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産業構造審議会 経済産業政策新機軸部会 第29回

2025-12-22一次資料(出典)

議事録・配布資料の全文(政府公表資料より。要約でなく原文に基づく参照用)。

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議事録

第29回経済産業政策新機軸部会 日時:令和7年12月22日(月) 議事録 8:30~10:30 場所:経済産業省 別館7階 723 共創空間(ハイブリッド開催) 1.参加者 <委員出席者> 対面:大橋委員、伊藤委員、落合委員、菊地委員、中空委員、福田委員 オンライン:首藤委員、関灘委員、滝澤委員、長田委員、東委員 <経済産業省出席者> 対面:赤澤大臣、畠山経済産業政策局長、菊川イノベーション・環境局長、河野経済産業 政策局審議官、小林経済産業政策局審議官、竹田経済産業政策局審議官、松野産政総務課 長、今里産業人材課長、中村産業構造課長、武田イノベーション政策課長、田中通商戦略 課長、杉江安保政策課長 オブザーバー:RIETI 深尾理事長 2.議題 ・「経済産業政策の新機軸」の今後の方向性について - 1 - ○中村産業構造課長 それでは、これより第29回産業構造審議会経済産業政策新機軸部 会を開会いたします。 委員の皆様におかれましては、御多忙のところ御出席いただき、ありがとうございます。 本日の委員の御出欠ですが、齊藤委員、橋本委員が御欠席となります。また、首藤委員、 関灘委員、滝澤委員、長田委員、東委員がリモートでの御出席となります。また、赤澤経 済産業大臣にも冒頭のみですが、御出席いただいております。 なお、本日は、議事のウェブでの中継は行いませんが、後日、皆様に御確認いただいた 上で議事録を公開する予定です。 本日の議題は、「経済産業政策の新機軸」の今後の方向性でございます。配付資料につ いては資料一覧のとおりでございます。 それでは、議事に入っていきたいと思います。 最初に、部会長の選任を行いたいと思います。前回まで部会長でいらっしゃいました伊 藤元重委員が委員任期との関係で、御退任となったため、委員の互選により新たな部会長 を選出いただきます。事務局といたしましては、大橋弘委員に部会長をお願いしたいと考 えておりますが、皆様、いかがでしょうか。 (「異議なし」の声あり) ありがとうございます。それでは、大橋委員に部会長に御就任いただくことといたしま す。 以後の議事進行については、大橋部会長にお願いしたいと思います。大橋部会長、よろ しくお願いします。 ○大橋部会長 おはようございます。ただいま御紹介いただきました大橋と申します。 御指名ですので、大変微力ではございますけれども、貢献できればと思っております。 どうぞよろしくお願いします。 一言だけですけれども、この新機軸部会の経緯を振り返ってみますと、2021年に始まっ た部会だと認識しているのですが、当時からこの4年余りの間に、この部会が産業政策と いう言葉に対する世論の受け止めを相当大きく変えたなと感じます。すごくネガティブな トーンからポジティブなトーンに大きく変えた役割は大変大きかったと思っています。 ぜひ今後とも活発な意見交換をしながら、産業政策の意味合いをさらに次のステージへ 上げていければと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。 それでは、まず赤澤経済産業大臣より御挨拶いただきたいと思います。赤澤大臣、よろ - 2 - しくお願いいたします。 ○赤澤経済産業大臣 皆さん、おはようございます。本日は、お忙しい中お集まりをい ただき、心から感謝をいたします。経済産業大臣の赤澤亮正です。産業構造審議会経済産 業政策新機軸部会の開会に当たり、一言御挨拶を申し上げます。 新機軸部会では、これまで一貫して国内投資、イノベーション、所得向上というマクロ 経済の好循環の実現を目指して、ミッション志向の産業政策を推進しているところであり ます。 世界では米中をはじめ、大規模な産業政策が展開される中、こうした潮流を捉えて、G X、DXなど積極的な産業政策の方向性をお示しいただいてきたと認識をしております。 ちょっと事務方が用意した話と脱線をいたしますが、私自身が関わった日米関税交渉、 あの合意がかなり歴史の画期になるという感覚を私は持っていまして、それはどういうこ とかというと、1985年ぐらいから日本はある意味で米側からライバル視されて、ある意味 で、世界経済の胴元である米国から勝てない席に座らされたような状況となりました。プ ラザ合意、半導体協定、そういったものが40年間続いてきたと思いますが、トランプ大統 領の登場で大分風向きが変わってきました。米国などですと、「TIME」とか「New sweek」とか、ああいうものの表紙を見ていると本当に変遷が分かるのは、10年単位 で前は世界を救う何人とかという特集があると、表紙は全部軍人だったのです。安全保障 関係の人間がずらっと3人並ぶと。それがここしばらく世界を救うというと、グリーンス パンだったりサマーズだったり、とにかく金融関係の、ウォールストリート関係の人が世 界を救うといった感じです。何が起きたかというと、自由主義経済を進めてきて政治行政 は経済に口を出すなと、経済主体、世界中の経営者は一番安いところで物を買って原材料 にし、一番人件費の安いところで組み立てて、世界最大の市場で売るのだということを徹 底してやれる、産業政策は出る幕がない、政治家、行政は黙っておれというのが、数十年、 結局どんどん進んでいったのです。トランプ大統領がおっしゃったことは、とにかく、結 論だけ言うと、重要鉱物1つを取っても、端的に言えば、たとえ価格が高かろうが同志国 から買うというのがきちっとできないと、いざというときにレアアースを止められたら自 動車が造れないみたいな形になっているわけで、こういう状況を世界中にきちっと気づか せた、断固として俺はそれを認めないということを打ち出されただけでもトランプ大統領 が登場した意味というのはやはり大いにあったと思います。産業政策ということで言えば、 もうとにかく、かつて悪名高きMETIとまで言われた、ここの役所が本家本元でありま - 3 - すので、そういう意味でも皆様がやってきた産業政策が格段に脚光を浴びるようになり、 重要性を帯びて、それをやることについて政治行政は経済に口を出すなと言われていた雰 囲気、世界を救うのは金融、あるいは経済関係であって、政治や行政ではないと言われて いた時代からはかなり劇的に変わると思います。そういう意味で、この新機軸部会の意義 は大変大きいと思いますので、大橋部会長にはよろしくお願いしたいと思います。 あと余談でありますが、大阪・関西万博を大成功に導き、私も大変貴重なnull2 体験を させてもらった落合陽一先生とか、経済財政諮問会議で御一緒した中空麻奈委員をはじめ、 知っている顔もたくさんおられて大変ありがたいことだと思います。私が50年以上、中学 の同級生で付き合っている冨山和彦との関係も深い福田さんもおられましたよね。既に知 見を得ている方もおられますし、そうでない力もある方も勢ぞろいされている中でありま すので、しっかり議論をいただきたいと思います。 日本経済について言うと、いい兆しが出てきていることはもう御案内のとおりです。よ うやく完全にデフレから抜けて賃上げの流れができてきているということの一方で、人手 不足、人口減少、少子高齢化といったこともあります。まとめれば、供給制約社会に突入 をしているということです。今までとちょっと雰囲気が違うということです。 高市内閣が目指す強い経済ということで、私自身は前職ときに賃上げに全力を挙げてき ましたが、強い経済を目指しながら、賃金がOECDで一番低い国のはずはない。私はも うこれはとんでもない結論だと思っています。積極的な官民投資でやっていきますし、最 賃などについても今議論がありますが、ここはしっかり上げていくということをやらなけ ればならいだろうと思います。2040年、名目GDP1,000兆円、私はもっと高いところ目 指したいと思っていますけれども、稼ぐ力をつけていくということであります。 本部会の議論も踏まえて、今回の補正予算、あるいは税制改正大綱で大胆な研究開発、 設備投資を促進する予算、税制等を講じるということで、新機軸の積極的な産業政策を継 続し、ファイナンスで復権させていくことが重要ということであります。 繰り返しになりますけれども、トランプ大統領の登場も、かなり時代を画するもので、 第2期政権、産業政策で本当に世の中が動いていくという一方、政治行政側も気合いを入 れて今やろうとしていますので、本部会の持つ意味というのはものすごく、これから増し ていくということだと思います。 高市内閣が危機管理投資、成長投資、あるいは責任ある積極財政の下で、世界共通の課 題解決に資する製品、サービスを提供する戦略に対して、複数年度にわたる予算措置のコ - 4 - ミットメントや新たな需要の創出拡大を通じて、経済措置、安全保障、経済安全保障の強 化を実現していくことを打ち出しています。正しい考え方だと私自身は思っています。 予算についての単年度主義というのも、欠点も克服しながら、しっかりと世界共通の課 題解決に資する製品、あるいはサービスを――インフラもそうです――提供していくこと で国富を生むということであります。 そして社会課題解決を成長のエンジンと捉え、大規模長期計画的なミッション志向の産 業政策を掲げる、新機軸の方向性とも軌を一にするもので、17分野が定められたことも御 案内かと思いますし、その全てに経済産業省が関わっています。そのうちの3分の1か半 分ぐらいは、経済産業省がメインの閣僚として、役所として組みますし、それ以外のもの にも基本的に全て入っているということになります。 それから、分野横断的な意味では、経済産業大臣として、日本成長戦略会議において、 新技術立国・競争力強化のテーマを担当することになります。特に我が国のグローバル競 争型産業がAI等のテクノロジーの急速な進展や激しい国際競争の中で、どのような勝ち 筋を描いていくかということが重要になります。 これはもう10年ぐらい前から私が言ってきたことなのですが、言い続けてきたことは、 ビッグデータ×AIの時代なので、日本の勝ち筋は高齢者と災害だと思います。どこの国 よりも多く日本があるのは高齢者と災害なので、超高齢化社会であり災害大国である日本 はピンチをチャンスに変えるという意味では、介護等の高齢者向けのサービス、例えばA Iを使って最高のきめの細かい介護プランができるというようなことをきちっと確立をす れば、そこに本当にお金をかけていいものをつくれば、人口が10倍の中国に売って国富を 生むことができると思います。あるいは防災、災害対応に資するAIロボットのサービス で私がずっと言い続けているのは、私の夢は瓦礫の中から迅速かつ安全に生存者を探し出 して助け出すロボットの開発を何兆円もかけてなぜやらないのだということde、最近よう やく聞いてくれる人が徐々に増えてきているのですけれども、そういうことを本気でやっ ていくことで国富を生む。そしてAIの時代ではありますが、量子やフュージョンといっ たような、さらに次の世代の勝負で日本が勝てるようにするには、そういうものに投入で きる国富を生んでいかいないといけないということがあると思います。 日本は技術で勝ってビジネスで負けるということをずっとやってきたので、その要因も 振り返って、国際競争に打ち勝つ高付加価値型の産業構造をどのように構築していくか検 討を深めていきたいと思っています。 - 5 - 私自身の問題意識としては、日本には0から1ですか、よい技術の種、シーズを生むよ うな人材が結構いても、新たな技術の生み出しを予測して勝ち筋を描いて、それを本当に 生きたビジネスまで急拡大させることができる目利き力を持った人材が技術の面でも、あ るいはファイナンスの面でもなかなか足りていないのかなということがあります。彼らに 対して巨額、中長期のリスクを取った資金が集まるという環境が不足してきていないかと いう問題意識であります。 こうした課題を乗り越えるために、ファイナンスや人材確保、育成といった方策につい てもぜひ御議論いただきたいですし、私自身が金融庁とか財務省に対しても言うべきこと はきちっと言って、ファイナンスのところも整えていかないといけないと正直思っていま す。 こうした議論を通じて、新機軸における社会基盤の組替えであるイノベーションの創出 や人材育成など、我が国の産業競争力強化に資する経済産業基盤の改革を推進していくと いうことになります。 このほかに成長投資を通じて、持続的な賃上げを実現するマクロ経済運営の在り方、あ るいは人手不足を乗り越えて持続性を向上させる域内循環型産業についてとか、あるいは 好循環のミッシングピースである消費活性化についても御議論を賜ることになります。 今後、新機軸部会での議論を通じて、高市内閣における新技術立国、あるいは17の戦略 分野でしっかりと勝ち抜いていけるような、そういう成長戦略の実現に貢献をしていきた いと思っておりますし、ぜひこれだけ力のある先生方にお集まりいただきましたので、そ の成果を大いに積み上げていただきたいと思っております。 委員の皆様におかれては、これまでも忌憚のない御議論をいただいてまいりましたが、 今後さらに格段のお力を借りることを心からお願いを申し上げて、今日の私の御挨拶とい たします。また1年間、よろしくお願いいたします。ありがとうございました。 ○大橋部会長 赤澤大臣、ありがとうございました。 大臣は御公務のため、こちらで御退席となります。 プレスの方もこちらで御退席となります。 続いて、今回の討議の進め方について事務局より御説明いただければと思います。 ○中村産業構造課長 ありがとうございます。 今回ですけれども、できるだけ双方向での活発な討議をいただきたいと思っております ので、少し進め方を変更させていただきまして、資料については委員の皆様に事前に配付、 - 6 - もしくは御説明をさせていただいていますので、資料説明は省略いたしまして、自由討議 のみの構成としたいと思います。 論点は多岐にわたっておりまして、全体を大きく3つのセッション、1つ目がマクロ経 済運営の在り方について、2つ目がグローバル競争型産業について、3つ目が域内循環型 産業や消費活性化などについてという順番で御議論いただければと思います。 最後、別途資料として、2040年の就業構造推計の改訂版、今年の4月にも1回御議論い ただきましたが、そちらについても資料をつけておりますので、最後の3番目のセッショ ンの中でそれについても御議論いただければと思います。 ただ、3つの議題は相互に関わりが深くオーバーラップするところも多々あるかと思い ますので、セッションを厳密に区切るというよりは、あくまで目安ということで、後の議 題、2番目とか3番になっても1つ目のマクロの話が何かありましたら、ぜひ御発言いた だければと思います。 各セッションの冒頭には簡単に事務局から論点を提示させていただきますが、それにか かわらず、ぜひ委員の皆様には活発に御発言いただければと思います。 ○大橋部会長 ありがとうございます。 それでは、議論を始めたいと思うのですが、それぞれアジェンダが3つございますので、 それぞれ大まかに区切って進めさせていただければと思います。 討議に関しては、オブザーバーの深尾先生にもぜひ御参加いただければと思いますし、 経産省の方もフラットに御発言いただければと思います。 では、テーマの最初がマクロ経済運営の在り方ということですので、こちらを事務局よ り、まず論点の提示をお願いできればと思います。 ○中村産業構造課長 資料の42ページ目に、論点としてマクロ経済の在り方というとこ ろをお示ししております。ある種、オーソドックスに足元の状況、あるいは今後の経済の 見通し、人手不足のところを喫緊の課題としても掲げさせていただいておりますが、まさ にそういった短期でのマクロ経済上の課題だったり、もう少し中長期で見たときに、ここ のところが少し危ないのではないか、あるいは足りないのではないか、そういった現状と 課題について短期、中長期での様々な御視点、御議論をいただければと思います。 ○大橋部会長 ありがとうございます。資料の42ではポイント①とポイント②と2つが 書かれていますが、足元、金利も上昇する中で、まずマクロ経済運営から議論を始めたい ということで、事務局に御提示いただいたものです。なかなか最初、口火を切るのは大変 - 7 - ハードルが高いとは思うのですけれども、ぜひ何か取っかかりいただける委員の方がいら っしゃいましたら、ありがたいと思うのですが。では、菊地さん、お願いします。 ○菊地委員 このたび委員で参加させていただきますロイヤルホールディングスの菊地 でございます経済同友会の副代表も務めさせていただいております。 口火ということで、今回、資料をちょっと拝見させていただいて、最初に思ったのが、 非常にいろいろな課題にどのように手をつけていくのかというのはすごく難しいテーマだ と思いました。 その中で、なぜ難しいのだろうかと考えたときに、多分これは軸が2本あるのです。1 つはグローバルとローカルという軸、もう一つは、オフェンスとディフェンス、このよう に2本の軸が交差しているので、多分4つの象限で考えたほうがいいのではないかと。 例えばグローバルでオフェンスのところはグローバル競争型産業にしていく、もしくは グローバルでディフェンスのところは経済安全保障関連、それからローカルでディフェン スのところは域内循環型産業、そうすると、ローカルとオフェンスというところがかなり この全体の中でミッシングピースになっているのではないかというのが私の全体の印象で、 では、ここは何が入るのだろうと考えたときに、恐らくインバウンドというのが多分キー ワードとして出てくるのです。そこが全体の中で欠けていると。 では、インバウンドをどう位置づけるかというと、これはまさしくマクロ経済運営の中 で、1つ大事なところは、交易条件の悪化というのがすごく大きな課題としてあるのでは ないか。 今、日本の経常収支というのを改めて考えてみると、貿易収支は赤字で、サービス収支 についても、デジタルは赤字だけれども、インバウンドで何とかそこを賄っていると。そ れから第一次所得収支は稼ぎ頭になっているけれども、これも第一次所得収支がなかなか 日本に還流してこない、日本経済にはポジティブに反映していない。この結果、交易条件 というのがどんどん悪化したことによって、実質賃金が上がらない、それから見えない国 負担になってしまっていると。 だから、これに対して確かにインバウンドというのは交易条件の良化に直接寄与はしな いのだけれども、そこで外貨を稼いでいくというのは非常に、それに対するカウンターと しては有効だと思うのです。だからローカルのオフェンスという視点で、もう少しこのイ ンバウンドをどのように整合的に日本に受け入れていくかという議論も、中にしっかりと 織り込んだほうが私はいいのではないかというのが、全体を見たときの印象でございます。 - 8 - ○大橋部会長 ありがとうございます。4つの象限に分けて見たときに、ローカル、グ ローバル、オフェンス、ディフェンスということで新しい視点をいただいたところだと思 います。どうぞ、落合さん。 ○落合委員 論点がすごく多岐になっているのが今回の資料の大きなところなのですけ れども、私は42ページの下の仮説Bのほうです。AIロボティクス社会にしていくという お話はすごく重要だと思っておりますが、現在、この資料の中でも人手不足というのを単 に人間の数と定義するのではなく、恐らく2040年代ということを考えると、ある種、かな りの量のロボティクスやヒューマノイドというのが市場に導入されているのではないかと いうのと、現状、AIによって業務が、ホワイトカラー業務のうちどのくらいAIが入っ てくるのかということが議論されているというところと、あと高齢化社会におけるエッセ ンシャルワーカーの数や、あと介護、物流、建設等にどうロボティクスを入れていくかと ところが非常に重要だと思われます。 その上で、現状AIがバブルっているとも私は思うのですが、ここで観点としては鉄道 とか運河とか光ファイバーとか、過去ある種バブル的に投資が加速した後、大体そこの最 初の投資家が撤退した後、インフラとして社会に残ったのが鉄道だったり、運河だったり、 あとインターネットを支える光ファイバー網だったりしたわけなので、そういった意味で は今加熱したAIのバブルの後、インフラは恐らく残るだろうというところと、あとはオ ープンソースになったものがある程度残るのではないかというところがございます。 そういった意味では、そこに対して安価で潤沢な計算資源をある程度、社会情勢の中に 導入するというのは、民ではなく意外と官の仕事として残るのではないかというところが ポイントで、それを支えるための安定した電力供給だったり、あと相互運用できるような 経済安全保障体制の確立というのが非常に重要なパーツだと私は思います。 その上では、現在、知的労働の人の数、もしくは研究や新規発明をする人の数の足りな さというのが、付随の資料の高等教育のところとかにも書いてありましたけれども、現在、 電気と半導体を合わせて、AIを足し合わせて、自動で発明をしたりとか自動で研究開発 をしたりというジャンルというのは今非常に投資や研究開発が活発です。つまり電力と半 導体と、あと優秀なモデルがあれば、それによって研究開発人材を投入しないでも、ある 程度それで研究開発を自動発展していくような分野というのもたくさん今議論されている わけなので、そういった意味では、この2040年代というところは、経済安全保障上の電気、 半導体、知的発明というものが、ある種、人材供給と同様に重要になっていくような設計 - 9 - というのは考えていく必要があると思います。 まさにこれはB/S思考への転換ということと、AIロボティクス・レディのマクロ経 済運営というのが書かれていたと思うのですけれども、その辺も含めて議論していくこと が必要かなと私は思いました。 以上です。 ○大橋部会長 ありがとうございます。AIロボティクスに関する御指摘というので、 大変有益と思います。 オンラインで東さんから挙手いただいているということで、お願いできますでしょうか。 ○東委員 ありがとうございます。新参者、今回のこの新機軸部会、それから産業構造 審議会総会のメンバー、初めて参加させていただきます、サンフランシスコに在住してい ます東恵美子でございます。 先ほど菊地さんから、インバウンドの呼び込みがもっと必要なのではないかという、ロ ーカル、オフェンスのフレームワークで御発言がありましたけれども、それに関連して、 やはり国内投資をもっと拡大させるには、海外からのグリーンフィールドの直接投資をも っと呼び込む必要があるのではないかと思います。 それをするには政策的に、例えば即時償却ですとか、所得控除ですとか、いろいろな政 策が考えられると思うのですけれども、それをすることによって、グリーンフィールドの 新しい直接投資を呼び込むことにより、それによる新たな日本の国内での雇用、それから それに持続する消費主導の内需、そしてそこからまた輸出、そこのグリーンフィールドで つくられたものが輸出に還元し、それによって円高方向に向くのではないかと思います。 もう一つ、私はマクロ経済も何も知りませんけれども、結局そういうことになるのだと 思うのですが、それプラス、グリーンフィールドの直接投資を日本に呼び込むことによっ て、日本の中での多様的な物の考え方ですとか多様的なビジネスの戦略などを直に日本の 国内でもっと享受することができるという特典があるのではないかと思います。 こういうことは、恐らく日本のMETIの方も、それから政策をやっていらっしゃる方 も皆さんもう既にやっていらっしゃると思うのですけれども、1つ、私がいつももったい ないと思うのは、そういうことを海外に宣伝する宣伝力がちょっと足りないのではないか と思います。やっていますということはよく日本で伺うのですけれども、アメリカでそれ ぞれの企業、特に例えばハイテクの企業、それからハイテクで製造関連の企業、私がいま す、このシリコンバレーはそういう企業がいっぱいありますが、そういう人たちと直接話 - 10 - をしますと、シンガポール、イスラエル、アイルランド、いろいろなところ、海外での拠 点に対する直接投資をどこにしようかと考えているわけですが、みんなそういうところに 行って、日本、何やっているのということをよく言われます。 例えば、皆さん御承知でしょうけれども、シンガポールなどは、政府がそれぞれの会社 と直に話をして税制の優遇性ですとか、そういうことをネゴシエートとしているわけです。 ですから、そういうことを宣伝も含めて、もっとがりがりと競争をするつもりで政策とし てやられるのがいいのではないかと思います。 以上です。 ○大橋部会長 ありがとうございます。それでは、最初に伊藤さん、次に福田さんとい う順でよろしいですか。 ○伊藤委員 ありがとうございます。新機軸部会、21年からというお話がありましたけ れども、私は加わらせていただいて3年目ということになります。 この3年だけでも、グローバルな経済関係が非常に大きく変わったというのが実感でし て、そこから今回の資料、マクロ経済の議論の前提になる現状認識の、資料でいえば21ペ ージの辺りということになるのですが、そこにちょっと付随する問題意識と、それに関連 した、この新機軸部会でのテーマに関する提案ということでお話をさせていただければと 思います。 21ページの資料は2つの大きな柱があって、グローバル経済と国際秩序の変容と、それ からAI等のテクノロジー進化ということだったと思うのですが、2025年はまさにこの2 つの流れが非常に大きく加速した年だったということだと思います。 そうした中で、浮かび上がってきたのが、本来、対処すべき課題を棚上げしてしまって、 安易に関税とか国家介入による手段に訴えることで、かえって産業構造とか競争力のゆが みを大きくするようなことがないのかどうかというところだと思います。 