資料3
資料1
「経済産業政策の新機軸」の
今後の方向性について
2025年12月
経済産業政策局 産業構造課
1
今期の新機軸部会の狙い①
1. これまでの新機軸部会の議論と継続方針
⚫ これまで4年間、「経済産業政策の新機軸」として、国内投資・イノベーション・所得向上の実現を目指して、ミッション
志向の産業政策を推進。「名目」では、国内投資拡大と賃上げの「潮目の変化」が生じている
⚫ 他方、「実質」での国内投資拡大と賃上げは道半ば。持続的な経済成長を実現するためには、①内外への成長投資を起点と
した、産業構造の高付加価値化・グローバル競争力の強化による外需拡大やエネルギーを含めた自律性の向上などによって、
②「労働生産性のさらなる向上」と「交易条件の改善」を通じて持続的な賃上げを実現し、③消費が活性化することで市場
が成長し、次の投資が生まれるといった好循環がマクロ経済運営上は重要となる。
⚫ 以下の経済情勢の中で、こうした環境を実現していくためには、引き続き積極的な経済産業政策を実施していくことが重要。
➢ 日本経済:コストプッシュの物価高が継続するなどマクロ環境は変化。また、少子高齢化に伴う人手不足や、消費低迷、
企業の稼ぐ力向上・事業転換を後押しする成長投資の低迷など、構造的な課題は引き続き存在。
➢ 世界経済:AI等のテクノロジーの進展や国際経済秩序の変容がマクロ経済構造や産業構造の転換を起こしつつある中、
世界各国における産業政策・通商政策競争はさらに激化。
2. 高市内閣の基本方針と経済対策指示
⚫ 高市内閣における成長戦略では、「責任ある積極財政」、「危機管理投資」と「成長投資」を掲げており、供給力の強化だ
けでなく、需要創出策もあわせて検討。戦略分野(17分野)での官民投資の拡大においては、大胆な設備投資や研究開発の
促進などを通じて、官民の積極的な投資を引き出し、「強い経済」を実現し、またそのような投資を引き出す上で、「世界
共通の課題」という需要に対し、その解決に資する製品やサービス、インフラを提供することで、更なる成長に繋げていく
ことを目指している。経済産業大臣はうち6分野を担当し、新機軸の8ミッションとも大きく重なる領域。
⚫ 分野横断課題(8分野)の改革に関しては、経済産業大臣は「新技術立国・競争力強化」を担当しており、新機軸のOS改革
とも大きく重なる領域。新機軸部会では、「新技術立国・競争力強化」に加え、「人材育成」「労働市場改革」「SU」「金
融」「賃上げ」は継続して議論している論点。
2
今期の新機軸部会の狙い②
3. 今期の新機軸の方向性
⚫ 足下の経済環境を踏まえ、実質での持続的な成長に向けて、競争力強化・外需拡大等により付加価値を生み出す国内投資、
増加した付加価値の賃金への分配、賃金上昇による消費主導の内需の活性化という好循環の実現を目指す。
⚫ こうした好循環の実現に向けて、第4次中間整理で提示した2040年の産業構造を前提とした上で、価値創出のメカニズムが
異なるグローバル競争型産業・域内循環型産業に分けて、産業構造転換の具体化に向けた本質的な政策の方向性を示す。
⚫ ①グローバル競争型産業については、成長戦略にて経済産業大臣が担当する「新技術立国・競争力強化」として、産業構造
審議会イノベーション小委等とも連携して検討を進める。
⚫ 具体的には、日本のグローバル産業の競争力低迷をもたらした構造的要因の分析。
⚫ 成長戦略17分野とも連動した形で、日本の勝ち筋とGVC再構築のあり方を描き、内外一体・需給両面での政策対応を
検討。
⚫ 分野横断的な設備投資等の促進や、産業基盤の整備の実現を検討。
⚫ ②域内循環型産業については、前回の新機軸部会第四次中間整理で打ち出した、中堅・中小企業の成長力強化、人手不足下
でも持続可能な経済圏形成の具体化を図る。
⚫ さらに、国内投資・賃上げ・消費の好循環のミッシングピースである消費活性化のあり方、テクノロジー進展等を見据えた
中長期的な経済社会のあり方の検討にも着手。
3
今期の新機軸部会の方向性
⚫ マクロ経済環境やAI等のテクノロジーの進展や国際経済秩序の変容といった外部環境変化を踏まえ、新たに検討すべきアジェンダも含めて、
本質的な政策課題を洗い出し、迅速に対応すべき課題については政策的措置を具体化。今期は、以下の重点アジェンダを中心に議論。
「1.マクロ経済運営のあり方」について
⚫ 実質での持続的な成長に向けて、競争力強化・外需拡大等により付加価値を生み出す国内投資、増加した付加価値の賃
金への分配、賃金上昇による消費主導の内需の活性化という好循環をいかにして実現していくか。
「2.グローバル競争型産業」について(「新技術立国・競争力強化」)
「2-1.日本のグローバル競争型産業における構造的課題」
⚫ 日本のグローバル産業の競争力低迷をもたらした構造的要因はなにか。
「2-2.グローバル競争型産業における勝ち筋の検討」
⚫ マーケットスケール/グローバルシェアを確保する高付加価値型の国内産業構造とグローバル・バリューチェーンの絵姿
をどのように具体化していくか。
「2-3.分野横断的課題である経済・産業基盤(OS)の改革」
⚫ 分野横断的な設備投資等の促進や、人材・ファイナンス・計算資源・エネルギー・産業用地・インフラなど産業基盤の
整備をいかにして実現していくか。
⚫ (「新技術立国」:イノベーション小委員会で別途議論)日本に強みがある技術の社会実装や勝ち筋となる産業分野の
育成を促進する「新技術立国」の実現のため、研究開発法人の技術シーズの徹底した社会実装、防衛調達をはじめとす
る官公庁による調達、規制・規格の導入による新たな需要創出・拡大策などをどのように実現していくか。
「3.域内循環型産業」について
⚫ 地域経済を支えるエッセンシャルサービスの持続性をいかにして向上させるか。
「4.好循環のミッシングピースである消費活性化」について
⚫ 安心して消費できるような持続的な可処分所得の確保のあり方、消費活性化に資する産業政策のあり方など、「消費活 4
性化」のための政策はどういったアプローチが考えられるか。
産業構造審議会 経済産業政策新機軸部会 第4次中間整理の
概要より抜粋の上加工
第4次中間整理で提示した産業構造と今後の方向性
⚫ 第4次中間整理で提示した2040年の産業構造を前提とした上で、価値創出のメカニズムが異なるグローバル競争型産
業・域内循環型産業に分けて、産業構造転換の具体化に向けた本質的な政策の方向性を示す。
将来の産業構造転換(労働生産性=名目付加価値/時間)
2021
労働生産性
<円/時間>
80,000
20%
40%
60%
80%
30,000
20,000
10,000
宿 飲
泊 食
業 業
0
80,000
30,000
20,000
10,000
0
農
林
水
産
業
サそ
ーの
ビ他
スの
郵
便
業
運
輸
業
2040新機軸ケース
・社
介会
護福
祉
建
設
業
医
療
%
卸
売
業
小
売
業
鉱
業
業専
務門
支・
援科
サ学
ー技
ビ術
ス、
業
教
育
40%
60%
①製造業X(エックス):GX、フロンティア技術で差別化、DXによるサービス化等で
新需要創出による高付加価値化により雇用拡大・労働生産性向上
②情報通信業・専門サービス業:新需要開拓で新たな付加価値を創出他産業を上回る労働生産性向上
グローバル競争型産業
③アドバンスト・エッセンシャルサービス業:省力化設備・サービスを使いこなし、労働生産性向上
域内循環型産業
農
林
水
産
業
飲 宿
食 泊
業 業
建
設
業
サそ
ーの
ビ他
スの
介社
護会
福
祉
・
医
療
郵
便
教 業 運
輸
育
業
繊 金
維 属
製 製
品 品
小
売
業
卸
売
業
鉱
金
業 サ術専
属
ー、門
製
ビ業・
繊
品製 そ
ス務科
造の
維
業支学
業他
援技製
の
品
・電
廃気
棄・
物ガ
処ス
理・
業水
道
業は パ 電 そ 情
務ん ル 子 の 報 一
用用 プ 部 他 ・ 次
金
窯 機・ ・ 品 の 通 金
融
属
業 械生 紙 ・ 製 信化
・
輸 ・ 電 産 ・ デ 造 機学
保
送 土 気用 紙 バ 業器
険
用 石 機・ 加 イ
業
工 ス
機 製 械
品
械 品
通情
食
信報
料
業
品
不
動 (総労働時間)
産 1,022
業 億時間
80%
用は
窯 ・ん
業 業用
・ 務・
土 用生
石 機産
製 械
品
・電
廃気
棄・
電情
物ガ
パ
子報 一
次
処ス
化
ル
部・
プ
品 通 金 学理・
業水
・
・信 属
道
紙
デ
機
電
・
バ
紙 気 イ
加 機 ス
工 械
金
品
融
情
輸
・
報
送
通 保
食 用
信 険
料 機
業
品 械
(注)産業別の数値は民間の動向を政策的示唆に活用するため、市場経済を念頭におき公務を除く(出所)2021年については経済産業研究所「JIPデータベース2023」より作成。
不
動 (総労働時間)
産
922
業
億時間
5
新機軸の今後の方向性の全体像
マクロ経済環境やAI等のテクノロジーの進展や国際経済秩序の変容といった外部環境変化を踏まえ、新たに検討すべきアジェンダも含めて本
質的な政策課題を洗い出し、迅速に対応すべき課題については政策的措置を具体化。今期は、以下の4つの重点アジェンダを中心に議論。
① 好循環の実現のための「マクロ経済のあり方」
② グローバル競争に打ち勝ち、世界の成長ダイナミクスを日本経済の成長に取り込む「グローバル産業戦略」、成長投資を支える経済・産業
構造基盤となる「競争力強化」
③ 地域経済を支える「エッセンシャル・サービス持続性向上策」
④ 日本の持続的な経済成長のミッシングピースとなる「消費活性化」
マクロ経済運営のあり方・・・重点アジェンダ①
成長投資による産業構造の高付加価値化によって、持続的な賃上げを実現し、消費活性化による市場成長が次の投資を生む好循環の実現
マクロ経済運営の進化の方向性を検討(Ex. B/S思考への転換、AIロボティクス・レディなマクロ経済運営のあり方)
ミッション(社会課題解決)起点のサプライ・ディマンド産業政策
サプライサイド
グローバル産業戦略・・・重点アジェンダ②
競争力強化/賃上げ原資
「日本の勝ち筋」の具体化
グローバル産業戦略・・・重点アジェンダ②
マーケットスケール/グローバルシェアの確保
エッセンシャル・サービス持続性向上策
・・・重点アジェンダ③
グローバル立地競争力
の強化
ディマンドサイド
成長投資喚起/新市場創出
消費活性化・・・重点アジェンダ④
持続的な家計の収支構造の確保
フリー消費経済下でも「有償な消費」を創出
将来・社会不安
払拭による消費の
ディスインセンティブ解消
政策イノベーション
Ex. 国内外のマーケットメイク(需要・市場の創出・開拓)等
競争力強化(社会基盤(OS)改革)・・・重点アジェンダ②
Ex. エネルギー、計算資源・データ基盤、イノベ・SU、ファイナンス、人材・雇用、経済法、産業用地、産業・公共インフラ、教育、税・社会保障、国境措置、公的支援機関 等
未来経済運営のあり方
新たな国際秩序のあり方
資本主義の変容
テクノロジー×未来の経済社会のあり方
6
本日の議論の位置づけと議論の進め方
⚫ 本日は、今期の第1回目であり、今後議論を深めるべき論点や、それらの論点についての基本的な考
え方について、ご議論いただきたい。
⚫ 事務局において、今後議論を深めるべき論点群や、一部の論点に対する初期的仮説について整理して
おり、それらを議論のたたき台とさせていただきたい。
⚫ 本日の議論を踏まえ、事務局にて論点をさらに整理し、次回以降、それぞれの論点に対する考え方や、
政策的措置のあり方についての仮説をお示ししていく予定。
⚫ それにあたって、関連する委員会や研究会等で、具体の論点について掘り下げて議論していくことも
予定しており、次回以降の議論では、これらの委員会・研究会等の議論も報告させていただきながら、
本部会での議論を深めていくこととしたい。
7
1.現状認識
8
GDPと需給ギャップ
⚫ 2024年の名目GDPは過去最高となり、630兆円を突破。実質においてもコロナ以降増加傾向が概ね継続。
⚫ 新型コロナの感染拡大期においては、マイナスの需給ギャップが大きかったが、近年は投資を中心に需要が増加してお
り、需給ギャップは縮小傾向にある。
名目GDPと実質GDP(2020年基準)
内閣府と日銀の需給ギャップ(2015年基準)
(兆円)
(%)
2
650
※2020年基準改定前の数値を利用
日銀
0
630
-2
610
-4
590
-6
名目
570
内閣府
-8
-10
Ⅰ
550
Ⅱ
Ⅲ
Ⅳ
Ⅰ
2019
Ⅱ
Ⅲ
Ⅳ
Ⅰ
Ⅱ
2020
Ⅲ
Ⅳ
2021
Ⅰ
Ⅱ
Ⅲ
2022
Ⅳ
Ⅰ
Ⅱ
Ⅲ
Ⅳ
Ⅰ
2023
Ⅱ
Ⅲ
Ⅳ
2024
Ⅰ
Ⅱ
2025
530
潜在GDP成長率の寄与度
実質GDP成長率の寄与度
510
(2015年基準)
(2015年基準)
4.0%
490
4.0%
3.4%
実質
3.0%
470
2.0%
資本投入量
全要素生産性
1.1%
2024
2022
2020
2018
2016
2014
2012
2010
2008
2006
2004
2002
2000
1998
1996
1994
450
(年)
(出所)左図:内閣府「国民経済計算」(2025年7-9月2次速報 2025年12月8日 2020年基準)
右上図:内閣府「国民経済計算」(GDPギャップ、潜在成長率(2025年11月26日))、
日本銀行「需給ギャップと潜在成長率」
右下図:内閣府「国民経済計算」 (GDPギャップ、潜在成長率(2025年11月26日))
(2025年7-9月1次速報値 2025年11月17日2015年基準)
1.0%
3.0%
2.0%
労働投入量
0.5%
潜在成長率
0.5%
0.5%
0.0%
1.0%
1985-1994 1995-2004 2005-2014 2015-2024 2025(1-3Q)
民間投資
3.3%
政府支出
民間
消費
実質GDP成長率
輸出
1.2%
0.5%
0.6%
0.5%
0.0%
-1.0%
-1.0%
Ⅲ
輸入
9
-2.0%
1985-1994 1995-2004 2005-2014 2015-2024 2025(1-3Q)
国内投資は増加傾向
