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産業構造審議会 総会 第33回

2024-08-01一次資料(出典)

議事録・配布資料の全文(政府公表資料より。要約でなく原文に基づく参照用)。

産業構造審議会 総会 第33回 資料産業構造審議会 総会 第33回 資料産業構造審議会 総会 第33回 資料産業構造審議会 総会 第33回 資料産業構造審議会 総会 第33回 資料産業構造審議会 総会 第33回 資料産業構造審議会 総会 第33回 資料産業構造審議会 総会 第33回 資料

議事録

第33回産業構造審議会総会 議事録 日時:令和6年8月1日(金)14:00~16:00 場所:本省17階国際会議室 1. 出席者 委員主席者 対面:十倉会長、伊藤委員、大谷委員、大野委員、鎌倉委員、 神保委員、関灘委員、滝澤委員、武田委員、沼上委員、 浜口委員、坂野委員、福田委員、柳川委員、小林委員、隅委員 オンライン:工藤委員、新宅委員、中室委員、益委員、御手洗委員 矢澤委員 経済産業省出席者 対面:齋藤経済産業大臣、飯田経済産業事務次官、片岡大臣官房長、 藤木経済産業政策局長、山崎大臣官房総務課長 オンライン:松尾経済産業審議官、成田総括審議官、細川産業保安・ 安全グループ 保安政策課長、茂木政策立案総括審議官、 湯本技術総括・保安審議官、松井福島復興推進グループ 総合調整官、辻本福島復興推進グループ長、荒井通商政 策局長、西川貿易経済安全保障局総務課長、菊川イノベ ーション・環境局長、龍崎脱炭素成長型経済構造移行推 進審議官、伊吹製造産業局長、野原商務情報政策局長、 南商務・サービス審議官、村瀬資源エネルギー庁長官、 畠山資源エネルギー庁次長、田岡特許庁総務部総務課長、 飯田中小企業庁次長、佐合関東経済産業局長 2.議題 「経済産業政策の新機軸第3次中間整理について」 「令和7年度経済産業政策の重点(案)について」 「令和6年7月の機構改革等について」 「令和5年度に講じた政策に関する政策評価(事後評価)について」 - 1 - 3.議事概要 (1)事務局説明 ○山崎総務課長 それでは、本日の議事に先立ちまして、事務局からまず委員の御出欠 について御連絡をさせていただきます。 今回から新たに、関灘委員、福田委員に御参加いただいております。ありがとうござい ます。 また、臨時委員といたしまして、新たに、総合資源エネルギー調査会の隅会長にも御参 加いただいております。 なお、益委員は途中からオンラインで御参加、小林委員は途中での御退席、今回、新た に委員として加わっていただきました安永委員は御欠席となってございます。 それでは、十倉会長、進行のほう、よろしくお願いいたします。 ○十倉会長 それでは、ただいまより、第33回産業構造審議会総会を開会いたします。 委員の皆様におかれましては、御多忙のところ、御出席いただきまして、誠にありがと うございます。 本日は、齋藤経済産業大臣に御出席いただいております。議論に入る前に、大臣から一 言、御挨拶を頂きたいと思います。大臣、どうぞよろしくお願いします。 ○齋藤経済産業大臣 本日は、お忙しい中、また、猛暑の中、お集まりいただきまして、 誠にありがとうございます。産業構造審議会総会の開催に当たりまして、一言、御挨拶さ せていただきます。 ここ数年の産業政策の成果もありまして、現在、日本経済は大きく変化するチャンスを 迎えています。 設備投資額につきましては、十倉会長のリーダーシップの下で、経団連から2027年度 に115兆円という意欲的な目標をお示しいただきまして、官民連携で取組を進めてまいり ました。昨年度は、過去最高水準の伸びを記録した前年度に次ぐ水準の設備投資の伸びを 記録いたしまして、1991年度以来の100兆円を突破いたしました。今年度もそれに次ぐ水 準で増加する見込みであります。 また、賃上げも、今年の春季労使交渉では5.1%の伸びと、33年ぶりの高い伸びを達成 しています。 まさに潮目の変化の今、デフレ構造から新しい経済ステージへの移行ができるか否かの 正念場になろうかと存じます。 - 2 - 世界的に需要が拡大する将来の飯の種となる分野で、日本企業が世界で勝負して勝ち抜 けるよう、前向きな挑戦を強力に後押ししていくことによって、国内投資とイノベーショ ン、そして所得向上の好循環を実現していくということが重要であります。 こうした観点から、本日、来年度の経済産業政策の重点(案)を提示させていただいて おります。 例えば、GX、エネルギーの分野では、排出量取引制度の検討等も進め、支援と規制を 組み合わせ、同志国とも連携してGX市場を獲得していきます。 再エネや原子力、水素、CCUS等の脱炭素エネルギーの供給拡大、エネルギー基本計 画の改定に向けた議論にも万全を期していきたいと思います。 また、イノベーション・新陳代謝の加速に向けて、AIの性能向上のための環境整備、 先端半導体の確保、量子の研究開発等に政策的支援を講じます。 所得向上のため、成長志向の中堅・中小企業の後押しを強化する政策も重要であります。 こうした政策を支える経済安全保障の確立にも力を入れてまいります。 さらに、重要政策を着実に実施する体制とするため、イノベーション・環境局や貿易経 済安全保障局の新設などの機構改革も7月に実施いたしました。本日の会議内でも御報告 をさせていただきます。 歴史的な転換点に立つ今こそ、経済を成長型に転換するという政府の強い覚悟を示して、 具体的な取組を進めていくことが必要であります。一人一人の国民が豊かに生活できる未 来に誇れる日本をつくるため、世界をリードする先端分野にあらゆる政策を総動員してま いります。 そのためにも、委員の皆様には、忌憚のない御意見を頂戴いたしたいと思います。本日、 御審議いただいた内容を踏まえ、来年度の予算、税制、制度改正を含めた今後の経済産業 省の政策運営に反映してまいります。闊達な御議論をよろしくお願いします。 私は18年ぶりに経済産業政策の現場に戻ってまいりまして、一つ驚いたことがありま して、この数年、世界の産業政策に対する取組が一変してきているのではないかと思って います。アメリカ、EU、中国、韓国も、自国産業ファーストの観点から、かつては考え られなかったような巨額な財政資金を個別の産業に投入するという時代に変わっておりま した。2022年にできたアメリカのCHIPS法では、補助金と融資を合わせて、半導体 産業に14兆円という巨額の資金をつぎ込む。3月にはインテルの新増設にも、融資も含 めて2.9兆円の国費をつぎ込むという時代に変わってきています。 - 3 - そういう意味でいいますと、日本も劣後するわけにはいかないという思いを強くしてお りますし、これから経済産業省が講じる産業政策の一つ一つが日本の産業の将来に大きな 影響を与えるという局面に我々は直面しているのではないかと強く思っていますので、ぜ ひ先生方の忌憚のない前向きの御検討を頂ければと思います。 以上です。どうもありがとうございました。 ○十倉会長 大臣、どうもありがとうございました。 齋藤大臣におかれましては、次の日程がございますので、ここで御退席となります。ど うもありがとうございました。 プレスの皆様の撮影はここまでとさせていただきます。御退席をよろしくお願いいたし ます。 それでは、本日の議事に入ります。 本日は、まず「経済産業政策の新機軸第3次中間整理について」、2つ目に「令和7年 度経済産業政策の重点(案)について」、3つ目に「令和6年7月の機構改革等について」、 4点目として「令和5年度に講じた政策に関する政策評価(事後評価)について」の4点 を御報告させていただき、その上で、皆様方の御意見を頂きたいと思います。 なお、本日の会議は、YouTubeで生放送させていただきます。 最初に、事務局より資料を説明いたします。 まずは、「経済産業政策の新機軸第3次中間整理について」、藤木局長からよろしくお願 いいたします。 ○藤木経済産業政策局長 ありがとうございます。経済産業政策局長の藤木でございま す。 お手元の資料1に沿いまして、今年の6月にまとめた第3次中間整理のエッセンスを御 紹介したいと思います。 表紙を開けていただきまして、右下2ページでございます。 2021年、3年前の産構審総会で最初に御紹介したわけでございますが、社会課題を解 決して、ミッション志向の産業政策をやっていく。そして社会基盤の組換えをやっていく ということで、この経済産業政策は毎年毎年コロコロ変わっていくということではなくて、 一つ軸を通していくということで、新機軸という取組を行っているところでございます。 この中で、国内投資を拡大し、イノベーションを加速し、国民所得の向上につなげると いうことで、この3つが好循環を生んでいくと。このような経済の動きを構想しつつ、そ - 4 - こに掲げてございますミッション志向の産業政策(8分野)、GX、DX等、また、それ に横串を刺す社会基盤の組換えということで、人材、スタートアップといったものを挙げ ているところでございます。 次のページを御覧ください。 国内投資がなぜ問題なのかということで、これはドイツとの比較にしてございますが、 潜在成長率はどこが違っているかというと、この絵でいいますと、日本において、ブルー の資本投入量が欠けてきたというところが大きな要素ではないかと思っております。 また、次のページの右側を御覧いただきますと、残念ながら、先進国の中において、日 本だけ実質賃金が上がっていかないという現象が起こっているわけであります。 こういう中で、こういった動きを転換させていくことが我々の当面の最大ミッションで あると考えております。 次のページを御覧ください。 そういうことで、様々な対策を打っていく中で、これは令和5年度の補正予算で動き出 している投資のプロジェクトということで、日本全国に、また、広い分野で広がっている ところでございます。 次のページ、6ページを御覧いただきますと、設備投資の状況でございます。 左側の短観の数字でございますが、グリーンの2024年度、まだ年度が始まったばかり でございますが、かなり高い水準の滑り出しになっているということでございますし、右 側を御覧いただきますと、先ほど大臣の挨拶にございました2027年度115兆円という目標 に向けて、まさにオントラックで、順調に設備投資が伸びているという状況があるわけで ございます。 また、賃金は、次の7ページでございますが、春闘の結果ということで、昨年度、202 3年度は3.58%ということで、久しぶりに高い水準だったわけでございますが、今年はそ れを上回る5.10%ということで、もちろん、足元、物価の上昇ということがあるわけでご ざいますが、それを上回る勢いでの賃金の上昇がここで見られることになってきたという 状況にあると思います。 我々としては、こういった好循環をさらに続けていかなければならないと思っておりま す。 次、8ページでございますが、まさに人口が減っていく中で、悲観論は様々あるわけで ありますけれども、こういった好循環をしっかり回していくことで、日本経済は中長期的 - 5 - にしっかりと伸びていくのだというシナリオを2040年頃に向けて書いていく。それが大 切なのではないかということで、この辺を書いてございます。 左側で、社会課題解決の価値化、データドリブンでの新たな価値創出、GX、DXとい ったものを通じて世界の創造拠点となり、生活の質を高めていく。こういったことで、日 本が投資先として選ばれる国になっていく。そのための産業政策ということで、それを通 じて、右側にございますが、可処分所得、あるいは心地よい生活を実現する。企業が投資 を進める。このような前向きの動きが定着していく。このような姿を描いていきたいと思 ってございます。 6月の段階では、こういった定性的な分析にとどまっておりますが、今後検討を進めま して、例えば、国内投資、生産性、賃金といったものは数字的にどういった動きになるだ ろうか、これは破綻なく回るものだろうかといったことについても今後トライしてまいり たいと思ってございます。 最後のページでございますが、いずれにしても、今申し上げましたように、国内投資、 イノベーション、所得の向上、この3つにフォーカスをする形で、私どもも政策をしっか りと打っていきたいと考えているところでございまして、この後、御紹介する7年度に向 けた政策検討も、こうしたものを柱に取り組んでまいりたいと考えているところでござい ます。 私から以上でございます。 ○十倉会長 ありがとうございました。 続きまして、「令和7年度経済産業政策の重点(案)について」、「令和6年7月の機構 改革等について」、「令和5年度に講じた政策に関する政策評価(事後評価)について」の 3点につきまして、片岡官房長から説明をお願いいたします。 ○片岡官房長 ありがとうございます。資料2、3、4につきまして、併せて御説明を させていただきます。 資料2を御覧ください。 令和7年度に向けた経済産業政策の重点(案)について御説明いたします。 これは、経済産業政策の新機軸の中長期的な観点を踏まえつつ、来年度にかけて実施す る政策をまとめまして、今月末の予算要求や税制改正要望などに反映していくものでござ います。 足元では、過去最高水準に匹敵する設備投資、賃上げの実現など潮目の変化が生まれて - 6 - います。このチャンスを捉え、デフレ構造から新しい経済ステージへの移行を実現してい くことが必要です。 日本企業・国民の前向きな挑戦を強力に後押しする施策の展開を通じて、一人一人が豊 かに生活できる2040年頃の日本を実現していく。 このために、(1)、(2)、(3)とありますが、国内投資拡大の継続・対日投資の拡大、 イノベーション・新陳代謝の加速、国民の所得向上の3つの好循環を生み出すための取組 を進めてまいります。 また、その前提となります(4)ですが、GXの実現とエネルギー安定供給の確保、ま た、(5)経済安全保障の確保にも着実に取り組みまして、(6)大阪・関西万博に向けて も万全な準備を進めます。また、最後に、(7)最重要課題でございます福島復興・能登 復興・レジリエンスの向上にも取り組んでまいります。 2ページ目を御覧ください。 国内投資拡大の継続・対日投資の拡大について御説明します。 ①GX・脱炭素エネルギーにつきましては、「GX2040ビジョン」の提示に貢献し、エ ネルギー基本計画の改定に向けて議論を進めてまいります。 ②デジタル基盤技術・自動車・バイオ産業につきましては、次世代半導体の量産に向け た支援、バイオの受託開発製造拠点の整備・増強への支援などに取り組みます。重要産業 の国内生産基盤を確立してまいります。 ③でございますが、対日投資促進に向けまして、イノベーション・地域活性化に資する 対日投資案件の誘致などを進めてまいります。 3ページ目を御覧ください。 (2)のイノベーション・新陳代謝の加速のうち、(2-1)の世界と勝負(世界の創 造拠点)についてでございます。 ①グローバル市場の形成・獲得につきましては、排出量取引制度の検討、同志国とのG Xサプライチェーンの構築などを進めまして、世界のGX市場を獲得してまいります。 また、デジタル・AI時代の国際競争力を強化する観点から、②AI等活用に向けた事 業環境の整備に向けまして、計算資源の高効率化などの研究開発、モビリティDXの推進 に取り組みます。 また、③イノベーション・エコシステムの構築につきましては、先端領域の競争力向上、 スタートアップの創出・成長の促進に向けまして、バイオ・量子・宇宙等への政策的支援、 - 7 - 私的整理法制の在り方の検討などの環境整備を行います。 4ページを御覧ください。 「イノベーション・新陳代謝の加速」のうちの「生活の質を高める」でございます。 ヘルスケア産業におきましては、PHRの利活用促進のための環境整備、スタートアッ プの支援、クリエイティブ産業では、海外展開の促進、クリエイターの育成に取り組む。 また、良質な雇用を創出する中堅・中小企業の成長の促進に向けまして、予算・税制な どの関連政策について、成長志向で見直しを行います。 (3)国民の所得向上につきましては、下請代金法の執行の強化などを通じて、価格転 嫁を強化していくほか、ロボットの活用推進などによる人手不足対応などを進めてまいり ます。 5ページ目を御覧ください。 (4)GXの実現とエネルギーの安定供給の確保でございます。今まで御説明しました 3つの好循環に向けた政策の前提でございます。 脱炭素と安定供給の両立の観点から、省エネの徹底、再エネの拡大、原子力の活用、新 たな脱炭素技術の推進に取り組み、包括的な資源外交や持続的な鉱業活動の後押しも実施 いたします。 6ページを御覧ください。最後のページであります。 経済安全保障の確保に向けまして、脅威・リスク分析のための体制構築、技術優位性の 獲得に向けた投資支援に取り組みます。 未来社会のショーケースといたしまして、大阪・関西万博の開催にも万全を期してまい ります。 経済産業省の最重要課題といたしまして、(7)福島復興・能登半島復興・レジリエン スにも着実に取り組んでまいります。 こうした施策を来年度の予算、税制、制度改正にて実施してまいりたいと考えておりま すところ、委員の皆様からは忌憚のない御意見を頂きたいと考えております。 続きまして、資料3「機構改革等について」、御説明をいたします。 1ページ目を御覧ください。 経済安全保障、イノベーション、GXなど、新たな重要政策にリソースを集中するため に、本年7月1日より機構改革を実施いたしました。 例えば、貿易経済協力局でございますが、貿易経済安全保障局と改組いたしました。産 - 8 - 業技術環境局はイノベーション・環境局と改組し、近年、重要性を増すGX政策につきま しては、GXグループを独立させまして担当させる体制といたしております。 2ページ目ですが、これに伴いまして、産業構造審議会の各分科会につきましても、御 覧のように、必要な名称、あるいは所掌事務の変更を行っております。 資料4を御覧ください。 政策評価について、御報告をいたします。 まず、1ページ目でございます。 政策評価の体系についてであります。 政策評価につきましては、大ぐくり化した政策のレベル、企業のレベルで重層的に行っ ています。 大規模なプロジェクトにつきましては、個別に検証方法を検討し、効果検証を行うこと としております。 その中で、政策レベルの政策評価につきましては、政策評価法に基づきまして政策評価 基本計画を定め、この計画に基づいて行う形となっております。 その枠組みの下で、各局において、令和5年度に講じた政策に関する事後評価を実施い たしまして、本審議会に御報告するものでございます。 2ページ目を御覧ください。 本日、御報告する事後評価の枠組みについて御説明いたします。 まず、政策評価基本計画につきましては、昨年の改定の際に、政策について、7つの政 策体系への大ぐくり化を行いました。 その上で、新しい体系の下では、責任部局を明確化し、分かりやすい形での発信を実施 するという形で行うこととしております。 今般、この枠組みの下で、令和5年度の政策について、事後評価の結果を御報告するも のでございます。 3ページ目は、7つの政策評価軸にひもづいております12の政策テーマとその責任部 局を整理した表となってございます。 時間も限られておりますので、代表例といたしまして、4ページ目でありますが、経済 産業政策局の評価について御説明いたします。 政策テーマ、責任部局の局長名の後にミッションステートメントがついております。 事後評価ということで、目標1から3がございますが、主要な目標に対する進捗と評価 - 9 - につきまして、「目標に対する評価と今後の対応」欄に記載してございます。 例えば、目標1の民間企業設備投資額115兆円に対する足元の評価といたしまして、中 堅企業の設備投資を促進するための産業競争力強化法の改正、産業インフラ整備のための 予算措置、地域未来投資促進法による土地利用転換の迅速化などを実施いたしました。昨 年度の投資額は102.4兆円となってございます。 今後、115兆円の目標達成に向けまして、中堅企業の省力化投資支援、工業用水や産業 用地などの産業インフラ整備を含む予算措置、生産・販売量に応じた減税措置を含めた税 制措置、市場環境整備、対日投資案件の誘致、海外企業との協業連携促進、誘致を行う地 域への伴走支援などを行いまして、国内投資に取り組むことが記載されております。 5ページ目では、主要な目標の達成度合いを見る図表を掲載しており、6ページ目では、 主な関連施策とそれらを推進する担当課室、関連する予算や税制の全体像を掲載してござ います。 ほかの11の政策のテーマにつきましても、同様の形で7ページ以降につけてございま す。必要に応じて御参照いただきたいと思います。 以上が資料4の御説明となります。 私からは以上です。 (2)自由討議 ○十倉会長 どうもありがとうございました。 それでは、自由討議に入りたいと思います。 討議に当たりましては、事務方への御意見、御質問だけではなく、委員の皆様の間でも 意見交換を頂ければと考えております。 本日は、五十音順でまいります。私より指名させていただきますので、お1人3分程度 で御発言いただきますが、その後、時間が許す範囲で、御希望があれば、再度、御意見を 伺いたいと思います。 なお、先ほど言いましたように、益委員は途中からの御出席となりますので、御出席さ れ次第、適宜、指名いたします。 それでは、入りたいと思います。 まず最初に、伊藤委員からよろしくお願いいたします。 - 10 - ○伊藤委員 どうもありがとうございます。私は新機軸部会の座長を仰せつかりまして、 そこでいろいろ議論させていただいて、今日、お話に上がったような大変重要な議論をさ せていただきました。 先ほど大臣もおっしゃったように、産業政策が非常に変化しているということの歴史的 な捉え方なのですが、今回のレポートでは 40 年ですから、15 年後を見通しているわけで すから、15 年前に何があったのかと考えてみると、2008 年にリーマンショックがあった のですね。リーマンショックの後、これは日本だけではなくて、アメリカも欧州もいわゆ る金融政策の一本足打法でずっとやってきた。それがいいか悪いかは別の問題として、そ れがコロナを受けて大きく転換点に来ている。一言で言えば、金融に過度に依存したよう なものではなくて、実体経済をどうやって動かしていくかということが問われて、古い言 い方をすれば、財政政策ということになるのでしょうが、旧来の財政政策をするだけでは なかなかうまくいかない。そこで、民間の投資をいかに引き出すか、そのために財政をど うするかということで、産業政策と財政政策の組合せみたいなものが非常に求められてい る。その成果が問われているのだろうと思います。 そうすると、ポイントが幾つかありまして、1つは、民間が動かないとどうにもならな い。つまり、政府だけ旗を振ってもどうにもならないということで、民間を動かしていく には何が必要なのかということと、もう一つは、では、その中で、政府は何をやるのかと いうことが問われているのだと思います。 民間を動かすというのはなかなか難しいのですが、今回のシナリオみたいなものをきち んと出して、2040 年に向かって、こういう方向に行けば、いろいろなものがうまくいく のだということを、みんながそれぞれのレベルで納得できるといったことで、そういう意 味では、この報告書はこの報告書でいいのですけれども、これをどうやって民間に発信し ていくかということが問われているのかなというのが一つです。 もう一つは、政府は何をやるのかと。先ほどの報告の中でも、民間企業の前向きな挑戦 を強力に後押しするという表現があったのですが、まさにこのとおりで、民間企業の前向 きな挑戦を引き出すことが大事なのですけれども、また、政府がどこを後押しするかと。 つまり、官民でやるときに、官がどこをやるかということをもう一回考えていく。恐らく、 ここにあるいろいろなテーマ・政策によって、その中身が違うと思いますので、1色では ないと思いますが、そこら辺について、もうちょっと突っ込んだ議論をぜひしていただけ れば幸いです。 - 11 - 以上です。 ○十倉会長 ありがとうございました。 それでは、続きまして、大谷委員、よろしくお願いします。 ○大谷委員 保安・消費生活用製品安全分科会会長を務めております大谷でございます。 本日の資料では、経済社会の基盤を支える最重要課題として、産業のレジリエンス・安 全の向上というのが掲げられております。まさに時宜にかなった整理と理解しています。 言うまでもなく、産業保安や製品安全は産業活動の大前提でありまして、水素活用等の新 たな産業分野における保安や安全を確保していくことは、喫緊の課題であるGXやDXの 推進に伴って、新しい時代に向けた産業活動を実質的に可能にしていくものと考えられま す。 こうした観点から、保安・消費生活用製品安全分科会の会長として少しコメントさせて いただきます。 第1に、保安・消費生活用製品安全分科会水素保安小委員会におきましては、水素・ア ンモニア社会を推進する保安の在り方等について検討を進めました。先日公布されました 水素社会推進法において、高圧ガス保安法の特例措置が設けられたところであります。同 法では、事業者によるリスクに応じた柔軟で高度な保安、国際調和などといった視点を重 視しておりまして、今後、政省令や技術基準等整備していくことになりますが、その整備 に当たっては、そうした理念がしっかりと生かされるようにしていただきたいと思います。 第2に、産業保安基本制度小委員会におきましては、CCS、二酸化炭素の地中への貯 蔵に関する保安の在り方について検討を進め、先日公布されたCCS事業法においては、 二酸化炭素貯留事業等の保安規制が措置されたところであります。 今後は、貯留事業等において用います工作物の技術上の基準や、地中へCO 2 (二酸化 炭素)を貯留するために保安上必要となる措置など、どちらも政省令や技術基準等の整備 の必要があります。地盤への影響等、専門的な視点が必要なため、今後、新たに二酸化炭 素貯留事業等安全小委員会というものを設置し、検討を進める予定にしております。 第3に、製品安全小委員会においては、DXの進展に伴いまして、海外から直接販売さ れる製品が増大しているという現状を踏まえて、販売事業者を製品安全の確保に責任を有 する者として位置づけることや、新たに子供用特定製品という類型を設け、技術基準への 適合や使用上の注意の表記等を求めるべく検討を進め、先日、製品安全4法の改正法が公 布されました。今後は、こちらも政省令等の整備とともに、説明会等を通じた海外事業者 - 12 - への周知が重要となってきます。経済産業省におきましては、様々なチャンネルを通じて、 周知活動に全力を尽くしていただきたいと考えております。 こうした産業保安や製品安全は、地域住民や消費者の方々、地方自治体の方々など、関 係の方々と連携・意思疎通を十分にしながら進めていくことが不可欠でありまして、今後 も、経済産業省におかれましては、産業活動を支える保安の在り方を不断に検討し、人口 減少下においても日本の安全が揺らぐことのないよう、しっかり取り組んでいただきたい ということをお願いしておきます。 以上です。 ○十倉会長 ありがとうございました。 それでは、続きまして、大野委員、よろしくお願いします。 ○大野委員 ありがとうございます。3点発言させていただきたいと思います。 今回新たにイノベーションを冠した局をつくられたことを歓迎したいと思います。ぜひ 戦略性を持って、効果的にイノベーション政策を進め、知を活用し、産業を振興していっ ていただきたいと思います。また、総合的な戦略を立てられるよう、インテリジェンス機 能を磨いていってほしいと思っています。 特に、国外の有力な大学や研究機関の知を、我が国の大学や研究機関、産業のそれと掛 け合わせて、その成果をてこに、新たな産業の開拓、スタートアップの振興、海外からの 投資、高度人材の確保などを進めていただければと思います。小さな国ではありますが、 シンガポールは既にそのような政策を戦略的に進めているところであります。 イノベーション政策を考える際、最先端技術のみならず、自国が強みを持つ既存技術や サプライチェーン、それが世界に与えるインパクトなどを考慮することも重要だと考えて います。インテリジェンスを活用して全体を俯瞰し、技術開発、社会実装、市場獲得を戦 略的に進めていただければと思います。もちろんスタートアップの育成についてもこうし た視点が重要です。 イノベーションの競争は知の競争でありまして、研究開発でスタートアップへのファン ディングの重要性は言うまでもありませんが、加えて、人的リソースを含め、各省庁及び 所管国研などが個々に対応するのではなくて、政府全体で戦略的に取り組めるようにして いただければと思います。 2番目は、人材育成ですが、資料には、対規模・長期・計画的な産業政策の強化策を提 示してきたとあります。大変頼もしく思っています。人材育成をその中に入れていかなけ - 13 - れば持続しないことは明らかでありまして、例えば、大きな投資を行っている半導体では、 それが形となりつつあります。教育研究機関をさらに活用して、研究開発、技術開発を行 う層だけではなくて、実際にものづくりやサービスを提供する層においても、リスキリン グの機会なども持てるようにし、将来を念頭に置いた人材育成を長期の産業政策の中に位 置づけて進めていただきたいと思います。 最後、経済安全保障関係ですが、経済安全保障については、我が国が技術的に優位性を 守っていくところはたくさんありますけれども、既存技術を守るだけではなくて、守るべ きものを新たに、かつ持続的に生み出していくような攻めの姿勢も必要だと考えています。 繰り返しになりますが、我が国がどこを確保・強化するのかという観点からの経済安全保 障戦略も必要です。 そして、国内外の知を集めるということは、グローバルに様々なことを展開しなければ いけないわけですが、官民の使節団がよく海外に送られますけれども、産官学という形で 使節団を送られることは少ないと考えています。ぜひ産官学の総合力で日本が勝負できる ような体制を念頭にお進めいただければと思います。 私から以上です。ありがとうございました。 ○十倉会長 どうもありがとうございました。 それでは、続きまして、鎌倉委員、よろしくお願いします。 ○鎌倉委員 御指名ありがとうございます。私は、地域経済産業分科会と製造産業分科 会の委員を務めております。本日は、主に2点述べさせていただきたいと思います。 まず1点目として、地域産業についての強化を考えていくに当たり、今後は、地域産業 の重点的な絞り込みの戦略を取っていくという方針が示されているかと思います。 これまでの地域産業政策においては、歴史的な経緯があると思うのですが、最近のもの に関しては、かなりボトムアップ型で重点的に支援するような産業が決められていたかと 思います。ただ、これは致し方ないことではあるのですが、かなり総花的な支援になって しまう。存在している地域の産業がある限り、自治体としては、幅広い業種・産業に対し ての支援を要請するのは自然かと思います。 一方で、トップダウン型の支援でいくと、地域の実情に合わないような絞り込みが行わ れたりということで、調整が非常に難しいところであるかとは思うのですが、産業の地域 特性に合ったような絞り込みと全体の産業政策とのすり合わせは非常に重要なことであり ますので、絞り込みが必要な地域とそうでない地域、多様な産業を有しているからこそ地 - 14 - 域産業が維持されているような地域を峻別しながら、重点的な産業を絞り込むような制度 設計をしていただければ、地域経済の活性化にもつながりますし、国内投資が進んでいく 中でも、先ほど地図にも表現されていたように、製造業の国内投資が中心になりますが、 非常に広い地域に、そういった波及効果のもととなるようなものが生まれているというの が面的に示されているかと思います。その波及効果をマクロで捉えることも非常に重要で はあるのですが、周辺の地域に対して、どのような波及効果があるのかということも見て いくことで、幅広い国民の方々が非常に恩恵を受けられるような政策になっていくのでは ないかと考えております。 2点目も関連する部分ではあるのですが、こういったマクロな動向を見て、どんどん調 子がよくなっていくということも非常に重要ではあるのですけれども、それを見ていく中 で、現在、定性的に表されているシナリオが今後、定量的に回っていくかというのを評価 していくという方針が示されているかと思います。こちらも非常に重要なことだと考えて おりますし、進めていっていただきたいところではあるのですが、さらにそれをサブナシ ョナルレベル、どのレベルまで落とし込むかというのは難しいところではあるのですけれ ども、同じように国内投資があったとして、どの地域にどういった業種があることが最大 化につながっていくのかという視点からも定量的な評価を行っていただきたいと考えてお ります。それには、データの整理であったり、地域にどんどんブレークダウンしていくと、 データの精度がどんどん下がっていくことが多くなるのですが、そういった観点からも定 量的な評価ができればいいのではないかと考えております。 私からの2点は以上となります。 ○十倉会長 ありがとうございました。 それでは、次は、オンラインから、工藤委員、よろしくお願いします。 ○工藤委員 御指名ありがとうございます。オンラインから失礼いたします。 本日は、子細な御説明ありがとうございました。 4点、コメントをさせていただきます。 まず、「ミッション志向の産業政策」についてですが、第3次中間整理でまとめていた だいたエネルギー・自動車・ヘルスケアなどの主要施策について、方向性に違和感はござ いません。これらの施策は、令和7年度にとどまらず、大規模・長期・計画的な遂行をお 願いしたいと思います。 次に、日本企業のコーポレート・トランスフォーメ―ションの必要性について、地政学 - 15 - リスクが高まり、今日もお話がありましたが、グローバルに地産地消化が加速している環 境下では、国内投資を拡大させる重要性は高まっていると思います。 一方で、国内の大手製造業は、海外直接投資を中心に成長してきた経緯がありますので、 今後もこうした流れを支援していくことも重要と考えます。 御省のCⅩ研究会で報告されているように、日系の大企業が海外直接投資を拡大してき た結果、組織と経営の複雑性に課題を抱えていると思われますので、それらの解決に向け て、ファイナンス機能やDX機能の高度化など、CⅩを後押しする施策も御検討いただけ ればと思います。 弊行としても、日系企業の国内外の成長に向けて、金融支援を継続・拡大することはも ちろんのこと、各社様のファイナンス機能の高度化にお役に立ってまいりたいと存じます。 3点目は、多数決による私的整理法制についてです。 本件の検討においては、銀行界もオブザーバーとしてお招きいただいておりまして、検 討を進めていただいているところでございますが、本法制は、金融機関による事業再生実 務に相当の影響を及ぼし得るものでございますので、慎重かつ丁寧な議論、御検討をお願 いしたいと考えます。 最後に、経済産業の施策として、追加で御検討いただければと思います事項について申 し上げます。 2040年頃に向けて検討が必要になる社会課題という観点で、1つは、産業としての農 業、2つ目は、人材育成の基盤となる教育の高度化についてもより踏み込んだ御検討を頂 けると、今、御提示いただいている政策とも整合性があるのかなと考えております。 この2つのテーマについて、ぜひ省庁横断で御対応いただくことによりまして、「一人 ひとりが豊かに生活できる日本」がより実現に近づくのではないかと考えております。 以上でございます。 ○十倉会長 ○山崎総務課長 ありがとうございました。 すみません。今、途中でございますが、今、オンラインの工藤委員の 声がスピーカーからよく聞こえて、こちらでしゃべるとスピーカーに入っていない現象を 感じられたと思うのですけれども、これは、ハウリング防止のために、会場でしゃべって いる委員の方のスピーカーの音を上げられないという状況にありますので、大変恐縮です が、なるべく大きな声でお話しいただけると助かります。オンラインで聞いていらっしゃ る方にはきれいに聞こえているのですが、この会場内にいらっしゃる方には聞こえないと - 16 - いう状態になっていますので、申し訳ありませんが、なるべく大きな声で御発言いただけ ると大変助かります。よろしくお願いいたします。 ○十倉会長 れでは、元気な大きな声でお願いいたします。 続きまして、小林委員、よろしくお願いします。 ○小林委員 もともと地声は大きいのですが、さらに大きな声で申し上げます。 日商会頭の小林でございます。 中小企業の観点から3点申し上げたい。 第1点は、重点政策への所感です。 経済産業政策の重点の各施策は、民間の挑戦を後押しするというものでありますから、 当然、官民ともに強力にやっていくべきだと。 ただ、全体でちょっと気になる点は、経済好循環の重要な柱となるべき地域と中小企業 に関する記述が若干少ないなという印象を持ちました。中小企業は、民間雇用の約7割、 三大都市圏を除くと、雇用の9割ないし9割5分を担っているわけです。したがって、地 方では、中小企業に関連して生活する人が大部分であります。この所得拡大なしに、一人 一人が豊かに生活できる日本の実現はなかなか難しいのではないかと雑駁に考えるわけで す。 2番目は、中小企業の自己変革について申し上げます。 現在、円安、物価上昇によるコスト増、あるいは人手不足等々に直面する中で、中小企 業の経営者の自己変革を促して、DXを通じた生産性向上等で粗利を稼いで、付加価値の 拡大を後押ししていく必要があります。 各地域では、事業承継、創業、ビジネス変革、知財活用によるイノベーション、海外展 開等々の取組が進んでおりますが、中小企業の稼ぐ力を評価する施策、あるいは予算の拡 充が必要かと考えます。 新陳代謝はもちろん大事でありますが、商工会議所としては、金融機関等と連携して、 一社でも多くの事業を地域に残すために、今、早期相談、早期支援に注力しているところ でございます。 先週、中央最低賃金審議会で、50円の引上げ額が示されました。賃上げ実施企業の6 割がまだいわゆる防衛的な賃上げを強いられている中で、持続的な賃上げには原資の安定 的な確保が不可欠であります。 これは何回も言っていることですが、その原資の確保に重要なのは価格転嫁であります - 17 - が、これはまだ道半ばにあると言わざるを得ません。歴史的な好決算の大企業には、ぜひ パートナーシップ構築宣言をさらに推進して、関連する中小企業にも成長の果実を転嫁の 形で配分するなど、価格転嫁の商習慣化に協力していただきたい。いわゆるトリクルダウ ンということなのですが、収益が想像以上に上がったから施すというスタイルではなくて、 大企業のコストの一部として、価格転嫁にぜひ協力をしていただきたい。もう一度申し上 げさせていただきたい。 また、本年度、小規模事業者支援法の見直し議論がこれから行われます。私も会議所の 現場の経営指導員と定期的に意見交換をしておりますが、いわゆる小規模事業者にデジタ ル化などを定着させていくには、時間と手間がかかっているのが実情であります。企業数 の約85%を占め、地域の商業インフラ、あるいはコミュニティを支えている小規模事業 者の事業継続、あるいは所得の拡大に向けて、経営の自立化を伴走支援しているような経 営指導員数は残念ながら減少の傾向にあります。成長戦略として、支援者のマンパワー不 足の解消について、都道府県等と連携し、必要な予算措置をぜひお願い申し上げたい。 最後に、地域経済の好循環について申し上げます。 地域経済の好循環については、製造業、観光、農林水産業等々、各地域の特徴を生かし て、公民連携で域内GDPを伸ばして、良質な雇用を生み出す取組が進んできてはおりま す。地域での投資、あるいは生産活動を活発化させ、これを分配・消費へとつなげ、地域 経済循環を強く太くする取組を支援すべきであると考えます。 私から以上です。 ○十倉会長 ありがとうございました。 それでは、オンラインから、新宅委員、よろしくお願いします。 ○新宅委員 御指名ありがとうございます。すみません。今日は急に、コロナ感染の疑 いがあったものですから、オンラインにさせていただきました。 今の小林委員の御発言にもあったのですが、賃金上昇と価格転嫁の問題について、一、 二点発言させていただきたいと思います。 今、賃金上昇と物価インフレのスパイラルで成長しようというシナリオがあるわけです が、その中で、賃金は確実に上がっているわけです。大企業も中小企業も上昇していると いうことでありますが、特に中小企業の場合は、今、賃金を上げないと人が採れないとか、 上げざるを得ないような状況が生まれているわけです。 その中で、価格転嫁ということで、コスト上昇分を価格に転嫁できるかということが問 - 18 - 題になっておりまして、皆さん、御存じのように、経産省でもいろいろと調査をしたり、 いろいろな施策を打ってらっしゃるわけですが、その結果を見ますと、エネルギーコスト と原材料費はそこそこ吸収されているのだけれども、賃金のほうはどの産業でもなかなか 吸収されていないという結果が出ております。 これをどう打開していくかということですが、同じものの価格を上げていくのはなかな か難しいところです。そうすると、大きな方向としては、その価値の拡大を目指して、最 終製品の価格やサービスをどう上げていくかということが今までも重要だったわけですが、 今後ますます重要になると思います。これまでずっと、コストをいかに下げていくかとい うことが多くの企業の課題だったわけですが、そこから脱して、価値のほうに目をより強 く向けていくことがますます重要なのだと思います。 冒頭の経産省側の説明にも、日本の労働生産性が国際的に低いという資料がありました (資料1の4頁)。あの資料は、分子はドル、分母は総就業時間として生産性を比較して います。しかし、分母を労働コスト(賃金×総就業時間)とすると、いままでは賃金が上 昇しなかったので良かったが、これから賃金が上昇すれば、今後は生産性を向上しなけれ ば厳しい状況になるというのは明らかであります。 では、どうやって伸ばしていくかということですが、もちろん、個別に製品やサービス で価値の高いものを開発していくことは重要なわけですけれども、もう一つは、改めて海 外市場をより重視していったほうがいいのではないかと思います。 実際に、海外、欧米では物価が高いわけですし、今現在、動きはありますが、基本的に は、従来よりは円安方向に振れているわけです。そういう中で、実際に輸出も、製造業で いうと、2023年で100兆円ぐらいの史上最高額を稼いでいるわけであります。 輸出は、海外に直接投資をして、経常収支で稼ぐというのも今まで重視されてきたわけ ですが、国内への還流ということを考えると、例えば雇用効果のようなものはあまりない わけでして、全てを輸出しろとは言いませんけれども、部品や原材料でも結構ですし、完 成品でも結構ですが、輸出で稼いでいる産業が出てくることで、その裾野にある中小企業 も稼いでいけるというのが一つのシナリオではないかと思うわけであります。 もう一つは、大企業が海外市場で稼ぐだけではなくて、中小企業も同様に、海外で稼げ るような体制をつくっていく。それを国としても後押ししていくことが政策としても重要 ではないかと思います。もちろん、この10年ほど、そういう施策が取られてきたことは 存じ上げていますが、もう一押ししないと、いろいろな個別産業を見ていると、中小企業 - 19 - 自身による海外開拓はまだまだ進んでいないという印象を受けますので、中小企業の海外 市場開拓を後押しする政策をぜひお願いしたいと思います。 私から以上でございます。 ○十倉会長 ありがとうございました。 それでは、続きまして、神保委員、よろしくお願いします。 ○神保委員 ありがとうございます。私から3点申し上げさせていただきたいと思いま す。 1点目でございますが、人への投資についてでございます。 企業の生産性を向上させて、賃上げの持続可能性を維持するためには、イノベーション の源泉である人への投資が不可欠であると考えております。 昨今、日本企業の企業内教育訓練費は減少の一途をたどっていまして、先進諸国と比較 しても低い水準でございます。人口減少下の日本において何よりも重要なのは、人材育成 だろうと思っていますし、国内投資、イノベーション、所得向上の好循環を実現するため にも、人への投資を一層強化していく必要があると考えております。 特に、我が国にとって重要な技術については、産官学が連携して、人材育成に力を入れ ていく必要があると考えております。 また、今、企業では、リスキリングや職業能力開発というところに力を入れてございま すが、中堅・中小企業では、人材育成に投入できる時間や費用が限られているため、企業 規模や雇用形態にかかわらず、能力開発の機会が提供される環境整備についても御尽力い ただきたいと思います。 2点目でございますが、中堅・中小企業・小規模事業者の発展についてでございます。 国民の所得を向上させていく上で、雇用の7割を占める中堅・中小企業・小規模事業者 の発展は大変重要な観点であろうと考えています。成長と分配の好循環、あるいは賃金と 物価の好循環を実現するためには、生産性向上を図るとともに、昨今の賃上げ、あるいは 最低賃金の話も先ほど出ましたが、引き上がった際の取引価格の見直し、いわゆる価格転 嫁の徹底がより一層重要になってくると思います。下請代金法の執行の強化、官公需など における労務費などの価格転嫁の徹底について、実効性が担保される形で強化していただ きたいと思います。 あわせて、商習慣が中小企業の収益を圧迫しているところも散見されますので、そのよ うなところの見直し徹底も必要だろうと思います。 - 20 - それと、人手不足が顕著となる中なので、設備投資の促進に資する税制や、省力化投資 の補助金等による支援についても強化いただきたいところでございます。 3点目は、私的整理法制についてでございます。 今後検討が必要となる施策ということで資料にも記載されてございますが、今後あらゆ る事業再編において、労働債権の確保、雇用の維持・安定、あるいは労働組合の事前の情 報提供等々、総合的な労働者保護の視点が不可欠であろうと思ってございます。 特に、法的手続によらず、非公開で行われる私的整理については、より一層の労働者保 護策を講じる必要があるということを申し上げておきたいと思います。 以上です。 ○十倉会長 ありがとうございました。 それでは、隅委員、よろしくお願いします。 ○隅臨時委員 ありがとうございます。総合資源エネルギー調査会の会長を務めており ます隅でございます。 今日は、エネルギーの視点からお話をさせていただきます。 次期エネルギー基本計画の論議が始まっておりますが、先ほど大臣が触れておられまし たけれども、前回と前提が一変しております。繰り返すまでもございませんが、ロシアの ウクライナ侵略で、世界のエネルギーの状況は劇的に変わりました。それに生成AIの出 現も加わりまして、欧州を筆頭に、主要国がエネルギー安全保障を再優先課題と位置づけ、 エネルギーの安定供給を、GXそしてDXにおける国際競争力の原点とみなし、動き始め ております。そうした状況の中で、2点だけ触れます。 1点目は、電力需要増加への対応でございます。従来、電力需要は、減り続けることを 前提とした計画が立てられておりましたが、半導体、AI、データセンターなどの急ピッ チの拡大に伴って、大きく増える可能性が出てきております。そして、増加する電力需要 を脱炭素電源、すなわち再エネや原子力で賄う必要があります。しかしながら、我が国の 置かれている現実は、再エネと原子力による供給も多くの課題に直面しておりまして、今 のペースでは、増えていく電力需要を賄うには極めて厳しい状況にあると言わざるを得ま せん。今後、十分な脱炭素電源を確保できず、国内での投資機会が失われ、経済成長が阻 害され、産業の国際競争力が落ちるようなことは決して起こしてはなりません。 こうした厳しい現実に真正面から向き合い、投資のリードタイムや地域との共生といっ たことを考えた上での取るべき再エネの拡大策、そして、原子力の再稼働に加えて、リプ - 21 - レース、新増設等、具体的な道筋を打ち出していかねばならないと思います。 2点目は、今まで、カーボンニュートラルの流れの中で、どちらかというと、ネガティ ブな視点で見られておりました化石燃料について、その意味や課題についての冷静な論議 がなされ始めております。各国とも脱炭素に向けた野心的なビジョンを掲げつつも、LN Gをはじめとした化石燃料争奪戦の動きが見られます。 我が国も非効率な石炭火力のフェーズアウトを進めておりますが、こういったトランジ ションを進める中にありましても、いっときたりともエネルギーの供給を途絶えさせるわ けにはいきません。LNGの長期契約やeメタンの活用といった声も上がっております。 また、災害の多い我が国におきましては、化石燃料による予備電源の確保も含めた安定 供給体制は不可欠でございます。エネルギーの安定供給に不安のある国からは、有力な企 業は出ていき、海外からの投資も期待できません。 ほかにも、水素・アンモニアやCCUSなど、また、原子力や風力などの電源立地地域 の産業立地政策など、現実解を具体化しなければならない課題は多々ございますが、これ からも時間軸を含めた具体的な論議を、スピード感を持って進めていく必要があると思っ ております。 以上でございます。 ○十倉会長 ありがとうございました。 それでは、関灘委員、よろしくお願いします。 ○関灘委員 よろしくお願いいたします。 御説明いただきまして、ありがとうございました。お伺いしながら、次世代のためにも 貢献していかなくてはいけないと改めて思いました。 経済産業省さんのCⅩ研究会での日本を代表する企業のCFO、CIOなどの皆さんと の議論、及び、日本・アジアを中心とした経営コンサルティングの実務から感じている、 好循環を生み出すためのキーワードを3つ、お話しさせていただければと思っております。 1点目は、群で捉えるというキーワードです。 3つの例を御紹介できればと思います。1つ目の群は、ウェルビーイング関連業界群で す。身体的にも精神的にも社会的にも、より充足できる生活者を増やすべく、より良い生 活環境を創り出すこと、より良い生活習慣や人間関係を創り出すことで、より良い社会を 創っていくことがウェルビーイングに含まれると思っております。こういった文脈の中で、 消費財企業がサービス企業化する、小売企業が製造業化・サービス企業化するといったよ - 22 - うに、業界横断での価値創造競争の必要性が高まっているように思います。 この群には、消費財、小売、病院、介護、インバウンド・観光・宿泊、食といった業界 が含まれ、これらの業界にとって重要なデータ・サイエンス・技術としてライフデータ・ アナリティクス・ロボットなども関わることになります。多くの日本企業は各業界や知見 領域が分断されてしまっているために、大きな群としての産業創造を進めにくい状態にな っているのではないかと思っております。 2つ目の群が、エンターテインメント業界群です。日本が強みを持つアニメや漫画をは じめ、ゲーム、テーマパーク、IPをてことした物販、そしてEC・金融決済といった業 界がエンターテインメント業界群に入ってきます。こちらには、半導体・センサー・ブロ ックチェーンなどのテクノロジーが関わりますが、これらの技術に詳しい方々と事業が分 かる方が分断してしまっている側面があると感じております。 3つ目の群は、量子コンピューター系企業群です。我々も調査を進めているところです が、量子コンピューターの性能が指数関数的に向上しており、恐らく2020年代の後半ぐ らいからユースケースが増えてきます。30年代ぐらいからは、触媒領域を中心に、素材 のイノベーションが進むと思われます。結果として、エネルギーの製造・貯蔵・変換・輸 送・利用の全てにおいて、非連続な効率改善の可能性を秘めています。エネルギーの構造 が変われば、産業構造が大きく変わるため、これを群として捉え、日本としてはどう取り 組むかといったテーマが重要になると思います。3つの例をお話しましたが、群で捉える というのが大事なキーワードであると思っております。 好循環を生み出すためのキーワードの2点目は、人材の吸引と流動化です。先ほど例示 したような群で捉えた産業創造をするには、様々な組織能力を新たに獲得する必要があり ます。一企業の中で、これらの新しい組織能力をどんどんと拡大していくことは難しいよ うに思います。現実的には、特定業界・領域の知見・経験を有する人材が流動化すること、 海外から人材を獲得することが重要になります。既に進めておられる、高度人材をはじめ とした海外人材の受入れの加速、そういった人材向けの教育・住環境の整備、アジアのヘ ッドクオーターの誘致、クロスオーダーM&Aの後押し、ジョブ型雇用の特定企業での部 分的な推進といったものを進めていく必要があるのではないかと考えております。 最後、3点目は、比較優位を生かすということです。 私は、先月は中国、その前の月にはシンガポールに行ってまいりました。現地の方々と 会話をする中で、主要国・近隣国での課題認識、産業政策も踏まえた上で、日本の産業政 - 23 - 策を検討するという視点があると思っております。 一例でしかありませんが、フィリピンのコンサルタントと話しておりますと、フィリピ ンの主要な産業の1つであるコールセンターのBPO事業が、生成AIの時代の中で、淘 汰されていくのではないかという非常に強い危機感・課題認識が共有されていることが分 かります。こういった他国の課題を認識した上で、日本にとってのチャンスは何だろうか、 あるいは協働できることは何だろうか、といった視点があると良いのかもしれません。 インドのコンサルタントと話しておりますと、「インベストインディア」という旗を掲 げて、製造業を強化することを課題として認識していることが分かります。なぜ、日本企 業がインドにもっと投資をしてくれないのかと真摯に検討されています。このような他国 の動向、他国の産業課題を認識した上で、日本の比較優位を生かすと視点から検討が進め られると良いのではないかなと感じております。 既にこれらの3つのキーワードも踏まえた上で、今回の検討がなされているということ かと思いますが、私自身が見える範囲での経験ということで御紹介をさせていただきまし た。 以上となります。 ○十倉会長 ありがとうございました。 それでは、続きまして、滝澤委員、よろしくお願いします。 ○滝澤委員 ありがとうございます。学習院大学の滝澤です。 私は新機軸部会にも参加させていただいておりますが、伊藤座長はじめ、皆様、取りま とめ、どうもありがとうございました。 資料1の2ページ目にあります国内投資の拡大、イノベーションの加速、国民の所得向 上の3つの好循環を実現するためには、こちらにお示しいただいた様々な施策を着実に実 行して、その過程においてレビューもして、時には方向転換するといったプロセスも大事 になってくると思いました。 それから、8ページ目にあります「一人ひとりが豊かに生活できる2040年頃の日本」 に関するシナリオの中で、ISバランスの話が掲載されておりますが、私自身、ここが非 常に重要なポイントになろうかと思います。 ただ、現状、あるいは予測と照らし合わせますと、政府の赤字や高齢化による貯蓄の取 崩しなどが考えられますので、求められるチャレンジのレベルは高くて、着実に施策を実 行していくことが必要になろうと思います。 - 24 - それから、私は、この中でも特に国内投資が、投資の二面性という観点からも重要にな ると思います。足元、投資が増えてきているとのデータがあるようですが、その中身がど のようなものに向かっているのかが気になる点です。ただ単純に機械投資を増やして、資 本を増やすだけでは、資本生産性は向上しません。資本生産性が向上しないと利潤率も上 がりませんので、先ほど伊藤先生が指摘されていたような、民間の投資を持続的に増やし ていくことは難しくなります。今後は、投資の中身に関しても注意をしていく必要があろ うと思います。 それから、資本の関係でいいますと、私は統計委員会にも参加しているのですが、新し いSNAの体系が議論されておりまして、例えば、データの価値計測資本化というのが取 り上げられていました。投資といった場合には、従来の投資に加えて、こうした新たな資 本概念に関する投資も考慮すべきものとなってくるかと思います。 最後に、8ページ目で、今回策定した定性的シナリオを基に、次回、国内投資・生産 性・賃金・産業構造・GDP等の定量化を検討されているということでしたので、分析の 結果を楽しみにお待ちしたいと思います。 以上です。 ○十倉会長 どうもありがとうございました。 それでは、続きまして、武田委員、よろしくお願いします。 ○武田委員 本日は、大変分かりやすい資料と御説明をありがとうございました。 基本的な方向性に賛成いたします。その上で、3点、意見を述べたいと思います。 第1に、一つ一つの施策を競争力・生産性向上に直結いただきたいという点です。 昨年、賃金上昇でノルムを変えなければならないとお話をしましたが、今後重要なこと は、実質賃金が安定的に上昇することです。補助金で数字上プラスになったとしても、そ れは一過性にすぎません。持続的上昇には生産性上昇が不可欠と思います。 日本は、新陳代謝、イノベーション、人材を含めた投資の鈍さが積年の課題ですが、物 価ゼロの世界から2%の世界へ変化する中、日本が変わるチャンスにできると思います。 これまで財政をつけても企業が動かなかったというお話が伊藤先生からございましたが、 経済環境の変化によって動く必要が出てきているためです。 例えば、賃金と金利の上昇は、中小企業をはじめ、企業の経営に厳しさをもたらします が、価格転嫁の慣行を見直すきっかけとし、省力化やDX投資や企業再編を進め、新陳代 謝や生産性を高めるチャンスです。価格転嫁を後押しすることは、企業の価格戦略の幅を - 25 - 広げることになりますので、これまでは値段を上げられないがためにイノベーションに挑 戦できなかった企業が、付加価値を目指した商品やサービスの開発に取り組むことができ ます。 さらに、生成AIが広がりつつある中、これまでのAIは定型的タスクのみ代替される という話でしたが、幅広い分野でタスクの新陳代謝を起こすことが示されております。賃 金がプラスになる中、画一的ではない柔軟な賃金体系をより構築しやすくなり、生成AI の社会実装を早める可能性があると考えます。 つまり、こうしたピンチを、これまで変えたくても変えられなかったことのアップデー トにうまく活用し、その機を捉え、様々な制度や慣行・施策を見直していく。そうした一 貫性が重要と思います。 第2に、分野横断、領域横断で俯瞰し、全体最適で戦略の方向性を考えていただきたい という点です。 例えば、今申し上げた生成AIの活用は進めるべきだと思いますが、他方で、電力需要 の問題を引き起こします。先ほど隅委員からもございましたが、当社の試算では、2040 年のICTセクターの電力需要は、供給制約を考えなければ、2020年比、最大で約27倍 まで膨らむと見込んでおります。ただ、そのシナリオは、省力化に資する半導体技術の進 展や生成AIの利用形態によって大きく変わります。 この一例だけでも、グローバル視点で、GX、AI、半導体の関係性を俯瞰し、一貫し て政策を考えることがより重要になっていると思いますし、そうしたことを踏まえ、全体 最適で政策を示すことが、結果として政策の予見可能性を高めることに資すると考えます。 第3に、アウトカム志向の徹底についてです。 重要なことは、アウトカムマインドが広がることだと思います。アウトカムを意識した 予算の策定・遂行はもちろんですが、そのために、局・省庁横断で政策を連携すること、 さらに、うまくいっていない施策を見直すツールにしていただくこと、最後に、挑戦した 方が省内でしっかり評価され、結果的に官僚の皆さんのモチベーション向上につながるこ とが本質ではないかと思いますので、ぜひその点を意識していただければと思います。 以上です。ありがとうございました。 ○十倉会長 どうもありがとうございました。 それでは、オンラインで、中室委員、よろしくお願いします。 ○中室委員 どうもありがとうございます。オンラインでの参加で大変失礼いたします。 - 26 - 私からは、教育のことについて、短くお話をしたいと思います。 本日、工藤委員や神保委員からも、人材育成は非常に重要であるという御発言がござい ましたが、私もそのように考えております。経済社会システムの組換えというOSの組換 えを目の前にして、人材への積極的な投資は必要不可欠であると考えております。 経済界からも求められておりますとおり、価値創造型人材の育成が重要になってまいり ますが、これまでの経済学分野での研究を総じて申し上げますと、これらの能力を大人に なってから育成することは極めて難しいと言わざるを得ません。ですので、小学校から高 校といった初期段階での投資が不可欠であろうと思います。 GIGAスクール構想の更新予算は文科省が措置したものでございますが、諸外国の研 究では、端末整備だけでは、教育改革はうまくいかないことを示した研究も多数示されて いるところであります。 特に、ラテンアメリカの国々で行われたOne Laptop Per Child Programという、GI GAスクール構想に非常によく似た予算は、中身のことを考えずに、端末を配ることをK PIにしたせいで、結局、子供たちのYouTubeの視聴時間が延びただけだったというこ とになっており、同じようなことになっては絶対にいけないと思いますので、重要なこと は、AIを含むデジタル技術を活用した学校カリキュラムや授業の在り方、教員の働き方 の転換を含めて、経産省・産業界の視点を生かして、教育改革を強力に推進することでは ないかと考えます。 文部科学省は大変よく頑張っていただいていると思うのですが、一方で、公教育を所管 する立場からしますと、全国を対象に、均一・公平に取り組むことが求められますので、 意欲ある当事者の取組を伸ばすことは非常に難しいかと思いますし、経産省が積極的にデ ジタルを活用して、民間と公教育が連携した教育DXの好事例をつくっていかなければ、 公教育を変えていくことは難しいだろうと考えています。 私もデジタル庁に参加させていただいているのですが、デジタル庁の立場から見まして も、教育DXはまだまだ道半ばでありまして、経産省が初等・中等教育段階の教育にコミ ットしていることの意義は非常に大きいと感じております。 人材育成は、成果が出るまでに時間がかかるものでもありますので、コロナ対策が一段 落したといって力を緩めることなく、経産省の息の長いコミットメントと積極的な支援に 期待をしております。 私からは以上です。 - 27 - ○十倉会長 ありがとうございました。 それでは、沼上委員、よろしくお願いします。 ○沼上委員 ありがとうございます。 初めは、価格転嫁強化策について、応援団の声を上げようかと思っていたのですが、既 に、小林会頭はじめ、新宅委員、神保委員、武田委員、みんな御指摘になったので、私が 追加することはほとんどなくなってしまって、一言申し上げるとすると、さびついた長期 相対取引の日本企業のシステムを、今、価格が変化して、何が重要で、何が重要でないか が分かってくる時代になったので、ぜひこれをひとつてこにして、柔軟な取引システムに 変えるということをやっていただきたいなと思います。 私に関連することで申し上げますと、中堅企業、あるいは100億円企業を目指す中小企 業の後押しの部分について、特に強調しておきたいと思っています。日本経済全体に対し ても、地域経済に対しても、100億の会社が出てくるのは、活力を高める上で大変重要だ と思っています。スタートアップを増やすこともすごく重要ですが、既にある程度の経営 資源の基盤がある会社に成長意欲のある経営者が出てくることは極めて重要なことだと思 っています。私の見方では、日本では、とことん成長しようという意欲のある企業家、成 長させようという経営者は希少資源なのではないかと思っているのですね。この希少資源 に注目すると、まず、希少資源を増やす手として考えると、今ある程度満足してしまって いる人にもうちょっと刺激を与えて、心に火をつけてもらうとか、成長意欲の高い人に複 数の会社をM&Aで経営してもらうとか、さらには、サーチファンドなども含めて、新し い血がそこに入ってくるといったことで、有効に経営資源を使い回すというか、多重利用 することが必要だと思っています。 それから、資料3と資料4については、どなたも発言されないと思うので、私から一言 お話をさせていただきたいと思いますが、まず、機構改革で、GXグループを外出しした というのは極めて重要で、それを特に追求するグループができるということも重要ですが、 それが組織図上見えるということがシンボリックに物すごく大事なことになると思います ので、これはぜひ進めていただきたいと思っております。 ただ、イノベーションは、GXに関連していっぱい出てきて、それがまた波及効果を持 つと思いますので、ぜひ元のイノベーションのグループ、局と連携するというところもお 忘れにならないようにと思います。 ちょうど3分になってしまっていますので、ここで終了させていただきます。 - 28 - ○十倉会長 ありがとうございます。 それでは、続きまして、浜口委員、よろしくお願いいたします。 ○浜口委員 地域経済産業分科会長の浜口です。 資料1で御紹介いただきました新機軸で、地域経済産業については、少子化対策に資す る地域の包摂的成長ということが8つのミッションの1つに取り入れられております。本 日の会議でも、鎌倉委員から、地域産業特性に合った支援の重要性や、小林委員からは、 この報告書において、地域と中小企業に関する記述が少ないのではないかという御指摘も ございました。 また、これは資料2ですが、令和7年度経済産業政策の重点(案)の中に、地域の中 堅・中小企業・小規模事業者を発展させ、良質な雇用を実現させるという表現がございま す。この中には、新たな中堅企業の支援策や、従来から実施されている地域未来牽引企業 支援制度や地域未来投資促進法のさらなる推進が含まれていると了解しております。 地域で中核的な役割を担っている中堅企業につきましては、今後は、M&Aを通じて、 現在、事業継承に悩む中小企業をグループ化して存続させ、地域のホールディングカンパ ニーの役割を果たしてくれるのではないかという期待もございます。 また、成長が期待される中小企業については、地域未来牽引企業支援やその他の中小企 業支援策の枠組みを充実させて、中堅企業に成長させていくということで、地域により多 くの良質な雇用が提供されることが期待されております。 ここで言う良質な雇用とは、賃金が高いことは言うまでもありませんが、働くことを通 じて、自分自身の成長や社会への貢献が実感できることが肝要であります。これはただ労 働サービスを提供することにとどまるものではありません。地方には、こういった良質な 雇用が少ないという実感が若者の大都市への流出を招いており、このことは、特に若い女 性の間で強く感じられていると理解されています。地域経済産業分科会では、可処分所得 も可処分時間も相対的に多い地方で、若者が良質な雇用に就くことが、長期的に少子化対 策をサポートすることにつながるという意見がございます。 経済産業省には、こういった意見を考慮していただき、小規模事業者・中小企業・中堅 企業と担当される課や局の違いによって分断されることがないように、チームレスに有効 な施策を講じていただくようにお願いしたいと思います。 また、国内投資拡大に資する対策の中で、資料2にございますように、工業用水及び産 業用地の有効活用・整備・強靭化が盛り込まれております。これらは比較的地味なトピッ - 29 - クと言えると思いますが、特に産業用地については、工場の海外流出が続いてきたところ で改修投資が進んでおらず、既に耐用年数を大きく超えているのが現状です。日本全国で 激甚災害がいつでも、どこでも起こり得る可能性があり、強靭な産業基盤を築くために、 足元のこういった問題を確認して、用水・用地の整備・保守を着実に実施していただくよ う、経済産業省に重ねてお願いしたいと思います。 また、従来、用地・用水の管理については、自治体が公的に行ってきたところでありま すが、今後は、民間の資金・技術を有効に導入するような検討もぜひ進めていただきたい と思います。 以上です。 ○十倉会長 ありがとうございました。 それでは、続きまして、坂野委員、よろしくお願いします。 ○坂野委員 一人一人が豊かに生活できるという2040年のビジョンは、とても明るく、 分かりやすいビジョンだと思いました。 私から3つ申し上げたいと思います。 今年の秋、最低賃金が50円上がることによりまして、東京都の正社員の月給がようや く20万円を超えます。今日は、「価格転嫁」という言葉がキーワードだと思いますが、人 件費の上昇を価格への転嫁で行うことによって物価は上がり、実質賃金を上げることはか なり難しいとはいえ、物価上昇を上回る給与アップを実現していく社会へ、AIを使い、 皆がプロの意識を持って、覚悟を持って、労働生産性やクオリティーをさらに上げること が必要だと思っております。いわゆるローコスト戦略はもうない、通用しないという意識 転換が必要だと思います。 今回、キャッシュレスの記載はございませんでしたが、商売の現場では、レジ締め一つ 取っても確実に生産性が向上いたします。既に23年に39.3%と、25年の40%目標に近づ いておりまして、生産性の向上のためにも、諸外国の状況からも、インバウンドからも、 キャッシュレス比率目標をアップすべきと思っております。 労働力不足は依然と続いておりますが、円安もあって、日本の若者が海外に出稼ぎに出 る状況もあります。 今回の2040年というのは、65歳以上が35%、75歳以上が20%の高齢化社会です。第3 次中間整理にもさらっと記載がありますが、20年の少子化社会対策大綱に記載された25 年希望出生率1.8というのは、あと1年しかなく、どう回復するのか。社会基盤の充実の - 30 - ためにも生産性の人口増加を考えたとき、少子化対策のどこに問題があるのか。結婚・出 産・子育てを含めて、早急にドラスティックな官庁を超えた処方箋が必要だと思っており ます。 最後に、先週末、有志で能登半島に非公式に視察に行ってまいりました。遅々として進 まずという印象があったのですが、電気・通信はほぼ復旧している。しかしながら、39 か所の通行止め箇所があって、水道は珠洲・輪島でまだ1,177戸止まっている。住まいの ほうも、プレハブなどを含めてですが、必要戸数のうち、ようやく73%が完成している という状況で、公費解体の状況は、まだ7%しか完了せず、着手も24%とお聞きしまし た。営業再開できなくてもリースを払わなくてはいけないとか、漁業も再開していないが、 生活しないとならない。また、再開に2年はかかってしまうという和倉温泉も見てまいり ました。 しかしながら、復旧から復興という言葉、奥能登版デジタルライフラインの整備という こと、地震という負を新しいまちづくりに生かすという若い方の気概も感じました。地元 とそれ以外、若者とシニアなど、あちらこちらで摩擦はあるようですが、気概を持ってい る若者が疲弊しないように、バックアップをしていかないといけないということを感じま した。 そして、最後に、さらっと令和7年で触れられておりますが、東京首都直下地震や南海 トラフのため、中小企業でもBCPを作成する意義、そして、マネジメント能力が非常に 必要な避難所のシミュレーションなど、災害に備えた政策のほうにも号令をかけてほしい と思っております。 以上です。 ○十倉会長 ありがとうございました。 それでは、福田委員、よろしくお願いいたします。 ○福田委員 今回より総会に初めて参加させていただきます日本共創プラットフォー ム・福田と申します。私は地域経済を牽引する中堅企業への長期投資経営を行っており、 日々目にする中堅・中小企業の現状を踏まえて発言させていただければと思います。 昨年度、令和6年度の総会において話し合われた主要施策を改めて拝見いたしまして、 その中で、中堅・中小企業の発展というテーマは、主要項目の1つとして、今年度も引き 続き継続していただいております。日本の雇用の約7割を占める中堅・中小企業こそが賃 上げをしていかなくてはならないということ、また、その賃上げのために、最初のジャン - 31 - プスタートを切れるように、中堅・中小企業成長投資補助金を、事業予算3,000億円とい う非常に大きな規模で、足元で実施していただいていることに非常に感謝しております。 この補助事業によって、各企業が享受できる付加価値の額もさることながら、定性的な意 味でも、中堅・中小企業の経営者と日々会話する中で、中堅・中小企業が政策的に重要視 してもらえているという一種の使命感みたいなものが強くなってきているのではないかな と感じております。今年度以降も引き続き、生活の質の向上に向けた挑戦、国民の所得向 上といった文脈で、中堅・中小企業の成長を後押しする政策を重点的に強化いただければ と考えております。 まず、国民所得の向上の文脈の中で、100億円企業を目指す中小企業に関するビジョン 策定を挙げていただいております。この100億円企業を目指すというのは、数字そのもの というよりも、ある意味、一つのコンセプトとしての話だと理解しておりますし、売上げ 規模のスケールアップを第一として目指していこうというのは、先ほど沼上委員が仰って いただいたように、成長意欲のある企業を応援するという文脈では非常に大事なことだと 思っておりますが、私自身は、中堅・中小企業の収益力の強化にもっとフォーカスを当て たほうがいいのではと考えております。売上成長というのは、当然一つの重要な指標では あるのですが、売上成長の冠をつけることで、ややもすると、今後の補助事業や税制措置 の中で、売上規模基準が条件になってしまうとよくないのではないかと思います。といい ますのも、売上げを大規模にスケールしていくというのは、どんなにCⅩをしたり、どん なにDXなどを取り入れても、人手不足の中、人手の確保をしなければいけないですし、 拠点の増加も必要になってくるのかなと思っています。 中小企業が足元で取り組むべきことは、売上げを倍増していくのを第一に考えるという ことよりも、企業の内部構造に目を向けて収益力を高め、その利益を賃金や次なる設備投 資に還元するといったことに注力すべきなのではないかなと考えております。 弊社の投資先の中でも、売上自体は30億円台でも、EBITDA10億円近い企業もありま すし、投資先ではございませんが、売上30億円でEBITDA20億円以上をたたき出してい る驚異的な中小企業もありました。これらの企業は、例えば100億円を売り上げて、EBI TDA10億円稼ぐ企業よりも、経営的に優れていると思いますし、日本の中小企業が目指 していくのは、そういう世界観なのではないかなと思っております。 ですので、対中小企業政策という文脈の中では、売上増加よりも収益構造の強化にフォ ーカスを置いた上で、各施策の実行に動いていただければありがたいなと考えます。 - 32 - 以上です。 ○十倉会長 どうもありがとうございました。 それでは、続きまして、オンラインから、御手洗委員、よろしくお願いします。 ○御手洗委員 御手洗でございます。よろしくお願いいたします。 引き続き、国内投資の拡大、イノベーションの加速、国民の所得向上の3つの好循環を 実現していくという方向性はすばらしいものだと考えております。 経産省の方に御用意いただいた最初の資料及び説明で、全体的に大企業・製造業にやや 偏重ぎみの議論かなと見受けられていたのですが、委員の皆さんから、中小企業、特に地 方の中小企業についての御意見がたくさん出て、私も、それはまさに自分の思うところか なと思って拝聴しておりました。 ほかの先生の方々と少し重複することもあるかと思うのですが、私から4点お話しさせ てください。 1点目は、元の資料は全体的にやや製造業偏重に見えたのですが、日本のGDPの7割、 就業人口の7割はサービス業ですので、ここの生産性を上げていくことが、より多くの人 が、体感的に生活が豊かになっていくと感じられるために重要なことかなと思っています。 サービス業の話になると、付加価値生産性の話になって、より付加価値を上げていきま しょうという話になりがちかと思うのですが、一口にサービス業と言っても、例えば、イ ンバウンドの観光客の方を相手にするような産業と、地域のスーパーや交通事業、プロパ ンガスの配達など、生活密着型の産業では、非常に事情が違うところかと思います。前者 については、高付加価値化で生産性を上げていくこともできると思うのですが、後者につ いては、DXによる効率化とか、商圏を広げて管理費比率を下げていくといった打ち手も 非常に重要になってくるところかと思います。サービス業についても、ぜひもう少し解像 度高く見て、生産性向上に向けた必要な政策を、精度を高く打ち出していただけたらなと 思っております。 2点目です。先ほど福田委員のお話にもありましたが、これから地方の産業の活性化に 当たって、特に中小企業のM&Aは非常に重要になってくるだろうなと私は思っておりま す。いい技術があったり、いい事業をされていても後継者がいないとか、単独だと十分に 成長投資をしていかれないといった課題がある企業も少なくないと思います。地方の中小 企業の経営者さんが、自分の会社を続けていきたいけれども、単独では難しい、どこかの 資本の傘下に入ったほうが効率的なのではないかということを考えたときに、相談に行く - 33 - 相手は、恐らく地域金融機関がメインになることが多いかと思うのですが、一方で、取引 先の地域金融機関の融資部門とM&A部門のファイアウオールはどうなっているのだろう みたいなところが心配になってしまって、相談ができないといった課題を抱えているとこ ろも多いのかなと見受けられております。 これから中小企業の事業承継MA、再編MAというのは重要性を増すばかりだと思うの で、ファイアウオール規制となると、金融庁の管轄ということになるのかもしれないです が、ぜひ経産省さんでも、中小企業の側に立って、M&Aを進めていくに当たって買手側 の支援は割と多いのですけれども、売手のサポートとして、もっとどういうところをサポ ートしたらいいのかとか、どういうところに課題感があるのかというところをよく見て、 省庁横断的に御対応いただけるとよいのかなと思っております。 3点目、省庁横断的なサポートつながりなのですが、新宅先生がおっしゃられていた中 小企業の海外需要開拓支援は非常に重要だと私は考えています。国内の人口も減少してい ますし、円安傾向なので、中小企業も自ら海外に販路を求めるのは非常に重要な動きだと 思っております。 その中で、経産省内でもクールジャパン課さんやジェトロさんなども非常にいい事業を されていると思うのですが、肝心の対象となる中小企業のほうで、そういった事業がある ことを知らないということも多々あるなと思います。探さないほうが悪いとも言えるので すが、サポートを実施している主体によって情報が散在していて、それぞれのウェブサイ トの深いところにあったりして、非常に探しにくいというところもあると思うので、この 辺も縦割りにせず、今日も小林会頭がいらっしゃっていますけれども、商工会議所さんと 連携するとか、地域金融機関さんや自治体さんと連携するなどして、もう少し効果的にア プローチしていくことも重要かなと思いました。 最後に、個別具体の話になるのですが、今日の議論になかったのですけれども、事業再 構築補助金はいつまでやるのか、どういう枠組みでやるのかという点について、よくレビ ューしていただきたいなと思います。もともとこれは、コロナ禍において、既存の事業を 維持するのが難しい事業者さんに、既存事業維持のための補助金だけを出すのではなくて、 環境変化に応じた事業転換をサポートしていこうということで制度設計された補助金だと 思うのですが、コロナが5類に移行して1年以上たつのに、今年度でも予算が1,000億円 ぐらいあるかと思いますし、1社当たりの支給額が最大で1億円ある非常に大きいもので すし、かつ、事業転換する、新しい事業を始めるということ全体が対象になっているので、 - 34 - 自由度が非常に高い。審査する人にとっても裁量の高い補助金額だなと思っております。 GXやサプライチェーンの強靭化など、必ずしもコロナだけではなくて、新しいテーマ に取り組むことを条件にされたりするのは承知しているところですが、趣旨として、最初、 コロナの救済措置的にできた枠組みをほかのテーマに利用してしまっている感が非常にあ るかな、そのように見えるかなと私は感じております。もともと補助金は、補助金適正化 法で、私財形成に資するものは厳しく制約されていたかと思いますが、コロナ禍の持続給 付金あたりでややたがが外れたかなと感じていたのですけれども、それは有事対応で仕方 がなかったとはいえ、事業再構築補助金については、その枠組みを使って新しいテーマに 取り組んでいくのではなくて、このタイミングでちゃんと見直して、レビューし、それぞ れのテーマに合わせた制度設計にし直していくべきかなと思います。 長くなり、失礼しました。 ○十倉会長 どうもありがとうございました。 それでは、引き続いて、オンラインから、矢澤委員、よろしくお願いいたします。 ○矢澤委員 本日は、発言の機会を頂き、ありがとうございます。Yazawa Venturesの 代表の矢澤です。 今回の産業政策の方向性も非常にすばらしいと思います。その上で、時間も限られてい ると思いますので、私のほうで、事業領域であるイノベーション・新陳代謝の加速の部分 について、3点に絞って提言させていただきます。ほかの委員の方と重複する部分もある かと思いますが、よろしくお願いいたします。 まず1点目、イノベーション・新陳代謝の加速につきまして、以前、Ⅿ&Aの促進につ いて提言させていただきまして、今回、のれんの柔軟な評価基準など盛り込まれており、 大変ありがたく思います。 既に検討中かもしれませんが、会計基準のみならず、ぜひスタートアップを買収する企 業へ、優遇措置、税控除などを視野に入れて、スタートアップを買収することを積極的に 後押ししていただきたいと考えています。国内全体でスタートアップの数は徐々に増えて きていますが、IPOできる社数は当然限定的です。スタートアップの出口において、M &Aが少ない日本の環境を変える大きなきっかけをつくれるのは、やはり政府の支援や後 押しだと思います。スタートアップが増えても、結局、出口が限られているという状況は、 起業家にとってスタートアップするモチベーションにつながりませんので、ぜひ御検討を - 35 - お願いいたします。 2つ目、スタートアップのダイバーシティー促進への措置についてもご検討いただきた いと思います。ダイバーシティー性の高い企業はイノベーションを起こしやすい、時価総 額が高い、売上げが高いなどのパフォーマンスの実証をした調査レポートは、欧米では多 数出ております。これまでも提言してまいりましたが、日本では、岸田政権の5か年計画 も同様、ダイバーシティー政策はどうしても優先順位が落とされがちです。私自身、シー ドステージへ投資するベンチャーキャピタルとしては、ゼロイチをつくるときは、機動力 や成長速度を実現するために、例えば男性ばかりなどの、同質性の高さは許容されるべき だと思います。一方で、同質性が高いまま組織が大きくなればなるほど、今度は多様性の ある組織づくりが難しくなってまいります。スタートアップでいうと、ミドル・レイター ステージの企業はあえてダイバーシティーを促進していくべきだと思います。 また、日本は、レイターステージに投資をするベンチャーキャピタルが少ないという課 題もあり、シードステージよりもファイナンスや資金調達が難しいというケースがたくさ んあります。その際に、ダイバーシティー制度の補助金や税制優遇などを受けられたら、 企業としてよりよい健全な経営の一助になるのではないかなと思って提言させていただき ます。 3点目、最後です。冒頭でも申し上げたとおり、今回の産業政策の方向性は非常にすば らしいと思いますが、法制度の見直しや議論を、ぜひスピードを持って進めていただきた いところです。 例えば、イノベーション・新陳代謝の加速の中に、モビリティDX戦略の推進などが明 記されていると思います。もちろんこれは大事なのですが、一方で、その前に、日本版の ライドシェアなど、タクシー会社以外が事業参入することに対していまだに議論している など、円安で観光事業が伸びている中で、意思決定が非常に遅いなと感じています。古い 産業や業種・業態を守れば守るほど、イノベーションは遠くなると思います。逆に正しい 競争を起こしていくことがイノベーションをつくる源泉と考えます。 また、労働基準においても、日本の解雇規制に関しては非常に厳しいと感じます。今回 の主要施策の中に国民の所得向上もあり、賃上げ・働き方改革の話もあったと思います。 本日も価格転嫁の話が上がりましたが、私からは、雇用規制緩和による雇用の流動化に言 及いたします。 企業において優秀な人を如何に採用できるかは非常に大事です。しかし採用のミスマッ - 36 - チは起こりうるので、成果を出せない人をしっかり解雇できるという形にしていかないと 積極的な採用に歯止めがかかります。同時に、従業員側としても、労働生産性を高く意識 して働くことができないのではないかなと思います。成果を出していない従業員に対して 賃上げしていくことこそ非常に非効率だと思います。 あわせて、もちろん、失業者に対してのセーフティーネットも非常に必要だと思います。 ただ長く働いてくれる人へ高い賃金を払うのではなく、成果を出してくれる人へ高い賃 金を払っていくことこそが大事だと考えています。 これ以外にも、イノベーションを阻む規制はたくさんあると思います。この緩和につい て、スピードを持って意思決定してほしいということをいま一度、本日、提言させていた だきました。 私から以上です。ありがとうございました。 ○十倉会長 ありがとうございました。 それでは、続きまして、柳川委員、よろしくお願いいたします。 ○柳川委員 柳川でございます。 かなり多様なことが書かれているものですが、国内投資に重点を置いた政策になってい るのは非常に評価できるところではないかと思っております。 その中でも、民間投資をどうやって引き出していくかというのが大きなポイントになる というのは、冒頭、伊藤先生からも話があったところかと思います。そのためには、政策 としては、国内の民間投資をしっかり引き出せるようなプロセス管理をしていくこと、そ れから、政策の成果をちゃんとチェックしていくことがとても重要なところになってくる のだろうというのが1点目です。 2点目は、そうは言っても、これは何人かの委員の話がありましたが、単に金額が出れ ばいいという話ではないのだろうと。質のいい投資をしっかり引き出していくというとこ ろが重要です。これも、極端に言えば、産業構造を固定して、企業を固定して、それぞれ の企業が投資を拡大させても限界があるのだろうと。産業構造を大きく転換させていく新 しいエコシステムをつくっていく。そういう方向に向かっていくような投資を引き出すこ とが、長期的な経済成長率を引き上げる上で大きなポイントになるかと思います。その点 では、そういうことを実現させるような規制改革や組織改革を支援するような政策などを しっかりやっていくことがポイントになってくるのだろうと思います。 さらに言えば、投資も、目に見える設備投資だけではなくて、無形資産への投資や人的 - 37 - 資産への投資などがより大きなインパクトを持ってくる世の中になっていますので、こう いうものを引き出せるような対応が、書かれてはいるのですが、重要なポイントになって くるかと思います。 3点目は、そういう中で、官民連携の投資が重要なわけですが、特に官の側で何をやる かというところが問われていて、その点では、先ほど民間投資の質というお話をしました けれども、官の側の投資の質、政策の質も問われてくるのだろうと思います。 その点でいけば、資料4で書かれているような評価をちゃんとやるのだということが資 料に書かれているのはとても重要なポイントではないかと思っております。 ある種の戦略的な投資といったときの戦略性の意味ですが、これは、長期的なプランに 基づいて、重点を置いて、経済全体に大きな中長期的なインパクトをもたらすようなこと をやっていくというところだと思うのですけれども、その点で重要になってくるのは、先 ほどのエコシステムを新しくつくっていくのと同じように、産業全体の横連携、新しいも のをしっかり組み立てて、それによって経済全体を動かしていくのだという大きなプラン ニングが、戦略的投資というところでは大事になってくると思いますので、その点でいく と、幾つか書かれていましたが、グローバルなルール設計、標準化への取組というあたり は、金額的には、官としての投資としては小さいかもしれませんけれども、官民連携の非 常に重要なところだと思っております。 以上でございます。 ○十倉会長 どうもありがとうございました。 お待たせしました。1巡目の最後になります益委員、オンラインから、どうぞよろしく お願いいたします。 ○益委員 東工大の益です。 経済産業政策の重点(案)に記載されている政策のうち、私は、2つの立場、知的財産 分科会長とグリーンイノベーションプロジェクト部会の会長として3点述べさせていただ きます。 まず、知的財産分科会長の立場で、1番目のイノベーション・新陳代謝の加速でござい ますが、知財の戦略的投資や活用を促す知財経営の浸透・定着がまず重要でございます。 6月に公布されました産業競争力強化法において、独立行政法人工業所有権情報・研修 館、すなわちINPITという組織がございますが、中小企業・スタートアップへの集中 支援ができるようになったことに加え、オープン・クローズ戦略に取り組む企業への支援 - 38 - も可能となりました。特許庁においては、引き続き、INPITと一層の連携を図って、 これら企業に対する支援の充実をしていただきたいと思っています。 また、地域の中小企業支援については、特許庁、弁理士会、日商、INPITの4者に よる知財経営支援ネットワークを活用していただき、地域経済支援モデルの地域創出事業 が今年から始まっています。このような取組を通じて、地域のイノベーション促進に知財 が有効活用されていくことを期待しております。 また、経済社会が加速度的に変化している中、特にAI技術については、我が国の生産 性向上への期待が高まる一方で、創作活動への影響について、しっかり検討していく必要 がございます。技術のさらなる進展に適切に対応できるよう、知財制度における論点整理 を検討していただきたいと思います。 2点目、経済安全保障の確保ですが、これに関しましては、特許出願非公開制度が本年 5月から開始しております。我が国の経済活動・イノベーションの推進と安全保障の両立 という観点に留意しながら、関係省庁と連携して取り組んでいただきたいと思っています。 グリーンイノベーションプロジェクト部会の会長として3点、簡単に述べさせていただ きたいと思います。 1点目ですが、グリーンイノベーション基金では、現在20のプロジェクトが走ってい ます。研究開発成果を着実に社会実装につなげるため、実施企業の経営者などのコミット メントを求めています。これまでにワーキンググループを29回開催し、延べ111事業者の 経営者から、事業体制の工夫、取組状況、今後の展望について説明していただいておりま す。経営者の皆様には、引き続き、強いリーダーシップを発揮していただくよう、しっか りと対話を進めていきたいと思っているところです。 2点目は、政府におけるGX推進の流れに沿った対応として、直近のグリーンイノベー ションプロジェクト部会では新たなルールを追加しました。具体的には、本年6月以降に グリーンイノベーション基金からの支援を新たに受ける企業については、GXリーグへの 参画など、GXに向けたそれ相応のコミットメントを求めることとしています。 3点目、最後ですが、GXの実現に向けた政府の支援におきましては、国内投資拡大に 加えて、グリーンイノベーション基金の目的である革新的技術の研究開発・実証及び社会 実装の観点からも、効果的な内容となることを期待しているところでございます。 以上でございます。どうもありがとうございます。 ○十倉会長 どうもありがとうございました。 - 39 - 各委員から一通り御意見を頂きましたので、ここで私からも発言させていただきます。 世界を見渡せば、国際秩序を揺るがす事態が続き、気候変動や生態系崩壊の危機、頻発 化・激甚化する自然災害、格差の拡大、固定化・再生産といった相互に連関する複雑な社 会課題に現在直面しております。 また、我が国におきましては、2つの大きな制約があると思います。1つは、人口減 少・少子高齢化、そして四方を海に囲まれた資源を持たない島国という2つの大きな制約 の下で、これら複雑化する課題に取り組まなければならない状況にあると思います。 こうした中で、官と民の連携の下で、課題を解きほぐしつつ、政策を進めていくことが 重要であり、社会課題解決を起点とする経済産業政策の新機軸は非常に意義があるものと 考えております。 また、今回の中間整理では、人口減少下でも、一人一人が豊かに生活できる2040年頃 の日本に向けたシナリオと施策をまとめました。 現在、経団連におきましても、「Future Design 2040」として、「公正・公平」、そして 「持続可能性」という観点から、全世代型社会保障、環境・エネルギー、イノベーション、 地域経済など6つのテーマについて、2040年の中長期のビジョンを議論しております。 ぜひ官民で中長期のビジョンや目標を共有しつつ、DX、GX、イノベーションの促進 に向けた国内投資の拡大等を進めていければと存じます。 同時に、国内投資の拡大にはエネルギーの安定供給が必須であり、これなくしては民間 投資の予見可能性を確保することすらできません。我が国は資源を持たない島国であり、 他国との電力グリッド網もございません。こうした中で、電力の安定供給を図りつつ、気 候変動問題への対応から、クリーンエネルギーを確保する必要がございます。クリーンエ ネルギーのうち、再生可能エネルギーを最大限に確保しなければなりませんが、我が国に は地形的制約があり、再エネが変動性電源であることを踏まえれば、純国産のベースロー ド電源として、原子力発電を含む核エネルギーの利活用は不可避と考えます。安全性の確 保と地元理解を前提にした既存原発の再稼働、核燃料サイクルにおけるバックエンドの問 題、そして次世代革新炉の開発・実装などについて、国が先頭に立って取組を進める必要 があると思います。 こうしたエネルギ―の問題も含めまして、2040年の我が国の目指すべき経済社会の姿 について、引き続き、委員の皆様と幅広い観点から議論させていただければと思います。 冒頭に、時間があれば、2巡目をお願いしますと申しましたが、時間も押しておりまし - 40 - て、これにて各委員の皆様からの御意見を終わらせていただきまして、本議論を受けまし て、事務方からもコメントをお願いしたいと思います。残り時間も限られておりますので、 簡潔にお願いしたいと思います。 それでは、最初に、経済産業政策局の藤木局長からお願いいたします。 ○藤木経済産業政策局長 藤木でございます。今日はありがとうございます。 手短に。まず、伊藤先生から御指摘がありました、産業政策に乗り出していく以上、官 と民の在り方をしっかり考えるべきだと。まさにクレバーな産業政策とは何かということ だと思っております。その意味では、今日、何点か御指摘いただきました一種のマーケッ トデザインといいますか、関灘さんがおっしゃったように、どの範囲を、どうマーケット として捉えていくのかと。あるいは、滝澤先生からありました、投資といっても設備投資 だけではなくて、例えば人材投資やインフラ投資など、いろいろ広げて考えていくことが 必要だということでありますので、この点にしっかり取り組んでいきたいと思います。 それから、沼上先生からありました、成長を追求する人たちをどうつかまえていくかと いうことであります。そのコンテクストの中で、コーポレート・トランスフォーメ―ショ ンや中堅といった課題にも取り組んでいかなければなりませんし、鎌倉先生、浜口先生か らありましたが、地域政策を地方自治体と一緒になって考えていく。その中で、何をピッ クアップしていくのかということにもしっかり取り組んでまいりたいと思います。 私的整理法制は、いい制度ができるように、関係者の皆様から丁寧に御意見を伺ってま いりたいと思います。 以上です。 ○十倉会長 ありがとうございました。 本日、たくさんの議論が出てまいりました中小企業につきまして、中小企業庁から飯田 次長、お願いします。 ○飯田中小企業庁次長 飯田でございます。 今日は幾つも御指摘がございました。 中小企業の賃金が上がっていくのが経済の好循環の鍵だというのは共通認識でございま す。そのために価格転嫁が大事ということで、これは、公正取引委員会とも連携して、全 力で進めているところでございます。 それから、そのためにも生産性の向上ということでございます。コストカット型でなく、 売上げを増やした形での生産性向上といった流れだと思っておりまして、そのためにも、 - 41 - 今日も御指摘がございました100億企業への成長、中堅企業の成長ということも目指して まいりたいですし、そのための大事なツールとしてM&Aがございます。 様々な制度的な課題も認識しております。ガイドラインを含めて、今、検討中でござい ます。 それから、海外展開をして、外の需要を取り込んでくることも大事だと思っております。 今お試しで、中小企業の方、1万社にやっていただこうということで、2,000~3,000来て いるところでございます。ジェトロ(日本貿易振興機構)とも連携して進めてまいりたい と思っておりますが、そういったことをやっていく上でも、人手不足が非常に大きなボト ルネックになっているということだと思います。 省力化の補助金についてのお話もございました。もっともっとよく知っていただいて、 使い勝手をもっともっとよくすることに努めてまいりたいと思っております。 人への投資も、同じ文脈で非常に大事なものだと思っております。 こうした経営をやっていくという観点からも、基盤的・基礎的な経営力の強化をどう図 っていくかということで、小林会頭からもございましたが、自己変革をどう進めていくか ということだと思っております。これは売上げの拡大と矛盾することだと思っておりませ んので、並行して、しっかり進めてまいりたいと思っております。 それから、事業再構築補助金についてもお話がございました。コロナ禍で非常に大きな 役割を果たしてきたと思っておりますが、御指摘のとおり、コロナということではなく、 もともとこれは、ウィズコロナ、アフターコロナということで進めておりまして、最初の 段階から、コロナによって起こる産業構造転換をにらんだ補助金としての出口もありまし て、最初はそういうのは少なかったのですが、最近はそういうのが増えてきております。 昨年秋の行政事業レビューで大きな御指摘を頂いて、見直しを進めているところでござい ます。今後も、どういった補助金の在り方がいいかということについては検討してまいり たいと思っております。 私から以上です。 ○十倉会長 どうもありがとうございました。 それでは、続きまして、資源エネルギー庁の村瀬長官、よろしくお願いします。 ○村瀬資源エネルギー庁長官 資源エネルギー庁長官・村瀬でございます。 先ほど、エネルギーの関係、GXの関係で御説明いただきましたが、隅会長からお話し いただいたとおり、第7次エネ基に向けた検討を今進めているところでございますが、前 - 42 - 回のエネ基の議論をしていたときとは、エネルギーをめぐる環境が全く変わっている。こ うしたことを踏まえて、戦略的な政策展開につながるようなエネルギー基本計画の取りま とめを受けて、我々としても努力をしてまいりたいと考えてございます。 十倉会長からもお話がありましたが、DXが進む中で、電力需要増大に向けてニーズが 高まっている中で、電力需要を確保できないと、国内投資が進まないことになっていると いうことだと思いますので、電力需要増への対応については、求められる脱炭素電源が不 十分であるがゆえに、今後の競争力の源泉となるAIやデジタル投資が日本になされない ということがあってはならないと考えています。今後、どれだけ需要が増えていくか見通 しづらい中では、どうしても過少投資になりやすいということだと思いますし、電力が必 要なタイミングに供給が間に合わないということになりがちですが、そうならないような 脱炭素電源や送電設備について、必要な投資を確保するための政策措置をしっかりと講じ ていきたいと考えております。 また、隅会長からは、脱炭素電源以外のトランジショナルな期間における現実的な政策 対応も必須であるというお話を頂きましたが、現在、欧州を中心に、現実的なトランジシ ョンへの認識も高まっておりまして、現実的対応に向かっていく動きもございます。そう いう意味では、我が国も、化石燃料のトランジション期間におけるクリーン・グリーンな 使い方の工夫をしながら、したたか、かつ戦略的取組が必要になってくると思っておりま して、CCS、水素・アンモニアといった新しいテクノロジーにもしっかりとチャレンジ をしていきたいと思っております。 今回のエネ基のこれまでとの大きな違いは、単にグリーンやエネルギー政策だけで政策 を考えるのではなく、先ほど御指摘いただいたように、GXとDXを一体的に考えていく 必要があるということだと思います。GXの産業立地、GXの産業構造、GXの新たな市 場創造、一体的なエネルギー政策を展開していきたいと思っております。 また、本日も御指摘いただきましたが、欧米の動き、変化が大きい中で、アジアの視点 を加えた体系的・総合的な戦略の下でのグローバルなエネルギー政策の展開も必要だと考 えてございます。ここもしっかり進めてまいりたいと考えてございます。 以上でございます。 ○十倉会長 ありがとうございました。 それでは、最後に、大臣官房の片岡官房長からお願いいたします。 ○片岡官房長 多岐にわたる御意見ありがとうございました。経産省の組織や政策評価 - 43 - も頂きましたが、しっかりやっていきたいと思います。 それから、今日、個別にお答えできなかった御意見等につきましては、しっかりと受け 止めてやっていきますので、どうぞよろしくお願いしたいと思います。 以上です。 (3)総括 ○十倉会長 ありがとうございました。 それでは、時間も参りましたので、本日の議論はここまでとしたいと思います。 ここで、私から本日の議論を総括させていただきます。 まず、2021年以降、アップグレードしながら、経済産業政策の新機軸を継続して進め てくださっていることに感謝申し上げます。 繰り返しになりますが、課題が複雑化する時代において、官と民とが積極的に意思疎通 を図り、官民連携の下で、政策を進めることが何よりも肝要であります。 本日の委員の皆様方の意見は大変貴重であり、経産省には、この産業構造審議会での議 論を踏まえて、来年の予算、税制、制度改正も含め、今後の政策運営を進めていただきた いと存じます。 委員の皆様には、活発な御議論に感謝申し上げますとともに、今後ともどうぞよろしく お願い申し上げます。 それでは、最後に、飯田次官から御挨拶を頂きたいと思います。飯田次官、よろしくお 願いいたします。 (4)飯田次官御挨拶 ○飯田事務次官 事務次官の飯田でございます。 本日は、お忙しい中、また、お暑い中、御参加いただいて、ありがとうございます。 たくさん御意見を頂きましたし、また、皆様方には、常日頃、経産行政に御指導いただ いておりまして、本当にありがとうございます。 大臣が冒頭申し上げましたが、産業政策は本当に国際競争になっておりまして、今回、 中堅企業政策をやりましたが、これは、お隣の韓国やヨーロッパで、既にかなり前からや - 44 - ってきた政策でございまして、それを我々が後れて入れたという状況にありまして、官の 不策を恐れるということで、新機軸を2021年から3年間続けてまいりました。我々とし ては、手前みそですが、こうした施策の効果もあって、投資や賃上げといった潮目の変化、 いい動きが出始めていると思っておりまして、特に、今日、御意見がありました中小企業 の賃上げを含めて、何としてもこれを続けていきたいと思っております。 そのためには、1つは、政策は続けなくてはいけない。私はGXにずっと関わっており ますが、5年、6年たって大きく変わってきておりますので、この新機軸もしっかり継続 していきたいと思いますし、それから、実は、前回、前々回にも御意見を頂きました、い ろいろな分野をちょっとずつ変えてきています。最初、6・6・2で、去年は8・5で、 今年はミッションが8で、OSが4で、ちょっとずつ変えてきたのですが、これはそれぞ れ相互に関係します。したがって、我々の産業政策は、新機軸をハブにして、ここにいろ いろなものを持ち寄って、横の連携をしながら進めていきたいと思っております。 それから、見直しも必要だと思っておりまして、体制の話も申し上げましたし、今度、 全く新しい問題として、インフレや金利がある世界の中で、どのように経済を回していく かということも大きな課題でございますので、そうしたことも含めて、我々、継続して、 結果が出るまでやっていきたいと思っておりますので、今日頂いた意見はしっかり政策に 反映させていただきますが、引き続きの御指導、どうぞよろしくお願いいたします。 以上です。 ○十倉会長 ありがとうございました。 以上で本日の議論を終了いたします。 委員の皆様には、活発に御議論いただき、心より御礼申し上げます。 経済産業省の皆様方には、本日の御意見を今後の政策立案にしっかり反映させていただ きますよう、よろしくお願いいたします。 それでは、これをもちまして、第33回産業構造審議会総会を閉会いたします。どうも ありがとうございました。 ――了―― - 45 -

資料1

第33回産業構造審議会総会 資料一覧 資料1 経済産業政策の新機軸第3次中間整理について 資料2 令和7年度経済産業政策の重点(案)について 資料3 令和6年7月の機構改革等について 資料4 令和5年度に講じた政策に関する政策評価(事後評価)について 参考資料1 産業構造審議会 活動報告書 参考資料2-① 経済産業政策新機軸部会第3次中間整理 参考資料2-② 経済産業政策新機軸部会第3次中間整理の概要 参考資料2-③ 経済産業政策新機軸部会第3次中間整理参考資料集

資料2

産業構造審議会総会 委員名簿 <委員> とくら まさかず いとう もとしげ おおたに ひでお おおの ひでお かまくら 鎌倉 夏来 なつき 東京大学大学院総合文化研究科 地域未来社会連携研究機構 准教授 くどう ていこ 三井住友フィナンシャルグループ取締役 執行役副社長(代表執行役) 十倉 雅和 伊藤 元重 大谷 英雄 大野 英男 工藤 禎子 日本経済団体連合会 会長 / 住友化学株式会社 代表取締役会長 東京大学 名誉教授 横浜国立大学名誉教授 / 放送大学特任教授・神奈川学習センター所長 東北大学総長特別顧問 / 三井住友銀行 取締役(代表取締役)兼副頭取執行役員 しんたく じゅんじろう 新宅 純二郎 じんぼ まさし 神保 政史 明治大学経営学部 特任教授 日本労働組合総連合会 副会長 せきなだ しげる たきざわ 滝澤 美帆 み ほ 学習院大学経済学部 教授 たけだ ようこ 株式会社三菱総合研究所 執行役員 兼 研究理事 シンクタンク部門長 なかむろ まきこ 慶應義塾大学総合政策学部教授 /デジタル庁シニアエキスパート(デジタルエデュケーション) 関灘 茂 武田 洋子 中室 牧子 A.T. カーニー株式会社 アジアパシフィック代表 兼 日本代表 代表取締役 / 公益財団法人東京財団政策研究所 研究主幹 ぬまがみ つよし はまぐち のぶあき ばんの なおこ ふくだ え み 沼上 幹 浜口 伸明 坂野 尚子 福田 映美 ます かずや 益 一哉 み た ら い たまこ 御手洗 瑞子 やざわ ま り こ やすなが たつお やながわ のりゆき 矢澤 麻里子 安永 竜夫 柳川 範之 早稲田大学ビジネス・ファイナンス研究センター 教授 神戸大学経済経営研究所 教授 株式会社ノンストレス 代表取締役 社長 日本共創プラットフォーム ディレクター 東京工業大学 学長 株式会社気仙沼ニッティング 代表取締役 社長 Yazawa Ventures 代表パートナー 日本貿易会会長 / 三井物産代表取締役会長 東京大学大学院経済学研究科 教授 <臨時委員> こばやし けん 小林 健 すみ 隅 しゅうぞう 修三 日本商工会議所 会頭 東京海上日動火災保険株式会社 相談役 (委員21名、臨時委員2名)

資料3

第33回産業構造審議会総会 議事次第 令和 6 年8月1日(木)14:00~16:00 経 済 産 業 省 本 館 17 階 国 際 会 議 室 1. 開会 2. 経済産業政策の新機軸第3次中間整理について 3. 令和7年度経済産業政策の重点(案)について 4. 令和6年7月の機構改革等について 5. 令和5年度に講じた政策に関する政策評価(事後評価) について 6. 討議 7. 閉会

