小規模事業者2社が経営リテラシーの向上や人事制度改革を通じて、利益体質の改善や人材育成・組織活性化を実現した成功事例を紹介する。
タグ: 小規模事業者, 経営リテラシー, 事業承継, 原価管理, 組織活性化, 人材育成, 価格転嫁
【重要な取組2】小規模事業者における事例1 経営リテラシー 「原価管理の知識を習得して価格改定に取り組み、利益体質に変化した企業」 【有限会社高井技鈑】 財務・会計 愛知県岡崎市の有限会社高井技鈑は、金属の精密研削加工を手掛ける企業(従業員数13名)。2022年に高井社長が事業承継した当時、残業が続くほど仕事量は多かったが、売上重視で利益への意識が薄く、赤字が続き、資金繰りも厳しい状況だった。 高井社長は、商工会議所の紹介で財務会計セミナーに参加し、決算書や原価計算の知識を習得。知識をいかすことで製品別原価を算出した結果、約7割の製品が赤字受注で、適正価格の4分の1の製品も判明。これを受け、顧客との価格交渉を開始し、具体的な数字を示して理解を得ながら粘り強く取り組んだ。採算が合わない取引は停止し、利益率重視で顧客を選定。さらに、新規顧客開拓や材料・工程の見直しを実施し、社員にも単価や工程管理の意識付けを行うことで、全社的なコスト削減を進めた。 利益体質への転換が実現し、赤字が続いていた業績は、売上は横ばいながら黒字転換を実現。顧客構成も変化し、新規顧客が売上の3〜4割を占めるようになった。新分野への挑戦を通じて社内の士気も向上している。 高井俊宜社長 製造現場の様子 「透明性の高い人事制度と人材育成により組織活性化を実現している企業」 【東陽電気工事株式会社】 組織・人材 福島県西郷村の東陽電気工事株式会社は、1933年創業の電気設備工事を専門とする企業(従業員数11名)。石川社長が事業承継した当時、業務はトップダウンで進められ、組織的な情報共有や人材育成などの仕組みも整っていなかった。 石川社長は、若年層の定着・活躍を念頭に改革を進めた。まず、給与体系を抜本的に見直し、勤続年数重視から技能・技術力や工程管理を評価する「実力評価型」制度を導入。さらに、働き方改革でOJTが難しくなった課題を解決するため、2021年に研修施設を開設。実際の現場を再現し、ベテラン職人が講師となり新人に配線や器具取付などの基礎を伝授。閑散期に集中研修を行うことで短期間での戦力化を実現し、職場の雰囲気改善にもつなげた。 一時期は100%だった3年以内離職率は30%まで低下。社員の平均年齢も、社長就任当時の47歳から33歳へと大幅に若返り、従来はほとんどいなかった女性職人も活躍するようになった。新人の早期戦力化により、受注案件への対応力が向上し、長時間労働の削減を実現しながら安定した売上高を維持している。 石川格子社長 ベテラン職人から技術を教わる様子 32