賃上げが実現する中、家計の恒常所得への期待は低迷しており、消費者の賃上げ意識とノルムの定着が重要である。
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この点に関して、別のアンケート調査14を用い、賃金が今後増えると考えている人の割合を時系列で確認する(第2-1-8図(1))。具体的には、生活設計において、「今以上の収入」又は「今より少ない収入」を前提としている人の割合について、賃金カーブ上で賃金が先行き増加することが期待されるであろう20~30代に絞ってみると、男性・女性共に「今以上の収入」と答えた人の方が「今より少ない収入」と答えた人よりも常に高い。ただ し、「今以上の収入」と答えた人の割合は、1997年の調査開始以降、2012年頃まで、振れを伴いながら低下傾向で推移した後、2018年にかけて緩やかに上昇したものの、2021年にはコロナ禍の影響もあって低下し、2024年にかけてもコロナ禍前の水準に戻っていないことが分かる。このように、30年以上ぶりの賃上げが実現している下でも、今後の恒常所得が増加すると考えている消費者は十分に増加しておらず、平均消費性向がコロナ禍前よりも切り下がった状態で推移している一因となっている可能性が考えられる。一方、企業側のアンケート調査15では、2025年度に賃上げを実施する見込みである企業のうち、中小企業を含めて3分の2弱は、60%程度以上という一定程度の確度で、今後5年間に毎年賃上げを実施できるとしている(第2-1-8図(2))。同調査では、賃上げ幅については調査されていない点等には留意が必要ではあるが、企業側は相応の賃上げ意向を持っていると言える16。これに対し、家計側が、若年層を含めて、依然として、今後の賃上げ継続について十分な確信を持つに至っていない点を踏まえると、各種の取組を通じて、継続的な賃金上昇の実現を確実なものとし、消費者の賃上げに対する意識の変化、賃金上昇に関するノルムを定着させていくことが重要である。 14 野村総合研究所「生活者1万人アンケート調査」。1997年以降3年に1回実施しており、最新の2024年8月調査は10回目。全国15~79歳(2009年調査までは15~69歳)の男女約1万人を対象に、訪問留置法で実施。 15 東京商工リサーチ「2025年2月「賃上げ」に関するアンケート調査」。2025年2月3日~10日にかけてインターネットによるアンケート調査を実施、有効回答は5,467社。 16 なお、同調査は、2025年2月時点の調査であり、米国の関税引上げによる影響は基本的に織り込まれていないと考えられる。 176