そういう意味で、競合国を意識しながら産業政策を展開するということも大事ではある のですけれども、それが日本の課題に適した政策になっているのかどうかというのは、問 う必要があるのだろうと思っております。 それから、アメリカに関して製造業等の国内回帰・地産地消へと転換ということが書か れているのですけれども、これは本当にそうなっていくのかどうかというのは、今年は関 税政策をアメリカが行使して1年目ということで、その結果何が変わるのか変わらないの かなどが見えていないことが多くて、現時点では、例えば世界貿易が必ずしも縮小してい - 11 - ないし、それから打撃を受けると思われた中国の輸出もむしろ増えている。ヨーロッパ、 アメリカ、ASEANで増えていると。これが過剰生産のなせる業で、ダンピング輸出が 行われているのかどうか。この辺りもグローバル経済がまさに大きく変わろうとしている 時期だけに、しっかりモニターして、政策面でフォローアップするということが大事なの かなと思います。 この中で、ヨーロッパに関して、防衛等戦略分野への投資を促進する産業政策に着手と いう文言があるのですが、これはその裏側で安全保障の脅威の高まりというのがあるとい うこと、それから財政政策の大転換、国債の増発、債務の増大という問題があります。 そういう意味では、これからのグローバル環境は基本的にインフレに振れやすくなって いる。それから主要先進国の間でも国債の発行をめぐる競争というのが激しくなるのでは ないかと思っておりまして、財政出動の内容もそうですし、それから成長戦略というもの の中身も結構鋭く、市場から吟味される局面に入っていくのだろうと思います。そういう 意味で、国内だけではなくて、国外からも信頼性というのでしょうか、利益を得られるよ うな政策運営というのが大事なのかなと思っています。 こういう問題意識の下で、では、それに対応する産業政策の在り方ということを考えた ときに、政策効果の検証メカニズムみたいなものというのが非常に重要になってくるので はないかと思っています。 ちょうどイギリスが今年の6月に産業戦略というのを新しく立ち上げていて、これは実 は日本の新機軸での議論も大変参考にされていると思うのですが、四半期ごとにモニタリ ングする仕組みとなっています。そこで四半期ごとに、具体的に政策課題に対してどうい う対応を行ったかということ、あるいは3つの政策の柱というのを立てているのですけれ ども、それがどういう活用状況になったのかとか、それから投資実績というものもカバー するということで、この投資実績の中に、今の東委員の御指摘とも非常にかぶる部分だと 思うのですが、対内直接投資の実績というのも、内外無差別的に取り上げています。 私自身は、産業政策の効果は中期的なものだと思いますので、四半期ごとにモニタリン グしていくことが適正かどうかというのは、当然、議論の余地がありそうなのですけれど も、透明性とか対外的なアピールという意味では、非常に意味のあるやり方ではないかと いうことで、モニタリングや検証メカニズムも、今後検討していくべき点ではないかと思 います。 以上です。 - 12 - ○大橋部会長 ありがとうございます。それでは、続いて、福田さん、お願いします。 ○福田委員 先ほど菊地委員から4象限に分けて考えたら分かりやすいのではないかと いう考え方を御提示いただきまして、そのとおりだなと思いましたし、東委員からもグロ ーバルの半分の部分についてコメントをいただいたので、私からはローカルのもう半分の ところについて意見させていただければと思います。 ローカルの4象限のうちでいうと2つの部分ですが、ここはすなわち、日本経済の雇用 の7割、それからGDPの約半分を占めております。ここにおいてしっかり力強く基盤を つくっていくというのは非常に重要かなと思っていまして、ローカルの部分についても賃 上げ、成長投資、消費強化という好循環を促すということに疑いを持たれる方はいらっし ゃらないと思うのですが、雰囲気として、この好循環が起きるのをみんなで見守る、結果 として見守るということではなくて、誰がこのローカルの部分で意思決定をして、実行責 任を引き受ける構造になっているのか、もう一段踏み込んで点検していく視点というのは 重要ではないかと思っております。 私自身は、中小企業の投資、経営を仕事でしておりますが、現場で見ておりますと、例 えば同じような環境でも投資や賃上げに踏み込める企業と踏み切れない企業というものの 差が、財務面というよりは、経営者が意思決定できるかどうかといったところにあるのか なと思っておりまして、特に金利の上昇の局面など、まさに今、不確実な環境の中では、 その差が顕著に出ていると思います。 大企業は多少の金利が上がったとしても、いろいろな調達手段等々ありますので、吸収 できる部分があると思うのですが、中堅中小企業というのは0.5%、1%、この金利差と いうのが投資判断を左右することにもなってきますので、だからこそ、今後の政策を考え るときに、補助金の補助率の多寡とか、そういったことだけではなくて、どの時間軸で回 収を考えていけるのかといった、そういう政策的なシグナルが非常に重要になるかと思っ ております。 前回の第4次中間整理のときというのは、どちらかというと成長投資とか企業の成長を 醸成するようなマクロの政策のメッセージというのをつくっていったと思いますので、以 降は、経営の現場において、この投資はやっていいのだよ、今踏み出していいのだよとい う腹落ちするような環境の整備というのが鍵になると思っております。 実際、明確な制度設計が出た途端に数年間止まっていた投資というのが一気に動くケー スというのもあるのかなと思っております。仕事柄、例えば中小製造業の工場見学等にか - 13 - なりの数行くのですが、よく説明を受けていると、あの機械はアベノミクスの促進税制の ときの機械ですとか、こっちの機械もそうですとか、そういう説明を受けることが複数ご ざいまして、要はそういう好循環を待つというよりは、意思決定を誰がしているのかとい うところをしっかり政策として見定めて環境整備をしていく、そういったことが重要かと 思っております。 以上です。 ○大橋部会長 ○中空委員 ありがとうございます。続いて、中空さん、お願いします。 ありがとうございます。新たに選出していただきました中空といいます。 よろしくお願いします。 新参者だからということで暴論をお許しいただきたいのですが、この会でのマクロ経済 運営の在り方の議論は必要か、とちょっと思っています。というのは、私はいろいろな会 に参加させていただいているのですが、私が以前在籍していた経済財政諮問会議というの も基本マクロ経済運営をずっと考えるのです。ということは、どの会でもマクロ経済運営 を考慮しているということです。その昔、高校とかのときに世界史をやって、最初の四大 文明は一生懸命勉強するけど、そのあとはみんな記憶が薄れているのと一緒で、マクロ経 済運営だけやって、あと記憶が薄れていくという感じがすごくしてしまうのです。 なので、経済産業政策の新機軸というからには、あくまでも2番から、日本がどこで弱 いのかどこで勝てるのかということを徹底的に議論するべきではないかと思っています。 このマクロ経済運営の在り方について書かれていることには何ら文句もないし、正しいと 思うのですけれども、ここを一生懸命やる必要はないのかなと元も子もない意見ですが、 思いました。 なので、ここはマクロの整理ということで、すっと行って、やった経済政策とか、この 産業政策はマクロ的に効果があったということこそ、私は検証すべきだと思います。最初 の前提として、こうだからこれをしなければいけないというところに、私は時間をかけて やるべきではないと感じました。 以上です。 ○大橋部会長 ○長田委員 それでは、長田さんにお願いして、次のセッションに移ります。 ありがとうございます。私も論点を挙げていただいていますので、全体に ついていろいろ申し上げようと思っていましたので、次のセッションで構いません。どう - 14 - ぞ、お進めください。 ○大橋部会長 では、次のセッションで最初に当てさせていただく形にするので、一旦 ここで、パート1は終了という形で、1と2もどれもつながっているところもあるので、 加えてパート2についても御議論させていただくということで、まず事務局からお願いし ます。 ○中村産業構造課長 ありがとうございます。今いただいた中で、もともとこの次のセ ッション、グローバルとローカルを分けるという考え方をしているのですが、それが全体 とどういうつながりがあるのかというところは、事前に事務局側でもいろいろ議論はして いたのですが、その2つのグローバルとローカルの接続については菊地委員を筆頭に様々 な意見をいただきました。また、中空さんがおっしゃったとおり、メインは産業政策だと 思いますが、それがまさにマクロにどのような意味をもたらすのかということについても っと真剣に考えるということがまさに新機軸のシーンの1つになった気もします。あとは おっしゃるとおり、委員からあったと思うのですけれども、1のところの視点を持ちなが ら産業政策があるということも重要かなと思っているところでございます。2つ目の論点 はグローバル競争型産業のところでございます。これは資料上も記載させていただいてお りますけれども、この30年間なかなか競争力が上がらなかった構造的な要因のまだ解決し 切れていないところと、それに加えて先ほどもございましたが、テクノロジーだったり、 国際秩序は様々変わるという変化にも対応しないといけないと、二重の難しさが発生する ところだと思いますので、どちらでも、主眼の全く違う論点でも結構ですが、様々な意見 をいただければと思います。 ○大橋部会長 ありがとうございます。新機技術立国・競争力強化というサブタイトル がついていますが、ここのところの議論、中空さんに言っていただいたようにメインのパ ートの1つだと思います。 それでは、すみません、では、長田さんにお願いしてもよろしゅうございますか。 ○長田委員 ありがとうございます。まず日本のグローバル競争型産業における構造的 課題というところで、これは過去を振り返って何で負けてきたのか、成長できなかったの かというところですが、これはもともと当初に行われた成長というのが、言わば一種の発 展アービトラージみたいなものを活用しての発展だったと思いますので、その発展をする 国というのが当然移り変わっていく、移り変わってくるときに従来型のモデルではない、 新しい産業というものを生み出せなかったので、発展ができなかったと考えております。 - 15 - では、何で発展というのができなかったのかというところなのですけれども、幾つかあ るのかなと。これはローカルの弱さがグローバルの弱さにつながっているという観点なの ですが、やはり1つには、国内における既存プレーヤーからスタートアップ等々の新興勢 力へ代替していくスピードというのが諸外国と比べて非常に低いと思います。逆にスター トアップに対して負けてはいないのだけれども、急成長した海外大手に競争に負けること によって、さらに国内市場も失っているということが実際起こっている、これがデジタル 敗戦と言われているものだと思います。 これはなぜかというところですが、大きな話になるのですけれども、やはり産業の多産 多死を許容して新陳代謝をしていくマインドセットが必要だと思います。これはスタート アップを支援するということだけでは不十分かと思います。個別企業の意思決定というも ので、今はその破綻リスクの回避というのが最大優先という形になっていると思うのです が、これが資本効率の低迷も招いていると思うのですけれども、リスク回避ではなくて、 成長に向けたアグレッシブなリスクテイクを推奨していくガバナンスが必要なのではない かと思います。 また、個人のレベルといったときに個人もまたリスクテイクをして自立したキャリアを 築いていっていない、雇用の継続を最優先とする、それによって一種学ぶということも行 われない、専門性そのものが日本と海外で比べると、やはり個々人の、個人の力としての 専門性というものが低くなっているということが起こっていると思います。 ここに必要なのがやはり一種の文化変容だと思います。個人がリスクテイクをして専門 領域を拡張していく、そういった文化変容を、ただただ単体としてやっていくと非常に難 しいという意味では、リスクテイクをしていく人たち、具体的には専門的な外国人材、や はりそういった人たちを戦略的に受け入れて活用していくということを考えたらよいので はないかと思います。 既にそれは進んでいっているわけなのですが、手続面、周辺環境の整備、あるいは暮ら しやすさみたいなところも含めて、それを大規模にやっていくという特定地域みたいなも のを設ける、そういったことを考えてもいいのかなと思います。 以上です。 ○大橋部会長 ありがとうございます。もしよろしければ、深尾さん、お願いします。 ○深尾オブザーバー ありがとうございます。ちょっと違う視点の国際分業の話なので すけれども、先週、経済安全保障に関するグローバルフォーラム・ウィークスということ - 16 - で、経産省を中心にいろいろな外国の研究者もお招きして、研究会をしました。 私の所属する経済産業研究所も研究会をしたのですけれども、そこで最大の驚きは、も のすごく中国の製造業にアメリカも日本も依存していて、このままではサプライチェーン がとても脆弱だという暗い話でした。 例えば、国務省でバイデン政権でチーフ・エコノミストを務めたチャド・バウンとか、それ からEUで経済安全保障の研究をしているジョリス・ティアとか、それから国際的な分業とか産 業連関分析の権威であるリチャード・ボールドウィンとか、ことごとく、製造業で見ると中国で落 ちているお金、付加価値というのはそれほど大きくない。しかし安く組み立ているという 話が昔からありましたけれども、グロスで、総生産で見ると、中国を通ってくる中間財の 割合はものすごく高い。米国や欧州や日本で半分以上、いろいろな形で中国を通した財が、 生産に使われている。だから中国が製造を止めれば、もうそれで製造業が止まってしまう というのが現在の状況だということを欧州の研究者も、米国の研究者も、みんな指摘して いました。 それが例えば、今のトランプ政権と中国の交渉で、レアメタルが交渉に使われて、トラ ンプ政権が折れた一因でもありそうだし、欧州が最近オランダの半導体企業への中国の規 制、介入を通じて、電気自動車に関する交渉について一部譲歩している背景でもありそう だという指摘がありました。 そういう意味でいうと、中国から完全に自立することは短期間ではほとんど不可能だと いうのが皆さんの意見だったのですけれども、それから欧州だけ独立するのも、無理だと。 ですけれども、何とか西側の連合、その中にはもちろん韓国とか台湾とかも含まれますが、 西側の連合で何とかこの依存を、特に供給を止められると困るレアメタルのようなものに ついていかに自律性を回復するかが大切であるというのが基本的な合意でした。そういう 視点がもっとあってもいいのかなと。分業の国際的枠組みを考えていくことが大切だと思 います。 同時に、冒頭に大臣のお話にもありましたけれども、米国は再工業化というか、リイン ダストリアリゼーションを目指して、日本も韓国も、それからやがて台湾も米国に膨大な 投資する約束をしていることになるわけですが、アメリカの政策はかなり合理的ではなく て、例えば造船業が本当に復活できるかとか、結構怪しいところだと思うのですが、そう いう意味で、アメリカを中心にしたリインダストリアリゼーションにおいてもどういう青 写真で国際分業を考えていくかというのも非常に大事な部分なのかなと思いました。 - 17 - 以上です。 ○大橋部会長 ありがとうございます。経産省の方にもぜひコメント等をいただければ と思いますが。 ○中村産業構造課長 よろしければ、田中課長か杉江課長、今の深尾理事長の発言に対 して何か政策上のお考えがあれば、お願いいたします。 ○田中通商戦略課長 ありがとうございます。通商戦略課長・田中でございます。皆さ ん、お世話になっております。 皆さんがおっしゃっていただいたグローバルのところ、私、通商政策局を担当しており ますけれども、まさに中国の影響が非常に大きくて、各市場が中国のいわゆる過剰供給で ひっかき回されている中で、一番誰が負けているかは、実は日本企業ではないかというよ うな議論と危機感は非常にあるということであります。 オフェンスとディフェンスという話もありましたけれども、恐らく経済安全保障的なこ とを考えると、やはり皆に対して不可欠性を持っているのが経済安全保障になるとすると、 ディフェンスをしているだけだと必ず負けるという構造になっています。ですので、オフ ェンス部分をどう回復していくのかというのが経済安全保障政策上の重要な課題となって いるところであります。そのためには国内生産基盤が強くないとグローバルに絶対勝てな いというところと、もう一つはグローバルなマーケットをどのように取っていくかという 点との両方の対応が必要となります。グローバル市場競争については、これまで、国と国 との間の障壁を取っていけば世界でコストが一番安いところで生産がなされ、その低コス ト生産の利益が世界全体に均てんされるというのがWTOを中心とした自由貿易体制だった わけでありますけれども、中国が非市場的措置と言われる自由貿易体制で予定されていな かった形、すなわち国家資本を大量に注ぎ込んでありえない安値で攻めてくる中、非対称 な競争条件の中でまともに戦っている企業は誰も生き残れない状況が出てきている。 そうなると、やはり自由主義経済は自由主義経済できちんとルールに基づいてフェアに 戦っている善意者が報われるマーケットをつくっていかないと、真面目に戦っている日本 企業が競争に敗北してしまうことになると思いますので、経済安全保障政策と併せて、健 全な市場を守るための仲間を作る通商政策もやはり重要になってきます。グルーピング、 仲間をどうつくっていくか、そのときにアメリカをどう捉えて、ASEANをどう捉えて、 インドマーケットをどう捉えるかというのは、国ごとに癖があるわけでありますけれども、 - 18 - その中では日本企業が劣後しないレベルプレイングフィールドをつくっていくための連携 をまさに今議論をしているところです。そういう意味でいうと、今後の通商政策は、解像 度を上げてどの国とどう付き合うかという議論をしないと、単にWTOと言っていても進 まないという現状かなと思ってございます。 ○杉江経済安全保障政策課長 経済安全保障政策課長の杉江でございます。ありがとう ございます。 田中課長に加えて、そういう意味だと、確かにレアアースは中国に依存しているという ところでございますが、日本は製錬などレアアースの中流の産業基盤を有しております。 そういう意味だと、先ほど深尾理事長から中間財については中国を通すのが世の中の半 分ぐらいというところでございますが、同様な産業というのが日本にもあるかなと思って おりまして、必ずしもボリュームとして大きな付加価値を生んでいないかもしれませんが、 例えば電子部品であったり素材は日本のものが入っているものが非常に多いというところ でございますので、経済安全保障という意味だと、経済成長も非常に重要ではございます けれども、こういうものの不可欠性というのをしっかり伸ばしていくというのも併せて考 えていかないといけないと思っております。 ○大橋部会長 同志国との連携の重要性ということだと思います。 オンラインで、東さん、挙手いただいています。お願いできますでしょうか。 ○東委員 ありがとうございます。このグローバル競争型産業における構造的課題とい うことで、全く主観的なオブザベーションですので、そのようにお含みおきいただいて2 点、私のオブザベーションを共有させていただけたらと思います。 構造的課題の一点目は、リーダーシップの人材があまりにも欠如しているということで す。もちろん例外はありますし、今ここの場にいらっしゃるメンバーの皆さんはその例外 だと思いますが、リーダーシップの欠如が1点目。2点目は、グローバルで戦えるような スケールエコノミーを出せる企業の数が少ない事だと思います。 1つ目のグローバルで勝てるような組織をつくり上げられるリーダーシップ人材の欠如 についてですが、ここ10年程、特に世界の動きが、不確実性が高く不透明で、いわゆる英 語でいうとアンサーテン、アンビギュアス、とにかく先が分からない、霧がいっぱいある という状況で組織をリードしていかなくてはいけないリーダーシップ人材の要素は、過去 20年超の日本で育った人材とは全く違う人材が必要なのではないかと思います。 それをやっていない会社も増えてきましたけれども、いまだに年功序列は多いです。年 - 19 - 功序列でリスクを取らずに100点満点を常に獲得してきた優秀な方たちが上に上がってい き、減点法なのでリスクを取った人は上に上がれなかった。しかも、組織の中で40歳の後 半から50歳ぐらいになってやっと部長になる。そうではなく、入社して10年ぐらいのまだ まだ元気な30代の前半から後半の人材でハイポテンシャルな人材をどんどん引き抜いて、 彼らを部長、また、いわゆるゼネラルマネージャーレベルに引き上げていく、ハイポテン シャル人材を早期にアイデンティファイして、そういう人材を育て、最終的な組織のリー ダーにしていく、というやり方が必要なのではと思います。これがなぜ政策に関わるのか という話なのですが、それは企業にとって、企業のガバナンスですとか指名委員会がある 会社にとっては、指名委員会の重大なる役割であるべきだと思います。そこでまたお役所 が政策としてどこまで関わるかというのはちょっと私もよく分かりませんが、私自身のの 経験も含めて助言させていただきます。 追加で、日本にそういう人材がいないわけではなく、そういう人材を育てる環境が、今 までどおりのことをやっていると、なかなか変化しない、ということだと思います。日本 人の中にも大変アジャイルにそういう不確実的、不透明な環境の中でリードしていくポテ ンシャルのある人材はいっぱいいると思うので、そういう人たちを育てる、それからそう いう人たちをトップに立たせることが必要なのではないかと思います。 いただいた資料のどこかにありましたけれども、日本では危機的な状況に置かれたとき に、会社がもうこれで駄目になるといったときに、素晴らしいリーダーシップを発揮され た方々がいらっしゃる。そういう例は大企業の中にもありますが、それが危機的状況のみ で、5本の指に数えるくらいの数しかないというのが大変残念な気がいたします。 2点目に、グローバルベースに戦えるスケールエコノミーを持つ会社が少ない、という ことを申し上げました。日本では、一業界で多数の同業他社がみんなそこそこ日本の中で 競争していますが、世界で勝てるような研究開発費、これは特にテクノロジーあるいは製 薬業界で言える事ですが、の規模が出ない。それはなぜかというと、会社がそこそこのこ とを日本国内ではやっているので、再編するのに大変時間がかかる。日本では船長さんが 波を立てることに気を遣って、その間に大海の中で船が沈んでいるのに気がついていない ということが往々にしてあるのではないかと思います。 この2点目に政府の政策が関連できるか否かは議論の余地があると思いますが、日本独自 のPEファンドが再編のために会社の買収をする、会社同士が再編、あるいは統合のため のディスカッションをやっているわけですが、それがなかなか先に進まない。なぜ進まな - 20 - いかというと、いろいろ内部の事情があり云々かんぬんということで、皆さんそれぞれ自 分の会社の存続のみを考えるわけで、日本の世界の中での競合性を考えるまでには至らな い。それぞれの立場があるので、それは仕方がないことなのかもしれないと思うのですが、 やはりそれを日本の政策として考えていく事は必要なのではと思います。このままですと、 例えばエレクトロニクスの関連で、今現在はまだ世界に競合性のある技術を持った会社が ありますけれども、このままいくと恐らくあと10年後には、今の競争力も絶たれるという 状況が考えられますので、再編、あるいは統合などを促進するような政策みたいなものが できると良いのではと思います。これは昔のMETIのやり方でよくない、と非難される かもしれませんが、私の実感としては、“大変もったいない日本”の状況課題ではないか と思います。 以上です。 ○大橋部会長 ありがとうございます。再編しないと共倒れしてしまう状況だと思いま す。では、落合さん、お願いします。 ○落合委員 落合です。このグローバルのお話の中で、1点補足的に入れておいたほう がいいだろうなと思いますのは、ソフトウェアの勝ち筋の話があまり入っていないかなと 思っていました。 世界のIPだと1から20位までやると、10個日本で10個アメリカぐらいの感じになって いるので、ソフトパワーIPが非常に強い。世界で一番売れているIPはポケットモンス ターというのがありますが、その上で、なぜここで重要かというと、この資料の中で交易 条件の悪化が非常に言われている中で、交易条件が悪化しても稼げるというのはIPビジ ネスの基本スタイルですし、ゲーム、ソフトコンテンツの強みですから、それをどう政府 としては維持できるのかということや、ポケットモンスターでも、ガンダムでも、アンパ ンマンでもIPの時間が長いのですよね。つまり30年から50年やっているようなジャンル のものに今頼っているという状態なので、それに対して比較的若いIPをどうやって生か していけるかというところは、グローバル市場において非常に重要なのかなと思っていま す。 その上で、交易条件が悪化している中で、これを何年、我々はこの状況を耐えていくの かという点で、ローカルだと先ほどインバウンドというお話がありましたが、このグロー バルで今勝っているIPというのが、ローカルに引き込む直接的な原因に今なっています ので、そういった意味では、これが今後、生成AIや、そういったクリエーションに関わ - 21 - るポストが劇的に変わっていく中で、我々がどう権利を守れるのか、どう商標を守れるの か、あとポケットモンスターでいうと、ゲームとカードゲームと映像のバランスが非常に いいのですけれども、そういった観点でバランスがいいIPの収益構造というのをどうや ってつくっていけるかというのがすごく重要だと私は思っています。 