資料4

資料1 経済産業政策の新機軸 第3次中間整理 ~2040年頃に向けた経済社会シナリオと 今後の検討が必要となる主要施策~ 令和6年8月 経済産業政策局 経済産業政策の新機軸 ⚫ 2021年の産構審総会以降、社会課題解決を成長のエンジンと捉え、 「ミッション志向の産業政策」 と「社会基盤の組換え」 という枠組みの下で、大規模・長期・計画的な産業政策の強化策を提示。 ⚫ 一貫して、①国内投資の拡大、②イノベーションの加速、③国民の所得向上の3つの好循環の実現 を掲げてきた。 ➢ ミッション志向の産業政策(8分野) 世界的な社会課題を起点に、人口減少下でも中 長期的に拡大する国内需要を開拓。海外含め需給 両面から施策を継続実施することで世界水準の戦 略投資を加速。政府支援は、国富を拡大する「国 の戦略投資」。 <ミッション>  GX:今後10年で150兆円超の官民投資、そのために20兆円規模の政府支援。  DX:デジタル化による新たなサービスへの需要が創出、ソフトウェアを含む設備投資 が増加。例えば、2030年までに国内で半導体を生産する企業の合計売上高(半導 体関連)15兆円超を目指す。  グローバル・経済安全保障:2030年に対内直接投資残高を100兆円とす る目標の早期実現。自律性向上、優位性・不可欠性確保、国際秩序維持  健康:2050年に公的保険外サービス77兆円  少子化対策に資する地域の包摂的成長:可処分所得/時間の向上等 を通じ希望出生率を1.8に回復、将来的には更なる希望向上へ  レジリエンス:2050年に適応市場が途上国で約70兆円に成長。  バイオものづくり:2030年時点で国内外で総額92兆円の市場規模。  資源自律経済: 2030年に80兆円、2050年に120兆円のサーキュラーエコノ ミー市場を実現。 ➢ 社会基盤(OS)の組換え(4分野) ミッションの実現には、個別産業政策を補完 するものとして、テーマ横断的な経済社会構 造の基盤整備も必要。個別ミッション範囲外 でも、国内投資・イノベーション・所得向上の 3つの好循環に貢献。 <社会基盤(OS)>  人材 物価上昇を超える賃上げの持続的な実現  スタートアップ・イノベーション スタートアップへの投資額を今後5年で10倍  価値創造経営 日本の代表的企業がPBR1倍超えとなる割合を2030年に8割に  EBPM・データ駆動型行政 (注)これまで新機軸部会で整理してきた8つのミッションと5つの OS について、今回の第3次中間整理にて、「グローバル」と「経済安全保 障」を1つのミッションとして統合。8つのミッションと4つの OS に再 整理している。 2 なぜ、国内投資なのか(日独比較:潜在成長率の最大の違いは、資本蓄積) ⚫ 潜在成長率を要因分解すると、技術進歩などの全要素生産性要因には日独で大きな差はない。 ⚫ 最大の違いは資本投入量(=国内投資)。ドイツは継続的に拡大してきたが、日本は停滞。 (前年比) 2.5% 潜在成長率の寄与度分解(日本) (前年比) 2.5% 潜在成長率の寄与度分解(ドイツ) 資本投入量 2.0% 潜在成長率 2.0% 資本投入量 就業者数 全要素生産性 1.5% 1.5% 潜在成長率 1.0% 1.0% 0.5% 0.5% 0.0% 0.0% ▲0.5% ▲0.5% 就業者数 全要素生産性 労働時間 労働時間 ▲1.0% ▲1.0% (年) (資料)内閣府「GDPギャップ、潜在成長率」2024年3月15日公表 (資料)ドイツ経済諮問委員会 (年) 3 なぜ、所得拡大なのか ⚫ 労働生産性:日本の労働生産性は、年率で1%以上伸びてきた。 ⚫ 実質賃金:日本の実質賃金は、過去30年横ばい。それに伴い個人消費も低迷してきた。 実質賃金の国際比較 労働生産性の国際比較 80 時間当たり労働生産性 (ドル/時間) 74.1 75 70 65 73.8 80,000 65,000 60.5 フランス =+1.1%/年 (1991~2022) 英国 =+1.4%/年 (1991~2022) 55,000 49.1 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 2021 2022 (1991~2022) フランス 52,764 =+0.9%/年 (1991~2022) 41,509 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 2021 2022 35,000 ドイツ =+0.9%/年 (1991~2022) 英国 53,985 =+1.2%/年 50,000 30 (注)2015年の米国ドル(購買力平価ベース)で実質化したGDPを総就業時間(就業者数×年間の 平均就業時間)で割った値。 (出所)OECD.stat 58,940 60,000 35 (年) 米国 =+1.3%/年 (1991~2022) 70,000 日本 45,000 =+1.2%/年 (1991~2022) 40,000 40 77,463 75,000 68.6 50 45 1人当たり実質賃金(ドル) ドイツ =+1.3%/年 (1991~2022) 60 55 米国 =+1.7%/年 (1991~2022) 日本 =+0.1%/年 (1991~2022) (年) ((注)左図:2022年の米国ドル(購買力平価)で実質化した値。 右図:各国の名目賃金(自国通貨建て)について、1991年を100として、指数化した値。 (出所)OECD.stat、内閣府 4 令和5年度補正予算により、既に動き出している主な国内投資案件 経済産業省の令和5年度補正予算の国内投資支援策 <DX>・先端半導体の国内生産拠点の確保(6322億) ・ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業(6773億) <中堅等>・中堅・中小の賃上げに向けた省力化等の大規模成長投資補助金(1000億) <物流>・物流効率化に向けた先進的な実証事業(55億) <GX>・省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費(910億) 金属 アサヒフォージ 半導体 堀場エステック 158億円 技術サービス グローバル・テック 56億円 半導体 アオイ電子 291億円 部品 三恵工業 117億円 食品 マリンフード 54億円 省エネ 大王製紙 49億円 部品 サムテック 物流 ジョヴィ 約15.2億 物流 疋田産業 省エネ ニプロファーマ 31億円 化学 ナミックス 200億円 機械 フクシマガリレイ 86億円 部品 進工業 88億円 物流 サンゲツ 約5.3億 半導体 JASM 139億ドル規模 機械 サーパス工業 210億円 部品 BBSジャパン 半導体 MARUWA 金属 冬木工業 69億円 化学 日華化学 省エネ カネカ 金属 廣澤精機製作所 75億円 食品 創味食品 物流 ナカノ商会 物流 ヤハタ 食品 松岡 131億円 化学 大峰堂薬品 機械 ジェイ・イー・ティ 物流 レイズ 約5.4億円 食品 プレジィール 88億円 化学 中外医薬生産 60億円 機械 松尾製作所 省エネ 太平洋セメント 57億円 機械 メイド― 金属 アサヒセイレン中部 155億円 機械 山田ドビー 55億円 半導体 ラピダス 9,200億円 部品 日星電気 金属 アイ・テック 73億円 機械 ジェーイーエル 51億円 化学 千寿製薬 107億円 物流 ほくやく 化学 フロイント産業 機械・部品 半導体 省エネ 物流 金属 化学 その他 機械 オリヒロ エンジニアリング 66億円 部品 丸井産業 113億円 省エネ いすゞ自動車 38億円 金属 千代田鋼鉄工業 金属 トーカロ 111億円 食品 福砂屋商事 機械 オティックス ホールディングス 166億円 ※掲載した予算事業のうち、一定額以上の公表可能な案件を掲載。 ※マッピングは都道府県単位であり、市町村以下の場所は反映せず。 ※「中堅・中小の賃上げに向けた省力化等の大規模成長投資補助 金」で補助している案件については、企業名に下線。 5 潮目の変化①国内投資:設備投資は今年度も増加傾向 ⚫ 2023年度の設備投資計画(全規模全産業)は、過去最高水準の伸びを記録した2022 年度に次ぐ水準の伸びで、増加する見込み。 ⚫ 他方、経団連が目標とする設備投資額115兆円(2027年度)を達成するには、この拡大の継 続が不可欠。昨年12月、政府として「国内投資促進パッケージ」を取りまとめた。総理から、「国 内投資拡大のための官民連携フォーラム」において、官民連携でこの目標を達成すると表明。 企業の設備投資計画額の推移(前年度比) 民間企業設備投資額の推移と経団連目標 (前年度比) 20% 110 2024年度 +10.6% 2023年度 +9.4% 10% 2022年度 +7.4% 5% コロナ前平均 +3.8% (兆円) 115兆円(2027年度経団連目標) ※1991年度:102.7 兆円 100 90 80 70 0% ▲5% 2021年度 +1.2% 60 2020年度 ▲8.5% 50 ※2023年度:102.4兆円 ※2024年度:104.8兆円(政府経済見通しの「見通し」) 40 ▲10% 3月調査 6月調査 9月調査 12月調査 実績見込 実績 1980 1982 1984 1986 1988 1990 1992 1994 1996 1998 2000 2002 2004 2006 2008 2010 2012 2014 2016 2018 2020 2022 2024 2026 2028 15% 120 (注)(左)「コロナ前平均」 は、2017年度~2019年度の平均値。全規模・全産業(製造業に限らない)の設備投資計画のうち、ソフトウェア投資額・研究開発投資額を含み、土地投資額を含まない。 (右) 1980年~1993年までは2015年基準支出側GDP系列簡易遡及値を利用。全産業(製造業に限らない)の民間企業設備投資額(研究・開発やコンピュータソフトウェアをはじめとする知的財産生産物なども含む)で計算。 (出所)(左)日本銀行「全国企業短期経済観測調査」(7月1日公表) (右)内閣府「国民経済計算」「政府経済見通し」、令和5年4月6日「国内投資拡大のための官民連携フォーラム」経団連十倉会長提出資料を基に作成。 (年度) 6 潮目の変化② 賃上げ:30年ぶりの水準の継続 ⚫ 2023年の春季労使交渉賃上げ率は3.58%と、1993年以来30年ぶりの高い伸び。 ⚫ 2024年の春季労使交渉賃上げ率は5.10%と、1991年以来33年ぶりの高い伸びで、30年ぶ りの水準を継続。 春季労使交渉回答集計結果(連合集計)の推移 (%) 6.0 5.5 5.0 5.70 5.66 5.10 5.10 4.97 4.45 4.5 4.0 3.99 3.58 3.90 3.5 全規模 3.0 3.23 2.5 2.0 1.5 ※1:調査対象は、連合加盟企業の組合。中小企業は、組合員数300人未満の中小組合。 ※2:賞与等を含まない月例賃金ベース。平均賃金方式(集計組合員数による加重平均)の集計。 ※3:最終回答集計結果。 (出典)日本労働組合総連合会「春季生活闘争回答集計結果について」 (参考)パートタイム労働者の給与水準も上昇。例えば、厚労省「毎月勤労統計調査 令和5年分結果確報」では、パートタイム労働者の時間当たり給与は1223円(2021年)→1279円(2023年) 2024年 2023年 2022年 2021年 2020年 2019年 2018年 2017年 2015年 2014年 2013年 2012年 2011年 2010年 2009年 2008年 2007年 2006年 2005年 2004年 2003年 2002年 2001年 2000年 1999年 1998年 1997年 1996年 1995年 1994年 1993年 1992年 1991年 1990年 2016年 中小企業 1.0 7 産業構造審議会新機軸部会 第3次中間整理のポイント① ⚫ 人口減少等で将来悲観のある現状では、非連続に在るべき姿を示すビジョンというよりは、この数年取り組んで成 果が出始めている「新機軸」の経済産業政策を、継続すれば十分実現可能な、人口減少しても一人ひとりが豊 かに生活できる「2040年頃に向けたシナリオ」を描き、これに沿って、今、足下で必要となる今後の施策を強化。 ⚫ 今回策定した定性的シナリオを基に、次回、国内投資・生産性・賃金・産業構造・GDP等の定量化を検討。 ⚫ 世界の需要は、社会課題解決の価値化(GX等) とデータドリブンでの新たな価値創出(DX等)で 拡大。 (物量は減少しても、高付加価値化・新需要開拓 等で、人口減少下でも需要は拡大。) 一人ひとりが豊かに生活できる 2040年頃の日本 ⚫ 食料・資源等を輸入せざるをえない日本は、世界で イノベーションで稼ぐ。中堅・SUの重要性高まる。 ⚫ 一人一人の可処分所得・時間 が増加。国民の生活がよりス ムーズで、心地のよい生活へ。 ⇒産業の変化①「世界の創造拠点」へ ⇒産業の変化②生活の質を高める挑戦 ※「半導体・計算資源」「自動車・モビリティ」「ヘルスケア」等 15の個別産業を詳述 ⇒国内外の企業に日本が投資先として 選ばれる産業政策を継続。 ※「GX」・「DX」等8ミッション、 「人材」・「スタートアップ・イノベーション」等4OSを詳述 1990年頃 新自由主義 的な政策 2021年頃 2024年頃 気を緩めて 継続しないと これまでの新自由主義的な政策を継続 背景 ・国際経済秩序:グローバリゼーションの時代 ⇒ 不確実性の高い時代 にある ・世界人口動態:日本だけ人口減少 ⇒ 中国・欧州・韓国も人口減少に。日本は労働参加率高止まり 世界 ⚫ ISバランス上、 ・企業が国内投資拡大を通じて 貯蓄超過を解消し投資超過へ、 ・家計は貯蓄超過を維持、 ・経常収支の黒字構造が維持、 ・政府は経済成長に伴う税収増 等を背景に投資超過を解消。 当面社会は安定も、停滞する 2040年頃の日本 8 産業構造審議会新機軸部会 第3次中間整理のポイント② (足下の取組と今後必要となる施策の全体像) 第2次以降の進捗 国 内 投 資 イ ノ ベ ー シ ョ ン 所 得 向 上 ●設備投資意欲の上昇 戦略分野への世界水準の長期大規模支 援(GX経済移行債13兆円の支援先決定、 戦略分野国内生産促進税制の創設等、 11府省庁200強の施策の国内投資促進 パッケージ) 中堅企業成長促進パッケージ、成長志向の中小 企業創出、人手不足対策として省力化投資促進 今後検討が必要となる施策 国内投資の官民目標:2027年度115兆円 国内投資拡大の継続・対内直投の拡大:先端半導体の 生産拠点整備、次世代電池の実用化、バイオ医薬品等の 開発製造拠点整備・増強、経済安保分野のリスク分析・技 術優位性獲得に向けた投資支援、銅資源等の海外上流 開発支援等、工業用水・産業用地等の有効活用・整備、 人手不足等の供給制約への対応 長期的目標 国内投資拡大の継続 (例えば、2027年115兆円 達成スピード以上の継続) 将来の成長期待に基づく 民間投資の促進 + 人口減少で物量減少しても、 高付加価値化・新需要開拓・ ●人手不足・新陳代謝の兆し 成長分野への労働力・資金流入、海外収益の国内還流 省力化徹底で国内経済活性 スタートアップ:育成5カ年計画の着実な スタートアップ投資額:2027年度10兆円 化・海外需要開拓 推進と強化(JIC運用期限延長、LPS投資 世界で勝負(世界の創造拠点):AIの性能向上に向け 対象拡充・海外投資制限の要件緩和等 両立 た計算資源確保等、AI安全性基準・ルール検討、排出量 を規定した法案の提出) 取引制度の検討、グローバルサウスとの戦略的取組 社会課題解決に向けた進展 世界水準のイノベーション投資環境整備 ・GX:2050年カーボンニュートラル スタートアップを含むイノベーションエコシステム強化:バイオ・量 ・DX:デジタル社会の実現 (イノベーションボックス税制の創設) 子・宇宙支援、グローバル・スタートアップ創出を促すM&Aやセカン ・経済安全保障の実現 ダリー等市場環境整備、新陳代謝を促す私的整理法制やパー ・健康寿命の延伸 戦略分野のイノベーションの世界水準の 支援(GX、半導体・AI・量子・宇宙、バイオ、 シャル・スピンオフ税制等組織再編税制の在り方検討 ・自然災害へのレジリエンス社会 健康) ・資源自律:資源制約からの解放 生活の質の向上に向けた挑戦:成長志向の中堅・中小後 高付加価値化のための事業構造改革、 押し強化の方向で予算・税制等について見直し、PHR整備、 ・少子化傾向の反転:希望出生 率を1.8に回復、将来的には更な 新陳代謝促進(複数回のM&Aを行う場合 クリエイティブ産業の戦略的海外展開の促進、クリエイター育 地域・国民のデジタル活用:デジタル全国総合整備計画 る希望向上へ の税制優遇措置の創設、スピンオフ等) 成、観光・インバウンドの稼ぐ力強化 ●30年ぶりの賃上げ水準 賃上げ環境の整備(価格転嫁対策、賃上 げ促進税制の強化、事業再構築・生産性 向上支援等) 物価上昇と賃金上昇の好循環の定着 賃上げ・生きがいの提供:良質な雇用を実現できる地域の 中堅・中小企業の育成、下請法執行力強化、労務費価格 転嫁徹底、地域性に応じた介護事業を促進する仕組み 賃金上昇の継続 (例えば、ここ2年の名目 賃上げの継続) 一人一人が豊かな生活 9

資料5

令和7年度 経済産業政策の重点(案) <概要> 資料2 ⚫ 30年で最高水準の設備投資額・賃上げ率となった「潮目の変化」の今は、デフレ構造から新しい経済ステージへ移行するための歴史的な転換点。 ⚫ 日本企業・国民の前向きな挑戦を強力に後押しする施策の展開を通じて、「国内投資の拡大」・「イノベーションの加速」・「国民の所得向上」の 3つの好循環を生み出し、人口減少下でも一人ひとりが豊かに生活できる2040年頃の日本を実現する。 「一人ひとりが豊かに生活できる2040年頃の日本」の実現に向けた主要施策 (2)イノベーション・新陳代謝の加速 (3)国民の所得向上 (2-1) ①グローバル市場の獲得・形成 • 地域の中堅・中小企業・小規 ①GX・脱炭素エネルギー 世界と勝負 • GX国際市場・サプライチェーン形成 ※(4)で詳述 模事業者の発展、良質な雇用 • GX2040ビジョンの提示に貢献/エネルギー基本計画改定 (世界の • サーキュラーエコノミーの実現(再生材利用拡大等のための制度検討) の実現(中堅企業・100億円 創造拠点) • グローバルサウスとの戦略的取組 • エネルギー価格上昇と供給途絶のリスクへの対応と 企業を目指す中小企業に関す 貿易収支悪化脱却 ※(4)で詳述 ②AI等活用に向けた事業環境の整備 るビジョン策定等・支援体制構 • 重要鉱物等の安定的確保 • AI・ コンピューティングパワー(計算資源確保/計算資源の高効率化 築/設備投資や海外展開、 /AI安全性基準・国際ルール検討) /モビリティDX推進 ②デジタル基盤技術・自動車・バイオ産業 M&A、グループ化促進 • ウラノス・エコシステムにおける具体事例創出・グローバル連携 • 先端半導体生産拠点整備・研究開発支援 • 価格転嫁強化策(下請法執行 ③イノベーション・エコシステムの構築 • 蓄電池製造基盤確立/次世代電池実用化 強化/官公需等における労務 • フロンティア技術の探索・育成/バイオ・量子・宇宙等支援/国際標準化 費等の価格転嫁の徹底) • 電動車普及に向けた車両購入・インフラ整備支援 • グローバルスタートアップ創出を促すM&A/セカンダリ-等市場環境整備 • ロボット等の活用推進等の人手 • バイオ医薬品等の開発製造拠点整備・増強 • 私的整理法制、組織再編税制の在り方検討 不足等の供給制約対応 • 工業用水・産業用地等の有効活用・整備 (2-2) • PHR整備/ヘルスケアスタートアップ支援/介護需要の多様な受け皿整備 ③対日投資促進 生活の質の• クリエイティブ産業海外展開/クリエイター育成/観光・インバウンド稼ぐ力/書店振興 • 個人のデジタルスキル情報の蓄 向上に • 成長志向の中堅・中小後押しを強化する予算・税制等/知財経営支援 積・可視化を通じたデジタル人 • 対日投資案件の誘致/高度外国人材受入や海外企 材の育成・確保の推進 業との協業連携の促進/誘致を行う地域への伴走支援 向けた挑戦 • デジタルライフラインの全国整備 (1)国内投資拡大の継続・対日投資の拡大 (4)GXの実現とエネルギー安定供給の確保 ※(1)・(2)に掲載のGX・エネルギー関連の施策の再掲あり • GX2040ビジョン提示に貢献/エネルギー基本計画の改定/排出量取引制度/支援 策・規制的手法によるGX国際市場形成/GXサプライチェーンの構築/AZECの具体化 • 省エネ徹底(企業と家庭の省エネ・非化石転換・DR促進支援・制度検討) • 再エネ拡大・地域共生(ペロブスカイト・浮体式洋上風力実装支援/廃棄・リサイクル 対応/EEZ制度整備/地域間連系線整備/蓄電池等の導入) • 原子力活用(安全最優先の再稼働/次世代革新炉開発・建設/バックエンドプロセス加速化) • 低炭素水素等やCCUSの社会実装を推進 • 重要鉱物等の安定的確保 (5)経済安全保障の確保 (6)大阪・関西万博 • 経済安保分野のリスク分析/技術管理強化 • セキュリティ・クリアランス制度を活用した官 民の情報共有・連携強化 • 技術優位性獲得に向けた投資支援 • 会場建設、政府館建設・出展、会場内の • 「未来社会の実験場」のコンセプトの下、社会 安全確保、各国・国際機関の参加・出展 課題解決につながる技術の実証・実装・発信 (7)経済社会の基盤を支える最重要課題:福島復興・能登半島復興・レジリエンス ①福島復興 • 福島第一原子力発電所の廃炉の安全かつ着実な実施/ALPS処理水の海洋放 出の安全性確保・風評対策・なりわい継続支援/輸入規制即時撤廃への働きかけ • 帰還困難区域の避難指示解除と事業・なりわい再建、新産業創出、交流人口拡 大、芸術文化を通じた復興の推進 ②能登半島地震からの復旧・復興 • 能登半島地震の復旧・復興、被災者の生活・生業の再建 ③産業のレジリエンス・安全の向上 • 事業継続力強化に向けたBCP策定の促進 • 保安レベル向上に向けたスマート保安技術の導入促進支援 1 「一人ひとりが豊かに生活できる2040年頃の日本」の実現に向けた主要施策 (1)国内投資拡大の継続・対日投資の拡大 ①GX・脱炭素エネルギー(GX2040ビジョンの提示に貢献、エネルギー基本計画の改定 等) ⚫GXについて、事業環境の予見性を高め、成長に不可欠な付加価値の高い産業プロセスの維持・強化につながる国内投資を後押しす るため、エネルギー、産業構造、産業立地、市場創造を総合的に検討し、より長期的視点に立った「GX2040ビジョン」を示すことに貢献。 ⚫エネルギー基本計画の改定に際して、エネルギーの価格上昇リスクや供給途絶リスクに対応し、貿易収支の悪化から脱却するため、省 エネの徹底に加え、再エネ、原子力など、エネルギー自給率向上に資する脱炭素エネルギーの供給を拡大するための事業環境整備 や、産業分野の現実的な形での燃料転換の支援、火力の脱炭素化、LNG等の安定供給確保、低炭素水素等(アンモニア、合成 メタン、合成燃料を含む)・CCUSなどの新たな脱炭素技術の社会実装の推進等について検討する。 ※詳細はP.5(4)GXの実現とエネルギー安定供給の確保にて記載。 ⚫GX・DXの進展に伴う電化への対応と関連国内投資の促進に必要な重要鉱物等を戦略的に確保するため、持続的な鉱業活動の 後押しの在り方を検討する。また、メタンハイドレートなど国産海洋資源の開発に取り組む。 ②デジタル基盤技術・自動車・バイオ産業(次世代半導体の量産に向けた支援、バイオの受託開発製造拠点 等) ⚫半導体サプライチェーン強靭化に向け、我が国におけるミッシングピース補完を目指し、国内生産拠点整備・人材育成等を継続する。 特に、次世代半導体の量産に向け、必要な法制上の措置を検討しつつ、研究開発支援を実施する。 ⚫蓄電池について、国内で150GWh/年の製造基盤確立という目標を着実に達成するとともに、次世代電池の実用化に向けて必要 な支援を行う。 ⚫EVと内燃機関の両市場で勝つ「多様な道筋」(マルチパスウェイ)を進めるため、電動車普及に向けた車両購入・インフラ整備の支 援を行う。 ⚫バイオ産業について、エコシステム形成に向けバイオ医薬品や再生・細胞・遺伝子治療分野における受託開発製造拠点(CDMO) の整 備・増強の支援のあり方を検討する。 ⚫各地域での工業用水等の基盤インフラの有効活用・整備・強靱化や産業用地等の有効活用・整備・集積を進める。 (産業用地整備の促進に向けた税制等の制度整備の検討、地域における重点的な産業分野への注力化による地域経済活性化に 向けた施策を検討) ③対日投資促進(イノベーション・地域活性化に資する対日投資案件の誘致 等) ⚫イノベーション・地域活性化に資する対日投資案件の誘致、高度外国人材の受入や海外企業との協業連携の促進、誘致を行う地 域への伴走支援を強化する。 2 「一人ひとりが豊かに生活できる2040年頃の日本」の実現に向けた主要施策 (2)イノベーション・新陳代謝の加速 (2-1)世界と勝負(世界の創造拠点) ①グローバル市場の形成・獲得(排出量取引制度(GX-ETS)の検討、GXサプライチェーンの構築 等) ⚫ GXについて、2026年度から本格稼働予定の排出量取引制度(GX-ETS) 等の検討を行いつつ、需要サイドも含む支援策と規制・制度的措 置を組み合わせ、同志国とも連携して、脱炭素等の価格以外の要素も正当に評価される市場を形成する。GX投資促進策の協調等による、 特定の国に過度に依存しない、同志国とのGXサプライチェーンの構築、AZECのさらなる具体化も進める。 ⚫ サーキュラーエコノミーの実現(再生材利用拡大と、製品の効率的利用等を促す動静脈連携のための制度検討や支援)に取り組む。 ⚫ グローバルサウスとの経済連携強化に向け、中東・アフリカ等との第三国連携をインドと共に面的に展開する枠組みを構築し、それを起点に、重点分 野・国を特定した戦略的取組を、インフラ構築や、国際環境の変化を踏まえた貿易保険事業のリスク対応能力の強化等のパッケージで展開する。グ ローバル・ミニマム課税や類似措置の手続簡素化、貿易プラットフォームの活用・データの標準化等による貿易DX推進にも取り組む。ルールベースの国際 秩序を強化するため、IPEFにおける協力や、新規のEPA、投資協定交渉、WTO改革等を推進する。 ②AI等活用に向けた事業環境の整備(計算資源の高効率化等の研究開発、モビリティDXの推進 等) ⚫ AIの性能向上やコンピューティングパワーの形成に向けて、計算資源の確保や有望分野のデータ整備、AI利活用で得られるデータ等を性能向上に活かす 環境の整備、計算資源の高効率化等の研究開発を進め、東南アジアを中心に国際展開も支援しながら、国内外の優れた企業・人材によるイノベーショ ンを促す。また、AIセーフティ・インスティテュート中心に、安全性基準等を国際連携で策定しつつ、ルールも検討する。 ⚫ 「モビリティDX戦略」に基づき、SDV(Software Defined Vehicle)の普及等、モビリティDXを推進する。 ⚫ デジタルによる新たな価値創造を促進するため、産業を超えたデータ連携の取組の総称であるウラノス・エコシステムについて、具体的な事例の 創出やグローバルでの連携を進める。 ③イノベーション・エコシステムの構築(バイオ・量子・宇宙等への政策的支援、私的整理法制のあり方の検討 等) ⚫ 先端領域におけるイノベーションを促進するため、フロンティア技術の探索・育成のための技術インテリジェンスを強化し、市場創出等に向けた 国際標準化などの国際的なルールメイキングに取り組むとともに、バイオ、量子、航空(次世代航空機開発)、宇宙(JAXA宇宙戦略基金の 更なる活用)等への政策的支援のあり方を検討する。 ⚫ グローバルに活躍するスタートアップ等を創出するため、グロースステージの成長支援強化、「のれん」の柔軟な資産評価等を通じたM&A促進、東証グ ロース市場等の上場維持基準の強化や、 セカンダリー市場等、スタートアップ等が大きく成長できるための市場環境整備や、大企業や大学に眠る 人材や設備等のイノベーション資源の流動化を図るための制度改革等を検討する。グローバル・スタートアップ・キャンパス構想の具体化、産官学 金を巻き込んだスタートアップ育成・効果検証に取り組み、さらなるスタートアップ企業への投資促進を目指したエンジェル税制の在り方を検討する。 ⚫ 新陳代謝を促進するため、多数決によって金融債務の整理を認める私的整理法制、パーシャルスピンオフ税制(親会社が一部株式を保持した 形でのスピンオフにおける譲渡益課税や株主配当課税の特例措置)をはじめ組織再編税制のあり方について検討する。特に中堅・中小企業の 構造転換を促進すべく、成長志向の中堅・中小企業の後押しを強化する方向で、予算・税制等の関連政策について見直しを行う。 3 「一人ひとりが豊かに生活できる2040年頃の日本」の実現に向けた主要施策 (2)イノベーション・新陳代謝の加速 (2-2)生活の質を高める (ヘルスケアスタートアップ支援、クリエイター育成 等) ⚫高齢化が進展する中、大きなポテンシャルを持つヘルスケア(健康・医療・介護)の産業化・国際化を促進するため、その基盤となるPHR 等の利活用促進のためのユースケース創出・環境整備や、ヘルスケアスタートアップの支援を通じた新たなビジネスの創出、介護需 要の多様な受け皿整備、ヘルスケアの国際展開(アウトバウンド・インバウンド)を促進する仕組みの構築を進める。 ⚫基幹産業であるクリエイティブ産業の振興に向けて、国際水準の制作を実現する正規流通支援、模倣品対策、海外現地拠点等を活 用したアジア、欧米等への戦略的海外展開の促進、クリエイターの育成等を行う。こうした取組を通じて他産業の高付加価値化を図 り、観光・インバウンドの稼ぐ力も強化する。また、関係省庁との連携の下、書店の活性化を図る。 ⚫地域で良質な雇用を創出する中堅・中小企業の成長の促進に向け、成長志向の中堅・中小企業の後押しを強化する方向で、予算・ 税制等の関連政策について見直しを行う。 ➢ 地域における重点的な産業分野への注力化による地域経済活性化に向けた施策の検討を行う。 ➢ 生産性の持続的な向上に向けた設備投資を促進する。 ➢ 事業承継税制の特例措置について、役員就任要件の見直しや、第三者承継を促進する税制の在り方を検討する。 ➢ 金融支援をコロナ前の水準に戻したことに伴い、活性化協議会等による経営改善・再生・再チャレンジ支援を強化する。 ⚫知財を活用した中小企業等の稼ぐ力を向上すべく、「知財経営支援ネットワーク」を活用し、地域の知財エコシステムの構築を目指す。 ⚫「デジタルライフライン全国総合整備計画」に基づき、共通の仕様等に準拠したデジタルライフラインの全国整備を進め、自動運転・ド ローン等のデジタルサービス活用を抜本的に促進するとともに、奥能登版デジタルライフラインの整備を進める。 (3)国民の所得向上 ⚫地域の中堅・中小企業・小規模事業者の発展を支えるとともに、賃上げや働き方改革による良質な雇用を実現できる地域の中堅・ 中小企業・小規模事業者を育成し、更なる成長軌道に乗せる。 ⚫地域経済を牽引する中堅企業、売上100億円以上への成長を目指す中小企業に関するビジョンの策定等、広域連携を含む経営 支援体制の構築、設備投資や海外展開、M&A・グループ化の促進に取り組む。 ⚫下請代金法の執行の強化(公取委・事業所管省庁との執行連携等)、官公需等における労務費等の価格転嫁の徹底等による 価格転嫁の強化策を検討する。 ⚫ロボット等の活用推進等を含め、人手不足等の供給制約へのさらなる対応を推進する。 ⚫個人のデジタルスキル情報の蓄積・可視化を通じてデジタル技術についての継続的な学びを実現するとともに、スキル情報を広く労 働市場で活用するための仕組みを検討する。 4 「一人ひとりが豊かに生活できる2040年頃の日本」の実現に向けた主要施策 (4)GXの実現とエネルギー安定供給の確保 ⚫GXについて、事業環境の予見性を高め、成長に不可欠な付加価値の高い産業プロセスの維持・強化につながる国内投資を後押 しするため、エネルギー、産業構造、産業立地、市場創造を総合的に検討し、より長期的視点に立った「GX2040ビジョン」を示すこ とに貢献。エネルギー基本計画の改定においては、GX2040と一体的に検討を進めつつ、脱炭素電源の更なる活用のための事業環 境整備などの検討を進める。 【再掲(P.2)】 ⚫GXについて、2026年度から本格稼働予定の排出量取引制度(GX-ETS) 等の検討を行いつつ、需要サイドも含む支援策と規制・ 制度的措置を組み合わせ、同志国とも連携して、脱炭素等の価格以外の要素も正当に評価される市場を形成する。GX投資促進 策の協調等による、特定の国に過度に依存しない、同志国とのGXサプライチェーンの構築、AZECのさらなる具体化も進める。 【再掲(P.3)】 ⚫エネルギーの価格上昇リスクや供給途絶リスクへの対応、貿易収支の悪化からの脱却や、脱炭素と安定供給の両立などの観点から、 次の施策を実施する。 ➢省エネの徹底(省エネ設備投資支援、省エネ診断の活用促進、企業・家庭の省エネ・非化石転換・ディマンドリスポンスの取組の促進・制度検討等) ➢エネルギー自給率向上に資する脱炭素エネルギーの供給を拡大するための事業環境整備等 • 地域と共生した再エネの拡大(ペロブスカイト太陽電池や浮体式洋上風力の社会実装に向けた支援、廃棄・リサイクルへの対応、EEZの制度 整備、北海道本州間の海底直流送電を含む地域間連系線の全国整備、蓄電池の導入等による調整力の確保や出力制御の抑制) • 原子力の活用(安全最優先での再稼働、次世代革新炉の開発・建設、最終処分を含むバックエンドプロセス加速化) • 低炭素水素等やCCUSなどの新たな脱炭素技術の社会実装の推進・技術的な安全性確保(水素等の国内外におけるサプライ チェーン構築・国内拠点整備・研究開発、CCS事業法を踏まえた事業化支援等) ➢石油・天然ガス等の安定供給を確保するための包括的資源外交を実施する。 ⚫GX・DXの進展に伴う電化への対応と関連国内投資の促進に必要な重要鉱物等を戦略的に確保するため、持続的な鉱業活動の 後押しの在り方を検討する。【再掲(P.2)】 5 「一人ひとりが豊かに生活できる2040年頃の日本」の実現に向けた主要施策 (5)経済安全保障の確保 ⚫経済安全保障については、我が国の産業・技術基盤を維持・発展させるため、脅威・リスク分析のための体制構築、 新たな貿易管 理における枠組みを含む技術管理対策の強化、技術優位性獲得に向けた投資支援、セキュリティ・クリアランス制度を活用した産 業界・主要国との戦略的な連携を行う。 (6)大阪・関西万博 ⚫大阪・関西万博の円滑な開催に向け、会場建設、政府館建設・出展、会場内の安全確保、各国・国際機関の参加・出展の確保と いった万全な準備を進める。 ⚫「未来社会の実験場」のコンセプトの下、アクションプランで策定した、モビリティ、エネルギー・環境、デジタル、ライフサイエンス、宇宙、 日本文化発信、中小・スタートアップの魅力発信等、社会課題の解決につながる技術を実証・実装・発信していく。 (7)経済社会の基盤を支える最重要課題:福島復興・能登半島復興・レジリエンス ①福島復興 ⚫福島第一原子力発電所の廃炉の安全かつ着実な実施/ALPS処理水処分の安全性確保と風評対策・なりわい継続支援/日本産 食品の輸入規制の即時撤廃への働きかけに取り組む。 ⚫帰還困難区域の避難指示解除と事業・なりわい再建、新産業創出、交流人口拡大、芸術文化を通じた復興の推進を図る。 ②能登半島地震からの復旧・復興 ⚫能登半島地震の復旧・復興、被災者の生活・生業の再建に取り組む。 ③産業のレジリエンス・安全の向上 ⚫中小企業の防災力を高め、事業継続力を強化するBCP策定を促進する。 ⚫人手不足の克服と産業インフラの保安レベルの維持向上の両立に向けたスマート保安技術の導入促進支援を検討する。 6

資料6

資料3 機構改革等について 2024年8月 今夏の機構改革について • 経済安全保障、イノベーション、GXなど、近年重要性を増す、新たな政策課題に組織のリソースを集中 し、より腰を据えて取り組む体制を構築するため、本年7月1日より、機構改革を実施。 7月1日以降 主な改正内容 大臣官房 大臣官房 … 産業保安・安全グループ 経済産業政策局 地域経済産業グループ 経済産業政策局 統合 新たに設置する課 通商政策局 貿易経済協力局 改組 産業技術環境局 独立 製造産業局 商務情報政策局 商務・サービスグループ 大臣官房に移管 通商政策局 通商戦略課 貿易経済安全保障局 経済安全保障政策課 イノベーション・環境局 イノベーション政策課 イノベーション創出新事業推進課 (スタートアップ課) GXグループ 脱炭素成長型経済構造移行 投資促進課(GX投資促進課) 製造産業局 宇宙産業課 商務情報政策局 電池産業課 商務・サービスグループ 文化創造産業課 産業保安グループ 2 産業構造審議会分科会の改正について •組織名称変更及び所掌事務の移管に伴い、産業構造審議会の各分科会についても、以下のとおり所要 の改正を実施。 7月1日以降 改正内容 産業技術環境分科会 名称変更、 所掌事務追加 (名称変更)イノベーション・環境分科会 (追加)イノベーションの創出に関する重 要事項を調査審議すること。 製造産業分科会 商務流通情報分科会 伝統的工芸品産業の振興に関する法律 の規定により審議会の権限に属させら れた事項を処理すること。 (移管)伝統的工芸品産業の振興に関する 法律の規定により審議会の権限に属させら れた事項を処理すること。 経済産業省の所掌事務のうち製造産業 に関する重要事項を調査審議すること (商務流通情報分科会の所掌に属する ものを除く。)。 所掌事務移管 保安・消費生活用製品安全分科会 所掌事務移管 (移管)化学物質の管理に関する重要事項 を調査審議すること。 3 参考:組織図 経済産業省 組織図(2024年度) 経済産業省 (8,080) <審議会等> 産業構造審議会 消費経済審議会 日本産業標準調査会 計量行政審議会 中央鉱山保安協議会 電力・ガス取引監視等委員会 輸出入取引審議会 国立研究開発法人審議会 化学物質審議会 総合資源エネルギー調査会 調達価格等算定委員会 工業所有権審議会 中小企業政策審議会 大臣官房 官房長 総括審議官 政策立案総括審議官 公文書監理官 サイバーセキュリ ティ・情報化審議官 脱炭素成長型経済構 造移行推進審議官 技術総括・保安審議官 商務・サービス審議官 原子力事故災害対処審議官 審議官 参事官 秘書課 総務課 会計課 業務改革課 調査統計グループ 参事官 調査統計部門 福島復興推進グループ 産業保安・安全グループ 保安政策課 電力安全課 製品安全課 化学物質管理課 鉱山・火薬類監理官 経済産業政策局 局長 総務課 調査課 産業構造課 産業組織課 産業創造課 産業資金課 産業人材課 企業行動課 投資促進課 地域経済産業政策課 地域産業基盤整備課 <特殊法人> (地方支分部局) 大臣 副大臣 副大臣 大臣政務官 大臣政務官 事務次官 経済産業審議官 電力・ガス取引監視 等委員会事務局 事務局長 総務課 取引監視課 経済産業局 産業保安監督部等 北海道、東北、関東、 中部、近畿、中国、 四国、九州 北海道、関東東北、 中部近畿、中国四国、 九州、 那覇産業保安監督事務所 (施設等機関) 経済産業研修所 ネットワーク事業監視課 通商政策局 局長 総務課 通商戦略課 貿易振興課 通商金融課 米州課 欧州課 中東アフリカ課 アジア大洋州課 北東アジア課 国際経済部 部長 参事官 経済連携課 貿易経済安全 保障局 イノベーション・ 環境局 局長 総務課 局長 総務課 経済安全保障政策課 イノベーション政策課 貿易管理部 部長 貿易管理課 貿易審査課 イノベーション創出 新事業推進課 研究開発課 基準認証政策課 国際標準課 国際電気標準課 安全保障貿易管理課 安全保障貿易審査課 GXグループ 環境政策課 脱炭素成長型経済構 造移行投資促進課 資源循環経済課 製造産業局 局長 総務課 鉱物課 金属課 素材産業課 生活製品課 産業機械課 自動車課 航空機武器産業課 宇宙産業課 商務情報政策局 局長 総務課 情報経済課 サイバーセキュリティ課 情報技術利用促進課 情報産業課 電池産業課 商務・サービスグループ 消費・流通政策課 商取引監督課 サービス政策課 文化創造産業課 ヘルスケア産業課 生物化学産業課 資源エネルギー庁 長官 次長 長官官房 総務課 国際課 省エネルギー・ 新エネルギー部 部長 政策課 新エネルギーシステム課 省エネルギー課 新エネルギー課 水素・アンモニア課 資源・燃料部 部長 政策課 資源開発課 燃料供給基盤整備課 燃料環境適合利用推進課 電力・ガス事業部 部長 政策課 電力基盤整備課 原子力政策課 原子力立地・ 核燃料サイクル産業課 放射性廃棄物対策課 株式会社日本貿易保険 日本アルコール産業株式会社 株式会社商工組合中央金庫 <独立行政法人・国立研究開発法人> 経済産業研究所 工業所有権情報・研修館 産業技術総合研究所 製品評価技術基盤機構 新エネルギー・産業技術総合開発機構 日本貿易振興機構 情報処理推進機構 エネルギー・金属鉱物資源機構 中小企業基盤整備機構 特許庁 中小企業庁 長官 特許技監 総務部 部長 秘書課 総務課 会計課 企画調査課 普及支援課 国際政策課 国際協力課 長官 次長 長官官房 総務課 審査業務部 部長 審査業務課 出願課 商標課 審査長 経営支援部 部長 経営支援課 小規模企業振興課 商業課 事業環境部 部長 企画課 金融課 財務課 取引課 審査第一部 部長 調整課 意匠課 審査長 審査第二部 部長 審査長 審査第三部 部長 審査長 審査第四部 部長 審査長 審判部 部長 審判課 審判長 4

資料7

資料4 令和5年度に講じた政策に関する 政策評価(事後評価)について 2024年8月 経済産業省 政策評価の全体像 • ①省全体の政策評価は、政策評価法に基づく「政策評価基本計画」に基づき、7つの政策軸 で年に一度実施。(次頁以降に、詳細) • ②個別事業(予算や税、法令、研究開発等)については、それぞれ行政事業レビューシート やRIA等により個別に評価を実施。それぞれ7つの政策軸への紐付けを行っている。 • ③更に、個別事業のうちの特に大規模予算事業については、別途個別に検証方法を検討し、 効果検証シナリオを策定・公表している。 ① ③ ■大規模予算事業の効果検証(事業例) <効果検証シナリオ※公表済み> 先端半導体基金、グリーンイノベーション基金 ② <実施予定> バイオものづくり革命推進事業、宇宙戦略基金、グローバルサウス未来志向型 共創等事業、中堅・中小成長投資補助金 ※掲載先:検証シナリオ (METI/経済産業省) 2 政策評価法に基づく「政策体系」に関する政策評価 • 各省庁は、政策評価法に基づき、所掌する政策について、3~5年間の政策評価基本計画を 定め、評価を行うこととされている。 • 昨年、経済産業省は、令和5~7年度の基本計画を策定し、「政策体系」については、7つ の政策体系への大括り化を実施。今回、令和5年度に講じた政策(政策体系に掲げる政策) について事後評価を実施するもの。 • 本年7月1日の組織再編も踏まえ評価を実施。 政策評価の枠組みのポイント ① 新機軸部会の議論との連携 ➢ 「経済産業政策の新機軸」の議論を受け、関連指標を評価に盛り込み ② 責任部局の明確化 ➢ 政策評価軸と責任部局を明確に関連付け、政策立案・実施・評価・見直しを組織マネジメントと連動 ③ 国民への発信 ➢ 政策の重点や評価を国民にわかりやすい形で提示 3 政策評価軸(7)と政策テーマ(12) 政策評価軸 政策テーマ 責任部局 開始ページ ①経済構造改革の推進及び地域経済の発展 経済産業政策局 4 ②福島の復興 福島復興推進G 7 通商政策局 10 ②経済安全保障の実現 貿易経済安全保障局 14 3.イノベーション政策の推進並びに産業標準の整備及び普及 イノベーション・ 環境局 17 製造産業局 20 商務情報政策局 23 商務・サービスグループ 26 産業保安・安全グループ 29 資源エネルギー庁 32 1.経済構造改革の推進及び地域経 済の発展 ①日本企業の海外市場獲得及び国際経済秩序の安定化 2.対外経済関係の円滑な発展 ①DX、GX、経済安全保障を軸とした製造業のグローバル競 争力強化 4.情報処理の促進並びにサービ ス・製造産業の発展 ②デジタル社会の実現 ③新しい産業の創出や安全・安心な市場の環境整備を通じ た社会課題解決 5.産業保安・安全の確保 6.資源エネルギーの安定的かつ効 率的な供給の確保並びに脱炭素 成長型経済構造への円滑な移行 の推進 ①資源・エネルギーの安定供給の実現 ②脱炭素成長型経済構造への円滑な移行(GX)の推進 GXグループ 36 7.中小企業の発展 中小企業の発展 中小企業庁 41 4 政策テーマ:1.①経済構造改革の推進及び地域経済の発展 (政策評価軸:経済構造改革の推進及び地域経済の発展(1/2)) 経済産業政策局長 藤木 俊光 目標(ミッションステートメント) 日本経済がデフレ構造から新しい経済ステージに移行する正念場にあるとの認識の下、ミッション志向の産業政策を通じ て社会課題解決ニーズに支えられた新需要を創出するとともに、社会基盤(OS)の組替えを推進することを通じて、国 内投資・イノベーション・所得向上の好循環を創出し、社会課題の解決と経済成長の両立を実現する。あわせて、「良質 な雇用」の創出を通じた地域経済の活性化を目指す。 主要な目標 目標1:経団連が掲げる民間企業設備投資額を2027年度までに115兆円とする目標の実現 目標2:日本の代表的企業(TOPIX500を念頭)におけるPBR 1倍以上の企業の割合を2030年までに約6割から約8割に(欧州STOXX600の水準) 目標3:物価上昇を超える賃上げの継続 目標に対する評価と今後の対応 ・民間企業設備投資額を2027年度までに115兆円という目標に対し、戦略分野への生産・販売量に応じた大規模・長期の減税措置や成長志向 の「中堅企業」の設備投資を促進するための産業競争力強化法の改正、国内投資の促進に資する産業インフラ整備のための予算措置(内閣 府計上の交付金も含む)や地域未来投資促進法による土地利用転換の迅速化等を実施。こうした施策を国内投資促進パッケージとしてとり まとめ。2023年度において民間企業設備投資額は102.4兆円となっている。 ・目標達成に向け、中堅企業の省力化投資支援や、工業用水や産業用地等の産業インフラ整備を含む予算措置、生産・販売量に応じた減税措 置を含めた税制措置、独占禁止法に関する課題への対応を含む市場環境整備、対日投資案件の誘致、海外企業との協業連携促進、誘致を行 う地域への伴走支援等により、国内投資促進に取り組む。 ・日本の代表的企業(TOPIX500)におけるPBR 1倍以上の企業の割合を2030年までに約6割から約8割に引き上げるという目標に対し、 SXの推進やコーポレートガバナンスの推進等を通じた価値創造経営を推進し、持続的な企業価値向上を促している。2023年度末時点で、 TOPIX500構成企業におけるPBR1倍以上の企業の割合は6割超であるが、1倍超え企業の割合は、依然として欧米に劣後。 ・目標達成に向け、SX経営の推進や実効的なコーポレートガバナンスの実践、上場維持基準等のあり方の検討を行い、価値創造経営の浸透 を図る。 ・継続した物価上昇を超える賃上げの実現という目標に対し、賃上げ促進税制の拡充・延長、中堅企業の賃上げに資するグループ化税制や大 規模補助金を措置。春季労使交渉の結果として5%を超える33年ぶりの賃上げ水準となっている。 ・目標達成に向けて、賃上げに取り組む中堅企業の成長促進や賃上げ税制の活用促進を進め、物価上昇を上回る賃上げを後押ししていく。 5 主要な目標及びその他目標の足元の動向 目標1:民間企業設備投資額を2027年度までに115兆円 資料:内閣府「国民経済計算」「政府経済見通し」 目標2:日本の代表的企業におけるPBR 1以上の企業の割合を2030年 までに約6割から約8割に 資料:Bloombergのデータを基に作成 目標3:物価上昇を超える賃上げの継続 資料:日本労働組合総連合会「春季生活闘争回答集計結果について」 6 主な関連施策 推進体制(主担当課室) マクロ経済運営、内外マクロ経済の分析等 総務課、産業構造課、調査課 「経済産業政策の新機軸」の策定による中長期の産業構造のあり方検 討・提示 産業構造課 社会課題解決型の国内投資の拡大や、これに資する産業インフラ整備促 進、地域の「良質な雇用」を創出する中堅企業の成長促進 産業構造課、投資促進課、地域産業基盤整備課、産業創造課、地 域経済産業政策課 人的資本経営の推進やリスキリングなどの「人への投資」促進 産業人材課、未来人材戦略室 官民ファンドや財投、金融支援策等を通じたリスクマネーの供給 産業資金課 価値創造経営の推進、資本・金融市場改革、効率的・効果的な開示制度 の構築、コーポレートガバナンスの強化による中長期の企業価値向上 産業創造課、産業資金課、企業会計室、産業組織課 事業再生・事業再編の円滑化による産業の革新 産業組織課、産業創造課 税制改正や国際租税への対応等を通じた企業の予見可能性の向上 企業行動課、投資促進課 ダイバーシティ経営の普及や女性活躍の推進 経済社会政策室 不正競争防止法における営業秘密の流出や外国公務員贈賄の防止 知的財産政策室 競争紛争に係る相談・解決支援やGX実現に向けた複数社連携における課 題への対応 競争環境整備室 データに基づく施策の効果検証(EBPM) 大臣官房業務改革課、大臣官房調査統計グループ、産業構造課 (RIETI)等 関連する予算、税制等の全体像 【令和5年度補正予算】約1,167億円(国庫債務負担含め総額約3,167億円)(Ⅰ.経済構造改革の推進) 【令和6年度当初予算】約39.8億円(Ⅰ.経済構造改革の推進) 【令和5年度補正予算】約4,022.1億円の内数 (Ⅶ.中小企業及び地域経済の発展) 【令和6年度当初予算】約900.8億円の内数(Ⅶ.中小企業及び地域経済の発展) 【令和6年度税制改正】 ・戦略分野国内投資促進税制 ・賃上げ促進税制の拡充・延長 ・中堅・中小グループ化税制 ・ストックオプション税制の拡充 ・オープンイノベーション促進税制の延長 ・パーシャルスピンオフ税制の拡充・延長 ・地域未来投資促進税制の拡充 ・外国子会社合算税制 等 7 政策テーマ:1.②福島の復興 (政策評価軸:経済構造改革の推進及び地域経済の発展(2/2)) 福島復興推進グループ長 辻本 圭助 目標(ミッションステートメント) ①東京電力福島第一原子力発電所の安全かつ着実な廃炉、②帰還困難区域の避難指示解除、③事業・なりわい再建、新産 業創出、交流人口拡大を軸として、東日本大震災からの福島の復興及び被災市町村の自立的・持続的な経済発展を推進。 主要な目標 目標1:福島第一原子力発電所の廃止措置を2041~2051年までに完了する 目標2:帰還困難区域全域において避難指示を解除する(まずは、2020年代をかけて、帰還意向のある住民の方々全員が帰還いただけるよう、 特定帰還居住区域の避難指示解除に向けて取り組む) 目標3:2030年頃までに、福島イノベーション・コースト構想の重点分野を軸に、産業集積を進め、福島浜通り地域等における自立的・持続 的な産業発展を目指す 目標に対する評価と今後の対応 ・廃炉・ALPS処理水:2041~2051年までに福島第一原子力発電所の廃止措置を完了するとの目標に対し、①2023年8月にALPS処理水の海洋 放出を開始するとともに(2024年6月末までに6回放出完了)、②「水産業を守る」政策パッケージを策定(2023年9月)するなど風評対策・なり わい継続支援を実施した。また、③2号機燃料デブリの試験的取り出しに向けた、取り出し装置を投入する貫通孔内の堆積物の除去(2024年5 月)や、④3号機における燃料デブリの将来の大規模取り出しに向けた工法の取りまとめ(2024年3月)を実施した。目標達成に向けて、①引き 続き、ALPS処理水処分について安全性の確保と風評対策・なりわい継続支援に万全を期すとともに、②2024年度中に、ALPS処理水を保管 するタンクの一部の解体に着手する予定。また、③テレスコ式装置による2号機での燃料デブリの試験的取出しの着手を2024年8月から10 月頃に予定している。 ・避難指示解除:将来的に帰還困難区域全域において避難指示を解除するとの目標に対し、➀「特定復興再生拠点区域」全域で避難指示を解 除(2023年11月) したほか、②「特定帰還居住区域」制度を創設(2023年6月)するとともに、③大熊町・双葉町・浪江町・富岡町の4町におけ る「特定帰還居住区域復興再生計画」を認定 (2024年4月まで)し、避難指示解除に向けた除染・インフラ整備等の取組を進展させた。目標 達成に向け、➀まずは、2020年代をかけて、帰還意向のある住民の方々が全員帰還することができるよう、認定された計画に基づき除染・ インフラ整備等の避難指示解除に向けた取組みを進めるとともに、②帰還意向のない土地・家屋等の扱いについては、地元自治体と協議を 重ねつつ、関係省庁とも連携して検討を進める。 ・産業復興:2030年頃までの福島浜通り地域等における自立的・持続的な産業発展を目指すとの目標に対し、①官民合同チームにおいてこれ まで約5,900の事業者と約2,700の農業者を個別訪問(2024年4月末時点)し、②実証フィールドの整備・拡充やスタートアップの実用化開発 の重点支援、企業誘致支援等により、418件の企業立地と4,795人の雇用創出を実現(2024年3月末時点)した。また、③「交流人口拡大ア クションプラン」に基づき、誘客コンテンツの開発支援を実施する等、福島浜通り地域等のブランディングを推進した。目標達成に向け、 ①福島イノベーション・コースト構想推進分科会において、第二期復興・創生期間後の目指すべき復興の絵姿について議論し、②国による 支援措置の選択と集中を図りつつ、復興ステージに応じた効果的な支援の在り方を追求するとともに、③自立的かつ持続的な発展に向けて、 企業立地の支援、新産業の創出、交流人口の拡大、福島国際研究教育機構(F-REI)との連携等を通じた創造的復興を一層加速させる。 8 その他、中間貯蔵など福島の復興における諸課題について、関係省庁と連携して全力で取り組む。 主要な目標及びその他目標の足元の動向 目標2:帰還困難区域全域において避難指示を解除する (まずは、2020年代をかけて、帰還意向のある住民の 方々全員が帰還いただけるよう、特定帰還居住区域の避 難指示解除に向けて取り組む) ●直近の進捗状況 ≪2023年6月≫ 福島特措法改正で「特定帰還居住区域」制度を創設 ≪2024年4月≫ 大熊町・双葉町・浪江町・富岡町の4町における 「特定帰還居住区域復興再生計画」を認定 目標1:福島第一原子力発電所の廃止措置を2041~2051年までに完了する 中長期ロードマップ (2019年12月改訂)の工程 目標3:2030年頃までに、福島浜通り地域等における自立的・持続的な産業発展を目指す 双葉郡8町村(※)の域内総生産等は未だ震災前の3割弱(建設業除く。)に留まるなど、復興は道半ば。 ※広野町、楢葉町、富岡町、川内村、大熊町、双葉町、浪江町、葛尾村 (資料)福島相双復興官民合同チーム調査 (出典)国勢調査 9 主な関連施策 推進体制(主担当課室) 【廃炉・汚染水・処理水対策】 • 「東京電力ホールディングス(株)福島第一原子力発電所の廃止措置等に向けた中長期ロードマップ」に 基づく福島第一原発の廃炉・汚染水・処理水対策 原子力発電所事故収束対応室 総合調整室 • ALPS処理水の処分に係る安全性確保、風評対策、なりわい継続支援、一部の国・地域による日本産食 品の輸入規制の即時撤廃に向けた働きかけ 【原子力損害賠償】 • 東京電力福島第一原子力発電所事故への適切な損害賠償の実施に関する東京電力への指導 【被災者生活支援】 • 帰還困難区域全域における避難指示解除に向けた取組等 【福島イノベーション・コースト構想、新産業創出等】 • 福島浜通り地域等における福島イノベーション・コースト構想の重点分野の実用化開発の促進、福島新 エネ社会構想の推進、企業立地等 【事業・なりわい再建】 • 福島浜通り地域等の被災事業者の帰還・事業再開、創業の促進 原子力損害対応室 原子力被災者生活支援チーム 福島新産業・雇用創出推進室 福島新エネ社会構想推進室 福島事業・なりわい再建支援室 【広報・風評対策・交流人口/関係人口の拡大】 福島広報戦略・風評被害対応室 • 原発事故・福島復興に関する広報、風評対策の徹底、映画や芸術文化を通じたソフトパワーによる復興 福島事業・なりわい再建支援室 福島芸術文化推進室 関連する予算、税制等の全体像 【令和3年度補正予算】300億円 【令和4年度補正予算】500億円 【令和5年度予備費・補正予算】471億円 【令和6年度当初予算】342億円(東日本大震災復興特別会計) 東電フレーム:15.4兆円(令和6年度予算総則において、交付国債発効限度額を1.9兆円引上げ) 10 政策テーマ:2.①日本企業の海外市場獲得及び国際経済秩序の安定化 (政策評価軸:対外経済関係の円滑な発展(1/2) 通商政策局長 荒井 勝喜 目標(ミッションステートメント) ①自由で公正な国際秩序と経済安全保障の確保に向けた対外経済政策の立案、②海外投資・進出、③サービス貿易促進等、 ④輸出促進を軸に施策を進め、日本が国際経済秩序の安定化に寄与するとともに、日本の経済、産業、社会の徹底的なグ ローバル化により、日本企業が海外で稼ぐことを最大化する。 主要な目標 目標1:主要な地域・国ごとにフラグシップとなるプロジェクトを組成し、日本企業の稼ぐ力を強化する。 目標2:2030年までに中堅・中小企業等の輸出額及び現地法人売上高の合計額を35.5兆円とする(「成長戦略フォローアップ(令和3年6月 18日閣議決定)」)。 目標3:2030年までに農林水産物・食品の輸出額を5兆円とする(中間目標として、2025年までに農林水産物・食品の輸出額2兆円を目指 す。)「食料・農業・農村基本計画(令和2年3月31日閣議決定)」。 目標4:経済連携協定を発効済みでない主要な地域・国との経済連携協定の署名・発行を目指すほか、米・欧等の二国間協力や、G7・G20・ OECD等の枠組みを通じて、重要物資のサプライチェーン強靱化、非市場的措置・慣行や経済的威圧への対応に関する国際連携を促 進する。 目標5:紛争解決制度の機能回復や、貿易と産業政策に関する議論の促進、電子商取引交渉等のプルリ交渉への取組等を通じて、WTOの機能 強化に貢献する。 目標に対する評価と今後の対応 ・目標1に対し、グローバルサウス未来志向型共創等事業を立ち上げ。マスタープランの策定や小規模実証・FS事業に加え、最長2028年3月 末までの大型実証事業を実施する。AZEC等の国際枠組みや、中東・アフリカ等との第三国連携をインドと共に面的に展開する枠組みを構 築し、それを起点に、重点分野・国を特定した戦略的取組をインフラ構築や、ファイナンス強化(NEXIの機能強化等を検討)等をパッケー ジで展開する等、グローバルスサウス向けの各種政策を通じて、グローバルサウス諸国との連携も目指す。直近1年間で、総理の外遊や経 済産業省政務参加のビジネスフォーラム等で経済協力に関する政府間、企業間の協力覚書等を約400本締結済。 ・目標2に対し、2021年度は28.4兆円となっている。地域の中堅中小企業を支える輸出支援ビジネスモデルの支援措置に取り組む。 ・目標3に対し、2023年は1兆4541億円となっている。食産業の海外展開促進に関する取組を総合的に進める。 ・目標4に対し、我が国は、2023年3月現在50か国との間で21の経済連携協定を署名・発効済み。RCEP発行後のFTA等カバー率は、約8割 (2023年)。2022年1月には、中国・韓国とは初のEPAとなるRCEP協定が発効した。また、透明、強靱で持続可能なサプライチェーン・ 市場の確保に向けた政策協調を同志国と議論中。今後は、「持続可能性」等の観点が考慮された製品の需要を創出すべく、米欧といった同 志国とともに産業政策面の協力を戦略的に推進する。 ・目標5に対し、WTO改革については、2024年までに全加盟国が利用可能な、完全なかつよく機能する紛争解決制度の回復を目指すことを含め、 必要な改革に取り組むことにコミットすることなどに合意。今後も、WTOの機能強化に取り組む。WTO電子商取引交渉の妥結により、国際貿 易の大半を占める幅広いメンバーとグローバルルールを実現し、自由で信頼性の確保されたデジタル経済の創出・発展に貢献する。 11 主要な目標及びその他目標の足元の動向 目標1:地域における海外進出日系企業拠点数の状況 2018 2022 アジア 54,341 54,894 大洋州 1,297 1,344 北米 9,773 9,644 中南米 2,920 2,866 欧州 7,592 8,356 中東 871 962 アフリカ 857 972 合計 77,651 79,038 目標2:中堅・中小企業等の輸出額及び現地法人売上高の合計額の推移 (単位:社数) 資料:外務省「海外進出日系企業拠点数調査」を元に経済産業省作成 資料:「企業活動基本調査」「海外事業活動基本調査」 目標4(参考):各国のFTAカバー率 目標3:農林水産物・食品の輸出額の推移 中国カバー率 日本カバー率 (単位:億円) その他 交渉中 13% (中断中を含む) 韓国 その他 8% 中国 GCC 日本 貿易総額 5.99兆ドル (2023年) 米国 米国 EUカバー率(域内貿易含まず) 台湾 発効済 香港 46% 貿易総額 メキシコ 英国 1.5兆ドル インド フィリピン カナダ (2023年) シンガポール マレーシア インドネシア ベトナム タイ その他 その他 ベトナム オーストラリア 48% マレーシア ロシア EU EU 発効済 韓国 オーストラリア 79% GCC 交渉中 その他 その他 インドネシア タイ シンガポール フィリピン チリ スイス 45% 中国 (中断中を含む) 6% 韓国カバー率 米国カバー率 その他 交渉中 貿易総額 5.90兆ドル (2023年) 米国 オーストラリア インド ブラジル 10% 発効済 ノルウェー トルコ 47% 日本 韓国 メキシコ カナダ ベトナム ウクライナ モロッコ シンガポール 交渉中 (中断中を含む) 12% その他 中国 ロシア メキシコ GCC 貿易総額 1.28兆ドル (2023年) カナダ タイ フィリピン インドネシア マレーシア インド シンガポール オーストラリア 日本 EU ベトナム 50% 中国 米国 発効済 発効済 貿易総額 5.1兆ドル (2023年) EU (中断中を含む) カナダ その他 その他 78% 資料:財務省「貿易統計」を元に農林水産省作成 英国 英国 タイ 9% 46% メキシコ 日本 資料:通商白書2025 韓国 シンガポール 交渉… (中断中を含む) 12 主要な目標及びその他目標の足元の動向 目標1(参考):日本経済に関する評価例 目標1(参考):日本の第一次所得収支の推移 雇用者報酬 その他投資収益 (兆円) 40 直接投資収益 その他第一次所得 証券投資収益 第一次所得収支 30 1 グローバル・イノベーション インデックス 2022 (WIPO) 13位 (132ヵ国中) 2 人材競争力 調査レポート2022 (INSEAD) 24位 (133ヵ国中) 3 経済自由度指数 2023 (ヘリテージ財団) 31位 (184ヵ国中) 4 世界デジタル競争力 ランキング2022 (IMD) 29位 (63ヵ国中) 20 10 0 2023 2022 2021 2020 2019 2018 2017 2016 2015 2014 2013 2012 2011 2010 2009 2008 2007 2006 2005 2004 2003 2002 2001 2000 1999 1998 1997 1996 -10 (年) 資料:通商白書2025 資料: 1: https://www.heritage.org/index/ 2: https://www.wipo.int/global_inno vation_index/en/ 3: https://www.insead.edu/facultyresearch/research/gtci 4: https://www.imd.org/centers/wcc /world-competitivenesscenter/rankings/world-digitalcompetitiveness-ranking/ グローバル製造業 国内製造業 能力開発投資額(百万円、対数) 研究開発投資とグローバル売上高 グローバル製造業 国内製造業 グローバル売上高(百万円、対数) 労働生産性(百万円、対数) 能力開発投資と労働生産性 グローバル売上高(百万円、対数) 目標1(参考):グローバル製造業と国内製造業における投資対効果の比較 直接投資とグローバル売上高 グローバル製造業 研究開発投資額(百万円、対数) 注:経済産業省「企業活動基本調査」及び経済産業省「海外事業活動基本調査」を用いて推計。推計期間は2013年から2019年まで。 国内製造業 直接投資額(百万円、対数) 資料:通商白書2025 13 主な関連施策 推進体制(主担当課室) JETROによる日本企業の海外展開支援 総務課 AZEC等の国際枠組みや米・欧をはじめとした同志国やグローバル 通商戦略課、企画調査室 サウスとの連携等、他局との連携も含めた戦略的な通商政策の企画・ 立案 貿易の振興、技術協力を通じた途上国産業人材の育成支援 貿易振興課、技術・人材協力室 通商金融・資金協力 通商金融課、資金協力室 海外市場開拓 米州課、中南米室、欧州課、ロシア・中央アジア・コーカサス室、 中東アフリカ課、アフリカ室、アジア大洋州課、南西アジア室、北 東アジア課、韓国室 ルールに基づく多角的貿易体制の維持・強化(WTO、G7/G20、 国際経済部 OECD等) 参事官室 経済連携・地域協力の推進 経済連携課 関連する予算、税制等の全体像 【令和5年度補正】1,346億円 【令和6年度当初予算】約297億円 14 政策テーマ:2.②経済安全保障の実現 (政策評価軸:対外経済関係の円滑な発展(2/2)) 貿易経済安全保障局長 福永 哲郎 目標(ミッションステートメント) 経済安全保障を実現するため、①自律性の向上(基幹インフラやサプライチェーン等の脆弱性解消)、②優位性・不可欠 性の確保(技術・産業競争力の向上や技術流出の防止)、③基本的価値やルールに基づく国際秩序の維持・強化に取り組 む。 主要な目標 目標1:「経済安全保障に関する産業・技術基盤強化アクションプラン改訂版(5/15時点版)」に基づいた取組等を早期に実行 目標2:特定重要物資(8分野)関係 【半導体】2030 年に、国内で半導体を生産する企業の合計売上高(従来型半導体関連)の世界シェア23% 【蓄電池】2030 年に、国内製造基盤 150GWh/年の確立、グローバル市場での 600GWh/年の製造能力確保 等 【重要鉱物】2030年までにリチウム約 10 万トン/年、ニッケル約9万トン/年、レアアース 約1.4万トン/年 等 【航空機部品】 ① 大型鍛造品:2030年までに、国内需要量を満たすための供給量をコスト競争力を有する形で確保 ② CMC及びSiC繊維: 2030年以降に導入が見込まれる次期航空機エンジンを念頭に置いた試作機へ国産CMC製部品を供給 ③ 炭素繊維: 2030年時点の航空機用途における国内需要量をみたす生産量を確保 【工作機械・産業用ロボット】2030年までに工作機械約11万台/年、産業用ロボット約35万台/年の生産能力 【永久磁石】・2030 年時点の国内需要量に応じた生産能力 ・2030 年までにリサイクル能力を 2020 年比で倍増 等 【可燃性天然ガス】当面は、12月から2月の3ヶ月に対応する戦略的な余剰のLNGを確保 等 【クラウドプログラム】2027 年度に、国内におけるAI開発用計算資源量60EFLOPS 【先端電子部品】2030 年に、特定重要物資に指定された電子部品を国内で生産する企業の合計売上高3兆円超 目標に対する評価と今後の対応 <アクションプラン関係>以下の取組等を早期に実行し、その成果を踏まえ、今年度中をめどにアクションプランを改定する。 ・シナリオ分析、サプライチェーン分析、技術分析等の手法を通じて、「脅威・リスク」を特定。 ・経済安全保障上重要な分野における「鍵を握る重要物資・技術」に関し、我が国における相対的な優位性、対外依存度を把握。 ・「脅威・リスク」から「鍵を握る重要物資・技術」を守り、強化するため、産業支援策、産業防衛策、国際連携から効果的な施策を実行。 ・経済インテリジェンス能力や情報保全体制の強化、セキュリティ・クリアランス制度等の活用を通じ、官民の情報共有・連携を強化。 <特定重要物資関係> ・令和5年度は「先端電子部品」等の物資を追加。既指定物資の追加分も含め、関連予算として9,147億円を確保(令和5年度補正予算)。15 主要な目標及びその他目標の足元の動向 その他目標:外為法に基づく申請手続きの電子化割合を2030年度までに90%以上にする 電子申請率(単位:%) 平成30年度 令和元年度 令和2年度 令和3年度 令和4年度 令和5年度 ・・・ 令和12年度 50 55 61 64 73 77 ・・・ 90以上 16 主な関連施策 推進体制(主担当課室) 体制強化 脅威・リスク分析 貿易経済安全保障局 貿易経済安全保障局 <産業支援策> 国内産業基盤強化 研究開発・人材事基盤強化 産業インフラ 国際投資資金確保 【サプライチェーンの強靱化(特定重要物資関係)】 永久磁石、工作機械及び産業用ロボット、航空機の部品、 半導体、蓄電池、クラウドプログラム、可燃性天然ガス、 重要鉱物、先端電子部品 <産業防衛策> 先端的な重要技術に関する官民協力 サイバーセキュリティ対策強化・データポリシー 企業行動指針・ガイドライン <国際枠組みの構築> 経済的威圧への対応 経済安全保障に係る対外経済政策の立案 経済安全保障上の脅威認識 <外為法の適切な運用等(国際的な平和及び安全への貢献等)> 外為法・貿易管理制度の企画・構築・普及 輸出入禁止措置等の対外経済制裁 外為法及び関税定率法に基づく貿易審査 原産地証明制度等の企画・構築・執行 外為法に基づく対内直接投資管理 アンチダンピング等の特殊関税措置 デジタル技術を活用した外為法申請手続きの利便性向上と審査業 務の高度化/効率化 総務課 情報調査室、技術調査室 経済産業政策局 総務課 イノベーション・環境局 総務課、研究開発課 経済産業政策局 産業構造課 経済産業政策局 産業資金課 等 製造産業局 金属課、産業機械課・ロボット政策室、航空機武器宇宙産業課、素材産業課、 鉱物課 商務情報政策局 情報産業課、電池産業課、デバイス・半導体戦略室、情報処理基盤産業 室 資源エネルギー庁 資源・燃料部 資源開発課 等 貿易経済安全保障局 経済安全保障政策課 商務情報政策局 サイバーセキュリティ課、情報処理基盤産業室 貿易経済安全保障局 経済安全保障政策課 等 通商政策局 通商戦略課 貿易経済安全保障局 経済安全保障政策課 貿易経済安全保障局 貿易経済安全保障局 貿易経済安全保障局 貿易経済安全保障局 貿易経済安全保障局 貿易経済安全保障局 貿易経済安全保障局 等 経済安全保障政策課・貿易管理課・安全保障貿易管理課 貿易管理課 貿易審査課・安全保障貿易審査課 原産地証明室 国際投資管理室 特殊関税等調査室 電子化・効率化推進室 関連する予算、税制等の全体像 【令和5年度補正予算】9,147億円 【令和6年度当初予算】約123億円(経済安全保障の実現)の内数 17 政策テーマ:3.イノベーション政策の推進並びに産業標準の整備及び普及 (政策評価軸:イノベーション政策の推進並びに産業標準の整備及び普及(1/1)) イノベーション・環境局長 菊川 人吾 目標(ミッションステートメント) スタートアップ・エコシステムの構築に向けて、スタートアップの事業拡大を促し、世界最先端の研究開発を進めて社会 実装につなげることで、イノベーションの好循環を拡大する 主要な目標 目標1:2027年度におけるスタートアップ投資額を2022年度と比較して約10倍にする 目標2:官民合わせた研究開発投資額を2021年度から2025年度までの5年間(合計額)で約120兆円にする 目標に対する評価と今後の対応 • 目標1については、スタートアップ育成5か年計画(2022年11月策定)の下、VC等への公的資本の投資拡大、税制を通じたスタート アップの育成・協業促進、ディープテック・スタートアップに対する支援の強化等を行ったところ、2023年の投資額は約8,500億円となっ た。今後は、スタートアップ・エコシステム構築に向けて、引き続きスタートアップ育成5か年計画を着実に実行することに加え、イノ ベーションの担い手であるスタートアップ等による事業拡大・社会実装の促進や、大企業や大学に眠る人材や技術、設備等のイノベーショ ン資源の流動化を図るための方策を検討する。 • 目標2について、量子等の国家戦略上重要な分野への重点投資を行い、2021年度の官民合わせた研究開発投資額は約20兆円に達し、2016 年度から2020年度までの投資額の平均を上回った。今後も日本の研究開発の量・質を拡充するため、研究プロセスに対して支払う従来型 の委託・補助型の研究開発の支援手法に加えて、研究成果に報酬を支払う仕組みとなる懸賞金型事業を、省全体の研究開発予算に対する ポートフォリオを拡大する方向で本格的に実施する。さらに、まだ産業化に至っていないフロンティア領域の探索のためのインテリジェン ス機能の強化を行うとともに、フロンティア領域への重点支援及び社会実装に向けたロードマップ作成を行う。また、研究開発成果として 生まれた知的財産権の活用促進の観点で、令和6年度税制改正において、イノベーション拠点税制を創設した。今後、令和7年度の制度開始 に向け、必要なガイドライン等の整備とともに周知・広報を行っていく。 • 目標1~2を達成するため、スタートアップの事業拡大や研究開発については、戦略的な標準化活動を一体的に展開することが重要である ことから、引き続き、戦略的な標準化の基盤となる人材の育成・確保や、企業経営者・アカデミア・投資家等のステークホルダーの理解浸 透・意識改革、研究開発の早期段階からの標準化活動の促進、改正産業競争力強化法の特定新需要開拓事業計画制度を通じたオープン&ク ローズ戦略の推進等に取り組む。 • 目標1~2を達成するため、産総研、NEDO、NITEの3独法について、各独法の目標に従い、社会課題解決や産業競争力強化に資する研究 開発や行政執行支援を着実に実施するなど、効率的かつ効果的な運営に引き続き取り組む。 18 主要な目標及びその他目標の足元の動向 目標1:スタートアップ投資額を2023年度から2027年度 までの5年間で約10倍にする 単位:億円 ~ ~ 目標2:官民合わせた研究開発投資額を2021年度から 2025年度までの5年間で約120兆円にする 目標 :2027年度10倍へ 目標 7,536 2013 2018 2027 2023 資料:INITIAL(2024年1月25日時点) *現時点で判明している資金調達額(7,536億円)に、後に判明する資金調達額の推計分を加えたもの 資料:令和5年度当初予算案 令和4年度補正予算 の概要について(内閣府) より経産省作成 目標2補足:主要国の研究開発費総額の推移 90 80 研 究 70 開 発 60 費 50 総 額 40 ( 名 30 目 20 額 ) 10 2007年から2021年の間で、 ・米国:1.8倍(46兆円→82兆円) ・ドイツ:1.8倍(8.8兆円→15.7兆円) ・フランス:1.5倍(5.3兆円→7.9兆円) ・EU:1.7倍(28兆円→48兆円) ・韓国:2.5倍(4.9兆円→12兆円)に対して、 ・日本:1.0倍(19兆円→20兆円)に留まる。 0 2007 2012 2017 米国 ドイツ フランス 英国 中国 韓国 EU-27 日本 資料:NISTEP「科学技術指標2023」の「表1-1-1主要国における研究開発費総額の推移」をもとに作成 19 主な関連施策 推進体制(主担当課室) イノベーション政策の推進 ・イノベーション政策課 ・イノベーション推進政策企画室 ・国際室 スタートアップ・エコシステムの構築 ・イノベーション創出新事業推進課 ・スタートアップ推進室 ・大学連携推進室 研究開発の量・質の拡充による社会実装の強化 ・研究開発課 ・フロンティア推進室 ・基準認証政策課 日本型標準加速化モデルの実現 ・基準認証政策課 ・国際標準課 ・国際電気標準課 3独法の効率的かつ効果的な運営 ・産業技術法人室 ・研究開発課 ・基準認証政策課 関連する予算、税制等の全体像 【令和5年度補正予算】 ・約2兆5537億円の内数 【令和6年度当初予算】 ・約1900億円 【令和6年度税制改正】 ・イノベーション拠点税制の創設、オープンイノベーション促進税制の延長、パーシャルスピンオフ税制の拡充・延長 、Web3.0分野の期末 時価評価課税に係る見直し、エンジェル税制の拡充、税制適格ストックオプションの見直し 20 政策テーマ:4.①DX、GX、経済安全保障を軸とした製造業のグローバル競争力強化 (政策評価軸:情報処理の促進並びにサービス・製造産業の発展(1/3) 製造産業局長 伊吹 英明 目標(ミッションステートメント) DX、GX、経済安全保障を政策の軸として、製造業のビジネスのグローバル展開を通じてグローバルバリューチェーンの 中で無視できないポジションを獲得することで、利益の創出、競争力の維持・強化を図り、もって国内の生産性向上や賃 上げ、雇用の新陳代謝にもつなげていく。 主要な目標 目標1:GXの推進を通じ、エネルギー基本計画と整合的にHard to abate産業のCO2排出量を削減するとともに、産業プロセスの転換を 通じて製造業の競争力強化を目指す。 目標2:経済安全保障に関する企業との対話を通じてサプライチェーンや技術の構造を解明し、産業支援策・防衛策の方向性を具体化する。 目標3:2030年までにベースメタル自給率80%以上、蓄電池150GWhの国内製造基盤を確立に必要分のバッテリーメタルの確保等。 目標4:2035年に新車販売で電動車を100%。 目標5:2030年・2035年にSDV(Software Defined Vehicle)の世界販売台数における日系自動車メーカーのシェア3割。 目標6:宇宙産業の市場規模を2030年代早期に約8兆円に拡大するという政府目標の達成に向け、宇宙産業の本格的なビジネス化等を目指す。 目標に対する評価と今後の対応 • 2023年度は、経済安全保障推進法に基づく特定重要物資として新たに先端電子部品(コンデンサー及びろ波器)を指定するとともに、先 端電子部品、工作機械・産業用ロボット、航空機の部品について、特定重要物資の生産基盤の整備、供給源の多様化、備蓄、生産技術の導 入・開発・改良、代替物資の開発等の安定供給確保を図るため、令和5年度補正予算において約617億円の基金を確保。また、GXについて は、鉄鋼や化学等の排出削減が困難な産業(Hard-to-abate産業)におけるエネルギー・製造プロセス転換を支援するため、4,844億円(国 庫債務負担含む)を確保したほか、引き続きグリーンイノベーション基金事業等による社会実装に向けた研究開発を実施。製造業のDXを 推進するための指針の策定に向けた検討を進めた。個別産業分野では、新たに航空機産業戦略を策定するとともに、宇宙産業の商業化の加 速に向けては、第212回臨時国会においてJAXA法を改正し、JAXAに業務を追加するとともに、令和5年度補正予算にて3,000億円を措置し 宇宙戦略基金を造成。自動車分野においては、GXに加え、自動車・モビリティを巡るDXの中での勝ち筋を描くため、2024年4月にモビリ ティDX戦略を策定。 • 2024年度に向けては、政府から経済・技術インテリジェンスで作成した情報やリスク・脅威分析結果を企業に共有して対話を進めるとと もに、新たに重要鉱物も含め、製造業のサプライチェーンを強靱化する観点から、重要物資の安定供給確保に向け、支援対象の拡充や取組 の強化を検討し、必要な措置を講じる。Hard-to-abate産業におけるGX推進のため、引き続きGX経済移行債等も活用し、原料・燃料転換 を促しつつ、国際ルールメイクによりグローバル市場への展開を進める。製造業のDXを推進するためのガイドラインを策定するとともに、 実際に企業の現場で活用いただくための普及活動を推進する。航空機産業の成長及び脱炭素化に向け、国際連携の下で次世代航空機に向け た開発支援に取り組む。民間における宇宙開発支援を抜本的に拡充するため、宇宙戦略基金を活用し、JAXAの資金供給機能を通じて商業 衛星コンステレーションの構築の加速化に取り組む。 21 主要な目標及びその他目標の足元の動向 目標1:GXの推進を通じ、エネルギー基本計画と 整合的にHard to abate産業のCO2排出量を 削減するとともに、産業プロセスの転換を 通じて製造業の競争力強化を目指す。 目標3:2030年までにベースメタル 自給率80%以上 目標4:2035年に新車販売で電動車を100% ベースメタル(銅、鉛、亜鉛、錫)の自給率 250 60% HEV PHV 60% 45% EV 200 55%55% 53%54%53% 55% 52% 51%51% 52% 50% 50% 50% 48%48% FCV 電動車比率 150 50% 45% 100 21% 23% 26% 31% 33% 34% 35% 36% 50% 50% 40% 40% 30% 20% 45% 10% 0 0% 2023年 2022年 2021年 2020年 2019年 2018年 2017年 2016年 2015年 30% 2014年 2013年 35% 資料:国立研究開発法人 国立環境研究所 日本の温室 効果ガス排出データ(1990~2022年度)確報値を基に 作成 50 38% 40% 資料:日本自動車工業会データを参考に作成 ※1 自給率は4鉱種の自給率を加重平均した値 ※2 2022年度の値は暫定値 資料:経済産業省 参考指標:製造業の当期純利益(税引前) 参考指標:直接投資収益 参考指標:輸出額 (年度) ※単位は2015暦年連鎖価格、1兆円 資料:法人企業統計 資料:国民経済計算(GDP統計) (年度) (年) 資料:日本銀行 国際収支関連統計 22 主な関連施策 推進体制(主担当課室) 経済安全保障: • サプライチェーンの強靱化 • 先端的な重要技術の研究開発の促進 総務課(サプライチェーン強靱化政策室)、鉱物課、金属課、素材産 業課、産業機械課、ロボット政策室、素形材産業室、航空機武器産業 課、次世代空モビリティ政策室、宇宙産業課 GX: • 2050年CNに向けた革新的技術の開発、設備投資の促進 • グリーンプロダクトの定義設計、計測手法、政府調達の検討 • クリーンエネルギー自動車の導入促進、車体課税の見直し 総務課(製造産業GX政策室)、鉱物課、金属課、素材産業課、素形 材産業室、自動車課、航空機武器産業課 DX: • 大手製造業のグローバル競争力強化に向けたコーポレート・トラン スフォーメーション(CX)の促進 • スマートマニュファクチャリングの実装加速化(製造現場の全体最 総務課、製造産業戦略企画室 適を実現するDXの推進や、ダイナミックケイパビリティの実装)、 自動車課 企業間データ連携の推進 産業機械課・ロボット政策室 • 「モビリティDX戦略」の実行(自動走行の社会実装、自動車分野 におけるデータ連携の推進等) • ロボットの導入・利活用による省力化・自動化の促進 個別産業政策: • 航空機産業、宇宙産業の育成・振興、安全保障の確保 航空機武器産業課、次世代空モビリティ政策室 • 防衛産業基盤の強化 宇宙産業課 • サーキュラーエコノミーへの対応(繊維産業、金属産業、化学産業、 生活製品課、金属課、素材産業課、自動車課 自動車産業等) 等 競輪・オートレースの振興 車両室 関連する予算、税制等の全体像 【令和6年度当初予算額】約793億円(うち約327億円は国庫債務負担4,844億円の内数) 【令和5年度補正予算額】約6,360億円 【令和6年度税制改正】 ・戦略分野国内生産促進税制(電気自動車等、グリーンスチール、グリーンケミカル) 23 政策テーマ: 4.②デジタル社会の実現 (政策評価軸:情報処理の促進並びにサービス・製造産業の発展(2/3)) 商務情報政策局長 野原 諭 目標(ミッションステートメント) ①半導体、蓄電池、AI、コンピューティングなどデジタル面で我が国産業を支える基盤の整備、②サイバーフィジカルシステ ムの社会実装に必要となる基盤の整備、③デジタル人材の育成・確保を行うこと。これらを通じて、デジタル技術を活用した 新たな製品・サービス・ビジネスモデルを我が国で創出し、グローバルに新たな付加価値を生み出すと共に国内投資を拡大す ることで日本経済の成長に貢献すること(DX)。同時に、GXの実現、経済安全保障に資すること。 主要な目標 目標1:国内で半導体を生産する企業の売上高を2030年に15兆円超にする/ 2027年度までに、60EFLOPSのAI用計算資源を国内に整備する 目標2:蓄電池の国内生産能力を2030年までに年間150GWhとする 目標3:2027年度までに、5領域においてデジタル基盤に関する新規サービスの提供を開始する 目標4:デジタル推進人材を政府全体で2026年度末までに230万人育成する 目標に対する評価と今後の対応 (目標1) 半導体の製造基盤強化については、R5補正予算で合計1兆7,159億円億円を確保。先端ロジック半導体を製造するTSMC・JASMの計画等、計6件の計 画認定を実施すると共に、従来型半導体等の製造への支援も実施。また、次世代半導体については、2020年代後半の量産化に向けて、ラピダス株式会 社に対する上限9,200億円の支援を実施しているところ。今後も、我が国における半導体サプライチェーンにおけるミッシングピースの補完・チョーク ポイントの強化を目指し、有志国と連携しつつ、国内生産拠点整備・人材育成・研究開発等を総合的に進めていく。加えて、AI・半導体を、我が国の 産業競争力強化の原資として根付かせるために、R5補正予算で圧倒的に不足するAI用計算資源の国内整備に対して1,566億円を確保するなど、AIの利 活用と先端半導体を軸としたエコシステム作りを進めていく。 (目標2) 蓄電池の製造基盤強化については、R5補正予算・R6当初予算で合計4,958億円の予算を確保。これまで、トヨタ、ホンダなど、約1兆3000億円の投 資が決定しており、現時点の投資確定案件のみで、2030年における蓄電池の国内生産能力は85GWhまで積み上がる見込み。今後も、蓄電池・部素 材・製造装置の国内製造基盤の更なる拡充によって蓄電池サプライチェーンの強靭化を進めるととともに、全固体電池を始めとする次世代電池の技術 開発を推進する。 (目標3) デジタル技術の社会実装の加速に向けて、「デジタルライフライン全国総合整備計画」を策定。2023年度までに5領域(自律移動ロボット、空間情報、 サプライチェーン、契約・決済、スマートビル)でアーキテクチャ設計を開始したところ。2024年度からは同計画に基づき、ドローン航路の整備(送 電網等において180km)、自動運転サービス支援道の設定(高速道路において100km)、インフラ管理のDX(関東地方の都市において200㎢)、「奥 能登版デジタルライフライン」のアーリーハーベストプロジェクトを進めると共に、共通の仕様や規格の策定等を通じて全国展開を図る。 (目標4) デジタルスキル標準に基づき、デジタル人材プラットフォームの運営や情報処理技術者試験等を通じて、2023年度までに84万人のデジタル推進人材を 政府全体で育成した。引き続き、目標に向けた取組を推進するとともに、デジタル人材のスキル、スキルアップ状況、試験によるスキル評価に関する 24 データの蓄積・可視化を可能とする共通基盤の構築を通じた、デジタル人材育成のエコシステム実現を目指す。 主要な目標及びその他目標の足元の動向 目標1:国内で半導を生産する企業の売上高を2030年に15兆円超にする 目標2:蓄電池の国内生産能力を2030年までに年間150GWhとする 国内で半導体を生産する企業の売上高(2030年に15兆円超) 蓄電池セルの国内生産能力(2030年までに150GWh) 資料: 第7回蓄電池産業戦略検討官民協議会 資料3を一部修正 ※R5補正・R6当初予算分については、投資計画の認定作業を進めているところ 資料:実績分について、世界全体の売上はOMDIA、日本国内売上は経済産業省「工業統計調査」の品目別 出荷額の値を集計。出荷額については、半導体関連(半導体素子、光電変換素子、集積回路)及び、 「他に 分類されない電子部品・デバイス・電子回路」のうち半導体関連品目を出荷額ベースで按分した値の合計。 目標4:デジタル推進人材を政府全体で2026年度末までに230万 人育成する 目標3:2027年度までに、5領域においてデジタル基盤に関する新規 サービスの提供を開始する アーキテクチャ 設計開始 技術仕様等 を提供 各年度の人材育成目標と実績 (2026年度末までに政府全体で230万人育成) サービス提供 を開始 自律移動ロボット • 2023年度までの2年間で、政府全体で約84万人を育成した。 60 空間情報 サプライチェーン 40 契約・決済 20 スマートビル ※2024年度6月現在 資料:(独)情報処理推進機構 第5期中期目標 0 62 51 33 25 35 2022 年度 実績 2023 年度 実績 2022 2023 68 48 ※2023年度実績に一部速報値を含む。 2024 資料:デジタル田園都市国家構想実現会議 資料1 2025 2026 25 主な関連施策 推進体制(主担当課室) 【半導体製造基盤の強化等】 情報産業課 デバイス・半導体戦略室 【蓄電池製造基盤の強化等】 電池産業課 【高度な情報処理基盤の構築】 情報産業課 情報処理基盤産業室 【高度情報通信インフラの拠点整備・競争力強化】 情報産業課 高度情報通信技術産業戦略室 【ウラノス・エコシステムの推進】 情報経済課 【デジタルライフライン全国総合整備計画の実施等】 情報経済課 アーキテクチャ戦略企画室 【デジタル取引環境整備】 情報経済課 デジタル取引環境整備室 【デジタル人材の育成】 情報技術利用促進課 【企業DXの推進】 情報技術利用促進課 【サイバーセキュリティの確保】 サイバーセキュリティ課 【DFFT等の推進】 国際室 【IPA】 総務課 IPA班 関連する予算、税制等の全体像 【令和5年度補正予算】約2兆2,031億円 【令和6年度当初予算】約2,649億円 【令和6年度税制改正】戦略分野国内生産促進税制(半導体) 26 政策テーマ:4.③新しい産業の創出や安全・安心な市場の環境整備を通じた社会課題解決 (政策評価軸:情報処理の促進並びにサービス・製造産業の発展(3/3)) 商務・サービス審議官 南 亮 目標(ミッションステートメント) 国内外の需要を喚起し新たな投資を促す好循環を生み出すため、 ①新規サービスの創出・拡大(ヘルスケア/医療・福祉/バイオ/エンターテイメント/教育/スポーツ分野でのデジタルの活 用やスタートアップ育成・海外展開等) ②ビジネスインフラの整備(安全・安心かつ利便性の高い決済、キャッシュレス、効率的な物流等) ③日本の特長を活かした商品・サービスの発展・輸出(エンターテイメント、コンテンツ、ファッション、アート、地域 産品の磨き上げや海外展開等) ④大阪・関西万博(「未来社会の実験場」とし、CN、デジタル、健康・医療等の分野で新しい技術・システムを実証し、 世界に発信) に注力し、同時に環境問題や健康増進、少子高齢化、人手不足、持続可能な発展と言った社会課題の解決に貢献する。 主要な目標 目標1:国内の公的保険外のヘルスケア・介護市場、2050年までに77兆円 目標2:バイオものづくりについて、2030年までに官民合わせて年間の投資規模を3兆円 目標3:2025年にキャッシュレス比率40% 目標4:全トラック輸送の車両について2030年度までに積載率44% 目標5:クールジャパン関連産業全体の海外展開、2033年までに50兆円 目標6:希望出生率1.8への寄与 ※「地域の包摂的成長」で掲げる目標 目標7:2025年の大阪・関西万博の円滑な開催 目標に対する評価と今後の対応 ①新規サービスの創出・拡大: (へルスケア)2023年7月に立上げたPHRの業界団体を中心に市場の拡大・ユースケース創出を推進。ビジネ スケアラー対策として保険外介護の創出と利用促進。(医療)革新的医療機器の米国展開に向けた支援。(バイオ)「グリーンイノベー ション基金(R3年度補正、1767億円)」や「バイオものづくり革命推進基金(R4年度補正、3000億円)」等を措置、引き続き研究開発・ 実証を推進。(教育)多様なニーズに応える教育環境の実現を目指す。 (少子化)家事支援・ライフデザインサービスの普及促進。 ②ビジネスインフラの整備: キャッシュレス推進に向けて競争環境の整備等を行う。クレジットカードの不正利用対策のため、「官民対策会 議」を通じて、本人認証の導入等を促進。物流危機への対応として、荷主に対して物流効率化の取組を義務づける法律が今通常国会にて成 立。今後、荷主業界への周知及び支援策を検討。 ③日本の特長を活かした商品・サービスの発展・輸出: 海外現地拠点等を活用した戦略的海外展開の促進、国際水準の制作を実現する支援、 クリエイターの育成等を行い、アート・デザイン・コンテンツ・スポーツ等の力を活かした他産業の高付加価値化を図る。 ④大阪・関西万博: 2025年の万博では「未来社会の実験場」とし、CN、デジタル、健康・医療などの分野で新たな技術・システムを実証し 世界に発信。具体的には、「基本方針」「アクションプラン」等を踏まえ、必要な対応を早急に実施。日本館、会場建設、海外パビリオン などを着実に進める。 27 主要な目標及びその他目標の足元の動向 目標1:国内の公的保険外のヘルスケア・介護市場、2050年までに77兆円 2023年:39.3% (兆円) 90 80 70 60 50 40 30 20 10 0 目標3:2025年までにキャッシュレス決済比率40% 介護 健康づくり 2020 2025 2030 2035 2040 2045 2050 資料:経済産業省「令和4年度ヘルスケアサービス社会実装事業(国内外で の健康経営の普及促進に係る調査)」に基づき経済産業省が作成 目標4:全トラック輸送の車両について2030年度までに積載率44% 資料:各種公表データから経産省集計 目標5:クールジャパン関連産業全体の海外展開、2033年までに 50兆円(参考とした各分野の2022年/2023年の実績値) ●貨物自動車の積載率の推移 1 資料:自動車輸送統計年報(国土交通省総 合政策局情報政策本部) 2 積載率=輸送トンキロ/能力トンキロ 3 2020年度より、トンキロの調査方法及び集計 方法が変更されたことから、「輸送トンキロ」及び「能 力トンキロ」について、令和元年度以前の数値との 連続性を保つため、接続係数により遡及改定を行っ ている。 資料:知財戦略本部新たな「クールジャパン戦略」p19 https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/240604/siryou4.pdf 目標6 :希望出生率1.8への寄与 ※「地域の包摂的成長」で掲げる目標 28 資料:厚生労働省「人口動態調査」 主な関連施策 推進体制(主担当課室) ヘルスケア・医療機器産業の育成 ヘルスケア産業課、医療・福祉機器産業室 バイオものづくりと創薬エコシステムの育成 生物化学産業課 物流対策と小売りのデジタル化を推進 消費流通政策課・物流企画室 キャッシュレス導入を通じた消費者の利便性向上と企業の業務効率化 の両立 民間データの政策立案への活用(消費インテリジェンス)の追求・推 進 キャッシュレス推進室 消費経済企画室 クレジットカードをはじめとする商取引の安全・安心な環境を整備 商取引監督課 商品先物市場の健全な発展を推進 商品先物市場整備室 少子化対策に資するサービス産業の育成 サービス政策課 教育産業の育成 サービス政策課(教育産業室) スポーツ産業の育成 サービス政策課(スポーツ産業室) 日本文化の海外展開を通じた海外需要の獲得 文化創造産業課 大阪・関西万博の円滑な開催に向けた取組を加速 博覧会推進室 関連する予算、税制等の全体像 【令和5年度補正予算】 ・約1,215億円 【令和6年度当初予算】 ・約298億円 29 政策テーマ:5.産業保安・安全の確保 (政策評価軸:産業保安・安全の確保(1/1)) 技術総括・保安審議官 湯本 啓市 目標(ミッションステートメント) 重大事故の発生や自然災害等による被害拡大を防止し、迅速に復旧・対応できる体制を構築することにより、重要な社会 インフラの維持・形成、安全な製品の流通確保、効率的かつ効果的な化学物質管理を通じて、我が国の健全な産業の発展 及び国民の安全安心な暮らしを実現する。 主要な目標 目標1:電力、都市ガス、LPガス、コンビナート、水素・CCS等の適切な産業保安体制を維持・構築するとともに、その高度化・スマート化 を実現。 目標2:第14次鉱業労働災害防止計画に基づき、令和5~9年度における毎年の死亡災害ゼロ、計画期間内の平均度数率0.70以下、計画期間 内の平均重傷災害の度数率0.50以下を目指す。 目標3:社会環境の変化に対応した制度の整備等を図り、重大製品事故の発生を未然に防止。 目標4:経済の発展と安全・安心を両立するための効率的かつ効果的な化学物質管理に係る施策を実施。 目標に対する評価と今後の対応 【重要な社会インフラの維持・確保】(目標1・2) • レジリエンス社会の実現に向け、産業保安体制の維持・構築が急務であり、人材高齢化・プラント老朽化の中でスマート保安の推進をはじ めとする自主保安の高度化が重要。このため、安全確保を前提に保安力に応じた手続・検査とするべく、2022年通常国会で高圧ガス保安 法、ガス事業法、電気事業法を改正し、「テクノロジーを活用しつつ、自立的に高度な保安を確保できる事業者」について、「認定高度保 安実施事業者制度」を創設し、2023年12月に施行。当該制度の適切に実施するとともに、スマート保安導入計画の策定・技術実証を支援。 鉱山災害防止の取組にもデジタル技術等を活用。 • さらに、2024年通常国会で水素法・CCS法を制定。今後、高圧ガス保安法の特例措置に関する政省令等の整備や技術基準省令の改正、二 酸化炭素の貯留事業及び導管輸送事業に係る技術基準の策定など、新たな産業基盤における産業保安の確保に向けた体制の整備を実施。 【安全な製品の流通確保】(目標3) • 海外から直接製品を販売する事業者を製品の安全性の確保に法的責任を有する者として明確化するとともに、新たに子供用特定製品という 類型を設け、国が定める技術基準や使用年齢基準への適合を求めるべく、2024年通常国会において製品安全4法を改正。今後、政省令の 整備を行うとともに、説明会等を通じた事業者への周知や、在外機関等を通じた情報提供、更にメディアを活用した広報など、制度内容に ついての周知活動を積極的に実施。 【効率的かつ効果的な化学物質管理】(目標4) • 経済の発展と安全・安心の確保を両立するための効率的かつ効果的な化学物質管理に係る施策として、一般化学物質等のスクリーニング評 価・リスク評価、及び新規化学物質の事前審査制度における試験方法の効率化等に引き続き取り組む。 30 主要な目標及びその他目標の足元の動向 目標1:電力、都市ガス、LPガス、コンビナート、水素・CCS等の適切な産業 目標2:第14次鉱業労働災害防止計画に基づき、令和5~9年度における 保安体制を維持・構築するとともに、その高度化・スマート化を実現 毎年の死亡災害ゼロ、計画期間内の平均度数率0.70以下、計画期 間内の平均重傷災害の度数率0.50以下を目指す 高度保安 災害時連携計画策定 第14次鉱業労働災害防止計画 認定作業中 10者※ 都市ガス 認定作業中 193者※※ LPガス ゴールド保安認定事業者 338者*** ー スーパー認定事業所 20事業所**** ー 電力 指標1:毎年の死亡災害は零(0) コンビナート等 指標2:計画期間の5年間の平均度数率 0.70以下 死亡災害:2人 度数率 :1.27 重傷災害:0.91 指標3:計画期間の5年間の平均重傷災 害の度数率0.50以下 *電気事業法に基づく災害時連携計画。対象となる全ての一般送配電事業者が作成し、令和6年3月に経 済産業省に届出。 **ガス事業法に基づく災害時連携計画。対象となる全ての一般ガス導管事業者が作成し、令和4年9月に経 済産業省に届出。 ***液石法に基づく第一号認定LPガス販売事業者。令和4年12月時点。令和3年12月から43者増加。 ****高圧ガス保安法等に基づく特定認定事所数。令和6年6月1日時点。 目標3:社会・技術のトレンドに合わせて技術基準等を改訂し、重大製 品事故の発生を未然に防止 重大製品事故の受付件数 2023年の状況 (令和5~9年度の目標) 資料: 第十四次鉱業労働災害防止計画(令和5年経済産業省告示第34号) 【注】 ・ 度数率:稼働延百万時間当たり罹災者数(人/百万時間) ・ 重傷災害:死亡災害を除く休業日数が2週間以上の災害 目標4:経済の発展と安全・安心を両立するための効率的かつ効果的な 化学物質管理に係る施策を実施 令和5年度に化審法のスクリーニング評価・リスク評価等を実施した化学物質数 資料:化審法の施行状況(令和4,5年度) 7,957物質 174物質 62物質 4物質 資料: 消費生活用製品安全法に基づく重大製品事故情報 ※ 1物質について、2025年春以降に 第二種特定化学物質へ指定予定。 31 主な関連施策 推進体制(主担当課室) 【産業保安・製品安全・化学物質管理の制度整備・法執行】 • 法執行(許認可等審査、届出受理、立入検査、報告徴収、事故情報収 集、化学物質のリスク評価等) • 最新動向を踏まえた規制対象・技術基準等の不断の見直し • 新たな規制課題への対応 ✓ 水素・CCS法の制定及び消費生活用製品安全法等の改正を踏まえ た制度の整備等 ✓ 保安ネットの整備、インターネット通販対策等、DX(デジタルト ランスフォーメーション)への対応 等 産業保安企画室、高圧ガス保安室、ガス安全室、電力安全課、 鉱山・火薬類監理官付、製品安全課、化学物質管理課 【スマート保安の推進・安全文化の醸成】 • 予算措置を通じた事業者の取組の推進 • 高圧ガス保安法、ガス事業法、電気事業法における認定高度保安実施 事業者制度の整備・執行 • 優れた製品安全対策・適切な化学物質管理の普及に向けた情報発信 等 産業保安企画室、高圧ガス保安室、ガス安全室、電力安全課、 鉱山・火薬類監理官付、製品安全課、化学物質管理課 【保安・安全人材の確保等】 • 国家資格の運用(資格試験の実施、免状交付事務等) • 専門技術に係る講習の実施 • 試験・講習のオンライン化 • NITE等の関係機関との連携 等 産業保安企画室、高圧ガス保安室、ガス安全室、電力安全課、 鉱山・火薬類監理官付、製品安全課、化学物質管理課 関連する予算、税制等の全体像 【令和5年度補正予算】11億円 【令和6年度当初予算】約63億円 32 政策テーマ:6.①資源・エネルギーの安定供給の実現 (政策評価軸:資源エネルギーの安定的かつ効率的な供給の確保並びに脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進(1/2)) 資源エネルギー庁長官 村瀬 佳史 目標(ミッションステートメント) 2050年カーボンニュートラル、2030年度温室効果ガスの2013年度比46%削減という目標の実現に向け、安全性の確保を 大前提に、気候変動対応、安定供給の確保やエネルギーコストの低減(S+3E)に向けた取組を進める。 主要な目標 目標1:温室効果ガス削減目標のうちエネルギー起源CO2の削減割合を2030年度までに2013年度比45%程度(排出量換算で6.8億トン) 目標2:エネルギー自給率を2030年度までに30%程度まで上昇 目標3:貿易収支を改善し、国富流出を回避するため、化石燃料への過度な依存から脱却し、 一次エネルギー供給における化石燃料比率を2030年度までに68%程度(2022年度化石燃料比率83.4%) 目標4:電源構成について2030年度までに再エネ比率36~38%、原子力比率20~22%、火力比率41%、水素・アンモニア比率1%を実現 (出所:2030年度におけるエネルギー需給の見通し) 目標に対する評価と今後の対応 2022年2月のロシアのウクライナ侵略以降、G7各国と協調してロシアへのエネルギー依存度を低下させるとともに、安定供給に不可欠なサ ハリン2などの権益維持に努めた。同時に、世界のエネルギー市場が高騰する中、緊急対応として、燃料や電気・ガス料金の価格高騰を抑制 する対策を講じるなど、国民生活を守るための対策を講じた。また、化石燃料への過度な依存から脱却し、危機にも強いエネルギー需給構造 へ転換するため、2023年2月には「GX実現に向けた基本方針」を閣議決定。「GX推進法」と「GX脱炭素電源法」を成立させるなど、「第6 次エネルギー基本計画」で定めるエネルギーミックスの実現に向け、徹底した省エネや、再エネや原子力などの脱炭素電源への転換を推進す るための方針を明確にした。その他、G7開催国として、多様な道筋の下で、2050年ネットゼロを目指す方針を共有するとともに、AZEC構想 の下でアジアの現実的なエネルギートランジションを主導するなど、世界の脱炭素化への方針を示した。 足元(2022年度実績)では、エネルギー自給率は12.6%、化石燃料比率83.4%、エネルギー起源CO2排出量は9.6億トン、電源構成について、 再エネ比率は21.7%、原子力比率は5.5%、火力比率は72.8%、水素・アンモニアは0%。各項目については、2030年度エネルギーミックス実 現に向けてまだ道半ばであるが、引き続き実現に向けて全力で取り組んでいくことが重要。 今後は、全国規模での系統整備や洋上風力の着実な案件形成等による再エネの主力電源化、安全性の確保を大前提とした原子力の活用と再 稼働や次世代革新炉の開発・建設に取り組むとともに、水素等については価格差に着目した支援等を通じたサプライチェーンの創出・拡大、 CCSについては今回新たに成立したCCS事業法による事業環境整備をそれぞれ推進するなど、安定供給と経済成長と脱炭素の同時達成に向け て一体的に政策を進めていく。このような取組を通じて、2030年度エネルギーミックスや2050年カーボンニュートラルを見据えた政策目標 の実現を目指す。 33 主要な目標及びその他目標の足元の動向 目標1:温室効果ガス削減目標のうちエネルギー起源CO2の削減割合を2030年度までに2013年度比45%程度(排出量換算で6.8億トン) 目標2:エネルギー自給率を2030年度までに30%程度まで上昇 目標3:貿易収支を改善し、国富流出を回避するため、化石燃料への過度な依存から脱却し、 一次エネルギー供給における化石燃料比率を2030年度までに68%程度(2022年度化石燃料比率83.4%) 目標4:電源構成について2030年度までに再エネ比率36~38%、原子力比率20~22%、火力比率41%、水素・アンモニア比率1%を実現 (出所:2030年度におけるエネルギー需給の見通し) 34 主要な目標及びその他目標の足元の動向 参考:エネルギー需給の実績と目標について 2013年度 2021年度 20.2% 6.5% 13.3% (減少) 12.6% 30% 3.8億kl 3.6億kl 3.2億kl (減少) 3.1億kl 2.8億kl 81.2% 91.2% 83.2% (増加) 83.4% 68% 火力発電 65.4% 88.3% 72.8% (減少) 72.8% 41% (3,840億kWh) 石炭 LNG 石油等 27.8% 29.0% 8.6% 32.9% 40.9% 14.4% 31.0% 34.4% 7.4% 30.8% 33.8% 8.2% 19% (1,780億kWh) 20% (1,870億kWh) 2% (190億kWh) 再生可能 エネルギー 9.5% 10.9% 20.3% 21.7% 36~38% 太陽光 0.3% 1.2% 8.3% 9.2% 14~16% 風力 水力 地熱 バイオマス 0.3% 7.3% 0.2% 1.3% 0.5% 7.3% 0.2% 1.6% 0.9% 7.6% 0.3% 3.2% 0.9% 7.6% 0.3% 3.7% 5% (510億kWh) 11% (980億kWh) 1% (110億kWh) 5% (470億kWh) 原子力 25.1% 0.9% 6.8% (減少) 5.5% 20~22% 11.4億t 12.4億t 9.9億t (減少) 9.6億t 6.8億t エネルギー 自給率 最終エネルギー 消費量 1次エネルギー供給の 化石燃料割合 電 源 構 成 エネルギー起源 CO2排出量 2022年度 2030年度 2010年度 (増加) 出典:総合エネルギー統計(2022年度確報)、2030年度におけるエネルギー需給の見通しをもとに資源エネルギー庁作成 (政府目標) (3,360~3,530億kWh) (1,290~1,460億kWh) (1,880~2,060億kWh) 35 主な関連施策 推進体制(主担当課室) 第6次エネルギー基本計画やGX基本方針に基づくS+3Eの実現に向けたエネルギー 政策の推進 長官官房総務課 アジア・ゼロエミッション共同体構想の実現をはじめとする国際展開戦略の推進 長官官房国際課 再生可能エネルギーの主力電源化に向けた政策の推進 省エネルギー・新エネルギー部新エネルギー課 省エネルギーの推進 省エネルギー・新エネルギー部省エネルギー課 水素・アンモニアの導入促進 省エネルギー・新エネルギー部水素・アンモニア課 系統用蓄電池・DRの導入促進 省エネルギー・新エネルギー部新エネルギーシステム課 エネルギー資源の安定供給の確保 資源・燃料部資源開発課 石油・石油ガスや、合成燃料・SAF等のカーボンニュートラル燃料を含む燃料の安 定供給の推進 資源・燃料部燃料供給基盤整備課 CCSやカーボンリサイクルの推進 資源・燃料部燃料環境適合利用推進課 安定供給とカーボンニュートラルの実現の両立に向けた電力・ガス市場の整備 電力・ガス事業部電力基盤整備課、電力・ガス事業部電力産業・市場室 電力・ガス事業部ガス市場整備室 再稼働への関係者の総力の結集 安全確保を大前提とした運転期間の延長など既設原発の最大限活用 電力・ガス事業部原子力政策課 核燃料サイクル政策の推進 電力・ガス事業部原子力立地・核燃料サイクル産業課 最終処分の着実な進展 電力・ガス事業部放射性廃棄物対策課 戦略企画室、需給政策室 燃料流通政策室 関連する予算、税制等の全体像 【令和5年度補正予算】約9,397億円 【令和6年度当初予算】約6,829億円 ※一般会計・特別会計の別なし。 【令和6年度税制改正】 ・戦略分野国内生産促進税制(SAF)、海外投資等損失準備金の延長、再エネ発電設備の固定資産税に係る課税標準の特例措置の拡充・延長 ※ このほかに電力・ガス取引監視等委員会が、電気事業法等の関係法令の規定により与えられた権限の範囲で、自由化された電力・ガス市場における適正競争を促 すため、エネルギー政策の枠組みの中で独立性と専門性を持って電力・ガス取引の監視や行為規制を実施している。 36 政策テーマ:6.②脱炭素成長型経済構造への円滑な移行(GX)の推進 (政策評価軸:資源エネルギーの安定的かつ効率的な供給の確保並びに脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進(2/2)) GXグループ長 龍崎 孝嗣 目標(ミッションステートメント) 2050 年カーボンニュートラルなどの国際公約達成と、我が国の産業競争力・経済成長の同時実現に向けて、GXを前倒し・加速化するため、 2032年度までの10年間で150 兆円超の官民GX投資を実現する。 主要な目標 目標1:2032年度までの10年間で150兆円超の官民GX投資を実現する。 目標2:2030 年度の温室効果ガス 46%削減に向けた取組や 、2050 年カーボンニュートラル実現に向けた取組を推進する。 目標に対する評価と今後の対応 目標(ミッションステートメント)に対する評価について、主要目標等や進捗等を踏まえ、簡潔に記載。 ・目標達成に向けた具体的方策についてGX実行会議等で議論。また、2023年5月にGX推進法、GX脱炭素電源法が成立するとともに、GX推進 法に基づき、同年7月にGX推進戦略を閣議決定。目標達成に向けて、下記の各種施策を着実に実行中。 ・世界初の国によるトランジション・ボンドであるGX経済移行債を発行。また、GX推進機構が2024年7月に業務開始。 ・2023年末に分野別投資戦略を取りまとめ、GX経済移行債を活用した投資促進策を展開(EV、革新電炉を用いたグリーンスチール、持続可 能な航空燃料(SAF)等の戦略分野における生産販売量に応じた新たな税制措置(戦略分野国内生産促進税制)の創設を含む)。また、革 新的技術開発を推進するグリーンイノベーション基金により、ペロブスカイト太陽電池やアンモニア専焼等の分野で世界トップレベルの技 術開発が進展。 ・排出削減に積極的な企業群からなる「GXリーグ」では、747者が参画し我が国の排出量の5割超をカバー。2026年度の排出量取引制度の 本格稼働に向け、一定規模以上の排出を行う企業の参加義務化や個社の削減目標の認証制度の創設等を視野に法定化を検討。また製品の排 出削減の指標であるGX価値について、見える化や評価基準の国際標準化など、GX価値を持つ製品の需要創出・拡大のための市場環境整備 に取り組む。 ・成長志向型の資源自律経済戦略を踏まえ、産官学連携を強化するためサーキュラーパートナーズ(CPs)を立ち上げ。今後、CPsでビジョン・ ロードマップ策定、情報流通プラットフォーム構築、地域循環モデル構築等の議論を深めつつ、サーキュラーエコノミーへの移行を加速。 ・昨年12月にアジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)首脳会談を開催。今年8月の第2回閣僚級会合やERIAにおけるアジア・ゼロエミッ ションセンターの始動など、AZEC構想の実現に向けて引き続き取組を進める。また、本年4月の日米首脳会談において気候変動対策の加速 化等を盛り込んだ共同声明を発出するとともに、同月にGX推進戦略と米国インフレ削減法(IRA)に関する閣僚政策対話を開催。さらに、 昨年12月のCOP28では、各国の異なる状況、道筋、アプローチを認識した上で、削減に取り組むことの必要性について認識された。 ・引き続き、成長志向型カーボンプライシング構想をさらに具体化し、20 兆円規模の大胆な先行投資支援を実行する。合わせて、それらが新 たな市場・需要の創出に効果的につながるよう、規制・制度的措置を一体的に講じていく。 ・今後10年程度の見通しに加え、できる限り事業環境の予見性を高め、我が国の成長に不可欠な国内投資を後押しするため、産業行動、産業 37 立地、エネルギーを総合的に検討し、より長期的視点に立ったGX2040のビジョンを2024年度中をめどに策定。 主要な目標及びその他目標の足元の動向 目標①:今後10年間で150兆円超の官民GX投資を実現する。 目標②:2030 年度の温室効果ガス 46%削減に向けた取組や 、 2050 年カーボンニュートラル実現に向けた取組を推進する。 トランジション ・ファイナンス 累計1.6兆円 出典:GX実行会議(第11回) 資料2「2050年ネットゼロ実現に向けた国内・国際動向」を基に作成 出典:GX基本方針参考資料 補足①:トランジション・ファイナンスの推進 (トランジションボンド/ローンの調達額の推移) (億円) 80,000 トランジション・ファイナンス サステナビリティ・リンク・ローン サステナビリティ・リンク・ボンド サステナビリティ・ボンド グリーンローン 70,000 補足② : GXリーグの段階的発展(排出量カバレッジの推移) 60% トランジション ・ファイナンス 累計約1.6兆円 50% 40% 60,000 30% 50,000 40,000 20% 30,000 20,000 10% 10,000 0% 0 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 2021 2022 2023 注:トランジション・ファイナンスの数値はヒアリング等により把握している金額非公表のローン調達額を含む。 2023 2024 2025 ※ 2023年の値は、参画企業から提出を受けた21年度排出実績から推計 38 主要な目標及びその他目標の足元の動向 補足③:脱炭素に係る企業の取組の推進 (CN税制の事業適応計画認定の累計件数) 150 (認定企業数) 104 補足④:排出量削減に係る市場形成(Jクレジット累積認証量の推移) 118 100 34 50 0 2021 2022 2023 (年度) ※2023年度は現時点での数値 補足⑥:資源自律経済の確立 補足⑤:途上国等の排出削減への貢献と日本の排出削減への活用 (二国間クレジット制度(JCM)の累積排出削減・吸収見込み量の推移) (2030年までのサーキュラーエコノミー関連市場規模、CO2排出削減量、 12000 最終処分場の残余年数) 10000 8000 1億トン (地球温暖化対策計画の目標) 経済的目標 <サーキュラーエコノミーの市場規模(日本政府試算)> 社会的目標 ◆ GXへの貢献(CO2削減) 6000 2020年 50兆円 直近の日本の温室効果ガス全排出量11.49億トンCO2換算のうち、 廃棄物関係で4.13億トンCO2換算(36%)の削減貢献余地。 4000 2030年 80兆円 ◆ 最終処分場逼迫の緩和への貢献 2000 2050年 120兆円 これまで主に廃棄物の燃焼( )を通じて解消してきた最 終処分場の逼迫を、資源循環を通じてGXと両立しながら解消。 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 2021 2022 2023 2024 2025 2026 2027 2028 2029 2030 0 (残余年数) 1999年 2019年 一般廃棄物 8.5年 → 21.4年 産業廃棄物 3年 → 17.4年 (注)JCM資金支援事業の採択済み案件の、採択時の見込み値に基づく、2030年までの累積排出削減・吸収見込み量。 39 主要な目標及びその他目標の足元の動向 補足⑤:10年で20兆円規模の政府によるGX投資の推進(GX経済移行債による投資促進策【2023年12月取りまとめ】) 40 主な関連施策 推進体制(主担当課室) 【GX経済移行債の発行、トランジション・ファイナンスを通じた官民GX投資の推進】 GX金融推進室・GX推進機構 ・2023年度から10年間で、20兆円規模のGX経済移行債の発行を通じた政府支援を実施。 設立準備室・脱炭素成長型経済 ・トランジションボンド/ローンの調達額増や国際認証を通じたトランジション・ファイナンスの推進。 構造移行投資促進課 ・GX推進機構による債務保証等の金融支援を通じたブレンデッド・ファイナンスを推進。 ・GI基金を通じた、企業による革新的技術の研究開発から実証及び社会実装に向けた取組への支援を実施。 【脱炭素価値の需要開拓】 ・成長志向型カーボンプライシング構想の具体化:より炭素排出の少ない形で生産された製品の付加価値 を向上すべく、化石燃料賦課金、排出権取引の有償オークションの導入に向けた具体的検討(法改正含 む)。 ・カーボン・クレジット市場の活性化(Jクレジット累積認証量の拡大等)。 環境経済室・GX推進企画室 【脱炭素に向けた産業界の取組の推進】 ・GXリーグの段階的発展(参加企業数の拡大及び参加企業によるコミットメントの強化) ・エネルギー利用に係る環境負荷を低減させる事業適応計画の認定及び税制等による関連投資支援 ・カーボンフットプリントの算定・表示・公表の推進(CFPレポートの作成及び公共調達への反映に関す る検討) ・GX価値の見える化や評価基準の国際標準化等に向けた検討。 環境経済室・GX推進企画室 【国際ルール形成等】 ・二国間クレジット制度(JCM)等を通じた国際協力の拡大 ・COP等の国際会議やAZEC等の国際枠組みを活用した、温暖化対策に係る日本の貢献(海外の産業脱炭素 化及びそれを通じた削減貢献、技術協力及び日本の技術発信、適応ビジネスの海外展開等)に係る案件 の組成及び発信 地球環境対策室 【成長志向型の資源自律経済の確立】 ・「サーキュラーパートナーズ(CPs)」の立ち上げ・活動推進 ・トレーサビリティ確保のためのデータ流通を促す情報流通プラットフォームの構築支援 ・SIP事業「サーキュラーエコノミーシステムの構築」を実施 ・地域特性を踏まえた地域循環モデルの構築支援 資源循環経済課 関連する予算、税制等の全体像 【令和5年度補正予算】8,547億円(国庫債務負担行為含め、9,662億円) 【令和6年度当初予算】6,429億円(国庫債務負担行為含め、2兆3,641億円) 【令和6年度税制改正】 戦略分野国内生産促進税制の創設 カーボンニュートラル投資促進税制の拡充・延長 ※GX投資促進等を目的とした他局執行予算を含む ※GX投資促進等を目的とした他局執行予算を含む 41 政策テーマ:7.中小企業の発展 (政策評価軸:中小企業の発展 (1/1)) 中小企業庁長官 山下 隆一 目標(ミッションステートメント) 日本経済がデフレ構造から新しい経済ステージに移行する正念場において、企業数全体の99.7%、従業者数の7割、付加 価値の過半を占める中小企業・小規模事業者の果たす役割は極めて大きい。このため、①物価高、人手不足等の厳しい経 営環境への対応を進めるとともに、②成長分野等への挑戦に向けた投資の促進、③創業・事業承継を通じた挑戦・自己変 革の推進、④地域課題解決に向けた取組・伴走支援等を進めることにより、中小企業・小規模事業者の挑戦・成長を後押 しする。 主要な目標 目標1:中小企業の従業員一人当たりの付加価値額を2020年から5年間(2025年まで)で5%向上させる 目標2:中小企業の全要素生産性(技術進歩、イノベーション等の合計を表す指標)を2020年から5年間(2025年まで)で5%向上させる 目標3:中堅企業へ成長する企業数を年400社以上とする。※「中堅企業」とは、中小企業を卒業した企業であり、常時使用する従業員の数が2,000人以下の会社等(中小企業者を除く)。 目標4:海外への直接輸出または直接投資を行う中小企業の比率を2020年から5年間(2025年まで)で10%向上させる 目標5:開業率が米国・英国レベル(10%台)になることを目指す[2020年:5.1%] 目標に対する評価と今後の対応 • 新型コロナの影響や原材料・エネルギー価格高騰による厳しい局面では、事業継続のための資金繰り支援等に取り組むとともに、物価上昇 に対応するための価格転嫁対策、生産性向上等に係る施策を講じてきた。 • その後、コロナ影響の収束とともに経済社会活動は正常化。一方、多くの中小企業・小規模事業者は、物価高、人手不足等の課題に直面。 このため急激な環境変化に対応するための資金繰り支援や価格転嫁対策を通じて経営を支えるとともに、人手不足に対応するための省力化 投資をはじめとする生産性向上を支援してきた。 • 今、日本経済が潮目の変化を迎える中で、中小企業・小規模事業者においても大胆な賃上げが求められており、このためには「稼ぐ力」を 高めることが重要であり、引き続き、 ①物価高、人手不足等の厳しい経営環境への対応(資金供給円滑化、原材料費等の適正な価格転嫁、取引適正化、省力化・賃上げ対策等) ②成長分野等への挑戦に向けた投資の促進(売上高100億企業創出、DX、GX、輸出支援、研究開発支援等) ③創業・事業承継を通じた挑戦・自己変革の推進(事業再生、事業承継・引継ぎ支援、事業再構築支援等) ④地域課題解決に向けた取組・伴走支援(地域の社会課題解決等の小規模事業者の持続的発展、被災地域の施設復旧等の支援等) 等の施策を講じていく。 42 ・また、特に構造転換を促進すべく、成長志向の中小企業の後押しを強化する。 主要な目標及びその他目標の足元の動向 目標1:中小企業の従業員一人当たりの付加価値額を2020年から5年間 目標2:中小企業の全要素生産性を2020年から5年間(2025年まで) (2025年まで)で5%向上 で5%向上 従業員一人当たりの付加価値額 570 6.0 (従業員一人当たり付加価値額、万円/人) +8.1% +7.1% 550 4.0 目標 +5.0% 560 540 +4.4% 530 520 +2.8% ▲ 2.0 +1.4% 15 16 17 18 19 20 21 22 1.6% 目標 5.0% 1.2% ▲ 2.3% ▲ 2.6% ▲ 3.6% ▲ 4.1% 基準年 ▲ 2.0% ▲ 5.2% 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 年度 25 年度 資料:財務省「法人企業統計」を基に作成。%表記は2020年度を基準として水準を比較したもの。 資料:財務省「法人企業統計調査」を基に作成。 目標5:開業率が米国・英国レベル(10%台)になることを目指す 目標3:中堅企業へ成長する企業数を年400社以上とする 開業率 中小企業から中堅企業に成長する企業の推移 16.0 450 (成長企業数、社) (開業率、%) 日本 目標 400 社 400 14.0 米国 英国 12.0 340 350 315 300 5.0% 0.7% ▲ 0.9% ▲ 6.0 500 14 1.4% 0.5% 0.9% ▲ 4.0 13 2.1% 0.1% 基準年 510 12 2.4% 2.7% 0.0 +4.8% +2.6% +1.4% 2.8% 2.0 +4.5% +7.0% 全要素生産性 (全要素生産性、%) 330 310 10.0 318 315 356 292 278 目標 10.0% 265 8.0 6.0 4.0 250 2.0 200 08 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 年 資料:中小企業庁「令和4年度中小企業を取り巻く外部環境にかかる現状と課題に関する調査研究」を 基に作成。 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 年 資料:厚生労働省「雇用保険事業年報」、United States Census Bureau「The Business Dynamics Statistics」、英国国家統計局「Business demography」を基に作成。 43 主な関連施策 推進体制(主担当課室) ①物価高、人手不足等の厳しい経営環境への対応 ➢ 政策金融・信用補完制度を通じた中小企業資金供給の円滑化 ➢ 原材料費等の適正な価格転嫁、取引適正化の促進 ➢ 省力化・賃上げ対策 等 金融課、取引課、企画課、経営安定対策室等 ②成長分野等への挑戦に向けた投資の促進 ➢ 中小企業の中堅企業化 ➢ 事業再構築・生産性向上 ➢ DX・GX・海外展開 ➢ 研究開発支援 等 企画課、経営支援課、小規模企業振興課等 ③事業承継、再編を通じた変革の推進 ➢ 事業再生、事業承継・引継ぎ支援 ➢ 事業再構築支援 等 小規模企業振興課、財務課、金融課等 ④伴走支援・経営支援の推進等 ➢ 経営支援体制の強化 ➢ 人材確保支援 等 経営支援課、小規模企業振興課等 ⑤社会課題解決をはじめとした地域における取組への支援等 ➢ 地域の社会課題解決企業支援のための実証 ➢ 小規模事業者の持続的発展支援 等 小規模企業振興課、商業課等 関連する予算、税制等の全体像 【令和5年度補正予算】 5,420億円 【令和6年度当初予算】 1,082億円 【令和6年度税制改正】 ・賃上げ促進税制の拡充・延長、中小企業事業再編投資損失準備金の拡充・延長、法人版(特例措置)及び個人版事業承継税制の特例承継計 画の提出期限延長、交際費課税の特例の拡充・延長、中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例措置の延長 44

