議事要旨
。
第21回知的財産分科会 議事要旨
1.日時・場所
日時:令和8年5月14日(木曜日)10時00分から12時00分
場所:特許庁16階特別会議室(オンライン併催)
2.出席委員
益分科会長、出雲委員、井上委員、加藤委員、鬼頭委員、下川原委員、北村委員、髙木委員、竹中委員、玉井委員、田村委員、中村委員、廣田委員、藤木委員、藤原委員、増島委員、松山委員、柳川委員、山田委員、和田委員
3.議題
稼ぐ力のための知的財産~知的財産を経営戦略に~
各小委員会の報告
4.議事内容
事務局より、資料を基に説明をした後、各論点について御議論いただいた。
主な意見は以下のとおり。
イノベーション創出のための特許庁の取組[議題1関係]
コーポレートガバナンス・コードの改訂を契機に、知財が成長投資にとって重要なものであるという点について、経営層や投資家に対して一層の働きかけを行っていただきたい。
今後予定されている知財・無形資産ガバナンスガイドラインの改定についても、引き続きの取組をお願いしたい。
技術とビジネスをつなぐという点において、IPインテリジェンスが重要な役割を果たすと考えている。企業において、技術・市場・組織を統合した戦略の中に知財を位置付け、経営の意思決定インフラとして活用するよう強く打ち出していただきたい。特にトップ同士の意見交換は企業へのインパクトが大きく、その点を重視していただきたい。
IPインテリジェンスは知財と経営を直接的につなぐものとして、経営層への説明や意思決定にも活用していくことが重要である。そのために自社でIPインテリジェンスを活用できるようになることが必要であり、AIの活用も含め、取組を強化していただきたい。
中小企業は知財活用に課題があり、IPインテリジェンスの活用が有効と考えられるが、リテラシーやリソース面で十分に行き渡っていない。生成AI等の技術を活用し、低コストで広く提供できる仕組みを開発・普及していく政策を考えていただきたい。
投資家は競争優位や売上・利益への貢献を重視している。知財を「保有」することに加え、知財を活用して「価値創出」につなげるという方向へと施策が進化していくことを期待する。
特許取得時の支援策や補助金はあるものの、取得後に収益や事業化につながっていないため、事業化につなげる支援策が必要である。
日本の強みである製造業とAIを組み合わせたフィジカルAIの分野でイノベーションを推進すべき局面にあり、特許庁にはAIに対する前向きな視点を示し、技術革新を後押しする議論を一層進めていただきたい。
AIエージェントの活用を前提として、J-PlatPat等と連携するMCPサーバーを特許庁で整備することで、ユーザーが効率的に知財情報を活用できる環境を構築していただきたい。
標準化対応のコンサルテーション審査について、特に、標準を使って訴訟対応をしたり、ライセンス対応をしたりした経験がある企業等、標準化を推進する日本企業の意見も十分に踏まえ、制度の利用が進むような運用を検討していただきたい。
標準化対応のコンサルテーション審査の対象に大学を含めることを検討していただきたい。
日本企業が国際的に活用できる権利を取得する観点、外国企業の出願を促進する観点から、英語で出願し英語で審査を受ける制度が必要ではないか。
同じ課題を持つ企業同士がネットワークや協会を通じて連携することで、多面的な対応等が可能となるため、こうした組織への支援も検討していただきたい。
INPITの知財経営加速的支援により、知財戦略の判断基準の見える化や開発・事業・知財の三位一体の体制構築が進展するとともに、リーンキャンバスの導入により認識齟齬の防止及び事業の効率化が図られた。
海外出願はコスト負担が大きいため、補助率の引上げや年金費用の補助対象化、公募の通年化、中間応答費用の補助金利用の柔軟化を検討していただきたい。海外出願等支援については制度活用が難しいという声もあるため、活用事例集の作成等を検討してほしい。
IPASは高い成果を上げているものの規模が小さく、支援先の規模を拡大する必要がある。あわせて、VCのケイパビリティ強化や知財専門家の派遣を拡充し、ディープテックスタートアップの成長とイノベーション創出を加速させることが重要である。
大企業や大学と共同で生まれた知財がスタートアップに還流されず事業化に至らない構造について、ボトルネックを分析した上で、ルール設計をしていただきたい。
大学における知財活用については、他省庁との連携をさらに強化する等、知財の枠にとどまらず、大学経営やTLOを含めた組織の観点からも、特許庁を中心に取組を推進していただきたい。
iAcaやiNatといった大学支援施策は重要であるが、個別支援にとどまらず、研究知財・産学連携・経営戦略が連動し、「使える知財」を生み出す仕組みとしてIPインテリジェンスを位置付けることが必要である。
大学発の知を「使える知財」として育てる視点について、経済産業省の「契約学科制度」も踏まえつつ、議論を深めていただきたい。
大学や企業において多くの研究成果や技術があるものの、活用されず事業化に至らないケースが多く、他社連携にも課題がある。眠っているシーズをニーズと結びつけるマッチングについて、制度的な強化が必要であるという認識であり、さらなる対応を検討していただきたい。
理系人材が経営層に参画する社会を実現しなければ、知的財産を踏まえた経営判断への関心が高まらず、またエンジニア志望の若手人材の海外流出を招く懸念がある。
日本の賃金水準の低さから優秀な技術者の海外流出が懸念される中、賃金向上とあわせて、知財制度を通じた企業の活性化を進めていただきたい。
技術系の学生と文系・経済系の学生をマッチングし、学生同士で起業に挑戦するような、社会に出る前のポテンシャルのある若い人材を知財に強い人材に育成することが重要である。
研究現場では知財を創出する側の研究者の意識がまだ十分に変わっておらず、知的財産を最後まで活用することを前提に研究開発を進めることが重要であり、こうした意識変革に向けた啓蒙を、これまで以上に強化していただきたい。
[更新日 2026年7月6日]
お問い合わせ
特許庁総務部企画調査課
電話:03-3581-1101 内線2152
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資料1
産業構造審議会 第21回知的財産分科会
議事次第
日 時:令和8年5月14日(木)10時~12時
会 場:特許庁庁舎特別会議室
※オンライン会議とのハイブリッド開催
(議事次第)
1. 開会
2. 稼ぐ力のための知的財産~知的財産を経営戦略に~
3. 各小委員会の報告
4. 閉会
(配付資料)
議事次第
委員名簿
資料1:稼ぐ力のための知的財産~知的財産を経営戦略に~
資料2:各小委員会の報告
資料2
令 和 8 年 5 月 14 日
第21回知的財産分科会
産業構造審議会
知的財産分科会
委員名簿
会長
出雲 充
株式会社ユーグレナ 代表取締役社長
井上 智子
Red Capital 株式会社 代表取締役
加藤 百合子
株式会社エムスクエア・ラボ 代表取締役社長
北村 修一郎
日本弁理士会 会長
鬼頭 雅弘
名古屋大学学術研究・産学官連携推進本部 知財・技術移転部門長/教授
小松 百合弥
株式会社ドリームインキュベータ 社外取締役
下川原 郁子
日本知的財産協会 参与
髙木 一昌
株式会社丸高工業 代表取締役
竹中 俊子
ワシントン大学ロースクール 教授
玉井 克哉
東京大学先端技術研究センター 特任教授
田村 善之
東京大学大学院法学政治学研究科 教授
中村 栄
知的財産研究教育財団
廣田 尚子
女子美術大学 教授/ヒロタデザインスタジオ 代表
藤木 実
株式会社 IP Bridge 取締役
藤原 加奈
株式会社フジワラテクノアート 代表取締役副社長
益 一哉
産業技術総合研究所 G-QuAT センター長
増島 雅和
森・濱田松本法律事務所外国法共同事業 パートナー弁護士
松山 智恵
TMI 総合法律事務所 パートナー弁護士
柳川 範之
東京大学大学院経済学研究科 教授
山田 理恵
東北電子産業株式会社 代表取締役社長
和田 茂己
日本経済団体連合会 知的財産・国際標準戦略委員会企画部会長
知的財産研究教育協会
客員研究員
(敬称略,五十音順)
資料3
資料1
稼ぐ力のための知的財産
~知的財産を経営戦略に~
• 産業構造審議会 第21回知的財産分科会
• 2026年(令和8年)5月14日
特許庁
1
稼ぐ力のための知的財産
2
「稼ぐ力のための知的財産」の実現に向けた特許庁の取組
3
参考資料(その他の施策等)
1
1.稼ぐ力のための知的財産
特許庁
2
G7各国の賃金の推移
◆ 名目賃金・実質賃金の推移を見ると、1991年から2024年にかけて、名目賃金については、米国は2.99倍、英国は2.98倍の
上昇に対し、日本は1.04倍。実質賃金については、米国は1.50倍、英国は1.48倍の上昇に対し、日本は0.99倍。
(1991年=100)
300
名目賃金
G7各国の賃金の推移
米国 (1991年=100)
299
160
英国
298 150
カナダ
241
250
ドイツ
237
200
140
実質賃金
米国
150
英国
148
カナダ
137
ドイツ
133
フランス
132
イタリア 130
218
フランス 120
214
150
日本
104
100
90
1991
1992
1993
1994
1995
1996
1997
1998
1999
2000
2001
2002
2003
2004
2005
2006
2007
2008
2009
2010
2011
2012
2013
2014
2015
2016
2017
2018
2019
2020
2021
2022
2023
2024
50
日本
99
イタリア
98
80
1991
1992
1993
1994
1995
1996
1997
1998
1999
2000
2001
2002
2003
2004
2005
2006
2007
2008
2009
2010
2011
2012
2013
2014
2015
2016
2017
2018
2019
2020
2021
2022
2023
2024
100
110
(注) 国民経済計算における「賃金・俸給」を雇用者数で割った上で、雇用者の平均週労働時間に対するフルタイム雇用者の平均週労働時間の割合を乗じて計算された数値。
出典:OECD.statをもとに作成。
3
日本は労働生産性の水準は低いが、生産性は上昇している
◆ 労働生産性の水準を見ると日本は57.8ドルと、G7諸国の中で最も低い。
◆ 一方、2010年以降の時間当たり労働生産性の伸び率を見ると、日本は+0.80%と、G7諸国の中で米国に次いで
高い。
G7各国の時間当たり労働生産性
時間当たり労働生産性の水準
時間当たり労働生産性の伸び率
(2024年)
(2010-2024年の平均成長率)
米国
116.5
ドイツ
98.9
フランス
90.9
米国
日本
0.80%
ドイツ
0.78%
英国
82.6
カナダ
イタリア
79.2
英国
カナダ
57.8
0
50
0.60%
0.40%
フランス
75.4
日本
1.06%
労働生産性
(ドル/時間)
100
イタリア
0.33%
0.02%
0.0%
0.2%
労働生産性
の伸び率
0.4%
0.6%
0.8%
(注) 時間当たり労働生産性は、GDPを総就業時間で割った値。2020年購買力平価(PPP)米ドルで換算した値。左図は名目値、右図は実質値。
(出所)OECD.statを基に作成。
1.0%
1.2%
4
高いモノを輸入し、安いモノを輸出してきた
◆ これまで、労働生産性の上昇は主要先進国並みだったが、交易条件の悪化(=資源等を高く輸入、製品・サービス
を安く輸出)が大きく影響し、実質賃金は停滞。交易条件要因は、社会保障負担要因や労働分配率要因よりも大。
実質賃金上昇率の要因分解
交易条件(契約通貨ベース)の推移
(1995~2021年の26年平均)
(1995~2025年)
労働生産性上昇率
雇主の社会負担
自営業者、混合所得等
実質賃金上昇率(マンアワーベース)
労働生産性
の上昇
2.5%
1.8
140
2.0%
1.6
輸入物価指数(右軸)
1995年1月:84.3
⇒2025年3月:125.3
=上昇
120
1.4
100
1.0%
1.2
80
0.0%
1
-0.5%
0.8
60
-1.0%
0.6
40
輸出物価指数(右軸)
1995年1月:134.5
⇒2025年3月:112.8
=低下
交易条件(左軸)
1995年1月:1.6
⇒2025年3月:0.9
=悪化
1995
1996
1997
1998
1999
2000
2001
2002
2003
2004
2005
2006
2007
2008
2009
2010
2011
2012
2013
2014
2015
2016
2017
2018
2019
2020
2021
2022
2023
2024
2025
労働分配率は
ほぼ変化なし
(2020=100)
160
0.5%
事業主の
社会保障負担増
(交易条件=輸出物価/輸入物価)
2
1.5%
交易条件の
悪化を含む
GDPデフレーター - CPI上昇率
労働分配率の変化
税・補助金
•
(注)左図:GDPデフレーターとCPI上昇率の差は、交易条件以外に、そもそもの指数の作成方法の違い等によっても生じる。税・補助金とは、「生産・輸入品
に課される税ー補助金」のことである。
•
(出所)左図:厚生労働省「第3回社会保障審議会年金部会年金財政における経済前提に関する専門委員会(令和5年4月5日)」より、経済産業省が作成。右
図:日本銀行「企業物価指数」より、経済産業省が作成。「産業構造審議会 経済産業政策新機軸部会 第4次中間整理」より。
5
日本企業は、新製品・サービスを生み出せていない
◆ OECDによると、新製品や新サービスを投入した企業の割合は、主要先進国で日本が最も低い。
新製品・サービスを投入した企業の割合
新製品を投入した企業の割合
30%
新サービスを投入した企業の割合
25%
27.0%
25%
20.4%
20%
23.4%
19.0%
20%
19.0%
17.4%
15%
15%
11.3%
12.9%
9.5%
10%
10%
6.6%
5%
5%
0%
0%
ドイツ
フランス
英国
米国
日本
ドイツ
フランス
英国
米国
日本
(注) プロダクト・イノベーションとして、新しい商品・サービス(新機能の追加や用途の大幅な改善を含む。)を投入した企業の割合。日本は2019-21年、英国、フラン
ス、ドイツは2018-20年、米国は2017-19年のデータ。出典:OECD(2023)「OECD Business Innovation Indicators 2023 edition」をもとに作成。
6
設備投資は過去最高も実質はコロナ前水準未達、海外との差が拡大
◆ ⺠間企業設備投資額は、過去最高を更新した。一方で、実質では、コロナ禍前の水準に達していない。
◆ 海外設備投資の伸びと比較すると、国内の設備投資の伸びは、依然として限定的。
⺠間企業設備投資額
(兆円)
25年
4-6月期
120
300
90年
1-3月期
名目投資額
250
90
94
80
200
201
90
71
134
150
132
125
72
実質投資額
110
100
100
国内設備投資
99
23年度
22年度
21年度
15年度
14年度
13年度
12年度
11年度
09年度
08年度
07年度
06年度
05年度
04年度
03年度
02年度
01年度
50
00年度
25年
20年