⚫ 経団連は、2030年度に135兆円、2040年度に200兆円を目標と設定(2025年1月の「国内投資拡大のための官民連
携フォーラム」)。この目標の実現のために、官民で引き続き国内投資の拡大を継続していくことが必要。
⚫ コロナ以降、実質でも増加傾向が継続しているが微増にとどまる。
実質での民間企業設備投資額の推移(2015年基準)
民間企業設備投資額の推移と官民目標 (2020年基準)
(兆円)
200
※2020年基準改定前の数値を利用
200兆円(2040年度官民目標)
(兆円)
100
140
135 兆円(2030年度官民目標)
機械・設備
研究・開発
ソフトウェア
その他
民間企業設備投資
90
130
80
120
70
60
110
50
名目
100
40
90
30
※2023年度:114.4兆円
※2024年度:119.2兆円
※2025年7-9月季節調整値:123.8兆円
20
10
(注)左図:「国民経済計算」の2025年7-9月期・2次速報(2025(令和7)年12月8日公表)、2025年7-9月期の値は季節調整系列。
(出所)左図:内閣府「国民経済計算」、令和7年1月27日「国内投資拡大のための官民連携フォーラム」経団連資料を基に作成。
右図:内閣府「国民経済計算」(2020年基準改定前の年次推計を利用(2015年基準))
2022
2020
2018
2016
2014
2012
2010
2008
2006
2004
2002
2000
1998
0
(年度)
1996
2040
2038
2036
2034
2032
2030
2028
2026
2024
2022
2020
2018
2016
2014
2012
2010
2008
2006
2004
2002
2000
1998
1996
1994
実質
1994
80
70
建築・構築物(住宅除く)
(年)
10
名目賃金はプラスも、実質賃金はマイナスが続く状況
⚫ 2025年春季労使交渉では、33年ぶりの高水準を記録した昨年の結果を、全規模・中小組合いずれも上回る結果となった。
⚫ 「名目賃金」は46ヶ月連続プラス。所定内給与および所定外給与及び賞与は全てプラス。
⚫ 2025年10月の「実質賃金(総合)」は、前年同月比▲0.4%となり、年初以降概ねマイナスで推移。
春季労使交渉回答集計結果(最終回答集計)の推移
(%)
6.0
5.5
5.25
5.66
5.10
5.10
4.65
4.5
3.5
3.0
4.45
3.99
4.0
名目賃金と実質賃金(現金給与総額)
6%
5.70
5.0 4.97
(前年同月比)
3.90
実質賃金
(消費者物価(総合)で実質化)
名目賃金
4%
+2.6
2%
3.58
全規模
3.23
0%
▲0.4
2.5
▲2%
2.0
1.5
中小組合
▲4%
1990年
1991年
1992年
1993年
1994年
1995年
1996年
1997年
1998年
1999年
2000年
2001年
2002年
2003年
2004年
2005年
2006年
2007年
2008年
2009年
2010年
2011年
2012年
2013年
2014年
2015年
2016年
2017年
2018年
2019年
2020年
2021年
2022年
2023年
2024年
2025年
1.0
(注)調査対象は、連合加盟企業の組合。「中小組合」は、組合員数300人未満の組合。賞与等を含まない月例賃金ベース。平均賃金方式(集計組合
員数による加重平均)の集計。
(出典)日本労働組合総連合会「春季生活闘争回答集計結果について」最終回答集計結果を記載
1 4 7 10 1 4 7 10 1 4 7 10 1 4 7 10 1 4 7 10 1 4 7 10 (月)
2020
2021
2022
2023
(注)就業形態計(5人以上)
(資料)厚生労働省「毎月勤労統計調査10月分速報」2025年12月8日公表
2024
2025
(年)
11
名目・実質における賃金・可処分所得・消費
⚫ 名目での家計の最終消費額は物価の上昇もあり、過去最高額を更新しているが、実質における消費は停滞しており、依然
としてコロナ前の2019年の消費額を下回る状況。
⚫ 勤労者世帯は家計単位において、実質可処分所得は増加しているが、消費性向が低下し、貯蓄率が増加。
(兆円)
名目と実質の家計最終消費(帰属家賃除く)(2020年基準)
平均貯蓄率(実質・2人以上・勤労世帯)
(円)
280
600,000
40%
270
35%
500,000
260
30%
400,000
250
25%
名目
240
300,000
実質
230
20%
15%
200,000
220
10%
100,000
210
5%
(注)右図:消費者物価指数(持家の帰属家賃を除く総合)を使って実質化。平均貯蓄率は可処分所得に占める貯蓄純増の割合を示す。
可処分所得と消費支出は世帯当たり平均の一カ月の値。
(出所)左図:内閣府「国民経済計算」(2025年7-9月期2次速報 2025年12月8日 2020年基準)右図:総務省「家計調査」
可処分所得
消費支出
平均貯蓄率(右軸)
2024
2023
2022
2021
2020
2019
2018
2017
2016
2015
2014
2013
2012
2011
2010
2009
2008
2007
2006
2005
2004
2003
2024
2022
2020
2018
2016
2014
2012
2010
2008
2006
2004
2002
2000
1998
1996
1994
(年)
0%
2002
0
200
(年)
12
実質GDP成長率の要因分解(国内変遷、海外比較)
⚫ 日本の実質GDP成長は、かつては家計消費が牽引してきたが、家計消費の陰りとともにGDP成長も低迷。
⚫ 米国・欧州では、家計消費の伸びが実質GDP成長率を牽引する一方、日本は0.1%にとどまる。
⇒消費・内需の活性化は、「国内投資→賃上げ→消費→市場活性化→次の国内投資」の完成からも重要。
実質GDP成長率
実質GDP成長率
日本の実質GDP成長率の要因分解の変遷
(2015年基準)
(2020年基準)
3.5%
※2020年基準改定前の数値を利用
3.2%
12.0%
3.0%
10.0%
1.0%
その他
その他
2.5%
1.8%
8.0%
6.0%
1.6%
政府消費・投資
1.8%
民間設備投資
2.0%
1.0%
0.3%
0.8%
0.3%
1.1%
0.3%
5.3%
0.0%
0.7%
0.8%
1.0%
1.4%
0.6%
0.8%
1.5%
1.2%
0.8%
1.7%
0.7%
0.3%
0.4%
0.2%
0.5%
0.2%
-0.2%
-2.0%
0.6%
0.7%
0.4%
0.7%
0.3%
0.5%
-0.1%
-0.1%
1.1%
1.2%
0.5%
2.2%
1.9%
家計消費
2.0%
2.7%
2.3%
1.5%
家計消費
4.0%
実質GDP成長率の国際比較(2010-24年の平均成長率)
0.5%
0.0%
0.7%
0.5%
0.0%
0.0%
日本
イタリア
-0.5%
1960-1970 1970-1980 1980-1990 1990-2000 2000-2010 2010-2019 2019-2024 (年)
(注) 1980年以前は「平成10年度国民経済計算(1990年基準)」、1981年から1994年までは「支出側GDP系列簡易遡及
(2015年基準)」、1995年以降は「2025年7-9月期四半期別GDP速報(1次速報値)(2015年基準)」のデータ。
2020年データはコロナによる影響が大きいため、2010年-2024年は2019年でデータを区切りの期間として採用。
(出所)内閣府「国民経済計算」を基に作成。
韓国
(注)
米国
カナダ
英国
フランス
ドイツ
実質GDP:2020年を基準とした現地通貨ベースの実質GDP(支出アプローチ)
家計消費:2020年を基準とした現地通貨ベースの家計最終消費支出(Final consumption expenditure of households)
(出所)日本:内閣府「国民経済計算」(2025年7-9月期第2次速報2025年12月8日(2020年基準))、他国:OECD Statを基に作成。
13
人口減少・少子高齢化に伴う構造的人手不足①
⚫ 全産業で人手不足であり、特に建設業で人手不足感が特に強い。足下の人手不足DIは、バブル期並みの過去最高水準
に達している。設備投資計画と実績の調査では、近年は実績は計画より下方修正されており、供給制約により計画通り
に設備投資が行われていない側面もあり、供給制約に対応する省力化投資も必要。
⚫ この結果、生産能力の低下を通じて供給面に制約をもたらし、世界的な資源価格の変動などの外部要因も重なって、イ
ンフレ圧力が高まる懸念がある。官民の投資によって、日本経済の供給力を高め、需要と供給のバランスを図っていく
ことが重要。
雇用人員判断DIの推移
「過剰」
40
国内設備投資の増減率
はん用・生産用・
業務用機械
全産業
20
0
-20
建設
-40
「不足」-80
1985
1986
1987
1988
1989
1990
1991
1992
1993
1994
1995
1996
1997
1998
1999
2000
2001
2002
2003
2004
2005
2006
2007
2008
2009
2010
2011
2012
2013
2014
2015
2016
2017
2018
2019
2020
2021
2022
2023
2024
2025
-60
(年)
(注)左図:はん用・生産用・業務用機械は統計の関係上、2010年よりデータ取得。
(出所)左図:日本銀行「全国企業短期経済観測調査」(2025年12月15日)、右図:日本政策投資銀行 「2025年度設備投資計画調査」
(年度)
14
人口減少に伴う構造的人手不足②
⚫ 足下の男性・女性・高齢者別の労働参加率は、いずれも世界最高水準になっている。そうした中で、生産年齢人口の総
人口に占める割合は、2030年以降低下傾向にあるが、健康生産年齢人口では2040年まで一定となる。
⚫ 供給制約となっている人手不足に関しては、短期的取組として高齢者・女性等の活躍、短中期取組として省力化・デジ
タル化を通じた生産性の向上、さらには少子化対策も急務。例えば、男女間の労働時間格差などを踏まえて、年収の壁
の解消や柔軟な働き方の推進、家事支援サービスの利用による負担の軽減等の一人ひとりが意欲と能力を十分に発揮で
きる環境整備が必要。
⚫ 今後、人口減少・少子高齢化による人手不足で省力化投資が十分に進まず、供給制約が常態化してしまうリスクが存在
するため、スピード感をもって、省力化を中心とした投資による生産性の向上・事業再構築・事業再編等に取り組むこ
とができるよう、「労働供給制約社会の中堅・中小企業の『稼ぐ力』強化戦略(仮称)」の検討を進める。
生産年齢人口・健康生産年齢人口が総人口に占める割合
男性・女性・高齢者の労働参加率
79.7
フランス
ドイツ
77.5
75.6
79.0
88.3
82.1
83.9
健康生産年齢人口
1990年
推計値
比較的フラットな期間
2040
2025
2024年
65%
0
(出所)OECD.statより作成。
2050
2047
2044
2041
2038
2035
2032
2024年
2029
3.0
50%
2026
2.4 4.4
1990年
2023
5.6
9.4
2020
11.9
2017
11.8
2014
19.5
55%
2011
2024年
2008
10
55.5
生産年齢人口
60%
2005
24.3 26.1
76.5
1990年
58.0
57.1
20
71.6
2002
74.9
67.3
1999
70.3
67.8
1996
76.1
70
60
75%
70%
70
50
(%)
30
高齢者
(65歳以上)
85.6
英国
80
60
(%)80
女性
(15~64歳)
83.0 86.8
米国
1993
男性
(15~64歳)
日本
1990
(%)
90
(年)
15
(注)20歳以上健康寿命(73.4歳)以下の人口を健康生産年齢人口としている。健康寿命は、病気や怪我になる期間を
除き、健康状態で生きられると予想される平均年数。2024年以降は推計値(いずれも出生・死亡中位の推計)。
(出所)WHO 「World health statistics 2024」, United Nations 「World Population Prospects 2024」より作成。
供給制約となっている人手不足への対策
⚫ 「労働供給制約社会の中堅・中小企業の『稼ぐ力』強化戦略(仮称)」において、持続的・構造的賃上げに向けた生産
性向上等の支援を検討。
⚫ 生産性向上の支援として、人手不足感の強い12業種(飲食業、建設業、製造業等※)を中心に、省力化投資を促進す
るための「省力化投資促進プラン」や、様々な事業環境変化に対応するための成長ステージに応じた中小企業の成長投
資・生産性向上投資・省力化投資等に対する強力な支援等の取組を整備し推進する。
「強い経済」を実現する総合経済対策(令和7年11月21日)における具体施策例
•
•
•
•
•
•
•
•
•
•
•
中小企業の価格転嫁・取引適正化を後押しする「中小企業取引対策事業」(経済産業省)
地域の産業クラスターの中核となる中堅・中小企業・スタートアップへの支援(中堅企業等大規模成長投資補助金等)
(経済産業省)
省力化投資・生産性向上のための「省力化投資促進プラン」の実行(内閣官房)
中小企業活性化・事業承継総合支援事業(経済産業省)
日本政策金融公庫等による資金繰り支援(内閣府、財務省、厚生労働省、経済産業省)
中小企業信用補完制度関連補助事業(経済産業省)
認定支援機関による経営改善計画策定支援事業(経済産業省)
事業環境変化対応型支援事業(経済産業省)
様々な事業環境変化に対応するための成長ステージに応じた中小企業の成長投資・生産性向上投資・省力化投資等に対す
る強力な支援(仮称)(経済産業省)
地方公共団体による小規模事業者支援推進事業(経済産業省)
