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A.2025年の安定的な物価上昇を実現するための物価目標は2%。
出典: 内閣府『令和7年度 経済財政白書(全体版)』2025年7月公表
第2節 持続的な賃金上昇の実現に向けて 2024年度を振り返ると、一人当たりの名目賃金の上昇率は、1991年度以来33年ぶりとなる高さを記録した。これに加え、2025年の春季労使交渉の賃上げ率についても、連合集計によれば、2024年を更に上回る状況となっている。賃上げを重視する政労使の一致した認識の広がりに加え、企業における人手不足感の歴史的な水準への高まりや物価上昇への対応等もあいまって、過去30年間にはみられなかった力強い賃上げのモメンタムが実現・継続していると言える。一方、名目賃金を消費者物価指数(総合)で除した実質賃金でみると、2024年度は前年度比0.0%と3年ぶりにマイナスを脱したが、食料品を中心に高い物価上昇率が継続する中で、名目賃金が安定的に物価上昇を上回る状況には至っていない。GDPの過半を占める個人消費の回復を力強いものとするためにも、2%の安定的な物価上昇を実現するとともに、これを上回る名目賃金の上昇を持続的に実現することが不可欠となっている。こうした中、賃金を巡っては、医療・福祉分野等の公的部門での賃上げに遅れがみられているほか、年齢別には、初任給を含め若年層では高い賃上げが実現している一方で、中年層では賃上げが抑制されている。また、中小企業での賃上げに二極化の兆しが指摘されるなど、賃上げの程度や広がりにはばらつきもみられている。本節では、まず、近年において、企業規模、産業、年齢別といった側面で、賃上げの広がりがどの程度確認されているのかを検証する。次に、過去30年にはみられなかったレベルの賃上げが実現しているにもかかわらず、労働者側において、賃金が上昇している、あるいは上昇するだろうという実感は必ずしもみられない。こうした賃上げの受け止めの実態について、賃金カーブの長期的な変化等に着目しつつ分析を行う。コロナ禍前までは、人手不足の中でも賃金が十分上昇しない背景について様々な議論がなされてきたが、内閣府政策統括官(経済財政分析担当)(2025a)でも分析したように、これまで賃上げを抑制的なものにしてきた要因の多くは変化し、賃上げを促す方向に作用し始めている。これに関連して、本節では最後に、デフレ下において特有の現象として、我が国の賃金を阻害してきたと指摘される「賃金の下方硬直性に伴う上方硬直性」―景気後退期に名目賃金の引下げが困難であるが故に、景気回復局面においても賃上げが控えれるというメカニズムについて、コロナ禍以降のデータを含めて詳細に分析し、構造変化の有無を検証する。 1. 賃金上昇の広がりはどの程度みられるのか (平均賃金では、フルタイム、パートタイム労働者共に30年ぶりの賃上げが実現) 「毎月勤労統計調査」における名目賃金(現金給与総額)を、フルタイム労働者とパート 203