは大きく、弾力性は相対的に低いと想定される。これに対して、現在、乗用車をはじめ日本から米国への輸出の4割弱を占める消費関連財(コラム1-1図)については、消費者が従前購入していたブランドに対する嗜好やロイヤリティにもよるが、汎用性の高い財であるほど、弾力性は相対的に高いと想定される。この観点で、各国からの輸入品に品目別関税として追加関税が課されている自動車(主に消費財)について、近年における米国市場の需要の価格弾力性に関する研究事例(Leard and Wu (2023))を確認する。これによると、①新車販売市場における平均的な需要の価格弾力性は0.5程度である一方、消費者の所得水準の高低に応じて、0.2~0.84(高所得者ほど弾力性が低い)と幅があること、②同じ新車でも、乗用車とピックアップトラック等では、前者が1.6に対し、後者は0.85程度と、乗用車の方が弾力性が高いこと、③同じ乗用車でも、ガソリン車は0.53であるのに対し、EVは1.91と、EVの方が弾力性が高いこと、などが示されている。以上のように、需要の価格弾力性については、時間軸によっても、財の種類等によっても大きく異なり得るものであり、米国の関税措置の直接的な影響については、企業や消費者の行動の在り方によって不確実性が極めて大きいと言える。 コラム1-1図 日米間の財貿易(米国側の統計・2024年) 日本から米国への輸出の4割弱は乗用車をはじめ消費財が占める (1)日本から米国への輸出 1,484億ドル (2)日本の米国からの輸入 790億ドル (備考)米国商務省により作成。 15