15年
10年
05年
00年
95年
90年
85年
40
85
10年度
48
108
20年度
60
19年度
76
18年度
77
17年度
85年
1-3月期
70
59
海外設備投資
92
10年
1-3月期
87
91
20年
1-3月期
16年度
100
00年
1-3月期
271
265
110
110
50
国内・海外設備投資(2000年度=100)
(注) 「海外設備投資」は、海外現地法人の設備投資額。「国内設備投資」は、財務省「法人企業統計年報」(国内法人が対象)における設備投資額。国際比較の「資本装備率」は、資
本ストックを就業者数で割った値であり、2021年米国PPPドルで実質化した値。
(出所)内閣府「国民経済計算(2025年4-6月期2次速報)」、 経済産業省「海外事業活動基本調査」、財務省「法人企業統計年報」、University of Groningen ”Penn World
Table version 11.0”を基に、内閣官房日本成長戦略本部にて作成。日本成長戦略会議(第1回)基礎資料より。
7
資本装備率も欧米に遅れ
◆ 我が国の資本装備率(従業員1人当たりの有形固定資産額)は、欧米諸国より低い。企業規模が小さいほど低く、その伸
びも小さい傾向。
企業規模別 資本装備率
資本装備率の国際比較(実質)
(2013年度平均:1,059万円)
(万ドル)
(2013年度平均:522万円)
製造業(2024年度平均:1,332万円) サービス業(2024年度平均:461万円)
80
フランス
70
70
1,871
大企業
60
日本
2,324
資本金
10億円以上
米国
51
46
40
44
921
中堅企業
423
資本金
1億-10億円
459
2024年度
英国
20
1,178
中堅企業
1,259
資本金
1億-10億円
ドイツ
30
資本金
10億円以上
2013年度
48
50
819
大企業
624
中小企業
資本金
1億円未満
494
中小企業
743
(万円)
資本金
1億円未満
387
(万円)
23年
21年
19年
17年
15年
13年
11年
09年
07年
05年
03年
01年
99年
97年
95年
93年
91年
89年
87年
85年
10
0
500
1,000
1,500
2,000
2,500
0
500
1,000
(注) 規模別比較の「資本装備率」は有形固定資産額を期中平均従業員数で割った値。「サービス業」は、宿泊業、飲食サービス業、生活関連サービス業、娯楽業、学術研究、専門・技術サービス
業、教育・学習支援業、職業紹介・労働者派遣業、その他のサービス業の合計。
(出所)内閣府「国民経済計算(2025年4-6月期2次速報)」、 経済産業省「海外事業活動基本調査」、財務省「法人企業統計年報」、University of Groningen ”Penn World Table
version 11.0”を基に、内閣官房日本成長戦略本部にて作成。日本成長戦略会議(第1回)基礎資料より。
1,500
8
日本の無形資産投資水準は依然として低い
◆ 日本の無形資産投資額(研究開発等)は欧米諸国より伸び悩んでおり、水準も低い。
投資額の構成割合
日本(2023年)
米国(2023年)
無形資産投資
32.1%
有形資産投資
47.6%
有形資産投資
67.9%
無形資産投資の国際比較(実質、2013年=100)
無形資産投資
52.4%
無形資産投資(対付加価値比、2023年)
180
170
160
米国
150
140
英国
130
120
フランス
110
100
米国
15.5%
149
フランス
15.1%
142
136
英国
14年
15年
16年
17年
18年
14.2%
ドイツ
ドイツ
10.3%
106
日本
日本
100
90
13年
172
19年
20年
21年
22年
23年
(注) 「無形資産投資額」は、ソフトウェア、研究開発(R&D)、組織資本、工業デザイン、ブランド、金融業の新商品開発費など。
(出所) Luiss Business School “Global Intan-Invest“を基に内閣官房日本成長戦略本部にて作成。日本成長戦略会議(第1回)基礎資料より。
9.3%
0%
5%
10%
15%
20%
9
日本成長戦略の基本的考え方
10
(出所)令和8年4月22日、日本成長戦略会議(第4回)資料1 日本成長戦略の基本的考え方
日本成長戦略・科学技術イノベーション基本計画における知的財産の位置付け
第4回 日本成長戦略会議
資料2「分野横断的課題への対応の方向性」
1.新技術立国・競争力強化
(3)講じるべき施策パッケージ
②「責任ある積極財政」を通じた「危機管理投資」・「成長投資」の推進
(ii) 成長投資を促進する「攻めの経営」の実現
・・・
• 知財を戦略的に取得・活用する企業経営の推進、ボトルネックとなり得る権利侵害を抑制するための法的措置の検討、国等が支援する研究開発投資に
おける事前の調査及び適切な知財取得の実施。
第7期「科学技術イノベーション基本計画」
第5章 産学官を結節するイノベーション・エコシステムの高度化
4.知財・標準化戦略の推進
(1)知財戦略の推進
・・・
国等が支援する研究開発投資については、その成果が強い経済の実現に資するよう、その事業の目的に応じて、各府省の研究開発評価指針や「大学知財
ガバナンスガイドライン」等の内容を踏まえることを始め、他者の権利の侵害の有無についての事前の調査や適切な知財の取得を行うものとする。
・・・
11
事例1
(新商品)
特許→利益→研究開発投資→新商品→特許の好循環を実現
株式会社タンガロイの事例
(令和6年度 知的財産権制度活用優良企業等表彰 知財功労賞 特許庁長官表彰)
◆規格品ではない、高能率・高効率のオリジナ
ルの切削工具を開発し、特許で保護。
◆国内外のライセンス要請には原則応じないク
ローズド戦略で高い利益率を実現。
特許登録件数
※年間30-40件前後が登録
2024年の利益率は
約40%
50
40
30
20
10
0
◆積極的な研究開発投資により、新製品を迅速
に出し続けて製品のライフサイクルを短くす
ることで、価格競争を回避し、高い利益率を
維持。
出典:「株式会社タンガロイ 財務情報」(PR TIMES)
(https://prtimes.jp/finance/5380001019501/settlement)を加工して作成
年間新製品発売数
※15年連続で業界最多
売上高に占める研究開発費
の割合は5%程度
※平均(約3%)よりも高い水準。
出典:「バフェット流で快走のタンガロイ、持続的成長の極意」
(日本経済新聞)
(https://www.nikkei.com/article/DGXZQODZ087
EM0Y1A300C2000000/)
出典:「統計トピックスNo.140」(総務省統計局)
(https://www.stat.go.jp/data/kagaku/kekka
/topics/topics140.html)
穴明け加工製品
DrillMeister
旋削加工用材種
T9200シリーズ
出典:「数字でわかるタンガロイ」(タンガロイ)
(https://tungaloy.com/jp/recruit/about/numbers.html)を加工して作成
12
研究開発→特許・商標→新たな事業分野で他社と共に新製品を実現
事例2
(新商品)
ソニーグループ株式会社の事例
◆ 同社はリチウムイオン電池の電極材料の研究開
発の過程で、米の籾殻から生まれた活性炭
「トリポーラス TM 」を開発し、特許権と商標権
を取得。(Triporous(トリポーラス)はソニーグループ株式会社の商標です。)
◆ この素材は、従来の活性炭では吸着しづらい
物質を吸着する、吸着スピードが速い、多量の
薬剤を添着できるなど、優れた性質があること
は判明したが、同社の既存事業に活用先はなく、
単独での新規事業立ち上げも困難と判断。
【販売中】
・デサント(ソックス、ゴルフウェア)
・アスワン(絨毯)
・スタイレム(ハンカチ・タオル)
・ロート(薬用ジェルクレンズ、デ・オウ 薬用スカルプケアシャンプー)
・イッセイ ミヤケ(ジャケット)
・ヒツジのいらないスリープウェア
・ミズノ(Tシャツ、パンツ、ロングシャツ等)
ニオイの原因になるアンモニアガスを活性炭の6倍のスピードで吸着
◆ そこで、オープンイノベーションによる事業化
を選択。知財部門が「トリポーラス」の事業化
に向けた協業先の選定、協業先との共同研究な
どを通じた製品化を主導し、実現。
効果
自社の特許・商標を元に、パートナーと協業して、
自社の事業分野以外で新製品を創出
出典:「企業価値向上に資する知的財産活用事例集」(2022年)、ソニー・トリポーラスウェブサイトをもとに特許庁作成
13
特許の無償開放によって市場を作りつつ、差別化技術で競争力を維持
ダイキン工業株式会社の事例
・R32は従来の冷媒に比べて地球温暖化係数が
約1/3と低く、オゾン層破壊係数もゼロ。
・ただし、従前の規格では「可燃性」に分類さ
れており、国際規格や国内法規制で使用が制
限されていたため、普及には障壁があった。
・そこで、以下のオープン・クローズ戦略を実
行することで、普及の障壁を取り除きつつ競
争優位を確保し、売上拡大につなげた。
標準化
特許
◆オープン戦略(普及促進)
・国際標準化活動:規格を改訂し、装置に要求
される安全水準が低い「微燃」区分を新設。
国内法規も改正し、R32の使用要件を緩和。
・特許の無償開放:R32関連特許を無償開放。
営業秘密
Open
(許諾・公開)
冷媒
(R32)
事例3
(新商品)
標準化
特許
無償開放
Close
(非許諾・非公開)
圧縮機の制御回路等
を特許・ノウハウ化
営業秘密
特許
出典:「エアコンサポートセンター」https://xn-08j2fxcxa0d6wy18otram37a2kz.net/torituke
/space/
特許
◆クローズ戦略(競争優位の確保)
・省エネ技術(圧縮機の制御回路等)等の差別
化技術は秘匿・権利化し、自社の競争力維持
に活用。
出典:「統合報告書2025」(ダイキン)(https://www.daikin.co.jp//media/Project/Daikin/daikin_co_jp/investor/library/annual/2025/2025-pdf)を加工して
作成
温室効果ガス実質排出量の削減率
(2019年を基準年としたBAU比)
出典:「サステナビリティレポート2025」(ダイキン)(https://www.daikin.co.jp/csr/report)を加工して特許庁作成
14
事例4
(新サービス)
社内技術の外部提供を新たな事業として立上げ
JFEスチールの事例
◆ JFEスチールでは、中期経営計画において、知財戦略を事業戦略・研究開発戦略と一体の経営基盤
と位置づけ、社内技術の囲い込みから外部展開へと戦略を転換。
◆ この方針のもと、鉄鋼技術開発で培われた1万件を超える特許を含む多様な無形資産を活用し、新た
な価値創出につなげるべく、ソリューションビジネス事業(特許だけでなく、技術・ノウハウ、デジタル技術
等も含めたソリューション提供)として、「JFE Resolus®」を立ち上げた。
◆ この事業において、知財部は、関係部署と連携して社内の“売れそうな技術”を探索するとともに、IPラ
ンドスケープ(IPインテリジェンス)を活用して「他社がどんな技術を探しているのか」といった市場調査を
行い、外部提供する技術ラインナップを決定。また、外部企業への技術ライセンス業務も主導。
◆ 本事業の収益目標としては、2027年度に150億円(利益目標2,600億円の5.7%)を目指してい
る。
出典:JFE GROUP REPORT
2024、JFEグループ長期ビジョン「JFE
ビジョン2035」・第8次中期経営計画
説明会資料、日経ビジネス知財経営
ランキング2025をもとに特許庁作成
15
工夫を凝らした特許の取得で模倣困難な新サービスを構築
事例5
(新サービス)
株式会社ブリヂストンの事例
◆タイヤ業界は、新興国メーカーの台頭により競争が激化しており、新たなビジネスモデルの構築が必要
だった。
◆そこで同社は、製品販売に加え、顧客事業の効率/収益性を上げるソリューションモデルを構築。例えば
航空業界に於いてはタイヤの整備作業を効率化するなど新たな顧客価値を提供。
◆このモデルの核となるのは、摩耗現象ナレッジに基づいたタイヤ交換時期予測アルゴリズム。知財部は、
現場に蓄積された膨大なノウハウや暗黙知を抽出特定し、アルゴリズムのフローチャートを特許として
権利化する一方で、交換時期を正確に予測する判断基準は社内ノウハウとして秘匿化。このように「見
せる部分」と「隠す部分」を戦略的に組合せることで、模倣困難なビジネスモデルを構築することに貢
献。これが競合他社との差別化要因となっている。
出典:「企業価値向上に資する知的財産活用事例集」、Bridgestone 3.0 Journey Report(統合報告2024)をもとに特許庁作成。
出典:「2025年上期業績総括/通期見込」(ブリヂストン)(https://www.bridgestone.co.jp/ir/library/result/pdf/r7_2_summary_presentation.pdf)を加工して作成
16
特許情報は自社・競合会社、潜在的な連携相手を知る宝の山
◆ 特許文献の蓄積数は2024年に1.54億件に到達。特許文献には、発明の課題や解決手段、効果などが含まれる。
1.54億件
1.31億件
1.07億件
1.12億件
0.59
0.63
0.48
0.49
1.39億件
1.15億件
0.65
0.50
0.79
0.86
0.52
0.53
1.00
0.54
出典:特許庁作成
➢ 米独の77社を対象とした実証分析(” How to create commercial value from patents: the role of
patent management” Ernst et al.,2016)によると、特許情報の活用(競合他社の技術アセットの監視、
侵害予防調査、M&A等外部技術の評価、ライセンス先の探索)をしている企業ほど企業業績が良いとの結果。
17
IPインテリジェンスの例
◆IPインテリジェンスとは、特許情報分析に、マーケット情報分析なども加えることによって、経営層
がより確度の高い意思決定を行えるようにすること。
(例)IPインテリジェンスを用いた分析のイメージ
Step 0:仮説・課題の設定
多数の特許が存在し、既に成熟
しているとみられる市場
• 経営層へのヒアリング等を通じて、仮説・課題を設定する。
Step 1:特許情報分析による有望市場特定
① 自社が強みのある既存技術や、その応用で開発可能
な技術をリストアップ(技術a~e)
② ①の技術がどのような課題解決に用いられているか、
特許情報を分析する。(課題Ⅰ~V)
③ ①と②の情報を、右図のようにマッピングし、特許
出願が少ない領域を、未成熟で参入可能性がある市
場候補として特定。
技術a
課題Ⅰ
技術b
技術c
技術d
技術e
1社
10社
1社
2社
2社
課題Ⅱ
課題Ⅲ
課題Ⅳ
1社
20社
●●市場
課題Ⅴ
特許が出願されておらず、
参入可能性ありと判断できる市場候補
Step 2:マーケット情報の分析
• Step1で参入可能性ありと判断した●●市場について、
マーケット情報の分析を行う。
Step 3:経営判断
• Step2で分析を行ったマーケット情報に基づいて、
