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産業構造審議会 経済産業政策新機軸部会 第30回

2026-03-05一次資料(出典)

議事録・配布資料の全文(政府公表資料より。要約でなく原文に基づく参照用)。

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議事録

第30回経済産業政策新機軸部会 日時:令和8年3月5日(月) 議事録 12:00~14:00 場所:経済産業省 別館7階 723 共創空間(ハイブリッド開催) 1.参加者 <委員出席者> 対面:大橋委員、落合委員、齊藤委員、中空委員、長田委員、東委員、福田委員 オンライン:伊藤委員、菊地委員、首藤委員、関灘委員、滝澤委員、橋本委員 <経済産業省出席者> 対面:井野副大臣、畠山経済産業政策局長、菊川イノベーション・環境局長、河野経済産 業政策局審議官、松野産政総務課長、中村産業構造課長、武田イノベーション政策課長、 田中通商戦略課長、杉江安保政策課長 オブザーバー:RIETI 深尾理事長 2.議題 ・「新技術立国・競争力強化」の実現等に向けた課題と政策の方向性について - 1 - ○中村産業構造課長 では、定刻になりましたので、これより、第30回産業構造審議会 経済産業政策新機軸部会を開会します。 委員の皆様におかれましては、御多忙のところ御出席いただきまして、誠にありがとう ございます。 本日は委員の皆様全員の方に御出席いただいております。ありがとうございます。また、 伊藤委員、菊地委員、首藤委員、関灘委員、滝澤委員、橋本委員がリモートで御出席でご ざいます。また、本日は、井野副大臣にも御出席いただいておりまして、12時45分まで議 論を含めて御参加いただけるということでございます。 なお、本日は、議事のウェブでの中継を行いませんが、後日、皆様に御確認いただいた 上で議事録を公開する予定です。 本日の議題は、新技術立国・競争力強化の実現等に向けた課題と政策の方向性について でございます。配付資料につきましては、資料一覧のとおりでございます。 それでは、以降の議事進行については、大橋部会長にお願いしたいと存じます。大橋部 会長、よろしくお願いいたします。 ○大橋部会長 それでは、まず井野副大臣より御挨拶いただきたいと思います。井野副 大臣、よろしくお願いいたします。 ○井野副大臣 経済産業副大臣の井野俊郎でございます。 本日は大変お忙しい中、皆様にはこうしてお集まりいただきまして、ありがとうござい ます。 この新機軸部会については、来年度の高市内閣の一丁目一番地であります責任ある積極 財政の下での積極的な投資、そしてまた、日本成長戦略会議における17分野の官民投資ロ ードマップの策定も行う予定で、その前提となる議論になるかと思います。皆様の活発な 御議論をいただいた上で、日本の成長戦略にしっかりと予算をつけていく土台をつくって いただければと思っております。 今日は皆さんの議論を楽しみにして参りましたので、どうぞよろしくお願いいたします。 ○大橋部会長 井野副大臣、ありがとうございました。 それでは、プレスの方もこちらで御退室となります。よろしくお願いします。 続いて、今回の討議の進め方について事務局より御説明いただければと思います。 ○中村産業構造課長 ありがとうございます。前回同様、資料については、委員の皆様 に事前に配付、御説明させていただいておりますので、説明は基本的に省略させていただ - 2 - いて、自由討議のみの構成とさせていただければと思います。 全体を大きく2つのセッションに分けさせていただければと思います。 前半が「新技術立国・競争力強化」について、後半がマクロ経済運営・消費活性化につ いてというような順番で議論できればと思っております。 ただ、前回もそうでございましたけれども、これらの議題は相互に関わりが深く、オー バーラップするところもあるかと思いますので、今のはあくまで目安ということで、厳密 に区切るということではございません。例えば、後の議題の中で前の議題の話があったと しても、それはぜひ御発言いただければと思っております。 各セッションの冒頭では、事務局からざっくりとした論点を提示させていただいた後、 委員の皆様にぜひ活発に議論いただければと思っております。 以上でございます。 ○大橋部会長 ありがとうございます。それでは、討議を始めさせていただければと思 います。 先ほど中村課長からありましたけれども、2つのセッションに分けてということで、そ れぞれ事務局から御説明いただいた後、自由討議という形の順番でやっていきたいと思い ます。オブザーバーでお越しいただいている深尾理事長にもぜひ御発言いただきたいと思 いますので、よろしくお願いしたいと思いますし、また、経済産業省側もぜひ御発言いた だければと思います。フラットでできればということですので、よろしくお願いします。 それでは、テーマごとに討議させていただければと思います。まず新技術立国・競争力 強化ということで、事務局より簡単に論点の提示をお願いできますでしょうか。 ○中村産業構造課長 ありがとうございます。まず事務局資料の18ページ目を御覧いた だければと思います。 「新技術立国・競争力強化」についてのざっくりとした5つのアジェンダということで、 こちらに記載しているとおりでございます。右上の企業経営改革・経済システム改革の推 進、右下の「技術で勝って、ビジネスでも勝つ」、新技術立国の実現、左下のグローバル 立地競争力の強化、左上の世界市場の獲得と経済安全保障の確保を実現するグローバル・ バリューチェーンの再構築、そして真ん中の地方を出発点としたAXによる産業構造・就 業構造転換、この5つのアジェンダでございます。 続いて大分ページが飛びますが、86ページを御覧いただければと思います。こちらに大 きな論点について提示させていただいております。こちらの真ん中を御覧いただければと - 3 - 思いますけれども、先ほどのスライドで、AXとAIによるトランスフォーメーションと いうところを真ん中に入れておりました。 こちらは大臣から、これから様々な変化がありますが、AXによる変化というところが 様々なあらゆる産業、あらゆる経済システムに大きな変革を与えるのではないかというよ うなの御発言がございますので、それを踏まえて、その真ん中に置いております。このA Xを実現しようとすると、当然その前提となるCXだったりだとか、様々な経済システム の変化を含めて改革をやると。そういった中で、様々コポガバとかやってきましたが、政 策的対応によってCXを加速することは可能なのかという課題。 そして、今こういった形で民間企業によって様々な積極的な成長投資を引き出すという ことを経済産業省を挙げてやっておりますけれども、それでもなかなかリスクテイクし切 れない投資も危機管理投資の中ではあると思いますので、そういった中で、どういった政 策のイノベーションが必要かということについての課題。 3つ目が新技術立国の関係につきまして、大学、国研、大企業、スタートアップ等、イ ノベーション力を高めるために、こういったプレーヤーがどういった形で高めることがで きるのか、そのための政策は何なのか、その中でスタートアップファイナンスの在り方に ついてはどう考えるべきなのかということでございます。 4つ目が、グローバル立地競争力、まさに各国が産業政策を競って争って、自国に優秀 な人材、優れた企業、良質な投資を呼び込もうとしていますが、その中で現代的なグロー バル立地競争力とは何なのか、それをいかにして、どういった優先順位で強化していくべ きなのかということ。 5つ目が、通商政策、経済安全保障政策の関係になりますけれども、まさに米中が様々 な面から2強状態になって、特に中国が産業競争力の猛烈な強化をして、他方でアメリカ も、関税のみならず、フロアプライスだとか様々な政策を講じて、自国の競争力を高めよ うとしているという中で、日本は戦略17分野を定めておりますが、その中で海外展開と有 志国とも連携した経済安全保障政策の確保ということを両立しながら、いかにして推進す ることができるのかということ。 最後が、先ほどAXというところについては、サービス業を中心に、ある種、リープフ ロッグの可能性も含めて、地方を出発点としたAIにトランスフォーメーション、AXに よる産業構造・就業構造転換ということをどうやって実現していくべきなのか。こういっ た中で、経産省は今回、法律を出しておりますけれども、エッセンシャルサービスという - 4 - ような、地方にとっての、あるいは日本全体にとっての重要なサービスの持続性をどう向 上させるのかということについても、あわせて御議論いただければということでございま す。当然これ以外の様々な議題だったり、論点があると思いますので、これはあくまで目 安ということで、これにとらわれず、ぜひ様々な御議論をいただければと思っております。 以上でございます。 ○大橋部会長 ありがとうございました。皆さんは、事前に事務局から御説明を聞いて いただいているということなので、最小限のご説明としていただきました。残りの時間は、 できるだけ意見交換、討議の時間に使わせていただければと思います。 ぜひ御意見がある方は挙手でお知らせいただければと思いますし、オンラインの方も同 様に挙手の機能でお知らせいただければ指名させていただきます。 それでは、落合さん、お願いします。 ○落合委員 落合です。今回、AXというのが中心的なテーマだと私は思っているので、 ここに対して幾つか、コンピューターサイエンスの人間としてしゃべっておきたいなと思 っていることがあります。 今回のフレームワークは、頑張ってつくったなと思っているのですけれども、AIが入 ってきたことによって、ソフトウェアを作る速度が上がったような、例えば蒸気で言うと、 水の温度が上がったぐらいの変化を書かれている。ただ問題は、水が水蒸気に変わるぐら いの変化が起こるというのが、AI事案に対しては変わってくるところだなと私は思って います。 特に資料21ページで、知財をはしごにした圧倒的競争優位の維持ということが書いてあ ったかなと思います。そのようなところで、ソフトウェア知財の関係の前提のものという のは、作る時間と専門性が関わるというのがすごく重要なところだと思っています。つま り、今、投資をかけてつくったアセットというのを使って回していくということがポイン トだったと思うのですけれども、そうではなくて、今、”車輪の再発明”がすごい安いコス トできるようになってきたというのが相当大きい問題です。 最近、私の周りでも、1人頭1万行ぐらい1日で書けるとか、大体1週間で10万行ぐら い書けるぐらいの感じでコードを書けるようになってきて、それの価格はどのくらいです かというと、200ドルから300ドルぐらいかなとなっているので、今、既存で積み上がった ソフトウェアアセットの価値がほぼほぼなくなってきて、それを”車輪の再発明”をして作 っていくようなものがAIによって出てくると、既存の参入障壁に対してかなり厳しいイ - 5 - ンパクトがある。むしろ日本にとっては、逆にお得な、つまり我々が技術的負債を抱えて いたものとか、ベンダーロックインで守ってきたものとか、あとは我々が作れなかったO Sだったりとかクラウドサービスというものを、”車輪の再発明”によってうまく作り出す ことができるようになってきている。 その上で、例えば最新のモデルが我々の国にあるかと言われると、あまりないのですが、 後発で、オープンソースの物を蒸留するようなものというのは、電力と半導体の掛け算で、 比較的、後追いで可能になってきているというのがもう一点大きいところであって、これ を国内側として縛る方向に行くと、せっかくの挽回のチャンスを閉じてしまうので、そこ をどうやって我々が国策として考えていくのかというのは、1個重要なテーマだと思いま す。 その上で、ソフトウェアの上のサプライチェーンという観点も、何ページだったか忘れ てしまいましたが、エコシステムという形で書かれていますが、エコシステムの各レイヤ ーが壊れつつある。中間レイヤーは蒸留されて、例えばAGIに近づくにつれて、設計、 調達、製造、流通、販売というレイヤーが追われたりとか、逆に言うと、アプリケーショ ンを個社特化、領域特化に分ける必要もなく、あそこがバーティカルにAIによってがち ゃっとくっついてしまうというような状態が近づいていて、それに関してモデルも変わっ ていくし、投資のことも変わっていくということを考えると、根源にあるのはエネルギー と半導体の掛け算の上に、非常に安くなったAIソフトウェアが乗っている状態というの が一番イメージしやすいかなと私は思っています。 その上で、各技術スタックの壁が崩れて、AIによってすぐ”車輪の再発明”ができるよ うになった状態において、我々がどこに取り組まないといけないのかということを御議論 するのがすごく重要かなと思っています。 一旦はこの辺りで。 ○大橋部会長 ありがとうございます。また事務局からも何か反応があれば、いただけ ればと思います。 よろしければ、オンラインでも挙手されているので、お願いできればと思います。橋本 さん、聞こえますでしょうか。 ○橋本委員 二、三お話ししたいと思うのですけれども、まず国内で投資をしていくと いう意思決定をするときには、当然、国際競争を勝ち抜いていけるという見込みが立たな いとできないということです。 - 6 - そのときに、やはり中国との競争という観点は当然ど真ん中に来ると。世界の工業生産 力の3分の1強は中国。日本とアメリカとドイツと韓国を足しても及ばないという状況な わけなので、どうやったら中国と伍していけるかということがない限り、スケールを求め て世界で戦う、その設備を日本で作るとはならないわけです。 技術には、現場的には2つあると思っていまして、1つは、たくさん作ることで得られ る技術。これは、残念ながら中国が圧倒的になってしまいました。しかしながら、中国は 開発力があまりないのです。1つは、知的財産に対する感覚が薄い。知的財産のように見 えもしない、触れもしないものになぜお金を払うのかと。知的財産に対するリスペクトも ないという中で、技術者の人事評価も中央が決めるということになりますので、成功する かどうか分からない開発に一生をかけるという若手の技術者はあまりいない。手っ取り早 く新しい設備を立ち上げて出世していこうといった、まず文化の違いが1つあります。 それから、もう一つは、国営企業は大変大きな存在になっていますけれども、中央政府 とそれぞれが線でつながっている。いわば点と点の線にすぎないわけです。日本のように、 民間企業同士が横で連携するというような文化にはない等々、中国固有の事情で、いまだ 開発力については、我がほうに優位性が残っていると思いますので、開発力をきちっとさ らに強化することが一番だろうと思います。 そのときに、長期に見て一番心配なのは、既に問題になっていますけれども、理工系の 若手の人材、研究者、技術屋含めて足りないと。日本人は毎年15万人弱、片や中国は350 万人です。したがって、若手をどうやって育てていくかということでありますので、大学 で研究している日本の若手研究者には、もっと研究に集中できるように、経済的な援助を 含めてきちっと手厚くやらないといけないと。今のような報酬水準ではなかなか研究に没 頭できないということから始めて、もう一つ、企業に入って一番の大きな問題は、一律労 働時間規制が若手の育成のネックになっています。技術力を高めていくためには、若いと きに集中して現場に長くいること、設備と長く共に過ごすこと抜きには育ちません。今の 労働時間規制では、従来に対して3分の1ぐらい。一人前になるのに時間がかかるという ことでありますので、これを目的に緩和するということで、いずれにせよ、大学から企業 に入って、要するに35歳ぐらいまでに、しっかりとした開発力を持った技術屋を育ていて いく。そういうことが、今はあまりにも議論及び施策が不足していると思います。 外国人留学生等で増やすとか、うまく活用するという前に、まずは日本人の若手の研究 者、技術者をどう育てるかということをしっかり議論して、早急に施策化していただきた - 7 - いと思います。 開発力があって、日本を世界の総本社として、研究開発力は日本でやる。もちろん、実 生産も日本で維持拡大しないといけない。今後グローバルで勝つためには、当然アメリカ との連携、あるいはグローバルサウスに、中国ではなくて、日本を成長のモデル、あるい はパートナーとして選ばせるということが必要なわけです。 そうしたときに、開発力は進めているかも分からないけれども、日本の、自国内で生産 能力がどんどん縮小していくではないかというところをパートナーに選んでくる国はいな いと思いますので、日本で開発力を高め、実生産能力を維持発展させることと、グローバ ルに展開してスケールを大きくしていくということとは両方必須と。日本を世界総本社と して両輪を回すということになろうと思います。 もう一点、経営者がどうやったら、より成長にチャレンジしていくようになるかという ことでありますけれども、実際に経営の意思決定をしている人間の話をよく聞いて、実効 性、有効性がある政策にしていっていただきたいと思いますが、いろいろあります。 まず、そのネックになっている中の1つは、過度に株主還元が求められる方向にあると いうこと。特に短期利益のみを求めてくる一部株主の行動の在り方に対して規制が必要だ と思います。 300個の株さえ持てば株主提案権ができる。これは経営にとっては相当なエネルギーの 無駄遣いと。300個だけでそもそも株主提案が通るということはほとんどないわけです。 にもかかわらず、いろいろな対応が求められるし、ついついキャッシュの無駄遣いをして、 一過性の株主還元で何とか収めようというようなことが現実に起きているということです。 まずこの問題を真正面から取り上げていかなければいけないのではないかと。ですから、 コーポレートガバナンス構造の一方的なことだけではなくて、全体の見直し、それから株 主提案権に関する会社法の見直し等を具体的に進めていかないと、利益を成長に最優先で 回すとはなかなかなっていかないのではないかと思います。 それから、投資をする側の経営者に、アニマルスピリットがなくなっているのではない かというお叱りを受けるわけですけれども、そういう議論はあまり意味がないのではない かと。一方的な議論なのです。例えば、企業の貸出し側はどうなっているかというと、ア ニマルスピリットがあるとは言えない等々、広い議論をしていただきたいなと。 融資が増えていると言っても、担保の取れる不動産関連で多く伸びているとか、こうい ったことも含めて実態がどうなっているのかということをしっかり踏まえて、いろいろな - 8 - ガバナンスの在り方を考えていただきたいし、大事なのは、経営者に思い切って意思決定 をさせるための基本は、やはり自立性と経営の自由ということですので、あまり細かなこ とを決めるとか、株主還元についつい走らざるを得ないようなことについては抜本的に見 直すことが必要ではないかと思います。 以上です。 ○大橋部会長 ありがとうございました。 大きく2点いただいたと思います。経営の高度化についても御指摘いただいているので すが、もし畠山局長から一言あればいただけますでしょうか。 ○畠山経済産業政策局長 ありがとうございます。コーポレートガバナンスにつきまし ては、金融庁で今見直しをやっておりまして、ここのメインテーマも、成長投資をいかに 増やしていくかということがテーマになってございます。 これと足並みをそろえて、我々経済産業省では、成長投資ガイダンスというのを作ろう ということで、5月ぐらいにできればと思っておりますけれども、これはまさに、先ほど 数字もちょっと御覧いただいたと思いますが、企業業績が上がっている中でなかなか成長 投資が増えていない、特に設備投資、研究開発投資、人的投資、この3つの成長投資が増 えてなくて、一方では、お金はどこに行っているかというと、今御指摘もありましたけれ ども、株主還元は増えていると。 一方で、株主還元は、全体の水準で言いますと、欧米に比べると、それでもまだ低いの ですけれども、今の状況はすごく上がっている。このことの中身をよく見てみますと、企 業の発展段階、これはまさにこれから投資して伸びなければいけないというときも、日本 の場合は株主還元をしているというところが、欧米と比べると顕著な特徴として見てとれ るということであります。 したがって、コーポレートガバナンス、あるいは成長投資を増やしていくために、我々 として2つぐらいメッセージを出していきたいと思っています。 1つは、企業の成長のステージ、業績の状況を見て、投資が優先されるべきときは投資 に資金をアロケートすべきだと思いますし、もちろんちゃんと成長した暁には株主還元す るということで、そのステージに応じた成長投資と株主還元のバランスをよく考えていく 必要があるということを1つのメッセージにしたい。 もう一つは、コーポレートガバナンスが始まった頃からの課題で、資本効率がすごく悪 いということです。資本の効率性を追求するあまり、なかなか成長投資の量が増えてこな - 9 - かったという状況にあるものですから、資本効率を高めて収益性を高めるとともに、投資 の量を増やすという、縦横を掛け合わせた面積を増やしていくということをしないと企業 価値が今後向上していかないので、この面積を増やしていくという取組を強化していこう ということをメッセージにしようと思っています。 いずれにせよ、今も橋本会長からお話がありましたけれども、経営者の方が企業の中期 的な価値を高めていくためにどう資金をアロケートしていくのか、そこをしっかりと御判 断いただいて、そういう中で投資を増やしていけるようにするということが大事だと思い ますし、そのため、政府は様々なサポートもしていくということで取り組んでいきたいと 考えているところでございます。 ○大橋部会長 ありがとうございます。もう一件、橋本さんから開発力のお話もあった ところなので、もしよろしければ、菊川局長からも一言あればと思いますが、いかがでし ょうか。 ○菊川イノベーション・環境局長 ありがとうございます。開発イノベーション力とい うことで、新しいところについては、私も今、企業の経営者をずっと回っていると、売上 げに対して一定の割合を先に研究開発費として固定化して、ある種、予算配分として事業 部門に渡していくというやり方が多いのかなというのが、正直、実感しているところでし て、その点はグラフの中にもあったと思います。日本も売上高比率に対しての開発費とい うのは結構固定化されているのですが、各国いろいろ見てみると、もちろん減るときもあ るのですけれども、ここというときの開発費を大きく増やしていくというところの攻めの タイミングのときは、結構ばらつきが出ているのではないかなと思っています。そして、 そもそも絶対量としても少ないということがあるのですけれども、今回の成長戦略の中で も、官民投資でしっかりやっていくということですが、企業側にも予見可能性を高めると いうことで、例えば研究開発税制など、税制でも支援をしているわけです。それを例えば、 今回初めて3年繰り越せるような制度を入れて、複数年での研究開発投資についても企業 側が考えていけるような、財務的なバランスをとれるような繰越制度について、政府側の 官民投資を増やしていくという意味でも、政府側の制度を改善していく必要があるなと考 えています。 ○大橋部会長 ありがとうございました。それでは、また続いて委員の御発言をいただ こうと思いますので、まず中空さんからお願いできますでしょうか。 ○中空委員 ありがとうございます。御説明を聞いていると、本当にすばらしいとしか - 10 - 言いようがないのですが、金融市場にいる者として、情報共有というのでしょうか、現状 の話を少しだけさせていただきたいのです。 AI一本足打法みたいに見えてしまう部分がある中で、AIバブルがいつ弾けるかとい うのは、株式市場でも社債市場でも大きな話題になっています。プライベートクレジット というマーケットは困惑しているということがあるのですけれども、そこの問題が出てく ると、AIが必ず影響すると思っていて、AI企業が巨額の資金調達をしなければいけな いという問題と、金融市場に与える影響は日増しに大きくなっていると思います。 例えば、どんなことが起きているかというと、エヌビディアがOpenAIに資金を出 資して、OpenAIはそれを受けて、半導体をエヌビディアから買う。それを受けて、 両社とも株価上がって、上がった株を担保に資金調達をするという錬金術がどんどん行わ れている。 こういう中で何が担保になるかというと、AIで利益が上がるということが担保になる わけなのですが、それがこれから先も継続するということを前提にしていないと、今の話 は成り立たないのではないかと思ってしまいます。 日本の企業は、例えば日本が今からAIにどこまで力を入れていくとよいのか。私は素 人なので、今の日本のAI技術がどの程度なのかというのを正確に理解出来ておりません。 そのため、どれが勝ち筋を生むのかどうかというのが判別できない。世界の状況から見る と、AIバブル的なことから相当やばいぞという話になっていきつつある中で、それはど ういうことをもたらすのかということは片方で考えなければいけないと思うのです。。 ただ、一方で言えるのは、AI以外に、ほかに利益が上がっているところはあまりない ということです。アメリカのGDPだってAIの設備投資が本当に大きくなっていると考 えると、世界中でAIに依存してしまっている。逆に言うと、それ以外で資金が回るとこ ろや収益が上がっていくところ、成長できるところがあるのかという問題があるので、こ こは何としても取っていかなければいけないのですが、この中で日本はどこが勝ち筋かと いうことも、畠山さんには何回も聞いていて申し訳ないのですけれども、相変わらずそう 思っているところです。 先ほど3ページにあった、前回こんなこと話しましたという中で、問題点をきれいに整 理してくれているところがあるのですけれども、この中でどこにウエートがあるかという と、サプライサイドのグローバル産業政策、重点アジェンダ②になっていますが、日本の 勝ち筋を決めていくことなのではないかと思うのです。 - 11 - 全てのこと、例えば地方創生だ、人口問題だと何もかも解決するのはすごいことではあ るのですけれども、後から御褒美のようについてくればよいかなと思っていて、あくまで も勝てるものはどれかということを真剣に探していくことのほうがより肝要だし、今回の 高市政権がやる17の戦略分野がよりフォーカスされやすくなるのではないか、確実性が上 がるのではないかということも期待も込めて申し上げたいと思います。 勝ち筋を決めていくということがなければ、何もかもやることになってしまって、何も かもやれば、結局これまでと同じで、どれもまあまあですねという話になってしまう。今、 私たちがそれを目指しているわけではない。しかも、AIに専業していたアメリカなどは、 そこでこけるかもしれない。あるいは、アンソロピックなどがそうですが、すごく株価が 上がる日もあれば暴落する日もあって、それは国の関係とかいろいろ理由があるわけです が、そういうボラティリティーが高まる中で、果たして日本として、AI分野にどういう リソースを割いていくべきなのか。 結果として、例えば日本は高齢化社会もあるし、ロボティクス、ロボットにもっと資源 を投下していくことがいいのではないかと思っているのですが、何がいいかということも 含めて、今の日本がどれぐらい強いかをあげることが大事ではないでしょうか。強いもの と弱いものが混ざっていると思うので、確実に勝てそうなものに対して、まずは短期的に 集中投下をしてリターンを上げていく。その上で、戦略的にほかのものを考えていくとい うことにしたほうが、よりフォーカスされやすいし、運営もされやすいし、企業に対して 予見可能性を高めることにもなるのではないかなと思ってお聞きしました。 言っておられることや、このペーパーそのものは、ほぼいろいろなことが網羅されてお り書いてあって完璧に近いと思うのですけれども、あえて言うのであれば、そういった勝 ち筋に対するフォーカスが幾分足りないのではないかということでお話をさせていただき ました。 以上です。 ○大橋部会長 ありがとうございます。それでは、続いて長田さん、よろしいですか。 ○長田委員 ありがとうございます。こちらの整理していただいた資料は非常に網羅的 で、よくできていると私も思いました。 その上で、AXを前提にしたCXというところで意見を申し上げたいと思います。 来月から、私はNECという会社でHR、人事の責任者になることが決まっていまして、 まさに私の現在の悩み事そのものであるという意味で、皆さんにぜひ悩みを聞いていただ - 12 - きたいという感じなのですけれども、実際、これから企業の中で起こることは何かという ことを考えてみますと、ホワイトカラーの仕事の特にスタッフワークの部分というものが まずAIによって代替される。これは確実にそうだろうと思います。 加えて、私自身もAIをいろいろ使ってみてつくづく思うのですが、意思決定層という ものが現在の同じ人材層でやることになっていくでしょうかといいますと、まさに意思決 定層がAIを自分の部下としてAIと対話をしながら、意思決定の内容そのものを高度化 させ、深めていくということが起こるのだと思っています。つまり、一個人の中で物事が 完結する量といいますか、度合いというものが爆発的に増大することによる、いわゆる爆 速の何かが生まれるということがロジックではなかろうかと。 そういった際に、まず人材が、つまり人材群として同じようなボリュームのニーズがあ ったとしても、その内容も大きく変わる可能性があると思っております。ですので、国全 体を見たときにも、まず人を必要としている分野、人が必要なくなっていく分野というも のが非常に大きな流動を迎えると思いますし、企業の中でも同じことが起こる。 逆に、転換といいますか、流動というものがよく行われた場合に、新しい産業が生まれ、 そちらに人を配置することができ、現在ある産業は、同じ生産力を維持しながらも、AI がその生産を担っている割合がかなり高まる、そういう構造になるのではないかと思いま すので、いわゆるAIによって雇用を奪われるという話ではなく、雇用の最適化がAIを 前提として行われるということになるのだと思っています。 ただ、そうしたときに、企業レベルで考えますと、実際は流動化させるべき人材をどう するか。つまり、雇用の調整ができるのか。もちろん今の法制度の中でも丁寧にやればで きなくはないということではあると思うのですが、それは3年、5年、10年みたいな時間 軸での話だと思っておりまして、AX、CXというものをやっていかなければならない時 間軸、日本が競争力を保つためにやらなければいけない時間軸というのは、5年、10年と いうことなのだろうかというのが疑問になっていまいります。 そうしますと、まず国全体の労働力再配置という観点からいったときに、全然バッドス トーリーではない、三方よしが十分あり得るストーリーになるはずだと思いますので、ま ず国全体としてそのように人材構成を変えていこうというような明るい方向性を示すこと が非常に重要なのではないかと思います。 また、企業が個別にそういった努力をするに当たって、実際その努力をもっとやりやす くする必要が現実的にあろうかと思います。実際、今の雇用流動化に使える手段というも - 13 - のを考えてみますと、非常に長い時間をかけて、非常に高い労力をかけてやっていく。そ うすると、AXというものはまだまだ手探りのトライ・アンド・エラーの世界の中で、ま ずトライができない、エラーも発生しない、諸外国に比べてどんどん遅れていってしまう、 そういうことが起こってしまうのではないかということを危惧しておりますので、ぜひ労 働力の国レベルでの流動化に向けたストーリー及びベースの整備というものが必要ではな いかと思います。 また、例えばほかの国のように、労働力の流動化がされている前提で、かつ社会保障も あまりないという形になってしまいますと、住みよい国ではないと思いますので、特に今、 ミドルクラス以下の所得層に対する手当みたいなものが政策的にも議論されていようかな と思いますので、国全体としてそういった手当、セーフティーネットを手厚くされていく 一方で、チャレンジをもっとしていくことを人に促すような雇用環境の整備を御検討いた だければいいなと思っています。 以上です。 ○大橋部会長 ありがとうございます。ちょっと早めに御退席の方がオンラインでいら っしゃるので、そちらの方にお願いできればと思います。まず、雇用の話もありましたの で、首藤さん、どうでしょうか。 ○首藤委員 ありがとうございます。先に退出させていただく関係で、初めにコメント させていただきたいと思います。 今の御発言とちょっと重なるのですけれども、まず資料自体が非常に濃厚で、すばらし いものだと私も認識しております。産業の成長分野について一定の方向性示されている一 方で、もう一つの資料で、2040年の就業構造のデータもありましたけれども、事務職で大 量の余剰が生じる一方で、現場の人材やAI人材では不足が拡大するという、かなり大き なミスマッチが生じることが示されています。労働市場改革は別の審議会で議論されるも のだと理解しておりますが、投資産業政策と労働市場政策をどのように接続させていくの かということが非常に重要な論点になると感じております。 先ほどの御発言にもありましたけれども、ミスマッチの解消というと、一般的には労働 移動が重要だという話で、労働移動を企業間、産業間でやってこうということで、当然そ れは大事なのですが、日本の雇用慣行の中では、なかなかそれが簡単にいかないというよ うな現実もあって、一気に外部労働市場中心のモデルに移行できるのかというと、それも なかなか容易ではないだろうなと思っております。 - 14 - ですので、もちろん先ほどの御発言にあったように、国レベルで雇用保障を強めていく ということとともに、日本の特性を生かすのであれば、企業内での移動みたいなものもよ り動かしていくということも、企業内の職種転換とか人材活用も併せて進めていくという 視点も重要なのかなと感じております。労働移動を促し得る投資の政策であるとか産業政 策にどういうものがあるのかということを改めて議論していくことが必要だろうと思いま した。 特に人材構成を大きく変えていくということであれば、必要とされているところの賃金 差が大きいところは非常に大きいので、やはり賃金を上げていくとか、技能資格を産業横 断化していくような仕組みをつくっていくとか、いろいろな設計も併せて考えていかない と、結果的に外部労働市場もあまり発達せず、企業内の雇用が弱まって、不安定雇用が増 えて、賃上げも消費も弱まる可能性もあるのかなと思っているところです。 もう一点としましては、投資拡大を通じて賃上げ、消費につなげていくという好循環が 重要だというのは、私も方向性としては強く賛同いたします。ただ日本では、これまで投 資とか企業収益の増加は、必ずしも賃上げや家計所得の増加につながってこなかったとい う面もあると思います。その意味では、投資の促進政策を併せて、企業利益が賃金とか家 計にどういう回路で分配されていくのかという点も議論していく必要があるかなと思いま した。 以上です。 ○大橋部会長 ありがとうございます。もうお一方、早めに御退席と伺っている伊藤さ ん、いかがでしょうか。 ○伊藤委員 ありがとうございます。私からは、まず本日お示しいただいた大きな見取 図に関しては、基本的には私自身、異論はないということになります。 その中で、先週からヨーロッパを回って、いろいろ経済状況、あるいは産業戦略も含め て調査をしている中で感じたことを少しお話しさせていただければと思います。 まず、やはり一番を強く感じるのは、AIの投資の大型化という話もありますけれども、 技術革新の加速と、まさに地政学的な緊張が一段と高まっているという中で、これが同時 に進行している、産業戦略、それから競争力強化という本日のテーマの緊急性と重要性が 非常に高まっているということが印象的な点です。 ただ、その一方で、財源には限りがあるということでありますし、設計次第では、かえ って民間投資を圧迫するような、いわゆるクラウドアウトになりかねないということもあ - 15 - って、民間手法を呼び込んでクラウドインするような政策ツールの組合せとか、そのため の制度設計であったり、企業が投資判断を行いやすい環境整備の在り方みたいなところが、 強調されるようになってきているのかなと思いました。今回の御提案の中では、環境整備 というところをかなり重視されているように思いましたので、その点をすごく心強く感じ るところです。 ヨーロッパの議論を踏まえて、日本が戦略を検討する際に、今後意識すべきではないか なと思った点を、残り3点申し上げておきたいと思います。 1つ目は、橋本委員も取り上げられた研究開発と教育の問題なのですけれども、やはり 幅広く成長の基盤を強化する、中長期的にも効果がある戦略ということで、業界だと個別 の政策支援以上に重要性が強調されているということを申し上げておきたいと思います。 2つ目は、産業政策を支える財源の問題、あるいは投資を喚起するという狙いがあると するならば、その投資喚起の枠組みの設計の大切さということだと思います。ドイツの場 合、インフラと気候中立を目的とした特別基金ということで、総額5,000億ユーロ、約90 兆円規模の投資支援の枠組みというものを立ち上げて、ほぼ10年間ということで、時限的 な枠組みということなのですけれども、仮に日本でも同じような枠組みをつくるというこ とを考えたときには、規模とか期間をどう設定するかということも非常に重要になってく ると思うのですが、ドイツでの議論を通じて感じたことは、政策効果を評価する仕組みに ついても検討することが重要なのではないかということです。そのためには、データも必 要になっていきます。 今回、日本が17の戦略分野という非常に幅広い領域をカバーするということになると、 かなり特性が違うので、それをどう考課、評価するかというのは非常に難しい問題ではあ るのですけれども、そういった枠組みとか監視のツールみたいなものがそれなりに備わっ ていないと、適切なプロジェクトの選定ですとか効果的な執行が難しくなってしまうとい うことだと思いますし、そういうものがあれば、中空委員が指摘された勝ち筋の絞り込み みたいなこともできてくるのではないか。それから、逆にあまり期待された成果が出ない ということになると、例えば撤退、見直しを行う、判断の基準を提供してもらうものとし て重要ではないかと思います。 それから、3つ目が、地政学的な近況と技術革新ということと関わりがある問題だと思 うのですけれども、今、キーワードは規模の経済ということになっていると思います。そ れを日本の場合、いかに実現するかということで、ヨーロッパの場合は、とにかく単一市 - 16 - 場を形成しているのだけれども、その中で行政手続とか制度の違いで市場が分断されてし まっていると、結局、本来備えているはずの規模の経済が十分に発揮できなくて、米中に 水を空けられてしまう。本来、国境を越えて行われる大型の企業合併、企業統合なども今 の時代に求められるということなのですけれども、これも政治的な抵抗も含めて、いろい ろな要因で阻まれてしまうということです。日本も、残念ながらアメリカ、中国という巨 大市場に比べると、市場規模という点では限界がありますので、この規模の経済をどう確 保するかということは重要な論点になると思います。 資料の37ページのところで、企業間連携を妨げる要因の1つということで、独禁法抵触 の漠然とした懸念といったようなものに触れられていますけれども、実際それが企業の行 動を抑制しているということであれば、予見可能性を高めるような制度運用とかガイダン スの整備といったことで連携を後押しするという環境づくりも、規模の経済という観点か らは大事なのだろうと思います。 それから、もう一つ、やはり日本の場合は、EUなどミドルパワーとの連携というのも、 あらかじめ制度設計の中に組み込んでおくべき重要な要素になるのではないかなと思いま した。具体的にどう展開するかという問いが本日あったかと思うのですけれども、ちょう ど昨日、EUの欧州委員会が産業競争力の強化、雇用創出を目的とする産業加速法、IA Aという法案を提出しました。この中にある戦略分野における公共調達とか支援制度の要 件として、ローカルコンテンツを設けるのですが、メイド・イン・ヨーロッパでやると。 メイド・イン・ヨーロッパをどういう基準にするかというところで加盟国間の対立もかな りあって、法案の提出が遅れていたという背景があるのですけれども、今回の提案では、 EU域内の企業だけではなくて、EUとFTAの関係にあるパートナー国、これは日本も 含まれているということになるのですが、アクセスを認める。メイド・ウィズ・ヨーロッ パという方向性が示されたということです。 資料41ページ目の中で、技術で勝ってビジネスでも勝つというところで、官公庁の調達 とか制度設計の議論に触れられているのですけれども、ここに関わる論点なのかなと思い ます。競争力強化策のどこまでをパートナー国に開放するのかという問題は、日本の産業 立地を強化するという観点と同じように、日本企業の海外でのビジネス機会の拡大にも関 わってくるということかと思います。 そういう意味で、産業政策などの制度設計をする場合に、国内産業の強化と国際連携の バランスをどうとるかという点も非常に重要な検討課題になるということを述べさせてい - 17 - ただいて、私からの意見とさせていただきたいと思います。 ○大橋部会長 ありがとうございます。続いて、それでは会場に戻らせていただいて、 よろしければ、東さん、よろしいですか。 ○東委員 ありがとうございます。東恵美子です。数点、コメントさせていただきます。 まず、前回も申し上げましたが、17の戦略分野が出てきた背景は、省庁にいろいろ分割し て、責任を持って成長戦略をつくっていただきたいということもあって、17にもわたる項 目が出たのだと理解しております。国・政府は企業でないということは十分承知の上、17 項目もの成長戦略を企業のリーダーが提出すれば、監視役はそんなに多い項目をいかに戦 略に結びつけるのか、と質問すると思います。この見解は皆さん、御承知のことだと思い ます。 17項目もあるとそれぞれに投資できる資源の拡散を起こす危険性が高まります。結果と して成長戦略に全然つながらない、資源拡散という逆の方向に流れる懸念は大変大きなも のです。そこを、政策をお考えになられる方々、いろいろな省庁でも、投資資源全体のパ イが17項目あることで膨らむのであればいいとは思いますが、パイが膨らまないのであれ ば、資源の拡散になってしまい、元も子もない結果が出るのではないかという危惧は。前 回も申し上げましたけれども、今回もまた繰り返しコメントさせていただきます。 では、どうすればいいかということですが、例えば、17項目の中でも、半導体、AI、 量子コンピューター関連、つながりがある領域を戦略的に戦略的ロジックを構築し、その 3分野の関連性を包括的にまとめて、相乗効果を期待し、戦略的に注力していくことは有 効なのではと思います。 ほかのエリアでも、例えばAIと創薬、バイオという3つの分野が17の分野の中にあっ たと思いますけれども、それらをまた包括、総合的に繋げていくことによって、それぞれ がサイロにならずに、連携して、相乗効果を創出していく政策を考えていくことが必要な のではないかと思います。 