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産業構造審議会 総会 第32回

2023-08-04一次資料(出典)

議事録・配布資料の全文(政府公表資料より。要約でなく原文に基づく参照用)。

産業構造審議会 総会 第32回 資料産業構造審議会 総会 第32回 資料産業構造審議会 総会 第32回 資料産業構造審議会 総会 第32回 資料産業構造審議会 総会 第32回 資料産業構造審議会 総会 第32回 資料産業構造審議会 総会 第32回 資料産業構造審議会 総会 第32回 資料

議事録

第32回産業構造審議会総会 議事録 日時:令和5年8月4日(金)10:30~12:30 場所:本省17階国際会議室 1.出席者 委員出席者 対面:十倉会長、伊藤委員、鎌倉委員、國分委員、新宅委員、神保委 員、滝澤委員、武田委員、中室委員、沼上委員、浜口委員、坂 野委員、益委員、矢澤委員 オンライン: 大谷委員、大野委員、工藤委員、小林委員、御手洗委 員 経済産業省出席者 対面:西村経済産業大臣、長峯経済産業大臣政務官、飯田経済産業事 務次官、藤木大臣官房長、山下経済産業政策局長、香山官房総 務課長 オンライン:辻本技術総括・保安審議官、佐々木福島復興推進グルー プ政策調整官、松尾通商政策局長、福永貿易経済協力局 長、畠山産業技術環境局長、伊吹製造産業局長、野原商 務情報政策局長、茂木商務・サービス審議官、松山資源 エネルギー庁次長、濱野特許庁長官、須藤中小企業庁長 官 2.議題 「経済産業政策の新機軸第2次中間整理について」 「経済産業省の新たな政策評価について」 「令和6年度経済産業政策の重点(案)について」 3.議事概要 (1)事務局説明 - 1 - ○藤木官房長 (通信障害)……と思っております。こうしたことから、中ほど国内 投資の拡大とイノベーションの加速を通じた新たな経済社会構造への転換ということで、 (1)世界をリードする先端分野への投資促進、(2)イノベーションの推進の取組を進めると 同時に、(3)でございます。人手不足等の構造的課題への対応ということをしっかり図っ ていきたいと思ってございます。また(4)のところにございますが、当然国際的な経済関 係はこうした取組の大前提になるということでございますので、有志国による産業政策・ 経済安全保障の実現。さらには一番下に最重要課題と書かせていただきましたけれども、 何よりも福島復興ということは大変重要な課題でございます。さらなる加速に取り組んで まいりたいと思ってございます。 それで(1)、少しだけ中身を御紹介いたします。まず世界をリードする先端分野への投 資促進という観点からは、①GX、②デジタル社会の実現ということで、いわゆるGX、 DXを軸に進めていきたいと考えております。 GXに関しましては、今後10年で150兆円を超える大胆な官民投資を進めていくという ことで、再エネの主力電源化、原子力の活用、水素・アンモニア等の国内外のサプライチ ェーンの構築。こうしたことで世界に伍する戦略投資促進策を検討してまいります。 また、DXに関しましてはいろいろ御議論がありますけれども、生産性を大きく改善す る可能性がある生成AIといったものも出てきております。こうしたものへの対応。例え ば計算資源の量的、質的拡充ということも含めて取り組んでまいりたいと考えております。 (2)のイノベーションに関しましては、先ほどちょっと申し上げました。昨年11月にま とめたスタートアップ5カ年計画を強力に推進してまいりたいと思っておりまして、官民 ファンド等、あるいは機関投資家からのリスクマネー供給の強化、資金供給、人材確保、 出口戦略。そのための税制措置といったことも取り組んでまいりますし、イノベーション エコシステムという観点からは、研究開発拠点として日本の立地競争力を強化する。そう いった観点での税制の制度整備にも取り組んでまいりたいと思いますし、また2025年の大 阪・関西万博、いろいろ報道はありますけれども、この成功に向けた準備をしっかりと加 速してまいりたいと思っております。 3番目の構造的課題ということで、まず人手不足に対しては省人化投資を促進していく のが基本だろうと思っておりまして、税制や補助金を通じた支援。そして賃上げをさらに 動かしていくということ。それから人的資本を重視した経営ということでリスキリング、 あるいは労働移動の円滑化といった一体的な支援も考えていきたいと思っています。 - 2 - また日本経済を支える地域の中堅企業、あるいは中小企業、小規模事業の発展に向けま しては、事業再構築支援を通じた生産性の向上、それから成長志向型の中小企業を生み出 していくといったことで、政策展開を図ってまいりたいと思います。 また国内で工場の立地が進んでいることがありますが、一方でこうしたことを踏まえま すと工業用水の整備も喫緊の課題になっているところでございまして、こういったことに も取り組んでまいりたいと思います。 それから物価上昇に関しましては、何より今中小企業の皆さんから価格転嫁の対策をも う一段という御指摘を受けてございます。こういった対策をさらに進めてまいります。 国際的にはウクライナ情勢を背景として信頼あるサプライチェーンの構築ということで、 G7先進国だけではなくて、例えばインドをはじめとするグローバルサウスとの連携強化 ということも大事だと思いますし、産業政策の前提となる経済安全保障の実現に向けて、 しっかりと取り組んでまいりたいと思います。 福島に関しましては、廃炉・汚染水・処理水対策、福島の復興ということで、私どもの 全ての政策を進めていく上での大前提、基礎になるものと考えてございます。足元、AL PS処理水の海洋放出ということがございます。安全性の確保及び風評対策に徹底して取 り組むということで、しっかりと進めてまいりたいと思っております。 その後、後ろに個別の施策ごとに検討中の課題を整理させていただいておりますが、時 間の関係がございますので割愛させていただきます。 私からの説明は以上でございます。 (2)自由討議 ○十倉会長 ありがとうございました。 それでは、自由討議に入りたいと思います。討議に当たりましては事務方への御意見、 御質問だけでなく、委員の皆様方の間でも意見交換をしていただければと考えております。 今から名簿の順で私より指名いたします。お1人3分程度で御発言いただきますが、その 後、時間が許す範囲で御希望があれば再度御意見を伺いたいと思います。 それでは、あいうえお順で伊藤先生から矢澤委員まで順番に行きまして、最後に臨時委 員であります小林委員に御発言いただきます。 それでは、一巡目、伊藤先生、よろしくお願いいたします。 - 3 - ○伊藤委員 どうもありがとうございます。 新機軸部会の座長を務めさせていただいて非常に力強く感じるのは、これまではどちら かというと毎年中身を変える産業政策的イメージが多かったのですけれども、中長期的な 視点をしっかり持って粘り強く、もちろん毎年修正はあるだろうと思うのですけれども、 この姿勢を続けていただきたいと思うのです。 先ほど大臣がおっしゃったようにイノベーション、あるいは構造変化が重要であるとす ると、それをやるのは政府ではなくて民間であるわけで、民間がやるためには予見可能性 ということは極めて重要になってくるわけです。そういう意味では予見可能性ということ を意識しながら、しっかりやっていただきたいと思います。 それから今回今まで以上に感じているのは、GXやDXなどこれまで以上に踏み込んだ 産業政策を行おうとしていらっしゃるということで、今御説明があったようにグローバル 経済、あるいは政治の変化の中で対応が遅れると深刻な市場の失敗に陥るのではないかと いう危機感は、我々も共有しているところになるだろうと思うのです。 ただ、言わずもがななのですけれども、市場の失敗と同時に政府の失敗ということを常 に意識しなくてはいけない。産業政策が前に出れば出るほど、それが失敗したことのデメ リットみたいなものが非常に大きいのかなと。 先ほどもちょっと申し上げたのですけれども、結局実行する、行動するのは民間なので す。投資をするにしても、あるいは構造変化をするにしても、そうすると政府の役割は民 間の市場機能とか、市場活動を正しい方向でどこまでしっかり活性化させるか。 先ほどの整理と連携したような言い方をすれば、1つは、市場の資源配分が間違った方 向に走っていくことがないように正しい方向に誘導する。カーボンタックスなどはそうい う役割があるだろうと思います。これももう議論があって、投資やイノベーションにつな がる民間の活動をどうやって活性化させるかということが2つ目の論点で、3つ目は、市 場メカニズムの機能を阻害するいろいろなバリアとか制度をどうやって修正していくか。 この3つを中心に考えていただいて、もちろんこれだけに限定する必要はないわけですけ れども、そういう中で政府の成果をきちっとチェックするというのですか。今日も政策評 価の話がありましたけれども、さらに踏み込んで毎年毎年、あるいは毎回毎回、これが本 当によかったのかどうかということは非常に重要だろうと思うのです。 半導体とGXとDXの例で1つ申し上げたいのですけれども、市場の失敗ってケースに よって全く違うわけですよね。ですから、市場の失敗があるからGXもDXも大事だとい - 4 - う話ではなくて、では半導体でどういう市場の失敗があるのかということをきちっと押さ えておかなければいけない。 残念なのですけれども、この30年、日本は半導体が非常にうまくいかなかったのですが、 それは政府の責任もあるのかもしれませんけれども、多分大半は市場メカニズムの結果で もある。そこに政府が入り込んで、丸抱えでいろいろなことをやるだけでは多分うまくい かない。どこまでやるのか、やらないのかということを常に厳しくチェックする必要があ るのかなと。 最後に、創造的破壊について一言。今日は創造のほうを非常にしっかり議論していて、 それはそれで結構だと思うのですけれども、産業政策の大きなポイントは先端をどう伸ば すかということと同時に、うまくいかないところをどうやって撤退させていくかという面 も大きい。もちろん過度に保護主義的になると好ましい結果にならないわけですけれども、 その点もしっかり考えておかないと、全体としての創造的破壊ではなくて単なる破壊に終 わってしまうことになりかねませんので、ぜひよろしくお願いいたしたいと思います。 以上です。 ○十倉会長 ありがとうございました。 それでは、続きまして大谷委員、よろしくお願いします。 ○大谷委員 (通信障害)……話についていけていないところでございますので、今回 はちょっとパスさせていただけると……(通信障害)。 ○十倉会長 分かりました。後ほど指名させていただきます。 それでは、大野委員、よろしくお願いいたします。 ○大野委員 大野でございます。 私は、昨日開催されました産業技術環境分科会の会長でもありますが、本日はそこでの 議論も踏まえつつ、本審議会の一構成員という立場で、現場で見ていることを基に発言さ せていただきたいと思います。 5月のG7広島サミットにおいて半導体の人材育成と研究開発を目的に、日米企業と本 学を含む日米11大学によるパートナーシップが締結されています。スポンサーは日米の民 間企業、両国政府がエンドースしていて、今日御出席だと思いますけれども益委員の東京 工業大学と東北大学も参画しています。 シンガポールでは政府機関が国立シンガポール大学、そして南洋理工大学といった大学 と、MITやUCバークレーなど世界のリーディング大学と、9つの将来の経済基盤を支 - 5 - える戦略的なテーマ研究プログラムを進めています。今般アンモニア燃焼等の研究開発を 開始するに当たり、アンモニア燃焼研究を進めている本学に打診があり、参画予定でいま す。本学ではこのテーマで既にサウジアラビアやフランス、アメリカとも共同研究を進め ています。 これらの例も考えますとシンガポールでは、特にこのような取組をスタートアップで産 業化することを考えていると思われます。先日、環太平洋地域の60大学が集まる会議で国 立シンガポール大学の学長が東南アジアの学長たちに、スタートアップエコシステムを一 緒につくっていこうと呼びかけています。国立シンガポール大学はかなり早くから、この エコシステムをシンガポール国内ではつくっています。このように世界では自国の産業を 強化したり、新たな形で産業を起こしたりするために、自国にない部分を補うという視点 もあり、世界の人材や知を活用しようとしています。 一方、日本においては、そのような知や人材の活用の位置づけがやや不足しているので はないかと感じています。サウジアラビアやインドなどを含め諸外国との連携を進める際 には、未来を創る知と人材もパッケージにする視点がぜひ必要だと思います。もっと具体 的に言えば、大学がそのような場に入っていないのは日本の力、総合力を示していくのに やや欠けているのではないかと思います。 加えて半導体のお話が今ありましたけれども、現在強いと認識している分野においても 産業政策として上手に手綱を取らないと、世界が新たな創造的取組を行っていて、気がつ いたらば手後れとなる可能性もあります。これは本日の御説明の中にも織り込まれていた のだと思います。 以上、まとめますと、世界の新たな流れを理解して必要な取組を行っていくことは欠か せないと考えます。そのためには国内外のプレーヤーを集めた新たな産業と知の潮流は日 本が中心となって、日本の知で戦略的にそういう潮流をつくっていく視点が極めて重要だ と思います。また、そのような活動を可能とする経済安全保障を含めた制度の整備、ある いはリーダーとなる人材育成も必要です。ぜひ産業政策としてお考えいただきたいと思い ます。 私からは以上です。 ○十倉会長 ありがとうございました。 それでは、続きまして鎌倉委員、よろしくお願いいたします。 ○鎌倉委員 今回初めて参加させていただきます鎌倉と申します。 - 6 - 私としましては、産業の立地と地域経済への影響というのを研究テーマとしてやってい る関係もありまして、かなり強い産業政策の意気込みを今回のものからすごく感じたので すけれども、それが影響を与える地域に対してどのような帰結をもたらすのかという視点 を、少し示していただきたいなというところがあります。 今回のところにつきましても、地域の中堅・中小企業、小規模事業者の発展というとこ ろに地域経済のことは入っているのです。かなりいろいろなものがたくさん入っているの ですが、これをどうしていくのかというのと、これ以外の方策のところです。推し進めれ ば推し進めるほどすごく最適な立地になるとすると、日本の場合ですと、大都市圏である とかにすごく集中するような形の産業配置になる可能性が非常に高い。それをよしとする のであればもう推し進めるべきかもしれないですけれども、もしそうでないのであればそ ことの連携というか、地域経済にどのように寄与すべきなのかというところも示した上で、 進めるべきではないかなと考えております。 あと今回気になったところとしましては、私自身、研究開発機能の立地についてこれま でずっと研究してきたところがありまして、研究開発拠点としての立地競争力を強化する ところです。はっきりと書かれていたのですけれども、どのような研究開発機能を国内に 立地させようとしているのか、強化させようとしているのか。具体的にどういうことなの かすごく気になったのですけれども、海外からの研究開発拠点を誘致するような方針なの か。国内の企業にとって、これまで比較的優秀な人材は国内であれば海外には出ていかな いし、海外からの研究開発拠点の立地数も余りないので、立地の競争がないということで 比較的安い賃金で優秀なエンジニアの方であったり、研究者の方を雇うことができた国で あったかと思うのですけれども、そのまま国内の企業にとって非常によい立地環境を進め ていくのか。それとも新興国であったり、中国など大都市部ではそうかと思うのですけれ ども、海外企業との競争を促しながらよりよい立地にしていくのか。そういうビジョンを 示していただけるといいかなと思いました。 私からは以上とさせていただきます。 ○十倉会長 どうもありがとうございました。 次は、あいうえお順で工藤先生ですが、ちょっとオンラインの関係もありますので、先 に國分委員、よろしくお願いいたします。 ○國分委員 ありがとうございます。國分でございます。 私から3点申し上げたいと思います。1点目は、先ほど来出ておりますDX、GXに関 - 7 - 連いたしまして、それを取り巻くエネルギーと、クリティカルミネラルについてです。デ ジタル化の推進、それから電動化の流れというところでエネルギー環境が大きく変わる可 能性がある。すなわち電力消費が大きく伸びる可能性がある。量子コンピュータにしても、 AIにしても、データセンターにしても、半導体の製造にしても、基本的には電力多消費 型のモデルでありますし、それにEVの普及が拍車をかける形になるのではないか。 先端技術で競争力を維持するために電力の安定的な供給は不可欠だろうと。特に最近、 爆発的に普及が進んでいる生成AIのファクターが、開発も含めてどれだけ将来予想のシ ミュレーションのモデルに入っているのか不明なのです。少なくとも従来予想以上に電力 消費が伸びる可能性が高いところだと思います。これがボトルネックになってDX、GX が進まないという制約要因に絶対になってはいけないと思います。その意味からも再エネ、 あるいはグリッドの整備等の推進に加えて原子力。これは再稼働のみならず新規SMR、 核融合、それからバックエンドの議論も含めて多面的に、かつ正面から議論して推進して いくことが日本にとって不可欠だろうと考えます。 もう一つ、DX、GX関連でクリティカルミネラルについてですが、これも絶対欠かせ ないところなのですけれども、正直申し上げて日本の出遅れ感は相当強いという印象を持 っています。 経済安保の観点からも確保の重要性は共有されていることかと思いますが、なかなか民 間のみでは投資回収の不透明性が極めて強いこともありまして、投資が進まない。これが 現実だと思います。有事の際のG7、あるいはIPEFの枠組みでの融通等々のフレーム ワークはできてきていると思いますけれども、一定程度自国での供給体制。これは上流の みならず、精製・加工も含めて体制をある程度持つことは必要だろうというところで、政 府の一層のイニシアチブ、官民一体での取組を期待したいと思います。 それから先ほど来出ております人材不足のところです。特に労働集約型の産業において 非常に大きな問題だと思っております。人材不足によって、例えばインバウンドにしても、 需要が取り切れていないのも懸念されるところであります。いろいろな施策があるのは 重々承知しておりますけれども、即効性といいますか、今の現実にどう向き合うかという 意味からいうと、外国人労働力の受け入れをどう進めていくのかというところだと思いま す。この点、ぜひ政府一体となって取組をさらに進めていただきたいと思いますし、また 1点、あっせん業者で不適切な方々が一部おられるところで、ここに対する規制というの もしっかりかけていただきたいと思います。 - 8 - 最後に、先ほど来議論になっております成長投資についてです。従来、国内へ向けた成 長投資が十分できていなかったことが低成長の要因になってきたと理解をしております。 そういう意味で最近、非常に大きな規模の設備投資がなされている。なおかつ、経団連は ああいう形でコミットしていただいているところだと思います。この流れをとにかく切ら さずに、一段ギアを上げる必要があるだろうと思います。企業サイドからして、もちろん 短期的な利益率の向上、あるいは株価の上昇を意識した株主還元は非常に重要な課題であ って、しっかりやっていくわけですけれども、やはり創出した利益、あるいはキャッシュ フロー、内部留保をいかに将来へ向けた成長投資、人材の投資に振り向けられるか。これ は一番の課題だと思っています。ぜひ政府におかれましては省庁の垣根を越えて企業の成 長への取組、一層の促進をよろしくお願いいたします。 私からは以上でございます。 ○十倉会長 どうもありがとうございました。 それでは、続きまして新宅委員、よろしくお願いします。 ○新宅委員 新宅でございます。今年から新たに製造産業分科会の座長を務めまして、 その関係でこちらに参加させていただくことになりました。 私から3点ほど申し上げたいと思います。全体として成長、投資イノベーション、所得 アップということで、成長経済を目指しているということだと思うのですけれども、第1 は設備投資についてです。 従来、2000年代から振り返ってみますとR&D、研究開発については随分いろいろな施 策を捉えてきて、実際に日本の企業が液晶ディスプレイであるとか、リチウムイオン電池 だとか、DVDとかですね。失われた30年と言われますけれども、実は日本発のイノベー ションっていっぱい出てきたのです。ところが御案内のように、ではそれが市場につなが ったかというと、なかなかグローバルな競争の中で難しかったというのが2000年代だった と思うのです。 これを振り返って今の政策との関係でいいますと、同じことを繰り返してはいけないの だと思うのです。イノベーションは出てきたのだけれども、市場にはつながらなかったと いうことになると成長にはならないわけで、ただ、そういった意味では、例えば液晶のよ うな設備投資産業では、当時は設備投資のところが国際的な比較で見るとなかなか厳しか った。これに対して、今回設備投資に関してもいろいろな支援を政策としてやられている。 これは非常に重要なポイントだと思って評価したいと思うのです。 - 9 - ただ、分野によってグローバルな競争環境にある産業では別に日本だけがやっているわ けではなくて、先ほどアメリカでは、中国では、EUではというお話が出てきたように同 じようなことをやっているわけで、ある意味では企業が競争する前の産業政策競争みたい なものがあって、結局そこで負けてしまうと、その産業に投資をしているグローバル企業 は勝てない。ないしは日本への投資では勝てないので、別のところに投資をしてしまうこ とになるのだと思うのです。そういう意味で中途半端な政策を取っても効果が出ないとい うことで、もちろん御覧になっていると思うのですけれども、ほかとの相対的な政策の位 置づけとか評価を、ぜひ先ほどの評価基準の中で見直しながらやっていただきたいなと思 います。それがまず1つです。 2番目、GXとかサーキュラーエコノミーの問題なのですけれども、これに関してもイ ンプットのところで個別の技術開発とか、いろいろなものに支援なさっているのは、これ はこれで評価できるのですが、もう一歩進めるためには何かそういうものをつなげていく 仕組み。 個別の素材産業が、例えば繊維でいうと、繊維のリサイクルのためにポリエステルを古 着から回収して、もう一回繊維に戻していく。こういう技術開発は今個別では随分進んで いるのですけれども、実際に市場として回るようになるためにはほかのものといろいろつ なげなければいけない。例えば混紡製品って多いですからポリエステルに回収する企業と、 それから綿で再利用する企業は技術が違うので連携するとか、それを使ったアパレル企業 がどういうビジネスにつなげていくか。そういうコネクションをつくっていかなければい けない。そこに何かもうちょっと、従来の取引ではつながっていなかったところが、つな がるような施策をいろいろ取っていただけるといいのではないかというのがGX、サーキ ュラーエコノミーに関する1つの提案でございます。 最後3つ目は、特に製造業などを見ているとここのところ輸出が物すごく伸びていて、 これは望ましいことだと思うのですけれども、それをもう一押し後押しするというのか、 日本の経済全体を引っ張っていくために中小企業の海外への進出。私、いろいろな分野を 見ていますけれども、中小企業で今までは日本の大企業に供給していただけなのだけれど も、物すごく競争力がある企業がございます。今までも取っておられるのですけれども、 いろいろな分野の中小企業が海外に出ていく後押しをより一層強化していただくとよいか なと思っております。 すみません、長くなりましたけれども以上でございます。 - 10 - ○十倉会長 どうもありがとうございました。 それでは、続きまして神保委員、お願いいたします。 ○神保委員 ありがとうございます。私からは2点ほど申し上げたいと思います。 1点目は、経済産業政策の果たす役割についてでございます。超少子高齢化が進展し、 生産年齢人口の減少に歯止めがかからない我が国において、良質な雇用の創出と経済成長 の実現、これが今後の日本の根幹をなすものと認識しております。その意味で、今回示さ れた新機軸は潮目の変化を確実にするためにも大変重要な政策であると認識しております。 今後DX、GXなどによって起こり得る経済・社会・産業の様々な変化に対応し、地域経 済や中小企業も含めて成長軌道へと乗せていくには公正な移行の実現が必要であろうと考 えております。 特にサプライチェーン全体のDX、GXの推進では中小企業における失業なき労働移動 の実現が不可欠であり、サプライチェーンによる事業の予見可能性を高めることとともに、 新規事業に対する国からの投資支援、地域レベルでの地場企業の雇用に対する目配せなど、 国、地域、サプライチェーンが協力し、複合的な支援ができる体制を御検討いただきたい と考えております。 併せて、分野横断的な課題を深掘りする省庁横断的な体制も必要になってこようかと思 います。関係産業や地域の労働組合を含む関係当事者との積極的な社会対話を行う場も設 置いただきたいと考えているところです。 2点目でございますけれども、人への投資についてでございます。資料3にお示しいた だきました構造的課題への対応の中にある「リスキリングと労働移動の円滑化の一体的な 支援」について申し上げたいと思います。 本件は新しい資本主義実現会議で議論されてきたと認識しております。その中でも繰り 返し申し上げてまいりましたけれども、リスキリングについては企業内において技術革新 や今後の事業の方向性を見据え、新たに必要となるスキルの習得・実践を目的として行う ものであり、労働移動の手段ではないと考えております。 また労働移動は労働者の意思が大前提であり、まずは労働者自らが移動したくなるよう な魅力ある産業、あるいは企業の育成と、そのための支援が重要ではなかろうかと考えて おります。併せて雇用形態や企業規模にかかわらず変化に対応した働く者の学び直し、あ るいは企業の職業能力開発に対する支援、教育メニューの充実が必要になってくると認識 しております。 - 11 - 経済社会環境がいかに変化しようとも、企業における人材育成の重要性、あるいはその 役割は変わるものではないと考えておりますし、環境変化に対応した技能の習得は労働者 の雇用の安定にも不可欠であり、一義的にはこうした能力開発の責任を負うのは企業であ ると考えております。そのため人への投資を検討するに当たっては、労働者個人への支援 も重要であることは間違いございませんけれども、企業への支援についても拡充すべきと 考えております。 私からは以上です。 ○十倉会長 どうもありがとうございました。 それでは、続きまして滝澤委員、よろしくお願いいたします。 ○滝澤委員 御指名ありがとうございます。学習院大学の滝澤美帆と申します。初めて 出席させていただきます。 新機軸部会には参加させていただいておりますけれども、資料や御報告を伺いまして、 経済産業政策の重点と新機軸の関連を意識されながら計画が練られているように感じまし た。 それから少しマクロ経済学的な観点から今回の重点と新機軸に関連してコメントさせて いただくと、この7月に私の指導教官でもあります深尾一橋大学特命教授がRIETIか ら新たに公表された日本産業生産性データベース、JIPデータベース2023を基に、日本 の潜在成長率向上に何が必要かというテーマで日本経済のレビューをされていたのですけ れども、その中では、日本の潜在成長率は最近の動向から判断するとゼロに近いようなこ とが示されていました。一見しますと非常に悲観的な結果とも言えるのですけれども、一 方で生産性。具体的にはTFP(全要素生産性)の水準につきましては、アメリカのよう なフロンティアの国と比べると大きな格差があるということで、生産性とか労働の質を上 げることで潜在成長率を高める余地。つまりのり代が大きいということをお示しになられ ていました。ですから、そのため経済産業省には企業にまだ成長の余地が十分あるという。 そういったメッセージを発信し続けていただけることを期待いたしますし、経済の土壌を 整える、あるいは投資の環境を整えるような、今回の政策のようなものを引き続き実施し ていただくことを期待したいと思います。 それからこうした政策がどういった作用をもたらすのかを評価していく必要があるよう に思いますけれども、資料2では7つの政策評価軸への大くくり化、そして責任の所在の 明確化、それから分かりやすいKPIの設定というのが行われておりまして、こちらは非 - 12 - 常にすばらしい取組であると思いました。 例えば政策テーマ7ですと、中小企業の生産性がKPIとして設定されていると思いま すけれども、それ自身非常にすばらしい目標設定であると思います。今後はこうしたある 種のマクロ的なレビューに加えまして、各政策につきましてはミクロデータを使用した詳 細な検討が必要になってくると思いますので、RIETIのEBPMセンターとも協力し ながら検証が進むことを期待したいと思います。 私からは以上です。 ○十倉会長 どうもありがとうございました。 それでは、続きまして武田委員、よろしくお願いいたします。 ○武田委員 ありがとうございます。三菱総合研究所の武田でございます。 本日は大変分かりやすい資料と御説明をありがとうございました。基本的に方向性につ いては賛同いたします。その上で3点、意見を申し上げます。 第1に、賃金上昇と人的投資の重要性についてです。御説明いただいたとおり足元、潮 目の変化が起きておりますが、これを一過性に終わらせず持続的な成長につなげることが 何よりも大切と考えます。 その大前提として、賃金が上がらないという人々に凍りついているノルムを変える。こ こが一丁目一番地ではないかと思います。弊社で調査しましたところ、この春、賃金が上 昇した方については、先行き3年から5年についての賃金見通しも大幅に改善していると の結果が出ております。30年間凍りついたノルムが変わりつつある兆しが見られますので、 ぜひこの好機を逃さず次につなげていただきたいと思います。 また冒頭大臣もおっしゃっていましたように、今後ChatGPTで人が担うタスクも大き く変化いたします。弊社で定型的と創造的なタスク領域にどのように影響が及ぶのか試算 しました。既存のAIで分析しますと定型的に寄った形でタスク代替の分布図が描かれま す。ところが生成AIでその分布図を描き直しますと創造的タスクも定型的タスクも代替 されるような分布図が描かれました。 それに対して人的資本投資でどう対処していくかが次なる課題になると思います。弊社 のAIの専門家によれば問いを立てる力、正しく指示する力、そして評価する力。この3 つのスキルが大切とのことです。教育やリカレントをどのように変えていく必要があるか、 議論が必要と思います。 第2に、アウトカム志向の徹底についてです。7つの政策評価テーマが設定され、責任 - 13 - 者、KPIも設定されたことは大変すばらしい取組と思い伺っておりました。ぜひこれで 終わらせず粘り強く取り組んでいただきたいと思います。 併せてミッション志向の8分野も連携されるとのことですが、滝澤委員と同じ意見です。 具体的な政策についてもエビデンスに基づく評価、そしてアウトカムを検証し、途中でア ジャイルに見直して、次の打ち手を考えていただきたい。そうしたことをぜひお願いしま す。 また8分野も関係していますので、先ほども議論がありましたように、縦割りで評価せ ずに相乗効果についても見ていただき、必要があれば途中で分野横断の項目にすることも 一案ではないかと思います。 同時に伊藤委員がおっしゃられたように政府が一生懸命音頭を取っても、イノベーショ ンを起こすのは企業ですので、企業のアウトカム志向を高めることが何よりも重要と考え ます。 したがって、アウトカムを計測するためのデータの御協力を補助金や支援の活用とセッ トにしていただいて、企業にとっても、企業価値向上につながるように取り組んでいただ きたいと思います。 一方で企業にとってみますと政策や制度がどう変わるのか、予見性が高まらなければ投 資をしたくてもできません。賦課金もそうですが、様々な制度設計をぜひ迅速に行ってい ただきたいと思います。 3点目、国際情勢を踏まえた政策の重要性です。現在非常に不確実で、グローバルサウ スも台頭していますので、カーボンニュートラルの実現はもとよりエネルギー安定供給、 そして経済安全保障も両立していかなければなりません。そのときの1つの鍵が資源自律 経済と思います。今年3月には循環経済戦略を取りまとめて頂いておりますので、ぜひそ の実現に向けて官民で連携し、具体的なアクションと施策の実行と環境整備をお願いした いと思います。 以上です。 ○十倉会長 どうもありがとうございました。 それでは、続きまして中室委員、よろしくお願いいたします。 ○中室委員 発言の機会を与えていただきまして、どうもありがとうございます。慶應 義塾大学総合政策学部の中室でございます。 お取りまとめいただいた案には全面的に賛成なのですけれども、1点だけちょっと短く - 14 - 付け加えたいと思っております。先ほど武田委員からも御発言がありましたように、やは り経済社会システムの組換えを考えていくと、人材への積極的な投資というのは不可欠だ ろうと考えております。DX人材とか課題解決型人材などと言われて、こうした人材を育 てていくことは重要だろうということで多くの方に同意していただけると思うのですけれ ども、ではこういう人を大人になってから育成できるのかというと必ずしもそういうわけ ではありませんで、やはり就学前から高校といった初期段階での人材への投資ということ が不可欠だろうと考えております。 御承知のとおりコロナの中でGIGAスクール構想といって、小・中学生に1人1台の 端末を整備することは、おおむね全ての自治体で達成したところでありますけれども、こ こからが重要になってくるだろうと思っております。 今教育経済学の分野で1人1台端末の効果に関する検証が始まっていますけれども、諸 外国の研究成果を見てみますと1人1台の端末を配備するだけだとほとんど効果がないど ころが、子供たちがYouTubeを見たり音楽を聴く時間を増やしてしまって、かえって学力 が下がったといったことを示している実証研究もあります。このように考えると端末の設 備だけで教育改革がうまくいかないことは自明でありますので、デジタルを活用して学校 カリキュラムや授業の在り方の転換を含めて支援をしていく必要があるだろうと考えてい ます。 この観点で私としては、やはり経済産業省に非常に強く期待をしていて、文科省の役割 が大きいことは間違いありませんが、どうしても全国に均一で公平に取り組むことが求め られますから、文科省だけでは新しい取組を伸ばして教育DXを力強く推進することは困 難だろうと思っています。ですので、経済産業省が積極的にデジタルを活用して、特に民 間と公教育が連携した教育DXの好事例をおつくりいただきたいと思っていまして、そこ を起点に公教育を変えていくことをお考えいただきたいなと思っております。 私自身も実は非常勤でデジタル庁の仕事をしていまして、教育DXを推し進める立場な のですけれども、率直に申し上げて道半ばであると言わざるを得ないと思いますので、こ こは経済産業省の息の長いコミットメントと積極的な取組に期待をしたいと思います。 以上です。 ○十倉会長 どうもありがとうございました。 それでは、続きまして沼上委員、よろしくお願いします。 ○沼上委員 ありがとうございます。3点あるのですけれども3分のほうを優先します - 15 - ので、お話をさせていただきたいと思います。 先ほどから伊藤元重先生もおっしゃっていましたけれども、中長期の視点で粘り強くや っていくのは大変重要なことだと思いますので、ぜひこの方向で頑張っていただきたいな と思っています。 私の視点からすると大事なことの1つ目は、成長志向の中小企業をどれだけ後押しでき るか。中小企業ですけれども、事実上大企業になっていく途中のプロセス。そのプロセス をどれだけ加速できるか。これだけ成長できる可能性のある基盤の整っている中小企業を 持っている我が国としては、ここに政策の努力を集中することがすごく大事なことではな いかなと思っています。 とりわけ、この規模の会社って大体経営者でほとんど決まってしまうのですけれども、 経営者をどのように育成するか、あるいは承継するか。この辺りが決定的に重要になって くるだろうなと思っております。特に100億円企業を育成していく上で、もちろん既存の 承継の仕方も重要でありますが、最近はサーチファンドのようなものも出てきています。 私のゼミの卒業生もサーチファンドで1つの企業を承継して売上げを倍にしたとか、何倍 にしたということも聞いています。このようなことで大きく日本企業が、あるいは日本経 済が花開いていくことが重要だと。実は地方からこういう会社が出てくると、地方創生に とってもすごい力になると思っていますので、ぜひこの辺りに多様な政策手段を集中して 頑張っていただきたいなと願っております。これは1つ目。 2つ目はバッテリーに関することなので、資料3の左側です。この部分について今まで の研究会の資料等を見させていただくと、かなりものづくりのサプライチェーンに話が集 中しているかなと思うのですが、一時駄目だと思っていたバッテリーの交換式というのが、 また今中国等でかなり可能性が出てきている状況であります。これは物すごく違うタイプ の政策が必要で、バッテリーは誰が持つのか。金融機関が出てきたり、あるいはバッテリ ーとの情報のやり取りのところでソフトウェアとか、ここの部分の標準を取ったり、知財 で押さえたりということによって防衛的にも極めて重要。電力の系統の問題とか、通信、 石油会社、ソフトウェア等々、多様な産業を巻き込んだ政策課題になってきますので、こ の辺りをぜひ経済産業省でイニシアチブを取って頑張っていただければと思ったところで 3分が終わりました。 ○十倉会長 どうもありがとうございました。 それでは、続きまして浜口委員、よろしくお願いします。 - 16 - ○浜口委員 今回より地域経済産業分科会の分科会長の立場で、この会議に参加させて いただきます。私も一歩前に出るという姿勢の経済産業政策の重点の方向性には賛成であ ります。その上で、地域産業政策という地域経済産業分科会で討議している分野に絞った 話をさせていただきます。 地域産業政策といいますと、産業政策としての視点と地域政策としての視点が混ざり合 ったところがございます。産業政策の側から見ますと、戦略分野の投資を促進するための 立地政策という重点項目がございます。これは最適な立地を選んで重点的に拠点整備を行 うこと。またGX、DXにも対応した先進的な産業用地の整備。それから近年、ほとんど 投資が行われていないと言われる工業用水の再整備についても大きな需要がございます。 また点としての立地選択だけではなくて、面あるいはネットワークとして拠点整備を考え るのであれば、交通、輸送、倉庫などの効率的な整備を誘導するような政策も必要と考え ます。 産業政策の第2の視点としては、今沼上先生がおっしゃいました成長志向の中小企業と いうことも合致いたしますが、中小企業の生産性を上げていくことが重要になります。特 に中堅企業が規模的にも、また国際的なサプライチェーンの中でより大きな付加価値を生 み出すように存在感を高める点からも、中堅企業の成長力を強化することが重要になりま す。 しかしながら既存の中小企業政策には、中堅企業が利用したいような政策が余り用意さ れていないのではないかという議論もございました。特に人材確保、そして育成について は大企業との人材の取り合いにおいて、この点で競争力がない中堅企業が劣勢になってお りますので、こういった点、人材確保育成に政策として支援していくことが課題になって いると考えられます。 最後に、地域産業政策を地域政策の側から見ますと人口減少から今後も避けられない中、 地域が持つ資源をいかに最適化していくかという問題に直面しており、経済産業省の所管 分野だけでは収まらない多面的な課題があることが認識されています。 幾つか例を挙げますと、農地の産業用地への転換やまちづくり中心市街地活性化、そし て国土開発計画の全国的、あるいは広域的な構想の中に各地域をどう結びつけていくか。 また各地域において高齢者、若者、女性、外国人を含めて、多様な人材が活躍する地域社 会をどう形成していくかなど様々な課題があり、こういった課題について経済産業省にお かれても、他省庁との連携をこれまで以上に強化していただきたいと考えます。 - 17 - 私からは以上です。 ○十倉会長 どうもありがとうございました。 それでは、続きまして坂野委員、よろしくお願いいたします。 ○坂野委員 94年から2つ会社を立ち上げましたノンストレスの坂野と申します。 審議会に何回か出させていただいておりますが、今回の内容は非常に希望が見えるもの に感じました。キーワードは潮目の変化かと思います。コロナ禍の再建、安い国日本が政 府もリスクを負う起業家国家へ踏み出すというのは大変心強くて、もちろん政府がリスク を負うというよりは、政府がリスクを理解しながら一押しするという本気の姿勢が見えま した。その中で3つ気になることがあります。 1番目は人への投資、リスキリング。昨今どこでも聞かれる言葉なのですが、とても安 易に使っているようにも聞こえます。誰もがDXを勉強することを言っているわけではな く、時代についていけない人を押し上げていく。むしろDXに抵抗のない人材をつくる必 要な教育だと私は思います。そして会社自体の仕組みや意識が変化しなければ、リスキリ ングが生かせるのか、むしろリスキリングしても当てはまるポジションがないことにもな ります。かつ自分から行動できる人への改革。求められているのはスキルアップだけでは ないと思います。語学もプログラミングもChatGPTがあればいいわけで、企業の生産性 を上げ、報酬面で一人一人の幸せにつながるスキルというのは、やはりソフトスキル、ヒ ューマンマネジメント能力、交渉力、そしてゼロから創造する力。同じ定型業務をいかに 効率的に運ぶか考える力など課題解決能力ですが、5年で1兆円という人への投資が無駄 にならないように、ただ研修会社が喜ぶだけのことに終わらないように懸念しております。 2つ目、資料の中で女性起業家への支援を掲げていただいて本当によい時代になったと 思う反面、女性をまだつけないとならない時代だということも感じます。女性という言葉 は要らない。もうシニアもヤングも起業家支援で、ジェンダーはもうつける必要がない時 代が早く来てくれることを祈ります。 最後に令和6年度経済産業政策の重点、主要施策、構造的課題への対応2にさらりと、 経営者保証に依存しない融資慣行の推進と経営者保証について触れていただき、誠にあり がとうございます。現在魅力あるスタートアップですと比較的リスクマネーが集まりやす いわけなのですが、コロナで営業を抑制された場合でも容赦なく連帯保証はもう当然です が、ある銀行からは担保を出せと言われる経験をここ2年いたしました。 私、起業は本当に簡単だと思うのですが、成長が難しいわけです。成長の過程の中でリ - 18 - ーマンショック、大震災、コロナと乗り越えてきましたけれども、今後も様々なハードル があると覚悟しております。経営者が一番つらいのは、このようなときに担保、担保と言 われるメンタルへのプレッシャーです。この辺りがサポーティブに変化していかないと、 いつまでも本当の意味での起業家国家は生まれないのではないかと、そのように思います。 私からは以上です。 ○十倉会長 どうもありがとうございました。 それでは、続きまして益先生、よろしくお願いいたします。 ○益委員 ありがとうございます。東京工業大学の益でございます。 私、知財分科会の会長を務めさせていただいております。我が国の産業活性化、イノベ ーション創出において、特にスタートアップ、中小企業、技術の根源を生み出す大学の役 割は極めて大きく、これらのセクターの成長発展のために知財の活用こそが競争力の基盤 であると考えております。 まず、知財分科会長の立場で3点。最初に経済産業政策の重点(案)の知財エコシステ ム、イノベーションエコシステムに関してでございますが、これには行政、企業、スター トアップ、大学などの幅広い主体が連携し、それぞれの強みを発揮することによる共創、 コ・クリエーションが重要です。知財エコシステム、イノベーションエコシステムの構築 に向けて、特許庁には知財に関する専門的知見やネットワークを活用した政策を期待して いるところです。 次ですが、ベンチャーキャピタルへの知財専門家派遣を通じたスタートアップ支援強化。 これにより、スタートアップを支援する知財エコシステムが形成されていくことを期待し ているところです。 また最後に、中小企業・スタートアップ支援については本年3月、特許庁あるいは工業 所有情報・研修館(通称INPIT)、日本弁理士会、日本商工会議所で知財系支援ネッ トワーク構築に関する共同宣言をしたところでございます。また5月には中小企業・スタ ートアップ、大学を対象とした知財活用アクションプランの改定も行いました。これらの 取組を通じて中小企業・スタートアップにおけるイノベーションの推進に向けニーズを掘 り起こし、事業化、知財経営の推進など支援の強化が進んでいくことを期待するところで ございます。 また別の観点です。私、グリーンイノベーションプロジェクト部会の会長を務めさせて いただいております。その立場で2点述べさせてください。 - 19 - まず1点目、グリーンイノベーション(GI)基金におきましては、当初の2兆円に加 え7,564億円を新たに積み増していただきました。引き続き社会実装を加速する取組の追 加、未実施領域における新たなプロジェクトの組立てについて検討しているところです。 また継続的に実施企業の経営者のコミットメントを確認するために、これまで16のプロ ジェクト、61社の経営者にモニタリングを実施いたしました。研究開発成果の社会実装の ためには経営者御自身の強いリーダーシップが必須でございますので、今後もしっかりと 対話を進めてまいるところでございます。 2点目、基金事業全体として成果を最大化するためには政策効果の検証・分析が必要で、 その結果を逐次事業運営に反映する必要があります。そのために新機軸部会でも議論され ておりますプロジェクトの組立てから政策目的の実現に至るまでの経路を明確化する。い わゆるロジックモデルを作成するなど、EBPMにも本格的に取り組むことは重要である と考えており、部会でも議論させていただいているところです。 最後にGX推進に向けた政府支援におきましては、グリーンイノベーション基金の成果 の社会実装の観点からも効果的な内容になることを期待していることを付け加えさせてい ただきます。 以上でございます。 ○十倉会長 どうもありがとうございました。 それでは、続きましてオンラインから御手洗委員、よろしくお願いいたします。 ○御手洗委員 よろしくお願いいたします。気仙沼ニッティングの御手洗と申します。 まず新機軸について整理しおまとめいただき、ありがとうございました。大枠の方針、 戦略に関しては異論ございません。実際に効果を上げていくには、この方針を政策に落と し込んでいく際の精度が重要になると考えますので、その観点で幾つかお話しさせていた だきます。 資料3の1ページ目に掲げられる政策のカテゴリー1、2、3について1点ずつコメン トさせてください。 1つ目、先端分野への投資促進ですけれども、生成AIへの対応として書かれているの が、開発力強化のみになっています。オープンAI等が膨大な計算資源を使って生成AI を開発している中で、日本の計算資源でこれに匹敵するものがつくれるのかといったこと は私は専門外なので分かりかねますが、今の状況を鑑みますと、このような生成AIが既 に出てきている中でいかに社会実装して生産性や付加価値を上げていくか、生成AIをベ - 20 - ースに新しいイノベーションを起こしていくかといったことが非常に重要なのではないか と思います。経済産業省さんとしては、開発力強化だけではなく、社会実装や、生成AI をベースにどう新たなイノベーションを生むかについても、ぜひお取り組みいただきたい と考えます。 2点目、イノベーションの促進についてですけれども、冒頭に官民ファンド等や機関投 資家からのリスクマネー供給ということが書かれています。リスクマネーの供給が重要な ことには全く異論がないところでありますが、そのための手段として官民ファンドが筆頭 に挙げられていることについてはよく検討すべきではないかと思います。官民ファンドは、 古くはJALの再建ですとか、近年でもINCJのルネサスの案件など非常にうまく機能 した例が確かにあります。一方で、こうした幾つかの成功事例を除くと、業績が芳しくな いものが多いこともよく知られているところかと思います。これについて、個別の現場や 案件のせいにするにとどまらず、経済産業省としては、官民ファンドの構造課題として捉 え、設計を見直していく必要があるのではないかと思います。 具体的に言うと、私は昨年まで経済産業省傘下の官民ファンドの社外取締役をやってお りましたのでその経験も踏まえてお話ししますが、官民ファンドは収益性と政策性を両立 する投資が求められているのですが、公金を使うために、民業圧迫しないことが投資条件 になっています。ですので、基本的に民業が入っていかれない、市場の失敗が起きている 領域でないと機能しにくいのです。どういった領域は市場の失敗が起きやすくて、官民フ ァンドというツールがよく機能する政策領域なのか、そこを精度高く考えるべきかと思い ます。時折官民ファンドの収益性が悪いことを指摘されると、元本割れしてもいいから政 策性が高いものには資金供給すべきだというご意見が出たりしますが、それであるならば、 補助金を使ったほうがより透明性と公平性が高いプロセスになるのではないかと思います。 スタートアップ促進のために資金供給するという目的を達成するために、どの領域をど の政策ツールを使って狙うのか。ここは官民ファンドで狙うのが効果的である、とか、こ こは補助金のほうが適している、など、一歩引いた視点で現状を見直して、設計していた だきたいと思っております。 3点目、構造課題への対応についてです。構造課題への対応において、人手不足への対 応が重要でありリスキリングが鍵になるということはもちろんなのですけれども、現状で は、例えばリスキリングの補助金要件などを見ますと、デジタル分野へのリスキリングを 特に奨励しているように思います。これはもちろん非常に重要なことですけれども、例え - 21 - ば60歳近くまでほとんどパソコンを触ったことがない人が、そこから練習してプログラミ ングができるようになって、若い人と机を並べて企業の第一線で活躍するようになるとい うのは、非常に難易度が高いことでもあります。一方で、たとえば営業や接客の仕事をし てきた方がそのコミュニケーション力を生かして介護職に転向するですとか、家で子育て をしてきた方が50を過ぎてから資格を取って保育士になる、といったリスキリングや人材 移動が起きますと、介護や保育のサービスも充実し、若い世代もより働きやすくなってい くことになるかと思います。ひとまずみんなデジタル分野へ、ということではなく、それ ぞれの人が積んできた経験や強みが生きるように、その結果社会がうまく回るように考え て、リスキリングや人材移動についても御検討いただきたいと思います。 私からは以上です。 ○十倉会長 どうもありがとうございました。 それでは、続きまして矢澤委員、よろしくお願いします。 ○矢澤委員 本 日 発 言 の 機 会 を い た だ き ま し て 、 あ り が と う ご ざ い ま す 。 Yazawa Ventures代表・矢澤麻里子と申します。 会の冒頭の報告でもすごく変化であったり進化が見られていて、本当にすばらしいなと 感じました。今回の方向性についても基本的に全く異論はございません。その上でお伝え したいことを3点、お話しさせていただきます。 まず1点目、先端分野への投資の促進、デジタル社会の実現のところですが、今現在マ イナンバー制度など幾つかの課題があったりもしますが、日本経済がインフラをちゃんと デジタル化していくところはマストでもあり、今回生成AIといったところの関連も含め てスピードアップしていくことが重要と感じています。同様にDFFTです。国際社会の 中で日本がリーダーシップを持って進めていく。そういった推進力を期待しています。 今、私はスピードがあってリーダーシップとお話ししましたが、やはり日本の省庁や行 政、自治体そのものがデジタル化していく必要があるのではないかと思います。みんなが というよりは政府自らがDXしていく、変わっていく。そういった視点も忘れないでいた だきたいなと思います。 2点目です。イノベーションの促進。まずスタートアップの新陳代謝の促進において、 女性起業家への支援強化というのは、これまでの繰り返しにもなりますが、しっかりお金 を流す仕組みを引き続きつくってほしいなと思っています。その上でただばらまけばいい というわけではなく、しっかりとした支援体制を持っている民間への資金流入と、あとは - 22 - 適切な起業家。女性起業家にちゃんと投資をできるファンドに対しての出資です。そうい ったところを意識していただきたいのと併せて、M&Aをもう少し醸成させていく。そこ も視野に入れていただきたいです。 やはり買う側を支援していかないと、日本は他国と比べてどうしても大型買収が特に少 ない状況です。資金調達がしやすいような環境ができたとしても、イグジットの機会が限 定的であれば、スタートアップした人たちに対して金銭的、精神的なリワードも限定的に なるので、事業を起こすチャレンジをするハードルがさらに上がってしまいます。大型調 達をしているスタートアップを含めてダウンラウンドしない形での買収ができるように大 企業側を、M&Aを促進する支援を強化していくのも大事な視点かなと思っています。 3つ目に構造上の課題について、まず少子化。弊社も少子化対策に関わるようなスター トアップに積極的に投資をしておりますが、やはり女性がリーダーシップを持って働くこ とと、子育てを両立していくところにまだまだ課題がたくさん残ります。 今女性が働くことが当たり前の社会において社会のリーダーシップを取るということ、 そして家庭を持つことを両立していくには必要な社会システム制度の見直しが必要です。 一例を出すとベビーシッターなど経費算入していくであったり、現状に即して女性が働き やすい仕組みをつくることによって、両立できる社会の実現が、少子化を解決していく1 つの方向性として考えていくべきことなのかなと思います。 それに併せてリスキリングです。こちらが最後になりますが、人手不足の現在において リスキリングはとても重要な点です。 一方で日本のリスキリングの傾向を見ていると、スキルやリテラシーを上げてどう成果 につなげていけるのかのプランニングできていない企業もすごく多く、手段先行型のリス キリングが多数生まれている印象があります。このままだと施策に対して費用対効果が悪 かった、という結果にもなりかねませんので、かつ最近、学び放題などの学習ツールやサ ービスを入れている会社も増えてきていますが、日本の人的資本経営の開示調査などを見 ていても、多くの会社で「福利厚生」の域を出ない印象を受けます。目指すべきは各会社 が、各企業が人的資本への投資効果の最大化です。投資効果の最大化ができるような指標 づくり。そういったところを経産省が主導してやっていくべきなのかなと。 併せて日本の労働生産性を上げていくには、雇用の流動化も高めないといけないと思い ます。日本はアメリカ・諸外国に比べて解雇がしにくい雇用法になっていますが、解雇し にくい状況にぶら下がっているのではなく、しっかり自分自身がスキルを身につけていか - 23 - ないといけない。日本人のマインドセットの醸成を、法制度から変えていくという観点で 主導していけるのではないかと思っています。 以上になります。 ○十倉会長 どうもありがとうございました。 それでは、オンラインの接続の関係で参加が遅れておられました大谷委員、工藤委員の 順番で御発言いただけたらと思います。最初に大谷委員、よろしくお願いいたします。 ○大谷委員 大谷でございます。私は製品安全分科会の関係で今回から参加させていた だいておるところでございます。 製品安全分科会絡みでいいますと産業保安の分野や、製品の安全の問題についていろい ろと検討させていただいているところでございますけれども、産業保安の分野に関しては 従来どおりの保安対策と新しい対策で安全成績を評価して、さらに安全な保安状況になる ようにということでやっておるわけです。 GXといったことに関連してエネルギーの形態もいろいろ変わってくることもあります し、あるいは我々の扱っているところではインターネット経由の製品の流通みたいな話も ありまして、従来と少し違うようなエネルギーの問題であったり、流通の問題であったり というのが出てきているところかと思います。 どちらかというと安全の問題は従来何か問題が起こって、それに対する対応ということ でやってきておるわけですけれども、今は社会がそういう安全の問題について非常にシビ アになってきているところもありますので、できるだけ早いうちにリスクを見つけて、リ スクの芽を摘み取れればいいですけれども、摘み取れないにしろ、できるだけリスクを小 さくするような形のものが必要かなと考えております。 最近の話題でいうと、日本だと水素の普及がこれから図られていく。水素が大量に消費 されるような時代になってくるのではないかと思いますけれども、それについて少し検討 を始めようと考えているところでございます。 今回の案については非常によくまとまっているものだと思いますけれども、製品安全と いうことに関しても、どうしても安全というとイノベーションに逆行するようなイメージ が出てしまうところもありますけれども、イノベーションをして新たに開発されたものが 社会に受け入れられるかどうかに関しては安全の問題は非常に重要なことになろうかと思 いますので、社会に大規模に普及する前にできるだけリスクについて十分に検討して、う まく社会に受け入れていただけるような形のものを考えていきたいなと思います。 - 24 - 以上です。 ○十倉会長 どうもありがとうございました。 それでは、続きまして工藤委員、よろしくお願いいたします。 ○工藤委員 発言の機会を頂戴いたしまして、ありがとうございます。初めて参加させ ていただきます三井住友銀行の工藤と申します。どうぞよろしくお願いいたします。 まず全体として、2021年より経済産業政策の新機軸として打ち出して取り組んでおられ るということですけれども、産業のパラダイムシフトが大きく起きている中、中長期目線 で政策を立てて1年ごとに進捗や修正の要否を検討していくことは大きな意義と効果があ ると思います。産業政策の実行には経済産業省以外の力も必要であり、経済産業省のリー ダーシップの下、省庁横断で力強くお取組をお願いしたいと思います。その上で3点、コ メント申し上げます。 まず1点目、人手不足への対応についてです。少子高齢化を抱える日本の構造的課題で もあり、また目の前でも人手不足が深刻でありまして、人手がないゆえにビジネス機会を 逸しているというお声も多く聞いております。今回の施策の中にも省人化投資、高度外国 人獲得に向けた環境整備が挙げられております。これに加えて人手不足のあらゆる面での 解決に向けて、コロナで離れた外国人人材を日本に呼び戻すことができているか。この点 についても目を配っていただきながら、施策を深化させていただきたいと思います。 2点目です。経済安全保障についてです。各国が自国に投資を戻す政策を行っている中、 日本においても他国と協調していく部分と自国に産業をつくっていく部分と両方が必要だ と認識しております。国民生活と企業の経済活動に大きな影響を及ぼすもの、ベースとな るものについては、万一の場合に備え一定程度安定調達の手当てが取られているか。めど がついているか。これも定期的に再点検いただきたいと思っております。 例えば私が従来より気になっておりますのは、資料3にございましたがエネルギー安定 供給に向けて再エネの主力電源化が挙げられております。 ただ、再エネの主力電源化においては、私は賛成ですけれどもその機器の多くが外国製 であり、自給率という観点から課題なしとしないのではないかと以前より考えております。 同様にサプライチェーン全体で見たときに食料・農業、また医療関連機器などといったも のも安全保障の観点、産業強化の観点からまだまだすべきことがあるのではないかと考え ております。加えて、こういったことを考えるときに開発で勝ち市場化で負けることがな いように、先を見通した戦略を取っていく必要があると思っております。 - 25 - 3点目、官民の資金の役割についてです。GXや特定事業に対して大きな資金や補助金 を出していただいており、戦略上必要なことだと思います。 一方、産業政策と同様に、日本の財政規律の回復というのは日本の国力に大きな影響を 与えるものでありまして、これも無視できないと思っております。国が資金を出す必要が あるか、国の資金が効果的に使われているか、この点については従来以上に目配りが必要 だと思っておりますし、また国の資金を活用して、民間の資金をさらに大きく呼び込んで いくところをしっかり考えた上で政策を組んでいく必要があると思っております。 私からは以上です。 ○十倉会長 どうもありがとうございました。 それでは、今回臨時委員で参加してもらっております小林委員からよろしくお願いいた します。 ○小林臨時委員 日本商工会議所会頭の小林です。中小企業の観点から、今回の新機軸 に対する意見を申し上げます。 コロナ禍の過剰債務など、一部の中小企業はいまだ厳しい経営環境にありますが、活動 正常化に伴い、全体として景気は緩やかな回復基調にあると感じています。30年ぶりの物 価上昇と、設備投資や賃上げの機運が高まるなど、潮目も変化しています。新機軸として 政策目標を整理して打ち出すには、大変良いタイミングと考えます。 最たる例が、「パートナーシップ構築宣言」による取引適正化への取組です。宣言企業 数は3万社を超えました。政府の監視機能の強化など実効性を高める取組により、商工会 議所の調査では約8割の中小企業が価格交渉を行い、コストアップ分の半分ほどを転嫁で きる状況になっています。しかし、労務費の転嫁は非常に難しく、価格交渉に有効な「労 務費転嫁の在り方のガイドライン」の実行を大いに期待しています。 GXの実現に向けても、パートナーシップの考え方が重要です。温室効果ガス排出の1 ~2割を占める中小企業の省エネ推進、さらには新たな脱炭素関連技術の開発などにおい て、大企業と中小企業の連携による取組をぜひ推進していただきたいと思います。 また、中小企業の足元の最大の課題は人手不足です。原資が限られる中小企業も、今年 度は6割超が賃上げを実施しています。しかし、このうち7割は防衛的な賃上げです。自 発的で持続的な賃上げを可能とする原資の確保に向け、経済産業政策の新機軸において、 生産性向上への投資や賃上げなど、中小企業の自己変革への挑戦を強力に後押しする施策 の拡充が必要と考えます。 - 26 - 加えて、中小企業における人への投資を政策的に後押しすることが極めて重要です。国 によるリスキリング支援が、都市部の転職希望者のみならず、地方の中小企業で働き続け る人にも広く行き渡るよう、GXやDXなどの構造変化に対応した公的な職業訓練の充実 も、ぜひ図っていただきたいと思います。 経営支援の立場から、事業承継に関して3点、現場の声も併せて紹介したいと思います。 第1に、早く相談を受けられれば、事業再構築、事業承継、M&A、退出を含む再チャ レンジなど、経営者の決断を促す選択肢が増えると実感しています。金融機関と連携した、 商工会議所などの経営支援、早期相談体制の拡充を進めていただきたいと思います。 第2に、事業承継については、中小企業には親族内への承継意欲が潜在的にありますが、 後継者にかかる贈与税・相続税の負担が大きく、円滑な承継のボトルネックになっている という声が非常に多くあります。 第3に、経営者の若返りは、DXなどの生産性向上やビジネスモデルの変革につながり ます。事業承継は企業にとって永続的な課題でもあるため、事業承継税制は今年度末の申 請期限の延長と恒久化が不可欠であることを申し添えます。 以上です。 ○十倉会長 どうもありがとうございました。 これで各委員から一通り御意見をいただきましたので、私からも発言させていただきま す。経済産業政策の新機軸の議論で思い出しますのは私が産業構造審議会の会長に就任し た最初の会議で、今日も御出席されています伊藤先生が御発言されたもので、「産業政 策・イズ・バック」という言葉であります。経産省の方々の顔が綻んだのをいまだに思い 出します。そして本日の資料にもございますように「市場の失敗」、「政府の失敗」、いず れもあると指摘されました。まさに今日に至る世界の潮流について正鵠を射た御指摘だっ たと思います。 申し上げるまでもありませんが、典型的な「市場の失敗」は気候変動問題に代表されま す生態系の崩壊であります。この課題の克服には「政府の役割」が重要であり、このたび GX推進法、GX脱炭素電源法が成立いたしました。GX推進のポイントは企業だけでは 困難な「先進技術、イノベーション」や「社会インフラ」への投資を政府が先行して、中 長期的にコミットして行うことで企業の予見可能性を高め、民間投資の呼び水として国内 投資を促していくことにあります。しかも、これは「市場の失敗」と同様に「政府の失敗」 もあることも踏まえ、「政府の役割」を「先進技術・イノベーション」や「社会インフラ」 - 27 - への投資に限定しております。こうした取組も参考に「経済産業政策の新機軸」における 「政府の役割」とは何か、よくよく考える必要があると思います。 この点、私は経済活動の基本として大事な点は2つあると思います。1つは、公平・公 正な市場での活発な競争の確保であります。言うまでもなく、これはイノベーション創出 の源泉であり、我が国の産業競争力を強化する上での大前提であります。 そしていま一つは、自由で開かれた国際経済秩序の構築。資源を持たない島国である我 が国にとりまして、大きな国内・域内のマーケットを持つ米国やEUと同様に保護主義的 な政策を取ることはできません。できない以上、自由貿易の推進は必須であります。 一方で現状の厳しい国際情勢から、新たな論点として我々は「経済安全保障」について も考えなければなりません。そこで我が国が取るべく現実な対応としては、今日は御欠席 されていますが白石先生もおっしゃっていましたライク・マインデッド・カントリーズの 中では、自由貿易をできるだけ推進していくことが肝要と考えます。 また、これに加えて戦略的不可欠性を考慮した重要物資の選択や重点支援、レジリエン トなサプライチェーンの構築等も重要であります。経済安保に関する政府の役割を考える ことは難しい課題であり、官と民が連携しながらよくよく吟味・検討していくことが求め られると考えます。 いずれにしましても、官と民の連携が今まで以上に求められる時代はないと考えます。 そういう意味で新しい産業政策の新機軸は、非常に意味ある議論ではないかと思います。 予定の時間、12時20分までまだ10分残しております。議論は一巡いたしましたけれども、 委員の御意見も踏まえさらに追加で発言を希望される方がおられれば、1人1分以内で簡 潔に発言いただけたらと思います。発言を希望される方は、対面参加の場合は名札を立て ていただき、オンライン参加の方は挙手ボタンにてお知らせいただければありがたいと思 います。 それでは、希望される方がありましたら、どうぞよろしくお願いいたします。 ○沼上委員 さっき3分で切ったので最後の一個、量子技術の話なのですけれども、多 分シンギュラリティの時代が本当に来るのは量子コンピュータの時代だろうと言われてい ると思うのですが、ここの部分でどれだけ新しい産業をつくれるかというのも、我が国に とって極めて重要な論点ではないかと思っています。 私自身、文科省のQ-LEAPに関与しているのですけれども、その中でも量子コンピ ュータばかりではなくて量子計測・センサとか、次世代レーザーとか、量子技術について - 28 - は相当いろいろな可能性があるのです。実は研究室が使っている科学的な計測装置とか、 周辺の装置のところで新しい事業が出てくる可能性とか、そこを中心に産業を育成してい く可能性って結構ありますので、中核の部分だけではなくて周辺まで含めて育成する視点 を、ぜひお持ちいただければありがたいなと思っています。 以上です。 ○十倉会長 どうもありがとうございました。 そのほかに発言を御希望される方、ございませんでしょうか。どうぞお願いします。 ○益委員 東京工業大学の益ですけれども、一言だけ大学の立場として人材育成には常 に取り組んで、特に高度人材としての博士教育は進めているところでございますが、今日 のお話にもあったように様々な技術の開発となると、我々も文部科学省だけではなく、産 官学一緒になっての高度人材育成が重要だと考えています。 特に大野先生も御発言された半導体の部分については、経済安全保障は非常に戦略的な 分野でございますので、この分野における人材育成には経済産業省とも協力して努めてい くことが必要だと思っております。 以上です。 ○十倉会長 ありがとうございました。 そのほかにございますでしょうか。よろしゅうございますでしょうか。ありがとうござ いました。 それでは、本日の御議論を受けて事務方からもコメントをお願いしたいと思います。残 り時間も限られておりますので簡潔にお願いできればと思います。 ○香山総務課長 それでは、まずいろいろ御質問、あるいは特に強いコメントをいただ いたところをピックアップさせていただきまして、冒頭、畠山産業技術環境局長からGX、 あるいは大学人材の育成、産官学連携の視点からのコメント。それから野原商務情報政策 局長から半導体、それから生成AIの開発より活用のほうに力点を置いた対応が必要だと いう御指摘。それから茂木商務・サービス審議官から教育のDX、しっかり経産省も役割 を果たすべきだという御指摘について、そして須藤中小企業長官から中小企業施策に関す る様々な御意見について、そして福永貿易経済協力局長から経済安保について、最後にそ の他もろもろ御意見いただきました。例えば官民ファンドの政策ツールをどういった領域 に当てていくか、あるいは人手不足への対応、M&Aの促進といった観点について、まと めて産業政策局長の山下からお答えさせていただきます。 - 29 - ○畠山産業技術環境局長 産業技術環境局長の畠山でございます。 まず鎌倉委員からも御指摘ありました研究開発拠点の立地競争力強化という点でありま すけれども、ここは税制を考えておりまして、研究開発成果、あるいは知的財産から生ま れる所得に対する税制優遇が各国で行われている中で、日本ではそういう制度がないもの ですから、むしろ不利になっています。 したがって、そこの不利を是正するところをまずやりたいと思っております。その上で 税制だけではなくて人材をどう活用するか、どう育成するかということとも関連するので すけれども、国際的に優秀な頭脳を日本にどう呼び込んでくるのかというところをやって いく必要があると思いますし、逆に日本の優秀な人の育成を海外への派遣も含めて、ここ は文科省とも一緒に取り組んでいきますけれども、しっかり進めていく必要があると思っ ています。 それからGXの関係で幾つか御指摘をいただいております。まずグリーンイノベーショ ン。イノベーションをどう社会実装につなげていくのか。これは極めて重要でありまして、 グリーンイノベーション基金でも社会実装のところに最も重点を置いて進めているところ でありますけれども、どうしてもこれまで政策が研究開発のところにすごく偏ってきたと いいますか、そこに重点を置いてきたところがございますので、GXを進めていく中で新 たにGX推進法もつくって支援を重点化していくわけですけれども、ここについては社会 実装、さらに設備投資、成長分野への投資。そこに対する大胆な支援ということも、しっ かり取り組んでいきたいと思っているところでございます。 それから中小企業のGXの御指摘もありました。そういう動きが徐々に出始めておりま すけれども、サプライチェーンの中でカーボンニュートラルへの取組をやっていないと調 達の中から排除されるようなことも、あるいは調達に参加しにくいことも生まれ始めてお りますので、そういう意味で中小企業を含めたサプライチェーン全体の中でのGX取組の 支援を強力に進めていきたい。このように考えているところでございます。 私からは以上でございます。 ○野原商務情報政策局長 野原でございますが、それでは、いろいろ御指摘いただきま して、ありがとうございます。 十倉会長、それから伊藤元重先生から御発言がありました。半導体はライク・マインデ ッド・カントリーズの中で、自由貿易でやっていくという。そうだと思いますけれども、 経済安保が非常に大きな背景となっている政策でございます。 - 30 - それから益先生、大野先生から半導体の人材育成への御協力、ありがとうございます。 文科省、教育界、産業界、我々各地方経産局も含めましてアライアンスを組んで、それぞ れの地域で、あるいは全国的にトップエンドのところの人材育成を今企画しておりますの で、引き続き一緒に取り組んでまいりたいと思います。御協力を引き続きよろしくお願い いたします。 それから新宅先生から御指摘がありました。全く同感でございまして、そのような反省 に立って半導体政策に取り組んでいるところでございます。 海外の半導体関連企業のトップと話をしていますと、やはりイノベーションのスピード、 それから事業展開のスピード勝負だと。同じことも早くやったほうが有利だということで す。ほかの国との、産業政策についてもそうですけれどもスピードと政策のインパクト、 高さというのが非常に重要です。相対速度、相対的なインパクトの大小で、どちらが有利 になるかというのはかなり決定されてくるところがあると思います。これは新宅先生の御 指摘のとおりだと思います。 それから國分委員から生成AIで電力消費がすごく増えるのではないかと、爆発するけ れどもどうなっているのかという御指摘がありました。生成AIが出てくる前の分析なの ですが、AIで2050年までに日本全国の電力消費が大体今の3倍ぐらいまで増えるような 試算になっていましたので、それが刹那に生成AIでさらに増えていく。上へ増えるとい うことであります。 これをサステナブルにするには半導体のイノベーション。例えば微細化のイノベーショ ンで大体2050年までに電力消費を200分の1にできるような試算がありまして、そういう 組合せで全体の電力消費自体をサステナブルなレベルに抑える取組が非常に重要なのでは ないかというように認識をしております。 それから生成AIに関して御手洗委員から、生成AIをベースにしたイノベーションを 生む取組を考えるようにという御指摘がありました。 この点について背景を少し御説明申し上げますと、日本で生成AIを活用したスタート アップ、もう数百社のオーダーで出てきております。日本政府として彼らの成長・成功を どう後押ししていけるかということだと思いますが、開発にはAIに向いたコンピュータ 資源、計算資源が必要でございます。AI用のコンピュータ。日本だと産総研のAI橋渡 しコンピュータが一番大きいですけれども、それが0.8EFlopsという計算資源の単位。大 きいほど計算能力があるということなのですが、それに対してテスラ1社で100EFlopsの - 31 - 計算資源を調達してAI開発しようとしていまして、結局計算能力をたくさん持っている ところがより優秀なAIモデルサービスを開発して国際的に競争力を持つという状況にな っています。 AIの開発にはNBTや、最近注目されていますけれどもGPU。AI用の半導体が必 要でございまして、NVIDIAが世界シェア95%でほぼ独占している。今世界中から注 文が殺到していまして、大体1年待ちになっているということでありますから、いかに日 本政府として国内にスタートアップの方々が使える計算資源を早く調達して安く提供する か。行列していますので、どんどん値段は上がっていますので、スタートアップの方々が なかなかアクセスしづらいようなところで価格がどんどん上がっていってしまうと思いま すけれども、そういう施策を検討しているところでございます。 以上です。 ○香山総務課長 次に、茂木商サ審、お願いします。 ○茂木商務・サービス審議官 商務・サービス審議官の茂木と申します。 教育DXについてコメントいたします。御指摘のとおり1人1台の端末というインフラ を活用して、多様な学びの機会をどうつくり出していけるかというのが経済産業省の役割 だと思っています。具体的には教材であったり、カリキュラムであったり、あるいはこれ を実行する体制。例えば外部人材の活用や民間サービスとどう連携していくか。こうした 好事例を実証事業を通じてつくり出していきたいと思っていますし、息の長いコミットメ ントをということですので、この取組をしっかりと続けてまいりたいと思っております。 以上です。 ○香山総務課長 須藤長官、よろしくお願いします。 ○須藤中小企業庁長官 中小企業と地域政策について御紹介をいたします。須藤でござ います。 まず沼上先生から100億円企業というお話、あるいは浜口先生から成長志向の中堅企業 というお話がございました。まさに地域を引っ張っていくような企業に政策資源を投入し ていくことを進めてまいりたいと思っております。 沼上先生から地方創生にもつながるという話がございましたけれども、地域で元気のい い企業がいれば、まさに可処分所得、可処分時間が多い生活ができますので、様々な社会 課題に対応できると思っております。その際、浜口先生から御指摘がございましたような 産業用地とか工業用水の整備、あるいは各省とも連携した面的な整備もしっかり進めてい - 32 - きたいと思います。 一方で鎌倉先生から御指摘がありましたように、集中的な支援をした場合に集中し過ぎ るのではないかということがございます。やはり地域に密着した産業、企業というところ への目配せも必要になっているかと思いますので、2段階でそれぞれの政策展開を分けな がら進めていければと思っております。 それから坂野委員から御指摘がございました経営者保証の関係でございます。経営者保 証は大分減ってきておりますけれども、なお金融機関が選ぶということではなくて、例え ば信用保証の際に自分でどちらかを選べるという形で、経営者のほうで選べるような形の 推進を進めていきたいと思います。 それから小林会頭がおっしゃっていました中で申し上げますと、人手不足対策です。ま さに中小企業にとって一番の課題だろうと思っています。人が少なくとも回っていけるよ うなIT投資等、もちろん充実させていきますけれども、人手が確保しやすいようにIT 人材とか人材の流動化。こういったところもしっかり進めていきたいと思っております。 それから事業承継についても非常に重要な課題だと思っております。集中期間の中でし っかり進めていけることを含めまして、税のお話がございました。経営者の若返りのため にも、しっかり政策を進めていきたいと思っております。 以上でございます。 ○香山総務課長 福永局長、よろしくお願いします。 ○福永貿易経済協力局長 数多くの委員の方々から経済安全保障について御言及いただ き、ありがとうございました。まさに今回新機軸の主要な軸の1つとして、経済安全保障 から産業政策を強化していく、再編成していくことに取り組みたいと思っております。 特に数多くの委員の方々から話題をいただいたコンピューティングの産業基盤。こうい ったものについてはしっかり取り組みたいと思います。 工藤委員から御指摘いただいたクリーンテック、さらにヘルスケア、医療、あるいはバ イオ。こういったところにもしっかり取り組んでいきたいと思っております。 その上で一番重要なのは十倉会長から御指摘いただいた、まさに官民でしっかり対応し ながら、官民連携を強化しながら取り組まなければいけないものであるというところでご ざいまして、今後においてスモールヤード・ハイフェンスの精神を大事にしながら有志国 連携、あるいは自由で開かれた貿易体制を可能な限り維持していくことも旨としながら、 一方でパブリックアントレプレナーシップというのでしょうか。官民連携により新たな産 - 33 - 業基盤をつくっていく。こういうことに取り組んでいきたいと思っております。 以上です。 ○山下経済産業政策局長 それでは、まず官民ファンドについてなのですが、私、官民 ファンドの先駆けの産業再生機構をつくったので一番感覚が分かるのですが、当時はまさ に市場の失敗が起こっている状況で、不良債権問題のときなので金融機能が全く発揮され ない状況でした。そういうときに産業再生機構をつくって、もう最初から5年で解散する 予定で、それよりも早めに4年で解散した。そういう形の官民ファンドをつくりました。 そのとき一番気にしていたのは、政府の失敗というのは制度設計のときから気にしてお りまして、そういう意味で市場に介入するけれども、政府の失敗は常に意識しなければい けないと思っています。どの領域にやっていくのかということは重要な要素だと考えてお りますので、そういう形での運用をやっていければと思います。 それからリスキリング、賃上げの話がございました。リスキリングはたくさんの貴重な 御意見をいただきましたので、もう具体的な形で予算もついているところでございますか ら、それを生かせるようにしていきたいと思います。賃上げも最重要課題だと認識してお りますので、引き続き賃上げに向けて頑張っていければと思いますので、これはまた皆さ んの御協力もよろしくお願いいたします。 最後にM&Aなのですが、ちょうど今企業買収における行動指針というのをパブコメ中 でございまして、これで公正な手続でM&Aがむしろやりやすくなっていく状況ができま すので、あるいは税制とかもありますので、こういうものを使って円滑なM&Aが行える ようにしていきたいと思います。 以上です。 (3)総括 ○十倉会長 経産省の幹部の方、どうもありがとうございました。 それでは、時間も参りましたので本日の議論はここまでとしたいと思います。 私から本日の議論を総括させていただきます。2年前に私が産構審の会長に就任したと きから掲げられております経済産業政策の新機軸を、新しい物好きと言われる経済産業省 が変えることなく、しかも皆様からお褒めのありました政策評価も踏まえて、引き続き前 に進めようとしてくださっていることに感謝申し上げます。 - 34 - 繰り返しになりますが、新機軸における「政府の役割」を考えることは非常に重要で難 しい課題であります。ましてやポリクライシス、「複合危機」と呼ばれる複雑極まる情勢 下にあってはなおさらであります。 しかし、こうした難しい時代だからこそ、官と民とが積極的に意思疎通を図ることが何 よりも重要であります。そういう意味で本日の委員の皆様方の御意見はいずれも貴重なも のであり、この産構審の場を通じまして官民連携を深めていくことの重要性を改めて認識 した次第であります。 委員の皆様には感謝申し上げますとともに、引き続き今度ともよろしくお願い申し上げ ます。 それでは、最後に飯田次官から御挨拶をいただきたいと思います。飯田次官、よろしく お願いいたします。 (4)飯田次官御挨拶 ○飯田事務次官 ありがとうございます。お手元の資料2に新機軸の中間取りまとめが ございまして、これは伊藤座長、それから滝澤先生にも御参加いただいて、今日の重点の 各論のベースはここに書いてありまして、これまでずっと検討してきた結果なのです。 西村大臣からもありましたけれども、失われた30年の30年間ずっと駄目だったわけでは ないと思いますが、潮目が変わっているのは非常にいいことで、先ほど来年も賃上げをと 武田先生がおっしゃっていましたけれども、これを何としても続けることがすごく大事だ と思っていまして、そのためにはちゃんと続けられる結果をどう出していくかということ だと思います。 今回評価の形もお示しして、我々どうも100点を取るまで動かない。そういうものがあ るのですけれども、新機軸はある程度の課題についてはやりながら、評価しながら変えて いく。GI基金もまさにそういう考え方で全部絶対成功するわけでもないと思うのですけ れども、そういう形でアジャイルにやっていく。 この仕組みをしっかりつくることと、何よりも継続することも大事だと思っていまして、 私、GXって5年ぐらいずっとやっておりますけれども、もともとGI基金という研究開 発。先ほど益先生からありましたけれども、これをつくったのです。そのときも研究開発 を社会実装する仕組みは要るよなと思っていたのですが、残念ながら実現できなかったの - 35 - ですけれども今回GX推進法が通って、10年間で20兆円規模ということで、まさにGI基 金で生み出したものを社会実装できる仕組みもできまして、私自身としては5年間やって きたことがだんだん少しずつ実現していくということなので、単年度で考えるのではなく てしっかり継続していくということ。 それから予見可能性もキーワードだと思っていまして、例えば私どもの税は2年とか、 そういう期間だったりして、予算も取ったら2年以内。そういう仕組みなのですけれども、 こういう仕組みだとなかなか企業の方が官と民で一緒に投資ということにならないのです。 したがって、まさに政府が失敗しない結果を出すために、そういう予見可能性を持った 新しい仕組みも要ると思っております。 もう一つは、これも何人かの先生からお話がございましたけれども、やはり横断でやら ないと絶対結果は出ないと思っていまして、私どもスタートアップの部署が分散していま して、今回スタートアップを1人にまとめるということで局長級のポストもできたのです けれども、そういう横断でやっていく。こういう考え方をしっかり踏まえながら何よりも、 繰り返しになりますけれども千載一遇のチャンスで結果を出していく。スピードと規模が 大事だと思っておりまして、いただいた意見は全くそのとおりでございまして、これを踏 まえてしっかり要求させていただきたいと思いますけれども、ぜひこれが続くように先生 方の引き続きの御指導、どうぞよろしくお願いします。 私からは以上です。 (5)閉会 ○十倉会長 飯田次官、どうもありがとうございました。 それでは、以上で本日の議論を終了いたします。委員の皆様には活発に御議論いただき、 誠にありがとうございました。心より御礼申し上げます。経済産業省の皆様方には本日の 御意見を今後の政策立案にしっかりと反映されますよう、よろしくお願い申し上げます。 それでは、これをもちまして第32回産業構造審議会総会を閉会といたします。どうもあ りがとうございました。 ――了―― - 36 -

資料1

第32回産業構造審議会総会 資料一覧 資料1 経済産業政策の新機軸第2次中間整理について 資料2 経済産業省の新たな政策評価について 資料3 令和6年度経済産業政策の重点(案)について 参考資料1 産業構造審議会 活動報告書 参考資料2-① 経済産業政策新機軸部会第2次中間整理 参考資料2-② 経済産業政策新機軸部会第2次中間整理(スライド版) 参考資料2-③ 経済産業政策新機軸部会第2次中間整理参考資料集 参考資料3 経済産業省の新たな政策評価について(全体版)

資料2

産業構造審議会総会 委員名簿 <委員> とくら まさかず いとう もとしげ おおたに ひでお おおの ひでお かまくら なつき くどう ていこ 十倉 雅和 伊藤 元重 大谷 英雄 大野 英男 鎌倉 夏来 工藤 禎子 日本経済団体連合会 会長 / 住友化学株式会社 代表取締役会長 東京大学 名誉教授 横浜国立大学名誉教授 / 放送大学特任教授・神奈川学習センター所長 東北大学 総長 東京大学大学院総合文化研究科 地域未来社会連携研究機構准教授 三井住友フィナンシャルグループ 取締役執行役専務/ 三井住友銀行 こくぶ ふみや しんたく じゅんじろう 國分 文也 新宅 純二郎 じんぼ まさし 神保 政史 たきざわ み ほ たけだ ようこ 滝澤 美帆 武田 洋子 取締役兼専務執行役員 日本貿易会 会長 / 丸紅株式会社 取締役会長 東京大学大学院経済学研究科 教授 日本労働組合総連合会 副会長 学習院大学経済学部 教授 株式会社三菱総合研究所 研究理事 シンクタンク部門副部門長 / シンクタンク部門統括室長 / 政策・経済センター長 なかむろ まきこ 中室 牧子 慶應義塾大学総合政策学部 教授 /デジタル庁シニアエキスパート(デジタルエデュケーション) / 公益財団法人東京財団政策研究所 研究主幹 ぬまがみ つよし はまぐち のぶあき ばんの なおこ 沼上 幹 浜口 伸明 坂野 尚子 ます かずや 益 一哉 み た ら い たまこ 御手洗 瑞子 やざわ ま り こ やながわ のりゆき 矢澤 麻里子 柳川 範之 早稲田大学ビジネス・ファイナンス研究センター 教授 神戸大学経済経営研究所 教授 株式会社ノンストレス 代表取締役 東京工業大学 学長 株式会社気仙沼ニッティング 代表取締役 社長 Yazawa Ventures 代表パートナー 東京大学大学院経済学研究科 教授 <臨時委員> こばやし けん しらいし たかし 小林 健 白石 隆 日本商工会議所 会頭 熊本県立大学 理事長 (委員19名、臨時委員2名)

資料3

第32回産業構造審議会総会 議事次第 令和5年8月4日(金)10:30~12:30 経 済 産 業 省 本 館 17 階 国 際 会 議 室 1. 開会 2. 経済産業政策の新機軸第2次中間整理について 3. 経済産業省の新たな政策評価について 4. 令和6年度経済産業政策の重点(案)について 5. 討議 6. 閉会

資料4

資料1 経済産業政策の新機軸 第2次中間整理について 2023年8月 経済産業省 経済産業政策の「重点」と「新機軸」の関係 第31回産業構造審議会資料 (令和4年8月4日)を一部改変 ⚫ 経済産業省では、既存の枠組み・リソースを念頭に、足下で顕在化している経済・社会課題に応 じて特に次年度に取り組む政策対応について、 「経済産業政策の重点」として毎年度取りまとめ、 概算要求等に反映してきたところ。 ⚫ これに加えて、中長期的な経済・社会課題や、長年取り組みながらも解決に至っていない構造 問題に対して、抜本的なリソース強化も視野に、腰を据えて(少なくとも5~10年)取り組む 「新機軸」を、2021年春から推進している。(その際、新機軸の検討をする中から、短期的な施 策を「重点」として取り込みつつ進めていくことも必要) 経済産業政策の「重点」と「新機軸」の比較 重点 新機軸 対象とする課題 • 足下で顕在化している経済・社会課題 が中心 • 中長期的な経済・社会課題 • 長年取り組みながらも解決に至っていない構造問題 政策対応の タイムフレーム • 主に来年度 • 中長期的(少なくとも5~10年が目安) • 新しい技術革新・事業機会に、機動的 に対応 • 来年度の予算、制度改正が前提 • 未来の技術革新・事業機会に、不確実性を前提に、 腰を据えて対応 • 官民で未来のビジョンを共有し、「ミッション志向」で抜 本的なリソースの強化も視野 アクション 2 世界的潮流を踏まえた産業政策の転換 = 「経済産業政策の新機軸」 ⚫ 伝統的に産業政策を忌避しがちな米欧アカデミズム、IMF、OECDなどでも、従来の「市場の失敗への 介入」を超えて、社会・経済課題の解決に向けて、政府が積極的介入をすることで民間投資・イノベー ションを促すことの効果を研究。 ⚫ 官が主導する伝統的産業政策ではなく、官は民を邪魔しないことに徹する新自由主義的政策でもない、 社会・経済課題解決に向けて、官も民も一歩前にでて、あらゆる政策を総動員する新たな産業政策 (新機軸)を、枠組みにまで遡って検討することが必要。 伝統的産業政策 (~1980s) 新自由主義的政策 (1990s~2010s) 目的 特定産業 の保護・育成 市場環境 の整備 多様化する中長期の社会・経済課題の解決 (「ミッション志向」) 理論的根拠 「市場の失敗」 の是正 幼稚産業保護 市場機能の重視 「政府の失敗」を懸念 不確実性への対応(政府による市場の創造) 「政府の不作為」を懸念 (政府もリスクを負う「起業家国家」) ミクロ経済政策 (供給サイド) 官主導 ~過当競争の防止~ ミクロ経済政策 (供給サイド) 民主導 ~競争の促進~ 政策の フレームワーク 財政出動 中規模・中期 経済産業政策の新機軸 (2021~) (厳格な費用効果分析 に基づく事前評価重視) ミクロ経済政策とマクロ経済政策の一体化 (需要と供給の両サイド、生産的政府支出(PGS)等) 意欲的な目標設定、その実現に向けたイノベーション支援、 規制・制度、標準化、国際連携等、政策ツールを総動員 失敗を恐れず挑戦、失敗から学習(「フェイル・ファスト」) 総合的・多面的な事後評価重視 小規模・単発・短期 大規模・長期・計画的 3 世界各国での大胆な産業政策の活発化 ⚫ 各国では、戦略分野について、5年から10年にわたる、初期投資に留まらないランニングコストを含 めた包括的支援が、既に実施又は予定されている。 – 米国では、インフレ削減法等の枠組みを通じて、大胆な予算・減税措置を展開している。こうした政策により 国内経済の底上げを図ることを「バイデノミクス」と位置付けている。 – 欧州企業の中にはこれを踏まえて米国内での事業を検討する企業も出てきたことから、EUはこれに対抗す る形で、EU域内での国家補助規制をGX分野の投資については緩和する方向で改正することを発表した。 仏・独が関連法を発表する動き。 【課題】 • 格差拡大・中間層の疲弊 • 中国への対抗 • インフレ 【対応】 • 「労働者中心の通商政策」 • 経済安全保障等を大義名分 とする産業政策<2022年8月> (CHIPS法:527億ドル(約7.1兆 円)の資金提供。半導体関連投資への 税額控除等に10年間の他国立地制 限) (インフレ削減法:4330億ドル(約 58.5兆円)。EV税額控除に北米組立 要件、水素製造装置税額控除にCO2 排出基準・実勢賃金要件等) 【課題】 • 気候変動緩和の主導 • 製造業中国依存 • デジタル米中依存 • 域内の良質雇用確保 • インフレ 【対応】 • EU復興パッケージ(次世代EUを含む) (グリーンやデジタルへの移行等に約1.8兆 ユーロ(250兆円(2018年基準))) • 戦略的自律・サプライチェーン欧州回帰 (電池や半導体等の重要物資の特定国への 依存を低減させるために、サプライチェーン強靭 化のための法案を整備) • グリーン・ディール産業計画<2023年2月> (クリーン産業セクターのスケールアップ支援のた めの環境整備(例:国家補助ルール緩和) • 労働組合の奨励 等 等) • 「バイデノミクス」スピーチ<2023年6月> • 仏・産業グリーン化法<2023年5月> 、 独・成長機会法<2023年7月> (注)1ドル=135円、1ユーロ(2018年基準)=139円で換算。 【課題】 • キャッチアップ・輸出主導型 高度成長経済の終焉 • 米欧等西側陣営への対抗 • 急激な少子高齢化 (2023年から人口減少) 【対応】 • 中国製造2025 (中核基礎部品・基幹基礎材料 の2025年における国内自給率 70%を目標に) • R&D投資の伸び率を年平均 7%以上。 • 国家科学技術プロジェクト (AI、量子情報、集積回路、生命・ 健康、宇宙等)。 • 製造業の競争力強化 (新素材、重要技術設備、スマート 製造、ロボット、航空等) 4 「新機軸・第2次中間整理」のキーメッセージ① 現状認識(コストカットと海外投資→マクロ環境の変化+新機軸=「潮目の変化」) ⚫ 近年、「マクロ環境の変化」が生じている。 ➢ 地政学的リスクの拡大 ⚫ 2021年から「経済産業政策の新機軸」を始動。 (+国内投資拡大のための官民連携フォーラム) ➢ GX(20兆円規模の先行投資支援等の成長志向型カーボンプライ ➢ 「安い国」日本 ➢ コロナからの再開 ➢ 世界的なインフレ ➢ 人手不足 シング構想の具体化・実行(既に1.6兆円が拠出決定済)) 国内投資 ➢ DX(半導体・次世代計算基盤構築2兆円超(JASM支援、 Rapidus支援等)、蓄電池0.4兆円等) 賃上げ ➢ 経済安保(特定重要物資の指定、経済安全保障重要技術育 成基金に2500億円計上(既に800億円について採択済)) 新陳代謝 ➢ スタートアップ5カ年計画(補正1兆円、7税制改正等) ➢ リスキリング等「人への投資」支援(5年で1兆円) ➢ 中小企業の成長(事業再構築補助金(計2.4兆円)等) ⚫ 「失われた30年」と決別する大きな「潮目の変化」が起こっている。 ➢ 「国内に投資しない」⇒企業の設備投資意欲は1983年以来最高、 経団連も2027年度に設備投資額115兆円目標 ⇒国内投資が拡大し始めている ➢ 「賃金も上がらない」⇒春闘は30年ぶりの高水準⇒賃金は上がり始めている ➢ 「どうせ変わらない」 ⇒新陳代謝(スタートアップ投資拡大、M&A件数増加、成長分野への移動)⇒日本は変われる? 5 「新機軸・第2次中間整理」のキーメッセージ② ⚫ 構造的人手不足で持続的な賃上げを行わないと人材確保が困難な状況の中、「潮目の変化」を持 続的な成長に繋げるには、危機感をもって構造改革に取り組むとともに、30年間染みついた将来悲観 を払拭し、安いものを買おう、投資を抑えようという縮小均衡のサイクルに陥らないようにすることが必要。 ➢世界経済の不透明感(今年の世界成長率予測は2.8%(IMF)、過去20年平均は3.8%) ➢国内の人口減少の加速(人口は毎年0.5%減から年々加速。2050年には足下16%減の1.05億人) ➢国際的な国内投資誘導競争(GX, DX, バイオ等の先進分野で自領域内に投資を誘導する産業政策競争) ⚫ ミッション志向の産業政策(8分野): ➢ 世界的な社会課題を起点に、人口減少下でも中長期的に 拡大する国内需要を開拓。 ➢ 海外含め需給両面から施策を継続実施し、民間企業の予 見可能性を確保することで世界水準の戦略投資を加速。政 府支援は、国富を拡大する「国の戦略投資」。 <各ミッションで長期的に創出される需要の例> GX:今後10年で150兆円超の官民投資、そのために20兆円規模の政府支援。 DX:デジタル化による新たなサービスへの需要が創出、ソフトウェアを含む設備投資が 増加。例えば、2030年までに国内で半導体を生産する企業の合計売上高(半導体 関連)15兆円超を目指す。 経済安全保障:自律性向上、優位性・不可欠性確保、国際秩序維持 健康:2050年に公的保険外サービス77兆円 レジリエンス:2050年に適応市場が途上国で約70兆円に成長。 バイオものづくり:2030年時点で国内外で総額92兆円の市場規模。 資源自律経済:2030年80兆円、2050年に120兆円のサーキュラーエコノミー市場を実現。 地域の包摂的成長:可処分所得/時間の向上等を通じ希望出生率を1.8に回復、 将来的には更なる希望向上へ ⚫ 社会基盤(OS)の組換え(5分野): ➢ ミッションの実現には、テーマ毎のミッション 志向の産業政策を補完するものとして、 テーマ横断的な経済社会構造の基盤整 備も必要。 ➢ 個別ミッションに厳密に対応する範囲外で も、国内投資・イノベーション・所得向上 の3つの好循環に貢献。 <各分野の目標の例> 人材:物価上昇を超える賃上げの持続的な実現 スタートアップ・イノベーション:スタートアップへの投資額を 今後5年で10倍 価値創造経営:日本の代表的企業がPBR1倍超えとなる 割合を2030年に8割に 日本社会のグローバル化:2030年に対内直接投資残高 を80兆円、早期に100兆円に EBPM・データ駆動型行政 6 3つの好循環(国内投資、イノベーション、所得向上)に向けた主要施策 足下3年程度 3~5年後 長期的目標 ●設備投資意欲の上昇 ●既存の政府支援(R4補正:7兆円) 国 内 投 資 経済界の設備投資目標:2027年度115兆円、さらなる高みへ 案件の具体化(例. 2020年代後半 次世代半導体の製造基盤確立) ★ 戦略分野(GX、 DX等)への世界水準の長期大規模支援(複数年/初期投資に留まらない支援等) 投資に必要な産業用地/インフラの整備 投資推進のための必要となる施策を随時実施 ★ 少子化対策としての地方投資推進(中堅企業の集中支援、成長志向の中小企業創出)/人手不足対策としての 省人化投資促進 ●人手不足・新陳代謝の兆し イ ノ ベ ー シ ョ ン + 企業活動を高付加価値化し、 経済産業構造を転換 高付加価値化のための事業構造改革、新陳代謝促進(PBR<1、親族内承継・M&A、スピンオフ等) 世界水準のイノベーション投資環境整備(イノベーションボックス制度、蓄電池CFP/自動運転データ共通基盤等) 戦略分野のイノベーションの世界水準の支援(GX、半導体・AI・量子・宇宙、バイオものづくり、健康) スタートアップ投資額:2027年度10兆円 ★ (JIC運用期限延長、LPS投資対象拡充・海外投資制限の要件緩和等) スタートアップ:育成5カ年計画の着実な推進と強化 ●30年ぶりの賃上げ水準 所 得 向 上 成長分野への労働力、資金流入の推進 将来の成長期待に基づく 民間投資の促進 物価上昇と賃金上昇の好循環の定着 賃上げ環境の整備(価格転嫁対策、賃上げ税制、事業再構築・生産性向上支援、キャリア相談・リスキリン グ・転職までの一体的な支援) 地方における良質な雇用創出(子育て両立・女性活躍に向けた職場改革等) 長期持続的な経済成長の実現 両立 社会課題解決に向けた進展 ・GX:2050年カーボンニュートラル ・DX:デジタル社会の実現 ・経済安全保障の実現 ・健康寿命の延伸 ・自然災害へのレジリエンス社会 ・資源自律:資源制約からの解放 ・少子化傾向の反転:希望出生 率を1.8に回復、将来的には更な る希望向上へ ★産業競争力強化法などの法改正も視野に対応を検討する事項 7 (参考)米国の「バイデノミクス」 ~ 日本の「経済産業政策の新機軸」の比較 ⚫ 40年続いたトリクルダウン・アプローチは、中間層、アメリカの役に立たなかった。 – どこでものを作っても良いので、安さを求めて、投資が海外(中国、アジア)に向かい、空洞化した。 – 公的な投資は縮小してきた • 研究開発はGDP比2%⇒0.7%、10年前:世界一⇒現在:9位、中国は8位⇒2位 • インフラへの投資は今や世界13位、インフラ無き最良の経済などはない。 – 低賃金労働者はこの20年、過去最速のペースで増加 ⚫ バイデノミクスは、トップダウンから転換し、ミドルアウト・ボトムアップで経済を作る。 – ①アメリカへの投資(賢い投資で、公的な投資を増やす) • インフラは、超党派インフラ投資法で支援開始。高速インターネットを行き渡らせる計画を発表。 • 戦略産業(経済安保、安保、エネルギー安保、気候安保)は、IRA、Chips法で支援。メイド・イン・アメリカはス ローガンではなく現実にある。将来鍵となる、半導体、蓄電池、EV、クリーンエネルギー等の産業へ的を絞って投資。 • トリクルダウン経済では、公的な投資は、民間への投資をディスカレッジさせると言われていた。しかし実際に民間に 聞くと「政府が投資したら我々はもっと投資する」という。 • 米国の製造投資は、前任の期間ではたった2%の成長にとどまったが、バイデン政権の2年で100%近く成長。 – ②アメリカ人への投資(教育、職業訓練) • 新しい経済では、職業訓練に多くの投資を行い、必ずしも全ての人が給料の良い仕事に就くために4年制大学に いかなくてもよくなる。 • 安価な保育所を作る等、保育料を安くすることで、仕事に復帰する機会を増やす。 • 労働組合にもっとも優しい大統領となる。 • 新しい半導体工場では、学士がなくとも、最大で年収13万ドル(1800万円<1ドル140円>)稼げる。全てのア メリカ人が、一生懸命働く意思があれば、どこにいたって、育った場所でこどもを育て、生活ができるようになる – ③低コスト化のための競争促進 • これまで、米国の産業の3/4が集中的に成長。競争が失われた結果、中小企業の競争力減退、商品サービスの 高騰、賃金の停滞、サプライチェーンの脆弱性をもたらした。 • 地域の中小企業や女性起業家のための支援や資金提供を強化。 • 競争は、消費者にとってコスト低減の手段となる。IRAを通じて医療コストの低減を行ったが、世界中のどこよりも高く 売られていた薬価は安くなり、財政赤字も1600億ドル削減。 • 連邦税を公正にする。最低税率の範囲で、億万長者に少しだけ増税する。中間層には増税しない。年収40万ド ル(5600万円<1ドル140円>)未満のアメリカ人は誰も、1セントたりとも増税しない。 失われた30年、 コストカットと海外投資 政府は、民間の邪魔を除 く役割。新たな付加価値 創造には不十分 非正規労働の増加 国内投資・イノベーション・ 所得向上の好循環 社会課題を起点に、政府 も民も、一歩前にでて、大 規模・長期・計画的に投 資(ミッション指向産業政 策:GX,DX,経済安保、 健康、バイオものづくり、資 源自律、地方の包摂的成 長) 社会基盤(OS)の組 み替え(人材、スタート アップ・イノベーション等) 国内(特に地方)での投 資を通じた良質な雇用の 創出を通じた少子化対策 ※競争環境は、日本は欧米 諸国と比べて過当競争な状 況(∵HHI指数)であること に留意 出典:バイデン大統領スピーチ(2023年6月28日)仮の要約:https://www.whitehouse.gov/briefing-room/speeches-remarks/2023/06/28/remarks-by-president-biden-on-bidenomics-chicago-il/ 8