なので、そういった意味では、国内のクリエーター支援というのをどうやって行ってい くかを含めて、グローバル競争型産業のはずなのですが、賃金体系が非常によろしくない ようなアニメ業界もございますので、そういった意味では、そこをどう支援していくかと いうことが重要だと思いました。 以上です。 ○大橋部会長 ありがとうございます。オンラインで、関灘さんにまず御発言いただい て、次に会場に戻ってきます。それでは、関灘さん、お願いします。 ○関灘委員 3つお話しさせていただければと思いました。今、落合委員がおっしゃっ たポイントには本当に共感しております。 1つ目、日本の国際競争にとって重要な領域については技術や能力をある程度国内のみ でも確保できるようにしていくことが必要であると思います。加えて、垂直、あるいは、 水平方向の合従連衡と、その事業領域における国際競争力を高く保てるようにする必要が あると感じております。 エネルギー、半導体、AI、量子、ロボット、メディアコンテンツなどの領域でのコス ト競争力、事業持続性、セキュリティ、競争優位の源泉となる部分で、政官民横断でのさ らなる協調が求められると思っています。 2つ目、先ほど経産省の皆さんからもお話があったように自由競争ができる地域・国、 協調ができる地域・国を見極め、政官民が連動して対応できるようにしていくことがます ます重要になってきていると感じております。私はA.T. カーニーという経営コンサルテ ィングファームのアジアパシフィック地域の代表として、オーストラリア、インド、イン ドネシア、タイ、フィリピン、韓国、中国などの国をぐるぐると回っていますが、それぞ れの国に課題があり、それぞれの国が日本の動きを見ていると感じます。現地に行くたび に現地メディアの取材も受けていますが、生成AIをはじめとした技術による世の中の変化 に合わせて、各国の課題認識もアップデートされてきているように感じます。どの地域・ 国の課題解決に貢献するのか、協調するのか、考え方のアップデートが求められていると 思います。 - 22 - 3つ目、別の委員の方からもお話がありましたが、グローバル競争で勝ち残ることがで きる業界・民間企業を見極め、その企業の独自性と模倣困難性の構築を後押しできるよう にすることが重要であると思っています。注力する産業・事業領域と地域・国において、 グローバル競争で勝ち残るための要件を見定め、政策面からも支援することが必要である と思います。 この3点をセットで検討していくことより重要な局面にあると感じております。 私からは以上です。 ○大橋部会長 ありがとうございます。それでは、続いて、中空さん、お願いします。 ○中空委員 ありがとうございます。3点申し上げたいと思います。 私は基本的には勝ち筋というのはきちんとしないといけないと思っています。 今日いただいている資料の26ページを見て、最初、私はこれを見たとき、日本が、かと 思ったら米国が中国のことを恐れているという表になっていて、日本はどこにも入れてい ないという事実に愕然としました。でも、そうだなと思っていて。それは何が勝ち筋か決 められていないということと、さっき落合さんもおっしゃいましたけれども、ソフトとか コンテンツとか強いところについての配慮がない。もしかしたら長いこと得意分野だった ものに対して収益力をつけるという工夫がなかったということだと思っております。そこ で、勝ち筋を見つけること、収益力に結びつけることを改めて見直す必要があるのではな いか。 さっき赤澤大臣が高齢化と災害が多いことが、ピンチはチャンスなのだとおっしゃって いて、それはある意味、画期的だとさっきからずっと考えているのですけれども、何が強 いのかということを選んでいくことが、まずは重要なのではないかと思います。 2つ目として、中国です。中国は脅威であるということだと思うのですが、でも、今ま で彼らのやってきたことはめちゃくちゃに見えるけれども、勝つためにやってきたことと しては正しいと考えます。私たちも世界のサプライチェーンのピースになりたいと思って いるわけですよね。日本がないとこの産業は成り立たないという、パススルーできない格 好をつくっていきたいと考えているはずなので、中国のやってきたことというのは、実は 正しいことだということだと思います。 その意味で、長田委員がおっしゃったと思うのですけれども、これを強いと思ったりす ることを経済特区として日本に招くということは重要な観点だと思います。中国のやって - 23 - きたルール無視のめちゃくちゃなところをどう日本として取り入れて、日本の強みにする かということだと考えます。 3点目としては、33ページにありますが、今、日本というのは結構な勢いで何でも落ち てきているのですねということを改めて見た次第です。数字も全て落ちていて、1個だけ 上がっているのが原子力エネルギー、4位から3位になりましたと。これは相対的にみん なが原子力をやらなくなったせいで何となく浮上したのかなという気もしないでもないの ですけれども、でも、今こういう強みのある部分に力をかけていくのか、それとももうち ょっと頑張れば強くなるのか、この辺の色合いをはっきりさせるということはより重要な のではないかと思います。 トップシェアを取っていて、世界のサプライチェーンの中で日本がないと駄目ですとい うものを幾つつくれるか、幾つそれを選び出せるか。できれば、それが高市内閣で選んだ 重点17項目の中で、たとえばこの5つは強い、3つは勝ち目があると絞っていくことが、 この会議体で、やるべき一つなのではないかと思って、お聞きしていました。 私からは以上です。 ○大橋部会長 ○福田委員 ありがとうございます。それでは、福田さん、お願いします。 ありがとうございます。私はこの資料を拝見したときに、日本は技術で勝 ってビジネスで負けるというのが結構いろんなところに書いてありまして、すごく違和感 を感じたのですけれども、言い方としてはすごくキャッチーな一方で、私自身、日本企業 がビジネスで負けているというのは、ちょっと単純化過ぎているのではないかと思ってい ます。 正確に言えば、日本の企業が課題を抱えているのは、ビジネスそのものというよりも、 技術とか、そういったテクノロジーを事業として育てるスピードの部分に少し課題がある のかなと思っております。先ほど東委員がリーダーシップが足りていないのではないかと おっしゃっていましたけれども、もう1つの弱みというのがスピードだと思っています。 こういういろいろな市場の前提だったり、技術の前提というのが次々と崩れていく、こ ういった事業環境で重要なのは、変化が起きたときに、事業構造をすぐ切り替えられるか、 それは意思決定の早さですし、実際、これまでお付き合いしてきた海外の企業さんを見て みますと、実際、経営が10%以上で毎年成長し続けていって、そういうグローバルに活躍 されているのですけれども、どの企業も驚くほど修正の回数であったりとか、そういった ものが多くて、かつ意思決定のレイヤーがびっくりするぐらい薄いというところが共通点 - 24 - だったかなと思っております。なので、何となく大きいことよりも早く試して早く動ける ことそのものが競争力として身につけなければいけないのかなと思っております。 そういう観点で日本の企業を見たときに、何となく大企業とスタートアップがグローバ ルかつ技術担当、中堅中小企業はローカル担当みたいな、何かそういう役割を固定化して いる既成概念があるのかなと思っていまして、そういう既成概念を取っ払って、しっかり 技術と現場をつなぐ中間層の企業、ここが弱いとせっかく技術があっても社会実装は進ま ないと思いますので、我々がこれから技術立国というのをしっかり目指していく上では中 間層、すなわち中小企業、中堅企業が試して意思決定して運用に乗せていく、こういう役 割をつくっていくというのが非常に重要なのかなと思いました。 ○大橋部会長 ありがとうございます。技術の実装のハードルというのが相当高くて、 国民の受容性とか安全規制もあるのかもしれませんけれども、そういうところも多分課題 としてはあるのかなという感じはいたしました。それでは、オンラインで滝澤さん、お願 いします。 ○滝澤委員 御指名ありがとうございます。資料全体を通じて用いられておりますグロ ーバル競争型産業について、現時点では私自身、その範囲の理解が必ずしも十分でないと いう前提がございますけれども、49ページに、2035年から40年頃を見据えて、今後3から 5年かけて実現すべき産業構造転換の絵姿と日本の勝ち筋を特定するという表現がありま す。これについては、2035年~40年という長期の構造転換と今後3年から5年の政策対応 をどう接続するかという点が非常に重要な論点だと思います。 長期の方向性を見据えつつも、短期、あるいは中期では検証と見直しというのを前提に した段階的なアプローチというのが必要なのではないかと感じております。 以上です。 ○大橋部会長 ありがとうございます。委員の御指摘の中にサクセッションプランの在 り方とか、あとビジネスについて問う御質問とか御意見もあったのですけれども、菊地さ んから何か、それは違うとか、いや、それはそうだとか何かありましたら。 ○菊地委員 皆さんおっしゃっているとおりの話だと思います。冒頭、私、グローバル とローカル、ディフェンスとオフェンスと言いましたけれども、ディフェンスとオフェン スだとやはり概念というのですか、キーワードが変わってくるのです。 例えば、オフェンスだったら自由に対して、ディフェンスだったら保護という言葉が相 対する概念になってくるので、何か大事なことはダブルスタンダードを許容していくとい - 25 - う、言ってみれば意図あるダブルスタンダード。例えば今インバウンドがたくさん来ます。 では、その問題を解決するために、出国税は高くするけれども、パスポート料金は安くし ますよと。世の中、結構ダブルスタンダードはたくさんあって、銀行でも国際基準と国内 BIS基準と国内基準というのが過去あったように、攻めるものと負けるものをちゃんと スタンダードを分けていくというのが私は政策上すごく重要ではないかと思うのです。 例えば意図したダブルスタンダードで、3の問題にちょっと関わってきてしまってもい いですか。地方の中堅企業をどんどん育てていきましょうという政策を今経産省さんで多 分やっていると思うのですけれども、では例えばその方々を支援するために、彼らに何か 上場したいという意識があるかというと、地方の企業はそれほど強くないと思います。 では、その方々が資本調達をできるような資本市場をつくっているのかとか、例えば今 プライムとスタンダードがありますけれども、あれはほとんど変わらないですよね。だか ら、もっとスタンダードを、ローカルマーケットを支える市場にしていくとか、これは資 本主義市場をどう変えていくかというテーマがここの中で掲げられているので、もう少し 大きな枠組みで何か議論していくというのが私はすごく大事なのではないかと今の話に関 わって、先につなげていくという意味で発言させていただきました。 ○大橋部会長 ありがとうございます。確かにプロテクションとプロモーションは裏腹 ではありますけれども、しっかり両方ともやっていかなければいかんというのはおっしゃ るとおりかなと思いました。 ○菊地委員 プロモーションしていたらプロテクションが本当にできるのかというのが 今問われているのだと思います。 ○大橋部会長 ○中空委員 そういうことですね。ありがとうございます。どうぞ。 1点だけ追加でお話ししたいと思います。37ページにロボティクス分野に おける投資・資金調達の状況と書いてありますが、これは本当に余計なことなのですけれ ども、今、金融市場ではAIバブルがいつ崩壊するのかということが割とイシューになっ ております。たとえば、NVIDIAがオープンAIに投資をして、オープンAIはNV IDIAのほうから半導体を買うということをします。こういった取引をしながらお互い に大きくなっていて、それを株式市場が評価をして株価が上がっていて、それを担保にし て、銀行がさらに資金を出すという、つまりレバレッジがとてもかかっている状態となっ ています。資金調達面からみるととても危うい状態です。 そういう状況になっているアメリカと、国のお金ががんがん出せる中国に比べ、日本は - 26 - 一個一個ばらけてしまって、全然大きな力にならないということが起きています。今、菊 地さんから中小企業とかの資金調達の仕方というのも併せて考えていくということだった ので、大手AIでも今お話ししたように、非常に偏った、変なことになっているというこ ともちょっと頭に入れておいていただいて、日本はどういう資金調達やそれに向けた投資 をしていくべきなのか。一応周辺状況として頭に入れておいてくださいということを申し 上げたいと思いました。 以上です。 ○大橋部会長 ありがとうございます。委員の御指摘の中にR&Dの話もあったと思う のですけれども、もし武田さんからあれば。 ○武田イノベーション政策課長 イノベーション政策課長・武田でございます。 中空委員から御指摘いただいたので、我々からも少し付言したいと思うのですけれども、 資料の33ページ目に触れていただきました。 もし可能であれば、32ページを先に御覧いただければと思うのですけれども、分野別に 弱っているのみならず、日本のR&D、最近でいえば、科学力という意味でいうと、全体 として非常に弱っていることを指摘せざるを得ないと思っています。 真ん中はTop10%論文という、よく引用されている論文の数ですが、G7の中で、一番 下にあるのですけれども、一番右側、アジアの中で見ても人口3,000万人のオーストラリ アにも負けて10年経つ、韓国以下ということで、全体としてもかなり厳しい状況になって います。 その上で、御指摘いただいた33ページ目ですけれども、おっしゃるとおり、過去強かっ た分野がかなり弱くなっていて、半導体関連の素材、遺伝子工学及び物理学含む原子力と いうのが数少ない強い領域となっています。 今回、フォーカスを定めて集中投資をすべきだという御指摘いただいたと理解しますけ れども、来年の4月から始まる第7期のイノベーション基本計画の中でも、国家戦略技術 を定めて集中投資をするということを言っていますが、今回の部会との議論でいうと、や はり産業政策を考えるときも、投資と一言で言っても実は研究開発投資と設備投資がある わけですが、設備投資、研究開発投資、そして基礎研究もどう連動させるか、そして全体 として強い分野をつくっていくかという視点が重要ではないかと我々としては考えてござ います。 以上です。 - 27 - ○大橋部会長 ありがとうございます。それでは、第2部のほう、そろそろこの辺りと させていただいて、まさに菊地さんからもいただいたので、第3部のほうも併せて議論さ せていただければと思います。 まず、事務局から論点の提起をお願いします。 ○中村産業構造課長 ありがとうございます。グローバルの議論でも多産多死、あるい はリーダーシップ、さらにスピードと企業、あるいはそれを超えて産業レベルでのオフェ ンスといいますか、基本的な戦闘力をどう鍛えるのかというところ、あと関灘さん、深尾 委員から御発言がありました、中国と関税の中での自由競争の在り方、その中で、まさに 中空さんがおっしゃっていただいたどこに絞るのかという幾つかレイヤーの違うところを うまくどう組み合わせていくのかというところを改めてしっかり考えていく必要があるな と思いました。 その上で、次の議題ですが、その他まとめとなってしまって申し訳ないのですけれども、 まず58ページ目の地域循環型産業の在り方と59ページ目のディマンドサイドの改革につい て。そして、ちょっと毛色は違うのですが、61ページ目に示させて頂いております、2040 年ということなので、資本主義だったり、テクノロジーだったり、まさに国際側面など、 そもそもの前提が様々変わっているところがございまして、これが来年の政策につながる ということではないかもしれませんが、大きな認識として何らかパラダイムシフトが起こ り得るというところがもしあれば御指摘いただきたい。最後に、冒頭申し上げました2040 年就業構造もお示しをしておりますので、それらについて何か御議論をいただければと思 います。 ○大橋部会長 58ページ目に地域循環型というのがあって、59ページ目に消費をどう活 性化するのか、61ページ目に中長期的な検討課題ということで、論点があるということで すが、それでは、落合さん、お願いします。 ○落合委員 この消費活性化というのは、結構、私は今回キーだなと思っていて、先ほ どもIPビジネスとソフトパワーの話をさせていただいたのですけれども、先ほどAIバ ブルのお話があったと思うのですが、AIバブルの後、何がインフラとして残るかという ことと、あと最終的に人間が何を欲しがるかというのが非常に重要な観点だと私は思って います。 その上で、昨今、万国博覧会をやったりとかしていまして、あれも3兆円以上の経済効 果があったと一応は言われているところでございますが、私の体感として、文部科学省も - 28 - 文化庁もこういった委員をよくさせていただいているのですけれども、経済産業省が文化 政策やっている中で、万国博覧会を19世紀から所管してきたというのは経済産業省のあれ だと思うのですが、そういったある種ビジネスや外交的なものも含めた文化的、マーケッ トメイクだったりとか産業技術がうまくつながったようなものということによって文化産 業を振興していくということは非常に重要だと思います。関西経済圏では、2,900万人も 万博に来たので、文化好きの人たちが非常に多量に発生していまして、でも、ある意味で は内需ですが、文化行政は、あまり大きくない行政だったのですが、今回一気に動くよう になってきて、カンフル剤ではあるのですが、そういったことをやっていくということが 必要だと思います。つまり文部科学省、文化庁任せでもない文化政策というのをどうつく っていくかというのが1個キーです。 その上で、2027年に園芸博を横浜でやるのですが、あそこは所管が農水、国交であるこ とは分かってはいますが、産業政策として、私は公園という考え方と、あと災害と緑化と 文化の合体というのが、災害が多いこの国においてかなり重要だと思っておりまして、つ まり公園が空き地であり、かつ災害ときに避難できる場所であり、そして緑化のポイント であって、その上で文化行政が行われるところであるというところをどう考えていくかと いう意味では、27年は結構いいポイントだなと思っています。 つまり園芸と食と都市環境とウェルビーイングと観光というのは、5つつながっている キーなポイントなので、それを合わせたときに、そこで健康増進をどう図るのかとか、あ とそこでどう消費活性化を起こしていくのかという意味では、博覧会を西でやりました、 東でも博覧会をやりますと、そういったところに各省庁が横断的に対応していくというの はすごく重要だと思います。 そういった意味では、AIロボティクスがある種、都市構造の中でどう使われるのかと か、その中で文化と人々の距離が変わって、食体験だったり、生活文化をどうやって増や してという欲望をドライブするための文化行政というのが出てくることが非常に私は重要 だと思いました。そのぐらいです。ありがとうございます。 ○大橋部会長 ありがとうございます。オンラインで、首藤さん、お願いできますでし ょうか。 ○首藤委員 ありがとうございます。よろしくお願いします。私から3点あります。 まず、グローバル型と地域循環型の位置づけの在り方なのですけれども、並列で並べて 論じるというよりは、どなたかの御発言でもあったような気がしますが、やはりL型みた - 29 - いなものが基盤にあってその上にG型があるという補完性があるのかなと思いますので、 その関係性みたいなものも描くといいのかなというのがまず1点目です。 2点目としましては、労働供給制約の部分です。労働供給制約については、私はこれま での議論は何か量的な制約にかなり特化して議論されてきているのではないかと思ってい て、量的制約というのがいわゆる働く人の数と働く時間で労働投入量を測って、それが減 っていきますよみたいな話になるわけですけれども、それとともにやはり質的な制約とい うのがあるのではないかと思っています。量的制約はある程度人口減少の中で所与のもの として捉えざるを得ないのですけれども、供給制約の中に質的な側面というのをどのよう に入れ込めるかということを議論してもいいかもしれないと思いました。つまり仕事を高 度化させていって時間当たりの付加価値を上げていく、職務構成を変えていったり、賃金 分布をより高いほうにできるように変えていくようなものというのは、設計次第でコント ロールできるかもしれないと思っています。 その議論とちょっと関係するところが3点目なのですけれども、参考資料のところで就 業構造の推計結果の分析をしていただいていますが、ここなどでも例えばAIの人材が不 足していますと、だから理系学部をどんどん新設をさせて拡充していきましょうという話 は、供給を増やしましょうということで、量的な拡充という意味だと思うのです。頭数を 増やしていって不足を補っていきます。これは確かにすごく重要なのですけれども、本当 に量が足りないのか、もしかしたら質が足りないのではないかという気もしていまして、 例えば、私の大学などですと理学部の学生はかなりの割合で文系の銀行とかに就職してい るのです。理系の学部出身でも専門性を生かさずに働いているというのがすごく多いので す。 なので、人を増やしていくということも当然大事なのですけれども、どのように高付加 価値を発揮できるような仕事に就けさせるのか、そのように仕事を配分できるのかという ような部分も併せて検討していかないと、増やしたところで増やしたらみんながAI人材 になるかどうかというのもちょっと分からないなと思っています。 以上です。 ○大橋部会長 ありがとうございます。今、首藤さんからあった労働供給制約とか就業 構造について、もし今里さんから何かコメント等があればいただけますでしょうか。 ○今里産業人材課長 産業人材課長の今里です。どうもありがとうございます。 お示しさせていただいた就業構造推計なども担当させていただいておりまして、今、首 - 30 - 藤先生からありました質は当然考えるべきだというのは、まさにおっしゃるとおりでござ います。 これはもともと全体で申し上げると、今現状6,700万人いる就業人口が2040年には6,300 万人程度になると、400万人程度減少するという前提でございます。そうなると、当然一 人一人の労働の質というものをきちっと高めていかないと、幾ら頭数をそろえようとして もとても回らないというのがまず大前提であります。 したがいまして、先ほど先生からもお話がありましたように、今後まさに必要なスキル であるとか、質に応じた処遇であるとか、そういったことまで含めて労働マーケットを同 時に設計していくということも当然重要だと考えておりまして、そういった取組を今、文 部科学省であるとか厚生労働省と一緒にやらせていただいているところでございますので、 またこの場でも御報告させていただければと思います。ありがとうございます。 ○大橋部会長 ○伊藤委員 ありがとうございます。それでは、伊藤さん、お願いします。 ありがとうございます。私がお話ししたい点は、先ほどのグローバル競争 型企業と域内循環型産業と両方にまたがる、連関しているというようなお話が今もあった かと思うのですが、産業政策全般に関わる潮流も、非常に回転が速く、急に流れが変わる という印象も持っています。この1年間は結構規制の簡素化が産業政策のツールとして重 要になった1年ではなかったかと思います。 アメリカに関しては、よしあしがあろうかということかと思うのですけれども、減税と 規制緩和が、関税と対比する政策ツールとして活用されたということだったと思いますし、 ヨーロッパ、特にEUの場合は競争力の問題が非常に深刻になる中で、ヨーロッパの企業 の中から規制の簡素化、それから各種の諸手続の煩雑さを解消することへの突き上げが非 常に大きくなった結果として、いわゆるオムニバスという規制の簡素化関連の法案が今年 度だけで10件、サステナビリティ関連が中心なのですが、投資促進プログラムのルールに 関する規制の簡素化みたいなものも提案されているということだと思います。 そういう意味で、私の問題意識として、ほかがやっているから日本もやるではなくて、 日本の課題に対応しているのかという観点から考えると、ヨーロッパと同じような問題み たいなこと、規制が企業活動の足を引っ張っているとか様々な行政手続、特にこれがいわ ゆるローカル産業の支え手になる中小企業の足を引っ張っているとか、そういった企業が 成長して中規模の企業になることを妨げているといったような問題がないのかどうか。今 回の議論も、基本的に前向きな足し算の議論、どう支援するかというところが前面に出て - 31 - いたかと思うのですが、これも非常に大事だと思う反面で、結局、足腰がしっかりしてい ないと、勝ち筋だけでは勝ち切れない、日本経済全体が発展しないということもあるかと 思います。 そういう足腰をしっかりするという意味では、いわゆる引き算的な議論、規制が過剰過 ぎないか、企業の真の活動の妨げになっているものが何なのかというようなことを議論す る必要があるのではないかと思います。 ○大橋部会長 ありがとうございます。もしよろしければ、菊地さん、お願いします。 ○菊地委員 ちょうど深尾先生に先週の金曜日に経済同友会で講演をいただいて、先ほ どの首藤さんの労働供給制約にちょっと関わる話なのですけれども、やはり深尾先生が御 指摘されていたのですが、非正規に結構依存をしているエッセンシャル領域はすごく高く なってきていて、結局、非正規に依存すると、当然人的資本投資も行われつつ、質が上が っていかないと。 では、非正規はなぜ日本で増えてきたかというと、企業にとっては非常に使い勝手がい いと。