二番目のコメントは、半導体の話に特化して恐縮ですけれども、半導体は、皆さん御存 じのように、いわゆるアクティブコンポーネントとして、AI、その他の分野の一番基本 になりますが、その一方で、半導体の周り、皆さんお持ちの携帯電話ですとかデータセン ターにしても、パッシブコンポーネントという半導体があり、パッシブコンポーネントが ないと、車でも電話でもアクティブコンポーネントの半導体は役にたたない。日本の世界 での半導体の競争力を見たときに、パッシブコンポーネントの優位性は恐らく世界で50% - 18 - ぐらいのマーケットシェアを持っている、と考えられます。日本の世界での優位性は、今 のところアクティブコンポーネントよりもパッシブコンポーネントにあると考えられます。 これは、中国と比べても今の段階では技術の優位性があり、日本の半導体の成長戦略に対 する政策を考える際に考慮すべきだと思います。先ほど中空さんが、日本の世界的な競合 性のマップをしっかり捉えて、その上でどこに成長投資をするべきかということを考える べきだというお話があったと思います。それと全く似た話ですが、半導体に関しては、半 導体システムの競合性もしっかり把握され、政策の余地があるか否かを判断するのが良い のではと思います。パッシブコンポーネント分野は、中国が物凄く力を入れている。中国 の企業は、R&Dに関する償却は全部ゼロでよろしいという政策の下で投資を行っている。 あるいは、CAPEXにしても、その償却スケジュールが会社に優位になっている、そう いった外国、特に中国の関連政策がどうなっているか、それに対して、日本の今は優位に ある企業がどうやって優位性を保っていくことができるかという政策もお考えになるのが いいではないかと思います。 3番目は、世界的な優位性を保つための戦略をどう考えるかについて、別な観点から見 ます。これまでは世界の超大国であった米国が、いろいろな意味で大変混沌とした状態に 陥っている。それは日本にとっては大変なチャンスです。経済分野で言いますと、例えば 米国では今、薬価の問題で薬品業界が大変苦しんでいる。要するに、世界中で一番安い薬 価の国とアメリカの薬価も同じにしなさいといった条例ができるかもしれないという危惧 にが米国の薬品業界は遭遇しており、大変悩んでいる。これまで自然科学のダントツな優 位性を持っていた米国が崩れている。基本的な自然科学の研究をしている人たちで、優秀 な研究者も市民権がないと米国の移民法の改正で米国には居られなくなる可能性が高まっ ている。これは米国滞在の外国人の研究者にとっていは本当に現実的な問題です。米国を 去って自国に戻る、ほかのヨーロッパの国に行くそういうことが、特に高スキルの知的人 材の中で起こっています。 そういう状況下、日本も、大きな門を開いて、そういう人たちを受け入れる政策制度を つくれば良いのですが、そこで常に問題になるのは賃金の差の問題です。米国では日本の 3倍とか10倍とかいう賃金を、大学にしても、企業にしても、知的人材層に払っている。 賃金の差を縮めていくことをやり続けるのは今までもやってきたことで、恐らくそれでは、 外との賃金の差は埋まらないと思うのです。 そこで、日本という国が何をアピールすればいいのかというと、日本で研究をすること - 19 - で、環境が大変フレンドリーであり、また半導体の話になって申し訳ありませんけれども、 例えばJASMという会社がある熊本ですとか、ラピタスがある北海道ですとか、そうい うところで北海道シリコンバレー構想などということが言われていますが、大学、企業、 それから官が一緒になった広大な政策を外に向けて積極的に打ち出すのが良いのではと思 います。日本に来るとほかに研究者がいっぱいいて、あるいは技術最先端の企業があって、 そこにいると、賃金だけではなく、自分の知的財産、知能の度合いが高くなる、と思わせ るような環境をつくっていく、それに対する政策を政府で出していくのがいいのではない かと思います。 最後に、話はずれますが、もう一つ、日本の会社の開発力という意味で申し上げますと、 先ほどどなたかもおっしゃったかもしれませんが、R&Dの絶対額が小さいということ。 それはなぜかというと、世界のトップレベルに比べて売上げの規模が低いので、R&Dの コストが売上げの20%といっても、もともとの売上げが小さければ、絶対的なR&Dの費 用は小さくなってしまうということは、日本の中で同じようなことをやっている会社の数 が、分野にもよりますけれども、特に技術開発関連をやっている会社の数が多いのではな いかと思います。企業は承知なのですが、いざ統合となると誰がコントロールを握るのか、 従業員は全て生き残れるのか、とかいろいろ障壁がありなかなか統合が成立しない。政府 の政策として2社が統合する際に両方の会社にとっていいことがあるような施策、政策を お考えになるのもよろしいのではないかと思います。 ○大橋部会長 オンラインで菊地さん、随分長い間お待たせしてしまって申し訳ないのですけれども、 御発言をお願いできますでしょうか。 ○菊地委員 オンラインから失礼いたします。 先ほどから皆さんおっしゃっているように、このストーリーはとてもセンスメイキング だなと私も感じています。 その中で2つほどコメントさせていただきたいと思います。まず今回、AXによる競争 力の強化という観点で、ではAXが進んだらすぐ競争力の強化するのかというと、必ずし もダイレクトなパスがあるわけではなくて、AXによって、例えば2つほど論点があって、 1つは、健全な新陳代謝がきちんと進むことによって競争力が強化していくというパスが 1つあると考えます。 - 20 - 先ほど企業群の話もありましたけれども、高収益で高成長、もしくは低収益で低成長。 その高収益で高成長な会社がAXを進めることによって、低成長の会社を買収することに よってさらに拡大していくと。そうすると、新陳代謝という議論を、もう少しきちんと正 面から向き合う必要があるのだろうなと少し感じました。 そういう意味でいきますと、これは少し具体的な話でもあるのですけれども、今、企業 会計基準諮問会議のほうで、のれんの償却の問題というのが1つのテーマになっていると 思います。私は経営の実務家として、のれんの償却はM&Aをやるときの経営判断にはか なり大きなイシューとして捉えていて、フェアな競争、もしくはグローバルでのれんを償 却しない会社と償却する会社では、当然そこの競争が公平であるかというと、公平ではな いと思います。このように健全な新陳代謝を妨げているような制度であるとか、諮問会議 ですと、政府がなかなか介入しづらいという問題があることはよく承知しているのですが、 こういった制度で健全な新陳代謝を妨げているものは何があるのか、それをどうやったら 変えていくことができるのかという議論はあったほうがいいのではないかなというのが1 つ目でございます。 それから、もう一つは、先ほどAXによる競争強化、もう一つ間に入るキーとして、社 会実装をどれだけ加速するかというのがすごく重要で、AIとかロボティクスを開発して いる企業様と、例えばサービス産業が特にその対象になると思うのですけれども、連携を どのように促していくのかというのがすごく大事ではないかなと思います。 1つ事例なのですが、実は昨日、あるプラントベースフード、これもフードテック、戦 略投資領域の17分野の1つだと思うのですが、大豆でお肉を作って、それを開発された会 社さんと、それを調理する外食企業10社ぐらいで、その素材を使っていかにおいしく食べ られるかというコンテストを試験的にやってみたのです。 開発したほうからすると、開発はしたのだけれども、なかなか商品化ができない。一方、 それを実装するサービスプロバイダーからすると、そんなものを使って本当においしいも のができるのだろうかというお互いのミスマッチがあったのです。けれども、それを10社 の外食企業の調理人たちがいろいろな工夫を凝らしてやってみたら、本当にクオリティー の高い、そのままお店に出せるのではないかみたいなものまで実は生まれるのです。この ようにAI、ロボティクスを開発している事業者と、それを実際に社会実装させるプレー ヤーが、どうやって共同でプロジェクト化していくのかというような枠組みを支援する政 策があると、より社会実装は加速していくのではないかなと思いました。 - 21 - これはほかでも同じような事例があって、外食とかこういったサービス産業は生産性が 一番低いとよく言われていますので、そこを解決するためにロボットを開発したのだけれ ども、そのロボットを社会実装するために、現場での実験であるとか検証機関が絶対必要 になると考えます。例えば、外食事業者がそれを提供することによって共同プロジェクト とすると。その共同プロジェクトに対して、例えば政府が何らかの支援をして、加速化し て、それを社会実装化していくとか、こういったAIによる競争力強化というテーマにお いても、AI、AXによって何が変わることによって競争力が強化されていくのか。この 視点をもう少し膨らませていくと、より具体性、もしくは納得性というものが上がってい くのではないかなという印象を持ちました。 以上です。 ○大橋部会長 ありがとうございます。それでは、オンライン、続けて関灘さん、いか がでしょうか。 ○関灘委員 3点お話しさせて頂ければと思いました。資料も拝見しました。力作を共 有頂いて、ありがとうございます。 1点目は、複数事業間の連携による競争力のある事業モデルです。中堅国の支援、中堅 国への輸出などを推し進める政策パッケージに、複数事業間の連携の要素を含めることが できると良いと考えています。 専門領域が異なる多様な有識者の方々の知見を持ち寄り、複数事業間の連携の可能性を 探索できると良いと思います。私からご紹介できるのは、あくまで一例ではありますが、 エネルギー領域と食糧領域の越境・連携によるグローバルでの競争力の確保です。エネル ギー企業の皆さんは植物工場や陸上・海上養殖などの深い知見を必ずしも有していない、 食糧関連企業の皆さんはエネルギーコストの長期見通しやエネルギーの循環などの深い知 見を必ずしも有していない、という場合があり得ます。両者の深い専門性を持ち寄り、議 論を重ね、エネルギー事業と食糧事業の専門性を同時に持ち込むことで、グローバルでの 競争力を構築できるかもしれません。このように事業領域間で連携ができていないが故に 見出せていない事業機会を探索し、グローバル競争力を築き得る事業領域を発見し、協業 するためのリーダーシップがより重要になってきているように思います。 2点目は、国家視点からのAIエコシステムの構築の加速です。これまでの日本でも、 歴代の政治家、経済産業省、経営者の皆さんのリーダーシップにより、JERA設立など の大胆なアクションが取られてきたと認識しています。 - 22 - 本日は、私はマレーシアにおり、通信、インフラなど様々な業界のCEOの方々と個別 に会議をしています。その中では、中国のものでも米国のものでもないAXインフラを求 めたいという声があります。インド、インドネシア、タイなどでも同じような期待の声を 伺いました。日本よりも韓国に期待したいという声もあります。 これら国々のようなニーズを充足することは大きな機会であるかもしれず、計算インフ ラ、データインフラ、生成AIモデル、アプリケーション、これらから成るAIエコシス テムを構築する方向性は正しいと思いますし、成功の鍵は実行の加速にあると思います。 加速をしていくためには、国家視点で加速させたい領域の絞り込みと当該領域への長期 支援のコミットメントなどが求められるのではないでしょうか。他国でも10年、20年単位 での政策予見性・コミットメントを示す必要性が主張されていると認識しています。橋本 委員が指摘されているM&Aの後押しをするような仕組みや領域によっては合従連衡の加 速、統合的な事業運営ができるビークルづくり、JERAで実現されたような取組も必要にな るのではないかと思っています。 エネルギー、半導体、セキュリティー、防衛などの領域でM&Aも活用して、規模を拡 大して、R&Dも強化して、グローバルに事業競争力を強化している事例があります。例 えば、防衛領域で言えば、L3ハリスは数年の間にもM&Aを重ねて成長を実現していま す。このような取組では日本企業は遅れを取っている面があるかと思いますが、AXイン フラでは、より国として重点を置いて加速する領域を定めて、政策パッケージを用意して いく必要があると感じています。 3点目は、各企業へのAXへの後押しです。個人的には、生産性が、10倍、100倍、1,000 倍、1万倍、10万倍にし得る機会が来ているなと思っています。民間企業の経営者の皆さ んもその可能性を認識し始め、現状の業務プロセスにどうAIを活用するかだけではなく、 AI活用を前提とした業務プロセスの再構築の必要性を認識され、実行されつつある先進 的な経営者の方々もいらっしゃいます。より多くの日本の経営者の方々に、生産性を10倍、 100倍以上にできる可能性、AI活用を前提にした業務プロセスの再構築の必要性を認識 頂けると組織と人財の可能性をさらに解放できるように思います。こういった考え方を国 全体に浸透させられると多くの組織で変革が加速するきっかけになるのではないでしょう か。 様々な国々を訪問して対話の機会を得ると、人件費単価が低い国やグローバルサービス センターを活用できている国々は、AXが遅れる傾向があるかもしれないと感じています。 - 23 - 一方で、日本は労働人口が減少し、グローバルサービスセンターの活用度が低い国なので、 AXに取り組む余地があり、先行できる可能性があると感じています。 日本国内の従業員のリスキリングができる範囲、時間軸を考慮しながら、段階的にAX を進める必要があると考えている経営者の方々もいらっしゃいます。長田委員が御指摘に なった流動化、首藤委員が御指摘になった接続というテーマが鍵になるかと思います。 経済産業省の皆さんのほうがより包括的に御覧になっていると思いますが、弊社にも日 本で働きたいと思っているAX高度人財が海外にたくさん在籍しています。このような人 財が日本で働ける環境の整備、住宅確保、教育環境、各種手続の簡素化など、国としてで きることがあるかなと思います。 また、経験豊富な大企業人材が中堅・中小企業にシフトして活躍することが評価される 世論形成も必要と考えます。実際に大企業から中堅企業に転じられた方々が新たな職場で 大きな貢献をされている様子を知る機会がありました。もちろんどのような方にも職場・ 職種を変えることによるリスクやデメリットがあり得ると思いますが、1人1人の働き手に とっては大企業内でリスキリングして在籍し続けることが最適ではないかもしれません。 また、リスキリングした方々の再配置先の産業・事業の創造も検討しなければいけないと 考えます。介護、看護、外食などの人財を必要としているセクターへの人財の再配置・事 業生産性の向上・グローバル化ができるような政策パッケージなども必要になると思いま す。私からは以上です。 ○大橋部会長 まだお手が挙がっている方が数名いらっしゃりますが、セッション2の 御説明をさせていただいて、それにコメントも併せていただくような形で進められればと 思います。 それでは、事務局からセッション2の御説明も併せてお願いします。 ○中村産業構造課長 いろいろ意見をいただきまして、ありがとうございます。 再び86ページを御覧いただければと思いますが、マクロの話はこれまでも様々議論いた だいていまして、足元では、まさに大きな国内投資の中で成長を実現していくということ は、高市政権になっても変わらず持続されているかと思っています。そして、まさに今日 御議論いただいた、その中の具体化をどうするかというところだと思います。 足元で供給制約というところが人手不足の中であるということは、引き続き大きなリス クとしてはあるかなと思っていまして、これをどう解消するかということ。加えて、スラ イドの中に入れておりますが、今まさにアメリカのアカデミーを含めて様々なマクロの経 - 24 - 済運営の在り方ということが議論されています。まだスタディーを始めた段階でございま して、確たるこれだというところが、今現状、言えるものではないのですけれども、そう いったことも視野に入れて検討していきたいと、それは今シーズのみならず、次のシーズ も含めて検討していきたいということでございます。 このページの最後に書いてあります消費のところも、まだスタディーが追いついていな いところがございますが、戻っていただいて、72ページ目から74ページまでに消費のスラ イドを入れております。マクロでどう見えるのかと、マクロ上、消費が大事だという話と、 マクロの賃金と社会保障がないと、やはりどうしても将来不安も含めて消費がなかなか活 性化しないというような視点。もう一つは、ある種、お金を払って有償な消費をするとい うことに対しての産業構造上といいますか、サプライサイドの問題としても、それをちゃ んと充足できるようなサービスが生まれてこない、あるいは生まれることが難しくなって いるという状況があると思っていまして、73ページ目は、様々なマーケターとかと議論す る中で、どうやって消費の意思決定がなされるのかという消費行動経済学的なところをす ごくシンプルにまとめていたりもしますが、こういった中で、特に消費の意思決定をする ところは、AIエージェントが生まれてくると、また様々な複雑性が増していくというこ とがあると思います。 それらを踏まえて、消費サイド、サプライサイドを含めた、もう少し産業サイドに立っ たときの消費の在り方も併せて議論できればということは74ページ目でまとめているとこ ろでございます。こういったこともぜひ御議論いただきたいと思いますけれども、さっき 部会長からもおっしゃっていただいたとおり、セッション1の話も含めて、意見をまたい ただければと思います。 ○大橋部会長 それでは、セッション1、2併せていただければと思います。差し支えなければ、オン ラインで滝澤さん、お願いしてもよろしいでしょうか。 ○滝澤委員 ありがとうございます。まず「新技術立国・競争力強化」について、私自 身、知的財産分科会財政点検小委員会というところに参加させていただいている身として、 知財についてコメントさせていただきます。 まず基本的な考え方として、AX時代における産業競争力の源泉というのは、やはり知 財とデータにあると思いますので、その意味で、資料の中でお示しされている知財、市場 分析を活用した競争優位性確保という方向性には賛同いたします。 - 25 - 事象分析の中でも、アメリカ、ドイツの企業を対象とした分析で、特許情報を戦略的に 活用している企業ほど業績が高いという結果が示されていますけれども、こうした知見を 踏まえますと、日本企業においても知財を単なる権利保護ではなくて、経営戦略の中核と して活用することが重要だと思います。 その上で2点申し上げたいのですけれども、第1に、知財市場分析を活用した有望新規 領域探索という資料がありました。明治の事例とか富士フイルムの事例があったと思うの ですけれども、知財情報を活用することで新規事業の機会を発見できるということが示さ れていたと思います。分析手法は非常に強力だと思うのですけれども、現状、大企業中心 に活用されている面があると思いますので、中堅とか、そういったところにも普及させる ように、政府による知財市場分析基盤の整備とか、専門人材の育成が重要だと考えられま す。政府も産業政策と連動した形で有望分野の方向性を示して、民間の研究開発投資を誘 導する仕組みも有効ではないかと思いました。 もう一点だけ申し上げると、グローバル市場を見据えた特許戦略と標準化戦略の一体的 推進ということで、日本企業は技術力を有していても、国際標準とか特許の面で主導権を 取れないケースが少なくないということで、AIとか半導体とかそういった戦略分野で国 際標準化と特許戦略を一体として進めて、日本がルール形成に関与できる体制を整備する ことが競争優位の確保という点で重要になるかと思いました。 私からは以上です。 ○大橋部会長 ありがとうございました。それでは、会場に戻りまして、福田さん、よ ろしいですか。 ○福田委員 ありがとうございます。2点目の論点で、どうやって消費を盛り上げてい くか、需要を盛り上げていくかといったところも含めてお話しできればと思います。 今、供給制約が一番深刻に起きている地方経済という文脈で考えますと、消費をどう喚 起していくか、究極的には賃金を上げて可処分所得を増やして、将来の不確実性を取り除 いていってあげるか、そういったことで地方経済・地域経済を盛り上げていくかというと ころに尽きるのかなと思っています。 今回、前段の議論でも出てきましたAXといったところで、半導体等、成長戦略産業と 指定された分野での議論が多数なされていますが、日本の就業構造を踏まえますと、サー ビス産業こそAX、産業構造転換の主戦場になるのではないかなと思っております。 別添でお示しいただいた就業構造の資料を拝見いたしましても、日本の就業者の50%強 - 26 - はエッセンシャル産業に係るサービス業に関わっており、地方ではその割合がさらに高く なっています。 実際に製造業企業を中心としているような地域においても、その地域の存続を支えてい るのは医療だったり、介護だったり、小売、物流等のサービス企業かなと思っていますの で、この分野の生産性と付加価値が上がらない限りは、日本全体の産業構造は実質的に変 われないのではないかなと思っております。 一方で、地方の現状を考えると、地域バスの廃止だったり、物流網の縮小だったり、小 売店がどんどん消滅していったりと、エッセンシャルサービスの縮小というのが既に始ま っていまして、これまでは補助金等の政策で支えてきていたと思うのですが、このモデル を今後も続けていくのはかなり厳しいのかなと感じています。 では、その中でAXをどう地方経済の場で進めていくかというところなのですけれども、 まずそもそもAXとDXの違いは何だろうと考えますと、DXはある意味、ITだったり、 デジタル化を用いて、省人化や業務効率化を推進していくということと理解していますが、 AXは、AIがあることを前提に、企業の意思決定の仕組みそのものだったり、サービス だったらサービス提供の仕組みそのものを再設計していくことかなと思っています。これ までエッセンシャルサービスというのは、何となくコストっぽい感じで議論されがちだっ たと思うのですけれども、AXによって新しいサービスモデルだったり、ビジネスを生み 出すチャンスもあると思っております。 一方で、私自身、地方の中小企業の現場にいる身としましては、AX型のサービス改革 を進めるに当たって一番ネックになっているのは人材だと思っております。人材について は、就業構造の資料を拝見しましても、AIを用いながら専門性を持って設計していける 人材は数が限られている中で、各地域の中小企業が一社一社で常勤の人材を抱えるモデル はすごく難しいのではないかなと思っています。人材政策には様々な分野が絡んできます が、地域でAXを進められる人材をどう確保していけるかが重要な課題だと考えます。そ のためには、各地域の中核となる企業にしっかり人材を循環させていくためのモデルや仕 組みを国として整備していくことが、一番スピード感を持って進めていける方法の1つか と考えております。 以上です。 ○大橋部会長 ありがとうございます。もしよろしければ、齊藤さん、お願いします。 ○齊藤委員 IPAの齊藤です。皆さんがいろいろおっしゃったので、ざくっとマクロ - 27 - に私のイメージを言っておきます。 私はもともと機械屋で、電気制御システムをやって、橋本委員がやられている鉄鋼メー カーの制御システムの機械化、自動化をしてきたのです。その流れの中にあらゆる業務・ 作業領域においてデジタルを活用した世界ができて、それをサイバーフィジカルシステム として実現していこうというのが今の時代です。 私が眺めてくるに、もともと電気が生まれて、明治維新の後、日本社会が新たな時代を 迎えたと。文明開化といった時代。そこから産業の中に機械化が進んで、その後、デジタ ルが出て、システム化が進んだのです。デジタルシステムを使っていろいろなものをつな いでいった、自動化していった。人のやっているところを除いていったというのが、いわ ゆる設備の領域でありました。 今、AI、AXと言っている話は、AIがいろいろなところに入っています。ある意味 ではAI for Science、いわゆる科学技術開発のところにもAIを活用して、リサーチャー が一々いろいろなことを調べなくてもすぐに対応できるとか、ほかの人に聞かなくても、 あるところまでの知見は自分が得て、さらに深めていくというAI for Scienceの領域から、 今度は、現場に降りてくるときにはAI for Engineering、つまり、実際のあらゆる領域の 設計業務をAIに置き換えていくような話になっています。一部、ソフトウェアのところ はもうAIで作らせたほうがいいというところの部分も出てきたりしているのが今の現状 ですが、さらにこれからAI for manufacturing とか、AI for Business といった領域の ところまで、それぞれ人に代わるAIが登場してくるという時代に入っていきます。 こ れは、ある意味では、やり方、システムが生み出されても、やり方自身がAIを使ったら できるようになっていく、現場で使えるようになっていくようなAIがどんどんでき上が っていって、それを使いながら、それぞれの人たちがAIを使った、例えば自分の生活を していく。AIを使った自分の業務をやっていく、そういう時代に突入していきます。 欧米の企業では、すでにリストラが激しくなっていて、AIを活用すると1万人規模の リストラをしても別に構わないみたいな話とか、ロボットを使って大量の解雇をするよう な話が出ています。これが多分、日本の時代の次の時代にも出てくるようなイメージだと 思います。 そうした中で、皆さんがおっしゃるように、雇用の問題もあって、流動性を確保するた めにどういう政策を打つのかという話が一方にある。AIを活用しながら、ある意味では リスキリングとかリカレント教育みたいな話も、AIを活用してどうしていくかという時 - 28 - 代に入ってきていると思います。 もう一つ、IPAはDXをやっているのです。進むデジタリゼーション、デジタライゼ ーション、進まないトランスフォーメーションという中に、何でトランスフォーメーショ ンが進まないかというと、皆さんは、経営者がそこにコミットしないかなとおっしゃるの です。本質的な話というのは、現場で常にルールがあって、それも含めて全部やり返さな いと、自分の業務自身を新しいデジタル化にできないというので、それを決められるのは 経営者の腹しかない。だから、経営者のコミットメントがないと、現場の担当者がAXを 進めるとしても進まない。これが同じような、次のAXの時代も出てくるのです。だから、 CXの話というのは、AIがよく分かった経営者が、AIを使って自分の会社をどのよう なやり方にするのかというのを考えるみたいな話が必要になってきて、それで各社のCX、 AXが進むように思うのです。 でも今度、AIというのは、さっきのエッセンシャルワーカーも含めて、社会でAIを 活用しながら、業界でAIを活用しながら、みんなでそういうAI社会をつくっていきま しょうという時代になった途端に、単独の企業では難しいと。だから、ここにある意味で は共通のアーキテクチャー、共通のプラットフォーム、共通のサービスを使えるような環 境をつくらないと多分うまくいかない。これは、ある意味では今の鉄道とか電力のように、 公益的なデジタルインフラを整備していかないと、恐らく各企業がほかのところとつなぐ のを単独でやるという話をしても、お金がかかって大変だみたいな話になる。経産省の今 回のさきのAXのときに、デジタルインフラをどうしていくかという議論をしっかり入れ てもらいたいと私は思います。 そのデジタルインフラというものはいろいろなレイヤーがあって、ある意味では、国の いろいろなエッセンシャルワーカーがやるようなところというのは、自治体のような、い わゆる生活レベルでちゃんとしたデジタルインフラをつくらなければいけない。今、我々 がウラノスエコシステムという名前をつけて、データ連携の基盤をつくっていますけれど も、そういうのを整備していかなければいけない。今度はAI活用のところの基盤を整備 していくというのが自治体にもあるだろうし、産業界は、逆に経産省がそういうデジタル インフラをつくっていく、我々が担っていくようなイメージを持ってどうしていくかと考 えないと出来上がらないのではないかなと思います。これが1つの話。 それともう一つ、エッセンシャルワーカーとかいろいろな現場に、フィジカルな領域に AIを投入していったときに何が問題かというと、既に人と人の間で、例えばルールを決 - 29 - めて、法律がありますと。目視点検しなければ駄目だとか、ここには必ず人を置かなけれ ば駄目だと。そうすると、今AIを投入する、ロボットフレンドリーな環境を整備しなが らロボットを投入して置き換えようとしても、実はいろいろな法制度を含めて出来上がっ ていないと進まないのです。 結局、日本の中で進めようとすると、さっきのDXが進まない理由もそうなのですけれ ども、既にあるところを変えていかなければいけないので、政府としてはデジタル臨調の ところをやって、ぼちぼちやっていましたというのはこれまでです。でも今、例えばアメ リカがジェネシスミッションというのを持って、国家戦略としてやっていくような話。ヨ ーロッパはAIコンチネントのような構想を描いて、貿易的な部分も含めて、EU全体を AI大陸にしようみたいな話をしている話と我々も向き合っていかなければいけない中に、 国の方針として、日本全体をAI化していくようなモデルを考えていかないとうまくいか ないのではないかなというのが私のイメージなのです。 ここの中の経済発展のところで、民間が自由にやっていく話の反対側に、今度は一方で 国家安全保障、経済安全保障の話が出てくるのです。AIそのものは業務そのものを、例 えばAIにやってもらうようになったときに、この安全保障をどうするかというのは、あ る意味では国できちんとした規制を設ける、ルールを設けていかないと、これまでいろい ろな技術が海外、韓国とか中国とかいろいろなところに流れていたのと同じように、日本 のいろいろな技術が流れていくのではないかと思うので、AI化を進めるのであれば、そ ういうこと全体をどのようにするかという話と、そのときのリスクを想定して、どのよう なことをやらなければいけないかというのを考えて、そこを何らかの形で、何らかのメッ セージでここに入れてもらえると、本当はいいのではないかなと思います。 以上、ざくっとした話ですけれども、終わります。 ○大橋部会長 ありがとうございます。差し支えなければ、深尾先生、どうですか。 ○深尾オブザーバー 説明用の資料の16ページに成長戦略の検討体制の見取図があって、 新機軸部会は右側の一番上、分野横断的課題への対応が期待されていると思うのですが、 そういう意味で言うと、技術についてももちろん重要ですけれども、恐らく日本が迫られ ているのは、もうほとんど完成雇用で、穏やかなインフレで、供給制約の下でいかに投資 を増やして、経済成長を加速化するかということだとすると、そこで何がボトルネックに なりそうかという視点をもっと強調してもいいのかなと思いました。 1つは、もう既に長田委員、首藤委員はじめ、皆さん御指摘のAIが普及したときに、 - 30 - 特に事務職で労働が余るといった大きな労働のミスマッチが起きるという問題、これは今 日の資料だと30ページで教育の問題とか、31ページでリスキリングの問題等指摘がありま すけれども、恐らくもっと大きな、日本はかなり雇用が守られているところがあるので、 事務職の人等をいかにほかの分野に再配置していくかという視点が非常に大事だと私は思 います。 これは厚労省の担当ではないかという話もあり得ますけれども、領空侵犯してでも、経、 産省としてもっと強く提案していく必要があるのではないか、これは企業内労働の再配置 という意味では、このスライドも重要だと思うのですけれども、もっとダイナミックな労 働の再配置が必要になるのではないかという気がします。 日本だと2000年代初めに、小泉改革で派遣等の改革が行われたり、あとコロナのときに、 接客の人たちの再配置をものすごくしたわけですけれども、それを上回るような規模の再 配置を可能にする労働市場の変革が必要になってくるのではないか。それに企業の面でい かに支援していくかという視点が大事なのかなと思います。 あと2点、もう一つは、ボトルネックの話なのです。今日の資料にあまりなかった気が しますけれども、建設コストというか、設備投資のコストが非常に急上昇していて、あと 待ち行列もできていて、企業が行いたい投資が実際行えないという状況が広くなっている かと思います。 その背後には建設業、特に下請している中小の建設業等で資本の導入とか、労働生産性 の引上げといったことがうまくいかないということが深刻なのだと思いますけれども、そ の点についても国土交通省の所管と言えばそうなのかもしれませんが、せっかく企業が設 備投資しようとしているのに、それが実現できないというのが現状だと思いますので、経 産省で領空侵犯してでも対応すべき重要な問題なのかなと思います。 それから、先ほどのスライド16ページに戻っていただいて、どなたかおっしゃいました けれども、17分野というのは、私もちょっと多過ぎるという気がしますけれども、少なく とも17分野考えるのであれば、この中には投資とかが伴うもの、例えばAI半導体、エネ ルギー、防衛産業、国土強靱化とかありますので、昨年4月に前回の中間報告ですか、取 りまとめで、例えば名目200兆円まで投資を増やして成長していくのだという産業構造に 関する推計が出ましたが、それとこれで整合的なのか。ほかの投資も前提にしたら200兆 円を上回ってしまうのではないか。その辺り、昨年春に描かれた絵と、17分野の非常に積 極的な政策がどう整合的なのかということ。 - 31 - それから、中村課長が先ほど消費の構造が変わるというお話をされましたけれども、そ れも産業構造自体を変える要因、それから投資を新たに生み出すという要因もあるかと思 いますので、その辺りを含めて2040年産業推計の2040年というもの、もう少し5年ぐらい 先のことも必要だと思いますが、どういう日本全体の見取図になるかという話。恐らくそ れは内閣府もどこもやっていなくて、するとしたら経産省しかないと思いますので、そう いう見取図の議論も必要なのかなと思いました。 私からは以上です。 ○大橋部会長 今の点、いいですか。 ○中村産業構造課長 ありがとうございます。17分野について幾つか、今の深尾理事長 の話を含めて、やはり総花的ではないかというところはよく言われるところなのですけれ ども、そういった印象を持つのは当然かなと思っています。 今やっていることを申し上げると、17番分野を御覧いただいても、幅がすごく狭いもの もあれば広いものもあると。フュージョンもあれば、資源・エネルギー安全保障・GXみ たいに広いものもあって、その中で今やろうとしていますのは、そのロードマップを描こ うとすると、さっき中空委員からもおっしゃっていただきましたが、勝ち筋を描けるレベ ルまで具体的でないと、それはすごく茫漠としたロードマップになったり、戦略になると 思いますので、それぞれの中で何が主力製品なのかを決めるという作業をしております。、 それぞれちゃんとした勝ち筋が描ける具体性まで落とし込んだものとして、そういったロ ードマップ戦略を描くというような努力をしているということでございます。 その上で2つございまして、一つはまさにマクロ経済につなげていこうとしたときに、 その数はどれぐらいが適切なのかということ。一企業においての適切な事業の数というと ころと、600兆のGDPを抱える日本全体として、これが戦略分野だということの適切な 数というのは、インパクトなり考え方も当然違ってくると思います。当然その17分野だけ でマクロ経済を引っ張るというわけではなくて、したがって、横に分野横断的な課題とい うことで全体の、まさにOSシステムを変えるということとセットで日本経済につなげて いく、成長につなげていくということですので、当然その17分野だけではないのですが、 その上でどれぐらいの戦略分野の数が、あるいはボリュームが必要なのかということは、 今まさに投資額がどれぐらいなのかということも、これから各種の業界と話した上で見定 めていただこうと思っています。そういったことの数字を見ながら考えていく必要がある のかなと思っていますということが1つ。 - 32 - もう一つは、とはいえ、その17分野がばらばらとあって、全体として何なのかというこ とについての本質的な意味でも、見え方としても、ストーリー、ナラティブとか考え方が ないと、全体としてよく分からないという話になるかなと思っています。その際には、さ っきの齊藤委員にもおっしゃっていただいた、そもそも全体のシステムをどうする。左側 だったり、右側の話かもしれませんが、全体のシステムをどのように描いて、その中でそ れぞれの分野がどのような位置づけになるのか、あるいは役割を果たすのかということを 統合して考えていく必要があるということかなと思っていまして、ちょっとどこまで到達 できるか分かりませんが、そういったことを、まさにこれから成長戦略の中でも議論しよ うとしているところでございます。 以上です。 ○大橋部会長 ありがとうございます。17は多そうに見えるのですが、国は企業ではな いので。結局民間でやってもらわなければいけない部分というのは相当程度あるわけで、 国というプラットフォームがどうやって政策の中で、民間企業との中でのシステムをつく っていくのかという中での1つの絵柄をしっかりつくっていかなければいけないなという ことを御指摘いただいたのだと思います。 私も委員としてコメントさせていただければと思います。 まず1点目、スタートアップについてなのですが、大学も大学発ベンチャーといって、 私が所属しているところでも10年で10倍とか目標を立てようとして頑張っているのですが、 他大学さんの状況を見てちょっと気づく点は、スタートアップが自分の思いとか、技術も お持ちなのだと思うのですけれども、出そうな技術ができると、すぐ社会に展開できるの だと思っていろいろやっている方が多くて、特許がなかったりする人は相当いるのです。 海外にもちゃんと特許を持っていかなければいけないのですけれども、海外に特許を出し ているところは本当に少ないのではないかと思われます。 大学は大学で、自分で出願費用を出さないで企業さんに押し付けて、共同出願みたいな 形にするので、結局特許を使おうとすると、共同出願の企業さんの反対に遭って使えない みたいなところで、だから、にっちもさっちもいかないようなところは結構あるのではな いか。 東大は結構頑張っているかもしれませんが、ほかの大学は相当危ないのではないかとい う感じもあって、こういうところは出願について支援するのか、あるいはもう少しベンチ ャーで、エクイティーで何とかファイナンスをするようなやり方をもう少し柔軟化すると - 33 - か、ちょっと考え、しっかり特許を持たないと、そもそも出発点として話にならないので、 そのような意識はしっかり持たせながらスタートアップの戦略をつくっていく必要がある のではないかなと思われるという点が1点です。 2点目は、マクロ政策で、今日は人材の話をすごくしていただいたと思うのですけれど も、エネルギーも相当制約が今後出てくると思われます。どんどん電化を進めているので、 電力という話になっているのだと思いますが、電力における制約も相当程度出てくるのだ ろうなと思います。 ここの辺りも、労働が厚労省だとすると、電力は外局という形になっているのだと思い ますが、外局の進めている方向性はどういう方向かというと、私の理解は、やはり新規参 入をすごく大事にして、彼らのシェアは絶対に減らさないということで一応施策が組まれ ていて、それを監視するという体制になっているのではないかと思います。 そうすると何が問題かというと、スケールしないのです。電力市場をこれだけ自由化し たその先にはスケールという話が絶対に出てくるはずだと思っているのですけれども、こ の芽がどうやったら出てくるとかという話をしっかりしないといけないのだと思うのです。 ただ、新規企業を保護することが競争政策みたいな感じの話になってしまっているので、 そこの辺りの考え方の障害は抜いてあげないと難しいのかなと。そうすると、外局の中で の政策ロジックというものをちょっと変えてあげないといけなくて、それで外からちょっ と後押ししてあげるようなことは必要なのかなというような感じがしています。 あと、深尾先生からいただいた労働の観点で言うと、建設の話、つまり技能労働者が足 りないという話だと思いますが、例えば造船とか、今後いろいろなところと進めると出て くるのだと思うのですけれども、そもそも遡っていくと、高卒とか高専とか、そういう人 たちに対する扱いをどうしていくのですかと。結局、とどのつまり、そこに行くのだと思 っています。 我が国の教育政策というのは、基本的にみんな普通高校とか大学に行かせることを推奨 する政策なので、そうすると、工業高校とかどんどんなくなっていますし、そのようなと ころで、実は全然施策同士がマッチしてないのだと思っています。 実際に原子力も、複雑な配管を作れる人材はもはやどれだけいるのかとか、技能力に対 しては、相当問題があるかもしれないという御指摘をされる方もいらっしゃるサプライチ ェーン上と思いますけれども、全体を通じてみて、サプライチェーンは人材も含めてきち っとできているのかというのはしっかり見ていかないと、戦略があっても、多分ついてこ - 34 - ないというところもあり得るのかなという感じがいたしています。 というところでございまして、続いて、会場、あるいはオンラインの方からの御発言を引 き続きいただこうと思います。それでは、落合さんからお願いします。 ○落合委員 大学のことが出てきたので、私からもAI for Scienceの話をしたいかなと 思いました。 人間の探索空間から離れた空間を探索できるというのがAI for Scienceで結構大きいテ ーマで、例えば我々がこういう議論をしているときに、この議論を補助するようなAIと いうのは、あくまで人間の探索空間の周辺のことをやっているのですけれども、例えば人 間が論文を書かないような分野、例えば生物で言うと、人間の遺伝子で言ったら、トップ 10個ぐらいの塩基対について80%ぐらいの論文が書かれているという話があったりします。 つまり、我々の周りで興味があって、価値があることというのを探していくというのは、 人間の研究者がライフキャリアをかけてやっているのですけれども、そうではないもの、 例えばAIが総当たりでそれを調べていくようなことというのは今後すごく増えていくで しょう。それは薬をつくるにも、例えばロボティクスをやるにも、もしくは数学の領域で、 人間が引用したりとか、他人に興味があったりする領域でない領域以外をじゅうたん爆撃 のように調べていくというのは、割と今、非常に盛んに議論されているところだと思いま す。 