PPPT

産業構造審議会 知的財産分科会 不正競争防止小委員会 第26回

2024-12-16一次資料(出典)

議事録・配布資料の全文(政府公表資料より。要約でなく原文に基づく参照用)。

産業構造審議会 知的財産分科会 不正競争防止小委員会 第26回 資料産業構造審議会 知的財産分科会 不正競争防止小委員会 第26回 資料産業構造審議会 知的財産分科会 不正競争防止小委員会 第26回 資料産業構造審議会 知的財産分科会 不正競争防止小委員会 第26回 資料産業構造審議会 知的財産分科会 不正競争防止小委員会 第26回 資料産業構造審議会 知的財産分科会 不正競争防止小委員会 第26回 資料産業構造審議会 知的財産分科会 不正競争防止小委員会 第26回 資料産業構造審議会 知的財産分科会 不正競争防止小委員会 第26回 資料

議事録

産業構造審議会知的財産分科会 第26回不正競争防止小委員会議事録 日時:令和6年12月16日(月) 13:30~15:30 場所:経済産業省9階東1-1会議室(WEB会議室併用) ○中山室長 お待たせいたしました。始めたいと思います。 ただいまより、産業構造審議会知的財産分科会不正競争防止小委員会第26回会合を開催 します。 事務局を担当しております知的財産政策室長の中山です。よろしくお願いいたします。 本日は、御多忙の中、御出席いただきまして、誠にありがとうございます。 本日は、経済産業省の会議室にて対面で開催しつつ、オンラインと併用させていただい ておりまして、一部の委員の皆様はTeamsからの御参加という形になってございます。 議事の公開につきましては、本小委員会では、一般傍聴者及びプレスの方は、Teamsで の傍聴に限って可能とさせていただいております。 また、配付資料、議事要旨及び議事録も原則として公開という扱いとさせていただいて おりますので、よろしくお願いいたします。 また、オンラインで御参加の皆様におかれましては、カメラを常時オンに設定いただき まして、マイクは、御発言される際を除き、オフに設定をお願いいたします。 なお、御発言を希望される際は、Teamsの挙手ボタンを押してください。こちらから指 名いたしますので、マイクをオンにしていただき、発言が終了後には、マイクをオフにし て、手を下ろしていただきますよう、御協力をお願いいたします。 続きまして、委員の交代について御紹介申し上げます。 最初に、今回から新たに御参加いただく委員を御紹介させていただきます。時間の都合 上、私から名前を読み上げさせていただく形にて御紹介に代えさせていただければと思い ます。 まず、1名目が杉村多恵委員で、一般社団法人日本知的財産協会常務理事、トヨタ自動 - 1 - 車株式会社知的財産部知財企画室長でいらっしゃいます。前期まで御参加いただいており ました下川原郁子委員は、異動に伴い、御本人の申出により退任されました。その御後任 という形になります。 もう一名が林いづみ委員です。桜坂法律事務所弁護士でいらっしゃいます。 本日の出席状況でございますが、末吉委員が御欠席、河野委員は少々遅れるとの御連絡 を頂いているところでございますが、定足数は満たしておりますので、会議としては成立 しております。 また、本日、オブザーバーとして、内閣府知的財産戦略推進事務局、警察庁生活安全局 にも御出席いただいております。 今回、本年度第1回目の議論ということになりますので、議事に入る前に、経済産業政 策局審議官の井上より一言挨拶させていただきたいと思います。 ○井上審議官 経済産業省の大臣官房審議官の井上でございます。本日、お忙しいとこ ろ、お集まりいただきまして、ありがとうございます。 昨年6月に不正競争防止法改正法が成立いたしまして、それ以降、1年ちょっとでござ いますが、経済産業省としては、関係団体等に対して、改正事項について御説明をし、周 知を図ってきたところでございますけれども、おかげさまで、無事に今年4月に施行され たということでございます。 また、その4月に先立って、今年の2月、法改正を踏まえた「限定提供データに関する 指針」や「秘密情報の保護ハンドブック」の改訂版も公表させていただいたところでござ います。 また、もともと本小委員会で御提案いただいた従業員目線での啓発資料を、「知ってお きたい営業秘密」というタイトルで今年6月に公表いたしまして、その英語版も先月公表 させていただいたところでございます。 これら一連の法改正や各種の周知・啓発資料の作成につきまして、委員の皆様に本当に 熱心に御議論いただきまして、また、その周知、関係団体の説明会などにおきまして、委 員の皆様にも多大な御協力を頂戴いたしました。改めまして、御礼を申し上げたいと思い ます。経産省としては、引き続き、周知・啓発活動に取り組んでいきたいと考えておりま す。 ところで、営業秘密なのですが、相談件数や検挙件数は増加しておりますし、また、残 念ながら、営業秘密の漏えい事案の報道も非常に目につくなと思っております。漏えいの - 2 - トラブル防止と、万一、漏えい事故が発生した場合の法的保護に万全を期すべく、今般、 委員の皆様に、「営業秘密管理指針」の改訂等も含めて、御議論をお願いしたいと考えて いる次第でございます。 あわせて、人工知能(AI)の急速な発展とその活用の普及ということで、非常に急速 な変化が訪れているところでございまして、不正競争防止法のみならず、その他の知的財 産法も含めて、様々な課題や問題点などの指摘がされているところかなと思います。これ の変化や課題にどのように対処していくべきかという点につきましても、今般、御議論い ただければと考えているところでございます。 経済産業省としては、この小委員会の御議論を踏まえまして、「営業秘密管理指針」の 改訂の検討や啓発活動に取り組むとか、不正競争防止法をめぐる制度面・運用面の短期・ 中長期の両面から、検討課題を整理していきたいと考えております。 委員の皆様には、忌憚のない御意見を頂戴したく、お願い申し上げまして、私の冒頭の 御挨拶とさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。 ○中山室長 ありがとうございます。 それでは、これより先の議事進行に関しましては、岡村委員長にお願いしたいと存じま す。岡村委員長、よろしくお願いいたします。 ○岡村委員長 委員長の岡村でございます。皆様、お久しぶりでございます。本年もよ ろしくお願いいたします。 まず、井上審議官からの御丁寧な御挨拶、ありがとうございました。 また、杉村(多恵)委員、それから、お久しぶりですが、林委員、よろしくお願いいた します。 それでは、事務局から、本日の資料について、確認をお願いいたします。 ○中山室長 本日の資料でございますが、まず、資料1「議事次第」です。本日の議題 は2点ございまして、「不正競争防止法を巡る状況について」と「『営業秘密管理指針』の 改訂方針について」です。 続いて、資料2が委員名簿です。 資料3「不正競争防止法を巡る状況について」、資料4「知的財産推進計画2025に向け た取組等について」ということで、こちらは後ほど内閣府知的財産戦略推進事務局から御 説明いただきます。 資料5が「『営業秘密管理指針』の改訂方針(案)」です。 - 3 - もし御不足等あれば、事務局まで御連絡いただければと思います。 ○岡村委員長 ありがとうございました。 不足等はございませんでしょうか。 不足されている方は、その旨、事務局へ御連絡いただきたいと思います。 それでは、初めに、事務局から、本日の議題についての御説明をお願いいたします。 ○中山室長 まず、資料1「議事次第」を御覧いただければと思います。 本日は、まず、「不正競争防止法を巡る状況について」御説明させていただきまして、 御議論いただきたいと考えてございます。 その後、資料5にあります「『営業秘密管理指針』の改訂方針(案)について」、御意見 を頂戴できればと考えております。 限られた時間での審議となりますので、御協力、よろしくお願いいたします。 以上でございます。 ○岡村委員長 ありがとうございました。 それでは、最初の議題に入っていきたいと思います。 まずは、事務局から、資料3についての御説明をお願いいたします。 ○中山室長 お手元の資料3を御覧いただければと思います。「不正競争防止法を巡る 状況について」です。 2ページ目、「目次」でございますが、今回、まず、「前回小委員会からの動き」、2番 目に「営業秘密を巡る近年の動向」、3番目に「営業秘密に関する取組み」、4番目に「知 的財産に関するその他の取組み」、5番目に「議論いただきたい論点」という形で資料を 構成させていただいているところでございます。 3ページ目、御説明させていただければと思います。 まず、「前回小委員会からの動き」でございますが、委員の先生方の御尽力も頂きまし て、各種資料について改訂してございます。 令和5年の改正不競法については、今年の4月1日に施行してございますが、その前に、 「逐条解説」、 「限定提供データに関する指針」、「秘密情報の保護ハンドブック」について、 それぞれ2月と3月に改正しているといった状況でございます。 特に「秘密情報の保護ハンドブック」は、今般議論になっておりますAIの関係につい ても入れ込むような形で改正させていただいているところでございますし、限定提供デー タについても同様でございます。 - 4 - 4ページ目は、参考までに、当該ハンドブックの該当箇所、生成AIに関する箇所をご 紹介しています。 次、7ページ目になりますが、2番目が「周知活動の実績」でございます。 令和5年不競法改正の内容は多岐にわたっておりまして、国会審議においても丁寧な周 知について指摘があったことを踏まえまして、周知・啓発活動についても取り組んできた ところでございます。 まず、令和5年改正法全体ということでございますが、委員の皆様方の御尽力もありま して、産業界、支援機関、関係行政機関などへの説明、その他、特許庁と合同で実務者説 明会を全国20都市で開催させていただいたところでございます。 それに加えまして、今回法改正の中で、デジタル環境での形態模倣品提供行為というこ とで、第2条第1項第3号については、個別にデザイナー・ファッション業界の皆様への 説明会や、支援機関、関係行政機関など、そこに特化した形での説明会をさせていただき ました。 次、8ページ目になりますが、営業秘密は、継続的な周知・啓発が結構大事なところも ございまして、まず、営業秘密の保護・管理、漏えい防止に向けた説明会として、技術流 出・安全保障貿易管理説明会において、弊省の貿易管理をやっている部署とも合同で、外 為法、産業競争力強化法といった関連する類似制度とともに、不正競争防止法における営 業秘密管理・保護について、主に国内の中小企業の方々を対象に説明会を実施しました。 それに加え、その他の説明会・講演の御依頼も頂いておりまして、自治体の方々や連合 の場でも御説明の機会を頂いているところでございます。 その他、特に営業秘密のところに関して申しますと、執行を担う警察や税関の方々の御 理解も不可欠ということで、こちらについても毎年複数回、様々な階層において説明会を 実施させていただいています。 次、9ページ目になりますが、不競法小委の下に外国公務員贈賄に関するワーキンググ ループを設置してございまして、こちらはもともと、令和5年不競法改正の際、外国公務 員贈賄に係る規定を検討するために設置したワーキンググループでございますが、定期的 なフォローアップを実施したいという趣旨もございまして、令和6年10月に第9回の外国 公務員贈賄ワーキンググループを開催いたしました。 そこでは、外国公務員贈賄を巡る最近の動向、企業における外国公務員贈賄防止のため の取組の御紹介、OECD外国公務員贈賄防止条約への対応状況などについて御報告しま - 5 - して、御議論いただきました。 次、10ページ目の「営業秘密を巡る近年の動向」といたしまして、平成27年の不競法改 正以降、執行機関、相談・支援団体との連携を強化しているところでございます。 平成28年以降、警察、支援団体における営業秘密に関する相談については非常に伸びて いる状況でございまして、令和5年度は過去最高を記録しているといった状況になってい ます。引き続き、関係者の皆様にも周知させていただくところでございますが、この相談 件数が増えているというのが一つ大きな特徴かと思います。 次に、11ページ目、12ページ目でございますが、昨今の事案について御紹介させていた だきたいと思います。 まず1点目、大手すしチェーンの親会社の案件でございますが、判決自体は、令和5年 の5月に、元幹部に対する懲役ということで出てございますが、昨今のアップデートとい たしましては、転職先の従業員に対して懲役・罰金、転職先の企業にも、営業秘密を使っ て業務をしていたこともありまして、罰金刑が今年の10月に出ているといった状況でござ います。 次に、国立研究開発法人の案件でございますが、これは研究データを中国企業にメール で漏えいしていたという疑いでございまして、現在も公判中という形になっています。 次に、大手ガラス瓶メーカーの案件でございますが、成形技術を中国企業に不正に売り 渡す目的で不正入手して、個人のメールに送信したという案件でございまして、今年の2 月に判決が出てございます。海外重罰規定も適用されております。ただし、これは改正法 の施行前でございますので、旧法における規定でございますが、海外重罰規定も科された という事案でございます。 次に、12ページ目でございますが、総合商社の案件は、転職した際に、関連するファイ ルをダウンロードして、自身のパソコンに保存した疑いということになってございまして、 今年の8月に元従業員に対する判決が出てございます。 次に、大手電気通信事業者の子会社ということになりますが、元派遣社員が顧客情報を 不正に持ち出して、名簿を事業者にメールで漏えいした疑いということで逮捕された事案 でございまして、今年の7月に元派遣社員に対する判決が出てございます。 次に、大手電子部品メーカーでございますが、元研究員が研究データを、社のパソコン から私用のメールアドレスに送信しまして、不正に持ち出した事案となっています。こち らの事案は、書類送検された事案という形になっています。 - 6 - 最後の案件は、大手精密機器メーカーでございますが、元派遣社員が営業秘密に係る部 品の資料を持ち出したということでございまして、こちらは今年の11月に逮捕された事案 という形になってございます。 幾つか事案を御紹介させていただいておりますが、昨今の傾向といたしまして、従業 員・退職者による競業会社への営業秘密の持ち出し、海外への流出などが散見されるとい うのが特徴になっています。 次に、13ページ目でございますが、情報セキュリティという観点から申しますと、内部 不正による情報漏えいが、「10大脅威」の中でも上位に来ています。昨年の順位が4位だ ったのが、今年は3位ということで、ここの部分の脅威は非常に大きくなっています。 「情報漏えいの傾向」という観点から申しますと、こちらは2020年のデータになります が、従業員・役員を通じた漏えいが8割超に達してございます。 現役従業員等の誤操作・誤認による漏えいは、4年前の平成28年の調査に比べますと、 約半減しているところでございますが、一方で、中途退職者による漏えいは、前回に比べ て大幅に増加しているといった状況でございます。 次に、15ページ目でございますが、人を介して営業秘密が漏えいしていくといった事案 が増えてきている中で、我々としては、従業員に周知することは今まであまりやってきて いなかったこともあり、一方で、日々の業務の中で、実際に営業秘密に接する従業員にと って、そもそもどのような行為が不正競争防止法違反に当たるのか、そもそも営業秘密と はどういう情報なのか、普段から気をつけるべきことは何なのかといった基本的なところ も含めて、従業員目線での留意事項の理解に資する啓発資料が今までなかったので、今回、 こういった観点から、「知っておきたい営業秘密」というパンフレットを作成しました。 こちらは今年の6月に公表させていただいておりまして、英語版も、昨今、外国人労働 者の増加といったところもありますので、今年の11月にホームページで公表しています。 日本語版に関しては、今年の12月16日時点で6,000部以上配布させていただいておりま して、引き続き、御希望のあるところには、我々としても積極的に配布していきたいと考 えています。 次に、16ページになりますが、今まで国内の議論がメインでございましたけれども、こ ちらの取組は、企業の方々が海外に行かれる際の漏えい対策支援事業ということで、今般、 グローバル化によって、海外に進出する日系企業が非常に増えているといったところで、 各国ごとに営業秘密に関する規定類が多少異なるところもございますが、そういったとこ - 7 - ろも含めて、自社だけではしっかり整備できる体制がなかったり、管理体制が不十分な企 業も少なくないといった状況になっています。 我々としては、在外日系の中堅・中小企業を主なターゲットといたしまして、日本企業 の営業秘密管理体制整備の支援を拡充させまして、海外での技術・ノウハウの意図せぬ流 出を防ぐことを目的としまして、本事業を平成31年度より実施しています。 実際は、対象国に拠点を有する日本企業や現地法人に対しまして、専門家によるハンズ オン支援をさせていただいています。 対象のメニューの例としましては、管理体制のアセスメント、管理職向けのコンサルテ ーション、管理体制のチェック、フォローアップ面談をさせていただいていており、各企 業のフェーズに合わせて、きめ細やかにやらせていただいています。 営業秘密の関係は以上となりまして、今回、知的財産に関する全般の取組ということで 御紹介させていただければと思います。我々は平成21年度に、知的財産の価値評価及びロ イヤルティ料率に関する実態調査を実施してございます。前回、この委員会の中でも、ラ イセンスに関する制度に関する御検討も皆様にしていただいたと認識してございますが、 この価値評価やロイヤルティ・ライセンスといったところも、我々は改めてしっかり見て いく必要があるということで、今年度をめどに、関連する企業の皆様にアンケートやヒア リング調査を実施しまして、情報整理をして、分析などを行う予定となってございます。 最後に、「議論いただきたい論点」ということで19ページ目になりますが、令和5年、 不競法改正をさせていただきましたけれども、その制度については、不断に見直しをして いく必要があるかと思いますので、より中長期的な視点で、不正競争防止法のあるべき姿 などについて、皆様の忌憚のない御意見を頂きたいと思います。 下に幾つか論点を挙げさせていただいておりますが、こちらはあくまで例ということな ので、こちらの論点に限らず、皆様方の御意見を幅広く頂ければと思っています。 まず、1点目が、営業秘密に関しては、近年、相談件数や検挙件数の増加のみならず、 従業員・退職者からの漏えいが非常に増えているところでございますが、企業の営業秘密 漏えいへの関心が高まる中で、政府の取組として追加的に改善していく点があれば、御意 見を頂きたいなと思います。 2点目が、令和5年改正以降、指針やパンフレットの改訂に加え、周知・啓発などを中 心に活動してきたところでございます。将来的な社会環境の変化を見据えた際に、過去の 小委でも、中長期的に議論すべきであるといった議論もあったと理解してございますけれ - 8 - ども、本質的な不競法のあるべき姿、課題などが現在の状況においてあれば、ぜひ御意見 を頂きたいと思います。 