資料4
参考資料1
経済産業政策新機軸部会
第5次中間整理(案)
参考資料集
2026年4月
経済産業政策局
【目次】
1. マクロ経済運営のあり方
―――――――――――――――――――P.4
2. グローバル競争型産業
――――――――――――――――――――P.21
3. 新技術立国・競争力強化
―――――――――――――――――――P.51
4. 好循環のミッシングピースである消費活性化 ――――――――――P.132
5. 未来の経済社会システムのあり方 ―――――――――――――――P.140
1
第5次中間整理の位置づけ
【これまでの新機軸中間整理との関係】
⚫ これまで4年間、「経済産業政策の新機軸」として、国内投資・イノベーション・所得向上の実現を目指して、ミッション志
向の産業政策(8分野)と社会基盤(OS)の組替え(4分野)を推進。
➢
8分野のミッション:「GX」、「DX」、「グローバル・経済安全保障」、「健康」、「少子化対策に資する地域の包摂的成長」、「災害レジリエンス」、
「バイオものづくり」、「資源自律経済」
➢
4分野の社会基盤(OS):「人材」、「イノベーション・スタートアップ」、「価値創造経営」、「EBPM・データ駆動型行政」
⚫ 第4次中間整理では民間の予見可能性を高めるべく、2040年のマクロ経済・産業構造の絵姿を定量的に推計。目指すべき
産業構造転換を実現するに当たっては「製造業X」、「エッセンシャルサービス」、「情報通信サービス」の3つの産業類
型がカギとなることを示した。
⚫ 第5次中間整理では、8ミッション・4OSの枠組みに基づくこれまでの新機軸の経済産業政策を継続させていくことを前
提に、こうしたマクロ経済・産業構造の絵姿を実現するに当たっての本質的な課題を新機軸部会や関連する有識者会議・研
究会における議論を通して一層具体化。その解決に向けた政策の方向性を足下の経済情勢も踏まえつつ提示し、高市内閣に
おける日本成長戦略の検討へインプットしていく。
【日本成長戦略との関係】
⚫ 日本成長戦略は官民連携した「危機管理投資」「成長投資」の拡大を通じて、世界共通の課題解決に資する製品等を開発し、
国内外に提供することを目指しており、社会課題解決を成長のエンジンとする新機軸の経済産業政策とも軌を一にするもの。
⚫ 日本成長戦略においては、日本の産業構造が抱える課題を解決するとともに、グローバル市場から付加価値を獲得できる「勝
ち筋」を見い出し得る産業分野として17の戦略分野を選定。本中間整理では、各分野における「主要な製品・技術等」ごと
に策定する「官民投資ロードマップ」の議論の前提として、17分野を含めたグローバル競争型産業における日本の勝ち筋の
方向性を提示する。
⚫ 加えて、戦略分野で先行して行われる官民の投資・挑戦を他分野も含めて拡大していくために、成長戦略では8つの分野横
断的課題を設定。このうち、他の分野横断的課題の結節点としての役割も担う「新技術立国・競争力強化」の実現に向けた
課題と政策の方向性について、新機軸部会で議論することとなっているため、これまで新機軸部会においてOSとして議論
2
を重ねてきた政策アジェンダを拡張する形で整理する。
1. マクロ経済運営のあり方
2. グローバル競争型産業
3. 新技術立国・競争力強化
4. 好循環のミッシングピースである消費活性化
5. 未来の経済社会システムのあり方
3
GDPと需給ギャップ
⚫ 内閣府・日銀ともに需給ギャップはプラス(=供給不足)の状況にあり、労働力も資本も需要に対して、供給が足りて
いない状況。
⚫ 供給力にフォーカスすると、潜在成長率(=供給力の増加率)は各国と比較して低位であり、日本は資本投入・労働投
入どちらも低い状況。
⚫ こうした状況を踏まえ、持続的な経済成長のためには、足下の労働・資本での供給制約を解消するとともに、今後の成
長分野における企業の積極的な投資を呼び込む戦略的な需要の創出も必要。
(%)
潜在成長率(=供給力)の各項目寄与度の比較
(各期間の平均値)
内閣府と日銀の需給ギャップ
需要超過
2
日銀
0
資本投入量
-4
2.5%
-8
1.5%
日本
-1
資本投入ギャップ
労働投入ギャップ
Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ
2019
2020
2021
2022
2023
2024
米国
ドイツ
英国
フランス
2010-2019
2000-2009
2010-2019
2000-2009
0
2010-2019
1
1998-2007
2
2010-2019
-0.5%
2000-2009
(年)
2010-2019
需給ギャップ(日銀)の要素分解
2000-2009
需要超過 (%)
0.5%
2000-2009
Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ
2019
2020
2021
2022
2023
2024
2025
2010-2019
-10
供給超過
供給超過
潜在成長率
3.5%
内閣府
-6
-3
全要素生産性
4.5%
-2
-2
労働投入量
韓国
(非農業部門)
(出所)
左上図:内閣府「国民経済計算」(GDPギャップ、潜在成長率(2026年3月17日))
日本銀行「需給ギャップと潜在成長率(旧基準:2026年1月7日、新基準:2026年4月3日)」
左下図:日本銀行「需給ギャップと潜在成長率(新基準:2026年4月3日)」
Ⅱ Ⅲ Ⅳ 右図:英国は英国予算責任局の公開データの都合上、1998-2007年までの潜在成長率の寄与度分解を掲載。
内閣府「GDPギャップ、潜在成長率」(2026年3月17日)、米国議会予算局「An Update to the Budget and Economic
2025
Outlook: 2019 to 2029」(2019年8月21日)、「The Budget and Economic Outlook: 2022 to 2032」(2022年5月25日)、
ドイツ経済諮問委員会「SPRING REPORT 2024」(2024年5月15日)、英国予算責任局「Economic and fiscal outlook」(2022年11月16日及び2025年3月26日)
(年)
世界銀行「A Cross-Country Database of Potential Growth」(2023年3月27日)を基に作成。
4
実質GDP成長率の要因分解(国内変遷、海外比較)※生産アプローチ
⚫ 日本は1995年から2005年にかけて、労働の質の及び資本投入により実質GDPを成長させていた。2015年以降は女性・
高齢者の社会進出により労働投入はプラスに転じている。
⚫ 他国では労働投入と資本投入がGDP成長を牽引。日本では就業者数の減少が見込まれ、将来的に労働投入によるGDP増
加が見込ず、実質での持続的成長を実現するためには国内投資の促進が必要。
実質GDP成長率
(年平均)
2.0%
1.5%
日本の実質GDP成長率の要因分解の変遷
実質GDP成長率の国際比較
実質GDP成長率
(年平均)
(2010-19年の平均成長率)
2.5%
1.2%
全要素生産性
(TFP)
0.4%
資本の質
全要素生産性
(TFP)
2.1%
2.0%
0.1%
1.0%
0.6%
0.2%
1.9%
資本の質 0.3%
0.2%
1.5%
資本投入
0.8%
0.5%
0.2%
労働の質
0.4%
1.0%
0.1%
0.4%
0.5%
0.4%
労働の質
資本投入
0.4%
0.0%
労働投入
1.3%
0.8%
0.2%
0.1%
0.1%
0.2%
0.1%
労働投入
0.1%
0.1%
0.0%
0.5%
0.9%
0.2%
1.0%
0.6%
0.1%
0.4%
0.4%
0.1%
0.0%
0.2%
ドイツ
フランス
日本
0.0%
-0.5%
(出所)EU KLEMSデータより作成
0.6%
0.1%
-0.3%
-0.4%
1995-2005
0.9%
0.1%
0.1%
0.6%
1.7%
2005-2015
2015-2019
(年)
米国
英国
5
実質GDP成長率の要因分解(国内変遷、海外比較)※支出アプローチ
⚫ 日本の実質GDP成長は、かつては家計消費が牽引してきたが、家計消費の陰りとともにGDP成長も低迷。
2025年は家計消費が増加し、実質GDP成長率が1%を超えたが今後もこの傾向が続くか引き続き注視が必要。
⚫ 米国・欧州では、家計消費の伸びが実質GDP成長率を牽引する一方、日本は0.1%にとどまる。
⇒消費・内需の活性化は、「国内投資→賃上げ→消費→市場活性化→次の国内投資」の完成からも重要。
実質GDP成長率
(年平均)
10%
1.0%
8%
6%
1.6%
1.8%
日本の実質GDP成長率の要因分解の変遷
その他
政府消費・投資
1.0%
5.3%
0.3%
1.1%
1.5%
0%
-2%
2.2%
投資
1.4%
1.0%
1.2%
1.1%
0.9%
1.0%
1.7%
0.5%
2%
2.7%
2.0%
2.0%
1.5%
0.3%
0.8%
0.4%
1.2%
民間設備投資
0.3%
(2010-24年の平均成長率)
2.4%
2.5%
家計消費
4%
実質GDP成長率の国際比較
実質GDP成長率
(年平均)
3.0%
2.7%
0.1%
0.6%
0.1%
0.9%
0.3%
0.5%
-0.1%
0.1%
0.3%
0.5%
0.2%
0.3%
0.1%
-0.2%
0.2%
0.3%
0.0%
-0.5%
-0.5%
(注)
(注) 1980年以前は「平成10年度国民経済計算(1990年基準)」、1981年から1994年までは「支出側GDP系列簡易遡及
(2015年基準)」、1995年以降は「2025年10-12月期四半期別GDP速報(2次速報値)(2020年基準)」の
データ。2020年データはコロナによる影響が大きいため、2010年-2024年は2019年でデータを区切りの期間として採用。
(出所)内閣府「国民経済計算」
-0.2%
0.7%
0.3%
0.8%
0.5%
-1.0%
(年)
1960-19701970-19801980-19901990-20002000-20102010-20192019-20242024-2025
0.8%
1.2%
0.9%
0.7%
-0.1%
0.6%
-0.1%
0.5%
0.5%
0.6%
0.4%
-0.2%
-0.2%
その他 家計消費
韓国
米国
カナダ
英国
フランス
ドイツ
日本
イタリア
実質GDP:2020年を基準とした現地通貨ベースの実質GDP(支出アプローチ)
家計消費:2020年を基準とした現地通貨ベースの家計最終消費支出(Final consumption expenditure of households)、総固定資
本形成(Gross fixed capital formation)
韓国のみ2010-2023年の平均成長率を計算
(出所)日本:内閣府「国民経済計算」(2025年10-12月期第2次速報2026年3月10日(2020年基準))、他国:OECD Statを基に作成。
6
日本国内における投資・生産能力の推移と投資動機(1/2)
⚫ 国内においては潮目の変化が継続しており、これまで講じてきた国内投資拡大に向けた政策も相まって、民間企業設備
投資額は増加。製造業においても、名目総固定資本形成は過去最高であり、実質総固定資本形成も増加。
⚫ 製造業の資本ストックは、名目では伸びているものの、実質では直近10年で微増、直近3年は横ばい。供給力の強化に
向けた成長投資が引き続き重要となる。
総固定資本形成(製造業)
資本ストック(製造業)
(兆円)
350
(兆円)
45
43
340
41
330
名目
39
320
実質
2024
2022
2020
2018
2016
2014
2012
2002
2000
1998
名目
1996
(年)
実質
1994
2024
2023
2022
2021
2020
2019
2018
2017
2016
2015
2014
2013
2012
2011
2010
2009
2008
2007
2006
2005
2004
2003
250
2002
25
2001
260
2000
27
1999
270
1998
29
1997
280
1996
31
1995
290
1994
33
2010
300
2008
35
2006
310
2004
37
(年)
7
(出所) 内閣府 「国民経済計算」(2024年度年次推計)
日本国内における投資・生産能力の推移と投資動機(2/2)
⚫ 鉱工業生産における製造業の生産量・生産能力は緩やかに低下。
⚫ 生産能力の向上に直結しない維持・補修目的の投資比率が増加しており、より付加価値を生み出す投資が必要。
生産・生産能力・稼働率の指数(製造業)
投資動機ウエートの推移(製造業)
(2020=100)
140
生産
稼働率
生産能力
130
120
110
100
90
1994
1995
1996
1997
1998
1999
2000
2001
2002
2003
2004
2005
2006
2007
2008
2009
2010
2011
2012
2013
2014
2015
2016
2017
2018
2019
2020
2021
2022
2023
2024
2025
80
(年)
(出所) 左図:経済産業省「鉱工業指数」生産・生産能力・稼働率の全てで「製造工業」の値を使用。生産・稼働率は季節調整済指数。四半期指数に加工。 右図:日本政策投資銀行 「2025年度全国設備投資計画調査」 大企業の設備投資全体を対象と
する
8
需給のひっ迫による工期の遅れ
⚫ 当初計画通りに設備投資が行われなかった要因のうち、工期の遅れが占める割合は2022年ごろから高い水準で推移。
⚫ 大手建設会社では、2021年から手持ち工事月数が増加。足下の手持ち工事月数は18.7か月となっている。
⚫ 供給制約の解消のためには、AI・ロボティクス等の省力化投資の推進が必要となるが、短期的には供給制約度と他
産業への波及効果性が高い産業領域に対して、優先順位をつけた供給制約解消・生産性向上策の実行が必須。
設備投資の実績が当初計画を下回った要因
(工期の遅れ、工事費高騰に伴う見直し)
大手50社の手持ち工事月数の推移
(月)
7%
20.0
18.7
19.0
18.0
17.0
17.0
16.0
15.0
14.0
13.0 13.7
12.0
11.0
手持ち工事月数
10.0
1.大企業全産業
2.25年度の数値は、25年度の設備 投資計画を押し下げる要因
3.工事費高騰に伴う見直しが選択肢に入ったのは14年度から
4.年度毎に上記以外の選択肢が異なり、選択肢数も変わるため、必ずしも時系列で比較できない
点には留意が必要。
(出所):日本政策投資銀行「2025年度設備投資計画調査」
2020
2021
2022
2023
2024
2025
2026
9
※手持工事月数:調査期日の未消化工事高を、調査期日までの12カ月平均の施工高で除した数値をいう。
(出所)国土交通省建設工事受注動態統計調査報告(大手50社調査)から作成。
中東情勢による物価・経済への影響
⚫ 原油価格(ドバイ)は2月と比較して一時2倍に上昇。それを受けて国内ガソリン価格も上昇したが、激変緩和措置に
より、足下は170円程度で推移。
⚫ 原油・ナフサの価格変動を受け、石油関連製品についても価格に変動が見られている。供給量は十分に確保しているも
のの、足下、一部では供給の偏りや流通の目詰まりが生じており、経済産業省及び関係省庁において、解消に向けた対
応を進めているところ。
10
(出所)上図:内閣府「月例報告等に関する関係閣僚会議資料」、下図:中東情勢に関する関係閣僚会議(第1回)経済産業省提出資料
人口減少に伴う構造的人手不足①
⚫ 足下の男性・女性・高齢者別の労働参加率は、いずれも世界最高水準になっている。そうした中で、生産年齢人口の総
人口に占める割合は、2030年以降低下傾向にあるが、健康生産年齢人口では2040年まで一定となる。
⚫ 供給制約となっている人手不足に関しては、短期的取組として高齢者・女性等の活躍、短中期取組として省力化・デジ
タル化を通じた生産性の向上、さらには少子化対策も急務。例えば、男女間の労働時間格差などを踏まえて、年収の壁
の解消や柔軟な働き方の推進、家事支援サービスの利用による負担の軽減等の一人ひとりが意欲と能力を十分に発揮で
きる環境整備が必要。
⚫ 今後、人口減少・少子高齢化による人手不足で省力化投資が十分に進まず、供給制約が常態化してしまうリスクが存在
するため、スピード感をもって、省力化を中心とした投資による生産性の向上・事業再構築・事業再編等に取り組むこ
とができるよう、「中堅・中小企業の『稼ぐ力』強化戦略」の策定を進める。
生産年齢人口・健康生産年齢人口が総人口に占める割合
男性・女性・高齢者の労働参加率
79.7
フランス
ドイツ
77.5
75.6
79.0
88.3
82.1
83.9
健康生産年齢人口
1990年
推計値
比較的フラットな期間
2040
2025
2024年
65%
0
(出所)OECD.statより作成。
2050
2047
2044
2041
2038
2035
2032
2024年
2029
3.0
50%
2026
2.4 4.4
1990年
2023
5.6
9.4
2020
11.9
2017
11.8
2014
19.5
55%
2011
2024年
2008
10
55.5
生産年齢人口
60%
2005
24.3 26.1
76.5
1990年
58.0
57.1
20
71.6
2002
74.9
67.3
1999
70.3
67.8
1996
76.1
70
60
75%
70%
70
50
(%)
30
高齢者
(65歳以上)
85.6
英国
80
60
(%)80
女性
(15~64歳)
83.0 86.8
米国
1993
男性
(15~64歳)
日本
1990
(%)
90
(年)
11
(注)20歳以上健康寿命(73.4歳)以下の人口を健康生産年齢人口としている。健康寿命は、病気や怪我になる期間を
除き、健康状態で生きられると予想される平均年数。2024年以降は推計値(いずれも出生・死亡中位の推計)。
(出所)WHO 「World health statistics 2024」, United Nations 「World Population Prospects 2024」より作成。
人口減少に伴う構造的人手不足②
⚫ 将来的に女性・高齢者の労働参加により、就業率は微増する(成長率ベースライン・労働参加漸進シナリオ)が、労働力人口が減少する
ため就業者数は減少する見通し。
⚫ 資本集約型の製造業は相対的に人手不足感が小さく、労働集約型の非製造業は労働生産性の伸び率も低く、人手不足感
が強い。
⚫ 就業者数の減少による供給制約を引き起こさないためにも、官民の投資により労働生産性の向上を図る必要がある。
雇用人員判断DIと労働生産性(実質)の関係性
就業者数・就業率の見通し
(2014-2024年平均)
(労働生産性の
伸び率)
3.0%
輸送用機械
2.0%
はん用・生産用・業務用機械
食料品
製造業
1.0%
電気機械
金属
化学
情報通信
卸売・小売業
0.0%
運輸・郵便
建設
-1.0%
-2.0%
-3.0%
(※)縦軸は2014-2024年の労働生産性(時間あたり)の伸び率 宿泊・飲食
横軸は2014-2024年の雇用人員判断DIの平均
バブルの大きさは2024年時点での付加価値額(実質)である。
0
(出所)左図:JILPT「2023年度版 労働力給の推計」
右図:日本銀行「全国企業短期経済観測調査」、内閣府「国民経済計算 年次推計」
-10
-20
-30
-40
-50
-60
人手不足
12
人手と設備の不足状況
⚫ 1990年代において雇用人員判断DIと生産設備判断DIは概ね同水準で推移しているが、2010年代以降は乖離が発生。
⚫ 近年、人手不足が深刻な労働集約型の非製造業は、雇用不足が顕著であるが、設備も不足している状況。
⚫ 雇用と投資の不足状況に乖離がある状況に対して、構造を把握し、必要な政策を講じていくことがが必要となる。
雇用人員判断DIと生産設備判断DIの推移
宿泊・飲食
-20
-20
-40
-40
-40
-60
-60
-60
雇用判断
設備判断
1993
2023
2020
2017
2014
2011
2008
-80
2005
2002
1999
1993
1990
2023
2020
2017
2014
2011
2008
(出所)日本銀行「全国企業短期経済観測調査」
1996
雇用判断
設備判断
-80
2005
2002
1999
1993
-80
1996
雇用判断
設備判断
2023
-20
2020
0
2017
0
2014
0
2011
20
2008
20
2005
20
2002
40
1999
40
1996
40
1990
不足
建設業
1990
製造業
13
名目賃金はプラス、実質賃金も足下はプラスに転換
⚫ 2026年春季労使交渉においても、全規模、中小組合ともに、高い水準の賃上げが継続。今後、この力強い賃上げの動きが、地域
の中小企業にも波及することが重要。
⚫ 「名目賃金」は50ヶ月連続プラス。所定内給与および所定外給与及び賞与は全てプラス。
⚫ 2026年2月の「実質賃金(総合)」は、前年同月比+2.0%と3ヶ月連続のプラス。
(%)
春季労使交渉回答集計結果(第4回連合集計)の推移
名目賃金と実質賃金(現金給与総額)
(前年同月比)
6%
6.0
5.70
5.5
5.66
5.0
4.97
5.25
5.08
5.10
4%
4.84
4.65
4.45
5.10
4.5
3.99
4.0
名目賃金
+3.3
+2.0
2%
3.90
3.5
実質賃金
(消費者物価(総合)で実質化)
3.58
全規模
3.0
3.23
0%
2.5
2.0
▲2%
1.5
2026年
2024年
2022年
2020年
2016年
2014年
2012年
2010年
2008年
2006年
2004年
2002年
2000年
1998年
1996年
1994年
1992年
1990年
2018年
中小組合
1.0
▲4%
(注)調査対象は、連合加盟企業の組合。「中小組合」は、組合員数300人未満の組合。賞与等を含まない月例賃金ベース。平均賃金方式(集計組合員数による
加重平均)の集計。1990年~2025年については最終結果、2026年については第4回の回答集計結果であり、今後数字が変動する可能性がある。
(出所)日本労働組合総連合会「春季生活闘争回答集計結果について」
(月)
1 4 7 10 1 4 7 10 1 4 7 10 1 4 7 10 1 4 7 10 1 4 7 10 2
(年)
2020
2021
2022
2023
(注)就業形態計(5人以上)
(出所)厚生労働省「毎月勤労統計調査2月分速報」2026年4月8日公表
2024
2025 2026
14
労働生産性と実質賃金の推移
⚫ 労働生産性:日本の労働生産性は、過去30年で年率で1%以上伸びてきたが、絶対値として未だ低い。
⚫ 実質賃金:日本の実質賃金は、過去30年で微増にとどまる。
⚫ 実質家計消費:日本の家計消費は実質賃金と同程度の伸びがあるが、他国と比較して低迷している。
労働生産性の国際比較
実質賃金の国際比較
時間当たり実質賃金(ドル/時間)
45
ドイツ
=+1.1%/年
83.8 83.4
(1991~2025)
米国
81.6 =+1.7%/年 40
(1998~2023)
70
67.3
60
38.4 フランス
フランス
=+1.0%/年 35
(1991~2025)
英国
=+1.5%/年 35,000
(1994~2024)
英国
=+1.1%/年 30
(1994~2024)
40
45,000
=+0.9%/年
(1991~2025) 40,000
28.2
日本
51.8 =+1.2%/年 25
(1994~2024)
50
48,708
31,160
30,000
30,335
日本
21.7 =+0.5%/年
25,000
(1991~2024)
20,000
(注)左図:2020年の米国ドル(購買力平価ベース)で実質化したGDPを総労働時間(就業者)で割った値。中図:2020年の米国ドル(購買力平価ベース)を利用して実質化した雇用者報酬を総労働時間(雇用者)で割った値。
右図:2020年の米国ドル(購買力平価ベース)で実質化した家計最終消費(Final consumption expenditure, Households)を人口で割った値。
(出所)OECD.statより作成。
2018
2015
2012
2009
2006
2003
2000
1997
15,000
1994
(年)
1991
2024
2021
2018
2015
2012
2009
2006
2003
2000
1997
1994
15
1991
2024
2021
2018
2015
2012
2009
2006
2003
2000
1997
1994
1991
(年)
ドイツ
=+0.9%/年
(1991~2024)
英国
=+1.5%/年
(1991~2024)
フランス
=+1.0%/年
(1991~2024)
=+0.7%/年
23,552 (1991~2024)
20
30
米国
=+1.9%/年
(1991~2024)
27,657 日本
2024
80
国民1人当たり家計消費額(ドル/人)
ドイツ
=+1.1%/年 55,000
42.6 (1991~2025)
42.7
米国
50,000
=+1.5%/年
(1991~2021)
2021
時間当たり労働生産性(ドル/時間)
90
実質家計消費の国際比較
(年)
15
労働生産性・労働分配率・交易条件の国際比較
⚫ 先進国の労働分配率は低下傾向にあり、日本は米国・ドイツと比較して労働生産性と交易条件において差がある状況
労働生産性の推移
時間当たり労働生産性
(ドル/時間)
労働分配率の推移
90
交易条件の推移
(2020年=100)
65%
160
83.4
150
ドイツ
80
83.8
60% 140
米国
70
ドイツ
60%
130
60
米国
54%
日本
日本
120
107
110
50
51.8
55%
100
ドイツ
100
日本
40
53%
(注)左図:2020年の米国ドル(購買力平価ベース)で実質化したGDPを総労働時間(就業者数×年間の平均労働時間)で割った値。
(出所)OECD.statより作成。
2025
2023
2021
2019
2017
2015
2013
2011
2009
2007
2005
2003
2001
1999
1997
1995
1993
2023
2021
2019
2017
2015
2013
2011
2009
2007
2005
2003
2001
1999
1997
1995
1993
80
1991
2024
2021
2018
2015
2012
2009
2006
2003
2000
1997
1994
1991
50%
91
米国
1991
30
90
16
実質賃金向上には、労働生産性の上昇だけでなく交易条件の改善(日本全体の価格転嫁)が必要
⚫ これまで、労働生産性の上昇は主要先進国並みだったが、交易条件の悪化(=資源等を高く輸入、製品・サービスを安く輸出)が
大きく影響し、実質賃金は停滞。交易条件要因は、社会保障負担要因や労働分配率要因よりも大。
⚫ 輸出物価上昇(日本全体の価格転嫁)ができるよう、成長投資による高付加価値化等が必要。
実質賃金上昇率の要因分解
交易条件(契約通貨ベース)の推移
(1995~2021年の26年平均)
(1995~2025年)
労働生産性上昇率
GDPデフレーター - CPI上昇率
雇主の社会負担
労働分配率の変化
(交易条件=輸出物価/輸入物価)
自営業者、混合所得等
税・補助金
2.0
(2020=100)
160
実質賃金上昇率(マンアワーベース)
2.5%
労働生産性
の上昇
1.8
140
2.0%
1.6
120
1.5%
1.4
1.0%
交易条件の
悪化を含む
0.5%
100
交易条件(左軸)
1995年1月:1.6
⇒2026年3月:0.9
=悪化
1.0
-0.5%
0.8
-1.0%
0.6
60
40
1995
1996
1997
1998
1999
2000
2001
2002
2003
2004
2005
2006
2007
2008
2009
2010
2011
2012
2013
2014
2015
2016
2017
2018
2019
2020
2021
2022
2023
2024
2025
2026
労働分配率は
ほぼ変化なし
0.0%
輸出物価指数(右軸)
1995年1月:134.5
⇒2026年3月:120.7
=低下
1.2
80
事業主の
社会保障負担増
輸入物価指数(右軸)
1995年1月:84.3
⇒2026年3月:127.6
=上昇
(注)左図:GDPデフレーターとCPI上昇率の差は、交易条件以外に、そもそもの指数の作成方法の違い等によっても生じる。税・補助金とは、「生産・輸入品に課される税ー補助金」のことである。
(出所)左図:厚生労働省「第3回社会保障審議会年金部会年金財政における経済前提に関する専門委員会(令和5年4月5日)」より、経済産業省が作成。右図:日本銀行「企業物価指数」より作成。
(年)
17
交易条件の要因分解
⚫ 交易条件指数を品目別に要因分解すると、輸出物価の下落の大部分は電気・電子機器によるものだが、電気・電子
機器は輸入物価も下落しており、価格競争が激しい産業であることを物語っている。輸入物価の主な上昇要因は、
鉱物性燃料であり、その影響はここ十数年で傾向的に拡大している。
※GDPデフレータではサービスの輸出入も含まれていたが、物価指数にはサービスが含まれていないことに留意。
交易条件指数の変動要因分解
輸出物価の品目別要因分解
(1990年1月の水準との比較、%pt)
2026
2024
2022
2020
2018
2016
2014
2012
2010
2008
2006
2002
2000
化学製品
はん用・生産用・業務用機器
輸送用機器
総平均
1998
1990
-20
1996
0
1992
20
繊維品
金属・同製品
電気・電子機器
その他産品・製品
2004
40
30
20
10
0
-10
-20
-30
-40
-50
-60
1994
(1990年1月の水準との比較、%pt)
40
(年)
輸入物価の品目別要因分解
-40
(1990年1月の水準との比較、%pt)
120
-60
飲食料品・食料用農水産物
繊維品
金属・同製品
木材・木製品・林産物
80
石油・石炭・天然ガス
化学製品
60
はん用・生産用・業務用機器
電気・電子機器
輸送用機器
その他産品・製品
100
-80
輸出物価要因
輸入物価要因
40
交易条件
総平均
20
2026
2024
2022
2020
2018
2016
2014
2012
2010
2008
2006
2004
2002
2000
18
1998
(年)
-40
1996
-20
1994
(出所)日本銀行「企業物価指数」より作成。
0
1992
(年)
1990
1990
1991
1992
1993
1994
1995
1996
1997
1998
1999
2000
2001
2002
2003
2004
2005
2006
2007
2008
2009
2010
2011
2012
2013
2014
2015
2016
2017
2018
2019
2020
2021
2022
2023
2024
2025
2026
-100
マクロ経済運営に関する世界での議論状況(今後要精査)
⚫ 伝統的なマクロ産業政策は、リーマンショック・コロナといった想定を上回るショックを経て、パラダイムが変容。足下
でも、需要・供給・財政・金融・地政学・技術革新・金融市場構造といった多層領域の構造的変化が同時に進行しており、
世界経済は説明・管理できない状況に直面。
⚫ さらなるマクロ経済運営の進化を目指し、グローバルでのアカデミアでの議論を中心とした初期的な調査を実施。
1. 構造の変化
3. マクロ経済政策の意義の変化
➢ 地政学ショック:地政学リスクによる世界経済のフラグメント化がマクロ
経済のファンダメンタルとなり、貿易・投資・技術・金融チャネルへ影響
➢ 供給制約の顕在化:従来のマクロ政策は需要面の調整がメインであったが、
高齢化による労働力の減少、移民政策の制約・政治的反発、AIの雇用への
影響が顕在化、r・gを左右する構造要因に
➢ ネットワーク化・技術革新の影響:ネットワーク化の進展により、「ハブ
産業」のショックが経済全体に非線形に波及。技術革新は国家間・産業間
での格差を拡大し、依存リスクが発生
■財政政策の再評価
財政政策はマクロ安定化+分配+産業構造・安全保障+気
候変動対応を同時に担う「総合国家戦略ツール」として、
今後新たな課題や財政需要に的確に対応する必要
➢ 「国家投資」論の具体化:旧来の保護主義ではなく、
「社会的リターンが高い分野への国家投資」として産業
政策を評価
➢ 「債務持続性」の考え方:重要なのはPBに加えて、rと
gであり、金利への目配りと成長率の引上げを目指す
➢ 「ポリシーミックス2.0」:過去の政策は役割分断が標
準であったが、密接に連動していることから、財政・金
融・マクロプルーデンスの三位一体での設計が必要。
2. マクロ経済指標への影響
物価への影響
2020年代前半は過去のインフレ理論
を超えた論点が浮上
• 供給ショックが代替財への需要シ
フトに繋がり、経済全体でインフ
レ圧力が上昇
• 企業の価格決定権が高まり、イン
フレが持続
• 労働供給制約による構造的影響
• ネットワーク化により特定産業の
供給ショックが波及
金利への影響
▼自然利子率(r*)上昇の要因
• AI・半導体等の投資需要回復
• 地政学リスクによる防衛・産業
投資の増大
▼金利の効果:非対称化
• 家計への波及は限定的に
• キャッシュリッチ企業の増加
• 金利が財政負担に直結
成長率への影響
長期停滞論の変容:低成長は継続し
ているが、自然利子率(r*)は上昇
■金融政策を取り巻く環境の複雑化
物価安定という基本的な役割が再確認される一方、金融安
定上の役割に対する期待が高まっている
➢ マクロプルーデンス政策の重要性が広く認識
➢ 非銀行金融仲介が急拡大し、「銀行中心」から「市場型
金融・シャドーバンキング中心」へ
➢ 気候変動リスクは物理的・移行リスクを通じて、金融シ
ステムに影響し、マクロ金融安定政策の一要素に
19
1. マクロ経済運営のあり方
2. グローバル競争型産業
3. 新技術立国・競争力強化
4. 好循環のミッシングピースである消費活性化
5. 未来の経済社会システムのあり方
20
日本産業の現状と競争力
環境変化
構造変化
勝ち筋
政策
日本のグローバル産業の競争力
⚫ グローバル競争の勝敗を分ける決定因子は、①内在的要素=プロダクトそのものの価値と、②外在的要素=市場獲得の仕
組み、に大別される。この2軸で現状における日本のグローバル産業を分類し、それぞれの競争力の特性を整理すると、
以下の通りとなる。
⚫ テクノロジー進化、国際秩序の変容等に伴う付加価値構造の変化の中で、これらの競争力が引き続き維持されるのか、変
容を迫られるのかが、産業構造転換の方向性を検討する一つの柱となる。
グローバル競争を左右する決定因子による産業ポジショニング(現状)
プロダクト(製品・コンテンツ・
サービス)そのものの特性/提供価値
プロダクト価値(内在的要素)
プロダクト中心型
影響:大
高度な企画開発力や専門的技術力が競争優位性
の源泉(暗黙知・非構造化データ等に化体)