働く人にとっても、フルタイムでは働けないけれども、ニーズが合ってしまったと いうのが非正規が結果として増えてきた部分なのだと思うのです。でも、これが結局、先 ほどの労働の質の向上につながらないということは、やはりここに何か手を打たなければ いけないのではないかという問題意識があって、では全員、今の枠組みの中で正規になっ てください、いやいや、私は介護があるから無理です、子育てがあるから無理です、ここ にやはり何らかの制度的な手当というのがあり得るのではないかと思います。 もう一つは、このエッセンシャルな領域は、これは同友会の提言でも出しているのです が、スキルの見える化というのを提言していて、例えばいろいろなエッセンシャルな領域 でもスキルは何も見えない状態、例えばホテルで10年働いていましたという、10年間ホテ ルで働いていたしか見えないわけです。これが例えばどういうスキルを持っているのかと いうことをよりオーソライズすると、これから増えていくホワイトカラーからこういった エッセンシャルな領域、それから働いている時間に応じたペイではなくて、ちゃんとスキ ルに応じたペイが払われるために何らかの手を我々は打っていかなければいけないのでは ないかというのを強く問題意識として持っております。 ○大橋部会長 もし深尾先生からも。 ○深尾オブザーバー 伊藤委員の御意見、議論、規制の問題なのですが、AIロボット の普及を考えると、恐らくまたその辺は必要な新たな規制とかルールの設定というのも、 - 32 - 例えば介護でロボットが事故を起こしたら誰がどう責任を持つかみたいな、ルールを設定 していくというのが恐らく大事で、もちろん経産省の所管の産業だけではないと思うので すが、どこかで、そういうAIロボット導入に当たって、どういうルールの改革が必要か について、例えば資格制度の改革とかも関係すると思うのですが、議論し構想することが 必要なのかなと思いました。 ○大橋部会長 ありがとうございます。菊川さん。 ○菊川イノベーション・環境局長 今たくさんビターな話がありましたので、57ページ を少し見ていただきますと、今回、御議論いただいているこの新機軸部会が新技術立国・ 競争力強化ということで、赤澤大臣からお話があった、全体を評価するといいますか、そ の中で新技術立国のパートについては、イノベーション・環境局、私と武田課長のほうで、 イノベーション小委員会ということで、1月からキックオフをして、染谷先生に委員長を やっていただいています。この中で出てきているのは、徹底的な社会実装しろということ が、これも総理から明確な指示が出ています。 その中に、3つ目の黒ポツを見ていただきますと、先ほどの規制・規格の導入によると いうところがございます。これは例えばですけれども、今JIS規格というのがあるわけ ですが、これは1万1,000ございます。ところが、これのおよそ半分は大体海外の国際的 なISOとか、ああいったものをそのままコピーして導入しているだけで、それをこっち が取りに行っているわけではないと。また、JIS規格を取っていないと公共調達で使わ ないぞというような使われ方もあまりされていないということがありまして、既存の規格 や規制をどういう形で需要創出につなげるかということが1つのポイントになると思って います。 加えて、今のロボットやAIでありましたり、新しいテクノロジーのところというのは、 まだ規制がなかったり、規格がなかったりということがございます。例えば今年ノーベル 化学賞を取られました先生の新しい素材については、これをどう社会実装するか、実は規 制がないのです。ないというか、大枠の規制はあるのですけれども、それをどう扱うかと いうのが決まっていない。これは悪いことではなくて、それを急いでやらなければいけな いのですが、一方で、規制がない、ではアジアで実証をやろうかというような話になって くるということで、あと我々は量子コンピュータ政策をやっていますけれども、量子コン ピュータについて、量子コンピュータの性能をどう測るかというルールが決まっていない のです。ここについては、日本が今主導して、コストして、ISO、IECで我々がそれ - 33 - のリーディングを取って、その規格、ルールづくりをやっています。 したがって、規制・規格の先ほど足し算、引き算の話でいくと、引き算のところについ てもこういう形で明確に需要創出というところとつなぎ合わせてやるかというところが大 きな課題になると、これはイノベーション小委員会のほうで議論して、この部会のほうに 御報告するということになっておりますので、させていただきたいと思っておりますし、 あと、ローカルの議論がありましたが、やはり世界で戦える大学、基礎研究の低下と、先 ほど武田課長から少し紹介がございましたけれども、ここについてはもう一度、大学が形 態として世界と戦っていける大学に、全てができるわけではないかもしれませんが、そこ についての取組を加速化していきたいと思っています。 我々は今回、与党の税制大綱の中で、AI、先端半導体、量子、フュージョン、宇宙、 こういった国家戦略の6分野については、税額控除40%を、すなわち国が半分近くといい ますか、これは大学と一緒にやると50%になるので、企業がやる研究開発の半分は国が見 るという意思表示をしておりますので、ここは先ほどの足し算、引き算の足し算のところ についても、ここは明確に進めていく分野として、しっかりとした計画、これ来年、年明 けに法律を我々は出す予定としておりますけれども、そういう中で実現していきたいと思 います。 今申し上げたところについては、この部会のほうに年明け以降、御報告して連動させて いければと。よろしくお願いします。 ○大橋部会長 ありがとうございます。オンラインで挙手いただいていますので、順番 に、まず、東さんからお願いできますでしょうか。 ○東委員 ありがとうございます。私の発言をする前に今菊川局長のコメントで規制・ 規格導入の件と世界に戦える大学の件で御言及にあったと思いますが、規制・規格につい ては、日本が主導することを世界での規格になるように十分お願いいたします。日本だけ のガラパゴスの規格では、やはり全然価値がないと思います。 それと、世界で戦える大学というのも、技術国にとって大変重要なことだと思いますが、 今、世界中というか、特に米国から皆さん御承知のとおり専門性の高い、大変スキル、ノ レッジの高いサイエンティストがみんなアメリカを出ている、アメリカから外の国に移住 しているという問題、アメリカにとっての問題がありますが、これは日本にとって大変す ばらしい機会で、東北大学はたしかこれを率先して、そういう外国人の教授ですとか、研 究者を迎え入れるという発言をしていらっしゃったと思いますけれども、日本が世界レベ - 34 - ルの大学をつくるためには、そういう外国人を積極的に日本の大学の中に取り入れられる ような策、例えば、所得の格差、その他の差があるわけですが、その辺を埋めるような補 助ですとか、そういうことをお考えになるのは、今のこの世界情勢の中で大変機会がある と思いますので、よろしくお願いいたします 私のコメントは、この地域循環型産業云々というのもありますが、またこれも外にいる 日本人として日本を見たときに、全世界の中で絶対にこれは日本が最高に競争力が高いと 思われることが私の主観から2つあります。 1つは、先ほど赤澤大臣も少し言及されていましたけれども、大変きめ細かいサービス ですとか、日本人の勤勉さですとか、大変微細な技術についての正確度高い技術者がたく さんいる。そういったことを生かした技術開発をどんどん世界中に知らしめていくような 政策を取っていただくのがいいのではないかと思います。 それは例えば、きめ細かいサービス云々というのもありますし、もう一つ、日本の大変 ユニークなコンペティティブアドバンテージは、ソフトな部門、例えば映画、ドキュメン タリー、アート関連。それから日本発信のコンテンツ、ファッション、食文化等々、アメ リカでうまみだとか、最近ですとユズだとか、日本語が世界語になっている、英語になっ ている言葉もありますし、また、そういったことをもっと日本から外に出していく、政策 的にそういうことを援助するような形ができるといいのではないかと思います。 もう一つ、私が日本のすばらしいコンペティティブアドバンテージだと思うのは、日本 の文化ですとか、民度の高さですとか、安全な国、日本に来た外国人が日本を去るときに、 こんなにすばらしい国はほかにはない、全員そういうことを言って去るわけですけれども、 その根底に何があるかと私が考えるに、いわゆる日本的社会資本主義だと思います。株主 先行の資本主義よりも、もちろんそれもあるのですが、根底的に日本的社会主義というの がどういう仕組みなのかということを深く下げて提言し、それを世界に知らしめられるよ うな経済システムを構築する、その価値はすごくあるのではないかと思います。 その実装例としては、先ほど皆さんのコメントの中にあった介護ですとかロボティクス が人材が少ないところを補うですとか、いろいろな方面で日本的資本主義が国民の幸福の ためにどう活躍するかということよくよく考えるのは、価値あると思います。 ご参考までに、ハーバード・ビジネス・スクールの教授で、皆さん御存じの方もいらっ しゃるかもしれませんけれども、レベッカ・ヘンダーソンという人がいます。私は個人的 によく知っていますけれども、彼女が『REIMAGINING - 35 - CAPITALISM IN A WORLD ON FIRE』という本を随分前に出していますが、それを読 むと、日本的な資本主義という概念が中に入っているのではないかと思います。今後、全 世界的に少子化ですとか老齢化が進んだときに、それが日本のすばらしいコンペティティ ブアドバンテージに、日本が世界の中でリーダーシップを取れる国の根底概念になるので はないかと思います。 以上です。 ○大橋部会長 ありがとうございます。あとお2人、手を挙げられているので、お願い できればと思います。まず、滝澤さん、お願いします。 ○滝澤委員 ありがとうございます。私は消費についてですけれども、資料の中で、生 涯可処分所得、可処分リソースとか、それから持続的賃上げ、社会保障の持続可能性とか、 家計の制約条件に働きかける方向性も整理されておられると思うのですが、それが消費活 性化の前提条件であるということをより明確に整理すると、因果関係が理解しやすくなる ように思いました。 消費性向のようにある種インパクトの大きい指標については、政策メッセージとして独 り歩きしやすいような印象がありますので、定義とか背景を丁寧に補足した上で示してい ただくことが重要ではないかと思いました。 そうした意味で、改めて冒頭お示しいただきました今後の方向性の中で、有形・無形資 産への投資から賃上げ、そして消費拡大、そしてさらなる投資という循環により注視する ということが重要であると思いました。 私からは以上です。 ○大橋部会長 ○関灘委員 ありがとうございます。続いて、関灘さん、いかがでしょう。 ありがとうございます。ベネッセの福武さんが活動を重ねてきた直島、J INSの田中さんが活動を重ねてきた前橋などの各地域での活動を知る機会を頂き、ポテ ンシャルを感じています。一例を挙げると、直島は自然、建築、アートが調和して、芸術 生態系とも言える場所となり、世界各国から人々が訪れるようになっていますが、直島・ 犬島・豊島などの人口が増加に転じている訳ではないと思います。教育機関、生協などの 生活インフラを維持・強化できるサイクルまで生み出さなければ、地域の持続性を担保で きない可能性があります。 地域の持続性を担保できる状態にシフトさせるための1つの方法は資産家の方々による 投資であると思います。特定地域に少なくとも3桁億円以上の投資がなされ、地域の持続 - 36 - 性を生み出す発火点となる。こういった未来を見据えた投資が、正しい行為、素敵な行為 として社会的にも認められる空気を作っていくことができると良いと思っています。 上記のような未来を見据えた先行投資があると、同地域に投資をする他プレーヤーも現 れます。同地域に新しい商品、サービス、体験の機会などが生まれ、欲望のエデュケーシ ョンが進み、地域のオリジナルな文化が形成され、消費心理が刺激され、経済が活性化し、 所得が増える循環が生み出せると良いと思います。 例えば、北海道の可能性を最大限に引き出すために、政官民でどのような連携・協調が できると良いのか。エアライン・自動車メーカーなどのモビリティ企業が空飛ぶ車など新 たなモビリティを先行展開する。不動産企業が世界中の富裕層向けも含めた居住エリアを 開発する。ダボス会議などの国際的な会議体を代替するような会議体を定期的に開催する。 飲食品メーカーが食のエコシステムを構築し、ワイナリーやウイスキー蒸留所などの投資 がなされる。こういった投資が点ではなく、面でなされることによって、地域の交流人口、 定住人口が増し、持続可能な地域にできないか。いかに政官民で連動した投資ができるか。 関西では再生医療・バイオクラスターを形成し、世界中の同領域の専門家が集まり、世界 の再生医療やバイオビジネスをリードしていく地域にできないか。そのために、政官民で 連動した投資ができるか。地域ごとに特徴のある産業や文化を形成し、持続可能な地域に できるのか、こういった議論がなされると非常に価値があるのではないかと考えました。 以上です。 ○大橋部会長 ありがとうございます。まだまだ御発言の希望はあると思うのですけれ ども、そろそろお時間も迫ってまいりましたので、本日の議論は一旦以上とさせていただ きたいと思います。 この部会は経済産業政策の部会ということなのですが、経済産業政策というのはもはや 経済産業を超えて、文化とか社会政策まで広がりを持つものになったと感じました。また 企業組織まで言及がありましたけれども、日本の勝ち筋は引き算もしながら考えていきな がら、どうやってまねできないような形でスケールさせていくのかということが大変重要 だということが全体の御指摘だったのかなと思いますが、ぜひ事務局には本日の貴重な御 意見を踏まえながら検討を進めていただければと思います。 事務局から今後の進め方、スケジュールについて御説明いただけますでしょうか。 ○中村産業構造課長 ありがとうございます。64ページ目に今後の想定スケジュールと いうスライドがございます。今日まさに御議論いただきました論点をしっかりと整理して、 - 37 - 今後の議論に反映させていくということと、事前にも御説明させていただきましたが、ま さに新機軸部会を頂にして関係する委員会でも、先ほどのイノベーション小委員会や、あ とはグローバル戦略については、通商政策、経済安全保障政策、産業政策一体となって議 論していかないといけないということで、そういうことに特化した有識者会議というもの を別途立ち上げておりますし、エッセンシャルサービス、地域循環型産業についても、具 体的な政策の議論を別途やっております。そういったことが年明けにはある程度の形で御 報告できるタイミングもあるかと思います。そういった報告をさせていただきながら、ま さに今日いただいた論点を踏まえて、年明け議論を何度かさせていただいて、まず一旦は 来春の中間整理をまとめさせていただきます。そちらの内容を今日大臣からも冒頭ござい ましたけれども、「新技術立国・競争力強化」というところが経産省には成長戦略全体の 中での担当となっており、それはまさに大橋部会長からありましたとおり、産業政策を超 えるところの議論もあるかと思いますので、そういったところも含めて骨太の方針、政府 全体での方針に反映していくということはしっかりとやらせていただければと思っていま す。具体的な日程については、また調整させていただければと思います。 以上です。 ○大橋部会長 それでは、以上で第29回の部会を閉会といたします。本日は早朝から大 変闊達に意見交換させていただきました。どうもありがとうございました。 ――了―― - 38 -

資料1

産業構造審議会 経済産業政策新機軸部会(第 29 回) 議事次第・配付資料一覧 令和7年 12 月 22 日(月)8:30-10:30 経 済 産 業 省 別 館 7 階 共 創 空 間 1. 開会 2. 自由討議 ・ 「経済産業政策の新機軸」の今後の方向性について 3. 閉会 <配付資料> 議事次第・配布資料一覧 委員名簿 資料1 参考資料 「経済産業政策の新機軸」の今後の方向性について 2040 年の就業構造推計(改訂版)について ※非公表・机上配布のみ

資料2

産業構造審議会 経済産業政策新機軸部会 委員名簿 い と う 伊藤 さゆり おおはし ひろし 大橋 弘 ニッセイ基礎研究所 経済研究部 常務理事 東京大学大学院経済学研究科 教授/東京大学 副学長 落合 陽一 おちあい よういち メディアアーティスト きくち ただお ロイヤルホールディングス 代表取締役会長 / 菊地 唯夫 経済同友会 副代表幹事 さいとう ゆたか しゅとう わかな せきなだ しげる たきざわ 滝澤 美帆 み ほ 学習院大学経済学部 なかぞら ま な BNPパリバ証券株式会社 グローバルマーケット統括本部副 齊藤 裕 首藤 若菜 関灘 茂 中空 麻奈 ながた し おり はしもと えいじ ひがし え み こ 長田 志織 橋本 英二 情報処理推進機構 理事長 立教大学経済学部 教授 A.T カーニー株式会社 アジアパシフィック代表 兼 日本代表 教授 会長 日本電気株式会社 社外取締役/出光興産株式会社 社外取締役 日本製鉄株式会社 代表取締役会長 兼 CEO 東門キャピタルパートナーズ マネージング ディレクター/ 東 恵美子 武田薬品株式会社 社外取締役/米国 KLA 社 社外取締役/米国 Rambus 社 社外取締役 ふくだ え み 福田 映美 日本共創プラットフォーム マネージングディレクター (全13名) オブザーバー ふかお きょうじ 深尾 京司 独立行政法人経済産業研究所 理事長

資料3

資料1 「経済産業政策の新機軸」の 今後の方向性について 2025年12月 経済産業政策局 産業構造課 1 今期の新機軸部会の狙い① 1. これまでの新機軸部会の議論と継続方針 ⚫ これまで4年間、「経済産業政策の新機軸」として、国内投資・イノベーション・所得向上の実現を目指して、ミッション 志向の産業政策を推進。「名目」では、国内投資拡大と賃上げの「潮目の変化」が生じている ⚫ 他方、「実質」での国内投資拡大と賃上げは道半ば。持続的な経済成長を実現するためには、①内外への成長投資を起点と した、産業構造の高付加価値化・グローバル競争力の強化による外需拡大やエネルギーを含めた自律性の向上などによって、 ②「労働生産性のさらなる向上」と「交易条件の改善」を通じて持続的な賃上げを実現し、③消費が活性化することで市場 が成長し、次の投資が生まれるといった好循環がマクロ経済運営上は重要となる。 ⚫ 以下の経済情勢の中で、こうした環境を実現していくためには、引き続き積極的な経済産業政策を実施していくことが重要。 ➢ 日本経済:コストプッシュの物価高が継続するなどマクロ環境は変化。また、少子高齢化に伴う人手不足や、消費低迷、 企業の稼ぐ力向上・事業転換を後押しする成長投資の低迷など、構造的な課題は引き続き存在。 ➢ 世界経済:AI等のテクノロジーの進展や国際経済秩序の変容がマクロ経済構造や産業構造の転換を起こしつつある中、 世界各国における産業政策・通商政策競争はさらに激化。 2. 高市内閣の基本方針と経済対策指示 ⚫ 高市内閣における成長戦略では、「責任ある積極財政」、「危機管理投資」と「成長投資」を掲げており、供給力の強化だ けでなく、需要創出策もあわせて検討。戦略分野(17分野)での官民投資の拡大においては、大胆な設備投資や研究開発の 促進などを通じて、官民の積極的な投資を引き出し、「強い経済」を実現し、またそのような投資を引き出す上で、「世界 共通の課題」という需要に対し、その解決に資する製品やサービス、インフラを提供することで、更なる成長に繋げていく ことを目指している。経済産業大臣はうち6分野を担当し、新機軸の8ミッションとも大きく重なる領域。 ⚫ 分野横断課題(8分野)の改革に関しては、経済産業大臣は「新技術立国・競争力強化」を担当しており、新機軸のOS改革 とも大きく重なる領域。新機軸部会では、「新技術立国・競争力強化」に加え、「人材育成」「労働市場改革」「SU」「金 融」「賃上げ」は継続して議論している論点。 2 今期の新機軸部会の狙い② 3. 今期の新機軸の方向性 ⚫ 足下の経済環境を踏まえ、実質での持続的な成長に向けて、競争力強化・外需拡大等により付加価値を生み出す国内投資、 増加した付加価値の賃金への分配、賃金上昇による消費主導の内需の活性化という好循環の実現を目指す。 ⚫ こうした好循環の実現に向けて、第4次中間整理で提示した2040年の産業構造を前提とした上で、価値創出のメカニズムが 異なるグローバル競争型産業・域内循環型産業に分けて、産業構造転換の具体化に向けた本質的な政策の方向性を示す。 ⚫ ①グローバル競争型産業については、成長戦略にて経済産業大臣が担当する「新技術立国・競争力強化」として、産業構造 審議会イノベーション小委等とも連携して検討を進める。 ⚫ 具体的には、日本のグローバル産業の競争力低迷をもたらした構造的要因の分析。 ⚫ 成長戦略17分野とも連動した形で、日本の勝ち筋とGVC再構築のあり方を描き、内外一体・需給両面での政策対応を 検討。 ⚫ 分野横断的な設備投資等の促進や、産業基盤の整備の実現を検討。 ⚫ ②域内循環型産業については、前回の新機軸部会第四次中間整理で打ち出した、中堅・中小企業の成長力強化、人手不足下 でも持続可能な経済圏形成の具体化を図る。 ⚫ さらに、国内投資・賃上げ・消費の好循環のミッシングピースである消費活性化のあり方、テクノロジー進展等を見据えた 中長期的な経済社会のあり方の検討にも着手。 3 今期の新機軸部会の方向性 ⚫ マクロ経済環境やAI等のテクノロジーの進展や国際経済秩序の変容といった外部環境変化を踏まえ、新たに検討すべきアジェンダも含めて、 本質的な政策課題を洗い出し、迅速に対応すべき課題については政策的措置を具体化。今期は、以下の重点アジェンダを中心に議論。 「1.マクロ経済運営のあり方」について ⚫ 実質での持続的な成長に向けて、競争力強化・外需拡大等により付加価値を生み出す国内投資、増加した付加価値の賃 金への分配、賃金上昇による消費主導の内需の活性化という好循環をいかにして実現していくか。 「2.グローバル競争型産業」について(「新技術立国・競争力強化」) 「2-1.日本のグローバル競争型産業における構造的課題」 ⚫ 日本のグローバル産業の競争力低迷をもたらした構造的要因はなにか。 「2-2.グローバル競争型産業における勝ち筋の検討」 ⚫ マーケットスケール/グローバルシェアを確保する高付加価値型の国内産業構造とグローバル・バリューチェーンの絵姿 をどのように具体化していくか。 「2-3.分野横断的課題である経済・産業基盤(OS)の改革」 ⚫ 分野横断的な設備投資等の促進や、人材・ファイナンス・計算資源・エネルギー・産業用地・インフラなど産業基盤の 整備をいかにして実現していくか。 ⚫ (「新技術立国」:イノベーション小委員会で別途議論)日本に強みがある技術の社会実装や勝ち筋となる産業分野の 育成を促進する「新技術立国」の実現のため、研究開発法人の技術シーズの徹底した社会実装、防衛調達をはじめとす る官公庁による調達、規制・規格の導入による新たな需要創出・拡大策などをどのように実現していくか。 「3.域内循環型産業」について ⚫ 地域経済を支えるエッセンシャルサービスの持続性をいかにして向上させるか。 「4.好循環のミッシングピースである消費活性化」について ⚫ 安心して消費できるような持続的な可処分所得の確保のあり方、消費活性化に資する産業政策のあり方など、「消費活 4 性化」のための政策はどういったアプローチが考えられるか。 産業構造審議会 経済産業政策新機軸部会 第4次中間整理の 概要より抜粋の上加工 第4次中間整理で提示した産業構造と今後の方向性 ⚫ 第4次中間整理で提示した2040年の産業構造を前提とした上で、価値創出のメカニズムが異なるグローバル競争型産 業・域内循環型産業に分けて、産業構造転換の具体化に向けた本質的な政策の方向性を示す。 将来の産業構造転換(労働生産性=名目付加価値/時間) 2021 労働生産性 <円/時間> 80,000 20% 40% 60% 80% 30,000 20,000 10,000 宿 飲 泊 食 業 業 0 80,000 30,000 20,000 10,000 0 農 林 水 産 業 サそ ーの ビ他 スの 郵 便 業 運 輸 業 2040新機軸ケース ・社 介会 護福 祉 建 設 業 医 療 % 卸 売 業 小 売 業 鉱 業 業専 務門 支・ 援科 サ学 ー技 ビ術 ス、 業 教 育 40% 60% ①製造業X(エックス):GX、フロンティア技術で差別化、DXによるサービス化等で 新需要創出による高付加価値化により雇用拡大・労働生産性向上 ②情報通信業・専門サービス業:新需要開拓で新たな付加価値を創出他産業を上回る労働生産性向上 グローバル競争型産業 ③アドバンスト・エッセンシャルサービス業:省力化設備・サービスを使いこなし、労働生産性向上 域内循環型産業 農 林 水 産 業 飲 宿 食 泊 業 業 建 設 業 サそ ーの ビ他 スの 介社 護会 福 祉 ・ 医 療 郵 便 教 業 運 輸 育 業 繊 金 維 属 製 製 品 品 小 売 業 卸 売 業 鉱 金 業 サ術専 属 ー、門 製 ビ業・ 繊 品製 そ ス務科 造の 維 業支学 業他 援技製 の 品 ・電 廃気 棄・ 物ガ 処ス 理・ 業水 道 業は パ 電 そ 情 務ん ル 子 の 報 一 用用 プ 部 他 ・ 次 金 窯 機・ ・ 品 の 通 金 融 属 業 械生 紙 ・ 製 信化 ・ 輸 ・ 電 産 ・ デ 造 機学 保 送 土 気用 紙 バ 業器 険 用 石 機・ 加 イ 業 工 ス 機 製 械 品 械 品 通情 食 信報 料 業 品 不 動 (総労働時間) 産 1,022 業 億時間 80% 用は 窯 ・ん 業 業用 ・ 務・ 土 用生 石 機産 製 械 品 ・電 廃気 棄・ 電情 物ガ パ 子報 一 次 処ス 化 ル 部・ プ 品 通 金 学理・ 業水 ・ ・信 属 道 紙 デ 機 電 ・ バ 紙 気 イ 加 機 ス 工 械 金 品 融 情 輸 ・ 報 送 通 保 食 用 信 険 料 機 業 品 械 (注)産業別の数値は民間の動向を政策的示唆に活用するため、市場経済を念頭におき公務を除く(出所)2021年については経済産業研究所「JIPデータベース2023」より作成。 