個人情報保護法における監視・監督体制の現状と、課徴金制度導入に向けた過去の検討経緯および今後の課題について解説している。
タグ: 個人情報保護法, 監視監督, 課徴金制度, 行政処分, 罰則, 法改正
2 実効性のある監視・監督の在り方 12 (1) 課徴金、勧告・命令等の行政上の監視・監督手段の在り方 ● 現行法上の監視・監督の流れとしては、まず、個人情報保護法相談ダイヤル、個人情報取扱事業者からの漏えい等報告、その他メディア情報等の外部の情報源から、監視・監督に係る情報を得ている。 ● こうした情報を踏まえ、必要に応じて報告徴収・立入検査を行う。その結果により、指導・助言、勧告を行い、勧告を受けた個人情報取扱事業者等が正当な理由なく勧告に係る措置をとらなかった場合において、個人の重大な権利利益の侵害が切迫していると認められるときは、命令を発出する、という枠組みになっている。個人の重大な権利利益を害する事実があるため緊急に措置をとる必要があると認めるとき等の一定の要件を満たす場合には、勧告を経ることなく命令(いわゆる緊急命令)を発出することも可能となっている。 ● この命令に違反した場合には、法第178条により罰則の対象となる。法定刑は、行為者は1年以下の懲役又は100万円以下の罰金であり、法第184条の両罰規定により、法人等は1億円以下の罰金刑の対象となる。また、委員会への虚偽報告等についても、法第182条により行為者は50万円以下の罰金刑の対象となるほか、法第184条の両罰規定により、法人も50万円以下の罰金刑の対象となる。 ア 課徴金制度 我が国の現状等 ● 法令に基づき賦課される金銭としては、法第179条に規定する個人情報データベース等不正提供等罪等に見られる罰金、科料、過料のほか、課徴金がある。 ● 国内の他法令における課徴金制度としては、我が国では、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(独占禁止法)が昭和52年に課徴金制度を導入したのを皮切りに、金融商品取引法、公認会計士法、景品表示法、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律に順次導入されている。また、例えば、独占禁止法については、制度導入後累次の改正により、対象行為の拡大、算定率の引上げ等を行っており、違反行為を抑止するため、違反行為に基づく不当利得相当額をベースとしつつ、不当利得相当額以上の金銭を徴収する仕組みとされている。 ● 個人情報保護法の過去の改正においても、課徴金に関する議論がされている。平成27年改正法の検討時には、制度見直し方針の段階において、第三者機関に行政処分の権限を付与するとともに罰則の在り方を検討するとされた上で、制度改正大綱において、課徴金制度の導入について、引き続き検討することとされた。また、令和2年改正法の検討時には、制度改正大綱において、「我が国の法体系、執行の実績と効果、国内外事業者の実態、国際的な動向を踏まえつつ、引き続き検討を行っていく」とされた。 ● 加えて、法案審議においては、参議院の内閣委員会における附帯決議で、「違反行為に対する規制の実効性を十分に確保するため、課徴金制度の導入については、我が国他法令における立法事例や国際的な動向も踏まえつつ引き続き検討を行うこと」とされた。