我が国における生体データの現状と課題を整理し、現行法上の位置付けや社会的反響の大きい事例、諸外国の規制動向を概観する。
タグ: 個人情報保護, 生体データ, 顔認証, スマートシティ, センシティブデータ
1 個人の権利利益のより実質的な保護の在り方 2 (1) 個人情報等の適正な取扱いに係る規律の在り方 ア 要保護性の高い個人情報の取扱いについて(生体データ) 我が国の現状等 ● 現行法上、政令第1条第1号に規定する身体の特徴のいずれか(下記枠内参照)を電子計算機の用に供するために変換した符号のうち、本人を認証することができるようにしたものは、個人識別符号に該当し、個人情報に該当する。 ・細胞から採取されたデオキシリボ核酸(別名DNA)を構成する塩基の配列 ・顔の骨格及び皮膚の色並びに目、鼻、口その他の顔の部位の位置及び形状によって定まる容貌 ・虹彩の表面の起伏により形成される線状の模様 ・発声の際の声帯の振動、声門の開閉並びに声道の形状及びその変化によって定まる声の質 ・歩行の際の姿勢及び両腕の動作、歩幅その他の歩行の態様 ・手のひら又は手の甲若しくは指の皮下の静脈の分岐及び端点によって定まるその静脈の形状 ・指紋又は掌紋 ・上記から抽出した特徴情報の組合せ ● 現行法において、このような生体データの取扱いについて、生体データであることに着目した特別の規律は設けられていない。 ● 我が国における、生体データの取扱いに関連する社会的反響の大きかった事例として、次のようなものがある。 ・人流を把握し防災に活用する目的で、ある駅を中心とした駅ビルに多数のカメラを設置して通行人を撮影し、災害発生時等の安全対策に資する人流統計情報の作成が可能かを検証する実験を実施することを発表した事例 ・顔識別技術を有した防犯カメラを導入し、刑務所からの出所者・仮出所者を含む不審者等を検知するセキュリティ対策を、交通拠点において実施していた事例 ・ある地区のスマートシティ化等を目的として、ある駅周辺に多数のAIカメラを設置し、人流データの取得・解析を開始することを発表した事例 ● 欧州・アメリカ合衆国(カリフォルニア州)・中華人民共和国・大韓民国を含む多くの主要国において、顔特徴データ等は、(要配慮個人情報に相当する)センシティブデータに位置づけられている。