スマート農業技術の普及に向けた関係府省庁の連携強化と、生産方式革新や開発供給計画を通じた現場での具体的な活用事例について解説する。
タグ: スマート農業, みどりの食料システム戦略, 生産性向上, 農福連携, 技術革新, 産学官連携
特集3 スマート農業技術の活用と今後の展望 (スマート農業技術の活用の促進に向けた関係者との連携強化) スマート農業技術の開発及び普及の好循環を形成していくため、農業者、農業支援サービス事業者、スマート農業技術の開発を行う事業者、地方公共団体、農業関係団体、大学等が参加する、「スマート農業イノベーション推進会議(IPCSA1)」を設置し、農業者とスタートアップやサービス事業者等のマッチング支援、国内外のスマート農業技術に係る研究開発や実用化の動向等の情報の収集・発信・共有、技術指導の研修等の活動を実施することとしています。 また、スマート農業技術の活用の促進に向けては、農村における情報通信環境の整備やスマート農業技術を使いこなせる人材の育成、サイバーセキュリティ対策等の関係府省庁との連携が重要です。令和6(2024)年6月に設置された「スマート農業技術の活用の促進に関する関係府省庁連絡会議」では、関係府省庁連携の下、スマート農業技術の活用の促進に関する取組を一体的に進める活動を行っており、例えば高度情報通信ネットワークの整備においては、総務省が中心となり運営する通信基盤整備推進のための地域協議会に農林水産省が参加し、地域におけるニーズを通信事業者等に伝えるなどの取組を行っています。 (3) スマート農業技術の活用の促進に係る現場での取組 (スマート農業の普及) 令和6(2024)年度にスマート農業技術活用促進法の認定を受けた取組については、生産方式革新実施計画が22件、開発供給実施計画が8件となりました。例えば生産方式革新実施計画の認定を受けた「しかりべつ高原野菜出荷組合加工キャベツ部会」では、加工・業務用キャベツの栽培において、「精密出荷予測システム」を通じて得られた収穫時期・収穫量等のデータを、サービス事業者や食品等事業者と共有することで、作業員の計画的な手配や集出荷における予冷庫等の計画的な手配に活用し、コストを削減するとともに、栽培履歴データの分析結果を産地全体の品質・収量の向上に向けた肥培管理に活用し、収益性の向上を図ることとしています(図表 特3-3)。 また、開発供給実施計画の認定を受けた株式会社NTT e-Drone Technologyは、傾斜地のかんきつ防除における労働時間の削減や、衛星やドローンで取得したセンシング結果に連動した可変施肥等による作業の効率化及び環境負荷低減に係る国産大型ドローンの供給を目指しており、計画認定の支援措置として、農研機構の施設等の供用を受け、令和7(2025)年1月から農研機構が供用する圃場においてドローンの飛行試験を開始しています。スマート農業技術の活用は、農業の生産性向上と化学肥料・化学薬剤の使用低減の両立によりみどりの食料システム戦略(以下「みどり戦略」という。)の推進にも貢献します。例えば「第11回 ロボット大賞」において農林水産大臣賞を受賞した株式会社NEWGREEN、井関農機株式会社等によるアイガモロボットは、ブラシ型のパドルで自動で水田の泥をかき混ぜることにより、化学農薬を使わずに雑草の生長を抑制することができ、水稲の有機農業に役立ちます。ほかにも、障害者の作業をサポートする観点から農福連携の推進等の様々な取組に貢献しています。 1 Innovation Promotion Conference for Smart Agricultureの略 30