経営層が、実際に参入する市場を決定する。
18
新商品開発の狙い目を知る
◆IPインテリジェンスを用いて、カカオ関連技術は「原料関連」と「チョコレート製造」の領域(赤丸部
分)に集中していることを発見。さらに、自社技術(黒字下線部分)をマッピングしたところ、自
社技術の1つ「ボイル裏こし技術領域」が特許空白領域(青丸部分)と重なることを確認。
◆この知見から、新規開発への狙い目領域を同定し、新素材・新商品の開発に成功。
新素材
ボイル裏こし
技術領域
新規開発への狙い目領域を同定
ドット1つが1件の特許を表す
新商品開発
出典:明治統合報告書2023、知財情報からひも解く明治のROESG®経営(https://www.lexisnexisip.jp/resources/patentsightsummit2023-meiji/)
19
連携相手・事業を知る(1)
◆旭化成知財部門は、IPインテリジェンスを活用し、不織布領域において競合他社(X社)との技術シナジーが期待
できることを示すことで、両社による不織布事業の共同事業会社設立に関する経営層の意思決定に貢献。
<<AIが革新的な分析を可能としている>>
✓ 上図は旭化成と競合他社(X社)の特許の俯瞰図。
✓ ドット1つが1件の特許を表し、ドット間の距離が特許間の類似度を表す。
✓ ドットが集合している領域は、類似度の高い1つの技術領域(≒事業)に対応。
✓ 不織布に関する技術領域は、両社の特許が一体となって集合を形成。当該領域の特許
をさらに精査することにより、不織布領域における両社のシナジー領域を明確化。
出典:旭化成 知的財産報告書2025
20
連携相手・事業を知る(2)
◆富士フイルム知財部は、IPインテリジェンスを活用し、新規分野での有望なテーマ候補の導出や既存技術の応用検
討を行うことにより、事業戦略の構築、有望なM&A先の選定に貢献。
◆下図は、2021年に日立の画像診断関連事業を買収した時に用いたIPインテリジェンスの例。
日立の画像診断関連事業
大型機器をシステムとして操る技術
富士フイルム
3D放射線画像処理関連技術
✓ 相互補完的な基幹技術の融合
出典:富士フイルムホールディングス株式会社 統合報告書 2024
出典:富士フイルム メディカルシステム 事業説明会
(https://ir.fujifilm.com/ja/investors/ir-materials/presentations/session/main/0118/teaserItems1/0/tableContents/0114/multiFileUpload2_0/link/ff_presentation_20231012_001j.pdf)
21
投資家に刺さる知財・無形資産の開示
◆投資家は、業績や成長戦略の背景にある要因や価値創造ストーリーを裏打ちする本質的な強みや差別化要因(知財・無形
資産情報)に高い関心あり。
◆2021年のコーポレートガバナンス・コードの改訂により、上場会社には知財投資等の開示が、取締役会には知財投資等の監督
が求められることとなった。
※現在、コーポレートガバナンス・コード改訂に向けた検討が行われており、2026年5月15日まで改訂案へのパブリックコメントの募集がなされているところ。
中長期的な投資・財務戦略において重視すべき項目
80%
■企業(2022) ■投資家(2022)
■企業(2023) ■投資家(2023)
■企業(2024) ■投資家(2024)
70%
60%
62.8%
55.4%
52.3%
52.3%
50%
40%
46.2%
36.7%
31.4%
34.5%
30%
出典:東証上場会社コーポレート・ガバナンス白書2025(データ編)をもとに特許庁作成
20%
知財・無形資産
10%
0%
知的財産が関連するコーポレートガバナンスコード
設備投資
IT投資
(DX対応・
デジタル化)
研究開発
投資
人材投資
出典:一般社団法人生命保険協会「企業価値向上に向けた取り組みに
関するアンケート集計結果」をもとに特許庁作成
◆有価証券報告書において知財投資に関する開示を充実させた企業
は、株式市場での評価が高くなるとの分析結果あり(開示の充実前
に比べて、PBRは14%程度、トービンのqは9%程度上昇) ※1, ※2
※1本分析で使用したデータの一部は、明治大学山内勇教授の協力により提供。
※2PBR:株価/1株当たり純資産
トービンのq:企業の市場価値
(=株式時価総額+負債総額の合計)/企業の再調達コスト(=企業の総資産))
22
知財の役割
稼ぐ力
権利
独占排他機能
(従来からの)基本機能
差別化(→事例1)
・参入障壁の構築
・権利行使による模倣排除 等
ライセンス
・ライセンスアウトによるマネタイズ
ブランド戦略
・ブランド価値の向上、技術の信頼性
グローバル事業展開
情報
新事業創出・共創
知財をコアにビジネスモデル構築
ソリューションビジネス(→事例4,5)
オープンイノベーション、M&A(→事例2)
・コアを知財ポートフォリオで保護しつつ、
・自社の特許・ノウハウと、パートナー企業の技
技術等をコンサルティングサービスとあわ
術・知恵・アイデアを掛け合わせることで、新た
せて外部提供。
な価値やビジネスを創出
・コアを知財ポートフォリオ・ノウハウで保
オープン・クローズ戦略(→事例3)
護した上で、製品とサービスを組み合わせ
・オープン化する技術で市場を拡大する一方、差別
たビジネスモデルを構築して顧客価値や社
化を図って競争力を確保したい領域を知財・ノウ
会価値を実現。
ハウによってクローズとすることで利益を拡大
グローバル事業展開
包括特許ライセンス、企業コンソーシアム
投資家との関係強化
知財の活用を含めた価値創造ストーリーの開示
・保有する知的財産、ノウハウ等の自社の強み、及びそれらを活用した経営・事業戦略について開示
インテリジェンス機能
知財を使って経営戦略・事業戦略のシナリオを分析・検証
事業戦略
パートナリング
知財戦略
・技術のトレンド分析
・パートナー企業・M&A候補抽出
・出願を注力すべき領域の特定
・競合他社の技術水準・動向
・パートナー候補企業の技術力・知財デューデリジェンス ・自社の知財上のリスクの洗い出し
・企業の強み/弱みの整理
・自社とパートナー企業との想定シナジー評価
・特許活用先の探索
・新規用途・顧客/有望新規領域の探索
・キーパーソンの特定
・想定競合企業の抽出
23
知的財産を経営戦略に取り込む組織的仕掛けの主な例
:IPインテリジェンス
②法務部門の中に知財担当
①R&D部門の中に知財担当
経営層
研究開発部
知財担当
法務部
:権利化
経営層
事業部
研究開発部
法務部
知財担当
○強み:特許出願や技術情報の把握が迅速
○強み:ライセンス契約、訴訟等の一元化
③事業部門の中に知財担当
④経営企画部門の中に知財担当
事業部
経営企画部門
経営層
知財担当
研究開発部
法務部
事業部
知財担当
○強み:製品戦略やマーケティングとの連動
研究開発部
法務部
事業部
○強み:経営層と距離が近く、M&Aや新規事業等、経営
戦略への知財活用が迅速
24
2.「稼ぐ力のための知的財産」の実現に向けた特許庁の取組
2-1. 審査に関する取組
2-2. 知財経営推進のための取組
2-3. 海外展開支援のための取組
2-4. AIトランスフォーメーション(AX)への対応
特許庁
25
2-1.
特許庁
審査に関する取組
26
審査
【特許・意匠・商標】日米欧中韓の出願件数の推移
◆ 中国における出願件数は特許・意匠・商標いずれも世界トップ。日本の出願件数はほぼ横ばい。
特許
(万件)
意匠
商標
(万件)
182.8
82.5
(万区分)
90
180
※CNIPA (中国) は出願区分数
1,000
800
70
150
600
120
12.4
90
60.3
30
0
24.6
19.9
CNIPA(中国)
200
59.0
(万件)
10
60
6.9
60
30.7
697.1
400
50
25.5
40
5
6.5
3.2
0
18.1
20
15.9
0
USPTO(米国)
JPO(日本)
MOIP(韓国)
EPO(欧州)
(出願年)
27
審査
審査に関する取組(概要)と審査期間等の推移
特許
・特許審査のレジリエンス向上による迅速性の維持
一次審査期間
権利化までの期間
14.1 14.1 14.3 15.0 15.2 14.7 13.8 13.0
・特許審査の質のさらなる向上
10.2 10.1 10.0
・環境変化に対応したイノベーションの創出支援
9.3
・知財外交の推進
2017 2018 2019 2020 2021 2022 2023 2024
9.3
9.5
意匠
・迅速な意匠審査の遂行
・ユーザーニーズの把握と意匠制度の普及啓発
9.1
6.7
7.0
6.8
7.1
7.4
7.0
6.8
6.8
5.9
6.2
6.0
6.3
6.4
6.0
6.0
6.1
・審査品質の一層の向上
・意匠審査実務及び知財行政に必要な能力の向上
9.4
2017 2018 2019 2020 2021 2022 2023 2024
・働き方改革の推進・組織の活性化
商標
9.25
10.9
11.2
9.6
7.7
・適正な審査期間の堅持
・審査品質の一層の向上
・社会情勢の変化等に応じたブランド保護
・海外知財庁との連携、情報発信
9.9
7.87
6.3
6.9
10.0
7.3
8.0
5.4
6.1
7.8
6.8
2017 2018 2019 2020 2021 2022 2023 2024
(年度)
28
審査
審査の質に関するユーザー満足度調査
特許
意匠
商標
ユーザー
満足度(※)
ユーザー
満足度(※)
ユーザー
満足度(※)
95.7%
97.0 %
94.3 %
(※)国内出願における審査全般の質についての評価(全体評価)が「普通」以上( 「満足」・「比較的満足」・「普通」)の評価
の割合
令和7年度特許審査の質についてのユーザー評価調査報告書 | 経済産業省 特許庁
令和7年度意匠審査の質についてのユーザー評価調査報告書 | 経済産業省 特許庁
令和7年度商標審査の質についてのユーザー評価調査報告書 | 経済産業省 特許庁
29
審査
企業戦略に寄り添った取組み例-事業戦略対応まとめ審査
◆事業戦略に関連する広範な出願群(特許・意匠・商標)について、複数の担当審査官が
出願人から事業説明を受けることで、事業の概要や発明の位置付けを正確に把握した上
で審査。必要に応じて審査官が事業内容に沿った補正方針のアドバイスも行うことで、
安心して事業を進めるための権利取得を支援。
◆利用企業(例)沖電気工業(株)、オムロンヘルスケア(株)、貝印(株)、キヤノン(株)、 (株)QDレーザ、住友化学
(株)、大日本印刷(株)、東芝テック(株)、日産自動車(株)、パナソニック(株)、他多数(50音順)
新規事業や国際展開を見据えた
事業に係る新製品や新たなサー
ビスなどを構成する技術を包括
的に出願。
出願人が審査官に事業説明。
→審査官は事業の概要や発明の
位置付けを正確に把握した上で
審査。
安心して事業を進めるための権
利取得を支援
事 業
企 業
権利化
製造技術
電池
例:電気自動車
事業説明・面接
モーター
出願
制御装置
素材
出願の内容
特許
特許庁
・複数の担当審査官が事業戦略を理解
・必要に応じて補正方針のアドバイス
意匠
商標
30
企業戦略に寄り添った取り組み例~日本で取得した特許は海外でも一早く特許に~
審査
1.現在の日本特許庁の戦略と効果
(1)世界にPPH※1ネットワークを拡大
※1 PPH(Patent Prosecution Highway):
日本特許庁で特許となる出願について、出願人の申請により、
海外特許庁において簡易な手続で早期審査が受けられるようにする取組
(2)PPHによる海外特許出願の効果
① 1回目の審査結果の通知までに要する期間が短縮
② 1回目の審査 での特許査定率が向上
日本と結ばれたPPHネットワーク
13.2 月(PPH)
ベトナム
22.5月(全出願)
0
4
ベトナム
8
12
16
20
90.0 %(PPH)
約30% (全出願)
0
20
40
PPH出願
60
24 [月]
80
全出願
100 [%]
※2024年の実績。概算値を含む。
2.課題
課題:新興国では、PPHを利用してもなお、1回目の審査結果の通知までに要する期間が長く、改善の余地がある。
(参考:米国 全出願 17.6月 ⇒ PPH 1.5月)
要因:新興国審査官は、日本特許庁の審査結果を審査に十分に活用できていない。
3.今後の戦略
PPH Navi:日本特許庁の審査のポイントをAIで作成・提供することで、新興国の審査の更なる早期化を図る取組。
※ 2026年1月から、日本企業からの特許出願が多いタイとの間で開始。
1回目の審査結果の通知までに要する期間を 約36月(全出願)⇒ 平均12月(PPH Navi)にすることで合意。
31
企業戦略に寄り添った取組み例
~標準化対応のコンサルテーション審査(仮称)の創設~
審査
◆戦略的に重要な技術領域については、知財・標準・市場情報等に基づく分析を実施し、その分析結果を国や業界団
体等による知財・標準化戦略の企画立案に活かす。
◆標準関連の特許出願については、標準の内容に対応した適切な権利範囲となるように、面接を活用し、出願の補正
内容、審査のタイミングを出願人と相談しながら審査する「コンサルテーション審査(仮称)」を創設。
◆さらに、PPH※の拡大・拡充を通じた標準関連特許の各国での早期権利化を支援。
※ PPH(Patent Prosecution Highway):各特許庁間の取り決めに基づき、第1庁(先行庁)で特許可能と判断された発明を有する出願について、
出願人の申請により、第2庁(後続庁)において簡易な手続で早期審査が受けられるようにする枠組み
標準開発
【標準】
戦略的に重要
な技術領域
の特定
【知財】
知財・標準・
市場分析
国内標準制定
国際標準化
コンサルテーション
審査(仮称)
PPHの拡充
国内特許取得
外国特許取得
知財・標準化戦略の
企画立案
(国、業界団体等)
特許出願
32
審査
企業戦略に寄り添った取組み例
~審査に関するスタートアップ支援策(特許・意匠)~
特許
特許
スタートアップ対応
面接活用早期審査
・面接を通じて、戦略的な特許の取得を後押し
・早期審査により、早期に質の高い権利取得をサポート
スタートアップ対応
意匠
スタートアップ対応
スーパー早期審査
意匠早期審査
・何よりも早く権利を取得したいという
ニーズに対応
・2025年4月から意匠分野でも早期
審査を開始
審査請求
面接
発明の技術やその意義、
事業戦略上の位置づけ等
一次審査
最終処分
出願
審査請求
早期審査の申請
一次審査
スーパー早期審査の申請
早期審査の申請
原則1か月以内
面接
一次審査
スタートアップ
特許性に関するアドバイスや
知財活用の実例等の紹介等
最終処分
審査官
最終処分
投資家からの資金調達に産業財産権を活用するスタートアップの例
WHILL株式会社
「すべての人の移動を楽しくスマートにする」をミッションとして、
パーソナルモビリティの開発・販売を行うスタートアップ。2014年に初
号機WHILL Model Aを、2017年に2号機WHILL Model Cを発売し、現
在、日本、北米、欧州で事業を展開。
意匠権を模倣品対策に用いるほか、特許権や意匠権を資金調達の場面
での投資家へのアピールに活用。
出典:特許庁「事例から学ぶ意匠制度活用ガイド 」より特許庁作成
33
2- 2.