高機能・先端素材/電子部品・デバイス(含
む半導体)/精密・光学機器/コンテンツ/観
光(インバウンド)/食産業等
ハイブリッド型
⚫ 顧客情報のフィードバックループがプロダクト
価値に大きな影響を与える産業領域は、「市場
獲得の仕組み」が「プロダクト価値」と連動。
⚫ 最終消費者とのインターフェースのAI・デジタ
ル化によって、この連動性が加速度的に拡大・
深化し、2軸の力学と各産業のポジショニングが
転換する可能性。
組織的技術力を基盤に、グローバルなサプラ
イチェーン等の資本集約型のネットワークを
構築し、規模の経済で競争力を維持・拡大
自動車/機械(工作機械/ 産業用ロボット/建
機/医療機器等)/医薬品等
影響:大
仕組み中心型
差別化が困難
=持続的な競争力を構築できない領域
良質な顧客や販売網等、各産業におけるコア
バリューに係るグローバル・ネットワークを
構築し、強固な参入障壁を形成
商社(顧客・商流)、金融(投資家・発行体)、
情報通信(顧客・サードパーティ)等
市場獲得の仕組み
(外在的要素)
市場獲得のメカニズム/システム
(顧客基盤・サプライチェーン・販売網
等のグローバルネットワーク形成等)
21
日本産業の現状と競争力
環境変化
構造変化
勝ち筋
政策
日本の産業の現状と競争力(まとめ)
プロダクト中心型
ハイブリッド型
仕組み中心型
高機能・先端素材/電子部品・デバイス(含む半導体)/精
密・光学機器/コンテンツ/観光(インバウンド)/食産業等
自動車/機械(工作機械/ 産業用ロボット/建設機械/医療機器
等)/医薬品等
商社/金融/情報通信等
高機能素材/精密部品を中心にグローバル(ニッチ)トッ
商社、金融、通信(インフラ)等の領域では、グローバル
プ領域が多数
自動車や工作機械、産業用ロボット、建設機械など、グ
なネットワークを形成し、一定のプレゼンスを獲得
ローバル上位のシェア(医療機器や医薬品等も特定の領
グローバル 高付加価値産業における不可欠性を有する領域 (フォト
✓ 資本参加や業務提携など、多様なアライアンスをアジ
レジスト等)も存在
域では高いシェア)
市場での
ア地域等で展開
プレゼンス 標準品を中心に新興国がコスト競争力とスピードで成長 圧倒的なコスト競争力を有する中国企業等が機能面でも
一部の企業を除いて、欧米と比較したグローバルなプレ
急速ににキャッチアップし、一部では逆転も発生
ゲーム/アニメ/漫画/観光資源/食産業等のエンタメ・ク
ゼンスはスケール不足
リエイティブ領域は国際的な評価を獲得
摺り合わせ力に由来する、グローバルバリューチェーン
のオーケストレーション力
独自の暗黙知(現場力/属人的熟練技能等)に基づく開発/ ✓ プロセスマネジメント(現場力+サプライチェーン管理 多様な国際仕様や規制、顧客ニーズへの対応力
製造力
/統合力)×高度技術開発×SCのグローバル配置
日本ブランドの信頼性と訴求力
競争力の 多種多様な領域をカバーする国内産業クラスターが安定 ✓ 本社や研究開発拠点は国内中心、量産・サービス拠点 他の領域の日本企業のグローバル市場でのプレゼンス
源泉
的なビジネス運営の基盤
は消費地に置く等、グローバルに研究開発・製造・販 ✓ 仕組み中心型の日本企業のビジネスモデルは、製造業
売・サービス拠点の最適アロケーションを模索
日本ブランド(安心・安全・高品質/和風文化/サブカル
等、他の領域の日本企業のグローバル展開と歩調を合
チャー)の信頼性と訴求力
細部へ拘る国民性や文化に由来する、多様な国際仕様や
わせるケースが多い
規制、顧客ニーズへの対応力
日本ブランドの信頼性と訴求力
⚫ 巨大な資本投入等によってスケーラビリティを確保し、
⚫ SC川下(セットメーカー/流通等の最終消費者側)に価格
グローバルなネットワークを迅速に展開する力が重要
決定権が偏重
⚫ 高付加価値化・差別化や、成長市場領域のプロダクトを
純粋なパワーゲームでは、米中企業とは比較劣位
生み出すための探索/研究/開発が重要
多層的で複雑なSCが、川上~川中メーカーの適切なプ
⚫ 顧客やパートナーとの独自のネットワーク形成・囲い込
ライシングや、消費者/川下ニーズの吸い上げを阻害 ⚫ カスタマイズ化・サービス化・サブスクリプション化等、
み、そこから生じるユニークデータの蓄積と活用が付加
川下領域での付加価値創出がさらに進む可能性
グローバルなSCの構築/有望マーケットへの接続性に
価値創出のポイント
競争優位性
課題を残す企業/産業も存在
メンテナンス(部品・モジュール供給含む)領域の高度
デジタル化の進展等によって、情報の非対称性は縮小
なノウハウや強固なネットワークを保有
⚫ 高付加価値化・差別化や、成長市場領域のプロダクトを
し、単純な仲介や決済等の収益性は低下傾向
生み出すための探索/研究/開発が重要
サービス化に必要な企業連携等の取組は道半ば
特定領域では、良質な顧客やユニークデータを獲得す
同等の機能や品質のプロダクトを複数企業が提供し、 デジタル等のサービス化は欧米や中国に遅れも
る基盤を形成
差別化が十分に図られず小規模・低収益化
:強み・チャンス
:弱み・リスク
22
現状
産業構造転換の契機となる環境変化
構造変化
勝ち筋
政策
主な環境変化とそれがもたらす産業構造への影響
⚫ ①テクノロジーの進化、②国際秩序の変容、③社会課題の多様化・深刻化の3つは、産業構造の大きな変革を必要とする。
⚫ これら3つの変化により、「産業・機能の統合・分化のダイナミズム」「”グローバル(国際分業)”と”リージョナル(地産
地消)”の再構築」「社会課題を起点とした新たな需要・市場の誕生」が進む。
主な
環境変化
産業構造
への
影響
①テクノロジーの進化
②国際秩序の変容
③社会課題の多様化・深刻化
⚫ AIロボティクスを始めとしたテクノ
ロジーの社会実装が本格化
⚫ 多極化・地政学リスクの拡大の中、
各国が戦略分野への投資拡大・製造
業等の国内回帰を志向
⚫ 少子高齢化やGXの実現は引き続き
世界が抱える構造的な社会課題
⚫ デジタル技術と巨大資本・デー
タを武器とするハイパースケー
ラーが他領域に侵食。
⚫ 国境を跨ぐサプライチェーンが
構築されているものの、市場分
断圧力などを背景に地産地消
ニーズの高まり。
⚫ 重要物資・化石燃料等の希少性・
戦略的利用が増大し、展開先・調
達先の多角化ニーズの高まり。
⚫ グローバルサウスの存在感の高ま
り。
⚫ GXに向けたコストや資源・エ
ネルギーの供給制約の増加。
⚫ 人口減少・少子高齢化による労
働供給制約の発生。
⚫ 研究開発の高度化・製品の提供
スピードの高速化。
⚫ エージェントAIによる価値創出
プロセスの再構築。
資本・データ蓄積を武器とする統合
が進む一方、研究開発等の高度化は
機能分化の呼び水に。
(中長期的にはAIによる意思決定等
の高度化を通じて顧客価値を実現)
地産地消化が進展しながら、展開
先・調達先多角化やサプライチェー
ン強靱化を目的とした有志国連携、
グローバルサウスとの連携を強化す
る動きも。
⚫ グリーン価値や健康へのニーズ
の高まり。
社会課題を起点とした新たな価値・
ニーズと需要・市場が発生。
足下、顕在化している課題は、供給
制約を増大。
23
現状
産業構造転換の契機となる環境変化
構造変化
勝ち筋
政策
テクノロジーの進化がもたらす産業構造転換への影響
⚫ ハイパースケーラー等の勝者総取り競争の勝者等によるサイエンス・テクノロジーへの巨額投資モデルと、地政学リスク
の高まりを踏まえた国家資本による巨額投資モデルがハイブリッドで進展。
⚫ あらゆるテクノロジーの進化が産業構造転換に影響を与えるが、とりわけ、AI、量子、ロボティクスをはじめとした情
報科学・システム分野のテクノロジーは幅広い産業の構造転換に影響を与えるほか、他のテクノロジーの進化を加速化し、
テクノロジーが産業構造転換に与えるインパクトをさらに拡大。
情報科学・システム
例)AI、量子、ロボティクス等
⚫ 情報の取得・伝達・処理を円滑化することで、幅広い産業における知識集約型・デー
タ集約型の産業構造転換を実現するとともに、他のテクノロジーの研究開発・シミュ
レーションを加速。
⚫ AIを活用したデータ分析が進み、消費者ごとのニーズ・価値観にリアルタイムで対応
できる製品サービスが拡大
⚫ 特に、製造業においては、AIロボティクスによるスマートファクトリー化を進め、OT
データ活用による品質管理・メンテナンスの高度化を実現。
他のテクノロジーの進化を加速化
エネルギー・環境
例)フュージョンエネルギー、カー
ボンリサイクル等
⚫ S+3Eを実現する資源エネルギー
供給体制を確保することで、高付
加価値機能の国内立地を促進。
⚫ フュージョンエネルギーや次世代
蓄電池の開発に伴い、関連する高
機能材料や設備製造業が成長。
バイオ・ライフ・ヘルスケア
材料・デバイス
例)バイオものづくり、ブレイン/
ニューロテック等
⚫ 再生医療、遺伝子治療、ブレイ
ンテックによる診断・治療・予
防の高度化で、医療・ヘルスケ
ア産業が高付加価値化
⚫ バイオものづくりの拡大が化
学・素材産業の構造を変革。
例)半導体、先端素材等
⚫ 新素材を通じて新たな付加価値を
提供。
⚫ マテリアルズインフォマティクス
や自己修復材料などが、自動車・
航空・エネルギー産業の性能革新
を牽引。
24
現状
産業構造転換の契機となる環境変化
構造変化
勝ち筋
政策
国際経済秩序は歴史的転換期 ~新自由主義から保護主義の台頭へ~
⚫ 国際経済秩序は歴史的な転換期にある。
⚫ 1980年代以降、米国が主導する新自由主義、グローバル化が世界の成長を牽引。一方、近年、格差の拡大や
グローバル・インバランスの拡大に対する不満や、サプライチェーンリスクが顕在化。こうした潮流の中、世界は再び
保護主義、経済ナショナリズムの時代へと進みつつある。
⚫ 米国をはじめとした各国による関税措置等の、従来の自由貿易体制を揺るがす措置は、短期的事象として捉えるのではなく、大きな
潮流の中で表出した一つの事例として捉える必要がある。
⚫ 我が国としては、これまで築き上げてきた自由で開かれた国際経済秩序の維持・強化に引き続き努めることはもちろん、それと同時に、
保護主義化、経済ナショナリズムの進展という現実を直視した形で、国際経済秩序の再構築に向けて対応していくことが必要。
⚫ 保護主義台頭の背景をもたらした格差拡大の要因として、新自由主義・グローバル化の時代において、
①技術革新が労働代替をもたらした点に加え、
②新興国が、安価な労働力を用いた過剰供給を通じて、先進国から製造業を獲得した点が、強く意識されている
⚫ 特に、中国のWTO加盟(2001年)以降、各国の実質所得低下・中間層の没落が進行。
⚫ こうした点は、地政学的競争を駆り立てる要素とも言える。また、地政学的競争や経済安全保障の重要性は、
存在感の高まるグローバルサウスを巡る競争、
デジタル化がすべてを飲み込む時代における覇権争い、
脱炭素でなくエネルギー安保の観点がハイライトされ、競争力強化策の色彩が強くなっている環境エネルギー政策
などにも連鎖し、広がりを見せる。
25
現状
産業構造転換の契機となる環境変化
構造変化
勝ち筋
政策
戦後国際秩序の揺らぎと求められる自立
⚫ 米国が国際公共財供給から撤退しつつあり、戦後の国際秩序が揺らぎつつある。
⇒日本としても、こうした国際秩序の変化を前提に、産業政策・通商政策・経済安全保障政策を検討する必要。
戦後の
国際秩序
国際システム
(米国主導で機能)
米国の国際公共財
(国際システム補完)
集団防衛体制
(NATO、安保協力)
軍事力供給
(核の傘、米軍駐留)
米国の関与低下
国際秩序の揺らぎ
(新常態)
求められる「自立」
集団防衛体制への「ただ乗り」拒否 防衛力強化
(米)
防衛産業育成
中国の軍事力増強による地政学的 日米安保を補完する第三国との協力関
緊張
係構築(軍事・経済)
安全保障
安全保障理事会
NPT、IAEA
民主主義
国連
マーシャルプラン
(国連憲章、国際人権規約) 人道支援(USAID)
権威主義的国家の勢力拡張
民主主義国家の右傾化
グローバル
経済
ブレトンウッズ体制守護
ブレトンウッズ体制
米国市場の開放
(IMF、世銀、GATT・WTO)
基軸通貨の提供
米国市場からの締め出し
非市場的措置・経済的威圧への
(需要の喪失)
対抗力強化(経済安保拡充)
中国の過剰供給による各国産業の
互恵的な経済同盟・連携の深化
「焦土化」懸念
民主主義国間での結束の強化
(政治・軍事・経済)
26
現状
産業構造転換の契機となる環境変化
構造変化
勝ち筋
政策
社会課題の多様化・深刻化がもたらす産業構造への影響
⚫ 社会課題の多様化・深刻化は各産業が抱える制約を強化するため、適応の可否が産業競争力を分かつことになる。一方、
そうした産業や社会が抱える制約を乗り越えることが新たな価値・ニーズや市場・需要となるため、産業構造転換を促す
ドライバーともなり得る。
⚫ GXの実現に向けてはクリーンな価値へのニーズが高まる一方、制度整備やサプライチェーン全体でのGXを適切な
スピードで実現できなければ、コスト・供給制約が増加。
⚫ 人口減少・少子高齢化は、健康需要や地域ビジネスの事業性向上の必要性を高める一方、労働供給制約要因ともなりうる。
Ex.①GXの実現
価値・ニーズの転換
⚫
⚫
⚫
制約の強化
プラネタリーバウンダリー問題の解決に向けた社会的要請や最終消費者の環
境意識の高まりから、中長期的には、サプライチェーン全体でのGXが進展
( toC型のグローバル企業は先行してクリーン化を要請)。
こうした潮流に対応して、脱炭素資源・エネルギーの必要性が高まる。
経済安全保障・事業継続上の要請から資源制約の解消に貢献し得る資源循環
への関心が高まる。
⚫
グリーンな資源・エネルギーや物質の供給制約は、プロダクト・サービス
の供給制約に直結。
⚫
鉄鋼・素材等の多排出産業においては、製造工程におけるGXはコスト増
要因。その先の市場のGX化が進展しなければ、競争力の低下を意味。
⚫
⚫
各国のGX政策の方向性がグローバル産業競争力に直結。
GXの非価格価値化は国内産業の競争優位性を強化し得る一方、各国が技
術的にキャッチアップすれば優位性は薄れ得るとともに、競争相手国が豊
富なGXエネルギーを保有する場合、非価格価値効果は低減。
(こうした構造を踏まえ、特に欧米の脱炭素政策への機運は停滞)
Ex.②人口減少・少子高齢化
価値・ニーズの転換
⚫
⚫
人口減少・少子高齢化によって、健康需要が高まる。
人口減少による需要密度の低下により、採算性が低下することから、事業の
広域化・多角化を通じて地域ビジネスの事業運営を効率化する必要性が高ま
る。
制約の強化
⚫
⚫
生産年齢人口の減少により、労働供給制約が発生
短期的にはデジタルを活用した省力化投資の必要性が高まる一方、中長期
的にはAIロボティックスの普及により、労働供給制約が解消する可能性。
27
現状
環境変化
グローバルな産業構造変化の潮流
勝ち筋
政策
グローバルな産業構造の主要な変化
情報・サービス産業
ものづくり産業
【ビジネス・エコノミクス(経済的メカニズム)と基本的な行動原理】
•
ネットワーク効果による参入障壁や限界費用ゼロによって規模の経済が強く作用
することを前提に、テクノロジーの進化に応じた迅速かつ大胆な投資によって、
スケール化を志向。
•
高い資本効率性や将来成長期待から資本市場の力を得やすい産業であり、「野心
的なビジョンと目標提示→人材やマネー誘引→ビジョンを自己実現化」といった
成長/市場活用戦略も取られる。
•
データエコノミーの基盤となる計算資源や、その構成要素となる半導体や電力、
優良な非公開データへのアクセスがさらなるスケール化に向けた制約要因となり
うる。
【主要な変化】
•
ハイパースケーラーは、消費者とのインターフェイスの独占で生み出す豊富な資
金力を武器に、AI基盤等のデジタル産業基盤開発も主導。
•
産業の上流(技術標準)/下流(マスデータ)双方を抑え、他のプレーヤーとの競争力
格差を拡大しながら、データに価値源泉を持つ他のサービス(や、非情報・サービ
ス産業領域)へと事業領域を拡大。
•
その他のプレーヤーにとっては、独自性確保(卓越した技術力やブランド、ユニー
クなデータ等)と、そのためのネットワーク拡充が生命線となり、拡大競争が加熱。
【ビジネス・エコノミクスと基本的な行動原理】
【ビジネス・エコノミクスと基本的な行動原理】
•
総資産に占める固定費比率が大きく、スケーラビリティ追求が必要であるため、
海外市場を含めた市場シェアの維持・拡大を追求。
•
コモディティ化の罠に陥り、コスト勝負となるリスクを回避すべく、あくなき技
術力の向上、暗黙知/非構造化データ等のユニークデータの活用、ブランド化やソ
リューションビジネス化等を組み合わせ差別化。
•
資本効率や成長期待、資産の流動性の低さが、資本市場からのリスク性の高い資
金調達の障壁となる。
【主要な変化】
•
中国等のものづくりプレーヤーのキャッチアップに加え、ハイパースケーラー等
がデジタル産業基盤/最終消費者接点のレイヤーでものづくり(とサービスの融合)
領域へと進出。競争が過熱へ。
•
デジタルツイン等の産業基盤活用が一般化し、UX軸での差別化(サービス化/SDV
化など)が図られていく状況においては、純粋なモノづくりの価値低下・コモディ
ティ化/均質化が進む恐れ。
•
ものづくりプレーヤーは、ビジネスモデルの転換/特化を伴う独自性の確保を図っ
ていく。 ※ものづくりの価値が低下する場合でも、プレーヤーが減少すること
で、長期的には希少性が上昇。残存者の競争力が再度向上する可能性も存在。
資源・エネルギー産業
【主要な変化】
•
巨額投資による開発リスクを回収するためにスケーラビリティを追求+ポート
フォリオ投資によるリスク分散や共同開発等を実施。
•
半導体、グリーン技術等の需要拡大と地政学リスクでレアアースの希少性向上。
ハイテク領域をはじめ産業を威圧。
•
価格変動リスクを抑えるため、長期契約やオフテイク契約による安定収益確保が
重要。
•
安定供給と脱炭素の要請を両立した事業ポートフォリオの構築が進む。
産業全体では、地政学リスクを主因とした地産地消化や、希少資源の囲い込みの必要性など、グローバルなバリューチェーンの再編成/最適化が進行。
28
現状
環境変化
グローバルな産業構造変化の潮流
勝ち筋
政策
グローバルな産業構造変化の潮流
⚫ これまでの論点を踏まえ、今後見越される大凡のグローバルな産業変化の潮流は以下の通り。
⚫
:プレーヤーの動き、
:影響、
:プレーヤーが取り組む/競争する領域、を示す。
情報・サービス産業
デジタル産業基盤(上流):産業データ/技術標準の掌握
• HPC・量子/クラウドインフラ基盤/AI基盤・半導体/デジタ
ルツイン基盤/開発者プラットフォーム/データレイクの開発
ものづくりプラットフォーム(上流):産業データ/技術標準の掌握
• IT・OTプラットフォーム/デジタルツイン基盤等の開発
プラット
均質化圧力 フォーム展開
均質化圧力
情報・サービス/ものづく
りの融合領域:競争過熱
• 上流/下流を中心に、
双方の企業・産業の競
争領域が増加
上流/下流を抑え、
データ独占の競争力と
資金力で領域拡大
エネルギー
確保
領域
拡大
接点強化
機能特化
規模拡大
→スケーラビリ
ティで勝ち抜く
サービス⇔もの/製造との融合領域における消費者接点(下流):
顧客データの獲得/顧客の囲い込み/UX軸での差別化
• SDx/コト売り・サービスの提供
)
最終消費者インターフェイス(下流):マスデータの掌握とフィードバック
ループ創出/顧客接点の独占
• 超汎用的UIの開発(生成AI → AIエージェント → AIロボティクス)
製造(全般):純粋なものづくり
の価値低下、コモディティ化
→ビジネスモデルの転換/特化
競争力の低減
競争力の抑制
領域特化
→プロダクト特
化で差別化
機
能開
分発
化・
レ製
イ造
ヤ・
ーサ
特ー
化ビ
ス
等
へ
の
(
情報・サービス(全般):ユニークネスに基づく生存競争加熱
領域 • 独自の技術力やネットワークに基づくユニークなデータ、ブ
拡大
ランドによる差別化(希少性・模倣困難性)
• 特定領域でのPF形成で競争力強化
継続
強化
領域拡大
→
ハ
イ
パ
ー
ス
ケ
ー
ラ
ー
継続
強化
ものづくり産業
グローバル産業(全般):サプライチェーンのグローバル最適化
• 地政学リスクを踏まえ、地産地消に加えてジャストインケース→サプライ
チェーンの複線化・複数国配置ニーズが拡大
• 地産地消化は、マスラピッド化に伴う納期圧縮ニーズ、マスカスタマイゼー
ション化に伴うローカライズニーズ等の市場戦略からも要請
資源確保
資源・エネルギー産業
資源・エネルギー(全般):脱炭素対応と安定供給
を両立した事業ポートフォリオの構築
資源メジャー :希少資源の戦略的利用
• 希少性/偏在性がある資源による経済的威圧
供給源の多様化によって対抗
29
現状
環境変化
構造変化
日本のグローバル産業の勝ち筋
政策
持続的なグローバル競争力獲得に向けた「5つの横串戦略」と「5類型の勝ち筋」
⚫ 日本成長戦略会議において選定された「17の戦略分野」をはじめとする日本産業が真にグローバル競争力のある高付加価
値な産業構造とグローバルバリューチェーンを実現するために、グローバル産業横串で具備すべき戦略と5類型の勝ち筋
を策定する。
重点産業領域(日本成長戦略会議「17の戦略分野」)
A. AIと他産業のかけ算によるAIトランスフォーメーション(AX)
B. サプライチェーン強化等を通じた経済活動の持続性向上
C. デュアルユース領域の拡大を通じた防衛と経済の好循環
D. 新技術の社会実装による社会課題解決・多様な安全保障の実現
E. 日本ならではのコア・コンピタンスを活かした世界市場の獲得
グローバル産業横串で
具備すべき戦略
造
船
5類型の勝ち筋
※右記括弧内は該当産業例
グローバル
スケーラー
(製鉄)
コ
ン
テ
ン
ツ
領域トップ
創
薬
・
先
端
医
療
AI
×
航
空
・
宇
宙
フ
ー
ド
テ
ッ
ク
合
成
生
物
学
・
バ
イ
オ
・
半
導
体
レイヤー
マスター
(バイオ医薬品)
量
子
デ
ジ
タ
セル
キ・
ュサ
リイ
テバ
ィー
情
報
通
信
フ
エュ
ネー
ルジ
ギョ
ーン
資
安源
全・
保エ
障ネ
・ル
Gギ
Xー
マ
テ
リ
ア
ル
デジタル産業
資源・
エネルギー
(AI)
(水素)
防
災
・
国
土
強
靭
化
防
衛
産
業
海
洋
港
湾
ロ
ジ
ス
テ
ィ
ク
ス
産業・通商・経済安全保障政策
の有機的な連動(内外一体性)
真にグローバル競争力のある高付加価値な産業構造とグローバルバリューチェーンの実現
30
現状
環境変化
構造変化
日本のグローバル産業の勝ち筋
政策
グローバル産業横串で具備すべき戦略の方向性①
⚫ 日本成長戦略会議における17の戦略分野は、我が国が経済成長と様々な安全保障を同時に実現する上で重要な産業が選定さ
れている。他方で、そのレイヤーは、フュージョンエネルギーのように具体性・個別性の高い戦略分野、資源・エネルギー安
全保障・GXのようにより多くの産業群を内包する戦略分野など、幅を持ったポートフォリオとなっている。こうした中で、
官民連携した投資ロードマップを策定し、具体性を持ったグローバル戦略を描くため、それぞれの分野において、「主要な製
品・技術等」を選定することとしている。
⚫ 他方で、17の戦略分野については、それぞれが独立的に戦略や投資ロードマップを策定するだけでは、成長戦略として統合
的に検討・策定する効果が最大化されない。現在、それぞれ担当省庁において委員会・WG等で投資ロードマップのあり方に
ついて議論がされているところであるが、これまでの議論状況、さらには、昨今のグローバルな政治経済状況、ビジネス・テ
クノロジーを取り巻く情勢等を踏まえ、グローバル産業横串で具備すべき戦略について、以下の5つのポイントに整理。
A. AIと他産業のかけ算によるAIトランスフォーメーション(AX)の推進
B. サプライチェーン強化等を通じた経済活動の持続性向上
C. デュアルユース領域の拡大を通じた防衛と経済の好循環
D. 新技術の社会実装による社会課題解決・多様な安全保障の実現
E. 日本ならではのコア・コンピタンスを活かした世界市場の獲得
31
現状
環境変化
構造変化
日本のグローバル産業の勝ち筋
政策
グローバル産業横串で具備すべき戦略の方向性②
A. AIと他産業のかけ算によるAIトランスフォーメーション(AX)の推進
⚫ 様々なテクノロジーの進化の中で、とりわけAIが、全ての産業において、付加価値や競争力に抜本的な変革を生むことは必
至。ビジネスモデルや業務プロセス、さらには企業の基幹システム、経営のあり方を非連続的に変革し続けることが必要。
⚫ 日本の産業・企業はこうした変革は総じて不得意であり、デジタル敗戦の歴史を鑑みれば、AXの波に乗り遅れるリスクがあ
る一方、サイバー空間上のデータが消費され尽くしつつある中、様々な事業・産業の現場のユニーク・データとAIの融合で
あるフィジカルAIが主戦場となるため、これまで米中二強状況であった競争環境の中で、反撃に出るチャンスあり。
⚫ また、生成AI・エージェントAI等の技術進展により、文書・図面・画像・音声・センサログなどの多様なデータの自動抽出、
マルチモーダルな統合等が高度化し、データの統合解釈コストが大幅に低減。こうした技術を最大限活用し、データ統合と利
活用の速度を飛躍的に高めることが重要。ただし、精度が求められるフィジカルAI領域等では、こうした技術によって前処理
が容易になっても、産業固有の意味体系の設計やデータ品質管理などの構造化が不可欠。「自動化」と「構造化の高度化」を
両輪で進め、現場データの高度活用を実現することが重要。
⚫ 基盤モデルは、中長期的には協調領域=インフラとなることも想定される中、競争領域はバーティカルAIモデルのレイヤー
か。このレイヤーが競争力の高い高収益なドメインとなり、新たな独占ゲームが展開される中、日本企業・産業が勝ち筋を見
出す領域の特定と世界に先駆けたビジネスの展開が不可欠。
⚫ 現場の非構造データのAI-Ready化と活用に向けては、データの収集・所有とプロフィット・シェアのあり方、GAFAMモデ
ルとは違ったフィジカルAIに最適なエコシステムの拡大等、スケーラビリティを持つビジネスモデルの開発・実装ができる
かが鍵。
⚫ フィジカルAI領域を中心に、個社が有するデータの量・多様性が不足する分野では、共通データ基盤の整備も重要。戦略分野
を定めた官民協調の下、政府が補助金のみならず、エクイティ性資金も含めた資金供給・リスクテイクを積極化したうえで、
AIの実装を加速させていく。
32
現状
環境変化
構造変化
日本のグローバル産業の勝ち筋
政策
グローバル産業横串で具備すべき戦略の方向性③
B. サプライチェーン強化等を通じた経済活動の持続性向上
⚫ 米中関係など、地政学リスクの高まりと世界経済のフラグメント化が進展する中、自律性をコアとしたサプライチェーンの持
続性をいかにして高めるかが中長期的な競争力の源泉となる。サプライチェーンであるがゆえに個社を超えた連携が必要とな
る中、「合成の誤謬」を脱却するための方策を官民連携して実行することが必要。
⚫ こうしたリスクは大国含めて各国共通して発生する中、我が国が世界の産業構造にとってかけがえのない技術や物資を供給す
る不可欠性を持つことは、ビジネスの観点から見ると、その技術・物資における高いグローバルシェアを獲得することで多大
な利益を得ることにも貢献し得る。加えて、日本の自律性に対するチャレンジが発生し得る場合の対応力を高めることにもつ
ながる。いかにしてこうした不可欠性を形成する製品・技術等を多く持つかが重要。
⚫ 現下、効率性重視のグローバル化が進む時代から地政学リスクへの対応が不可欠な時代に転換しつつある中、産業界に供給安
定性といった新たな価値が企業価値の向上につながるという経営マインドの醸成と企業行動の変容を促し、国と企業が視点を
揃えるための仕組みや仕掛けが必要。
⚫ 直近のトレンドとしては、米国自身がこうしたリスクを強烈に意識し、プライスフロア等の特定国に対する新たなハイフェン
スを生み出し、同志国への連携を求め始めている。産業政策に加え、こうした通商政策上の新たなトレンドにどう戦略的に向
き合うかも含め、ミドルパワーとしての経済安全保障政策の進化が必要。
C. デュアルユース領域の拡大を通じた防衛と経済の好循環
⚫ 世界的に安全保障環境の厳しさ・複雑さが増大する中で、防衛力強化の重要性が上昇。米国の動き・スタンスの変容もあり、
NATO加盟各国の防衛費支出目標をGDP比5%に引き上げるなど、国際的に防衛力強化に向けた取組が活発化。中でも、ロシ
アによるウクライナ侵攻の経験を踏まえ、①「新しい戦い方」におけるドローンなどのデュアルユース技術の重要性、②長期
戦に対応可能な継戦能力=国内生産基盤の構築の必要性といった、民生分野も含めた生産・技術基盤の強化の必要性が認識さ
れることとなった。
⚫ 我が国としても、デュアルユースを含めた国内の生産・技術基盤の強化に取り組んでいくことが重要であり、平時は民間需要
向け・海外防衛需要向けに供給し、有事に防衛用途に転換できる生産基盤への投資、産官学連携・スタートアップ活用の加
速・非伝統的防衛プレイヤーの投資促進と防衛プライムとの連携によるイノベーションの創出・装備移転に加え、デュアル
ユース技術を通じた海外防衛サプライチェーンへの参入といった取組を進めて行くことが必要。こうした取組は、グローバル
33
産業の競争力の強化を通じて、「防衛と経済の好循環」の拡大にも貢献。
現状
環境変化
構造変化
日本のグローバル産業の勝ち筋
政策
グローバル産業横串で具備すべき戦略の方向性④
D. 新たなテクノロジーの社会実装による社会課題解決・多様な安全保障の実現
⚫ 安全保障、経済安全保障に加え、資源エネルギー安全保障、食糧安全保障、医療健康安全保障など、多様な安全保障の価値が
高まりつつある。これまでも取り組んできたGXやサーキュラーエコノミーも含め、こうした社会課題にこそ、グローバル市
場における新たな成長の源泉があり、新たなテクノロジーの社会実装をコアとしたビジネスを創出していくことが重要。
⚫ 他方で、社会課題は、その市場化・需要の顕在化は各国の政策・制度に依拠するところも多く、オーガニックに金銭価値化さ
れにくい性質を持つ一方、ソリューションを創出するためにはR&D含め巨額の投資が必要となる場合も多いため、民間企業
にとっての投資予見性は低い。リスク投資を可能とするファイナンスエコシステムの形成、国内外での需要創出等、政策イノ
ベーションを起こし、官民連携した取組が必要。
E. 日本ならではのコア・コンピタンスを活かした世界市場の獲得
⚫ AI、半導体、ロボティクス、量子、バイオテクノロジー等テクノロジーレイヤーでは、世界各国がほぼ重なる領域で競争が激
化し、市場としても、グローバルサウスの成長の取り込みを各国が競う状況。こうした中で、日本が競争力の観点から比較優
位に立つためには、日本のコア・コンピタンスを具体化し、それをベースとした競争領域の特定、リソースの集中投入が必要。
⚫ 日本のコア・コンピタンスとしては、フィジカルAI領域、実際の製造能力、O&M含めた高度運用ノウハウ、安定したエグゼ
キューション力・信頼性、独自の文化・価値観・ナラティブやコンテンツ力、防災大国としてのノウハウ・データ、世界に先
駆けて少子高齢化した中で蓄積されたデータなどが考えられるか。
⚫ 他方で、これらのコア・コンピタンスの多くは、従来より認識されてきたものでもあるが、グローバルな産業競争力に繋げら
れているとは言いがたい。こうしたコア・コンピタンスをどうすれば「稼ぐ仕組み化」し、「グローバル市場での競争力」に
昇華することができるかが重要。適切なプライシングや取引条件を確保するための交渉力やスピード感を持った意思決定・実
行力、収益力の高いビジネスモデルの設計、エコシステムの形成など、多くの日本企業が苦手としてきた領域におけるケイパ
ビリティの確保が不可欠か。
⚫ また、17の戦略分野で成長戦略を組成する効果を最大化させるべく、縦割りで海外展開戦略を考えるのではなく、相手国の
需要サイドから見た必要性やシナジー効果などを踏まえ、グローバルサウスをはじめとした相手国の成長戦略の実現、AX、
34
自律性・不可欠性の確保やGXに資する現代的な「パッケージ展開」のあり方も検討すべきか。
現状
環境変化
構造変化
日本のグローバル産業の勝ち筋
政策
我が国のグローバル産業の勝ち筋と産業構造のあるべき姿
日本のグローバル産業の構造(現状)
これからの産業の勝ち筋の類型(グローバル潮流)
1
グローバルスケーラー
上流(産業基盤)の標準化and/or下流(UI)
の独占で、高付加価値領域取り込みへ
2
領域
トップ
製造
派
生
形
1
3
レ
イ
ヤ
ー
マ
ス
タ
ー
情報・サービス
競争力と資金力で他領域へ拡大。
データ拡大による持続的成長へ
半導体/医薬品
/医療機器等
大規模投資による規模拡大と、デジタル/サービス
化等による顧客囲い込みによって競争力を維持拡大
2
3
4
データ処理・計算のための
資源・エネルギー確保
デジタル産業
巨額投資によるデジタル基盤(技術)開発でチョーク
ポイントを掌握。デジタルアーキテクチャのプラッ
トフォーム機能を狙うほか、アプリケーションレイ
ヤーで最終消費者を囲い込みマスデータを独占。
データの競争力と資金力で他領域へ拡大
5
資源・エネルギー
レイヤーマスター
開発/製造/サービス等の特定レイヤーに特化し、集
中投資による差別化で競争力を確保
デジタル産業
(該当する国内グローバル
プレーヤーが現状では不足)
領域トップ
独自技術/ユニークデータ/ブランド等で差別化し、
特定の高付加価値分野でグローバルシェア獲得、経
済安全保障上重要な分野における自律性・不可欠性
の確保
4
5
グローバルスケーラー
資源・エネルギー
大量・安定供給力とコスト競争力を武器に、あらゆ
る産業の基盤となる資源エネルギーの開発、提供。
エネルギー安全保障の確保に貢献
35
現状
環境変化
構造変化
日本のグローバル産業の勝ち筋
政策
①-A. グローバルスケーラー型の戦略方向性(素材型産業に通底する課題と必要な政策)(1/2)
⚫ 勝ち筋:如何に国内外のマーケットを獲得するか/如何に(国内含む)グローバルバリューチェーンで付加価値を創出するか
前提:日本は技術力とグローバルシェアを有していたものの、足下はスケーラビリティを確保した海外企業にキャッチアップされており、収益性
が低下。以上を踏まえ、国内外の生産能力・シェアを維持・拡大するための戦略を示す。
⚫ 基本戦略:秘匿性を確保しながら、スケール化で競争力を拡大する
⚫ 高付加価値戦略:単純な生産だけではない「収益源の多角化」を目指す
➢ 「高級材×需要地×制度適応」をコアとしたグローバル市場の獲得
✓ グローバル市場の獲得においては、輸出と需要地・顧客密着のハイブリッドが基本戦略。とりわけ地政学リスクを主因とした地産地消化の
流れが進む中、市場アクセスの権利を獲得するための需要地生産の重要性は高まっている。とりわけ、「どの国で」「どの品種で」「どの
制度条件を受容して」勝つかのポートフォリオ設計を行い、同業企業の合従連衡、コア事業を補完する企業等のM&Aを進める。
✓ 重厚長大型の製造業にとっての最大損失は停止と品質事故。これを防止できるO&Mソリューションは、自社競争力であると同時に、外販す
れば「O&M/保全ソリューション」市場になり得る。
✓ 加えて、hard to abate産業については、CBAMで排出データがコストに直結し、データの精度・検証可能性が市場アクセス条件化。 “CO₂
マネジメントにおける制度インフラ”で主導権を取り、価格決定力を形成。