資料8

参考資料1 産業構造審議会 活動報告書 令和 6 年 8 月 1 日 目 次 Ⅰ活動概要 現在の組織 ……………………………………………………………………3 開催状況 ………………………………………………………………………3 答申・報告書等 ………………………………………………………………3 Ⅱ 組織の変更 組織図 …………………………………………………………………………5 Ⅲ 答申・報告書等 審査品質管理小委員会…………………………………………………………8 不公正貿易政策・措置調査小委員会…………………………………………9 安全保障貿易管理小委員会……………………………………………………10 イノベーション小委員会………………………………………………………12 繊維産業小委員会………………………………………………………………14 航空機産業小委員会……………………………………………………………15 伝統的工芸品指定小委員会……………………………………………………18 産業保安基本制度小委員会……………………………………………………19 水素保安小委員会………………………………………………………………20 製造安全小委員会………………………………………………………………21 経済産業政策新機軸部会………………………………………………………22 1 I 活動概要 2 活動概要 本活動報告書は、令和5年7月から令和6年6月までの産業構造審議会にお ける活動を取りまとめたものである。 活動報告書は、令和6年7月1日以降の組織図に合わせて記載している。 現在の組織 産業構造審議会は令和5年7月から令和6年6月にかけて、12 つのワーキン ググループを新設、8 つのワーキンググループを廃止し、令和6年6月末現在、 3 の部会、7 の分科会、40 の小委員会、43 のワーキンググループによって構成さ れている。 開催状況 令和5年7月から令和6年6月にかけて、総会 1 回、部会 10 回、分科会 12 回、小委員会 81 回、ワーキンググループ 56 回、総計 160 回開催しており、 開催状況・議事要旨を、経済産業省のホームページにおいて公開している。 答申・報告書等 令和5年7月から令和6年6月にかけて、総計 11 件の答申・報告書等を取り まとめており、経済産業省のホームページにおいて公開している。 3 Ⅱ 組織の変遷 4 産業構造審議会 旧組織図 (~令和6年6月30日) 総会 知的財産分科会 弁理士制度小委員会 特許制度小委員会 審査基準専門委員会WG 商標制度小委員会 商標審査基準WG 意匠制度小委員会 意匠審査基準WG 審査品質管理小委員会 不正競争防止小委員会 外国公務員贈賄に関するWG 基本問題小委員会 財政点検小委員会 地域経済産業分科会 工場立地法検討小委員会 工業用水道政策小委員会 通商・貿易分科会 不公正貿易政策・措置調査小委員会 特殊貿易措置小委員会 安全保障貿易管理小委員会 産業技術環境分科会 イノベーション小委員会 評価WG 知的基盤整備特別小委員会 鉄鋼WG 地球環境小委員会 化学・非鉄金属WG 自動車・自動車部品・自動車車体WG 製紙・板硝子・セメント等WG 電子・電機・産業機械等WG 流通・サービスWG 資源・エネルギーWG 中長期地球温暖化対策検討WG 資源循環経済小委員会 自動車リサイクルWG 電気・電子機器リサイクルWG 小型家電リサイクルWG 容器包装リサイクルWG プラスチック資源循環戦略WG 設計認定基準WG 産業環境対策小委員会 グリーントランスフォーメーション推進小委員会 製造産業分科会 化学物質政策小委員会 フロン類等対策WG 航空機産業小委員会 制度構築WG 宇宙産業小委員会 車両競技小委員会 伝統的工芸品指定小委員会 航空工場検査員国家資格制度等小委員会 繊維産業小委員会 商務流通情報分科会 情報経済小委員会 IT利活用ビジネスに関するルール整備WG IT人材WG 試験WG 分散戦略WG バイオ小委員会 生命科学・医学系研究に関する倫理指針に係る 個人遺伝情報保護WG 個人遺伝情報保護WG バイオものづくり革命推進WG バイオ利用評価WG バイオレメディエーションWG 割賦販売小委員会 教育イノベーション小委員会 学びの探究化・STEAM化WG 学びの自律化・個別最適化WG 保安・消費生活用製品安全分科会 産業保安基本制度小委員会 高圧ガス小委員会 ガス安全小委員会 ガスシステム改革保安対策WG 液化石油ガス小委員会 電力安全小委員会 新エネルギー発電設備事故対応・構造強度WG 電気保安制度WG 電気設備自然災害等対策WG 火薬小委員会 火工品検討WG 特則検討WG 製品安全小委員会 電気用品整合企画検討WG 水素保安小委員会 経営力向上部会 グリーンイノベーションプロジェクト部会 産業構造転換分野WG グリーン電力の普及促進等分野WG エネルギーの構造転換分野WG 経済産業政策新機軸部会 事業再構築小委員会 5 産業構造審議会 新組織図 (令和6年7月1日~) 総会 知的財産分科会 弁理士制度小委員会 特許制度小委員会 審査基準専門委員会WG 商標制度小委員会 商標審査基準WG 意匠制度小委員会 意匠審査基準WG 審査品質管理小委員会 不正競争防止小委員会 外国公務員贈賄に関するWG 基本問題小委員会 財政点検小委員会 地域経済産業分科会 工場立地法検討小委員会 工業用水道政策小委員会 通商・貿易分科会 不公正貿易政策・措置調査小委員会 特殊貿易措置小委員会 安全保障貿易管理小委員会 イノベーション・環境分科会 イノベーション小委員会 評価WG 知的基盤整備特別小委員会 鉄鋼WG 地球環境小委員会 化学・非鉄金属WG 自動車・自動車部品・自動車車体WG 製紙・板硝子・セメント等WG 電子・電機・産業機械等WG 流通・サービスWG 資源・エネルギーWG 中長期地球温暖化対策検討WG 資源循環経済小委員会 自動車リサイクルWG 電気・電子機器リサイクルWG 小型家電リサイクルWG 容器包装リサイクルWG プラスチック資源循環戦略WG 設計認定基準WG 産業環境対策小委員会 グリーントランスフォーメーション推進小委員会 製造産業分科会 航空機産業小委員会 宇宙産業小委員会 車両競技小委員会 航空工場検査員国家資格制度等小委員会 繊維産業小委員会 商務流通情報分科会 情報経済小委員会 IT利活用ビジネスに関するルール整備WG IT人材WG 試験WG 分散戦略WG バイオ小委員会 生命科学・医学系研究に関する倫理指針に係る 個人遺伝情報保護WG 個人遺伝情報保護WG バイオものづくり革命推進WG バイオ利用評価WG バイオレメディエーションWG 割賦販売小委員会 教育イノベーション小委員会 学びの探究化・STEAM化WG 学びの自律化・個別最適化WG 伝統的工芸品指定小委員会 保安・消費生活用製品安全分科会 産業保安基本制度小委員会 高圧ガス小委員会 ガス安全小委員会 ガスシステム改革保安対策WG 液化石油ガス小委員会 電力安全小委員会 新エネルギー発電設備事故対応・構造強度WG 電気保安制度WG 電気設備自然災害等対策WG 火薬小委員会 火工品検討WG 特則検討WG 製品安全小委員会 電気用品整合企画検討WG 化学物質政策小委員会 フロン類等対策WG 制度構築WG 水素保安小委員会 二酸化炭素貯留事業等安全小委員会 経営力向上部会 グリーンイノベーションプロジェクト部会 産業構造転換分野WG グリーン電力の普及促進等分野WG エネルギーの構造転換分野WG 経済産業政策新機軸部会 事業再構築小委員会 6 Ⅲ 答申・報告書等 7 知的財産分科会 「令和5年度審査品質管理小委員会報告書(報告書)」 審査品質管理小委員会(令和6年3月) 報告書の概要 令和5年度の特許庁の審査品質管理の実施体制及び実施状況について評価し、改善点についての 検討を行った結果を報告書として取りまとめた。 (1)特許庁における審査品質管理の取組の概要 特許庁における審査品質管理の取組の概要をまとめた。 (2)審査品質管理の実施体制・実施状況に関する評価結果 審査品質管理の実施体制・実施状況に関する評価を、本小委員会で策定した「審査品質管理 に関する評価項目及び評価基準」に基づいて行い、その結果を取りまとめた。 (3)審査品質管理の実施体制・実施状況に関する改善提言 審査品質管理の実施体制・実施状況に関する評価を通じて得られた、審査品質管理の実施体 制・実施状況に関して改善が期待される事項について審議し、本小委員会の改善提言として 取りまとめた。 8 通商・貿易分科会 「2023 年版不公正貿易報告書(報告書)」 不公正貿易政策・措置調査小委員会(令和5年6月) 報告書の概要 世界貿易機関(WTO)協定をはじめとする国際ルールに照らして、我が国の主要貿易相手国・地 域が採用している貿易政策・措置の問題点を明らかにし、撤廃や改善を促すことを主たる目的とし ている。 (1)第一部 第一部においては、20 ヶ国・地域の約 150 件の貿易政策や措置を取り上げ、問題点の改善に 向けての政府の取組や最近の動向についてまとめている。なお、2023 年版では、新規案件として 以下 3 件の政策・措置を指摘している。 ① 中国:政府調達法改正 ② EU:炭素国境調整措置 ③ カナダ:特定有害物質禁止規則改正案における DBDPE 禁止規則 (2)第二部 第二部においては、第一部で挙げた問題点の指摘の根拠となる WTO 協定と主要ケースに関する 解説を行っている。なお、2023 年版の第二部では、以下 6 件の特集記事を記載している。 ① ② ③ ④ ⑤ ⑥ 新型コロナウイルス感染症と貿易 企業のサプライチェーンと人権・環境問題 経済的威圧をめぐる最近の議論 安全保障例外~GATT21 条の解釈をめぐる論点と最近の WTO 先例 国産化と技術獲得 WTO 上級委員会を巡る問題 (3)第三部 第三部においては、WTO 協定を補完する新たな国際ルールとして、経済連携協定及び投資協定 について、体系的な解説を行っている。 9 通商・貿易分科会 「中間報告(報告書)」 安全保障貿易管理小委員会(令和6年4月) 報告書の概要 2023 年 11 月から 2024 年 4 月にかけて、第 14 回から第 18 回まで 5 回にわたり安全保障 貿易管理小委員会を開催し、2021 年安保小委中間報告以降の安全保障環境の変化等を踏まえた輸 出管理に関する課題について、議論を行い、以下について中間報告を取りまとめた。 1.対応の方向性 (1)補完的輸出規制の見直し ①一般国向け通常兵器補完的輸出規制 ・一般国 (グループA国以外)向けであっても、安全保障上の懸念が高い品目に限定して、通 常兵器の開発等に用いられるおそれがある場合に適切に管理。 ・この際、懸念需要者や懸念取引等に関する情報を政府が提供。 ②グループA国を経由した迂回に対する措置 ・補完的輸出規制の対象外のグループA国向けであっても、懸念国等の迂回調達の懸念がある 場合、インフォーム。 (2)技術管理強化のための官民対話スキームの構築 ・技術流出リスクの高い技術・行為を特定し、外為法に基づき政府に事前報告(今回の措置は貨 物は対象外)。 ・適切な技術管理に向け、政府からの懸念情報等の提供を含め官民対話を実施(真に必要な場合 は、外為法に基づくインフォームにより許可申請を求める)。 ・取引時点のみならず、 時間的経過に伴う軍事転用懸念を考慮。 (3)機動的・実効的な輸出管理のための重層的な国際連携 ・国際輸出管理レジームで技術的議論が成熟した品目の同盟国・同志国による管理。 ・懸念度と緊急度に応じた、技術保有国による連携も有効。 ・国際輸出管理レジームの管理対象品目に係る運用面での協調。 ・国際輸出管理レジームの非参加国との連携を強化。 (4)安全保障上の懸念度等に応じた制度・運用の合理化・重点化 ・半導体製造に用いられる一部の部分品(圧力計やクロスフローろ過装置)を特別一般包括許可 の対象に。 ・インド・ASEAN 向け工作機械を、一定の要件の下(移設検知機器の搭載等)で、特別一般包括許 可の対象に。 ・同志国軍による防衛装備の持ち帰り、民生用途の 1 項品等に関する許可申請手続を簡素化。 ・内部管理体制や保有機微技術、輸出実績を踏まえ、立入検査を重点化。 10 (5)国内外の関係者に対する一層の透明性の重要性 ・中小企業及び諸外国などへの情報発信、個別説明等の継続した実施 (6)インテリジェンス能力の向上と外部人材の活用 ・同盟国、同志国の輸出管理当局を含めた関係機関とのより一層の協力。諸外国の政策動向や技 術動向等に関する調査の充実。 2.中長期的な検討課題等 上記の対応の方向性については、本報告を踏まえて、速やかに制度・運用の見直しを図るべき。 同時に、足下の国際環境で生じている新たな事象に対して、従来型の不拡散型輸出管理の枠組みが どの程度実効的かについて、我が国の安全保障の維持・強化の観点から、虚心坦懐に検証し、必要 に応じた抜本的な見直しを検討すべき。その際、諸外国の規制動向も注視しつつ、国際環境等に即 した新たな貿易管理のあり方も検討すべき。例えば、人を通じた技術流出への対策をはじめとした 新たな技術管理の取組の必要性、法体系の複雑性の解消(「わかりやすさ」の追求)を含めた外為 法に基づく安全保障貿易管理の目的や制度体系のあるべき姿の検討への指摘もあり。 11 イノベーション・環境分科会 ※令和6年6月末までは産業技術環境分科会 「イノベーション小委員会中間取りまとめ」 イノベーション小委員会(令和6年6月) 中間取りまとめの概要 当該小委員会では、継続的なイノベーションを創出するためには、新たな「技術・アイディア」 を生み、その事業化による「新たな価値の創造」、 「社会実装して市場創造・対価獲得」することに よって実現したイノベーションの成功モデルが、次なるイノベーションを生むことが重要であると の視点に立って議論を行い、提言として 「イノベーションの実現に向けた政策の方向性について」 をとりまとめた。 提言では、 (1)スタートアップ・大企業の強みを活かした研究開発投資の促進、 (2)イノベーシ ョン資源(人材・技術・設備等)の流動化による事業化・付加価値創出の促進、 (3)需要創造まで 見据えて国が産業化に向けた新たなモメンタムをつくるべきフロンティア領域の探索・重点支援な どを今後の政策の方向性として示した。 ポイント (1)スタートアップ・大企業の強みを活かした研究開発投資の促進 研究開発投資は、将来の成長の源泉であるにもかかわらず、その成果が得られるまでの期間が長 く、収益性も不透明なものであるため、コストカットを重視する経営方針と相まって、積極的な研 究開発投資の増加に向かいにくい場合も存在。 このため、研究開発投資効率を評価できるような指標の策定や、経済産業省の研究開発予算の中 でスタートアップを優先的に支援する「スタートアップ推進枠」の設定などを通じて、国内研究開 発投資の総量を担う大企業が研究開発投資を増やしつつ、特に新規事業開拓にチャレンジしやすい スタートアップが新規分野で研究開発を行いやすい環境整備を行う。 (2)イノベーション資源(人材・技術・設備等)の流動化による事業化・付加価値創出の促進 既存事業の競争力向上を重視する大企業は、よりリスクの高い新規分野の研究開発投資や事業化 の担い手となりにくい場合がある一方で、新規事業の開拓を担うスタートアップは、イノベーショ ンの担い手として極めて重要だが、初期段階で成功したとしても、事業拡大フェーズでは、人材・ 技術・設備等のイノベーション資源制約のため成長が制約されることがある。 このため、所属企業の枠を超えた環境に身を置き新たな学びを得る「越境学習」のガイドライン・ 事例集の策定や、事業会社からのカーブアウト実践のガイダンス普及に向けた実証事業の実施等に より、イノベーション資源の流動化を促進し、大企業とスタートアップのそれぞれの強みを活かす イノベーション・エコシステムの構築に取り組む。 (3)需要創造まで見据えて国が産業化に向けた新たなモメンタムをつくるべきフロンティア領域 の探索・重点支援 将来的なポテンシャルが大きい一方で、技術開発や市場の不確実性といったリスクの高さ、巨額 の研究開発設備投資の必要性などの理由で、国としては重点投資していきたいにもかかわらず、個 12 社だけでは投資が進みにくい領域が存在。 こうした領域の探索を行うために NEDO や産総研等の国研や他府省庁、学会等の幅広いネットワ ークを活用して技術インテリジェンスの強化に取り組むとともに、まず取り組む領域として量子や 核融合等を想定して、必要となる予算・税制・法律・標準化などの措置を含んだロードマップの作 成を通じて、社会実装への道筋を描く。 13 製造産業分科会 「繊維産業におけるサステナビリティ推進等に関する議論の中間とりまとめ」 繊維産業小委員会(令和6年6月) 中間とりまとめの概要 繊維産業小委員会では、令和4年5月に「2030 年に向けた繊維産業の展望(繊維ビジョン)」を とりまとめた。しかし、繊維産業を取り巻く環境変化は、衣料品の低価格化や供給量の増加など加 速度を増していることから、来るべき 2030 年に向けて着実に政策を実行していくため、繊維ビジ ョンに基づく取組のさらなる強化が必要である。 このため、令和5年 11 月に繊維産業小委員会を再開し、繊維産業における①環境配慮等のサス テナビリティへの対応、②人材確保・取引適正化への対応、③繊維産地におけるサプライチェーン の維持に向けた取組の方向性等の諸課題に関する議論を行った。 ①環境配慮等のサステナビリティへの対応 ・衣料品の回収量の増加に向けた制度整備 ・資源循環システム構築に資する技術基盤の整備 (1)副資材の除去や選別の自動化 (2)複合素材繊維の分離・再資源化 (3)リサイクルプロセスの環境負荷低減 ・繊維製品における環境配慮設計の推進 ・情報開示の推進とグリーンウォッシュへの対応 ・適量生産・適量消費に向けた取組の方向性 ②人材確保・取引適正化への対応 ・人材確保に向けた対応 ・取引適正化に向けた対応 ③ 繊維産地におけるサプライチェーンの維持に向けた取組の方向性 14 製造産業分科会 「航空機産業戦略」 航空機産業小委員会(令和6年4月) 戦略の概要 国際民間航空機関における 2050 年カーボンニュートラル達成の目標合意、デジタル技術活用の 進展、サプライチェーンリスクの顕在化、スタートアップによる新たな市場創出に向けた動きの加 速といった国際的な動向や、我が国企業による完成旅客機開発の中止等、航空機産業を取り巻く環 境は大きく変化している。 こうした状況を踏まえ、我が国航空機産業の発展に向けた方向性や具体的な取組についてのビジ ョンを示し、それを産学官で共有し一体として進めていくことで、中長期的な予見可能性を確保し つつ、更なる成長を遂げることを目指していくためのものとして、航空機産業小委員会において 「航空機産業戦略」を取りまとめた。 1.航空機産業の意義 航空機産業は、我が国の社会経済活動上の重要インフラとしての自律性の確保、国際的な航空需 要の成長の国内産業への裨益、安全保障の維持・強化の観点から、極めて重要な産業であり、官民 でその発展を目指すことの意義は大きい。 2.我が国航空機産業の現状と目指すべき方向性 我が国航空機産業は、2019 年時点では年間売上高ベースで 2 兆円規模にまで発展してきている ものの、欧米主要国と比較すると規模は小さく、依然として米国の 10 分の 1 程度の規模である。 一方、世界の民間航空機市場の拡大が見込まれる中、機体構造・エンジン・装備品・MRO 等で参 画可能な事業領域が残されていることから、我が国航空機産業には今後の産業規模の拡大余地があ り、更なる成長の可能性は大いにあると考えられる。また、航空機産業においては、グリーン、デ ジタル、レジリエンス、新興市場の創出といった環境変化、すなわちゲームチェンジが今まさに起 きているところ、それぞれ成長の機会があるとともに、これまで築いてきた立ち位置を失うリスク の両面が存在する。 大きな環境変化の中で、我が国航空機産業が、更なる成長に当たって抱えている課題としては、 ①完成機事業中止による産業の自律的な成長機会の喪失、②主体的に市場の付加価値を獲得できな い産業構造、③一国一社による環境変化への対応に先行するための投資規模の限界、の三点が主に 挙げられる。この三点の課題を踏まえると、我が国航空機産業は現状、海外 OEM の動きを待たざ るを得ない産業構造であるといえ、上述の環境変化の中で、今後必ず到来する新型機開発等の成長 機会において、戦略的な開発、サプライチェーン構築、ビジネス形成を我が国が主導し、産業規模 を拡大していくためには、主体的に付加価値を取りに行く産業構造へ変革していくことが重要であ る。このため、産業の自律的な成長を可能とする完成機事業の創出を引き続き目標として掲げるべ きである。 15 3.自律的な成長を実現する産業構造の創出 これまでに確固たる地位を築いてきた市場を起点としつつ、収益性が高く規模の大きい市場(ボ リュームゾーン)において、完成機事業の経験を有する海外 OEM との連携の中で、我が国の強み をレバレッジとして、コンポーネントの製造に留まらない、上流工程でのプログラム参画を継続的 に追求することで、収益基盤を着実に構築しつつ、規模の大きい事業を実施するために必要な事業 能力を含めたインテグレーション能力を獲得していく。併せて、小型機市場・新興市場において、 将来ボリュームゾーンにおいて採用され得る環境新技術の先行的な技術開発に幅広く投資すると ともに、その開発技術をレバレッジとして、主導的な立場での国際共同開発に取り組み、海外の主 要 OEM との共同開発では獲得できない経験と能力を獲得していく。 この 2 方向のアプローチによって我が国航空機産業の能力と事業基盤を 2035 年頃までに飛躍的 に成長させ、それ以降の単通路機プログラム(ボリュームゾーン市場)においては、我が国航空機 産業が海外 OEM と伍する立場として、国際連携による完成機事業の創出を目指していくことを追 求すべきである 。 4.成長の原動力を生む基盤の強化 新たな価値を取り込み、成長を実現するためには、個別の航空機開発・製造そのものの取組のみ ならず、そうした取組の原動力を生むための、また、成長の果実を裨益させるための基盤(ものづ くり基盤、人材、開発基盤の維持・強化が必要である。 これまでは、コスト競争力強化や一貫生産体制の構築といった支援を行いつつ、国内産業基盤の 強化を図ってきた。また、新素材に関する技術開発の支援を行いつつ、我が国の素材分野の強みを 生かした付加価値向上を図ってきた。また、試験・実証インフラを中心に開発製造基盤に関する協 調的な取組が進んできている。さらに、航空機製造技術者の養成・確保に向けて、 「航空機整備士・ 製造技術者養成連絡協議会」の枠組み等の下で関係者が連携し、非破壊検査員の人材育成、講演会 等を通じた裾野拡大の取組等を推進している。 こうした取組が重要であることは引き続き変わらないが、環境変化に適切に対応し完成機事業の 創出及びそこに向けたステップバイステップの成長という大目標を実現していくためには、政策支 援が個別最適に陥らないよう官民で具体的な方針を共有すべきである。 その際には、民防それぞれの開発・事業の時期、性質の違いを踏まえ、シナジー効果を生むこと を織り込んでいることが必要である。 また、欧米においては、次世代空モビリティや航空機運用に関するソリューション等、旅客機製 造業に留まらない取組が進んでおり、人材流動、事業開発連携等を通じて旅客機製造業を含めたエ コシステム全体の成長の原動力となっている。我が国においても、こうした挑戦が始まっていると ころ、航空機産業のエコシステムを捉え直し、適切な取組を検討していくことが重要である。 以上の認識から、サプライチェーン強靱化、人材獲得・育成、開発製造基盤の構築、エコシステ ム拡大の 4 つの観点で、成長の原動力となる基盤の構築に取り組む。 16 5.航空機産業戦略の迅速かつ着実な実行 航空機産業を巡る事業環境が大きく変化する中、これまでに示した、我が国航空機産業の成長に 向けた戦略的な取組を迅速かつ着実に実行するためには、官民が共通認識を持ち、総力を結集して 取組を進めることが極めて重要である。 航空機産業戦略に掲げた取組の方向性は、必ずしも従来の延長線上にはないものも多く、また今 後の環境変化の中で取組の方向性が変化していくことも考えられる。このため、今後、原則として 毎年度、本小委員会を開催することとし、これまでに行ってきた取組の評価や、これからの取組の 方向性を随時検討し、官民一体となって、日本の航空機産業の発展を図っていく。 17 商務情報流通分科会 「伝統的工芸品の指定に係る答申について(答申)」 伝統的工芸品指定小委員会(令和5年9月) ※令和 6 年 6 月末までは製造分科会に所属 答申の概要 ほんぞめちゅうせん 伝統的工芸品産業の振興に関する法律に基づく伝統的工芸品の指定品目に「東京本 染 注 染」を 追加することについて了承した。 ほんぞめちゅうせん ・東京本 染 注 染 「注染」とは 、江戸時代に技法が確立した型染め技術である。生地を屏風畳み状に折り重ねな がら防染糊を型付けした後、重なった生地にヤカン(ジョウロ型の道具)で染料を注ぎ染める。染 め上がりに裏表無く両面が染まるのが特徴。現在も伝統的な技法が継承されており、7 事業者、74 名の従事者がいる(令和5年10月現在)。 本工芸品の指定により、伝統的工芸品は241品目となった。 手ぬぐい ゆかた地 18 保安・消費生活用製品安全分科会 「中間取りまとめ CCS に係る制度的措置の在り方について(報告書)」 産業保安基本制度小委員会 総合資源エネルギー調査会 資源・燃料分科会 カーボンマネジメント小委員会(令和6年1月) 報告書の概要(保安関係部分) CCS 事業化に向けた諸課題に関し、総合資源エネルギー調査会資源・燃料分科会の下に設置され た「カーボンマネジメント小委員会」との合同開催により審議を行い、令和6年1月に中間取りま とめを策定した。 (概要) 2050 年カーボンニュートラルの実現のためには、省エネルギー、再生可能エネルギー、電化や水 素エネルギーの活用などが必要であるが、一方、CO2 の排出が避けられない事業分野が存在。この 分野においても、確実に CO2 排出を抑制する必要があるが、CO2 を回収して地下に貯留する CCS はこれを解決するに当たり重要な取組。 このため、貯留事業者が行う貯留事業や輸送事業者が行う輸送事業について、一定の規律を確保 するための措置を講じることが必要である。また、事業を行う上で懸念されるリスクに適切に対応 し、公共の安全を維持し、災害の発生を防止することが不可欠。 CO2 貯留事業は、石油・天然ガスの掘採を目的とする CO2-EOR・EGR と類似性があることか ら、鉱山保安法も踏まえつつ、貯留に必要な地上設備の保安の確保や地下の井戸の掘削・CO2 貯留 作業における安全等の確保のために必要な措置等の保安規制を新たに体系的に整備することが適 当。他方で、CO2 貯留事業は、石油等の掘採がなく、CO2 が地下に溜まり続ける等の点で CO2EOR・EGR と違いがあることから、貯留事業の実施に当たり CO2 の貯留に伴う地下構造の保護に ついて必要なリスクマネジメントの実施や貯留作業への反映等を事業者に求めるべき。その際、こ れらの運用に当たっては、最新の技術的動向を踏まえる観点から外部有識者の知見等を取り入れる プロセスを設けることが適当。 また、導管輸送事業とガス事業法におけるガス導管事業の類似性が高いことを踏まえ、技術基準 の適合・維持義務や工事計画の届出、使用前検査・定期自主検査、保安規程の整備と届出等、ガス 事業法も踏まえつつ新たに体系的に保安規制を措置することが適当。その際、CO2 の物質的な特 性(可燃性・爆発性のない不活性ガス、腐食性、高濃度の CO2 の人体への影響、比重等)を踏ま え、設備などの技術基準を設定することが必要。なお、超臨界状態における導管輸送については、 国際的な状況を踏まえて技術基準などの安全性の観点から検討する。 19 保安・消費生活用製品安全分科会 「総合資源エネルギー調査会 省エネルギー・新エネルギー分科会 水素・アンモニア政策小委員会 /資源・燃料分科会 脱炭素燃料政策小委員会/産業構造審議会 保安・消費生活用製品安全分科会 水素保安小委員会 合同会議 中間とりまとめ」 水素保安小委員会 総合資源エネルギー調査会 省エネルギー・新エネルギー分科会 水素・アンモニア政策小委員会 同 資源・燃料分科会 脱炭素燃料政策小委員会(令和6年1月) 中間とりまとめの概要 水素保安小委員会(総合資源エネルギー調査会 省エネルギー・新エネルギー分科会水素・アン モニア政策小委員会及び資源・燃料分科会脱炭素燃料政策小委員会との合同会議)において、今後 の水素・アンモニア社会を推進する保安の在り方・環境整備等について審議を行い、令和6年1月 29 日に以下のとおり「中間とりまとめ」をとりまとめた。 (1)総論 ① カーボンニュートラルに向けて必要な水素 ② GX 全体の中の水素政策の位置づけ ③ 我が国への水素等導入に必要な制度措置について ④ 低炭素水素等の定義 (2)価格差に着目した支援・拠点整備支援の概要 ① 支援の制度趣旨 ② 価格差に着目した支援の制度設計詳細 ③ 拠点整備支援の制度設計詳細 ④ 今後の道行き (3)低炭素水素等の供給の促進に向けた制度的措置 ① 低炭素水素等の供給の促進に向けた制度的措置の必要性 ② 低炭素水素等の供給の促進に向けた制度的措置の概要 (4)低炭素水素等の供給・利用の拡大に向けて必要な保安措置 ① 水素保安の将来像に向けた水素保安の在り方 ② 水素保安における新たな制度案 ③ 水電解装置などの安全確保について ④ アンモニアの保安について ⑤ 水素等事業の保安に係る適用法令について ⑥ リスクコミュニケーション・人材育成・国際調和 (5)新たな市場創出・利用拡大につながる適切な制度の在り方 20 保安・消費生活用製品安全分科会 「産業構造審議会 保安・消費生活用製品安全分科会 製品安全小委員会(令和6年2月) 製品安全小委員会 中間取りまとめ」 中間取りまとめの概要 インターネット取引の拡大に伴い、国内外の事業者がオンラインモール等を通じて国内消費者に 製品を販売する機会が増大しており、海外から国内の消費者に直接販売される製品の安全確保や、 子供用の製品による事故の未然防止していく観点から、国内消費者が製品を安全に使用する環境を 整備するため、本中間とりまとめにて、課題、論点を整理し、今後の制度的措置及び取組の方向性 について、取りまとめを行った。 (目次) 第1章 製品安全を巡る現状 1.概要 2.重大製品事故の状況 第2章 昨今の環境変化・課題と制度措置や取組の方向性(案) 1.海外事業者からの直接販売等を通じた製品の安全確保のための対応 (1)環境変化と課題 ①インターネット取引の拡大 ②インターネット取引に対する政府の取組の方向性 (2)制度的措置と取組の方向性 ①海外から直接販売される製品の安全確保のための措置 (ア)海外から直接販売をする事業者の位置付け (イ)国内において必要な措置をとる者 ②インターネットモール等を通じた製品の安全確保のための措置 ③届出情報の公表に関する措置 (3)取組を進めるに当たっての留意事項 2.玩具などのこども用の製品の安全確保のための対応 (1)環境変化と課題 (2)制度的措置と取組の方向性 ①こども用の製品による事故を未然防止するための措置 ②こども用の製品の特徴を踏まえた必要な措置 ③制度導入前に製造・輸入された製品の取扱いに関する措置 ④中古品の取扱いに関する措置 (3)取組を進めるに当たっての留意事項 3.その他の措置事項 21 経済産業政策新機軸部会 「経済産業政策新機軸部会第3次中間整理(報告書)」(令和6年6月) 令和3年 11 月に、産業構造審議会直下に経済産業政策新機軸部会を設置し、延べ 23 回の部会を 開催。令和4年6月、令和5年6月(第2次)、令和6年6月(第3次)に、中間整理を取りまと めた。 第3次中間整理においては、潮目の変化(投資、賃金、物価、株価)の背景には、世界が直面す る時代の転換点があり、 これまでと異なるアプローチが求められる世界的な構造変化があること を明らかにした上で、政府・ 企業・個人の考え方・やり方を変えて、取組を継続していける見通 しを持つことが必要という考えのもと、非連続的な理想を示すビジョンではなく、新機軸の政策の 延長線上で十分に実現可能な、一つの将来見通し(シナリオ)を策定した。また、第2次中間整理 以降取り組んできた施策の進捗状況や、進捗を踏まえ、今後検討が必要となる施策についても整理 した。 報告書の概要 (時代認識) ⚫ 足下の日本国内の「潮目の変化」 (投資、賃金、物価、株価)は、世界が時代の転換点にある端 緒。 ➢ 国際経済秩序の変化:グローバリゼーションの時代から、不確実性の高い時代へ ➢ 世界的な人口動態の転換:日本は労働参加頭打ち。中国・欧州・韓国も人口減少フェーズ ⚫ ⚫ へ これらの変化は、国内投資・イノベーション・所得向上の面で日本に追い風。 次は、「巻き返す 15 年」。 「人口減少」は加速し、日本を劇的に変える。 ➢ これまでの考え方・やり方では、これまでどおり当面社会は安定するが、実質賃金・ GDP の成長は横ばいにとどまり、新興国に追いつかれ、海外と比べて「豊かではない」状況に。 社会の安定性すら失われる可能性。 ➢ 新機軸という考え方・やり方(社会課題に政府も一歩前にでて大規模・長期・計画的に投 資等)で、国内投資・イノベーション・所得向上の好循環を継続すれば、人口減少下でも、 一人一人の所得が増え、可処分時間が増加。国民の生活がよりスムーズで、心地のよい新 たな生活へと発展し、豊かな社会を実現できる。 (世界の需要動向と日本の産業構造) ⚫ 世界の需要は、社会課題解決の価値化(GX 等)とデータドリブンでの新たな価値創出(DX 等) で拡大。 ➢ 日本を含む人口減少地域は、物量は減少するが、 「良いものには値がつく」価格上昇を通じ た需要増に加え、上述のような高付加価値化・新需要開拓によって需要が拡大。 ➢ 米国・グローバルサウス等の人口増加地域は、人口増・購買力増に伴う取引量・単価の上 昇も含めて需要増。 ⚫ 食料・資源・原料を輸入せざるをえない日本は、世界でイノベーションで稼ぐ。課題先進国の 日本はチャンス。 ➢ 日本企業は、海外への輸出・投資をこれまで以上に拡大しつつ、 「世界の創造拠点」として 22 日本という場所を位置付け、世界中で稼いだ利益を国内に還流させ、国内投資・イノベー ション・賃上げを継続的に拡大する。 ➢ 成長可能性があり、変化の主体たる中堅・中小企業、スタートアップの重要性が高まると ともに、こうした変化の主体が刺激となり大企業の変革も促す。 (世界で勝負) ⚫ 社会課題領域を中心に、高付加価値な製品・サービスを生み出し続ける。そのための経営・事 業・製品サービス戦略立案や、最重要研究開発の拠点といった機能を、国内に保持・強化する。 そのために世界中で稼いだ利益を絶えず国内に還流させつつ、更なる将来投資の原資として活 用する。 ⚫ 製造等の現場に眠る非構造化データを産業内で広く収集・分析し、現場を次の研究開発に活か ⚫ す連携体制を確立。世界中から不可欠なものとして求められる製品・サービスを、国内外に提 供し続けるグローバル拠点になる。 国際競争の中で高付加価値型事業に必要な産業インフラ・人材を調達できる領域のみ、日本に 事業が生き残る。 (生活の質を高める挑戦) ⚫ デジタルを駆使し、個人に最適化したり、時間・空間の制約を解放するような新たな製品・サ ービスが生まれてくる。 ⚫ 日本の生活・文化・コンテンツ力等を源泉とするインバウンド・アウトバウンドで高い価値を ⚫ 訴求する。 人手不足の供給制約を、デジタル投資(AI・ロボット等)で解消し、拡大する需要を取り損ね ずに充足できる。 (求められるチャレンジ) ⚫ 国内投資拡大(例えば、2027 年度に 115 兆円の投資額を達成する拡大スピード以上)の継続。 ⚫ スタートアップや大学・研究所、人材育成を含むイノベーションエコシステムが強化され、イ ノベーションが拡大。 ⚫ 構造的人手不足の時代には、賃金や働き方の面でより良い条件を提示できる仕事に、人々は移 動していく。若者をはじめとした人材確保のため、企業は、省力化投資を徹底し、賃上げを続 ⚫ け、柔軟な働き方でやりがいある「良い仕事」を提供する。 企業が資金需要の主体となることで、財政の持続性も維持しながら、経済成長・国民の所得向 上を実現する。政府は、こうした民主導型経済に転換するため、新機軸の政策を継続する。民 主導型経済が軌道に乗り、継続していくために、政府は国の戦略投資として、インフラ投資や 産業政策など必要な生産的政府支出を継続させる。 (チャレンジの結果、得られる国民の豊かさ) ⚫ 主要先進国並みの賃上げの継続で、所得が向上(例えば、直近 2 年の国内の名目賃上げの継続)。 様々な生活の質も向上。 (今後検討が必要となる主要施策) 23 ⚫ 分野横断的にマクロレベルで行っていく取組を、第2次中間整理で目標として定めた「国内投 資・イノベーション・所得向上の3つの好循環を実現する」という観点から、下記の3つのグ ループごとに整理を行った。 ⑴ 国内投資の拡大 ⑵ イノベーション/新陳代謝の加速 ✓ ✓ 世界の市場で勝負し、世界の創造拠点となるための施策 生活の質を高める挑戦をする産業を後押しするための施策 ⑶ 所得の向上 ⚫ こうした施策を通じ、将来の成長期待に基づく民間投資の促進、企業活動の高付加価値化、経 済産業構造の転換による長期持続的な経済成長の実現と、「ミッション志向の産業政策」で取 り組む分野での社会課題解決を両立する。 (分野ごとの施策の進捗と今後検討が必要となる施策) ⚫ これまで新機軸部会で整理してきた8つのミッションと4つの OS を基に、今回のシナリオを 踏まえ、グローバルと経済安全保障を統合した下記の8つのミッションと4つの OS に再整理 し、それぞれについて第二次中間整理以降の進捗状況と、今後検討が必要となる施策を示した。 <ミッション志向の産業政策>(8分野) 1:炭素中立型社会の実現(GX) 2:デジタル社会の実現(DX) 3:グローバル化・経済安全保障の実現(グローバル・安全保障) 4:新しい健康社会の実現(健康) 5:少子化対策に資する地域の包摂的成長 6:災害に対するレジリエンス社会の実現 7:バイオものづくり革命の実現 8:成長志向型の資源自律経済の確立 <経済社会システムの基盤の組替え(OS)>(4分野) 1:人材 2:スタートアップ・イノベーション 3:価値創造経営 4:行政:EBPM・データ駆動型行政 24