資料5

資料2 経済産業省の新たな政策評価について 2023年8月 経済産業省 経済産業省の新たな政策評価 ⚫ 各省庁は、政策評価法に基づき、所掌する政策について、3~5年間の政策評価基本 計画を定め、評価を行うこととされている。 ⚫ 経済産業省は、昨年度中に、令和5~7年度の基本計画を策定。7つの政策評価軸 への大括り化を実施。 ⚫ 今般、計画期間の開始にあたり、政策評価の枠組みを具体化。 新たな政策評価の枠組みのポイント ① 新機軸部会の議論との連携 ➢ 「経済産業政策の新機軸」の議論を受け、関連指標を評価に盛り込み ② 責任部局の明確化 ➢ 政策評価軸と責任部局を明確に関連付け、政策立案・実施・評価・見直しを組織マネジメントと連動 ③ 国民への発信 ➢ 政策の重点や評価を国民にわかりやすい形で提示 1 7つの政策評価軸と政策テーマ 政策評価軸 政策テーマ 1.経済構造改革の推進 2.対外経済関係の円滑な発展 3.産業技術・環境対策の促進並 びに産業標準の整備及び普及 経済産業政策局 ①日本企業の世界市場獲得及び他国からの投資呼び込み ②経済安全保障の実現 イノベーション循環の促進 ①DX、GX、経済安全保障を軸とした製造業のグローバル競争力強化 4.情報処理の促進並びにサービス・ 製造産業の発展 ②デジタル社会の実現 ③新しい産業の創出や安全・安心な市場の環境整備を通じた社会課題解決 5.産業保安の確保 6.鉱物資源及びエネルギーの安定 的かつ効率的な供給の確保並びに脱 炭素成長型経済構造への円滑な移 行の推進 7.中小企業及び地域経済の発展 責任部局 通商政策局 貿易経済協力局 大臣官房経済安全保障室 貿易経済協力局 産業技術環境局 製造産業局 商務情報政策局 商務・サービスグループ 産業保安グループ ①資源・エネルギーの安定供給の実現 資源エネルギー庁 ②脱炭素成長型経済構造への円滑な移行(GX)の実現 産業技術環境局 ①中小企業及び地域経済の発展 中小企業庁 地域経済産業グループ ②福島の復興 福島復興推進グループ 2 1.経済構造改革の推進 政策評価軸: 1.経済構造改革の推進 経済産業政策局長 山下 隆一 目標(ミッションステートメント) ミッション志向の産業政策を通じて、社会課題解決ニーズに支えられた新需要を創出するとともに、経済社会基盤(OS)の組替 えを推進することを通じて、国内投資を促進させ、イノベーションを実現することで、国内投資・イノベーション・所得向上の好循 環を創出し、社会課題の解決と経済成長の両立を実現する。 主要な指標の動向 ①民間企業設備投資額:2027年度に115兆円 ③PBR1以上企業の割合:日本の代表的企業 (TOPIX500を念頭)において2030年に約6割か ら約8割(欧州STOXX600並) ④1人あたり名目、実質賃金(時給): 物価上昇を超える賃上げの継続 ②スタートアップへの投資額:今後5年間(2027年度まで)で10兆円規模 出典: ①内閣府「国民経済計算」、及び国内投資拡大のための官民連携フォーラム(2023年4月6日)経済団体連合会提出資料 ②INITIAL 「Japan startup finance」(2023年1月19日時点)、③Bloomberg、④厚生労働省「毎月勤労調査」、 主要施策の進捗状況・評価と今後の対応 国内投資、イノベーション、所得向上の好循環を創出するため、 • 国内投資拡大に向けて、令和4年度補正予算で政府全体で7兆円規模の予算を措置し、戦略分野(GX、DX等)において世界水準の長期かつ大 規模な投資支援を実施。 • イノベーションを加速すべく、2022年11月に「スタートアップ育成5か年計画」を決定。また、女性起業家支援・グローバルユニコーン創出・ディープ テック等のスタートアップへの支援や、規制のサンドボックス制度等を活用した規制改革を推進。 • 所得向上に向けては、人手不足への対応や、価格転嫁対策や賃上げ税制の拡充等を通じた構造的な賃上げに向けた取組、リスキリングの支 援等を実施。 「ミッション志向の産業政策」で国内の新たな需要を創出しつつ、国際競争力を強化する。またスタートアップ等足腰の強い企業を育成し、新陳代謝 を後押しする。同時に、リスキリング等の人的投資、労働移動の円滑化、企業活動の高付加価値化により、構造的な賃金の上昇実現を目指す。 3 2.①日本企業の世界市場獲得及び他国からの投資呼び込み 政策テーマ: 2.①日本企業の世界市場獲得及び他国からの投資呼び込み (政策評価軸:対外経済関係の円滑な発展) 通商政策局長 松尾 剛彦・貿易経済協力局長 福永 哲郎 目標(ミッションステートメント) ①経済安全保障と両立した国際秩序の再構築、②モノの貿易にとどまらずサービス貿易や海外直接投資を含めた「稼ぐ力」の 強化、③対内直接投資の拡大に向けた国内環境整備を軸に施策を進め、日本の経済、産業、社会の徹底的なグローバル化 を進め、日本企業が海外で稼ぐことを最大化する。 主要な指標の動向 日本の輸出額・サービス輸出額の推移 日本の第一次所得収支の推移 資料:財務省貿易統計(輸出額)、財務省・日本銀行「国際収支統計」(サービス輸出額) 日本の対内直接投資残高の推移 出典:通商白書2023 主要施策の進捗状況・評価と今後の対応 (稼ぐ力の強化) 貿易手続きのデジタル化、NEXIの融資保険をテコにして、支援を求める海外企業に対し、将来的な日本企業との取引の創出・拡大に積極的に取 り組むことを求めることで、輸出環境改善につなげる「SEEDスキーム」の創設、新規輸出1万者支援プログラムを通じた輸出促進や、JETROによる 見本市・展示会の出展支援や相談対応等の販路開拓支援やADXを通じてスタートアップを含む日本企業の海外展開支援を行ってきた。 今後、各分野で以下のように「稼ぐ力」を強化。 • 輸出促進:貿易手続に係るコスト削減等を通じた企業負担の軽減、また、高付加価値製品の輸出を促進することで、交易条件の改善に繋げる。 • サービス輸出促進:サービスと一体となった製品・技術との連動、インバウンドの強化 • 海外投資・進出:生産性向上・イノベーション創出のための、新規事業探索支援(スタ ートアップの国際展開支援、グリーン・デジタル分野等にお ける国際ルール形成)、海外市場でのスケール化を含む新規投資のための資金調達支援の強化等 (対内直接投資の推進に向けた国内環境整備) 高度外国人材の受け入れ促進に向けた検討や、 スタートアップを含む海外企業の国内誘致、日本企業との協業のための事業可能性調査支援を 実施してきた。日本社会の「内なる国際化」に向けて、対内直接投資や高度外国人材の受入れを加速するため、外国企業や高度外国人材が魅力 を感じる環境の整備に全力で取り組む。 4 2.②経済安全保障の実現 政策テーマ: 2.②経済安全保障の実現 (政策評価軸:対外経済関係の円滑な発展) 大臣官房首席経済安全保障政策統括調整官 福永 哲郎 目標(ミッションステートメント) 経済安全保障を実現するため、①自律性の向上(基幹インフラやサプライチェーン等の脆弱性解消)、②優位性・不可欠性の 確保(技術・産業競争力の向上や技術流出の防止)、③基本的価値やルールに基づく国際秩序の維持・強化に取り組む。 主要な指標の動向 <特定重要物資(8分野)関係> 【半導体】2030 年に、国内で半導体を生産する企業の合計売上高(半導体 関連)15 兆円超 【蓄電池】2030 年に、国内製造基盤 150GWh/年の確立、 グローバル市場での 600GWh/年の製造能力確保 等 【重要鉱物】2030年までにリチウム約 10 万トン/年、ニッケル約9万トン/年、 レアアース 約1.4万トン/年 等 【航空機部品】 ① 大型鍛造品:2030年までに、国内需要量を満たすための供給量をコスト競 争力を有する形で確保 ② CMC及びSiC繊維: 2030年以降に導入が見込まれる次期航空機エンジン を念頭に置いた試作機へ国産CMC製部品を供給 ③ 炭素繊維: 2030年時点の航空機用途における国内需要量をみたす生産 量を確保 【工作機械・産業用ロボット】2030年までに工作機械約11万台/年、 産業用ロボット約35万台/年の生産能力 【永久磁石】 ・2030 年時点の国内需要量に応じた生産能力 ・2030 年までにリサイクル能力を 2020 年比で倍増 等 【可燃性天然ガス】 2023年から当面は、12月から2月の3ヶ月に対応する戦略的な 余剰のLNGを確保 等 【クラウドプログラム】 2027 年度までに国内に事業基盤を有する事業者が基盤クラウド を持続的に提供できる体制を構築 主要施策の進捗状況・評価と今後の対応 ・2022年12月、経済安全保障推進法に基づく特定重要物資として11物資を指定(経済産業省所管は上記の8物資)。関連予算として9,582億円を確 保(令和4年度補正予算)。また、必要に応じて物資の見直しも進めていく。 ・先端的な重要技術の開発を支援する「経済安全保障重要技術育成プログラム」においては、NEDOに2,500億円の基金を造成(令和4年度補正予 算等)。2023年7月中旬までに9テーマ約1,100億円分を採択。今後、研究開発ビジョン(第2次)に基づくプロジェクトの公募採択を含め、着実に執行 していく。 5 3.イノベーション循環の促進 政策テーマ: 3.イノベーション循環の促進 (政策評価軸:3.産業技術・環境対策の促進並びに産業標準の整備及び普及(1/1)) 産業技術環境局長 畠山 陽二郎 目標(ミッションステートメント) スタートアップ投資額を2023年度から2027年度までの5年間で約10倍にする、研究開発投資額について官民合わせた総額を 2021年度から2025年度までの5年間で約120兆円にする、こと等を通じて、イノベーションの好循環を拡大し、国際標準の戦略 的な形成・活用を図りつつ、世界最先端の研究開発を進めることで、経済成長・環境対策を同時達成する。 主要な指標の動向 指標①スタートアップへの投資額 スタートアップ投資は、近年急拡大 目標 :10倍へ ~ ~ 指標②官民の研究開発投資額 研究開発投資は、ここ数年横ばい 目標 2027 出所:INITIAL 「Japan startup finance」(2023年1月19日時点) 出所:令和5年度当初予算案 令和4年度補正予算 の概要について (内閣府)より経産省作成 主要施策の進捗状況・評価と今後の対応 スタートアップ支援・ディープテック・スタートアップの創出・育成: イノベーション循環の担い手であるスタートアップ支援を加速すべく、2022年11月に「スタートアップ育成5か年計画」を決定。同計画を着実に実行す ることとし、女性起業家・グローバルユニコーン創出への支援を強力に実施。また、ディープテック・スタートアップについては、基金や人材育成・発掘 などの関連施策を着実に推進。引き続き、イノベーション循環の担い手であるスタートアップ支援を強力に実施。 重点分野への研究開発推進・支援強化: 半導体や量子、AI、バイオといった国家戦略上、重要な分野について、政府として研究開発を推進・支援。研究開発プロジェクトにおける標準化戦 略・体制のモニタリング・フォローアップも併せて実施。さらに、特定のミッション解決に資する研究開発支援のための基金により取組を強化したとこ ろ。さらに、研究プロセスに対して支払う従来型の委託・補助型の研究開発の支援手法に加えて、研究成果に報酬を支払う仕組みとして、懸賞金型 6 事業を試行的に導入。 4.① DX、GX、経済安全保障を軸とした 製造業のグローバル競争力強化 政策テーマ: 4.①DX、GX、経済安全保障を軸とした製造業のグローバル競争力強化 (政策評価軸:情報処理の促進並びにサービス・製造産業の発展) 製造産業局長 伊吹 英明 目標(ミッションステートメント) DX、GX、経済安全保障を政策の軸として、製造業のビジネスのグローバル展開を通じてグローバルバリューチェーンの中で無 視できないポジションを獲得することで、利益の創出、競争力の維持・強化を図り、もって国内の生産性向上や賃上げ、雇用の 新陳代謝にもつなげていく。 主要な指標の動向 輸出額 製造業当期純利益 出所:法人企業統計 ※単位は2015暦年連鎖価格、1兆円 出所:国民経済計算(GDP統計) 海外直接投資収益 出所:日本銀行 国際収支関連統計 主要施策の進捗状況・評価と今後の対応 • 2022年度は、経済安全保障推進法に基づく特定重要物資として永久磁石、工作機械・産業用ロボット、航空機の部品、半導体を指定するととも に、これらの重要物資の生産基盤の整備、供給源の多様化、備蓄、生産技術の導入・開発・改良、代替物資の開発等の安定供給確保を図るた め、約1,400億円の基金を確保。また、GXについては、水素還元製鉄やカーボンリサイクル等の革新的生産プロセス等の実現に向け、グリーンイ ノベーション基金事業等による社会実装に向けた研究開発を実施。 • 2023年度に向けては、重要物資の安定供給確保に向け、支援対象の拡充を検討し、必要な措置を講じる。鉄鋼や化学等のHard-to-abate産業 におけるGX促進のため、GX経済移行債等も活用し、原料・燃料転換を促しつつ、国際ルールメイクによりグローバル市場への展開を進める。民 間における宇宙開発支援を抜本的に拡充するため、JAXAの戦略的かつ弾力的な資金供給機能を強化する。 7 4.②デジタル社会の実現 政策テーマ: 4.②デジタル社会の実現 (政策評価軸:情報処理の促進並びにサービス・製造産業の発展(2/3)) 商務情報政策局長 野原 諭 目標(ミッションステートメント) ①半導体、蓄電池、AI、コンピューティングなどデジタル面で我が国産業を支える基盤の整備、②サイバーフィジカルシステムの 社会実装に必要となる基盤の整備、③デジタル人材の育成・確保を行うこと。これらを通じて、デジタル技術を活用した新たな製 品・サービス・ビジネスモデルを我が国で創出し、グローバルに新たな付加価値を生み出すと共に国内投資を拡大することで日 本経済の成長に貢献すること(DX)。同時に、GXの実現、経済安全保障に資すること。 主要な指標の動向 国内で半導体を生産する企業の売上高(2030年に15兆円超) 出典:実績分について、世界全体の売上はOMDIA、日本国内売上は経済産業省「工業統計調査」の品目別出荷額の値を集計。 出荷額については、半導体関連(半導体素子、光電変換素子、集積回路)及び、 「他に分類されない電子部品・デバイス・電子回路」のうち半導体関連品目を出荷額ベースで按分した値の合計。 蓄電池セルの国内生産能力(2030年までに150GWh) 出典: 第7回蓄電池産業戦略検討官民協議会 資料3を一部修正 主要施策の進捗状況・ 評価と今後の対応 半導体について、令和3年度補正、令和4年度補正予算で合計2兆776億円の予算を確保。特に、我が国のミッシングピースである先端ロジック半導 体を生産するTSMC・JASMの計画に加えて、キオクシア等、マイクロンの計3件の計画認定を実施。また、次世代半導体については、2020年代後半に おける量産化に向けて、ラピダス株式会社に2023年度までに上限3,300億円で支援を実施中。 蓄電池の製造基盤強化について、令和3年度補正、令和4年度補正予算で合計4,316億円の予算を確保。これまで、トヨタ、ホンダなど、約1兆3000億 円の投資が決定。 今後、半導体については、国内におけるサプライチェーンも含めた半導体の製造基盤確保や次世代半導体の設計・製造基盤構築に向けた支援とと もに、サプライチェーン強靱化に向けた同盟国や有志国・地域との連携、半導体人材の育成、LSTCを中心とした国内外の企業等と連携した研究開発 等を継続する。蓄電池についても、国内製造基盤拡充・技術開発支援に加え、グローバルアライアンスとグローバルスタンダードの戦略的形成、上流 資源の確保、次世代技術の開発、国内市場の創出、人材育成・確保の強化、国内の環境整備強化等を継続する。 8 4.③ 新しい産業の創出や安全・安心な市場 の環境整備を通じた社会課題解決 政策テーマ: 4.③新しい産業の創出や安全・安心な市場の環境整備を通じた社会課題解決 (政策評価軸:情報処理の促進並びにサービス・製造産業の発展(3/3)) 商務・サービス審議官 茂木 正 目標(ミッションステートメント) 国内外の需要を喚起し新たな投資を促す好循環を生み出すため、①新規サービスの創出・拡大、②ビジネスインフラの整備、 ③日本の特長を活かした商品・サービスの発展・輸出、④大阪・関西万博に注力し、同時に環境問題や健康増進、少子高齢化、 人手不足、持続可能な発展と言った社会課題の解決に貢献する。 主要な指標の動向 営業用トラックの積載効率 (2025年に50%に) 国内の公的保険外のヘルスケア・介護市場 <2050年までに77兆円に> (兆円) 90 80 50% 介護 70 60 健康づくり 50 40 30 20 10 0 2020 2025 2030 2035 2040 2045 2050 2010 2015 2020 (注) 1 「自動車輸送統計年報(国土交通省総合 政策局情報政策本部)」より作成。 2 積載効率=輸送トンキロ/能力トンキロ 3 2020年分調査から調査方法及び集計方 法を一部変更したため、変更前後の統計 数値の公表値とは、時系列上の連続性 が担保されない。 主要施策の進捗状況・評価と今後の対応 ①新規サービスの創出・拡大(ヘルスケア/医療・福祉/バイオ/教育/スポーツ分野でのデジタルの活用やスタートアップ育成・海外展開等): (へルスケア)2023年7月に立上げたPHRの業界団体を中心に市場の拡大・ユースケース創出を推進。(バイオ)「グリーンイノベーション基金(令和3 年度補正、1,767億円)」や「バイオものづくり革命推進基金(令和4年度補正予算、3,000億円)」等を措置、引き続き研究開発・実証を推進。(教育)多 様なニーズに応える教育環境の実現を目指す。 ②ビジネスインフラの整備(安全・安心かつ利便性の高い決済、効率的な物流等): 2025年キャッシュレス率40%を目指し競争環境の整備等を行う。クレジットカード決済の不正利用対策のため、法的整備も見据えて議論を行う。物 流について、2024年問題への対応に向け、次期通常国会での法制化も含めた規制的措置の具体化を進める。 ③日本の特長を活かした商品・サービスの発展・輸出(コンテンツ、ファッション、アート、地域産品の磨き上げや海外展開等): コンテンツ、地域産品など日本の魅力の発信⇒海外展開⇒インバウンド⇒文化創造再投資⇒新たな文化資源の磨き上げといった文化と経済の好 循環エコシステムを構築する。2025年までに、展示会・見本市への外国人参加者数を2割増。 ④大阪・関西万博:(「未来社会の実験場」とし、CN、デジタル、健康・医療等の分野で新しい技術・システムを実証し、世界に発信): 「基本方針」「アクションプラン」等を踏まえ、必要な対応を早急に実施。2023年度から日本館の建築工事に着手。 9 5.産業保安の確保 政策テーマ: 5.産業保安の確保 技術総括・保安審議官 辻本 圭助 目標(ミッションステートメント) 重大事故の発生や自然災害等による被害拡大を防止し、迅速に復旧・対応できる体制を構築することにより、重要な社会インフ ラの維持、新たな産業基盤の創出、安全な製品の流通を通じて、我が国の健全な産業の発展及び国民の安全安心な暮らしを 実現する。 主要な指標の動向 産業保安体制の構築の状況 (令和5~9年度の目標) 電力 災害時連携計画策定者 10者* 都市ガス 製品安全対策優良企業延べ数 第14次鉱業労働災害防止計画 (件) 指標1:毎年の死亡災害は零(0) 200 災害時連携計画策定者 193者** 指標2:計画期間の5年間の平均度数率 0.70以下 150 LPガス ゴールド保安認定事業者 338者*** 指標3:計画期間の5年間の平均重篤災 害の度数率0.50以下 100 コンビナート等 スーパー認定事業所 15事業所**** *電気事業法に基づく災害時連携計画。対象となる全ての一般送配電事業者が作成し、 令和4年6月に経済産業省に届出。 **ガス事業法に基づく災害時連携計画。対象となる全ての一般ガス導管事業者が作成 し、令和4年9月に経済産業省に届出。 ***液石法に基づく第一号認定LPガス販売事業者。令和4年12月時点。令和3年12 月から43者増加。 ****高圧ガス保安法等に基づく特定認定事所数。令和5年6月9日時点。 50 出典: 第十四次鉱業労働災害防止計画(令和5年経済産業 省告示第34号) 【注】 ・ 度数率:稼働延百万時間当たり罹災者数(人/百万時間) ・ 重篤災害:死亡災害を除く休業日数が2週間以上の災害 0 2018 2019 2020 2021 2022(年度) 出典: 経済産業省 製品安全対策優良企業表彰 【注】全受賞者数の合計。複数回受賞した者はそれぞれカウントしている。 主要施策の進捗状況・評価と今後の対応 【重要な社会インフラの維持】 • レジリエンス社会の実現に向け、産業保安体制の維持・構築が急務であり、人材高齢化・プラント老朽化の中でスマート保安の推進が重要。この ため、安全確保を前提に保安力に応じた手続・検査とするべく、2022年通常国会で高圧ガス保安法、ガス事業法、電気事業法を改正し、「テクノロ ジーを活用しつつ、自立的に高度な保安を確保できる事業者」について、「認定高度保安実施事業者制度」を創設。 • 今後は、改正法の2023年12月頃の施行に向けて詳細制度の整備を通じてスマート保安の定着を図る。加えて、スマート保安導入計画の策定・技 術実証を支援。鉱山災害防止の取組にもデジタル技術等を活用。 【新たな産業基盤の創出】 • 水素の利用拡大が期待される中、安全を前提にタイムリーかつ経済的に合理的・適正な環境の構築、国際的に調和したルール整備に向け、2023 年3月に「水素保安戦略」を策定。今後は、水素保安戦略に基づき、保安規制の合理化・適正化を推進。 10 6.①資源・エネルギーの安定供給の実現 政策テーマ: 6.①資源・エネルギーの安定供給の実現 (政策評価軸:鉱物資源及びエネルギーの安定的かつ効率的な供給の確保並びに脱炭素成長型経済構造への円滑な移行(GX)の実現(1/2)) 資源エネルギー庁長官 村瀬 佳史 目標(ミッションステートメント) 2050年カーボンニュートラル、2030年度温室効果ガスの2013年度比46%削減という目標の実現に向け、安全性の確保を大前提 に、気候変動対応、安定供給の確保やエネルギーコストの低減(S+3E)に向けた取組を進める。 主要な指標の動向 一次エネルギー国内供給構成及び自給率の推移 (注1)IEAは原子力を国産エネルギーとしている。 (注2) エネルギー自給率(%)=国内産出/一次エネルギー供給×100。 資料: 1989年度以前はIEA「World Energy Balances 2022 Edition」、1990年度以降は資源エネルギー庁「総合エ ネルギー統計」を基に作成 (出典:令和4年度エネルギーに関する年次報告) 日本のエネルギー需要・一次エネルギー供給(2013年度実績・2030年度計画) 資料:経済産業省作成 (出典:令和4年度エネルギーに関する年次報告) 主要施策の進捗状況・評価と今後の対応 2022年2月のロシアのウクライナ侵略以降、G7各国と協調してロシアへのエネルギー依存度を低下させるとともに、安定供給に不可欠なサハリン2などの権 益維持に努めた。同時に、世界のエネルギー市場が高騰する中、足元の対策として、燃料や電力・ガス料金の価格高騰を抑制する対策を講じるなど、国民生 活を守るための対策を講じた。また、化石燃料への過度な依存から脱却し、危機にも強いエネルギー需給構造へ転換するため、2023年2月には「GX実現に向 けた基本方針」を閣議決定。「GX推進法」と「GX脱炭素電源法」を成立させるなど、「第6次エネルギー基本計画」で定めるエネルギーミックスの実現に向け、徹 底した省エネや、再エネや原子力などの脱炭素電源への転換を推進するための方針を明確にした。その他、G7開催国として、多様な道筋の下で、2050年ネッ トゼロを目指す方針を共有するとともに、AZEC構想の下でアジアの現実的なエネルギートランジションを主導するなど、世界の脱炭素化への方針を示した。 今後は、再エネの主力電源化や安全最優先の原発再稼働、次世代革新炉の開発・建設を進めるとともに、水素・アンモニアなどの次世代燃料の事業環境 整備や、CCS年間貯留量600~1,200万tの確保に向けた事業法体系の整備など、安定供給と脱炭素の両立に向けて需給両面から一体的に政策を進めてい く。このような取組を通じて、エネルギー自給率を30%程度、電源構成目標(再エネ36~38%、原子力20~22%、火力41%、水素アンモニア1%)、水素最大300 万t、マスタープランに基づく今後10年間で8倍以上の系統整備、ベースメタル自給率80%以上など、2030年度エネルギーミックスや2050年カーボンニュートラ ルを見据えた政策目標の実現を目指す。 11 6.②脱炭素成長型経済構造への円滑な移行(GX)の実現 政策テーマ: 6.②脱炭素成長型経済構造への円滑な移行(GX)の実現 (政策評価軸:鉱物資源及びエネルギーの安定的かつ効率的な供給の確保並びに脱炭素成長型経済構造への円滑な移行(GX)の実現(2/2)) 産業技術環境局長 畠山 陽二郎 目標(ミッションステートメント) 2050 年カーボンニュートラルなどの国際公約達成と、我が国の産業競争力・経済成長の同時実現に向けて、GXを前倒し・加 速化するため、今後 10 年で150 兆円超の官民GX投資を実現する。 主要な指標の動向 経済的目標:今後10年間で150兆円超の官民GX投資を実現する。 出典:GX基本方針参考資料 社会的目標:2030 年度の温室効果ガス 46%削減に向けた取組や 、 2050 年カーボンニュートラル実現に向けた取組を推進する。 出典:環境省2021年度(令和3年度)の温室効果ガス排出量(確報値)を基に作成 主要施策の進捗状況・評価と今後の対応 ・2019年に、2050年カーボンニュートラルを宣言。今後 10 年間で 150 兆円超の GX 投資を官民協調で実現する方策等をGX実行会議(2022年~) 等において議論。2023年5月にGX推進法、GX脱炭素電源法が成立、同年7月に「脱炭素成長型経済構造移行推進戦略」が閣議決定。 ・国として長期・複数年度にわたり支援策を講じ、民間事業者の予見可能性を高めるべく、2023年5月に成立したGX推進法の下で成長志向型カー ボンプライシング構想を具体化し、GX経済移行債の発行等を進め、国として 20 兆円規模の大胆な先行投資支援を実行する。こうした投資促進策 と合わせて、それらが新たな市場・需要の創出に効果的につながるよう、規制・制度的措置を一体的に講じていく。 12 7.①中小企業及び地域経済の発展 政策テーマ: 7.①中小企業及び地域経済の発展 (政策評価軸:中小企業及び 地域経済の発展 (1/2)) 中小企業庁長官・地域経済産業グループ長 須藤 治 目標(ミッションステートメント) 中小企業・小規模事業者の①厳しい経営環境を克服するための資金繰り支援・価格転嫁対策、②成長分野等への挑戦に向 けた投資の促進、③創業・事業承継を通じた挑戦・自己変革の推進、④地域課題解決に向けた取組・伴走支援等を通じて、 その多様で活力ある発展を促すとともに、経営戦略策定や人材の獲得・育成・定着等の取組への支援を通じ、希望出生率の 向上にもつながるよう、「良質な雇用」を創出する中堅企業の成長による地域経済の活性化を目指す。 主要な指標の動向 中小企業の付加価値額・生産性向上 中堅企業の労働生産性 中小企業の従業員一人当たりの付加価値額を 2025年までに5%向上させる 570 (万円) 中堅企業の従業員1人あたり付加価値額(労働生産性) 800 (従業員1人当たり付加価値額、万円/人) 789 783 +8.1% 560 目標 +5.0% +7.1% 550 +7.0% +4.4% 530 520 765 749 +4.8% +2.6% +2.8% 749 742 基準年 +1.4% 783 780 760 540 785 740 +1.4% 728 727 510 720 2012 500 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 25 年度 (出所)財務省「法人企業統計」を基に作成。%表記は2020年度を基準として水準を比較したもの。 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 2021 (年度) (注)中堅企業:資本金1億円以上10億円未満。 (出所)財務省「法人企業統計」を基に作成。 主要施策の進捗状況・評価と今後の対応 • 新型コロナの影響、原材料・エネルギー価格高騰による厳しい局面では、事業継続のための資金繰り支援に取り組むとともに、物価上昇に対 応するには賃上げが重要であり、その原資確保のため中小企業の事業再構築・生産性向上・価格転嫁円滑化を進めた。加えて、経営力再構 築伴走支援ガイドライン策定等を通じた中小企業の成長支援、経営者保証改革及び商工中金の民営化に向けた対応等を実施した。 • 今後、引き続き中小企業・小規模事業者の事業再構築・生産性向上・価格転嫁円滑化、環境変化に対応した資金繰り支援に取り組むとともに 中小企業の挑戦・自己変革を一層促す政策を展開する。また、地域経済を牽引する中堅企業に対する集中支援を進めるとともに重要産業に係 る工業用水等の産業インフラ整備により、地域における企業立地を促進する。 13 7.②福島の復興 政策テーマ: 7.②福島の復興 (政策評価軸:中小企業及び地域経済の発展)(2/2) 福島復興推進グループ長 片岡 宏一郎 目標(ミッションステートメント) ①東京電力福島第一原発の廃炉・汚染水・処理水対策、②避難指示の解除、③事業・なりわい再建、新産業創出、交流人口拡 大を軸として、東日本大震災からの福島の復興及び被災市町村の自立的・持続的な経済発展を推進する。 主要な指標の動向 ◆福島県の避難者の推移 ◆総生産の推移(被災15市町村計) ※建設業を除く。 2,500,000 2,167,900 2,000,000 1,584,428 1,666,932 1,806,175 1,893,204 (百万円) 2,144,467 2,143,399 2,027,795 2,078,412 2,139,814 1,500,000 1,000,000 500,000 0 2010 出典:福島県庁(https://www.pref.fukushima.lg.jp/site/portal/hinansya.html) 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 出典:令和元(2019)年度福島県市町村民経済計算年報 主要施策の進捗状況・評価と今後の対応 (進捗状況) • 地元との丁寧なコミュニケーション(大臣6回、副大臣20回、福島復興推進グループ長56回の訪問)。 • 廃炉・ALPS処理水:①2023年1月「ALPS処理水の処分に関する行動計画」を関係閣僚会議決定(持続可能な漁業継続の支援に係る500億円の基 金を含む)。②漁業者や流通事業者等に説明会を約1,000回実施。③風評対策・消費拡大のために「三陸・常磐ものネットワーク」を設立(1,000者以 上の企業、自治体等が参加)。④海外要人の現地視察34回。 • 賠償:①集団訴訟判決確定を踏まえた中間指針の見直し(2022年12月)、②東京電力による追加賠償の受付開始(2023年4月) • 避難指示解除:①「復興拠点」の解除が6町村で完了、②福島復興再生特別措置法を改正し、復興拠点外に帰還意向のある住民が帰還できる範 囲(特定帰還居住区域)を設定できる制度を創設。 • 産業復興:①福島国際研究教育機構(F-REI)の設立。②「交流人口拡大アクションプラン」を策定、③「福島芸術文化推進室」の設立。 (今後の対応) • 安全性確保及び風評対策を徹底したALPS処理水の海洋放出(2023年春から夏頃を見込む) • 2020年代をかけて、帰還を希望する全ての住民の方々が帰還できるよう、復興拠点外の避難指示解除を推進。 • 被災地域における自立的・持続的な産業発展を目指し、国による支援措置の選択と集中を図りつつ、復興のステージに応じた効果的な支援の在 り方を追求。 14

資料6

令和6年度 経済産業政策の重点(案) <概要> 資料3 ⚫ 国際経済秩序の変化やコロナからの再興といったマクロ環境の変化に加え、これまでの政府の取組も踏まえて、足下では、過去最高水 準の国内投資見通しや、高水準の賃上げの実現など、「失われた30年」からの潮目の変化が生まれている。 ⚫ 今こそ、こうした潮目の変化を捉え、日本経済をしっかりとした成長軌道に乗せるチャンス。日本経済に存在している人手不足等の成長 制約になりかねない課題を、省人化、AI活用等のイノベーションや多様な人材の活用などを通じて乗り越えることで、経済社会構造の 転換を図る必要がある。こうした有志国連携も踏まえた新しい産業政策(経済産業政策の新機軸)の取組を力強く進め、社会課題 解決を起点に世界をリードする先端分野への投資とイノベーションを加速し、持続的な成長に繋げる。 国内投資の拡大とイノベーションの加速を通じた新たな経済社会構造への転換 (1)世界をリードする先端分野への投資促進 ① GXの実現とエネルギー安定供給の確保 (2)イノベーションの推進 ① スタートアップ・新陳代謝の促進 (3)構造的課題への対応 ① 人手不足への対応、賃上げ、人への投資 ➢ 省人化投資の促進/フィジカルインターネットの実現/介護需要の ➢ 徹底した省エネの推進/再エネの主力電源化/原子 ➢ 官民ファンド等や機関投資家からのリスクマネー供給/資 新たな受け皿として公的保険外サービスの振興/外国人材の活 金供給・人材確保・出口戦略を強化する税制措置等の 力の活用/水素・アンモニアの導入促進/CN実現に 躍促進/少子化対策関連サービスの社会実装に向けた支援 検討/大企業等の事業・技術・人材切り出しによるスター 向けた電力・ガス市場整備/カーボンリサイクル・CCS トアップ創出促進/女性起業家支援/ミッション志向の産 ➢ 税制や補助金等による賃上げ支援 の推進/資源外交/蓄電池の製造基盤の更なる強 業政策における各分野の特徴や課題に沿った支援強化 ➢ 人的資本経営の推進/リスキリングと労働移動の円滑化 化/電動車の普及とインフラ整備/脱炭素化が困難 の一体的な支援 /グローバルスタートアップ・エコシステムとの接続/知財活 な産業のGX移行支援/世界に伍する戦略投資促 ② 地域の中堅、中小企業・小規模事業者の発展、 用の推進/価値創造経営の推進/Web3.0の推進 進/GXリーグの段階的発展 ② イノベーションエコシステムの構築 投資環境の整備等 ➢ 工業用水等の整備/中小企業・小規模事業者の事業 ➢ 研究開発拠点の立地競争力強化に向けた税制等の制 再構築・生産性向上、環境変化に対応した資金繰り ➢ 半導体製造基盤整備、国際連携による次世代半 度整備/バイオ分野等の研究開発・製造拠点の立地促 支援、挑戦・自己変革を促す政策展開/日本・地域経 導体等の研究開発支援/デジタルライフラインの全 進/JAXAの資金供給機能強化による宇宙開発機能強 済を牽引する中堅企業に対する集中支援 国整備/モビリティ・ヘルスケア・医療等におけるデジ 化/ディープテック分野の人材育成等支援強化/内外エ ➢ 対日直投促進/中小企業等の海外展開支援/貿易手続きの タル技術を活用したサービスの実装支援 コシステムの接続強化/「日本型標準加速化モデル」の デジタル化促進/海外進出先での事業を担う現地人材育成 ➢ 生成AIの開発力強化/量子技術の産業化に向 実現/教育イノベーションの実現 ③ 物価上昇への対応、レジリエンス けた研究開発支援の継続・強化を通じた情報処 ➢ アート・ファッション・コンテンツ・スポーツ等の振興及び海 ➢ 価格転嫁対策/下請取引適正化の強化 理基盤の構築/サイバーセキュリティ対策の推進/デ 外展開支援/コンテンツ産業の構造改革推進/「未来社 ➢ スマート保安の推進/製品安全対策/クレジットカード決 ジタル人材の育成 会の実験場」としての大阪・関西万博 済のセキュリティ確保 ② デジタル社会の実現・生成AIへの対応 ① 国際秩序の再構築に向けた取組 (4)有志国連携による産業政策・経済安全保障 ➢ ルールベースの国際秩序の再構築(WTO改革等)/有志国と強靭で信頼性 のあるサプライチェーンの構築/グローバルサウスとの連携強化 ② 経済安全保障の実現 ➢ 産業基盤の維持・発展、産業防衛政策、国際枠組みの構築の3つの柱の確立 ➢ 資源自律経済の確立 最重要課題:福島復興の更なる加速 ➢ ➢ 福島第一原子力発電所の廃炉の安全かつ着実な実施/安全性確保及び風評対策を徹底したALPS処理水の海洋放出 帰還困難区域の避難指示解除と事業・なりわい再建、新産業創出、交流人口拡大、芸術文化を通じた復興の推進 令和6年度 経済産業政策の重点(案) <主要施策> ( 1 ) 世 界 を 投リ 資ー 促ド 進す る 先 端 分 野 へ の ①GXの 実現とエ ネルギー 安定供給 の確保 ➢ 家庭や中小企業に対する省エネの推進/再エネ主力電源化に向けたペロブスカイト、浮体式洋上風力等への支援/ 洋上風力等の導入拡大に向けた環境整備/再エネの事業規律強化/系統整備の強化/蓄電池・DRの活用 ➢ 安全最優先の原子力発電所再稼働、運転期間延長による既設炉活用、次世代革新炉の開発・建設、バックエン ドプロセス加速化 ➢ 水素・アンモニアの大規模サプライチェーン構築・利用拡大・産業育成等に向けた規制・支援一体型の環境整備/供 給力確保とCN実現に向けた電力・ガス市場の整備/CCSの事業化に向けた支援・環境整備/カーボンリサイクル燃料 への支援強化/バイオものづくりの研究開発・設備投資/LNG等の包括的資源外交・メタンハイドレート等の開発推進 ➢ 蓄電池・部素材・製造装置の製造基盤の更なる拡大/上流資源確保に向けた政府系機関を通じた支援強化、官 民連携体制の構築 ➢ 電動化社会に向けた電動車の普及とインフラ整備の加速/鉄鋼・素材・航空機産業等の構造転換にむけた支援や 複数社連携における課題への対応 ➢ 税制を含め予見可能性を高める大規模・長期・包括的な投資支援/GXリーグの段階的発展/アジア・ゼロエミッショ ン共同体(AZEC)構想の実現などの国際展開戦略 ②デジタ ル社会の 実現・生 成AIへの 対応 ➢ 省電力や高度な計算能力の確保に資する先端半導体や産業用スペシャリティ半導体、先端パッケージ、製造装置・ 部素材等の製造基盤整備、国際連携による次世代半導体等の研究開発支援 ➢ デジタル技術の社会実装に向けたドローン航路や自動運転支援道の設定、インフラ管理のDX等についての先行地 域での取組(デジタルライフライン全国総合整備計画の策定、実施)やIPAの機能強化、その実現に向けた適切な 負担の在り方の検討/PHR (Personal Health Record)を活用したサービスの創出、プログラム医療(SaMD)の 開発・実用化の推進 ➢ 重要なクラウド技術の開発/計算資源の量的・質的拡充や生成AIに係る競争力のある基盤モデル開発促進・データ 整備 ➢ 量子技術の産業化に向けた研究開発支援の継続・強化を通じた情報処理基盤の構築/東京圏・大阪圏を補完・ 代替する第三、第四のデータセンター中核拠点の整備/通信インフラの高度化・国際展開 ➢ 生成AI等の活用の視点も踏まえた人材育成/未踏事業の拡充や地方を中心にした若手人材育成の取組への拡大 ➢ G7サミットで合意されたDFFT具体化に向けた国際枠組みの立ち上げ/セキュアなソフトウェア・IoT機器の流通促進、 サイバー対処能力の向上 令和6年度 経済産業政策の重点(案) <主要施策> ①スタート アップ・新陳 代謝の促進 ( 2 ) イ の ノ 推 ベ 進ー シ ョ ン ②イノベー ションエコシ ステムの構 築 ➢ JICの運用期限延長検討も含めたリスクマネー供給の強化/資金供給・人材確保・出口戦略を強化する税制 等の環境整備の検討 ➢ カーブアウトした者が行う研究開発の支援の強化、研究者と経営人材のマッチング・起業家育成の推進 ➢ 創業・起業のための支援プログラム等を通じた女性起業家支援の強化/ミッション志向の産業政策における各分 野の特徴や課題に沿った支援強化 ➢ 次世代半導体のユースケース創出に取り組むスタートアップの開発費等支援、革新的な医療・ヘルスケアスタート アップの研究開発支援等 ➢ 海外ビジネス拠点の創設・内外スタートアップ等の協業・誘致の促進/VCへの知財専門家の派遣を通じた、ス タートアップ支援の強化 ➢ 価値創造経営の推進/Web3.0の推進に向けた、ユースケースの創出支援も含めた事業環境整備 ➢ 研究開発拠点としての立地競争力を強化し、民間による無形資産(研究開発・ソフトウェア)投資を後押しす るための税制等の環境整備/バイオ分野の研究開発・製造拠点の立地促進 ➢ 民間による宇宙開発を抜本的に加速するためのJAXAによる弾力的な資金供給能力の強化 ➢ ディープテック分野の人材発掘・起業家育成等の支援強化/内外エコシステムの接続強化 ➢ 「日本型標準加速化モデル」の実現を通じた研究開発成果の社会実装・市場創出の促進 ➢ 子どもたちの多様な学びのニーズを満たす教育イノベーションの実現 ➢ アート・ファッション・コンテンツ・スポーツ等の振興及び海外展開支援 ➢ 大阪・関西万博(「未来社会の実験場」とし、CN、デジタル、健康・医療などの分野で新しい技術・システムを 実証し、世界に発信) 令和6年度 経済産業政策の重点(案) <主要施策> ( 3 ) 構 造 的 課 題 へ の 対 応 ①人手不足 への対応、 賃上げ、人 への投資 ➢ 中小企業の自動化・IT化の推進支援 ➢ 「物流の2024年問題」対応のための支援・制度整備及びフィジカルインターネットの実現に向けた取組 ➢ 介護における公的保険外サービスの振興に向けたモデル形成・普及、サービスのあり方検討 ➢ 高度外国人材の受入れ拡大に向けた検討 ➢ 少子化対策関連サービスの需要創出・基盤強化 ➢ 税制や補助金等による賃上げ支援 ➢ 人的資本経営コンソーシアムの活動拡大/健康経営の更なる推進/リスキリングと労働移動の円滑化の一体的 支援 ②地域の中 堅、中小企 業・小規模 事業者の発 展、投資環 境の整備 ➢ 産業立地に係る工業用水等の産業インフラ整備 ➢ 中小企業・小規模事業者の事業再構築・生産性向上、環境変化に対応した資金繰り支援/親族内承継やM &Aを含む第三者承継を機とした変革の推進、人材等の充実・イノベーション支援等による成長志向の中小企 業創出/経営者保証に依存しない融資慣行の推進/新事業展開のための経営者ネットワークや専門家による支 援体制の構築等、日本・地域経済を牽引する中堅企業の国内投資・イノベーション・人材確保に対する集中支 援 ➢ 対日直投促進/中小企業等の海外展開支援/貿易プラットフォームの活用促進に向けた支援/貿易手続データ 連携のための国際標準の改定に向けた働きかけ/海外VC等の日本への呼び込み/技術協力を通じた海外人材 育成 ③物価上昇 への対応、レ ジリエンス ➢ 価格交渉月間の推進や、価格交渉の支援、自主行動計画の改定・徹底による中小企業の価格転嫁の推進 ➢ パートナーシップ構築宣言の拡大と実効性向上 ➢ スマート保安の導入促進/製品安全対策強化・クレジットカード決済のセキュリティ確保に向けた制度検討 令和6年度 経済産業政策の重点(案) <主要施策> ( 4 ) 有 ・志 経国 済連 安携 全に 保よ 障る 産 業 政 策 ➢ G7貿易大臣会合・第13回WTO閣僚会合等を通じた、多角的貿易体制の中核を担うWTOの改革主導等 ①国際秩序 の再構築に 向けた取組 ②経済安全 保障の実現 ➢ 有志国との信頼できるサプライチェーン原則(「強靭で信頼性のあるサプライチェーン原則」)のG7サミットでの合 意を踏まえたさらなるサプライチェーン強靭化に向けた取組推進 ➢ G20などの国際フォーラムやCPTPP・RCEP等のEPA、IPEF、QUADといった枠組み、ASEANをはじめとするアジ ア、アフリカ諸国などとの対話等を活用しながら、グローバルサウス各国との連携強化を図るとともに、自由で公正 な経済秩序の形成を進める ➢ 産業基盤の維持・発展、産業防衛政策、国際枠組みの構築の3つの柱の確立(特定重要物資の安定供給 確保支援を含む) ➢ 動静脈連携による資源循環の促進 ➢ 福島第一原子力発電所の廃炉の安全かつ着実な実施 福島復興の更なる 加速 ➢ 安全性確保及び風評対策を徹底したALPS処理水の海洋放出 ➢ 特定帰還居住区域をはじめとした帰還困難区域の避難指示解除に向けた取組の推進 ➢ 事業・なりわい再建、新産業創出、交流人口拡大、芸術文化を通じた復興の推進

資料7

参考資料1 産業構造審議会 活動報告書 令和 5 年 8 月 4 日 目 次 Ⅰ活動概要 現在の組織 ……………………………………………………………………3 開催状況 ………………………………………………………………………3 答申・報告書等 ………………………………………………………………3 Ⅱ 組織の変更 組織図 …………………………………………………………………………5 Ⅲ 答申・報告書等 特許制度小委員会………………………………………………………………7 意匠制度小委員会………………………………………………………………8 商標制度小委員会………………………………………………………………9 審査品質管理小委員会…………………………………………………………10 不正競争防止小委員会…………………………………………………………11 外国公務員贈賄に関するワーキンググループ………………………………12 不公正貿易政策・措置調査小委員会…………………………………………13 研究開発・イノベーション小委員会…………………………………………14 製造産業分科会…………………………………………………………………15 伝統工芸品小委員会……………………………………………………………17 繊維産業小委員会………………………………………………………………18 個人遺伝情報保護ワーキンググループ………………………………………19 教育イノベーション小委員会…………………………………………………20 経営力向上部会…………………………………………………………………22 経済産業政策新機軸部会………………………………………………………23 1 I 活動概要 2 活動概要 本活動報告書は、令和4年4月から令和5年6月までの産業構造審議会にお ける活動を取りまとめたものである。 現在の組織 産業構造審議会は令和4年4月から令和5年6月にかけて、2つのワーキン ググループを新設、3つのワーキンググループを廃止し、令和5年6月末現在、 3の部会、7の分科会、37 の小委員会、45 のワーキンググループによって構成 されている。 開催状況 令和4年4月から令和 5 年6月にかけて、総会2回、部会 15 回、分科会 12 回、小委員会 73 回、ワーキンググループ 64 回、総計 166 回開催しており、開催 状況・議事要旨を、経済産業省のホームページにおいて公開している。 答申・報告書等 令和4年4月から令和5年6月にかけて、総計 16 件の答申・報告書等を取り まとめており、経済産業省のホームページにおいて公開している。 3 Ⅱ 組織の変更 4 産業構造審議会の組織の変更について (令和5年8月4日現在) 総会 知的財産分科会 弁理士制度小委員会 特許制度小委員会 審査基準専門委員会WG 商標制度小委員会 商標審査基準WG 意匠制度小委員会 意匠審査基準WG 審査品質管理小委員会 不正競争防止小委員会 外国公務員贈賄に関するWG(令和4年6月新設) 不正競争防止に関するガイドライン素案策定WG 基本問題小委員会 財政点検小委員会 地域経済産業分科会 工場立地法検討小委員会 工業用水道政策小委員会 通商・貿易分科会 不公正貿易政策・措置調査小委員会 特殊貿易措置小委員会 安全保障貿易管理小委員会 産業技術環境分科会 研究開発・イノベーション小委員会 評価WG 若手WG(令和4年8月廃止) 研究開発改革WG 知的基盤整備特別小委員会 基準認証小委員会 地球環境小委員会 鉄鋼WG 化学・非鉄金属WG 自動車・自動車部品・自動車車体WG 製紙・板硝子・セメント等WG 電子・電機・産業機械等WG 流通・サービスWG 資源・エネルギーWG 地球温暖化対策検討WG 廃棄物・リサイクル小委員会 容器包装リサイクルWG 自動車リサイクルWG 電気・電子機器リサイクルWG 小型家電リサイクルWG 有害廃棄物等越境移動WG プラスチック資源循環戦略WG レジ袋有料化検討WG 産業環境対策小委員会 グリーントランスフォーメーション推進小委員会 製造産業分科会 化学物質政策小委員会 フロン類等対策WG 制度構築WG 航空機宇宙産業小委員会 車両競技小委員会 伝統的工芸品指定小委員会 航空工場検査員国家資格制度等小委員会 繊維産業小委員会 商務流通情報分科会 情報経済小委員会 IT利活用ビジネスに関するルール整備WG IT人材WG 試験WG 分散戦略WG バイオ小委員会 個人遺伝情報保護ワーキンググループ 生命科学・医学系研究に関する倫理指針に係る 個人遺伝情報保護WG バイオ利用評価WG バイオものづくり革命推進WG(令和5年3月新設) 割賦販売小委員会 教育イノベーション小委員会 学びの探究化・STEAM化WG 学びの自律化・個別最適化WG 保安・消費生活用製品安全分科会 高圧ガス小委員会 ガス安全小委員会 ガスシステム改革保安対策WG 液化石油ガス小委員会 電力安全小委員会 新エネルギー発電設備事故対応・構造強度WG 電気設備自然災害等対策WG 電力レジリエンスWG(令和4年12月廃止) 電気保安制度WG 令和元年度台風15号における鉄塔及び電柱の 損壊事故調査検討WG(令和4年6月廃止) 火薬小委員会 火工品検討WG 特則検討WG 火薬類保安WG 製品安全小委員会 電気用品整合規格検討WG 産業保安基本制度小委員会 経営力向上部会 グリーンイノベーションプロジェクト部会 エネルギーの構造転換分野WG 産業構造転換分野WG グリーン電力の普及促進等分野WG 経済産業政策新機軸部会 5 Ⅲ 答申・報告書等 6 知的財産分科会 「知財活用促進に向けた特許制度の在り方(報告書)」 特許制度小委員会(令和5年3月) 報告書の概要 令和4年9月以降、デジタル化・グローバル化の進展への対応、中小企業・スタートアップ・大 学等の知財活用の更なる促進、特許庁自身の一層のデジタル化による業務の効率化の必要があると いう問題意識の下、ユーザーの利便性の向上や知的財産の一層の活用促進のための特許制度の在り 方について、検討を行った。知財活用促進に向けた特許制度の在り方について、議論の結果を報告 書として取りまとめた。 (1)一事不再理の考え方の見直し 現時点では、法改正せず、現状の運用の更なる周知等を行うこととするのが適当。ただし、今 後、実務の動向を注視しつつ、状況が変化した場合には、本小委員会において改めて検討を 行う。 (2)送達制度の見直し オンライン発送制度の見直しに当たっては、送達の効力発生までの期間については、特許庁 のサーバに発送書類が格納された時から 10 日間とするとともに、出願人等が出願ソフトを立 ち上げた時に、特許庁のサーバに発送書類が格納された旨の通知が送付される方法を基本と して検討を進めることが適当である。また、公示送達の方法についても、デジタル化を促進 する観点から、特許公報への掲載を改善し、特許庁ホームページに掲載することにより実施 する方向で検討を進めることが適当である。 さらに、戦争やコロナ禍の影響により現実に国際郵便の引受けが停止され、当該国に対して 航空書留郵便等に付する発送ができない状況が長期間継続した場合には、公示送達を実施す ることができるよう、公示送達の要件を見直す方向で検討を進めることが適当である。 (3)書面手続デジタル化 ユーザーの利便性向上につながることから、優先権証明書の写しの提出を許容するとともに、 優先権証明書を含めた書面手続のデジタル化に向けた関係手続整備を進めることが適当であ る。 (4)裁定制度の閲覧制限導入 裁定関係書類のうち営業秘密が記載された書類は、閲覧等を制限可能とすることが適当であ る。 (5)ライセンス促進策 現時点では、ライセンス促進策の一つと考えられる特許料の減免拡充を行うのではなく、ラ イセンスの実施につながる政策効果がより高いと考えられる、実際にマッチングを進める上 での障害として指摘されている具体的な課題に応じた施策を講じることが適当である。また、 特許料の減免の在り方については、海外の「ライセンス・オブ・ライト制度」の実施の状況等 を引き続き注視しつつ、検討を行う。 7 知的財産分科会 「新規性喪失の例外適用手続に関する意匠制度の見直しについて(報告書)」 意匠制度小委員会(令和5年3月) 報告書の概要 令和4年9月以降、主として意匠の新規性喪失の例外適用手続について検討を行ってきた。これ までの議論の結果を報告書として取りまとめた。 (1)意匠の新規性喪失の例外適用手続 法定期間内に提出する証明書の要件を「最先の公開」について証明することとする対応が、 要件が明確であること、網羅的な証明書の作成が不要となり出願人の証明書作成負担が大き く軽減されること、第三者の予見可能性も担保されること等から、意匠の新規性喪失の例外 規定の適用手続の緩和の方向性として適切である。 (2)特許制度小委員会で審議された検討課題 2022 年 9 月の第 47 回特許制度小委員会及び同年 11 月の第 48 回特許制度小委員会で審議さ れた検討課題のうち、送達制度の見直し、書面手続デジタル化、裁定関係書類の閲覧制限に ついて、意匠制度にも関わる論点であることから、課題に対する対応の方向性について報告 を受け、検討を行った。検討の結果、いずれの方向性についても全ての委員の賛同を得た。 8 知的財産分科会 「商標を活用したブランド戦略展開に向けた商標制度の見直しについて(報告書)」 商標制度小委員会(令和5年3月) 報告書の概要 令和4年9月以降、主として「他人の氏名を含む商標の登録要件緩和」、 「コンセント制度の導入」、 「Madrid e-Filing により商標の国際登録出願をする際の本国官庁手数料の納付方法の変更」につい て、検討を行った。商標を活用したブランド戦略展開に向けた商標制度の見直しについて、議論の 結果を報告書として取りまとめた。 (1)他人の氏名を含む商標の登録要件緩和 出願人の商標登録を受ける利益と他人の氏名に係る人格的利益との調整のため、商標法第4 条第1項第8号の「他人の氏名」に一定の知名度の要件を設けること、また、無関係な者によ る悪意の出願等の濫用的な出願の防止のため、出願人側の事情(例えば、出願することに正 当な理由があるか等)を考慮する要件を課すことが適当である。 (2)コンセント制度の導入 制度設計において需要者の利益の保護が十分に担保されること、近年、コンセント制度導入 に関するユーザーニーズが高まっていること、国際的な制度調和の要請があること等を踏ま え、我が国においてコンセント制度を導入することが適当であるという意見が多数であり、 おおむね賛同が得られたことから、本小委員会としてはコンセント制度の導入を進める方向 で取りまとめを行った。 その制度設計に当たっては、商標法第1条において同法の目的の一つとして「需要者の利益」 の保護が掲げられているところ、これが十分に担保されるよう、先行登録商標の権利者の同 意があってもなお出所混同のおそれがある場合には登録を認めない「留保型コンセント」の 導入が適当である。また、コンセントによる登録後に出所混同のおそれが生じた場合や実際 に不正競争の目的によって出所混同が生じた場合に備え、当事者間における混同防止表示の 請求や不正使用取消審判請求の規定を設けることが適当である。 (3)Madrid e-Filing により商標の国際登録出願をする際の本国官庁手数料の納付方法の変更 本国官庁手数料について、出願人が e-Filing を利用して国際登録出願をしようとする場合に 限り、他の手数料と一括でスイスフランにより国際事務局へ納付することを可能とするため、 商標法について所要の手当をすることが適当である。 (4)特許制度小委員会で審議された検討課題について 2022 年 9 月の第 47 回特許制度小委員会で審議された検討課題のうち、送達制度の見直し、 書面手続デジタル化について、商標制度にも関わる論点であることから、課題に対する対応 の方向性について報告を受け、検討を行った。検討の結果、いずれの方向性についても全て の委員の賛同を得た。 9 知的財産分科会 「令和4年度審査品質管理小委員会報告書(報告書)」 審査品質管理小委員会(令和5年3月) 報告書の概要 令和4年度の特許庁の審査品質管理の実施体制及び実施状況について評価し、改善点についての 検討を行った結果を報告書として取りまとめた。 (1)特許庁における審査品質管理の取組の概要 特許庁における審査品質管理の取組の概要をまとめた。 (2)審査品質管理の実施体制・実施状況に関する評価結果 審査品質管理の実施体制・実施状況に関する評価を、本小委員会で策定した「審査品質管理 に関する評価項目及び評価基準」に基づいて行い、その結果を取りまとめた。 (3)審査品質管理の実施体制・実施状況に関する改善提言 審査品質管理の実施体制・実施状況に関する評価を通じて得られた、審査品質管理の実施体 制・実施状況に関して改善が期待される事項について審議し、本小委員会の改善提言として 取りまとめた。 10 知的財産分科会 「デジタル化に伴うビジネスの多様化を踏まえた不正競争防止法の在り方(報告書)」 不正競争防止小委員会(令和5年3月) 報告書の概要 本小委員会では、不正競争防止法(以下「不競法」という。)について時代の要請に応じた制度・ 運用としていくための課題及び対応の方向性を整理し、令和4年5月に、「デジタル社会における 不正競争防止法の将来課題に関する中間整理報告」を取りまとめた。これを受けて、①デジタル時 代にあわせた知的財産の保護、②中小企業・スタートアップ等の知的財産の活用促進、③国際動向 を踏まえた外国との制度調和、といった視点から再度検討を行い、「デジタル化に伴うビジネスの 多様化を踏まえた不正競争防止法の在り方」を取りまとめた。 (1)デジタル時代におけるデザインの保護 形態模倣商品の提供行為に「電気通信回線を通じて提供」する行為を追加し、また「商品」に 無体物を含むことついては、まずは逐条解説等にてその解釈を明確化することが適切である。 (2)限定提供データの規律の見直し 「秘密として管理されているものを除く」要件については、 「営業秘密を除く」と改める、又 は上記要件自体を削除することが適切である。 (3)渉外事案に係る国際裁判管轄及び不競法の適用範囲に関する規定整備 国際裁判管轄に関する規定の整備については、日本の裁判所に管轄を認めるとする競合管轄 規定を設ける方向で検討を進めることが適切である。また、不競法の適用範囲については、 法の適用に関する通則法による準拠法の選択にかかわらず不競法が直接適用される規定を設 けることにつき関係省庁とともに引き続き検討した上で、立法措置が可能であれば、適切な 措置を検討するべきである。 (4)損害賠償額算定規定の見直し 営業秘密に関し「技術上の秘密」に限定されている対象情報を営業秘密全般に拡充するとと もに、 「物を譲渡」した場合のみを想定している要件をデータや役務を提供している場合にも 拡充することが適切である。また、被侵害者の生産、販売及び役務提供能力等を超える部分 の損害の認定規定を追加し、相当使用料額の認定については、不正競争があったことを前提 として交渉した場合に決まるであろう額を考慮できる旨の規定を追加することが適切である。 (5)使用等の推定規定の拡充 対象情報を営業秘密全般へと拡充することが適切である。また、対象類型に関して、正当取 得類型への拡充については、営業秘密保有者から営業秘密を示された者への一定の配慮措置 を講じることが適切である。取得時善意無重過失転得類型への拡充については、不正開示行 為等の介在について悪意重過失に転じている場合に限り適用対象とすることを前提とし、そ の上で一定の配慮措置を講じることが適切である。 (6)営業秘密及び限定提供データに関するライセンシーの保護制度の創設 措置の方法について関係省庁等と調整しつつ、検討を継続していくことが適切である。 (7)商標法のコンセント制度導入を受けた適用除外規定 商標法にコンセント制度が導入されたことを受けて、不正競争の適用除外とする規定を追加 することが適切である。 11 知的財産分科会 「外国公務員贈賄罪に係る規律強化に関する報告書(報告書)」 不正競争防止小委員会 外国公務員贈賄に関するワーキンググループ(令和5年3月) 報告書の概要 令和元年に実施された OECD 贈賄作業部会による第4期審査において受けた4つの優先勧告に 対する制度的手当について検討を行い、議論内容を令和5年3月に報告書として取りまとめた。概 要は以下のとおり。 (1)自然人に対する制裁の在り方 外国公務員贈賄罪の保護法益(国際的な競争秩序の維持)と特殊性(他国の市場機能の侵害等) の観点を踏まえ、諸外国の制度及び他の国内経済犯罪とのバランスを考慮しながら、自然人に対す る罰金額の上限及び懲役刑の長期を、以下のとおり引き上げる法改正が適切である。 ・ 自然人に対する罰金額の上限を 1,000 万円~3,000 万円、懲役刑の長期を5年超~10 年に引 き上げる。 (2)法人に対する制裁の在り方 自然人についての法定刑の引上げ同様、外国公務員贈賄罪の保護法益と特殊性の観点を踏まえ、 諸外国制度及び他の国内経済犯罪とのバランスを考慮しながら、法人に対する罰金額の上限を以下 のとおり引き上げる法改正が適切である。 ・ 法人に対する罰金額の上限を5億円~10 億円に引き上げる。 (3)公訴時効の在り方 刑訴法 250 条の例外を設けることは適切でないが、仮に懲役刑の長期が 10 年に引き上げられる ならば、その結果として公訴時効期間が7年に延長となり勧告に対応することが可能である。 (4)法人に対する適用管轄(国外犯処罰)の在り方 日本法人の外国人従業員が国外で単独で贈賄を行った場合について、当該外国人従業員を処罰 し得る規律を創設し、法人に対する適用管轄を拡大するために、 「●条の罪は、日本国内に主たる事務所を有する法人の代表者、代理人、使用人その他の従業 者であって、その法人の業務に関し、日本国外において罪を犯した日本国民以外の者にも適用 する」 などといった規定を創設する方向性が適切である。 12 通商・貿易分科会 「2023 年版不公正貿易報告書(報告書)」 不公正貿易政策・措置調査小委員会(令和5年6月) 報告書の概要 世界貿易機関(WTO)協定をはじめとする国際ルールに照らして、我が国の主要貿易相手国・地 域が採用している貿易政策・措置の問題点を明らかにし、撤廃や改善を促すことを主たる目的とし ている。 (1)第一部 第一部においては、20 ヶ国・地域の約 150 件の貿易政策や措置を取り上げ、問題点の改善に 向けての政府の取組や最近の動向についてまとめている。なお、2023 年版では、新規案件として 以下 3 件の政策・措置を指摘している。 ① 中国:政府調達法改正 ② EU:炭素国境調整措置 ③ カナダ:特定有害物質禁止規則改正案における DBDPE 禁止規則 (2)第二部 第二部においては、第一部で挙げた問題点の指摘の根拠となる WTO 協定と主要ケースに関する 解説を行っている。なお、2023 年版の第二部では、以下 6 件の特集記事を記載している。 ① 新型コロナウイルス感染症と貿易 ② ③ ④ ⑤ ⑥ 企業のサプライチェーンと人権・環境問題 経済的威圧をめぐる最近の議論 安全保障例外~GATT21 条の解釈をめぐる論点と最近の WTO 先例 国産化と技術獲得 WTO 上級委員会を巡る問題 (3)第三部 第三部においては、WTO 協定を補完する新たな国際ルールとして、経済連携協定及び投資協定 について、体系的な解説を行っている。 13 産業技術環境分科会 「研究開発・イノベーション小委員会取りまとめ(報告書)」 産業技術環境分科会 研究開発・イノベーション小委員会(令和5年6月) 取りまとめの概要 当該小委員会では、日本の課題解決と持続的発展を実現するためには、新たな価値を生み、次の産 業を創る「イノベーション循環」が必要であるとの視点に立って議論を行い、令和5年6月に下記 の事項を含む報告書(“イノベーション循環”が新たな価値を生み、持続可能な産業を創る)を取 りまとめて公表した。 (1) イノベーション循環をめぐる 3 つの論点と課題 ① ② ③ イノベーションの担い手 イノベーション・プロセスの課題 経済社会課題(ミッション)を実現するイノベーション (2)イノベーション循環推進に向けた政策提言 ① スタートアップ・ファースト! ② イノベーション・プロセスの課題 ③ 挑戦と失敗を増やす ④ 市場創造への集中支援 ⑤ ⑥ ミッション志向型イノベーション政策への転換 計算基盤/汎用技術の強化 14 製造産業分科会 製造産業分会「新・素材産業ビジョン(中間整理)」 製造産業分科会(令和4年4月) 中間整理の概要 日本の鉄鋼、化学、非鉄金属、セメント、紙パルプ等の素材産業は、高い国際競争力を有する 生産体制を構築しつつ、自動車をはじめ様々な産業に高機能な部素材を提供するとともに、国内 雇用や地域経済を支えてきた重要な存在である一方、中国の伸長などグローバル競争の激化や足 下で生じているサプライチェーンにおけるリスクの高まり、内需の減少と外需の拡大、産業用電 気料金の高止まりなど資源エネルギー価格の高騰といった変化に直面しているほか、2050 年カー ボンニュートラルという極めて野心的な温暖化目標を受けて、事業構造の変革に取り組み、生産 プロセスの革新など大胆な投資を進めていく必要がある。 こうした中で、製造産業分科会においては、素材産業がカーボンニュートラルを目指しつつ も、多様な変革の要請に的確に対応し、今後も国際競争力を維持・強化していくためにどのよう な取組が必要か、今後の素材産業の方向性について議論し、それを踏まえグローバル市場で勝ち 続ける新たな素材産業への変革に向けて官民が共有すべきビジョンについて整理を行ったもの。 Ⅰ.素材産業 -我が国産業競争力の源泉 Ⅱ.新・素材産業への変革の方向性 Ⅲ.政策の方向性 1.ビジネスイノベーションの促進 (1) 新素材・新需要の創出 ・ユーザー一体型、分野横断型の R/D 支援(例:CO2 からプラスチック製造等) ・開発コストのシェアリング ・政府調達を通じた新技術の市場化支援 (2) 事業革新に向けた企業間連携の促進 ・内外の生産体制最適化の促進 ・CN コンビナートへの転換 (3) サービス事業領域の拡張 ・高度技術を活用したサービス事業展開(例:省エネ・脱炭素操業ノウハウの国際展開) (4) 人材(現場・研究)の育成と活用 ・キャリア教育や産学連携の研究プロジェクト推進 ・技能人材の流出防止 2.グリーンマテリアル産業への転換 (1) 革新的な脱炭素・炭素循環技術の開発 ・社会実装までの切れ目ない支援強化 ・国際標準化等のルール形成推進(例:経営戦略への位置づけ、CO2 計測手法) (2) 設備投資の促進 ・既存投資の高度化支援(例:燃料転換等)、トランジション・ファイナンスの更なる促進 ・カーボンニュートラル革新技術の実装支援(例:大規模かつ長期的な設備投資支援) 15 (3) オペレーションコストへの対応 ・産業用電気料金の抑制 ・ゼロエミ電源・水素・アンモニアの安価で安定した供給 ・CCUS の実現に向けた官民の取組 (4)グリーンマテリアル市場創出と脱炭素投資回収 ・環境価値の評価 ・クレジットを活用した排出量のオフセット ・脱炭素・炭素循環投資の回収と需要家の理解促進・対応 3.サプライチェーンにおける業界間連携 (1) 安定供給体制の強化 ・権益確保、代替技術開発、備蓄、リサイクル ・不可欠物資の国内生産確保に向けた連携 ・共同調達・適正転嫁など調達網一体での競争力確保 (2) サーキュラーエコノミーへの転換 ・原料調達からリサイクルまでの資源循環型プロセスの早期具体化(技術開発・制度構築) ・リサイクルの在り方の研究(鉄鋼・化学)(例:鉄スクラップの国内有効活用) ・研究開発推進(例:不純物除去、圧延、ケミカルリサイクル、CO2 でプラスチック製造) (3)業界・企業の枠を超えた DX ・業界を超えたデータ共有基盤整備を通じた付加価値向上(例:ユーザーと一体型のマテリア ルズ・インフォマティクス) 16 製造産業分科会 「伝統的工芸品の指定に係る答申について(答申)」 伝統的工芸品産業指定小委員会(令和4年10月) 答申の概要 伝統的工芸品産業の振興に関する法律に基づく伝統的工芸品の指定品目に「東京三味線」、 「東京 琴」及び「江戸表具」を追加することについて了承した。 (1)東京三味線 長唄、小唄、民謡等の演奏に使用。江戸時代に技法が確立 し、明治時代には東京三味線としてブランドも確立。現在も伝統 的な原材料、技法ともに継承されている。 (2)東京琴 独奏、合奏、歌唱を伴う演奏などに使用。江戸時代に技法が確 立し、明治時代には一大産地となる。現在も伝統的な原材料、技 法が継承されている。 (3)江戸表具 布や紙を貼り合わせて掛軸、屏風、衝立等に仕立てるもの。その起源は奈良時代と古く、江戸時 代には一大産業となる。現在も伝統的な原材料、技法が継承されており、産地は、需要開拓、後継 者育成事業、技術の保存などに取り組んでいる。 17 製造産業分科会 「2030 年に向けた繊維産業の展望 繊維ビジョン(報告書)」 繊維産業小委員会(令和4年5月) 報告書の概要 日本の繊維産業は、デジタル化やサステナビリティへの対応といった産業構造に大きな変革をも たらす環境変化に加え、新型コロナウイルスの感染拡大による繊維産業企業の売上減少や消費者ニ ーズの変化といった大きな転換期を迎えている。一方、新しい販売方法・市場の動きがあり、変わ りゆく産業構造や社会構造を踏まえた今後の方向性を議論・検討する必要があることから、繊維産 業小委員会において、2030 年に向けた繊維産業の方向性について議論を行い、 「2030 年に向けた繊 維産業の展望 繊維ビジョン」として報告書を取りまとめた。 <2030 年に向けた繊維産業の進むべき方向性・今後の繊維産業政策> 新市場開拓のための分野を戦略分野、サステナビリティやデジタル化などのビジネスの前提とな る分野を横断分野と位置づけ、政策の方向性を示した。 (1)戦略分野Ⅰ 新たなビジネスモデルの創造 ① ファッション・ビジネス・フォーラムを通じた好循環の創出 ② 繊維産地間の連携 ③ 事業承継等の促進 (2)戦略分野Ⅱ 海外展開による新たな市場獲得 ① 海外展開に向けた体制構築 ② 海外展開支援ツールによる後押し ③ サステナビリティ・EPA 等の普及・啓発 (3)戦略分野Ⅲ 技術開発による市場創出 ① 繊維技術ロードマップの着実な実施 ② 標準化の戦略的な活用 (4)横断分野Ⅰ サステナビリティの推進 ① 資源循環の取組強化 ② 責任あるサプライチェーン管理の促進 (5)横断分野Ⅱ デジタル化の推進 ① ファッション・ビジネス・フォーラムの開催 ② ビジネスモデルの転換支援 18 商務流通情報分科会 「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針見直しの方向性について(取りまとめ)」 バイオ小委員会個人遺伝情報保護ワーキンググループ(令和4年9月) 取りまとめの概要 人を対象とする生命科学・医学系研究については、「人を対象とする生命科学・医学系研究に関 する倫理指針」 (令和3年文部科学省・厚生労働省・経済産業省告示第1号。以下「指針」という。) により、その適正な実施を図ってきたところである。 今般、デジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律(令和3年法律第 37 号) により個人情報の保護に関する法律(平成 15 年法律第 57 号。以下「個情法」という。)の一部が 改正されることを踏まえ、生命科学・医学系研究等における個人情報の取扱い等に関する合同会議 (※)において、指針の見直しについて以下のとおり検討を行った。 本取りまとめを受けて、令和5年3月 27 日付けで「人を対象とする生命科学・医学系研究に関 する倫理指針の一部を改正する件」(令和5年文部科学省・厚生労働省・経済産業省告示第1号) を告示した。 <見直しの概要> ・「適切な同意」のうち、個人情報等に関する研究対象者等の同意は、個情法の本人の同意に係る 要求を満たす旨がより明確となるよう、定義の記載を適正化する。 ・自らの研究機関において保有している情報から研究者等が新たに仮名加工情報を作成して研究 に用いる場合の手続について、オプトアウトによる利用が許容されるものとする。 ・各機関の長がオプトアウトの掲載場所に関するルールの策定等の責務を負う旨を明記する。 ※文部科学省科学技術・学術審議会生命倫理・安全部会を対象とする医学系研究等の生命倫理に関 する専門委員会、厚生労働省厚生科学審議会科学技術部会医学研究における個人情報の取扱いの 在り方に関する専門委員会、厚生労働省厚生科学審議会再生医療等評価部会遺伝子治療等臨床研 究における個人情報の取扱いの在り方に関する専門委員会、経済産業省産業構造審議会商務流通 情報分科会バイオ小委員会個人遺伝情報保護ワーキンググループ 19 商務流通情報分科会 「産業構造審議会 商務流通情報分科会 教育イノベーション小委員会 中間とりまとめ」 産業構造審議会 商務流通情報分科会 教育イノベーション小委員会(令和4年9月) 中間とりまとめの概要 2020 年度に一人一台端末が整ったことを前提に、「学びの自律化・個別最適化」「学びの探究 化・STEAM 化」を実現するための方策・課題について実証事業等を通じて得られた知見を提言 としてとりまとめた。 「時間・空間」の組合せ自由度向上 ①小中学校:「クラス単位の授業時数管理」から「個別学習計画に基づく学び」へ 主体性・自律性を育み、誰一人取り残さない観点から、クラス単位で厳密に「授業時数管 理」を行う考えを超えて、EdTech 等も活用しながら「個別学習計画」を策定・更新し続け て学び、その成果を確認し、細やかに学習支援する考えを積極的に取り入れるべき。 ②高等学校:一人一台端末環境を前提とした新たな高校での学びの可能性/少子化を踏まえ た小規模校でのオンライン積極活用 少子化の影響で今後増大する小規模校では、教員の数も少なく、多様な専門性を持つ教員配 置は困難。充実した学びの機会を提供するため、「対面」原則の緩和(遠隔授業時の受信側 の教員配置の見直し、オンデマンド教材等を活用した学びの際の教員配置の見直し等)が 重要。 ③多様な学びの場の選択肢の拡大 特に不登校の児童・生徒が増加しているなか、子どもたちの学習権を保障するためには、対 面・デジタルを自在に組み合わせながら、学びの「場の選択肢を拡充」することが重要。 ④好奇心・探究心に応える「サード・プレイス」の拡充 子どもが持つ多様な「個性」「才能」「創造性」を一層伸ばす場として、学校外の民間事業 者・大学・NPO 等が中心となって、オンラインも活用した学びのコミュニティ(サード・プ レイス)を活用。 「教材」の組合せ自由度向上 ①多様な EdTech 教材を活用した学習環境下における教育データの利活用の推進 「教育データ利活用ロードマップ」の具体化に向け、データ利活用のユースケースを創出。 特に、各生徒が多様な EdTech 教材を学校内外で用いる状況下で、学習情報をどの範囲まで 標準化すべきか等、実情に応じた実証や検討を実施。 ②探究的な学びの支援:多様な教材の整備・普及と評価手法の開発 全国の学校が探究に取り組みやすいよう、企業や大学・研究機関とともに開発した「STEAM ライブラリー」を含む多様な教材を活用し、学際的な探究の活動の普及に向けて、多様な実 践事例を創出。 ③探究(横割り)と教科(縦割り)の学習指導要領コード等での紐付け 学習指導要領の全ての項目に付与された学習指導要領コードを、STEAM ライブラリー上のコ ンテンツ等に付与。探究の内容が指導要領上どこに位置づけられるか明確にするほか、各単 元に 興味を持った生徒が関連するコンテンツを見つけることも容易になる環境を整備。 20 「コーチ」の組合せ自由度向上 ①「多様な伴走者」の学校参画促進(大学生 TA や多様な企業人・研究者等) 学びが変容する中で、あらゆる仕事を教員が行うことは困難。子どもの個別最適な学び、探究 的な学びを教員の指揮下でサポートする多様な「子どもの伴走者」を充実すべき。 ②「多様な経歴の教員」が増える教員免許制度の実現 多様な人材が「教員」として学校に参画しやすくするため、資質や専門性を評価する手段を多 様化すべき。①普通免許状における「資格認定試験」の対象拡充、②抑制的に設計されている 特別免許状の授与の仕組み等の見直しが必要。 「出口」の再デザイン ①高卒就職市場の多様化/高校・大学の入学者選抜の多様化 「未来社会の創り手」を育てるため、「入試」や「就職活動」で評価される資質・能力が変 わることも重要であり、入試や就職活動の一体的な見直しが重要。 「学校の「生まれ変わり」の土台づくり ①「教員間の対話を通じた信頼性の高い組織への改変 学校の学びを変革する上では教員間の対話が活発で、信頼性の高い環境づくりが不可欠。ル ールメイキング(校則見直し)プロジェクトや学校 BPR(働き方の見直し)プロジェクトを 通じ、教職員間の対話を促し、学校を風通しの良い、信頼性の高い組織に変えていくこと が重要。 ②「眠れる財源・資源」の活用-発想の転換- 今後、多様な学びを支える環境を維持・発展させるためには、EdTech 教材の導入をはじめと する様々な費用が必要。この費用を捻出するため、①現状の教材費等の使途見直し、②学校 に必要な施設の見直し、③広告活用による収入の創出 等の検討が必要。 ③「地域拠点」としての学校インフラの活用-全世代型の学び・生活・仕事拠点化- 校舎の老朽化・建て替えが今後進展。学校で多様な学びを実現するために、学校を地域住民 の生涯の「学び・生活・仕事のインフラ」として生まれ変わるために様々な施設と一体とな った施設として再デザインを行う発想が必要。 21 経営力向上部会 「『中小企業等の経営強化に関する基本方針』の改正案に係る答申について(答申)」 経営力向上部会(令和 4 年 7 月) 報告書の概要 中小企業庁主催による「伴走支援の在り方検討会」における整理を踏まえ、中小企業等経営強化 法(平成 11 年法律第 18 号)第3条第3項の規定に基づき「中小企業等の経営強化に関する基本方 針」(令和 3 年厚生労働省経済産業省告示第 1 号)の改正案に関して、大臣が産業構造審議会経営 力向上部会に対して意見を求め、了承する旨の答申があった。 基本方針の改正内容は下記のとおり。 激変する経営環境の中で厳しい状況に置かれている中小企業、小規模事業者がポストコロナ時代 に向け、経営課題を見極め、進むべき道を描いていくために、経営者に寄り添って課題に取り組む 支援が求められている。この課題意識の下、中小企業、小規模事業者への支援の在り方を検討すべ く、「伴走支援の在り方検討会」が設置され、望ましい伴走支援についての議論を行い、あるべき 中小企業伴走支援の整理を行った。この整理を踏まえ、中小企業の経営強化に関する基本方針を改 正し、認定経営革新等支援機関に関する以下の規定を追加し、伴走支援の考え方を意識して中小企 業支援に関わることを明確化する。 「中小企業等の経営強化に関する基本方針」、第5の3二に次のように付け加える。 チ 認定経営革新等支援機関は、経営革新等支援業務の実施に当たって、経営課題の解決に偏 ることなく、経営課題を適切に設定することも意識し、対話を通じて経営課題及びその経営課 題を解決するための方策に対する経営者等の納得を促すことにより、中小企業等の自発的な経 営革新又は経営力向上を図ること。 22 経済産業政策新機軸部会 「経済産業政策新機軸部会中間整理(報告書)」(令和4年6月) 「経済産業政策新機軸部会第2次中間整理(報告書)」(令和5年6月) 報告書の概要 令和3年 11 月に、産業構造審議会直下に経済産業政策新機軸部会を設置し、延べ 16 回の部会を 開催。従来の産業政策と全く異なる大規模・長期・計画的な政策対応を主軸とする「経済産業政策 の新機軸」を検討した。議論の成果を、二回の中間整理という形でとりまとめた。 (1)中間整理(令和4年6月) 第1回~第8回までの部会での議論の成果として、令和4年度 6 月に公表した。 <概要> 日本経済が過去 30 年間にわたり低迷している。投資によるイノベーションの成果が分配され次 なる成長につながる「成長と分配の好循環」を生み出す「新しい資本主義」を実現する必要がある。 そのため、あらゆる政策手法を総動員してこれまでの限界を超えるという産業政策の方針を「経済 産業政策の新機軸」として始動した。 具体的には、GX・DX などの国や世界全体で解決すべき社会課題解決を起点に、政府も一歩前にで て大規模・長期・計画的な支援等の施策を総動員することで、わが国で停滞している民間の成長投 資を拡大し、社会経済課題の解決と経済成長の二兎を追うことを目指す「ミッション志向の産業政 策」を推進すべきとし、6分野のミッションを提示するとともに、これらのミッション達成に横断 的に必要な「経済社会システムの基盤の組替え(OS)」を進めるべきとし、6分野の OS を提示した。 加えて「経済秩序の激動期において取り組むべき分野」として2分野を提示した。 また、これらの分野における長期ビジョン、定量目標、対応の方向性を示した。 <ミッション志向の産業政策>(6分野) 1:炭素中立型社会の実現 2:デジタル社会の実現 3:経済安全保障の実現 4:新しい健康社会の実現 5:災害に対するレジリエンス社会の実現 6:バイオものづくり革命の実現 <経済社会システムの基盤の組替え(OS)>(6分野) 1:人材 2:スタートアップ・イノベーション 3:グローバル企業の経営:価値創造経営 4:徹底した日本社会のグローバル化 5:包摂的成長(地域・中小企業・文化経済) 6:行政:EBPM・データ駆動型行政 <経済秩序の激動期において取り組むべき分野>(2分野) 23 1:成長志向型の資源自律経済の確立 2:Web3.0 の可能性と政策対応 (2)第2次中間整理(令和5年6月) 第9回~第 16 回までの部会での議論の成果として、令和5年度 6 月に公表した。 <概要> 足下、国際秩序の変容や国内でのマクロ環境の変化に加え、政府の政策転換による社会課題解決 を起点とした大規模・長期・計画的な支援の開始を受け、企業の設備投資意欲の上昇、30 年ぶりの 賃上げ機運、企業の新陳代謝の兆しなど、日本経済には着実に潮目の変化がみられる。 この潮目の変化を持続的な成長へとつなげるべく、需給両面からアプローチする必要がある。需 要面からは、継続的な賃金上昇に支えられる新たな需要喚起、供給面からは新たな需要を満たすた めの企業活動の高付加価値化、そのための高付加価値分野への投資が必要であり、これらに通じる のは、成長するという「将来への期待」である。 「失われた 30 年」で染みついた将来悲観を払拭し、 縮小均衡のサイクルに陥らないようにすることが必要である。 このため、日本にも世界にも社会課題が存在する領域で、他国の産業政策に引けを取らない大規 模・長期・計画的な政策対応により、民間の予見可能性を高めて戦略投資を加速させる「ミッショ ン志向の産業政策」を通じて、国内で新たな市場と需要を創出する。同時に、ミッション志向の産 業政策を補完するものとして、テーマ横断的な基盤整備「社会基盤(OS)の組替え」に取り組む。 これにより、国内投資・イノベーション・所得向上の好循環の実現を目指す。 取り組む政策分野は、13 分野(「ミッション志向の産業政策」8分野+「社会基盤(OS)の組 替え」5分野)へと構成を見直した。再編後の構成は下記の通り。また 13 分野それぞれについて、 各分野の考え方と、これまでの施策及び今後の施策を示した。 <ミッション志向の産業政策>(8分野) 1:炭素中立型社会の実現 2:デジタル社会の実現 3:経済安全保障の実現 4:新しい健康社会の実現 5:災害に対するレジリエンス社会の実現 6:バイオものづくり革命の実現 7:成長志向型の資源自律経済の確立 8:少子化対策に資する地域の包摂的成長 <経済社会システムの基盤の組替え(OS)>(5分野) 1:人材 2:スタートアップ・イノベーション 3:価値創造経営 4:徹底した日本社会のグローバル化 5:行政:EBPM・データ駆動型行政 24