➢ 貿易救済措置等の活用による過剰生産問題への対応
✓ カナダやEU等の同志国をも対象とした保護主義的措置は、同志国間の市場の分断を招き、問題の根本的な解決に寄与しない。それら保護主
義的措置に対しては毅然として日本産業への悪影響除去を主張しつつ、過剰供給された国内への安価な製品の流入に対し貿易救済措置を積
極的に活用。
✓ その上で、特定国の過剰供給リスクが高い分野では、同じ価値観やルールを共有する同志国との協調がスケール確保の観点から不可欠。同
志国と連携したサプライチェーンの強靱化や非価格価値市場の創出、制度面でのアラインメント等を進めることで、公正な競争条件を維持
し、特定国政府による非市場的な支援を受けた企業が参入しにくい市場構造を形成できる。これにより、スケールメリットを確保しつつ、
持続的な市場秩序構築を図る。
➢ ペイシャント投資競争に打ち勝つことで「高収益寡占状況」を創出
✓ 稼働率の低迷と低収益化に耐えかねた競争相手が退出する中、官民連携しペイシャント投資競争に打ち勝ち、供給サイドが寡占状況となれ
ば、価格決定力を取り戻し、高収益構造に転換する可能性もあり得るか。
• 補助金に留まらないエクイティ性の資金供給など、スピード感をもったグローバル市場でのスケーラビリティ確保に向けた政策のイノ
ベーションが必要ではないか。
36
現状
環境変化
構造変化
日本のグローバル産業の勝ち筋
政策
①-A. グローバルスケーラー型の戦略方向性(素材型産業に通底する課題と必要な政策)(2/2)
⚫ 成長に向けた課題/チョークポイント
⚫ 政策の方向性(仮説)
⚫ 過剰供給・価格低迷によってスケール投資の回収困難化
➢ 「過剰能力→稼働率低下→価格/収益圧迫→投資余力縮
小」という構造は、グローバルスケーラー型産業に共通
⚫ 非市場要因で加速するコモディティ過剰競争への対応
➢ 過剰能力・価格・収益性低下・投資余力低下という構造から脱却するた
め、国内産業の再編による基礎体力の向上やコモディティとは差別化さ
れた製品ポートフォリオの高度化を促進
➢ スケール投資は「量」ではなく 需要地・制度圏・高付加価値領域に限
定して戦略的に実施することが必要
➢ 国内外で非市場的な供給拡大を抑制する通商枠組みを組成
⚫ 非市場要因(補助金・国策)=市場ルールの歪みへの対応
➢ 競争相手国が採算性ではなく、国策(雇用・経済安保)
で生産維持する場合、純粋な市場競争による勝利は困難
⚫ ファイナンス・スキームの組成が競争力に直結
➢ 市況や非市場要因によって稼働率低下→収益性圧迫リス
クがある中で、巨額投資が困難化
⚫ サービス化の“工数の罠”とスケール問題
➢ サービス化はスペックイン等の観点から有効だが、人足
ベースのスケーラビリティにとどまるリスク
⚫ 経済安全保障・投資審査がクロスボーダーでの「スケーラ
ビリティ戦略」の前提条件化
➢ スケール投資は「市場機会」だけでなく 国家能力・供給
網・雇用と結び付けて審査される時代へ
➢ クロスボーダーでのM&Aは、財務リスクやシナジー効果
に加え、政治・規制による「許容可能性」の設計が必須
⚫ 脱炭素化等、社会課題対応規制が市場アクセス条件
➢ 規制対応は単なるコストではなく 参入・退出の条件化
➢ サービスとしての環境属性(低炭素価値等)市場が広が
るほど、信頼(監査・台帳・検証)がボトルネック
→デジタル/サービス化のコアは制度準拠データ(監査証
跡)に変容
⚫ ファイナンス・エコシステムの高度化
➢ 資金ニーズの性質に応じたファイナンス・スキーム組成を促進する産業
金融の高度化(M&Aのためのブリッジローン→長期性資金転換、GX
等不確実な需要に対応した公的ファイナンス等)
➢ 補助金に留まらないエクイティ性の資金供給等、スピード感をもったグ
ローバル市場でのスケーラビリティ確保に向けた政策のイノベーション
⚫ サービス化のスケーラビリティ確保
➢ サービス化によって人足ベースの工数商売から脱却し、スケーラビリ
ティのあるプロダクトに変革するため、標準化・契約テンプレ・データ
連携基盤を整備し、横展開を可能にする
⚫ クロスボーダーM&A等を通じたスケーラビリティ確保
➢ 投資審査の強化は不可逆となる中、M&A等について有志国間での許容
ラインを明確化し、日本企業の投資予見性を確保
➢ 有志国・同志国と連携し、特定国に対する一致した貿易的措置・経済安
保的措置による対抗力の強化と同一市場の形成
⚫ 制度・データ認証のグローバルな相互運用性を確立
➢ CO2削減量等の非価格価値の定義・標準の相互運用性、測定方法の透明
化による信頼性を担保し、市場拡大のインフラを整備
➢ こうした機能創出を主導することで、サービス・金融・調達のハブ化
37
現状
環境変化
構造変化
日本のグローバル産業の勝ち筋
政策
①-B. グローバルスケーラー型の戦略方向性(加工組立型産業に通底する課題と必要な政策)(1/2)
⚫ 勝ち筋:如何に国内外のマーケットを獲得するか/如何に(国内含む)グローバルバリューチェーンで付加価値を創出するか
前提:自動車や産業用機械等、グローバル競争を牽引する産業・企業が存在。グローバルなサプライチェーンとシェアを有するプレーヤーが、今
後も競争力を持続拡大させるための戦略を示す
⚫ 基本戦略:技術的優位性を確保しながら、スケール化で競争力を拡大する
➢ グローバルでのスケーラビリティを確保するため、国内/有志国の同業企業の合従連衡、コア事業を補完する企業等のM&Aを進める
➢ 国内生産とグローバルバリューチェーンの最適バランスを実現
✓ サプライチェーンのグローバル化/現地化を進め、供給量の拡大と最適化(地産地消化、機動性と冗長性の向上)
✓ 他方、国内サプライチェーンの維持拡充も重要。設計と製造のシナジー創出(国内企業群によるすり合わせと組み合わせ)、AI解析等で増加
する情報漏洩リスクの逓減、地政学リスクに左右されない供給網の確保といった点を担保するために、研究開発やキーコンポーネントの製
造機能等を維持するために必要な規模を残すことが重要
➔グローバルサプライチェーン全体をオーケストレーションし、オペレーショナルエクセレンスとプロダクトイノベーションを両立
➢ グローバルレベルでのサプライチェーンの徹底した合理化を図る
✓ AI・ロボティクスの活用等をはじめとしたAIトランスフォーメーションにサプライチェーン全体として取り組み、開発/製造の高度化と生
産拠点間の均質化を図る
✓ 部品/コンポーネントの標準化/モジュール化で拡張性と秘匿性を確保する
✓ デジタルプラットフォームやデータ連携基盤の活用で、サプライチェーンを高度化/可視化、現地エコシステムとの連携を強化する
⚫ 高付加価値戦略:単純な生産だけではない「収益源の多角化」を目指す
➢ アセンブリ、最終消費財メーカーを中心にサービス転換(ものづくり一本槍からの転換)を進める
✓ SDx/アフターメンテナンス型サービス/リース型サービス等を展開する
◼ LTV志向の収益モデル確立で中長期的な収益を最大化。顧客の粘着性向上、フィードバックループ確立で競争力を強化
✓ 異業種連携によってケイパビリティを拡充(情報サービス企業:サービス/収益モデル開発、金融/商社:提供するリース資産の流動化等)
✓ マークアップ型プライシング(原価を基準とした価格設定)からの脱却を図る
➢ 機能分化・特化を進める
➔③レイヤーマスター型:開発(ファブレス)/製造(ファウンドリ/CDMO)といったものづくり領域での特化や、IT/OT領域等のデジタル産業プ
ラットフォームの展開(例:シーメンス社 Xcelerator)
➔⑤デジタル産業型:フィジカルAI(AI・ロボティクス)等の開発
38
現状
環境変化
構造変化
日本のグローバル産業の勝ち筋
政策
①-B. グローバルスケーラー型の戦略方向性(加工組立型産業に通底する課題と必要な政策)(2/2)
⚫ 成長に向けた課題/チョークポイント
⚫ 政策の方向性(仮説)
⚫ スケール化と開発力の両立に向けた人材の質と量の不足
➢ 熟練技能者の流出/減少が進むなか、製造現場/研究開発
における知の再生産と進化を支える人材の確保が必要
➢ AI・ロボティクス等による労働の代替を進めていく必要
があるため、デジタル/専門人材の獲得が急務
⚫ 継続的なスケール化に向けた資金創出/調達の難しさ
➢ M&A/設備・人材投資/デジタル基盤整備/サービス転換
等の継続的かつ大規模な投資を支える資金の確保が重要
➢ 中国等との価格競争やサービス化に伴う短期収益の圧迫、
リース型サービスやロボティクス導入によるB/S膨張リ
スクの中で多様な資金調達手段の構築が求められる
⚫ 地政学リスクと重要部素材の確保難
➢ 素形材を含む多数の部素材をグローバルに分散拠点で扱
うため、調達先の多角化や在庫戦略を含むサプライ
チェーン強靭化が不可欠
➢ レアアースや半導体等の重要部素材は調達制約が強まり、
代替調達・代替材開発には時間とコスト増を伴う
⚫ サプライチェーンの中核となる国内産業基盤維持
➢ 開発と製造のシナジー、データ秘匿性、安定供給の観点
から、中小企業を含む国内サプライチェーン維持・強化
が不可欠だが、人手不足・事業承継難がボトルネックと
なっている。
➢ とくに機械産業(工作機械・建機・医療機器等)は、国内
需要と産業基盤が弱まると、国内に事業基盤を維持しに
くくなるリスクが高い。
⚫ 技術優位を維持しつつスケール化を支える人材・スキル基盤の強化
➢ 熟練技能者の暗黙知をAI-Ready化・見える化し、リスキリング・技能
認証等と組み合わせて教育の高度化を図る
➢ 開発・製造データを統合管理するデータ/開発基盤を整備。AI・ロボ
ティクス活用を前提に現場技能とデジタル技術を横断できる人材育成プ
ログラム等を展開する
⚫ 継続的なスケール投資を可能にする産業金融・リスクマネー供給高度化
➢ M&Aや設備・人材投資、デジタル基盤整備・サービス転換を一体で支
援する長期資本・成長投資枠を拡充し、サプライチェーン再編・統合を
後押しする
➢ リース型サービスやロボティクス導入で膨らむB/S負担に対応するオフ
バランス型スキームや各種ファイナンスの発行環境を整備する
⚫ 地政学等のリスクを踏まえたグローバルサプライチェーン再設計支援
➢ 重要鉱物・部材について、調達先多角化、在庫・生産拠点の地域分散、
リージョン間バックアップ等のサプライチェーン強靭化を支援する
⚫ 重要部素材の安定確保と代替技術の開発支援
➢ レアアース・半導体等の重要部素材について、資源外交・共同備蓄・長
期オフテイク契約等を通じて安定供給を確保する
➢ 代替材・リサイクル技術・省資源設計のR&Dを重点支援し、コスト増を
抑えつつサプライリスクを低減する
⚫ 国内サプライチェーン中核企業の維持・高度化
➢ 中小サプライヤーを含む国内の基盤企業に対し、設備更新・DX・品質
向上への投資を支援しつつ、OEMとの長期取引や共同開発の枠組みを
整備する
39
現状
環境変化
構造変化
日本のグローバル産業の勝ち筋
政策
② 領域トップ型の戦略方向性(各業種/分野に通底する課題と必要な政策)(1/2)
⚫ 勝ち筋:如何に国内外のマーケットを獲得するか/如何に(国内含む)グローバルバリューチェーンで付加価値を創出するか
前提:日本ではグローバルなシェアを有する企業が多数生まれてきた。こうした企業・産業がさらに競争力を拡大させていくための戦略を示す
⚫ 基本戦略①:顧客・パートナー接点を強化し、ユニークネスに基づく差別化を図る
➢ 顧客やパートナーとの独自のネットワークを拡大し、囲い込み、そこから生じるユニークデータ=持続的な競争力の源泉を確立する
✓ 顧客・パートナー接点から得られるデータをAI解析し、製品・サービスの進化を高速化させるフィードバックループを形成することが重要
✓ 製造業はサービス転換で顧客接点を拡大し、カスタマー・ジャーニーを実現
➢ 標準・規制の主導とブランド形成で価格決定力を確立する
✓ 官民連携のもと、グローバル市場へ向けた仕様・安全基準・標準化提案を先行投入し、技術優位をルールと選定基準に内生化させる
✓ 安定供給力・サステナビリティ・ガバナンス等、ビジネス環境が激変する時代に即したKPIとナラティブの訴求により、プレミアム価格の獲
得とブランド強化を図ることが有効
⚫ 基本戦略②:AIトランスフォーメーション(AX)を核とした、競争力のさらなる強化
➢ 暗黙知をAI-Ready化することでユニークな競争力に磨きをかける
✓ 熟練技術/顧客業務への理解/組み込み力等の暗黙知を言語化/構造化し、デジタル活用でプロダクト/サービスイノベーションへと繋げる
➢ 技術管理/データ秘匿化の徹底で持続的な競争力を確保する
✓ 日本が優位性を持つ技術を特定し、意図しない技術流出を防ぐため、官民連携した技術管理等を実施
✓ 同様に、データの国外流出を防ぐため、国内におけるAIモデル・データ基盤の構築を官民連携で進める
⚫ 基本戦略③:勝てる領域への選択と集中をスピード感を持って進める
➢ 高付加価値×差別化可能領域を特定する
✓ 顧客・パートナーとの会話(←エージェントAIの活用等)やオープンイノベーションを積極化することで、有望領域/市場の将来性を把握する
✓ スピード感のある経営判断で、既存事業からの転換や機能特化(→③レイヤーマスター型産業戦略)を進め、成長領域へ経営資源を集中する
➔ 成熟領域では業界再編・新陳代謝・カーブアウトを、成長領域ではM&Aを含む機動的な積極投資を行う
➢ 競争領域と協調領域、コア・コンピタンスの明確化
✓ 協調領域はデータ連係やコンソーシアム等で徹底的に効率化と合理化を、競争領域はテクノロジー活用/プロセス高度化で差別化を追求する
⚫ オプション戦略:バーティカルAIの実装に係るプロダクト・サービスをパッケージで輸出する
✓ 今後、我が国では官民一体となってバーティカルAIの社会実装を他国に先駆けて進めていく(→④デジタルアーキテクチャ型産業戦略)。加
えて、バーティカルAIのソリューションを海外展開するに当たっては、導入・運用に向けたノウハウのコンサルティングや、現地政府に向
けた規制・規格等のノウハウ提供等をパッケージで輸出していく。
40
現状
環境変化
構造変化
日本のグローバル産業の勝ち筋
政策
② 領域トップ型の戦略方向性(各業種/分野に通底する課題と必要な政策) (2/2)
⚫ 成長に向けた課題/チョークポイント
⚫ 政策の方向性(仮説)
⚫ 技術優位を市場支配力へ転換する仕組みと戦略不足
➢ 標準化・ブランド構築・商流形成が弱く(官民ともに専門
人材も不足)、価格決定力が高まらない
➢ 官民連携が十分でないことによる意図しない技術流出
⚫ データサイクルの未整備
➢ データのAI-Ready化と活用(収集・統合・再利用)がこれ
まで進んでおらず、継続的な差別化に結び付かない
⚫ 選択と集中・リスクテイクの不足
➢ どの領域・ユースケースで世界トップを狙うかが曖昧な
まま事業が散在し、投資・人材が薄く広く配分される
➢ 高リスクなR&D・海外M&A・ブランド投資への踏み込
みが弱く、グローバル競合のスピードに乗り遅れやすい
⚫ 国内エコシステムの未成熟と過当競争
➢ 試作・実証・実装等の各フェーズで担い手が連携出来ず、
有望シーズが実用化に至らない。
➢ 同質的プレーヤーが多数並立し、撤退・統合が進まない
ため、勝ち筋への資源集中が進みにくい
⚫ 高リスク投資を支えるファイナンス・スキームの不足
➢ リスクマネー循環や成果連動スキーム等が未成熟。企業
が守りの投資(既存領域への分散投資)から脱却できない
⚫ 重要サプライヤーのボトルネック化
➢ 重要部素材・原料・コア部品が国内外で限定され、供給
確実性・価格・IP条件が制約に。早期の長期契約・共投
資・代替確保が不可欠
⚫ 国際標準の先取りとIP・データ戦略を通じた初期案件・価格決定力の獲得
➢ ターゲット市場で有利な規格・認証・相互承認を先取りし、政府間対話
等で市場アクセスと公的調達の優位を確保
➢ 標準化・IP・国際交渉を統括するタスクフォース等を設置し、国際的な
市場ルール形成をリード。国内外顧客が参加する実証フィールド等の整
備と公的調達・輸出支援を連動させ、初期案件の創出を図る
➢ 基幹特許の国際出願やライセンス設計、越境移転に耐えるデータガバナ
ンスの構築を支援し、高付加価値ビジネスモデルの構築や価格競争回避
を促す
⚫ 官民連携を通じた技術管理等の強化
➢ 経済安全保障と独占禁止法に関する事例集や経済安保経営ガイドライン、
技術流出対策ガイダンス等の普及促進、技術管理対話スキームの更なる
活用、経済安保推進法に基づく戦略技術への支援等を進める
⚫ データサイクルを回すための産業データ基盤・ルール整備
➢ データID・匿名化ルール・利用権限などを共通化した産業横断のデータ
基盤を構築し、開発~製造~運用~サービスのデータ循環を図る
⚫ 勝ち筋ドリブンの選択集中・機動投資促進でターゲット市場を先取り
➢ ターゲット市場・ユースケースを示すロードマップ等を策定し、人材・
資本・アセットの重点配分を促す制度・ガイドライン等を整備する
➢ R&D・M&A・海外展開・設備投資を一体で支援し、初号案件の立ち上
げから量産立ち上げまでスピード重視の事業化を促す
⚫ サプライチェーン中核企業・人材を核としたエコシステムの強化
➢ 重要部素材等を担う企業を中心に、長期供給契約・事前契約・共同投資
等の枠組みを整備、量産移行に耐える供給網とボトルネック解消を図る
➢ PM・規制・標準・国際営業等のコア人材の育成と、トップ外交や政府
金融・保証等を組み合わせ、海外トラックレコード形成を加速させる
41
現状
環境変化
構造変化
日本のグローバル産業の勝ち筋
政策
③ レイヤーマスター型の戦略方向性(各業種/分野に通底する課題と必要な政策)(1/2)
⚫ 勝ち筋:如何に国内外のマーケットを獲得するか/如何に(国内含む)グローバルバリューチェーンで付加価値を創出するか
前提:日本産業は自前・フルラインナップ主義が根強く水平分業は浸透していない。こうした状況からグローバルプレーヤーを生み出していくた
めの戦略を示す。なお、当該戦略では、ものづくり力を基にした競争力が見込まれる製造レイヤー(ファウンドリ/CDMO等)について整理する
⚫ 基本戦略:真に競争優位性のある製品分野/技術領域でグローバルポジション獲得を図った上で、スケーラビリティを高めていく
➢ 競争優位性とコア・コンピタンスを踏まえて選択と集中を進める
✓ 自社の技術/製品における競争優位の持続性や、市場の将来性等に鑑みて、前広に機能分化/特化を検討する。とくに、AIによる開発・製造
プロセスのゲームチェンジの可能性や、アジアをはじめとする諸外国企業によるキャッチアップを見通すことが重要
✓ これまでの垂直統合型のビジネスモデルでは持続的な競争優位を確保しかねる領域においては、技術・ネットワークといった足下の先行性
を武器に、機能分化して特定のレイヤーを抑えていく
✓ グローバルでは既に様々な領域で水平分業化が進んでおり、実績や資金力でリードする多様なグローバルプレーヤーが存在。従って、初期
的には(領域は狭くとも)真に優位性のある技術/領域/工程に絞ることが有効
➢ 開発~製造~保守~サービス等のデータを一元管理する基盤を整備し、外部パートナー/顧客とのデータ接続性を高める
✓ グローバル産業の水平分業においてはデータの活用/連携が所与となっており、グローバルエコシステムへの接続のためには、データ基盤の
整備と徹底した活用が不可欠。接続仕様や品質指標を統一し、グローバル顧客が比較可能な基準を整える
✓ あわせて、技術・ノウハウ等の非構造化データのAI-Ready化を進めることで、競争力の強化を図る
➢ M&Aを含めた積極的な投資でスケーラビリティを拡充する
✓ 早期の案件受注とトラックレコードの蓄積が重要となるため、グローバルな顧客・パートナー接点の獲得にリソースを投入する
✓ 買収や共同運営を通じて、設備・人材・技術・研究開発力等を集約し、グローバルな受注に向けたキャパシティを拡充する
✓ また、拠点を複数地域に分散し、規制変更や地政学リスクにも耐えられる供給体制を整える
➢ 提供領域の拡張やさらなるオープン化で持続的なスケールアップを図る
✓ CDMOにおける前工程(シーズ探索や創薬支援、製法スクリーニング等)への展開など、レイヤー間の機能を取り込んだ上流・下流への連
鎖的な事業拡張を通じて、案件単価と継続取引を高める
✓ 領域によっては、製造受託等の既存領域にとどまらず、自社の製造能力のサービス化/オープンプラットフォーム化を図る
※スケーラビリティのあるビジネスモデルではあるが、技術/データを解放するため、競争優位性の維持可能性は要精査することが必要
✓ こうしたサービスやレイヤー間機能を標準化・パッケージ化し、国内外の複数顧客・複数拠点で反復利用することで、スケーラビリティと
高収益性を両立したレイヤーマスター型ビジネスへと進化させる
42
現状
環境変化
構造変化
日本のグローバル産業の勝ち筋
政策
③ レイヤーマスター型の戦略方向性(各業種/分野に通底する課題と必要な政策) (2/2)
⚫ 成長に向けた課題/チョークポイント
⚫ 政策の方向性(仮説)
⚫ 水平分業・レイヤー化への対応遅れと「稼ぐ構造」の未確
立
➢ 日本の産業構造全体として、自前主義・系列構造が根強
く、中立・オープンなレイヤー分業へ移行が遅れ、グ
ローバルネットワークにも組み込まれにくい。
➢ その結果、大規模な投資回収に十分なスケーラビリティ
と稼働率を確保し難い
⚫ 業務モジュール化・データ連携・デジタル基盤の不足
➢ 案件ごとの個別対応・手作業が積み上がり、「工数の
罠」から抜け出せずスケールメリットが出にくい。
➢ 設計~製造~品質を貫くデータ連携基盤やAI・自動化の
横展開に乏しく、継続的に提供価値が上がらない
⚫ 国内エコシステムの未成熟
➢ オープンイノベーションが活性化せず、水平分業型の産
業構造でないがゆえに、各レイヤーでスタートアップが
育たない。また、撤退・統合が進まないため、技術/設備
/資金等のキャパシティ拡充に限界
⚫ 専門人材とPM能力の不足
➢ レイヤー別専門性と業者・拠点間をマネジメントするPM
が不足し、納期・品質の安定性に課題
⚫ 共同投資・リスクシェアの枠組み不足
➢ 長期契約・稼働率保証・共同投資・成果連動契約等の導
入が未成熟で、攻めの投資に踏み切れない
⚫ 水平分業・レイヤー化への移行を促す構造改革
➢ 過度な自前主義・ケイレツ構造からの転換を後押しするため、スピンオ
フ・統合・機能別分社化を促進。
⚫ 中立性・オープン性を備えたインフラプレーヤーの形成
➢ インターフェース標準化・品質メトリクス共通化や、中立性・セキュリ
ティ・ガバナンスを評価する認証制度等を整備
⚫ レイヤー間の橋渡し機能を担うスタートアップ・専門企業の育成
➢ 業務モジュール化・自動化プロセス開発、試作、最適スケール設計など、
中間機能の提供企業へ研究費・設備投資・人材面の重点支援を行う
➢ 大企業からのスピンオフや大学発ベンチャーを支援し、国内外の大企業
等とマッチングするプログラムを通じて案件とノウハウを蓄積
⚫ 自動化・デジタル基盤への集中投資
➢ 設計~製造~品質を一気通貫で扱える共通データモデル・API標準を整
備し、各社のAI・自動化投資が横展開しやすい環境を整える
➢ モジュール型工場等への投資について重点支援
⚫ 人材・PM能力と国内エコシステムの強化
➢ レイヤー別専門人材、品質・規制・デジタルを横断できるPM人材を育
成する専門プログラムを設計し、パートナー・顧客企業との人材交流・
共同研修を推進
➢ 国内では、同じレイヤーを狙う企業・スタートアップ・アカデミア等の
連携を促し、共同提案・開発を通じてトラックレコードの蓄積を図る
⚫ 共同投資・リスクシェアの金融・契約スキーム構築
➢ 事業会社・金融機関・政府等が参加する長期オフテイク契約、共同投資
等の活発化に向けて環境を整備する
43
現状
環境変化
構造変化
日本のグローバル産業の勝ち筋
政策
④ デジタル産業型の戦略方向性(各業種/分野に通底する課題と必要な政策)(1/2)
⚫ 勝ち筋:如何に国内外のマーケットを獲得するか/如何に(国内含む)グローバルバリューチェーンで付加価値を創出するか
前提:現時点ではグローバルなAI競争に出遅れているなか、日本固有の強みや特性を活かしてキャッチアップしていくための戦略を示す
⚫ 基本戦略:フィジカルAIを中心にバーティカルAIで勝負する。インフラからアプリまで一気通貫で抑えつつ、グローバルなエコシステムと接
続・連携してスケールする
➢ 日本のAI産業がグローバル競争力を持つためには、現場起点のバーティカルAIを戦略の中核に据え、 勝ち筋のあるドメインで「質の高い現場
データ」と「それを継続的に集積・活用するインターフェース」を握り、ドメイン毎の独占的ネットワークを構築する戦略を採るべき
➢ 日本の各種産業現場には、熟練の勘や阿吽の段取り力、品質の作り込み、カイゼン力、顧客志向のサービスといった暗黙知が長年蓄積。暗黙
知ゆえに海外から模倣されておらず、極めて希少な資産。加えて、日本企業は産業用ロボット・工作機械や、アクチュエータ・センサー・制
御機器などハード面でも世界的な技術を持つことから、現場データのAI-Readyなデータ化やハード技術との融合にも強みを持つ
➢ こうした強みを生かすには、現場データのAI-Ready化とバーティカルAIのソリューションの開発・社会実装を両輪で進め、「実装 ⇒ データ
フィードバック ⇒ モデル更新 ⇒ 再実装」が連続的に回るデータ循環を各産業で確立することが必要。この循環の出発点となる現場データの
AI-Ready化のインターフェースを押さえたプレーヤーが新たな独占ゲームにおいて優位性を持つ可能性
➢ 前提として、経済安全保障のリスク緩和やを産業競争力の持続性確保を勘案し、国産マルチモーダル基盤モデルを整備することも重要
➢ バーティカルAIをグローバルにスケールさせる成長モデルは、現地企業とのパートナーシップによる分業が主流となるが、その度合いは、
「業務・現場の個別性」や「規制強度」によって異なり得る
✓ 「業務・現場の個別性」が高く、品質・コンプライアンス等の「規制強度」が高い領域(製造・重工・インフラ、医療・公共インフラ、防
衛など)は、それぞれの国・地域の特殊性に適合したビジネス展開が合理的となるため、現地企業とのパートナーシップが現実的。物量作
戦とプロフィット・シェアにおける工夫で面的なパートナーシップを形成し、いち早くリーディングプレイヤーの位置を確保すべき
✓ 「業務・現場の個別性」や「規制強度」が相対的に低い領域(モビリティの共通機能、空港/港湾の標準タスク、小売等の反復業務など)に
ついては、より高い一体性を持つ垂直統合と水平分業のハイブリッドモデルが有効。 この型では、「領域特化AIモデル+実行基盤+標準オ
ペレーション」の三点をパッケージ化して国・地域を横断で展開することで、スケールメリットを最大化
44
現状
環境変化
構造変化
日本のグローバル産業の勝ち筋
政策
④ デジタル産業型の戦略方向性(各業種/分野に通底する課題と必要な政策) (2/2)
⚫ 成長に向けた課題/チョークポイント
⚫ 政策の方向性(仮説)
1. AI-Readyな現場データの不足
➢ 設計図面や製造ノウハウ等、日本が強みとする現場デー
タは構造化されたAI-Readyなデータ化されておらず、
AXによる構造転換の前段階のフェーズ。
➢ バーティカルAIの開発に向けては、こうした良質な現場
データの「質・量」が鍵を握るが、各社の競争優位性の
源泉でもあることから、業界・ドメイン単位でのデータ
セット整備は難易度が高い。
1. AI-Readyなデータを整備するプラットフォームの創出
➢ 製造現場等に眠る良質な現場データの構造化を促すべく、AI-Ready化
手法の確立・標準化や、データセット・データ連携基盤の構築を担う国
産プラットフォームを創出。
➢ 競争領域においてAIによるスケーラビリティを高めるためには協調領域におけるデー
タ連携・標準化が重要。新たな協調領域・競争領域に対応した企業・産業再編
を促進。
2. バーティカルAI開発に必要な基盤・リソース制約
➢ バーティカルAIやアプリケーション開発の基盤となるマ
ルチモーダル基盤モデルの開発においては、米中が先行。
➢ モデル開発に必要な計算資源は各国が獲得競争に乗り出
しており、計算資源の不足がモデル開発の制約要因とな
るリスク。
3. AI社会実装に必要な事業環境が未整備
➢ 自動運転等、AIによって構造転換を図る新たなソリュー
ションが登場しつつあるが、データの利活用やアプリ
ケーションの社会実装に向けた制度・ルールの整備が追
いついていない状況。
➢ また、AIの開発・利活用を担う専門人材の量・質におい
ても米中に劣後しており、開発スピードの遅れに直結す
るリスク。
2. AIアーキテクチャを構成する重要レイヤーの基盤強化
➢ 経済安全保障のリスク緩和やを産業競争力の持続性確保を勘案し、国産
マルチモーダル基盤モデルを整備。
➢ AIロボット、工場の自律・最適制御、自動運転等に向けたフィジカル領
域やエンタープライズ領域を中心に、領域特化AIモデルの開発を支援し、
日本の「勝ち筋」を創出。
➢ アプリケーションレイヤーにおいては、懸賞金制度を活用し、社会課題
解決に資するソリューションの開発を支援。
3. 規制・制度改革、AX人材の育成
➢ データ利用に関する制度、 AIによって構造転換を図る新たなソリュー
ションに関連する規制等の抜本的な見直しを随時検討し、AX時代に適
した規制体系を構築。
➢ AX時代において必要となるデジタル人材のスキルセットを見える化し、
その獲得に向けたリスキリングや労働移動等を支援。
45
現状
環境変化
構造変化
日本のグローバル産業の勝ち筋
政策
⑤ 資源・エネルギー型の戦略方向性(各業種/分野に通底する課題と必要な政策)(1/2)
⚫ 勝ち筋:如何に国内外のマーケットを獲得するか/如何に(国内含む)グローバルバリューチェーンで付加価値を創出するか
前提:エネルギー、重要鉱物ともに海外依存度が高く、企業規模も世界では中小規模に分類される中、以下の通り、資源・エネルギーの安定供給
と関連機器の海外展開に向けた戦略を示す。
⚫ 基本戦略:企業と政府が緊密に連携した資源・エネルギー確保戦略
➢ 国内の大規模オフテイカーをレバレッジとした先行的な海外権益確保
✓ エネルギー、重要鉱物ともに海外依存度が高い我が国としては、国産エネルギー/代替資源の開発促進とともに安定した海外調達の確保が必
要不可欠。
✓ 特に市場が黎明期である先端的な資源・エネルギー分野については、安価でアクセス性が良く、かつ経済安全保障上のリスクが低い海外権
益は希少性が高く、先行して確保することが資源・エネルギー型産業における成長の実現と経済安全保障の確保、いずれの観点からも必要。
✓ こうした資源・エネルギーについては大規模・長期・安定的な需要が保証されていることが大きなレバレッジとなり得る。こうした国内需
要をてこに、海外大型権益を先行的に確保し、メジャーとしての先行的地位を獲得。
✓ また、重要鉱物については、上流権益に加え、鉱山開発から製錬、加工に至るまでの一連のサプライチェーンを国内及び同志国と確保し、強靱なサプライ
チェーンを構築。
➢ サプライチェーン全体を構成するカギとなる関連機器をO&M・規制規格整備まで含めたパッケージとしてグローバル展開
✓ グローバルなサプライチェーンの各フェーズを構成する主要な関連機器を海外展開。耐久性・安全性やきめの細かいO&Mを日本の差別化要
素とするとともに、制度整備が進んでいないGS市場等を先行的に獲得することで、日本仕様のデファクト/デジュールスタンダードを相手
国において構築、後発国に対する参入障壁としていくとともに、将来的にはこうした規制・規格のグローバルスタンダード化を目指してい
く。
46
現状
環境変化
構造変化
日本のグローバル産業の勝ち筋
政策
⑤ 資源・エネルギー型の戦略方向性(各業種/分野に通底する課題と必要な政策) (2/2)
⚫ 成長に向けた課題/チョークポイント
⚫
⚫
⚫
高い海外依存度
➢ エネルギー、重要鉱物ともに海外依存度が高いことから、
国産エネルギー/代替資源の開発促進とともに安定した海
外調達の確保が日本経済・産業にとって重要。
➢ とりわけ近年は、地政学リスクの高まりを受け、希少
性・偏在性が高い重要鉱物を中心に、戦略的活用の対象
となり、供給途絶リスクが向上。
事業判断を躊躇させるハイリスク性
➢ エネルギー関連投資は長期・大型プロジェクトとなるも
のが多く、地政学的リスクをはじめとした需給両面にお
ける不確実性も相まって、ハイリスク。
➢ こうしたハイリスクな投資判断を後押しするリスクマ
ネー供給もデット/エクイティ両面において不足。
グリーン価値等に関する規制・規格の未整備
➢ 特にクリーンエネルギーについては、グリーン価値等に
関する国内の規制・規格やグローバルスタンダードの整
備が進まず、関連投資や市場創出の足かせに。
⚫ 政策の方向性(仮説)
⚫
エネルギー自給率の向上
➢ 再生可能エネルギー、原子力などエネルギー安全保障に寄与し、脱炭素
効果の高い電源を最大限活用することにより、エネルギー自給率を向上。
⚫
海外権益の戦略的獲得・サプライチェーン強靱化
➢ 海外権益獲得に向けたJOGMECによる出資等を実施。
➢ 特に重要鉱物については、鉱山開発から製錬、加工に至るまでの一連のサプ
ライチェーン強靱化に向けた有志国連携の強化とともに、国境調整型の
プライスフロアを含めた貿易政策やメカニズムを検討。
⚫
リスクマネー供給の拡大
➢ 企業の資金調達手段をエクイティ/デット両面から高度化・多角化して
いくとともに、貿易保険を通じ、事業の中止リスクを緩和。
⚫
国際的なルールメイク・枠組み作り
➢ CO2削減量等の非価格価値の定義・標準の相互運用性、測定方法の透明
化による信頼性を担保し、市場拡大のインフラを整備。
➢ 特に先端的なエネルギー供給源については、市場が成立する前から、海
外展開支援とターゲット国と一体となった標準戦略の構築を同時展開。
相手国のデファクト/デジュールスタンダードを日本仕様とし、当該市
場をロックイン。
47
現状
環境変化
構造変化
勝ち筋
産業・通商・経済安保政策の方向性
政策目的に応じたリソースの重点化と政策手段についての基本的考え方
⚫ 政府・民間双方において、人・カネ・データ等のリソースに一定の制約がある中、全体としてのリソースの拡大は進めつつ
も、どの産業・機能に重点的に政策リソースを投じるべきか、優先度や政策強度についての考え方を整理することが必要。
⚫ 具体的には、 ①経済成長への貢献度が高い産業・機能、②経済活動等の持続性への影響が大きい産業・機能(他産業・機能
への波及効果、希少性等)、③公共性・公益性が高い産業・機能について、重点的に国内立地や有志国連携を通じて確保。
(1)経済成長の実現
【重点化の考え方】
•
①グローバル市場の規模・成長性、②日本産業の勝ち筋、③国内裨益性を総合考慮して評価(例えばGXのように中長期的な市場成長が見込まれるものについても評価)。
•
前段で整理した産業類型は、「②日本企業・産業の勝ち筋」の蓋然性を判断する際のフレームワーク。グローバル競争下では、Winner takesの原理が働くため、グローバ
ル市場でのトップシェアを狙う産業に重点化することが基本。その上で、2番手・3番手のシェアであっても、一定の持続的なプレゼンスを発揮し得る産業や、(2)の
「経済活動等の持続性」を支える産業であれば、重点的に政策を講じるべき。
【政策手段の考え方】
•
企業自らがリスクを取った戦略投資やマーケット創造等を行える、ワールドクラスの企業経営への転換が根幹。
その上で、こうした企業活動を支えるファイナンス等のOS改革や、官も大胆かつ戦略的にリスクを取る産業政策を講じていく。