最後に、この後、資料4で内閣府の皆様からも御紹介いただきたいと思いますが、政府 全体の中長期的な視点に立った知的財産政策の方向性について、今、政府全体でも議論し ているところでございますが、不競法としても中長期的に検討・対応すべき制度的課題は あるかどうかといった点についても、ぜひ御意見を頂ければと思います。 私からは以上となります。 ○岡村委員長 ありがとうございました。 続きまして、内閣府知的財産戦略推進事務局の方から、資料4につきまして御説明をお 願いしたいと思います。よろしくお願いします。 ○山本参事官 皆さん、こんにちは。内閣府知的財産戦略推進事務局の山本と申します。 今回、我々にお声がけいただきまして、ありがとうございます。 先ほどの論点の最後のところで、政府の中長期的な政策をどのような形で考えているの かと指摘がありましたが、議論中の内容について、我々から御説明をさせていただきたい と思います。 「知的財産推進計画2025に向けた取組等について」ということで、次のページをお願い いたします。 アジェンダして、2点、御説明させていただきます。 1点目は「IPトランスフォーメ―ション」です。従来から知的創造サイクルというこ とがございますが、社会課題解決に向けた取組ということで、我々として、IPトランス フォーメーションと銘打って、現在取り組んでいるところでございまして、先週も構想委 員会第2回において議論を行ったところでございます。 2点目は「生成AIと知的財産権に関する取組について」ということでございますが、 こちらは白鳥参事官から別途、御説明をさせていただきたいと思います。 では、次のページをお願いいたします。 「IPトランスフォーメーション」ということで、まず、方向性についてご説明いたし ます。次のページをお願いいたします。 まず、現状ということで、上と下で分けて書いておりますが、上は競争力の状況という ことで、我々は、環境変化や主要国の動向を踏まえて、知財戦略を推進しているところで ありますけれども、現在、競争力については苦戦しているような状況がございます。また、 - 9 - グローバル化、デジタル化においても遅れが顕著な状況があります。 その一方で、下のほうになりますが、コンテンツ産業やクールジャパン関連産業につい ては、こちらのグラフを見ていただくとおり、大きく進展・発展しております。また、国 家ブランドについても世界トップクラスに位置づけられており、上の国際競争力というと ころにおいては、日本の現状の弱みをどのように克服していくか、また、下のほうは、日 本の強みであるそういった産業を、特に海外展開などを踏まえて、どう伸ばしていくかと いうところが、現状の課題として挙げられているところでございます。 次のページをお願いいたします。 また、将来的に起こり得る課題ということで、上を見ていただきますと、皆様、御承知 の内容になりますが、「イノベーション人材の減少」ということで、人口減が今後より一 層進んでいく中、イノベーション人材をどう確保していくのかといったところ、また、 「グローバル市場の成長」ということで、国内市場は頭打ちという中で、アジアやグロー バルサウスの市場をどう取り込んでいくのかという話、また、右側の「革新技術の進展」 ということで、AI技術が著しく進んでいるときに、こういったチャンスをうまく取り込 めないかといったことがあるところでございます。 そういうことで、現状と将来起こり得る環境変化をつかまえて、今後の知財戦略の方向 性としては、下の右側のところになりますが、イノベーションをリードするには、国内の みでの対応はもはや限界ではないかということでございます。グローバル知的資本の積極 的な誘引、また、AIの積極活用等を前提に、新たな知的創造サイクルを検討できないか。 また、下のところになりますが、日本の国家ブランドであるコンテンツやCJを再認識 して、誘引効果として、うまくフル活用できないかというところでございます。 次のページをお願いします。 図式化しますと、こちらの内容になります。「新たな知的創造サイクル」ということで 示しておりますが、従来から示しております、知財の創造、保護、活用という3つの要素 をサイクルとして回していきながら、価値創造につなげていくということでありますけれ ども、海外のそういった技術力、人材なども取り込みながら、我が国においてグローバル な社会課題解決を図るための「新たな知的創造サイクル」――我々はこれを「IPトラン スフォーメーション」と呼んでおりますが、そういうものにつなげられないかということ でございます。 次のページをお願いします。 - 10 - それを踏まえて、具体的な施策として、どのようなものを打っていくかということです が、2つほどございまして、まずは「イノベーション拠点としての競争力強化」でござい ます。 次のページをお願いします。 こちらはイノベーションハブを目指していくということになりますが、知的資本を国内 に集積して、「価値創造大国」になっていくということでございますが、課題として、左 側にありますが、創造人材の減少、研究者数の低迷、研究開発費などの伸び悩み、欧米に 比べて海外特許出願比率が低いといったことがある中で、我々としては、右側にあるよう な対応策を取っていくといいのではないかということでございます。 上から<創造人材の強化・ダイバーシティの実現>ということでございまして、人材減 ということになりますが、人材の方々の活躍をより一層後押ししていくという意味で、ダ イバーシティの実現、創造教育、博士人材の活躍といったところを後押しできないか。 あと、優先的な研究開発領域の特定・リソース投下ということですが、政策リソースも 限られる状況の中、特定の分野に対して、よりメリハリの利いた対応策が取れないか、と いったところが挙げられます。 その下のところの<知財・無形資産投資の促進>ですが、知財・無形資産投資について、 市場・企業などからいかに支持を得ながら、持続可能な形で対応・取組ができないかとい うことで、企業においては「知財・無形資産ガバナンスガイドライン」というものがござ いますので、そういったものを通じて市場等への対応を行っていきます。 また、大学においては、企業との共同研究開発といったところも寄り添って進めていか なければいけない中、「大学知財ガバナンスガイドライン」や「産学官連携による共同研 究強化のためのガイドライン」などを使いながら、大学における価値創造に対して、しっ かり対応していく。そういうところを行うべきではないかといったところがこちらの内容 になります。 その下の「大学発知財の取扱いの明確化」というところでございますが、これは、近年、 大学等の研究者が多く転職などをしている状況の中で、知財の取扱いの円滑化が問題にな るケースもありますので、そういったところを取決めとして明確化できないかという話だ ったり、「経営と知財の一体化」というところは、特にスタートアップなどの支援なども 行いたいといったところとして挙げております。 また、次に<国際的に求心力ある制度・システムの実現>というところは、「知財制度 - 11 - のレビュー・強化の検討」ということですが、特許庁でやっているデジタル化・グローバ ル化への対応なども行ってはどうか。 「外国語出願対応の強化」といったところは、かなりの出願などの取り込みなどを行う 上で、一つの対応策として検討してはいかがといったところで挙げさせていただいている ところでございます。 次のページをお願いいたします。 もう一つの柱としては、「AIの利活用による知的創造サイクルの加速化」となります。 次のページをお願いします。 主な内容はここに挙げさせていただきますけれども、上のほうから<AI開発者との共 同発明時の考え方の整理>ということで、発明保護の考え方になりますが、AIを利用し た発明が今後多く増えてくるであろう。AI自律型の発明も今後どうなるかですが、利用 発明も多くなっていく中で、AI研究者とAI開発者における発明者の認定をどのように 考えていけばいいのか、といったところが一つの論点として挙げられております。 また、<クリエイター・権利者の懸念への対応>と<AI利用による知的創造サイクル の加速化>ということで、保護や懸念への対応と共に、AIをうまく利用できないかとい うことで、活用面の在り方についても、今後、事例などを含めまして、検討を進めていけ ればと考えております。 簡単でありますが、私のパートは終了させていただきたいと思います。 ○白鳥参事官 引き続きまして、次のスライドをお願いいたします。生成AIと知財に ついてであります。 その次のスライドをお願いいたします。 現在の知的財産推進計画におきまして、AIと知的財産権を一つの項目として立てて、 それまでの取組の状況を確認しながら、今後の課題等について記載がされております。 特に、昨年から今年にかけましては、生成AIをめぐり、様々な懸念・リスク等につい ての指摘もある中で、先ほど出ておりましたが、AI時代の知的財産権検討会という会議 体を立ち上げ、知財横断的な観点から検討を進めていただき、今年の5月に、「中間とり まとめ」として、その成果を公表しております。 この間、著作権に関わりましては、文化庁において、文化審議会で精力的に御審議いた だいて、その内容もこの「中間とりまとめ」の中にビルトインしているということでござ います。 - 12 - また、こちらに図がありますが、法と技術と契約のそれぞれについて、各手段を適切に 組み合わせながら、リスク等については、各主体が連携しながら対応して取り組むべきだ といった方向性も打ち出していただいております。 また、法という部分については、著作権法以外に、不正競争防止法についても、経産省 のオブザーバーも頂きながら、一定の範囲で、内容の整理を行ってきたところでございま す。 「今後の予定(方向性)」というところで書いているところですが、特にこちらに示さ れているのは、AIガバナンスという視点から、AI技術の進歩の促進と知的財産権の適 切な保護が両立するエコシステムの実現に向けて取り組むべきといった方向性が打ち出さ れております。 このような考え方をしっかりと周知しながら、こうした取組が社会の中でより広まるこ とを意図しているということがこちらの内容になっております。 そこで、分かりやすい周知ということで、この次のスライドを御覧いただきます。 下のほうに「日本政府における主な動き」と書いてありますが、各省庁が様々なガイド ライン等を公表してございます。 この次のスライドをお願いいたします。 下のほうに「政府によるガイドライン等の概観」とございます。AI時代の知的財産権 検討会「中間とりまとめ」の手引きとして、権利者向けを想定したものを今年の11月に公 表しています。 ほかにも、文化庁では、著作権法について法的な考え方の整理を行い、経済産業省では、 内閣府や文化庁で行った法的な整理を踏まえながら、AIをコンテンツで利活用する場合 の留意点について周知するガイドブックもお示しいただいているところでもあります。ま た、知財に限りませんが、AIガバナンスという観点から、「AI事業者ガイドライン」 も、総務省、経産省においてお示しいただいているといったことであります。 1ページ戻っていただいてよろしいでしょうか。 今、周知に関しての動きについて、簡単に御紹介いたしましたが、上のほうに最近の動 きということで、一例をお示ししてございます。 「日本国内の動き」というところに注目していただきますと、1つ目のポツや3つ目の ポツなどにありますとおり、音声関係を中心に、民間における動きが見られます。特に、 先ほど出ておりました法と技術と契約という部分の中で、契約対応によって、このエコシ - 13 - ステムの実現を図ろうとい.う主体的な動きが見てとれるというところもございます。 他方で、4つ目のポツにありますが、日本俳優連合等の3団体が、生成AIに無断学習 されることについて、事前に許諾を求めるといった声明を発表するという動きもあるとこ ろでございます。 AIと知財に関わりましては、横断的な視点から、内閣府において、今年の5月まで、 会議体を立ち上げて検討を進めておりましたが、これからは、各法律の観点で、各所管省 庁において必要な深掘りを行っていただくというフェーズに移っているところです。 一番下に「知財法所管省庁における知財法と生成AIとの関係性の明確化等」と書いて おります。先ほどの説明の中にありましたが、AI発明について一番下の項目に記載があ りますが、課題として、現在、特許庁において、調査事業の実施などを行っているという ことでございます。 声との関係につきましては、下から2行目のところですが、「肖像や声等の利用と不正 競争防止法等との関係につき、考え方を整理すること」が記載しておりますが、昨年6月 に決定した知的財産推進計画2024や新たなクールジャパン戦略においても不競法と肖像・ 声との関係性について、考え方の整理を行い、必要に応じ、見直しの検討を行っていくと いった記載もされています。 以下、参考として関係資料をお付けしております。 知財事務局からの説明は以上となります。ありがとうございました。 ○岡村委員長 大変ありがとうございました。 ただいまより、事務局から説明がありました「議論いただきたい論点」、すなわち資料 3の19ページにつきまして、委員の皆様方から御意見を頂戴したいと思います。また、先 ほど事務局及び知財事務局から説明いただきました点につきまして、御意見、御質問がご ざいましたら、併せてお願いできればと思います。 なお、御発言の際には、論点順にまとめて御発言いただければということで、基本的に は、資料3の19ページにある3つの論点の上から一つずつという形で、散漫にならないよ うに御意見を頂戴できればと思います。 まず、第1点ですが、「企業の営業秘密漏えいへの関心が高まる中で、政府の取り組み として改善していく点はあるか。」ということに関連して、御意見、御質問を頂ければと 思います。いかがでしょうか。 私、所用によって、今日はリモートでありますので、すみませんが、事務局の方々のど - 14 - なたかから、発言の要請があるかどうか等々サポートしていただければ幸いです。よろし くお願いします。 ○岡村委員長 ○林委員 では、林委員からお願いできますでしょうか。 ありがとうございます。様々な指針やハンドブック、パンフレットなどを改 訂いただきまして、本当に有益な資料が充実してきていると思っております。ありがとう ございます。 特に「知っておきたい営業秘密」のパンフレットを皆様、御覧になっていらっしゃいま すかね。大変秀逸なものでして、私の希望としては、新入社員だけではなく、全社員に、 eラーニングでもいいので、この内容だけは周知するような機会を企業で持っていただけ ないかなと思っております。 このパンフレットは12ページなのですが、4ページで「『してはいけないこと!』って どんなこと?」として、①取得、②開示、③使用と1ページにまとめて、5ページから 「職場でありがちな具体例を考えると…」として、case1から4まで挙げてくださってい まして、例えばcase3で「転職先への『手土産』感覚での開示はもってのほか!」とか、 「営業秘密を転職先で使用するのもNG!」とか、case4では、不正に持ち込まれた他社 の営業秘密を社内で使用するような具体的な場合を挙げて注意喚起してくださっていて、 今日、御紹介があったような刑事事件もこれまで見られた事例ばかりなので、ぜひ有用に 使っていただきたいと思います。 また、9ページでは、トラブルに巻き込まれないためとして、転職や独立の前と後につ いて、それぞれ実務的なポイントを挙げていますし、10ページでは、困ったときの相談先 として、弁護士知財ネットも挙げていただいておりますので、ぜひ実務的にも活用してい ただければと思います。 以上です。 ○岡村委員長 ありがとうございました。 それでは、次は杉村委員でしょうか。 ○杉村(純)委員 ありがとうございます。パンフレットにつきましては、今、林委員 におっしゃっていただきましたので、重複する意見は割愛させていただきますが、このた びは英語版も発行いただいたことを感謝申しあげます。人材の流通を促進し、高度人材と して外国の優秀な研究者を日本に取り入れていくといったことも進んでおりますので、作 成いただきましたパンフレットは大変に有用なパンフレットであると思っております。本 - 15 - 当にありがとうございました。 特に従業員・退職者からの営業秘密の漏えいについては、もちろん都市部の企業だけで はなく、地方における企業においても漏えいが多く起こっていると認識しておりますので、 各地方の経産局の方々とも連携していただいて、各地方において、このような有用なパン フレットを基に周知していただきたいと思います。 また、大学での知財の活用も進んでおりますので、ぜひ大学関係者にも周知していただ けるとよいのではないかと思いますので、引き続き、よろしくお願いいたします。 以上です。 ○岡村委員長 ありがとうございます。一言だけお願いしたいのは、そのためには、具 体的に、例えば出前講義をするとか、どういう方法が考えられますのでしょうか。 ○杉村(純)委員 杉村です。各地方経産局と連携するにあたり、例えば、日本弁理士 会には各地域会がございますし、また、各県にも県委員会がございます。また、弁理士会 は日本商工会議所とも連携しており、各地方の商工会議所と弁理士会内の各地域会や各県 委員会の対応部署が一緒に連携しているところでございますので、そういうところとコラ ボしていただいて、経産省の方が一緒にセミナーなり、出前授業なりをしていただけると よろしいのではないかと思います。 また、先ほど林委員がおっしゃいましたように、弁護士知財ネットも全国ネットでござ いますので、弁護士知財ネット、弁理士会、経産省、地方の経産局が必要に応じてコラボ して、セミナー等を各地域で継続的に実施いただけると効果的ではないかと考えておりま す。 ○岡村委員長 大変有益な御提言ありがとうございます。 引き続きまして、チャットで冨田委員が発言希望を上げておられますので、冨田委員、 お願いできますでしょうか。 ○冨田委員 ありがとうございます。連合の冨田でございます。 私は2点ございまして、1点目は、今お2人の委員の方からもありましたが、従業員向 けのパンフレットを作成いただいたことに対し、御礼を申し上げたいと思います。私から の、従業員向けのパンフレットをぜひつくっていただきたいという発言をお受け止めいた だきまして、非常に良質で分かりやすいパンフレットをつくっていただきました。作成い ただいた後、連合の中の学習会では、中山室長にも御講演いただいておりますし、来月に 行われるもう少し広い学習会にも御協力いただくことになってございます。私ども連合の - 16 - 立場からも、適正な運営と労働者保護に向けまして、このパンフレットの周知に努力をし てまいりたいと考えてございます。 2点目は、論点の中にございます今後の政府の取組に対して、1点、御要望を申し上げ たいと思います。 それは、中小企業で営業秘密の漏えいを防ぐための対策や支援についてでございます。 16ページに「中小企業を中心に、営業秘密管理の重要性認識や管理体制整備が不十分な企 業は少なくない。」という記載がございまして、連合としても全く同じ認識を持ってござ います。中小企業は、財政・技術・人員面などで様々な制約がございますし、情報管理を どう行えばよいのかを理解し、それに取り組んでいる企業は少ないのではないかと思って ございます。 具体的な支援策につきまして、今、即効性あるアイデアを持ち合わせているわけではご ざいませんが、例えば、中小企業のIT化に対する各府省庁の補助金がどのように有効活 用されているのかとか、従業員の周知・啓発にはどのようなニーズがあるのかといったこ とに対し、アンケートを取って、現状分析をして、効果的な支援策を考えていくなどの方 策もあろうかと思いますので、この点につきまして検討を強化いただけるとありがたいと 存じます。 