特許庁
知財経営推進のための取組
34
企業経営層との意見交換
知財経営
◆経営において知的財産を活用することの重要性の普及啓発等を目的として、企業経営層との対話を実施。
【令和7年度の企業との対話の実績】
企業トップとの対話:企業トップと特許庁長官との対話を17回実施
企業経営層との対話:企業等の知財担当役員と特許庁幹部(特許審査部門部長)との対話を39回実施
知財実務者との対話:企業等の知財実務者と特許庁管理職(審査長等)との対話を151回実施
出典:特許庁ウェブサイト(https://www.jpo.go.jp/news/ugoki/202604/2026040301.html,
35
https://www.jpo.go.jp/news/ugoki/202601/2026012901.html, https://www.jpo.go.jp/news/ugoki/202602/2026022402.html)
コーポレートガバナンス・コード改訂への対応①
知財経営
◆2021年のコーポレートガバナンス・コードの改訂により、上場会社には知財投資等の開示が、取締役会には知財投資等の監督が求められ
ることとなった。
知的財産が関連するコーポレートガバナンスコード
出典:東証上場会社コーポレート・ガバナンス白書2025(データ編)をもとに特許庁作成
36
コーポレートガバナンス・コード改訂への対応②
知財経営
◆ 2025年10月以降、金融庁と東京証券取引所が事務局を務める「コーポレートガバナンス・コードの改訂に関する有識者会議」にて、コーポ
レートガバナンス・コード(CGC)改訂に関する議論が行われ、2026年4月にCGC改訂案が公表されたところ(現在、2026年5月15日を
締切りとして改訂案に対するパブリックコメントの募集がなされているところ)。
◆ CGC改訂案においては、取締役会の役割・責務として、成長投資等に向けた取組みの重要性を明記。具体的には、①会社の目指すところ
に向けた成長の道筋を構築すべきこと、②成長の実現に向けて成長投資(設備・研究開発・人的資本・知的財産等の無形資産への投資
等)や事業ポートフォリオの見直し等の経営資源の配分に関し具体的に何を実行するのかを説明すべきこと等を、「コンプライ・オア・エクスプレ
イン」の対象となる「原則」に明記。
<CGC改訂案からの抜粋> ※下線、赤字によるハイライトは特許庁が追加。
【原則4-1.取締役会の役割・責務Ⅰ:企業戦略等の大きな方向付け】
・・・取締役会は、経営戦略や経営計画の策定・公表に当たっては、成長の実現を目指し、自社の資本コストを踏まえて収益計画や資本政策の基
本的な方針を示すとともに、収益力・資本効率等に関する目標を提示し、その実現のために、成長投資(設備・研究開発・人的資本・知的財産等
の無形資産への投資等)や事業ポートフォリオの見直し等の経営資源の配分等に関し具体的に何を実行するのかについて説明を行うべきである。
解釈指針
・・・投資先を検討するに当たっては、例えば、(ⅰ)投資対象を自社の内部に求めるのか(設備・研究開発・人的資本・知的財産等の無形資産
への投資等)、外部に求めるのか(M&A・業務提携・スタートアップ出資への投資等)といった観点、(ⅱ)短期・中長期 といった観点、
(ⅲ)国内投資(地方への人的投資・地方拠点の整備等)、国外投資といった観点等の多様な投資機会があることを十分に認識すべきである。な
お、知的財産等の無形資産への投資については、競争力や企業価値向上の源泉であることを踏まえ、その創出・取得・強化・保護・収益化に戦略
的に取り組むべきである。 ・・・
今後の方向性
➢ CGC改訂を受け、今後、内閣府知的財産事務局と協働して、「知財・無形資産ガバナンスガイドライン」の改訂を行い、企業等の戦略的な
知財・無形資産投資・活用への働きかけを一層強化していく予定。
37
知財経営
経営・事業で知的財産を活用するためのガイドブック
◆ 経営戦略への知的財産の組込みの実践を支援するための事例集・ガイドブックを2019年から2025年まで毎年発行。
◆ 近年は、経営層と知財部門とのコミュニケーションや知財・無形資産の開示手法にも着目。
経営における
知的財産戦略事例集
(2019年)
経営戦略を成功に導く知財戦略
【実践事例集】
(2020年)
新事業創造に資する
知財戦略事例集
(2021年)
知財経営の実践に向けた
コミュニケーションガイドブック
(2023年)
企業価値向上に資する
知的財産活用事例集
(2022年)
知財経営への招待
~知財・無形資産の投資・活用ガイドブック~
(2024年)
経営戦略に資する
IPランドスケープ実践ガイドブック
(2024年)
企業成長の道筋
~投資家との対話の質を高める知財・無形資産の開示~
(2025年)
38
地域・中小等
知財経営支援ネットワークについて
◆ 2023年3月に、特許庁、日本弁理士会、独立行政法人工業所有権情報・研修館(INPIT)、日本商工会議所が連携して「知財経営
支援ネットワーク」を構築。地域の中小企業・スタートアップ・大学の「稼ぐ力」の向上に向けて、知的財産を強みとしていかした経営(知財
経営)への支援の強化・充実化が目的。
◆ 2024年12月には同ネットワークに中小企業庁も加わり、よろず支援拠点とINPIT知財総合支援窓口の連携強化、知財Gメンとの連携強
化等、ネットワークを拡充。
地域知財経営支援ネットワーク
地方支局
(財務局等)
日本商工会議所
商工会議所
商工会議所
中小機構
(地域本部)
知財経営支援のコア
地方自治体
特許庁
(経産局知財室)
マッチング
支援機関
弁理士会
(地域会)
商工会議所
“稼ぐ力”の向上
よろず
支援拠点
商工会議所
INPIT
(ブロック機能)
商工会議所
地域
金融機関
商工会議所
515商工会議所
47商工会議所連合会
【知財経営】
知財(技術、デザイン、ブランドなど)を強み
として活かして経営力強化
知財経営支援
(各地)
中企庁
商工会議所
JIPA
発明協会
商工会議所
商工会議所
商工会議所
知財総合
支援窓口
JETRO
(各県)
中小企業・スタートアップ
新たな付加価値の創造・拡大
ニーズ・相談
中小企業・スタートアップ・大学
地域経済の好循環の実現
良質な仕事と雇用の創出
39
「知財経営支援ネットワークの更なる強化に向けたアクションプラン」について
地域・中小等
◆ 同ネットワークでのこれまでの取組を継続しつつ、成果の全国への拡大や、見えてきた新たな課題への対応、各機関における支援策等の相乗
効果の向上等を目的として、2026年2月25日に、アクションプランを策定し、署名式を開催。アクションプランの主な内容は以下のとおり。
(1)これまでの取組の継続と拡充
Ⅰ.地域ニーズに即した、地域ブロック毎の知財経営支援体制の
構築(地域知財経営支援ネットワーク)
Ⅱ.全国一律で高品質な知財経営支援サービスの提供
(ワンストップ支援窓口)
Ⅲ.大学をはじめ産学官連携による事業化への支援強化
Ⅳ.企業内で活躍する知財経営人材、支援人材の育成強化
Ⅴ.知財侵害抑止に向けた実態把握の強化
Ⅵ.よろず支援拠点とINPIT知財総合支援窓口等の連携強化に向けた体制構築
Ⅶ.知財関連の補助金等の利活用に係る広報活動の強化
(2)知財情報を活用した中小企業等支援の好事例の全国展開と施策連携の強化
知財情報を活用した中小企業等への支援について、具体的な成果事例(知財分析を活用した大企業とのマッチング等)が生まれつつある
中、特許庁は、成果の全国への展開や中小企業庁の販路開拓支援・新事業進出・事業承継支援等の施策との積極的な連携を進める。
(3)成長志向の中小企業等に対する知財支援強化
知財の取得・活用ポテンシャルが高い成長志向の中小企業等(100億宣言企業やGo-tech事業採択企業)に、INPITが、商工会議所や経
済産業局、中小企業庁関係機関等と連携して訪問した上で、ニーズのある中小企業等に対して、特許庁・INPITが知財面での伴走支援を
集中的に提供する。
(4)知財支援データの連携と施策の効果検証の実施
特許庁・中企庁・INPITが支援先企業情報や知財取得情報を連携するとともに、それらを活用して
施策の効果検証を行う。
(5)知財経営支援に関わる人材育成の強化
知財経営支援を支える「知財経営支援人材」の育成を進めるとともに、高度な知財経営支援サービス
がビジネスとして持続的に供給されるような「知財経営支援エコシステム」の創出を目指す。
40
5者の代表による署名式(令和8年2月25日)
地域・中小等
地域ブランド活性化による地域産品の「稼ぐ力」の向上
◆地域団体商標について、ユーザーの意見も踏まえ、従来の権利化中心の支援から、権利の活用促進支援へ重点化。
「一般消費者の認知度向上」に向けて、新たな施策を順次実施。
◆具体的には、地域団体商標に特化した物販イベントの開催、地域別の観光客向けパンフレット発行等、消費者への直
接アピールを実施。
◆また、権利者団体が発信力を強化できるよう、パネル・シール等の広報材料の作成・配布や、一般消費者向けSNSを
積極的に運用。
◆引き続き、地域団体商標の観光ツアーの実現や、「地域団体商標×個別企業」のコラボ等、更なる展開を追求。
地域ブランドフェスタ
(権利者を販売者とする物販イベント) 地域別観光客向けパンフレット(地域団体商標 Instagram)
広報素材の提供
<これまでの取組の主な効果>
• 4回の物販イベントで約40,000人を集客し、参加者にクイズやアンケート等で制度を周知。出店者・来場者とも高い満足度。
• 地域団体商標の認知度が向上し、SNS(Instagram)のフォロワー数は、2024年9月時点と比較して約60%増加
41
2-3.
特許庁
海外展開支援のための取組
42
海外展開を知財の側面から支援する特許庁の国際的取組
国際
◆企業活動が国籍や国境を越え、日本企業の海外進出が進む中、日本企業が海外でも知的財産権を円滑かつ予見性高く
取得し活用しやすい環境を構築。
• 日本からの海外出願件数の8割以上が米欧中韓であるところ、日米欧中韓の五庁間での制度・運用の調和が重要。新技術・世界
の新潮流へのいち早い対応を日米、三極、G7間で協議し、産業界に共有。
• 新興国への日本企業の進出増を踏まえ、新興国の知財システムの整備も重要。
• 先進国・途上国が参画する世界的な議論を通じ、日本のプレゼンスを維持・向上しつつ、知財関連の国際ルール・制度を改善・堅守。
特許庁の国際的取組
海外審査の迅速化
海外との審査情報の共有
新興国・途上国支援
特許審査ハイウェイ(PPH)により、海外でも簡
易に早期審査が受けられることを目指す。
各国特許庁と審査経過情報を共有するIT環
境を構築し、各国の審査の予見性を高める取
組を推進。
専門家の派遣や研修の提供を通じて、我が
国と同水準の知財保護環境の実現を図る。
WIPOでの条約等の交渉
経済連携協定
制度・運用の調和・改善
制度調和に係る条約策定の議論への関与に
より、日本企業が知財活動をする上で 有利
な/不利にならないルール形成を目指す。
経済連携協定をツールとして、連携国・地
域における知的財産の適切な保護と活用
を目指す。
バイ・マルチの国際会合・交渉を通じて、知的
財産権制度・運用の国際調和や改善を図る。
エンフォースメント強化
日本国内への海外情報の発信
海外への事業展開支援
JETROアタッシェ等を通じて得られた各国の情
報をユーザーに周知し、日本企業における海外
展開の後押しを目指す。
外国出願等の費用や海外での模倣品や知財紛
争への対策に係る費用の補助を通じ、中小企業
等の海外での事業展開やブランド構築を推進。
「政府模倣品・海賊版対策総合窓口」対応
に加え、日本産業界及び国内外の執行機
関等と連携した取組を通じ、知財執行力の
強化を図る。
43
国際
特許審査ハイウェイ(PPH)
PPH:Patent Prosecution Highway
◆ 日本特許庁で特許可能と判断された発明を含む他庁における関連出願について、簡易な申請手続で早期に審査が受けられるように
する枠組み(日本特許庁では、現在46の知財庁との間でPPHを実施している(世界一))。
・ PPHのメリット1:審査待ち期間の 「短縮」
例:通常出願 出願から最初の審査までの待ち期間 平均22.6か月
⇒ PPH出願
最初の審査までの待ち期間 平均7.5か月(米国、2024))
・ PPHのメリット2:特許率の 「向上」(例:通常出願 約77% ⇒ PPH 約90%(米国、2024))
◆ 日本起点のPPHを活用することで、グローバルポートフォリオを迅速に構築。
◆ 諸外国において、特許審査の早期化に資するPPHの拡大・拡充を今後も進めていく。
第1庁(例:日本特許庁)
出願A
審査
グローバルポートフォリオの迅速な構築
特許査定
第2庁(例:米国特許商標庁)
関連出願
A’
PPH
申請
早期
審査
特許
特許査定
44
国際
新興国との新たな特許審査ハイウェイ(PPH Navi)
◆ 新興国においてはPPHを利用してもなお審査に要する期間が長いという問題点が存在。
◆ 出願人からは、JPO(第1庁)で特許査定の判断が既になされた発明について、
海外庁(第2庁)での審査が厳しい(拒絶理由を通知されたり補正を指示される)という声。
◆ 新興国からは、JPO出願が特許査定された理由が不明なため、JPOの審査結果を審査に活用しづらいという声。
◆ PPH Naviは、JPOが特許査定した案件の特許理由をAIで作成して、新興国に提供するJPO独自の先駆的な取組。
◆ 現在、2026年1月からタイに提供。
第1庁(先行審査庁)
出願A
拒絶理由
の通知等
AIで作成
意見書・
補正書
2
特許査定
出願人
特許理由を記載
特許
クレームA
1
第2庁(後続審査庁)
対応出願
A’
特許庁
出願Aの拒絶理由
通知等の写し
特許メモ情報
(毎月)
3
PPH案件リスト
(毎月)
!
4
PPHの
申請
早期審査
12月
45
国際
WIPO GREEN の取組
◆ WIPO GREENは、JIPAの提案を契機として始まった、気候変動・環境技術とニーズとのマッチングを目指すWIPOの取組。
◆ 特許庁は、昨年10月、大阪・関西万博において、世界知的所有権機関(WIPO)等と連携し、SDGsに向けた知財活
用の促進等に関する国際フォーラムを開催。
✓ WIPOタン事務局長の他、先進国・途上国知財庁の長官等幹部を招聘。議論の成果として、
WIPO GREENにおけるビジネス支援の必要性を記載した「EXPO2025 IP message」を発出。
✓ 気候変動・環境分野における知財活用企業をWIPOとともに表彰 (EXPO2025 JPO-WIPO AWARD)。
✓ WIPOが気候変動・環境技術をまとめた「Green Technology Book 万博特別版」をローンチ。
国連の知財専門機関の書籍に、日本企業の技術が多数掲載された。
原文
仮訳
EXPO 2025 IP Message
(特許庁HP)
◆ 万博後、WIPOは企業が自社の技術を世界に向けて紹介するオンラインイベントを開催(本年3月3日・6月5日)、WIPO
はビジネス支援施策の実施を今後も検討。特許庁はこのような取組をジャパン・ファンド等で支援。日本の産業界からの技術を世
界の環境課題解決に結びつけ、日本企業の事業展開支援を目指す。
3月3日に行われたオンラインイベントの様子
<今後開催予定のイベント>
WIPO GREENに関するラウンドテーブルの様子
Green Technology Book 万博特別版
(WIPO HP)
46
国際
海外ECプラットフォーム上の模倣品対策(ベトナムでの三者MOU)
◆ 世界的なEC市場の拡大に伴い、海外ECプラットフォーム上でも我が国産業界の模倣品被害が見られる。
◆ 2026年3月、海外で模倣品対策を進める日本の知的財産保護団体(IIPPF)、ベトナム国内市場管理・開発庁(DMS)、
ベトナムECプラットフォームの三者が了解覚書(MOU)を締結。特許庁も本MOU締結を後押し。
◆ ベトナムの執行機関とのMOUが実現したことにより、ベトナムECプラットフォーム上における実効力のある模倣品
対策が期待される。
概要
ポイント
⚫ 署名者:DMS、IIPPF 、ECプラット
フォーム(Lazada, Tiki, TikTok Shop,
Shopee)
- 特許庁河西長官が署名に立会
⚫ 発効日 :2026年3月5日
⚫ 期間 :3年間(合意により延長可能)
✓ 2026年7月に施行されるベトナム電子商取引法により、DMSはEC市場全体を管理する権限を持
つことになる。
✓ ECプラットフォーム上の模倣品について、①権利者である日本企業はECプラットフォームに削除通知や
情報提供を実施。それを受け、②ECプラットフォームは削除手続を実施。
✓ 適切な削除通知や情報提供であるにも変わらず削除が行われなかった場合、DMSは、③権利者
(日本企業)からの連絡・相談を受けて、④ECプラットフォームへ指導が可能。
①削除通知・情報提供
ベトナムECPF
Tiki
③連絡・相談
IIPPF
(日本企業)
MOU署名式の様子
(左からLazada担当者、リンDMS長官、河西特許庁長
官、小林IIPPF座長(当時)、TikTok Shop担当者)
Lazada
TikTok Shop
模倣品
③連絡・相談
②削除手続
Shopee
④指導
DMS
47
2-4.