•
また、GXや先端技術等、通常の経営の時間軸では経済合理性が成立しづらい場合は、政府によるマーケット創造等、政策強度を強化する。
(2)経済活動等の持続性
【重点化の考え方】
•
資源・エネルギーやデジタル等の他産業にとってのOSともなり得る産業や、経済安全保障リスクを持つ産業(①希少性・偏在性が高く、他国が優位性・不可欠性を有す
る産業、②我が国の優位性・不可欠性を失う恐れがある産業等)について、国内、あるいは有志国に産業基盤を保有することが基本。
•
供給途絶等が発生した場合や優位性の喪失を通じて今後他国に依存する恐れが生じる場合は、他の経済活動等への影響が甚大となり得るため、政策リソースを拡大してで
も、必要な技術・物資等については、基本的には政策的措置の対象とする。
【政策手段の考え方】
•
支援的手法に加え、規制的手法も必要であれば講じる。限られた政策リソースを前提とすれば、有志国との連携強化も不可欠。
(3)公共財の提供
【重点化の考え方】
•
外交上の戦略的関係の構築、社会保障関連、防衛力の強化といった国家が提供すべき公共的価値の実現に資する産業とするため、必要な技術・物資等については、基本的に
は政策的措置の対象とする。
【政策手段の考え方】
•
官民の戦略的連携のあり方について検討。支援的手法に加え、規制的手法の政策も、必要であれば政策的措置を講じる。
48
現状
環境変化
構造変化
勝ち筋
産業・通商・経済安保政策の方向性
政策目的と政策の強度・方向性の対応関係
政策措置の対象の考え方
経済成長の
実現
経済活動等の
持続性
公共財の提供
対象産業例(※)
主な国内政策(産業政策・経済安保政策)の例
(下記以外)
ー
⚫
⚫
他国の産業政策を踏まえ、レ
ベルプレイングフィールドを
確保すべき領域
ー
(上記に加え)
⚫ R&D・設備投資支援、トップ人材確保
(上記に同じ)
中長期的な市場創出・成長投
資が必要な領域(GX/先端技
術領域等)
⚫ 自動車
⚫ 先端材料化学
⚫ 製薬
⚫ 量子
・・・
(上記に加え)
⚫ 市場獲得促進・需要創出(規制、公共調達、
補助、非価格要素考慮)
⚫ 技術流出防止
(上記に加え)
⚫ GS補助金等財政支援による海外展開支
援
(経済活動等への影響の広
さ・大きさ、戦略的自律性・
不可欠性の確保の必要性を総
合考慮して政策手法を決定)
⚫ AI
⚫ 半導体
⚫ ロボット
⚫ 工作機械
⚫ 造船
⚫ 鉄鋼
⚫ 石油化学
⚫ 重要部素材
⚫ 重要鉱物
・・・
(上記に加え)
⚫ 製造能力・産業基盤等の構築に向けた政策的
措置の強化
⚫ 代替物資・技術確保
⚫ 値差支援
⚫ 上市規制
(上記に加え)
⚫ 輸出管理・投資管理
⚫ 貿易救済措置の活用
⚫ サプチェン強靭化・経済安保確保に向
けた同志国連携
⚫ エネルギー
⚫ 防衛
・・・
⚫
⚫
⚫
企業経営改革
OS改革
主な対外政策(通商政策・経済安保政策)
の例
製造能力・産業基盤等の構築に向けた政策的
措置の強化
公的義務の設定(供給確保義務等)
国による直接関与(GOCO等)
⚫
⚫
⚫
⚫
ルールベースの自由貿易
公的支援機関による海外展開支援
(JETRO,NEXI,JBIC等)
輸出管理・投資管理
OSA等政府主導の提供
※列挙されている産業のすべての事業者に当てはまるものではない他、他の対象領域にも該当しうる産業は存在することに留意。49
1. マクロ経済運営のあり方
2. グローバル競争型産業
3. 新技術立国・競争力強化
4. 好循環のミッシングピースである消費活性化
5. 未来の経済社会システムのあり方
50
成長戦略の概要
⚫ 2025年11月に日本成長戦略本部を立ち上げ。
⚫ リスクや社会課題に対し、先手を打った官民連携の戦略的投資を促進し、世界共通の課題解決に資する製品、サービス
及びインフラを提供することにより、 更なる我が国経済の成長を実現するため、17の戦略分野と8つの分野横断的課題につ
いて検討を進める。
官民連携での「危機管理投資・成長投資」の促進
分野横断的課題への対応
「危機管理投資」・「成長投資」の戦略分野における、大胆な投資促進、国際展
開支援、人材育成、産学連携、国際標準化といった多角的な観点からの総合
支援を講じていく。
<8つの分野横断的課題>
① 新技術立国・競争力強化
<17の戦略分野>
② 人材育成
① AI・半導体
⑪ 創薬・先端医療
② 造船
⑫ フュージョンエネルギー
③ 量子
⑬ マテリアル(重要鉱物・部素材)
④ 合成生物学・バイオ
⑭ 港湾ロジスティクス
⑤ 航空・宇宙
⑮ 防衛産業
⑥ デジタル・サイバーセキュリティ
⑯ 情報通信
⑦ コンテンツ
⑰ 海洋
⑧ フードテック
⑨ 資源・エネルギー安全保障・GX
⑩ 防災・国土強靭化
新技術立国・勝ち筋となる産業分野の国際競争力強化に資する戦略的支援。
未来成長分野に挑戦する人材育成のための大学改革、高専等の職業教育充実。
③ スタートアップ
世界に伍するスタートアップエコシステムを作り上げ、持続可能な経済成長と社会課題
解決を両立。
④ 金融
金融を通じ、日本経済と地方経済の潜在力を解き放つための戦略の策定。
⑤ 労働市場改革
生産性の高い分野への円滑な労働移動や働き方改革を含めた労働市場改革。
⑥ 家事等の負担軽減
介護、育児等によりキャリアをあきらめなくてもよい環境の整備。
⑦ 賃上げ環境整備
物価上昇を上回る賃上げが継続する環境整備(中小企業等の生産性向上・事業
承継・M&A等)。
⑧ サイバーセキュリティ
サイバー対処能力強化(技術開発・人材育成加速)。
51
AXによる経済社会構造変革
産業構造
就業構造
産業
企業間連携
各レイヤーで発生する変化(イメージ)
⚫ 産業構造の大転換 → 付加価値構造、プレーヤー構造(大企業/中小/SU)、地理的構造(大都市圏/
地方)、グローバル構造(新たな国際分業と覇権)全ての断面で構造転換が発生
⚫ AIドリブンの産業構造転換を世界に
先駆けて実現
⚫ 就業構造の大転換 → 東京圏を中心としたホワイトカラーの余剰化と、地方を中心とした経営・現場人材と
AI・ロボティクス人材の不足の構造的なミスマッチである「知的スマイルカーブ」が発生
⚫ 構造的人手不足の地方、トップダウ
ンで機動性の高い中堅・中小企業を
突破口にAXを実現
⚫ バリューチェーンの再構築 → ユニーク・データのプラットフォーマーやバーティカルAIモデルレイヤーが競争力の高
い高収益なドメインとなり、新たな独占ゲームが展開される可能性
⚫ 高収益のドメインで勝ちきる企業群
の形成
⚫ 協調領域と競争領域の変容 → 基盤モデルの協調領域化(インフラ化)⇔バーティカルAIの競争領域化、
競争領域においてAIによるスケーラビリティを高めるためには協調領域におけるデータ連携・標準化が重要
⚫ 新たな協調領域・競争領域に対応
した企業・産業再編
⚫ 組織内部の変革 → バックオフィスの爆発的効率化、ミドルマネジメントの変容、経営意思決定の高度化
企業
⚫ ビジネスモデルの変革 → AIをコアとしたデータ・ソフトウェア・サービスモデルが稼ぎ方の主流、特にフィジカルとの
融合領域が主戦場
⚫ 新たな価値提供の可能性 → 新たなサービスの創出、潜在需要の顕在化、経済活動の高速回転化
⚫ 人の役割の見直し:意思決定・価値判断・創造・対人関係・フィジカル → 従来のホワイトカラーの価値激減
個人
⚫ 「AIを使うスキル」が「前提条件」化 → AIレディのスキルのレベルで生産性・報酬の格差拡大のリスク
⚫ 生産性の大幅アップ→可処分時間拡大(→消費活性化)、ポートフォリオ・ワーカー(複数ジョブ)の出現
⚫ AX実現の前提となるCXの実現
⚫ ビジネスモデル変革を含め、AIドリブ
ンでの価値創出を「勝ち筋」化
⚫ 人の役割の見直しに対応したAIレ
ディなスキルの標準装備
⚫ 新たな働き方・ライフスタイルへの対
応
AIエコシステムの整備を通じてAXによる経済社会構造の変革を実現
アプリケーション
個社特化モデル
領域特化モデル
マルチモーダル基盤モデル
データインフラ
計算インフラ
フ
ィ
ジ
カ
ル
AI
生成AI
モデル
AI
AI
エコシステム
バ
ー
テ
ィ
カ
ル
⚫ フィジカルAI領域を中心に、AIドリ
ブンのAIエコシステムを形成
⚫ グローバルサウス等への海外展開、
国際連携
52
1. マクロ経済運営のあり方
2. グローバル競争型産業
3. 新技術立国・競争力強化
A) あらゆる分野の産業競争力強化のカギとなるAXの推進
A)-1 地方も出発点としたAXによる産業構造・就業構造転換
A)-2 実現に向けたデジタル産業基盤の確保などグローバル立地競争力の強化
B) 「責任ある積極財政」を通じた「危機管理投資」・「成長投資」の推進
C) 新技術立国の実現とグローバル市場の獲得・経済安全保障の強化
C)-1 「技術で勝ってビジネスでも勝つ」、新技術立国
C)-2 グローバル市場の獲得・経済安全保障の強化
4. 好循環のミッシングピースである消費活性化
5. 未来の経済社会システムのあり方
53
ES産業政策・制度的措置の方向性
産業構造審議会 地域経済産業分科会 地域生活維持政策小委員会 中間報告(令和7年12月18日公表 要旨)
1.ES供給事業の社会的認知度の向上等
⚫ESの供給は、人々の生活維持に不可欠なものであり、また、産業の担い手を支えるエコシステムであり、公益性が高い。ES供給
事業のこうした位置づけの社会的認知を高めるためには、国がその意義を制度的に位置づけて対外的に明らかにする仕組みを
講ずることが有効。その結果、企業間連携や官民連携の促進、生活圏及び商圏における住民理解の醸成等につながる。
⚫制度的措置の立案・運用に当たっては、ESに関する制度・事業所管省庁や地域社会に関わる関係府省庁との連携が不可欠。
2.ES供給の持続性確保のための方策
(1)事業の採算性向上の支援
⚫厳しい事業環境にあるES供給事業の継続のためには、事業採算性を確保するための工夫が必要。事業運営の効率化として、①
業務効率化・省力化、②広域化、③多角化の手法が考えられる。上記の手法は、事業主体の合理化を通じて実現されることも。
⚫こうした取組を後押しするため、各種補助金の弾力的運用のほか、これまで産業政策として講じてきた資金供給の円滑化の
ための金融支援(信用保証・信用保険、債務保証、公的金融機関による低利融資等)を、”ES供給の持続性確保”というミッ
ション志向で活用することが有効。
(2)多様な主体の参画の促進
⚫様々な事業環境におけるES需要を満たすためには、 株式会社等の企業のほか、生協、農協等の協同組合、公益法人、労働者協同組
合(労協)、NPO等の中間団体の参画が重要。自社の短期的な利益だけでなく地域経済の中長期的な利益を見据えてES供給事
業を担う地域密着型企業も重要な役割を担う。
⚫中間団体の参画の促進には、事業協同組合等の設立要件の緩和、消費生活協同組合の員外利用に係る手続の簡素化、労協の資
金制約の緩和、地方公務員が参画する場合における手続の円滑化等の措置が有効。
3.ES供給事業の支援体制の整備
⚫事業者の取組を後押しするため、地域の社会経済・産業を支える社会インフラとしての責務を自認する諸団体(商工団体、地
域金融機関、協同組合連合会(生協等)、郵便局、ES関連産業・職能団体等)がES供給事業者の支援に参画する枠組みを構築
することが重要。
54
⚫地方公共団体がこうした団体の参画を募り、各者の知見やノウハウを共有する場の設定も有用。
産業競争力強化法改正法案(生活維持物品役務需要減等事業適応計画)の概要(案)
事業者によるエッセンシャルサービス供給事業の持続性確保に資する事業運営の効率化に取り組む事業計画の認定制度を創設
し、エッセンシャルサービスの公共的意義を制度的に位置づけて社会的認知を向上させるとともに、認定事業者に対し、資金供給の
円滑化のための金融支援等を措置。あわせて、エッセンシャルサービス供給事業者の伴走支援を行う支援機関の認定制度を創設。
認定事業者に対する法律上の措置
国
実施指針提示
事業運営の効率化の促進
市町村、都道府県、主務大臣
申請
⚫ 資金供給の円滑化のための金融支援
✓信用補完制度(信用保証・信用保険)による特例
※1 自治体の場合、主務大臣への意見聴取
※2 主務大臣の場合、当該大臣から自治体への意見聴取
※認定労働者協同組合への信用保証も措置
認定
民間事業者等:認定生活維持役務等供給効率化計画
✓中小機構等による債務保証
✓日本政策金融公庫等による特定事業者への特別利率による制度融資 等
○対象事業:
生活の維持に必要な物品、物品の輸送、旅客輸送その他の役務を
供給する事業を効率化する事業
※食品等の小売(コンビニ、スーパー等)、交通(バス、タクシー等)、運送、SS、
自動車整備その他の生活の維持に必要なサービス
○事業主体:
企業、協同組合(生協、農協、労協等)、公益法人、NPO 等
○効率化(生産性向上)の方法:
合理化(省力化・業務効率化)、多角化又は広域化その他の事業の効率化
支援
申請
認定
認定生活維持役務等供給効率化支援機関
・計画策定・伴走、情報提供等を実施する支援機関を認定
※ 商工団体、地域金融、各種協同組合連合会、産業・職能別団体等を想定
生活維持役務等供給効率化支援協議会
・市町村又は都道府県は認定支援機関等を構成員とする協議会を組織することが
可能
多様な主体の参画の促進
⚫ 事業円滑化
✓生協の員外利用許可と事業計画の認定手続のワンストップ化
✓地方公務員が事業計画へ参画する場合の兼業許可権者との事前協議
(認定・許可の判断の整合性を確保し、円滑な事業実施を可能に)等
⚫ 組織変更等
✓事業協同組合等の設立要件の緩和(発起人数:4人→3人)
✓免責的債務引受けを伴う事業譲渡における被承継会社の債権者保護手続
の簡素化 等
※労働者協同組合を譲受人とする場合(ワーカーズバイアウト)も含む
55
中小企業のAX(AI Transformation)の促進
⚫ 中小企業は意思決定が早く、現場の声をすぐに反映できる柔軟性を有することや、現場で培われたノウハウなどAIが学習
できる「現場の知見」が豊富に存在することから、フィジカルAIの導入・活用などAXが多くの中小企業において進めば、
中小企業のポテンシャルを最大限引き出し、事業を大きく変革する可能性を秘めている。
⚫ また近年、生成AIが急速に発展。年間数万円のサブスクのような少額な投資でも、仮に社内エンジニアが不在でも、経営
者の意思や想像力次第で、業務を大きく変革する可能性を秘めている。
⚫ こうしたことを踏まえ、中小企業のAXを促すため、以下のような取組を検討中。
① 中小企業のAX促進のため、AIの導入意欲のある中小企業とAIサービス提供者、支援者のネットワーク構築を地域ご
とに支援(自治体・金融機関・高専等と連携)
② 中小企業の自主的な省力化・デジタル化を後押しする生成AIツールの社会実装
気づき
自経
発営
的者
な・
行企
動業
促の
進
企前
業向
へき
のに
サ取
ポり
ー組
トむ
現状分析・課題設定
AX・デジタル化・省力化の実行・定着
省力化補助金 一般型
省力化ナビ
②生成AIツールによるデジタル化・省力化支援
省力化補助金 カタログ注文型
デジタル化・AI導入補助金
①中小企業AX促進のための
ネットワーク構築
支援機関による伴走支援
よろず支援拠点 生産性向上支援センター
商工会・商工会議所
56
エッセンシャルサービスの供給を担うステークホルダーのスペクトラム
第4回 地域生活維持政策小委員会
資料8より抜粋(2026年2月25日)
⚫ 「民間」か「公共」かではなく、公的主体と私的主体の間に公私の境界を超えた多様な形態の主体が存在。
⚫ エッセンシャルサービスの供給の持続性確保には、多様な主体間の相互連携や組み合わせが重要。
民間セクター
中間団体/セクター
郵便局
内需型企業
株式会社
(営利企業)
社会的企業
地域密着型企業
住民出資会社
公共セクター
商工団体
中小企業組合
生協
農協
労協
公設民営
公営
産業団体
職能団体
大学等教育機関
57
政府、企業、中間団体等、多様な主体の参画
⚫ マギル大学経営大学院教授のヘンリー・ミンツバーグは、「政府セクター」「民間セクター」「多元セクターの団体」
(協同組合、商工会議所、職能団体、業界団体、公益法人等の中間団体)のバランスが重要と指摘。
⚫ エッセンシャルサービスの維持のためには、政府、企業に加えて、中間団体等、多様な主体の参画が必要。
ヘンリー・ミンツバーグ『ミンツバーグの組織論』より
エッセンシャルサービス産業政策の体系
(出所)産業構造審議会 地域経済産業分科会 地域生活維持小委員会 中間報告「エッセンシャルサービス産業政策ーエッセンシャルサービスの供給の持続性確保に向けた制度検討ー」(令和7年12月18日)
58
AX時代における産業人材の育成に向けた具体的取組
産業界の
人材ニーズ
可視化
• 2040年に向けた経済・産業構造のシナリオ定量化等を踏まえ、AX時代における地域ごとの産業界の人
材需要および産業横断的なスキル体系・標準の整理
• 地域ごとに産学連携での人材育成を議論する場の構築(地域人材育成構想会議の開催)
大学・高専
教育段階
に応じた
人材育成
産業界による
コミットメント
• 産業界と連携した成長分野への学部再編等の推進(例:大学・高専機能強化支援事業(成長分
野転換基金))
• 新技術立国の核となる、高い研究力を有し、産業競争力強化に貢献する大学の実現に向けた検討
高校
• 「高校教育改革に関する基本方針(グランドデザイン)」に基づき策定する都道府県ごとの実行計画を
もとに、専門高校の機能強化・高度化や普通科高校の特色化・魅力化等を実施。AX時代における地
域に必要なアドバンスト・エッセンシャルワーカーや新しい価値を創造する人材等の育成を実施(例:高等
学校等教育改革促進基金)
• 産業界から教育機関等への資金提供の後押し(例: 企業版ふるさと納税の活用 等)
• 高度人材を含む産業人材の処遇を含めた活躍環境整備に向けた取組強化(例:情報開示等
による人的資本経営の促進、処遇含めたスキル需給の可視化
等)
59
産業人材の確保に向けたスキルベース労働市場の形成
⚫ 産業横断的に求められるスキルを体系的に整理するとともに、スキルベースの労働需給を可視化すること
で、スキルをもって産業間を円滑に労働移動することができる環境を整備する。
⚫ また、関係省庁とも連携して需要の高いスキルの習得に向けたリスキリング実施体制の拡充を図る。
職業関連情報
〈スキル体系イメージ〉
・jobtagの職業情報
・企業の求人情報
等
AIによるスキル情報抽出・体系化
カテゴリー
スキル
製造
設備
品質
ねじ締結作業技能
基礎配線施工
試験評価実務
成形加工技術
製造装置の稼働維持
食品安全基準遵守
約30
カテゴリー
・・・ 約1300
スキル
・・・
・・・
AIにより職種ごとに必要なスキルを特定
生産工程従事者
半導体製造従事者
製造/設備等 26スキル
専門的・技術的職業従事者
バイオテクノロジー技術者
製造/品質等 18スキル
航空整備士
電気通信技術者
・・・
・・・
・・・
60
1. マクロ経済運営のあり方
2. グローバル競争型産業
3. 新技術立国・競争力強化
A) あらゆる分野の産業競争力強化のカギとなるAXの推進
A)-1 地方も出発点としたAXによる産業構造・就業構造転換
A)-2 実現に向けたデジタル産業基盤の確保などグローバル立地競争力の強化
B) 「責任ある積極財政」を通じた「危機管理投資」・「成長投資」の推進
C) 新技術立国の実現とグローバル市場の獲得・経済安全保障の強化
C)-1 「技術で勝ってビジネスでも勝つ」、新技術立国
C)-2 グローバル市場の獲得・経済安全保障の強化
4. 好循環のミッシングピースである消費活性化
5. 未来の経済社会システムのあり方
61
デジタルエコシステムの全体像
我が国産業の国際競争力強化と「強い経済」の実現
産業や公共・準公共のDX
製造業
金融
物流
公共
医療・介護
農林水産
防衛
・・・
日本成長戦略本部で決定した17の戦略分野をはじめとする多様な産業分野
+
AI-Ready化データの整備
業界横断のデータ連携
サービスの提供・更新
データのフィードバック
市
場
ニ
―
半
導
体
・
デ
ジ
タ
ル
分
野
の
人
材
育
成
ズ
に
合
致
し
た
人
材
の
育
成
AI・デジタルサービスの創出
アプリケーション
高品質な
データ
セット
個社特化モデル
バーティカル
AI
フィジカル
AI
領域特化モデル
AI
ロボティクス
マルチモーダル基盤モデル
データ基盤
サービスに最適化された
計算基盤の設計と供給
計算基盤の需要創出
/設計のフィードバック
クラウド・エッジ基盤の高度化
計算基盤(クラウドサーバ・エッジデバイス)
最先端半導体
電源
システム
通信
インフラ
パワー・アナログ
半導体等
新
た
な
脅
威
へ
の
対
応
サ
イ
バ
ー
セ
キ
ュ
リ
テ
ィ
産
業
基
盤
の
構
築
装置・部素材サプライチェーン
62
第1回AI・半導体ワーキンググループ
資料4 事務局資料より抜粋(2026年2月12日)
我が国半導体戦略の基本方針
⚫ 2030 年に、国内で半導体を生産する企業の合計売上高(半導体関連)として、15 兆円超
(※2020年現在5兆円)を実現し、我が国の半導体の安定的な供給を確保する。
医療
Step 1:半導体生産基盤強化
⇒生産ポートフォリオの緊急強化
産業機械
自動車
3%
1%
産業機械
産業機械
1%
11%
自動車
スマートフォ
通信
2%
医療
7%
8%
医療
ン
通信
28%
3%
2025
スマート
フォン
15%
16%
スマートフォ
ン…
9%
2030
家電
5%
家電
自動車
4%
10%
PC
11%
2035
家電
データセンター
31%
6%
PC
16%
データセン
PC
14%
ター…
市場規模全体:約107兆円
市場規模全体:約139兆円
Step 2:次世代半導体の技術確立
⇒グローバル連携による次世代半導体
技術の習得・国内での確立
通信
3%
データセン
ター
39%
市場規模全体:約189兆円
Step 3:将来技術開発
⇒光電融合技術など将来技術の実現・実装
時期の前倒し
(出所)YOLE GROUPのデータを基に経済産業省作成 https://www.yolegroup.com/product/report/overview-of-the-semiconductor-devices-industry-h1-2025/
63
AIサプライチェーンの各ドメインの考え方
アプリケーション
⚫ 現場で使えるサービス開発、利活用できる人材育成等により、幅広い現場、
企業におけるAI利活用・投資促進を進めるべきドメイン。
アプリケーション
個社特化モデル
生
成
A
I
モ
デ
ル
個社固有データ
領域特化モデル
各産業領域データ
マルチモーダル基盤モデル
計算インフラ
A
I
と
ハ
ー
ド
の
融
合
AIとハードの融合(フィジカルAI)
⚫ AIロボティクスをはじめ、日本の製造業の強みを活かし、将来にわたって
トップクラスの国際競争力を確保すべきドメイン。
⚫ ソフトウェアとハードウェアのオープンな開発環境の構築が必要。
領域特化モデル
⚫ 日本が強みを持つ製造プロセス管理、災害・高齢化対応、化学物質開発、
コンテンツ制作等を支援・強化するAIモデルは、世界市場で大きなポジショ
ンを占めるようにすべきドメイン。
⚫ 日本が強みを持つ現場に蓄積されているデータの活用が重要。
マルチモーダル基盤モデル
⚫ 上位層モデルの強みを支える特色を持つとともに、上位層モデルが社会インフ
ラとして安心して利用できるようにすべきドメイン。
⚫ 学習・推論に多大な電力を消費するため、低消費電力で動作するモデルが
必要。
計算インフラ
⚫ 国内において信頼できる高効率な計算インフラを整備していくべきドメイン。
グ
ロ
ー
バ
ル
サ
ウ
ス
等
へ
の
海
外
展
開
64
第1回AI・半導体ワーキンググループ
資料4 事務局資料より抜粋(2026年2月12日)
国産のマルチモーダル基盤モデルの開発
⚫ まずは、日本企業で一般的に活用されるオープンモデルと同程度の基本性能のモデルを開発。
⚫ それ以降はAIロボットや工場の自律・最適制御、自動運転等を念頭に、扱えるデータの多様性や思考
の深さをステップ・バイ・ステップで獲得する方針。
ユーザー
今後
現在
領
域
特
化
モ
デ
ル
日本
クローズド
モデルの利用
・各産業領域の言語データ等を学習しモデル開発
⇨ GENIACを通じて、学習に必要な計算資源
を補助し、領域特化モデルの開発を促進
・AIロボット、工場の自律・最適制御、自動運転等に向け
た開発。
⇨ 現場データのAI ready化推進や、AIRoAによる
ロボットデータの収集・加工等を支援し、開発促進
ロボット関連データ
オープンモデル
の利用
基
盤
モ
デ
ル
フィジカルAI
製造業関連データ
自動運転関連データ
マルチモーダル
基盤モデルの利用
マルチモーダル基盤モデル
海外
大規模言語モデル
・ウェブ上に十分に存在しない多様なデータが必要。
・日本の高品質な現場データを安心して学習できる マル
チモーダル基盤モデルが必要。
データ
の収集
高品質かつ多様なデータ
言語AIが中心
(近年は音声・画像等の入出力も可能)
フィジカルAIが中心
(動画や摩耗・熱等の物理特性データの入出力)
65
製造業データ等のAI-Ready化の推進
第1回AI・半導体ワーキンググループ
資料4 事務局資料より抜粋(2026年2月12日)
⚫ 製造業等の企業内データのAI活用を進めていくにあたり、データを意味・関係性付けし、AIが理解しやすい
高品質データとして管理していくAI-Ready化が不可欠。
⚫ セキュリティ・ガバナンスの観点も踏まえつつ、AI-Ready化手法の確立・標準化を支援することにより、
サービサーを育成し、取組を面的に進めていくことが重要。
◼ データセキュリティ・ガバナンス
AIモデル
(統一された管理/継続的な改善)
•
•
匿名化、暗号化などデータ保護のための処理
データの利用権限や利用使途の管理 等
◼ AIが理解できるデータへの変換※
(分かりやすい構造/適切なサイズ/意味付け/高い品質)
例:手順書
専門的な知見(図面の読み方・
部品知識等)がなければ読解し
にくい
データの意味情報
• 手順番号、図の説明
• 関連する部品情報(寸法等) 等
AI-Ready化
手法を標準化し、
面的にAI-Ready化を
推進
製造業データ等
• 分かりやすい構造
→ 構造化、モデリング
• 適切なサイズ
→ チャンキング
• 適切な意味づけ → ベクトル化、ラベリング
• 高い品質
→ 誤り・偏りの少ないデータ
• 統一された管理 → ガバナンス、セキュリティ
• 継続的な改善 → モニタリング&フィードバック
A社
データ
B社
データ
C社
データ
・・・
出所:フライウィール社資料より作成
66
第1回 地域未来戦略本部 資料4 参考資料
より抜粋(2025年12月4日)
「地域未来戦略」で取り組む内容
地域未来戦略
(所信演説)“地域を超えたビジネス展開を図る中堅企業を支援し、大胆な投資促進策とインフラ整備を一体的に講ずることで、地方に大規模な投資を呼び込み、地域ごとに
産業クラスターを戦略的に形成していくことで、「地域未来戦略」を推進します。”
地域ごとに産業クラスターを戦略的に形成するとともに、地場産業の付加価値向上と販路開拓を強力に支援
地域ごとに戦略産業クラスター計画を策定
※ 日本成長戦略会議で挙げた戦略分野を中心に、地域のコミットメントを得ながら、知事とも連携し策定。
①成長投資促進策と一体のインフラ整備
○成長投資の促進
○GX産業立地
・「GX戦略地域」を選定し、
支援と規制・制度改革を
※ 別の会議体を中心に検討される予定。 一体的に措置
【GX実行会議WGで議論】
・成長投資促進策の検討
【日本成長戦略会議で議論】
○投資と一体での関連インフラ整備・人材育成
知事主導で
各都道府県における地場産業の成長プランを策定
②地域産業のエコシステム形成
○中堅・中小企業の投資・ビジネス展開
○地域イノベーション支援
・中堅・中小等の大規模設備投資への支援
・地域経済全体を底上げする100億企業の創出
・地域を支える中小・小規模事業者の持続的な発展に
向けた支援
・地域波及効果の高い企業への重点支援
・地方大学発、高専発スタートアップの創出・成長
支援
・地方大学や産総研の産官学連携拠点整備
・地域毎の投資・インフラ・人材需要を可視化し、必要な措置を検討
○人材育成・確保支援
・大企業人材の活用促進(レビキャリ等)
・地域一体での人材育成・確保
○産業用地の確保促進(集積立地の促進)
○エッセンシャルサービスの維持向上
・産業用地整備に関する金融措置等の検討
・規制見直し(緑地規制、工業用水等)に係る検討
・産業の担い手の確保のため、生活関連サービス
供給の持続化の支援枠組みの創設を検討
国内投資・立地促進に向け法制的な措置を検討
67
第2回 地域未来戦略に関する関係副大臣等会議
資料1より抜粋・加工(2026年3月4日)
地域未来戦略における3つのクラスター計画について(概要)
*:①AI・半導体、②造船、③量子、④合成生物学・バイオ、⑤航空・宇宙、⑥デジタル・サイバーセキュリティ、⑦コンテンツ、⑧フードテック、⑨資源・エネルギー安全保障・GX、⑩防災・国土強靱化、⑪創薬・先端医療、⑫フュージョンエネルギー、
⑬マテリアル(重要鉱物・部素材)、⑭港湾ロジスティクス、⑮防衛産業、⑯情報通信、⑰海洋
68
第2回 地域未来戦略に関する関係副大臣等会議
資料4より抜粋・加工(2026年3月4日)
A.戦略産業クラスター計画について
⚫ 「戦略産業クラスター」は、熊本のTSMCや北海道のラピダスを支えるクラスターのように、17の戦略分野に関する検討が主導する形で、企業の大規模投
資を中心に形成されるもの。
⚫ 分野別に、対象領域、課題等を戦略的に絞り込み、官民投資を促進するために策定される 「官民投資ロードマップ」の内容を踏まえ、勝ち筋として地域を
特定した産業クラスターの戦略的な形成が必要とされる分野では、「戦略産業クラスター計画」を策定を検討する。この中で、クラスターの形成に向けた障壁
となる課題(インフラ整備や分野特有の拠点整備等)を特定し、必要な政策手段※を明確化する。
※ 地域未来交付金や関係府省庁の支援策における審査上の考慮に加え、インフラ整備や分野特有の拠点整備、産業人材育成等に対する支援等を検討。
⚫ 国が作成主体となるが、関係都道府県からのプロジェクト提案を受け付けた上で策定する。
プロジェクト提案を受け付ける基準
官民投資ロードマップ
【日本成長戦略本部の下で、
春先に向けて作成作業が進行中】
➢ 個別の戦略分野の観点から、 勝ち筋となる製
品・技術等を特定。
※ 立地競争力強化の観点から、分野によってはインフラ整
備や分野特有の拠点整備等、産業人材育成の課題も
記載。
春以降、関係都道府県からの
プロジェクト提案を受付
(課題解決に向けた都道府県の取組内容)
戦略産業クラスター計画
【計画素案を基に国が作成】
✓ 地域・分野の設定
✓ 核となる投資案件
戦略産業クラスター計画素案
【地方経済産業局を中心に、
4月中を目途に作成作業を進める】
➢ 地域の経済発展等の観点から、クラスター形成
が望まれる地域・分野を特定。
※ 関係地方支分部局、地方公共団体、経済界等が加
わった検討会議で議論。
✓ クラスター形成に向けた
政策的課題
✓ 課題解決に向けた関
係ステークホルダーの取
組
✓ 国として実施する政策
的対応の方向性
✓ 目標となるKPIの設定
⚫ 日本成長戦略本部における、17の戦略分
野に関する検討と整合していること。
⚫ 世界をリードしていける、若しくは世界で戦え
る案件で構成されていること。
⚫ 実現に向けて必要な予算措置について、関
係省庁との事前調整が開始されていること。
⚫ 一定の大規模投資の見込みがあること。
⚫ 必要な分野において、インフラ整備や分野
特有の拠点整備等と一体となった開発であ
ること(既存の計画も含む)。
⚫ 地方経済界等との連携がなされている又は
域外からの投資を呼び込むこと。
⚫ 地域の経済発展のため、賃上げも含めた持
続可能な地域の労働環境整備に貢献する
こと
※プロジェクト提案に当たっては、事前の綿密な調整を求める。
※上記の要件は、17分野のロードマップの検討状況を踏まえて、さらに
具体化される可能性があるため、都道府県等においては現段階で作
業を依頼するものではない。
69
「地域産業成長プラン」について
B.地域産業クラスター計画及びC.地場産業成長プランの要件の考え方
第2回 地域未来戦略に関する関係副大臣等会議
資料4より抜粋・加工(2026年3月4日)
⚫ 「地域産業成長プラン」は、地場産業の成長・発展に向けて、知事主導で策定された各都道府県の地域産業の成長プランであり、以下の2種類が存在。
➢B.地域産業クラスター計画:知事等主導で形成されるクラスターであって、力を入れる産業分野及び重点支援をすべき企業等を特定し、複数自治
体の連携促進や中堅企業支援策の適用など、政府の施策の戦略的活用をプッシュ型で提案していくことで、その形成・拡大を目指すもの。
➢C.地場産業プラン:地方の伸び代である、可能性を秘めた魅力あふれる地域資源(農林水産・食品、観光、伝産品等)を最大限に活用する地場企
業等について、さらなる付加価値向上や販路開拓を支援し、地域経済の拡大を目指すもの。
⚫ 今後、国から上記の計画の記載例等を示しつつ、地方公共団体宛に事務連絡を発出し、地方公共団体において策定。国において、地方公共団体及び地
場企業等に対する、分かりやすくきめ細かな支援体制を構築。
有望度
対
象
産
業
要
件
計
画
記
載
項
目
実現可能性
外部依存性
費用対効果
波
及
効
果
現地化
域内への波及
自治体の
コミットメント
EBPM
メルクマール
売上目標/
付加価値目標
個別企業リスト
投資計画
10
年
以
内
の
実
現
を
目
標
(
5
年
計
画
)
B.地域産業クラスター計画
C.地場産業成長プラン
• 実現する製品・サービスが明確で、市場ニーズを特定しているものか
• 実現する製品・サービスが海外輸出で外貨を稼げる又は国内で上位シェ
アを目指せるものか
• 実現する製品・サービスが明確で、市場ニーズを特定しているものか
• 実現する製品・サービスが、既存製品・サービスと比較して付加価値を高
める又は販路拡大が見込まれるものか
• 地元・誘致を問わず、計画推進の核となる企業が存在しているか
• 国内で初めて実現する製品・サービスを対象とする場合には、有望な先
進性の高い技術を実装するものか
• 地元・誘致を問わず、推進の核となる事業者が存在しているのか
• 実現する製品・サービスを構成するバリューチェーン上で、必須及び付加
価値の大部分を占める部品・技術・工程を当該地域又は国内で調達・
提供することを目指せるか
• 特定の者(大企業・フランチャイザー等)に過度に依存する計画となってい
ないか
• 計画の実現により、業種内比較及び当該地域比較において、高い付
加価値創出が目指せるものか
ー
• 域外企業の誘致の場合、労働・技術の現地化のロードマップ及び収
益の再投資方針を示し、立地する地域に裨益するものとなっているか
ー
※留意事項として、考慮していくべき事項。
• 域内への波及効果として、域内取引額、売上額、持続可能な労働環
境の整備(雇用の創出、賃上げ等)に関する目標値を設定できている
か
• 域内への波及効果として、域内取引額、売上額、持続可能な労働環
境の整備(雇用の創出、賃上げ等)に関する目標値を設定できている
か
• 計画期間中の継続的な伴走支援体制の確立(新設・既設問わず)
• 知事としての発表