以上でございます。 ○岡村委員長 ありがとうございました。中小企業支援策について御意見を頂きました。 引き続き、畠山委員が発言希望ということで、お願いいたします。 ○畠山委員 どうもありがとうございます。今、杉村委員、冨田委員がおっしゃったこ ととかなり重なる部分があるかと思います。それから、今、論点の1つ目ということでし たが、2つ目、3つ目にもつながる話であるかと思いますが、今の中小企業の視点から、 改めてお話をさせていただければと思います。 1つは、今いろいろな取組をしていただいていると思いますが、このリスクや管理の必 要性を、改めて中小企業に認識してもらうことが非常に重要です。 それから、次にこれは冨田委員もおっしゃっていましたが、認識した後には、しかるべ き対策をしなくてはいけない。これは、正直言って、企業規模や事業の中身などによって、 いろいろなものがあると思うのですが、いずれにしても、こういうものへの対策をすると いったときに、中小企業のキャパシティでは、コスト的にも難しいし、能力的にも難しい ということがあるので、ここをいろいろな切り口で支援していくことが非常に重要かと思 - 17 - います。 今申し上げた1つは広報ということになるのですが、もう1つは支援策ということにな るかと思います。 中小企業の話をする大前提として、これも皆さん、認識されていることだと思いますが、 今、賃上げと物価の上昇の好循環で経済をつくりましょうという話が非常に重要な局面に 来ていて、特に中小企業の賃上げというところは、これをしっかりと軌道に乗せていくた めにも非常に重要な取組ということで、こちらにいらっしゃる関係者の方々も今取り組ん でいるところかと思います。 中小企業が利益を得て、賃上げのための原資をしっかりと確保して、それを賃上げに回 していくことが非常に重要で、その観点からいくと、知財は非常に重要なポイントだと思 っていて、日商としても、知財経営の推進にぜひ取り組んでいただきたいという話をさせ ていただいております。 これに関して、政府としては、価格転嫁も含めて、取組を充実させていくことが非常に 重要だと思いますので、不正競争防止法のみならず、知財の話についてもしっかり取り組 んでいただければと思います。 以上でございます。 ○岡村委員長 ありがとうございました。 論点1に関して、ほかに何か御意見のある方はいらっしゃいますでしょうか。 ○岡村委員長 ○小松委員 小松委員、お願いいたします。 小松でございます。 これまで分かりやすい資料がいろいろ出ておりまして、とても頼もしいなと思いました。 私は情報セキュリティの専門ですので、営業秘密というよりも、例えば、情報漏えい等 の未然防止の観点から仕事をしておりまして、情報セキュリティの観点と営業秘密の観点 は重なってはいるのですが、違う点もある。ただ、企業の一般のオフィスの中では、仕事 内容として同一の形でやっていかなくてはいけないというのがあると思います。 私がここにいるのはその一つの例なのですが、これまでも、情報セキュリティの観点と 知財の観点は連携してやってきておりますけれども、今後も未然防止という観点と、情報 セキュリティは最近、事後の対策もかなり実施させておりますので、その観点も含めて、 協調してやっていけるといいかなと思います。 先ほどの中小企業の例なのですが、情報セキュリティの分野でも、中小企業のセキュリ - 18 - ティ対策は非常に大きな課題になっておりまして、公的な機関の介入的な支援が必要だと 言われていますので、その点でもいろいろな連携ができるのではないかなと思いますので、 今後そのような形でお願いしたいというか、これまでもやっておりますが、引き続き、や っていただきたいなと思っています。 以上です。 ○岡村委員長 ありがとうございました。 今まで、パンフレットをつくって、非常に有用であるという御意見、中小企業対策を考 えてほしいという御意見、後者に関連して、セキュリティとカップリングして考えていく べきではないかという御意見が出ました。 それ以外に、論点1に関して、重複でも構いませんので、何か御意見のある方はいらっ しゃいますでしょうか。 ○岡村委員長 ○杉村(多)委員 杉村多恵委員、お願いします。 御指名ありがとうございます。皆様方がおっしゃってくださったこ とと重なる部分がありますが、いろいろな啓発活動、本当にありがとうございます。 あえて言うとすれば、本当に分かりやすいものをたくさん御用意いただいて助かるので すが、ホームページを拝見したときに、ぱっとタイトルを見て、これだなと分かりやすい タイトルをつけてくださっているのですが、結構たくさんあって、私はどれかみたいな迷 いがあるものがあるので、それぞれの刊行物が対象とする範囲や関係性などが示されてい ると、より一層活用しやすいかなと思いました。 それから、先ほど、ほかの委員からも御発言がありましたように、企業としては、情報 セキュリティといった観点での対策も厳しくやっているところで、その際に、割と独立行 政法人情報処理推進機構の発信物を見て、ああ、こういうことをやればいいのだなと確認 しながら進めているところもございます。 例えば、ちょうどこの前に機構が発信している「組織における内部不正防止ガイドライ ン」というものを拝見していたのですけれども、具体的な話で恐縮なのですが、それの52 ページから57ページに、例えば、メールの監査やAI監視機能などを導入するといいとい った記載がありまして、本当に参考になるなと思いますし、先ほどから話題に上がってお ります中小企業では、メールの監視もあまりしていないといったお話も聞かれるところで すので、パンフレット相互の関係性とともに、こういった技術的手段は欠かせないと思い ますので、そういったところへのリンク先が貼ってあると、何をしたらいいのかというの - 19 - が分かりやすいかなと思いました。 すみません。細かいことで恐縮ですが、以上でございます。 ○岡村委員長 ありがとうございます。 ほかに御発言希望の方はいらっしゃいませんでしょうか。 ○岡村委員長 ○河野委員 では、河野委員、お願いします。 ありがとうございます。先ほど委員長から、重複しても構わないというお 話があったので、それも含めまして、お話をさせていただければと思います。 私も、非常に有用で分かりやすいパンフレットをつくっていただいたことに感謝を申し 上げたいと思います。 こちらの英文版もつくっていただいていることは承知しているのですが、昨今、企業に おけるダイバーシティが進んでいることを考えると、日本の企業で働く外国籍の方、日本 にいらっしゃらなくても、例えば、リモートワークのような形で、日本企業で働く外国籍 の方が、ホームページの記載を頼りに、この英文パンフレットに行き着くのは、なかなか ハードルが高いのではないか、という気がいたします。せっかくとてもすばらしいマテリ アルが用意できているという状況ですので、先ほどお話があった中小企業の方々への周知 に加えて、日本企業で働く外国籍の方々に向けた発信も検討していけたらよいのではない かと感じています。 例えば、国際的に活動する企業が集まっている場所や団体、国際会議などで、こういう ものがあることを御紹介いただくのも一案ではないかと思ったりしているところです。 以上です。ありがとうございます。 ○岡村委員長 ありがとうございます。河野委員、今、外国関係をやる企業が集まって いる団体といったことをおっしゃったわけですが、お差し支えなければ、具体的にはどの ようなものが考えられますか。 ○河野委員 本当に思いつきのレベルですが、例えば、ビジネスソフトウエア関連の団 体などでは、様々な国や地域の企業の方々が集まる場面があるようにも聞いております。 粗い粒度で話をしておりますが、そのようなものが思いつきました。 ○岡村委員長 ありがとうございます。 ほかに、論点1について御意見ありませんでしょうか。 ○岡村委員長 では、今まで出てまいりました論点1に関する御意見について、事務局 から何か補足などがございましたら、お願いできますでしょうか。 - 20 - ○中山室長 ありがとうございます。パンフレットの件も皆様の御意見を頂きました。 非常にお褒めの言葉も頂きまして、大変感謝してございます。 一方、ホームページや周知・啓発のところについては課題があるということで、そこは 我々のほうでも工夫して、真摯に取り組んでいきたいなと思ってございます。 2点目、中小企業の関係でございますが、ここは我々の課題観として思っているところ ではございます。今まで我々、地方局などとの接点が少なくて、うまく連携できていなか った部分がございますので、経済産業局と連携していくとか、いろいろな方法があり得る と思いますので、そちらについても検討させていただければと考えているところでござい ます。 3点目、セキュリティの関係は、裏表というか、まさに重複する部分もかなりあるとこ ろだと思いますので、我々も、重要性も含めて、うまく伝えていけるような方策を引き続 き検討していきたいと思っておりますので、こちらについても、これからも御助言なり頂 ければありがたいなと思ってございます。 簡単ではございますが、以上です。 ○岡村委員長 ありがとうございます。 論点1に関しまして、また事務局から、深掘りのために御意見を頂戴するべく、委員の 先生方に直接連絡を取らせていただくなどを行うこともあろうかと存じますので、その際 には、よろしく御協力をお願いしたいと思います。 次に、論点2に移りたいと思います。これは「過去の小委における議論を踏まえ、本質 的な不競法のあるべき姿、課題等はあるか。」という少し大局的なことでありますが、こ れについて御意見を頂戴したいと思います。いかがでしょうか。 ○岡村委員長 ○畠山委員 では、畠山委員、お願いします。 先ほどの3つ目の論点とも重なってくるので、改めてということではござ いますが、中小企業向けの広報といったことの中で、関連する施策について体系的に御説 明いただくことと、個々に起きている事例を我が事として中小企業に認識してもらうとい うことの2つがすごく重要で、こんなことが起こりうることで、こう大変になる、という 具体的な例は非常に訴えかけるものがあると思います。先ほどの事例を見ると、大企業の 事例がすごく多いのですが、同じようなことが中小企業でも起こっていると思うので、中 小企業の事例を集めて御紹介していただきたい。また、今後のあるべき姿というあたりは、 例えば知財を守るとか、最近は、経済安保の議論なども含めて、いろいろな議論が起こっ - 21 - てきている中で、なかなか簡単ではないと思います。情報セキュリティの議論もそうなの ですけれども、広く関連する事項について役所がいろいろまたがってやっていることを、 できるだけ政府の中で同じテーブルに載せて、体系立てて、分かりやすく御説明いただく ことは大切なことかなと思っております。大変抽象的な言い方で恐縮なのですが、総体的 な総姿の中で、不正競争防止法はどういう機能を果たすべきものなのか、ある程度分かり やすく示していただくことがすごく大事かなということで、ぜひ関係する政府間の連携、 制度間の連携をより一層図って、そういうものを外向きにお示しいただけるとありがたい なと思います。 ○岡村委員長 ありがとうございます。 様々な方から御意見を頂戴できたらと存じますが、ほかにいかがでしょうか。 事務局、会場からはどなたか手が……。 ○中山室長 こちらは、今のところは御意見がございませんが、よろしければ、3も併 せて御議論いただいても大丈夫かと思います。 ○岡村委員長 分かりました。 1つ、2つ、私の意見を申し上げますと、他の知財法の場合には、準物権的な排他的支 配権を付与するということで、いわば牛刀のような部分があるのに対して、この法律の場 合には、あくまでも不正行為規制ですので、小回りが利くと言ったら変ですけれども、そ ういったところがあるということ。それから、特許だけではなくて、ノウハウなどがなけ れば、実際にはプラスにならないような時代が来ているということを考えて、この法律の 持つ重要性はますます大きくなっていくのではないかと考えている次第であります。 それから、これは、今後のAI社会においても、うまく使えば、フェイク動画による企 業への誹謗などに使える余地があるのではないかと思ったりしておりますので、本質的な というものもさることながら、そのような小回りが利く行為規制ということを考えていく 余地もあるのではなかろうかと思っている次第です。 それも含めて、論点3に移って、御意見を聞きたいと思いますが、その前に、事務局か らは何か御意見などはありますか。 ○中山室長 御指摘いただきまして、ありがとうございます。 まず、1点目、畠山委員からございました体系的な整理をしていくというところは、非 常に難しい論点であると思うのですが、我々も、受け手側の皆さんの立場に立って、営業 秘密というところに特化するだけではなくて、どうやったら伝わるかといったところを、 - 22 - ほかの関連する施策の動向なども踏まえて、考えていけたらよいかなと思ってございます。 2点目、岡村委員長から御議論がございました、そもそも他の知財法と違う不正行為規 制であるというところも含めて、この瞬間、具体的に何かというわけではないですが、こ れだけ社会の変化が激しい中で、不正競争防止法に求められている役割は大きいかなと思 いますので、その点は、個々具体的な事案について、どうやって対応していくのかという ことも含めて、継続的に検討していきたいなと思っているところでございます。 以上です。 ○岡村委員長 ありがとうございます。 それでは、論点3の「中長期的に検討・対応すべき制度的課題はあるか。」という点に ついて、御意見を頂きたいと思います。その際に、論点2に触れていただくことも結構か と存じます。いかがでしょうか。 ○岡村委員長 ○林委員 では、林委員、お願いします。 いや、本来は、先生方をはじめ、研究者の先生方にぜひいろいろ教えを請い たいと思っていたのですが、沈黙に耐え切れず、口火を切らせていただきます。 まさに岡村委員長からもお話があったように、知財本部の新たな情報財検討委員会に私 も参加させていただいていたのですが、そこで、新たな情報財としてのデータをどう利活 用していけるかというところを議論した結果として、平成30年の不競法改正で限定提供デ ータの制度を入れましたし、また、ノウハウや営業秘密などの大きな漏えい事件、国際的 なものもあり、我が国における営業秘密漏えいに対する保護の強化をどうやっていくかと いうことで、数度にわたる法改正を行って、例えば、ディスカバリー制度のない我が国に おいても侵害立証が困難で「やられ損」にならないように、特に証拠の遍在が顕著な営業 秘密事案について、不競法5条の2という使用推定規定を入れたわけであります。 しかしながら、私の知る限りでは、不競法第5条の2の営業秘密の使用推定規定が適用 された判決例はまだ仄聞していないところでありますし、限定提供データ、まさにビッグ データを活用していくために必要な制度として設けたわけですが、実務としては一部では 使われているかもしれないのですが、見える形で事件になってきたものはないといったと ころであります。 しかも、AI、特に生成AIが始まってから、分からない形で、データが学習にも使わ れることについて、様々な議論が起こってきています。11月12日のデジタル行財政改革会 議(以下、デジ行)の事務局資料で、欧州と比べて我が国は、個別の手当ては一部してき - 23 - たものの、データの利活用についての基本的な考え方を整理してこなかったことで、いろ いろな問題が起こっていると整理し、データ利活用に関する検討会を今年中に設けて、来 年の夏をめどに、その報告をまとめることを発表されています。 先週の知財本部の構想委員会でも申し上げたのですが、知財の分野としては、中山信弘 先生が何十年も前に、「情報財」という言葉で知財を表現されてましたが、伝統的な知財 を超える新たな情報財であるデータについて、どう利活用していくのかというのは、我々、 知財分野の観点からも考えなければいけない点だと思っています。 デジ行での整理は、知財の観点だけでなく、様々な大きな観点でなされると思いますの で、並行して我々知財のほうでも、今、データの取扱いは契約で定めているわけなので、 データ利活用の契約をする上で、その阻害要因になっている点はどこなのかということを 調査して、その上で、課題解決についての方策を、欧州などでの先行している議論を参考 に、我々なりに整理していくことが必要ではないかと思います。 最終的に、それは不競法の中で落ち着くのか、それとも別の特別法のような形になるか は別として、データを活用しなければ、競争力も維持できないという時代なわけですから、 情報財の利活用、データ利活用を促進するように、知財分野からも検討し、発信していく べきではないかと思っています。 以上です。 ○岡村委員長 ありがとうございます。 今、本来、研究者の方に先に述べていただきたいといったこともありました。私から指 名させていただくのは大変恐縮ですが、田村先生、もし何かありましたら、一言頂けませ んでしょうか。 ○田村委員 そもそも情報財という捉え方が正しいかどうかということは大きな問題で す。一般論で申し上げますと、情報財として認識して、それに対して直接的に、法的に知 的財産としての適格性を与えて保護するというやり方と、実はもう一つのやり方がありま して、それは特に契約が中心になりますが、基本的には各当事者関係の規律に委ねて、そ の上で、契約で解決できない問題がある。経済学の用語を使うと、外部性ということです が、契約で、法的に見れば、特に第三者との関係ですね。契約できちんと規律できない、 契約だけでは縛れない第三者の債権侵害の問題などを持ち込んでもなかなかうまくいかな いわけですから、そういった第三者に対する効果を出させるために、知的財産法のような 法律を使うという2つの大きな方向性になります。前者をプロパティモデル、後者の関係 - 24 - 者の調整に委ねるという考え方をガバナンスモデルと言わせていただきますと、結局、ど ちらを取るのかということが最も重要です。 私の理解では、ヨーロッパでは、ビッグデータの時代を迎えて、一旦、データの生成の 保護について、1996年と同様に、プロパティモデルで話を進めようとしたのですが、いろ いろなところで大問題になって、それが挫折したという経緯があります。 他方、日本では、まさに不正競争防止法を舞台にして、2018年に限定提供データ保護を 設けましたが、そのときの皆さんのお考えは、そういう言葉は使っていませんけれども、 結局、出来上がった法制度は、プロパティモデルではなくて、ガバナンスモデルに分類で きるものです。だから、基本的には、不正に盗まれたり、不正に利用されたり、第三者が 不正に取得することは遮断していますが、そのなかで、いったいどのようなデータが保護 されるのかということは、あとはガバナンスモデルで、当事者間で事細かに決めていきな さいといった方策を採用しているのだと。言葉は使っていませんが、そのように位置づけ ることができるかと思います。 林委員からお話がありましたが、もし大きな方向性で考えていくということであれば、 私はガバナンスモデルのほうがよいと思っていますけれども、そのどちらがよろしいのか を決めた上で、今足りないところは何かということを決めていくべきなのかなということ であります。 限定提供データについて、訴訟がないことを憂えるべきかどうかということはよく分か りません。