もう一点は、人材の必要性が大きく変化するというところがコンピューターサイエンス 業界では非常に問題になっておりまして、我々大学で教育するとすると、プログラミング を教えたりとか、例えばOJTで実際にシステムを組んでもらったりとか、それで言うと、 論文で、コンピューターサイエンスのペーパーを読んで物を書いたりとかするわけですけ れども、そういったものを一緒くたにして、AIで一瞬で解けるようになる。例えば実験 をするところだけは人間の手助けが必要だったりとか、実験すら要らなかったりもするの ですけれども、そういった意味で、学位を今の状態でAIを使って取ったところで、専門 的な学が身についているかどうかというのは甚だ疑問ではあります。 しかしながら、例えば博士課程の領域で5年間ぐらい、例えば国際的な論文誌だったり とか、世界で一番難しい論文誌とかに通しているような人材は、例えばAIの力を借りた ところで優秀な人材かと言えば、恐らく優秀な人材ではあると思います。 その上で、我々がよくする議論としては、ピクセルやロジックの単価というのは物すご く安くなってくるので、これまでソフトウェア併せて作ったものとか、ユーザーインター - 35 - フェースで作ったようなものというのはコストが非常に安くなります。その上で、ロジッ クも恐らくそうですし、その裏で走っていたプログラムだったりとか、それを解ける人材 というのが――その人材ではなくても、誠実な社員さんだったらしゃきっと解けるという ような状態になったときに、人間はどうするのという問題があります。 ここでよく議論に上るのですけれども、我々はよくデジタル敗戦したとか言われること が日本は多いと思っています。実はデジタル敗戦ではなくて、デジタル不戦だったのでは ないかと最近思っているところがありまして、インターネット上でパブリックになったデ ータというのは、もう既にほとんど価値がないのではないかと思われます。 これはどういう意味かというと、ほとんどのパブリックデータを使ってAIを学習させ ているのですが、例えば企業内にあるプライベートなデータとか、我々がデジタル化し忘 れたようなものというのは、実は結構な高い価値を持っているのではないかというところ がありまして、このような非流通されているようなデータとか、非構造化されているデー タというのを、どうやったら我々の製造現場、農業、医療、介護、そして外食産業、もし くはインバウンドで使えるようなブランド化みたいなところに使っていけるかということ が恐らく重要なのではないかなと思っているところです。 その上で、今の地政学的なリスクというのと、インバウンドだったりとか、外食だった りとかする日本の付加価値とか、トレードオフではなくて、直接つながってしまっている ので、例えばサウジだったら、ビジョン2030に向けて、エネルギー産業以外の産業を盛り 上げようとして、ひたすらやられてきたわけですけれども、今回の中東危機によって、そ のブランドイメージは、恐らくかなり毀損してしまうようなことも多くありますので、そ こに対して我々はソフトウェアだったり、ハードウェアの付加価値を使った作業をしてい く中で、そういった地政学的なリスクに対してどう防護的に、防御的に対応するのかとい うことが1個重要だと思いました。 最後に、1個ポイントですが、30年前にニコラス・ネグロポンテが言っていたことです が、「アトムからビットへ」というキーワードがあったのですけれども、今はビットの価 値が物すごく下がっていってしまっているので、ビットからアトムへの転換というのがシ ンプルにはすごく重要だと思います。つまり、ソフトウェアは作るものではなくて、ほぼ 生成されるものになっていますし、AIモデルというのはほぼほぼ蒸留されて、オープン ソースでばらまかれるものになっていますし、サプライチェーンの中間層というのはほぼ 蒸発されていますし、それがどういう勝ち筋で動くかというのはほぼほぼ動的になってい - 36 - るので、長期計画というのが非常に難しいというところと、そうやってソフトウェア上の 価値というのが無限生成されてくると、ここで勘定されるGDPというのは潜っていきま すので、例えばウィキペディアをみんなが直したところでGDPに勘定されないので、そ れと同じようなことをマルチエージェントによって、経済的には換算されないようなもの が物すごい勢いで作られる状態になってくると、指標的に見つからないものが非常に増え ているところだと思います。 その上で、日本の高信頼性が高い製品、外食、御飯、IP、キャラクターだったりとか するようなものが、恐らくは無限に生成されているAI時代においては、非複製資源とし ては非常に重要であって、ただ、それを人手不足の状態の社会としてそこに突入していく という意味では、先ほど御意見がありましたように、人口増加型とか、人手が余っている 社会におけるAIよりは、我々はそれをアダプテーションしやすいと思います。 その上で、半導体とエネルギーを掛け合わせたところを、どうやって物理の世界で考え ていくかということが重要なのではないかなと思っております。 こんなところです。ありがとうございます。 ○大橋部会長 ○齊藤委員 ありがとうございます。 さきほどの17分野ですが、個別にパーツになっていますが、本当は社会や 産業システムのピースなのです。実はよく経産省の人たちには話をしますが、デジタル、 サイバーセキュリティー、AI、半導体と書いてあるけれども、これは社会や産業のシス テムのあるところにはまり込むものです。ここにやったものによって、例えば、消費者か らとかマーケットからお金が入って、どう分配するかというのは、この後ろ側にあるので す。次の時代に、そこのお金の分配のシステムはどう考えているのと。はっきりしないと、 やったはいいのだけれども、実装できないことになります。 私が某社にいた時の経験です。研究開発のチームがいたのですれども、10年ぐらい先の 研究開発をするのです。いい開発も多くありました。ところが社会実装しないと、結局廃 れてしまうのです。今、現在の100兆、200兆円規模の時価総額を持っているプラットフォ ーマー(プラットフォーム企業)は、マーケットを持っています。その中に、例えば今、 開発中の技術をはめ込んでいく。ちゃんとしたマーケットをつくりながら、そこに技術を さらに磨き上げるビジネスプロセスをループとして持っているので、どんどん発展する。 けれども、日本というのはプロダクトアウト型で、いろいろな技術開発します、製品開発 します、みんな製品を売ることを頑張ってください。こんなことだからなかなかうまくい - 37 - かないというのが現実だと思うのです。 先ほどエコシステム的な話がありましたけれども、いろいろな企業がこういう領域を使 いながら、どのようなエコシステムをつくって、社会実装を行うのか、いわゆるお金を稼 ぐモデルをどうつくるかというのを、この延長線上に、経産省の人たちが考えておくべき だと思います。考えていかないと、多分ばらまきになって、何もならない結果になるので はないかという、先ほどの話がありましたが、私も同意見です。 それともう一つ、消費者というと、日本の国内だけ見ているのですけれども、今の時代 というのは、デジタルを活用したサービスを提供して、コンテンツビジネスもグローバル に展開していくのは当たり前になっています。やはりマーケットをグローバルに見るとい う視点が要るのです。いろいろな意味で、アメリカも、ヨーロッパも保護貿易的な話をし ています。では日本は、どこで自分たちの経済圏を持って、あるいは製品を作りながら消 費していくのか、というような話をもう一つクリアに持って、もっと他国ともタイアップ していかないと非常に難しいと思います。 そこは逆に言うと、デジタル領域では、基本的には相互運用とか相互認定の世界がちゃ んと出来上がって、あまり障害や違和感なく日本のサービスが提供できる環境をつくらな いと、また、他国の企業のサービスも提供される環境をつくらないとなかなか難しいので はないかと思いました。 それともう一つ、最後ですけれども、今の時代はいろいろな課題の中に、日本の中で言 うと少子高齢化を迎えて、たとえば、エッセンシャルワーカーの問題、それはAIやロボ ットで解決しますとなっていく、一方で、世界の人口増加に対する資源問題、つまり物の 世界で言うと資源循環、資源が枯渇していきます。ここの話に対しても経産省はどう向き 合うのかというのが産業政策的に何か出てこないと、結果的には、それはもう企業の責任 で解決できる話にはならなくなると思います。そういうトータル、産業全体の、いわゆる お金の循環とか資源循環を考えたときにどのようにするのかというのを、今回の資料この 外側に何かちゃんと考えていっていただければならないと思います。皆さんには期待して いますので、よろしくお願いします。 ○大橋部会長 ありがとうございます。では、中空さんの後、東さんの順番で残り時間、 お願いします。 ○中空委員 時間がないので、一言だけ。 - 38 - 先ほど来、AIが出ると、労働市場のいろいろなことが変わっていくという話があった のですけれども、AIはやはり革命だと思うのです。なので、いろいろなことが変わるの だと思うのです。 私たちがいろいろ考えなければいけないのは、今までのホワイトカラーみたいなものは 要らなくなり、そうでないエッセンシャルワーカーとか違う人たちが必要になってくる。 革命が起きて、何が解決手段になるのかというと、やはり賃金と価格だと私は思っていま す。価格をどのようにするか。 大橋先生がさっきおっしゃった、原子力のチューブとかを作る人はいるのかという話が ありましたけれども、その人にこそお金を払うということにならないと、やはり調整がで きなくなってくるのだと思います。それを全て受け入れていかなければいけないので、ひ ょっとしたら私たちが考えていることというのは、現在ある姿を前提とし過ぎている部分 があるのではないかと思います。なので、ものすごい革命が起こっているということを踏 まえると、私たちの常識を疑って問題設定をしないと、違うことが起きてしまうのではな いかなと思います。 海外では、さっきも言いましたけれども、既に一回、AIの企業の中からも淘汰が起こ りそうで、そういう局面の中で、今日本がやっとやろうとしていることというのも、随分 と時間がかかったなという気がするのです。でも、ここから一丸となってやっていくとい うことや、齊藤委員がおっしゃったように、いろいろなことをバックでも考えておいてね というのはそのとおりだと思っております。そこで全てを共有できるものは価格なのでは ないかと。 価格をひもといていけば、私はあまりにも資本市場にい過ぎていることも弊害かもしれ ませんが、そこで整合性がとれていくと、正しい未来というのが少しずつ見えてくるので はないかなという気がしました。 以上です。 ○大橋部会長 ○東委員 ありがとうございます。それでは、東さん、いいですか。 ありがとうございます。また全然関連性のないコメントをさせていただきま すけれども、先ほど中村さんからおっしゃった、17分野をまた考えて絵を描きますという 御発言がありました。 そのときに、もう一つ軸として時間軸をお考えいただくと良いのではと思おいます。とい うのは、17の項目で今緊急にやらなくてはいけない分野と、もっと長期的な時間軸で考え - 39 - られる分野を分別して考えるのは有効かと思います。例えばの話ですけれども、フュージ ョンエネルギーは長期的な時間軸で考えられるけれど半導体、AIはすでに起こっている時 間軸、しかもスピードが大変アクセレレートしている、そういった時間軸の観点から17項 目をお考えになるのがいいのではないかと思います。 もう一つは、世界で日本は何の競争力が持てるかということを考えたときに、世界の中 でどこに穴、欠けている点があるかということを考えますと、AIのユースレギュレーシ ョンがあると思います。本来ならば米国がそれを主導する立場にあるはずなのにもかかわ らず、連邦政府は何もしていない。混沌状況で、皆さん御存じのアンソロピックのAIの 使用制限に関し、DODとの対立があり、そこにOpenAIが、割り込んでくる、そう いう状況の中で、日本がAIのユースレギュレーションに対し世界でのリーダーシップを 取る大変大きな機会があるのではないかと思います。 そして最後に、物を作るだけではなく、物を使うマーケットをエンハンスできるような 政策というのも必要なのではないかと思います。特に日本の場合は、世界的に誰も反論し ないコンテンツの優位性というのがあると思うので、それを使用するという立場から、マ ーケットをもっと広げていく投資政策というのもあるのではないかと思います。ありがと うございました。 ○大橋部会長 もうお時間がちょうど参っているところですので、まだまだ御発言希望 はあると思うのですけれども、以上とさせていただければと思います。 本日、17の分野を横串で統合するということで、「新技術立国・競争力強化」の議論を させていただきました。そもそも新機軸の出発点は、大規模で長期で計画的に進めていく、 それによって予見性が高まるから民間企業はついてくのだという議論していたわけですが、 今日の議論から、やはりそれだけでは駄目で、その後ろにどうやってマネタイズをするの か、実装していくのか、そうしたもののシステムをつくりながら、エコシステムをしっか りつくっていくこと。 また、実は予見性とイノベーションは恐らく組合せが悪くて、イノベーションをしっか り念頭に置きながら、つまりこの計画性どおり世の中が進むわけではないので、そういう 意味で、起こってない事象にもしっかり思いをはせるような政策面での姿勢もすごく重要 だというような御指摘をいただいたのかなと思います。 そういうことで、引き続きまた御議論させていただければと思います。本日のところは - 40 - 以上とさせていただきますので、事務局におかれても、引き続き検討を深めていただけれ ばと思います。 ○中村産業構造課長 本日も貴重な意見を様々いただきまして、ありがとうございます。 いただいた意見を踏まえて、この新機軸部会については、4月の下旬頃に次の部会を開催 させていただく方向で調整できればと思います。その際には、第5次中間整理の案をお示 しできるように準備をしていきたいと思います。まさに今シーズンは、これまで以上に政 府の成長戦略との一体性がより高いような舞台回しになっているというのが正直なところ でございまして、新機軸部会の中間整理もそうですけれども、加えて、成長戦略のほうは、 今日いただいた議論を踏まえて、しっかりと意味のあるものにできればと思っております。 ありがとうございます。 ○大橋部会長 それでは、以上をもって本日の会合を終了させていただきます。大変御 多忙のところ、本日もたくさん議論させていただきまして、ありがとうございました。 ――了―― - 41 -

資料1

産業構造審議会 経済産業政策新機軸部会(第 30 回) 議事次第・配付資料一覧 令和 8 年 3 月 5 日(木)12:00-14:00 経 済 産 業 省 別 館 7 階 共 創 空 間 1. 開会 2. 自由討議 ▪ 「新技術立国・競争力強化」の実現等に向けた 課題と政策の方向性について 3. 閉会 <配付資料> 議事次第・配布資料一覧 委員名簿 資料1 事務局説明資料 参考資料1 「内外一体のグローバル産業戦略に関する有識者会議 (第 1 回/第 2 回)」の概要 参考資料2 2040 年の就業構造推計(改訂版)について

資料2

産業構造審議会 経済産業政策新機軸部会 委員名簿 い と う 伊藤 さゆり おおはし ひろし 大橋 弘 ニッセイ基礎研究所 経済研究部 常務理事 東京大学大学院経済学研究科 教授/東京大学 副学長 落合 陽一 おちあい よういち メディアアーティスト きくち ただお ロイヤルホールディングス 代表取締役会長 / 菊地 唯夫 経済同友会 副代表幹事 さいとう ゆたか しゅとう わかな 首藤 若菜 立教大学経済学部 教授 せきなだ しげる A.T カーニー株式会社 アジアパシフィック代表 兼 日本法 齊藤 関灘 裕 茂 たきざわ み ほ なかぞら ま な ながた し おり はしもと えいじ 滝澤 美帆 中空 麻奈 長田 志織 情報処理推進機構 理事長 人会長 学習院大学経済学部 教授 株式会社かんぽ生命保険 エグゼクティブ・フェロー 日本電気株式会社 社外取締役/出光興産株式会社 社外取締役 橋本 英二 日本製鉄株式会社 代表取締役会長 兼 CEO ひがし 東門キャピタルパートナーズ マネージング ディレクター/ え み こ 東 恵美子 ふくだ え み 福田 映美 武田薬品株式会社 社外取締役/米国 Rambus 社 社外取締役 日本共創プラットフォーム マネージングディレクター (全13名) オブザーバー ふかお きょうじ 深尾 京司 経済産業研究所 理事長

資料3

資料1 第30回 産業構造審議会 経済産業政策新機軸部会 事務局説明資料 2026年3月 経済産業政策局 産業構造課 1 本日の議論の位置づけ 1. 本日の議論事項 ⚫ 前回、マクロ経済環境や外部環境変化を踏まえ、今期重点的に議論すべき事項として、以下4つの重点アジェンダを設定。 1. マクロ経済運営のあり方 2. グローバル競争型産業 3. 域内循環型産業 4. 好循環のミッシングピースである消費活性化 ⚫ 今回、これらの重点アジェンダについて、関連する委員会や研究会等での議論状況も含め、検討状況を御報告。特に、成長戦略の「分野横 断的課題」のうち、新機軸部会において議論することとなっている「新技術立国・競争力強化」について、イノベーション小委員会や地域 生活維持政策小委員会での検討状況も踏まえつつ、課題の所在と大まかな政策の方向性を提示し、御議論いただく。 ⚫ 本日の議論も踏まえ、次回の新機軸部会にて第5次中間整理案について御議論いただく予定。 2. 成長戦略との関係 ⚫ 成長戦略では日本の産業構造が抱える課題を解決するとともに、グローバル市場から付加価値を獲得できるだけの「勝ち筋」を見い出し得 る産業分野として17の戦略分野を選定。これらの分野に関して、世界に先駆けて勝負する製品・技術への投資・挑戦を徹底支援し、日本 経済の成長をリードすることを目指している。 ⚫ 加えて、こうした戦略分野で先行して行われる官民の投資・挑戦を日本全国に展開するためには、日本経済のシステム全体を徹底改革する ことが必要。成長戦略ではその実現に向けた8つの分野横断的課題も設定し、その解決に向けた方向性を提示する予定。 ⚫ その中で「新技術立国・競争力強化」は他の分野横断的課題の結節点としての役割も担い、産業構造転換を実現するための経済・社会基盤 改革の主要素を構成する。これはまさに、新機軸部会において、これまでOSとして議論を重ねてきた政策アジェンダを拡張するものであ り、今回、グローバル競争型産業の競争力強化と域内循環型産業の生産性向上に向けた政策の方向性に分けて議論を進めていく。 ※ なお、グローバル競争型産業の勝ち筋とその実現に向けた政策の方向性については、別途開催している「内外一体のグローバル産業戦略に 関する有識者会議」にて集中的に議論を行っているところ。これまで2回開催しており(詳細な検討状況は別紙参照)、今月中にとりまと め予定。 2 (参考)新機軸の今後の方向性の全体像(前回提示) マクロ経済環境やAI等のテクノロジーの進展や国際経済秩序の変容といった外部環境変化を踏まえ、新たに検討すべきアジェンダも含めて本 質的な政策課題を洗い出し、迅速に対応すべき課題については政策的措置を具体化。今期は、以下の4つの重点アジェンダを中心に議論。 ① 好循環の実現のための「マクロ経済のあり方」 ② グローバル競争に打ち勝ち、世界の成長ダイナミクスを日本経済の成長に取り込む「グローバル産業戦略」、成長投資を支える経済・産業 構造基盤となる「競争力強化」 ③ 地域経済を支える「エッセンシャル・サービス持続性向上策」 ④ 日本の持続的な経済成長のミッシングピースとなる「消費活性化」 マクロ経済運営のあり方・・・重点アジェンダ① 成長投資による産業構造の高付加価値化によって、持続的な賃上げを実現し、消費活性化による市場成長が次の投資を生む好循環の実現 マクロ経済運営の進化の方向性を検討(Ex. B/S思考への転換、AIロボティクス・レディなマクロ経済運営のあり方) ミッション(社会課題解決)起点のサプライ・ディマンド産業政策 サプライサイド グローバル産業戦略・・・重点アジェンダ② 競争力強化/賃上げ原資 「日本の勝ち筋」の具体化 グローバル産業戦略・・・重点アジェンダ② マーケットスケール/グローバルシェアの確保 エッセンシャル・サービス持続性向上策 ・・・重点アジェンダ③ グローバル立地競争力 の強化 ディマンドサイド 成長投資喚起/新市場創出 消費活性化・・・重点アジェンダ④ 持続的な家計の収支構造の確保 フリー消費経済下でも「有償な消費」を創出 将来・社会不安 払拭による消費の ディスインセンティブ解消 政策イノベーション Ex. 国内外のマーケットメイク(需要・市場の創出・開拓)等 競争力強化(社会基盤(OS)改革)・・・重点アジェンダ② Ex. エネルギー、計算資源・データ基盤、イノベ・SU、ファイナンス、人材・雇用、経済法、産業用地、産業・公共インフラ、教育、税・社会保障、国境措置、公的支援機関 等 未来経済運営のあり方 新たな国際秩序のあり方 資本主義の変容 テクノロジー×未来の経済社会のあり方 3 1.マクロ経済運営のあり方 2. 「新技術立国・競争力強化」 3.消費活性化 4 マクロ経済運営のあり方 【課題認識】 <国内のマクロ経済を取り巻く状況> ⚫ 2025年の名目GDPは過去最高となり660兆円を突破、実質GDPも堅調に伸びているが、成長率は主要先進国と比較して低迷。 要因としては国内投資の影響が大きく、「実質」での持続的成長を実現するために、競争力強化・外需拡大等により付加 価値を生み出す国内投資を起点とした好循環を促す必要がある。 ⚫ 需要面では主要先進国と比較して、国内投資だけでなく家計の消費額の低迷の影響も大きく、好循環を実現するためには、 国内投資に加えて、ミッシングピースである消費も合わせて検討する必要がある。 ⚫ 供給能力を示す潜在GDPは堅調に推移しているが、今後人口減少が継続していく中、労働参加率も既に世界最高水準であ ることを鑑みれば、構造的人手不足が供給制約となる可能性。足下でも、労働集約型産業である建設業、宿泊・飲食業は 労働生産性の伸び率も低く、人手不足が常態化しており、AI・ロボティクス等の省力化投資の推進が必要となるが、建設 や生産設備での雇用DIもタイトとなる中、こうした省力化投資自体に制約がかかるリスクも想定し、対応すべき。 <米国を中心としたグローバルでの議論> ⚫ 上記の状況はありつつも、新機軸部会では、国内投資が日本経済の持続的成長の最大の課題という認識に立ち議論を重ね、 積極的な産業政策によってマクロ経済運営の好転に寄与。今後も、国内投資による経済の好循環の実現は変わらず推進。 ⚫ その上で、米国を中心としたグローバルでのマクロ経済運営・マクロ経済政策の議論は、コロナやインフレ時代への突入、 地政学リスクの高まり、AI等のテクノロジーの進化等を踏まえ様々な論点が提示され、議論が重ねられつつある。 ⚫ 日本経済の構造的課題についての議論をリードする新機軸部会においても、こうしたグローバルでの議論も踏まえ、さら なるマクロ経済運営の進化を目指して、来シーズンも見据えて議論を展開していくべきではないか。 【政策の方向性】 ⚫ 国内投資による経済の好循環を実現するため、構造的人手不足による供給制約の解消などの足元のマクロ経済運営上の課 題を解消するため、積極的な産業政策のあり方を検討するべきではないか。 ⚫ マクロ経済運営の進化を目指して、米国を中心としてグローバルで議論されている論点やインプリケーションも踏まえ、 中長期的なマクロ経済運営上の課題の所在や、政策のあり方について議論を重ねるべきではないか。 5 GDPと需給ギャップ ⚫ 2025年の名目GDPは過去最高となり、660兆円を突破。実質においてもコロナ以降増加傾向が概ね継続。 ⚫ 新型コロナの感染拡大期においては、マイナスの需給ギャップが大きかったが、近年は投資を中心に需要が増加してお り、需給ギャップは縮小傾向にある。 (兆円) 700 名目GDPと実質GDP (%) 2 内閣府と日銀の需給ギャップ 日銀 実質GDPと潜在GDP (兆円) 600 590 潜在 0 650 580 -2 570 600 実質 -4 名目 560 内閣府 550 550 -6 540 500 -8 実質 530 520 -10 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 2021 2022 2023 2024 2025 450 (年) ⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢ 2019 2020 2021 2022 2023 2024 2025 (出所)左図:内閣府「国民経済計算」(2025年10-12月期1次速報 (2026年2月16日)) 中央図:内閣府「国民経済計算」(GDPギャップ、潜在成長率(2025年12月23日))、 日本銀行「需給ギャップと潜在成長率」(2026年1月7日) 右図:内閣府「国民経済計算」( 2025年10-12月期1次速報 実質季節調整系列(2026年2月16日)、 GDPギャップ、潜在成長率(2025年12月23日) ) ⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢ 2019 2020 2021 2022 2023 2024 2025 6 実質GDP成長率の要因分解(国内変遷、海外比較)※生産アプローチ ⚫ 日本は1995年から2005年にかけて、労働の質の及び資本投入により実質GDPを成長させていた。2015年以降は女性・ 高齢者の社会進出により労働投入はプラスに転じている。 ⚫ 他国では労働投入と資本投入がGDP成長を牽引。日本では就業者数の減少が見込まれ、将来的に労働投入によるGDP増 加が見込ず、実質での持続的成長を実現するためには国内投資の促進が必要。 実質GDP成長率 (年平均) 2.0% 1.5% 日本の実質GDP成長率の要因分解の変遷 実質GDP成長率の国際比較 実質GDP成長率 (年平均) (2010-19年の平均成長率) 2.5% 1.2% 全要素生産性 (TFP) 0.4% 資本の質 全要素生産性 (TFP) 2.1% 2.0% 0.1% 1.0% 0.6% 0.2% 1.9% 資本の質 0.3% 0.2% 1.5% 資本投入 0.8% 0.5% 0.2% 労働の質 0.4% 1.0% 0.1% 0.4% 0.5% 0.4% 労働の質 資本投入 0.4% 0.0% 労働投入 1.3% 0.8% 0.2% 0.1% 0.1% 0.2% 0.1% 労働投入 0.1% 0.1% 0.0% 0.5% 0.9% 0.2% 1.0% 0.6% 0.1% 0.4% 0.4% 0.1% 0.0% 0.2% ドイツ フランス 日本 0.0% -0.5% (出所)EU KLEMSデータより作成 0.6% 0.1% -0.3% -0.4% 1995-2005 0.9% 0.1% 0.1% 0.6% 1.7% 2005-2015 2015-2019 (年) 米国 英国 7 実質GDP成長率の要因分解(国内変遷、海外比較)※支出アプローチ ⚫ 日本の実質GDP成長は、かつては家計消費が牽引してきたが、家計消費の陰りとともにGDP成長も低迷。 2025年は家計消費が増加し、実質GDP成長率が1%を超えたが今後もこの傾向が続くか引き続き注視が必要。 ⚫ 米国・欧州では、家計消費の伸びが実質GDP成長率を牽引する一方、日本は0.1%にとどまる。 ⇒消費・内需の活性化は、「国内投資→賃上げ→消費→市場活性化→次の国内投資」の完成からも重要。 実質GDP成長率 (年平均) 日本の実質GDP成長率の要因分解の変遷 10% 2.5% 1.6% 2.0% 1.5% 民間設備投資 家計消費 0.3% 1.0% 5.3% 0.3% 2.7% 1.5% 1.0% 投資 1.2% 1.1% 1.0% 0.8% 1.6% 1.1% 2.2% 1.4% 0.9% 0.3% 2% 0% 1.2% 2.0% 1.8% 4% 2.3% 0.4% その他 政府消費・投資 6% (2010-24年の平均成長率) 2.7% 1.0% 8% 実質GDP成長率の国際比較 実質GDP成長率 (年平均) 3.0% 0.5% 0.1% 0.6% 0.1% 0.9% 0.6% 1.2% 0.9% 0.1% 0.3% 0.5% 0.2% 0.3% 0.1% -0.2% 0.1% 0.3% 0.7% 0.8% 0.0% -0.2% -0.1% 0.5% 0.4% (注) その他 韓国 米国 0.6% -0.2% -0.1% -0.5% 1960-1970 1970-1980 1980-1990 1990-2000 2000-2010 2010-2019 2019-2024 2024-2025(年) (注) 1980年以前は「平成10年度国民経済計算(1990年基準)」、1981年から1994年までは「支出側GDP系列簡易遡及 (2015年基準)」、1995年以降は「2025年10-12月期四半期別GDP速報(1次速報値)(20202年基準)」の データ。2020年データはコロナによる影響が大きいため、2010年-2024年は2019年でデータを区切りの期間として採用。 (出所)内閣府「国民経済計算」 0.4% -0.5% -1.0% -2% 0.7% 0.3% 0.5% 0.3% 0.5% -0.1% 0.8% カナダ 家計消費 英国 フランス ドイツ 日本 イタリア 実質GDP:2020年を基準とした現地通貨ベースの実質GDP(支出アプローチ) 家計消費:2020年を基準とした現地通貨ベースの家計最終消費支出(Final consumption expenditure of households)、総固定資 本形成(Gross fixed capital formation) 韓国、米国のみ2010-2023年の平均成長率を計算 (出所)日本:内閣府「国民経済計算」(2025年10-12月期第1次速報2026年2月16日(2020年基準))、他国:OECD Statを基に作成。 8 人口減少・少子高齢化に伴う構造的人手不足 ⚫ 将来的に女性・高齢者の労働参加により、就業率は微増する(成長率ベースライン・労働参加漸進シナリオ)が、労働力人口が減少する ため就業者数は減少する見通し。 ⚫ 資本集約型の製造業は相対的に人手不足感が小さく、労働集約型の非製造業は労働生産性の伸び率も低く、人手不足感 が強い。 ⚫ 就業者数の減少による供給制約を引き起こさないためにも、官民の投資により労働生産性の向上を図る必要がある。 雇用人員判断DIと労働生産性(実質)の関係性 就業者数・就業率の見通し (2014-2024年平均) (労働生産性の 伸び率) 3.0% 輸送用機械 はん用・生産用・業務用 2.0% 機械食料品 製造業 1.0% 電気機械 金属 化学 情報通信 卸売・小売業 0.0% 運輸・郵便 建設 -1.0% -2.0% 宿泊・飲食 -3.0% 0 (出所)左図:JILPT「2023年度版 労働力給の推計」 右図:日本銀行「全国企業短期経済観測調査」、内閣府「国民経済計算 年次推計」 -10 -20 -30 -40 -50 人手不足 9 マクロ経済運営に関する世界での議論状況(今後要精査) ⚫ 伝統的なマクロ産業政策は、リーマンショック・コロナといった想定を上回るショックを経て、パラダイムが変容。足下 でも、需要・供給・財政・金融・地政学・技術革新・金融市場構造といった多層領域の構造的変化が同時に進行しており、 世界経済は説明・管理できない状況に直面。 ⚫ さらなるマクロ経済運営の進化を目指し、グローバルでのアカデミアでの議論を中心とした初期的な調査を実施。 1. 構造の変化 3. マクロ経済政策の意義の変化 ➢ 地政学ショック:地政学リスクによる世界経済のフラグメント化がマクロ 経済のファンダメンタルとなり、貿易・投資・技術・金融チャネルへ影響 ➢ 供給制約の顕在化:従来のマクロ政策は需要面の調整がメインであったが、 高齢化による労働力の減少、移民政策の制約・政治的反発、AIの雇用への 影響が顕在化、r・gを左右する構造要因に ➢ ネットワーク化・技術革新の影響:ネットワーク化の進展により、「ハブ 産業」のショックが経済全体に非線形に波及。技術革新は国家間・産業間 での格差を拡大し、依存リスクが発生 ■財政政策の再評価 財政政策は「景気安定化ツール」から、マクロ安定化+分 配+産業構造・安全保障+気候変動対応を同時に担う「総 合国家戦略ツール」へと変容 ➢ 「国家投資」論の具体化:旧来の保護主義ではなく、 「社会的リターンが高い分野への国家投資」として産業 政策を評価 ➢ 「債務持続性」の考え方:低金利環境で重要なのは債務 残高水準よりrとgであり、成長投資と消費的支出は区 別すべき ➢ 「ポリシーミックス2.0」:過去の政策は役割分断が標 準であったが、密接に連動していることから、財政・金 融・マクロプルーデンスの三位一体での設計が必要。 2. マクロ経済指標への影響 物価への影響 2020年代前半は過去のインフレ理論 を超えた論点が浮上 • 供給ショックが代替財への需要シ フトに繋がり、経済全体でインフ レ圧力が上昇 • 企業の価格決定権が高まり、イン フレが持続 • 労働供給制約による構造的影響 • ネットワーク化により特定産業の 供給ショックが波及 金利への影響 ▼中立金利上昇の要因(一部) • AI・半導体等の投資需要回復 • 地政学リスクによる防衛・産業 投資の増大 ▼金利の効果:非線形・非対称化 • 家計への波及は限定的に • キャッシュリッチ企業の増加 • 金利が財政負担に直結 ⇨ 中央銀行の役割のあり方 成長率への影響 長期停滞論の変容:低成長は継続し ているが、中立金利は上昇 ■金融政策の再定義・金融安定の中核化 大量国債の時代では金融政策が財政に直結、2つの政策が より連動性を持つ可能性が高まり、役割の再定義が必要 ➢ 金融安定が補完という立場から、マクロ経済運営の”第 三の柱”として中核化(Triple Mandate) ➢ 非銀行金融仲介が急拡大し、「銀行中心」から「市場型 金融・シャドーバンキング中心」へ ➢ 気候変動リスクは物理的・移行リスクを通じて、金融シ 10 ステムに影響し、マクロ金融安定政策の一要素に マクロ経済運営に関するグローバルでの議論状況① 「Global Value Chains Outlook 2026」(World Economic Forum) ➢ マクロ環境は予測可能な統合の時代から、構造的な変動の時代へと移行。かつての安定性の前提は、脆弱性の源へ ➢ 環境の変化に合わせて、企業・政府の戦略の転換が必要 国家戦略 • 均衡の回復、ショックの吸収 ⇩ • 常態化した混乱を前提としたエコシステムの構築 企業の新たなサプライチェーン構築 ① 垂直統合型からエコシステムの形成へ ② リスク対策の冗長性から選択肢の確保へ ③ 一局集中から分散での強靭な成長へ ▼グローバルバリューチェーンを再定義する構造的要因 新たな産業政策:企業誘致から、「エコシステ ムの醸成」へ 構造的な不安定性が常態化した環境では、競争 力は政府がいかに効果的に基盤を構築・維持す ることが重要。必要な備えは下記7つに大別。 1. 信頼性の高いインフラ 2. エネルギー安全保障 3. 技術・イノベーション能力 4. 熟練人材 5. サステナビリティへの意欲 6. 規制の一貫性 7. 地政学的バランス これらを統合したシステムとして捉えて、次の 産業投資を引き寄せる。 低迷かつ不均衡な成長 需要に追随する供給では無く、供給制約に合わせて需要を形成 分断されたネットワーク 経済的分断の進展に伴い、効率化重視の長い線形のサプライ チェーンから、AIを活用したエコシステムの形成に 地政学的不安定 半自律的な貿易ブロックが形成される中、競争優位の源泉は選 択肢に 技術の加速 AI・量子技術の進展が国家間・産業間の生産性格差を一段と拡大 価値は少数のデジタル強国に集中し、その他の国は演算能力・ データ・エネルギーといった新たな依存リスクが発生 信用が新たな価値に 不信感・対立の高まりにより、透明性・データ共有・説明責任は 戦略的試算となり得り、信頼性が効率性と同価値に 11 マクロ経済運営に関するグローバルでの議論状況② 「Inflation Is a Supply Phenomenon」(ASSA 2026 Annual Meeting) ➢ 供給制約によって構造的インフレが発生。2021年以降のインフレは「供給の壁」に直面した結果。 ➢ 供給制約時には非線形で物価が上昇し、今後のインフレ対策は金融制約による需要の鎮静化だけでなく、供給サイドの構 造改革と言った産業政策を合わせて検討が必要。 供給曲線 なだらかな線形では無く、供給制約という壁が 存在しており、近年は非線形に物価が高騰 値上げの公平性 顧客は「コスト増」による値上げは許容するが、「需要増」 による値上げは不公平だと感じるため、過去は価格が据え置 かれていたが、供給制約タイミングでは値上げに進展。 政策での対応 ➢ 金融政策の役割は、期待のアンカーに限定 ➢ 今後の真のインフレ対策は、「供給能力の拡大」であり、 貿易の円滑化、インフラ投資、エネルギー供給の安定化等 の取り組みが必要となる。 12 マクロ経済運営に関するグローバルでの議論状況③ Monetary Policy and the Fed’s Framework Review(Jerome H. Powell, Jackson Hole Symposium 2025) ➢ 米国経済は引き続き力強く成長。インフレ率はパンデミック後のピークから大幅に低下、労働市場も最大雇用に近い状態。 ➢ 一方、新たな課題として、関税による物価上昇圧力と労働市場の急速な冷却が併存しており、「金融政策のフレームワー ク」の見直しを実施。 個人消費支出価格指数の構成要素 失業率の変化 • • 労働市場が過熱状態から脱却、失業率4.2%は歴史的には低 水準だが、景気後退期以外では見られない上昇幅 労働需要と供給の両方が減速し、雇用の下振れリスクが高 まっている • • • 輸入関税の影響で、財価格が再上昇。 住宅サービスインフレは低下傾向だが、非住宅サービスは 依然として高いインフレ率 消費支出の減速により、GDP成長率は低下 ⇨ インフレには上振れリスク、雇用には下振れリスクが存在する中、目標は緊張関係にあり、決定プロセスはあらかじめ 定められたコースではなく、データに基づいて会合ごとに判断を実施。 13 1.マクロ経済運営のあり方 2. 「新技術立国・競争力強化」 3.消費活性化 14 「新技術立国・競争力強化」総論 ⚫ AI等のテクノロジーの進化や国際経済秩序の変容を踏まえ、①AIによるビジネスモデル転換(AIトランスフォーメー ション=AX)、②安全保障・経済安全保障の確保を通じた経済的活動の持続性向上、③社会課題解決で世界をリードし、 世界の成長市場へのリーチを可能とする産業構造への転換が「強い経済」を実現するために不可欠。 ⚫ 政府としては、産業構造転換の柱となる戦略17分野の競争力強化のため、「官民投資ロードマップ」を策定・実行する とともに、8つの分野横断的課題への対応を通じ、こうした産業構造転換の加速化とさらなる国内投資への展開につなげ、 マクロ経済の成長につなげていく方針。 ⚫ この中で、新機軸部会で御議論いただく「新技術立国・競争力強化」は、他の分野横断的課題の結節点としての役割も担 い、産業構造転換を実現するための経済・社会基盤(OS)改革の主要素を構成する。 ⚫ とりわけ、AIが経済社会に与えるインパクトは甚大であり、あらゆる経済・社会基盤(OS)は、AIを中心に置いた形で 再構築することが必要となる。そうした観点を踏まえ、以下の5つの方向性で政策を整理・検討。 1. 企業経営改革・経済システム改革の推進 2. 「技術で勝ってビジネスでも勝つ」、新技術立国の実現 3. 高付加価値な産業・機能の国内立地を加速化するグローバル立地競争力の強化 4. 世界市場の獲得と経済安全保障の確保を実現するグローバル・バリューチェーンの再構築 5. 地方を出発点としたAXによる産業構造・就業構造転換 15 第2回日本成長戦略会議資料1-1より抜粋 (2025年12月24日) 成長戦略の検討体制 日本成長戦略会議 分野横断的課題への対応 17の戦略分野における官民連携での危機管理投資・成長投資の促進 戦略分野分科会 1月~ 新設 (分科会長:副長官(衆)、分科会長代理:副長官補(内政)、 関係省庁局長級) ① AI・半導体 新設 AI・半導体WG 1月~ ② 造船 ◎人工知能戦略大臣 ◎経産大臣 ・関係省庁(NSS、警察、金融、デジタル、総務、 外務、文科、厚労、農水、国交、環境、防衛) ・有識者9名 ◎国交大臣 ◎経済安全保障大臣 ・関係省庁(NSS、内閣府(科技)、入管、外務、 新設 造船WG 1月~ 文科、経産、環境、装備) ・有識者7名 ③ 量子 ◎科技政策大臣 ・関係省庁(総務(政務)、外務、文科 新設 量子WG 1月~ (政務)、経産(政務)、防衛) ・有識者7名 新設 合成生物学・バイオWG 1月~ ⑤ 航空・宇宙 新設 航空・宇宙WG 1月~ ・関係省庁(内閣府(科技、健康医療)、 文科、厚労、農水、国交) ・有識者12名 ◎経済安全保障大臣 ・関係省庁(内閣府(宇宙)、総務、文科、経産、 国交、防衛) ◎経産大臣 ◎デジタル大臣 新設 デジタル・サイバーセキュリティWG ・関係省庁(総務、文科、厚労) 1月~ ・有識者11名 ⑦ コンテンツ ◎CJ戦略大臣 新設 コンテンツ産業官民協議会 ・関係省庁(公取(審議官級)、 、総務、外務、文科、経産) ・有識者15名 ⑧ フードテック 新設 フードテックWG 12月~ ⑪ 創薬・先端医療 新設 創薬・先端医療WG 1月~ ◎農水大臣 ・関係省庁(文科、厚労、経産 (いずれも政務)) ・有識者10名 ⑫ フュージョンエネルギー ◎科技政策大臣 新設 フュージョンエネルギーWG ・関係省庁(文科、経産、 規制(部長級)) ・関係省庁(経産) ・有識者7名 ⑬ マテリアル(重要鉱物・部素材) ◎経産大臣(出席) 産業構造審議会 製造産業分科会 ・関係省庁(内閣府(科技)、外務、文科、環境) 2月~ ・有識者15名 新設 港湾ロジスティクスWG 1月~ ⑮ 防衛産業 新設 防衛産業WG 1月~ ・関係省庁(サイバー統括室、財務、 経産) ・有識者9名 ◎経産大臣 ◎防衛大臣 ・関係省庁( NSS(審議官級)) ・有識者18名 ⑯ 情報通信 ◎総務大臣 1月~ ・関係省庁(経産、防衛) ・有識者12名 ⑰ 海洋 ◎海洋政策大臣 ◎経産大臣(出席) 新設 海洋WG GX実現に向けた専門家WG ・関係省庁(外務、財務、経産、環境) ・有識者7名 1月~ ※時期は目途。今後、変更の可能性あり。 