• 相談窓口の設置(新設・既設問わず)
• 知事/首長としての発表
• 具体的なKPIの設定
• 定期的なモニタリング
• 具体的なKPIの設定
• 定期的なモニタリング
• 計画にて創出する売上額/ 付加価値額の目標を記載(規模感の提示)
• 計画にて創出する売上額/ 付加価値額の目標を記載(規模感の提示)
• クラスターを構成する主要企業を掲載
※当該企業が補助金の優先採択等 政府の企業支援策の対象となる
ー
• (企業名を念頭におきつつ、企業は非公開で)
投資規模、スケジュールを記載
ー
70
GX戦略地域制度を通じたGX産業クラスターの創出
中間とりまとめ より抜粋の上加工(2025年12月22日)
「GX戦略地域制度」 の創設
⚫ 産業資源であるコンビナート跡地等や地域に偏在する脱炭素電源等を核に、「新たな産業クラスター」の創出を目
指す「GX戦略地域制度」を創設する。
⚫ ①~③類型では、自治体及び企業が計画を策定し、参画した上で、国が地域を選定し、支援と規制・制度改革
(国家戦略特区制度とも連携)を一体的に措置する。④類型では、脱炭素電源を活用する事業者支援を行う。
「GX戦略地域制度」の類型
①コンビナート等再生型
②データセンター集積型
コンビナート跡地等を有効活用し、産業ク
ラスターを形成
電力・通信インフラ整備の効率性を踏まえ
たDC集積及びそれを核とした産業クラス
ターを形成
③脱炭素電源活用型
(GX産業団地)
脱炭素電源を活用した団地を整備し、当
該電源を核とした産業クラスターを形成
④脱炭素電源地域貢献型
(脱炭素電源を活用し、当該電源の立地地域に貢献する事業者の設備投資を後押し)
地域選定のスケジュール(①~③類型)
12月23日
公募開始
春頃
夏頃
2月13日
有望地域決定
最終決定
〆切
公募
一次審査※
計画の洗練/最終審査※
支援を実施
※外部有識者による審査委員会において審査
71
GX戦略地域制度を通じたGX産業クラスターの創出
中間とりまとめ より抜粋(2025年12月22日)
データセンター集積型における課題と方向性
⚫ DCが急増する中で、電力系統増強・脱炭素電源の活用が課題。
⚫ 脱炭素電源や電力インフラ等の観点で望ましい地域へDCを立地誘導し、通信インフラも整合的に整備する
「ワット・ビット連携」を進める。
データセンターに係る課題
•
•
DCの電力需要は今後10年間で5GW程度増加
足元では電力系統の接続に時間を要しており、10年
以上かかるケースも存在する。
→ DC投資が海外に逃げる恐れ
データセンターの電力需要の見通し(2025年1月時点)
新たなDC集積拠点の実現
•
•
電力系統の先行的・計画的な整備を行いつつ、通信インフ
ラも整合的に整備
「ワット・ビット連携」により、大規模DC集積拠点を形成する
▼ 海外のDC集積事例
米国 バージニア州アッシュバーン
ブラジル リオデジャネイロ
中国 天津市北辰区
(出所)OCCTO 全国及び供給区域ごとの需要想定 (2025年度)、ワット・ビット連携官民懇談会 取りまとめ1.0
72
ES産業政策・制度的措置の方向性(再掲)
産業構造審議会 地域経済産業分科会 地域生活維持政策小委員会 中間報告(令和7年12月18日公表 要旨)
1.ES供給事業の社会的認知度の向上等
⚫ESの供給は、人々の生活維持に不可欠なものであり、また、産業の担い手を支えるエコシステムであり、公益性が高い。ES供給
事業のこうした位置づけの社会的認知を高めるためには、国がその意義を制度的に位置づけて対外的に明らかにする仕組みを
講ずることが有効。その結果、企業間連携や官民連携の促進、生活圏及び商圏における住民理解の醸成等につながる。
⚫制度的措置の立案・運用に当たっては、ESに関する制度・事業所管省庁や地域社会に関わる関係府省庁との連携が不可欠。
2.ES供給の持続性確保のための方策
(1)事業の採算性向上の支援
⚫厳しい事業環境にあるES供給事業の継続のためには、事業採算性を確保するための工夫が必要。事業運営の効率化として、①
業務効率化・省力化、②広域化、③多角化の手法が考えられる。上記の手法は、事業主体の合理化を通じて実現されることも。
⚫こうした取組を後押しするため、各種補助金の弾力的運用のほか、これまで産業政策として講じてきた資金供給の円滑化の
ための金融支援(信用保証・信用保険、債務保証、公的金融機関による低利融資等)を、”ES供給の持続性確保”というミッ
ション志向で活用することが有効。
(2)多様な主体の参画の促進
⚫様々な事業環境におけるES需要を満たすためには、 株式会社等の企業のほか、生協、農協等の協同組合、公益法人、労働者協同組
合(労協)、NPO等の中間団体の参画が重要。自社の短期的な利益だけでなく地域経済の中長期的な利益を見据えてES供給事
業を担う地域密着型企業も重要な役割を担う。
⚫中間団体の参画の促進には、事業協同組合等の設立要件の緩和、消費生活協同組合の員外利用に係る手続の簡素化、労協の資
金制約の緩和、地方公務員が参画する場合における手続の円滑化等の措置が有効。
3.ES供給事業の支援体制の整備
⚫事業者の取組を後押しするため、地域の社会経済・産業を支える社会インフラとしての責務を自認する諸団体(商工団体、地
域金融機関、協同組合連合会(生協等)、郵便局、ES関連産業・職能団体等)がES供給事業者の支援に参画する枠組みを構築
することが重要。
73
⚫地方公共団体がこうした団体の参画を募り、各者の知見やノウハウを共有する場の設定も有用。
産業競争力強化法改正法案(生活維持物品役務需要減等事業適応計画)の概要(案)(再掲)
事業者によるエッセンシャルサービス供給事業の持続性確保に資する事業運営の効率化に取り組む事業計画の認定制度を創設
し、エッセンシャルサービスの公共的意義を制度的に位置づけて社会的認知を向上させるとともに、認定事業者に対し、資金供給の
円滑化のための金融支援等を措置。あわせて、エッセンシャルサービス供給事業者の伴走支援を行う支援機関の認定制度を創設。
認定事業者に対する法律上の措置
国
実施指針提示
事業運営の効率化の促進
市町村、都道府県、主務大臣
申請
⚫ 資金供給の円滑化のための金融支援
✓信用補完制度(信用保証・信用保険)による特例
※1 自治体の場合、主務大臣への意見聴取
※2 主務大臣の場合、当該大臣から自治体への意見聴取
※認定労働者協同組合への信用保証も措置
認定
民間事業者等:認定生活維持役務等供給効率化計画
✓中小機構等による債務保証
✓日本政策金融公庫等による特定事業者への特別利率による制度融資 等
○対象事業:
生活の維持に必要な物品、物品の輸送、旅客輸送その他の役務を
供給する事業を効率化する事業
※食品等の小売(コンビニ、スーパー等)、交通(バス、タクシー等)、運送、SS、
自動車整備その他の生活の維持に必要なサービス
○事業主体:
企業、協同組合(生協、農協、労協等)、公益法人、NPO 等
○効率化(生産性向上)の方法:
合理化(省力化・業務効率化)、多角化又は広域化その他の事業の効率化
支援
申請
認定
認定生活維持役務等供給効率化支援機関
・計画策定・伴走、情報提供等を実施する支援機関を認定
※ 商工団体、地域金融、各種協同組合連合会、産業・職能別団体等を想定
生活維持役務等供給効率化支援協議会
・市町村又は都道府県は認定支援機関等を構成員とする協議会を組織することが
可能
多様な主体の参画の促進
⚫ 事業円滑化
✓生協の員外利用許可と事業計画の認定手続のワンストップ化
✓地方公務員が事業計画へ参画する場合の兼業許可権者との事前協議
(認定・許可の判断の整合性を確保し、円滑な事業実施を可能に)等
⚫ 組織変更等
✓事業協同組合等の設立要件の緩和(発起人数:4人→3人)
✓免責的債務引受けを伴う事業譲渡における被承継会社の債権者保護手続
の簡素化 等
※労働者協同組合を譲受人とする場合(ワーカーズバイアウト)も含む
74
1. マクロ経済運営のあり方
2. グローバル競争型産業
3. 新技術立国・競争力強化
A) あらゆる分野の産業競争力強化のカギとなるAXの推進
A)-1 地方も出発点としたAXによる産業構造・就業構造転換
A)-2 実現に向けたデジタル産業基盤の確保などグローバル立地競争力の強化
B) 「責任ある積極財政」を通じた「危機管理投資」・「成長投資」の推進
C) 新技術立国の実現とグローバル市場の獲得・経済安全保障の強化
C)-1 「技術で勝ってビジネスでも勝つ」、新技術立国
C)-2 グローバル市場の獲得・経済安全保障の強化
4. 好循環のミッシングピースである消費活性化
5. 未来の経済社会システムのあり方
75
第5回 価値創造経営小委員会資料3
より抜粋の上加工(2025年10月24日)
成長投資と株主還元の現状
⚫ 日本企業の業績は改善し、株価は大きく上昇も、日本企業の成長投資(設備投資、研究開発、人的投資)は伸び悩んでいる。
⚫ 一方で、足元では株主に対する還元(配当、自社株買い)が大幅に増加している。
好調な企業業績
欧米と比べて少ない成長投資
増加する株主還元
• 企業の株価は10年間で約3倍まで上昇。
• 企業の経常利益は大きく回復。上場企
業の現預金保有は118兆円を超える水
準。
• 企業の成長投資(研究・設備・人的投資など)
や賃金上昇は横ばい(生産性向上に比例して
賃金が上昇せず)
• 自社株買いと配当増加により株主還元が
大幅に増加。
2016年
2023年
2013年
2024年*
2013年
2024年
3万9894円
株価
1万6291円
(年末)
(日経平均)
(日経平均)
※2025年末は
5万339円
設備投資
/売上高*
5.4%
5.1%
純利益
28兆円
61兆円
(上場企業)
(上場企業)
経常
利益
73兆円
131兆円
(法人企業統計)
(法人企業統計)
研究開発
/売上高*
2.1%
2.2%
総還元
性向
4割
7割
2013年
2023年
配当
8兆円
25兆円
414万円
460万円
自社株
買い
3兆円
17兆円
現預金
現預金
比率
55兆円
118兆円
(TOPIX500)
(TOPIX500)
約8.9%
(米6.6%、欧7.7%)
(TOPIX500)
約10.7%*
(2023年
/TOPIX500)
* 加重平均値。2023年の現預金比率は、単純平均の場合には
16.7%。
賃金
(給与取得者)
*上場企業約4000社が対象。
*データ取得日時点(2025年8月)で決算情報が開示されてい
る企業に限られる。
76
第5回 価値創造経営小委員会資料3
より抜粋(2025年10月24日)
対売上高成長投資比率(日米欧)
⚫ 2023年度の対売上高成長投資比率(人件費、R&D、CAPEXの合計)は、米国は29.4%、ユーロ圏が27.2%であるのに対し、日本
は17.7%と低い。日米間では約1.7倍の格差が存在。
対売上高成長投資比率(日米欧)(2023年度)
(%)
35
29.4
30
25
CAPEX
研究開発費
人件費
20
27.2
22.6
17.7
15
10
計
5
0
日本
米国
ユーロ圏
英国
CAPEX
5.1%(3,896社)
5.9 %(3,696社)
5.8%(2,222社)
5.7%(748社)
研究開発費
2.2%(3,741社)
4.8%(2,397社)
3.4% (1,249社)
1.8%(495社)
人件費
10.4%(3,823社)
18.8%(733社)
18.1%(2,273社)
15.1%(646社)
計
17.7%(3,898社)
29.4 %(3,757社)
27.2 (2,367社)
22.6%(756社)
(出所) Bloombergのデータを基に経済産業省が作成。
※ 直近期末日に応じて集計年度を調整済(2023年度の集計対象は、直近期末日が12月31日の企業についてはFY2023のデータを、12月31日以外の企業についてはFY2024のデータを用いる。
なお、「年度」は期初日が属する年を、「FY」は期末日が属する年を指す)。
※ 集計対象:直近の時価総額が取得可能であり、2023年度における売上高・収益が正の値である、日本・米国・欧州内の市場に上場する企業。各比率の集計対象は、各比率の分子となる項目
(2023年度における人件費、研究開発費、または設備投資(CAPEX))が取得できる企業(各比率ごとに集計対象が異なる)。国・地域は所在国によって分類。
77
第5回 価値創造経営小委員会資料3
より抜粋(2025年10月24日)
平均株主還元額推移(日米欧比較)
⚫ 上場企業の平均的な株主還元額は日米欧ともに上昇。
⚫ 日本は欧米に比べて伸びが大きく、2024年度は2013年度に比べて3.5倍となっている。
日本
米国
(十億円)
(百万米ドル)
16
欧州
(百万ユーロ)
1.1倍
13.4
14
400
3.5倍
12
428
450
120
375
100
350
10
300
8
129
1.5倍
140
500
86
80
250
60
200
6
3.8
150
40
4
100
20
2
50
計
配当
自社株買い
計
計
2024
自社株買い
2023
2022
2019
2018
2017
2016
2015
配当
2021
自社株買い
2020
配当
2014
0
0
2013
0
(出所)スピーダのデータを基に経済産業省が作成。
※ 配当は支払配当金(財務キャッシュフロー)を使用。自社株買いは株式の償還及び消却(財務キャッシュフロー)を近似値として使用。
※ 集計対象:各年度の親会社株主に帰属する当期純利益が取得できる上場企業(2024年度はデータ取得日時点(2025年8月)で決算情報が開示されている企業に限られる)。日本は、所
在国が日本であり東証プライム・スタンダード・グロースに上場する企業。米国は、所在国が米国でありNYSE・NASDAQに上場する企業。欧州は、所在国が欧州であり欧州内の取引市場に上場す
る企業。
78
企業群に着目した日米欧企業の比較
第5回 価値創造経営小委員会資料3
より抜粋(2025年10月24日)
⚫ 日本企業は、欧米企業と比較して、企業群①(低成長期待×低収益性)や企業群②(低成長期待×高い収益性)が多く、企業群③
(高成長期待×低収益性)が少ない。
⚫ 特に、今後成長が見込まれる企業群③を増やしていくことが不可欠。このため、成長投資や事業再編等に加え、戦略的な基礎研究や需
要側支援等を通じたイノベーション促進策が必要。
企業群の整理(PBR×ROE)
日米欧の企業群別の分布
1倍
8%
(出所)スピーダのデータを基に経済産業省が作成。
※ ROEおよびPBRは2021年度から2023年度の平均。
※ 集計対象:集計対象: 2021年度から2023年度のROEおよびPBRが取得できる上場企業。日本は、所在国が日本であり東証プライム・スタンダード・グロースに上場する企業。米国は、所在国が
米国でありNYSE・NASDAQに上場する企業。欧州は、所在国が欧州であり欧州内の取引市場に上場する企業。
79
第8回 価値創造経営小委員会資料3
より抜粋(2026年3月3日)
日米欧の成長投資と株主還元(2023年度)
⚫ 対売上高成長投資比率(CAPEX(設備投資)、研究開発、人件費の合計)は、日米間では企業群別には、約2倍以上の格差が存
在。
⚫ 米国企業は、企業群④が中心に還元。一方、日本企業は、企業群③を除く全てのポジションで還元を実施。
売上高比成長投資比率
企
業
群
①
企
業
群
②
企
業
群
③
企
業
群
④
株主還元(自社株買い・配当)の実施率
16.9%
28.8%
27.0%
設備投資:4.4%
研究開発:2.2%
人件費:10.4%
設備投資:5.6%
研究開発:7.1%
人件費:16.2%
設備投資:6.6%
研究開発:4.0%
人件費:16.4%
13.4%
32.5%
23.9%
設備投資:5.1%
研究開発:1.7%
人件費:6.6%
設備投資:4.8%
研究開発:3.7%
人件費:24.0%
設備投資:5.1%
研究開発:3.9%
人件費:14.8%
22.4%
47.6%
34.3%
設備投資:6.0%
研究開発:3.3%
人件費:13.2%
設備投資:5.4%
研究開発:7.0%
人件費:35.2%
設備投資:6.5%
研究開発:5.6%
人件費:22.1%
18.8%
29.8%
27.1%
設備投資:5.3%
研究開発:2.0%
人件費:11.5%
設備投資:6.4%
研究開発:4.7%
人件費:18.8%
設備投資:5.6%
研究開発:2.6%
人件費:19.0%
企
業
群
①
企
業
群
②
企
業
群
③
企
業
群
④
配当
96%
13%
30%
自社株
買い
34%
18%
12%
配当
99%
14%
50%
自社株
買い
38%
19%
18%
配当
60%
22%
24%
自社株
買い
16%
28%
14%
配当
91%
54%
77%
自社株
買い
38%
56%
32%
80
第8回 価値創造経営小委員会資料3
より抜粋(2026年3月3日)
成長投資を促進する際の価値創造の考え方
⚫ 企業に対して成長投資を促す上で、資本コスト割れの投資は価値の毀損につながることは大前提。
⚫ このため、「価値創造」を「事業活動を通じて、資本コストを上回るリターンを継続的に生み出すこと」と整理した上で、成長投資を行う際の
企業と投資家の共通認識としてはどうか。
⚫ その上で、価値創造を拡大させるために、①資本効率の向上と、②投下資本の戦略的な再配分・拡大という、縦と横の両軸での面積の拡
大が必要であり、その際、③中長期的な時間軸で考えることが必要と整理したい。
資本効率性
投下資本収益率
ROIC
領域①
領域②
加重資本コスト
WACC
成長投資を促進する上で、この部分(EP)が
価値創造であることを企業と投資家の間の共通認識と
してはどうか。
投下資本量
EP = NOPAT -(投下資本 × WACC)
EP = 投下資本(成長投資の拡大) ×(ROIC - WACC:資本効率)
81
第8回 価値創造経営小委員会資料3
より抜粋(2026年3月3日)
日米欧の年間平均EP
2009-2013
2015-2019
2020-2024
伊藤レポート発行前
発行直後
足元
地域
会社数
グローバル
2,412 社
日本
352 社
米国
651 社
439
欧州
504 社
319
186
-61
127
42
-4
477
88
363
1,042
348
単位:百万ドル
(出所) S&P Capital IQ他公開情報を基に経済産業省が作成。
※ 集計対象:2024年グローバル売上高上位3,000社のうち、対象期間(2009-2024)のEPが算出可能な企業。S&P Capital IQによる業界分類を参考にdiversified financials/banks等
金融系業種を除く。
※ ROIC及びWACCは加重平均値を使用。
82
第8回 価値創造経営小委員会資料3
より抜粋(2026年3月3日)
日米欧の年間平均EPの内訳
日本
2009-2013 2020-2024
変化
2009-2013 2020-2024
欧州
変化
2009-2013 2020-2024
変化
EP
-61
スプレッド
-0.8 %
-0.04 % +0.7 %
ROIC
5.4 %
6.37 % +1.0 % 11.1 %
12.5 % +1.4 % 9.41 %
9.44 % +0.02 %
WACC
6.1 %
6.41 % +0.3 %
7.3 % +0.3 %
7.2 %
7.3 % +0.2 %
投下資本
8,020
9,509 +1,490 10,509
19,780 +9,270 14,212
16,555 +2,343
会社数
-4
米国
352 社
+57
439
1,042
+603
319
348
+29
4.2 %
5.3 % +1.1 %
2.2 %
2.1 %
-0.1 %
7.0 %
651 社
504 社
単位:百万ドル
(出所) S&P Capital IQ他公開情報を基に経済産業省が作成。
※ 集計対象:2024年グローバル売上高上位3,000社のうち、対象期間(2009-2024)のEPが算出可能な企業。S&P Capital IQによる業界分類を参考にdiversified financials/banks等
金融系業種を除く。
※ ROIC及びWACCは加重平均値を使用。
83
第8回 価値創造経営小委員会資料3
より抜粋(2026年3月3日)
業種別のEPの状況(日本)
スプレッド
アパレル
半導体
メディア
法人サービス
ヘルスケア
医療機器
消費者向けサービス
無線通信サービス
消費財
エレクトロニクス
医薬・バイオ
自動車・組立
物流・商社
コングロマリット
石油・ガス
先端技術
化学
耐久消費財
素材
ユーティリティ
不動産
小売
交通インフラ
航空・旅行
投下資本(業界合計)
12.6%
10.5%
8.3%
7.3%
5.7%
5.3%
3.2%
2.9%
1.9%
1.7%
1.6%
0.9%
0.3%
0.2%
-0.005%
-0.2%
-0.8%
-1.2%
-1.5%
-1.8%
-1.9%
-2.5%
-4.3%
-4.9%
会社数
10
41
40
10
17
18
4
185
177
263
146
304
184
276
73
113
190
8
287
257
240
235
250
19
2
7
11
5
7
3
2
2
37
41
8
34
20
7
6
12
23
3
40
13
12
38
16
2
単位:十億ドル
(出所) S&P Capital IQ他公開情報を基に経済産業省が作成。
※ 集計対象:2024年グローバル売上高上位3,000社のうち、対象期間(2009-2024)のEPが算出可能な企業。S&P Capital IQによる業界分類を参考にdiversified financials/banks等
金融系業種を除く。
※ ROIC及びWACCは加重平均値を使用。
84
企業間連携の推進
【課題認識・論点】
⚫ 人口減少や経済安全保障、脱炭素化への対応など、企業を取り巻く競争環境は大きく変化。対応の方向性として、成
長投資・危機管理投資、そのための既存事業の統廃合や事業転換、再編などが必要。
⚫ この点、投資スケールが大規模・長期的となることから企業間連携が一層重要となる一方、産業界からは、独占禁止
法抵触の漠然とした懸念が惹起されやすくなっているとの指摘あり。
⚫ このため、EUなどの政策動向も踏まえ、 「経済安全保障と独占禁止法に関する事例集」のさらなる普及を含め、企
業間連携を推進するための環境整備が必要ではないか。
競争環境の変化
対応の方向性
㋐人口減少、それに伴う構造的人手不足及び需要減少
⇒資源の効率配分(供給不足対策)、既存資産の合理化(供給過剰対
策)が必要
Ⅰ既存事業の統廃合、大規模な成長投資を通
じた事業転換
※その際、企業間連携(共同行為、企業結
合)は有効な手段
【経済安全保障】
㋑サプライチェーンの強靭化や技術管理の必要性の拡大
㋒他国の過剰生産能力の保有、GAFAM等巨大企業の台頭(相対的な
日本の競争力低下)
⇒海外からの強い競争圧力に対応できる事業規模や強靭性獲得が必要
Ⅱ複数事業者間での共同研究開発、共同調達
の実施
㋓脱炭素化
⇒既存設備の統廃合、グリーン燃料の共同調達(GX)が必要
Ⅲ企業結合等を通じた国際競争力の向上、
イノベーションの促進
85
【参考】企業間連携をめぐる国内外の動向
1.国内動向
産業界から独禁法抵触の漠然とした懸念が指摘される中、事例集(経済安保)やガイドライン(GX)を通じて、企業の予
見可能性を確保。
(1)経済安全保障と独占禁止法に関する事例集(令和7年11月、公正取引委員会・経済産業省・国土交通省)
⚫ 経済安全保障の観点から実施する企業間連携に関して、産業当局が提示した15の事例に、公正取引委員会が独占禁止法
上の考え方を示したもの。
⚫ 今後、事例集の周知・啓発などに努め、それでもなお解決できない問題がある場合には、独禁法の運用、制度の在り方
を検討。また、連絡会議の組成、同志国との連携を推進。 (出所:自民党新たな安全保障環境において求められる経済的措置に関する提言)
(2)グリーン社会の実現に向けた事業者等の活動に関する独占禁止法上の考え方(令和6年4月改定、公正取引委員会)
2.EUの動向
ドラギレポートで「産業政策・競争政策・貿易政策の連携」が提示されたことを受け、現在、EU競争当局にて以下の動き。
(1)企業結合ガイドラインの改定(春にも草案公表予定)
<主な検討事項>
⚫ イノベーションと将来の競争の重視
⚫ セキュリティ・レジリエンスいわゆる経済安全保障の観点を競争当局の考慮要素として評価
(2)競合企業間の業務提携(共同研究開発、共同調達等)に関するガイダンスの提供
86
競争優位性確保のための知財・市場分析の活用
◆知財・市場分析を活用した、有望新規領域探索・パートナー候補企業の抽出。
有望新規領域探索
パートナー候補企業の抽出
・知財・市場分析を実施し、カカオ関連技術は「原料関連」と「チョコレート製造」の領域(赤丸
部分)に集中していることを発見。さらに、自社技術(黒字下線部分)をマッピングしたところ、
自社技術の1つ「ボイル裏こし技術領域」が特許空白領域(青丸部分)と重なることを確認。
この知見から、新規開発への狙い目領域を同定し、新素材・新商品の開発に成功。
・新規分野での有望なテーマ候補の導出や既存技術の応用検討を行うことにより、事業戦略
の構築、有望なM&A先の選定に貢献。
日立の画像診断関連事業
富士フイルム
大型機器をシステムとして操る技術
3D放射線画像処理関連技術
ボイル裏こし
技術領域
✓
相互補完的な基幹技術の融合
新規開発への狙い目領域を同定
ドット1つが1件の特許を表す
(出所) (明治ホールディングス株式会社 HP)統合報告書2023、(LexisNexis HP)知財情報からひも解く明治のROESG®経営
(出所) (富士フイルムホールディングス株式会社 HP)統合報告書2024、2023年10月12日メディカルシステム 事業説明会
◆ 米独の77社を対象とした実証分析(” How to create commercial value from patents: the role of patent management” Ernst et al.,2016)によると、
特許情報の活用(競合他社の技術アセットの監視、侵害予防調査、M&A等外部技術の評価、ライセンス先の探索)をしている企業ほど企業業績が良いとの結果。
87
スタートアップファイナンスの課題と目指すべき方向性
イノベーション小委員会
資料4-1より抜粋(2026年3月19日)
⚫ ユニコーンクラスのスタートアップの創出が進まないなど、スタートアップが大きく成長するためのスケールアップのエコシステムに課題。
⚫ グローバルにスケールするスタートアップを創出していくために、産業政策としてのスタートアップファイナンスを強化し、フェーズに応じ
た大規模な成長資金の供給、グロースしていくための戦略構築・実施の支援等、エコシステムを構築することが重要。
目指すべき方向性:産業政策としてのSUファイナンス
現状の課題
①
②
③
SUによるグロースステージでの大規模な資金調達ニーズが限定的
な中で、民間VCの提供できる資金規模が小さい状態で最適化。小
粒IPOが多く、上場しても成長しない企業が多数。(「小さく産んで
小さく育て、小さく売る」モデルとなっている可能性)
シーズ段階からグローバルレベルの大きな成長を遂げてExitするまで
伴走するリードインベスターの層が薄い。
オーバーバリュエーションなどの市場の課題もある中、JICはレイター
ステージを中心に、グロースへの資金供給強化に取り組み、既存の枠
組み・運用期間の中でリターンを追及しながら投資実行。
アーリー期
企
業
(
事
業
)
価
値
グローバルにスケールするスタートアップを創出していくために、以下を強化する
方向でスタートアップファイナンスを強化すべきではないか。
① 大学やグローバルアクセラレーターと協業したシーズ段階でのグローバル仕様
(グローバル人材による経営陣組成、グローバルプラクティスに合致した投
資契約・ガバナンス等)の企業創出
② シーズ段階から大きな成長を遂げてExitするまで伴走するグローバル規模の
リードインべスター育成・呼び込み・組成。
③ 長期大型成長志向の資金供給
アーリー期
レイター期
*JIC(産業革新投資機構)
ベンチャー・グロース・インベストメンツ
ファンド規模等により、
成長資金供給に限界あり
企
業
(
事
業
)
価
値
レイター期
長期に大型成長を追求するための核と
なるリードインベスターを通じて、大型
資金の供給と内外投資家を呼び込む
ことで、エコシステム全体を活性化
スモールIPO
事業会社・
CVC*
*コーポレート・ベンチャー・キャピタル
88
第5回 産業構造審議会 経済産業政策新機軸部会 価値創造経営小委員会
資料3より抜粋の上加工(2025年10月24日)
企業の資金調達構造
⚫ 上場企業の資金調達手段の8割以上は借入が占めており、銀行以外のデット・エクイティ供給プレイヤーが希薄。
⚫ 高い預金率とデフレ・低金利の長期化等により、銀行融資以外の資金調達手法が発達してこなかった。
日本の上場企業の資金調達構造
株式発行
社債調達
借入金調達
100%
90%
80%
70%
83.7%
85.4%
87.5%
85.1%
82.8%
82.6%
81.6%
81.3%
80.1%
10%
12.2%
11.5%
13.0%
13.0%
11.2%
14.2%
13.5%
16.7%
0%
4.1%
3.1%
9.4%
3.0%
2.0%
4.2%
6.2%
4.2%
5.2%
2013年度
2014年度
2015年度
2016年度
2017年度
2018年度
2019年度
2020年度
60%
87.5%
85.2%
83.9%
12.3%
12.6%
3.2%
11.1%
1.4%
2.5%
3.5%
2021年度
2022年度
2023年度
平均
50%
40%
30%
20%
※ 集計対象:所在国が日本であり東証プライム・スタンダード・グロースに上場する企業のうち、各年度において上場済であり、各年度の決算期情報が取得できる企業。
(出所)スピーダのデータを基に経済産業省作成。
89
第1回スタートアップ政策推進分科会資料3より抜粋
(2026年2月4日)
(参考)我が国のスタートアップへの資金供給環境
⚫
リスクマネー層が薄く資金供給が小規模。海外からの投資が少なく、国内VCも小規模であるため、特にレイター期に必要となる大型資金供給が不足。
⚫
このような環境から後続の大型投資を前提としない資本政策・事業戦略をとっていること、またシナジー目的の投資等によるオーバーバリュエーションが、後
続の大型投資家の参入障壁となっている可能性も指摘される。
国内スタートアップに対する資金供給不足
スタートアップを支えるVCのファンドサイズと投資フェーズ
Sequoia Capital
Andreesen
Horowitz
JAFCO
(出所)第4回 研究開発税制等の在り方に関する研究会「資料8 事務局資料(スタートアップへの成長資金供給用に係る税制の論点について」(2025年7月9日,経済産業省)
IMF 「World Economic Outlook」 、PitchBook Data, Inc.のデータを基に作成。データは2025年6月取得時点。
グロービス
(出所)第3回スタートアップファイナンス研究会「資料3 事務局資料」(2024年2月8日,経済産業省)
各社公開情報よりNRI推計。あたりの案件規模は、2018年~2022年の5年間のファンドレイズを投資件数で割る形で算出(1ドル=148円として計算)
(外円)金額ベース
(内円)件数ベース
シード
日本
(2023年度)
* N数はVCファンドに対す
るLP出資機関数
* ファンドへの出資者の数
の構成であり、出資金額の
大きさは考慮していない
* 日本、米国、韓国は
2025年3月22日時点、英
国、フランス、シンガポー
ルは2025年3月23日時点
(出所)JETRO「日本と東南アジア等諸外国とのスタートアップエコシステムの比較調査報告書」(2025年6月) JVCA協力の下、Preqin Proのデータを基に調査チーム作成
アーリー
レイター
米国
(2023年)
(出所)株式会社ユーザベース「Japan Startup Finance 2024 上半期」、Q3 2024 Pitchbook-NVCA Venture Monitor, NVCA 2024 Yearbook、一般財団法人ベン
チャーエンタープライズセンター「ベンチャー白書2024」日本における「アーリー」には(出所)の分類における「エクスパンション」を含む。米国における「レイ
ター」には(出所)の分類のうち「ベンチャーグロース」を含む。日米共に国内VCによる海外スタートアップへの投資額は含まない。 日本の投資件数は1,285件、投資
金額は1,730億円。米国の投資件数は13,586件、投資金額は1706億ドル。
90
第1回スタートアップ政策推進分科会資料3より抜粋
(2026年2月4日)
(参考)我が国のスタートアップのIPOの状況
⚫ スタートアップの上場後の成長が停滞し、グロース市場は低迷している状況。IPO数は64社(2024年)から41社
(2025年)に減少。新規上場時の時価総額や資金調達額は増加が見られるものの、未だ小規模な状況。
⚫ グロース市場の上場維持基準の見直しが2030年3月1日より適用されるにあたり、今後はさらに、スタートアップのIPO
以外の出口の多様化と、上場スタートアップの更なる成長の促進が必要。
上場後の成長停滞(グロース指数の低迷)
(出所)市場区分の見直しに関するフォローアップ会議(第19回)「資料1 グロース市場における今後の対応」(2024年12月10日,東
京証券取引所)
上場後の動向(中央値)¹ ³ ⁴
2024年
2025年
売上高
17億円
33億円
経常利益
1億円
4億円
純資産の額
8億円
17億円
初値時価総額
88億円
135億円
新規上場時
ファイナンス規模²
15億円
31億円
(出所)株式会社東京証券取引所 「2025年のIPO動向」
※1 市場区分の変更及びTOKYO PRO Marketを経由した上場を除く
※2 新規上場時のファイナンス規模=公募+売り出し(OA含む)。なお、TOKYO PRO Marketの新規上場時のファイナンス規模は、
特定投資家向け取得勧誘または特定投資家向け売付勧誘等を指す
※3 1億円未満四捨五入
※4 IFERS採用企業については、「売上高」=「売上収益」 「経常利益」=「税引前利益」 「純資産の額」=「資本合計」を記載
グロース市場の上場維持基準の引き上げ
上場維持基準を、上場5年経過後から、時価総額100億円以上 へと変更
(旧:上場10年経過後から、時価総額40億円以上 )
91
第1回スタートアップ政策推進分科会資料3より抜粋
(2026年2月4日)
(参考)IPO以外のEXIT(M&A)
⚫ IPOとM&Aの割合は、日本と韓国がIPOの比率が他国に比べて明らかに高い傾向。
⚫ 件数ベースでみると、IPO比率の高い日本・韓国においても近年M&AによるExitの比率が上がっているものの、
金額ベースでみると、近年においても日本・韓国ではIPOの方がM&Aよりも多い。
IPO
IPO
M&A
M&A
件
数
(出所)JETRO「日本と東南アジア等諸外国とのスタートアップエコシステムの比較調査報告書」(2025年6月)
PitchBook Data, Inc.; *The cited data has not been reviewed by PitchBook analysts and may be inconsistent
with PitchBook methodology.