資料8

参考資料2-① 経済産業政策新機軸部会 第2次中間整理 令和5年6月27日 産業構造審議会 経済産業政策新機軸部会 経済産業省 目次 Ⅰ.現状認識 ..................................................................................... 4 (1) 「失われた 30 年」の振り返りと「新機軸」 ................................................... 4 (2)産業政策において中長期的に踏まえるべき動向 ............................................... 4 ①地政学的リスク等の不確実性の高まり ......................................................... 4 ②長期的な物価動向 ........................................................................... 5 ③世界的なインフレ ........................................................................... 5 ④労働力の動向 ............................................................................... 5 ⑤少子化の動向 ............................................................................... 6 ⑥国内投資(有形、無形)の重要性の高まり ..................................................... 6 ⑦経常収支の動向 ............................................................................. 7 (3)世界・日本における政策的支援の転換 ....................................................... 7 ①社会課題対応の喫緊化と世界各国での産業政策の活発化 ......................................... 7 ②「経済産業政策の新機軸」の始動 ............................................................. 8 (4)足下で起こっている変化の兆し・潮目の変化 ................................................. 8 ①企業の設備投資意欲の上昇 ................................................................... 9 ②世界的なインフレを背景とした 30 年ぶりの賃上げ機運 .......................................... 9 ③新陳代謝の兆し ............................................................................. 9 (5)長期持続的な成長に繋げる必要性 .......................................................... 10 Ⅱ. 「経済産業政策の新機軸」の考え方 ............................................................. 10 (1) 「潮目の変化」を持続的成長に繋げる「期待の醸成」 ......................................... 10 (2) 「新機軸」を構成する政策手法 ............................................................. 11 ①ミッション志向の産業政策 .................................................................. 11 ②社会基盤(OS)の組替え .................................................................. 12 ③14 テーマの再構成( 「ミッション6+OS6+新分野2」から「ミッション8+OS5」へ) .......... 12 (3) 「新機軸」全体で目指す目標 ............................................................... 13 (4)目標達成を支える経済・産業・社会の構造 .................................................. 13 ①全体像 .................................................................................... 13 ②マクロ経済運営の考え方 .................................................................... 14 ③個別分野における経済規模 .................................................................. 15 Ⅲ.国内投資・イノベーション・所得向上の3つの好循環を実現するための主要な政策ツール ............ 16 (1)国内投資の拡大 .......................................................................... 16 (2)イノベーションの加速 .................................................................... 16 (3)所得の向上 .............................................................................. 16 Ⅳ.分野毎の施策 ................................................................................ 17 <ミッション志向の産業政策> .................................................................. 17 (1)炭素中立型社会の実現 .................................................................... 17 (2)デジタル社会の実現 ...................................................................... 19 (3)経済安全保障の実現 ...................................................................... 26 (4)新しい健康社会の実現 .................................................................... 28 (5)災害に対するレジリエンス社会の実現 ...................................................... 31 2 (6)バイオものづくり革命の実現 .............................................................. 34 (7)成長志向型の資源自律経済の確立 .......................................................... 36 (8)少子化対策に資する地域の包摂的成長 ...................................................... 38 <社会基盤(OS)の組替え> .................................................................. 41 (1)人材 .................................................................................... 41 (2)スタートアップ・イノベーション .......................................................... 44 (3)価値創造経営 ............................................................................ 48 (4)徹底した日本社会のグローバル化 .......................................................... 52 (5)行政:EBPM・データ駆動型行政 ........................................................ 55 3 経済産業政策新機軸部会 第2次中間整理 Ⅰ.現状認識 (1)「失われた 30 年」の振り返りと「新機軸」 1990 年代以降の日本経済は、第1次中間整理でも記述したとおり、「失われた 30 年」と呼ばれ る状況が続いた。この 30 年間の中で、日本では、デフレマインドが広がり、これと人口減少によ る将来悲観を背景として、企業の国内の期待成長率も低下1した。 企業経営も雇用維持が重視され、全体として、企業は既存事業のコストカットと海外投資に注 力し、国内投資は 30 年間、大きく停滞、新事業創出に向けての国内での大胆な投資は行われな かった。2結果として、大企業の経常利益はこの 30 年間で大きく上昇し、足下では、1990 年頃の 2倍、過去最高の水準に達しているが、30 年間で国内の売上は横ばいであり、売上原価の減少に よる利益の増加と、海外利益の増加が、経常利益増の主要因であった。3 雇用維持が重視された結果、失業率は低水準に留まり、特に 2010 年代以降は非常に低い水準を 維持してきた。その一方で、低賃金での労働確保を可能とした非正規労働の拡大も背景に、平均 賃金はこの 30 年間一貫して横ばい4が続き、それに伴い個人消費も低迷5してきた。 こうした状況を生み出した原因として、政府も、行きすぎた新自由主義の考えの下で、民間の 制約を取り除く市場環境整備策が取組の中心となり、新たな価値創出に向けた取組が、結果とし て不十分になったことは否定できない。 「失われた 30 年」と呼ばれる経済停滞を脱するためには、こうした要因を認識し、対処するこ とが重要である。それに加えて、中長期的に日本経済及び産業政策に影響を与える、マクロレベ ルの動向変化が生じており、経済産業政策の新機軸として政策を検討するに際しては、こうした 動向を踏まえることが必要とされる。 (2)産業政策において中長期的に踏まえるべき動向 ①地政学的リスク等の不確実性の高まり 国際経済秩序の不安定化、技術革新の加速化を背景に、世界の不確実性は近年高まっている。 世界の政策不確実性指数も、2010 年代前半までは 50~200 程度のレンジで推移していたが、2020 年前後から、300 を超えることが多くなっている。6 国際経済秩序については、米中対立に加え、2022 年以降のロシアによるウクライナ侵略を契機 に、世界の「分断」が進展している。こうした地政学的な動きを背景に、過去 30 年間の大部分に おいて成立していた、安定した国際秩序のもとヒト・モノ・カネ・データの流れが増加し続ける 「グローバリゼーション」は過去のものとなった。自由貿易体制も、経済安全保障の確保との両 立が不可避的に求められる状況となっている。 こうした国際秩序の動揺や、イノベーションの加速化による産業の将来見通しの困難化に加 え、長期デフレ、人口減少が続いてきた日本においては、変化を機会と捉える見方を悲観論が上 回り、民間だけでは「明るい将来を見通した大胆な投資」が国内では必ずしも十分には起きにく 参考資料集 p3 参照 参考資料集 p4,5,6,7 参照 3 参考資料集 p8,9 参照 4 参考資料集 p10,11 参照 5 参考資料集 p12,13 参照 6 参考資料集 p15 参照 1 2 4 い状況となっている。実際、企業が設備投資を躊躇する理由として、「先行きが見通せない」こと が常に1位7となっており、企業の期待成長率も、2010 年代後半以降、1%程度を推移している。 IMDによる「世界競争力ランキング」でも、2022 年時点で日本は世界 63 カ国中 34 位と過去最 低の結果になっているが、これには統計に基づく客観的なデータよりも日本の経営者の主観的な アンケート結果の方が低いことが反映されている。8 ②長期的な物価動向 1990 年代までは、当時「内外価格差問題」として議論されていたように、日本の物価水準は米 国等の主要先進国と比較しても高かった。しかし、日本で長期的なデフレが続いたことや企業の コスト削減努力等もあり、30 年間で日本は「安い国」に変貌している。9 2022 年の日本の物価水準は、OECD平均よりも低く、既に「逆」内外価格差というべき、 「他の主要先進国より日本の方が物価が安い」状況が発生しており、中国との価格差も 20 年間で 縮小するなど、日本は先進国の中ではコスト競争力を有する状況になりつつある。 ③世界的なインフレ 足下では、コロナからの再開、ロシアによるウクライナ侵略等を背景に、過去 30 年間程度で類 を見ないペースで世界的にインフレが進展している。一部の他先進国では一時期、前年比 10%超 ペースのインフレが生じ、日本では長期デフレの状況から一転し、一時、前年比4%のインフレ となった。10 足下のインフレのペースは、多くの国で既にピークを越えて一定程度鈍化している。今後の物 価水準については様々な要因により決定されるものだが、基調として(ⅰ)この 30 年間程度、グロ ーバル化の進展によるモノの輸出等を通じて、世界に対して安価な労働供給を実現し続けてきた 中国が、今後は少子高齢化により労働力減少に転じていくこと、(ⅱ)先進国全体の高齢化による 労働供給の制約、(ⅲ)地政学リスクの拡大により、一方的・全面的な「グローバリゼーション」 の発展が限界に達したこと等により、持続的な高インフレ基調に転じたとの見方も存在する。 ④労働力の動向 日本では 1995 年以降、生産年齢人口が減少する中でも女性・高齢者の労働参加の拡大により労 働投入量(=総労働時間)の拡大傾向を維持してきたが、2019 年以降、日本の被雇用者による労 働投入量は減少傾向に転じている。この 30 年間、日本のそれまでの特徴であった男性と高齢者の 高い労働参加率に加え、従前は国際的に見て低かった女性の労働参加率も上昇を続け、現在は、 15~64 歳の男性・15~64 歳の女性・65 歳以上の高齢者、すべてのカテゴリーにおいて世界最高 水準の労働参加率となっており、労働参加率はもはや天井に達している可能性があるとの見方も 存在する。また、今後、少子化対策で出生率が反転しても、生産年齢人口自体は、20 年以上減少 が継続することが見込まれる。11 そのため、構造的な課題として、人手不足の解消に向けた対策が必要とされる。人手不足の解 消には、既存労働者の制約解消(就労時間に係る壁の解消、子育て・介護と仕事を両立しやすい 参考資料集 p16 参照 参考資料集 p17 参照 9 参考資料集 p18 参照 10 参考資料集 p19 参照 11 参考資料集 p20,21 参照 7 8 5 環境の整備等)に加え、労働集約的な産業のソフトウェア投資を含む省人化・自動化投資等を通 じた資本装備率の上昇が必要である。また、リスキリングや健康増進等による、生産性向上の加 速も必要とされている。 他方で、マクロ的に前向きな影響を与える側面として、人手不足の圧力の下で、これまで日本 において長く課題とされてきた、低生産性・低賃金部門から高生産性・高賃金部門への移動が加 速する可能性がある。高生産性・高賃金部門への円滑な移動を実現するために、個人単位での労 働移動や、事業部門・会社単位での事業承継・M&Aを通じた、いわゆる新陳代謝が円滑に進む ような支援の必要性が増大している。 ⑤少子化の動向 労働力減少の最大の要因は、日本の少子化トレンドであるが、少子化は、需給両面から日本経 済に影響を与える、経済問題としての側面を有する。日本では、従前からの少子化を背景に、95 年をピークに供給面の影響がある生産年齢人口が減少に転じ、2010 年をピークに需要面の影響が ある総人口が減少に転じている。12 人口減少については、足下では、実際の出生率だけでなく、希望出生率まで低下傾向にあるこ とが、大きな問題である。希望出生率は既婚者割合や未婚者の結婚希望割合、希望(予定)する 子供の数等から算出されるが、この希望出生率の低下には、未婚者の希望子ども数の減少に加 え、結婚希望の減少の寄与も大きい。13これは未婚者を中心に、将来への希望の低下が進展した ことの表れである。所得の低さが、出産・結婚双方にとって大きなハードルとなっている現状14 を踏まえれば、低所得層15の所得の持続的な向上や、仕事と家庭が両立できる職場作りにより、 この希望の低下傾向を反転させることが必要である。 若者の可処分所得を低くし、また結婚に至るマッチングを難しくしている一つの要因が、地方 に、若者が求めるような仕事内容であって、十分な所得にもつながる「良質な雇用」がない16こと により、若者(特に女性)が、物価・基礎支出の高い東京に集中していること(人口偏在)17で ある。だからこそ、出生率の低下を反転させる重要な施策として、地方で良質な雇用の受け皿と なる中堅・中小企業の重要性18が高まっている。 ⑥国内投資(有形、無形)の重要性の高まり 第1次中間整理でも強調したとおり、日本では、成長投資が不足してきた。その中でも、この 30 年間、国内投資が特に低迷してきたという動向は重要である。産業のソフト化が起きる一方、 過去、輸出を通じたグローバル化を牽引してきた製造業でさえ地産地消のトレンドが進む中、地 政学リスクへの備えや、国内の他産業への波及・乗数効果の観点から、国内に産業や事業の拠点 を持つ意義は高まっている。国民の所得との関係でも、国内投資と賃金の上昇には、有意な相関 が見られる。19 参考資料集 p22 参照 参考資料集 p23 参照 14 参考資料集 p24,25 参照 15 参考資料集 p26 参照 16 参考資料集 p27,28 参照 17 参考資料集 p29 参照 18 参考資料集 p30,31 参照 19 参考資料集 p32 参照 12 13 6 ただし、国内投資を進める上で目指すべきは、単なる海外生産拠点の国内回帰にフォーカスす ることではない。むしろ、世界中で投資先を選択するグローバル企業にとって、日本を投資先と する意義は、世界の社会課題解決に貢献し、日本でも需要拡大が期待される高付加価値な製品サ ービスの生産拠点か、研究開発等のイノベーション拠点が主なものになると考えられる。こうい った高付加価値な拠点を日本に継続して呼び込むためには、有形資産のみならず、無形資産投資 が重要である。無形資産に関連して、デジタル化によってサービス業の国際展開が容易になる中 で、知財収入の重要性も増大しているほか、企業や業種を超えたデータの活用を推進する連携基 盤(プラットフォーム)の整備・運営も益々重要になっている。 ⑦経常収支の動向 産業政策に影響を与えるマクロ動向として、経常収支も重要な要素である。日本は、エネルギ ー価格の高騰等により、2022 年に過去最大の貿易赤字を計上した。20長らく黒字を保ってきた電 気・電子機器も、貿易赤字に転換した。加えて、サービス収支も、足下は赤字となっている。長 期では、サービスの中でもICT部門はクラウドサービス化の進展によって 2030 年には石油資源 と同等水準の赤字額となる可能性がある。21コロナ禍で急減した訪日外国人消費22の復活が、サー ビス黒字の方向に寄与する可能性はあるものの、結果として、足下の経常収支は投資収益に依存 している状態となっている。 経常収支の安定化を図る際に、貿易・サービス収益が投資収益に比べ、乗数効果を通じて国内 所得により大きな裨益が期待できることを考慮すれば、現状の投資収益のみへの依存状態は、必 ずしも望ましいものではない。他方で、単に安く海外に売ることで貿易黒字を稼ぐアプローチ も、交易条件が悪化23し国民の実質所得を圧迫するため、望ましいものではない。高付加価値な物 品・サービスを海外にも提供できるようにすることにより、国民の所得の向上と、貿易・サービ ス収支の改善を中心に経常収支の安定化の両立を目指すことが必要である。 (3)世界・日本における政策的支援の転換 ①社会課題対応の喫緊化と世界各国での産業政策の活発化 コロナ禍を経て、世界中で、社会課題に対する人々のニーズが更に顕在化し、気候変動に対応 するGX、経済安全保障など、経済に内部化しきれていなかった社会課題の解決に、社会全体で 取り組む必要が生じ、これが経済の成長エンジンになりつつある。他方で、社会課題が大規模化 し、その解決のために既存の社会・経済システムそのものの転換が求められる中で、民間企業が 単独で社会課題に取り組むことは困難となっている。こうした不確実・複雑な状況の中で、民間 企業の予見可能性を高めることで企業の取組を促し、社会課題解決を成長につなげるために、政 策的な支援を行う必要性が高まっている。 こうした中で、伝統的に大規模な産業政策を展開してきた中国に加えて、米国や欧州で大規 模・長期的な産業政策が活発化24している。例えばアメリカでは、2022 年8月に成立したCHI PS法(The CHIPS and Science Act of 2022)において半導体関連投資等のために 527 億ドル (約 7.1 兆円)の政府支援を決定した。加えて、同年同月に成立したインフレ削減法において気 参考資料集 p33 参照 参考資料集 p34 参照 22 参考資料集 p35 参照 23 参考資料集 p36 参照 24 参考資料集 p38,39 参照 20 21 7 候変動対策に 3690 億ドル(約 49.8 兆円)の政府支援が決定した。25特に、インフレ削減法の下で は、初期投資支援だけでなく、生産額に応じたインセンティブを与える生産比例税額控除を含め た大規模な財政支援が開始しており26、政府の支援に当たって、国産品使用を求める要件や国産 化の目標設定がなされている。欧州27においても、脱炭素規制の緩い国への投資の流出を防ぐ国境 調整措置に加え、投資の海外移転防止のための補助金ルールの緩和を決定するなど、これまでに ない手法も総動員して国内投資を積極誘導している。28民間企業の投資や雇用が、各国の包括的 な支援に左右される状況が生じており、政策的な競争の側面も生じている。 ②「経済産業政策の新機軸」の始動 こうした変化の中で、日本政府も政策の転換を行い、2021 年以降、世界的な社会課題を起点 に、「ミッション志向」で政府も一歩前に出て大規模・長期・計画的に取り組む「経済産業政策 の新機軸」を開始してきた。29この中で、行きすぎた新自由主義的な政策を軌道修正し、社会課題 解決を起点に、政府も一歩前にでて目標設定や投資を行うことで、民間が直面する不確実性を低 減する政策的な取組を、2021 年から順次実施してきている。 例えば、炭素中立型社会の実現(GX)については、脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の 推進に関する法律(GX推進法)による 20 兆円規模の先行投資支援等の成長志向型のカーボンプ ライシング構想の実行をしていくこととしており、すでに 1.6 兆円の支援が拠出決定済みであ る。30 デジタル社会の実現(DX)については、半導体・次世代計算基盤構築基盤のための投資・研 究開発双方にわたる計2兆円超の支援や蓄電池の製造基盤確立のための 0.4 兆円の支援など、政 府が大規模・長期・計画的な政策支援をコミットし、一部は既に、外資を含めた民間企業による 該当分野への集中的な投資の実現などの効果が生じはじめている。31 加えて、経済安全保障の分野においては、特定重要物資の指定を行った他、経済安全保障重要 技術育成基金に 2500 億円を計上し、既に 800 億円について採択済みである。32 さらに、リスキリングなどの「人への投資」支援(5年間で1兆円)をはじめとする人材分野 の支援33、「スタートアップ育成5か年計画」に基づいた補正予算1兆円及び7つの税制改正等に よるスタートアップ支援34、また事業再構築補助金(合計 2.4 兆円)・ものづくり補助金等による 中小企業の成長支援など、様々な領域において長期的な支援を開始している。 (4)足下で起こっている変化の兆し・潮目の変化 国際秩序の変容や国内での労働力の動向等のマクロ環境の変化に加え、政府の政策転換による 社会課題解決を起点とした大規模・長期・計画的な支援の開始を受けて、足下でこれまで 30 年間 の流れとは異なる、潮目の変化が生じている。 参考資料集 p40 左参照 参考資料集 p41 参照 27 参考資料集 p40 右参照 28 参考資料集 p42 参照 29 参考資料集 p43 参照 30 参考資料集 p44 参照。政策執行状況は、2023 年 6 月 2 日時点。 31 参考資料集 p45 参照 32 政策執行状況は、2023 年 6 月 2 日時点。 33 参考資料集 p46 参照 34 参考資料集 p47 参照 8 25 26 ①企業の設備投資意欲の上昇 国際経済秩序の動向に加え、国内における企業物価の長期的な修正により、米国等と比べて遜 色ないコスト環境が実現したこと、そして大規模・長期・計画的な政策支援の開始を受けて、企 業の設備投資意欲が明確に上昇している。 2022、2023 年度における企業の設備投資計画額の伸び(前年度比)は、1983 年の統計開始以 来の最高水準を記録している(日銀短観)。35研究開発やソフトウェア投資を含む民間部門全体で も、2023 年度は、投資額が過去最高水準となる見通しである(政府経済見通し)。こうした流れ の中で「国内投資拡大のための官民連携フォーラム」において、経団連は 2027 年度に 115 兆円の 民間設備投資を実現し、政策強化により更なる高みを目指す目標36を掲げている。 ただし、世界景気の不透明化(今年の世界成長率予測は 2.8%(IMF)、過去 20 年平均は 3.8%)で、海外から波及する景気後退による国内投資の減速リスクを指摘する声もある。このよ い流れを所与とせず、国内投資を腰折れさせない「持続化」に向けた取組が、引き続き必要37と されている。 ②世界的なインフレを背景とした 30 年ぶりの賃上げ機運 2023 年春闘では、30 年ぶりの賃上げ水準が実現した。全規模の企業計で 3.66%の賃上げとな った他、中小企業でも 3.36%の賃上げが実現した(連合集計の第6回回答集計結果ベース)。38こ れは、歴史的なインフレ、人手不足の動向等が背景にあるものと考えられるが、この 30 年間のト レンドを大きく変えるきっかけとなり得る、画期的な出来事といえる。 ただし、この賃上げの動きを非正規労働者含め幅広く波及させることや、今年以降の賃上げの 「持続化」を実現させることが、今後、この潮目の変化を、長期に継続する動きとするための焦 点となる。 ③新陳代謝の兆し 国内スタートアップへの投資額は、コロナ禍での減少はあったものの、この 10 年で約 10 倍の 規模にまで成長39してきており、スタートアップ・エコシステムによる経済全体への新陳代謝効果 の高まりの兆しを示している。日本企業が関連するM&Aの件数も、2011 年からの 10 年間で2 倍以上に増加する等40、事業再編の動きも進みつつある。 日本は、欧米と比べて過当競争の傾向が長期間にわたって継続していたが、コロナ禍を経て、 市場集中度に改善の兆しが見られる。市場集中度を示すハーフィンダール・ハーシュマン指数で みると、2014~2019 年に比べて、2020~2022 年に指数が上昇しており、市場の過当競争度合いが 低下したことが示唆される。同時に、産業間の、低生産性分野から高生産性分野への資源移動を 示す指標(企業の生産性向上における再配分効果)も、コロナ禍を経て改善しており、健全な新 陳代謝が経済全体の生産性を高める好循環の兆しが見える。41 参考資料集 p49 参照 参考資料集 p50,51 参照 37 参考資料集 p52,53 参照 38 参考資料集 p54 参照 39 参考資料集 p55 参照 40 参考資料集 p56 参照 41 参考資料集 p57 参照 35 36 9 (5)長期持続的な成長に繋げる必要性 こうした潮目の変化の中で、(2)④で述べたとおり、世界最高水準に到達した労働参加と生産 年齢人口の減少による構造的な人手不足の圧力の中で、持続的な賃上げを行わないと人材確保が 困難な状況が生じている。 高い付加価値の創出と高生産性・高賃金部門への円滑な移動が進むような支援の必要性が高ま っている中で、今がこの「潮目の変化」を持続的な成長につなげるラストチャンスであるとの認 識の下、非連続なイノベーションを積極活用し、危機感を持って、 ➢ 付加価値の高い事業の創出、事業構造転換、新陳代謝を通じた賃上げ原資の確保、及びそ うした変化を推進する企業経営の変革 ➢ 個人に対するリスキリングと円滑な労働移動を実現することによりセーフティネットを確 保 に取り組むことが必要である。 そして、付加価値の高い事業の創出と賃上げを持続的に実現するためには、多くの国民に蔓延 している 30 年間で染みついた将来悲観を払拭し、安いものを買おう、投資を抑えようという縮 小均衡のサイクルに陥らないようにすることが必要である。目下の世界経済の不透明感、国内の 人口減少の加速、国際的な国内投資誘導競争などを踏まえれば、こうした縮小均衡サイクルに陥 ることを防ぐ、政策的なアプローチが、「潮目の変化」を持続的な成長につなげるためには重要と なる。その具体的なアプローチが、社会課題解決を軸として、政府が一歩前に出て、新たな需要 の創出と、それを満たす供給側の高付加価値分野への投資を実現させる「経済産業政策の新機 軸」である。 Ⅱ.「経済産業政策の新機軸」の考え方 (1)「潮目の変化」を持続的成長に繋げる「期待の醸成」 設備投資意欲の上昇、30 年ぶりとなる賃上げ水準、そして新陳代謝の兆しといった潮目の変化 を長期持続的な成長に結びつけるためには、需給両面からのアプローチが必要である。すなわち 需要面からは、とにかく安いものを買おう・投資を抑えようといった縮小均衡を打破し、継続的 な賃金上昇に支えられながら新たな需要が喚起されることが必要である。そして供給面では、そ うした新たな需要を満たすための企業活動の高付加価値化、そのための高付加価値分野への投資 が必要である。これらに通じるのは、成長するという「将来への期待」であり、これこそが「経 済産業政策の新機軸」において重視する考え方である。 その際、かつて途上国としてキャッチアップする中で次に成長する産業が明白であった頃は、 特定産業の保護・育成策を講じれば事足りたものの、キャッチアップを経た先進国として技術変 化の加速や水平分業化といった産業構造変化の中で、産業単位での「次なる成長産業」を見据え ることが難しくなったことに留意が必要である。そのような中でも明確なのは将来にわたる世界 的な社会課題であり、これがまさに「経済産業政策の新機軸」の「ミッション志向の産業政策」 が起点とするものである。こうした社会課題の解決を、予算(基金・国庫債務負担行為)や税制 (長期の適用期限)を含め、他国の産業政策に引けを取らない政策対応により、予見可能性を高 め、設備の維持にとどまらず能力増強や新商品・サービス展開につながる戦略投資を加速する 「ミッション志向の産業政策」で解決することを通じて、国内の新たな需要を創出しつつ、輸出 力を含む国際競争力を強化し、海外にも展開する。 10 同時に、危機感を持って構造転換に取り組む。特に、足下生じている人手不足環境において企 業が必要な労働力を確保するためには、企業による継続的な賃金上昇、それをもたらすリスキリ ング等の人的投資や労働移動の円滑化に加え、賃上げ原資確保のための企業活動の高付加価値化 が必要とされる。こうした 30 年ぶりの環境をテコとして、政府も、現状維持に甘んじることな く付加価値向上に向けた経営変革に挑戦する企業をより応援する。また、新しい価値を生むスタ ートアップ・中小企業を含め足腰の強い企業を育成し、新陳代謝を後押しする。同時に博士や理 系女子等の成長産業をリードする人材を育成するとともに、世界からもそのような人材が日本に 集まる環境を整備する。こうした一連の構造転換を、「社会基盤(OS)の組替え」 として実施 する。 「ミッション志向の産業政策」と「社会基盤(OS)の組替え」からなる「経済産業政策の新 機軸」は、政府も一歩前に出て、大規模・長期・計画的に取り組み、市場に予見可能性を与え、 新たな官民連携により、成長市場を創り出す政策体系である。それを通じて、民のアニマルスピ リッツにも火をつける。2年前から始動した「新機軸」を発展、継続していくことが、今こそ求 められている。 (2)「新機軸」を構成する政策手法 ①ミッション志向の産業政策 長引く国内投資の低迷から脱却し、高付加価値分野への投資を推進するためには、投資の回収 が予見できる成長イメージの形成や、不確実性の低下が必要である。そのために世界的な社会課 題解決を起点としながら、政府も新自由主義的政策から転換し、成長分野への戦略投資も含め、 一歩前に出て積極的な役割を果たすのがミッション志向の産業政策である。ここで取り組むべき は、第 1 次中間整理でも提示したように、日本にも世界にも社会課題が存在する領域、そして日 本企業がそれら課題に貢献できる可能性のある領域である。 政府の積極的な役割の中でも、主要プレーヤーは民間で、事業をしやすい環境整備が重要であ ることは、従前と同様である。しかし民間任せだけでは、国内投資・イノベーション・所得向上 は、国民の期待どおりには進まないことは、この 30 年間で明らかになってきた事実である。必要 なのは、国内外に存在する社会課題に対して投資が進むための成長イメージの形成、不確実性の 低下である。積極的に投資を行う民間のアニマルスピリッツは、かつては「追いつけ追い越せ」 の気概に支えられていたが、「新機軸」においては社会課題解決を起点にアニマルスピリッツを喚 起する。 そのために、多くの人の共感を呼ぶような長期目標の設定、規制・制度、標準化等の政策ツー ル総動員により、人口減少下でも中長期的に拡大する需要を開拓しつつ、大規模・長期・計画的 支援により供給側も同時に育成する。海外の市場獲得を含め、このように需給両面から施策を継 続的に実施し、民間企業の予見可能性を確保することで、世界水準の戦略投資を加速する。「新機 軸」における政府支援は、民間企業の「後押し」ではなく、国富を拡大する「国の戦略投資」で ある。 特に、成長分野において世界規模で立地誘導の政策競争が起きていることに留意する必要があ る。米欧中韓等を比較対象としながら、世界に匹敵するインセンティブ水準を、長期に予見可能 な期間(例えば 5-10 年)で設ける。結果として、人口減少でも企業に魅力的な投資先として国 内投資・イノベーションを活発化させる。 11 「新機軸」が恐れるべきは政策の不作為である。社会課題解決は政府関与に正当性のある領域 であり、政府も積極的に挑戦する一方で、政策が望ましい効果を上げていない場合には失敗に学 び、軌道修正する(フェイル・ファスト)。技術を含めた環境変化により政策の前提自体が大きく 変化した場合にも、同様に、柔軟な軌道修正を行わなければならない。そのような大きな変化を 受け入れつつ、それに応じて政策手法のアップデートを含めた軌道修正を適切に行いやすくする ために、政策効果をモニタリング・検証するための具体的指標を適切に設定し、PDCAサイク ルを回せる仕組みを整備することが重要である。 ②社会基盤(OS)の組替え ミッション志向の産業政策において掲げた分野での社会課題解決の実現には、テーマ毎のミッ ション志向の産業政策を補完するものとして、テーマ横断的な基盤整備も必要である。こうした 分野について、社会基盤(OS)の組替えとして取り組む。 例えば、ミッション志向で取り組む分野として掲げているGX・DX等の社会変革を実現する には、政策にも支えられたこれら分野への大胆な投資に加えて、こうした変革を担う人材の育 成・確保が必要であり、リスキリング等の人的資本投資や、適材適所に人が移動するための分野 横断的な労働市場改革が必須である。あるいは、こうした変革に必要なイノベーションの担い手 として期待されるスタートアップの数及び規模を拡大するための施策や、これまで国内では既存 事業のコストカット等のため投資を抑制する傾向の強かった大企業が、付加価値を高める経営に シフトし、新分野への大胆な投資に踏み出すことを促すための経営変革も必要である。さらに、 各分野において激化している人材・知恵の国際獲得競争を制するための環境整備として、日本社 会のグローバル化を、経済安全保障との両立を図りつつ、より一層進めることが必要である。 OSの組替えは、個別ミッションに厳密に対応する範囲外でも、国内投資・イノベーション・ 所得向上に貢献するものである。そうした観点から、これらの分野における施策にも取り組む。 ③14 テーマの再構成(「ミッション6+OS6+新分野2」から「ミッション8+OS5」へ) 2022 年の第1次中間整理では、「ミッション志向の産業政策」として取り組む政策分野6テー マ、「社会基盤(OS)の組替え」として取り組む政策分野6テーマ、そして「経済秩序の激動期 において取り組むべき分野」として取り組む政策分野2テーマを特定し、検討の深化と施策の執 行をしてきたところである。本中間整理においては、この1年で検討を深めてきた内容を踏まえ て、以下のとおり、「ミッション志向の産業政策」として取り組む政策分野8テーマと、「社会基 盤(OS)の組替え」として取り組む政策分野5テーマへと構成を見直すこととする。42 まず「包摂的成長」については、社会基盤(OS)として検討を進めてきたが、当該施策分野 が取り組む問題の本質は「少子化」という社会課題と考えられるため、「少子化対策に資する地域 の」包摂的成長として取り組む課題・対象をより明確にした上で、ミッション志向の産業政策と して、位置づけを見直す。 また、「経済秩序の激動期において取り組むべき分野」として特定したもののうち、「成長志向 型の資源自律経済」については資源制約からの解放という社会課題の解決を図るものであると考 えられるため、「ミッション志向の産業政策」と位置づける。 42 参考資料集 p59 参照 12 最後に、もう片方の「経済秩序の激動期において取り組むべき分野」であった「Web3.0 の可能 性と政策対応」については、業種横断的な課題であるものの、デジタル社会の重要分野の一つと 考えられるため、「デジタル社会の実現」の中に統合し、その中で今後議論するものとする。 (3)「新機軸」全体で目指す目標 第1次中間整理では、経済的な目標として「投資の拡大」を設定したが、これについてその後 の経済環境(特に世界的な政策動向、国際秩序の変容、マクロ経済の動向)を踏まえ、検討を深 掘りしてきた。その結果、経済産業政策を検討する際に考慮すべき要素は多岐に亘るが、足下の 投資・賃金の状況等を踏まえ、経済産業として解決すべき課題を捉え直し、国内投資・イノベー ション・所得向上の3つの好循環を「経済産業政策の新機軸」全体の目標と再定義する。 この3つの好循環に至るパスは以下のとおりである。ミッション志向の産業政策を通じて、社 会課題解決ニーズに支えられた新需要を創出する。社会課題解決に支えられた新需要に向け、設 備の維持にとどまらず能力増強や新商品・サービス展開につながる戦略投資としての有形・無形 の国内投資(設備投資に加え、ソフトウェア投資・研究開発投資も含む)が促進される。そうし た投資等を触媒として、社会課題の解決につながるイノベーションが実現する。イノベーション を実装することで生まれる新事業も、新たな投資先となる。 結果、資本装備率の向上と、新需要に応えるイノベーションによって得られる新たな付加価値 を通じて、労働生産性を引き上げ、賃金上昇を実現する。この変化は、人材の育成、企業(既存 企業・スタートアップ)の変革や、成長する海外との需要・供給両面でのつながり強化といった 社会基盤(OS)の組替えを通じて加速される。 幅広い層における賃金上昇を実現した結果、これに支えられた個人消費の活性化等によって需 要が拡大する。企業収益は拡大し、期待成長率が上昇することで、企業は更に国内投資を進め、 成長市場の獲得に向けたイノベーションが加速するという好循環が生まれる。 この好循環が、「潮目の変化」として見え始めた中で、これを一過性に止まらず、持続すること が重要である。持続的な成長に対する期待が若者の希望につながり、経済状況の改善を通じて出 生率の低下に歯止めをかけ、やがて人口動態の安定化を通じた成長期待の醸成により、長期的に 更なる成長軌道を見通せるようになる。 このため、今後3-5年を、向こう 10 年の成長に向けたジャンプ・スタートを切るための「集 中取組期間」とし、中長期的(5-10 年)にも3つの好循環を持続させる。有効な施策を継続す るためには、3つの好循環が日本経済全体として、また新機軸で取り組む各分野においても進捗 していることをモニタリングする指標を定め、軌道修正しながら継続実施することが重要であ る。そのため、経済産業省としての組織的KPIとしてこれらの関連指標を設定し、モニタリン グするものとする。加えて、現時点で設定した指標についても、モニタリング動向を踏まえ、必 要に応じて追加・精緻化していくことが必要である。 (4)目標達成を支える経済・産業・社会の構造 ①全体像 投資の回収が予見できるような長期持続的な成長イメージは、中長期的に予見可能な社会課題 が起点であることによってもたらされる。このため、経済・産業・社会として目指すのは、社会 課題解決と経済成長の両立である。 13 日本が世界の中では中長期的には中規模経済国になり、国内で必要な物資を全て自前で賄うこ とが益々困難になる中で、これまで以上に、他国との連携が必要となる。他方で、地政学的な対 立の高まりによる国際経済秩序の変化等により、WTOルールに基づく全世界的な自由貿易体制 そのものが、これまでほどの影響力を保てなくなっている中で、マルチの自由貿易体制を基盤と しつつも、有志国連携をミドルウェア的に機能させる発想で、国際経済関係に対応していく必要 がある。 産業構造としては、単なる国内回帰ではなく、新たな需要に対応して高い付加価値を生み出す 産業構造とする必要がある。特に、グローバル競争の下で戦う産業は、経済安全保障に配慮しつ つも、最初から世界市場で戦うことを念頭に、国内市場のみに最適化することなく、スピードと 規模を追求する必要がある。その観点からは、今後のグローバル競争を見据えた投資の中心とな るような国内の事業活動拠点を生み出す分野は、社会課題解決で世界の先行分野となることを目 指す分野(GX、健康等)か、グローバルなサプライチェーンの中核を握ることを目指す分野 (半導体・蓄電池等)が、その中核となることになると考えられる。 そして、産業構造の背景にある社会の構造として、労働参加率が伸びる余地の小ささと生産年 齢人口の減少傾向の継続により、労働投入が全体として当面減少していくことは避けられない。 こうした中で、社会課題解決を軸とした新たな産業構造を構築するためには、成熟産業からの労 働等の資源移動が必須になる。そのために、個人が安心して、主体的に労働移動できる環境を整 備し、そのためのセーフティネットを確実にする必要がある。 同時に、企業側に対しても、新陳代謝により、成長分野へのリソースの移動を促していくこと が必要である。新たな事業の担い手としてのスタートアップの支援に加えて、既存の企業も、既 存事業の継続だけでなく、新たな付加価値と成長を追究し、新事業創出に向けても大胆に投資で きるスタートアップ型に転換することが求められる。また、新たな付加価値の創出のためには、 多くの分野でより徹底したデジタル化・データ活用が必要とされる中で、データ連携を核とした 業種横断の連携基盤(プラットフォーム)でも、官民が一歩前に出てその基盤を主体的に構築す る発想が不可欠になる。 そして、日本の最も重要な社会・経済問題の1つである人口動態への対応は、経済・産業政策 の観点からも、重要な課題として扱われる必要がある。本章冒頭で述べた「将来への期待」が長 期に持続的なものとなるよう、足下で低下している希望出生率を 1.8 に回復し、さらに将来的な 人口動態の安定化を視野に入れられるような経済環境を構築することが、経済・産業政策の観点 からも望ましい。そのためにも、若者、特に女性にも魅力的な地方の職の創出や働き方改革を進 めることが必要である。 「経済産業政策の新機軸」を進める上では、上記に示したような側面を含めて、目指すべき経 済・産業・社会のビジョンを具体化することが重要であり、今後継続的に取り組んでいく。 ②マクロ経済運営の考え方 まず、経済全体の目標として、国民の豊かさを重視する。豊かさの実現は単なる企業利益の最 大化に留まらず、個人消費の活性化や、結婚・子育てに希望を持てる環境の実現と、結果として の人口動態の安定化といった経路を通じて、各産業にも波及していく。その意味で、ミクロの各 現場の産業政策においても、マクロ経済運営との連動を意識することは必要である。 その上で、経済あっての財政という姿勢を明確にし、政府予算も将来の経済全体の成長に「投 資」するものと位置づけることが必要である。その際、将来リターンが見込めるものであれば、 14 必要に応じて十分な規模の機動的な財政支出も活用することが、リターンを生み出す「投資」の あり方として重要である。 一例として、経済産業省による半導体投資支援のEBPMにおいて行われた計算によれば、支 援開始から 10 年間程度を見通すと、「投資」たる政府支出を、税収等が上回る可能性が示されて いる(ワイズスペンディング)。43社会課題解決のための政府支出は、単純に税収で支出分を回収 することを目的とするのではなく、地域経済の活性化や、経済安全保障等の課題への対処といっ た政策的な価値を主要な目的として行うものであるが、これは、タイミングを捉えた機動的かつ 計画的な政府支出は、投資としてリターンを生み出しうることの一例と言える。 官の「投資」の価値を、民間の投資を呼び込む戦略投資として最大化するためには、民間企業 が自信を持って投資できる、予見可能な事業環境を整備することが重要である。首相官邸におい て開催された「国内投資拡大のための官民連携フォーラム」で、経済界は、国内投資 2027 年度 115 兆円・政策強化で更なる高みへとの目標を提示した。予見可能な事業環境の整備により、こ うした目標を実現することは、地方の良質な雇用を創出し、希望出生率の減少傾向を反転し、持 続的な出生率向上による人口減少反転機運の醸成にもつながる、重要なターゲットである。 そのために、今後3-5年を、向こう 10 年の成長に向けたジャンプ・スタートを切るための 集中取組期間として位置づけ、かつ、経済産業政策の新機軸として、中長期的(5-10 年)にも国 内投資・イノベーション・所得向上の3つの好循環を持続化するための取り組みを行っていく。 ③個別分野における経済規模 こうした新機軸の政策により、個別のミッション分野において、実現しうる経済規模等を、以 下のとおり例示する。 ➢ 炭素中立型社会の実現:今後 10 年で 150 兆円超の官民投資、そのために 20 兆円規模の政 府支援。44 ➢ デジタル社会の実現:デジタル化による新たなサービスへの需要が創出され、ソフトウェ アを含む設備投資が増加する。例えば、2030 年までに国内で半導体を生産する企業の合計 売上高(半導体関連)を 15 兆円超とすることを目指す。45加えて遅くとも 2030 年までに、 蓄電池・材料の国内製造基盤 150GWh/年を確立、2030 年に我が国企業全体でグローバル市 場において 600GWh/年(シェア 20%以上)の製造能力を確保。46 ➢ 経済安全保障の実現:自律性向上、優位性・不可欠性確保、国際秩序維持47 ➢ 新しい健康社会の実現:2050 年に公的保険外サービス 77 兆円48 ➢ 災害に対するレジリエンス社会の実現:2050 年に適応市場が途上国で約 70 兆円に成長。49 ➢ バイオものづくり革命の実現:2030 年時点で総額 92 兆円の市場規模。50 ➢ 成長志向型の資源自律経済の確立:2030 年 80 兆円、2050 年 120 兆円のサーキュラーエコ ノミー市場を実現。51 参考資料集 p60 参照 参考資料集 p67 参照 45 参考資料集 p72 参照 46 参考資料集 p74 参照 47 参考資料集 p84 参照 48 参考資料集 p90,91 参照 49 参考資料集 p96 参照 50 参考資料集 p98 参照 51 参考資料集 p108 参照 43 44 15 ➢ 少子化対策に資する地域の包摂的成長:地域の企業の成長等を通じた可処分所得・時間の 向上等により、希望出生率 1.8 を回復し、更に人口動態の安定化をもたらす希望水準が実 現できるような経済環境を実現する。52 Ⅲ.国内投資・イノベーション・所得向上の3つの好循環を実現するための主要な政策ツール 国内投資・イノベーション・所得向上の3つの好循環を実現するためには、主要なものとし て、以下のような政策ツールが必要である。こうした施策を通じ、将来の成長期待に基づく民間 投資の促進、企業活動の高付加価値化、経済産業構造の転換による長期持続的な経済成長の実現 と、「ミッション志向の産業政策」で取り組む分野での社会課題解決を両立する。53 (1)国内投資の拡大 ○ 戦略分野(GX、DX等)において、世界水準の長期大規模支援として、複数年の制度に よる予見可能性の向上、初期投資に留まらない支援及び企業にとっての利便性・柔軟性の 向上等※を行う必要がある。 ○ 投資に必要な産業用地/インフラの整備を、足下3年程度行う。その後も投資推進のための 必要となる施策を随時実施する必要がある。 ○ 少子化対策としての地方投資の推進として、中堅企業の集中支援※、成長志向の中小企業 創出、人手不足対策としての省人化投資促進を行う必要がある。 (2)イノベーションの加速 ○ 高付加価値化のための事業構造改革、新陳代謝促進として、PBRが1を下回る上場企業 への対応、親族内承継・M&A、スピンオフ等の促進を図る必要がある。 ○ 世界水準のイノベーション投資環境整備として、イノベーションボックス制度、蓄電池C FP/自動運転データ共通基盤等の整備を行う必要がある。 ○ 戦略分野のイノベーションの世界水準の支援を、GX、半導体・AI・量子・宇宙、バイ オものづくり、健康等において行う必要がある。 ○ スタートアップ育成5カ年計画の着実な推進と強化を図るものとして、JIC運用期限延 長※、LPS投資対象拡充・海外投資制限の要件緩和等※を行う必要がある。 (3)所得の向上 ○ 賃上げ環境の整備として、価格転嫁対策、賃上げ税制の拡充、事業再構築・生産性向上支 援、キャリア相談・リスキリング・転職までの一体的な支援を行う必要がある。 ○ 地方における良質な雇用創出として、子育て両立・女性活躍に向けた職場改革等を行う必 要がある。 ※…産業競争力強化法などの法改正も視野に、対応を検討する必要がある。 52 53 参考資料集 p115 参照 参考資料集 p62 参照 16 Ⅳ.分野毎の施策 <ミッション志向の産業政策> 先述した日本経済全体のマクロ的な課題・方向性と、個別テーマにおけるミクロ的な対応が、 可能な限り連続したものとして捉えられるようにするためには、テーマ横断的な共通枠組みに沿 って、各政策を整理することが重要である。このため、「ミッション志向の産業政策」について は、8つのテーマごとに、①取り組む社会課題・ニーズを、世界を俯瞰し、その中における日本 の位置づけを踏まえて整理し、②官民で連携して実現を目指すミッションを設定したうえで、③ 先行的に対応すべき需要と、それに応える新たな供給のあり方を具体化し、④当面見据える長期 目標を設定して、⑤これまでの施策、今後の施策を整理することとする。 (1)炭素中立型社会の実現 ①取り組む社会課題・ニーズ (GXに向けた世界の需要・投資競争) ➢ 世界規模で異常気象が発生し、大規模な自然災害が増加するなど、気候変動問題への対応 は今や人類共通の課題となっている。こうした中、既に欧米各国は、ロシアによるウクラ イナ侵略を契機として、これまでの脱炭素への取組を更に加速させ、国家を挙げて発電部 門、産業部門、運輸部門、家庭部門などにおける脱炭素につながる投資を支援し、早期の 炭素中立型社会への移行に向けた取組を加速している。 ➢ こうした中、IEAによれば、足元年平均2兆ドル程度の脱炭素需要(設備投資)が、 2030 年には年間5兆ドルまで増大する見込み。 ➢ 周囲を海で囲まれ、すぐに使える資源に乏しい我が国では、脱炭素関連技術に関する研究 開発が従来から盛んであり、日本企業が技術的な強みを保有する分野も多い。こうした技 術分野を最大限活用し、GXを加速させることは、エネルギーの安定供給につながるとと もに、我が国経済を再び成長軌道へと戻す起爆剤としての可能性も秘めている。 ➢ 例えば、産業革命後の気温上昇を2℃以内に抑えるシナリオを目指して世界各国が取組を 進める場合、世界の排出削減需要に対して日本企業が技術的な強みを発揮することで、G PIFの国内株式の価値が 11.2%増加するとされる。 ②ミッション ➢ 2050 年カーボンニュートラルなどの国際公約達成と、我が国の産業競争力・経済成長を同 時実現する。 ③先行的に対応すべき需要と、それに応える新たな供給のあり方 ➢ 炭素中立と、産業競争力強化・経済成長の同時実現に向けては、10 年間で 150 兆円超の投 資が必要との試算がある。こうした投資を官民協調で実現するために、まず、今後、GX 投資が期待される主要分野において、各分野における新たな製品などの導入目標や、新た な規制・制度の導入時期などを一体的な「道行き」として示すとともに、国として長期・ 複数年度にわたり支援措置を講じ、民間の予見性を高める必要がある。 ➢ このため、GX推進法等により、GX経済移行債を活用した 20 兆円規模の先行投資支援と あわせ、カーボンプライシングを最初は低く、徐々に引き上げる形で導入することによ り、炭素排出に値付けを行い、GX関連製品・事業の付加価値を向上させ、GXに先行し 17 て取り組む事業者にインセンティブが付与される仕組みの創設、新たな金融手法の活用な どを含む「成長志向型カーボンプライシング構想」を実現・実行する。また、「アジア・ゼ ロエミッション共同体(AZEC)」構想等の国際展開戦略、公正な移行、中堅・中小企業 を含む社会全体のGXを推進する。 ➢ 産業界や専門家も交えて対策を検討・実行していくとともに、進捗評価・分析や必要な見 直しを定期的に実施し、それを踏まえて必要な見直しを効果的に行っていく。 ④当面見据える長期目標 ➢ 今後 10 年間で、150 兆円超の官民GX投資を実現する。 ➢ 2030 年度の温室効果ガス 46%削減、さらには 2050 年カーボンニュートラルを実現する ⑤これまでの施策、今後の施策 (●…これまでに実施した施策、○…今後実施する施策) 【これまでの施策例】 ● 2030 年度排出量 46%削減目標の提示と、それに向けた対策を策定(地球温暖化対策計画 等)。 ● 2050 年カーボンニュートラルに向けて重要となるエネルギー・環境関連技術分野につい て、イノベーションの推進に向けた戦略を策定(グリーン成長戦略等)。 ⇒ 「点」ではなく「線」で、2030・2050 の目標に向けた実現可能な道筋を描き、取組を 具体化・実行する必要 【成長志向型カーボンプライシング構想】 ◯ GX重点分野の「道行き」明示(22 の重点分野について、目標、必要な投資額、規制・支 援措置、国際戦略などの一体的な道行を明示。専門家等の意見を踏まえ、進捗評価・分析 を行い必要な見直しを行っていく。) ◯ 10 年間 20 兆円規模の先行投資支援等(他の分野とも共通して、戦略分野(GX,DX等) における、国内投資拡大に向けた欧米との競争に負けない予算・税スキームを検討:複数 年の制度による予見可能性の向上、初期投資に留まらない支援、企業にとっての利便性・ 柔軟性の向上(法改正も視野に検討)) ◯ 「GX経済移行債」発行(今年度、国際標準に準拠した新たな形の発行に向け関係省庁で 検討) ◯ 排出量取引制度の導入(GXリーグにおいて 2023 年度から「排出量取引制度」を試行的に 開始し、2026 年度から本格稼働。発電事業者には、2033 年度から段階的に「有償オークシ ョン」を導入(特定事業者負担金) ) ◯ 化石燃料賦課金の導入(2028 年度から化石燃料賦課金制度を導入し、化石燃料ごとのCO 2排出量に応じて、輸入事業者等に賦課する。) ◯ 新たな金融手法の活用(GX投資の加速に向け、「GX推進機構」が、GX技術の社会実装 段階におけるリスク補完策(債務保証等)を実施。また、トランジション・ファイナンス に対する国際的な理解醸成、サステナブルファイナンス推進のための環境整備を図る。) ◯ 複数社連携における課題への対応(GXを実行するためには、複数社での連携が重要であ ることから、国際的な競争状況も踏まえ、設備の共同廃棄、原燃料等の共同調達やデータ 共有等における独禁法に関する課題について、事業者等の取組を後押しする対応を検討。) 18 【国際展開戦略】 ◯ クリーン市場の形成(グリーン製品の普及のための国際評価手法の確立を進めるととも に、企業による社会全体の温室効果ガス削減への貢献(削減貢献量)を評価する新たな価 値軸の構築などを進めていく。) ◯ アジアのGX推進(「アジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)」構想を実現し、アジ アのGXを一層推進する) 【公正な移行、中堅・中小企業を含む社会全体のGX】 ◯ リスキリング支援等(スキル獲得とグリーン等の成長分野への円滑な労働移動をともに推 進する。) ◯ 地域・くらしのGX推進(脱炭素先行地域の創出・全国展開に加え、財政的支援も活用 し、地方公共団体は事務事業の脱炭素化を率先して実施。新たな国民運動を全国展開し、 脱炭素製品等の需要を喚起する。) ◯ 中堅・中小企業のGX推進(ものづくり補助金等を活用した支援、プッシュ型支援に向け た中小企業支援機関の人材育成、パートナーシップ構築宣言のさらなる拡大等で、中小企 業を含むサプライチェーン全体の取組を促進する。) ◯ GXスタートアップ支援(GX関連分野におけるスタートアップ企業の研究開発・社会実 装支援等を抜本的に強化していく。) 【進捗評価と見直し】 ◯ 定期的な進捗評価と見直し(「成長志向型カーボンプライシング構想」をはじめとする、G Xを実現するための新たな政策イニシアティブを実行していくに当たっては、官民でのG X投資の進捗状況、グローバルな動向や経済への影響、技術開発の動向なども踏まえて、 GX実行会議等において進捗評価を定期的に実施し、それを踏まえて必要な見直しを効果 的に行っていく。) (2)デジタル社会の実現 ①取り組む社会課題・ニーズ (デジタル社会の実現の意義・インパクト) ➢ サイバー空間とフィジカル空間が高度に融合する高度なデジタル社会(Society5.0)にお いては、全ての人とモノがつながり、様々な知識や情報・データが共有されるとととも に、必要な情報・データ、そしてサービスが必要な時に提供される。また、AIを活用す ることで、新たなイノベーションが次から次へと創出され、従来の人間の認知限界・能力 の限界を超えた活動も可能となり、これまで解決困難だった様々な課題も解決されるよう になる。このため、デジタル社会の実現を通じて、GXや経済安保に加え、少子高齢化や 人手不足、地方の過疎化、貧富の格差等の課題も克服されうる。 ➢ こうしたデジタル社会を支えるデジタル関連技術は、目覚ましいスピードで進化を遂げ、 時として、生成AIのように非連続的とも言うべき技術革新が起こることで、瞬く間に新 たな需要を生み出し、また、それまで想像すらできなかった課題解決を実現することがあ る。 ➢ このため、デジタル社会の実現に向けて、まだ見ぬイノベーションが次から次へと創出さ れる環境を整備することで、こうした根本的課題の克服に繋げ、また社会に新たな付加価 19 値を生み出すとともに、これまでの閉塞感を打破し、希望の持てる社会、一人一人が快適 で活躍できる社会の実現にも貢献する。 (産業・社会全般にわたるデジタル化の進展) ➢ 今、全ての産業・社会においてデジタル化が加速度的に進展している。コンピュータ関連 技術/通信関連技術の急速な高度化により、デジタル関連機器の大容量化、高速化、小型 化、省電力化が進展し、当初は特定の分野だけで活用されていた情報処理が産業・社会の あらゆる領域で活用される状況に。 ➢ 不断に革新を続ける最先端のデジタル関連技術をいち早く取り込み、データを駆使して如 何に効果的に技術を活用して付加価値を生み出すか(DX)を競い合う時代へ。同時に、 デジタル化による国民生活や経済水準の向上を実感できるよう、デジタルサービスを社会 全体に一刻も早く実装させるための社会インフラの整備も喫緊の課題に。 (デジタル関連技術の革新とデータ処理の増大・高度化の循環による需要の拡大) ➢ 情報処理の中核を担う半導体の高度化が日々進むとともに、通信環境の高速化、大容量化 の進展も留まるところを知らず、高度化を続ける技術を活用してさらに多くのデータを処 理する新たなサービスが次々に誕生。 ➢ デジタル関連技術が高度化することでデータ処理量が拡大し、それによって大量に生み出 されたデータの高度な活用が求められることでデジタル関連技術がさらに発展する、“デジ タル関連技術革新とデータ処理高度化”の不断の循環が発生。 ➢ AI、量子コンピュータ等の非連続的とも言える革新的な技術も登場し、 Web3.0/ブロッ クチェーン等も含め技術の実装が急速に進む中、デジタル関連技術に対する需要は拡大の 一途。特に、生成AIの登場により、これまで参入障壁の高かった分野も含め、幅広い分 野でデジタル技術の活用が進むことで、計算需要もさらに拡大。 (デジタル社会実現の先頭集団に加わるための継続的な大規模投資の必要性) ➢ 今、デジタル関連技術革新とデータ処理高度化の好循環サイクルに乗れなければ、世界的 なデジタル化の流れの中で、その先頭集団に追いつき、我が国の経済・社会全体が革新的 に成長する機会を失ってしまう。 ➢ 先端半導体産業の誘致、生成AIを巡るスタートアップや大手IT企業の激しい競争、量 子コンピュータのサプライチェーンの確保、 Web3.0/ブロックチェーンの人材育成・研究 開発・規制整備など、世界はデジタル関連分野に対して大規模な投資を展開し、先頭集団 の地位を巡って激しく競争。 ➢ 半導体産業への大胆な予算措置の決定など、日本もデジタル社会の実現を目指した大規模 投資に踏み出したところ。 ②ミッション ➢ あらゆる社会課題を解決するカギとなる、今後現れるAI、量子コンピュータなども取り込ん だ次世代計算基盤、それを支える半導体の進化をいち早く実現し、これらを高度に利活用する ことで、産業・社会全体を高付加価値化する、デジタル社会の世界のトップランナーの地位を 確立する。 ➢ 具体的には、①計算能力自体を支えるデジタル産業基盤、②企業・業界を越えてデータ共有を 進めるデータ連携基盤をはじめ、デジタルサービスの実装に必要となるハード・ソフト・ルー 20 ルの社会インフラであるデジタルライフライン、③デジタル関連技術の社会実装を担う人材の 育成を支えるデジタル人材基盤の整備を通じて、デジタル技術を活用した新たな製品・サービ ス・ビジネスモデルを、我が国で創出し、グローバルに経済・社会全体に対して、新たな付加 価値を生み出しいく(DX)。 ➢ 文化経済、金融、社会課題解決、その他の領域で、持続可能で価値がある Web3.0 関連事業を 多数創出することで経済を活性化するとともに、Society5.0 時代の、グローバルなデータ共有 基盤の構築やトラストを確保したデータの流通等を支える技術の芽に繋がる可能性を追求。 ③先行的に対応すべき需要と、それに応える新たな供給のあり方 【デジタル産業基盤】 ➢ 計算能力自体を決定づける重要な要素(半導体、ソフトウェア等)や、どんな場所でも利 活用できる環境を実現する要素(蓄電池、通信インフラ等)の高度化を推進。 【デジタルライフライン】 ➢ 企業・業界を越えたデータ連携の加速など、デジタルサービスの社会実装を進めるための 新たな社会インフラを全国津々浦々に整備。 【デジタル人材基盤】 ➢ デジタル関連技術の社会実装のために利活用を担うデジタル推進人材や、デジタル産業基 盤を支える半導体や蓄電池など産業別人材の育成・確保を推進。 【Web3.0】 ➢ Web3.0・ブロックチェーン技術の発展に向けた事業環境整備。 ④当面見据える長期目標 ➢ 半導体:2030 年までに、12 兆円超規模の官民による追加投資を行い、国内で半導体を生産 する企業の合計売上高(半導体関連)を 15 兆円超とする。 ➢ 蓄電池:今後 10 年間で7兆円超規模の官民による追加投資を行い、遅くとも 2030 年まで に、蓄電池・材料の国内製造基盤 150GWh/年を確立、2030 年に我が国企業全体でグローバ ル市場において 600GWh/年(シェア 20%以上)の製造能力を確保する。 ➢ 情報処理基盤:速やかに生成AIに関する基盤的な研究力・開発力を国内に醸成するとと もに、2030 年までに、汎用的な量子/古典ハイブリッドコンピューティング基盤が実ビジネ スとして国内で提供されることを目指す。 ➢ 高度情報通信インフラ:地域における分散型のデータセンターなどの計算資源の整備を通 じ、2030 年頃に実用化が見込まれるオール光ネットワーク技術の活用も視野に入れつつ、 データやエネルギーの「地産地消」の事業モデルを実現する。 ➢ デジタルライフライン:デジタルを活用したサービス提供に必要なハード・ソフト・ルー ルにわたるデジタルライフラインを、全国津々浦々に整備する(デジタルライフライン全 国総合整備計画の策定・実行)。 サプライチェーン・バリューチェーンのデータ連携基盤 について、2030 年度頃には 10 兆円規模の、2050 年度頃には 100 兆円規模の製品・サービ スの年間取引総額を実現する。 21 ➢ サイバーセキュリティ:2030 年までに、IoT機器の認証制度を確立するとともに、サイ バー対処能力の向上を行うための拠点を整備し、国全体のサイバーセキュリティ対策を向 上させる。 ➢ デジタル推進人材:2026 年度末までに政府全体でデジタル推進人材 230 万人を育成する。 ➢ Web3.0・ブロックチェーン:事業環境整備を行い、グローバルなデータ共有基盤の構築・ トラストを確保したデータの流通の促進等を通じて、Society5.0 の実現に繋げる。国際的 な事業活動や研究開発を行いながら日本を主たる拠点の1つとする企業・事業数や高度人 材の数を増加させる。 (その他目標・参考指標) 【デジタル産業基盤】 ➢ 半導体  自動運転やロボティクス等を実現するために不可欠な産業基盤を整備するべく、2030 年までに、情報処理のエネルギー効率が現行比で 10 倍となる先端ロジック半導体の国 内供給体制の構築や、現行比で電力損失を5割抑制するパワー半導体の市場普及等を実 現する。 ➢ 蓄電池  2030 年頃に全固体電池の本格実用化、2030 年以降も我が国が技術リーダーの地位を維 持・確保する。 ➢ 高度情報通信インフラ  グローバルにおけるオープンでセキュアかつ強靱な 5Gネットワークの発展を目指 し、2030 年までに5G基地局世界市場においてオープンRANシェアの拡大及び日本 企業のシェアを拡大を図る。 【デジタルライフライン】 ➢ 人流・物流のDX  ドローン、自動運転車、サービスロボット等が一定の速度以上で自律運行するためのソ フト・ハード・ルールの基盤について、2024 年度頃にはドローン領域におけるサービ ス提供を開始、 2030 年度頃にはサービス提供エリアを日本全国の基幹運行路まで、 2050 年度頃には日本全国の可住地域まで拡大する。 【デジタル人材基盤】 ➢ デジタル推進人材  生成AIのような新しい技術の活用の視点も踏まえて、デジタル推進人材の育成に関し て可能なところから速やかに政策対応を実施していく。 ➢ 半導体人材  半導体産業を支え、その将来を担う人材の育成・確保に向けて、産業界、教育機関、行 政の個々の取組に加えて、産学官が連携しながら、地域単位での取組を促進する。  2020 年代後半での次世代半導体の設計・製造基盤の確立に向けて、LSTCを中心と して、半導体の回路設計から、最先端パッケージング、量産プロセスに至るまでを一気 通貫で担うプロフェッショナル・グローバル人材の育成の検討を進める。 ➢ バッテリー人材 22  バッテリー人材育成・確保に向けて、2024 年度から、関西地域を中心に、地域の工業 高校や高等専門学校、産総研関西センターにおいて、バッテリー人材育成プログラム を、2024 年度から実施するとともに、ニーズに応じて、2025 年以降に、その取組を他 地域へと展開する。 ⑤これまでの施策、今後の施策 (●…これまでに実施した施策、○…今後実施する施策) 【デジタル産業基盤】 (半導体) ● 半導体・製造装置・部素材・原料の製造基盤整備(先端半導体基金や経済安保基金等を活 用)、次世代半導体の設計・製造基盤確立等に向けた研究開発支援(ポスト5G基金の活 用)、人材育成(後掲【デジタル人材基盤】参照)。 ◯ 製造基盤整備、研究開発支援の継続・強化(年央に取りまとめる改定版 半導体・デジタル 産業戦略に基づき、産業界が必要とする半導体のニーズの高度化や多様化、テクノロジー の進化に合わせながら、省電力や高度な計算能力の確保に資する先端半導体・次世代半導 体や産業用スペシャリティ半導体、先端パッケージ、製造装置・部素材等について、個別 戦略に則った製造基盤整備、研究開発支援を実施。) (情報処理基盤) ● クラウドプログラムの安定供給確保に向けた支援、ハイブリッドクラウド利用基盤技術や超 分散コンピューティング技術の開発(経済安全保障重要技術育成プログラムやポスト5G基 金の活用)。 ◯ 生成AIの開発能力確保(重要なクラウド技術の開発や計算資源の量的・質的拡充、特定 分野でのデータ整備・AI開発の促進、競争力ある基盤モデル開発企業の加速支援、世界 からトップ人材が集まり切磋琢磨できる研究環境の構築) ◯ 量子技術の産業化等による情報処理基盤の構築(量子古典コンピューティング技術の実ビ ジネス化等による情報処理基盤の構築、量子コンピューティング技術の産業化に向けた研 究開発の推進・支援の強化) (蓄電池) ● 蓄電池・部素材の製造基盤の拡大(経済安保基金の活用)、人材育成(後掲【デジタル人材基 ◯ ◯ ◯ ◯ 盤】参照)、次世代電池の技術開発の推進、有志国とのグローバルなサプライチェーンの強靱 化に向けた国際連携、上流資源の確保等。 蓄電池・部素材・製造装置の製造基盤のさらなる拡大に向けた取組 上流資源確保に向けた官民連携体制の構築やJOGMECの機能拡充 戦略的な有志国連携の推進や海外展開によるグローバルなサプライチェーンの強靱化 蓄電池分野における新たなイノベーションの創出(次世代電池の量産を見据えた技術開 発・実証や人材育成、データ連携基盤整備等) (高度情報通信インフラ) ● データセンターを地方に分散配置することの実現可能性の調査を支援 ◯ データセンターの地方分散の推進(東京圏・大阪圏を補完・代替する第三、第四のデータ センター中核拠点を北海道・九州エリアにおいて整備すること等に取り組む。) 23 ● オープンRANの普及に向けた経済版2+2やQUAD等を通じた各国連携、ポスト5G 基金を通じたポスト5G情報通信システムの開発支援 ◯ 通信インフラの高度化・国際展開に向けた我が国の競争力強化(ポスト5G基金を活用し 基地局システム全体を安定的・効率的に運用する技術開発や、高性能化・省エネ化に向け た技術開発等に取り組む。) (サイバーセキュリティ) ● 中小企業を含めたサプライチェーン全体でのサイバーセキュリティ対策の強化推進(ガイ ドラインの策定・普及、中小企業向けのサイバーセキュリティお助け隊サービスの導入支 援、セキュリティ人材の育成) ◯ サイバーセキュリティお助け隊サービスの基準の改定とさらなる普及(高度化するサイバ ー攻撃に対応するため、中小企業をはじめとした産業界のニーズにさらに対応) ◯ 産学官が協力して国全体のサイバー対処能力向上を行うための拠点整備等 ◯ セキュアなソフトウェアの流通やIoTのセキュリティ確保に向けた環境整備 (その他) ◯ 他の分野とも共通して、戦略分野(GX,DX等)における、国内投資拡大に向けた欧米 との競争に負けない予算・税スキームを検討:複数年の制度による予見可能性の向上、初 期投資に留まらない支援、企業にとっての利便性・柔軟性の向上(法改正も視野に検討)) 【デジタルライフライン】 ● データ連携・システム連携の仕組みの設計・開発・提供(4次元時空間情報基盤ガイドライ ン(2023 年4月)や、サプライチェーンの分野におけるデータ連携の仕組みに関するガイド ライン(2023 年5月)の公表。企業や業界を横断しデータを連携・活用するために、産学官 で連携して、アーキテクチャの設計、研究開発・実証、社会実装・普及を行う取組を、 「ウラ ノス・エコシステム」として立ち上げ。(2023 年4月))。 ● データ連携・システム連携の仕組みの国内における社会実装(「デジタルライフライン全国総 合整備計画」の策定に向けた検討方針を公表(2023 年3月)) ◯ ガイドラインをもとに開発したOSS(オープン・ソース・ソフトウェア)を提供。民間 企業がシステムを開発する際に活用可能とすることを目指す。 ◯ 公益デジタルプラットフォーム(複数の企業をまたいだデータ共有を行うデータ連携基盤 であって、安全性や信頼性、相互運用性、事業安定性が確保されており、一定の公益性を 有するデジタルプラットフォーム)の認定制度の設立 ◯ 「デジタルライフライン全国総合整備計画」の策定・実施(2023 年6月に「デジタルライ フライン全国総合整備実現会議」を立ち上げ、デジタルアーキテクチャ等の策定及びこれ に沿った整備すべきデジタルライフラインの特定や仕様・スペックの具体化、先行的に取 組を進める地域の特定並びに官民の役割分担を整理した上での運営主体の特定等を含めた 「デジタルライフライン全国総合整備計画」を 2023 年度中に策定。当該計画に沿って、デ ジタル技術を活用したサービスについて、実証段階から実装への移行を加速化し、全国 津々浦々までの普及を目指す。2024 年度には、ドローン航路や自動運転支援道の設定、イ ンフラ管理のDX等について、先行地域での取組を開始) ● データ連携・システム連携の仕組みの国際連携(デジタルインフラの国際的な相互運用性 の確保に取り組むことに、G7各国閣僚が合意(2023 年4月)) 24 ◯ 国際的な相互運用性確保(国外のデータ連携に関する取組とウラノス・エコシステムとの 相互運用性の確保を実現する。)、ERIA にデジタルセンターを新設し、アジア地域大でのデ ータ連携に向けて、サプライチェーン上のデータ共有・活用の議論を開始(2023 年夏) 【デジタル人材基盤】 (デジタル推進人材) ● デジタルスキル標準の策定(2022 年末)やデジタル人材育成プラットフォーム(2022 年度 ~)の構築(企業DXの推進)。 ◯ 生成AI等の新興技術の活用の視点も踏まえた人材育成(有識者等との議論を継続的に実 施し政策対応の必要性を検討しつつ、短期的には、デジタルスキル標準の改訂やプラット フォームへの生成AI関連講座の掲載などの対応を検討) ◯ 未踏事業(IPA)の拡充や地方を中心にした若手人材育成の取組への拡大 (半導体人材) ● 地域の産学官連携による半導体人材の育成(教育現場での新カリキュラムの実施や企業に よる出前授業等) ◯ 各地域における産学官連携の仕組み・体制の全国展開 ◯ 半導体の設計・製造を担うプロフェッショナル・グローバル人材の育成 (バッテリー人材) ● 関西蓄電池人材育成等コンソーシアムにおいて、教育プログラムの方向性及び 2023 年度の アクションプランを取りまとめ。 ◯ 産学官で連携して、教育プログラムの学習内容、指導方法を整理(2023 年度) ◯ 関西地域を中心にバッテリー人材育成プログラムを開始するとともに、全国への展開も検 討(2024 年度以降) 【Web3.0 の事業環境整備】 ● 法人自らが発行した暗号資産で、一定の要件を満たすものについて、期末時価評価課税の 対象外化。 ◯ その他の暗号資産についても、法令上・会計上の扱いなども含め、必要な検討を行う。 ● 投資事業有限責任組合(LPS)が、取得・保有できる有価証券について、それをトーク ン化したセキュリティトークンも投資対象であること等を明確化した解釈通知を本年4月 ◯ ● ◯ ◯ に公表。 LPSの投資対象への暗号資産・トークン等の追加に向けた検討(事業者の資金調達の実 態等の調査・整理を進め、事業者の円滑な資金供給の促進に資するものは、LPS法上で 投資対象とすることを検討する(法改正も視野に検討)) トークンを取り扱う事業者の監査機会の確保に向けた検討(日本公認会計士協会に勉強会 を設置) 2023 年夏までに監査に関する必要なガイドラインの策定等に向けた検討を進める。 Web3.0 のユースケース創出支援、関連分野の人材育成や技術発展に資するコミュニティの 構築支援 25 (3)経済安全保障の実現 ①取り組む社会課題・ニーズ (グローバリゼーションを逆回転させる地政学的な構造変化) ➢ 2010 年以降、中国が存在感を高める一方、戦略的技術の国産化政策、人権問題などから米 国との対立が深刻化。米中間では一部先端技術分野において、いわゆるデカップリングの 懸念が増大。 ➢ 2020 年以降のコロナ禍によるグローバルなサプライチェーンの混乱、2022 年以降のロシア によるウクライナの侵略も加わる中で、各国は戦略産業分野の国内誘致を強め、WTOの 貿易ルールではなく有志国間の取引ルールの整備に軸足を移すなど、市場の分断に向けた 動きが顕在化。 ➢ 冷戦後の安定した国際秩序の下で進んだヒト・モノ・カネが自由に行き来するグローバリ ゼーションの流れに変化が生じ、逆回転が起こっている。 (政治・経済的威圧への対応の必要) ➢ 地政学的環境の変化、様々な立場に立つ各国の利害の衝突が顕在化する中で、政治・経済 的な自国の優位を利用して他国にその意思を押しつけようとする威圧的行動に対する懸念 も深刻化。 ➢ こうした政治・経済的な威圧に対抗するために、有志国との連携を深めるとともに、威圧 の内容に応じて適切に対抗するための多様な対抗手段を整理しておくことが必要となって いる。 (自律性の維持・向上、優位性・不可欠性の確保のための投資の拡大) ➢ 上記変化に伴い、国際経済秩序の不確実性が増大。グローバルに拡大したサプライチェー ンの再編が不可避な状況に。 ➢ サプライチェーンの再編に当たっては、産業社会活動を維持するために重要な財・サービ スについて国内生産基盤の確保をはじめとした取組を進めることで自律性を向上させると ともに、サプライチェーンにおいて不可欠な要素の供給について日本が優位性を持ち、ま たは代替性が低い不可欠な役割を確保することが必要。 ➢ たとえサプライチェーンをすべて自国内に確保できなくても、他国が日本との協力が必要 であるという認識を持つ不可欠な要素を提供する能力を通じて、自律性の確保に繋げる。 優位性、不可欠性を確保するため、新たな能力の獲得や従来の能力の高度化のための投資 を拡大。 ➢ また、政治・経済的威圧に対し、威圧的行動を取る国に対する依存を低減するなど、平時 からその効力を減ずるための取組を継続。 ②ミッション ➢ グローバリゼーションが大きく後退し、国際市場の混乱やサプライチェーンの分断が進ん だとしても、日本の産業・社会活動を維持し、安定的に発展できる活動基盤を確立する。 ➢ そのために、自律性の向上(基幹インフラやサプライチェーン等の脆弱性解消)、優位性ひ いては不可欠性の確保(研究開発強化等による技術・産業競争力の向上や技術流出の防 止)、基本的価値やルールに基づく国際秩序の維持・強化を通じた経済安全保障の推進に取 り組む。 26 ③先行的に対応すべき需要と、それに応える新たな供給のあり方 (サプライチェーンの強靱化) ➢ 特定重要物資の安定供給確保のため、大規模・集中的かつ中長期的な支援を実施し、国内 生産基盤の整備や供給源の多様化を実現。 (技術優位性の確保) ➢ 経済安全保障上重要な技術について、経済安全保障重要技術育成プログラム等を通じ、研 究開発を強力に推進 (経済インテリジェンスの強化) ➢ 経済インテリジェンスを高めるための官民の情報共有の仕組みの整備、専門人材の育成に 着手。 ➢ セキュリティ・クリアランスの導入などデータ・情報保護に関する管理体制の強化や情報 通信サービスのセキュリティの高度化。 (重要インフラ等のセキュリティ・レジリエンスの強化) ➢ 重要インフラ等に対するサイバー攻撃への対応能力の強化や、経済安全保障推進法を通 じ、外部からの影響によるインフラ役務の安定供給への影響の防止。 (政治・経済的威圧への対抗手段の確立) ➢ 政治・経済的威圧に対する懸念を共有する有志国との連携の強化と、威圧的行動に対する 様々な対抗手段の整理及び発動のプロセスの確立。 ➢ 威圧的行動の効果を減殺するための、威圧的行動を採る国に対する依存の低減のための平 時からの取組の強化。 ④当面見据える長期目標 ➢ 特定重要物資の安定供給確保取組方針で設定した目標の達成を含め、特定重要物資の安定 供給が確保される環境を実現するとともに、基幹インフラ役務の安定的な提供の確保や経 済安全保障上重要な技術の研究開発を推進する。 (例)  半導体:2030 年に、国内で半導体を生産する企業の合計売上高(半導体関連)とし     て、15 兆円超を実現(再掲) 蓄電池:2030 年に、国内製造基盤 150GWh/年の確立、グローバル市場での 600GWh/年の 製造能力確保等(再掲) 工作機械・産業用ロボット:2030 年に、工作機械は約 11 万台/年、産業用ロボットは 約 35 万台/年の生産能力を確保 基幹インフラに関する信頼性の確保 経済安全保障重要技術育成プログラムを通じた重要技術の育成・社会実装 ⑤これまでの施策、今後の施策 (●…これまでに実施した施策、○…今後実施する施策) 【サプライチェーンの強靱化】 27 ● 経済安全保障推進法に基づき、政府として 11 の特定重要物資を指定(経産省関係は半導 体・蓄電池等の8物資) ● 基金を設置し、安定供給確保に向けた民間事業者の国内生産基盤の確保のための設備投資 等の取組を支援。 ◯ 特定重要物資に関する継続的な見直し(我が国のサプライチェーンの不断の点検、特定重 要物資に関する継続的な見直しを実施するとともに、見直しも踏まえた支援策について、 基金事業や、事業環境の不確実性に対応するための資本強化等の必要性を検討) 【技術優位性の確保】 ◯ 経済安全保障重要技術育成基金の執行を通じた先端重要技術の育成(2022 年度から当面 10 年間) ◯ 技術保全の強化(投資審査や輸出管理の不断の見直し、強制技術移転への対応強化、研究 インテグリティの一層の推進、人材流出対策等に関する具体的な検討) 【重要インフラ等のセキュリティ・レジリエンスの強化】 ● 経済安全保障推進法に基づき、基幹インフラへの設備導入に係る事前審査制度の導入に向 けた準備等を実施 ◯ 機微なデータのより適切な管理や情報通信技術サービスの安全性・信頼性確保に向けた対 策の検討 【政治・経済的威圧への対応手段の確立】 ◯ 経済的威圧に関して政府全体で検討する体制・枠組みの構築(経済的威圧に対して国益を 損なわないよう、G7内外の協力の具体化に向け、如何なる戦略の下で、ヒト・モノ・カ ネ・サービスの多岐にわたる包括的な対応を備えることが可能か、政府全体で検討する体 制・枠組みの構築を進める) 【経済インテリジェンスの強化】 ● 国家安全保障局を司令塔とし、関係府省庁を含めて情報の収集・分析等に必要な体制の整 備を実施 ◯ 経済安全保障に係る情報を収集・集約・発信(産業界・企業の自律的な経営判断の一助と する。) (4)新しい健康社会の実現 ①取り組む社会課題・ニーズ (長寿命化と健康ニーズの高まり) ➢ 長寿命化は、全世界の不可逆的トレンド。健康で過ごすことは、人間の根源的欲求の一 つ。長い間健康を維持したい、もっと健康になりたいというニーズは、世界及び日本で、 高齢者に限らず若年層でも、そして男女ともに、大きい。 ➢ 世界的な人口増加、都市化、先進国における高齢化を背景に、医療を含めた健康関連の需 要は増大する見込み。 ➢ 同時に、遺伝子治療や再生医療などが一般的となるだけでなく、健康関連サービスでもA I等のデジタルテクノロジーを活用することで、新しい需要が拡大することも期待され る。PHRはその典型。 28 ➢ 我が国では当面、生産年齢人口の減少の加速化が見込まれている中で、世代に関わらず国 民の健康増進を図ることは、結果として、労働力の量・質の拡大や社会保障制度の持続可 能性を確保にも貢献。 (健康を切り口とした需要の拡大) ➢ 衣食住を始め、あらゆる製品・サービスに、健康を切り口にして高付加価値化するポテン シャルあり。予防・健康づくりは個人のライフスタイルに依拠するため足下の消費・投資 は限定的だが、潜在的ニーズを顕在化することができれば、人口減少下でもこうした需要 は拡大していく。(括弧内は、現時点で推計される国内の市場規模見通し)  食は、サプリメント・健康食品といった健康志向によって高付加価値化(2020 年 3.3 兆円⇒2050 年 8.3 兆円(3倍))  遊びは、ヘルスツーリズム(健康志向旅行)等によって高付加価値化(2020 年 2.9 兆 円⇒2050 年 12.7 兆円(4倍))  健康維持のための予防関連(衛生用品等)も、今後市場が拡大(2020 年 0.2 兆円⇒ 2050 年 6.8 兆円(34 倍))  要支援・要介護者向けも、食事宅配サービスといった純民間市場が拡大(2020 年 5.4 兆円⇒2050 年 18.7 兆円(3倍)) 等 ➢ 健康の増進は、個人消費全般を喚起する可能性。特に日本では、医療・介護等を含め十分 な生活ができるかという将来不安から、所得や貯蓄を消費にまわすことに躊躇していると の指摘あり。健康を維持しやすい環境の実現は、将来不安を低減し、消費拡大を通じた経 済の好循環を生む。 (日本は世界の健康最先進国) ➢ 日本は高齢化率及び健康寿命で、世界のトップかつ先行者。 ➢ すなわち、日本における健康面の課題は、将来の世界の写し絵(先行指標)であり、超高 齢化に適応した国内での需要を開拓する新たな製品・サービスは、世界に輸出するなどの 海外展開も可能。 ②ミッション ➢ こうした課題・ニーズを踏まえ、世界最先端の超高齢化社会として、国民の健康増進、持 続可能な社会保障制度構築への貢献、経済成長を同時達成する「新しい健康社会」を実現 する。 ③先行的に対応すべき需要と、それに応える新たな供給のあり方 (付加価値創造の鍵はPHR) ➢ 個人の健康という個別性の高い状況の変化を見える化できれば、新たな付加価値を創造す ることが可能。 ⇒ 可視化の中核は、PHR(Personal Health Record)の活用。 (異分野参入も含めた、健康関連の、保険外の製品・サービス) ➢ 特に健康問題に関わる既存の製品・サービス(医療・介護等)には、不足感がある。 ➢ 衣食住など、あらゆる分野で健康を切り口に製品・サービスを高付加価値化できる可能性 あり。公的保険を適用するサービスに限らず、異分野からの参入含む公的保険外の製品・ 29 サービスを安心して利用できる環境を構築し、日常生活が健康づくりのベースとなること で、新たな需要を喚起できる可能性。 ⇒ 国内の公的保険外のヘルスケア産業市場の市場規模は、拡大見通し(2020 年 24 兆円⇒ 2050 年 77 兆円) ⇒ 課題は、消費者が安心して利用できるよう、品質を確保し、予防・健康づくりに対する 潜在ニーズを顕在化させること (ビジネスケアラーを意識したサービスの充実:特に介護) ➢ 特に、仕事をしながら介護をするビジネスケアラーが負担に耐えられなくなり、大規模・ 継続的に離職しており、日本の労働力の確保の観点からも大きな損失。これは、被介護者 の家族が自らの仕事を犠牲にしてでも介護に対応せざるをえないため。介護と仕事が両立 できるような働き方改革とあわせて、現行の公的介護サービスでは充足できない、潜在的 な介護需要を開拓して適切に民間サービスを提供できれば、離職を減らせる可能性。 ⇒ 公的保険を活用した医療・介護サービスの拡大は重要。ただし、社保・財政の制約があ るため、ICTやロボット技術を用いた介護機器の開発などを通じて、より一層の効率 化が必要。 ⇒ 公的保険では対応しきれない多様なニーズには、公的保険外(医療に加えて介護も)の サービスの拡大が必要。 (プログラム医療機器等による新たな医療ニーズへの対応) ➢ 未だ解決されていない医療ニーズ(アンメット・メディカルニーズ)は、世界中に多数存 在。 ⇒ AI画像診断や患者の行動変容を支援するアプリといった、プログラム医療機器の開 発・実用化が必要。 ⇒ 医療機器・創薬分野のスタートアップが有する革新的な製品・医薬品の海外展開を推進 して事業規模の拡大を図ることが必要。 ⇒ バイオ医薬品については、新型コロナワクチンを海外からの輸入に依存した状況を踏ま えて、国内にデュアルユース製造拠点等を整備し、平時からの生産供給体制を構築する ことが必要。 ④当面見据える長期目標 ➢ 健康寿命 2016 年 72 歳⇒2040 年 75 歳以上 ➢ 公的保険外のヘルスケア産業市場(国内)2020 年 24 兆円⇒2050 年 77 兆円 ➢ 医療機器(世界)の日本企業シェア 2020 年3兆円⇒2050 年 13 兆円 ⑤これまでの施策、今後の施策 (●…これまでに実施した施策、○…今後実施する施策) 【PHRの推進・ヘルスケアスタートアップの振興等(主に「健康寿命延伸」、「公的保険外のヘ ルスケア産業市場拡大」に貢献)】 ● PHRのデータ連携基盤の整備(2021 年に総務・厚労・経産でPHR事業者向けガイドラ イン策定、民間PHR事業者が本人同意の下で公的機関の情報をマイナポータル経由で取 30 得、2021 年レセプト、2022 年がん検診などの情報を順次提供、2024 年以降、検査・医療画 像等を提供予定。) ◯ PHRに係る業種横断的な業界団体(PHRサービス事業協会)を 2023 年7月に設立、そ のために必要な支援を実施 ◯ PHRの利活用促進に向けたデータ標準化、ルール整備、実証事業の実施(必要に応じて PHRサービス事業協会と連携) ◯ 健康経営に係る情報開示促進、中小企業向けの普及促進、積極的な情報発信による関連サ ービスの海外展開の促進など ◯ 2025 年関西大阪万博を契機としたヘルスケア新産業育成(海外アクセラレータ等と連携し たヘルスケアスタートアップの育成プログラムを展開すべく、万博会場においてグローバ ルヘルスケア・スタートアップコンテストを実施。また、PHRのユースケース創出や事 業環境整備などを実施し、万博会場でのPHR体験を提供) ◯ 規制等の基準より高いレベルの安全機能を有した製品が評価される制度の整備(誤使用事 故の多い高齢者向け製品中心に) 【公的保険外サービスの振興・介護と仕事両立促進等(主に「公的保険外のヘルスケア産業市場 拡大」に貢献)】 ● 公的保険外の健康関連市場(国内)の将来見通しの推計・提示(2020 年 24 兆円⇒2040 年 77 兆円) ● ビジネスケアラーの介護離職等の経済的損失の推計・提示(2030 年9兆円) ◯ 介護需要の新たな受け皿として公的保険外サービスの振興(実証事業を通じたモデル形 成・普及、サービスの信頼性確保のあり方の検討) ◯ 企業における介護と仕事の両立支援促進(先進企業の取組の可視化、「健康経営」の評価項 目に介護と仕事の両立に係る事項を追加、両立支援に取り組む企業向けのガイドライン整 備) ◯ 介護ロボット開発の重点分野の範囲を拡大するとともに、海外市場獲得のための認証取得 等を支援 【先進的な医療機器の開発及び海外展開(主に「医療機器の日本シェア拡大」に貢献)】 ● AMEDを通じて、認定ベンチャーキャピタルが出資する創薬ベンチャーが行う革新的な 医薬品の実用化開発を支援 ● 平時にバイオ医薬品、感染症有事には政府の要請でワクチンを製造するためのデュアルユ ース製造拠点等の整備に係る支援 ◯ 新たな価値を創造するプログラム医療機器(SaMD:Software as a Medical Device) の開発環境の整備、研究開発及び海外展開に係る支援 ◯ 国際展開戦略の推進(アジア・アフリカを中心に、国際機関と連携した各国における拠点 形成やミッションの派遣を通じた医療関係者とのネットワーク構築等) (5)災害に対するレジリエンス社会の実現 ①取り組む社会課題・ニーズ (気候変動等に伴う自然災害の増加) ➢ 気候変動等の影響により、自然災害による被害が世界中で増加(気象災害は 1970 年から 31 2019 年までの 50 年間で、数は5倍に、経済的損失は7倍以上に増加し3兆 6400 億米ドル に達した)。 ➢ 気候変動の「緩和」のみならず、既に起きている気候変動への「適応」も急務。加えて、 気候変動の悪影響の顕在化を受けて、脆弱な途上国に対するロス&ダメージの支援措置の 議論もCOPにて開始。 ➢ 日本においては風水害のみならず、巨大地震による被害等も将来的に想定される。企業・ 自治体による一層の防災・強靱化対応が課題。 (先進技術・イノベーションを活用した防災対応のニーズ) ➢ 技術進展により、覚知・シミュレーション・最適化など、防災・強靱化の可能性が拡大。 自治体における災害被害の軽減や、企業のサプライチェーンを通じて波及する供給リスク の軽減等に貢献。 ➢ 日本は「仙台防災枠組」(2015 年)を含め、世界において防災分野の議論を主導。「災害大 国」日本で培われた日本企業の製品・サービス・技術に対する世界のニーズを掘り起こ し、世界の社会課題解決に貢献しつつ、経済成長も同時に実現。 ②ミッション ➢ 気候変動等により自然災害が激甚化する中、 「災害大国」日本だからこそ培われる革新技術 の創出拡大・社会実装を進め、災害発生の抑制・災害被害の最小化・回復の迅速化・より 良い復興を実現しつつ、そこに貢献する産業を育成。 ➢ 加えて、そうした先進技術を海外展開し、世界のレジリエンス向上に貢献しつつ、海外の 成長市場を獲得。 ③先行的に対応すべき需要と、それに応える新たな供給のあり方 (企業の防災・強靱化投資の推進) ➢ 自然災害による直接被害に加え、サプライチェーンを通じて波及する間接被害が近年顕在 化。 ➢ 企業活動の安定化のための防災・強靱化投資が、企業の中長期的な価値創造に資するもの と企業が認識し、そうした取組を自ら推進するための環境整備が重要。 ⇒ 企業のレジリエンス向上に資する製品、サービス(例えば自然災害による被害をシミュ レーションするソフトウェア、サプライチェーン管理を高度化するシステム等)の導入 が進む。 (自治体における先進的な防災・減災ソリューションの導入) ➢ 自治体の防災行政は、被害状況の正確・迅速な把握、災害対応に係る人手不足等、各種課 題に直面。そうした課題の解決に資する先進技術の導入を推進することで、需要を開拓し つつ、防災対応を高度化。 ⇒ 防災行政の高度化に資するサービス(災害の早期覚知、避難所運営・災害物資管理の効 率化等)を、信頼性を担保しつつ自治体ニーズに応える形で供給。 (海外市場の獲得) 32 ➢ 気候変動を背景に世界的に災害被害が増加。COPでも途上国に対する適応支援の倍増、 ロス&ダメージに対応する新たな資金面での措置が決定する等、気象災害に対応するため の資金フローの増加を示唆。 ➢ 途上国の資金不足やニーズ・シーズへの理解不足、企業による機会認識の欠如等の課題を 乗り越え、海外需要を獲得することが重要。 ⇒「災害大国」日本で培われた製品・サービス・技術を海外に展開。 ④当面見据える長期目標 ➢ 途上国の適応市場(2050 年に最大約 77 兆円/年間)を含め世界市場を獲得。 (その他目標・参考指標) ➢ スマート保安について、産業DX等の関連する取組と連動し、導入する企業の増加を目指 す。 ➢ 海外市場について、気候変動に関わる国際金融(GCF,CTCN等)の活用を含め、防 災・適応に資する日本企業の製品・サービスの海外におけるユースケースを 2030 年までに 80 件創出する。 ➢ 産業保安のスマート化に資する日本企業の製品・サービスの海外展開事例の創出を加速。 ➢ 仙台防災枠組が掲げるターゲット(被災者数の大幅削減、災害による直接経済損失のGD P比での削減等)に貢献する方策について検討。 ⑤これまでの施策、今後の施策 (●…これまでに実施した施策、○…今後実施する施策) 【企業の防災、強靭化投資の推進】 ◯ 企業の防災・強靱化投資の推進(SXの取組と連動しつつ、中長期的な価値創造に至る道 筋を整理し、制度的支援を検討) ● スマート保安の導入に向けた環境整備(高圧ガス保安法・電気事業法・ガス事業法の改正 を通じ、認定事業者制度においてデジタルを活用した自主保安への取組を必須要件化する とともに、認定事業者には行政手続の簡素化という制度的措置を整備) ◯ スマート保安の一層の導入推進に向けた取組  企業間データ連携の在り方の検討(石油精製コンビナート等、プラントに共通点の多い コンビナートから、プラントオーナー(プラントユーザー)、ITベンダー、ITコン サルタント等間のデータ共有の判断基準、ビックデータ形成に必要なデータの仕様の整 理)  スマート保安を活用する人材に必要なITリテラシーの整理(事業者がスマート保安を 導入・定着する上で必要なデジタルスキルについて調査。デジタルスキルを習得するた めに必要な技術的知識、醸成すべき意識等をマニュアル化)  スマート保安導入の費用対効果について検討  官民協議会等を通じて事業者に働きかけ(スマート保安官民協議会の高圧ガス保安分野 の部会として、高圧ガス保安分野の主要企業が集まる会議を開催) 【自治体における先進的な防災・減災ソリューションの導入】 ◯ レジリエンス分野のスタートアップ支援(SBIR制度等を活用した自治体への先進防災 33 技術の導入促進) ◯ 防災に資する官民連携のあり方に関する検討(災害物資等) 【海外市場の獲得】 ● 海外展開に向けたFS調査(途上国の気象災害等への対応に係る制度的・技術的課題を抽 出し、それらの課題解決のために国際協力スキーム等の活用、現地政府(国・自治体)と の調整を支援) ◯ 制度的・技術的課題の克服に向けたFS調査(適応分野のプロジェクト組成に必要な、国 際協力スキーム等による助成の活用や、途上国政府からの要請の獲得までを射程に含む調 査を実施し、海外展開の成功の「型」を形成) ● 国際ワークショップの開催(途上国における気象災害への対応に必要な日本の技術や取組 を国外に発信するとともに、官民での国際ワークショップの開催等を通じて、途上国政府 に日本の適応技術の有用性の理解を深め、国際協力スキーム等活用に向けた体制を構築) ◯ 国連機関と連携した途上国の防災力向上(経済産業省と国連ハビタット福岡本部は、日本 企業と共にアジア太平洋地域の都市のレジリエンス向上を目的に、「SUBARU・イニシ アティブ」を発表。途上国の地方自治体(都市)の具体的なニーズに、日本企業が貢献す るプロジェクトを支援し、国連機関と連携した途上国の防災力向上に取り組む。アジア太 平洋地域の5都市と、日本企業のマッチングを検討) ● 適応技術の国際広報(途上国政府や国際機関向けに、適応技術をPRするための適応グッ ドプラクティス事例集を作成) ◯ 国際標準化、仙台防災枠組・各種国際会議との連携等を通じた取組の普及 (6)バイオものづくり革命の実現 ①取り組む社会課題・ニーズ (脱炭素、資源自律、食糧危機等の社会課題を解決するポテンシャル) ➢ 脱炭素・資源自律・食糧危機・海洋汚染・経済安全保障等、世界共通の幅広い社会課題 は、工業製品の現在の製造プロセスの在り方が大きな要因。 ➢ 各種課題に対応するために製造プロセスを転換する必要があり、特に資源・食料の輸入国 である日本において急務。 ➢ CO2等の未利用資源を活用するとともに、化石由来資源を大幅に低減するバイオものづ くり(微生物や植物等の細胞による物質の生産)は、上記の諸課題を乗り越えたものづく りを可能ならしめるゲームチェンジャー。 ➢ バイオものづくりの実装により、大規模な産業構造転換が世界的に予見される。米国大統 領令では、バイオものづくりが今後 10 年以内に約 4000 兆円(製造業の世界生産の 3 分の 1 にあたる 30 兆ドル)分の既存製造活動を置き換えると分析。 (バイオものづくりへの転換に向けた課題) ➢ 社会実装に向けて乗り越えるべきは、技術力、市場性(コスト競争力)、消費者の受容性。 ➢ 市場任せでは製造プロセスの転換は困難。バイオ由来製品の導入拡大のための市場環境整 備、新産業創出のための事業環境整備等を通じた国内産業基盤の確立が必要。 ②ミッション 34 ➢ 部素材や製造方法をバイオ化することで、2030 年に世界最先端のバイオエコノミー社会を 実現 ③先行的に対応すべき需要と、それに応える新たな供給のあり方 (高付加価値領域の開拓) ➢ バイオものづくりへの投資促進には、投資対効果の確保が必要。革新的な機能・性能を持 つ製品や低環境負荷等の付加価値が求められる製品等の高付加価値領域ではバイオ製品の ニーズが顕在化。 ➢ 社会課題を契機とした規制によって新たに市場が創出され、バイオものづくりの活用につ ながる場合も(例:航空燃料からSAFへの転換) ➢ まずは高付加価値領域に注力し、低コスト化や量産・横展開に向けた技術開発と社会課題 解決のために必要な規制や市場の在り方の検討を進め、中長期的に汎用品の市場領域に参 入していくことを目指す。 ⇒ バイオ技術を巡り、世界で投資競争が活発化し、その投資を自国に誘導する産業政策競 争が開始。日本でも技術開発に支えられた国際競争力の強化と、それを背景に世界的な 需要を獲得するための生産能力の増強を含む国内投資の促進が急務。 ④当面見据える長期目標 ➢ バイオ関連市場(グローバル):2018 年 60 兆円⇒2030 年 92 兆円 ➢ バイオ関連投資(国内):2030 年までに年間3兆円 (その他目標・参考指標) ➢ GXへの貢献(CO2削減):化石原料による既存の製造プロセスを代替することによる排 出量の抑制に加え、CO2を直接吸収する水素酸化細菌によるバイオものづくりによるC O2吸収量の増大によりGXに貢献。一定の試算に基づき、2040 年に世界規模で 13.5 億ト ン、2050 年に 42.1 億トンの温室効果ガス排出削減を目指す。 ➢ 資源循環・海洋汚染への貢献:CO2や廃棄物等の未利用資源を原料とし、生分解性やリ サイクルしやすい製品の生産を可能とすることで、海洋汚染の抑制や資源循環に貢献。 ➢ 経済安全保障への貢献:CO2や廃棄物等の未利用資源を原料とすることでこれまで海外 に依存していた原料の国内調達を可能とすることに加え、微生物設計プラットフォーム技 術等の重要な技術を国内で保持しながら有志国連携を進めることで、経済安全保障に貢 献。 ➢ 食料危機への貢献:代替タンパクや細胞性食品の生産が可能となり、食料危機に貢献。 ⑤これまでの施策、今後の施策 (●…これまでに実施した施策、○…今後実施する施策) 【微生物プラットフォーム技術、生産技術開発の加速化】 ● GI基金事業及びバイオものづくり革命推進基金を活用して戦略的にプロジェクトを組成 (技術開発を進め、微生物設プラットフォーム事業者を中心とした異分野事業者の参入や 事業者間の連携を促進) ◯ 両プロジェクトの着実な執行(~2030 年度頃)、必要に応じた研究開発及び社会実装に向け た追加的支援 35 【市場環境の整備に向けた取組】 (バイオ由来製品の市場創出・拡大を図るための取組) ◯ バイオ由来製品の付加価値を経済的価値に転嫁する仕組み(バイオ由来製品の有するGH G排出削減効果等の付加価値の認証・クレジット化・製品表示 等) ◯ バイオ由来製品の安全性評価 ◯ 市場を創出するための仕組み(脱炭素等に資するバイオ由来製品の公共調達や、製品や技 術に関する業界基準への反映 等) ◯ 技術の標準化 (消費者の受容形成に向けた取組) ◯ 消費者とのコミュニケーション(リスクコミュニケーションにより消費者の理解醸成を促 しつつ、中長期的に環境負荷の低減や経済安全保障等の価値を訴求) ◯ 消費者が適切に選択するための製品表示ルールの策定、バイオ製品のブランディング 【事業環境の整備等による国内産業基盤の確立】 ◯ バイオ×デジタル分野等、バイオものづくりの実装を進める上で不足する人材の育成・確 保 ◯ 実証事業に取り組める拠点の整備(ベンチャー企業や異なる分野から参入しようとする企 業を後押し) ◯ 有望なスタートアップへの投資環境整備(スタートアップ支援の取組と連携) ◯ バイオものづくりを支える実験装置や測定機器、センサー、試薬といった周辺機器等関連 産業の競争力強化 (7)成長志向型の資源自律経済の確立 ①取り組む社会課題・ニーズ (資源自律経済が解決する制約とリスク、その解決による成長の機会) ➢ 世界での様々な”資源”の需要が増大し、将来的な枯渇が懸念される。これに加えて供給 が一部の国に偏在している資源も存在している。特に日本は資源自給率が低く、調達リス ク増大の懸念がある。(資源制約・リスク) ➢ 環境面では、国際的な廃棄物の越境移動制限が厳格化されつつある一方、国内では廃棄物 の最終処分場のひっ迫が問題に。また、気候変動対策として、原材料産業の温室効果ガス 排出削減が求められる。(環境制約・リスク) ➢ こうしたなかで、 「循環経済(サーキュラーエコノミー)」の市場規模の拡大・資金流入が 見通される一方、対応が遅れた場合には、高騰する資源の確保に伴う国富流出の増大やグ ローバルマーケットからの排除といったリスクも存在(成長機会) ②ミッション ➢ 国際的な供給途絶リスクを可能な限りコントロールし、国内の資源循環システムの自律 化・強靱化を図ることを通じて力強い成長に繋げる。(=中長期的にレジリエントな国内外 の資源循環システムの再構築)。 ③先行的に対応すべき需要と、それに応える新たな供給のあり方 36 (付加価値の源泉) ➢ サーキュラーエコノミー関連市場の規模は、世界全体で 2030 年に 4.5 兆ドル、2050 年に 25 兆ドルと見込まれている。  例えば、プラスチックや金属、再エネ関連製品(太陽光パネルや蓄電池等)、衣類等に 係る循環資源(再生材・再生可能資源(木材・木質資源を含むバイオ由来資源))等の 製造や回収・選別・リサイクルに期待 ➢ サーキュラーエコノミーによって、資源を効率的・循環的に利用するとともに、市場にス トックされた”資源”を新たなサービスなどによって活用できるようにすることで、資源 加工からリニアに構成されていた経済活動の各工程をシームレスに繋いで最適化すること が可能となり、Well-Being が向上することが付加価値の源泉。将来的には、天然資源と再 生・再利用資源の相対コスト逆転による付加価値の伸長が可能。 (先行して対応する需要) ➢ 資源循環を価値として市場経済に定着させるために、まず、消費者による、より賢い消費 の実践、今までに無いワクワク感のある体験、エシカルなライフスタイルの実践等に繋が る取組の中から、価値化しやすいサービス化を進める。 ⇒ そのための取組として、競争環境整備(3R + Renewable の4R政策の深堀等)、サー キュラーエコノミー・ツールキット(アーキテクチャ構築支援等)の充実、サーキュラ ーエコノミー・パートナーシップ(産官学連携による野心的目標の共有と協調領域の課 題解決等)の立ち上げといった取組を総合的に行っていく。 ④当面見据える長期目標 ➢ 資源・環境制約への対応を新たな付加価値とする資源循環市場を、国内外で今後大幅に拡 大。2030 年に 80 兆円、2050 年に 120 兆円のサーキュラーエコノミー市場を実現。 (その他目標・参考指標) ➢ 炭素中立、経済安全保障の実現、生物多様性の確保、最終処分場の逼迫の緩和等に貢献  GXへの貢献(CO2削減):直近の日本の温室効果ガス全排出量 11.49 億トンCO2 換算のうち、廃棄物関係で 4.13 億トンCO2換算(36%)の削減貢献  経済安全保障への貢献:資源循環を通じて、資源の海外依存度を低下させることで、自 律性(コントローラビリティ)を確保  生物多様性への貢献(生態系保全との整合):大規模な資源採取等による生物多様性の 破壊を、資源循環を通じたバージン資源使用抑制によって抑止。  最終処分場逼迫の緩和への貢献:これまで主に廃棄物の燃焼(サーマルリサイクル)を 通じて解消してきた最終処分場の逼迫を、資源循環を通じてGXと両立しながら解消。 ⑤これまでの施策、今後の施策 (●…これまでに実施した施策、○…今後実施する施策) 【動静脈連携の加速に向けた制度枠組みの見直し、循環度やCO2排出量等の測定・開示】 ◯ 3R関連法制の拡充・強化の検討:資源有効利用促進法の対象品目の追加、循環価値の可 視化のための表示制度の適正化、資源回収のための規制緩和等(従来の3Rに基づく「環 境配慮設計」を、サーキュラーエコノミーを前提とした「循環配慮設計」に発展させ、標 37 準仕様を定着させるための製品別の基準を整備するとともに、特に優れた製品設計につい ては「トップランナー設計」として評価する仕組みを検討。) ◯ CE(サーキュラーエコノミー)投資ガイダンスの活用による開示促進、表示基準の整備 等(企業にサーキュラーエコノミーに係るリスクや機会に関する自主的な情報開示を促す とともに、企業と投資家・金融機関等との建設的な対話・エンゲージメントを後押しす る。また、消費市場、労働市場からの適正な評価のため、取組の「見える化」「評価基準の 整備」等を進める) 【デジタル技術を活用したトレーサビリティ確保のための情報流通プラットフォーム等の構築】 ◯ トレーサビリティ確保のためのデータ流通を促す情報流通プラットフォームの構築支援 (製品データの標準化や、QRコードや電子透かし技術を活用し製品データを共有する枠 組を構築するとともに、製品データ提供のインセンティブを与える仕組みを導入。ライフ サイクルアセスメントによるカーボンフットプリントやマテリアルフットプリントの算 定・表示や製品・素材の品質保証につなげる。 ) ◯ SIP事業「サーキュラーエコノミーシステムの構築」を実施(令和5年度以降。プラス チック等の原料調達から、設計・製造段階、販売・消費、分別・回収、リサイクル段階ま でのデータを統合し、トレーサビリティ確保のためのユースケース創出。) 【CE実現のための研究開発・設備投資支援】 ◯ GX先行投資支援(資源循環分野において、官民合わせて今後 10 年間で2兆円~):サー キュラーエコノミーに取り組む社会課題解決型のスタートアップ等に対して、リスクマネ ー供給を含む適切な資金供給を通じて、伴走型の支援で次世代の産業基盤を構築する。 【産官学サーキュラーエコノミー・パートナーシップ、国際連携】 ◯ 産官学サーキュラーエコノミー・パートナーシップの推進(上記の内容を含む個別政策課 題(標準化、マーケティング、プロモーション、国際連携、技術検討等)の検討を、産官 学サーキュラーエコノミー・パートナーシップを立ち上げ、官民一体となって推進) ◯ 国際連携(サーキュラーエコノミーの国際標準化、プラスチック汚染対策に関する条約や 改正バーゼル条約(プラスチック、E-waste)への対応) (8)少子化対策に資する地域の包摂的成長 ①取り組む社会課題・ニーズ (少子化は世界の共通課題) ➢ 少子化は、先進国・新興国の共通課題。出生率が高い欧州諸国でも2以上を安定して継続 している国はなく、 韓国・シンガポールの出生率は日本より低い。世界全体として、少子 化克服のモデルは未だ探索途上にある。 ➢ 経済の視点からは、少子化は需給両面で影響。少子化による市場成長期待の低下は、日本 企業の海外投資志向の一因でもある。少子化が反転すれば、労働供給面では 20 年後に効果 が出るが、需要面では速やかに市場拡大につながり、将来期待の醸成にも効果あり。 (課題は若者の希望回復) ➢ 希望出生率は、2010 年、2015 年ともに 1.8 であったが、2021 年に 1.6 と低下。これは、未 婚者の希望低下によるものであり、その最大の要因は所得水準が低いこと。 38 ➢ 社会・経済問題として少子化を克服するためには、若者の所得水準を持続的に高めるとと もに雇用の安定化を実現し、仕事と子育てを両立しやすくし、結婚・出産・子育ての希望 を実現できる環境を整え、未婚者を含めた若者の希望の回復につなげていくことが必要。 ➢ 東京圏より他地域のほうが出生率が高く、可処分所得・可処分時間とも豊かで子育てがし やすい可能性がある。しかし、地元に希望する仕事がないことを理由に、若者、特に女性 が、東京圏に流出している。地域において若者が希望する仕事を創出できれば、少子化克 服と地域活性化という二兎を得ることが可能。 ②ミッション ➢ 地域において、良質な雇用創出による若者の所得向上、男女が子育てと両立でき、女性が 活躍できる職場改革、結婚・子育て・生活環境の整備を通じて、希望出生率 1.8 を回復。 将来的にはさらなる希望向上を図る。 ③先行的に対応すべき需要と、それに応える新たな供給のあり方 (結果としての出生数増による需要拡大) ➢ 希望出生率が回復し、結果として出生数増が実現すれば、まず子育て関連の消費支出増に よる需要が生まれ、さらに長期的には、日本経済全体の人口動態の安定化により需要全体 の底上げにつながる。 ➢ そのためには、地域の良質な雇用の創出、インバウンドの拡大で成長期待が高い観光産業 の高付加価値化、働き方改革等による仕事と子育ての両立、若者の結婚・子育てをめぐる 環境改善への対応が必要。 (地域の良質な雇用の創出) ➢ 地元に希望する仕事がないことを理由に、若者、特に女性が、東京圏に流出。地域におい て若者が希望する仕事を創出することが必要。 ⇒ 良質な雇用を創出し地域経済を牽引する役割や、日本経済の成長の新たな担い手として の役割が期待される中堅企業の振興のため、経営戦略づくりや人材の獲得・育成・定 着、外需獲得、新事業展開等の取組を集中支援する。 ⇒ さらに、中堅企業へ成長する中小企業の創出のため、中小企業経営者の戦略構想・実行 力の強化や事業承継・引継ぎによる前向きな事業変革、M&A・グループ化の促進等を 通じて、成長実現に取り組む ⇒ 加えて、国内での新たな産業立地を通じた地域経済の活性化・雇用創出を推進。 (地域の文化等を活用した観光の高付加価値化) ➢ 地域の風土や文化等、その土地ならではの資源等を生かして観光産業を振興・高付加価値 化することで、地域の魅力を高め、地域活性化や良質な雇用の創出に繋がる。 ⇒ アート・デザインやスポーツの活用で、地域文化のアップデートや産地の活性化、地域 資源の磨き上げを行うとともに、客単価の増加を図る。 (働き方改革等による仕事と子育ての両立) ➢ 地域の中小企業を含めた、企業の働き方改革等により、子育て世代の可処分時間が増加す ることで、仕事と子育ての両立が無理なく可能に。 39 (若者の結婚・子育てをめぐる環境を改善する取組) ➢ 若者が子育てをしやすい地域作りを行うべく、各分野においてテクノロジーやサービスを 用いた環境改善を促す必要。 ➢ 結婚に至る慣習の変化や、結婚を希望しているが行動を起こしていない人が多数存在する こと等を踏まえ、結婚に関係するサービスを活用して地方も見据えた結婚に向けた男女の マッチング支援を行う必要。 ④当面見据える長期目標 ➢ 若者(特に地域)の可処分所得・可処分時間の拡大を通じて、 希望出生率 2021 年 1.6⇒2030 年 1.8 ※将来はさらに、人口動態の安定化をもたらす希望水準を目指し、それが可能となるよう な経済環境を実現 (その他目標・参考指標) ➢ 地域の核となる企業の成長関係(中堅企業・立地関係):  中堅企業(地域未来牽引企業等)における付加価値額の増加率の向上  工場等の国内立地件数の増加(2022 年:922 件) ➢ 地域の核となる企業の成長関係(中小企業関係): 2025 年に以下を達成  中堅企業に成長する企業数…年 400 社以上  1人当たり付加価値額(労働生産性)…5年で5%向上 ➢ 地域全体の経済・産業のビジョンと資金・人材が循環するエコシステムの確立関係(観光 業関係):訪日外国人旅行者一人当たり地方部宿泊数を令和7年までに2泊 ⑤これまでの施策、今後の施策 (●…これまでに実施した施策、○…今後実施する施策) 【若者・女性の収入増を通じた「可処分所得の増加」に繋がる産業政策】 (地域の核となる企業の成長) ◯ 地域経済を牽引する中堅企業に対する集中支援(新事業展開のための経営者ネットワーク や専門家による支援体制の構築等)(法改正も視野に検討) ◯ 中小企業・小規模事業者における事業再構築・生産性向上等、及びその関連施策と一体的 ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ に行う賃上げへの支援 成長志向の中小企業の創出(親族内承継やM&Aを含む第三者承継を機とした変革の推 進、イノベーション支援、人材・資金等の内部資源の充実、伴走支援) 産業立地に係るインフラ整備(重要産業に係る工業用水等の産業インフラ整備、土地利用 調整の円滑化等) 労務費を含めた価格転嫁対策、パートナーシップ構築宣言 インパクト投融資等を活用した、地域の社会課題解決を目指す事業を推進するエコシステ ムの確立 経営者保証に依存しない融資慣行の推進 (地域全体の経済・産業のビジョンと資金・人材が循環するエコシステムの確立) ◯ 地域の資源を生かしたアート・デザインやスポーツの活用等による観光業等への投資促進 40 【若者・女性の「可処分時間の増加」に繋がる働き方改革や規制改革】 ● 働き方改革による労働時間の適正化・両立支援・子育て支援、女性活躍の推進 ◯ ◯ ◯ ◯ ダイバーシティ経営の浸透を通じた地域の働きやすい環境の整備・ 優良事例の選定 補助金審査の際のWLB加点措置導入 なでしこ銘柄の活用による男女を問わない多様な働き方の促進 地域の中堅企業への働き方改革支援(地域未来牽引企業等の中堅企業のうち、子育て・健 康・女性活躍等の「働き方改革」の基準を満たす企業を選定した上で、特に優れた取組を 行う企業の若者・女性へのPR等を実施) ◯ 女性の健康課題の解決のためのフェムテック等の企業等への導入 ◯ 家事支援サービスの利用促進 【若者・女性の結婚・子育て・生活をめぐる環境を改善する取組】 ◯ 多様なニーズに応える教育環境の実現(学校内外のリソースのフル活用を通じて、居住地 域や家庭環境を問わず多様なニーズに対応) ◯ デジタルの活用を通じた交通・物流等の生活インフラの持続可能化(物流における「フィ ジカルインターネット」の実現等) ◯ 社会課題解決ビジネスの成功事例の全国展開(社会課題解決ビジネスを通じた地域コミュ ニティの活性化による安心の創出) ◯ 地方も見据えた男女の結婚に向けたマッチング支援 ※ これら施策の実行においては、人的リソースや意思決定の迅速さで困難を抱えることもあ る自治体を補完・代替し、地域経済のビジョンを構想・実行できる主体や、官民の連携体 制を構築していく主体の育成も必要。 <社会基盤(OS)の組替え> 先述した日本経済全体のマクロ的な課題・方向性と、個別テーマにおけるミクロ的な対応が、 可能な限り連続したものとして捉えられるようにするためには、テーマ横断的な共通枠組みに沿 って、各政策を整理することが重要である。ただし、「ミッション志向の産業政策」と「社会基盤 (OS)の組替え」とでは、課題へのアプローチの仕方が異なる。このため、OSの組替えにつ いては、5つのテーマごとに、①問題意識・腰を据えて取り組む意義を整理し、②当面見据える 長期目標を設定したうえで、③中長期的に取り組むべき領域と政策の方向性を具体化し、④これ までの施策、今後の施策を整理することとする。 (1)人材 ①問題意識・腰を据えて取り組む意義 (未来人材ビジョン) ➢ 2022 年5月に公表された「未来人材ビジョン」では、デジタル化や脱炭素化といったメガ トレンドの中で、未来を支える人材を育成・確保する観点から、雇用・労働から教育ま で、社会システム全体の見直しが必要であるとし、旧来の日本型雇用システムからの転 換、好きなことに夢中になれる教育への転換が提言された。 41 ➢ ビジョンは、企業は自社の人的資本経営を推進することで、雇用・人材システムを聖域な く見直す必要があるとした。これにより、キャリアや人生設計の複線化が当たり前で、多 様な人材がそれぞれの持ち場で活躍できる社会へと転換していくことにもつながる。教育 については、一律・一斉で画一的ではなく、時間・空間・教材等の組み合わせの自由度を 高めた教育へと転換していくことが重要であるとともに、メガトレンドに対応していくた め、産業界と教育機関が一体となって、今後必要とされる能力・スキルを備えた人材を育 成することが急務とした。 (人的資本経営の広がりと課題) ➢ 2020 年9月に公表された「人材版伊藤レポート」では、人事・人材に関する問題を、コー ポレートガバナンス改革の文脈で捉え、持続的な企業価値向上という文脈で議論し、人 事・人材変革を起こそうとした。 ➢ その後、コーポレート・ガバナンスコードの改訂(2021 年6月)、 「人材版伊藤レポート 2.0」(2022 年5月)、 「人的資本可視化指針」(同8月)、人的資本情報の有価証券報告書に おける開示義務化(2023 年1月)等の政策の進展があり、2022 年8月には、「人的資本経 営コンソーシアム」も設立された。 ➢ こうして、我が国では人的資本経営という用語自体は急速に広まったが、以下のような課 題がある。  企業価値向上との結び付けが弱い  「開示の仕方」にばかり関心が行き、「実践」が弱い  スキルの分類と見える化はそれほど進んでいない ➢ また、人的資本経営はつまるところ個々の企業の経営改革にとどまり、我が国の労働市場 全体にわたる課題の解決には、直ちに効果が出にくい。そこで、今一度、マクロでみた我 が国労働市場が抱える課題を見つめ直し、そこから説き起こした施策の展開が必要とされ ている。 (「人材」分野を取り巻く課題) ➢ 物価上昇もあり、諸外国に比べて伸び悩む賃金、諸外国に比べて少ない人的投資、人口減 少に伴う労働供給制約が大きな課題。 ➢ こうした課題の背景としては、年功賃金制などの戦後に形成された雇用システムがある。 今後は、人的資本経営のさらなる推進の一環として、DX・GXなどのメガトレンドに対 応した人材の育成・強靭化を通じて、そうした人材が活躍できる柔軟な労働市場へと変化 させていく必要がある。 (潮目の変化を3つの好循環へとつなげる上での鍵) ➢ 物価上昇もあり、本年の賃上げは 30 年ぶりの高水準。また、世界最高水準に到達した労働 参加と生産年齢人口の減少による構造的な人手不足で、持続的な賃上げを行わないと人材 確保が困難な状況。産業全体の新陳代謝を進めていく観点からも、リスキリング・労働移 動等は重要。 ➢ この「潮目の変化」を契機として、新たな施策も講じつつ、国内投資・イノベーション・ 所得向上の3つの好循環を持続化していく。 ➢ 国内投資を行う上でのボトルネックとならないように、人材の質・量の両面で、人手不足 への対応に万全を期す。 42 ➢ イノベーションの源泉となる人材の確保・質の向上のため、成長性の高い企業・産業への 円滑な労働移動や、人的投資を通じた人材競争力の強化を進める。 ➢ 所得向上を一過性のものとせずに持続させるため、価格転嫁や国内投資・イノベーション を通じた高付加価値化を進めることで企業の賃上げ原資を確保するとともに、中小企業、 非正規雇用の方々などへと賃上げを波及させていく。 ②当面見据える中期目標 ➢ 物価上昇を超える賃上げを持続的なものとするとともに、人手不足の解消、人的投資の拡 大を目指す。 (その他目標・参考指標(例)) ➢ 賃金上昇を伴う転職者の割合を増加させる ➢ 企業による人的投資を拡大する ③中長期的に取り組むべき領域と政策の方向性 国内投資・イノベーション・所得向上の3つの好循環を持続化していくため、人手不足への 対応や賃上げに必要な施策を講じるとともに、内部労働市場・外部労働市場の活性化による労 働移動の円滑化や官民を挙げたリスキリング・人材育成を進めていく。 【①徹底した人手不足への対応】 ➢ 中長期の人口減少も見据え、女性・高齢者などが活躍できる環境の整備などを進めるとと もに、徹底した省人化投資を進めることで、労働供給制約を緩和。 【②賃上げに向けた取組の強化】 ➢ 30 年ぶりの高水準となった春闘での賃上げを持続的なものとするため、賃上げ税制等によ る賃上げの直接的な後押しを行うとともに、中小企業の価格転嫁対策や、国内投資・イノ ベーションを通じた高付加価値化を進めることで企業の賃上げ原資を確保。 【③内部労働市場・外部労働市場の活性化による労働移動の円滑化】 ➢ 人手不足や賃上げの観点に加え、産業全体が新たな付加価値を生み出していくための新陳 代謝を進めるためにも、円滑な労働移動が起きる労働市場の構築が必要。そのため、ⅰ) 内部労働市場を活性化させ、企業内でも個人のニーズに応じて多様なキャリアパスを歩む ことができ、スキルに応じて登用されるような仕組みを作るべく、人的資本経営を通じた 企業の具体的なアクションを求めていくとともに、ⅱ)外部労働市場の発達に向けて、リ スキリングが労働移動やキャリアアップに直接つながる機運を醸成するべく、リスキリン グと労働移動の一体的な支援を行う。 【④官民を挙げたリスキリング・人材育成】 ➢ 併せて、企業の人材ニーズに応え、質・量の両面から必要な人材を充足させるため、企業 が自らの従業員に対する人材育成を行うことはもちろんのこと、官民を挙げて積極的にリ スキリング・人材育成を進めていく。 ④これまでの施策、今後の施策 (●…これまでに実施した施策、○…今後実施する施策) 43 【①徹底した人手不足への対応】 ● パートタイム労働者の活躍支援(主に、女性をターゲット) (子育て支援・女性活躍支援に取り組む企業への補助金審査の際の加点措置導入、家事支 援サービス・フェムテック等の企業等への導入) ◯ 中小企業等向けの人材活用ガイドラインの公表・周知 ◯ 外国人材の活躍促進(外国人留学生の就職円滑化、技能実習制度・特定技能制度の見直し 議論を踏まえた対応等) ◯ 省人化投資の促進(ものづくり補助金の「デジタル枠」やIT導入補助金の活用による中 小企業の自動化・IT化の推進) 【②賃上げに向けた取組の強化】 ● 中小企業の価格転嫁対策・取引適正化の継続 ● 拡充した中小企業の生産性向上支援策の推進 ◯ 賃上げ税制の拡充 【③内部労働市場・外部労働市場の活性化による労働移動の円滑化】 ● 在職者に対するキャリア相談からリスキリング・転職までの一体的な支援 ◯ 人的資本経営コンソーシアムの活動の拡大(複数企業連携アクションの組成、情報開示に 関する国際的な議論の主導、コンソーシアムとしての人的投資拡大目標の設定等) ◯ 副業・兼業支援における、地域企業での活用促進 【④個別分野を含む、官民を挙げたリスキリング・人材育成】 ● デジタル人材の育成・確保の継続(DX推進人材の育成、大学・高専の学部再編、海外か らのIT人材の獲得等) ● 企業による大学等における共同講座設置の支援 ● 企業による高等教育機関設立関与を促進するための税制支援 ● 半導体や蓄電池分野において、産業界が必要とするスキルを有する人材を育成するため産 学官が連携して人材の育成・確保を推進 ◯ 脱炭素化等による産業構造の変化を踏まえ、個別分野における今後のバリューチェーンを 見据えたリスキリングや事業構造転換の一体的支援 (2)スタートアップ・イノベーション ①問題意識・腰を据えて取り組む意義 (スタートアップとイノベーションの役割:新陳代謝、イノベーションの拡大循環) ➢ 今後の人手不足の環境の中で持続的な成長を実現するためには、産業の新陳代謝により高生 産性・高賃金部門へリソースが集まることが重要であり、高い付加価値を生み出す新たな事 業の創出に取り組む企業の存在が不可欠。新事業の創出主体としてのスタートアップのエコ システムを政策的に支援する必要。 ➢ 同時に、社会課題を解決し、持続的な成長を実現するためには、より広く、革新的な技術や アイデアが事業化され、新たな価値を生み出し、社会実装に至ることが必要。イノベーショ ン実現による対価獲得が、賃上げ原資として所得向上に繋がり、研究開発投資等のイノベー ション投資に向かう拡大循環とともに、人材・技術が力を最大限発揮できる機会・場を求め て移動・最適配置していく知的資本の拡大循環を促すことが重要。 44 (スタートアップ・エコシステムの活性化に向けた課題) ➢ イノベーションの担い手たるスタートアップの数や調達額はこの 10 年間で増えているもの の、そのスピードや規模において世界との差は開いており、ユニコーン数も期待ほど増えて いない。特に、日本としてポテンシャルが高く社会課題解決(ミッション実現)において重 要な役割を期待されるディープテック分野のエコシステムは様々な課題が存在。さらに、創 業・成長を支える人材や資金の不足や、既存企業・研究機関からのカーブアウト・スピンオ フの少なさ、事業がスケールしないなど、分野を問わず乗り越えるべき様々な課題が顕在化。 (研究開発・技術開発を核としたイノベーションの実現のための課題) ➢ 米中を中心に研究開発投資が急拡大し、研究者の数も増大。また、米中等では研究開発投資 においても成長においてもスタートアップ企業が台頭。一方、日本の研究開発投資額は横ば いで、主要国で唯一研究者も増えておらず、スタートアップの研究開発投資・成長も限定的。 研究開発投資の質量ともに高めるとともに、それをイノベーション(=事業化・市場創造) 実現につなげる施策が必要。 ②当面見据える中期目標 ➢ スタートアップ:投資額を今後5年(2027 年度まで)で 10 倍 ➢ 研究開発投資: 官民合わせた研究開発投資の総額を 2021-2025 年度で合計約 120 兆円にす る ③中長期的に取り組むべき領域と政策の方向性 (スタートアップ・イノベーションのエコシステムを強化する6つの柱) スタートアップ・イノベーションのエコシステムにおいて、新たな技術・アイデアが生ま れ、事業化に至り、成長し価値を生むサイクルが強化されるよう、以下の6つの柱を重点とし て取り組む。 【スタートアップ・ファースト】 ➢ スタートアップへの投資額を5年で 10 倍とする5か年計画での目標を実現し、スタートア ップを起点とするイノベーション循環を促すため、(ⅰ) 多様な人材の呼び込み、技術シー ズのカーブアウト等の促進、個人投資家からの資金供給加速等を含むスタートアップ創出 拡大、(ⅱ) 成長を支える人材の参画促進、機関投資家からの資金供給拡大、グローバル・ ユニコーン創出、ディープテック分野の事業開発・量産化の加速等を含むスタートアッ プ・エコシステムの強化に必要な支援策を講じる。また、後述する (ⅲ) 各ミッション分 野におけるイノベーションの実現のためのスタートアップの役割にも着目して集中的に施 策を実施。 【②人材と知的資本の創造】 ➢ 多様な人材が最適な場所を求め、協働して力を発揮する環境づくり、企業や大学等におけ る知的資本の創造と循環を加速。知的資本のインプットのみならず、その成果(収益)に つなげる取組を強化。 【③失敗を前提として挑戦を増やす】 ➢ 失敗を一切許容しないと大きな挑戦と成功は起こらないため、起業家や先端領域の研究者 45 等の挑戦を促す観点から、成功を前提とした目標設定・評価ではなく、失敗を前提とした 仮説構築・行動を促す仕組みを構築していく。 【④市場創造への集中支援】 ➢ イノベーション実現に向けた事業化・市場創造を促すため、企業経営者の競争戦略を後押 しするとともに、規制・制度も含め、官民の資源を集中投入。 【⑤ミッション領域に注力したスタートアップ・イノベーション政策】 ➢ 経済社会構造の変革を伴うイノベーションの実現のため、各ミッション分野の施策と連携 したスタートアップ・イノベーション支援にも注力、効果的な実施を進める。 【⑥国家戦略としての計算基盤・汎用技術の強化】 ➢ デジタル社会の実現とともにイノベーション循環の基盤として、AI・量子等の計算資源 の整備・強化や将来の経済社会変革をもたらす先端的・汎用技術に対する投資を強化。 ④これまでの施策、今後の施策 (●…これまでに実施した施策、○…今後実施する施策) 【①スタートアップ・ファースト】 ● スタートアップ育成5か年計画の着実な遂行(2022 年度から開始) (スタートアップの創出拡大) ◯ 女性起業家支援の強化(女性起業家海外研修プログラムの創設、JICによる女性キャピ ◯ ◯ ◯ ◯ タリストを採用・育成する民間ファンドや女性起業家に積極的に投資する方針の民間ファ ンドへの出資等) スタートアップビザの拡充(VC・アクセラレータ等の民間事業者を管理・支援団体に追 加、最長在留期間の延長を検討) 事業会社等の優れた技術・人材の切り出しによるスタートアップ創出促進(カーブアウト した者が行う研究開発の支援の強化、研究者と経営人材のマッチング・起業家育成の推 進) パーシャルスピンオフに関する税制の恒久化の検討 エンジェル税制のさらなる活用促進や利便性の向上に向けたあり方の検討 (スタートアップの成長促進) ◯ 税制適格ストックオプションの見直しの検討(令和6年度税制改正要望に向けて、株式保 管委託要件の撤廃、社外高度人材への付与要件の緩和・認定手続の軽減、権利行使限度額 の大幅な引き上げ又は撤廃など検討) ◯ ストックオプションの発行に関する規制緩和の検討(株主総会から取締役会への委任決議 の有効期限や委任内容) ◯ LPSの投資対象の暗号資産等への拡充、海外投資比率制限の要件緩和の検討(法改正も 視野に検討) 、公正価値評価をLPSの会計規則に位置づけ ◯ グローバル・ユニコーン創出に向けた重点的支援 ◯ 大企業における経営資源活用促進のためのオープンイノベーション促進税制の在り方の検 討 46 ◯ 知財専門家のVCへの派遣による支援強化、特許審査における審査官側からのプッシュ型 支援(面接機会の提供等)の推進 ◯ JICの運用期限の延長(法改正も視野に検討) ◯ ディープテック・スタートアップ政策パッケージ ◯ (社会課題を解決するスタートアップへの支援強化/ミッション施策群に紐付いたイノベー ション支援) ※後掲「ミッション領域に注力したスタートアップ・イノベーション政策」を参照 【②人材と知的資本の創造】 ● 産学連携の推進(産学連携ガイドラインの作成普及、産学融合拠点事業、TLO法等) ◯ イノベーションボックス制度の検討(イノベーション拠点としての立地競争力強化の観点 から、国内で開発された知的財産から生じる所得に税制上のインセンティブを与え、企業 の知的財産創出等に向けた研究開発投資を促進) ◯ スターサイエンティスト(候補)と企業の連携の促進(スターサイエンティスト候補たる 若手研究者と企業との産学連携研究に対する助成や、成果である「知」の可視化に係るガ イドラインの普及等) ◯ 博士人材の就職ルートの多様化 【③失敗を前提として挑戦を増やす】 ● 懸賞金型研究開発事業を試行的に導入(宇宙分野やAI分野など) ◯ 今後、懸賞金型研究開発事業の分野や事業規模を拡大(本格的な実施を検討) ◯ 研究開発支援事業におけるステージゲートの活用(方向転換(ピボット)や早期撤退を柔 軟に選択できる仕組みを導入) ◯ ムーンショット基金の増強と新たな評価指標の導入(ムーンショット基金を増強し、更に 野心的挑戦を促す「失敗」を積極的に評価する新指標と仕組みを導入) 【④市場創造への集中支援】 ◯ 研究開発支援事業における社会実装に向けた先行的取組の横展開(GI基金における社会 実装を促す取組(経営者コミットメント、事業戦略・資金計画との連動、TSC等を活用 した技術調査、標準化戦略、EBPM等)を検証し、その他の研究開発事業(例えばポス ト5G等)に拡大) ◯ 企業のルール形成の取組の後押し(国際標準化をはじめとするルール形成等に取り組む企 業がその活動を経営戦略に組み込み、資本市場に評価されるよう「価値協創ガイダンス」 等を踏まえた統合報告書記載を推進、「知財・無形資産ガバナンスガイドライン」での標準 化戦略に関する記載強化。これらを基に企業行動の変容を促す枠組も検討。) ◯ 標準化活動の体制強化(標準化人材の育成・活用、人材情報のアクセス改善、アカデミア (学会)との連携強化、支援機能の強化等) ◯ JAXAの戦略的かつ弾力的な資金供給機能の強化 ◯ ディープテック・スタートアップ政策パッケージ(再掲) 【⑤ミッション領域に注力したスタートアップ・イノベーション政策】 (スタートアップ) 47 ◯ GX分野 (GX関連分野におけるスタートアップ企業の研究開発・社会実装支援等を抜本 的に強化) ◯ DX分野(次世代半導体のユースケース創出に取り組むスタートアップの開発費等支援) ◯ ヘルスケア分野(ヘルスケア分野に強みを持つ海外の有力 VC やアクセラレータと連携した スタートアップ育成プログラムの展開、スタートアップによる革新的な医療機器の開発の 推進・環境整備) ◯ レジリエンス分野(SBIR等を活用した自治体への先進防災技術の導入促進の検討) ◯ バイオ分野(日本医療研究開発機構(AMED)の 3500 億円の基金活用、バイオスタート アップの上場基準の適正化等資金調達環境を整備) ◯ インパクトスタートアップ(「J-Startup Impact」の創設、若手人材の海外のインパクトス タートアップ等への研修派遣、B-Corp制度の認証取得支援のための専門家登録・活 用促進) (研究開発) ◯ ミッション領域に特化した研究開発政策の基本要素や条件等の分析・体系化を行い、関連 施策の評価・点検を実施。研究開発政策の新たな目標設定やKPI・評価方法に反映 【⑥国家戦略としての計算基盤・汎用技術の強化】 ◯ 量子コンピューティング開発拠点の強化(量子コンピューティング技術の産業化に向けた 研究開発の推進・支援強化として、産総研に整備する「量子・AI融合技術ビジネス開発 グローバル拠点(仮称)」において、量子コンピュータを活用したユースケース創出の大幅 な拡充、量子コンピュータを構成する部素材の評価・国際標準化等を通じたサプライチェ ーン構築の加速、国内外の量子コンピュータ設置による量子・古典計算利用環境の拡充を 通じた海外連携等を実施。) ◯ 官民連携したAI研究開発の加速化(産総研のABCI(AI橋渡しクラウド)を含めた 計算基盤を整備・拡充するとともに、 AI Japan(人工知能研究開発ネットワーク)も活用 し、言語・画像・ロボティクス等の基盤モデルの基礎的な開発能力を構築・強化。) (3)価値創造経営 ①問題意識・腰を据えて取り組む意義 (2014 年「伊藤レポート」公表以降の状況) ➢ 2014 年に伊藤レポートを公表して以降、日本企業の自己資本利益率(ROE)は一定程度 改善したが、この間の利益の拡大は「売上原価の抑制」等で生まれた面が大きい。 ➢ 多くの日本企業は、拡大した利益から生まれた資金について、中長期的かつ戦略的視座で の経営資源配分(事業再編、成長投資や人件費など)に振り向ける点に課題を抱え、また リスクマネーを調達して行う成長投資にも積極的ではなかったため、競争力や将来の成長 期待が高まらず、企業価値を十分には伸ばせなかった。 ➢ さらに、人口減少により国内需要拡大の期待が低い一方で、企業活動のグローバル化が進 む中、投資先としては国内より収益力の高い海外が重視されてきたため、企業にとっての 最適投資戦略が「国内投資・イノベーション創出を通じた国民所得向上」に繋がりにくか った面がある。 (「国民所得向上」を実現する「価値創造経営」を進める必要) 48 ➢ 賃金上昇・投資拡大・事業再編の増加などの「潮目の変化」を社会課題解決による持続的 成長につなげるラストチャンスともいえる状況の中、日本企業の「価値創造経営」、すなわ ち高い資本効率・収益性(高いROE)を確保しつつ、社会課題の解決を通じた成長戦略 を策定することで成長期待を集め(高いPER)、持続的に企業価値を向上させる経営(結 果として高いPBRになる)を、いかにして「国内投資とイノベーション創出を通じた国 民所得向上」に結びつく形で定着させられるかが課題。 ➢ 政府は一歩前に出て「ミッション志向の産業政策」で企業の国内投資を促し、個人は自ら のキャリア形成に取り組む一方で、我が国の付加価値の過半を占める大企業には、自らの アニマルスピリッツに再び火をつけて、賃上げ等に対応する原資を確保し続けるべく、自 社株買い等の一過性の対応のみにとどまらず、持続的に価値を創造する経営に取り組み、 日本全体で早急に結果につなげることが求められている。 ② 中長期的に取り組むべき領域と政策の方向性 「資本市場改革」によって資本市場から上場企業への規律が強化されることに呼応し、政府 は日本企業が長期的・持続的な価値創造に向けた「企業経営改革」を進めることを促し、GX など社会課題領域での「ミッション志向の産業政策」を講じることで、国内投資促進、イノベ ーション創出、国民所得向上の「3つの好循環」を実現する。 ➢ 「資本市場改革」(資本市場改革を通じ、規律の強化を通じて企業の価値創造経営の実行を 促す)  東証が全てのプライム・スタンダード上場企業に対して、ROE等の資本収益性やPB R等の市場評価についての現状分析と改善計画の策定・開示等を要請し、投資家が企業 経営を継続的に評価とエンゲージメントを行う環境を整えることを通じ、資本市場の規 律が日本の上場企業の価値創造経営を後押しする。 ➢ 「企業経営改革」(政府として、企業が中長期視点でSXを軸とした価値創造経営の実行を 促す)  資本市場からの規律が強化される中、上場企業が自社株買い等の一過性の対応のみにと どまらず、多様な社会課題の解決を通じた長期的・持続的な価値創造を進めるべく、中 長期視点での「SX(サステナビリティ・トランスフォーメーション)経営戦略」を構 築し、その戦略を実行する経営陣の「執行機能の強化」と、経営陣を規律づける「ガバ ナンスの強化」を進めることを促す。 【中長期視点での「SX経営戦略」の構築と実行、ガバナンス】 1)バックキャスト型長期経営:社会課題解決など中長期の価値創造戦略 2)バランスシート経営:事業ポートフォリオマネジメントと、無形資産を含めた高速 で大規模な投資 3)人的資本経営:取組については「人材」部分を参照 4)マネジメント改革(執行機能の強化):中長期視点の戦略を着実に実行するマネジ メント 5)上記1)から4)を確実なものとするガバナンス強化:グローバル水準の長期インセ ンティブ報酬、優れたCEOを選ぶためのサクセッションプラン作成、過半数の独立社 外・多様性のある取締役会、長期経営方針についてCEOと社外取締役の徹底した対話 49 ➢ 「ミッション志向の産業政策」(政府として、民間だけでは投資が進みにくい中長期的な社 会課題領域を中心にした国内投資を促進する) ③ 当面見据える中期目標 ➢ 2030 年に日本の代表的企業(TOPIX500 企業を想定)のPBR1倍以上の割合を約6 割から約8割(欧州STOXX600 並)  価値創造経営の実現のためには、長期目線で必要な事業再編や成長投資(無形資産投 資・設備投資)の実行により、資本効率性・収益性を高め(ROE向上)、中長期的な 成長戦略を策定してさらなる成長期待を集め続ける(PER向上)経営の広がりが重要 であることから、現在の経営の効率性の代理指標であるROE(自己資本利益率)と、 企業の成長期待の代理指標であるPER(株価収益率)を乗じた値であるPBRを指標 として置いている。  同種の企業群を継続的に国際比較する観点から上記のKPIを用いるが、TOPIX 500 を構成するような「日本の代表的企業」のみが経営改革を進めればよいということ を意味するものではなく、上場する全ての企業にとって長期的・持続的に資本コストを 意識した価値創造経営が求められる。 ④ これまでの施策、今後の施策 (●…これまでに実施した施策、○…今後実施する施策) 【資本市場改革】 (東証の取組) 東証が進めている以下の取組は、PBR1倍を下回る企業が上場企業の多くを占めるなど企 業価値を十分に伸ばしきれていない中で、価値創造経営に向けた取組を後押ししようとしてき た新機軸部会での議論と軌を一にするもの。以下の取組を、企業経営改革の推進や産業政策の 観点から、積極的に連携・支援する。 ● 全てのプライム・スタンダード上場企業に対して、ROE等の資本収益性やPBR等の市 場評価についての現状分析と改善計画の策定・開示等を強く要請。 ● PBR又はエクイティスプレッド(ROE-株主資本コスト)の高い時価総額上位企業 150 社を選ぶ新株価指数の導入を決定。 ● 経過措置の期限を明確化した上で、「形式の遵守」だけに陥りがちな上場企業のコーポレー トガバナンスの「実質化」に向けて、「コンプライ・オア・エクスプレイン」の趣旨を改め て周知するとともに、好事例や不十分な事例等を明示し、自主的な点検を促す。 ◯ プライム市場における必要な情報の英文開示の義務化をはじめとした新市場のコンセプト に整合した制度の整備。 (金融庁の取組) コーポレートガバナンスに関し、コードやガイドラインの整備は形式の整備・定着に資する 一方、細則化により形骸化を招くおそれがあり、自律的な意識改革を促す環境整備が求められ ている。金融庁が公表した「アクション・プログラム」で示されている以下等は重要な課題で あり、連携して取り組む。特に、買収取引において市場機能が健全に発揮されるよう、「企業買 収における行動指針(仮称)」を策定するとともに、その後の状況をフォローアップし、必要な 対応を適時講じる。 50 ◯ エンゲージメントの阻害要因である大量保有報告制度の見直し検討 ◯ 公開買付け制度に関する検討 ◯ 実質株主の透明性のあり方についての検討 ◯ 独立社外取締役の機能発揮 【企業経営改革】 ◯ PBR向上につながる「価値創造経営」の戦略構築に向けた包括的ガイドライン策定【本 年夏以降検討開始】(事業戦略と財務戦略を統合的に立案・開示するフレームワークを策定 し、既存のガイドライン類と一体的に整理し、東証が上場企業に求める「資本コストや株 価を意識した経営の実現に向けた対応の要請に基づく「改善計画」の開示」対応にも活用 可能な形態で提示する。) (中長期視点でのSX経営戦略の構築と実行、ガバナンス) ● 「伊藤レポート」(1.0~3.0)、「価値協創ガイダンス」の浸透 ● 事業再編・成長投資の実行(JICを通じた事業再編・成長投資等) ● 人的資本経営(「人材版伊藤レポート 2.0」・「人的資本可視化指針」・「人的資本コンソーシ アム」)⇒詳細は「人材」パート参照 ◯ 「SX銘柄」の選定とモデル浸透【来年春頃】(社会課題解決等を通じた持続的な価値創造 戦略を策定し、必要な経営・事業変革(SX)を実行する先進的企業群を選定・表彰す る。ロールモデルとして分析レポートとともに公表し、東証による上記要請に対応して上 場企業が「改善計画」を策定する際にも参照・活用されるよう普及を図る。) ◯ サステナビリティ関連データの経営戦略への活用事例【本年夏頃】 (SX経営の実践に必要 なサステナビリティ関連データを効率的収集、戦略的に活用するよう企業の意識変革と体 制整備を促すために、好事例を含めたレポートを策定・公表) ◯ 「企業買収における行動指針(仮称)」策定【本年夏】(経営支配権を巡る市場機能を働か せ、買収を通じた経営の改善、業界再編の進展、資本市場における健全な新陳代謝促進) ◯ パーシャルスピンオフに関する税制の恒久化の検討【令和6年度要求】 ◯ 多数決により金融債務の減額を容易にする事業再構築法制の整備に向けた検討 ● CGSガイドライン改訂 ● 「役員報酬の手引き」の改訂【本年3月】(幹部候補等の従業員に対する自社株報酬の付与 について、Q&Aや議案・契約書の例を提示) ◯ 社外取締役の支援【本年6月】 (研修やトレーニングの活用の在り方についてポイントを 整理し、実践的なケーススタディ集を作成) 【ミッション志向の産業政策】 ● 「ミッション志向の産業政策」の対象となる民間企業には、支援対象プロジェクトが企業 のパーパス・戦略と直結し、イノベーションの創出、社会実装に向けた投資に繋がること を期待。そのため、「企業経営改革」を進めることを求める。 ● さらに、東証が全てのプライム・スタンダード上場企業に対して、ROE等の資本収益性 やPBR等の市場評価についての現状分析・改善計画の策定・開示を強く要請することを 踏まえ、特にPBR1倍を下回る企業に対して、改善方針の策定・開示を求める。(先行的 にグリーンイノベーション基金では実施企業に対する取組状況の確認等を開始) 51 (4)徹底した日本社会のグローバル化 ①問題意識・腰を据えて取り組む意義 (地政学的リスクの拡大に対応した対外経済政策の方向性) ➢ 米中対立、ロシアによるウクライナ侵略等を背景に、世界は地政学的な構造変化に直面。 安定した国際秩序の下でヒト・モノ・カネ・データの流れが増加し続ける「グローバリゼ ーション」の流れは変容。 ➢ WTOは機能不全に陥り、一部の国は経済依存関係を武器化(経済的威圧)。 ➢ このような状況の中、資源・食料の輸入国である日本にとって、自由貿易体制の堅持と経 済安全保障の確保(同志国間の信頼に基づくサプライチェーンの構築等)の両立が不可 欠。 (「所得向上」に資する日本の「稼ぐ力」の強化) ➢ 日本は経常黒字を維持しているものの、30 年間で輸出競争力は低下。2022 年度の貿易赤字 は過去最大となり、電気・電子機器も赤字転落。輸出価格の伸び悩みは交易条件を悪化さ せ、国民所得に影響。 ➢ 足下の経常収支を支える投資収益は引き続き重要。他方、貿易・サービス収支の黒字は投 資収益の黒字に比べ、乗数効果を通じ国内所得により裨益が大きいことに留意。実質所得 の低迷が日本経済の課題として存在する中、国内の雇用・所得向上にも寄与する形で、日 本が世界で「稼ぐ」道筋を検討する必要。 (人材、知恵の獲得競争の中での対内直接投資の促進強化の必要性) ➢ 各地で産業構造の高付加価値化の取組が進められる中、経済を牽引する人材・イノベーシ ョンを獲得する重要性は世界中で拡大。各国は高度人材・投資を引き込むための優遇措置 を講じるなど、獲得競争が激化。 ➢ 海外からのヒト、モノ、カネ、アイデアを積極的に取り込み、国内投資拡大・研究開発促 進による我が国成長力の強化を目指す上でも、更なる対内直接投資拡大に向けた取組の強 化が必要。 ②当面見据える中期目標 ➢ 対内直接投資を 2030 年に 80 兆円、早期に 100 兆円を目指す (その他目標、関連指標) ➢ 自由貿易体制の堅持と経済安全保障の確保(同志国間の信頼に基づくサプライチェーンの 構築等)の両立 ➢ 日本の稼ぐ力の維持・強化 ③中長期的に取り組むべき領域と政策の方向性 (経済安全保障と両立した国際秩序の再構築) ➢ グローバリゼーションの変容に対応し、WTO改革・WTOの補完を含むルールベースの 国際貿易秩序の再構築と共に、有志国と連携した信頼できるサプライチェーンの構築、グ ローバルサウスとの連携強化を同時に進める。 (貿易、サービスを含む「稼ぐ力」の強化) 52 ➢ 所得向上と経常収支の両立に向け、各分野で以下のように「稼ぐ力」を強化。  輸出促進:貿易手続に係るコスト削減等を通じた企業負担の軽減、また、高付加価値製 品の輸出を促進することで、交易条件の改善に繋げる。  サービス輸出促進:サービスと一体となった製品・技術との連動、インバウンドの強化  海外投資・進出:生産性向上・イノベーション創出のための、新規事業探索支援(スタ ートアップの国際展開支援、グリーン・デジタル分野等における国際ルール形成)、海 外市場でのスケール化を含む新規投資のための資金調達支援の強化等 (対内直接投資の推進に向けた国内環境整備) ➢ 「内なる国際化」に向けて、対内直接投資や高度外国人材の受入れを加速するため、外国 企業や高度外国人材が魅力を感じる環境の整備に全力で取り組む。 ④これまでの施策、今後の施策 (●…これまでに実施した施策、○…今後実施する施策) 【自由貿易と経済安全保障を両立した対外経済政策の立案】 ◯ 経済的強靭性及び経済安全保障に関するG7首脳声明 以下のG7首脳声明として採択された内容について、G7内の国々だけでなく、G7以外 の国々とも協力的なアプローチを取り、議論していく。  世界貿易機関(WTO)を中核とするルールに基づく多角的貿易体制に基づき、貿易を 円滑化し、経済的強靱性を促進するため、国際的なルール及び規範を推進していく。  経済的威圧に対する共同の評価、準備、抑止及び対応を強化するため、「経済的威圧に 対する調整プラットフォー ム」を立ち上げ、連携を強化していくとともに、G7以外 のパートナーとの協力を更に促進していく。 ● WTO改革の推進に向け、日米EUの三極等での議論や、2017 年のWTO傘下での有志国 による交渉(JSI)の立ち上げに参加し、特に電子商取引交渉は共同議長としてリー ド。また、紛争解決機能の完全な回復に向けた加盟国間の議論に積極的に参加するととも に、暫定的な解決策として有志国による上訴仲裁枠組み(MPIA)に 2023 年 3 月に参加。 ◯ ルールベースの国際貿易秩序の再構築(WTO改革)(時代に即したルール形成(電子商取 引、補助金等)に取り組み、終局的な判断が得られる紛争解決機能の回復等に向けて努力 するとともに、紛争解決における仲裁制度等を活用・整備) ◯ 有志国との信頼できるサプライチェーンの構築(有志国との信頼できるサプライチェーン 原則(「強靭で信頼性のあるサプライチェーン原則」)のG7サミットでの合意を踏まえ、 さらなるサプライチェーン強靭化に向けた具体的な取組を民間企業と連携しながら進め る) ◯ グローバルサウスとの連携強化の取組(G20などの国際フォーラムや経済連携協定、I PEF、QUADといった枠組み、ASEANをはじめとするアジア、アフリカ諸国など との対話等を活用しながら、いわゆるグローバルサウス各国が直面する社会課題に対し、 我が国がもつ技術などの強みを活かして共に解決していくことを目指す) ◯ 上記に加え、マルチ・プルリ・バイの様々な枠組みの中で、どのような場が有効に活用で きるか、国益を踏まえて機動的に判断し、国際的な議論 に積極的に関与していく。 【輸出促進】 53 ● 貿易手続きデジタル化に向けて 2022 年6月に関係事業者らをメンバーとした貿易分野デー タ連携ワーキンググループを立ち上げ、貿易DX推進に必要な施策の議論を実施。併せ て、トレードファイナンスタスクフォースを立ちあげ、国内貿易ファイナンスの実務で用 いられるデータ項目と国際標準との差異の洗い出しを行い、国際標準に基づく貿易データ 連携推進に必要な取組を議論してきた。 ◯ 貿易手続きのDXの推進本格化(貿易プラットフォームの活用促進のための補助金導入 や、トレードファイナンス等に係るデータモデルの国際標準修正の働きかけを実施。日A SEAN友好協力 50 周年の場も活用しつつASEAN等の貿易デジタル化ロードマップの 策定や、各国への施策提言も行う。これら取組により、貿易手続きに関するコスト削減を 実現する) ● 輸出環境の改善:NEXIの融資保険をテコに、支援を求める海外企業に対し、将来的な 日本企業との取引の創出・拡大に積極的に取り組むことを求めることで、輸出環境改善に つなげる「SEEDスキーム」を創設。 ● 中小企業等の稼ぐ力の向上:輸出未経験企業等を対象にした新規輸出1万者支援プログラ ムの推進・強化。 【海外投資・進出】 ● JETROのスキームやADXを通じてのスタートアップを含む日本企業の海外展開支援 の実施 ◯ 新規事業探索支援を強化(スタートアップを含む先端企業の支援/現地企業とのマッチン グ機会の創出、グローバルサウス等地域戦略の策定、IPEF等の経済連携枠組みと連動 した形でのグリーン・デジタル分野等における国際ルール形成と案件形成支援(補助・フ ァイナンス等)を一体で促進する) ◯ 現地での事業参入・拡大支援を強化(日本企業が海外市場における新たなビジネスをスピ ーディに展開するための課題克服や、グローバルトップとなるための事業規模拡大に繋が る支援のあり方の検討を行う) ◯ インパクト投資の拡大支援(効果的な市場進出のために重要な協業の「触媒」となる、海 外で活躍するVCを、直接・間接に支援) ◯ 資金調達支援の強化(NEXIの融資保険等を通じた、サプライチェーン強靭化、GX、 スタートアップの海外展開支援) ◯ 対外経済戦略の策定と支援実施体制の強化(各国市場の特徴、世界の技術動向と我が国産 業の強み、資源分布等を踏まえ、地域・分野毎に、何を生産・提供し、どのような利益を 獲得するか整理する。また実施体制の強化を検討) ◯ 政府系支援機関が持つスタートアップ支援策の有機的連携(スタートアップ企業に対して 効果が最大化される支援活動ができるよう、政府系支援機関が持つスタートアップ支援策 を有機的に連携させていく) 【サービス貿易促進等】 ◯ 事業参入・拡大を支援強化(ヘルスケアやスマート農業等で、機器とサービスのセットで の普及、サプライチェーン管理等を目的とした サイバーフィジカル領域のプラットフォ ーム・サービス、実証事業の支援に加え、グローバルベンチマークへのスケール化に向け た補助金・ファイナンス支援) 54 ◯ インバウンド需要を創成(コロナ禍前の外貨獲得手段の第二位はインバウンドであり、国 内市場が縮小していく我が国においては、これからの時代のインバウンド需要の創成を、 政府全体で新たに定められた「新時代のインバウンド拡大アクションプラン」等に基づ き、戦略的に行っていくことは最重要課題。特に、地域への過度負担や疲弊を招きかねな いオーバーツーリズムを回避しつつ、生産性を向上させるためには、地域の個性を引き出 すようなデザイン・アート投資による高付加価値化を実現するなど、数よりも質を追求し ていくことが重要。さらに、既に有名な観光地だけではなく、全国津々浦々までインバウ ンド需要を均霑させていく観点から、世界的に有名な観光資源がなくとも招致可能なビジ ネス客の来日・延泊ニーズにも着目し、全国の自治体と連携しながら、これまでにない新 たなビジネス・インバウンド市場の創出を目指す。) ◯ オンライン市場での製品事故拡大防止(主にオンライン市場で海外事業者により販売され る製品について、製品事故の拡大防止措置が確実に講じられる制度を整備。また、玩具等 の子ども向け製品の安全を確保し、消費者が安心して取引できる市場の拡大) 【対日直接投資促進】 ● 高度外国人材の受入れ促進(高度外国人材の受入れ促進に向けた措置等の検討を行う) ● 重要分野への投資促進・地方誘致(半導体、DX、GX、バイオ・ヘルスケア等重要分野 への投資促進・地方誘致を行う) ● 海外企業の国内誘致や地域への二次投資、日本企業との協業のための事業可能性調査支援 (スタートアップを含む海外企業の国内誘致や地域への二次投資、日本企業との協業のた めの事業可能性調査支援を行う) ◯ 国内外スタートアップ・エコシステム間のネットワーク強化(国内外スタートアップ・エ コシステム等におけるピッチイベントやネットワーキング等を通じて、海外投資家を含む 現地エコシステム関係者とのネットワークを強化する。また、海外企業経営者層等の招聘 を行う。) ◯ 海外企業と日本企業とのマッチングの強化(それにより、海外企業の日本進出、国内定 着、地域への二次投資を促進) ● 対日M&Aを実施した企業が直面していた課題、経済安全保障を含む留意点やメリットと ともに、20 の事例からなる事例集を作成。 ◯ 対日M&A・外国企業との協業促進(対日M&Aや外国企業との協業による経営改善・改 革効果を分析、その結果を普及等する) ◯ 日本のビジネス環境改善のため、G7在日商工会議所連絡会議(仮称)とも連携しつつ、法 令・制度等の英語化に取り組む。 ● JETROにおいても外国企業に対して、現地語での相談窓口設置や情報発信等の取組を 実施する。 (5)行政:EBPM・データ駆動型行政 ①問題意識・腰を据えて取り組む意義 (軌道修正が起こりうるという前提での政策運営) ➢ 「経済産業政策の新機軸」は、答えの見えない社会課題の解決のために必要なリスクテイ クを民間任せにせずに、政府も一歩前に出て積極的な投資を行うことが取組の前提。民間 の予見可能性を高めるために、大規模・長期・計画的に取り組む一方で、今後の技術等の 55 進展によって、社会課題解決の具体的な解が、現在の予想とは異なるものになる可能性が 十分に存在。 ➢ 政策を有効なものとするためには、政策の前提が変わったり、施策が望ましい効果を上げ ていない場合には失敗に学び、軌道修正することが不可欠。 ➢ その実現のために、政策効果の具体的指標を適切に設定し、政策効果をモニタリングして データ等で検証できるようにするEBPM・データ駆動型行政の取組が必要。 ②当面見据える中期目標 ➢ 政策の新陳代謝(新たな政策への挑戦や既存政策の廃止)及び高度化(政策の質的変化、 中長期の目的に応じた継続性の確保も含む)。 (その他目標関連指標) ➢ 新たな政策評価方針に基づく適切なミッション・KPI・メトリクス設定の数 ➢ 因果推論を含む効果検証を実施した予算事業数 ➢ デジタル技術の活用を含めたデータに関する研修の受講者数 ③中長期的に取り組むべき領域と政策の方向性 ➢ 新機軸施策のそれぞれの柱について、政策効果のモニタリングができるような適切な目 標・指標の設定を行うとともに、大規模な施策を中心に、これまで取り組んできた EBPM の 取組を拡充する。 ➢ 同時に、組織としてデータを有効に活用できるよう、データ基盤等の環境整備を行うとと もに、職員のデータ活用能力を高める。 ④これまでの施策、今後の施策 (●…これまでに実施した施策、○…今後実施する施策) (政策の効果検証) ◯ 政策の効果・進捗モニタリングのための指標設定(新たな政策評価方針に基づき、経済産 業省が実施する政策の効果・進捗に係るモニタリングのための指標について、新機軸の各 分野における指標を踏まえて、夏までに設定する。) ● RIETI・EBPMセンターの設立 ● 大規模予算事業(半導体・グリーンイノベーション基金)の検証シナリオ策定 ◯ 効果検証の対象を拡充(バイオものづくり、データ数の多い予算事業等) (データの整備) ◯ 公的統計の調査表情報の利用簡素化・早期化を行う。 ◯ 省内データ基盤の整備(行政手続きで取得するデータやニーズの高い民間データについ て、省内横断的に政策の立案・モニタリング・効果検証に活用できる仕組みの構築)。 ◯ 政策効果・進捗のモニタリング指標について自動的に収集できる体制・システムを構築。 (業務や手続きにおけるデジタル化) ◯ 経済産業省における行政手続きのオンライン化(R7年末まで) ◯ 生成 AI を試行的に導入(業務効率化や政策立案高度化の可能性を探索) 56 (職員のリテラシー向上) ● データやEBPMに関するリテラシー向上を目的とした一部職員向けの研修プログラムを 実施。 ◯ AI・デジタルデータ活用に関する研修(AI含むデジタルデータに関する必要なリテラ シーと対象とすべき職員を整理した上で、研修プログラムを実施。) 57

