予備的貯蓄動機を持つ家計は、将来の不安や物価上昇への懸念から貯蓄率が高まる傾向にあることを分析している。
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(予備的貯蓄を意識すると貯蓄性向が高まる傾向) 次に、貯蓄の動機について確認する。貯蓄の動機には様々なものがあるが、その中の一つに、「予備的貯蓄」、すなわち、想定よりも将来長生きすることによって医療・介護費用や生活費等が増加することや、不慮の事態により所得が急に減少したり医療・介護費用や生活費等が急に増加したりする可能性に備え、十分に働けるうちに貯蓄を積み増しておくという動機がある。他の条件が同じであれば、予備的貯蓄を貯蓄の動機とする人は、そうでない人よりも多くの貯蓄を必要とするため、貯蓄率も高まることとなる。 内閣府調査では、貯蓄の目的についても聴取し、予備的貯蓄動機を持つ家計の貯蓄率が、そうでない家計よりも高いかどうかを確認した。ここでは、貯蓄の目的に「不慮の事態に備える」を挙げた人について、予備的貯蓄動機を持つ人と定義する。各年齢階層について、予備的貯蓄動機の有無によって貯蓄率を比較すると(第2-1-23図(1))、年代にもよるが、予備的貯蓄動機がある人の方が貯蓄率がやや高い傾向がみられており、老後など将来に対する不安が現役時代における貯蓄率を引き上げている可能性を示している。 次に、予備的貯蓄動機が生じる理由について確認する。予備的貯蓄は、先述のとおり将来の医療・介護費や生活費といった支出増に備えるためのものであるから、予備的貯蓄動機を持つ人は、経済面で将来に不安を感じている傾向があると考えられる。そこで、まず、予備的貯蓄動機の有無別に将来の賃金上昇率の見通しを確認すると、両者の間に明確な関係はみられないことが分かる(第2-1-23図(2)①)。一方、実感物価上昇率・予想物価上昇率との関係をみると(第2-1-23図(2)②、③)、実感物価上昇率、予想物価上昇率共に、予備的貯蓄動機を持つ人はこれらが高くなる傾向にある。物価上昇により生涯所得・資産の実質価値が低下したと実感(又は低下すると予想)し、将来に備えて貯蓄を積み増している姿がうかがえる。 第2-1-23図 予備的貯蓄動機 予備的貯蓄動機がある場合、貯蓄率が高く、かつ、高い物価上昇を実感・予想 (1)予備的貯蓄動機と貯蓄率 (2)予備的貯蓄動機と経済認識 ①予想賃金上昇率 (%) 35 30 25 20 15 10 5 0 全体 20代 30代 40代 50代 60代 □予備的貯蓄動機あり ▧予備的貯蓄動機なし (%) 100 80 60 40 20 0 全体 予備的貯蓄動機あり ■20%以上低下 ■10~20%低下 ■5~10%低下 □0~5%低下 □変わらない □0~5%上昇 □5~10%上昇 ■10~20%上昇 ■20%以上上昇 198