* データは2025年3月時点で取得したもの
* 本分析の対象スタートアップは2010-2024年にIPOまたはM&A取引を行った企業のうち、取引時点までにVCからの出資を受けたことが
ある企業としている
* M&AはPitchbookによる分類「合併/買収」、「買収/LBO」、「経営陣による投資家買収」、「対等合併」、「逆さ合併」のうち、「合併/
買収」のみを対象としている
金
額
(出所)JETRO「日本と東南アジア等諸外国とのスタートアップエコシステムの比較調査報告書」(2025年6月)
PitchBook Data, Inc.; *The cited data has not been reviewed by PitchBook analysts and may be inconsistent
with PitchBook methodology.
* データは2025年3月時点で取得したもの
* 本分析の対象スタートアップは2010-2024年にIPOまたはM&A取引を行った企業のうち、取引時点までにVCからの出資を受けたことが
ある企業としている
* M&AはPitchbookによる分類「合併/買収」、「買収/LBO」、「経営陣による投資家買収」、「対等合併」、「逆さ合併」のうち、「合併/
買収」のみを対象としている
* USD以外の通貨で完了した取引については、取引成立日の為替レートでUSDに変換している
92
1. マクロ経済運営のあり方
2. グローバル競争型産業
3. 新技術立国・競争力強化
A) あらゆる分野の産業競争力強化のカギとなるAXの推進
A)-1 地方も出発点としたAXによる産業構造・就業構造転換
A)-2 実現に向けたデジタル産業基盤の確保などグローバル立地競争力の強化
B) 「責任ある積極財政」を通じた「危機管理投資」・「成長投資」の推進
C) 新技術立国の実現とグローバル市場の獲得・経済安全保障の強化
C)-1 「技術で勝ってビジネスでも勝つ」、新技術立国
C)-2 グローバル市場の獲得・経済安全保障の強化
4. 好循環のミッシングピースである消費活性化
5. 未来の経済社会システムのあり方
93
現状認識と課題
(1)防衛調達を含む官公庁調達、新たな需要・市場創出
(2)スタートアップ・ファイナンス整備
• スタートアップが大企業等と比較して十分な顧客基盤、製品・サービスの提供基盤、
販売実績、信用力等を有しておらず、初期需要(オフテイク)が得られない。
• 調達側が明確なスペックを示しつつ、研究開発支援、初期導入・実証、本格的調達を
一貫して支援する体制の構築が必要。
• 革新的技術を有するSUが増加する一方、ミドル~レイターステージでのリスクマネー
が円滑に供給されず、技術の商業化と規模がスケールされない。
• フェーズに応じた大規模な成長資金の供給、グロースしていくための戦略構築・実施
の支援等、エコシステムを構築することが重要。
商用化への死の谷と、初期需要創出の例
継続的な資金供給の欠如
スタートアップ資金調達額(GDP比)
の国際比較
(出所)第4回 研究開発税制等の在り方に関する研究会「資料8 事務局資料
(スタートアップへの成長資金供給用に係る税制の論点について」(2025年7
月9日,経済産業省、 IMF 「World Economic Outlook」 、PitchBook Data,
Inc.より作成。データは2025年6月取得時点。
(3) 研究開発法人等の技術シーズの徹底した社会実装
(4) 高い研究力を持つイノベーションの中核となる
大学群の形成
(5) 我が国が優位性を持つ技術力、イノベーション力
を外交的に後押し
• 国立研究開発法人に優れた技術シーズが蓄積されている
が、諸外国の優良事例と比較してシーズの社会実装が限
定的。
• 大学、民間企業、他国研との連携を進め、人材育成など
国研の持つ多様な機能を強化する施策が必要。
• 一部大学は世界と競争する研究力を有するが、相対的な
地位は低下しており、層としては十分に厚くない。
• 財務・ガバナンス改革や科学技術人材育成によって、大
学の国際競争力の強化を進めていくことが必要。
• 日本の技術力を活かした経済外交の取組は拡大しつつあ
る一方、外交ツールを活用した我が国の技術力強化やイ
ノベーション創出に繋がるエコシステム構築は道半ばで
あり、取組の強化が必要。
国立研究開発法人(26法人)
年間の知財ライセンス収入の比較
研究機関
知財ライセンス
収入
産総研
10.3億円
NIMS
6.1億円
理研
4.7億円
フラウンホー
ファー(独)
約298億円
(1.6億€)
(出所)Fraunhofer Annual Report-2024、産総研「令和6年度に
おける業務の業績に関する評価、理研「令和6年度に係る業務実績
等報告書」、NIMS「令和6年度業務実績等報告書」による。
アジア・オセアニア地域の大学ランキング
Top10%補正論文数(抜粋)
(QSランキング2026抜粋)
2011-2013
2021-2023
国・地域
順位
大学
中国
2位
1位
8位
シンガポール大学
米国
1位
2位
11位
香港大学
インド
12位
4位
14位
北京大学
9位
7位
19位
メルボルン大学
オースト
ラリア
36位
東京大学
韓国
13位
9位
38位
ソウル大学
7位
13位
日本
(出所)NISTEP
科学技術指標2025
日米首脳会談
第18回日印外相間戦略対話
94
(参考)新技術立国関連総理発言
令和7年11月28日 総合科学技術・イノベーション会議 総理発言(抄)
高市政権は、日本に強みがある技術の社会実装を進めるとともに、勝ち筋となる産業分野について、国際競争力強化と人材育成に資す
る戦略的支援を進めていく『新技術立国』を実現いたします。
(中略)さらに、今般の基本計画を礎として、日本に強みがある技術の社会実装や勝ち筋となる産業分野の育成を促進する『新技術立
国』の実現のため、赤澤大臣を中心に、来年の夏の戦略策定に向けて、更なる検討を深めてください。
具体的には、
①研究開発法人の技術シーズの徹底した社会実装
②防衛調達を始めとする官公庁による調達、
③また、規制・規格の導入による新たな需要創出・拡大策など、
効果的な施策の検討を深めてください。
令和8年2月20日 高市総理施政方針演説(抄)
高市内閣の成長戦略では、供給力強化を目的に、先端技術の社会実装の実現を重視しながら、事業者の予見可能性を高める大胆な措置
を講じていきます。
量子、航空・宇宙、コンテンツ、創薬などの十七の戦略分野については、大胆な投資促進、国際展開支援、人材育成、研究開発、産学
連携、国際標準化、防衛調達を含む官公庁による調達、規制・制度改革といった、供給及び需要の両面にアプローチする多角的な観点か
らの総合支援策を講じます。特に、先端技術や成長が期待される分野の官民投資ロードマップについて、来月から提示していきます。
(中略)「強い経済」の基盤となるのは、優れた科学技術力です。
大学改革を進めるとともに、基礎研究を含めた科学技術研究の基盤を強化し、イノベーションを通じた経済成長や国際的地位の確保を
達成する「新技術立国」を目指します。
(出所)官邸HPより引用
95
「新技術立国」の全体像
「技術で勝ってビジネスでも勝つ」
イノベーションを通じた経済成長・国際的地位の確保を達成し「強い経済」を実現
民需
大企業
論点①: 防衛調達を含む官公庁調達、
新たな需要・市場創出
官需
中堅企業
グロースにつながるエコシステム作り
産業技術力強化法改正
(研究開発税制の拡充等
一気通貫支援)
同盟国・同志国
産業政策としてのスタートアップ・ファイナンス
先端技術
先端技術
スタートアップ
グローバル・サウス国
論点⑤:我が国が優位性を持つ技術力、
イノベーション力を外交的に後押し
(世界トップ人材の受入れ)
海外の知の
取り込み
海外市場獲得
論点②:スタートアップ・ファイナンス整備
国研
論点③:研究開発法人等の技術シーズ
の徹底した社会実装
大学群
論点④:高い研究力を持つイノベーションの
中核となる大学群の形成
96
(1)防衛調達を含む官公庁調達、新たな需要・市場創出
• 防衛調達を含めた官公庁調達を活用し、迅速な初期導入・実証・運用を一体的に進めることにより、需要を創出し、先端
技術の社会実装と市場形成を促進する。
• 規制改革、標準化の戦略的活用により、スタートアップ(SU)を含めた企業が国内での社会実装を基点として海外市場
も取り込みながら成長できる、持続的なイノベーション・エコシステムの構築を図る。
具体的施策
①官公庁調達を通じた需要創出
⚫ 調達側の要求仕様と連携したSBIRの活用の強化
✓ SBIR制度によりSUの研究開発を適切に選定しながら促進し、官公庁調達を含めた社会実装を加速
⚫ 明確な仕様を示し、試験導入・運用しながら迅速に開発
✓ 調達側が明確な仕様を示した上で、技術的に成熟し量産前段階にあるSUの製品・サービスを試験導入・運用し、運用を通じて改善・高度化を
図る
⚫ 迅速・柔軟な契約等に向けた運用指針の策定
✓ 国等のSUとの契約等における資金的負担の軽減や迅速性・柔軟性の向上を図るべく、契約等の運用指針を作成することを通じて、SUが政府
調達に参入しやすい運用を含めた環境整備を図る
⚫ SU側・調達側双方への一貫した調達支援
✓ SU・調達側双方にノウハウが不足しているところ、双方への一貫した調達支援(マッチングや調達獲得支援、べスプラ共有、研修、調達担当
のコミュニティづくり、相談窓口等を想定)を行う
97
(1)防衛調達を含む官公庁調達、新たな需要・市場創出
具体的施策
②防衛需要へのスタートアップの取込と国研・大学等との連携
⚫ SUに対する予見可能性の向上
✓ 防衛省が中長期的に獲得を目指す技術分野のうち、特にSUに期待する分野を明示・公表し、研究開発や投資判断における予見可能性を高める
⚫ 防衛省版SBIR制度の創設
✓ 有望な新技術を有する複数のSUと同時に契約し、段階的に評価・選抜を行うことで、運用ニーズを満たす技術の早期装備化と事業化を実現
⚫ アジャイル型調達の仕組みの構築
✓ SUが試作した装備品を自衛隊部隊が試験的に運用し、短期間でのフィードバックを反復することで、運用現場のニーズを反映した装備品を迅
速に創出
⚫ 柔軟な契約に基づく研究試作の実施
✓ 競争参加資格の障壁解消や、SUの資金繰り円滑化、企業側の契約時の負担、コスト超過リスク、納期遅延リスク等の様々な契約上の課題を解
決し、SUの参画を促進
⚫ SUとプライムとのマッチング
✓ 企画競争等においてSUとの連携を加点要素や必須条件とするなど、インセンティブを付与し、防衛産業のプライム企業とSUの協業を促進
⚫ SUへの伴走支援
✓ 装備庁内にSU支援体制を整備し、防衛ニーズとのマッチング、契約手続き、セキュリティ対応等について一体的な伴走支援を実施
⚫ 民間資金供給に向けた呼び水的施策の実施
✓ 諸外国に比し、我が国においては、VC等による資金供給が限定的。防衛省の支援を受けたSUについて、積極的な広報や、防衛省として「お
墨付き」を与える更なる施策を行うことで、民間資金流入の促進を図る
⚫ 新たな技術シーズを取り込むための積極的な防衛調達
✓ 防衛分野で先行的に使ってみることで、確立しつつある技術の社会実装と市場拡大を加速
⚫ 国研・大学等との連携強化
✓ 特に防衛上必要である分野の国研・大学等へのセキュアな防衛研究基盤整備、運用ニーズに基づく挑戦的な目標を示し幅広い基礎研究から技
術実証まで行うプロジェクトの実施、新たな防衛イノベーションの芽の発掘・育成
98
(1)防衛調達を含む官公庁調達、新たな需要・市場創出
③規制改革によるマーケットデザイン
⚫ 新たな市場形成の促進とテクノロジーを用いた規制の合理化の観点から、戦略分野をはじめとする有望な技術やビジネスモデルにおける規制改
革の検討につき、弁護士や知財、技術者等の専門家の伴走支援も含めた推進主体のチームアップや円滑な実証の実施環境を整備
④標準の導入・活用による需要創造
⚫
⚫
⚫
標準(ISO/IEC等)を通じた国内外市場の開拓・確保
✓ 戦略的標準化に向けた取組フレームを「型」として整理し、他の戦略分野にも展開。併せて、必要な標準策定戦線を的確に支援
✓ 「型」の実現にあたって、標準に係る知見を有する専門機関等が担う、政府に対する「伴走機能」の充実や体制強化
標準(JIS規格)を活用した国内需要の喚起
✓ 約11,000件ある全てのJIS規格を対象に、①5年をかけて行う活用状況の調査・見直しと、②ニーズが把握された規格について公共調達
活用を進める先行案件対応を内容とした「JIS規格の総ざらいレビュー」を実施し、JIS規格と公共調達や法令との連携の具体化を推進
✓ 公共調達におけるJIS規格の活用目的やJIS規格の具体的な活用方法等を類型化して整理した「JIS規格の公共調達引用ガイダンス
(ver.1.0)」を今夏を目途に策定
認証の取得による海外市場の開拓・確保
✓ 国内認証機関の枠組構築や国内外認証機関との連携強化等により、国内認証機関の強化を進めるとともに、産業界のニーズも踏まえた試
99
験・認証設備の整備を進め、日本企業の機微情報も守りながら海外市場を開拓・確保
99
(2)スタートアップ・ファイナンス整備
• フェーズに応じた大規模な成長資金の供給、グロースしていくための戦略構築・実施の支援等、グローバルにスケールす
るSUを創出するためのエコシステムを構築する。
具体的施策
産業政策としてのスタートアップ・ファイナンスエコシステムの構築
⚫ グローバルにスケールするSUを創出していくため、シード段階での育成強化や、産業政策としてSUファイナンスを強化し、成
長段階に応じた大規模な成長資金の供給や、グロースに向けた戦略構築・実行支援を行うことで、SUファイナンスのエコシス
テム全体を活性化
⚫ グローバルアクセラレーターと連携し、シーズ段階からグローバル仕様を前提とした企業創出を推進
✓ 大学等の技術シーズを起点に、海外のアクセラレーター等と協業し、創業初期から世界市場を見据えた事業・組織設計を
実施
✓ グローバル人材による経営陣組成や、国際的な投資慣行に整合した投資契約・ガバナンスの導入などを通じ、将来の海外
展開や大規模成長を前提としたSUを創出
⚫ シーズ段階から成長・Exitまで一貫して伴走可能な、グローバル規模のリードインベスターの育成・呼び込み
✓ SUの中長期的な成長を支える中核として、シーズ段階からExitまで伴走するリードインベスターの育成・呼び込みを実施
100
(3)研究開発法人等の技術シーズの徹底した社会実装
• 国立研究開発法人は、高度な研究開発力とともに有望な技術シーズを数多く有しており、これらの技術シーズの徹底
した社会実装を図るとともに、研究開発基盤の更なる強化を図る。
具体的施策
①国研の技術シーズの徹底した社会実装の実現
⚫ 国研を産学官連携の中核・ハブとして、企業・大学・行政との協業促進
✓ 国家的課題への対応という国研のミッションを国家戦略として明確化(危機管理投資・成長投資としての戦略分野/重要技術領域における
研究開発戦略、国家安全保障等の国のニーズに基づく研究開発)
✓ 国立研究開発法人に、国家安全保障に資するデュアルユース技術等の研究開発を担う基盤(施設・設備・研究人材)となるセキュアな拠点
を整備し、産学官の多様な研究者が参画できるオフキャンパス機能を提供
⚫ 国研間や成果活用等支援法人と各国研との連携を強化し、各国研における社会実装を実現するための体制を強化。
✓ 専門人材の確保など、社会実装に向けた体制の整備について、「自前主義」を脱却し、国研間や成果活用等支援法人と各国研との連携を強
化することにより、単独では不足している専門人材等を共有し、研究開発や事業化を迅速化
✓ 産総研発の技術シーズを活用するスタートアップの成長支援のため、VCへの出資業務を追加するとともに、産総研の成果活用支援法人で
あるAISolと連携した支援体制の検討を進める
✓ 産総研のみならず、他の国研の技術シーズの成果普及を行う。まずは、既に産総研とMOUを締結したNIMSや具体ニーズがある国研と、
組織の壁を越えて、共同研究企画・あっせん、技術資産提供等の様々な面での具体的な支援の在り方を深化
⚫ 社会実装までの期間の迅速化に向けて、研究開発に係る調達手続の運用柔軟化を検討
✓ 国研等が一定金額以上の研究設備を調達する際に定めている手続の短縮・柔軟化を検討
②国研の研究開発基盤の更なる強化
⚫ 国際共同研究・国際頭脳循環のハブとしての機能強化
✓ J-RISE Initiativeとして、留学生や海外研究者等に、魅力あるキャリアパスや雇用機会、トップレベルの研究環境を示し、優秀な人材を惹
きつけるとともに、我が国に留まり活躍できる機会を提供
⚫ 老朽化した研究施設・設備の戦略的な整備・更新に向けた取組の推進
✓ 国研に対し、自己収入から生じた利益の10割等について認定を受け、これを法人の独自財源として積み立てて期間を超えて使用すること
101
ができる経営努力認定制度の活用促進や複数の国研間で連携した効果的・効率的な施設・設備の更新等について検討
101
(4)高い研究力を持つイノベーションの中核となる大学群の形成
• 優れた科学技術力と、それを担う科学技術人材の力の抜本強化が、新技術立国の実現に不可欠。新技術立国の核となる、高い研究力
を有する、産業競争力強化に貢献する研究大学群を新たに形成する。
• 必要な経営改革・ガバナンス体制の強化を前提に、柔軟な経営を実現するための制度環境整備等を実施するとともに、多様な科学技
術人材の育成・確保、各教育段階での人材育成、制度・システム改革を推進する。
具体的施策
①産業競争力強化に貢献する研究大学群の形成
⚫ 機動的な意思決定と実行体制の確立
✓ 外部人材の登用、本部と部局の一体運営で、経営の高度化と意思決定の迅速化を図るとともに、資金の柔軟な運用等を通じ、獲得した資金
の中長期の観点での戦略的な投資・再配分を実現
⚫ 戦略分野・分野横断への機動的対応を可能とする環境整備
✓ 戦略分野での定員措置の柔軟化、産学が協力して設置・運営する学位の授与を行う教育プログラム(契約学科)への支援
⚫ 研究・イノベーション環境の整備と人材育成等への支援
✓ 戦略上重要な分野(17戦略分野等)に関し、以下の取組を推進することで、研究力だけでなく産業競争力強化にも貢献し、世界で存在感を
占める研究大学群を形成
✓ 国内外の経済圏とのインターフェース機能を集約・強化
✓ 国研等とも連携し、産業競争力強化にも貢献する、研究・イノベーション環境を実現
✓ 各大学での魅力的な博士課程のカリキュラム設計等を通じ、若手研究者や産業競争力強化を中長期的に担う次世代人材の育成を促進
②科学技術人材力強化
⚫ 多様な科学技術人材の育成・活躍促進
✓ 産学での研究開発と一体的な研究者・技術者育成の更なる展開に向け、人材流動性を高める産業・科学革新人材事業を着実に推進。
✓ 先端大型研究施設・設備・機器等の整備・共用・高度化等を通じた育成
✓ 大学の安定的・継続的な教育研究活動を支える国立大学法人運営費交付金等の基盤的経費及び、全ての分野で研究者を幅広く支える科研費
について見直しに取り組みつつ、大幅に拡充
✓ 若手研究者を中心とした新興・融合研究の促進 / 活躍の場の拡大(科研費、創発的研究支援事業、戦略的創造研究推進事業の充実)
✓ 技術経営・事業化支援・起業等に関わる高度専門人材の育成・確保
⚫ 各教育段階における科学技術人材の育成
✓ 優秀な学生・若手研究者の海外派遣等による大学・大学院の国際性強化、高等教育段階での理工・デジタル人材育成、先進的な理数系教育
や”組織 対 組織での連携”による次世代人材の育成
⚫ 制度・システム改革の推進
✓ ELSIへの対応も見据えた、“社会と科学技術”に関する研究の推進・支援体制刷新、科学技術・イノベーション政策のEBPMを担う人材育成
102
の仕組み構築
(5)我が国が優位性を持つ技術力、イノベーション力の外交的な後押し
• 昨今の国際情勢も踏まえ、我が国の技術力強化やイノベーション創出に繋がるエコシステム構築が不可欠であり、戦略的科
学技術外交を推進し、外交面で取組を後押し。
• 取組を進める上で、首脳会談等の外交機会や在外公館ネットワーク、バイ・マルチのODA等の外交ツールの戦略的な活用を
強化するとともに、外務省と関係省庁にて取組・スキームについて有機的に連携。
具体的施策
①AI等の先端技術エコシステムの共創
⚫ 日本が優位性を有するAI技術の海外展開を促進し、「安全、安心で信頼できるAI」エコシステムを共創するための各国との対話や人材交流(含
む招聘)、企業・スタートアップの海外展開支援強化、在外公館を活用した国際標準に係る情報収集の推進
(例:日ASEAN・AI共創イニシアティブ、日インドAI協力イニシアティブ)
⚫ 同盟国・同志国との間で、デュアルユースを含め、先端技術イノベーション・エコシステムの構築するための対話・協力推進
②国際頭脳循環の強化
⚫ 在外ネットワークの強化・活用
✓ 在外公館におけるデュアルユースを含む先端技術に関する企業・SU・大学・研究者等を巻き込んだネットワークイベントの強化、海外で
活躍する日本人研究者のマップの活用、在外公館に専門的知見を提供する科学技術フェローの活動強化等
⚫ 世界トップ人材の受入れ
✓ J-RISEイニシアティブの推進、産総研における海外トップ研究人材の受入れに向けた取組、先端国際共同研究推進事業(ASPIRE)等関係
省庁の有する様々なプログラム推進
⚫ 国際共同研究の加速
✓ ホライズン・ヨーロッパへの準参加を通じた国際共同研究の後押しや国際卓越研究大学制度、グローバル・スタートアップ・キャンパス構
想などを通じた新進気鋭の起業家精神の高い研究者等の招へいと広報活動強化。日本の研究者の国際連携促進
⚫ 現地情報の情報収集強化・環流
✓ 在外公館におけるデュアルユースを含む先端技術に関する動向等の情報収集体制の強化(研究機関との連携や外部人材確保等)や、最新の
現地情報を国内関係省庁や大学等に環流
③ODAの戦略的な活用(含:国際頭脳循環)
⚫ ODAを戦略的に活用し、グローバルサウス諸国と連携した高度人材育成、地球規模課題や先端技術の国際共同研究・開発、国際標準化、国内外
研究機関とのネットワーク構築等を推進し、国内における大学の研究強化や企業の国際競争力強化に繋げる
103
1. マクロ経済運営のあり方
2. グローバル競争型産業
3. 新技術立国・競争力強化
A) あらゆる分野の産業競争力強化のカギとなるAXの推進
A)-1 地方も出発点としたAXによる産業構造・就業構造転換
A)-2 実現に向けたデジタル産業基盤の確保などグローバル立地競争力の強化
B) 「責任ある積極財政」を通じた「危機管理投資」・「成長投資」の推進
C) 新技術立国の実現とグローバル市場の獲得・経済安全保障の強化
C)-1 「技術で勝ってビジネスでも勝つ」、新技術立国
C)-2 グローバル市場の獲得・経済安全保障の強化
4. 好循環のミッシングピースである消費活性化
5. 未来の経済社会システムのあり方
104
世界で産業政策・通商政策競争が激化
【課題】
• 格差拡大・中間層の疲弊
• 中国への対抗
【課題】
• 製造業中国依存、デジタル米中依存
• 気候変動緩和の主導
• 域内の良質雇用確保
【課題】
• キャッチアップ・輸出主導型高度
成長経済の終焉
• 米欧等西側陣営への対抗
【対応】
【対応】
【対応】
➢ 中国製造2025<2015年7月>
〈トランプ政権〉
➢ OBBB法案成立<2025年7月>
恒久的な投資即時償却措置 (工場も含む
建屋については4年間の時限措置) を創
設するOBBB法案が成立
➢ 関税を活用した国内生産奨励
<2025年4月->
○鉄鋼・アルミや自動車・同部品への関
税や相互関税等を次々に発表
○米国連邦最高裁によりIEEPAに基づく
関税措置は無効と判断されたが、相互関
税を徴収停止とした日より通商法122条
に基づく10%の代替関税措置を発動
<2026年2月>
※従来、財政規律を重視し産業政策には消極的であったが、上記の課題を
踏まえ、近年産業政策を強化
➢ 「欧州の競争力の未来」(ドラギレポート)<2024年9月>
○産業戦略として整合的な産業・競争・貿易政策を提言
○官民で7.5~8.0千億ユーロ (約122~130兆円)/年の追加投資
➢ 「クリーン産業ディール」<2025年2月>
○加盟国にクリーン技術資産の早期償却やクリーン移行の戦略分
野の企業への税額控除といった税制措置の導入を推奨
➢ 「EU競争力基金」<2025年7月>
〇産業競争力強化に向けて、2028年からの7年間で約4,500億
ユーロ (83兆円) 規模の新基金を創設
➢ 「産業加速化法案」<2026年3月>
〇欧州域内のエネルギー集約産業やネットゼロ技術の導入促進等
を目的に、再生エネ技術や電気自動車 (EV)等分野における公的
支援や投資要件を規定
※EU各国も個別に投資促進策を措置
ドイツでは減価償却率の引上げ (2025-27年、最大30%) や、法人税
率の引下げ (2028年から5年間で5%引下げ) といった内容の
「投資ブースター」法案が成立<2025年7月>
(注) 1ドル=149円、1ユーロ=162円、1元=20円で換算 (2024年3月末の為替レート)
中核基礎部品・基幹基礎材料の2025
年国内自給率70%目標
➢ 特別国債を活用した国内需要喚起策
〇2024年と2025年で計2.3兆元
(約46兆円) の超長期特別国債を発行
⇒設備更新・消費財買替え支援 (2年
計約16兆円)
⇒国家重要戦略と重点分野の安全保
障 (約16兆円)
➢ 第15次5ヵ年計画の産業支援
<2026年3月>
〇2026年3月に採択された15次5ヵ年
計画において、既存産業に加えて、
AI・半導体等の新興産業を支援する方
針を記載
105
グローバルサウス連携の重要性
⚫ 激変する国際情勢下においてグローバルサウスとの連携を強化することで、国際秩序の安定を目指す。
⚫ また、相手国のニーズが高いDX/GX分野を中心に共創案件の形成等を支援することで、成長余力が高い同地域の活力
を生かした日本のイノベーション創出や、有志国間での産業基盤のネットワーク構築、経済安保強化等にも裨益。こ
れら成果をFOIPの実現にも繋げていく。
<我が国にとってのグローバルサウス諸国の重要性>
②経済安保上重要な相手
①成長力の高い市場
出所:三菱総研
③国際秩序形成の鍵
◆リチウム
中国: 55%、チリ: 30%
印主催「グローバルサウスの声サミット」
(2023年1月)参加国は120以上
◆レアアース
中国: 60%、ベトナム: 16%
露非難決議は、多くの新興国・途上国が
露にも配慮してバランスを取る姿勢
◆ニッケル
インドネシア:28%、フィリピン:26%
※地図上の青塗りは露に非友好国指定されている国
・地域(2022年3月24日時点)
グローバルサウスとの連携強化に向けて、日本企業の強みを活かした技術・サービスを用いながら相手国の社会課題を解決
するビジネスの実装に向けたFSや実証事業を支援。
<事業例>
案件組成や現地人材の育成等による社会課題の解決
AI等新技術の社会実装
グローバルサウス諸国
R&D拠点整備等が
促される効果
日本
日本へデータ等を還元、高度人材還流など(イノベーションの源)
106
グローバルサウスに係る通商戦略の方向性(案)
⚫ FOIPの具現化に向けて特に重要なグローバルサウス(GS)について、「共創」による自律性向上を図る。
⚫ このため、GS補助金を活用した実証プロジェクト等について、①プロジェクトの事業化、②事業者・分野の裾野拡大、③新市
場の創出・横展開を図りながら、これらの基礎となる④共通知識基盤の構築とイノベーションエコシステムの構築を目指す
⚫ また、本取組を日本の成長戦略と連動させていくこととして、国・地域別戦略を、成長戦略17分野の海外戦略と連動して、
更にアップデートしていくべきか
①プロジェクトの事業化
➢ 金融支援の強化
✓ 公的・民間金融との連携
➢ ビジネス障壁の解消
➢ 戦略的投資
✓
✓
✓
✓ 現地人材育成、現地ビジネス環境の整備
中小企業・SUの活用しやすい事業設計
国・地域別戦略との連動
関係者の連携と事業者の掘り起こし
GS補助金等による
海外プロジェクト支援
②事業者・分野・地域の裾野の拡大
③新市場の創出・囲込み・横展開
➢ 首脳案件・波及性ある事業の支援
✓
国際フォーラムの活用(AZEC等)
④GS諸国との共通基盤構築
➢ 共通知識基盤の構築
➢ イノベーションエコシステムの構築
107
グローバルサウス未来志向型共創等事業の成果
⚫ 令和5年度6年度に続き、令和7年度も10億ドルの予算を措置し、企業の実証事業等を支援。これにより、グローバル
サウスでの①事業者・分野の裾野の拡大、②新市場の囲込み・創出、③プロジェクトの事業化が進展。
①事業者・分野の裾野の拡大
事業者の裾野拡大
(以下実績は令和5年度以降の累積)
421件
重点分野への投資
採択総数
GX、DX、経済安保
の分野を集中支援。
※ASEAN大型33件、非ASEAN大型16件、小規模372件
※R5年度補正251件、R6年度補正170件
※中小企業比率は56%
比率は 5:7:1
※JCMの取組を後押しするような案件も有。
②新市場の囲込み・創出
展開国の拡大
79カ国での案件を採択。
計
これまでバイでの経済外交が十分でなかった国へのリーチ
も。
※地域別では、ASEAN204件、南西アジア80件、アフリカ47件、中南米26件、
中東17件、島嶼国9件、中央アジア14件、北東アジア5件、東欧1件、複数地域18件
面的な事業拡大
AZEC、TICAD等の
マルチの場でのMOU締結や
首脳会談案件多数。
③プロジェクトの事業化
上流への打込み
64件
計
をマスタープラン(MP)事業※で採択。
GS国の開発計画や法規制等の「上流」に入り込むこと
を目指し、既に次の事業フェーズを狙う案件も。
※重要国や分野について、日本と相手国に裨益することを前提に、具体的な案件
組成を目指したインフラ等整備計画の策定を支援する委託事業。
事業化への橋渡し
金融機関との連携
JBIC等もGSに注目する中、
シームレスな連携で育てる案件を
増やしていく必要。
※経産省作成 108
米国・欧州・中国の移民政策のまとめ
:米国が高度人材の選別的受入れを強める中、他国は高度人材受入れを積極化
高度人材
関連
その他
米国
ドイツ/英国
中国
(2025年9月)H1-Bビザ申請の厳格化
• 初申請時に10万ドルの手数料導入
– 元々1,700-4,500ドルの手数料
• 賃金水準に応じて申請者を4段階に分
け、高給な申請者ほど抽選回数が増
える仕組みを導入
– 職種と勤務地域ごとの賃金分布で
17/34/50/67パーセンタイルの4段
階に区分
(ドイツ/2024年6月-)チャンスカード/
EUブルーカード制度の積極活用
• チャンスカード制度により、高度人材は
雇用契約なしで入国・求職可能
• 非EU出身の高度人材をEU域内に呼び
込むEUブルーカード制度をドイツは積極
活用
(2025年10月)Kビザ導入により
若手化学技術人材の誘致を強化
• 米国のH1-Bビザ厳格化による受け皿
になる狙いもある模様
(2025年1月)不法移民の強制送還を
推進
• トランプ大統領の就任100日で約6万
人を強制送還と発表。
(ドイツ/2025年5月‐)一部移民の家族
呼び寄せの制限、国籍取得規制の厳格化
• 移民数抑制による社会的負担の軽減
を狙う措置
(英国/2025年6月)
「グローバル人材タスクフォース」の設置
• トップ人材の誘致に向けて国際拠点と
のネットワーク強化・呼び込み体制を構
する「グローバル人材タスクフォース」を設
置
(英国/2025年5月-)労働者および留学
生に対するビザの厳格化
• 単に移民数の削減を目指すのではなく、
国益に資する移民を対象とする方針
(出所)各国政府公表情報
(2023年-)「啓明」を通じた高度人材
招致に向けた資金提供
• 優秀な外国の科学技術人材を招致す
る目的の資金援助計画「千人計画」の
後継制度
109
技術協力・人材交流によるグローバルサウスとの連携強化(日本)
⚫ 新興国の技術水準の向上や事業環境整備等に貢献する官民連携による技術協力及び、GX/DX人材等の育成、高度外国人材受入
れの支援強化等を通じ、サプライチェーンの強靱化、日本企業のグローバル化及び国際競争力の強化を目指す。
高度外国人材の獲得
JETROの海外拠点を通じた高度外国人材獲得
高度外国人材受入れ体制の強化を通じて、海外ビジネスの拡大やイノベーション創出を促す。
海外大学との連携を通じた高度外国人材の獲得を目指す。
【主な取組(令和7年度)】
【主な取組(令和7年度)】
○グローバルサウス IT / AIエンジニアインターンシップ事業
○海外大学ネットワーク構築事業(JETROを通じた支援)
日本企業における優秀なIT・AI人材の獲得や、雇用ルートの多様化を目指し、グローバ
ルサウス諸国のIT・AI関連分野を学ぶ学生を対象としてコーディング・コンテストを開催。
50名のコンテスト通過者を対象にインターンシップを実施。加えて、海外からの直接採
用を後押しするため、ジョブフェア等を開催。優秀な海外IT・AI人材を発掘するとともに、
企業内での受入れ体制整備を支援。
高度外国人材を海外から直接採用するべく、ジェトロ海外事務所を通じて、海外大
学と連携。ベトナム、インド、インドネシア等の海外大学を日本企業に紹介するセミ
ナーや、IITHでのジョブフェアを開催。
加えて、インド、南西アジア地域の96大学情報をまとめた海外大学ディレクトリーを
公表。コネクションデスクを通じて、日本企業と海外大学との交流・関係強化を促進。
○国際化促進インターンシップ事業
海外大学ディレクトリー:
https://www.jetro.go.jp/world/reports/2025/02/06063ab97579de87.htm
高度外国人材雇用に関心がある中堅・中小企業を対象に、101名の海外学生等をイン
ターンとして受け入れる機会を提供。インターンシップを通じて、高度外国人材受入れに
必要な企業内での受入れ体制整備を支援し、日本企業の海外展開の促進や高度な知識・技
術を有する外国人材と働くことによるイノベーション創出を目指す。
○高度外国人材活躍プラットフォーム事業(JETROを通じた支援)
JETROにて高度外国人材活躍プラットフォームを設置。関係省庁連携の下、高度外
国人材の採用・活躍のため、ポータルサイトを通じて企業及び高度外国人材双方に向
けた各種情報を発信。
また、高度外国人材に関心を持つ企業342社に対して、専任コーディネーターによる
伴走型支援を提供し、高度外国人材の採用から定着までを一貫して支援。