資料9

参考資料2-② 経済産業政策新機軸部会 第2次中間整理 2023年6月27日 経済産業政策局 「新機軸」のキーメッセージ① Ⅰ.現状認識(=「失われた30年」からの「潮目の変化」) ⚫ 失われた30年は、デフレマインドが蔓延。 ➢ 人口が減少する日本では、将来が悲観され、 「成長しない」→「国内に投資しない」→「賃金も上 がらない」状況に。(例:期待成長率の低さ、IMDランキングの経営者回答の低スコア) ➢ 多くの企業は既存事業のコストカットと海外投資に注力し、新事業創出に向けて大胆に投資せず。 雇用維持重視の経営で、失業率は低水準を維持も、賃金・個人消費は横ばい。(例:30年間で売上 横ばい・売上原価減少・利益拡大、投資躊躇の最大理由は「先を見通せない」) ➢ 経常収支も、かつて貿易収支に支えられたが、国内産業の競争力低下・海外投資の進展により海 外からの投資収益に頼る構造。 (例:2022年は過去最大の貿易赤字、電気・電子機器も赤字に転落) ➢ 政府も、民間主導という考えの下で、民間の制約を取り除く市場環境整備策を中心とし、新たな価 値創出に向けた取組が、結果として不十分に(=行き過ぎた新自由主義)。 ⚫ 他方、近年、「マクロ環境の変化」が生じている。 国内投資 ➢ 地政学的リスクの拡大 ➢ 「安い国」日本 賃上げ ➢ コロナからの再開 ➢ 世界的なインフレ 新陳代謝 ➢ 人手不足 2 「新機軸」のキーメッセージ② ⚫ 同時に、世界で産業政策が活発化。 ➢ 米国:CHIPS法(半導体関連投資に約7兆円)、インフレ削減法(GX投資に約50兆円)等 ➢ 欧州:グリーン・ディール産業計画(クリーン技術の域内確保、投資の海外移転防止のための補助金ルール緩和)等 ⚫ こうした変化の中で、2021年以降、世界的な社会課題を起点に、「ミッション志向」で政府も一歩前に 出て大規模・長期・計画的に取り組む「経済産業政策の新機軸」を始動。 (経済産業政策新機軸部会にて検討、国内投資拡大のための官民連携フォーラムにて国内投資の機運醸成) ➢ GX(20兆円規模の先行投資支援等の成長志向型カーボンプライシング構想の具体化・実行(既に1.6兆円が拠出決定済)) ➢ DX(半導体・次世代計算基盤構築2兆円超(JASM支援、Rapidus支援等)、蓄電池0.4兆円等) ➢ 経済安保(特定重要物資の指定、経済安全保障重要技術育成基金に2500億円計上(既に800億円について採択済)) ➢ スタートアップ5カ年計画(補正1兆円、7つの税制改正等) ➢ リスキリング等「人への投資」支援(5年で1兆円) ➢ 中小企業の成長(事業再構築補助金(合計2.4兆円)、ものづくり補助金等) ⚫ 「マクロ環境の変化」と「経済産業政策の新機軸」があいまって、以下のとおり、今、「失われた30年」と決 別する大きな「潮目の変化」が起こっている。 ➢ 「国内に投資しない」⇒企業の設備投資意欲は1983年以来最高、 経団連も2027年度に設備投資額115兆円目標 ⇒国内投資が拡大し始めている ➢ 「賃金も上がらない」⇒春闘は30年ぶりの高水準⇒賃金は上がり始めている ➢ 「どうせ変わらない」 ⇒新陳代謝(スタートアップ投資拡大、M&A件数増加、成長分野への移動)⇒日本は変われる? 3 「新機軸」のキーメッセージ③ ⚫ 世界最高水準に到達した労働参加と生産年齢人口の減少による人手不足で、持続的な賃 上げを行わないと人材確保が困難な状況。 ⚫ こうした中、今がこの「潮目の変化」を持続的な成長につなげるラストチャンスであるとの認識の 下、非連続なイノベーションを積極活用し、危機感を持って、 ① 付加価値の高い事業の創出、事業構造転換、新陳代謝を通じた賃上げ原資の確保、そうした変 化を推進する企業経営の変革 ② 個人に対するリスキリングと円滑な労働移動を実現することによりセーフティネットを確保 に取り組むことが必要。 ⚫ 同時に、多くの国民に蔓延している30年間で染みついた将来悲観を払拭し、安いものを買おう、 投資を抑えようという縮小均衡のサイクルに陥らないようにすることが必要。 ➢世界経済の不透明感(今年の世界成長率予測は2.8%(IMF)、過去20年平均は3.8%) ➢国内の人口減少の加速(人口は毎年0.5%減から年々加速。2050年には足下16%減の1.05億人) ➢国際的な国内投資誘導競争(GX, DX, バイオ等の先進分野で、自領域内に投資を誘導する産業政策競争) 4 「新機軸」のキーメッセージ④ Ⅱ.「新機軸」の考え方(=「潮目の変化」を持続的成長に繋げる「期待の醸成」) (ミッション志向の産業政策) ⚫ 長期持続的な成長に必要なのは、新たな需要の喚起、そしてそれを満たす供給側の高付 加価値分野への投資。これらに通じるのは、成長するという「将来への期待」。 ➢ 将来にわたる世界的な社会課題は明確。こうした社会課題解決を、他国の産業政策に引けを 取らない政策対応により、予見可能性を高め、設備の維持にとどまらず能力増強や新商品・サー ビス展開につながる戦略投資を加速する「ミッション志向の産業政策」で解決することを通じて、国 内の新たな需要を創出しつつ、同時に輸出力を含む国際競争力を強化し、海外にも展開。 (社会基盤(OS)の組替え) ⚫ 同時に、危機感を持って構造転換に取り組む。 ➢ 人手不足環境における労働力確保には、継続的な賃金上昇、それをもたらすリスキリング等の人 的投資や労働移動円滑化に加え、賃上げ原資確保のための企業活動の高付加価値化が必要。 ➢ こうした30年ぶりの環境をテコとして、政府も、現状維持に甘んじることなく付加価値向上に向け た経営変革に挑戦する企業をより応援。また、新しい価値を生むスタートアップ・中小企業を含 め足腰の強い企業を育成し、新陳代謝を後押し。同時に成長産業をリードする人材(博士、理 系女子等)を育成・世界から受入(「社会基盤(OS)の組替え」等) 。 5 「新機軸」のキーメッセージ⑤ (「新機軸」の継続・発展~3ー5年を「集中取組期間」) ⚫ 2年前から始動した「新機軸」(政府も一歩前に出て、大規模・長期・計画的に取り組み、市場に予 見可能性を与え、新たな官民連携により、成長市場を創り出す政策体系。それを通じて、民のアニマル スピリッツにも火をつける)を継続・発展していくことが、今こそ求められている。 ⇒ 今後3-5年は、向こう10年の成長に向けたジャンプ・スタートを切るための「集中取組期間」。 中長期的(5-10年)に国内投資・イノベーション・所得向上の3つの好循環を持続化。 <14テーマの再構成> ⚫ この1年の検討を踏まえ、「ミッション志向産業政策8テーマ+OSの組替え5テーマ」に構成を見直し。 ➢ 包摂的成長は、ミッション志向の産業政策として、位置づけを見直す。 ➢ 成長志向型の資源自律経済は、ミッション志向の産業政策と位置づけ。 ➢ Web3.0は、「デジタル社会の実現」の中で議論(=統合) ミッション志向の産業政策(8分野): 社会基盤(OS)の組替え(5分野):  炭素中立型社会の実現  デジタル社会の実現  経済安全保障の実現  新しい健康社会の実現  災害に対するレジリエンス社会の実現  バイオものづくり革命の実現  成長志向型の資源自律経済の確立  少子化対策に資する地域の包摂的成長  人材  スタートアップ・イノベーション  価値創造経営  徹底した日本社会のグローバル化  行政:EBPM・データ駆動型行政 6 「新機軸」のキーメッセージ⑥ (「新機軸」により「国内投資・イノベーション・所得向上」の3つの好循環を実現) ⚫ 「新機軸」の施策は以下のパスを通じ、国内投資・イノベーション・所得向上の3つの好循環を実現。 ➢ ミッション志向の産業政策を通じて、社会課題解決ニーズに支えられた新需要を創出。 ➢ 社会課題解決に支えられた新需要に向け、設備の維持にとどまらず能力増強や新商品・サービス展開につな がる戦略投資としての有形・無形の国内投資(設備投資に加え、ソフトウェア投資・研究開発投資も含 む)を促進。そうした投資等を触媒として、社会課題の解決につながるイノベーションを実現。イノベーションを 実装することで生まれる新事業も、新たな投資先となる。 ➢ 結果、資本装備率の向上と、新需要に応えるイノベーションにより得られる新たな付加価値を通じて、労働 生産性を引き上げ、賃金上昇を実現。この変化を加速するには、人材の育成や企業(既存企業・スタートアッ プ)の変革、成長する海外との需要・供給両面でのつながり強化といった社会基盤(OS)の組替えが必要。 ➢ 幅広い層における賃金上昇を実現した結果、これに支えられた個人消費の活性化等によって需要が拡大。 企業収益は拡大し、期待成長率が上昇することで、企業は更に国内投資を進め、成長市場の獲得に向け たイノベーションが加速するという好循環が生まれる。 ➢ この好循環が、 「潮目の変化」として見え始めた中で、これを一過性に止まらず、持続することが重要。持続 的な成長に対する期待が若者の希望につながり、経済状況の改善を通じて出生率の低下に歯止めをかけ、 やがて人口動態の安定化を通じた成長期待の醸成により、長期的に更なる成長軌道を見通せるようになる。 ➢ このため、今後3-5年を、向こう10年の成長に向けたジャンプ・スタートを切るための「集中取組期間」とし、中 長期的(5-10年)にも3つの好循環を持続させる。 7 「新機軸」のキーメッセージ⑦ ⚫ ミッション志向の産業政策(8分野): ➢ 世界的な社会課題を起点に、人口減少下でも中長期的に拡大する国内需要を開拓。 ➢ 海外含め需給両面から施策を継続実施し、民間企業の予見可能性を確保することで世界水準の戦略投 資を加速。政府支援は「後押し」ではなく、国富を拡大する「国の戦略投資」。 (例)JASM等の半導体支援において、政府支出を税収等が上回る可能性。地域の雇用創出にも貢献。 <各ミッションで長期的に創出される需要の例>  GX:今後10年で150兆円超の官民投資、そのために20兆円規模の政府支援。  DX:デジタル化による新たなサービスへの需要が創出、ソフトウェアを含む設備投資が増加。例えば、2030年までに国内で半導体を生産す る企業の合計売上高(半導体関連)15兆円超を目指す。  経済安全保障:自律性向上、優位性・不可欠性確保、国際秩序維持  健康:2050年に公的保険外サービス77兆円  レジリエンス:2050年に適応市場が途上国で約70兆円に成長。  バイオものづくり:2030年時点で国内外で総額92兆円の市場規模。  資源自律経済:2030年に80兆円、2050年に120兆円のサーキュラーエコノミー市場を実現。  地域の包摂的成長:可処分所得/時間の向上等を通じ希望出生率を1.8に回復、将来的には更なる希望向上へ ⚫ 社会基盤(OS)の組換え(5分野): ➢ ミッションの実現には、テーマ毎のミッション志向の産業政策を補完するものとして、テーマ横断的な経済社会 構造の基盤整備も必要。 ➢ 個別ミッションに厳密に対応する範囲外でも、国内投資・イノベーション・所得向上の3つの好循環に貢献。 <各分野の目標の例>  人材:物価上昇を超える賃上げの持続的な実現  スタートアップ・イノベーション:スタートアップへの投資額を今後5年で10倍  価値創造経営:日本の代表的企業がPBR1倍超えとなる割合を2030年に8割に  日本社会のグローバル化:2030年に対内直接投資残高を80兆円、早期に100兆円に  EBPM・データ駆動型行政 8 経済産業政策の新機軸=「期待」の醸成 →国内投資・イノベーション・所得向上の3つの好循環の「持続化」 近年のマクロ環境の変化:地政学的リスクの拡大、「安い国」日本、コロナからの再開、世界的なインフレ、人手不足 +世界での産業政策の活発化 GX、DX、健康、資源自律、レジリエンス、 バイオものづくりなどの社会課題解決を 将来の新たな需要を喚起する 起点として、持続的に成長 「ミッション志向の産業政策」 =新自由主義からの転換 • 人口減少下でも中長期的に 拡大する需要を、社会課題 を起点として、官民で開拓 • 中長期の見通しを示し、海外 と遜色のない大規模で、予見 性を確保する長期・計画的な 積極的かつ大胆な政策支援 国内投資 相互補完 <潮目の変化> 投資意欲は30年ぶり高水準 ⇒拡大を継続する? 人口動態の安定化を通じた成長期待の醸成、 それに基づく更なる投資 消費拡大 所得向上 ・少子化対策に資する地域の包摂的成長 地方での良質な雇用創出による若者の所得向 上、男女が子育てと両立でき、女性が活躍でき る職場改革を通じて、希望出生率1.8を回復。 <潮目の変化> 賃上げは30年ぶり高水準 ⇒消費を拡大する? イノベーション 地政学的な構造変化の中での 経済安全保障の実現 (有志国連携、国内生産基盤) + モノ・サービスの海外展開のみならず 海外の人材、資金、イノベーション を呼び込むための徹底した 日本社会のグローバル化の両立 <潮目の変化> スタートアップ投資額は過去最高、10年で10倍に ⇒拡大を継続する? 「社会基盤(OS)の組替え」 =テーマ横断的な基盤整備 • 人材:「量」と「質」の確保を通じた、労働供給制 約への対応 • スタートアップ・イノベーション ➢ スタートアップ・エコシステムの形成 ➢ 無形資産投資(研究開発、人、ソフトウェア) ➢ 成長分野への労働・資本の移動、新陳代謝 • 価値創造経営:大企業もアニマルスピリッツを発揮 する「スタートアップ型」に。 • データ駆動型行政・EBPM 9 マクロ(結果としての経済全体)のフレームワーク 足下3年程度 3~5年後 長期的目標 ●設備投資意欲の上昇 ●既存の政府支援(R4補正:7兆円) 国 内 投 資 経済界の設備投資目標:2027年度115兆円、さらなる高みへ 案件の具体化(例. 2020年代後半 次世代半導体の製造基盤確立) ★ 戦略分野(GX、 DX等)への世界水準の長期大規模支援(複数年/初期投資に留まらない支援等) 投資に必要な産業用地/インフラの整備 投資推進のための必要となる施策を随時実施 ★ 少子化対策としての地方投資推進(中堅企業の集中支援、成長志向の中小企業創出)/人手不足対策としての 省人化投資促進 ●人手不足・新陳代謝の兆し イ ノ ベ ー シ ョ ン + 企業活動を高付加価値化し、 経済産業構造を転換 高付加価値化のための事業構造改革、新陳代謝促進(PBR<1、親族内承継・M&A、スピンオフ等) 世界水準のイノベーション投資環境整備(イノベーションボックス制度、蓄電池CFP/自動運転データ共通基盤等) 戦略分野のイノベーションの世界水準の支援(GX、半導体・AI・量子・宇宙、バイオものづくり、健康) スタートアップ投資額:2027年度10兆円 ★ (JIC運用期限延長、LPS投資対象拡充・海外投資制限の要件緩和等) スタートアップ:育成5カ年計画の着実な推進と強化 ●30年ぶりの賃上げ水準 所 得 向 上 成長分野への労働力、資金流入の推進 将来の成長期待に基づく 民間投資の促進 物価上昇と賃金上昇の好循環の定着 賃上げ環境の整備(価格転嫁対策、賃上げ税制の拡充、事業再構築・生産性向上支援、キャリア相談・リ スキリング・転職までの一体的な支援) 地方における良質な雇用創出(子育て両立・女性活躍に向けた職場改革等) 長期持続的な経済成長の実現 両立 社会課題解決に向けた進展 ・GX:2050年カーボンニュートラル ・DX:デジタル社会の実現 ・経済安全保障の実現 ・健康寿命の延伸 ・自然災害へのレジリエンス社会 ・資源自律:資源制約からの解放 ・少子化傾向の反転:希望出生 率を1.8に回復、将来的には更な る希望向上へ ★産業競争力強化法などの法改正も視野に対応を検討する事項 10 各分野(ミクロ)の主要施策 新機軸の 施策の柱 長期的目標 足下3年程度 3~5年後 〇成長志向型カーボンプライシング構想 GX重点分野の「道行き」明示 10年間20兆円規模の先行投資支援(2023-32年度) 「GX経済移行債」発行 ミ ッ シ ョ ン 志 向 の 産 業 政 策 GXリーグにおける排出量取引制度の試行(2023年度~) 炭素中立 型社会の 実現 2050年CN実 現 / 今後10年で 150兆円超の 官民投資、20 兆円規模の政 府支援 排出量取引制度の本格稼働(2026年度~) 有償オークションの導入(2033年度~) 化石燃料賦課金の導入(2028年度~) 新たな金融手法の活用(GX技術の社会実装に向けたGX推進機構によるリスク補完の検討・実施、トランジション・ファイナ ンスの国際理解醸成、サステナブルファイナンス推進のための環境整備など)(2023年度~) 複数社連携における課題への対応(設備廃棄・調達・データ共有等における独禁法に関する課題への対応の検討) 戦略分野(GX、DX等)における国内投資拡大に向けた欧米との競争に負けない予算・税スキーム 〇国際展開戦略 グリーン市場の形成(グリーン製品の普及のための国際評価手法や、企業の削減貢献量の評価手法の整備等) アジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)構想を実現し、アジアのGXを推進 〇公正な移行、中堅・中小企業を含む社会全体のGX リスキリング支援 中堅・中小企業のGX推進、GXスタートアップ支援、地域・くらしのGX推進 〇進捗評価と見直し 定期的な進捗評価と見直し 11 各分野(ミクロ)の主要施策 新機軸の 施策の柱 長期的目標 足下3年程度 3~5年後 〇デジタル産業基盤 半導体:半導体・製造装置・部素材・原料の製造基盤整備、次世代半導体の設計・製造基盤確立等に向けた研究開発 支援(2021年度以降順次) 情報処理基盤:生成AIの活用に向けた基盤モデルの開発及び官民の計算資源の拡充(2022年度以降順次)、量子 古典コンピューティング技術の実ビジネス化に向けた情報処理基盤の構築(2023年度以降順次)、量子コンピューティング 技術の産業化に向けた研究開発の推進・支援強化(2022年度~) ミ ッ シ ョ ン 志 向 の 産 業 政 策 デジタル 社会の実 現 2030年までに 国内で半導体 を生産する企 業の合計売上 高(半導体関 連)を15兆円 超 / ハード、ソフト、 ルールに渡るデ ジタルライフライ ンを全国的に 整備 等 蓄電池:蓄電池製造基盤の確立に向けた支援及び施策の拡充、上流資源の確保、戦略的な国際連携、次世代技術開 発の加速化(2022年度~) 高度情報通信インフラ:データセンター地方分散の推進(東京圏・大阪圏を補完・代替する第三・第四の中核拠点の整備 等)、通信インフラの高度化・国際展開に向けた競争力強化(ポスト5G基金を活用した技術開発等) サイバーセキュリティ:サイバーセキュリティお助け隊の更改・普及、産官学の能力向上拠点整備、IoTセキュリティ環境整備 戦略分野(GX,DX等)における国内投資拡大に向けた欧米との競争に負けない予算・税スキーム 〇デジタルライフライン デジタルライフライン全国総合整備計画の策定・実施。先行的にドローン航路や自動運転支援道の設定、インフラ管理のDX 等を開始(2024年度~) 企業や業界を横断し、データを連携・活用する取組を、「ウラノス・エコシステム」として推進 蓄電池等のデータ連携基盤整備(2024年度を目標) 関連する他のユースケースに展開 複数の企業をまたいだデータ共有を行うデータ連携基盤を「公益デジタルプラットフォーム」として認定 〇デジタル人材基盤 企業DXの推進、生成AI等の新興技術の活用の視点も踏まえた人材育成 半導体人材のための各地域における産学官連携の仕組み・体制の全国への展開(2021年度~)や、半導体の設計・製 造を担うグローバル人材の育成(2023年度~) バッテリー人材育成(関西地域を中心にバッテリー人材育成プログラムを開始、全国への展開も検討等) 〇Web3.0 Web3.0・ブロックチェーン技術の事業環境整備(税制、規制、会計監査、ユースケース創出支援、人材育成等)(2022 年度~) 12 各分野(ミクロ)の主要施策 新機軸の 施策の柱 経済安全 保障の実 現 ミ ッ シ ョ ン 志 向 の 産 業 政 策 長期的目標 自律性向上、 優位性・不可 欠性確保、国 際秩序維持 足下3年程度 3~5年後 〇サプライチェーンの強靱化、技術優位性の確保、 重要インフラ等のセキュリティ・レジリエンスの強化 経済安全保障推進法に基づく特定重要物資の不断の見直しや、見直しも踏まえた支援策の検討(基金、事業環境の不 確実性に対応するための資本強化等の必要性を検討) 経済安全保障重要技術育成基金の執行を通じた先端重要技術の育成(2022年度から当面10年間) 技術保全の強化(投資審査や輸出管理の不断の見直し、強制技術移転への対応強化、研究インテグリティの一層の推進、 人材流出対策等に関する具体的な検討) 機微なデータのより適切な管理や情報通信技術サービスの安全性・信頼性確保に向けた対策の検討 〇政治・経済的威圧への対抗手段への確立、経済インテリジェンスの強化 経済的威圧に関して政府全体で検討する体制・枠組みの構築 経済安全保障に係る情報を収集・集約・発信 〇PHRの推進・ヘルスケアスタートアップの振興等 PHRサービス事業協会と連携し、医療機関等におけるPHR の利活用促進に向けたデータ標準化及びルール整備 新しい健 康社会の 実現 2040年に健 康寿命を75歳 に / 2050年に公 的保険外サー ビス77兆円 / 世界の医療機 器市場のうち 13兆円 PHRを活用した新たなサービスの創出に向けた実証 グローバルヘルスケアスタートアップの育成プログラムの実施 2025年大阪・関西万博 グローバルヘルスケアスター トアップコンテストの実施 PHRを活用した新たな体 験の提供 左同 左同 ヘルスケア・スタートアップエコシステ ムをグローバルな視点から強化 〇公的保険外サービスの振興・介護と仕事の両立促進等 介護需要の新たな受け皿として公的保険外サービスの振興(実証事業を通じたモデル形成・普及、サービスの信頼性確保の あり方の検討) 企業における介護と仕事の両立支援促進(先進企業の取組の可視化、「健康経営」の評価項目に介護と仕事の両立に係 る事項を追加、両立支援に取り組む企業向けのガイドライン整備) 介護ロボット開発の重点分野の範囲を拡大するとともに、海外市場獲得のための認証取得等を支援 〇先進的な医療機器の開発及び海外展開 プログラム医療機器の開発環境の整備及び研究開発に係る支援 プログラム医療機器の国外の開発環境の整備・海 外展開支援 国際展開戦略の推進(アジア・アフリカを中心に、国際機関と連携した各国における拠点形成やミッションの派遣を通じた医療 関係者とのネットワーク構築等) 13 各分野(ミクロ)の主要施策 新機軸の 施策の柱 長期的目標 足下3年程度 3~5年後 〇企業の防災・強靱化投資の推進 SX経営との連動 ミ ッ シ ョ ン 志 向 の 産 業 政 策 レジリエン ス社会の 実現 災害大国日本 として、途上国 の適応市場 (2050年約 70兆円)含め 世界市場を獲 得 企業の防災・強靱化投資が中長期的な価値創 造に至る道筋を整理、制度的支援を検討・実施 スマート保安の一層の導入推進に向けた取組(企業間データ連携の在り方やスマート保安を支える人材に必要なITリテラ シー、スマート保安導入の費用対効果について整理・検討するとともに、官民協議会等を通じて事業者に働きかける) 〇自治体における先進的な防災ソリューションの導入 レジリエンス分野のスタートアップ支援(SBIR制度等を活用した自治 体への先進防災技術の導入促進) スタートアップを含め、先進的なソリューションの社 会実装に向けた取組の具体化、推進 〇海外市場の獲得 制度的・技術的課題の克服に向けたFS調査(適応分野のプロジェクト組成に必要な、国際協力スキーム等による助成の活 用や、途上国政府からの要請の獲得までを射程に含む調査を実施し、海外展開の成功の「型」を形成) 国連機関と連携した途上国の防災力向上 〇微生物プラットフォーム技術、生産技術開発の加速化 GI基金バイオものづくりPJの着実な事業の執行(2022年度~) バイオもの づくり革命 の実現 2030年時点 で総額92兆 円の市場規模 / 2030年まで に年間3兆円 のバイオ関連 国内投資 バイオものづくり革命推進基金を活用した戦略的なPJ組成、着実な 事業の執行(2023年度~) 両基金の着実な執行(~2030年度頃)、必 要に応じた研究開発及び社会実装に向けた追加 的支援 〇市場環境の整備に向けた取組 バイオ由来製品の付加価値を経済的価値に転嫁する仕組み(認証・クレジット化・製品表示等)や安全性評価、公共調達の活用、技 術の標準化等のバイオ由来製品の市場創出・拡大を図るための取組 消費者とのリスクコミュニケーションや製品表示ルール等の消費者の受容形成に向けた取組 〇事業環境の整備等による国内産業基盤の確立 バイオ×デジタル分野等、バイオものづくりで不足する人材の確保や実証拠点の整備、有望なスタートアップへの投資環境整 備に加え、周辺機器等関連産業の競争力強化など、バイオものづくりの国内産業基盤の確立に向けた取組 14 各分野(ミクロ)の主要施策 新機軸の 施策の柱 長期的目標 足下3年程度 3~5年後 〇動静脈連携の加速に向けた制度枠組みの見直し、循環度やCO2排出量等の測定・開示 サーキュラーエコノミー投資ガイダンスの活用によ 動静脈連携の加速に向けた制度整備(3R関連法制の拡充・強 る開示促進、表示基準の整備等 化)の検討 ミ ッ シ ョ ン 志 向 の 産 業 政 策 成長志向 型の資源 自律経済 2030年に80 兆円、2050年 に120兆円の サーキュラーエコ ノミー市場を実 現 〇情報流通プラットフォーム トレーサビリティ確保のためのデータ流通を促す情報流通プラットフォームの構築支援、SIP事業「サーキュラーエコノミーシステ ムの構築」を実施 〇研究開発、投資支援 GX先行投資支援(資源循環分野において、官民合わせて今後10年間で2兆円~) 〇産官学サーキュラーエコノミー・パートナーシップ、国際連携 産官学サーキュラーエコノ ミー・パートナーシップの 産官学サーキュラーエコノミー・パートナーシップでの個別政策課題(標準化、マーケティング、 立ち上げとビジョン・ロード プロモ ーション、国際連携、技術検討等)の検討の深堀り マップの策定 国際連携:サーキュラーエコノミーの国際標準化、 プラスチック汚染対策に関する条約や改正バーゼ ル条約(プラスチック、E-waste)への対応 15 各分野(ミクロ)の主要施策 新機軸の 施策の柱 長期的目標 足下3年程度 3~5年後 〇若者・女性の収入増を通じた「可処分所得の増加」に繋がる産業政策 地域未来牽引企業の更新(2025年度) 地域経済を牽引する中堅企業に対する集中支援 中小企業・小規模事業者における事業再構築・生産性向上等、及びその関連施策と一体的に行う賃上げへの支援 ミ ッ シ ョ ン 志 向 の 産 業 政 策 少子化対 策に資す る地域の 包摂的成 長 地域の企業の 成長等を通じ た可処分所 得・時間の向 上等により、希 望出生率1.8 を回復し、更 に人口動態の 安定化をもた らす希望水準 が実現できる ような経済環 境を作る 成長志向の中小企業の創出(親族内承継やM&Aを含む第三者承継を機とした変革の推進、イノベーション支援、人材・ 資金等の内部資源の充実、伴走支援) 産業立地に係るインフラ整備(重要産業に係る工業用水等の産業インフラ整備、土地利用調整の円滑化等) 労務費含めた価格転嫁対策、パートナーシップ構築宣言 インパクト投融資等を活用した、地域の社会課題解決を目指す事業を推進するエコシステムの確立 経営者保証に依存しない融資慣行の推進 地域の資源を生かしたアート・デザインやスポーツの活用等による観光業等への投資促進 〇若者・女性の「可処分時間の増加」に繋がる働き方改革や規制改革 子育て両立・女性活躍強化:ダイバーシティ経営を通じた地域の雇用環境整備の推進・ 優良事例の選定、補助金審査 の際の加点措置導入、なでしこ銘柄の活用による男女を問わない多様な働き方の促進、地域の中堅企業への働き方改革 支援、女性の健康課題の解決のためのフェムテック等の企業等への導入、家事支援サービスの利用促進 〇若者・女性の結婚・子育て・生活をめぐる環境を改善する取組 学校内外のリソースのフル活用を通じた、居住地域や家庭環境を問わず多様なニーズに対応した教育環境の実現 デジタル活用を通じた物流等の生活インフラの持続可能化 地方も見据えた男女の結婚に向けたマッチング支援(ライフプラン提 供や伴走支援等の少子化対策に資するビジネスモデル構築等) 社 会 基 盤 ( O S ) の 組 替 え 人材 人手不足への 対応/物価上 昇を超える賃上 げの持続的な 実現/人的投 資・人材競争 力強化 〇徹底した人手不足への対応 中小企業の省人化投資の促進(ものづくり補助金、IT導入補助金) 〇賃上げに向けた取組の強化 中小企業・小規模事業者の価格転嫁対策・取引適正化の継続 拡充した中小企業の生産性向上支援策の推進 賃上げ税制の拡充 〇内部労働市場・外部労働市場の活性化による労働移動の円滑化 人的資本経営コンソーシアムの活動の拡大 リスキリング・労働移動の円滑化の一体的な推進、副業・兼業や出向起業の支援等、多様な働き方の促進 〇個別分野を含む、官民を挙げたリスキリング・人材育成 脱炭素化等による産業構造の変化を踏まえ、個別分野における今後のバリューチェーンを見据えたリスキリングや事業構造 転換の一体的支援 16 各分野(ミクロ)の主要施策 新機軸の 施策の柱 社 会 基 盤 ( O S ) の 組 替 え 長期的目標 足下3年程度 3~5年後 スタートアップ育成5か年計画の着実な遂行(2022-27年度) 〇スタートアップの創出拡大 女性起業家支援の強化 スタートアップビザの拡充 研究開発成果のカーブアウトに伴う制度的課題のガ 事業会社等の優れた技術・人材の切り出しによるスタートアップ創出 イドライン等での整理とその普及・啓発 促進 パーシャルスピンオフに関する税制の恒久化の検討 エンジェル税制の活用促進や利便性の向上に向けたあり方検討 〇スタートアップの成長促進 税制適格ストックオプションの見直しの検討 ストックオプションの発行に関する規制緩和の検討 LPSの投資対象の拡充、海外投資比率制限の要件緩和の検討、 公正価値評価をLPSの会計規則に位置づけ グローバル・ユニコーン創出に向けた重点的支援(創業初期からの啓発、グローバル展開パートナーとのマッチング、資金支援) スタート アップ・イ ノベーショ ン スタートアップへ の投資額を今 後5年で10倍 オープンイノベーション促進税制のあり方検討 知財専門家のVCへの派遣による支援強化、審査官側からのプッ シュ型支援の推進 JICの運用期限の延長 ディープテック・スタートアップのエコシステム形成に向けた重点的支援 ディープテック領域におけるスタートアップ増加や規模 (事業開発・量産化段階の支援拡充、経営人材とのマッチング等) の大きなスタートアップ創出に向けて、ディープテック・ 〇社会課題を解決するスタートアップへの支援強化 スタートアップ支援に係る事業を着実に執行し、推進 インパクトスタートアップへの支援強化 分野・ミッションごとに特化した支援の強化 〇研究開発・標準化等 イノベーションボックス制度の検討(国内で開発された知的財産から生じる所得に税制上のインセンティブを付与) 懸賞金型研究開発事業の拡充 ムーンショット基金の増強と新たな評価指標の導入 研究開発支援事業における社会実装に向けた先行的取組の横展開等(GI基金の標準化戦略FUの取組をポスト5G基金等 その他研究開発事業に拡大等) JAXAの戦略的かつ弾力的な資金供給機能の強化 生成AIの活用に向けた国内基盤モデルの開発及び官民の計算資源の拡充(2022年度~)(再掲) 量子コンピューティング技術の産業化に向けた研究開発の推進・支援強化(2022年度~)(再掲) 17 各分野(ミクロ)の主要施策 新機軸の 施策の柱 長期的目標 足下3年程度 3~5年後 〇資本市場改革 東証による資本コスト等を意識した「改善計画」の開示強化 社 会 基 盤 ( O S ) の 組 替 え 〇企業経営改革 PBR向上につながる価値創造経営の戦略構築・実行に向けた包括的ガイドラインの整理 <中長期視点でのSX経営戦略の構築と実行、ガバナンス> 価値創造 経営 2030年に日 本の代表的企 業の8割が PBR1倍超え 「伊藤レポート」(1.0~3.0)、「価値協創ガイダンス」の浸透 「SX銘柄」の選定とモデル浸透 サステナビリティ関連データの経営戦略への活用事例 「企業買収における行動指針(仮称)」の策定などを通じた経営の改善、業界再編の進展、資本市場における健全な新陳 代謝促進 パーシャルスピンオフに関する税制の恒久化の検討(再掲) 社外取締役の支援 〇ミッション志向型産業政策との連動 GI基金の実施企業に対する取組状況の確認(2022年度~)等 18 各分野(ミクロ)の主要施策 新機軸の 施策の柱 社 会 基 盤 ( O S ) の 組 替 え 長期的目標 グローバ ル化 自由貿易・経済 安保の両立、稼 ぐ力強化、対内 直接投資を 2030年に80兆 円、早期に100 兆円を目指す EBPM ・データ駆 動型行政 政策の新陳代 謝及び高度化 足下3年程度 3~5年後 〇自由貿易と経済安全保障を両立した対外経済政策の立案 ルールベースの国際貿易秩序の再構築、有志国との信頼できるサプライチェーンの構築、グローバルサウスとの連携強化の取組 〇輸出促進 貿易手続きのデジタル化推進(2023年度試行開始、来年度本格化)、ASEAN等の貿易手続デジタル化環境整備 (2023年度策定予定のロードマップの具体化) NEXI融資保険を活用した輸出環境改善 中小企業等の「稼ぐ力」の向上:輸出未経験企業等を対象にした新規輸出1万者支援プログラム(2022年度~)の推 進・強化 〇海外投資・進出 新規事業探索支援を強化(スタートアップを含む先端企業の支援/現地企業とのマッチング機会の創出、 IPEF等の経済 連携枠組みと連動した形でのグリーン・デジタル分野等における国際ルール形成と案件形成支援等) 資金調達支援の強化(NEXIの融資保険等を通じた、サプライチェーン強靭化、GX、スタートアップの海外展開支援) インパクト投資の拡大支援、現地での事業参入・拡大支援の強化、対外経済戦略の策定と支援実施体制の強化 〇サービス貿易促進等 デジタル技術を組み合わせ製造・ヘルスケア・農業等の分野でグローバルトップを狙う企業のスケール化支援 オンライン市場で海外事業者により販売される製品等について、製品事故の拡大防止措置が確実に講じられる制度を整備 〇対日直接投資促進 高度外国人材の受入拡大に向けた検討 海外スタートアップ等海外企業による対日直接投資の支援、海外からの人材・資金を呼び込むためのアクションプランの着実な 推進(国内外スタートアップ・エコシステム間のネットワーク強化、海外企業と日本企業のマッチング強化による海外企業の国 内定着等の促進、対日M&A・外国企業との協業促進) 〇政策の効果検証 新たな政策評価方針に基づくKPI等の設定 大規模予算事業の EBPM(半導体・GI基 EBPMの拡充(バイオものづくり、データ数の多い予算事業等) 金)(2022年~) 〇データ整備、リテラシー向上 公的統計の調査表情報の利用簡素化・早期化に向けた検討 政策立案・実施プロセスの更なる自動化/新たな政 策ツールへ転換 行政手続きで取得するデータや民間データの政策の立案・モニタリ ング・効果検証への活用拡大 データ・EBPMやAI活用等に関する職員のリテラシー向上 〇業務や手続きにおけるデジタル化 経済産業省における行政手続きのオンライン化 19 ミッション志向の産業政策(8分野): 社会基盤(OS)の組替え(5分野): ① 炭素中立型社会の実現 ・・・p.21 ① 人材 ・・・p.59 ② デジタル社会の実現 ・・・p.25 ② スタートアップ・イノベーション ・・・p.64 ③ 経済安全保障の実現 ・・・p.34 ③ 価値創造経営 ・・・p.74 ④ 新しい健康社会の実現 ・・・p.39 ④ 徹底した日本社会のグローバル化 ・・・p.80 ⑤ 災害に対するレジリエンス社会の実現 ・・・p.44 ⑤ 行政:EBPM・データ駆動型行政 ・・・p.84 ⑥ バイオものづくり革命の実現 ・・・p.47 ⑦ 成長志向型の資源自律経済の確立 ・・・p.50 ⑧ 少子化対策に資する地域の包摂的成長 ・・・p.53 20 ミッション①:炭素中立型社会の実現(考え方) ⚫ 取り組む社会課題・ニーズ (GXに向けた世界の需要・投資競争) ➢ 世界規模で異常気象が発生し、大規模な自然災害が増加するなど、気候変動問題への対応は今や人類共通の 課題となっている。こうした中、既に欧米各国は、ロシアによるウクライナ侵略を契機として、これまでの脱炭素への取 組を更に加速させ、国家を挙げて発電部門、産業部門、運輸部門、家庭部門などにおける脱炭素につながる投資 を支援し、早期の炭素中立型社会への移行に向けた取組を加速している。 ➢ こうした中、IEAによれば、足元年平均2兆ドル程度の脱炭素需要(設備投資)が、2030年には年間5兆ドル まで増大する見込み。 ➢ 周囲を海で囲まれ、すぐに使える資源に乏しい我が国では、脱炭素関連技術に関する研究開発が従来から盛んで あり、日本企業が技術的な強みを保有する分野も多い。こうした技術分野を最大限活用し、GXを加速させること は、エネルギーの安定供給につながるとともに、我が国経済を再び成長軌道へと戻す起爆剤としての可能性も秘めて いる。 ➢ 例えば、産業革命後の気温上昇を2℃以内に抑えるシナリオを目指して世界各国が取組を進める場合、世界の排 出削減需要に対して日本企業が技術的な強みを発揮することで、GPIFの国内株式の価値が11.2%増加するとさ れる。 (ミッション) ➢ 2050年カーボンニュートラルなどの国際公約達成と、我が国の産業競争力・経済成長を同時に実現する。 21 ミッション①:炭素中立型社会の実現(考え方) ⚫ 先行的に対応すべき需要と、それに応える新たな供給のあり方 ➢ 炭素中立と、産業競争力強化・経済成長の同時実現に向けては、10年間で150兆円超の投資が必要との 試算がある。こうした投資を官民協調で実現するために、まず、今後、GX投資が期待される主要分野において、各 分野における新たな製品などの導入目標や、新たな規制・制度の導入時期などを一体的な「道行き」として示すとと もに、国として長期・複数年度にわたり支援措置を講じ、民間の予見性を高める必要がある。 ➢ このため、GX推進法等により、GX経済移行債を活用した20兆円規模の先行投資支援とあわせ、カーボンプライシ ングを最初は低く、徐々に引き上げる形で導入することにより、炭素排出に値付けを行い、GX関連製品・事業の付 加価値を向上させ、GXに先行して取り組む事業者にインセンティブが付与される仕組みの創設、新たな金融手法 の活用などを含む「成長志向型カーボンプライシング構想」を実現・実行する。また、「アジア・ゼロエミッション共同体 (AZEC)」構想等の国際展開戦略、公正な移行、中堅・中小企業を含む社会全体のGXを推進する。 ➢ 産業界や専門家も交えて対策を検討・実行していくとともに、進捗評価・分析や必要な見直しを定期的に実施し、 それを踏まえて必要な見直しを効果的に行っていく。 ⚫ 当面見据える長期目標 ➢ 経済的目標:今後10年間で、150兆円超の官民GX投資を実現する。 ➢ 社会的目標:2030 年度の温室効果ガス 46%削減、さらには2050 年カーボンニュートラルを実現する。 22 ミッション①:炭素中立型社会の実現(これまでの施策、今後の施策) ●…これまでに実施した施策、○…今後実施する施策 【これまでの施策例】 ⚫ 2030年度排出量46%削減目標の提示と、それに向けた対策を策定(地球温暖化対策計画等)。 ⚫ 2050年カーボンニュートラルCNに向けて重要となるエネルギー・環境関連技術分野について、イノベーションの推進に向けた戦略を策 定(グリーン成長戦略等)。 ⇒「点」ではなく「線」で、2030・2050の目標に向けた実現可能な道筋を描き、取組を具体化・実行する必要 【成長志向型カーボンプライシング構想】 ○ GX重点分野の「道行き」明示(22の重点分野について、目標、必要な投資額、規制・支援措置、国際戦略などの一体的な道 行を明示。専門家等の意見を踏まえ、進捗評価・分析を行い必要な見直しを行っていく。) ○ 10年間20兆円規模の先行投資支援等(他の分野とも共通して、戦略分野(GX,DX等)における、国内投資拡大に 向けた欧米との競争に負けない予算・税スキームを検討:複数年の制度による予見可能性の向上、初期投資に留まらない支援、 企業にとっての利便性・柔軟性の向上(法改正も視野に検討)) ○ 「GX経済移行債」発行(今年度、国際標準に準拠した新たな形の発行に向け関係省庁で検討) ○ 排出量取引制度の導入(GXリーグにおいて2023年度から「排出量取引制度」を試行的に開始し、2026年度から本格稼働。 発電事業者には、2033年度から段階的に「有償オークション」を導入(特定事業者負担金)) ○ 化石燃料賦課金の導入(2028年度から化石燃料賦課金制度を導入し、化石燃料ごとのCO2排出量に応じて、輸入事業者 等に賦課する。) ○ 新たな金融手法の活用(GX投資の加速に向け、「GX推進機構」が、GX技術の社会実装段階におけるリスク補完策(債務 保証等)を実施。また、トランジション・ファイナンスに対する国際的な理解醸成、サステナブルファイナンス推進のための環境整備を図 る。) ○ 複数社連携における課題への対応(GXを実行するためには、複数社での連携が重要であることから、国際的な競争状況も踏まえ、 設備の共同廃棄、原燃料等の共同調達やデータ共有等における独禁法に関する課題について、事業者等の取組を後押しする対 応を検討。) 23 ミッション①:炭素中立型社会の実現(これまでの施策、今後の施策) ●…これまでに実施した施策、○…今後実施する施策 【国際展開戦略】 ○ クリーン市場の形成(グリーン製品の普及のための国際評価手法の確立を進めるとともに、企業による社会全体の温室効果ガス削 減への貢献(削減貢献量)を評価する新たな価値軸の構築などを進めていく。) ○ アジアのGX推進(「アジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)」構想を実現し、アジアのGXを一層推進する) 【公正な移行、中堅・中小企業を含む社会全体のGX】 ○ リスキリング支援等(スキル獲得とグリーン等の成長分野への円滑な労働移動をともに推進する。) ○ 地域・くらしのGX推進(脱炭素先行地域の創出・全国展開に加え、財政的支援も活用し、地方公共団体は事務事業の脱炭素 化を率先して実施。新たな国民運動を全国展開し、脱炭素製品等の需要を喚起する。) ○ 中堅・中小企業のGX推進(ものづくり補助金等を活用した支援、プッシュ型支援に向けた中小企業支援機関の人材育成、パート ナーシップ構築宣言のさらなる拡大等で、中小企業を含むサプライチェーン全体の取組を促進する。) ○ GXスタートアップ支援(GX関連分野におけるスタートアップ企業の研究開発・社会実装支援等を抜本的に強化していく。) 【進捗評価と見直し】 ○ 定期的な進捗評価と見直し(「成長志向型カーボンプライシング構想」をはじめとする、GXを実現するための新たな政策イニシア ティブを実行していくに当たっては、官民でのGX投資の進捗状況、グローバルな動向や経済への影響、技術開発の動向なども踏ま えて、GX実行会議等において進捗評価を定期的に実施し、それを踏まえて必要な見直しを効果的に行っていく。) 24 ミッション②:デジタル社会の実現(考え方) ⚫ 取り組む社会課題・ニーズ: (デジタル社会の実現の意義・インパクト) ➢ サイバー空間とフィジカル空間が高度に融合する高度なデジタル社会(Society5.0)においては、全ての人とモノがつな がり、様々な知識や情報・データが共有されるととともに、必要な情報・データ、そしてサービスが必要な時に提供される。 また、AIを活用することで、新たなイノベーションが次から次へと創出され、従来の人間の認知限界・能力の限界を超えた 活動も可能となり、これまで解決困難だった様々な課題も解決されるようになる。このため、デジタル社会の実現を通じて、 GXや経済安保に加え、少子高齢化や人手不足、地方の過疎化、貧富の格差等の課題も克服されうる。 ➢ こうしたデジタル社会を支えるデジタル関連技術は、目覚ましいスピードで進化を遂げ、時として、生成AIのように非連続 的とも言うべき技術革新が起こることで、瞬く間に新たな需要を生み出し、また、それまで想像すらできなかった課題解決 を実現することがある。 ➢ このため、デジタル社会の実現に向けて、まだ見ぬイノベーションが次から次へと創出される環境を整備することで、こうした 根本的課題の克服に繋げ、また社会に新たな付加価値を生み出すとともに、これまでの閉塞感を打破し、希望の持てる 社会、一人一人が快適で活躍できる社会の実現にも貢献する。 (産業・社会全般にわたるデジタル化の進展) ➢ 今、全ての産業・社会においてデジタル化が加速度的に進展している。コンピュータ関連技術/通信関連技術の急速な 高度化により、デジタル関連機器の大容量化、高速化、小型化、省電力化が進展し、当初は特定の分野だけで活用 されていた情報処理が産業・社会のあらゆる領域で活用される状況に。 ➢ 不断に革新を続ける最先端のデジタル関連技術をいち早く取り込み、データを駆使して如何に効果的に技術を活用して 付加価値を生み出すか(DX)を競い合う時代へ。同時に、デジタル化による国民生活や経済水準の向上を実感でき るよう、デジタルサービスを社会全体に一刻も早く実装させるための社会インフラの整備も喫緊の課題に。 25 ミッション②:デジタル社会の実現(考え方) (デジタル関連技術の革新とデータ処理の増大・高度化の循環による需要の拡大) ➢ 情報処理の中核を担う半導体の高度化が日々進むとともに、通信環境の高速化、大容量化の進展も留まるところを知 らず、高度化を続ける技術を活用してさらに多くのデータを処理する新たなサービスが次々に誕生。 ➢ デジタル関連技術が高度化することでデータ処理量が拡大し、それによって大量に生み出されたデータの高度な活用が求 められることでデジタル関連技術がさらに発展する、“デジタル関連技術革新とデータ処理高度化”の不断の循環が発生。 ➢ AI、量子コンピュータ等の非連続的とも言える革新的な技術も登場し、 Web3.0/ブロックチェーン等も含め技術の実装 が急速に進む中、デジタル関連技術に対する需要は拡大の一途。特に、生成AIの登場により、これまで参入障壁の高 かった分野も含め、幅広い分野でデジタル技術の活用が進むことで、計算需要もさらに拡大。 (デジタル社会実現の先頭集団に加わるための継続的な大規模投資の必要性) ➢ 今、デジタル関連技術革新とデータ処理高度化の好循環サイクルに乗れなければ、世界的なデジタル化の流れの中で、 その先頭集団に追いつき、我が国の経済・社会全体が革新的に成長する機会を失ってしまう。 ➢ 先端半導体産業の誘致、生成AIを巡るスタートアップや大手IT企業の激しい競争、量子コンピュータのサプライチェーン の確保、 Web3.0/ブロックチェーンの人材育成・研究開発・規制整備など、世界はデジタル関連分野に対して大規模 な投資を展開し、先頭集団の地位を巡って激しく競争。 ➢ 半導体産業への大胆な予算措置の決定など、日本もデジタル社会の実現を目指した大規模投資に踏み出したところ。 26 ミッション②:デジタル社会の実現(考え方) (ミッション) ➢ あらゆる社会課題を解決するカギとなる、今後現れるAI、量子コンピュータなども取り込んだ次世代計算基盤、それを支 える半導体の進化をいち早く実現し、これらを高度に利活用することで、産業・社会全体を高付加価値化する、デジタル 社会の世界のトップランナーの地位を確立する。 ➢ 具体的には、①計算能力自体を支えるデジタル産業基盤、②企業・業界を越えてデータ共有を進めるデータ連携基盤 をはじめ、デジタルサービスの実装に必要となるハード・ソフト・ルールの社会インフラであるデジタルライフライン、③デジタル 関連技術の社会実装を担う人材の育成を支えるデジタル人材基盤の整備を通じて、デジタル技術を活用した新たな製 品・サービス・ビジネスモデルを、我が国で創出し、グローバルに経済・社会全体に対して、新たな付加価値を生み出しいく (DX)。 ➢ 文化経済、金融、社会課題解決、その他の領域で、持続可能で価値があるWeb3.0 関連事業を多数創出することで 経済を活性化するとともに、Society5.0 時代の、グローバルなデータ共有基盤の構築やトラストを確保したデータの流 通等を支える技術の芽に繋がる可能性を追求。 27 ミッション②:デジタル社会の実現(考え方) ⚫ 先行的に対応すべき需要と、それに応える新たな供給のあり方: (デジタル産業基盤) ➢ 計算能力自体を決定づける重要な要素(半導体、ソフトウェア等)や、どんな場所でも利活用できる環境を実現する 要素(蓄電池、通信インフラ等)の高度化を推進。 (デジタルライフライン) ➢ 企業・業界を越えたデータ連携の加速など、デジタルサービスの社会実装を進めるための新たな社会インフラを全国津々 浦々に整備 (デジタル人材基盤) ➢ デジタル関連技術の社会実装のために利活用を担うデジタル推進人材や、デジタル産業基盤を支える半導体や蓄電池 など産業別人材の育成・確保を推進。 (Web3.0) ➢ Web3.0・ブロックチェーン技術の発展に向けた事業環境整備。 28 ミッション②:デジタル社会の実現(考え方) ⚫ 当面見据える長期目標: ➢ 半導体:2030年までに、12兆円超規模の官民による追加投資を行い、国内で半導体を生産する企業の合計売上 高(半導体関連)を15兆円超とする。 ➢ 蓄電池:今後10年間で7兆円超規模の官民による追加投資を行い、遅くとも2030年までに、蓄電池・材料の国内 製造基盤150GWh/年を確立、2030年に我が国企業全体でグローバル市場において600GWh/年(シェア20%以 上)の製造能力を確保する。 ➢ 情報処理基盤:速やかに生成AIに関する基盤的な研究力・開発力を国内に醸成するとともに、2030年までに、汎用 的な量子/古典ハイブリッドコンピューティング基盤が実ビジネスとして国内で提供されることを目指す。 ➢ 高度情報通信インフラ:地域における分散型のデータセンターなどの計算資源の整備を通じ、2030年頃に実用化が見 込まれるオール光ネットワーク技術の活用も視野に入れつつ、データやエネルギーの「地産地消」の事業モデルを実現する。 ➢ デジタルライフライン:デジタルを活用したサービス提供に必要なハード・ソフト・ルールにわたるデジタルライフラインを、全国 津々浦々に整備する(デジタルライフラン全国総合整備計画の策定・実行)。 サプライチェーン・バリューチェーンのデー タ連携基盤について、2030年度頃には10兆円規模の、2050年度頃には100兆円規模の製品・サービスの年間取引 総額を実現する。 ➢ サイバーセキュリティ:2030年までに、IoT機器の認証制度を確立するとともに、サイバー対処能力の向上を行うための 拠点を整備し、国全体のサイバーセキュリティ対策を向上させる。 ➢ デジタル推進人材:2026年度末までに政府全体でデジタル推進人材230万人を育成する。 ➢ Web3.0・ブロックチェーン:事業環境整備を行い、グローバルなデータ共有基盤の構築・トラストを確保したデータの流 通の促進等を通じて、Society5.0の実現に繋げる。国際的な事業活動や研究開発を行いながら日本を主たる拠点の 1つとする企業・事業数や高度人材の数を増加させる。 29 ミッション②:デジタル社会の実現(これまでの施策、今後の施策) ●…これまでに実施した施策、○…今後実施する施策 【デジタル産業基盤】 (半導体) ⚫ 半導体・製造装置・部素材・原料の製造基盤整備(先端半導体基金や経済安保基金等を活用)、次世代半導体の設計・製造 基盤確立等に向けた研究開発支援(ポスト5G基金の活用)、人材育成(後掲【デジタル人材基盤】参照)。 ○ 製造基盤整備、研究開発支援の継続・強化(年央に取りまとめる改定版 半導体・デジタル産業戦略に基づき、産業界が必要と する半導体のニーズの高度化や多様化、テクノロジーの進化に合わせながら、省電力や高度な計算能力の確保に資する先端半導 体・次世代半導体や産業用スペシャリティ半導体、先端パッケージ、製造装置・部素材等について、個別戦略に則った製造基盤整 備、研究開発支援を実施。) (情報処理基盤) ⚫ クラウドプログラムの安定供給確保に向けた支援、ハイブリッドクラウド利用基盤技術や超分散コンピューティング技術の開発(経済安 全保障重要技術育成プログラムやポスト5G基金の活用)。 ○ 生成AIの開発能力確保(重要なクラウド技術の開発や計算資源の量的・質的拡充、特定分野でのデータ整備・AI開発の促進、 競争力ある基盤モデル開発企業の加速支援、世界からトップ人材が集まり切磋琢磨できる研究環境の構築) ○ 量子技術の産業化等による情報処理基盤の構築(量子古典コンピューティング技術の実ビジネス化等による情報処理基盤の構 築、量子コンピューティング技術の産業化に向けた研究開発の推進・支援の強化) (蓄電池) ⚫ 蓄電池・部素材の製造基盤の拡大(経済安保基金の活用)、人材育成(後掲【デジタル人材基盤】参照)、次世代電池の技 術開発の推進、有志国とのグローバルなサプライチェーンの強靱化に向けた国際連携、上流資源の確保等。 ○ 蓄電池・部素材・製造装置の製造基盤のさらなる拡大に向けた取組 ○ 上流資源確保に向けた官民連携体制の構築やJOGMECの機能拡充 ○ 戦略的な有志国連携の推進や海外展開によるグローバルなサプライチェーンの強靱化 ○ 蓄電池分野における新たなイノベーションの創出(次世代電池の量産を見据えた技術開発・実証や人材育成、データ連携基盤 整備等) 30 ミッション②:デジタル社会の実現(これまでの施策、今後の施策) ●…これまでに実施した施策、○…今後実施する施策 【デジタル産業基盤(続き)】 (高度情報通信インフラ) ⚫ データセンターを地方に分散配置することの実現可能性の調査を支援 ○ データセンターの地方分散の推進(東京圏・大阪圏を補完・代替する第三、第四のデータセンター中核拠点を北海道・九州エリア において整備すること等に取り組む。) ⚫ オープンRANの普及に向けた経済版2+2やQUAD等を通じた各国連携、ポスト5G基金を通じたポスト5G情報通信システム の開発支援 ○ 通信インフラの高度化・国際展開に向けた我が国の競争力強化(ポスト5G基金を活用し基地局システム全体を安定的・効率 的に運用する技術開発や、高性能化・省エネ化に向けた技術開発等に取り組む。) (サイバーセキュリティ) ⚫ 中小企業を含めたサプライチェーン全体でのサイバーセキュリティ対策の強化推進(ガイドラインの策定・普及、中小企業向けのサイ バーセキュリティお助け隊サービスの導入支援、セキュリティ人材の育成) ○ サイバーセキュリティお助け隊サービスの基準の改定とさらなる普及(高度化するサイバー攻撃に対応するため、中小企業をはじめと した産業界のニーズにさらに対応) ○ 産学官が協力して国全体のサイバー対処能力を向上を行うための拠点整備等 ○ セキュアなソフトウェアの流通やIoTのセキュリティ確保に向けた環境整備 (その他) ○ 他の分野とも共通して、戦略分野(GX,DX等)における、国内投資拡大に向けた欧米との競争に負けない予算・税スキー ムを検討:複数年の制度による予見可能性の向上、初期投資に留まらない支援、企業にとっての利便性・柔軟性の向上(法改正 も視野に検討)) 31 ミッション②:デジタル社会の実現(これまでの施策、今後の施策) ●…これまでに実施した施策、○…今後実施する施策 【デジタルライフライン】 ⚫ データ連携・システム連携の仕組みの設計・開発・提供(4次元時空間情報基盤ガイドライン(2023年4月)や、サプライチェー ンの分野におけるデータ連携の仕組みに関するガイドライン(2023年5月)の公表。企業や業界を横断しデータを連携・活用する ために、産学官で連携して、アーキテクチャの設計、研究開発・実証、社会実装・普及を行う取組を、「ウラノス・エコシステム」として立 ち上げ。(2023年4月))。 ⚫ データ連携・システム連携の仕組みの国内における社会実装(「デジタルライフライン全国総合整備計画」の策定に向けた検討方針 を公表(2023年3月)) ○ ガイドラインをもとに開発したOSS(オープン・ソース・ソフトウェア)を提供。民間企業がシステムを開発する際に活用可能とす ることを目指す。 ○ 公益デジタルプラットフォーム(複数の企業をまたいだデータ共有を行うデータ連携基盤であって、安全性や信頼性、相互運用性、 事業安定性が確保されており、一定の公益性を有するデジタルプラットフォーム)の認定制度の設立 ○ 「デジタルライフライン全国総合整備計画」の策定・実施(2023年6月に「デジタルライフライン全国総合整備実現会議」を立ち上 げ、デジタルアーキテクチャ等の策定及びこれに沿った整備すべきデジタルライフラインの特定や仕様・スペックの具体化、先行的に取組 を進める地域の特定並びに官民の役割分担を整理した上での運営主体の特定等を含めた「デジタルライフライン全国総合整備計 画」を2023年度中に策定。当該計画に沿って、デジタル技術を活用したサービスについて、実証段階から実装への移行を加速化し、 全国津々浦々までの普及を目指す。2024年度には、ドローン航路や自動運転支援道の設定、インフラ管理のDX等について、先 行地域での取組を開始) ⚫ データ連携・システム連携の仕組みの国際連携(デジタルインフラの国際的な相互運用性の確保に取り組むことに、G7各国閣僚 が合意(2023年4月))、 ○ 国際的な相互運用性確保(国外のデータ連携に関する取組とウラノス・エコシステムとの相互運用性の確保を実現する。)、ERIA にデジタルセンターを新設し、アジア地域大でのデータ連携に向けて、サプライチェーン上のデータ共有・活用の議論を開始(2023年 夏) 32 ミッション②:デジタル社会の実現(これまでの施策、今後の施策) 【デジタル人材基盤】 ●…これまでに実施した施策、○…今後実施する施策 (デジタル推進人材) ⚫ デジタルスキル標準の策定(2022年末)やデジタル人材育成プラットフォーム(2022年度~)の構築(企業DXの推進)。 ○ 生成AI等の新興技術の活用の視点も踏まえた人材育成(有識者等との議論を継続的に実施し政策対応の必要性を検討しつつ、 短期的には、デジタルスキル標準の改訂やプラットフォームへの生成AI関連講座の掲載などの対応を検討) (半導体人材) ⚫ 地域の産学官連携による半導体人材の育成(教育現場での新カリキュラムの実施や企業による出前授業等) ○ 各地域における産学官連携の仕組み・体制の全国展開 ○ 半導体の設計・製造を担うプロフェッショナル・グローバル人材の育成 (バッテリー人材) ⚫ 関西蓄電池人材育成等コンソーシアムにおいて、教育プログラムの方向性及び2023年度のアクションプランを取りまとめ。 ○ 産学官で連携して、教育プログラムの学習内容、指導方法を整理(2023年度) ○ 関西地域を中心にバッテリー人材育成プログラムを開始するとともに、全国への展開も検討(2024年度以降) 【Web3.0の事業環境整備】 ⚫ 法人自らが発行した暗号資産で、一定の要件を満たすものについて、期末時価評価課税の対象外化。 ○ その他の暗号資産についても、法令上・会計上の扱いなども含め、必要な検討を行う。 ⚫ 投資事業有限責任組合(LPS)が、取得・保有できる有価証券について、それをトークン化したセキュリティトークンも投資対象であ ること等を明確化した解釈通知を本年4月に公表。 ○ LPSの投資対象への暗号資産・トークン等の追加に向けた検討(事業者の資金調達の実態等の調査・整理を進め、事業者の 円滑な資金供給の促進に資するものは、LPS法上で投資対象とすることを検討する(法改正も視野に検討)) ⚫ トークンを取り扱う事業者の監査機会の確保に向けた検討(日本公認会計士協会に勉強会を設置) ○ 2023年夏までに監査に関する必要なガイドラインの策定等に向けた検討を進める。 ○ Web3.0のユースケース創出支援、関連分野の人材育成や技術発展に資するコミュニティの構築支援 33 ミッション③:経済安全保障の実現(考え方) ⚫ 取り組む社会課題・ニーズ: (グローバリゼーションを逆回転させる地政学的な構造変化) ➢ 2010年以降、中国が存在感を高める一方、戦略的技術の国産化政策、人権問題などから米国との対立が深刻化。 米中間では一部先端技術分野において、いわゆるデカップリングの懸念が増大。 ➢ 2020年以降のコロナ禍によるグローバルなサプライチェーンの混乱、2022年以降のロシアによるウクライナの侵略も加わ る中で、各国は戦略産業分野の国内誘致を強め、WTOの貿易ルールではなく有志国間の取引ルールの整備に軸足を 移すなど、市場の分断に向けた動きが顕在化。 ➢ 冷戦後の安定した国際秩序の下で進んだヒト・モノ・カネが自由に行き来するグローバリゼーションの流れに変化が生じ、 逆回転が起こっている。 (政治・経済的威圧への対応の必要) ➢ 地政学的環境の変化、様々な立場に立つ各国の利害の衝突が顕在化する中で、政治・経済的な自国の優位を利用 して他国にその意思を押しつけようとする威圧的行動に対する懸念も深刻化。 ➢ こうした政治・経済的な威圧に対抗するために、有志国との連携を深めるとともに、威圧の内容に応じて適切に対抗する ための多様な対抗手段を整理しておくことが必要となっている。 34 ミッション③:経済安全保障の実現(考え方) (自律性の維持・向上、優位性・不可欠性の確保のための投資の拡大) ➢ 上記変化に伴い、国際経済秩序の不確実性が増大。グローバルに拡大したサプライチェーンの再編が不可避な状況に。 ➢ サプライチェーンの再編に当たっては、産業社会活動を維持するために重要な財・サービスについて国内生産基盤の確保 をはじめとした取組を進めることで自律性を向上させるとともに、サプライチェーンにおいて不可欠な要素の供給について日 本が優位性を持ち、または代替性が低い不可欠な役割を確保することが必要。 ➢ たとえサプライチェーンをすべて自国内に確保できなくても、他国が日本との協力が必要であるという認識を持つ不可欠な 要素を提供する能力を通じて、自律性の確保に繋げる。優位性、不可欠性を確保するため、新たな能力の獲得や従 来の能力の高度化のための投資を拡大。 ➢ また、政治・経済的威圧に対し、威圧的行動を取る国に対する依存を低減するなど、平時からその効力を減ずるための 取組を継続。 (ミッション) ➢ グローバリゼーションが大きく後退し、国際市場の混乱やサプライチェーンの分断が進んだとしても、日本の産業・社会活動 を維持し、安定的に発展できる活動基盤を確立する。 ➢ そのために、自律性の向上(基幹インフラやサプライチェーン等の脆弱性解消)、優位性ひいては不可欠性の確保(研 究開発強化等による技術・産業競争力の向上や技術流出の防止)、基本的価値やルールに基づく国際秩序の維持・ 強化を通じた経済安全保障の推進に取り組む。 35 ミッション③:経済安全保障の実現(考え方) ⚫ 先行的に対応すべき需要と、それに応える新たな供給のあり方: (サプライチェーンの強靱化) ➢ 特定重要物資の安定供給確保のため、大規模・集中的かつ中長期的な支援を実施し、国内生産基盤の整備や供給 源の多様化を実現。 (技術優位性の確保) ➢ 経済安全保障上重要な技術について、経済安全保障重要技術育成プログラム等を通じ、研究開発を強力に推進 (経済インテリジェンスの強化) ➢ 経済インテリジェンスを高めるための官民の情報共有の仕組みの整備、専門人材の育成に着手。 ➢ セキュリティ・クリアランスの導入などデータ・情報保護に関する管理体制の強化や情報通信サービスのセキュリティの高度 化。 (重要インフラ等のセキュリティ・レジリエンスの強化) ➢ 重要インフラ等に対するサイバー攻撃への対応能力の強化や、経済安全保障推進法を通じ、外部からの影響によるイン フラ役務の安定供給への影響の防止。 (政治・経済的威圧への対応手段の確立) ➢ 政治・経済的威圧に対する懸念を共有する有志国との連携の強化と、威圧的行動に対する様々な対抗手段の整理 及び発動のプロセスの確立。 ➢ 威圧的行動の効果を減殺するための、威圧的行動を採る国に対する依存の低減のための平時からの取組の強化。 36 ミッション③:経済安全保障の実現(考え方) ⚫ 当面見据える長期目標: ➢ 特定重要物資の安定供給確保取組方針で設定した目標の達成を含め、特定重要物資の安定供給が確保される環 境を実現するとともに、基幹インフラ役務の安定的な提供の確保や経済安全保障上重要な技術の研究開発を推進す る。 37 ミッション③:経済安全保障の実現(これまでの施策、今後の施策) ●…これまでに実施した施策、○…今後実施する施策 【サプライチェーンの強靱化】 ⚫ 経済安全保障推進法に基づき、政府として11の特定重要物資を指定(経産省関係は半導体・蓄電池等の8物資) ⚫ 基金を設置し、安定供給確保に向けた民間事業者の国内生産基盤の確保のための設備投資等の取組を支援。 ○ 特定重要物資に関する継続的な見直し(我が国のサプライチェーンの不断の点検、特定重要物資に関する継続的な見直しを実施 するとともに、見直しも踏まえた支援策について、基金事業や、事業環境の不確実性に対応するための資本強化等の必要性を検 討) 【技術優位性の確保】 ○ 経済安全保障重要技術育成基金の執行を通じた先端重要技術の育成(2022年度から当面10年間) ○ 技術保全の強化(投資審査や輸出管理の不断の見直し、強制技術移転への対応強化、研究インテグリティの一層の推進、人材 流出対策等に関する具体的な検討) 【重要インフラ等のセキュリティ・レジリエンスの強化】 ⚫ 経済安全保障推進法に基づき、基幹インフラへの設備導入に係る事前審査制度の導入に向けた準備等を実施 ○ 機微なデータのより適切な管理や情報通信技術サービスの安全性・信頼性確保に向けた対策の検討 【政治・経済的威圧への対抗手段の確立】 ○ 経済的威圧に関して政府全体で検討する体制・枠組みの構築(経済的威圧に対して国益を損なわないよう、G7内外の協力の具 体化に向け、如何なる戦略の下で、ヒト・モノ・カネ・サービスの多岐にわたる包括的な対応を備えることが可能か、政府全体で検討する 体制・枠組みの構築を進める) 【経済インテリジェンスの強化】 ⚫ 国家安全保障局を司令塔とし、関係府省庁を含めて情報の収集・分析等に必要な体制の整備を実施 ○ 経済安全保障に係る情報を収集・集約・発信(産業界・企業の自律的な経営判断の一助とする。) 38 ミッション④:新しい健康社会の実現(考え方) ⚫ 取り組む社会課題・ニーズ: (長寿命化と健康ニーズの高まり) ➢ 長寿命化は、全世界の不可逆的トレンド。健康で過ごすことは、人間の根源的欲求の一つ。長い間健康を維持したい、 もっと健康になりたいというニーズは、世界及び日本で、高齢者に限らず若年層でも、そして男女ともに、大きい。 ➢ 世界的な人口増加、都市化、先進国における高齢化を背景に、医療を含めた健康関連の需要は増大する見込み。 ➢ 同時に、遺伝子治療や再生医療などが一般的となるだけでなく、健康関連サービスでもAI等のデジタルテクノロジーを活 用することで、新しい需要が拡大することも期待される。PHRはその典型。 ➢ 我が国では当面、生産年齢人口の減少の加速化が見込まれている中で、世代に関わらず国民の健康増進を図ること は、結果として、労働力の量・質の拡大や社会保障制度の持続可能性を確保にも貢献。 (健康を切り口とした需要の拡大) ➢ 衣食住を始め、あらゆる製品・サービスに、健康を切り口にして高付加価値化するポテンシャルあり。 予防・健康づくりは個人のライフスタイルに依拠するため足下の消費・投資は限定的だが、潜在的ニーズを顕在化するこ とができれば、人口減少下でもこうした需要は拡大していく。(括弧内は、現時点で推計される国内の市場規模見通 し) ✓ ✓ ✓ ✓ 食は、サプリメント・健康食品といった健康志向によって高付加価値化(2020年3.3兆円⇒2050年8.3兆円(3倍)) 遊びは、ヘルスツーリズム(健康志向旅行)等によって高付加価値化(2020年2.9兆円⇒2050年12.7兆円(4倍)) 健康維持のための予防関連(衛生用品等)も、今後市場が拡大(2020年0.2兆円⇒2050年6.8兆円(34倍)) 要支援・要介護者向けも、食事宅配サービスといった純民間市場が拡大(2020年5.4兆円⇒2050年18.7兆円(3倍)) 等 ➢ 健康の増進は、個人消費全般を喚起する可能性。特に日本では、医療・介護等を含め十分な生活ができるかという将 来不安から、所得や貯蓄を消費にまわすことに躊躇しているとの指摘あり。健康を維持しやすい環境の実現は、将来不 安を低減し、消費拡大を通じた経済の好循環を生む。 39 ミッション④:新しい健康社会の実現(考え方) (日本は世界の健康最先進国) ➢ 日本は高齢化率及び健康寿命で、世界のトップかつ先行者。 ➢ すなわち、日本における健康面の課題は、将来の世界の写し絵(先行指標)であり、超高齢化に適応した国内での 需要を開拓する新たな製品・サービスは、世界に輸出するなどの海外展開も可能。 (ミッション) ➢ こうした課題・ニーズを踏まえ、世界最先端の超高齢化社会として、国民の健康増進、持続可能な社会保障制度構築 への貢献、経済成長を同時達成する「新しい健康社会」を実現する。 ⚫ 先行的に対応すべき需要と、それに応える新たな供給のあり方: (付加価値創造の鍵はPHR) ➢ 個人の健康という個別性の高い状況の変化を見える化できれば、新たな付加価値を創造することが可能。 ⇒可視化の中核は、PHR(Personal Health Record)の活用。 (異分野参入も含めた、健康関連の、保険外の製品・サービス) ➢ 特に健康問題に関わる既存の製品・サービス(医療・介護等)には、不足感がある。 ➢ 衣食住など、あらゆる分野で健康を切り口に製品・サービスを高付加価値化できる可能性あり。公的保険を適用する サービスに限らず、異分野からの参入含む公的保険外の製品・サービスを安心して利用できる環境を構築し、日常生活 が健康づくりのベースとなることで、新たな需要を喚起できる可能性。 ⇒国内の公的保険外のヘルスケア産業市場の市場規模は、拡大見通し(2020年24兆円⇒2050年77兆 円) ⇒課題は、消費者が安心して利用できるよう、品質を確保し、予防・健康づくりに対する潜在ニーズを顕在化さ せること 40 ミッション④:新しい健康社会の実現(考え方) (ビジネスケアラーを意識したサービスの充実:特に介護) ➢ 特に、仕事をしながら介護をするビジネスケアラーが負担に耐えられなくなり、大規模・継続的に離職しており、日本の労 働力の確保の観点からも大きな損失。これは、被介護者の家族が自らの仕事を犠牲にしてでも介護に対応せざるをえな いため。介護と仕事が両立できるような働き方改革とあわせて、現行の公的介護サービスでは充足できない、潜在的な 介護需要を開拓して適切に民間サービスを提供できれば、離職を減らせる可能性。 ⇒公的保険を活用した医療・介護サービスの拡大は重要。ただし、社保・財政の制約があるため、 ICTやロボッ ト技術を用いた介護機器の開発などを通じて、より一層の効率化が必要。 ⇒公的保険では対応しきれない多様なニーズには、公的保険外(医療に加えて介護も)のサービスの拡大が 必要。 (プログラム医療機器等による新たな医療ニーズへの対応) ➢ 未だ解決されていない医療ニーズ(アンメット・メディカルニーズ)は、世界中に多数存在。 ⇒AI画像診断や患者の行動変容を支援するアプリといった、プログラム医療機器の開発・実用化が必要。 ⇒医療機器・創薬分野のスタートアップが有する革新的な製品・医薬品の海外展開を推進して事業規模の拡大を図 ることが必要。 ⇒バイオ医薬品については、新型コロナワクチンを海外からの輸入に依存した状況を踏まえて、国内にデュアルユース製 造拠点等を整備し、平時からの生産供給体制を構築することが必要。 ⚫ 当面見据える長期目標: ➢ 健康寿命2016年72歳⇒2040年75歳以上 ➢ 公的保険外のヘルスケア産業市場(国内)2020年24兆円⇒2050年77兆円 ➢ 医療機器(世界)の日本企業シェア2020年3兆円⇒2050年13兆円 41 ミッション④:新しい健康社会の実現(これまでの施策、今後の施策) ●…これまでに実施した施策、○…今後実施する施策 【PHRの推進・ヘルスケアスタートアップの振興等(主に「健康寿命延伸」、「公的保険外のヘルスケア産業市場拡大」に貢献)】 ⚫ PHRのデータ連携基盤の整備(2021年に総務・厚労・経産でPHR事業者向けガイドライン策定、民間PHR事業者が本人同意の 下で公的機関の情報をマイナポータル経由で取得、2021年レセプト、2022年がん検診などの情報を順次提供、2024年以降、検 査・医療画像等を提供予定。) ○ PHRに係る業種横断的な業界団体(PHRサービス事業協会)を2023年7月に設立、そのために必要な支援を実施 ○ PHRの利活用促進に向けたデータ標準化、ルール整備、実証事業の実施(必要に応じてPHRサービス事業協会と連携) ○ 健康経営に係る情報開示促進、中小企業向けの普及促進、積極的な情報発信による関連サービスの海外展開の促進など ○ 2025年関西大阪万博を契機としたヘルスケア新産業育成(海外アクセラレータ等と連携したヘルスケア・スタートアップの育成プロ グラムを展開すべく、万博会場においてグローバルヘルスケア・スタートアップコンテストを実施。また、PHRのユースケース創出や事業環 境整備などを実施し、万博会場でのPHR体験を提供) ○ 規制等の基準より高いレベルの安全機能を有した製品が評価される制度の整備(誤使用事故の多い高齢者向け製品中心に) 【公的保険外サービスの振興・介護と仕事両立促進等(主に「公的保険外のヘルスケア産業市場拡大」に貢献)】 ⚫ 公的保険外の健康関連市場(国内)の将来見通しの推計・提示(2020年24兆円⇒2040年77兆円) ⚫ ビジネスケアラーの介護離職等の経済的損失の推計・提示(2030年9兆円) ○ 介護需要の新たな受け皿として公的保険外サービスの振興(実証事業を通じたモデル形成・普及、サービスの信頼性確保のあり 方の検討) ○ 企業における介護と仕事の両立支援促進(先進企業の取組の可視化、「健康経営」の評価項目に介護と仕事の両立に係る事 項を追加、両立支援に取り組む企業向けのガイドライン整備) ○ 介護ロボット開発の重点分野の範囲を拡大するとともに、海外市場獲得のための認証取得等を支援 42 ミッション④:新しい健康社会の実現(これまでの施策、今後の施策) ●…これまでに実施した施策、○…今後実施する施策 【先進的な医療機器の開発及び海外展開(主に「医療機器の日本シェア拡大」に貢献)】 ● AMEDを通じて、認定ベンチャーキャピタルが出資する創薬ベンチャーが行う革新的な医薬品の実用化開発を支援 ● 平時にバイオ医薬品、感染症有事には政府の要請でワクチンを製造するためのデュアルユース製造拠点等の整備に係る支援 ○ 新たな価値を創造するプログラム医療機器(SaMD:Software as a Medical Device)の開発環境の整備、研究開発 及び海外展開に係る支援 ○ 国際展開戦略の推進(アジア・アフリカを中心に、国際機関と連携した各国における拠点形成やミッションの派遣を通じた医療関係者 とのネットワーク構築等) 43 ミッション⑤:災害に対するレジリエンス社会の実現(考え方) ⚫ 取り組む社会課題・ニーズ: (気候変動等に伴う自然災害の増加) ➢ 気候変動等の影響により、自然災害による被害が世界中で増加(気象災害は1970年から2019年までの50年間で、 数は5倍に、経済的損失は7倍以上に増加し3兆6400億米ドルに達した)。 ➢ 気候変動の「緩和」のみならず、既に起きている気候変動への「適応」も急務。加えて、気候変動の悪影響の顕在化を 受けて、脆弱な途上国に対するロス&ダメージの支援措置の議論もCOPにて開始。 ➢ 日本においては風水害のみならず、巨大地震による被害等も将来的に想定される。企業・自治体による一層の防災・ 強靱化対応が課題。 (先進技術・イノベーションを活用した防災対応のニーズ) ➢ 技術進展により、覚知・シミュレーション・最適化など、防災・減災・強靱化の可能性が拡大。未来志向でイノベーション 事例を創出し、自治体における災害被害の軽減や、企業のサプライチェーンを通じて波及する供給リスク軽減等に貢献。 ➢ 日本は「仙台防災枠組」(2015年)を含め、世界において防災分野の議論を主導。「災害大国」日本で培われた日 本企業の製品・サービス・技術に対する世界のニーズを掘り起こし、世界の社会課題解決に貢献しつつ、経済成長も同 時に実現。 (ミッション) ➢ 気候変動等により自然災害が激甚化する中、「災害大国」日本だからこそ培われる革新技術の創出拡大・社会実装を 進め、災害発生の抑制、災害被害の最小化、回復の迅速化、より良い復興を実現しつつ、そこに貢献する産業を育成。 ➢ 加えて、そうした先進技術を海外展開し、世界のレジリエンス向上に貢献しつつ、海外の成長市場を獲得。 44 ミッション⑤:災害に対するレジリエンス社会の実現(考え方) ⚫ 先行的に対応すべき需要と、それに応える新たな供給のあり方: (企業の防災・強靱化投資の推進) ➢ 自然災害による直接被害に加え、サプライチェーンを通じて波及する間接被害が近年顕在化。 ➢ 企業活動の安定化のための防災・強靱化投資が、企業の中長期的な価値創造に資するものと企業が認識し、そうした 取組を自ら推進するための環境整備が重要。 ⇒企業のレジリエンス向上に資する製品、サービス(例えば自然災害による被害をシミュレーションするソフトウェア、サプライチェー ン管理を高度化するシステム等)の導入が進む。 (自治体における先進的な防災・減災ソリューションの導入) ➢ 自治体の防災行政は、被害状況の正確・迅速な把握、災害対応に係る人手不足等、各種課題に直面。そうした課 題の解決に資する先進技術の導入を推進することで、需要を開拓しつつ、防災対応を高度化。 ⇒防災行政の高度化に資するサービス(災害の早期覚知、避難所運営・災害物資管理の効率化等)を、信 頼性を担保しつつ自治体ニーズに応える形で供給。 (海外市場の獲得) ➢ 気候変動を背景に世界的に災害被害が増加。COPでも途上国に対する適応支援の倍増、ロス&ダメージに対応する 新たな資金面での措置が決定する等、気象災害に対応するための資金フローの増加を示唆。 ➢ 途上国の資金不足やニーズ・シーズへの理解不足、企業による機会認識の欠如等の課題を乗り越え、海外需要を獲 得することが重要。 ⇒「災害大国」日本で培われた製品・サービス・技術を海外に展開。 ⚫ 当面見据える長期目標: ➢ 途上国の適応市場(2050年に最大約77兆円/年間)を含め世界市場を獲得。 45 ミッション⑤:災害に対するレジリエンス社会の実現(これまでの施策、今後の施策) ●…これまでに実施した施策、○…今後実施する施策 【企業の防災・強靱化投資の推進】 ○ 企業の防災・強靱化投資の推進(SXの取組と連動しつつ、中長期的な価値創造に至る道筋を整理し、制度的支援を検討) ⚫ スマート保安の導入に向けた環境整備(高圧ガス保安法・電気事業法・ガス事業法の改正を通じ、認定事業者制度においてデジ タルを活用した自主保安への取組を必須要件化するとともに、認定事業者には行政手続の簡素化という制度的措置を整備) ○ スマート保安の一層の導入推進に向けた取組(企業間データ連携の在り方やスマート保安を活用する人材に必要なITリテラシー、 スマート保安導入の費用対効果について整理・検討するとともに、官民協議会等を通じて事業者に働きかける) 【自治体における先進的な防災・減災ソリューションの導入】 ○ レジリエンス分野のスタートアップ支援(SBIR制度等を活用した自治体への先進防災技術の導入促進) 【海外市場の獲得】 ⚫ 海外展開に向けたFS調査(途上国の気象災害等への対応に係る制度的・技術的課題を抽出し、それらの課題解決のために国際 協力スキーム等の活用、現地政府(国・自治体)との調整を支援) ○ 制度的・技術的課題の克服に向けたFS調査(適応分野のプロジェクト組成に必要な、国際協力スキーム等による助成の活用や、 途上国政府からの要請の獲得までを射程に含む調査を実施し、海外展開の成功の「型」を形成)。 ⚫ 国際ワークショップの開催(途上国における気象災害への対応に必要な日本の技術や取組を国外に発信するとともに、官民ワーク ショップ等を通じて、途上国政府に日本の適応技術の有用性の理解を深め、国際協力スキーム等活用に向けた体制を構築) ○ 国連機関と連携した途上国の防災力向上(経済産業省と国連ハビタット福岡本部は、日本企業と共にアジア太平洋地域の都市 のレジリエンス向上を目的に、「SUBARU・イニシアティブ」を発表。途上国の地方自治体(都市)の具体的なニーズに、日本企業が 貢献するプロジェクトを支援。9月には、アジア太平洋地域の5都市と、日本企業のマッチング予定。) ⚫ 適応技術の国際広報(途上国政府や国際機関向けに、適応技術をPRするための適応グッドプラクティス事例集を作成) 46 ミッション⑥:バイオものづくり革命の実現(考え方) ⚫ 取り組む社会課題・ニーズ: (脱炭素、資源自律、食糧危機等の社会課題を解決するポテンシャル) ➢ 脱炭素・資源自律・食糧危機・海洋汚染・経済安全保障等、世界共通の幅広い社会課題は、工業製品の現在の製 造プロセスの在り方が大きな要因。 ➢ 各種課題に対応するために製造プロセスを転換する必要があり、特に資源・食料の輸入国である日本において急務。 ➢ CO2等の未利用資源を活用するとともに、化石由来資源を大幅に低減するバイオものづくり(微生物や植物等の細胞 による物質の生産)は、上記の諸課題を乗り越えたものづくりを可能ならしめるゲームチェンジャー。 ➢ バイオものづくりの実装により、大規模な産業構造転換が世界的に予見される。米国大統領令では、バイオものづくりが 今後10年以内に約4000兆円(製造業の世界生産の3分の1にあたる30兆ドル)分の既存製造活動を置き換えると 分析。 (バイオものづくりへの転換に向けた課題) ➢ 社会実装に向けて乗り越えるべきは、技術力、市場性(コスト競争力)、消費者の受容性。 ➢ 市場任せでは製造プロセスの転換は困難。バイオ由来製品の導入拡大のための市場環境整備、新産業創出のための 事業環境整備等を通じた国内産業基盤の確立が必要。 (ミッション) ➢ 部素材や製造方法をバイオ化することで、2030 年に世界最先端のバイオエコノミー社会を実現 47 ミッション⑥:バイオものづくり革命の実現(考え方) ⚫ 先行的に対応すべき需要と、それに応える新たな供給のあり方: (高付加価値領域の開拓) ➢ バイオものづくりへの投資促進には、投資対効果の確保が必要。革新的な機能・性能を持つ製品や低環境負荷等の付 加価値が求められる製品等の高付加価値領域ではバイオ製品のニーズが顕在化。 ➢ 社会課題を契機とした規制によって新たに市場が創出され、バイオものづくりの活用につながる場合も(例:航空燃料 からSAFへの転換) ➢ まずは高付加価値領域に注力し、低コスト化や量産・横展開に向けた技術開発と社会課題解決のために必要な規制 や市場の在り方の検討を進め、中長期的に汎用品の市場領域に参入していくことを目指す。 ⇒バイオ技術を巡り、世界で投資競争が活発化し、その投資を自国に誘導する産業政策競争が開始。日本でも技 術開発に支えられた国際競争力の強化と、それを背景に世界的な需要を獲得するための生産能力の増強を含む国 内投資の促進が急務。 ⚫ 当面見据える長期目標: ➢ バイオ関連市場(グローバル):2018年60兆円⇒2030年92兆円 ➢ バイオ関連投資(国内):2030年までに年間3兆円 48 ミッション⑥:バイオものづくり革命の実現(これまでの施策、今後の施策) ●…これまでに実施した施策、○…今後実施する施策 【微生物プラットフォーム技術、生産技術開発の加速化】 ⚫ GI基金事業及びバイオものづくり革命推進基金を活用して戦略的にプロジェクトを組成(技術開発を進め、微生物設プラットフォー ム事業者を中心とした異分野事業者の参入や事業者間の連携を促進) ○ 両プロジェクトの着実な執行(~2030年度頃)、必要に応じた研究開発及び社会実装に向けた追加的支援 【市場環境の整備に向けた取組】 (バイオ由来製品の市場創出・拡大を図るための取組) ○ バイオ由来製品の付加価値を経済的価値に転嫁する仕組み(バイオ由来製品の有するGHG排出削減効果等の付加価値の認証・クレ ジット化・製品表示 等) ○ バイオ由来製品の安全性評価 ○ 市場を創出するための仕組み(脱炭素等に資するバイオ由来製品の公共調達や、製品や技術に関する業界基準への反映 等) ○ 技術の標準化 (消費者の受容形成に向けた取組) ○ 消費者とのコミュニケーション(リスクコミュニケーションにより消費者の理解醸成を促しつつ、中長期的に環境負荷の低減や経済安全 保障等の価値を訴求) ○ 消費者が適切に選択するための製品表示ルールの策定、バイオ製品のブランディング 【事業環境の整備等による国内産業基盤の確立】 ○ バイオ×デジタル分野等、バイオものづくりの実装を進める上で不足する人材の育成・確保 ○ 実証事業に取り組める拠点の整備(ベンチャー企業や異なる分野から参入しようとする企業を後押し) ○ 有望なスタートアップへの投資環境整備(スタートアップ支援の取組と連携) ○ バイオものづくりを支える実験装置や測定機器、センサー、試薬といった周辺機器等関連産業の競争力強化 49 ミッション⑦:成長志向型の資源自律経済の確立(考え方) ⚫ 取り組む社会課題・ミッション: (資源自律経済が解決する制約とリスク、その解決による成長の機会) – 世界での様々な”資源”の需要が増大し、将来的な枯渇が懸念される。これに加えて供給が一部の国に偏在している資 源も存在している。特に日本は資源自給率が低く、調達リスク増大の懸念がある。(資源制約・リスク) – 環境面では、国際的な廃棄物の越境移動制限が厳格化されつつある一方、国内では廃棄物の最終処分場のひっ迫が 問題に。また、気候変動対策として、原材料産業の温室効果ガス排出削減が求められる。(環境制約・リスク) – こうしたなかで、「循環経済(サーキュラーエコノミー)」の市場規模の拡大・資金流入が見通される一方、対応が遅れた 場合には、高騰する資源の確保に伴う国富流出の増大やグローバルマーケットからの排除といったリスクも存在(成長機 会) (ミッション) – 国際的な供給途絶リスクを可能な限りコントロールし、国内の資源循環システムの自律化・強靱化を図ることを通じて 力 強い成長に繋げる。(=中長期的にレジリエントな国内外の資源循環システムの再構築)。 50 ミッション⑦:成長志向型の資源自律経済の確立(考え方) ⚫ 先行的に対応すべき需要と、それに応える新たな供給のあり方 (付加価値の源泉) – サーキュラーエコノミー関連市場の規模は、世界全体で2030年に4.5兆ドル、2050年に25兆ドルと見込まれている。 • 例えば、プラスチックや金属、再エネ関連製品(太陽光パネルや蓄電池等)、衣類等に係る循環資源(再生材・ 再生可能資源(木材・木質資源を含むバイオ由来資源))等の製造や回収・選別・リサイクルに期待 – サーキュラーエコノミーによって、資源を効率的・循環的に利用するとともに、市場にストックされた”資源”を新たなサービスな どによって活用できるようにすることで、資源加工からリニアに構成されていた経済活動の各工程をシームレスに繋いで最適 化することが可能となり、Well-Beingが向上することが付加価値の源泉。将来的には、天然資源と再生・再利用資源の 相対コスト逆転による付加価値の伸長が可能。 (先行して対応する需要) – 資源循環を価値として市場経済に定着させるために、まず、消費者による、より賢い消費の実践、今までに無いワクワク感 のある体験、エシカルなライフスタイルの実践等に繋がる取組の中から、価値化しやすいサービス化を進める。 ⇒そのための取組として、競争環境整備(3R+Renewableの4R政策の深堀等)、サーキュラーエコノミー・ツール キット(アーキテクチャ構築支援等)の充実、サーキュラーエコノミー・パートナーシップ(産官学連携による野心的 目標の共有と協調領域の課題解決等)の立ち上げといった取組を総合的に行っていく。 ⚫ 当面見据える長期目標: – 日本の温室効果ガス排出量11.49億トンCO2のうち、廃棄物関係で4.13億トンCO2(36%)の削減貢献。 – 国内において2030年に80兆円、2050年に120兆円のサーキュラーエコノミー市場を実現。 51 ミッション⑦:成長志向型の資源自律経済の確立(これまでの施策、今後の施策) ●…これまでに実施した施策、○…今後実施する施策 【動静脈連携の加速に向けた制度枠組みの見直し、循環度やCO2排出量等の測定・開示】 ○ 3R関連法制の拡充・強化の検討:資源有効利用促進法の対象品目の追加、循環価値の可視化のための表示制度の適正化、 資源回収のための規制緩和等(従来の3Rに基づく「環境配慮設計」を、サーキュラーエコノミーを前提とした「循環配慮設計」に発展 させ、標準仕様を定着させるための製品別の基準を整備するとともに、特に優れた製品設計については「トップランナー設計」として評 価する仕組みを検討。) ○ CE(サーキュラーエコノミー)投資ガイダンスの活用による開示促進、表示基準の整備等(企業にサーキュラーエコノミーに係るリ スクや機会に関する自主的な情報開示を促すとともに、企業と投資家・金融機関等との建設的な対話・エンゲージメントを後押しする。 また、消費市場、労働市場からの適正な評価のため、取組の「見える化」「評価基準の整備」等を進める) 【デジタル技術を活用したトレーサビリティ確保のための情報流通プラットフォーム等の構築】 ○ トレーサビリティ確保のためのデータ流通を促す情報流通プラットフォームの構築支援(製品データの標準化や、QRコードや電子 透かし技術を活用し製品データを共有する枠組を構築するとともに、製品データ提供のインセンティブを与える仕組みを導入。ライフサ イクルアセスメントによるカーボンフットプリントやマテリアルフットプリントの算定・表示や製品・素材の品質保証につなげる。 ) ○ SIP事業「サーキュラーエコノミーシステムの構築」を実施(令和5年度以降。プラスチック等の原料調達から、設計・製造段階、販 売・消費、分別・回収、リサイクル段階までのデータを統合し、トレーサビリティ確保のためのユースケース創出。) 【CE実現のための研究開発・設備投資支援】 ○ GX先行投資支援(資源循環分野において、官民合わせて今後10年間で2兆円~):サーキュラーエコノミーに取り組む社会課 題解決型のスタートアップ等に対して、リスクマネー供給を含む適切な資金供給を通じて、伴走型の支援で次世代の産業基盤を構 築する。 【産官学サーキュラーエコノミー・パートナーシップ、国際連携】 ○ 産官学サーキュラーエコノミー・パートナーシップの推進(上記の内容を含む個別政策課題(標準化、マーケティング、プロモーショ ン、国際連携、技術検討等)の検討を、産官学サーキュラーエコノミー・パートナーシップを立ち上げ、官民一体となって推進) ○ 国際連携(サーキュラーエコノミーの国際標準化、プラスチック汚染対策に関する条約や改正バーゼル条約(プラスチック、Ewaste)への対応) 52 ミッション⑧:少子化対策に資する地域の包摂的成長(考え方) ⚫ 取り組む社会課題・ニーズ: (少子化は世界の共通課題) ➢ 少子化は、先進国・新興国の共通課題。出生率が高い欧州諸国でも2以上を安定して継続している国はなく、 韓 国・シンガポールの出生率は日本より低い。世界全体として、少子化克服のモデルは未だ探索途上にある。 ➢ 経済の視点からは、少子化は需給両面で影響。少子化による市場成長期待の低下は、日本企業の海外投資志向の 一因でもある。少子化が反転すれば、労働供給面では20年後に効果が出るが、需要面では速やかに市場拡大につな がり、将来期待の醸成にも効果あり。 (課題は若者の希望回復) ➢ 希望出生率は、 2010年、2015年ともに1.8であったが、2021年に1.6と低下。これは、未婚者の希望低下によるも のであり、その最大の要因は所得水準が低いこと。 ➢ 社会・経済問題として少子化を克服するためには、若者の所得水準を持続的に高めるとともに雇用の安定化を実現し、 仕事と子育てを両立しやすくし、結婚・出産・子育ての希望を実現できる環境を整え、未婚者を含めた若者の希望の回 復につなげていくことが必要。 ➢ 東京圏より他地域のほうが出生率が高く、可処分所得・可処分時間とも豊かで子育てがしやすい可能性がある。しかし、 地元に希望する仕事がないことを理由に、若者、特に女性が、東京圏に流出している。地域において若者が希望する仕 事を創出できれば、少子化克服と地域活性化という二兎を得ることが可能。 ⚫ ミッション: ➢ 地域において、良質な雇用創出による若者の所得向上、男女が子育てと両立でき、女性が活躍できる職場改革、結 婚・子育て・生活環境の整備を通じて、希望出生率1.8を回復。将来的にはさらなる希望向上を図る。 53 ミッション⑧:少子化対策に資する地域の包摂的成長(考え方) ⚫ 先行的に対応すべき需要と、それに応える新たな供給のあり方: (結果としての出生数増による需要拡大) ➢ 希望出生率が回復し、結果として出生数増が実現すれば、まず子育て関連の消費支出増による需要が生まれ、さらに 長期的には、日本経済全体の人口動態の安定化により需要全体の底上げにつながる。 ➢ そのためには、①地域の良質な雇用の創出、②インバウンドの拡大で成長期待が高い観光産業の高付加価値化、 ③働き方改革等による仕事と子育ての両立、④若者の結婚・子育てをめぐる環境改善への対応が必要。 (地域の良質な雇用の創出) ➢ 地元に希望する仕事がないことを理由に、若者、特に女性が、東京圏に流出。地域において若者が希望する仕事を創 出することが必要。 ⇒良質な雇用を創出し地域経済を牽引する役割や、日本経済の成長の新たな担い手としての役割が期待される中 堅企業の振興のため、経営戦略づくりや人材の獲得・育成・定着、外需獲得、新事業展開等の取組を集中支援 する。 ⇒さらに、中堅企業へ成長する中小企業の創出のため、中小企業経営者の戦略構想・実行力の強化や事業承 継・引継ぎによる前向きな事業変革、M&A・グループ化の促進等を通じて、成長実現に取り組む ⇒加えて、国内での新たな産業立地を通じた地域経済の活性化・雇用創出を推進。 (地域の文化等を活用した観光の高付加価値化) ➢ 地域の風土や文化等、その土地ならではの資源等を生かして観光産業を振興・高付加価値化することで、地域の魅 力を高め、地域活性化や良質な雇用の創出に繋がる。 ⇒アート・デザインやスポーツの活用で、地域文化のアップデートや産地の活性化、地域資源の磨き上げを行うとともに、 客単価の増加を図る。 54 ミッション⑧:少子化対策に資する地域の包摂的成長(考え方) (働き方改革等による仕事と子育ての両立) ➢ 地域の中小企業を含めた、企業の働き方改革等により、子育て世代の可処分時間が増加することで、仕事と子育ての 両立が無理なく可能に。 (若者の結婚・子育てをめぐる環境を改善する取組) ➢ 若者が子育てをしやすい地域作りを行うべく、各分野においてテクノロジーやサービスを用いた環境改善を促す必要。 ➢ 結婚に至る慣習の変化や、結婚を希望しているが行動を起こしていない人が多数存在すること等を踏まえ、結婚に関 係するサービスを活用して地方も見据えた結婚に向けた男女のマッチング支援を行う必要。 ⚫ 当面見据える長期目標: ➢ 若者(特に地域)の可処分所得・可処分時間の拡大を通じて、 ➢ 希望出生率 2021年1.6⇒2030年1.8 ※将来はさらに、人口動態の安定化をもたらす希望水準を目指し、それが可能となるような経 済環境を実現 55 ミッション⑧:少子化対策に資する地域の包摂的成長 (これまでの施策、今後の施策) ●…これまでに実施した施策、○…今後実施する施策 【若者・女性の収入増を通じた「可処分所得の増加」に繋がる産業政策】 (地域の核となる企業の成長) ○ 地域経済を牽引する中堅企業に対する集中支援(新事業展開のための経営者ネットワークや専門家による支援体制の構築等) (法改正も視野に検討) ○ 中小企業・小規模事業者における事業再構築・生産性向上等、及びその関連施策と一体的に行う賃上げへの支援 ○ 成長志向の中小企業の創出(親族内承継やM&Aを含む第三者承継を機とした変革の推進、イノベーション支援、人材・資金 等の内部資源の充実、伴走支援) ○ 産業立地に係るインフラ整備(重要産業に係る工業用水等の産業インフラ整備、土地利用調整の円滑化等) ○ 労務費を含めた価格転嫁対策、パートナーシップ構築宣言 ○ インパクト投融資等を活用した、地域の社会課題解決を目指す事業を推進するエコシステムの確立 ○ 経営者保証に依存しない融資慣行の推進 (地域全体の経済・産業のビジョンと資金・人材が循環するエコシステムの確立) ○ 地域の資源を生かしたアート・デザインやスポーツの活用等による観光業等への投資促進 【若者・女性の「可処分時間の増加」に繋がる働き方改革や規制改革】 ⚫ 働き方改革による労働時間の適正化・両立支援・子育て支援、女性活躍の推進 ○ ダイバーシティ経営の浸透を通じた地域の働きやすい環境の整備・ 優良事例の選定 ○ 補助金審査の際のWLB加点措置導入 ○ なでしこ銘柄の活用による男女を問わない多様な働き方の促進 ○ 地域の中堅企業への働き方改革支援(地域未来牽引企業等の中堅企業のうち、子育て・健康・女性活躍等の「働き方改革」の 基準を満たす企業を選定した上で、特に優れた取組を行う企業の若者・女性へのPR等を実施) ○ 女性の健康課題の解決のためのフェムテック等の企業等への導入 ○ 家事支援サービスの利用促進 56 ミッション⑧:少子化対策に資する地域の包摂的成長 (これまでの施策、今後の施策) ●…これまでに実施した施策、○…今後実施する施策 【若者・女性の結婚・子育て・生活をめぐる環境を改善する取組】 ○ 多様なニーズに応える教育環境の実現(学校内外のリソースのフル活用を通じて、居住地域や家庭環境を問わず多様なニーズに対 応) ○ デジタルの活用を通じた交通・物流等の生活インフラの持続可能化(物流における「フィジカルインターネット」の実現等) ○ 社会課題解決ビジネスの成功事例の全国展開(社会課題解決ビジネスを通じた地域コミュニティの活性化による安心の創出) ○ 地方も見据えた男女の結婚に向けたマッチング支援 57 ミッション志向の産業政策(8分野): 社会基盤(OS)の組替え(5分野): ① 炭素中立型社会の実現 ・・・p.21 ① 人材 ・・・p.59 ② デジタル社会の実現 ・・・p.25 ② スタートアップ・イノベーション ・・・p.64 ③ 経済安全保障の実現 ・・・p.34 ③ 価値創造経営 ・・・p.74 ④ 新しい健康社会の実現 ・・・p.39 ④ 徹底した日本社会のグローバル化 ・・・p.80 ⑤ 災害に対するレジリエンス社会の実現 ・・・p.44 ⑤ 行政:EBPM・データ駆動型行政 ・・・p.84 ⑥ バイオものづくり革命の実現 ・・・p.47 ⑦ 成長志向型の資源自律経済の確立 ・・・p.50 ⑧ 少子化対策に資する地域の包摂的成長 ・・・p.53 58 OS①:人材(考え方) ⚫ 問題意識・腰を据えて取り組む意義 (未来人材ビジョン) ➢ 2022年5月に公表された「未来人材ビジョン」では、デジタル化や脱炭素化といったメガトレンドの中で、未来を支える人 材を育成・確保する観点から、雇用・労働から教育まで、社会システム全体の見直しが必要であるとし、①旧来の日本 型雇用システムからの転換、②好きなことに夢中になれる教育への転換が提言された。 ➢ ビジョンは、企業は自社の人的資本経営を推進することで、雇用・人材システムを聖域なく見直す必要があるとした。これ により、キャリアや人生設計の複線化が当たり前で、多様な人材がそれぞれの持ち場で活躍できる社会へと転換していく ことにもつながる。教育については、一律・一斉で画一的ではなく、時間・空間・教材等の組み合わせの自由度を高めた 教育へと転換していくことが重要であるとともに、メガトレンドに対応していくため、産業界と教育機関が一体となって、今後 必要とされる能力・スキルを備えた人材を育成することが急務とした。 (人的資本経営の広がりと課題) ➢ 2020年9月に公表された「人材版伊藤レポート」では、人事・人材に関する問題を、①コーポレート・ガバナンス改革の 文脈で捉え、②持続的な企業価値向上という文脈で議論し、③人事・人材変革を起こそうとした。 ➢ その後、コーポレート・ガバナンスコードの改訂(2021年6月)、「人材版伊藤レポート2.0」(2022年5月)、「人的 資本可視化指針」(同8月)、人的資本情報の有価証券報告書における開示義務化(2023年1月)等の政策の 進展があり、2022年8月には、「人的資本経営コンソーシアム」も設立された。 ➢ こうして、我が国では人的資本経営という用語自体は急速に広まったが、以下のような課題がある。 ① 企業価値向上との結び付けが弱い ② 「開示の仕方」にばかり関心が行き、「実践」が弱い ③ スキルの分類と見える化はそれほど進んでいない ➢ また、人的資本経営はつまるところ個々の企業の経営改革にとどまり、我が国の労働市場全体にわたる課題の解決には、 直ちに効果が出にくい。そこで、今一度、マクロでみた我が国労働市場が抱える課題を見つめ直し、そこから説き起こした 施策の展開が必要とされている。 59 OS①:人材(考え方) ⚫ 問題意識・腰を据えて取り組む意義 (「人材」分野を取り巻く課題) ➢ 物価上昇もあり、諸外国に比べて伸び悩む賃金、諸外国に比べて少ない人的投資、人口減少に伴う労働供給制約が 大きな課題。 ➢ こうした課題の背景としては、年功賃金制などの戦後に形成された雇用システムがある。今後は、人的資本経営のさらな る推進の一環として、DX・GXなどのメガトレンドに対応した人材の育成・強靭化を通じて、そうした人材が活躍できる 柔軟な労働市場へと変化させていく必要がある。 (潮目の変化を3つの好循環へとつなげる上での鍵) ➢ 物価上昇もあり、本年の賃上げは30年ぶりの高水準。また、世界最高水準に到達した労働参加と生産年齢人口の減 少による構造的な人手不足で、持続的な賃上げを行わないと人材確保が困難な状況。産業全体の新陳代謝を進め ていく観点からも、リスキリング・労働移動等は重要。 ➢ この「潮目の変化」を契機として、新たな施策も講じつつ、国内投資・イノベーション・所得向上の3つの好循環を持続化 していく。 ① 国内投資を行う上でのボトルネックとならないように、人材の質・量の両面で、人手不足への対応に万全を期す。 ② イノベーションの源泉となる人材の確保・質の向上のため、成長性の高い企業・産業への円滑な労働移動や、人的 投資を通じた人材競争力の強化を進める。 ③ 所得向上を一過性のものとせずに持続させるため、価格転嫁や国内投資・イノベーションを通じた高付加価値化を 進めることで企業の賃上げ原資を確保するとともに、中小企業、非正規雇用の方々などへと賃上げを波及させていく。 60 OS①:人材(考え方) ⚫ 中期的に取り組むべき領域と政策の方向性 ➢ 国内投資・イノベーション・所得向上の3つの好循環を持続化していくため、人手不足への対応や賃上げに必要な施策 を講じるとともに、内部労働市場・外部労働市場の活性化による労働移動の円滑化や官民を挙げたリスキリング・人材 育成を進めていく。 【①徹底した人手不足への対応】 ➢ 中長期の人口減少も見据え、女性・高齢者などが活躍できる環境の整備などを進めるするとともに、徹底した省人化投 資を進めることで、労働供給制約を緩和。 【②賃上げに向けた取組の強化】 ➢ 30年ぶりの高水準となった春闘での賃上げを持続的なものとするため、賃上げ税制等による賃上げの直接的な後押し を行うとともに、中小企業の価格転嫁対策や、国内投資・イノベーションを通じた高付加価値化を進めることで企業の賃 上げ原資を確保。 【③内部労働市場・外部労働市場の活性化による労働移動の円滑化】 ➢ 人手不足や賃上げの観点に加え、産業全体が新たな付加価値を生み出していくための新陳代謝を進めるためにも、円 滑な労働移動が起きる労働市場の構築が必要。そのため、ⅰ)内部労働市場を活性化させ、企業内でも個人のニー ズに応じて多様なキャリアパスを歩むことができ、スキルに応じて登用されるような仕組みを作るべく、人的資本経営を通 じた企業の具体的なアクションを求めていくとともに、ⅱ)外部労働市場の発達に向けて、リスキリングが労働移動やキャ リアアップに直接つながる機運を醸成するべく、リスキリングと労働移動の一体的な支援を行う。 【④官民を挙げたリスキリング・人材育成】 ➢ 併せて、企業の人材ニーズに応え、質・量の両面から必要な人材を充足させるため、企業が自らの従業員に対する人 材育成を行うことはもちろんのこと、官民を挙げて積極的にリスキリング・人材育成を進めていく。 ⚫ 当面見据える中期目標 ➢ 物価上昇を超える賃上げを持続的なものとするとともに、人手不足の解消、人的投資の拡大を目指す。 61 OS①:人材(これまでの施策、今後の施策) ●…これまでに実施した施策、○…今後実施する施策 【①徹底した人手不足への対応】 ⚫ パートタイム労働者の活躍支援(主に、女性をターゲット) (子育て支援・女性活躍支援に取り組む企業への補助金審査の際の加点措置導入、家事支援サービス・フェムテック等の企業等 への導入) ○ 中小企業等向けの人材活用ガイドラインの公表・周知 ○ 外国人材の活躍促進(外国人留学生の就職円滑化、技能実習制度・特定技能制度の見直し議論を踏まえた対応等) ○ 省人化投資の促進(ものづくり補助金の「デジタル枠」やIT導入補助金の活用による中小企業の自動化・IT化の推進) 【②賃上げに向けた取組の強化】 ⚫ 中小企業の価格転嫁対策・取引適正化の継続 ⚫ 拡充した中小企業の生産性向上支援策の推進 ○ 賃上げ税制の拡充 【③内部労働市場・外部労働市場の活性化による労働移動の円滑化】 ⚫ 在職者に対するキャリア相談からリスキリング・転職までの一体的な支援 ○ 人的資本経営コンソーシアムの活動の拡大(複数企業連携アクションの組成、情報開示に関する国際的な議論の主導、コンソーシ アムとしての人的投資拡大目標の設定等) ○ 副業・兼業支援における、地域企業での活用促進 62 OS①:人材(これまでの施策、今後の施策) ●…これまでに実施した施策、○…今後実施する施策 【④個別分野を含む、官民を挙げたリスキリング・人材育成】 ⚫ デジタル人材の育成・確保の継続(DX推進人材の育成、大学・高専の学部再編、海外からのIT人材の獲得等) ⚫ 企業による大学等における共同講座設置の支援 ⚫ 企業による高等教育機関設立関与を促進するための税制支援 ⚫ 半導体や蓄電池分野において、産業界が必要とするスキルを有する人材を育成するため産学官が連携して人材の育成・確保を推進 ○ 脱炭素化等による産業構造の変化を踏まえ、個別分野における今後のバリューチェーンを見据えたリスキリングや事業構造転換の 一体的支援 63 OS②:スタートアップ・イノベーション(考え方) ⚫ 問題意識・腰を据えて取り組む意義 (スタートアップとイノベーションの役割:新陳代謝、イノベーションの拡大循環) ➢ 今後の人手不足の環境の中で持続的な成長を実現するためには、産業の新陳代謝により高生産性・高賃金部門へリ ソースが集まることが重要であり、高い付加価値を生み出す新たな事業の創出に取り組む企業の存在が不可欠。新事 業の創出主体としてのスタートアップのエコシステムを政策的に支援する必要。 ➢ 同時に、社会課題を解決し、持続的な成長を実現するためには、より広く、革新的な技術やアイデアが事業化され、新 たな価値を生み出し、社会実装に至ることが必要。イノベーション実現による対価獲得が、賃上げ原資として所得向上に 繋がり、研究開発投資等のイノベーション投資に向かう拡大循環とともに、人材・技術が力を最大限発揮できる機会・場 を求めて移動・最適配置していく知的資本の拡大循環を促すことが重要。 (スタートアップ・エコシステムの活性化に向けた課題) ➢ イノベーションの担い手たるスタートアップの数や調達額はこの10年間で増えているものの、そのスピードや規模において世 界との差は開いており、ユニコーン数も期待ほど増えていない。特に、日本としてポテンシャルが高く社会課題解決(ミッ ション実現)において重要な役割を期待されるディープテック分野のエコシステムは様々な課題が存在。さらに、創業・成 長を支える人材や資金の不足や、既存企業・研究機関からのカーブアウト・スピンオフの少なさ、事業がスケールしないな ど、分野を問わず乗り越えるべき様々な課題が顕在化。 (研究開発・技術開発を核としたイノベーションの実現のための課題) ➢ 米中を中心に研究開発投資が急拡大し、研究者の数も増大。また、米中等では研究開発投資においても成長におい てもスタートアップ企業が台頭。一方、日本の研究開発投資額は横ばいで主要国で唯一研究者も増えておらず、スター トアップの研究開発投資・成長も限定的。研究開発投資の質量ともに高めるとともに、それをイノベーション(=事業化・ 市場創造)実現につなげる施策が必要。 64 OS②:スタートアップ・イノベーション(考え方) ⚫ 中期的に取り組むべき領域と政策の方向性: (スタートアップ・イノベーションのエコシステムを強化するの6つの柱) ➢ スタートアップ・イノベーションのエコシステムにおいて、新たな技術・アイデアが生まれ、事業化に至り、成長し価値を生むサ イクルが強化されるよう、以下の6つの柱を重点として取り組む。 ① スタートアップ・ファースト ➢ スタートアップへの投資額を5年で10倍とする5か年の目標を実現し、スタートアップを起点とするイノベーション循環を促 すため、(i) 多様な人材の呼び込み、技術シーズのカーブアウト等の促進、個人投資家からの資金供給加速等を含むス タートアップ創出拡大、(ii) 成長を支える人材の参画促進、機関投資家からの資金供給拡大、グローバルユニコーン創 出、ディープテック分野の事業開発・量産化の加速等を含むスタートアップ・エコシステムの強化に必要な支援策を講じる。 また、後述する (iii) 各ミッション分野におけるイノベーションの実現のためのスタートアップの役割にも着目して集中的に施 策を実施。 ② 人材と知的資本の創造 ➢ 多様な人材が最適な場所を求め、協働して力を発揮する環境づくり、企業や大学等における知的資本の創造と循環を 加速。知的資本のインプットのみならず、その成果(収益)につなげる取組を強化。 ③ 失敗を前提として挑戦を増やす ➢ 失敗を一切許容しないと大きな挑戦と成功は起こらないため、起業家や先端領域の研究者等の挑戦を促す観点から、 成功を前提とした目標設定・評価ではなく、失敗を前提とした仮説構築・行動を促す仕組みを構築していく ④ 市場創造への集中支援 ➢ イノベーション実現に向けた事業化・市場創造を促すため、企業経営者の競争戦略を後押しするとともに、規制・制度も 含め、官民の資源を集中投入。 65 OS②:スタートアップ・イノベーション(考え方) ⑤ ミッション領域に注力したスタートアップ・イノベーション政策 ➢ 経済社会構造の変革を伴うイノベーションの実現のため、各ミッション分野の施策と連携したスタートアップ・イノベーション 支援にも注力、効果的な実施を進める。 ⑥ 国家戦略としての計算基盤・汎用技術の強化 ➢ デジタル社会の実現とともにイノベーション循環の基盤として、AI・量子等の計算資源の整備・強化や将来の経済社会 変革をもたらす先端的・汎用技術に対する投資を強化 ⚫ 当面見据える中期目標: – スタートアップ:投資額を今後5年(2027年度まで)で10倍 – 研究開発投資: 官⺠合わせた研究開発投資の総額を2021-2025年度で合計約 120 兆円にする 66 OS②:スタートアップ・イノベーション(これまでの施策、今後の施策) 【スタートアップ・ファースト】 ●…これまでに実施した施策、○…今後実施する施策 ● スタートアップ育成5か年計画の着実な遂行(2022年度から開始) 〔スタートアップの創出拡大〕 ○ 女性起業家支援の強化(女性起業家海外研修プログラムの創設、JICによる女性キャピタリストを採用・育成する民間ファンドや女 性起業家に積極的に投資する方針の民間ファンドへの出資等)(P70参照) ○ スタートアップビザの拡充(VC・アクセラレータ等の民間事業者を管理・支援団体に追加、最長在留期間の延長を検討) ○ 事業会社等の優れた技術・人材の切り出しによるスタートアップ創出促進(カーブアウトした者が行う研究開発の支援の強化、研 究者と経営人材のマッチング・起業家育成の推進) ○ パーシャルスピンオフに関する税制の恒久化の検討 ○ エンジェル税制のさらなる活用促進や利便性の向上に向けたあり方の検討 〔スタートアップの成長促進〕 ○ 税制適格ストックオプションの見直しの検討(令和6年度税制改正要望に向けて、株式保管委託要件の撤廃、社外高度人材 への付与要件の緩和・認定手続の軽減、権利行使限度額の大幅な引き上げ又は撤廃など検討) ○ ストックオプションの発行に関する規制緩和の検討(株主総会から取締役会への委任決議の有効期限や委任内容) ○ LPSの投資対象の暗号資産等への拡充、海外投資比率制限の要件緩和の検討(法改正も視野に検討) 、公正価値評価を LPSの会計規則に位置づけ ○ グローバル・ユニコーン創出に向けた重点的支援(P71参照) ○ 大企業における経営資源活用促進のためのオープンイノベーション促進税制の在り方の検討 ○ 知財専門家のVCへの派遣による支援強化、特許審査における審査官側からのプッシュ型支援(面接機会の提供等)の推進 ○ JICの運用期限の延長(法改正も視野に検討) ○ ディープテック・スタートアップ政策パッケージ(P72参照) 〔社会課題を解決するスタートアップへの支援強化/ミッション施策群に紐付いたイノベーション支援〕 ※後掲「ミッション領域に注力したスタートアップ・イノベーション政策」を参照 67 OS②:スタートアップ・イノベーション(これまでの施策、今後の施策) 【人材と知的資本の創造】 ●…これまでに実施した施策、○…今後実施する施策 ⚫ 産学連携の推進(産学連携ガイドラインの作成普及、産学融合拠点事業、TLO法等) ○ イノベーションボックス制度の検討(イノベーション拠点としての立地競争力強化の観点から、国内で開発された知的財産から生じる 所得に税制上のインセンティブを与え、企業の知的財産創出等に向けた研究開発投資を促進)。 ○ スターサイエンティスト(候補)と企業の連携の促進(スターサイエンティスト候補たる若手研究者と企業との産学連携研究に対す る助成や、成果である「知」の可視化に係るガイドラインの普及等)。 ○ 博士人材の就職ルートの多様化 【失敗を前提として挑戦を増やす】 ● 懸賞金型研究開発事業を試行的に導入(宇宙分野やAI分野など) ○ 今後、懸賞金型研究開発事業の分野や事業規模を拡大(本格的な実施を検討) ○ 研究開発支援事業におけるステージゲートの活用(方向転換(ピボット)や早期撤退を柔軟に選択できる仕組みを導入) ○ ムーンショット基金の増強と新たな評価指標の導入(ムーンショット基金を増強し、更に野心的挑戦を促す「失敗」を積極的に評価 する新指標と仕組みを導入) 【市場創造への集中支援】 ○ 研究開発支援事業における社会実装に向けた先行的取組の横展開(GI基金における社会実装を促す取組(経営者コミットメン ト、事業戦略・資金計画との連動、TSC等を活用した技術調査、標準化戦略、EBPM等)を検証し、その他の研究開発事業(例 えばポスト5G等)に拡大) ○ 企業のルール形成の取組の後押し(国際標準化をはじめとするルール形成等に取り組む企業がその活動を経営戦略に組み込み、 資本市場に評価されるよう「価値協創ガイダンス」等を踏まえた統合報告書記載を推進、「知財・無形資産ガバナンスガイドライン」での 標準化戦略に関する記載強化。これらを基に企業行動の変容を促す枠組も検討。 ) ○ 標準化活動の体制強化(標準化人材の育成・活用、人材情報のアクセス改善、アカデミア(学会)との連携強化、支援機能の 強化等) ○ JAXAの戦略的かつ弾力的な資金供給機能の強化 ○ ディープテック・スタートアップ政策パッケージ(再掲) 68 OS②:スタートアップ・イノベーション(これまでの施策、今後の施策) ●…これまでに実施した施策、○…今後実施する施策 【ミッション領域に注力したスタートアップ・イノベーション政策】 (スタートアップ) ○ GX分野 (GX関連分野におけるスタートアップ企業の研究開発・社会実装支援等を抜本的に強化) ○ DX 分野(次世代半導体のユースケース創出に取り組むスタートアップの開発費等支援) ○ ヘルスケア分野(ヘルスケア分野に強みを持つ海外の有力VCやアクセラレータと連携したスタートアップ育成プログラムの展開、スター トアップによる革新的な医療機器の開発の推進・環境整備) ○ レジリエンス分野(SBIR等を活用した自治体への先進防災技術の導入促進の検討) ○ バイオ分野(日本医療研究開発機構(AMED)の3,500億円の基金活用、バイオスタートアップの上場基準の適正化等資金調 達環境を整備) ○ インパクトスタートアップ(「J-Startup Impact」の創設、若手人材の海外のインパクトスタートアップ等への研修派遣、B-Corp制 度の認証取得支援のための専門家登録・活用促進) (研究開発) ○ ミッション領域に特化した研究開発政策の基本要素や条件等の分析・体系化を行い、関連施策の評価・点検を実施。研究開発政 策の新たな目標設定やKPI・評価方法に反映 69 OS②:スタートアップ・イノベーション(これまでの施策、今後の施策) ●…これまでに実施した施策、○…今後実施する施策 【国家戦略としての計算基盤・汎用技術の強化】 ○ 量子コンピューティング開発拠点の強化(量子コンピューティング技術の産業化に向けた研究開発の推進・支援強化として、産総研 に整備する「量子・AI融合技術ビジネス開発グローバル拠点(仮称)」において、量子コンピュータを活用したユースケース創出の大幅な 拡充、量子コンピューターを構成する部素材の評価・国際標準化等を通じたサプライチェーン構築の加速、国内外の量子コンピュータ設置 による量子・古典計算利用環境の拡充を通じた海外連携等を実施。) ○ 官民連携したAI研究開発の加速化(産総研のABCI(AI橋渡しクラウド)を含めた計算基盤を整備・拡充するとともに、 AI Japan(人工知能研究開発ネットワーク)も活用し、言語・画像・ロボティクス等の基盤モデルの基礎的な開発能力を構築・強化。) 70 女性起業家支援パッケージ ⚫ スタートアップの起業家に占める女性の割合は少なく、また女性起業家特有の課題も存在することか ら、女性起業家支援を総合的に推進する。 新規上場企業に占める 女性社長の比率 2% 女性起業家が抱える課題 女性起業家は起業家ネットワークへの アクセスが限定的 ・起業について相談相手が不在、情報入手先も 分からない 資金調達、顧客・販路開拓、財務・税 務・法務に関する知識の不足に苦労 ・出資判断で妊娠・出産を後ろ向きに評価という声 も 女性ベンチャーキャピタリストが少ない ・投資担当平均16.3% ・マネジメント層や投資意思決定層平均9.3% 支援パッケージ ①ロールモデルの創出 ○J-Startupにおける女性起業家の割合を今後10年で20%を目指す (現在8.8%) ○起業家海外派遣事業での女性起業家プログラム(40名程度)の新設 ○未踏事業への女性応募拡大のため、女性修了生等による情報発信の機会強化 〇大臣ミッションへの女性起業家参加拡大 ②女性起業家支援ネットワーク構築 ○女性起業家支援機関の全国ネットワークである「わたしの起業応援団」を地域ブ ロック別に拡充し、スタートアップ支援機関と連携 ○スタートアップ支援政府機関プラットフォーム(Plus)において、女性起業家の育 成を支援する人材を育成するプログラムの推進 ③マッチングの場の提供(JOIC、各種イベント) ○JOIC(Japan Open Innovation Council)による女性起業家ピッチの開催 〇J-Startup定例イベント(J‐Startup Hour)での女性イベント開催 ④金融支援 ○日本政策金融公庫の女性、若者/シニア起業家支援 ○JICによる女性キャピタリストを採用・育成する民間ファンドや女性起業家に積極 的に投資する方針の民間ファンドへの出資 71 「Unicorn Challenge」(グローバルユニコーン創出に向けた集中支援パッケージ) ⚫ 日本経済の成長を牽引し、世界のイノベーションをリードするグローバル・ユニコーンの創出に向けて、 J-Startup選定企業、ディープテック・スタートアップ支援事業の選定企業、起業家海外派遣 事業やNEDO人材発掘・育成事業「NEP」の修了生等から選定したグローバル展開を目指す 有望なスタートアップに対して、以下の支援施策を活用し、重点的支援を行う。 支援パッケージ ①ボーン・グローバルなスタートアップの創出 ○将来のグローバル展開に備えて、創業初期からコーポレートガバナンスや資本政策を国際標準に適合させていくことが重要であり、海 外アクセラレーターの誘致や起業家海外派遣事業「始動」等において、国際標準のガバナンス・投資契約等に関するレクチャー等を 実施。 ②グローバル展開のパートナーとのマッチング ○シリコンバレー等での起業家育成拠点の開設(本年秋予定)、国際的なスタートアップイベント「Moment」の開催(本年10月)、 日ASEAN 共創ファストトラック・イニシアティブ(2023年度はシンガポール、バンコク、ジャカルタ、ハノイで開催)、J-Bridge等を活 用した日本のスタートアップと海外VC・事業会社等とのマッチングの推進。 ○経済産業大臣の海外訪問への同行などにより、トップセールスを推進。 ○在外公館日本企業支援担当官やJETRO海外事務所・グローバルアクセラレーションハブ等によるグローバル展開支援の強化。 ○JETROによる海外のスタートアップカンファレンス等への出展支援の強化。 ○NEXIの新枠組である「SEEDスキーム」を活用した海外企業との新たな取引の創出・拡大。 ③グローバル展開のための資金支援 ○官民ファンド等による出資及び海外展開支援。 ○NEXIによる国内融資保険スキームを活用したスタートアップの海外展開支援等の後押し。 ○NEDOの国際共同研究支援、海外技術実証支援による海外展開時の研究開発の助成の強化。 ○ADX促進事業により、海外実証・ブーストアップに挑戦するスタートアップへの資金助成。 72 ディープテックスタートアップ政策パッケージ ⚫ イノベーション循環の主な担い手はスタートアップであることを改めて強く認識し、特に研究開発 起点のイノベーションの核となるディープテック・スタートアップの成功事例を多く生み出しつつ、 裾野を拡大することで、ディープテック分野のエコシステムの形成を促進する。 支援パッケージ ①事業の拡大に向けた事業開発支援 ○ディープテックスタートアップの事業拡大に資するよう、事業を成長させる段階における事業開発や量産化の支援の拡充を検討する。 ②経営人材等の確保 ○大学等の技術シーズの事業化、又はその成長のため、VC等が経営人材を発掘・育成し大学等の技術シーズや大学発スタート アップとのマッチングを行うための取組の継続・拡充を検討する。 ③ディープテック分野の担い手の発掘・育成 ○ディープテック分野の技術・人材の流動化を促進し、エコシステムの裾野を持続的に拡大させるため、ディープテック分野の人材発 掘・起業家育成を推進する。 ④カーブアウト加速プログラムによる担い手の拡大 ○研究開発の成果が得られたものの事業として活用しきれていない技術の事業化を促すため、VC等とも連携し、カーブアウトする者 の研究開発支援等を行い、事業会社等の優れた技術・人材の切り出し(カーブアウト)を加速させる。 ⑤リスクマネーの供給拡大 ○JIC等によるディープテック・スタートアップに対する投資の強化に加え、ディープテック・スタートアップ支援事業を推進する。また、 ディープテック・スタートアップの評価・連携の手引き等を活用することによる事業会社とディープテック・スタートアップのマッチングを促 進する。 73 OS③:価値創造経営 ⚫ 問題意識 (2014年「伊藤レポート」公表以降の状況) ➢ 2014年に伊藤レポートを公表して以降、日本企業の自己資本利益率(ROE)は一定程度改善したが、この間 の利益の拡大は「売上原価の抑制」等で生まれた面が大きい。 ➢ 多くの日本企業は、拡大した利益から生まれた資金について、中長期的かつ戦略的視座での経営資源配分(事 業再編、成長投資や人件費など)に振り向ける点に課題を抱え、またリスクマネーを調達して行う成長投資にも積 極的ではなかったため、競争力や将来の成長期待が高まらず、企業価値を十分には伸ばせなかった。 ➢ さらに、人口減少により国内需要拡大の期待が低い一方で、企業活動のグローバル化が進む中、投資先としては国 内より収益力の高い海外が重視されてきたため、企業にとっての最適投資戦略が「国内投資・イノベーション創出を 通じた国民所得向上」に繋がりにくかった面がある。 (「国民所得向上」を実現する「価値創造経営」を進める必要) ➢ 賃金上昇・投資拡大・事業再編の増加などの「潮目の変化」を社会課題解決による持続的成長につなげるラスト チャンスともいえる状況の中、日本企業の「価値創造経営」、すなわち高い資本効率・収益性(高いROE)を確保 しつつ、社会課題の解決を通じた成長戦略を策定することで成長期待を集め(高いPER)、持続的に企業価値を 向上させる経営(結果として高いPBRになる)を、いかにして「国内投資とイノベーション創出を通じた国民所得向 上」に結びつく形で定着させられるかが課題。 ➢ 政府は一歩前に出て「ミッション志向の産業政策」で企業の国内投資を促し、個人は自らのキャリア形成に取り組む 一方で、我が国の付加価値の過半を占める大企業には、自らのアニマル・スピリッツに再び火をつけて、賃上げ等に対 応する原資を確保し続けるべく、自社株買い等の一過性の対応のみにとどまらず、持続的に価値を創造する経営に 取り組み、日本全体で早急に結果につなげることが求められている。 74 OS③:価値創造経営 ⚫ 中期的に取り組むべき領域と政策の方向性 「資本市場改革」によって資本市場から上場企業への規律が強化されることに呼応し、政府は日本企業が長期的・持続 的な価値創造に向けた「企業経営改革」を進めること促し、GXなど社会課題領域での「ミッション志向の産業政策」を講じる ことで、国内投資促進、イノベーション創出、国民所得向上の「3つの好循環」を実現する。 ①「資本市場改革」(資本市場改革を通じ、規律の強化を通じて企業の価値創造経営の実行を促す) 東証が全てのプライム・スタンダード上場企業に対して、ROE等の資本収益性やPBR等の市場評価についての現 状分析と改善計画の策定・開示等を要請し、投資家が企業経営を継続的に評価とエンゲージメントを行う環境を 整えることを通じ、資本市場の規律が日本の上場企業の価値創造経営を後押しする。 ②「企業経営改革」(政府として、企業が中長期視点でSXを軸とした価値創造経営の実行を促す) 資本市場からの規律が強化される中、上場企業が自社株買い等の一過性の対応のみにとどまらず、多様な社会 課題の解決を通じた長期的・持続的な価値創造を進めるべく、中長期視点での「SX(サステナビリティ・トランス フォーメーション)経営戦略」を構築し、その戦略を実行する経営陣の「執行機能の強化」と、経営陣を規律づける 「ガバナンスの強化」を進めることを促す。 【中長期視点での「SX経営戦略」の構築と実行、ガバナンス】 1)バックキャスト型長期経営:社会課題解決など中長期の価値創造戦略 2)バランスシート経営:事業ポートフォリオマネジメントと、無形資産を含めた高速で大規模な投資 3)人的資本経営:取組については「人材」部分を参照 4)マネジメント改革(執行機能の強化):中長期視点の戦略を着実に実行するマネジメント 5)上記1から4を確実なものとするガバナンス強化:グローバル水準の長期インセンティブ報酬、優れたCEOを選ぶためのサクセション プラン作成、過半数の独立社外・多様性のある取締役会、長期経営方針についてCEOと社外取締役の徹底した対話 ③「ミッション志向の産業政策」(政府として、民間だけでは投資が進みにくい中長期的な社会課題領域を中心にした国 内投資を促進する) 75 OS③:価値創造経営 ⚫ 当面見据える中期目標 ➢ 2030年に日本の代表的企業(TOPIX500企業を想定)のPBR1倍以上の割合を約6割から約8割(欧州 STOXX600並) ➢ 価値創造経営の実現のためには、長期目線で必要な事業再編や成長投資(無形資産投資・設備投資) の実行により、資本効率性・収益性を高め(ROE向上)、中長期的な成長戦略を策定してさらなる成長期 待を集め続ける(PER向上)経営の広がりが重要であることから、現在の経営の効率性の代理指標である ROE(自己資本利益率)と、企業の成長期待の代理指標であるPER(株価収益率)を乗じた値である PBRを指標として置いている。 ➢ 同種の企業群を継続的に国際比較する観点から上記のKPIを用いるが、TOPIX500を構成するような「日本 の代表的企業」のみが経営改革を進めればよいということを意味するものではなく、上場する全ての企業にとって 長期的・持続的に資本コストを意識した価値創造経営が求められる。 76 OS③:価値創造経営(これまでの施策、今後の施策) ●…これまでに実施した施策、○…今後実施する施策 【資本市場改革】 (東証の取組) 東証が進めている以下の取組は、PBR1倍を下回る企業が上場企業の多くを占めるなど企業価値を十分に伸ばしきれていない中で、 価値創造経営に向けた取組を後押ししようとしてきた新機軸部会での議論と軌を一にするもの。以下の取組を、企業経営改革の推進や 産業政策の観点から、積極的に連携・支援する。 ● 全てのプライム・スタンダード上場企業に対して、ROE等の資本収益性やPBR等の市場評価についての現状分析と改善計画の 策定・開示等を強く要請 ● PBR又はエクイティスプレッド(=ROEー株主資本コスト)の高い時価総額上位企業150社を選ぶ新株価指数の導入を決定。 ● 経過措置の期限を明確化した上で、「形式の遵守」だけに陥りがちな上場企業のコーポレートガバナンスの「実質化」に向けて、「コンプ ライ・オア・エクスプレイン」の趣旨を改めて周知するとともに、好事例や不十分な事例等を明示し、自主的な点検を促す。 ○ プライム市場における必要な情報の英文開示の義務化をはじめとした新市場のコンセプトに整合した制度の整備。 (金融庁の取組) コーポレートガバナンスに関し、コードやガイドラインの整備は形式の整備・定着に資する一方、細則化により形骸化を招くおそれがあり、 自律的な意識改革を促す環境整備が求められている。金融庁が公表した「アクション・プログラム」で示されている以下等は重要な課題で あり、連携して取り組む。特に、買収取引において市場機能が健全に発揮されるよう、「企業買収における行動指針(仮称)」を策定す るとともに、その後の状況をフォローアップし、必要な対応を適時講じる。 ○ エンゲージメントの阻害要因である大量保有報告制度の見直し検討 ○ 公開買付け制度に関する検討 ○ 実質株主の透明性のあり方についての検討 ○ 独立社外取締役の機能発揮 77 OS③:価値創造経営(これまでの施策、今後の施策) ●…これまでに実施した施策、○…今後実施する施策 【企業経営改革】 ○ PBR向上につながる「価値創造経営」の戦略構築に向けた包括的ガイドライン策定【本年夏以降検討開始】(事業戦略と財務 戦略を統合的に立案・開示するフレームワークを策定し、既存のガイドライン類と一体的に整理し、東証が上場企業に求める「資本コ ストや株価を意識した経営の実現に向けた対応の要請に基づく「改善計画」の開示」対応にも活用可能な形態で提示する) <中長期視点でのSX経営戦略の構築と実行、ガバナンス> ● 「伊藤レポート」(1.0~3.0)、「価値協創ガイダンス」の浸透 ● 事業再編・成長投資の実行(JICを通じた事業再編・成長投資等) ● 人的資本経営(「人材版伊藤レポート2.0」・「人的資本可視化指針」・「人的資本コンソーシアム」)⇒詳細は「人材」パート参照 ○ 「SX銘柄」の選定とモデル浸透【来年春頃】(社会課題解決等を通じた持続的な価値創造戦略を策定し、必要な経営・事業変 革(SX)を実行する先進的企業群を選定・表彰する。ロールモデルとして分析レポートとともに公表し、東証による上記要請に対応 して上場企業が「改善計画」を策定する際にも参照・活用されるよう普及を図る。) ○ サステナビリティ関連データの経営戦略への活用事例【本年夏頃】(SX経営の実践に必要なサステナビリティ関連データを効率的 収集、戦略的に活用するよう企業の意識変革と体制整備を促すために、好事例を含めたレポートを策定・公表) ○ 「企業買収における行動指針(仮称)」策定【本年夏】(経営支配権を巡る市場機能を働かせ、買収を通じた経営の改善、業界 再編の進展、資本市場における健全な新陳代謝促進) ○ パーシャルスピンオフに関する税制の恒久化の検討【令和6年度要求】 ● CGSガイドライン改訂 ● 「役員報酬の手引き」の改訂【本年3月】(幹部候補等の従業員に対する自社株報酬の付与について、Q&Aや議案・契約書の 例を提示) ○ 社外取締役の支援【本年5~6月】 (研修やトレーニングの活用の在り方についてポイントを整理し、実践的なケーススタディ集を 作成) 78 OS③:価値創造経営(これまでの施策、今後の施策) ●…これまでに実施した施策、○…今後実施する施策 【ミッション志向の産業政策】 ● 「ミッション志向の産業政策」の対象となる民間企業には、支援対象プロジェクトが企業のパーパス・戦略と直結し、イノベーションの創 出、社会実装に向けた投資に繋がることを期待。そのため、「企業経営改革」を進めることを求める。 ○ さらに、東証が全てのプライム・スタンダード上場企業に対して、ROE等の資本収益性やPBR等の市場評価についての現状分析・改 善計画の策定・開示を強く要請することを踏まえ、特にPBR1倍を下回る企業に対して、改善方針の策定・開示を求める。(GI基 金の実施企業に対する取組状況の確認等) 79 OS④:徹底した日本社会のグローバル化 ⚫ 問題意識・腰を据えて取り組む意義 (地政学的リスクの拡大に対応した対外経済政策の方向性) ➢ 米中対立、ロシアによるウクライナ侵略等を背景に、世界は地政学的な構造変化に直面。安定した国際秩序の下 でヒト・モノ・カネ・データの流れが増加し続ける「グローバリゼーション」の流れは変容。 ➢ WTOは機能不全に陥り、一部の国は経済依存関係を武器化(経済的威圧)。 ➢ このような状況の中、資源・食料の輸入国である日本にとって、自由貿易体制の堅持と経済安全保障の確保(同 志国間の信頼に基づくサプライチェーンの構築等)の両立が不可欠。 (「所得向上」に資する日本の「稼ぐ力」の強化) ➢ 日本は経常黒字を維持しているものの、30年間で輸出競争力は低下。2022年度の貿易赤字は過去最大となり、 電気・電子機器も赤字転落。輸出価格の伸び悩みは交易条件を悪化させ、国民所得に影響。 ➢ 足下の経常収支を支える投資収益は引き続き重要。他方、貿易・サービス収支の黒字は投資収益の黒字に比べ、 乗数効果を通じ国内所得により裨益が大きいことに留意。実質所得の低迷が日本経済の課題として存在する中、 国内の雇用・所得向上にも寄与する形で、日本が世界で「稼ぐ」道筋を検討する必要。 (人材、知恵の獲得競争の中での対内直接投資の促進強化の必要性) ➢ 各地で産業構造の高付加価値化の取組が進められる中、経済を牽引する人材・イノベーションを獲得する重要性 は世界中で拡大。各国は高度人材・投資を引き込むための優遇措置を講じるなど、獲得競争が激化。 ➢ 海外からのヒト、モノ、カネ、アイデアを積極的に取り込み、国内投資拡大・研究開発促進による我が国成長力の強 化を目指す上でも、更なる対内直接投資拡大に向けた取組の強化が必要。 80 OS④:徹底した日本社会のグローバル化 ⚫ 中期的に取り組むべき領域と政策の方向性 (経済安全保障と両立した国際秩序の再構築) ➢ グローバリゼーションの変容に対応し、①WTO改革・WTOの補完を含むルールベースの国際貿易秩序の再構築と共 に、②有志国と連携した信頼できるサプライチェーンの構築、③グローバルサウスとの連携強化を同時に進める。 (貿易、サービスを含む「稼ぐ力」の強化) ➢ 所得向上と経常収支の両立に向け、各分野で以下のように「稼ぐ力」を強化。 • 輸出促進:輸出手続に係るコスト削減等を通じ、幅広い主体の輸出競争力を強化 • サービス輸出促進:サービスと一体となった製品・技術との連動、インバウンドの強化 • 海外投資・進出:生産性向上・イノベーション創出のための、新規事業探索支援(スタートアップの国際展開 支援、グリーン・デジタル分野等における国際ルール形成)、海外市場でのスケール化を含む新規投資のため の資金調達支援の強化等 (対内直接投資の推進に向けた国内環境整備) ➢ 「内なる国際化」に向けて、対内直接投資や高度外国人材の受入れを加速するため、外国企業や高度外国人材 が魅力を感じる環境の整備に全力で取り組む。 ⚫ 当面見据える中期目標 ➢ 2030年までに対内直接投資80兆円、早期に100兆円 81 OS④:徹底した日本社会のグローバル化(これまでの施策、今後の施策) ●…これまでに実施した施策、○…今後実施する施策 【自由貿易と経済安全保障を両立した対外経済政策の立案】 ⚫ WTO改革の推進に向け、日米EUの三極等での議論や、2017年のWTO傘下での有志国による交渉(JSI)の立ち上げに参加し、 特に電子商取引交渉は共同議長としてリード。また、紛争解決機能の完全な回復に向けた加盟国間の議論に積極的に参加すると ともに、暫定的な解決策として有志国による上訴仲裁枠組み(MPIA)に2023年3月に参加。 ○ ルールベースの国際貿易秩序の再構築(WTO改革)(時代に即したルール形成(電子商取引、補助金等)に取り組み、終 局的な判断が得られる紛争解決機能の回復等に向けて努力するとともに、紛争解決における仲裁制度等を活用・整備) ○ 有志国との信頼できるサプライチェーンの構築(有志国との信頼できるサプライチェーン原則(「強靭で信頼性のあるサプライチェー ン原則」)のG7サミットでの合意を踏まえ、さらなるサプライチェーン強靭化に向けた具体的な取組を進める) ○ グローバルサウスとの連携強化の取組(G20などの国際フォーラや経済連携協定、IPEF、QUADといった枠組み、ASEANをはじめ とするアジア、アフリカ諸国などとの対話等を活用しながら、いわゆるグローバルサウス各国が直面する社会課題に対し、我が国がもつ技 術などの強みを活かして共に解決していくことを目指す) 【輸出促進】 ⚫ 貿易手続きデジタル化に向けて2022年6月に関係事業者らをメンバーとした貿易分野データ連携ワーキンググループを立ち上げ、貿 易DX推進に必要な施策の議論を実施。併せて、トレードファイナンス タスクフォースを立ちあげ、国内貿易ファイナンスの実務で用いら れるデータ項目と国際標準との差異の洗い出しを行い、国際標準に基づく貿易データ連携推進に必要な取組を議論してきた。 ○ 貿易手続きのDXの推進本格化(貿易プラットフォームの活用促進のための補助金導入や、トレードファイナンス等に係るデータモデ ルの国際標準修正の働きかけを実施。日ASEAN友好協力50周年の場も活用しつつASEAN等の貿易デジタル化ロードマップの策 定や、各国への施策提言も行う。これら取組により、貿易手続きに関するコスト削減を実現する) ⚫ 輸出環境の改善:NEXIの融資保険をテコに、支援を求める海外企業に対し、将来的な日本企業との取引の創出・拡大に積 極的に取り組むことを求めることで、輸出環境改善につなげる「SEEDスキーム」を創設。 ⚫ 中小企業等の稼ぐ力の向上:輸出未経験企業等を対象にした新規輸出1万者支援プログラムの推進・強化。 82 OS④:徹底した日本社会のグローバル化(これまでの施策、今後の施策) ●…これまでに実施した施策、○…今後実施する施策 【海外投資・進出】 ⚫ JETROのスキームやADXを通じてのスタートアップを含む日本企業の海外展開支援の実施 ○ 新規事業探索支援を強化(スタートアップを含む先端企業の支援/現地企業とのマッチング機会の創出、グローバルサウス等地域 戦略の策定、IPEF等の経済連携枠組みと連動した形でのグリーン・デジタル分野等における国際ルール形成と案件形成支援(補 助・ファイナンス等)を一体で促進する) ○ 現地での事業参入・拡大支援を強化(日本企業が海外市場における新たなビジネスをスピーディに展開するための課題克服や、グ ローバルトップとなるための事業規模拡大に繋がる支援のあり方の検討を行う) ○ インパクト投資の拡大支援(効果的な市場進出のために重要な協業の「触媒」となる、海外で活躍するVCを、直接・間接に支 援) ○ 資金調達支援の強化(NEXIの融資保険等を通じた、サプライチェーン強靭化、GX、スタートアップの海外展開支援) ○ 対外経済戦略の策定と支援実施体制の強化(各国市場の特徴、世界の技術動向と我が国産業の強み、資源分布等を踏まえ、 地域・分野毎に、何を生産・提供し、どのような利益を獲得するか整理する。また実施体制の強化を検討) 【サービス貿易促進等】 ○ 事業参入・拡大を支援強化(ヘルスケアやスマート農業等で、機器とサービスのセットでの普及、サプライチェーン管理等を目的とした サイバーフィジカル領域のプラットフォーム・サービス、実証事業の支援に加え、グローバルベンチマークへのスケール化に向けた補助金・ ファイナンス支援) ○ オンライン市場での製品事故拡大防止(主にオンライン市場で海外事業者により販売される製品について、製品事故の拡大防止 措置が確実に講じられる制度を整備。また、玩具等の子ども向け製品の安全を確保し、消費者が安心して取引できる市場の拡大) 【対日直接投資促進】 ⚫ 高度外国人材の受け入れ拡大に向けた検討 ⚫ スタートアップを含む海外企業の呼び込みのための誘致活動や、日本における事業可能性調査支援を実施。 ○ 国内外スタートアップ・エコシステム間のネットワーク強化(国内外スタートアップ・エコシステム等におけるピッチイベントやネットワーキン グ等を通じて、海外投資家を含む現地エコシステム関係者とのネットワークを強化する。また、海外企業経営者層等の招聘を行う。) ○ 海外企業と日本企業とのマッチングの強化(それにより、海外企業の日本進出、国内定着、地域への二次投資を促進) ⚫ 対日M&Aを実施した企業が直面していた課題、経済安全保障を含む留意点やメリットとともに、20の事例からなる事例集を作成。 ○ 対日M&A・外国企業との協業促進(対日M&Aや外国企業との協業による経営改善・改革効果を分析、その結果を普及等する) 83 OS⑤:EBPM・データ駆動型行政(考え方) ⚫ 問題意識・腰を据えて取り組む意義 (軌道修正が起こりうるという前提での政策運営) ➢ 「経済産業政策の新機軸」は、答えの見えない社会課題の解決のために必要なリスクテイクを民間任せにせずに、政 府も一歩前に出て積極的な投資を行うことが取組の前提。民間の予見可能性を高めるために、大規模・長期・計 画的に取り組む一方で、今後の技術等の進展によって、社会課題解決の具体的な解が、現在の予想とは異なるも のになる可能性が十分に存在。 ➢ 政策を有効なものとするためには、政策の前提が変わったり、施策が望ましい効果を上げていない場合には失敗に学 び、軌道修正することが不可欠。 ➢ その実現のために、政策効果の具体的指標を適切に設定し、政策効果をモニタリングしてデータ等で検証できるよう にするEBPM・データ駆動型行政の取組が必要。 ⚫ 中期的に取り組むべき領域と政策の方向性 ➢ 新機軸施策のそれぞれの柱について、政策効果のモニタリングができるような適切な目標・指標の設定を行うとともに、 大規模な施策を中心に、これまで取り組んできたEBPMの取組を拡充する。 ➢ 同時に、組織としてデータを有効に活用できるよう、データ基盤等の環境整備を行うとともに、職員のデータ活用能力 を高める。 ⚫ 当面見据える中期目標 ➢ 政策の新陳代謝(新たな政策への挑戦や既存政策の廃止)及び高度化(政策の質的変化、中長期の目的に 応じた継続性の確保も含む)。 (関連指標) ・新たな政策評価方針に基づく適切なミッション・KPI・メトリクス設定の数 ・因果推論を含む効果検証を実施した予算事業数 84 ・デジタル技術の活用を含めたデータに関する研修の受講者数 OS⑤:EBPM・データ駆動型行政 (これまでの施策、今後の施策) ●…これまでに実施した施策、○…今後実施する施策 (政策の効果検証) ○ 政策の効果・進捗モニタリングのための指標設定(新たな政策評価方針に基づき、経済産業省が実施する政策の効果・進捗に 係るモニタリングのための指標について、新機軸の各分野における指標を踏まえて、夏までに設定する。) ⚫ RIETI・EBPMセンターの設立 ⚫ 大規模予算事業(半導体・GI基金)の検証シナリオ策定 ○ 効果検証の対象を拡充(バイオものづくり、データ数の多い予算事業等) (データの整備) ○ 公的統計の調査表情報の利用簡素化・早期化を行う。 ○ 省内データ基盤の整備(行政手続きで取得するデータやニーズの高い民間データについて、省内横断的に政策の立案・モニタリン グ・効果検証に活用できる仕組みの構築)。 ○ 政策効果・進捗のモニタリング指標について自動的に収集できる体制・システムを構築。 (業務や手続きにおけるデジタル化) ○ 経済産業省における行政手続きのオンライン化(R7年末まで) ○ 生成AIを試行的に導入(業務効率化や政策立案高度化の可能性を探索) (職員のリテラシー向上) ⚫ データやEBPMに関するリテラシー向上を目的とした一部職員向けの研修プログラムを実施。 ○ AI・デジタルデータ活用に関する研修(AI含むデジタル・データに関する必要なリテラシーと対象とすべき職員を整理した上で、研修 85 プログラムを実施。)

