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A.2020年の従来手順による刺繍の準備時間は1時間。
中小企業庁が公開した2020年のデータによると、従来の手順による刺繍の準備時間は1時間です。この数値は、同庁の調査における従来プロセスの所要時間を示しています。
出典: 中小企業庁『2020年版 小規模企業白書(全体版)』2020年4月公表
従来手順による刺繍の準備時間
1時間
従来の手順による刺繍の準備時間
第4章 付加価値の創出に向けた取組と地域活性化 事例 事例2-4-1:株式会社Apollon 「趣味を通じて得られたアイデアから新商品の開発を行い、事業転換を実現した小規模事業者」 東京都文京区の株式会社Apollon(従業員1名、資本金1,000万円)は、相馬美保氏が経営する、刺繍関連商品の製造販売及び刺繍教室の開催を行っている企業である。 同社は、2013年4月に社名変更を行うまで「株式会社相馬金型製作所」として静岡県で自動車部品の金型を製造しており、同氏の夫が経営者として営業から製造まで事業全般において中心的な役割を担っていた。しかしながら、2008年のリーマン・ショックを契機に同社の受注は激減し、経営の立て直しに向け、前社長を中心に積極的な営業を行っていた。かかる中、2011年9月に当時の経営者である夫が急逝したことを受け、急遽、相馬社長が経営を引き継ぐこととなった。相馬社長は、前社長が行っていたように経営の立て直しに向け、既存取引先との折衝や新規取引先の開拓を進めようとしたものの、この時、金型に関する知識が大きな壁となった。自社の強みや製品の良さを自分の言葉で伝えることができなかったのである。結果として、営業活動は難航し、受注の回復には至らなかった。相馬社長は、事業継続に向けた様々な取組を行ったが、最終的に金型製造事業の継続を断念し、2012年に同事業から撤退した。 他方、相馬社長は、以上のような経験を通じて「自分が自信を持って販売できる製品を製造したい」という思いを強く抱くようになっていた。そこで、相馬社長は、かねてより趣味として親しんでいた「刺繍」に着目し、同社の新規事業として立ち上げることを試みた。刺繍仲間との会話の中で、「布地を簡単に張れて、簡単に布の表裏を返すことができ、軽くて持ち運びに便利な刺繍枠」に対するニーズがあることを認識していた相馬社長は、このアイデアを実際に事業化するために、商工会議所などに相談しながら刺繍枠の試作を繰り返し、2014年に刺繍枠「Delphes(デルフ)」の製造に成功した。従来は刺繍の準備として、布地を張るだけで1時間掛かる場合もあったが、同製品を利用することで、この工程が5分程度にまで短縮できる。同社は「Delphes(デルフ)」で国内特許、「Urd(ウルド)」で意匠登録を取得し、売上は順調に拡大している。 現在、同社では刺繍枠の製造を行うと同時に、刺繍を楽しむ人を増やすことで、刺繍市場の拡大に向けた取組も進めている。既に、オフィスの一部を利用して刺繍教室を開催しているほか、海外の商工会議所等と連携しながら刺繍に関するイベントも計画している。 「自分の趣味が事業として成立し、自身の考案した製品によって刺繍を楽しむ人々の悩みを解決することができた。今後も、刺繍に関わることで事業を拡大させていきたい。」と相馬社長は語る。 相馬美保社長 同社製品 Ⅱ-114 2020 White Paper on Small Enterprises in Japan