資料9

参考資料2-① 経済産業政策新機軸部会 第3次中間整理 令和6年6月 産業構造審議会 経済産業政策新機軸部会 経済産業省 目次 Ⅰ.はじめに ........................................................................................................................................................................................... 1 1.第3次中間整理策定の意義 ................................................................................................................................................ 1 2.第3次中間整理の位置づけ ................................................................................................................................................. 1 3.第3次中間整理の構造と記載内容................................................................................................................................... 2 Ⅱ.2040 年頃に向けたシナリオ(一人一人が豊かな日本へ) ........................................................................................ 5 1.シナリオの前提と導入 ............................................................................................................................................................ 5 (1)前提とする世界の時代認識 .......................................................................................................................................... 5 (2)人口減少を前に、岐路に立つ日本 ............................................................................................................................ 8 2.主要ミッション毎のシナリオ ............................................................................................................................................... 11 (1)GX ........................................................................................................................................................................................... 11 (2)DX ........................................................................................................................................................................................... 14 (3)グローバル・経済安全保障 ......................................................................................................................................... 21 (4)健康・地域の包摂的成長(少子高齢化・人口減少) ........................................................................................ 26 3.産業全体の変化 ..................................................................................................................................................................... 30 (1)世界全体の需要構造の変化 ..................................................................................................................................... 30 (2)世界全体の供給構造の変化 ..................................................................................................................................... 31 (3)新機軸の政策を通じた日本の産業構造の変化 ............................................................................................... 32 4.既存の個別産業の変化 ...................................................................................................................................................... 37 (1)半導体・計算資源............................................................................................................................................................ 37 (2)自動車・モビリティ ........................................................................................................................................................... 41 (3)蓄電池 .................................................................................................................................................................................. 43 (4)産業機械・ロボット........................................................................................................................................................... 45 (5)航空機・次世代空モビリティ ....................................................................................................................................... 49 (6)宇宙 ....................................................................................................................................................................................... 51 (7)素形材 .................................................................................................................................................................................. 53 (8)化学 ....................................................................................................................................................................................... 55 (9)鉄 ............................................................................................................................................................................................ 57 (10)医療機器............................................................................................................................................................................ 60 (11)医薬品................................................................................................................................................................................. 62 (12)ヘルスケア ........................................................................................................................................................................ 64 (13)介護...................................................................................................................................................................................... 65 (14)物流・流通(卸・小売)................................................................................................................................................... 67 (15)観光・クリエイティブ....................................................................................................................................................... 69 5.一人一人が豊かな日本に向けたチャレンジと将来の絵姿 ................................................................................. 73 (1)2040 年頃に向けて企業・国民・政府にマクロレベルで求められるチャレンジ ..................................... 73 (2)チャレンジの結果①:得られる国民の豊かさ ...................................................................................................... 75 (3)チャレンジの結果②:生じているマクロ経済構造 .............................................................................................. 78 Ⅲ.一人一人が豊かな日本に向けた施策の進捗と今後検討が必要となる施策 ................................................ 79 1.国内投資・イノベーション・所得向上の3つの好循環を実現するために今後検討が必要となる主要 施策..................................................................................................................................................................................................... 79 (1)国内投資の拡大 .............................................................................................................................................................. 79 (2)イノベーション/新陳代謝の加速 .............................................................................................................................. 80 (3)所得の向上 ........................................................................................................................................................................ 81 2.分野毎の施策の進捗と今後検討が必要となる施策 ............................................................................................. 82 <ミッション志向の産業政策>............................................................................................................................................... 82 (1)炭素中立型社会の実現(GX) .................................................................................................................................... 82 (2)デジタル社会の実現(DX) ........................................................................................................................................... 86 (3)グローバル化・経済安全保障の実現(グローバル・経済安保) ................................................................. 92 (4)新しい健康社会の実現(健康).................................................................................................................................. 98 (5)少子化対策に資する地域の包摂的成長 ........................................................................................................... 101 (6)災害に対するレジリエンス社会の実現 ............................................................................................................... 105 (7)バイオものづくり革命の実現 .................................................................................................................................... 107 (8)成長志向型の資源自律経済の確立 .................................................................................................................... 110 <社会基盤(OS)の組み換え> .......................................................................................................................................... 112 (9)人材 ..................................................................................................................................................................................... 112 (10)スタートアップ・イノベーション ................................................................................................................................. 115 (11)価値創造経営................................................................................................................................................................ 121 (12)行政:EBPM・データ駆動型行政 ........................................................................................................................... 125 Ⅰ.はじめに 1.第3次中間整理策定の意義 ⚫ ⚫ ⚫ ⚫ ⚫ ⚫ 足下の日本経済は、昨年の第2次中間整理で指摘した大きな変化(地政学的リスクの高まり1、世界 的インフレ2、構造的人手不足3等)が継続している。特に国際的には、ウクライナ情勢の長期化に加 え、イスラエル・パレスチナ情勢の悪化など引き続き不確実性が高まっている。こうしたマクロ経済環 境の変化が政策的取組の強化と相まって、国内においては 30 年ぶりに民間設備投資が 100 兆円 規模4となり、賃上げにおいては春闘において昨年を大きく上回る5%を超える賃上げ率5となるなど、 潮目の変化がさらに大きくなっている。こうした経済環境の中で、金融政策においては、日本銀行が 17 年ぶりに利上げを行い、8年にわたったマイナス金利政策からの転換6を行った。 この潮目の変化の継続は、「投資も賃金も物価も伸びる成長型経済」に移行し、これを長期的に持続 化させていく千載一遇のチャンスであり、これを確実なものとするためには、前向きな挑戦の中で、日 本を新しい経済社会に構造転換していく必要がある。 一方で、30 年ぶりの変化を前にして、経済界・国民には、強気と弱気が混在している。 こうした中で、現状維持という安定・停滞にとどまらず、構造転換という変化・活性化を図っていくため には、経済界も含めた国民の間で、中長期的かつ大局的な目線を世の中でそろえ、前向きな挑戦を 後押しし、経済界のアニマルスピリッツに火をつけることが必要である。 国内に広がる、人口減少を起点とした将来悲観を払拭し、企業や個人の長期目線で前向きな挑戦 の後押しと日本の将来期待の醸成を図ることを目的として、2040 年頃を想定した一人一人が豊かに なれる日本の将来見通しと、そこに至るにあたって第2次中間整理以降取り組んできた施策の進捗 状況、今後検討が必要となる施策を取りまとめることとした。 30 年かけて根付いてしまった物価も賃金も上がらないと考える見方や将来への悲観は、足下2年の 動きだけで簡単に払拭できるものではない。ここで政府が気を緩めてチャンスを逃し、元の木阿弥に ならぬよう、ここからが正念場である。この認識の下、経済産業省として将来の「飯の種」を生み出す 社会課題解決型の国内投資を後押しするため、財政支援も含めて、積極的な産業政策をさらに展 開・継続し、将来への予見可能性も高めていくという強い決意を、今般の第3次中間整理を通じて示 していく。 2.第3次中間整理の位置づけ (新機軸全体における、第3次中間整理の位置付け) ⚫ ⚫ 経済産業省では、2021 年の産業構造審議会総会以降、「経済産業政策の新機軸」と称して、世界的 潮流も踏まえた産業政策の強化策の検討を開始した。 2022 年6月の第1次中間整理では、企業の投資不足を日本経済低迷の要因と位置づけ、投資を呼 び込むための大きな枠組みを提示した。具体的には、①社会課題解決分野を成長のエンジンと捉え、 「ミッション志向の産業政策」+「社会基盤(OS)の組替え」という枠組みの下で、少なくとも5~10 年と いった中長期的に継続させること、②大規模・長期・計画的に、予算・税制・規制・標準化等のあらゆ る政策を総動員することなどである。この枠組みに沿って、例えば、GX 推進法による 20 兆円規模の 参考資料集 P3「世界の不確実性指数の高まり」 、P4「世界各国での産業政策等の活発化」参照 参考資料集 P7「世界全体でのインフレの継続①」 、P8「世界全体でのインフレの継続②」参照 3 参考資料集 P6「人手不足は構造的なもの」参照 4 参考資料集 P11「潮目の変化①-1 国内投資」参照 5 参考資料集 P13「潮目の変化②賃上げ」参照 6 参考資料集 P7「世界全体でのインフレの継続①」参照 1 2 1 先行投資支援等の成長志向型のカーボンプライシング構想の進展、改正5G法に基づく半導体分野 への支援の強化、スタートアップ5カ年計画の策定と実行、リスキリングへの1兆円支援、これらも含 ⚫ ⚫ ⚫ ⚫ めた令和4年度の経済対策における7兆円規模の国内投資支援等の取組が行われた。 2023 年6月の第2次中間整理では、第1次中間整理の基本的考え方を更に発展させ、その後産業 政策の強化が政府全体への取組へと拡大した。具体的には、①マクロ環境変化と政策の転換による 30 年ぶりの潮目の変化として「国内投資の拡大」「賃金の上昇」等を位置づけ、②これらを持続的成 長へとつなげるために、新機軸として定めたミッション・OS の変革を8つのミッション、5つの OS へと 再整理し、取組を強化することで、「国内投資・イノベーション・所得向上の好循環」を実現することを 目標として位置づけた。こうした流れの中で、岸田総理の下、「国内投資拡大のための官民連携フォ ーラム」が数次にわたり開催され、日本経済団体連合会から示された「2027 年度国内投資 115 兆円」 という目標の実現に向け、官民ともに取り組むことが合意されるとともに、政府における、11 府省庁 200 強の施策を取りまとめた「国内投資促進パッケージ7」や、12 府省庁 190 施策とそこから 18 施策 を厳選した「中堅企業成長促進パッケージ8」の取りまとめに結実した。 今般の第3次中間整理においては、潮目の変化の背景には、世界が直面する時代の転換点があり、 これまでと異なるアプローチが求められる世界的な構造変化があることを明らかにした上で、政府・ 企業・個人の考え方・やり方を変えて、取組を継続していける見通しを持つことが必要と考え、非連 続的な理想を示すビジョンではなく、新機軸の政策の延長線上で、十分に実現可能な、一つの将来 見通し(シナリオ)を策定する。 また、本中間整理には、①第2次中間整理以降取り組んできた施策の進捗状況、②進捗を踏まえ、 今後検討が必要となる施策、についても記載する。 本中間整理では、まずは前提となる定性的な方向感をシナリオとして示す。提示したシナリオを基に、 2024 年度、RIETI(独立行政法人経済産業研究所)等と連携して定量化に取り組む。 (シナリオの性質) ⚫ 本中間整理に記載するシナリオは、これまでの経済産業省が示してきたような、非連続に在るべき 姿を示す「ビジョン」ではなく、第2次中間整理などで既に示している新機軸の政策の延長線上にあ る取組によって現実的に実現可能なものである。 ⚫ なお、シナリオは、確定的なものではなく、今後中長期的に継続していく議論・政策・行動の出発点で あり、必要に応じて随時修正・更新していくもの(あくまで ver1.0 との位置付け)である。 3.第3次中間整理の構造と記載内容 (第3次中間整理全体の構造) ⚫ 本中間整理は、シナリオを扱う章(「Ⅱ.2040 年頃に向けたシナリオ(一人一人が豊かな日本へ)」)と、 施策を扱う章(「Ⅲ.一人一人が豊かな日本に向けた施策の進捗と今後検討が必要となる施策」)から 構成されている。Ⅱでは、2040 年頃を想定した一人一人が豊かになれる日本の将来見通しを描く。Ⅲ では、①第2次中間整理で設定した長期的目標、②第2次中間整理以降取り組んできた施策の進捗 状況を整理した上で、③今後検討が必要となる施策を示す。 (「Ⅱ.2040 年頃に向けたシナリオ(一人一人が豊かな日本へ)」の構造と記載内容) 参考資料集 P84「国内投資促進パッケージ」 、P85、86「補正予算により既に動き出している主な国内投資案 件」参照 8 参考資料集 P89「中堅企業成長促進パッケージ」参照 7 2 ⚫ ⚫ ⚫ ⚫ ⚫ ⚫ シナリオの各パートでは、①需要構造の変化と②供給構造の変化は客観的な将来見通しとして、現状 や今後当然想定される事象を踏まえ、客観的に考えれば、2040 年頃はこういう姿になるという結果を 描く。③日本の事業構造の変化は、主観的な見通しとして、現状では課題もあるが、新機軸での政策 も含めた取組で到達し得るものとして描く。 「Ⅱ‐1.シナリオの前提と導入」では、シナリオの前提として、2040 年頃を見通した際に、今後世界が 直面する時代の転換点である「国際経済秩序の変化」と「世界的な人口動態の転換」の2つを描く。こ うした変化を受け、①日本がこれまでと同じ経済運営・企業経営を進めていく場合と、②新機軸で示し た考え方で進めていく場合とに分けて、マクロの日本経済の将来像を示す。 「Ⅱ‐2.主要ミッション毎のシナリオ」では、第2次中間整理で整理したミッションと OS から抽出した5つ のミッション(炭素中立社会の実現(GX)、デジタル社会の実現(DX)、グローバル化・経済安全保障の 実現(グローバル・経済安保)、新しい健康社会の実現(健康)、少子化対策に資する地域の包摂的成 長)の①世界全体での需要構造や②世界全体での供給構造、③日本の事業構造の変化を描く。 「Ⅱ‐3.産業全体の変化」では、抽出した上記ミッションの解決に、同時並行で一体的に取り組む姿を 描く。総体として、世界各地、そして日本で、どのような新しい需要が生まれ、どのように産業構造が変 化(新陳代謝)するかという将来像を示す。 「Ⅱ‐4.既存の個別産業の変化」では、個別の産業毎に5つのミッションそれぞれによって生じる①需 要構造の変化、②供給構造の変化、③日本の事業構造の変化を記載している。前提として新機軸の 政策の延長線上として将来見通しを描いているため、将来存在しうる産業分類を基に構想するのでは なく、足下の産業分類を基に個別産業の将来見通しを描く。 「Ⅱ‐5.一人一人が豊かな日本に向けたチャレンジと将来の絵姿」では、一人一人が豊かな社会を実 現するために、企業、国民、政府が取り組むべき課題を、①国内投資の拡大、②イノベーション/新陳 代謝の加速、③所得の向上、④マクロ経済の観点から整理する。その課題を乗り越えた先の未来とし て、国民の生活や日本の経済構造の将来像を描く。 (図:シナリオの全体構造のイメージ) 3 (Ⅲ.施策パートの構造と記載内容) ⚫ 「Ⅲ‐1.国内投資・イノベーション・所得向上の3つの好循環を実現するために今後検討が必要となる ⚫ 9 施策」では、シナリオに記載した今後必要なチャレンジを踏まえ、①国内投資の拡大、②イノベーション /新陳代謝の加速、③所得の向上の3つの観点から、今後取り組む主要な政策ツールを示す。 「Ⅲ‐2.分野毎の施策の進捗と今後検討が必要となる施策」では、今回のシナリオを踏まえ、グローバ ルと経済安全保障を統合し、再整理した8つのミッションと4つの OS9について、①第2次中間整理で 設定した長期的目標、②第2次中間整理以降、取り組んできた施策の進捗状況を整理、③その上で、 今後検討が必要となる施策を示す。 参考資料集 P31「経済産業政策の新機軸「第3次中間整理」 」参照 4 Ⅱ.2040 年頃に向けたシナリオ(一人一人が豊かな日本へ) 1.シナリオの前提と導入 (1)前提とする世界の時代認識 (前提とする世界の時代認識:「潮目の変化」の背景にある「時代の転換」) ⚫ 前述のような性質の 2040 年頃の「シナリオ」を描くに当たって、「潮目の変化」がまさに歴史的転換の 端緒として位置づけられるものであること、すなわち、その変化に通底しているものは単なる一過性 のものではなく、継続する世界の根本的なトレンドの転換(時代の転換)であるということを前提として 位置づけたい。具体的には①「地政学リスクの高まり」を背景とした国際経済秩序の変化と、②「人手 不足」につながる世界的な人口動態の転換である。 (前提とする世界の時代認識①:国際経済秩序の変化) ⚫ ⚫ ⚫ これまでの国際経済秩序は、冷戦終結後のおよそ 30 年にわたって、基本的には国境の垣根をでき る限り低くし、自由な貿易・経済協力体制を広げていくグローバリゼーションの時代であった。それを 担保していたのは、突出した国力をもつ米国による世界の主導という構造にあった。 一方で、今後の国際経済秩序は、自由主義と権威主義といった多様な政治経済体制が栄えるように なり、今後も米国一強に戻ることがない中で、異なる政治経済体制間での緊張の高まりを背景とした 不確実性の高い状況が継続する。気候変動など民間だけでは対応できない社会的課題への要請と、 世界の不確実性の高まりを背景に、先進国も含めて産業政策が当たり前に行われる。不確実性が 相対的に低い日本という場所は、地政学・地経学的な観点から、多様な政治経済体制下のグローバ ル企業から、サプライチェーン上の重要な位置付けとして認識される。 これまでと変わらない動向として、グローバルサウスを中心とした今後の所得拡大が見込まれる地域 における成長の取り込みを、先進諸国・新興国の政府・企業がともに模索し続ける。ただし、グローバ ルサウスは 2040 年頃においても、ほとんどの国で中所得国である。 (前提とする世界の時代認識②:世界的な人口動態の転換) ⚫ 世界では米国、グローバルサウスエリアを除き、日本だけでなく欧州等主要先進国・中国・東アジア 諸国など多くの高所得国・準高所得国において、人口減少フェーズ10に入っており、世界的にも人口 の伸びと経済成長の牽連性の低下が必然的に発生している。 ⚫ このため、多くの国で「高付加価値化により、一人当たりの生産性を高め需要を増やすことで総需要 ⚫ ⚫ も拡大する」ことが経済成長の主流となる。 また、疫病や飢饉、紛争による人口減少とは異なり、高齢化と少子化による人口減少フェーズにおい ては、需要のみの主体となる高齢者の比率が相対的に増えることとなり、供給の担い手である労働 力人口の減少スピードは、需要を担う全体の人口減少よりも早い。したがって、これから 30 年といっ た中長期で、構造的に「需要>供給」が起こりやすくなるため、世界全体でインフレ圧力が持続11す る。 特に日本においては、既に過去十数年にわたり女性・高齢者の労働参加が進行したことで労働参加 率が頭打ち12になっており、これ以上の新規の労働参加による「労働投入量」増加の余地は限定的と なっている。すなわち、世界でも最も早い人口動態の変化によって、構造的な「需要>供給」というイ ンフレ圧力環境が発生し、2040 年頃においてもそうした環境が継続している国となっている。このた 参考資料集 P14「日本の人口の絶対的な規模の大きさ、貿易圏人口は増加傾向」参照 参考資料集 P15「人口減少と経済の関係」参照 12 参考資料集 P6「人手不足は構造的なもの」参照 10 11 5 め、賃金や投資に対しても正の影響が継続的に生じている。 (前提とする世界の時代認識:総括) ⚫ 以上を総括すると、国際経済秩序の変化、世界的な人口動態の転換のいずれもが 2040 年頃(ある いはそれ以降)まで継続する大きなトレンドであり、日本においては、「国内投資」「イノベーション」 「所得向上」の3つに正の影響を与えるものである。後述の「シナリオ」を示す上で、この前提を共有 することとしたい。 (補論①:インフレーションとデフレーションが、イノベーションにどのような影響を与えるのか) ⚫ 持続的インフレ環境下においては、企業は値上げをしながらも顧客を確保することが当然となる。 したがって、①価格上昇による売上増を予見した先行投資意欲、②値上げの下で顧客に追加的付 ⚫ ⚫ ⚫ 加価値を感じてもらうための新規製品・サービス開発、といった創造的な投資を経営戦略として実 施することが合理的となる。 一方で、継続的デフレ環境下においては、企業は価格支配力を失い、より高付加価値なもの・新し いものを提供しても高い値段をつけられなくなる。このため、新事業に投資を進め売上を上昇させ るより、人件費も含めたコストカットによる効率化によって利潤を追求し生き残りを図る13。 すなわち、デフレ環境下では、①経営の目線が新規事業に向かなくなること、②有形無形資産双 方の投資の減退により、資本蓄積が低迷14すること、の2つの経路によって、イノベーションや労働 生産性の向上がそもそも起こりづらい状況となる。 言い換えれば、イノベーションが起こらなかった原因は、デフレーションそのものにも大きな原因が ある。なお、補論②で述べるように、日本のデフレーションは人口減少とは直接関係ない要因で発 生している。海外のコストプッシュインフレからはじまった日本経済のインフレは、こうした時代の転 換を踏まえると、賃金上昇も含む国内要因のマイルドインフレとなって継続することは可能であり、 イノベーションや労働生産性の向上が起きやすい状況が続いていくことは可能である。 (補論②:なぜ日本でデフレーションが継続したのか) ⚫ 資産インフレによるバブルが崩壊し、バランスシート不況が生じる中で、1990 年代後半に生じたデ フレにより実質資産債務が上昇した。このため、バランスシート改善のためインフレ時よりもさらに 投資の縮小が必要となった。特に土地資産の価値減少の影響が大きかった不動産・建設・卸小売 ⚫ ⚫ においてそうした行動は顕著となった。 投資の縮小・需要の低迷・値上げ困難という中で、企業はコストカットによる利益率改善をはかり (PL 重視経営)、労働規制緩和と時間等制約のある女性・高齢者の労働参加拡大も相まって比較 的低賃金な非正規雇用労働者が増加し、結果として賃金の低迷が発生。年少者(15 歳未満)と高 齢者(65 歳以上)から構成される従属年齢人口比率の飛躍的増大を背景とした社会保障負担の 継続的上昇(と将来負担・不安に係るアナウンスメント効果による期待生涯所得の更なる低下)と あいまって、個人消費がさらに低迷していった。 さらにグローバル化の中で、中国等で製造された安い輸入品が国内市場に投入されると、賃金が 低迷する中で個人消費はこれらの輸入品の消費へと進み、結果として国内の個人消費市場では、 更なる価格競争と物価低迷が継続することとなる。 13 14 参考資料集 P19「マクロ経済と企業経営(デフレ経済に関するグリーンスパンの見解)」参照 参考資料集 P23「資本ストックの推移の国際比較」参照 6 ⚫ ⚫ こうした個人消費の低迷・投資需要の減退と PL 経営によるコストカット中心の「価格競争戦略」が 定着する中で、企業は価格支配力を失い、消費者も物価下落を長期的な期待として織り込むよう になり「デフレーション」が「ノルム」として定着するまでに至った。 ここから導き出される含意は、必ずしも人口減少という長期トレンドがデフレーションの主要因では ないということである。(日本の生産年齢人口が減少に転じたのは 1996 年、総人口が人口減少に 転じたのは 2008 年。人口減少が、多少なりとも企業の期待形成に影響を与えた可能性はある。) 7 (2)人口減少を前に、岐路に立つ日本 ポイント   日本経済の長期デフレは、海外投資と非正規活用等が原因であり、人口減少が主要因ではない。 国際経済秩序や世界の人口動態の変化を踏まえ、経済産業政策の新機軸による政策変更を継 続していけば、今後、人口減少下でも、一人一人の所得が増え、誰もが活き活きと生活する、豊か な社会を実現できる。 (日本の将来悲観の根本にある人口減少) ⚫ 日本企業・国民の悲観論の根本には、人口減少することへの不安がある。 ⚫ まず、過去の日本経済のいわゆる「失われた 30 年」が人口減少によるものなのかを分析し、未来の 日本経済は人口減少しても豊かになれるのかを考察することが必要である。 ⚫ この点、過去については、前頁の補論にあるとおり、日本経済は、デフレーションを背景とした投資とイ ノベーションの低迷があり、デフレーションの主要因は人口減少ではない。これを念頭に、未来の日本 経済を考察する。 (未来:今後の人口動態の想定) ⚫ ⚫ ⚫ ⚫ ⚫ 人口動態の推計は、不確実性が低い。 少子化について、最重要課題である少子化対策の効果が表れ、足下で生まれる子どもが生産年齢 人口(15 歳以上)となるのは、今から 15 年後の 2040 年頃である。 高齢化について、人口構成上大きな塊である団塊ジュニア・氷河期世代が後期高齢者入りするのは 2040 年代半ばである。また、総人口から生産年齢人口を除いた従属年齢人口比率は 2030 年まで 横ばいであり、生産年齢を健康で捉えると従属年齢人口比率は、2040 年まで横ばい(高齢者を機械 的に 65 歳以上と捉えるのではなく、健康寿命15で捉えると、日本の場合、74 歳以上が高齢者となり、 2040 年目標では 75 歳以上となるため、65 歳から9~10 年延長され、高齢者と捉えられる人の割合 が減る。)となる。 外国人労働者16は、数倍といった規模で増加する可能性があるが、高度な知識・スキルを通じてイノ ベーション(TFP)に大きく貢献するものの、アジア等新興国都市部の生活水準向上との比較考量によ って賃金水準が低い仕事には外国人労働者を呼び込みにくくなり、人口構成に大きく影響を与える ような規模にまでは至らない。 これらを踏まえ、人口動態の推計に大きな変更は生じないものとして、2040 年頃までを念頭に、将来 を見通すと、今後、人口は、減少が加速17(総人口は、1991 年から 2020 年の過去 30 年の平均伸び 率が年率 0.06%だったのに対し、2020 年から 2040 年の 20 年間は年率▲0.6%。同様に、15 歳~64 歳の生産年齢人口は、過去 30 年の平均伸び率が年率▲0.5%に対し、2020 年から 2040 年の 20 年 間は年率▲0.9%)する。 (いわゆる「失われた 30 年」と同じこれまでの考え方・やり方で進んだ場合) ⚫ 過去 30 年の日本経済は、①実質賃金は横ばいで、②労働生産性は、海外の安い中間財(海外投資 による逆輸入等)を利用することによる収益力を得ることで主要先進国並みの上昇率となり、③国内 投資は縮小し、④GDP は微増にとどまった。 参考資料集 P18「健康寿命で見ると、生産年齢人口割合は 2040 年まで一定」参照 参考資料集 P17「我が国の将来人口:当面、人口減少は続かざるをえない」参照 17 参考資料集 P17「我が国の将来人口:当面、人口減少は続かざるをえない」参照 15 16 8 ⚫ ⚫ ⚫ ⚫ 背景として、企業は、安定した国際秩序の下で、生産コスト等が安価な海外拠点を活用したコストカ ット型の企業経営18を行ってきたことがある。国内市場は、顧客数が減少し、物量が減少するため、 市場は縮小するものと捉え、投資先としては敬遠19されてきた。所得収支は黒字だったが、国内の投 資需要が乏しく、海外投資収益は現地で再投資され、国内への還流は限定的20だった。 マクロ経済全体でみると、企業部門は貯蓄超過となり、政府が社会保障費の増加を中心とした財政 赤字を通じて資金需要主体を担うことで経済を支え、実態としては「民主導型経済」とならなかった。 日本の経済・社会は、変化を起こして成長するという状況には至らなかったが、結果として安定を維 持した。実際、諸外国で社会情勢が不安定化する中、日本は、IMD 国際競争力ランキングにおいて、 失業率、低スコア生徒割合、治安などの項目では、世界トップクラスを記録21した。 今後も、これまで同様の経済運営・企業経営を継続すると、当面社会は安定する可能性がある。しか し、実質賃金や GDP の成長は横ばいにとどまり、新興国に追いつかれ、海外と比べて「豊かではな い」状況に陥る可能性が高い。国内が貧しくなれば、経済的な資源やインフラの不足、技術的発展の 遅れ等が深刻化し、日本は世界と勝負できなくなるおそれがある。その結果、社会の安定性すら失 われる可能性がある。 (これからを「新機軸」で示した新たな考え方・やり方で進んだ場合) ⚫ 「現状維持であれば、日本は豊かでなくなる」というホラーストーリーを語るだけでは、企業や個人の 挑戦を促し、豊かな社会を実現するのは難しい。 ⚫ 前提として、持続的成長に必要なのは、需要が増加し、供給が強化されて、更に需要が増えるという 循環であり、需要と供給の循環を結びつけるものは投資・イノベーションである。社会課題解決を起 ⚫ ⚫ ⚫ 点とした高付加価値分野で新たな需要を喚起するとともに、それを満たす供給側への投資・イノベー ションが必要である。付加価値生産性の向上に裏打ちされた持続的な所得向上は、個人消費の拡 大という需要喚起にも繋がっていく。 このため、直近数年間で示してきた経済産業政策の新機軸22では、ミッション志向の産業政策23として、 社会課題に政府も一歩前に出て大規模・長期・計画的に投資を行うことで、企業や個人の挑戦を促 し、マクロとミクロを融合していくといった、過去 30 年間とは異なるアプローチ24を掲げている。 第2次中間整理で示したとおり、マクロでは、国内投資、イノベーション、所得向上の3つの好循環の 実現を志向してきた。これらは、日本国内の経済成長・国民の豊かさ向上のためには、当然必要な 要素である。今後、企業や個人が、ミクロの政策アジェンダと融合しながらマクロで必要とされる取組 を持続することが求められる。 「(1)前提とする世界の時代認識」で示した国際経済秩序の変化や世界の人口動態の変化という時 代の転換点を踏まえて企業・個人がチャレンジし、政府が経済産業政策の新機軸による政策変更を 継続していけば、今後、真の意味での民主導型経済 25を実現し、人口減少下でも、一人一人の所得 が増え、デジタル化・自動化等により可処分時間が増加する。その上で、個々のニーズに対応した細 やかなサービスが、少ない人手で提供され、国民の生活がよりスムーズで、心地のよい新たな生活 参考資料集 P20「過去 30 年の日本企業:経常利益は上昇するも、売上は横ばい」参照 参考資料集 P21「稼ぐモデルは「既存事業を有効活用するコストカット型」だった」参照 20 参考資料集 P79「第一次所得収支」参照 21 参考資料集 P22「日本社会は安定を維持」参照 22 参考資料集 P30「世界的潮流を踏まえた産業政策の転換=「経済産業政策の新機軸」 」 23 参考資料集 P31「経済産業政策の新機軸「第3次中間整理」 」参照 24 参考資料集 P32「企業と政府の「目線の違い」を意識した、マクロ・ミクロの連動が必要」参照 25 参考資料集 P83「家計、企業、政府の経済活動の IS バランス」参照 18 19 9 へと発展し、豊かな社会が実現する。その体験を求めて、多くの外国人も日本を訪れる。こうした経 済社会の実現に向けたシナリオを次頁以降で提示する。 10 2.主要ミッション毎のシナリオ ⚫ 本パートでは、第2次中間整理で整理した、世界的な社会課題を起点に、世界さらには人口減少下 でも中長期的に国内で需要が拡大することが見込まれるミッションから、GX、DX、グローバル・経済 安保、健康・地域の包摂的成長を抽出し、①世界全体での需要構造がどのように変化し、これに応じ て②世界全体での供給構造がどのように変化するかを客観的に描き、こうした世界の事業構造を踏 まえて③日本の事業構造を、新機軸の経済産業政策を含めた官民の取組によってどのように変化さ せていくことができるかを描く。 (1)GX ポイント  2040 年頃の世界では、グリーンな製品・サービスが進展する一方、非グリーンの需要も残存する。  そのため、両方の需要を捉えた供給体制が構築される。 日本企業は、①グリーン/非グリーンに加え、②国内市場/海外市場の2軸の需要を基に事業活動 を展開し、国内外のグリーン需要を基に高付加価値市場を獲得する。 <世界全体の需要構造の変化> ⚫ 2040 年頃の世界では、気候変動の進展により、先進国を中心にグリーンの需要が拡大する一方、 途上国を中心に非グリーンの需要も残存する、市場のデカップリングが進行。 (グリーンの需要) ⚫ ⚫ ⚫ ⚫ 26 27 グリーンな製品・サービスの需要は、2050 年カーボンニュートラル(CN)に向けた動きの加速により、 先進国を中心に拡大し、市場が広がる。徐々に温室効果ガス(GHG)排出量の削減が製品・サービ スの付加価値から、先進国を中心とした市場への参入の前提となる。他方、国によっては 2060 年や 2070 年に CN を実現するという目標を掲げている26ため、CN の進捗には差があり、2040 年頃におい ては従来通り GHG を排出する非グリーンの製品・サービスの需要も存在する。 先進国では、国単位の GHG 削減目標を起点として、企業・製品単位での支援策を措置する段階か ら、国内外の規制を措置する段階へと移行し、グリーンな製品・サービスであることが市場の参入前 提となる。削減目標の達成やグリーンな製品の付加価値の間接的な向上を目的として、非グリーン な製品を対象とした炭素賦課金や関税が導入される。例えば、EU でバッテリー規制が本格導入さ れ、CO2 排出量に応じて輸入課金を支払う必要がある。日本でも炭素賦課金や排出量取引制度が 設けられる。 また、国以外の企業や資本市場、消費者27の取組も、グリーン製品・サービスの需要を高める要因と なる。国の垣根を超えて、サプライチェーン全体での CN を目指す企業の自主的な取組が、引き続き 国の取組に先行する。そうした企業の規模が拡大することで、取引先企業は早期に CN の実現を迫 られる。こうした動きに加え、資本市場による要請、消費者志向の変化も、グリーン製品の需要を高 める。 途上国でも、大気汚染等の環境問題や 2050 年 CN 達成を背景として、徐々にグリーンな製品・サー ビスを求めるようになる。 参考資料集 P33「世界におけるカーボンニュートラル宣言の状況」参照 参考資料集 P35「消費者は、グリーン化に「価値」を見いだしている」参照 11 ⚫ (非グリーンの需要) 非グリーンの製品・サービスの需要は、先進国の内需型産業や途上国を中心に、一部残存する。特 に、途上国は CN を達成する目標年に差があるため、需要が残る。 <世界全体の供給構造の変化> (グリーンの供給) ⚫ グリーンな製品・サービスの供給は、コスト競争による低付加価値を供給量で賄う薄利多売型から、 グリーンの付加価値という質で勝負する世界に移行した後、グリーンが市場への参入の前提となる 2040 年頃には、質と量を兼ね備えた企業が優位性を確保する。 ⚫ 企業はグリーンの付加価値・供給力の向上のため、技術開発に注力する。グリーン製品を生み出す 技術には、製品間で進展の度合に差があるため、企業は技術の不確実性を織り込みながら事業活 ⚫ ⚫ ⚫ ⚫ ⚫ 動を行う。 GHG 排出量を削減できない製品は、技術開発がグリーンの需要に追い付かず、DAC(Direct Air Capture)等のネガティブエミッション技術や CCUS(Carbon dioxide Capture, Utilization and Storage)/ カーボンリサイクル等で相殺することになる。今後、クレジットの需要は拡大するため、炭素クレジット の供給や認証等の周辺サービスが活性化する。 企業立地は、再生可能エネルギー等のクリーンエネルギーの供給量やコストが考慮される。グロー バル企業は、世界のどこでグリーン製品を生産することが最も合理的かという観点からポートフォリ オを組む。 (非グリーンの供給) 非グリーンな製品・サービスの供給は、従来製品・サービスの需要を受け、継続される。CN が進む 世界において、非グリーン製品は付加価値が限られるため、引き続きコスト競争が繰り広げられる。 長期的には縮小していく市場に対し供給能力を確保する必要があることから、グローバル規模で生 産基盤や経営主体の集約が進む。 先進国では、排出削減の困難な内需型産業を中心に、供給体制を構築する。 企業立地は非クリーンエネルギーの供給量やコストが考慮され、グローバル企業は、世界のどこで 非グリーン製品を生産することが最も合理的かという観点からポートフォリオを組む。その結果、途上 国の需要に対して、従来先進国で生産し、輸出していた製品は、現地で生産・供給を行うことになる。 <日本の事業構造の変化> ⚫ 現在の日本の事業環境は、2040 年頃におけるグリーン需要の不透明性と、それに伴うグリーンと非 グリーンの供給体制のバランスという課題に直面している。また、国内の安定的で安価なクリーンエ ネルギーの供給制約という課題も存在している。 ⚫ こうした課題に対して、政策的対応も含めた官民での取組によって、主要な部分が解決されること で、日本企業は、①グリーン/非グリーンに加え、②国内市場/海外市場の2軸の需要を基に事業活 動を展開し、国内外のグリーン需要を基に高付加価値市場を獲得する。 ⚫ (グリーンの供給のための事業構造) グリーン需要に対して、技術流出を阻止する観点から、主に国内の拠点で研究開発と最終製品の製 造を行い、国内外に展開することで、付加価値を獲得する。また、企業は、エネルギー効率性を高め ることで、付加価値を上げていく。 12 ⚫ ⚫ ⚫ ⚫ 国内では公共調達等でグリーン市場を創出し、排出量取引制度などカーボンプライシングが段階的 に発展していくため、グリーンであることが市場の参入前提となる。海外からの非グリーン製品・サー ビスに対しては、カーボンリーケージの可能性を分析し、国際ルールに準ずる形で、適切な措置を講 じる。 海外のグリーン需要に向け、国内で生産した技術優位な製品28の輸出を行う。その際には、グリーン な製品・サービスの供給量を増やすため、国内外の市場での DAC や CCUS/カーボンリサイクル等 の技術開発を行うとともに、必要に応じて炭素クレジットを購入する。 また、製品によっては、国内の拠点で研究開発を行った技術を基に、海外の再生可能エネルギーが 豊富な地域で生産し、再度国内の拠点で最終工程を仕上げる、国際的な分業体制を構築する。 日本の特性として、安定的で安価なクリーンエネルギーの供給量という制約要因があるため、エネル ギーコストの付加価値に占める割合の低い産業を中心に日本国内に立地する。国内でも、特に安定 的で安価なクリーンエネルギーを多く供給できる地域は、相対的にエネルギーコストが安いため、そ うした地域に産業が集積する。 ⚫ ⚫ ⚫ 28 (非グリーンの供給のための事業構造) 非グリーン需要には、世界全体の CN の進捗を見ながら、対応する。 国内の非グリーン需要には、内需型産業を中心に、国内需要を満たす量を生産する。日本では、他 の先進国と同様にグリーン需要が高まっていく中で、非グリーン需要は一部残存するものの減少して いく可能性があるため、現在の国内の供給体制は再編される可能性がある。それに伴い、これらの 産業に従事する人材も、成長分野の産業や企業に労働移動を行うことが必要となる可能性がある。 海外の非グリーン需要に向け、日本企業は国内・海外の排出削減目標や市場規模等の事業環境に 鑑み、輸出ではなく、現地での供給にシフトする。 参考資料集 P34「GX による日本の成長ポテンシャル」参照 13 (2)DX ポイント    2040 年頃における日本の経済社会システムにおいては、強固なデジタル基盤(技術・産業基盤、 インフラ基盤、人材基盤)の上で、フィジカル空間(現実世界)から生じるリアルデータ(非構造化デ ータ)も含めたデータの利活用を通じて、経済成長に繋がる新たな付加価値の創出、構造的な人 手不足等の社会課題の解決も可能になるという、サイバー空間とフィジカル空間が高度に融合す る Society5.0 が実現に向かっている。 こうした経済社会の構成要素として、①データを利活用してユーザー(最終需要家やサプライチェ ーン上で製品・サービスを受け取る企業)に付加価値を提供するサービス(とその提供者)が存在。 日本での事業展開においては、強固なデジタル技術・産業基盤や高度なデータ連携の仕組みを前 提に、付加価値の高い「標準サービス」を提供するとともに、付加価値の高い製品・サービスの創 出が進められている。それによって、データに基づく経営体制とデータを前提としての戦略やビジ ネスモデルの双方を兼ね備えた経営(新たな付加価値を生むための DX)を行う企業への変革や 統廃合が進むとともに、新たな企業が絶えず創出されていく。 サイバー・フィジカル融合の前提となる高度なデジタル基盤の構成要素として、②デジタル技術・産 業基盤(情報処理基盤、次世代計算基盤(半導体等))、③デジタルインフラ基盤(データセンター や基地局等の高度情報通信インフラ(ハードウェア)、データ連携基盤(ソフトウェア)、ルール、サ イバーセキュリティ)、④これらを生み出し、また、利活用できるデジタル人材を生み出す基盤が存 在。日本ではこうしたデジタル基盤が強固なものに成長し、高い持続性を保っている。 <世界全体の需要の構造(社会のデジタル化による製品・サービスの価値の在り方)の変化> ⚫ デジタル技術の進展を通じて、ユーザーが求める付加価値(ニーズ)において、次の主要な影響が生 じる。その影響をもたらす最も根本的な変化は、ユーザーのニーズを瞬時に取り込みながら、サイバ ー空間において膨大なデータが創出・加工・分析され、ユーザーにフィードバックされながら、サイバ ー空間とフィジカル空間が相互に作用し合う柔軟かつ動的な価値創造プロセスが構築29され、高い付 加価値を持続的に創出できるようになるという変化である。その中でユーザーは自身のニーズをより リアルタイムで、より高速に、より的確に満たすことができる製品・サービスを求めるというテイラーメ イド化の欲求が高度化する。 (付加価値をもたらすバリューチェーンの変化) ⚫ バリューチェーン下流(最終需要家(ユーザー)との接点)における変化 ➢ 時間・空間の制約からの解放・緩和による新体験の創出: 自動化や効率化を通じて発生する 可処分時間を有意義に利用したいというニーズや、仮想現実を利用することで地理的な制約を 超越した体験をしたいといった、従来はユーザーのリソース制約上実現できなかったことへのニ ーズが高まり、新たな付加価値の源泉となる。逆に時間・空間制約が限りなくゼロに近づくがゆ えに、わずかな時間・空間の差が生み出す価値も高くなる。 (例:自動運転技術の発展⇒車内空間における体験提供が鍵に、 VR/AR 技術による空間疑似体験やドローン等⇒新たな購買体験が可能に) ➢ 29 価値の見える化による製品・サービスの高度なパーソナライズ化: 顧客状況や製品価値の見 える化と、他の新たな製品・サービスへの誘導が可能になることで、ユーザーごとに個別最適化 参考資料集 P37「デジタル社会の全体像」参照 14 された納得性の高い内容の製品・サービスに対し、個別に最適化された価格での購入を行うよう になる。 ⚫ ⚫ ⚫ ⚫ (例:自動車産業・・・OEM が車体販売を超えて最適な自動車保険サービスまで提案) バリューチェーン上流(研究・開発段階)における変化 ➢ 新手法による高速化、革新的アイデアの創出による潜在的ニーズの顕在化: AI 等の活用によ り、研究開発プロセスの高速化、革新的な製品・サービスのアイデア創出等を通じ、これまで提 供する側の技術的制約上実現できなかったニーズを満たすことができるようになる。 (例: AI 創薬・・・医薬品開発過程の高速化、新たな医薬品アイデアの創出を実現) ※ バリューチェーン上流での価値創造過程においても、下流(ユーザーとの接点)から得 られるデータの活用が寄与する例も。(例:患者の電子カルテデータを創薬の臨床試験 に活用する等) バリューチェーン中流(製造段階等)を中心とした変化 ➢ サプライチェーン上の徹底的な効率ニーズの実現:製造プロセス等における高度な最適化や省 力化によって、コスト効率化や人手不足対応といった製品・サービスの提供プロセスにおけるニ ーズを適切に満たすことができるようになる。 生成 AI の登場による DX の更なる進展 ➢ あらゆる業界において、従来 AI が適用しづらかったホワイトカラー領域も含め様々な業務に生 成 AI の実装が進むことで、既存業務が大幅に自動化され、より創造的な業務へと労働移動が 進むとともに、顧客体験の向上など付加価値の高い製品・サービスの提供が業種横断で加速す る社会全体の DX が実現する。 データ処理量の爆発的増大 ➢ 産業のみならず社会活動・生活のあらゆる面において情報処理が求められるようになることか ら、データ処理量が爆発的に増大する。 <世界全体の供給構造の変化> (個別企業の経営) ⚫ こうした、デジタル社会においてこそ得られる高い付加価値を持続的に獲得するために、個別の企 業・産業は、付加価値創出のために押さえるべきデータフローを確保し、自身のサービス開発・提供 に必要なコンピューティングパワーを確保する。社会全体ではリアルデータの効率的な利活用サイク ⚫ ⚫ ル(データ取得⇒通信⇒貯蔵・連携⇒処理・解析⇒アプリ・サービス化⇒データ取得⇒・・・ というデ ータフローの循環)が確立される。 そのため、個別企業・産業レベルでは、データの利活用を意識し、戦略やビジネスモデルを設計し、 それを実行に移す高い経営力が必要不可欠となる。この高い経営力を発揮する企業は、その前提 条件として、経営自体の DX によりデータに基づいた正しい意思決定が実行できる経営体制への改 革も実施できている。これら「データに基づく経営体制への変革(経営体制の DX=CX)」と「データを 前提とした戦略やビジネスモデルへの変革(戦略・ビジネスモデルの DX)」との両輪での推進が企業 経営の常識・大前提となっている。こうした経営を前提として、自身の事業に必要な機能や取引相手 を定義することとなり、サプライチェーンが再構成される。 こうしたなかで、バリューチェーンの中の重要な特定の機能を独占し、レントを独占するプラットフォー ム型ビジネスが高い利益率を誇りつつも、絶えず代替的な機能を提供し新たなレント独占を狙う競合 が現れ、激しい競争の中で機能単位でのイノベーションも活発化している。 15 ⚫ サイバー・フィジカルの融合という観点では、AI およびロボティクスの発展により、サイバー空間での 分析結果をソフトウェアとアクチュエーターを通じてフィジカル空間における実際の作用をもたらす範 囲が劇的に拡大する。この動きの中で、サイバー空間とフィジカル空間の接続点を担うこれらの機能 を提供する企業の価値が非常に高くなっている。 (データ連携の在り方) ⚫ 業界横断の社会全体レベルでは、各国がそれぞれの特性に最適化したデータ連携基盤を確立する ための動きがみられる。その中で、既存のメガプラットフォーマーによるデータ連携基盤がデファクト となりそれを中心にあらゆる産業においてデータ連携が進められる国もあれば、そうした巨大プラット フォーマーを持たない国・地域において、メガプラットフォーマーによる独占を避ける観点からも、公的 な機関の関与や必要に応じた標準化・規制の導入なども進められながら、データ連携において特定 ⚫ の国・企業が利益を独占することがないようなデータ連携の仕組みの構築を目指す場合もある。 企業を跨ぐデータの共有・活用を促すデータ連携基盤構築に当たっては、各企業の営業秘密の保持 やデータ主権(アクセス権等)の担保が、今後の新たなデータプラットフォーマー創出、ひいては当該 データプラットフォーマーを中心とするエコシステム創出の鍵となる。 (デジタル技術・産業基盤の在り方) ⚫ データの利活用により獲得できる付加価値を向上・持続させる経済社会構造では、爆増する計算需 要30を満たすために、デジタル基盤も強固なものに成長し、高い持続性を保つ。 ⚫ その中核的存在である情報処理基盤(計算資源の制御やクラウド技術等に係るソフトウェアから構 ⚫ ⚫ ⚫ 成)については、研究開発及び製造にかかる設備投資額が巨額に上るため、資本力の高い企業が、 多数のユーザーからフィードバックを得て、より高度なコンピューティング技術を開発するエコシステ ムを形成31している。 2040 年頃の経済社会システムを担う次世代計算基盤32については、高速・大容量・低消費電力の処 理が求められる。これを実現する重要技術として、先端半導体の設計・製造能力の重要性はさらに 高まっている。加えて、生成 AI は、経済社会システムのあらゆる分野において利活用が急速に進 み、クラウドと同様に重要な社会インフラの一つを形成している。これに伴い、生成 AI の開発や利活 用に不可欠な計算資源とデータ整備の重要性は更に高まっている。 こうした中で、メガプラットフォーマーの中には、自身のプラットフォームを最適化する観点から、ソフト ウェアのみならずハードウェアの主要構成要素である半導体に至るまで自身で設計する能力を獲得 している企業もある。 電力需要は、爆増する計算需要を満たす次世代計算基盤の存在によって劇的に高まっており33、グ リーン化の要請と相まって、グリーン電力を効率的・安定的に供給できるエリアの産業立地競争力が 高まっている。加えて、高い省エネ性能を発揮できる高性能半導体の生産・開発能力を有すること が、産業競争力を左右する。 (デジタル人材基盤の在り方) 参考資料集 P38「情報処理基盤を取り巻く環境変化①」参照 参考資料集 P39「情報処理基盤を取り巻く環境変化②」参照 32 参考資料集 P40「次世代情報処理基盤の全体像」参照 33 参考資料集 P42「IEA による世界のデータセンター、AI 等の電力需要の見通し」参照 30 31 16 ⚫ ⚫ ⚫ ⚫ 世界規模で、生成 AI を含むデジタルを製造・サービスの現場で活用し、付加価値を生み出す人材の 常態的な不足によって人材の獲得競争が激化する中で、各国が生成 AI を含むデジタル人材育成に 積極的に取り組み、個人のデジタルスキル・スキルアップ・スキル評価等に関する最新データが一元 的に収集・可視化・活用される環境が整備されている。 生成 AI などのイノベーションによって産業構造が急速に変化し続ける中でも、データに基づいた適 切な労働移動が実現される。 これらによって、個人が各々のスキル習得状況に応じてパーソナライズ化されたスキルアップを継続 でき、労働移動によるミスマッチが改善され、生成 AI を含めたデジタル活用人材のエコシステムが実 現される。 また、未だ踏み込んだことのない領域に挑戦するような独創的で才能あるトップ人材を発掘・供給す るエコシステムも世界各地で存在し、それらの人材が担い手となる形で、デジタル技術の開発等を通 じた世界規模の社会課題の解決や今までにないイノベーションの創出が進められている。 (サイバーセキュリティの在り方) ⚫ サイバー空間とフィジカル空間の融合に伴いサイバー攻撃の危険性が増大するとともに、地政学的 リスクの高まりや AI や量子コンピュータ等のデジタル技術の発展によりサイバー攻撃はますます高 度化・複雑化してくる。 ⚫ 昨今は、サプライチェーン上に存在するセキュリティ対策不足の企業などを狙ったサイバー攻撃が増 加しており、その影響は、攻撃を直接受ける企業にとどまらず、サプライチェーンを通じて複数の企業 に広がるケースも出ている。また、サイバー攻撃が深刻化・巧妙化しており、各組織に対するサイバ ⚫ ⚫ ⚫ ー攻撃が、国民生活、社会経済活動及び安全保障環境に重大な影響を及ぼす可能性が大きくなっ ている。サイバーセキュリティ対策は、企業の規模に関係なく、また、他の組織や社会全体に影響を 与えないという観点から、重要な課題である。 こうした状況下、企業は重要情報を守るとともに事業活動の影響を最小化する観点からサイバーセ キュリティ対策を経営上の重要課題の1つとして認識を強め、継続的に必要な対策の見直しを図って いる。加えて、そのような企業のセキュリティへの対策が外部からも評価される社会となっている。 また、こうした企業側の対策だけなく、昨今は、製品を提供するソフトウェア事業者などに対する制度 整備も国際的に進んできている。例えば、欧米諸国を中心に、ソフトウェアの成分表である SBOM(エ スボム)の活用や、セキュアな IoT 製品を可視化する、IoT セキュリティ適合性評価制度などの議論 が加速している。 こうした制度が普及することにより、脆弱性を持ったソフトウェア製品や、セキュリティ対策が実装され ている IoT 製品が可視化され、今後は、セキュリティ対策が実装されている製品が優先的に選択さ れる社会になる。 <日本の事業構造の変化> ⚫ 現在の日本の事業環境は、先端半導体の設計・製造能力の欠如・不足やクラウドサービスを中心と した、世界トレンドを意識した標準サービスによるビジネス(デジタルプラットフォーム型ビジネス)を展 開できなかったことによる計算基盤・計算資源の劣後、事業者や業界の枠を超えたオープンなデータ 共有の取組の停滞、技術者やデジタルを利活用してビジネスを生み出す人材の不足と人材育成シ ステムの未整備、そして企業におけるデータに基づく意志決定といった組織ガバナンスの未整備や デジタルを起点に付加価値を定義し実行する経営能力の不足といった課題を抱えている。 17 ⚫ こうした課題に対して、近年、とりわけ、半導体の国内製造拠点整備や研究開発の推進、情報処理 基盤の整備をはじめとするデジタル基盤の強化に向けた政策的対応に注力しているところである が、今後とも中長期にわたって、こうした取組を官民で継続することで、主要な課題の解決ができれ ば、次のような事業構造となっている。 (個別企業の経営・事業展開) ⚫ 信頼性が高く技術的な能力も高いデジタル技術・産業基盤や高度なデータ連携の仕組みが確保され ていることを前提に、付加価値の高い「標準サービス」を提供するとともに、データを活用した、付加 価値の高い製品・サービスの創出が進められている。それによって、データに基づく経営体制とデー タを前提としての戦略やビジネスモデルの双方を兼ね備えた高い経営(新たな付加価値を生むため のDX)を行う企業への変革や統廃合が進むとともに、新たな企業が絶えず創出されていく。 ⚫ その結果として、ユーザー企業は、IT システム導入を外部任せにせず、データを活用した付加価値 の高い製品・サービスを創出し、ベンダー企業は個社毎のITシステムの作り込みではなく、デジタル プラットフォーム型ビジネスによる世界トレンドを意識した「標準サービス」の展開により、低位安定と 称すべき状況を克服している。 (中小企業等の DX) ⚫ グローバルな競争力を持つ企業や人材が不足する地域では、地銀をはじめとする地域の中核的な 存在が地域企業の DX 支援に乗り出し、地域企業においても人手不足を乗り越える生産性向上や積 極的なデータ活用が進むことで、地域全体が持続的に付加価値を生み出す成長の好循環が実現さ ⚫ れている。 また、全てのビジネスパーソンが DX に関する最低限のリテラシーを身につけることが一般的になる 中で、地域企業の経営者や従業員においてもデジタルリテラシーが格段と高まることで、地域企業に おける積極的なデジタル技術やデータの活用が加速する。 (データ連携) ⚫ 日本では、産業界の DX を推進するためのエコシステム(コラボレーションの形態)として、デジタル基 盤開発と政策・制度などのガバナンスを含めた、我が国の産業界のデジタル時代のオペレーションモ デルの確立が重要。そのオペレーションモデルの確立と信頼性のある自由なデータ流通(DFFT)の ⚫ ⚫ ⚫ 実現に向け、運用者や管理者等が異なる複数の情報処理システムを連携させ、企業・業界・国境を 横断したデータ連携、サービス連携、ビジネス連携を具体的に実現するための官民協調の取組とし て「ウラノス・エコシステム」に取り組んでいる。 このウラノス・エコシステムにおける取組の一環として、デジタル時代の社会インフラであるデジタル ライフラインの整備をはじめとしたデータ連携基盤の構築に向けた取組が進められている。 このデータ連携基盤は、特定の国や企業が利益を独占することなく、官民協調の下で個別企業・産 業の垣根を越えて全体最適の実現を図り、地域内外の国・企業等のプレーヤーにもオープンで、グ ローバルにも連携可能かつ信頼できるデータ連携基盤をフィジカルも含めて目指している。 具体的には、データ連携基盤が、なりすまし防止・改ざん防止等の観点からソシキ・モノ・データ等の 真正性・完全性等を確保するシステム、データフォーマットが異なる各プレーヤー間のデータ流通を 円滑に行うためのデータ変換・加工等の機能を有するシステム等から構成される協調領域と、各プレ ーヤーが当該システムを活用してユースケースに応じたアプリケーション開発・利用が可能である競 18 争領域に峻別され、データ連携基盤の運営事業者の安全性・信頼性についても制度的措置により外 形的な担保がなされている。 ⚫ このような取組は、他国のデータ連携基盤との相互運用性を確保しつつ、足下の欧州バッテリー規 制への対応のために先行的に進んでいる蓄電池分野におけるカーボンフットプリント、デュー・ディリ ジェンスに関するサプライチェーンデータ連携基盤に加え、徐々にその他分野における個別ニーズに 応じたデータ連携基盤の構築・活用として広がっていく。また、このデータ連携基盤を中心とするデジ タルライフラインの全国津々浦々への整備が進むことで、地域の住民を含む多数の人が、ドローン・ 自動運転車等のデジタルサービスに容易かつ安価でアクセス可能となり、より豊かな生活が実現す る。 (デジタル技術・産業基盤) ⚫ ⚫ ⚫ ⚫ 日本では、少数の巨大企業を中心とする在り方ではなく、高度な計算需要を持つユーザーコミュニテ ィと、情報処理基盤の開発コミュニティとの間で、ユーザー需要の創出と技術の高度化が相互に循環 するエコシステムが形成される。 情報処理基盤産業については、そのエコシステムの中で、国内に事業基盤を持つ企業による、高度 化(省電力化・高効率化)に向けた計算資源の開発や、AI 開発用の計算資源とともに、AI の幅広い 利活用に向けて推論用の計算資源の提供により、国内における情報処理基盤が確保・維持される。 加えて、経済社会システムにおいて利活用を進めるために、生成 AI の性能向上に向けた開発が行 われ、それに伴い、開発に必要なデータの重要性がさらに高まる。 先端半導体の設計・製造において、日本では、ノード別にそれぞれ国内で一定の生産能力を確保す るとともに、持続的な資金供給や人材育成・確保の在り方が確立し、高いグローバル競争力を確保・ 維持している34。 次世代計算基盤による電力需要は日本においても高まる35中、資源制約のある日本においては、 ➢ 日本国内で電力供給の大部分を賄う場合は、比較的高価なクリーンエネルギーを活用すること による電気料金の高騰というリスクに、又は化石燃料の輸入増による貿易収支赤字の拡大とい うリスクに直面し、 ➢ 計算需要を海外企業から賄う場合は、コンピューティング・サービスの輸入増による、サービス 収支の赤字幅拡大というリスクに直面する といった状況に直面する。デジタル需要を満たし、国富を最大化するため、その時代の電力需要やエ ネルギー価格・サービス価格等の状況を総合的・戦略的に勘案し、エネルギー政策・マクロ経済政策 を選択することとなる。 (デジタル人材基盤) ⚫ 日本においても、個人のデジタルスキル・スキルアップ・スキル評価(試験・資格)等に関する最新デ ータが一元的に収集・可視化・活用される環境が整備されることで、個人が各々のスキル習得状況 に応じてパーソナライズ化されたスキルアップを学校教育段階から社会人に至るまで一貫して継続 する「ラーニングカルチャー」や「グロースマインド」が定着している。また、データに基づいた適切な労 働移動が実現され、スキルに応じた適材適所での活躍ができるデジタル活用人材のエコシステムが 実現される36。 参考資料集 P41「我が国半導体産業復活の基本戦略」参照 参考資料集 P43「DX の進展による電力需要増大」参照 36 参考資料集 P44「デジタルスキル情報の蓄積・可視化を通じた継続的な学びの実現」参照 34 35 19 ⚫ また、未だ踏み込んだことのない領域に挑戦するような独創的なトップ人材を発掘・育成するエコシス テムが日本においても確立され、社会課題解決や新たなイノベーション創出の担い手となっている。 (サイバーセキュリティの在り方) ⚫ 大手企業のみならず中小企業もサイバーセキュリティの重要性を認識し、自らの業務の実態に合わ せて、必要な体制整備、セキュリティへの投資の強化、セキュリティ性の高い製品・サービスの調達、 サプライチェーン対策などの対応を強化している。 ⚫ さらに、デジタル関連の製品・サービスを提供する企業は、顧客のセキュリティ確保への責任を認識 し、設計段階からセキュリティ対策を考慮するようになっている。その上で、セキュリティ対策状況を 可視化する制度も活用して、当該製品・サービスのセキュリティ対策の状況について顧客に対し効果 的に説明責任を果たすようになっている。 20 (3)グローバル・経済安全保障 ポイント     パンデミック、地政学リスク、経済安全保障等を意識し、サプライチェーンの再編が進む。 WTO/EPA に加え、同志国間の分野別・国毎の取極めで戦略的な連携が強化。 日本は、世界の需要を取り込みながら持続的に成長する経済構造へと変容。 日本の技術優位性を維持・獲得し、その喪失を防ぐための方策が重要。 <世界全体の需要構造の変化37> (マクロ対外経済状況の変化:地域特性に応じた市場の個別化と人口動態に応じた世界需要の変化) ⚫ 景気循環や、地政学的要因による高低はあれど、世界人口の増大や DX、GX が起点となって新しい ビジネスや既存ビジネスのイノベーションが創発され、世界経済は実質年率2%程度の安定的な成 ⚫ 長が見込まれる。 需要(=取引量×価格)は、人口動態ごとに以下のように変化を遂げている。 ➢ 人口減少地域(日本、欧州、中国等): 既存の商品サービスは、過去の延長では物量の減少に伴い需要減となるが、「良いものには値 がつく」という価格上昇を通じた需要増に加えて、①社会課題解決の価値化、②データドリブンで の新たな価値創出を通じた新需要開拓によって、需要が増えていく。 ① 社会課題解決(GX、経済安保等):自然体では顕在的な購買行動に繋がりにくいが、各国政 府の政策の力で、人為的に価値化。 ② データドリブンでの新たな価値創出(DX、健康・地域の包摂的成長等):顧客から取得した ➢ 様々なデータを基に新たな価値提供、時間・空間的制約の緩和による新需要創出、人口減 少地域を中心とした徹底的な効率化・自動化ニーズへの対応 人口増加地域(米国、新興国・途上国などグローバルサウス): 上述の新需要開拓に加え、人口増に伴う取引量の上昇によって、需要が増えていく。グローバ ルサウス諸国は、世界経済により大きな影響力を持ち、欧米圏の影響力は相対化(先進国間の 連携は強化されるも、世界経済に占める G7の割合は3割程度にまで低下)。 (国際政治経済状況の変化) ⚫ G7や G20 は、世界経済やグローバルな諸課題について、主要国の首脳・閣僚が率直に意見交換を ⚫ ⚫ 行う場として引き続き一定の意義を有するが、各国とも自国の国益を優先する傾向が強まる可能性 がある。 グローバルサウス諸国より新しい選択肢を示す試みがあるものの、世界銀行、IMF などの国際機関 を中心に世界経済の安定と健全な発展をはかる国際金融の枠組みは引き続き機能。WTO は、産業 政策、環境、経済安全保障、デジタル・エコノミーなどの諸課題に対処しながら、国際貿易・投資に一 定の規律をもたらしている。 現状から想定されうる 2040 年頃の姿は、 ➢ 北東アジアは、中国が、米国に比肩する超大国としてグローバルにパワーを照射する一方、足 下では 20 世紀より続く地政学的緊張(朝鮮半島、中台関係)が残存。 ➢ 37 東南アジアは、米中の地政学的対立を回避するための投資が流入し、「中所得国の罠」を乗り 越え繁栄。 参考資料集 P45「対外経済状況の変化」参照 21 ➢ 南西アジアは人口増が続き、インドは市場規模で米中を猛追。インド洋では中印が影響力を競 いあっている。 ➢ 中東は、宗教・民族・政治経済体制などの対立軸による緊張が常態なるも、脱炭素化に伴い経 済社会が大きく変容。 アフリカは、人口増と資源開発ブームで最後の経済フロンティアとして浮上。 北米は、 コンピューティング、クリーン、バイオなどのイノベーティブな産業群と USMCA(米国・メ キシコ・カナダ協定)の経済統合で繁栄を謳歌。米国内の分断と内向き志向は変わらぬものの、 自由で開かれたインド太平洋(FOIP)への関与は継続。 中南米は、北半球の地政学的な緊張から距離を置き、安定。 欧露関係には安保上の緊張が残る一方、露の対中依存が深まる形で両国の結束が強化され、 ユーラシア大陸に一帯一路経済圏が浮上。 ➢ ➢ ➢ ➢ (経済安全保障上の要請がもたらす変化 ) ⚫ 2010~2020 年代に経済安全保障の確保に向けた各国の動きが進展したが、2040 年頃も脅威・リス クに対する経済安全保障上の対応は必要となる。すなわち、他国の技術・プロダクトを吸収・獲得し つつ、自国内でサプライチェーンを囲い込み、世界市場を席巻して自国のサプライチェーンに他国を 依存させ、経済的威圧等を行うような国家の動きへの対応が求められる。日本を含む各国政府は、 経済安全保障の確保を目指すべき。経済社会活動の持続性を前提とした産業競争力の維持・向上 のため、国民生活の基盤維持を始めとする、日本経済にとって重要度の高い、国内産業・技術基盤 及び強靭なサプライチェーンを持続的に維持・発展させるべく政策対応を図っている。 ⚫ ⚫ ⚫ ただし、「経済安全保障」は動的であり、各国の戦略的目標も随時見直され、変化することから、経済 安全保障上意識すべき国や必要な強度は現在と大きく変化している可能性もある。 こうした国際政治状況における貿易・投資の在り方は、ルールに基づいた、他国市場への広がりを 是とするグローバル戦略を進めつつも、その供給については、従来のように地球全体でプロダクト・ サービスの生産を比較優位性に応じて分業するグローバルフラットな在り方から軌道修正され、国民 の生活基盤維持を左右するクリティカルな物資・製品(戦略的物資・製品)を、自国内や同志国内で 調達するニーズが引き続き存在する。 上記の国際潮流に伴い、戦略的物資・製品については、希少性が高まり、世界・国内からの需要が 高まる。需要が高まり、供給が技術的・資源偏在的な要因で限られるものについては、その希少性 から価値(単価)が高まる。 <世界全体の供給構造の変化> (GX、DX、経済安全保障がもたらす変化) ⚫ ネットゼロに向けた地球規模のエネルギートランジションの中で、再エネ、水素、原子力などの脱炭 素エネルギーが、統合コストや、移行に要する投資額等を加味した上で、長期にわたり安定的かつ 合理的な価格での供給が進む(化石燃料の需要が 2030 年までにピークに達するという IEA の見通 しもある)。 ⚫ 重要鉱物の安定供給を図る国際的な枠組みが整い、鉱物資源やエネルギーの安定供給及びその ⚫ ⚫ 価格が、日本経済の主たる成長制約要因ではなくなる。 DX の進展により、貿易手続のデジタル化等が推進され、モノの貿易コストが下がり、国境を越えた サービス貿易も活性化。 パンデミックの記憶や地政学的な緊張が、事業活動に不測の事態への備えを必須化。 22 (産業の競争力に影響する諸要因) ⚫ ⚫ ⚫ 社会課題解決力:GXや経済安全保障などの社会課題解決の領域では、不確実性が存在することを 前提に、ケイパビリティの獲得(研究開発、設備投資、人材育成等)と想定外の変化に対応できる柔 軟性を両立した企業経営・ビジネスモデルの構築が鍵となる。 DX:顧客の「データ」を押さえる競争、余暇充足をめぐる顧客体験競争、ネットワーク効果による勝者 総取りへの対応が必要になる。 各国政府の産業政策:企業は、税等の社会負担だけでなく、補助金等政策支援、地政学的な位置、 経営資源へのアクセス(クリーンエネルギー、水、土地、高度人材、生活環境等)を総合的に勘案し、 競争上優位な場所に立地する。 (GX、DX、経済安保がもたらすグローバルバリューチェーンの再編) ⚫ GX は、脱炭素エネルギーやネットゼロ技術の供給国に、DX は、プラットフォーマーや生成 AI などの イノベーションを生み出す企業に富の集中をもたらす。また、経済安保の意識の高まりは、透明、強 靭で持続可能なサプライチェーンへの要請が高まる。 ⚫ 戦略的物資・製品の供給体制・生産基盤 ➢ 他国に比して優位性のある戦略的物資・技術については、同志国と積極的に連携することで、 同志国の中での我が国の供給責任をしっかり果たすとともに、国内産業の利益の拡大のため に、かつチョークポイントを押さえる戦略的な観点からも、輸出の強化が図られる。また、軍事転 用リスク等への配慮からの厳格な管理も行われる。 ➢ 戦略的物資・製品の安定供給確保の必要により、また、需要増加による価値の向上により、自 国だけでは完結できない戦略的物資のサプライチェーンは、自国への供給体制が確保しやすい 同志国とも連携した多角的なサプライチェーンが志向されていく。 (経済安全保障に対する意識の高まり) ⚫ 国際貿易・投資の拡大が経済効率の向上に資する一方、経済的依存関係が武器化された場合の弊 害を目の当たりにしたことにより、各国政府や企業は、特定の相手国に貿易や投資を過度に依存す ることのリスクを強く認識。 ⚫ 従来の経済連携協定や投資協定に加えて、有志国の間で分野別協定形成の動きが活発になる。 ⚫ 地政学的な不確実性の高まった世界における我が国の経済社会活動の継続性の確保に向けて、国 内外に活力ある産業基盤を構築することが不可欠。 <日本の事業構造の変化> ⚫ 日本企業(及びその総体としての日本経済)は、上記のような需給変化に直面する世界において、主 に次の課題に直面することとなる。 ➢ 日本の中規模国化による世界需要(米欧経済圏・非米欧経済圏双方から)の取り込みの必須条 件化に伴う対外経済・通商戦略の再構築 ➢ 日本の高付加価値な製品・サービスの海外展開を容易化できる国際枠組・ルールの形成、 ➢ 官民のグローバル・インテリジェンス能力の強化 日本の優位技術の移転・流出(技術優位性の喪失)に伴う、市場からの淘汰・撤退リスクを回避 するための国際市場環境・サプライチェーンの再構築、官民のインテリジェンス能力強化 23 ⚫ こうした課題に対して、政策的対応も含めた官民での取組によって、主要な部分が解決されること で、日本経済・日本企業は次のような姿を実現できている。 (日本のマクロ経済状況の変化) ⚫ 中国や、ASEAN・インドをはじめとするグローバルサウス諸国においては、メガシティが幾つも生ま れ、中間層・富裕層が急増。これらが日本に外需をとらえるチャンスをもたらし、日本の高付加価値 な製品・サービスに輸出機会が到来するとともに、供給力を拡大するための国内投資も活性化。過 小投資による資本蓄積の毀損・潜在成長力の低下という日本経済の成長のボトルネックが改善し、 イノベーションと成長の好循環が生じる。 ⚫ 日本が中規模国化していく中で経済産業の活力を保つため、欧米先進国のみならずグローバルサ ウス諸国の伸びゆく外需の取り込みが不可欠。貿易依存度(貿易額/GDP)は、2020 年代初頭の4 割程度から高まり、日本は、世界の需要を取り込みながら持続的に成長する経済構造へ。輸出財の 競争力の向上と過度な化石燃料依存の脱却によって交易条件38が改善し、実質賃金の上昇に寄 与。 (日本に拠点を置く企業及び日本の産業全体の競争戦略の変化) ⚫ 日本企業は、日本経済が世界の中規模国となる中で、フルセットの産業構造、文化・コンテンツの魅 力、安定的な社会を実現してきた国民性といった強みを活かして世界と伍していく。 ⚫ 海外との貿易・投資をこれまで以上に拡大しつつ、その世界本社・世界工場といった「世界の創造拠 点」として日本を位置付け、世界中で稼いだ利益を国内に還流させて活用するのに見合うような、ソ フトウェアや研究開発を含む国内投資・賃上げ・イノベーションを継続的に拡大。 (国際市場環境・サプライチェーンの再構築、官民のインテリジェンス能力強化) ⚫ コモディティ化した技術・物資の市場からの淘汰・撤退リスクを回避するため、以下の取組が行われ ている。 ⚫ 日本に拠点を置く企業は、収益の持続的確保に向けて、競合が少なく日本の強みが生かせる製品 やサービスに加え、高い付加価値を持つ戦略的物資・製品の生産・輸出、同志国企業と協働したグ ローバル・サプライチェーンの再構築が企業戦略の選択肢に組み込まれる。 ⚫ 戦略的物資・技術に関する他国の市場への貿易・投資行動が、企業の技術や産業競争力の維持・ ⚫ ⚫ 38 39 向上にとって不可欠である一方で、技術・サプライチェーンの囲い込みによって日本企業が市場から 淘汰・撤退させられるリスクを踏まえ、特定の国への過剰依存は回避する海外戦略を採ることも求め られる39。(このリスク構造は、どの国に本社を持つ・持たないに関わらず、日本企業に共通するリス クとなる。) また、優位技術の移転・流出によって技術がキャッチアップ(技術優位性の喪失)され、さらには当該 技術及び関連するサプライチェーンの囲い込みにより日本企業が市場から淘汰・撤退させられるリス クがあることから、優位性のある技術の流出が注意される。 ただし、サプライチェーン上のリスクは各国の政治・経済状況に応じて随時可変する上、利益が合致 する共通課題(気候変動、医療等)に関する経済的提携等は、リスクの精査を前提として更に拡大。 参考資料集 P47「通商政策と交易条件」参照 参考資料集 P48「経済安全保障上重要な物資・技術の特定と政策アプローチ」参照 24 ⚫ ⚫ ⚫ 各産業・プロダクトを手掛ける企業・業界においては、グローバル市場への更なる積極的な展開が経 営戦略の要となるが、常に自社の製品・技術の競争優位性の確保を意識しつつ、海外展開における 地政学的なリスク評価を図ることが常識・前提となる。また、事業の見直しや撤退で M&A 等をする に当たっても、他国政府の政策によって相手企業に日本が優位性を持つ技術が流出するリスクを勘 案することが常識・前提となる。 国民の生活基盤の基底を成し、従って希少・高付加価値である技術を把握し、一部の国への過剰依 存に陥らないこと、国民の生活基盤の基底を成す物資を生産・輸出する能力を強化することが、企業 戦略・産業戦略における重要要素となる。 政府はインテリジェンス能力を強化し、刻々と移り変わる国際状況、他国の通商戦略や経済安全保 障の状況について、より充実したシナリオ分析と民間への情報共有を実施。民間企業もよりインテリ ジェンス情報を積極的に摂取していくことから、官民の戦略的対話も一層活発化。 25 (4)健康・地域の包摂的成長(少子高齢化・人口減少) ポイント   少子高齢化が進む日本は、将来の世界の写し絵(先行指標)であり、健康に対する潜在的なニー ズをテクノロジーによって顕在化させる様々な製品・サービスが開発され、世界市場にも進出して いく。 地域の持つ価値を最大限引き出せる主体の関与を引き出し、テクノロジーも活用しながら生産性・ 賃金を高め、インフラの持続可能性を高めることで、良質な雇用と豊かな生活環境を享受できる地 域が創出されて、若者が子育てしやすい地方に定着し、希望出生率が改善する。 (健康) <世界全体の需要構造の変化> ⚫ ⚫ ⚫ ⚫ 健康で過ごすことは人間の根源的欲求の一つ。世界的な人口増加・都市化等を背景に、健康への 需要は潜在的には増大も、これまでは顕在化しづらかった。しかし、長寿命化、政府の介入(規制・ 社会保障制度)、テクノロジーの活用により、こうした潜在需要が大きく顕在化していく40。 ➢ 長寿命化は、全世界の不可逆的トレンド。高齢化を背景に医療を含む健康への需要が顕在化。 ➢ 規制・社会保障制度により、政府が国民の健康増進に介入することで健康への需要が顕在化。 ➢ テクノロジーで、健康増進に向けた取組と健康状態との関係が可視化され、需要が顕在化。 他方で、高齢化の進展や医療の高度化等による社会保障給付費の増大は、先進国共通の課題。公 的保険内と外の製品・サービスの適切な役割分担やモラルハザードの回避が求められる。 高齢者は、健康寿命の延伸も相まって、65 歳で一律に引退するのではなく、希望すれば働き続ける ことが可能になる。(消費のライフサイクル理論によれば、)高齢者も収入を得ることで、(公的保険の 内・外を問わず)自らの QOL(Quality Of Life)を高めるための消費を増やす。 現役世代も、健康で長く働き続けられるように、若いうちから健康に投資するようになる。企業も人的 資本形成の一環として従業員の健康への投資が拡大。また、予防・健康づくりは生活習慣改善その ものであり、生活関連支出との一体化が進む。 <世界全体の供給構造の変化> ⚫ 遺伝子治療や再生医療などが一般的となるだけでなく、健康関連サービスでも AI 等のデジタルテク ノロジーを活用することで、新しい製品・サービスが生まれていく。 ⚫ ⚫ PHR(Personal Health Record)はその典型。個人のライフログや健康に関するデータを活用すること で、衣食住を始め、あらゆる製品・サービスが、健康を切り口に高付加価値化されていく。 深刻化する医療・介護等の人手不足に対して、AI・ロボット等のテクノロジーの導入が進み、遠隔医 療や AI 診断といった効率的なサービス提供が可能になる。 <日本の事業構造の変化> ⚫ 現在の日本の事業構造は、PHR の事業者・医療機関間での連携やデータの取扱いに対するルール や標準の不足、公的保険への過度な依存と公的保険内サービス供給の逼迫、医療機器・医薬品の 研究開発や海外展開の伸び悩みといった課題を抱えている。こうした課題に対し、政策的対応も含 めた官民での取組みによって、主要な部分を解決できれば、次のような事業構造となっている。 参考資料集 P49「健康づくり・介護産業の市場規模拡大①」 、P50「健康づくり・介護産業の市場規模拡大 ②」参照 40 26 ⚫ ⚫ ⚫ 日本における健康面の課題は、将来の世界の写し絵(先行指標)であり、超高齢化に適応した新た な製品・サービスの開発が進む。こうした製品・サービスが、国内で、健康への新たな需要を開拓す るとともに、増大する医療・介護の需要41を充足する。 日本の社会保障制度は、公的保険外サービスの受け皿が拡大することで、社会保障の公平性、保 険料に対する負担感、財政の持続可能性といった観点から、公的保険の給付を、より必要な人・効 果の高い施策に重点化できるようになる。 日本の医療機器・医薬品は、国内の医療系大学における留学生受入れや海外現地の有力者とのネ ットワーキング、海外での治験の実施などを通じて、日本の医療機器・医薬品を使う病院や医師の裾 野が拡大し、グローバル展開されていく。また、こうした財のみならず、データや、それらを活用した サービスも世界に輸出される。さらに、日本の質の高い健診や治療を受けるため、外国人旅行者の 医療インバウンドが拡大している。 41 参考資料集 P51「高齢化の進行に伴う家族介護者負担の増大」参照 27 (地域の包摂的成長) <世界全体の需要構造の変化> ⚫ ⚫ ⚫ 産業が立地する場所としての投資需要は、経済安全保障等の観点から、自国又は価値観を共有す る同志国であり、かつ、十分な土地、豊富な水、良質な人材をといった要素を備えている地域で高ま る。加えて、CN への対応のため、安価にグリーン電源が調達できる地域への立地需要がより高ま る。 グローバルな中間層の拡大と、その余暇時間の充足先として、デジタル・情報財(コンテンツなど)と、 デジタルでは実現できない体験価値(芸術的価値、生活、観光など)が進む。国や地域に固有の文 化を体験できる観光・インバウンドの価値が上昇し、移動コストの低下等と相まって、観光・インバウ ンド需要は、大きく高まる。 人手不足や都市と地方の格差(所得や機会)という社会課題に対し、都市への人口移動によって労 働力が不足する地域において、AI・ロボットをはじめとするテクノロジーが雇用を代替するとの懸念が 相対的に少ない中で次々に実装され、都市よりも発展するリープフロッグが生じる可能性がある。 <世界全体の供給構造の変化> ⚫ 外資・内資、地域の内外、大企業、中堅・中小企業、地方発のスタートアップといった主体の属性を問 わず、その地域の持つ価値を最大限引き出せる主体の関与を積極的に引き出し、受け入れられる 地域は発展する。 ⚫ 産業のプラットフォーム化が進む中にあっても、顧客接点(ラストワンマイル)では、その地域の特性 に応じて最適化されたサービスが提供される。 <日本の事業構造の変化> ⚫ 現在の日本の地域における事業構造は、産業インフラの老朽化や不足、不十分な高付加価値化・ 価格転嫁、成長余力のある中堅・中小企業のリソース制約、構造的人手不足への対応42、生活イン フラの持続可能性確保といった課題を抱えている。こうした課題に対し、政策的対応も含めた官民で の取組によって、主要な部分を解決できれば、次のような事業構造となっている。 (良質な雇用の創出) ⚫ 産業立地のポテンシャルを有する地域は、国の支援も踏まえて、新興国・途上国より良い投資先とし ⚫ ⚫ て選択される43。 その他の地域では、豊かな自然や生活、文化資源・スポーツを活用した観光・インバウンドの振興 や、地場の中堅・中小企業等によって良質な雇用が創出されていく。 企業は、構造的な労働供給制約に対し、良い商品・サービスを良い価格で販売し、高い付加価値を 得ていくことや、デジタルも活用した省力化等の取組で生産性を高め、高い賃金や個人のライフステ ージに応じた柔軟な働き方・福利厚生等で労働者をリテンションしなければならなくなる。雇用の質を 向上させる企業が、若い世代や女性を含む多様な人材を引き付ける。 (豊かな生活環境の創出) ⚫ 42 43 自治体は、若い人々を引き付けるために魅力的な教育を行う。その中で、企業・個人からの寄付を 参考資料集 P52「人手不足解消のカギは賃上げ・働きやすい職場環境づくり」参照 参考資料集 P53「増加する立地ニーズへの対応不足」参照 28 含めた人的・経済的支援を獲得し、地域の優良企業を支える価値創造人材が育成されるエコシステ ムが各地域に出現していく。 ⚫ ⚫ ⚫ ⚫ 地域の産業インフラ、生活インフラ、生活関連サービスは、テクノロジー(デジタル、自動運転、ドロー ン等)を実装し、統合運用されることで、現在の仕組みでは維持困難な人口密度の低い地域でも、イ ンフラの効率性やサービスの生産性が維持可能になる。ただし、極端な過疎化が進み、個人・社会 の生活を支える公共サービスのコストが高まる可能性がある中、コンパクトな都市計画・土地利用は 有効な選択肢となり得る。 あわせて、生活関連サービス等の地域経済インフラを支え、地域文化の担い手といったコミュニティ の中核も担う小規模事業者は、事業を継続して地域を支え続けるとともに、事業の拡大を目指す意 欲的な小規模企業も生まれていく。また、ビジネスの手法で地域の社会課題解決に取り組むゼブラ 企業を創出するエコシステムが構築される。 このようにして、機能性を高めた多様な地域の拠点において、良質な雇用創出と生活インフラの維持 が両立される。 企業や地域が変革した結果、良質な雇用や豊かな生活環境を享受できる地域が創出され、そうした 地域に若い世代が定着し、彼らの結婚・子育てへの「希望」が回復することで、低下が続く希望出生 率が上昇に転換する。 29 3.産業全体の変化 ⚫ 本パートでは、主要ミッション毎のシナリオを統合的に踏まえ、同時並行で一体的に取り組む姿を描 き、総体として、世界各地、そして日本で、どのような新しい需要が生まれ、どのように産業構造が変 化(新陳代謝)するかという将来像を示す。 ポイント  日本は、社会課題解決やデータドリブンによる新たな価値創出という需要構造の変化を受け、世 界の市場で勝負し、生活を豊かにする挑戦に取り組む。  世界の市場で勝負する産業は、経営・事業・製品サービス戦略立案や最重要研究開発の拠点とい った高付加価値創造機能を国内に保持・強化する。世界中で稼いだ利益を国内に還流させつつ、 将来投資の原資としても活用する。  生活の質を高める挑戦を行う産業は、付加価値創出と省力化に取り組む。 (1)世界全体の需要構造の変化 ⚫ 需要(=取引量×価格)は、人口動態ごとに以下のように変化を遂げている。 ⚫ 人口減少地域(日本・欧州・中国)は、人口減の中で、既にある商品サービスに関する需要は、過去 の延長をするだけでは減少するが、価格上昇に値する品質の向上や価値の訴求(良いものには値 がつく。取引継続の条件として価格交渉することを含む)を通じた需要増に加え、①社会課題解決や ②データドリブンによる価値創出、によって新たな需要が開拓される。 企業経営改革・国家政策を通じて、こうした需要増に対応できるビジネス環境の整備に成功した経 ⚫ 済圏においては、賃金上昇を通じた購買力向上によって、こうした追加的需要や新たな需要が成立 する。ただし、人口増時代のモデルを継続し、変革のない経済圏は、購買力が伴わないために需要 減に向かう。 人口増加地域(米国や新興国・途上国)は、上述の同様の新たな需要開拓の動きに加え、人口増・ 購買力増に伴う取引量・単価の上昇による需要増を実現する。 ① 「社会課題解決」の価値化による需要創出(GX、経済安全保障、資源自律経済等) ⚫ 温暖化や安全保障といった社会課題は、そのリスクが発現する蓋然性・時間軸・合成の誤謬性から、 自然体では各個人・企業の顕在的な購買行動につながりにくい。需要とならないため、市場が生ま ⚫ ⚫ ⚫ ⚫ れず、供給が量・質ともに不十分のため、ニーズの顕在化につながらないという悪循環に陥る。 このため、各国政府の政策の力で、これらの「社会課題解決(ミッション)」を人為的に顕在化させて 「価値化」し、市場や多様な供給主体・サービスを創出することで、真の需要の発現を加速させる。 例えば、GX は、「CO2フリー」を政策によって価値化する。外部性の占める割合が大きいため、政策 の有無や CO2フリー製品購入者となる巨大資本の意思によって CO2フリーが「価値」か「コスト」か、 鮮明になっている。その結果、グリーン市場と非グリーン市場のデカップリングが生じる。 また、経済安全保障は、「チョークポイントの価値上昇」と「冗長的・代替的ニーズ」が発生する。安全 保障リスクの高まりを受け、経済社会活動の持続性に影響が大きいチョークポイント(物資・製品・技 術・データ)の需要が増加し、価値が上昇する。危機時のリスクを低減するため、平時ではコストとな る冗長的なニーズや代替製品に対するニーズが高まり、需要の総量は増加する。 これら以外の資源自律経済等の社会課題解決も同様に、政策の力によって、需要が顕在化する。 ② データドリブンでの新たな価値の創出(DX) 30 ⚫ ⚫ ⚫ 顧客から取得した様々なデータをベースにした新たな価値が提供されれば、各個人・企業の新たな 購買行動が生じる。 ➢ 提供価値のテイラーメイド化:商品・サービスの内容、価格、提供タイミング等を顧客のニーズに 最適化。例えば、運転データに基づく保険サービスの提供がある。 ➢ 潜在的な顧客ニーズの顕在化:顧客のデータを徹底分析することで、顧客自身が認識していな いニーズを掘り起こし。 ➢ 顧客のマスデータ分析による製品・サービスの高付加価値化。例えば、故障データを活用した耐 久性の高い新製品の開発がある。 ➢ 非構造化データの構造化/新データ創造による革新製品・サービス創出。例えば、疾患データ を教師データ(AI が機械学習に利用するデータ)とした AI 分析による新薬開発がある。 時間的・空間的制約の緩和による新たな消費ニーズが創出される。デジタル技術のイノベーションに よって、これまで所与とされてきた生活や生産活動における時間的・空間的制約が緩和。この結果、 生まれる余暇を充実させる新たな消費ニーズが生まれる。例えば、(生成)AI によってルーティンワ ーク不要、自動運転によって移動時間がフリー化、VR・AR によって自宅にいながら臨場感の高い海 外生活の体験ができる。 人口減少地域・人手不足分野を中心に、徹底的な効率化・自動化に対する需要が増える。現在人が 介在することが前提となっている労働集約的なサービス産業や、自動化しきれていない一部製造業 等を中心に、デジタル化・ソフトウェアによる自動化に対する需要が著しく高まっている。 (2)世界全体の供給構造の変化 ① 企業の競争戦略の変化 ⚫ 「社会課題解決」の価値化(GX、経済安全保障)による競争戦略の変化の共通事項として、各国政 策の進展状況に左右される市場環境に対峙することとなる。このため、国毎の違い・不確実性が存 在することを前提とする中で、優位性を確保するための独自技術・ノウハウ・取引先の獲得、先行者 利益(データ蓄積を含む)を確保するための迅速かつ大規模な設備投資、想定外の変化にも対応で きる柔軟な企業経営・ビジネスモデルの構築を行える企業が、勝者総取り・寡占化が生じやすくなっ ている国際競争の中で、生き残れる。 ➢ GX の観点から、グリーン市場と非グリーン市場が世界全体で共存する中で、CO2フリーが価値 を持つ市場の広がりに応じた迅速なグリーン/非グリーンのスイッチ(アジャイル性)、デジタルも ⚫ ⚫ 活用した CO2フリー価値の最適配分戦略、安価なグリーンエネルギーへのアクセスが、競争上 の重要事項となる。 ➢ 経済安全保障の観点から、チョークポイントを握るプレーヤーは代替商品の脅威を除けば高い マージンを享受/チョークポイントに依存せざるを得ないプレーヤーは、いかにそのリスクを低減 するサプライチェーンを構築できるかが事業の持続性として鍵になる。 結果として、競争力確保に向けたグローバル・サプライチェーンの再編が行われる。GX を起点とし て、製品・市場のグリーン/非グリーンに応じた国内立地・海外現地生産の最適化が進む。経済安全 保障を起点として、リスク低減のための自国ないし有志国でのサプライチェーン再編が進む。 DX による競争戦略の変化により、製品・サービス提供の時空間上の制約が緩和される影響もあり、 製造・非製造の別に関わらずあらゆる産業・バリューチェーンでグローバル競争がより激化、継続す る。ネットワーク効果と相まって勝者総取り(Winner takes all)がより顕著になり、技術起因による勝者 入替えのスピードも加速する。 31 ➢ ➢ ➢ ➢ 最終消費者ニーズの「データ」を押さえるプレーヤーに競争力がシフト。データを元にしたネット ワーク効果が、消費者の利益を高め、結果として提供者の自然独占を許容しやすい構造は継続 する。希少価値の高い顧客ニーズのデータをいかに押さえられるか、顧客接点の確保、プラット フォーマー化、サプライチェーン・バリューチェーンといった個社にとどまらないエコシステム構築 が重要になる。また、潜在ニーズがデータにより可視化され、追加的な価値提供が競争上重要 になることで産業バリューチェーンが融解・再編される。 データによる新たな価値提供は、下流(最終消費者)近辺のみならず産業バリューチェーンのあ らゆるレイヤーで発生する。 余暇充足をめぐり、デジタルをフル活用した製品・サービス、デジタルでは実現できない顧客体 験(高度なヒューマンタッチ、芸術的価値など)の2つの創出に関する競争が生じる。 労働集約的なサービス産業や、自動化しきれていない一部製造業等を中心に、デジタル化・ソフ トウェアによる徹底的な自動化の追求が進む。 ⚫ また、経営資源を巡る獲得競争の激化が進む。企業経営が、従来の世界が共通化して競争するグ ローバル化というだけでなく、各国の事情・文化なども踏まえた多様性を考慮して競争することが求 められる。企業は、各国政策動向に左右される社会課題解決型の新需要を中心に、これまで以上に 地産地消を念頭にした経営を行う。その結果、データ、技術、知財、これらを創出する人材のグロー バルかつローカルな獲得競争が激化する。 ② 政府の産業政策の変化:強力な国内誘致政策の展開(グローバルな立地競争時代へ) ⚫ ⚫ ⚫ 先進国を含む各国政府が、地政学リスクの高まりや各国国民のニーズを背景として産業政策を行う ことで、高付加価値な産業・企業の国内誘致を展開することが前提となる。 国内外の企業は、企業が資本市場の期待に応えるため最適な機能アロケーションを採用する(=企 業が立地国・地域を選ぶ)ことになる。その立地選定にあたって、従来型のグローバル時代に評価し ていた税等の社会負担の条件だけでなく、各国で提供する補助金等政策支援、地政学的な位置、経 営資源へのアクセス(クリーンエネルギー、水、土地、高度人材、生活環境等)を総合的に比較する ことが当たり前となる。 なお、各国政府が国内外の企業に魅力的な経営資源へのアクセスを提供するための政策を実施す るに当たっては、政策間の相互連携に留意する必要がある。例えば、DX の進展に伴い、増加する計 算需要に対応する計算基盤の強化が必要となるが、これには脱炭素電源の強化という GX 側の対 応が同時に必要となる。 (3)新機軸の政策を通じた日本の産業構造の変化 ① 産業構造のシナリオの実現のために乗り越えるべき課題 ⚫ 現在の日本の事業環境は、アジャイルな中堅・中小企業、スタートアップの活躍、土地や工業用水、 クリーンエネルギー、計算資源等の産業インフラ44、研究開発45、経営等の人材、グローバル水準の 経営を行う企業への金融資本が不足しているという課題に直面している。 参考資料集 P71「インフラの老朽化」 参考資料集 P26「日本における研究開発は、これまで横ばいだった」 、P27「研究開発の「質」の低下(事業 化・付加価値創出に繋げる力の低下) 」参照 44 45 32 ⚫ すなわち、本項で示す産業構造のシナリオは、日本がその実現基盤となる次の機能を獲得できれ ば、実現しうる。また、次の機能を調達できる事業領域でのみ、国際競争の中で、日本を本社とする 企業、日本という立地場所は生き残る。 ➢ アジャイルな経営思想・能力: 高度な付加価値を徹底して追求し、時代のニーズ・シーズに即 応して事業転換/創出や大規模投資を迅速に繰り返していく、柔軟で大胆な(アジャイルな)経営 思想・能力が多数の企業に備わっていること。 ※ これが実現できれば、結果として従来の企業規模・業績は相対化され、アジャイルな企業が 競争力を獲得し、新たなプレーヤーが日本経済の枢要を担う可能性が拡大していく。(変化 の主体たるアジャイルな中堅・中小企業、スタートアップの成長可能性が拡大していく。) その影響が、産業構造の組み直し、経営人材を含めた労働移動や金融資本の流動化にも 及んでいくこととなる。 ➢ ➢ ➢ ➢ ⚫ 高度人材及びその教育・社会システム: 国際比較してトップクラスである研究、生産現場、マー ケティング、上記の経営思想・能力を備えた経営人材(高度外国人材を含む)と、その育成と確 保に徹底的に投資する教育・社会システム。 高度な経営体制とガバナンス: 高度な能力を有する経営者が果断な意思決定を行い、迅速に 事業を遂行できる仕組みと、それを支えるコーポレートガバナンスが多数の企業で実現している こと。(例えば、将来期待の醸成を通じた企業価値の向上に向けた長期のビジョンと、ビジョン実 現のための中期の経営計画の適切な融合、独立性・多様性も踏まえた実効性の高い取締役会 の実現、取締役会・指名委員会が行う経営者の再任・不再任の審議の実質化46を通じた経営者 任期の適正化等。) ※ これが実現できれば、M&A を含む日本企業の成長投資も国内外で活性化する。特に、GX や経済安全保障などのミッション志向の産業政策と連動することで、国内での成長投資の 活性化が期待される。以上のような価値創造経営による持続的な企業価値の向上を通じ、 日本企業の PBR47は向上することとなる。 高度な経営体制を背景とした大規模な金融資本:上述のような、特徴的な高付加価値事業で成 長していく、グローバル水準の経営を行う企業だからこそ獲得できる、グローバルで戦うための 将来投資の必要条件となる大規模な資金。 ※ 日本経済の世界シェアが低下する中では、「日本企業一般」を投資先のインデックスに組み 入れる投資家は低下する可能性もある。一方、上述のようなグローバル水準の経営を行う 企業は、ミクロに個別企業の成長可能性を観察して投資を行う投資家に見いだされ、大規 模な資金調達を実現できる。 必要な産業インフラ: 国際比較してトップクラスである利用可能な土地、水、クリーンエネルギ ー、コンピューティング資源など。 政策的対応も含めた官民での取組によって、上記のような機能を獲得することができれば、次のよう な事業構造が実現しうる。 ② 産業構造全体のシナリオ(総論) 46 47 参考資料集 P58「経営トップの不再任基準」参照 参考資料集 P57「日米欧の主要企業における PBR の比較」参照 33 ⚫ 食料・資源・原料を輸入せざるをえない日本にとって、世界で、イノベーションで稼ぐのは宿命。世界 が求めているのは、人類が直面する社会課題の解決であり、課題先進国の日本はチャンスである。 ⚫ 日本企業は、日本経済が世界の中規模国となる中で、フルラインナップのものづくりネットワーク、生 活・文化・コンテンツの魅力、安定的な社会を実現してきた国民性といった強み48を活かして世界と勝 負し、生活を豊かにする挑戦に取り組む。海外への輸出・投資をこれまで以上に拡大しつつ、その世 界本社・世界工場といった「世界の創造拠点」として日本という場所を位置付け、世界中で稼いだ利 益を国内に還流させて活用するのに見合うような、ソフトウェアや研究開発を含む国内投資・賃上 げ・イノベーションを継続的に拡大する。 ➢ 人口に比例して特に若者を中心に国内の顧客数は減少するため、既存事業で価格競争を継続 するだけでは成長を見込めないが、ソフトウェアや研究開発を含む持続的な国内投資拡大・イノ ベーション加速・所得向上を背景として、新たな付加価値の提供による客単価の上昇や新たな ➢ ➢ ⚫ ⚫ ⚫ 事業領域の開拓と、海外市場における顧客数の増加(輸出増等)によって、成長する。 デジタル分野で世界を席巻している米国企業と同じ領域では競争せず、高度成長期に培った製 造業が、海外投資が進展してもなお国内にフルラインナップでそろっているという強みを活かし、 グリーン技術、製造分野における非構造データの構造化、ユニーク領域でのユーザーデータ分 析・価値提供サイクルを確立する。 また、コロナ期に様々な分野で導入が遅れていることが顕在化したデジタル化は、中小企業も含 め、少なくとも既に他国・企業で進んでいるものを取り組むような形でキャッチアップ的に進展す ることとなる。デジタルを使わずとも丁寧な人的対応で処理ができていたという優れた人材と、先 行者であるがゆえの試行錯誤が不要であることを踏まえると、他国よりも円滑にデジタル活用が 可能となる。 成長可能性があり、変化の主体たる中堅・中小企業、スタートアップの重要性が高まるとともに、こう した変化の主体が刺激となり、大企業の変革も促す49。 物理的な領域で定義される日本経済は、人口減少地域の1つとして、「人口増が牽引する需要総量 の強さ」ではない、生み出される価値の高さを魅力として、国内外の企業の誘致・投資、個人消費を 生み出すことになる。 ➢ 既存事業で国内市場が縮小する分野でも、少子高齢化に基づく構造的人手不足の下では労働 供給の縮小のほうが早いため、省力化投資などを通じて供給力不足を補い需要獲得を着実に 行えば、縮小する市場規模でも労働生産性は上昇する。個人消費の構成は、長寿命化に伴い、 高齢者(特に女性)が増加する。 政府は、こうした観点から国の戦略投資として国内外の企業に「日本」が投資先として選ばれる産業 政策を継続する。 ③ 産業構造全体のシナリオ(世界の市場で勝負する産業) ⚫ ここから、日本の産業構造の変化を、「世界の市場で勝負する産業」と、「生活の質を高める挑戦をす る産業」に分けて描写する。 ⚫ まず、「世界の市場で勝負する産業」の在り方として、世界本社、世界工場の2つの類型がある。 48 49 参考資料集 P54「日本の強み」参照 参考資料集 P55「大企業とスタートアップの特性を踏まえた役割分担」参照 34 i. 「世界本社」(経営・事業・製品サービス戦略立案、最重要研究開発の拠点など)として、社会課題領 域を中心とした「選択と集中」の結果として、高付加価値な製品・サービスを生み出し続けるための経 営・事業・製品サービス戦略立案や最重要研究開発の拠点といった高付加価値創造機能を国内に 保持・強化する。そのために世界中で稼いだ利益を絶えず国内に還流させつつ、更なる将来投資の 原資としても活用する。 ➢ GX の観点から、適切なスピード感・アジャイル性を確保した高付加価値×グリーン産業を確立 する。 グリーン市場では、研究開発を技術輸出へと発展させ、グリーンエネルギーを集約化すること で、グローバル競争力のあるグリーン製品の生産と輸出、国内需要の創出が行われる。 非グリーン市場では、(新興国市場が中心となるため、基本的に輸出ではコスト競争力を保持で きないことを前提とすれば、)需要が残る地域・製品における柔軟な生産体制が確保される。 ➢ ii. ⚫ これらの実現の上で、信頼性の高い市場動向分析(グリーン市場・非グリーン市場 × 国内・国 外の広がりの分析)は大前提となる。 経済安全保障の観点から、チョークポイントとなる製品・技術・データの戦略的保持を行う。 「世界工場」(非構造データの構造化、その世界展開によるデータ・サービス収支獲得の拠点)とし て、製造現場に眠る非構造化データを産業内で広く収集・分析し、次の研究開発に活かす連携体制 を確立。顧客ニーズを深く捉え、より付加価値を高めた、世界中から不可欠なものとして求められる 製品・サービスを、国内外に提供し続けるグローバル拠点になる。 ➢ 「世界の工場」の再建:製造現場に眠る非構造データを構造化し、個別化するニーズや GX 等 の様々な課題に対応した製造能力を向上させる。グローバル企業の世界本社化(地産地消に よる国際分業の進展含む)による選択と集中で、グローバル企業自身の国内事業拠点はもとよ り、それだけでなく、取引先のサプライチェーン全体に、特に国内拠点への高付加価値化の圧 力は高まるため、低付加価値で他国の拠点に代替可能な国内の企業・事業拠点は、現状維持 が困難になる。GX や DX を積極的に取り込み、付加価値につなげられれば、国内のサプライチ ェーンの再構成をする中で、重要な位置付けを獲得する。 ➢ 先進市場の創出:高齢化等の課題先進国というポジションを活かしたユニークな最終消費者か らのデータを梃子に、世界に先駆ける先進市場を創出する。 世界本社や世界工場として、国際競争の中で高付加価値型事業に必要な産業インフラ・人材を調達 できる領域で、日本における事業が競争力を維持・強化する。 ④ 産業構造全体のシナリオ(生活の質を高める挑戦をする産業) ⚫ 「生活の質を高める挑戦をする産業」の在り方として、ローカル産業のグローバル化を含む付加価値 創出(良いものに値が付く)、ローカル産業の構造的人手不足と技術革新を起点とした省力化の2つ がある。 i. ⚫ ⚫ ローカル産業のグローバル化を含む付加価値創出(良いものに値が付くビジネスの実現) 限界費用ゼロのデジタル技術・データ連携を駆使することで、個人に最適化し(例:個人の健康デー タ(PHR]の活用)、個人を時間・空間の制約から解放する(例:AR・VR・自動運転等)ような、新たな製 品・サービスが次々に生まれてくる。 生活・文化・コンテンツ力を源泉としたインバウンド・アウトバウンドを対象に、時間的/空間的制約 の緩和の結果生まれる「余暇の充足」市場を獲得するため、日本の生活・文化・コンテンツ力を源泉 35 としたインバウンド(観光等)とアウトバウンド(他産業の輸出等においてもコンテンツ力を付加的な競 争力の源泉に)双方で稼ぐモデルを確立する。 ➢ ⚫ 結果として、収益構造確立と物流、人流含む広義の生活インフラの良質化の好循環が生じる。 すなわち、収益構造確立の前提として良質な生活インフラの整備が行われ、収益構造確立によ って原資が生まれ、生活インフラ投資が可能になる。 ➢ コンテンツ・観光産業の発展は、純・国内市場産業(交通、不動産等)の持続性向上にも寄与す る。 観光・コンテンツ産業の他にも、これまで国内需要家を対象としていた産業が、デジタルによる顧客 接点の確保を実現して、(アパレル産業等の)国際市場へ進出する例もスタンダードになる。 ii. ローカル産業の構造的人手不足と技術革新を起点とした省力化 ⚫ デジタル投資(AI、ロボットなど)による省力化ができる企業が、構造的人手不足による労働供給(イ ンプット)の制約を解消し、医療・介護や観光等の拡大するサービス需要(アウトプット)を取り損ねず に充足できる体制を構築する。 上述の取組で、付加価値創出と省力化を実現し、生産性を向上させられる企業では、賃上げを続け られる企業として、貴重な若い人材の雇用・投資・事業継続ができる。 たとえ、過疎地域でサービス供給の持続性が危ぶまれる中でも、客単価を上げても顧客離れを生じ ず、需要が継続し、人材獲得・設備投資を続けられる。 ⚫ ⚫ 36 4.既存の個別産業の変化 ⚫ 本文書では、新機軸の政策の延長線上として将来見通しを描くことを前提としているため、将来存在 ⚫ ⚫ しうる産業分類を基に構想するのではなく、足下の産業分類を基に個別産業の将来見通しを示す。 その上で、個別産業は、①5ミッション(GX、DX、経済安保・グローバル、健康・地域の包摂的成長 (少子高齢化・人口減少))の影響を受ける産業、②足下(2020 年50)と将来(2040 年頃51)の GDP や 就業構造に占める割合の上位の産業、③経済産業省がリーチできる産業、という3つの観点を踏ま えて選定した。 なお、2040 年頃には、個々の産業で示されているように、製造業から派生した付加価値のあるサー ビスの進展など、足下の産業分類では分類されない、「その他のサービス業」が増えるなど、産業分 類や産業間の波及関係が変わっていく可能性がある。 (1)半導体・計算資源 ポイント  DX・GX の進展により、世界全体で半導体・計算資源の需要が増大するとともに、性能向上が求め られる。  経済安全保障の観点から、引き続き半導体サプライチェーンの強靱化が求められる。そのために は、大規模投資の継続や研究開発・技術流出防止措置等を通じた技術的優位性の確保など、半 導体の種別に応じた対応が必要。  生成 AI などのイノベーションツールが幅広く経済社会で活用されるようになり、その開発・利活用 のための計算資源やデータ整備が鍵となる。  こうした半導体生産拠点・計算資源の整備に向け、人材育成等を進めていく必要がある。 <世界全体の需要構造の変化> ⚫ 半導体は、(短期的にはシリコンサイクルの影響で需要が変動するものの)DX、GX の影響を受け、 中長期トレンドとしては需要が伸び続ける。 ⚫ 生成 AI は、経済社会システムのあらゆる分野において利活用が急速に進み、クラウドと同様に重要 な社会インフラの一つを形成している。これに伴い、生成 AI の開発や利活用に不可欠な計算資源と データ整備の重要性はさらに高まるとともに、需要が拡大する。 ⚫ DX に関連して、現在半導体が組み込まれていない製品にも半導体が組み込まれていくとともに、現 ⚫ 在半導体が組み込まれている製品でも、その個数や性能が増大。さらには、そうしたエッジ端末から 送られてきたデータを処理するクラウド側でも、情報処理量が爆発的に増大。大量かつ高速な情報 処理を行うデジタル基盤として半導体・計算資源の需要が拡大するとともに、量子等の新たな手法を 用いた計算資源の技術革新も進展していく。 GX を背景として、電気自動車等のグリーン関連製品の制御に必要な半導体需要が増加。加えて、 DX・AI の進展で増加する電力需要を抑えるため、エネルギー効率を改善させる半導体の性能向上 が求められ、高付加価値な製品の需要が増加する。特に、汎用品ではなく、電力消費効率の高い、 ユーザー・用途ごとに特化して設計された専用半導体(ASIC:エーシック)に対するニーズが高まる。 <世界全体の供給構造の変化> 50内閣府「国民経済計算」参照 51独立行政法人 労働政策研究・研修機構(JILPT) 「2023 年度版 労働力需給の推計」参照 37 ⚫ ⚫ ⚫ ⚫ ⚫ ⚫ ⚫ ⚫ 半導体は、2040 年頃においても脅威・リスクに対する経済安全保障上の対応が必要となるところ、 経済安全保障の観点から、自国内で供給体制を構築するか、有志国・地域間での連携により、供給 体制の自立性を確保する。 AI 等に必要な先端ロジック半導体については、研究開発及び製造に係る設備投資額が巨額にのぼ るため、世界市場を固定された数社が寡占。ASIC の設計についても、設計開発に必要な金額が増 大し、資金力又は技術力のある限られたユーザー等が担う。 データ記憶に使う先端メモリ半導体は、継続的な設備投資・研究開発を行い、大容量化や低消費電 力化を継続的に実現できる企業が競争力を得る。 一方で、前工程においては、ムーアの法則に則った微細化や積層化が限界を迎え、後工程の重要 性が高まる。特に、同一チップ上に異なる機能を持つ半導体を集約し、効率よく連動させる先端パッ ケージ技術が不可欠な技術となる。高度な素材・実装技術等の開発を行う企業が付加価値を獲得す るとともに、経済安全保障の観点から、先端パッケージの製造基盤確保の重要性が高まる。 同時に、光電融合技術やメモリセントリックなど、革新的な技術が実装化されている。 電力の変換等を担うパワー半導体等産業用スペシャリティ半導体は、酸化ガリウムやダイヤモンド等 新たな高機能素材を用いたハイエンド品については、研究開発力が市場シェアを握る鍵に。低価格・ 汎用的なローエンド品については、中国やグローバルサウスが市場シェアを伸長させる一方、用途 に応じて市場セグメントが細分化され、多数のニッチ企業が存在。 半導体製造装置・部素材は、半導体そのものの市場成長に伴って市場が大きく成長。加えて、上記 の半導体市場の変化や PFAS 規制等の国際環境の変化に合わせて、プレーヤーも変化する。 計算資源は、生成 AI などのイノベーションツールが、幅広く経済社会で利活用されることなどによ る、大量かつ高速な情報処理を行うデジタル基盤の需要が拡大することを踏まえ、AI 用の計算資源 (開発用、推論用)を中心に、国内整備や、省電力化・高効率化を見据えた計算資源の研究開発も拡 大していくことが見込まれる。 <日本の事業構造の変化> ⚫ 1980 年代に世界シェア1位を誇った日本の半導体産業は、その後大きくシェアを落とし、特に先端ロ ジック半導体については、TSMC・JASM の熊本への進出までは、その生産基盤が国内に存在しなか った。このため、半導体産業の復活及び経済安全保障の観点からのサプライチェーン強靱化に向け て、大胆かつ迅速な設備投資や研究開発投資に対する支援策を実施しており、今後も投資を促進す ⚫ ⚫ ることができれば、下記の(製品供給体制)に記載する事業構造となっており、半導体生産の世界シ ェアを 15%以上確保することができている。 なお、半導体のサプライチェーンを一国のみでまかなうことはきわめて困難であることから、半導体 の安定供給確保等に向けて、有志国・地域との連携を図ることが重要である点に留意が必要。 また、生成 AI については、生産性向上や人手不足の解消など様々な社会課題の解決や社会の発 展に向けたキーテクノロジーとして、経済社会システムの様々な業種・分野で、その利活用が進むと ともに、クラウドと同様に重要な社会インフラの一つとして捉えられることになる。このため、生成 AI の国内開発力強化、利活用促進に向けて、これまでにないスピード感で設備投資や研究開発投資、 開発環境整備等に対する支援策を実施しており、今後も投資を促進することができれば、国内発の AI モデルのシェアが拡大していくとともに、社会インフラの安定供給を確保することができている。 (製品供給体制) 38 ⚫ ⚫ ⚫ ⚫ ⚫ ⚫ ⚫ ⚫ ⚫ 日本は、破壊的技術革新が進む分野や技術的に優位にある分野の研究開発を進めるとともに、有 志国・地域との協業によりコア技術の流出を防ぐことで、その他の国・地域に対する技術優位性を継 続的に確保することで、高付加価値製品を海外に輸出する。 経済安全保障の観点からは、サプライチェーン上のミッシングピースを埋めるべく、国内生産拠点整 備を行いつつ、特定の国・地域への過剰依存構造を防止・是正する。 先端ロジック半導体は、ノード別にそれぞれ国内において一定の生産能力を確保する。特に、持続 的なファイナンスや政府によるガバナンス・技術流出防止措置を講じることを前提に、次世代半導体 (2nm、Beyond2nm)の国内での量産化により、世界市場の中で一定のシェアを確保する。また、国 内ユーザー企業等において、ASIC の設計開発が進み、国内における設計とファウンドリの好循環が 成立する。 先端メモリ半導体は、NAND・DRAM ともに、研究開発と設備投資を継続し、高速・小型・省電力な製 品で一定のシェアを確保する。さらに、先端ロジック半導体に必須となる混載メモリ技術や、スピント ロ二クスなどの技術開発が進み、実用化し、量産化に至る。 また、光電融合技術やメモリセントリックなど、ゲームチェンジングな革新的技術の開発が進み、実用 化し、量産化に至る。 先端パッケージ技術は、光チップレット、アナデジ混載 SoC(システムオンチップ)の技術開発が進 み、実用化に至るとともに、これら技術を活用した国内生産拠点の整備が進む。 産業用スペシャリティ半導体のうち、パワー半導体については、酸化ガリウムやダイヤモンド等新た な高機能素材を用いたハイエンド品の技術開発が進み、実用化に至る。加えて、こうした新たな技術 も軸としつつ、日本企業が1社当たりのシェアを高める。その他のローエンドなパワー半導体やマイ コンについては、特定の国・地域への過剰依存構造を防止・是正する。アナログ半導体については、 用途に応じて細分化された市場セグメントにおいて、ニッチ戦略を採用し、複数のグローバルニッチト ップ企業が存在。 半導体製造装置・部素材は、破壊的技術革新が進む分野や技術的に優位にある分野の研究開発 を進めるとともに、有志国・地域との協業によりコア技術の流出を防ぐことで、その他の国・地域に対 する技術優位性を継続的に確保することで、高付加価値製品を海外に輸出する。 生成 AI モデルは、モデルの研究開発を進めるとともに、開発や利活用に不可欠な計算資源やデー タの整備を進めていくことで、国内発の多様なモデルが様々な業種や分野、地域で活用されることで (日本企業のシェアを高める)、モデルの高度化にもつながっていく。また、AI の利活用が進むことに よって、更なる計算資源の高度化(高効率化・省電力化)に向けた研究開発が行われる。このサイク ルによって、利活用側と計算資源の供給側でのエコシステムが構築されていく。 (供給体制の制約要因) ⚫ 人口減少社会において、大規模な半導体投資プロジェクトを進めるに当たって、上下水道・道路等の インフラ整備が課題となるため、地方自治体とも連携して整備を進める。 ⚫ 半導体人材の不足も課題。製造現場における人材については、地域の特性に合わせた地域単位で の産学官連携により、パイの拡大を図る。加えて、次世代半導体の設計や研究開発等を担う高度人 材についても、海外の知見を取り入れながら育成を図るとともに、有志国・地域との連携を進める。 ⚫ 加えて、ソフトウェア人材の不足も課題。今後の企業 DX を進めるうえでも必要不可欠であるソフトウ ェア人材については、世界規模で人材が常態的に不足しており、人材の獲得競争が激化している。 そのため、日本においてもデジタル人材育成に積極的に取り組み、社会人のリスキリングや大学・高 専におけるデジタル人材育成機能の強化などを通じて、産官学でパイの拡大を図る。加えて、個々 39 のソフトウェア人材の労働生産性向上も課題。生成 AI などの先端技術を活用しながら、一人当たり の労働生産性を向上させ、高付加価値なサービスの創出に取り組んでいく。 40 (2)自動車・モビリティ ポイント     CASE の潮流が進展し、自動車分野において GX(電動化/燃料の脱炭素化)と DX(デジタル化) が進む。 電動化が進む。一方で、それぞれの地域の電動車のニーズ等は様々であることから、その進度は 地域・国ごとに異なり、引き続き相当程度の内燃機関車の需要が見込まれる。 水素インフラの構築に合わせて大型車等を中心に FCV の普及が進むとともに、脱炭素燃料の技 術革新が進展し、カーボンニュートラルな形での内燃機関の活用が進む。 クルマのデジタル化が進展し、SDV(Software Defined Vehicle)の社会実装が進むことにより、自 動車の作り方・使われ方が多様化する。これに伴い、自動車の付加価値が、車体の性能のみなら ず、移動体験など消費者との接点を通じたサービス(いわゆる MaaS)からも創出される。 <世界全体の需要構造の変化> (GX) ⚫ カーボンニュートラルの実現に向けて、世界市場において乗用車を中心に電動化が進む一方で、そ れぞれの地域の電動車のニーズ、エネルギー事情等は様々であることから、その進展は欧州、米 ⚫ ⚫ ⚫ 国、中国、ASEAN などグローバルサウスの地域・国ごとに異なる。 加えて、インフラ整備の普及の進度の違いもあり、途上国や非都市圏を中心に、引き続き相当程度 の内燃機関車の需要が見込まれる。 その結果、世界全体でのストックベースでは相当数の内燃機関車が残る。 水素インフラの構築に合わせて大型車等を中心に FCV の普及が進むとともに、脱炭素燃料の技術 革新が進展し、カーボンニュートラルな形での内燃機関の活用が進む。燃料の脱炭素へ転換に伴う ユーザー負担の増加に対する対応が課題に。 (DX) ⚫ 自動車の保有の在り方(「保有から利用へ」)や消費の在り方(「ハードからソフト・サービス・コンテン ツへ」)の変容が進む中で、クルマのデジタル化(SDV(Software Defined Vehicle)化)が、ユーザーの 多様なニーズや社会課題の解決のための用途を生み出し、モビリティ分野の新たなビジネスチャン スが連続的に創出される。 ⚫ ⚫ ⚫ ⚫ 販売後の消費者との接点を通じたパーソナライズしたサービスへの多種多様なニーズが生まれる。 ユーザーは、自動運転技術の高度化に伴い、運転から解放され、どう移動するか、移動時間をどう 過ごすかといった点に主眼を置き、移動体験に付随したサービスを求める。 デジタル化・自動運転技術による省力化・効率化を通じて、人口減少等に伴い生ずる社会課題の解 決に資するモビリティへのニーズが高まる。特に地方における人流・物流におけるスマートモビリティ のニーズが高まる。 世界の経済成長やこうしたモビリティの社会における意義・魅力の高まりにより、自動車そのものの 需要は増加する。 <世界全体の供給構造の変化> (GX) 41 ⚫ 日本の自動車メーカーは、EV においても供給体制を国内外に確立する。特にグリーンが市場参入 の前提となる市場への対応が先行的に進む。 ⚫ 内燃機関車が全体に占める割合は減少するため、ストックで残る車両への部品供給等も含めたサプ ライチェーンの合理化が進む。 企業の生産拠点の立地の経営判断では、規制・振興両面の各国の政策を勘案の上、クリーンエネ ルギーの安定供給性や経済合理性の観点が重視される。 走行時のみならずライフサイクル全体における CO2排出量削減の観点から、グローバル・サプライ チェーン全体の CO2マネジメントの仕組みが構築される。 自動車の部素材の効率的回収や蓄電池のリサイクルの仕組みなど静脈産業が拡大し、自動車分野 の循環経済のエコシステムが構築される。 ⚫ ⚫ ⚫ (DX) ⚫ クルマの SDV 化が進展に伴い、自動車が創出する付加価値の源泉においてソフトウェアが高い割 合を占めるようになる。 ⚫ 移動に関するデータ利活用や OTA 機能を通じて、自動車・モビリティのバリューチェーンが拡張し、 他産業のプレーヤーの自動車・モビリティ分野への参入が進むとともに、自動車メーカーによる他の ビジネス分野への越境・展開が進む。 ⚫ 労働人口の減少への対応に伴い、生産工程の統合(例:ギガキャスト)や刷新(例:自走ライン)など の自動化・省力化が進む。 ⚫ データや生成 AI の活用により車両開発が効率化し、ソフトのみならずハード面の研究開発のサイク ⚫ ⚫ ルが高速化する。 SDV の一つの要素である自動運転は、MaaS のユースケースを切り拓く手段として、例えば移動時 間中の制約からの解放のための技術要素として、技術革新・高度化が加速的に進む。 上述の付加価値の源泉の変化に伴い、設計から開発、メンテンナンスに至るまで、ソフトウェア人材 の育成・獲得の重要性が高まる。他産業でもニーズが高いため、人材獲得競争は熾烈になる。 <日本の事業構造の変化> ⚫ GX・DX 双方でビジネスの多様化・高度化が進む中で、日本の自動車関連企業は、各社の戦略にお いてターゲットとする市場やセグメントにおいてそれぞれの強みを生かすことで、世界のモビリティ産 ⚫ ⚫ ⚫ ⚫ 業における競争の第一線で活躍する。 デジタル化により販売後までバリューチェーンが拡張する中で、各社は、各々の CX などのビジネス モデルの変革を通じて、必要なコア技術を獲得することで、競争力の源泉を多角化し、多様な稼ぎ方 を実現する。 競争力確保に向けたサプライチェーン戦略は企業によって垂直統合ないし水平分業が選択されるこ ととなり、その過程において、他産業やスタートアップ企業を含む多様なプレーヤーが参入し企業間 連携等が進むことで、自動車・モビリティ産業の競争が激化する。 垂直統合モデルにおいては、電池や半導体などの戦略的な物資について必要な規模の投資を行う ことによって、自動車産業全体として、国際競争で勝ち抜くことができる。 資源やサプライチェーンの偏在、地政学の影響等への適切な対応を講じていく中、競争力の高い車 種、重要部品等の国内生産に資する事業環境整備の充実や、充電インフラの普及により、日本は、 多様なニーズの創出による国内市場規模を維持するとともに、拡大する世界市場において、EV にお いても輸出拠点としての地位を確保する。 42 (3)蓄電池 ポイント   蓄電池は、コモディティ化が進み価格競争になる製品と、技術優位等が確保されて高い付加価値 を提供する製品に、二極化する。後者には、蓄電池の安全性や持続可能性など、最終製品のニー ズ・要求性能に合わせた価値も含まれる。 経済安全保障の観点から、機微技術の流出防止が徹底されるとともに、国内のインフラを支える 蓄電池は国内拠点での製造が進む。 <世界全体の需要構造の変化> ⚫ 蓄電池は、車載用、定置用ともに世界的に需要が拡大する。 ⚫ 車載用蓄電池の需要は、世界的な CN の取組の進展に伴う EV 市場の拡大を受け、増加する。 ⚫ 定置用蓄電池の需要は、世界的な CN の取組を受けて、家庭や工場で再生可能エネルギーの導入 に伴う自家消費の増加や、データセンター等の重要施設のバックアップ電源としての利用を目的とし て、増加する。定置用のうち、系統用蓄電池の需要は、再生可能エネルギーの利用が拡大すること に伴い、電力系統の安定化に資する調整力として、増加する。定置用蓄電池と同様に、車載用蓄電 池も、調整力として使われる。 <世界全体の供給構造の変化> ⚫ 蓄電池は、研究開発の進展により、①コモディティ化が進み、価格競争になる製品と、②技術優位等 が確保されて高い付加価値を提供する製品に、二極化する。 ⚫ ⚫ ⚫ ⚫ 車載用蓄電池は、政策的支援を受けて、供給力の拡大や研究開発が進む。液系リチウムイオン電 池がコモディティ化するとともに、LFP 等の低価格な電池の性能が向上し、世界的な価格競争が激 化する。全固体電池は、研究開発により実用化され、供給が進む。さらにその次の世代の電池とし て、エネルギー密度のさらなる向上や、資源制約やコストの低減といった観点から研究開発が進めら れる。 定置用蓄電池は、供給力の拡大や研究開発により、コモディティ化が進むため、価格競争になる。そ の一方で、最終製品のニーズ・要求性能に合わせて、リチウムイオン電池に限らず多様な蓄電池の 導入が進むとともに、価格のみならず、蓄電池の安全性や持続可能性といった観点を評価する動き も進む。 また、車載用、定置用蓄電池ともに、先進国を中心とした環境規制を背景に、CO2の追跡や人権・環 境への配慮が求められる。並行して、国際的な算定ルールや第三者検証の仕組みが構築される。 企業はデータ連携基盤の活用により、関係業界と連携しながら、蓄電池のサプライチェーン全体での CO2排出量や人権・環境への配慮状況等を把握する。 さらに、車載用、定置用蓄電池ともに、原材料の鉱物資源が特定の国への集中や高騰化を背景とし て、鉱物資源・材料の確保が供給力に必要な要素となる。企業は上流資源の権益の確保に加えて、 蓄電池のリサイクルシステムの構築・リサイクル技術の向上に注力する。 <日本の事業構造の変化> ⚫ 日本企業は技術優位で液系リチウムイオン電池の初期市場を確保したが、外国企業が政府支援も 背景に急速に供給を拡大し、関連産業・企業に対する誘致・投資競争が激化する中で、シェアは低 下傾向にあった。液系リチウムイオン電池市場が当面続くことが見込まれ、このままでは日本企業が 疲弊して市場から撤退し、蓄電池を海外に頼らざるを得ない状況になる流れであった。このため、我 43 が国が競争力を持った形で蓄電池製造サプライチェーンを強靱化するために、蓄電池・部素材・製造 装置に対する大規模な設備投資・生産技術開発支援やグローバルアライアンスの形成、次世代技 ⚫ ⚫ ⚫ ⚫ ⚫ ⚫ 術の開発、人材育成支援等を実施。今後も官民が一丸となって蓄電池産業の競争力強化を進める ことができれば、企業による設備投資が進み、蓄電池産業戦略(2022 年8月)で策定した目標(2030 年までに国内の製造基盤 150GWh/年、グローバルの製造能力 600GWh/年の確保)を達成するな ど、必要な蓄電池の供給力を確保する。さらに、全固体電池は技術優位な製品であるため、経済安 全保障の観点から、機微技術の流出を防ぎつつ、国際市場において高い付加価値を獲得する。 車載用蓄電池は、DX を活用したデータ連携基盤により、蓄電池のサプライチェーン全体での CO2 排出量や人権・環境への配慮状況等をグローバルに管理する仕組みを構築することで、国際市場に おいて競争力を維持・向上させる。 定置用蓄電池は、特に、系統用蓄電池や、データセンター等の重要インフラのバックアップ電源用蓄 電池について、経済安全保障の観点から、国内で使用されるものは国内拠点での製造が進む。 これらの蓄電池の製造装置メーカーは、コスト・納期等の観点から競争力を高めるため、アライアン スの構築等による企業間の連携が進み、生産規模を拡大する。 また、蓄電池に用いる重要鉱物は、経済安全保障や資源循環の観点から重要であるため、上流資 源の権益を確保する取組に加え、調達先の多角化や製錬工程の国内基盤の確立、蓄電池の回収を 効率的に行う技術や仕組みの導入が進む。 こうした蓄電池関連産業が発展する中、産業集積が進んだ地域では、産官学がより密接に連携して 成長のボトルネック解消に努めることで、産業競争力を強化する。 また、蓄電池の製造能力を確保するため、バッテリー人材の育成・確保の重要性が高まり、研究から 現場まで蓄電池に係る人材全体の底上げが進む。 44 (4)産業機械・ロボット ポイント     工作機械や建設機械、産業用ロボット等の需要は経済成長とともに伸び続ける。カーボンニュート ラルへの移行や、国内労働力不足を補うための省力化投資が新たな価値となる一方、地政学的 な緊張の中で、経済安全保障の枠組み等に基づくサプライチェーン増強が進む。 ロボットでは、新規ユーザー市場の拡大が進む中、領域の分離が進み、データに基づく生産工程 の最適化を行うツールとしての役割が拡大する。ロボット SIer 不足に対応した開発が加速する。 AI 技術やセンシング技術を持つベンダーやスタートアップとの協業が増加し、工場全体を最適化 するための機器間データ収集・標準化や、中堅中小製造業のビジネスモデル変革が進む。 サービスロボットの市場が大きく拡大し、これらの効率的な制御等を実現するため、AI 等のソフト ウェア技術に強みを持つ企業の参入が加速する。 (産業機械・産業用ロボット) <世界全体の需要構造の変化> ⚫ 2040 年頃においても引き続き世界における工作機械、建設機械、空調機器、計測・分析機器とい った産業機械や産業用ロボットの需要は経済成長と共に伸び続け、海外需要の獲得を企図したこ れらメーカーのグローバル進出が加速する。 ⚫ カーボンニュートラルへの移行に対応した GX 機器のニーズ高まりにより、建設機械の GX 化 (EV、合成燃料、水素)や、水素・アンモニアの利活用に対応した重電機器(ガスタービン等)の導 入が国内のみならずグローバルに進む。加えてグローバルサウスに代表されるアジア・アフリカ地 域では、省エネ性能の優れた日本の空調機器(ヒートポンプやボイラ)、モータやコンプレッサ等の 汎用産業機械の普及が進み、こうした機器単体での市場の広がりとともに、消費者ニーズを捉え たデジタル対応の進展に伴う価値源泉のシフト(サービス化)に対応した企業が市場で優位性を 持ち続ける。 ⚫ 国内に目を転じれば、2040 年頃には現在より労働生産人口が約2割減少する中、人材獲得競争 が激化し、人を雇って製品を造ることは困難となるため、各製造業においては、産業用ロボット等 をはじめとする省力化投資により生産性を向上させ、賃金上昇などの従業員への待遇改善を行 わなければ生き残れないとの危機感が高まり、人口減少に伴う労働力不足を補うための産業機 械・産業用ロボットの需要が拡大する。これを受けて、あらゆる業種の省力化に対応することが可 能なロボットシステムへのニーズも高まり、生産や品質管理等の様々なデータを活用した機器間 連携や新たな生産システムの開発を加速化させるプラットフォームの構築が進む。 ⚫ ロボットに関しては、大手自動車メーカーや半導体メーカーといった既存のユーザー市場のみなら ず、中堅中小企業や食品製造業者など新規ユーザーによる市場が拡大する。前者の市場では、 現在ではロボット化が困難な作業(例えば、ワイヤーハーネスの配線・組立作業)において、高度 な AI 技術やハンドリング技術の確立により自動作業化が実現し、後者の市場では、ロボット自体 の高い精度よりも、圧倒的にユーザーフレンドリー(例えば、導入がしやすく、オペレーションが手 軽)なロボットシステムであることへとユーザー価値がシフトする。加えて、ロボットに対しては、単 に自動化・省力化を実現する装置からロボットやその周辺機器等から得られるデータを活用した DX 化ツールという価値が重視される。 45 <世界全体の供給構造の変化> ⚫ 他方、地政学的な緊張が今後も続き、各メーカーにおいてはサプライチェーン上の脆弱性や潜在 的なリスクを軽減する必要性が高まっている。このため、経済安全保障の枠組み等により、安定 供給に向けた生産能力強化、研究開発が官民一体で行われ、高性能工作機械や産業用ロボット において、精度や品質に関わるコア部品や技術の国内サプライチェーンの増強、適切な技術情報 管理等が進み、競争上の優位と自律性が維持され続ける。 ⚫ 海外市場の獲得を企図して企業の経営がグローバルになるにつれ、地域・事業・人材の多角化 や、投資家や需要家による GX や ESG、持続可能性、供給信頼性といった新たな価値軸に対応 した経営が求められる。また、グローバルサウスにおいては、例えば空調機器等において製造時 や保守時のルール形成や人材育成等の取組を官民一体で行うことで、現地進出が一層促され、 日本の製品のシェアがますます高まっていく。 ⚫ ロボットに関しては、生産現場における高い生産性を可能とするため、伝統的な競争軸である精 度・耐久性・安定性を徹底追求する領域に加えて、世界のあらゆる生産拠点において生産の早期 化を可能とし、熟練者でなくても操作が可能となるロボットシステムが求められることから、設計導 入の容易さや使い勝手に重きを置く領域が生まれる。業界企業間または企業内においては、両 者の棲み分けが顕著になっていく。 ⚫ 競争軸が相対的に変化していく中で、産業機械・ロボットの提供価値に関して、現場から収集され るデータに基づいた生産ラインの最適化や工場全体の高効率化のためのツールとしての役割が 大きくなる。 ⚫ また、需要が爆発的に拡大する中で、ロボット SIer が不足し、SI 人材の獲得競争が激化するとと もに、SI コスト(工数)を低減するためのロボットシステムや SI 技術の開発が加速する。 <日本の事業構造の変化> ⚫ 国内人材不足に対応した圧倒的な省力化投資(ロボット、工作機械等)が進む。爆発的な省力化 投資増に対応するために、個別最適の一品モノのロボットシステムを作り上げる技術よりも、横展 開が容易で、汎用的・拡張性を向上させたロボットシステムの開発が進む。 ⚫ 産業機械・ロボットによる省力化投資と並行して、付加価値の源泉は、工場全体を一元的にシス テムとして設計でき、最適化できることに移る。具体的には、各機器の稼働データや動作データを 効率的に収集して、歩留まりの向上や機器の予知保全、製品の不良検知やトレーサビリティの確 保、ワークやラインの変更に即時対応できるフレキシビリティといった生産システムの最適化・高 度化が提供価値となる。 ⚫ 加えて、生産システムの最適化・高度化のみならず、製品の設計から、製造、検査、出荷までの すべての工程の最適化・高度化を可能とするハイパフォーマンス DX を実現するため、IT とロボッ トシステムの融合も進むことから、IT までをもインテグレートできるロボット SIer が拡大していく。ま た、未導入領域におけるロボットの浸透、拡大に伴って、ロボット動作を補完・補強する AI 技術や センシング技術を有するベンダーやスタートアップが台頭し、ロボットメーカーとの協業やオープン イノベーションが加速する。 ⚫ こうした価値の実現にあたっては、工作機械や検査機器、ロボット(アームロボットや AGV 等)とい った種々の機器間で均質的な動的データをリアルタイムで収集することが求められ、機器自体も 他の機器とつながることが価値提供の前提となる。そのためには、各機器に備わっているセンシ ングやデータ生成・送受信の方法(拡張子や通信 I/F)について一定の標準化が必要となる。 46 ⚫ こうした価値提供がなされることを前提に、現場の動的データをリアルタイムで収集・分析して、生 産システムの最適化に係る提案を一連で行うことを可能とするアプリケーション開発を促進するプ ラットフォーム(ものづくり OS)サービスが実現するとともに、こうしたサービスを採用して現場で実 装する上では、現場責任者に加えて、経営陣におけるデータ経営リテラシーが求められる。 ⚫ また、こうした現場の動的データの蓄積を前提とするプラットフォームの実現は、セットメーカー (Tier0~1)のグローバル展開の後押しとこれを支える中小製造業(Tier2~3のサプライヤを想 定)の新たなビジネス機会創出にも貢献する。例えば、設計から製造、検査までが自動化・データ 化されていることで、遠隔監視による生産管理や品質確認が可能となる。こうした仕組みは、今 後、国内サプライヤーの人手不足が加速する中で、Tier0~1メーカーが海外生産を拡大する際 に、現地においても既存サプライヤー(Tier2~3)の技術を再現し、品質や生産性を維持すること が可能となる。サプライヤーにおいては、データビジネスという新たなビジネス機会の創出につな がる。 ⚫ 更にこうしたプラットフォームの構築に加えて、遠隔通信技術や AI による現場の状態監視といっ た関連技術の深化に伴い、例えば、国外に立地する生産ラインであっても、本社等中央組織が監 視・コントロールを行うことで、国内の生産拠点と同等の生産性や品質を可能とするロボットシステ ムの実現が期待され、トラブル発生時には遠隔で復旧作業に対処するといった、グローバルな自 動生産ラインも実現される。 (サービスロボット) <世界全体の需要構造の変化> ⚫ 人口減少に伴う省力化需要や危険作業の代替需要から、飲食、小売、宿泊、物流、介護、建設、 農業等1次産業等の多岐にわたる産業において、様々な用途・機能のロボットが必要とされる。こ うした適用領域の拡大により、産業用ロボットを超える成長市場となる。 ⚫ これらの領域で用いられるロボットは、「人との共存」が実現されることが求められる。ともに働く人 の言葉(自然言語)を理解し、自律的かつ的確に判断・動作することで、人と一緒に作業を行った り、サービスを提供したりすることが可能な AI ロボットの実現と、そうしたロボットを様々な領域で 活用できるためのロボット制御 OS の構築が求められる。 ⚫ その一方で、ICT や通信技術の深化がロボットの遠隔操作の適用範囲を飛躍的に拡大させ、ロボ ットの社会実装を推し進めるに留まらず、各産業における従業員の働き方や雇用の在り方をも変 革させる。例えば、AI ロボットを現場の顧客等とのコミュニケーションツールとしつつ、ロボットオペ レータが遠隔でサービス支援を行うことで、働く場所や能力を問わずに、質の高い作業やサービス を提供することも可能となる。 <世界全体の供給構造の変化> ⚫ 現在実装が先行する、配膳や清掃、警備といった「移動・走行」を主たる機能とするロボットに加え て、AI による高い認識・判断能力を備えつつ、人のような「作業」を行うための機能を持ったロボッ トの提供が求められる。 ⚫ 「移動・走行」に特化したロボットはコモディティ化していき、競争軸はロボット単体の機能から、建 物等の設備との連携や異なるメーカー・用途のロボットを同時制御する機能へと移る。こうした仕 組みを安価・簡易に実現するために、ロボットフレンドリーな環境整備が一層進むこととなる。 ⚫ 人のような「作業」を実現するロボットでは、低価格かつ操作性が高いマニピュレーション機構や人 と共存するための安全でソフトなハードウェアが求められる。また、複雑な作業を可能とするため 47 に高度な AI 技術と融合が一層進むこととなり、ロボットメーカーよりも AI 等ソフトウェア技術に強 みを持つ企業の参入・台頭が加速する。 ⚫ 加えて、AI ロボットの実現が進むにつれて、自然言語による判断や動作を可能とするためのマル チモーダルな基盤モデルを中心としたロボット制御 OS に付加価値が移行する。そうした OS の出 現により、様々な領域を対象としたロボットアプリケーションの開発と導入が加速していく。 <日本の事業構造の変化> ⚫ 「移動・走行」及び「作業」のいずれの領域のロボットにおいても、通信技術や AI 技術を有する企 業に競争力の源泉が付されることとなり、こうした技術の獲得競争が苛烈化する結果、ロボットメ ーカーにおいてもそうした技術を有するスタートアップ等との協業が加速する。また、基盤モデルを 含む AI 等ソフトウェア領域の開発が国内外で活発化する中で、ハードウェアを含めたアプリケー ションやそれらを用いたサービスモデルをいち早く開発・実装できるプレーヤーが競争力を持つ。 ⚫ 他国に先駆けて新市場を形成・獲得するためには、開発技術が一定程度確立した段階で市場に 投入し、ユーザーからのフィードバックと技術・製品の改良を繰り返すことで完成度を高めていく、 「ハイサイクル・イノベーション」を実現する社会システムの実現が求められる。 48 (5)航空機・次世代空モビリティ ポイント ・ ・ ・ 機体事業では、今後拡大する単通路機市場において、サブシステム及びビジネスのインテグレー ションにも関与する形で共同開発へ参画する。また、脱炭素化に向けた環境新技術を次世代航空 機に対して適用する。エンジン事業においては、先行する技術開発や製造の効率化、国内サプラ イチェーンをレバレッジとして、概念設計等の上流工程から海外 OEM と共同し、プログラム全体で の主導権を確立する。 我が国が強みを有する分野において航空機サプライチェーンの国内構築を進めるとともに、グロー バルサウス諸国を含むアジア太平洋地域において現地進出を進め、国際的なサプライチェーンを 構築する。 AAM(Advanced Air Mobility)等の新興市場をきっかけとした他産業の巻き込みや、Additive Manufacturing をはじめとする革新的技術を有するスタートアップの新規参入を促進する。 <世界全体の需要構造の変化> ⚫ 世界の航空旅客需要は、年率3~4%で増加し、今後 20 年間で約2倍までに達する見込み。世界 の民間旅客機の新規販売額は、2041 年時点では約 26 兆円/年(2016~2018 年平均では約 16 兆 円/年)、となると予測されるなど、大きな成長性が見込まれる産業。旅客需要の増加を背景に、航 空機製造、整備(Maintenance)、修理(Repair)、オーバーホール(Overhaul)(MRO)をはじめ航空輸送を 支える様々な事業において大きな成長性が見込まれる。 ⚫ 具体的な市場規模は、世界の民間航空機の新規販売額ベースで、単通路機は 8.6 兆円/年(2016 ~2018 年平均)が 16.5 兆円/年(2041 年時点)、双通路機は 7.7 兆円/年(2016~2018 年平均) が 9.9 兆円/年(2041 年時点)に成長すると試算されている。また現状は、一部の国が世界の主要 航空機の開発製造を支えている状況であり、航空機の開発製造を可能とする事業環境、産業基盤を 維持・獲得することは我が国の経済安全保障、産業競争力を高める観点からも重要。加えて、我が 国の安全保障を担う防衛航空機とのシナジー効果も期待できることから、共通基盤となるサプライチ ェーンの発展・強化など、民防双方での取組が重要である。 (GX) ⚫ 国際線の二酸化炭素排出に関する規制は、2050 年カーボンニュートラル達成の目標が合意されて いる(2021 年 10 月国際航空運送協会(IATA)、2022 年 10 月国際民間航空機関(ICAO))。航空業 界における 2050 年カーボンニュートラルの達成に向けては、Sustainable Aviation Fuel(以下「SAF」 という。)の導入に向けた取組とともに、新技術の導入、運航方式の改善に係る取組が加速する。現 行の機材では目標達成は困難であり、新技術の適用が必要となるが、こうした変化は我が国にとっ ても競争力強化の機会となる。 <世界全体の供給構造の変化> ⚫ ロシアのウクライナ侵攻等に伴う物流・原材料コストの増加や特定国への依存からの脱却の動き、コ ロナ禍で大幅に縮小した労働力の回復の遅れによる部素材の不足等といった状況変化を受け、一 定の供給能力を有する企業による安定供給の価値が増大。 (GX) 49 ⚫ 航空分野の脱炭素化は、SAF、運航方式の改善、新技術導入(水素利用、電動化率向上、革新的な 燃費向上等)といった多様な選択肢の組合せが必要であるため、新たな国際アライアンス、他産業プ レーヤーの活躍、運航・インフラを踏まえた一体的取組といった産業構造変革が起きる。 (DX) ⚫ 航空機開発は、部品点数が約 300 万点(自動車の約 100 倍)に及ぶなど極めて高い複雑性を有し、 厳しい安全要求を満たさなければならないため、開発における手戻りがスケジュールやコストを圧迫 している。DX によるプロセス革新が求められる。 ⚫ こうした中、航空機の設計は、製品設計前にシステム上で製品全体を評価・解析し、開発の上流段 階で全体の適正な設計を行う MBSE(Model- Based Systems Engineering)等のデジタル技術活用な ど、航空機開発における DX が進展する。 <日本の事業構造の変化> ⚫ 海外機体メーカーによる双通路機開発を中心に Tier1サプライヤーとして成長してきた我が国が、市 場が拡大する単通路機市場へも参入する。具体的には、機体事業では、環境新技術を採用した単 通路機開発において、サブシステムのインテグレーションやビジネスのインテグレーションに関与、あ るいは主導する形で共同開発へ参画し、成長する単通路機市場を取り込む。また、脱炭素化に向け た環境新技術について、次世代航空機への適用を進める。 ⚫ また、エンジン事業においては、超高効率推進システムやハイブリッド電動推進システム等の先行技 術開発や製造効率化、国内サプライチェーンの強靱化等をレバレッジとして、概念設計等の上流工 程から海外 OEM と共同し、プログラム全体での主導権を確立する。 ⚫ ⚫ ⚫ 航空機サプライチェーンについては、我が国が強みを有し供給に重要な役割を果たしているものなど について、国内で戦略的に構築を進めるとともに、グローバルサウス諸国を含むアジア太平洋地域 において、既存事業の延長に留まらない現地進出や JV(ジョイントベンチャー)設立を進め、国際的 なサプライチェーンを構築し海外市場における成長機会を獲得する。 AAM(Advanced Air Mobility)等の新興市場をきっかけとした他産業の巻き込みや、Additive Manufacturing をはじめとする革新的技術を有するスタートアップの新規参入を促進する。 環境新技術の導入に伴って必要となる新たな試験設備は、関係者で協調的に整備するものと各社 が個別に整備するものを整理し、国内全体で合理的な設備投資が実施される。 50 (6)宇宙 ポイント    技術革新や量産化によるロケット・衛星の低価格化に伴う宇宙機の急増や高性能化により、宇宙 からの通信・地球観測・測位といったサービスが民主化し、産業社会に敷衍する。 モビリティ産業、土木・建築・インフラ産業、農林水産業、海洋産業等の DX や、宇宙からの環境モ ニタリングによる GX の促進、戦略的高地である宇宙の安全保障利用が一層進展。 2040 年時点で、現在の約 56 兆円から約 150 兆円へと 3 倍程度に国際市場が成長。日本政府と しても、2020 年に4兆円となっている国内宇宙産業の市場規模を 2030 年代の早期に 8 兆円まで 拡大することを目標に掲げている。 <世界全体の需要構造の変化> ⚫ ⚫ 衛星通信サービス等の広がりにより人工衛星や宇宙輸送(ロケット)への民需が拡大するとともに、 安全保障ニーズの高まりにより、官需も拡大。官も自主開発のみならず民間からのサービス調達を 志向する流れに。 特に民需については DX、GX、官需については経済安全保障(・安全保障)、それぞれの文脈におい て、需要が急拡大。 ➢ DX: 安価かつ高性能な衛星群(通信、地球観測、測位)が、他産業の DX(例えば、高頻度地図 作成、Beyond5G/6G 通信、自動運転、インフラ監視、海洋状況把握 等)を促進。また、宇宙、成 層圏プラットフォーム、空飛ぶクルマ、ドローン、地上システム、海洋システム等が多層的につな がる非地上系ネットワーク(NTN)が進展し、新たな通信需要が創出される。 ➢ GX: 地球観測衛星からの CO2、メタン等の GHG 排出状況の監視が高度化・高頻度化し、モビ リティ、工場、プラント等から排出される GHG 監視及びこれに伴う様々な環境ビジネスが進展。 また、森林、泥炭地、ブルーカーボン等の吸収・排出源の監視も高度化・高頻度化し、カーボンク レジットビジネスの高信頼化や排出削減を促進。SDGs 投資先に宇宙分野が組み込まれる。 経済安全保障: 安全保障分野では、従前から行われている高度な衛星による他国の情報収集 や測位サービスの提供に加え、極超音速ミサイルの探知・追尾、船舶等の海洋状況のリアルタ イム把握、高速・大容量の光通信インフラの提供など、安全保障分野における宇宙利用が一層 進展。また、宇宙インフラが新たな経済社会の重要インフラとして多様な産業・組織に広く利用さ れるようになる。こうした観点から、各国・地域において宇宙アセットの国産化や同盟国間での連 ➢ 携・共有を進める傾向が見込まれる。 <世界全体の供給構造の変化> ⚫ 2000 年代以降、SpaceX に代表されるような民間企業による軍民デュアルユースの宇宙ビジネスが 勃興。最先端のテクノロジーが官ではなく民から創出されるようになり、特に近年、「官」主導から 「民」主導への移行が本格化。再利用可能ロケット、小型衛星コンステレーション等の技術革新によ り、宇宙へのアクセス、宇宙利用が拡大。大規模な投資が必要な宇宙サービスが民間ビジネスとし て供給されるように。 ⚫ 世界的に宇宙ベンチャーがさらに増加。また、宇宙企業と非宇宙企業(自動車、通信、電機、半導 体、AI、エネルギー、金融等)との協業、M&A、技術交流が進展。これらの新たなプレーヤー群によ り、さらなる技術革新、ビジネス化が進展。2040 年までには、プレーヤー毎の競争力の差がより顕著 になることが予想される。 51 ⚫ ⚫ この先には、グローバル市場を獲得するロケット企業、衛星コンステレーション企業(通信、観測等)、 衛星運用・地理空間データプラットフォーマー、軌道上サービス企業、宇宙状況把握(SDA)企業、キ ーコンポーネントメーカ等と、これらの垂直統合、他産業との水平統合、プラットフォーマーの出現が 予想される。 宇宙は安全保障上重要な技術・ビジネスであるため、他国に比べて競争力が劣後しても、一定程度 は国が支援して自国・自地域での技術・ビジネス化を目指す動きが続くことが見込まれる。しかしな がら、安価で高品質なサービスを求めるユーザー側の圧力により、政府が支援をしても生き残れな い企業が多くなり、結果的に宇宙活動の自立性を失う国が現れる可能性がある。日本が宇宙活動の 自立性を失った場合、我が国の安全保障や経済・社会に不可欠なインフラを海外に依存することとな り、安全保障上のリスクを抱えることに加え、デジタル赤字と同様に新たな貿易赤字をつくることとな る。 <日本の事業構造の変化> ⚫ 日本の宇宙企業は今後一層、熾烈な国際競争にさらされる中で、国際競争で勝ち残る意思、技術及 び事業モデルを有する企業群のみが競争を生き抜く。 ⚫ こうした企業群のみが、国内外の安全保障ユーザー、政府機関、民間企業等からのサービス調達等 により投資資金を得て、更なる技術革新を行うという好循環に入ることができる。 52 (7)素形材 ポイント  素形材における新たな技術との融合や新陳代謝が加速し、個社の競争力が高まる。GX・DX 等の 投資を進め、日系 OEM 以外を含めた拡大するグローバル需要を捉える取組が加速する。 <世界全体の需要構造の変化> ⚫ 素形材は、今後、自動車、産業機械・ロボット等の需要の拡大、高付加価値化の動きと共に、それら を支える多種多様なニーズが高まる。 ⚫ グリーンであることが製品に求められる一方、非グリーンの需要も残存する。 ⚫ グリーンな素形材製品は、CN の動きを受け、先進国を中心に規制を起因として、需要が高まる。欧 州の自動車向けを中心に CO2ゼロを求められるようになり、精度よく、早く、安く製造・供給するとい ⚫ う素形材の価値そのものが変化していく。 非グリーンな素形材製品は、先進国の一部の内需向け製品や、途上国を中心に需要が存在する。 産業機械・ロボットなど、国内製造に競争力を有する分野や、経済安全保障上の観点から重要な金 属部品は、国内製造の需要が高まっていく。 <世界全体の供給構造の変化> ⚫ 企業は、①高付加価値製品・コモディティ、②グリーン・非グリーンの2軸を基に事業活動を行う。 ⚫ 高付加価値製品の供給体制は、精密加工等による高機能部品、単一加工部品から複数加工部品、 部品を組み合わせたモジュールなどに移行し、グリーンの付加価値を上乗せする。これらの供給力 ⚫ ⚫ ⚫ を確保した企業が優位性を獲得する。 欧州企業は、潤沢な再生可能エネルギーを背景にグリーンな金属部品の供給を行う。 汎用製品は、コモディティ化し、グリーンの付加価値が限定的にしか効かない。 非グリーンな製品の供給は、合理的な企業行動の観点から、供給量で勝負するコスト競争となる。そ のため、先進国の内需産業向けの需要には、先進国内で生産し、途上国需要には、現地生産で対 応することが中心となる。現地企業の供給体制が整い、競争が激化するため、高付加価値化、生産 性向上等が一層求められる。 <日本の事業構造の変化> ⚫ ⚫ ⚫ (日本の事業構造) 人手不足等の課題に対応するため、自動化等の成長投資を持続的に行う企業が増加する。 2040 年頃の日本企業は、EV や e-fuel 車等の自動車分野に加え、航空宇宙・エネルギー等の分野 において、最終製品に求められる価値提案力と、それを実現する革新的な部品性能が求められ、そ れらを実現する企業が付加価値を獲得する。そうした中で、金属3D プリンタ等の新たな製造技術の 取り込み、現状の強みでもある職人のノウハウのデジタル化等が競争力を担保する上で重要とな る。 国内外とも、2040 年頃にはグリーンが市場の参入前提となるため、高付加価値製品にグリーンの付 加価値を上乗せするための供給体制を確立する。例えば、工業炉の電化・ゼロエミ燃料化に加え、 サプライチェーン全体での最適な生産管理と同時に、CO2排出量データの把握等に必要な DX 化な どを行う。 53 ⚫ ⚫ ⚫ ⚫ ⚫ ⚫ 経済安全保障の観点から、重要部品の品質を左右する精密鋳造や、品質面を決めるだけでなく設 計情報ともいえる金型等において、情報管理の体制と一層の生産性向上が求められることになる。 そうした中で、サプライチェーンの最適化を踏まえた企業統合・企業間連携等も進む。 海外では、自動車製造等の需要を取り込むため、日系 OEM の供給体制と連動して、輸出向け製品 のための国内製造と共に海外での現地生産も進め、更に海外 OEM への部品供給に発展させていく ケース等が増加していく。 (グリーンの供給体制の制約) 日本の特性として、安定的で安価なクリーンエネルギーの供給量と人手不足という制約要因があ る。 そのため、企業が新たに工場を建設する際には、安定的で安価なクリーンエネルギーの供給力が相 対的に多い地域かどうかが重要な考慮要素となる。 また、人手不足により、DX による素形材製品の製造プロセスの効率化が必須となるため、これまで 以上に DX を進める人材の活躍が求められる。 2040 年頃までは、国内の限られた安定的で安価なクリーンエネルギーを DX とマスバランス方式で 活用し、グリーンな素形材製品が製造される。 54 (8)化学 ポイント    コンビナートに立地するナフサ分解炉の統廃合により、稼働率を適正化し財務状況を筋肉質にす ることで、国際競争をリードしていく素地にしていく。 ナフサクラッカーの再編と並行して、国内需要に必要なエチレン、プロピレン等の基礎化学品を安 定的に生産・供給するとともに、国際的な脱炭素化の動向も見極めつつ、付加価値の高い機能性 化学品で外需を獲得し、国際競争力を高める。 中国の輸出規制や国内での震災を契機に、継続的かつ安定的に素材供給することは、もはや当 たり前ではなく付加価値領域。サプライチェーン全体としてその考えを認識し、必要な対価を支払う ビジネススタイルにしていくことが必要。 <世界全体の需要構造の変化> ① 自動車や半導体、電池等の分野を中心に、その部素材となる機能性化学品の需要が高まる。特に、 世界的な脱炭素化の取組の進展に伴い、欧州の自動車向けを中心に CO2排出ゼロを求められつ つあり、EU を中心とした規制を起因として、グリーンな機能性化学品の需要が高まる。Apple や Amazon 等の世界の主要グローバル企業も、産業部門の脱炭素化と市場創出のために、グリーンな ⚫ 化学製品の需要を支える。 他方で、比較的安価な生活物資に活用される基礎化学品については、先進国・途上国問わず、非グ リーンな需要が残存する。 <世界全体の供給構造の変化> ⚫ 企業は、①高付加価値な機能性化学品・汎用的な基礎化学品、②グリーン・非グリーンの2軸を基に 事業活動を行う。 ⚫ 世界的な脱炭素化の取組により、高付加価値かつグリーンな化学製品の供給力を確保した企業が 競争優位性を獲得することに繋がるため、企業は機能面で高付加価値な製品を中心にグリーン化 学製品を製造・供給する体制に移行する。特に、自動車や半導体、電池等の部素材の高付加価値 な製品の製造の際に、燃料転換や原料転換を行うことを通じて、グリーンの付加価値を上乗せする。 ⚫ 研究開発や製造プロセスにおいて DX が進展。AI 等を活用して化学品の開発を行うマテリアルズ・イ ンフォマティクスが進展し、研究開発の効率性が飛躍的に向上する。製造時には、プロセスの最適化 ⚫ と CO2排出量の管理を、最終需要に応じて効率的に行われる。 企業立地は、経済安全保障の観点から、技術優位な機能性化学品を中心として、本社機能がある 自国内で行われる。 <日本の事業構造の変化> ② 今後の脱炭素化を見据え、化学製品の大元であるナフサ分解炉の統廃合を行い、稼働率を適正化 し財務状況が筋肉質に。 ③ エチレンなどの基礎化学品の国内生産・供給については、国内需要に必要な量に適正化を図る。 また、中国において 100 万トン超の大規模なエチレン生産設備が新設・稼働する状況を踏まえると、 基礎化学品の輸出はコスト競争力の領域になる。よって、グリーン・非グリーン問わず、アジアの途 上国を中心に、輸出ではなく現地生産に向けたエンジニアリングやライセンスなどで外貨を獲得。 ④ 高付加価値な機能性化学品については、国際的な脱炭素化の動向も見極めつつ、脱炭素化を図る 生産・供給体制に移行し、引き続き、グローバルシェアの高い半導体部素材等の領域で外需を獲得 55 する。具体的には、自家発電の燃料を石炭からガス、将来的には水素・アンモニア等に転換すること に加えて、原料をナフサからバイオエタノールや、廃プラに転換することを通じて、基礎化学品の脱 炭素化を図り、グリーンの価値を機能性化学品に付加する。こうすることで、輸入材であるナフサの 資源制約の低減にも繋げる。 ⑤ 中国の輸出規制や日本国内での震災を契機に、継続的かつ安定的に素材供給することは、もはや 当たり前ではなく付加価値領域。基礎化学品メーカー、誘導品メーカー、川下領域の自動車や半導 体メーカーなどサプライチェーン全体としてその考えを認識し、安定供給に必要となる対価を支払うこ とで共存共栄を進めるビジネススタイルを構築する。 ⑥ 基礎化学品の工場立地については、国内需要対応は自国のクラッカーを活用し、アジア中心とした 需要対応は現地生産。 ⑦ 機能性化学品については、基礎化学品メーカーと誘導品メーカーに加え、川下である自動車や半導 体メーカーとのすりあわせが必要であり、かつ、脱炭素化も求められる領域。また、技術流出がない よう慎重に対応することが必要であり、それらを勘案した工場立地を行い生産。 (グリーンの供給体制の制約) ⑧ 日本の特性として、安定的で安価なクリーンエネルギーの供給量と原料・人手などの制約がある。 ⑨ そのため、企業が脱炭素化に向けたプラントを新たに建設する際には、バイオ原料や廃プラの量に 加えて、水素・アンモニア等の拠点を考慮して立地する。 ⑩ また、人手不足により、DX を活用した機能性化学品の研究開発プロセスの効率化が必須となるた め、AI 等を活用したマテリアルズ・インフォマティクスが進展する。 56 (9)鉄 ポイント ・グローバル市場を相手にビジネスを展開する。 ・国内外のグリーン化の進捗のモザイクに的確に柔軟に対応するグリーン供給能力の保持 ・国内生産体制は量的に縮小したとしても最先端技術を生み出す開発・生産機能は保持 <世界全体の需要構造の変化> ⚫ 【量】国内の鉄鋼需要は、人口減少の影響を受け、建材等の純内需向け需要が減少するとともに、 ユーザー企業の海外現地生産の動きがさらに進む中で、これら企業の輸出製品向けの需要である 内需の減少に伴い、全体として一定程度縮小する。他方、海外における需要は、世界的な人口の増 加や経済成長に伴って汎用品・高級品を含め増加していくため、グローバルなトータルの鉄鋼需要 ⚫ ⚫ ⚫ は拡大していく。 【質】グローバルな需要は、汎用品の需要が拡大するのみならず、GX や DX が世界的に進む中で、 こうした取組を支える、電動車向けのハイテンや無方向性電磁鋼板、エネルギーインフラ向けの厚板 や鋼管、方向性電磁鋼板といった高付加価値な鉄鋼の需要も、先進国のみならずグローバルに拡 大していく。 【新たな価値】カーボンニュートラルに向けた世界的な潮流を受け、例えば、欧州向け自動車の一部 や GAFA 等グリーンな素材使用を志向する企業の取組のように、既にグリーンな鉄製品を求める動 きも進みつつある。さらに今後は、先進国を中心とした規制・制度的措置を起因として、グリーンな鉄 製品の需要が段階的に高まっていく。他方で、国によって削減目標等の政策やビジネスの進捗には 差があり、非グリーンな鉄製品の需要は、相当な期間、残存するため、市場はグリーンと非グリーン との間のデカップリングが進行していく。 【新需要創出】GX や DX の動きの中で、例えば、熱処理不要の鋼材や水素脆化対応鋼材等のよう に、ソリューションを提供する高機能な素材として、高級品を中心に需要の拡大・創出も進んでいく。 <世界全体の供給構造の変化> ⚫ 【競争環境】中国においては過剰生産能力への対応が一定程度進められたとしてもなお巨大な供給 力が維持される。インド等その他の国々においても、経済成長に伴い、高炉の新設も含めて供給能 力の増強が進む。また、欧米の鉄鋼産業は、安全保障や環境等それぞれの政策目的の下で、域外 ⚫ ⚫ からの鉄鋼製品の流入に対し抑制的な政策措置を講じつつある。中国、インド等新興国に最新の設 備が導入される中、日米欧においては、老朽化した設備の刷新を着実に進め、地産地消も含めた競 争力強化の取り組みが進んでいく。 【技術競争力】各国の鉄鋼産業においても、経済が成熟化するのにあわせて、汎用品のみならず、 高付加価値製品の生産技術の向上が一定程度進むことが見込まれ、日本勢との技術競争力格差 は一定程度縮小する。 【グリーン技術】市場のグリーン化が進む先進国等においては、炭素排出がより低い鉄鋼の生産体 制が構築される。その際、従来の、鉄スクラップを用いた電炉生産は、鉄鋼石の還元に伴う炭素排出 が生じず、生産時の炭素排出は低いものの、量的制約から鉄スクラップだけで鉄鋼需要を満たすこ とは困難であり、鉄鋼石の還元プロセスの脱炭素化が必要となるため、水素還元製鉄などの低炭素 な還元製鉄プロセスの研究開発や社会実装の取組みが進んでいく。こうした中で、グリーンかつ高 付加価値な製品が生産できるかが競争上、重要となっていく。 57 ⚫ 【ビジネスモデル】グリーンプロセス転換は、比較的低廉で供給安定性の高い石炭及び鉄鉱石を用 いて高い生産性を確保する能力の差が競争力に大きく影響してきた従来の構図から、グリーン生産 プロセスの技術競争力のみならず、脱炭素・低炭素電源、水素、CCS、良質な鉄鉱石やスクラップ等 を経済的に確保することが、ビジネスの競争力を左右する構図へと変革していく。また、研究開発や 生産、さらにはグリーン製品の供給に当たってのトレーサビリティ管理のためのデータ連携など DX の活用が鍵となる。鉄鋼産業は、単なる加工生産事業から、原料、エネルギーの生産そのものにも 立ち入った総合的な事業として変革できるかが問われることになる。 <日本の事業構造の変化> ⚫ 日本の事業環境には、各ミッションにも記載の通り、将来のグリーン需要の不透明性や、国内の安定 的で安価なクリーンエネルギーの供給制約といった課題等が存在している。こうした課題に対して、 政策的な対応も含めた官民での取組によって、環境価値の高い製品に対して継続的で予見性のあ る需要の創出が見込まれるなど、主要な部分が解決された場合には、下記のような事業構造の変化 が生じることになると想定される。 ⚫ ⚫ ⚫ 日本企業は、上述した国内外の需要面の変化に加え、競合企業の動向や、自社生産能力の状況、 立地競争力等も踏まえて、内外の供給体制の再構築を進めていくことになる。 【グリーン戦略】市場の相当程度のボリュームを占める非グリーン市場向けの競争力を維持・強化し ながら、国内外の市場のグリーン化の進捗スピードに則してグリーン市場向けの供給体制の整備・ 強化を進める。具体的には、市場のグリーン化とも連動する形で、既存のプロセスからグリーンな生 産プロセスへの転換を進める(大規模なものとしては、まずは高炉プロセスから革新的な電炉への 転換)が進んでいく。)。また、革新電炉の他にも、水素を活用した製鉄プロセス(水素還元高炉や水 素直接還元)、CCUS/カーボンリサイクルの活用といった技術的オプションがあり、これらの開発を 進めつつ、転換時点での技術開発の状況や経済性等も見極めながら、適切なオプションが選択され る。その際、再生可能エネルギーが豊富な国等で生産された還元鉄を国内の電炉で活用するといっ たオプションも選択肢となる。 【立地戦略】 ➢ 国内の供給体制については、純内需の減少に伴い国内生産が一定程度縮小することは不可避 ではあるものの、高付加価値な製品やグリーン製品を生産する能力を企業として保持する上で ➢ ⚫ は、研究開発拠点や上工程から下工程まで含めた鉄鋼の一貫生産体制が一定の規模、国内で 構築されていることがその基礎となること等から、国内の供給体制は一定程度のボリュームが 維持される。これにより、技術流出を防止しながら、高付加価値な製品を国内外へ供給すること が可能となる。 国外の供給体制については、これまでは日系ユーザー企業の海外現地生産の動きにあわせ て、日本から輸出された母材等を現地の下行程で製品に仕上げユーザー企業に供給するため の体制が中心であったが、新興国等においては、経済成長に伴って鉄鋼需要が伸長していくた め、M&A も活用しながら、現地での高炉等の上工程まで含めた生産能力を獲得し、現地需要 に応えていく体制が構築される。 【利益還流】現地生産においても、国内で構築した技術を活用した高付加価値製品の生産も技術流 出に十分注意しながら進められる。加えて、国内で構築するグリーン生産プロセス技術を活用するこ とによって、国外市場のグリーン化の進捗に合わせて、現地生産のプロセス転換も進められ、グリー 58 ン製品の需要に応えることも可能となる。こうした海外現地生産活動によって獲得する利益の一部 は、国内に還流し、国内供給体制の高度化に活用される。 59 (10)医療機器 ポイント   我が国に強みのある診断機器に、デジタル技術を掛け合わせたプログラム医療機器(SaMD)で勝 負できるかどうか、アンメットメディカルニーズを解決する機器を事業化できるかが、グローバル市 場でシェアを獲得するためのカギ。 一般論としては、診療報酬の引下げ圧力から国内市場の収益性が低くなる中で、産業力の強化の ためには海外展開が必要であり、世界での競争力を確保するためにも米国展開が必須。国内市 場のみで競争力を高めるのであれば、経済安全保障を題目とする支援により安定供給を確保する 形にならざるを得ない。 <世界全体の需要構造の変化> ⚫ 医療機器産業の市場規模は、先進国の高齢化、新興国・途上国の人口増加と経済発展に伴う医療 ニーズの増加、技術革新等に伴い拡大していく。さらに、医療従事者の担い手不足への対応も必要 になっていく。 ⚫ 先進国(特に米国)市場は、イノベーティブな製品の投入先として引き続きの成長が見込まれる。また、 新興国・途上国市場は、グローバルサウス(アジア・アフリカ)の疾病構造が感染症から生活習慣病 へとシフトすることにより参入余地が拡大するため、大きな伸びが期待される。 ⚫ 一方、治療機器に加え、新たな成長分野として、疾病の治療・診断・予防に直接的に効果を発揮する プログラム医療機器(SaMD:サムディー、Software as a Medical Device)やロボット手術といったデジ タル技術と医療機器を融合した分野が伸びていく。 <世界全体の供給構造の変化> ⚫ 医療機器の研究開発は、一般的にニーズの発掘・コンセプト設定から上市まで5~10 年以上の時間 を要するため、長期的・大規模に行う必要。また、新たな医療機器が市場で受け入れられ、普及する ためには、薬事承認を得るだけではなく、臨床試験等で医療ニーズに大きなインパクトをもたらすこと を実証し、そのエビデンスをもって多くの医療現場で活用してもらうという、「育てる」プロセスが不可欠。 ⚫ 業界の構造は、こうしたリスクの高い大規模な研究開発や臨床試験への投資に耐えうる事業体でな ければ、グローバル競争で戦えないことから、研究開発をスタートアップが担い、製造・販売を医療機 器メーカーが担うという水平分業体制が構築される。そうした中で、スタートアップが開発したイノベー ティブな製品を、医療機器メーカーとの連携によって実用化していくことが一般的なものとなり、さらに はスタートアップが VC から大規模に資金調達を行うエコシステムの形成や、再編統合や海外企業の M&A 等による医療機器メーカーの企業規模拡大が進む。 ⚫ AI 診断等の SaMD のような新たなモダリティが次々に生み出されることで、アンメットメディカルニーズ に効果を発揮する製品が普及するとともに、医療従事者の過重労働や医療コストの増加といった医 療上・社会上の課題が解決されていく。 <日本の事業構造の変化> ⚫ 国内市場は、IT 系の製品を含む高度な医療機器を扱うことができる限られた市場の一つであり、医 療水準が高く医療機器の価値を高めるためのエビデンスを取得できる市場であること等から一定の プレゼンスを持ち続ける。一方、社会保障財政の持続可能性に起因する診療報酬の引下げ圧力から、 価格転嫁が困難であり、海外市場より収益性が低い状況が継続する。そのような中でも、イノベーテ ィブな製品が評価される仕組みの検討が進み、世界トップクラスの国際競争力を有する産業に成長す 60 る。 ⚫ スタートアップが開発するAI診断等の SaMD やアンメットメディカルニーズにアプローチする製品等が 国内外でシェアを伸ばしていき、スタートアップは、医療に新たな価値をもたらすプレーヤーとして、医 療機器産業を牽引する欠かすことができない存在として位置づけられる。 ⚫ 国内の立地環境は、高い医療水準やものづくり技術がそろう環境に加えて、データ取得・利活用環境 の整備や、我が国が国際競争力を有する領域(診断機器/SaMD 等)の研究開発支援により、海外市 場に通用する医療機器を生み出すポテンシャルを維持する。また、部材供給における供給リスクへの 懸念を排除し、高い技術力を背景に部材供給において高い競争力を発揮していく。 ⚫ グローバル市場の獲得に向けた研究開発環境が整備され、米国を中心に海外展開する医療機器メ ーカーが増加する好循環が確立。世界トップクラスの国際競争力を有する産業に成長し、グローバル 市場に向けてイノベーティブな製品を含む医療機器の供給に貢献する。結果として国内の医療機器 の安定供給確保と貿易赤字縮小の両立も図られていく。 61 (11)医薬品 ポイント    医薬品はグローバル開発が基本。より効果的・効率的にグローバル展開をするためには、開発初 期段階から米 FDA 等で承認を得ることも目指すことが重要。 医薬品の上市を最優先に考えている創薬ベンチャーは、資金調達の手段に過ぎない IPO ではな く、大手製薬企業からの M&A を最終的な目標に位置づけるべき。 新規モダリティの CDMO は日本でも育つ可能性が十分にある。特に再生細胞・遺伝子治療の領 域においては勝機。 <世界全体の需要構造の変化> ⚫ 世界的な人口増、高齢化、経済発展により、途上国・新興国を中心にコモディティの需要が、先進国 ⚫ を中心にアンメットメディカルニーズを満たす新薬の需要が、それぞれ拡大していく。医薬品市場の 伸びの大半は、単価の高い新薬が生み出していく。 特に、市場規模は、核酸医薬や次世代抗体医薬品といったバイオテクノロジーを活用した新たな医 薬品(バイオ医薬品)で大きく拡大していく。また世界的には(米国を中心に)、効果が高く副作用の 少ない個別化医療や、根本治療につながる再生細胞・遺伝子治療も普及していくことが想定される。 <世界全体の供給構造の変化> ⚫ 低分子医薬品で標的とすることが出来なかった疾患領域を対象に、バイオ医薬品の開発競争が加 速。一括りにバイオ医薬品と言ってもモダリティ毎(抗体、核酸、細胞等)に用いる基礎技術が全く異 ⚫ なるため、化学合成とは異なる多様な製造技術・ノウハウが必要であり、従来の低分子医薬品と比 べて開発・製造コストが非常に高い。このため、大学・ベンチャーがシーズを探索し、CMO(Contract Manufacturing Organization:医薬品製造受託機関)・CDMO(Contract Development and Manufacturing Organization:医薬品開発製造受託機関)が受託開発・製造し、製薬会社はシーズへ の投資・研究開発マネジメント・新薬の販売というバリューチェーン全体に事業投資を行う、という水 平分業のエコシステムが形成されている。バイオ医薬品市場の更なる拡大により、こうした傾向は今 後も強まっていく。(一部の最先端技術では、製造を内製化する動きもあり、垂直統合モデルが消滅 する訳ではない。) また、デジタル技術の進展や計算能力の増強により、探索研究の効率が非連続的に上昇する。シミ ュレーション精度の向上は新たな低分子医薬品の創出に寄与し、ゲノムと紐づく機能のデータ蓄積・ 分析精度の向上は新たなバイオ医薬品の創出を促す。 ➢ 大学・ベンチャー:アカデミアからは研究者の自由な発想に基づいて革新的な研究成果が生み 出される。論文化や知財化を行う際には、VC や起業家と共に実用化の可能性を検討し、事業 化を目指す場合には適切な戦略の下に行う。ベンチャー企業設立後は、開発パイプラインの価 値最大化のため、グローバル開発と大手製薬企業による M&A Exit を基本戦略とする。 ➢ CMO・CDMO:バイオ医薬品を中心に需要が増加。非臨床試験の段階から治験薬を製造する必 要があり、単純な受託製造ではなく技術開発要素が重要になる。 ➢ 製薬会社:創薬ベンチャーの買収を積極的に行うため、大学や創薬ベンチャーが所在する近隣 に、ビジネス・ディベロップメント(BD)部門を配置。競合に買い負けないために、より早期の段階 から出資等を行うようになる。 62 ⚫ ⚫ また、今回の新型コロナのワクチンや治療薬でも見られたように医薬品の供給を確保することは、経 済安全保障・医療安全保障の観点から非常に重要であり、各国は政府主導の下、原材料・原薬調 達先の分散化や製造拠点の国内回帰へとシフト。有志国との協力体制の構築も重要。 バイオ医薬品製造プロセスにおいては、高度な人材が必要。このため、企業は、国際的に競争力の ある人材(質・人件費)の集積が進む地域に立地する。また、拠点立地の優位性は、大学・ベンチャ ーとの近接性によっても左右されることから、創薬ベンチャーが一定程度集積していることも重要に なっている。 <日本の事業構造の変化> ⚫ 国内市場は国民の医薬品へのアクセスの確保、社会保険料の抑制の観点から薬価の引下げ圧力 によって、海外(特に米国)市場より収益性の低い状況が継続せざるを得ない。他方で、経済安全保 ⚫ ⚫ ⚫ 障・医療安全保障の観点から、国内製造基盤の強化や有志国との協力体制の構築が進む。また、 革新的医薬品の価値に応じた評価方法についても検討が進む。 創薬ベンチャーは、国内だけではなく、米国市場での上市も出口として意識した企業が一定程度集 積。CMO・CDMO は、国際的に競争力のある人材(質・人件費)が集積していることから、国内立地が 進む。製薬会社は、日本国内においても、ビジネス・ディベロップメント(BD)部門の人員増強・刷新を 行い、バイオ医薬品に対応できるチーム編成とすることで、創薬ベンチャーの買収を積極的に行う。 国内大学の医学・薬学・生物学等の分野においては、産業界による博士人材の登用も進み、博士号 取得を基本とした教育体系が浸透する。 結果として、世界有数の創薬エコシステムが国内にも形成され、グローバルな創薬エコシステムの一 部として革新的な新薬創出に貢献する。また、製造設備の立地促進と輸出力が強化され、医薬品の 安定供給にも貢献する。 63 (12)ヘルスケア ポイント  PHR を核に、衣食住に関する様々な製品・サービスが健康を切り口に高付加価値化していく。 <需要構造の変化> ⚫ 健康づくりに対するニーズは、個人のライフスタイルに依拠するため、一括りにできない多種多様な ものであるとともに、足下では潜在的なものだが、世界に先行して進む高齢化と、テクノロジーの活 用により、こうした潜在的な需要が世界に先駆けて顕在化する。 ⚫ 具体的には、高齢者の多くは、自分や配偶者の健康に不安を感じており、既に健康ニーズが顕在化 しはじめている。また、長寿命化を前提とした人生設計の下で、現役世代も将来への備えとして若い うちから健康に投資するようになる。加えて、希望に応じて、定年後も働き続ける(企業から雇用され ⚫ ⚫ る)ためには、健康であり続けることが大きな価値となる。 また、ウェアラブル・IoT デバイスで取得されるライフログを通じて健康アウトカムが見える化され、自 らの健康状態や健康づくりの取組状況をリアルタイムかつ詳細に把握することができるようになる。 企業も、従業員の労働生産性やエンゲージメント向上のための人的資本投資として、従業員の健康 づくりに投資する。特に、女性特有の健康課題に対応し、女性が長く健康に働ける環境を整備する。 ⚫ こうした中で、サプリメント・健康食品から、フィットネス、エステ・リラクゼーション、機能性寝具・健康 志向家電、ヘルスツーリズムに至るまで、衣食住などの日々の生活に関するあらゆる製品・サービス が、健康志向のものに置き換わり高付加価値化されていくことで、健康づくりが、食費や光熱費等の 生活費(固定費)の一環として支出されていくような新たなライフスタイルが構築される。 ⚫ 加えて、人的資本が競争力の源泉となる中で、企業にとって従業員の健康は重要な投資対象とな り、第三者ひいては社会全体での健康への投資が促進され、将来的には個人のヘルスリテラシーの 向上や消費拡大にも寄与する。 <ビジネス供給構造の変化> ➢ ウェアラブル・IoT デバイスにより取得したライフログデータを元に、提供サービスがパーソナライズ 化される。また、データが標準化されることで、取得した PHR を、医療機関や消費者接点を多く持つ 様々な生活関連産業事業者が利用可能となる。また、IT や AI の活用で、時間・空間をとらわれずに 様々なサービスが提供できるようになる。 ➢ ⚫ ⚫ 例えば、SaMD によって自らの生活習慣にフィットした治療が受けられる、遠隔医療や AI 診断といっ た効率的なサービス提供が可能になる、スーパーで買い物する際に、健康データ等を元に取り入れ るべき食材や献立が提案される、フィットネスクラブで、日常の運動量や運動中の身体反応を元に個 別最適化されたトレーニングメニューが提案される、といったことが実現する。 こうしたサービスの提供を通じて、更なるデータの蓄積や活用によって、エビデンスの構築や更なる 個別化が促進され、よりよい製品・サービスが開発・提供される好循環につながる。 こうした中で、衣食住を始めとするあらゆる製品・サービスが、健康を切り口に高付加価値化されると ともに、我が国社会保障制度(国民の健康増進)の一端の担い手となる。 64 (13)介護 ポイント  公的保険財政の制約の下で、民間市場も有効活用しながら、高付加価値化・効率化による生産性 向上で、処遇が改善される。 <需要面の変化> ⚫ 介護に対する需要は、85 歳(※)以上人口の割合が、2020 年 4.9%から 2040 年 8.9%に増加するな ど、高齢者の高齢化の進展で大きく増加する。 ※要介護認定率が5割程度となる年齢(85~89 歳の要介護認定率は 48.1%(令和4年版厚生労働 白書))。 ⚫ 他方で、公的介護保険の自己負担割合や保険のカバー範囲は、社会保障の公平性、保険料に対す ⚫ ⚫ ⚫ ⚫ る負担感、財政の持続可能性といった観点から一定程度見直される(例えば、既に、一定の所得以 上の者の自己負担増、軽度者(要介護1・2)への生活援助サービス等に関する給付の在り方等が議 論されている。)。 また、多様なライフスタイルや健康ニーズを背景に、より良い生活を求めて、公的保険内外のサービ スが組み合わせて活用されるように、現行制度等による費用面(保険内であれば所得に応じて1割 ~3割が自己負担、保険外であれば全額自己負担)や情報面(サービスへのアクセス)などの断絶が 解消され、最適な社会システムの構築がなされていく。 こうした中で、公的保険内で利用可能なサービスのみならず、希望するサービスの質や量などに応じ て、公的保険外のサービスも組み合わせて利用することが一般的になる。 例えば、富裕層を中心とする豪華な外観・内装、質の高い食事等が提供される高級な施設への入居 や、富裕層以外でも、公的保険のカバー範囲を超える訪問介護・生活支援サービス(訪問回数、ヘ ルパーの指名、提供されるサービスの種類等)の利用、フィットネスや通いの場など、社会参画を促 し介護予防につながるサービスの利用が広がる。 さらに、企業にとっては、ビジネスケアラーの増加に伴う仕事と介護の両立困難による労働生産性の 損失や介護離職などが、経営にとって深刻な課題となることから、経営層がコミットする形で、実態の 把握や、それに伴う人材戦略との連携などの対応、情報発信等を通じて、従業員の仕事と介護の両 立を支援する企業等が拡大する。 <ビジネス供給構造の変化> ⚫ 介護人材は、人口減少による構造的な人手不足や介護需要の増大を受け、自然体では、2040 年時 点で約 70 万人分の不足が生じる見込み。 ⚫ このため、ICT 活用や介護ロボットの導入、タスクシフト・シェア、リスキリング等の取組により、生産 性向上が徹底されるとともに、多様な担い手(外国人、高齢者など)が参画可能となる。 ⚫ また、介護事業者に限らない多様な主体が介護関連事業に参入し、地域とも相互に連携することで 公的保険外のサービスも含めたトータルの供給力で高齢者の介護需要を充足する。 ⚫ 例えば、民間事業者は、高齢者のニーズに合わせた家事支援やフィットネスなどのサービスや、公 的保険のカバー範囲を超えた訪問回数や突発的なニーズにも対応できる保険外の訪問介護サービ スなど様々なサービスを提供する。また、PHR 等の活用により、細やかな個人ニーズを踏まえた最 適なサービス内容や、複数サービスの組み合わせなどが実現する。サービスの付加価値も高まり、 従事者の賃金上昇の一助となる。 65 ⚫ ⚫ さらに、地域においては、高齢者が日頃から通う店舗と地域包括支援センターが連携し街ぐるみで見 守りサービスを提供したり、スーパーにデイサービスや集いの場が併設されたり、そうしたハブとなる 場所を起点に移動支援サービスが集約化するなど、地域と民間事業者が一体となって高齢者の生 活を支える体制を構築する。その際、市町村だけではなく、都道府県も関与する形で、地域と民間事 業者等との連携が促進されるような仕組みがそれぞれの地域で構築されてくる。 また、供給主体の裾野が広がっていくのと並行して、介護保険外サービスを高齢者に届けるチャネ ルの強化や信頼性の確保も図られていく。例えば、地域の福祉職が保険外サービスを紹介する際の インセンティブが設定されたり、職域に保険外サービスを含む介護関連サービスを総合的にアレンジ する窓口機能が充実されたりする。また、民間団体主体の認証制度構築により安心安全なサービス が確保され、保険外サービス活用に向けた環境整備が一層進んでいく。 66 (14)物流・流通(卸・小売) ポイント    需要面では、消費者のニーズ多様化等に伴い、より細かで広範な対応が求められるようになる。 供給面では、労働集約産業であるが故に、少子高齢化による人手不足に直面することとなる。 これらの状況に対応するためには、従来のような、安価かつ臨機応変な現場の労働力・対応力頼 みでは実現が困難。 既に、流通・物流いずれの領域についても、一部の企業が牽引する形で「装置産業化」が進展しつ つある状況。製造から小売に至るまでの垂直統合や、協調領域における企業間の水平連携、DX によるオンラインとオフラインの融合により、業界全体で生産性を高める。その上で、賃金水準を底 上げすることで、国民にとって身近かつ良質な雇用の場となる。 <需要面の変化> ⚫ 物流は、製造業・非製造業問わずあらゆる産業に関わるもので、国内の経済・生活にとって不可欠な 産業。輸送力不足の問題は、我が国経済の制約要件となる。 ⚫ GX、DX、経済安全保障等によって国内投資・国内回帰が進む中で、輸送に対する需要は拡大して いく見込み。 ⚫ ⚫ ⚫ 国内での商品需要は、人口減に伴い量的拡大は見込まれないものの、消費者の個別ニーズに合わ せたきめ細かな対応が必要に。生鮮品等を求める日本の消費特性は変わらないまま、人々のデジタ ルプラットフォームへの依存は高まり、オンラインで商品を購入する EC 化率は時間をかけ欧米中等 の諸外国並みに到達。対消費者向けラストワンマイルサービスの需要はますます増加し、より一層 の効率化が求められる。 都市部への人口集中が進むものの、デジタル技術を駆使し、地方農山間地で生活する国民層も一 定数存在し続け、需要が疎な地域へ生活必需品等のモノを届ける流通・物流の供給機能維持という 課題が本格化。同様に、都市部の中でもスポット的に、一人暮らしの高齢者世帯の増加等、アクセス 困難(買い物難民)人口が増えていく。 持続可能な消費(エシカル消費)への関心も高まっており、環境への配慮や倫理的な製品、健康増 進に関連する商品やサービスも求められていく。 <ビジネス供給構造の変化> ⚫ ⚫ ⚫ ⚫ 現状では、日本特有の業界構造として、市場が分散し、規模の大小問わず企業数が多く、過当競争 や高い販管費のためにマージンが薄く、十分な投資を実行するだけのリソースに乏しい。ともすると 価格競争ビジネスに向かってしまう傾向がはびこっており、賃金・生産性とも低迷。 人手不足時代の中で人材獲得競争にも劣後し、少子高齢化を背景に供給機能が著しく縮小する中、 需要を賄えない危機を迎えるが、流通・物流の機能は社会に不可欠であり、戦略的に、装置産業化 へ転換していく企業へと集約が進んでいくことで、一挙に生産性が高まる。賃金水準も相対的に上昇 していく。 極端な供給制約に直面する中で、機能を維持するため、合理化・効率化は徹底的に進む。流通から 製造・物流領域まで含めた垂直統合の動きや、協調領域における企業・業種の壁を越えた水平連携 の動きも活発に。従来存在した多くの企業ごとの個別最適は駆逐され、ハード・ソフト両面での標準 化が進み、こうした統合・連携の動きは一層加速化していく。 物流においては、フィジカルインターネットの実装に向けて、求貨求車マッチングや倉庫管理等の物 流プラットフォームを通じた効率化や、庫内作業等の自動化・機械化による物流の装置産業化が進 67 む。荷主の事業者は、こうした技術の活用や企業内外との連携の強化も踏まえ、物流を含むサプラ イチェーンマネジメントを軸に据えた経営を推し進める。 ⚫ ⚫ ⚫ ⚫ 小売は、オンラインとオフラインが一体となって高度なサービスを提供するオムニチャンネル化により、 顧客はよりシームレスな買い物体験が日常となる。リアル店舗では、自動化・キャッシュレス化が徹 底され、店舗運営に必要な人員数は大幅に減少し、無人店舗も増加。移動販売や宅配等、様々な選 択肢が当たり前となっていくが、他方で、リアル店舗は、単なる商品の陳列場ではなく、物資輸送拠 点、高齢者世帯の見守り拠点、医療・介護や行政等の様々なサービスの拠点等、地域・消費者のニ ーズに応えて、複合的な機能・価値を持つ形でその意義を再定義していく。 とりわけ、人口減の進む地域では、集客の効率性を目指す観点から、公共施設(自治体庁舎、バス 停等)と一体化した官民連携の店舗運営をはじめとする様々なモデルが広まっていく。著しく需要密 度が低下する地方山間地や一部都市部での、高齢者世帯をはじめとする生活必需品へのアクセス 困難者に対しても、DX 等の活用に加えて、公共側との連携によって、流通・物流機能の維持が図ら れる。 また、商品自体も、環境配慮型の商品や、健康を意識した商品などの取扱いが増加し、川上まで統 合したことによる PB 商品の開発競争が活発化。過度な在庫や宣伝広告費、返品等、サプライチェ ーン・商習慣上見られた無駄・非効率を削減しながら差別化が進み特色が生まれていく。 アジアを中心に人々の所得・生活水準が上がっていく中で、DX 等により競争力を高めた流通各社 は、国際展開も進めていく。 68 (15)観光・クリエイティブ ポイント  需要面では、世界的な可処分所得の増加に伴い、観光・クリエイティブ分野は長期拡大傾向。ま た、デジタルでは、メディアに依存しない流通構造への変化を背景に、IP(Intellectual Property)を 中心とした消費経済圏が構築される一方、観光・文化芸術・スポーツ等のリアルな体験価値の再 評価が進み、経済効果も拡大。先進国では経済の主要なエンジンとして、文化芸術に積極的に投 資を行う動きもある中で、増大する世界の需要を巡って獲得競争が激化している。供給面では、グ ローバル市場に直結する流通構造が構築され、供給量が急増、消費者の可処分時間や接点の獲 得競争が激化。国や地域に固有の文化や、人の創造性が価値創造の主軸になる中で、高付加価 値な体験設計や高品質な創作活動を行う人材や資本等の経営資源を巡る競争が激化。デジタル 技術の利活用も進む中で、個人クリエイター等の活躍の機会も広がる。  我が国の観光・クリエイティブ産業は国際競争力を有する基幹産業。クリエイティブ産業の振興に 向けて、海外現地拠点等を活用した戦略的海外展開の促進、国際水準の制作を実現する支援、 プラットフォーマー等との契約交渉支援、クリエイターの育成等を進めることが必要。こうした取組 や国家ブランディングの構築等による底上げ効果により、関連産業への波及・高付加価値化を図 り、観光・インバウンドの稼ぐ力を強化する必要がある。 【観光】 <世界全体の需要面の変化> ⚫ 世界の観光需要は、グローバルサウス諸国等の新興国の経済成長や、産業のサービス化・デジタ ⚫ ル化の進展による、世界全体の経済的余力や余暇的時間の増加に応じて、拡大していく。 (ただし、世界の景気の減速、金利変動による円高、国際的感染症の発生など、将来の国際経済・社 会環境次第で、短中期的に需要が縮減するリスクも引き続き存在する。) 富裕層による高価な観光・宿泊体験に対する需要も、金融資産所得の向上を背景とした世界全体で の超富裕者の増加により、引き続き拡大していく。 <世界全体の供給面の変化> ⚫ 中間層の観光需要の獲得に向けた企業間競争は、世界全体で激化する。消費者の大部分は、訪 問・消費先の選択において、観光関連のデジタルプラットフォーマー(OTA(Online Travel Agent)や民 ⚫ 泊プラットフォーマー等)を情報取得源とすること、また、映像等のデジタルコンテンツの題材となった 場所やものに対する訪問・消費意欲から行動選択を行う傾向(又は供給側がそうした意図のもとで観 光商品を提供する傾向)が今後も継続することから、デジタルプラットフォームとも接続し、より多くの 消費者との接点を継続的に持ち、消費意欲を喚起し続けることができる者が高い市場競争力を持つ こととなる。 富裕層の観光需要の獲得に向けた企業間競争も、世界全体で激化する。富裕層をターゲットとした 高価な観光商品を組成し、継続的に提供できる者に市場競争力が集中することから、それに必要な 経営資源(高度なデザイン・ブランディング能力、大規模な資金調達力、そうした能力を具備する人 材等)をめぐる競争も激化する。 <日本の事業構造の変化> ⚫ 観光産業の日本経済に占める位置は、インバウンド需要(訪日観光客数・一人当たり訪日外国人消 費額の双方)が成長し続けることにより、生産年齢人口が減少する国における最重要な外貨獲得産 69 業、かつ非東京圏の多様な文化芸術資源(工芸含む)を核に、経済社会水準(賃金水準やインフラ の持続性等)に最大の正の波及効果をもたらす産業として、国の基幹産業としての地位を獲得す ⚫ る。 ➢ 現時点の日本においても、外貨獲得効果、関連産業への波及効果の点から、既に重要産業と 化している(例:2023 年時点で訪日外国人消費額は約 5.2 兆円であり、輸出額の上位2位であ る自動車や半導体等電子部品に次ぐ経済価値を生んでいる)が、引き続き産業規模は増大して いく。 日本の観光関連産業・企業の市場競争力は、デザイン、アート等の文化芸術資源やスポーツを活用 すること等により、顧客とサービスの多様化・ユニーク化・高付加価値化を軸として成長する。すなわ ち、他国と差別化された日本の独特な特徴(良好な治安、公共交通の時間の正確さ、を含めたインフ ラの確実性、米欧先進国と新興国の双方の信頼性を獲得できる地政学的位置、宗教的ではないが スピリチュアル(SBNR:Spiritual But Not Religious)な価値を持つ建造物や体験、世界的に著名なコ ンテンツの題材となった実世界のものや体験への憧れ、日本独自の応援文化や母国選手の活躍に 触れるスポーツ観戦等)を競争力の源泉として、多様な地域・プレーヤーが、ユニークな継続的顧客 層と強固な関係を構築し、高単価の観光・宿泊体験を提供し続ける産業へと成長を遂げる。 具体的な領域としては、特に以下の方向性が強化される。 ➢ ①観光関連産業におけるアートやデザイン等の高付加価値投資を通じた単価向上の実現。 ➢ ②ビジネス・インバウンド市場:地政学的な重要拠点として多様な国から国際会議の拠点等とし て選択され、それが観光消費にも繋がるユーザー体験が各地で丁寧に設計されている。 ➢ ③スポーツコンテンツの海外展開を通じた、継続的な訪日客の増加。 ⚫ このような成長を遂げた結果、観光関連産業の地域経済への正の波及効果として、以下のような効 果が発現している。 ➢ 地域経済における B2C 製品・サービスの適正な値付け慣行の確立、それを通じた地域 B2C 産業における賃金水準の向上。(高付加価値なサービス・人材には、高い値段・賃金を、というこ とが定常化している。) ➢ 高付加価値化を実現した地域における生活インフラの持続性の担保。(アクセスのための道路 の維持管理、物流等が、訪問・消費需要が継続することにより、民間サービスとして適正に維持 される。) 【クリエイティブ】 <世界全体の需要構造の変化> ⚫ 世界のクリエイティブ産業は、グローバルサウス諸国等の新興国を中心として成長を続けており、中 間層の増加に応じて、娯楽費、旅行費、衣類費等の消費も 18 兆ドルの成長を見込んでいる。 ⚫ クリエイティブ産業のうち、特にコンテンツ産業の市場は、スマホ等の汎用デバイスの普及により、メ ディアに依存しない流通構造に変化。消費者は多くのコンテンツに同時に触れることができるように なり、デジタルネイティブ世代を中心に可処分時間の奪い合いの構造に。その結果、IP の多元活用 やファンダムの形成が進展し、IP を中心とした「経済圏」(IP 創造エコシステム)の形成も見られる。 日本の「多様」で「過去から蓄積」されたコンテンツは世界から需要されやすい環境となってきている。 ⚫ 他方で、物理的な「体験」そのものに対する、再評価・再発見が進み、特に若い世代を中心としたコト 消費が増大。日本固有の食・伝統芸能・生活様式のほか、アートやライブエンタメ、「体験」をより魅力 的なものに引き上げていくデザインなどへの期待も高まっている。デジタルによって世界に拡がった 日本のクリエイティブが世界に認知される中で、「体験価値」としての経済効果も拡大してきている。 70 ⚫ 加えて、先進国では、経済の主要なエンジンとして、文化芸術に積極的に投資を行う動き。 ➢ 2021 年7月、G20 文化大臣会合にて、COVID-19 の大流行を受け、文化を持続可能な社会経済 復興のための主要なエンジンとして位置づける「文化に関する G20 宣言」に史上初めて合意。 ➢ 文化は雇用のドライバーであり、文化・クリエイティブ関連雇用の割合は、一部 OECD 諸国では最 大 20 分の1、一部大都市では最大 10 分の1を占める。これらの雇用は一般的な労働力よりも自 動化されるリスクが4%低い 10%であり、「将来の保証」がある。また、文化はビジネス成長のドラ イバーであり、文化・クリエイティブセクターは OECD 諸国の全企業のうち7%の企業数を占め、成 長率は全セクター平均を6%上回る 18%である。さらに、文化は消費のドライバーであり、娯楽文 化に対する家計支出は 2011 年から 2019 年にかけて 18%増加し、支出全体の増加の早さを上回 っていた(OECD)。 <世界全体の供給構造の変化> ⚫ これまでの日本のクリエイティブは、日本国内の市場を前提としたエコシステムが形成されてきてお り、グローバル市場の競争環境への対応に遅れ。 ⚫ デジタルコンテンツ市場の流通構造の変化に伴い、グローバルな配信プラットフォーム(GPF)を基軸 とした、国境を越えた発信が可能に(=海外への「壁」が取り払われた)。世界全体で、様々な国の多 様なコンテンツに触れることのできる機会が提供される環境に(=全く知らない言語の曲も、指先一 つで聞くことができる)。 ⚫ 多様な消費者層の獲得を遂げた GPF は、多様で高品質なコンテンツを提供すべく、IP を生み出す制 作会社等への投資を激化。IP を生み出す制作会社・クリエイターにとって、資金調達手法が多様化 ⚫ (=新たな資金の出し手の登場)し、グローバル市場への足掛かりが形成されてきている。一方で、 個人が流通網に直接アクセスできるようになったことで、個人の創作物(UGC)の流通が増加。UGC がヒットを飛ばす例も珍しくなく、個人クリエイターの活躍の場が拡大してきた。 クリエイティブの現場の多くは中小企業や個人クリエイターが担っており、豊かなクリエイティブの土 壌となってきている。反面、下請け構造やフリーランスに関わる問題などにも直面し、クリエイターを 支える環境の整備が急務。また、技術進歩に伴う制作技術の高度化(3DCG 技術など)も相まって、 デジタル人材の需要もかつてなく高まっている。 <日本の事業構造の変化> ⚫ ⚫ ⚫ 日本のクリエイティブ産業の政策的な意義は、①経済成長、②国家ブランディング、③イノベーショ ン、④人的資本、⑤地域活性化があると考えられる。 クリエイティブ産業の日本経済に占める位置は、例えばコンテンツ関連産業は約 14 兆円を占めるほ か、クリエイティブ産業全体では約 52 兆円程度と試算されており、規模の大きい産業であるのみなら ず、IP を軸とした他の産業への拡がり(経済圏)も期待される。また、世界のクリエイティブ産業は成 長が見込まれているところ、日本の IP はその多様性と過去からの蓄積もあり、世界でも高く評価され る中で、クリエイティブの海外展開を通じたサービス収支の改善や、インバウンド需要喚起などの効 果により、我が国の経済成長に大きく貢献することが可能。 更に、より広く「クリエイティブエコノミー」という拡がりをもって捉えると、クリエイティブ産業は日本の 創造的活動を促していく観点からイノベーションの創出に大きく貢献し、今後の経済社会にとって重 要となる創造性人材の創出に大きく貢献できる。また、日本各地の多様な文化基盤は、地域経済の 活性化にも効果があり(聖地巡礼やアートによる社会コミュニティなど)、それをグローバルに展開さ せることで、国家ブランディングを向上させることができる。 71 ⚫ こうした中で、今後、拡大する世界の需要を取り込み、クリエイティブ産業及びクリエイティブエコノミ ーを捕捉する政策立案に向けて、以下のような方向性の検討を進めていく。 ① 市場特性を踏まえた戦略に基づき、メリハリのある海外展開の推進 (分野やフェーズに応じたきめ細やかなハンズオン支援の展開) ② 海外市場を前提とした制作支援やクリエイター育成支援 (質の高い作品への制作費支援、デジタルクリエイターの育成支援) ③ 新たなビジネスモデルの創出・新規参入促進 (スタートアップや新規プレーヤー、新たな技術活用の促進) 72 5.一人一人が豊かな日本に向けたチャレンジと将来の絵姿 ⚫ ここまで、一人一人が豊かな社会に向けて、各ミッションや産業全体、個別産業が直面する世界の需 ⚫ 要・供給の変化、新機軸の経済産業政策も含めた官民の取組で進展していく日本の事業構造の変 化を示した。本パートでは、こうした変化によって豊かな社会を実現するために、企業、国民、政府が 取り組むべき課題(チャレンジ)を国内投資、イノベーション/新陳代謝、所得の向上、マクロ経済の4 つの側面から再整理している。 本パートで示すチャレンジに対して、今後検討が必要となる具体的な施策は、後述する施策編に記 載する。 (1)2040 年頃に向けて企業・国民・政府にマクロレベルで求められるチャレンジ (国内投資の拡大:量の拡大) ⚫ ⚫ 国内投資拡大(例えば、2027 年度に 115 兆円の投資額を達成する拡大スピード以上)を継続してい く52。 対内直接投資53は、サプライチェーン上の位置づけの重要性の高さ、スタートアップ・エコシステムの 成熟とグローバルな資本市場への接続、国内投資拡大のための市場環境の整備などを背景として、 対 GDP 比で大きく上昇することで、対外直接投資とのアンバランスが改善する。 (イノベーション/新陳代謝の加速:質の向上) ⚫ 世界と勝負する企業は、世界本社・世界工場といった「世界の創造拠点」として、世界と勝負し、付加 価値が高い本社機能(研究開発機能を含む)と生産機能だけが、日本に残る。 ⚫ ⚫ ⚫ ⚫ ⚫ その結果、交易条件54は、個々の製品・サービスの高付加価値化や、GX・DX による国内事業の選択 と集中で輸出に占める付加価値の高い製品・サービスのウェイトが向上55することによって、輸出物 価が維持・上昇し、GX によるエネルギー自給率の向上で輸入に占める資源・エネルギーのウェイト が低下することによって、資源価格が変動しても輸入物価の上昇が起きにくくなり、トータルとして維 持・改善していく。 スタートアップや大学・研究所、人材育成を含むイノベーション・エコシステムが強化56され、イノベー ションが拡大し続ける。 企業は、早期かつ迅速な事業再構築や事業再編により、競争力を高めていく57。 構造的人手不足の時代には、賃金や働き方の面でより良い条件を提示できる仕事に、人々が移動 していく。賃上げを続け、柔軟な働き方でやりがいある「良い仕事」が、若者からの支持を受けて採用 できるものとして、企業は生き残りのために挑戦する。 地域の産業・生活インフラや生活関連サービスは、デジタル・自動運転・ドローン等の技術を活用し て統合運用することで、現在の仕組みでは維持困難な人口密度の低い地域でも高品質を確保。ただ し、極端な過疎化が進み、個人・社会の生活を支える公共サービスのコストが高まる可能性がある 中、コンパクトな都市計画・土地利用は有効な選択肢となり得る。それが進むと技術の活用とあいま って、インフラや生活を支えるサービスを維持することが可能となる。 参考資料集 P11「潮目の変化①-1 国内投資」参照 参考資料集 P62「対内直接投資の現状」参照 54 参考資料集 P64「交易利得・損失」 、P65「交易条件の要因分解」 、P66「GDP デフレータの需要項目別変動 要因分解」参照 55 参考資料集 P67「我が国産業の輸出競争力の変化」参照 56 参考資料集 P70「スタートアップの資金調達額は増加傾向」参照 57 参考資料集 P68「中堅企業による M&A の有効性」参照 52 53 73 ⚫ 国民一人一人が、デジタルを積極的に活用するなど、時代や社会の変化に適応することが求められ る。また、起業が当たり前の選択肢の一つとなり、個人も変化の主体になる。 (所得の向上:生まれた富の循環) ⚫ 構造的人手不足や国際的な人材獲得競争の中でも、自社に必要な人材を採用できる企業は、賃上 げは当然のこととして、さらに従業員の生きがい(社会貢献意識や柔軟な働き方)も提供する。 ➢ 失業率は、構造的人手不足を背景に、特に地方・現役世代で、低水準が継続する58。 ➢ 社会保障負担は、従属年齢人口比率が当面横ばいのため、これまでの 30 年間に経験したほど は大きくは増えない59。 ➢ エッセンシャルワーカーの賃上げには、思い切った省力化(業務プロセスの改善・省力化投資) や、公的保険外サービスの振興などによる公定価格にとらわれない新たな付加価値の獲得が ⚫ 必要。 リスキリングに取り組む個人は、年齢に縛られず学び直しを行い続けることで、賃金が上がりやすく なる。 (マクロ経済) ⚫ 真の意味での民主導型経済実現によって、企業が資金需要の主体となることで、財政の持続性も維 持しながら、経済成長・国民の所得向上を実現する。 ⚫ 政府は、民主導型経済に転換するため、新機軸で位置付けた「大規模・長期・計画的」という方針に 則り、企業の予見可能性を高めるため、一歩前にでて、目標設定・予算・税制・規制改革・標準化・出 融資等あらゆる政策を総動員する。民主導型経済が軌道に乗り、継続していくために、政府は国の 戦略投資として、インフラ投資や産業政策など必要な生産的政府支出を継続させることを通じ、挑戦 する企業を後押しする。 58 59 参考資料集 P69「倒産件数と完全失業率の推移」参照 参考資料集 P74「社会保障給付費の推移・将来推計」参照 74 (2)チャレンジの結果①:得られる国民の豊かさ ポイント   主要先進国並みの賃上げ(例えば、直近2年の国内の賃上げの水準(名目))の継続で、所得が向 上する。 人口密度は減少し、二拠点居住が一般化。デジタル化で義務的作業時間が減少し可処分時間は 増加。世界で最も健康(健康寿命は 75 歳以上)に、誰もが(高齢者も障がい者等も)活き活きと生 活できる。 (国民一人ひとりの生活、所得) ⚫ 賃金60は、投資、イノベーションを背景とした労働生産性の向上61と交易条件の下げ止まり、構造的 人手不足による賃金上昇圧力により、主要先進国並みの賃上げ62(例えば、直近2年の国内の賃上 げの水準(名目))の継続で、伸びる。社会保障負担は、少なくとも 2030 年までは全人口から生産年 齢人口を除いた、年少者(15 歳未満)と高齢者(65 歳以上)から構成される従属年齢人口比率は横 ばいなので、過去 30 年経験したほどには大きくは増えない63(なお、高齢者を機械的に 65 歳以上と 捉えるのではなく、健康寿命で捉えると、日本の場合、74 歳以上が高齢者となり、2040 年目標では 75 歳以上となるため、65 歳から9~10 年延長され、高齢者と捉えられる人の割合が減る。また、年 少者も教育期間の長期化を踏まえ、19 歳未満とすることで、より健康・教育の実態に即して捉え直し た従属年齢人口比率は 2040 年まで不変)。結果として、手取りは増加傾向となる。また、気候変動 対応により電気料金等のエネルギーコストは増えるが、賃金の伸びの方が大きくなることで、負担感 は弱くなる。 ⚫ ⚫ ⚫ ⚫ 個人のキャリアは、専門性を活かすことがより一層重要になり、デジタル活用を中心としたリスキリン グが広がる。リスキリングに取り組む人は、年齢に縛られず学び直しを行い続けることで、賃金が上 がりやすくなる。起業も当たり前の選択肢の一つになる。こうした働き手の自律的なキャリア意識の 高まりや構造的人手不足を背景に、従来の硬直的な人事制度・賃金制度である終身雇用や年功型 賃金といった日本型雇用システムのままでは企業の人材確保は難しくなる。 働き方は、子育て・介護といった個人のライフステージに応じて柔軟化する。政府の子育て支援強化 と地方・中小企業も含めた働き方改革の浸透による男性の子育て・介護・家事参加によって、既に若 い世代で生じ始めているように、女性の L 字カーブが解消される。また、地方でも、理工系・デジタル 関係含めて幅広い職務で活躍できるようになり、女性の就業機会がさらに増える。またデジタル社会 によってあらゆる価値創造プロセスが変化することとあいまって、女性のみならず、あらゆる人が年 齢、性別、障がいのあるなし等に関わらず価値創造できるようになる。 高齢者(2040 年時点で総人口の 35%程度)の労働所得は、インフレ傾向でマクロ経済スライドが発動 しやすくなる公的年金収入よりも、伸びやすくなる。健康寿命の延伸や構造的人手不足を背景に、企 業側も年齢の区切りに関わらず従業員を雇用する。その結果、パートタイムなどの柔軟な働き方の 下で、個人の就労が増加し、現在の生産年齢の概念が変わる64。 家計の所得は、現役世代の賃金上昇、高齢者世代の就労期間の延長による就労所得の上昇に加 え、年金収入の相対的な給付水準の抑制を補うための家計貯蓄の金融投資への移行及び企業経 参考資料集 P63「実質賃金上昇率(マンアワーベース)の要因分解」参照 参考資料集 P72「労働生産性の国際比較」参照 62 参考資料集 P73「実質賃金と名目賃金の国際比較」参照 63 参考資料集 P74「社会保障給付費の推移・将来推計」参照 64 参考資料集 P75「高齢期の就労」参照 60 61 75 営改革(価値創造経営の推進)による株価向上により、金融所得が上昇することで、全体としても上 昇する。さらに、企業が従業員へ自社株式を付与していれば、企業価値の向上に伴い、株価も向上 ⚫ ⚫ し、従業員の金融所得も増加する。これらを背景として、個人消費も緩やかな拡大が継続する。 失業率は、構造的人手不足を背景に、特に地方・現役世代で、低水準が継続。賃金水準が低い地 方・中小を中心に、賃上げを続ける企業は人材を採用できる。賃上げできない企業も、賃上げできる 企業との M&A や、M&A で期待した効果を着実に実現するための事業統合作業(PMI)等を通じて、 賃金を上げることができる。結果として、構造的人手不足により、商品・サービスの供給不足が課題 となり、取引価格は上昇傾向が続く。構造的人手不足においては、廃業・倒産や M&A・PMI は、雇用 の喪失ではなく、リソースの解放を意味する。個人にとっては、より良い条件を提示する企業への移 動の機会として捉えることとなる。 格差は、税・社会保障等による再分配前としては、一般論として、他の先進国と同様、これまでは、テ クノロジー導入で細分化された生産工程や業務が、それぞれの工程・業務にとってコスト最適な場 所・人材によってグローバルに分業できるようになる中で、拡大しやすい傾向にあった。また、一般論 として、年齢が高い階層になるほど若年時の実績の積み重ねや、引退するか働き続けるかの選択の 違いにより格差が高まるため、人口高齢化が進むことで社会全体の格差も拡大しやすい傾向にあっ た。今後は、新たなテクノロジーの実装、国際経済秩序の変化等に伴う国内投資、健康寿命の高ま り、といった要因が、こうしたトレンドを一定程度反転させることで、格差を縮小させる方向にも働いて いく。 ➢ 具体的には、生成 AI 等の新たなテクノロジーの実装は、高い知的生産活動を伴う専門職の雇 用は補完する一方で、定型的な認知・作業を伴う事務職の雇用を代替することとなる。しかし同 時に、生成 AI がロボット技術と組み合わさる省力化投資として、非定型な作業を伴う製造・サー ビス現場の技能職の雇用を補完するため、エッセンシャルワーカーの労働生産性向上・賃金上 昇をもたらす。 ➢ また、国際経済秩序の変化やカーボンニュートラルへの対応で、経済安全保障上重要な財や、 脱炭素の観点から付加価値の高い財の生産拠点を立地させるための国内投資により、国内に 良質な雇用が創出される。 ➢ さらに、健康への投資により健康寿命が延伸し、健康である限り、希望すれば働き続けることが できるようになり、結果として、高齢期の格差が縮小しうる。 さらに、税・社会保障の再分配によって、分配後の格差は現在とは大きくは変わらない。その結果、 ⚫ 全体としては多くの国民が、現在の停滞が続く場合よりも、よりよい生活水準を確保する。 (注)生成 AI とロボット技術の進展度合いによれば、非定型な作業を伴う製造・サービス現場の技能 職の雇用すら代替され、もはや働く必要がなくなるシナリオもありうる。その場合には、ベーシックイン カムの導入をはじめ、再分配制度の在り方の抜本的な見直しが必要になる。 賃金上昇の前提となる産業の付加価値の向上は、マクロ環境変化・社会課題という必要に迫られ て、ミッション・OS 組替えが同時進展(グリーン市場獲得による付加価値向上、デジタルによる供給 構造転換による付加価値向上、経済安保を背景としたチョークポイント拠点化による高付加価値化、 少子高齢化を背景とした健康需要獲得・省力化による付加価値向上など、詳細はミッション・産業毎 のシナリオであり、その統合像は「産業全体の変化」に記載)することで実現される。地域では、特色 ある産業が生じる地域に、製造拠点投資と産業インフラ投資が行われ、子育て・介護しやすい働き方 76 の事業所近くに、現役世代の人が流入(例えば、北海道・九州は脱炭素電源を使う製造業、東京湾・ 瀬戸内は水素・アンモニアコンビナート、東北は洋上風力等65)。 ⚫ ⚫ 生活インフラ(交通、保育・介護)は、現状維持であれば老朽化により維持が困難となるが、デジタル で効率的に管理されることで、構造的人手不足が深刻な地方においても運用可能となる。エッセンシ ャルワーカーの賃上げには、思い切った省力化(業務プロセスの改善・省力化投資)や、公的保険外 サービスの振興などによる公定価格にとらわれない新たな付加価値の獲得が必要。 個人の生活は、デジタル化・自動化、脱炭素化、働き方の柔軟化などが進展することにより、可処分 時間は増加し、時間・場所の制約からは開放され、環境や健康の観点からサステナブルなくらしへと 変化していく。例えば、 ➢ 仕事、移動、家事等に要する時間が減少するため、余暇に使える時間が増える。 ➢ 個人の DX リテラシーが高まることで生活の利便性が向上し、サービス提供側のコストも下が ➢ ➢ ➢ ➢ ➢ る。 人口密度が減少し、働き方の柔軟化なども相まって、二拠点居住も特別なものではなくなる。 住居には、壁面などにも太陽光発電が取り付けられ蓄電可能な電動車の導入が進み、ライフス タイルに合わせて照明や暖房などが最適化される。 モーダルシフトが進み、鉄道や自転車などによる移動が増加する。 サーキュラーエコノミーによる製品のリユースや長寿命化、リサイクル製品などの普及が進み、 適量・食べきり販売による食品ロスの減少など環境志向のくらしへと変化する。 ウェアラブル・IoT デバイスにより取得されたライフログデータの活用により、食品から、フィットネ ス、エステ・リラクゼーション、機能性寝具・健康志向家電、ヘルスツーリズムに至るまで、日々の 生活に関するあらゆる製品・サービスが、健康志向のものに置き換わる。 65 参考資料集 P36「脱炭素電源の立地状況」参照 77 (3)チャレンジの結果②:生じているマクロ経済構造 ポイント   GDP は、生産年齢人口の減少率より、労働生産性が高い水準の伸びとなることで、プラス成長と なる。 企業の投資超過に伴い、政府は財政支出の増加を伴いながらも投資超過を解消していく (マクロ経済環境) ⚫ GDP は、生産年齢人口の減少率より、労働生産性が高い水準の伸びとなることで、労働参加率の 維持の中、プラス成長となる。一人当たり GDP も、プラス成長となる。 ⚫ 物価は、少子化・高齢化及び地政学リスク拡大によって、世界的にインフレ傾向が継続し、日本も世 界的な物価動向と、構造的人手不足を背景とした賃上げの継続傾向により、マイルドなインフレが定 ⚫ ⚫ ⚫ 着し、名目成長率>実質成長率が継続する。 名目金利(市場の目安となる長期・短期含めた国債金利平均)は、こうした物価動向を受けて上昇す るが、既発債の金利が低いため、当面大きな変動は生じない。国債の安全資産ステータスを維持す る中で、成長しながら金利が生じ、一時的な逆転などは生じるものの構造的には成長率>金利が継 続。実質金利は、物価上昇の継続によって、マイナスあるいはそれに近い状態が継続する。 経常収支66は、黒字構造が維持される。貿易収支67は、足下の悪化傾向から対内直投を含む国内投 資増加を背景とした輸出増・GX によるエネルギー自給率の向上によるエネルギー部門の輸入減等 により改善傾向、所得収支68は、世界最大の対外純資産69など過去の蓄積と企業の海外展開として の現地子会社への投資拡大もあって対内直投が増える中でも黒字を維持、サービス収支70は DX に よるデジタル赤字増71に対応するとともに、インバウンド拡大による黒字増により改善する。 IS バランス72は、企業が 2027 年度に 115 兆円の投資額を達成するペース以上で国内投資の拡大を 継続することで貯蓄超過を解消して資金需要主体(投資超過)となり、家計は賃金上昇・金融所得の 増加、税/社会保障による所得分配の改善により、高齢化比率が上昇する中であっても貯蓄超過を 維持し、政府は経済成長に伴う税収の増加等を背景に投資超過を解消していく。 参考資料集 P77「経常収支とその内訳の推移」参照 参考資料集 P78「貿易収支の推移」参照 68 参考資料集 P79「第一次所得収支」参照 69 参考資料集 P80「日本の対外純資産負債残高の推移」参照 70 参考資料集 P81「日本のサービス収支の推移と国際比較」参照 71 参考資料集 P82「デジタル関連収支の国際比較」参照 72 参考資料集 P83「家計、企業、政府の経済活動の IS バランス」参照 66 67 78 Ⅲ.一人一人が豊かな日本に向けた施策の進捗と今後検討が必要となる施策 1.国内投資・イノベーション・所得向上の3つの好循環を実現するために今後検討が必要となる主要施 策 ⚫ シナリオにおいては、「新機軸」が示してきたやり方・考え方を継続した延長線上で実現できる絵姿を 示すとともに、そこに向けたチャレンジを示した。 ⚫ このパートではまず、このチャレンジに対して政府として取り組むうえで、今後検討が必要な主要施 策について提示する。まずは分野横断的にマクロレベルで行っていく取組を、第2次中間整理で目標 として定めた「国内投資・イノベーション・所得向上の3つの好循環を実現する」という観点から、3つ のグループごとに整理を行った。 ⚫ 第2次中間整理において同様の観点から位置づけた政策・施策については、例えば戦略分野におけ る初期投資に留まらない支援73や中堅企業の集中支援74、イノベーション拠点税制(イノベーションボ ⚫ ックス税制)75、スタートアップ関連施策を具体化するため、産業競争力強化法の改正法が成立76する など、着実に進捗している。 こうした進捗の上に立ち、更なるチャレンジへの取組として、以下のような主要施策を位置づける。こ れらを通じ、将来の成長期待に基づく民間投資の促進、企業活動の高付加価値化、経済産業構造 の転換による長期持続的な経済成長の実現と、「ミッション志向の産業政策」で取り組む分野での社 会課題解決を両立する。 (1)国内投資の拡大 ⚫ 国内投資の拡大の継続、対内直接投資の拡大のため、以下の主要施策に取り組む。 ① GX について、事業環境の予見性を高め、成長に不可欠な付加価値の高い産業プロセスの維持・強 化につながる国内投資を後押しするため、産業構造、産業立地、エネルギーを総合的に検討し、より 長期的視点に立った「GX2040 ビジョン」を示す。 ② エネルギーの価格上昇リスクや供給途絶リスクに対応すると同時に、貿易収支の悪化から脱却する ため、省エネの徹底に加え、再エネ、原子力など、エネルギー自給率向上に資する脱炭素エネルギ ーの供給を拡大するための事業環境整備等を講ずるとともに、低炭素水素等や CCS などの新たな 脱炭素技術の社会実装を推進する。 ③ 半導体サプライチェーン強靱化に向け、我が国におけるミッシングピース補完を目指し、国内生産拠 点整備・人材育成等を継続する。特に、次世代半導体の量産に向け、必要な法制上の措置を検討し つつ、研究開発支援を実施する。 ④ 蓄電池について、国内で 150GWh/年の製造基盤確立という目標を着実に達成するとともに、次世代 電池の実用化に向けて必要な支援を行う。 ⑤ 経済安全保障については、我が国の産業・技術基盤を維持・発展させるため、脅威・リスク分析のた めの体制構築、技術優位性獲得に向けた投資支援、新たな貿易管理における枠組みを含む技術管 理対策の強化、産業界・主要国との戦略的な連携を行う。 ⑥ バイオ産業について、バイオ医薬品や再生・細胞・遺伝子治療分野における受託開発製造拠点の整 備・増強の支援の在り方を検討する。 参考資料集 P91「戦略分野国内生産促進税制」、P92「戦略分野国内生産促進税制の制度概要」参照 参考資料集 P89「中堅企業成長促進パッケージ」参照 75 参考資料集 P93「イノベーション拠点税制(イノベーションボックス税制) 」 、P94「イノベーション拠点税 制(イノベーションボックス税制)の制度概要」参照 76 参考資料集 P90「産業競争力強化法等の一部を改正する法律の概要」参照 73 74 79 ⑦ GX・DX の進展に伴う電化への対応と関連国内投資の促進に必要な銅資源などのベースメタルや重 要鉱物等を戦略的に確保するため、海外での上流開発支援等の強化を検討する。 ⑧ これらの国内投資の効果を迅速に発現すべく、各地域での工業用水等の基盤インフラの有効活用・ 整備や産業用地等の有効活用・整備・集積を進めるとともに、AI・ロボットの活用推進等を含め、人 手不足等の供給制約へのさらなる対応を推進する。 ⑨ イノベーション・地域活性化に資する対日投資案件の誘致、海外企業との協業連携の促進、誘致を 行う地域への伴走支援を強化する。 (2)イノベーション/新陳代謝の加速 ⚫ 世界の市場で勝負し、世界の創造拠点となるために、以下の主要施策に取り組む。 ① GX について、2026 年度から本格稼働予定の排出量取引制度(GX-ETS) 等の検討を引き続き行っ ていくことをはじめ、支援策と規制・制度的措置を組み合わせ、同志国との連携も含めた市場を形成 する。GX 投資促進策の協調等による同志国との GX サプライチェーンの構築、AZEC の更なる具体 化も進める。 ② AI の性能向上やコンピューティングパワーの形成に向けて、計算資源の確保や有望分野のデータ 整備、AI 利活用で得られるデータ等を性能向上に活かす環境の整備、計算資源の高効率化等の研 究開発を進め、国内外の優れた企業・人材によるイノベーションを促す。また、AI セーフティ・インステ ィチュートを中心に、安全性基準等を国際連携で策定しつつ、ルールも検討する。 ③ デジタルによる新たな価値創造を促進するため、産業を超えたデータ連携の取組であるウラノス・エ コシステムについて、具体的な事例の創出やグローバルでの連携を進める。 ④ グローバルサウスとの経済連携強化に向け、中東・アフリカ等との第三国連携をインドと共に面的に 展開する枠組みを構築し、それを起点に、重点分野・国を特定した戦略的取組をインフラ構築や、フ ァイナンス強化(NEXI の機能強化等を検討)等とパッケージで展開する。 ⑤ 先端領域におけるイノベーションを促進するため、バイオ、量子、宇宙(JAXA 宇宙戦略基金の更な る活用)等への政策的支援の在り方を検討する。 ⑥ グローバルに活躍するスタートアップ等を創出するため、グロースステージの成長支援強化、「のれ ん」の柔軟な資産評価等を通じた M&A 促進、東証グロース市場等の上場維持基準の強化や、セカ ンダリー市場等、スタートアップ等が大きく成長できるための市場環境整備や、大企業や大学に眠る 人材や設備等のイノベーション資源の流動化を図るための制度改革等を検討する。 ⑦ 新陳代謝を促進するため、多数決によって金融債務の整理を認める私的整理法制、パーシャルスピ ンオフ税制(親会社が一部株式を保持した形でのスピンオフにおける譲渡益課税や株主配当課税の 特例措置)をはじめ組織再編税制の在り方について検討する。特に中堅・中小企業の構造転換を促 進すべく、成長志向の中堅・中小企業の後押しを強化する方向で、予算・税制等の関連政策につい て見直しを行う。 ⚫ 生活の質を高める挑戦をする産業を後押しするために、以下の主要施策に取り組む。 ① 地域で良質な雇用を創出する中堅・中小企業の成長の促進に向け、成長志向の中堅・中小企業の 後押しを強化する方向で、予算・税制等の関連政策について見直しを行う。(再掲)。 ② 高齢化が進展する中、大きなポテンシャルを持つヘルスケア(健康・医療・介護)の産業化を促進する ため、その基盤となる PHR 等の整備や、ヘルスケアスタートアップの伴走支援を通じた新たなビジネ スの創出、職域との連携も含めた地域性に応じた介護事業を促進する仕組みの構築を進める。 80 ③ クリエイティブ産業の振興に向けて、海外現地拠点等を活用した戦略的海外展開の促進、国際水準 の制作を実現する支援、プラットフォーマー等との契約交渉支援、クリエイターの育成等を行う。こう した取組を通じて他産業の高付加価値化を図り、観光・インバウンドの稼ぐ力も強化する。 ④ 「デジタルライフライン全国総合整備計画」に基づき、共通の仕様等に準拠したデジタルライフライン (ハード・ソフト・ルール)の全国的な整備を進め、国民による自動運転・ドローン等のデジタルサービ ス活用を抜本的に促進する。 (3)所得の向上 ⚫ 国内投資やイノベーション/新陳代謝で生まれた富を循環させるため、以下の主要施策に取り組む。 ① 賃上げや働き方改革による良質な雇用を実現できる地域の中堅・中小企業を育成し、更なる成長軌 道に乗せる。 ② 下請代金法の執行力の強化(公取委・事業所管省庁との執行連携等)、官公需における労務費等 の価格転嫁の徹底等による価格転嫁の強化策を検討する。 ③ AI・ロボットの活用推進等を含め、人手不足等の供給制約へのさらなる対応を推進する(再掲)。 ④ 高齢化が進展する中、大きなポテンシャルを持つヘルスケア(健康・医療・介護)の産業化を促進する ため、その基盤となる PHR 等の整備や、ヘルスケアスタートアップの伴走支援を通じた新たなビジネ スの創出、職域との連携も含めた地域性に応じた介護事業を促進する仕組みの構築を進める(再 掲)。 81 2.分野毎の施策の進捗と今後検討が必要となる施策 ⚫ このパートでは、これまで新機軸部会で整理してきた8つのミッションと5つの OS を基に、今回のシ ⚫ ⚫ ナリオを踏まえ、グローバルと経済安全保障を統合した8つのミッションと4つの OS に再整理し、施 策の進捗と今後検討が必要となる施策を示す。 また、第2次中間整理で示したとおり、有効な施策を継続するためには、国内投資・イノベーション・ 所得向上の3つの好循環が日本経済全体として、また新機軸で取り組む各分野においても進捗して いることをモニタリングする指標を定め、軌道修正しながら継続実施することが重要である。そのた め、引き続き長期的目標を掲げたうえで、施策を実施していく。 以下では、8つのミッションと4つの OS について、①第2次中間整理で設定した長期的目標、②第2 次中間整理以降取り組んできた施策の進捗状況を整理し、③その上で、今後検討が必要となる施策 を示す。 <ミッション志向の産業政策> (1)炭素中立型社会の実現(GX) ①当面見据える長期的目標 ⚫ 今後 10 年で 150 兆円超の官民投資、20 兆円規模の政府支援を実現する。 ⚫ 2050 年 CN を実現する。 ②第2次中間整理以降の進捗 【成長志向型カーボンプライシング構想】 ⚫ GX 重点分野の「道行き」明示…GX 実現に向けた基本方針の参考資料として提示した 22 分野の 「道行き」を、16 分野に大括り化等を行った上で、重点分野ごとに「GX 実現に向けた専門家ワーキン ググループ」で議論を実施した。GX 実行会議の下で「分野別投資戦略」として取りまとめた。 ⚫ 20 兆円規模の先行投資支援…2023 年 12 月に「分野別投資戦略」を取りまとめ、20 兆円規模の先 行投資支援のうちの一部について、排出削減が困難な産業における製造プロセス転換や燃料転換、 GX 分野の国内製造サプライチェーン構築等の、具体的な投資促進策の見通しを示した77。 ⚫ 「GX 経済移行債」発行…2023 年 11 月にクライメート・トランジション・ボンド・フレームワークを策定 し、同フレームワークに対する国内外の外部評価機関によるセカンド・パーティー・オピニオンを公表 ⚫ ⚫ した。国内外投資家への IR を実施し、2024 年2月に約 1.6 兆円の初回発行を行った。 GX リーグにおける排出量取引制度の試行(2023 年度~)…2023 年4月から「GX リーグ」にて、試行 的に排出量取引制度を開始しており、2024 年3月時点で、日本の CO2排出量の5割超を占める企 業が参画している。また、多排出企業については、GX 経済移行債の支援を受ける際に GX リーグへ の参画が要件となる等、GX 経済移行債での支援との連動を行っている。2023 年 10 月には東京証 券取引所にてカーボン・クレジット市場を開設した。 排出量取引制度の本格稼働(2026 年度~) …更なる参加率向上に向けた方策や、政府指針を踏ま えた削減目標に対する民間第三者認証、目標達成に向けた規律強化(指導監督、遵守義務等)等と いった点を、「排出量取引制度」の進捗や国際動向等を踏まえ、更なる発展に向けて検討を行ってい る。 77 参考資料集 P87「GX 経済移行債による投資促進策(案)」参照 82 ⚫ ⚫ ⚫ ⚫ ⚫ ⚫ 化石燃料賦課金(2028 年度~)有償オークションの導入(2033 年度~) …「GX 推進法」附則第 11 条第2項を踏まえ、制度を実施する方法について、排出量取引制度の本格稼働のための具体的な 方策を含めて検討を進めた。 新たな金融手法の活用…2023 年 10 月にファイナンスド・エミッションにかかる課題解決に向けた考 え方を取りまとめた。また、2024 年夏の GX 推進機構の発足に向けて、組織運営及び債務保証等の 金融支援業務に必要な予算として 1,200 億円を令和6年度政府予算案に計上するとともに、政省令 等を整備した。 複数社連携における課題への対応…周南コンビナートにおける共同行為について、経済産業省から 情報提供を実施した。提供した情報も踏まえながら、公正取引委員会において積極的な相談対応が 実施され、独占禁止法上問題とならない相談事例として、2024 年2月に公表された。また、公正取引 委員会がガイドラインの改定案を検討する際に、経済産業省から産業界の要望も踏まえた意見提 出・調整を行い、2024 年4月に改定版が公表された。 グリーンイノベーション基金…GX 経済移行債により令和5年度までに拡充した 7,564 億円も活用し、 排出削減効果の高い水素還元製鉄や日本発の次世代型太陽電池であるペロブスカイト太陽電池等 の革新的な脱炭素技術の開発の加速・拡充や新規プロジェクトの組成を行っている。 国内投資促進のための新たな税制措置…戦略分野のうち、電気自動車、グリーンスチール、SAFな ど、特に生産段階でのコストが高いこと等から、投資判断が容易ではない分野を対象に、企業の新 たな国内投資を引き出すため、生産・販売量に応じた税額控除措置を講じる。 水素社会推進法・CCS 事業法の成立…今期通常国会にて「水素社会推進法案」と「CCS 事業法案」 を閣議決定し、国会に提出し、成立した。それぞれ、低炭素水素等の供給・利用の促進を図るための 法律及び CCS に関する事業環境整備を行う法律であり、鉄鋼・化学等の産業や、モビリティ、発電と いった、脱炭素化が難しい分野における GX を推進していく。 【国際展開戦略】 ⚫ グリーン市場の形成…削減貢献量について GX リーグの経営促進 WG にて金融機関の活用事例を 作成し、COP 等の国際的な議論の場での発信を行った。 ⚫ アジアの GX 推進…2023 年 12 月に AZEC 首脳会合を開催した。AZEC 首脳共同声明が採択され、 以下について首脳間で一致した。 ①脱炭素に向けた基本原則(脱炭素・経済成長・エネルギー安全保障の同時実現、多様な道筋によ るネットゼロ実現) ②政策策定支援(ERIA におけるアジア・ゼロエミッションセンターの立上げ)、官民連携促進(AZEC アドボカシーグループの歓迎) ③脱炭素技術分野での協力強化、製造業のサプライチェーングリーン化、トランジション・ファイナン ス推進 【公正な移行、中堅・中小企業を含む社会全体の GX】 ⚫ リスキリング支援…GX リーグの GX 人材市場創造 WG にて GX 人材の労働移動市場の活性化につ いて議論を開始した。また、在職者のキャリアアップのための転職支援や企業による社員のリスキリ ⚫ ング支援等を通じて、新たなスキルの獲得とグリーン分野を含む成長分野への円滑な労働移動を同 時に進めている。 中堅・中小企業の GX 推進…CN 投資促進税制において、脱炭素化に果敢に取り組む中小企業に 対する措置を拡充したうえで、適用期間を延長した。また、令和5年度補正予算において省エネを推 83 進する設備投資、GX に資する製品・サービス開発支援、省エネ診断事業を措置した。加えて、中小 企業基盤整備機構において、相談の受付、中小企業や支援機関向けの研修を実施した。 ⚫ ⚫ GX スタートアップ支援…令和6年度当初予算において 410 億円を措置(5年間で総額 2,000 億)。既 存の研究開発段階における支援と一体的な設備投資段階の投資支援等の検討を進めていく。 地域・くらしの GX 推進…高効率給湯器の導入や断熱窓等への改修の支援策として令和5年度補正 予算において約 2,000 億円を措置するとともに、「デコ活」の推進を通じて省 CO2性能の高い製品等 の需要を喚起した。 【進捗評価と見直し】 ⚫ 定期的な進捗評価と見直し…GX 投資の進捗状況、グローバルな動向や経済への影響、技術開発 の動向なども踏まえて、GX 実行会議等において、様々な意見に耳を傾け、定期的に進捗評価を実 施し、必要な見直しを効果的に行っていく旨を GX 推進戦略にも明記した。 ③今後検討が必要となる施策 【成長志向型カーボンプライシング構想】 ⚫ GX について、事業環境の予見性を高め、日本の成長に不可欠な付加価値の高い産業プロセスの 維持・強化につながる国内投資を後押しするため、産業構造、産業立地、エネルギーを総合的に検 討し、より長期的視点に立った「GX2040 ビジョン」を示す。 ⚫ 2050 年カーボンニュートラルの実現に向けて、グリーンイノベーション基金事業における更なる取組 を進める。 ⚫ ⚫ ⚫ ⚫ ⚫ エネルギーの価格上昇リスクや供給途絶リスクに対応すると同時に、貿易収支の悪化から脱却する ため、省エネの徹底に加え、再エネ、原子力など、エネルギー自給率向上に資する脱炭素エネルギ ーの供給を拡大するための事業環境整備等を講ずるとともに、低炭素水素等(アンモニア、合成メタ ン、合成燃料を含む)や CCS などの新たな脱炭素技術の社会実装を推進する。 2026 年度から本格稼働予定の排出量取引制度(GX-ETS) 等の検討を引き続き行っていくことをはじ め、支援策と規制・制度的措置を組み合わせ、同志国との連携も含めた市場を形成する。 カーボンリーケージの可能性に関する分析等を実施する。 複数社連携における課題への対応…公正取引委員会と経済産業省で連携して事業者への普及啓 発を実施する等、事業者の取組を後押ししていくとともに、事業者の取組状況等も踏まえ、GX の実 現に向けた事業環境の更なる予見可能性の向上を引き続き図る。 GX・DX の進展に伴う電化への対応と関連国内投資の促進に必要な銅資源などのベースメタルや重 要鉱物等を戦略的に確保するため、上流開発支援等の強化を検討する。 【国際展開戦略】 ⚫ GX 投資促進策の協調等による同志国との GX サプライチェーンの構築を行う。 ⚫ アジアの脱炭素に向けた協力枠組みである AZEC を活用し、2023 年 12 月に開催した AZEC 首脳会 合で合意されたアジア・ゼロエミッションセンターを通じた脱炭素政策策定支援や日本の GX 技術の 導入促進等のセクター別の協力と GX の取組を一体的に推進する。 ⚫ ⚫ ⚫ アジアでのトランジション・ファイナンスの実例の形成に向け取組を進める。 IEA 等と連携した LNG を座礁資産化しないための取組の強化を行う。 バイオ由来材料・製品の市場化に向けて、バイオ製品価値の創出のため基準策定(LCA 値算出の ための計測手法、「原料 CO2」の証明方法)を確立する。 84 【公正な移行、中堅・中小企業を含む社会全体の GX】 ⚫ ⚫ リスキリング支援を行う。 中堅・中小企業の GX 推進、GX スタートアップ支援、地域・くらしの GX 推進を行う。 85 (2)デジタル社会の実現(DX) ①当面見据える長期的目標 ⚫ ⚫ ⚫ 2030 年までに国内で半導体を生産する企業の合計売上高(半導体関連)15 兆円超とする。 ハード、ソフト、ルールに渡るデジタルライフラインを全国的に整備する。 個人のデジタルスキル情報の蓄積・可視化と活用を通じてデジタル人材育成のエコシステムを実現 する。 ②第2次中間整理以降の進捗 【個別企業 DX】 ⚫ 資本市場等からの評価を活用した、個社向けの DX 推進施策・・・デジタルガバナンス・コード、DX 認 定、DX 銘柄、DX 投資促進税制等を実施した。 ⚫ 「価値創造経営」との連動による経営改革やビジネスプロセス改革の推進・・・DX 銘柄選定における PBR 指標の導入等を行った。主に中堅・中小企業等向けには、中小企業向けの支援策(IT 導入補 助金、DX セレクション等)の実施、個社 DX 支援策だけではなく、地方金融機関等の地域の支援機 関を通じた面的な企業のデジタル化・DX の推進(支援機関向け DX 支援ガイダンスの策定等)を行 った。 【デジタル産業基盤】 (半導体・電子部品) ⚫ 半導体並びに電子部品及びこれらの製造装置・部素材・原料の製造基盤整備・・・先端半導体基金 ⚫ ⚫ ⚫ ⚫ ⚫ や経済安保基金等を活用した支援を行った78。 次世代半導体の設計・製造基盤確立等に向けた研究開発支援・・・ポスト5G 基金を活用した支援を 行った79。 半導体人材育成・・・(後掲【デジタル人材基盤】参照) サプライチェーン強化等に向けた有志国・地域との国際協力を推進した。 光電融合等のゲームチェンジングな技術の研究開発支援を継続・強化した。 半導体生産拠点整備に伴うインフラ整備の推進を行った。 (情報処理基盤) ⚫ ⚫ 生成 AI の開発力強化に向けて、 ①開発に不可欠な官民の計算資源の整備について、経済安保基金等を活用した支援を行った。 ②スタートアップ等による基盤モデルの開発促進のために、ポスト5G 基金を活用した支援を行った。 量子技術の産業化等による情報処理基盤の構築…量子・古典コンピューティング技術確立に向けた 研究開発を、ポスト5G 基金により支援した。また、量子コンピュータを活用したユースケース開拓等 を、量子・古典ハイブリッド技術のサイバー・フィジカル開発事業や、経済安保基金を活用して支援し た。さらに、量子コンピュータの産業利用促進に向けて、2023 年7月に、産総研に「量子・AI 融合技 術ビジネス開発グローバル研究センター(G-QuAT)」を設立した。 (蓄電池) 78 79 参考資料集 P88「半導体の国内生産拠点整備支援」参照 参考資料集 P88「半導体の国内生産拠点整備支援」参照 86 ⚫ ⚫ ⚫ ⚫ 蓄電池・部素材の製造基盤の拡大…経済安保基金を活用し、蓄電池3件、蓄電池部素材 12 件の計 画を認定。蓄電池・部素材の製造基盤のさらなる拡大に向けて取組を進めるとともに、蓄電池製造 装置についても措置した。 上流資源確保に向けた官民連携体制の構築や JOGMEC の機能拡充…JOGMEC に事業戦略課を 設置し、上流資源投資に向けた案件発掘から日本企業の参画等に関する事業コーディネートを行う 体制を整備した。 戦略的な有志国連携の推進や海外展開によるグローバルなサプライチェーンの強靱化…上流資源 を有するカナダと「蓄電池サプライチェーンに関する協力覚書」 を締結した。 次世代電池の技術開発の推進や人材育成等を通じた、蓄電池分野における新たなイノベーションの 創出…次世代電池である全固体電池及びその部素材の技術開発や、蓄電池のリサイクル技術開発 等への支援を行っている。また、バッテリー人材の育成のため、高校・高専生向けの教材を作成。加 えて、今後のバッテリー人材育成の方向性を取りまとめた。 (高度情報通信インフラ) ⚫ データセンターの地方分散の推進…データセンター地方拠点整備事業において、東京圏・大阪圏を 補完・代替するデータセンターの中核拠点の整備支援を行った。 ⚫ 通信インフラの高度化・国際展開に向けた我が国の競争力強化等・・・オープン RAN の拡大に向けて 日米連携をはじめとした国際連携や海外現地での PoC 含めた研究開発を支援した。ローカル5G、 省エネ等のポスト5G 基金における研究開発の公募を行った。 ⚫ 国内5G 基地局整備・ローカル5G の普及促進に向けた5G 導入促進税制の活用…これまでに全国 ⚫ 5G 導入計画を2件、ローカル5G の導入計画を 19 件認定した。 データセンターの省エネの推進…ポスト5G基金やグリーンイノベーション基金等を活用し、データセ ンターの省エネに資する半導体技術やクラウド技術の研究開発を支援した。 【デジタルインフラ基盤】 (ウラノス・エコシステム) ⚫ 4次元時空間情報基盤アーキテクチャガイドライン(γ版)を公表するとともに、同ガイドラインをもと にした Github で公表している OSS(オープン・ソース・ソフトウェア)の機能を拡充した。 ⚫ 2024 年度中のサービス提供開始を目標として、蓄電池等のデータ連携基盤整備に向けた取組を促 進した。 (サイバーセキュリティ) ⚫ サイバーセキュリティお助け隊サービスの基準の改定と更なる普及…IT 導入補助金の支援を継続 するとともに、現行の基準では対象にすることが困難である比較的規模の大きい中小企業やより高 度なセキュリティ対策を導入したい企業向けにも同サービスを提供できるよう、基準を改定した。 ⚫ 産学官が協力して国全体のサイバー対処能力向上を行うための技術確保…経済安全保障重要技 術育成プログラムを通じて先進的なサイバー防御機能及び分析能力強化に係る研究開発を実施す る主体を決定し、令和6年度内に事業の実施を開始する予定。 ⚫ セキュアなソフトウェアの流通や IoT のセキュリティ確保に向けた環境整備…ソフトウェア管理に向け た SBOM の導入に関する手引きや、IoT 製品に対するセキュリティ適合性評価制度(以下「IoT 適合 性評価制度」という。)構築方針案を策定・公表した。 87 ⚫ サイバー攻撃の全容把握や被害拡大の防止…専門組織を通じたサイバー攻撃にかかる情報の円 滑な共有を行うための報告書・手引き等を取りまとめた。 (AI ガバナンス) ⚫ 我が国における AI ガバナンスの事業者の統一的な指針として「AI 事業者ガイドライン」を策定した。 ⚫ AI の安全性に関する評価手法や基準の検討・推進を行うための機関として「AI セーフティ・インスティ チュート(J-AISI)」を設立した。 【デジタル人材基盤】 (デジタル推進人材) ⚫ 2026 年度末までに政府全体でデジタル推進人材 230 万人育成目標の実現に向けた人材育成施策 ⚫ ⚫ ⚫ ⚫ を実施した。 生成 AI の利活用人材育成…「生成 AI 時代の DX 推進に必要な人材・スキルの考え方」の提示、「デ ジタルスキル標準」の改訂、「デジタル人材育成プラットフォーム」への参加企業増を通じた学びの裾 野の拡大、IT パスポート試験における生成 AI 対応等を行った。 デジタル分野への学部再編や定員増による大学・高専におけるデジタル人材の育成機能強化 メンターによる支援事業の拡大・横展開に係る育成…目標(2027 年度までに年間 500 人規模)を実 現に向けた、「未踏事業」(情報処理推進機構)の育成規模の拡充、未踏的な発掘・育成メソッドの地 方への横展開、他の独法(NEDO・産総研等)への横展開を行った。 大学・高専から社会人まで一貫したデジタル人材育成の実現に向けた各種施策の連携 (半導体人材) ⚫ 地域の産学官連携による半導体人材の育成(教育現場での新カリキュラムの実施や企業による出 前授業等)、ニーズがある地域への横展開を行った。 ⚫ 半導体人材育成の推進に関する国際協力を推進した。 (バッテリー人材) ⚫ 産学官で連携して、教育プログラムの学習内容、指導方法を整理した。 【Web3.0】 ⚫ 令和6年度税制改正において、第三者が保有する暗号資産についても、一定の要件を満たすもの は、期末時価評価課税の対象外とした。 ⚫ 資金決済法上の暗号資産を LPS の投資対象に追加する改正法が成立した。 ⚫ 2023 年9月に、Web3.0 事業者の会計監査に関するガイドラインを日本公認会計士協会・業界団体 が策定、公表した(経済産業省は金融庁とともに勉強会にオブザーバー参加)。 ⚫ 令和5年度補正予算において、Web3.0・ブロックチェーンのユースケース創出支援、コミュニティの構 築支援等を措置したほか、令和5年度委託調査において Web3.0・ブロックチェーン技術に係る人材 育成等に関する調査を実施した。 ③今後検討が必要となる施策 【個別企業 DX】 88 ⚫ 「価値創造経営」との連動による経営改革やビジネスプロセス改革を推進する(スマートマニュファク チャリングガイドラインの策定等)。 ⚫ 地方金融機関等の地域の支援機関を通じた面的な企業 DX を推進する(DX 支援ガイダンスに即し たモデル事例の創出、DX 事例データベースの構築等)。 【デジタル産業基盤】 (半導体・電子部品) ⚫ 半導体サプライチェーン強靭化に向け、我が国におけるミッシングピース補完を目指し、国内生産拠 点整備・人材育成等を継続する。特に、次世代半導体の量産に向け、必要な法制上の措置を検討し つつ、研究開発支援を実施する。 ⚫ 製造基盤整備、研究開発支援を継続・強化する。特に、我が国における半導体・電子部品サプライチ ⚫ ⚫ ⚫ ェーン上のミッシングピース(先端パッケージ開発拠点、次世代半導体の設計開発等)に対する支援 を強化する。 次世代半導体の量産投資を見据えたファイナンスに対する支援、経済安全保障の観点も踏まえたガ バナンス強化を行う。 半導体生産拠点整備に伴うインフラ整備を推進する。 PFAS 規制への対応を行う。 (情報処理基盤) ⚫ AI の開発・利活用に必要な計算資源や有望分野・地域のデータ整備を進めていく。 ⚫ ⚫ ⚫ AI の利活用で得られるデータ等を AI モデルの性能向上に活かせる環境整備を促進する。 計算資源の高効率化等に向けた研究開発を進めていく。 上記の取組を通じて、国内外の優れた企業・人材によるイノベーションを促していく。 (蓄電池) ⚫ 国内外の蓄電池・部素材・製造装置の製造基盤の更なる拡大を行う。 ⚫ 特定国への依存脱却を含めたグローバルなサプライチェーンの強靱化を進める。 ⚫ 次世代電池の継続的な技術開発、次世代電池市場の獲得に向けた取組の推進 (高度情報通信インフラ) ⚫ データセンターの省エネを推進する。 ⚫ 通信インフラの高度化・国際展開に向けた我が国の競争力強化・・・.オープン RAN の普及拡大に向 けた国際連携や海外現地での PoC 含めた研究開発支援を継続する。また、AI を始めとする情報処 理と情報通信の一体的な運用が見込まれる等、電力需要の拡大が懸念される中、ローカル5G を含 む省エネ基地局等の研究開発に取り組む。 ⚫ ローカル5G の普及促進…税制によるローカル5G の導入促進を支援するとともに、優良なユースケ ース創出に対する支援を行う。 【デジタルインフラ基盤】 (ウラノス・エコシステム) ⚫ デジタルによる新たな価値創造を促進するため、産業を超えたデータ連携の取組であるウラノス・エ コシステムについて、具体的な事例の創出やグローバルでの連携を進める。 89 ⚫ ⚫ ⚫ ⚫ ガイドラインのアップデートに合わせて、OSS(オープン・ソース・ソフトウェア)の機能を拡充する。 情報処理の促進に関する法律施行規則及び指針を改正し、公益デジタルプラットフォーム運営事業 者認定制度を創設する。 独立行政法人情報処理推進機構をデジタル庁共管として標準機関化し、デジタル領域における基 準・標準の策定を推進する。 デジタルライフライン全国総合整備計画」に基づき、共通の仕様等に準拠したデジタルライフライン (ハード・ソフト・ルール)の全国的な整備を進め、国民による自動運転・ドローン等のデジタルサービ ス活用を抜本的に促進する。 (サイバーセキュリティ) ⚫ サプライチェーン全体での対策強化に向けてサイバーセキュリティ対策の実効性を強化すべく、IPA ⚫ ⚫ ⚫ ⚫ ⚫ ⚫ と連携してガイトライン等の管理・一元化を行いながら業種横断的なセキュリティ対策水準を定義して 各企業における取組を可視化するような枠組みを構築するとともに、当該枠組みに基づく対策水準 について政府調達等への要件化等を進める。 上記の先行ケースとして、令和6年度中に制度の一部を運用開始する IoT 適合性評価制度につい て、産業界による制度活用を慫慂しつつ、同制度で認証された IoT 製品の政府調達等における活用 を進めていく。併せて、欧米等の類似制度との相互運用性確保に向けた国際連携を一層推進する。 国内投資の促進が強力に進められている半導体関連産業におけるサイバーセキュリティの確保に 必要な政策を模索するため、実態把握や調査等を進めるとともに、関連業界の企業同士が自律的に サイバーセキュリティ対策への取組、問題意識や事例を共有できる場を設置する。 国際的な制度調和の観点から、セキュア・バイ・デザインの考え方や SBOM の活用を含むソフトウェ アセキュリティの確保に向けた対策ついて、産業界への一層の浸透を図るための実証事業や政府調 達等への要件化等の施策を進める。 十分なリソースの確保が困難な中小企業等に対して、企業規模等に応じて求められる効果的なセキ ュリティ対策・手法の整理や、セキュリティ人材不足に対応するための専門家派遣、基準改定後のサ イバーセキュリティお助け隊サービスの普及促進などの支援策に取り組む。 セキュリティ市場の拡大に向けたエコシステムを構築するため、「セキュリティ産業」の構造化や諸外 国の産業振興モデルの研究などを進め、スタートアップ支援策等を含めた必要な政策を今後提言す るとともに、情報処理安全確保支援士(登録セキスペ)の活用促進など高度なセキュリティ人材の育 成・確保策を強力に推進する。 官民のサイバー状況把握力・対処能力向上に向け、産官学が協力する形での先進的サイバー防御 機能及び分析能力強化に係る研究開発(経済安全保障重要技術育成プログラム)を推進するととも に、官民の情報ハブとしての強みを有する IPA における地政学情報等を含めたサイバー情勢を統合 的に集約・分析する機能を大幅に強化し、対応支援機能を強化する。 (AI ガバナンス) ⚫ AI セーフティ・インスティチュートを中心に、安全性基準等を国際連携で策定しつつ、ルールの在り方 について検討する。 【デジタル人材基盤】 ⚫ 政府全体でのデジタル推進人材 230 万人育成目標の実現、生成 AI の利活用人材育成 ⚫ 「未踏事業」の育成規模の拡充、地方や他の法人への横展開を行う。 90 ⚫ デジタル人材のスキル、スキルアップ状況、試験によるスキル評価に関するデータの蓄積・可視化を 可能とする共通基盤の構築を通じた、デジタル人材育成のエコシステム実現を目指す80。 ⚫ DX・生成 AI 時代に対応した創設以来の情報処理技術者試験の抜本的見直し(試験区分や出題内 容等)や更なる受験増を見据えた試験運営の DX を実施する。 (半導体人材) ⚫ 半導体の設計・製造を担うプロフェッショナル・グローバル人材を育成する。 ⚫ 半導体人材育成の推進に関する国際協力を具体化する。 (バッテリー人材) ⚫ 関西地域を中心に取組を進めているバッテリー人材育成について、対象者の拡大、プログラムの内 容の拡充、全国への展開を検討する。 【Web3.0】 ⚫ 令和5年度 Web3.0・ブロックチェーンを活用したデジタル公共財等構築実証事業で実施するアドバイ ザリーボードやワークショップ等を通じて、ユースケース創出、技術開発・人材育成、グローバル化等 に係る政策についての戦略やロードマップについて取りまとめる。 80 参考資料集 P44「デジタルスキル情報の蓄積・可視化を通じた継続的な学びの実現」参照 91 (3)グローバル化・経済安全保障の実現(グローバル・経済安保) ①当面見据える長期的目標 ⚫ ⚫ 日本に裨益する形でのルール形成、自由貿易・経済安保の確保、稼ぐ力強化、各国とのウィンウィン の関係構築、対内直接投資残高を 2030 年に 100 兆円とする目標を早期に実現する。 自律性向上、優位性・不可欠性確保、ルールに基づく国際秩序の維持を実現する。 ②第2次中間整理以降の進捗 【自由で公正な国際秩序と経済安全保障の確保に向けた対外経済政策の立案】 ⚫ 経済的強靭性及び経済安全保障に関するG7首脳声明・・・以下のG7首脳声明として採択された内 容について、G7内の国々だけでなく、G7以外の国々とも協力的なアプローチを取り、議論。 ➢ 世界貿易機関(WTO)を中核とするルールに基づく多角的貿易体制に基づき、貿易を促進し、経 ⚫ ⚫ ⚫ ⚫ 済的強靱性を高めるため、国際的なルールづくりを推進した。 ➢ 経済的威圧に対する共同の評価、準備、抑止及び対応を強化するため、「経済的威圧に対する 調整プラットフォーム」を立ち上げ、連携を強化するとともに、G7以外のパートナーとの協力を更 に推進した。 ルールベースの国際貿易秩序の維持(WTO 改革)・・・時代に即したルール形成(電子商取引、産業 補助金等)に取り組み、終局的な判断が得られる紛争解決機能の回復等に向けて努力した。 同志国との強靭で持続可能なサプライチェーンの構築…一部の国への過度な依存を是正すべく、強 靱で持続可能なサプライチェーン・市場の確保に向けた政策協調を同志国と議論した。また、「強靭 で信頼性のあるサプライチェーン原則」のG7サミットでの合意を踏まえ、さらなるサプライチェーン強 靭化に向けた具体的な取組を民間企業と連携しながら推進した。 グローバルサウスとの連携強化の取組・・・G20 などの国際フォーラムや経済連携協定、IPEF、 QUAD といった枠組み、ASEAN をはじめとするアジア、アフリカ諸国などとの対話等を活用しながら、 いわゆるグローバルサウス各国が直面する社会課題に対し、我が国がもつ技術などの強みを活かし て共に解決することを目指す。 上記に加え、マルチ・プルリ・バイの様々な枠組みの中で、どのような場が有効に活用できるか、国 益を踏まえて機動的に判断し、国際的な議論に積極的に関与。 【輸出促進】 ⚫ ⚫ ⚫ 貿易手続きの DX の推進本格化…2023 年は、貿易プラットフォームの国内外での接続先を拡大す べく、貿易プラットフォームの活用促進のための補助金導入や貿易に携わる事業者間で貿易 DX の 意義や課題について議論する検討会を開始した。また、トレードファイナンス等に係る国際標準改定 の働きかけを実施。加えて、日 ASEAN 友好協力 50 周年の場も活用しつつ ASEAN 等の貿易デジタ ル化ロードマップの策定も行う。これら取組により、貿易手続きに関するコスト削減の実現を推進して いるところ。 輸出環境の改善…NEXI の融資保険をテコに、支援を求める海外企業に対し、将来的な 日本企業と の取引の創出・拡大に積極的に取り組むことを求めることで、輸出環境改善につなげる「SEED スキ ーム」を創設。2023 年は、このスキームに基づく第一号支援案件を打ち出した。 中小企業等の稼ぐ力の向上…輸出未経験企業等を対象にした新規輸出1万者支援プログラムの推 進・強化。民間事業者による輸出支援ビジネスを育成し、中堅・中小企業の海外展開が自律的に拡 大する仕組みの構築を目指し、支援を実施した。 92 【海外投資・進出】 ⚫ グローバルサウス市場の獲得…官邸においてグローバルサウス諸国との連携強化推進会議を立ち ⚫ ⚫ ⚫ ⚫ ⚫ ⚫ 上げ。さらに、グローバルサウス諸国との経済連携を強化するとともに、我が国の産業構造高度化 等に資するような未来産業を共創するフラッグシッププロジェクトの案件組成を支援すべく、実証調査 等を実施。また、地域別戦略の策定にも着手しているところ。 資金調達支援の強化…NEXI の融資保険等を通じた、サプライチェーン強靭化、GX、スタートアップ の海外展開支援といった支援ツールの案件創出を進めたほか、その他、同志国の ECA との連携強 化を通じて GX 等に資する第三国プロジェクトのファイナンス支援の環境整備を進めるとともに、JICA とも官民資金を動員したブレンディッド・ファイナンス型支援スキームの具体化に向けた連携を確認。 インド・アフリカ等、日本企業の進出が進んでいない地域での現地のパートナー企業等との協業によ るビジネス実証支援…2023 年度は9社を支援し事業創出を促進。 インドの産業人材育成…「日本式ものづくり学校(JIM)」と「寄附講座(JEC)」の取組を通じ、進出日 系企業の人材確保に資する産業人材育成を行う。2017 年から 2023 年までに製造業やデジタル分 野約2万人の育成を行った。 アフリカの産業人材育成…2022 年 TICAD8で打ち出した AfIF(アフリカ未来の産業人材イニシアティ ブ)の下、アフリカ人材に対して教育・研修の機会を提供する。2023 年度は約3千人育成。 アジア等のゼロエミッション化人材育成…現地生産拠点の省エネ化やカーボンニュートラル推進に資 する人材育成を支援。2023 年度は約 200 人を育成。 海外現地人材育成支援…海外人材を日本へ受入れて実施する研修や海外現地・第三国で実施す る研修、オンライン研修、専門家派遣等に係る費用を補助し、人材育成を支援する。2023 年度は 3,800 人以上の人材育成を支援。また、日本企業が現地大学等の教育機関で寄付講座を開設する 費用を補助する。2023 年度は、1,700 人程度の人材育成を支援。 【サービス貿易促進等】 ⚫ インバウンド需要を創成…コロナ禍前の外貨獲得手段の第2位はインバウンドであり、国内市場が 縮小していく我が国においては、これからの時代のインバウンド需要の創成を、政府全体で新たに定 められた「新時代のインバウンド拡大アクションプラン」等に基づき、戦略的に行っていくことは最重要 課題。特に、地域への過度負担や疲弊を招きかねないオーバーツーリズムを回避しつつ、生産性を 向上させるためには、地域の個性を引き出すようなデザイン・アート投資による高付加価値化を実現 ⚫ するなど、数よりも質を追求していくことが重要。さらに、既に有名な観光地だけではなく、全国津々 浦々までインバウンド需要を均霑させていく観点から、世界的に有名な観光資源がなくとも招致可能 なビジネス客の来日・延泊ニーズにも着目し、全国の自治体と連携しながら、これまでにない新たな ビジネス・インバウンド市場の創出を目指す。 オンライン市場での製品事故拡大防止…主にオンライン市場で海外事業者により販売される製品に ついて、製品事故の拡大防止措置が確実に講じられる制度を整備。また、玩具等の子ども向け製品 の安全を確保し、消費者が安心して取引できる市場の拡大。 【対日直接投資促進】 ⚫ 高度外国人材の受入れ促進…2023 年 10 月から産学官による高度外国人材研究会を開催し、企業 の取組を共有しつつ、制度面も含めた官民の課題を包括的に議論。2023 年度にアジア、中東欧、メ キシコにて 10 か国 24 回の対面又はオンラインでのジョブフェアを実施した。また、令和4、5年度に 高度外国人材活躍地域コンソーシアムを国内6地域(北海道、東北、北陸、関西、中国、九州)で立 93 ち上げた。今後、高度外国人材の活躍推進による中堅・中小企業の海外展開促進・地域経済の活性 化を目指す。加えて、日本企業の外国人材受入体制整備を促進するためのインターンシップ事業を ⚫ ⚫ ⚫ ⚫ ⚫ ⚫ ⚫ 行い、105 名の外国人材を全国の中堅・中小企業 93 社で受け入れた。 重要分野への投資促進・地方誘致…半導体等の戦略分野への投資促進などを含む「海外からの人 材・資金を呼び込むためのアクションプラン」を令和5年4月に取りまとめた。 海外企業の国内誘致や地域への二次投資、日本企業との協業のための事業可能性調査支援…地 域別の誘致施策や海外企業の定着・二次投資に向けたフォローアップ策を議論するため、「地域投 資誘致フォローアップ連絡会議」を新設し、令和5年度中に福岡、大阪、北海道で開催した。海外企 業による日本での新規投資等に係る事業可能性調査に対する補助金を公募し、11 件採択した。 国内外スタートアップ・エコシステム間のネットワーク強化…令和5年度中にボストン、ロンドン、シン ガポールでピッチイベントを実施し、現地エコシステム関係者とのネットワークを強化した。また、令和 5年度(12 月末時点)は海外企業経営者層等を 17 社招へいし、誘致に向けて、地域の企業・自治体 等と面談した。 海外企業と日本企業とのマッチングの強化…JETRO のビジネスプラットフォーム「J-Bridge」を通じ て、令和5年度(12 月末時点)は日本企業と海外企業の協業連携案件を 13 件創出した。 対日 M&A・外国企業との協業促進…令和5年4月、「対日 M&A 活用に関する事例集」を策定し、講 演等の広報を実施した。2023 年 12 月以降、「外国企業と日本企業の協業連携事例に関する研究 会」を開催し、対日 M&A 以外の協業形態にも着目し、その効果・意義についてまとめた「外国企業と 日本企業の協業連携事例集」を令和6年4月に公表。 日本のビジネス環境改善…「G7在日商工会議所連携会議」を令和5年度中に4回開催し、日本のビ ジネス環境の課題等について議論した。経産省所管法令のうち、特に対内直接投資促進に関するも のについて、令和5年度は 17 件の英訳作業中。令和5年 12 月に法務省が導入した法令の AI 翻訳 システムについて、令和6年度から全省庁で運用開始予定。 情報発信…JETRO の対日投資・ビジネスサポートセンターにおいて、多言語(日・英・中・台)で日本 での拠点設立等に関する相談対応や情報提供を実施。また、海外(加、独、西、仏等)の主要経済紙 に広告記事を発出するなど広報活動を実施した。 【技術優位性の確保】 ⚫ 経済安全保障重要技術育成基金の執行を通じた先端重要技術の育成…経済安全保障推進法に基 ⚫ づく指定基金協議会を設置・開催し、先端的な重要技術の研究開発を進める「経済安全保障重要技 術育成プログラム(通称 K Program)」を実施していく。 これまでに K Program で支援対象とすべき 50 の重要技術を特定し、公募手続きを経て順次研究開 発に着手した。 【サプライチェーンの強靱化】 ⚫ 特定重要物資に関する継続的な見直し…2024 年1月に先端電子部品を特定重要物資に追加決定 した。特定重要物資に関する継続的な見直しを実施した。 ⚫ 基金を設置し、安定供給確保に向けた民間事業者の国内生産基盤の確保のための設備投資等の ⚫ 取組を支援。経済安全保障推進法に基づき、令和5年度における補正予算において、安定供給確保 に向けた民間事業者の国内生産基盤の確保のための設備投資等の取組を支援。 経済安全保障推進法に基づき、基幹インフラへの設備導入に係る事前審査制度の 2024 年5月の導 入に向けた準備等を実施。 94 【産業界との対話・国際連携】 ⚫ ⚫ 脅威・リスク分析、重要物資のサプライチェーン強靱化等について、産業界との意見交換を実施 有志国・同志国との経済安全保障に関する対話の活発化(G7 などの国際プラットフォームの活用) 【インテリジェンス機能の強化(脅威・リスク分析)】 ⚫ 政府が保有する安全保障上重要な情報として指定されたものにアクセスする必要がある者のうち、 政府の調査を経て信頼性の確認を経た者だけで取り扱う等の厳格な管理ルールである「セキュリテ ィ・クリアランス制度」の法制化。 ③今後検討が必要となる施策 【自由で公正な国際秩序と経済安全保障を両立した対外経済政策の立案】 ⚫ ルールベースの国際秩序の維持。 ⚫ 「持続可能性」等の観点が考慮された製品の需要を創出すべく、米欧といった同志国とともに、産業 政策面の協力を戦略的に推進し、強靭で持続可能なサプライチェーン・市場を確保する。AZEC 等の 国際枠組みやグローバルスサウス向けの各種政策を通じて、グローバルサウス諸国との連携も目 指す。 ⚫ グローバルサウス諸国との連携強化推進会議を通じて、今春をめどにグローバルサウス諸国との連 携に向けた方針をとりまとめ。さらに、グローバルサウスとの経済連携強化に向け、中東・アフリカ等 における第三国連携をインドと共に面的に展開する枠組みを構築し、それを起点に、重点分野・国を ⚫ ⚫ 特定した戦略的取組をインフラ構築や、ファイナンス強化(NEXI の機能強化等を検討)等とパッケー ジで展開する。 貿易・投資関係の強化を通じたサプライチェーン強化や、保護貿易主義への対抗策としての EPA の 重要性を認識し、新興国(GCC、トルコ、バングラデシュ等)との EPA 交渉や、アフリカ・南米・中央ア ジア諸国等との投資協定交渉を推進するとともに、発効済の協定を着実に履行する。 また、IPEF の枠組みを通じたサプライチェーンやクリーン経済分野での協力、CPTPP 一般見直し、 RCEP 協定の透明性のある履行を進める。 【輸出促進】 ⚫ ⚫ ⚫ 貿易手続きのデジタル化推進…他省庁と連携したアクションプランの策定等、ASEAN 等の貿易手続 デジタル化環境整備(2023 年度策定したロードマップの実現に向けた各国取組の支援)を行う。 NEXI 融資保険を活用した輸出環境改善 中小企業等の「稼ぐ力」の向上…輸出未経験企業等を対象にした新規輸出1万者支援プログラム (2022 年度~)の推進・強化。地域商社をはじめとする民間事業者による輸出支援ビジネスを育成 し、中堅・中小企業の海外展開が自律的に拡大する仕組みの構築を目指す取組の推進 【海外投資・進出】 ⚫ グローバルサウスとの経済連携強化に向け、中東・アフリカ等における第三国連携をインドと共に面 的に展開する枠組みを構築し、それを起点に、重点分野・国を特定した戦略的取組をインフラ構築 や、ファイナンス強化(NEXI の機能強化等を検討)等とパッケージで展開する。 95 ⚫ ⚫ ⚫ ⚫ 新規事業探索支援を強化…スタートアップを含む先端企業の支援/現地企業とのマッチング機会の 創出、IPEF 等の経済連携枠組みと連動した形でのグリーン・デジタル分野等における国際ルール形 成と案件形成支援等 資金調達支援の強化…国際経済環境が激変する中でも、貿易保険制度を通じて企業のグローバル な挑戦を支えていくため、リスク管理と財務基盤の双方の強化を進める。その際、特にサプライチェ ーン強靱化や GX、国際連携を含む政策的意義の高い分野については、政府が企業の挑戦を下支 えすべく、重点的な保険提供を可能とする。 現地での事業参入・拡大支援の強化、対外経済戦略の策定と支援実施体制の強化 相対的に日本企業の進出が進んでいない地域への進出支援や新たな産業人材ニーズに応える人 材育成、共創事業組成に向けた現地人的ネットワーク構築の強化…インド・アフリカ等への進出支 援、グリーン・デジタル分野等の人材育成支援や現地の規制・基準等の制度整備支援、海外人材・ 大学等とのネットワーク構築支援 【サービス貿易促進等】 ⚫ デジタル技術を組み合わせ製造・ヘルスケア・農業等の分野でグローバルトップを狙う企業のスケー ル化を支援する。 ⚫ オンライン市場での製品事故拡大防止…オンライン市場で海外事業者により販売される製品等につ いて、製品事故の拡大防止措置が確実に講じられる制度を整備する。 【対日直接投資促進】 ⚫ ⚫ ⚫ ⚫ ⚫ ⚫ ⚫ イノベーション・地域活性化に資する対日投資案件の誘致、海外企業との協業連携の促進、誘致を 行う地域への伴走支援を強化する。 「海外からの人材・資金を呼び込むためのアクションプラン」を着実に実行する。 高度外国人材の活躍…高度外国人材の活躍に向けた官民の課題等を包括的に整理する。令和4 年、5年に立ち上がった高度外国人材活躍地域コンソーシアムにおいて、大学や企業、経済団体等 域内関係者の連携強化を通じて採用を促進し、中小企業の経営の内なる国際化を進めるとともに、 就労環境に関する課題等について共有認識を醸成し、地域における解決の取組促進につなげる。ま た、高度外国人材の採用から定着にむけた、JETRO の専門相談員による課題解決、就労環境整 備、手続き支援等の企業向け伴走型支援を行う。高度外国人材活躍推進ポータルにおいて日本で の就労等に関する情報提供を充実させる。 地域を考慮した多様な高度外国人材の受入れ…グローバルサウス諸国の大学・大学院卒業生に関 する情報提供や寄付講座開設拡大、IT 人材のインターン受入促進等を通じた等を通じた人材獲得 の多様化を行う。 日本企業と海外企業の協業促進…対日 M&A や海外企業との協業連携の効果等を検証し、その結 果を普及するほか、クロスボーダーの協業連携に向けた企業内体制の構築を支援する。 英語による国・自治体の情報発信の強化…対内直接投資促進に取り組む自治体等による対外 PR の支援、法令の英訳の期間短縮等を行う。 国・地域が一体となった対内投資誘致強化…重要分野について、海外の特定技術等を持つ企業の、 国内の特定地域への投資誘致に向け、国内外の産業拠点の企業立地要因、産業基盤を定量的・定 性的に比較分析し、その結果を基に、国・地域が一体となって、各地域の産業拠点の基盤高度化や 海外の有望企業の誘致(二次投資を含む)につなげる。 96 ⚫ ⚫ ⚫ 対内直接投資の喚起・投資検討プロセスの加速化…世界各国に対日投資誘致専門員を配置し、有 望な海外企業を個別訪問するとともに、投資の意思決定を後押しすべく、海外の経営者層等の招へ いや事業実施可能性調査支援等を行う。 国内外のスタートアップ・エコシステム間のネットワーク強化…国内外の有望なスタートアップによる ピッチイベントやネットワーキングイベント等を通じて、海外投資家を含む現地エコシステム関係者と のネットワークを強化する。 日本のビジネス環境改善…G7 在日商工会議所連携会議をはじめ、海外の政府機関・経済団体・企 業・投資家等と連携し、日本のビジネス環境の課題等を把握し、必要な対応を行う。 【技術優位性の確保】 ⚫ 我が国の産業・技術基盤を維持・発展させるため、脅威・リスク分析のための体制構築、技術優位性 ⚫ ⚫ 獲得に向けた投資支援、新たな貿易管理における枠組みを含む技術管理対策の強化、産業界・主 要国との戦略的な連携を行う。 技術的優位性を確保するためのサプライチェーン構築とイノベーションへの投資を進めるとともに、 機微技術の流出・拡散を防止する。 経済安全保障推進法に基づく指定基金協議会を設置・開催し、先端的な重要技術の研究開発を進 める「経済安全保障重要技術育成プログラム(K Program)」を継続実施。 【サプライチェーンの強靱化】 ⚫ 経済安全保障推進法に基づく特定重要物資に関する取組等を通じ、不可欠性の確保、供給の多元 化・自律性の回復を目指す。 【産業界との対話・国際連携】 ⚫ 脅威・リスク分析、重要物資のサプライチェーン強靱化等について、産業界との意見交換を継続実施 する。 ⚫ 有志国・同志国との経済安全保障に関する対話を活発化(G7 などの国際プラットフォームの活用)。 【インテリジェンス機能の強化(脅威・リスク分析)】 ⚫ 我が国の産業・技術基盤に対する脅威・リスクおよびその影響を分析するため、シナリオ分析(特定 ⚫ の脅威・リスクが発現した場合における影響・対処法等の分析)と、サプライチェーン分析(供給途絶 時の影響が大きいサプライチェーン上のチョークポイントになり得る物資・技術の特定)、技術分析 (我が国の技術優位性の把握)を実施する。 必要に応じてセキュリティ・クリアランス制度を活用しつつ、関連企業と情報を共有する。 97 (4)新しい健康社会の実現(健康) ①当面見据える長期的目標 ⚫ ⚫ ⚫ 2040 年に健康寿命 75 歳以上を実現する。 2050 年に公的保険外サービス 77 兆円を実現する。 世界の医療機器市場のうち 21 兆円の獲得を実現、世界の医薬品市場のうち 25~30 兆円の獲得を 実現する。 ②第2次中間整理以降の進捗 【PHR の推進・ヘルスケアスタートアップの振興等】 ⚫ PHR の推進を通じた異分野参入の促進… ➢ 公的な健康医療データの活用促進(マイナポータル API 連携促進、基本的指針の改訂) ➢ ➢ ⚫ ⚫ (2021 年に総務・厚労・経産で健診等情報の取扱いに関する「基本的指針」を策定、民間 PHR 事業者が本人同意の下で公的機関の情報をマイナポータル経由で取得、2021 年レセプト、 2022 年がん検診などの情報を順次提供。2024 年秋の電子カルテ情報の提供に伴い「基本的指 針」を改訂予定) 業種横断的な業界団体(PHR サービス事業協会:2023 年7月に設立)と連携した事業環境整備 (ライフログデータ等の標準化、適切なデータ管理やサービス提供に向けた業界ガイドラインの 策定) PHR を活用した国民が価値を感じられる新たなユースケースの創出に向けた実証事業や万博 等の機会を活用した普及・啓発を実施 健康経営を通じた企業や社会による健康への投資促進… ➢ 健康経営が資本市場や労働市場(機関投資家や求職者等)における様々なステークホルダー から評価される仕組み(情報開示促進等)の構築 ➢ 中小企業向け補助金や政策金融における優遇措置等のインセンティブの整備 ➢ 質の高い健康経営に向けた効果の可視化と分析 ➢ 健康経営実践企業が、健康経営コンサルやメンタルヘルス支援をはじめとする健康経営支援サ ービスを選択できるためのプラットフォームの構築 ➢ 健康経営制度運営の円滑な民営化 ➢ 国際展開及びグローバルな評価指標への組み込み ➢ 健康経営を普及推進する自治体間のネットワーク構築を目指したカンファレンスの開催 ヘルスケアスタートアップ・エコシステム強化に向けて、地域拠点を中核にしたコミュニティ機能の強 化、海外医療機関やアクセラレータ等と連携した海外派遣事業、国内外のヘルスケアスタートアップ 関係者を招聘するグローバルカンファレンスの実施 【公的保険外サービスの振興・介護と仕事両立促進等】 ⚫ ヘルスケアサービスの信頼性確保に向けた業界団体やアカデミア等と連携したガイドラインや認証 制度等の構築 ⚫ ビジネスケアラー対策に向けた地域・職域での介護分野における取組の促進… ➢ ➢ 介護分野における公的保険外ビジネスケアラーの介護離職等の経済的損失の推計・提示(2030 年9兆円) 介護需要の多様な受け皿の整備(介護保険外サービスの振興)に向け、市町村と民間事業者と のマッチングを目的とした伴走支援継続、都道府県と市町村の連携モデル事業実施、地域や職 98 域における介護保険外サービスのチャネル強化、信頼性確保のための保険外サービスに係る 業界団体設立・認証制度整備支援を実施。 ➢ ➢ 企業における介護と仕事の両立支援促進のため、「企業経営と介護両立支援に関する検討会」 を開催し、企業における両立支援に向けた取組のガイドラインを策定。本ガイドラインを基軸に し、経営層コミュニティとの連携や、リソースの限られる中小企業への面的な両立支援施策の実 施。 介護ロボット開発の重点分野の見直しの検討を進めるとともに、海外市場獲得のための認証取 得等を促進 【先進的な医療機器/医薬品の開発及び海外展開】 ⚫ 新たな価値を創造するプログラム医療機器(SaMD:Software as a Medical Device) の開発環境の ⚫ ⚫ 整備、研究開発に係る支援を実施。経済産業省及び厚生労働省との共同でプログラム医療機器実 用化促進パッケージ戦略「DASH for SaMD2」を策定し公表。 国際展開戦略の推進に向けて、MExx構想を基軸としたアジアへの展開支援、アフリカの戦略重点地 域との連携、医療インバウンドの市場拡大(ベトナム市場開拓・健診ニーズへの訴求)等を実施。 日本医療研究開発機構(AMED)を通じて、認定ベンチャーキャピタルが出資する創薬ベンチャーが 行う革新的な医薬品の実用化開発を支援。 ③今後検討が必要となる施策 【PHR の推進・ヘルスケアスタートアップの振興等】 ⚫ ⚫ ⚫ ⚫ ⚫ ⚫ ⚫ 高齢化が進展する中、大きなポテンシャルを持つヘルスケア(健康・医療・介護)の産業化を促進する ため、その基盤となる PHR 等の整備や、ヘルスケアスタートアップの伴走支援を通じた新たなビジネ スの創出、地域性に応じた介護事業を促進する仕組みの構築を進める。 大阪・関西万博の機会を活用した情報連携基盤の実証及びユースケース創出 健診等情報を取得・活用したユースケース創出に向けた、マイナポータル API 連携を行う事業者の 増加 ユースケースの更なる増加に向けた実証事業の実施や時勢に合わせた「基本的指針」の見直し等に よる事業環境整備 民間事業者団体とも連携し PHR が保有する価値の普及啓発を通じた、異業種連携による新たなサ ービスの創出促進 日本経済社会を支える基盤としての健康経営を目指した環境整備 健康経営の効果分析及び適切な指標の検討による健康経営の可視化と質向上… ➢ 健康経営を支える産業の創出と国際展開の推進による新たなマーケットの創出 ➢ 中小企業への普及拡大や制度の完全民営化による健康経営の社会への浸透・定着 【公的保険外サービスの振興・介護と仕事両立促進等】 ⚫ 地域の介護福祉を担う主体向けに民間企業等が提供する地域資源とのマッチング支援… ➢ 広域的に活動を展開する企業等のサービスを市町村に繋ぐ仕組みを都道府県等と連携してモ ➢ ➢ デル構築 福祉職のサービス紹介に関するインセンティブ設計や職域における専門窓口設置に関する実証 介護保険外サービスの信頼性確保のための仕組みづくりとして、業界団体による認証制度設立 支援 99 ➢ ⚫ ⚫ ⚫ ⚫ 企業経営層に対するリーチ活動として、人的資本経営関連活動や経済団体等と連携し、経営層 へ仕事と介護の両立支援促進に係る知見共有・必要性を訴求 ➢ 実証成果を踏まえた施策検討・実施し、民間企業等による地域資源の更なる充足を促進 ➢ 公的保険外サービスの認証制度の運用・団体の自立化・保険外サービスの普及促進 ➢ 必要に応じ、改正内容をガイドライン等に反映と並行し、普及啓発活動の継続 自治体や支援団体等と連携し、中小企業の両立支援を地域として面で支える仕組み構築 介護ロボットの重点分野に基づく開発を支援し、海外市場獲得のための認証取得等を促進 日本経済社会を支える基盤としての健康経営を目指した環境整備 健康経営の効果分析と適切な指標の検討による健康経営の可視化と質向上… ➢ 健康経営を支える産業の創出と国際展開の推進による新たなマーケットの創出 ➢ 中小企業への普及拡大や制度の完全民営化による健康経営の社会への浸透・定着 【先進的な医療機器/医薬品の開発及び海外展開】 ⚫ バイオ産業について、バイオ医薬品や再生・細胞・遺伝子治療分野における受託開発製造拠点の整 備・増強の支援の在り方を検討する。 ⚫ 創薬及び医療機器ベンチャーの成長を政府全体で支援するための他省庁事業との連携強化 ⚫ アンメットニーズ(潜在ニーズ)を捉えた新たな競争力領域への集中的な研究開発投資と国際的競争 力確立に向けて米国展開に必要となる臨床試験等のエビデンス構築及び展開に必要となるネットワ ーク構築を支援 ⚫ AI 診断等の SaMD の社会実装に向けて研究開発及び臨床的有用性や経済性に関するエビデンス 構築のための実証を支援する。 100 (5)少子化対策に資する地域の包摂的成長 ①当面見据える長期的目標 ⚫ 地域の企業の成長等を通じた良質な雇用や豊かな生活環境の創出(可処分所得・時間の向上)等 により、希望出生率 1.8 を回復し、更に人口動態の安定化をもたらす希望水準が実現できるような経 済環境を実現する。 ②第2次中間整理以降の進捗 【良質な雇用の創出(若者・女性の収入増を通じた「可処分所得の増加」に繋がる産業政策)】 (地域の核となる企業の成長) ⚫ 地域経済を牽引する中堅・中小企業に対する集中支援(新事業展開のための経営者ネットワークや 専門家による支援体制の構築等) … ⚫ ⚫ ➢ 地域未来投資促進税制に中堅企業枠を創設 ➢ 中堅・中小企業の賃上げに向けた省力化等の大規模成長投資補助金等を創設 ➢ 地域未来牽引企業の更新(2025 年度) 中小企業・小規模事業者における事業再構築・生産性向上等、及びその関連施策と一体的に行う賃 上げへの支援…中小企業向けの賃上げ促進税制において5年間の繰越控除措置を創設 成長志向の中小企業の創出(親族内承継や M&A を含む第三者承継を機とした変革の推進、イノベ ーション支援、人材・資金等の内部資源の充実、伴走支援) … ➢ 「中小 M&A ガイドライン(第2版)」を公表 ➢ 事業承継税制の特例承継計画の提出期限を2年延長 成長意欲のある中堅・中小企業のグループ化に向け、複数回 M&A を後押しする税制を創設81し たほか、中小企業のグループ化等を促進するため、「中小グループ化・事業再構築支援ファンド 出資事業」の新設や、日本政策公庫による「事業承継・集約・活性化支援資金」の拡充等を実施 産業立地に係るインフラ整備(重要産業に係る工業用水等の産業インフラ整備、土地利用調整の円 滑化等) … ➢ 戦略分野に関する国家プロジェクトの生産拠点の整備に際し、工業用水等の関連インフラの整 備を機動的かつ追加的に支援するため、新たな交付金を創設 ➢ 産業立地の際の土地利用転換の迅速化を図るため、地域経済の発展に資する産業利用に係る 市街化調整区域の開発許可手続きの緩和を実施 ➢ ⚫ ➢ ⚫ ⚫ ⚫ 地方公共団体の都市部局、農林水産部局等の連携により、地域未来投資促進法を活用して、 土地利用転換手続に要する期間を短縮 労務費を含めた価格転嫁対策、パートナーシップ構築宣言…価格交渉促進月間に基づき、下請中 小企業からみた価格交渉・転嫁の状況を整理した企業リストを公表。評価が芳しくない発注企業の 経営トップへの指導・助言を実施。 インパクト投融資等を活用した、地域の社会課題解決を目指す事業を推進するエコシステムの確立 …ゼブラ企業を創出・育成する「地域課題解決事業推進に向けた基本指針」を公表 経営者保証に依存しない融資慣行の推進… ➢ 保証料の上乗せにより、経営者保証の提供を不要とする信用保証制度を創設(中小企業信用 ➢ 81 保険法改正) 新制度の活用促進のため、上乗せ保証料について、3 年間の時限措置として軽減 参考資料集 P95「中小企業事業再編投資損失準備金の拡充及び延長(中堅・中小グループ化税制) 」参照 101 ⚫ 地域における女性起業家の支援 (地域全体の経済・産業のビジョンと資金・人材が循環するエコシステムの確立) ⚫ 地域の資源を生かしたアート・デザインやスポーツの活用等による観光業等への投資促進 ⚫ 自治体等がデザイン活用に取り組む際のガイドラインである「インタウンデザイナー活用ガイド」の公 表 ⚫ 地域等がパブリックアートに取り組む際のガイドラインである「×ART スタートアップガイドライン」を 公表 ⚫ 我が国産業の高付加価値化に資するデザイン分野における取組強化 ⚫ 国内スポーツリーグ・チームによるスポーツコンテンツの海外展開を支援 【良質な雇用の創出(若者・女性の「可処分時間の増加」に繋がる働き方改革や規制改革)】 ⚫ ダイバーシティ経営の浸透を通じた地域の働きやすい環境の整備・優良事例の選定… ➢ 地域のダイバーシティ経営の優良事例を整理 ➢ 地域の優良事例の横展開 ⚫ 補助金審査の際の WLB 加点措置導入…補助金において、補助目的を鑑みつつ、子育て支援・女性 活躍推進企業に対して原則加点措置を実施 ⚫ なでしこ銘柄の活用による男女を問わない多様な働き方の促進…令和5年度より新たに「Next なで しこ 共働き・共育て支援企業」を選定した(2024 年3月) ⚫ 地域における人材獲得・育成・定着支援…地方自治体、金融機関等の関係機関と連携し、地域が一 ⚫ ⚫ 体となって、将来の経営戦略実現を担う人材等の確保や域内でのキャリアステップの構築等を行う 「地域の人事部」の実証事業を支援(2年間でのべ 40 件) 女性の健康課題の解決のためのフェムテック等の企業等への導入…フェムテック等の活用により、 女性特有の健康課題を解決し、就業継続等を図るための実証事業への支援(3年間で 57 件)と実証 効果の把握・発信。 家事支援サービスの利用促進…中小企業等の従業員に福利厚生を通じて家事支援サービスの利 用機会を提供する取組に関する実証事業を実施。 【豊かな生活環境の創出(若者・女性の結婚・子育て・生活をめぐる環境を改善する取組)】 ⚫ ⚫ ⚫ ⚫ 多様なニーズに応える教育環境の実現 デジタルの活用を通じた交通・物流等の生活インフラの持続可能化 社会課題解決ビジネスの成功事例の全国展開 …ゼブラ企業の事例を含めた「地域課題解決事業 推進に向けた基本指針」を公表 地方も見据えた男女の結婚に向けたマッチング支援…キャリア形成に資するライフデザインサービ スといったサービスの企業等における導入環境構築のための実証を行う。 ③今後検討が必要となる施策 【良質な雇用の創出(若者・女性の収入増を通じた「可処分所得の増加」に繋がる産業政策)】 (地域の核となる企業の成長) ⚫ 賃上げや働き方改革による良質な雇用を実現できる地域の中核となる企業(地域経済への影響力 が大きく、成長性が見込まれるとともに、地域経済のバリューチェーンの中心的な担い手である中 堅・中小企業)を自治体等と連携しつつ育成し、更なる成長軌道に乗せる。 102 ⚫ 下請代金法の執行力の強化(公取委・事業所管省庁との執行連携等)、官公需における労務費等の 価格転嫁の徹底等による価格転嫁の強化策を検討する。 ⚫ ⚫ パートナーシップ構築宣言の更なる拡大及び実効性向上に取り組む。 クリエイティブ産業の振興に向けて、海外現地拠点等を活用した戦略的海外展開の促進、国際水準 の制作を実現する支援、プラットフォーマー等との契約交渉支援、クリエイターの育成等を行う。こう した取組を通じて他産業の高付加価値化を図り、観光・インバウンドの稼ぐ力も強化する。 中小企業・小規模事業者における事業再構築・生産性向上等、及びその関連施策と一体的に行う賃 上げの促進 成長志向の中小企業の創出(M&A・グループ化、イノベーション支援、人材・資金等の内部資源の充 実、伴走支援、設備投資促進) 親族内承継や M&A を含む第三者承継を機とした変革の推進に向けた、後継者支援、PMI 支援、 ⚫ ⚫ ⚫ ⚫ ⚫ ⚫ ⚫ ⚫ ⚫ ⚫ ⚫ ⚫ M&A 市場の環境整備等を行う。 ロールモデルとなる女性起業家の創出、育成支援や女性起業家支援のための地域ネットワーク構 築 中堅・中小企業を地域経済の核として、海外への輸出を含めて成長を促すとともに、域内取引等を 通じて、地域経済への更なる波及を図る。 地域経済を牽引する中堅・中小企業の中でも、新事業開発や省力化等の取組で生産性を高め、東 京圏と遜色ない給与水準への賃上げや働き方改革等を精力的に行う企業をより多く創出するための 支援を強化する。 中堅・中小企業において、賃上げや人材開発投資の強化、若い世代が求める柔軟な働き方を可能と する働き方改革等の「良質な雇用」の実現に精力的に取り組むとともに、地域未来牽引企業の認知 度やブランド力の向上を促進する。 地域未来投資促進法を活用し、人材等の資源に限りがある中で、GX 等の環境変化も踏まえ、成果 を最大化するため、産業集積や産業インフラ等のそれぞれの地域特性を活かした産業政策を戦略 的に講じる意欲のある自治体の取組を促進する。 大規模な投資が生じている地域においては、自治体とより密接な連携を図ることにより、インフラや 人材確保等も含めた地域課題の解決や、地域のサプライチェーン全体での「良質な雇用」の創出等 を通じて、その地域経済への波及効果を最大化する。 地域の特性に応じた産業政策を進める中で、産業用地の不足や新規の工業用水の需要が顕在化し ている自治体もあるなど、産業インフラ整備に課題を抱える自治体も多い。そのため、企業からの中 長期的な需要や地域の産業政策を踏まえた、産業用地の有効活用・整備やノウハウの獲得、工業 用水道の有効活用・整備を促進する。 低廉かつ安定的な工業用水の持続的な供給のために、ウォーターPPP の導入やデジタル化、高収 益化等によって経営体質を抜本的に改善し、工業用水道施設の老朽化や強靱化への対応を促進す る。 AI・ロボットの活用推進等を含め、人手不足等の供給制約へのさらなる対応を推進する。 (地域全体の経済・産業のビジョンと資金・人材が循環するエコシステムの確立) ⚫ 企業規模拡大とともに高度化する経営課題(例えば、M&A、DX、知財、資本政策等)に対応するため の専門人材・大規模資金等のリソースを補完するためのソフトインフラや地域を越えた支援機関ネッ トワークを形成し、中小企業から中堅企業、さらに大企業へとシームレスに成長を目指すことが出来 103 る環境を整備するため、中堅企業等を取り巻くエコシステムの将来のあるべき姿とそれを実現するた めの障壁、官民の取り組むべき事項を整理・検討する。 ⚫ ⚫ 地域の個性を引き出すようなデザイン・アート投資・分野間連携等による高付加価値化を実現し、生 産性を高める。 海外から国内スポーツリーグ・チームに資金を呼び込み、地域の観光産業の振興に貢献する。 【良質な雇用の創出(若者・女性の「可処分時間の増加」に繋がる働き方改革や規制改革)】 ⚫ 地域に根差した中小企業が、多様な価値観を受け入れ、女性・若者のニーズを捉えた誰もが働きや すい企業経営の実現を後押しする。 ⚫ フェムテック等の活用を通じた働く女性の健康課題やライフイベントとキャリアとの両立支援 ⚫ 地域未来牽引企業等の地域の中核となる企業が働き方改革を推進しながら、自治体、経営支援機 関、教育機関等と連携し、地域の関係者で一体となって人材獲得・育成等を行う「地域の人事部」の 取組を支援する。 【豊かな生活環境の創出(若者・女性の結婚・子育て・生活をめぐる環境を改善する取組)】 ⚫ 個人のライフステージに応じた諸課題に対応し、生活の質を高めるとともに、企業価値向上等への寄 与を目指し、可処分時間確保に資する家事支援サービス、自律的・主体的なライフデザイン支援、社 内外のコミュニティ形成のサポートの企業等への導入に向けた環境整備を行う。 ⚫ 多様な学びを各地で実現するため、企業や個人と連携し、民間教育サービスの活力や企業等からの 寄附・支援等も活かしながら、地域社会全体で次世代の教育を支えていくモデル創出を行う。 ⚫ ゼブラ企業を中心とする地域課題解決事業の地域での実証を実施、事業モデルの整理や社会的イ ンパクトの評価手法等の確立に取り組む。 104 (6)災害に対するレジリエンス社会の実現 ①当面見据える長期的目標 ⚫ 途上国の適応市場(2050 年約 70 兆円)含めた世界市場の獲得を実現する。 ②第2次中間整理以降の進捗 【企業の防災、強靭化投資の推進】 ⚫ スマート保安の促進に向けた環境整備…2023 年 12 月、改正高圧ガス保安法等の規定に基づき、 認定高度保安実施事業者制度においてデジタル技術等の先端技術を活用した自主保安(スマート 保安)への取組を必須要件化するとともに、認定事業者には行政手続の簡素化等という制度的措置 を実施した。 ⚫ スマート保安の一層の促進に向けた取組…2024 年2月にスマート保安官民協議会の高圧ガス保安 部会を開催した。官民のアクションプランのフォローアップを行い、スマート保安の進捗を確認した。 【自治体における先進的な防災・減災ソリューションの導入】 ⚫ レジリエンス分野のスタートアップ支援…自治体の防災関連のニーズ、スタートアップの技術に関す るヒアリングを実施し、SBIR で募集するトピックを策定した。具体的には、市町村が被災状況を迅速 に把握するために、効率的な情報収集から、データの分析までを一気通貫で行う技術を募集する。 2024 年5月に公募を開始し、今秋事業開始予定。 【海外市場の獲得】 ⚫ ⚫ ⚫ ⚫ 適応技術の国際広報…途上国政府や国連機関等向けに、日本企業の適応技術を PR するための 適応グッドプラクティス事例集について、41事例から 56 事例に拡充した。また、これら技術の理解促 進のため、アジア開発銀行職員向けに計5回のセミナーや COP28 でアフリカ開発銀行、アジア開発 銀行、国連ハビタットと連携し、セミナーを開催した。 国連機関と連携した途上国の防災力向上…COP27 で、経済産業省と国連ハビタット福岡本部は、日 本企業と共にアジア太平洋地域の都市のレジリエンス向上を目的に、「SUBARU・イニシアティブ」を 発表した。同イニシアティブの下で、2023 年9月にアジア太平洋地域の5都市と日本企業6社のマッ チング会議、2024 年1月にネパールでデモ実証1件を実施した。また、同イニシアティブを通じた取組 は、2023 年8月に日 ASEAN 経済大臣会合において、今後日 ASEAN で取り組む施策として合意さ れた。 国際ワークショップの開催…2024 年3月にタイと官民ワークショップを開催し、タイの農業分野での気 候変動への適応に有効な技術を日本企業から紹介するとともに、今後の連携等について議論した。 適応分野のプロジェクトへの資金動員の促進…民間金融機関等へのヒアリングを通じて、投融資に かかる課題を抽出し、民間資金の動員に必要な方策を検討した。 ③今後検討が必要となる施策 【企業の防災、強靭化投資の促進】 ⚫ スマート保安の一層の促進に向けた取組…官民協議会等を通じて事業者に働きかけ(スマート保安 官民協議会の高圧ガス保安部会等を開催し、スマート保安を促進する上での課題、解決策、アクショ ンプランの進捗状況等について共有) 【自治体における先進的な防災・減災ソリューションの導入】 105 ⚫ ⚫ レジリエンス分野のスタートアップ支援…自治体が抱える防災のニーズを具体化し、それらのニーズ を満たしうるスタートアップ等の製品・サービスを調査し、被害の最小化と回復の迅速化の観点から、 研究開発トピックを設定する。 国内市場創出のための施策の検討…レジリエンス産業創出のため、SBIR 制度を国内市場の拡大 につなげる。また、防災に資する官民連携の在り方に関する検討(災害物資等)を行う。 【海外市場の獲得】 ⚫ 引き続き、国内市場と連携して、海外市場へ日本企業の製品・サービスの展開を支援する。 ⚫ 適応技術の国際広報…適応グッドプラクティス事例集の事例拡充、途上国政府や国連機関等向け に国際会議等において国外発信を行う。 ⚫ 国連機関と連携した途上国の防災力向上…「SUBARU・イニシアティブ」の下で途上国自治体と日本 ⚫ ⚫ ⚫ 企業のマッチング会議を実施する。 海外展開に向けた FS(フィージビリティスタディ)調査、制度整備、実証…途上国の気象災害等への 対応に係る制度的・技術的課題を抽出し、それらの課題解決に向けて、個別技術の FS 調査や実 証、研修等を通じた制度整備、現地政府(国・自治体)との調整、国際協力スキームの活用を支援す る。 適応分野のプロジェクトへの資金動員の促進…公的金融機関・民間金融機関からの投融資を促進 するために、マイクロファイナンスの活用、社会的・経済的効果の見える化に取り組む。 国際標準化、仙台防災枠組・各種国際会議との連携等を通じた取組の普及を行う。 106 (7)バイオものづくり革命の実現 ①当面見据える長期的目標 ⚫ ⚫ 2030 年時点で総額 92 兆円の市場規模拡大を実現する。 2030 年までに年間3兆円のバイオ関連国内投資を実現する。 ②第2次中間整理以降の進捗 【微生物・細胞設計プラットフォーム技術、生産技術開発の加速化】 ⚫ グリーンイノベーション基金事業及びバイオものづくり革命推進事業を活用し、早期の社会実装を見 据えて戦略的にプロジェクトを組成…技術開発を進めるとともに、微生物・細胞設計プラットフォーム 事業者を中心とした異分野事業者の参入や事業者間の連携を促進している。グリーンイノベーション 基金事業(予算上限 1,767 億円)では、2023 年3月、CO2を原料としてバイオプラスチックポリマー 等、様々な化学品等を生産する計6件(国費負担総額 1,806 億円)のテーマを採択した。なお、予算 上限を超過する国費負担総額については研究開発等に関する目標の達成に向けた進捗状況を確 認し、技術の絞り込みを行うことで、今後、国費負担総額を予算上限額に収束させる。バイオものづく り革命推進事業(予算上限 3,000 億円)では、食品残渣や廃木材、廃食油等から高付加価値品、汎 用品の生産を目指すプロジェクト計6件(国費負担総額 297 億円)を採択した。引き続きプロジェクト 組成を進めるとともに、採択したプロジェクトを加速していく。また、文部科学省が所管する(国研)科 学技術振興機構の「革新的 GX 技術創出事業(GteX)」における「バイオものづくり領域」との連携を 開始し、「文部科学省・経済産業省ガバニングボード(バイオものづくり)」を設置した。引き続き、両省 の事業の進捗状況の共有、施設・設備の相互利用、人材の交流促進、その他関連事業間の連携及 び協力を推進していく。 【事業環境の整備等による国内産業基盤の確立】 ⚫ バイオ×デジタル分野等、バイオものづくりの実装を進める上で不足する人材の育成・確保…「カー ボンリサイクル実現を加速するバイオ由来製品生産技術の開発」事業で関東・関西に整備したバイ オファウンドリにおいて、バイオものづくりを担う人材育成を目的とした「人材育成プログラム」を開講 し、企業を中心とした人材育成講座を実施した。 ⚫ 微生物遺伝資源の充実を図り、バイオとデジタルの融合に向けた横断的プラットフォームの基盤整 備を進めるとともに、さらなる生物資源データの集約・拡充、及びデータの利活用を促進した。 ③今後検討が必要となる施策 【微生物・細胞設計プラットフォーム技術、生産技術開発の加速化】 ⚫ グリーンイノベーション基金事業やバイオものづくり革命推進事業の採択結果を踏まえた、バイオ由 来製品の市場創出・拡大の方針の具体化を行う。 ⚫ グリーンイノベーション基金事業やバイオものづくり革命推進事業による研究成果を踏まえたデータ の集積・企業間連携の推進、安全性基準の確立を行う。 ⚫ 国際連携の推進…2023 年4月に開催された G7(札幌 気候・エネルギー・環境大臣会合)におい て、バイオものづくりが気候変動や資源不足などを解決する鍵であるとの共通認識が形成されたの を受け、バイオ技術に関する二国間連携や多国間でのルール形成等、国際連携の推進を行う。 【市場環境の整備に向けた取組】 (技術開発の加速化) 107 ⚫ 生物遺伝資源は微生物・細胞設計プラットフォーム技術の基盤であることから、生物遺伝資源とその 関連情報(生物の特性情報、オミックス情報など)を集積する生物遺伝資源・データプラットフォームの 基盤整備を継続して実施する。バイオファウンドリに資する微生物やその関連データを新規に収集す るだけでなく、企業・公的機関・大学等の保有する生物遺伝資源の情報の集約、利活用促進及びデ ータ連携を図ることで、バイオとデジタルが融合した環境整備を進め、バイオものづくりの社会実装を 加速化する。 (バイオ由来製品の市場創出・拡大を図るための取組) ⚫ バイオ由来製品の環境価値を経済的価値に転嫁する仕組み…原料やプロセスのバイオ転換に取り 組む企業の市場予見性を高めるため、「成長志向型カーボンプライシング構想」に基づく施策等も活 用する。 ⚫ ⚫ ⚫ ⚫ ⚫ ⚫ バイオ由来材料・製品の市場化に向け、カーボンフットプリント(CFP)の活用、ライフサイクルアセスメ ント(LCA)手法の確立等、バイオマスやバイオ技術の利活用による環境価値を定量的に評価する仕 組みや、認証・クレジット化の仕組み、環境負荷を低減するバイオ由来製品の表示方法の在り方に ついても検討を進める。 技術の標準化…国際標準化に関する調査や国際標準活動への積極的な参画、国際標準化に取り 組む国内プレーヤーの後押し等、バイオ由来製品に関する国際標準化を戦略的に推進する。 国内バイオマスの産業利用拡大や CO2・廃棄物等の未利用資源の活用を推進し、原料の多様化及 びサステナビリティを追求する。 バイオ由来製品の市場を早期に創出・拡大できるよう、グリーン購入法等を参考にした需要喚起策 の検討を進める。 化学産業において、GX 経済移行債を活用し、植物等から製造され、ライフサイクルを通じた排出量 が低いバイオ原料への原料転換を促進する。 紙パルプ産業において、GX 経済移行債を活用し、化石燃料由来製品等の代替素材となる可能性を 有している木質パルプを活用したバイオリファイナリー産業への転換を促進する。 【事業環境の整備等による国内産業基盤の確立】 ⚫ 2020 年度より実施している「カーボンリサイクル実現を加速するバイオ由来製品生産技術の開発」に よるバイオファウンドリ拠点の整備を引き続き実施するとともに、更なる実証拠点の整備について検 ⚫ ⚫ ⚫ 討する。 合成生物学や発酵生産に関する専門的な知識に加えて、AI 等のデジタル分野やエンジニアリング、 ビジネスを成功に導くための経営等の様々な知見が求められるようになっていることを踏まえ、バイ オものづくりのバリューチェーンに応じて求められる知見や人材のニーズを把握し、産業界で求めら れる人材の育成・確保に向けた取組を進めるとともに、2020 年度より実施している「カーボンリサイク ル実現を加速するバイオ由来製品生産技術の開発」等を活用し、バイオファウンドリ拠点を活用した ものづくり人材の育成プログラムを引き続き実施し、先端研究と産業界の橋渡しをできる人材の育成 を進める。 スタートアップが成長しやすい環境整備を図るため、政府全体のスタートアップ支援策とも連携しつ つ、国内のバイオものづくりにおける産業構造やプレーヤーの課題・ニーズを踏まえたスタートアップ 支援を進める。 バイオものづくり領域の拡大に合わせて需要の高まりが見込まれる実験装置や測定機器、センサ ー、試薬等に関する国内のプレーヤーの競争力向上に向け、関係省庁とも連携しながら、国内の基 108 礎研究分野での協働の場の提供や仕組みづくりを進めるなど、ユーザーとの連携促進や、シェアラ ボやアカデミアの共同利用施設などで分析機器の共同利用を促すといった支援を進める。 ⚫ ⚫ バイオものづくりに関する国内のプレーヤーの競争力強化に向けたデータ利活用・連携を推進する。 バイオものづくり領域におけるステークホルダー間の産学官・分野横断的な連携・協議の円滑化を行 う。 109 (8)成長志向型の資源自律経済の確立 ①当面見据える長期的目標 ⚫ 2030 年に 80 兆円、2050 年に 120 兆円のサーキュラーエコノミー市場を実現する。 ②第2次中間整理以降の進捗 【動静脈連携の加速に向けた制度枠組みの見直し、循環度や CO2排出量等の測定・開示】 ⚫ 3R 関連法制の拡充・強化の検討…2023 年9月に産業技術環境分科会の下に設置されていた「廃 棄物・リサイクル小委員会」を発展的改組し「資源循環経済小委員会」を設置した。再生材の利用促 進、循環配慮設計による易資源化、循環の可視化とディスクローズ、製品の効率的利用・CE コマー ス促進等について、これまでに8回の議論を実施し、3R 関連法制の拡充・強化の検討を進めてい る。 【産官学サーキュラーエコノミー・パートナーシップ、国際連携】 ⚫ 産官学サーキュラーエコノミー・パートナーシップの推進…産官学連携によるサーキュラーエコノミー 実現に向け、2023 年9月に産官学のパートナーシップ「サーキュラーパートナーズ(CPs)」を立ち上 げ、2024 年5月末時点で約 444 者の会員が参画した。サーキュラーパートナーズの下にビジョン・ロ ードマップ検討ワーキンググループ、サーキュラーエコノミー情報流通プラットフォーム構築ワーキン ググループ、地域循環モデル構築ワーキンググループを設置し、議論を開始した。 ⚫ 国際連携…国際標準化について、ISO/TC323 において、サーキュラーエコノミーの国際標準化の取 組を促進すべく議論を実施中。プラスチック汚染に関する条約について 2024 年4月に政府間交渉委 員会(INC)の第4回が開催され、日本としての主張を行いつつ、条文案の修正作業に貢献した。改正 バーゼル条約について、OECD 加盟国間でのバーゼル条約の例外規定等を定めている OECD 理事 会決定について、電気・電子機器廃棄物(E-scrap)をグリーンリスト対象物から除外する旨の改正案 が OECD 事務局より提案されたが、日本はグリーンリスト対象物として維持するよう意見を表明し、 維持される方向となった。 【デジタル技術を活用したトレーサビリティ確保のための情報流通プラットフォーム等の構築】 ⚫ トレーサビリティ確保のためのデータ流通を促す情報流通プラットフォームの構築支援…サーキュラ ーパートナーズの下に「サーキュラーエコノミー情報流通プラットフォーム構築ワーキンググループ」 ⚫ を設置し、情報流通プラットフォームの立ち上げに向けて議論を開始した。 SIP 事業「サーキュラーエコノミーシステムの構築」を実施…2023 年9月にキックオフミーティングを開 催。循環市場の可視化・ビジネス拡大を支えるデジタル化・共通化、資源循環の拡大を促す動静脈・ 静動脈連携、循環性向上と可視化のためのプラットフォーム整備に関する検討を開始した。 【CE 実現のための研究開発・設備投資支援】 ⚫ GX 先行投資支援…資源循環分野においては今後3年間で 100 億円の支援を決定した。「産官学連 携による自律型資源循環システム強靱化促進事業」(35 億円)を計上した。 ③今後検討が必要となる施策 【動静脈連携の加速に向けた制度枠組みの見直し、循環度や CO2排出量等の測定・開示】 110 ⚫ 3R 関連法制の拡充・強化の検討…「資源循環経済小委員会」において行っている再生材の利用促 進、循環配慮設計による易資源化、循環の可視化とディスクローズ、製品の効率的利用・CE コマー ス促進等の議論について、方向性をまとめる。 【産官学サーキュラーエコノミー・パートナーシップ、国際連携】 ⚫ 産官学サーキュラーエコノミー・パートナーシップの推進…「サーキュラーパートナーズ」を活用し、産 官学でサーキュラーエコノミーの実現に必要となる施策の検討を進める。ビジョン・ロードマップの策 定、サーキュラーエコノミー情報流通プラットフォームの構築、地域循環モデルの構築について議論 を深化するとともに、動静脈連携、ビジネスモデル、標準化、価値化、技術、新産業・新ビジネス創出 等についても議論を開始する。 【デジタル技術を活用したトレーサビリティ確保のための情報流通プラットフォーム等の構築】 ⚫ サーキュラーパートナーズの「サーキュラーエコノミー情報流通プラットフォーム構築ワーキンググル ープ」を中心に、サーキュラーエコノミー情報流通プラットフォーム構築に関わる国内外の幅広い知 見・経験を集約し、ウラノス・エコシステムで構築した仕組みを活用して世界に伍する各産業で共通 的なプラットフォームを構築する。 【CE 実現のための研究開発・設備投資支援】 ⚫ 動静脈産業の連携(循環配慮設計の実効化、選別・リサイクル技術の高度化等)と規模拡大を促進 するため、研究開発から実証・実装までの面的な投資支援を行い、資源循環分野において、官民合 わせて今後 10 年間で約2兆円以上の投資を実現する。 111 <社会基盤(OS)の組み換え> (9)人材 ①当面見据える長期的目標 ⚫ 人手不足への対応を実施する。 ⚫ 物価上昇を超える賃上げを持続的に実現する。 ⚫ 人的投資・人材競争力の強化を目指す。 ②第2次中間整理以降の進捗 【徹底した人手不足への対応】 ⚫ 時間的制約のある労働者の活躍支援…2023 年度より経済産業省の補助金において、補助目的を 鑑みつつ、子育て支援・女性活躍推進企業に対して原則加点措置を開始。「フェムテック等サポート ⚫ ⚫ ⚫ サービス実証事業費用補助金」を実施するとともに、フェムテック等の活用を通じて働く女性の健康 課題に関する企業の関心を高めることを目的として、2023 年 11 月に人事・DEI(Diversity, Equity & Inclusion)・福利厚生担当者等を対象に企業向けセミナー及びネットワーキング会を実施した。中小 企業等の従業員に福利厚生を通じて家事支援サービスの利用機会を提供する取組に関する実証事 業を実施した。 中小企業等向けの人材活用ガイドラインの周知…関係省庁や関係支援機関に対し人材活用ガイド ラインを紹介した。また、地方経済産業局において、中小企業及び支援機関向けに人材活用ガイドラ インに関するセミナーを実施した。 外国人材の活躍促進(技能実習制度・特定技能制度の見直し議論を踏まえた対応等)…生産性向 上や国内人材確保のための取組を行ってもなお人材の確保が困難な状況を踏まえ、特定技能制度 において、工業製品製造業分野に新たな業種・業務区分を追加する閣議決定を行った。 省力化投資の促進…令和5年度補正予算において、「中小企業省力化投資補助事業」を新設し、も のづくり補助金の「省力化(オーダーメイド)枠」を新設した。 【賃上げに向けた取組の強化】 ⚫ 中小企業の価格転嫁対策・取引適正化の継続…「価格交渉促進月間」に基づく、状況の芳しくない 発注者の経営トップに対する指導・助言や、価格交渉・転嫁の「企業リスト」の公表、労務費転嫁の 「指針」の周知・徹底、活用促進を実施した。 ⚫ ⚫ 拡充した中小企業の生産性向上支援策の推進…賃上げの原資の確保に向け、生産性向上に取り 組みながら、最低賃金引上げ幅以上の賃上げの努力を行う場合、補助金の採択において加点措置 を実施した。 賃上げ促進税制の強化…令和6年度税制改正において、賃上げ促進税制を強化した。具体的に は、中小企業向け税制において前例のない長期となる5年間の繰越控除措置を創設し、これまで本 税制を活用できなかった赤字の中小企業でも賃上げに挑戦できるようにすること等を行った82。 【内部労働市場・外部労働市場の活性化による労働移動の円滑化】 ⚫ 人的資本経営コンソーシアムの活動の推進…2023 年 10 月に人的資本経営コンソーシアム第2回総 会を開催した。人的資本経営の実践及び開示の取組を加速していくため、同コンソーシアム会員に おける先進事例の取組内容や工夫等をまとめた事例集を公表した。 82 参考資料集 P98「賃上げ促進税制の強化」参照 112 ⚫ ⚫ リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業の推進…在職者に対するキャリア相談から、リスキリン グ、転職支援までの一体的な支援を実施した。第1次公募から第3次公募までの 107 件の採択事業 に対する交付決定見込額(執行見込額)は約 280 億円となった。 高度外国人材の活躍…ビジネスチャンスの拡大や、人材の多様化を通じた組織の活性化、イノベー ション促進の実現の観点から、高度外国人材の受入促進を進めた。(詳細は P93「グローバル・経済 安保」の箇所に記載) 【官民を挙げたリスキリング・人材育成】 ⚫ デジタル推進人材の育成…2026 年度末までにまでに政府全体でデジタル人材を 230 万人育成する という目標に向けた人材育成施策を実施した。(再掲) ⚫ リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業の推進…在職者に対するキャリア相談から、リスキリン グ、転職支援までの一体的な支援を実施した。第1次公募から第3次公募までの 107 件の採択事業 に対し、交付決定見込額(執行見込額)は約 280 億円となった。(再掲) ③今後検討が必要となる施策 【徹底した人手不足への対応】 ⚫ 時間的制約のある労働者の活躍支援…フェムテック等を活用した実証事業の成果の普及を通じて、 働く女性の健康課題に対応する企業を増やす。(再掲) ⚫ 中小企業等向けの人材活用ガイドラインの普及…人材活用ガイドラインの活用事例の収集や、その 事例を活用したセミナー・ワークショップ等を実施し、更なる普及を促進する。 ⚫ 省力化投資の促進…構造的な人手不足解消に向け、中小企業の省力化投資を支援する。 【賃上げに向けた取組の強化】 ⚫ 中小企業の価格転嫁対策・取引適正化の推進・・・下請代金法の執行力の強化(公取委・事業所管 省庁との執行連携等)、官公需における労務費等の価格転嫁の徹底等による価格転嫁の強化策を 検討する。 ⚫ 中小企業の生産性向上支援…賃上げの原資の確保に向け、生産性向上に取り組みながら、最低賃 金引上げ幅以上の意欲的な賃上げの努力を行う場合、補助金の採択において加点措置を実施す る。 ⚫ 強化した賃上げ促進税制の周知・広報…令和6年度税制改正において、強化した賃上げ促進税制 について、活用促進に向け、パンフレットや SNS 等を用いた周知・広報を実施する。 【内部労働市場・外部労働市場の活性化による労働移動の円滑化】 ⚫ リスキリングを通じたキャリアアップの普及促進…在職者に対するキャリア相談から、リスキリング、 転職支援までの一体的な支援を引き続き実施し、リスキリングと労働移動の円滑化を一体的に進め る。 ⚫ 高度外国人材の活躍…ビジネスチャンスの拡大や、人材の多様化を通じた組織の活性化、イノベー ション促進の実現の観点から、高度外国人材の受入促進を進める。(詳細は P96「グローバル・経済 安保」の箇所に記載) 【官民を挙げたリスキリング・人材育成】 113 ⚫ ⚫ ⚫ デジタル人材育成の促進…デジタル人材のスキル、スキルアップ状況、試験によるスキル評価に関 するデータの蓄積・可視化を可能とする共通基盤の構築を通じた、デジタル人材育成のエコシステム 実現を目指す。(再掲) リスキリングを通じたキャリアアップの普及促進…在職者に対するキャリア相談から、リスキリング、 転職支援までの一体的な支援を引き続き実施し、リスキリングと労働移動の円滑化を一体的に進め る。(再掲) 博士人材等の高度な専門性を有する人材の育成…高度な専門性を有する人材の育成のため、博士 課程進学者の増加、社会での活躍等が重要。文部科学省と連携した博士人材の民間企業における 活躍のための手引き・ガイドライン(仮)の検討や、大学との共同研究に参加する社員の博士号取得 を推進。 114 (10)スタートアップ・イノベーション ①当面見据える長期的目標 ⚫ ⚫ スタートアップへの投資額において、今後5年(2027 年度まで)で 10 倍を実現する。 官民合わせた研究開発投資の総額を 2021-2025 年度で合計約 120 兆円にする。 ②第2次中間整理以降の進捗 【スタートアップ・ファースト】 (スタートアップの創出拡大) ⚫ 未踏の拡充・横展開…地方への展開、NEDO や産総研、AMED、JST への横展開 ⚫ スタートアップビザの拡充…VC・アクセラレータ等の民間事業者を管理・支援団体に追加、最長在留 期間の延長 ⚫ ⚫ ⚫ ⚫ ⚫ ⚫ ⚫ 事業会社等の優れた技術・人材の切り出しによるスタートアップ創出促進…カーブアウトした者が行 う研究開発の支援の強化、研究者と経営人材のマッチング・起業家育成の推進 パーシャルスピンオフ税制の拡充及び延長を行った。 エンジェル税制の拡充(有償新株予約権の取得金額や信託を通じた投資を対象化)【令和6年度税 制改正】 ストックオプション税制を含めた人材獲得のための報酬制度の整備 起業家等の海外派遣事業 労働移動の円滑化や副業・兼業の促進 技術シーズと経営人材のマッチング支援 (メガスタートアップの創出、スタートアップ・エコシステムの成熟・拡大) ⚫ 税制適格ストックオプションの拡充、株式保管委託要件の撤廃、社外高度人材への付与要件の緩 和・認定手続の軽減、権利行使限度額の大幅な引上げ【令和6年度税制改正】 ⚫ ストックオプションの発行に関する規制緩和(株主総会から取締役会への委任決議の有効期限や委 任内容) ⚫ 大企業における経営資源活用促進のためのオープンイノベーション促進税制の延長【令和6年度税 制改正】 ⚫ LPS の投資対象の暗号資産等への拡充、海外投資比率制限の要件緩和、公正価値評価を LPS の ⚫ 会計規則に位置づけ83 グローバル・ユニコーン創出に向けた重点的支援(J-StarX、Japan Innovation Campus) 知財専門家の VC への派遣による支援強化、特許審査における審査官側からのプッシュ型支援(面 接機会の提供等)の推進 JIC の運用期限の延長84 ディープテック・スタートアップ政策パッケージ…社会課題を解決するスタートアップへの支援強化/ミ ッション施策群に紐付いたイノベーション支援 ※後掲「ミッション領域に注力したスタートアップ・イノベーション政策」を参照 スタートアップによる公共調達の促進 ⚫ グローバル・ユニコーン、メガスタートアップの創出に向けた集中支援 ⚫ ⚫ ⚫ ⚫ 83 84 参考資料集 P97「LPS 法(投資事業有限責任組合契約に関する法律)の改正」参照 参考資料集 P96「産業革新投資機構(JIC)の運用期限延長について」参照 115 ⚫ ⚫ 個人からの資金流入を促すエンジェル税制の拡充 機関投資家等の呼び込みに向けた公正価値評価の推進 ⚫ ⚫ ⚫ ⚫ ⚫ ⚫ ⚫ ⚫ ⚫ 官民ファンドによる資金供給の強化 ベンチャーデットの活用を促す債務保証制度 NEDO 等による研究開発支援 セカンダリー市場の整備 東証グロース市場改革 SBIR を含めたスタートアップからの政府調達の推進 オープンイノベーション促進税制等によるオープンイノベーション・M&A 促進 スピンオフ・カーブアウトの促進 JOIC の活用や J-Startup 企業とのマッチング促進、経団連との連携(スタートアップ・フレンドリース コアリング) 【人材と知的資本の創造】 ⚫ 研究開発拠点の立地競争力を強化し、民間による無形資産投資を後押しすることを目的とした、特 許やソフトウェアの知財から生じる所得に減税措置を適用するイノベーション拠点税制(イノベーショ ンボックス税制)を創設する旨、令和6年度税制改正の大綱にて明記 ⚫ 「官民による若手研究者発掘支援事業」にて、イノベーションを創出し得る若手研究者の研究の支援 および民間企業との産学連携マッチングの支援を引き続き実施 ⚫ 産業界にインパクトを与え得るスターサイエンティストを生み出すための環境整備(人材の流動化や ⚫ 越境など) 博士人材に係る就職サービス運営事業者の抱える課題や博士人材と企業の接続に係る全体の課 題等を把握するため「博士人材の産業界への入職経路の多様化に関する勉強会」を開催 【失敗を前提として挑戦を増やす】 ⚫ 懸賞金型研究開発事業の試行から本格導入に移行 ⚫ 研究開発支援事業におけるステージゲートの活用(方向転換(ピボット)や早期撤退を柔軟に選択で きる仕組みを導入) ⚫ ムーンショット基金の増強と新たな評価指標の導入…ムーンショット基金を増強し、更に野心的挑戦 を促す「失敗」を積極的に評価する新指標と仕組みを導入 【市場創造への集中支援】 ⚫ 研究開発事業における社会実装の推進…研究開発事業における社会実装を促す取組(経営者コミ ットメント、事業戦略・資金計画との連動、TSC 等を活用した技術調査、標準化戦略、EBPM 等)につ いて、対象をグリーンイノベーション基金に加え、ポスト5G 基金、バイオものづくり基金、経済産業省 の研究開発事業一般に拡大。2023 年度にはグリーンイノベーション基金で 19 プロジェクト、ポスト5 G基金で 16 テーマの標準化フォローアップを実施済。企業・大学等の共同研究開発のオープン&ク ローズ戦略推進等を支援する計画認定制度を盛り込んだ産業競争力強化法改正法が成立。 ⚫ 企業のルール形成の取組の後押し…国際標準化をはじめとするルール形成等に取り組む企業がそ の活動を経営戦略に組み込み、資本市場に評価されるよう、「価値協創ガイダンス」等を踏まえた CSO(Chief Standardization Officer)設置・統合報告書記載の推進、「知財・無形資産ガバナンスガイ 116 ドライン」での標準化戦略に関する記載強化、成果事例集の作成・公表等により、企業・投資家への 理解浸透・行動変容を促す。 ⚫ ⚫ ⚫ ⚫ ⚫ 標準化活動の体制強化(標準化人材の育成・活用、標準化人材情報 Directory(STANDirectory)の 整備、アカデミア(学会)との連携強化等) 宇宙戦略基金の活用による民間の衛星・ロケット等の本格的な事業化に向けた支援の強化 ディープテック・スタートアップ政策パッケージ(再掲) 日本医療研究開発機構(AMED)を通じて、認定ベンチャーキャピタルが出資する創薬ベンチャーが 行う革新的な医薬品の実用化開発を支援、バイオスタートアップの上場基準の適正化等資金調達環 境を整備。 グリーンイノベーション基金事業及びバイオものづくり革命推進事業を活用した、バイオものづくりの 早期の社会実装を見据えた戦略的なプロジェクト組成 (技術開発を進めるとともに、微生物・細胞設 計プラットフォーム事業者を中心とした異分野事業者の参入や事業者間の連携を促進)。 【ミッション領域に注力したスタートアップ・イノベーション政策】 (スタートアップ) ⚫ GX 分野…GX 関連分野におけるスタートアップ企業の研究開発・社会実装支援等を抜本的に強化 ⚫ DX 分野…次世代半導体のユースケース創出に取り組むスタートアップの開発費等支援 ⚫ ヘルスケア分野…ヘルスケア分野に強みを持つ海外の有力 VC やアクセラレータと連携したスタート アップ育成プログラムの展開、スタートアップによる革新的な医療機器の開発の推進・環境整備 ⚫ 宇宙分野…宇宙戦略基金の活用によるスタートアップ含む民間の衛星・ロケット等の本格的な事業 ⚫ ⚫ ⚫ ⚫ ⚫ 化に向けた支援の強化 防衛分野…優れたデュアルユース技術を有するスタートアップと防衛省・自衛隊等のニーズをマッチ ングする枠組みの推進と、防衛分野におけるスタートアップの先端技術の活用の促進 レジリエンス分野…SBIR 等を活用した自治体への先進防災技術の導入促進の検討 バイオ分野…日本医療研究開発機構(AMED)の 3,500 億円の基金活用、バイオスタートアップの上 場基準の適正化等資金調達環境を整備 インパクトスタートアップ…「J-Startup Impact」の創設、若手人材の海外のインパクトスタートアップ 等への研修派遣、B‐Corp 制度の認証取得支援のための専門家登録・活用促進 クリエイティブ分野…シリコンバレー等の海外も含め、クリエイティブ分野において新たなビジネス創 出に取り組む企業やマルチメディア化や海外輸出強化のために他分野からの参入に積極的に取り 組む我が国スタートアップに対して、その事業実施を支援 【国家戦略としての計算基盤・汎用技術の強化】 ⚫ 量子技術の産業化・グローバル連携の強化…量子技術の産業化・グローバル連携の拠点として、 2023 年7月に産総研に「量子・AI融合技術ビジネス開発グローバル研究センター(G-QuAT)」を設 立。G-QuAT において、量子コンピュータの設置などの量子・古典計算利用環境の整備と強化、これ を活用したユースケース創出の拡充、次世代の大規模量子コンピュータ開発に向けたデバイス開 発、部素材の評価・国際標準化等を通じたサプライチェーン構築の加速、国内外の企業や研究機関 等との連携を通じたグローバル量子産業人材の育成といった量子技術の産業化に向けた取組を実 施。令和5年補正予算も措置し、G-QuAT の機能強化を進めていく。また、グローバル連携として、カ ナダと量子分野を含む産業技術分野に関する協力覚書(2023 年9月)や、産総研と米国立標準技術 117 研究所(2023 年 11 月)、カナダ国立研究機構(2023 年 11 月)、および韓国標準科学研究院(2024 年 1 月)との間に量子協力に係る包括研究協力覚書を締結。 ⚫ ⚫ 令和5年度補正予算を活用し、官民による更なる計算資源の整備や拡充を実施。加えて、スタートア ップ等を中心とする民間による生成 AI の基盤モデル開発促進策である、GENIAC(ジーニアック)プロ ジェクトを、2024 年2月より開始、民間による基盤モデル開発の後押しを行っていく。また、産総研に おける言語・画像・ロボティクス等の基盤モデルの基礎的な開発能力を構築・強化。 2027 年度末までに AI 開発となる計算資源について、国内で総計 60EFLOPS 規模を目指し、官民に よる整備を引き続き、進めていく。令和5年度補正予算により拡充した産総研の ABCI(AI 橋渡しクラ ウド)を活用し、ロボティクス等のマルチモーダル AI 基盤モデルの構築を実施。 ③今後検討が必要となる施策 研究開発等で生み出される技術・アイデアから新たな価値を創造して、社会・顧客へ普及・浸透(社会実 装)させ、市場創造・対価獲得につなげることで、さらなる人・技術・設備等への投資や研究開発投資につ なげていく「イノベーション循環」の推進についての議論を深めるため、2024 年2月に産業構造審議会産 業技術環境分科会の下に「イノベーション小委員会」を設置した。スタートアップ政策を含めたイノベーショ ン政策についての議論を深め、今月中間取りまとめを公表予定。今後も「イノベーション小委員会」の議 論を踏まえて、社会基盤(OS)としてのイノベーション政策を進めていく。なお、現在議論を行っている主な 論点は以下の通りである。 【研究開発の量的・質的拡充】 (大企業・スタートアップによる研究開発投資の促進) ⚫ 投資効率の可視化による研究開発投資の促進(研究開発投資効率を評価する指標の導入) ⚫ 大企業やスタートアップが積極的に研究開発投資を行うための研究開発税制の拡大 ⚫ 国プロにおけるスタートアップ支援のポートフォリオ拡大と環境整備 ⚫ 国が実施する研究開発事業の評価プロセスの適正化 (国がモメンタムを作るべきフロンティア領域の探索・育成) ⚫ 技術インテリジェンスの強化(NEDO/TSC、産総研等のネットワーク活用) ⚫ フロンティア領域の探索・育成および社会実装に向けたロードマップ作成(まず取り組む領域としては ⚫ 量子・核融合等を想定) 新たな政策ツールの活用(懸賞金型事業の実施、国によるアセットの保有) 【事業化・付加価値創出】 (大企業等保有リソースの流動化(人材、技術、設備、資金・調達)) ⚫ 「越境学習」の促進(ガイドライン・事例集の策定)、女性起業家支援枠の創設 ⚫ カーブアウト促進(ガイダンスや事例集の普及に向けた実証) ⚫ 国研等の設備活用(SU 等の利用ニーズとのマッチング、ルール整備) (新産業・新規事業に挑戦するスタートアップへの支援) ⚫ レイター・グロースステージでのファイナンス環境の整備 ➢ 未上場段階での成長資金の拡充 ✓ VC のガバナンス向上に向けた VC プリンシプルの策定 118 ✓ JIC や中小機構による VC への LP 出資、JIC-VGI によるスタートアップへの直接投資 ✓ 公正価値評価(時価評価)の徹底による VC への年金・海外資金導入 ✓ ベンチャーデットの活用促進(中小機構による債務保証、手引き作成など) ✓ JIC セカンダリーファンドなどセカンダリー市場の活性化 ⚫ ➢ M&A の促進 ✓ オープンイノベーション促進税制の活用促進 ➢ 上場後の成長促進 ✓ のれんの柔軟な資産評価を通じた M&A の促進 ✓ 上場維持基準の見直しの検討 グローバル展開支援 ➢ 「Born Global」な起業家の育成 ✓ 起業家等の海外派遣プログラム「J-StarX」 ➢ 海外市場への展開支援 ✓ 「Japan Innovation Campus」 ✓ 「VIVATECH 2024」 ✓ 「Global Acceleration Hub」 ✓ ✓ ➢ ⚫ 「グローバルサウス」での事業展開や人材育成等を支援 ディープテック・スタートアップの海外技術実証・国際共同研究支援(NEDO) 海外の人材・資金の呼び込み ✓ スタートアップビザの活用促進と最長在留期間の延長による外国人起業家の起業支援 ✓ JIC・中小機構の LP 出資による海外 VC の日本スタートアップへの投資促進 ✓ 海外トップ VC 等を招いた国際イベントの開催 日本が競争力をもつディープテック・スタートアップの育成 ➢ 経営人材の確保・育成 ✓ 経営人材マッチング支援(大学発スタートアップ、カーブアウト) ✓ カーブアウト・スタートアップへの専門家伴走支援 ➢ 研究開発資金の供給 ✓ NEDO によるディープテック・スタートアップ助成(事業開発にも支援拡大) ✓ AMED による創薬スタートアップの研究開発への助成 ✓ 宇宙戦略基金の創設 ✓ 大学発スタートアップ支援 ➢ 公共調達の拡大 ✓ SBIR(公共調達に向けた研究開発支援) ✓ 官民ファンド出資先等のスタートアップの入札参加資格の緩和 119 ✓ スタートアップからの調達拡大に向けた随意契約の仕組み整備 【「技術・アイディア」から「新たな価値」「市場創造・対価獲得」に至るまでの横断的な取組)】 (高付加価値分野を開拓できる国内外の高度化人材の育成・活用 ⚫ 起業家人材や若手研究者、海外市場に挑戦する人材など多様な人材を産学官で連携して育成する ためのプロジェクト整備 ⚫ 将来のイノベーションを担う人材を育成するため、企業等と自治体・学校が連携し、こどもたちに先進 的な学びを提供するための資源を確保する方策や、学びを支えるエコシステムについて検討を行う。 (早期段階から戦略的な市場獲得の手法を尽くすための標準化戦略等) ⚫ 知財・標準化を一体的に活用したオープン&クローズ戦略の取組支援 (スタートアップが新規事業にチャレンジする際の規制面のハードルの解消) ⚫ 規制に係る関係法令の特定および各種支援制度の活用を個別に支援する体制の構築 120 (11)価値創造経営 ①当面見据える長期的目標 ⚫ 2030 年に日本の代表的企業(TOPIX500 企業を想定)のの PBR1倍以上の割合を約6割から約8割 (欧州 STOXX600 並)にする。 ②第2次中間整理以降の進捗 【資本市場改革】 (東証の取組との連携) ⚫ 東証が進めている以下の取組は、PBR1倍を下回る企業が上場企業の多くを占めるなど企業価値を 十分に伸ばしきれていない中で、価値創造経営に向けた取組を後押ししようとしてきた新機軸部会で の議論と軌を一にするものである。企業経営改革の推進や産業政策の観点から、以下の取組につ いて、積極的な連携・支援を継続した。 ➢ 全てのプライム・スタンダード上場企業に対して、ROE 等の資本収益性や PBR 等の市場評価に ついての現状分析と改善計画の策定・開示等を強く要請。計画の策定・開示を行った企業をリス ト化した「企業一覧表」を公表し(毎月更新)、資本コストや株価を意識した経営の推進を図る。加 えて、投資者の視点を踏まえた資本コストや株価を意識した経営のポイントと事例を取りまとめ、 公表。 ➢ エクイティスプレッド(ROE-株主資本コスト)の上位 75 社及び PBR1倍超のうち時価総額の上 位 75 社の計 150 社を選ぶ新株価指数(JPX プライム 150 指数)を導入。JPX プライム 150 指 数を連動対象とする ETF が上場。 ➢ ➢ ➢ 経過措置の期限を明確化した上で、「形式の遵守」だけに陥りがちな上場企業のコーポレートガ バナンスの「実質化」に向けて、「コンプライ・オア・エクスプレイン」の趣旨を改めて周知するとと もに、好事例や不十分な事例等を明示し、自主的な点検を促す。 プライム市場上場会社を対象に、決算情報(決算短信等)及び適時開示情報について、日本語 との同時に英文開示を義務化する旨公表(2025 年4月1日以降に開示するものから適用。1年 間の猶予期間あり)。 「従属上場会社における少数株主保護の在り方等に関する研究会」における議論を踏まえ、少 数株主保護及びグループ経営に関する情報開示の充実並びに支配株主等を有する上場会社 の独立社外取締役に期待される役割について取りまとめ、公表。 (金融庁の取組との連携) ⚫ コーポレートガバナンスに関し、コードやガイドラインの整備は形式の整備・定着に資する一方、細則 化により形骸化を招くおそれがあり、自律的な意識改革を促す環境整備が求められている。金融庁 が公表した「アクション・プログラム」で示されている以下等は重要な課題であり、連携を図った。2023 年 12 月には「公開買付制度・大量保有報告制度等ワーキング・グループ」の報告書を公表した。 ➢ エンゲージメントの阻害要因である大量保有報告制度の見直し検討 ➢ 公開買付け制度に関する検討 ➢ 実質株主の透明性の在り方についての検討 ⚫ ➢ 独立社外取締役の機能発揮 家計からの投資の運用を担い、リターンを生み出す資産運用会社の高度化を図るとともに、企業へ の成長資金の供給を促し、その成果を家計に還元することで、インベストメント・チェーンを通じた「成 121 長と分配の好循環」を推進し、資産運用立国の実現に向けた取組について連携を図った。2023 年 12 月には「市場制度ワーキング・グループ」・「資産運用タスクフォース」 報告書を公表した。 ➢ ➢ ➢ ➢ ➢ 資産運用会社の高度化 アセットオーナーに対する金融機関の取組み スチュワードシップ活動の実質化 成長資金の供給と運用会社の多様化 家計の投資環境の改善 【企業経営改革】 (持続的な企業価値向上に向けた価値創造経営の推進) ⚫ 「SX 銘柄」の選定とモデル浸透…2024 年4月、社会課題解決等を通じた持続的な価値創造戦略を ⚫ ⚫ ⚫ ⚫ 策定し、必要な経営・事業変革(SX)を実行する先進的企業群を選定・表彰した。ロールモデルとして 分析レポートとともに公表し、東証による上記要請に対応して上場企業が「改善計画」を策定する際 にも参照・活用されるよう普及を図る。 サステナビリティ関連データの経営戦略への活用事例…SX 経営の実践に必要なサステナビリティ関 連データを効率的収集、戦略的に活用するよう企業の意識変革と体制整備を促すために、好事例を 含めたレポートを策定・公表し、講演・寄稿等を通じて普及活動を実施した。 企業買収における行動指針を策定した。 パーシャルスピンオフ税制の拡充及び延長を行った。 社外取締役の支援…研修やトレーニングの活用の在り方についてポイントを整理するとともに、実践 的なケーススタディ集を作成・公表、新任や経験年数の浅い社外取締役向けに「社外取締役のこと はじめ」を作成し、公表した。 ③今後検討が必要となる施策 【資本市場改革】 (東証の取組との連携) ⚫ 東証が進めている以下の取組は、PBR1倍を下回る企業が上場企業の多くを占めるなど企業価値を 十分に伸ばしきれていない中で、価値創造経営に向けた取組を後押ししようとしてきた新機軸部会で の議論と軌を一にするものである。企業経営改革の推進や産業政策の観点から、以下の取組につ いて、積極的な連携・支援を継続する。 ➢ プライム・スタンダード上場企業による ROE 等の資本収益性や PBR 等の市場評価についての 現状分析と改善計画の策定・開示状況をモニタリングし、開示を行った企業をリスト化した「企業 一覧表」を毎月更新し、開示状況を定期的にモニタリングするなど、資本コストや株価を意識し 経営の推進を継続する。 ➢ プライム市場において義務化を行った英文開示の実施状況を定期的にモニタリングしつつ、対 象書類の拡大など更なる拡充を検討する。 (金融庁の取組との連携) ⚫ コーポレートガバナンスに関し、コードやガイドラインの整備は形式の整備・定着に資する一方、細則 化により形骸化を招くおそれがあり、自律的な意識改革を促す環境整備が求められている。金融庁 が公表した「アクション・プログラム」で示されている以下等は重要な課題であり、2023 年 12 月に公 122 表した「公開買付制度・大量保有報告制度等ワーキング・グループ」の報告書に基づき、今後の制度 改定等に向けた検討がなされるため、引き続き連携して取り組む。 ⚫ ➢ エンゲージメントの阻害要因である大量保有報告制度の見直し検討 ➢ 公開買付け制度に関する検討 ➢ 実質株主の透明性の在り方についての検討 ➢ 独立社外取締役の機能発揮 家計からの投資の運用を担い、リターンを生み出す資産運用会社の高度化を図るとともに、企業へ の成長資金の供給を促し、その成果を家計に還元することで、インベストメント・チェーンを通じた「成 長と分配の好循環」を推進し、資産運用立国の実現に向けた取組みを進めるべく、2023 年 12 月に 公表した「市場制度ワーキング・グループ」・「資産運用タスクフォース」 報告書に基づく各種施策を、 連携して取り組む。 ➢ ➢ ➢ ➢ ➢ 資産運用会社の高度化 アセットオーナーに対する金融機関の取組 スチュワードシップ活動の実質化 成長資金の供給と運用会社の多様化 家計の投資環境の改善 【企業経営改革】 (持続的な企業価値向上に向けた価値創造経営の推進) ⚫ 2014 年に伊藤レポートを公表して以降 10 年間の企業価値向上に向けた企業の取組やパフォーマ ⚫ ⚫ ⚫ ⚫ ⚫ ⚫ ⚫ ⚫ ンスを振り返った上で、課題及び要因を分析し、対応の方向性を示す。その際、企業の置かれている 状況(ポジション)によって優先すべき課題や対応の方向性が異なり得る点に留意して、解像度を高 めてポジションごとに課題の整理及び対応の方向性の提示を行う。 SX 銘柄を通じて、企業経営者の意識変革と経営変革を促し、国内外投資家からの日本企業への再 評価と市場での新たな期待形成を図ることで、日本株の再興(リバイバル)及び企業価値の持続的 向上を目指す。また、日米 JUCIP(日米商務・産業パートナーシップ)の枠組みの下、日米投資家・企 業を集めたラウンドテーブル等を開催し、投資拡大を図る。 研究会の開催等を通じて、取締役会の実効性向上を含めたコーポレートガバナンス改革の実質化に 資する企業の取組の在り方を検討する。 「社外取締役のことはじめ」の普及等を通じて、社外取締役等のコーポレートガバナンスに関する理 解向上を図る。 多数決によって金融債務の整理を認める私的整理法制の検討を行う。 パーシャルスピンオフ税制(親会社が一部株式を保持した形でのスピンオフにおける譲渡益課税や 株主配当課税の特例措置)をはじめ組織再編税制の在り方について検討する。 DX 銘柄選定にあたり PBR 指標を活用する。 企業の事業ポートフォリオの最適化を含めた経営変革の推進を阻害する会社法、資本市場、労働市 場等のソフトインフラ上の課題を整理し、必要に応じて、課題ごとの対応の方向性を示す。 事業ポートフォリオの最適化を含む経営変革を実行するに当たり、課題となる従来の日本型雇用慣 行(終身雇用、年功序列、企業別労働組合)や労働市場(流動性の低さ、ジョブベースの市場の未成 熟)の改善に向けて、労働移動の円滑化等を促進する。 (グローバル競争力強化のためのコーポレート・トランスフォーメーションの推進) 123 ⚫ この 15 年間で急激に進んだ日本企業のグローバル展開を引き続き強化し、グローバル市場におけ るバリューチェーンの中で日本企業が要所を押さえていくため、経営資源配分を行う3つのコア機能 (①ファイナンス(CFO)、②HR(CHRO)、③デジタル(CIO/CDO))の役割の再定義・再構築(=CX:コ ーポレート・トランスフォーメーション)を進める。 ➢ 2024 年夏までにグローバル経営を実践するためのリファレンスモデル(①ファイナンス(CFO)、 ②HR(CHRO)、③デジタル(CIO/CDO))を整備する。 ➢ 2024 年度中に、海外売上比率の高い大企業を中心に日本企業の CX に関する進捗度を測ると ともに、類型化を行う。CX を推進するに当たっての個別課題を整理するとともに、企業における 取組のベストプラクティスや失敗事例について整理する。 ➢ リファレンスモデルをさらに精緻化し、CX を通じて実現される企業のグローバル競争力に資する 組織能力(organizational capability)を可視化する。 ➢ 高い組織能力を有する企業は投資を収益に結びつける可能性が高いこと(逆に、仮に技術力が あったとしてもそれをビジネスに結びつけることのできない企業が数多く存在すること)を踏まえ、 政府における予算措置や税制の設計に当該情報を活用することを検討する。 124 (12)行政:EBPM・データ駆動型行政 ①当面見据える長期的目標 ⚫ 政策の新陳代謝(新たな政策への挑戦や既存政策の廃止)及び高度化(政策の質的変化、中長期 の目的に応じた継続性の確保も含む)を実現する。 ②第2次中間整理以降の進捗 【政策の効果検証】 ⚫ 政策の効果・進捗モニタリングのための指標設定…新たな政策評価方針に基づき、経済産業省が実 施する政策の効果・進捗に係るモニタリングのための指標について、新機軸の各分野における指標 を踏まえて、2023 年度夏頃に設定した。 ⚫ 大規模予算事業(先端半導体基金・グリーンイノベーション基金)の効果検証シナリオの策定・公表を ⚫ ⚫ した。 バイオものづくり革命推進事業のロジックモデルを検討した。 政策立案・効果検証のための成果指標の設定指針(成果指標の設定指針)を策定した。 【データの整備】 ⚫ 公的統計の調査票情報の利用手続き簡素化・早期化を行ったとともに、効果検証のためのデ―タ利 活用への合意取得を公募要領フォーマットに追記した。 ⚫ 2024 年4月より、EBPM ポータル(RIETI 整備・提供)の職員による利用を開始した。 ⚫ 政策の効果・進捗に係るモニタリングのための指標を BI(ビジネスインテリジェンス)ツールにより国 ⚫ ⚫ 民にわかりやすい形で公表が可能となる環境整備を検討した。(令和6年度夏から秋頃に完了予 定。) 行政手続で取得するデータやニーズの高い民間データについて、省内横断的に政策の立案・モニタ リング・効果検証に活用できる仕組みの構築を進めた。 委託調査事業に関するデータマネジメントやテキストデータの利活用を促進した。 【業務や行政手続きにおけるデジタル化】 ⚫ 経済産業省における行政手続きのオンライン化を進めている。 ⚫ 業務効率化や政策立案高度化の可能性を探索すべく、生成 AI の利活用環境を試行的に導入した。 【職員のリテラシー向上】 ⚫ EBPM に関するリテラシー向上を目的とした一部職員向けの研修プログラムを実施した。 ⚫ EBPM に関する E ラーニングコンテンツを整備した。 ⚫ 生成 AI の利活用に関する必要なリテラシーや BI ツールの利活用に関する研修プログラムを一部職 員向けに実施。 ③今後検討が必要となる施策 【政策の効果検証】 ⚫ 大規模予算事業(先端半導体基金・グリーンイノベーション基金)について、既存の効果検証シナリオ に基づき、進捗状況のモニタリングを進めるとともに、新規効果検証シナリオ(バイオものづくり革命 推進事業、宇宙戦略基金、グローバルサウス未来志向型共創等事業等)を策定・検討する。 125 ⚫ 引き続き、大規模予算事業やデータ数の多い予算事業等(中堅・中小企業の賃上げに向けた省力化 等の大規模成長投資補助金等)の効果検証を推進する。 ⚫ ⚫ ⚫ ⚫ 効果検証に関する知見・ノウハウを横展開していく。 成果指標の設定指針を活用した政策立案・効果検証を実施していく。 第6期中期目標・中期計画に基づく RIETI・EBPM センターの体制拡充を進める。 経済産業政策にかかる EBPM 人材の裾野の拡大に向けたデータのオープン化を検討。 【データの整備】 ⚫ 公的統計の調査票情報の更なる利用手続き簡素化・早期化を進める。 ⚫ 省内各部局で公表するデータについて、省内横断的に政策の立案・モニタリング・効果検証に活用で きるようデータの構造や形式を整理していく。 ⚫ ⚫ 省内で保有するテキストデータの利活用を加速。 政策効果・進捗のモニタリング指標を公表可能にする体制・環境を整備。 【業務や行政手続きにおけるデジタル化】 ⚫ 2025 年末までに、経済産業省における行政手続のオンライン化を進める。 ⚫ 業務効率化や政策立案高度化を促進すべく、生成 AI 利活用環境の全省的な導入及び活用を推進 する。 【職員のリテラシー向上】 ⚫ ⚫ データや EBPM に関するリテラシー向上を目的とした職員向けの研修プログラムの拡大を検討。 生成 AI 及びデータ分析に関する必要なリテラシーの向上に向け、効果的な研修を検討していく。 126

