個人情報保護法におけるオプトアウト制度の現状と、実態調査で判明した不適切な運用事例および委員会による対応状況を解説する。
タグ: 個人情報保護法, オプトアウト, 第三者提供, 特殊詐欺, 名簿業者, 実態調査
1 個人の権利利益のより実質的な保護の在り方 6 (2) 第三者提供規制の在り方(オプトアウト等) 我が国の現状等 ● 個人情報取扱事業者は、原則として、あらかじめ本人の同意を得ないで、個人データを第三者に提供してはならない(法第27条第1項本文)。ただし、第三者に提供される個人データについて、本人の求めに応じて提供を停止することとしている場合であって、その名称や住所、本人の求めに応じて当該本人が識別される個人データの第三者への提供を停止すること、本人の求めを受け付ける方法等について、あらかじめ、本人に通知し、又は本人が容易に知り得る状態に置くとともに、委員会に届け出たときは、本人の同意を得ることなく第三者に提供することができる(同条第2項。いわゆるオプトアウト届出制度)。同制度に関しては、平成27年、令和2年の改正により規律の整備が行われてきた。 ● その後、特殊詐欺の認知件数等が増加傾向にあることを踏まえ、「SNSで実行犯を募集する手口による強盗や特殊詐欺事案に関する緊急対策プラン」が策定(令和5年3月17日犯罪対策閣僚会議決定)された。委員会は、同プランの策定も踏まえ、オプトアウトの届出を行った事業者を対象に、実態調査を行った。 ・ 届出事項を本人が容易に知り得る状態に置くことについて、「自社コーポレートサイトに掲載している。」「ホームページで公表している。」「社内の壁面に掲示している。」「検索出来るようにしている。」といった回答があった。 ・ 提供しようとするデータが、法第20条第1項に違反して取得されたものでないことの確認方法について具体的な内容が不明確な回答が約2割あった。 ・ 個人データの第三者提供を受けているオプトアウト届出事業者のうち、提供元の事業者が法第20条第1項の「偽りその他不正の手段」に該当しない手段により個人情報を取得していることの確認方法について、回答に具体性がない又は無回答となっている事業者が約2割あった。 ・ オプトアウトにより個人データを第三者に提供するに当たって、提供先が提供を受けたデータを「違法又は不当な行為を助長し、又は誘発するおそれがある方法」で利用しないことを確認していないとの回答が約3割あった。オプトアウトによる個人データを第三者に提供するに当たって、提供先に対して、本人確認手続等を実施していないとの回答が約3割あった。 ● 本実態調査により、取得や提供に際して不適切な対応があった事案が見られたことを踏まえ、委員会として指導等の対応を行った。 ・ 販売先が、法に違反するような行為を行う者にも名簿を転売する転売屋だと認識していたにもかかわらず、意図的に販売先での名簿の用途を詳しく確認せず、転売屋に名簿を販売していた。また、個人データの第三者提供記録も作成していなかった事案 ・ 個人データの第三者提供記録を作成していなかった事案 ・ 個人データの第三者提供記録を作成していなかったことに加え、第三者から個人データの提供を受けるに際し、当該第三者の住所について、確認を行わなかった事案 ● 顧客情報又は住民等の情報、住民基本台帳のデータを、それぞれ従業員ないし委託先の職員が持ち出し、名簿業者に売却した事案も見られる。 ● 委員会が運営する個人情報保護法相談ダイヤルに対して、オプトアウト届出事業者に係る質問・相談等が寄せられている。 ・ 名簿の販売が許容されていること自体が問題ではないかとしている事例 ・ 名簿の入手先・取得元の問合せや第三者提供記録の開示を拒否された、あるいは適切な回答がされていない事例 ・ 提供停止を求めるための連絡先が不明又は電話がつながらないなどの理由により停止してもらえなかった、あるいは一旦停止したものの、その後提供が再開された事例 ・ 提供停止等を求めたところ、他の個人情報の提供、サービス登録、手数料支払等の条件を付けられた事例