個人情報保護における適格消費者団体を活用した差止請求制度や被害回復制度の導入に向けた課題と検討の方向性について解説している。
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1 個人の権利利益のより実質的な保護の在り方 11 (4) 個人の権利救済手段の在り方 考え方 ● 法の規定に違反する個人情報の取扱いに対する抑止力を強化し、本人に生じた被害の回復の実効性を高めるという観点からは、適格消費者団体を念頭に置いた、団体による差止請求制度や被害回復制度の枠組みは有効な選択肢となり得る。 【差止請求制度】 ● 法に違反する不当な行為を対象行為とすることを検討すべきである。差止請求の実効的な運用のためには、次の課題が指摘されている一方で、差止請求は個人の権利利益保護の手段を多様化する、委員会の監視・監督機能を補完し得るとの指摘もあることから、継続して検討する必要がある。 ✓ 専門性の確保(法に精通した人材を各適格消費者団体が確保しているとは限らないため、研修等の実施や、制度導入初期段階での専門家確保のための施策が必要と考えられる。) ✓ 端緒情報等の共有・立証等における考慮(委員会が取得している情報のうち重大案件と考えられるものについて、事業者名を特定して適格消費者団体に提供できると、制度が効果的に機能すると考えられる。また、事業者の応答を促す仕組み等についても検討すべき。) ✓ 報告、監督窓口の一本化(年次の報告先等が2箇所となれば適格消費者団体の負担となる。) ✓ 資金を含む団体への援助(適格消費者団体は限られた資金の下ボランティアベースで運営されている団体が大多数。) 【被害回復制度】 ● 差止請求制度の課題に加え、個人情報の漏えいに伴う損害賠償請求は極端な少額大量被害事案となる(過去の裁判例等を踏まえると、認容被害額は数千円から数万円程度と考えられる。)こと、立証上の問題があることが課題と考えらることから、更に慎重な検討が必要である。 ● 他方で、団体による差止請求や被害回復の枠組みについては、関係団体からのヒアリングにおいて、その導入について強く反対との意見があったところであり、法に違反する行為や不法行為を対象とする場合であっても、萎縮効果の懸念が示されていることから、事業者の負担と個人の権利利益の保護とのバランスを踏まえつつ、その導入の必要性を含めて多角的な検討を行っていく必要がある。