建設産業・不動産業の持続的成長のための市場環境整備等(国土交通省)
等
16
物価と金利
⚫ 消費者物価は基調的に上昇しており、足下では前年比2~4%台に。また名目長期金利も上昇傾向にある。
⚫ ウカシュ・ラヘルによる推計では、中立金利はこの50年で、資本需要・資金供給の大きな構造が変化によって低下し
ており、高齢化や低い生産性成長といった要因により説明される。
⚫ 平均寿命の伸びは老後資金の貯蓄増を促し、経済全体の資金供給を増やすという趨勢が続くと、「現状維持」シナリオ
において、先進国の自然/中立金利(r*)は2055年に約0.2%程まで低下するという予測もある。
物価上昇率と名目長期金利の推移
中立金利の将来推計
5%
4%
3%
2%
名目長期金利
消費者物価指数(総合)
1%
0%
▲1%
▲2%
1995
1996
1997
1998
1999
2000
2001
2002
2003
2004
2005
2006
2007
2008
2009
2010
2011
2012
2013
2014
2015
2016
2017
2018
2019
2020
2021
2022
2023
2024
2025
▲3%
(資料)財務省「国債金利情報」、総務省「消費者物価指数」
(注)消費者物価指数:総合指数の前年同月比。消費増税の影響を控除した調整済指数を用いて計算された値。
名目長期金利:月中平均値(日次データを月平均した値)。
(資料)Lukasz Rachel. ”What next for r*? A capital market equilibrium perspective on
the natural rate of interest” Brookings Institution. 2025年9月
17
産業競争力・企業経営力の現状
<日本企業の強みと国際競争力の低迷>
➢
伝統的な日本企業は、技術力、現場力・職人気質、品質志向、同調性・調和、長期的な経営マインド等、ソフト・ハード両面で強みを有
し、製造業を中心にグローバル市場でも競争優位性を築く原動力となっていた。また、製造業の資金ニーズは、有形資産の取得や構築に
関わるものが多く、高い預金率の日本が強みを有する銀行融資と相性がよかった。
➢
他方、長引くバブル崩壊からの治癒の間に、リスクを取った投資を控える経営が継続し、リスクマネジメントの高度化にも課題がある中、
長期化するデフレと低金利とデフレ経済というマクロ環境と相俟って、チャレンジ・リスクテイクが容易ではない投資環境が醸成。結果
として、disruptiveな変化への対応が容易ではない経営となり、デジタル化等の構造転換にうまく対応できず、国際競争力が低迷。デ
フレと低金利の長期化は、銀行融資以外の資金調達手法の高度化を阻害。
➢
産業構造としても、「選択と集中」のトレンド化とコストカット重視の経営の結果、大企業による新規事業開発が停滞し、経営リソース
が解放されない中、スタートアップの創出も出遅れ、産業構造の新陳代謝は低調。国内市場が伸び悩み、国際競争が激化する中でも、恒
常的な過当競争が継続し、国際競争力が低迷。銀行以外の資金供給プレイヤーの層が薄く、新陳代謝を支えるエクイティ性の資金も不足。
<成長投資の停滞と構造的課題>
➢
この10年間、日本の上場企業全体では、売上高・当期純利益の増加、設備投資や研究開発投資額は拡大。
➢
他方、投資の対売上高比率は横ばいで推移する等、リスクコントロール・リスクテイクによる中長期の収益拡大を狙った成長投資(設備、
研究開発、人材等)には踏み切れていない状況。また、国内向けM&Aは拡大しておらず、拡大基調の海外向けM&Aも必ずしも高い収益
率に繋がっていない。加えて、低収益事業の再編等の事業ポートフォリオの最適化は依然、道半ば。
➢
政策保有株式の縮減、独立社外取締役の増加、統合報告書の開示の充実等、コーポレートガバナンス改革も着実に進捗している一方、短
期志向のアクティビストの影響力増大、株主還元の拡大、形式的な議決権行使、開示にかかる負担の増大等、企業の成長戦略の実行の足
かせとなり得る事象も生じている。
➢
こうした中、一部の企業は、将来の社会課題を捉えた成長戦略を着実に実行し、企業価値の向上を実現しているものの、我が国全体では、
ROE や PBR が十分には上昇していない。
➢
また、エッセンシャルサービスは、小規模な事業体が多く、省力化・デジタル化が進まず、過去30年間、労働生産性は低迷。そうした
中、少子高齢化によって、人手不足による供給制約という新たな構造的課題が発生。
18
設備投資・研究開発投資・人的資本投資等の成長投資は依然、低迷
⚫ 設備投資や研究開発投資(どちらも海外子会社の投資分も含む)はここ10年で金額は増加(金額ベースで、設備投資は+
42%、研究開発投資は+45%)。
⚫ 一方、対売上高比は伸び悩んでおり、成長に向けた大胆な投資に踏み切れていない可能性。人材への教育訓練投資も他の
先進諸国と比較して低迷。
設備投資/売上高
人的資本投資額/GDP
研究開発投資/売上高
(%)
(%)
(%)
6.0
5.9
5.8
5.0
4.8
4.0
米国
4.5
0.5
0.22
米国
ユーロ圏
ユーロ圏
0.91
2.2
日本
1.0
1.12
1.0
2.0
日本
1.66
3.4
3.0
5.0
1.75
1.5
5.5
5.1
2.0
0.0
0.0
2016 2017 2018 2019 2020 2021 2022 2023
2016 2017 2018 2019 2020 2021 2022 2023
日本
米国
ドイツ
フランス
【設備投資/売上高】
出所:Bloombergのデータを基に経済産業省が作成。
直近期末日に応じて集計年度を調整済(例:2023年度の集計対象は、直近期末日が12月31日の企業についてはFY2023のデータを、12月31日以外の企業についてはFY2024のデータを用いる。なお、「年度」は期初日が属する年を、「FY」は期末日が属する年を指す)。
集計対象:直近の時価総額が取得可能であり、各年度における売上高・収益が正の値である、日本・米国・欧州内の市場に上場する企業。対売上高設備投資比率の集計対象は、分子となる各年度の設備投資(CAPEX)が取得できる企業。国・地域は所在国によって分類。
英国
【 研究開発投資/売上高】
出所:Bloombergのデータを基に経済産業省が作成。
直近期末日に応じて集計年度を調整済(例:2023年度の集計対象は、直近期末日が12月31日の企業についてはFY2023のデータを、12月31日以外の企業についてはFY2024のデータを用いる。なお、「年度」は期初日が属する年を、「FY」は期末日が属する年を指す)。
集計対象:直近の時価総額が取得可能であり、各年度における売上高・収益が正の値である、日本・米国・欧州内の市場に上場する企業。対売上高研究開発費比率の集計対象は、分子となる各年度における研究開発費が取得できる企業。国・地域は所在国によって分類。
【人的資本投資額/GDP】
出所:EUKLEM INTAN Prod 2021のデータを基に経済産業省が作成。
「人的資本投資額」はOFF-JT に関する「直接費用+間接費用」で構成。直接費用:OFF-JT(研修等)に投じられた直接的な費用。間接費用:研修を受けている間に通常業務から離れることで発生する機会費用。
19
日本は成長期待を集める企業群が相対的に少ない
⚫ 日米欧亜の上場企業全体をPBRとROEの2軸で分類すると、欧米亜と比較して日本企業は成長期待の低い企業群
(Value/Income)が多い。加えて、これからの成長に期待を集める企業群(Aggressive Growth)が特に少ない
傾向にある。
※Aggressive Growth:PBR2倍以上・ROE10%未満、Growth:PBR2倍以上・ROE10%以上、Dividend Growth:PBR0.8倍以上2倍未満・ROE10%以上、Income:PBR0.8倍以上2倍未満・ROE7%以上10%未満、Value:PBR1倍未満・ROE7%
未満。
※調査対象:時価総額10億ドル以上かつPBRが正の企業(日本647社、米国2,080社、欧州1,227社、アジア2,770社。)。
(出所)経済産業省 産業構造審議会 経済産業政策新機軸部会 価値創造経営小委員会(第1回)(2025年2月4日)資料6。Credit Suisse HOLT Lensデータより三瓶委員作成。2022年4月8日株価ベース。
20
外部環境変化(グローバル経済・テクノロジー)
<グローバル経済・国際秩序の変容>
⚫ 地政学・地経学的リスクの高まりや格差拡大等の構造的な社会不安を背景に、各国は国境措置を含む産業政策・通商政策
を強化。各国の戦略分野もAI・量子・半導体等の共通領域に集中しており、高付加価値な産業やそれによって生み出さ
れる良質な雇用を奪い合う国際競争、その結果を左右する研究開発競争・高度人材獲得競争等は激化。地域戦の勃発等、
地政学リスクが悪化する中、経済安全保障を含めた安全保障領域への投資を拡大。
✓ 米国:巨大な消費市場で経常収支赤字を一手に引き受ける構造から、製造業等の国内回帰・地産地消へと転換。
✓ 中国:国内需要を上回る過剰供給力は国外に向かい、圧倒的な価格競争力を武器に諸外国の市場へ進出。
✓ 欧州:中国との競争激化や資源高により産業空洞化が進展。防衛等戦略分野への投資を促進する産業政策に着手。
※EUでは2035年以降の内燃機関車の新車販売の原則禁止を予定していたところ、今般見直し案を公表。
✓ グローバルサウス諸国:各国が成長著しいグローバルサウス市場に向かう中、これまで日本企業が展開してきた
ASEAN地域も含めて、日本の存在感は希薄化リスク。
⚫ 外需の稼ぎ方についても、「財の貿易」の地産地消化が一定程度進む一方、IP等のサービス貿易や海外投資による収益の
存在感が拡大する傾向。
<AI等のテクノロジーの進化>
⚫ AI・ロボティクスの進化、量子コンピュータ開発の進展は、単体のインパクトに加え、他のテクノロジーの開発を加速さ
せる可能性。民間の巨額資本の流入、経済安全保障との境界領域を中心とした国家資本の流入と相俟って、disruptiveな
テクノロジーが生まれ、構造的な競争環境の変化を生む可能性。
⚫ 特にAIやロボティクスは、程度やスピード感の差はあれど、全産業に影響を与えるインパクトを持つ。国際競争力の観点
では、米中が先行し、人材力含め二強状態。ユーザー企業のAIレディネスも競争優位性の格差を生む可能性。
⚫ サイバー上の有意なデータが消化され尽くされれば、今後の競争力の源泉は、非構造化データの量・質(消費データ、製
造データ、サイエンスデータ等)が規定する構造に変容し、ゲームチェンジを迎える可能性もあり。
⚫
AIやロボティクスを本格的に社会実装していく中で、増大する電力・通信量やコストといった課題に加え、人(頭脳・身
体)との共生をいかにして図っていくかという根本的課題の克服も必要となるか。
21
「世界の不均衡」と「日本の不均衡」
⚫ 米国が継続的に経常赤字を計上する一方で、日本、中国、欧州の主要国は継続的に経常黒字を計上。その中で、米国は国
際投資ポジションは負債超過。
⚫ 日本は、家計は継続的に黒字で、企業も1990年代後半を境に黒字化。政府の赤字と海外(経常黒字)でバランス。
⇒ 米国の政策等によって、米国依存の経常黒字の持続性が危ぶまれる中、マクロ経済構造はどうあるべきか。
(%)
経常収支(世界GDP比)
3.0
(%)
2.5
25.0
2.0
20.0
1.5
15.0
1.0
10.0
国際投資ポジション
(世界GDP比)
日本の部門別資金過不足
(対GDP比)
15%
家計
企業の
債務返済
10%
企業の
海外投資
5%
5.0
0.5
0.0
0.0
0%
-5.0
-0.5
企業の国内
投資が旺盛
-10.0
-1.0
▲5%
-15.0
-1.5
-20.0
-2.0
-25.0
-2.5
▲10%
-30.0
欧州黒字国
米国
欧州赤字国
日本
その他
石油輸出国
中国
(資料)IMF World Economic Outlook April 2025
企業
欧州黒字国
米国
欧州赤字国
日本
その他
石油輸出国
中国
▲15%
海外
(海外のマイナスは
政府 経常黒字を意味)
(年度)
(資料)内閣府「国民経済計算」
22
戦後国際秩序の揺らぎと求められる自立
第1回内外一体のグローバル産業戦略に関する有識者会議
事務局提出資料より抜粋の上加工(2025年12月2日・9日)
⚫ 米国が国際公共財供給から撤退しつつある中、戦後の国際秩序が揺らぎつつある。
⇒日本としても、こうした国際秩序の変化を前提に、産業政策・通商政策・経済安全保障政策を検討していく必要。
戦後の
国際秩序
国際システム
(米国主導で機能)
米国の国際公共財
(国際システム補完)
米国の関与低下
国際秩序の揺らぎ
(新常態)
求められる「自立」
防衛力強化
集団防衛体制
集団防衛体制への「ただ乗
防衛産業育成
(NATO、安保協力)
り」拒否(米)
日米安保を補完する第三国と
軍事力供給(核の傘、米軍駐 中国の軍事力増強による地政
の協力関係構築(軍事・経
留)
学的緊張
済)
安全保障
安全保障理事会
NPT、IAEA
民主主義
国連(国連憲章、国際人権規 マーシャルプラン
約)
人道支援(USAID)
権威主義的国家の勢力拡張
民主主義国家の右傾化
ブレトンウッズ体制守護
ブレトンウッズ体制(IMF、
米国市場の開放
世銀、GATT・WTO)
基軸通貨の提供
非市場的措置・経済的威圧へ
米国市場からの締め出し(需
の対抗力強化(経済安保拡
要の喪失)
充)
中国の過剰供給による各国産
互恵的な経済同盟・連携の深
業の「焦土化」懸念
化
グローバル
経済
民主主義国間での結束の強化
(政治・軍事・経済)
23
世界の財貿易成長は失速、対外直投・サービス貿易は拡大
⚫ 日本は貿易収支は赤字となる一方で、第一次所得収支は増加することで、結果として経常収支黒字を継続。
⚫ 世界全体で見ても財の貿易額は停滞し、地産地消が進展する一方、サービスの貿易額は、順調に成長。外需の獲得手段
は、財貿易からサービス貿易や対外投資へと移行しつつある。
