G7競争サミットにて採択された「デジタル競争共同宣言」の概要と、生成AI市場における公正な競争環境維持に向けた日本の取り組みを解説する。
タグ: G7競争サミット, デジタル競争共同宣言, AI規制, 公正取引委員会, イノベーション, 競争政策
国際連携の例:G7 競争サミット 28 令和6年10月3日及び4日、イタリア(ローマ)において、イタリア競争・市場保護委員会の主催によりG7の競争当局及び政策立案部局のトップ等が出席する「G7競争サミット」が開催され、公正取引委員会から古谷委員長らが出席した。本サミットにおいては、デジタルとAI市場に関する様々な競争上の課題について、G7の競争当局のトップ等が議論し、具体的な成果文書として、「デジタル競争共同宣言」が採択された。 デジタル競争共同宣言の概要 AIによるイノベーションの創出、経済社会への利益 AIは潜在的に、 生産性の向上 企業及び消費者向けの多くの既存製品やサービスの変革 市場への新しいイノベーション 経済全てにわたるいまだ想像したことのない技術発展の実現を通じて我々の社会と経済に真の変革をもたらすと期待される。 AIに関する競争上の懸念 市場支配への懸念 ⇒ AIが持つ特徴(規模と範囲の経済、ネットワーク効果など)が、新規参入を難しくさせる可能性 必須となる投入物のコントロール ⇒ AI開発に必要な計算インフラ、専用チップ、データ、優れた人材等へのアクセスが障害となり、新規参入を困難にする可能性 自社優遇・抱き合わせ ⇒ 消費者の選択肢を狭めるとともに、中小企業やスタートアップの新規参入のハードルを形成する可能性 競争当局等の役割 厳正でタイムリーな競争法執行 デジタル分野に対応する当局の能力の増強 国際協力の強化 ⇒ G7当局等間の対話や知見を共有することで、AIとデジタル市場のグローバル化に対応 サミットにおける古谷前委員長の発言(抜粋) 生成AIを巡る政府全体の動き 生成AI技術の普及を経済発展のチャンスと捉え、生成AIを健全な形で経済社会に実装させるため、リスク対応とイノベーション促進の両立の観点から、リスクの大きさに応じた対策を講じ、AIの安全性を確保する方針で政策が検討されている。 こうした大きな方向性を踏まえ、政府内に設置された「AI戦略会議」の下で、関係省庁が共同で生成AIに対する規制の在り方について検討が進められている。 これらの政府の議論においては、公正競争という観点も重要なポイントとなっており、AI開発事業者に向けたガイドラインでも公正競争に関する項目が設けられている。 生成AIに関する実態調査(令和6年10月2日) 政府全体の動きを踏まえ、公正取引委員会は、生成AI技術の持つ潜在的な競争上のリスクを見据えつつ、我が国の生成AI関連市場における公正かつ自由な競争環境を維持し、更なるイノベーションを生み出す観点から、生成AI技術の持つ競争促進的な側面にも着目し、まずは、ニュートラルな立場から実態把握を行っている。