資料10

参考資料2-③ 経済産業政策新機軸部会 第2次中間整理 参考資料集 2023年6月27日 経済産業政策局 目次 Ⅰ.現状認識 (1)「失われた30年」の振り返りと「新機軸」 (2)産業政策において中長期的に踏まえるべき動向 (3)世界・日本における政策的支援の転換 (4)足下で起こっている変化の兆し・潮目の変化 (5)長期持続的な成長に繋げる必要性 Ⅱ.「経済産業政策の新機軸」の考え方 Ⅲ.国内投資・イノベーション・所得向上の3つの好循環を 実現するための主要な政策ツール Ⅳ.分野毎の施策 <ミッション志向の産業政策> <社会基盤(OS)の組替え> 2 期待成長率の低下 ⚫ 「失われた30年」の中で、企業の中長期的な期待成長率が低下。人口減少を背景と したデフレマインドの蔓延、将来悲観が背景に存在。 ⚫ 1990年代には4%以上であった潜在成長率は年々低下し、2010年代に入ってからは 0.5%程度に低下。 潜在成長率の推移 企業の期待成長率の推移 (%) 5 (%) 6 84-91年度平均 (4.1%) 98-07年度平均 (0.9%) 11-20年度平均 (0.5%) 4 5 今後3年間 4 3 今後5年間 3 2 2 1 1 0 0 -1 80 85 90 95 00 05 10 15 (注) 上場企業、全産業 (資料) 内閣府「企業行動に関するアンケート調査」 (出所)第11回新機軸部会 門間氏プレゼンテーション資料 20 (年度) 84 90 96 02 08 14 20 (年度) (注) シャドーは景気後退期。直近シャドー終期は講演者が設定。 (資料) 日銀 3 日本企業の投資は、海外で増加し、国内は横ばい ⚫ 日本の大企業は、手堅く投資を行ってきたが、その内訳を見ると国内の有形・無形固定 資産は横ばいに推移する一方、対外直接投資は大きく伸ばしている。 対外直接投資残高 大企業(資本金10億円以上)の有形・無形固定資産の推移 300 (兆円) 300 (兆円) 無形固定資産 250 23 250 200 200 150 150 229 232 100 100 50 有形固定資産 50 0 (注)(左)全産業(金融業、保険業を含む)。資本金10億円以上を基に作成(単体べース)。 (右)金融・保険業を含む全産業。簿価ベース。 (出所)(左)財務省「法人企業統計年報」、(右)財務省「本邦資産負債残高」 2021 2020 2019 2018 2017 2016 2015 2014 2013 2012 2011 2010 2009 2008 2021年度 2020年度 2019年度 2018年度 2017年度 2016年度 2015年度 2014年度 2013年度 2012年度 2011年度 2010年度 2009年度 2008年度 0 (年) 4 日本企業の資産構成比において、海外投資が大きく増加 ⚫ 過去数十年の日本企業の資産に占める各項目の構成比を見ると、有形・無形固定資産 は低水準に留まり、海外直接投資やM&Aを含む「その他固定資産」が大きく増大。 企業の資産(構成比) (%) 35 30 25 現金・預金 有形資本ストック(有形固定資産+建設仮勘定) その他固定資産(株式を含む) 無形固定資産 土地 20 15 10 5 0 75 80 85 90 95 00 (注) バランスシート全体に対する比率 (資料) 財務省「法人企業統計」 (出所)第11回新機軸部会 門間氏プレゼンテーション資料 05 10 15 20 (年度) 5 日本企業の投資先が海外なのは、収益率が高かったから ⚫ 日本の主要上場企業のROAは、概ね3~4%程度で推移する一方、日本の対外直 接投資収益率は6~8%程度で推移しており、対外直接投資は合理的な選択。 ⚫ 他方で、直接投資による収益は現地での再投資も多く、それだけでは必ずしも国内の 労働生産性・賃金の上昇に結びつかないことに留意することが必要。 ROA(総資産利益率)の推移 (%) 10 対外直接投資の収益率 6.0% 8 直接投資収益の内訳の推移(2000-2020) (兆円) 25 20 11.9兆円 6 15 4 2 配当金・ 配分済収益 10 国内企業のROA(中央値) 4.1% 11.3兆円 5 収益の再投資 0 (注)計算方法:対外直接投資の収益率=直接投資収益/対外直接投資残高、直接投 資収益=配当金・配当済み支店収益+再投資収益+利子所得 国内企業のROAは、各年のTOPIX構成銘柄のROA(取得不能なものを除く)の中央値。 (出所)日本ROA:Bloomberg、対外直接投資収益率:日本銀行 2022 2020 2018 2016 2014 2012 2010 2008 2006 2004 2002 2000 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 2021 0 (年) (注)収益の再投資とは、直接投資先の利益剰余金が、一旦投資 元に配分された上で直ちに再投資されたものと見なし、その金額を産出。 (出所)財務省「国際収支統計」に基づき作成。 6 東証一部上場企業のPBRの分布 日本・米国・欧州の主要企業のPBR分布 東証一部上場企業のPBRの分布(2,173社) (TOPIX500、S&P500、STOXX600企業) 企業数(社) 200 180 PBR1倍以上 TOPIX500 160 PBR1倍未満 1倍以上2倍未満 2倍以上 216 社 (43%) 152 132 140 純資産が負の企業等 15(3%) 120 S&P500 100 90 362 38 80 60 STOXX600 40 107 (18%) 167 308 18 PBR5倍以上の企業 135社 20 0% 0 0 0.5 1 1.5 2 2.5 3 3.5 4 4.5 5 PBR(倍) (注)PBRとは、株価を1株当たり純資産で割ることで算出できる。PBRが1倍を上 回る場合、企業の持つ純資産価値を上回る評価が市場でなされていると考えられる。 2022年3月7日時点の情報。右図は2022年3月2日時点の情報。PBRデー タが得られる企業のみを抽出し、PBR0.1刻みで該当する企業数を表示している。 (出典)Bloombergを基に作成。 20% 40% 60% 80% 100% (注)PBRとは、株価を1株当たり純資産で割ることで算出できる。 左図は2022年3月7日時点の情報。 (出所)Bloombergを基に作成。 7 企業の経常利益は上昇するも、売上は横ばい ⚫ 30年間の大企業の財務を見ると、売上は微増、売上原価は微減。結果として売上総利益が拡大。 設備投資は微減、人件費は微増(*)、配当金は拡大。*総従業者数は666.6万人→746.7万人と12%増 ⚫ 企業の経常利益は長期的に増加し、足下では過去最高の数字。 売上高、設備・無形資産投資、従業員給与、配当金等の推移 (兆円) 50 (兆円) 700 従業員給与+賞与 経常利益 45 1990年度⇒2021年度 の変化 経常利益:50兆円 【増(+164%)】 600 売上高(右軸) 40 35 500 売上:544兆円 【増(+5%)】 400 売上原価:421兆円 【減(-3%)】 300 従業員報酬:44兆円 【増(+21%)】 売上原価(右軸) 30 設備投資+無形資産投資 25 20 15 200 10 配当金 100 役員給与+賞与 5 2021年度 2020年度 2019年度 2018年度 2017年度 2016年度 2015年度 2014年度 2013年度 2012年度 2011年度 2010年度 2009年度 2008年度 2007年度 2006年度 2005年度 2004年度 2003年度 2002年度 2001年度 2000年度 1999年度 1998年度 1997年度 1996年度 1995年度 1994年度 1993年度 1992年度 0 1991年度 0 1990年度 設備+無形資産: 22兆円 【減(-24%)】 配当金:15兆円 【増(+739%)】 役員報酬:1兆円 【増(+29%)】 (注)全業種(金融・保険業除く)、資本金10億円以上の企業の集計。 設備投資+無形資産投資には、土地を除く有形固定資産、ソフトウェア、ソフトウェアを除く無形固定資産(のれん、特許権等)が含まれる。 無形資産投資は、ソフトウェアとソフトウェアを除く無形固定資産について、当該年度の固定資産残高から前年度の固定資産残高を差し引いた値として算出している。 (出所)財務省「法人企業統計調査」 8 従業員(役員含む)一人あたり経常利益の推移(資本金規模別) ⚫ 賃上げの原資となる経常利益の推移を企業規模別に見ると、中小企業は伸び悩み。 (万円) 企業の一人あたり経常利益の推移(資本金10億円以上、1億円以上10億円未満、1億円未満) 700 600 500 経常利益(10億円以上) 400 300 経常利益 (1億円以上,10億円未満) 200 経常利益(1億円未満) 1980 1981 1982 1983 1984 1985 1986 1987 1988 1989 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 2021 0 (年度) 100 (注)金融・保険業を除く全産業。資本金1億円未満については2003年度以降の調査項目であるため、全規模企業の経常利益から資本金1億円以上の企業の経常利益を差 し引き算出。一人あたり経常利益については、従業員数は期中平均従業員数(当期末)、役員数は期中平均役員数(当期末)を参照し、それらの合計を分母として算出。 (出所)財務省「法人企業統計」に基づき作成。 9 日本では労働生産性は上昇するも、実質賃金は上がらず ⚫ この30年、労働生産性(労働時間当たりGDP)は各国と遜色なく上昇しているものの、実質賃金の 伸びは低い。 ⚫ 生産年齢人口の減少傾向が当面続く中、労働生産性の上昇を継続していくことに加え、それを 賃金の上昇に繋げることが重要。 労働生産性 (1991=100, 1991-2021) 170 160 米国:162 160 130 140 フランス: 134 ドイツ: 134 130 120 2021 2019 2017 2015 2013 2011 2009 2007 2005 90 2003 90 2001 100 1999 100 日本: 105 1997 110 1991 1993 1995 1997 1999 2001 2003 2005 2007 2009 2011 2013 2015 2017 2019 2021 110 1995 120 1993 140 英国:148 日本: 148 ドイツ: 145 フランス: 138 米国:152 英国:151 150 1991 150 平均実質年収(1991=100, 1991-2021) (注)(左)実質GDPを総労働時間で割った値、(右)総雇用者報酬(実質値)を従業者数で割り、「正規労働者の平均労働時間/全労働者の平均労働時間」を乗じた もの。すなわち労働者の平均労働時間の変化に伴う影響を取り除いた推移を示している。 (出所) OECD.stat. (2023年6月12日データ取得)購買力平価で測った実質GDPの推移を、1991年水準を100として指標化。 10 労働生産性・賃金の推移(伸び率及び絶対額) 労働生産性 (1991=100, 1991-2021) 170 米国:162 160 平均実質年収(1991=100, 1991-2021) 160 米国:152 英国:151 150 英国:148 日本: 148 ドイツ: 145 フランス: 138 150 140 130 130 120 日本: 105 1991 1993 1995 1997 1999 2001 2003 2005 2007 2009 2011 2013 2015 2017 2019 2021 2021 2019 2017 2015 2013 2011 2009 2007 2005 2003 90 2001 100 1999 100 1997 110 1995 110 1993 120 1991 ドイツ: 134 フランス: 134 140 労働生産性 (絶対額, 1991-2021) 80 平均実質年収(絶対額, 1991-2021) 米国:74.8ドル ドイツ: 68.3ドル フランス: 66.7ドル 英国:59.2ドル 70 60 50 日本: 47.6ドル 80000 米国:7.5万ドル 70000 60000 ドイツ: 5.6万ドル 2021 2018 2015 2012 2021 2019 2017 2015 2013 2011 2009 2007 2005 2003 2001 1999 1997 1995 1993 1991 2009 30000 2006 20 2003 日本: 4.0万ドル 2000 40000 1997 30 1994 英国:5.0万ドル フランス: 4.9万ドル 1991 50000 40 (注)(左上、左下)実質GDPを総労働時間で割った値、(右上、右下)総雇用者報酬(実質値)を従業者数で割り、「正規労働者の平均労働時間/全労働者の平均労働時間」を乗じたもの。すなわ 11 ち労働者の平均労働時間の変化に伴う影響を取り除いた推移を示している。 (出所) OECD.statに基づき作成。 (2023年6月12日データ取得) 経済停滞の中で、特に個人消費の伸びが停滞 ⚫ 2012年以降の景気循環(第16循環)は長さでは戦後2番目の71か月だったが(い ざなみ景気に2か月及ばず)、成長率は年平均+1.2%で戦後最低だった。 ⚫ とくに個人消費が年平均わずか+0.3%とほぼゼロ成長だった。 個人消費(実質)の局面比較 実質GDPの局面比較 バブル崩壊後 (93/4Q~) ITバブル (99/1Q~) いざなみ (02/1Q~) リーマンショック後 (09/1Q~) 第16循環 (12/4Q~) 114 112 110 112 110 108 108 106 106 104 104 102 102 100 100 98 0 1 (資料) 内閣府 バブル崩壊後 (93/4Q~) ITバブル (99/1Q~) いざなみ (02/1Q~) リーマンショック後 (09/1Q~) 第16循環 (12/4Q~) (景気の谷 = 100) (景気の谷 = 100) 2 3 4 5 6 (谷からの年数) (出所)第11回新機軸部会 門間氏プレゼンテーション資料 0 1 (資料) 内閣府 2 3 4 5 6 (谷からの年数) 12 名目GDP成長率寄与度 ⚫ 名目GDP成長率を要素別に見ると、1990年代以降は個人消費が低迷。 名目GDP成長率への各構成項目の寄与度 (%) 民間消費 民間投資 政府支出 純輸出 GDP 2019 8 2015 10 6 4 2 2021 2017 2013 2011 2009 2007 2005 2003 2001 1999 1997 1995 1993 1991 1989 1987 1985 1983 -2 1981 0 -4 -6 -8 出所)内閣府「国民経済計算」 注)寄与度=(当年の実数-前年の実数)÷前年の国内総生産(支出側)×100 GDP=国内総生産(支出側),民間消費=民間最終消費支出,民間投資=民間住宅+民間企業設備+民間在庫変動,政府支出=政府最終消費支出+公的固定資本 形成+公的在庫変動,純輸出=財貨・サービスの純輸出。また、データの体系基準年は2008SNAであるが、1980~1993年については、簡易的な手法により遡及した参考系列。 13 Ⅰ.現状認識 (1)「失われた30年」の振り返りと「新機軸」 (2)産業政策において中長期的に踏まえるべき動向 (3)世界・日本における政策的支援の転換 (4)足下で起こっている変化の兆し・潮目の変化 (5)長期持続的な成長に繋げる必要性 Ⅱ.「経済産業政策の新機軸」の考え方 Ⅲ.国内投資・イノベーション・所得向上の3つの好循環を 実現するための主要な政策ツール Ⅳ.分野毎の施策 <ミッション志向の産業政策> <社会基盤(OS)の組替え> 14 世界の不確実性指数の高まり・国際経済秩序の変動 ⚫ 戦後進んできたグローバル化は岐路。背景には国内・国家間の格差拡大、デジタル革新 による富の偏在、自国中心主義による分断、大国による一方的措置の多用等。 ⚫ このように秩序が揺らぐ状況でロシアがウクライナを侵略。西側先進国と権威主義国家と の間の分断が一層深まる中で、国際経済秩序は歴史的岐路に立たされている。 世界における政策不確実性指数 500 Japan Global コロナ 450 400 350 ロシア ウクライナ 米中摩擦 (東日本大震災) 300 (銀行・証券破綻) 金融危機 米国の財政の崖 250 米大統領選 ブレクジット 米国同時 多発テロ イラク戦争 SARS 200 150 アジア 通貨危機 100 50 2022 2021 2020 (出所)https://www.policyuncertainty.com/ https://www.imf.org/ja/News/Articles/2021/01/19/blog-what-the-continued-global-uncertainty-means-for-you に一部加筆 2020 2019 2018 2017 2017 2016 2015 2014 2014 2013 2012 2011 2011 2010 2009 2008 2008 2007 2006 2005 2005 2004 2003 2002 2002 2001 2000 1999 1999 1998 1997 1996 1996 1995 1994 1993 1993 1992 1991 1990 1990 1989 1988 1987 1987 0 15 日本企業が設備投資を予定していない理由 ⚫ 帝国データバンクによる企業への意識調査によると、企業が設備投資をしない理由とし ては「先行きが見通せない」が最多であり、かつ増加傾向にある。 (%) 企業が回答した「設備投資を予定していない理由」の割合(複数回答、上位回答のみ抜粋) 70 60 先行きが見通せない 50 40 30 現状で設備は適正水準である 投資に見合う収益を確保できない 20 借り入れ負担が大きい 10 自社に合う設備が見つからない 0 2017 2018 2019 2020 2021 (注)2017年からの調査。回答企業は年度により異なるが概ね1万社。うち各年度とも大企業が約2割、中小企業が約8割。 (出所)帝国データバンク「設備投資に関する企業の意識調査」(2017-22年度)に基づき作成。 2022 16 IMD世界競争力ランキングの低迷(統計項目と経営者アンケート項目の乖離) ⚫ IMD(スイスのビジネススクール)が公表している世界競争力ランキングによると、日本は1990年代初頭まで は世界1位であったが、1990年代以降順位が下がり続け、2022年時点では世界63か国中34位。 ⚫ ただし、統計項目のみで見ると13位だが、企業経営者の回答に基づくアンケート項目のみで見ると順位が 43位。統計項目とアンケート項目の順位の乖離は、調査対象国の中で日本が最大。 「統計項目順位」 ー 「アンケート項目順位」(2020年) IMD世界競争力ランキングの推移 順位 0 1 米国 5 ドイツ 10 10 15 15 17 20 英国 23 25 30 日本 35 34 中国 (出所)IMD「World competitiveness yearbook」等を基に作成。 2021 2019 2017 2015 2013 2011 2009 2007 2005 2003 2001 1999 1997 1995 1993 1991 1989 40 (出所)三菱総研「IMD『世界競争力年鑑2020』からみる日本の競争力 第3回: 統計と経営層の意識の乖離から競争力改善ポイントを探る」(2020年10月29日) 17 日本の物価は、長期的には安くなってきている ⚫ 1990年代には日本の物価は高かったが(当時の「内外価格差問題」)、企業のコスト削減努力等も あり、30年間で日本は「安い国」に変貌。既に一部で「逆」内外価格差が発生しており、中国と の価格差も20年間で縮小するなど、先進国の中ではコスト競争力がある状況になりつつある。 ⚫ 世界の経済社会秩序が転換しつつあるする中、世界における日本の位置づけを見直す時期に 来ていないか。 主要国の物価水準の推移(OECD諸国平均=100) 分野別の内外価格差(日本での価格/海外での価格×為替レート) (2000,2022年度調査結果) 160 140 英国 日本 米国 フランス 米国 120 100 ドイツ 80 60 韓国 中国 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 2021 2022 40 (注)購買力平価と為替水準により、物価水準を比較した指標。 (出所)OECD.statに基づき作成。 中国 2000年度 2022年度 2000年度 2022年度 総合 1.15 1.04 3.50 2.01 工業製品等 1.10 1.00 2.58 1.61 鉄鋼 0.95 0.61 1.22 1.82 金属製品 0.54 0.74 2.07 1.17 輸送用機器 1.13 0.92 4.00 2.81 エネルギー 1.48 1.31 3.05 1.29 (注)適用為替レートは2022年7-9月の平均レートであり、1ドル=138.43、1元=20.21円。 (出所)経済産業省「産業向け財・サービスの内外価格調査」(2000,2022年度)に基づき 作成。 18 世界全体での歴史的なインフレ ⚫ エネルギー・食糧価格や賃金の上昇を背景として世界中でインフレが進行。インフレに対処すべく、 米国をはじめ各国中央銀行は金利を引き上げ。 ⚫ グローバル化の中で安価な労働供給を提供し続けた中国の労働力減少、先進国全体の高齢化、 地政学リスクの拡大等により、持続的な高インフレ基調に転じたとの見方も存在。 消費者物価指数増減率(前年同月比) (%) 12 政策金利推移 (%) 5 米国 英国 10 4 英国 3 ユーロ圏 8 ドイツ 6 フランス 2 米国 4 日本 1 2 2019 2020 2021 2022 (出所) 総務省「消費者物価指数」より経済産業省作成。 2023 (出所)外務省「主要経済指標」より経済産業省作成。 (注)各月末の値をプロットしたもの。 2023年1月 2022年11月 2022年9月 2022年7月 2022年5月 2022年3月 2022年1月 2021年11月 2021年9月 2021年7月 -2 -1 2021年5月 8 91011121 2 3 4 5 6 7 8 91011121 2 3 4 5 6 7 8 91011121 2 3 4 5 6 7 8 91011121 2 3 2021年3月 0 2023年3月 日本 0 19 人手不足が継続する可能性 ⚫ 生産年齢人口が減少する中でも、2000年以降、女性・高齢者の増加が、全体の労働時間数 の増加に寄与してきたが、2019年以降、労働投入量は減少傾向。 ⚫ 男性・女性・高齢者別の労働参加率は、いずれも世界最高水準になっており、労働参加が天井 に近くなっている可能性も。 総労働時間(絶対値)の推移 (%) 男性(上)、女性(中)、高齢者(下)の労働参加率 90 (億時間) 880 男性 860 840 80 70 60 820 日米英仏独 80 800 70 780 女性 60 760 50 740 30 20 720 高齢者 (出所)厚生労働省「毎月勤労統計調査」 2021 2019 2017 2015 2013 2011 2009 2007 2005 2003 2001 1999 1997 1995 700 10 0 1990 2000 2010 2021 (出所)OECD.stat 20 今後の人口推計と労働投入の見通し ⚫ 現在ほぼ1:1:1の現役男性・現役女性・高齢者は、①男性、女性ともに生産年齢人口 は、一環して減少トレンドが継続し、②高齢者は増加トレンドだが、生産年齢人口の減少スピー ドよりは弱い。 ⚫ 労働参加が既に世界最高水準となっているなかで、自然体ではこれ以上の労働投入量の維 持・増加は期待できない可能性。 人口の将来推計(15-64歳男女及び高齢者) 就業時間の将来推計の機械的試算 (15-64歳男女及び高齢者) (左から、2020年、2030年、2040年、2050年) (万人) ▲1.1%/年 ▲1.1%/年 +0.2%/年 4,000 (億時間) 1400 1200 ▲0.6%/年 1216 1209 1202 1196 高齢者 1188 1160 1000 3,000 ▲1.1%/年 1036 ▲1.1%/年 929 女性 800 15-64歳 2,000 600 400 1,000 2050 2040 2030 2027 2026 女性(15-64歳) 高齢者(65歳以上) 2025 男性(15-64歳) 2024 0 2020 2030 2040 2050 2023 0 男性 15-64歳 200 (注)2020年時点の男性(15-64歳)、女性(15-64歳)、高齢者の労働参加率はそれぞれ84.6%、71.0%、25.0%、月末1週間の労働時間は42.4時間、32.5時間、 30.9時間。この数値をそれぞれ、2030年、2040年、2050年の年齢階級別の人口推計に乗じて機械的に試算。(年間労働時間は月末1週間の労働時間の48倍で計算) 21 (出所)総務省「労働力調査」、国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口」(平成29年推計)を基に作成。 総人口・生産年齢人口の推移 ⚫ 1995年に生産年齢人口(15-64歳)は減少し始めており、全体としても2010年から人 口減少が進展している。 総人口 ピーク:2010年(1億2806万人) (千万人) →予測 13 70% 12 12.5 千万人 11 10.5 千万人 10 65% 9 7.4 千万人 8 7 生産年齢人口(15~64歳) ピーク:1995年(8726万人) 6 5 60% 5.5 千万人 59% 生産年齢人口比率 4 55% 3 53% 2 1 (出所)総務省「人口推計」、国立社会保障・人口問題研究所「将来推計人口・世帯数」(2023年4月)を基に作成 2050 2045 2040 2035 2030 2025 2020 2015 2010 2005 2000 1995 1990 1985 1980 1975 1970 1965 1960 50% 1955 0 22 希望出生率と実際の合計特殊出生率の推移 ⚫ 合計特殊出生率だけでなく、希望出生率も下がっている。希望そのものを引き上げる対策が必要。 ⚫ 希望低下の要因は、未婚者割合の上昇、結婚希望の低下、理想子ども数の減少。その根本要 因は、所得水準が低いこと。 合計特殊出生率と希望出生率(試算値)の推移 2 1.83 1.8 ①希望を引き上げる 結婚・子育てをする 余裕を持てる所得を 稼げる雇用づくり 1.78 1.60 1.6 1.39 ②希望に近づける 1.45 1.4 予定どおりの数の 子どもを産み、育て られる子育て支援 1.30 1.2 1 2010 2015 2021 未来 「希望出生率」={既婚者割合×夫婦の予定子ども数 + 未婚者割合 × 未婚結婚希望割合 × 希望子ども数}×離別等効果 2010年 ( 0.34×2.07 + 0.66 × 0.89 × 2.12 ) × 0.938 =1.828... ≒1.83 2015年 ( 0.32×2.01 + 0.68 × 0.89 × 2.02 ) × 0.955 =1.781… ≒1.78 2021年 ( 0.30×2.01 + 0.70 × 0.84 × 1.79 ) × 0.966 =1.599… ≒1.60 ・希望出生率の定義:内閣官房資料から引用。 ・既婚者割合:総務省統計局「国勢調査」における18歳~34歳女性の総数と有配偶者数を元に経済産業省にて計算。未婚者割合は1-(既婚者割合)。 ・夫婦の予定こども数:社人研「出生動向基本調査」における夫婦の平均予定こども数から引用。 ・未婚結婚希望割合:社人研「出生動向基本調査」における18歳~34歳の女性のうち「いずれ結婚するつもり」と答えた者の割合から引用。 ・未婚者の理想子ども数:社人研「出生動向基本調査」における18歳~34歳の女性の独身者( 「いずれ結婚するつもり」と答えた者)の平均希望こども数から引用。 ・離死別等の影響:社人研「日本の将来推計人口」における出生中位の仮定に用いられた離死別等の影響。 23 結婚・子育てに必要なのは経済的余裕 ⚫ 希望するのに結婚できない理由、理想の数の子どもを持たない主要な理由は、共に、 子育て・教育にかかる経済的負担の大きさ、それを賄う経済的余裕のなさ。 結婚に必要な状況 理想の数の子どもを持たない理由 ⚫ 結婚を希望している者で結婚していない20~40歳代 の男女に、どのような状況になれば結婚すると思うかを聞 いたところ(複数回答)、「経済的に余裕ができること」 と答えた人の割合が42.4%。 ⚫ 予定子ども数が理想子ども数を下回る夫婦のうち、妻の年 齢が35歳未満の夫婦に対して、理想の数の子どもを持たな い理由を聞いたところ、最も多く挙がるのが「子育てや教育に お金がかかりすぎるから」というもの。 1位 経済的に余裕ができること(42.4%) 1位 子育てや教育にお金がかかりすぎるから(77.8%) 2位 異性と知り合う(出会う)機会があること(36.1%) 2位 これ以上、育児の心理的、肉体的負担に耐えられな いから(23.1%) 3位 精神的に余裕が出来ること(30.6%) 3位 家が狭いから(21.4%) 4位 希望の条件を満たす相手にめぐり会うこと(30.5%) 3位 自分の仕事(勤めや家業)に差し支えるから (21.4%) 5位 結婚の必要性を感じること(28.4%) 5位 高年齢で生むのはいやだから(19.7%) (出所)内閣府「令和元年版少子化社会対策白書」 第1章(1)結婚に関する意識「第1-1-29図 結婚に必要な状況」 (出所)国立社会保障・人口問題研究所「第16回出生動向基本調査」 図表7-6 24 所得と有配偶率の関係 ⚫ 35~39歳男性の有配偶率をみると、年収が高いほど有配偶率が高くなる。特に、年収250万 未満の有配偶率が低い。 ⚫ また、10年前と比較すると、特に年収100万円~249万円の有配偶率が下がっている。 35~39歳男性の年収別有配偶率 有配偶率 100% 81.3% 90% 80% 2017年 70% 2007年 60% 50% 40% 45.3% 33.0% 36.3% 35.4% 34.0% 35.6% 26.4% 30% 36.1% 30.1% 36.2% 150~ 200~ 51.2% 50.0% 59.9% 59.6% 70.7% 68.8% 78.6% 79.5% 76.4% 91.1% 86.0% 84.7% 88.4% 81.3% 81.1% 20% 10% 0% 50万円 50~ 100~ 250~ 300~ 400~ 500~ 600~ 700~ 800~ 900万円 未満 99万円 149万円 199万円 249万円 299万円 399万円 499万円 599万円 699万円 799万円 899万円 (出所)労働政策研究・研修機構「若年者の就業状況・キャリア・職業能力開発の現状③-平成29年版「就業構造基本調査」より-」(2019年)を基に作成。 以上 25 低所得層の割合が増加 ⚫ 30~39歳の年収分布をみると、1997年から2017年にかけて、年収400万円以上の割合が 減少するとともに、年収300万円未満の割合が高くなっている。 30~39歳の年収分布 全体に占める割合 23.7% 25% 19.5% 15.5% 16.0% 500~699万円 20% 400~499万円 2017年 1997年 15% 10.8% 6.3% 5% (出所)総務省「就業構造基本調査」を基に作成。 5.9% 6.1% 1000万円以上 700~999万円 3.8% 300~399万円 100~149万円 50~99万円 50万円未満 0% 150~199万円 5.0% 9.1% 250~299万円 7.7% 200~249万円 10% 26 地方には良質な雇用が不足 ⚫ 希望する職種や賃金等の待遇が良い仕事が見つからないために、地元に残らずに東京圏への移 住を選択する人が多い。 ⚫ 実際、東京圏の転入超過数の大半を10代後半、20代の若者が占めており、進学や就職が一 つのきっかけになっているものと考えられる。 東京圏への流入者の移住の背景 ※母集団:東京圏外出身の東京圏在住者 1位 希望する職種の仕事が見つからないこと(全体:25.6%) ※男性:28.4%、女性:22.9% 2位 賃金等の待遇が良い仕事が見つからないこと(全体:19.5%) ※男性:23.4%、女性:15.5% 3位 希望することが学べる進学先がないこと(全体:15.2%) ※男性:15.3%、女性:15.1% 4位 自分の能力を生かせる仕事が見つからないこと(全体:14.8%) ※男性:18.8%、女性:10.9% 5位 日常生活が不便なこと(全体:11.9%) ※男性:10.0%、女性:14.0% (出所)国土交通省(2021.1.29)「企業等の東京一極集中に関する懇談会 とりまとめ」 市民向け国際アンケート調査結果 p.23 27 地方で雇用のミスマッチが生じている可能性 ⚫ 有効求人倍率はコロナ後回復傾向にあり、非東京でも、足下ほぼ全ての都道府県で1を超えている状況。 ⚫ 地方の雇用の課題は、単純な量の問題ではない可能性。例えば、 「生産工程」や「建設・採掘」等の職種 の有効求人は、東京で少なく、地方で多いが、一方で、同職種の若い女性の就業割合は、東京で大きく、地 方で小さい。すなわち、地方で求められる職種における女性活躍が、地方では不十分である可能性。 東京と非東京の地域の有効求人倍率の推移 東京と非東京の有効求人数の職種構成(2021年度) ※赤字:若者(25-29歳)の就業者のうち女性が占める割合(職業別、2020年) (倍) 2.5 0% 20% 東京都 40% 60% サービスの職業 保安の職業 販売の職業 事務的職業 専門的・技術的職業 80% 100% 運搬・清掃等の職業 0% 2 東京 1.5 11% 11% 26% 1% 管理的職業(女性比率21%) 1 0.5 25% 非東京 (=46道府県) 0 0% 管理的職業(女性比率18%) 2000年 2001年 2002年 2003年 2004年 2005年 2006年 2007年 2008年 2009年 2010年 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年 2016年 2017年 2018年 2019年 2020年 2021年 2022年 非東京 (出所)中小企業庁「中小企業・小規模事業者の人材戦略に関する有識者検討会」 第1回事務局資料 p.5 22% 9% 9% 23% 農林漁業の職種 1% 6% 5% 8% 4% 3% 建設・採掘 生産工程 (女性比率7%) (女性比率33%) 輸送・機械 運転の職業 3% 11% 6%6% 9% 生産工程の職業 建設・採掘の職業 (女性比率24%)(女性比率3%) (出所)厚生労働省「一般職業紹介状況:雇用関係指標(年度)」、 総務省「令和2年国勢調査」 28 若者(特に女性)の東京集中による人口偏在 ⚫ 東京圏への転入超過数は、15年間、女性が男性を上回って推移。コロナ以降も同傾向。 東京圏への転入超過数 転入超過数(万人) 25 リーマンショック前のピーク 高度成長期のピーク バブル崩壊後のボトム オイルショック後のボトム 東日本大震災 20 バブル前のピーク コロナ禍 15 10 5 1958 1959 1960 1961 1962 1963 1964 1965 1966 1967 1968 1969 1970 1971 1972 1973 1974 1975 1976 1977 1978 1979 1980 1981 1982 1983 1984 1985 1986 1987 1988 1989 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 2021 0 -5 男性 (注)ここでいう東京圏とは、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県の1都3県。 (出所)総務省「住民基本台帳人口移動報告」 女性 2007年以降の転入超過の累計は、 女性:92.4万人 男性:74.6万人 ⇒ 2007年からの15年間の累計で、 女性の方が17.8万人多く流入。 (年) 29 地方で良質な雇用の受け皿となる中堅・中小企業の重要性① 中小企業 小規模企業 (常用雇用者数:~19人) 大企業 中規模企業 (20~299人) 中堅企業~大規模企業 (300~4,999人) 超大企業 (5,000人~) 【常用雇用者数】 ⚫ 160万人 (男性:60%、 女性:40%) 【常用雇用者数】 ⚫ 383万人 (男性:63%、 女性:37%) 【常用雇用者数】 ⚫ 573万人 (男性:62%、 女性:38%) 【常用雇用者数】 ⚫ 482万人 (男性:54%、 女性:46%) 【常用雇用者数】 ⚫ 429万人 (男性:60%、 女性:40%) 【常用雇用者数】 ⚫ 902万人 (男性:61%、 女性:39%) 【常用雇用者数】 ⚫ 579万人 (男性:60%、 女性:40%) 【常用雇用者数】 ⚫ 218万人 (男性:54%、 女性:46%) 東 京 圏 ( 43 ⚫ 全体に占める割合:4% ⚫ 全体に占める割合:10% ⚫ 全体に占める割合:15% ⚫ 全体に占める割合:13% % 【賃金】(労働者数10~99人) 【賃金】(労働者数100~999人) 【賃金】(労働者数1,000人~) ) 471万円 532万円 611万円 地 方 圏 ( 57 ⚫ 全体に占める割合:12% ⚫ 全体に占める割合:24% ⚫ 全体に占める割合:16% ⚫ 全体に占める割合:6% % 【賃金】(労働者数10~99人) 【賃金】(労働者数100~999人) 【賃金】(労働者数1,000人~) ) 396万円 453万円 540万円 (注)中規模や中堅の定義は様々ある中で、一つの考え方として常用雇用者数で設定。ここでいう東京圏とは、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県の1都3県。 四捨五入している関係で、東京圏・地方圏それぞれの常用雇用者数が全体に占める割合は、各マスの合計とは一致しない。 賃金は、一般労働者(=短時間労働者以外の者)の値。「きまって支給する現金給与額×12」と「年間賞与そのほか特別給与額」を足したもので、年収に相当する金額と なっている。なお、都道府県毎の労働者数のウェイトで加重平均して算出している。 (出所)総務省・経済産業省「平成28年 経済センサス-活動調査-」、厚生労働省「令和3年賃金構造基本統計調査」 30 地方で良質な雇用の受け皿となる中堅・中小企業の重要性② ⚫ 中堅企業は、大企業・中小企業と比して1企業当たりの売上高の伸び率が高く、2009年度を基準とした 場合、2018年度には1.5倍まで増加。 ⚫ また、設備投資額においても、中堅企業は1企業当たりの伸び率が高く、2009年度を基準とした場合、 2018年度には1.9倍まで増加。 企業規模別の1企業当たりの設備投資額推移 (2009年度を基準とした場合の伸び率) 企業規模別の1企業当たりの売上高推移 (2009年度を基準とした場合の伸び率) 60 中堅企業 50 46.0 40 30 26.2 13.9 11.6 12.3 20 6.9 10 19.3 18.4 54.4 8.2 38.7 40 18.7 25.5 13.3 11.8 8.1 20 9.0 -20 44.1 41.8 48.5 大企業 38.1 33.0 30.6 43.6 30.6 30.8 36.1 25.9 22.1 8.0 22.3 13.9 9.0 21.2 中小企業 16.4 6.0 2021 2019 2018 2016 2015 (注)中小企業:資本金1億円未満、中堅企業:資本金1億円以上10億円未満、大企業:資本金10億円以上。 (出所)財務省「法人企業統計」を基に作成。 2014 (年度) 2013 2021 2018 2017 2015 2014 2013 2012 2011 2010 2009 2009 -20 -4.8 -14.1 2012 2020 -5.6 2011 -9.7 6.6 4.7 2010 中小企業 -2.8 2019 -3.1 -2.2 0 0.9 0.0 2016 -2.1 0.8 85.5 61.7 7.6 -0.6 85.5 60 30.5 2.7 -10 76.1 80 2020 0 90.4 2017 7.1 大企業 23.8 11.2 86.4 中堅企業 69.0 16.2 8.5 14.5 38.1 45.1 36.6 29.8 13.8 100 51.1 (年度) 31 国内投資の増加は賃金上昇につながる ⚫ 国内投資の増加は、労働生産性の向上を通じて賃金上昇に繋がる。 ⚫ 日本は、設備投資と賃金の両方とも上昇率が低い。 賃金と民間設備投資の相関図(1991-2021の年平均増減率) 2.5% 韓国 実質賃金増減率 2.0% スウェーデン アイスランド 英国 1.5% 米国 デンマーク オーストラリア フランス ドイツ 1.0% カナダ ベルギー オランダ 0.5% 日本 0.0% 0.0% 0.5% 1.0% 1.5% 2.0% 2.5% 3.0% 3.5% 4.0% 4.5% 5.0% 実質民間設備投資増減率 (注)実質賃金(縦軸)は総雇用者報酬(実質値)を従業者数で割り、「正規労働者の平均労働時間/全労働者の平均労働時間」を乗じたもの。すなわち労働者の平均労 働時間の変化に伴う影響を取り除いた推移を示している。民間設備投資(横軸)は住宅を除く民間設備投資の実質値。 (出所)OECD statより経済産業省作成 32 経常収支と、その内訳の推移 ⚫ 国内生産・輸出モデルから、対外直接投資を通じた海外展開モデルへの移行も進み、 貿易収支黒字は縮小し、経常黒字は投資収益により支えられる。 貿易・サービス収支、投資収益、経常収支の推移(1996-2022) (兆円) 40 30 経常収支 投資収益 貿易収支 20 10 -10 サービス収支 2022 2021 2020 2019 2018 2017 2016 2015 2014 2013 2012 2011 2010 2009 2008 2007 2006 2005 2004 2003 2002 2001 2000 1999 1998 1997 1996 0 その他(第二次所得収支等) -20 (出所)財務省「国際収支統計」に基づき作成。 33 デジタル分野で拡大する赤字 ⚫ 昨年の貿易赤字は過去最大。かつて貿易黒字であった電気・電子機器も、2022年に 貿易赤字に転落。 ⚫ デジタル化の進展により、更なる赤字拡大の恐れ。 電気機器及びその部品等に関する貿易収支の推移 20(兆円) コンピュータサービスの国際収支の推移予測 10 -2 -4 5 赤字 転落 輸出金額 輸入金額 (出所)財務省「国際収支統計」に基づき作成。 2021 2018 2015 2012 2009 2006 2003 2000 1997 1994 1991 -5 1988 0 2030年 2029年 2028年 2027年 2026年 2025年 2024年 2023年 2022年 2021年 2020年 2019年 2018年 2017年 2016年 2015年 0 2014年 15 2013年 [兆円] ー0.18兆円 -1.40兆円 -6 -8 国内パブリッククラウド市場の実績・予測 コンピュータサービスの国際収支 ※積算の根拠等は第6回 半導体・デジタル産業戦略検討会議 資料3を参照 収支(輸出-輸入) 34 我が国の輸出額と訪日外国人消費額の比較 ⚫ 訪日外国人消費額は、約2兆円(2014年)から約4.8兆円(2019年)へと急増。 ⚫ コロナ前は自動車輸出額に次ぐ規模に相当し、外貨獲得に貢献。 訪日外国人消費額及び品目別輸出額(2019年) (億円) 140,000 120,000 訪日外国人消費額 119,712 輸出額(2019年) 100,000 80,000 2019年 60,000 2014年 48,135 億円 40,060 40,000 36,017 30,740 20,278 億円 27,279 24,670 24,297 21,297 20,000 19,071 18,515 有 機 化 合 物 電 気 回 路 等 の 機 器 0 自 動 車 訪 日 外 国 人 消 費 額 半 導 体 等 電 子 部 品 自 動 車 の 部 分 品 鉄 鋼 原 動 機 半 導 体 等 製 造 装 置 プ ラ ス チ ッ ク (出典)貿易統計(令和元年分|財務省)、訪日外国人消費動向調査(2014年・2019年|観光庁) 科 学 光 学 機 器 訪 日 外 国 人 消 費 額 35 交易条件の悪化 ⚫ 交易条件の悪化による実質所得の流出は、2000年代前半に加速し、2010年代は 下げ止まったものの、2020年代に入り大幅に悪化。 ⚫ これは、日本が「高く輸入し」、「安く輸出する」ようになっていることの表れ。特に、日本は、 他の主要国と異なり、輸出物価が低下している。 交易利得・損失/実質GDP(1994年=0) 主要国の輸出・輸入価格水準の変化 (1991~2019) 0.0% 60% -2.0% 50% -4.0% 40% -6.0% 30% 20% -8.0% 10% -10.0% 0% -12.0% -10% -14.0% ドイツ フランス 英国 米国 日本 -20% -16.0% -30% 出典)内閣府「国民経済計算年次推計」より経済産業省作成 2022 2020 2018 2016 2014 2012 2010 2008 2006 2004 2002 2000 1998 1996 1994 -18.0% 輸出物価増減 輸入物価増減 出典)OECD Statより経済産業省作成 注)1991~1993年の輸出入物価指数平均と2017~2019年の輸出入 物価指数平均をそれぞれ比較。 ※フランスのみOECDデータ欠損のため1999~2001年平均との比較。 36 目次 Ⅰ.現状認識 (1)「失われた30年」の振り返りと「新機軸」 (2)産業政策において中長期的に踏まえるべき動向 (3)世界・日本における政策的支援の転換 (4)足下で起こっている変化の兆し・潮目の変化 (5)長期持続的な成長に繋げる必要性 Ⅱ.「経済産業政策の新機軸」の考え方 Ⅲ.国内投資・イノベーション・所得向上の3つの好循環を 実現するための主要な政策ツール Ⅳ.分野毎の施策 <ミッション志向の産業政策> <社会基盤(OS)の組替え> 37 世界各国での大胆な産業政策の活発化 ⚫ 米国、欧州、あるいは経済界(WEF等)からも、従来型の資本主義ではない、分配を意識したアプローチが 語られる背景には、多くの人々が、幸せを感じられない、将来を悲観する現状があるのではないか。 ⚫ 各国事情が異なるが、共通しているのは、官も民も一歩前にでて、大胆な国内・域内投資を行っていること。 【課題】 • 格差拡大・中間層の疲弊 • 中国への対抗 • インフレ 【対応】 • 「労働者中心の通商政策」 • 経済安全保障等を大義名分 とする産業政策<2022年8月> (CHIPS法:527億ドル(約7.1 兆円)の資金提供。半導体関連投 資への税額控除等に10年間の他国 立地制限) (インフレ削減法:4330億ドル(約 58.5兆円)。EV税額控除に北米組 立要件、水素製造装置税額控除に CO2排出基準・実勢賃金要件等) • 労働組合の奨励 等 (注)1ドル=135円、1ユーロ(2018年基準)=139円で換算。 【課題】 • 気候変動緩和の主導 • 製造業中国依存 • デジタル米中依存 • 域内の良質雇用確保 • インフレ 【対応】 • EU復興パッケージ (グリーンやデジタルへの移行等に約 1.8兆ユーロ(250兆円(2018年基準))予 算計上) • 戦略的自律・サプライチェーン欧州 回帰 (電池や半導体等の重要物資の特定 国への依存を低減させるために、サプライ チェーン強靭化のための法案を整備) • グリーン・ディール産業計画<2023年 2月> (クリーン産業セクターのスケールアップ支 援のための環境整備(例:国家補助 ルール緩和)等) 【課題】 • キャッチアップ・輸出主導型 高度成長経済の終焉 • 米欧等西側陣営への対抗 • 急激な少子高齢化 (2023年から人口減少) 【対応】 • 中国製造2025 (中核基礎部品・基幹基礎材料 の2025年における国内自給率 70%を目標に) • R&D投資の伸び率を年平均 7%以上。 • 国家科学技術プロジェクト (AI、量子情報、集積回路、生命・ 健康、宇宙等)。 • 製造業の競争力強化 (新素材、重要技術設備、スマート 製造、ロボット、航空等) 38 グローバルなサプライチェーン見直しの動き ⚫ 中国経済の減速や地政学リスク等を踏まえ、中国への直接投資を見直す動き。 ➢ 米国ではリショアリングによる国内雇用が大幅に増加。また、Apple社も最新機種 の製造をインドに移すことを2022年9月に表明する等フレンドショアリングも顕在化。 ➢ OECD諸国から中国への投資は、2018年以降減少傾向。欧州から中国への直 接投資の大部分は、今や一握りの企業に支えられるという調査結果も存在。 Appleの発表(2022年9月) 「新しいiPhone14は革新的な新技術や、利用者の安 全性確保のための重要な機能を導入している。我々はイ ンドでiPhone 14を製造することを楽しみにしている。」 リショアリングに伴う米国での雇用の増加 OECD諸国から各地への対外直接投資(2012=100) 250 対EU: 209 200 対米国: 163 150 100 50 対中国: 32 2021 2020 2019 2018 2017 2016 2015 2014 2013 2012 0 (出所)FDI Intelligence, ”Xi’s China in six FDI charts” (2022年10月17日) (出所)Reshoring Initiative® IH 2022 Data Report 39 米・EUによる国際経済の「新たな概念」・産業政策間の競争 ⚫ コロナ禍やロシアによるウクライナ侵略、米中対立を背景に、米国をはじめ各国でサプライチェーン を「自国(リショア)・隣国(ニアショア)・同志国(フレンドショア)」に移す動き。 ⚫ 2022年8月に米国で成立したインフレ削減法(IRA)は、3,690億ドルの気候変動関連投資 を用意し、この流れに沿った動き。EUも2023年2月に欧州域内への投資を促進する計画を発表。 Reduction Act) 米国インフレ削減法 (IRA:Inflation (2022年8月成立) <概要> ⚫ 気候変動対策へ過去最大規模の 3,690億ドルを投資。 ⚫ 再エネやEV、クリーン水素等への 税額控除及び補助金を通じた国 内投資促進を目指す。 出典:2023年4月ホワイトハウスHP <ねらい>(2022年8月バイデン大統領スピーチ) • 過去最大の投資を行う。 • IRAは、何万もの良い給料の雇用とクリーンエネルギー製造 業の雇用を米国で創出する。 <IRAによる米国への回帰>(2023年3月CSISレポート) • IRAの成立以来、フォルクスワーゲン、BMW、エネル(イタリアの エネルギー企業)、フレイル(ノルウェーの電池企業)などの欧州の大 手企業を含む約20の企業がクリーンエネルギー生産施設の 新設・拡張を発表。10万人以上の新規雇用が米国で創出 される見込み。 EUグリーンディール産業計画(2023年2月発表) <概要> ⚫ ネットゼロ産業の競争力強化のため、複数 年度に亘る基金(既存予算を含む総額 2700億ユーロ)+今後発表される欧州 主権基金を活用。 出典:2023年4月欧州委員会HP ⚫ 重要原材料や水素等の重要セクターの規制環境整備、資金 への迅速なアクセス確保、人材育成、貿易協定等による貿易 促進を通じて、クリーン技術の域内確保を目指す。 ⚫ 具体的な施策として、国家補助金の暫定危機・移行枠組 (緩和策)※、重要原材料法、ネット・ゼロ産業法などを発表。 ※域外への投資移転の抑止等を目的とし、補助上限額の引き上げを含めた補 助金ルールを緩和。 <ねらい>(1月 フォン・デア・ライエン委員長スピーチ) • (クリーンエネルギー技術市場における)競争に打ち勝つた めに、我々は産業基盤の強化へ投資を続け、欧州をより投 資とイノベーションに適した場所にする必要がある。 <加盟国独自の対応>(報道より) • 独政府は、5億ユーロ以上の補助金を投じ、米半導体大手ウ ルフスピードの工場と研究開発施設の新設を支援。 40 ライフサイクルを通じた米国の水素生産投資支援(供給サイド支援) キャッシュ アウト 【初期投資・イニシャル支援】 ①クリーン技術製造施設投資への税額控除(インフレ抑制法48C)(予算:水素以外も含め約63億ドル(約8,190億円)) 太陽光・風力・地熱発電、CCUS、エネルギー貯蔵に使用される装置の製造施設への投資額の最大30%を税額控除 国産化要件を満たす場合、控除率は最大+10% ※③や④との併用不可 ②クリーンエネルギー投資税額控除(インフレ抑制法48E) 温室効果ガス排出率がゼロ以下の所定の発電施設およびエネルギー貯蔵技術への投資に対し、①同様の税額控除 【生産・ランニング支援】 ③ クリーン水素生産税額控除(インフレ抑制法45V)(予算:10年間で132億ドル(約1.7兆円) ) 32年末までに建設を開始したクリーン水素生産施設について、ライフサイクルでのGHG排出率に応じ、水素 1kgあたり最大3ドルの税額控除 ※最初5年間に限り、還付形式での税額控除メリットの享受が可能 ※一部投資税控除や④等との併用不可 ④ CCS(二酸化炭素隔離)に関する税額控除(インフレ抑制法45Q)(予算:10年間で32億ドル(約4,200億円)) 地中貯留により処分された適格二酸化炭素1メートルトンあたり最大85ドル、DAC設備により回収し地中 貯留した場合最大180ドル等の税額控除 ※①や③との併用不可 ①水素生産 (電解装置) ②水素発電 ・水素貯蔵 ③ 水素生産 ④ 水素生産時のCO2回収 2023 2032 ※いずれも、最大の控除を受ける際には賃金要件と見習い雇用者要件を満たす必要あり 【備考】水素供給設備に対する支援:追加クリーン水素プログラム(超党派インフラ法)(予算額:80億米ドル(約1兆円)、2022~26年) 電気自動車の充電設備、水素燃料供給設備、プロパン燃料供給設備、および、天然ガス燃料供給設備を、戦略的に国内に導入するための補助金制度。 出所: Congress.gov(2022),電力中央研究所(2022), DOE EERE Funding Opportunity Exchange(2022)等 41 (各法律等の実施細則は今後決まることとなっているため、現時点で公表されている情報により作成) 海外諸国の戦略産業投資(例:米国の蓄電池、EV、半導体) ⚫ GXやDXなどの中長期的成長が見込まれる戦略分野について、政府が大規模・長 期・包括的な支援を行うことにより、自国内への民間企業の立地・投資を誘致する動き も強まっている。 バイデン大統領のFacebook投稿 グランホルムエネルギー長官のTwitter投稿 2021年以降の蓄電池・EV・半導体・ バイオ製造等の主な投資案件 バイデン政権以降の蓄電池サプライチェーン投資案件 42 世界的潮流を踏まえた産業政策の転換 = 「経済産業政策の新機軸」 ⚫ 伝統的に産業政策を忌避しがちな米欧アカデミズム、IMF、OECDなどでも、従来の「市場の失敗への 介入」を超えて、社会・経済課題の解決に向けて、政府が積極的介入をすることで民間投資・イノベー ションを促すことの効果を研究。 ⚫ 官が主導する伝統的産業政策ではなく、官は民を邪魔しないことに徹する新自由主義的政策でもない、 社会・経済課題解決に向けて、官も民も一歩前にでて、あらゆる政策を総動員する新たな産業政策 (新機軸)を、枠組みにまで遡って検討することが必要。 伝統的産業政策 (~1980s) 新自由主義的政策 (1990s~2010s) 目的 特定産業 の保護・育成 市場環境 の整備 多様化する中長期の社会・経済課題の解決 (「ミッション志向」) 理論的根拠 「市場の失敗」 の是正 幼稚産業保護 市場機能の重視 「政府の失敗」を懸念 不確実性への対応(政府による市場の創造) 「政府の不作為」を懸念 (政府もリスクを負う「起業家国家」) ミクロ経済政策 (供給サイド) 官主導 ~過当競争の防止~ ミクロ経済政策 (供給サイド) 民主導 ~競争の促進~ 政策の フレームワーク 財政出動 中規模・中期 経済産業政策の新機軸 (2021~) (厳格な費用効果分析 に基づく事前評価重視) ミクロ経済政策とマクロ経済政策の一体化 (需要と供給の両サイド、生産的政府支出(PGS)等) 意欲的な目標設定、その実現に向けたイノベーション支援、 規制・制度、標準化、国際連携等、政策ツールを総動員 失敗を恐れず挑戦、失敗から学習(「フェイル・ファスト」) 総合的・多面的な事後評価重視 小規模・単発・短期 大規模・長期・計画的 43 日本政府の取組例(GX):規制・支援一体型促進策の政府支援イメージ ◼ 各分野が持つ事業リスクや事業環境に応じて、適切な規制・支援を一体的に措置することで、民間企業の投資を 引き出し、150兆円超の官民投資を目指す。 ◼ 世界規模のGX投資競争が展開される中、我が国は、諸外国における投資支援の動向やこれまでの支援の実績 なども踏まえつつ、必要十分な規模・期間の政府支援を行う。20兆円規模の支援については、今後具体的な事 業内容の進捗などを踏まえて必要な見直しを行う。 非化石エネルギー の推進 今後10年間の政府支援額 イメージ 今後10年間の官民投資額全体 約20兆円規模 150兆円超 約6~8兆円 イメージ 水素・アンモニアの需要拡大支援 再生可能エネルギーの大量導入 約60兆円~ 原子力(革新炉等の研究開発) 新技術の研究開発 水素・アンモニア など 需給一体での 産業構造転換・ 抜本的な省エネ の推進 抜本的な省エネを実現する 全国規模の国内需要対策 新技術の研究開発 など 資源循環・ 炭素固定技術 など 製造業の省エネ・燃料転換 イメージ 製造業の構造改革・収益性向上 を実現する省エネ・原/燃料転換 約9~12兆円 約2~4兆円 イメージ 新技術の研究開発・社会実装 など 等 (例.鉄鋼・化学・セメント・紙・自動車) 脱炭素目的のデジタル投資 規制等と 一体的に 引き出す 約80兆円~ 蓄電池産業の確立 船舶・航空機産業の構造転換 次世代自動車 住宅・建築物 等 資源循環産業 約10兆円~ バイオものづくり CCS 等 44 JASMによる熊本への投資による各種効果 経済波及効果試算 (九州フィナンシャルグループによる試算) ✓工場稼働の2024年から2年間の経済波及効果を1兆8,000億円と試算。 ✓2022年から31年までの10年間の経済波及効果を4兆2,900億円と試算。 • 約80社が熊本県内に拠点施設・工場増設 • 新工場の設備投資波及効果約9,300億円、操業後5年間の関連産業の生産や就業者の日常消費効果約2 兆円、関連産業の工業団地開発359億円、住宅関連投資713億円など • 雇用効果:JASMの直接雇用1,700人を含めて、全体で約7,500人 賃金 ✓TSMCの月給は大学学部卒で28万円、修士卒で32万円、博士卒で36万円。 ✓新規大卒者の平均給与は約22万5000円、大学院卒で約25万3000円。全国平均より、5万円以上高い水準。 (出典)賃金構造基本統計調査(令和3年、厚生労働省)等 【参考】菊陽町におけるTSMCの建設現場(2023年4月) ◆日本経済新聞(2022年10月) TSMC子会社で、新工場を運営するJASM(熊本市)の堀田祐一 社長は「基礎工事はほぼ終わり、日本では今までにないようなスピー ドで進んでいる」と話した。 45 リスキリングと労働移動の一体的な促進 ⚫ 政府全体で「人への投資」支援を「5年間で1兆円」に拡充し、個人のリスキリング等を促進。 ⚫ 経済産業省としても、令和4年度第二次補正予算で753億円を計上し、キャリア相談、リスキリ ング、転職までを一体的に支援することで、リスキリングと労働移動を一体的に促進する。 リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業 <個人視点での支援の流れ> <特設サイトの公開> 転職先 個人 登録 カウンセリング ・ コンテンツ紹介 リスキリングの 進捗確認 ・ 転職準備支援 転職支援 ・ フォローアップ 斡旋 リスキリング 実施 補助事業者 46 スタートアップ育成5か年計画の策定 ⚫ 昨年11月には、新しい資本主義実現会議において、官民によるスタートアップ育成策の全 体像として「スタートアップ育成5か年計画」をまとめたところ。 ⚫ スタートアップへの投資額を、5年後の2027年度に10倍を超える規模(10兆円規 模)とすることを目標に掲げている。 第一の柱 スタートアップ創出に向けた 人材・ネットワークの構築 • • • • • • メンターによる支援事業の拡大・横展開 海外における起業家育成の拠点の創設(「出島」事業) 米国大学の日本向け起業家育成プログラムの創設などを含む、アントレプレナー教育の強化 1大学1エグジット運動 大学・小中高生でのスタートアップ創出に向けた支援 グローバルスタートアップキャンパス構想 等 第二の柱 スタートアップのための 資金供給の強化と 出口戦略の多様化 • • • • • • • • • • • 中小企業基盤整備機構のベンチャーキャピタルへの出資機能の強化 産業革新投資機構の出資機能の強化 新エネルギー・産業技術総合開発機構による研究開発型スタートアップへの支援策の強化 日本医療研究開発機構による創薬ベンチャーへの支援強化 スタートアップへの投資を促すための措置 ストックオプションの環境整備 SBIR(Small Business Innovation Research)制度の抜本見直しと公共調達の促進 経営者の個人保証を不要にする制度の見直し SPAC(特別買収目的会社)の検討 未上場株のセカンダリーマーケットの整備 海外進出を促すための出国税等に関する税制上の措置 等 • 第三の柱 オープンイノベーションの推進 • オープンイノベーションを促すための税制措置等の在り方 事業再構築のための私的整理法制の整備 等 出所:第13回新しい資本主義実現会議「スタートアップ育成5か年計画」 47 Ⅰ.現状認識 (1)「失われた30年」の振り返りと「新機軸」 (2)産業政策において中長期的に踏まえるべき動向 (3)世界・日本における政策的支援の転換 (4)足下で起こっている変化の兆し・潮目の変化 (5)長期持続的な成長に繋げる必要性 Ⅱ.「経済産業政策の新機軸」の考え方 Ⅲ.国内投資・イノベーション・所得向上の3つの好循環を 実現するための主要な政策ツール Ⅳ.分野毎の施策 <ミッション志向の産業政策> <社会基盤(OS)の組替え> 48 設備投資意欲の上昇:国内投資の活発化の動き ⚫ 2022年度の設備投資計画(全規模全産業)は前年度比11.4%と、22年12月調査(同 +15.1%)から下方修正されたが、同時期としては過去4番目(※)と高水準の伸び率。 (※過去最高は1988年、1989年の同+17.0%、3番目は1990年の同+15.3%) ⚫ 2023年度は前年度比+3.9%と、同時期としては過去最高の伸び率。 企業の設備投資計画額の推移(前年度比) 前年度比(%) 20 2023年度 +3.9% 14.1 15 0 ▲5 15.1 11.4 10 5 16.4 2022年度 +11.4% 7.1 3.9 0.8 0.5 ▲ 0.4 ▲ 2.8 2.3 7.9 2.4 ▲ 1.3 3.3 2.3 0.4 ▲ 0.8 過去平均 +1.5% 7.9 ▲ 3.9 ▲ 2.7 4.6 2.7 2.1 ▲ 5.5 ▲ 6.1 1.5 2019年度 ▲0.6% ▲ 0.6 ▲ 0.8 2021年度 ▲0.8% ▲ 8.5 2020年度 ▲8.5% ▲ 10 3月調査 6月調査 9月調査 12月調査 実績見込 (出所)日本銀行「全国企業短期経済観測調査」4月3日公表 ※ 「過去平均」 は、1982年度~2018年度の平均値。 実績 49 設備投資意欲の上昇:国内投資の今後の見通しも堅調 ⚫ 政府の「経済見通し」によると、2023年度の民間企業設備投資は1990年代を上回る、過去最 高の103.5兆円となる見込み。 ⚫ 経団連は2023年4月の「国内投資拡大のための官民連携フォーラム」にて、2027年度に設備 投資額115兆円を実現し、政策強化により更なる高みを目指す目標を表明。 (出所) 国内投資拡大のための官民連携フォーラム(2023年4月6日)経済団体連合会提出資料 50 令和2年度・令和3年度補正予算により、既に動き出している主な国内投資案件 経済産業省の令和2年度・令和3年度補正予算の国内投資支援策 <DX>・先端半導体の国内生産拠点の確保(R3補正 6,170億円) <GX>・サプライチェーン上不可欠性の高い半導体の生産設備の脱炭素化・刷新事業(R3補正 470億円) ・蓄電池の国内生産基盤確保のための先端生産技術導入・開発促進事業(R3補正 1,000億円) <健康>・ワクチン生産体制強化のためのバイオ医薬品製造拠点等整備事業(R3補正 2,273.8億円) ・マスク・アルコール消毒液等生産設備導入補助事業(R2補正 29.1億円) ・アビガン・人工呼吸器等生産のための設備整備事業(R2補正 87.7億円) ・感染症対策関連物資生産設備補助事業(R2補正 22.1億円) <その他>・サプライチェーン対策のための国内投資促進事業費補助金(R2補正等 5,168億円) ・中小企業等事業再構築促進事業(R2・R3補正 1兆7,608億円) バイオ 阪大微生物病研究会 半導体 三菱電機 再生可能エネルギー JFEスチール 再生可能エネルギー JFEエンジニアリング 382億円 半導体 SUMCO 2015億円の内数 バイオ JCRファーマ 200億円 物流 歯愛メディカル 210億円 半導体 ミツミ電機 108億円 半導体 東芝デバイス& ストレージ (加賀東芝エレ クトロニクス) 蓄電池 プライムプラネットエナジー& ソリューションズ/トヨタ自動車 4000億の内数 蓄電池 BASF戸田 バッテリー マテリアルズ 半導体 富士電機 バイオ 富士フイルム バイオ 第一三共 蓄電池 日本重化学工業 半導体 デンソー岩手 バイオ 塩野義製薬 223億円 半導体 凸版印刷 半導体 キオクシア岩手 553億円 医薬品 小林製薬 200~250億円 蓄電池 東北村田製作所 バイオ ARCALIS 化学 カネカ 半導体 マイクロンメモリジャパン 1394億円 バイオ ニプロファーマ 蓄電池 クレハ 金属 JX金属 半導体 JASM 86億ドル 蓄電池 信越化学 化学 双日・メキシケム ジャパン 蓄電池 三洋・ パナソニックエナジー バイオ KMバイオロジクス 蓄電池 住友金属鉱山 470億円 半導体 ソニーセミコンダクタ マニュファクチャリング 883億円 蓄電池 半導体 バイオ・医薬品 金属・素材 再生可能エネルギー 化学 物流 バイオ タカラバイオ 半導体 デンソー 131億円 半導体 キオクシア等 2788億円 医薬品 健栄製薬 129億円 蓄電池 トヨタ自動車/ 豊田自動織機 蓄電池 エンビジョンAESC 1000億円超 半導体 JSR 蓄電池 東芝 バイオ タウンズ 物流 富岳通運 242億 バイオ AGC 半導体 AGCエレクトロニクス 半導体 ルネサスエレクトロニクス 124億円 半導体 レゾナック ※掲載した予算事業で採択された案件のうち、一定額以上の案件を掲載。自社HP等からの引用含む。 51 民間団体からの主要な要望事項のポイント① 世界最高水準の投資・事業環境の整備 令和5年第5回経済財政諮問会議(2023年4月26日) 資料3「国内投資拡大のための官民連携フォーラム」 (西村議員提出資料)より抜粋 ⚫ 国内投資を促す強力なインセンティブ • 主要各国の産業政策に劣後することなく、社会課題解決に絞って財政支援を行うとの考え方が重要。企業が予見可能性をもって 継続的に投資を行なえるよう、長期大規模な支援、複数年度にわたる政府のコミットが肝要(経団連・日商) • 予見可能性を高めるということに加えて、国費や減税等、インセンティブをもう一段高めてほしい(同友会) <GX> • 水素アンモニアや洋上風力等の研究開発・実証拠点への支援、将来市場獲得に向けた国際標準化の推進(商取引・契約等、運 搬船関連設備、燃焼利用機器仕様等の技術) (北海道、東北、中部、中国) (中部) • コンビナートにおける複数社の水素アンモニア共同調達・データ共同利用等に関する独禁法の取扱の柔軟化(中国) <DX> • 次世代半導体工場の建設・操業、研究開発・人材育成などの関連事業整備に向けた強力な支援(北海道) • 次世代計算基盤の構築が不可欠であり、関連分野への積極的な投資が重要(同友会) <その他> • 次世代モビリティ実現に向けた車両・道路・通信の共通プラットフォーム化、革新的な産学官連携の構築(中部) • 観光分野における高付加価値化や生産性向上への支援(中国) ⚫ 産業インフラへの徹底投資 • 工業用水を推進する自治体等への財政支援、幹線道路等交通ネットワークの強化(北陸・中部・九州) • 民間データセンターの地方分散への支援(北海道) ⚫ 国内投資を円滑化する環境整備・規制緩和 • 農地や市街化調整区域に係る土地利用調整の円滑化(中部・九州) 52 民間団体からの主要な要望事項のポイント② 戦略産業の国際獲得競争に負けないイノベーション環境の整備 令和5年第5回経済財政諮問会議(2023年4月26日) 資料3「国内投資拡大のための官民連携フォーラム」 (西村議員提出資料)より抜粋 ⚫ 研究開発拠点の立地やイノベーションの商業化促進 • パテントボックス税制など、海外と比べて遜色なく無形資産投資を後押しする税制措置(経団連・日商) • 先端産業分野を中心とした民間の研究開発投資に対するさらなる支援(関西) ⚫ スタートアップ・エコシステムの創出 • 自治体とスタートアップとの連携事業に対する支援の拡充(四国) • オープンイノベーション促進税制の延長等のスタートアップ創出支援(四国) 優秀な人材確保・人手不足対応 ⚫ 人への投資・成長分野への労働移動 • 先端産業分野における人材育成や地方の成長産業への労働移動を促すインセンティブの拡充(関西・九州) • 海外人材誘致のための国際的な教育・子育て環境の整備(九州) ⚫ 少子化対策に繋がる、地方における若者・女性の職場の拡大 • 地域の良質な雇用の受け皿としての中堅・ 中小企業の自己変革への挑戦支援、事業承継税制の恒久化(日商) • 大都市圏への流出が続いている若者の地域定着に資する支援制度の拡充、実効性ある少子化対策(北陸) • 地方大学・高専の機能強化(四国) ⚫ 人手不足対策としての省人化・自動化投資の促進 • デジタル化による省力化や合理化投資への支援の拡充(経団連、日商) • 次世代の物流システム構築に向けた、機械装置・物流資材・ソフトウェア整備促進に関する投資促進(中国) 公的負担抑制による原資の確保 • 中小企業向け賃上げ促進税制の繰越控除措置(日商) • 前向きな投資や賃上げに水を差さないよう、法人増税や社会保険料負担増への慎重な対応(日商) 53 新陳代謝の兆し:春闘回答集計結果の推移(連合) (%) 4.0 3.66 3.36 3.5 3.0 2.5 全規模 2.20 2.07 2.00 2.0 1.67 1.67 1.71 1.72 1.71 1.76 1.5 1.45 1.98 1.47 1.53 1.52 1.53 平成22年 平成23年 平成24年 平成25年 1.88 1.81 1.87 2.07 2.07 2.07 1.90 1.99 1.78 1.94 1.81 1.73 令和2年 令和3年 1.96 中小企業 1.0 平成21年 平成26年 平成27年 平成28年 平成29年 平成30年 令和元年 令和4年 令和5年 (2009年)(2010年)(2011年)(2012年)(2013年)(2014年)(2015年)(2016年)(2017年)(2018年)(2019年) (2020年) (2021年) (2022年) (2023年) ※1:調査対象は、連合加盟企業の組合。中小企業は、組合員数300人未満の中小組合。 ※2:賞与等を含まない月例賃金ベース。平均賃金方式(集計組合員数による加重平均)の集計。 ※3:平成21年~令和4年については第7回最終回答集計、令和5年については第6回回答集計結果であり、今後数字が変動する可能性がある。 (出典)日本労働組合総連合会「春季生活闘争回答集計結果について」 54 スタートアップへの投資拡大 国内スタートアップ向け投資額の推移 単位:億円 10倍 6,000 4,868 8,508 8,774 2021 2022 5,554 3,576 877 2013 1,424 2014 2,018 2015 2,565 2016 2017 2018 (注)2023年1月19日時点のデータであり、今後調査が進めば投資額の実績が変わる可能性がある。 (出所)INITIAL 「Japan startup finance」 2019 2020 55 M&Aの件数及び金額の推移 ⚫ 日本企業が関連するM&Aの件数は世界的な金融危機で減少して以降、増加傾向に ある。 日本企業が関連するM&Aの推移 (件) 6,000 5,000 件数ベース 3,866 3,877 3,965 4,000 3,000 IN-IN 2,670 2,807 2,795 3,253 IN-OUT OUT-IN 3,641 3,085 2,713 M&Aの件数は 増加傾向 2,476 2,633 2,836 3,025 3,190 3,469 5,442 4,688 4,927 4,829 4,899 3,811 2,000 1,000 0 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 2021 2022(年) 万 (百億円) 4,000 3,000 金額ベース 2,000 1,372 1,043 1,000 IN-IN 611 732 1,627 1,632 IN-OUT OUT-IN 3,114 1,725 1,802 1,498 1,406 931 1,213 822 1,360 831 2,005 1,428 973 1,685 1,806 1,067 0 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 2021 2022(年) (注)対象は日本企業が当事者(買収者、対象会社等)となるM&A。年は公表日ベース。 2022年は2022年1月1日~2022年11月30日までの件数。 (出所)レコフデータを基にして経済産業省が作成。 56 高生産性分野への資源配分、市場集中度の改善 ⚫ 日本では資源再配分効果(生産性の高い企業の規模拡大、生産性の低い企業の規模縮 小)が弱いと指摘されているが、この傾向に近年変化の兆しが見られている。 ⚫ また、日本では市場集中度が低いためにマークアップ率が低く、経済停滞の要因になっていると 指摘されていたが、コロナ禍を経て市場集中度が拡大する変化が見られている。 経済成長要因の要素別分解 (出所)第11回新機軸部会 滝澤委員プレゼンテーション資料 市場集中度の変化 57 目次 Ⅰ.現状認識 (1)「失われた30年」の振り返りと「新機軸」 (2)産業政策において中長期的に踏まえるべき動向 (3)世界・日本における政策的支援の転換 (4)足下で起こっている変化の兆し・潮目の変化 (5)長期持続的な成長に繋げる必要性 Ⅱ.「経済産業政策の新機軸」の考え方 Ⅲ.国内投資・イノベーション・所得向上の3つの好循環を 実現するための主要な政策ツール Ⅳ.分野毎の施策 <ミッション志向の産業政策> <社会基盤(OS)の組替え> 58 「経済産業政策の新機軸」14テーマの再構成 (「ミッション6+OS6+新分野2」→「ミッション8+OS5」へ) 1.ミッション志向の産業政策 世界的な社会課題を起点に、人口減少下でも中長期的に拡大 する国内需要を開拓。海外含め需給両面から施策を継続実施す ることで世界水準の戦略投資を加速。 2.経済社会システムの基盤の組替え(OS組替え) ミッションの実効性を高めるべく、経済社会構造を改革 ①炭素中立型社会の実現 ①人材 ②デジタル社会の実現 ②スタートアップ・イノベーション ③経済安全保障の実現 ③価値創造経営 ④新しい健康社会の実現 ④徹底した日本社会のグローバル化 ⑤災害に対するレジリエンス社会の実現 ⑤包摂的成長(地域・中小企業・文化経済) ⑥バイオものづくり革命の実現 ⑤行政:EBPM・データ駆動型行政 ⑦成長志向型の資源自律経済の確立 ⑧少子化対策に資する地域の包摂的成長 経済秩序の激動期において取り組むべき分野 ①成長志向型の資源自律経済の確立 ②Web 3.0の可能性と政策対応 59 先端半導体の製造拠点整備に係る経済効果 ⚫ 5G促進法による認定事業(熊本のTSMC、三重のキオクシア)について、経済効果分析を実施。 – ①直接評価モデル:税収効果は直接的な効果のみで最大助成額と同等程度。 – ②産業連関分析:GDPへの正の影響は約4.2兆円。 – ③CGEモデル:GDPへの正の影響額は約3.1兆円。 分 析 対 象 事業者 生産対象 場所 設備投資額 最大助成額 TSMC・JASM 先端ロジック 熊本県菊陽郡菊陽町 86億ドル規模 4760億円 キオクシア等 メモリ(NAND) 三重県四日市市 2,788億円 929.3億円 (※)対象期間:事業実施期間(設備投資期間+継続生産期間(10年間)) <結果概要> 経済モデル GDP影響額 雇用効果(延べ) 税収効果等 ①直接評価モデル ‐ 約3.6万人 約6,000億円 ②産業連関分析 約4.2兆円 経済波及効果は9.2兆円 約46.3万人 約7,600億円 ③CGEモデル 約3.1兆円 約12.4万人 約5,855億円 約9,793億円(社会保障負担含む) (※)現状の日本経済を前提とした分析であり、実際の経済波及効果は今後の市場の状況等によって変動する点に留意。 【参考】JASMによる熊本への投資による経済波及効果試算(調査実施:九州フィナンシャルグループ) ✓工場稼働の2024年から2年間の経済波及効果:1兆8,000億円 ✓2022年から31年までの10年間の経済波及効果:4兆2,900億円 ✓雇用効果:JASMの直接雇用1,700人を含めて、全体で約7,500人 60 目次 Ⅰ.現状認識 (1)「失われた30年」の振り返りと「新機軸」 (2)産業政策において中長期的に踏まえるべき動向 (3)世界・日本における政策的支援の転換 (4)足下で起こっている変化の兆し・潮目の変化 (5)長期持続的な成長に繋げる必要性 Ⅱ.「経済産業政策の新機軸」の考え方 Ⅲ.国内投資・イノベーション・所得向上の3つの好循環を 実現するための主要な政策ツール Ⅳ.分野毎の施策 <ミッション志向の産業政策> <社会基盤(OS)の組替え> 61 3つの好循環(国内投資、イノベーション、所得向上)に向けた主要施策 足下3年程度 3~5年後 長期的目標 ●設備投資意欲の上昇 ●既存の政府支援(R4補正:7兆円) 国 内 投 資 経済界の設備投資目標:2027年度115兆円、さらなる高みへ 案件の具体化(例. 2020年代後半 次世代半導体の製造基盤確立) ★ 戦略分野(GX、 DX等)への世界水準の長期大規模支援(複数年/初期投資に留まらない支援等) 投資に必要な産業用地/インフラの整備 投資推進のための必要となる施策を随時実施 ★ 少子化対策としての地方投資推進(中堅企業の集中支援、成長志向の中小企業創出)/人手不足対策としての 省人化投資促進 ●人手不足・新陳代謝の兆し イ ノ ベ ー シ ョ ン + 企業活動を高付加価値化し、 経済産業構造を転換 高付加価値化のための事業構造改革、新陳代謝促進(PBR<1、親族内承継・M&A、スピンオフ等) 世界水準のイノベーション投資環境整備(イノベーションボックス制度、蓄電池CFP/自動運転データ共通基盤等) 戦略分野のイノベーションの世界水準の支援(GX、半導体・AI・量子・宇宙、バイオものづくり、健康) スタートアップ投資額:2027年度10兆円 ★ (JIC運用期限延長、LPS投資対象拡充・海外投資制限の要件緩和等) スタートアップ:育成5カ年計画の着実な推進と強化 ●30年ぶりの賃上げ水準 所 得 向 上 成長分野への労働力、資金流入の推進 将来の成長期待に基づく 民間投資の促進 物価上昇と賃金上昇の好循環の定着 賃上げ環境の整備(価格転嫁対策、賃上げ税制、事業再構築・生産性向上支援、キャリア相談・リスキリン グ・転職までの一体的な支援) 地方における良質な雇用創出(子育て両立・女性活躍に向けた職場改革等) 長期持続的な経済成長の実現 両立 社会課題解決に向けた進展 ・GX:2050年カーボンニュートラル ・DX:デジタル社会の実現 ・経済安全保障の実現 ・健康寿命の延伸 ・自然災害へのレジリエンス社会 ・資源自律:資源制約からの解放 ・少子化傾向の反転:希望出生 率を1.8に回復、将来的には更な る希望向上へ ★産業競争力強化法などの法改正も視野に対応を検討する事項 62 目次 Ⅰ.現状認識 Ⅱ.「経済産業政策の新機軸」の考え方 Ⅲ.国内投資・イノベーション・所得向上の3つの好循環を 実現するための主要な政策ツール Ⅳ.分野毎の施策 <ミッション志向の産業政策> ① 炭素中立型社会の実現 ② デジタル社会の実現 ③ 経済安全保障の実現 ④ 新しい健康社会の実現 ⑤ 災害に対するレジリエンス社会の実現 ⑥ バイオものづくり革命の実現 ⑦ 成長志向型の資源自律経済の確立 ⑧ 少子化対策に資する地域の包摂的成長 <社会基盤(OS)の組替え> 63 ミッション①:炭素中立型社会の実現 64 世界におけるCN宣言の状況 ◼ 世界では、カーボンニュートラル(CN)目標を表明する国・地域が急増し、そのGDP総計は世界全体の約94%を 占める。 ◼ こうした中、既に欧米をはじめとして、排出削減と経済成長をともに実現するGX(グリーントランスフォーメーション) に向けた大規模な投資競争が激化。 ⇒ GX投資等によるGXに向けた取組の成否が、企業・国家の競争力に直結する時代に突入 期限付きCNを表明する国地域の急増 COP25 終了時(2019) 2023年5月 • 期限付きCNを表明する国地域 は121、世界GDPの約26%を 占める • 期限付きCNを表明する国地域 は158、世界GDPの約94%を 占める 諸外国によるGX投資支援(例) 国 EU 2020.1.14 投資計画公表 ドイツ 2020.6.3 経済対策公表 フランス 2020.9.3 経済対策公表 (参考)CN表明国地域(2023年5月) 英国 ■2050年まで ■2060年まで ■2070年まで 2021.10.19 戦略公表 米国 2022.8.16 法律成立 出所:各国政府公表資料を基に作成。 出所: UNFCCC NDC Registry、World Bank databaseを基に作成 支援期間 政府支援等 10年間 官民で 約146兆円 (約1兆€) 2年間を中心 2年間 8年間 10年間 約7兆円 (約500億€) 約4兆円 (約300億€) 約4兆円 (約260億£) 約49兆円 (約3,690億$) ※換算レートは1$=133円、1€=146円等(基準外国為替 相場・裁定外国為替相場(2023年6月分適用) 65 【参考】 GXによる日本の成長ポテンシャル ◼ GX関連分野における日本の成長ポテンシャルは大きいとの分析が複数存在。世界に冠たる日本のポテンシャルを 最大限活用・発展させることで、競争力強化と排出削減を同時に実現可能。 ➢ 例えば、事業収益全体に占めるGX関連収益※1の割合は、日本がドイツに次いで2番目。日本は、ハイブリッド 車を中心とした自動車の収益、次いでエネルギー効率の高い産業用製品等の収益が大きい。 ➢ また、日本はGX関連技術のポテンシャルも大きい。例えば、企業が有するGX関連の特許スコア※2は、日本が最 も高く、次いで韓国、ドイツの順。日本の内訳をみると、「自動車」と、「エネルギー供給」の割合が大きい。 ※1 ESG指数開発会社FTSEが設定した、排出削減に資する133セクターからの収益 ※2 スイス政府とESG指数開発会社MSCIが開発した、特許数を特許出願時の引用数・他の特許との関連性・出願国のGDP等で重み付けした値 各国の事業収益全体に占めるGX関連収益割合 各国企業のGX関連特許スコア ※削減貢献度順にGX関連事業(Green Revenues)をTier 1,2,3と分けており、 例えば、主動力が電気のハイブリッド車はTier 1に該当。また、いずれも時価総額で加重 平均した値。 出所:GPIFポートフォリオの気候変動リスク・機会分析(ESG活動報告 別冊)を基に作成。 ※左図はG7のMSCI ACWI構成銘柄企業が対象、右図はGPIFによる国債運用国が対象。 66 成長志向型カーボンプライシング構想 ◼ 2050年カーボンニュートラル実現等の国際公約と、産業競争力強化・経済成長を共に達成していくため、今後10年間に150兆円超 の官民GX投資を実現・実行する。 ⇒ 以下の柱から成る 『成長志向型カーボンプライシング構想』を速やかに具体化・実行していく。 (1)「GX経済移行債」※を活用した先行投資支援(今後10年間に20兆円規模) ※ 2050年までに償還 • 規制・支援一体型投資促進策 → エネルギーの脱炭素化、産業の構造転換等に資する革新的な研究開発・設備投資等を、複数年度にわたり支援 (2)カーボンプライシングによるGX投資先行インセンティブ • 炭素排出への値付けにより、GX関連製品・事業等の付加価値向上 • 直ちに導入するのでなく、GXに取り組む期間を設けた後に、当初低い負担で導入し、徐々に引き上げ • エネルギーに係る負担の総額を中長期的に減少させていく中で導入することが基本 ① 多排出産業等の、企業毎の状況を踏まえた野心的な削減目標に基づく「排出量取引制度」の本格稼働 【2026年度~】 + 発電事業者に、EU等と同様の「有償オークション」を段階的に導入 【2033年度~】 → 電源の脱炭素化を加速 ② 炭素に対する賦課金制度の導入 【2028年度~】 → 化石燃料ごとのCO2排出量に応じて、輸入事業者等に賦課。当初低い負担で導入し、徐々に引き上げ。 (3) 新たな金融手法の活用 → 官民連携での金融支援の強化、サステナブルファイナンスの推進、トランジションへの国際理解醸成 等 ⇒ これらの方針を予め示すことで、GX投資を前倒しで取り組むインセンティブを付与する仕組みを創設する。 GX経済移行債 金額 投資促進 150兆円超のGX投資の実現 将来財源 投資促進 ・排出量取引制度の本格稼働 +発電事業者への「有償オークション」 ・炭素に対する賦課金制度 投資規模(BAU) 2022 時間軸 67 【参考】 GXリーグの段階的発展の方向性 ◼ 2023年度から試行的に開始する、GXリーグにおける「排出量取引制度」は、参加企業のリーダシップ に基づく自主参加型である。企業が自主的に目標設定することで、企業に説明責任が発生し、強いコ ミットメント・削減インセンティブが高まるという観点から、削減目標の設定及び遵守についても、企業の 自主努力に委ねることとする。 ◼ 参画企業の自主性に重きを置く中で、制度に係る公平性・実効性を更に高めるため、2026年度の 「排出量取引制度」本格稼働以降、更なる参加率向上に向けた方策や、政府指針を踏まえた削減 目標に対する民間第三者認証、目標達成に向けた規律強化(指導監督、遵守義務等)などを検 討するとともに、「排出量取引制度」の進捗を踏まえ、更なる発展に向けた検討を進める。また、「排出 量取引制度」に参画する企業を中心に、「GX経済移行債」による支援策を連動させていくことを検討。 ◼ 2033年度からは、発電事業者に対して、EU等と同様の「有償オークション」を段階的に導入する。 <GX-ETSの段階的発展のイメージ> 第1フェーズ 排出量取引市場の本格稼働 試行 2023年度 GX-ETS 第2フェーズ 2026年度以降 第3フェーズ 更なる発展 2033年度 参加 自主※1 更なる参加率向上に向けた方策の検討 目標設定 自主※2 政府指針を踏まえた目標か、民間第三者認証の検討 目標達成 自主※3 規律強化(指導監督、遵守義務等)の検討 ※1 GXリーグは、2023年5月時点で、我が国全体のCO2排出量の4割以上をカバー ※2 2050年カーボンニュートラルと整合的な目標(2030年度及び中間目標(2025年度)時点での目標排出量)を開示 ※3 目標達成に向け、排出量取引を行わない場合は、その旨公表(Comply or Explain) 発電部門について、 段階的な有償化 (有償オークション の導入)の検討 68 ミッション②:デジタル社会の実現 69 デジタル基盤整備を通じて国内投資・イノベーション・所得拡大の好循環を実現 ⚫ 今後、全ての産業・社会において、デジタル化・DXが加速度的に進展していくことは必至。全ての産業 を根幹として支え、地方創生や少子高齢化などの社会課題の解決にも不可欠なデジタル基盤(デジ タル産業基盤、デジタルライフライン、デジタル人材基盤)の整備について、取組を進めていく。 ⚫ 他国に匹敵するスピード感と内容を伴った取組を通じて、DX・GX・経済安全保障を実現するとともに、 国内投資・イノベーション・所得拡大の好循環に繋げていく。 産業・社会に新たな付加価値を創出し、DX・ GX・経済安全保障等の社会課題にも対応する ためには、デジタル化が不可避 クラウド サイバーセキュリティ データセンター 5G デジタル産業基盤 ・・・ プラットフォーム 通信機器/既存モビリティ等 デジタルライフライン ・・・ ・・・ 半導体(集積回路) 基盤技術 蓄電池 サプライチェーンのデータ 連携基盤等 ・・・ デジタル人材基盤 70 第8回 半導体・デジタル 産業戦略検討会議 資料 (2023年4月3日) デジタル社会の実現 ⚫ 国内にデジタル基盤を構築することで、少子高齢化の中でのDX、GXを達成するとともに、CE型社会、 レジリエントな社会を構築し、高度なデジタル社会を実現する。 次 世 代 の デ ジ タ ル 社 会 像 デ ジ タ ル 基 盤 の 構 築 GX化・CE型社会 ChildLabor EC O 調達先リスク可視化 再生・再利用率 製品の省電力化 (サプライチェーン管理) 蓄電池の普及 可視化 (スマート省エネ/半導体の省電力化) デジタル社会 需要予測 精度の向上 バックオフィス業務 自動化 社会システムの アーキテクチャ 010010111 10 10 スマートファクトリ 金融(リスク分析、 ポートフォリオの最適化) ドローン・サービスロ ボットによる配送 柔軟な サプライチェーン 自動運転車による オンデマンド交通 レジリエントな社会 安心・安全なサイバー空間 /安全保障 (セキュリティ・プライバシー確保) 自然災害への強靱化 (超精密な気象予測) 次世代計算基盤 デジタル基盤技術の確保 スタートアップ活性化 量子コンピュータ 次世代メモリ 継続的な国内投資 スパコン AIコンピュータ 次世代通信ネットワーク デジタルライフライン (ハード・ソフト・ルール) 貿易収支黒字化 経常収支の改善 デジタル人材の育成 科学技術立国 71 第8回 半導体・デジタル 産業戦略検討会議 資料 (2023年4月3日) 売上高の増加目標 ⚫ 2030 年に、国内で半導体を生産する企業の合計売上高(半導体関連)として、 15 兆円超を実現し、我が国の半導体の安定的な供給を確保する。 (% / 兆円) 20 国内で半導体を生産する企業の合計売上高(半導体関連)(兆円) 18 国内で半導体を生産する企業の合計売上高(半導体関連)のシェア(%) 15兆円 16 14 12 10 8 約5兆円 6 4 2 0 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 2021 2022 2023 2024 2025 2026 2027 2028 2029 (出典)実績分について、世界全体の売上はOMDIA、日本国内売上は経済産業省「工業統計調査」の品目別出荷額の値を集計。出荷額については、半導体関連(半導体素 子、光電変換素子、集積回路)及び、「他に分類されない電子部品・デバイス・電子回路」のうち半導体関連品目を出荷額ベースで按分した値の合計。 2030 72 今後の半導体戦略の全体像 ステップ1 足下の製造基盤の確保 ステップ2 次世代技術の確立 ステップ3 将来技術の研究開発 先端ロジック半導体 ✓ 国内製造拠点の整備・技術的進展 ✓ 2nm世代ロジック半導体の製造技術 開発 →量産の実現 ✓ Beyond2nm実現に向けた研究開 発(LSTC) ✓ Beyond2nm実現に向けた研究開発 (LSTC) ✓ 光電融合等ゲームチェンジとなる将来 技術の開発 先端メモリ半導体 ✓ 日米連携による信頼できる国内設計・ 製造拠点の整備・技術的進展 ✓ NAND・DRAMの高性能化 ✓ 革新メモリの開発 ✓ 混載メモリの開発 産業用 スペシャリティ 半導体 ✓ 国内での連携・再編を通じたパワー半 導体の生産基盤の強化 ✓ エッジデバイスの多様化・多機能化など 産業需要の拡大に応じた用途別従来 型半導体の安定供給体制の構築 ✓ SiCパワー半導体等の性能向上・低コ スト化 ✓ GaN・Ga2O3パワー半導体の実用化に 向けた開発 先端パッケージ ✓ 先端パッケージ開発拠点の設立 ✓ チップレット技術の確立 ✓ 光チップレット、アナデジ混載SoCの実 現・実装 ✓ 先端半導体等の製造に不可欠な製造 装置・部素材の安定供給体制の構築 ✓ Beyond 2nmに必要な次世代材料 の実用化に向けた技術開発 ✓ 将来材料の実用化に向けた技術開発 製造装置・部素材 人材育成 ✓ 地域の特性に合わせた地域単位での産学官連携による人材育成(人材育成コンソ等) ✓ 次世代半導体の設計・製造を担うプロフェッショナル・グローバル人材の育成 国際連携 ✓ 日米関係では、日米半導体協力基本原則に基づき、共同タスクフォース等の枠組みを活用し、米NSTCとLSTCを起点に連携を深 め、次世代半導体の開発等に取り組む ✓ EU・ベルギー・オランダ・英国・韓国・台湾等の諸外国・地域と、次世代半導体のユースケース作りや研究開発の連携等に関し、相 手国・地域のニーズ等に応じて進める グリーン ✓ ✓ PFAS規制への対応 半導体の高集積化・アーキテクチャの最適化・次世代素材開発により、半導体の高性能化・グリーン化を実現 73 蓄電池産業戦略(2022年8月)に関連する主な最近の動向と今後の方向性 1st Target 2nd Target 液系LiBの製造基盤の確立 目標:遅くとも2030年までに 国内製造基盤150GWh グローバルプレゼンスの確保 目標:2030年までにグローバルに 製造基盤600GWh 3rd Target 次世代電池市場の獲得 目標:2030年頃に 全固体電池の本格実用化 1. 国内基盤拡充のための政策パッケージ ⇒令和3年度補正予算の1000億円の措置に加えて、電池・材料の生産設備・技術開発支援のためGX関連予算として3316億円 (R4補正:経済安保基金)を措置。 ⇒今後、製造装置メーカー等への支援含めた、国内基盤強化に向けた追加支援の検討。 2. グローバルアライアンスとグローバルスタンダードの戦略的形成 ⇒豪州と「重要鉱物に関するパートナーシップ」締結(昨年10月)。米国と「重要鉱物のサプライチェーン強化に関する協定」締結(本年3月) ⇒今後、カナダとのサプライチェーンでの連携強化など、同志国・資源国等との連携強化を推進。 3. 上流資源の確保 ⇒JOGMECの支援措置の拡充(R4補正約2000億円)と関係国との関係強化。 ⇒今後、資源確保に向けてユーザ企業を含めた官民連携体制の強化に向けた検討。 4. 次世代技術の開発 ⇒令和5年度予算事業及び経済安全保障重要技術育成プログラム(K Program)による次世代電池の開発支援 5. 国内市場の創出 ⇒R4補正及びR5当初におけるCEV補助金・インフラ導入促進補助金、定置用蓄電池の導入補助金 ⇒今後、系統用蓄電池を含めた定置用蓄電池の導入見通しの検討を進める 6. 人材育成・確保の強化 ⇒本年3月、「関西蓄電池人材育成等コンソーシアム」 において、2023年度のアクションプランを公表。 ⇒今後、人材育成プログラムの具体化を図り、2024年度よりバッテリー人材育成・確保の取組を本格的に実施 7.国内の環境整備強化 ⇒試行事業の結果を踏まえ、本年4月、サステナビリティ研究会において、カーボンフットプリント(CFP)算出方法案を公表 等。 ⇒今後、支援措置における要件化や第三者認証について検討。並行してCFP算出等に必要なデータ連携基盤の構築等を進める ⇒リサイクルについては、サステナビリティ研究会において更に検討を進める 74 生成AIの可能性とリスク ⚫ 生成AIは、多くの産業において、単純な作業の代替や効率化だけでなく、作業者に依らず 高品質なものを生み出したり、個人の発想を超えてアイデアの革新を促したりするなど、劇的 な変革をもたらす可能性がある一方、著作権侵害等のリスクも抱えている。 イノベーションの可能性 リスク・課題 人の作業の代替 プライバシーの侵害 アイデアの革新 著作権侵害 生成AI 作業者に依らない品質 偽情報の生成 75 生成AIの基盤的な開発能力の醸成に向けて ⚫ AI、特に生成AIについて、抱えるリスクや将来にわたるイノベーションの可能性を踏まえ、利活 用を促すとともに、競争力ある大規模言語モデル等の開発や計算資源の整備・拡充を通じ て、基盤的な開発能力の醸成に取り組んでいくことが重要ではないか。 