⇒このような構造変化を踏まえ、改めて財輸出の意義(マクロ経済上の価値、経済安全保障上の価値)や外需獲得の
バランスのあり方、そのための産業構造のあり方について検討すべき。
サービス貿易額の成長(世界)
日本の経常収支の動向
対外直投残高の国際比較
(2005年=100)
300
250
財・サービスの貿易額
財の貿易額
サービスの貿易額
200
150
(備考)2024年は速報値。
(出所)財務省・日本銀行「国際収支統計」から作成。
2005
2006
2007
2008
2009
2010
2011
2012
2013
2014
2015
2016
2017
2018
2019
2020
2021
2022
2023
100
(年)
(資料)UNCTAD、Census and Statistics Departmentより 引用。
(注) 貿易額は、輸出額と輸入額の合計。
(出所)WTO Trade in commercial services, Merchandise trade valuesから作成。右図:WTO
Trade in commercial servicesから作成。
24
世界では産業政策・通商政策競争が激化
【課題】
• 格差拡大・中間層の疲弊
• 中国への対抗
【課題】
• 製造業中国依存、デジタル米中依存
• 気候変動緩和の主導
• 域内の良質雇用確保
【課題】
• キャッチアップ・輸出主導型
高度成長経済の終焉
• 米欧等西側陣営への対抗
【対応】
※従来、財政規律を重視し産業政策には消極的であったが、
上記の課題を踏まえ、近年産業政策を強化。
【対応】
〈トランプ政権〉
➢ 恒久的な投資即時償却措置(工場も含
む建屋については4年間の時限措置)を
➢ 「欧州の競争力の未来」(ドラギレポート) <2024年9月>
○産業戦略として整合的な産業・競争・貿易政策を提言
○官民で7.5~8.0千億ユーロ(約122~130兆円)/年の追加投資
【対応】
➢ 中国製造2025<2015年7月>
中核基礎部品・基幹基礎材料の2025年
国内自給率70%目標
➢ 特別国債を活用した国内需要
➢ 「クリーン産業ディール」 <2025年2月>
創設する
法案が成立 <2025年7月>
喚起策
○加盟国にクリーン技術資産の早期償却やクリーン移行の戦略分
野の企業への税額控除といった税制措置の導入を推奨
〇2024年と2025年で計2.3兆元(約
➢ 「EU競争力基金」
46兆円)の超長期特別国債を発行。
➢関税を活用した国内生産奨励
〇産業競争力強化に向けて、2028年からの7年間で約4,100億
⇒設備更新・消費財買替え支援(2年計
○鉄鋼・アルミや自動車・同部品への関税や相互関税
ユーロ(66兆円)規模の新基金を創設
約16兆円)
などを次々に発表
➢ 「EU経済安全保障の強化」共同文書 <2025年12月>
⇒国家重要戦略と重点分野の安全保障
〇サプライチェーン強靭化、付加価値の高いEU域内投資の誘致、
(約16兆円)
防衛・宇宙分野等への支援等の6つの優先課題を特定。資金支援・
輸出管理等の経済安保確保に向けた政策ツールを体系化。
➢ 2026年の経済対策
➢ ResourceEUアクションプラン <2025年12月>
〇2025年12月の中央経済工作会議では、
〇重要原材料の供給確保・調達先多角化に向け、今後12か月でEU
積極的な財政政策を継続すると言及。
資金30億ユーロを動員。
○重点任務として、内需拡大、イノ
ベーションの促進、より多くの地域・
※EU各国も個別に投資促進策を措置
二国間貿易投資協定の締結等を列挙。
ドイツでは減価償却率の引上げ(2025-27年、最大30%)や、法人
OBBB
税率の引下げ(2028年から5年間で5%引下げ)といった内容の
「投資ブースター」法案が成立<2025年7月>
(注)1ドル=149円、1ユーロ=162円、1元=20円で換算
(2024年3月末の為替レート)
25
戦略的先端産業における中国の急速なキャッチアップ
⚫ 米国は、戦略的な先端産業において、中国の技術力・競争力が急速にキャッチアップしていると評価。
産業
中国の
ステータス評価
キャッチアップ
スピード
半導体
遅れている
緩やか
AI
接近中
急速
量子技術
接近中
緩やか
ロボット
接近中
急速
工作機械
遅れている
急速
EV・
バッテリー
同水準
急速
・イノベーション能力と品質は、先進国企業と同等以上
原子力
先行
急速
・現行世代、次世代の原子炉開発・配備において米国を上回る
化学
遅れている
急速
バイオ医療
遅れている
急速
評価コメント
・先端ロジック半導体で、SMICは、TSMC等の世界トップから5年程度遅れ
・米国を追い抜く可能性(中国の発展を抑制する米の取組は意味無い可能性が高い)
・大規模言語モデル(LLM)は中国AI戦略の肝として目覚ましい発展(米中が双璧)
・①量子通信でリード、②量子センサは米国に匹敵、③量子コンピュータは遅れ
・短期的な実用的成果を生みやすい①、②を優先。③では、ハードウェア開発と実用化で
米国に遅れ
・ローエンドは低価格量産型で得意とするが、ハイエンドは依然として輸入に依存
・特に、ソフトウェア/統合システム開発は欧米より遅れ
・一方で、発展スピードは速く、欧米が技術規制しても差は縮まるだろう
・ハイエンドは依然として輸入に依存。先進国に15年程の遅れ
・ハイエンド用のコア部品生産が課題
・基礎化学品は純輸出国だが、ハイエンド品は一部純海外に依存
・他方、業界では新規開発される品目は全体の6%程度/年で、追いつきやすい分野
・過去、欧米は技術革新を通じて中国を凌駕も、将来的にこの方法が通用しなくなる
・創薬の増加、欧米の中国企業からのライセンス契約増など発展が加速
・世界トップになるには、知的財産権保護、ゲノム編集等の技術の論理的利用、
実用化強化等、包括的エコシステム構築が不可欠
(出所)米国情報技術イノベーション財団(ITIF) “China is Rapidly Becoming a Leading Innovator in Advanced Industries”(2024年9月/一部2025更新)
26
AI:中国が米国を猛追し、“米中二強状態”に突入
⚫ 特にAI分野では、これまで圧倒的な優位性を維持してきた米国に対し、中国がモデル性能、論文数やトップ人材シェ
ア等で強烈な追い上げを見せており、“米中二強状態”に突入。
⚫ 日本は米中に後れを取っているものの、後発国はより少ない開発コストでモデル性能等キャッチアップが可能なことに
加え、今後の競争力の源泉がサイエンスや製造業の非構造化データ等のユニークデータに移行する中、日本が競争優位
性を確保する可能性もある。
米中トップAIモデルの性能推移
AI分野のトップ被引用論文数
トップAI研究者の出身国(2022年)
対話型AIの性能差が9.26%から1.7%と急接近
(出所)米マルコポーロ“The Global AI Talent Tracker 2.0”
27
中国の海外市場展開は欧米から第三国市場へ転換
⚫ 欧米の産業政策・経済安全保障政策の強化の流れの中で、中国はメインの輸出先を欧米から一帯一路を展開する第三国
市場にシフト。中国のみならず、世界各国が成長著しい第三国市場の獲得競争に乗り出している状況。
対ASEAN輸出入額(兆元)
対EU輸出入額(兆元)
対米国輸出入額(兆元)
対一帯一路諸国輸出入額(兆元)
2018年-2024年
(注)2020年以後、中国とASEANは互いに最大の貿易相手国となっている。
出典:中国税関総局、国家統計局
28
ASEANにおける中国のプレゼンスの高まり
⚫ こうした中、中国が対ASEAN投資を急増させている一方で、日本のASEAN向け投資は縮小傾向。かつての日本のお膝
元であるASEANにおいても日中のプレゼンスは逆転しつつある状況。
中国の対ASEAN残高は急増
残高の日中シェアも逆転か
日本のASEAN向け投資の推移と内訳
(十億ドル)
200
(%)
45
180
40
製造業
建設業
卸・小売業
リース・商業サービス
160
140
電気・ガス・水道
運輸・倉庫・郵便
金融仲介業
その他
100
20
80
15
60
10
40
5
20
0
2023
2022
2021
2020
2019
2018
2017
2016
2015
2014
2013
2012
0
2011
日本
30
25
2010
中国&香港
35
120
(資料)CEIC database、中国商務部
中国
14 16 18 20 22
14 16 18 20 22
14 16 18 20 22
14 16 18 20 22
カンボジア
インドネシア
マレーシア
シンガポール
14 16 18 20 22
タイ
(備考)データが入手可能な国・年のみ。
(資料)ASEAN Stats
29
欧州経済の低迷
⚫ 欧州はかつて中国市場を主要な外需市場と捉え、輸出⇒現地投資へとシフトさせてきたが、中国企業の猛烈なキャッチ
アップの結果、競争優位性の逆転が発生し、自動車含め、対中貿易の収支は悪化の一途。さらにエネルギー価格高騰が
追い打ちをかけ、国内産業の空洞化が進展し、ドイツを中心に欧州経済は低迷。
⚫ こうした状況を打開するため、EUは今年1月発表の競争力コンパス等において国内回帰志向を明確化し、Buy
Europeanに傾倒。加えて国防費GDP比3.5%というNATO目標の達成に向け、防衛分野への投資を拡大させている。
EUの対中貿易赤字
自動車:EU域内生産、中国からEUへの輸入
ドイツ実質GDP(2019=100)
30
各国の戦略分野は共通性が高く、競争激化は必至
⚫ AIやロボットなど、米中を始めとした各国が重点的に投資をする戦略分野は共通性が高く、今後、競争激化は必至。
⇒これらの戦略分野・高付加価値分野での激しい国際競争の中で打ち勝つためには、大胆な産業政策が必要。
米国
戦略
文書
中国
CETsの最新リスト
(2024/2)
第15次五カ年計画(草案)
(2025/10)
CETs(critical and
emerging
technologies)
• 人工知能(AI)
• 高度自動化、無人シ
ステム(UxS)、ロ
ボティクス
• 量子情報技術
重要
• 半導体及びマイクロ
技術分野
エレクトロニクス
(抜粋)
• バイオテクノロジー
等
ハイレベル科学技術の
自立自強の加速
• 集積回路
• バイオものづくり
未来産業の育成
• エンボディドAI
• 量子技術
• バイオものづくり
英国
独国
英国科学技術フレームワーク
(2023/3)
ハイテク・アジェンダ・ドイ
ツ(2025)
仏国
韓国
12大国家戦略技術
(2022/10)
フランス2030(2021)
将来の革新的技術分野
• AI
• 量子技術
• 半導体
等 • 工学的生物学
(engineering
biology)
国際競争力、技術主権、 国家促進戦略型
経済・社会の強靱化を PEPPR
目的とした重点分野
• AI
• AI
• 量子技術
• 量子技術
• バイオ燃料
• マイクロエレクトロ
• バイオセラピー・革
ニクス
新的療法のバイオ製
等 • バイオテクノロジー
品
等 • 半導体
等
等
韓国経済に波及効果の
大きい産業コア技術群
• 半導体・ディスプレ
イ
等
急成長が見込まれる安
全保障上重要な技術群
• 先端バイオテクノロ
ジー
等
必須基盤技術群
• AI
• 先端ロボット・製造
• 量子技術
等
• 緑:AI
• 紫:ロボット
• 赤:量子技術
• オレンジ:半導体
• 青:バイオテクノロジー
31
主要国・地域論文数推移(論文数、Top10%)
⚫ 論文数では、主要国の中でも日本は比較的上位。他方、被引用数が多い論文数では、G7、中国のみならず、インド、
オーストラリア、韓国等にも劣後。
200,000
180,000
日本
ドイツ
フランス
英国
韓国
160,000
20,000
70,000
日本(1.2億人)
オーストラリア
カナダ
スペイン
イラン
米国(右軸)
60,000
英国(0.7億人)
イタリア(0.6億人)
16,000
日本(1.2億人)
韓国(0.5億人)
インド(14.3億人)
オーストラリア(0.3億人)
シンガポール(0.06億人)
台湾(0.2億人)
マレーシア(0.3億人)
ベトナム(1.0億人)
タイ(0.7億人)
インドネシア(2.8億人)
9,000
フランス(0.7億人)
600,000
10,000
中国(右軸)
ドイツ(0.8億人)
18,000
インド
8,000
カナダ(0.4億人)
500,000
中国(右軸)
140,000
700,000
イタリア
Top10%補正論文数(分数カウント法・全分野)
アジア・オセアニア
Top10%補正論文数(分数カウント法・全分野)
G7・中国
論文数(分数カウント法・全分野)
50,000
米国(3.3億人)(右軸)
14,000
7,000
中国(14.1億人)(右軸)
120,000
400,000
100,000
12,000
40,000
10,000
300,000
80,000
ドイツ
日本
英国
60,000
200,000
40,000
米国(右軸)
30,000
8,000
英国
ドイツ
イタリア
6,000
20,000
カナダ
フランス
日本
4,000
100,000
20,000
1982
87
92
97
02
07
12
0
2021
17
3年移動平均(PY)
6,000
オーストラリア
5,000
韓国
4,000
日本
3,000
シンガポール
台湾
2,000
10,000
2,000
0
インド
マレーシア
1,000
0
1982
87
92
97
02
07
12
0
2021
17
3年移動平均(PY)
ベトナム
タイ
インドネシア
0
1982
87
92
97
02
07
(参考)PYとは出版年(Publicationyear)の略である。Article,Reviewを分析対象とした。分数カウント法による結果。論文の被引用数(2023年末の値)が各年各分野(22分野)の上位10%に入る論文数がTop10%論文数である。()内は2023年時点のおおよその人口
(出典)文部科学省 科学技術・学術政策研究所からの提供情報を基に、経済産業省が作成。
12
2021