不 動 (総労働時間) 産 922 業 億時間 5 新機軸の今後の方向性の全体像 マクロ経済環境やAI等のテクノロジーの進展や国際経済秩序の変容といった外部環境変化を踏まえ、新たに検討すべきアジェンダも含めて本 質的な政策課題を洗い出し、迅速に対応すべき課題については政策的措置を具体化。今期は、以下の4つの重点アジェンダを中心に議論。 ① 好循環の実現のための「マクロ経済のあり方」 ② グローバル競争に打ち勝ち、世界の成長ダイナミクスを日本経済の成長に取り込む「グローバル産業戦略」、成長投資を支える経済・産業 構造基盤となる「競争力強化」 ③ 地域経済を支える「エッセンシャル・サービス持続性向上策」 ④ 日本の持続的な経済成長のミッシングピースとなる「消費活性化」 マクロ経済運営のあり方・・・重点アジェンダ① 成長投資による産業構造の高付加価値化によって、持続的な賃上げを実現し、消費活性化による市場成長が次の投資を生む好循環の実現 マクロ経済運営の進化の方向性を検討(Ex. B/S思考への転換、AIロボティクス・レディなマクロ経済運営のあり方) ミッション(社会課題解決)起点のサプライ・ディマンド産業政策 サプライサイド グローバル産業戦略・・・重点アジェンダ② 競争力強化/賃上げ原資 「日本の勝ち筋」の具体化 グローバル産業戦略・・・重点アジェンダ② マーケットスケール/グローバルシェアの確保 エッセンシャル・サービス持続性向上策 ・・・重点アジェンダ③ グローバル立地競争力 の強化 ディマンドサイド 成長投資喚起/新市場創出 消費活性化・・・重点アジェンダ④ 持続的な家計の収支構造の確保 フリー消費経済下でも「有償な消費」を創出 将来・社会不安 払拭による消費の ディスインセンティブ解消 政策イノベーション Ex. 国内外のマーケットメイク(需要・市場の創出・開拓)等 競争力強化(社会基盤(OS)改革)・・・重点アジェンダ② Ex. エネルギー、計算資源・データ基盤、イノベ・SU、ファイナンス、人材・雇用、経済法、産業用地、産業・公共インフラ、教育、税・社会保障、国境措置、公的支援機関 等 未来経済運営のあり方 新たな国際秩序のあり方 資本主義の変容 テクノロジー×未来の経済社会のあり方 6 本日の議論の位置づけと議論の進め方 ⚫ 本日は、今期の第1回目であり、今後議論を深めるべき論点や、それらの論点についての基本的な考 え方について、ご議論いただきたい。 ⚫ 事務局において、今後議論を深めるべき論点群や、一部の論点に対する初期的仮説について整理して おり、それらを議論のたたき台とさせていただきたい。 ⚫ 本日の議論を踏まえ、事務局にて論点をさらに整理し、次回以降、それぞれの論点に対する考え方や、 政策的措置のあり方についての仮説をお示ししていく予定。 ⚫ それにあたって、関連する委員会や研究会等で、具体の論点について掘り下げて議論していくことも 予定しており、次回以降の議論では、これらの委員会・研究会等の議論も報告させていただきながら、 本部会での議論を深めていくこととしたい。 7 1.現状認識 8 GDPと需給ギャップ ⚫ 2024年の名目GDPは過去最高となり、630兆円を突破。実質においてもコロナ以降増加傾向が概ね継続。 ⚫ 新型コロナの感染拡大期においては、マイナスの需給ギャップが大きかったが、近年は投資を中心に需要が増加してお り、需給ギャップは縮小傾向にある。 名目GDPと実質GDP(2020年基準) 内閣府と日銀の需給ギャップ(2015年基準) (兆円) (%) 2 650 ※2020年基準改定前の数値を利用 日銀 0 630 -2 610 -4 590 -6 名目 570 内閣府 -8 -10 Ⅰ 550 Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ 2019 Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ 2020 Ⅲ Ⅳ 2021 Ⅰ Ⅱ Ⅲ 2022 Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ 2023 Ⅱ Ⅲ Ⅳ 2024 Ⅰ Ⅱ 2025 530 潜在GDP成長率の寄与度 実質GDP成長率の寄与度 510 (2015年基準) (2015年基準) 4.0% 490 4.0% 3.4% 実質 3.0% 470 2.0% 資本投入量 全要素生産性 1.1% 2024 2022 2020 2018 2016 2014 2012 2010 2008 2006 2004 2002 2000 1998 1996 1994 450 (年) (出所)左図:内閣府「国民経済計算」(2025年7-9月2次速報 2025年12月8日 2020年基準) 右上図:内閣府「国民経済計算」(GDPギャップ、潜在成長率(2025年11月26日))、 日本銀行「需給ギャップと潜在成長率」 右下図:内閣府「国民経済計算」 (GDPギャップ、潜在成長率(2025年11月26日)) (2025年7-9月1次速報値 2025年11月17日2015年基準) 1.0% 3.0% 2.0% 労働投入量 0.5% 潜在成長率 0.5% 0.5% 0.0% 1.0% 1985-1994 1995-2004 2005-2014 2015-2024 2025(1-3Q) 民間投資 3.3% 政府支出 民間 消費 実質GDP成長率 輸出 1.2% 0.5% 0.6% 0.5% 0.0% -1.0% -1.0% Ⅲ 輸入 9 -2.0% 1985-1994 1995-2004 2005-2014 2015-2024 2025(1-3Q) 国内投資は増加傾向 ⚫ 経団連は、2030年度に135兆円、2040年度に200兆円を目標と設定(2025年1月の「国内投資拡大のための官民連 携フォーラム」)。この目標の実現のために、官民で引き続き国内投資の拡大を継続していくことが必要。 ⚫ コロナ以降、実質でも増加傾向が継続しているが微増にとどまる。 実質での民間企業設備投資額の推移(2015年基準) 民間企業設備投資額の推移と官民目標 (2020年基準) (兆円) 200 ※2020年基準改定前の数値を利用 200兆円(2040年度官民目標) (兆円) 100 140 135 兆円(2030年度官民目標) 機械・設備 研究・開発 ソフトウェア その他 民間企業設備投資 90 130 80 120 70 60 110 50 名目 100 40 90 30 ※2023年度:114.4兆円 ※2024年度:119.2兆円 ※2025年7-9月季節調整値:123.8兆円 20 10 (注)左図:「国民経済計算」の2025年7-9月期・2次速報(2025(令和7)年12月8日公表)、2025年7-9月期の値は季節調整系列。 (出所)左図:内閣府「国民経済計算」、令和7年1月27日「国内投資拡大のための官民連携フォーラム」経団連資料を基に作成。 右図:内閣府「国民経済計算」(2020年基準改定前の年次推計を利用(2015年基準)) 2022 2020 2018 2016 2014 2012 2010 2008 2006 2004 2002 2000 1998 0 (年度) 1996 2040 2038 2036 2034 2032 2030 2028 2026 2024 2022 2020 2018 2016 2014 2012 2010 2008 2006 2004 2002 2000 1998 1996 1994 実質 1994 80 70 建築・構築物(住宅除く) (年) 10 名目賃金はプラスも、実質賃金はマイナスが続く状況 ⚫ 2025年春季労使交渉では、33年ぶりの高水準を記録した昨年の結果を、全規模・中小組合いずれも上回る結果となった。 ⚫ 「名目賃金」は46ヶ月連続プラス。所定内給与および所定外給与及び賞与は全てプラス。 ⚫ 2025年10月の「実質賃金(総合)」は、前年同月比▲0.4%となり、年初以降概ねマイナスで推移。 春季労使交渉回答集計結果(最終回答集計)の推移 (%) 6.0 5.5 5.25 5.66 5.10 5.10 4.65 4.5 3.5 3.0 4.45 3.99 4.0 名目賃金と実質賃金(現金給与総額) 6% 5.70 5.0 4.97 (前年同月比) 3.90 実質賃金 (消費者物価(総合)で実質化) 名目賃金 4% +2.6 2% 3.58 全規模 3.23 0% ▲0.4 2.5 ▲2% 2.0 1.5 中小組合 ▲4% 1990年 1991年 1992年 1993年 1994年 1995年 1996年 1997年 1998年 1999年 2000年 2001年 2002年 2003年 2004年 2005年 2006年 2007年 2008年 2009年 2010年 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年 2016年 2017年 2018年 2019年 2020年 2021年 2022年 2023年 2024年 2025年 1.0 (注)調査対象は、連合加盟企業の組合。「中小組合」は、組合員数300人未満の組合。賞与等を含まない月例賃金ベース。平均賃金方式(集計組合 員数による加重平均)の集計。 (出典)日本労働組合総連合会「春季生活闘争回答集計結果について」最終回答集計結果を記載 1 4 7 10 1 4 7 10 1 4 7 10 1 4 7 10 1 4 7 10 1 4 7 10 (月) 2020 2021 2022 2023 (注)就業形態計(5人以上) (資料)厚生労働省「毎月勤労統計調査10月分速報」2025年12月8日公表 2024 2025 (年) 11 名目・実質における賃金・可処分所得・消費 ⚫ 名目での家計の最終消費額は物価の上昇もあり、過去最高額を更新しているが、実質における消費は停滞しており、依然 としてコロナ前の2019年の消費額を下回る状況。 ⚫ 勤労者世帯は家計単位において、実質可処分所得は増加しているが、消費性向が低下し、貯蓄率が増加。 (兆円) 名目と実質の家計最終消費(帰属家賃除く)(2020年基準) 平均貯蓄率(実質・2人以上・勤労世帯) (円) 280 600,000 40% 270 35% 500,000 260 30% 400,000 250 25% 名目 240 300,000 実質 230 20% 15% 200,000 220 10% 100,000 210 5% (注)右図:消費者物価指数(持家の帰属家賃を除く総合)を使って実質化。平均貯蓄率は可処分所得に占める貯蓄純増の割合を示す。 可処分所得と消費支出は世帯当たり平均の一カ月の値。 (出所)左図:内閣府「国民経済計算」(2025年7-9月期2次速報 2025年12月8日 2020年基準)右図:総務省「家計調査」 可処分所得 消費支出 平均貯蓄率(右軸) 2024 2023 2022 2021 2020 2019 2018 2017 2016 2015 2014 2013 2012 2011 2010 2009 2008 2007 2006 2005 2004 2003 2024 2022 2020 2018 2016 2014 2012 2010 2008 2006 2004 2002 2000 1998 1996 1994 (年) 0% 2002 0 200 (年) 12 実質GDP成長率の要因分解(国内変遷、海外比較) ⚫ 日本の実質GDP成長は、かつては家計消費が牽引してきたが、家計消費の陰りとともにGDP成長も低迷。 ⚫ 米国・欧州では、家計消費の伸びが実質GDP成長率を牽引する一方、日本は0.1%にとどまる。 ⇒消費・内需の活性化は、「国内投資→賃上げ→消費→市場活性化→次の国内投資」の完成からも重要。 実質GDP成長率 実質GDP成長率 日本の実質GDP成長率の要因分解の変遷 (2015年基準) (2020年基準) 3.5% ※2020年基準改定前の数値を利用 3.2% 12.0% 3.0% 10.0% 1.0% その他 その他 2.5% 1.8% 8.0% 6.0% 1.6% 政府消費・投資 1.8% 民間設備投資 2.0% 1.0% 0.3% 0.8% 0.3% 1.1% 0.3% 5.3% 0.0% 0.7% 0.8% 1.0% 1.4% 0.6% 0.8% 1.5% 1.2% 0.8% 1.7% 0.7% 0.3% 0.4% 0.2% 0.5% 0.2% -0.2% -2.0% 0.6% 0.7% 0.4% 0.7% 0.3% 0.5% -0.1% -0.1% 1.1% 1.2% 0.5% 2.2% 1.9% 家計消費 2.0% 2.7% 2.3% 1.5% 家計消費 4.0% 実質GDP成長率の国際比較(2010-24年の平均成長率) 0.5% 0.0% 0.7% 0.5% 0.0% 0.0% 日本 イタリア -0.5% 1960-1970 1970-1980 1980-1990 1990-2000 2000-2010 2010-2019 2019-2024 (年) (注) 1980年以前は「平成10年度国民経済計算(1990年基準)」、1981年から1994年までは「支出側GDP系列簡易遡及 (2015年基準)」、1995年以降は「2025年7-9月期四半期別GDP速報(1次速報値)(2015年基準)」のデータ。 2020年データはコロナによる影響が大きいため、2010年-2024年は2019年でデータを区切りの期間として採用。 (出所)内閣府「国民経済計算」を基に作成。 韓国 (注) 米国 カナダ 英国 フランス ドイツ 実質GDP:2020年を基準とした現地通貨ベースの実質GDP(支出アプローチ) 家計消費:2020年を基準とした現地通貨ベースの家計最終消費支出(Final consumption expenditure of households) (出所)日本:内閣府「国民経済計算」(2025年7-9月期第2次速報2025年12月8日(2020年基準))、他国:OECD Statを基に作成。 13 人口減少・少子高齢化に伴う構造的人手不足① ⚫ 全産業で人手不足であり、特に建設業で人手不足感が特に強い。足下の人手不足DIは、バブル期並みの過去最高水準 に達している。設備投資計画と実績の調査では、近年は実績は計画より下方修正されており、供給制約により計画通り に設備投資が行われていない側面もあり、供給制約に対応する省力化投資も必要。 ⚫ この結果、生産能力の低下を通じて供給面に制約をもたらし、世界的な資源価格の変動などの外部要因も重なって、イ ンフレ圧力が高まる懸念がある。官民の投資によって、日本経済の供給力を高め、需要と供給のバランスを図っていく ことが重要。 雇用人員判断DIの推移 「過剰」 40 国内設備投資の増減率 はん用・生産用・ 業務用機械 全産業 20 0 -20 建設 -40 「不足」-80 1985 1986 1987 1988 1989 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 2021 2022 2023 2024 2025 -60 (年) (注)左図:はん用・生産用・業務用機械は統計の関係上、2010年よりデータ取得。 (出所)左図:日本銀行「全国企業短期経済観測調査」(2025年12月15日)、右図:日本政策投資銀行 「2025年度設備投資計画調査」 (年度) 14 人口減少に伴う構造的人手不足② ⚫ 足下の男性・女性・高齢者別の労働参加率は、いずれも世界最高水準になっている。そうした中で、生産年齢人口の総 人口に占める割合は、2030年以降低下傾向にあるが、健康生産年齢人口では2040年まで一定となる。 ⚫ 供給制約となっている人手不足に関しては、短期的取組として高齢者・女性等の活躍、短中期取組として省力化・デジ タル化を通じた生産性の向上、さらには少子化対策も急務。例えば、男女間の労働時間格差などを踏まえて、年収の壁 の解消や柔軟な働き方の推進、家事支援サービスの利用による負担の軽減等の一人ひとりが意欲と能力を十分に発揮で きる環境整備が必要。 ⚫ 今後、人口減少・少子高齢化による人手不足で省力化投資が十分に進まず、供給制約が常態化してしまうリスクが存在 するため、スピード感をもって、省力化を中心とした投資による生産性の向上・事業再構築・事業再編等に取り組むこ とができるよう、「労働供給制約社会の中堅・中小企業の『稼ぐ力』強化戦略(仮称)」の検討を進める。 生産年齢人口・健康生産年齢人口が総人口に占める割合 男性・女性・高齢者の労働参加率 79.7 フランス ドイツ 77.5 75.6 79.0 88.3 82.1 83.9 健康生産年齢人口 1990年 推計値 比較的フラットな期間 2040 2025 2024年 65% 0 (出所)OECD.statより作成。 2050 2047 2044 2041 2038 2035 2032 2024年 2029 3.0 50% 2026 2.4 4.4 1990年 2023 5.6 9.4 2020 11.9 2017 11.8 2014 19.5 55% 2011 2024年 2008 10 55.5 生産年齢人口 60% 2005 24.3 26.1 76.5 1990年 58.0 57.1 20 71.6 2002 74.9 67.3 1999 70.3 67.8 1996 76.1 70 60 75% 70% 70 50 (%) 30 高齢者 (65歳以上) 85.6 英国 80 60 (%)80 女性 (15~64歳) 83.0 86.8 米国 1993 男性 (15~64歳) 日本 1990 (%) 90 (年) 15 (注)20歳以上健康寿命(73.4歳)以下の人口を健康生産年齢人口としている。健康寿命は、病気や怪我になる期間を 除き、健康状態で生きられると予想される平均年数。2024年以降は推計値(いずれも出生・死亡中位の推計)。 (出所)WHO 「World health statistics 2024」, United Nations 「World Population Prospects 2024」より作成。 供給制約となっている人手不足への対策 ⚫ 「労働供給制約社会の中堅・中小企業の『稼ぐ力』強化戦略(仮称)」において、持続的・構造的賃上げに向けた生産 性向上等の支援を検討。 ⚫ 生産性向上の支援として、人手不足感の強い12業種(飲食業、建設業、製造業等※)を中心に、省力化投資を促進す るための「省力化投資促進プラン」や、様々な事業環境変化に対応するための成長ステージに応じた中小企業の成長投 資・生産性向上投資・省力化投資等に対する強力な支援等の取組を整備し推進する。 「強い経済」を実現する総合経済対策(令和7年11月21日)における具体施策例 • • • • • • • • • • • 中小企業の価格転嫁・取引適正化を後押しする「中小企業取引対策事業」(経済産業省) 地域の産業クラスターの中核となる中堅・中小企業・スタートアップへの支援(中堅企業等大規模成長投資補助金等) (経済産業省) 省力化投資・生産性向上のための「省力化投資促進プラン」の実行(内閣官房) 中小企業活性化・事業承継総合支援事業(経済産業省) 日本政策金融公庫等による資金繰り支援(内閣府、財務省、厚生労働省、経済産業省) 中小企業信用補完制度関連補助事業(経済産業省) 認定支援機関による経営改善計画策定支援事業(経済産業省) 事業環境変化対応型支援事業(経済産業省) 様々な事業環境変化に対応するための成長ステージに応じた中小企業の成長投資・生産性向上投資・省力化投資等に対す る強力な支援(仮称)(経済産業省) 地方公共団体による小規模事業者支援推進事業(経済産業省) 建設産業・不動産業の持続的成長のための市場環境整備等(国土交通省) 等 16 物価と金利 ⚫ 消費者物価は基調的に上昇しており、足下では前年比2~4%台に。また名目長期金利も上昇傾向にある。 ⚫ ウカシュ・ラヘルによる推計では、中立金利はこの50年で、資本需要・資金供給の大きな構造が変化によって低下し ており、高齢化や低い生産性成長といった要因により説明される。 ⚫ 平均寿命の伸びは老後資金の貯蓄増を促し、経済全体の資金供給を増やすという趨勢が続くと、「現状維持」シナリオ において、先進国の自然/中立金利(r*)は2055年に約0.2%程まで低下するという予測もある。 物価上昇率と名目長期金利の推移 中立金利の将来推計 5% 4% 3% 2% 名目長期金利 消費者物価指数(総合) 1% 0% ▲1% ▲2% 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 2021 2022 2023 2024 2025 ▲3% (資料)財務省「国債金利情報」、総務省「消費者物価指数」 (注)消費者物価指数:総合指数の前年同月比。消費増税の影響を控除した調整済指数を用いて計算された値。 名目長期金利:月中平均値(日次データを月平均した値)。 (資料)Lukasz Rachel. ”What next for r*? A capital market equilibrium perspective on the natural rate of interest” Brookings Institution. 2025年9月 17 産業競争力・企業経営力の現状 <日本企業の強みと国際競争力の低迷> ➢ 伝統的な日本企業は、技術力、現場力・職人気質、品質志向、同調性・調和、長期的な経営マインド等、ソフト・ハード両面で強みを有 し、製造業を中心にグローバル市場でも競争優位性を築く原動力となっていた。また、製造業の資金ニーズは、有形資産の取得や構築に 関わるものが多く、高い預金率の日本が強みを有する銀行融資と相性がよかった。 ➢ 他方、長引くバブル崩壊からの治癒の間に、リスクを取った投資を控える経営が継続し、リスクマネジメントの高度化にも課題がある中、 長期化するデフレと低金利とデフレ経済というマクロ環境と相俟って、チャレンジ・リスクテイクが容易ではない投資環境が醸成。結果 として、disruptiveな変化への対応が容易ではない経営となり、デジタル化等の構造転換にうまく対応できず、国際競争力が低迷。デ フレと低金利の長期化は、銀行融資以外の資金調達手法の高度化を阻害。 ➢ 産業構造としても、「選択と集中」のトレンド化とコストカット重視の経営の結果、大企業による新規事業開発が停滞し、経営リソース が解放されない中、スタートアップの創出も出遅れ、産業構造の新陳代謝は低調。国内市場が伸び悩み、国際競争が激化する中でも、恒 常的な過当競争が継続し、国際競争力が低迷。銀行以外の資金供給プレイヤーの層が薄く、新陳代謝を支えるエクイティ性の資金も不足。 <成長投資の停滞と構造的課題> ➢ この10年間、日本の上場企業全体では、売上高・当期純利益の増加、設備投資や研究開発投資額は拡大。 ➢ 他方、投資の対売上高比率は横ばいで推移する等、リスクコントロール・リスクテイクによる中長期の収益拡大を狙った成長投資(設備、 研究開発、人材等)には踏み切れていない状況。また、国内向けM&Aは拡大しておらず、拡大基調の海外向けM&Aも必ずしも高い収益 率に繋がっていない。加えて、低収益事業の再編等の事業ポートフォリオの最適化は依然、道半ば。 ➢ 政策保有株式の縮減、独立社外取締役の増加、統合報告書の開示の充実等、コーポレートガバナンス改革も着実に進捗している一方、短 期志向のアクティビストの影響力増大、株主還元の拡大、形式的な議決権行使、開示にかかる負担の増大等、企業の成長戦略の実行の足 かせとなり得る事象も生じている。 ➢ こうした中、一部の企業は、将来の社会課題を捉えた成長戦略を着実に実行し、企業価値の向上を実現しているものの、我が国全体では、 ROE や PBR が十分には上昇していない。 ➢ また、エッセンシャルサービスは、小規模な事業体が多く、省力化・デジタル化が進まず、過去30年間、労働生産性は低迷。そうした 中、少子高齢化によって、人手不足による供給制約という新たな構造的課題が発生。 18 設備投資・研究開発投資・人的資本投資等の成長投資は依然、低迷 ⚫ 設備投資や研究開発投資(どちらも海外子会社の投資分も含む)はここ10年で金額は増加(金額ベースで、設備投資は+ 42%、研究開発投資は+45%)。 ⚫ 一方、対売上高比は伸び悩んでおり、成長に向けた大胆な投資に踏み切れていない可能性。人材への教育訓練投資も他の 先進諸国と比較して低迷。 設備投資/売上高 人的資本投資額/GDP 研究開発投資/売上高 (%) (%) (%) 6.0 5.9 5.8 5.0 4.8 4.0 米国 4.5 0.5 0.22 米国 ユーロ圏 ユーロ圏 0.91 2.2 日本 1.0 1.12 1.0 2.0 日本 1.66 3.4 3.0 5.0 1.75 1.5 5.5 5.1 2.0 0.0 0.0 2016 2017 2018 2019 2020 2021 2022 2023 2016 2017 2018 2019 2020 2021 2022 2023 日本 米国 ドイツ フランス 【設備投資/売上高】 出所:Bloombergのデータを基に経済産業省が作成。 直近期末日に応じて集計年度を調整済(例:2023年度の集計対象は、直近期末日が12月31日の企業についてはFY2023のデータを、12月31日以外の企業についてはFY2024のデータを用いる。なお、「年度」は期初日が属する年を、「FY」は期末日が属する年を指す)。 