一つの見方としては、ガバナンスモデルが機能しているのかもしれませんので、 そこらあたりは慎重な見極めが必要かと思います。 ○岡村委員長 ありがとうございます。 林委員、今の田村先生の御発言に関して何かありますでしょうか。 ○林委員 いいえ、大変勉強になりました。私は、実務でデータ利活用がうまく進めば いいとだけ思っていまして、モデル的な理解をしていなかったので、大変素人的なことを 申し上げて申し訳ありません。 ただ、10年前、経産省の会議で、100社ぐらい集まるような組織の方から、データ利活 用が進まない原因として言われていた「データー・オーナーシップ」という言葉をいまだ にこだわっている方もいらっしゃる。例えば、今年の国プロの会議などでも、利用権の話 だということは分かった上で、結局は契約が進まない、話が堂々巡りで進んでいないとい うことを伺ったりすると、これは考え方を整理するなり何かをしないと、我が国は、アメ - 25 - リカと違って、法的にグレーだとビジネスを進められない。どんな小さな会社でも、レピ ュテーションリスクとかと言って、なかなか新しいことにチャレンジできない。アメリカ のように、何かをやってしまって、その後、クレームが来たら直すというのではなくて、 石橋をたたいて、ビジネスチャンスを潰すみたいなことがあるのではないかということを 最近も感じまた。データの話はデジ庁やデジタル行財政改革のほうで扱うというのではな く、知財本部でも議論すべきではないかということで、先週の構想委員会でも御提案した ところです。 ○岡村委員長 ありがとうございます。日本の場合は、どちらかというと、データプロ テクションは個人情報保護法が先行した形で、企業とすると、漏えいしたり、データに何 か不備があったときに叱られるというモデル、あるいは責任を取らされるというモデルで 進んできましたので、一層慎重になっているのも実情ではなかろうかと思います。 今の点に関連して、ほかの委員の方々からも御意見がありましたら賜りたいのですが、 いかがでしょうか。 ○田村委員 ○岡村委員長 ○田村委員 田村ですが、手を挙げております。よろしいでしょうか。 すみません。お願いします。 今のお2人のお話に関連してですが、データー・オーナーシップという考 えは、先ほどの私の分類で申しますと、プロパティモデルのほうに位置づけられる話で、 法的な応援で、誰が請求権者になるのかということを、特許権あるいは著作権のように決 めていくのがよいのではないかという考え方につながります。情報財という考え方も、そ ういう危険性が多少あるように私は思っております。 他方、ガバナンスモデルでいきますと、当事者間には様々な関係なり、また、保護すべ きデータをどのレベルでどのように保護するかということにも様々なものがある。そうい うことを考えると、当事者で決めることができないものについて、つまり、先ほどから申 し上げている第三者との関係、あるいは、決めたことに違反する方がどうしてもいるわけ で、当事者との関係でも、当事者の取決めに基本的に違反する行為について介入するとい ったタイプのガバナンスモデルの中のアプローチもあります。 伝統的には、日本に限らず、先ほど、ヨーロッパの96年のデータベースに関する特別立 法、そして挫折したデータ生成者の保護の改正案といったお話をしましたが、そういった 例外を除けば、データについては、千差万別ですので、基本的にはガバナンスモデルでや っていくのが国際的な潮流ではないかと思います。それが、日本で言えば営業秘密であっ - 26 - たり、限定提供データであったりして、営業秘密や限定提供データの定義はあまり事細か く決めないし、請求権者は誰かも事細かく決めない。しかし、契約が絶対及ばない第三者 のところと、契約が及ぶのだけれども、どうしても違反してくるところについて法が介入 していく場合、そこのところを規律する。規律の中で、当事者同士でしっかり契約、ある いは社内規則等で、どのようなものを保護していくのか、どのように保護するかを決めて いただくといったガバナンスモデルを採用していると理解しています。 例えば限定提供データについて、もし私が申し上げることがあるとすると、一つの政策 判断として、第三者の取得行為や使用行為について多少穴が開いているので、そういった ところについては穴を埋めていくというのが、現在採用されているモデルのなかでの規律 内の平仄を合わすという意味で残された課題なのかもしれません。 他方で、より大きく、一体どのようなものをどのように保護しているのかということは、 むしろ、現在のモデルでは当事者間、特に利害関係当事者間の調製に委ねることになって いますので、必要があるとすれば、むしろ契約をどうやって促進していくか、たとえばガ イドラインを作るのかという話となります。それをやるべき部隊がここかというと、今ま での伝統的な仕事の分担としては少し違うのではないかと思っています。 ○岡村委員長 ありがとうございます。 御意見はまだまだいろいろあろうかと思いますが、次の論点もございますので、さらな る御意見につきましては、個別に事務局へお寄せいただくこととして、次に、「『営業秘密 管理指針』の改訂方針について」の議論に入りたいと思います。 まずは、事務局から資料の説明をお願いいたします。 ○中山室長 ありがとうございます。資料5を御覧いただければと思います。 まず、2ページ目を開いていただきまして、今般、「営業秘密管理指針」について改訂 しようと考えてございますが、背景と方向性について御説明したいと思います。 「営業秘密管理指針」でございますが、もともとは、企業が営業秘密に関する管理強化 のための戦略的なプログラムを策定できるよう、参考となるべき指針として平成15年の1 月に策定されまして、最終改訂は平成31年の1月となってございます。 最終改訂から約6年が経過してございまして、この間、企業における情報管理の手法に ついては、クラウド技術・環境を前提とした管理が進んだり、企業における情報管理の在 り方が変化しているといった状況がございます。 このような状況を踏まえまして、クラウド技術・環境を前提とした管理が、どのような - 27 - 場合に営業秘密の要件の一つである秘密管理性を満たすのか、解釈の明確化が求められて いるというのが1つ目の論点でございます。 2つ目は、営業秘密該当性に関しては、秘密管理性、有用性、非公知性の3要件がござ いまして、従来、どうやって管理していたかという秘密管理性のところが議論の中心でご ざいましたが、近年、有用性や非公知性のところについても争点になることが増えている ところもございまして、こちらについても改めて解釈の明確化が求められているというこ とがございます。 こういった背景を踏まえまして、今回、クラウド状況下における判例の蓄積なども踏ま えて、営業秘密に関する秘密管理性について議論していただきたいということ。また、有 用性と非公知性の要件についても、参考状況を踏まえて、どうするべきかという御意見を 頂きたいというのが今回の背景・方向性でございます。 次、3ページ目に行っていただきまして、それぞれの項目について、具体的に方向性を 述べさせていただいているところでございますが、まず、秘密管理性のところは、先ほど 来申し上げていますとおり、今、企業において、クラウドで管理することが当たり前にな ってきているような状況下におきまして、秘密情報をクラウドで管理する場合に、アクセ ス権者を適切に制限していたとしても、公知情報と非公知情報がフォルダ上一緒になって しまうなど、自らの努力だけではなくて、サービスの性質上分けられないようなケースも 出てきている状況がございます。 一方、現行の「営業秘密管理指針」は、「合理的区分」と「その他の営業秘密管理措置」 ということで、合理的区分は、そもそも非公知情報と公知情報が分けてあることが大前提 に見えかねないような記載になってございまして、クラウドストレージ内でも、フォルダ の中でしっかり分けて管理しなくてはいけないのではないかという間違ったメッセージを 与えているおそれがあるのではないかというのが問題意識としてございます。 よって、方向性としては、秘密管理性は、様々な要件を見た上で判断されるべきもので ありまして、情報の合理的区分というのは、あくまで判断するための一要素であることを 明記してはどうかと考えているところでございます。 2点目の有用性のところは、秘密情報を不正に取得した者が、自身でその情報を有効に 活用できないものについて、有用性が認められるのかといった質問を我々受けるところで ございまして、また、近時の裁判例では、そのような主張もなされたといった状況がござ います。 - 28 - そちらを踏まえまして、秘密情報が営業秘密保有企業の事業活動に使用・利用されてい る情報であれば、不正取得した者にとって有用かどうかというのは関係なく、有用性が認 められることを明記してはどうかと考えているところでございます。 非公知性のところは2点ございまして、1点目は、技術の進展ということで、リバー ス・エンジニアリングによって情報を抽出した場合、当該情報が非公知性を喪失するかど うかといったところは、現行の「営業秘密管理指針」では、具体的な方向性はあまり書い ていなくて、判例上こうですということで、読んだ御自身に御判断いただくような形の記 載ぶりになってございます。なので、ここについても、今般、どういうケースで、どうい う概念の場合は、非公知性を喪失するかどうかといったところを明記してはどうかと考え ているところでございます。 最後、技術の進展などによって、例えば、第三者からのハッキング等によって、営業秘 密が、一般的な方法ではアクセスできないようなダークウェブに公表されるようなケース も出てきていますけれども、そうした場合に、非公知性が喪失するかどうかについて、現 行の管理指針では想定していない状況が出てきているところでございますので、そういっ た情勢を踏まえて、営業秘密がダークウェブに公表されたとしても、その一事をもって、 直ちに公知性が喪失するわけではないのではないかといったところを明記してはどうかと 考えているところでございます。 大きくこの3点、ポイントとして掲げさせていただいているところでございますが、4 ページ目以降に関連しているものを記載させていただいてございますので、こちらは御参 考という形にさせていただければと思います。 よろしければ、時間も限られていますので、私の説明は以上とさせていただきまして、 委員の皆様方の御意見を頂ければと思います。よろしくお願いいたします。 ○岡村委員長 ありがとうございました。 では、今の御説明の点につきまして、特に3ページについて、御意見を頂けましたらと 存じますが、いかがでしょうか。 セキュリティにも関わりますが、小松委員、何か御意見がございますか。 ○小松委員 秘密管理性について意見があります。次のページに絵があるのですが、合 理的区分が目に見えるような形になっている。このやり方は、6年前はこういうことも役 に立ったかもしれないのですが、近年の技術進展の中では、あまり参考にならないのでは ないかなと思います。 - 29 - 技術が進展していくたびにいろいろ変えていくのは、管理指針としても困るのではない かなと実は思っていまして、コアなところでないところは、ハンドブックのほうにいろい ろな例がありますということで、見せるといった形でやっていったほうがいいのではない かと思います。いつも後追いになってしまうのはあまりよろしくないかなと思いました。 もう一つあって、ここに書かれていないクラウドについてなのですが、ちょっと気にな っているのはリージョンの話で、例えばBoxなどはリージョンを選べますね。選べないの はGoogleだったかな(*注 現在はGoogleも選択可能です)。日本国内で情報管理が必要 なのではないかなと思っているのです。それは秘密管理性とはちょっと違うかもしれませ んが、環境的に、例えば個人情報保護の観点だと、リージョンによって必要な対策が異な ります。知らずに別の国に営業秘密が置かれているケースが多いのではないかなと理解し ていまして、そこはどのように解釈すればいいのかなというのが気になっているところで す。 さらに、セキュリティの観点からいうと、営業秘密に関しては事後の法的な支援と考え ていまして、そうすると、記録管理、いわゆるログは大切になると思うのです。環境とい う観点では、そのデータへのアクセスを誰がしたか、いつ誰が何を取ってきているかとい うログが、事後の事故を解析するのに非常に役に立つ。さらに、実際は不正者に対する抑 止力にもなる。可能であれば、その記録管理が重要というのも、これももしかしたらハン ドブックかもしれないのですが、強調していただきたいなと思います。 以上です。長くなりまして、すみません。 ○岡村委員長 ありがとうございます。 冨田委員から御発言希望がありますので、よろしくお願いします。 ○冨田委員 冨田です。ありがとうございます。 今回の改訂に関しましては、冒頭のスライドにも書かれておりますとおり、デジタル化 の進展などの社会の動きに対応し、解釈に疑義や誤解が生じないよう、明確化を図る作業 をタイムリーに行っていくことが重要だと私は考えてございます。 その上で、3ページにあります営業秘密の3要件の見直しの方向性を拝見しますと、近 年の職場実態や裁判例の蓄積を踏まえた提案がなされておりますので、基本的にはこの方 向感でよろしいのではないかと受け止めてございますが、次回以降、具体的な修正案をお 示しいただけると思いますので、それを拝見しながら、改めて、改正内容の適否について、 具体的な検討を進めてまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。 - 30 - 私からは以上です。 ○岡村委員長 ありがとうございます。 では、田村委員、お願いします。 ○田村委員 ありがとうございます。4ページに戻っていただいて、最初に「『営業秘 密管理指針』とは、不正競争防止法により営業秘密として法的保護を受けるために必要と なる最低限の水準の対策を示すことに特化したガイドライン。」と書いてあることに関し て、共通認識を持つ必要があるのではないかと思います。かつ、この共通認識が違うとい うのであれば、またそれで議論すべきではないかと思います。 これはかなり歴史のある話でして、最初につくった「営業秘密管理指針」は、セキュリ ティのレベルを高める実効的な秘密保護とはどういうものかという観点から書き過ぎてい まして、それが裁判所に対してあるメッセージを与えたために、裁判例で、営業秘密とし て法的保護を受けるためのハードルが一時期、ものすごく上がった時期がある。それは大 企業でもとてもやっていけない。先ほど中小企業の話がありましたが、大企業でも普通や っていないようなレベルのことが、当たり前のように「営業秘密管理指針」に書いてあっ た時代があります。それに対して経済界から非常に大きな批判があり、また、私も批判し たりした結果、「営業秘密管理指針」は、2015年でしたか、大きな方針転換をしまして、 実効的に、セキュリティとして、ここまですると安心だよという話ではなくて、法的保護 を受けるために、どの程度の秘密管理をすべきなのかといったメッセージを与えているの だといった発想に即した運用を提示することに方針転換しております。 実効的という言葉の理解の仕方なのかもしれませんが、とにかくお金をかけて、技術的 にものすごく頑張って、完全に守るというのも一つの考え方かもしれませんが、伝統的に は、営業秘密の法的保護というのは、すべて社会、法の負担にすると、それらはそれらで 大変ですから、ある程度合理的な配分で、ここまでは企業がやる、ここから先は法的な支 援をしてあげるといったイメージで出来上がった法律です。 アメリカで有名な裁判があって、まだドームみたいなことが現実的でなかった時代、逆 に衛星写真も現実的でなかった時代、化学工場の配置を隠すために高い塀を立てたところ、 セスナ機が上空から撮影をしたという事件がありました。そのときに、衛星写真がなかっ たという時代背景はありますが、完全に上部を覆う必要はない、それは当時としては合理 的でないとして、企業としては塀を立てるところまでやればよい、それに足らざる分は営 業秘密の保護法でカバーするといった形の役割分担ですね。当事者がなすべきセキュリテ - 31 - ィと、第三者が法的に守らなくてはいけないものという役割分担をした裁判例がありまし た。営業秘密に関しては、そういった発想でできているということです。 先ほどからのお話に関していえば、現在、この営業秘密管理指針については、営業秘密 保護法に頼らずとも完全に守ることができるという水準の話をしているのではないという ことについての共通認識があるのです。今、そういう共通認識があることを前提としたう えで、その共通認識の下で話をするか、あるいは、もしそもそもその共通認識がおかしい というのであれば、それを変えるべきでしょうといった話を専攻させるべきではないかと 思っております。ちなみに、私自身は、現在の共通認識でよいと思っております。 ○岡村委員長 ありがとうございます。 私も一委員であったときの当時の様子を覚えております。田村委員がおっしゃったよう に、「営業秘密管理指針」の中に、判例理論等々で、必要十分条件をみんな必要条件とみ なすような、少し誤解を与えるような表現があったことから、実務が非常に混乱した。そ こで、必要条件だけを記載すべきであって、十分条件までをいろいろ書き立てることは無 用な誤解を招くということで、その予防策などの十分条件に関しては別にしようではない かということで、「秘密情報の保護ハンドブック」を独立させるとともに、「営業秘密管理 指針」は非常にタイトな状態に絞ったと認識しております。それが当時の認識であり、か つ、方向性とすれば、それを前提に、今回、事務局からの御提案があったのではないかと 思います。 いずれにせよ、さらに具体的な案が出てこようかと思いますので、時間の関係もござい ますので、本日頂きました御意見につきまして、一旦、事務局で御整理いただいて、改訂 作業を進めていただくこととしまして、特に、パブコメの対象になる「営業秘密管理指針」 について、次回、具体的な改訂案を御用意いただいて、検討を進めていきたいと思います。 本日は、私はウェブ参加になってしまいましたが、次回はリアル参加にすることで、ス ムーズに進めたいと思っております。 最後に、今後のスケジュールにつきまして、事務局から御連絡をお願いいたします。 ○中山室長 本日はどうもありがとうございました。 次回の開催日程については、年明け、令和7年1月を予定しています。 詳細な時間・場所については、別途、事務局から委員の皆様に御連絡をさせていただき たいと思います。 議題については、今、委員長からも御発言がありましたが、「営業秘密管理指針」の改 - 32 - 訂などについて御議論させていただくことを思ってございます。 先ほど委員長からございましたが、最後、時間が少なくなってしまったこともありまし て、もしお気づきの点がございましたら、次回の会議でまた頂ければと思いますし、事前 に事務局に頂く形でも構いませんので、御意見を頂戴できればと思います。よろしくお願 いいたします。 以上でございます。 ○岡村委員長 ありがとうございます。 それでは、どうしても今日のうちに言っておきたいことがある委員がおられましたら、 お願いしたいと存じますが、特にございませんでしょうか。 事務局、議場からもございませんね。それでは、これをもちまして、第26回不正競争防止 小委員会を閉会といたします。本日はどうもありがとうございました。 ――了―― - 33 -