業界A 業界B AI利用者 AI利用者 データ データ データ データ 画像生成AIで作成された絵 データ (出所)KDDI、パーソルHPを基に経産省作成 (出所)自民党AIPTホワイトペーパー (要旨)を基に経産省作成 GPT-4(?) Switch Transformer (1600B) 悟道2.0(1750B) 10,000.00 サービス サービス 1,000.00 GPT-3(175B) BLOOM (176B) 100.00 Hyperclova(日本語)(82B) LLaMA(65B) Turnig-NLG(17.2B) データ モデル データ パラメーター規模 (Billion) 10.00 モデル PaLM (540B) Megatron-LM(8.3B) 1.00 ABEJA(13B) Alpaca(7B) rinna(1.3B) GTP-2(1.5B) BERT-Large(340M) 0.10 ELMo(94M) 0.01 基盤モデル 共通基盤モデル群 共通基盤モデル群 2018 2019 2020 2021 2022 2023 (出所)AI戦略会議資料 計算資源 半導体 (出所)東京エレクトロンHP (出所)産業技術総合研究所HP 76 76 デジタルインフラ(DC等)整備に関する有識者会合 中間とりまとめ 2.0 【概要】(案) ⚫ データセンターなど、デジタルインフラを取り巻く状況や環境変化を踏まえ、今後のデジタルインフラ整備の考え方・ 方向性等を再整理。 デジタルインフラを取り巻く状況、環境変化 • • • • • 国内のデータセンターの8割超は東京圏・大阪圏に集中、国際海底ケーブルの陸揚局は房総半島や志摩半島などに集中 AI・量子コンピュータなど次世代の計算基盤・システムを巡る技術の進展 国際情勢の変化などに伴い、アジアにおける我が国のデータセンター適地としての相対的な位置づけの高まり 電力多消費施設であるデータセンターにおける脱炭素電力の確保やGX推進の必要性の高まり 国内各地域のデジタル実装とデータ処理需要に応じたデジタルインフラの整備の必要性 等 ( 北 米 ・ 欧 州 等 と の 接 続 ) 基本的考え方 • デジタルインフラは、これまで民間主導を基本として整備。一方、取り巻く環境変化等を踏まえ、中長期的視点を持って 国全体としてのグランドデザインを描き、官民で共有し、官民が役割分担を踏まえ相互に連携して対応していく必要。 デジタルインフラ整備の方向性 ①東京圏・大阪圏を補完・代替する第三、第四の中核拠点の整備 • 大規模自然災害等への備えとしてのレジリエンス強化、脱炭素電源活用等の観点に加え、北米やアジア 太平洋等をつなぐ我が国の地理的な優位性等を活かし、国際的なデータ流通のハブとしての機能を強化 するといった観点から、我が国のデジタル社会を支えるバックボーンとして、戦略的に中核拠点を整備 • 中核拠点の整備に向けた取組と連動して国際海底ケーブルの多ルート化等、ハブ機能の強化を促進 ⇒北海道や九州のエリアにおいて整備を促進 ②地域における分散型のデータセンターなどの計算資源の整備 • 遅延が許容される用途に利用される計算資源やデータセンター等について、脱炭素電源の活用などを 含め、地方の適地に分散立地 • データが発生する場所の近くにMEC(Multi-access Edge Computing)を配置。MECで処理される データを統合して情報処理を行うデータセンター等を地域レベルで配置 • 「デジタルライフライン全国総合整備計画」に基づくアーキテクチャも踏まえつつ整備を推進 • 2030年頃に実用化が見込まれるオール光ネットワーク技術の活用も視野に入れつつ、データやエネルギー の「地産地消」の事業モデルを実現 (アジア・太平洋地域等との接続) 国際海底ケーブル 光ファイバ、 国内海底ケーブル 日本海ケーブル ハブ機能の強化に 資する海底ケーブル データセンター中核拠点 77 デジタルライフライン全国総合整備計画の検討方針 ~自動運転やAIの社会実装を加速~「点から線・面へ」「実証から実装へ」 人口減少が進むなかでもデジタルによる恩恵を全国津々浦々に行き渡らせるため、約10年のデジタル ライフライン全国総合整備計画を策定。官民で集中的に大規模な投資を行い、自動運転やAIのイノ ベーションを急ぎ社会実装し、人手不足などの社会課題を解決してデジタルとリアルが融合した地域生活 圏※の形成に貢献する。 ※国土形成計画との緊密な連携を図る。 デジタルによる社会課題解決・産業発展 アーリーハーベストプロジェクト 人手不足解消による生活必需サービスや機能の維持 2024年度からの実装に向けた支援策 人流クライシス 物流クライシス 災害激甚化 ドローン航路 自動運転車用レーン インフラ管理のDX 中山間地域では 移動が困難に… ドライバー不足で 配送が困難に… 災害への対応に 時間を要する… 150km以上 100km以上 200km²以上 埼玉県秩父エリア等 駿河湾沼津-浜松等 (深夜時間帯) 関東地方の都市等 デジタルライフラインの整備 中長期的な社会実装計画 ハード・ソフト・ルールのインフラを整備 官民による社会実装に向けた約10カ年の計画を策定 ハード ソフト ルール 高速通信網 IoT機器 等 データ連携基盤 3D地図 等 認定制度 アジャイルガバナンス 等 (箇所/距離) 計画のイメージ 先行地域(線・面) 国の関連事業の 実装したデジタル ライフラインの総延長 1 集中的な優先採択 ゴール設定 環境・ リスク分析 評価 外部システム からの影響 出典:State Dept./S. Gemeny Wilkinson 出典:Maxar|Source: Airbus, USGS, NGA, NASA, CGIAR, NLS, OS, NMA, Geodatastyrelsen, GSA, GSI and the GIS User Community|国土交通省都市 局都市政策課 適用 実装地域数 ・・・ 2024 2025 2026 2027 2028 2029 2030 ・・・ (年度) 2 長期の継続支援 システムデザイン 外部システム への影響 例:アジャイル・ガバナンスの二重サイクル 78 実践的なデジタル推進人材育成の基本的考え方 ⚫ 全国でニーズの高まるデジタル推進人材の育成に当たっては、身に着けるべきデジタルスキル標準を策定 するとともに、情報処理技術者試験やデジタル人材育成プラットフォームを活用して、関係省庁とも連携 しながら、全国大で人材育成を進めていくことが重要。 ⚫ 加えて、各地域の産業集積の特性等を踏まえて、産業別(半導体・蓄電池等)に必要な人材ニーズ やスキルを整理し、地域の産学官連携が主体的に人材育成を進めていくことが必要。 (半導体:九州・東北・中国等、蓄電池:関西) ⚫ これらの人材育成を通じて、イノベーションの創出やキャリアアップを通じた所得向上にも貢献していく。 ( ) 産地 業域 別ご と スに キ実 ル践 九州・東北・中国等 関西 半導体産業に 求められるスキル について産学官で カリキュラム構築 ・教育実践 蓄電池産業に 求められるスキル について産学官で カリキュラム構築 ・教育実践 + 汎 用 ス キ ル + デジタルスキルを 全国的講座で学習 ビジネス アーキテクト ・・・・・・・・・ 地域の実情に 合わせて、産業別に必 要なスキルを整理し、 地域ごとに育成 デザイナー デジタルスキルを 全国的講座で学習 データサイ エンティスト デジタルスキル標準 ソフトウェア エンジニア サイバーセキュリティ 情報処理技術者試験、 デジタル人材育成 プラットフォーム等 を活用し 全国大で育成 79 大学・高専のデジタル人材の育成機能強化(デジタル人材育成推進協議会) ⚫ 産学官連携による大学・高専のデジタル人材育成機能の強化等を目的に、文科省・経産省が設置。 ⚫ 成長分野をけん引する大学・高専の機能強化に向けた基金による継続的支援や実務家教員派遣な どに関して議論。 (1)構成委員(五十音順、敬称略)※令和4年12月26日時点 大村 秀章 神宮 由紀 関 聡司 竹中 洋 田中 愛治 谷口 功 富田 達夫 西尾 章治郎 橋本 健一 平松 浩樹 松井 幹雄 池田 貴城 野原 諭 全国知事会 文教・スポーツ常任委員会委員長(愛知県知事) 経済同友会 幹事・教育改革委員会副委員長(フューチャーアーキテクト株式会社 代表取締役社長) 一般社団法人新経済連盟 事務局長 一般社団法人公立大学協会 副会長(京都府立医科大学 学長) 日本私立大学団体連合会 会長(早稲田大学 総長) 独立行政法人国立高等専門学校機構 理事長 独立行政法人情報処理推進機構 理事長 一般社団法人国立大学協会 副会長(大阪大学 総長) 彦根商工会議所 常議員・IT推進研究会委員長(株式会社橋本建設 代表取締役) 日本経済団体連合会 教育・大学改革推進委員会企画部会長(富士通株式会社 執行役員EVP CHRO) 電子情報技術産業協会 IT・エレクトロニクス人材育成検討会 委員長(横河電機株式会社 執行役員) 文部科学省高等教育局長 経済産業省商務情報政策局長 (2)開催状況や議論の主な中身 〇第1回デジタル人材育成推進協議会(R4.9.29) 〇第2回デジタル人材育成推進協議会(R4.12.26) 〇主な議論の論点 ◆成長分野をけん引する大学・高専の機能強化に向けた基金による継続的支援(文科省 R4補正 3,002億円) ・学部再編等による特定成長分野(デジタル・グリーン等)への転換等の支援 ・高度情報専門人材の確保に向けた大学や高専の機能強化支援 等 ◆地域の産学官の連携による人材育成のあり方の検討(実務家教員派遣を含む) ・最先端の教育研究を行うための実務家教員の検討 等 80 Web3.0:「価値のインターネット」の上に生まれたトークン経済 ⚫ ブロックチェーン技術の台頭に伴い、従来のインターネットアーキテクチャの上に、新たに「価値のインターネット (ブロックチェーン等の技術による価値の共創・保有・交換システム)」のレイヤーとしてのWeb3.0が加わ り、アーキテクチャの再構築が進展してきた。 ⚫ そこでは暗号資産やNFT等のトークンを活用した、新たなサービスの創業環境や消費活動、資産形成環境と して「トークン経済」が生まれ、メタバースとの掛け合わせも含めた新たな経済圏の形成が進んでいる。具体的 なユースケースとして、文化経済(ゲーム・アート・スポーツ等)や金融(暗号資産による分散型金融・資産 形成)の領域が先行しているのが現状。 2020年代~ 2010年代~ メタバースとの掛け合わせ 1990年代~ 双方向型のSNS等。 “Read and Write” 一方通行なHPや Eメール等。 “Read only” Web1.0 トークンを介して、あらゆる価値の 共創・保有・交換が可能に “Read & Write & Own/Join” Web2.0 Web1.0 Web2.0 Web3.0 出所:Amusement Japan ホームページより 画像引用 81 短期的には「Web3.0」、同時に長期的な「Society5.0」の視点も ⚫ 今後の政策展開としては、理想像としてのSociety5.0の実現を睨みつつ、そのブロックチェーン技術の貢献可能 性が未知数であることも踏まえ、今後2~3年程度で、足下で顕在化しているWeb3.0事業環境を巡る課 題(税制・法制度・慣行など)の課題・論点を消化しつつ、ブロックチェーン技術の進歩が、Society5.0に おけるグローバルなデータ共有基盤の構築や、トラストを確保したデータの流通等を支える技術の芽とつなが る可能性を追求すべく、ユースケース創出・研究開発・人材育成・コミュニティ組成等の中長期的課題にも同 時に取り組むべきではないか。 パブリックチェーン ②ブロックチェーン技術の Society5.0への 貢献可能性 管理者は存在せず、 全ての利用者が 承認者にもなりうる。 ①Web3.0の現状 ? プライベートチェーンを 用いた各種実証 ? ③政策展開 の考え方 ? プライベートチェーン 管理者 承認者 利用者 82 ミッション③:経済安全保障の実現 83 経済安全保障政策の体系(経済安全保障推進法を含む) 1.これまでに着手した取組で、今後も継続・強化していく分野 自律性の向上 優位性・不可欠性の確保 リスク対応・ 基幹産業の複雑化したリスクへ 脆弱性点検 の対応と脆弱性を点検・把握 経済安全保障 重要技術育成 先端的な重要技術の実用化 に向けた重点支援 プログラム 土地法整備 重要施設周辺等の土地等所 有について、実態把握を強化 競争的研究費申請時に資 外国資金 金受入等について開示を求 受入状況開示 めるなど、研究インテグリティ に資する政府方針を決定 留学生等の 受入審査 機微技術流出防止のため 国内体制整備等の推進 国際秩序の維持・強化 先端的な重要技術の育成・ 支援等に資する調査・分析 を実施 外為法上の「みなし輸出」の 技術情報管理 対象を明確化(外国の影響 を受けた居住者にも拡大) 外為法上の投資審査・事後 モニタリングについて執行体制 投資審査 を強化。重要鉱物資源関連 等をコア業種に追加 シンクタンク 機能 経済インテリジェンス 情報収集・分析・集約・共有等の充実・強化 体制整備 国際社会 との連携 経済安全保障課題 の共通認識を醸成 国際機関 邦人幹部職員数増 による更なる貢献 ルール メイキング 通商・データ・技術 標準等でルールの 維持・強化・構築 関係府省庁の体制強化 2.経済安全保障推進法(今後取組を強化する上で、法制上の手当てを講ずることによりまず取り組むべき分野) 国民生活や経済活動に重大な影響が及ぶ状 サプライチェーン 況を回避すべく、重要物資や原材料のサプライ 官民技術協力 官民が連携し、技術情報を共有・活用することに 基幹インフラ 特許非公開 より、先端的な重要技術を育成・支援する枠組み チェーンを強靭化 基幹インフラ役務の安定的な提供を確保 出願人の権利を確保しつつ、安全保障上機微な 発明の特許出願の公表・流出防止 3.今後の情勢の変化を見据え、さらなる課題について不断に検討 (出典)第1回経済安全保障推進会議 内閣官房資料)に基づき経済産業省が作成。 84 経済安全保障推進法に基づくサプライチェーン強靭化 経済産業省関係の特定重要物資(令和4年度第二次補正予算における措置額:9582億円) :永久磁石,工作機械及び産業用ロボット,航空機部品,半導体,蓄電池,クラウドプログラム,重要鉱物,可燃性天然ガス ➢ 特定重要物資指定の基本的な方向性等について定めた指針を内閣総理大臣が作成・閣議決定(①)。 ➢ 国民の生存に必要不可欠又は広く国民生活・経済活動が依拠している物資およびその原材料等につ いて、当該物資を政令で指定(②)。 ➢ 各物資の所管大臣は、具体的な支援措置等を記載した取組方針を作成(③)。取組方針に基づき事 業者が計画を作成・申請(④⑤)し、主務大臣が認定(事前に内閣総理大臣その他関係行政機関の 長に協議、⑥~⑧)。 ➢ NEDO・JOGMEC・医薬基盤研(法律上明記)・その他指定法人から基金等により、支援を実施(⑨)。 ➢ 設備投資支援に限らず、技術開発支援等、幅広い措置が含まれる。 ①基本指針を作成・閣議決定 ②特定重要物資を政令指定 ④計画の申請 ⑤申請 ③物資ごとの取組方針を作成 ⑥認定の事前協議 内閣総理大臣 物資所管大臣 事業者 ⑧認定 ⑦(必要な場合)意見 ⑨基金等による支援 (基盤整備・技術開発等に関する助成等) NEDO/JOGMEC/医薬基盤研 /その他指定法人 ⑥’(必要な場合)事前協議 関係行政機関 の長 85 プログラムの対象とする領域と重点的な先端技術分野 経済安全保障重要技術育成プログラム 研究開発ビジョン(第一次)支援対象とする技術 経済安全保障推進会・統合イノベーション戦略推進会議合同会議(9月16日)資料より抜粋 海洋領域 宇宙・航空領域 領域横断※ ・サイバー空間、バイオ領域 資源利用等の海洋権益の確保、海洋国家日本の 平和と安定の維持、国民の生命・身体・財産の安全 の確保に向けた総合的な海洋の安全保障の確保 宇宙利用の優位を確保する自立した宇宙利用大国の 実現、安全で利便性の高い航空輸送・航空機利用の 発展 領域をまたがるサイバー空間と現実空間の融合 システムによる安全・安心を確保する基盤、感染症 やテロ等、有事の際の危機管理基盤の構築 (支援対象とする技術) ■海洋観測・調査・モニタリング能力の拡大(より広 範囲・機動的) • • • 自律型無人探査機(AUV)の無人・省人による運搬・ 投入・回収技術 AUV機体性能向上技術(小型化・軽量化) 量子技術等の最先端技術を用いた海中(非GPS環境) における高精度航法技術 ■海洋観測・調査・モニタリング能力の拡大(常時 継続的) • • • 先進センシング技術を用いた海面から海底に至る空間 の観測技術 観測データから有用な情報を抽出・解析し統合処理 する技術 量子技術等の最先端技術を用いた海中における革新 的センシング技術 ■一般船舶の未活用情報の活用 • 現行の自動船舶識別システム(AIS)を高度化した 次世代データ共有システム技術 (支援対象とする技術) ■衛星通信・センシング能力の抜本強化 • • • • 低軌道衛星間光通信技術 自動・自律運用可能な衛星コンステレーション・ネットワーク システム技術 高性能小型衛星技術 小型かつ高感度の多波長赤外線センサー技術 ■民生・公的利用における無人航空機の利活用拡大 • • • 長距離等の飛行を可能とする小型無人機技術 小型無人機を含む運航安全管理技術 小型無人機との信頼性の高い情報通信技術 ■優位性につながり得る無人航空機技術の開拓 • • • 小型無人機の自律制御・分散制御技術 空域の安全性を高める小型無人機等の検知技術 小型無人機の飛行経路の風況観測技術 (支援対象とする技術) • • ハイパワーを要するモビリティ等に搭載可能な 次世代蓄電池技術 宇宙線ミュオンを用いた革新的測位・構造物 イメージング等応用技術 • • • AIセキュリティに係る知識・技術体系 不正機能検証技術(ファームウェア・ソフトウェア/ハードウェア) ハイブリッドクラウド利用基盤技術 • 生体分子シークエンサー等の先端研究分析機器・ 技術 (目まぐるしく変化・発展し続けている技術群も数多く 含まれていること、国としてのニーズが網羅的に整理されて いるとは必ずしも言えない状況であること等から、ニーズや 課題を同定しつつ、今後引き続き検討を進める) ■航空分野での先端的な優位技術の維持・確保 • • • • デジタル技術を用いた航空機開発製造プロセス高度化技術 航空機エンジン向け先進材料技術(複合材製造技術) 超音速要素技術(低騒音機体設計技術) 極超音速要素技術(幅広い作動域を有するエンジン設計技術) 86 「経済的威圧」への対応に係る国際的な動き ⚫ 近年、外国政府に圧力をかけるため、経済的な措置を活用する例が増加。 ⚫ こうした威圧行為に対し、抗議やWTO紛争解決手続きに加え、一部の国は対抗措置を検討。 ⚫ 国際協調の観点からG7は、首脳声明、貿易大臣声明等で懸念表明。 ➡ 経済的威圧に対して国益を損なわないよう、G7内外の協力の具体化に向け、如何なる戦略 のもと、ヒト・モノ・カネ・サービスの多岐にわたる包括的な対応を備えることが可能か、政府全体での 検討する体制・枠組みの構築が必要。 【国際協調の例】 経済的強靭性及び経済安全保障に関するG7首脳声明(2023年5月20日) 「経済的威圧に対する調整プラットフォーム」 を立ち上げ、早期警戒・情報共有を行い、定期的に協議し、協力して状況評価し、協調 的対応を追求し、経済的威圧を抑止し、適当な場合には対抗や被害国への支援の協調に取り組む。 G7貿易大臣声明(2023年4月4日) 他の政府による正当な選択に干渉する経済的威圧に対する深刻な懸念を表明。経済的威圧によるいかなる一方的な現状変更の試 みに対しても強く反対。経済的威圧措置の使用を抑止し、それに対抗するため、それぞれの既存のツールを活用し、必要に応じて新たな ツールを開発。G7内外で協力を推進し、協調を強化。経済的威圧措置に対抗し、その損害を緩和するための対応を、しかるべく共同 で検討。 【各国における対応の例】 米国:2022年7月にヤング上院議員(共和)・クーンズ上院議員(民主)が経済的威圧対抗法案を提出(2023年2月に再提出) ➢ 経済的威圧を受けた同盟国・パートナー国への経済支援、威圧を実施した国等への対抗措置を規定。 EU: 2021年12月に欧州委員会が反威圧措置規則案を提案し、2023年3月暫定合意 ➢ EUや加盟国に対する威圧に対して、貿易・投資等に関する措置を発動可能に。 豪州:2020年に中国が石炭、大麦、ワイン等の製品に対し、輸入制限や追加関税を実施。 このうち、大麦とワインに対する追加関税について、2021年に対中WTO提訴。 ➢ 2023年4月、大麦について中国が関税の見直し調査をする間、WTO手続きを停止する旨、両国が合意。 87 ミッション④:新しい健康社会の実現 88 我が国が直面する課題と目指すべき方向性 人口・生産年齢人口・高齢者数・要介護者数の推移 その他 生産年齢人口 非要介護の高齢者 要介護の高齢者 2020年 1.26億人 0.75億人 高齢化率 0.29億人 0.07億人 28.7% 2050年 1.02億人 高齢化率 0.29億人 0.52億人 0.1億人 • 総人口は20%減少し、その中でも特に生産年齢人口は 30%以上減少。また高齢化が進展し、約40%が高齢者、 約10%が要介護者となり、対処をしなければ経済維持が困 難に。 • 他方、平均寿命は延伸するため、健康な状態で長期間経 済活動を行うことができる「健康寿命の延伸」が重要。 37.7% 平均寿命の推移 2020年 社会保障給付費の推移 医療 介護 男性 81.6歳 女性 87.7歳 2050年 83 .5歳(+1.9歳) 90 .3歳(+2.6歳) 目標① 健康寿命の延伸 2025年度 140兆円 対GDP比 47.8兆円 15.3兆円 • 要介護者の増加に伴い、公的保険で賄われる社会保障の 負担額も約35%増加する見込み。 21.8% 2040年度 190兆円 対GDP比 66.7兆円 25.8兆円 • 人々の健康への投資、医療の質の高度化や、公的保険の 範囲にとらわれない産業発展が重要。 24% 目標②③ 産業市場の拡大 (出所)人口・高齢化率については、国土交通省「2050年の国土に係わる状況変化」(令和2年9月)による。平均寿命については、国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成24年1月推計)」の出生中 位・死亡中位仮定による推計結果による。要介護者については、国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(平成29年推計)」、総務省「人口推計(平成28年)」、厚生労働省「平成27年度介護給 付実態調査」統計表第3表 平成27年11月審査分より経済産業省作成による。社会保障給付費については、内閣官房全世代型社会保障構築本部事務局「基礎資料集」(令和4年3月)による。 89 長期的に創出される市場規模等の例:新しい健康社会の実現 新たな ミッション 「国民の健康増進」「持続可能な社会保障制度構築への貢献」「経済成長」の同時実現に向けて、 ヘルスケアにおける国内外の需要を喚起し、新たな投資を促す好循環を目指す 健康づくり (ヘルスケアサービス) ⚫ 医療DXの実現による行動変容 の促進を通じた、誰もが健康にな れる社会の実現 介護 ⚫ 介護者・被介護者双方のQOL 向上に資する産業(公的保険 外サービス)の創出 ⚫ ロボット・ICT等の利活用による 介護の生産性向上 ⚫ 世界の介護市場の獲得 1 健康寿命を 75歳以上に 2040年に (2016年72歳から3歳増) ※厚生労働省「健康寿命延伸プラン」より 国民の 健康増進 持続可能な 社会保障制度 構築への貢献 2 医療機器 ⚫ 革新的医療機器の開発による 効果的な治療の実現 ⚫ 現地ニーズに沿った医療の国際 展開の推進 経済成長 目標 公的保険外の ヘルスケア・介護に係る国内市場を 77兆円に 2050年に (2020年24兆円から約50兆円増) 3 世界の医療機器市場のうち 日本企業の獲得市場を 13兆円に 2050年に (2020年3兆円から10兆円増) 90 健康を切り口とした、公的保険外の関連国内市場の将来見通し ⚫ 衣食住などの日々の生活に係る消費が、ヘルスケアに資するものに置き換わっていくもの ⚫ 各製品・サービスの市場規模を算出し、それらを合計すると、 ヘルスケア産業全体の市場規模は、2020年:24兆円(64歳以下16兆円、65歳以上8兆円)から、 2050年:77兆円(64歳以下50兆円、65歳以上27兆円)になる。 2020年の市場規模と2050年の市場規模の推計結果 項目 含まれる製品・サービスの例 知 ヘルスケア関連書籍・雑誌、アプリ・サービス等 0.03兆円 0.09兆円 測 検査・検診サービス、計測機器等 0.9兆円 3.7兆円 健康経営 検診事務代行、メンタルヘルス対策等 0.6兆円 3.7兆円 食 サプリメント・健康食品、OTC・指定医薬部外品等 3.3兆円 8.3兆円 運動 フィットネスクラブ、フィットネスマシン等 0.6兆円 2.6兆円 睡眠 機能性寝具等 0.2兆円 0.2兆円 予防 衛生用品、予防接種等 0.2兆円 6.6兆円 遊・学 ヘルスツーリズム(健康志向旅行) 2.9兆円 12.7兆円 癒 エステ・リラクゼーションサービス等 1.1兆円 2.4兆円 住 健康志向家電・設備等 0.1兆円 0.4兆円 機能補完 眼鏡、コンタクトレンズ等 0.3兆円 1.2兆円 民間保険 第三保険等 8.1兆円 15.6兆円 患者向け商品・サービス 病者用食品等 0.05兆円 0.2兆円 要支援・要介護者向け商品・サービス 介護用食品、介護住宅、福祉用具等 5.2兆円 13.0兆円 疾病・介護共通サービス 高齢者向け食事宅配サービス等 0.2兆円 5.7兆円 ※「令和4年度ヘルスケアサービス社会実装事業(国内外での健康経営の普及促進に係る調査)」に基づき作成 2020年の市場規模 合計:24兆円 2050年の市場規模 合計:77兆円91 目標 2040年に健康寿命を75歳以上に ⚫ 生産年齢人口の割合は、2020年から2050年で、60%から53% (約 0.75億人→約 0.55億人)に減少。 ⚫ 健康寿命75歳を実現する中で、65歳から74歳も生産年齢人口に含むこととした場合、2050年の 生産年齢人口(約0.70億人)は、全体の67%(14%増加)になり、2023年時点よりも高い割合に。 生産年齢人口の推移 健康寿命延伸により 新たに生産年齢人口となる層 (万人) 健康寿命が74歳まで延伸した場合、 生産年齢人口の割合は67% (2004年時点と同様の水準)に 12000 75歳以上 10000 65-74歳 8000 6000 60% 15-64歳 4000 67% 53% 2000 2050年 2049年 2048年 2047年 2046年 2045年 2044年 2043年 2042年 2041年 2040年 2039年 2038年 2037年 2036年 2035年 2033年 2032年 2031年 2030年 2029年 2028年 2027年 2026年 2025年 2024年 2023年 2022年 2021年 2020年 (注)出生中位(死亡中位)推計 (出所)国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(令和5年推計)」 2034年 0-14歳 0 92 ミッション⑤:災害に対するレジリエンス社会の実現 93 気象災害に伴う影響は増加 ⚫ 気象関連災害の損害額は増加傾向。加えて2010-19年の気象関連災害に伴う世 界の経済損害1.6兆ドルのうち、6割強(約1兆ドル)が保険でカバーされず。 ⚫ 世界経済フォーラムでも、気候変動に伴う影響が深刻なリスクと認識されている。 (億ドル) 2500 今後10年の深刻なグローバルリスク 気象関連の損害額の推移 2,338億ドル 2000 1500 1000 500 1970 1973 1976 1979 1982 1985 1988 1991 1994 1997 2000 2003 2006 2009 2012 2015 2018 2021 0 1位 気候変動への適応・対応の失敗 2位 異常気象 3位 生物多様性の損失 4位 社会的結束の侵食 5位 生活破綻(生活苦) 6位 感染症の広がり 7位 人為的な環境災害 8位 天然資源危機 9位 債務危機 10位 地経学的対立 (注)(左)2017年まで後方5カ年平均、それ以降は2021年までの年間平均の推移を表したもの。 (出所)(左)スイス再保険、(右)世界経済フォーラム「グローバルリスク報告書2022年版」 94 今後予見される大規模な自然災害 ⚫ 強い台風の発生割合が増加している可能性が高いことを、IPCCが指摘している。 ⚫ 南海トラフ巨大地震をはじめ巨大地震が発生し、甚大な被害を及ぼすことが予見される。 IPCC第6次評価報告書における記載(2021年8月19日) 世界の[全熱帯低気圧に占める]強い熱帯低気圧*の発生の割合は過去 40 年間で増加している可能性が 高く、北太平洋西部の熱帯低気圧がその強度のピークに達する緯度が北に移動している可能性が非常に高い。 これらの変化は内部変動だけでは説明できない(確信度が中程度)。 *最大風速50m/分の熱帯低気圧。最大風速17m/分以上の熱帯低気圧を台風と呼ぶ。 今後発生が予見される巨大地震 地震名 発生確率(30年以内) 死者数(最大) 経済的被害額(最大) 南海トラフ巨大地震 70-80% 約18.6万人 約171.6兆円 日本海溝・千島海溝沿い巨大地震 7-40% 約19.9万人 約31.3兆円 首都直下型地震(M7クラス) 30% 約1.1万人 約95兆円 (出所) IPCC 第 6 次評価報告書 第 1 作業部会報告書気候変動 2021:自然科学的根拠政策決定者向け要約(SPM)暫定訳(2022 年 5 月 12 日版)、 地震調査研究会「長期評価による地震発生確率値の更新について」(令和3年1月13日)、内閣府「南海トラフ巨大地震の被害想定について(建物被害・人的被害)」 (令和元年6月)、内閣府「南海トラフ巨大地震の被害想定について(経済的な被害)」(令和元年6月)、内閣府「首都直下地震対策検討ワーキンググループ最終報 告の概要」(平成25年12月19日)に基づき作成。 95 長期的に創出される市場規模等の例:レジリエンス社会の実現 ⚫ 地球温暖化に伴い、自然災害を含む気候変動リスクが増加。気候変動の「緩和策」だけでなく、既 に起こりつつある気象災害の影響を防止し軽減する「適応策」の強化が求められている。国連による と、途上国の適応にかかる費用は2050年に年間最大77兆円に達すると推計。 ビジネスチャンスが見込める事業分野 動き出す巨大な適応ビジネス市場 多様な分野における適応策に、民間企業の製品やサービ スが貢献できる。(2,000社以上の公開情報を調査。) 自然災害に対する インフラ強靭化 エネルギー安定供給 インフラ強靱化、防災イン フラの構築 食糧安定供給 ・生産基盤強化 作物収穫の向上と安定化、 環境負荷の低い農業の導 入、気候変動に強い作物 品種の開発と導入 途上国における年間適応コスト予測: 2050年までに3,150~5,650億ドル/年 (出典)Adaptation Gap Report 2022 気象観測及び 監視・早期警戒 気候変動による感染 症の拡大防止と治療 気象観測と監視、 早期警戒システム 安全な水の供給、水不足 への対応 潜在的市場規模 非常用電源の開発、電力 供給の安定化 保健・衛生 資源の確保・水安定供給 77兆円 最大約 国連環境計画(UNEP)は、 途上国の適応にかかる費用 は2050年時点で年間最大 77兆円に達すると推定して いる。 先進国から途上国への気候資金支援総額833億ドル (2020年)のうち適応は286億ドルを占め、毎年増加 USD billion 適応 100 80 気候変動 リスク関連金融 60 天候インデックス保険、 天候デリバティブ 20 40 0 (58.5) 42.2 (71.8) 52.8 分野横断 緩和 (79.9) (80.4) (83.2) 55.9 51.4 48.6 8.7 20.3 28.6 2019 2020 6.2 10.1 5.6 13.3 7.1 16.9 2016 2017 2018 6 (出典) Aggregate Trends of Climate Finance Provided and Mobilsed by Developed Countries in 2016-2020,OECD 96 ミッション⑥:バイオものづくり革命の実現 97 長期的に創出される市場規模等の例:バイオものづくり革命の実現 ⚫ 2019年に策定した「バイオ戦略」では、2030年時点で総額92兆円のバイオ市場(うちバイオ 製造に関する市場規模53.3兆円)を目指すことを目標としている。 (出所)令和3年6月 統合イノベーション戦略推進会議決定「バイオ戦略フォローアップ」概要資料より一部抜粋、加工98 バイオものづくりの市場性(社会課題の解決がビジネスになるか) ⚫ バイオものづくりは社会課題の解決と成長の両立に寄与するとはいえ、当面の間、普及する分 野は限定的。医薬品分野のような新規素材の開発に比べて、単に既存製造プロセスをバイオも のづくりに転換する場合には投資に見合うだけの市場性の有無が鍵となる。 背景 意義 経 済 成 長 社 会 課 題 の 解 決 経済成長 • 我が国における高齢化と、それに伴う労働人口減少を 乗り越えつつ、持続可能な経済成長を実現する必要 バイオものづくりへの期待 • バイオ技術を活用した製造プロセスの転換・生産性の向上 • 高付加価値品の生産 • 社会課題に対応した製品のニーズを踏まえた、国内外市場の獲得 • プロセス転換によるGHG排出量の削減、原料の化石資源→バイオマ ス資源の転換による脱炭素化 • CO2を原料とする微生物等の活用によるCO2吸収量の増加 地球温暖化 脱炭素 • 資源自律 • エネルギー供給の不安定 • バイオマス原料を活用した新たなエネルギー源の安定供給 • 資源自律・循環経済移行の要請 • 国内の未利用資源の活用やリサイクル等、バイオ技術を活用した資源 自律・資源循環の実現 • 世界的な人口増を踏まえた食糧危機の懸念、国内に おける食料自給率の低下 • 細胞性食品の普及による食糧の増産・国内自給率の向上 • 一次産業における環境負荷 • 既存品の代替と環境負荷の低減の両立 海洋汚染 • プラスチック等の廃棄物による海洋環境汚染、船舶航 行や観光・漁業、沿岸地域居住環境への影響 • 生分解性製品の普及による海洋汚染の減少 経済安全保障 新型コロナ、地政学等国際情勢を踏まえたサプライ チェーンの不安定化 • • 重要技術の確保や、日本の地理的制約を脱却による供給網の確 保・国内生産の増加による国内サプライチェーンの安定化 • 有志国との国際連携に基づくグローバルサプライチェーンの安定化 • 原料の転換による人権問題の解消、安全性の確保等、諸課題の 解決 • 社会課題への対応と汎用品の代替を両立することによる生活の質の 低下を回避 • 高付加価値品による生活の質の向上 食糧危機 その他(労働問 題・安全安心・ QOLの向上等) 国際的なGHG削減目標を踏まえた、2050年カーボ ンニュートラルの実現 • 原料や製品によっては、労働や人権に係る問題や天 然の原材料が有する安全性に懸念があるものがある • 国民一人ひとりの生活の質(QOL)の向上や健康 長寿等、WellBeingへの要請の高まり 99 バイオものづくりの産業構造の見通し①(価値の源泉) ⚫ バイオものづくりのバリューチェーンでは、設計されたスマートセルを用いて培養・発酵等を実施し、その結果どのよ うな機能・特徴を有する物質・製品を生産したか、上流の微生物開発にフィードバックすることで、微生物の 高度化を図ることが可能。このため、特に微生物設計のプラットフォーム(PF)技術が付加価値の源泉となる。 微生物設計プラットフォーム 開発 ゲノムの設計・ 代謝経路の 最適化 AI,IT技術を 活用した学習 Design Build DBTL サイクル Learn Test 物質作製 効率の評価 有用物質の生産性が大幅 に向上した微生物 バイオプロセスによるものづくり(大量培養、発酵生産) 合成ゴム スチレン、ブタジエンなど 製造 塗料原料・溶剤 二酸化炭素 CO2 製品 汎用プラスチック ポリエチレン ポリプロピレンなど スマートセル 糖など スマートセル DNA合成 ・ゲノム編集による微 生物作成 医薬品 高機能素材 汎用素材 微生物 (常温、常圧) 衣類 肥料 食料 燃料 合成繊維原料 ポリエチレンテレフタラート アクリロニトリルなど 機能性材料 ポリカーボネートなど 油脂製品 ポリウレタン、ブタノールなど グリセリン、脂肪酸 高級アルコールなど アミノ酸 タンパク質・酵素 重要鉱物 設 計 へ フ ィ ー ド バ ッ ク 宇宙環境 CO2吸収 ・・・ 100 バイオものづくりの産業構造の見通し②(水平分業化の進展) ⚫ バイオものづくりでは、上流の微生物開発では、AI・ロボットを用いた効率的な微生物構築技術、下流の発 酵生産では、培養・精製技術の高度化といった、バリューチェーンの段階に応じて全く異なる高度な技術・設 備が必要となる。 ⚫ このため、今後のバイオものづくり産業は、水平分業化が進展し、それぞれのPF技術が競争力に直結すること が予測される。 ⚫ 米国及び中国は、価値の源泉を有する微生物設計PF事業者に大きな強みがあり、PF事業者を中心に多 様な製品や目的物質の種類に応じた微生物開発技術と製造技術の組合せ(オープンイノベーション)によ る好循環の兆しがある。 半導体の産業構造 ニーズ 半導体企画 回路設計 プロセス開発 PC スマホ ファブレス メーカー ファブレス メーカー 半導体ファウンドリー PC スマホ ニーズ 自動車 製造 最終製品 今後 現在 現在 過去 電機・半導体 メーカー バイオものづくりの産業構造 自動車 微生物開発 素材・化学系 ・食品系 メーカー 素材 エネルギー 化学品 微生物改変プラットフォーマー (開発型バイオファウンドリー) プロセス開発 製造 (発酵) 受託製造事業者 (生産型バイオファウンドリー) 最終製品 素材 エネルギー 化学品 101 バイオものづくりの産業構造の見通し③(エコシステム) ⚫ 我が国の微生物設計PF事業者は米中に比して遅れをとっているが、価値の源泉を自国内で保持することは経済安全保障 の観点からも重要であり、水素酸化細菌等、得意とする宿主を見定め、注力して支援する必要がある。 ⚫ 上流のPF技術の開発は合成生物学の知見の少ない大企業が、自ら対応することが難しいため、ユニークな技術を持つス タートアップ企業と連携することで国内のオープンイノベーションが加速し、独自の強みが発揮できる。 ⚫ 下流の生産プロセスでは、従来から技術開発が進む分野では事業会社が自社での生産実証を進められるが、微生物や目的 物質ごとに異なる培養・発酵の技術・設備が必要となる。このため、中長期的には、微生物の種類・生産物質の増大や市場 の拡大に伴い、生産技術や受託製造に特化したファウンドリ事業者が一定の役割を果たすことが想定される。 ⚫ バリューチェーンは日本国内・国際双方あり得るが、国内のPFを増やしながら、各プレイヤーの成長を後押し可能なエコシス テムを構築することが重要である。 DNA・RNA合成・ゲノム編集ベンチャー DNA・RNA合成・ゲノム編集/ ソフトウェア ゲノムデータマイニング プラットフォーム 微生物・細胞設計プラットフォーム 微生物・細胞 設計プラットフォーム 受託製造事業者 (生産型バイオファウンドリー) 衣類 事業会社 生産技術の提供、受託製造 最終製品 食料 微生物探索、データベースの提供 (開発型バイオファウンドリー) 受託製造事業者 (大量培養・発酵生産) 医薬品 ゲノムデータマイニング プラットフォーム 基盤技術・ソフトウェアの提供 燃料 高機能 素材 重要鉱物 (素材、燃料、食品等) 肥料 CO2吸収 宇宙環境 ・・・ 102 ミッション⑦:成長志向型の資源自律経済の確立 103 資源制約・リスク ⚫ 日本の鉱石・金属・金属製品の輸入額は、足下では年間8兆円程度まで拡大。 ⚫ また、希少金属の現有埋蔵量に対して、2050年までの累積需要量は大幅に超過している状況。 現時点では経済的に採掘が困難なものまで含めた埋蔵量ベースでも、2050年までの累積需 要量を超過している希少金属は一定程度存在し、将来的には希少金属の枯渇リスクが顕在化 する可能性がある。 日本の鉱物性燃料、鉱石・金属・金属製品輸入額 希少金属の現有埋蔵量に対する2050年までの累積需要量 (兆円) 25 ※ 8.0 20 15 10 5 2.5 17.0 8.5 0 2001 鉱物性燃料 【出典】 財務省「貿易統計」 2021 鉱石・金属・金属製品 ※埋蔵量ベース:現時点では経済的に採掘が困難なものを含めて、現時点で確認されている鉱物資源量 【出典】 国立研究開発法人物質・材料研究機構 104 環境制約・リスク(マテリアル由来のCO2削減の必要性) ⚫ マテリアルの製造には化石資源の3割強が利用(エネルギー、原材料利用)されており、気候中立 のためにはマテリアルの脱炭素化は不可欠。 ⚫ CO2の経済効率的な削減のためには、循環資源活用(再生材、バイオ資源等)やビジネスモデ ルの見直し(シェアリングや長期利用)が効果的。 原材料関係産業の化石利用 (直接・間接、CO2換算) 33% ⚫ 省エネ化 ⚫ 低炭素・脱炭素エネ活用 + ⚫ 省材料 ⚫ 再生材活用 ⚫ バイオものづくり ⚫ シェアリング ⚫ 長期利用 鉄鋼・非鉄・金属製品 3.5億t-CO 相当 製造業 2 その他製造業, 0.6 エネルギー利用 2.6億t-CO2相当 非製造業, 2.1 窯業・土石製品製造業 プラスチック・ゴム製品製造業 化学工業 運輸, 1.9 家庭, 1.7 転換部門(自家消費・ パルプ・紙・紙加工品製造業 原材料利用 0.9億t-CO2相当 化学工業 送配損失), 0.8 (単位:億t-CO2) 【出典】 CO2換算量は、総合エネルギー統計(2020年度実績)の炭素単位表より算出 繊維工業 ⚫ 省材料 ⚫ 再生材活用 ⚫ バイオものづくり ⚫ シェアリング ⚫ 長期利用 105 高まる市場拡大への期待と動き出す成長投資 ⚫ サーキュラーエコノミー関連市場は、国内外で今後大幅に拡大が見込まれる(世界全体で30年 4.5兆ドル、50年25兆ドル、日本国内では30年80兆円)。 ⚫ こうした予測に基づき、海外を中心に成長資金が活発に企業に流入、新たなプレーヤーの市場参 入も活発化している。 サーキュラーエコノミーの成長可能性と集まる投資資金 アクセンチュア   2030年には、資源需要と供給との間に80億トンの需給 ギャップが生じると予想。これは年間4.5兆ドルの経済損失 に相当。2050年にはこれが25兆ドルまで拡大。 このことを逆の視点から考えると、一方通行型経済モデル での「無駄」をなくすビジネス・ソリューションを構築することで、 2030年に4.5兆ドル規模の価値を創出することが可能。 成長戦略 フォローアップ 工程表  「2030年までに、サーキュラーエコノミー関連ビジネスの市 場規模を、現在の約50兆円から80兆円以上とすることを 目指す。」 BlackRock  2019年に「Circular Economy Investment Fund」 を組成、2,000万ドル規模からスタートし、22年8月時点 では19億ドル規模の運用額にまで成長。 Chatham House  2021年2月時点でのサーキュラーエコノミー関連の投資ファ ンドの総額を210億ドルと推計。 また、グリーンボンド資金の4%(245億ドル相当)が サーキュラーエコノミー関連に投資されていると推計。  Closed Loop Partners  進む新たなプレーヤーの参入 同社は2022年6月、プラスチック、容器包装、食料、電子 機器、アパレルが埋立処分されることを回避する循環型ビ ジネスへの投資を行うプライベートエクイティファンドに2億ド ルを調達した旨発表 【出典】 各種報道等より抜粋 【出典】 Archetype Ventures株式会社 106 資源・環境制約を成長機会に転換する「資源循環市場」 ⚫ 資源循環市場は、資源創出、技術・設備提供、セカンダリ・PaaSと多岐にわたる。 方法 国際的 インパクト ①経済効果 リソーシング産業 セカンダリ市場 PaaS産業 省マテリアル 循環資源創出 リユース・リペア リファービッシュ シェアリング サブスク 天然資源の保全(持続可能な利用) 廃棄物の国内処理の徹底による新興国の環境改善 天然資源輸入削減(↑) 国産循環資源供給(↑) 新製品売上減(↓) 新製品売上減(↓) 販売数量増(新品・中古) (↑) サービス売上増(↑) CE関連技術/設備 (CEソリューション産業) 機械・システム (選別・精製・バイオ製造・情報トレー ス) 新興国へのシステム輸出 (適正処理促進) 国内設備投資増(↑) 機械・技術輸出増(↑) → 耐久消費財購入負担の軽減が平均消費性向を高め、 消費全体が拡大する可能性 イ ネ ー ブ ラ ー ②国内投資 バイオ・再生材用設備 DX投資(トレサビ) ③イノベーショ ン 循環配慮製品製造技術 バイオ技術(生産・精製) 高度・高速選別技術 リマニファクチャリング設備 人材投資(リペア等) サービサーの資産購入 DX投資 左記 長期耐久設計(材料・構造) 部品等の共通化 ビジネスモデル革新 107 成長志向型の資源自律経済の実現により達成を目指す目標 ⚫ サーキュラーエコノミーに関する市場規模は、2030年に80兆円、2050年に120兆円へ。世界 全体でも市場規模は拡大すると試算されている。 ⚫ 同時に、炭素中立、経済安全保障の実現、生物多様性の確保、最終処分場の逼迫の緩和等 といった社会的目標にも貢献。 経済的目標 社会的目標 ◆ GXへの貢献(CO2削減)(※3) <サーキュラーエコノミーの市場規模(日本政府試算)> (※1) 直近の日本の温室効果ガス全排出量11.49億トンCO2換算のうち、 2020年 50兆円 2030年 80兆円 2050年 120兆円 (参考)世界全体のサーキュラーエコノミーの市場規模 (※2) 2030年 4.5兆ドル → 2050年 25兆ドル (出所)※1)環境産業市場規模検討会(2021)「環境産業の市場規模・雇用規模等 に関する報告書」,内閣官房「成長戦略フォローアップ」(2021),経済産業省「成長 志向型の資源自律経済戦略」(2023) ※2)Accenture Strategy 2015 ※3)環境省「令和3年度第五次環境基本計画(循環型社会部分)、第四次循環 型社会形成推進基本計画に係る フォローアップ及び令和4年版「循環型社会白書」 作成支援等業務報告書」 廃棄物関係で4.13億トンCO2換算(36%)の削減貢献余地。 ◆ 経済安全保障への貢献 資源循環を通じて、資源の海外依存度を低下させることで、自律性 (コントローラビリティ)を確保。 ◆ 生物多様性への貢献(生態系保全との整合) 大規模な資源採取等による生物多様性の破壊を、資源循環を通じ たバージン資源使用抑制によって抑止。 ◆ 最終処分場逼迫の緩和への貢献 これまで主に廃棄物の燃焼(サーマルリサイクル)を通じて解消してきた最 終処分場の逼迫を、資源循環を通じてGXと両立しながら解消。 (残余年数) 1999年 2019年 一般廃棄物 8.5年 → 21.4年 産業廃棄物 3年 → 17.4年 108 ミッション⑧:少子化対策に資する地域の包摂的成長 109 良質な雇用を求めて若者・女性が東京圏へ転入している ⚫ 東京圏への転入超過数は、リーマンショック以降、女性が男性を上回って推移。コロナ以降も同傾向。 ⚫ 2007年以降15年間の転入超過数の累計で、女性92.4万人、男性74.6万人が流入。 東京圏への転入超過数 転入超過数(万人) 25 リーマンショック前のピーク 高度成長期のピーク バブル崩壊後のボトム オイルショック後のボトム 東日本大震災 20 バブル前のピーク コロナ禍 15 女性 10 男性 5 1958 1959 1960 1961 1962 1963 1964 1965 1966 1967 1968 1969 1970 1971 1972 1973 1974 1975 1976 1977 1978 1979 1980 1981 1982 1983 1984 1985 1986 1987 1988 1989 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 2021 0 -5 (注)ここでいう東京圏とは、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県の1都3県。 (出所)総務省「住民基本台帳人口移動報告」 (年) 2007年以降の転入超過の累計は、 女性:92.4万人、男性:74.6万人 ⇒ 2007年からの15年間の累計で、 女性の方が17.8万人多く流入。 110 地方の雇用は、特に女性にとって魅力的ではない可能性 ⚫ 有効求人倍率はコロナ後回復傾向にあり、非東京でも、足下全ての都道府県で1を超えている。 ⚫ 地方の雇用の課題は、単純な量の問題ではない可能性。例えば、 「生産工程」や「建設・採掘」等の職種 の有効求人は、東京で少なく、地方で多いが、一方で、同職種の若い女性の就業割合は、東京で大きく、 地方で小さい。すなわち、地方で求められる職種における女性活躍が、地方では不十分である可能性。 東京と非東京の有効求人数の職種構成(2021年度) 東京と非東京の地域の有効求人倍率の推移 ※赤字:若者(25-29歳)の就業者のうち女性が占める割合(職業別、2020年) (倍) 2.5 0% 20% 東京都 40% サービスの職業 事務的職業 専門的・技術的職業 60% 販売の職業 2 東京 25% 11% 11% 80% 農林漁業の職種 運搬・清掃等 保安の職業 26% 100% 0% の職業 6% 5% 8% 1.5 1 0.5 4% 1% 管理的職業(東京での女性比率21%) 非東京 (=46道府県) 0 0% 管理的職業(非東京での女性比率18%) 2000年 2001年 2002年 2003年 2004年 2005年 2006年 2007年 2008年 2009年 2010年 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年 2016年 2017年 2018年 2019年 2020年 2021年 2022年 非東京 (出所)中小企業庁「中小企業・小規模事業者の人材戦略に関する有識者検討会」 第1回事務局資料 p.5 22% 9% 9% 23% 建設・採掘 3% (東京での 生産工程 女性比率7%) (東京での 女性比33%) 輸送・機械運転の職業 3% 11% 6%6% 9% 1% 建設・採掘の職業 生産工程の職業 (非東京での女性比率24%) (非東京での女性比率3%) (出所)厚生労働省「一般職業紹介状況:雇用関係指標(年度)」、 総務省「令和2年国勢調査」 111 若者・女性が流入する東京圏の可処分所得・可処分時間は少ない ⚫ 東京都の中間層の世帯の実感的な可処分所得は低い。 ⚫ また、東京圏の可処分時間は短い。 都道府県別の実感的な可処分所得(上位5地域と東京圏の順位) 都道府県別に見たフルタイム雇用者の平均可処分時間 (上位3地域・下位3地域と東京圏の順位) 差額 可処分所得 (中央世帯) 基礎支出 (中央世帯) 1位 富山県 東京都 三重県 2位 三重県 神奈川県 富山県 3位 山形県 埼玉県 茨城県 4位 茨城県 千葉県 山形県 5位 福井県 京都府 福井県 =実感的な可処分所得 (中央世帯) 可処分時間(分/日)※平日 1位 北海道(778分) 2位 鳥取県(777分) 3位 青森県(776分) … 全国平均(749分) … 36位 埼玉県(746分) … … … … … 38位 東京都(745分) 41位 千葉県(742分) 埼玉県(23位) 神奈川県(26位) 千葉県(34位) 東京都(42位) (注)中央世帯とは、都道府県毎に可処分所得の上位40%~60%の世帯を指す。 基礎支出とは、「食料費」+「家賃+持ち家の帰属家賃」+「光熱水道費」を指す。 ここでは、可処分所得と基礎支出の差額を、「実感的な可処分所得」としている。 (出所)国土交通省(2021.01.29) 「企業等の東京一極集中に関する懇談会とりまとめ (参考資料) p.77 … … 神奈川県(7位) 埼玉県(8位) 東京都(12位) 千葉県(17位) 沖縄県(738分) 神奈川県(738分) 46位 長崎県(734分) 47位 愛知県(730分) 44位 (注)フルタイム雇用者の平日の可処分時間を算出。可処分時間は24時間のうち、 通勤・通学/仕事/学業/家事/身の回りの幼児/介護・看護/育児/買い物に係る 時間を除いた時間(具体的には、食事、睡眠、テレビ・ラジオ・新聞・雑誌、休養・ くつろぎ、趣味・娯楽 等) (出典)総務省 「令和3年社会生活基本調査」生活時間に関する結果 表74-4 112 結婚・子育てに必要なのは経済的余裕 ⚫ 希望するのに結婚できない理由、理想の数の子どもを持たない主要な理由は、共に、子育て・教育にかかる 経済的負担の大きさ、それを賄う経済的余裕のなさ。 結婚に必要な状況 理想の数の子どもを持たない理由 ⚫ 結婚を希望している者で結婚していない20~40歳代 の男女に、どのような状況になれば結婚すると思うかを聞 いたところ(複数回答)、「経済的に余裕ができること」 と答えた人の割合が42.4%。 ⚫ 予定子ども数が理想子ども数を下回る夫婦のうち、妻の年 齢が35歳未満の夫婦に対して、理想の数の子どもを持たな い理由を聞いたところ、最も多く挙がるのが「子育てや教育に お金がかかりすぎるから」というもの。 1位 経済的に余裕ができること(42.4%) 1位 子育てや教育にお金がかかりすぎるから(77.8%) 2位 異性と知り合う(出会う)機会があること(36.1%) 2位 これ以上、育児の心理的、肉体的負担に耐えられな いから(23.1%) 3位 精神的に余裕が出来ること(30.6%) 3位 家が狭いから(21.4%) 4位 希望の条件を満たす相手にめぐり会うこと(30.5%) 3位 自分の仕事(勤めや家業)に差し支えるから (21.4%) 5位 結婚の必要性を感じること(28.4%) 5位 高年齢で生むのはいやだから(19.7%) (出所)内閣府「令和元年版少子化社会対策白書」 第1章(1)結婚に関する意識「第1-1-29図 結婚に必要な状況」 (出所)国立社会保障・人口問題研究所「第16回出生動向基本調査」 図表7-6 113 若者の経済的余裕は低下し、有配偶率の低下が加速 ⚫ 30代の年収分布をみると、1997年から2017年にかけて、年収400万円以上の割合が減少するとともに、 年収300万円未満の割合が高くなっている。 ⚫ 30代後半の男性の有配偶率をみると、年収が高いほど有配偶率が高くなる。特に、年収250万未満の有 配偶率が低い。10年前と比較すると、特に年収100万円~249万円の有配偶率が下がっている。 35~39歳男性の年収別有配偶率 30~39歳の年収分布 全体に占める割合 23.7% 25% 2017年 20% 18.9% 1997年 19.5% 7.7% 0% 81.3% 59.9% 60% 6.9% 4.9% 51.2% 1.5% 91.1% 86.0% 88.4% 84.7% 78.6% 79.5% 81.1% 76.4% 70.7% 68.8% 81.3% 59.6% 50.0% 50% 45.3% 36.3% 40% 35.4% 34.0% 35.6% 36.1% 1.3% 2.3% 33.0% 30% 26.4% 36.2% 30.1% (出所)内閣府「令和4年版 少子化社会対策白書」 第1-1-18図 (総務省「就業構造基本調査」を基に作成されている。) 1000万円以上 700~999万円 500~699万円 400~499万円 300~399万円 250~299万円 200~249万円 150~199万円 50万円未満 20% 100~149万円 5% 10.8% 9.1% 16.4% 6.3% 5.9% 6.1% 7.3% 2.4% 5.0% 3.8% 50~99万円 10% 2007年 70% 15.5% 8.4% 2017年 90% 80% 16.0% 15% 100% 10% 0% 50万円 50~ 未満 99万円 149万円 199万円 249万円 299万円 399万円 499万円 599万円 699万円 799万円 899万円 100~ 150~ 200~ 250~ 300~ 400~ 500~ 600~ 700~ 800~ 900万円 以上 (出所)労働政策研究・研修機構「若年者の就業状況・キャリア・職業能力開発の現 状③-平成29年版「就業構造基本調査」より-」(2019年)を基に作成。 114 結婚・出産の「希望」の低下が生じている ⚫ 合計特殊出生率だけでなく、希望出生率も下がっている。希望そのものを引き上げる対策が必要。 ⚫ 希望低下の要因は、未婚者割合の上昇、結婚希望の低下、理想子ども数の減少。その根本要 因は、所得水準が低いこと。 合計特殊出生率と希望出生率(試算値)の推移 2 1.83 1.8 ①希望を引き上げる 結婚・子育てをする 余裕を持てる所得を 稼げる雇用づくり 1.78 1.60 1.6 1.39 ②希望に近づける 1.45 1.4 予定どおりの数の 子どもを産み、育て られる子育て支援 1.30 1.2 1 2010 2015 2021 未来 「希望出生率」={既婚者割合×夫婦の予定子ども数 + 未婚者割合 × 未婚結婚希望割合 × 希望子ども数}×離別等効果 2010年 ( 0.34×2.07 + 0.66 × 0.89 × 2.12 ) × 0.938 =1.828... ≒1.83 2015年 ( 0.32×2.01 + 0.68 × 0.89 × 2.02 ) × 0.955 =1.781… ≒1.78 2021年 ( 0.30×2.01 + 0.70 × 0.84 × 1.79 ) × 0.966 =1.599… ≒1.60 ・希望出生率の定義:内閣官房資料から引用。 ・既婚者割合:総務省統計局「国勢調査」における18歳~34歳女性の総数と有配偶者数を元に経済産業省にて計算。未婚者割合は1-(既婚者割合)。 ・夫婦の予定こども数:社人研「出生動向基本調査」における夫婦の平均予定こども数から引用。 ・未婚結婚希望割合:社人研「出生動向基本調査」における18歳~34歳の女性のうち「いずれ結婚するつもり」と答えた者の割合から引用。 ・未婚者の理想子ども数:社人研「出生動向基本調査」における18歳~34歳の女性の独身者( 「いずれ結婚するつもり」と答えた者)の平均希望こども数から引用。 ・離死別等の影響:社人研「日本の将来推計人口」における出生中位の仮定に用いられた離死別等の影響。 115 目次 Ⅰ.現状認識 Ⅱ.「経済産業政策の新機軸」の考え方 Ⅲ.国内投資・イノベーション・所得向上の3つの好循環を 実現するための主要な政策ツール Ⅳ.分野毎の施策 <ミッション志向の産業政策> <社会基盤(OS)の組替え> ① 人材 ② スタートアップ・イノベーション ③ 価値創造経営 ④ 徹底した日本社会のグローバル化 ⑤ 行政:EBPM・データ駆動型行政 116 OS①:人材 117 「人材」分野で対処すべき構造的な課題 ⚫ マクロ経済の観点(需要/供給サイド)からは、諸外国に比べ伸び悩む賃金、諸外国に比べ少ない人的投資 (全要素生産性の停滞)、人口減少に伴う労働供給制約が大きな課題。 ⚫ 足下では、経済活動の活発化に伴い、人手不足感が顕在化。構造的な人手不足は、労働市場や企業行動を 見直していく大きな契機。 ⚫ ①人材確保・人手不足に対応しつつ、物価上昇を踏まえて積極化しつつある②賃上げ・所得向上を持続的な ものとするとともに、生き残りのための③人的投資・人材競争力の強化をしっかりと進めていく必要があるのではな いか。 (①人材確保・人手不足対応) ⚫ 生産年齢人口は1995年をピークに減少傾向だが、労働参加率の向上により、雇用者数は増加し、労働時間数でみると 2010年代は増加。一方で、近年の女性・高齢者の労働参加の拡大に伴い、自然体ではこれ以上の労働投入量の維持・増 加は期待できない。非正規労働者の労働投入の観点では、①女性のL字カーブや②パートタイム労働者の就業調整も課題。 ⚫ また、労働需給のミスマッチは大きく、「必要な分野で必要な人材を確保する」ことも重要。 (②賃上げ・所得向上) ⚫ 諸外国に比べ、日本の賃金は伸び悩み。この賃金停滞を要素分解すると、分配の側面では、①特に大企業・正社員での賃 金停滞、②非正規、短時間労働者の構成比の増加、③上がりつつあるものの、女性・中小企業従業員の賃金水準の低さ が要因。 ⚫ 加えて、成長の側面では、そもそも十分な付加価値を上げられていないことも課題。 (③人的投資・人材競争力の強化) ⚫ 日本企業の人材育成はOJT・正社員に偏重。企業の人的投資(Off-JT等)は少なく、個人も自律的なキャリアパスの元 で学び直しし続ける姿勢が薄い。 ⚫ 全要素生産性の向上に向けて、人的投資等を通じた「人材の質の向上」が不可欠。 118 労働投入量の維持・増加は限定的 ⚫ 生産年齢人口は1995年をピークに減少傾向だが、労働参加率の向上により、雇用者数は増加し、労働時間数 でみると2010年代は増加。一方で、近年の女性・高齢者の労働参加の拡大に伴い、自然体ではこれ以上の労 働投入量の維持・増加は期待できない。 就業時間の将来推計の機械的試算 女性・高齢者の労働参加率の国際比較 (15-64歳男女及び高齢者) (1990年及び2021年) (億時間) 1400 ▲0.6%/年 1216 1209 1990 2021 ▲1.1%/年 日 57% 73% 1036 ▲1.1%/年 929 米 68% 68% 英 67% 75% 仏 55% 75% 600 独 58% 70% 400 日 24% 26% 米 12% 19% 英 6% 10% 仏 3% 8% 独 2% 4% 1200 1202 1196 高齢者 1188 1160 1000 女性 800 15-64歳 男性 200 15-64歳 高 齢 者 2050 2040 2030 2027 2026 2025 2024 0 2023 女 性 (注)2020年時点の男性(15-64歳)、女性(15-64歳)、高齢者の労働参加率はそれぞ れ84.6%、71.0%、25.0%、月末1週間の労働時間は42.4時間、32.5時間、30.9時 間。この数値をそれぞれ各年における年齢階級別の人口推計に乗じて機械的に試算。(年 間労働時間は月末1週間の労働時間の48倍で計算) (出所)総務省「労働力調査」、国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口」 (平成29年推計)を基に作成。 (注)高齢者は65歳以上 (出所)OECD.stat 119 諸外国に比べ、日本の賃金は伸び悩み ⚫ 他の先進諸国に比べて、日本の平均実質年収は長期に亘って停滞。 ⚫ この間の労働生産性の伸びは他国と遜色ないが、そもそも十分な付加価値が上げられていないことも課題。 平均実質年収(1991-2021) 労働生産性の推移(絶対額) (1991年=100) 80 160 米:74.1ドル 米:152 150 英:151 独: 68.3ドル 仏: 66.7ドル 140 仏: 134 130 70 60 英:60.6ドル 独: 134 50 120 日: 45.5ドル 40 2021 2019 2017 2015 2013 2011 2009 2007 2005 2003 2001 1999 1997 20 1991 90 30 1995 100 日: 105 1993 110 (注)(左)総雇用者報酬(実質値)を従業者数で割り、「正規労働者の平均労働時間/全労働者の平均労働時間」を乗じたもの。すなわち労働者の平均労働時間の変化に伴う影 響を取り除いた推移を示している。 (右)実質GDPを総労働時間で割った値。 120 (出所)OECD.stat. 特に、大企業・正社員の賃金が伸び悩み ⚫ 長く続く日本の賃金停滞を要素分解すると、①特に大企業・正社員での賃金停滞、②非正規、短時間労働者 の構成比の増加、③上がりつつあるものの、女性・中小企業従業員の絶対的な賃金水準の低さが課題。 ※1 5人以上の事業所が対象等のため、賃金構造基本調査よ りカバレッジは広いものの、事業所別の賃金データを集計して いるため、詳細な賃金分析は困難。 毎月勤労統計調査ベース(※1) 一般労働者 (フルタイム) (1993年→2021年) 労働者数:575万人→1622万人 構成比:14%→31% 労働者数:3423万人→3566万人 構成比:86%→69% (マンアワー構成比:9%→18%) (マンアワー構成比:91%→82%) 年収:112万円→119万円 年収:475万円→503万円 (時給:950円→1263円) (時給:2325円→2588円) 賃金構造基本統計調査ベース(※2) (2005年→2019年) 短時間労働者 (パートタイム) ※2 調査対象の事業所が毎月勤労統計に比べて限定的ではあるが、個人別の賃金データを集計しているため、 詳細な分析が可能。また、正規・非正規別のデータは2005年以降でのみ取得可能。 ※3 男性・女性の正規・非正規(短時間労働者を除く)に対する構成比 ※4 男性・正規に対する構成比 ※5 男性・正規・大企業の20-64歳の労働者数に対する構成比 (2005年→2019年) 男性 正規 労働者数:1385万人→1278万人 構成比:63%→58%※3 年収:573万円→589万円 大企業(1000人以上) 中小企業(10人~99人) 女性 正規 労働者数:519万人→596万人 構成比:24%→27%※3 年収:378万円→427万円 労働者数:452万人→480万人 構成比:33%→38%※4 月給:41万円→40万円 労働者数:446万人→351万人 構成比:32%→27%※4 月給:30万円→30万円 男性 非正規 労働者数:123万人→167万人 構成比:6%→8%※3 年収:316万円→342万円 女性 非正規 労働者数:160万人→177万人 構成比:7%→8%※3 年収:230万円→258万円 40代 労働者数:126万人→142万人 構成比:27%→30% ※5 月給:46万円→42万円(40代前半) 51万円→46万円(40代後半) 20代 労働者数:69万人→85万人 構成比:15%→18% ※5 月給:21万円→22万円(20代前半) 26万円→27万円(20代後半) (注)毎月勤労統計調査の年収は月あたりの現金給与総額に12を乗じたもの。時給は、月あたりの現金給与総額を月間労働時間で除したもの。 賃金構造統計調査の年収は、各年調査の月額給与に12を乗じて賞与を足したもの。 (出所)厚生労働省「毎月勤労統計調査」、厚生労働省「賃金構造基本統計調査」。賃金構造基本統計調査の数値は、令和2年の調査変更に伴う遡及適用前の数値。 121 日本企業の「人への投資」は不十分 ⚫ 全要素生産性の向上に向けて、人的投資等を通じた「人材の質の向上」が不可欠。 ⚫ しかし、日本企業の人的投資(Off-JT)は他の先進国に比べて劣後。 人材投資(OJT以外)の国際比較(GDP比) (%) 2.5 2.13 2.23 2.03 2.00 2.08 2.0 1.94 2.01 1.78 1.45 1.5 1.51 1.34 1.29 1.34 1.08 1.20 0.95 1.03 1.0 1.11 1.09 1.06 0.41 0.33 0.15 0.5 0.10 0.0 米国 1995-1999 フランス ドイツ 2000-2004 イタリア 2005-2009 (出所)学習院大学宮川努教授による推計(厚生労働省「平成30年版 労働経済の分析」に掲載)を基に経済産業省が作成。 英国 日本 2010-2014 122 OS②:スタートアップ・イノベーション 123 研究開発・イノベーション小委員会(第 31回)資料を一部改変 イノベーション 1. 社会・顧客の課題解決につながる革新的な手法(技術・アイデア)や既 存手法の新たな組合せで新たな価値(製品・サービス等)を創造し、 2. 社会・顧客への普及・浸透を通じて、 3. ビジネス上の対価(キャッシュ)の獲得、社会課題解決(ミッション実 現)に貢献する一連の活動 イノベーション循環 技術・ アイディア 新たな価値の創造 (製品・サービス等) 研究開発投資等 社会・顧客への普及・浸透 (社会実装) →市場創造・対価獲得 社会課題解決 (ミッション実現) 例:カーボンニュートラル 資源循環 等 人材・技術・設備への投資 論点1 イノベーションの担い手は誰か? 論点2 イノベーション・プロセスの課題は何か? 論点3 ミッションを実現するイノベーションを促すには? 124 研究開発・イノベーション小委員会(第 31回)資料を一部改変 イノベーション循環の推進に向けた政策の重点 担い手 1 スタートアップ・ファースト 2 人材と知的資本の創造 イノベーション循環の担い手 スタートアップ・エコシステムをつくる 多様な人材が力を発揮 知的資本の創造と循環を加速 3 挑戦と失敗を増やす イノベーション プロセス ミッション & 基盤 小さく、早い失敗を応援 挑戦と失敗の好循環を回す イノベーション 循環 4 市場創造への集中支援 市場創造のリスクテイクを後押し 官民の資源を集中投入 5 ミッション領域に注力した スタートアップ・イノベーション政策 6 計算基盤/汎用技術の強化 経済社会システム変革を志向し、 各ミッション分野の施策と連携した スタートアップ・イノベーション支援 イノベーション循環の基盤 計算資源の強化や先端的・汎用技術 に対する投資を強化 125 官民合わせた研究開発投資額の目標 ⚫ 科学技術基本法(1995年制定)に基づき、1996年より基本計画を5年毎に策定 ⚫ 第6期(2021年度~2025年度)は官民合わせて120兆円の研究開発投資を目指す [兆円] 150 100 120 95.8 90.6 90.7 84.8 79.3 50 0 1996.4 第1期 2006.4 2001.4 第2期 出典:総務省「科学技術研究調査」を基に経産省作成 2016.4 2011.4 第3期 第4期 第5期 2021.4 第6期 126 ディープテック・スタートアップ政策パッケージ 研究開発・イノベーション小委員会(第 31回)資料を一部改変 4 リスクマネー供給 LP強化 2 人材確保支援 1 事業開発支援 事業・資本連携 3 カーブアウト推進 人材発掘・育成 日本におけるミッション領域に注力したイノベーション政策の基本要件 基本要素 特徴 目標設定 国家レベルの重大かつ明確な課題(ミッション)と目標設定 システム思考 経済社会システムの変革を考慮したシステム思考 スタートアップ スタートアップ・新技術の創出と新陳代謝 プロセス イノベーション循環の段階に応じた方策 受容性 社会による受容性向上(新市場・初期需要創出) 政策横断 政策領域横断、規制と支援の一体的な取組 パートナーシップ 官民様々なプレイヤーとのパートナーシップ 127 「スタートアップ育成加速化プラン」について ⚫ 昨年11月、「スタートアップ育成5か年計画」を策定。スタートアップへの投資額を5年で10倍とする など5カ年の目標を達成するため、女性起業家、分野・ミッション毎に特化したスタートアップ支援に 新たに取り組むなど、以下の黄色ハイライト部分について特に取組を具体化・強化する。 プレシード・シード アーリー・ミドル ■ 人材・ネットワークの構築 ■ 事業を支える資金供給拡大等 ・メンターによる若手人材支援 ・起業家教育の拡大 ・女性起業家支援の強化 ・スタートアップビザの拡充 ・既存企業からのカーブアウト・スピンオフの促進 ・VC等への公的資本の投資拡大 ・ストックオプション制度の環境整備 ・投資事業有限責任組合(LPS)制度の投資対象 の拡充等の見直し ・ディープテック分野の研究開発支援の強化 ・ディープテック分野の事業開発・量産化支援 ■ 創業を支える資金供給拡大 レイター ユニコーン企業創出 海外展開も含めた事業拡大 エグジット(IPO・M&A) ■ 大企業等との連携拡大 出口戦略の多様化 ・オープンイノベーション促進税制 ・未上場株のセカンダリー市場整備 ・経営者保証を必要としない信用保証制度の創設 ・エンジェル税制の活用促進や利便性の向上に向けたあり方検討 ■ 海外市場への事業展開 事業拡大 ・海外投資家の誘致拡大 ・海外市場開拓支援 ・グローバル・ユニコーン創出に向けた重点的支援 ■社会課題の解決 起業数増加 ■ 公共調達等を通じた事業拡大 ・インパクトスタートアップへの支援強化 ・ミッションに特化した支援強化 (GX、DX、健康、レジリエンス、バイオ) ・スタートアップからの公共調達拡大 等 創業 128 スタートアップの創出拡大に向けた政策 ⚫ 女性や外国人を含む多様な人材をスタートアップに呼び込む。 ⚫ 既存企業・研究機関等に蓄積された技術シーズの事業化・社会実装・カーブアウトを促進。 ⚫ 個人投資家からの資金供給を一層加速。 <具体的施策> • 女性起業家支援の強化 ➢ 女性の起業促進のため、「女性起業家支援パッケージ」(女性起業家海外研修プログラムの創 設、JICによる女性キャピタリストを採用・育成する民間ファンドや女性起業家に積極的に投資す る方針の民間ファンドへの出資等)を強力に推進(別紙参照)。 • スタートアップビザの拡充 ➢ 優れた起業人材呼び込みを強化するため、①自治体に加え、VC・アクセラレータ等の民間機関 も管理・支援団体に追加、②最長在留期間の1年から2年への延長を検討。 • 既存企業・研究機関からのカーブアウト等の促進 ➢ 事業会社等の優れた技術・人材の切り出しによるスタートアップ創出促進のため、①カーブアウト した者が行う研究開発を支援、②研究者と経営人材のマッチングや起業家育成を推進。 ➢ パーシャルスピンオフに関する税制の恒久化を検討。 • 個人投資家からの資金供給の拡大 ➢ エンジェル税制のさらなる活用促進や利便性の向上に向けたあり方を検討。 129 スタートアップの成長促進に向けた政策 ⚫ スタートアップの成長を支える優秀な人材の参画促進のため、ストックオプション制度の環境を整備。 ⚫ 成長資金の担い手である機関投資家からの資金供給を拡大するため、投資ビークル(投資事業 有限責任組合:LPS)の制度を見直すとともに、投資パフォーマンス測定基準を明確化。 ⚫ ディープテック分野を中心に技術開発フェーズから事業拡大フェーズへのギアチェンジを強力に支援。 <具体的施策> • ストックオプション制度の環境整備 ➢ 税制適格ストックオプションについて、経済産業省として、令和6年度税制改正の要望に向けて以下の検討を 進める。 ①株式保管委託要件の撤廃 ②社外高度人材への付与要件の緩和、認定手続の軽減 ③権利行使限度額の大幅な引き上げ又は撤廃 など ➢ スタートアップによるストックオプションの発行について、株主総会から取締役会への委任決議の有効期限や委 任内容の規制の緩和を検討。 • 投資事業有限責任組合(LPS)制度の見直し ➢ 機関投資家からの資金供給拡大に向けて、①投資事業有限責任組合(LPS)の投資対象の拡充、海外 投資比率制限の要件緩和の検討、②公正価値評価をLPSの会計規則に位置づけ。 • グローバル・ユニコーン創出に向けた重点的支援 ➢ グローバル展開を目指す有望なスタートアップを選定の上重点的支援を実施。 • ディープテック分野を中心とする事業開発や量産化の加速、オープンイノベーション促進 ➢ NEDOによるディープテック・スタートアップに対する事業開発や量産化の支援拡充を検討。 ➢ 大企業における経営資源活用促進のため、オープンイノベーション促進税制のあり方について検討。 ➢ 知財専門家のVCへの派遣による支援強化、特許審査における審査官側からのプッシュ型支援(面接機会の 130 提供、支援策の紹介等)を推進。 社会課題を解決するスタートアップへの支援強化 ⚫ 社会課題解決にスタートアップが大きな役割を果たすことが期待されている。そのため、「インパクト スタートアップ」、GX、DX、ヘルスケア等に取り組むスタートアップを積極的に支援。 <具体的施策> • インパクトスタートアップへの支援強化 ➢ 優れたスタートアップを選定する「J-startup」制度に「J-startup Impact」を創設。 ➢ 社会的起業家を志す若手人材を海外のインパクトスタートアップ等へ研修派遣。 ➢ 米国における社会課題解決に取り組む企業の認証制度であるB-Corp制度の認証取得を支 援するため、中小機構に当該分野の専門家を登録し、活用を促進。 • 分野・ミッションごとに特化した支援の強化 ➢ GX:GX分野のスタートアップに対する一気通貫支援の創設の検討,GX分野の政府・地方公 共団体や企業からのスタートアップ調達促進 ➢ DX:次世代半導体のユースケース創出に取り組むスタートアップの開発費等支援 ➢ ヘルスケア:ヘルスケア分野に強みを持つ海外の有力VCやアクセラレータと連携したスタートアッ プ育成プログラムの展開,スタートアップによる革新的な医療機器の開発の推進・環境整備 ➢ 防災・レジリエンス:SBIR等を活用した自治体への先進防災技術の導入促進の検討 ➢ バイオ:日本医療研究開発機構(AMED)の3,500億円の基金活用、バイオスタートアップ の上場基準の適正化等資金調達環境を整備) 131 国内スタートアップへの投資拡大目標 ⚫ 昨年11月に策定した「スタートアップ育成5か年計画」では、スタートアップへの投資額を5年後の 2027年度に10倍を超える規模(10兆円規模)とすることを大きな目標に掲げる。 国内スタートアップ向け投資額の推移と将来目標 単位:億円 5年10倍増 目標額 100,000以上 8,508 877 1,424 2,018 2,565 3,576 4,822 6,000 8,774 5,554 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 2021 2022 2023 2024 2025 2026 2027 (注)2023年1月19日時点のデータであり、今後調査が進めば投資額の実績が変わる可能性がある。 (出所)INITIAL 「Japan startup finance」 132 OS③:価値創造経営 133 ROE・PER・PBR推移の日米欧比較(TOPIX500/S&P500/STOXX600比較) ⚫ 過去10年を見ると、日本企業のROE・PER・PBRは特に米国企業に差をつけられている状況。 ROE (%) PER (倍) 25 6 35 19.35 20 PBR (倍) 30 5 25 4 15 12.36 10 5 欧州 日本 米国 欧州 日本 米国 2022年 2021年 2020年 2019年 2018年 2017年 2022年 2021年 2020年 2019年 2018年 2017年 2016年 2015年 2014年 2013年 2022年 2021年 2020年 2019年 2017年 2016年 2015年 2014年 2013年 2018年 米国 1.18 0 0 日本 1.61 1 5 0 2 2016年 8.54 3 2015年 10 14.14 2014年 12.35 3.91 18.17 20 2013年 15 欧州 (注1)日本:TOPIX500、米国:S&P500、欧州:STOXX600 (注2)ROE=純利益(直近12か月)/自己資本(期首期末平均)*100 ※期首または期末の自己資本がマイナスの場合を除く PER=株価の直近値/加重EPS(直近12か月) PBR=株価の直近値/加重1株当たり純資産額 ※上記はすべて時価総額加重平均によるもの (出所)Bloombergのデータを基に作成 134 ①国内投資の拡大:事業拡大姿勢は国内と海外で連動、二極化の傾向 ⚫ 海外事業を強化する企業は、国内事業を強化する企業よりも多い傾向が続いているが、その差分は縮小傾 向にあり、国内と海外の事業拡大に対する姿勢は連動している。 ⚫ 海外と国内の両事業は、「ともに強化・拡大」と「ともに現状維持」、すなわち「リスクをとる企業」と「とらない 企業」に二極化。 ⚫ 経済活動は、パイの奪い合いではなく、ともに拡大していくもの。企業のリスクテイクを促すことは、海外だけで はなく、国内投資(イノベーションを含む)の促進にも資する。 (出所)JBIC「わが国製造業企業の海外事業展開に関する調査報告(2021年度)」 135 ②イノベーションの加速: M&Aも、これまで国内より海外で伸ばしてきた ⚫ オープンイノベーション時代は、研究開発とM&Aが、車の両輪。 ⚫ 2000年代前半と比べると、金額ベースで大きく伸びたのは海外向けのM&A投資であり、 国内企業に対するM&A投資の伸びは必ずしも大きくない。 国内M&Aと海外M&A の金額の推移 低調な国内M&Aに関する企業の声 万 (百億円) ✓ 企業の流動性が低すぎる。海外だと投資銀行が出 物(上場、非上場問わず)を持って回るが、それが 国内だと圧倒的に少ない。(電気機器) 1,000 IN-IN (国内M&A) 800 ✓ 国内はちょっとでも「敵対的買収」だと思われてしまっ たら絶対うまくいかない(電気機器) 600 400 752 923 IN-OUT (海外M&A) 575 551 ✓ 日本のSUは国内しか見えてなさそうなのが問題。 そうするとグローバルに目を向けているシリコンバレー に注目してしまう。(化学) 423 200 ✓ アクティブファンドによるエンゲージメントが増えれば、 もっとPEの案件も出てくる。(金融) 260 0 2001~2007年 2008~2014年 (注)数値はそれぞれの期間における1年当たりのM&A金額。 (出所)レコフデータを基に作成。 2015~2022年 136 ③所得向上:特に、大企業の正社員の賃金の伸びが停滞 ⚫ 非正規・パートタイムや中小企業の給与が上昇基調にある一方、大企業の正社員の 賃金は伸びが停滞している。 企業規模・雇用形態別の賃金推移 雇用形態別の雇用者構成比 (2013年=100) 124 122 正規(大企業) 正規(中小企業) 非正規(大企業) 非正規(中小企業) パートタイム(大企業) パートタイム(中小企業) 120 116 (2021年・賃金構造基本統計調査ベース) 16% 119 19% 12% 112 110 110 108 105 104 100 99 96 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 6% 41% 4% 正規(大企業) 正規(中小企業) 非正規(大企業) 非正規(中小企業) パートタイム(大企業) パートタイム(中小企業) (注) 「正規」は一般労働者の正社員・正職員、「非正規」は一般労働者の正社員・正職員以外、「パートタイム」は短時間労働者。 大企業は従業員数1000人以上、中小企業は10人~999人の企業。 賃金について、短時間労働者は、時間あたり給与。それ以外は所定内給与。 (資料)厚生労働省「賃金構造基本統計調査」(2022年3月25日公表) 137 ③所得向上:労働需給の逼迫により賃上げを迫られる可能性大 ⚫ 正規労働者・非正規労働者ともに、趨勢的に人手不足状況は強まりつつあり、労働参加率の 上昇も従来ほどは見込めないとの指摘もある。 ⚫ 労働市場の逼迫状況が続けば、賃金上昇へとつながる可能性。 労働者の過不足状況 就業率の国際比較(G7) (「不足」-「過剰」、DI、%ポイント) 50 女性の就業率 (%) 80 正社員等 パートタイム 40 (%) 30 75 25.1 70.6 25 70 30 20 65 20 60 15 55 10 高齢者の就業率 10 50 0 5 45 0 40 ▲10 ド イ ツ ▲20 07 09 11 13 15 17 19 21 (年) (注)2月・5月・8月・11月の四半期毎に調査を実施。 (資料)厚生労働省「労働経済動向調査」(2022年12月20日公表) イ ギ リ ス 日 本 カ ナ ダ ア メ リ カ フ ラ ン ス イ タ リ ア 日 本 ア メ リ カ カ ナ ダ イ ギ リ ス ド イ ツ イ タ リ ア フ ラ ン ス (注)女性は15-64歳、高齢者は65歳以上。データは2020年。 (資料)OECD.stat. 138 OS④:徹底した日本社会のグローバル化 139 「自由で公正な貿易秩序」と経済安全保障の両立に向けた各国の取組例 ⚫ EU等の主要国は、産業政策をテコとした、WTOの機能不全下で対応措置を整備。また、各国は 有志国との間で、信頼できるサプライチェーン構築のため、合意作りに取り組み始めている。 ⚫ 日本はこれらの取組を踏まえ、ルールベースの国際貿易秩序の再構築、有志国との信頼できるサ プライチェーンの構築、グローバルサウスとの連携強化の取組、を同時に進めていくべきではないか。 ルールベースの国際貿易秩序の再構築 ◼ WTO改革 • 透明性、ルール形成(特にプルリ)、紛争解決 ◼ WTOの機能不全下での対応 • 経済的威圧対抗措置(EU) • MPIA(日、EU、中、豪、加等) • 空上訴対抗措置(EU、ブラジル) • 第三国補助金等規則(EU) • 経済連携協定による新たなルール整備(日、EU等) 信頼できるサプライチェーンの構築 ◼ 重要鉱物に関する有志国・日米間での連携 ◼ 経済的威圧対抗措置の連携検討(G7) ◼ 経済連携協定の強化(TPP英国、バングラ・イスラ エル等新興国) ◼ インド太平洋経済枠組み(IPEF) ◼ サプライチェーン強靱化イニシアティブ(SCRI) ◼ ASEAN協力(日、韓、米、豪、NZ、中等) ◼ アフリカ協力(日(TICAD)、米、EU、中等) グローバルサウスとの関係強化 140 安定的な経常収支黒字に向けて(貿易・サービス収支・投資収益の方向性) ⚫ 国際収支の安定的な黒字を維持する観点から、投資収益を維持しつつも、貿易収支・ サービス収支の改善が必要。 貿易・サービス収支、投資収益、経常収支の推移と方向性 (兆円) 40 投資収益 経常収支 30 海外での生産性向上・イノベーション獲得によ る投資収益の安定化 投資収益 ・配当や利子などの第一次所得収支は世界最大級 貿易収支 20 貿易収支 輸出促進による改善 10 ・パンデミックや資源高、円安の影響により、足下の貿易赤字 は過去最大 -10 サービス収支 -20 (出所)財務省「国際収支統計」に基づき作成。 2022 2020 2018 2016 2014 2012 2010 2008 2006 2004 2002 2000 1998 1996 0 サービス収支 デジタル・知財収益の獲得、インバウンド強化 による改善 ・海外クラウドサービスへの支払いが増加し、赤字は拡大の 見込み ・コロナ禍による水際措置の強化に伴うインバウンドの減少 141 海外展開による3つの視点 ⚫ 海外展開を通じ、以下の3つの効果が期待される。これらの視点に立った取組の推進が重要。 視点1 海外投資・進出を起点とした製品・サービスの貿易促進の好循環の創出 視点2 イノベーション創出、生産性・競争力の向上 視点3 有志国やグローバル・サウスなどの国際関係強化への貢献 視点1 海外投資・進出を起点とした製品・サービス貿易促進の好循環 輸出促進 海外投資・進出 サービス貿易促進 ◼ 海外生産拠点と国内拠点との間で、 ◼ 海外法人での利益を配当などを通じ 製品・材料供給等の輸出を拡大 た国内還流を促進 ◼ 海外サービス拠点を通じた日本からの サービス提供(デジタル技術の活用) ◼ 海外拠点を通じたサービス提供と合 わせ、関連機器の輸出を促進 ◼ 日本の魅力ある商品・サービスの展開で の認知度向上によるインバウンド需要増 ◼ スタートアップを含む海外進出企業 による利益拡大、イノベーション創出 ◼ ライセンス利用による知財収入の獲得 ◼ 高付加価値製品の輸出を重点的 に支援 視点2 イノベーション創出、生産性・競争力向上 新商品・サービスの開発 最適立地の追求 スケールの追求 ◼ 現地の社会課題等に基づくニーズに 応える商品・サービス開発 ◼ コスト面でも最適な立地で製造・供 給することで競争力向上 ◼ 海外市場を想定し、事業スケールの確 保による付加価値増大・生産性向上 ◼ 現地のクリエーター等との協業 視点3 国際関係の強化への貢献 有志国との関係強化 グローバルサウスとの連携 ◼ 同志国間の信頼に足るサプライチェーン構 築による連携強化 ◼ グローバルサウスが直面する社会課題解 決へ日本企業が貢献 142 安定的な経常収支黒字に向けて(海外展開促進策の方向性) ⚫ 海外投資・進出の促進、製品・サービスの貿易拡大を通じたイノベーション創出の好循環を目 指し、 3つの視点を踏まえながらターゲットを決めつつ、政策ツールを総動員すべきではないか。 輸出促進 海外投資・進出 サービス貿易促進 ◼ 輸出手続に係るコスト削減を 通じて、競争力を強化。 方 向 ◼ 海外工場との連動による全 性 体規模の拡大を目指す。 ◼ 最適立地への進出による生 産性の向上。 ◼ 社会課題ニーズを捉えたイノ ベーション創出を目指す。 ◼ 競争力確保には、迅速なスケー ル化が不可欠。 ◼ サービスと一体となった製品・技 術の輸出との連動を目指す。 ◼ 貿易手続きのDXを推進 ◼ 新規事業探索支援を強化 ◼ スケール化を支援強化 ✓ 貿易プラットフォームの活用インセン ティブ付与、国際標準の改正・導入 に向けたガイドラインを策定。 ASEAN等との提携も深化。 ✓ スタートアップを含む先端企業の支援、 現地企業とマッチング機会の創出 ✓ ヘルスケアやスマート農業等で、機器 とサービスのセットでの普及 ✓ グローバルサウス等地域戦略の策定 ✓ サプライチェーン管理等を目的とした サイバーフィジカル領域のプラットフォー ム・サービス ✓ グリーン・デジタル分野等におけるルール 政 の調和と案件形成支援(補助・ファイナ 策 ※これにより、約5割のコスト削減。 ンス等)を一体で促進。 中小企業を含む輸出促進にも貢献 ツ ◼ インパクト投資の拡大支援 ー ル ◼ 輸出環境の改善 ✓ 投資ファンドの拡大・ファンドとの連携 ✓ NEXIの融資保険をテコにした 輸出環境改善 ◼ 資金調達支援の強化 ✓ NEXIの融資保険等を通じた、サプ ライチェーン強靭化、GX、スタートアップ の海外展開支援。 ✓ 実証事業の支援に加え、グローバルベ ンチマークへのスケール化に向けた補 助金・ファイナンス支援 ◼ インバウンド需要を創成 ✓ クリエイターや地域の魅力を核にしたイ ンバウンドの種の創成 143 「内なる国際化」に向けて ⚫ 「内なる国際化」に向け、外国企業や高度外国人材が魅力を感じる環境の整備が必要。 ⚫ そのため内閣府取りまとめの下、4月に「海外からの人材・資金の呼び込みのためのアクションプラ ン」を策定。また、高度外国人材の受入れ促進に向け、法務省は、経済産業省の協力の下、「特別 高度人材制度」※を創設。他方、人材獲得競争が激化する中、各国は様々な優遇措置を実施。 ※高度外国人材の中でもトップレベルの能力のある者の受入れを促進するため、現行制度のポイント制は残しつつ、シンプルに学歴又は職歴と年収が 一定水準以上であれば、ポイント制によらず在留資格「高度専門職(1号)」を付与する制度。優遇措置も新たに拡充。 政府の対応方針 海外からの人材・資金の呼び込みのためのアクションプラン 1.国際環境の変化を踏まえた戦略分野への投資促進・グローバルサプライチェー ンの再構築 ⚫ 半導体基金などを活用した産業立地プロジェクトの戦略的展開、産学官連携による 人材育成等コンソーシアムの全国展開 等 2.アジア最大のスタートアップハブ形成に向けた戦略 ⚫ スタートアップ・エコシステム拠点都市(8か所)への集中支援、外国人起業家向け ビザ(スタートアップビザ)の利便性向上 等 3.高度外国人材等の呼び込み、国際的な頭脳循環の拠点化に向けた制度整備 ⚫ 世界に伍する水準の新たな在留資格制度(特別高度人材制度(J-Skip)、未来 創造人材制度(J-Find))の創設、技能実習制度・特定技能制度の在り方の検 討、グローバル・スタートアップ・キャンパス構想、デジタルノマド受入制度の検討 等 4.海外から人材と投資を惹きつけるビジネス・生活環境の整備等 ⚫ 国際金融センターとしての機能強化・GX投融資促進、多言語ワンストップ窓口機能 強化、教育環境改善(インターナショナルスクールから高校進学の円滑化等)、医療 環境(多言語対応病院情報等を提供する全国プラットフォーム構築等)、インバウ ンド拡大(MICE誘致等) 等 5.オールジャパンでの誘致・フォローアップ体制の抜本強化、G7等を契機とした 世界への発信強化 ⚫ 在外公館/JETROの「FDIタスクフォース」創設、海外からの投資を促進する「地域投 資誘致フォローアップ連絡会議」創設、副大臣級の「海外からの人材・資金を呼び込 むためのタスクフォース」創設、海外企業トップ等のビジネスサミット開催 等 各国による人材獲得のための優遇措置等 高額な報酬、豊富な研究費、多額の資金援助等で、世界中から高度な知 見を有する研究者を招聘(千人計画) 外国人技術者の所得税を10年間50%減免、外国人労働者の税率を20 年間単一税率19%を適用 科技・経済等分野の特別な専門知識を有す「外国特定専業人材」の給与 所得が300万台湾元を初めて超した年度から5年以内に限り、300万台湾 元超の所得の半分を免税 所得税の最高税率が22%と低率、月収3万シンガポールドル以上の高額 所得者等に対し長期ビザを発給 駐在減税として、仏居住後8年間、一定の所得控除(①最大で給与総額 の50%までの駐在手当、又は、②駐在手当控除後の課税所得の20%ま で、のいずれか高い方) (注)G7諸国の所得税は、我が国と大差ないレベルであることに留意。 具体的には、夫婦子2人の給与所得者(片働き)※の場合、所得税(国税)の最高税率 の適用が開始される給与収入金額は、日本は4,473万円で45%、米国は7,690万円で 37%、英国は2,310万円で45%、ドイツは7,366万円で45%、フランスは6,977万円で 45%となっている。 ※モデルケースとして第1子が就学中の19歳、第2子が就学中の16歳として計算。 (出典)財務省「主要国における所得税率の推移の国際比較」(上記注釈部分) 144 OS⑤:データ駆動型行政・EBPM 145 (再掲)先端半導体の製造拠点整備に係る経済効果 ⚫ 5G促進法による認定事業(熊本のTSMC、三重のキオクシア)について、経済効果分析を実施。 – ①直接評価モデル:税収効果は直接的な効果のみで最大助成額と同等程度。 – ②産業連関分析:GDPへの正の影響は約4.2兆円。 – ③CGEモデル:GDPへの正の影響額は約3.1兆円。 分 析 対 象 事業者 生産対象 場所 設備投資額 最大助成額 TSMC・JASM 先端ロジック 熊本県菊陽郡菊陽町 86億ドル規模 4760億円 キオクシア等 メモリ(NAND) 三重県四日市市 2,788億円 929.3億円 (※)対象期間:事業実施期間(設備投資期間+継続生産期間(10年間)) <結果概要> 経済モデル GDP影響額 雇用効果(延べ) 税収効果等 ①直接評価モデル ‐ 約3.6万人 約6,000億円 ②産業連関分析 約4.2兆円 経済波及効果は9.2兆円 約46.3万人 約7,600億円 ③CGEモデル 約3.1兆円 約12.4万人 約5,855億円 約9,793億円(社会保障負担含む) (※)現状の日本経済を前提とした分析であり、実際の経済波及効果は今後の市場の状況等によって変動する点に留意。 【参考】JASMによる熊本への投資による経済波及効果試算(調査実施:九州フィナンシャルグループ) ✓工場稼働の2024年から2年間の経済波及効果:1兆8,000億円 ✓2022年から31年までの10年間の経済波及効果:4兆2,900億円 ✓雇用効果:JASMの直接雇用1,700人を含めて、全体で約7,500人 146 グリーンイノベーション基金におけるEBPM① ⚫ プロジェクトの組成から政策目的に至るまでの経路を明確化するロジックモデルを精緻化。 ⚫ 短期から長期までのアウトカム(CO2削減効果、経済波及効果)等を踏まえ、①アウトカム指標 ごとの測定手法を検討するとともに、②各プロジェクトの進捗状況等を把握するための、長期ア ウトカムに対する期待値に係る推計モデルを構築中。 (出典)経済産業省委託事業(委託先PwC)を踏まえて経済産業省にて整理 147 グリーンイノベーション基金におけるEBPM② ⚫ グリーンイノベーション基金で実施するプロジェクトごとに、研究開発内容等を踏まえて、短期、中期、 長期の各時間軸で設定されたアウトカム指標につき、共通の測定手法を検討・具体化する予定。 アウトカム 測定指標 測定手法 国際的競争力 (短期、中期) 「国際的競争力を有すると合理的 に認められた研究開発項目数」 以下指標を研究開発項目ごとに、競合国と比較し優っ ているかを評価 ①研究目標等に関連した技術指標 ②特許数 民間投資誘発額 (中期) 「プロジェクト実施者による、プロジェ 以下指標をプロジェクトごとに評価: クト期間中の関連投資額の総和」 プロジェクト実施及び、商用展開に係る自己負担額 成果の社会実装 (長期) 「カーボンニュートラルに向けて技術 以下指標を研究開発項目ごとにに評価: を確立し、事業実施上の選択肢と 基金事業での成果を基にした商用事例の有無 なった研究開発項目数」 経済波及効果 (長期) 「各プロジェクトによって創出する経 済波及効果の総和」 以下指標をプロジェクトごとに評価: 国内における基金事業での製品・技術の売上と第1次 生産誘発額の合計値 (出典)経済産業省委託事業(委託先PwC)を踏まえて経済産業省にて整理 148