集計対象:直近の時価総額が取得可能であり、各年度における売上高・収益が正の値である、日本・米国・欧州内の市場に上場する企業。対売上高設備投資比率の集計対象は、分子となる各年度の設備投資(CAPEX)が取得できる企業。国・地域は所在国によって分類。 英国 【 研究開発投資/売上高】 出所:Bloombergのデータを基に経済産業省が作成。 直近期末日に応じて集計年度を調整済(例:2023年度の集計対象は、直近期末日が12月31日の企業についてはFY2023のデータを、12月31日以外の企業についてはFY2024のデータを用いる。なお、「年度」は期初日が属する年を、「FY」は期末日が属する年を指す)。 集計対象:直近の時価総額が取得可能であり、各年度における売上高・収益が正の値である、日本・米国・欧州内の市場に上場する企業。対売上高研究開発費比率の集計対象は、分子となる各年度における研究開発費が取得できる企業。国・地域は所在国によって分類。 【人的資本投資額/GDP】 出所:EUKLEM INTAN Prod 2021のデータを基に経済産業省が作成。 「人的資本投資額」はOFF-JT に関する「直接費用+間接費用」で構成。直接費用:OFF-JT(研修等)に投じられた直接的な費用。間接費用:研修を受けている間に通常業務から離れることで発生する機会費用。 19 日本は成長期待を集める企業群が相対的に少ない ⚫ 日米欧亜の上場企業全体をPBRとROEの2軸で分類すると、欧米亜と比較して日本企業は成長期待の低い企業群 (Value/Income)が多い。加えて、これからの成長に期待を集める企業群(Aggressive Growth)が特に少ない 傾向にある。 ※Aggressive Growth:PBR2倍以上・ROE10%未満、Growth:PBR2倍以上・ROE10%以上、Dividend Growth:PBR0.8倍以上2倍未満・ROE10%以上、Income:PBR0.8倍以上2倍未満・ROE7%以上10%未満、Value:PBR1倍未満・ROE7% 未満。 ※調査対象:時価総額10億ドル以上かつPBRが正の企業(日本647社、米国2,080社、欧州1,227社、アジア2,770社。)。 (出所)経済産業省 産業構造審議会 経済産業政策新機軸部会 価値創造経営小委員会(第1回)(2025年2月4日)資料6。Credit Suisse HOLT Lensデータより三瓶委員作成。2022年4月8日株価ベース。 20 外部環境変化(グローバル経済・テクノロジー) <グローバル経済・国際秩序の変容> ⚫ 地政学・地経学的リスクの高まりや格差拡大等の構造的な社会不安を背景に、各国は国境措置を含む産業政策・通商政策 を強化。各国の戦略分野もAI・量子・半導体等の共通領域に集中しており、高付加価値な産業やそれによって生み出さ れる良質な雇用を奪い合う国際競争、その結果を左右する研究開発競争・高度人材獲得競争等は激化。地域戦の勃発等、 地政学リスクが悪化する中、経済安全保障を含めた安全保障領域への投資を拡大。 ✓ 米国:巨大な消費市場で経常収支赤字を一手に引き受ける構造から、製造業等の国内回帰・地産地消へと転換。 ✓ 中国:国内需要を上回る過剰供給力は国外に向かい、圧倒的な価格競争力を武器に諸外国の市場へ進出。 ✓ 欧州:中国との競争激化や資源高により産業空洞化が進展。防衛等戦略分野への投資を促進する産業政策に着手。 ※EUでは2035年以降の内燃機関車の新車販売の原則禁止を予定していたところ、今般見直し案を公表。 ✓ グローバルサウス諸国:各国が成長著しいグローバルサウス市場に向かう中、これまで日本企業が展開してきた ASEAN地域も含めて、日本の存在感は希薄化リスク。 ⚫ 外需の稼ぎ方についても、「財の貿易」の地産地消化が一定程度進む一方、IP等のサービス貿易や海外投資による収益の 存在感が拡大する傾向。 <AI等のテクノロジーの進化> ⚫ AI・ロボティクスの進化、量子コンピュータ開発の進展は、単体のインパクトに加え、他のテクノロジーの開発を加速さ せる可能性。民間の巨額資本の流入、経済安全保障との境界領域を中心とした国家資本の流入と相俟って、disruptiveな テクノロジーが生まれ、構造的な競争環境の変化を生む可能性。 ⚫ 特にAIやロボティクスは、程度やスピード感の差はあれど、全産業に影響を与えるインパクトを持つ。国際競争力の観点 では、米中が先行し、人材力含め二強状態。ユーザー企業のAIレディネスも競争優位性の格差を生む可能性。 ⚫ サイバー上の有意なデータが消化され尽くされれば、今後の競争力の源泉は、非構造化データの量・質(消費データ、製 造データ、サイエンスデータ等)が規定する構造に変容し、ゲームチェンジを迎える可能性もあり。 ⚫ AIやロボティクスを本格的に社会実装していく中で、増大する電力・通信量やコストといった課題に加え、人(頭脳・身 体)との共生をいかにして図っていくかという根本的課題の克服も必要となるか。 21 「世界の不均衡」と「日本の不均衡」 ⚫ 米国が継続的に経常赤字を計上する一方で、日本、中国、欧州の主要国は継続的に経常黒字を計上。その中で、米国は国 際投資ポジションは負債超過。 ⚫ 日本は、家計は継続的に黒字で、企業も1990年代後半を境に黒字化。政府の赤字と海外(経常黒字)でバランス。 ⇒ 米国の政策等によって、米国依存の経常黒字の持続性が危ぶまれる中、マクロ経済構造はどうあるべきか。 (%) 経常収支(世界GDP比) 3.0 (%) 2.5 25.0 2.0 20.0 1.5 15.0 1.0 10.0 国際投資ポジション (世界GDP比) 日本の部門別資金過不足 (対GDP比) 15% 家計 企業の 債務返済 10% 企業の 海外投資 5% 5.0 0.5 0.0 0.0 0% -5.0 -0.5 企業の国内 投資が旺盛 -10.0 -1.0 ▲5% -15.0 -1.5 -20.0 -2.0 -25.0 -2.5 ▲10% -30.0 欧州黒字国 米国 欧州赤字国 日本 その他 石油輸出国 中国 (資料)IMF World Economic Outlook April 2025 企業 欧州黒字国 米国 欧州赤字国 日本 その他 石油輸出国 中国 ▲15% 海外 (海外のマイナスは 政府 経常黒字を意味) (年度) (資料)内閣府「国民経済計算」 22 戦後国際秩序の揺らぎと求められる自立 第1回内外一体のグローバル産業戦略に関する有識者会議 事務局提出資料より抜粋の上加工(2025年12月2日・9日) ⚫ 米国が国際公共財供給から撤退しつつある中、戦後の国際秩序が揺らぎつつある。 ⇒日本としても、こうした国際秩序の変化を前提に、産業政策・通商政策・経済安全保障政策を検討していく必要。 戦後の 国際秩序 国際システム (米国主導で機能) 米国の国際公共財 (国際システム補完) 米国の関与低下 国際秩序の揺らぎ (新常態) 求められる「自立」 防衛力強化 集団防衛体制 集団防衛体制への「ただ乗 防衛産業育成 (NATO、安保協力) り」拒否(米) 日米安保を補完する第三国と 軍事力供給(核の傘、米軍駐 中国の軍事力増強による地政 の協力関係構築(軍事・経 留) 学的緊張 済) 安全保障 安全保障理事会 NPT、IAEA 民主主義 国連(国連憲章、国際人権規 マーシャルプラン 約) 人道支援(USAID) 権威主義的国家の勢力拡張 民主主義国家の右傾化 ブレトンウッズ体制守護 ブレトンウッズ体制(IMF、 米国市場の開放 世銀、GATT・WTO) 基軸通貨の提供 非市場的措置・経済的威圧へ 米国市場からの締め出し(需 の対抗力強化(経済安保拡 要の喪失) 充) 中国の過剰供給による各国産 互恵的な経済同盟・連携の深 業の「焦土化」懸念 化 グローバル 経済 民主主義国間での結束の強化 (政治・軍事・経済) 23 世界の財貿易成長は失速、対外直投・サービス貿易は拡大 ⚫ 日本は貿易収支は赤字となる一方で、第一次所得収支は増加することで、結果として経常収支黒字を継続。 ⚫ 世界全体で見ても財の貿易額は停滞し、地産地消が進展する一方、サービスの貿易額は、順調に成長。外需の獲得手段 は、財貿易からサービス貿易や対外投資へと移行しつつある。 ⇒このような構造変化を踏まえ、改めて財輸出の意義(マクロ経済上の価値、経済安全保障上の価値)や外需獲得の バランスのあり方、そのための産業構造のあり方について検討すべき。 サービス貿易額の成長(世界) 日本の経常収支の動向 対外直投残高の国際比較 (2005年=100) 300 250 財・サービスの貿易額 財の貿易額 サービスの貿易額 200 150 (備考)2024年は速報値。 (出所)財務省・日本銀行「国際収支統計」から作成。 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 2021 2022 2023 100 (年) (資料)UNCTAD、Census and Statistics Departmentより 引用。 (注) 貿易額は、輸出額と輸入額の合計。 (出所)WTO Trade in commercial services, Merchandise trade valuesから作成。右図:WTO Trade in commercial servicesから作成。 24 世界では産業政策・通商政策競争が激化 【課題】 • 格差拡大・中間層の疲弊 • 中国への対抗 【課題】 • 製造業中国依存、デジタル米中依存 • 気候変動緩和の主導 • 域内の良質雇用確保 【課題】 • キャッチアップ・輸出主導型 高度成長経済の終焉 • 米欧等西側陣営への対抗 【対応】 ※従来、財政規律を重視し産業政策には消極的であったが、 上記の課題を踏まえ、近年産業政策を強化。 【対応】 〈トランプ政権〉 ➢ 恒久的な投資即時償却措置(工場も含 む建屋については4年間の時限措置)を ➢ 「欧州の競争力の未来」(ドラギレポート) <2024年9月> ○産業戦略として整合的な産業・競争・貿易政策を提言 ○官民で7.5~8.0千億ユーロ(約122~130兆円)/年の追加投資 【対応】 ➢ 中国製造2025<2015年7月> 中核基礎部品・基幹基礎材料の2025年 国内自給率70%目標 ➢ 特別国債を活用した国内需要 ➢ 「クリーン産業ディール」 <2025年2月> 創設する 法案が成立 <2025年7月> 喚起策 ○加盟国にクリーン技術資産の早期償却やクリーン移行の戦略分 野の企業への税額控除といった税制措置の導入を推奨 〇2024年と2025年で計2.3兆元(約 ➢ 「EU競争力基金」 46兆円)の超長期特別国債を発行。 ➢関税を活用した国内生産奨励 〇産業競争力強化に向けて、2028年からの7年間で約4,100億 ⇒設備更新・消費財買替え支援(2年計 ○鉄鋼・アルミや自動車・同部品への関税や相互関税 ユーロ(66兆円)規模の新基金を創設 約16兆円) などを次々に発表 ➢ 「EU経済安全保障の強化」共同文書 <2025年12月> ⇒国家重要戦略と重点分野の安全保障 〇サプライチェーン強靭化、付加価値の高いEU域内投資の誘致、 (約16兆円) 防衛・宇宙分野等への支援等の6つの優先課題を特定。資金支援・ 輸出管理等の経済安保確保に向けた政策ツールを体系化。 ➢ 2026年の経済対策 ➢ ResourceEUアクションプラン <2025年12月> 〇2025年12月の中央経済工作会議では、 〇重要原材料の供給確保・調達先多角化に向け、今後12か月でEU 積極的な財政政策を継続すると言及。 資金30億ユーロを動員。 ○重点任務として、内需拡大、イノ ベーションの促進、より多くの地域・ ※EU各国も個別に投資促進策を措置 二国間貿易投資協定の締結等を列挙。 ドイツでは減価償却率の引上げ(2025-27年、最大30%)や、法人 OBBB 税率の引下げ(2028年から5年間で5%引下げ)といった内容の 「投資ブースター」法案が成立<2025年7月> (注)1ドル=149円、1ユーロ=162円、1元=20円で換算 (2024年3月末の為替レート) 25 戦略的先端産業における中国の急速なキャッチアップ ⚫ 米国は、戦略的な先端産業において、中国の技術力・競争力が急速にキャッチアップしていると評価。 産業 中国の ステータス評価 キャッチアップ スピード 半導体 遅れている 緩やか AI 接近中 急速 量子技術 接近中 緩やか ロボット 接近中 急速 工作機械 遅れている 急速 EV・ バッテリー 同水準 急速 ・イノベーション能力と品質は、先進国企業と同等以上 原子力 先行 急速 ・現行世代、次世代の原子炉開発・配備において米国を上回る 化学 遅れている 急速 バイオ医療 遅れている 急速 評価コメント ・先端ロジック半導体で、SMICは、TSMC等の世界トップから5年程度遅れ ・米国を追い抜く可能性(中国の発展を抑制する米の取組は意味無い可能性が高い) ・大規模言語モデル(LLM)は中国AI戦略の肝として目覚ましい発展(米中が双璧) ・①量子通信でリード、②量子センサは米国に匹敵、③量子コンピュータは遅れ ・短期的な実用的成果を生みやすい①、②を優先。③では、ハードウェア開発と実用化で 米国に遅れ ・ローエンドは低価格量産型で得意とするが、ハイエンドは依然として輸入に依存 ・特に、ソフトウェア/統合システム開発は欧米より遅れ ・一方で、発展スピードは速く、欧米が技術規制しても差は縮まるだろう ・ハイエンドは依然として輸入に依存。先進国に15年程の遅れ ・ハイエンド用のコア部品生産が課題 ・基礎化学品は純輸出国だが、ハイエンド品は一部純海外に依存 ・他方、業界では新規開発される品目は全体の6%程度/年で、追いつきやすい分野 ・過去、欧米は技術革新を通じて中国を凌駕も、将来的にこの方法が通用しなくなる ・創薬の増加、欧米の中国企業からのライセンス契約増など発展が加速 ・世界トップになるには、知的財産権保護、ゲノム編集等の技術の論理的利用、 実用化強化等、包括的エコシステム構築が不可欠 (出所)米国情報技術イノベーション財団(ITIF) “China is Rapidly Becoming a Leading Innovator in Advanced Industries”(2024年9月/一部2025更新) 26 AI:中国が米国を猛追し、“米中二強状態”に突入 ⚫ 特にAI分野では、これまで圧倒的な優位性を維持してきた米国に対し、中国がモデル性能、論文数やトップ人材シェ ア等で強烈な追い上げを見せており、“米中二強状態”に突入。 ⚫ 日本は米中に後れを取っているものの、後発国はより少ない開発コストでモデル性能等キャッチアップが可能なことに 加え、今後の競争力の源泉がサイエンスや製造業の非構造化データ等のユニークデータに移行する中、日本が競争優位 性を確保する可能性もある。 米中トップAIモデルの性能推移 AI分野のトップ被引用論文数 トップAI研究者の出身国(2022年) 対話型AIの性能差が9.26%から1.7%と急接近 (出所)米マルコポーロ“The Global AI Talent Tracker 2.0” 27 中国の海外市場展開は欧米から第三国市場へ転換 ⚫ 欧米の産業政策・経済安全保障政策の強化の流れの中で、中国はメインの輸出先を欧米から一帯一路を展開する第三国 市場にシフト。中国のみならず、世界各国が成長著しい第三国市場の獲得競争に乗り出している状況。 対ASEAN輸出入額(兆元) 対EU輸出入額(兆元) 対米国輸出入額(兆元) 対一帯一路諸国輸出入額(兆元) 2018年-2024年 (注)2020年以後、中国とASEANは互いに最大の貿易相手国となっている。 出典:中国税関総局、国家統計局 28 ASEANにおける中国のプレゼンスの高まり ⚫ こうした中、中国が対ASEAN投資を急増させている一方で、日本のASEAN向け投資は縮小傾向。かつての日本のお膝 元であるASEANにおいても日中のプレゼンスは逆転しつつある状況。 中国の対ASEAN残高は急増 残高の日中シェアも逆転か 日本のASEAN向け投資の推移と内訳 (十億ドル) 200 (%) 45 180 40 製造業 建設業 卸・小売業 リース・商業サービス 160 140 電気・ガス・水道 運輸・倉庫・郵便 金融仲介業 その他 100 20 80 15 60 10 40 5 20 0 2023 2022 2021 2020 2019 2018 2017 2016 2015 2014 2013 2012 0 2011 日本 30 25 2010 中国&香港 35 120 (資料)CEIC database、中国商務部 中国 14 16 18 20 22 14 16 18 20 22 14 16 18 20 22 14 16 18 20 22 カンボジア インドネシア マレーシア シンガポール 14 16 18 20 22 タイ (備考)データが入手可能な国・年のみ。 (資料)ASEAN Stats 29 欧州経済の低迷 ⚫ 欧州はかつて中国市場を主要な外需市場と捉え、輸出⇒現地投資へとシフトさせてきたが、中国企業の猛烈なキャッチ アップの結果、競争優位性の逆転が発生し、自動車含め、対中貿易の収支は悪化の一途。さらにエネルギー価格高騰が 追い打ちをかけ、国内産業の空洞化が進展し、ドイツを中心に欧州経済は低迷。 ⚫ こうした状況を打開するため、EUは今年1月発表の競争力コンパス等において国内回帰志向を明確化し、Buy Europeanに傾倒。加えて国防費GDP比3.5%というNATO目標の達成に向け、防衛分野への投資を拡大させている。 EUの対中貿易赤字 自動車:EU域内生産、中国からEUへの輸入 ドイツ実質GDP(2019=100) 30 各国の戦略分野は共通性が高く、競争激化は必至 ⚫ AIやロボットなど、米中を始めとした各国が重点的に投資をする戦略分野は共通性が高く、今後、競争激化は必至。 ⇒これらの戦略分野・高付加価値分野での激しい国際競争の中で打ち勝つためには、大胆な産業政策が必要。 米国 戦略 文書 中国 CETsの最新リスト (2024/2) 第15次五カ年計画(草案) (2025/10) CETs(critical and emerging technologies) • 人工知能(AI) • 高度自動化、無人シ ステム(UxS)、ロ ボティクス • 量子情報技術 重要 • 半導体及びマイクロ 技術分野 エレクトロニクス (抜粋) • バイオテクノロジー 等 ハイレベル科学技術の 自立自強の加速 • 集積回路 • バイオものづくり 未来産業の育成 • エンボディドAI • 量子技術 • バイオものづくり 英国 独国 英国科学技術フレームワーク (2023/3) ハイテク・アジェンダ・ドイ ツ(2025) 仏国 韓国 12大国家戦略技術 (2022/10) フランス2030(2021) 将来の革新的技術分野 • AI • 量子技術 • 半導体 等 • 工学的生物学 (engineering biology) 国際競争力、技術主権、 国家促進戦略型 経済・社会の強靱化を PEPPR 目的とした重点分野 • AI • AI • 量子技術 • 量子技術 • バイオ燃料 • マイクロエレクトロ • バイオセラピー・革 ニクス 新的療法のバイオ製 等 • バイオテクノロジー 品 等 • 半導体 等 等 韓国経済に波及効果の 大きい産業コア技術群 • 半導体・ディスプレ イ 等 急成長が見込まれる安 全保障上重要な技術群 • 先端バイオテクノロ ジー 等 必須基盤技術群 • AI • 先端ロボット・製造 • 量子技術 等 • 緑:AI • 紫:ロボット • 赤:量子技術 • オレンジ:半導体 • 青:バイオテクノロジー 31 主要国・地域論文数推移(論文数、Top10%) ⚫ 論文数では、主要国の中でも日本は比較的上位。他方、被引用数が多い論文数では、G7、中国のみならず、インド、 オーストラリア、韓国等にも劣後。 200,000 180,000 日本 ドイツ フランス 英国 韓国 160,000 20,000 70,000 日本(1.2億人) オーストラリア カナダ スペイン イラン 米国(右軸) 60,000 英国(0.7億人) イタリア(0.6億人) 16,000 日本(1.2億人) 韓国(0.5億人) インド(14.3億人) オーストラリア(0.3億人) シンガポール(0.06億人) 台湾(0.2億人) マレーシア(0.3億人) ベトナム(1.0億人) タイ(0.7億人) インドネシア(2.8億人) 9,000 フランス(0.7億人) 600,000 10,000 中国(右軸) ドイツ(0.8億人) 18,000 インド 8,000 カナダ(0.4億人) 500,000 中国(右軸) 140,000 700,000 イタリア Top10%補正論文数(分数カウント法・全分野) アジア・オセアニア Top10%補正論文数(分数カウント法・全分野) G7・中国 論文数(分数カウント法・全分野) 50,000 米国(3.3億人)(右軸) 14,000 7,000 中国(14.1億人)(右軸) 120,000 400,000 100,000 12,000 40,000 10,000 300,000 80,000 ドイツ 日本 英国 60,000 200,000 40,000 米国(右軸) 30,000 8,000 英国 ドイツ イタリア 6,000 20,000 カナダ フランス 日本 4,000 100,000 20,000 1982 87 92 97 02 07 12 0 2021 17 3年移動平均(PY) 6,000 オーストラリア 5,000 韓国 4,000 日本 3,000 シンガポール 台湾 2,000 10,000 2,000 0 インド マレーシア 1,000 0 1982 87 92 97 02 07 12 0 2021 17 3年移動平均(PY) ベトナム タイ インドネシア 0 1982 87 92 97 02 07 (参考)PYとは出版年(Publicationyear)の略である。Article,Reviewを分析対象とした。分数カウント法による結果。論文の被引用数(2023年末の値)が各年各分野(22分野)の上位10%に入る論文数がTop10%論文数である。()内は2023年時点のおおよその人口 (出典)文部科学省 科学技術・学術政策研究所からの提供情報を基に、経済産業省が作成。 12 2021 17 3年移動平均(PY) 32 技術革新:豪・戦略政策研究所(ASPI) 「重要技術トラッカー」における日本 ⚫ 国家安全保障・防衛・技術に関する豪州の独立系シンクタンクASPIが、防衛、宇宙、エネルギー等64の重要技術につ いて、どの国や機関が革新的で影響ある研究を最も多く発表しているか調査。2023年3月初版、2024年8月第2版公 表。 ⚫ 日本が上位5カ国入りしていた分野は、64分野中、2000年代初頭には32分野だが、直近では8分野のみ。 カテゴリ 高度情報通信技術 先端材料・製造 AI・コンピューティング・通信 バイオ・遺伝子工学・ワクチン 防衛・宇宙・ロボット・輸送 技術分野 順位 先進光通信 2 → 7 分散型台帳 日本における 主な機関 カテゴリ 技術分野 順位 日本における 主な機関 電池 3 → 10 産総研 1 → 26 会津大学 太陽光発電 2 → 12 東京大学 高性能コンピューティング 3 → 9 東京大学 水素・アンモニア燃料 3 → 9 先進磁石・超伝導体 2 → 5 東北大学 指向性エネルギー技術 3 → 10 東京大学 ワイド&ウルトラワイドバンドギャップ半導体 2 → 3 京都大学 核廃棄物管理とリサイクル 4 → 10 JAEA スマート材料 3 → 18 東北大学 スーパーキャパシタ 4 → 12 NIMS ナノスケール材料・製造 3 → 15 NIMS 原子力エネルギー 4 → 3 JAEA 重要鉱物抽出・加工 3 → 18 NIMS 量子センサ 4 → 5 東京大学 AIアルゴリズムとハードウェア・アクセラレーター 2 → 16 - 量子コンピューティング 5 → 5 理研 自然言語処理 3 → 12 NTT 慣性航法システム 5 → 13 東京大学 合成生物学 5 → 14 - レーダー 3 → 9 遺伝子工学 2 → 5 東京大学 光センサ 3 → 11 東京大学 ゲノム配列決定・解析 4 → 5 東京大学 原子時計 4 → 5 新規抗生物質・抗ウイルス薬 5 → 19 東京大学 自律システム運用技術 2 → 11 東京大学 宇宙打ち上げシステム 2 → 6 ドローン・群ロボット・協働ロボット 5 → 18 - 先進ロボット工学 2 → 13 東京大学 NTT JAXA 環境・エネルギー 量子技術 計測・計時・航法 その他AUKUS関連技術 空気非依存推進力 東京大学 東京大学 東京大学 3 → 12 - 凡例 シェアを落とし上位5カ国から外れた技術分野 直近でも上位5カ国入りしている技術分野 (出典)豪・戦略政策研究所「重要技術トラッカー」ウェブサイト及びASPI提供情報より 33 AIがもたらす社会課題解決 モビリティ 課題 人手不足 運輸業で約30万人減少(2022年⇒2040年) • 人手不足による道路・橋梁等の維持管理の不備 • 物流の担い手不足による配送料高騰や遅延化 既存サービスの限界 • 公共交通の減便・廃止による 高齢者等の行動制限 AI・半導体がもたらす解決の方向性 省人化、効率化 • • • ドローン等による自動的なインフラ保守管理 AIによる、荷待ちの削減や積載効率の向上 自動運転トラックやドローンによる自動配送 新サービスの提供 • • 予約に応じた最適ルートのリアルタイム提案等による、 コミュニティバスの効率的運用 完全自動運転による自由な移動手段の提供 様々な場面での利用 Big Data 生成AI 先端半導体 ドローン配送(イメージ) ※AIの高機能化・低消費電力化は先端半導体が支えている 出所:労働政策研究・研修機構 2023年度版 労働力需給の推計―労働力需給モデルによるシミュレーション―(運輸業:鉄道、道路輸送、水運、航空運輸、その他の運輸、郵便) 完全自動運転のイメージ 34 AIがもたらす社会課題解決 農業 課題 人手不足 農林水産業で約70万人減少(2022年⇒2040年) • • 担い手の不足による収穫機会の損失 食糧供給力の減少、食糧価格の高騰 産業としての限界 • 後継者や新規参入者の不足による産業の縮小 AI・半導体がもたらす解決の方向性 省人化、効率化 • • ロボットによる収穫等の自動化・効率化 気象情報等に基づく最適な栽培の実施 (農作物の選定、肥料・水やり等) 新サービスの提供 • • • AIの活用による効率的な品種改良 新しい生産システムの導入 「稼げる農業」の実現、新規参入者の拡大 様々な場面での利用 Big Data 生成AI 先端半導体 ※AIの高機能化・低消費電力化は先端半導体が支えている AI搭載ロボットによる散布(イメージ) AI搭載ロボットによる収穫(イメージ) 出所:労働政策研究・研修機構 2023年度版 労働力需給の推計―労働力需給モデルによるシミュレーション―(農林水産業:米麦、その他の耕種農業、畜産、獣医、農業サービス、林業、漁業・水産養殖業) 35 生成AIによる各産業の生産性向上と経済成長 ⚫ 生成AIは、従来のAIでは不可能だった、様々な創造的な作業を人間に代わって行える可能性があり、今後の我が国産 業における生産性向上やイノベーション創出のカギとなる技術。