17
3年移動平均(PY)
32
技術革新:豪・戦略政策研究所(ASPI) 「重要技術トラッカー」における日本
⚫ 国家安全保障・防衛・技術に関する豪州の独立系シンクタンクASPIが、防衛、宇宙、エネルギー等64の重要技術につ
いて、どの国や機関が革新的で影響ある研究を最も多く発表しているか調査。2023年3月初版、2024年8月第2版公
表。
⚫ 日本が上位5カ国入りしていた分野は、64分野中、2000年代初頭には32分野だが、直近では8分野のみ。
カテゴリ
高度情報通信技術
先端材料・製造
AI・コンピューティング・通信
バイオ・遺伝子工学・ワクチン
防衛・宇宙・ロボット・輸送
技術分野
順位
先進光通信
2 → 7
分散型台帳
日本における
主な機関
カテゴリ
技術分野
順位
日本における
主な機関
電池
3 → 10 産総研
1 → 26 会津大学
太陽光発電
2 → 12 東京大学
高性能コンピューティング
3 → 9
東京大学
水素・アンモニア燃料
3 → 9
先進磁石・超伝導体
2 → 5
東北大学
指向性エネルギー技術
3 → 10 東京大学
ワイド&ウルトラワイドバンドギャップ半導体
2 → 3
京都大学
核廃棄物管理とリサイクル
4 → 10 JAEA
スマート材料
3 → 18 東北大学
スーパーキャパシタ
4 → 12 NIMS
ナノスケール材料・製造
3 → 15 NIMS
原子力エネルギー
4 → 3
JAEA
重要鉱物抽出・加工
3 → 18 NIMS
量子センサ
4 → 5
東京大学
AIアルゴリズムとハードウェア・アクセラレーター
2 → 16 -
量子コンピューティング
5 → 5
理研
自然言語処理
3 → 12 NTT
慣性航法システム
5 → 13 東京大学
合成生物学
5 → 14 -
レーダー
3 → 9
遺伝子工学
2 → 5
東京大学
光センサ
3 → 11 東京大学
ゲノム配列決定・解析
4 → 5
東京大学
原子時計
4 → 5
新規抗生物質・抗ウイルス薬
5 → 19 東京大学
自律システム運用技術
2 → 11 東京大学
宇宙打ち上げシステム
2 → 6
ドローン・群ロボット・協働ロボット
5 → 18 -
先進ロボット工学
2 → 13 東京大学
NTT
JAXA
環境・エネルギー
量子技術
計測・計時・航法
その他AUKUS関連技術 空気非依存推進力
東京大学
東京大学
東京大学
3 → 12 -
凡例 シェアを落とし上位5カ国から外れた技術分野
直近でも上位5カ国入りしている技術分野
(出典)豪・戦略政策研究所「重要技術トラッカー」ウェブサイト及びASPI提供情報より
33
AIがもたらす社会課題解決
モビリティ
課題
人手不足
運輸業で約30万人減少(2022年⇒2040年)
•
人手不足による道路・橋梁等の維持管理の不備
•
物流の担い手不足による配送料高騰や遅延化
既存サービスの限界
•
公共交通の減便・廃止による
高齢者等の行動制限
AI・半導体がもたらす解決の方向性
省人化、効率化
•
•
•
ドローン等による自動的なインフラ保守管理
AIによる、荷待ちの削減や積載効率の向上
自動運転トラックやドローンによる自動配送
新サービスの提供
•
•
予約に応じた最適ルートのリアルタイム提案等による、
コミュニティバスの効率的運用
完全自動運転による自由な移動手段の提供
様々な場面での利用
Big
Data
生成AI
先端半導体
ドローン配送(イメージ)
※AIの高機能化・低消費電力化は先端半導体が支えている
出所:労働政策研究・研修機構 2023年度版 労働力需給の推計―労働力需給モデルによるシミュレーション―(運輸業:鉄道、道路輸送、水運、航空運輸、その他の運輸、郵便)
完全自動運転のイメージ
34
AIがもたらす社会課題解決
農業
課題
人手不足
農林水産業で約70万人減少(2022年⇒2040年)
•
•
担い手の不足による収穫機会の損失
食糧供給力の減少、食糧価格の高騰
産業としての限界
•
後継者や新規参入者の不足による産業の縮小
AI・半導体がもたらす解決の方向性
省人化、効率化
•
•
ロボットによる収穫等の自動化・効率化
気象情報等に基づく最適な栽培の実施
(農作物の選定、肥料・水やり等)
新サービスの提供
•
•
•
AIの活用による効率的な品種改良
新しい生産システムの導入
「稼げる農業」の実現、新規参入者の拡大
様々な場面での利用
Big
Data
生成AI
先端半導体
※AIの高機能化・低消費電力化は先端半導体が支えている
AI搭載ロボットによる散布(イメージ)
AI搭載ロボットによる収穫(イメージ)
出所:労働政策研究・研修機構 2023年度版 労働力需給の推計―労働力需給モデルによるシミュレーション―(農林水産業:米麦、その他の耕種農業、畜産、獣医、農業サービス、林業、漁業・水産養殖業)
35
生成AIによる各産業の生産性向上と経済成長
⚫ 生成AIは、従来のAIでは不可能だった、様々な創造的な作業を人間に代わって行える可能性があり、今後の我が国産
業における生産性向上やイノベーション創出のカギとなる技術。ホワイトカラー業務を中心に1/4を自動化する可能性
があるとの調査結果もある。さらには、ロボットへの適用も進む見通し。
⚫ 生産性成長率と実質GDP成長率には一定の相関関係があり、生成AIによる各産業の生産性向上が、我が国の経済成長
を牽引し得る。
◎各業種における、AIによって自動化される可能性がある業務の割合
◎実質GDP成長率と生産性成長率の関係性
(%)
46 44
37 35 33 32 31
28 26
19 12
オ 法 建 ビ 社 マ 営 医 スア 介
フ 務 築 ジ 会 ネ 業 療 ポー 護
ィ
従 ート
・ ネ 福 ジ
ス
事 ツ・
エ ス 祉 メ
/
ン
者 ・デ
ン ・
金
メザ
事
ト
ジ
融
デイ
務
ニ
オ
ィン
サ
ア
ペ
ア・
ポ
リ
レ
エ
ー
ン
ー
ン
ト
グ
シ
タ
ョ
メ
ン
・
調
理
・
給
仕
11 9
6
4
1
旅 製 建 機 ビ
客 造 設 械 ル
・
・ 設 /
運
採 置 路
輸
掘 ・ 面
保 清
守 掃
・ ・
修 メ
理 ン
テ
ナ
ン
ス
全業種
平均
(25%)
(出所)BCG作成資料
(出所)Goldman Sachsレポートより一部抜粋
36
米中のロボティクス分野における投資・資金調達の状況
•
米中では、自動車や半導体メーカーもロボティクス分野に進出し、既存のAIインフラ等も活用しつつ兆円超えの研究
開発・設備投資が進み、ヒューマノイドの商用化も見据える。
•
スタートアップも、米中は時価総額数千億円~数兆円、資金調達は数千億円規模だが、日本は数十~数百億円に留まる。
米中主要メーカーの投資状況
ロボティクススタートアップの資金調達状況
【米国・Tesla】
• ヒューマノイドロボット「Optimus」を開発。自社工場での活用から
始め、26年から外販開始を目指す。
• 24年に、OptimusやロボタクシーのAI領域等も含め、全体で研究
開発に約45億ドル(約6,800億円)、設備投資に約113億ド
ル(約1.7兆円)を投資。
【米国・Figure AI:ヒューマノイド】
• 時価総額約5.9兆円。25年9月にシリーズCで1500億円超を
調達。Open AI、NVIDIA等も出資。
【米国・NVIDIA】
• GPU・OS・物理シミュレータ・AI基盤モデル等からなるロボティクス
開発プラットフォーム「Isaac」を提供。
• 25年から4年間、AIチップ製造やIsaacなどの物理AIインフラの構
築に約5,000億ドル(約75兆円)を投じる方針。
【ドイツ・Neura Robotics:ヒューマノイド】
• 25年1月に約200億円調達、累計調達額は約500億円。
【中国・Unitree】
• SWとHW一体で自社開発するフルスタック戦略。ヒューマノイド
(G1/H1/R1)や四足ロボ(Go1/B2)に注力。R1は
5,900$(約90万円)で販売。
• 投資情報は非公開であるものの、25年シリーズCで約1.4~1.7
億ドル(約200~250億円)を調達。
(注1)1ドル=150円換算
(出所)各種報道・レポートによる公表情報から引用
【中国・Unitree:四足・ヒューマノイド】
• 時価総額約2500億円。25年シリーズCで約1.4~1.7億ドル
(約200~250億円)を調達。
【日本・MUJIN:ピッキング倉庫ロボ】
• 23年9月、12月の2回に分けてシリーズCで、約150億円調達。
累計調達額は約230億円。
【日本・TELEXISTENCE:小売・物流向け多関節ロボット】
• 23年7月に約230億円調達。累計調達額は275億円超。
【日本・Preferred Robotics:清掃ロボ】
• 22年3月に約6億円調達。
37
AIロボティクス実現に向けた各国の政策的対応・現状
【方向性・現状】
• GAFAM中心とした民間リス
クマネー主導での市場創出
【方向性・現状】
• AIルールメイキングを通じた
競争優位性の確立
【対応】
• ヒューマノイドロボット関連企業
(Tesla、NVIDIA、Figure AI等)に
巨額の民間リスクマネーが流入
(25年は20億ドル超の見通し)、
研究開発を強力に推進 。
【対応】
• 24年にAI規制法を施行。開発を
促進しながら倫理的・法的枠組
みも強化し、国際標準を確立。
•
•
•
政府も、25年1月に“America’s AI
Action Plan”(AI関連技術の開発促
進策)を発出。ロボット・ドロー
ン製造分野のサプライチェーンの
政策課題特定に取り組むとされて
•
いる。
連邦政府や州政府による補助事業
も実施。例えば、国立科学財団
(NSF)は、25年7月にAI研究機関に
1億ドルを投資し、研究開発・社会
実装を促進すると発表。
科学研究プログラム“Horizon
Europe”の第9期(2021~2027年)
でロボット研究を支援。この中
の官民連携事業を通じて資金を
供給し、予算規模は2021~2030
年累計で最大約26億ユーロ
24年1月、AIスタートアップを
支援する”AI Innovation Package”
を開始。2027年までに官民の総
投資額40億ユーロを目指す。
【方向性・現状】
• 産業用ロボット技術に強み
• AIロボティクス領域では出遅れ
【方向性・現状】
• キャッチアップ・国家主導型
での大規模な産業政策の実施
【対応】
【対応】
• 「中国製造2025」(15年)と
• 産業用ロボットで培った高度
「第十四次五カ年計画」(21
技術基盤と構造的人手不足を
~25年)でロボットに対する
背景とした現場ニーズの高さ
政策支援と投資を展開。
が存在。
ヒューマノイドロボットに
• 「ロボット新戦略」(15年)、
約200億ドル以上を割り当て。
「ロボットによる社会変革推
• 同計画では、性能と信頼性が
進計画」(19年)にてロボッ
担保されたロボットのキー
ト導入に向けた事業環境整備
コンポ―ネントの国産化を
に取り組むも、本格的な社会
目指すことも明記。
実装には至らず。
•
25年3月、ヒューマノイド
ロボット等の先端技術に特化
したベンチャーキャピタル
ファンドを設立、約1兆元を
投資する体制を整備。
(出典)The Humanoid 100: Mapping the Humanoid Robot Value Chain、その他、各種報道・レポートによる公表情報から引用
•
特に、自動車や半導体を中心
とした産業領域に比較して、
サービス領域では 米欧中に
比較して出遅れ。
38
現場データをAI化する
⚫ AI化されていない現場データは、いまだ多く存在する。こうしたデータを元にしたAIは競争力を持つ。
現場の生データ
(構造化・半構造化データ)
(非構造化データ)
• 形式や関係性がバラバラの
まま存在しているデータ
データの整理
• 紙面等のデジタル化、ク
レンジング
現
場
か
ら
デ
ー
タ
を
取
得
・
保
管
• 内容に基づきタグ付け、
階層化等を行いデータを
整理(製造日、製造番号、製
• 形式や関係性が整理されたデータ
• 意味を付与することで、さらに価
値あるデータとすることも可能
• 各データ間の関係性をも
とに整理
• 各データに宛先(所在)
を付与
前処理
・・・
テーブルデータ
(RDBMS、各データの形式は統一)
設計データ
• データの取捨選択
等
(相関が高いデータ、情
報量の低いデータ、機微
なデータの削除など)
• アノテーション
動作ログ
生産ラインデータ
(イメージ)
• 単位、形式を適切に変換
• 数値の正規化
センサログ
AIモデル
• データをカテゴライズ
保全記録
生産品情報
造場所等)
センサーログ
動作ログ
AI基盤モデル向け
加工データ
マシンリーダブルなデータ
保全記録
保守データ
配管/配線図
グラフデータ
(NoSQL、
各データの形式には自由度あり)
特徴量
パラメータ
(重み付け)
(学習後)パラメータ化
• AIモデル※の学習成果とし
て、パラメータを抽出して
基盤モデルへ提供
※ 基盤モデルに基づく自前のAIモデル
を用意していることが前提
39
データセンターの電力需要の見通しについて(2025年1月時点)
⚫ 2025年1月に電力広域的運営推進機関(OCCTO)が公表した需要想定においては、データセンター・半
導体工場の新増設により、2025年度で+56万kW、2034年度で+715万kWの最大電力需要の増加を見
込んでいる。
(出所) OCCTO 2025年度 全国及び供給区域ごとの需要想定について
40
2.今後の論点
41
1.マクロ経済運営のあり方
【方向性】
➢ 上昇局面にある物価・金利、グローバル経済・国際秩序の変容、テクノロジーの進化といった内外の構造的変化が見られる中、ディマンド
プルのインフレと「実質」での持続的成長を実現する新たなマクロ経済構造の形成が必要。
➢ 実質での持続的成長のためには、競争力強化・外需拡大等により付加価値を生み出す国内投資、増加した付加価値の賃金への分配、賃金上
昇による消費主導の内需の活性化という好循環を促す必要がある。
ポイント①:持続的成長の実現に向けて、現状をどのように評価し、今後どういった方向性で政策を検討していくべきか?