特許庁
AIトランスフォーメーション(AX)への対応
48
AI
JPO AIビジョン・三極AIビジョンの策定
◆ 近年のAIの急速な発展を踏まえ、AIの活用方針や留意点などを含む、JPO AIビジョンを策定中。
• 庁内での議論と様々なステークホルダーとの意見交換を経て、近日中にHP等で公表予定。
• 3つの目標と、5つのキーコンセプトから構成される。
◆ 日米欧の三極特許庁は、共通の三極AIビジョンを作成するために実務者で協議中。
JPO AI ビジョン
•
目標
✓ 高品質・迅速な行政サービスの提供
✓ 責任のあるAI利用
✓ AI活用エコシステムの基盤強化
•
キーコンセプト
✓ AI活用の推進
✓ 人間中心のAI
✓ リスクへの適切な対応
✓ ステークホルダーとの連携
✓ AI活用のための組織作り
三極 AI ビジョン
•
•
2025年10月20日三極特許庁長官・ユーザー会合を実施
✓ AIの利活用による特許審査の迅速化・低コスト化・高精度化の実現に向けた相互
協力の重要性を確認
✓ 三極共通のAIビジョンを作成することに合意
現在実務者レベルで三極AIビジョンを協議中
2026年三極長官会合での承認を目指す
49
AI
特許審査におけるAIの活用
◆ 特許審査の各プロセスにおいてAIを導入することにより、特許審査の効率化・高品質化を図る。
◆ ただし、AIはあくまで審査官をサポートするためのものであり、最終的な判断は、これまで通り審査官が実施。
Step 0 : AIによる検索インデックスの作成・付与
⚫ 外国文献への機械分類付与
⚫ 自動生成・自動付与型検索インデックス
Step 1 : 審査対象発明の内容理解
⚫ 生成AIによる審査対象発明の概要・用語の提示
Step 2 : 先行技術文献の調査
⚫ FI ✕ テキスト検索
⚫ AIによる検索(概念検索)
Step 3 : スクリーニング
⚫ 類似度スコア順に文献集合をソート表示
審査対象案件
Step 4 : 審査対象案件と引用文献の対比
⚫ 生成AIによる本願と引用文献の一致点・相違点の提示
引用文献
拒絶理由通知
Step 5 : 起案
⚫ 生成AIによる拒絶理由通知等の内容の確認
50
AI
意匠審査とAIとの関係
◆審査の効率化に向け、意匠審査のプロセス中、「分類付与」・「先行意匠調査」においてAI技術を試行的に導入中。
◆更なる審査の効率化及び品質向上に向けて、意匠分野における生成AIの活用について検討。
分類付与
本願意匠の認定
• 過去の先行意匠文献を学習データとして
活用し、新たに収集した先行意匠文献の
一部を対象として、AI技術を用いて日本
意匠分類を付与。
先行意匠調査
登録性判断
• 庁内データベースに蓄積された先行意匠文献を
対象として、AI技術により、より本願意匠に似
た意匠を先に表示する機能を試行・検証中。
51
AI
商標審査とAIとの関係
◆商標審査のプロセス中、「商品・役務」・「識別力」・「不登録事由」の調査において、AI技術を試行的に導入し、
活用の可能性を模索中。
◆生成AI技術については、商標の審査業務中、どの業務への生成AI導入が馴染むか検討中。
本願の把握
商品・役務の調査
(権利範囲の確定)
商品・役務の調査
主に国際商標登録出願
(マドプロ)を対象
識別力の調査
先行文字商標の調査
•
• AI技術を用いて商品・役
務検索ツールの精度向上
• 不明確な指定商品・役
務について、AI技術により
参考情報を提示し、補正
案を仮作成することで審
査の品質向上に寄与
•
AI技術を活用した先行
文字商標検索ツールに
より、類似と判断され
る可能性が高い先行文
字商標を表示
AI技術を活用した同
ツールにより、過去の
識別力有無の判断を網
羅的に検索することで、
審査判断の均質性に
寄与
不登録事由の調査
登録可否の
判断
起案
先行図形商標の調査
• AI技術を活用したイメージ
サーチツールにより、酷似
する図形を短時間で検出
• 図形分類による従来型の検
索に加え、AI技術を活用し
た同ツールを用いて類似す
る商標を検出することで、
審査の品質向上に寄与
52
3.参考資料(その他の施策等)
53
審査・審判
特許審査に関する取組
知財政策に関する基本方針
2014FY
世界最速
最高品質
国際展開
施策1 FA10,STP14に向けた
迅速性の確保
FA10、STP14という世界最速の特許審査を確保
し、真っ先に審査結果を海外庁に発信
施策2 質の向上
• 先行技術調査(特に外国語文献や非特許文献)
の充実による品質向上
• 協議等を活用した均質性の高い審査
施策3 国際展開
日本の審査実務や運用を新興国等に浸透させること
で、日本企業の国際展開を支援
2024FY
施策1
世界最速・最高品質の特許審査を基礎とした
イノベーションの創出支援
特許審査のレジリエンス向上による迅速性(STP14)の維持
AIなどの新たな技術の急速な発展、技術の複合化・融合化及び技術分野毎の接受件数の変動、審査官数や
登録調査機関の受注能力の制約に起因する審査処理能力の変動等に対応しつつ、我が国が誇る世界最速の特
許審査を維持する。
施策2 質のさらなる向上
生産性の高い先行技術調査や均質性の高い審査をベースに、言語の多様化、技術の複合化・融合化に対応し
ながら、出願人とも共創しつつ、世界に通用する「強く・広く・役に立つ権利」を創出する。
施策3 環境変化に対応したイノベーションの創出支援
外部環境変化に適切に対応しつつ更なるイノベーションの創出に貢献するため、スタートアップ等に対するイノ
ベーション促進策や、特許出願非公開制度の着実な実施など、ユーザー等の関係者を共創パートナーとしなが
ら、特許審査部門の新たな機能を発揮する。
施策4 知財外交の推進
我が国発イノベーションの海外における保護・活用や、GX技術等を活用した環境問題の解決に関する国際協
力に向けて、これまでに醸成した外国特許庁の審査官(補)との信頼関係をさらに強化・拡充するとともに、我
が国特許庁の特性を活かした協力を推進する。
• AIの活用による質と生産性の向上
• 出願構造の変化等に対応するための組
織の柔軟性向上
• 必要なリソースの整備
上記施策の着実な実施に向けて、イノベーションの創出支援
の土台となる“長期的に安定した審査体制”を引き続き整備。
54
審査・審判
意匠審査に関する取組
◆ 意匠審査部門では、ユーザーが安定した意匠権を適時に取得・活用しやすい環境を実現するために、令和3年度
に中期計画を立て、5つの柱に沿って、意匠審査に関する取組を進めている。
◆ 令和8年度以降も、世界最速・最高品質の意匠審査に向けて、取組を引き続き進めていく。
第1 迅速な意匠審査の遂行
第3 意匠審査実務及び知財行政に必要な能力の向上
(主な取組)
(主な取組)
⚫ 実施庁目標(令和8年度:平均FA5~7月)を達成すべく、
審査スケジュールを策定し、徹底した期間管理を実施。
⚫ 審査バッチの一層の多サイクル化を進めるとともに、案件ごとの先行
意匠調査の範囲及び期間を最適化。
⚫ 審査資料が年々増加する問題に対応するため、特許庁データベー
スに蓄積する審査資料の厳選化を推進するとともに、審査資料の閲
覧性を高めた多図面ブラウザを内製開発し、審査に活用。
第2 審査品質の一層の向上
(主な取組)
⚫ 強く・広く・役に立つ意匠権を設定すべく、平成26年に策定した
「意匠審査の品質管理に関するマニュアル」に則した統一的な品
質管理を実施。
⚫ 毎年開催される審査品質管理小委員会における改善提言につい
ての着実な対応。
⚫ 判断の妥当性を確保するため、国際意匠登録出願、画像意匠・
建築物意匠・内装意匠の出願等の審査において、決裁官に加え
て他の審査官とも協議する仕組みを構築。
⚫ 学会・セミナー等への参加や、展示会、企業訪問、技術研修等を
通して、最新の技術・デザイン動向を把握。
⚫ 審査官が行政官として幅広い視野を持つことができるよう、庁内外
における現場実習や民間派遣研修等を実施。
第4 ユーザーニーズの把握と意匠制度の普及啓発
(主な取組)
⚫ ユーザーとの意思疎通を図りつつ審査を実施。出願人・代理人から
面接の要請があった場合には、原則全件実施。
⚫ 企業訪問等を通じて、意匠審査に関するユーザーニーズ等について
情報を把握しつつ、意匠関連施策等を積極的に紹介。
第5 働き方改革の推進・組織の活性化
(主な取組)
⚫ 持続的な行政サービス提供のため、テレワークを導入するとともに、
テレワーク中の審査官への問い合わせに迅速に対応できる仕組み
を構築。
⚫ 生産性が高く働きやすい職場環境づくりを目指し、全審査室に
導入したフリーアドレスを引き続き実施。
55
審査・審判
商標審査に関する取組
◆ 商標審査部門では、一次審査期間(FA)を平均5.5~7.5か月、権利化までの期間(TP)を平均7~9か月とすることを目標と
し、着実に処理を実施。今後も、審査の質の維持・向上とともに、適正な審査期間を堅持すべく、審査業務の効率化及び審査
体制の充実を図る。
◆ ユーザーの「商標」を活用したブランド戦略に資するべく、社会情勢の変化を踏まえた制度運用の見直しや国際連携の推進等
に取り組んでいる。
取組1 適正な審査期間の堅持
取組3 社会情勢の変化等に応じたブランド保護
(主な取組)
(主な取組)
⚫ 審査の品質を維持しつつ、実施庁目標(令和8年度:平均FA5.5
~7.5月)を達成するため、商標出願の審査処理の効率化及び審
査体制の充実を図る。
⚫ 「コンセント制度」の導入後、改訂した商標審査基準・便覧に基づき適切
な審査を遂行。また、同制度において混同を生ずるおそれがないと判断で
きるケースを一部類型化し商標審査基準上で明確化するため、2025年
度に商標審査基準WGを2回開催。改訂版の商標審査基準は、2026
年4月1日以降の審査に適用。
⚫ 拒絶理由の該当性(商標法第3条、第4条等)に関する高度な調査
を含む、審査関連業務の外注を推進。
⚫ 拒絶理由のかからない出願を促進すべく、ユーザーへの情報発信(「出
願支援ガイド」の作成・周知等)やアジャイル開発したユーザー向けサポー
トツールを提供。
⚫ 仮想空間における商標の適切な保護が求められているところ、指定商品・
指定役務に関する審査運用を明確化するためのガイドラインを策定し公
表。仮想空間上のビジネスの進展や国際的な状況等を注視し、必要に
応じてアップデートを図る。
取組2 審査品質の一層の向上
⚫ 地域経済の活性化に資する地域ブランドの保護・活用を推進すべく、地
域団体商標に特化したPRイベントの実施等により、地域団体商標制度
の更なる普及を図る。
(主な取組)
⚫ ブランドを保護育成し、消費活動の円滑化へ貢献するため、適切な商
標審査を行うべく、「商標審査の品質管理に関するマニュアル」に則し
た統一的な品質管理を実施。
⚫ 毎年開催される審査品質管理小委員会における改善提言について
の着実な対応。
⚫ 商標審査に対するユーザーの声を把握し、品質管理施策に反映させ
るため、審査の質についてのユーザー評価調査を実施。
取組4 海外知財庁との連携・情報発信
(主な取組)
⚫ 商標五庁(TM5)会合の枠組みで、企業のグローバルな事業活動を支
援することを目的とした各種プロジェクトを推進。
⚫ ユーザーの関心の高いテーマに関するワークショップを開催するプロジェクト
やAIを含むITツールの活用について情報交換を行うプロジェクト等を主導。
56
審査・審判
審判に関する取組
審判部では、審査の上級審及び準司法機関として、審決の適時性・信頼性の確保を最優先事項として、適正
な審理期間を遵守するとともに、審判業務の効率化・高品質化に向けた取組を行っている。
世界各国・地域の審判分野における相互理解・ユーザーへの情報発信のために、国際的な連携・協力を行って
いる。
1 審決の適時性の確保
3 審理を支える基盤の整備
⚫ 各種事件の進捗を適切に管理するとともに、審判業務の
効率化及び適切な人員配置等により、実施庁目標の
審理期間を遵守を含め、適時性を確保する。
⚫ 研修等を充実させ人的基盤を整備するとともに、審判業
務のDXを推進し、審判業務の効率化・高品質化を図る。
2 信頼性の高い審決
⚫ 審査の上級審及び紛争の早期解決のため、審判決の分
析等を通じて審決の信頼性の向上に努める。
⚫ 審判便覧の改訂の検討、各種ガイドライン等の改訂の検
討など、運用の見直し及び資料の整備を進める。
4 庁内外への情報発信、協力関係の構築
⚫ 審判実務者研究会を開催し、実例に基づく審決及び判
決についての研究を行い、分析結果を公表する。
⚫ 審判部ハイレベル会合、国際知財司法シンポジウム等を
通じて、各国・地域の知的財産庁等と審判分野における
相互理解を深めるとともに、ユーザーへ情報発信する。
※平均審理期間は、審判請求日(※1)から、審決(又は決定)の発送日(※2)、取下げ・放棄の確定日、又は却下の発送日までの期間の暦年平均。
(※1)異議申立てについては異議申立日。特許拒絶査定不服審判において前置審査に係る事件については審理可能となった日。
(※2)特許異議申立てにおいて取消理由通知(決定の予告)を行うものはその発送日、特許無効審判において審決の予告を行うものはその発送日。
数値は
2025年のもの
57
知財経営
知財経営の概要
組織・事業の将来像
価値創造ストーリー
パーパス・MVV等
IPインテリジェンス
(経営シナリオ・価値創造ストーリー
の検証・深堀)
経営戦略
策定に貢献
経営戦略
:知財担当を中心に実施
事業ポートフォ
リオの最適化
「稼ぐ力」の強化
企業価値向上
(新興市場進出、多角化・差別化、資源
配分、M&A等)
知財
情報
論文
情報
市場情報・企業
情報・政策動向
事業戦略
策定に貢献
事業戦略
(競争優位性獲得、事業提携、ブラン
ディング等)
※ IPインテリジェンス
経営・事業情報、知財情報等を
用いて、
✓ 技術トレンド分析、
✓ 自他社の強み/弱み分析、
✓ ブルーオーシャン探索、
✓ パートナー・M&A候補探索、
✓ 新規用途探索、
✓ 新規顧客探索
等を実施
R&D戦略
策定に貢献
R&D戦略
顧客提供価値向上
事業利益拡大
経営戦略・事業戦略・
R&D戦略、知財戦略を
一体的に設計
(知財創出、共同研究等)
参入障壁構築
知財の独占排他機能を用い
て参入障壁を構築し、競争
優位を獲得
知財戦略
策定
知財戦略
(知財による参入障壁構築、オープン&
クローズ戦略、外部との連携促進等)
オープン&クローズ戦略
仲間作りやルール形成を通
じた市場創出・拡大と、知
財による強みの差別化
外部との連携促進
・技術・知財ライセンス
・M&A候補・パートナー候
補の探索・知財デューデリ
etc.