1月~ 新設 人材育成分科会 ・関係省庁(内閣府(科技)、総務、厚労、経産) ③【スタートアップ】 ・関係省庁(NSS、内閣府(科技、宇宙)、外務、 文科、水産、経産、国交、海保、環境、防衛) ・有識者10名 1月~ ・有識者4名+テーマごとに2名 新設 スタートアップ政策推進分科会 1月~ ◎スタートアップ大臣、内閣府副大臣、内閣府政務官(スタートアップ・金融)、経産副大臣 ・関係省庁(内閣官房(GSC室)、内閣府(科技、規制)、金融、デジタル、総務、文科、厚労、 ・有識者10名 農水、経産、国交、環境、防衛) 新設 新戦略策定のための ④【金融】 ◎金融大臣、副長官(衆) 資産運用立国推進分科会 ・関係省庁(金融、総務、法務、財務、文科、厚労、経産) 1月~ ・有識者10名 ・有識者7名 新設 情報通信成長戦略官民協議会 ⑨ 資源・エネルギー安全保障・GX ◎:責任大臣 ◎科技政策大臣 ◎デジタル大臣 ⑭ 港湾ロジスティクス ◎国交大臣 ・有識者10名 ⑥ デジタル・サイバーセキュリティ 1月~ ・関係省庁(内閣府(防災)、総務、厚労、エネ、国交) ・有識者19名 1月~ ④ 合成生物学・バイオ ◎経産大臣 ◎国土強靱化大臣(出席) 防災大臣(出席) 国土強靱化推進会議 2月~ 産業構造審議会 ①【新技術立国・競争力強化】 1月~ 経済産業政策新機軸部会等 ◎経産大臣 ・関係省庁(内閣府(科技)、文科) ・有識者13名 ②【人材育成】 ◎文科大臣 ⑩ 防災・国土強靱化 経済財政諮問会議 連携 ⑤【労働市場改革】 ◎厚労大臣 新設 労働市場改革分科会 ・関係省庁(内閣官房(成長戦略)、内閣府(規制)、経産省、国交省、文科省) 1月~ ・有識者11名 ⑥【家事等の負担軽減】 新設 家事等の負担軽減に資するサービスの 1月~ 利用促進に関する関係府省連絡会議 ◎日本成長戦略大臣 副長官補(内政)・関係省庁(内閣官房(成長戦略)、こ家、厚労、経産) こども家庭審議会子ども・子育て支援分科会、労働政策審議会人材開発分科会、 労働政策審議会雇用環境・均等分科会等でも議論 ⑦【賃上げ環境整備】 政労使の意見交換 ◎賃上げ環境整備大臣 再編 賃上げに向けた中小企業等の活力向上に関するWG 11月~ (副長官(参)ヘッド・内閣官房副長官補(内政)、内閣官房(補室(審議官級)、成長戦略、地域未来)、警察、金融、総務、 財務、国税、文科、厚労、農水、経産、中企、国交、環境) 中小企業政策審議会、労働政策審議会でも議論 ⑧【サイバーセキュリティ】 サイバーセキュリティ推進専門家会議 2月~ ◎サイバー安全保障大臣(出席) ・関係省庁(内閣府(サイバー)、警察、総務、文科、経産、防衛) ・有識者18名 ※対応者の記載がないものは原則局長級 16 AXによる経済社会構造変革① 産業構造 就業構造 産業 企業間連携 各レイヤーで発生する変化(イメージ) ⚫ 産業構造の大転換 → 付加価値構造、プレーヤー構造(大企業/中小/SU)、地理的構造(大都市圏/ 地方)、グローバル構造(新たな国際分業と覇権)全ての断面で構造転換が発生 ⚫ AIドリブンの産業構造転換を世界に 先駆けて実現 ⚫ 就業構造の大転換 → 東京圏を中心としたホワイトカラーの余剰化と、地方を中心とした経営・現場人材と AI・ロボティクス人材の不足の構造的なミスマッチである「知的スマイルカーブ」が発生 ⚫ 構造的人手不足の地方、トップダウ ンで機動性の高い中堅中小企業を 突破口にAXを実現 ⚫ バリューチェーンの再構築 → ユニーク・データのプラットフォーマーやバーティカルAIモデルレイヤーが競争力の高 い高収益なドメインとなり、新たな独占ゲームが展開される可能性 ⚫ 高収益のドメインで勝ちきる企業群 の形成 ⚫ 協調領域と競争領域の変容 → 基盤モデルの協調領域化(インフラ化)⇔バーティカルAIの競争領域化、 競争領域においてAIによるスケーラビリティを高めるためには協調領域におけるデータ連携・標準化が重要 ⚫ 新たな協調領域・競争領域に対応 した企業・産業再編 ⚫ 組織内部の変革 → バックオフィスの爆発的効率化、ミドルマネジメントの変容、経営意思決定の高度化 企業 ⚫ ビジネスモデルの変革 → AIをコアとしたデータ・ソフトウェア・サービスモデルが稼ぎ方の主流、特にフィジカルとの 融合領域が主戦場 ⚫ 新たな価値提供の可能性 → 新たなサービスの創出、潜在需要の顕在化、経済活動の高速回転化 ⚫ 人の役割の見直し:意思決定・価値判断・創造・対人関係・フィジカル → 従来のホワイトカラーの価値激減 個人 ⚫ 「AIを使うスキル」が「前提条件」化 → AIレディのスキルのレベルで生産性・報酬の格差拡大のリスク ⚫ 生産性の大幅アップ→可処分時間拡大(→消費活性化)、ポートフォリオ・ワーカー(複数ジョブ)の出現 ⚫ AX実現の前提となるCXの実現 ⚫ ビジネスモデル変革を含め、AIドリブ ンでの価値創出を「勝ち筋」化 ⚫ 人の役割の見直しに対応したAIレ ディなスキルの標準装備 ⚫ 新たな働き方・ライフスタイルへの対 応 AIエコシステムの整備を通じてAXによる経済社会構造の変革を実現 アプリケーション 個社特化モデル 領域特化モデル マルチモーダル基盤モデル データインフラ 計算インフラ フ ィ ジ カ ル AI 生成AI モデル AI AI エコシステム バ ー テ ィ カ ル ⚫ フィジカルAI領域を中心に、AIドリ ブンのAIエコシステムを形成 ⚫ グローバルサウス等への海外展開、 国際連携 17 0.AXによる経済社会構造変革② 世界市場の獲得と 経済安全保障の確保を実現する グローバル・バリューチェーンの再構築 ⚫ AIを中心とした新テクノロジーが強化する 米中二強体制への対抗 ⚫ AX・安保・経済安保等の新たな需要に 対応したグローバル市場戦略 新技術立国・競争力強化における検討課題 地方を出発点とした AXによる産業構造・就業構造転換 企業経営改革・ 経済システム改革の推進 ⚫ AX時代の新たな教育・産業人材政策 ⚫ AX時代の新たな中小企業政策 ⚫ 国と地方の一体的政策推進 ⚫ AXを前提としたCXの実現 ⚫ AXを実現する積極的な投資の促進 ⚫ 政府の行動変革:積極的な産業政策 AXによる 経済社会構造の変容を実現 高付加価値な産業・機能の 国内立地を加速化する グローバル立地競争力の強化 ⚫ AX時代の新たなグローバル立地競争力 の抜本強化(データ基盤等) ⚫ 労働市場・ファイナンスエコシステム改革 「技術で勝ってビジネスでも勝つ」、 新技術立国の実現 ⚫ AX時代に対応したスタートアップ・ファイナ ンスの整備 ⚫ 研究開発法人等の技術シーズの徹底し た社会実装 18 1.企業経営改革・経済システム改革の推進 【課題認識】 <AXを見据えた企業経営> ⚫ あらゆる産業においてAIの実装が急務となっていることは論を俟たないが、競争力強化に向けては、既存の事業活動・企 業行動への単なるAIの組み込み・代替にとどまることなく、AIをはじめとしたデジタル技術を活用し、ビジネスモデルや 業務プロセス、さらには企業の基幹システム、経営のあり方を非連続的に変革し続けることが必要。しかし、日本企業は こうした変革は総じて不得意であり、デジタル敗戦の歴史を鑑みれば、AXの波に乗り遅れるリスクもある。AXによる企 業経営改革を迅速に実現するため、企業自身、さらには経済システムとして取り組むべき課題を早急に整理し、その実現 に着手すべき。 <危機管理投資・成長投資に向けた企業経営改革・経済システム改革> ⚫ 加えて、こうしたAXへの対応の必要性のみならず、地政学リスクの高まりによって不安定化する国際秩序下での海外市場 の獲得、成長可能性は高いものの需要としての不確実性という性質も持つ社会課題解決への取組といった難易度の高い事 業課題に挑戦し、高い成長を遂げるためには、果敢なリスクテイクや事業ポートフォリオの再編を迅速に行える企業経営 への転換と、積極的な成長投資が不可欠。 ⚫ 他方で、日本の企業経営の現状としては、企業の成長フェーズに応じて本来行うべき成長投資の量(投下資本量)・質 (ROIC―WACC)ともに十分とは言えず、事業ポートフォリオの最適な再編も道半ばであり、投資と株主還元のバラン スも必ずしも戦略的に実現されているとは言いがたい。 ⚫ こうした課題への対応に今一度、日本全体として取り組んで行くべきであり、そのために必要となる企業の組織構造・人 事体系の大変革を可能とする経済システム改革も不可欠。 ⚫ これらの改革によって、民間企業が積極的な投資への姿勢・取組を取ったとしても、リスクの高い危機管理投資・成長投 資については、民間企業だけで実現することは困難。政府としても行動変容・行動改革を実践し、企業の投資予見性を高 めるために、複数年度の投資促進・需要創出政策を講じることで、世界に先駆けた新技術の社会実装や社会課題解決、新 たな市場の創出を実現するなど、経済システムの改革を推進するべき。 19 1.企業経営改革・経済システム改革の推進 【政策の方向性】 ⚫ AXを見据えた企業経営改革の実現 ➢ AXによる企業経営改革を迅速に実現するため、企業自身、さらには経済システムとして取り組むべき課題を早急に整理し、その実現に 着手すべきではないか。 ⚫ 成長志向型コーポレートガバナンスの実現 ➢ 成長投資の量・質のさらなる向上と業績や成長ステージに応じた戦略的な株主還元の実施を促すとともに、企業の中に眠れる資産・事業 を活用した成長投資・事業ポートフォリオ組替え促進や事業者間の連携を行いやすくするための環境整備が必要ではないか。 ⚫ 人手不足業種・戦略分野への労働移動・人材確保の促進 ➢ 2040年に向けた就業構造推計を踏まえ、関係省庁とも連携し、高校・大学等を通じた文理分断からの脱却、大学・高専における産業界 と連携した成長分野への学部再編等による理工・デジタル系人材の育成、産業人材の処遇を含めた活躍環境整備が必要ではないか。 ➢ AX時代を見据えた戦略分野で求められる人材・スキルを可視化するとともに、関係省庁とも連携し、需要の高いスキルを習得できるリ スキリングの拡充による労働移動促進を図ることが重要ではないか。 ⚫ 成長投資促進に向けた資金調達環境の整備 ➢ 戦略領域への投資喚起に向けては、予算措置のみならず、ファイナンスによるレバレッジの活用も重要。金融機関による戦略領域への融 資の量的・質的拡充を図るほか、エクイティ性資金や社債等のデット性資金の供給経路を拡充することで、企業の資金調達手段の高度 化・多様化を進めることが必要ではないか。 ➢ また、内外の機関投資家を含めた多様な資金供給主体から、フェーズに応じた成長資金が供給され、 スタートアップが多様なEXIT戦略 を描きながら大きな成長を遂げるためのエコシステムを構築すべきではないか。 ⚫ 知財を梃子にした圧倒的な競争優位の維持・確保 ➢ IPやデータの重要性が増すAX時代において、グローバル市場における競争優位を維持・獲得するためには、国内外の知財・市場分析を 活用した戦略的な事業展開や研究開発投資、その成果の特許化等が必要ではないか。 ⚫ 複数年度の予算措置のコミットメント等による予見可能性向上 ➢ 政府の支援施策により民間企業に予見可能性を持たせることで経済安全保障や経済成長上、必要となる投資を確保するため、安定的な財 20 源を確保しながら複数年度にわたって大規模かつ計画的に予算措置等を講じる政策スキームを検討することが必要ではないか。 第5回 価値創造経営小委員会資料3 より抜粋の上加工(2025年10月24日) 成長投資と株主還元の現状 ⚫ 日本企業の業績は改善し、株価は大きく上昇も、日本企業の成長投資(設備投資、研究開発、人的投資)は伸び悩んでいる。 ⚫ 一方で、足元では株主に対する還元(配当、自社株買い)が大幅に増加している。 好調な企業業績 欧米と比べて少ない成長投資 増加する株主還元 • 企業の株価は10年間で約3倍まで上昇。 • 企業の経常利益は大きく回復。上場企 業の現預金保有は118兆円を超える水 準。 • 企業の成長投資(研究・設備・人的投資など) や賃金上昇は横ばい(生産性向上に比例して 賃金が上昇せず) • 自社株買いと配当増加により株主還元が 大幅に増加。 2016年 2023年 2013年 2024年 2013年 2024年 3万9894円 株価 1万6291円 (年末) (日経平均) (日経平均) ※2025年末は 5万339円 設備投資 /売上高* 5.4% 5.1% 純利益 28兆円 61兆円 (上場企業) (上場企業) 経常 利益 73兆円 131兆円 (法人企業統計) (法人企業統計) 研究開発 /売上高* 2.1% 2.2% 総還元 性向 4割 7割 2013年 2023年 配当 8兆円 25兆円 414万円 460万円 自社株 買い 3兆円 17兆円 現預金 現預金 比率 55兆円 118兆円 (TOPIX500) (TOPIX500) 約8.9% (米6.6%、欧7.7%) (TOPIX500) 約10.7%* (2023年 /TOPIX500) * 加重平均値。2023年の現預金比率は、単純平均の場合には 16.7%。 賃金 (給与取得者) *上場企業約4000社が対象。 21 第5回 価値創造経営小委員会資料3 より抜粋(2025年10月24日) 対売上高成長投資比率(日米欧) ⚫ 2023年度の対売上高成長投資比率(人件費、R&D、CAPEXの合計)は、米国は29.4%、ユーロ圏が27.2%であるのに対し、日本 は17.7%と低い。日米間では約1.7倍の格差が存在。 対売上高成長投資比率(日米欧)(2023年度) (%) 35 29.4 30 25 CAPEX 研究開発費 人件費 20 27.2 22.6 17.7 15 10 計 5 0 日本 米国 ユーロ圏 英国 CAPEX 5.1%(3,896社) 5.9 %(3,696社) 5.8%(2,222社) 5.7%(748社) 研究開発費 2.2%(3,741社) 4.8%(2,397社) 3.4% (1,249社) 1.8%(495社) 人件費 10.4%(3,823社) 18.8%(733社) 18.1%(2,273社) 15.1%(646社) 計 17.7%(3,898社) 29.4 %(3,757社) 27.2 (2,367社) 22.6%(756社) 出所:Bloombergのデータを基に経済産業省が作成。 ※ 直近期末日に応じて集計年度を調整済(2023年度の集計対象は、直近期末日が12月31日の企業についてはFY2023のデータを、12月31日以外の企業についてはFY2024のデータを用いる。 なお、「年度」は期初日が属する年を、「FY」は期末日が属する年を指す)。 ※ 集計対象:直近の時価総額が取得可能であり、2023年度における売上高・収益が正の値である、日本・米国・欧州内の市場に上場する企業。各比率の集計対象は、各比率の分子となる項目 (2023年度における人件費、研究開発費、または設備投資(CAPEX))が取得できる企業(各比率ごとに集計対象が異なる)。国・地域は所在国によって分類。 22 第5回 価値創造経営小委員会資料3 より抜粋(2025年10月24日) 平均株主還元額推移(日米欧比較) ⚫ 上場企業の平均的な株主還元額は日米欧ともに上昇。 ⚫ 日本は欧米に比べて伸びが大きく、2024年度は2013年度に比べて3.5倍となっている。 日本 米国 (十億円) (百万米ドル) 16 欧州 (百万ユーロ) 1.1倍 13.4 14 400 3.5倍 12 428 450 120 375 100 350 10 300 8 129 1.5倍 140 500 86 80 250 60 200 6 3.8 150 40 4 100 20 2 50 計 配当 自社株買い 計 計 2024 自社株買い 2023 2022 2019 2018 2017 2016 2015 配当 2021 自社株買い 2020 配当 2014 0 0 2013 0 出所:スピーダのデータを基に経済産業省が作成。 ※ 配当は支払配当金(財務キャッシュフロー)を使用。自社株買いは株式の償還及び消却(財務キャッシュフロー)を近似値として使用。 ※ 集計対象:各年度の親会社株主に帰属する当期純利益が取得できる上場企業(2024年度はデータ取得日時点(2025年8月)で決算情報が開示されている企業に限られる)。日本は、所 在国が日本であり東証プライム・スタンダード・グロースに上場する企業。米国は、所在国が米国でありNYSE・NASDAQに上場する企業。欧州は、所在国が欧州であり欧州内の取引市場に上場す る企業。 23 企業群に着目した日米欧企業の比較 第5回 価値創造経営小委員会資料3 より抜粋(2025年10月24日) ⚫ 日本企業は、欧米企業と比較して、企業群①(低成長期待×低収益性)や企業群②(低成長期待×高い収益性)が多く、企業群③ (高成長期待×低収益性)が少ない。 ⚫ 特に、今後成長が見込まれる企業群③を増やしていくことが不可欠。このため、成長投資や事業再編等に加え、戦略的な基礎研究や需 要側支援等を通じたイノベーション促進策が必要。 企業群の整理(PBR×ROE) 日米欧の企業群別の分布 1倍 8% 出所:スピーダのデータを基に経済産業省が作成。 ※ ROEおよびPBRは2021年度から2023年度の平均。 ※ 集計対象:集計対象: 2021年度から2023年度のROEおよびPBRが取得できる上場企業。日本は、所在国が日本であり東証プライム・スタンダード・グロースに上場する企業。米国は、所在国が 米国でありNYSE・NASDAQに上場する企業。欧州は、所在国が欧州であり欧州内の取引市場に上場する企業。 24 第8回 価値創造経営小委員資料3よ り抜粋会(2026年3月3日) 日米欧の成長投資と株主還元(2023年度) ⚫ 対売上高成長投資比率(CAPEX(設備投資)、研究開発、人件費の合計)は、日米間では企業群別には、約2倍以上の格差が存 在。 ⚫ 米国企業は、企業群④が中心に還元。一方、日本企業は、企業群③を除く全てのポジションで還元を実施。 売上高比成長投資比率 企 業 群 ① 企 業 群 ② 企 業 群 ③ 企 業 群 ④ 株主還元(自社株買い・配当)の実施率 16.9% 28.8% 27.0% 設備投資:4.4% 研究開発:2.2% 人件費:10.4% 設備投資:5.6% 研究開発:7.1% 人件費:16.2% 設備投資:6.6% 研究開発:4.0% 人件費:16.4% 13.4% 32.5% 23.9% 設備投資:5.1% 研究開発:1.7% 人件費:6.6% 設備投資:4.8% 研究開発:3.7% 人件費:24.0% 設備投資:5.1% 研究開発:3.9% 人件費:14.8% 22.4% 47.6% 34.3% 設備投資:6.0% 研究開発:3.3% 人件費:13.2% 設備投資:5.4% 研究開発:7.0% 人件費:35.2% 設備投資:6.5% 研究開発:5.6% 人件費:22.1% 18.8% 29.8% 27.1% 設備投資:5.3% 研究開発:2.0% 人件費:11.5% 設備投資:6.4% 研究開発:4.7% 人件費:18.8% 設備投資:5.6% 研究開発:2.6% 人件費:19.0% 企 業 群 ① 企 業 群 ② 企 業 群 ③ 企 業 群 ④ 配当 96% 13% 30% 自社株 買い 34% 18% 12% 配当 99% 14% 50% 自社株 買い 38% 19% 18% 配当 60% 22% 24% 自社株 買い 16% 28% 14% 配当 91% 54% 77% 自社株 買い 38% 56% 32% 25 第8回 価値創造経営小委員会資料3 より抜粋(2026年3月3日) 成長投資を促進する際の価値創造の考え方 ⚫ 企業に対して成長投資を促す上で、資本コスト割れの投資は価値の毀損につながることは大前提。 ⚫ このため、「価値創造」を「事業活動を通じて、資本コストを上回るリターンを継続的に生み出すこと」と整理した上で、成長投資を行う際の 企業と投資家の共通認識としてはどうか。 ⚫ その上で、価値創造を拡大させるために、①資本効率の向上と、②投下資本の戦略的な再配分・拡大という、縦と横の両軸での面積の拡 大が必要であり、その際、③中長期的な時間軸で考えることが必要と整理したい。 資本効率性 投下資本収益率 ROIC 領域① 領域② 加重資本コスト WACC 成長投資を促進する上で、この部分(EP)が 価値創造であることを企業と投資家の間の共通認識と してはどうか。 投下資本量 EP = NOPAT -(投下資本 × WACC) EP = 投下資本(成長投資の拡大) ×(ROIC - WACC:資本効率) 26 第8回 価値創造経営小委員会資料3 より抜粋(2026年3月3日) 日米欧の年間平均EP 2009-2013 2015-2019 2020-2024 伊藤レポート発行前 発行直後 足元 地域 会社数 グローバル 2,412 社 日本 352 社 米国 651 社 439 欧州 504 社 319 186 -61 127 42 -4 477 88 363 1,042 348 単位:百万ドル 出所:S&P Capital IQ他公開情報を基に経済産業省が作成。 ※ 集計対象:2024年グローバル売上高上位3,000社のうち、対象期間(2009-2024)のEPが算出可能な企業。S&P Capital IQによる業界分類を参考にdiversified financials/banks等 金融系業種を除く。 ※ ROIC及びWACCは加重平均値を使用。 27 第8回 価値創造経営小委員会資料3 より抜粋(2026年3月3日) 日米欧の年間平均EPの内訳 日本 2009-2013 2020-2024 変化 2009-2013 2020-2024 欧州 変化 2009-2013 2020-2024 変化 EP -61 スプレッド -0.8 % -0.04 % +0.7 % ROIC 5.4 % 6.37 % +1.0 % 11.1 % 12.5 % +1.4 % 9.41 % 9.44 % +0.02 % WACC 6.1 % 6.41 % +0.3 % 7.3 % +0.3 % 7.2 % 7.3 % +0.2 % 投下資本 8,020 9,509 +1,490 10,509 19,780 +9,270 14,212 16,555 +2,343 会社数 -4 米国 352 社 +57 439 1,042 +603 319 348 +29 4.2 % 5.3 % +1.1 % 2.2 % 2.1 % -0.1 % 7.0 % 651 社 504 社 単位:百万ドル 出所:S&P Capital IQ他公開情報を基に経済産業省が作成。 ※ 集計対象:2024年グローバル売上高上位3,000社のうち、対象期間(2009-2024)のEPが算出可能な企業。S&P Capital IQによる業界分類を参考にdiversified financials/banks等 金融系業種を除く。 ※ ROIC及びWACCは加重平均値を使用。 28 第8回 価値創造経営小委員会資料3 より抜粋(2026年3月3日) 業種別のEPの状況(日本) スプレッド アパレル 半導体 メディア 法人サービス ヘルスケア 医療機器 消費者向けサービス 無線通信サービス 消費財 エレクトロニクス 医薬・バイオ 自動車・組立 物流・商社 コングロマリット 石油・ガス 先端技術 化学 耐久消費財 素材 ユーティリティ 不動産 小売 交通インフラ 航空・旅行 投下資本(業界合計) 12.6% 10.5% 8.3% 7.3% 5.7% 5.3% 3.2% 2.9% 1.9% 1.7% 1.6% 0.9% 0.3% 0.2% -0.005% -0.2% -0.8% -1.2% -1.5% -1.8% -1.9% -2.5% -4.3% -4.9% 会社数 10 41 40 10 17 18 4 185 177 263 146 304 184 276 73 113 190 8 287 257 240 235 250 19 2 7 11 5 7 3 2 2 37 41 8 34 20 7 6 12 23 3 40 13 12 38 16 2 単位:十億ドル 出所:S&P Capital IQ他公開情報を基に経済産業省が作成。 ※ 集計対象:2024年グローバル売上高上位3,000社のうち、対象期間(2009-2024)のEPが算出可能な企業。S&P Capital IQによる業界分類を参考にdiversified financials/banks等 金融系業種を除く。 ※ ROIC及びWACCは加重平均値を使用。 29 産業人材の育成に向けた具体的取組 産業界の 人材ニーズ 可視化 第4回 地域生活維持政策小委員会資料1 より抜粋の上加工(2026年2月25日) • 2040年に向けた経済・産業構造のシナリオ定量化等を踏まえ、産業界の人材需要を地域毎に明確化 • 地域ごとに産学連携での人材育成について議論する場の構築(地域人材育成構想会議の開催) 大学・高専 教育段階 に応じた 人材育成 産業界による コミットメント • 産業界と連携した成長分野への学部再編等の推進(例:大学・高専機能強化支援事業(成長分 野転換基金)) • 新技術立国の核となる、高い研究力を有し、産業競争力強化に貢献する大学の実現に向けた検討 高校 • 「高校教育改革に関する基本方針(グランドデザイン)」に基づき策定する都道府県ごとの実行計画を もとに、専門高校の機能強化・高度化や普通科高校の特色化・魅力化等を実施。地域に必要なアドバ ンスト・エッセンシャルワーカーや新しい価値を創造する人材等の育成を実施(例:高等学校等教育改革 促進基金) • 産業界から教育機関等への資金提供の後押し(例: 企業版ふるさと納税の活用 等) • 高度人材を含む産業人材の処遇を含めた活躍環境整備に向けた取組強化(例:情報開示等 による人的資本経営の促進、スキル可視化による職務給の浸透 等) 30 産業人材の確保に向けたスキルベース労働市場の形成 ⚫ 産業横断的に求められるスキルを体系的に整理するとともに、スキルベースの労働需給を可視化すること で、スキルをもって産業間を円滑に労働移動することができる環境を整備する。 ⚫ また、関係省庁とも連携して需要の高いスキルの習得に向けたリスキリング実施体制の拡充を図る。 職業関連情報 〈スキル体系イメージ〉 ・jobtagの職業情報 ・企業の求人情報 等 AIによるスキル情報抽出 カテゴリー スキル 製造 設備 品質 ねじ締結作業技能 基礎配線施工 試験評価実務 成形加工技術 製造装置の稼働維持 食品安全基準遵守 約30 カテゴリー ・・・ 約1300 スキル ・・・ ・・・ AIにより職種ごとに必要なスキルを特定 生産工程従事者 半導体製造 製造/設備等 26スキル 専門的・技術的職業従事者 バイオテクノロジー技術者 製造/品質等 18スキル 航空整備士 電気通信技術者 ・・・ ・・・ ・・・ 31 多様な働き方の推進・労働供給力の底上げ 多様な働き方の推進・女性特有の健康課題への対応 ⚫ なでしこ銘柄では、「女性活躍推進」に優れた上場企業を、「中長期の企業価値向上」を重視する魅力ある 銘柄として選定。性別を問わない両立支援や全ての従業員が自分の望む働き方を選択できる環境作りを推進 しているかといった点を評価することで多様な働き方を推進。 ⚫ 女性特有の健康課題(※)に起因したパフォーマンス低下や離職等による経済損失は、社会全体で年間約3.4 兆円と推計。フェムテックの活用等を通じた企業における対策を促進。 ■なでしこ銘柄 • 企業の女性活躍への取組に対する投資家の注目を高めることで、 各社の取組の加速化を図る。 ■フェムテック等サポートサービス実証事業費補助金(令和3~7年度) • 令和3年度からの5年間で79の事業を採択。 • 実証事業に参加した女性の回答によれば、フェムテックの利活用により仕事のパフォーマンス の平均値は上昇。 (注)世界保健機関 健康と労働パフォーマンスに関する質問紙(短縮版)日本語版 「あなたの仕事において、0が誰でも達成できるような仕事ぶり、10が最も優れた勤務者の仕事ぶりとしたとき、過去 4 週間(28 日 間)の間の勤務日におけるあなたの総合的な仕事ぶりを、あなたはどのように評価しますか」という設問に対する回答に10を乗じて算出。 32 第5回 産業構造審議会 経済産業政策新機軸部会 価値創造経営小委員会 資料3より抜粋の上加工(2025年10月24日) 企業の資金調達構造 ⚫ 上場企業の資金調達手段の8割以上は借入が占めており、銀行以外のデット・エクイティ供給プレイヤーが希薄。 ⚫ 高い預金率とデフレ・低金利の長期化等により、銀行融資以外の資金調達手法が発達してこなかった。 日本の上場企業の資金調達構造 株式発行 社債調達 借入金調達 100% 90% 80% 70% 83.7% 85.4% 87.5% 85.1% 82.8% 82.6% 81.6% 81.3% 80.1% 10% 12.2% 11.5% 13.0% 13.0% 11.2% 14.2% 13.5% 16.7% 0% 4.1% 3.1% 9.4% 3.0% 2.0% 4.2% 6.2% 4.2% 5.2% 2013年度 2014年度 2015年度 2016年度 2017年度 2018年度 2019年度 2020年度 60% 87.5% 85.2% 83.9% 12.3% 12.6% 3.2% 11.1% 1.4% 2.5% 3.5% 2021年度 2022年度 2023年度 平均 50% 40% 30% 20% ※ 集計対象:所在国が日本であり東証プライム・スタンダード・グロースに上場する企業のうち、各年度において上場済であり、各年度の決算期情報が取得できる企業。 (出所)スピーダのデータを基に経済産業省作成。 33 第1回スタートアップ政策推進分科会資料3より抜粋 (2026年2月4日) (参考)我が国のスタートアップへの資金供給環境 • リスクマネー層が薄く資金供給が小規模。海外からの投資が少なく、国内VCも小規模であるため、特にレイター期に必要となる大型資金供給が不足。 • このような環境から後続の大型投資を前提としない資本政策・事業戦略をとっていること、またシナジー目的の投資等によるオーバーバリュエーションが、後 続の大型投資家の参入障壁となっている可能性も指摘される。 国内スタートアップに対する資金供給不足 スタートアップを支えるVCのファンドサイズと投資フェーズ Sequoia Capital Andreesen Horowitz JAFCO (出典)第4回 研究開発税制等の在り方に関する研究会「資料8 事務局資料(スタートアップへの成長資金供給用に係る税制の論点について」(2025年7月9日,経済産業省) IMF 「World Economic Outlook」 、PitchBook Data, Inc.のデータを基に作成。データは2025年6月取得時点。 グロービス (出典)第3回スタートアップファイナンス研究会「資料3 事務局資料」(2024年2月8日,経済産業省) 各社公開情報よりNRI推計。あたりの案件規模は、2018年~2022年の5年間のファンドレイズを投資件数で割る形で算出(1ドル=148円として計算) (外円)金額ベース (内円)件数ベース シード 日本 (2023年度) * N数はVCファンドに対す るLP出資機関数 * ファンドへの出資者の数 の構成であり、出資金額の 大きさは考慮していない * 日本、米国、韓国は 2025年3月22日時点、英 国、フランス、シンガポー ルは2025年3月23日時点 (出典)JETRO「日本と東南アジア等諸外国とのスタートアップエコシステムの比較調査報告書」(2025年6月) JVCA協力の下、Preqin Proのデータを基に調査チーム作成 アーリー レイター 米国 (2023年) (出典)株式会社ユーザベース「Japan Startup Finance 2024 上半期」、Q3 2024 Pitchbook-NVCA Venture Monitor, NVCA 2024 Yearbook、一般財団法人ベン チャーエンタープライズセンター「ベンチャー白書2024」日本における「アーリー」には(出典)の分類における「エクスパンション」を含む。米国における「レイ ター」には(出典)の分類のうち「ベンチャーグロース」を含む。日米共に国内VCによる海外スタートアップへの投資額は含まない。 日本の投資件数は1,285件、投資 金額は1,730億円。米国の投資件数は13,586件、投資金額は1706億ドル。 34 第1回スタートアップ政策推進分科会資料3より抜粋 (2026年2月4日) (参考)我が国のスタートアップのIPOの状況 • スタートアップの上場後の成長が停滞し、グロース市場は低迷している状況。IPO数は64社(2024年)から41社 (2025年)に減少。新規上場時の時価総額や資金調達額は増加が見られるものの、未だ小規模な状況。 • グロース市場の上場維持基準の見直しが2030年3月1日より適用されるにあたり、今後はさらに、スタートアップのIPO 以外の出口の多様化と、上場スタートアップの更なる成長の促進が必要。 上場後の成長停滞(グロース指数の低迷) (出典)市場区分の見直しに関するフォローアップ会議(第19回)「資料1 グロース市場における今後の対応」(2024年12月10日,東 京証券取引所) 上場後の動向(中央値)¹ ³ ⁴ 2024年 2025年 売上高 17億円 33億円 経常利益 1億円 4億円 純資産の額 8億円 17億円 初値時価総額 88億円 135億円 新規上場時 ファイナンス規模² 15億円 31億円 (出典)株式会社東京証券取引所 「2025年のIPO動向」 ※1 市場区分の変更及びTOKYO PRO Marketを経由した上場を除く ※2 新規上場時のファイナンス規模=公募+売り出し(OA含む)。なお、TOKYO PRO Marketの新規上場時のファイナンス規模は、 特定投資家向け取得勧誘または特定投資家向け売付勧誘等を指す ※3 1億円未満四捨五入 ※4 IFERS採用企業については、「売上高」=「売上収益」 「経常利益」=「税引前利益」 「純資産の額」=「資本合計」を記載 グロース市場の上場維持基準の引き上げ 上場維持基準を、上場5年経過後から、時価総額100億円以上 へと変更 (旧:上場10年経過後から、時価総額40億円以上 ) 35 第1回スタートアップ政策推進分科会資料3より抜粋 (2026年2月4日) (参考)IPO以外のEXIT(M&A) • IPOとM&Aの割合は、日本と韓国がIPOの比率が他国に比べて明らかに高い傾向。 • 件数ベースでみると、IPO比率の高い日本・韓国においても近年M&AによるExitの比率が上がっているものの、 金額ベースでみると、近年においても日本・韓国ではIPOの方がM&Aよりも多い。 IPO IPO M&A M&A 件 数 (出典)JETRO「日本と東南アジア等諸外国とのスタートアップエコシステムの比較調査報告書」(2025年6月) PitchBook Data, Inc.; *The cited data has not been reviewed by PitchBook analysts and may be inconsistent with PitchBook methodology. * データは2025年3月時点で取得したもの * 本分析の対象スタートアップは2010-2024年にIPOまたはM&A取引を行った企業のうち、取引時点までにVCからの出資を受けたことが ある企業としている * M&AはPitchbookによる分類「合併/買収」、「買収/LBO」、「経営陣による投資家買収」、「対等合併」、「逆さ合併」のうち、「合併/ 買収」のみを対象としている 金 額 (出典)JETRO「日本と東南アジア等諸外国とのスタートアップエコシステムの比較調査報告書」(2025年6月) PitchBook Data, Inc.; *The cited data has not been reviewed by PitchBook analysts and may be inconsistent with PitchBook methodology. * データは2025年3月時点で取得したもの * 本分析の対象スタートアップは2010-2024年にIPOまたはM&A取引を行った企業のうち、取引時点までにVCからの出資を受けたことが ある企業としている * M&AはPitchbookによる分類「合併/買収」、「買収/LBO」、「経営陣による投資家買収」、「対等合併」、「逆さ合併」のうち、「合併/ 買収」のみを対象としている * USD以外の通貨で完了した取引については、取引成立日の為替レートでUSDに変換している 36 企業間連携の推進 【課題認識・論点】 ⚫ 人口減少や経済安全保障、脱炭素化への対応など、企業を取り巻く競争環境は大きく変化。対応の方向性として、成 長投資・危機管理投資、そのための既存事業の統廃合や事業転換、再編などが必要。 ⚫ この点、投資スケールが大規模・長期的となることから企業間連携が一層重要となる一方、産業界からは、独占禁止 法抵触の漠然とした懸念が惹起されやすくなっているとの指摘あり。 ⚫ このため、EUなどの政策動向も踏まえ、 「経済安全保障と独占禁止法に関する事例集」のさらなる普及を含め、企 業間連携を推進するための環境整備が必要ではないか。 競争環境の変化 対応の方向性 ㋐人口減少、それに伴う構造的人手不足及び需要減少 ⇒資源の効率配分(供給不足対策)、既存資産の合理化(供給過剰対 策)が必要 Ⅰ既存事業の統廃合、大規模な成長投資を通 じた事業転換 ※その際、企業間連携(共同行為、企業結 合)は有効な手段 【経済安全保障】 ㋑サプライチェーンの強靭化や技術管理の必要性の拡大 ㋒他国の過剰生産能力の保有、GAFAM等巨大企業の台頭(相対的な 日本の競争力低下) ⇒海外からの強い競争圧力に対応できる事業規模や強靭性獲得が必要 Ⅱ複数事業者間での共同研究開発、共同調達 の実施 ㋓脱炭素化 ⇒既存設備の統廃合、グリーン燃料の共同調達(GX)が必要 Ⅲ企業結合等を通じた国際競争力の向上、 イノベーションの促進 37 【参考】企業間連携をめぐる国内外の動向 1.国内動向 産業界から独禁法抵触の漠然とした懸念が指摘される中、事例集(経済安保)やガイドライン(GX)を通じて、企業の予 見可能性を確保。 (1)経済安全保障と独占禁止法に関する事例集(令和7年11月、公正取引委員会・経済産業省・国土交通省) ⚫ 経済安全保障の観点から実施する企業間連携に関して、産業当局が提示した15の事例に、公正取引委員会が独占禁止法 上の考え方を示したもの。 ⚫ 今後、同志国との連携や必要な制度見直しを推進。(出典:自民党新たな安全保障環境において求められる経済的措置に関する提言) (2)グリーン社会の実現に向けた事業者等の活動に関する独占禁止法上の考え方(令和6年4月改定、公正取引委員会) 2.EUの動向 ドラギレポートで「産業政策・競争政策・貿易政策の連携」が提示されたことを受け、現在、EU競争当局にて以下の動き。 (1)企業結合ガイドラインの改定(春にも草案公表予定) <主な検討事項> ⚫ イノベーションと将来の競争の重視 ⚫ セキュリティ・レジリエンスいわゆる経済安全保障の観点を競争当局の考慮要素として評価 (2)競合企業間の業務提携(共同研究開発、共同調達等)に関するガイダンスの提供 38 競争優位性確保のための知財・市場分析の活用 ◆知財・市場分析を活用した、有望新規領域探索・パートナー候補企業の抽出。 有望新規領域探索 パートナー候補企業の抽出 ・知財・市場分析を実施し、カカオ関連技術は「原料関連」と「チョコレート製造」の領域(赤丸 部分)に集中していることを発見。さらに、自社技術(黒字下線部分)をマッピングしたところ、 自社技術の1つ「ボイル裏こし技術領域」が特許空白領域(青丸部分)と重なることを確認。 この知見から、新規開発への狙い目領域を同定し、新素材・新商品の開発に成功。 ・新規分野での有望なテーマ候補の導出や既存技術の応用検討を行うことにより、事業戦略 の構築、有望なM&A先の選定に貢献。 日立の画像診断関連事業 富士フイルム 大型機器をシステムとして操る技術 3D放射線画像処理関連技術 ボイル裏こし 技術領域 ✓ 相互補完的な基幹技術の融合 新規開発への狙い目領域を同定 ドット1つが1件の特許を表す 出典:(明治ホールディングス株式会社 HP)統合報告書2023、(LexisNexis HP)知財情報からひも解く明治のROESG®経営 出典:(富士フイルムホールディングス株式会社 HP)統合報告書2024、2023年10月12日メディカルシステム 事業説明会 ◆ 米独の77社を対象とした実証分析(” How to create commercial value from patents: the role of patent management” Ernst et al.,2016)によると、 特許情報の活用(競合他社の技術アセットの監視、侵害予防調査、M&A等外部技術の評価、ライセンス先の探索)をしている企業ほど企業業績が良いとの結果。 39 2.「技術で勝ってビジネスでも勝つ」、新技術立国 【課題認識】 ⚫ 社会課題の深刻化・多様化による解決策の渇望とも同期し、新たなテクノロジーによる市場創出の重要性が向上。AIによ る研究開発スピードの高速化も相まって、技術とビジネスの近接化の時代が到来し、国家やハイパースケーラーが初期の 段階から科学技術への大規模な投資を加速し、先端技術の社会実装までのスピードが加速し、先端分野での国際的な研究 開発競争が激化。 ⚫ 各国が投資を加速させている戦略分野は共通性が高く、特にAIは様々な分野の研究開発のスピードを飛躍的に上昇させる のみならず、フィジカルAIを通じた産業構造の転換にも資することからAX時代において研究開発競争が激化。 ⚫ こうした国際的な研究開発競争を勝ち抜き、日本に強みがある技術の社会実装と勝ち筋となる産業分野の育成を実現する ためには、社会実装も見据えた大学・国研の強化を通じたイノベーションを促進させていくとともに、有望な技術シーズ の社会実装に向けた官民による需要創出やスタートアップの資金調達環境の整備が必要。加えて、グローバル連携を進め ることで戦略的優位性・不可欠性を確保していくとともに、新たな知見・発想の獲得を目指すことが必要。 ⚫ スタートアップは、フィジカルAI時代のイノベーションの担い手となることが期待されるが、そのためには日本のスター トアップ・エコシステムがさらに進化を遂げることが必要。シーズ段階からExitまで伴走するグローバル規模のリードイ ンベスターの創出・連携含め、具体的な対応策を検討すべき。 40 2.「技術で勝ってビジネスでも勝つ」、新技術立国 【論点例①】(イノベーション小委員会において以下論点等につき、集中的に議論。) ⚫ スタートアップ・ファイナンス整備 ➢ 国内プレイヤーの高度化と海外投資家等の新たなプレイヤーの呼び込みを図ること等により、長期に大型成長を追求するこ とができるリスクマネーを供給する環境を整備するべきではないか。 ➢ 大型成長を遂げるスタートアップが生まれづらいのは、シーズ段階からExitまでリードするグローバル規模のリードイン ベスターが不在であることが一因ではないか。 ⚫ 防衛調達を含む官公庁調達、新たな需要・市場創出 ➢ 先端技術の社会実装の加速に向け、官公庁によるプロトタイプ調達や、量産・本格調達に向けた伴走支援など、需要サイド からの支援を強化していくべきではないか。 ➢ スタートアップの最先端科学技術の社会実装の担い手としての存在感が飛躍的に増大している中、研究開発支援制度、新技 術の導入を加速するためのルール・実務の整備、シグナリング効果や呼び水効果を生む政府出資を検討するべきではないか。 ➢ これらについて、特にデュアルユース技術については、防衛需要と民生需要を調和させて、社会実装を進めていくべきでは ないか。 ➢ 日本の強みがある高い信頼性・安全性を備えた製品・サービスが、国内外の需要を獲得していくためには、標準・規格・認 証などはどのように活用されるべきか。 41 2.