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A.2023年の農業法人の経営課題における価格転嫁の割合は35.5%。
農林水産省の2023年のデータによると、農業法人の経営課題として「価格転嫁ができない」ことを挙げた割合は35.5%です。この数値は、農業経営におけるコスト上昇分の価格転嫁の難しさを示しています。
出典: 農林水産省『令和6年度 食料・農業・農村白書(全体版)』2025年5月公表
また、中小企業庁が令和6(2024)年9~11月に実施した調査によると、食品製造業(中小企業)における発注企業から見たコスト増に対する価格転嫁の割合は55.3%となっています。 農業生産資材や原材料の価格高騰は、農業者や食品企業の経営コストの増加に直結し、最終商品の販売価格まで適切に転嫁できなければ、食料安定供給の基盤自体を弱体化させかねません。このため、農業者や製造事業者を始めとする売り手がコスト構造を把握し、買い手に説明できるようにすることで、コストの実態について消費者等の理解を得て、食料システム全体で合理的な費用を考慮した価格形成が行われるよう環境整備を進めていくことが必要です。 (円滑な価格転嫁や取引の適正化に係る取組を推進) 政府は、令和3(2021)年に決定した「パートナーシップによる価値創造のための転嫁円滑化施策パッケージ」に基づき、中小企業等が賃上げの原資を確保できるよう、取引事業者全体のパートナーシップにより、労務費、原材料費、エネルギーコストの上昇分を価格に適切に転嫁できる環境整備に取り組んできました。 農林水産省では、食品製造業者と小売業者や、卸売市場の仲卸業者等と小売業者との取引関係において、問題となり得る事例等を示した「食品製造業者・小売業者間における適正取引推進ガイドライン」及び「卸売市場の仲卸業者等と小売業者との間における生鮮食料品等の取引の適正化に関するガイドライン」をそれぞれ策定し、これらを普及させることで、取引上の法令違反の未然防止に努めるとともに、事業者の経営努力が報われる適正な取引の推進を図っています。 (2) 合理的な価格の形成に向けた取組が進展 (合理的な価格の形成に向けた仕組みづくり) 合理的な費用を考慮した価格形成の仕組みづくりに当たっては、まず品目ごとにコスト構造の実態を把握し、コストを明確化することが必要です。その上で、当事者間でコストについて協議を行い、価格を決定し、生産から消費に至る食料システム全体で費用を考慮した取引を行うことが重要です。さらに、政府全体として物価上昇を上回る賃金上昇の普及や定着を目指した取組を推進し、消費者の購買力を確保していくことが必要です。 農林水産省では、食料の持続的な供給の実現に向けて、食料システムの各段階でのコスト把握や、生産から消費に至る食料システム全体で合理的な費用が考慮される仕組みを検討することを目的として、令和5(2023)年8月に食料システムの各段階の関係者を構成員とする「適正な価格形成に関する協議会」を設立しました。 図表 特2-2 農業法人の経営課題(上位6位まで) 資材コスト(肥料、飼料、農機等) 60.1 人材の育成 53.1 労働力(雇用者、外国人材等) 52.3 経営力の向上 42.0 価格転嫁ができない 35.5 人材の定着 31.8 資料:公益社団法人日本農業法人協会「2023年版 農業法人白書」を基に農林水産省作成 注:令和5(2023)年9月~6(2024)年2月に実施した調査で、有効回答数は1,325者(複数回答) 1中小企業庁「価格交渉促進月間(2024年9月)フォローアップ調査」(令和6(2024)年11月公表) 19