58
標準必須特許(SEP)について
標準必須特許
◆ 標準必須特許を巡る状況は大きく動き続けている。日本においても、近年、SEPに関する訴訟が活発になってきており、中でも
パンテック v. グーグル事件(東京地裁判決)は、日本において初めてSEP侵害による差止めが認められた事件とされて注目
されている。
◆ 東京地裁は、2026年1月に「標準必須特許に基づく特許権侵害訴訟の審理要領」及び「SEP調停(SEPJM)の審理
要領」を公表。
◆ 特許庁では、ライセンス交渉の円滑化や紛争解決の迅速化のため、標準必須特許に不慣れな当事者にもわかりやすく的確
な情報を提供すべく、2018年6月に「標準必須特許のライセンス交渉に関する手引き」を公表(2022年6月改訂)。
2026年度には、2022年以降の各国の裁判例の蓄積や政府機関の動向等を踏まえて、標準必須特許に関する調査研
究を実施。
標準必須特許のライセンス交渉に関する手引きの概要
内外の裁判例や実務等の動向を踏まえ、ライセンス交渉を巡る論点をできるだけ客観的に整理
➢ どう行動すれば、「誠実に交渉している」と認められやすいか説明
➢ 規範を設定しようとするものではなく、法的拘束力を持つものでもない
➢ FRAND宣言された特許が対象
59
大学・公的研究開発機関等への知財専門家派遣事業
大学・国プロ
◆ イノベーションの源泉である大学・公的研究開発機関等の研究成果を社会に橋渡しするため、知財マネジメントの専門家(知財戦略
プロデューサー)を大学・公的研究開発機関等に派遣する、2種の知財支援事業を実施。
⚫ 大学・公的研究開発機関等への支援施策として、産学連携活動を推進する大学等に向けたiAca事業
⚫ 国プロ(※) を推進する機関等やファンディングエージェンシー向けのiNat事業
※競争的研究費制度に基づく公的資金が投入され、革新的な成果が期待される研究開発プロジェクト
知財戦略
プロデューサー
派遣
事業名
対象
支援期間
概要
iAca
大学、
高専、
国研
11か月間に
最大30日
✓ 研究ステージ初期段階のシーズ発掘と出口戦略の策定支援から、
事業化に向けた産学連携活動まで一連の支援を実施
✓ 支援は継続可能(要審査)
iNat
大学、FA、 1年間に
研究開発
最大90日
機関等
✓ 国プロのプロジェクト初期より、知財の視点から研究開発成果の
社会実装を見据えた戦略策定や、社会実装を加速する活動を支援
✓ 支援は継続可能(要審査)
✓ 支援年数上限を撤廃。長期間におよぶプロジェクトも支援可能に
(国プロ)
60
スタート
アップ
知財アクセラレーションプログラム(IPAS)
◆ 創業期(シード・アーリー)のスタートアップを対象に、ビジネスの専門家と知財の専門家からなる知財戦略プロデューサー(ビジネス
メンター・知財メンター)のメンタリングチームが、適切なビジネスモデルの構築とビジネス戦略に連動した知財戦略の構築を支援。
シード・アーリー
ミドル・レイター
EXIT
✓ 支援期間は約5カ月
✓ 2時間×10回程度の支援を実施
支援
随時相談受付
メンタリングチーム
スタートアップ知財支援窓口
知財戦略PD(ビジネスメンター)
知財戦略PD(知財メンター)
ベンチャーキャピタル経験者
スタートアップ支援コンサルタント等
スタートアップ支援経験のある
弁理士・弁護士等
✓ 成果発表会としてフォーラム(Demo-Day)を開催し、スタートアップ支援関係者等とのネットワーキングの場を提供。
✓ INPIT内部のスタートアップ知財支援窓口との連携も行う。
● 支援企業数*1
● シリーズが進展
した企業数*2
● IPAS支援後の
業務提携数*2
144
51
216
社
件
件
● EXITした企業数*3
4
社
M&A 1社
IPO3社
*1:2026年2月時点 *2:2025年6月時点 *3:2025年8月時点
61
スタート
アップ
ベンチャーキャピタルへの知財専門家派遣事業(VC-IPAS)
◆ スタートアップの多くは、VCやアクセラレーター等の支援者からビジネス面の助言やハンズオン支援を受けており、VC等の支援者が事
業計画も踏まえた知財戦略策定支援を合わせて実施できれば、効率的なスタートアップへの支援が期待できる。
◆ このため、特にスタートアップに積極的に成長支援を実施する支援者に対して知財専門家を派遣することにより、VCのキャピタリス
ト等と知財専門家が協働して、スタートアップに対して知財面からも支援を行えるようにする。
◆ 派遣を通してキャピタリストの知財活用能力の向上、民間事業者による知財支援を推進する。
プレシード
ベンチャーキャピタル(VC)
アクセラレーター等 支援者
大学・
研究所
キャピタリスト等 知財専門家
知財支援の
知識を涵養 キャピタリスト等 知財専門家
知財専門家が支援者と
協働しスタートアップを支援
スタートアップ
特許庁/INPIT
知財専門家を派遣
知財専門家
ビジネス専門家
知財専門家・ビジネス専門家
からなるメンタリングチームを派遣
知財戦略の
構築を支援
2025年度は、VC21社(長期派遣15社、短期派遣6社)に加え、アクセラレーター等4社にも派遣。
2026年度は、VC19社(長期派遣13社、短期派遣6社)、アクセラレーター等10社程度に派遣予定。
62
中小企業等
IPランドスケープ支援事業
◆ 中堅・中小企業等が抱える経営や事業の課題に対し、「市場」や「事業」の情報に「知財」の情報を合わせた分析を行い、強みを活
かした解決策を提案する支援。
◆ 2026年度は、100件程度を支援予定。
中堅・中小企業等
専門家
市場・事業 情報
市場情報、事業情報、自社内部情報、自社保有の他社情報
分析・報告・提案
知財 情報
経営・事業の具体的な課題を
解決するための戦略策定
特許、意匠、商標、技術、無形資産(論文・ブランド等)
分析例
市場規模推移
バリューチェーン分析
●●分野の市場は、★★需要により今後も安定した成長が見込
まれ、自社の新事業の柱として好適。
●●分野では、素材の調達、加工等は自社の既存の経営資源を
活用できるが、◆◆は不足しており外部連携も含めて選択肢に。
競合他社との保有特許の分析
親水性と保温性の両立は自社独自の特徴。
この強みを活かせる領域への参入が望まれる。
自社
素
材
(
自
社
)
市
場
規
模
現在
加
工
(
自
社
)
◆◆
X社
○○
Y社
▲▲
Z社
20XX年
中小企業向け IPランドスケープマニュアル (令和7年度作成)
限られたリソースでもIPランドスケープで成果を出せるノウハウが満載です
販
売
(
自
社
)
A社
B社
C社
親
水
性
保
温
性
伸
縮
性
撥
水
性
光
沢
感
柔
軟
性
INPIT
HPをチェック
63
中小企業
中小企業の経営課題
• 「知的財産に関すること」は14%にとどまるものの、人材、販路開拓、商品・サービスの開発、技術・研究開発
などの上位の課題解決に関して、知財の活用が有効となるケースは多い。
• 中小企業が知財の経営上の有効性を十分に認識していない可能性があり、この背景には、「知的財産に係る情報・
知識」「知財活動に割ける時間」「知的財産を管理する人材」の不足といった課題があると考えられる。
支援企業:経営課題の認識(n=58)
支援企業:知財活用の課題(支援前)(n=58)
Q:支援を受ける前、貴社が知的財産活動に取り組む際に課題になっていたことについて、あ
てはまるものをすべて選んでください。
Q:貴社が現在重要と考える経営課題について、あてはまるものを最大3つまで選んでください。
知財の活用が有効
0%
20%
人材に関すること
40%
57%
営業・販路開拓に関すること
41%
商品・サービスの開発・改善に関すること
40%
技術・研究開発に関すること
40%
0%
60%
10%
20%
知的財産に係る情報・知識が不足
…
財務に関すること
28%
ICTに関すること
17%
知的財産に関すること
14%
事業継承に関すること
5%
その他(企業間や産学連携 等)
2%
41%
38%
権利侵害・被侵害への対策が不十分
34%
出願等の知的財産活動に費やす資金が不足
33%
知的財産の戦略的権利化(周辺特許を押さ…
31%
営業秘密に関する社内規定、管理体制の整…
弁理士や弁護士など相談できる専門家の不足
22%
17%
職務発明に対する報奨制度などの知的財産…
特に認識していなかった
(資料)令和7年度中小企業等知財支援施策検討分析事業(地域知財活性化行動計画に関する調査研究)速報版
受託事業者:アビームコンサルティング株式会社
50%
45%
知的財産の効果に対する認識が低い
34%
40%
47%
知的財産を管理する人材が不足
生産・製造に関すること
30%
19%
10%
64
中小企業
INPIT知財総合支援窓口による加速的支援
•
知的資産を活用した事業成長が見込まれる中小企業に対して、INPITから専門家チームを派遣、伴走支援を行うことで、支援先
企業の組織の能力(ケイパビリティ)を高め、事業成長を実現。
INPIT
加速的支援室
中小企業
事業成長
地域への貢献
✓ 市場ニーズに合わせた商品開発能
力、サービス能力向上
✓ ブランド、PR力向上
✓ 顧客、パートナー、マーケティング等
販売能力向上
✓ 法規制等ビジネス環境への対応、
契約アドバイス
・・・等
・課題に適した専門家チームを
派遣
・約1年半の集中型伴走支援
・知財総合支援窓口が継続的
にフォロー
支援対象
【①知的資産の保有状況】
独自性のあるアイデア・技術・サービス・地域
資源など、経営成長につながる知的資産を保
有している。
【②ビジョン・将来性】
経営者が知的資産を活用した事業成長に
対する方向性やビジョンを有している。
【③経営者の人柄・関与】
経営者に熱意・リーダーシップがあり、支援を
受けるに当たって積極的に対応・行動できる。
専門家
チーム
主担当専門家
(弁理士/中小企業診断士等)
各種専
門家
弁護士
大企業
OB
デザイン
/ブランド
専門家
知財総合支援窓口
支援担当者
【④社内体制】
支援を受け入れる社内環境、組織的体力
が望める。
【⑤安全性】
支援の実施にあたり、重要な企業経営上の
リスクがない。
65
「知財経営支援ネットワーク」の取組(知財経営支援モデル地域創出事業)
中小企業
◆ 地域の経営支援機関のネットワークに、知財支援関係者も経営支援の一環として関与させ、地域中小企業等の知財活用を推進する知財経営支援
ネットワークを形成し、恒常的な知財経営支援体制(エコシステム)を構築する。
◆ 当該事業は3カ年以内に連携の形をつくり、4年目以降は自治体が主導で取組を継続できるよう地域の自走化を図るとともに、地域での取組をモデル
化することでモデル事例の横展開を目指す。
支援1:地域の知財経営支援ネットワークの恒常化
中小
センター
中小機構
(よろず)
経営支援
金融機関
認定支援
機関
➢ 企業の成長ステージに応じた様々な連携コラボ支援の実現。
➢ どの成長ステージにおいても、知財支援が必要。
特許庁
大学
機関
支援2:ネットワークによる地域中小企業への伴走支援
商工
会議所
連
携 融
強 合
化
弁理士
発明協会
知財支援
機関
INPIT
知財総合
支援窓口
支援3:地域支援機関の知財支援人材の育成
➢ ネットワークの取組を加速化させる旗振り役の育成。
➢ 経営と知財を融合した支援を地域で体現。
県庁/政令市
エコシステム化を実現
自治体・支援機関
の行動計画
伴走支援
目指す未来
支援機関共催の
セミナーやイベント
➢ ネットワークを通じた知財経営リテラシーの向上
➢ 地域イノベーションを創生し、地域の「稼ぐ力」を向上
66
知財経営支援モデル地域創出事業の各地域における取組
地域
支援開始年度
青森県
2024年度
石川県
2024年度
取組概要
✓
2024年度
ものづくり産業のほか、青森県の特徴であり強みでもある農林水産業等において、「デザイン」の力を活用しながら差別化を図り、地域の
競争力強化につなげる知財経営支援モデル構築を目指す。
✓
石川県の産業振興施策と相乗効果を図るため、ニッチトップ企業及びスタートアップ企業を重点的なターゲットとして支援を実施。産業支
援機関等を中心とした知財経営支援モデル構築を目指す。
✓
神戸市
中小企業
神戸市発スタートアップに対し、特許情報を活用した事業会社とのビジネスマッチング(オープンイノベーション)支援を行うとともに、適切
な支援につなぐ知財ブリッジ人材の育成を実施。
✓
地域支援機関の担当者が、スタートアップに知財の重要性の“気づき”を与え、迅速に適切な支援機関へ橋渡し(知財ブリッジ)する仕
組みを備えた知財経営支援モデル構築を目指す。
✓
愛知県
山口県
2025年度
2025年度
愛知県の研究開発支援施策等により生まれた、中堅・中小企業・スタートアップの有する新技術やノウハウ等の社会実装のための支援を
実施。
✓
参画機関の特徴・強みや支援メニューを共有し合い、各機関の連携を深化させていく。
✓
県の重点成長分野等で事業を展開する企業の優れた技術を活かしながら、技術的視点と経営的視点を合わせた総合的視点(技術経
営)から事業化・事業拡大へと繋げるための支援を実施。
✓
バックキャスト思考でのAsIs・ToBe分析と課題整理を実施した後、具体的なアクション・参画支援機関を記載したロードマップを支援企
業ごとに策定することで、支援機関の動き等を可視化し、再現性のある支援・連携を目指す。
✓
熊本市
2025年度
熊本県・市の産業特性である医療・創薬分野、農水産業分野等におけるスタートアップ等地域中小企業に対し、経営課題解決・事業成
長に資する知財活用促進のための伴走支援を実施。
✓
熊本市がこれまで構築してきた大学・金融機関・支援機関等の支援ネットワークを活用・強化し、地域のスタートアップ・中小企業の価値向
上に繋げる「知財活用熊本モデル」の構築を目指す。
67
中小企業
知財金融事業
◆ 保有する経営資源(ヒト・モノ・カネ・情報)が限られている中、多くの中小企業が自力で経営戦略を構築・実行し、企業価値を高
めるには至っていない。
◆ 企業価値を向上させるためには、中小企業の経営資源の一つである知財・無形資産を活用した経営戦略を策定し、投資家や金
融機関による適切な事業性評価を受けることが重要。
◆ 適切な事業性評価を受けられるよう、自社の強みである知財・無形資産と将来の目指す姿を結びつけた経営戦略ストーリーを可視
化した知財ビジネス報告書を作成し、投資家や金融機関による知財・無形資産に着目した事業性評価を後押し。
【スキーム・実施内容】
【目指す仕組み】
ヒアリング、調査・分析を
通じた知財ビジネス報告書の
作成・提供
事務局・専門家
知財ビジネス報告書
の提示・開示
事業性評価
中小企業
As Is
金融機関
1
2
知財・無形資産の
見える化
=知財ビジネス報
告書
投資家や金融機
関による適切な事
業性評価
To Be
自社の強み・知財分析
(知財・無形資産等)
将来の目指す姿