ホワイトカラー業務を中心に1/4を自動化する可能性 があるとの調査結果もある。さらには、ロボットへの適用も進む見通し。 ⚫ 生産性成長率と実質GDP成長率には一定の相関関係があり、生成AIによる各産業の生産性向上が、我が国の経済成長 を牽引し得る。 ◎各業種における、AIによって自動化される可能性がある業務の割合 ◎実質GDP成長率と生産性成長率の関係性 (%) 46 44 37 35 33 32 31 28 26 19 12 オ 法 建 ビ 社 マ 営 医 スア 介 フ 務 築 ジ 会 ネ 業 療 ポー 護 ィ 従 ート ・ ネ 福 ジ ス 事 ツ・ エ ス 祉 メ / ン 者 ・デ ン ・ 金 メザ 事 ト ジ 融 デイ 務 ニ オ ィン サ ア ペ ア・ ポ リ レ エ ー ン ー ン ト グ シ タ ョ メ ン ・ 調 理 ・ 給 仕 11 9 6 4 1 旅 製 建 機 ビ 客 造 設 械 ル ・ ・ 設 / 運 採 置 路 輸 掘 ・ 面 保 清 守 掃 ・ ・ 修 メ 理 ン テ ナ ン ス 全業種 平均 (25%) (出所)BCG作成資料 (出所)Goldman Sachsレポートより一部抜粋 36 米中のロボティクス分野における投資・資金調達の状況 • 米中では、自動車や半導体メーカーもロボティクス分野に進出し、既存のAIインフラ等も活用しつつ兆円超えの研究 開発・設備投資が進み、ヒューマノイドの商用化も見据える。 • スタートアップも、米中は時価総額数千億円~数兆円、資金調達は数千億円規模だが、日本は数十~数百億円に留まる。 米中主要メーカーの投資状況 ロボティクススタートアップの資金調達状況 【米国・Tesla】 • ヒューマノイドロボット「Optimus」を開発。自社工場での活用から 始め、26年から外販開始を目指す。 • 24年に、OptimusやロボタクシーのAI領域等も含め、全体で研究 開発に約45億ドル(約6,800億円)、設備投資に約113億ド ル(約1.7兆円)を投資。 【米国・Figure AI:ヒューマノイド】 • 時価総額約5.9兆円。25年9月にシリーズCで1500億円超を 調達。Open AI、NVIDIA等も出資。 【米国・NVIDIA】 • GPU・OS・物理シミュレータ・AI基盤モデル等からなるロボティクス 開発プラットフォーム「Isaac」を提供。 • 25年から4年間、AIチップ製造やIsaacなどの物理AIインフラの構 築に約5,000億ドル(約75兆円)を投じる方針。 【ドイツ・Neura Robotics:ヒューマノイド】 • 25年1月に約200億円調達、累計調達額は約500億円。 【中国・Unitree】 • SWとHW一体で自社開発するフルスタック戦略。ヒューマノイド (G1/H1/R1)や四足ロボ(Go1/B2)に注力。R1は 5,900$(約90万円)で販売。 • 投資情報は非公開であるものの、25年シリーズCで約1.4~1.7 億ドル(約200~250億円)を調達。 (注1)1ドル=150円換算 (出所)各種報道・レポートによる公表情報から引用 【中国・Unitree:四足・ヒューマノイド】 • 時価総額約2500億円。25年シリーズCで約1.4~1.7億ドル (約200~250億円)を調達。 【日本・MUJIN:ピッキング倉庫ロボ】 • 23年9月、12月の2回に分けてシリーズCで、約150億円調達。 累計調達額は約230億円。 【日本・TELEXISTENCE:小売・物流向け多関節ロボット】 • 23年7月に約230億円調達。累計調達額は275億円超。 【日本・Preferred Robotics:清掃ロボ】 • 22年3月に約6億円調達。 37 AIロボティクス実現に向けた各国の政策的対応・現状 【方向性・現状】 • GAFAM中心とした民間リス クマネー主導での市場創出 【方向性・現状】 • AIルールメイキングを通じた 競争優位性の確立 【対応】 • ヒューマノイドロボット関連企業 (Tesla、NVIDIA、Figure AI等)に 巨額の民間リスクマネーが流入 (25年は20億ドル超の見通し)、 研究開発を強力に推進 。 【対応】 • 24年にAI規制法を施行。開発を 促進しながら倫理的・法的枠組 みも強化し、国際標準を確立。 • • • 政府も、25年1月に“America’s AI Action Plan”(AI関連技術の開発促 進策)を発出。ロボット・ドロー ン製造分野のサプライチェーンの 政策課題特定に取り組むとされて • いる。 連邦政府や州政府による補助事業 も実施。例えば、国立科学財団 (NSF)は、25年7月にAI研究機関に 1億ドルを投資し、研究開発・社会 実装を促進すると発表。 科学研究プログラム“Horizon Europe”の第9期(2021~2027年) でロボット研究を支援。この中 の官民連携事業を通じて資金を 供給し、予算規模は2021~2030 年累計で最大約26億ユーロ 24年1月、AIスタートアップを 支援する”AI Innovation Package” を開始。2027年までに官民の総 投資額40億ユーロを目指す。 【方向性・現状】 • 産業用ロボット技術に強み • AIロボティクス領域では出遅れ 【方向性・現状】 • キャッチアップ・国家主導型 での大規模な産業政策の実施 【対応】 【対応】 • 「中国製造2025」(15年)と • 産業用ロボットで培った高度 「第十四次五カ年計画」(21 技術基盤と構造的人手不足を ~25年)でロボットに対する 背景とした現場ニーズの高さ 政策支援と投資を展開。 が存在。 ヒューマノイドロボットに • 「ロボット新戦略」(15年)、 約200億ドル以上を割り当て。 「ロボットによる社会変革推 • 同計画では、性能と信頼性が 進計画」(19年)にてロボッ 担保されたロボットのキー ト導入に向けた事業環境整備 コンポ―ネントの国産化を に取り組むも、本格的な社会 目指すことも明記。 実装には至らず。 • 25年3月、ヒューマノイド ロボット等の先端技術に特化 したベンチャーキャピタル ファンドを設立、約1兆元を 投資する体制を整備。 (出典)The Humanoid 100: Mapping the Humanoid Robot Value Chain、その他、各種報道・レポートによる公表情報から引用 • 特に、自動車や半導体を中心 とした産業領域に比較して、 サービス領域では 米欧中に 比較して出遅れ。 38 現場データをAI化する ⚫ AI化されていない現場データは、いまだ多く存在する。こうしたデータを元にしたAIは競争力を持つ。 現場の生データ (構造化・半構造化データ) (非構造化データ) • 形式や関係性がバラバラの まま存在しているデータ データの整理 • 紙面等のデジタル化、ク レンジング 現 場 か ら デ ー タ を 取 得 ・ 保 管 • 内容に基づきタグ付け、 階層化等を行いデータを 整理(製造日、製造番号、製 • 形式や関係性が整理されたデータ • 意味を付与することで、さらに価 値あるデータとすることも可能 • 各データ間の関係性をも とに整理 • 各データに宛先(所在) を付与 前処理 ・・・ テーブルデータ (RDBMS、各データの形式は統一) 設計データ • データの取捨選択 等 (相関が高いデータ、情 報量の低いデータ、機微 なデータの削除など) • アノテーション 動作ログ 生産ラインデータ (イメージ) • 単位、形式を適切に変換 • 数値の正規化 センサログ AIモデル • データをカテゴライズ 保全記録 生産品情報 造場所等) センサーログ 動作ログ AI基盤モデル向け 加工データ マシンリーダブルなデータ 保全記録 保守データ 配管/配線図 グラフデータ (NoSQL、 各データの形式には自由度あり) 特徴量 パラメータ (重み付け) (学習後)パラメータ化 • AIモデル※の学習成果とし て、パラメータを抽出して 基盤モデルへ提供 ※ 基盤モデルに基づく自前のAIモデル を用意していることが前提 39 データセンターの電力需要の見通しについて(2025年1月時点) ⚫ 2025年1月に電力広域的運営推進機関(OCCTO)が公表した需要想定においては、データセンター・半 導体工場の新増設により、2025年度で+56万kW、2034年度で+715万kWの最大電力需要の増加を見 込んでいる。 (出所) OCCTO 2025年度 全国及び供給区域ごとの需要想定について 40 2.今後の論点 41 1.マクロ経済運営のあり方 【方向性】 ➢ 上昇局面にある物価・金利、グローバル経済・国際秩序の変容、テクノロジーの進化といった内外の構造的変化が見られる中、ディマンド プルのインフレと「実質」での持続的成長を実現する新たなマクロ経済構造の形成が必要。 ➢ 実質での持続的成長のためには、競争力強化・外需拡大等により付加価値を生み出す国内投資、増加した付加価値の賃金への分配、賃金上 昇による消費主導の内需の活性化という好循環を促す必要がある。 ポイント①:持続的成長の実現に向けて、現状をどのように評価し、今後どういった方向性で政策を検討していくべきか? 【供給制約に対する取組】 ➢ 人口減少が継続し、労働参加率も世界最高水準で構造的人手不足の中、短期的取組として高齢者・女性等の活躍、短中期取組として省力 化・デジタル化を通じた生産性の向上、さらには少子化対策も急務。 ➢ 今後、人口減少・少子高齢化による人手不足で省力化投資が十分に進まず、供給制約が常態化してしまうリスクが存在するため、スピード 感をもって、省力化を中心とした投資による生産性の向上・事業再構築・事業再編等に取り組むことができるよう、「労働供給制約社会の 中堅・中小企業の『稼ぐ力』強化戦略(仮称)」の検討を進める。また、AI・ロボティクス等の省力化は労働供給を補う観点から成長に プラスであり、導入の摩擦係数も相対的に小さく、日本全体で需要創出や社会的受容の構築が重要。 【国内投資の促進・成長投資への転換】 ➢ 国内投資は実質でも増加しているが、生産能力は低下傾向が続き、投資内容も既存設備の維持・補修が相当程度あり、資本の生産性は低迷。 ➢ 供給制約に対応する省力化投資を含め、投資の量を持続的確保とともに、企業の競争力を高めるために、生産性向上・付加価値創出につな がる成長投資への転換を図ることが必要。 【賃上げ・消費による好循環の実現】 ➢ 労働生産性の絶対値の低さに加え、交易条件の悪化が影響して、実質賃金は停滞。エネルギーの安定供給に加え、成長投資による高付加価 値化によって、生産性向上と輸出物価上昇(日本全体の価格転嫁)による交易条件の改善が必要。 ➢ 将来不安、無形資産経済化に伴うフリー消費の増加により、家計の消費性向は低下。持続的な経済成長のミッシングピースである消費活性 化を実現するため、消費需要の創出に向けた政策体系の構築が必要。 ポイント②:マクロ経済運営をさらに進化させるため、どういった方向性が考えられるか? 【仮説A】 B/S思考でのマクロ経済運営(今後、要検討): ➢ 単年のGDPというフローだけでなく、付加価値を生み出す資産(ストック)に着目したB/S思考でマクロ経済運営を高度化するアプローチ は考えられるか。 【仮説B】AIロボティクス・レディのマクロ経済運営: ➢ AIロボティクスの社会実装が進展する中、機械の更なる労働力化とそれに伴う労働需給管理など、マクロ経済運営もAIロボティクス・レ 42 デイなものへと進化させるべきではないか。 持続的な経済成長を実現するマクロ経済構造とボトルネックの所在 ⚫ 上昇局面にある物価・金利、グローバル経済・国際秩序の変容、テクノロジーの進化といった内外の構造的変化が見られ る中、ディマンドプルのインフレと「実質」での持続的成長を実現する新たなマクロ経済構造の形成が必要。 ⚫ 新たなマクロ経済構造の形成におけるボトルネックと解決策の方向性は以下のとおり。 ① 供給制約解消のための省力化投資・能力増強投資 ② 高付加価値化・競争力強化のための成長投資 ③ 労働生産性向上(←成長投資)、交易条件改善(←高付加価値化)等を通じた実質賃金増 ④ 消費性向の向上による消費の活性化 ▼ディマンドプルインフレの構造とその影響 ▼コストプッシュインフレの構造 需要面 供給面 ① 省力化・能力増強投資 高付加価値化 競争力強化 ③労働生産性向上、交 総需要>総供給 易条件改善等による 実質賃金の上昇 所得増加 コストプッシュ インフレ 供給力強化 供給制約解消によりコスト プッシュ・インフレ回避 資源高 供給制約 総需要>総供給 投資の遅れ ➢ 現下は食料高・資源高による外部起因のコストプッシュインフ レであるが、今後、人口減少・少子高齢化で人手不足による内 部起因のコストプッシュインフレが定常化するリスク 消費活性化 ④ 消費性向の向上 人手不足 食料高 ディマンドプル インフレ 内需増加 供給面(内部起因) ② 国内投資を含む成長投資 企業が価格決定力 を持ち、投資・開 発が活発化 技術革新・ビジ ネスモデル転換 供給面(外部起因) 期待インフレ率上昇 による消費の活性化 ➢ すでに人手不足も影響し、設備投資が計画通り進まない状況が 発現しており、スピード感をもって、省力化を中心とした投資 43 を加速化させることが必要 日本国内における投資・生産能力の推移と投資動機(1/2) ⚫ 国内においては潮目の変化が継続しており、これまで講じてきた国内投資拡大に向けた政策も相まって、民間企業設備 投資額は増加。製造業においても、名目総固定資本形成は過去最高であり、実質総固定資本形成も増加。 ⚫ 製造業の資本ストックは、名目では伸びているものの、実質では直近10年で微増、直近3年は横ばい。供給力の強化に 向けた成長投資が引き続き重要となる。 総固定資本形成(製造業)(2015年基準) (兆円) 資本ストック(製造業)(2015年基準) (兆円) ※2020年基準改定前の数値を利用 40 ※2020年基準改定前の数値を利用 320 38 310 名目 36 300 34 290 32 280 30 270 28 260 250 実質 実質 240 22 230 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 2021 2022 2023 24 (年) (出所) 内閣府 「国民経済計算」(2023年度年次推計 2015年基準) 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 2021 2022 2023 26 名目 (年) 44 日本国内における投資・生産能力の推移と投資動機(2/2) ⚫ 鉱工業生産における製造業の生産量・生産能力は緩やかに低下。 ⚫ 生産能力の向上に直結しない維持・補修目的の投資比率が増加しており、より付加価値を生み出す投資が必要。 生産・生産能力・稼働率の指数(製造業) 投資動機ウエートの推移(製造業) (2020=100) 140 135 生産 稼働率 130 生産能力 125 120 115 110 105 100 95 90 85 80 1994 1995 1996 1997 1999 2000 2001 2002 2004 2005 2006 2007 2009 2010 2011 2012 2014 2015 2016 2017 2019 2020 2021 2022 2024 2025 75 (年) (出所) 左図:経済産業省「鉱工業指数」生産・生産能力・稼働率の全てで「製造工業」の値を使用。生産・稼働率は季節調整済指数。四半期指数に加工。 右図:日本政策投資銀行 「2025年度全国設備投資計画調査」 大企業の設備投資全体を対象と する 45 実質賃金上昇に必要な要素 ⚫ 労働者の実際の購買力を示す「実質賃金」は、労働生産性・労働分配率・交易条件に分解できる。 ⚫ 実質賃金の向上のために各要素を改善するには、供給制約解消のための省力化投資・能力増強投資、高付加価値化・競 争力強化のための成長投資が必要。 実質賃金 = 労働生産性 × 労働分配率 × 交易条件※ - 税・社保負担 ▼実質賃金の要素分解 労働生産性: ➢ 労働時間当たりにどれだけの付加価値(=賃上げ原資)を 生み出せるか 労働分配率: ➢ 生み出した付加価値を労働者にどれほど分配されるか 交易条件: ➢ 輸出価格と輸入価格のバランス • 輸出する物価が上がれば、賃金の原資が増加 • 輸入する物価が上がれば、購買力が低下 ▼必要となる投資 設備投資: ➢ 省力化投資や生産能力増強投資などによって、生 産性が向上 研究開発投資: ➢ 技術革新や新商品開発によって、将来の付加価値 (=賃上げ原資)が増加 ➢ 高付加価値化・競争力強化を達成することで、高い 輸出価格を設定できる 人的投資: ➢ 賃上げを「コスト」ではなく「投資」と考えて実施 ※ 正確には交易条件に含まれる輸出物価、輸入物価だけでなく、影響は小さいが国内需要の各デフレーターと消費者物価指数の差も影響 46 労働生産性と実質賃金の推移 ⚫ 労働生産性:日本の労働生産性は、過去30年で年率で1%以上伸びてきたが、絶対値として未だ低い。 ⚫ 実質賃金:日本の実質賃金は、過去30年で微増にとどまる。 ⚫ 実質家計消費:日本の家計消費は実質賃金と同程度の伸びがあるが、他国と比較して低迷している。 労働生産性の国際比較 35,000 25 25,000 日本 =+0.5%/年 (1991~2023) (1994~2024) 日本 =+0.7%/年 (1991~2023) 20,000 (注)左図:2020年の米国ドル(購買力平価ベース)で実質化したGDPを総労働時間(就業者)で割った値。中図:2020年の米国ドル(購買力平価ベース)を利用して実質化した雇用者報酬を総労働時間(雇用者)で割った値。 右図:2020年の米国ドル(購買力平価ベース)で実質化した家計最終消費(Final consumption expenditure, Households)を人口で割った値。 (出所)OECD.statより作成。 2024 2021 2018 2015 (年) 2012 2024 2021 2018 2015 2012 2009 2006 2003 2000 1997 1994 15,000 1991 2024 2021 2018 2015 2012 2009 2006 2003 2000 1997 15 1994 30 1991 40 20 (年) フランス =+1.0%/年 (1991~2024) 2009 51.0 =+1.3%/年 ドイツ =+0.9%/年 (1991~2024) 英国 =+1.5%/年 (1991~2024) 英国 =+1.5%/年 (1994~2024)30,000 英国 30 =+1.1%/年 (1994~2024) 日本 50 フランス 40,000 =+0.9%/年 (1991~2024) フランス =+0.9%/年 35 (1991~2024) 2006 60 米国 =+1.9%/年 (1991~2023) 2003 67.3 国民1人当たり家計消費額(ドル) 2000 70 ドイツ =+1.0%/年 50,000 (1991~2024) 米国 =+1.5%/年 45,000 (1991~2021) 1997 80 時間当たり実質賃金(ドル) ドイツ 45 =+1.1%/年 83.0 (1991~2024) 83.6 米国 40 81.6 =+1.6%/年 (1998~2023) 1994 90 実質家計消費の国際比較 1991 時間当たり労働生産性(ドル/時間) 実質賃金の国際比較 (年) 47 労働生産性・労働分配率・交易条件の国際比較 ⚫ 先進国の労働分配率は低下傾向にあり、日本は米国・ドイツと比較して労働生産性と交易条件において差がある状況 時間当たり労働生産性 (ドル/時間) 労働生産性の推移 労働分配率の推移 90 (2020年=100) 160 66% 83.0 83.6 64% 80 64% 63% 交易条件の推移 150 ドイツ 62% 140 米国 70 ドイツ 61% 60 60% 59% 130 58% 56% 120 日本 米国 56% 50 日本 110 51.0 54% 55% 日本 100 ドイツ 40 (注)左図:2020年の米国ドル(購買力平価ベース)で実質化したGDPを総労働時間(就業者数×年間の平均労働時間)で割った値。 (出所)OECD.statより作成。 2021 2023 2013 2015 2017 2019 2007 2009 2011 2001 2003 2005 1995 1997 1999 米国 1991 1993 2023 2021 2019 2017 2015 2013 2011 2009 2007 2005 2003 2001 1999 1997 80 1995 50% 1993 90 1991 2023 2021 2019 2017 2015 2013 2011 2009 2007 2005 2003 2001 1999 1997 1995 1993 1991 30 52% 48 2.グローバル競争型産業に関する検討 第1回内外一体のグローバル産業戦略に関する有識者会議 事務局提出資料より抜粋の上加工(2025年12月2日) ⚫ グローバル競争型産業の勝ち筋については、別途開催している「内外一体のグローバル産業戦略に関する有識者会議」で検討。 ⚫ テクノロジー進化や国際秩序の変容といった構造的な環境変化を踏まえて、2035~2040年頃を見据え、今後3~5年かけて 実現すべき産業構造転換の絵姿と、日本の勝ち筋を特定する。加えて、これらを実現するため、日本経済・産業の基盤となる 「OS」改革や国際秩序形成・グローバル連携の方向性、具体的な産業政策のあり方を検討する。 1.現状の日本産業の姿を把握する 2.産業構造の変化の方向性を見通す グローバルな環境変化 3.これからのあるべき日本産業・ 国際経済関係の姿を構想する 産業構造転換のトリガーとなる構造的な環境変化 日本の産業が低迷してきた構造的課題 影響 グローバルな産業構造変化の潮流 ビジネス・エコノミクスの変容と、それが引き起 こす産業の競争・連携における構造的変化 日本のグローバル産業の勝ち筋と 産業構造・国際経済関係のあるべき姿 日本のグローバル産業 の現状と競争力 日本の勝ち筋、国内に構築すべき産業・機能、同志国等 と連携して構築すべき産業・機能、その前提となる国際 経済関係のあり方 これまでの日本の産業構造において強みがあ る領域、競争力の源泉 規定 規定 我が国の政策目的 国内のOS 世界のOS 日本の経済・産業基 盤(OS)の現状と競 争力 輸出入/海外におけ る経済活動の基盤と なる通商関係・国際 秩序 国富を拡大するべく、グローバル産 業戦略の実現により達成すべき政策 目標 実現 国内のOS & 世界のOS 経済・産業基盤(OS)改革と 国際経済関係の方向性 ・産業構造転換・立地競争力強化に資するOS改革の方向性 ・成長国市場で優位性を発揮するための互恵的な関係性・ 連携の新しいあり方 形成 産業・通商・経済安保政策の方向性 49 2-1.日本のグローバル競争型産業における構造的課題(経緯・背景) ⚫ 高度経済成長期以降の日本の産業発展は、先進国へのキャッチアップ型(技術導入・改良による大量生産・輸出) であり、総じて、新たなビジネスモデルの創出を生み出す、産業・企業・人材の基盤が醸成されなかった。 ⚫ 企業経営や産業構造、経済社会システムがこうしたキャッチアップ型経済に最適化されていった中で、バブル 崩壊以降は、人口減少による将来悲観や3つの過剰(債務・設備・雇用)の解消に時間を要した結果、長引くデフレ 経済(※)の中で、企業による成長投資(研究開発投資・設備投資・人的投資)は低迷。 ※人口減少を背景に企業の中長期的な期待成長率は低下。デフレ経済に伴い価格と賃金が据え置かれることにより、企業による付加価値創出に 向けた新たな取り組みが生まれづらくなり、コストカット型の後ろ向きな経営が加速。 ⚫ 海外展開による収益拡大の動きは広がったが、基本的には、過去の成功モデルの横展開(中国等の安い製造拠点への 依存)であり、新たなビジネスモデルの創出を伴う市場開拓には至らなかった。 ⚫ 背景の一つとして、段階的な技術改良・品質向上等を伴う複雑なものづくりを強みとし、それに適合した年功 序列等の組織・人事体系、その帰結で経営者が選ばれるシステムを持つ日本企業は、新たなビジネスモデルの 構築や大胆な転換、リスクを取った巨額投資を伴う経営判断には必ずしも適していないことが挙げられる。 ⚫ また、政府による政策としても、新自由主義的な潮流の中で、企業活動の制約を取り除く市場環境整備が中心 となり、金融システムも、間接金融中心でリスクを取った投資支援との相性は必ずしもよくない上、バブル崩 壊後の不良債権処理等に追われ、リスクの高い新規投資を支える環境に無かった。 50 2-1.日本のグローバル競争型産業における構造的課題① 1.