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A.2025年の防衛省の救護支援体制構築目標は10分以内。
防衛省が2025年度に目指す、受傷から10分以内に救護が受けられる衛生支援体制の構築目標です。有事における迅速な救急医療体制の整備に向けた具体的な時間指標を示しています。
出典: 防衛省『令和7年版 防衛白書(前編)』2025年7月公表
防衛省の救護支援体制構築目標
10分以内
受傷から10分以内に救護が受けられる衛生支援体制の構築を目指す
第1節 衛生機能の変革 (1) 第一線救護、後送間救護機能の強化 第一線で負傷した隊員に対しては、第一線救護衛生員1が緊急救命行為2を行うとともに、野外手術システム3などを備えた医療拠点において、ダメージコントロール手術(DCS4)を行った後、専門治療や根治的治療などのため、自衛隊病院などに安全かつ迅速に後送することとしている。 隊員の救命率向上のため、受傷から10分以内に救護が受けられる衛生支援体制・態勢の構築を図っている。各自衛隊では、准看護師および救急救命士の免許を有する隊員が、任務遂行中に負傷した隊員に対し、その現場付近において緊急救命行為を行えるようにするため、教育・訓練を実施し、第一線救護衛生員としての指定・部隊配置を進めている。 また、あらゆる後送手段を用いた迅速・確実な後送態勢の構築のため、艦艇または航空機上での後送間救護について、各自衛隊の部隊や装備の特性に応じた教育訓練の充実を図るとともに、航空医療搬送訓練装置の整備、救急処置能力向上教材の整備などを推進している。 戦傷医療教育にあたっては、各自衛隊共通の衛生訓練基盤の整備や統合化を推進し、共通の知識・技能の向上を図ることとしている。 (2) 自衛隊病院の機能強化・医療拠点の整備 自衛隊病院には、各種事態において、活動地域から後送された隊員を収容・治療する病院としての役割がある。また、平素においては、隊員やその家族などの診療を行う病院としての役割を果たしている。このほか、医療従事者の技量の維持・向上および養成のための教育機関としての役割も有している。 南西地域においては、医療拠点である那覇病院をはじめ、後送先となる自衛隊病院の機能、抗たん性を拡充するため、病床の増加、診療科の増設、地下化などの機能強化を図ることとしている。 (3) 戦傷医療における輸血実施体制の確立 戦傷医療における死亡の多くは、爆傷、銃創などによる失血死であり、これを防ぐためには輸血に使用する血液製剤の確保が極めて重要である。このため、防衛省・自衛隊は、国家防衛戦略などに基づき、自衛隊において血液製剤を自律的に確保・備蓄する態勢5の構築に取り組むため、2023年、「防衛省・自衛隊の戦傷医療における輸血に関する有識者検討会」を設置した。2024年2月に本検討会より出された提言を受け、防衛省・自衛隊は、戦傷医療における輸血の実施体制を確立するための検討を推進し、防衛省・自衛隊の戦傷医療における輸血に関する制度の策定や、血液製剤を製造するために必要となる資機材の整備などを行っている。 2 衛生にかかる統合運用態勢の強化 衛生機能は、各自衛隊で共通するものが多く、部隊運用の支援に深くかかわる衛生分野の統合運用態勢を強化するため、統合による衛生訓練や各種衛生教育の統一化を推進している。 また、各自衛隊間の相互運用性を考慮した衛生資器材の共通化や各自衛隊員の医療情報を区別なくタイムリーに取得できるよう、情報システムを整備することとしている。 令和6年度日米共同演習(KS25) 統合後方補給・衛生訓練 (2024年10月) 1 准看護師(保健助産師看護師法に規定する准看護師。)および救急救命士(救急救命士法に規定する救急救命士。)の免許を有する隊員のうち、緊急救命行為に関する訓令に規定する協議会が認定した訓練課程を修了した者。 2 負傷により気道閉塞や緊張性気胸の症状などとなった者に対する救護処置や、痛みを緩和するための鎮痛剤の投与などの処置。 3 手術に必要な機能をシェルター化し、大型トラックに搭載(手術車、手術準備車、滅菌車、補給車)した動く手術室。開胸、開腹、開頭術など救命のための手術が可能。 4 損傷した内臓に対するガーゼ圧迫留置、縫合などによる止血と腸管内容による汚染を防止するための応急的な手術であり、患者の状態を後送に耐えうるレベルまで安定させることを目的としている。 5 戦傷医療に必要な各種の血液製剤を、市販のものに依存するのではなく、作戦の進捗や戦傷様相を踏まえた独自の判断により、必要な時期に必要な量を所望の場所に確保できる態勢を目指している。 457 令和7年版 防衛白書