資料1

資 料 1 産業構造審議会 知的財産分科会 第26回 不正競争防止小委員会 議事次第 日 時:令和6年12月16日(月) 13:30~15:30 場 所:経済産業省 本館9階(東1-1)会議室 (オンライン併用) (議題) 1. 開会 2. 不正競争防止法を巡る状況について 3. 「営業秘密管理指針」の改訂方針について 4. 閉会 (配付資料) 資料1 議事次第 資料2 委員名簿 資料3 不正競争防止法を巡る状況について 資料4 知的財産推進計画2025に向けた取組等について(内閣府 進事務局資料) 資料5 「営業秘密管理指針」の改訂方針(案) 知的財産戦略推

資料2

資 料 2 産業構造審議会 知的財産分科会 不正競争防止小委員会 委員 ◎岡村 久道 国立情報学研究所 客員教授 京都大学大学院 医学研究科 講師、弁護士 河野 智子 ソニーグループ株式会社 知的財産・技術標準化部門 スタンダード&パート ナーシップ部 著作権政策室 国内渉外担当 小松 文子 ノートルダム清心女子大学 情報デザイン学部情報デザイン学科 教授 末吉 亙 KTS法律事務所 弁護士 杉村 純子 プロメテ国際特許事務所 代表弁理士 杉村 多恵 一般社団法人日本知的財産協会 常務理事 トヨタ自動車株式会社 知的財産部 知財企画室長 田村 善之 東京大学大学院 法学政治学研究科 教授 冨田 珠代 日本労働組合総連合会 総合政策推進局 総合局長 長谷川 正憲 一般社団法人日本経済団体連合会 知的財産委員会・企画部会 委員 キヤノン株式会社 知的財産法務本部 知的財産渉外第三部 部長 畠山 一成 日本商工会議所 常務理事 林 桜坂法律事務所 弁護士 いづみ 水野 正則 知的財産高等裁判所 判事 敬称略(50音順・12名) ◎:委員長