新たなマーケットを獲得する機能の欠如 ✓ 高性能・高品質を追求する一方で、自ら新たな市場・需要を創出し、グローバルスケールに拡大させる機能が不十分である ことにより、技術のタネを新たな市場や収益の最大化に繋げることが必ずしも出来ていない。 ✓ 具体的には、①既存の製品・サービスの改良ではなく、技術シーズを全く新しい製品・サービスに昇華する「0→1」機能、 ②こうした新たなマーケットが生まれる兆しをいち早く察知し、スピード感を持ってグローバル市場を席巻する「1→1万 →1億」機能(ファイナンス&目利き機能)の双方が必要となるが、日本は特に②の機能が十分ではなかった。 ✓ 背景として、高度経済成長期以降、人口や所得が右肩上がりの経済環境の中で、前述の通りキャッチアップ型の大量生産に 適した大企業とその系列というプレーヤー構造が主流でスタートアップが生まれづらく、ファイナンス機能も間接金融が中 心でVC等のエクイティ・ファイナンスは未成熟の状況が続いたこと等が考えられる。 ✓ 結果として、消費者の価値観や選好が多様化し、技術的優位性の陳腐化スピードが速まる中で、グローバル市場のニーズに 合致した製品・サービスを迅速に展開できなかった(国内市場のガラパゴス化)。 例)家電・電気機器:高品質・多機能な製品ラインナップが、低価格・シンプルな機能・サービス化等の世界市場におけるニーズに合致せず、 韓国・中国・台湾等に劣後。 自動車:日本企業の牙城であったASEAN市場においても、中国企業による顧客ニーズを捉えたブランディング(デザイン性や車内の空間設 計に優れたSDV(Soft-Defined Vehicle)戦略等)に押され、シェアを大きく奪われつつある状況。 51 2-1.日本のグローバル競争型産業における構造的課題② 2.過剰な自前主義によるオープンイノベーションやオープン/クローズ戦略の欠如 ✓ 研究開発や量産化の過程において、系列・自社完結に固執して、海外企業を含む外部資源の活用・連携やスタートアップの M&A等によるオープンイノベーションに遅れが生じた結果、技術革新や市場変化への対応が遅れてしまった。 ✓ また、グローバルなビジネスモデルの潮流として、自社の強みを迅速な市場規模の拡大や顧客価値の最大化に繋げるため、 差別化の源泉となる技術・ノウハウ等は秘匿(クローズ化)する一方で、自社のシステム等に他社の製品・サービスを接続 (オープン化)することで、自社を中心とするエコシステムやプラットフォームを形成する流れが加速。 ※GAFAM等のハイパースケーラーは、いかに自社のビジネス領域で独占状態を形成できるか、その領域を拡大できるか、というゲームを展開。 ✓ こうした状況の中においても、日本企業は、純粋な技術力向上と販路拡大を追求した結果、様々な分野で主導権を喪失。 ✓ その背景として、企業内部における現場や事業部門の独立性の強さや経営統治能力の低さも一因であったと考えられる。 例)半導体:日の丸自前主義に陥り、国際的なエコシステムやアライアンスの構築について、供給側(国際的な共同開発・生産に踏みきれず)・ 需要側(海外顧客の開拓に向けたパートナー)の両面から構築できず。 医薬品:開発リスクが極めて高いため、グローバルでは製薬メーカーが創薬スタートアップを買収し、新薬等の市場投入を加速化させること が潮流の中、日本の製薬産業は、一部企業を除いて、スタートアップとのオープンイノベーションが不十分な状況。 携帯電話:NTTドコモのiモードは、AppleのiPhoneが展開した技術的基盤を既に保有していたが、携帯キャリア主導の閉鎖的なエコシステ ムによってグローバルな市場拡大には至らず。他方、iPhoneは、通話などの「電話としての機能」ではなく、「顧客との接点と してのデバイス」と再定義し、他社の開発アプリを乗せるプラットフォーム型のビジネスモデルを展開することで、世界規模でエ コシステムを形成。 52 2-1.日本のグローバル競争型産業における構造的課題③ 3.投資の規模・スピード・継続性(研究開発・量産化投資) ✓ 技術優位性がある領域であっても、スケーラビリティ(規模の経済)を働かせ、グローバルで高いシェアを取ることによる 高収益を実現するまでの投資規模とスピードで海外企業に劣後。その結果、更なる投資拡大や、次代の研究開発投資を忍耐強 く継続的に行う原資も十分に確保できず、海外企業に追い抜かれることとなった。 ✓ マーケット起点でグローバル市場を確保する意志の不足により、国際競争に負けない大規模でスピード感ある投資が行われて こなかったことも一因だと考えられる。 ✓ また、垂直統合から水平分業へのビジネスモデル転換(集中特化することで、より大規模な投資と高いシェアの獲得が可能となる) など、グローバルな潮流に則した迅速な経営判断を伴う巨額投資は尚更困難であった。 例)半導体:日米半導体協定以降、官民ともに将来に向けた思い切った投資ができず、水平分業型(ファブレス・ファウンダリ)へのビジネスモ デル転換の中で、上流の設計は米国、下流の製造は韓国・台湾の巨額投資に遅れをとり、シェアを奪われた。 太陽光パネル:1990年代までは技術優位性・市場シェアを有していたが、世界中の需要拡大に対応した量産体制を構築する規模・スピードの 投資で劣り、国家支援も背景とする中国企業に市場を席巻された。 53 2-1.日本のグローバル競争型産業における構造的課題④ 4.適切な事業展開や大胆な判断を遂行する経営能力の欠如 ✓ 前述のとおり、日本企業・産業の発展経緯や組織・人事体系は、リスクを取った大胆な経営判断に必ずしも適していない。日 立やSONY等、経営危機に陥った企業の中には、大胆な経営改革を断行できる企業も存在するが、限定的。 ✓ 中国・韓国企業の急速な台頭などグローバルな競争環境が激しく変化する中にあっても、既存事業の再編・統廃合、さらには 合理的判断に基づく撤退などの迅速な事業ポートフォリオの転換を進めることができず、国内企業間でコストカット型の過当 競争が激化。結果、グローバルな競争力を維持できないのみならず、新たなビジネス領域への展開も遅れを取ってしまった。 例)テレビ・音響機器:中国・韓国企業等のコスト競争力が高まる中、複数の国内企業同士で、ガラパゴス化にも繋がる高機能化とコストカット 競争に陥った結果、日本産業全体で市場シェアを喪失。 5.社会変革に繋がるイノベーションに対する適応の弱さ ✓ 非連続な技術革新・イノベーションであればあるほど、技術からビジネスへの転換に際して、製品・サービスのあり方自体 が変わるような抜本的なビジネスモデルの転換を伴うことが必至。 ✓ そのような中、前述のとおり段階的な技術改良・品質改善等を強みとしてきた日本の産業・企業・経営は、こうした大胆な ビジネスモデルの転換への適応力が弱く、その主体となる人材の育成・教育やスタートアップの厚みが存在していなかった。 ✓ また、新たなイノベーションの社会実装・普及の基盤となる社会規範(国民の受容性)や規制・制度についても、米国・中国 等と比較した際、迅速な変革が行われづらい環境にあったことも遅れを取る一因であったと考えられる。 54 2-1.日本のグローバル競争型産業における構造的課題(政策的対応の視点) ⚫ デジタル・AI等のテクノロジーの進展等に伴い、国際競争に打ち勝つために必要な投資規模は拡大。このような中で、世界中 で自国優先の大規模な産業政策が展開。 ⚫ こうした時代において、「技術で勝って、ビジネスで負ける」構造から脱却するためには、日本としての「勝ち筋」を官民で 共有しつつ、戦略分野における新たな市場・需要創出や大胆かつ迅速な投資の促進や自前主義にとらわれないイノベーション の創出、世界で勝てるビジネスを展開するための企業経営改革を進めていくことが必要。 1.マーケット獲得を実現する産業政策(成長投資促進・需要創出) 要因①:マーケット 獲得機能欠如 ✓ 社会課題等を起点とした市場・需要の創出・獲得に向け、規制・規格の導入や政府調達を戦略的 に活用することで、投資の予見可能性を高める。 要因②:自前主義 ✓ ライバル企業に対抗し得るスケーラビリティを確保するための大胆な投資を可能とする政策的 措置・ファイナンスシステムの構築。投資支援も、単年度でなく複数年度で、中長期での回収も 念頭に。「0→1」を超えて、スピーディーに「1→1万→1億」に繋げるファイナンス機能強化も。 要因③:過少投資 ✓ 政策的措置を講じる戦略分野や支援企業の選定にあたって、単なる技術力等ではなく「勝ち筋」 となるビジネス戦略があるか、プロフェッショナルも交えてシビアに精査。 2.自前主義にとらわれないイノベーション創出 要因④:経営能力欠如 要因⑤:社会変革への 適応力欠如 ✓ 研究開発から量産化までの一気通貫での支援を展開する中で、国際共同研究や国際頭脳循環、 戦略的なM&Aの促進、スタートアップ創出・活用や大学改革を含めた産学官連携の高度化を ビルトイン。 3.世界で勝てるビジネスを展開するための企業経営改革 ✓ リスクを取った成長投資や新興市場への挑戦、迅速な事業ポートフォリオの転換等の非連続な 経営判断を迅速に断行できる企業経営への転換を促進。 ✓ 産業全体での企業経営改革は、新陳代謝の促進を伴うダイナミズムある産業構造の実現に資する。 55 2-2.グローバル競争型産業に関する検討 ⚫ グローバル競争型産業の勝ち筋については、別途開催している「内外一体のグローバル産業戦略に関する有識者会議」 において、以下の5つの論点を検討。 「1.グローバル産業戦略検討の前提となる現状認識」について ⚫ グローバル産業戦略検討の前提となる現状認識(日本の産業の現状・環 境変化・政策目的)についてどのように考えるべきか。 「2.グローバルな産業構造変化の潮流」について 内外一体のグローバル産業戦略に関する有識者会議委員一覧 (敬称略) ⚫ 伊藤元重 東京大学 名誉教授 ⚫ 遠藤信博 日本電気株式会社 特別顧問 ⚫ 川瀬剛志 上智大学法学部 教授/独立行政法人経済 ⚫ 構造的な環境変化は、 ビジネス・エコノミクスにどのような変化をもた 産業研究所 ファカルティフェロー らすと考えるべきか。その結果、産業内/産業間の競争/協調の構造や、 ⚫ 澤田純 NTT 株式会社 取締役会長 グローバル・バリューチェーンのあり方にどのような変化が生じるか。 「3.日本のグローバル産業の勝ち筋と産業構造・国際経済関係のあるべき姿」 について ⚫ 日本の産業はどの領域を勝ち筋として、それぞれの勝ち筋における戦略 の方向性はどうあるべきか。その上で、産業活動の前提ともなる国際経 済関係を構築する方向性はどうあるべきか。 「4.経済・産業基盤(OS)改革と国際経済関係の方向性」について ⚫ 産業構造転換やグローバル立地競争力強化に資する経済・産業基盤(O S)改革の方向性は何か。 ⚫ 国際経済秩序の形成や成長国市場における日本の優位性の発揮に向けた、 互恵的な関係性や連携の方向性をどのように考えるか。 「5.産業政策・通商政策・経済安全保障政策の方向性」について ⚫ 鈴木一人 東京大学公共政策大学院 教授・国際文化 会館 地経学研究所長 ⚫ 半沢淳一 一般社団法人全国銀行協会 会長/株式会 社三菱 UFJ 銀行 取締役頭取執行役員 ⚫ 松尾豊 東京大学大学院工学系研究科 教授 ⚫ 峰岸真澄 株式会社リクルートホールディングス 代 表取締役 兼 取締役会議長 ⚫ 森雅彦 DMG 森精機株式会社 代表取締役社長 兼 グループ CEO ⚫ 安永竜夫 一般社団法人日本貿易会 会長/三井物産 株式会社 代表取締役会長 56 2-3.「新技術立国・競争力強化」の検討 ⚫ 「危機管理投資・成長投資の戦略分野」と並行して検討する「分野横断課題」のうち、経済産業大臣は「新技術立国・競争力 強化」の担当大臣。下記のような議論の場を活用して検討を推進。 産業構造審議会 経済産業政策新機軸部会 ⚫ 「新技術立国・競争力強化」に関する議論全体を集約し、全体としての方向性を示す。 ⚫ その上で、「新技術立国」については、イノベーション小委員会において関係省庁も交えて検討を進め、新機軸部会へ報告。 「競争力強化」については、個別の政策課題に関する審議会等での検討も踏まえ、新機軸部会を中心に検討を進める。 競争力強化 報告 新技術立国 産業構造審議会 イノベーション小委員会(1月キックオフ) ※経産省・内閣府CSTI・文科省・内閣官房NSS・防衛省・外務省 <想定される政策課題> ⚫研究開発法人の技術シーズの徹底した社会実装 ⚫防衛調達をはじめとする官公庁による調達 ⚫規制・規格の導入による新たな需要創出・拡大策 <想定される政策課題> ⚫分野横断的な設備投資等の促進 ⚫人材・ファイナンス・計算資源・エネルギー・産業用地・インフラ など産業基盤の整備 ⚫企業再編の促進等の制度改革による事業環境整備 ⚫分野横断的な海外展開支援・国際標準化戦略 等 ※地域毎の産業クラスター形成や産業用地等のインフラ整備は、政府全体 としては「地域未来戦略会議」での議論 ⚫世界で競い成長する大学の実現に向けた施策 等 ※人材育成・労働市場・ファイナンス等については、別途の横断課題とし て設定されているため、当該課題を議論する分科会とも連携 ※スタートアップ政策は、別途の分野横断課題として議論 ※新機軸部会のほか、個別論点に関する審議会等での議論を反映 57 ※経済安全保障の推進についても「新技術立国・競争力強化」の内数と整理されていることから、内閣官房・内閣府(経済安全保障担当)と連携。 3.域内循環型産業 【背景】 ⚫ 域内で生産・消費が完結する域内循環型産業は、主としてサービス業で構成されており、底堅い需要により地域経済を支える重要な産業。 しかし、人口減少・少子高齢化に起因する域内需要の減退と構造的な人手不足により、循環経済が縮減しつつある。 ⚫ 中でも、人々の生活に不可欠な物品および役務を提供するエッセンシャルサービス(ES)において、構造的な人手不足による供給不足が 先鋭化。ES供給不足は全国的な問題であるが、過疎化が進む需要密度が低下している地方で先行している。 ⚫ 経済全体の基盤であるESの供給不足による地域の生活環境の悪化は、産業の担い手である生活者の域外流出に繫がるおそれ。地域の人的資 源の喪失は、工場等の産業資本の機能不全や国内投資・立地促進の制約を生じさせるなど、国内経済への甚大な影響を及ぼし得る。 ⚫ したがって、マクロ経済運営の観点からも、ESの供給の持続性確保は経済産業政策として取り組むべき重要な政策課題。 【当面の政策の方向性】 ⚫ ES供給事業の公益性の高さについての社会的認知度の向上 ⚫ 事業運営の効率化や事業主体の合理化といった事業の採算性向上のための創意工夫を後押し ⚫ 様々な需要環境におけるES需要を満たすため、多様な主体の参画を促進するとともに、中間団体も参画する支援体制を構築 ポイント:中長期的課題としてのエッセンシャルサービスの供給維持にどう向き合うか? ➢ 少子高齢化によって、生産年齢人口の減少により供給減となる一方で、高齢化により需要が増加することにより、ESの需給バランスが 崩れることが本質的な課題。こうした状況において、供給不足解消のためにはどういった方策が有効か。 ➢ 人口密度が低下する中、各地域における需給のバランスを踏まえた効率的なES供給のあり方をどのように考えるか。 ➢ 民間の経営努力による事業採算性向上を通じて持続性を確保できるケースもあれば、需給両面の状況から公的資金が必要なケースも存 在。公設民営など財政措置の選択肢も併せて、官民によるES供給維持の方策の全体像を描く必要。 ➢ ESの卸小売など、参入障壁の低さにより過当競争になり価格競争が激化しその結果低賃金となる傾向があることから、人手不足下でも 労働移入が起こりにくく、他の産業に比べて供給不足が深刻化するという構造的な課題がある。こうした構造を踏まえた制度的検討の 必要はあるか。 58 4.ディマンドサイド改革(消費活性化) 【方向性】 ⚫ 名目では賃上げの潮目の変化が生じているが、実質での賃金上昇は道半ば。共働き等で家計の可処分所得は増加している が、将来不安、ネットの流通に伴うフリー消費の増加により家計の貯蓄率は上昇しており、実質消費は低迷。 ⚫ マクロ経済の好循環において「消費活性化」はミッシングピース。実質賃金向上に加え消費需要創出政策の検討が必要。 ⚫ 近年の消費動向は、デジタル広告等によって購買行動が多様化・即時化する一方で、生活の質の向上や個人・社会全体の 将来投資に繋がらない消費も見られる。単に消費量の拡大だけでなく、「質の高い消費(個々人にとっての充実感、将来 投資につながる消費) 」の促進が重要。 ポイント①:消費の活性において、安心して消費できるよう、持続的な家計の収支構造の確保をどのように進めるべきか? ⚫ 消費性向は”生涯可処分リソース”が重要な決定因子。一時的な可処分所得増ではなく、生涯通しての増加の予見可能性と 将来支出の安定性を確保するため、持続的賃上げと、負担と給付のバランスが取れた社会保障システムが重要。 【仮説A】持続的賃上げ: ➢ 一時的な賃上げではなく、成長投資・省力化投資を通じた労働生産性、交易条件の改善による持続的な賃上げが必要。 【仮説B】負担と給付のバランスが取れた社会保障システム: ➢ 制度設計当時の人口増加・高度経済成長という前提の経済社会構造が大きく変化し、給付・負担のバランスに偏りが 生じる中、制度の持続可能性が課題であり、負担と給付のバランスが取れた社会保障システムの実現が重要。 ポイント②:フリー消費が増加し「有償な消費」の難易度が上がる中、どのようにして需要を創出するか? 【仮説A】質・量両面での消費需要創出の追求: ➢ 「質の高い消費(個々人にとっての充実感、将来投資につながる消費)」は、消費者の満足度を高め、次の消費につ ながることで消費の好循環を生む連続性の高い消費であり、量と質のバランスを追求することが重要。 ➢ 消費意欲は、個人・社会の価値観によっても変動。今後、AI・ロボティクスにより時間の使い方、生活・価値観が変 化する中、どのような価値観が潜在需要を刺激し、良質な消費増につながるのか。 ➢ 消費政策は、消費者が政策顧客となるが、どのような手法であればガバメントリーチが効きうるのか。 【仮説B】toC産業の再構築: ➢ 良質な消費意欲に対するサプライサイドの産業政策として、モノづくりやサービスが融合したtoC産業の再構築が重要。 59 消費需要の活性化 実質家計消費の停滞 可処分所得の停滞 ➢ 実質賃金の停滞(配偶者収入の増加に伴い家計の 可処分所得は増加) ➢ 社保負担の増加 将来不安に伴う 貯蓄の増加 消費性向の低下 ➢ 勤労者世帯では実質可処分所得は増加しているが、消 費性向が低下 テクノロジーの進化に伴う 消費のフリー化 ライフスタイル変化に伴う 消費の変化 ※支出を伴わない余暇の充足 海外への需要流出 ① 持続的な家計の収支構造の確保 A) 持続的賃上げ B) 負担と給付のバランスが取れた社会保障システム ② 「有償な消費」需要の創出 A) 質・量両面での消費需要の創出 B) toC産業の再構築 消費における「質」 「消費行動」の構造化 3つの領域が重なる 質の高い消費需要を創出 ➢ AI時代で生活が変化する中、消費量だけでなく、 消費における質にも着目 国内企業による提供 • 好循環を生む消費 • 資産形成につながる消費 等 ➢ 価値観の変化による個人の充実感の変化と、 個人の充実感 社会課題の解決 社会課題解決が重なる需要と市場の創出を検討 個人の将来への投資 欲望の解消の行為として消費 消費 ディマンド/ ウォンツ/ニーズ 欲望 根源的欲求 価値観基盤 心が動く良い消費体験は、 次の良い消費体験につながる 「消費の好循環」 需要の創出において、 価値観基盤の変化に着目 60 未来の経済運営のあり方(中長期的な検討課題) 【方向性】 ⚫ 2040年というタイムラインを前提とすれば、資本主義のあり方を含め、現状の経済社会システムの前提となるコンセプ トや基幹システムにパラダイムシフトが起きるリスクも想定する必要がある。国際秩序の変容やテクノロジーの進化と いった外部環境変化は、こうしたパラダイムシフトの発生可能性を高める効果も持ち得る。 ⚫ こうした経済社会システムのパラダイムシフトについては、国内外、様々な有識者からも問題提起がされている。こうし た議論も踏まえ、中長期的な視点から、どういった可能性があり得るのか、検討を深めていく。 ポイント①:資本主義の変容 ⚫ 資本主義のあり方については、利潤最大化を目的とした株主至上資本主義の中心地、米国においても、格差問題や多様な 価値観との乖離、プラネタリーバウンダリーとの非整合等、様々な制度疲労の指摘や変容の必要性が問題提起されている。 ⚫ 持続可能な資本主義とはどのようなコンセプトか、その資本主義を体現するためには、どのような経済社会システムの変 容が求められるのか等、幅広い論点について議論を深める。 ポイント②:未来テクノロジーの社会実装 ⚫ AI・量子・ロボティクスやライフサイエンスといった未来テクノロジーは、ビジネスや産業構造を超えて、経済社会シス テムのあり方そのものを変容させる可能性を秘めている。 ⚫ こうした未来テクノロジーの進化は非連続的、同時多発的に発生する可能性もあるため、変化が見えてからでは、対応に 係る摩擦係数が甚大になる可能性。どのような変化・影響が発生するかについての「あり得る幅」と「対応の方向性」に ついて、産官学でコンセンサス形成を図っていく。 ポイント③:新たな国際秩序のあり方 ⚫ 地政学リスクの高まりやテクノロジーの進展による構造的な格差の拡大等、国際情勢を取り巻く構造的な変化によって、 グローバル・インバランスの限界など、従来の国際秩序が維持困難となる時代に突入。ポピュリズムやアンチ・グローバ リズムの潮流が拡大し、各国の政治経済システムは不安定化。 ⚫ こうした状況を踏まえ、新たな国際経済秩序や枠組みを有志国とも連携しながら維持・強化・再構築していく。 61 反グローバル化の背景にある格差拡大 ⚫ 反グローバル化の背景として、世界的に所得格差が拡大。米国におけるラストベルト地帯など、国際競争 で劣後した地域は、優位性を築いた西海岸等と比べて、自由貿易を忌避する傾向。 主要各国ジニ係数推移 アメリカでの賃金格差 (州別中央値賃金 2023年) 近年、世界的に所得格差の拡大が顕著になっており、これを示す 指標の一つであるジニ係数が多くの主要国で上昇傾向に 0.48 0.42 【ラストベルト地帯】 • 1950~1970年代、ラストベルト地帯は全米有数の高賃金地域で、 1980年にはミシガン州フリント市が若年労働者の賃金中央値で 全米最高水準を記録 • しかし、中国の台頭でコスト競争が激化し、製造業の縮小が 進んだ結果、失業が増え賃金が低下、西海岸との格差が広がった 2000 2024 0.41 0.36 0.36 0.32 0.32 0.34 0.35 0.35 0.32 0.31 0.33 0.26 ア メ リ カ 中 国 イ タ リ ア ド イ ツ 日 本 イ ギ リ ス カ ナ ダ 1. 中国のみ2024年ではなく2022年のデータ 出典先:中国統計局; 厚生労働省; Statista. (December 2, 2024). Ranking of the Gini index by country 2024 [Graph]. In Statista; U.S. Census Bureau, 2023 American Community Survey, 1-year estimates; 2023 Puerto Rico Community Survey. 62 (再掲)今期の新機軸部会の方向性 ⚫ マクロ経済環境やAI等のテクノロジーの進展や国際経済秩序の変容といった外部環境変化を踏まえ、新たに検討すべきアジェンダも含めて、 本質的な政策課題を洗い出し、迅速に対応すべき課題については政策的措置を具体化。今期は、以下の重点アジェンダを中心に議論。 「1.マクロ経済運営のあり方」について ⚫ 実質での持続的な成長に向けて、競争力強化・外需拡大等により付加価値を生み出す国内投資、増加した付加価値の賃 金への分配、賃金上昇による消費主導の内需の活性化という好循環をいかにして実現していくか。 「2.グローバル競争型産業」について(「新技術立国・競争力強化」) 「2-1.日本のグローバル競争型産業における構造的課題」 ⚫ 日本のグローバル産業の競争力低迷をもたらした構造的要因はなにか。 「2-2.グローバル競争型産業における勝ち筋の検討」 ⚫ マーケットスケール/グローバルシェアを確保する高付加価値型の国内産業構造とグローバル・バリューチェーンの絵姿 をどのように具体化していくか。 「2-3.分野横断的課題である経済・産業基盤(OS)の改革」 ⚫ 分野横断的な設備投資等の促進や、人材・ファイナンス・計算資源・エネルギー・産業用地・インフラなど産業基盤の 整備をいかにして実現していくか。 ⚫ (「新技術立国」:イノベーション小委員会で別途議論)日本に強みがある技術の社会実装や勝ち筋となる産業分野の 育成を促進する「新技術立国」の実現のため、研究開発法人の技術シーズの徹底した社会実装、防衛調達をはじめとす る官公庁による調達、規制・規格の導入による新たな需要創出・拡大策などをどのように実現していくか。 「3.域内循環型産業」について ⚫ 地域経済を支えるエッセンシャルサービスの持続性をいかにして向上させるか。 「4.好循環のミッシングピースである消費活性化」について ⚫ 安心して消費できるような持続的な可処分所得の確保のあり方、消費活性化に資する産業政策のあり方など、「消費活 63 性化」のための政策はどういったアプローチが考えられるか。 今後の想定スケジュール ⚫ 本日 キックオフ(現状認識・今後の論点提示) ⚫ 年明け以降 各重点アジェンダに関して、個別に検討を進め、財政フレーム、ファイナンス、制度・規制改革など の横割り政策課題について議論 (関連する委員会等の議論も踏まえた経過報告) ⇒ 日本成長戦略会議における「新技術立国・競争力強化」等の議論へ ・ ・ ・ ⚫ 来春 第5次中間整理(案) ⇒ 日本成長戦略・骨太方針へ 64
産業構造審議会 経済産業政策新機軸部会 第29回 議事録・配布資料全文 | PPPT