資料10

参考資料2-② 経済産業政策新機軸部会 第3次中間整理の概要 2024年6月 産業構造審議会 経済産業政策新機軸部会 経済産業省 現状認識(これまでの経緯、進捗、今求められること) ⚫ 経済産業省では、2021年の産構審総会以降、「経済産業政策の新機軸」と称して、世界的潮 流も踏まえた産業政策の強化策を開始した。 ⚫ 2022年6月の第1次中間整理を取りまとめ、これに基づき、産業政策を強化した。 ⚫ 社会課題解決分野を成長エンジンと捉え、「ミッション志向産業政策」+「社会基盤(OS)の組替え」とい う枠組みの下で、少なくとも5-10年といった中長期的に継続させるとの方向性を提示。 ⚫ 大規模・長期・計画的に、予算・税制・規制・標準化等のあらゆる政策を総動員するとの方向性を提示。 ⇒ GX推進法・20兆円規模支援方針、5G法・半導体支援、スタートアップ5カ年計画、リスキリング1兆 円支援、経済対策「国内投資7兆円支援」等 ⚫ 2023年6月の第2次中間整理を取りまとめ、産業政策強化を、政府全体・官民目標へと拡大。 ⚫ マクロ環境変化と足下の産業政策の強化を受けて、30年ぶりの変化(=潮目の変化)との現状認識 ⚫ この変化を持続的にするために、ミッションとOSというミクロの取組が一体となって、国内投資・イノベー ション・所得向上の好循環の形成をしていくという、マクロの方向性を提示。 ⇒ 国内投資フォーラムの創設、経団連2027年度115兆円目標と官民目標への昇華 ⇒ 11府省庁200強事業の「国内投資促進パッケージ」、12府省庁190施策とそこから18施策を厳選した 「中堅企業成長促進パッケージ」等 ⚫ この数年、取り組んできた産業政策の成果も出始めており、日本経済は大きく変化するチャンスを 迎えているが、ここで気を緩めてチャンスを逃し、元の木阿弥にしてはならない。30年続いたコスト カット型の縮み思考を、2年間で簡単に変えられるものではない。ここからが正念場。 ⇒ 将来の「飯の種」を生み出す、社会課題解決型の国内投資を後押しするため、財政支援を含めて、 積極的な産業政策をさらに展開し、継続していくことが必要。こうしたメッセージを明確に打ち出し、具 2 体的な政策を講じていくことで、企業の予見可能性を高めることが、何よりも求められている。 1.2040年頃に向けたシナリオ (1)シナリオの必要性と位置づけ (2)シナリオの概要 2.一人一人が豊かな日本に向けた施策の 進捗と今後検討が必要となる施策 将来見通し・シナリオ策定の必要性と位置づけ (中長期的かつ大局的な目線を揃える必要性) ⚫ 国内投資、賃上げ、物価、株価を中心とした30年ぶりの変化(=潮目の変化)を前にして、経済 界・国民には、強気と弱気が混在。 ⚫ 潮目の変化を継続し、「輸入物価上昇に伴うインフレ」から、「賃上げ・経済活性化に伴う緩やかな インフレ」に移行し、これを長期的に持続化させていくためには、日本を新しい経済社会に構造転換 していくことが必要。 ⇒ そのため、中長期的かつ大局的な目線を関係者の間でそろえ、その中で前向きな挑戦を後押しし、 経済界のアニマルスピリッツに火をつけることが必要。 (将来見通しの位置付け) ⚫ 日本企業・国民の悲観の根本には、人口減少することへの不安がある。 ➢ 人口動態の推計は、不確実性が低い。最重要課題である少子化対策強化(生産年齢人 口になるまで15年)等を考えると、2040年頃までは、今後も推計に大きな変更はない。 ⚫ 政府・企業・個人が、これまでの考え方・やり方を変えていこう、と思える見通しを持つことが必要。 ➢ そのため、理想を示すビジョンというよりは、新機軸の政策の延長線上で、十分に実現可能な、 一つのシナリオを、官民で共有することを目的とする。 ➢ このシナリオは、変化と挑戦が、企業の繁栄と国民の豊かさにどう繋がっていくかを明らかにす るために、一石を投じるもの。ここで示した挑戦と、得られる果実が、十分な水準とは限らない。 深掘りを継続しつつ、定量化していく。 4 【参考】 ※ (万ドル) 実 9.0 中質 国賃 、金 イ ン ド は 一 人 当 た り 労 働 生 産 性 各国の実質GDPと実質賃金の関係 ▲…1991年、●…2020年、 …2040年 8.0 7.0 米国 6.0 英国 ドイツ 5.0 日本 韓国 ※内閣府「中長期の経済財政に関する試算」の成長実現ケースの延長 4.0 フランス 日本 3.0 (企業部門の投資超過、賃金上昇の継続) 日本 ※内閣府「中長期の経済財政に関する試算」のベースラインケースの延長 (企業部門の貯蓄超過、賃金上昇の停滞) 2.0 インド※参考値 中国※参考値 1.0 0.0 0.0 5.0 10.0 15.0 20.0 25.0 実質GDP(兆ドル) (注) 縦軸:2022年の米国ドル(購買力平価ベース)で実質化した平均賃金 横軸:2015年の米国ドル(購買力平価ベース)で実質化したGDP ※中国とインドは、OECD.statに実質賃金が掲載されていないため、参考値として一人当たり労働生産性を用いた。一人当たり労働生産性は、 2015年の米国ドル(購買力平価ベー ス)で実質化したGDPを、労働力人口(世界銀行)で割ったもの。 ※2040年の日本の実質GDPと実質賃金は、内閣府の「中長期の経済財政に関する試算」の2033年度の実質GDP成長率、賃金上昇率(消費者物価)、物価上昇率を用いて、経 済産業省が試算。 5 (出所)OECD.stat、世界銀行、内閣府 1.2040年頃に向けたシナリオ (1)シナリオの必要性と位置づけ (2)シナリオの概要 2.一人一人が豊かな日本に向けた施策の 進捗と今後検討が必要となる施策 「新機軸」(将来見通し・シナリオ)の概要① (背景にある世界の変化:時代の転換点) ⚫ 国内投資、賃上げ、物価、株価を中心とした30年ぶりの変化(=潮目の変化)は、世界の根本的 なトレンドの転換(時代の転換点)の端緒。 ➢ 国際経済秩序の変化: ほぼ共有された規律を基礎としたグローバリゼーションの時代から、 異なる価値観が投射される不確実性の高い時代へ ⇒ 不確実性が相対的に低い日本という場所はサプライチェーン上の重要な位置付けへ ➢ 世界的な人口動態の転換: 日本だけでなく、多くの高所得・準高所得国で人口減少フェーズへ (中国・欧州・韓国。日本は労働参加率頭打ち) ⇒ 人口の伸びと経済成長の牽連性の低下が必然的に発生し、多くの国で 「高付加価値化により、一人当たりの生産性を高め需要を増やすことで総需要も拡大する」 ことが経済成長の主流に。 ⇒ 中国を含む世界的な少子高齢化で、これから30年といった中長期的に、「需要>供給」となり、 世界全体にインフレ圧力がかかるとの指摘あり。 ⇒ これらの変化は、日本にとって追い風となり、「国内投資」「イノベーション」「所得向上」の3つに正の 影響を与える。特に、 人口減少は加速し、日本を劇的に変える。時代の転換点である今こそ変革の チャンス。 ⇒ 日本企業の経営を、デフレ型のコストカット追求から、インフレ型の高付加価値化へシフトし、次の時 代を「巻き返す15年」に。 7 「新機軸」(将来見通し・シナリオ)の概要② (日本の将来悲観の根本にある人口減少) ⚫ 日本企業・国民の悲観論の根本には、人口減少することへの不安がある。まず、過去の日本経済 のいわゆる「失われた30年」が人口減少によるものなのかを分析し、未来の日本経済は人口減少 しても豊かになれるのかを考察することが必要。 (過去:日本の長期デフレの原因は、人口減少とは別にある) ⚫ 1990年代のバランスシート不況。投資の縮小、需要の低迷、価格上昇が困難に。 ⚫ その後、中国という世界的に安価な供給力を活用(海外投資中心となり、国内投資低迷)、 非労働力だった女性・高齢者を非正規という安価な労働力として活用(賃金停滞)。 ➢ 生産年齢人口は1996年から減少、総人口は2008年から減少。 ⇒ 日本経済の長期デフレは、海外投資と非正規活用等が原因。人口減少が主要因ではない。 (未来:人口減少しても豊かになれるのか) ⚫ 人口動態の推計は、不確実性が低い。少子高齢化に関わる政策動向を踏まえると、人口動態の 推計に大きな変更は生じないものとして、2040年頃までを念頭に、将来を見通す。 ➢ 少子化:最重要課題である少子化対策の効果発現(子どもが生産年齢人口になるまで15 年)は2040年頃。 ➢ 高齢化:人口構成上大きな塊である団塊ジュニア・氷河期世代が後期高齢者入りするのは 2040年代半ば。従属年齢人口比率は2030年まで横ばい、生産年齢を健康寿命(現在74 歳、2040年目標75歳以上)で捉えると2040年まで横ばい。 ➢ 外国人労働者:数倍の規模で増加する可能性。高度な知識・スキルを通じてイノベーション (TFP)に大きく貢献。人口構成上大きく影響を与えるような規模には至らない。 8 「新機軸」(将来見通し・シナリオ)の概要③ (いわゆる「失われた30年」と同じこれまでの考え方・やり方で進んだ場合) ⚫ 過去30年の日本経済は、①実質賃金は横ばい、②労働生産性は海外の安い中間財(海外投 資による逆輸入等)を利用することによる収益力を得ることで主要先進国並みの上昇率、③国内 投資は縮小、④GDPは微増という状況。 ➢ 企業は、安定した国際秩序・生産コスト等が安価な海外拠点を活用したコストカット型の企 業経営を行ってきた。国内市場は、顧客数が減少し、物量が減少するため、市場は縮小する ものと捉え、投資先としては敬遠されてきた。所得収支は黒字も、国内の投資需要が乏しく、 海外投資収益は現地で再投資され、国内還流は限定的。 ➢ マクロ経済全体でみると、企業部門は貯蓄超過となり、政府が社保支出増を中心とした財政 赤字を通じて資金需要主体を担うことで経済を支え、実態としては「民主導型経済」とならな かった。 ➢ 日本の経済・社会は、変化を起こして成長するという状況には至らなかったが、結果として安定 を維持。諸外国で社会情勢が不安定化する中、日本は、 IMD国際競争力ランキングにおいて、 失業率、低スコア生徒割合、治安などの社会的項目では、世界トップクラス。 ⚫ 今後も、これまで同様の経済運営・企業経営を継続すると、当面社会は安定。しかし、実質賃金・ GDPの成長は横ばいにとどまり、新興国に追いつかれ、海外と比べて「豊かではない」状況に陥る 可能性が高い。国内が貧しくなれば、経済的な資源やインフラの不足、技術的発展の遅れ等が深刻 化し、日本は世界と勝負できなくなるおそれ。その結果、社会の安定性すら失われる可能性がある。 9 「新機軸」(将来見通し・シナリオ)の概要④ (これからを「新機軸」で示した新たな考え方・やり方で進んだ場合) ⚫ 持続的成長に必要なのは、需要が増加し、供給が強化されて、更に需要が増えるという循環であり、 需要と供給の循環を結びつけるものは投資・イノベーション。社会課題解決を起点とした高付加価値 分野で新たな需要を喚起するとともに、それを満たす供給側への投資・イノベーションが必要。付加 価値生産性の向上に裏打ちされた持続的な所得向上は、個人消費の需要喚起にも繋がっていく。 ⚫ このため、新機軸ではミッション志向の産業政策として、社会課題に政府も一歩前にでて大規模・長 期・計画的に投資を行い、マクロとミクロの融合という、過去30年とは異なるアプローチを掲げている。 ➢ 第2次中間整理で示したとおり、マクロでは、国内投資、イノベーション、所得向上の3つの好 循環を志向してきた。日本国内の経済成長・国民の豊かさ向上のためには、当然必要な要素。 ➢ 企業・個人が、マクロで必要とされる取組を持続できるか、ミクロの政策アジェンダとの融合が 重要。 ⚫ 国際経済秩序の変化や世界の人口動態の変化という時代の転換点を踏まえて企業・個人がチャレ ンジし、政府が経済産業政策の新機軸による政策を継続していけば、今後、真の意味での民主導 型経済を実現し、人口減少下でも、一人一人の所得が増え、デジタル化・自動化等により可処分 時間が増加する。個々のニーズに対応した細やかなサービスが、少ない人手で提供され、国民の生 活がよりスムーズで、心地のよい新たな生活へと発展し、豊かな社会を実現できる。その体験を求 めて、多くの外国人も日本を訪れる。 10 「新機軸」(将来見通し・シナリオ)の概要⑤ (5ミッション(GX、DX、経済安保・グローバル、健康・包摂)を踏まえた、世界の需要・供給の変化) ⚫ 客観的に見通される世界の需要構造の変化 ➢ 人口減少地域(日本、欧州、中国等):既存の商品サービスは、過去の延長では物量の減 少に伴い需要減となるが、「良いものには値がつく」という価格上昇を通じた需要増に加えて、① 社会課題解決の価値化、②データドリブンでの新たな価値創出を通じた新需要開拓によって、 需要が増えていく。 ① 社会課題解決(GX,経済安保等):自然体では顕在的な購買行動に繋がりにくいが、各国 政府の政策の力で、潜在的な需要を顕在化させて価値化。 ② データドリブンでの新たな価値創出(DX、健康・包摂等):顧客から取得した様々なデータ を基に新たな価値提供、時間・空間的制約の緩和による新需要創出、人口減少地域・人手不足分 野を中心とした徹底的な効率化・自動化ニーズ ➢ 人口増加地域(米国、新興国・途上国などグローバルサウス):上述の新需要開拓に加え、 人口増・購買力増に伴う取引量・単価の上昇によって、需要が増えていく。 ⚫ 客観的に見通される世界の供給構造の変化 ➢ 社会課題解決ニーズへの対応:国毎の違い・不確実性が存在することを前提に、競争優位を 確保するための独自技術(多排出産業のCO2削減技術等) ・ノウハウ・取引先の獲得、先 行者利益(データ蓄積を含む)を確保するための迅速かつ大規模な設備投資、想定外の変化 にも対応できる柔軟な企業経営・ビジネスモデルの構築 ➢ DX:顧客データの取り込み競争、余暇充足をめぐる顧客体験競争、ネットワーク効果による勝 者総取り、徹底的な自動化の追求 ➢ 各国政府の産業政策:企業は立地選定にあたって、税等社会負担だけでなく、補助金等政策 支援、地政学的な位置、経営資源へのアクセス(クリーンエネルギー、水、土地、高度人材、生活環 境等)を総合的に比較 11 「新機軸」(将来見通し・シナリオ)の概要⑥ (5ミッション(GX、DX、経済安保・グローバル、健康・包摂)を踏まえた、日本の産業構造) ○ 日本の産業構造(需要、供給)の、新機軸の政策を通じた(主観的な見通しを含めた)変化 ➢ 食料・資源・原料を輸入せざるをえない日本にとって、世界で、イノベーションで稼ぐのは宿命。世 界が求めているのは、人類が直面する社会課題の解決。課題先進国の日本はチャンス。 ➢ 日本企業は、日本経済が世界の中規模国となる中で、フルラインナップのものづくりネットワーク、 生活・文化・コンテンツの魅力、安定的な社会を実現してきた国民性といった強みを活かして世界 と勝負し、生活を豊かにする挑戦に取り組む。海外への輸出・投資をこれまで以上に拡大しつつ、 「世界の創造拠点」として日本という場所を位置付け、世界中で稼いだ利益を国内に還流させ て活用するのに見合うような、付加価値を創造するソフトウェアや研究開発を含む国内投資・賃 上げ・イノベーションを継続的に拡大する。 ➢ 成長可能性があり、変化の主体たる中堅・中小企業、スタートアップの重要性が高まるととも に、こうした変化の主体が刺激となり大企業の変革も促す。 ➢ 物理的な領域で定義される日本経済は、人口減少地域の1つとして、「人口増が牽引する需 要総量の強さ」ではない、生み出される価値の高さを魅力として、国内外の企業の誘致・投資、 個人消費を生み出すことになる。 ➢ 政府は、こうした観点から国の戦略投資として国内外の企業に「日本」が投資先として選ばれる 産業政策を継続する。 12 「新機軸」(将来見通し・シナリオ)の概要⑦ (5ミッション(GX、DX、経済安保・グローバル、健康・包摂)を踏まえた、日本の産業構造)<続き> ○ 日本の産業構造(需要、供給)の、新機軸による政策を通じた(主観的な見通しを含めた)変化 ➢ 世界で勝負(「世界の創造拠点」化) • 世界本社化:社会課題領域を中心とした「選択と集中」の結果として、高付加価値な製 品・サービスを生み出し続けるための経営・事業・製品サービス戦略立案や最重要研究開発 の拠点といった高付加価値創造機能を国内に保持・強化する。そのために世界中で稼いだ 利益を絶えず国内に還流させつつ、更なる将来投資の原資としても活用する。 • 世界工場化:製造現場に眠る非構造化データを産業内で広く収集・分析し、次の研究開 発に活かす連携体制を確立。顧客ニーズを深く捉え、より付加価値を高めた、世界中から不 可欠なものとして求められる製品・サービスを、国内外に提供し続けるグローバル拠点になる。 • 国際競争の中で高付加価値型事業に必要な産業インフラ・人材を調達できる領域でのみ、 日本における事業が生き残る。 ➢ 生活の質を高める挑戦 • 付加価値創出(良いものに値が付く):限界費用ゼロのデジタル技術・データ連携を駆使 し、個人に最適化したり(例:PHR)、個人を時間・空間の制約から解放する(例: AR・VR・自動運転等)ような新たな製品・サービスが次々に生まれてくる。また、日本の生 活・文化・コンテンツ力等を源泉とするインバウンド・アウトバウンドで高い価値を訴求する。 • 省力化:デジタル投資(AI・ロボット等)で、構造的人手不足による供給制約を解消し、 医療・介護や観光等の拡大するサービス需要を取り損ねずに充足できる体制を構築する。 • 付加価値創出と省力化によって生産性を向上させられる企業では、賃上げを続けられる企 13 業として、貴重な若い人材の雇用・投資・事業継続ができる。 「新機軸」(将来見通し・シナリオ)の概要⑧ 【企業・国民・政府にマクロレベルで求められるチャレンジ】 (国内投資:量の拡大) ⚫ 国内投資拡大(例えば、2027年度に115兆円の投資額を達成する拡大スピード以上)の継続。 ⚫ 対内直接投資は、サプライチェーン上の位置づけの重要性の高さ、スタートアップ・エコシステムの成熟とグ ローバルな資本市場への接続、国内投資拡大のための市場環境の整備などを背景として、対GDP比で 大きく上昇し、対外直接投資とのアンバランスが改善する。 (イノベーション/新陳代謝:質の向上) ⚫ 世界と勝負する企業は、世界の創造拠点として、付加価値が高い本社機能(研究開発機能を含 む)と生産機能だけが、日本に残る。その結果、交易条件が改善する。 ⚫ スタートアップや大学・研究所、人材育成を含むイノベーションエコシステムが強化され、イノベーション が拡大し続ける。 ⚫ 構造的人手不足の時代には、賃金や働き方の面でより良い条件を提示できる仕事に、人々が移動して いく。賃上げを続け、柔軟な働き方でやりがいある「良い仕事」が、若者からの支持を受けて採用できる ものとして、企業は生き残りのために挑戦する。 ⚫ 地域の産業・生活インフラや生活関連サービスは、デジタル・自動運転・ドローン等の技術を活用して統 合運用することで、現在の仕組みでは維持困難な人口密度の低い地域でも高品質を確保。ただし、極 端な過疎化が進み、個人・社会の生活を支える公共サービスのコストが高まる可能性がある中、コンパ クトな都市計画・土地利用は有効な選択肢となり得る。それが進むと技術の活用とあいまって、インフラ や生活を支えるサービスを維持することが可能となる。 ⚫ 国民一人一人が、デジタルを積極的に活用するなど、時代や社会の変化に適応する。また、起業が当た り前の選択肢の一つとなり、個人も変化の主体になる。 14 「新機軸」(将来見通し・シナリオ)の概要⑨ 【企業・国民・政府にマクロレベルで求められるチャレンジ】<続き> (所得の向上:生まれた富の循環) ⚫ 構造的人手不足や国際的な人材獲得競争の中でも、自社に必要な人材を採用できる企業は、賃上げ は当然のこととして、さらに従業員の生きがい(社会貢献意識や柔軟な働き方)も提供する。 ➢ 失業率は、構造的人手不足を背景に、特に地方・現役世代で、低水準が継続。 ➢ 社保負担は、従属年齢人口比率が当面横ばいのため、これまでの30年間に経験したほどは大きくは増えない。 ➢ エッセンシャルワーカーの賃上げには、思い切った省力化(業務プロセスの改善・省力化投資)や、公的保険 外サービスの振興などによる公定価格にとらわれない新たな付加価値の獲得が必要。 ⚫ リスキリングに取り組む個人は、年齢に縛られず学び直しを行い続けることで、賃金が上がりやすくなる。 (マクロ経済) ⚫ 真の意味での民主導型経済実現によって、企業が資金需要の主体となることで、財政の持続性も維持し ながら、経済成長・国民の所得向上を実現する。 ⚫ 政府は、民主導型経済に転換するため、新機軸で位置付けた「大規模・長期・計画的」という方針に則り、 企業の予見可能性を高めるため、一歩前にでて、目標設定・予算・税制・規制改革・標準化・ 出融資等、あらゆる政策を総動員する。民主導型経済が軌道に乗り、継続していくために、政府は 国の戦略投資として、インフラ投資や産業政策など必要な生産的政府支出を継続させることを通じ、挑 戦する企業を後押しする。 15 「新機軸」(将来見通し・シナリオ)の概要⑩ 【チャレンジの結果:得られる国民の豊かさ、生じているマクロ経済構造】 ⚫ 主要先進国並みの賃上げの継続で所得が向上する。(例えば、直近2年の国内の名目賃上げの継続) ⚫ 人口密度は減少し二拠点居住が一般化。デジタル化で義務的作業時間が減少し可処分時間は増加。 世界で最も健康(健康寿命は75歳)に、誰もが(高齢者も障がい者等も)活き活きと生活できる。 (マクロ経済) ⚫ GDPは、生産年齢人口の減少率より、労働生産性が高い水準の伸びとなることで、労働参加率の維持 の中、プラス成長。 ⚫ 物価は、国際秩序変化と中国含む少子高齢化による供給不足圧力で、マイルドインフレとなる。 ⚫ 金利は、上昇しているが、物価上昇を加味すると、実質金利の上昇幅は限定的となる。 ⚫ 経常収支は、黒字構造が維持される。 ➢ 貿易収支が、大幅な赤字から対内直投を含む国内投資増加を背景とした輸出増・GXによるエネルギー自給 率の向上による赤字改善により赤字縮小 ➢ 所得収支が、世界最大の対外純資産など過去の蓄積と企業の海外展開としての現地子会社への投資拡大も あって対内直投が増える中でも黒字を維持 ➢ サービス収支は、デジタル赤字増に対応するとともに、インバウンド拡大による黒字増により改善 ⚫ ISバランスは、 ➢ 企業が国内投資の拡大を継続することで貯蓄超過を解消して資金需要主体(投資超過)となり、 ➢ 家計は賃金上昇・金融所得の増加、税/社会保障による所得分配の改善により、高齢化比率が上昇する中で あっても貯蓄超過を維持し、 ➢ 政府は経済成長に伴う税収の増加等を背景に投資超過を解消。 16 1.2040年頃に向けたシナリオ 2.一人一人が豊かな日本に向けた施策の 進捗と今後検討が必要となる施策 「中長期のシナリオ」に沿って、今、足下で必要となる「今後の施策」を強化 ⚫ 人口減少等で将来悲観のある現状では、非連続に在るべき姿を示すビジョンというよりは、この数年取り組んで成 果が出始めている「新機軸」の経済産業政策を、継続すれば十分実現可能な、人口減少しても一人ひとりが豊 かに生活できる「2040年頃に向けたシナリオ」を描き、これに沿って、今、足下で必要となる今後の施策を強化 することが必要。 ⚫ 世界の需要は、社会課題解決の価値化(GX等)とデータドリ ブンでの新たな価値創出(DX等)で拡大。日本を含む人口 減少地域も、物量は減少するが、「良いものには値がつく」価 格上昇、高付加価値化・新需要開拓によって需要が拡大。 一人ひとりが豊かに生活できる 2040年頃の日本 ⚫ 食料・資源・原料を輸入せざるをえない日本は、世界でイノ ベーションで稼ぐ。課題先進国の日本はチャンス。成長・変 化の可能性ある主体として中堅・中小、スタートアップの重要 性が高まり、これらが刺激となり大企業の変革も促す。 ⚫ 一人一人の所得が増え、可処分時間が 増加する。個々のニーズに対応した細や かなサービスが、少ない人手で提供され、 国民の生活がよりスムーズで、心地のよい 新たな生活へと発展。 ⇒産業の変化①世界で勝負、「世界の創造拠点」へ(最重要研 究拠点等の本社機能を国内で強化、そのため世界で稼いだ 利益を国内環流。不可欠な製品サービスを国内外に展開。) ⇒産業の変化②生活の質を高める挑戦(デジタルの駆使と生 活・文化・コンテンツの魅力で高付加価値化。AI・ロボット等の 徹底活用で人手不足の供給制約を解消。) ➢ 主要先進国並みの賃上げの継続で所 得が向上する。(例えば、直近2年の国 内の名目賃上げの継続) ※「半導体・計算資源」「自動車・モビリティ」「ヘルスケア」等15の個別産業を詳述 ⇒政府は、国の戦略投資として、国内外の企業に日本が 投資先として選ばれる産業政策を継続。 ※「GX」・「DX」等8ミッション、「人材」・「スタートアップ・イノベ ーション」等4OSのテーマ毎に、進捗と今後の施策を詳述 2024年頃 気を緩めて 継続しないと 1990年頃 新自由主義 的な政策 2021年頃 これまでの新自由主義的な政策を継続 背景 ・国際経済秩序:グローバリゼーションの時代 ⇒ 不確実性の高い時代 にある ・世界人口動態:日本だけ人口減少 ⇒ 中国・欧州・韓国も人口減少に。日本は労働参加率頭打ち 世界 ➢ ISバランス上、企業が国内投資拡大を 通じて貯蓄超過を解消して投資超過と なり、家計は貯蓄超過を維持し、経常収 支の黒字構造が維持される中で、政府 は経済成長に伴う税収の増加等を背景 に投資超過を解消。 当面社会は安定も、停滞する 2040年頃の日本 18 2040年頃シナリオに沿って検討中の主要施策[国内投資] 【企業・国民・政府にマクロレベルで求められるチャレンジ】 (国内投資:量の拡大) ⚫ 国内投資拡大(例えば、2027年度に115兆円の投資額を達成する拡大スピード以上)の継続。 ⚫ 対内直接投資は、サプライチェーン上の位置づけの重要性の高さ、スタートアップ・エコシステムの成熟とグローバルな資 本市場への接続、国内投資拡大のための市場環境の整備などを背景として、対GDP比で大きく上昇し、対外直接 投資とのアンバランスが改善する。 検討中の主要施策案 ⚫半導体サプライチェーン強靭化に向け、我が国におけるミッシングピース補完を目指し、国内生産拠点整備・人材育成等を継 続する。特に、次世代半導体の量産に向け、必要な法制上の措置を検討しつつ、研究開発支援を実施する。 ⚫蓄電池について、国内で150GWh/年の製造基盤確立という目標を着実に達成するとともに、次世代電池の実用化に向け て必要な支援を行う。 ⚫GXについて、事業環境の予見性を高め、成長に不可欠な付加価値の高い産業プロセスの維持・強化につながる国内投資 を後押しするため、産業構造、産業立地、エネルギーを総合的に検討し、より長期的視点に立った「GX2040ビジョン」を示す。 ⚫エネルギーの価格上昇リスクや供給途絶リスクに対応すると同時に、貿易収支の悪化から脱却するため、省エネの徹底に加え、 再エネ、原子力など、エネルギー自給率向上に資する脱炭素エネルギーの供給を拡大するための事業環境整備等を講ずる とともに、低炭素水素等やCCSなどの新たな脱炭素技術の社会実装を推進する。 ⚫バイオ産業について、バイオ医薬品や再生・細胞・遺伝子治療分野における受託開発製造拠点の整備・増強の支援のあり方 を検討する。 ⚫経済安全保障については、我が国の産業・技術基盤を維持・発展させるため、脅威・リスク分析のための体制構築、技術優 位性獲得に向けた投資支援、新たな貿易管理における枠組みを含む技術管理対策の強化、産業界・主要国との戦略的な 連携を行う。 ⚫GX・DXの進展に伴う電化への対応と関連国内投資の促進に必要な銅資源などのベースメタルや重要鉱物等を戦略的に確 保するため、海外での上流開発支援等の強化を検討する。 ⚫これらの国内投資の効果を迅速に発現すべく、各地域での工業用水等の基盤インフラの有効活用・整備や産業用地等の有 効活用・整備・集積を進めるとともに、AI・ロボットの活用推進等を含め、人手不足等の供給制約へのさらなる対応を推進 する。 ⚫イノベーション・地域活性化に資する対日投資案件の誘致、海外企業との協業連携の促進、誘致を行う地域への伴走支援を強化する。19 2040年頃シナリオに沿って検討中の主要施策[イノベーション/新陳代謝(世界で勝負)] 【企業・国民・政府にマクロレベルで求められるチャレンジ】<続き> (イノベーション/新陳代謝:質の向上(世界で勝負)) ⚫ 世界と勝負する企業は、世界の創造拠点として、付加価値が高い本社機能(研究開発機能を含む)と生産機能 だけが、日本に残る。その結果、交易条件が改善する。 ⚫ スタートアップや大学・研究所、人材育成を含むイノベーションエコシステムが強化され、イノベーションが拡大し続ける。 検討中の主要施策案 ⚫AIの性能向上やコンピューティングパワーの形成に向けて、計算資源の確保や有望分野のデータ整備、AI利活用で得られる データ等を性能向上に活かす環境の整備、計算資源の高効率化等の研究開発を進め、国内外の優れた企業・人材によ るイノベーションを促す。また、AIセーフティ・インスティチュートを中心に、安全性基準等を国際連携で策定しつつ、ルールも検討する。 ⚫デジタルによる新たな価値創造を促進するため、産業を超えたデータ連携の取組であるウラノス・エコシステムについて、 具体的な事例の創出やグローバルでの連携を進める。 ⚫GXについて、2026年度から本格稼働予定の排出量取引制度(GX-ETS) 等の検討を引き続き行っていくことをはじ め、支援策と規制・制度的措置を組み合わせ、同志国との連携も含めた市場を形成する。GX投資促進策の協調等 による同志国とのGXサプライチェーンの構築、AZECのさらなる具体化も進める。 ⚫グローバルサウスとの経済連携強化に向け、中東・アフリカ等との第三国連携をインドと共に面的に展開する枠組みを 構築し、それを起点に、重点分野・国を特定した戦略的取組をインフラ構築や、ファイナンス強化(NEXIの機能強 化等を検討)等をパッケージで展開する。 ⚫先端領域におけるイノベーションを促進するため、バイオ、量子、宇宙(JAXA宇宙戦略基金の更なる活用)等へ の政策的支援のあり方を検討する。 ⚫グローバルに活躍するスタートアップ等を創出するため、グロースステージの成長支援強化、「のれん」の柔軟な資産評価 等を通じたM&A促進、東証グロース市場等の上場維持基準の強化や、 セカンダリー市場等、スタートアップ等が大き く成長できるための市場環境整備や、大企業や大学に眠る人材や設備等のイノベーション資源の流動化を図るため の制度改革等を検討する。 ⚫新陳代謝を促進するため、多数決によって金融債務の整理を認める私的整理法制、パーシャルスピンオフ税制(親 会社が一部株式を保持した形でのスピンオフにおける譲渡益課税や株主配当課税の特例措置)をはじめ組織再編 税制のあり方について検討する。特に中堅・中小企業の構造転換を促進すべく、成長志向の中堅・中小企業の後押 しを強化する方向で、予算・税制等の関連政策について見直しを行う。 20 2040年頃シナリオに沿って検討中の主要施策[イノベーション/新陳代謝(生活の質の向上)] 【企業・国民・政府にマクロレベルで求められるチャレンジ】<続き> (イノベーション/新陳代謝:質の向上(生活の質の向上) ) ⚫ 構造的人手不足の時代には、賃金や働き方の面でより良い条件を提示できる仕事に、人々が移動していく。賃上げ を続け、柔軟な働き方でやりがいある「良い仕事」が、若者からの支持を受けて採用できるものとして、企業は生き残 りのために挑戦する。 ⚫ 地域の産業・生活インフラや生活関連サービスは、デジタル・自動運転・ドローン等の技術を活用して統合運用する ことで、現在の仕組みでは維持困難な人口密度の低い地域でも高品質を確保。ただし、極端な過疎化が進み、個 人・社会の生活を支える公共サービスのコストが高まる可能性がある中、コンパクトな都市計画・土地利用は有効 な選択肢となり得る。それが進むと技術の活用とあいまって、インフラや生活を支えるサービスを維持することが可能と なる。 ⚫ 国民一人一人が、デジタルを積極的に活用するなど、時代や社会の変化に適応する。また、起業が当たり前の選択 肢の一つとなり、個人も変化の主体になる。 検討中の主要施策案 ⚫地域で良質な雇用を創出する中堅・中小企業の成長の促進に向け、成長志向の中堅・中小企業の後押しを強化す る方向で、予算・税制等の関連政策について見直しを行う(再掲)。 ⚫高齢化が進展する中、大きなポテンシャルを持つヘルスケア(健康・医療・介護)の産業化を促進するため、その基盤と なるPHR等の整備や、ヘルスケアスタートアップの伴走支援を通じた新たなビジネスの創出、職域との連携も含めた 地域性に応じた介護事業を促進する仕組みの構築を進める。 ⚫クリエイティブ産業の振興に向けて、海外現地拠点等を活用した戦略的海外展開の促進、国際水準の制作を実現 する支援、プラットフォーマー等との契約交渉支援、クリエイターの育成等を行う。こうした取組を通じて他産業の高 付加価値化を図り、観光・インバウンドの稼ぐ力も強化する。 ⚫「デジタルライフライン全国総合整備計画」に基づき、共通の仕様等に準拠したデジタルライフライン(ハード・ソフト・ ルール)の全国的な整備を進め、国民による自動運転・ドローン等のデジタルサービス活用を抜本的に促進する。 21 2040年頃シナリオに沿って検討中の主要施策[所得向上] 【企業・国民・政府にマクロレベルで求められるチャレンジ】<続き> (所得の向上:生まれた富の循環) ⚫ 構造的人手不足や国際的な人材獲得競争の中でも、自社に必要な人材を採用できる企業は、賃上げは当然のこと として、さらに従業員の生きがい(社会貢献意識や柔軟な働き方)も提供する。 ➢ 失業率は、低水準が継続。社保負担は、これまでの30年間に経験したほど大きくは増えない。エッセンシャルワーカーの賃上げには、思い切った省 力化(業務プロセスの改善・省力化投資)や、公的保険外サービスの振興などによる公定価格にとらわれない新たな付加価値の獲得が必要。 ⚫ リスキリングに取り組む個人は、年齢に縛られず学び直しを行い続けることで、賃金が上がりやすくなる。 検討中の主要施策案 ⚫賃上げや働き方改革による良質な雇用を実現できる地域の中堅・中小企業を育成し、更なる成長軌道に乗せる。 ⚫下請代金法の執行力の強化(公取委・事業所管省庁との執行連携等)、官公需における労務費等の価格転 嫁の徹底等による価格転嫁の強化策を検討する。 ⚫AI・ロボットの活用推進等を含め、人手不足等の供給制約へのさらなる対応を推進する(再掲)。 ⚫高齢化が進展する中、大きなポテンシャルを持つヘルスケア(健康・医療・介護)の産業化を促進するため、その基盤と なるPHR等の整備や、ヘルスケアスタートアップの伴走支援を通じた新たなビジネスの創出、職域との連携も含め た地域性に応じた介護事業を促進する仕組みの構築を進める(再掲)。 (マクロ経済) ⚫ 真の意味での民主導型経済実現によって、企業が資金需要の主体となることで、財政の持続性も維持しながら、経済 成長・国民の所得向上を実現する。 ⚫ 政府は、民主導型経済に転換するため、新機軸で位置付けた「大規模・長期・計画的」という方針に則り、企業の予 見可能性を高めるため、一歩前にでて、目標設定・予算・税制・規制改革・標準化・出融資等、あらゆる政策を総動 員する。民主導型経済が軌道に乗り、継続していくために、政府は国の戦略投資として、インフラ投資や産業政策など 必要な生産的政府支出を継続させることを通じ、挑戦する企業を後押しする。 22 マクロ(結果としての経済全体)のフレームワーク 第2次以降の進捗 国 内 投 資 ●設備投資意欲の上昇 戦略分野への世界水準の長期大規模支 援(GX経済移行債13兆円の支援先決定、 戦略分野国内生産促進税制の創設等、 11府省庁200強の施策の国内投資促進 パッケージ) 中堅企業成長促進パッケージ、成長志向の中小 企業創出、人手不足対策として省力化投資促進 イ ノ ベ ー シ ョ ン 所 得 向 上 今後検討が必要となる施策 国内投資の官民目標:2027年度115兆円 国内投資拡大の継続・対内直投の拡大:先端半導体の 生産拠点整備、次世代電池の実用化、バイオ医薬品等の 開発製造拠点整備・増強、経済安保分野のリスク分析・技 術優位性獲得に向けた投資支援、銅資源等の海外上流 開発支援等、工業用水・産業用地等の有効活用・整備、 人手不足等の供給制約への対応 長期的目標 国内投資拡大の継続 (例えば、2027年115兆円 達成スピード以上の継続) 将来の成長期待に基づく 民間投資の促進 + 人口減少で物量減少しても、 高付加価値化・新需要開拓・ ●人手不足・新陳代謝の兆し 成長分野への労働力・資金流入、海外収益の国内還流 省力化徹底で国内経済活性 スタートアップ:育成5カ年計画の着実な スタートアップ投資額:2027年度10兆円 化・海外需要開拓 推進と強化(JIC運用期限延長、LPS投資 世界で勝負(世界の創造拠点):AIの性能向上に向け 対象拡充・海外投資制限の要件緩和等 両立 た計算資源確保等、AI安全性基準・ルール検討、排出量 を規定した法の成立) 取引制度の検討、グローバルサウスとの戦略的取組 社会課題解決に向けた進展 世界水準のイノベーション投資環境整備 ・GX:2050年カーボンニュートラル スタートアップを含むイノベーションエコシステム強化:バイオ・量 (イノベーション拠点税制の創設) ・DX:デジタル社会の実現 子・宇宙支援、グローバル・スタートアップ創出を促すM&Aやセカン ・経済安全保障の実現 ダリー等市場環境整備、新陳代謝を促す私的整理法制やパー ・健康寿命の延伸 戦略分野のイノベーションの世界水準の 支援(GX、半導体・AI・量子・宇宙、バイオ、 シャルスピンオフ税制等組織再編税制の在り方検討 ・自然災害へのレジリエンス社会 健康) ・資源自律:資源制約からの解放 生活の質の向上に向けた挑戦:成長志向の中堅・中小後 押し強化の方向で予算・税制等について見直し、PHR整備、 ・少子化傾向の反転:希望出生 高付加価値化のための事業構造改革、 率を1.8に回復、将来的には更な クリエイティブ産業の戦略的海外展開の促進、クリエイター育 新陳代謝促進(複数回のM&Aを行う場合 地域・国民のデジタル活用:デジタル全国総合整備計画 る希望向上へ 成、観光・インバウンドの稼ぐ力強化 の税制優遇措置の創設、スピンオフ等) ●30年ぶりの賃上げ水準 賃上げ環境の整備(価格転嫁対策、賃上 げ促進税制の強化、事業再構築・生産性 向上支援等) 物価上昇と賃金上昇の好循環の定着 賃上げ・生きがいの提供:良質な雇用を実現できる地域の 中堅・中小企業の育成、下請法執行力強化、労務費価格 転嫁徹底、地域性に応じた介護事業を促進する仕組み 賃金上昇の継続 (例えば、ここ2年の名目 賃上げの継続) 一人一人が豊かな生活 23 各分野(ミクロ)の主要施策 新機軸の 施策の柱 長期的 目標 第2次以降の進捗 今後検討が必要となる施策 〇成長志向型カーボンプライシング構想 16の重点分野ごとに分野別投資戦略を策定 20兆円規模の先行投資支援のうちの一部に ついて、投資促進策の見通しを提示 ミ ッ シ ョ ン 志 向 の 産 業 政 策 GX 2050年 CN実現 /今後 10年で 150兆円 超の官民 投資、20 兆円規模 の政府支 援 GX経済移行債を世界初の国によるトランジ ション・ボンドとして約1.6兆円発行 グリーンイノベーション基金で、GX経済移行債の開 発案件を拡充 GXリーグに日本のCO2排出量の5割超を占め る企業が参画 東証にてカーボン・クレジット市場を開設 事業環境の予見性を高め、日本の成長に不可欠な付加価値の高い産業プロセスの 維持・強化につながる国内投資を後押しするため、産業構造、産業立地、エネルギーを 総合的に検討し、より長期的視点に立った「GX2040ビジョン」を提示 グリーンイノベーション基金で、更なる取組を進める 省エネの徹底に加え、再エネ、原子力など、エネルギー自給率向上に資する脱炭素エネ ルギーの供給を拡大するための事業環境整備等を講ずるとともに、低炭素水素等やCC Sなどの新たな脱炭素技術の社会実装を推進 GXについて、2026年度から本格稼働予定の排出量取引制度(GX-ETS) 等の検 討を引き続き行っていくことをはじめ、支援策と規制・制度的措置を組み合わせ、同志 国との連携も含めた市場を形成 水素社会推進法・CCS事業法の成立 カーボンリーケージの可能性の分析 脱炭素に関する独禁法のガイドラインを改定 複数社連携における課題への対応(事業者への普及啓発等による事業者の取組の 後押し、事業者の取組状況等も踏まえた更なる予見可能性の向上を継続) 戦略分野国内生産促進税制の創設 〇国際展開戦略 金融機関による削減貢献量の活用事例の発 信の実施 GX・DXの進展に伴う電化と関連国内投資を進めていくために必要な銅資源などのベー スメタルや重要鉱物等を戦略的に確保するため、上流開発支援等を強化 GX投資促進策の協調等による同志国とのGXサプライチェーンの構築 AZECを通じたセクター別協力とGXの取組の一体的推進 アジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)首脳 会合の開催 バイオ由来材料・製品の市場化:バイオ製品価値の創出のため基準策定(LCA値算 出のための計測手法、「原料CO2」の証明方法) 〇公正な移行、中堅・中小企業を含む社会全体のGX 在職者のキャリアアップのための転職支援、企 リスキリング支援 業による社員のリスキリング支援等の実施 中堅・中小企業のGX推進、GXスタートアップ支援、地域・くらしのGX推進 CN投資促進税制の拡充及び延長 補正予算にて省エネを推進する設備投資支 援等を措置 24 各分野(ミクロ)の主要施策 新機軸の 施策の柱 長期的 目標 第2次以降の進捗 〇個別企業のDX DX銘柄選定におけるPBR指標の導入 中堅・中小企業等のDX推進のため、支 援機関向けDX支援ガイダンスの策定 ミ ッ シ ョ ン 志 向 の 産 業 政 策 DX 2030年 までに国 内で半 導体を 生産する 企業の 合計売 上高 (半導 体関 連)を 15兆円 超 / ハード、 ソフト、 ルールに 渡るデジ タルライフ ラインを 全国的 に整備 等 〇デジタル産業基盤 半導体:先端半導体基金や経済安保基 金等を活用し、半導体並びに電子部品及 びこれらの製造装置・部素材・原料の製造 基盤整備 情報処理基盤:クラウドプログラムの安定 供給確保に向けた支援、ハイブリッドクラウ ド利用基盤技術や超分散コンピューティン グ技術、生成AIモデルの開発等の実施 蓄電池:経済安保基金を活用し、蓄電 池・部素材の製造基盤整備を進めるととも に、蓄電池製造装置についても措置 〇デジタルインフラ基盤 デジタルライフライン全国総合整備計画の 策定・実施 〇サイバーセキュリティ ソフトウェア管理に向けたSBOMの導入に 関する手引やIoT適合性評価制度の構築 方針案の策定・公表。 〇デジタル人材基盤 デジタル人材:230万人育成目標に向け た施策実施(人材育成PF等) 、スタート アップ5カ年計画の実施(トップ人材) 半導体・蓄電池の産学官連携による人材 育成の推進 〇Web3.0 暗号資産に係る税制改正、会計監査のガ イドライン整備、改正LPS法の成立、ユース ケース創出のための予算措置、人材育成 等に係る委託調査 今後検討が必要となる施策 支援機関向けDX支援ガイダンスに基づくモデル支援事例の面的創出と必要な支援 先端半導体:半導体サプライチェーン強靭化に向け、我が国におけるミッシングピース補完 を目指し、国内生産拠点整備・人材育成等を継続。次世代半導体の量産に向け、必 要な法制上の措置を検討しつつ、研究開発支援を実施 蓄電池:国内で150GWh/年の製造基盤確立という目標を着実に達成するとともに、次 世代電池の実用化に向けて必要な支援を行う GX・DXの進展に伴う電化と関連国内投資を進めていくために必要な銅資源などのベー スメタルや重要鉱物等を戦略的に確保するため、海外での上流開発支援を強化 AI:AIの性能向上やコンピューティングパワーの形成に向けて、計算資源の確保や有望分野・地 域のデータ整備、AI利活用で得られるデータ等を性能向上に活かす環境の整備、計算資源 の高効率化等の研究開発を進め、国内外の優れた企業・人材によるイノベーションを促す。ま た、AIセーフティ・インスティテュートを中心に、安全性基準等を国際連携で策定しつつ、ルールも検討 する 「デジタルライフライン全国総合整備計画」に基づき、共通の仕様等に準拠したデジタルラ イフラインの全国的な整備を進め、自動運転・ドローン等のデジタルサービス活用に促進 産業を超えたデータ連携の取組であるウラノス・エコシステムについて、具体的な事例の創 出やグローバルでの連携を進める サイバーセキュリティ対策の実効性を強化すべく、業種横断的なセキュリティ対策水準を定 義して各企業における取組を可視化するような枠組みの構築を進める 官民の情報ハブとしての強みを有するIPAにおける地政学情報等を含めたサイバー情勢を 統合的に集約・分析する機能を大幅に強化し、対処支援機能を強化する デジタル人材のスキル、スキルアップ状況、スキル評価に関するデータの蓄積・可視化を可 能とする共通基盤の構築を通じたデジタル人材育成のエコシステムの実現や情報処理技 術者試験の抜本見直し 半導体の設計・製造・活用を担うプロフェッショナル・グローバル人材の育成の仕組み、 国際協力の具体化 未踏事業(IPA)の抜本的拡充や地方の若手人材育成の取組への拡大 Web3.0・ブロックチェーン技術に係るユースケース創出、技術開発・人材育成、グローバ ル化等に係る政策についての戦略やロードマップについてとりまとめ 25 各分野(ミクロ)の主要施策 新機軸の 施策の柱 長期的目標 第2次以降の進捗 今後検討が必要となる施策 〇自由で公正な国際秩序と経済安全保障を両立した対外経済政策の立案 経済的強靭性及び経済安全保障に関す 「持続可能性」等の観点が考慮された製品の需要を創出すべく、米欧といっ るG7首脳声明の採択 た同志国とともに産業政策面の協力を戦略的に推進する。AZEC等の国 強靱で持続可能なサプライチェーン・市場の確保 際枠組みやグローバルサウス向けの各種政策を通じて、グローバルサウス諸 に向けた政策協調を同志国と議論。 国との連携も目指す 〇海外投資・進出 ミ ッ シ ョ ン 志 向 の 産 業 政 策 グ ロ ー バ ル ・ 経 済 安 全 保 障 日本に裨益す る形でのルール 形成、自由貿 易・経済安保 の確保、稼ぐ力 強化、各国との ウィンウィンの関 係構築、対内 直接投資残高 を2030年に 100兆円とする 目標の早期の 実現 / 自律性向上、 優位性・不可 欠性確保、 ルールに基づく 国際秩序の維 持 グローバルサウス未来志向型共創等事業の立上げ グローバルサウスとの経済連携強化に向け、中東・アフリカ等との第三国連携 をインドと共に面的に展開する枠組みを構築し、それを起点に、重点分野・ 国を特定した戦略的取組をインフラ構築や、ファイナンス強化(NEXIの機 能強化等を検討)等をパッケージで展開 〇サービス貿易促進等 グローバルトップを目指す企業のスケール化支援 〇輸出促進 貿易手続デジタル化推進、地域商社等中堅中 貿易DXに向けた他省庁と連携したアクションプランの策定、地域の中堅中 小輸出支援ビジネスモデル育成 小企業を支える輸出支援ビジネスモデルの支援措置の検討等 〇対日直接投資促進 イノベーション・地域活性化に資する対日投資案件の誘致、海外企業との 「海外からの人材・資金を呼び込むための 協業連携の促進、誘致を行う地域への伴走支援を強化 アクションプラン」の取りまとめ、着実な実行 〇サプライチェーンの強靱化、技術優位性の確保、産業界との対話・国際連携、重要インフラ等のセキュリティ・レジリエンスの強化 先端的な重要技術の研究開発を進める「経済安 全保障重要技術育成プログラム(K Program)」を実施 経済安全保障関連分野の資金供給強化 K Programで支援対象とすべき50の重要技術 を特定し、公募手続きを経て順次研究開発に着 手 技術優位性獲得に向けた投資支援 脅威・リスク分析のための体制構築 新たな貿易管理における枠組みを含む技術管理対策の強化 経済安全保障推進法に基づき、政府として 12の 特定重要物資を指定 産業界・主要国との戦略的連携 有志国・同志国・産業界との経済安全保障に関 する対話の活発化 セキュリティ・クリアランス制度の活用を含むインテリジェンス体制の構築 セキュリティ・クリアランス制度に係る法律の成立 26 各分野(ミクロ)の主要施策 新機軸 の施策 の柱 ミ ッ シ ョ ン 志 向 の 産 業 政 策 健 康 長期的 目標 第2次以降の進捗 今後検討が必要となる施策 2040年に 〇PHRの推進・ヘルスケアスタートアップの振興等 健康寿命 ライフログデータ等の標準化等の事業環境整備の ヘルスケアのデータ基盤となるPHR等の整備、スタートアップの伴走支援 を75歳に 実施 備の実施 / 〇公的保険外サービスの振興・介護と仕事の両立促進等 2050年に 公的保険外の健康関連市場(国内)の将来 地域性に応じた介護事業を促進する仕組みの構築、介護ロボットの開発及 公的保険 見通しの推計・提示(2020 年 24 兆円 び海外展開の促進 外サービス ⇒2040 年 77 兆円) 77兆円 〇先進的な医療機器・医薬品の開発及び海外展開 / バイオ産業について、バイオ医薬品や再生・細胞・遺伝子治療分野における受 AMEDを通じて、認定ベンチャーキャピタルが出資 世界の医 託開発製造拠点の整備・増強の支援のあり方を検討 する創薬ベンチャーが行う革新的な医薬品の実 療機器市 用化開発やAI診断等のSaMD、アンメットニーズ 革新的医療機器の海外展開の支援や、AI等のデジタル技術を用いた医療機 場のうち21 を捉えた医療機器の支援を実施 器の開発促進(AI診断など) 兆円、世界 平時にバイオ医薬品、感染症有事には政府の要 創薬ベンチャーの創出拡大:非臨床試験から第2相臨床試験における資金需 の医薬品 請でワクチンを製造するためのデュアルユース製造 要への対応 市場のうち 拠点等の整備に係る支援を実施 25~30兆 円 27 各分野(ミクロ)の主要施策 新機軸の 施策の柱 長期的 目標 第2次以降の進捗 今後検討が必要となる施策 〇良質な雇用の創出(若者・女性の収入増を通じた「可処分所得の増加」に繋がる産業政策) ミ ッ シ ョ ン 志 向 の 産 業 政 策 地 域 の 包 摂 的 成 長 地域の企 業の成長 等を通じた 可処分所 得・時間の 向上等に より、希望 出生率 1.8を回 復し、更 に人口動 態の安定 化をもた らす希望 水準が実 現できる ような経 済環境を 作る 賃上げや働き方改革により良質な雇用を実現できる地域の中核となる企業の 育成、更なる成長の促進 中堅・中小企業の賃上げに向けた省力化等の大 規模成長投資補助金等を創設 中小企業向けの賃上げ促進税制において5年 間の繰越控除措置を創設 地域における重点的な投資支援や成長志向の中堅・中小企業に対する後押 しを強化する方向で、予算・税制等の関連政策について見直しを実施 成長意欲のある中堅・中小企業のグループ化に 向け、複数回M&Aを後押しする税制等を創設 事業転換支援、省力化投資支援、生産性向上、事業承継・M&Aを機とした 変革の推進等 下請中小企業からみた価格交渉・転嫁の状況を 整理した企業リストを公表 保証料上乗せにより経営者保証の提供を不要と する信用保証制度を創設 クリエイティブ産業の振興に向けて、海外現地拠点等を活用した戦略的海外 展開の促進、国際水準の制作を実現する支援、プラットフォーマー等との契約 交渉支援、クリエイターの育成等を行う。こうした取組を通じて他産業の高付加 価値化を図り、観光・インバウンドの稼ぐ力も強化 工業用水等の関連インフラの整備を機動的かつ 追加的に支援するための交付金を創設 下請代金法の執行力の強化(公取委・事業所管省庁との執行連携等)、官 公需における労務費等の価格転嫁の徹底等による価格転嫁の強化策を検討 地域未来投資促進法の活用により、産業立地 の際の土地利用転換の迅速化を措置 各地域での工業用水等の基盤インフラの有効活用・整備・強靭化や産業用 地等の有効活用・整備・集積、地域で一体となった産業人材の育成等の促進 地域における女性起業家の支援 人手不足等の供給制約へのさらなる対応の推進 ロールモデルとなる女性起業家の創出・育成支援や女性起業家支援のため の地域ネットワーク構築を実施 〇良質な雇用の創出(若者・女性の「可処分時間の増加」に繋がる働き方改革や規制改革) 補助金の目的に応じ、子育て支援・女性活躍推 地域に根差した中小企業が、多様な価値観を受け入れ、女性・若者のニーズ 進企業に対して原則加点措置を実施 を捉えた誰もが働きやすい企業経営を実現するための支援を実施 地域のダイバーシティ経営の優良事例整理・展開 賃上げや働き方改革により良質な雇用を実現できる地域の中核となる企業の 育成、更なる成長の促進(再掲) 「Nextなでしこ 共働き・共育て支援企業」の選定 フェムテック等の活用による働く女性の健康課題等とキャリアの両立支援 による男女問わない多様な働き方の促進 〇豊かな生活環境の創出(若者・女性の結婚・子育て・生活をめぐる環境を改善する取組) 個人のライフステージに応じた諸課題に対応する家事支援サービスやライフデザ 社会課題解決を担うゼブラ企業を創出・育成する インサービスの企業等への導入に向けた環境整備を実施 エコシステム確立に向けた指針を公表 ゼブラ企業を中心とする地域課題解決事業の地域での実証を実施、事業モデ ルの整理や社会的インパクトの評価手法等の確立に取り組む。 28 各分野(ミクロ)の主要施策 新機 軸の 施策 の柱 長期的 目標 第2次以降の進捗 今後検討が必要となる施策 〇企業の防災・強靱化投資の推進 ミ ッ シ ョ ン 志 向 の 産 業 政 策 レ ジ リ エ ン ス バ イ オ も の づ く り スマート保安の促進に向け、高圧ガス保安法等の 災害大 改正を通じ、認定事業者制度においてデジタル等 国日本と を活用した自主保安への取組を必須要件化 して、途 上国の適 〇自治体における先進的な防災ソリューションの導入 自治体の防災関連のニーズ、スタートアップの技術 応市場 に関するヒアリングを実施、SBIR制度を活用し、 (2050 被災状況を迅速に把握するための効率的な情報 年約70 収集から、データの分析までを行う技術を募集 兆円) 含め世界 〇海外市場の獲得 市場を獲 適応技術の事例集の拡充とともに、国連ハビタット 得 福岡本部と連携し、アジア太平洋地域の自治体 へ日本企業の適応技術を紹介し実証を実施 2030年 時点で 総額92 兆円の 市場規 模/ 2030年 までに 年間3兆 円のバ イオ関 連国内 投資 スマート保安官民協議会等を通じて事業者に働きかけ、スマート保安の一層の促 進につなげる 自治体が抱える防災のニーズを具体化し、それらのニーズを満たしうるスタートアッ プ等の製品・サービスを調査し、被害の最小化と回復の迅速化の観点から、研究 開発トピックを設定 レジリエンス産業創出のため、SBIR制度を国内市場の拡大につなげる 国内市場と連携して、海外市場へ日本企業の製品・サービスを展開 〇微生物プラットフォーム技術、生産技術開発の加速化 GI基金事業及びバイオものづくり革命推進事業 生物遺伝資源とその関連情報を集積する生物遺伝資源・データプラットフォームの を活用し、早期の社会実装を見据えて戦略的に 基盤整備を継続して実施 プロジェクトを組成 〇市場環境の整備に向けた取組 原料やプロセスのバイオ転換に取り組む企業の市場予見性を高めるため、「成長志 向型のカーボンプライシング構想」に基づく施策等、バイオ由来製品の環境価値を経 済的価値に転嫁する仕組みの活用 CFPの活用やLCA手法の確立等、バイオマスやバイオ技術の利活用による環境価 値を定量的に評価する仕組みや、認証・クレジット化の仕組み、環境負荷を低減す るバイオ由来製品の表示方法の在り方、需要喚起策の検討 バイオ由来製品に関する国際標準化を戦略的に推進 〇事業環境の整備等による国内産業基盤の確立 バイオものづくりを担う人材育成を目的とした「人 材育成プログラム」を開講し、企業を中心とした人 材育成講座を実施 バイオファウンドリ拠点の整備を引き続き実施及び更なる実証拠点の整備を検討 国内のバイオものづくりにおける産業構造やプレイヤーの課題・ニーズを踏まえたスター トアップ支援 29 各分野(ミクロ)の主要施策 新機軸 の施策 の柱 長期的 目標 第2次以降の進捗 今後検討が必要となる施策 〇動静脈連携の加速に向けた制度枠組みの見直し、循環度やCO2排出量等の測定・開示 ミ ッ シ ョ ン 志 向 の 産 業 政 策 社 会 基 盤 ( O S ) の 組 替 え 成 長 志 向 型 の 資 源 自 律 経 済 人 材 動静脈連携の加速に向けた制度整備(3R 関連法制の拡充・強化)の検討を進めている 2030年に 80兆円、 2050年に 120兆円 のサーキュ ラーエコノ ミー市場を 実現 再生材の利用促進、循環配慮設計による易資源化、循環の可視化とディスク ローズ、製品の効率的利用・CEコマース促進等の議論について、方向性を決定 〇産官学サーキュラーエコノミー・パートナーシップ、国際連携 サーキュラーエコノミーに関する産官学のパート CPsの個別ワーキンググループで議論を加速するとともに、動静脈連携、ビジネスモ ナーシップ「サーキュラーパートナーズ(CPs)」 デル、標準化、価値化、技術、新産業・新ビジネス創出等といった分野での議論 を立ち上げ を開始 〇情報流通プラットフォーム 国内外の取組を踏まえ、ウラノス・エコシステムで構築した仕組みを活用して世界に 製品データの標準化等を活用しデータを共有 伍する各産業で共通的なプラットフォームを構築 する枠組を構築するとともに、データ提供のイン センティブを与える仕組みを導入 〇研究開発、投資支援 GX先行投資支援 資源循環分野において、官民合わせて今後10年間で約2兆円以上の投資の実現 〇徹底した人手不足への対応 時間的制約のある労働者の活躍支援、中小 時間的制約のある労働者の活躍支援、中小企業等向けの人材活用ガイドライン 企業等向けの人材活用ガイドラインの周知、 の普及、省力化投資の促進 人手不足 外国人材の活用促進、省力化投資の促進 への対応/ 〇賃上げに向けた取組の強化 物価上昇 中小企業の価格転嫁対策・取引適正化の継 中小企業の価格転嫁対策・取引適正化の推進、中小企業の生産性向上支援、 を超える賃 続、拡充した中小企業の生産性向上支援策 強化した賃上げ促進税制の周知・広報 上げの持続 の推進、賃上げ促進税制の強化 的な実現 〇内部労働市場・外部労働市場の活性化による労働移動の円滑化 人的資本経営コンソーシアムの活動の推進、 /人的投 リスキリングを通じたキャリアアップの普及促進 リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業の 資・人材競 推進 争力強化 〇官民を挙げたリスキリング・人材育成 デジタル推進人材の育成、リスキリングを通じた デジタル人材育成の促進、リスキリングを通じたキャリアアップの普及促進 キャリアアップ支援事業の推進 30 各分野(ミクロ)の主要施策 新機軸 の施策 の柱 長期的目 標 第2次以降の進捗 今後検討が必要となる施策 〇スタートアップの創出拡大・成長促進 未踏の拡充・横展開 スタートアップビザの拡充 事業会社等の優れた技術・人材の切り出しによる スタートアップ創出促進 パーシャルスピンオフ税制の拡充および延長 エンジェル税制の拡充 社 会 基 盤 ( O S ) の 組 替 え ス タ ー ト ア ッ プ ・ イ ノ ベ ー シ ョ ン スタートアップ への投資額を 今後5年で 10倍 〇スタートアップの成長促進 税制適格ストックオプションの拡充 オープンイノベーション促進税制の延長 LPSの投資対象拡充、海外投資比率制限の緩和、 公正価値評価をLPSの会計規則に位置づけ 知財専門家のVCへの派遣による支援強化、 審査官側からのプッシュ型支援の推進 JICの運用期限の延長 ディープテックSUのエコシステム形成の重点支援 スタートアップによる公共調達の促進 〇研究開発・標準化等 イノベーション拠点税制の創設 懸賞金型研究開発事業の本格導入 ムーンショット基金の増強と新たな評価指標導入 研究開発事業における社会実装の推進 宇宙戦略基金を活用した民間衛星・ロケット等支援 量子技術の産業化・グローバル連携の強化 オープン&クローズ戦略の取組支援 (特定新需要開拓活用事業計画制度の創設) グロースステージの成長支援強化、「のれん」の柔軟な資産評価等を通じ たM&A促進、東証グロース市場等の上場維持基準の強化や、 セカンダ リー市場等、スタートアップ等が大きく成長できるための市場環境整備 公共調達の強化(日本版DARPA) 研究開発の量・質の拡充 大企業等で活用されていない人材や設備等のイノベーション資源の流動 化を図るための制度改革等を検討 「技術・アイディア」から「新たな価値」「市場創造・対価獲得」に至るまでの 横断的な取組 先端領域におけるイノベーションを促進するため、バイオ、量子、宇宙 (JAXA宇宙戦略基金の更なる活用)等への政策的支援のあり方を検 討する 31 各分野(ミクロ)の主要施策 新機 軸の施 策の柱 社 会 基 盤 ( O S ) の 組 替 え 価 値 創 造 経 営 長期的 目標 第2次以降の進捗 〇資本市場改革 ROE等の資本収益性やPBR等の市場評価につい ての現状分析と改善計画の策定・開示を行った企 業を毎月リスト化し、公表 2030年 〇企業経営改革 に日本の 企業価値向上を実現する企業群を「SX銘柄 代表的 2024」の選定を実施 企業の8 サステナビリティ関連データの経営戦略への活用事 割が 例等の公表 PBR1倍 超え 企業買収における行動指針の策定 パーシャルスピンオフに関する税制の拡充及び延長 社外取締役の研修等のポイント整理及びケーススタ ディの公表。「社外取締役のことはじめ」の公表。 EBPM 政策の 新陳代 謝及び 高度化 〇政策の効果検証 政策の効果・進捗モニタリングのための指標設定 大規模予算事業(先端半導体基金・GI基金)の 効果検証シナリオの作成・公表 政策立案・効果検証のための成果指標の設定指針 策定 〇データ整備、リテラシー向上 政策の効果等のモニタリングの指標を公表可能にする 環境整備の調整 生成AI利活用環境を試行的に導入 EBPMポータル(RIETI整備・提供)の省内職員の 利用開始 EBPMに関するEラーニングコンテンツの整備 〇業務や手続きにおけるデジタル化 システム開発・整備により経済産業省における行政手 続きの一部をオンライン化 今後検討が必要となる施策 英文開示の実施状況を定期的にモニタリング及び対応書類の拡大の検討 運用資産会社・アセットオーナーシップの実質化(資産運用立国プラン) 将来期待の醸成を通じた企業価値向上に向け、企業群ごとに課題、対応の方 向性を提示 SX銘柄を通じた、経営変革と市場からの成長期待の醸成 多数決によって金融債務の整理を認める私的整理法制の検討 パーシャルスピンオフ税制(親会社が一部株式を保持した形でのスピンオフにおけ る譲渡益課税や株主配当課税の特例措置)をはじめ組織再編税制の在り方 について検討 経営資源配分を行う3つのコア機能(①ファイナンス(CFO)、②HR (CHRO)、③デジタル(CIO/CDO))の役割の再定義・再構築(=CX) を進めるため、企業におけるベストプラクティスの整理及び各機能のリファレンスモデ ルを整備し、企業の組織能力を可視化 大規模予算事業(先端半導体基金・GI基金)の既存の効果検証シナリオに 基づく進捗状況のモニタリング バイオものづくり革命推進事業等の新規効果検証シナリオの策定・検討 効果検証の推進(大規模予算事業やデータ数の多い予算事業等) 成果指標の設定指針を活用した政策立案・効果検証 公的統計の調査票情報の利用手続き簡素化・早期化に向けた検討 政策の効果等のモニタリングの指標を公表可能にする環境整備 生成AI利活用環境の全省的な導入 経済産業政策にかかるEBPM人材の裾野の拡大に向けたデータのオープン化 省内データ基盤整備の検討に向け、省内横断的に政策の立案・モニタリング・効 果検証に活用できるようデータの構造や形式を整理 2025年末までの経済産業省における行政手続きのオンライン化 32