資料11

参考資料3 経済産業省の新たな政策評価について (全体版) 2023年8月 経済産業省 7つの政策評価軸と政策テーマ 政策評価軸 政策テーマ 1.経済構造改革の推進 2.対外経済関係の円滑な発展 3.産業技術・環境対策の促進並 びに産業標準の整備及び普及 経済産業政策局 ①日本企業の世界市場獲得及び他国からの投資呼び込み ②経済安全保障の実現 イノベーション循環の促進 ①DX、GX、経済安全保障を軸とした製造業のグローバル競争力強化 4.情報処理の促進並びにサービス・ 製造産業の発展 ②デジタル社会の実現 ③新しい産業の創出や安全・安心な市場の環境整備を通じた社会課題解決 5.産業保安の確保 6.鉱物資源及びエネルギーの安定 的かつ効率的な供給の確保並びに脱 炭素成長型経済構造への円滑な移 行の推進 7.中小企業及び地域経済の発展 責任部局 通商政策局 貿易経済協力局 大臣官房経済安全保障室 貿易経済協力局 産業技術環境局 製造産業局 商務情報政策局 商務・サービスグループ 産業保安グループ ①資源・エネルギーの安定供給の実現 資源エネルギー庁 ②脱炭素成長型経済構造への円滑な移行(GX)の実現 産業技術環境局 ①中小企業及び地域経済の発展 中小企業庁 地域経済産業グループ ②福島の復興 福島復興推進グループ 1 1.経済構造改革の推進 政策評価軸: 1.経済構造改革の推進 経済産業政策局長 山下 隆一 目標(ミッションステートメント) ミッション志向の産業政策を通じて、社会課題解決ニーズに支えられた新需要を創出するとともに、経済社会基盤(OS)の組替 えを推進することを通じて、国内投資を促進させ、イノベーションを実現することで、国内投資・イノベーション・所得向上の好循 環を創出し、社会課題の解決と経済成長の両立を実現する。 主要な指標の動向 ①民間企業設備投資額:2027年度に115兆円 ③PBR1以上企業の割合:日本の代表的企業 (TOPIX500を念頭)において2030年に約6割か ら約8割(欧州STOXX600並) ④1人あたり名目、実質賃金(時給): 物価上昇を超える賃上げの継続 ②スタートアップへの投資額:今後5年間(2027年度まで)で10兆円規模 出典: ①内閣府「国民経済計算」、及び国内投資拡大のための官民連携フォーラム(2023年4月6日)経済団体連合会提出資料 ②INITIAL 「Japan startup finance」(2023年1月19日時点)、③Bloomberg、④厚生労働省「毎月勤労調査」、 主要施策の進捗状況・評価と今後の対応 国内投資、イノベーション、所得向上の好循環を創出するため、 • 国内投資拡大に向けて、令和4年度補正予算で政府全体で7兆円規模の予算を措置し、戦略分野(GX、DX等)において世界水準の長期かつ大 規模な投資支援を実施。 • イノベーションを加速すべく、2022年11月に「スタートアップ育成5か年計画」を決定。また、女性起業家支援・グローバルユニコーン創出・ディープ テック等のスタートアップへの支援や、規制のサンドボックス制度等を活用した規制改革を推進。 • 所得向上に向けては、人手不足への対応や、価格転嫁対策や賃上げ税制の拡充等を通じた構造的な賃上げに向けた取組、リスキリングの支 援等を実施。 「ミッション志向の産業政策」で国内の新たな需要を創出しつつ、国際競争力を強化する。またスタートアップ等足腰の強い企業を育成し、新陳代謝 を後押しする。同時に、リスキリング等の人的投資、労働移動の円滑化、企業活動の高付加価値化により、構造的な賃金の上昇実現を目指す。 2 1.経済構造改革の推進 参考指標の動向 ①名目・実質GDP ②労働生産性 出典:OECD.stat. (注)実質GDPを総労働時間で割った値。 ③貿易・サービス収支・投資収益・経常収支 ④ジェンダー関連指数(女性管理職割合等) (出典)財務省「国際収支統計」 出典:厚生労働省「賃⾦構造基本統計調査」 3 1.経済構造改革の推進 主な関連施策 推進体制(主担当課室) 「経済産業政策の新機軸」の検討等 産業構造課 人的資本経営の推進やリスキリングなどの「人への投資」支援等 産業人材課 スタートアップへの投資拡大支援や人材と知的資本の拡大循環促進等 規制改革(規制のサンドボックス、新事業特例・グレーゾーン解消制度等)の推進 大臣官房スタートアップ創出推進室 新規事業創出推進室 官民ファンドや財投、金融支援策等を通じたリスクマネーの供給 産業資金課 価値創造経営の推進、資本市場改革、効率的・効果的な開示制度の構築 企業会計室 中長期的な企業価値向上に向けたコーポレートガバナンスの推進等 産業組織課 カーボンニュートラル・DX等に向けた事業再構築や事業環境整備の促進等 産業創造課 ダイバーシティ経営の普及や女性活躍の推進等 経済社会政策室 不正競争防止法における営業秘密の流出や外国公務員贈賄の防止等 知的財産政策室 競争紛争に係る相談・解決支援やGX実現に向けた複数社連携における課題への対応等 競争環境整備室 内外マクロ経済の分析等 調査課 企業の設備投資や経営支援等に資する税制の検討と税制改正への対応等 企業行動課 EBPM・データ駆動型行政 大臣官房業務改革課、大臣官房調査統計グループ、 産業構造課(RIETI)等 関連する予算、税制等の全体像 【令和5年度当初予算】一般会計:約41億円(Ⅰ.経済構造改革の推進) 【令和5年度税制改正】 ・スタートアップへの再投資に対する非課税措置の創設(エンジェル税制の拡充) ・オープンイノベーション促進税制の拡充 ・パーシャルスピンオフ税制の創設 ・ストックオプション税制の拡充 ・国外転出時課税制度の見直し ・暗号資産の期末時価評価課税の見直し ・民間企業等の教育への積極的な関与を促進するための税制上の措置 4 2.①日本企業の世界市場獲得及び他国からの投資呼び込み 政策テーマ: 2.①日本企業の世界市場獲得及び他国からの投資呼び込み (政策評価軸:対外経済関係の円滑な発展) 通商政策局長 松尾 剛彦・貿易経済協力局長 福永 哲郎 目標(ミッションステートメント) ①経済安全保障と両立した国際秩序の再構築、②モノの貿易にとどまらずサービス貿易や海外直接投資を含めた「稼ぐ力」の 強化、③対内直接投資の拡大に向けた国内環境整備を軸に施策を進め、日本の経済、産業、社会の徹底的なグローバル化 を進め、日本企業が海外で稼ぐことを最大化する。 主要な指標の動向 日本の輸出額・サービス輸出額の推移 日本の第一次所得収支の推移 資料:財務省貿易統計(輸出額)、財務省・日本銀行「国際収支統計」(サービス輸出額) 日本の対内直接投資残高の推移 出典:通商白書2023 主要施策の進捗状況・評価と今後の対応 (稼ぐ力の強化) 貿易手続きのデジタル化、NEXIの融資保険をテコにして、支援を求める海外企業に対し、将来的な日本企業との取引の創出・拡大に積極的に取 り組むことを求めることで、輸出環境改善につなげる「SEEDスキーム」の創設、新規輸出1万者支援プログラムを通じた輸出促進や、JETROによる 見本市・展示会の出展支援や相談対応等の販路開拓支援やADXを通じてスタートアップを含む日本企業の海外展開支援を行ってきた。 今後、各分野で以下のように「稼ぐ力」を強化。 • 輸出促進:貿易手続に係るコスト削減等を通じた企業負担の軽減、また、高付加価値製品の輸出を促進することで、交易条件の改善に繋げる。 • サービス輸出促進:サービスと一体となった製品・技術との連動、インバウンドの強化 • 海外投資・進出:生産性向上・イノベーション創出のための、新規事業探索支援(スタ ートアップの国際展開支援、グリーン・デジタル分野等にお ける国際ルール形成)、海外市場でのスケール化を含む新規投資のための資金調達支援の強化等 (対内直接投資の推進に向けた国内環境整備) 高度外国人材の受け入れ促進に向けた検討や、 スタートアップを含む海外企業の国内誘致、日本企業との協業のための事業可能性調査支援を 実施してきた。日本社会の「内なる国際化」に向けて、対内直接投資や高度外国人材の受入れを加速するため、外国 企業や高度外国人材が魅力 5 を感じる環境の整備に全力で取り組む。 2.①日本企業の世界市場獲得及び他国からの投資呼び込み 参考指標の動向 各国のFTAカバー率 日本経済に関する評価例 1 出典:通商白書2023 グローバル・イノベーション 13位 インデックス 2022 (132ヵ国中) (WIPO) 2 人材競争力 調査レポート2022 (INSEAD) 24位 (133ヵ国中) 3 経済自由度指数 2023 (ヘリテージ財団) 31位 (184ヵ国中) 4 世界デジタル競争力 ランキング2022 (IMD) 29位 (63ヵ国中) (参照)1:https://www.heritage.org/index/ 2:https://www.wipo.int/global_innovation_index/en/ 3:https://www.insead.edu/faculty-research/research/gtci 4:https://www.imd.org/centers/wcc/world-competitivenesscenter/rankings/world-digital-competitiveness-ranking/ その他の関連施策 (経済安全保障と両立した国際秩序の再構築) グローバリゼーションの変容に対応し、WTO改革・WTOの補完を含むルールベースの国際貿易秩序の再構築とともに、有志国と連携した信頼でき るサプライチェーンの構築、経済的威圧に対する対応を進める。 (グローバルサウスとの連携強化) グローバルサウスとの連携強化の取組(G20などの国際フォーラムや経済連携協定、IPEF、QUADといった枠組み、ASEANをはじめとするアジ ア、アフリカ諸国などとの対話等を活用しながら、いわゆるグローバルサウス各国が直面する社会課題に対し、我が国がもつ技術などの強みを活か して共に解決していくことを目指す) 6 2.①日本企業の世界市場獲得及び他国からの投資呼び込み 主な関連施策 推進体制(主担当課室) JETROによる日本企業の海外展開支援 総務課 戦略的なグローバルルールの企画・立案 通商戦略室 経済連携の推進 経済連携課 海外市場開拓 米州課、欧州課、中東アフリカ課、アフリカ室、アジア大洋州課、 南西アジア室、北東アジア課、韓国室 WTO(ラウンド交渉、紛争解決) 通商機構部 貿易の振興 貿易振興課 通商金融・資金協力 通商金融課 技術協力を通じた途上国産業人材の育成支援 技術・人材協力課 国内外における投資の促進 投資促進課 関連する予算、税制等の全体像 【令和5年度当初予算】一般会計:約430億円(Ⅱ.対外経済関係の円滑な発展)の内数 【令和5年度税制改正】 ・グローバル・ミニマム課税(一部)導入に係る外国子会社合算税制の見直し 7 2.②経済安全保障の実現 政策テーマ: 2.②経済安全保障の実現 (政策評価軸:対外経済関係の円滑な発展) 大臣官房首席経済安全保障政策統括調整官 福永 哲郎 目標(ミッションステートメント) 経済安全保障を実現するため、①自律性の向上(基幹インフラやサプライチェーン等の脆弱性解消)、②優位性・不可欠性の 確保(技術・産業競争力の向上や技術流出の防止)、③基本的価値やルールに基づく国際秩序の維持・強化に取り組む。 主要な指標の動向 <特定重要物資(8分野)関係> 【半導体】2030 年に、国内で半導体を生産する企業の合計売上高(半導体 関連)15 兆円超 【蓄電池】2030 年に、国内製造基盤 150GWh/年の確立、 グローバル市場での 600GWh/年の製造能力確保 等 【重要鉱物】2030年までにリチウム約 10 万トン/年、ニッケル約9万トン/年、 レアアース 約1.4万トン/年 等 【航空機部品】 ① 大型鍛造品:2030年までに、国内需要量を満たすための供給量をコスト競 争力を有する形で確保 ② CMC及びSiC繊維: 2030年以降に導入が見込まれる次期航空機エンジン を念頭に置いた試作機へ国産CMC製部品を供給 ③ 炭素繊維: 2030年時点の航空機用途における国内需要量をみたす生産 量を確保 【工作機械・産業用ロボット】2030年までに工作機械約11万台/年、 産業用ロボット約35万台/年の生産能力 【永久磁石】 ・2030 年時点の国内需要量に応じた生産能力 ・2030 年までにリサイクル能力を 2020 年比で倍増 等 【可燃性天然ガス】 2023年から当面は、12月から2月の3ヶ月に対応する戦略的な 余剰のLNGを確保 等 【クラウドプログラム】 2027 年度までに国内に事業基盤を有する事業者が基盤クラウド を持続的に提供できる体制を構築 主要施策の進捗状況・評価と今後の対応 ・2022年12月、経済安全保障推進法に基づく特定重要物資として11物資を指定(経済産業省所管は上記の8物資)。関連予算として9,582億円を確 保(令和4年度補正予算)。また、必要に応じて物資の見直しも進めていく。 ・先端的な重要技術の開発を支援する「経済安全保障重要技術育成プログラム」においては、NEDOに2,500億円の基金を造成(令和4年度補正予 算等)。2023年7月中旬までに9テーマ約1,100億円分を採択。今後、研究開発ビジョン(第2次)に基づくプロジェクトの公募採択を含め、着実に執行 していく。 8 2.②経済安全保障の実現 参考指標の動向 外為法に基づく申請手続きの電子化割合 平成30 令和元 令和2 令和3 令和4 令和5 ・・・ 年度 年度 年度 年度 年度 年度 電子申請率(単位:%) 50 55 61 64 73 ・・・ 令和12 年度 ・・・ 90以上 その他の関連施策 ・貿易管理施策の実効性を担保するため、外為法に基づく申請手続きの電子化割合の更なる向上を目指す(2030年度までに90%以上を目指す)。 ・輸出入禁止措置等の対外経済制裁を着実に実施。2022年より、新たにロシア制裁を開始し、各国と協調した措置を順次実施中(政令を累計で7回 改正済み(2023年6月時点))。 ・重要設備の導入・維持管理等の委託に係る事前審査制度について、経済産業省では電気・ガス・石油・クレジットカードの4分野において事前相談 窓口を設置済み。 ・韓国について、2023年4月の政策対話を通じて輸出管理の体制、制度及び運用の状況等について厳格な検証を実施。その結果、韓国の取組の実 効性が確認されたため、同国の国カテゴリの見直しを実施。今後も政策対話を通じた輸出管理制度の適切な運用を実施。 9 2.②経済安全保障の実現 主な関連施策 <産業支援策> 国内産業基盤強化 研究開発・人材事基盤強化 産業インフラ 国際投資資金確保 【サプライチェーンの強靱化(特定重要物資関係)】 永久磁石、工作機械及び産業用ロボット、航空機の部品、 半導体、蓄電池、クラウドプログラム、可燃性天然ガス、 重要鉱物 <産業防衛策> 先端的な重要技術に関する官民協力 サイバーセキュリティ対策強化・データポリシー 企業行動指針・ガイドライン <国際枠組みの構築> 経済的威圧への対応 経済安全保障に係る対外経済政策の立案 経済安全保障上の脅威認識 <外為法の適切な運用等(国際的な平和及び安全への貢献等)> 外為法・貿易管理制度の企画・構築・普及 輸出入禁止措置等の対外経済制裁 外為法及び関税定率法に基づく貿易審査 原産地証明制度等の企画・構築・執行 外為法に基づく対内直接投資管理 アンチダンピング等の特殊関税措置 <その他> デジタル技術を活用した外為法申請手続きの利便性向上と 審査業務の高度化/効率化 推進体制(主担当課室) 経済産業政策局 総務課 産業技術環境局 総務課、研究開発課 経済産業政策局 産業構造課 経済産業政策局 産業資金課 等 製造産業局 金属課、産業機械課・ロボット政策室、航空機武器宇宙産業課、素 材産業課 商務情報政策局 情報産業課, デバイス・半導体戦略室、電池産業室、ソフトウェア・情報サービス戦略室 資源エネルギー庁 資源・燃料部 資源開発課、鉱物資源課 等 大臣官房 経済安全保障室 商務情報政策局 サイバーセキュリティ課、ソフトウェア・情報サービス戦略室 貿易経済協力局 安全保障貿易管理政策課 等 通商政策局 通商戦略室 貿易経済協力局 安全保障貿易管理政策課 等 貿易経済協力局 貿易管理課・安全保障貿易管理政策課・安全保障貿易管理課 貿易経済協力局 貿易管理課 貿易経済協力局 貿易審査課・安全保障貿易審査課 貿易経済協力局 原産地証明室 貿易経済協力局 国際投資管理室 貿易経済協力局 特殊関税等調査室 貿易経済協力局 電子化・効率化推進室 関連する予算、税制等の全体像 【令和5年度当初予算】一般会計:約430億円(Ⅱ.対外経済関係の円滑な発展)の内数 10 3.イノベーション循環の促進 政策テーマ: 3.イノベーション循環の促進 (政策評価軸:3.産業技術・環境対策の促進並びに産業標準の整備及び普及(1/1)) 産業技術環境局長 畠山 陽二郎 目標(ミッションステートメント) スタートアップ投資額を2023年度から2027年度までの5年間で約10倍にする、研究開発投資額について官民合わせた総額を 2021年度から2025年度までの5年間で約120兆円にする、こと等を通じて、イノベーションの好循環を拡大し、国際標準の戦略 的な形成・活用を図りつつ、世界最先端の研究開発を進めることで、経済成長・環境対策を同時達成する。 主要な指標の動向 指標①スタートアップへの投資額 スタートアップ投資は、近年急拡大 目標 :10倍へ ~ ~ 指標②官民の研究開発投資額 研究開発投資は、ここ数年横ばい 目標 2027 出所:INITIAL 「Japan startup finance」(2023年1月19日時点) 出所:令和5年度当初予算案 令和4年度補正予算 の概要について (内閣府)より経産省作成 主要施策の進捗状況・評価と今後の対応 スタートアップ支援・ディープテック・スタートアップの創出・育成: イノベーション循環の担い手であるスタートアップ支援を加速すべく、2022年11月に「スタートアップ育成5か年計画」を決定。同計画を着実に実行す ることとし、女性起業家・グローバルユニコーン創出への支援を強力に実施。また、ディープテック・スタートアップについては、基金や人材育成・発掘 などの関連施策を着実に推進。引き続き、イノベーション循環の担い手であるスタートアップ支援を強力に実施。 重点分野への研究開発推進・支援強化: 半導体や量子、AI、バイオといった国家戦略上、重要な分野について、政府として研究開発を推進・支援。研究開発プロジェクトにおける標準化戦 略・体制のモニタリング・フォローアップも併せて実施。さらに、特定のミッション解決に資する研究開発支援のための基金により取組を強化したとこ ろ。さらに、研究プロセスに対して支払う従来型の委託・補助型の研究開発の支援手法に加えて、研究成果に報酬を支払う仕組みとして、懸賞金型 事業を試行的に導入。 11 3.イノベーション循環の促進 参考指標の動向 ②:世界で活発化する標準化活動と、ISO・作業部会の議長ポスト数 ①:大学発ベンチャーの数 出所:経済産業省「令和4年度大学発ベンチャーの実態等に関する調査」 出所:国際標準化協議会「ISO事業概要」 ③:企業による大学等への資金拠出 ④:日本の大学等・企業の共同研究費 【億円】 1,431 1,195 1,072 967 1,116 1,115 1,151 1,409 1,244 1,209 1,134 1,056 1,043 948 931 833 929 832 872 881 905 878 934 895 1,500 1,487 1,361 1,076 1,071 986 300万円未満 81.2% 429 375 244 105 95 98 290 234 273 314 310 375 353 333 97 大学等 公的機関 合計 出所:総務省 科学技術研究調査(2008~2022) 出所:文部科学省「令和3年度大学等における産学連携等実施状況について」 その他の関連施策 日本型標準加速化モデルの実現:安全・安心を中心とした高品質な製品・サービスを支える「基盤的活動」を維持しつつ、市場創出に資する経営 戦略上の「戦略的活動」が積極的に取り組まれる、日本の標準化活動の在るべき姿の実現のため、企業のルール形成への後押し、標準化活動 の体制強化等に着実に取り組む。 産学官連携の推進・知的資本への投資推進:産学連携充実に向けた大学等の「知」の評価に係る考え方をハンドブックとして2023年にとりまとめ、 若手研究者の取組や多対多の取組等への支援に引き続き取り組むとともに、博士人材の民間企業での活躍の推進のため、就職ルートの多様化 に係る検討を2023年度から開始する。また、2023年度の研究開発税制改正において、博士号取得者等を雇用する企業へのインセンティブを付与 する制度を新たに創設するとともに、ディープテック領域の人材発掘・起業家育成に着実に取り組む。 3独法の効率的かつ効果的な運営:産総研、NEDO、NITEの3独法について、各独法の目標に従い、社会課題解決や産業競争力強化に資する研 12 究開発や行政執行支援を着実に実施するなど、効率的かつ効果的な運営に引き続き取り組む。 3.イノベーション循環の促進 主な関連施策 推進体制(主担当課室) スタートアップ支援 大臣官房スタートアップ創出推進室 ディープテックスタートアップの創出・育成 技術振興・大学連携推進課 大学連携推進室 重点分野への研究開発推進・支援強化 研究開発課 日本型標準加速化モデルの実現 基準認証政策課 国際標準課 国際電気標準課 産学官連携の推進・知的資本への投資推進 技術振興・大学連携推進課 大学連携推進室 研究開発課 3独法の効率的かつ効果的な運営 産業技術法人室 研究開発課 関連する予算、税制等の全体像 【令和5年度当初予算】一般会計:約883億円、特別会計:946億円(Ⅲ.産業技術・環境対策の促進並びに産業標準の整備及び普及) 【令和5年度税制改正】 ・研究開発税制の延長・拡充 13 4.① DX、GX、経済安全保障を軸とした 製造業のグローバル競争力強化 政策テーマ: 4.①DX、GX、経済安全保障を軸とした製造業のグローバル競争力強化 (政策評価軸:情報処理の促進並びにサービス・製造産業の発展) 製造産業局長 伊吹 英明 目標(ミッションステートメント) DX、GX、経済安全保障を政策の軸として、製造業のビジネスのグローバル展開を通じてグローバルバリューチェーンの中で無 視できないポジションを獲得することで、利益の創出、競争力の維持・強化を図り、もって国内の生産性向上や賃上げ、雇用の 新陳代謝にもつなげていく。 主要な指標の動向 輸出額 製造業当期純利益 出所:法人企業統計 ※単位は2015暦年連鎖価格、1兆円 出所:国民経済計算(GDP統計) 海外直接投資収益 出所:日本銀行 国際収支関連統計 主要施策の進捗状況・評価と今後の対応 • 2022年度は、経済安全保障推進法に基づく特定重要物資として永久磁石、工作機械・産業用ロボット、航空機の部品、半導体を指定するととも に、これらの重要物資の生産基盤の整備、供給源の多様化、備蓄、生産技術の導入・開発・改良、代替物資の開発等の安定供給確保を図るた め、約1,400億円の基金を確保。また、GXについては、水素還元製鉄やカーボンリサイクル等の革新的生産プロセス等の実現に向け、グリーンイ ノベーション基金事業等による社会実装に向けた研究開発を実施。 • 2023年度に向けては、重要物資の安定供給確保に向け、支援対象の拡充を検討し、必要な措置を講じる。鉄鋼や化学等のHard-to-abate産業 におけるGX促進のため、GX経済移行債等も活用し、原料・燃料転換を促しつつ、国際ルールメイクによりグローバル市場への展開を進める。民 間における宇宙開発支援を抜本的に拡充するため、JAXAの戦略的かつ弾力的な資金供給機能を強化する。 14 4.① DX、GX、経済安全保障を軸とした 製造業のグローバル競争力強化 参考指標の動向 製造業の付加価値の状況 投資額 [億円] 製造業の有形/無形固定資産投資 赤:有形 緑:無形 出典:法人企業統計 乗用車新車販売における電動車比率の推移 (万台) 180 50.0% 160 45.0% 140 120 100 80 60 46.6% 41.7% FCV 34.3%35.0%37.2% EV 32.3%33.1% PHEV 28.5% HEV 23.3% 電動車比率(右軸) 21.6% 19.9% 16.1% 10.9%11.7% 出典:法人企業統計 40.0% 35.0% 30.0% 25.0% 20.0% 15.0% 40 10.0% 20 5.0% - 0.0% その他の関連施策 • 製造業のDXのため、自動車・ロボット・素材などの先端技術開発を約100億円の予算で実施。加えて、エンジニアリングチェーンのDX推進のため の工場ガイドラインの整備、サプライチェーンのDX推進のための企業間データ連携の整備、標準化支援、人材育成等を行う。 • 重要技術育成プログラム(Kプロ)においては、航空・宇宙分野で約1,050億円の予算措置が確保される見込み。新たに支援対象とするべき技術を 示し、官民の伴走支援の下で着実に研究開発を行いつつ、切れ目なく強力な支援を実現する。 • クリーンエネルギー自動車(CEV)の普及に向けては、令和5年度税制改正において車体課税4.5兆円を見直すとともに、令和4年度補正予算及び 令和5年度当初予算合わせて1,200億円の予算を確保し、CEVの導入加速とインフラ整備を両輪で進めている。引き続き、2035年に新車販売で電 動車を100%とする目標達成に向け、蓄電池の投資促進・技術開発等や、車両の購入、充電・水素充てんインフラの整備、中小サプライヤー等の 業態転換を支援する。住宅の断熱性向上に向け、900億円の予算を確保し、熱損失の大きい窓の断熱改修を進める。 15 4.① DX、GX、経済安全保障を軸とした 製造業のグローバル競争力強化 主な関連施策 推進体制(主担当課室) 経済安全保障: • サプライチェーンの強靱化 • 先端的な重要技術の研究開発の促進 総務課(経済安全保障サプライチェーン強靱化チーム)、金属課、素材 産業課、産業機械課、ロボット政策室、素形材産業室、航空機武器宇宙 産業課、次世代空モビリティ政策室、宇宙産業室 GX: • 2050年CNに向けた革新的技術の開発、設備投資の促進 • クリーンエネルギー自動車の導入促進、車体課税の見直し • グリーンプロダクトの定義設計、計測手法、政府調達の検討 総務課(カーボンニュートラルチーム)、金属課、素材産業課、素形材産 業室、自動車課、航空機武器宇宙産業課 DX: • ダイナミックケイパビリティの強化(工場全体・複数拠点間における異 なる生産ラインの一括制御や稼働管理等の仕組みの実現) • 自動走行の実現、車載用蓄電池・自動車分野におけるデータ連携の 推進 • ロボットの導入・利活用による省人化・自動化の促進 ものづくり政策審議室、自動車課、産業機械課・ロボット政策室 その他: • 航空機産業、宇宙産業の育成・振興 • 防衛産業基盤の強化 • サーキュラーエコノミーへの対応(繊維産業、化学産業等) • 化学物質管理(法執行、条約対応、制度見直し) • 競輪・オートレースの振興 航空機武器宇宙産業課、次世代空モビリティ政策室、宇宙産業室、生活 製品課、素材産業課、化学物質管理課、車両室 等 関連する予算、税制等の全体像 【令和5年度当初予算】一般会計:約435億円(Ⅳ.情報処理の促進並びにサービス・製造産業の発展)の内数 【令和5年度税制改正】 ・エコカー減税等の車体課税の見直し・延長 ・特定小型原動機付自転車(電動キックボード等)に係る所要の措置 16 4.②デジタル社会の実現 政策テーマ: 4.②デジタル社会の実現 (政策評価軸:情報処理の促進並びにサービス・製造産業の発展(2/3)) 商務情報政策局長 野原 諭 目標(ミッションステートメント) ①半導体、蓄電池、AI、コンピューティングなどデジタル面で我が国産業を支える基盤の整備、②サイバーフィジカルシステムの 社会実装に必要となる基盤の整備、③デジタル人材の育成・確保を行うこと。これらを通じて、デジタル技術を活用した新たな製 品・サービス・ビジネスモデルを我が国で創出し、グローバルに新たな付加価値を生み出すと共に国内投資を拡大することで日 本経済の成長に貢献すること(DX)。同時に、GXの実現、経済安全保障に資すること。 主要な指標の動向 国内で半導体を生産する企業の売上高(2030年に15兆円超) 出典:実績分について、世界全体の売上はOMDIA、日本国内売上は経済産業省「工業統計調査」の品目別出荷額の値を集計。 出荷額については、半導体関連(半導体素子、光電変換素子、集積回路)及び、 「他に分類されない電子部品・デバイス・電子回路」のうち半導体関連品目を出荷額ベースで按分した値の合計。 蓄電池セルの国内生産能力(2030年までに150GWh) 出典: 第7回蓄電池産業戦略検討官民協議会 資料3を一部修正 主要施策の進捗状況・ 評価と今後の対応 半導体について、令和3年度補正、令和4年度補正予算で合計2兆776億円の予算を確保。特に、我が国のミッシングピースである先端ロジック半導 体を生産するTSMC・JASMの計画に加えて、キオクシア等、マイクロンの計3件の計画認定を実施。また、次世代半導体については、2020年代後半に おける量産化に向けて、ラピダス株式会社に2023年度までに上限3,300億円で支援を実施中。 蓄電池の製造基盤強化について、令和3年度補正、令和4年度補正予算で合計4,316億円の予算を確保。これまで、トヨタ、ホンダなど、約1兆3000 億円の投資が決定。 今後、半導体については、国内におけるサプライチェーンも含めた半導体の製造基盤確保や次世代半導体の設計・製造基盤構築に向けた支援とと もに、サプライチェーン強靱化に向けた同盟国や有志国・地域との連携、半導体人材の育成、LSTCを中心とした国内外の企業等と連携した研究開発 等を継続する。蓄電池についても、国内製造基盤拡充・技術開発支援に加え、グローバルアライアンスとグローバルスタンダードの戦略的形成、上流 資源の確保、次世代技術の開発、国内市場の創出、人材育成・確保の強化、国内の環境整備強化等を継続する。 17 4.②デジタル社会の実現 参考指標の動向 【デジタルライフライン】 Society5.0の実現に向けてアーキテクチャ設計を行い、デジタル基 盤についての新規のサービス提供が開始された領域数:2028年3月 までに5領域 (領域数) デジタルライフライン全国総合整備計画 デジタル推進人材の育成目標 (デジタル田園都市国家構想総合戦略) ※5領域は以下を想定。 6 ・自律移動ロボット 5 4 3 2 1 ・空間情報 ・サプライチェーン ・契約・決済 ・スマートビル ※ なお、2024年度より、デジタルライフライン全 国総合整備計画の実施をすることとしており、上 記5領域の内、自律移動ロボットや空間情報の 領域に関連する取組として、アーリーハーベストプ ロジェクト(自動運転車支援道やドローン航路 の設定、インフラ管理DX)を開始予定。 【デジタル人材】 デジタル推進人材(ビジネスアーキテクト、デザイナー、データサイエ ンティスト、ソフトウェアエンジニア、サイバーセキュリティ等)を政府 全体で2024 年度末までに年間45万人育成する体制を整え、2022年 度から2026年度末までにかけて230万人の育成を目指す ~2027年度 5領域(※)において デジタル基盤に関する 新規のサービス提供開始 ~2023年度 5領域(※)において アーキテクチャ設計開始 0 2023年度 2024年度 2025年度 2026年度 2027年度 その他の関連施策 【デジタルライフライン】 「デジタルライフライン全国総合整備計画」の策定・実施(2023年6月に「デジタルライフライン全国総合整備実現会議」を設置し、「デジタルライフライ ン全国総合整備計画」を2023年度中に策定。自律移動ロボット・空間ID等の分野におけるこれまでの成果を活用し、デジタル技術を活用したサービ スについて、実証段階から実装への移行を加速化し、全国津々浦々までの普及を目指す。) 【デジタル人材】 デジタルスキル標準の策定(2022年末)やデジタル人材育成プラットフォーム(以下、人材育成PF)(2022年度~)の構築(企業DXの推進)。 生成AI等の新興技術の活用の視点も踏まえた人材育成(デジタルスキル標準の改訂等の対応を検討) 18 4.②デジタル社会の実現 主な関連施策 推進体制(主担当課室) 【半導体製造基盤の強化等】 情報産業課 デバイス・半導体戦略室 【蓄電池製造基盤の強化等】 情報産業課 電池産業室 【高度な情報処理基盤の構築】 情報産業課 ソフトウェア・情報サービス戦略室 【高度情報通信インフラの拠点整備・競争力強化】 情報産業課 高度情報通信技術産業戦略室 【デジタルライフライン全国総合整備計画の策定・実施等】 情報経済課 アーキテクチャ戦略企画室 【デジタル取引環境整備】 情報経済課 デジタル取引環境整備室 【デジタル人材の育成】 情報技術利用促進課 【企業DXの推進】 情報技術利用促進課 【サイバーセキュリティの確保】 サイバーセキュリティ課 【コンテンツ産業振興】 コンテンツ産業課 【DFFT等の国際枠組み立ち上げ】 国際室 【IPA】 総務課 IPA班 関連する予算、税制等の全体像 【令和5年度当初予算】一般会計:約435億円(Ⅳ.情報処理の促進並びにサービス・製造産業の発展)の内数 【令和5年度税制改正】 ・DX投資促進税制の見直し・延長 19 4.③ 新しい産業の創出や安全・安心な市場 の環境整備を通じた社会課題解決 政策テーマ: 4.③新しい産業の創出や安全・安心な市場の環境整備を通じた社会課題解決 (政策評価軸:情報処理の促進並びにサービス・製造産業の発展(3/3)) 商務・サービス審議官 茂木 正 目標(ミッションステートメント) 国内外の需要を喚起し新たな投資を促す好循環を生み出すため、①新規サービスの創出・拡大、②ビジネスインフラの整備、 ③日本の特長を活かした商品・サービスの発展・輸出、④大阪・関西万博に注力し、同時に環境問題や健康増進、少子高齢化、 人手不足、持続可能な発展と言った社会課題の解決に貢献する。 主要な指標の動向 国内の公的保険外のヘルスケア・介護市場 <2050年までに77兆円に> (兆円) 90 80 営業用トラックの積載効率 (2025年に50%に) 50% 介護 70 60 健康づくり 50 40 30 20 10 0 2020 2025 2030 2035 2040 2045 2050 2010 2015 2020 (注) 1 「自動車輸送統計年報(国土交通省総合 政策局情報政策本部)」より作成。 2 積載効率=輸送トンキロ/能力トンキロ 3 2020年分調査から調査方法及び集計方 法を一部変更したため、変更前後の統計 数値の公表値とは、時系列上の連続性 が担保されない。 主要施策の進捗状況・評価と今後の対応 ①新規サービスの創出・拡大(ヘルスケア/医療・福祉/バイオ/教育/スポーツ分野でのデジタルの活用やスタートアップ育成・海外展開等): (へルスケア)2023年7月に立上げたPHRの業界団体を中心に市場の拡大・ユースケース創出を推進。(バイオ)「グリーンイノベーション基金(令和3年 度補正、1,767億円)」や「バイオものづくり革命推進基金(令和4年度補正、3,000億円)」等を措置、引き続き研究開発・実証を推進。(教育)多様なニー ズに応える教育環境の実現を目指す。 ②ビジネスインフラの整備(安全・安心かつ利便性の高い決済、効率的な物流等): 2025年キャッシュレス率40%を目指し競争環境の整備等を行う。クレジットカード決済の不正利用対策のため、法的整備も見据えて議論を行う。物流 について、2024年問題への対応に向け、次期通常国会での法制化も含めた規制的措置の具体化を進める。 ③日本の特長を活かした商品・サービスの発展・輸出(コンテンツ、ファッション、アート、地域産品の磨き上げや海外展開等): コンテンツ、地域産品など日本の魅力の発信⇒海外展開⇒インバウンド⇒文化創造再投資⇒新たな文化資源の磨き上げといった文化と経済の好循 環エコシステムを構築する。2025年までに、展示会・見本市への外国人参加者数を2割増。 ④大阪・関西万博:(「未来社会の実験場」とし、CN、デジタル、健康・医療等の分野で新しい技術・システムを実証し、世界に発信): 「基本方針」「アクションプラン」等を踏まえ、必要な対応を早急に実施。2023年度から日本館の建築工事に着手。 20 4.③ 新しい産業の創出や安全・安心な市場 の環境整備を通じた社会課題解決 参考指標の動向 ●健康寿命(2040年に75歳以上に) ●世界の医療機器市場のうちの日本企業のシェア(2025年に4兆円に) 出典:厚生労働省(e-ヘルスネット) 出典:AMED 新たな医療機器研究開発支援のあり方の検討に関する調査 最終報告書を一部改変 ●トラックドライバーの平均拘束時間 (荷待ち・荷役作業等に係る時間を、1運行当たり1時間以上短縮) ●クレジットカード取引における不正利用被害額(増加傾向の一途) 500 100% 400 80% 300 60% 200 40% 100 20% 0 0% 2015 出典:国土交通省「トラック輸送状況の実態調査(令和2年度)」 2016 2017 不正利用被害額(億) 2018 2019 2020 偽造カード率(%) 2021 2022 番号盗用率(%) 21 4.③ 新しい産業の創出や安全・安心な市場 の環境整備を通じた社会課題解決 主な関連施策 推進体制(主担当課室) ヘルスケア・医療機器産業の育成 ヘルスケア産業課・医療福祉機器産業室 バイオものづくりと創薬エコシステムの育成 生物化学産業課 物流対策と小売りのデジタル化を推進 消費流通政策課・物流企画室 キャッシュレス導入を通じた消費者の利便性向上と企業の業務効率化 の両立 キャッシュレス推進室 民間データの政策立案への活用(消費インテリジェンス)の追求・推進 消費経済企画室 クレジットカードをはじめとする商取引の安全・安心な環境を整備 商取引監督課 商品先物市場の健全な発展を推進 商品先物市場整備室 少子化対策に資するサービス産業の育成 サービス政策課 教育産業の育成 サービス政策課(教育産業室) スポーツ産業の育成 サービス政策課(スポーツ産業室) 日本文化の海外展開を通じた海外需要の獲得 クールジャパン政策課 大阪・関西万博の成功に向けた取組を加速 博覧会推進室 関連する予算、税制等の全体像 【令和5年度当初予算】一般会計:約435億円(Ⅳ.情報処理の促進並びにサービス・製造産業の発展)の内数 22 5.産業保安の確保 政策テーマ: 5.産業保安の確保 技術総括・保安審議官 辻本 圭助 目標(ミッションステートメント) 重大事故の発生や自然災害等による被害拡大を防止し、迅速に復旧・対応できる体制を構築することにより、重要な社会インフ ラの維持、新たな産業基盤の創出、安全な製品の流通を通じて、我が国の健全な産業の発展及び国民の安全安心な暮らしを 実現する。 主要な指標の動向 産業保安体制の構築の状況 (令和5~9年度の目標) 電力 災害時連携計画策定者 10者* 都市ガス 製品安全対策優良企業延べ数 第14次鉱業労働災害防止計画 (件) 指標1:毎年の死亡災害は零(0) 200 災害時連携計画策定者 193者** 指標2:計画期間の5年間の平均度数率 0.70以下 150 LPガス ゴールド保安認定事業者 338者*** 指標3:計画期間の5年間の平均重篤災 害の度数率0.50以下 100 コンビナート等 スーパー認定事業所 15事業所**** *電気事業法に基づく災害時連携計画。対象となる全ての一般送配電事業者が作成し、 令和4年6月に経済産業省に届出。 **ガス事業法に基づく災害時連携計画。対象となる全ての一般ガス導管事業者が作成 し、令和4年9月に経済産業省に届出。 ***液石法に基づく第一号認定LPガス販売事業者。令和4年12月時点。令和3年12 月から43者増加。 ****高圧ガス保安法等に基づく特定認定事所数。令和5年6月9日時点。 50 出典: 第十四次鉱業労働災害防止計画(令和5年経済産業 省告示第34号) 【注】 ・ 度数率:稼働延百万時間当たり罹災者数(人/百万時間) ・ 重篤災害:死亡災害を除く休業日数が2週間以上の災害 0 2018 2019 2020 2021 2022(年度) 出典: 経済産業省 製品安全対策優良企業表彰 【注】全受賞者数の合計。複数回受賞した者はそれぞれカウントしている。 主要施策の進捗状況・評価と今後の対応 【重要な社会インフラの維持】 • レジリエンス社会の実現に向け、産業保安体制の維持・構築が急務であり、人材高齢化・プラント老朽化の中でスマート保安の推進が重要。この ため、安全確保を前提に保安力に応じた手続・検査とするべく、2022年通常国会で高圧ガス保安法、ガス事業法、電気事業法を改正し、「テクノロ ジーを活用しつつ、自立的に高度な保安を確保できる事業者」について、「認定高度保安実施事業者制度」を創設。 • 今後は、改正法の2023年12月頃の施行に向けて詳細制度の整備を通じてスマート保安の定着を図る。加えて、スマート保安導入計画の策定・技 術実証を支援。鉱山災害防止の取組にもデジタル技術等を活用。 【新たな産業基盤の創出】 • 水素の利用拡大が期待される中、安全を前提にタイムリーかつ経済的に合理的・適正な環境の構築、国際的に調和したルール整備に向け、2023 年3月に「水素保安戦略」を策定。今後は、水素保安戦略に基づき、保安規制の合理化・適正化を推進。 23 5.産業保安の確保 参考指標の動向 罹災者数 (鉱山保安法) (人) (件) 30 120 25 100 20 80 15 60 10 40 5 20 0 死傷・電気火災・他損事故の総数 (電気保安統計) 0 2018 死亡者 2019 2020 重傷者 2021 2022 (年) 2017 2018 2019 2020 2021(年度) 軽傷者 出典: 中央鉱山保安協議会(令和5年3月1日)資料5-1、産業構造審議会 電力安全小委員会(令和5年2月28日)資料2-1より(一部加工) 【注】 重傷者は休業日数が2週間以上の罹災者、軽傷者は休業日数が3日以上2週間未満の罹災者。ほか、電気保安統計に基づく「死傷」「電気火災」「他損事故」の定義は出典資料中にある出典等を参照。 その他の関連施策 【安全な製品の流通確保】 • 重大製品事故に占める割合が増加傾向にあるインターネット通販への対応:ネットパトロール事業により163件の表示違反等に対処(2022年度) • 重大事故事例の多い製品への個別対応:①リチウムイオン蓄電池の技術基準解釈を改正、②子供の誤飲時の危険性が懸念される2製品を消費 生活用製品安全法の特定製品として指定 等 • 今後については、①インターネット通販の製品事故への対応強化を検討、②各国の制度も踏まえつつ安全なこども向け製品の流通に向けた環境 整備を検討。 24 5.産業保安の確保 主な関連施策 推進体制(主担当課室) 【産業保安・製品安全の制度整備・法執行】 • 法執行(許認可等審査、届出受理、立入検査、報告徴収、事故情報収 集等) • 最新動向を踏まえた技術基準等の不断の見直し • 新たな規制課題への対応 ✓ 水素保安戦略等、GX(グリーントランスフォメーション)への対応 ✓ 保安ネットの整備、インターネット通販対策等、DX(デジタルトランス フォーメーション)への対応 等 産業保安企画室、高圧ガス保安室、ガス安全室、電力安全課、 鉱山・火薬類監理官付、製品安全課 【スマート保安の推進・安全文化の醸成】 • 予算措置を通じた事業者の取組の推進 • 高圧ガス保安法、ガス事業法、電気事業法における認定高度保安実施 事業者制度の整備・執行 等 • 優れた製品安全対策等の普及に向けた広報 等 産業保安企画室、高圧ガス保安室、ガス安全室、電力安全課、 鉱山・火薬類監理官付、製品安全課 【保安人材・製品安全人材の確保等】 • 国家資格の運用(資格試験の実施、免状交付事務等) • 専門技術に係る講習の実施 • 試験・講習のオンライン化 • NITE等の関係機関との連携 等 産業保安企画室、高圧ガス保安室、ガス安全室、電力安全課、 鉱山・火薬類監理官付、製品安全課 関連する予算、税制等の全体像 【令和5年度当初予算】一般会計:約28億円(Ⅴ.産業保安の確保) 25 6.①資源・エネルギーの安定供給の実現 政策テーマ: 6.①資源・エネルギーの安定供給の実現 (政策評価軸:鉱物資源及びエネルギーの安定的かつ効率的な供給の確保並びに脱炭素成長型経済構造への円滑な移行(GX)の実現(1/2)) 資源エネルギー庁長官 村瀬 佳史 目標(ミッションステートメント) 2050年カーボンニュートラル、2030年度温室効果ガスの2013年度比46%削減という目標の実現に向け、安全性の確保を大前提 に、気候変動対応、安定供給の確保やエネルギーコストの低減(S+3E)に向けた取組を進める。 主要な指標の動向 一次エネルギー国内供給構成及び自給率の推移 (注1)IEAは原子力を国産エネルギーとしている。 (注2) エネルギー自給率(%)=国内産出/一次エネルギー供給×100。 資料: 1989年度以前はIEA「World Energy Balances 2022 Edition」、1990年度以降は資源エネルギー庁「総合エ ネルギー統計」を基に作成 (出典:令和4年度エネルギーに関する年次報告) 日本のエネルギー需要・一次エネルギー供給(2013年度実績・2030年度計画) 資料:経済産業省作成 (出典:令和4年度エネルギーに関する年次報告) 主要施策の進捗状況・評価と今後の対応 2022年2月のロシアのウクライナ侵略以降、G7各国と協調してロシアへのエネルギー依存度を低下させるとともに、安定供給に不可欠なサハリン2などの権 益維持に努めた。同時に、世界のエネルギー市場が高騰する中、足元の対策として、燃料や電力・ガス料金の価格高騰を抑制する対策を講じるなど、国民生 活を守るための対策を講じた。また、化石燃料への過度な依存から脱却し、危機にも強いエネルギー需給構造へ転換するため、2023年2月には「GX実現に向 けた基本方針」を閣議決定。「GX推進法」と「GX脱炭素電源法」を成立させるなど、「第6次エネルギー基本計画」で定めるエネルギーミックスの実現に向け、徹 底した省エネや、再エネや原子力などの脱炭素電源への転換を推進するための方針を明確にした。その他、G7開催国として、多様な道筋の下で、2050年ネッ トゼロを目指す方針を共有するとともに、AZEC構想の下でアジアの現実的なエネルギートランジションを主導するなど、世界の脱炭素化への方針を示した。 今後は、再エネの主力電源化や安全最優先の原発再稼働、次世代革新炉の開発・建設を進めるとともに、水素・アンモニアなどの次世代燃料の事業環境 整備や、CCS年間貯留量600~1,200万tの確保に向けた事業法体系の整備など、安定供給と脱炭素の両立に向けて需給両面から一体的に政策を進めてい く。このような取組を通じて、エネルギー自給率を30%程度、電源構成目標(再エネ36~38%、原子力20~22%、火力41%、水素アンモニア1%)、水素最大300 万t、マスタープランに基づく今後10年間で8倍以上の系統整備、ベースメタル自給率80%以上など、2030年度エネルギーミックスや2050年カーボンニュートラ ルを見据えた政策目標の実現を目指す。 26 6.①資源・エネルギーの安定供給の実現 参考指標の動向 27 6.①資源・エネルギーの安定供給の実現 参考指標の動向 28 資源・エネルギーの安定供給の実現 主な関連施策 6.①資源・エネルギーの安定供給の実現 推進体制(主担当課室) 第6次エネルギー基本計画やGX基本方針に基づくS+3Eの実現に向けたエネルギー政策の推進 長官官房総務課 戦略企画室、需給政策室 アジア・ゼロエミッション共同体構想の実現をはじめとする国際展開戦略の推進 長官官房国際課 再生可能エネルギーの主力電源化に向けた政策の推進 省エネルギー・新エネルギー部新エネルギー課 省エネルギーの推進 省エネルギー・新エネルギー部省エネルギー課 水素・アンモニアの導入促進 省エネルギー・新エネルギー部水素・アンモニア課 系統用蓄電池・DRの導入促進 省エネルギー・新エネルギー部新エネルギーシステム課 エネルギー資源の安定供給の確保 資源・燃料部資源開発課 石油・石油ガスや、合成燃料・SAF等のカーボンニュートラル燃料を含む燃料の安定供給の推進 資源・燃料部燃料供給基盤整備課 燃料流通政策室 鉱物資源の安定供給確保 資源・燃料部鉱物資源課 CCSやカーボンリサイクルの推進 資源・燃料部燃料環境適合利用推進課 カーボンニュートラルの実現に向けた電力・ガス市場の整備 電力・ガス事業部電力基盤整備課 電力・ガス事業部電力産業・市場室 電力・ガス事業部ガス市場整備室 「節電プログラム」等、対価支払型DRの更なる普及拡大 電力・ガス事業部電力産業市場室 再稼働への関係者の総力の結集 安全確保を大前提とした運転期間の延長など既設原発の最大限活用 電力・ガス事業部原子力政策課 核燃料サイクル政策の推進 電力・ガス事業部原子力立地・核燃料サイクル産業課 最終処分の着実な進展 電力・ガス事業部放射性廃棄物対策課 関連する予算、税制等の全体像 【令和5年度当初予算】一般会計:約5,360億円の内数、特別会計:約12兆9754億円の内数(Ⅵ.鉱物資源及びエネルギーの安定的かつ効率的な供 給の確保) 【令和5年度税制改正】 ・バイオエタノール等揮発油に係る揮発油税の免税措置の延長 ・石油精製時に不可避に発生する非製品ガスに係る石油石炭税の還付措置の延長 ※ このほかに電力・ガス取引監視等委員会が、電気事業法等の関係法令の規定により与えられた権限の範囲で、自由化された電力・ガス市場における適正競争を促す 29 ため、エネルギー政策の枠組みの中で独立性と専門性を持って電力・ガス取引の監視や行為規制を実施している。 6.②脱炭素成長型経済構造への円滑な移行(GX)の実現 政策テーマ: 6.②脱炭素成長型経済構造への円滑な移行(GX)の実現 (政策評価軸:鉱物資源及びエネルギーの安定的かつ効率的な供給の確保並びに脱炭素成長型経済構造への円滑な移行(GX)の実現(2/2)) 産業技術環境局長 畠山 陽二郎 目標(ミッションステートメント) 2050 年カーボンニュートラルなどの国際公約達成と、我が国の産業競争力・経済成長の同時実現に向けて、GXを前倒し・加 速化するため、今後 10 年で150 兆円超の官民GX投資を実現する。 主要な指標の動向 経済的目標:今後10年間で150兆円超の官民GX投資を実現する。 出典:GX基本方針参考資料 社会的目標:2030 年度の温室効果ガス 46%削減に向けた取組や 、 2050 年カーボンニュートラル実現に向けた取組を推進する。 出典:環境省2021年度(令和3年度)の温室効果ガス排出量(確報値)を基に作成 主要施策の進捗状況・評価と今後の対応 ・2019年に、2050年カーボンニュートラルを宣言。今後 10 年間で 150 兆円超の GX 投資を官民協調で実現する方策等をGX実行会議(2022年~) 等において議論。2023年5月にGX推進法、GX脱炭素電源法が成立、同年7月に「脱炭素成長型経済構造移行推進戦略」が閣議決定。 ・国として長期・複数年度にわたり支援策を講じ、民間事業者の予見可能性を高めるべく、2023年5月に成立したGX推進法の下で成長志向型カー ボンプライシング構想を具体化し、GX経済移行債の発行等を進め、国として 20 兆円規模の大胆な先行投資支援を実行する。こうした投資促進策 と合わせて、それらが新たな市場・需要の創出に効果的につながるよう、規制・制度的措置を一体的に講じていく。 30 6.②脱炭素成長型経済構造への円滑な移行(GX)の実現 参考指標の動向 ①トランジション・ファイナンスの推進 (トランジションボンド/ローンの調達額の推移) (億円) 60,000 トランジション・ファイナンス サステナビリティ・リンク・ボンド グリーンローン サステナビリティ・リンク・ローン サステナビリティ・ボンド グリーンボンド ②GXリーグの段階的発展(参加企業数、排出量カバレッジの推移) 800 600 50,000 40,000 30,000 トランジション ・ファイナンス 累計1兆円 20,000 10,000 カバー率(右軸) 40.0% 参加企業数(左軸) 400 2020 2021 2022 30.0% 20.0% 200 10.0% 0 0 50.0% 0.0% 2023 2024 2025 2026 2027 2028 2029 2030 注:トランジション・ファイナンスの数値はヒアリング等により把握している⾦額非公表のローン調達額を含む。 ③脱炭素に係る企業の取組の推進 (CN税制の事業適応計画認定の累計件数) 150 (認定企業数) 104 100 50 ④排出量削減に係る市場形成(Jクレジット累積認証量の推移) 118 34 0 2021 2022 2023 (年度) ※2023年度は現時点での数値 31 6.②脱炭素成長型経済構造への円滑な移行(GX)の実現 参考指標の動向 ⑥資源自律経済の確立: ⑤途上国等の排出削減への貢献と日本の排出削減への活用 (二国間クレジット制度(JCM)の累積排出削減・吸収見込み量の推移) 2030年までのサーキュラーエコノミー関連市場規模、CO2排出削減量、最 12000 終処分場の残余年数 10000 8000 1億トン (地球温暖化対策計画の目標) 経済的目標 社会的目標 <サーキュラーエコノミーの市場規模(日本政府試算)> ◆ GXへの貢献(CO2削減) 6000 2020年 50兆円 直近の日本の温室効果ガス全排出量11.49億トンCO2換算のうち、 廃棄物関係で4.13億トンCO2換算(36%)の削減貢献余地。 4000 2030年 80兆円 ◆ 最終処分場逼迫の緩和への貢献 2050年 120兆円 これまで主に廃棄物の燃焼( )を通じて解消してきた最 終処分場の逼迫を、資源循環を通じてGXと両立しながら解消。 2000 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 2021 2022 2023 2024 2025 2026 2027 2028 2029 2030 0 (残余年数) 1999年 2019年 一般廃棄物 8.5年 → 21.4年 産業廃棄物 3年 → 17.4年 (注)JCM資金支援事業の採択済み案件の、採択時の見込み値に基づく、2030年までの累積排出削減・吸収見込み量。 ⑦10年で20兆円規模の政府によるGX投資の推進 32 6.②脱炭素成長型経済構造への円滑な移行(GX)の実現 主な関連施策 推進体制(主担当課室) 【GX経済移行債の発行、トランジション・ファイナンスを通じた官民GX投資の推進】 ・2023年度から10年間で、20兆円規模のGX経済移行債の発行を通じた政府支援を実施。 ・トランジションボンド/ローンの調達額増や国際認証を通じたトランジション・ファイナンスの推進。 ・GX推進機構による債務保証等の金融支援を通じたブレンデッド・ファイナンスを推進。 GX金融推進室・GX推進機構 設立準備室・GX投資促進室 【脱炭素価値の需要開拓】 ・成長志向型カーボンプライシング構想の具体化:より炭素排出の少ない形で生産された製品の付加価値を 向上すべく、化石燃料賦課金、排出権取引の有償オークションの導入に向けた準備の推進。 ・カーボン・クレジット市場の活性化(Jクレジット累積認証量の拡大等)。 環境経済室・GX推進企画室 【脱炭素に向けた産業界の取組の推進】 ・GXリーグの段階的発展(参加企業数の拡大及び参加企業によるコミットメントの強化) ・エネルギー利用に係る環境負荷を低減させる事業適応計画の認定及び税制等による関連投資支援 ・カーボンフットプリントの算定・表示・公表の推進(CFPレポートの作成及び公共調達への反映に関する検討) 環境経済室・GX推進企画室 【国際ルール形成等】 ・二国間クレジット制度(JCM)等を通じた国際協力の拡大 ・COP等の国際会議を活用した、温暖化対策に係る日本の貢献(海外の産業脱炭素化及びそれを通じた削減 貢献、技術協力及び日本の技術発信、適応ビジネスの海外展開等)に係る案件の組成及び発信 地球環境対策室 【成長志向型の資源自律経済の確立】 ・産官学CE(サーキュラーエコノミー)・パートナーシップの立ち上げ ・サーキュラーエコノミー投資ガイダンスの活用による開示促進、表示基準の整備等 ・トレーサビリティ確保のためのデータ流通を促す情報流通プラットフォームの構築支援 ・SIP事業「サーキュラーエコノミーシステムの構築」を実施 資源循環経済課 関連する予算、税制等の全体像 【令和5年度当初予算】一般会計:約5,360億円の内数、特別会計:約12兆9754億円の内数(Ⅵ.鉱物資源及びエネルギーの安定的かつ効率的な供 給の確保) 33 7.①中小企業及び地域経済の発展 政策テーマ: 7.①中小企業及び地域経済の発展 (政策評価軸:中小企業及び 地域経済の発展 (1/2)) 中小企業庁長官・地域経済産業グループ長 須藤 治 目標(ミッションステートメント) 中小企業・小規模事業者の①厳しい経営環境を克服するための資金繰り支援・価格転嫁対策、②成長分野等への挑戦に向 けた投資の促進、③創業・事業承継を通じた挑戦・自己変革の推進、④地域課題解決に向けた取組・伴走支援等を通じて、 その多様で活力ある発展を促すとともに、経営戦略策定や人材の獲得・育成・定着等の取組への支援を通じ、希望出生率の 向上にもつながるよう、「良質な雇用」を創出する中堅企業の成長による地域経済の活性化を目指す。 主要な指標の動向 中小企業の付加価値額・生産性向上 中堅企業の労働生産性 中小企業の従業員一人当たりの付加価値額を 2025年までに5%向上させる 570 (万円) 中堅企業の従業員1人あたり付加価値額(労働生産性) 800 (従業員1人当たり付加価値額、万円/人) 789 783 +8.1% 560 目標 +5.0% +7.1% 550 +7.0% +4.4% 530 520 765 749 +4.8% +2.6% +2.8% 749 742 基準年 +1.4% 783 780 760 540 785 740 +1.4% 728 727 510 720 2012 500 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 25 年度 (出所)財務省「法人企業統計」を基に作成。%表記は2020年度を基準として水準を比較したもの。 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 2021 (年度) (注)中堅企業:資本金1億円以上10億円未満。 (出所)財務省「法人企業統計」を基に作成。 主要施策の進捗状況・評価と今後の対応 • 新型コロナの影響、原材料・エネルギー価格高騰による厳しい局面では、事業継続のための資金繰り支援に取り組むとともに、物価上昇に対 応するには賃上げが重要であり、その原資確保のため中小企業の事業再構築・生産性向上・価格転嫁円滑化を進めた。加えて、経営力再構 築伴走支援ガイドライン策定等を通じた中小企業の成長支援、経営者保証改革及び商工中金の民営化に向けた対応等を実施した。 • 今後、引き続き中小企業・小規模事業者の事業再構築・生産性向上・価格転嫁円滑化、環境変化に対応した資金繰り支援に取り組むとともに 中小企業の挑戦・自己変革を一層促す政策を展開する。また、地域経済を牽引する中堅企業に対する集中支援を進めるとともに重要産業に係 る工業用水等の産業インフラ整備により、地域における企業立地を促進する。 34 7.①中小企業及び地域経済の発展 参考指標の動向 全要素生産性 (全要素生産性、%) 6.0 4.0 2.8% 2.0 中小企業から中堅企業に成長する企業の推移 450 (成長企業数、社) 2.4% 2.7% 2.1% 1.4% 0.5% 0.9% 1.6% 400 目標 5.0% 1.2% 0.7% 目標 400 社 340 350 330 315 0.0 0.1% ▲ 2.0 ▲ 0.9% ▲ 4.0 ▲ 2.3% 300 ▲ 2.6% ▲ 2.0% ▲ 4.1% ▲ 5.2% ▲ 6.0 310 278 19 20 21 年 265 200 12 13 14 15 16 海外展開比率 17 18 開業率 開業率が米国・英国レベル(10%台)になることを目指す[2020年:5.1%] 海外への直接輸出または直接投資を行う中小企業の比率を2025年までに10%向上させる (海外展開比率、%) 12.0 海外展開比率 10.0 20.0 8.0 目標 +10.0% 19.5 6.0 16.0 (開業率、%) 日本 米国 14.0 英国 12.0 目標 10.0% 4.0 19.0 2.0 +2.0% +0.3% +0.9% +0.4% ▲ 1.2% 18.5 17.5 356 292 (資料)中小企業庁「令和4年度中小企業を取り巻く外部環境にかかる現状と課題に関する調査研究」を基に作成。 (資料)財務省「法人企業統計調査」を基に作成。 18.0 315 250 ▲ 3.6% 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 年度 20.5 318 ▲ 2.5% ▲ 2.7% ▲ 5.4% 0.0 ▲ 4.0 ▲ 6.0 ▲ 8.0 17.0 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 8.0 ▲ 2.0 基準年 (資料)経済産業省「企業活動基本調査」を基に作成。 10.0 22 23 24 25 年 6.0 4.0 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 年 (資料)厚生労働省「雇用保険事業年報」、United States Census Bureau「The Business Dynamics Statistics」、英国国家統計局「Business demography」を基に作成。 35 7.①中小企業及び地域経済の発展 参考指標の動向 700 600 大企業 (+3.9%) (+5.3%) 400 565.4 中小企業 270 264 (+5.8%) 409.9 260 260 431.7 288.6 100 0 280 587.6 200 地方圏における中堅企業の就業者数 283 中堅企業 500 300 (万人) 290 企業規模別の1人当たり賃⾦額の推移 (万円) 305.3 250 2012 2008年度 2021年度 2008年度 2021年度 2016 2021 (年) 2008年度 2021年度 (注)中小企業:資本⾦1億円未満、中堅企業:資本⾦1億円以上10億円未満、大企業:資本⾦10 億円以上。1人あたり賃⾦:賃⾦÷期中平均従業員数、賃⾦:従業員給与+従業員賞与、従業員 数:期中平均従業員数 (出所)財務省「法人企業統計」を基に作成。 (注)2012年は従業者数、2016年以降は常用雇用者数。地方圏:首都圏(東 京都・埼玉県・千葉県・神奈川県)以外の43道府県。 (出所)総務省「経済センサス」を基に作成。ただし、令和3年は速報値。 希望出生率(試算値)の推移 地方圏における新規の工場立地件数 (件) 800 781 772 750 715 700 (年) (注) 希望出生率の定義:「{既婚者割合×夫婦の予定子ども数 + 未婚者割合 × 未婚結婚希望割合 × 希望子ども数} ×離別等効果 』 内閣官房資料から引用。 既婚者割合:総務省統計局「国勢調査」における18歳~34歳女性の総数と有配偶者数を元に経済産業省にて計算。未婚者割 合は1-(既婚者割合)。 夫婦の予定こども数:社人研「出生動向基本調査」における夫婦の平均予定こども数から引用。 未婚結婚希望割合:社人研「出生動向基本調査」における18歳~34歳の女性のうち「いずれ結婚するつもり」と答えた者の割合から 引用。 未婚者の理想子ども数:社人研「出生動向基本調査」における18歳~34歳の女性の独身者( 「いずれ結婚するつもり」と答えた 者)の平均希望こども数から引用。 離死別等の影響:社人研「日本の将来推計人口」における出生中位の仮定に用いられた離死別等の影響。 650 702 710 696 645 640 614 600 560 550 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 2021 2022 (年) (注)地方圏:首都圏(東京都・埼玉県・千葉県・神奈川県)以外の43道府県。 (出所)経済産業省「工場立地動向調査」を基に作成。 36 7.①中小企業及び地域経済の発展 主な関連施策 推進体制(主担当課室) ①厳しい経営環境を克服するための資金繰り支援・価格転嫁対策 ➢ 政策金融・信用補完制度を通じた中小企業資金供給の円滑化 ➢ 原材料費等の適正な価格転嫁、取引適正化の促進 ➢ 被災地域の施設復旧等の支援 等 金融課、取引課、企画課、経営安定対策室等 ②成長分野等への挑戦に向けた投資の促進 ➢ 中小企業の中堅企業化 ➢ 事業再構築・生産性向上 ➢ DX・GX・海外展開 ➢ 研究開発 企画課、経営支援課、小規模企業振興課等 ③創業・事業承継を通じた挑戦・自己変革の推進 ➢ 創業支援 ➢ 事業再生・事業承継・引継ぎ支援 等 小規模企業振興課、財務課、金融課等 ④地域課題解決に向けた取組・伴走支援等 ➢ 経営支援体制の強化 ➢ 人材確保支援 等 経営支援課、小規模企業振興課等 ⑤地域経済を牽引する中堅企業に対する集中支援 ➢ 地域未来牽引企業、専門家派遣、地域の人事部 地域企業高度化推進課、地域経済産業政策課 ⑥産業立地に係るインフラ整備 ➢ 重要産業に係る工業用水等の産業インフラ整備、土地利用調整の円 滑化等 地域産業基盤整備課、地域企業高度化推進課 関連する予算、税制等の全体像 【令和5年度当初予算】 一般会計:約899億円の内数、特別会計:約260億円の内数(Ⅶ.中小企業及び地域経済の発展) 【令和5年度税制改正】 ・中小企業経営強化税制の延長 ・中小企業投資促進税制の延長 ・固定資産税の特例措置の新設 ・中小企業軽減税率の延長 ・中小企業技術基盤強化税制の拡充・延長 ・中小企業防災・減災投資促進税制の延長 ・地域未来投資促進税制の拡充・延長 37 7.②福島の復興 政策テーマ: 7.②福島の復興 (政策評価軸:中小企業及び地域経済の発展)(2/2) 福島復興推進グループ長 片岡 宏一郎 目標(ミッションステートメント) ①東京電力福島第一原発の廃炉・汚染水・処理水対策、②避難指示の解除、③事業・なりわい再建、新産業創出、交流人口拡 大を軸として、東日本大震災からの福島の復興及び被災市町村の自立的・持続的な経済発展を推進する。 主要な指標の動向 ◆福島県の避難者の推移 ◆総生産の推移(被災15市町村計) ※建設業を除く。 2,500,000 2,167,900 2,000,000 1,584,428 1,666,932 1,806,175 1,893,204 (百万円) 2,144,467 2,143,399 2,027,795 2,078,412 2,139,814 1,500,000 1,000,000 500,000 0 2010 出典:福島県庁(https://www.pref.fukushima.lg.jp/site/portal/hinansya.html) 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 出典:令和元(2019)年度福島県市町村民経済計算年報 主要施策の進捗状況・評価と今後の対応 (進捗状況) • 地元との丁寧なコミュニケーション(大臣6回、副大臣20回、福島復興推進グループ長56回の訪問)。 • 廃炉・ALPS処理水:①2023年1月「ALPS処理水の処分に関する行動計画」を関係閣僚会議決定(持続可能な漁業継続の支援に係る500億円の基 金を含む)。②漁業者や流通事業者等に説明会を約1,000回実施。③風評対策・消費拡大のために「三陸・常磐ものネットワーク」を設立(1,000者以 上の企業、自治体等が参加)。④海外要人の現地視察34回。 • 賠償:①集団訴訟判決確定を踏まえた中間指針の見直し(2022年12月)、②東京電力による追加賠償の受付開始(2023年4月) • 避難指示解除:①「復興拠点」の解除が6町村で完了、②福島復興再生特別措置法を改正し、復興拠点外に帰還意向のある住民が帰還できる範 囲(特定帰還居住区域)を設定できる制度を創設。 • 産業復興:①福島国際研究教育機構(F-REI)の設立。②「交流人口拡大アクションプラン」を策定、③「福島芸術文化推進室」の設立。 (今後の対応) • 安全性確保及び風評対策を徹底したALPS処理水の海洋放出(2023年春から夏頃を見込む) • 2020年代をかけて、帰還を希望する全ての住民の方々が帰還できるよう、復興拠点外の避難指示解除を推進。 • 被災地域における自立的・持続的な産業発展を目指し、国による支援措置の選択と集中を図りつつ、復興のステージに応じた効果的な支援の在 り方を追求。 38 7.②福島の復興 参考指標の動向 ●福島第一原発の廃炉・汚染水・処理水対策の進捗 ●避難指示解除の進捗 【目標】 福島第一原発の廃止に向けた中長期ロードマップの履行(汚染水発 生量抑制、使用済み燃料取り出し、燃料デブリ取り出し、廃棄物対策) 【目標】 避難指示区域の全域解除 【成果】2022~2023年度の特定復興再生拠点区域避難指示解除の経緯 (2022年)6月12日 葛尾村/6月30日 大熊町/8月30日 双葉町 (2023年)3月31日 浪江町/4月 1日 富岡町/5月1日 飯舘村 ※ ※燃料デブリの試験的取り出しのために必要となるロボットアームの開発状況等を踏まえ、 2023年度後半目途に見直し。 ●福島県各地域への観光受入客数 出典:福島県 観光客入込状況、「令和元年度福島県教育旅行入込調査報告書」 その他の関連施策 • 福島イノベーション・コースト構想による企業誘致(ロボ関連企業71社)の更なる拡大 • 福島発のスタートアップの集積・活躍、中長期的に続く廃炉における地元企業や自治体との連携を通じ、地域経済へも裨益するような、新たなまち づくりに向けた取組を実施していく。 • 人口減少や少子高齢化等の課題先進地である福島において取り組む政策のうち、その効果が高いものについては、他地域への横展開を図って いくことで、日本全国の地域課題の解決にもつなげていく。 39 7.②福島の復興 主な関連施策 推進体制(主担当課室) 【廃炉・汚染水・処理水対策】 • 「中長期ロードマップ」に基づく福島第一原発の廃炉・汚染水・処理水対策 原子力発電所事故収束対応室 【原子力損害賠償】 • 東京電力福島第一原子力発電所事故への適切な損害賠償の実施に関する東京電力への指導 原子力損害対応室 【被災者生活支援】 • 避難指示区域の全域解除に向けた取組等 原子力被災者生活支援チーム 【福島イノベーションコースト構想、新産業創出等】 • 福島浜通り地域等における福島イノベーション・コースト構想の重点分野の実用化開発の促進、企業立地等 福島新産業・雇用創出推進室 【事業・なりわい再建】 • 福島浜通り地域等の事業環境整備と被災事業者の帰還・事業再開、創業の促進 福島事業・なりわい再建支援室 【広報】 • 原発事故、福島復興に関する広報、風評対策の徹底/映画や芸術文化を通じたソフトパワーによる復興 福島広報戦略・風評被害対応室 福島芸術文化推進室 関連する予算、税制等の全体像 【令和5年度当初予算】 一般会計:約899億円の内数、特別会計:約260億円の内数(Ⅶ.中小企業及び地域経済の発展) 40