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A.2017年の2010年〜2017年の賃金上昇率の平均的な押し下げ効果(推計)は0.2-0.6%ポイント程度。
出典: 内閣府『令和7年度 経済財政白書(全体版)』2025年7月公表
れをみると、まず 2020 年は、下方硬直性を経験した人と経験しなかった人の賃金上昇率の差は 11%ポイント程度となっており、本来であれば平均して 11%程度賃金が低下していたところ、下方硬直性の存在により結果的に賃金水準が維持されていたことが分かる。一方、2021 年・22 年平均においては、2020 年に下方硬直性を経験した人は、経験しなかった人に比べ、賃金上昇率が統計的に有意に 1.5%ポイント程度低下していたことが分かる。下方硬直性を経験した人は、2020 年時点で下方硬直性がなかった場合の賃金よりも平均して 11%程度高い賃金水準にあったことから、望ましい賃金水準に近づけるために、2021 年の賃上げ幅を抑えたり、賃上げを見送ったりしたケースが考えられ、賃金の上方硬直性が一定程度介在している可能性が示唆される。また、下方硬直性を経験していた労働者の割合から計算すると、2021 年~2022 年の賃金上昇率は、上方硬直性の存在により、0.33%ポイント程度下押し40されていたと考えられる。 一方、2021 年と 2022 年の影響を分けて分析すると(第 2-2-21 図(2)②)、2020 年の下方硬直性による影響は①とほぼ同じ(11%ポイント程度)であるが、上方硬直性の影響については、2021 年には統計的に有意に▲3.5%ポイント程度であった一方、2022 年は有意な影響が観測されない状況となっており、2022 年には上方硬直の影響はほぼ解消していたことが示唆される。先行研究によれば、2000 年代後半の世界金融危機時の上方硬直性は、数年以上にわたり継続していた可能性が指摘されている一方41、コロナ禍の下方硬直性に起因する上方硬直性は比較的早期に解消しており、このことが、人手不足対応等の他の要因とあいまって、2023 年以降の賃金上昇率の押上げに寄与した可能性があると考えられる。 40 下方硬直性を経験していた労働者の比率(サンプルの 22%)と押し下げ効果(1.5%ポイント程度)から計算。なお、平田・丸山・嶺山(2020)では、世界金融危機時の下方硬直性による上方硬直性が、2010 年~2017 年の賃金上昇率を平均で 0.2~0.6%ポイント押し下げていたと推計しており、影響の度合いとしては大きな差はないと考えられる。 41 平田・丸山・嶺山(2020)に加え、山本・黒田(2016)は、2012~2015 年の各企業における賃金上昇率について、過去 10 年間に賃金カットを経験した企業で高まることを報告している。 247