日米安全保障体制の意義と役割、および日米防衛協力のための指針(ガイドライン)の内容について解説している。
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第1節 日米安全保障体制の概要 既存の秩序をめぐる不確実性が増しており、いわゆるグレーゾーン事態は、明確な兆候のないまま、より重大な事態へと急速に発展していくリスクをはらんでいる。 こうした安全保障環境のなかで、わが国に駐留する米軍のプレゼンスは、地域における様々な安全保障上の課題や不安定要因に起因する不測の事態に対する抑止力として機能し、わが国や米国の利益を守るのみならず、地域諸国に大きな安心をもたらすことで、いわば公共財としての役割を果たしている。 また、日米安保体制を基調とする日米両国間の緊密な協力関係は、わが国の周辺地域の平和と安定にとって必要な米国の関与を確保する基盤となっている。このような体制は、韓国、オーストラリア、タイ、フィリピンなどの地域諸国と米国の間で構築された同盟関係や、そのほかの国々との友好関係とあいまって、地域の平和と安定に不可欠な役割を果たしている。 日米安保体制を中核とする日米同盟関係は、わが国の外交の基軸であり、多国間の安全保障に関する対話・協力の推進や国連への協力など、国際社会の平和と安定へのわが国の積極的な取組に役立つものである。 現在、海洋・宇宙・サイバー空間の安定的利用に対するリスク、海賊行為、大量破壊兵器や弾道ミサイルの拡散、国際テロなど、一国での対応が困難なグローバルな安全保障上の課題が存在しており、関係国が平素から協力することが重要である。日米の緊密な協力関係は、わが国がこのような課題に効果的に対応していくうえでも重要な役割を果たしている。 特に、自衛隊と米軍は、日米安保体制のもと、平素から様々な面での協力の強化に努めている。こうした緊密な連携は、海賊対処など各種の国際的な活動において自衛隊と米軍が協力するうえでの基盤となっており、日米安保体制の実効性を高めることにもつながっている。 国際社会の平和と繁栄は、わが国の平和と繁栄と密接に結びついている。したがって、わが国が、卓越した活動能力を有する米国と協力してグローバルな課題解決のための取組を進めていくことにより、わが国の平和と繁栄はさらに確かなものとなる。 3 グローバルな課題への対応 日米安保体制は、防衛面のみならず、政治、経済、社会などの幅広い分野における日米の包括的・総合的な友好関係の基礎となっている。 2 日米防衛協力のための指針(ガイドライン)の内容 日米間の役割や協力などのあり方についての一般的な大枠や政策的な方向性を示した日米防衛協力のための指針(ガイドライン)は、1978年に策定され、1997年と2015年に逐次改訂されている。2015年に改訂された現行のガイドラインは、日米両国の役割と任務についての一般的な大枠や政策的な方向性を更新するとともに、同盟を現代に適合したものとし、また、平時から緊急事態までのあらゆる段階における抑止力や対処力を強化することで、より力強い同盟とより大きな責任の共有のための戦略的な構想を明らかにするものである。 ガイドラインでは、わが国の平和と安全の切れ目のない確保のため、平時から、情報収集・警戒監視・偵察(ISR)活動、防空やミサイル防衛、海洋安全保障、訓練・演習、アセットの防護、後方支援などの措置をとることや、わが国における大規模災害への対処などにおいて日米が協力することなどが明示されている。また、地域やグローバルな平和と安全のため、国際的な活動において日米が協力すること、3か国や多国間協力を推進・強化すること、宇宙やサイバー空間に関して協力すること、日米協力の実効性をさらに向上させるための基盤として防衛装備・技術協力や情報協力・情報保全などの日米共同の取組を発展・強化することなどが明示されている。 参照 資料23(日米防衛協力のための指針(2015年4月27日)(仮訳))、資料24(日米同盟にかかわる主な経緯) 3 日米間の政策協議 日米両国は、首脳・閣僚レベルをはじめ様々なレベルで緊密に連携し、二国間のみならず、インド太平洋地域 319 令和6年版 防衛白書 日米同盟 第2章 第1節