「技術で勝ってビジネスでも勝つ」、新技術立国 【論点例②】(イノベーション小委員会において以下論点等につき、集中的に議論。) ⚫ 研究開発法人等の技術シーズの徹底した社会実装を実現 ➢ 研究開発法人等が有する有望な技術シーズ・アセットを具体的に特定し、制度上・運用上の課題の検討を含め、社会実装の 加速に向けて解消すべき課題と今後の戦略を示していくべきではないか。 ➢ 米国等の取組も念頭に、大学や企業等に対する研究施設・設備、専門人材の知見の提供や、十分なセキュリティ対策を担保 した上で 多様な人材が集まり、安全保障を含む国のニーズ等を反映した研究開発を進めるためのオフキャンパス機能の提 供等、産学官のプラットフォームとしての機能を強化すべきではないか。 ⚫ 新技術立国の核となる、高い研究力を持つイノベーションの中核となる大学群の形成 ➢ 重要技術分野で大規模経済圏の産業クラスター形成に貢献する大学や、社会変革を牽引するリーダー人材を輩出する大学な ど、新技術立国の核となる、高い研究力を持つイノベーションの中核となる大学群の形成を後押しすべきではないか。 ⚫ 我が国が優位性を持つ技術力、イノベーション力を外交的に後押し(世界トップ人材の受入れ等) ➢ 現下の厳しい国際情勢を踏まえ、戦略技術・イノベーションを新たな軸とした新技術立国に向けた戦略的な科学技術外交を 推進していくためには、どのような方策が有効か。 ➢ 我が国がグローバルに引けをとらない、世界水準の研究環境を保持し、競争力を強化するためには、J-RISE Initiativeを 軸とした多国間研究協力をはじめ、国際頭脳循環(トップ研究者の受入等)の取組が益々重要となるが、留意すべき点は何 か。 42 (参考)新技術立国関連総理発言 令和7年11月28日 総合科学技術・イノベーション会議 総理発言(抄) 高市政権は、日本に強みがある技術の社会実装を進めるとともに、勝ち筋となる産業分野について、国際競争力強化と人材育成に資す る戦略的支援を進めていく『新技術立国』を実現いたします。 (中略)さらに、今般の基本計画を礎として、日本に強みがある技術の社会実装や勝ち筋となる産業分野の育成を促進する『新技術立 国』の実現のため、赤澤大臣を中心に、来年の夏の戦略策定に向けて、更なる検討を深めてください。 具体的には、 ①研究開発法人の技術シーズの徹底した社会実装 ②防衛調達を始めとする官公庁による調達、 ③また、規制・規格の導入による新たな需要創出・拡大策など、 効果的な施策の検討を深めてください。 令和8年2月20日 高市総理施政方針演説(抄) 高市内閣の成長戦略では、供給力強化を目的に、先端技術の社会実装の実現を重視しながら、事業者の予見可能性を高める大胆な措置 を講じていきます。 量子、航空・宇宙、コンテンツ、創薬などの十七の戦略分野については、大胆な投資促進、国際展開支援、人材育成、研究開発、産学 連携、国際標準化、防衛調達を含む官公庁による調達、規制・制度改革といった、供給及び需要の両面にアプローチする多角的な観点か らの総合支援策を講じます。特に、先端技術や成長が期待される分野の官民投資ロードマップについて、来月から提示していきます。 (中略)「強い経済」の基盤となるのは、優れた科学技術力です。 大学改革を進めるとともに、基礎研究を含めた科学技術研究の基盤を強化し、イノベーションを通じた経済成長や国際的地位の確保を 達成する「新技術立国」を目指します。 43 (出所)官邸HPより引用 ”新技術立国”の実現に向けて 官民による需要 【外交との連携】 • 我が国が優位性を持つ技術力、 イノベーション力を外交的に 後押し 実社 装会 国家戦略 技術領域 研 究 開 発 一 気 通 貫 支 援 新興・基盤 技術領域 その他 【需要側からの支援】 • 防衛調達を含む官公庁調達・ス タートアップ支援等による先端 技術の社会実装の加速 • 規制・規格の導入による新たな 需要創出・拡大 【大学・国研への支援】 • 研究開発法人等の技術シーズの徹 底した社会実装を実現 • 新技術立国の核となる、高い研究 力を持つイノベーションの中核と なる大学群の形成 自由発想に基づく研究 44 3.高付加価値な産業・機能の国内立地を加速化するグローバル立地競争力の強化 【課題認識】 ⚫ 世界各国が優れた人材、良質な雇用、競争力ある投資を競って自国に誘致しようとする時代に突入する中、グローバル企業やグローバル人 材が日本を付加価値を生む拠点として選択するようなグローバル立地競争力の強化が不可欠。 ⚫ AX時代において、新たな付加価値は、AIを使いこなすデジタル人材、テクノロジー、AIレディな現場データが有機的に連結することで生 まれる。これらの要素が質・量ともに他の国・地域よりも優れて集積しているかがグローバル立地競争力の決め手となり、そこで企業・人 材が惹き付けられれば、また次の人材・テクノロジー・データが創出・集積するという好循環が生まれていく。こうした好循環の実現に向 けて、これまで新機軸部会において御議論いただいてきた人材やイノベーション・スタートアップといった経済・社会基盤(OS)の組み 替えについて、AX時代に世界から選ばれる日本の実現に資する形でさらに加速・アップデートすることが求められる。 ⚫ こうした考えの下、戦略17分野を中心に、グローバル立地競争力を構成する主要素を徹底的に洗い出し、その強化に総力を挙げるべき。 具体的には以下の通り。 ➢ 人材:AXによる産業構造転換によって、ホワイトカラーの余剰と専門人材・現場人材の不足が同時発生する「知的スマイルカーブ現 象」を踏まえ、戦略分野や地方の現場人材における労働供給制約の解消と高付加価値人材の育成・獲得を進めていく必要。 ➢ データ・コンピューティングパワー:ウェブ上のテキストデータが枯渇しつつある中、各産業の現場に眠る非構造データの蓄積は日 本固有の貴重な資源。こうした質の高い現場データのAIレディ化とAI・半導体・計算資源等のデジタル産業基盤の構築は、AX実現に 向けて必要不可欠な事業環境。 ➢ テクノロジー:AX時代に激化・加速化する国際的な研究開発競争を勝ち抜くため、イノベーション・エコシステムのさらなる進化が 必要。(詳細は「2.「技術で勝ってビジネスでも勝つ」、新技術立国」を参照) ➢ ファイナンス:長引く超低金利時代に官民双方のリスクマネー供給が長期にわたって停滞してきたイナーシャを打破し、民間企業の リスク投資を可能とするファイナンス・エコシステムを組成することが必要。 ➢ エネルギー:データセンター等の国内立地の急増等によって、 AX時代のエネルギー需要は今後、増加していくことが見込まれる。 メガテックを中心に需要が高まるクリーンエネルギーへのアクセスを確保できるかは、産業競争力・立地競争力の鍵となる。 ➢ 土地・インフラ:国内投資が増加傾向にある中で不足する産業用地・インフラ(エネルギー・ライフライン・モビリティ等)を確保 し、戦略17分野を中心に世界をリードする技術・ビジネスを創出する地域毎の産業クラスターを形成。 45 3.高付加価値な産業・機能の国内立地を加速化するグローバル立地競争力の強化 【政策の方向性】 ⚫ 人手不足業種・戦略分野への労働移動・人材確保の促進(再掲) ⚫ デジタル産業基盤の強化を通じたAIトランスフォーメーションの実現 ➢ 17の戦略分野をはじめとする多様な産業分野におけるAXを実現するためには、先端半導体・計算基盤等の確保を一 層進めていくとともに、日本が強みを持つ現場データを国内で有効活用すべく、産業・ドメイン単位での高品質な データセットの整備を含めた需要側と供給側が一体となったAIモデルの開発・活用を進めていくことが必要ではな いか。 ⚫ 成長投資促進に向けた資金調達環境の整備(再掲) ⚫ 脱炭素エネルギーを中心としたエネルギーへのアクセス確保 ➢ AI・デジタル時代の本格化に伴うDC需要の急増に対しては、あらゆる手段を活用して必要な電力の供給力を確保す るとともに、電力インフラ等の観点で望ましい地域への立地誘導をし、通信インフラも整合的に整備する「ワット・ ビット連携」 を進めるべく、GX戦略地域制度を活用して、支援と規制・制度改革を一体的に措置していくべきでは ないか。 ⚫ 産業用地・インフラの確保 ➢ 戦略17分野を中心に大胆な投資促進策とインフラ整備を一体的に講ずるべく、地域ごとに戦略産業クラスターを構 築し、地域毎の投資・インフラ需要を可視化し、必要な措置を検討することが必要ではないか。 46 第1回AI・半導体ワーキンググループ 資料4 事務局資料より抜粋(2026年2月12日) デジタルエコシステムの全体像 我が国産業の国際競争力強化と「強い経済」の実現 産業や公共・準公共のDX 製造業 金融 物流 公共 医療・介護 農林水産 防衛 ・・・ 日本成長戦略本部で決定した17の戦略分野をはじめとする多様な産業分野 + AI-Ready化データの整備 業界横断のデータ連携 サービスの提供・更新 データのフィードバック 市 場 ニ ― 半 導 体 ・ デ ジ タ ル 分 野 の 人 材 育 成 ズ に 合 致 し た 人 材 の 育 成 AI・デジタルサービスの創出 アプリケーション 高品質な データ セット 個社特化モデル バーティカル AI フィジカル AI 領域特化モデル AI ロボティクス マルチモーダル基盤モデル データ基盤 サービスに最適化された 計算基盤の設計と供給 計算基盤の需要創出 /設計のフィードバック クラウド・エッジ基盤の高度化 計算基盤(クラウドサーバ・エッジデバイス) 最先端半導体 電源 システム 装置・部素材サプライチェーン 通信 インフラ パワー・アナログ 半導体等 新 た な 脅 威 へ の 対 応 サ イ バ ー セ キ ュ リ テ ィ 産 業 基 盤 の 構 築 47 第1回AI・半導体ワーキンググループ 資料4 事務局資料より抜粋(2026年2月12日) 我が国半導体戦略の基本方針 ⚫ 2030 年に、国内で半導体を生産する企業の合計売上高(半導体関連)として、15 兆円超 (※2020年現在5兆円)を実現し、我が国の半導体の安定的な供給を確保する。 医療 Step 1:半導体生産基盤強化 ⇒生産ポートフォリオの緊急強化 産業機械 自動車 3% 1% 産業機械 産業機械 1% 11% 自動車 スマートフォ 通信 2% 医療 7% 8% 医療 ン 通信 28% 3% 2025 スマート フォン 15% 16% スマートフォ ン… 9% 2030 家電 5% 家電 自動車 4% 10% PC 11% 2035 家電 データセンター 31% 6% PC 16% データセン PC 14% ター… 市場規模全体:約107兆円 市場規模全体:約139兆円 Step 2:次世代半導体の技術確立 ⇒グローバル連携による次世代半導体 技術の習得・国内での確立 通信 3% データセン ター 39% 市場規模全体:約189兆円 Step 3:将来技術開発 ⇒光電融合技術など将来技術の実現・実装 時期の前倒し YOLE GROUPのデータを基に経済産業省作成 https://www.yolegroup.com/product/report/overview-of-the-semiconductor-devices-industry-h1-2025/ 48 第1回AI・半導体ワーキンググループ 資料4 事務局資料より抜粋(2026年2月12日) AI政策の全体像 アプリケーション ⚫ 現場で使えるサービス開発、利活用できる人材育成等により、幅 広い現場、企業におけるAI利活用・投資促進を進めるべきドメイン。 アプリケーション(製造業、金融、物流、防災、 医療、介護、防衛、農林水産等) 個社特化モデル AI 個社固有データ 領域特化モデル 各産業領域データ マルチモーダル基盤モデル データインフラ 計 算 イ ン フ ラ データセンター サーバー、通信・電源システム ( フと ィハ ジー カド ルの 融 )合 AI AI 生 成 A I モ デ ル バ ー テ ィ カ ル AIとハードの融合(フィジカルAI) ⚫ AIロボティクスをはじめ、日本の製造業の強みを活かし、将来にわ たってトップクラスの国際競争力を確保すべきドメイン。 ⚫ ソフトウェアとハードウェアのオープンな開発環境の構築が必要。 バーティカルAI(領域/個社特化モデル) ⚫ 日本が強みを持つ製造プロセス管理、災害・高齢化対応、化学物 質開発、コンテンツ制作等を支援・強化するAIモデルは、世界市 場で大きなポジションを占めるようにすべきドメイン。 ⚫ 日本が強みを持つ現場に蓄積されているデータの活用が重要。 マルチモーダル基盤モデル ⚫ 上位層モデルの強みを支える特色を持つとともに、上位層モデルが 社会インフラとして安心して利用できるようにすべきドメイン。 ⚫ 学習・推論を低消費電力で行えるモデルが必要。 グ ロ ー バ ル サ ウ ス 等 へ の 海 外 展 開 データインフラ ⚫ AIが理解できるようにデータを精製して意味・関連付け(データ のAI-Ready化)し、それらを連携して活用できるように管理。 計算インフラ ⚫ 国内において信頼できる高効率な計算インフラを整備していくべき ドメイン。 49 第1回AI・半導体ワーキンググループ 資料4 事務局資料より抜粋(2026年2月12日) 国産のマルチモーダル基盤モデルの開発 ⚫ まずは、日本企業で一般的に活用されるオープンモデルと同程度の基本性能のモデルを開発。 ⚫ それ以降はAIロボットや工場の自律・最適制御、自動運転等を念頭に、扱えるデータの多様性や思考 の深さをステップ・バイ・ステップで獲得する方針。 ユーザー 今後 現在 領 域 特 化 モ デ ル 日本 クローズド モデルの利用 ・各産業領域の言語データ等を学習しモデル開発 ⇨ GENIACを通じて、学習に必要な計算資源 を補助し、領域特化モデルの開発を促進 ・AIロボット、工場の自律・最適制御、自動運転等に向け た開発。 ⇨ 現場データのAI ready化推進や、AIRoAによる ロボットデータの収集・加工等を支援し、開発促進 ロボット関連データ オープンモデル の利用 基 盤 モ デ ル フィジカルAI 製造業関連データ 自動運転関連データ マルチモーダル 基盤モデルの利用 マルチモーダル基盤モデル 海外 大規模言語モデル ・ウェブ上に十分に存在しない多様なデータが必要。 ・日本の高品質な現場データを安心して学習できる マル チモーダル基盤モデルが必要。 データ の収集 高品質かつ多様なデータ 言語AIが中心 (近年は音声・画像等の入出力も可能) フィジカルAIが中心 (動画や摩耗・熱等の物理特性データの入出力) 50 製造業データ等のAI-Ready化の推進 第1回AI・半導体ワーキンググループ 資料4 事務局資料より抜粋(2026年2月12日) ⚫ 製造業等の企業内データのAI活用を進めていくにあたり、データを意味・関係性付けし、AIが理解しやすい高品質 データとして管理していくAI-Ready化が不可欠。 ⚫ セキュリティ・ガバナンスの観点も踏まえつつ、AI-Ready化手法の確立・標準化を支援することにより、サービサーを育 成し、取組を面的に進めていくことが重要。 ◼ データセキュリティ・ガバナンス AIモデル (統一された管理/継続的な改善) • • 匿名化、暗号化などデータ保護のための処理 データの利用権限や利用使途の管理 等 ◼ AIが理解できるデータへの変換※ (分かりやすい構造/適切なサイズ/意味付け/高い品質) 例:手順書 専門的な知見(図面の読み方・ 部品知識等)がなければ読解し にくい データの意味情報 • 手順番号、図の説明 • 関連する部品情報(寸法等) 等 AI-Ready化 手法を標準化し、 面的にAI-Ready化を 推進 製造業データ等 • 分かりやすい構造 → 構造化、モデリング • 適切なサイズ → チャンキング • 適切な意味づけ → ベクトル化、ラベリング • 高い品質 → 誤り・偏りの少ないデータ • 統一された管理 → ガバナンス、セキュリティ • 継続的な改善 → モニタリング&フィードバック A社 データ B社 データ C社 データ ・・・ 出所:フライウィール社資料より作成 51 第1回 地域未来戦略本部 資料4 参考資料 より抜粋(2025年12月4日) 「地域未来戦略」で取り組む内容 地域未来戦略 (所信演説)“地域を超えたビジネス展開を図る中堅企業を支援し、大胆な投資促進策とインフラ整備を一体的に講ずることで、地方に大規模な投資を呼び込み、地域ごとに 産業クラスターを戦略的に形成していくことで、「地域未来戦略」を推進します。” 地域ごとに産業クラスターを戦略的に形成するとともに、地場産業の付加価値向上と販路開拓を強力に支援 地域ごとに戦略産業クラスター計画を策定 ※ 日本成長戦略会議で挙げた戦略分野を中心に、地域のコミットメントを得ながら、知事とも連携し策定。 ①成長投資促進策と一体のインフラ整備 ○成長投資の促進 ○GX産業立地 ・「GX戦略地域」を選定し、 支援と規制・制度改革を ※ 別の会議体を中心に検討される予定。 一体的に措置 【GX実行会議WGで議論】 ・成長投資促進策の検討 【日本成長戦略会議で議論】 ○投資と一体での関連インフラ整備・人材育成 知事主導で 各都道府県における地場産業の成長プランを策定 ②地域産業のエコシステム形成 ○中堅・中小企業の投資・ビジネス展開 ○地域イノベーション支援 ・中堅・中小等の大規模設備投資への支援 ・地域経済全体を底上げする100億企業の創出 ・地域を支える中小・小規模事業者の持続的な発展に 向けた支援 ・地域波及効果の高い企業への重点支援 ・地方大学発、高専発スタートアップの創出・成長 支援 ・地方大学や産総研の産官学連携拠点整備 ・地域毎の投資・インフラ・人材需要を可視化し、必要な措置を検討 ○人材育成・確保支援 ・大企業人材の活用促進(レビキャリ等) ・地域一体での人材育成・確保 ○産業用地の確保促進(集積立地の促進) ○エッセンシャルサービスの維持向上 ・産業用地整備に関する金融措置等の検討 ・規制見直し(緑地規制、工業用水等)に係る検討 ・産業の担い手の確保のため、生活関連サービス 供給の持続化の支援枠組みの創設を検討 国内投資・立地促進に向け法制的な措置を検討 52 GX戦略地域制度を通じたGX産業クラスターの創出 中間とりまとめ より抜粋の上加工(2025年12月22日) 「GX戦略地域制度」 の創設 ◼ 産業資源であるコンビナート跡地等や地域に偏在する脱炭素電源等を核に、「新たな産業クラスター」の創出を目 指す「GX戦略地域制度」を創設する。 ◼ ①~③類型では、自治体及び企業が計画を策定し、参画した上で、国が地域を選定し、支援と規制・制度改革 (国家戦略特区制度とも連携)を一体的に措置する。④類型では、脱炭素電源を活用する事業者支援を行う。 「GX戦略地域制度」の類型 ①コンビナート等再生型 ②データセンター集積型 コンビナート跡地等を有効活用し、産業ク ラスターを形成 電力・通信インフラ整備の効率性を踏まえ たDC集積及びそれを核とした産業クラス ターを形成 ③脱炭素電源活用型 (GX産業団地) 脱炭素電源を活用した団地を整備し、当 該電源を核とした産業クラスターを形成 ④脱炭素電源地域貢献型 (脱炭素電源を活用し、当該電源の立地地域に貢献する事業者の設備投資を後押し) 地域選定のスケジュール(①~③類型) 12月23日 公募開始 春頃 夏頃 2月13日 有望地域決定 最終決定 〆切 公募 一次審査※ 計画の洗練/最終審査※ 支援を実施 ※外部有識者による審査委員会において審査 53 GX戦略地域制度を通じたGX産業クラスターの創出 中間とりまとめ より抜粋(2025年12月22日) データセンター集積型における課題と方向性 ◼ DCが急増する中で、電力系統増強・脱炭素電源の活用が課題。 ◼ 脱炭素電源や電力インフラ等の観点で望ましい地域へDCを立地誘導し、通信インフラも整合的に整備する 「ワット・ビット連携」を進める。 データセンターに係る課題 • • DCの電力需要は今後10年間で5GW程度増加 足元では電力系統の接続に時間を要しており、10年 以上かかるケースも存在する。 → DC投資が海外に逃げる恐れ データセンターの電力需要の見通し(2025年1月時点) 新たなDC集積拠点の実現 • • 電力系統の先行的・計画的な整備を行いつつ、通信インフ ラも整合的に整備 「ワット・ビット連携」により、大規模DC集積拠点を形成する ▼ 海外のDC集積事例 米国 バージニア州アッシュバーン ブラジル リオデジャネイロ 中国 天津市北辰区 (出所)OCCTO 全国及び供給区域ごとの需要想定 (2025年度)、ワット・ビット連携官民懇談会 取りまとめ1.0 54 4.世界市場の獲得と経済安全保障の確保を実現するグローバル・バリューチェーンの再構築 【課題認識】 ⚫ 国際経済上のルール・メカニズムが機能低下・停止する中、インド太平洋地域で力の空白が生み出されるリスクが浮上、中国は、国際秩 序の担い手を標榜し、特にグローバル・サウス諸国への影響力の伸張に挑戦。 ⚫ 産業競争力という観点では、米中が、ほぼ全ての産業でゲームチェンジを発生させるAIを中心とした新たなテクノロジー分野でリードし、 日本は欧州等とともに追従する構図。中国企業の圧倒的な価格競争力と性能・品質ともに急速にキャッチアップする高い適応力によって、 我が国産業を始めとして各国企業は競争劣位に立たされる可能性がある。また、地政学リスクが拡大する中で経済安全保障の確保も持続 的な経済成長を達成するためには不可欠。米国は重要鉱物のサプライチェーン強靱化の観点からプライスフロアを有志国に提唱する等、 対応を強化しつつある。 ⚫ こうした状況下で、外交分野においては、我が国は、データ基盤やサプライチェーン強靱化といった経済基盤の強化、官民一体での経済 成長の機会創出、地域の平和と安定のための連携拡大など「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」の戦略的進化、共創型事業の具体的 な創出に向けて積極的に行動し、「平和と繁栄を創る『責任ある日本外交』」を推進していく。 ⚫ 勝者総取りの様相を強めるグローバル競争下では、世界で戦えない産業は内需を守ることも困難な中、不確実性の高い国際情勢の中でグ ローバル市場を獲得する重要性は高まっている。そのためには、FOIPの取組をはじめとした有志国連携の強化を基礎として、産業政策、 海外市場獲得戦略と経済安全保障戦略を一体的に捉える内外一体でのグローバル産業戦略が必要。以下の要素を複合的に検討し、成長戦 略にも、その基本的な考え方を反映すべき。 ➢ 官民投資ロードマップに盛り込まれる産業政策の内容も踏まえ、17分野を中心に戦略分野毎に拡大する市場を見定め、戦略的に獲 得。米中等、他国とも戦略分野、成長性の高い市場を巡って競争が激化する中で、勝ち筋を描け、海外展開のリスクテイクにコミッ トメントできる産業・企業が存在する分野に政策リソースを集中することが不可欠。 ➢ 「勝ち筋」は、各産業におけるビジネス・エコノミクスによって異なることを意識し、17分野という個別性を超えて、産業構造全 体としての日本の勝ち筋が何処にあるのかを具体化。政策的措置を講じる際には、真に「勝ち筋」を描けているかをプロフェッショ ナルも交えて議論・検討する仕組みを検討していく。 ➢ また、17分野で成長戦略を組成する効果を最大化とFOIP実現など外交・安全保障上の成果の同時達成に向け、人材獲得ポテンシャ ルや分野間の需要サイドから見た関連性やシナジー効果も踏まえながら、重点国を見定め、国・地域別にパッケージ化した通商戦略 を検討。 ➢ 自力での国内産業基盤の強化に加え、有志国連携を通じた自律性・不可欠性の強化が基本線だが、ミドルパワーとしての経済安全保 障戦略のあり方について、さらなる進化が必要。また、米国を中心にゲームが展開されつつある中でも、日本としての対米関係の立55 55 ち位置、米国以外の同志国との連携のあり方、ミニラテラルでの秩序形成のあり方について、戦略的に検討すべき。 4.世界市場の獲得と経済安全保障の確保を実現するグローバル・バリューチェーンの再構築 【政策の方向性】 ⚫ 世界市場の獲得と自律性・不可欠性の確保に向けた通商・経済安全保障政策 ➢ 戦略17分野におけるグローバル市場獲得に向けて、需要サイドから見た関連性やシナジー効果なども踏まえた、各分野 毎の国・地域別戦略を構築し、その実現に向け、共創型事業の創出の支援と個々の事業の対外的な成果発信を強化して いくべきではないか。 ➢ 加盟国の利害の多様化に伴いWTOにおけるコンセンサス形成が困難になる中、有志国を中心としたバイ・プルリでの通 商関係を強化・再構築することが重要ではないか(CPTPPの推進や「インド洋・アフリカ経済圏イニシアティブ」の推 進等)。 ➢ 重要物資のサプライチェーン強靱化に向けて、経済安全保障上重要な物品について有志国連携を強化する必要。特に重 要鉱物については、国境調整型のプライスフロアを含めた貿易政策やメカニズムの検討を行い、議論を進めていくこと も重要ではないか。 ➢ AIテックスタック等先端技術インフラの整備・保全やイノベーション・エコシステムといった成長を加速する経済基盤 をグローバルで構築すべきではないか。 ➢ また、これらの分野のイノベーションを支える高度人材を世界から呼び込み、国際的に流動する人的資本を我が国の成 長エンジンとして取り込む仕組みを強化すべきではないか。 ➢ 経済安全保障及びサプライチェーン強靱化の観点から、日本企業が海外で優位性を確保できるよう、企業と密接に連携 しつつ、ODAによるハード・ソフト面での重層的かつ戦略的な支援を通じて、特に進出のハードルが高いグローバ ル・サウス諸国における環境整備を進めていくべきではないか。 ➢ 地政学リスクが高まる中、我が国の自律性・不可欠性確保するため、重要物資の安定供給確保に向けた国内生産基盤の 維持・強化を含むサプライチェーンの強靭化を進めるとともに、経済成長と防衛力強化双方に貢献する安全保障上重要 なデュアルユース生産技術基盤等の強化に向けた産業振興策や技術管理等の産業防護策が必要ではないか。 56 グローバルサウス連携の重要性 ⚫ 激変する国際情勢下においてグローバルサウスとの連携を強化することで、国際秩序の安定を目指す。 ⚫ また、相手国のニーズが高いDX/GX分野を中心に共創案件の形成等を支援することで、成長余力が高い同地域の活力 を生かした日本のイノベーション創出や、有志国間での産業基盤のネットワーク構築、経済安保強化等にも裨益。こ れら成果をFOIPの実現にも繋げていく。 <我が国にとってのグローバルサウス諸国の重要性> ②経済安保上重要な相手 ①成長力の高い市場 出典:三菱総研 ③国際秩序形成の鍵 ◆リチウム 中国: 55%、チリ: 30% 印主催「グローバルサウスの声サミット」 (2023年1月)参加国は120以上 ◆レアアース 中国: 60%、ベトナム: 16% 露非難決議は、多くの新興国・途上国が 露にも配慮してバランスを取る姿勢 ◆ニッケル インドネシア:28%、フィリピン:26% ※地図上の青塗りは露に非友好国指定されている国 ・地域(2022年3月24日時点) グローバルサウスとの連携強化に向けて、日本企業の強みを活かした技術・サービスを用いながら相手国の社会課題を解決 するビジネスの実装に向けたFSや実証事業を支援。 <事業例> 案件組成や現地人材の育成等による社会課題の解決 AI等新技術の社会実装 グローバルサウス諸国 R&D拠点整備等が 促される効果 日本 日本へデータ等を還元、高度人材還流など(イノベーションの源) 57 グローバルサウス未来志向型共創等事業 ⚫ 令和5年度6年度に続き、令和7年度も10億ドルの予算を措置し、企業の実証事業等を支援。これにより、グローバ ルサウスでの①事業者・分野の裾野の拡大、②新市場の囲込み・創出、③プロジェクトの事業化が進展。 ①事業者・分野の裾野の拡大 事業者の裾野拡大 (以下実績は令和5年度以降の累積) 402件 重点分野への投資 採択総数 GX、DX、経済安保 の分野を集中支援。 ※ASEAN大型24件、非ASEAN大型6件、小規模372件 ※R5年度補正251件、R6年度補正151件(令和8年2月時点) ※中小企業比率は57% 比率は 5:7:1 ※JCMの取組を後押しするような案件も有。 ②新市場の囲込み・創出 展開国の拡大 78カ国での案件を採択。 計 これまでバイでの経済外交が十分でなかった国へのリー チも。 ※地域別では、ASEAN195件、南西アジア76件、アフリカ46件、中南米22件、中 東17件、島嶼国9件、中央アジア14件、北東アジア5件、東欧1件、複数地域17件 面的な事業拡大 AZEC、TICAD等の マルチの場でのMOU締結や 首脳会談案件多数。 ③プロジェクトの事業化 上流への打込み 64件 計 をマスタープラン(MP)事業※で採択。 GS国の開発計画や法規制等の「上流」に入り込むこと を目指し、既に次の事業フェーズを狙う案件も。 ※重要国や分野について、日本と相手国に裨益することを前提に、具体的な案件 組成を目指したインフラ等整備計画の策定を支援する委託事業。 事業化への橋渡し 金融機関との連携 JBIC等もGSに注目する中、 シームレスな連携で育てる案件を 増やしていく必要。 ※経産省作成 58 技術協力・人材交流によるグローバルサウスとの連携強化 ⚫ 新興国の技術水準の向上や事業環境整備等に貢献する官民連携による技術協力及び、GX/DX人材等の育成、高度外国人材受入れの支援 強化や第三国との共同事業、現地スタートアップエコシステムへの接続による経済関係の深化等を通じ、サプライチェーンの強靱化、 日本企業のグローバル化及び国際競争力の強化を目指す。 共創事業の推進 高度外国人材の受け入れ・人材交流 目的:第三国との共同事業、現地スタートアップエコシステムへの接続による経済 関係の深化等を通じて、サプライチェーン強靭化を目指す。 目的:高度外国人材受入れの支援強化を通じて、海外ビジネスの拡大やイノベーショ ンの創発を促す。 【主な実績】 ○第三国協力を通じた政府関係者等への研修事業(SMR) 【主な実績】 ○グローバルサウス IT / AIエンジニアインターンシップ事業 マレーシア、インドネシア、フィリピン等の原子力発電の専門家等延べ約60名を日本 に招へいし、法制度整備、保守・管理等の人材育成に関する講義や、原子力発電所等 の関連施設見学による研修を実施。また日本の専門家を派遣した海外でのワーク ショップに参加。 日本企業のIT人材獲得先の多様化や事業競争力向上を目的として、インターンシップ及びジョ ブフェアを実施するもの。 ・コーディングコンテスト参加者:5,911名 ・ジョブフェア(モンゴル) :1回(15社出展)参加者170名 ・ジョブフェア(インドネシア):1回(25社出展)参加者1,561名 ・IT・AIインターンシップ実施:50名 ○インドから日本企業への就職定着事業 ・インターンシップ実施:103名 海外人材育成 目的:海外現地生産拠点への技術移転や能力強化、人材採用の促進を目指す。 【主な実績】 ・新卒雇用促進イベント参加者:5,775名 日本企業によるインド人材雇用を促進すべく、 インド各地の主要大学等において日本企業への 就業意欲を喚起するイベントの開催や、インド 人材採用に関心を持つ日本企業を対象にイン ターン機会を提供することで、AI等の先端技術 分野を含めた幅広い分野におけるインド高度人 材の就職定着を支援。 ○研修・専門家派遣・寄附講座開設事業 ○インド等における寄附講座等事業拡大促進事業 企業が実施する外国人材への受入研修、専門家派遣による現地研修、また海外現地大学 での寄附講座開設への支援を行う事業であり、日本企業のサプライチェーン強靭化に資 する案件を重点的に支援。 ・研修参加者:2,210名 ・受入研修人数:736人 ・専門家派遣:31人 ・寄附講座開設数:67講座 ・中途採用イベント参加者:1,196名 日本企業がインドで実施する寄付講座や職業訓練プログラム、及びインド人材を対象と した本邦研修等事業に費用を補助。ものづくりなど日本式のワークスタイルを理解し、 日本企業への関心の惹起や日本式のワークスタイルに精通したインド人材を育成。 59 日本の経済連携の推進状況 ⚫ 現在、我が国は25か国・地域との間で22の経済連携協定を署名・発効済。 ※EUを1地域と計算 ⚫ ドーハラウンドの停滞以降、各国は経済連携協定による特定国との貿易促進を指向。 ⚫ 2025年の日本のFTA等カバー率は約8割。 ※FTA等カバー率=全貿易額に占めるEPA/FTA署名・発効済国との貿易額の割合。 ⚫ 日本は、CPTPPや日EU・EPAを通じて、質の高い通商ルールを構築。RCEP協定は2022年1月に発効。ト ルコ、UAE、GCC等の新興国とのEPA交渉も通じ、自由貿易圏の更なる拡大を目指す。 <日本の経済連携の推進状況> <日本のFTA等カバー率(2025年)> 財務省貿易統計(2025年1月~12月)より経済産業省作成。 小数第1位を四捨五入のため、合計は必ずしも100%とならない。 60 CPTPP参加国と加入に関心を持つ主な国・地域 ⚫ CPTPPは高いレベルの市場アクセスとルール(デジタル・国有企業等)を持つメガEPA。自由で公正な経済秩序の構築に寄与。 ⚫ 新規加入については、①協定のハイスタンダードをみたす用意があること、②貿易に関するコミットメントの遵守する行動を示し てきていること、③CPTPP締約国のコンセンサスに基づいて決定がなされることという「3原則(オークランド原則)」に基づく ことがCPTPP参加国間の共通認識。 ⚫ 一般見直しについては、 2025年11月の閣僚委員会において、電子商取引、サプライチェーン強靱化等の分野で協定改正を通じた 規律の強化を決定。また、市場歪曲的慣行への対応等について協定改正を伴わない見直しを進めることを決定。 ⚫ 中国、台湾、エクアドル、コスタリカ、ウルグアイ、ウクライナ、インドネシア、フィリピン、UAEの9エコノミーが加入要請済 であり、そのうちコスタリカについては、2024年11月に加入作業部会の設置を決定し、現在加入交渉継続中。 2025年11月の閣 僚委員会において、ウルグアイの加入手続を開始することともに、UAE、フィリピン及びインドネシアについても、適切であれば 2026年に加入交渉を開始することが決定。 <CPTPPの経済圏規模> 人口: 約5.8億人 GDP: 約14.7兆ドル 貿易総額:約8.7兆ドル ※11か国+英国の合計値 (出典:IMF2022年) :CPTPP参加国 :加入作業部会立ち上げ済の国 :加入要請エコノミー ※議長国(批准順):加(2024)→豪(2025)→越(2026)→ペルー(2027)→馬(2028) 61 ルビオ米国国務長官主催重要鉱物閣僚会合 堀井外務副大臣によるルビオ米国国務長官主催重要鉱物閣 僚会合出席にかかるプレスリリースより抜粋(2026年2月5日) 2月4日(ワシントン現地時間)、堀井巌外務副大臣は、茂木外務大臣の代理としてマルコ・ルビオ米国国 務長官主催の重要鉱物閣僚会合に出席したところ、概要は以下のとおり。 ➢ J・D・ヴァンス米国副大統領、スコット・ベッセント米国財務長官、ジェイミソン・グリア米国通商代表、 クリス・ライト米国エネルギー長官に加え、カナダ、イタリア共和国、欧州連合(EU)、豪州、インド共和国、 大韓民国等の閣僚級が出席。 ➢ ヴァンス副大統領から、トランプ政権は、世界の重要鉱物市場を、より健全で競争力のある状態に戻すための 具体的な仕組みとして、実効性のある価格スコアによって外部からの混乱を防ぐ「重要鉱物に関する特恵貿易圏」 の創設を提案、 優先貿易圏の加盟国には、基準価格が価格の下限として機能し、調整可能な関税により支えら れる、同盟国及びパートナー国とともに、貿易ブロックを形成したい旨発言。 ➢ ルビオ国務長官から、参加国には採掘、精錬、重要鉱物の消費といったそれぞれが果たす役割があり、具体的な行 動に繋がることが重要、同志国による真にグローバルな取組でなければならない、重要鉱物の多様な供給と、安全 で強靱なサプライチェーンを世界全体で確保し、いかなる国の経済も、他国からの圧力や市場の混乱によって脅さ れない状態を実現したい旨発言。 ➢ 堀井副大臣は、ヴァンス副大統領及びルビオ国務長官に続き冒頭挨拶を行い、重要鉱物を巡る厳しい状況下で その安定供給が世界経済の安定的な発展に不可欠であること、需給両側面でのアプローチを同志国と協力して 進めることが重要であり、我が国として重要鉱物サプライチェーン強靭化に強くコミットすること等について 発言。 ➢ 同会合では、「鉱物安全保障パートナーシップ(MSP:Minerals Security Partnership)」の取組を引き継 ぐ新たなイニシアティブである「資源の戦略地政学的関与に関するフォーラム(FORGE:Forum On Resource Geostrategic Engagement)」の立上げが発表され、FORGEを通じた同志国連携の推進につ いて議論が行われたほか、貿易上の協力や、鉱物分野の投資に関する協力についても活発な議論が行われた。 62 (仮訳) 2月4日重要鉱物閣僚会合に続く、米国政府、欧州委員会及び日本政府 「2月4日重要鉱物閣僚会合に続く、米国政府、欧州委員会及び日本 との間の 共同プレスステートメント 政府との間の共同プレスステートメント」(2026年2月5日)より抜粋 経済安全保障の前進―EU、日本、米国は重要鉱物サプライチェーン強靱性に関する戦略的パートナーシップを 形成する 本日、米国、欧州連合及び日本は、EU加盟国数か国も参加したワシントンD.C.にて開催された重要鉱物閣僚会合において 一堂に会した。 米国、欧州連合及び日本は、今、重要鉱物のサプライチェーンの強靱性を共同で強化することにより、経済安全保障及び安 全保障の増進に向けて大きな進展を遂げている。米国、欧州連合及び日本は、2つの要素について、互恵的なパートナー シップに向けて協調的な取組を加速する意図を表明した。 これは重要鉱物サプライチェーンの安全性の向上を目的とした米国と欧州連合の間の了解覚書を30日以内に結ぶとのコ ミットメントを含む。今後米国と欧州連合との間で結ばれる了解覚書は、採掘、精錬、加工及びリサイクルでのプロジェク トを特定し支援することにより、需要を刺激し米国及び欧州連合双方の供給を多様化するための協力分野を特定する。また、 その覚書は、サプライチェーン途絶の防止、研究・イノベーションの取組の促進、備蓄に関する情報共有の促進のための措 置に係る議論を含む。加えて、2025年10月27日に日米両国の首脳が「採掘及び加工を通じた重要鉱物及びレアアー スの供給確保のための日米枠組み」を署名しており、上述の領域を包含している。 米国、欧州連合及び日本は、既存の国際協力及びイニシアティブを基盤として、行動計画を発展させ、重要鉱物の貿易にお いて志を同じくするパートナーと共に、複数国間の貿易イニシアティブを探求する意図を有する。そのような複数国間の貿 易イニシアティブは、国境で調整される価格フロア、基準に基づく市場、値差に係る補助金、オフテイク契約といった調整 された貿易政策及びメカニズムの発展を探求することを含み得る。 国務省が了解覚書に係る米国の関与を主導する。米国通商代表部が行動計画に係る米国の関与を主導する。 欧州連合、米国及び日本はG7 並びに鉱物安全保障パートナーシップ(MSP)及びその後継フォーラムを含む関連する国際 場裏において、これらの観点について一層関与するとともに、重要鉱物の強靱性のための追加的な可能性及び他の措置を探 求する意図を有する。 63 デュアルユースの産業基盤の重要性 第1回防衛産業ワーキンググループ 資料3 事務局説明資料より抜粋(2026年2月20日) • ロシアによるウクライナ侵略では、既存の民生技術を全面的に活用し、「新しい戦い方」への迅速な対応のための 戦い方のアップデートが行われている。また、民生用の産業基盤を積極的に転用することで、迅速な装備品の量産 基盤を整備している事例が存在。 • AI・半導体、量子、航空・宇宙、最先端素材などの分野における産業基盤を強化し、そうした基盤を防衛分野で 積極的に活用することの重要性は増大していく見込み。こうしたデュアルユースの技術・生産基盤を構築することが、 「継戦能力の確保」と「新しい戦い方への対応」の双方の観点から重要。 • また、こうした投資を促進することは、我が国防衛力の強化に貢献するのみならず、日本全体の経済成長にも貢献。 ※なお、デュアルユースとは、完成品、構成品・部素材、技術、製造基盤などにおいて、防衛用途・民生用途の双方で活用可能なものを指す。 民生基盤を活用したシステムの開発 民生基盤を活用したドローンの開発・生産 ✓ 2023年2月にウクライナ軍において、状況監視システム「Delta」 を新たに開発・導入。 ✓ ウクライナでは、民生用の生産ライン、研究用設備を防衛転用 することにより、迅速なドローンの量産体制を構築。 ✓ 多くの民生システムとの接続や、民生ベンダーによる多様な機能を 提供。 (詳細) (詳細) ✓ Deltaはスターリンクを介して、どこからでもアクセス可能。 ✓ Google Mapをベースとして、ウクライナ軍とロシア軍の部隊 位置を表示する「Delta Monitor」機能と連携。 ✓ 戦下のウクライナでの民間人の所在確認機能を持ち、軍事作戦 のターゲティングにも関連すると考えられているアプリ 「Bachu」を宇国内の民生ITベンダーが開発。 ✓ 民生用の機械加工・電子部品・プラスチック成形などを行っ ていた工場区画を、ドローン用の部品の生産ラインへ転換。 ✓ 研究機関における3Dプリンター、高性能工作機械といった 研究設備を、ドローン部品の試作・小ロット生産に活用。 ✓ ウクライナの官民連携オープンイノベーション・プラットフォー ム「BRAVE1」に登録するドローン企業は、7社(2022年時 点)から500社以上(2025年時点)に大幅増加。 64 出典: https://www.nids.mod.go.jp/event/pdf/webinar-2025-03.pdf 出典: https://dronelife.com/2025/11/12/ukraines-drone-boom-how-wartime-innovation-is-reshaping-the-global-drone-industry/ 5.地方を出発点としたAXによる産業構造・就業構造転換 【課題認識】 ⚫ 我が国の少子高齢化に伴う問題は地方で先鋭化しているが、今後は大都市圏で高齢化が進み深刻化。少子高齢化は、人口減少による市場縮 小のみならず、生産年齢人口の相対的な減少による構造的人手不足をもたらす(人口減少≠少子高齢化)。人手不足の問題は、労働集約的 なエッセンシャルサービス(ES)を中心とした地域循環型のサービス産業で特に先鋭化。 ⚫ 加えて、長引くデフレ経済下で、サービス業の生産性は他国に比して低く、事業主体も中堅・中小が太宗のためデジタル化等の投資による 生産性向上も不十分な状況。 ⚫ AIの本格導入によって、従来の産業構造・就業構造全体が変容していく中、ESの現場現業の仕事はAIで補完し生産性を大きく向上する (ライトブルーカラー/アドバンスト・エッセンシャルサービス)。我が国は、構造的人手不足のため生産性向上による雇用問題は起こり にくい、中小・中堅企業のデジタル化が進展していないため、AIによるリープフロッグが可能といった勝機を持っている。 ⚫ 世界でもブルーカラービリオネアの出現がトレンド化する中、地方をAXの出発点として、AIをコアとした全国的な産業構造転換・就業構 造転換を実現し、①フィジカルAIを中心としたAXの世界最先端の社会実装の実現、②構造的な人手不足に苦しむESの持続性向上、③長引 く低生産性・低賃金構造にあったサービス業改革、④世界をリードする技術・ビジネスの創出や地場産業の付加価値向上に向けた産業クラ スターの形成、⑤AXによる中堅・中小企業の生産性向上、⑥結果としてのマクロ全体での生産性向上・賃上げの実現を同時に達成する。 ⚫ また、こうしたES事業の担い手は、①政府・自治体といった公的主体が供給するもの(「公共財」)の他、②市場ベースで民間企業が供 給するものも存在。公的主体が供給する領域を拡大するという考え方もあり得るが、財政的・人的・技術的制約により限界。このため、市 場ベースでの民間主体によるES供給を持続可能とする新たな組織体の形成も促進する必要。 【政策の方向性】 ⚫ アドバンスト・エッセンシャルサービスを創出すべく、ESを中心としたサービス業に向けてフィジカルAIを展開していくべきではないか。 ⚫ 人手不足業種・戦略分野への労働移動・人材確保の促進(再掲) ⚫ 産業用地・インフラ・エネルギーの確保(地域毎の産業クラスターの形成等)(再掲) ⚫ 地方の中堅・中小企業のAXを加速させる新しい形の中小企業政策の展開を図っていくべきではないか。 ⚫ ESのさらなる持続性・生産性向上に資する投資促進、ES事業の担い手となる新たな組織体の形成促進に向けた検討をすべきではないか。 65 ES産業政策・制度的措置の方向性 産業構造審議会 地域経済産業分科会 地域生活維持政策小委員会 中間報告(令和7年12月18日公表 要旨) 1.ES供給事業の社会的認知度の向上等 ⚫ESの供給は、人々の生活維持に不可欠なものであり、また、産業の担い手を支えるエコシステムであり、公益性が高い。ES供給 事業のこうした位置づけの社会的認知を高めるためには、国がその意義を制度的に位置づけて対外的に明らかにする仕組みを 講ずることが有効。その結果、企業間連携や官民連携の促進、生活圏及び商圏における住民理解の醸成等につながる。 ⚫制度的措置の立案・運用に当たっては、ESに関する制度・事業所管省庁や地域社会に関わる関係府省庁との連携が不可欠。 2.ES供給の持続性確保のための方策 (1)事業の採算性向上の支援 ⚫厳しい事業環境にあるES供給事業の継続のためには、事業採算性を確保するための工夫が必要。事業運営の効率化として、① 業務効率化・省力化、②広域化、③多角化の手法が考えられる。上記の手法は、事業主体の合理化を通じて実現されることも。 ⚫こうした取組を後押しするため、各種補助金の弾力的運用のほか、これまで産業政策として講じてきた資金供給の円滑化の ための金融支援(信用保証・信用保険、債務保証、公的金融機関による低利融資等)を、”ES供給の持続性確保”というミッ ション志向で活用することが有効。 (2)多様な主体の参画の促進 ⚫様々な事業環境におけるES需要を満たすためには、 株式会社等の企業のほか、生協、農協等の協同組合、公益法人、労働者協同組 合(労協)、NPO等の中間団体の参画が重要。自社の短期的な利益だけでなく地域経済の中長期的な利益を見据えてES供給事 業を担う地域密着型企業も重要な役割を担う。 ⚫中間団体の参画の促進には、事業協同組合等の設立要件の緩和、消費生活協同組合の員外利用に係る手続の簡素化、労協の資 金制約の緩和、地方公務員が参画する場合における手続の円滑化等の措置が有効。 3.ES供給事業の支援体制の整備 ⚫事業者の取組を後押しするため、地域の社会経済・産業を支える社会インフラとしての責務を自認する諸団体(商工団体、地 域金融機関、協同組合連合会(生協等)、郵便局、ES関連産業・職能団体等)がES供給事業者の支援に参画する枠組みを構築 することが重要。 ⚫地方公共団体がこうした団体の参画を募り、各者の知見やノウハウを共有する場の設定も有用。 66 第4回 地域生活維持政策小委員会 資料8より抜粋(2026年2月25日) AI時代におけるエッセンシャルサービス産業 ⚫ AI・自動化により代替困難な業務が高技能である職業(職業②)は高賃金の「良質な雇用」(※“ブルーカラービリオネア”) ⚫ ES産業における低技能業務を自動化し、自動化が困難な対人サービス業務やコミュニティ維持機能など、高技能業務等のみを残せ ば、高賃金の「良質な雇用」の創出が可能。=「アドバンスト・エッセンシャルサービス(AES)産業」。 ⚫ AES産業は「国民生活の維持」と「良質な雇用」の二重の意味で不可欠。=「ダブル・エッセンシャルサービス産業」 ⚫ AESへの進化の鍵となるのは、自動化など省力化のためのテクノロジーとその社会実装。=「ESテック」 自動化される業務 賃金 職業① 雇用 • 技能の必要性の低下 最も高技能 • 低技能労働者の参入 職業② • 技能の必要性の向上 最も低技能 • 低技能労働者の退出 技能の高さ (出所)David Autor and Neil Thompson(2025) ‘Beyond Job Displacement: How AI Could Reshape the Value of Human Expertiseを参考に作成 https://www.digitalistpapers.com/vol2/autorthompson 67 中小企業のAX(AI Transformation)の促進 ⚫ 中小企業は意思決定が早く、現場の声をすぐに反映できる柔軟性を有することや、現場で培われたノウハウなどAIが学習 できる「現場の知見」が豊富に存在することから、フィジカルAIの導入・活用などAXが多くの中小企業において進めば、 中小企業のポテンシャルを最大限引き出し、事業を大きく変革する可能性を秘めている。 ⚫ また近年、生成AIが急速に発展。年間数万円のサブスクのような少額な投資でも、仮に社内エンジニアが不在でも、経営 者の意思や想像力次第で、業務を大きく変革する可能性を秘めている。 ⚫ こうしたことを踏まえ、中小企業のAXを促すため、以下のような取組を検討中。 ① 中小企業のAX促進のため、AIの導入意欲のある中小企業とAIサービス提供者、支援者のネットワーク構築を地域ご とに支援(自治体・金融機関・高専等と連携) ② 中小企業の自主的な省力化・デジタル化を後押しする生成AIツールの社会実装 気づき 自経 発営 的者 な・ 行企 動業 促の 進 企前 業向 へき のに サ取 ポり ー組 トむ 現状分析・課題設定 AX・デジタル化・省力化の実行・定着 省力化補助金 一般型 省力化ナビ ②生成AIツールによるデジタル化・省力化支援 省力化補助金 カタログ注文型 デジタル化・AI導入補助金 ①中小企業AX促進のための ネットワーク構築 支援機関による伴走支援 よろず支援拠点 生産性向上支援センター 商工会・商工会議所 68 エッセンシャルサービスの供給を担うステークホルダーのスペクトラム 第4回 地域生活維持政策小委員会 資料8より抜粋(2026年2月25日) ⚫ 「民間」か「公共」かではなく、公的主体と私的主体の間に公私の境界を超えた多様な形態の主体が存在。 ⚫ エッセンシャルサービスの供給の持続性確保には、多様な主体間の相互連携や組み合わせが重要。 民間セクター 中間団体/セクター 郵便局 内需型企業 株式会社 (営利企業) 社会的企業 地域密着型企業 住民出資会社 公共セクター 商工団体 中小企業組合 生協 農協 労協 公設民営 公営 産業団体 職能団体 大学等教育機関 69 政府、企業、中間団体等、多様な主体の参画 ⚫ マギル大学経営大学院教授のヘンリー・ミンツバーグは、「政府セクター」「民間セクター」「多元セクターの団体」 (協同組合、商工会議所、職能団体、業界団体、公益法人等の中間団体)のバランスが重要と指摘。 ⚫ エッセンシャルサービスの維持のためには、政府、企業に加えて、中間団体等、多様な主体の参画が必要。 ヘンリー・ミンツバーグ『ミンツバーグの組織論』より エッセンシャルサービス産業政策の体系 (出所)産業構造審議会 地域経済産業分科会 地域生活維持小委員会 中間報告「エッセンシャルサービス産業政策ーエッセンシャルサービスの供給の持続性確保に向けた制度検討ー」(令和7年12月18日) 70 1.マクロ経済運営のあり方 2. 「新技術立国・競争力強化」 3.消費活性化 71 ディマンドサイド改革(消費活性化) 【課題認識】 <「消費の量」に関する現状> ⚫ マクロ経済の好循環において「消費活性化」はミッシングピース。実質賃金向上に加え消費需要創出政策の検討が必要。 ⚫ 日本全体での消費性向は過去水準並みではあるが、二人以上の勤労世帯に絞ると可処分所得の増加に対して、家計消費は 伸びておらず消費性向は低下。 ⚫ 可処分所得が増える中で、貯蓄額が増加していることから、実質賃金向上といった可処分所得の増加施策だけでなく、将 来不安の軽減や消費需要の喚起といった消費マインドを変化させる政策の検討が必要。 ⚫ お金を払ってでも消費したいという有償な消費を生むためには、「消費の量」だけでなく、「消費の質」の観点からも向 上させていくことが求められる。 <「消費の質」に関する検討> ⚫ 「消費の質」の向上に関しては、”消費における個人の意思の希薄化といった負の側面”を軽減する質の向上と、”新しい 価値を創造するといった正の側面”を醸成する質の向上が存在すると考えられる。 ⚫ 近年の消費は、情報接触段階においてデジタル化が進展し、広告・SNS等の影響も増加。結果として、自身に最適化され た購買が容易となった。一方、過度な影響を受けると、自身の消費に対しても自身の感情ではなく、周囲によって価値が 形成され、消費の幅が規定されることにより、結果として消費の質が低下してしまう可能性がある。 ⚫ 今後もAIの進展により、AIエージェントを介した消費は探索時間から解放され、純粋な体験に集中することができるが、 個人の意思がより希薄化してしまうリスクが存在。それに対して、AI・デジタルを最大限導入・活用しながら、自身が本 来欲しかった財・サービスを購入できる消費のエコシステムの形成が必要となる。 ⚫ また、消費自体は経済活動において主要な活動であり、社会や個人が抱えている問題と上手く連動させることで、双方に とってメリットを生み出すことができ、そういった新しい価値を生み出していく消費の検討が必要。 ⚫ 両側面での「消費の質」の向上によって、質の高い消費が満足度を高めることで次の消費を生み、「消費の量」も増える 72 好循環の形成を目指す。 消費構造の概念整理 ⚫ 「有償な消費」の需要創出のため、消費構造の概念を把握し消費者の欲望に応じたweb上での検討行動・消費行動を分析。 ⚫ 情報接触・暮らし方等の変化は、価値観と検討プロセスの変化を通じて消費量に影響。今後のAXによる変化を想定し、価 値観と検討プロセスの2つの変数に対して、消費の活性化につながる政策的なアプローチを検討。 ▼消費構造の概念 基礎的支出 (生活必需費) 可処分所得 消費 (選択的支出) = 供給力 × 消費余力 × 消費意欲 (=消費性向) 欲望 欲求 価値観 検討プロセス 社会的背景 情報接触 ▼消費の検討プロセス 欲望① 消費における特徴的な検討行動・購買行動 ~ 消費 欲望⑪ 情報接触・暮らしぶりの変化が影響 消費構造を理解した上で、 1. 価値観の変化 2. 検討プロセスの変化 に対する政策的アプローチを検討 73 ディマンドサイド改革(消費活性化) 【政策の方向性】 ⚫ 消費活性化のためには、持続的賃上げや、負担と給付のバランスが取れた社会保障システムだけでなく、「有償な消費」 需要の創出のため、現在そして将来の消費構造を把握し、適切なアプローチを検討していくべきではないか。 ➢ 消費構造の要素を分解すると、「有償な消費」需要(=消費意欲)は”欲望”と消費の”検討プロセス”によって形成され、 社会やテクノロジー等の変化によって、欲望の要素となる価値観や、消費の検討プロセスにおける社会的背景、情報接 触行動は変化。 ➢ AI・ビックデータ分析を行い、消費構造の解像度を上げることで、消費に対する価値観の影響、検討プロセスの理解 を深め、今後もAIの活用等により、価値観・情報接触行動が変化していく中で、「有償な消費」を生むための「消費 の質」の向上を目的として、現状は「消費の質」の低下につながっている消費の検討プロセスへのアプローチや、「消 費の質」の上昇につながる個人の価値観の醸成に対する政策的アプローチを検討していくべきではないか。 ⚫ また、「有償な消費」を実現するためには、ディマンドサイドの喚起だけでなく、サプライサイドの構造改革も不可欠。 良質な消費意欲に応えるために、サプライサイドにおいてもAI活用による改革や文化的側面による付加価値の創出が求め らえる。具体的には、軽工業を中心とした伝統的な「モノづくり」と、デジタル・体験的な「サービス」を高度に融合さ せ、新たなtoC産業への再構築を検討すべきではないか。 ⚫ これらの政策的アプローチを見据えて、来シーズンは具体的には下記論点での議論を進めていくべきではないか。 1. マクロでの消費 :日本経済における消費の影響と過去の消費の変遷 2. 過去の消費分析 :モノの需要・供給が一定足りている中、心を動かす消費の増加が停滞している要因 3. 消費におけるAX :AI時代における消費構造の変化 4. 質の高い消費 :社会課題・個人の課題の解決につながる「質の高い消費」のあり方 5. 欲望・欲求の変化:大局的目線での人々の欲望・欲求の変化とそれにつながる消費 6. 価値観の変化 :社会構造の変化等によって引き起こされる個人の価値観の変化 7. マーケティング :AI時代において「質の高い消費」を実現するための国・企業単位でのマーケティングのあり方 8. 海外需要の取込 :インバウンド需要の拡大とAIを活用したサービス業等の供給力強化 9. サプライサイド :消費をサービス産業だけなく、軽工業も合わせた新たなtoC産業構造のあり方 74 収入に対する支出先 ⚫ 足下は物価の上昇もあり、家計の収入は増えているが、お金の使い道で最も増加しているのは貯蓄につながる黒字額。 ⚫ 税・社会保険料といった非消費支出が増加し、エンゲル係数も上昇している中、選択的支出は金額としては増えているも の、支出のシェアとしては低下しており、消費性向は低下。 実収入に対するお金の支出先(二人以上・勤労世帯) (円) 700,000 基礎的支出 選択的支出 非消費支出 黒字額 600,000 28% 500,000 24% 21% 21% 16% 19% 28% 30% 29% 32% 32% 31% 27% 消費性向 2000年 72.1% 2005年 74.7% 2015年 73.8% 2025年 65.0% エンゲル係数 22.0% 21.5% 23.6% 27.1% 400,000 16% 19% 300,000 200,000 100,000 26% 0 • • • エンゲル係数:消費支出に占める食料費 基礎的支出 :支出弾力性が1.0未満の支出(米、野菜、家賃、電気代等の必需品が主に該当) 選択的支出 :支出弾力性が1.0以上の支出(ワイン、ケーキ、宿泊料等の贅沢品が主に該当) (出所)総務省「家計調査」 75 物価の傾向と消費の動向 ⚫ 選択的支出である教養・娯楽(選択的支出)において、2023年2024年は物価上昇に伴い買い控えが生じていたが、2025年 は物価が過去最高に上昇しているにもかかわらず、支出は前年同期比で増加している。 ⚫ 将来の物価の予測において、1年後の物価がかなり上がると予想している割合は2022年から横ばいであるが、5年後の物価 がかなり上がると答えた割合が著しく増加。消費者が物価上昇を一時的なものではなく継続的であると捉え、買い控えせ ずに購入するという消費マインドの変化が生じていると考えられる。 消費者物価指数と実質消費額の増減率 消費が増加した人の割合の推移 (教養・娯楽 前年同期比) (教養・娯楽 40% 消費者物価指数) (%) (%) 35 60 2021 20% 2022 2025 1年後の物価がかなり上がると答えた割合 選択的支出を増やしたと答えた割合 30 30% 物価予測の推移 50 日常的支出を増やしたと答えた割合 5年後の物価がかなり上がると答えた割合 25 40 10% 2023 2024 20 30 0% 15 -10% 20 10 -20% 0 (年) (年) 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 2021 2022 2023 2024 2025 2025 2024 2023 2022 2021 2020 2019 2018 2017 2016 2015 2014 2013 2012 0 120 (消費額の増減率) 2011 115 2010 110 2009 105 2008 100 2007 95 2006 ※各年の月次情報を記載 -40% 10 5 2020 -30% (注)左図において、教養・娯楽の実質消費額の増減率(月次)は同実質消費額の前年同月との比較で算出した。教養・娯楽の実質消費額は支出額に対して教養・娯楽の消費者物価指数を用いて実質化した。 実質消費額は二人以上・勤労世帯を対象としている。 (出所)左図:総務省「消費者物価指数」「家計調査」、右図:日本銀行「生活意識に関するアンケート調査」 76 消費における欲望の分解 ⚫ 現代の欲望は、様々な根源的な11の欲求と人それぞれの価値観によって構成されており、欲求・価値観が異なると消費行 動も異なる。 ⚫ 根源的な欲求は不変ではあるが、価値観の変化を受けて欲望も変化し、消費行動・消費性向の変化につながる。 ⚫ 欲望に作用する「心が動く消費体験」は、次の良い消費体験につながり「消費の好循環」を生む。 根源的欲求 価値観基盤 ➢ 時代における「べき」論 根源的な欲求とは、 人が生まれつき 共通して持つ、 行動の土台と なる基本的で 不変なもの。 合計購入金額の平均 (円/年) ➢ 社会トレンド、テクノロジー・情報環 境変化を踏まえて変化 1980年代:高成長時代で贅沢さを追求 1990年代:不況の時代、個人志向・低価格重視 2000年代:効率重視で手軽さ・コスパが進展 2010年代:ネットを介し、個人の価値観が重視 各欲求をもつ消費者の購入金額 (1回当たり、年平均) 46,000 探求&創造 保身&安全 44,000 健康&平穏 興奮&享楽 42,000 収集&没頭 遊興&解放 承認&優越 40,000 38,000 社会貢献&保守 36,000 34,000 3,000 愛情 自由&安楽 3,200 繋がり&共感 3,400 3,600 3,800 4,000 (出所)電通デザイアデザインHPより引用 LINE ヤフー「Yahoo!ショッピングの購入データ」 1回当たりの購入金額 4,200 (円/回) 出所:日本生産性本部「レジャー白書」 77 消費の検討プロセスの分析方針 ⚫ 消費の構造・検討プロセス理解のため、AI・ビックデータを用いた分析を実施。消費者が持つ欲望ごとの特徴的な検討行 動・消費行動を分析することで、消費構造を理解し、「消費の質」の向上に対する消費の検討プロセスや、個人の価値観 への影響を捉えることで、政策的なアプローチの検討につなげる。 ▼Step1:特定カテゴリにおける消費構造の把握 特定欲望層 特定欲望層の 特定の消費カテゴリ 特定カテゴリに (すべての欲望において) 消費構造の拡張 ➢ Step1と同様の消費構造が他の消費 カテゴリに対しても適用できるのか おける消費 ▼Step2:その他のカテゴリへの 消費構造の適用 特定の欲望における特徴 的な検討行動・購買行動 消費構造の仮設を設計 ➢ 欲望に対して消費のプロセスはどのよ うに形成されるのか ➢ 情報接触におけるAIによる影響の把握 特定欲望層の 他のカテゴリに 他の消費カテゴリ おける消費 欲望の変化の分析 ➢ 価値観の変化による欲望の変化を把握 78 消費に影響する社会の大きな変化・潮流① ⚫ テクノロジーを代表とした社会の変化は、生産性の向上といった供給面への影響だけでなく、①生産性の向上を通じた賃 金の上昇、②社会の変化に伴う個人の価値観の変化、③社会の変化に伴う社会的背景の変化、④テクノロジーの進展等に よる情報接触の変化という経路を通じて、個人の需要面にも大きく影響。 ⚫ 需要面にも影響を与える社会の変化は多くの要素が想定され、代表的な要素とその影響に関して検討。 ▼暮らし方の変化例 ▼情報の受け取り方の変化 ➢ 長期的には、社会や生活スタイルの構造的な変化が影響し、個人の需 要が変化。テクノロジーだけでなく、社会的価値観等も影響。 ➢ 情報過多社会の中、情報量の増大やSNS疲れ、 自己防衛反応としてのフィルターバブルやエ コーチェンバーといった情報接触行動が定着 ▼ 暮らし方の変化の例 ➢ 地方における人口減少に伴う身近な生活サービス業の撤退、共働 き世帯の増加に伴う家庭の可処分時間の減少の影響で、買い物の 頻度は低下し、まとめ買いへシフト( 冷蔵庫の大容量化) ➢ 購買頻度が低下したことで、冷凍食品のニーズが増加した他、 マーケティングのあり方も変化。これまでのマーケティングは毎 日の購買行動を前提としたコミュニケーション設計を行っていた が、頻度が低下した場合は、15秒のCMでは認知の獲得が難しく、 長尺でブランド価値を提供するCMの方が有効的になることも考え られる。 ▼ (参考)冷蔵庫の大容量化 2000年代:400~420Lクラスが主流 2005年~:450~470Lクラスが主流 2010年~:500L以上へシフト(冷凍庫容量が300L前後) ➢ 今後はAIエージェントにより、情報接触の変 化が進展 情報過多 SNS疲れ 生成AIの利用進展 フィルターバブル エコーチェンバー 79 消費に影響する社会の大きな変化・潮流② ⚫ 時代とともに情報の流通は変化し、個人の価値観へ影響。 ⚫ 近年、AIエージェントの登場により、情報の流通において、情報を受け取り・判断する主体は「人」であったが、「エー ジェント」へ交代。エージェントが情報探索を担うことで、人は体験に集中できるようになり、消費形態が変化。 マスメディア時代 検索時代 SNS時代 AIエージェント時代 情 報 流 通 電波・紙媒体による 一方向で同時の流通 ネットの普及により、 自ら情報を探索 スマホ・SNSにより、 常時情報と接続 AIエージェントが意図を 汲み取り、情報を処理 価 値 観 変 容 与えられた情報を 「受容」し、メディアに よって共通言語が形成 受動から能動的な 「選択」となり、情報の 主権がユーザーへ 他者や社会と 接続・可視化され、 「共感・同調」を重視 プロセスが自動化し、 意思決定すら委譲、 「自分軸の本質」へ回帰 (出所)電通資料より引用 80 (参考)未来の経済社会システムのあり方 (技術革新と人類社会の未来) 81 フロンティア開拓競争時代に求められるイノベーション・ガバナンス ⚫ 主要国のイノベーション政策は、イノベーション・エコシステム形成から、次世代技術を巡るフロンティア開拓競争に移行。 ⚫ フロンティア開拓競争の時代においては、技術発展動向と社会経済への影響の分析・予見とそれに基づく戦略的政策立案に未 来の経済社会システムのあり方に関する検討の一環として取り組んでいくことが中長期的には必要ではないか。 フロンティア開拓競争時代のイノベーション政策 戦略的技術フォアサイト 技術の将来動向と社会経済への影響を体系的に見通し、中長期のフロンティア技術政策の方 向性を先見的に示す取組み。 一気通貫の社会実装支援 技術の発展動向に合わせ、研究開発から市場形成・ルール設計までを統合し、供給政策と需 要政策を連動させた社会実装主導型の技術支援。 ー供給政策(人材育成、R&D支援、インフラ整備支援等) ー需要政策(倫理面含む国内・国際ルール形成、公共調達等を通じた初期需要形成政策) 国際ルール形成・国際協調 技術競争が国際的に展開されることを踏まえた、共通分析・標準・対話を通じた多国間協調 の推進と、責任ある技術市場とルール作り。 求められる組織的機能・エコシステム 重点科学分野に関する深い知識に基づき、基礎科学から社会応用ま でを横断的に分析し、俯瞰的かつ戦略的に政策を立案できる組織的 機能の確立、高度専門人材の育成とエコシステム形成が不可欠に 82 21世紀における4つの技術的「メガトレンド」 ⚫ 技術の発展動向の分析から、技術的「メガトレンド」を特定し、未来シナリオとして整理 ⚫ この結果、「人類を超える知性の出現」、「人間の認知・身体的拡張」、「健康寿命の飛躍的延長」、「エネルギー・資源制 約の克服」の4つの技術トレンドが抽出された。これらは社会の知能・認知的制約、物理・生物学的制約、空間的制約、環境 制約を解消させることで、人類社会に革命的影響をもたらすことが予想される。 4つの技術的メガトレンド • • 人類を超える知性の出現と 高度な自律意思決定 人類の知的能力を凌駕する汎 用AIの実現 複雑なデータを統合的に判断 する高度自律システムの実現 • 人間の認知・身体的拡張と 行動の最適化 • サイバネティック・アバ ターやメタバースを通じた 身体的・社会的活動の拡張 • ブレインテクノロジーによ る人間の認知能力の高度化 次世代エネルギー源と エネルギー・資源制約の克服 • フュージョンエネルギーや再 生可能エネルギーの開発によ るエネルギー制約克服 • 資源循環・資源代替の進展 • 長寿化と健康寿命の 飛躍的延長 健康状態のモニタリングと 早期予測・予防 老化機構の解明と寿命延長 83 社会設計の指針となる価値規範(Guiding Values) ⚫ 技術の発展動向を踏まえたとき、今後の社会設計および政策形成において重視すべき価値とは何か。すなわち、私たちはどの ような社会を目指すべきなのか。その際、日本的価値観はどのような意義を持ち、どのような役割を果たし得るのか。 (例)社会設計の指針となる価値規範 (1)人間の尊厳と能力発揮 • 主体性・創造性を発揮できる環境 • 生きがい・社会参加・自己効力感の重視 • 人間拡張・長寿命化を支える基盤づくり (2)公平と社会正義 • 生活基盤技術(健康・教育等)への公正なアクセス • 格差の固定化を防ぐ制度設計 • 市場と公共の適切な境界設定 (3)多様性・多元性 • 多様なライフコースの選択可能性 • 技術開発における個性・価値観の多元性の尊重 • 技術による均質化への抑制とバランス (4)自己決定と民主主義 • 自己決定と責任を維持する制度設計 • 情報空間の信頼性確保、透明性・説明責任を支えるガバナンス • 市民参加と熟議の維持 (5)平和・社会の自律性・文化的アイデンティティ • 技術主権・データ主権の確保 • 各国・地域固有の価値観・文化を尊重した社会設計 • 協調と競争の均衡を図る国際ルール形成 (例)日本的価値観の例 • • • • 調和(和)と関係性の重視 技術への信頼、技術との共存 安定志向とリスク回避 包摂、中間層の重視 84 日本の立ち位置とイノベーション・ガバナンスの方向性 ⚫ 今後の技術革新は、企業主導のテクノリバタリアン的な動きと、安全保障と結びついた国家主導のアプローチが併存しなが ら進展すると見込まれる。これらはイノベーションを加速させる可能性を持つ一方で、倫理・格差・多様性といった公共価 値が置き去りにされる危険性も孕む。こうした国際環境の中で、日本はどのような立ち位置を取るべきか。 イノベーション・ガバナンスの方向性(仮説) ELSI(倫理・法・社会)に関する社会合意形成を進め、技術の戦略的活用と国際的ルール形成を通じて公共的価値を最大化 しつつ市場を創出する、“価値主導型イノベーション”の推進が我が国のとるべき方向性ではないか。 テクノリバタリアン型 市場と技術の自由を最優先。イノベーション 加速と同時に、格差・倫理・社会分断を拡大。 “責任あるイノベーション”の欠落する可能性。 国家主導型 国家が軍事・治安対策のために技術開発を強 力に推進。 効率性は高いが、自由と創造性を 抑制し、“社会的価値”が置き去りとなるか。 事前規制型 技術の開発・実装に先立ち、厳格な規制を導 入。安全性と倫理は確保される一方で、イノ ベーションを抑制する可能性。 我が国が目指すべき方向性=価値主導型イノベーション・ガバナンス 社会的合意に基づき、技術を人間中心・社会共生型に方向づける。 ーELSI(倫理・法・社会)の検討と社会受容・ルール形成 ー公共分野での技術の戦略的活用と価値最大化のための未来社会のデザイン 85 本日、ご議論いただきたい主な論点 マクロ経済運営のあり方について ⚫ 長引くデフレ経済からインフレ基調経済に移行しつつある中、引き続き国内投資による経済の好循環を実現するため、 構造的な人手不足による供給制約をどのように解消すべきか。 ⚫ マクロ経済運営の進化を目指して、中長期的なマクロ経済運営上の課題の所在や、政策のあり方について、どのよう な検討アジェンダを設定すべきか。 「新技術立国・競争力強化」について ⚫ AXによる競争力強化や新たな付加価値の創出のためには、その前提となる企業経営改革(CX)が不可欠。他方、多く の企業でCXは道半ばと思われる中、経済システムの改革含め、政策的対応によってCXを加速化させることは可能か。 ⚫ 民間企業による積極的な成長投資を引するため、成長志向型コーポレートガバナンスを提唱。こうした考え方が日本 経済に迅速に定着するためにどういった工夫が必要か。加えて、それでもリスクテイクが困難な投資の実現のため、 複数年での措置を含め、どういった政策のイノベーションが必要か。 ⚫ 加速化するグローバルな研究開発競争を勝ち抜くために、大学・国研、大企業・SU等のイノベーション力をどのよう に高めていくべきか。特にグローバルで勝負するスタートアップを創出するためのスタートアップ・ファイナンスの あり方について、どう考えるべきか。 ⚫ AIを使いこなすデジタル人材、テクノロジー、AIレディな現場データの有機的連結など、AX時代において重要なグ ローバル立地競争力とは何か。それをいかに強化していくか。 ⚫ 米中二強状況となり、特に中国の産業競争力の猛烈な強化が図られる中、戦略分野における海外展開と有志国とも連 携した経済安全保障の確保をいかにして推進していくべきか。 ⚫ サービス業を中心に、地方を出発点としたAXによる産業構造・就業構造転換をどのように実現すべきか。こうした構 造転換の中で、エッセンシャル・サービスの持続性を向上させるためのさらなる方策として、何が有効か。 消費活性化について ⚫ AX時代を見据え、量・質双方の観点を踏まえた「目指すべき消費のあり方」とはどういったものか。そうした「消 費」を実現するために、需要サイド・供給サイド双方においてどのような政策イノベーションを起こすべきか。 86 今後の想定スケジュール ⚫ 12月22日(月)今シーズンの第1回新機軸部会(現状認識・今後の論点提示) ⚫ 3月5日(木)※本日 第2回新機軸部会 ・関連する委員会等での議論状況の報告も踏まえ、各重点アジェンダについて議論 ・特に日本成長戦略会議への報告も見据え、「新技術立国・競争力強化」を中心に議論 ⇒日本成長戦略会議において、「新技術立国・競争力強化」等の議論 ⚫ 春頃 第3回新機軸部会: 第5次中間整理(案)を議論予定 ⇒ 日本成長戦略・骨太方針へ 87 (参考)前回の主な議論内容(1/3) 1. マクロ経済運営のあり方について ⚫ 人手不足はAIやロボットの導入とセットで考えていくことが必要。 BS志向への転換、AIロボティクスレディのマクロ経済運営を議論していくべき。 ⚫ 本来対処すべき課題を先延ばしし、産業政策を通じて市場に介入し、よりゆがめるリスク。競合国は意識しつつも、産業政策が日本の課題 に適しているかは問う必要。 ⚫ 産業政策のあり方を考えたとき、イギリスの産業政策のような政策効果の検証メカニズムが透明性確保・対外アピールの面から重要。 ⚫ 諮問会議でもマクロ経済運営ばかり議論している中で、新機軸部会でマクロ経済運営のあり方を議論することが必要なのか。日本の弱みと 勝ち筋を徹底的に議論するべき。 2. グローバル競争型産業について ⚫ 産業の多産多死を許容して新陳代謝をしていくマインドセットが必要であり、スタートアップ支援だけでは不十分。個別企業の意思決定にお いて、成長に向けたアグレッシブなリスクテイクを推進するガバナンスが必要。あわせて、個人がリスクテイクにより専門分野を拡張することが必 要であり、専門的外国人材の活用も有効。 ⚫ 中間財を中心に、中国からの完全な自律は不可能な中、西側連合として対中依存を緩和し、自律性を回復することが必要。 ⚫ グローバル競争型における構造的課題は、リーダーシップ人材があまりにも欠如していることと、グローバルで戦えるスケールエコノミーが出せる 企業が少ないこと。ハイポテンシャル人材の早期登用や、業界内の再編統合の促進が必要。 ⚫ 海外からグリーンフィールドの直接投資を呼び込む必要。国外への宣伝力強化も含め、政策として取り組むべきではないか。 88 (参考)前回の主な議論内容(2/3) 2. グローバル競争型産業について(続き) ⚫ 交易条件改善に資するソフトパワー・IPビジネスにおける勝ち筋を考えていく必要。特に、新たなIPの生成、生成AIが登場する中での知財 保護・グッズも含めた収益構造のあり方が論点。 ⚫ 各国も課題認識を持っている中で、自由競争・協調ができる地域、国に政官民が連動して対応できるようにしていくというのはますます重要。 ⚫ グローバル競争に勝てる民間企業とは何かを解像度高く見極めて、その独自性と模倣困難性の構築を後押しできるようにするというのが重 要 ⚫ 日本の産業の勝ち筋を見つけるとともに、収益力に結びつける方策を考えていく必要がある。 ⚫ グローバルサプライチェーンに不可欠なピースとして、日本抜きにはこの産業は成り立たないという状況を作ることが重要。中国のやってきたこと はめちゃくちゃだが、見習うべき点がある。 ⚫ 日本はビジネスそのものよりも、市場の前提が変わっていく中で、変化が起きた中で事業構造をすぐ切り替えられるか、意思決定の速さが重 要。また、技術立国を目指すには、中堅中小が技術を試し、意思決定して実装するまでの役割を担うようにすることが重要。 ⚫ 経済的自由を重視するオフェンスと経済的保護を重視するディフェンスという異なる概念が共存するダブルスタンダードを許容していくことが大 事。 ⚫ 特定領域に資金が集まる米中と異なり、日本は資金供給が分散していることが問題。中小への資金供給も歪な状況。日本はどういった資 金調達/投資をしていくべきかを考える必要。 ⚫ 規制も含め、何が企業活動の妨げになっているかという引き算の議論も必要。 ⚫ 日本の勝ち筋は引き算も考えつつ、まねできない形でスケールさせていくことが大変重要。 ⚫ AIの導入等が進む中、規制緩和と同時に、新たな規制・ルール設定についても議論が必要 89 (参考)前回の主な議論内容(3/3) 3. 域内循環型産業について ⚫ 課題を検討する上で、グローバル/ローカル軸とオフェンス/ディフェンス軸の二本の軸が交差した四つの象限で考えた方がいいのではないか。そ の上で、ミッシングピースであるローカル×オフェンスとしてのインバウンドをどのように整合的に日本に受け入れていくかという議論も必要。 ⚫ L型産業が基盤にあり、その上にG型産業があるという補完性も描く必要。 ⚫ ローカルにおける好循環に関して、誰が意思決定をして、実行する責任を引き受ける構造になっているのか。もう一段、踏み込んで点検し、 中堅中小企業の経営者が踏み込んだ意思決定を行っていくという視点は重要。 ⚫ 量的制約は人口減少の中で所与のものとして捉えざるを得ないが、供給制約の中に質的な側面をどう入れ込めるかを議論すべきではないか。 ⚫ エッセンシャル領域は非正規雇用への依存を深めた結果、人的資本投資も行われず、人材の質が上がっていない。スキルの見える化を通じ て、ホワイトカラーからの労働移動とスキルベースの給与体系を実現する必要。 ⚫ 日本が競争力を有するのは、きめ細かいサービス・勤勉さ・正確性と、社会の安全性。これらを構成する日本的資本主義が何かを掘り下げ て、世界に知らしめるような経済システムを構築することが、少子高齢化が進む中で、日本が世界でリーダーシップをとることの根底になるので はないか。 ⚫ ベネッセ・直島やJINS・前橋のように、地域に一連の投資が固まって起こることによって、エリアの魅力が増し、そこに需要・消費が生まれていく。 地域ごとにどういう産業横断での仕組みを仕掛けるのかが重要。 4. 好循環のミッシングピースである消費活性化について ⚫ 消費活性化のカギは文化政策であり、ビジネス・外交の両方を捉えたマーケットメーク・文化産業振興を行うことが重要。 可処分所得の増 加や社保改革も消費拡大の前提。消費性向は政策メッセージとして一人歩きしやすいので、定義・背景の補足が必要。 5. 2040年の就業構造推計(改訂版)について ⚫ 理系の学部出身でも、専門性を生かさずに働いている人が多い。理系人材の拡大は必要ではあるが、どのように高付加価値を発揮できるよ うな仕事につけさせるのかという部分も合わせて検討する必要。 90

資料4