(経営戦略・方針)
企業価値向上に向けた経
営戦略ストーリー
4
知財活用の
仕組み
知財・無形
資産の価値に基
づいた企業価値の
向上
3
更なる知財・無形
資産への投資に
向けた資金の獲
得
68
(参考)企業価値担保権
中小企業
事業性融資の推進等に関する法律(令和6年法律第52号)
◆ 金融庁は、不動産を目的とする担保権又は個人を保証人とする保証契約等に依存した融資慣行の是正
及び会社の事業に必要な資金の調達等の円滑化を図るため、「事業性融資の促進等に関する法律」を
制定。
◆ 事業者が、不動産担保や経営者保証等によらず、事業の実態や将来性に着目した融資を受けやすくな
るよう、事業性融資の推進に関し、「基本理念」、「国の責務」、「事業性融資推進本部」、「企業
価値担保権」、「認定事業性融資推進支援機関」等について定める。
【企業価値担保権の創設】
◆有形資産に乏しいスタートアップや、経営者保証により事業承継や思い切った事
業展開を躊躇している事業者等の資金調達を円滑化するため、無形資産を含む事
業全体を担保とする制度(企業価値担保権)。
◆2026年(令和8年)5月25日施行。
出典:金融庁『事業性融資の推進等に関する法律案 説明資料』
(2024年3月)
https://www.fsa.go.jp/common/diet/213/02/setsumei.pdf
69
海外展開を知財の側面から支援する特許庁の国際的取組(再掲)
国際
◆企業活動が国籍や国境を越え、日本企業の海外進出が進む中、日本企業が海外でも知的財産権を円滑かつ予見性高く
取得し活用しやすい環境を構築。
• 日本からの海外出願件数の8割以上が米欧中韓であるところ、日米欧中韓の五庁間での制度・運用の調和が重要。新技術・世界
の新潮流へのいち早い対応を日米、三極、G7間で協議し、産業界に共有。
• 新興国への日本企業の進出増を踏まえ、新興国の知財システムの整備も重要。
• 先進国・途上国が参画する世界的な議論を通じ、日本のプレゼンスを維持・向上しつつ、知財関連の国際ルール・制度を改善・堅守。
特許庁の国際的取組
海外審査の迅速化
海外との審査情報の共有
新興国・途上国支援
特許審査ハイウェイ(PPH)により、海外でも簡
易に早期審査が受けられることを目指す。
各国特許庁と審査経過情報を共有するIT環
境を構築し、各国の審査の予見性を高める取
組を推進。
専門家の派遣や研修の提供を通じて、我が
国と同水準の知財保護環境の実現を図る。
WIPOでの条約等の交渉
経済連携協定
制度・運用の調和・改善
制度調和に係る条約策定の議論への関与に
より、日本企業が知財活動をする上で 有利
な/不利にならないルール形成を目指す。
経済連携協定をツールとして、連携国・地
域における知的財産の適切な保護と活用
を目指す。
バイ・マルチの国際会合・交渉を通じて、知的
財産権制度・運用の国際調和や改善を図る。
エンフォースメント強化
日本国内への海外情報の発信
海外への事業展開支援
JETROアタッシェ等を通じて得られた各国の情
報をユーザーに周知し、日本企業における海外
展開の後押しを目指す。
外国出願等の費用や海外での模倣品や知財紛
争への対策に係る費用の補助を通じ、中小企業
等の海外での事業展開やブランド構築を推進。
「政府模倣品・海賊版対策総合窓口」対応
に加え、日本産業界及び国内外の執行機
関等と連携した取組を通じ、知財執行力の
強化を図る。
70
先進国との協力枠組み(五庁(日米欧中韓)、G7)
IP5(特許)
✓ 世界の特許出願件数の約85%を占める日米欧中韓の
五庁によって知的財産における世界的な取組をリードすべく
2007年より五庁長官会合を継続して開催。
✓ 主に、特許分類改正、特許情報サービス改善、制度運用
調和、審査結果の相互利用、特許統計データ提供などの
課題について議論。
•
•
国際
ID5(意匠)
✓ 日米欧中韓の主要五庁が、意匠制度及びその実務に関
する国際的な連携を強化・推進するための協力枠組として
2015年に創設。
直近では、第18回五庁長官会合(2025年5月、中国
ホスト)において、特許のライセンスや知財金融といった
分野における各庁の施策について意見交換を行うとともに
新技術・AIに関する五庁の協力を継続することを確認。
2026年は日本がホストとなり開催予定。
• 様々な協力プロジェクトが行われているところ、日本は「新技
術がもたらす意匠制度の課題」等のプロジェクトをリード。
• 2025年はUSPTO(米国)がホストとなり、第11回ID5年
次会合(2025年10月)を米国で開催。10の協力プロジェ
クトについての成果の確認と今後の進め方について議論し
たほか、2つの新規提案プロジェクトを採択。
• 2026年はCNIPAがホストとなり開催予定。
TM5(商標)
G7知財庁長官級会談
✓ 日米欧中韓の知財庁が、商標分野における国際的な協
力を推進し、商標が世界各国で適切に保護、活用される
環境を整備することで企業のグローバルな事業活動を支援
することを目的として、2011年に創設。
✓ G7を構成する仏米英独日伊加(議長国順)の知財庁
長官及びWIPO事務局長(オブザーバー)等が一堂に
会し、知財に関するグローバルな問題を議論。2021年に
開始された。
• 様々な協力プロジェクトが行われているところ、日本は 「悪
意の商標プロジェクト」等の複数のプロジェクトをリード。
• 2025年はUSPTOがホストとなり、第14回TM5年次会合
(2025年10月)を米国・アレクサンドリアで開催。11の協
力プロジェクトについての成果の確認と今後の進め方につ
いて議論したほか、1つの新規提案プロジェクトを採択。
• 2026年はCNIPAがホストとなり開催予定。
• 直近の第4回会談(2025年12月)は、CIPO(カナダ)が
ホストとなり、デジタル経済に向けた知財庁の現代化や、経
済成長のための企業への知的
財産活用支援について議論。
• 2026年はINPI(フランス)が
ホストとなり開催予定。
オンライン開催の様子
71
国際
新興国・途上国に対する支援
知財人材の育成
• 1996年から、アジア、アフリカ、中南米など新興国・途上国
の知財庁職員/民間企業等に対し、審査実務や知財活用
に関する研修を提供し、知財制度及びその運用の確立・強
化を支援。
• これまで(1996~2024年度)に、100以上の国・地域
において、延べ8,200名以上が研修を修了。
特許庁職員の派遣
• JICAと協力して、特許庁職員を知的財産制度に関する専
門家として途上国に派遣し、途上国での知的財産法法制
度整備や人材育成を支援。
【インドネシア】
知的財産制度整備の支援、人材育成協力、普及啓発活動等
を目的に、1993年度からJPO職員をインドネシア知的財産総
局へ派遣。
【ベトナム】
特許審査実務の改善、人材育成等の支援を目的に、
2021年からJPO職員1名を長期専門家としてベトナム国家知
的財産庁へ派遣。2026年からは商標審査官を派遣。
多国間協力
• 日ASEANの知財に関する協力覚書(MOC)に基づき、
毎年度、日ASEAN特許庁長官会合を開催し、日ASEAN
知財アクションプランを策定。ASEAN全体として取り組んでい
る課題の解決を後押し。
• 東アジア・アセアン経済研究センターと協力した調査事業、
実務者レベル会合の開催、人材育成事業等を実施。
• 2024年度には、AI/
IoT技術の特許審査の
透明性確保と誤訳への
対応整備の重要性を
確認する共同声明を
採択。
二カ国間協力
• MOC締結、インプリメンテーションプラン策定などを行い、各
国の事情に応じた支援・協力を実施。また、様々な機会を
利用して知財庁間ハイレベル会談等を実施。
• 2025年度は、以下の取組を実施。
➢ 第6回日印知的財産評価会合
➢ MOC締結(シンガポール)
➢ 審査官派遣(インドネシア、タイ、マレーシア、フィリピン、
ベトナム、ラオス)
➢ 模倣品対策セミナー(インド、UAE、トルコ、インドネシ
ア、ベトナム)
72
国際
世界知的所有権機関(WIPO)との協力
◆ WIPOは、世界194か国が加盟する知的財産に関する国連の専門機関(1970年設立)。事務局長はダレン・タン氏(星国籍)。
本部はスイス・ジュネーブ。国際的な知財ルールの構築、国際出願や情報提供等のグローバルサービス、途上国支援が主な活動。
2006年に日本事務所を設立。
◆ 我が国は、加盟国中最大の約9.9億円(2025年度)を任意拠出金(ジャパン・ファンド、Funds-in-Trust Japan Industrial
Property Global(FIT Japan IP Global))としてWIPOへ拠出。
◆ 直近では、WIPOによる環境技術マッチングの取組(WIPO GREEN)や、大阪・関西万博等に関する協力を実施。
【WIPO GREEN】
【WIPOジャパンファンド】
概要
概要
• 気候変動・環境技術の活用を促進するためのプラットフォーム。
• 技術やニーズを集めたオンラインのデータベースや、ニーズの深掘り調
査・イベント等を通じ、環境技術の希望者と提供者をマッチング。
• 拠出金としてWIPOジャパンファンド事業を編成し、途上国
(地域)を対象とした知的財産関連の制度、執行面の整
備、情報化等を支援。
• 2025年度の拠出金額は、約9.9億円。
日本の貢献・今後の課題
• ジャパンファンドを活用し、ラテンアメリカやインド等におけるマッチング促
進にむけた取組プロジェクトを支援。
• 特許庁は、2020年2月19日にパートナーとして
参加。アジア太平洋地域の知財庁の中で最初
のパートナー。
• 世界で160超の組織がWIPO GREENパートナーに参加。日本は
パートナー数において世界第1位。近年、WIPO GREENを通じた
実際の環境技術マッチング(成功事例)を増やすことが課題。
スタートアップ支援協力
• ジャパンファンド事業においても、近年、中小・スタートアップ企
業支援を新たに推進し始めているところ、スタートアップ支援の
実績を有する日本特許庁とWIPO間で連携強化に関する共
同声明に署名。
【大阪・関西万博における協力】
• WIPOや各国の知財庁等と連携し、SDGsに向けた知財活
用の促進等に関する国際フォーラムを開催。 (再掲)
73
国際
経済連携協定(EPA)の取組
◆ EPAとは、幅広い経済関係の強化を目指し、貿易や投資の自由化・円滑化を進める協定であり、条約に該当し、法的拘束力あり。
◆ EPAには、関税等の様々な分野が含まれており、近年は知財に関する規定が入ることが一般的。
② 日・UAE・EPA
① 日・バングラデシュEPA
2024年9月18日:交渉開始
2026年3月 5日:大筋合意を公表
2026年度以降 :署名予定
2024年 3月12日:交渉開始
2025年12月22日:大筋合意を公表
2026年 2月 6日:署名
出典:外務省HP
<知財規定の例>
・PCTへの加入義務(猶予期間
あり)
・マドリッド協定議定書への加入
義務(猶予期間あり)
・周知商標の保護強化等
<知財規定の例>
・知的財産権の保護に関して、
締約国内(フリーゾーン含む)
での取締りの確保
出典:外務省HP
③新たな活動:EPAモッタイナイ
2026年1月 :独自の取組として始動
2026年度以降:知財専門委員会を適宜開催予定
<EPAモッタイナイ>
・我が国は22の協定を発効済・署名済であり、当該協定により
51か国をカバー(貿易総額の約8割)
・協定履行に懸念がある場合には、必要に応じて知財専門委員
会を開催予定
出典:外務省HP
74
国際
中小企業等海外展開支援事業
スタート
アップ
◆ 外国における中小企業の出願等を補助金で支援。
大学
事業名
助成対象となる費用
補助率
上限額
INPIT外国出願補助金
外国特許庁への出願、審査請求及び中間応答時に要する手数料、代理人費用、
翻訳費用等
*対象者には、中小スタートアップや大学等も含む。また、審査請求・中間応答は特
許のみが対象
※INPITで実施
1/2
(1企業当たり)
300万(複数案件可)
(1案件当たり)
特150万, 実・意・商60万
海外出願支援事業
外国特許庁への出願時に要する手数料、代理人費用、翻訳費用等
1/2
(1企業当たり)
300万(複数案件可)
(1案件当たり)
特150万, 実・意・商60万
2/3
(1企業当たり)
400万(複数案件可)
2/3
(1企業当たり)
500万(複数案件可)
2/3
(1企業当たり)
500万(複数案件可)
※都道府県中小企業支援センター等で実施
海外侵害対策
支援事業
中小企業
①模倣品対策支援
海外での模倣品に関する調査や模倣品業者に対する警告・行政摘発手続等の費
用、及びこれらに要する代理人費用
②抜け駆け商標無効・取消係争支援
抜け駆け商標に対する異議申立、無効審判請求、取消
審判請求の費用、及びこれらに要する代理人費用
③防衛型侵害対策支援
進出先の外国企業から警告状を受けたり訴訟を提起された場合における弁理士等
への相談等に要する費用、訴訟費用、対抗措置や和解に要する費用等
海外知財訴訟
保険補助事業
海外知財訴訟保険の掛金
1/2
(更新 1/3)
-
75
PPHにおける審査時期の予見性向上に向けた改善「PPH eXtra」
国際
◆ JPOとUSPTOの両庁は、PPH申請案件の審査着手時期の予見性向上のため、PPH申請案件の
各オフィスアクションを行う期限(審査待ち期間)について目標値を設定しつつ実績値を公表する取組を開始。
◆ 2022年1月1日から両庁それぞれの目標に沿ってPPH申請案件の審査を実施。
◆ 2025年にJPOとUSPTOが共同で、PPHを実施する海外知財庁に本取組を紹介し、参加の検討を依頼。
◆ 2026年4月時点で日米中韓を含む7庁がこの取組を実施中。今後も海外知財庁に対してこの取組への参加を呼びかけていく。
PPHポータルより目標値及び実績値一覧(随時更新予定; 本取組を開始して間もない庁は実績値未公表):
上記取組については、PPHポータル上のPPH eXtraページをご覧ください:https://www.jpo.go.jp/toppage/pph-portal-j/pph-extra.html
また、各庁ウェブページにも一部情報が掲載されています。
(JPO)
https://www.jpo.go.jp/system/patent/shinsa/soki/pph/us highway pilot program.html
(USPTO) https://www.uspto.gov/patents/basics/international-protection/patent-prosecution-highway-pph-fast-track
(KIPO) https://www.kipo.go.kr/en/HtmlApp?c=100016&catmenu=ek02 02 03