ポータルサイト: https://www.jetro.go.jp/hrportal/
外国人材育成
海外現地生産拠点への技術移転や能力強化、人材採用の促進を目指す。
【主な取組(令和7年度)】
○研修・専門家派遣・寄附講座開設事業
日系企業が外国人材育成として行う、日本での受入研修、専門家派遣による海外研修、
及び海外大学での寄附講座開設を支援する。
・受入研修人数:736人
・専門家派遣:31人
・寄附講座開設数:67講座
110
日本の経済連携の推進状況
⚫ 現在、我が国は25か国・地域との間で22の経済連携協定を署名・発効済。 ※EUを1地域と計算
⚫ ドーハラウンドの停滞以降、各国は経済連携協定による特定国との貿易促進を指向。
⚫ 2025年の日本のFTA等カバー率は約8割。
※FTA等カバー率=全貿易額に占めるEPA/FTA署名・発効済国との貿易額の割合。
⚫ 日本は、CPTPPや日EU・EPAを通じて、質の高い通商ルールを構築。RCEP協定は2022年1月に発効。ト
ルコ、UAE、GCC等の新興国とのEPA交渉も通じ、自由貿易圏の更なる拡大を目指す。
<日本の経済連携の推進状況>
<日本のFTA等カバー率(2025年)>
(出所)財務省貿易統計(2025年1月~12月)より経済産業省作成。 111
小数第1位を四捨五入のため、合計は必ずしも100%とならない。
CPTPP参加国と加入に関心を持つ主な国・地域
⚫ CPTPPは高いレベルの市場アクセスとルール(デジタル・国有企業等)を持つメガEPA。自由で公正な経済秩序の構築に寄与。
⚫ 新規加入については、①協定のハイスタンダードをみたす用意があること、②貿易に関するコミットメントの遵守する行動を示し
てきていること、③CPTPP締約国のコンセンサスに基づいて決定がなされることという「3原則(オークランド原則)」に基づく
ことがCPTPP参加国間の共通認識。
⚫ 一般見直しについては、 2025年11月の閣僚委員会において、電子商取引、サプライチェーン強靱化等の分野で協定改正を通じた
規律の強化を決定。また、市場歪曲的慣行への対応等について協定改正を伴わない見直しを進めることを決定。
⚫ 中国、台湾、エクアドル、コスタリカ、ウルグアイ、ウクライナ、インドネシア、フィリピン、UAEの9エコノミーが加入要請済
であり、そのうちコスタリカについては、2024年11月に加入作業部会の設置を決定し、現在加入交渉継続中。 2025年11月の閣
僚委員会において、ウルグアイの加入手続を開始することともに、UAE、フィリピン及びインドネシアについても、適切であれば
2026年に加入交渉を開始することが決定。
<CPTPPの経済圏規模>
人口:
約5.8億人
GDP:
約14.7兆ドル
貿易総額:約8.7兆ドル
※11か国+英国の合計値
(出所:IMF2022年)
:CPTPP参加国
:加入作業部会立ち上げ済の国
:加入要請エコノミー
※議長国(批准順):加(2024)→豪(2025)→越(2026)→ペルー(2027)→馬(2028)
112
ルビオ米国国務長官主催重要鉱物閣僚会合
堀井外務副大臣によるルビオ米国国務長官主催重要鉱物閣
僚会合出席にかかるプレスリリースより抜粋(2026年2月5日)
2月4日(ワシントン現地時間)、堀井巌外務副大臣は、茂木外務大臣の代理としてマルコ・ルビオ米国国
務長官主催の重要鉱物閣僚会合に出席したところ、概要は以下のとおり。
➢ J・D・ヴァンス米国副大統領、スコット・ベッセント米国財務長官、ジェイミソン・グリア米国通商代表、
クリス・ライト米国エネルギー長官に加え、カナダ、イタリア共和国、欧州連合(EU)、豪州、インド共和国、
大韓民国等の閣僚級が出席。
➢ ヴァンス副大統領から、トランプ政権は、世界の重要鉱物市場を、より健全で競争力のある状態に戻すための
具体的な仕組みとして、実効性のある価格スコアによって外部からの混乱を防ぐ「重要鉱物に関する特恵貿易圏」
の創設を提案、
優先貿易圏の加盟国には、基準価格が価格の下限として機能し、調整可能な関税により支えら
れる、同盟国及びパートナー国とともに、貿易ブロックを形成したい旨発言。
➢ ルビオ国務長官から、参加国には採掘、精錬、重要鉱物の消費といったそれぞれが果たす役割があり、具体的な行
動に繋がることが重要、同志国による真にグローバルな取組でなければならない、重要鉱物の多様な供給と、安全
で強靱なサプライチェーンを世界全体で確保し、いかなる国の経済も、他国からの圧力や市場の混乱によって脅さ
れない状態を実現したい旨発言。
➢ 堀井副大臣は、ヴァンス副大統領及びルビオ国務長官に続き冒頭挨拶を行い、重要鉱物を巡る厳しい状況下で
その安定供給が世界経済の安定的な発展に不可欠であること、需給両側面でのアプローチを同志国と協力して
進めることが重要であり、我が国として重要鉱物サプライチェーン強靭化に強くコミットすること等について
発言。
➢ 同会合では、「鉱物安全保障パートナーシップ(MSP:Minerals Security Partnership)」の取組を引き継
ぐ新たなイニシアティブである「資源の戦略地政学的関与に関するフォーラム(FORGE:Forum On
Resource Geostrategic Engagement)」の立上げが発表され、FORGEを通じた同志国連携の推進につ
いて議論が行われたほか、貿易上の協力や、鉱物分野の投資に関する協力についても活発な議論が行われた。113
米国による重要鉱物貿易協定(ATCM)の提案
米国通商代表部(USTR)は2月26日、重要鉱物に関する複数国間協定(重要鉱物貿易協定(ATCM) )の設計、ならび
にサプライチェーンの強靭化に向けたパブリックコメントを募集する官報を発表。この協定には、特定の鉱種について「プライスフロア」を
設定すること等が盛り込まれている。
米USTRパブリックコメント募集(2026年2月26日)の概要
官報では、重要鉱物の輸入依存度の高さを現状の課題として位置付け、その要因に、採掘・加工・精製・製造といったサプライチェーンの各段
階の米国内の能力が限定的であること、さらに、供給拡大に向けて米国が同盟国や民間部門と進めた取り組みが非市場的政策や慣行により
損なわれてきたことを挙げた。その上で、これら課題に対応するための選択肢の1つに「志を同じくするパートナーとの複数国間協定」を位置付け、
特に意見募集の観点として、次の10点を提示。
•
•
•
•
•
•
•
•
•
•
複数国間協定の範囲を決める上での重要鉱物と貿易相手国の優先順位付け
協定の対象となる重要鉱物の目標価格や参照価格の設定
重要鉱物の(最低価格や市場価格を確立するための)価格調整メカニズム
規制の裁定取引(サヤ取り)に対処するための共通基準の確立
重要鉱物サプライチェーンへの投資を統治するためのルール
複数国間協定の実施および執行
協定参加国間での調整メカニズム
協定設計の上で参考となる施策や協定の例
(価格調整メカニズムなどの措置に)関連し得る参加候補国の国内法制度
そのほかの考慮事項
(出所) Request for Comments on the Design of a Plurilateral Agreement on Trade in Critical Minerals and Policy Actions To Strengthen the Resilience of Critical Mineral Supply Chains
https://www.federalregister.gov/documents/2026/02/26/2026-03868/request-for-comments-on-the-design-of-a-plurilateral-agreement-on-trade-in-critical-minerals-and
114
(仮訳) 2月4日重要鉱物閣僚会合に続く、米国政府、欧州委員会及び日本政府
「2月4日重要鉱物閣僚会合に続く、米国政府、欧州委員会及び日本
との間の 共同プレスステートメント
政府との間の共同プレスステートメント」(2026年2月5日)より抜粋
経済安全保障の前進―EU、日本、米国は重要鉱物サプライチェーン強靱性に関する戦略的パートナーシップを
形成する
本日、米国、欧州連合及び日本は、EU加盟国数か国も参加したワシントンD.C.にて開催された重要鉱物閣僚会合において
一堂に会した。
米国、欧州連合及び日本は、今、重要鉱物のサプライチェーンの強靱性を共同で強化することにより、経済安全保障及び安
全保障の増進に向けて大きな進展を遂げている。米国、欧州連合及び日本は、2つの要素について、互恵的なパートナー
シップに向けて協調的な取組を加速する意図を表明した。
これは重要鉱物サプライチェーンの安全性の向上を目的とした米国と欧州連合の間の了解覚書を30日以内に結ぶとのコ
ミットメントを含む。今後米国と欧州連合との間で結ばれる了解覚書は、採掘、精錬、加工及びリサイクルでのプロジェク
トを特定し支援することにより、需要を刺激し米国及び欧州連合双方の供給を多様化するための協力分野を特定する。また、
その覚書は、サプライチェーン途絶の防止、研究・イノベーションの取組の促進、備蓄に関する情報共有の促進のための措
置に係る議論を含む。加えて、2025年10月27日に日米両国の首脳が「採掘及び加工を通じた重要鉱物及びレアアー
スの供給確保のための日米枠組み」を署名しており、上述の領域を包含している。
米国、欧州連合及び日本は、既存の国際協力及びイニシアティブを基盤として、行動計画を発展させ、重要鉱物の貿易にお
いて志を同じくするパートナーと共に、複数国間の貿易イニシアティブを探求する意図を有する。そのような複数国間の貿
易イニシアティブは、国境で調整される価格フロア、基準に基づく市場、値差に係る補助金、オフテイク契約といった調整
された貿易政策及びメカニズムの発展を探求することを含み得る。
国務省が了解覚書に係る米国の関与を主導する。米国通商代表部が行動計画に係る米国の関与を主導する。
欧州連合、米国及び日本はG7 並びに鉱物安全保障パートナーシップ(MSP)及びその後継フォーラムを含む関連する国際
場裏において、これらの観点について一層関与するとともに、重要鉱物の強靱性のための追加的な可能性及び他の措置を探
求する意図を有する。
115
経済安全保障政策のアプローチ
将来の不可欠性・
自律性の獲得
コンピューティング
① 破壊的技術革新
が進む領域
次世代コンピューティング
(例:量子コンピュータ・先端半導体)
不可欠性
の維持
② 我が国が
技術優位性を持つ領域
製造装置・部素材・機器 等
(例:MLCC・光ファイバー・複合機)
自律性
の回復
③ 対外依存の領域
一般的なレガシー半導体 等
高性能パワー半導体・マイコン等
クリーンテック
バイオテック
次世代クリーンテック
(例:ペロブスカイト・全固体電池)
バイオものづくり
(例:合成生物学・バイオファウンドリ)
3分野以外
(防衛・宇宙
・基盤技術)
各領域に対する取
組の方向性
製造装置・部素材 等
重要鉱物 等
検査・分析装置 等
抗菌性物質製剤 等
航空機部素材 等
航空機部素材 等
防衛・宇宙分野の先進技術
(炭素繊維・エンジン用素材)
(大型鍛造・鋳造)
技術優位性の創出
機微技術の流出・拡散防止
過剰依存構造の防止・是正
※ 点線枠内の物資・技術は例示
Promotion(技術開発支援、投資支援等)
Protection(輸出管理、投資管理、技術管理等)
Promotion(代替調達先開発支援等)
Protection(需要サイドの対応等)
Partnership(官民連携、国際連携)
116
支援対象の拡大
⚫ 地政学的な不安定性の高まりの中で、供給途絶等の蓋然性など、特定重要物資の指定に係る四要件
への該当性を判断する際の前提が大きく変化していることも踏まえ、支援対象を再考。
⚫ 具体的には、①重要物資の製造に不可欠であるが、汎用性がある基盤的物資への支援[対象イメー
ジ:一部の汎用化学品] 、②相互に連携することにより製造基盤の強靱化を支える連鎖的な技術要
素群(「テクノロジー・チェーン」)に着目した支援[対象イメージ:鋳造・鍛造]を行う。
⚫ また、支援対象に係る分析では「総合的なシンクタンク」及び「官民協議会」を有効活用する。
重要な基盤的物資の動向
重要なテクノロジーチェーンの動向
(例.汎用化学品)
(例.鋳造・鍛造)
化学品の国内生産量・輸出量は減少傾向
化学品の生産動向
•
鋳造、鍛造は、造船、航空、エネルギー、 工作機械・産
業ロボット、半導体製造を含む幅広い製造業にとって不
可欠な基幹加工工程
•
しかしながら、十分な設備更新と人材確保が難しく、製
造設備の老朽化と製造能力の減少が進行
化学品の輸出入動向
(2020年=100)
石油化学系基礎製品
脂肪族系中間物
140
環式中間物
その他の有機化学工業製品
無機化学工業製品
120
(千トン)
18,000
輸入
輸出
減少傾向
16,000
鋳造製品・鋳造設備の例
14,000
100
12,000
80
減少傾向
10,000
60
横ばい圏
8,000
(年)
(年)
117
経済安全保障の観点からも重要な資源循環
⚫ 我が国の製造業は、原材料の調達において、重要鉱物を始めとして海外への依存度が高い又は今後高くなる脅威に
さらされている(地政学的リスク)。このため、一次資源(天然資源)だけではなく二次資源(再生資源)にも着
目することが経済安全保障の確保に向けて重要であり、国内での循環資源の回収拡大や不適正な国外流出抑制等に
より、基幹産業に再生材を質・量・コストの面で安定的に供給するサプライチェーンの強靱化が必要。併せて、再
生材需要の創出・拡大を起点とした市場形成の取組も重要。【自律性】
⚫ 日本の精錬技術は回収できる鉱物資源の種類、回収率や純度の点で優位性を持つ。また、我が国の各種リサイクル
法等の知見や回収・解体のノウハウは、ASEAN等での資源回収の促進に寄与できる。こうした強みを生かし、資源
循環産業への投資を推進し、日本をハブとする国際的な資源循環ネットワークの構築を目指す。【不可欠性】
資源循環に関する戦略的方向性
日本
再生材需要創出
環境配慮設計
地政学的リスク
【自律性】
✓ 再生資源供給サプライ
チェーンの強靱化により、
再生材を質・量・コストの面
で安定的に供給
✓ 再生材需要の創出・ 拡
大を起点とした市場形成
【不可欠性】
✓ 日本の精錬技術等の優位
性を活かし、同志国とも連
携し、日本をハブとする国
際的資源循環ネットワーク
を構築
受容性の向上
製造業
バージン材
再生材
海外依存度
消費者等
日本の製造業
への供給も
再生資源供給
サプライチェーン
の強靱化
再生材
使用済
製品・部品等
資源循環業
海外へ
不適正な国外 流
出抑制
前処理等
再生材
原料
再資源化拠点等の構築
環境汚染への懸念
海外からの安定調達
米国・欧州+ASEAN
電子スクラップ・廃触媒等
(銅・金・銀・レアメタル)
(出所) 「循環経済に関する関係閣僚会議(第3回)」資料(2026年3月)
不適正
スクラップ
ヤード
日本をハブとする国際
資源循環ネットワークの構築
中古品
輸出
118
次世代技術開発に必要な重要部素材: ヒューマノイド
⚫ 次世代技術開発に必要なコンポーネントに係る重要部素材等について、主要プレーヤーの多くを他
国企業が占めているものも存在。
次世代技術に関連する主要企業(例:ヒューマノイド)
主要コンポーネントの例
ヒューマノイドバリューチェーンTOP100社の国・地域
ボディ領域
ブレイン領域
ソフト
(ブレイン)
生成AIモデル
各種ソフトウェア
自律的思考
分析・シミュレーション
アクチュエーター
関節の駆動・減速一体機構
センシング・認識システム
その他 2社
その他
1社
欧州
1社
中国
1社
米国
5社
米国
4社
日本
3社
欧州
3社
中国
18社
環境認識・姿勢推定・
障害物検出
インテグレーター領域
その他
6社
日本
2社
米国
3社
中国
9社
【具体的なコンポーネントの例】
ハード
(ボディ)
エンドエフェクター
バッテリー
物体の把持、操作等
電力の安定供給、航続確保
アクチュエーター部品
センサー
統合アクチュエーター
エンコーダー
組み込み用PC
モーターの角度・速度検出
知覚・判断・制御等の演算
等
•Tuopu(中)
•Sanhua(中)
•Shenzhen Inovance(中)
•THK(日)
•Jiangsu Hengli(中)
モーター
•Estun(中)
•Leadshine(中)
•Moons' Electric(中)
•Shenzhen(中)
•Inovance(中)
•Zhaowei(中)
•Zhongda Leader(中)
•Keli Sensing(中)
•Novanta(米)
•Melexis(白)
•Robosense(中)
※ 右図については、ヒューマノイドに係るバリューチェーンに既に組み込まれていることが確
認済み(Reported)の企業のみを集計
※ また、具体的なコンポーネントについては、Primary Product及びSecondary Productに記載
された分類に従って集計
(出所) Morgan Stanley「The Humanoid 100: Mapping the Humanoid Robot Value Chain」(2025年2月)等より作成
119
「エコシステム」への支援
⚫ 経済安全保障の観点から製造基盤に係るエコシステムを支える各要素を支援。
① 製造AX(AIトランスフォーメーション)の推進
◆ 製造DXで世界的に遅れ
(WEFの認定先進工場:全223工場中、日本工場は3工場のみ)
◆ 投資低迷で設備の使用年数は高止まり(ビンテージ化)
⇒ 日本の強みである製造現場のリアルデータ等を活用して
製造基盤強化に向けフィジカルAIを世界に先駆けて実装
(製造AX(AIトランスフォーメーション))
✓ 生成AI開発プログラム(GENIAC)の推進
✓ 製造AX拠点構想(データベース整備、製造プ
ラットフォーム開発支援)の推進
✓ 大胆な投資促進税制や各種補助金を活用した、
製造基盤のアップデート(AI・IoTやロボット、工程集
約型加工機等の実装)
② 製造基盤を支える人材の育成・確保
③ 技術流出防止のより一層の強化
◆ 2040年就業構造推計では、AI・ロボット等
利活用人材(約340万人)や理系人材(約120万
人)が不足
◆ オペレーション、メンテ等人材も重要
✓ 文理分断からの脱却(高校・大学等)
✓ 成長分野への学部再編等による理工・デ
ジタル系人材の育成(大学・高専)
◆ 我が国の技術を狙う動きが巧妙化
◆ 他国による技術管理が不十分な場合もあ
るため、国際連携が課題
製造
基盤
✓ 「技術管理官民対話スキーム」「技術流出
対策ガイダンス」等の徹底、充実
✓ 技術管理に関する同志国連携の推進
④ 中堅・中小企業を含むSCの強靱化
◆ 製造基盤を支える中堅・中小企業では経済安保の取組が遅れている一方、今後の取組意向も
✓ 中堅等大規模成長投資補助金や成長加速化補助金等における加点措置等
✓ 100億宣言のネットワーク等を活用したコミュニケーションの充実(技術管理等)
120
経済安全保障推進法(一部改正案、令和8年3月19日閣議決定)
※内閣府資料を基に経産省作成
趣旨
経済安全保障推進法の成立から3年が経過する中、国際情勢の急速な変化や新たな課題に対して、迅速かつ強力に
対応することが必要。外交力・防衛力・経済力・技術力・情報力・人材力を含む総合的な国力を強化しながら最大
限活用し、我が国の平和と安全、繁栄を確保すべく、以下の対応を講じる。
概要
1.重要な物資の安定的な供給の確保
4.重要な海外事業の促進(新設)
・重要な物資について、その供給に不可欠な役務に外部依存性・供
給途絶蓋然性等がある場合、特定重要物資として指定・支援する仕
組みを整備。
・経済安全保障上重要な海外事業を支援するための新たな制度を
創設することとし、国際協力銀行法の目的規定に経済安全保障に
係る新項を追加するとともに、国際協力銀行に新勘定を設け、同勘
定から劣後出資等を供与することで民間資金の動員を図る仕組み
等を創設。
・安定供給確保に向けた相互連携・協力の努力義務、支障が生ず
るおそれがある場合の協力要請等を規定。
2.基幹インフラ役務の安定的な提供の確保
・基幹インフラ制度の対象事業に、医療分野(医療情報基盤・診療報
酬審査支払機構が行う医療DX関連業務及び一定の病院が行う医
業等)を追加。
・事業者指定直後から届出可能とする等、事業者等からの意見を踏ま
えた運用改善を措置。
3.先端的な重要技術の開発支援
・研究開発等の伴走支援を行う指定基金協議会を設置できる基
金の対象範囲を拡大。
施行期日 公布から1月後~1年6月以内 ※段階的に施行
5.総合的な経済安全保障シンクタンク・官民協議会
(新設)
・総合的な経済安全保障シンクタンク
内閣官房を司令塔とし、外交・情報・防衛・経済・技術の専門知識を集
結して総合的な調査研究・政策提言を行う業務を独立行政法人経済
産業研究所に追加。
・官民協議会
官民の関係者が参画して、経済安全保障を確保するための対策等につ
いて協議を行う官民協議会を創設。
121
第7期科学技術・イノベーション基本計画(令和8年3月27日)における経済安全保障関連の記述
第1章 基本的な考え方
4. 科学技術・イノベーション政策の転換
科学技術は、経済成長のみならず、安全保障上の目標を達成するために不可欠な基盤であり、科学技術とイノベーションのエコ
システムの国際的な競争力を確立・強化することこそが我が国の国力の源泉となる。そのため、科学技術力の向上に向け、科学技
術・イノベーション政策の転換を図っていく。今後は、科学技術・イノベーション政策と国家安全保障政策で、それぞれの目的はあり
つつも、政策の連動性を図り、有機的な連携を一層強化し、より効果的に機能するように政策体系を構築していく。デュアルユース
技術を含む先端技術の研究開発及び社会実装を戦略的に推進するとともに、戦略的自律性と不可欠性の観点から、重要技術、
サプライチェーン、重要インフラ及びデータ基盤の強化を図る。
第4章 科学技術と国家安全保障との有機的連携
我が国は戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に直面しており、また、科学技術をめぐる国際的な主導権争いは激化している。主要
各国が先端技術の獲得を国家戦略の中核に位置付ける中、我が国においても科学技術の重要性を再認識し、国家安全保障の
観点からも総合的に取り組むことが不可欠である。最先端の科学技術は加速度的に進展し、民生用の技術と安全保障用の技術
の区別は実際には極めて困難となっている。
くわえて、民生用にも安全保障用にも利用される可能性があるデュアルユース技術への投資は、それぞれの分野においてのみならず、
技術力を相互に高め合いながら、科学技術の発展、ひいては、産業競争力を強化し、長期的な経済成長にも資するものである。この
ため、産学官が連携して、我が国の科学技術基盤を支える先端技術として、デュアルユース技術の研究開発及び社会実装に取り
組む。具体的には、内閣官房国家安全保障局を中心に、関係省庁と連携しながら、既存の防衛産業に限定しない、幅広い企業群
やスタートアップ企業の参画を促すとともに、大学や国研なども参画する、安全保障分野におけるエコシステムを構築していくべきである。
その際、経済安全保障の観点を重視して技術力を強化する中で得られる成果を国家安全保障に積極的に活用することも重要で
ある。くわえて、安全保障分野におけるエコシステムにおいては、民生用の技術と安全保障用の技術を区分けすることなく、双方の技術
が相乗効果を生み出せるよう、民生と安全保障の分野で技術が行き来する双方向の流れを促進することも重要である。
2.経済安全保障の観点を重視した技術力の強化
(3) 経済安全保障上の重要技術の育成
経済安全保障重要技術育成プログラム(K Program)については、中長期的に我が国が国際社会において確固たる地位
を確保し続ける上で不可欠な要素となる先端的な重要技術について研究開発を実施しているところ、このような取組の重要性は
ますます増大している。このため、本プログラムを着実に推進するとともに、今後、経済安全保障上の重要技術領域及びその考え方、
本プログラムの中間評価結果等を踏まえ、後継プログラムの在り方を検討する。
122
外為法(技術管理強化のための官民対話スキーム)
⚫ 技術は、貨物に比して、一度移転すれば、管理の難易度が高くなる。また、移転後の時間的経過ととともに主体や用途が
変化し、当初想定できないような軍事転用に繋がる懸念がある。
⚫ このため、安全保障上の観点から管理を強化すべき重要技術の移転に際して、技術移転を止めるためではなく、適切な技
術管理を徹底することを目的として、外為法に基づく事前報告制度を設け、これを端緒として官民が確実に対話。(技術
流出の懸念が払拭されない場合に、許可申請を求めるインフォームを発出する場合もあるが、原則として、対話を通じた
信頼関係の下での解決を目指す。)
⚫ 現在19の技術を事前報告の対象としているが、今般、新たに5技術を追加する予定。
事前報告の対象技術
<スキーム概要>
①事前報告
②官民対話による技術管理検討
経産省
③許可申請を求めるインフォーム
(懸念が払拭されない場合)
事業者
①積層セラミックコンデンサ
(MLCC)
⑬正極/負極バインダ
②SAW/BAWフィルタ
⑭固体電解質
③電解銅箔
⑮セパレータ製造装置
④誘電体フィルム
⑯量子ドット
⑤チタン酸バリウム
⑰TADF材料
(有機EL次世代発光材料)
⑥炭素繊維
⑱位相差フィルム
⑦炭化ケイ素繊維
⑲軟性内視鏡
⑧フォトレジスト
⑳ソルダーレジスト
⑨非鉄金属ターゲット材
㉑GaN基板
⑩走査型/透過型電子顕微鏡
(SEM/TEM)
㉒永久磁石
⑪TMR/GMRセンサー
(磁気センサー)
㉓ペロブスカイト太陽電池
⑫スポンジチタン
㉔シンチレータ
123
新たに追加する技術
経済安保に係る企業の行動変容に向けた取組~最近のガイドライン等の策定・更新~
経営陣向け
1.経済安全保障経営ガイドライン
(経済産業省。2026年1月公表)
• 経済安全保障を長期的な観点からの投資として位置づけ
• 過度な依存の低減と技術流出の防止
• 中小企業を含め広く普及
2. 「コーポレートガバナンス・コード」
(26年夏目処の改訂を目指し、金融庁有識者会議において審議中)
• 経済安全保障の観点をCGコード本体に反映
• 地政学リスクへの対応等も、収益機会につながり得るものと
して、リスク管理体制を整備する際の考慮事項に含まれ得る
とともに、そうしたリスクへの対応等が適切に行われるべき
旨を明示
事業部門向け
3.経済安全保障と独占禁止法に関する事例集
(公正取引委員会、経済産業省、国土交通省。 2025年11月公表)
• 経産省・国交省が提示した経済安保の観点から実施する行為
(15事例)について公取委が独禁法上の考え方を示したもの
4.技術流出対策ガイダンス
(経済産業省。2026年4月に改訂予定)
• 企業に対し技術流出対策を行う上での選択肢を示すもの
• ①生産拠点の海外進出に伴う技術流出対策、②人を通じた技
術流出対策、③共同研究に伴う技術流出対策、④すり合わせ
を通じた技術流出対策について、懸念事例と対策例を示すと
ともに、実務で活用できるチェックリストを提供
124
経済安全保障経営ガイドラインについて(2026年1月公表)
⚫ 企業を取り巻く国際環境は、国境を越えた効率重視の自由な経済活動が進展したグローバル化の時代から、地政学的リス
クを踏まえた対応が求められる時代に突入。
⚫ 我が国の経済安全保障の実現には、産業・技術基盤の主体である民間企業自身が、自社の自律性・不可欠性を高め、国際
環境の変化に対応し企業価値向上に繋げるため、企業経営者が認識すべき原則や推奨事項をまとめたのが本ガイドライン。
⚫ 地方や中小を含む事業者への普及、市場関係者等へのアウトリーチを実施。
経営者等が認識すべき原則
① 自社ビジネスを正確に把握し、リスクシナリオを策定する
② 経済安全保障への対応を単なるコストではなく、投資と捉える
③ マルチステークホルダーとの対話を欠かさない
具体的な推奨事項(一部要約・抜粋)
自律性確保の取組
⚫ シングルソースに調達を依存している場合は、予め代替調達となり得る事業者等との間で自社の製品・サービス等に組み入れるため
の原材料等の認証を行っておくなど、有事において代替調達先からの調達に速やかに移行できるような体制や調達先との関係構築を
行う
⚫ 自社のサプライチェーン上流に位置するサプライヤーや業界団体等から、安定供給確保のための調達先、生産拠点の多様化などの相
談がある場合、中長期的な企業価値向上に貢献し得るものとして、誠実に対話に応じる
不可欠性確保の取組
⚫ 自社のコア技術等を守ること、さらには取引先・共同研究先の技術情報等の流出防止対策にも万全を期すことは、企業価値向上に
貢献し得ることを認識する
⚫ 技術等の流出対策を、研究開発や生産技術、事業部門等の責任者の問題にとどめず、経営の問題として、経営者や間接部門の責任
者等も巻き込み、全社をあげた取組とする
125
コーポレートガバナンス(CG)コード改訂案における経済安全保障に係る記載
⚫ 26年夏目処の改訂を目指し、金融庁有識者会議においてCGコード改訂案を審議中。
⚫ 今般の改訂で経済安全保障の観点を、CGコード本体の解釈指針に初めて明記する方向。
⚫ 地政学リスクへの対応等も、収益機会につながり得るものとして、リスク管理体制を整備する際の考慮事項に含まれ得る
とともに、そうしたリスクへの対応等が適切に行われるべき旨を明示。
CGコード 改訂案(2026年4月3日版)
【原則4-4.取締役会の役割・責務Ⅲ:経営陣・取締役に対する実効的な監督②】
取締役会は、内部統制や全社的リスク管理体制を適切に整備すべきである。
解釈指針
内部統制や先を見越した全社的リスク管理体制の整備は、適切なコンプライアンスの確保により持続的に信
頼を維持し、リスクを最小化するために重要であるのみならず、経営陣が果断にリスクテイクを行うための裏
付けとなり得るものであるから、取締役会は、グループ全体を含めたこれらの体制を適切に構築するとともに、
内部監査部門を活用しつつ、その運用状況を監督すべきである。サイバーセキュリティリスク、国際的な経済
安全保障を巡る環境変化等の地政学的要因によるサプライチェーン途絶リスク及び技術等の情報流出リスクへ
の対応等も、収益機会にもつながり得るものとして、リスク管理体制を整備する際の考慮事項に含まれ得ると
ともに、そうしたリスクへの対応等が適切に行われるべきである。
(出所)第3回コーポレートガバナンス・コードの改訂に関する有識者会議資料
126
経済安全保障と独占禁止法に関する事例集について
⚫ 2025年4月の有識者会議において、経済安保の観点から行う事業者間の情報交換、連携、再編などについ
て、法務部や弁護士が保守的な判断を下す傾向とあいまり、カルテル違反や企業結合規制への抵触といった
独禁法上の漠然とした懸念を理由に、企業間の対話を躊躇してしまうという論点が提起された
⚫ 上記を踏まえ、公取委・経産省・国交省が、2025年11月20日、「経済安全保障と独占禁止法に関する事例
集」を公表。経済安全保障の観点から実施する行為に関して経産省・国交省が提示した15の事例について、
公取委が独禁法上の考え方を示したもの。
事例②:流出を防ぐべき技術範囲に関する情報交換
日本が優位性を持つ技術について、国内メーカー間で、又は所管省庁や業界団体を通じて、当該技術分野における海外流出を防ぐべき技術の
範囲に関して情報交換を行う事例。
事例⑥:重要原材料の調達に関する情報交換・共同調達
事業に不可欠な重要原材料について、(1)国際情勢の著しい変化等の外的ショックにより国内メーカーの調達途絶が顕在化した場合又はそ
の蓋然性が高いと政府が認め企業に情報提供した場合に/(2)平時から国内メーカーが調達途絶リスクに備える必要がある場合に、国内
メーカー間で当該原材料の代替調達先や調達品のスペック等に関する情報交換及び共同調達を検討・実施する事例。
事例⑭:国内で寡占的な複数事業者の統合・合併
グローバル市場における競争に晒される中、国内企業個社では、生産効率の維持等の対応ができない状況において、国内で寡占状態
にあるA社とB社が統合・合併する事例。
(出所)「経済安全保障と独占禁止法に関する事例集」(公正取引委員会・経済産業省・国土交通省)(https://www.meti.go.jp/policy/kyoso_seisaku/economic_security2025.pdf)
127
技術流出対策ガイダンス第2版の策定について
⚫ 昨年5月に策定した「技術流出対策ガイダンス」について、企業における国内外との共同研究や共同開発・調達時のすり
合わせ等の連携を行う場面での技術流出対策に関するニーズが多く聞かれていることを踏まえ、これらの内容を網羅す
べく、第2版への改訂を実施(3/5~4/3にパブリックコメントを実施)。
⚫ あわせて、本年1月、 「経済安全保障経営ガイドライン」を策定したことなどを踏まえ、「各章で共通する技術流出対策」、 「人を通
じた技術流出への対策」等についても、内容を大幅に充実。
⚫ また、本ガイダンスをより簡潔にまとめた資料として、中小企業やスタートアップ企業向けの「技術流出対策ハンド
ブック」を策定中。
【技術流出対策ガイダンス第2版の目次(予定)】
【新規追加パートの視点】
第1章 各章で共通する技術流出対策(大幅に充実)
共同研究を通じた技術流出への対策
第2章 生産拠点の海外進出に伴う技術流出への対策
⚫
第3章 人を通じた技術流出への対策(大幅に充実)
第4章 共同研究に伴う技術流出への対策(新規)
第5章 すり合わせに伴う技術流出への対策(新規)
⚫
⚫
イノベーションの実現のためには、異なる国や組織との共同研究によって、知識・技
術の伝搬を促し、企業のイノベーションを推進していくことが重要。
経済安全保障上の観点でも、先端技術分野におけるイノベーション力を発揮し、わが
国の「技術優位性」を磨き上げ「不可欠性」まで強化することは重要な課題。
一方で、共同研究の過程では、企業にとっての「秘密」がある中で、他組織、さらに
は他国との技術の共有が想定されることから、技術流出リスクが高い行為であると考
えられ、そのテーマ・内容、パートナー等に応じた、適切なマネジメントが重要。
すり合わせを通じた技術流出への対策
⚫
⚫
製品の性能や品質を最大化するためには、個々の部品調達に関わる組織間での最適化
に向けた相互調整(いわゆる「擦り合わせ」)が極めて重要。伝統的に企業とサプラ
