企業規模の大小によらず賃金の低い労働者の賃金上昇率が高く、大企業と中小企業の賃金格差が縮小傾向にあることを分析している。
タグ: 賃金格差, 中小企業, 賃上げ, 労働市場, 賃金構造基本統計調査
(3)各分位点の比率 (倍) 3.5 上位10%・下位10%比 3.0 2.5 上位10%・中央値比 2.0 1.5 1.0 上位25%・中央値比 0.5 下位25%・下位25%比 0.0 2009 2014 2019 2024 (年) (備考) 1. 厚生労働省「賃金構造基本統計調査」により作成。フルタイム労働者の所定内給与。 2. 上位10%は「第9・十分位数」、上位25%は「第3・四分位数」、中央値は「中位値」、下位25%は「第1・四分位数」、下位10%は「第1・十分位数」に対応する。 (中小企業における賃金の底上げが進み、企業規模間の賃金差は縮小) 次に、企業規模別に、上記と同様に賃金のばらつきをみると、前提として、大企業の方が中小企業4よりも、上位10%・下位10%比が高く、企業内における労働者の賃金のばらつきが大きい(第2-2-3図(1)、(2))。その上で、企業規模別の賃金比の推移をみると、従業員1,000人以上の大企業では、上位10%・下位10%比は、2009年の3.2倍強から、2024年には2.9倍強に低下しており、従業員10〜99人の中小企業では、2009年の2.7倍弱から2024年には2.4倍弱に低下している。このように、企業規模の大小によらず、相対的に賃金の低い労働者において、より高い賃金上昇率が実現していることが確認され、2020年代の賃上げ局面についても同様のことが言える。 さらに、大企業と中小企業の間での格差の状況を確認するため、下位10%点、下位25%点、中央値、上位25%点、上位10%点の各点について、大企業と中小企業の賃金比をとり、その推移をみると(第2-2-3図(3))、例えば上位10%点については、2009年時点では1.41倍、つまり大企業の上位10%点の方が、中小企業の上位10%点よりも約41%賃金水準が高い状況であったのに対し、2024年時点では1.34倍(大企業の賃金は中小企業より34%高い状況)まで低下しており、企業規模間の賃金差の縮小が確認される。上位25%点等についても同様に、大企業と中小企業の賃金差は縮小しており、2020年代の賃上げ局面でもこうした傾向に変わりはない。このように、総じて、大企業と比較して、中小企業における賃金の底上げが進んできたことがうかがえる。 4 ここでの「中小企業」は、企業規模10〜99人の企業を指す。 206