【供給制約に対する取組】
➢ 人口減少が継続し、労働参加率も世界最高水準で構造的人手不足の中、短期的取組として高齢者・女性等の活躍、短中期取組として省力
化・デジタル化を通じた生産性の向上、さらには少子化対策も急務。
➢ 今後、人口減少・少子高齢化による人手不足で省力化投資が十分に進まず、供給制約が常態化してしまうリスクが存在するため、スピード
感をもって、省力化を中心とした投資による生産性の向上・事業再構築・事業再編等に取り組むことができるよう、「労働供給制約社会の
中堅・中小企業の『稼ぐ力』強化戦略(仮称)」の検討を進める。また、AI・ロボティクス等の省力化は労働供給を補う観点から成長に
プラスであり、導入の摩擦係数も相対的に小さく、日本全体で需要創出や社会的受容の構築が重要。
【国内投資の促進・成長投資への転換】
➢ 国内投資は実質でも増加しているが、生産能力は低下傾向が続き、投資内容も既存設備の維持・補修が相当程度あり、資本の生産性は低迷。
➢ 供給制約に対応する省力化投資を含め、投資の量を持続的確保とともに、企業の競争力を高めるために、生産性向上・付加価値創出につな
がる成長投資への転換を図ることが必要。
【賃上げ・消費による好循環の実現】
➢ 労働生産性の絶対値の低さに加え、交易条件の悪化が影響して、実質賃金は停滞。エネルギーの安定供給に加え、成長投資による高付加価
値化によって、生産性向上と輸出物価上昇(日本全体の価格転嫁)による交易条件の改善が必要。
➢ 将来不安、無形資産経済化に伴うフリー消費の増加により、家計の消費性向は低下。持続的な経済成長のミッシングピースである消費活性
化を実現するため、消費需要の創出に向けた政策体系の構築が必要。
ポイント②:マクロ経済運営をさらに進化させるため、どういった方向性が考えられるか?
【仮説A】 B/S思考でのマクロ経済運営(今後、要検討):
➢ 単年のGDPというフローだけでなく、付加価値を生み出す資産(ストック)に着目したB/S思考でマクロ経済運営を高度化するアプローチ
は考えられるか。
【仮説B】AIロボティクス・レディのマクロ経済運営:
➢ AIロボティクスの社会実装が進展する中、機械の更なる労働力化とそれに伴う労働需給管理など、マクロ経済運営もAIロボティクス・レ 42
デイなものへと進化させるべきではないか。
持続的な経済成長を実現するマクロ経済構造とボトルネックの所在
⚫ 上昇局面にある物価・金利、グローバル経済・国際秩序の変容、テクノロジーの進化といった内外の構造的変化が見られ
る中、ディマンドプルのインフレと「実質」での持続的成長を実現する新たなマクロ経済構造の形成が必要。
⚫ 新たなマクロ経済構造の形成におけるボトルネックと解決策の方向性は以下のとおり。
① 供給制約解消のための省力化投資・能力増強投資
② 高付加価値化・競争力強化のための成長投資
③ 労働生産性向上(←成長投資)、交易条件改善(←高付加価値化)等を通じた実質賃金増
④ 消費性向の向上による消費の活性化
▼ディマンドプルインフレの構造とその影響
▼コストプッシュインフレの構造
需要面
供給面
① 省力化・能力増強投資
高付加価値化
競争力強化
③労働生産性向上、交
総需要>総供給
易条件改善等による
実質賃金の上昇
所得増加
コストプッシュ
インフレ
供給力強化
供給制約解消によりコスト
プッシュ・インフレ回避
資源高
供給制約
総需要>総供給
投資の遅れ
➢ 現下は食料高・資源高による外部起因のコストプッシュインフ
レであるが、今後、人口減少・少子高齢化で人手不足による内
部起因のコストプッシュインフレが定常化するリスク
消費活性化
④ 消費性向の向上
人手不足
食料高
ディマンドプル
インフレ
内需増加
供給面(内部起因)
② 国内投資を含む成長投資
企業が価格決定力
を持ち、投資・開
発が活発化
技術革新・ビジ
ネスモデル転換
供給面(外部起因)
期待インフレ率上昇
による消費の活性化
➢ すでに人手不足も影響し、設備投資が計画通り進まない状況が
発現しており、スピード感をもって、省力化を中心とした投資 43
を加速化させることが必要
日本国内における投資・生産能力の推移と投資動機(1/2)
⚫ 国内においては潮目の変化が継続しており、これまで講じてきた国内投資拡大に向けた政策も相まって、民間企業設備
投資額は増加。製造業においても、名目総固定資本形成は過去最高であり、実質総固定資本形成も増加。
⚫ 製造業の資本ストックは、名目では伸びているものの、実質では直近10年で微増、直近3年は横ばい。供給力の強化に
向けた成長投資が引き続き重要となる。
総固定資本形成(製造業)(2015年基準)
(兆円)
資本ストック(製造業)(2015年基準)
(兆円)
※2020年基準改定前の数値を利用
40
※2020年基準改定前の数値を利用
320
38
310
名目
36
300
34
290
32
280
30
270
28
260
250
実質
実質
240
22
230
1994
1995
1996
1997
1998
1999
2000
2001
2002
2003
2004
2005
2006
2007
2008
2009
2010
2011
2012
2013
2014
2015
2016
2017
2018
2019
2020
2021
2022
2023
24
(年)
(出所) 内閣府 「国民経済計算」(2023年度年次推計 2015年基準)
1994
1995
1996
1997
1998
1999
2000
2001
2002
2003
2004
2005
2006
2007
2008
2009
2010
2011
2012
2013
2014
2015
2016
2017
2018
2019
2020
2021
2022
2023
26
名目
(年)
44
日本国内における投資・生産能力の推移と投資動機(2/2)
⚫ 鉱工業生産における製造業の生産量・生産能力は緩やかに低下。
⚫ 生産能力の向上に直結しない維持・補修目的の投資比率が増加しており、より付加価値を生み出す投資が必要。
生産・生産能力・稼働率の指数(製造業)
投資動機ウエートの推移(製造業)
(2020=100)
140
135
生産
稼働率
130
生産能力
125
120
115
110
105
100
95
90
85
80
1994
1995
1996
1997
1999
2000
2001
2002
2004
2005
2006
2007
2009
2010
2011
2012
2014
2015
2016
2017
2019
2020
2021
2022
2024
2025
75
(年)
(出所) 左図:経済産業省「鉱工業指数」生産・生産能力・稼働率の全てで「製造工業」の値を使用。生産・稼働率は季節調整済指数。四半期指数に加工。 右図:日本政策投資銀行 「2025年度全国設備投資計画調査」 大企業の設備投資全体を対象と
する
45
実質賃金上昇に必要な要素
⚫ 労働者の実際の購買力を示す「実質賃金」は、労働生産性・労働分配率・交易条件に分解できる。
⚫ 実質賃金の向上のために各要素を改善するには、供給制約解消のための省力化投資・能力増強投資、高付加価値化・競
争力強化のための成長投資が必要。
実質賃金 = 労働生産性 × 労働分配率 × 交易条件※ - 税・社保負担
▼実質賃金の要素分解
労働生産性:
➢ 労働時間当たりにどれだけの付加価値(=賃上げ原資)を
生み出せるか
労働分配率:
➢ 生み出した付加価値を労働者にどれほど分配されるか
交易条件:
➢ 輸出価格と輸入価格のバランス
• 輸出する物価が上がれば、賃金の原資が増加
• 輸入する物価が上がれば、購買力が低下
▼必要となる投資
設備投資:
➢ 省力化投資や生産能力増強投資などによって、生
産性が向上
研究開発投資:
➢ 技術革新や新商品開発によって、将来の付加価値
(=賃上げ原資)が増加
➢ 高付加価値化・競争力強化を達成することで、高い
輸出価格を設定できる
人的投資:
➢ 賃上げを「コスト」ではなく「投資」と考えて実施
※ 正確には交易条件に含まれる輸出物価、輸入物価だけでなく、影響は小さいが国内需要の各デフレーターと消費者物価指数の差も影響
46
労働生産性と実質賃金の推移
⚫ 労働生産性:日本の労働生産性は、過去30年で年率で1%以上伸びてきたが、絶対値として未だ低い。
⚫ 実質賃金:日本の実質賃金は、過去30年で微増にとどまる。
⚫ 実質家計消費:日本の家計消費は実質賃金と同程度の伸びがあるが、他国と比較して低迷している。
労働生産性の国際比較
35,000
25
25,000
日本
=+0.5%/年
(1991~2023)
(1994~2024)
日本
=+0.7%/年
(1991~2023)
20,000
(注)左図:2020年の米国ドル(購買力平価ベース)で実質化したGDPを総労働時間(就業者)で割った値。中図:2020年の米国ドル(購買力平価ベース)を利用して実質化した雇用者報酬を総労働時間(雇用者)で割った値。
右図:2020年の米国ドル(購買力平価ベース)で実質化した家計最終消費(Final consumption expenditure, Households)を人口で割った値。
(出所)OECD.statより作成。
2024
2021
2018
2015
(年)
2012
2024
2021
2018
2015
2012
2009
2006
2003
2000
1997
1994
15,000
1991
2024
2021
2018
2015
2012
2009
2006
2003
2000
1997
15
1994
30
1991
40
20
(年)
フランス
=+1.0%/年
(1991~2024)
2009
51.0 =+1.3%/年
ドイツ
=+0.9%/年
(1991~2024)
英国
=+1.5%/年
(1991~2024)
英国
=+1.5%/年
(1994~2024)30,000
英国
30
=+1.1%/年
(1994~2024)
日本
50
フランス
40,000
=+0.9%/年
(1991~2024)
フランス
=+0.9%/年 35
(1991~2024)
2006
60
米国
=+1.9%/年
(1991~2023)
2003
67.3
国民1人当たり家計消費額(ドル)
2000
70
ドイツ
=+1.0%/年 50,000
(1991~2024)
米国
=+1.5%/年 45,000
(1991~2021)
1997
80
時間当たり実質賃金(ドル)
ドイツ
45
=+1.1%/年
83.0
(1991~2024)
83.6
米国
40
81.6 =+1.6%/年
(1998~2023)
1994
90
実質家計消費の国際比較
1991
時間当たり労働生産性(ドル/時間)
実質賃金の国際比較
(年)
47
労働生産性・労働分配率・交易条件の国際比較
⚫ 先進国の労働分配率は低下傾向にあり、日本は米国・ドイツと比較して労働生産性と交易条件において差がある状況
時間当たり労働生産性
(ドル/時間)
労働生産性の推移
労働分配率の推移
90
(2020年=100)
160
66%
83.0
83.6
64%
80
64%
63%
交易条件の推移
150
ドイツ
62%
140
米国
70
ドイツ
61%
60
60%
59%
130
58%
56%
120
日本
米国
56%
50
日本
110
51.0
54%
55%
日本
100
ドイツ
40
(注)左図:2020年の米国ドル(購買力平価ベース)で実質化したGDPを総労働時間(就業者数×年間の平均労働時間)で割った値。
(出所)OECD.statより作成。
2021
2023
2013
2015
2017
2019
2007
2009
2011
2001
2003
2005
1995
1997
1999
米国
1991
1993
2023
2021
2019
2017
2015
2013
2011
2009
2007
2005
2003
2001
1999
1997
80
1995
50%
1993
90
1991
2023
2021
2019
2017
2015
2013
2011
2009
2007
2005
2003
2001
1999
1997
1995
1993
1991
30
52%
48
2.グローバル競争型産業に関する検討
第1回内外一体のグローバル産業戦略に関する有識者会議
事務局提出資料より抜粋の上加工(2025年12月2日)
⚫ グローバル競争型産業の勝ち筋については、別途開催している「内外一体のグローバル産業戦略に関する有識者会議」で検討。
⚫ テクノロジー進化や国際秩序の変容といった構造的な環境変化を踏まえて、2035~2040年頃を見据え、今後3~5年かけて
実現すべき産業構造転換の絵姿と、日本の勝ち筋を特定する。加えて、これらを実現するため、日本経済・産業の基盤となる
「OS」改革や国際秩序形成・グローバル連携の方向性、具体的な産業政策のあり方を検討する。
1.現状の日本産業の姿を把握する
2.産業構造の変化の方向性を見通す
グローバルな環境変化
3.これからのあるべき日本産業・
国際経済関係の姿を構想する
産業構造転換のトリガーとなる構造的な環境変化
日本の産業が低迷してきた構造的課題
影響
グローバルな産業構造変化の潮流
ビジネス・エコノミクスの変容と、それが引き起
こす産業の競争・連携における構造的変化
日本のグローバル産業の勝ち筋と
産業構造・国際経済関係のあるべき姿
日本のグローバル産業
の現状と競争力
日本の勝ち筋、国内に構築すべき産業・機能、同志国等
と連携して構築すべき産業・機能、その前提となる国際
経済関係のあり方
これまでの日本の産業構造において強みがあ
る領域、競争力の源泉
規定
規定
我が国の政策目的
国内のOS
世界のOS
日本の経済・産業基
盤(OS)の現状と競
争力
輸出入/海外におけ
る経済活動の基盤と
なる通商関係・国際
秩序
国富を拡大するべく、グローバル産
業戦略の実現により達成すべき政策
目標
実現
国内のOS
& 世界のOS
経済・産業基盤(OS)改革と
国際経済関係の方向性
・産業構造転換・立地競争力強化に資するOS改革の方向性
・成長国市場で優位性を発揮するための互恵的な関係性・
連携の新しいあり方
形成
産業・通商・経済安保政策の方向性
49
2-1.日本のグローバル競争型産業における構造的課題(経緯・背景)
⚫ 高度経済成長期以降の日本の産業発展は、先進国へのキャッチアップ型(技術導入・改良による大量生産・輸出)
であり、総じて、新たなビジネスモデルの創出を生み出す、産業・企業・人材の基盤が醸成されなかった。
⚫ 企業経営や産業構造、経済社会システムがこうしたキャッチアップ型経済に最適化されていった中で、バブル
崩壊以降は、人口減少による将来悲観や3つの過剰(債務・設備・雇用)の解消に時間を要した結果、長引くデフレ
経済(※)の中で、企業による成長投資(研究開発投資・設備投資・人的投資)は低迷。
※人口減少を背景に企業の中長期的な期待成長率は低下。デフレ経済に伴い価格と賃金が据え置かれることにより、企業による付加価値創出に
向けた新たな取り組みが生まれづらくなり、コストカット型の後ろ向きな経営が加速。
⚫ 海外展開による収益拡大の動きは広がったが、基本的には、過去の成功モデルの横展開(中国等の安い製造拠点への
依存)であり、新たなビジネスモデルの創出を伴う市場開拓には至らなかった。
⚫ 背景の一つとして、段階的な技術改良・品質向上等を伴う複雑なものづくりを強みとし、それに適合した年功
序列等の組織・人事体系、その帰結で経営者が選ばれるシステムを持つ日本企業は、新たなビジネスモデルの