(CNIPA) https://www.cnipa.gov.cn/art/2024/4/11/art 53 191518.html
76
国際
審判における国際連携(国際知財司法シンポジウム)
審判
◆ 知財司法分野における各国・地域間の相互理解の促進、我が国ユーザー等への情報提供のため、特許庁、最高裁、知財高裁、
法務省、日弁連、弁護士知財ネットと共催。
◆ 2025年度は、「国際知財司法シンポジウム(JSIP) 2025 知財紛争解決の潮流~知財高裁20周年の節目に~」を2025
年10月23~24日に開催。
◆ 特に、今年度は、知的財産高等裁判所設置20周年の節目の年となることから、1日目には、知財高裁設立後の知財司法・知
財行政についての講演、パネルディスカッションを行い、2日目には、五庁審判部からパネリストが登壇し、各国・地域の審判制度に
ついてパネルディスカッションなどを行った。
JSIP2025の様子
YouTube 最高裁行政局チャンネル
77
国際
(参考)特許庁の海外ネットワーク
◆ 特許庁の知財専門家を世界各地に配置。現地の知財動向の収集・発信に加え、現地の知財関係者や企業の駐在員との
ネットワークの形成など、企業の海外展開を支援。
ドイツ(ジェトロデュッセルドルフ事務所)
担当範囲:欧州・ロシア
アメリカ(ジェトロニューヨーク事務所)
中国(ジェトロ北京事務所)
担当範囲:中国
中国(ジェトロ香港事務所)
担当範囲:香港
担当範囲:北米
フランス
(経済協力開発機構)
アメリカ
(新エネルギー・産業技術総合開発機構
シリコンバレー事務所)
スイス
(世界知的所有権機関)
UAE(ジェトロドバイ事務所)
担当範囲:中東・アフリカ
インド(ジェトロニューデリー事務所)
担当範囲:南西アジア、中央アジア、コーカサス地域
タイ(ジェトロバンコク事務所)
担当範囲:タイ、ミャンマー、ベトナム、ラオス、カンボジア
ブラジル(ジェトロサンパウロ事務所)
シンガポール(ジェトロシンガポール事務所)
担当範囲:中南米
担当範囲:シンガポール、インドネシア、東ティモール、オセ
アニア(オーストラリア、ニュージーランド、他)
韓国(ジェトロソウル事務所)
担当範囲:韓国
台湾(日本台湾交流協会台北事務所)
担当範囲:台湾
ベトナム
(国家知的財産庁)
(JICA専門家)
インドネシア
(法務省知的財産権総局)
(東アジア・アセアン経済研究センター)
※カバー地域毎に塗り分け
78
AIを発明者として出願できないことは、世界的に決着
AI
DABUS(ダバス)事件
◆英国サリー大学のRyan Abbott教授率いるチームが、「DABUS」というAIを発明者と
して日米欧中韓を含む世界各国で特許出願。
※ 食料の包装容器(フードコンテナ)等に関する特許発明。
◆日本の特許庁も、発明者にAIを記載することは方式違反として出願却下。その後出訴さ
れ、知財高裁にて「特許を受けることができる「発明」は、自然人が発明者となるもの
に限られる」として判断が支持された(2025年1月30日)。
◆世界各国で、AIは発明者になれない旨の判断がなされた上で出願却下処分(注:南アフリカ
のみ無審査で登録)。
◆DABUS事件を一つの契機として、AIによる発明を特許法上どう扱うか等の議論が世界各
国で活発化し、米国や中国ではガイドラインなどが公表されている(次ページ)。
79
AIの利活用で人間の創作的寄与が減少した場合 ~ 各国で議論中
AI
◆各国とも、発明者は発明に対して一定の創作的寄与をした者と解しているが、AIを利活用して人間の創作的寄与が
減少した場合の取り扱いについて、各国で議論されている。
⇒ 我が国においても、国内外の状況を注視しつつ、特許制度小委員会で検討を進めていく予定。
各国の動き
(米国)
AIの支援を受けた発明の発明者適格に関するガイダンス
2024年2月13日
発明に AI の支援があった場合に、発明に対する自然人の貢献が特許を取得するのに十分といえるほど大きかったかどうか判
断する方法をステークホルダーや審査官に示すもの。
(参照)JETRO NY 知的財産部「USPTO、AI の支援を受けた発明の発明者適格に関するガイダンスを発行」
https://www.jetro.go.jp/ext_images/_Ipnews/us/2024/20240213.pdf
2025年11月28日に撤回したうえで全面改定。
上記判断方法ではなく、「着想基準」(※1)に従って発明者を判断。
※1:自然人が発明の全ての事項を理解しており、それが「発明者の心の中で明確に定義されていて、広範な研究や実
験を行わずに、通常の技能のみで発明を実施できる」状態であるかどうか
(参照) JETRO NY 知的財産部「USPTO、AI の支援を受けた発明の発明者適格に関するガイダンスを改定」
https://www.jetro.go.jp/ext_images/_Ipnews/us/2025/20251128.pdf
(中国)
AIに関連する発明特許の出願ガイドライン(試行)
2024年12月31日
AIは発明者とできないことが記載されている。また、AIの助けを借りてなされた発明の場合、発明創造の実質的特徴に対して
創造的貢献をした自然人は、発明者とできることが示されている。
80
企業の知財業務への AI 活用状況に関する調査研究(2026年度)
AI
◆ 生成 AI の急速な進化・普及は、企業等の知的財産担当に求められる役割や業務内容に劇的な変
化をもたらすと考えられる。
◆ こうした中、日本企業の「稼ぐ力」を強化する知的財産政策を講じるためには、AIトランス
フォーメーション(AX)による知的財産ユーザーの行動態様の変化を的確に把握することが必要
不可欠。
◆ そこで特許庁では、企業の知的財産業務における生成 AI 活用の実体や可能性を把握するため、
2026年度に以下の調査研究を実施する予定。
① 企業が、知的財産業務への生成AIの導入を検討する段階から実際に運用する段階までの各段
階において、どういった検討を行ったか、どういった課題に直面したか、さらにはどういっ
た解決策を講じたか等を調査・分析し、体系的に整理
② 他社にも有用であると考えられる具体的なAI活用事例(プロンプト例等を含む)を収集・把
握し、体系的に整理
81
DE&I
DE&I(ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン)の取組
【国際的な取組】
◆ 特許庁は、昨年10月、大阪・関西万博において、世界知的所有権機関(WIPO)等と連携し、SDGsに向けた知財活用の促進
等に関する国際フォーラムを開催。
✓ 知財分野における女性・若者の活躍促進について長官級が議論する「Women & Youthラウンドテーブル」
を実施。女性・若者支援の必要性を記した「EXPO2025 IP message」を参加各国と連名で発出。
✓ 女性・若者活躍を推進する知財活用企業をWIPOとともに表彰(EXPO2025 JPO-WIPO AWARD)
原文
仮訳
EXPO 2025 IP Message
(再掲/特許庁HP)
◆ WIPO主催「女性知財(Women and IP)シンポジウム」、「グローバルリサーチ専門家会合」に継続的に参加。
◆ 3月8日の国際女性デーを記念し、世界80以上の国・地域の知財庁・知財機関で発出した女性活躍推進に関する共同声明に、JPOも
2022年から継続して参加。
【国内の取組】
◆ 昨年3月・8月、今年3月に、STEM(理工系)分野への興味喚起、進路選択支援を目的とした女子中高生向けイベントを開催。
今年8月にも同様のイベントを実施予定。
- 昨年8月開催のイベントでは3日間合計で167名が参加し、参加者の理系選択の意向が、イベント前後で10%超上昇。
◆ 国内の知財関連団体との連携を深めるべく、日本弁理士会DE&I推進委員会及び一般社団法人日本知的財産協会(JIPA)DE&I Societyワー
キンググループとの三者会合を定期的に実施。
◆ さらに、すべての特許庁職員の能力を最大限活用することができる状態を目指し、デザイン思考を用いてDE&I推進施策を検討中。
DE&Iに関するラウンドテーブルの様子
女子中高生イベントの様子
Women and IPシンポジウム
Copyright: WIPO. Photo: Emmanuel Berrod
82
社会課題
知財を活用して社会課題解決を:I-OPENプロジェクト
◆ 社会課題解決に取り組むスタートアップ企業、非営利法人、個人等が、知財やビジネスに精通した専門家の伴走
支援を受け、知財を活用しながら、社会課題解決を目指すプロジェクト。
◆ 今後は、このプロジェクトを通じて築いてきた伴走支援の手法等を活用し、地域を含め、思いを持った個人等が行
動に移せる環境整備等についての検討を進める。
豊かな社会を願い、想いと創造力から生まれる知的財産をいかして、未来を切り拓く
情熱を有する人(I-OPENER)を生み出すエコシステムの実現を目指す
●コミュニティの構築
基盤づくりと中期ビジョン策定
を目指して実証中
“I-OPEN Supporters”
I-OPENERを生み出す
コミュニティ
知財専門家(弁理士・弁護士)、社会課題解決
の専門家(デザイナー、社会起業家、経営者等)
Web等のメディアで
等
メンタリング等
による社会実装支援
●社会的価値の創出
伴走型支援を通じて、知財を活
用した社会課題の解決を推進
(R7年度支援実績5者、
R3-7年度支援累計42者)
の展開
●情報発信
2025年には
大阪・関西万
博にて発信
例えば、環境問題、ジェンダー平等、貧
困問題等の社会課題に取り組むソー
シャル・イノベーター
・COMMUNITY GUIDEの公開
・フォーラム開催 など
(出典)特許庁、I-OPENプロジェクト特設サイト https://www.i-open.go.jp/
83
万博
万博出展 ~EXPOメッセでの展示~
◆ 大阪・関西万博にて、社会価値の共創などの新しい知財の活用事例(I-OPENプロジェクト*等)や社会課題解決に貢献
する新技術を実演・展示。社会課題解決に知財が有用であることを国内外に発信。
•
2025年10月2日~10日(EXPO メッセ「WASSE」)
•
主催:特許庁 共催:日本弁理士会 出展:特許庁、日本弁理士会、近畿経済産業局、INPIT
◆ 社会課題解決に向けて知財を活用しているフロントランナーを紹介する展示や、社会課題を解決する特許技術を使った製品の
体験、ステージイベント等を実施。
*社会課題解決を目指すスタートアップ企業、非営利法人、個人等に対し、
知的財産権を活用して社会課題解決を支援する特許庁のプロジェクト
(展示のメインビジュアル)
(展示の全体図)
84
万博
万博出展 ~EXPOメッセでの展示~
◆ 会期中、約5万3000人が来場し、特許庁職員によるガイドツアーも連日好評を博した。
◆ 来場者アンケートの結果から、今回の展示を通して来場者、特に展示のメインターゲットである若年層に、社会課題解決に
知財が有用であることを学んでいただき、また、自身も知的財産を生み出せる可能性があると感じていただけた。
今回のイベントの全体的な満足度について、「満足+やや満
足」が約91%(回答数: 32,559)
(開会式)主催・共催・出展者の他、本展時にアドバイ
ザーとして参画いただいた齋藤精一氏・小西利行氏も参加。
(特許庁職員によるガイドツアー)
(満足 48.6%、やや満足 42.7%、どちらといえない 7.5%、やや不満 0.9%、不満 0.2%)
その他、来場者からいただいたコメント(一部抜粋)
・万博で知財について知ることができたのはよい機会だった
・ガイドツアーが分かりやすく楽しかった
展示でご紹介したフロントランナーの
事例については、ホームページにて公開中!
(きづきを集める展示体験)各展示ブースでの「きづき」を
集め、質問に答えると、知財を生みだす力を可視化した来
場者自身の「知財のタネ」のステッカーが生成される。
(ステージイベント)
特許庁I-OPENプロジェクトや、近畿経済産業局、
INPIT等による知財活用のイベントも実施。
特許庁ウェブサイト内 特設サイト
https://www.jpo.go.jp/news/expo2025
85
ありがとうございました
特許庁
資料5
竹中委員提出意見(第 21 回知的財産分科会開催後に提出)
今回の報告書で「IP ランドスケープ」に代えて「IP インテリジェンス」という表現が用いられた
ことは、欧米でも理解されやすい用語となった点で評価できます。他方で、委員会で議論された
とおり、経営層に技術や経済分析を理解する人材が十分に含まれていないため、IP 情報が経営判
断に十分活用されていないのが現状です。より重要なのは用語の問題にとどまらず、IP 情報を経
営層の意思決定(研究開発投資、M&A、事業戦略、ライセンス戦略等)に体系的に組み込むことで
す。今後は、IP インテリジェンスを分析にとどめず、事業戦略や投資判断に組み込む仕組みの検
討が必要であると考えます。
資料6
5 月 14 日産業構造審議会知的財産分科会追加コメント
ヒロタデザインスタジオ廣田尚子
「稼ぐ力」にデザイン経営と企業ブランディングの視点を
日本がもう一度国際競争力を持つためには、技術と知財の根を深く張ることが大前提
でありますが、
「稼ぐ力」には、技術への投資である価値創造のフェーズと、それを市
場から利益として回収する価値獲得のフェーズが両輪として必要であると考えます。
技術投資を確実に企業の稼ぐ力へ結びつけ、投資対効果を最大化させるための触媒と
して、特許庁が推進してこられた「デザイン経営」の視点を掛け合わせ、企業ブラン
ディングによって付加価値(価値の増幅)を高めることで業績の安定と成長の確率を
上げると考えています。デザイン経営とブランディングへの注力もぜひお願いしたく
お知らせ申し上げます。
もう一点、先日審議会で申し上げた「若い力を未来に向けて育てる」に関し、具体的
な施策の方向性として、ぜひ特許庁に主導していただきたい提案がございます。
現在東京大学が、新しくデザインの学科・組織を立ち上げるという大きな変革が起き
ています。これは、アカデミアの最前線でも「技術とデザインの融合」が不可欠であ
ると認識されたことだと捉えています。
この好機に、特許庁がハブとなり、「東大のデザイン学科(デザイン系学生)」と
「最先端の技術研究(理系・技術系の学生や研究所)」、そして「特許庁の知財マイ
ンド」を掛け合わせる、未来の「デザイン経営人材」の育成企画を立ち上げてはいか
がでしょうか。
若い学生の段階から、優れた技術(知財)をデザインの力で社会に実装し、ブランデ
ィングによって価値を高めていくプロセスを体感させるというものです。本方針が目
指す「次世代の稼ぐ力」の種まきになると考えます。技術先行の視点をさらに強固に
し、それを市場価値へ昇華させる象徴的なロールモデルとして、特許庁がこの「技術
×デザイン×知財」の連携を力強く扇動していくことを期待して、お知らせいたしま
す。