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A.2024年の内閣府調査において消費を増やさないと回答する者の割合は3-4割。
出典: 内閣府『令和7年度 経済財政白書(全体版)』2025年7月公表
は生じないと考えている人」(リカード・バローの中立命題の前提が共有されていない)は、「給料の増加により手取りが増加した場合」と同様に消費を増やすのに対し、「将来における増税等の可能性を想定する人」(前提が共有されている)は、基本的には、中立命題の下で、現在の消費を増やす選択はしないと考えられる。つまり、中立命題が成り立てば、②や④の設問に対して「消費を増やさない」という回答が、①や③に対するよりも少なくとも上回ることが想定される。実際の回答結果は、先述の通り、若干ではあるが、消費を大きく増やすと回答した人の割合に差がみられている。 以上見てきたように、一時所得よりも恒常所得の増加の方が消費を押し上げる効果が大きく、また、将来の負担増を伴うと予想される財政政策よりも、給与所得の増加の方が若干ではあるが消費を押し上げる効果が大きいと考えられる。一方、給与所得の増加による恒常所得の増加に対しても、4割強が消費を増やさない又は減らすと回答している点については、後述するとおり、予想物価上昇率の高まりが消費者マインドを下押ししていることや、賃金上昇の実感が広がりを欠いていることが回答に影響を与えている可能性もある。今後、消費者マインドが改善し、持続的な賃金上昇が定着していけば、回答の傾向が変化していくことも考えられる。 3. 予想物価上昇率の高まりはどのような経路で消費を押し下げるのか 前項では、内閣府調査において、仮に手取り所得が恒常的に増えたとしても、消費を増やさないと回答する者が3~4割存在することをみたが、このことは、現下において、所得以外の要因が消費を決定する上で重要な影響を及ぼしていることを示唆していると言える。このように、所得の伸びに比べて、消費の伸びが緩やかなものにとどまる背景としては、今後、所得を上回って物価が上昇するとの予想が、消費者マインドの下押しを通じて、実際の消費を抑制する可能性がある。 内閣府「消費動向調査」により、日頃よく購入する品目の価格が1年後にどの程度上昇しているかという家計の予想物価上昇率と消費者マインドの推移を確認すると(第2-1-10図(1))、予想物価上昇率が高い局面において、両者の動きが逆相関、つまり、予想物価上昇率が高まると、消費者マインドが低下するという関係がみられる。また、日本銀行の「生活意識に関するアンケート調査」によると、「今後1年間の支出を考えるにあたって特に重視すること」は、2022年以降、「今後の物価の動向」が「収入の増減」を上回り、直近では、その差が更に拡大しているなど、予想物価上昇率の高まりが、消費意欲の下押しにつながっている可能性が示唆される(第2-1-10図(2))。一方、経済理論的には、物価が上昇 179