イヤーの緊密な連携によって他国には真似が出来ない品質を生み出してきたわが国製
造業の「お家芸」の分野。
擦り合わせは、営業秘密を含め、さまざまな技術情報の共有が行われることから、技
術流出のリスクが高い。海外拠点も含めて行われていることから、「擦り合わせ」の
内容等に応じて適切なリスク軽減措置を組み合わせていくことが必要。
128
官民のバランスのとれた負担のあり方
⚫ 民の対応が極めて困難な領域について、諸外国の事例も踏まえ、各支援措置の長所・短所等を比較
しつつ、国による更なる支援のあり方について検討を行うべき。
官民の負担のあり方(イメージ)
経済合理性
高
自助
【基本的な方向性】
従来: 平時を前提とした経済合理性
↓
今後: 地政学リスクも織り込んだ経営判断の
アップデート
共助
低
公助
【イメージ①】
平時の需要は小さい一方、危機時に急増する需
要に備え、平時から製造能力を確保すべきもの
① 民民連携:
業界団体等を通じ
た複数の民間企業
による協調対応
【イメージ②】
投資回収に長期間を要し、経営判断が困難であ
る一方、経済安保の観点から国内において製造
能力を確保すべきもの
市場メカニズムも活用した継続的な対応
経済安全保障経営ガイドライン
(2026年1月23日公表)
コーポレートガバナンス・コード改訂
に向けた取組
経済安全保障と独占禁止法に関する事例集
(2025年11月20日公表)
官が前面に出た積極的な支援
② 官民連携:
官民による協調対
応
<参考>米国における安全保障関連の支援措置
(国防生産法、国防授権法等)
• 出資
• GOCO(政府設備保有+利用権付与)
• 設備投資及び運転費用に対する補助
• 低利融資・保証
• 長期購入契約(購入コミットメント含む) 等
129
第1回 防衛産業ワーキンググループ
資料より抜粋(2026年2月20日)
デュアルユースの産業基盤の重要性
⚫ ロシアによるウクライナ侵略では、既存の民生技術を全面的に活用し、「新しい戦い方」への迅速な対応のための
戦い方のアップデートが行われている。また、民生用の産業基盤を積極的に転用することで、迅速な装備品の量産
基盤を整備している事例が存在。
⚫ AI・半導体、量子、航空・宇宙、最先端素材などの分野における産業基盤を強化し、そうした基盤を防衛分野で
積極的に活用することの重要性は増大していく見込み。こうしたデュアルユースの技術・生産基盤を構築することが、
「継戦能力の確保」と「新しい戦い方への対応」の双方の観点から重要。
⚫ また、こうした投資を促進することは、我が国防衛力の強化に貢献するのみならず、日本全体の経済成長にも貢献。
※なお、デュアルユースとは、完成品、構成品・部素材、技術、製造基盤などにおいて、防衛用途・民生用途の双方で活用可能なものを指す。
民生基盤を活用したシステムの開発
民生基盤を活用したドローンの開発・生産
✓ 2023年2月にウクライナ軍において、状況監視システム「Delta」
を新たに開発・導入。
✓ ウクライナでは、民生用の生産ライン、研究用設備を防衛転用
することにより、迅速なドローンの量産体制を構築。
✓ 多くの民生システムとの接続や、民生ベンダーによる多様な機能を
提供。
(詳細)
(詳細)
✓ Deltaはスターリンクを介して、どこからでもアクセス可能。
✓ Google Mapをベースとして、ウクライナ軍とロシア軍の部隊
位置を表示する「Delta Monitor」機能と連携。
✓ 戦下のウクライナでの民間人の所在確認機能を持ち、軍事作戦
のターゲティングにも関連すると考えられているアプリ
「Bachu」を宇国内の民生ITベンダーが開発。
✓ 民生用の機械加工・電子部品・プラスチック成形などを行っ
ていた工場区画を、ドローン用の部品の生産ラインへ転換。
✓ 研究機関における3Dプリンター、高性能工作機械といった
研究設備を、ドローン部品の試作・小ロット生産に活用。
✓ ウクライナの官民連携オープンイノベーション・プラットフォー
ム「BRAVE1」に登録するドローン企業は、7社(2022年時
点)から500社以上(2025年時点)に大幅増加。
130
出所: https://www.nids.mod.go.jp/event/pdf/webinar-2025-03.pdf
出所: https://dronelife.com/2025/11/12/ukraines-drone-boom-how-wartime-innovation-is-reshaping-the-global-drone-industry/
1. マクロ経済運営のあり方
2. グローバル競争型産業
3. 新技術立国・競争力強化
4. 好循環のミッシングピースである消費活性化
5. 未来の経済社会システムのあり方
131
消費のメカニズム構造
⚫ 「有償な消費」の需要創出のため、消費のメカニズム構造を踏まえた、消費の検討行動・購買行動を分析。
⚫ 情報接触・暮らし方等の変化は、「価値観」と「検討プロセス」双方への変化を通じて消費量に影響。今後のAXによる変
化を想定し、価値観と検討プロセスの2つの変数に対して、消費の活性化につながる政策的なアプローチを検討。
▼消費のメカニズム構造
可処分所得
消費
(選択的支出)
=
-
基礎的支出
(生活必需費)
欲望
制約要因化
供給力
消費意欲
(=消費性向)
×
消費余力
欲求
価値観
検討プロセス
社会的背景
情報接触
▼消費の検討プロセス
消費
消費における特徴的な検討行動・購買行動
情報接触・暮らしぶりの変化が影響
欲望
消費のメカニズム構造を理解し、
1. 価値観の変化
2. 検討プロセスの変化
に対する政策的アプローチを検討
132
収入に対する支出先
⚫ 足下は物価の上昇もあり、家計の収入は増えているが、お金の使い道で最も増加しているのは貯蓄につながる黒字額。
⚫ 税・社会保険料といった非消費支出が増加し、エンゲル係数も上昇している中、選択的支出は金額としては増えているも
の、支出のシェアとしては低下しており、消費性向は低下。
実収入に対するお金の支出先(二人以上・勤労世帯)
(円)
700,000
基礎的支出
選択的支出
非消費支出
黒字額
600,000
28%
500,000
24%
21%
21%
16%
19%
28%
30%
29%
32%
32%
31%
27%
消費性向
2000年
72.1%
2005年
74.7%
2015年
73.8%
2025年
65.0%
エンゲル係数
22.0%
21.5%
23.6%
27.1%
400,000
16%
19%
300,000
200,000
100,000
26%
0
•
•
•
エンゲル係数:消費支出に占める食料費
基礎的支出 :支出弾力性が1.0未満の支出(米、野菜、家賃、電気代等の必需品が主に該当)
選択的支出 :支出弾力性が1.0以上の支出(ワイン、ケーキ、宿泊料等の贅沢品が主に該当)
(出所)総務省「家計調査」
133
物価の傾向と消費の動向
⚫ 選択的支出である教養・娯楽(選択的支出)において、2023年2024年は物価上昇に伴い買い控えが生じていたが、2025年
は物価が過去最高に上昇しているにもかかわらず、支出は前年同期比で増加しており、2026年も引き続き増加している。
⚫ 将来の物価の予測において、1年後の物価がかなり上がると予想している割合は2022年から横ばいであるが、5年後の物価
がかなり上がると答えた割合が著しく増加。消費者が物価上昇を一時的なものではなく継続的であると捉え、買い控えせ
ずに購入するという消費マインドの変化が生じうる可能性。
消費者物価指数と実質消費額の増減率
消費が増加した人の割合の推移
(教養・娯楽 前年同期比)
(消費額の増減率)
40%
(%)
(%)
35
60
2021
2022
2025
20%
1年後の物価がかなり上がると答えた割合
選択的支出を増やしたと答えた割合
30
30%
物価予測の推移
50
日常的支出を増やしたと答えた割合
25
2026
40
2023
10%
5年後の物価がかなり上がると答えた割合
20
30
0%
15
-10%
20
10
2024
2025
2024
2023
2022
2021
2020
2019
2018
2017
2016
2015
2014
2013
(教養・娯楽 消費者物価指数)
2012
120
2011
115
2010
110
2009
105
2008
100
2007
95
2006
0
※各年の月次情報を記載
-40%
10
5
2020
-30%
0
(年)
(年)
2006
2007
2008
2009
2010
2011
2012
2013
2014
2015
2016
2017
2018
2019
2020
2021
2022
2023
2024
2025
-20%
(注)左図において、教養・娯楽の実質消費額の増減率(月次)は同実質消費額の前年同月との比較で算出した。教養・娯楽の実質消費額は支出額に対して教養・娯楽の消費者物価指数を用いて実質化した。
実質消費額は二人以上・勤労世帯を対象としている。
(出所)左図:総務省「消費者物価指数」「家計調査」、中図・右図:日本銀行「生活意識に関するアンケート調査」
134
消費における欲望の分解
⚫ 現代の欲望は、様々な根源的な11の欲求と人それぞれの価値観によって構成されており、欲求・価値観が異なると消費行
動も異なる。
⚫ 根源的な欲求は不変ではあるが、価値観の変化を受けて欲望も変化し、消費行動・消費性向の変化につながる。
⚫ 欲望に作用する「心が動く消費体験」は、次の良い消費体験につながり「消費の好循環」を生む。
根源的欲求
価値観基盤
➢ 時代における「べき」論
根源的な欲求とは、
人が生まれつき
共通して持つ、
行動の土台と
なる基本的で
不変なもの。
合計購入金額の平均
(円/年)
➢ 社会トレンド、テクノロジー・情報環
境変化を踏まえて変化
1980年代:高成長時代で贅沢さを追求
1990年代:不況の時代、個人志向・低価格重視
2000年代:効率重視で手軽さ・コスパが進展
2010年代:ネットを介し、個人の価値観が重視
各欲求をもつ消費者の購入金額
(1回当たり、年平均)
46,000
探求&創造
保身&安全
44,000
健康&平穏
興奮&享楽
42,000
収集&没頭
遊興&解放
承認&優越
40,000
38,000
社会貢献&保守
36,000
34,000
3,000
愛情
自由&安楽
3,200
繋がり&共感
3,400
3,600
3,800
4,000
1回当たりの購入金額
4,200 (円/回)
(出所)電通デザイアデザインHPより引用
LINEヤフー株式会社「Yahoo!ショッピングの購入データ」
(出所)日本生産性本部「レジャー白書」
135
ライフスタイルの変化と消費の変化
⚫ 消費額の変化と欲望の関係を分析するため、2年間の調査期間を前半・後半の各1年間に分割し、EC購買額が前半から後
半にかけて大幅に増加したユーザー(※)を抽出。当該ユーザーを調査したところ、前半と後半の期間比較において欲
望・興味関心に変化が見受けられた。
⚫ 欲望はライフスタイルの変化によって変化し、その結果として、消費行動・額の変化につながると考えられる。
(例:職場環境が変わりキャッチアップのため自由時間が少なくなったことで「自由&安楽」の欲望が増大し、ショッピング等の自分へのご褒美消費が増加。)
⚫ その他、欲望の変化による消費の変化のパス以外にも、消費形態の変化(実店舗中心→EC中心へのシフト)、消費による
前半1年間
後半1年間
欲望の変化のパスも想定される。
(※)ある一時点の前後1年において
・後半期間において、購入金額、購入頻度が前半期間の5倍以上に増加
・両期間年間5回以上の購入、かつ年間5,000円以上の購入がある
購買行動の変動と欲望の変化
消費増加
欲望A
興味関心A
欲望B
興味関心B
購買行動の変動と興味関心の変化
40%
30%
35%
25%
30%
25%
20%
20%
15%
15%
10%
5%
10%
0%
-5%
5%
-10%
-15%
0%
前
後
前
後
前
後
前
後
前
後
前
後
前
後
前
後
前
後
承認&優 自由&安 健康&平 繋がり& 探求&創 興奮&享 社会貢献 保身&安 遊興&解
&保守
越
楽
穏
共感
造
楽
全
放
後
愛情
前
後
収集&没
頭
ト
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ン ト
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き 、
グ
ル
メ
、
料
理
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い
物
好
き
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ョ
ッ
ピ
ン
グ
イ
ン
テ
リ
ア
、
DIY
(出所)LINEヤフー株式会社「Yahoo!ショッピングの購入データ」
前
・・・
フ
ィ
ギ
ュ
ア
ス
ケ
ー
ト
ゲ
ー
ム
テ
レ
ビ
好
き
料
理
好
き
出
張
の
多
い
人
136
消費に影響する社会の大きな変化・潮流①
⚫ テクノロジーを代表とした社会の変化は、生産性の向上といった供給面への影響だけでなく、①生産性の向上を通じた賃
金の上昇、②社会の変化に伴う個人の価値観の変化、③社会の変化に伴う社会的背景の変化、④テクノロジーの進展等に
よる情報接触の変化という経路を通じて、個人の需要面にも大きく影響。
⚫ 需要面にも影響を与える社会の変化は多くの要素が想定され、代表的な要素とその影響に関して検討。
▼暮らし方の変化例
▼情報の受け取り方の変化
➢ 長期的には、社会や生活スタイルの構造的な変化が影響し、個人の需
要が変化。テクノロジーだけでなく、社会的価値観等も影響。
➢ 情報過多社会の中、情報量の増大やSNS疲れ、
自己防衛反応としてのフィルターバブルやエ
コーチェンバーといった情報接触行動が定着
▼ 暮らし方の変化の例
➢ 地方における人口減少に伴う身近な生活サービス業の撤退、共働
き世帯の増加に伴う家庭の可処分時間の減少の影響で、買い物の
頻度は低下し、まとめ買いへシフト( 冷蔵庫の大容量化)
➢ 購買頻度が低下したことで、冷凍食品のニーズが増加した他、
マーケティングのあり方も変化。これまでのマーケティングは毎
日の購買行動を前提としたコミュニケーション設計を行っていた
が、頻度が低下した場合は、15秒のCMでは認知の獲得が難しく、
長尺でブランド価値を提供するCMの方が有効的になることも考え
られる。
▼ (参考)冷蔵庫の大容量化
2000年代:400~420Lクラスが主流
2005年~:450~470Lクラスが主流
2010年~:500L以上へシフト(冷凍庫容量が300L前後)
➢ 今後はAIエージェントにより、情報接触の変
化が進展
情報過多
SNS疲れ
生成AIの利用進展
フィルターバブル
エコーチェンバー
137
消費に影響する社会の大きな変化・潮流②
⚫ 時代とともに情報の流通は変化し、個人の価値観へ影響。
⚫ 近年、AIエージェントの登場により、情報の流通において、情報を受け取り・判断する主体は「人」であったが、「エー
ジェント」へ交代。エージェントが情報探索を担うことで、人は体験に集中できるようになり、消費形態が変化。
情
報
流
通
価
値
観
変
容
マスメディア時代
検索時代
SNS時代
AIエージェント時代
電波・紙媒体による
一方向で同時の流通
ネットの普及により、
自ら情報を探索
スマホ・SNSにより、
常時情報と接続
AIエージェントが意図を
汲み取り、情報を処理
他者や社会と
接続・可視化され、
「共感・同調」を重視
「潜在的な選好」へ回帰
する可能性もあるが、プロ
セスが自動化し、意思決定
すら委譲することで、「自
己喪失」する可能性もある 138
与えられた情報を
「受容」し、メディアに
よって共通言語が形成
(出所)電通資料より引用
受動から能動的な
「選択」となり、情報の
主権がユーザーへ
1. マクロ経済運営のあり方
2. グローバル競争型産業
3. 新技術立国・競争力強化
4. 好循環のミッシングピースである消費活性化
5. 未来の経済社会システムのあり方
139
フロンティア開拓競争時代に求められるイノベーション・ガバナンス
⚫ 主要国のイノベーション政策は、イノベーション・エコシステム形成から、次世代技術を巡るフロンティア開拓競争に移行。
⚫ フロンティア開拓競争の時代においては、技術発展動向と社会経済への影響の分析・予見とそれに基づく戦略的政策立案に未
来の経済社会システムのあり方に関する検討の一環として取り組んでいくことが中長期的には必要ではないか。
フロンティア開拓競争時代のイノベーション政策
戦略的技術フォアサイト
技術の将来動向と社会経済への影響を体系的に見通し、中長期のフロンティア技術政策の方
向性を先見的に示す取組み。
一気通貫の社会実装支援
技術の発展動向に合わせ、研究開発から市場形成・ルール設計までを統合し、供給政策と需
要政策を連動させた社会実装主導型の技術支援。
ー供給政策(人材育成、R&D支援、インフラ整備支援等)
ー需要政策(倫理面含む国内・国際ルール形成、公共調達等を通じた初期需要形成政策)
国際ルール形成・国際協調
技術競争が国際的に展開されることを踏まえた、共通分析・標準・対話を通じた多国間協調
の推進と、責任ある技術市場とルール作り。
求められる組織的機能・エコシステム
重点科学分野に関する深い知識に基づき、基礎科学から社会応用ま
でを横断的に分析し、俯瞰的かつ戦略的に政策を立案できる組織的
機能の確立、高度専門人材の育成とエコシステム形成が不可欠に
140
未来洞察・技術洞察活動を政策立案に活用する海外先進事例
⚫ 中長期の不確実な変化を見据え、政策課題の早期把握や戦略立案を支える手法として、各国政府や公的機関において未来洞
察・技術洞察活動が実施されている。
⚫ 継続的な取組みを通じて、新興課題の探索、将来シナリオの検討、技術の機会/リスク評価、技術進化の社会影響評価、政策
の優先順位付け等を行い、2030年代~2050年前後を見据えた政策意思決定の質の向上に貢献。
米国 Government Accountability Office:
連邦議会を補佐する独立超党派機関。科学技術分野の議会の監視・立
法・政策検討を支援
⚫ ホライズンスキャニングやテクノロジーアセスメント等により、今後影響が拡大
し得る科学技術の動向、機会、リスク、社会・産業への影響を整理
⚫ 2035年を見据えた重要技術の俯瞰や新興技術に関する中長期的な論点整理を通
じて、議会における政策議論や優先順位付けの基盤を提供
欧州 Joint Research Centre:
EU政策に影響を与えうる技術進化等の将来影響を分析し、政策形成を
支援する欧州委員会の部局機関
⚫ 科学論文・特許のテキストマイニングやホライズンスキャニング等により、新興
技術の発展兆候や将来リスクを特定・分析
⚫ 新興技術とイノベーションに対する投資機会を示し、2050年までのEUの持続可
能な未来の描出や社会変化を起こしうるシグナルの優先順位付けに活用
中国 科学技術部:
国家の科学技術政策・計画・制度設計を所管し、中長期の科学技術発展
方針や重点分野設定に関与する国務院の構成部門
⚫ 専門家を交えた科学技術の先端トレンド分析や、技術競争力の評価、主要技術選
定等により、政府横断的な国家レベルの技術予測を実施
⚫ 科学技術革新の方向性を把握し、国家中長期科学技術発展計画における研究支援
や、技術開発ビジョンと課題の明確化に繋げる
シンガポール Strategy Group/CSF:
Strategy Groupは中長期の優先課題や新興課題、技術進化がもたらす
社会影響等を特定し戦略計画を担う首相公邸内機関。CSFはその中で
長期未来研究や新たな未来洞察手法の試行を行う専門機関
⚫ ホライズンスキャニングや環境スキャニング等を行うシナリオプランニングプラ
ス、対話・ネットワーク形成により、政府の予測能力を強化
⚫ 人口政策や気候変動政策、AI政策等の国家戦略検討に活用
英国 Government Office for Science:
新興技術がもたらす社会影響評価や科学的助言、未来志向の政策形成
を支える、科学・イノベーション・技術省傘下の機関
⚫ ホライズンスキャニングや、将来変化のドライバマッピング、政策頑健性のスト
レステスト等により、将来変化に強い政策思考・立案に貢献
⚫ 2050年を見据えたネットゼロ社会の検討や、環境モニタリング等に活用
フィンランド Sitra:
フィンランド議会の監督下にある公的基金。将来課題の分析、社会の
更新、持続可能な成長の促進を担う
⚫ メガトレンドやウィークシグナル分析により、新興技術がもたらす社会影響や将
来課題、社会変化の全体像を提供
⚫ 政策決定者や組織、市民の未来志向を高めるとともに、社会的イノベーションや
制度改革の土台づくりを支援
(出所)各種公開情報をもとにアーサー・ディ・リトル・ジャパン作成
141
21世紀における4つの技術的「メガトレンド」
⚫ 技術の発展動向の分析から、技術的「メガトレンド」を特定し、未来シナリオとして整理
⚫ この結果、「人類を超える知性の出現」、「人間の認知・身体的拡張」、「健康寿命の飛躍的延長」、「エネルギー・資源制
約の克服」の4つの技術トレンドが抽出された。これらは社会の知能・認知的制約、物理・生物学的制約、空間的制約、環境
制約を解消させることで、人類社会に革命的影響をもたらすことが予想される。
4つの技術的メガトレンド
•
•
人類を超える知性の出現と
高度な自律意思決定
人類の知的能力を凌駕する汎
用AIの実現
複雑なデータを統合的に判断
する高度自律システムの実現
•
人間の認知・身体的拡張と
行動の最適化
• サイバネティック・アバ
ターやメタバースを通じた
身体的・社会的活動の拡張
• ブレインテクノロジーによ
る人間の認知能力の高度化
次世代エネルギー源と
エネルギー・資源制約の克服
• フュージョンエネルギーや再
生可能エネルギーの開発によ
るエネルギー制約克服
• 資源循環・資源代替の進展
•
長寿化と健康寿命の
飛躍的延長
健康状態のモニタリングと
早期予測・予防
老化機構の解明と寿命延長
142
技術的メガトレンド①:人類を超える知性の出現と高度な自律意思決定
⚫ AI・量子技術など、人間の知的能力を大幅に超える計算・推論・意思決定が可能になる技術群。科学研究、産業競争力、外
交・安全保障等に強い波及効果があり、国の基盤的能力を左右する。
⚫ 海外(米・中・欧)はAI・量子に国家戦略レベルの巨額投資を行い、軍事・産業・行政領域への実装を加速しており、日本も
国産技術の確保、データ主権・AI主権の維持、社会実装と安全規制の両立が急務となっている。
調査対象技術群:高度AI、フィジカルAI、量子コンピュータ
未来シナリオ(21世紀後半)
自宅では生活支援ロボットが家事や健康管理を支援し、街に出ればスーパーやレストラン、公共施設で多数のヒューマノイドが接客・配送
補助等を行う風景が日常になっている。都市インフラはリアルタイムで需要を予測し、交通・エネルギー・防災システムが自動的に調整さ
れ、快適な生活環境が実現される。企業の経営判断や業務プロセスは、多数のエージェントが環境変化を再計算する仕組みによって常時最
適化される。こうした基盤の上で、科学技術は継続的かつ高速に進展し、新しい知識やサービスが社会に迅速に反映されていく。政治・行
政部門ではAIによる論点整理等を通じた熟議が活性化する一方、偽情報対策に加え、AI/人間間の責任分担論が課題に。
社会的意義
主要な政策課題
①生産性の飛躍的向上
①社会・倫理的課題
AI・量子による最適化やロボティクスの自律化により、生産・物
流・エネルギー管理などのオペレーションが高効率化され、産業
全体の生産性が大きく向上する。
AIによる判断の不透明性・誤作動/人間の自律性・責任の希薄化
/情報操作・監視強化のリスク/アクセス格差・デジタルディバ
イド/熟議民主主義のサポート⇔民主的政治基盤の毀損
②生活の質の向上
商業サービスに加えて都市・交通・医療・防災・教育など公共
サービスが高度化・最適化し、生活の質が向上する。
③科学技術イノベーションの加速
研究開発・創薬・材料開発などの効率が飛躍的に向上。基礎研究
から応用・実用化までのプロセスが短縮。
②経済・産業面の課題
大規模な労働代替・雇用構造の変化/生産性格差・企業格差の拡
大/プラットフォーム集中・市場支配
③地政学・安全保障リスク
軍事・サイバー分野での軍拡競争/情報戦・世論操作の高度化/
量子技術による既存安全基盤への影響
143
技術的メガトレンド②:人間の認知・身体的拡張と行動の最適化
⚫ 人間の身体機能・認知機能をデジタル・バイオ技術で補完・強化する技術群。医療・労働・教育・福祉など多分野で応用可能
であり、高齢化・労働力不足といった課題解決に資するため、これら課題が深刻な日本にとって重要。
⚫ 脳波データや仮想空間上のデータは安全保障上も重要。海外(米・中等)は国家戦略として研究開発と制度整備を加速してお
り、日本も国産技術・データ主権を確保しつつ社会実装を進める必要がある。
対象技術群:ブレイン/ニューロテクノロジー、エージェントAI、サイバネティック・アバター、メタバース、デジタル身体拡張
未来シナリオ(21世紀後半)
個人は、脳・身体信号を解析するデバイスやエージェントAIを日常的に利用し、仕事・学習・移動・健康管理に関する行動提案を受けなが
ら生活する。メタバースやサイバネティック・アバターが広く普及し、仮想空間や遠隔地での活動が一般化することで、場所にとらわれな
い柔軟な暮らしと働き方が実現する。産業では、アバター経済圏の拡大によって技能のデジタル共有や遠隔協働が定着し、生産性が大きく
向上する。製造現場では、熟練工の技能を学習したAIアバターが高度な作業を担うようになり、人とアバターの分業が進む。
社会的意義
①労働力不足・高齢化への対応
高齢化に伴う労働力減少を補うとともに、高齢者や障害者が長期
的に働き続けられる社会基盤となる。
②生産性の抜本的向上
AIの活用により判断・操作の精度と速度が向上する。専門作業をAI
アバターで代替できるため業務効率が大きく改善し、技能のデジ
タル化・共有化により技能継承の遅れも解消される。
③地域活性化
遠隔アバター労働により、地方から都市部の仕事に参加でき、商
業・公共サービスも遠隔提供が可能になる。
主要な政策課題
①社会・倫理的課題
プライバシーと脳波データの保護/自律性・人間の自由に関する
課題/不平等・アクセス格差
②経済・産業面の課題
労働市場の混乱/生産性格差・企業格差の拡大/プラットフォー
ム集中・市場支配
③地政学・安全保障リスク
軍事利用と技術競争の激化/脳神経ハッキング/情報戦・世論操
作の高度化
144
技術的メガトレンド③:長寿化と健康寿命の飛躍的延長
⚫ 老化の進行を遅らせ、健康な生活期間(健康寿命)を延ばすための技術群(ロンジェビティ技術)。人類史上、人体の理解は
常にフロンティアであるが、人体の設計そのものと向き合う新たな時代に突入している。
⚫ 高齢化先進国である日本は、健康寿命延伸は、社会保障の持続可能性や地域活力の維持の観点から重要性が高い。
⚫ 一方、遺伝子編集等の先端技術には倫理・安全面の課題も多く、国際的なルール形成が進む中で、適切なガバナンス構築が重
要。さらに、人間の基本性能への介入を可能とする技術であり、その平和利用を目的とした国際協調も重要。
対象技術群:遺伝子編集、老化細胞除去(セノリティクス)、細胞のリプログラミング、若年血漿、再生医療 等
未来シナリオ(21世紀後半)
日常の健康データと老化バイオマーカーが継続的にモニタリングされ、老化の進行度に応じた介入が標準化する。細胞リプログラミングや
再生医療の普及により、加齢による機能低下は緩やかになり、一部では若返り効果も得られるようになる。医療サービスは疾患発症前の段
階でリスクを捉え、生活習慣や治療を含む早期介入を自動的に組み立てることで、慢性疾患の多くが未然に管理され、医療・介護に依存す
る期間が大幅に短縮される。高齢期まで活動を続けられるようになり、学び直しや長期就労が自然な選択肢となる。
社会的意義
①国民の健康寿命の延長
老化の進行抑制により、疾病リスク・重症化リスクが減少。介護
依存期間の短縮、生活の自立性維持、QOL向上に寄与。
②労働力維持と社会保障負担の緩和
健康な高齢者が増えることで、就労可能年数が延び、労働参加率
が向上。医療・介護費の伸びが緩和され、社会保障制度の持続性
改善につながる可能性。
③ライフコースの多様化
“老い”の意味が変化し、挑戦・学習・移動などの活動が高齢期ま
で継続可能に。家族構造やライフコース(結婚・出産・学び直
し)が多様化し、人生設計の柔軟性が拡大。
主要な政策課題
①社会・倫理的課題
遺伝的悪影響リスク・将来世代への倫理/公平性・格差拡大の懸
念/生命倫理の根本議論/既存の社会保障体系の限界
②経済・産業面の課題
高額治療と財政負担の増加/雇用・労働構造の調整課題/経済構
造の硬直化
③地政学・安全保障リスク
遺伝子編集・細胞技術の軍民両用
化/オープンサイエンスの後退と
技術獲得競争の激化/先進治
療・技術の対外依存リスク
←
習近平国家主席
とプーチン大統
領の間で、老化
制御技術につい
ての会話がされ
たことも報じら
れている。
145
技術的メガトレンド④:次世代エネルギー源とエネルギー制約の克服
⚫ エネルギーを資源成約なく創出、貯蔵、伝達できる技術群を指す。資源の少ない日本にとって重要な技術であり、確保するこ
とで、エネルギー政策のみならず、製造業をはじめとした産業、通商政策上も大きな価値をもつ可能性。
⚫ 一方で、その影響は大きく、技術管理に応じて、戦争等を含めた地政学リスクに多大なる影響を及ぼすことが予見され、早期
に政策枠組みを整備することが求められている。
対象技術群:核融合(フュージョンエネルギー)、宇宙太陽光発電、長期間エネルギー保存、高温超伝導 等
未来シナリオ(21世紀後半)
電力や輸送費の低下を通じて、生活必需品や通信、医療、冷暖房や移動といった日常のサービスが安価に利用でき、生活の快適性と安全性
が大きく向上する。供給ショックによる物価上昇の影響を受けにくくあり、物価も安定する。また、温室効果ガス排出や大気汚染が抑制さ
れ、環境負荷の小さい暮らしが実現する。産業面では、安価で豊富なエネルギーを前提に、生産や物流、データ処理のあり方が見直される
ようになる。結果として、産業の分布や都市の役割はより多様化し、生活や働き方の選択肢も広がっていく。
社会的意義
①エネルギー供給の安定化と環境負荷の低減
安価に発電でき、CO₂排出や高レベル廃棄物がほぼない電源が主力
になり、安定性・経済性・環境性・安全を同時に満たすエネル
ギー基盤が形成される。併せて、電力多消費産業のリスクは低減。
②生活の改善と都市インフラのレジリエンス向上
個人の生活環境や快適さ・可処分所得は改善。電力・輸送コスト
の制約が小さくなることで、都市や産業立地の災害レジリエンス
が向上する。
③国際的な地政学リスクの低減
化石燃料輸入依存が減り、資源価格変動や国際情勢への脆弱性が
緩和され、エネルギーを巡る国際緊張が後退しやすくなる。
主要な政策課題
①経済・産業面の課題
電化に伴う産業構造再編への調整(鉄鋼・化学・輸送などの大規
模な電化・水素化の転換を円滑に進めるための産業構造再編の調
整)/産業立地の調整とインフラ整備/電力・市場制度のアップ
デート
②地政学・安全保障リスク
技術覇権・知財競争/資源国の不安定化(石油・ガス需要の急減
で産油国の経済構造が揺らぎ、地域情勢が不安定化)/国際規
範・ガバナンスの整備/発電所・海底ケーブルの安全保障
146
社会設計の指針となる価値規範(Guiding Values)
⚫ 技術の発展動向を踏まえたとき、今後の社会設計および政策形成において重視すべき価値とは何か。すなわち、私たちはどの
ような社会を目指すべきなのか。その際、日本的価値観はどのような意義を持ち、どのような役割を果たし得るのか。
(例)社会設計の指針となる価値規範
(1)人間の尊厳と能力発揮
• 主体性・創造性を発揮できる環境
• 生きがい・社会参加・自己効力感の重視
• 人間拡張・長寿命化を支える基盤づくり
(2)公平と社会正義
• 生活基盤技術(健康・教育等)への公正なアクセス
• 格差の固定化を防ぐ制度設計
• 市場と公共の適切な境界設定
(3)多様性・多元性
• 多様なライフコースの選択可能性
• 技術開発における個性・価値観の多元性の尊重
• 技術による均質化への抑制とバランス
(4)自己決定と民主主義
• 自己決定と責任を維持する制度設計
• 情報空間の信頼性確保、透明性・説明責任を支えるガバナンス
• 市民参加と熟議の維持
(5)平和・社会の自律性・文化的アイデンティティ
• 技術主権・データ主権の確保
• 各国・地域固有の価値観・文化を尊重した社会設計
• 協調と競争の均衡を図る国際ルール形成
(例)日本的価値観の例
•
•
•
•
調和(和)と関係性の重視
技術への信頼、技術との共存
安定志向とリスク回避
包摂、中間層の重視
147
日本の立ち位置とイノベーション・ガバナンスの方向性
⚫ 今後の技術革新は、企業主導のテクノリバタリアン的な動きと、安全保障と結びついた国家主導のアプローチが併存しなが
ら進展すると見込まれる。これらはイノベーションを加速させる可能性を持つ一方で、倫理・格差・多様性といった公共価
値が置き去りにされる危険性も孕む。こうした国際環境の中で、日本はどのような立ち位置を取るべきか。
イノベーション・ガバナンスの方向性(仮説)
ELSI(倫理・法・社会)に関する社会合意形成を進め、技術の戦略的活用と国際的ルール形成を通じて公共的価値を最大化
しつつ市場を創出する、“価値主導型イノベーション”の推進が我が国のとるべき方向性ではないか。
テクノリバタリアン型
市場と技術の自由を最優先。イノベーション
加速と同時に、格差・倫理・社会分断を拡大。
“責任あるイノベーション”の欠落する可能性。
国家主導型
国家が軍事・治安対策のために技術開発を強
力に推進。 効率性は高いが、自由と創造性を
抑制し、“社会的価値”が置き去りとなるか。
事前規制型
技術の開発・実装に先立ち、厳格な規制を導
入。安全性と倫理は確保される一方で、イノ
ベーションを抑制する可能性。
我が国が目指すべき方向性=価値主導型イノベーション・ガバナンス
社会的合意に基づき、技術を人間中心・社会共生型に方向づける。
ーELSI(倫理・法・社会)の検討と社会受容・ルール形成
ー公共分野での技術の戦略的活用と価値最大化のための未来社会のデザイン
148