資料3

資料3 不正競争防止法を巡る状況について 令和6年12月 経済産業省知的財産政策室 1 目次 1.前回小委員会からの動き (1)各種資料の改訂 (2)周知活動の実績 (3)外国公務員贈賄に関するワーキンググループの開催 2.営業秘密を巡る近年の動向 (1)営業秘密関連の刑事事件・企業相談の推移 (2)令和5年以降の主な事案 (3)情報漏えいの傾向 3.営業秘密に関する取組み (1)従業員向けパンフレット「知っておきたい営業秘密」の作成・公表 (2)海外における営業秘密漏えい対策支援事業(中小企業アウトリーチ事業) 4.知的財産に関するその他の取組み 5.議論いただきたい論点 2 1.前回小委員会からの動き (1)各種資料の改訂 ⚫ 令和5年改正不正競争防止法の施行(令和6年4月1日施行)を踏まえて各種資料を改訂。 逐条解説(令和6年3月刊行) ・令和5年改正の改正事項を踏まえ て追記・修正 限定提供データに関する指針 (令和6年2月公表) ・令和5年改正(限定提供データの 定義(保護範囲)の見直し)に伴 い、指針の関連記載を修正 秘密情報の保護ハンドブック (令和6年2月公表) ・①「限定提供データ」の保護範囲、②使用 等の推定規定の拡充、③国際的な営業秘密 侵害に係る手続等に関する記載を追記 ・前回改訂以降に発出された「各種ガイドラ イン」(例:「水産分野における優良系統 の保護等に関するガイドライン」・ 「養殖 業における営業秘密の保護ガイドライン」 (水産庁))等を反映 ・AIの利活用が進展などの環境 変化に合わせて、意図しない 情報漏えいインシデントを防 ぐ上での留意点・流出リスク について記載の見直し 等 3 <参考>「秘密情報の保護ハンドブック」の改訂内容 (生成AIに関する記載抜粋) • 生成AIへの情報の不用意な入力を通じた、意図しない情報漏えいへの注意喚起 はじめに(「秘密情報の保護ハンドブック」冒頭) (略) 加えて、情報管理・利用のあり方は絶えず変化しており、AI(人工知能)を活用し た新たな情報利用・創出の場面が増えてきており、これらを活用することで業務の効率 化、新たなビジネスの創出など事業者・企業に有益なものとしてその普及・利用の拡大 が期待される。一方で、例えばAI開発におけるデータ学習時や外部の生成AIへの情 報の不用意な入力を通じて、意図しない情報漏えいにつながる懸念も皆無ではなく、情 報漏えいへの対策を講じながら新たなツールの効果的な利用を進めつつ、情報漏えいへ の対策を両立させることも重要といえます。 4 <参考>「秘密情報の保護ハンドブック」の改訂内容 (生成AIに関する記載抜粋) • 秘密情報の取扱い方法等に関するルール化についての記載 3-3 秘密情報の取扱い方法等に関するルール化(「秘密情報の保護ハンドブック」28頁) (1)ルール化の必要性とその方法 (略) ○ さらに、近年、AI技術の進展を踏まえて、外部の生成AIなどを事業・業務の中で利活用す る動きが増えていますが、利用しようとする生成AIなどの情報管理の状況、すなわち入力し た情報が社外に流出・公開等されてしまう可能性があるのかどうかを踏まえてこれらの利用の 当否を判断する、これらの利用に当たっては社外に流出されてしまったら困る情報は使用(入 力)しないといった対応を講じないと、秘密情報が社外に流出等してしまう可能性があります。 このため、生成AIなどを利用する場合には、予め許可された生成AIを用いるようにすると ともに、適切に定められた基準に基づいて予め許可された情報のみを使用(入力)するように すること等とするルールを定めることは、秘密情報の漏えい防止に効果があるため、生成AI などの利用に際して従業員が遵守すべきルールを定めることが必要です。 5 <参考>「秘密情報の保護ハンドブック」の改訂内容 (生成AIに関する記載抜粋) • 「秘密情報の保護」の視点からのAI利用に関するコラムを参考として記載 (参考)「秘密情報の保護」の視点からのAI利用(「秘密情報の保護ハンドブック」3頁) 近年の生成AIの進展に伴い、あまりAIを利用してこなかった多くの企業や組織においてもAIのビジネスへの活用がこれまで以上 に意識され、広い範囲で実際に業務への適用が始まっています。様々な業種の業務効率化を始め、利用の仕方によってはこれまでにな かった新しい事業も期待できるAIですが、大きくクローズアップされた利便性の傍ら、AIを利用する際には留意しなければならない 様々なリスクが存在します。活用するケースや環境ごとにどのようなリスクがあるのかについては、経済産業省から公開されている「A I原則実践のためのガバナンス・ガイドライン」等に、リスクを洗い出す分析に関する指針について述べられています。 そうしたリスクには、情報漏えいに直結するものもあります。機械学習に基づくAIは大量のデータを学習して入力データの分類・判 定を行いますし、生成AIは質問(プロンプト)により利用者が様々なデータを入力しながら利用します。例えば以下のようなシナリオ を考慮してみると、AIによる情報漏えいのリスクをイメージしやすくなるかもしれません。 ① 生成AI利用における組織のルール不備による情報漏えいリスク 組織における生成AI利用のルール化とその周知が遅れ、職員が個人で秘密情報保護に関する契約に不備がある生成AIを利用し、 営業秘密にあたる情報を学習させてしまった。 ② サプライチェーン(委託先)での情報漏えいリスク AIによる情報分析を委託する企業で、分析データの管理不備があり、分析を委託した営業秘密にあたる情報が漏えいした。 ③ AIの悪用による情報漏えいリスク AIの悪用によりフィッシングメールのなりすましが巧妙化して職員がだまされ、営業秘密にあたる情報が漏えいした。 AIの利活用が日々の業務により一層密接に関わってくる潮流の中、AIを利用する際は、「こうしたリスクがある」という前提に基 づき、自組織における営業秘密に関するAIの処理は何が想定されるのか、そうした処理に関するAI利用ルールやデータ管理ルールは どうなっているのか等の確認が必要です。AIを自社の業務やサービスに導入していない場合でも、個人が生成AIを利用する場合の ルールは重要です。自分のPCで営業秘密に関する質問をする、等の使い方は避けるべきでしょう。さらに、AIを直接利用しないとし ても、AIを悪用したフェイクコンテンツやなりすましによる営業秘密窃取のリスクが生じています。 AIの導入はさらに加速することが予想されますが、そのリスクについて最新の情報を収集し、組織のルールを作りながら効果的にA Iを利活用することが望まれます。 「AI原則実践のためのガバナンス・ガイドライン」 https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/ai_shakai_jisso/pdf/20220128_1.pdf 6 1.前回小委員会からの動き (2)周知活動の実績① ⚫ 令和5年改正の内容は多岐にわたっており、国会審議においても丁寧な周知について指 摘があったことを踏まえて、令和5年改正についての周知・啓発活動にも取り組んでき たところ。 ◆ 令和5年改正の改正事項全般についての説明会 ※前回小委以前に実施したものを含む。 ➢ 産業界 日本経済団体連合会、日本商工会議所・東京商工会議所、経営法友会、日本知的財産協会、 日本ライセンス協会、電子情報技術産業協会、日本製薬工業協会、日本鉄鋼連盟など ➢ 支援機関、関係行政機関など 独立行政法人工業所有権情報・研修館(INPIT)、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術 総合開発機構(NEDO)、日本弁護士会連合会(知財センター)、日本弁理士会、弁護士知 財ネット、第二東京弁護士会、札幌弁護士会、金沢弁護士会など ➢ その他 特許庁主催全国実務者説明会(全国20都市で開催) ◆ デジタル環境での形態模倣品提供行為(第2条第1項第3号)についての説明会 ※前回小委以前に実施 したものを含む。 ➢ デザイナー・ファッション業界等の関係者 日本デザイン団体協議会(公益社団法人日本インダストリアルデザイン協会、日本インテリ アデザイナー協会、日本グラフィックデザイン協会、日本ジュエリーデザイナー協会、日本 空間デザイン協会、日本パッケージデザイン協会、日本サインデザイン協会)、NPO法人 バーチャルライツ、日本アパレル・ファッション産業協会 ➢ 支援機関、関係行政機関など 7 日本特許情報機構(JAPIO)、日本知財学会 1.前回小委員会からの動き (2)周知活動の実績② ⚫ 営業秘密の保護・管理、漏えい防止に向けた説明会のほか、不正競争防止法に関する各 種の啓発活動を実施。 ◆ 営業秘密の保護・管理、漏えい防止に向けた説明会 ➢ 技術流出・安全保障貿易管理説明会 貿易局主催の説明会。外為法(機微技術取引)、産業競争力強化法(技術管理認証制度)と ともに、不正競争防止法の営業秘密管理・保護について国内の中小企業を対象に説明。 ➢ その他の説明会・講演 東京都知的財産総合センター、東北大学知財セミナー、日本労働組合総連合会(連合)、 デジタルリスクフォーラム、大阪府工業協会などにおいても、不正競争防止法の営業秘密 管理・保護について説明会・講演を実施。 ◆ 不競法に関するその他の説明会・講演 その他、執行を担う警察や税関向けの説明会・講演も年に複数回実施。 8 1.前回小委員会からの動き (3)外国公務員贈賄に関するワーキンググループの開催 ⚫ 令和6年10月、第9回外国公務員贈賄WGを開催。 ⚫ 外国公務員贈賄罪を巡る最近の動向や、企業における贈賄防止のための取組について 紹介するとともに、OECD外国公務員贈賄防止条約の対日審査への対応状況について 報告し、ご議論いただいた。 議題 委員名簿 (敬称略・50音順) 1.外国公務員贈賄を巡る最近の動向 今井 猛嘉 法政大学大学院法務研究科 教授 ・外国公務員贈賄罪の適用事例 梅津 英明 森・濱田松本法律事務所 弁護士 ・普及啓発活動の報告 五味 祐子 国広総合法律事務所 弁護士 佐伯 仁志 中央大学法務研究科 教授 水野 博章 日本貿易会 法務委員会 委員長 豊田通商株式会社 法務部長 西谷 祐子 京都大学大学院法学研究科 教授 和田 照子 日本経済団体連合会 国際経済本部長 2.企業における外国公務員贈賄防止のため の取組 3.OECD外国公務員贈賄防止条約 対日審査 への対応状況等 ・外国公務員贈賄罪の適用事例について のモニタリング 等 座長 (オブザーバー)警察庁、消費者庁、法務省、外務省 9 2.営業秘密を巡る近年の動向 (1)営業秘密関連の刑事事件・企業相談の推移 ⚫ 平成27年の不正競争防止法改正とともに、執行機関、相談・支援団体との連携を強化。 ⚫ 平成28年以降、警察、支援団体における営業秘密に関する相談(刑事事件化、内部の管理体制の確認・構築支 援)は、令和2年を除き漸増傾向であり、令和5年度は過去最高を記録。営業秘密の保護に向けて、関係者の認 知が進んでいる状況。 ・近年の営業秘密侵害罪(検挙件数・相談件数の推移) 検 挙 件 数 ※ 不 競 法 全 体 営 検 挙 件 数 業 秘 検挙人員数 密 侵 検挙法人数 害 事 犯 相談受理件数 平成25年 平成26年 平成27年 平成28年 平成29年 平成30年 令和元年 令和2年 令和3年 令和4年 令和5年 41 55 49 44 37 35 53 41 47 53 37 5 11 12 18 18 18 21 22 23 29 26 13 13 31 25 25 23 27 38 49 45 41 2 0 4 4 0 0 0 1 0 1 2 12 29 26 35 72 47 49 37 60 59 78 ※警察庁「令和5年における生活経済事犯の検挙状況等について」に基づき作成 ・INPIT(工業所有権情報・研修館)における営業秘密に関する相談窓口による個別企業支援(相談件数の推移) 1200 1000 831 800 966 666 600 400 800 910 450 430 519 250 200 ※INPIT/営業秘密官民フォーラム 資料をもとに経済産業省作成 0 平成27年度 平成28年度 平成29年度 平成30年度 令和元年度 令和2年度 令和3年度 令和4年度 令和5年度 10 2.営業秘密を巡る近年の動向 (2)令和5年以降の主な事案① ⚫ 依然として従業員・退職者による競業会社への営業秘密の持出し、海外への流出が散見される。 年月 令和5年2月 (刑事判決①: 令和5年5月 刑事判決②: 第一審 令和6年2月 第二審 令和6年10月 ※民事は係争中) 令和5年6月 (公判中) 令和5年6月 (判決:令和6年2月) 被害法人 事案概要 大 手 寿 司 チェーンの親 会社 【民事】 • 回転すしチェーン親会社A社の元幹部が、同業大手B社に転職し、A社時代の元同僚から商 品の原価や仕入れ先情報などに関するデータを受け取っていたとして、当該元幹部と転職先 の従業員、法人としての転職先企業が提訴された事案。(令和5年2月)現在係争中。 • 当該元幹部は、B社に転職後、B社の社長に就任していた。 【刑事】 • この事案の刑事裁判として、当該元幹部に対して懲役3年(執行猶予4年)罰金200万円の判 決。(令和5年5月) • さらに、転職先(B社)の従業員に対して懲役2年6月(執行猶予4年)罰金100万、転職先 企業(B社)に罰金3,000万円の判決。(令和6年10月) 国立研究開発 法人 【刑事】 • 「フッ素化合物」の合成技術に関する研究データを中国企業にメールで漏えいした疑いで、 国立研究開発法人に所属する研究員(中国籍)が逮捕された事案。(令和5年6月) • 研究データの提供を受けた中国企業は、約1週間後に中国で類似する内容について特許を出 願(当該研究員も発明者として記載あり)。 • 現在公判中。 大手硝子びん メーカー 【刑事】 • 大手硝子びんメーカーが独自開発した軽量ガラス瓶の成形技術(プログラム)を中国企業に不 正に売り渡す目的で不正入手し、個人メールに送信したとして、元従業員(中国籍)が逮捕さ れた事案。(令和5年6月) • この元従業員は、中国のガラスメーカーと技術ライセンス契約直後にプログラムを不正取得し、 当該中国のガラスメーカーから約1億9,000万円の振込を受けた。 • その後、元従業員に対し、懲役1年6月(執行猶予3年)、罰金100万円の判決。なお、海外重 罰規定である令和5年改正前の不競法21条3項1号が適用された。(令和6年2月) (出典)各種報道等を基に経済産業省作成。(令和6年12月16日時点) 11 2.営業秘密を巡る近年の動向 (2)令和5年以降の主な事案② ⚫ 依然として従業員・退職者による競業会社への営業秘密の持出し、海外への流出が散見される。 年月 令和5年9月 被害法人 事案概要 総合商社 【刑事】 • 総合商社の元従業員が、別の総合商社に転職した際に、元同僚のIDとパスワードを使用して、 自宅のパソコンから転職元の総合商社のサーバーに不正接続し、海外の自動車メーカーとの 取引台帳や、自動車部品の開発に関する資料など、3件のファイルをダウンロードしてパソ コンに保存した疑いで逮捕された事案。 • その後、元従業員に対し、懲役2年(執行猶予4年)、罰金100万円の判決。(令和6年8月) 大手電気通信 事業者の子会 社 【刑事】 • 大手電気通信事業者の子会社の元派遣社員が、岡山県内企業の顧客情報を不正に持ち出して名 簿業者にメールで漏えいしたとして、逮捕された事案。(令和6年1月) • 当該元派遣社員は、複数の名簿業者に約250回にわたり顧客情報を売却し、約2,500万円を受 け取ったとされる。 • 元派遣社員に対し、懲役3年(執行猶予4年)、罰金100万円の判決。(令和6年7月) 令和6年10月 大手電子部品 メーカー 【刑事】 • 大手電子部品メーカーに勤めていた元研究員が、国内外で開発競争が進む電子部品「MEMS」 の開発や材料などに関する研究データを、社有パソコンから私用のメールアドレスに送信し、 不正に持ち出したとして、書類送検された事案。(令和6年10月) • 持ち出されたデータは元研究員が所属する研究室のメンバーにメーリングリストで共有されて いたとされる。 令和6年11月 大手精密機器 メーカー 【刑事】 • 大手精密機器メーカーに勤めていた中国籍の元派遣社員が、営業秘密にあたる部品の資料を持 ち出したとして、不正競争防止法違反の疑いで逮捕された事案。(令和6年11月) • 精密機器の部品の改良を担当する部署に所属しており、内部調査を経て当該精密機器メーカー が令和6年5月に警察に告訴していた。 (判決:令和6年8月) 令和6年1月 (判決:令和6年7月) (出典)各種報道等を基に経済産業省作成。(令和6年12月16日時点) 12 2.営業秘密を巡る近年の動向 (3)情報漏えいの傾向 ⚫ 情報セキュリティへの脅威ランキングで、「内部不正による情報漏えい被害」が上位(第3位)。 情報セキュリティ10大脅威 2024 脅威ランキング 「情報セキュリティ10大脅威 2024」は、2023年に発生した社会的に影響が大きかったと考えられる情報セキュ リティにおける事案から、IPAが脅威候補を選出し、情報セキュリティ分野の研究者、企業の実務担当者など 約200名のメンバーからなる「10大脅威選考会」が脅威候補に対して審議・投票を行い、決定したものです。 ☞https://www.ipa.go.jp/security/10threats/10threats2024.html 順位 「組織」向け脅威 前年順位 初選出年 10大脅威での取り扱い (2016年以降) 1位 ランサムウェアによる被害 1位 2016年 9年連続9回目 2位 サプライチェーンの弱点を悪用した攻撃 2位 2019年 6年連続6回目 3位 内部不正による情報漏えい等の被害 4位 2016年 9年連続9回目 4位 標的型攻撃による機密情報の窃取 3位 2016年 9年連続9回目 5位 修正プログラムの公開前を狙う攻撃(ゼロディ攻撃) 6位 2022年 3年連続3回目 6位 不注意による情報漏えい等の被害 9位 2016年 6年連続7回目 7位 脆弱性対策の公開に伴う悪用増加 8位 2016年 4年連続7回目 8位 ビジネスメール詐欺による金銭被害 7位 2018年 7年連続7回目 9位 テレワーク等のニューノーマルな働き方を狙った攻撃 5位 2021年 4年連続4回目 10位 犯罪のビジネス化(アンダーグラウンドサービス) 10位 2017年 2年連続4回目 (出典)独立行政法人情報処理推進機構(IPA)「情報セキュリティ10大脅威 2024」(令和6年1月)及びIPA作成/営業秘密官民フォーラム資料に基づいて、経済産業省作成 13 2.営業秘密を巡る近年の動向 (3)情報漏えいの傾向 ⚫ 令和2年度に実施された「企業における営業秘密管理に関する実態調査2020」によれば、従業員・役員(現 職・退職者)を通じた漏えいが8割超に達している。 ⚫ 現役従業員等の誤操作・誤認(うっかり)による漏えいは前回調査(平成28年度実施)に比べ、約半減。他 方、中途退職者による漏えいは前回に比べ、増加(約4割)。 営業秘密の漏えいルート(経年比較) 現役従業員等の誤操作・誤認等による漏えい 7.6 8.0 現役従業員等のルール不徹底による漏えい 19.5 28.6 中途退職者(役員・正規社員)による漏えい 定年退職者による漏えい 1.8 1.0 0.9 国内の取引先や共同研究先を経由した(第三者への)漏えい 海外の拠点・取引先・連携先等を通じた漏えい 43.8 21.2 現役従業員等による金銭目的の具体的な動機を持った漏えい 契約満了後または中途退職した契約職員等による漏えい (n=113) 36.3 中途退職者による 漏えいは約4割 4.8 従業員等による 漏えいは8割超 11.4 2.7 0.9 営業秘密の開示を受けた第三者による漏えい 4.8 サイバー攻撃等による社内ネットワークへの侵入に起因する漏えい 外部者(退職者を除く)の立入に起因する漏えい わからない 8.0 2.9 2.7 4.8 6.2 9.5 その他 0.0 2016年 12.4 10.0 2020年 20.0 30.0 40.0 (出典)独立行政法人情報処理推進機構(IPA)「企業における営業秘密管理に関する実態調査」(令和3年3月)に基づいて、経済産業省作成 50.0 (%) 14 3.営業秘密に関する取組み (1)従業員向けパンフレット「知っておきたい営業秘密」の作成・公表 ⚫ 従来当室で作成・公表してきた啓発資料(「営業秘密管理指針」・ 「秘密情報の保護ハンドブック」・「ハンドブックのてびき」)は、 主として企業・研究機関において営業秘密管理を担う経営層・担当 者に向けた内容から構成されている冊子である。 ⚫ しかし、日々の業務で、実際に営業秘密に接する従業員等にとって、 ①どのような行為が不正競争防止法違反となるのか、 ②そもそも営業秘密とはどのような情報なのか、 ③普段から気をつけるべきことは何なのか、 といった従業員目線での留意事項の理解に資する啓発資料は、これ まで存在していなかった。 ⚫ 従業員向けのわかりやすい啓発資料の作成が要望されていたことか ら、関係団体と協議・検討を重ね、令和6年6月、本パンフレットの 公表に至った。 ⚫ また、昨今の外国人労働者数の増加等も踏まえ、本パンフレットの 英語版についても作成を行い、令和6年11月に当室HPにて公表し ている。 ⚫ な お 、 日 本 語 版 冊 子 に つ い て は、 令 和 6 年 12 月 16 日 時 点 で 、 6,000部以上を配布。 ⚫ 日本語版冊子は、当室HPにて郵送対応も受け付けており、希望者 に配布している(送料は申込者負担)。 【日本語版】 https://www.meti.go.jp/policy/economy/chizai/chite ki/pdf/shitteokitai_eigyohimitsu.pdf 【英語版】 https://www.meti.go.jp/policy/economy/chizai/chite ki/pdf/shitteokitai_eigyohimitsu_english.pdf 15 3.営業秘密に関する取組み (2)海外における営業秘密漏えい対策支援事業(中小企業アウトリーチ事業) 営業秘密の「予防」の観点から、営業秘密漏えい対策支援事業を実施。 ⚫ グローバル化により海外に進出する日系企業の増加、それに伴う技術情報等の漏洩リスクも増大している。 ⚫ 一方、中小企業を中心に、営業秘密管理の重要性認識や管理体制整備が不十分な企業は少なくない。 ⚫ そこで、在外日系中堅・中小企業を主なターゲットに、日本企業の営業秘密管理体制整備の支援を拡充させ、海外での技術・ノ ウハウの意図せぬ流出を防ぐことを目的として、平成31年度より本事業を実施している。 営業秘密漏えい対策支援事業 企業の漏えい対策フェーズ 中国、タイ、ベトナム、インドネシア、インド、欧州 のいずれかに拠点を有する日本企業 ・現在の管理体制のアセスメント ・管理職向けコンサルテーション または 日本企業の出資を受けている中国、タイ、ベトナム、 インドネシア、インド、欧州の現地法人 を対象に専門家によるハンズオン個社支援を実施。 ・工場やオフィスの管理体制の チェック ・フォローアップ面談 (メニューの例) ・現在の管理体制のアセスメント ・社内文書案の作成 ・管理職向けコンサルテーション ・社内文書案の作成 ・従業員向け社内研修 ・従業員向け社内研修 ・工場やオフィスの管理体制のチェック ・フォローアップ面談 (出典)令和5年度の事業実績 https://www.meti.go.jp/policy/economy/chizai/chiteki/pdf/forum/reiwa6/08_240628_JETRO.pdf https://www.meti.go.jp/policy/economy/chizai/chiteki/pdf/outreach_r5_report.pdf フェーズに併せた個別支援メニューを 受けられる! 16 4.知的財産に関するその他の取組み 知財ライセンスに関する調査・分析 ⚫ 平成21年度に、知的財産の価値評価及びロイヤルティ料率に関する実態調査を実施。 ☞ https://www.meti.go.jp/policy/intellectual_assets/guideline/list15.html ⚫ 改めて、現在の実態を把握するために、知的財産を活用する国内企業に対しアン ケート調査及びヒアリング調査を実施し、情報の整理及び分析を行う予定である。 【調査概要】 1.目的 ✓ 知財流通/知財価値評価の円滑化(知財譲渡やM&Aなどにおいて) ✓ ライセンス交渉活動の円滑化(特に中小企業や異業種間交渉におけるニーズ) ✓ 司法・行政判断をより実態を踏まえたものに(侵害訴訟における損害賠償額算出等) 2.調査対象 特許・商標出願等の知的財産活動を行っている企業・団体3,000者程度 3.アンケート概要 ① 自社のロイヤルティ料率に関する相場 ② ①の変動要因とその変動率 等 17 参考:デジタル化に伴うビジネスの多様化を踏まえた不正競争防止法の在り方(2023年3月) 営業秘密及び限定提供データに関するライセンシーの保護制度の創設(抜粋) オープン・イノベーションの進展等を背景に、自社で保有している技術(ノウハウ)やデータを他社にライセンスする機会が増加して いる。しかし、不競法には、特許法や著作権法等の知的財産権法において設けられている権利者から許諾を受けたライセンシーの保護に 係る規定がない。他方、実務上、営業秘密や限定提供データを対象とするライセンス取引が行われている中で、現行法では、ライセンス の対象となる営業秘密・限定提供データやこれに関連する事業が譲渡された場合やライセンサーが破産等してライセンス契約が管財人に より解除された場合、ライセンシーは、事業等の譲受人や破産管財人に対して当該技術やデータの使用継続を主張する権利・権原が当然 にはない。 このように、ライセンシーの地位が不安定であることを踏まえ、(中略)ライセンシーを保護するための制度整備が必要・期待される、 といった意見が多くあったため、今後具体的な制度整備について検討を進める、との方向性を示した。なお、具体的な対応方法について は、①営業秘密等を利用する利用権を新たに設定し、当該権利の対抗力を規定するアプローチ、②適用除外規定の整備(営業秘密保有者 等から取引によって営業秘密等を取得した者がその取引によって取得した権原の範囲内において当該営業秘密等を使用等する行為を不正 競争行為の対象から除外する、かつ破産法第53条第1項等の適用除外を規定する)を行うアプローチを提示し、制度の実現可能性、ライセ ンシー保護の安定性、実務への影響等の観点を踏まえつつ、今後具体的な検討を進める、との方向性を示した。 (中略) 営業秘密及び限定提供データに関するライセンシーの保護制度の措置にあたっては、法理論上なお整理すべき課題がある中で、特許法 等と同様の制度措置を行うことへの潜在的なニーズは存在するものの、現時点では実際のトラブル事例が顕在化していないことから、実 務の動向を注視し、取り得る措置について、関係省庁等と調整しつつ、引き続き検討を継続していく、との方向性を示した。 上記提案について、本小委員会においては、大きな異論がなく、了承された。 18 5.議論いただきたい論点 ⚫ 令和5年改正を含め、数年ごとに不正競争防止法の改正を実施することで、制度的手 当をしてきたところではあるが、より中長期的な視点で不正競争防止法のあるべき 姿等について議論いただきたい。 ➢ 営業秘密漏洩に関しては、近年相談・検挙件数の増加のみならず、従業員・退職者 からの漏洩が増加している。企業の営業秘密漏洩への関心が高まる中で、政府の取 り組みとして改善していく点はあるか。(例:様々なメディア媒体を用いた広報活 動の促進、エンフォースメント強化に向けた取組の推進、関係機関との連携等) ➢ 本年は令和5年改正を踏まえ指針や各種パンフレットの策定・改訂や周知・普及啓 発を中心に活動してきた。将来的な社会環境の変化を見据えた際に、過去の小委に おける議論を踏まえ、本質的な不競法のあるべき姿、課題等はあるか。 ➢ 政府全体の中長期的な視点に立った知財政策の方向性等を踏まえ、中長期的に検 討・対応すべき制度的課題はあるか。(例:AIなどの技術進展による新たな懸念へ の対応等) 上記の論点に限らず、ご自由にご議論いただきたい。 19 <参考> 今後の予定(案) 日 程 議 第26回(第1回) 12月16日 (本日) 第27回(第2回) 令和7年1月後半 題 ⚫ 不正競争防止法を巡る状況について(報告) ⚫ 「営業秘密管理指針」の改訂方針(案)について ⚫ 「営業秘密管理指針」の改訂案 ⚫ その他 (「営業秘密管理指針」の改訂案に関するパブリックコメント) 第28回(第3回) 令和7年3月後半 ⚫ パブリックコメントの結果と改訂内容のとりまとめ ⚫ その他 20