構築や大胆な転換、リスクを取った巨額投資を伴う経営判断には必ずしも適していないことが挙げられる。
⚫ また、政府による政策としても、新自由主義的な潮流の中で、企業活動の制約を取り除く市場環境整備が中心
となり、金融システムも、間接金融中心でリスクを取った投資支援との相性は必ずしもよくない上、バブル崩
壊後の不良債権処理等に追われ、リスクの高い新規投資を支える環境に無かった。
50
2-1.日本のグローバル競争型産業における構造的課題①
1.新たなマーケットを獲得する機能の欠如
✓ 高性能・高品質を追求する一方で、自ら新たな市場・需要を創出し、グローバルスケールに拡大させる機能が不十分である
ことにより、技術のタネを新たな市場や収益の最大化に繋げることが必ずしも出来ていない。
✓ 具体的には、①既存の製品・サービスの改良ではなく、技術シーズを全く新しい製品・サービスに昇華する「0→1」機能、
②こうした新たなマーケットが生まれる兆しをいち早く察知し、スピード感を持ってグローバル市場を席巻する「1→1万
→1億」機能(ファイナンス&目利き機能)の双方が必要となるが、日本は特に②の機能が十分ではなかった。
✓ 背景として、高度経済成長期以降、人口や所得が右肩上がりの経済環境の中で、前述の通りキャッチアップ型の大量生産に
適した大企業とその系列というプレーヤー構造が主流でスタートアップが生まれづらく、ファイナンス機能も間接金融が中
心でVC等のエクイティ・ファイナンスは未成熟の状況が続いたこと等が考えられる。
✓ 結果として、消費者の価値観や選好が多様化し、技術的優位性の陳腐化スピードが速まる中で、グローバル市場のニーズに
合致した製品・サービスを迅速に展開できなかった(国内市場のガラパゴス化)。
例)家電・電気機器:高品質・多機能な製品ラインナップが、低価格・シンプルな機能・サービス化等の世界市場におけるニーズに合致せず、
韓国・中国・台湾等に劣後。
自動車:日本企業の牙城であったASEAN市場においても、中国企業による顧客ニーズを捉えたブランディング(デザイン性や車内の空間設
計に優れたSDV(Soft-Defined Vehicle)戦略等)に押され、シェアを大きく奪われつつある状況。
51
2-1.日本のグローバル競争型産業における構造的課題②
2.過剰な自前主義によるオープンイノベーションやオープン/クローズ戦略の欠如
✓ 研究開発や量産化の過程において、系列・自社完結に固執して、海外企業を含む外部資源の活用・連携やスタートアップの
M&A等によるオープンイノベーションに遅れが生じた結果、技術革新や市場変化への対応が遅れてしまった。
✓ また、グローバルなビジネスモデルの潮流として、自社の強みを迅速な市場規模の拡大や顧客価値の最大化に繋げるため、
差別化の源泉となる技術・ノウハウ等は秘匿(クローズ化)する一方で、自社のシステム等に他社の製品・サービスを接続
(オープン化)することで、自社を中心とするエコシステムやプラットフォームを形成する流れが加速。
※GAFAM等のハイパースケーラーは、いかに自社のビジネス領域で独占状態を形成できるか、その領域を拡大できるか、というゲームを展開。
✓ こうした状況の中においても、日本企業は、純粋な技術力向上と販路拡大を追求した結果、様々な分野で主導権を喪失。
✓ その背景として、企業内部における現場や事業部門の独立性の強さや経営統治能力の低さも一因であったと考えられる。
例)半導体:日の丸自前主義に陥り、国際的なエコシステムやアライアンスの構築について、供給側(国際的な共同開発・生産に踏みきれず)・
需要側(海外顧客の開拓に向けたパートナー)の両面から構築できず。
医薬品:開発リスクが極めて高いため、グローバルでは製薬メーカーが創薬スタートアップを買収し、新薬等の市場投入を加速化させること
が潮流の中、日本の製薬産業は、一部企業を除いて、スタートアップとのオープンイノベーションが不十分な状況。
携帯電話:NTTドコモのiモードは、AppleのiPhoneが展開した技術的基盤を既に保有していたが、携帯キャリア主導の閉鎖的なエコシステ
ムによってグローバルな市場拡大には至らず。他方、iPhoneは、通話などの「電話としての機能」ではなく、「顧客との接点と
してのデバイス」と再定義し、他社の開発アプリを乗せるプラットフォーム型のビジネスモデルを展開することで、世界規模でエ
コシステムを形成。
52
2-1.日本のグローバル競争型産業における構造的課題③
3.投資の規模・スピード・継続性(研究開発・量産化投資)
✓ 技術優位性がある領域であっても、スケーラビリティ(規模の経済)を働かせ、グローバルで高いシェアを取ることによる
高収益を実現するまでの投資規模とスピードで海外企業に劣後。その結果、更なる投資拡大や、次代の研究開発投資を忍耐強
く継続的に行う原資も十分に確保できず、海外企業に追い抜かれることとなった。
✓ マーケット起点でグローバル市場を確保する意志の不足により、国際競争に負けない大規模でスピード感ある投資が行われて
こなかったことも一因だと考えられる。
✓ また、垂直統合から水平分業へのビジネスモデル転換(集中特化することで、より大規模な投資と高いシェアの獲得が可能となる)
など、グローバルな潮流に則した迅速な経営判断を伴う巨額投資は尚更困難であった。
例)半導体:日米半導体協定以降、官民ともに将来に向けた思い切った投資ができず、水平分業型(ファブレス・ファウンダリ)へのビジネスモ
デル転換の中で、上流の設計は米国、下流の製造は韓国・台湾の巨額投資に遅れをとり、シェアを奪われた。
太陽光パネル:1990年代までは技術優位性・市場シェアを有していたが、世界中の需要拡大に対応した量産体制を構築する規模・スピードの
投資で劣り、国家支援も背景とする中国企業に市場を席巻された。
53
2-1.日本のグローバル競争型産業における構造的課題④
4.適切な事業展開や大胆な判断を遂行する経営能力の欠如
✓ 前述のとおり、日本企業・産業の発展経緯や組織・人事体系は、リスクを取った大胆な経営判断に必ずしも適していない。日
立やSONY等、経営危機に陥った企業の中には、大胆な経営改革を断行できる企業も存在するが、限定的。
✓ 中国・韓国企業の急速な台頭などグローバルな競争環境が激しく変化する中にあっても、既存事業の再編・統廃合、さらには
合理的判断に基づく撤退などの迅速な事業ポートフォリオの転換を進めることができず、国内企業間でコストカット型の過当
競争が激化。結果、グローバルな競争力を維持できないのみならず、新たなビジネス領域への展開も遅れを取ってしまった。
例)テレビ・音響機器:中国・韓国企業等のコスト競争力が高まる中、複数の国内企業同士で、ガラパゴス化にも繋がる高機能化とコストカット
競争に陥った結果、日本産業全体で市場シェアを喪失。
5.社会変革に繋がるイノベーションに対する適応の弱さ
✓ 非連続な技術革新・イノベーションであればあるほど、技術からビジネスへの転換に際して、製品・サービスのあり方自体
が変わるような抜本的なビジネスモデルの転換を伴うことが必至。
✓ そのような中、前述のとおり段階的な技術改良・品質改善等を強みとしてきた日本の産業・企業・経営は、こうした大胆な
ビジネスモデルの転換への適応力が弱く、その主体となる人材の育成・教育やスタートアップの厚みが存在していなかった。
✓ また、新たなイノベーションの社会実装・普及の基盤となる社会規範(国民の受容性)や規制・制度についても、米国・中国
等と比較した際、迅速な変革が行われづらい環境にあったことも遅れを取る一因であったと考えられる。
54
2-1.日本のグローバル競争型産業における構造的課題(政策的対応の視点)
⚫ デジタル・AI等のテクノロジーの進展等に伴い、国際競争に打ち勝つために必要な投資規模は拡大。このような中で、世界中
で自国優先の大規模な産業政策が展開。
⚫ こうした時代において、「技術で勝って、ビジネスで負ける」構造から脱却するためには、日本としての「勝ち筋」を官民で
共有しつつ、戦略分野における新たな市場・需要創出や大胆かつ迅速な投資の促進や自前主義にとらわれないイノベーション
の創出、世界で勝てるビジネスを展開するための企業経営改革を進めていくことが必要。
1.マーケット獲得を実現する産業政策(成長投資促進・需要創出)
要因①:マーケット
獲得機能欠如
✓ 社会課題等を起点とした市場・需要の創出・獲得に向け、規制・規格の導入や政府調達を戦略的
に活用することで、投資の予見可能性を高める。
要因②:自前主義
✓ ライバル企業に対抗し得るスケーラビリティを確保するための大胆な投資を可能とする政策的
措置・ファイナンスシステムの構築。投資支援も、単年度でなく複数年度で、中長期での回収も
念頭に。「0→1」を超えて、スピーディーに「1→1万→1億」に繋げるファイナンス機能強化も。
要因③:過少投資
✓ 政策的措置を講じる戦略分野や支援企業の選定にあたって、単なる技術力等ではなく「勝ち筋」
となるビジネス戦略があるか、プロフェッショナルも交えてシビアに精査。
2.自前主義にとらわれないイノベーション創出
要因④:経営能力欠如
要因⑤:社会変革への
適応力欠如
✓ 研究開発から量産化までの一気通貫での支援を展開する中で、国際共同研究や国際頭脳循環、
戦略的なM&Aの促進、スタートアップ創出・活用や大学改革を含めた産学官連携の高度化を
ビルトイン。
3.世界で勝てるビジネスを展開するための企業経営改革
✓ リスクを取った成長投資や新興市場への挑戦、迅速な事業ポートフォリオの転換等の非連続な
経営判断を迅速に断行できる企業経営への転換を促進。
✓ 産業全体での企業経営改革は、新陳代謝の促進を伴うダイナミズムある産業構造の実現に資する。
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2-2.グローバル競争型産業に関する検討
⚫ グローバル競争型産業の勝ち筋については、別途開催している「内外一体のグローバル産業戦略に関する有識者会議」
において、以下の5つの論点を検討。
「1.グローバル産業戦略検討の前提となる現状認識」について
⚫ グローバル産業戦略検討の前提となる現状認識(日本の産業の現状・環
境変化・政策目的)についてどのように考えるべきか。
「2.グローバルな産業構造変化の潮流」について
内外一体のグローバル産業戦略に関する有識者会議委員一覧
(敬称略)
⚫ 伊藤元重 東京大学 名誉教授
⚫ 遠藤信博 日本電気株式会社 特別顧問
⚫ 川瀬剛志 上智大学法学部 教授/独立行政法人経済
⚫ 構造的な環境変化は、 ビジネス・エコノミクスにどのような変化をもた
産業研究所 ファカルティフェロー
らすと考えるべきか。その結果、産業内/産業間の競争/協調の構造や、
⚫ 澤田純 NTT 株式会社 取締役会長
グローバル・バリューチェーンのあり方にどのような変化が生じるか。
「3.日本のグローバル産業の勝ち筋と産業構造・国際経済関係のあるべき姿」
について
⚫ 日本の産業はどの領域を勝ち筋として、それぞれの勝ち筋における戦略
の方向性はどうあるべきか。その上で、産業活動の前提ともなる国際経
済関係を構築する方向性はどうあるべきか。
「4.経済・産業基盤(OS)改革と国際経済関係の方向性」について
⚫ 産業構造転換やグローバル立地競争力強化に資する経済・産業基盤(O
S)改革の方向性は何か。
⚫ 国際経済秩序の形成や成長国市場における日本の優位性の発揮に向けた、
互恵的な関係性や連携の方向性をどのように考えるか。
「5.産業政策・通商政策・経済安全保障政策の方向性」について
⚫ 鈴木一人 東京大学公共政策大学院 教授・国際文化
会館 地経学研究所長
⚫ 半沢淳一 一般社団法人全国銀行協会 会長/株式会
社三菱 UFJ 銀行 取締役頭取執行役員
⚫ 松尾豊 東京大学大学院工学系研究科 教授
⚫ 峰岸真澄 株式会社リクルートホールディングス 代
表取締役 兼 取締役会議長
⚫ 森雅彦 DMG 森精機株式会社 代表取締役社長 兼
グループ CEO
⚫ 安永竜夫 一般社団法人日本貿易会 会長/三井物産
株式会社 代表取締役会長
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2-3.「新技術立国・競争力強化」の検討
⚫ 「危機管理投資・成長投資の戦略分野」と並行して検討する「分野横断課題」のうち、経済産業大臣は「新技術立国・競争力
強化」の担当大臣。下記のような議論の場を活用して検討を推進。
産業構造審議会 経済産業政策新機軸部会
⚫ 「新技術立国・競争力強化」に関する議論全体を集約し、全体としての方向性を示す。
⚫ その上で、「新技術立国」については、イノベーション小委員会において関係省庁も交えて検討を進め、新機軸部会へ報告。
「競争力強化」については、個別の政策課題に関する審議会等での検討も踏まえ、新機軸部会を中心に検討を進める。
競争力強化
報告
新技術立国
産業構造審議会 イノベーション小委員会(1月キックオフ)
※経産省・内閣府CSTI・文科省・内閣官房NSS・防衛省・外務省
<想定される政策課題>
⚫研究開発法人の技術シーズの徹底した社会実装
⚫防衛調達をはじめとする官公庁による調達
⚫規制・規格の導入による新たな需要創出・拡大策
<想定される政策課題>
⚫分野横断的な設備投資等の促進
⚫人材・ファイナンス・計算資源・エネルギー・産業用地・インフラ
など産業基盤の整備
⚫企業再編の促進等の制度改革による事業環境整備
⚫分野横断的な海外展開支援・国際標準化戦略 等
※地域毎の産業クラスター形成や産業用地等のインフラ整備は、政府全体
としては「地域未来戦略会議」での議論
⚫世界で競い成長する大学の実現に向けた施策 等
※人材育成・労働市場・ファイナンス等については、別途の横断課題とし
て設定されているため、当該課題を議論する分科会とも連携
※スタートアップ政策は、別途の分野横断課題として議論
※新機軸部会のほか、個別論点に関する審議会等での議論を反映
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※経済安全保障の推進についても「新技術立国・競争力強化」の内数と整理されていることから、内閣官房・内閣府(経済安全保障担当)と連携。
3.域内循環型産業
【背景】
⚫ 域内で生産・消費が完結する域内循環型産業は、主としてサービス業で構成されており、底堅い需要により地域経済を支える重要な産業。
しかし、人口減少・少子高齢化に起因する域内需要の減退と構造的な人手不足により、循環経済が縮減しつつある。
⚫ 中でも、人々の生活に不可欠な物品および役務を提供するエッセンシャルサービス(ES)において、構造的な人手不足による供給不足が
先鋭化。ES供給不足は全国的な問題であるが、過疎化が進む需要密度が低下している地方で先行している。
⚫ 経済全体の基盤であるESの供給不足による地域の生活環境の悪化は、産業の担い手である生活者の域外流出に繫がるおそれ。地域の人的資
源の喪失は、工場等の産業資本の機能不全や国内投資・立地促進の制約を生じさせるなど、国内経済への甚大な影響を及ぼし得る。
⚫ したがって、マクロ経済運営の観点からも、ESの供給の持続性確保は経済産業政策として取り組むべき重要な政策課題。
【当面の政策の方向性】
⚫ ES供給事業の公益性の高さについての社会的認知度の向上
⚫ 事業運営の効率化や事業主体の合理化といった事業の採算性向上のための創意工夫を後押し
⚫ 様々な需要環境におけるES需要を満たすため、多様な主体の参画を促進するとともに、中間団体も参画する支援体制を構築
ポイント:中長期的課題としてのエッセンシャルサービスの供給維持にどう向き合うか?