参考資料1 「内外一体のグローバル産業戦略に関する 有識者会議(第1回/第2回)」の概要 2026年3月 経済産業省 1 「内外一体のグローバル産業戦略に関する有識者会議」の概要 ⚫ 趣旨 ➢ 地政学・地経学的リスクの高まりや格差拡大等の構造的な社会不安を背景に、世界各国が産業政策を講じ、高付加価値な産業・雇用 を奪い合う競争環境が今後も激化していくことは必至。加えて、AI・ロボティクスをはじめとしたテクノロジーの進化によって付加 価値構造が大きく変容するゲームチェンジの時代を迎えている。 ➢ こうした構造変化の中で、米中を始めとした各国との熾烈な競争環境下にあるグローバル産業の国際競争力を確保し、我が国産業の 高付加価値化を実現するためには、日本にユニークな勝ち筋を起点とした産業構造転換の絵姿を描き、その実現に向けて官民が緊密 に連携し、総力を挙げていくことが必要。 ➢ 産業構造転換を日本自体の経済成長へと繋げていくためには、日本のグローバル立地競争力を高め、国内に高付加価値な産業・機能 を保持し、それらを起点としたグローバル・バリューチェーンを再構築することが重要となる。 ➢ この際、地政学リスクの高まりや保護主義の台頭を踏まえれば、安全保障・経済安全保障の観点による国内産業基盤の確保やグロー バル・バリューチェーンの再構築には、より高度な戦略性が必要となる。 ➢ 熾烈なグローバル競争に打ち勝ち、競争力ある高付加価値な産業構造とグローバル・バリューチェーンを実現するためには、産業政 策・通商政策・経済安全保障政策が有機的に連動する「内外一体性」を追求することが基本となる。 ➔ こうした観点から、昨秋来、経済産業省において「内外一体のグローバル産業戦略に関する有識者会議」を立ち上げ、産業・通商・ 経済安全保障政策の強化に関する議論を実施。 ⚫ 開催概要(全3回) 会議 日程 主なアジェンダ 第1回 2025/12/2 ①グローバル産業戦略検討の前提となる現状認識 ②グローバルな産業構造変化の潮流 第2回 2025/12/23 ③日本のグローバル産業の勝ち筋と産業構造・国際経済関係のあるべき姿 ④経済・産業基盤(OS)改革と国際経済関係の方向性 ⑤産業政策・通商政策・経済安全保障政策の方向性 ※いずれも概略/方向性を議論 第3回 2026/3/10(予定) ③~⑤の具体化、詳細議論 本資料は、第2回までの 事務局提出資料からの抜粋 2 「内外一体のグローバル産業戦略に関する有識者会議」委員一覧(50音順) 伊藤 元重 東京大学 名誉教授 遠藤 信博 日本電気株式会社 特別顧問 川瀬 剛志 上智大学法学部 教授/独立行政法人経済産業研究所 ファカルティフェロー 澤田 純 NTT 株式会社 取締役会長 鈴木 一人 東京大学公共政策大学院 教授/国際文化会館 地経学研究所長 半沢 淳一 一般社団法人全国銀行協会 会長/株式会社三菱 UFJ 銀行 取締役頭取執行役員 松尾 豊 東京大学大学院工学系研究科 教授 峰岸 真澄 株式会社リクルートホールディングス 代表取締役会長 兼 取締役会議長 森 雅彦 DMG 森精機株式会社 代表取締役社長 兼 グループCEO 安永 竜夫 一般社団法人日本貿易会 会長/三井物産株式会社 代表取締役会長 3 検討のステップ 1. グローバル産業戦略検討の前提となる現状認識 A) グローバル競争下における日本の産業、経済・産業基盤(OS)の現状と競争力 ➢ これまでの日本の産業構造において強みがある領域、競争力の源泉 B) 産業構造転換の契機となる環境変化 ➢ テクノロジー進化、国際秩序の変容、社会課題の多様化・深刻化の3つの観点から、産業構造転換のトリガーとなる構造的な環境変化 C) グローバル産業戦略実現により達成すべき政策目的 ➢ 激化するグローバル競争に打ち勝ち、国富を拡大する上で、グローバル産業戦略の実現により達成すべき政策目標 2. グローバルな産業構造変化の潮流 ➢ 「情報・サービス」「ものづくり」「資源・エネルギー」の3つの産業領域におけるビジネス・エコノミクスの変容、それによって引き起こ される産業内/産業間競争・協調における構造的変化 ➢ テクノロジーによる供給サイドの制約解消によって中長期的に発生し得る産業構造の「最終消費者にとっての価値の論理」への転換 3. 日本のグローバル産業の勝ち筋と産業構造・国際経済関係のあるべき姿 ➢ 2.をベースに日本産業の現状(1.A)や政策目的(1.C)を踏まえた、競争が激化する領域における日本の勝ち筋や国内に構築すべき産 業・機能、同志国等と連携して構築すべき産業・機能、その前提となる国際経済関係のあり方を整理 4. 経済・産業基盤(OS)改革と国際経済関係の方向性 ➢ 国際経済秩序の形成や成長国市場における日本の優位性の発揮に向けた、互恵的な関係性や連携の方向性 ➢ 産業構造転換やグローバル立地競争力強化に資する経済・産業基盤(OS)改革の方向性 5. 産業政策・通商政策・経済安全保障政策の方向性 4 1.産業構造転換の契機となる環境変化 2.グローバルな産業構造変化の潮流 3. 日本のグローバル産業の勝ち筋と産業構造・国際経済関係の あるべき姿 4. 経済・産業基盤(OS)改革と国際経済関係の方向性 5. 産業政策・通商政策・経済安全保障政策の方向性 5 主な環境変化とそれがもたらす産業構造への影響 ⚫ ①テクノロジーの進化、②国際秩序の変容、③社会課題の多様化・深刻化の3つは、産業構造の大きな変革を必要とする。 ⚫ これら3つの変化により、「産業・機能の統合・分化のダイナミズム」「”グローバル(国際分業)”と”リージョナル(地産地 消)”の再構築」「社会課題を起点とした新たな需要・市場の誕生」が進む。 主な 環境変化 産業構造 への 影響 ①テクノロジーの進化 ②国際秩序の変容 ③社会課題の多様化・深刻化 ⚫ AIロボティクスを始めとしたテクノ ロジーの社会実装が本格化 ⚫ 多極化・地政学リスクの拡大の中、 各国が戦略分野への投資拡大・製造 業等の国内回帰を志向 ⚫ 少子高齢化やGXの実現は引き続き 世界が抱える構造的な社会課題 ⚫ デジタル技術と巨大資本・デー タを武器とするハイパースケー ラーが他領域に侵食。 ⚫ 国境を跨ぐサプライチェーンが 構築されているものの、市場分 断圧力などを背景に地産地消 ニーズの高まり。 ⚫ 重要物資・化石燃料等の希少性・ 戦略的利用が増大し、展開先・調 達先の多角化ニーズの高まり。 ⚫ グローバルサウスの存在感の高ま り。 ⚫ GXに向けたコストや資源・エ ネルギーの供給制約の増加。 ⚫ 人口減少・少子高齢化による労 働供給制約の発生。 ⚫ 研究開発の高度化・製品の提供 スピードの高速化。 ⚫ エージェントAIによる価値創出 プロセスの再構築。 資本・データ蓄積を武器とする統合 が進む一方、研究開発等の高度化は 機能分化の呼び水に。 (中長期的にはAIによる意思決定等 の高度化を通じて顧客価値を実現) 地産地消化が進展しながら、展開 先・調達先多角化やサプライチェー ン強靱化を目的とした有志国連携、 グローバルサウスとの連携を強化す る動きも。 ⚫ グリーン価値や健康へのニーズ の高まり。 社会課題を起点とした新たな価値・ ニーズと需要・市場が発生。 足下、顕在化している課題は、供給 制約を増大。 6 日本の経済・産業基盤(OS)の現状 ⚫ 産業構造は、その国の経済・産業基盤(OS)が持つポテンシャルによって一定程度規定される。日本のOSは、これまで一定 の競争力を持つ多様な産業をフルラインナップで揃える上で機能してきたが(結果として過当競争の発生や新陳代謝の遅れと いった功罪あり)、人口減少・少子高齢化の進展によるマーケットパワーの相対的低下等、減退傾向か。 ⚫ 付加価値構造転換が進む中、競争力ある産業構造と高付加価値な産業・機能の国内立地実現のためには、OSの抜本改革が必要。 ⚫ マーケットパワー    相対的に不確実性・カントリーリスクが低い。 世界3位のGDPを誇り、一定の影響力(ただし米中欧と比較す ると、マーケットの不可欠性は弱い点に留意)。 少子高齢化・人口減少によって、相対的な国内市場の縮小圧力。 ⚫ ファイナンス・エコシステム     グローバルにプレゼンスを持つ間接金融。 消極的な資本市場活用と短期志向な資本市場プレーヤー。 未成熟な社債市場(中リスク社債、大規模調達が困難)。 PE市場の規模の小ささ、SUへの資金供給の少なさ。 ⚫ 労働市場・雇用慣行  ➔   高度技能を持つ熟練工や高い職業倫理等、労働者の質の高さ。 雇用慣行(新卒一括採用、終身雇用、年功制)。 人口減少・少子高齢化による構造的な人手不足。 中途半端な賃金水準(対途上国では割高、対先進国では割安)。 ⚫ ブランド  日本文化や製品(高品質・安心安全等)への好意的なイメージ。 ⚫ コーポレートガバナンス、規制・制度、国民性 長引くデフレ経済の中で、コストカット型経営が浸透。研究開 発・人的資本等への成長投資が伸び悩む一方で、株主還元は増加 傾向。 ➔ 中長期的には地域社会等の様々なステークホルダーの利益に配 慮した経営への転換が必要。  アジャイル性の低い規制・制度、過度に安全志向な国民性。 ⚫ 産業の厚み/イノベーション・エコシステム    フルラインナップのサプライチェーンを保持。技術力の高い多 様なサプライヤー群が国内立地の魅力に。 オープンイノベーション(産学連携、SUのM&A等)が不十分。 多種多様な製造業基盤を保持。戦略的自律性の確保に一定寄与。  ポジティブ ➔ ニュートラル  ネガティブ (現状に対する評価) ⚫ 資源・エネルギー   エネルギー源・クリティカルミネラルの賦存量:化石燃料の海 外依存度は高く、脱炭素エネルギーの開発も道半ば。クリティ カルミネラルの海外依存度も高く、経済安保リスクに直結。 調達力の弱さ:資源メジャーが不在で、グローバル市場におけ る存在感が小さい。 ⚫ 計算資源・データ基盤      非構造化データ:国内に製造業基盤を長きに渡り維持してきた ために製造現場におけるユニークな非構造化データを多く保有。 ユニークデータを企業・産業の壁を越えて連携して利用するた めのデータ連携基盤の整備は道半ば。 計算能力・基盤:国内のDCは、計算能力需要の急増が想定され る中、電力や土地の問題から将来的に逼迫する可能性あり。 半導体供給:ロジック半導体の先端品を生産できる日本企業は 存在せず、有事の際には途絶のリスク。TSMCの誘致やRapidus の設立により国内生産を推進。GPUも米国に依存。 ⚫ インフラ 道路や鉄道等、交通・物流網が日本全国に整備。 産業用地は面積が不足し、高コスト。 電力供給の安定性は高く、電気料金も欧州以下だが、米国・韓 国等よりは高い。  人手不足により採算性低下。赤字構造の中、高ビンテージに。    7 1.産業構造転換の契機となる環境変化 2.グローバルな産業構造変化の潮流 3. 日本のグローバル産業の勝ち筋と産業構造・国際経済関係の あるべき姿 4. 経済・産業基盤(OS)改革と国際経済関係の方向性 5. 産業政策・通商政策・経済安全保障政策の方向性 8 グローバルな産業構造の主要な変化 情報・サービス産業 ものづくり産業 【ビジネス・エコノミクス(経済的メカニズム)と基本的な行動原理】 • • • ネットワーク効果による参入障壁や限界費用ゼロによって規模の経済が強く作用 することを前提に、テクノロジーの進化に応じた迅速かつ大胆な投資によって、 スケール化を志向。 高い資本効率性や将来成長期待から資本市場の力を得やすい産業であり、「野心 的なビジョンと目標提示→人材やマネー誘引→ビジョンを自己実現化」といった 成長/市場活用戦略も取られる。 データエコノミーの基盤となる計算資源や、その構成要素となる半導体や電力、 優良な非公開データへのアクセスがさらなるスケール化に向けた制約要因となり うる。 【主要な変化】 • • • ハイパースケーラーは、消費者とのインターフェイスの独占で生み出す豊富な資 金力を武器に、AI基盤等のデジタル産業基盤開発も主導。 産業の上流(技術標準)/下流(マスデータ)双方を抑え、他のプレーヤーとの競争力 格差を拡大しながら、データに価値源泉を持つ他のサービス(や、非情報・サービ ス産業領域)へと事業領域を拡大。 その他のプレーヤーにとっては、独自性確保(卓越した技術力やブランド、ユニー クなデータ等)と、そのためのネットワーク拡充が生命線となり、拡大競争が加熱。 【ビジネス・エコノミクスと基本的な行動原理】 【ビジネス・エコノミクスと基本的な行動原理】 • 総資産に占める固定費比率が大きく、スケーラビリティ追求が必要であるため、 海外市場を含めた市場シェアの維持・拡大を追求。 • コモディティ化の罠に陥り、コスト勝負となるリスクを回避すべく、あくなき技 術力の向上、暗黙知/非構造化データ等のユニークデータの活用、ブランド化やソ リューションビジネス化等を組み合わせ差別化。 • 資本効率や成長期待、資産の流動性の低さが、資本市場からのリスク性の高い資 金調達の障壁となる。 【主要な変化】 • 中国等のものづくりプレーヤーのキャッチアップに加え、ハイパースケーラー等 がデジタル産業基盤/最終消費者接点のレイヤーでものづくり(とサービスの融合) 領域へと進出。競争が過熱へ。 • デジタルツイン等の産業基盤活用が一般化し、UX軸での差別化(サービス化/SDV 化など)が図られていく状況においては、純粋なモノづくりの価値低下・コモディ ティ化/均質化が進む恐れ。 • ものづくりプレーヤーは、ビジネスモデルの転換/特化を伴う独自性の確保を図っ ていく。 ※ものづくりの価値が低下する場合でも、プレーヤーが減少すること で、長期的には希少性が上昇。残存者の競争力が再度向上する可能性も存在。 資源・エネルギー産業 【主要な変化】 • 巨額投資による開発リスクを回収するためにスケーラビリティを追求+ポート フォリオ投資によるリスク分散や共同開発等を実施。 • 半導体、グリーン技術等の需要拡大と地政学リスクでレアアースの希少性向上。 ハイテク領域をはじめ産業を威圧。 • 価格変動リスクを抑えるため、長期契約やオフテイク契約による安定収益確保が 重要。 • 安定供給と脱炭素の要請を両立した事業ポートフォリオの構築が進む。 産業全体では、地政学リスクを主因とした地産地消化や、希少資源の囲い込みの必要性など、グローバルなバリューチェーンの再編成/最適化が進行。 9 グローバルな産業構造変化の潮流 ⚫ これまでの論点を踏まえ、今後見越される大凡のグローバルな産業変化の潮流は以下の通り。 :プレーヤーの動き、 ⚫ :影響、 :プレーヤーが取り組む/競争する領域、を示す。 情報・サービス産業 デジタル産業基盤(上流):産業データ/技術標準の掌握 • HPC・量子/クラウドインフラ基盤/AI基盤・半導体/デジタ ルツイン基盤/開発者プラットフォーム/データレイクの開発 ものづくりプラットフォーム(上流):産業データ/技術標準の掌握 • IT・OTプラットフォーム/デジタルツイン基盤等の開発 プラット 均質化圧力 フォーム展開 均質化圧力 情報・サービス/ものづく りの融合領域:競争過熱 • 上流/下流を中心に、 双方の企業・産業の競 争領域が増加 上流/下流を抑え、 データ独占の競争力と 資金力で領域拡大 エネルギー 確保 領域 拡大 接点強化 機能特化 規模拡大 →スケーラビリ ティで勝ち抜く サービス⇔もの/製造との融合領域における消費者接点(下流): 顧客データの獲得/顧客の囲い込み/UX軸での差別化 • SDx/コト売り・サービスの提供 ) 最終消費者インターフェイス(下流):マスデータの掌握とフィードバック ループ創出/顧客接点の独占 • 超汎用的UIの開発(生成AI → AIエージェント → AIロボティクス) 製造(全般):純粋なものづくり の価値低下、コモディティ化 →ビジネスモデルの転換/特化 競争力の低減 競争力の抑制 領域特化 →プロダクト特 化で差別化 機 能開 分発 化・ レ製 イ造 ヤ・ ーサ 特ー 化ビ ス 等 へ の ( 情報・サービス(全般):ユニークネスに基づく生存競争加熱 領域 • 独自の技術力やネットワークに基づくユニークなデータ、ブ 拡大 ランドによる差別化(希少性・模倣困難性) • 特定領域でのPF形成で競争力強化 継続 強化 領域拡大 → ハ イ パ ー ス ケ ー ラ ー 継続 強化 ものづくり産業 グローバル産業(全般):サプライチェーンのグローバル最適化 • 地政学リスクを踏まえ、地産地消に加えてジャストインケース→サプライ チェーンの複線化・複数国配置ニーズが拡大 • 地産地消化は、マスラピッド化に伴う納期圧縮ニーズ、マスカスタマイゼー ション化に伴うローカライズニーズ等の市場戦略からも要請 資源確保 資源・エネルギー産業 資源・エネルギー(全般):脱炭素対応と安定供給 を両立した事業ポートフォリオの構築 資源メジャー :希少資源の戦略的利用 • 希少性/偏在性がある資源による経済的威圧 供給源の多様化によって対抗 10 1.産業構造転換の契機となる環境変化 2.グローバルな産業構造変化の潮流 3. 日本のグローバル産業の勝ち筋と産業構造・国際経済関係の あるべき姿 4. 経済・産業基盤(OS)改革と国際経済関係の方向性 5. 産業政策・通商政策・経済安全保障政策の方向性 11 我が国のグローバル産業の勝ち筋と産業構造のあるべき姿 日本のグローバル産業の構造(現状) 1 プロダクト価値 高機能・先端素材/電子 部品・デバイス(含む半 導体)/精密・光学機器/ コンテンツ/観光(インバ ウンド)/食産業等 これからの産業の勝ち筋の類型(グローバル潮流) グローバルスケーラー 自動車/機械(工作機械/ 産業用ロボット/建機/ 医療機器等)/医薬品等 上流(産業基盤)の標準化and/or下流(UI) の独占で、高付加価値領域取り込みへ 2 領域 トップ 製造 派 生 形 3 1 レ イ ヤ ー マ ス タ ー 情報・サービス 市場獲得の仕組み 競争力と資金力で他領域へ拡大。 データ拡大による持続的成長へ 大規模投資による規模拡大と、デジタル/サービス 化等による顧客囲い込みによって競争力を維持拡大 2 3 4 デジタルアーキテクチャ 資源・エネルギー データ処理・計算のための 資源・エネルギー確保 デジタルアーキテクチャ※ 巨額投資によるデジタル基盤(技術)開発でチョーク ポイントを掌握。デジタルアーキテクチャのプラッ トフォーム機能を狙うほか、アプリケーションレイ ヤーで最終消費者を囲い込みマスデータを独占。 データの競争力と資金力で他領域へ拡大 5 (該当する国内グローバル プレーヤーが現状では不足) レイヤーマスター 開発/製造/サービス等の特定レイヤーに特化し、集 中投資による差別化で競争力を確保 半導体/医薬品 /医療機器等 5 領域トップ 独自技術/ユニークデータ/ブランド等で差別化し、 特定の高付加価値分野でグローバルシェア獲得追求 4 情報通信/商社/金融等 グローバルスケーラー 資源・エネルギー 大量・安定供給力とコスト競争力を武器に、あらゆ る産業の基盤となる資源エネルギーの開発、提供 12 勝ち筋の類型 まとめ(1/3) 産業の類型 1 グローバル スケーラー 成長戦略 ⚫ 基本戦略:秘匿性を確保しながら、スケール化で競争力を拡大する ➢ グローバルでのスケーラビリティを確保するため、国内/有志国の同 業企業の合従連衡、コア事業を補完する企業等のM&Aを進める ➢ 国内生産とグローバルバリューチェーンの最適バランス(サプライ チェーンのグローバル化/現地化と、研究開発やキーコンポーネント 製造機能等の国内維持)を目指す ➢ グローバルレベルでのサプライチェーンの徹底した合理化を図る 上段:課題・チョークポイント 下段:グローバルバリューチェーン構築の方向性 ⚫ スケール化と開発力の両立に向けた人材の質と量の不足 ⚫ 継続的なスケール化に向けた資金創出/調達の難しさ ⚫ 地政学リスクの高まりによってグローバルサプライチェーンの再構築が 必要 ⚫ 重要部素材の確保が困難化 ⚫ サプライチェーンの中核となる国内産業基盤維持の必要性 ⚫ 高付加価値戦略:単純な生産だけではない「収益源の多角化」を目指す ⚫ 研究開発:メイン機能は国内中心、衛星的にグローバルエコシステムの ➢ アセンブリ、最終消費財メーカーを中心にサービス転換(ものづくり 集積地に配置 一本槍からの転換)を進める ➢ 情報の秘匿化/製開一体化に向けて国内製造基盤との近接性が重要 ➢ 機能分化を進める ⚫ 生産/製造/マーケティング:試作/キーコンポーネント製造→国内、 最終製品量産/マーケティング→消費地及びその近接地 2 領域トップ ⚫ 基本戦略①:ユニークネスに基づく差別化を図り、競争優位性を強化 ⚫ ネットワーク構築に向けたグローバルアクセス/ノウハウの不足 ➢ 顧客やパートナーと独自のネットワークを形成、囲い込み、そこから ⚫ ネットワーク/社内の暗黙知活用に向けたデータ蓄積/活用不足とエコシ 生じるユニークデータ=持続的な競争力の源泉を確立する ステム形成の遅れ ➢ 暗黙知をデータ化し、ユニークな競争力を磨く ⚫ 未成熟な国内イノベーションエコシステム、オープンイノベーションの ➢ ブランドによる差別化を図る 不足 ⚫ 基本戦略②:競争領域と協調領域を明確化し、選択と集中を進める ⚫ 過当競争を引き起こす国内企業の多さ/新陳代謝の不足 ➢ 高付加価値×差別化可能領域を特定する ⚫ 製造業:開発/生産/製造は原則的に国内配置、サービス提供拠点等はグ ➢ 競争領域の秘匿化と協調領域の標準化/合理化 ローバル配置 ➢ とくに成熟市場においては連携と統廃合を進める ➢ プラットフォーム機能との連動/補完、機能レイヤーとしてのニッチ トップ確立等に向けた機能配置も重要論点 ⚫ オプション戦略:ソリューションをパッケージで展開する ➢ 個別の産業領域(医療等)において、AI等をアプリケーションレイヤー ⚫ 情報・サービス業:国内を含めたグローバル配置。データ集積/サービ で実装するソリューションを規制とのパッケージで海外展開する ス開発は立地国ルールに従いつつ可能な限り国内集約 13 勝ち筋の類型 まとめ(2/3) 産業の類型 3 レイヤー マスター 成長戦略 上段:課題・チョークポイント 下段:グローバルバリューチェーン構築の方向性 ⚫ 基本戦略:グローバルエコシステムを形成し、産業機能(開発/製造/ サービス)のプラットフォーム化/ハブ化を目指す ➢ R&D強化とスケール化で競争力を拡大する ➢ 合従連衡/提携でコアコンピタンスを拡張/転換する ➢ エコシステム/プラットフォームを形成する ⚫ (日本産業全体として)過度な自前主義からの脱却/硬直的なサプライ チェーン再構築の必要性 ⚫ オプション戦略:オープン型のデジタル産業プラットフォームを提供 ➢ 日本産業が強みを持つ製造領域のデジタルプラットフォームを提供 ⚫ 研究開発:メイン機能は国内中心、衛星的にグローバルエコシステムの 集積地に配置 ⚫ 継続的な大規模/最先端投資に向けた資金創出/調達の必要性 ⚫ 技術/設備/資金等のキャパシティ拡充に向けた合従連衡を活性化させる 必要性 ⚫ 生産/製造/マーケティング:産業クラスター/サプライチェーンに即し たグローバル配置(国内を含む) ⚫ 基本戦略①:ハードとソフト(AI)が融合する領域で勝負する ➢ AIロボティクスを始め、ハードとソフト(AI)が融合する領域が中心 4 デジタル アーキテクチャ ⚫ 超大型投資を実現するための資金手当/リスク分散の必要性 ⚫ グローバルトップ人材:国内人材の育成、海外人材獲得の必要性 ⚫ 計算資源 (DCを含めた産業用地/電力/半導体等)の不足 ⚫ 基本戦略②:計算インフラから汎用基盤モデル、アプリケーション、 ハードまで一気通貫で面を取る ⚫ 国内/海外における市場創出の必要性 ➢ AIとハードの融合領域について、計算インフラ、汎用基盤モデル、領 域特化基盤モデル等、一気通貫した競争力を確保→実効的な官民連携 ⚫ イノベーション・エコシステム活性化の必要性 ➢ 汎用基盤モデル開発への挑戦 ⚫ 製造業等のハードとソフト(AI)の融合領域については、計算インフラ、 ➢ グローバルなM&Aによってケイパビリティを拡充する 汎用基盤モデル、領域特化基盤モデル等、一気通貫で国内に拠点を整備 ⚫ 基本戦略③:官民の連携によって市場を創出する ➢ 機動的な政府調達と民間需要喚起 ➢ 民間では取り切れないリスク領域を中心に、必要な産業機能を補完 (例:ラピダス) ⚫ その他領域は ➢ 研究開発:国内中心、衛星的にグローバルエコシステム集積地配置 ➢ 計算基盤:極力国内集約しつつ、計算資源等に鑑みてグローバル分散 ➢ 顧客接点(アプリ等):グローバルに現地法人やパートナー企業が提供 14 勝ち筋の類型 まとめ(3/3) 産業の類型 5 資源・ エネルギー 上段:課題・チョークポイント 下段:グローバルバリューチェーン構築の方向性 成長戦略 ⚫ 基本戦略:企業と政府が緊密に連携した資源・エネルギー確保戦略 ⚫ エネルギー、重要鉱物ともに海外依存度が高い。国産エネルギー/代替 ➢ 日本の資源・エネルギー企業は世界では中小規模に分類される中、 資源の開発促進とともに安定した海外調達の確保が日本経済・産業に バーゲニングパワーを維持するため、政府・政策との連携を高め、 とって重要 資源の開発・獲得や市場メイクをリード ⚫ 地政学リスクの高まりを受け、希少性・偏在性が高い重要鉱物を中心に、 ➢ 世界各国の政策やジャイアント企業の脱炭素化に対する動向を見極め 戦略的活用の対象となり、供給途絶リスクが向上 ながら、競争優位性が見込める領域から重点的にGX政策を推進 ➢ 希少性・偏在性が高いレアアース等の重要鉱物については、供給源の ⚫ 調達先の多様化を進めるとともに、市場化が可能なものはグローバル市 場を形成し、調達途絶リスクを軽減 多角化や代替品の開発等を促進し、供給途絶リスクを最小化 ⚫ 希少性・偏在性が高い重要鉱物については、有志国との連携を強化 類型①~⑤の課題・チョークポイントを踏まえたOSの課題(4章詳述) インフラ コーポレート ガバナンス デジタル アーキテクチャ マーケットパワー ファイナンス 人材 ブランド ・規制制度 イノベーション・ エコシステム 産業の厚み 貿易秩序 公的支援機能 外交関係 GX・資源・ エネルギー 15 1.産業構造転換の契機となる環境変化 2.グローバルな産業構造変化の潮流 3. 日本のグローバル産業の勝ち筋と産業構造・国際経済関係の あるべき姿 4. 経済・産業基盤(OS)改革と国際経済関係の方向性 5. 産業政策・通商政策・経済安全保障政策の方向性 16 OS改革の方向性① 赤字:既に講じている政策・直ちに講じるべき政策、 青字:一定の時間軸の中で実現すべき骨太な政策 世界 国内 マーケット パワー 基本的 考え方 ⚫ 戦略的なリスク投資を実現するためにはマーケットの確保が不可欠であり、グローバル産業においては成長するグローバル市場と接合した内 外一体の需要創出が必要。スケーラビリティが必要な産業におけるグローバルマーケット確保、研究開発段階等のアーリーステージにある産 業領域における初期需要確保、社会課題解決領域での規制等を通じた先行的なマーケット獲得を促進。 OS改革 の方向性 ✓ 国内投資と賃上げの好循環が実現するようなマクロ経済環境の創出 ✓ 個別産業領域における需要創出(詳細は産業政策の方向性参照) 基本的 考え方 ⚫ 企業自らがリスクを取った戦略投資やマーケット創造等を行えるワールドクラスの企業経営への転換が根幹。 ⚫ 足元、まずは企業の成長ステージを問わない一律的な株主還元から成長投資へのシフトを実現した上で、企業の中長期的な稼ぐ力を高められ るよう、大胆な成長投資やポートフォリオ再編、グローバル市場への展開等の経営判断を促進。 ✓ 保護主義化が進む中、自由貿易とのバランスを取りながら、他国市場との 接続によるマーケットパワーを確立(詳細は通商政策の方向性参照) 事業ポートフォリオ入れ替え・M&Aの促進 コーポレート ガバナンス/ 企業経営改革 OS改革 の方向性 ✓ 中長期の企業価値の向上に向けた成長投資ガイダンス(金融庁等と連携) ✓ 事業者間の連携や再編等を促進するための税制等のインセンティブ設計、 競争政策のあり方の検討 成長投資促進に向けた官民連携の強化 ー ✓ 海外における政策イノベーションも参考としながら、リスク投資を実現す るための官民連携・リスクシェアのあり方や政策的措置を検討 大胆かつ迅速な意思決定を行う経営の高度化(CX) ✓ CXの実現を大規模な政策的支援等を講じる際の要件化 基本的 考え方 デジタル アーキ テクチャ ⚫ あらゆる経済・産業活動がデジタル化・AIドリブン化していく中、デジタルアーキテクチャは、産業構造上の最重要なOSの一つ。経済成長 への貢献、経済安全保障の実現双方の観点から、半導体・計算資源等の確保、AI基盤モデルの開発等を一体的に促進。 基盤インフラの確保 OS改革 の方向性 ✓ AI・半導体産業基盤強化フレームを活用した半導体・計算資源等の基盤イ ンフラの確保 有志国連携の促進 ✓ フィジカルAI時代のマルチモーダル基盤モデルの開発・社会実装促進 ✓ ASEAN等の海外市場への展開促進(教育プログラムの提供等) ✓ フィジカルAI時代のマルチモーダル基盤モデル開発における国際連携 AI基盤モデルの開発 データ連携基盤の構築 ✓ ウラノス・エコシステムを通じたデータ連携ユースケースの更なる拡大 17 OS改革の方向性② 赤字:既に講じている政策・直ちに講じるべき政策、 青字:一定の時間軸の中で実現すべき骨太な政策 世界 国内 ファイ ナンス 基本的 考え方 ⚫ 金融事業に対する規制強化や長期化した超低金利時代等により、官民双方のリスクマネー供給が低調な状況が継続してきた一方、グローバル 競争に打ち勝つための戦略投資やポートフォリオ再編、グローバル市場の開拓にはリスクマネーが必要不可欠。エクイティ供給、社債市場活 性化等、リスクマネーが質・量ともに十分に供給されるファイナンス・エコシステムを官民連携して形成していく。 OS改革 の方向性 ✓ (詳細は産業政策・通商政策の方向性参照) 基本的 考え方 ⚫ 国内での安定した事業活動の障壁となる労働供給制約の迅速な解消を実現するとともに、それぞれの「勝ち筋」において、ユニークネスの創 出、エコシステムの形成など、高い付加価値を生み出すグローバルレベルでのトップ人材の戦略的な育成・獲得を促進。 労働供給制約の解消 人材 OS改革 の方向性 基本的 考え方 ブランド 規制制度 ✓ 省力化投資に加え、人手不足業種への労働移動・人材確保を促進 戦略分野毎の専門人材確保 ✓ 戦略分野等の成長に必要なトップ人材や理系人材、専門的な技能を持った 人材の育成・獲得 高度外国人材の活用 ✓ 国際頭脳循環を含め、高度外国人材の獲得を戦略的に推進 ⚫ 日本自体が持つ魅力やソフトパワーといったブランドは、日本の製品・サービスの付加価値やグローバル立地競争力の源泉となり得る一方、 その潜在力を十分に発揮するための言語化や仕組み化は不十分。真に世界に発信し得る日本のブランドを見定め、さらなる付加価値向上と戦 略的な発信が必要。 ⚫ 規制・制度については、AI・デジタル時代のアジャイル、非連続に進化するテクノロジーの社会実装を世界に先駆けて行う「社会実験場」と なることに適したあり方の検討が必要。 日本自体のブランド力の向上 OS改革 の方向性 ✓ 日本の価値(安全安心、地政学リスクの低さ、日本文化等)の再定義・再 認識と戦略的な発信 規制制度 ソフトパワー外交の推進 有志国と連携した「社会実験場」の組成 ✓ AI・デジタル時代に適したアジャイルな規制制度のあり方の検討 18 OS改革の方向性③ 赤字:既に講じている政策・直ちに講じるべき政策、 青字:一定の時間軸の中で実現すべき骨太な政策 世界 国内 基本的 考え方 産業の 厚み ⚫ 経済成長、経済活動等の持続性、公共財の提供を高度に実現する上で必要となる産業群について、有志国とも連携しながらフルラインナップ のサプライチェーンを維持・確保し、特定国への過剰依存構造を是正・防止を図る。 戦略的自律性・不可欠性の確保 OS改革 の方向性 ✓ 代替技術・物資の開発支援 ✓ 物資代替・調達先変更によるコストアップの適切な価格転嫁推進(規制的 手法含む) 対内直投促進も含めた国内のサプライチェーン強靱化 基本的 考え方 イノベー ション・エ コシステム 戦略物資・技術のサプライチェーンの複線化・複数国化 ✓ 戦略物資・技術の調達先の多角化 ✓ 代替技術・物資の開発に向けた国際連携 ⚫ 各国政府・ジャイアント企業がサイエンス・テクノロジーへの巨額投資を進め、技術覇権を争う中、こうした国際競争を勝ち抜き、戦略産業におけるユ ニークネスを確保・強化するため、戦略産業におけるコア技術について、グローバル連携やオープンイノベーションを取り入れた一気通貫の支援を推進。 日本に強みがある技術の社会実装、勝ち筋となる戦略分野の 育成 OS改革 の方向性 基本的 考え方 ✓ 戦略的に重要な技術領域への一気通貫支援 ✓ 研究開発法人の技術シーズの徹底した社会実装 ✓ 防衛調達をはじめとする官公庁による調達 ✓ 規制・規格の導入による新たな需要創出・拡大策 ✓ 世界で競い成長する大学の実現 ✓ 創業から事業化までの一貫したスタートアップ支援(グローバル・ファイ ナンス等) 戦略的な科学技術外交の推進 ✓ グローバルでの産官学間連携の共同研究イニシアティブの創設 ⚫ 国内投資を拡大していく中で、ボトルネックとなり得る産業用地等のハードインフラ上の制約を解消。また世界のインフラ構築にも貢献。 産業用地確保 インフラ OS改革 の方向性 ✓ 産業用地確保促進に向けた法制的措置の検討(自治体への金融措置や官民 連携支援、緑地規制見直し、工業用水供給のデータセンターへの拡大等) ✓ GX戦略地域制度等を活用した用地転換支援・円滑化 投資と一体でのインフラ整備 日本の技術による貢献 ✓ インフラ海外展開戦略の着実な執行 ✓ 地域毎の投資・インフラ需要を可視化し、必要な措置を検討 19 OS改革の方向性④ 赤字:既に講じている政策・直ちに講じるべき政策、 青字:一定の時間軸の中で実現すべき骨太な政策 世界 国内 基本的 考え方 貿易秩序 公的支援 機能・体制 OS改革 の方向性 基本的 考え方 ミニラテラルでの秩序形成 ✓ CPTPPの締約国拡大、協定アップデート、EU・ASEAN対話の具体化 ✓ 電子商取引、サービス貿易、サプライチェーン強靱化等のルール形成推進 ⚫ 各国との競争が激化する中で、着実な政策執行や他国に劣後しない支援ができるように、公的支援機能・体制を強化。 ー 海外展開に向けた公的支援機能・体制の強化 ✓ NEXIの財務基盤強化 ✓ JETROの拠点体制強化 ⚫ 地政学リスクが高まる中、各国とのWin-Winの関係を目指す中で、同盟国・同志国との関係性を強化し、グローバルサウスとの連携を推進。 OS改革 の方向性 基本的 考え方 GX・ 資源・ エネルギー ー OS改革 の方向性 基本的 考え方 外交関係 ⚫ 多角的自由貿易システムが揺らぐ中、経済的な「規範」としてのルールの重要性を確認しながら、ミニラテラルでの秩序を積極的に形成し、 貿易救済措置等ルール内で使える措置は着実に活用。 ー Win-Win関係の構築推進 ✓ 同盟国・同志国とのSC強靱化等に向けた具体的協力案件の組成 ✓ グローバルサウスにおける実証事業の発展・横展開など共創の加速 ⚫ 世界各国の政策やジャイアント企業の脱炭素化に対する動向を見極めながら、競争優位性が見込める領域から重点的にGX政策を推進すると ともに、国際的に遜色のない価格で安定した品質のエネルギー供給を実現するための政策を展開する。 ⚫ 希少性・偏在性の高い重要鉱物について、自律性を確保するため、官民連携した多様な取組を推進する。 GX産業立地の推進 ✓ 脱炭素電源周辺へのデータセンター集積等を通じ、産業クラスターを創出 ✓ 脱炭素電源を活用する事業者への支援の重点化 OS改革 の方向性 資源・エネルギーの安定供給確保 国際連携による資源・エネルギーの安定的供給の強化 ✓ 脱炭素電源への資金調達環境整備 ✓ 資源・エネルギーの上流開発促進 ✓ 調達先の多角化 ✓ 代替技術・物資の開発に向けた国際連携 重要鉱物の確保 ✓ 代替技術・物資の開発支援 ✓ 物資代替・調達先変更によるコストアップの適切な価格転嫁推進 20 1.産業構造転換の契機となる環境変化 2.グローバルな産業構造変化の潮流 3. 日本のグローバル産業の勝ち筋と産業構造・国際経済関係の あるべき姿 4. 経済・産業基盤(OS)改革と国際経済関係の方向性 5. 産業政策・通商政策・経済安全保障政策の方向性 21 政策的に後押しすべき産業・機能についての基本的な考え方 ⚫ 政府・民間双方において、人・カネ・データ等のリソースに一定の制約がある中、全体としてのリソースの拡大は進めつつ も、どの産業・機能に重点的に政策リソースを投じるべきか、優先度や政策強度についての考え方を整理することが必要。 ⚫ 具体的には、 ①経済成長への貢献度が高い産業・機能、②経済活動等の持続性への影響が大きい産業・機能(他産業・機能 への波及効果、希少性等)、③公共性・公益性が高い産業・機能について、重点的に国内立地や有志国連携を通じて確保。 産業構造のイメージ 政策的要請 個別産業 (グローバルスケーラー/ 領域トップ) 産業A (1)経済成長の実現 産業B 研究開発型(ファブレス)企業 企業 (レイヤー マスター) 企業 企業 製造受託型(ファウンドリ/ODM等)企業 企業 企業 ・・・ 政策的に重点的に後 押しをすべき産業・ 機能を特定 ⚫ グローバル市場での富の獲得と国 内への還流を通じて、マクロ経済 上の成長を実現。 ⚫ グローバル市場の規模・成長性と、 日本企業・産業に「勝ち筋」があ るかを総合的に判断。 (2)経済活動等の持続性 サービサー型企業 デジタルアーキテクチャ 半導体、計算資源、汎用AI基盤モデル、領域特化AI基盤モデル等 OS 資源・エネルギー (ハード・ソフトインフラ) 例)マーケットパワー、ファイナンス、人材、ブランド・規制制度、イノベーション・エコシ ステム、産業用地・工業用水、貿易秩序、公的支援機関 等 ⚫ 資源・エネルギーやデジタル アーキテクチャ等の他産業に とってのOSともなり得る産業、 戦略的自律性・不可欠性を保持 すべき産業・機能。 (3)公共財の提供 ⚫ 国家が提供すべき公共的・公 益的価値の実現に寄与。 22 重点化・政策手段の考え方 (1)経済成長の実現 【重点化の考え方】 • ①グローバル市場の規模・成長性、②日本産業の勝ち筋、③国内裨益性を総合考慮して評価(例えばGXのように中長期的な市場成長が見込まれる ものについても評価)。 • 前段で整理した産業類型は、「②日本企業・産業の勝ち筋」の蓋然性を判断する際のフレームワーク。グローバル競争下では、Winner takesの原 理が働くため、グローバル市場でのトップシェアを狙う産業に重点化することが基本。その上で、2番手・3番手のシェアであっても、一定の持続 的なプレゼンスを発揮し得る産業や、(2)の「経済活動等の持続性」を支える産業であれば、重点的に政策を講じるべき。 【政策手段の考え方】 • 企業自らがリスクを取った戦略投資やマーケット創造等を行える、ワールドクラスの企業経営への転換が根幹。 その上で、こうした企業活動を支えるファイナンス等のOS改革や、官も大胆かつ戦略的にリスクを取る産業政策を講じていく。 • また、GXや先端技術等、通常の経営の時間軸では経済合理性が成立しづらい場合は、政府によるマーケット創造等、政策強度を強化する。 (2)経済活動等の持続性 【重点化の考え方】 • 資源・エネルギーやデジタルアーキテクチャ等の他産業にとってのOSともなり得る産業や、経済安全保障リスクを持つ産業(①希少性・偏在性 が高く、他国が優位性・不可欠性を有する産業、②我が国の優位性・不可欠性を失う恐れがある産業等)について、国内、あるいは有志国に産業 基盤を保有することが基本。 • 供給途絶等が発生した場合や優位性の喪失を通じて今後他国に依存する恐れが生じる場合は、他の経済活動等への影響が甚大となり得るため、政 策リソースを拡大してでも、必要な技術・物資等については、基本的には政策的措置の対象とする。 【政策手段の考え方】 • 支援的手法に加え、規制的手法も必要であれば講じる。限られた政策リソースを前提とすれば、有志国との連携強化も不可欠。 (3)公共財の提供 【重点化の考え方】 • 外交上の戦略的関係の構築、社会保障関連、防衛力の強化といった国家が提供すべき公共的価値の実現に資する産業とするため、必要な技術・物資 等については、基本的には政策的措置の対象とする。 【政策手段の考え方】 23 • 官民の戦略的連携のあり方について検討。支援的手法に加え、規制的手法の政策も、必要であれば政策的措置を講じる。 政策目的と政策の強度・方向性の対応関係 政策措置の対象の考え方 経済成長の 実現 経済活動等の 持続性 公共財の提供 対象産業例(※) 主な国内政策(産業政策・経済安保政策)の例 (下記以外) ー ⚫ ⚫ 他国の産業政策を踏まえ、レ ベルプレイングフィールドを 確保すべき領域 ー (上記に加え) ⚫ R&D・設備投資支援、トップ人材確保 (上記に同じ) 中長期的な市場創出・成長投 資が必要な領域(GX/先端技術 領域等) ⚫ 自動車 ⚫ 先端材料化学 ⚫ 製薬 ⚫ 量子 ・・・ (上記に加え) ⚫ 市場獲得促進・需要創出(規制、公共調達、 補助、非価格要素考慮) ⚫ 技術流出防止 (上記に加え) ⚫ GS補助金等財政支援による海外展開支 援 (経済活動等への影響の広 さ・大きさ、戦略的自律性・ 不可欠性の確保の必要性を総 合考慮して政策手法を決定) ⚫ AI ⚫ 半導体 ⚫ ロボット ⚫ 工作機械 ⚫ 造船 ⚫ 鉄鋼 ⚫ 石油化学 ⚫ 重要部素材 ⚫ 重要鉱物 ・・・ (上記に加え) ⚫ 製造能力・産業基盤等の構築に向けた政策的 措置の強化 ⚫ 代替物資・技術確保 ⚫ 値差支援 ⚫ 上市規制 (上記に加え) ⚫ 輸出管理・投資管理 ⚫ 貿易救済措置の活用 ⚫ サプチェン強靭化・経済安保確保に向 けた同志国連携 ⚫ エネルギー ⚫ 防衛 ・・・ ⚫ ⚫ ⚫ 企業経営改革 OS改革 主な対外政策(通商政策・経済安保政策) の例 製造能力・産業基盤等の構築に向けた政策的 措置の強化 公的義務の設定(供給確保義務等) 国による直接関与(GOCO等) ⚫ ⚫ ⚫ ⚫ ルールベースの自由貿易 公的支援機関による海外展開支援 (JETRO,NEXI,JBIC等) 輸出管理・投資管理 OSA等政府主導の提供 ※列挙されている産業のすべての事業者に当てはまるものではない他、他の対象領域にも該当しうる産業は存在することに留意。24 政策の方向性 産業 政策 投資促進 ⚫ 真に企業行動変容を実現できる予算・税制・金融支援等による最適なポリシーミックスのあり方の検討 →リスクのプロファイルに応じた政策の強度のあり方、官民でのリスク・プロフィットシェアのあり方、レバレッジの高い政策のあり方等 市場獲得 促進/需要 創出 ⚫ 官公庁による公共調達を戦略的に活用し、先進的でリスクの高い分野における需要を創出 ⚫ 規制・制度の導入や見直しによる需要創出・拡大(GX政策ではカーボンプライシングを措置しているが、他のアジェンダについても検討) ⚫ 需要や価格の変動性・技術や市場化におけるリスク等を緩和し、社会課題分野等における先進的な市場を世界に先駆けて創出するための政策 的措置の検討(値差支援、保険機能の強化等) ファイナンス ⚫ BIS規制の制約を受けないデットプロバイダーの多様化 ⚫ 低格付社債も含めた裾野の広い社債市場の創出 ⚫ SU・M&A等のリスク投資を推進するエクイティファイナンス ⚫ 民間企業では取り切れないファイナンスリスクを取るための産業金融のあり方の検討 投資促進・ 市場創出/ 開拓 ⚫ 対中でのコスト脅威を含め、同志国やGS諸国における戦略的なマーケットを確保するための政策の検討 →非価格要素等の新たなルールメイキング、国際標準の形成、相手国制度の形成への関与 ⚫ 日本企業がグローバル市場で事業展開を行う際のリスクを緩和するための財政的措置 →GS補助金で支援した実証事業約300件の自律的発展と横展開の促進、事業者・分野の裾野拡大、日米の戦略的投資イニシアティブ等 ⚫ 迅速にスケーラビリティを確保するためのグローバルファイナンスとの接続(海外VCの誘致等) 貿易秩序 ⚫ プルリでの貿易秩序形成(CPTPPの締約国拡大、協定アップデート、EU・ASEAN対話の具体化等) →電子商取引、サービス貿易、貿易円滑化、サプライチェーン強靱化等のルール形成推進 サプチェン 強靱化 ⚫ 希少性・偏在性の高い重要鉱物の安定供給に向けた同志国等との国際連携(供給源多角化・代替物資の研究開発における国際連携) ⚫ 同盟国・同志国と連携したサプライチェーン強靱化に向けた具体的協力案件の組成やNEXIの財務基盤強化 産業支援 ⚫ 安定供給確保上の課題が生じ得る重要物資・技術への対応強化(例:無人航空機、人工衛星、ロケットの部品、磁気センサー、重要鉱物 等) ⚫ デュアルユース技術の活用促進(スタートアップ企業等の防衛調達参入促進等) 産業防衛 ⚫ 技術流出対策の強化(技術管理スキームの活用、技術流出対策ガイダンスの改訂、アウトリーチ活動 等) ⚫ 貿易救済措置の効果的活用 ⚫ 対内投資管理の見直し 通商 政策 経済安保 政策 国際/官民連携 ・経済インテリ ジェンス ⚫ 産業技術基盤の強化に向けた同志国との連携強化(AIテックスタックにおける我が国の不可欠性・自律性を確保し、グローバルに展開) ⚫ 同志国との経済安全保障及び産業協力強化のための具体的活動(海外でのプロジェクト形成を視野に入れたイベントの実施等) ⚫ 総合的なシンクタンクの設置、官民協議会の活用等 25 (参考)有識者会議における主な議論内容 26 有識者会議における主な議論内容(1/3) 1. 産業構造転換の契機となる環境変化について A) テクノロジーの進化と競争環境への影響 ⚫ 加速度的に進む独占競争への対応が必要 ➢ Magnificent7や中国の動向を見ると、AIを軸として「いかに独占を作り出すか」という国主導の原始的なゲームになっている ➢ 生成AIの普及により、グローバルに展開するサービス産業についても、アプリケーションレイヤーのプレイヤーが産業データを収集・整備し、付 加価値を独占する構造になりつつある ➢ 日本も製造・フィジカルAI等、独占できるレイヤー・領域を特定し、徹底的に資源を集中し、勝てないなら撤退するという戦略が必要 B) 国際秩序の変容 ⚫ 有志国を中心としたミニラテラルな秩序の構築が必要 ➢ 経済安保の観点を踏まえると、半導体・重要鉱物等の戦略分野においては、有志国によるミニラテラルな秩序をWTO体制と並存させるこ とが現実的 2. 産業構造・企業経営のあるべき姿について ⚫ AI/ロボット産業での競争の在り方(高付加価値領域への注力/勝ち組企業への支援) ➢ 米中の二強体制になりつつある現状も踏まえ、ロボット向けのフィジカルAI 等ユニークで高付加価値な領域における競争力を確保すべき ➢ この分野は有力企業が日々入れ替わるため、国内で徹底的に競争させ、勝ち上がってきた企業を支援する形が良い ⚫ グローバルサウスとの連携が重要 ➢ 人口減少の中、日本がグローバル市場の確保や国際標準の確立等を目指すにはGS諸国との連携が必須。パートナーとして成長戦略を 共有・支援する関係性を構築すべき ➢ 現地エコシステムと日本の技術とのベストミックスを通じて、インド・ブラジルなどGS 諸国を周辺国への輸出拠点とすることが重要 27 有識者会議における主な議論内容(2/3) 2. 産業構造・企業経営のあるべき姿について(続き) ⚫ その他(2番手・3番手戦略/ 「ものづくり」からの転換/中国の過剰供給の利用等) ➢ 他産業に不可欠な基礎製品産業は、再編によるサプライチェーンの強化等を通じて、トップは狙えなくてもグローバルでNo.2, 3の位置を 確保し、相応のスケーラビリティと供給力を維持・強化していくことも必要 ➢ 製造業はプロセス全体、保守・修理・運用サービス(MRO)、データ活用を含めたビジネスモデルへの転換が必要 ➢ 中国の過剰供給には警戒一辺倒ではなく、豪州のように安全保障上問題ない範囲で安価な製品を利用する姿勢が重要 3. 今後の政策の方向性について A) 価値創造力・産業基盤強化について ➢ 投資への予見可能性の確保:国がユーザーとなり需要を作るなど、国内産業基盤のエコシステムを作ることが必要 ➢ 迅速な価値創出に資する制度設計:開発速度自体が価値となる時代。迅速な価値創出に資するヒト・カネ・PFの制度設計が不可欠 ➢ 国内製造機能の強化:国内に高付加価値な製造・R&D拠点を蓄積し、独力困難な領域は有志国連携での補完が重要 ➢ 企業再編に向けた規制緩和:企業数が多すぎるのは独占禁止法等の規制が一因。企業規模の大きい企業が国内再編を行い、過当 競争を防ぎ、労働生産性を上げられるような規制緩和が必要 ※ 構造的矛盾への留意:企業活動の自由と「国内に残すべき機能」には構造的矛盾がある。規制緩和だけでは企業は国内に留まらない B) 国際競争戦略・国際ルール形成・標準化・ファイナンスについて ➢ 他国への依存の減少と他国の不足の補完が重要:日本は大国間のパワーゲームに参加できない以上、まずは自律性を高め、他国依 存を減らす「守り」を強化することが重要。加えて、グローバル市場から付加価値を獲得するためには、専門人材等他国の国内OSにおい て足らざる要素を「補完」する戦略を採ることが重要。 28 有識者会議における主な議論内容(3/3) B) 国際競争戦略・国際ルール形成・標準化・ファイナンスについて(続き) ➢ 標準化の戦略的活用:標準化は市場拡大/稼ぐためのツールであるはずなのに、市場活用・競争優位確立の戦略が不足。特許獲得を 目的とするIP戦略からの転換、国内標準をグローバル標準へ押し上げる仕組みづくり、グローバルサウス(ボリューム国)との連携が必要 ➢ ファイナンス機能の円滑化:官民で目指すべき成長戦略を共有することがファイナンス機能を円滑化する。直接金融・間接金融の役割 分担の中でエクイティ投資の担い手育成が重要 ➢ 価値多元論と哲学:科学技術・産業・思想哲学の相関を整理するフレームが必要で、中心キーワードは哲学。価値多元論をOSの土台 に組込むことが重要。グローバルサウスが求める思想的背景として価値多元論を明確化し、自由貿易と多元的価値をハンドリングすべき C) 人材・教育について ➢ 産業政策としての労働政策へ:人材政策は「人手不足対応」だけでなく、産業政策を踏まえた人材育成と雇用の流動性設計が必要 ➢ グローバルIT人材の獲得阻害要因:インド等のIT人材の移入を妨げるのは、過度な顧客カスタマイズを所与とする日本企業のシステム 思想。IT人材は汎用ソフトの開発に魅力を感じる。中堅・中小企業のDXに向けては個社ごとの対応では限界があり、各社で共通したシ ステムを構築すべき ➢ 理系教育の重要性:製造現場に必要なのは高度専門知識ではなく、中学・高校レベルの数学やプログラミング。理系・文系分断の是正 が急務。理系トップ人材の医学部集中や、経済学の数学素養不足など、日本の学部構造の非合理性が産業配置の最適化を阻害 ➢ 高専教育の重要性:米国は製造オペレーター等が不足。日本の工高・高専教育は世界的に価値あるコンテンツがあり、国際展開可能 ➢ 教える教育から育てる教育へ:経済安全保障の持続可能性の根幹は人材。年齢一律の「教える教育」だけでなく、個人の興味に基づく 「育てる教育(探究)」への転換が必要であり、そこにはIT(AI)と大学の関与/連携が不可欠 ➢ 大学による中堅・中小企業の活性化:地方大学が地域中堅・中小の価値創造を支える拠点たるべき 29