資料4

資料4 知的財産推進計画2025に向けた取組等について 令和6年12月16日 内閣府 知的財産戦略推進事務局 1 アジェンダ 1.IPトランスフォーメーション ~新たな知的創造サイクルの構築に向けて~ 2.生成AIと知的財産権に関する取組について 2 1. IPトランスフォーメーション ~新たな知的創造サイクルの構築に向けて~ ① 今後の知財戦略の方向性 日本の競争力の現状 ・ 環境変化や主要国動向を踏まえて知財戦略を推進するも、日本の競争力は長期的に低落傾向 ・ グローバル化とデジタル化への遅れが顕著な課題。両課題解決への新たな発想転換が知財戦略でも必要 グローバルイノベーション指数(GII)ランキング 1 4 7 10 13 16 19 22 25 28 31 34 37 40 43 2009201020112012201320142015201620172018201920202021202220232024 9 13 20 25 22 21 19 16 14 13 15 16 13 13 13 13 競争力の低下 グローバル化の遅れを示す図 グローバル化の遅れ スイス シンガポール 米国 韓国 日本 中国 出典:WIPO「Global Innovation Index 2024」 出典:経済産業省 「経済産業政策新機軸部会 (第3回)」資料4(2022年2月) デジタル化の遅れ 出典:経済産業省 「デジタル時代の人材政策に 関する検討会(第5回)」資料3-1(2022年3 月)、及び、IMD世界デジタル競争力ランキング ・ コンテンツ産業やクールジャパン関連産業は大きく発展。日本の国家ブランドや魅力は世界トップクラスに ・ 他方、グローバルでの収益拡大については課題であり、知財マネジメント高度化の必要性 コンテンツ産業の発展 クールジャパン関連産業の発展 出典:内閣府 「新たなクールジャパン戦略」(2024年6月) 世界トップクラスの 国家ブランド 出典:経済産業省 「経済産業政策新機軸部会 第3次中間整理参考資料集」(2024年6月)5 今後の知財戦略の方向性 将来的には以下の環境変化も起きると想定(詳細は前回会議資料を参照) ①イノベーション人材の減少 人口減少に伴いイノベーション人材 (知財創造人材)も減少見込み 出典:総務省「情報通信白書 令和3年版」 ②グローバル市場の成長 国内市場は頭打ちとなる一方、 グローバル市場は引き続き成長 出典:経済産業省「通商白書2024」概要版 (2024年7月) ③革新技術の進展 AI技術の急速な進展と社会経済システムへの 大きな変革が見込まれる 出典:科学技術振興機構研究開発戦略センター 「人工知能研究の新潮流2」(2023年7月) 日本の競争力の現状(前頁)と将来の環境変化(上記)を踏まえた今後の知財戦略の方向性 日本の競争力の現状 将来の環境変化 グローバル化の遅れ イノベーション人材減少 デジタル化の遅れ グローバル市場の成長 コンテンツ・CJの発展 革新技術(AI)の進展 ・イノベーションをリードするには国内のみでの対応はもはや限界。 グローバル知的資本の積極的誘引(含 人材・拠点) 、 AIの積極活用等を前提に新たな知的創造サイクルを検討 ・コンテンツ/CJ関連産業の発展に伴い向上する日本の国家 ブランドや魅力を、日本の貴重な知的資本として再認識し、 グローバル知的資本の誘引にフル活用 6 今後の知財戦略の方向性 新たな知的創造サイクル(案) ・世界は高付加価値経済に転換。付加価値の源泉は知的資本そのもの、知的資本の活用が問われる時代へ ・日本の知的資本(技術力、コンテンツ力、国家ブランド等)をフル活用してグローバル知的資本を誘引・集積するとともに 付加価値創出にAIを積極活用。誘引したグローバル知的資本も巻き込みながらグローバル展開を強化 ・グローバルでのマーケティングや収益最大化を強く意識した「創造」「保護」「活用」の強化 国内外の社会課題の解決を図る「新たな知的創造サイクル」の構築。 施策例 創造人材の強化・ダイバーシティの実現 ex. ダイバーシティの実現(含む、グローバル人材の取込み) ex. 創造教育の一層の促進・博士人材の活躍 ex. 優先的な研究開発領域の特定・リソース投下 ex. クリエイター支援(労働環境等整備) 創造 知財・無形資産投資の促進 ex. 知財・無形資産投資の可視化を通じた資金獲得の促進 (企業・大学) ex. 大学発知財の取扱いの明確化 ex. 経営と知財の一体化 知的資本 グローバル知的資本を 誘引する日本の魅力 活用 保護 AI 知的資本(活用人材/拠点/知) 国際的に求心力ある制度・システムの実現 ex. 知財制度のレビュー・強化の検討 ex. 外国語出願対応の強化 ex. 東南アジア諸国等への積極的な知財システムの普及 グローバル市場の獲得 ex. IP(コンテンツ)を核とする経済圏の確立 ex. 知財マネージメントの高度化(契約交渉・経営等) ex. 標準戦略に基づく市場獲得 7 ②イノベーション拠点としての競争力強化 イノベーション拠点としての競争力強化(総論) 目指す姿 ○アジアにおける一大研究開発拠点・イノベーションハブとしての地位の確立。 ○知的資本(知、技術、資金)の国内への集積。 ○知的財産・無形資産を最大限活用して成長する「価値創造大国」へ。 → 「コストカット型経済」から「高付加価値型経済」への転換の実現。 課題と「対応強化」の方向性  人口減に伴う創造人材の減少 ※発明集中年代は将来に亘って減少。国内人材の底上 げ・グローバル人材の取り込みが課題。  研究者数の低迷 ※研究者にとって魅力ある環境整備(報酬・ダイバーシティ 等)が課題か。  研究開発費の伸び悩み/無形資産比 率の割合の低迷 ※知財・無形資産の価値を財務諸表と紐づけ、その重要 性を語ることができる経営人材の少なさ。  欧米に比して低い海外特許出願比率 ※市場規模が影響か。イノベーションハブを支える特許制 度・システムの強化。 * は、主に下部部会で議論頂く項目。 <創造人材の強化・ダイバーシティの実現> • ダイバーシティの実現(含む、グローバル人材の取り込み) • 創造教育の一層の促進・博士人材の活躍 • 優先的な研究開発領域の特定・リソース投下 • クリエイター支援(労働環境等整備) <知財・無形資産投資の促進> • 知財・無形資産投資の可視化を通じた資金獲得の促進 • • (企業・大学) 大学発知財の取扱いの明確化 経営と知財の一体化(特に、価値創造の牽引役としてが期待される スタートアップへの知財戦略の組み込み) <国際的に求心力ある制度・システムの実現> • 知財制度のレビュー・強化の検討 • 外国語出願対応の強化 等 <グローバル市場の獲得> • IP(コンテンツ)を核とする経済圏の確立 • 知財マネージメントの高度化(契約交渉・経営等) • 標準戦略に基づく市場獲得 9 ③AIの利活用による知的創造サイクルの加速化 AIの利活用による知的創造サイクルの加速化 目指す姿 ○AIの利活用推進による生産性向上・創造活動の迅速化。 ○日本に「強み」がある分野でのAI開発の促進とこれによる価値の創造。 ○獲得した経済価値の創造活動への再投資 →(人口減少下にあっても)強靭な知的創造サイクルの構築。 課題と「対応強化」の方向性  AIを利用した発明創作等の知財制度・ 運用上の考え方が不明確  クリエイター・権利者の懸念  生成AIの積極利用に慎重な傾向 <AI開発者との共同発明時の考え方の整理> • 発明創作に貢献した生成AIの開発者も貢献度によって は発明者になり得ることを確認し、AI開発者の地位を明 確化することを検討。 <クリエイター・権利者の懸念への対応> • 「AI時代の知的財産検討会」における考え方の普及・啓 発の促進。 • 生成AIにおける俳優や声優等の肖像や声の利用・生成 に関する法制上の考え方の整理。 <AI利用による知的創造サイクルの加速化> • 知的創造活動への積極的な活用の推進 11 2.生成AIと知的財産権に関する取組について 12 1.知的財産推進計画2024(AIと知的財産権)  知的財産権の侵害リスクへの対応等については、AIガバナンスの取組との連動が必要。  関係府省庁の連携による周知啓発、関係者の垣根を超えた共通理解の醸成により、幅広い 関係者の主体的な取組を促進し、AI技術の進歩と知的財産権の適切な保護が両立する エコシステムの実現を図る。 現状と課題 ○ AI技術の進歩やAIのマルチモーダル化により、知的財産権侵害リスクに対する懸念が増加。 ○ 知的財産権侵害リスクに対する懸念増加を受けて、 著作権法、意匠法、商標法、 文化審議会著作権分科会法制度小委員会「AIと著作権 不正競争防止法 等 に関する考え方について」(2024年3月15日:文化庁)及び AI時代の知的財産権検討会「中間とりまとめ」 (2024年5月:内閣府)を公表。 ○ 安全性、公平性、透明性といったAIガバナンスの取組 の中で、AI技術の進歩と知的財産権の適切な保護が両立 するエコシステムの実現を目指し、AI開発者、AI提供者、 利用者、権利者等の関係者が、法・技術・契約の各手段 を適切に組み合わせながら、連携して機動的に取り組む ことの必要性を確認。 今後の予定(方向性) ○ AI技術の進歩の促進と知的財産権の適切な保護が両立するエコシステムの実現に向けて、 生成AIに関わる幅広い関係者による主体的な取組を促進。 ○ 各知財法と生成AIとの関係性の明確化等に向けた継続的な対応(各知財法と生成AIの関 係についてのわかりやすい周知等)。 13 2.最近の動きと今後の課題(AIと知的財産権) 最近の動き(主な例) 日本国内の動き(民間の動き) • 声優等の音声データを管理及びデータの追跡、透明性の確保を実現するための団体として、日本音声AI学習データ認 証サービス機構(以下、AILAS)を設立(2024年6月25日)(https://ailas.or.jp/) • 透明性を確保するため権利者から改編等の許可がある画像データのみを学習した画像生成AI「CommonArt β」を AI Picasso社が公開(2024年9月9日)(https://www.itmedia.co.jp/aiplus/articles/2409/09/news157.html) • 多言語化したAI音声の世界展開に向けて青二プロダクションとAI音声プラットフォームサービスを提供するCoeFont社 がパートナーシップを締結(2024年10月7日) • (https://news.yahoo.co.jp/articles/bab77d5400e9b7a60af7c12c60d07579461fced4) 協同組合日本俳優連合等の3団体が音声生成AIへの声の無断学習やAI生成物の音声を使用する際に事前に許 諾を求める等の声明を会見発表(2024年11月13日) (https://news.yahoo.co.jp/articles/db4575856961f2a2112ebea799e42d9ae6905a29) 外国の動き • 米国著作権局は、著作権とAIに関する報告書の第1部を公表し、無許諾によるデジタルレプリカの意図的な頒布から 個人を保護する連邦法を制定することを推奨(2024年7月)(https://www.copyright.gov/ai/) • YouTube社は、歌声を模倣的に作出した生成AIコンテンツを自動検出する新たな技術(合成歌声特定技術)を開 発したこと(2025年にパイロット・プログラムを計画)、顔を映したAI生成コンテンツを検出・管理できるようにする新技 術を開発中であることを発表(2024年9月5日)(https://blog.youtube/news-and-events/responsible-ai-tools/) 日本政府における主な動き • AI技術の進歩の促進と知的財産権の適切な保護が両立するエコシステムの実現に向けて、 生成AIに関わる幅 広い関係者による主体的な取組を促進 【文化庁】 「AIと著作権に関するチェックリスト&ガイダンス」を公表(令和6年7月) 関係当事者間における(AI と著作権に関する関係者ネットワーク)コミュニケーションの実施 (令和6年4月~:4回開催済み) 【経産省】 コンテンツ制作のための生成AI利活用ガイドブックの公表(令和6年7月) 【内閣府】 AI時代の知的財産権検討会「中間とりまとめ」の手引きを公表(令和6年11月) • 知財法所管省庁における知財法と生成AIとの関係性の明確化等に向けた継続的な対応 【経産省等】肖像や声等の利用と不正競争防止法等との関係につき、考え方を整理 【特許庁】 AI技術の進展を踏まえた発明の保護の在り方について調査事業を実施しつつ検討 14 3.「AI時代の知的財産権検討会 中間とりまとめ」の手引きの公表 〇 内閣府知的財産戦略推進事務局では、AI時代の知的財産権検討会「中間とりまとめ」 (2024年5月)のポイントを、権利者の視点から紹介し、解説するものとして、 「権利者のための手引き」を作成・公表(2024年11月15日)。 〇 この手引きでは、「中間とりまとめ」が示す AIと知財が両立するエコシステムの内容 と、その実現のために権利者に期待される取組事項例を解説。あわせて、そのような 取組を実践していく上で理解しておきたい ①法的ルール、②技術による対応、③契約 による対価還元、の各手段のポイントを解説。https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/chitekizaisan2 024/2411_tebiki.pdf 政府によるガイドライン等の概観 AIと知財・コンテンツ AIと著作権に 関する考え方・手引き 内閣府/AI時代の知的財産権検討会 AI時代の知的財産権検討会「中間とりまとめ」 文化庁/文化審議会著作権分科会法制度小委員会 「AIと著作権に関する考え方について」 AIと著作権に関するチェックリスト&ガイダンス AI全般 AIと知財に関する 権利者向け手引き 生成AIの利活用ケース 経済産業省(文化創造産業課) や留意点等を紹介 「コンテンツ制作のための 生成AI利活用ガイドブック」 総務省・経済産業省 「AI事業者ガイドライン(第1.01版)」 AIガバナンスの 統一指針 「AI時代の知的財産権検討会 中間とりまとめ」及び本手引きが示す考え方 生成AIと知的財産権の望ましい関係の在り方 法・技術・契約の各手段は相互補完関係 AIガバナンスの議論との連動 法 生成AIに対する懸念は、必ずしも知財法が保護 対象として明記していないものの利用・生成に関す る懸念(労力・作風等)等も、複合的に関わる 契約 技術 懸念等への対応策は、安全性、公平性、透明性 といったAIガバナンスの取組の中で、生成AIに関わ る幅広い関係者が、法・技術・契約の各手段を適 切に組み合わせながら連携して取り組むことが必要 AI技術の進歩と知的財産権の適切な保護が両立するエコシステムの実現 コンテンツ創作者にとって信頼できる開発者の下に良質なデータが多数集積し、 高度な生成AIが開発・提供されることで、新たな創作活動につながる好循環 AI開発者、AI提供 者、権利者(クリエイ ター等)、AI利用者 (業務利用者・一般 利用者)の各主体 に期待される 取組事項例を記載 権利者に期待される取組事項例 ❶ 生成AIと知的財産権に関する情報の収集等  生成AIの仕組みや特徴の理解/生成AIと知財法に関する法的ルール等の理解 ❷ AI学習との関係における必要な対応策の検討 (1) 積極的にAI学習用にデータを提供したい場合(オプトイン)  追加的学習(ファインチューニング)のため学習データを提供/ AI学習用データセット提 供に関する契約締結/ 提供先以外によるAI学習用データ取得の回避の工夫 (2) 他者により自己データがAI学習されないようにしたい場合(オプトアウト)  「robots.txt」の記載/ 学習を妨げる技術の利用/ 自らが生成AIを開発・利用 等 【参考】AI時代の知的財産権検討会「中間とりまとめ」について 【開催趣旨】 ○ 様々なAIツールが生み出され、普及していく中にあって、それらの開発・提供・利用を促進し、我が国 経済社会の発展につなげていくためにも、生成AIの懸念やリスク等への対応を適切に行う必要がある ○ このことを踏まえ、AIと知的財産権等との関係をめぐる課題への対応について、関係省庁における 整理等を踏まえつつ、必要な対応方策等を検討するため、「AI時代の知的財産権検討会」を開催 基本的視点 (1)産業競争力強化の視点 (2)AI技術の進歩の促進と知的財産権の保護の視点 (3)国際的視点 主な検討課題 Ⅰ. 生成AIと知財をめぐる懸念・リスクへの対応等 ・著作権との関係 等 Ⅱ. AI技術の進展を踏まえた発明の保護の在り方 委員構成 〔座長〕 渡部俊也・東京大学執行役・副学長 未来ビジョン研究センター教授 * AI技術研究者、AI開発・ビジネス事業者、コンテンツ関係従事者、 知財法研究者、法曹実務家を含む、計13名で構成 * オブザーバー:内閣府(CSTI)、文化庁、経産省、特許庁 法務省、総務省、公正取引委員会、外務省 開催経過 第1回(2023年10月4日) ・開催趣旨・背景 ・本検討会において検討すべき課題 第2回(2023年10月18日) ・ヒアリング(JASRAC、日本知的財産協会、AI Picasso) ・議論 第3回(2023年11月7日) ・ヒアリング(日本マイクロソフト、日本新聞協会、特許庁) ・議論 第4回(2023年12月11月) ・ヒアリング(レベルファイブ、文化庁、経産省) ・意見募集結果公表 〔意見募集:10月5日~11月5日〕 ・論点整理(議論の振り返り) 第5回(2024年1月26日) ・残された論点等について検討 第6回(2024年3月21日) ・ヒアリング(文化庁、経産省) ・横断的見地からの検討 ・中間とりまとめ骨子(案) 第7回(2024年4月22日) ・中間とりまとめ(案)の検討 中間とりまとめ 公表 (5月28日) 17 AI時代の知的財産権検討会 中間とりまとめ 構 成 ※AI技術の更なる進歩など、様々な前提の変化によって変わり得るところであるが、必要に応じて行う各所管省庁 での更なる検討・議論にも資するよう、とりまとめたものである。 Ⅰ. はじめに 1.背景 2.現状(①生成AIの動向、②生成AI技術の概要、③生成AIをめぐる国際的動向) 3.検討課題(⇒検討課題Ⅰ及び検討課題Ⅱ) Ⅱ.基本的視点 1. 産業競争力強化の視点 2. AI技術の進歩の促進と知的財産権の保護の視点 3. 国際的視点 Ⅲ. 検討課題Ⅰ(生成AIと知財をめぐる懸念・リスクへの対応等について) 1.法的ルール(①著作権法との関係、②著作権法以外の知的財産法との関係) 2.技術による対応 3.契約による対応(対価還元の在り方) 4.その他個別課題(⇒知的財産法の視点から) (①労力・作風の保護、②声の保護、③デジタルアーカイブ、④ディープフェイク) 5.横断的見地からの検討 法 技術 契約 Ⅳ. 検討課題Ⅱ(AI技術の進展を踏まえた発明の保護の在り方について) 1.AIを利用した発明の取扱いの在り方 2.AIの利活用拡大を見据えた進歩性等の特許審査上の課題 Ⅴ. おわりに 知財とAIガバナンスの観点を踏まえたエコシステムの実現に向けて、関係省庁連携による周知啓発や AI事業者等の各主体による取組促進への期待 18 検討課題Ⅰ(生成AIと知財をめぐる懸念・リスクへの対応等) 1.著作権/著作権以外の知財(意匠、商標、不正競争防止法)との関係 著作権法 学習段階 文化審議会著作権分科会にて審議  原則として、許諾不要(30条の4) 【例外】(以下の場合は許諾が必要)  「享受目的]と「非享受目的」が併存 (例)学習データの創作的表現を出力させる目的  著作権者の利益を不当に害する場合 (例)AI学習用に整理されたデータベース著作物 生成・ 利用段階  著作権侵害の判断:〔類似性+依拠性〕  生成AI利用者 ⇒ 直接の侵害行為主体 ・ AI学習用データに既存の対象著作物が含まれ る場合は、依拠性が推認 ⇔ 学習データの創作的表現が生成されない 技術的措置が講じられていることを主張 することで、依拠性は否定される  生成AI事業者 ⇒ 侵害行為主体として責任を負う場合がある ・ 例えば、既存著作物の類似物を生成する蓋然 性の高さを認識しながら、その生成の抑止措置 を取っていない場合は、責任の可能性が高まる 法 著作権法以外の知財 意匠/商標/不競法(商品等表示・商品形態模倣)  規制の対象外 不競法(営業秘密・限定提供データ)  営業秘密・限定提供データの不正取得 又は不 正取得したものの使用・開示等は、不正競争防 止法の規制対象  秘密保持義務を負わない事業者の提供する外 部の生成AIサービスに情報を入力して、秘密管 理性や限定提供性を喪失した場合などは保護の 対象外 意匠/商標/不競法(商品等表示・商品形態模倣)  権利侵害(違法性)の判断:〔類似性〕 (例外)商品形態模倣規制は、〔実質的同一性 + 依拠性〕 【関連】 AI生成物の保護について • • 人の創作を保護の前提としない「商標法」及び 「不正競争防止法」(商品等表示規制・商品 形態模倣規制)は、AI生成物も保護対象 人の創作を保護の前提とする「著作権法」及び 「意匠法」は、人の創作的寄与のないAI生成物は 保護の対象外  他方、AI技術の急速な進展による意匠制度・ 審査実務への影響等につき、今後検討が必要 19 2.技術による対応 3.対価還元の在り方 技術 契約  考えられる技術例等  考えられる方策例等  AIが生成したコンテンツを利用者が識別できる仕組み ・ AI生成物であること等の表示(例:電子透かし)  フィルタリング ・ 類否判定/AI入出力抑制  自動収集プログラムによる収集を拒絶する技術 ・ 「robots.txt」の記載による収集制限 ・ ID・パスワード等によるアクセス制限 ⇒ 法律による担保(不正アクセス禁止法)  画像に特殊な処理を施すことで学習を妨げる技術 ・ 学習を妨げるノイズを画像に付与  学習元コンテンツの個別追跡・除外の可能性 ・ 基本的に再学習が必要 等  追加学習(ファインチューニング)のための学習 データ提供  クリエイター自身が生成AIを開発・提供 ・ 生成物の利用条件等をあらかじめ明確にしておく必要  クリエイター自身が創作活動において生成AIを活用 ・ AI生成物の著作物性の有無や侵害回避の必要性等  権利制限規定の有無に関わらず、対価還元の 当事者間の有効な契約の効力は妨げられない ⇒ 法律による担保(許諾が必要な範囲の明確化等) ⇒ 技術による担保(自動収集プログラムによる収集 拒絶等) 4.その他個別課題 (1)労力・作風の保護 (2)声の保護 (4)ディープフェイク ●労力・作風それ自体は、著作権法に よる保護の対象外  ただし、学習データの著作物の創作 的表現を出力させる目的があると 評価される場合は、著作物の利用 について許諾必要(著作権法30 条の4関係) ●パブリシティ権での保護の可能性 ●知的財産法による保護は、限定的 (著作隣接権、商標権、不競法) ●なりすましにつき、詐欺罪等の対象 ●著作権等の侵害(ただし、多くの 場合、本来の知財法の保護法益 と異なることに留意) ●肖像権・パブリシティ権(裁判上 の権利)の保護の可能性 ●限定提供データ等は不競法で保護 ●一般不法行為責任の成否は議論 あり (3)学習用データセットとしてのデジタ ルアーカイブ整備 ●まずはパブリックドメインのデータや 公的機関が著作権を有するデータ、 権利処理済みデータを中心に検討  肖像権:社会生活上受忍の限度を 超えるかを総合的に判断  パブリシティ権:専ら肖像等の有す る顧客吸引力の利用を目的とすると いえるか否かで判断 ●他にも、名誉毀損罪 20 5.横断的見地からの検討 生成AIと知的財産権の望ましい関係の在り方 法・技術・契約の各手段は相互補完関係 AIガバナンスの議論との連動 法 生成AIに対する懸念は、必ずしも知財法が保護 対象として明記していないものの利用・生成に関す る懸念(労力・作風等)等も、複合的に関わる 契約 技術 懸念等への対応策は、安全性、公平性、透明性 といったAIガバナンスの取組の中で、生成AIに関わ る幅広い関係者が、法・技術・契約の各手段を適 切に組み合わせながら連携して取り組むことが必要 AI技術の進歩と知的財産権の適切な保護が両立するエコシステムの実現 【取組例】 AI開発者 コンテンツ創作者にとって信頼できる開発者の下に良質なデータが多数集積し、 高度な生成AIが開発・提供されることで、新たな創作活動につながる好循環 AI提供者  良質なデータを用いた学習 (⇒ 可能な場合において、機械学習 用データのライセンス市場を通じた データ収集と対価還元)  知財侵害物の出力を防止する 技術的措置の採用 AI利用者 (業務利用者) 権利者  信頼できる生成 AIサービスか否か の確認  AI提供者が意図 した範囲内で 適正利用  知財・AIの基礎 理解とデータの 適正管理  必要に応じ、相 談窓口の活用 業務外利用者 (一般利用者)  生成物の 個人的・ 家庭内での 使用 21 検討課題Ⅱ(AI技術の進展を踏まえた発明の保護の在り方) 1.AIを利用した発明の取扱いの在り方 発明者 = 発明の技術的特徴部分の具体化に創作的に関与した者  現時点では、AI自身が自律的に創作活動を行う段階であるかは定かではなく、AIを自然人が 利用した発明創作活動が一般的  この場合、特許法の運用においては、AIを利用した自然人について、従来の発明者認定の考え 方(発明の特徴的部分に関与した度合いに応じて発明者を認定する考え方)が適用できると 考えられる 2.AIの利活用拡大を見据えた進歩性等の特許審査上の課題 進歩性の判断= 先行技術に基づき、技術常識や技術水準を総合的に考慮して当業者が 請求項に係る発明を容易に想到できたことの論理付けができるか否かを検討  AI技術の存在を踏まえつつ、これまでの運用に従い、幅広い分野でのAIの活用について技術 常識や技術水準を的確に把握した上でそれを考慮することにより、適切な進歩性の判断を行 うことができると考えられる 今後も、AI技術の進展や、今後の国際動向等を踏まえながら、 必要に応じて、特許庁は関係省庁とも連携の上、適切な発明の保護の在り方の検討が必要 また、特許審査プロセスにおける AIの積極的な活用による審査の効率化や質の向上に加え、 発明等の創造・保護・活用の各過程における AI技術の活用(例えば、特許性の検討等の出願や権利化を サポートする AIサービスの開発・利用等)を通じたイノベーションの創出についても、 AI技術の進展の状況を踏まえて検討が必要である(なお、意匠についても同様である) 22