➢ 少子高齢化によって、生産年齢人口の減少により供給減となる一方で、高齢化により需要が増加することにより、ESの需給バランスが
崩れることが本質的な課題。こうした状況において、供給不足解消のためにはどういった方策が有効か。
➢ 人口密度が低下する中、各地域における需給のバランスを踏まえた効率的なES供給のあり方をどのように考えるか。
➢ 民間の経営努力による事業採算性向上を通じて持続性を確保できるケースもあれば、需給両面の状況から公的資金が必要なケースも存
在。公設民営など財政措置の選択肢も併せて、官民によるES供給維持の方策の全体像を描く必要。
➢ ESの卸小売など、参入障壁の低さにより過当競争になり価格競争が激化しその結果低賃金となる傾向があることから、人手不足下でも
労働移入が起こりにくく、他の産業に比べて供給不足が深刻化するという構造的な課題がある。こうした構造を踏まえた制度的検討の
必要はあるか。
58
4.ディマンドサイド改革(消費活性化)
【方向性】
⚫ 名目では賃上げの潮目の変化が生じているが、実質での賃金上昇は道半ば。共働き等で家計の可処分所得は増加している
が、将来不安、ネットの流通に伴うフリー消費の増加により家計の貯蓄率は上昇しており、実質消費は低迷。
⚫ マクロ経済の好循環において「消費活性化」はミッシングピース。実質賃金向上に加え消費需要創出政策の検討が必要。
⚫ 近年の消費動向は、デジタル広告等によって購買行動が多様化・即時化する一方で、生活の質の向上や個人・社会全体の
将来投資に繋がらない消費も見られる。単に消費量の拡大だけでなく、「質の高い消費(個々人にとっての充実感、将来
投資につながる消費) 」の促進が重要。
ポイント①:消費の活性において、安心して消費できるよう、持続的な家計の収支構造の確保をどのように進めるべきか?
⚫ 消費性向は”生涯可処分リソース”が重要な決定因子。一時的な可処分所得増ではなく、生涯通しての増加の予見可能性と
将来支出の安定性を確保するため、持続的賃上げと、負担と給付のバランスが取れた社会保障システムが重要。
【仮説A】持続的賃上げ:
➢ 一時的な賃上げではなく、成長投資・省力化投資を通じた労働生産性、交易条件の改善による持続的な賃上げが必要。
【仮説B】負担と給付のバランスが取れた社会保障システム:
➢ 制度設計当時の人口増加・高度経済成長という前提の経済社会構造が大きく変化し、給付・負担のバランスに偏りが
生じる中、制度の持続可能性が課題であり、負担と給付のバランスが取れた社会保障システムの実現が重要。
ポイント②:フリー消費が増加し「有償な消費」の難易度が上がる中、どのようにして需要を創出するか?
【仮説A】質・量両面での消費需要創出の追求:
➢ 「質の高い消費(個々人にとっての充実感、将来投資につながる消費)」は、消費者の満足度を高め、次の消費につ
ながることで消費の好循環を生む連続性の高い消費であり、量と質のバランスを追求することが重要。
➢ 消費意欲は、個人・社会の価値観によっても変動。今後、AI・ロボティクスにより時間の使い方、生活・価値観が変
化する中、どのような価値観が潜在需要を刺激し、良質な消費増につながるのか。
➢ 消費政策は、消費者が政策顧客となるが、どのような手法であればガバメントリーチが効きうるのか。
【仮説B】toC産業の再構築:
➢ 良質な消費意欲に対するサプライサイドの産業政策として、モノづくりやサービスが融合したtoC産業の再構築が重要。
59
消費需要の活性化
実質家計消費の停滞
可処分所得の停滞
➢ 実質賃金の停滞(配偶者収入の増加に伴い家計の
可処分所得は増加)
➢ 社保負担の増加
将来不安に伴う
貯蓄の増加
消費性向の低下
➢ 勤労者世帯では実質可処分所得は増加しているが、消
費性向が低下
テクノロジーの進化に伴う
消費のフリー化
ライフスタイル変化に伴う
消費の変化
※支出を伴わない余暇の充足
海外への需要流出
① 持続的な家計の収支構造の確保
A) 持続的賃上げ
B) 負担と給付のバランスが取れた社会保障システム
② 「有償な消費」需要の創出
A) 質・量両面での消費需要の創出
B) toC産業の再構築
消費における「質」
「消費行動」の構造化
3つの領域が重なる
質の高い消費需要を創出
➢ AI時代で生活が変化する中、消費量だけでなく、
消費における質にも着目
国内企業による提供
• 好循環を生む消費
• 資産形成につながる消費 等
➢ 価値観の変化による個人の充実感の変化と、
個人の充実感
社会課題の解決
社会課題解決が重なる需要と市場の創出を検討
個人の将来への投資
欲望の解消の行為として消費
消費
ディマンド/
ウォンツ/ニーズ
欲望
根源的欲求
価値観基盤
心が動く良い消費体験は、
次の良い消費体験につながる
「消費の好循環」
需要の創出において、
価値観基盤の変化に着目
60
未来の経済運営のあり方(中長期的な検討課題)
【方向性】
⚫ 2040年というタイムラインを前提とすれば、資本主義のあり方を含め、現状の経済社会システムの前提となるコンセプ
トや基幹システムにパラダイムシフトが起きるリスクも想定する必要がある。国際秩序の変容やテクノロジーの進化と
いった外部環境変化は、こうしたパラダイムシフトの発生可能性を高める効果も持ち得る。
⚫ こうした経済社会システムのパラダイムシフトについては、国内外、様々な有識者からも問題提起がされている。こうし
た議論も踏まえ、中長期的な視点から、どういった可能性があり得るのか、検討を深めていく。
ポイント①:資本主義の変容
⚫ 資本主義のあり方については、利潤最大化を目的とした株主至上資本主義の中心地、米国においても、格差問題や多様な
価値観との乖離、プラネタリーバウンダリーとの非整合等、様々な制度疲労の指摘や変容の必要性が問題提起されている。
⚫ 持続可能な資本主義とはどのようなコンセプトか、その資本主義を体現するためには、どのような経済社会システムの変
容が求められるのか等、幅広い論点について議論を深める。
ポイント②:未来テクノロジーの社会実装
⚫ AI・量子・ロボティクスやライフサイエンスといった未来テクノロジーは、ビジネスや産業構造を超えて、経済社会シス
テムのあり方そのものを変容させる可能性を秘めている。
⚫ こうした未来テクノロジーの進化は非連続的、同時多発的に発生する可能性もあるため、変化が見えてからでは、対応に
係る摩擦係数が甚大になる可能性。どのような変化・影響が発生するかについての「あり得る幅」と「対応の方向性」に
ついて、産官学でコンセンサス形成を図っていく。
ポイント③:新たな国際秩序のあり方
⚫ 地政学リスクの高まりやテクノロジーの進展による構造的な格差の拡大等、国際情勢を取り巻く構造的な変化によって、
グローバル・インバランスの限界など、従来の国際秩序が維持困難となる時代に突入。ポピュリズムやアンチ・グローバ
リズムの潮流が拡大し、各国の政治経済システムは不安定化。
⚫ こうした状況を踏まえ、新たな国際経済秩序や枠組みを有志国とも連携しながら維持・強化・再構築していく。
61
反グローバル化の背景にある格差拡大
⚫ 反グローバル化の背景として、世界的に所得格差が拡大。米国におけるラストベルト地帯など、国際競争
で劣後した地域は、優位性を築いた西海岸等と比べて、自由貿易を忌避する傾向。
主要各国ジニ係数推移
アメリカでの賃金格差 (州別中央値賃金 2023年)
近年、世界的に所得格差の拡大が顕著になっており、これを示す
指標の一つであるジニ係数が多くの主要国で上昇傾向に
0.48
0.42
【ラストベルト地帯】
•
1950~1970年代、ラストベルト地帯は全米有数の高賃金地域で、
1980年にはミシガン州フリント市が若年労働者の賃金中央値で
全米最高水準を記録
•
しかし、中国の台頭でコスト競争が激化し、製造業の縮小が
進んだ結果、失業が増え賃金が低下、西海岸との格差が広がった
2000
2024
0.41
0.36
0.36
0.32
0.32
0.34
0.35 0.35
0.32
0.31
0.33
0.26
ア
メ
リ
カ
中
国
イ
タ
リ
ア
ド
イ
ツ
日
本
イ
ギ
リ
ス
カ
ナ
ダ
1. 中国のみ2024年ではなく2022年のデータ
出典先:中国統計局; 厚生労働省; Statista. (December 2, 2024). Ranking of the Gini index by country 2024 [Graph]. In Statista; U.S. Census Bureau, 2023 American Community Survey, 1-year estimates;
2023 Puerto Rico Community Survey.
62
(再掲)今期の新機軸部会の方向性
⚫ マクロ経済環境やAI等のテクノロジーの進展や国際経済秩序の変容といった外部環境変化を踏まえ、新たに検討すべきアジェンダも含めて、
本質的な政策課題を洗い出し、迅速に対応すべき課題については政策的措置を具体化。今期は、以下の重点アジェンダを中心に議論。
「1.マクロ経済運営のあり方」について
⚫ 実質での持続的な成長に向けて、競争力強化・外需拡大等により付加価値を生み出す国内投資、増加した付加価値の賃
金への分配、賃金上昇による消費主導の内需の活性化という好循環をいかにして実現していくか。
「2.グローバル競争型産業」について(「新技術立国・競争力強化」)
「2-1.日本のグローバル競争型産業における構造的課題」
⚫ 日本のグローバル産業の競争力低迷をもたらした構造的要因はなにか。
「2-2.グローバル競争型産業における勝ち筋の検討」
⚫ マーケットスケール/グローバルシェアを確保する高付加価値型の国内産業構造とグローバル・バリューチェーンの絵姿
をどのように具体化していくか。
「2-3.分野横断的課題である経済・産業基盤(OS)の改革」
⚫ 分野横断的な設備投資等の促進や、人材・ファイナンス・計算資源・エネルギー・産業用地・インフラなど産業基盤の
整備をいかにして実現していくか。
⚫ (「新技術立国」:イノベーション小委員会で別途議論)日本に強みがある技術の社会実装や勝ち筋となる産業分野の
育成を促進する「新技術立国」の実現のため、研究開発法人の技術シーズの徹底した社会実装、防衛調達をはじめとす
る官公庁による調達、規制・規格の導入による新たな需要創出・拡大策などをどのように実現していくか。
「3.域内循環型産業」について
⚫ 地域経済を支えるエッセンシャルサービスの持続性をいかにして向上させるか。
「4.好循環のミッシングピースである消費活性化」について
⚫ 安心して消費できるような持続的な可処分所得の確保のあり方、消費活性化に資する産業政策のあり方など、「消費活 63
性化」のための政策はどういったアプローチが考えられるか。
今後の想定スケジュール
⚫ 本日 キックオフ(現状認識・今後の論点提示)
⚫ 年明け以降
各重点アジェンダに関して、個別に検討を進め、財政フレーム、ファイナンス、制度・規制改革など
の横割り政策課題について議論
(関連する委員会等の議論も踏まえた経過報告)
⇒ 日本成長戦略会議における「新技術立国・競争力強化」等の議論へ
・
・
・
⚫ 来春
第5次中間整理(案)
⇒ 日本成長戦略・骨太方針へ
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