資料11

参考資料2-③ 経済産業政策新機軸部会 第3次中間整理 参考資料集 2024年6月 経済産業政策局 【目次】 1.2040年頃に向けたシナリオ ・マクロ環境の変化 ・潮目の変化 ・前提とする世界の時代認識 ・日本の人口動態の推移 ・これまでの30年の日本経済 ・経済産業政策の新機軸 ・主要ミッション(GX、DX、グローバル・経済安保、健康、 地域の包摂的成長) ・産業全体の変化 ・2040年頃に向けて企業・国民・政府にマクロレベルで 求められるチャレンジ ・チャレンジの結果:得られる国民の豊かさ ・チャレンジの結果:生じているマクロ経済構造 2.一人一人が豊かな日本に向けた施策の進捗 マクロ環境の変化 世界の不確実性指数の高まり・国際経済秩序の変動 ⚫ 戦後進んできたグローバル化は岐路。背景には国内・国家間の格差拡大、デジタル革新による富の 偏在、自国中心主義による分断、大国による一方的措置の多用等。 ⚫ このように秩序が揺らぐ状況でロシアがウクライナを侵略。西側先進国と権威主義国家との間の分 断が一層深まる中で、国際経済秩序は歴史的岐路に立たされている。 世界における政策不確実性指数 500 450 日本 コロナ 世界 400 米中摩擦 350 300 (東日本大震災) (銀行・証券破綻) 250 100 米国の財政の崖 米大統領選 ブレクジット 米国同時 イラク戦争 多発テロ SARS 200 150 金融危機 ロシア ウクライナ アジア 通貨危機 50 1987 1988 1989 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 2021 2022 2023 2024 0 (注)政策不確実性指数は、G7や中国等の21か国の新聞中の経済政策に関する記事で、不確実性について議論されている記事の占める割合を月ごとに算出し、GDPを基に 加重平均している。世界のデータは、Global Economic Policy Uncertainty Indexを基に、日本はJapan Monthly Indexを基に作成。 グラフ中の「アジア通貨危機」等の出来事はIMFの記事を参照し、一部日本の出来事については加筆。 (出所)https://www.policyuncertainty.com/ (2024年4月データ取得) https://www.imf.org/ja/News/Articles/2021/01/19/blog-what-the-continued-global-uncertainty-means-for-you (年) 3 マクロ環境の変化 地政学的リスクの拡大・世界各国での産業政策等の活発化の継続 ⚫ 地政学的リスクの拡大の継続と並行して、各国では引き続き産業政策等が活発化。 ⚫ 米国は研究開発支援において、国内生産を推奨する大統領令を発出。ドイツはグリーン投資や 研究開発投資に対する税制支援を強化。フランスは生産から輸送までに生じるCO2の排出量に 応じたEV購入補助金を導入し、結果として国産EVを優遇。 ⚫ 中国では、産業競争力強化・イノベーションの推進、外資誘致、輸出管理等で新たな動きがある。 各国の産業政策等の動き(赤字:第2次中間整理後の動き) 【課題】 • 格差拡大・中間層の疲弊 • 中国への対抗 • インフレ 【対応】 • 「労働者中心の通商政策」 • 経済安全保障等を大義名分とする産業政策 【課題】 • 気候変動緩和の主導 • 製造業中国依存、デジタル米中依存 • 域内の良質雇用確保 【対応】 • インフレ (注)1ドル=149円、1ユーロ=162円、1元= 20円で換算(2024年3月末の為替レート) 【課題】 • キャッチアップ・輸出主導型 高度成長経済の終焉 • 米欧等西側陣営への対抗 【対応】 • EU復興パッケージ(次世代EUを含む) • 中国製造2025 (グリーンやデジタルへの移行等に約1.8兆ユーロ(292兆円) (中核基礎部品・基幹基礎材料の2025年における国内自給 <2022年8月> 率70%を目標に) • 戦略的自律・サプライチェーン欧州回帰 (CHIPS法:527億ドル(約7.9兆円)の資金提供。 (電池や半導体等の重要物資の特定国への依存低減のため、サ• R&D投資の伸び率を年平均7%以上。 半導体関連投資への恩典需給に他国立地制限) プライチェーン強靭化の法案を整備) • 外国企業の投資環境の改善・誘致促進<2023年8月、 (インフレ削減法:4,330億ドル(約64.5兆円)。 2024年3月> • グリーン・ディール産業計画 <2023年2月> EV税額控除に北米組立要件、水素製造装置税額控除 • 「バイデノミクス」スピーチ<2023年6月> • 「国内発明・国内製造政策」<2023年7月> (研究開発支援が国内生産に繋がったかトラッキング。研 • 独:成長機会法<2023年7月> (税制の見直しにより、グリーン投資や研究開発投資を支援) 究開発支援で国内生産を推奨する大統領令発出) • 対中投資規制 <2023年8月> • 独:産業政策の方針発表<2023年10月> (VC含む米投資家のAIや半導体分野の対中投資規制) • 重要産業に関する半導体サプライチェーン調査 <2023年12月発表> (商務省が米国の重要産業における中国産のレガシー半 導体の利用や調達に関する調査を実施) • 対中関税の引上げ<2024年5月発表> (中国から輸入するEVへの関税の100%への引上げ、太陽電 池・半導体への関税の50%への引上げ等の実施を発表) (外国企業の投資環境の改善・誘致促進を目指し、6分野・ 24の政策を推進する旨を制定、対中投資奨励産業目録の 拡充、製造業参入規制の全面撤廃、中国国内での再投資 の奨励等) (クリーン産業セクターのスケールアップ支援のための環境整備(例:国 家補助ルール緩和、水素インフラ整備に69億ユーロ(1.1兆円) 等) にCO2排出基準・実勢賃金要件等) • 輸出管理の対象品目拡大<2023年7・10月等> • 新たな質の生産力の発展を加速<2024年3月> (今後4年間で500億ユーロ(8.1兆円)規模の税制優遇措置 を計画) • 仏:EV補助金制度の変更<2023年10月> (科学技術イノベーションの推進:AI、量子、集積回路、生 命・健康、宇宙、低空経済等※鄭柵潔国家発展改革委主任の4月の記者 会見での発言) (EV購入補助金の支給条件に、生産から輸送の過程で排出され • 超長期特別国債の発行<2024年3月> 2024年1兆元(約20兆円)を発行 るCO2排出量の合計を追加等国産EVを制度上優遇) • 風力発電タービンを供給する中国企業の調査<2024年4月発• 製造業の競争力強化<2024年3月> 表> (欧州委員会がフランス等での風力発電事業の開発条件を調査) (規格や品質保証を強化し、中国製造ブランドを打ち立てる) 4 マクロ環境の変化 海外諸国の戦略産業投資(例:米国の蓄電池、EV、半導体) ⚫ GXやDXなどの中長期的成長が見込まれる戦略分野について、政府が大規模・長期・包括的な 支援を行うことにより、自国内への民間企業の立地・投資を誘致する動きも強まっている。 バイデン大統領のFacebook投稿 グランホルムエネルギー長官のTwitter投稿 2021年以降の蓄電池・EV・半導体・ バイオ製造等の主な投資案件 バイデン政権以降の蓄電池サプライチェーン投資案件 5 マクロ環境の変化 人手不足は構造的なもの(完全雇用社会へ) ⚫ 足下の男性・女性・高齢者別の労働参加率は、いずれも世界最高水準になっており、労働参加 が天井に近くなっている可能性がある。 ⚫ 年収の壁の解消による一人当たり労働時間の拡大が期待されるものの、パートタイム労働者の多 くは時間制約がある人が多いことと、人口減少が継続することを踏まえた経済・産業の運営が必要。 (%) 90 男性 (15~64歳) 男性(15~64歳)、女性(15~64歳)、高齢者(65歳以上)の労働参加率 83.0 85.6 88.3 80 75.6 86.7 84.8 79.0 79.6 78.9 82.4 75.1 82.4 79.1 83.4 81.9 76.6 74.7 70 60 80 日米英仏独 60 70.7 69.0 67.8 67.3 70 女性 (15~64歳) 85.2 83.9 84.1 58.0 57.1 55.5 68.4 69.7 62.4 63.3 59.6 63.2 70.8 74.8 74.3 69.0 65.4 70.7 75.4 50 40 30 30 高齢者 (65歳以上) 20 10 24.3 25.6 22.6 19.9 19.2 17.4 12.9 11.8 5.6 2.4 3.0 5.3 11.1 8.3 1.3 2.7 1.6 4.0 8.5 4.0 0 (出所)OECD.stat 1990 2000 2010 2022 (年) 6 マクロ環境の変化 世界全体でのインフレの継続① ⚫ 世界ではエネルギー・食糧価格や賃金の上昇を背景に、一時期の急上昇よりは穏やかになってい るものの、インフレ進行が継続。消費者物価指数増減率でみると、足下で日本も他国と同等水 準。 ⚫ こうしたインフレに対処すべく、各国中央銀行は政策金利を引き上げ。2024年3月、日本もマイ ナス金利を解除した。 (%) 12 消費者物価指数増減率(前年同月比) (%) 政策金利と国債利回りの推移 6 米国(政策金利) 英国(政策金利) 5 10 ユーロ圏(政策金利) 4 8 3 6 2 4 日本 米国 1 英国 日本 0 フランス ドイツ -1 2024年3月 2024年1月 2023年11月 2023年9月 2023年7月 2023年5月 2023年3月 2023年1月 2022年11月 2024 2022年9月 2023 2022年7月 2022 2022年5月 2021 2022年3月 2020 (無担保コールレート) 2022年1月 2019 日本 2021年11月 8 1012 2 4 6 8 1012 2 4 6 8 1012 2 4 6 8 1012 2 4 6 8 1012 2 (付利金利) 2021年9月 0 日本 2021年7月 2 (10年債利回り) -2 (注)左図:2024年3月までの主要国の消費者物価指数の変化率(英国のみ2024年2月まで)。 右図:2024年3月までの日本の政策金利は、当座預金残高から、マイナス金利が付利されない「基礎残高」及び「マクロ加算残高」を差し引いた「政策金利残高」に付利される金 利を指す。2024年3月の金融政策決定会合により、金融政策の枠組みを見直し、短期金利の操作を主たる政策手段とし、当座預金に適用する金利を0.1%とすることで無 担保コールレート(オーバーナイト物)を0~0.1%程度で推移するように促すこととした。国債金利は月中の平均値をプロットしたもの。 7 (出所) 左図:総務省「消費者物価指数」を基に作成。右図:外務省「主要経済指標」、 Bloombergを基に作成。 マクロ環境の変化 世界全体でのインフレの継続②欧米と日本の構造の違い ⚫ 欧米では原材料や資源の高騰による輸入インフレと同時に、賃上げ分を含めて最終消費者にも 価格転嫁しているため、足下で企業物価と消費者物価が同様の推移をしている。 ⚫ 他方、日本では、輸入財の高騰で企業物価は上がっているものの、企業が対・消費者を中心に 価格転嫁を十分にできておらず、企業物価と消費者物価に乖離が発生。 日米英の消費者物価指数と企業物価指数の推移 欧州のインフレ要因の推移 (2011年1月=100) 150 消費者物価(日本) 企業物価(日本) 消費者物価(米国) 企業物価(米国) 消費者物価(英国) 企業物価(英国) 140 利益 人件費 税 輸入財 130 120 110 100 (注)右図:各指数は、2011年1月の値を100として算出しており、2024年3月まで掲載。 (出所)左図:IMF(2023)”Euro Area Inflation after the Pandemic and Energy Shock: Import Prices, Profits and Wages“ 右図:総務省統計局、日本銀行、FRED、英国統計局を基に作成。 (年) 2024 2023 2022 2021 2020 2019 2018 2017 2016 2015 2014 2013 2012 2011 90 8 マクロ環境の変化 安い国日本の継続①実質実効為替レートで50年ぶりの水準 ⚫ 円の実効為替レート(対複数通貨での強弱を示すレート)をみると、近年円安が進行。 ⚫ また、近年名目値と実質値の乖離が拡大。足下では、名目値では1ドル360円という円安水準 にあった1971年と比較すれば円高だが、各国の消費者物価の変化も勘案した実質値では1971 年と同等、すなわち50年ぶりの円安水準。 ⚫ これは、①日本ではコストカット競争等に伴い長期的・構造的に物価上昇率が低かったこと、② 近年の欧米の物価急騰と金融引き締めに伴い、相対的にインフレ率が低く緩和的な金融政策 を続ける日本と金利差が大きく拡大したこと、という2つの現象が相まって生じている。 名目・実質実効為替レートの推移(1971年12月=100) 円高 500 450 名目実効為替レート 400 350 300 250 200 150 100 50 (年) 2024 2022 2021 2019 2017 2016 2014 2013 2011 2009 2008 2006 2005 2003 2002 2000 1998 1997 1995 1992 1990 1989 1987 1986 1984 1983 1981 1979 1978 1976 1975 1973 1971 1970 1968 1967 1965 1964 円安 1994 実質実効為替レート 0 (注)実効為替レートは、米ドルや人民元等の複数通貨間での強弱を表す指標。米国や中国等の複数国との貿易比率等を用いて算出。名目実効為替レートは、27ヶ国との名 目為替レートの変動を、各国との貿易額により加重平均し算出。実質実効為替レートは、各国との相対的な消費者物価水準により名目実行為替レートを実質化し算出。 1971年12月の水準を100として指数化(2024年3月まで掲載)。 (出所)BIS ”Effective Exchange Rates” (Nominal, Real)を基に作成。 9 マクロ環境の変化 安い国日本の継続②購買力平価とドル円相場の乖離 ⚫ ドル円の購買力平価及び為替レートの実勢相場を比較すると、長らく実勢相場が購買力平価と 同等または円高で推移。しかし、足下の実勢相場は、全ての購買力平価よりも円安で推移。 ⚫ 実勢相場が企業物価ベースの購買力平価よりも円安になることは、企業が製品を割安に輸出でき ることを示す。2010年代以降、企業にとって割安な環境が継続していたが、輸出数量は増加し ておらず、円高には戻っていない。 ⚫ 実勢相場が消費者物価ベースの購買力平価よりも円安になることは、国内の消費者物価が海 外と比べて割安であることを示す。2021年以降にこの状況が生じており、日本の消費者物価の 割安感が、コロナからの再開も相まって、インバウンドの消費額増大・円ベースでの単価上昇にも 寄与している可能性。 円安 (円) 350 購買力平価と為替レートの推移 300 250 200 150 ドル円相場(実勢相場) 100 購買力平価(消費者物価ベース) 購買力平価(企業物価ベース) 購買力平価(輸出物価ベース) 50 0 1973 1974 1975 1976 1977 1978 1979 1980 1981 1982 1983 1984 1985 1986 1987 1988 1989 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 2021 2022 2023 2024 円高 (年) (注)購買力平価とは、一物一価の法則が成立すると仮定した場合に収斂する為替レート。ある国の物価の低下は当該国の通貨価値の上昇を表す。 消費者物価購買力平価、企業物価購買力平価は1973年基準。輸出物価購買力平価については、米国の現在の輸出物価指数が1973年まで連続して遡及できないよ うになっているため、1990年を基準年として算出。すべての値は2024年3月まで反映。 (出所)公益財団法人国際通貨研究所、総務省、日本銀行、FREDを基に作成 10 潮目の変化 潮目の変化①-1国内投資:設備投資は今年度も増加傾向 ⚫ 2023年度の設備投資計画(全規模全産業)は、過去最高水準の伸びを記録した2022 年度に次ぐ水準の伸びで、増加する見込み。 ⚫ 他方、経団連が目標とする設備投資額115兆円(2027年度)を達成するには、この拡大の継 続が不可欠。昨年12月、政府として「国内投資促進パッケージ」を取りまとめた。総理から、「国 内投資拡大のための官民連携フォーラム」において、官民連携でこの目標を達成すると表明。 企業の設備投資計画額の推移(前年度比) (兆円) 前年度比(%) 20 民間企業設備投資額の推移と経団連目標 2023年度 +10.2% 2024年度 +4.5% 120 115兆円(2027年度経団連目標) 110 ※1991年度:102.7 兆円 100 15 2022年度 +7.4% 10 コロナ前平均 +3.8% 5 90 80 70 2021年度 +1.2% 0 60 ※2023年度:100.5 兆円(1次速報値) ※2024年度:104.8 兆円 -5 2020年度 ▲8.5% -10 50 (政府経済見通しの「見通し」) 40 3月調査 6月調査 9月調査 12月調査 実績 1980 1982 1984 1986 1988 1990 1992 1994 1996 1998 2000 2002 2004 2006 2008 2010 2012 2014 2016 2018 2020 2022 2024 2026 2028 2030 (年度) 実績見込 (注)左図:「コロナ前平均」 は、2017年度~2019年度の平均値。ソフトウェア投資額・研究開発投資額を含み、土地投資額を含まない。 右図: 1980年~1993年までは2015年基準支出側GDP系列簡易遡及値を利用。 (出所)左図:日本銀行「全国企業短期経済観測調査」 右図:内閣府「国民経済計算」「政府経済見通し」、令和5年4月6日「国内投資拡大のための官民連携フォーラム」経団連十倉会長提出資料を基に作成。 11 潮目の変化 潮目の変化①-2国内投資:生産拠点の検討状況(向こう10年) ⚫ 精密機械・化学・一般機械・繊維などは、2019年時点から生産拠点を拡大する傾向にあり、特に 国内生産拠点を強化させる意向が高くなっている。 国内・海外生産拠点を強化させる意向の企業割合の増減 (2019年→2023年の変化) 50 海 外 国内:減少 拠 海外:増加 点 30 を 非鉄金属 卸売・小売 「 輸送用機械 強 化 10 リ-ス 食品 」 不動産 す る と -10 電気機械 その他製造業 答 通信・情報 え 窯業・土石 た 建設 企 -30 紙・パルプ 運輸 業 割 国内:減少 サ-ビス 合 の -50 海外:減少 増 減 電力・ガス ( -70 % -30 -20 -10 0 10 20 ) 国内拠点を「強化」すると答えた企業割合の増減(%) 【精密機械】 半導体製造装置向けが 牽引、医療機器や 計測機器への投資も伸びる。 【化学】 医薬品、半導体向け、 EV向け電池材料など への投資が伸びる。 【一般機械】 ロボットや航空宇宙関連、 半導体製造装置、 ボイラー・原動機など 幅広く投資が伸びる。 (出所)日本政策投資銀行 設備投資計画調査結果(2019年度、2023年度)基に作成 国内:増加 海外:増加 精密機械 一般機械 繊維 鉄鋼 化学 国内:増加 海外:減少 30 【繊維】 既存の繊維技術の転用 による電池向けの膜や 医療向けの素材への 投資が伸びる。 40 50 【鉄鋼】 EV向けの 電磁鋼板が伸びる。 12 潮目の変化 潮目の変化②賃上げ:30年ぶりの水準の継続 ⚫ 2023年の春季労使交渉の賃上げ率(最終集計結果)は3.58%と、1993年以来30年ぶり の高い伸び。 ⚫ 2024年の春期労使交渉の賃上げ率は、2024年6月公表(第6回)の集計で、5.08% (中小企業は4.45%)。 春季労使交渉回答集計結果(連合集計)の推移 (%) 6.0 5.5 5.0 5.66 5.70 5.08 5.10 4.97 4.45 4.5 3.90 4.0 3.99 3.58 3.5 3.23 3.0 全規模 2.5 2.0 1.5 ※1:調査対象は、連合加盟企業の組合。中小企業は、組合員数300人未満の中小組合。 ※2:賞与等を含まない月例賃金ベース。平均賃金方式(集計組合員数による加重平均)の集計。 ※3:1990年~2023年については最終回答集計結果。2024年については第6回回答集計結果であり、今後数字が変動する可能性がある。 (出所)日本労働組合総連合会「春季生活闘争回答集計結果について」 2024年 2023年 2022年 2021年 2020年 2019年 2018年 2017年 2015年 2014年 2013年 2012年 2011年 2010年 2009年 2008年 2007年 2006年 2005年 2004年 2003年 2002年 2001年 2000年 1999年 1998年 1997年 1996年 1995年 1994年 1993年 1992年 1991年 1990年 2016年 中小企業 1.0 13 前提とする世界の 時代認識 日本の人口の絶対的な規模の大きさ、貿易圏人口は増加傾向 ⚫ 絶対的な人口規模は、人口減少下でも21世紀を通じてドイツ・フランス等の欧州主要国より大 きくあり続ける。 ⚫ 貿易圏人口は、欧州や中国では既に減少し始めている一方、CPTPP加盟国は2050年頃ま で、インド・ASEANは2060年頃まで増加する見込み。 各国別人口の将来推移 (億人) 1.4 貿易圏別人口の将来推移 (億人) 18 推計値 推計値 16 1.2 14 1 12 0.8 10 0.6 8 6 0.4 4 0.2 2 イギリス フランス ドイツ 日本 韓国 1950年 1956年 1962年 1968年 1974年 1980年 1986年 1992年 1998年 2004年 2010年 2016年 2022年 2028年 2034年 2040年 2046年 2052年 2058年 2064年 2070年 2076年 2082年 2088年 2094年 2100年 0 1950年 1956年 1962年 1968年 1974年 1980年 1986年 1992年 1998年 2004年 2010年 2016年 2022年 2028年 2034年 2040年 2046年 2052年 2058年 2064年 2070年 2076年 2082年 2088年 2094年 2100年 0 アメリカ 欧州 中国 ASEAN (注)2022年以降は推計値(いずれも出生・死亡中位の推計)。 ASEANはインドネシア、カンボジア、シンガポール、タイ、フィリピン、ブルネイ、ベトナム、マレーシア、ミャンマー、ラオスの合計。 CPTPP加盟国はオーストラリア、ブルネイ、カナダ、チリ、日本、マレーシア、メキシコ、ニュージーランド、ペルー、シンガポール、ベトナムの合計。 (出所) United Nations (2022). World Population Prospects 2022 (2024年4月データ取得) インド CPTPP加盟国 14 前提とする世界の 人口減少と経済の関係(デフレ要因でなく、インフレ要因との見方も出現) 時代認識 ⚫ 「長期停滞論」をはじめとして、人口減少はデフレ要因との見方が広がっており、足下のインフレは一過性にすぎ ず、デフレに戻るので、人口増加にならない限り、日本経済は成長しないという見方が定着しつつある。 ⚫ 他方、人口減少は、少子化・高齢化を両方あわせるとインフレ傾向であり、中国の人口減少開始によって 2000年代から続いたディスインフレ傾向が終わり、日本を含めた世界はインフレ構造になるとの見方も出現。 人口減少と経済の関係に関する有識者の見解 ⚫ 「長期停滞論」(アルビン・ハンセン1938、ローレンス・サマーズ2013)・・・デフレ・ディスインフレ要因 – 1930年代の世界大恐慌は、基本的な原因を人口成長率の低下による投資需要の減少によるもの。 – 2008年の金融危機後の先進国の長期停滞は、1938年の世界大恐慌と同様、人口成長率の低下等 によるもの。 (※人口減少ではなく、人口「成長率の低下」を指摘) ⚫ 「人口大逆転」(チャールズ・グッドハート2020)・・・インフレ要因 – 少子化は足下からの消費減少と、20年後の労働供給の減少になる。高齢化は供給に参加しないが消費 はする主体の増加によって需要過剰になる。少子化・高齢化を両方あわせた人口減少は、供給不足によ るインフレ傾向となる。 – 中国の労働人口が減り、これから30年、世界はインフレ時代に突入する。 (※中国の生産年齢人口は2013年をピークに減少、中国の総人口は2022年をピークに減少) – 高齢化が進み、2000年代からは人口減少も始まった日本がデフレだったのは、海外投資により中国の安 価な労働力を活用するとともに、中韓との価格競争を背景に日本型雇用慣行の下、非正規雇用の拡大 等により賃金を抑制したことによるものであって、人口減少によるものではない。 15 日本の人口動態 我が国の超長期のGDPと人口の推移には、大きな乖離 ⚫ 我が国の実質GDPと総人口の推移を超長期でみると、GDP成長と人口増減には大きな乖離が ある。 (1885年=100として指数化) 8,000 我が国の超長期の実質GDPと総人口の推移 7,000 6,000 5,000 実質GDP 4,000 3,000 2,000 総人口 1,000 1885年 1888年 1891年 1894年 1897年 1900年 1903年 1906年 1909年 1912年 1915年 1918年 1921年 1924年 1927年 1930年 1933年 1936年 1939年 1942年 1945年 1948年 1951年 1954年 1957年 1960年 1963年 1966年 1969年 1972年 1975年 1978年 1981年 1984年 1987年 1990年 1993年 1996年 1999年 2002年 2005年 2008年 2011年 2014年 2017年 0 (出所)Maddison Project Database, version 2020. Bolt, Jutta and Jan Luiten van Zanden (2020), “Maddison style estimates of the evolution of the world economy. A new 2020 update ”. 16 日本の人口動態 我が国の将来人口:当面、人口減少は続かざるをえない ⚫ 将来推計人口の長期的な出生率は出生高位の場合でも1.64と仮定されており、機械的に算出した足下の 希望出生率(1.6※)とほぼ同じ水準。我が国の総人口は、出生高位であっても減少していく見通し。 ※「経済産業政策新機軸部会 第2次中間整理 参考資料集」より。 ⚫ 外国人人口は、2020年:275万人(うち大半が労働者※)から2040年:586万人まで増加見込み。 ※「『外国人雇用状況』の届出状況」(厚生労働省)によれば、2023年10月末時点の外国人労働者数は、約205万人。 総人口のうち外国人が占める割合は、2020年:2%から、2040年:5%まで上昇する見込み。 我が国の総人口の推移 (万人) 700 (万人) 600 12,500 12,000 11,500 ※2022年の出生率1.26 外国人人口比率 6% (右軸) 5% 5% 500 高位推計 (長期の出生率1.64) 400 低位推計 (長期の出生率1.13) 4% 11,529 300 200 11,284 11,000 10,500 推計値 中位推計 11,068 (長期の出生率1.36) 2000年 2002年 2004年 2006年 2008年 2010年 2012年 2014年 2016年 2018年 2020年 2022年 2024年 2026年 2028年 2030年 2032年 2034年 2036年 2038年 2040年 10,000 100 0 586 2% 1% 131 275 外国人人口(左軸) 3% 2% 1% 0% 2000年 2002年 2004年 2006年 2008年 2010年 2012年 2014年 2016年 2018年 2020年 2022年 2024年 2026年 2028年 2030年 2032年 2034年 2036年 2038年 2040年 13,000 推計値 総人口のうち外国人人口が占める割合 【外国人人口のうち、高度専門職人材の数(単位:人)】 2015年 2016年 2017年 2018年 2019年 2020年 2021年 2022年 2023年 1,508 3,739 7,668 11,061 14,924 16,554 15,735 18,315 20,877 ※2023年のみ6月末の値。それ以外は各年12月末の値。 (注)左図:いずれも死亡は中位、右図:出生中位・死亡中位の推計結果。 (出所)総務省「人口推計」、国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(令和5年推計)」、厚生労働省「人口動態統計」、法務省「在留外国人統計」 17 健康寿命で見ると、生産年齢人口割合は2040年まで一定 日本の人口動態 ⚫ 生産年齢人口で見ると、総人口に占める割合は2030年まで一定。 その上でさらに、健康生産年齢人口で見れば、総人口に占める割合が2040年まで一定となる。 生産年齢人口(15歳以上、65歳未満)が 総人口に占める割合 健康生産年齢人口(20歳以上、健康寿命まで)が 総人口に占める割合 80% 80% 75% 75% 70% 70% 65% 65% 60% 60% 55% 2030 2015 比較的フラットな期間 アメリカ 中国 ドイツ イギリス フランス 日本 韓国 アメリカ 中国 ドイツ イギリス フランス 日本 2050 2047 2044 2041 2038 2035 2032 2029 2026 2023 2020 2017 2014 2011 2008 2005 2002 (年) 1999 2050 2047 2044 2041 2038 2035 2032 2029 2026 2023 2020 2017 2014 2011 2008 2005 2002 1999 40% 1996 40% 1993 45% 1990 45% 1996 50% 1993 50% 1990 55% 比較的フラットな期間 2025 2040 (年) 韓国 (注)20歳以上健康寿命以下の人口を健康生産年齢人口としている。健康寿命は、病気や怪我になる期間を除き、健康状態で生きられると予想される平均年数。 日本:74歳、韓国:73歳、フランス:72歳、ドイツ:71歳、英国70歳、中国:69歳、米国:66歳となっている(2019年)。 (出所)WHO (2023). World health statistics 2023, United Nations (2022). World Population Prospects 2022 (いずれも、2024年4月データ取得) 18 これまでの30年 マクロ経済と企業経営(デフレ経済に関するグリーンスパンの見解) ⚫ アラン・グリーンスパンが中央銀行の議長を務めていた2000年頃の米国は、デフレの崖っぷちであると言われて いたが、積極的に金融緩和を行い、最終的に米国はデフレに陥らずにすんだ。その際に、グリーンスパンがなぜ 金融緩和が必要かを語った内容。 ⚫ デフレと言うと、物価が下がる、または動かないという、単なる価格の変調と捉えられる傾向にある。しかし、グリー ンスパンは、デフレの本質はそこではなく、価格が動かないことが原因になって企業の活力が削がれるという経 済の変調が起きる、そこに本質があると見抜いていた。 デフレ経済に関するグリーンスパンの見解 日本のように価格と賃金が毎年据え置かれるような状況が起きたとして、その下で米国企業の経営がどうなっている か想像してみると良い。 企業は、価格支配力を失うので、価格を1ドルたりとも上げることができない。そうなってしまったときに、米国企業はど うやって経営を維持しようとするだろうか? 新しい事業に果敢に取り組んでも、新商品に高い値段がつくわけではない。既存の商品とさして違わない値段になっ てしまう。そんな状況で新事業に挑む企業が出てくるはずがない。 どの企業も攻めのビジネスで売り上げを伸ばすのを諦めて、生き残りのためにコストを抑えることに全精力を注ぐこと だろう。つまり、どの米国企業も後ろ向きの経営を始めてしまう。 そうなれば、米国経済の活力は消えてしまう。 (出所)月刊資本市場(2023年10月号 東京大学 渡辺努教授)より 19 過去30年の日本企業:経常利益は上昇するも、売上は横ばい これまでの30年 ⚫ 30年間の大企業の財務を見ると、売上・売上原価は微増(昨年度までは売上原価は微減)し、 売上総利益は拡大。設備投資は微減、人件費は微増(*)、配当金は拡大。 *総従業者数は666.6万人→723.6万人と9%増 ⚫ 企業の経常利益は長期的に増加し、足下では過去最高の数字。 売上高、設備・無形資産投資、従業員給与、配当金等の推移 (兆円) 60 売上高(右軸) (兆円) 700 経常利益 従業員給与+賞与 50 600 売上原価(右軸) 500 40 400 30 20 200 売上原価:473兆円 【増(+9%)】 配当金 10 100 役員給与+賞与 2022年度 2021年度 2020年度 2019年度 2018年度 2017年度 2016年度 2015年度 2014年度 2013年度 2012年度 2011年度 2010年度 2009年度 2008年度 2007年度 2006年度 2005年度 2004年度 2003年度 2002年度 2001年度 2000年度 1999年度 1998年度 1997年度 1996年度 1995年度 1994年度 1993年度 0 1992年度 0 1991年度 従業員報酬:44兆円 【増(+21%)】 売上:600兆円 300 【増(+16%)】 設備投資+無形資産投資 1990年度 経常利益:57兆円 【増(+205%)】 設備+無形資産 :23兆円 【減(-21%)】 (注)全業種(金融・保険業除く)、資本金10億円以上の企業の集計。 設備投資+無形資産投資には、土地を除く有形固定資産、ソフトウェア、ソフトウェアを除く無形固定資産(のれん、特許権等)が含まれる。 無形資産投資は、ソフトウェアとソフトウェアを除く無形固定資産について、当該年度の固定資産残高から前年度の固定資産残高を差し引いた値として算出している。 (出所)財務省「法人企業統計調査」 20 これまでの30年 稼ぐモデルは「既存事業を有効活用するコストカット型」だった ⚫ 日本企業は、国内では既存設備を維持しつつ、海外投資を拡大(安い生産コストで逆輸入、国 内で既に確立した製品・サービスを他国に横展開)して利益を拡大してきた。 ⚫ リスクを抑えて利益を拡大するには、こうした既存事業を有効活用するコストカット型の稼ぎ方が、 (少なくとも短期的には)合理的なものとして選択されてきた可能性。 30 25 現金・預金 有形資本ストック(有形固定資産+建設仮勘定) その他固定資産(株式を含む) 無形固定資産 土地 =内部留保(利益剰余金)を含む資本+負債は どのような形態で活用されているのか 20 「その他固定資産」(≒海外投資+M&A) < (%) 35 【 企業の資産(構成比) 】 15 < 「有形・無形資産」(≒国内投資) 10 「現金・預金」 (≒キャッシュ) 5 0 75 80 85 90 95 00 05 10 15 20 (年度) (注) バランスシート全体に対する比率 (資料) 財務省「法人企業統計」 (出所:第11回新機軸部会(2023年1月27日)資料3「門間一夫氏提出資料」より抜粋・一部加工) 21 これまでの30年 日本社会は安定を維持 ⚫ 日本はIMD国際競争力ランキングにおいて、失業率、低スコア生徒割合、治安(殺人件数) などの指標で世界トップクラスを記録。 IMD国際競争力ランキング(生活関連の指標を抜粋) 指標 日本 米国 中国 ドイツ 韓国 台湾 失業率 7 32 38 13 10 15 若年失業率 4 13 38 8 10 33 教育・雇用されていない若者の割合 1 33 ー 12 ー 51 殺人件数 4 56 9 27 13 31 汚染問題の存在 6 22 39 8 50 28 水へのアクセス 5 38 16 11 13 51 出生時の平均寿命 2 39 36 28 5 25 健康寿命 2 49 33 30 4 12 乳幼児死亡率 7 40 46 22 14 31 PISA平均点 5 24 1 18 6 8 PISAで点数が低くない生徒の割合 5 28 1 17 7 8 (注)IMD「JAPAN IN IMD WORLD COMPETITIVENESS RANKING 2023」よりNRIが作成したものを基に作成。 (出所)NRI 2024年2月 「未来創発センター 研究レポート Vol.12 22 これまでの30年 資本ストックの推移の国際比較 ⚫ 日本の資本は、先進国で最も増えていない。 資本ストックの推移の国際比較 220 カナダ=+3.06%/年 (1995~2021) 200 180 米国=+1.91%/年 (1995~2021) 160 英国=+1.71%/年 (1995~2021) フランス=+1.60%/年 140 (1995~2021) イタリアを除くG7:1995年=100 ドイツ=+0.98%/年 (1995~2021) 120 日本=+0.68%/年 (1995~2021) イタリア=+0.79%/年 (2000~2021) 100 イタリア:2000年=100 (注) 2021 2020 2019 2018 2017 2016 2015 2014 2013 2012 2011 2010 2009 2008 2007 2006 2005 2004 2003 2002 2001 2000 1999 1998 1997 1996 1995 80 (年) 資本ストックの伸び率は、厚生労働省「第2回社会保障審議会年金部会 年金財政における経済前提に関する専門委員会」(令和5年2月24日)資料3を参考に、 (総固定資本形成-固定資本減耗)/固定資産 により算出。資本ストックは、1995年を100として、前年の資本ストックに伸び率を掛け合わせることで算出。イタリアは 2000年より前の固定資産のデータがOECD.stat上で存在しないため、基準年を2000年として算出。すべて名目値。 (出所)OECD.stat、厚生労働省「第2回社会保障審議会年金部会 年金財政における経済前提に関する専門委員会」(令和5年2月24日)を基に経済産業省作成。 23 これまでの30年 純投資(フロー)の推移 ⚫ 設備投資(純投資)は、フローで見ても、日本は長期的に低迷。 ⚫ 対GDP比で見ても、日本は他国と比較して純投資の水準が低い。 純投資の推移(対GDP) 純投資の推移(1995=100) (1995年=100) 800 12% 714 700 米国 10% カナダ 9% 600 8% 500 8% 7% 6% カナダ 5% 5% 5% 5% 4% 300 米国 200 ドイツ 0% 4 日本 日本 (注) 純投資は総固定資本形成-固定資本減耗により算出しており、すべて名目値自国通貨建て。GDPも名目値自国通貨建てを利用。 (出所)OECD.stat 2019 2017 2015 2013 2011 2009 2007 2005 (年) 2003 -4% 2021 2019 2017 2015 2013 2011 2009 2007 2005 2003 2001 1999 1997 1995 -2% イタリア イタリア -100 0% 89 49 0 ドイツ 2001 英国 143 2% 2% 1999 100 2% 4% 1997 100 3% 235 219 1995 フランス 2% 英国 2021 400 フランス 6% (年) 24 これまでの30年 設備の古さは、主要先進国で、最悪水準 ⚫ 投資の低迷により、資本のヴィンテージが、G7でイタリアに次いで2番目に古くなった。 資本のヴィンテージの国際比較 (年) 14 13 12 イタリア フランス イギリス ドイツ 11 10 9 カナダ 8 7 アメリカ 日本 1970 1971 1972 1973 1974 1975 1976 1977 1978 1979 1980 1981 1982 1983 1984 1985 1986 1987 1988 1989 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 6 (年) (注) 資本のヴィンテージは、経済企画庁「国富調査」(昭和45年)を参考に、1970年末のヴィンテージを各国 一律に8.1年と仮定して算出。 (出所)内閣府「令和5年度年次経済財政報告」を参考にし、経済企画庁「国富調査」、IMF「Capital Investment and Capital Stock Dataset」より、 経済産業省が作成 25 これまでの30年 日本における研究開発は、これまで横ばいだった ⚫ 国単位での研究開発費は、他の主要先進国では増加。日本は横ばい。 ⚫ 企業単位での研究開発費(売上高に対する割合)も、他国では増加。日本は横ばい。 (出所:第1回産業技術環境分科会イノベーション小委員会(2024年2月9日)資料4「イノベーション循環をめぐる現状と課題」より) 26 これまでの30年 研究開発の「質」の低下(事業化・付加価値創出に繋げる力の低下) ⚫ 日本企業の研究開発効率(研究開発投資に対する5年後の企業の付加価値)は諸外国と 比べて大きく低下。研究開発投資の質を高めるとともに、事業化・付加価値創出の取組を抜本 的に強化することが必要。 研究開発効率の国際比較 (倍) 英国, 70.6 80 60 フランス, 48.2 ドイツ, 39.8 米国, 39.5 40 日本, 30.4 韓国, 28.3 20 (年) 日本 米国 英国 フランス ドイツ 韓国 (注)企業の付加価値及びその5年前の研究開発投資(購買力平価換算)について、後方5ヶ年移動平均値の比率を用いて算出。 (例:2020年の投資効率=(2016-20年の付加価値)/(2011-15年R&D投資)) (出所) OECD Main Science and Technology Indicators / Business Enterprise Expenditure on R&D (BERD) at current PPP $及びValue Added of Industry (current PPP$) (2022年10月時点)を基に経済産業省作成 27 これまでの30年 日独比較:潜在成長率の最大の違いは、資本蓄積 ⚫ 潜在成長率を要因分解すると、技術進歩などの全要素生産性要因には日独で大きな差はない。 ⚫ 最大の違いは資本投入量(=国内投資)。ドイツは継続的に拡大してきたが、日本は停滞。 (前年比) 2.5% 潜在成長率の寄与度分解(日本) (前年比) 2.5% 潜在成長率の寄与度分解(ドイツ) 資本投入量 2.0% 潜在成長率 2.0% 資本投入量 就業者数 全要素生産性 1.5% 1.5% 潜在成長率 1.0% 1.0% 0.5% 0.5% 0.0% 0.0% ▲0.5% ▲0.5% 就業者数 全要素生産性 労働時間 労働時間 ▲1.0% (出所)内閣府「GDPギャップ、潜在成長率」2024年3月15日公表 ▲1.0% (年) (出所)ドイツ経済諮問委員会 (年) 28 これまでの30年 日本の経常黒字は貿易から所得中心へ、ドイツは引き続き貿易中心 ⚫ 日本の経常収支は、海外生産比率が高まる中で貿易黒字が縮小する一方で所得収支により 黒字を維持。他方、ドイツの経常収支は引き続き、貿易黒字が主な黒字要因。 (兆円) 40 経常収支(日本) (億ユーロ) 4,000 所得収支 30 経常収支(ドイツ) 所得収支 3,500 経常収支 3,000 2,500 20 経常収支 貿易収支 2,000 10 1,500 1,000 0 500 ▲10 ▲20 0 貿易収支 ▲500 サービス収支 ▲1,000 ▲30 (資料)財務省「国際収支状況」2024年2月8日公表 サービス収支 ▲1,500 (年) (資料)ドイツ連邦銀行2024年2月13日公表 (年) 29 新機軸 世界的潮流を踏まえた産業政策の転換 = 「経済産業政策の新機軸」 ⚫ 伝統的に産業政策を忌避しがちな米欧アカデミズム、IMF、OECDなどでも、従来の「市場の失敗への介入」 を超えて、社会・経済課題の解決に向けて、政府が積極的介入をすることで民間投資・イノベーションを促す ことの効果を研究。 ⚫ 官が主導する伝統的産業政策ではなく、官は民を邪魔しないことに徹する新自由主義的政策でもない、 社会・経済課題解決に向けて、官も民も一歩前にでて、あらゆる政策を総動員する新たな産業政策(新機 軸)を、枠組みにまで遡って検討することが必要。 伝統的産業政策 (~1980s) 新自由主義的政策 (1990s~2010s) 目的 特定産業 の保護・育成 市場環境 の整備 多様化する中長期の社会・経済課題の解決 (「ミッション志向」) 理論的根拠 「市場の失敗」 の是正 幼稚産業保護 市場機能の重視 「政府の失敗」を懸念 不確実性への対応(政府による市場の創造) 「政府の不作為」を懸念 (政府もリスクを負う「起業家国家」) ミクロ経済政策 (供給サイド) 官主導 ~過当競争の防止~ ミクロ経済政策 (供給サイド) 民主導 ~競争の促進~ 政策の フレームワーク 財政出動 中規模・中期 経済産業政策の新機軸 (2021~) (厳格な費用効果分析 に基づく事前評価重視) ミクロ経済政策とマクロ経済政策の一体化 (需要と供給の両サイド、生産的政府支出(PGS)等) 意欲的な目標設定、その実現に向けたイノベーション支援、 規制・制度、標準化、国際連携等、政策ツールを総動員 失敗を恐れず挑戦、失敗から学習(「フェイル・ファスト」) 総合的・多面的な事後評価重視 小規模・単発・短期 大規模・長期・計画的 30 新機軸 経済産業政策の新機軸「第3次中間整理」 ⚫ マクロ環境変化(地政学的リスク拡大、世界的インフレ、安い国日本、構造的人手不足等)と 産業政策強化があいまって、足下で「潮目の変化」が発生。 ⚫ 「ミッション志向の産業政策(8分野)」と「社会基盤(OS)の組換え(4分野)」を通じて、 ①国内投資の拡大、②イノベーションの加速、③国民の所得向上の3つの好循環を実現。 ➢ ミッション志向の産業政策(8分野) 世界的な社会課題を起点に、人口減少下でも中長期 的に拡大する国内需要を開拓。海外含め需給両面から 施策を継続実施することで世界水準の戦略投資を加速。 政府支援は、国富を拡大する「国の戦略投資」。 <ミッション>  GX:今後10年で150兆円超の官民投資、そのために20兆円規模の政府支 援。  DX:デジタル化による新たなサービスへの需要が創出、ソフトウェアを含む設備 投資が増加。例えば、2030年までに国内で半導体を生産する企業の合計売上 高(半導体関連)15兆円超を目指す。  グローバル・経済安全保障:2030年に対内直接投資残高を100兆円 とする目標の早期実現。自律性向上、優位性・不可欠性確保、国際秩序維持  健康:2050年に公的保険外サービス77兆円  少子化対策に資する地域の包摂的成長:可処分所得/時間の向 ➢ 社会基盤(OS)の組換え(4分野) ミッションの実現には、個別産業政策を補完するも のとして、テーマ横断的な経済社会構造の基盤整 備も必要。個別ミッション範囲外でも、国内投資・ イノベーション・所得向上の3つの好循環に貢献。 <社会基盤(OS)>  人材 物価上昇を超える賃上げの持続的な実現  スタートアップ・イノベーション スタートアップへの投資額を今後5年で10倍  価値創造経営 日本の代表的企業がPBR1倍超えとなる割合を2030年に8割に  EBPM・データ駆動型行政 上等を通じ希望出生率を1.8に回復、将来的には更なる希望向上へ  レジリエンス:2050年に適応市場が途上国で約70兆円に成長。  バイオものづくり:2030年時点で国内外で総額92兆円の市場規模。  資源自律経済:2030年に80兆円、2050年に120兆円のサーキュラーエコ ノミー市場を実現。 31 新機軸 企業と政府の「目線の違い」を意識した、マクロ・ミクロの連動が必要 「資本(株主)」が最大化したいもの(=世界全体での企業収益(からの投資家へのリターン)) ↓ 企業(グローバル:G型) 輸出(自動車・半導体素材・機械等) 輸入(食料・エネルギー等) サービス輸出(R&D、ソフトウェア等) サービス輸入(R&D、デジタル計算基盤等) ミッション志向 産業政策 OSの組替え (労働・資本等の (社会課題解決分野 市場機能を強化し、 で日本における投資・ 国内リソースが イノベーション活動を より有効に 強める) 活躍可能にする) 投資 子会社配当 輸入(食料・エネルギー等) サービス輸出(インバウンド等) 経常収支 ※交易条件 とGDPに 直接影響 企業(ローカル:L型) 日本経済 海外(経済安全保障との関係で、分野によっては仕分けが必要) ↑ 「政府」が最大化したいもの(=日本国民の生活の豊かさ) 32 GX 世界におけるカーボンニュートラル宣言の状況 ⚫ COP25終了時点(2019年12月)では、カーボンニュートラルを表明している国はGDPベースで3割に 満たない水準であったが、2024年4月には、146ヶ国(G20の全ての国)が年限付きのカーボン ニュートラル目標を掲げており、GDPベースで約9割に達している。 ⚫ こうした中、既に欧米をはじめとして、排出削減と経済成長をともに実現するGX(グリーントランス フォーメーション)に向けた大規模な投資競争が激化。 ⇒ GX投資等によるGXに向けた取組の成否が、企業・国家の競争力に直結する時代に突入 期限付きCNを表明する国・地域(2024年4月) ■2050年まで ■2060年まで ■2070年まで 出所:各国政府HP、 UNFCCC NDC Registry、Long term strategies、World Bank database等を基に作成 ※グテーレス国連事務総長等の要求により、COP25時にチリが立ち上げた2050年CNに向けて取り組む国・企業の枠組みである気候野心同盟(Climate Ambition Alliance)に参加する国を含む場合、163ヵ国。 33 GX GXによる日本の成長ポテンシャル ⚫ GX関連分野における日本の成長ポテンシャルは大きいとの分析が複数存在。世界に冠たる日本のポテンシャ ルを最大限活用・発展させることで、競争力強化と排出削減を同時に実現可能。 ➢ 例えば、事業収益全体に占めるGX関連収益※1の割合は、日本がドイツに次いで2番目。日本は、ハイブ リッド車を中心とした自動車の収益、次いでエネルギー効率の高い産業用製品等の収益が大きい。 ➢ また、日本はGX関連技術のポテンシャルも大きい。例えば、企業が有するGX関連の特許スコア※2は、日 本が最も高く、次いで韓国、ドイツの順。日本の内訳をみると、「自動車」と、「エネルギー供給」の割合が大 きい。 ※1 ESG指数開発会社FTSEが設定した、排出削減に資する133セクターからの収益 ※2 スイス政府とESG指数開発会社MSCIが開発した、特許数を特許出願時の引用数・他の特許との関連性・出願国のGDP等で重み付けした値 各国の事業収益全体に占めるGX関連収益割合 各国企業のGX関連特許スコア ※削減貢献度順にGX関連事業(Green Revenues)をTier 1,2,3と分けており、 例えば、主動力が電気のハイブリッド車はTier 1に該当。また、いずれも時価総額で加重 平均した値。 出所:GPIFポートフォリオの気候変動リスク・機会分析(ESG活動報告 別冊)を基に作成。 ※左図はG7のMSCI ACWI構成銘柄企業が対象、右図はGPIFによる国債運用国が対象。 34 GX 消費者は、グリーン化に「価値」を見いだしている ⚫ 消費者は環境にやさしいことを理由に、電気自動車やハイブリッド車を選んでいる。 ⚫ 特に、若い世代は、グリーン化にプレミアムを支払う意向がある。 電気自動車やプラグインハイブリッド車、ハイブリッド車 を購入した/したい理由 環境にやさしそうだから 29 51 日本人1,000人の消費者意識 (環境に配慮した商品にどれだけ高く払うか) (人口割合%) 48 50 ランニングコストを含めてトータル コストで安いから 23 44 40 38 35 全世代 18-24歳 30 これまでにない製品を使用する高 揚感を味わいたいから 13 32 20 購入補助・減税がありお得感が あるから 30 17 16 9 10 47 16 8 0 0% 20% 40% 60% 80%100% 非常に当てはまる 当てはまる どちらともいえない 当てはまらない 全く当てはまらない 無回答 0% 1~10%増 11~20%増 (注)左図:自動車免許を保有する全国の20~69歳の消費者を対象とした調査。非常に当てはまる、当てはまるの割合が高い回答結果を抜粋。 (出所)左図:デロイトトーマツグループ「2022年 次世代自動車に関する消費者意識調査」を基に作成、右図:UBS銀行作成資料から引用 21%増以上 (払っても良いと考える 価格上昇率) 35 GX 脱炭素電源の立地状況 ⚫ 我が国における脱炭素エネルギーの供給において、例えば、洋上風力は風況に左右され、再エネ の供給適地が偏在しているなど、脱炭素エネルギーの供給拠点には地域偏在性が存在。 ⚫ 再エネや原子力などの脱炭素電源比率が4割を超えるのは、北海道、九州、関西エリアのみ。 洋上風力発電の適地と原子力発電所立地地域等 …再エネ海域利用法に基づく促進区域(1区域あたり 1.7万~84.5万kW) … 〃 有望区域(1区域あたり 25万~114万kW) … 〃 準備区域 …再稼働済み原子力発電所(合計83万~340万kW) …設置変更許可済み原子力発電所(合計83万~272万kW) …新規制基準審査中原子力発電所(合計110万~224万kW) ※円の面積は発電容量に応じて記載 …脱炭素電源比率の高い地域 (2023年度のエリア別発電電力量の電源種別の比率のうち、太陽光、風力、水力、 地熱、バイオマス、原子力の合計が40%以上の地域) 36 デジタル社会の全体像 DX ⚫ 我が国の目指すべきデジタル社会は、サイバー空間とフィジカル空間が高度に融合するSociety5.0。めざましい 進化を遂げるデジタル技術も取り込んだ強固なデジタル基盤(技術・産業基盤、インフラ基盤、人材基盤)上で、 「リアルデータ」の利活用を通じて、経済成長に繋がる新たな付加価値を創出するとともに、GXや経済安全保障 といった社会課題の解決も実現(=産業・社会全体のDXを通じたSociety5.0の実現)。 ⚫ これまで注力してきたDXの実現に必要不可欠な半導体やAIをはじめとするデジタル基盤の整備は引き続き重要。 加えて、Society5.0に繋がる個別企業・産業や業界横断のDX推進に向けた取組を進めていくことも重要。 Society5.0の実現 経済成長(国内投資、イノベーション創出、所得拡大) フ ィ ジ カ ル 空 間 サ イ バ ー 空 間 社会課題解決(GX、経済安全保障等) 川上 川中 川下 ✓ 新たな付加価値に繋がる革新的製品・サービスの創出には、デジタル基盤に支えられた“リアルデータ“の利活用がカギ ✓ より多くの付加価値を得るには、より多くの企業・個人が、個別企業・産業の垣根を超えて利活用可能な「プラットフォー ム」を構築するアーキテクチャを描けるかがカギ データ取得 アプリ/ サービス化 ルール データ処理/ 解析 デジタルインフラ基盤 公益デジタル プラットフォーマー認証制度 ソフト データ連携基盤 ハード 高度情報通信インフラ データセンター 基地局 通信 “リアルデータ”の 利活用サイクル 貯蔵/連携 デジタル基盤の三本柱 デジタル技術・産業基盤 ソフトウェア デジタル人材基盤 クラウドプログラム ハードウェア セ 情 キサ 報 コンピューティング基盤 ュイ (スパコン、AI、量子コンピュータ) 処 リバ 理 テ ー 基盤技術 基 ィ 盤 蓄電池 半導体 トップ ボリューム ➢ DXで世界をリードする トップレベル人材 (未踏等) ➢ デジタル技術を活用し 付加価値創出を支える DX推進人材 37 DX 情報処理基盤を取り巻く環境変化① ⚫ デジタル基盤、とりわけ最先端の半導体等の基盤技術を組み込むハードウェア(コンピューター)と、それら計算 資源の制御やクラウド技術等に係るソフトウェアからなる情報処理基盤は、デジタル社会の実現を支える中核的 存在。生成AI等の革新的イノベーションや巨大な付加価値を生み出すDXも情報処理基盤なくして成立しえない。 ⚫ 全ての産業・社会全体のデジタル化が不可避な中、必要となる計算能力の量の激増は必至。また、現在の計算 能力では解けない新たな計算需要(最適化問題等)も生じる中、AIコンピューターや量子コンピューター等の 高度なコンピューターも開発され始めており、計算能力の質の高度化も必要不可欠。 ⚫ かつて社会を支えたメインフレームの世界市場で高いシェアを誇った我が国は、足下で急速に拡大するクラウド サービス市場では極めて小さいシェアしか有しておらず、このままでは、国家として情報処理に関する技術的知見を 失いかねない危機的状況。デジタル社会を実現する観点はもとより、経済安全保障の観点からも、ハードウェアから ソフトウェアまで情報処理基盤の整備に最大限の政策資源を投入していくことが必要。 計算需要の量の高まり(例:AI開発) 高度な計算資源の出現 38 DX 情報処理基盤を取り巻く環境変化② クラウドサービスの利用状況 クラウド事業者のポジショニング グローバルシェアの低下(技術基盤の喪失) コンピューターサービス領域の貿易赤字拡大 39 DX デジタル技術・産業基盤:次世代情報処理基盤の全体像 ⚫ 情報処理基盤の質的・量的拡充に向けて、ハードからソフトまで一体で開発支援。特に生成AI対応として、AI 向け計算資源の拡充と基盤モデル開発に注力。(R5補正で、合計1,856億円の予算措置を計上) 【ユーザー/需要家】 バイオ: 分子動力学シミュレーション に対する強力な計算 能力の提供等 安全保障: 迎撃ミサイルの 軌道計算の高速化 自然災害: 超精密な 気象予測 材料開発: 電池・触媒等の 開発期間の短縮 ・・・ 金融: リスク分析や資源投 下の最適化など モビリティ: 完全自動運転 ユーザーからのフィードバックによる好循環 (エコシステム)の構築 【サプライヤー/情報処理基盤】 *5*6*7*8 *9 ・・・ ユーザーニーズを踏まえた情報処理基盤 (ハード/ソフト)の開発 【AIの基盤モデル】 (今後、新たなプラットフォームとなりうるゲームチェンジャー) 【クラウドプログラム】(情報処理基盤を提供するために必要な基礎的なソフトウェア群) 【計算資源マネージャー】(様々なコンピュータを組み合わせ、計算基盤全体として最適に制御) 超高速大容量光ネットワークや 次世代計算 環境の整備 スーパーコンピュータ AIコンピュータ 5G/ポスト5G/Beyond 5G *1*2 ・・・ ゲート型 量子コンピュータ 高性能コンピュータ (量子古典ハイブリッド) 【古典:汎用、AI、科学技術など】 最先端の 半導体開発 *1:次世代半導体開発(Rapidus他) *2:超高効率AI計算基盤開発(アクセラレーターチップ、システム) *3:AI向け計算資源整備(経済安保法の供給確保計画) *4:高度な計算資源の利用環境整備(テストベッド) *5:量子古典ハイブリッド(基盤ソフトウェア開発) *6:クラウド関連の技術開発(自動拡張/縮小制御等) *7:ハイブリッドクラウド利用基盤技術開発(暗号鍵管理等) *8:超分散コンピューティング技術開発(クラウドアーキ対応) *9:生成AIの基盤モデル開発 ・・・ ・・・ *3*4 物流: ドローン配送 ・・・ ・・・ 高度な情報処理能力の提供 ソフトウェア の技術開発 ものづくり: スマートファクトリ GPU AIアクセラレータ等 超高性能CPU アニーリング型 量子コンピュータ スマホ・タブレット 【量子:組み合わせ最適化問題等】 ハイスピード半導体 (大量・高速処理) 車載コンピュータ 【IoTデバイス等】 AI半導体 ローパワー半導体 (低消費電力) 【基盤技術】 センサー×AI半導体 40 デジタル技術・産業基盤:我が国半導体産業復活の基本戦略 DX ⚫ IoT用半導体生産基盤の緊急強化(Step1) ⚫ 日米連携による次世代半導体技術基盤(Step2) ⚫ グローバル連携による将来技術基盤(Step3) (出所)OMDIAのデータを基に経済産業省作成 Step 1:IoT用半導体生産基盤 ⇒生産ポートフォリオの緊急強化 2030年 2025年 2020年 産業機器 (スマートシティ、 スマートファクトリー 等) 産業機器 産業機器 市場規模全体:約50兆円 市場規模全体:約75兆円 Step 2:日米連携強化 ⇒日米連携プロジェクトで次世代半導体 技術の習得・国内での確立 市場規模全体:約100兆円 Step 3:グローバル連携 ⇒グローバルな連携強化による光電融合 技術など将来技術の実現・実装時期の前倒し 41 DX IEAによる世界のデータセンター、AI等の電力需要の見通し ⚫ IEAによれば、世界のデータセンター、AI等による電力需要は、2022年460TWhから2026年ベース ケースで800TWhまで増加する見通し(2024年1月時点)。 世界の電力需要(データセンター、AI等) (2019年~2026年) 1050TWh ● 800TWh 620TWh ● 460TWh (出所) IEA “Electricity 2024”(2024年1月24日公表) 42 DX DXの進展による電力需要増大 ⚫ 半導体の省エネ性能が向上する一方で、Chat GPTなどの生成AIの利活用拡大に伴い、計算資 源における電力消費量が増加する可能性。 ⚫ 半導体の微細化や光電融合等の消費電力の低減に大きく寄与する半導体技術の開発等を進めな がらも、今後、AIの進展による計算量の増大に伴い、電力消費量が急増するシナリオも想定してお く必要。(増加量の見通しは、半導体の省エネ性能の向上による効果などがどの程度期待できるかに よって、大きな幅がある。) 我が国の需要電力量の見通し 国内発電電力量のイメージ 生成AI等DX による増加? ・データセンター・ 半導体工場の新増設等 約1.35兆~1.5兆kWh※2 約1兆kWh※1 ・テレワーク率の減少 ・節電・省エネ 年 度 (出所)電力広域的運営推進機関「全国及び供給区域ごとの需要想定(2024年度)」 (令和6年1月24日)を元に作成 2020~2030 2050 ※1:総合エネルギー統計、第6次エネルギー基本計画に基づく。 ※2:第43回基本政策分科会で示されたRITEによる発電電力推計を踏まえた参考値。 43 DX デジタルスキル情報の蓄積・可視化を通じた継続的な学びの実現 ⚫ 生成AI時代には変化をいとわず学び続けることが必要。自身の目標に向けてスキルアップを続け るデジタル人材が一層活躍できる環境を整備する必要。 ⚫ そのため、個人のデジタルスキル情報の蓄積・可視化によりデジタル技術の継続的な学びを実現 するとともに、スキル情報を広く労働市場で活用するための仕組みを検討。 【個人】 スキル情報の蓄積・可視化を通じた 継続的な学びと目的をもったキャリア形成 情報登録 教育・試験 (IPA)デジタル人材育成・DX推進プラットフォーム ✓ スキル情報の蓄積・可視化を可能とする個人向けアカウントの立ち上げ ✓ デジタルスキル標準の活用推進 ✓ 情報処理技術者試験、リスキリングで得たスキル情報の蓄積と証明 ✓ スキル情報の分析と共有を通じたリスキリング機会の拡大 スキルトレンド DX認定申請・活動報告 DX支援サービス 【研修事業者】 デジタルスキル標準に 基づくリスキリング支援・市場の拡大 【企業】 デジタルスキル標準に基づ く人材育成・人材の確保 講座申請・活動報告 44 グローバル・経済安保 対外経済状況の変化(世界全体の需要構造の変化) ⚫ 今後の国際経済秩序は、自由主義と権威主義といった異なる政治経済体制間での緊張の高まり を背景とした不確実性の高い状況が継続。 ⚫ 世界人口の増大やDX、GXが起点となって、イノベーションが創発され、世界経済は年率2% 程度の安定的な成長が見込まれる。今後の所得拡大が見込まれる地域(グローバルサウス諸 国)における成長の取り込みを、先進諸国・新興国の政府・企業がともに模索し続ける。 ⚫ WTOは、産業政策、環境、経済安全保障、デジタルなどの諸課題に対処しながら、国際貿易・投 資に一定の規律をもたらしている。G7・G20は、一定の意義を有するが、各国とも自国の国益を 優先する傾向が強まる可能性がある。 <現状から想定されうる2040年頃の姿> <欧露関係> 安保上の緊張が残る、露の対中依 存が深まる形で露中の結束が強化 <北東アジア> 中国が超大国に、地政 学的緊張は残存 <中東> 宗教・民族対立など緊張 が常態なるも、脱炭素化 で大きく変容 <アフリカ> 人口増と資源開発 ブームで経済フロン ティアとして浮上 <北米> イノベーティブな産業群と USMCAの経済統合で繁栄。 米国内の分断と内向き志向 は変わらないものの、FOIPへ の関与は継続。 <GDP上位10カ国> <東南アジア> 「中所得国の罠」を 乗り越え繁栄。 <南西アジア> インドは市場規模 で米中を猛追。中 印が影響力を競う ※緑の枠は所謂グローバルサウスと言われる地域 <中南米> 地政学的な緊張から 距離を置き、安定 (出所)ゴールドマン・サックス社「グローバル・エコノミク スペーパー 2075年への道筋」(2022年12月)より 経産省作成 45 グローバル・経済安保 構造変化に伴う、内外一体の経済・通商戦略の再構築 ⚫ 構造変化に直面する世界において、日本は、世界の需要を取り込むといった観点から、新たな国 際枠組・ルールの形成やサプライチェーンの再構築等が求められる。 供給構造の変化(GX・DX) 供給構造の変化(サプライチェーンの再構築) ⚫ 再エネ、水素など脱炭素エネルギーが、安定的・合理的 な価格で供給。 ⚫ 地政学的な緊張が事業活動に不測の事態への備えを必須 化。 ⚫ 貿易手続のデジタル化等が推進され、国境を越えたサー ビス貿易も活性化。 ⚫ 特定の国の不当に安価な製品への過剰依存のリスク認識を 受けて、同志国連携の下、価格以外の要素を市場が考慮す る 「透明、強靭で持続可能なサプライチェーン」構築への要 請が高まる。 ⚫ GX は脱炭素エネルギーやネットゼロ技術の供給国に、 DX は生成 AI などイノベーションを生み出す企業に富の 集中をもたらす。 ⚫ 従来の経済連携協定や投資協定に加え、有志国間で分野 別協定形成の動きが活発になる。 日本の事業構造の変化 【日本のマクロ経済状況の変化】 ⚫ 日本が中規模国化していく中で経済産業の活力を保つため、欧米先進国のみならずグローバルサウス諸国の伸びゆく外需の取り 込みが不可欠になり、世界の需要を取り込みながら持続的に成長する経済構造に転換へ。 ⚫ 輸出財の競争力の向上と過度な化石燃料依存の脱却によって交易条件が改善し、実質賃金の上昇に寄与。 【日本に拠点を置く企業及び日本の産業全体の競争戦略の変化】 ⚫ 日本企業は、フルセットの産業構造、文化・コンテンツの魅力といった強みを活かして世界と伍していく。世界本社・世界工場と いった「世界の創造拠点」として日本を位置付け、世界で稼いだ利益を日本国内に還流させて活用するのに見合うような、ソフト ウェアや研究開発を含む国内投資・賃上げ・イノベーションを継続的に拡大。 【国際市場・サプライチェーンの再構築】 ⚫ 同志国企業と協働したグローバル・サプライチェーンの再構築が企業戦略の選択肢に組み込まれる。 46 通商政策と交易条件 グローバル・経済安保 ⚫ 我が国の交易条件(注:輸出財・サービスの価格指数を、輸入財・サービスの価格指数で割った指標。値が小さくなる程、貿易を行うこと が不利となる)は、①為替レート、②輸入エネルギー・原材料・コモディティ価格、③輸出財の国際競争力など の要因によって変動。※戦争・テロ・パンデミック・金融危機などの外生的ショックが引き金になることも多い。 ⚫ 貿易投資の自由化は、企業の海外展開や輸出財の競争力に影響すると考えられるが、NAFTA発効 (1994年)、WTO設立(1995年)、中国のWTO加盟(2001年)から世界金融危機(2008年) までの間、米国の交易条件が安定的に推移しているのに対し、日本の交易条件は著しく悪化。 交易条件の日米比較 (交易条件) 1.80 1.70 1997.7- アジア通貨危機 1985.9 プラザ合意 ー:日本 ー:米国 2012.12- アベノミクス 2001.12 中国WTO加盟 1994.1 NAFTA発効 1.60 2008.9 世界金融危機 2018.12 CPTPP発効 1995.1 WTO設立 2019.2 日EU EPA発効 1.50 2022.1 RCEP発効 1.40 1.30 2011.3 東日本大震災 1.20 2019.12- 新型コロナ禍 1.10 1.00 0.90 (注)四半期データ、季節調整値、2015年で基準化 (出所)内閣府「国民経済計算」、CEIC Database 2023 1Q 2022 1Q 2021 1Q 2020 1Q 2019 1Q 2018 1Q 2017 1Q 2015 1Q 2014 1Q 2013 1Q 2012 1Q 2011 1Q 2010 1Q 2009 1Q 2008 1Q 2007 1Q 2006 1Q 2005 1Q 2004 1Q 2003 1Q 2002 1Q 2001 1Q 2000 1Q 1999 1Q 1998 1Q 2016 1Q 2022.2- 露のウ侵略 2001.9 米国同時多発テロ 1997 1Q 1996 1Q 1995 1Q 1994 1Q 1993 1Q 1992 1Q 1990 1Q 1989 1Q 1988 1Q 1987 1Q 1986 1Q 1985 1Q 1984 1Q 1983 1Q 1982 1Q 1981 1Q 1980 1Q 1991 1Q 1990.8- 湾岸戦争 0.80 47 グローバル・経済安保 経済安全保障上重要な物資・技術の特定と政策アプローチ ⚫ コンピューティング、クリーンテック、バイオテック、防衛等の分野は、将来にわたる我が国の経済安全保障上の産 業・技術基盤として不可欠。それぞれの分野で特に重要なサプライチェーンに注目し、その維持・発展に政策資 源を集中的に投入する。 ⚫ 経済安全保障上重要なサプライチェーンにおいて鍵を握る物資・技術を特定したうえで、技術革新の動向、我 が国における相対的な優位性、対外依存度を分析・把握し、強靱化に向けた適切な政策手段を当てはめて いく。 ⚫ 経済安全保障上重要な物資を改めて洗い出した上で、リスク・脅威に対応した適切な政策手段を整理し、 経済安保法の「取組方針」に反映させる。 経済安全保障の観点から重視すべき物資・技術の整理 将来の不可欠性・ 自律性の獲得 コンピューティング ① 破壊的技術革新 が進む領域 次世代コンピューティング (例:量子コンピュータ・先端半導体) 不可欠性 の維持 ② 我が国が 技術優位性を持つ領域 製造装置・部素材・機器 等 (例:MLCC・光ファイバー・複合機) 自律性 の回復 ③ 対外依存の領域 (技術以外の要素が差別化要因となり、 対外依存を起こす領域) 一般的なレガシー半導体 等 高性能パワー半導体・マイコン等 クリーンテック バイオテック 3分野以外 (防衛・宇宙 ・基盤技術) 次世代クリーンテック (例:ペロブスカイト・全固体電池) バイオものづくり (例:合成生物学・バイオファウンドリ) 製造装置・部素材 等 重要鉱物 等 検査・分析装置 等 抗菌性物質製剤 等 航空機部素材 等 航空機部素材 等 防衛・宇宙分野の先進技術 (炭素繊維・エンジン用素材) (大型鍛造・鋳造) 技術優位性の創出 機微技術の流出・拡散防止 過剰依存構造の防止・是正 各領域に対する 取組の方向性 ※ 点線枠内の物資・技術は例示 48 健康 健康づくり・介護産業の市場規模拡大① ⚫ PHR・健康経営等の施策を推進することで、健康づくり・公的保険外の介護領域で2050年に累計77兆円市 場の構築を目指す。医療機器分野も世界市場の確保による拡大を目指す。 マーケット規模と推計 マーケットの概観 (2020年) 健康づくり (ヘルスケアサービス) ※ 公的保険外 介護 ※ 公的保険外 • 特に、医療DXや健康経営の進展により、 関連業種における市場拡大や新たな サービス提供が見込まれる。 • 高齢化に伴い、需要は拡大。 • 特に生活支援関連のサービスが顕著に拡大 18.5兆円 6.4兆円 計25兆円 (2050年推計) PHR・健康経営 等の推進 +約41.4兆円 PHR・健康経営 等の推進 +約10.5兆円 59.9兆円 16.9兆円 PHR・健康経営 等の推進 77兆円 計 +約52兆円 医療 • AI医療機器・プログラム医療機器(SaMD) (医療機器) などは新たな医療ニーズの拡大にともない、 ※ 一部公的 保険含む 世界的な成長産業となっていくことが見込まれる。 (2020年) (日本企業の獲得市場) 3 48 兆円 シェア拡大 6%→10% +約18兆円 (2050年推計) 21 214 兆円 (世界市場) 医療 (医薬品) ※ 一部公的 保険含む • 世界の人口の高齢化、がんやアルツハイマー病な どの難病に対する新薬の開発、再生・細胞遺伝 子治療などの高価な医薬品の市場拡大、医薬 品による早期治療の一般化などによって、より市 場の拡大が見込まれる。 (2022年) (日本企業の獲得市場) 16 200 兆円 (世界市場) シェア拡大 8%→10% +約9~14兆円 (2050年推計) 25~30 250~300 兆円49 健康 健康づくり・介護産業の市場規模拡大② 2020年の市場規模と2050年の市場規模の推計結果 項目 含まれる製品・サービスの例 2020年の市場規模 2050年の市場規模 ※一部2021年、2022年より引用 合計 ●健康づくり 合計:25兆円 合計:77兆円 小計:18.5兆円 小計:59.9兆円 知 ヘルスケア関連書籍・雑誌、アプリ・サービス等 0.03兆円 0.09兆円 測 検査・検診サービス、計測機器等 1.0兆円 3.7兆円 健康経営 検診事務代行、メンタルヘルス対策等 0.6兆円 3.7兆円 食 サプリメント・健康食品、OTC・指定医薬部外品等 3.4兆円 8.7兆円 運動 フィットネスクラブ、フィットネスマシン等 0.6兆円 2.7兆円 睡眠 機能性寝具等 0.2兆円 0.2兆円 予防 衛生用品、予防接種等 0.4兆円 7.8兆円 遊・学 ヘルスツーリズム(健康志向旅行) 2.9兆円 12.9兆円 癒 エステ・リラクゼーションサービス等 1.1兆円 2.6兆円 住 健康志向家電・設備等 0.1兆円 0.4兆円 機能補完 眼鏡、コンタクトレンズ等 0.3兆円 1.4兆円 民間保険 第三保険等 7.9兆円 15.7兆円 小計:6.4兆円 小計:16.9兆円 ●介護 日常生活・社会参加支援 家事代行、介護タクシー、食事宅配、介護旅行等 1兆円 3.3兆円 生活機能維持・療養支援 介護施設・住宅関連、介護用食品、自費リハビリ等 4.5兆円 7.8兆円 介護関連機器等 福祉用具、ロボット介護機器等 0.8兆円 5.6兆円 患者向け商品・サービス 病者用食品等 0.05兆円 0.2兆円 (出所)経済産業省「令和4年度ヘルスケアサービス社会実装事業(国内外での健康経営の普及促進に係る調査)」に基づき作成 50 健康 高齢化の進行に伴う家族介護者負担の増大 ⚫ 高齢化の進行に伴い、日本全体で仕事をしながら家族等の介護に従事する者(ビジネスケアラーやワーキン グケアラーと呼称)の数が増加。介護離職者は毎年約10万人であり、2030年には、家族介護者のうち約 4割(約318万人)がビジネスケアラーになる見込み。 ⚫ 仕事と介護に関する問題の顕在化が進むと予想される中、2030年には経済損失が約9.1兆円となる見込 み。内訳を見ると、仕事と介護の両立困難による労働生産性損失が占める割合が極めて大きい。 2030年における経済損失(億円)の推計 ビジネスケアラーに関連する指標の推移 900 800 700 600 人 数 500 〔 万 人 400 〕 300 795 家族介護者の合計 628 593 557 1.04 833 796 2.00 746 678 家 307 318 1.32 1,162 10,178 介 1.40護 者 1.20一 人 1.00当 296 た 270 0.80り 要 0.60介 79,163 護 200 介護離職者(※4)の合計 11 11 9 7 10 数 10 0 0.20人 ] 7 9 0.40者 [ 100 1.80 1.60族 家族介護者一人当たり 1.21 要介護者数 1.08 1.07 1.02 ビジネスケアラー(※3)の合計 262 253 232 211 1,289 0.00 2012年 2015年 2017年 2020年 2025年 2030年 2035年 2040年 ※1,2 ※2 ※1,2 ※2 (出所)国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成29年4月推計)中位推計」、総務省統計局「就業 構造基本調査(平成24年、平成29年)」、厚生労働省「雇用動向調査(平成25年~令和3年)」、経済産業省「将来の 介護需給に対する高齢者ケアシステムに関する研究会」(平成30年3月) ※1 2012年及び2017年の家族介護者・ビジネスケアラーの数は就業構造基本調査結果より ※2 2012~2020年の介護 離職者数は雇用動向調査結果より ※3 就業構造基本調査における有業者のうち「仕事が主な者」をビジネスケアラーとして定 義している。有業者全体(仕事は従な者 を含む)まで広げた場合には、2030年時点で438万人と推計される。今後、女性の 社会進出や高齢者の雇用促進等に伴い、数値はさらに上振れする可能性もある。 ※4 介護離職者数の将来推計は、厚生労 働省「雇用動向調査(平成29年~令和3年)」をもとに算出したものであり、将来的な施策効果等は加味していない。 その他の推計値は、各調査における年齢階層別人数割合と将来推計人口の掛け合わせにより算出。 9 1,792億円 合計 兆 仕事と介護の両立困難による労働生産性損失額 ※5 介護離職による労働損失額 介護離職による育成費用損失額 ※6 介護離職による代替人員採用に係るコスト (出所)経済産業省「2022 年経済産業省企業活動基本調査速報(2021年度実績)調査結 果の概要」、産労総合研究所「教育研修費の実態調査における2017~2021年の一人あたり研修費 (5年平均)」、株式会社リクルートキャリア就職みらい研究所「就職白書2020」より日本総研作成 ※5 ビジネスケアラーの生産性損失は、経済産業省委託調査(日本総研)「介護をしながら働いてい る方に向けたWEBアンケート調査」(n=2,100)の結果を基に算出(=約27.5%) ※6 介護離 職者の勤続年数は、大卒年齢である22歳から、雇用動向調査において最も人数が多い55~59歳階 層の中央となる57歳まで勤続した場合の年数(=35年)と仮定。 51 包摂 人手不足解消のカギは賃上げ・働きやすい職場環境づくり ⚫ 人手が不足している中小企業は、条件に合う人材から応募がないことや業界の不人気をその原 因と捉えている。 ⚫ 他方、人手が不足していない中小企業は、賃上げや働きやすい環境整備に取り組んでいる。 人手が不足している企業の、その要因(中小企業) (%) 55.2 条件に見合った人材から応募がない 人手が不足していない企業の、その要因(中小企業) 賃金や賞与の引き上げ 52 (%) 35.1 定年延長やシニアの再雇用 31.7 企業の知名度が低い 43.6 福利厚生の充実 25.7 賃金や賞与などに満足が得られない 36.5 公平で公正な人事評価 23.2 労働環境が厳しいと受け止められる 35.8 仕事内容の魅力度の向上 19.1 高齢化による退職者の増加 働き方の多様化やワーク ライフバランスの推進 24 19.1 業務プロセスの見直しなど… 19.1 資格や高度な技術・スキルが必要 23.6 多様な人材の積極的な採用・ 登用 16.3 仕事内容に満足が得られない 19.9 機械化や自動化の実施 14.4 働き方改革の逆作用 13.5 その他 12.5 多様な働き方への対応が十分でない 12.5 スキルアップやキャリアアップ制度の充実 11.9 転職市場の活発化 12.3 企業の知名度の向上 11.3 従業員の配置転換 福利厚生などの環境に満足が得られない 10.7 11.8 人材派遣や外注の利用 9.1 企業の立地に満足が得られない 9.5 採用条件の緩和 6.9 その他 4.2 希望に沿わない転勤や人事異動の廃止 5.3 新型コロナ禍における人員削減・退職 3.5 新卒の通年採用化や新卒定義 の拡大 4.7 経営方針が賛同されない 1.9 カムバック制度の実施 4.7 外国人労働者の受け入れが減少 魅力的な立地での創業、移転 1.4 1.3 (注)帝国データバンクが企業における人材確保・人手不足の要因についてアンケートを実施。アンケート期間は2023年5月12日~16日。有効回答企業は1,033社。 1,033社のうち、人手が不足している企業の「人手が不足している要因」、人手が不足していない企業の「人手が不足していない要因」に対する回答を集計。「人手が不足している」 および「人手が不足していない」と回答のあった企業は、それぞれ689社(うち中小企業592社分を集計)および346社(うち中小企業319社分を集計) 。中小企業:中小企 業基本法上の中小企業者。 52 (出所)帝国データバンク「人手不足解消のカギ、「賃上げ」が 51.7%でトップ」を基に一部加工。 業界の人気がない 45.4 働きやすい職場環境づくり 包摂 増加する立地ニーズへの対応不足 ⚫ 各都道府県等へのアンケートによると、直近1年間において、立地を検討する企業等からの問い 合わせが増加した都道府県等は62%。 ⚫ 他方、企業からのニーズに応えられる産業団地を確保できている都道府県等は、1割未満。 立地(新規・拡充)を検討する企業等からの 問い合わせが増加している都道府県・政令市 企業等からのニーズに応えられる産業団地を 確保できている都道府県・政令市 減少 大きく増加 3% 3%(2) (2) 変わらない 35% (23) 確保できていない 91% 増加 59% (39) 増加した 62% 全く確保できて いない 30% (20) どちらかと言うと 確保できている 9% (6) どちらかと言うと 確保できていない 61% (40) (注)2023年8月~9月において、都道府県・政令市を対象として経済産業省が実施したアンケート。左図:「直近1年間において、貴都道府県等内における立地(新規・拡 充)を検討する企業等からの問い合わせは増えていますか」という質問、右図: 「貴都道府県等では、現時点で、立地を検討する企業等からの問い合わせ(ニーズ)に応えら れる産業団地(貴都道府県等が開発したものに限らず、市町村や民間が開発したものも含む)を確保できていると認識されていますか。」に対する46道府県・20政令市からの 回答を集計。()内は回答数。 53 (出所)各都道府県・政令市向けアンケートを基に作成。 産業全体 日本の強み ⚫ 日本は、ものづくりの多様性と偏在性という強み(=ものづくりのネットワーク)、生活・文化・コ ンテンツの魅力がある社会である。 ⚫ 例えば、①その国の文化やその国の製品の信頼度等を基に作られる魅力度ランキング、②高度 な知識と技能を必要とする複雑な製品を生産・輸出する能力を示すランキング、③旅行・観光 資源等を基に作られるランキングで、世界1位で国際的にもこれらの強みがあると認識されている。 ①国家ブランド指数 ②経済複雑性指標(貿易部門) 日本(1位) 69.85 ドイツ 69.43 68.91 カナダ イギリス 68.80 イタリア 68.69 アメリカ 68.43 68.24 スイス フランス 67.95 オーストラリア 67.80 スウェーデン(10位) 67.75 ③旅行・観光開発指数 日本(1位) 1.98 日本(1位) 5.2 スイス 1.88 アメリカ 5.2 5.2 ドイツ 1.77 スペイン 韓国 1.75 フランス 5.1 5.1 シンガポール 1.59 ドイツ スウェーデン 1.54 スイス 5 チェコ 1.54 オーストラリア 5 オーストリア 1.49 イギリス 5 アメリカ 1.45 シンガポール 5 スロべニア(10位) 1.44 イタリア(10位) 4.9 1.00 1.50 2.00 2.50 4.8 4.9 5 5.1 5.2 5.3 67.50 68.00 68.50 69.00 69.50 70.00 (注)左図:国家ブランド指数は、アンホルト‐イプソス国家ブランド指数(2023年)の順位。指数化の対象は60か国で、それぞれ①輸出(製品)、②ガバナンス、③文化、④人材、⑤観光、⑥移住・投 資という6つの指標における魅力度を指数化しランク付け。調査対象は、米国、中国等の20カ国の18歳以上。2023年6月~8月に6万件以上の調査を実施。データは、年齢や性別を含む主要な人口 統計学的特徴を反映するように加重されている。中央図:経済複雑性指標(貿易部門)は、2022年の順位。この指標は、高度な知識と技能を必要とする複雑な製品を生産・輸出する国の能力を示 す。右図:旅行・観光開発指数は、2021年の順位。この指標は、①ビジネス環境等の環境整備、②旅行・観光政策、③インフラ、④自然観光資源や人文資源等の観光需要元、⑤旅行・観光の持続 可能性の5つの指標とこれらを基に細分化された112の個別指標に基づき、世界117の国と地域をランク付けしたもの。 (出所)左図:Ipsos「Anholt-Ipsos Nation Brands Index」を基に作成。中央図:The Observatory of Economic Complexity 「Economic Complexity Legacy Rankings (ECI)」を基 に作成(2024年4月9日データ取得)。 右図:世界経済フォーラム「Travel &Tourism Development Index 2021」を基に作成。 54 産業全体 大企業とスタートアップの特性を踏まえた役割分担 ⚫ 国内研究開発費の9割を占める大企業が研究開発費の総額を増やしつつ、新規事業開拓に チャレンジしやすいスタートアップが新規分野での事業や研究開発投資の拡大を担うことが重要。 ⚫ 大企業とスタートアップの特性の違いを活かして、スタートアップに任せる部分を特定し、集中支 援を行う。 国内研究開発に占める大企業 (従業員500名以上)の割合 大企業とスタートアップの特性 大企業: • 現状でも研究開発投資の9割を担っており、マスとして 日本では特に重要 • 既存事業の競争力向上を重視する傾向があり、新規 性の高い研究開発投資の担い手となりにくい。 • 休眠技術や研究・生産設備など、新規分野での研究 開発や事業化にも有用なリソースを有する。 100% 90% 80% 70% 60% 50% 2000 2005 日本 アメリカ 2010 フランス 2015 イギリス 2020 ドイツ 出所:OECD.Stat Business enterprise R-D expenditure by size and by source of funds スタートアップ: • 新規性の高い分野での研究開発投資や事業化の担 い手として重要。 • 一方で、投資可能性や投資規模は外部からの資金 調達に制約されるのでその課題克服が必要。 • 新規市場で一定の成功に達すると、その後は市場拡 大に向けて事業規模や投資の急拡大を投資家からも 55 求められる傾向。 産業全体 継続したイノベーション成功モデルの実現が必要 ⚫ 継続的な高付加価値事業の創出のためには、①新たな「技術・アイディア」を生み、②その事業化 による「新たな価値を創造」を通じて、③これを「社会実装して市場創造・対価獲得」することが重 要。こうして実現したイノベーションの成功モデルが、次なるイノベーションを生むことが重要。 ⚫ 課題は、研究開発投資が量・質ともに伸び悩むとともに、生まれた技術の収益化が不十分である 点。 ①研究開発の量及び 質の拡大 ②「技術・アイディア」を「新たな価 値」につなげる事業化の加速 技術・ アイディア 新たな価値の創造 (製品・サービス等) ③「市場創造・対価獲得」を見据えた 戦略的なルールメイキング等の取組 社会実装 (社会・顧客への普及・浸透) →市場創造・対価獲得 56 産業全体 日米欧の主要企業におけるPBRの比較 ⚫ PBR1倍割れ企業の割合が、欧米に比べて非常に高い水準。 PBRの分布(2022年度) (注)日本:TOPIX500、米国:S&P500、欧州:BE500 PBR=株価/1株当たり純資産 (図は各社の2022年度末(3月決算企業であれば2023年3月末)の時価総額と純資産額から算出) (出所)Bloombergのデータを基に作成。 57 産業全体 経営トップの不再任基準 ⚫ 取締役会又は指名委員会において、経営トップの不再任基準を設けていない企業は約70%で あり、企業価値や業績に関する定量的な基準を設けている企業は2%に留まる。 経営トップの不再任基準の設定状況 (出所)三井住友信託銀行「戦略の連動と資本効率で企業価値を高めるコーポレートガバナンス改革 ~「ガバナンスサーベイ®2023」実施報告書~(2023年10月)」 58 CEO任期制の有無とPBRの関係 産業全体 ⚫ 非任期制の企業のPBRは、任期制企業に比べ高い傾向。 TOPIX300社※1における任期制によるCEO交代とPBRの関係性 パフォーマンス指標 固定任期制 任期制 非任期制 28社 (9%) 57社 (19%) 215社 (72%) PBR 1.03倍 1.26倍 2.00倍 ROE※1 10.4% 6.9% 9.8% PER※1 12.6倍 17.3倍 19.9倍 企業数 パフォーマ ンス (2022) PBRの分布 CEOにおける任期制の定義 • 固定任期制:現職を除く直近2名のCEOの在任期間において、 いずれも3年、4年、5 年または6年で同一の企業。ただし、現職が当該在任年数以下の企業に限る。 • 任期制:固定任期制の企業を除く、現職を除く直近2名のCEOの在任期間(※)に おいて、 ①在任期間の平均が3年以上6年未満である企業かつ、②最長在任期と最 短在任期間の差が2年以内(※ただし、現職が当該2名の最長在任期間より2年以 上長い場合は現職とその前任の在任期間で判定) • 非任期制:上記以外の期間で在任 固定任期制 4% 任期制 非任期制 18% 34% 36% 25% 31% 61% 58% 34% PBR1倍未満 PBR1-2倍 PBR2倍以上 ※1:TOPIX300社とは東証プライム上場企業における2022年事業年度末で金融機関を除いた上で、時価総額上位300社企業を指す 以下計算式の値は各社2022年の事業年度末の値(例 2023年3月期決算の企業のPBR、ROE、PERは「2022」に反映) PBR=時価総額÷株主資本等合計 PER=時価総額÷親会社株主に帰属する当期純利益 ROE=親会社株主に帰属する当期純利益÷期首期末平均株主資本等合計 上記は全て単純平均によるもの (出所)デロイトトーマツによるSPEEDA、企業ホームページの情報等に基づく調査データを基に経済産業省作成 59 産業全体 CEO任期とリスクテイク指標(事業買収・売却・研究開発投資)の関係 ⚫ 非任期の企業は、事業売却や買収、研究開発投資などを積極的に実施し、事業ポートフォリ オ改革を積極的に行っている。 事業売却※1 過去10年の売却金額/総資産 (過去10年の平均) 事業ポートフォリオ改革 事業買収※1 研究開発投資 過去10年の買収金額/総資産 (過去10年の平均) 各年度の研究開発費/ 各年度の売上高 13.5% 4% 固定任期制 任期制 非任期制 10.6% 3% 8.5% 6.6% 6.1% 2% 2.3% 2022 2021 2020 2019 0% 2018 非任期制 2017 任期制 2016 固定任期制 2015 非任期制 2014 任期制 2013 固定任期制 1% 対象企業は、2022年度末時点で、金融機関を除く時価総額上位300社。 ※1:買収・売却:買収・売却以外にも事業・部門分割、ファンドバイアウト、MBO、少数持分取得、ジョイントベンチャーを含む 過去10年は「2013」~「2022」は企業の10事業年度を指す 上記は全て単純平均によるもの (出所)デロイトトーマツによるSPEEDA、企業ホームページの情報等に基づく調査データを基に経済産業省作成 60 チャレンジ 国内投資の増加は賃金上昇につながる ⚫ 国内投資の増加は、労働生産性の向上を通じて賃金上昇に繋がる。 ⚫ 日本は、設備投資と賃金の両方とも上昇率が低い。 賃金と民間設備投資の相関図(1991-2021の年平均増減率) 2.5% 韓国 2.0% 実 質 賃 金 増 減 率 スウェーデン アイスランド 英国 1.5% デンマーク 米国 フランス ドイツ 1.0% オーストラリア カナダ ベルギー オランダ 0.5% 日本 0.0% 0.0% 0.5% 1.0% 1.5% 2.0% 2.5% 3.0% 3.5% 4.0% 4.5% 5.0% 実質民間設備投資増減率 (注)実質賃金(縦軸)は総雇用者報酬(実質値)を従業者数で割り、「正規労働者の平均労働時間/全労働者の平均労働時間」を乗じたもの。 すなわち労働者の平均労働時間の変化に伴う影響を取り除いた推移を示している。民間設備投資(横軸)は住宅を除く民間設備投資の実質値。 (出所)OECD statより経済産業省作成 61 対内直接投資の現状 チャレンジ ⚫ 日本の対内直接投資残高は、足元の2023年末時点で50.5兆円となっており、各国との比較でみ ると、GDPに占める割合は少ない。 ⚫ 2030年100兆円の政府目標の達成に向けて、「対日直接投資加速化に向けた優先プログラム※」 の着実な実行など、政府一丸となって取組を推進している。 ※2024年5月、対日直接投資推進会議決定 対内直接投資残高の対GDP比率 日本の対内直接投資残高の推移 (兆円) (GDP比率) 120% 政府目標 2030年 100兆円 100 90 100% 80 70 英国 80% 60 50.5 50 60% 負債性資本 対内直接投資 40 フランス 17.3 40% 収益の再投資 30 8.8 20 株式資本 20% 24.4 10 米国 日本 8.2% ドイツ 0 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 2021 2022 2030 2028 2026 2024 2022 2020 2018 2016 2014 2012 2010 2008 2006 2004 2002 2000 1998 1996 0% (年) (出所)左図:財務省、日本銀行「本邦対外資産負債残高」 右図: Gian Maria Milesi-Ferretti “The External Wealth of Nations Database” Brookings Institution (年) 62 チャレンジ 実質賃金上昇率(マンアワーベース)の要因分解 ⚫ 日本の実質賃金は、プラス要因として労働生産性が上昇したものの、マイナス要因として交易条 件の悪化と事業主の社会保障負担増等により、ほぼゼロ成長だった。 ⚫ 今後の持続的賃上げには、①労働生産性の上昇、②交易条件の改善等の取組が必要。 実質賃金上昇率の要因分解の国際比較(1995~2021年の26年平均) 交易条件の悪化を含む (注1) 事業主の社会保障負担増 (注1)GDPデフレーターとCPI上昇率の差は、交易条件以外に、そもそもの指数の作成方法の違い等によっても生じる。 (注2)税・補助金とは、「生産・輸入品に課される税ー補助金」のことである。 (出所)図は、厚生労働省「第3回社会保障審議会年金部会年金財政における経済前提に関する専門委員会(令和5年4月5日) 資料4」より抜粋。 吹き出しは経済産業省作成。 63 チャレンジ 交易利得・損失 ⚫ 輸出入価格の変化(交易条件の変化)によって、国内と海外における所得の流出入が基準年 と比較してどれだけ変動したかを示す交易利得・損失(=実質国内総所得ー実質国内総生 産)を見ると、2000年代前半に所得の流出が加速し、2020年代に入り大幅に悪化している。 交易利得・損失/実質GDPの推移 5.0% 4.0% 3.0% 2.0% 1.0% 0.0% -1.0% -2.0% -3.0% (出所)内閣府「国民経済計算年次推計」より経済産業省作成 2022 2021 2020 2019 2018 2017 2016 2015 2014 2013 2012 2011 2010 2009 2008 2007 2006 2005 2004 2003 2002 2001 2000 1999 1998 1997 1996 1995 1994 -4.0% (年) 64 交易条件の要因分解 チャレンジ ⚫ 交易条件指数を品目別に要因分解すると、輸出物価の下落の大部分は電気・電子機器によるものだが、電 気・電子機器は輸入物価も下落しており、価格競争が激しい産業であることを物語っている。輸入物価の主 な上昇要因は、鉱物性燃料であり、その影響はここ十数年で傾向的に拡大している。 ※GDPデフレータではサービスの輸出入も含まれていたが、物価指数にはサービスが含まれていないことに留意。 交易条件指数の変動要因分解 輸出物価の品目別要因分解 (1990年1月の水準との比較、%pt) 60 (1990年1月の水準との比較、%pt) 40 繊維品 金属・同製品 20 電気・電子機器 輸出物価要因 40 輸入物価要因 0 交易条件指数 20 化学製品 はん用・生産用・業務用機器 輸送用機器 ▲ 20 ▲ 40 0 2022 2023 2020 2018 2016 2014 2012 2010 2008 2006 2004 2002 2000 1998 1996 1994 1992 1990 ▲ 60 ▲ 20 輸入物価の品目別要因分解 ▲ 40 (1990年1月の水準との比較、%pt) ▲ 60 150 ▲ 80 飲食料品・食料用農水産物 金属・同製品 石油・石炭・天然ガス はん用・生産用・業務用機器 輸送用機器 100 交易条件指数=輸出物価指数/輸入物価指数 →交易条件指数の変化率≒ 輸出物価指数の変化率ー輸入物価指数の変化率 ▲ 100 50 繊維品 木材・木製品・林産物 化学製品 電気・電子機器 その他産品・製品 0 2022 2023 2020 2018 2016 2014 2012 2010 2008 2006 2004 2002 2000 1998 1996 1994 1992 2022 2023 2020 ▲ 50 1990 (出所)左図、右上図、右下図ともに日本銀行「企業物価指数」により作成。 2018 2016 2014 2012 2010 2008 2006 2004 2002 2000 1998 1996 1994 1992 1990 ▲ 120 65 GDPデフレータの需要項目別変動要因分解 チャレンジ ⚫ 価格の変動を示す指標であるGDPデフレータの変化を需要項目別に寄与度分解すると、輸出デ フレータの趨勢的な下落に加え、2000年代以降の輸入デフレータの上昇(全体に対してマイナ スに寄与)による交易条件の悪化が、GDPデフレータを大きく下押し。 GDPデフレータの需要項目別変動要因分解 (1990年1-3月月期の水準との比較、%pt) 10 民間最終消費支出 民間企業設備 公的固定資本形成 輸入 8 6 民間住宅 政府最終消費支出 輸出 国内総生産(支出側) 4 2 0 ▲2 ▲4 ▲6 ▲8 ▲ 10 ▲ 12 (出所)内閣府「国民経済計算」により作成。 2023 2022 2021 2020 2019 2018 2017 2016 2015 2014 2013 2012 2011 2010 2009 2008 2007 2006 2005 2004 2003 2002 2001 2000 1999 1998 1997 1996 1995 1994 1993 1992 1991 1990 ▲ 14 66 我が国産業の輸出競争力の変化 チャレンジ ⚫ 貿易特化係数とは、財ごとの純輸出額(輸出額−輸入額)を輸出入総額(輸出額+輸入額)で割ったもの 。 -1に近いほど競争力が劣り、1に近いほど輸出に特化しており競争力を持つことを示す。 ⚫ 我が国産業の輸出競争力の変化をみると、輸送機械やはん用・生産用・業務用機械、鉄鋼は輸出特化型産業を維持して おり、国内で産出された付加価値も大きい。電気機械、情報通信機械はかつては輸出特化型産業であったが、現在では輸 入特化型産業に変化する一方で、電子部品・デバイスは、現在も輸出特化型産業を維持。 産業別にみた貿易特化係数の変化(1994年→2018年) 1 輸入特化型産業から 輸出特化型産業に変化 0.8 輸出特化型産業を維持 0.6 電子応用装置・電気計測器 貿易特化係数(2018年) 有機化学製品 ゴム製品 農業サービス その他電子部品・デバイス 化学最終製品 その他の窯業・土石製品 0 パルプ・紙・板紙・加工紙 非鉄金属製錬・精製 -0.4 化学肥料 石炭製品 紙加工品 -0.6 漁業 林業 -0.8 たばこ 飼料・有機質肥料 水産食料品 農業 -1 -1 皮革・皮革製品・毛皮 畜産食料品 -0.8 -0.6 輸入特化型産業を維持 -0.4 映像・音響機器 電子計算機・同付属装置 民生用電子・電気機器 通信機器 精穀・製粉 繊維製品(化学繊維除く) 家具・装備品 製材・木製品 時計製造業 その他の製造工業製品 セメント・セメント製品 医薬品 その他の食料品 その他の電気機器 その他の業務用機械 印刷業 石油製品 半導体素子・集積回路 銑鉄・粗鋼 事務用・サービス用機器 その他の輸送用機械 ガラス・ガラス製品 化学繊維 陶磁器 その他の金属製品 非鉄金属加工製品 無機化学基礎製品 武器製造業 飲料 自動車部品・同付属品 はん用機械 プラスチック製品 0.2 -0.2 生産用機械 有機化学基礎製品 円の大きさは2018年時点における 付加価値の大きさを示している。 0.4 鉱業 自動車(自動車車体含む) その他の鉄鋼 産業用電気機械器具 -0.2 (注) 貿易特化係数=(輸出額―輸入額)/(輸出額+輸入額)で計算したもの。 (出所) 経済産業研究所「JIPデータベース2021」 輸出特化型産業から 輸入特化型産業に変化 建設・建築用金属製品 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 貿易特化係数(1994年) 67 チャレンジ 中堅企業によるM&Aの有効性 ⚫ 経営力の高い中堅企業が中小企業等のM&Aを行うことで、優良な経営ノウハウを有する企業が経営資源を 集約化し、自社の成長とM&Aされた企業についても収益力・賃金の向上を図っていくことが重要。 ⚫ 特に、L型企業においては、M&Aの回数に応じて売上高の伸びが顕著であり、成長の有効な手段。 L型中堅企業におけるM&A回数と 過去10年間の平均売上高成長率 M&A実施企業と非実施企業の労働生産性 120 115 109.3 110 中堅企業の 82.1% 中堅企業の 9.8% 中堅企業の 8.1% 17.1% 105 103.5 100 95 13.1% 9.0% 90 85 80 06 07 08 09 10 11 12 13 2010年度に実施した企業 14 15 (年度) 2009~2015年度の間一切実施していない企業 M&A0回 M&A1回以上 M&A2回以上 *1 中堅企業:従業者数2,000人以下(中小企業基本法の中小企業除く) *2 M&A数は2011年度から2020年度までに行った買収(子会社化)の件数 *3 売上高成長率は、2011年度と比較した2021年度の売上高の変化率 (注)2010年度=100として指数化 (出所) 経済産業省「企業活動基本調査」(2007~2016年度調査)再編加工 ※調査対象:従業者数50人以上かつ資本金3千万円以上、主に経産省所管業種 (出所) 経済産業省「企業活動基本調査」(2012~2022年度調査)再編加工 ※調査対象:従業者数50人以上かつ資本金3千万円以上、主に経産省所管業種 68 チャレンジ 倒産件数と完全失業率の推移 ⚫ 2017年から2019年と、2023年は倒産件数の減少を伴わずに失業率が低下・低水準で推移。 ⚫ 足下は倒産件数が増加しているものの、人手不足に伴い労働力の活用が進展する中で、完全 失業率は低水準を保っている。 1,400 倒産件数と完全失業率 倒産件数と完全失業率 (倒産件数<全規模>、件) (完全失業率<季節調整値>、%) 1,200 6.0 4月倒産 783件 1,000 5.0 3月倒産 906件 4.0 800 600 3.0 400 2月失業率 2.0 2.6 % 200 倒産件数 3月失業率 完全失業率(季節調整) 2.6 % 0 1.0 10/1 11/1 12/1 13/1 14/1 (出所)総務省「労働力調査」、東京商工リサーチ「倒産月報」 15/1 16/1 17/1 18/1 19/1 20/1 21/1 22/1 23/1 24/1 月 69 チャレンジ 新陳代謝:スタートアップの資金調達額は増加傾向 ⚫ 国内スタートアップの資金調達額は、2022年まで順調に増加。世界的に資金調達状況が厳しく なっていることもあり、2023年の調達額は前年度に比べて減少し、7,536億円。 ※2023年全体の資金調達は、後から判明するものを考慮すると、2021年並みの8,500億円程度になる見込み。なお、米 国VCによるスタートアップ投資額は2022年以降低調。 国内スタートアップの資金調達額の推移*1 米国VCによるスタートアップ向け投資額の推移 18,000 (億ドル) 4,000 16,000 3,500 5年で10倍 14,000 3,000 12,000 2,416 2,500 10,000 9,664 10年で10倍 1,500 7,536 1,000 約8,500 3,640 2,589 2,030 1,433 737 699 822 645 907 743 866 835 906 *¹:各年の値は集計時点までに観測されたものが対象。 (出所)左図:INITIAL「2023 Japan Startup Finance 国内スタートアップ資金調達動向決定版」を基に作成。(2024年1月23日時点) 右図:PitchBook-NVCA Venture Monitor (2024年3月31日時点) 2023 2022 2021 2020 2019 2018 2027 2026 2025 2024 2023 2022 2021 2020 2019 (年) 2017 0 2018 2017 2016 2015 2014 2013 2012 2011 2010 1,658 500 0 2009 1,731 1,459 1,515 2016 6,122 5,608 5,005 4,000 2,000 約1,000 (2013‐2022年) 6,000 目標額 10兆円規模 8,692 2015 8,000 2,000 3,495 2014 (億円) 20,000 100,000 (年) 70 チャレンジ インフラの老朽化 ⚫ 高度経済成長期以降に整備された道路橋やトンネル、工業用水、送配電設備等のインフラは、 今後、建設から40~50年以上経過する施設の割合が増加する。老朽化が進行するため、建 て替えや大規模修繕の必要性が高まっていく。 長期間経過したインフラの割合 道路橋、トンネル、河川管理施設 ■2020年3月 下水道管渠、港湾施設 工業用水道管路 ■2023年3月 80% 約55% 10% 2040年時点で 建設から50年以上経過する送電鉄塔 約71% 約62% 約53% 約49% 約43% 約36% 40% 20% ■2040年3月 ■2033年3月 約66% 50% 30% ■2030年3月 約75% 70% 60% 全国の送電鉄塔の建設年別の内訳 約38% 約35% 約30% 約22% 約21% 約23% 約16% 約10% 約5% 0% 工業用水道 港湾施設 河川管理 道路橋 トンネル 下水道 管路 (約73万橋) (約1.1万本) 管渠 (約6.1万施設) 施設 (約5.5千km) (約4万6千施設) (約48万km) (注)左図:道路橋・トンネル・河川管理施設・下水道管渠・港湾施設の施設は、建設後50年を対象とし算出。建設後50年以上経過する施設の割合については、建設年度 不明の施設数を除いて算出。道路橋は、橋長2m以上を対象。港湾施設は水域施設、外郭施設、係留施設、臨港交通施設等を対象。工業用水は、法定耐用年数である40 年を超えたものを対象とし算出。なお、2023年3月31日時点の管路総延長と30年後までの法定耐用年数を経過した管路延長を回答した163事業の回答を集計。右図:送電 鉄塔の内訳は2022年度末時点。 71 (出所)左図:国土交通省「令和4年版国土交通白書」、工業用水道事業者を対象としたアンケート(2023年12月)を基に作成。右図:送配電網協議会集計データ 得られる国民の豊かさ 労働生産性の国際比較 ⚫ 各国と同様に、日本の労働生産性は、年率で1%以上伸びてきた。 労働生産性の国際比較 時間当たり労働生産性 (ドル/時間) 80 74.1 75 米国 =+1.7%/年 (1991~2022) 70 ドイツ =+1.3%/年 73.8 (1991~2022) 65 68.6 60 フランス =+1.1%/年 (1991~2022) 英国 60.5 =+1.4%/年 (1991~2022) 55 50 45 49.1 日本 =+1.2%/年 (1991~2022) 40 35 (注)2015年の米国ドル(購買力平価ベース)で実質化したGDPを総就業時間(就業者数×年間の平均就業時間)で割った値。 (出所)OECD.stat 2022 2021 2020 2019 2018 2017 2016 2015 2014 2013 2012 2011 2010 2009 2008 2007 2006 2005 2004 2003 2002 2001 2000 1999 1998 1997 1996 1995 1994 1993 1992 1991 30 (年) 72 得られる国民の豊かさ 実質賃金と名目賃金の国際比較 ⚫ 実質賃金は、過去30年横ばい。 ⚫ 名目賃金も、過去30年横ばい。他方、内閣府の「中長期の経済財政に関する試算」の成長実 現ケースとベースラインケースの双方で、足下2023年、2024年で2.4~2.5%の名目賃金上 昇を見込んでおり、これは過去30年の主要先進国並みの伸び率。 実質賃金の国際比較(絶対値) 名目賃金の国際比較(1991年を100として指数化) 80,000 280 77,463 75,000 米国 =+1.3%/年 (1991~2022) 260 220 60,000 55,000 50,000 45,000 40,000 200 52,764 フランス =+0.9%/年 (1991~2022) 140 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 2021 2022 35,000 58,940 ドイツ =+0.9%/年 (1991~2022) 53,985 英国 =+1.2%/年 (1991~2022) 日本 =+0.1%/年 41,509 (1991~2022) (年) (注)左図:2022年の米国ドル(購買力平価)で実質化した値。 右図:各国の名目賃金(自国通貨建て)について、1991年を100として、指数化した値。 (出所)OECD.stat、内閣府 270 240 70,000 65,000 米国 =+3.4%/年 (1991~2022) 英国 =+3.3%/年 (1991~2022) 279 180 215ドイツ =+2.5%/年 199(1991~2022) フランス =+2.2%/年 (1991~2022) 160 120 100 80 103 日本 =+0.1%/年 (1991~2022) 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 2021 2022 1人当たり実質賃金(ドル) (年) 73 得られる国民の豊かさ 社会保障給付費の推移・将来推計 ⚫ 医療・介護の給付費の対GDP比は、2000年の5.6%から、2020年には10.1%に増加。 ⚫ 内閣府によれば、今後20年間も増大していく見込みだが、過去20年間より増加ペースは緩やかとみられる。 これまでの社会保障給付費(医療・介護のみ) 対GDP比の推移 今後の社会保障給付費(医療・介護のみ) 対GDP比の見通し (%) 12 10.1 10 推計には以下が考慮されている。 ※「その他要因」は医療のみ考慮 ・人口構成の変化 ・単価の伸び(賃金・物価上昇率) ・その他要因(医療の高度化等) -年率1%(これまでの実績を考慮) -年率2%(医療の高度化が加速) 8 6 5.6 4 2 0 2000年度 2020年度 (注)左図(社会保障費用統計)と右図(内閣府の試算)では、対象としている給付の範囲が異なる点に留意。また、右図について、経済の前提は現状投影シナリオ(TFP 上昇率0.5%、2045年度まで労働参加が一定程度進展、出生率1.36程度まで上昇)のもの。試算結果は、厚生労働省「医療保険に関する基礎資料」、「介護給付費 等実態調査」、国立社会保障・人口問題研究所「社会保障費用統計」等により作成。2019年度は実績。試算値について、2024年度までは実績と予算等の伸び率から 推計、それ以降は、年齢階級ごとの一人当たりの医療費の伸び:0.5×消費者物価上昇率+0.5×賃金上昇率+その他要因、一人当たり 介護費の伸び:0.35×消費 者物価上昇率+0.65×賃金上昇率、として推計。中長期試算延伸後の賃金上昇率には、就業者一人当たり名目GDP成長率を使用。 給付については、保険給付とし、 医療・介護扶助や地方単独事業等による公的給付等は含んでいない。公費負担は現行の各制度の負担率を用い、保険料負担は残差として計算。(※試算の詳細や方 法等については内閣府の資料を参照のこと。) (出所)左図:国立社会保障・人口問題研究所「社会保障費用統計」、右図:内閣府「令和6年第3回経済財政諮問会議 資料5」 74 得られる国民の豊かさ 高齢期の就労 ⚫ この15年間、平均寿命と健康寿命の双方が延伸、平均寿命と健康寿命の差は横ばい・微減。 ⚫ 世論調査によれば、66歳以上も仕事をしたい(仕事をした)との回答が、前回(2018年) 調査の37.6%から5ポイント増加して42.6%となった。 平均寿命・健康寿命の推移(男性) 85.0平均寿命と健康寿命の差(右軸) 平均寿命(左軸) 78.6 81.4 80.0 75.0 9.2 69.5 健康寿命(左軸) 70.0 72.7 8.7 65.0 2004 「66歳以上も仕事をしたい(した)」人の割合(世論調査) 9.5 (%) 9.0 8.5 40 平均寿命・健康寿命の推移(女性) 85.0 85.6 12.9 75.0 72.7 平均寿命(左軸) 健康寿命(左軸) 87.5 75.4 2004 39 13.0 38 12.5 37 12.0 36 11.5 35 12.1 65.0 2019 42 41 2019 95.0平均寿命と健康寿命の差(右軸) 42.6 43 37.6 2018年11月調査 2023年11月調査 (注)右図:2018年11月調査は調査員による個別面接聴取法、2023年11月調査は郵送法で実施しており、それぞれ実施方法が異なる点には留意が必要。 (出所)左図:厚生労働省「簡易生命表」、厚生労働省「第16回健康日本21(第二次)推進専門委員会資料」、右図:内閣府「生活設計と年金に関する世論調査」 75 日本の経済構造 ※ (万ドル) 実 9.0 中質 国賃 、金 イ ン ド は 一 人 当 た り 労 働 生 産 性 各国の実質GDPと実質賃金の関係 ▲…1991年、●…2020年、 …2040年 8.0 7.0 米国 6.0 英国 ドイツ 5.0 日本 韓国 ※内閣府「中長期の経済財政に関する試算」の成長実現ケースの延長 4.0 フランス 日本 3.0 (企業部門の投資超過、賃金上昇の継続) 日本 ※内閣府「中長期の経済財政に関する試算」のベースラインケースの延長 (企業部門の貯蓄超過、賃金上昇の停滞) 2.0 インド※参考値 中国※参考値 1.0 0.0 0.0 5.0 10.0 15.0 20.0 25.0 実質GDP(兆ドル) (注) 縦軸:2022年の米国ドル(購買力平価ベース)で実質化した平均賃金 横軸:2015年の米国ドル(購買力平価ベース)で実質化したGDP ※中国とインドは、OECD.statに実質賃金が掲載されていないため、参考値として一人当たり労働生産性を用いた。一人当たり労働生産性は、 2015年の米国ドル(購買力平価ベー ス)で実質化したGDPを、労働力人口(世界銀行)で割ったもの。 ※2040年の日本の実質GDPと実質賃金は、内閣府の「中長期の経済財政に関する試算」の2033年度の実質GDP成長率、賃金上昇率(消費者物価)、物価上昇率を用いて、経 済産業省が試算。 76 (出所)OECD.stat、世界銀行、内閣府 日本の経済構造 経常収支とその内訳の推移 ⚫ 国内生産・輸出モデルから、対外直接投資を通じた海外展開モデルへの移行も進み、貿易収支 黒字は縮小し、経常黒字は投資収益により支えられる。 貿易・サービス収支、投資収益、経常収支の推移(1996-2023) (兆円) 40 35.1 経常収支 30 35.0 投資収益 貿易収支 19.5 20 21.4 19.4 14.1 13.6 12.7 16.0 7.7 10 11.4 9.5 7.5 9.0 6.2 2.8 0 -1.1 -1.0 -5.3 -10 -6.7 -2.9 -1.1 サービス収支 -4.2 -2.7 -2.7 -3.7 その他(第二次所得収支等) -6.5 -2.6 -5.6 -15.5 (注)「投資収益」とは、第一次所得収支の内数であり、直接投資収益+証券投資収益+その他投資収益の和に相当する。 (出所)財務省「国際収支統計」に基づき作成 2023 2022 2021 2020 2019 2018 2017 2016 2015 2014 2013 2012 2011 2010 2009 2008 2007 2006 2005 2004 2003 2002 2001 2000 1999 1998 1997 1996 -20 (年) 77 日本の経済構造 貿易収支の推移 ⚫ 貿易収支は、近年赤字傾向。自動車等の輸送用機器や半導体等製造装置等の一般機械が 輸出を牽引しているが、資源価格の変動による影響を受けやすい石油や石炭、天然ガス等の鉱 物性燃料、食料品、電気機器により赤字に陥っている。 貿易収支の推移 (兆円) 50 40 貿易収支 一般機械 電気機器 30 輸送用機器 20 10 0 -10 -20 食料品 -30 鉱物性燃料 -40 その他 (注)主要商品別の貿易収支。その他は、「原料品」、「化学製品」、「原料別製品」、「その他」の合計。 (出所)財務省「貿易統計」に基づき作成 2023 2022 2021 2020 2019 2018 2017 2016 2015 2014 2013 2012 2011 2010 2009 2008 2007 2006 2005 2004 2003 2002 2001 2000 1999 1998 1997 1996 1995 1994 1993 1992 1991 1990 1989 1988 -50 (年) 78 日本の経済構造 第一次所得収支 ⚫ 日本の第一次所得収支は、直接投資収益を要因として、全体として増加傾向にある。他方、直 接投資収益の約半分は海外で再投資されており、国内に戻っていない。 第一次所得収支の推移 直接投資収益における再投資収益の割合 (兆円) (兆円) 40 利子所得(左軸) 30 再投資収益の割合 (右軸) その他 35 25 60% 56.4% 52.8% 50% 46.8% 30 25 20 直接投資収益 40% 配当金・配当済支店収益 (左軸) 15 20 証券投資収益 15 30% 10 20% 10 5 再投資収益(左軸) 10% 5 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 2021 2022 2023 (年) 0% (年) 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 2021 2022 2023 0 0 (注) 左図:「ネット」の額を利用。その他は、「雇用者報酬」、「その他投資収益」、「その他第一次所得」の合計。 右図:再投資収益(子会社の内部留保)、配当金・配当済支店収益(親会社と子会社の間で受払された利益配当金および支店の収益のうち本社に送金されたもの)、利子所 得(貸付け・借入れ利子や債券利子)はすべて「受取」の額を利用。 再投資収益の割合=再投資収益 ÷(再投資収益+配当金・配当済支店収益+利子所得)で計算。 (出所)日本銀行「国際収支統計」 79 日本の経済構造 日本の対外純資産負債残高の推移 ⚫ 日本の企業や個人、政府が海外に持つ資産から、負債を引いた対外純資産残高は前年比 7,204億円増の418兆円と5年連続増加しており、32年連続で世界最大の対外純資産国と なっている。 本邦対外資産負債残高の推移 (兆円) (兆円) 1,600 450 対外純資産(右軸) 400 1,400 350 1,200 300 1,000 資産残高(左軸) 800 250 負債残高(左軸) 200 600 150 400 100 2022 2021 2020 2019 2018 2017 2016 2015 2014 2013 2012 2011 2010 2009 2008 2007 2006 2005 2004 2003 2002 2001 2000 1999 0 1998 0 1997 50 1996 200 (年) (注)資産残高とは日本の居住者(政府、企業、個人)が非居住者に対して有する、金銭的価値で評価でき、金銭の支払により履行を請求し得る資産を指す。負債残高とは 日本の居住者(政府、企業、個人)が非居住者に対して有する、金銭的価値で評価でき、金銭の支払により履行し得る負債を指す。 (出所)財務省「本邦対外資産負債残高」 80 日本の経済構造 日本のサービス収支の推移と国際比較 ⚫ サービス収支は、足下でインバウンドを背景とした旅行収支が伸びているものの、デジタル関連分 野の大幅な赤字により、世界と比較しても、全体の赤字が多い。 日本のサービス収支の推移 (兆円) 6 (億ドル) 3,000 その他 サービス収支の国際比較(2021年) 2,500 4 旅行 2,000 2 1,500 0 1,000 -2 500 -4 0 研究開発サービス デジタル関連収支 -500 2023 2022 2019 2018 2017 2016 2015 2014 -8 2021 サービス収支 2020 -6 -1,000 EU 米国 英国 フランス ドイツ 日本 (注1)デジタル関連収支は、日銀レビューの分類を基に、①~③の合計として算出。 (年) ①通信・コンピューター・情報サービス:ソフトウェアの委託開発やクラウド・サービス、オンライン会議システムの利用、ソフトウェアのサブスクリプション契約料等 ②専門・経営コンサルティングサービス:法務、会計・経営コンサルティング、広報、広告・市場調査に係る取引、 ③著作権等使用料:著作物(コンピュータソフトウェア、音楽、映像、キャラクター、文芸、学術、美術等)を複製して頒布(販売、無償配布等)するための使用許諾料 (ライセンス料)等。 (注2)研究開発サービス収支は、研究開発に関わるサービス取引のほか、研究開発の成果である産業財産権の売買を計上 (注3)旅行収支とは、ある国に滞在中の非居住者(旅行者)が自ら使用するため、または贈与するために滞在先で取得した財貨とサービスを計上。 (出所)左図:日本銀行「国際収支統計」、 日銀レビュー「国際収支統計からみたサービス取引のグローバル化」を基に作成。右図:OECD.statを基に作成。 81 日本の経済構造 デジタル関連収支の国際比較 ⚫ コンピュータ関連サービスやコンサル費用、著作権等使用料からなるデジタル関連収支での赤字 は、日本が突出している。 デジタル関連収支の国際比較(2021年) (億ドル) 1,200 著作権等使用料 1,000 800 600 デジタル関連収支 400 200 0 -200 専門・経営コンサルティングサービス -400 -600 通信・コンピュータ・情報サービス 米国 英国 ドイツ フランス 韓国 日本 (注)デジタル関連収支は、日銀レビューの分類を基に、①~③の合計として算出。 ①通信・コンピューター・情報サービス:ソフトウェアの委託開発やクラウド・サービス、オンライン会議システムの利用、ソフトウェアのサブスクリプション契約料等 ②専門・経営コンサルティングサービス:法務、会計・経営コンサルティング、広報、広告・市場調査に係る取引 ③著作権等使用料:著作物(コンピュータソフトウェア、音楽、映像、キャラクター、文芸、学術、美術等)を複製して頒布(販売、無償配布等)するための使用許諾料(ライ センス料)等。ドイツ、フランスの著作権等使用料は、EUが知的財産権等使用料の内訳を開示していないため、著作権等使用料と産業財産権等使用料の双方を対象として 算出。 (出所)BUSSINES INSIDER (2024年4月 みずほ銀行チーフマーケット・エコノミスト唐鎌大輔氏)、日本銀行「国際収支統計」、日銀レビュー「国際収支統計からみたサービス 82 取引のグローバル化」、OECD.statを基に作成 日本の経済構造 家計、企業、政府の経済活動のISバランス ⚫ 家計は継続的に黒字。1990年代後半以降は、企業も黒字となり、政府が一貫して赤字主体と なっている。企業は、1990年代以前は旺盛な国内投資により投資超過であったが、1990年代 後半からは債務返済に伴い、2000年代からは海外投資を増やす中で、貯蓄超過主体となってき た。 部門別資金過不足(対GDP比) (%) 15 企業の 海外投資 企業の 債務返済 10 5 0 企業の国内 投資が旺盛 -5 -10 企業 -15 1955 1960 1965 1970 1975 1980 家計 1985 1990 (注)1955-79年度までは68SNA、1980-93年度までは93SNA、1994年度以降は08SNA。 (出所)内閣府「国民経済計算」 海外(海外のマイナスは経常黒字を意味) 1995 2000 2005 2010 2015 政府 2020 (年度) 83 第2次以降の進捗 「国内投資促進パッケージ」について ➢ 昨年12月に「国内投資促進のための官民連携フォーラム」を開催し、政府(11府省庁連名)から 予算・税・規制のあらゆる面で世界に伍して競争できる「国内投資促進パッケージ」を公表。 ➢ 経済界からも、改めて国内投資拡大を継続する決意を表明することで、政府・経済界一丸となって、経 済を新たなステージに移行していくという機運を醸成。 ~過去最高水準(今年度100兆円規模)から拡大継続し、2027年度115兆円超の目標実現を通じて「成長型経済」へ~ 国内投資促進パッケージ これまでの日本経済 「コストカット型」 国内投資↓: 賃金・所得↓: 物価水準↓: 「物価も賃金も 上がらない」 →消費・投資低迷の 悪循環 これからの日本経済 「成長型経済」 11府省庁、約200事業にわたる 国内投資促進に資する 予算・税・規制など幅広い施策を位置づけ 潮 目 の 変 化 分野別の戦略投資 横断的な取組 ✓ GX、DX等 ✓ インフラ ✓ 観光・ヘルスケア グローバル ✓人への投資 ✓ 中堅・中小・ スタートアップ ✓ 研究開発・ イノベーション ✓輸出支援 ✓ 対内直接投資の加速 国内投資↑: 大 き な 流 れ 賃金・所得↑: 物価水準 : 「賃金も物価も 上がり続ける」 →消費・投資拡大の 好循環 84 第2次 以降の進捗 令和2年度・令和3年度補正予算により、既に動き出している主な国内投資案件 経済産業省の令和2年度・令和3年度補正予算の国内投資支援策 <DX>・先端半導体の国内生産拠点の確保(R3補正 6,170億円) <GX>・サプライチェーン上不可欠性の高い半導体の生産設備の脱炭素化・刷新事業(R3補正 470億円) ・蓄電池の国内生産基盤確保のための先端生産技術導入・開発促進事業(R3補正 1,000億円) <健康>・ワクチン生産体制強化のためのバイオ医薬品製造拠点等整備事業(R3補正 2,273.8億円) ・マスク・アルコール消毒液等生産設備導入補助事業(R2補正 29.1億円) ・アビガン・人工呼吸器等生産のための設備整備事業(R2補正 87.7億円) ・感染症対策関連物資生産設備補助事業(R2補正 22.1億円) <その他>・サプライチェーン対策のための国内投資促進事業費補助金(R2補正等 5,168億円) ・中小企業等事業再構築促進事業(R2・R3補正 1兆7,608億円) バイオ 阪大微生物病研究会 半導体 三菱電機 再生可能エネルギー JFEスチール 再生可能エネルギー JFEエンジニアリング 382億円 半導体 SUMCO 2015億円の内数 バイオ JCRファーマ 200億円 物流 歯愛メディカル 210億円 半導体 ミツミ電機 108億円 半導体 東芝デバイス& ストレージ (加賀東芝エレ クトロニクス) 蓄電池 プライムプラネットエナジー& ソリューションズ/トヨタ自動車 4000億の内数 蓄電池 BASF戸田 バッテリー マテリアルズ 半導体 富士電機 バイオ 富士フイルム バイオ 第一三共 蓄電池 日本重化学工業 半導体 デンソー岩手 バイオ 塩野義製薬 223億円 半導体 凸版印刷 半導体 キオクシア岩手 553億円 医薬品 小林製薬 200~250億円 蓄電池 東北村田製作所 バイオ ARCALIS 化学 カネカ 半導体 マイクロンメモリジャパン 1394億円 バイオ ニプロファーマ 蓄電池 クレハ 金属 JX金属 半導体 JASM 86億ドル 蓄電池 信越化学 化学 双日・メキシケム ジャパン 蓄電池 三洋・ パナソニックエナジー バイオ KMバイオロジクス 蓄電池 住友金属鉱山 470億円 半導体 ソニーセミコンダクタ マニュファクチャリング 883億円 蓄電池 半導体 バイオ・医薬品 金属・素材 再生可能エネルギー 化学 物流 バイオ タカラバイオ 半導体 デンソー 131億円 半導体 キオクシア等 2788億円 医薬品 健栄製薬 129億円 蓄電池 トヨタ自動車/ 豊田自動織機 (出所)令和5年4月6日「国内投資拡大のための官民連携フォーラム」資料2より引用 蓄電池 エンビジョンAESC 1000億円超 半導体 JSR 蓄電池 東芝 バイオ タウンズ 物流 富岳通運 242億 バイオ AGC 半導体 AGCエレクトロニクス 半導体 ルネサスエレクトロニクス 124億円 半導体 レゾナック ※掲載した予算事業で採択された案件のうち、一定額以上の案件を掲載。自社HP等からの引用含む。 85 第2次 以降の進捗 令和4年度補正予算により、既に動き出している主な国内投資案件 経済産業省の令和4年度補正予算の国内投資支援策 <DX>・先端半導体の国内生産拠点の確保(R4補正 4,500億円) ・ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業(R4補正 4,850億円) <安保>・経済環境変化に応じた重要物資サプライチェーン強靭化支援事業(R4補正 9,582億円) <健康>・バイオものづくり革命推進事業(R4補正 3,000億円) ・ワクチン生産体制強化のためのバイオ医薬品製造拠点等整備事業(R4補正 1,000億円) <その他>・サプライチェーン対策のための国内投資促進事業費補助金(R4補正等 5,273億円) ・中小企業等事業再構築促進事業(R4補正 5,800億円) 航空機 日本エアロフォージ 半導体 マイクロン 5,510億円 機器 EVモーターズ・ ジャパン セメント 住友大阪セメント 蓄電池 メキシケムジャパン 51億円 蓄電池 東海カーボン 37億円 セメント UBE三菱セメント 蓄電池 旭化成 170億円 蓄電池 関東電化工業 46億円 部品 麗光 19.9億円 バイオ ワイエムシィ 蓄電池 日伸工業 25億円 部品 二豊鉄工所 17.8億円 部品 サンエー精機 19.0億円 半導体 レゾナック 309億円 バイオ 旭化成メディカル 蓄電池 クレハ 199億円 部品 三協リール 14.9億円 半導体 大陽日酸 バイオ シオノギファーマ 部品 廣野鐵工所 14.9億円 バイオ ARCALIS 半導体 ルネサス 477億円 蓄電池※技術開発 デンカ 67億円 部品 エッチ・エム・イー 14.1億円 蓄電池※技術開発 パナソニックエナジー 92億円 蓄電池 日亜化学工業 124億円 蓄電池 宇部マクセル 33億円 蓄電池 トヨタほか 3,300億円 蓄電池 愛三工業 53億円 蓄電池 宇部マクセル京都 27億円 (出所)令和5年10月4日「国内投資拡大のための官民連携フォーラム」資料2より引用 クラウド ソフトバンク 200億円 蓄電池 レゾナック 51億円 バイオ モデルナ・ジャパン 蓄電池 半導体 バイオ・医薬品 クラウド 部品、機器 その他 生活製品 サンワ 16.7億円 半導体 キヤノン 333億円 イビデン 半導体 SUMCO 2,250億円 セメント 太平洋セメント 58.5億 半導体 ラピダス 2,600億円 蓄電池 ホンダ・GSユアサ・ 半導体 部品 ブルーエナジー 新光電気工業 堅田電機 4,341億円 533億円 30.6億円 化学 バイオ ダイセル 日本マイクロ バイオファーマ 半導体 半導体 住友電工 300億円 クラウド さくらインターネット 135億円 バイオ 佐竹マルチミクス バイオ 武州製薬 バイオ 富士フイルム バイオ Meiji Seikaファルマ 86 ※掲載した予算事業のうち、一定額以上の案件を掲載。 ※マッピングは都道府県単位であり、市町村以下の場所は反映せず。 第2次以 降の進捗 製 造 業 運 輸 く ら し 等 GX経済移行債による投資促進策(案) 官民 投資額 GX経済移行債による主な投資促進策 措置済み (国庫債務負担行為込) (R4補正~R5補正) ※R6FY予算額:緑下線 【約3兆円】 鉄鋼 化学 紙パルプ セメント 3兆円~ ・製造プロセス転換に向けた設備投資支援(革新電炉、分 3兆円~ 解炉熱源のアンモニア化、ケミカルリサイクル、バイオケミカル、CCUS、 1兆円~ バイオリファイナリー等への転換) 1兆円~ 自動車 34兆円~ 蓄電池 7兆円~ 航空機 4兆円~ ・次世代航空機のコア技術開発 SAF 1兆円~ ・SAF製造・サプライチェーン整備支援 船舶 3兆円~ ・ゼロエミッション船等の生産設備導入支援 くらし 14兆円~ ・高効率給湯器の導入 5年:4,844億円 (327億円) ・電動車(乗用車)の導入支援 ・電動車(商用車)の導入支援 2,191億円 545億円 ・生産設備導入支援 5,974億円 ・定置用蓄電池導入支援 ・家庭の断熱窓への改修 ・商業・教育施設等の建築物の改修支援 12兆円~ ・パワー半導体等の生産設備導入支援 ・AI半導体、光電融合等の技術開発支援 水素等 エ ネ ル ギ ー 2,300億円 (2,300億円) 3年:400億円 (85億円) 2,350億円 580億円 339億円 4,329億円 1,031億円 7兆円~ 原子力 1兆円~ ・次世代革新炉の開発・建設 CCS 4兆円~ ・CCSバリューチェーン構築のための支援(適地の開発等) 分野横断的措置 891億円 ・年度内に策定する「次世代航空機戦略」を踏まえ検討 ・別途、GI基金でのSAF、次世代航空機のR&D支援、 SAFの生産量等に応じた税額控除を措置 ・別途、GI基金でのアンモニア船等へのR&D支援を措置 ・別途、GI基金での熱分解技術等へのR&D支援を措置 5年:4,570億円 (89億円) ・価格差に着目した支援策の総額は供給開始から 15年間で3兆円規模 ・別途、GI基金でのサプライチェーンのR&D支援を措置 ・拠点整備は別途実施するFSを踏まえて検討 5年:4,212億円 (548億円) ・設備投資等への支援総額は10年間で1兆円規模 ・別途、GI基金でのペロブスカイト等のR&D支援を措置 3年:1,641億円 (563億円) 3,400億円 ・GI基金等によるR&D 8,060億円 410億円 ・GX実装に向けたGX機構による金融支援 税制措置 ・2,300億円は経済安保基金への措置 ・別途、GI基金での全固体電池等へのR&D支援を措置 ・先進的なCCS事業の事業性調査等の結果を踏まえ検討 ・中小企業を含め省エネ補助金による投資促進等 ・ディープテック・スタートアップ育成支援 ・地域脱炭素交付金(自営線マイクログリッド等) ・4分野(鉄、化学、紙、セメント)の設備投資への支援 総額は10年間で1.3兆円規模 ・別途、GI基金での水素還元等のR&D支援、グリーンスチール/ グリーンケミカルの生産量等に応じた税額控除を措置 ・別途、GI基金でのパワー半導体等へのR&D支援を措置 ・水素等の供給拠点の整備 次世代 ・ペロブスカイト太陽電池、浮体式洋上風力、水電解装置 31兆円~ のサプライチェーン構築支援と、ペロブスカイトの導入支援 再エネ ※設備投資(製造設備導入)支援の補助率は、原則 中小企業は1/2、大企業は1/3 ・自動車等も含め、3年間で2兆円規模の支援を措置 (GX経済移行債以外も含む) 3年:300億円 (85億円) ・既存原燃料との価格差に着目した支援 分野別投資戦略(2023年12月公表)より抜粋 備考 ・別途、GI基金での次世代蓄電池・モーター、合成燃料等の R&D支援、EV等の生産量等に応じた税額控除を措置 5年:3,368億円 (276億円) 5年:600億円 (94億円) 資源循環 2兆円~ ・循環型ビジネスモデル構築支援 半導体 R6FY以降の支援額 ・令和2年度第3次補正で2兆円(一般会計)措置 1,200億円 30億円 ・グリーンスチール、グリーンケミカル、SAF、EV等の生産量等に応じた税額控除を新たに創設 ・3年間で7000億円規模の支援 ・5年間で2000億円規模の支援(GX機構のファイナンス支援を含む) ・債務保証によるファイナンス支援等を想定 60億円 ※上記の他、事務費(GX経済移行債の利払費等)が596億円 R6FY以降の支援額:2兆3,905億円(赤の合計)(R6FY予算額:6,036億円(緑下線))【措置済み額と青字を含めると約13兆円を想定】 87 第2次以降の進捗 1兆9867億円 半導体の国内生産拠点整備支援 R5年補正予算 (経済安保基金、先端半導体基金、ポスト5G 基金の合計。※既存基金残金含む。半導体以 外のAIや5Gも含む経済産業省分のみの額。) ⚫ 先端・次世代半導体の国内生産拠点の整備、研究開発等を支援。 ⚫ 地域の関連事業及び人材の集積・育成を通じて、地方経済の活性化にもつなげる。 取組 効果 ⚫ 大規模な国内生産拠点整備等の支援 TSMCを始めとした電子デバイス関連 産業集積に伴う熊本県内への効果 (2022-2031年) 経済波及効果 TSMC 熊本第1工場 ラピダス 北海道 GDP影響額 ⚫ 国内生産拠点立地に向けた環境整備 工業用水等の関連インフラ整備も支援。 ⚫ 関連事業及び人材の集積・育成の支援 関連する法令・予算 +約6.9兆円(10年累計) +3.4兆円(10年累計) (2020年度県内GDP:6.1兆円) 関連産業 +10,700名(2022年比) 含む雇用 (2021年度県内従業者数:71万人) (出典)九州フィナンシャルグループによる試算 (注)JASM第1工場、ソニー・三菱電機の投資を含む。JASM 第2工場は含まず。 ・先端半導体の国内生産拠点の確保(予算/経済産業省) ・ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業(予算/経済産業省) ・地域産業構造転換インフラ整備推進交付金(予算/内閣府) 等 88 第2次以降の進捗 ⚫ 中堅企業成長促進パッケージ 第6回中堅ワーキンググループにて取りまとめた取組方針の重点4本柱をもとに、12府省庁・全190の施策 をまとめた。このうち、特に中堅企業の成長促進に効果的な18の施策を厳選しパッケージを作成。 1.国内投資拡大・イノベーションの促進 3.外需獲得(グローバル展開・インバウンド取込)の支援等 1.企業立地・投資への支援 • 中堅・中小企業の賃上げに向けた省力化等の大規模成長投資補 助金【経産省】 1.海外への販路開拓支援 • 効率的な輸出物流の構築・輸出向けHACCP等対応施設の整 備【農水省】 • 農林水産物・食品輸出プロジェクト(GFP)【農水省】 • 中堅・中小建設企業の海外進出支援業務【国交省】 2.設備投資・生産性向上 • 大規模投資促進のための地域未来投資促進税制の拡充【経産省】 3.地域課題の解決 • ローカル10,000プロジェクト【総務省】 4.GX・DX等への投資 • 物流業務の自動化・省人化、輸送効率化、デジタル化【国交省】 2.良質な雇用の実現 1.中堅・中小企業の賃上げ • キャリアアップ助成金【厚労省】 • 賃上げ促進税制における中堅企業枠の創設【経産省・中企庁】 2.リ・スキリングによる能力向上支援 • 人材開発支援助成金【厚労省】 3.地域における人材の育成獲得・インターンシップの促進 • プロフェッショナル人材事業、先導的人材マッチング事業【内閣官房・内閣府】 • 地域企業経営人材マッチング促進事業【金融庁】 4.海外からの人材・資金を呼び込むためのアクションプラン等の推進 • マッチングイベント等の実施による特定技能制度の活用促進【入管庁】 2.海外展開への支援 • 開発途上国の課題解決型ビジネスづくり支援【外務省】 • HACCP等への対応支援【農水省】 3.インバウンド戦略の展開 • 特別な体験の提供等によるインバウンド消費の拡大・質向上推 進事業【国交省】 4.経営基盤の強化・整備 1.経営力の向上 • 新事業展開等への集中支援【経産省】 2.経営改善・事業再生 • 中堅・中小グループ化税制【経産省・中企庁】 その他施策はこちら 施策PR集:首相官邸HP 89 第2次以降の進捗 新たな事業の創出及び産業への投資を促進するための産業競争力強化法等 の一部を改正する法律の概要 (※) ※産業競争力強化法(産競法)、投資事業有限責任組合契約に関する法律(LPS法)、独立行政法人工業所有権情報・研修館法(INPIT法) 、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構法(NEDO法) 背景 ✓ 我が国経済では、地政学的リスクの拡大といったマクロ環境の変化と、気候変動やデジタル化といった人類や社会の課題解決に資する大規模・長期・計画的な支援を行う新たな産業 政策(経済産業政策の新機軸)により、30年ぶりの高水準の賃上げ・国内投資という「潮目の変化」が生じている。 ✓ 足下のインフレは輸入物価上昇を中心とするインフレだが、こうした潮目の変化を持続化することで賃上げ・経済活性化を伴うインフレとなるよう、国内投資により供給力を強化し、日 本経済を成長軌道に乗せていくため、「戦略的国内投資の拡大」と「国内投資拡大に繋がるイノベーション及び新陳代謝の促進」といった新機軸の取組強化を通じて、我が国経済 の構造改革を実現することが必要。 法律の概要 1. 戦略的国内投資の拡大に向けて、戦略分野への投資・生産に対する大規模・長期の税制措置及び研究開発拠点としての立地競争力を強化する税制措置を講じる。 2. 国内投資拡大に繋がるイノベーション及び新陳代謝の促進に向けて、我が国経済のけん引役である中堅企業・スタートアップへの集中支援等の措置を講じる。 1.戦略的国内投資の拡大 ① 国際競争に対応して内外の市場を獲得すること等が特に求められる商品を定義し (電気自動車等、グリーンスチール、グリーンケミカル、持続可能な航空燃料(SAF)、 半導体)、これを生産・販売する計画を主務大臣が認定した場合、以下を措置 ➢ 戦略分野国内生産促進税制(物資毎の生産・販売量に応じた税額控除) - EV40万円/台、グリーンスチール2万円/トン等の生産・販売量に応じた税額控除 ➢ 日本政策金融公庫による大規模・長期の金融支援(ツーステップローン) ② 政府が事業活動における知的財産等の活用状況を調査できる規定を新設し、一定の 知的財産を用いていることを確認できた場合には以下を措置 ➢ イノベーション拠点税制(イノベーションボックス税制) - 対象知財:国内で自ら研究開発して生み出した、特許権及びAI関連ソフトウェアの著作権 - 対象所得:対象知財のライセンス所得及び譲渡所得 - 30%の所得控除(法人実効税率ベースでは、29.74%を約20%相当まで引下げ) 2.国内投資拡大に繋がるイノベーション及び新陳代謝の促進 (1)中堅企業関連措置 (2)スタートアップ企業関連措置 ③ 常用従業員数2,000人以下の会社等(中小企業者除く)を「中堅企業者」、特に 賃金水準が高く国内投資に積極的な中堅企業者を「特定中堅企業者」と定義。 ④ 産業革新投資機構(JIC)が有価証券等の処分を行う期限を2050年3月末までに 延長(現在の期限は2034年3月末) 特定中堅企業者等について、成長を伴う事業再編の計画を主務大臣が認定し、 以下を措置 ➢ 中堅・中小グループ化税制(特定中堅企業者又は中小企業者が、複数回の M&Aを行う場合の税制優遇) - 株式取得価額の最大100%・10年間、損失準備金として積立可能に ➢ 日本政策金融公庫による大規模・長期の金融支援(ツーステップローン) ➢ 知財管理に関するINPITの助成・助言 等 ※別途、特定中堅企業者が地域未来投資促進法の計画承認を受けた場合に、設備 投資減税を拡充(最大6%の税額控除 ※現行は最大5%) ⑤ NEDOによるディープテック・スタートアップの事業開発活動への補助業務の追加 ⑥ LPS(投資事業有限責任組合)の取得可能資産への暗号資産の追加 等 ⑦ スタートアップがストックオプションを柔軟かつ機動的に発行できる仕組み(ストックオプ ション・プール)の整備(株主総会から取締役会に委任できる内容・期間を拡大) (3)企業横断的措置 ⑧ 企業・大学等の共同研究開発に関する、標準化と知的財産を活用した市場創出の計 画を主務大臣が認定し、INPIT・NEDOが助言 ※その他、事業適応計画における成長発展事業適応の廃止や特定新事業開拓投資事業計画の廃止等の措置を講ずる。 ※産競法については、平成25年制定時に規定された同法第23条第5項第4号及び平成30年改正時に改正された同法第107条 90 第2次以降の進捗 戦略分野国内生産促進税制 ⚫ 世界で戦略分野の国内投資を促進する政策競争が活発化する中、日本の産業構造なども踏まえたうえで、 総事業費が大きく、特に生産段階でのコストが高い分野について、生産・販売量に応じた投資促進税制等 を講じる。 背景・課題 国際的な 産業政策 競争 改正内容 ・米国のIRA法、CHIPS法や欧州のグリー ン・ディール産業計画をはじめ、戦略分 野に関する投資を自国内に誘導する ための国際的な産業政策競争が活 発化。 ①内外の市場を獲得すること等が特に求められる商品を 産業競争力基盤強化商品※として法律上位置付け。 ・こうした中で、日本も、中長期的な経 済成長を牽引する戦略分野において、 世界に伍して競争できる投資促進策 が必要。 ②企業の産業競争力基盤強化商品の生産・販売計画 (事業適応計画)を認定する制度を規定し、認定を 受けた場合、以下の措置を講じる。 ※電気自動車等(EV・FCV・PHEV)、グリーンスチール、グリーン ケミカル、SAF、半導体(マイコン・アナログ) ➢ 産業競争力基盤強化商品の生産・販売量に応 じた税制措置(戦略分野国内生産促進税制) 生産段階 のコスト が高い 投資 ・戦略分野の投資の中には、総事業費 が大きく、特に生産段階でのコストが高 く、初期投資促進策だけでは国内の 投資判断が容易でない事業も存在。 ※対象商品ごとに税額控除額を設定(次ページ参照) ➢ 日本政策金融公庫によるツーステップローン 91 第2次以降の進捗 戦略分野国内生産促進税制の制度概要 大胆な国内投資促進策とするための措置 ⚫ 対象物資ごとの生産・販売量に応じた税額控除措置 ➢ 戦略的に取り組むべき分野として、産業競争力強化法に対象物資を法定 ➢ 本税制の対象分野のうちGX分野については、GX経済移行債による財源を活用 (電気自動車等、グリーンスチール、グリーンケミカル、SAF) ⚫ 産業競争力強化法に基づく事業計画の認定から10年間の措置期間+最大4年※の繰越期間 ⚫ 法人税額の最大40%※を控除可能とする等の適切な上限設定 ※ 半導体については繰越期間3年、法人税の20%まで控除可能 対象物資ごとの単位あたり控除額 物資 EV・FCV 控除額 物資 40万円/台 電気自動車等 軽EV・PHEV グリーンスチール 20万円/台 半 2万円/トン 導 グリーンケミカル 5万円/トン 持続可能な航空燃料(SAF) 30円/リットル 体 マイコン アナログ半導体 (パワー半導 体含む) 控除額 28-45nm相当 1.6万円/枚 45-65nm相当 1.3万円/枚 65-90nm相当 1.1万円/枚 90nm以上 7千円/枚 パワー(Si) 6千円/枚 パワー(SiC, GaN) 2.9万円/枚 イメージセンサー 1.8万円/枚 その他 4千円/枚 (注)競争力強化が見込まれる後半年度には、控除額を段階的に引き下げる。(生産開始時から8年目に75%、9年目に50%、10年目に25%に低減) 半導体は、200mmウェハ換算での単位あたり控除額。 92 第2次以降の進捗 イノベーション拠点税制(イノベーションボックス税制) ⚫ イノベーション拠点税制は、研究開発の成果として生まれた無形資産から生じるアウトプットに着目し、特許等 の知的財産から生じる所得に減税措置を適用する制度。 ⚫ 研究開発の事業化による継続的なイノベーションの強化、海外と遜色ない研究開発環境の整備、また、ソフト ウェアをはじめとする知的財産の創出や研究開発投資の後押しといった観点から、我が国でも新たに創設。 背景・課題 継続的な イノベー ション の強化 海外と遜 色ない 研究開発 環境 の整備 ソフトウェア 開発支援 ・国際的にイノベーションを生み出す競 争が激化。 ・諸外国と比べ、我が国企業の研究 開発費の伸びは低調。研究開発の 事業化を促し、研究開発の原資を拡 大することが必要。 ・企業活動が海外に広がる中、研究 開発拠点の選択において、税制など の事業環境の整備が重要。 ・諸外国は「研究開発税制」に加え、 イノベーションボックス税制を導入す る中、海外に遜色ない制度の整備が 必要。 ・ソフトウェアの重要性が高まる中、ソフ トウェアの研究開発を後押し。 改正内容 ①政府が企業の知財の活用状況等を調査できる規定を新設。 ②当該調査規定に基づき、ライセンス等の知財について、企業 自らが国内で創出したか等を経産省が確認。確認を受けた ものを対象に、イノベーション拠点税制を適用。 イノベーション拠点税制のイメージ : 課税所得全体 : 本税制の対象となる所得 ※ 企業が主に「国内で」、「自ら」 開発したものに限る 特許及びAI関連の ソフトウェア(※) 対象所得について、 29.74%から約20%相当まで 引下げ(法人実効税率ベース) ライセンス 所得 譲渡 所得 所得控除 30%圧縮 93 第2次以降の進捗 イノベーション拠点税制(イノベーションボックス税制)の制度概要  措置期間:7年間(令和7年4月1日施行)  所得控除率:30%  所得控除額算定式 制度対象所得 所得控除額 = 知財由来の所得 ①対象となる知的財産の範囲 ⚫ 特許権 ⚫ AI関連のソフトウェアの著作権 (令和6年4月1日以降に取得したもの) × 知財開発のための適格支出 知財開発のための支出総額 ②対象となる所得の範囲 ⚫ 知財のライセンス所得 ⚫ 知財の譲渡所得 (海外への知財の譲渡所得及び子会社等からのライセンス所得等を除く) × 所得控除率(30%) ③自己創出比率の計算方法 ⚫ 企業が主に「国内で」、 「自ら」行った研究開発の 割合 ※ 本税制の対象範囲については、制度の執行状況や効果を十分に検証した上で、国際ルールとの整合性、官民の事務負担の検証、立証責任の所在等諸 外国との違いや体制面を含めた税務当局の執行可能性等の観点から、財源確保の状況も踏まえ、状況に応じ、見直しを検討する。 94 第2次以降の進捗 中小企業事業再編投資損失準備金の拡充及び延長(中堅・中小グループ化税制) ⚫ 成長意欲のある中堅企業・中小企業が、複数の中小企業を子会社化し、親会社の強みの横展開や経営の 効率化によって、グループ一体となって飛躍的な成長を遂げることが期待される中、グループ化に向けて複数回 のM&Aを実施する場合、簿外債務リスクや経営統合リスクといった減損リスクが課題。 ⚫ こうしたリスクも踏まえ、現行の中小企業事業再編投資損失準備金を拡充・延長し、特定中堅企業にも対象を広 げ、複数回M&Aを集中的に後押しするためのインセンティブを強化する。 改正概要 【適用期限:令和9年3月末まで】 ※赤字が改正箇所 <グループ化に向けた複数回のM&A> A社 【損金算入】 成長志向を有し、優れた経営を行う企業 B株 C株 D株 B社 2回目 C社 中堅 据置期間後に取り崩し ②据置期間 (5年間) 3回目・・ D社 グループ一体での成長を実現 中小 積 立 【現行制度※1,2】 ①中小企業による 株式取得価額の 70%までを積立 株式取得 1回目 5年間均等取崩 【益金算入】 大企業 【拡充枠】 特定中堅企業・中小企業の複数回M&Aを後押し※3,4 ①積立率の上限拡大 ②据置期間の (2回目90%・ 大幅な長期化 3回目以降100%) 10年間 ※ 1 認定からM&A実施までの期間を短縮できるよう、計画認定プロセスを見直し。 ※ 2 簿外債務が発覚した等により、減損処理を行った場合や、取得した株式を売却した場合等には、準備金を取り崩し。 ※ 3 産業競争力強化法において新設する認定を受けることが要件(拡充枠は過去5年以内にM&Aの実績が必要) 。 ※ 4 中堅企業は2回目以降のM&Aから活用可能。 95 第2次以降の進捗 産業革新投資機構(JIC)の運用期限延長について ⚫ 産業革新投資機構(JIC)は、2018年9月、産業競争力強化法に基づき設立。オープンイノベーションの 推進による新産業の創出と産業競争力の強化を図るため、傘下のファンドや民間ファンドへの投資を通じて、ス タートアップ企業への支援や大規模な成長投資・事業再編等の促進に向けたリスクマネー供給を実施。 ⚫ 一方、国内スタートアップ企業への投資額は欧米と比べていまだ大きく劣後しており、特にディープテック分 野やグロースステージ等に対するリスクマネー供給が不足している状況。 ⚫ JICの運用期限は2034年3月末とされているが、一般的なファンドの運用期間(10年)を踏まえ、残り10年を 切る2024年4月以降も、ファンドに対する新規投資を可能とし、また、事業化までより長期間を要する ディープテック分野等のスタートアップやカーボンニュートラル目標を見据えたスタートアップ等も含めて十分 な支援を行うため、JICの運用期限を2050年3月末まで延長する。 背景・課題 リスク マネー 供給不足 ・国内スタートアップ企業への投資額は、 海外と比較して大きく劣後(米国の 1/50、欧州の1/10程度)。 米・欧・日のVC投資額の推移 改正内容 運用期限まで残り10年を切る2024年4月以降も、 ファンドへの新規投資決定を可能とするため、JICの運 用期限を以下のとおり延長する。 JICが投資活動を通じて保有する 有価証券や債権の処分を行う期限 <現行> 令和16年3月末(2034年3月末)まで <改正後> 令和32年3月末(2050年3月末)まで 出所:CB INSIGHTS「State of Venture 2023」 96 第2次以降の進捗 LPS法(投資事業有限責任組合契約に関する法律)の改正 ⚫ LPS法を改正し、LPSについて、出資総額の50%未満に制限される外国法人の範囲の見直し、投資対象 事業に暗号資産及び合同会社の持分の取得等の追加等を行う。 現在の規定 改正内容 LPS法 (LPSの資金供給の対象事業者・LPSの事業) ①LPSの取得・保有する株式等の総額が、出資総 額の50%未満に制限される外国法人の範囲から、 国内の事業者がその経営を実質的に支配し、又 はその経営に重要な影響を及ぼす外国法人を除 外。 第2条(定義を規定) この法律において「事業者」とは、法人(外国法人を 除く。)及び事業を行う個人をいう。 第3条(事業範囲を限定列挙) ①株式会社の株式若しくは新株予約権又は企業 組合の持分の取得・保有 ②金商法に規定する有価証券のうち政令で指定す る有価証券(社債等)の取得・保有 ③事業者に対する金銭債権又は事業者の所有す る金銭債権の取得・保有 ④外国法人の発行する株式、新株予約権若しくは 指定有価証券等の取得・保有 (既出資額の 50%未満) ②LPSが実施できる事業について暗号資産及び合 同会社の持分の取得・保有を追加。 等 国内事業者の海外進出への資金供給が容易に 暗号資産への投資によるWeb3.0スタートアップ へ の資金供給が可能に ➢ 合同会社で起業するスタートアップへの資金供給 が可能に ➢ ➢ ⇒ 暗号資産や外国法人の株式等の取得・保有に制限 97 第2次以降の進捗 賃上げ促進税制の強化 ① 大企業向けは、より高い賃上げへのインセンティブ強化に向け、更に高い賃上げ率の要件(5%、7%)を創設。 ② 中小企業向けは、赤字企業等の賃上げ後押しに向け、前例のない長期となる5年間の繰越控除措置を創設。 ③ 地域において賃上げと経済の好循環の担い手として期待される中堅企業向けの新たな枠を創設。 ④ 雇用の「質」も上げる形での賃上げの促進に向け、 ・教育訓練費を増やす企業への上乗せ措置の要件を緩和。 ・子育てとの両立支援、女性活躍支援に積極的な企業への上乗せ措置を創設。 ⑤ 「変革期間」に合わせ、3年間の措置期間とする。 改正後 【措置期間:3年間】 ❺ 継続雇用者 給与等 (前年度比) 大 ❸ 中 堅 中 小 +3% +4% +5% ❶ +7% ❹ 教育 税額 税額 訓練費 控除率 控除率 (前年度比) 10% 15% 5% +10% 上乗せ 20% 25% 両立支援 ・ 女性活躍 プラチナくるみん or プラチナえるぼし 10% +4% 25% 全雇用者 給与等 教育 税額 税額 訓練費 控除率 (前年度比) 控除率 両立支援 +1.5% 15% くるみん +2.5% 30% (前年度比) +5% 税額 最大 控除率 控除率 継続雇用者 給与等 (前年度比) 教育 税額 税額 最大 訓練費 控除率 (前年度比) 控除率 控除率 5% 35% 上乗せ +3% +4% ー ー 15% 25% 5% +20% 30% 上乗せ ー ー 全雇用者 給与等 税額 控除率 プラチナくるみん 5% 5% or 35% 上乗せ えるぼし三段階目以上 上乗せ +3% +10% 改正前 【措置期間:2年間】 ・ 女性活躍 税額 最大 控除率 控除率 10% 5% or 45% 上乗せ えるぼし二段階目以上 上乗せ (前年度比) +1.5% 15% +2.5% 30% 教育 訓練費 (前年度比) +10% 税額 最大 控除率 控除率 10% 40% 上乗せ ❷ 中小企業は、賃上げ実施年度に控除しきれなかった金額の5年間の繰越しが可能。 ※ 詳しい制度の内容については、賃上げ促進税制のパンフレットをご参照ください。 98