資料5

資料5 「営業秘密管理指針」の改訂方針(案) 令和6年12月 経済産業省知的財産政策室 1 「営業秘密管理指針」改訂の背景・方向性 ⚫ 「営業秘密管理指針」の最終改訂が平成31年1月であり、近時の管理実態や平成31年・令和 元年以降の裁判例の蓄積を踏まえ、さらなる明確化を図る必要性が生じている。 ⚫ 「営業秘密管理指針」は、「企業が営業秘密に関する管理強化のための戦略的なプログラムを策定できるよ う、参考となるべき指針」として平成15年1月に策定され、累次の改訂を経て、最終改訂は平成31年1月で ある。 ⚫ 最終改訂から約6年が経過し、この間、企業における情報管理の手法について、クラウド技術・環境を前提 とした管理が進むなど、企業における情報管理のあり方が変化している。このような状況を踏まえ、クラウ ド技術・環境を前提とした管理が、どのような場合に営業秘密の要件の一つである秘密管理性を満たすのか、 解釈の明確化が求められてる。 ⚫ また、営業秘密該当性については、従来、秘密管理性が議論の中心であったが、近年では、いわゆる有用性 や非公知性要件についても争点となることがあり、有用性や非公知性要件についても、解釈の明確化が求め られている。 秘密情報がクラウドストレージに保存されている実態や裁判例の集積等 を踏まえ、営業秘密該当性に関する秘密管理性・有用性・非公知性要件 のさらなる明確化を図る。 2 「営業秘密管理指針」改訂の背景・方向性 • 各要件の主な見直しのポイントは、以下のとおり。 秘密管理性 • クラウドストレージに秘密情報を保存する場合、アクセス権者を適切に 制限していたとしても、公知情報フォルダと非公知情報フォルダといっ たように、(サービスによっては)クラウドストレージ内でフォルダを 分けられない(区別できない)場合がある。 • 一方、現在の営業秘密管理指針の記載は、「(合理的区分)」・「(そ の他の秘密管理措置)」という見出し構成となっており、公知情報フォ ルダと非公知情報フォルダというように、クラウドストレージ内でフォ ルダを分けて(区別して)管理しなければ秘密管理性が肯定されないと いった間違ったメッセージを与えてしまっているおそれがある。 必要な秘密管理措置の程度に関して、合理的区分はあくまで 秘密管理措置を判断するための一要素に過ぎない。 例えば、情報の「合理的区分」はあくまで秘密管理措置を判 断するための一要素に過ぎないことを明記してはどうか。 有用性 • 秘密情報を不正取得した者がその情報を有効に活用できないものについ て、有用性が認められるのかといった質問がなされることがあり、また、 近時の裁判でもそのような旨の主張がなされることがある。 ある秘密情報が営業秘密保有企業の事業活動に使用・利用さ れている情報であれば、当該情報を不正取得した者にとって その情報を有効に活用できない情報であったとしても、有用 性が認められることを明記してはどうか。 非公知性 • リバース・エンジニアリングによって情報を抽出した場合、当該情報が 非公知性を喪失するかどうかについて、現在の営業秘密管理指針では、 具体的な記載がない。 リバース・エンジニアリングについて、現在の営業秘密管理 指針においては、裁判例を掲載するのみであったが、どのよ うな場合に非公知性を喪失するのかを明記してはどうか。 • 第三者からのハッキング等により営業秘密が、一般的な方法ではアクセ スできないようなダークウェブに公表された場合、非公知性が喪失する かどうかについて、現在の営業秘密管理指針では、具体的な記載がない。 営業秘密がダークウェブに公表されたとしても、その一事を もって直ちに非公知性が喪失するわけではないことを明記し てはどうか。 3 (参考)「営業秘密管理指針」について (https://www.meti.go.jp/policy/economy/chizai/chiteki/guideline/h31ts.pdf) • 「営業秘密管理指針」とは、不正競争防止法により営業秘密として法的保護を受けるために 必要となる最低限の水準の対策を示すことに特化したガイドライン。 <法的保護レベル> 営業秘密保有企業の秘密管理意思(※1)が秘密管理措置によって従業員等に対して明確に示され、当該秘密管 理意思に対する従業員等の認識可能性(※2)が確保される必要。(営業秘密管理指針p.5) ※1)特定の情報を秘密として管理しようとする意思。※2)情報にアクセスした者が秘密であると認識できること。 ⇒情報に接することができる従業員等にとって、< 秘密だと分かる程度の措置の例> 秘密だと分かる程度の措置 • 紙、電子記録媒体への「マル秘 表示」 • 化体物(金型など)のリスト化 秘密! • アクセス制限 • 秘密保持契約等による対象の特定 ※企業、大学や研究機関の実態・規模等に 応じた合理的手段でよい 秘密情報の 漏えい対策 営業秘密 管理指針 上記はあくまで例示であり、 認識可能性がポイント。 秘密保持契約書 -------------------- 秘密情報とは 次のものをいう ①---------------②------------印 ----------------------------- ☞営業秘密管理指針で示されている「秘密管理性」の考え方は、 秘密情報の漏えい対策にも共通。 漏えい対策をしつつ、法的保護レベルの対策を確保することが 大切。 4 (参考)秘密管理性(主な記載の抜粋) 5 (参考)クラウドサービスのセキュリティに関する資料 ⚫ 中小企業のためのクラウドサービス安全利用の手引き(IPA) https://www.ipa.go.jp/security/guide/sme/ug65p90000019cbkatt/000072150.pdf ⚫ クラウドサービス利用のための情報セキュリティマネジメントガイドライン (経済産業省) https://www.meti.go.jp/policy/netsecurity/downloadfiles/cloudsec2013fy.pdf ⚫ クラウドセキュリティガイドライン活用ガイドブック(経済産業省) https://www.meti.go.jp/policy/netsecurity/downloadfiles/cloudseckatsuyou20 13fy.pdf ⚫ クラウドサービス利用・提供における適切な設定のためのガイドライン(総 務省) https://www.soumu.go.jp/main_content/000843318.pdf 6