資料5

参考資料2 2040年の就業構造推計(改訂版)について 2026年3月 経済産業省 経済産業政策局 1 2040年の就業構造推計(改訂版)の概要 • 2040年に十分な国内投資や産業構造転換が実現する場合(注)、人口減少により就業者数は約6700万人(2022年)から約6300万 人となるが、AI・ロボット等の利活用やリスキリング等により労働需要が効率化され、全体で大きな不足は生じない。 • 一方で、職種・学歴・地域間では需給ミスマッチが生じるリスクがあり、事務職(約440万人)や文系人材(約80万人)が余剰、 AI・ロボット等利活用人材(約340万人)を含む専門職や現場人材(約260万人)、理系人材(約120万人)が不足する可能性。 2040年 2022年 AI・ロボット等の利活 用、労働の質の向上 (約200万人分相当) 6706万人 6303万人 ※色分けはイメージ 労働需要 労働供給 職 種 ・ 学 歴 間 の ミ ス マ ッ チ 職種別 2040年 需給ミスマッチ 専門職 うち AI・ロボット等の 利活用を担う人材 -181万人 -339 万人 事務職 現場人材 うち 生産工程従事者 437万人 -260万人 2040年需要数/供給数 1867万人/1686万人 782万人/443万人 1039万人/1476万人 3283万人/3023万人 -206万人 731万人/525万人 1288万人 236万人 1455万人 3637万人 835万人 学歴別 高卒 (普通科) 高卒 (工業科) 高専卒 大卒・院卒 理系 大卒・院卒 文系 2040年 需給ミスマッチ 32万人 -91万人 -15万人 -124万人 76万人 2040年需要数/供給数 778万人/810万人 538万人/448万人 77万人/62万人 899万人/775万人 1549万人/1625万人 2022年就業者数 899万人 534万人 64万人 689万人 1678万人 2022年就業者数 (注)2025年6月経済産業省産業構造審議会経済産業政策新機軸部会「第4次中間整理」における2040年の産業構造推計(新機軸ケース)を前提としている。また、2022年就業者数は、総務省「就業構造基本調査」(令和4年度)、文部科学省「学校基本調査」 (令和4年度)の調査票情報を基に経済産業省が独自に作成・加工して利用しており、提供主体(総務省、文部科学省)が作成・ 公表している統計等とは異なる。 (注)職種分類は令和4年就業構造基本調査で用いた職業分類(総務省) による。「専門職」は、専門的・技術的職業従事者を指す。うち「AI・ロボット等の利活用を担う人材」は、機械技術者やその他の情報処理通信技術者等の職種を集計。「現場人材」は、生 産工程従事者、建設・採掘従事者、サービス職業従事者等の職種を集計。学歴は学校基本調査上の学部学科コードを元に分類(「院卒」には修士卒・博士卒を含む)。なお、右表には主要な項目のみ掲載しているため、ミスマッチ数の合計はゼロにならない。 2 全国版就業構造推計(改訂版)・職種間ミスマッチ • AI・ロボット等利活用による省力化に伴い、事務職は約440万人の余剰が生じる可能性。 • 多くの産業において、AI・ロボット等利活用人材(約340万人)や現場人材(約260万人)が不足。 専門職 事務職 現場人材 うち AI・ロボット等の 利活用を担う人材 全 産 業 2040年 需給ミスマッチ うち 生産工程従事者 うち その他現場人材 -181万人 -339 437万人 -260万人 -206万人 -54万人 2040年需要数/供給数 1867万人/1686万人 782万人/443万人 1039万人/1476万人 3283万人/3023万人 731万人/525万人 2552万人/2498万人 2022年就業者数 農林水産業 製造業 1288万人 236万人 1455万人 3637万人 835万人 2803万人 -9 -149 -7 -125 -1 -40 -110 -256 -3 -198 -107 -58 116 102 50 13 2 11 -81 -77 26 -20 -4 -16 -33 -26 20 -31 -2 -30 -21 -21 2 12 0 12 -25 -26 27 26 0 25 需主 給な ミ産 ス業 情報通信業 マの 卸売業、小売業 ッ2 チ0 建設業 の4 内 0 宿泊業、飲食サービス業 訳年 運輸業、郵便業 の 万人 (単位:万人) (注)2022年就業者数は、総務省「就業構造基本調査」(令和4年度)、文部科学省「学校基本調査」(令和4年度)の調査票情報を基に経済産業省が独自に作成・加工して利用しており、提供主体が作成・ 公表している統計等とは異なる。 (注)産業分類は令和4年就業構造基本調査で用いた産業分類(総務省)による。職業分類は令和4年就業構造基本調査で用いた職業分類(総務省) による。「専門職」は専門的・技術的職業従事者を指す。また、うち「AI・ロボット等利活用人材」は、機械技 術者やその他の情報処理通信技術者等の職種を集計。「現場人材」は、生産工程従事者、建設・採掘従事者、サービス職業従事者等の職種を集計。なお、表中には主要な項目のみ掲載しており、ミスマッチ数の合計はゼロにならない。 3 全国版就業構造推計(改訂版)・学歴間ミスマッチ • 専門職を中心に、大卒・院卒の理系人材で約120万人の不足が生じるリスク。 • 事務職の需要が減少する一方、大卒・院卒の文系人材は約80万人の余剰が生じる可能性。 全 産 業 高卒 (普通科) 高卒 (工業科) 高専卒 大卒理系 院卒理系 大卒文系 院卒文系 2040年 需給ミスマッチ 32万人 -91万人 -15万人 -96万人 -27万人 61万人 15万人 2040年需要数/供給数 778万人/810万人 538万人/448万人 77万人/62万人 683万人/586万人 217万人/189万人 1439万人/1500万人 110万人/125万人 2022年就業者数 899万人 534万人 64万人 525万人 164万人 1556万人 122万人 4 -54 -14 -87 -24 -69 4 1 -60 -15 -108 -33 -135 -7 41 8 3 20 6 163 14 -24 -47 -5 -29 -9 -27 -2 -22 -42 -5 -26 -8 -41 -2 -1 -5 -0 -4 -0 14 0 (単位:万人) 専門職 需主 給な うちAI・ロボット等 ミ職 の利活用を担う人材 ス種 マ の 事務職 ッ2 チ 0 現場人材 の4 うち生産工程従事者 内0 訳年 うちその他現場人材 の (注) 2022年就業者数は、総務省「就業構造基本調査」(令和4年度)、文部科学省「学校基本調査」(令和4年度)の調査票情報を基に経済産業省が独自に作成・加工して利用しており、提供主体が作成・ 公表している統計等とは異なる。 (注)職業分類は令和4年就業構造基本調査で用いた職業分類(総務省) による。 「専門職」は専門的・技術的職業従事者を指す。うち「AI・ロボット等の利活用を担う人材」は、機械技術者やその他の情報処理通信技術者等の職種を集計。「現場人材」は、 生産工程従事者、建設・採掘従事者、サービス職業従事者等の職種を集計。学歴分類は、学校基本調査の学部学科コードを元に分類(「院卒」には修士卒・博士卒を含む) 。表中には主要な項目のみ掲載しており、ミスマッチ数の合計はゼロにならない。 4 地域別就業構造推計(地域別ミスマッチ×職種内訳) • 東京圏では全体が余剰となり、その多くを事務職が占めている。一方、AI・ロボット等利活用 人材を含む専門職はほとんどの地域で不足。また、地方では現場人材も大きく不足。 (万人)250 余剰 200 事務職 150 100 その他 50 0 -50 現場人材 専門職 不足 -100 -150 地域ブロック 関東 (一都三県) 近畿 中部 中国 四国 北海道 東北 九州 関東 (一都三県以外) ミスマッチ数 193万人 7万人 16万人 3万人 -6万人 -41万人 -53万人 -31万人 -89万人 (注)職業分類は令和4年就業構造基本調査で用いた職業分類(総務省) による。 「専門職」は、専門的・技術的職業従事者を指す。うち「AI・ロボット等の利活用を担う人材」は、機械技術者やその他の情報処理通信技術者等の職種を集計。また、「現場人 材」は、生産工程従事者、建設・採掘従事者、サービス職業従事者等の職種を集計。地域ブロックは、経済産業局所管区域に沿って設定。なお、関東は一都三県/一都三県以外で二分し、沖縄県は九州に統合して集計。 5 地域別就業構造推計(地域別ミスマッチ × 学歴内訳) • 特に東京圏に大卒・院卒文系等の余剰が集中する一方、一部地域では不足に。 • 大卒・院卒理系は東京圏も含めて、全ての地域で大幅な不足。工業高校、高専の不足も顕著。 地域別ミスマッチの学歴内訳(大卒・院卒文系等) 地域別ミスマッチの学歴内訳(大卒・院卒理系等) (万人) (万人) 120 0 余剰 高卒(普通科) 余剰 100 -10 80 -20 60 大卒・院卒文系 高卒(工業科) 40 -30 大卒・院卒理系 20 高専卒 -40 0 -50 -20 -40 -60 関東 不足 (一都三県) 近畿 中部 中国 四国 九州 東北 北海道 関東 (一都三県以外) 不足 関東 (一都三県) 近畿 中部 中国 四国 九州 東北 北海道 関東 (一都三県以外) ミス ミス マッチ 110万人 22万人 17万人 6万人 1万人 -3万人 -11万人 -13万人 -21万人 マッチ -24万人 -39万人 -24万人 -12万人 -7万人 -31万人 -27万人 -15万人 -49万人 数 数 (注)学歴分類は、学校基本調査上の学部学科コードを元に分類(「院卒」には修士卒・博士卒を含む) 。また、学歴分類は主要な項目のみ掲載しているため、上表のミスマッチ数の合計はゼロにならない。地域ブロックは、経済産業局所管区域に沿っ て設定。なお、関東は一都三県/一都三県以外で二分し、沖縄県は九州に統合して集計。 6 参考資料 7 2040年の就業構造推計(改訂版)の試算方法 2040年の産業構造推計 2040年の就業構造推計(改訂版) <前提> • 2040年の労働需要 国内投資拡大:名目+4%で、2040年度200兆円 (国内投資フォーラムの官民目標) • 産業構造転換:「2040年新機軸(定性的)シナリオ※」、 「GX2040ビジョン」、「第7次エネ基」等を踏まえて 設定 ※2024年6月 産構審・新機軸部会「第3次中間整理」 • AI・ロボットの活用促進や、リスキリング等による労 働の質の向上が一定程度進んだ影響を加味。 →2040年までのGDP成長率は名目+3.1%(実質+1.7%) • 2040年の産業別就業者数 産業 (2040年の産業構造推計の アウトプット)を使用。 • 就業構造基本調査(総務省)の 過去トレンドを用いて分解。 地域 • 一部産業は人口動態等の影 響を受けるため個別に加味。 2040年の労働供給 • 2040年将来人口推計(社人 研)と県別・年齢別就業率推 計(JILPT)から地域別就業者 数を算出。 地域 • 就業構造基本調査の過去ト レンドを用いて分解。 産業 • 就業構造基本調査の過去ト レンドを用いて分解。 職種 <産業ごとの将来像> ○製造業X(エックス) • GX、フロンティア技術で差別化、DXによるサービス 化等で新需要創出による高付加価値化により雇用拡 大・賃上げ ○情報通信業・専門サービス業 • 新需要開拓で新たな付加価値を創出。他産業を上回 る賃上げ ○アドバンスト・エッセンシャルサービス業 • 省力化設備・サービスを使いこなし賃上げ 職種 学歴 • 就業構造基本調査の過去ト レンドを用いて分解。 • AI・ロボットによる職種ご との自動化可能性も加味。 • 就業構造基本調査の足下比 率を用いて分解。 • 文理は学校基本調査(文科省) の足下比率を用いて分解。 • 就業構造基本調査の過去トレ ンドや年齢構成を用いて分解。 学歴 • 大学進学率の将来推計値(文科 省)も加味。 両者の差分を需給ミスマッチとして算出 (注) 2025年6月に経済産業省産業構造審議会経済産業政策新機軸部会「第4次中間整理」にて公表した「2040年の就業構造推計」(初版)をベースに、①地域ごとの人口動態・産業構造の過去トレンドを反映、② AI・ロボット等の効果を職種ごとに精査、③学歴 分類の細分化等の精緻化を実施。 (注)利用した主な統計は右記の通り:総務省「就業構造基本調査」(平成24年、令和4年等)、文部科学省「学校基本調査」(平成24年、令和4年等)、国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(令和5年推計)」、独立行政法人 労働政策研究 ・研修機構「2023 年度版 労働力需給の推計―労働力需給モデルによるシミュレーション―」(2024年。成長率ベースライン・労働参加漸進シナリオを使用。労働力人口には外国人も含まれており、就業者数は日本人・外国人の区別はない)、独立行政法人 労働政 策研究・研修機構「労働力需給の推計 ―全国推計(2018年度版)を踏まえた都道府県別試算―」(2020年)等。なお、就業構造基本調査、学校基本調査については、調査票情報を基に経済産業省が独自に作成・加工して利用しており、提供主体(総務省、文部科学 省)が作成・ 公表している統計等とは異なる。 (注)AI・ロボット等による職種ごとの自動化可能性については、 Fukao, Kyoji; Ikeuchi, Kenta; Nagaya, Yoshiaki; et al. (2025). RIETI Technical Paper 25-T-001.を参考として、経済産業省にて作成。 (注)労働需要の地域別分解では、JILPTによる都道府県別推計(2020年)の手法を参考として、右記の産業について人口動態等の地域特性の影響を加味した:医療・福祉、卸売・小売、飲食・宿泊、情報通信、教育・学習支援、事業サービス、その他事業サービス。 8 (参考)将来の産業構造は、①製造業X(エックス)、②情報通信業・専門サービス業、 ③アドバンスト・エッセンシャルサービス業がカギ 10,000 時間当たり賃金 <円/時間> 2021 20% 40% 60% ※名目賃金=雇用者報酬(個人事業主・家族従業者を含まない) 7,500 5,000 宿 飲 2,500 食 泊 業 業 0 農 林 水 産 業 サそ ーの ビ他 スの 80% 業専 務門 支・ 援科 サ学 ー技 ビ術 ス、 業 郵 便 業 ・社 介会 護福 祉 医 療 卸 売 業 小 売 業 繊 維 製 品 電 パ ル 情子 部 プ ・は報 ・ 窯 業ん・ 品 紙 業 務用通 ・ ・ ・ 用・信 デ 紙 土 機生機 バ 加 石 械産器 イ ス 工製 用 品品 電 気 機 械 食 金製そ 料 属造の 品 製業他 品 の 運 輸 業 廃電 棄気 物・ 処ガ 理ス 一 業・ 次 水 金化 道 属学 ・ 輸 送 用 機 械 鉱 業 不 動 産 業 情 報 通 信 業 建 設 業 金 融 ・ 保 険 業 教 育 2040新機軸ケース 10,000 20% 40% ①製造業X(エックス):GX、フロンティア技術で差別化、DXによるサービス化等で 新需要創出による高付加価値化により雇用拡大・賃上げ ②情報通信業・専門サービス業:新需要開拓で新たな付加価値を創出 他産業を上回る賃上げ ③アドバンスト・エッセンシャルサービス業:省力化設備・サービスを使いこなし、賃上げ 7,500 宿 泊 業 5,000 2,500 0 飲 食 業 農 林 水 産 業 鉱 業 廃電 ③アドバンスト・ 棄気 エッセンシャルサービス業 物・ サそ ーの ビ他 スの 介社 護会 福 祉 ・ 医 療 処ガ 運 郵 理ス 輸 便 業・ 業業 水 道 ・ 小 売 業 卸 売 業 (注)産業別の数値は民間の動向を政策的示唆に活用するため、市場経済を念頭におき公務を除く 建 設 業 60% 繊 維 製 品 パ ル 窯 プ 業 ・ ・ 紙 土 ・ 石 紙 製 加 品 工 品 (総労働時間) 967 億時間 80% 通情 一 信報 次 機・ 金 属 器 電 子 ①製造業X(エックス)部 品 そ ・は ・ の 業ん 電 輸 デ 金 他 務用 気 送 バ 化 属 の 用・ 機 用 イ 学 製 製 食 機生 械 機 ス 品 造 料 械産 品 業 用 ②情報通信業・ 専門サービス業 業専 務門 支・ 援科 サ学 ー技 ビ術 ス、 業 情 報 通 信 業 不教 動育 産 業 金 融 ・ 保 険 (総労働時間) 868 億時間 9 地域別就業構造推計(地域への追加投資シナリオ試算) • 過去トレンドの延長では反映できない非連続的な大規模投資が労働需要に与える影響を分析。 • 産業特性に応じ、雇用誘発効果、専門的・技術的職業従事者数、建設期に必要な労働量等が異なる。 大規模投資が想定される 産業類型 ①サービス業 例) ・商業・MICE複合開発 ・地域観光再生・温泉街再開発 ②製造業 例) ・EV自動車バッテリー工場 ・先端材料・電子部品製造拠点 ③エネルギーインフラ業 例) ・再エネ発電拠点整備 (陸上風力・太陽光・地熱等) ・送電網・配電網・水素供給網整備 運営期に必要な労働量 想定シナリオ例 合計 ホテル開発(観光業) ✓ 追加投資額:計300億円 1,800人 半導体工場(半導体産業) ✓ 追加投資額:計1.5兆円 10,000人 洋上風力発電事業 (洋上風力産業) ✓ 追加投資額:計5000億円 240人 生産工程 従事者 サービス職業 従事者 専門的・技術的 職業従事者 1,200人 140人 10人 (66%) (8%) (1%) (1%) 建設期:260人 10人 2,600人 3,700人 (0%) (26%) (37%) 400人 (4%) 建設期:8,600人 (33%) 0人 50人 30人 60人 100人 (0%) (20%) (14%) 建設・採掘従事者 30人 (24%) 建設期:950人 その他 420人 (24%) 3,300人 (41%) (注)「想定シナリオ例」は、過去の事例を参考に、経済産業省で投資額等について仮定を置いて試算を行ったもの。 (注)「運営期に必要な労働量」は、想定する投資案件の運用が開始される段階の投資を仮定して算出した必要となる単年度あたりの労働量を示す。なお、必要な労働量については、想定する投資案件に必要な機材・装置等の生産も域内で行う場合の数。%で示 す割合は、必要となる労働量の合計に占める職種ごとの労働量の割合。また、労働量や割合については、端数を除いているため、合計が100%にはならない場合がある。なお、職業分類は令和4年就業構造基本調査で用いた職業分類(総務省) による。 (注)「建設期」は、想定する投資案件の建築段階の投資を仮定して算出した必要となる単年度あたりの労働量のうち、令和4年就業構造基本調査で用いた職業分類(総務省)における建設・採掘従事者の労働量を示す。 10 生成AI・ロボット等の進展による影響 • 現時点では不確実性があるが、昨今の生成AI・ロボット等の進展が加速すると仮定した場合 には、AI・ロボット等利活用人材の需要がさらに増加する可能性がある。 • 現場型職種では、操作・保守等の定型スキルで代替が大幅に進む。対人業務型職種では、職 そのものの代替は起こりにくいが、AI等の補完的活用より生産性が向上する可能性がある。 職種別の影響について 分類 スキル・タスクの代替可能性の傾向例 高 低 職種ごとの影響例 (労働需要数) 事務型 ・調整業務 ・要件分析 ・対面議論 ・グループワーク 事務従事者 生成AI等の導入なし:1530万人 全国版就業構造推計:1040万人 生成AI等の進展を仮定した場合:680万人 現場型 ・操作、制御 ・保守、点検 ・故障の原因特定 ・修理 運搬従事者 生成AI等の導入なし:240万人 全国版就業構造推計:200万人 生成AI等の進展を仮定した場合:130万人 ・管理業務 ・道具の選択 ・傾聴力 ・他者の反応の理解 ・腕や足の動作速度 ・他者の健康・安全 への責任 保健医療サービス職業従事者等 生成AI等の導入なし:計62万人 全国版就業構造推計:計61万人 生成AI等の進展を仮定した場合:計52万人 対人業務型 代替率 0% 10% 20% 30% 32% 16% 1~2% 13~16% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 23% 32% :全国版就業構造推計の代替率 :現時点では不確実性があるものの、生成AI等が進展する と仮定した場合に向上する可能性がある代替率 (注)「AI・ロボット等利活用人材」は、令和4年就業構造基本調査で用いた職業分類(総務省) 上の機械技術者やその他の情報処理通信技術者等の職種を指す。また、代替率は当該職種の労働時間のうちAI・ロボット等によって代替が可能な時間の割合。 (注)本分析は、Fukao, Kyoji; Ikeuchi, Kenta; Nagaya, Yoshiaki; et al. (2025). RIETI Technical Paper 25-T-001を参考としながら、経済産業省にて作成。 11 都道府県別データ 12 都道府県×職種(2040年のミスマッチ数①) 都道府県 合計 専門職 うちAI・ロボット等の 利活用を担う人材 事務職 現場人材 全国 北海道 青森県 岩手県 宮城県 秋田県 山形県 福島県 茨城県 栃木県 群馬県 埼玉県 千葉県 東京都 神奈川県 新潟県 山梨県 長野県 静岡県 岐阜県 愛知県 三重県 富山県 石川県 0 -40.8 -7.1 -7.3 -10.3 -10.9 -6.9 -10.9 -18.0 -8.4 -4.0 28.2 14.6 131.3 19.2 -5.7 -8.5 -22.2 -22.2 -8.7 43.1 -7.5 -3.3 -7.2 -181 -17.1 -4.1 -3.1 -5.7 -5.2 -3.5 -5.7 -7.8 -5.7 -2.9 -3.1 -12.3 32.7 -8.9 -6.6 -3.3 -7.8 -12.9 -5.7 -7.0 -6.9 -3.2 -3.0 -339 -17.0 -4.0 -4.0 -8.1 -4.4 -4.0 -5.8 -10.9 -6.3 -6.6 -16.0 -14.3 -5.5 -18.4 -6.5 -3.2 -10.4 -14.3 -7.0 -21.1 -6.8 -3.8 -5.5 437 7.1 2.2 2.1 5.8 0.4 1.6 4.1 5.5 6.0 5.3 31.3 26.6 88.2 36.5 5.7 1.7 3.7 8.0 4.6 34.1 4.4 2.6 3.1 -260 -29.6 -4.6 -6.2 -10.0 -5.6 -4.6 -8.9 -16.0 -9.3 -6.4 0.5 -0.4 7.2 -8.9 -4.6 -6.5 -17.7 -15.5 -7.5 15.7 -5.4 -2.4 -7.0 うち生産工程従事者 -206 -7.6 -1.8 -2.6 -4.3 -2.8 -2.9 -3.9 -7.7 -3.3 -4.1 -9.0 -6.2 -10.5 -19.3 -3.7 -2.4 -5.9 -9.4 -5.2 -4.3 -3.7 -2.2 -3.3 (単位:万人) (注)職業分類は令和4年就業構造基本調査で用いた職業分類(総務省) による。「専門職」は専門的・技術的職業従事者を指す。うち「AI・ロボット等の利活用を担う人材」は、機械技術者やその他の情報処理通信技術者等の職種を集計。「現 場人材」は、生産工程従事者、建設・採掘従事者、サービス職業従事者等の職種を集計。なお、表中には主要な項目のみ掲載しており、合計の列の値と各項目を合計した値は一致しない。 13 都道府県×職種(2040年のミスマッチ数②) 都道府県 合計 専門職 うちAI・ロボット等の 利活用を担う人材 事務職 現場人材 福井県 滋賀県 京都府 大阪府 兵庫県 奈良県 和歌山県 鳥取県 島根県 岡山県 広島県 山口県 徳島県 香川県 愛媛県 高知県 福岡県 佐賀県 長崎県 熊本県 大分県 宮崎県 鹿児島県 沖縄県 -1.3 -2.2 -9.8 16.8 8.4 0.0 -4.6 -0.3 0.5 -0.5 3.9 -0.2 -1.6 -1.3 -2.6 -0.8 7.9 -1.4 -2.5 -4.5 -5.0 -2.1 -4.9 -18.3 -1.3 -4.9 -0.8 -12.8 -5.5 -2.4 -2.5 -0.8 -0.8 -1.8 -3.2 -2.3 -1.9 -2.1 -2.4 -1.1 -6.6 -1.5 -2.8 -3.9 -3.1 -2.1 -3.2 -2.6 -2.4 -6.4 -8.0 -22.3 -13.4 -3.3 -3.2 -1.5 -2.1 -5.5 -8.2 -3.3 -2.3 -2.6 -3.8 -1.7 -14.4 -2.7 -3.9 -6.3 -4.0 -2.9 -5.3 -5.6 2.3 4.4 8.3 31.3 16.4 3.6 2.1 1.8 2.1 5.6 9.4 3.7 1.9 3.3 3.4 1.9 19.8 2.4 3.2 4.8 2.9 3.5 3.2 5.4 -1.9 -1.4 -18.2 -5.8 -2.9 -1.3 -4.2 -1.3 -0.6 -4.2 -2.2 -1.4 -1.5 -2.4 -4.2 -1.6 -5.9 -2.5 -3.5 -5.2 -4.7 -3.7 -4.6 -21.0 うち生産工程従事者 -1.7 -3.6 -6.2 -17.8 -7.5 -2.0 -1.5 -0.6 -1.3 -2.5 -4.1 -1.9 -1.2 -1.5 -2.3 -0.8 -9.0 -2.1 -1.8 -2.8 -2.1 -1.6 -2.5 -1.0 (単位:万人) (注)職業分類は令和4年就業構造基本調査で用いた職業分類(総務省) による。「専門職」は専門的・技術的職業従事者を指す。うち「AI・ロボット等の利活用を担う人材」は、機械技術者やその他の情報処理通信技術者等の職種を集計。「現 場人材」は、生産工程従事者、建設・採掘従事者、サービス職業従事者等の職種を集計。なお、表中には主要な項目のみ掲載しており、合計の列の値と各項目を合計した値は一致しない。 14 都道府県×職種(2040年の需要数①) 都道府県 合計 専門職 うちAI・ロボット等の 利活用を担う人材 事務職 現場人材 全国 北海道 青森県 岩手県 宮城県 秋田県 山形県 福島県 茨城県 栃木県 群馬県 埼玉県 千葉県 東京都 神奈川県 新潟県 山梨県 長野県 静岡県 岐阜県 愛知県 三重県 富山県 石川県 6,303 256.8 54.4 57.6 117.3 44.8 51.5 87.8 153.0 101.9 97.3 362.7 317.5 756.3 480.3 101.1 45.8 121.1 197.4 101.4 374.7 91.1 51.0 62.6 1,867 69.5 14.5 14.6 32.5 12.8 14.0 23.0 41.8 26.9 26.8 112.6 99.0 256.9 157.1 28.0 12.4 32.3 54.8 27.8 114.1 26.8 14.9 18.5 782 27.5 5.8 5.8 13.3 5.8 5.9 9.0 17.6 11.1 10.8 46.5 42.5 120.7 69.3 11.0 5.1 15.2 23.4 11.3 46.7 11.5 6.3 8.8 1,039 43.0 8.3 8.8 18.2 7.4 8.3 13.0 24.5 15.6 15.0 62.1 53.4 132.4 83.2 16.2 6.9 17.4 32.7 16.5 63.9 15.2 8.7 10.0 3,283 139.9 30.5 33.4 64.6 23.7 28.5 50.3 84.9 58.5 54.1 179.8 159.0 348.5 230.6 55.0 25.9 69.9 106.7 55.2 191.0 48.2 26.4 32.8 うち生産工程従事者 731 20.6 5.3 6.9 12.8 5.5 7.4 11.6 22.1 15.8 14.0 36.8 31.0 58.8 50.5 14.5 5.5 16.6 31.9 16.8 51.2 13.7 8.4 8.6 (単位:万人) (注)職業分類は令和4年就業構造基本調査で用いた職業分類(総務省) による。「専門職」は専門的・技術的職業従事者を指す。また、うち「AI・ロボット等利活用人材」は、機械技術者やその他の情報処理通信技術者等の職種を集計。「現場 人材」は、生産工程従事者、建設・採掘従事者、サービス職業従事者等の職種を集計。なお、表中には主要な項目のみ掲載しており、合計の列の値と各項目を合計した値は一致しない。 15 都道府県×職種(2040年の需要数②) 都道府県 合計 専門職 うちAI・ロボット等の 利活用を担う人材 事務職 現場人材 福井県 滋賀県 京都府 大阪府 兵庫県 奈良県 和歌山県 鳥取県 島根県 岡山県 広島県 山口県 徳島県 香川県 愛媛県 高知県 福岡県 佐賀県 長崎県 熊本県 大分県 宮崎県 鹿児島県 沖縄県 37.8 76.0 133.8 417.4 243.1 53.4 43.8 25.4 30.0 92.2 132.4 56.4 31.2 44.9 58.9 28.7 256.0 40.0 55.7 86.2 55.3 49.7 73.9 95.9 10.4 23.3 36.4 124.7 72.9 16.5 11.6 6.9 8.9 25.3 38.9 15.9 9.2 12.4 16.4 7.9 74.4 11.2 15.8 24.2 15.2 13.2 20.7 23.3 4.0 10.6 14.8 50.7 28.1 6.0 4.6 2.5 3.4 9.8 15.3 5.7 3.6 4.7 6.3 2.7 30.1 4.4 5.9 9.7 6.2 5.0 7.7 9.3 6.3 12.6 19.8 70.0 39.6 8.4 6.3 3.9 4.7 15.0 21.8 9.4 5.0 7.4 9.3 4.3 44.6 6.5 8.9 13.3 9.1 7.7 11.4 12.8 20.2 38.7 75.3 215.4 126.0 27.6 25.3 14.1 16.0 50.4 69.7 30.2 16.5 24.5 32.3 15.9 132.3 21.6 30.0 47.0 30.1 28.0 40.5 57.6 うち生産工程従事者 5.5 13.1 17.1 46.0 31.9 6.2 5.1 2.9 3.8 13.1 17.7 7.9 3.9 6.3 7.4 2.3 31.0 5.6 5.2 9.1 6.3 4.8 7.0 5.3 (単位:万人) (注)職業分類は令和4年就業構造基本調査で用いた職業分類(総務省) による。「専門職」は専門的・技術的職業従事者を指す。また、うち「AI・ロボット等利活用人材」は、機械技術者やその他の情報処理通信技術者等の職種を集計。「現場 人材」は、生産工程従事者、建設・採掘従事者、サービス職業従事者等の職種を集計。なお、表中には主要な項目のみ掲載しており、合計の列の値と各項目を合計した値は一致しない。 16 都道府県×学歴(2040年のミスマッチ数①) 都道府県 合計 高卒 (普通科) 高卒 (工業科) 高専卒 大卒理系 院卒理系 大卒文系 全国 北海道 青森県 岩手県 宮城県 秋田県 山形県 福島県 茨城県 栃木県 群馬県 埼玉県 千葉県 東京都 神奈川県 新潟県 山梨県 長野県 静岡県 岐阜県 愛知県 三重県 富山県 石川県 0 -40.8 -7.1 -7.3 -10.3 -10.9 -6.9 -10.9 -18.0 -8.4 -4.0 28.2 14.6 131.3 19.2 -5.7 -8.5 -22.2 -22.2 -8.7 43.1 -7.5 -3.3 -7.2 32 -4.9 -0.5 -0.7 -0.7 -1.0 -0.5 -0.9 -1.5 -0.5 0.0 5.7 4.3 16.7 5.3 0.1 -0.9 -2.6 -1.5 -0.4 8.9 -0.1 -0.0 -0.8 -91 -5.7 -1.1 -1.2 -2.2 -1.5 -1.3 -1.9 -3.6 -1.6 -1.7 -4.2 -3.1 -1.8 -6.5 -1.7 -1.1 -3.2 -4.5 -2.4 -1.7 -1.7 -1.0 -1.5 -15 -0.9 -0.2 -0.2 -0.4 -0.2 -0.2 -0.3 -0.5 -0.3 -0.3 -0.6 -0.6 -0.2 -1.0 -0.3 -0.2 -0.6 -0.8 -0.4 -0.5 -0.3 -0.2 -0.3 -96 -6.7 -1.6 -1.6 -3.1 -1.9 -1.6 -2.5 -3.9 -2.6 -1.8 -2.7 -4.2 5.2 -5.9 -2.4 -1.5 -3.7 -5.7 -2.6 -2.7 -2.6 -1.3 -1.5 -27 -1.8 -0.5 -0.5 -0.9 -0.7 -0.6 -0.8 -1.1 -0.6 -0.7 -0.7 -0.9 3.9 -1.2 -0.8 -0.5 -1.5 -1.9 -1.0 -0.9 -0.9 -0.5 -0.6 61 -7.5 -1.0 -1.0 -0.4 -2.1 -1.3 -1.3 -2.6 -0.7 -0.3 9.5 6.4 40.7 12.2 -0.5 -1.5 -4.3 -4.0 -1.1 11.3 -1.0 -0.3 -1.3 (注)学歴分類は、学校基本調査の学部学科コードを元に分類(「院卒」には修士卒・博士卒を含む) 。なお、表中には主要な項目のみ掲載しており、合計の列の値と各項目を合計した値は一致しない。 院卒文系 15 -0.1 -0.0 -0.0 0.2 -0.1 -0.1 -0.0 -0.0 0.1 0.1 1.2 0.9 5.1 1.8 0.1 -0.1 -0.2 -0.1 -0.0 1.3 0.0 0.0 (単位:万人) 0.1 17 都道府県×学歴(2040年のミスマッチ数②) 都道府県 合計 高卒 (普通科) 高卒 (工業科) 高専卒 大卒理系 院卒理系 大卒文系 福井県 滋賀県 京都府 大阪府 兵庫県 奈良県 和歌山県 鳥取県 島根県 岡山県 広島県 山口県 徳島県 香川県 愛媛県 高知県 福岡県 佐賀県 長崎県 熊本県 大分県 宮崎県 鹿児島県 沖縄県 -1.3 -2.2 -9.8 16.8 8.4 0.0 -4.6 -0.3 0.5 -0.5 3.9 -0.2 -1.6 -1.3 -2.6 -0.8 7.9 -1.4 -2.5 -4.5 -5.0 -2.1 -4.9 -18.3 0.0 0.5 -1.8 5.2 2.8 0.4 -0.4 0.1 0.3 0.3 1.4 0.4 0.0 0.1 -0.0 0.0 2.7 0.1 -0.0 0.0 -0.4 0.0 -0.2 -3.4 -0.7 -1.4 -2.6 -6.0 -3.3 -0.9 -0.8 -0.3 -0.4 -1.4 -1.5 -0.8 -0.5 -0.6 -1.0 -0.4 -3.8 -0.8 -0.9 -1.4 -1.1 -0.8 -1.3 -1.6 -0.1 -0.3 -0.4 -0.9 -0.6 -0.1 -0.2 -0.1 -0.1 -0.2 -0.3 -0.1 -0.1 -0.1 -0.2 -0.1 -0.6 -0.1 -0.2 -0.3 -0.2 -0.1 -0.2 -0.3 -0.8 -1.9 -1.8 -4.9 -3.8 -1.1 -1.2 -0.4 -0.5 -1.5 -2.0 -1.0 -0.7 -0.9 -1.2 -0.5 -3.4 -0.8 -1.0 -1.9 -1.4 -1.0 -1.7 -2.1 -0.3 -0.7 -0.5 -1.7 -1.0 -0.3 -0.4 -0.1 -0.2 -0.4 -0.7 -0.3 -0.3 -0.2 -0.3 -0.2 -1.1 -0.3 -0.4 -0.7 -0.5 -0.3 -0.6 -0.4 0.2 0.2 -1.5 9.2 4.5 0.7 -0.5 0.3 0.2 0.8 1.1 0.3 -0.2 0.2 0.3 0.2 3.1 0.1 -0.2 -0.5 -0.6 0.4 -0.9 -3.8 (注)学歴分類は、学校基本調査の学部学科コードを元に分類(「院卒」には修士卒・博士卒を含む) 。なお、表中には主要な項目のみ掲載しており、合計の列の値と各項目を合計した値は一致しない。 院卒文系 0.1 0.1 0.3 1.3 0.7 0.1 -0.0 0.1 0.0 0.2 0.2 0.1 0.0 0.1 0.1 0.0 0.6 0.1 0.1 0.0 0.0 0.1 -0.0 (単位:万人) 0.0 18 都道府県×学歴(2040年の需要数①) 都道府県 合計 高卒 (普通科) 高卒 (工業科) 高専卒 大卒理系 院卒理系 大卒文系 全国 北海道 青森県 岩手県 宮城県 秋田県 山形県 福島県 茨城県 栃木県 群馬県 埼玉県 千葉県 東京都 神奈川県 新潟県 山梨県 長野県 静岡県 岐阜県 愛知県 三重県 富山県 石川県 6,303 256.8 54.4 57.6 117.3 44.8 51.5 87.8 153.0 101.9 97.3 362.7 317.5 756.3 480.3 101.1 45.8 121.1 197.4 101.4 374.7 91.1 51.0 62.6 778 33.5 6.9 7.5 14.8 5.5 6.4 11.2 19.1 12.9 12.1 44.1 38.8 89.5 57.1 12.6 5.9 15.5 24.5 12.5 45.2 11.2 6.2 7.7 538 20.2 4.5 4.9 9.9 3.9 4.6 7.8 13.8 9.0 8.6 32.0 26.8 58.4 40.9 9.2 3.8 10.4 18.4 9.7 33.8 8.3 4.8 5.5 77 2.9 0.6 0.7 1.4 0.6 0.6 1.1 1.9 1.2 1.2 4.4 3.9 9.2 6.0 1.2 0.6 1.5 2.5 1.3 4.7 1.2 0.7 0.8 683 26.0 5.6 5.8 12.3 4.8 5.4 9.0 16.1 10.6 10.3 40.2 35.3 87.7 54.9 10.6 4.8 12.6 20.8 10.7 41.5 9.9 5.5 6.8 217 7.4 1.6 1.7 3.8 1.5 1.8 2.8 5.2 3.4 3.3 12.5 11.2 28.1 18.0 3.4 1.5 4.2 7.0 3.5 13.5 3.4 1.9 2.3 1,439 58.7 11.6 12.2 25.8 9.9 11.2 18.6 32.9 21.9 21.1 84.0 74.0 185.1 112.7 22.4 10.1 26.1 44.3 22.3 86.1 20.3 11.5 14.5 (注)学歴分類は、学校基本調査の学部学科コードを元に分類(「院卒」には修士卒・博士卒を含む) 。なお、表中には主要な項目のみ掲載しており、合計の列の値と各項目を合計した値は一致しない。 院卒文系 110 4.2 0.9 0.9 1.9 0.8 0.9 1.4 2.6 1.7 1.6 6.5 5.7 14.1 8.9 1.7 0.8 2.0 3.4 1.7 6.8 1.6 0.9 (単位:万人) 1.1 19 都道府県×学歴(2040年の需要数②) 都道府県 合計 高卒 (普通科) 高卒 (工業科) 高専卒 大卒理系 院卒理系 大卒文系 福井県 滋賀県 京都府 大阪府 兵庫県 奈良県 和歌山県 鳥取県 島根県 岡山県 広島県 山口県 徳島県 香川県 愛媛県 高知県 福岡県 佐賀県 長崎県 熊本県 大分県 宮崎県 鹿児島県 沖縄県 37.8 76.0 133.8 417.4 243.1 53.4 43.8 25.4 30.0 92.2 132.4 56.4 31.2 44.9 58.9 28.7 256.0 40.0 55.7 86.2 55.3 49.7 73.9 95.9 4.7 9.0 17.4 51.8 29.7 6.5 5.6 3.2 3.7 11.5 16.3 7.0 3.8 5.6 7.4 3.6 31.7 4.9 7.0 10.8 7.0 6.3 9.4 13.5 3.5 7.1 11.1 34.8 21.4 4.5 3.6 2.1 2.6 8.4 11.5 5.1 2.6 3.9 5.0 2.3 22.6 3.6 4.5 7.1 4.6 4.1 5.9 6.7 0.5 1.0 1.6 5.0 3.0 0.6 0.5 0.3 0.4 1.1 1.6 0.7 0.4 0.5 0.7 0.3 3.1 0.5 0.7 1.0 0.7 0.6 0.8 1.0 3.9 8.4 13.8 45.1 26.5 5.9 4.5 2.6 3.2 9.6 14.3 6.0 3.4 4.7 6.2 3.0 27.3 4.2 5.9 9.1 5.8 5.1 7.7 9.1 1.3 3.0 4.3 14.2 8.5 1.8 1.4 0.8 1.0 3.0 4.5 1.9 1.1 1.5 1.9 0.9 8.6 1.4 1.8 2.8 1.8 1.5 2.3 2.5 8.5 17.4 30.6 97.6 54.9 12.0 9.2 5.5 6.8 20.3 30.2 12.6 6.9 10.0 12.9 6.1 59.2 8.8 12.4 18.7 12.3 10.5 16.3 22.2 (注)学歴分類は、学校基本調査の学部学科コードを元に分類(「院卒」には修士卒・博士卒を含む) 。なお、表中には主要な項目のみ掲載しており、合計の列の値と各項目を合計した値は一致しない。 院卒文系 0.7 1.4 2.2 7.3 4.3 0.9 0.7 0.4 0.5 1.6 2.3 1.0 0.5 0.8 1.0 0.5 4.5 0.7 0.9 1.5 0.9 0.8 1.2 (単位:万人) 1.5 20